1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年五月三十一日(金曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 加藤 卓二君
理事 太田 誠一君 理事 佐田玄一郎君
理事 志賀 節君 理事 山田 英介君
理事 山田 正彦君 理事 山本 拓君
理事 細川 律夫君 理事 枝野 幸男君
奥野 誠亮君 塩川正十郎君
白川 勝彦君 橘 康太郎君
萩山 教嚴君 古屋 圭司君
横内 正明君 阿部 昭吾君
加藤 六月君 貝沼 次郎君
左藤 恵君 山口那津男君
坂上 富男君 正森 成二君
岡崎 宏美君
出席国務大臣
法 務 大 臣 長尾 立子君
出席政府委員
法務大臣官房長 頃安 健司君
法務大臣官房司
法法制調査部長 永井 紀昭君
法務省民事局長 濱崎 恭生君
法務省刑事局長 原田 明夫君
法務省人擁護
局長 大藤 敏君
委員外の出席者
外務大臣官房人
事課長 齋藤 泰雄君
最高裁判所事務
総局総務局長 涌井 紀夫君
法務委員会調査
室長 河田 勝夫君
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委員の異動
五月三十一日
辞任 補欠選任
熊谷 弘君 山口那津男君
小森 龍邦君 岡崎 宏美君
同日
辞任 補欠選任
山口那津男君 熊谷 弘君
岡崎 宏美君 小森 龍邦君
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五月二十八日
民事執行法の一部を改正する法律案(保岡興治
君外五名提出、衆法第四号)
同日
民事訴訟法案に関する請願(正森成二君紹介)
(第二五八五号)
夫婦別姓選択制法制化に関する請願(阿部昭吾
君紹介)(第二五八六号)
同(岩田順介君紹介)(第二五八七号)
同(田口健二君紹介)(第二五八八号)
同(辻一彦君紹介)(第二五八九号)
同(野坂浩賢君紹介)(第二五九〇号)
同(不破哲三君紹介)(第二五九一号)
同(細川律夫君紹介)(第二五九二号)
同(阿部昭吾君紹介)(第二六三三号)
同(岩田順介君紹介)(第二六三四号)
同(宇佐美登君紹介)(第二六三五号)
同(岡崎宏美君紹介)(第二六三六号)
同(田口健二君紹介)(第二六三七号)
同(武山百合子君紹介)(第二六三八号)
同(細川律夫君紹介)(第二六三九号)
同(石橋大吉君紹介)(第二六五九号)
同(武山百合子君紹介)(第二六六〇号)
同(細川律夫君紹介)(第二六六一号)
同(細川律夫君紹介)(第二七〇〇号)
同(三原朝彦君紹介)(第二七〇一号)
同(簗瀬進君紹介)(第二七〇二号)
同(細川律夫君紹介)(第二七四六号)
夫婦別姓の民法改正案反対に関する請願(西村
眞悟君紹介)(第二六三二号)
同(西村眞悟君紹介)(第二六五八号)
民事訴訟法改正案の修正に関する請願(佐々木
秀典君紹介)(第二六六二号)
婚外子差別を撤廃する民法等改正に関する請願
(岡崎宏美君紹介)(第二六七〇号)
同(金田誠一君紹介)(第二六七一号)
同(松前仰君紹介)(第二七四五号)
五年別居条項等を導入する民法改悪反対に関す
る請願(岩佐恵美君紹介)(第二七四四号)
治安維持法犠牲者に対する国家賠償のための法
制定に関する請願外一件(永井哲男君紹介)(
第二七四七号)
同(松前仰君紹介)(第二七四八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特
別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第
七八号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/0
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001・加藤卓二
○加藤委員長 これより会議を開きます。
お諮りいたします。
本日、最高裁判所涌井総務局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/1
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002・加藤卓二
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/2
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003・加藤卓二
○加藤委員長 内閣提出、参議院送付、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、趣旨の説明を聴取いたします。長尾法務大臣。
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外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/3
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004・長尾立子
○長尾国務大臣 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、渉外的法律関係の一層の安定を図る等のため、我が国を仲裁地とする国際仲裁事件の手続につき、外国法事務弁護士等が当事者を代理することができることとして、外国法事務弁護士等の活動に関する規制を緩和する措置を講じようとするものであります。
その改正の要点は、次のとおりであります。
第一に、国際仲裁事件を、国内を仲裁地とする民事に関する仲裁事件であって、当事者の全部または一部が外国に住所または主たる事務所もしくは本店を有する者であるものと定義いたしております。
第二に、外国法事務弁護士は、国際仲裁事件の手続についての代理を行うことができるものといたしております。
第三に、外国で法律事務を行う業務に従事している外国弁護士は、その外国で依頼されまたは受任した国際仲裁事件の手続についての代理を行うことができるものといたしております。
以上が、この法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/4
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005・加藤卓二
