1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年五月十四日(火曜日)
午前九時四十二分開議
出席委員
委員長 松前 仰君
理事 松岡 利勝君 理事 仲村 正治君
理事 初村謙一郎君 理事 増田 敏男君
理事 田中 恒利君 理事 井出 正一君
荒井 広幸君 岸本 光造君
栗原 博久君 七条 明君
浜田 靖一君 穂積 良行君
松下 忠洋君 森田 一君
山本 公一君 鮫島 宗明君
須藤 浩君 千葉 国男君
畑 英次郎君 堀込 征雄君
宮本 一三君 山岡 賢次君
永井 哲男君 野坂 浩賢君
山崎 泉君 小沢 鋭仁君
簗瀬 進君 藤田 スミ君
小泉 晨一君
出席国務大臣
農林水産大臣 大原 一三君
出席政府委員
農林水産大臣官
房長 高木 勇樹君
水産庁長官 東 久雄君
委員外の出席者
農林水産委員会 黒木 敏郎君
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委員の異動
五月十四日
辞任 補欠選任
木幡 弘道君 鮫島 宗明君
徳田 虎雄君 小泉 晨一君
同日
辞任 補欠選任
鮫島 宗明君 木幡 弘道君
小泉 晨一君 徳田 虎雄君
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五月十日
排他的経済水域及び大陸棚に関する法律案(内
閣提出第八六号)
排他的経済水域における漁業等に関する主権的
権利の行使等に関する法律案(内閣提出第八八
号)
海洋生物資源の保存及び管理に関する法律案
(内閣提出第八九号)
水産資源保護法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九〇号)
は本委員会に付託された。
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四月二十六日
二百海里の排他的経済水域全面実施に関する陳
情書外一件
(第二四五号
)
新たな食料・農業・農村基本法制定等に関する
陳情書外六件
(第二四六号
)
平成八年度加工原料乳保証価格等畜産物政策・
価格実現等に関する陳情書外二件
(第二四七号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
排他的経済水域及び大陸棚に関する法律案(内
閣提出第八六号)
排他的経済水域における漁業等に関する主権的
権利の行使等に関する法律案(内閣提出第八八
号)
海洋生物資源の保存及び管理に関する法律案
(内閣提出第八九号)
水産資源保護法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九〇号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605007X01019960514/0
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001・松前仰
○松前委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律案、排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律案、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律案及び水産資源保護法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
順次趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣大原一三君。
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排他的経済水域及び大陸棚に関する法律案
排他的経済水域における漁業等に関する主権的
権利の行使等に関する法律案
海洋生物資源の保存及び管理に関する法律案
水産資源保護法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605007X01019960514/1
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002・大原一三
○大原国務大臣 いささか長うございますが、御辛抱願いたいと思います。
排他的経済水域及び大陸棚に関する法律案、排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律案、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律案及び水産資源保護法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
まず、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
国際社会における安定した海洋の法的秩序を確立するべく、第三次国連海洋法会議において一九七三年より審議され、一九八二年に作成された海洋法に関する国際連合条約が、一昨年十一月に発効いたしました。
我が国といたしましても、同条約が海洋国家としての我が国の国益に沿うものであることを踏まえ、国際的に構築されつつある新たな国際秩序に参画していく観点から、同条約を締結するとともに、国内関連法制を整備することが必要となっております。
このため、国内法制整備の一環として、排他的経済水域及び大陸棚に関する国内法制を整備し、我が国が同条約に定めるところにより沿岸国としての主権的権利等を適切に行使することを可能とするべく、この法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
第一に、排他的経済水域を設定することであります。
我が国が海洋法に関する国際連合条約第五部に規定する天然資源の探査、開発等、海洋環境の保護及び保全等に関する沿岸国としての主権的権利等を行使する水域として、排他的経済水域を設けるとともに、その範囲を定めることとしております。
第二に、大陸棚の範囲を明確化することであります。
我が国が海洋法に関する国際連合条約に定めるところにより天然資源の探査、開発等に関する沿岸国としての主権的権利等を行使する大陸棚について、その範囲を明確化することとしております。
第三に、排他的経済水域及び大陸棚における我が国の法令の適用について定めることであります。
排他的経済水域または大陸棚における天然資源
の探査 開発等、人工島、施設及び構築物の設置等、海洋環境の保護及び保全、海洋の科学的調査等について、我が国の法令を適用することとしております。
二番目に、排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
最近における我が国漁業を取り巻く国際情勢は、海洋法に関する国際連合条約が発効し、国際的な二百海里体制がほとんどの地域で定着してきたことを初め、公海漁場における漁業規制が強化されるなど、新たな局面を迎えております。このため、我が国周辺水域の漁業管理が、従来にも増して重要となっております。
こうした状況の中で、我が国におきましても、海洋法に関する国際連合条約を締結することとし、また、同条約に基づく排他的経済水域を設定することとしておりますが、漁業の分野においても、このような枠組みのもとで適切な措置を講じていくことが緊要な課題となっております。