○加藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/5
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006・加藤卓二
○加藤委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田正彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/6
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007・山田正彦
○山田(正)委員 新進党の山田正彦でございます。
外弁法が改正施行されて二年ぐらいになると思うのですが、それから今までに、各国から法規制緩和要求とか、あるいは向こうからどういう要求がなされてきているか、その実態、また、外弁法施行後において、実際、いわば法規制緩和要求とかそういったものがどうなされているかということについて、まず答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/7
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008・永井紀昭
○永井政府委員 いわゆる外弁法は、九年前の六十二年四月に施行されまして、その後、アメリカあるいはEC等からも、パートナーシップの許容でありますとか、資格承認基準であります職務経験要件の緩和等の規制緩和要求がいろいろございました。それで、平成四年の九月から、日弁連と法務省とが共催で外国弁護士問題研究会を発足させまして、平成五年九月にその報告書が出たわけでございます。この研究成果を踏まえまして、二年前の平成六年四月に、当委員会でも御審議いただきまして、外弁法の改正がされたわけでございます。
二年前のこの外弁法の改正は、外国法事務弁護士と弁護士との間における一定の共同事業を認める、あるいは外国法事務弁護士の資格承認基準であります職務経験要件を緩和したこと、あるいは外国法事務弁護士につきまして、例えばアメリカでその人が所属しているローファーム名刺を使用することができる、こういうことを許容したわけでございます。二年前に御審議いただきまして改正されましたこの法律につきましては、昨年の平成七年一月一日から施行されております。
今回の改正は、いわばその積み残しといいますか、研究会でも前向きにやるべきだということで、国際仲裁の代理につきまして自由化をするということでございます。外国からは、国際的なパートナーシップを認めてほしいとか、あるいは日本の弁護士さんを外国法事務弁護士が雇用できるようにしてほしいとか、そういったような要求が現在もなおなされている、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/8
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009・山田正彦
○山田(正)委員 一般に、外国弁護士が日本に来て訴訟に携わっている実態といいますか、仲裁事件だけに限らず、その件数は一体どれくらいの件数で、実態はどうなっているのか、少し簡単に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/9
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010・永井紀昭
○永井政府委員 外国弁護士あるいは日本で登録されております外国法事務弁護士は、裁判所では法廷活動はできないということになっております。また、我が国における国際仲裁手続にも関与してはいけない、こういう解釈で、現在外国法事務弁護士または外国弁護士は、裁判所でありますとかあるいは仲裁手続、これは裁判所ではございませんが、そういう仲裁手続の代理を行っておりません。そういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/10
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011・山田正彦
○山田(正)委員 今度、国際仲裁事件に外国弁護士も参加できるような改正だと思いますが、国際仲裁事件とは、具体的にどのような事例がこれに当たるのか、ひとつ御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/11
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012・永井紀昭
○永井政府委員 国際仲裁事件と申しますのは、国際商事仲裁事件ともよく言われるので、典型的な例で申しますならば、例えばアメリカのニューヨーク州に本店を置く会社と我が国の例えば東京に本店を置く会社との間で、商品売買等の商取引を行っていたところ、その取引に関しまして紛争が生じた場合に、アメリカの会社と日本の会社が、この紛争につきまして裁判に持ち込むのではなくて、我が国の例えば社団法人国際商事仲裁協会、こういったような機関がございますので、そこの仲裁によって解決しようという合意をいたしまして、その合意に基づきまして、国際商事仲裁協会に対して仲裁の申し立てをして仲裁判断を受ける、こういったものが典型でございます。
国際商事仲裁事件とよく言いますのは、こういう会社の関係ですので、よく商事という名前をつけるのでございますが、必ずしも日本で言う商事に限りませんで、例えば船舶の衝突をめぐる紛争でございますとか、個人の持っております特許権の侵害をめぐる紛争など、我が国で言うといわゆる民事紛争で、必ずしも商事とは言えないものについても仲裁判断を仰ぐというケースもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/12
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013・山田正彦
○山田(正)委員 現在、国内の仲裁機関における仲裁事件の、実際どれぐらい行われているかの受理件数についてお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/13
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014・永井紀昭
○永井政府委員 我が国では、先ほど申しましたとおり、国際的な民事紛争を取り扱う仲裁機関といたしまして、社団法人国際商事仲裁協会がございます。それからもう一つ、社団法人日本海運集会所という伝統のある機関もございます。
国際商事仲裁協会の方では、年によって違いますが、国際商事事件で多いときで九件ぐらい、それから少ないときで三件。あるいは、日本海運集会所も、ここ数年、年間五、六件程度、要するに、両機関合わせまして大体十件前後、こういったような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/14
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015・山田正彦
○山田(正)委員 十件前後の仲裁というのは非常に数的に少ない。諸外国においてはかなり仲裁事件は、結構多くというか、頻発しているように聞いていますが、我が国においてこういう仲裁が不振であるというのはなぜなのか、その辺をひとつ法務当局にお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/15
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016・永井紀昭
○永井政府委員 ただいま委員の御指摘のとおり、例えばアメリカのニューヨークにございますアメリカ仲裁協会ですと、年間約二百件ぐらい、そういう事件を扱っているというふうに聞いております。
ところが我が国でこれだけ少ないのはなぜかということでございますが、昨年まで日本弁護士連合会と法務省とで一緒になって研究しておりました国際仲裁代理研究会の報告によりますと、使用言語でありますとか、あるいは、はっきり言いまして東京、大阪での経費が非常に高いといった、こういう社会的要因も一つでございます。それからもう一つ、日本が地理的にアメリカ、ヨーロッパからやや離れている、こういったことも指摘されているところでございます。
ただ、もう一つ、現在改正をお願い申し上げております、外国弁護士さんが日本に飛んできまして外国企業にかかわる国際仲裁事件につきまして代理人となることができないというのも、一つの要因ではないかという点も指摘されているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/16
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017・山田正彦
○山田(正)委員 外国法事務弁護士というのは、本改正がなされなくても国際仲裁事件での代理を行うことはできるのではないのかと考えられますが、これはどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/17
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018・永井紀昭
○永井政府委員 確かに、外国法事務弁護士は、我が国において原資格法または指定法に関する法律事務を取り扱うことが認められているわけでございますから、原資格法または指定法を準拠法とする仲裁事件については当事者の代理ができる、そういうことでは理論上は可能なのでございます。ところが現実には、これが実際には行われておりません。
それはなぜかといいますと、仲裁事件というのは、裁判所の判断と違いまして、その当該紛争に係る実体法といいますか準拠法というのが、非常にはっきりしていない場合があるのです。日本法に限らず外国法も絡んでいる、あるいは準拠法が、日本法でやっていたのが当事者の合意で途中から外国法にかえよう、そういうこともできるとか、そういうふうに変動する場合もございます。それから、もともと準拠法ということを意識しないで、善と衡平という言い方をしますが、そういうことで判断されているケースもあるわけでございます。
したがいまして、外国法事務弁護士は、例えばニューヨーク州の弁護士ですと、ニューヨーク州法だと思って始めたところが実は日本法が非常に絡んでいる、そういうことになると、違法な行為を結果的にはすることになる、そういう指摘を受けるものですから、現実には非常にやりにくいということで従来行われていなかった、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/18
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019・山田正彦
○山田(正)委員 外国法の事務弁護士ですね、今言った、原資格法とか指定法に関する法律事務であっても、この第三条第一項各号に定める法律事務を取り扱うことを禁止されているのに、国際仲裁事件の手続についての代理に関してはこうした禁止を不要とする理由、これはどういうことなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/19
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020・永井紀昭
○永井政府委員 ただいま御指摘がありましたとおり、外弁法の三条では、例えば裁判所における手続でありますとか、あるいは刑事事件の弁護をやるとか、そういったことは許されないことになっております。
ただ、国際仲裁事件と申しますのは、普通、関連する法律が一つに限れませんで、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、特定の国の法律を準拠法としないで、いわば取引商慣習法上何となく世界的に共通のルールで判断される、あるいはそれを、先ほど言いましたけれども、善と衡平による仲裁でも構わないというふうにされておりまして、こういったように、最初から最後まで何国法による国際仲裁であるかということが明確になっていない例もあるわけでございます。
そこで、関連する法律のいかんによって代理を行い得る範囲が決まりますと、事実上外国法事務弁護士が代理を行うことができないということになってしまいます。こういったことを考慮いたしまして、改正案におきましては、国際仲裁事件の手続の代理について、その特殊性というものを考慮いたしまして、原資格法以外の法律に関するものも取り扱えるという、いわば、その許容性を広げておかないと実際に外国法事務弁護士が活動できないということになりますので、そういう制限を外していただきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/20