我が国は、昭和五十二年に、当時進行中であった第三次国連海洋法会議の結論が出るまでの暫定措置として、漁業水域に関する暫定措置法を制定し、漁業水域を設定して、漁業等に関する管轄権を行使してきたところでありますが、我が国の排他的経済水域が設定されることを踏まえ、海洋法に関する国際連合条約に定める権利を的確に行使することにより海洋生物資源の適切な保存及び管理が図られるよう、排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等について所要の規定を整備するため、この法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、排他的経済水域における外国人の漁業等についての規制措置であります。
すなわち、排他的経済水域のうち、領海法において領海の幅が十二海里に満たない海域等を外国人の漁業等の禁止海域とし、この禁止海域以外の海域につきましては、外国人は、農林水産大臣の許可を受けなければ漁業、水産動植物の採捕を行ってはならないこととしております。この許可は、農林水産大臣が定める漁獲量の限度の範囲内で、当該外国人の漁業が国際約束等に従って的確に行われること、その他政令で定める基準に該当する場合に限り行うこととしております。
また、この漁獲量の限度は、排他的経済水域における資源の動向及び我が国漁業者の漁獲の実情を基礎として、外国人の漁業の状況、外国周辺水域における我が国の漁業の状況等を総合的に考慮して行うこととしております。さらに、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律案において漁獲可能量を定める海洋生物資源については、その数量を基礎とすることといたしております。
第二に、排他的経済水域において、外国人は、試験研究等の目的のための水産動植物の採捕または探査を行おうとするときは、農林水産大臣の承認を受けなければならないこととしております。
第三に、我が国は、我が国起源のサケ・マス等の湖河性資源については、排他的経済水域の外側におきましても、海洋法に関する国際連合条約に定める第一義的利益及び責任を有するものとしております。
第四に、排他的経済水域の外側に広がる大陸棚の定着性種族について外国人が漁業等を行う場合については、排他的経済水域における漁業等の場合と同様の規制を行うこととしております。
第五に、この法律等の違反に関し船舶の拿捕が行われた場合、拿捕した外国船舶及びその乗組員について、適当な担保金等の提供により、これを早期に釈放するための制度を規定するものとしております。
三番目に、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
海洋法に関する国際連合条約は、領海、排他的経済水域、大陸棚等海洋問題一般を包括的に規律する条約でありますが、同条約におきましては、排他的経済水域における海洋生物資源について漁獲可能量を決定する等の保存及び管理のための措置を沿岸国に義務づけており、国際社会の一員である我が国としても、同条約の締結に当たり当該義務の的確な履行を図っていくことが必要であります。
一方、我が国周辺海域における海洋生物資源の状況は、総じて低水準かつ悪化の傾向にあり、我が国漁業の漁獲量を見ても最盛期の三分の二にまで減少するに至っております。また、漁獲技術の進展に伴い漁獲量は資源量に対して過大となりやすい傾向にあります。このため、漁船の隻数、操業期間、操業区域等漁獲能力を中心とした従来の漁業管理に加え、漁獲量の総量に着目した漁業管理を行っていくことが必要となってきております。
このような状況を踏まえて、海洋法に関する国際連合条約の実施に伴い、排他的経済水域等における海洋生物資源の保存及び管理を図るため、漁獲量の総量に着目した資源管理に関する新たな法制度を導入することとし、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、農林水産大臣による基本計画の策定であります。
農林水産大臣は、排他的経済水域等において海洋生物資源の保存及び管理を行うため、漁獲可能量の対象となる海洋生物資源の動向、漁獲可能量、実施すべき施策等を内容とする基本計画を定めることとしております。
第二に、都道府県知事による都道府県計画の策定であります。
都道府県知事は、基本計画に即して、都道府県知事が管理する漁業について実施すべき施策等を内容とする都道府県計画序定めることとしております。
第三に、都道府県知事が指定する海洋生物資源の保存及び管理であります。
都道府県知事は、基本計画において漁獲可能量を定めることとされていない海洋生物資源について、漁獲限度量、実施すべき施策等を都道府県計画において定めることができることとしております。
第四に、漁獲可能量を管理するための措置であります。
農林水産大臣または都道府県知事は、漁獲量を漁獲可能量等の範囲内に管理するため、漁獲可能量等の対象となっている海洋生物資源の採捕の停止その他必要な命令をすることができることとしております。
第五に、協定の制度であります。
漁獲可能量等の対象となっている海洋生物資源の採捕を行う者は、当該資源の保存及び管理に関する協定を締結し、農林水産大臣または都道府県知事の認定を受けることができることとするとともに、農林水産大臣または都道府県知事は、認定した協定に参加している者の求めに応じ、協定への参加のあっせんその他必要な措置を講ずることとしております。
第六に、採捕の数量等の報告であります。
海洋生物資源の採捕を行う者のうち一定の者は、海洋生物資源の採捕の数量等を農林水産大臣または都道府県知事に報告しなければならないこととしております。
最後に、水産資源保護法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
海洋法に関する国際連合条約におきましては、生物資源を含む海洋環境の保護及び保全に必要な措置をとることを沿岸国に求めており、我が国としても同条約の締結に当たり適切な措置を講ずる必要があります。
また、昨年五月には国際獣疫事務局が水産動物の輸入防疫制度を設けるよう各国に対し勧告しており、当該機関に参加する我が国としても、当該勧告に沿うよう措置する必要があります。
一方、我が国漁業者の資源管理意識の向上、消費者ニーズの多様化等を背景として、増殖または養殖に用いる水産動物の種苗の輸入が増加してお
ります。こうした中で、従来我が国においては発生を見なかった外来の病原体が我が国に侵入し、増養殖業に大きな被害が生じてきており、これに対応するための措置をとることが求められております。
このような状況を踏まえて、海洋法に関する国際連合条約の実施等に伴い、水産動物の種苗の輸入防疫措置を講ずるための所要の改正を行うこととし、この法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
本法律案の主要な内容は、輸入の許可制度の導入であります。
特定の水産動物の種苗及びその容器包装を輸入しようとする者は、農林水産大臣の許可を受けなければならないこととするとともに、許可の申請があった場合には、農林水産大臣は、輸出国発行の検査証明書により伝染性疾病の病原体を広げるおそれがないと認めるときは、許可をしなければならないこととしております。
以上が、これら四法案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、これら四法案につきまして、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605007X01019960514/2
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003・松前仰
○松前委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前九時五十六分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605007X01019960514/3
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