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021・山田正彦
○山田(正)委員 国際仲裁事件手続の代理については、諸外国において、我が国と同じように規制されている国は一体あるのか、その概要と、我が国の今の外弁法との相違についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/21
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022・永井紀昭
○永井政府委員 世界各国全部調べたわけではございませんが、昨年まで行っておりました国際仲裁代理研究会で調べた範囲でございますが、少なくともアメリカあるいはイギリス、ドイツ、フランス、オーストラリア、香港等につきましては、国際仲裁事件の代理について、代理人となる資格等には全く制限を置いておりません。
ただ一つ、シンガポールも原則的には制限を置いていないのですが、明らかに準拠法がシンガポール法である場合には、シンガポールにおいて開業資格を有する弁護士あるいは政府の法務官とともに仲裁手続に出頭することが要件とされているという例がございます。これにつきましては、外国からこういう法律はおかしいと逆に非常に非難されているところでございます。
したがいまして、我が国のように日本の弁護士さんしか仲裁代理を行ってはいけないという制限を加えている国は、世界的には珍しい方である、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/22
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023・山田正彦
○山田(正)委員 第五十八条の二の「外国において当該外国弁護士となる資格を基礎として法律事務を行う業務に従事している者」とは、具体的にどのようなものを言うのか、ひとつ御回答いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/23
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024・永井紀昭
○永井政府委員 抽象的には、外国弁護士となる資格を有する者であって、その資格を取得した国において、その資格に基づいて継続的に外国弁護士としての業務に実際に従事しているものということになります。これは、例えばアメリカですと各州で、州単位で弁護士資格を認めておりまして、ニューヨーク州であるとかあるいはカリフォルニア州のアトー二ーアトローという、向こうでいいます司法試験、バーイグザムを通って、それで実際に弁護士活動を行っている、これが典型的な例でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/24
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025・山田正彦
○山田(正)委員 第五十八条の二、「その外国において依頼され又は受任した」という意味はどういうことなのか、これについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/25
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026・永井紀昭
○永井政府委員 五十八条の二の「依頼され」たといいますのは、外国の弁護士が当事者の代理を行うことを依頼されたということでございまして、それから「受任した」というのは、外国弁護士がその依頼を承諾したということでございます。
それで、なぜこのように「外国において依頼され又は受任した」という限定を加えたかといいますのは、アメリカの弁護士ですと、アメリカにおいてアメリカの企業から、東京で行われる仲裁事件について代理人として東京へ行ってほしいと依頼されるのが典型でございます。この限定を加えましたのは、日本で外国法事務弁護士として登録しないで、勝手にと言っては変ですが、ニューヨーク州の弁護士が日本に来て事務所を構えて、それでお客様を集める、こういうことがあってはならない。外国で現に活動している弁護士さんが日本に飛んでくるのはいいけれども、日本で外国法事務弁護士の登録もしないで勝手に事務所を設けて、それでお客を集める、こういうことはやはりしてはいけないということが一番の中心でございます。
また、ニューヨーク州の弁護士ですと、ニューヨーク州で現に活動しているような人がその地域で依頼され、あるいはそこで、ではやりましょうという承諾をして行動する、そういうことですと、ニューヨーク州の弁護士会等におきます実効的な規律であるとか監督がその限度では及んでいるということになりますので、そういったこともねらって、こういう限定を加えたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/26
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027・山田正彦
○山田(正)委員 ことしの三月二十九日に閣議決定された規制緩和の推進計画について、外弁問題はどのように取り扱われているのか、少しマクロ的に、また将来のことまで含めて、これ以上どうするのかとか、そういう一つの方向を、お話を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/27
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028・永井紀昭
○永井政府委員 三月末に閣議決定されました規制緩和推進計画では、外国弁護士問題に関しまして、まず、ただいまお願い申し上げております外国弁護士による国際仲裁代理の自由化をすることということが盛り込まれております。
それから、そのほかに外国弁護士問題につきましては、外国法事務弁護士によって日本の弁護士を雇用することはできないというこの禁止について検討すべきである。あるいは、外国法事務弁護士となるには五年間の職務経験が必要ですが、それをもっと緩和できないかという問題。あるいは、外国法事務弁護士が自分の国の法律を取り扱うのはいいけれども、日本法を別に取り扱うわけではないけれども、それ以外の、例えばアメリカの弁護士ですと、アメリカの法律は取り扱えるけれどもイギリスやフランスの法律については取り扱えないことになっていまして、せめて、日本の弁護士だってそれほどフランス法やイギリス法が得意ではないのだから、その限度では同じではないかと。いわゆる第三国法と言っておりますが、第三国法も取り扱えるようにしていただかないと非常にやりにくい、こういったような要望も出ておりまして、これが計画に組み込まれたわけでございます。
ただ、これにつきましては、非常に難しい、いろいろ検討しなければならない問題点もあるわけでございまして、昨年一月から施行されました、現にこの外弁法の改正が施行されました運用を見守りながら、また諸外国の法制の動向等も十分調査をした上、本年度中に見直しについての検討に着手し、平成九年度を目途に結論を得るよう努める、そういうことになっております。
したがいまして、必ずしも即座に改正をしなければならないというより、もうちょっと慎重に調べてみなければいかぬ、そういう観点から、現に私どもと日本弁護士連合会とは、そういったことについて話し合いを始めよう、いろいろ研究を始めようということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/28
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029・山田正彦
○山田(正)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/29
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030・加藤卓二
○加藤委員長 坂上富男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/30
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031・坂上富男
○坂上委員 社民党の坂上富男でございます。
提出されました法案については、我が党は賛成の立場でございます。したがいまして、質問すべき事項としては必ずしも多くないのでございますが、一、二点だけお聞かせをいただきたいと思っておるわけでございます。
国際仲裁手続というのは、日本の民事訴訟法の仲裁手続との関係においてはどうなっているのか、それから、国内及び国際仲裁裁定は年間何件ぐらい利用されているものか。簡単で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/31
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032・永井紀昭
○永井政府委員 端的に申しますならば、国際仲裁手続は民事訴訟法の仲裁手続の一部でございまして、つまり、仲裁事件につきましては、その事件の国際性の有無を問わず、その手続は民事訴訟法第八編に規定されております。ただし、今回、民事訴訟法の改正の中にはこの仲裁の部分は入ってございません。
それから、国際的な仲裁事件が年間何件ぐらいかという御質問でございますが、先ほど山田委員にもお答え申し上げましたとおり、社団法人国際商事仲裁協会及び社団法人日本海運集会所で、両方合わせて十件程度である、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/32
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033・坂上富男
○坂上委員 時間もありますので、ちょっと別件でございますが、質問をお許しいただきたいと思います。
法務大臣、この間私が民法改正法案の提出について御質問を申し上げましたところ、関係者の御理解を得て本国会に提出したい、こういう御答弁でございました。私は賛成でございます。また、各党は各党の事情を抱えながら、提出のために御努力をいただいていることも承知をいたしておるわけでございます。
何はともあれ、私は、この国会に民法改正法案は必ず提出をしていただきたい。いろいろと、おまえらが出せば与党が責任を持って通過させてやるというような確約まではいかないかもしれませんけれども、私は、提出をすることによって、ひとつ国民的な議論によって、この法案に対する関心、そしてこの法案の成立を期すということが一番いいのではなかろうか、こうも思っておるものでございまするから、大臣、御決意をひとつまずお聞きをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/33
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034・長尾立子
○長尾国務大臣 お答えを申し上げます。
民法の改正でございますが、今国会に法律案を提出するため、関係各位の御理解を得るべく努力を続けてきたところでございます。会期の状況から、大変厳しい状況であるというふうに認識をいたしておりますけれども、法務省といたしましては、関係各位の御理解を得て、民法とそれから戸籍法も改正をお願いしたいと思っているわけでございますが、この改正案を今国会に提出したいと考えており、そのための努力を続ける所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/34
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035・坂上富男
○坂上委員 大変かたい決意で心強い限りでございます。ぜひひとつ、法務大臣、頑張ってこの国会に提出をお願いしたいと思っておるわけであります。
私は、女性の法務大臣が就任された意味は、まさにこの民法改正、あるいは選択的夫婦別姓問題等の民法改正が重要に絡まっているだけに、この橋本内閣は大臣に大きな、婦人の立場からの期待をしたのではなかろうか、こうは思っておるわけでございます。
また、一つ余計なことでございますが、これは本当に勇気を持って提出をしていただくということが必要なのでございまして、心配だ、不成立ということになったら立場がないというようなことには余りちゅうちょしないで、国民的関心をやはり呼ぶ意味においても提出をぜひしていただきまして、この国会に仮に成立をしなくとも、秋の臨時国会、あるいはないという説もないわけではないのでございますが、継続審議をして、何としてもこの法律だけは成立をさせていただきたいな、私はこう思っておるわけでございます。ぜひ法務省のひとつ御努力も期待をいたします。また、私たちは私たちの立場において、また与党は与党の立場において、ひとつバックアップできますように努力する所存でございますので、頑張っていただきますことを期待をいたします。
それから、また話は別の話でございます。
刑事局長さん、わいせつ物というのは、わいせつ文書というのは、これはどういう解釈でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/35
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036・原田明夫
○原田政府委員 刑法の上でわいせつという用語には、委員御承知のとおりでございますが、特段の定義規定は設けられていないのでございます。それは解釈にゆだねられているのでございますが、過去の裁判例によりますと、これは有名なチャタレー事件の最高裁大法廷判決に掲げられた文言でございますが、わいせつとは、いたずらに性慾を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的差恥心を害し善良な性的道徳観念に反するものというふうに解されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/36
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037・坂上富男
○坂上委員 私が司法試験を受ける当時は、木村亀二先生が刑法の試験委員でございました。木村先生の「刑法各論」を読みましたら、わいせつの定義の中の一部でございますが、差恥嫌悪の情を催するということがわいせつの要件である、こう言われておりますが、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/37
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038・原田明夫
○原田政府委員 御指摘のとおり、木村博士はそのような趣旨を込めて解釈されておられることは承知しております。他にもいろいろな考え方があろうかと思いますが、一つの例として最高裁の判例を申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/38
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039・坂上富男
○坂上委員 さてそこで、私は、ここに「日本女性の外性器−統計学的形態論」と称する本を持ってきておるわけでございます。これはもう一ページはぐるたびに、まさに羞恥嫌悪の情だろうと思うのでございますが、皆さん方、どうですか、こういうもの。全ページだ、ほら、全ページ。こういうような本が大学助教授によって出版されまして、今市販をされておるわけでございます。私はこれを見て、満足に見ることはできません。ちょろっと見るだけでございまして、まさに羞恥嫌悪の情の顕著なるものでございます。
このことに関連をいたしまして、私も要請を受けたわけでございますが、一つは、この問題はまさに女性に対する大変な名誉毀損である、人権の侵害であるとして、日本弁護士連合会に、婦人の代表の皆様方が、人権侵害であるといって救済の申し立てをいたしました。四月十七日でございます。今、日弁連では精力的に調査をなさっておるようでございます。
それから、私たち社民党の方にも要請がございました。社民党の方といたしましても、これを見させていただきまして、びっくりいたしました。そこで、私らの方で、後で申し上げますが、四月二十四日付で法務省の刑事局、法務省の人権擁護局に捜査並びに調査の申し入れをいたしました。
それから、今度、婦人の皆様方が滋賀県に御集合になられまして、「だまって撮られてだまってられる?」「女性の人権と医療を考えるシンポジウム」、こういうようなことで、五月十一日に婦人の集いがございまして、大変な怒りが盛り上がったわけでございます。
私たちは法務省に、人権侵害であると同時に、これはまさにわいせつ文書頒布罪に該当するのではなかろうか。しかも、ここに撮られておる人たちは、何百人のいわゆる性器でございますが、被検者として、患者、いわゆる病院に行った患者らの承諾を得ないでその性器を写真撮影し、かつ患者らの承諾を得ることなく右写真を掲載をして、日本女性の外性器の書物として出版したのでありまして、これはもう本当に女性に対する人権侵害甚だしいものだ、こう思っておるわけでございます。
しかも、私は、刑法的にはわいせつ文書頒布罪に該当するんじゃなかろうか、こう思っておるものでございまするから、私らの方で会議をいたしまして、四月二十四日付で捜査、調査の申し入れをいたしたわけでございます。
ひとつ、この点に対する関係当局の御見解と、現在の捜査、調査の状況について御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/39
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040・原田明夫
○原田政府委員 お答え申し上げます。
お尋ねの件につきましては、御指摘いただきましたように、既に大津地方検察庁におきまして、捜査申し入れ書と題する書面で状況について説明し、なおかつ処置を求める御意見書の提出を受けております。
そこで、大津地検におきましては、これを処罰を求める告発であるということで正式に受理をいたしました上で、今後所要の捜査を遂げまして、法と証拠に基づき適正な処分をするものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/40
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041・大藤敏
○大藤政府委員 人権擁護局の方の関係で御説明を申し上げたいと思います。
今御指摘の事件につきましては、現在、関係の地方法務局におきまして、この書籍の著者を含めまして、関係のある人たちに対して鋭意事実関係を調査しているところでございます。
撮影された女性の特定という点でなかなか難しい問題がございます。また、表現の自由あるいは学問の自由等の尊重ということとの関係におきまして、これらの憲法上保障された権利の行使として本件の書籍の出版が許容される範囲であるかどうかという点を含めて、適正に判断をするために、現在慎重に調査を続けている次第でございます。
こうした観点から、万事遺漏がないように、今後とも調査を続行したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/41
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042・坂上富男
○坂上委員 ひとつ、これはもうわいせつ文書であることは明らかだ、だれ一人羞恥嫌悪の情を催さない者はいないでしょう。こんなもの、学問なんて言えるものですか。
そういうことでございますから、私はもう早急に、まさにこれは女性の敵です、でありますから、これはぜひやっていただきたい。
特に、私がちょっと気になりましたのは、被害者の特定というようなことを人権擁護局長がおっしゃっておりますが、私も人権問題を取り扱った中に二つあります。
一つは、新潟県にツツガムシ事件というのがありました。これはいわゆる精神上の障害のある方に、入院されておる患者に無断で大学がツツガムシの注射をいたしまして、人体実験をしたわけであります。これも、どなたであるかということはなかなか特定できませんでした。そこで、日弁連の人権擁護委員長、島野前仙台市長でございますが、人権擁護委員長、それからもう一人だれか国会に参考人として出られまして、これは厳重にすべきであるという、新潟大学医学部の人体実験と言われました皆様方に対する処置、処分がなされたことがあるわけでございます。
これは、必ずしも被害者を特定することは、やはり病気の方でございますから果たしていかがかという問題があって、被害者を必ずしも特定はしませんでした。ただ、こういう入院患者であるという特定の仕方でございました。これはもう女性であるということです。
それから、私が地元の弁護士会長をしておったときでございますが、大学が小児科の医者を派遣をしないというような事態が起きまして、県立病院の小児科が診療をみんな中止をするという事態に追い込まれたことがありました。
私は、この問題を取り上げまして、憲法違反じゃないか、まさに人権侵害そのものであると。これはまさに、被害者がいないわけでございますが、新潟県の子供全部が人権侵害の被害者だ、私はこう思いまして、これも文部省あるいは関係官庁に、これはもう人権侵害であるということで弁護士会の立場できちっと人権侵害の結論を出しまして決定をいたしまして、人権侵害をなくするように、これは国民が医療を受ける憲法の違反じゃないかという人権侵害の出し方をいたしたわけでございます。
大学の先生とけんかするのは大変だよというような話も報道機関からいろいろ聞いたのでございますが、そうは言っていられないものですからね、子供たちを助けるために。そういうことで私らは取り上げたことがございます。その警告によりまして小児科の県立の病院が再開されたという記憶があるわけでございます。
私は、まさにこの問題は女性全体に対する、こんなのは特定されなければだめだなんというやり方は人権擁護の上からは必要はない、こういうふうに思っておるわけでございます。でありますから、本当に女性の方も申し立てをすることすら恥ずかしいというような事情にあることも御理解をいただきまして、早急な結論を出していただきまして、まさに人権保護のために人権擁護局から頑張っていただきたい。検察の方からは、こういうようなことが町じゆうにはびこるようなことのないようにひとつ捜査をできるだけ早急に遂げられまして、要望をかなえていただきたい、こういうことを申し上げまして、終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/42
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043・加藤卓二
○加藤委員長 枝野幸男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/43
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044・枝野幸男
○枝野委員 さきがけの枝野でございます。
我が党も、外弁法については賛成であり、特段大きな問題はないと考えておりますので、せっかくの時間でございますので、若干法務委員会で懸案になっている問題についてこの時間を使わせていただきたいと思っております。
外務省においでいただいておりますが、以前にこの委員会で、いわゆるクマラスワミ報告に関連をして、外務省の方がその報告書案の入手過程についてうそをつかれたということをお認めになりました。その後きちんと処分をしていただいておりますかということについてお願いをしておりましたが、処分をしたというふうに内々聞いておりますので、どういった処分をされたのかしつかりと議事録に残しておかなければならないと思っておりますので、御回答をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/44
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045・齋藤泰雄
○齋藤説明員 クマラスワミ報告書の入手問題に関連いたしまして、先生の事務所から照会がございましたときに人権難民課において不適切な対応を行ったということにつきまして、人権難民課長に対しまして直属の上司でございます国際社会協力部長より注意をさせたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/45
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046・枝野幸男
○枝野委員 その御報告をいただいたときにも確認をしたのですが、それは正式な注意というふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/46
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047・齋藤泰雄
○齋藤説明員 この経緯につきまして、担当の部局より人事当局が報告を受けまして、人事当局といたしまして、直属の上司でございます国際社会協力部長をして注意せしめた、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/47
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048・枝野幸男
○枝野委員 正式という言葉の使い方はできないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/48
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049・齋藤泰雄
○齋藤説明員 先ほど申し上げましたように、人事当局として報告を受け、直属の上司をして注意せしめたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/49
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050・枝野幸男
○枝野委員 じゃ、こういう聞き方をしましょう。国家公務員法に基づく処分をされたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/50
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051・齋藤泰雄
○齋藤説明員 そうではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/51
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052・枝野幸男
○枝野委員 処分権限をお持ちなのはそちらでございますからという前提がございますが、外務省が、しかも国民から関心の強いクマラスワミ報告に関して、国会議員からの照会にうそをついたということに対する処分をどうされたのか、どうすべきなのかという問題であります。
そんなに軽いことなんですか。外務省というのは国会議員にうそをついてもいい役所だとお思いなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/52
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053・齋藤泰雄
○齋藤説明員 本件につきましては、以前この委員会でも御説明申し上げたところだというふうに承知してございますが、国連人権難民センターより我が方ジュネーブ代表部が、この報告書につきまして、草案であるので厳に日本政府限りにしてほしいということ、それから草案の入手の事実についても外部に明らかにしないでほしいという条件のもとに入手したという経緯がございまして、先生の事務所からのお問い合わせに対しまして回答したわけでございますが、この回答が適切でなかった、妥当を欠くところがあったということは担当課長も反省しておりますし、そういったことを踏まえまして、私どもとして、直属の上司、部長から担当課長に注意を施したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/53
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054・枝野幸男
○枝野委員 この場でも、この委員会でも一度やり合いましたけれども、私の事務所はわざわざ、入手していることを言えないかもしれないけれども、それはそれでいいけれども、うそはつかないでくださいということを確認をして、その上で、なおかつ入手をしていないというお答えをされたのですよ。入手をしているかどうかは答えられないというお答えをされたのではないのですよ。
今のお話のとおり、国連サイドからは入手をしているのかどうかも含めて答えないでくれということが言われていた。それは当然外交上の問題ですし、それに対して、それに逆らって、それに反して、入手しているかどうか、政府限りにしてくれという話を、それは言えないでしょう。それはよくわかりますよ。それと入手をしていないというのは全然意味が違うことです。そういった事実関係をちゃんと人事課の方でわかつていらっしゃって、それでなおかつこんな処分なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/54
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055・齋藤泰雄
○齋藤説明員 私どもといたしましては、この経緯につきまして詳細に報告を受けまして、御照会に対しまして妥当を欠く回答、適切でない回答をしたということも承知の上で国際社会協力部長をして注意せしめたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/55
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056・枝野幸男
○枝野委員 これ以上は水かけ論になりますからやめますが、まず二つ適切を欠いている。当事者の一方から話を当然聞くべきでしょう。外務省の内部からの報告だけで、一方の当事者からの話だけ聞いて結論を出すというのはそもそもやり方として妥当性は足りているのですか。まずは当然反対側の主張をしている当事者からきちんと事情を聞くべきじゃないですか。でないと事実関係が確定できないのだから、処分のしようがないじゃないですか。
そしてその上で、適切を欠いたのではなくてうそをついたのですよ。答えられないということだったら答えられないでもいいですというのに対して、入手していないという答えをされたのですよ。それで適切を欠いた、しかも正式な処分じゃないというようなことは、今議論されている民事訴訟法がこんなにもめているのは、行政サイドが国会に対して、あなたの関係者の方、外務省の方がおっしゃったのは、国民全体を代表して話を伺っているところに対してうそをつかれたのでは、我々も正しい判断をできないわけですよ。クマラスワミ報告に対してどういう対応をすべきなのか、これは立法府の一員としてさまざまな判断をしていかなければならない。外務省だけで判断していい話じゃないのですから。しかも国民的な関心の強い話。そんなことに対して、そんな姿勢だから、民事訴訟法はだめだと言っているのですよ。もう一度しっかりと部内で検討し直していただきたい、お願いをいたします。
もう一つ、その民事訴訟法の話でありますが、前回の委員会のところで、法務省に、今立法府に出てきて、行政府としての提案者としての意見はわかったけれども、立法府がいろいろと修正その他について議論をするのを邪魔をしないでください、邪魔はしませんという御回答をいただきました。しかし、さまざまなところからいろいろな情報が入ってまいります。これこれこういう案なら法務省としてもオーケーだからこれで何とかまとめてくれないかとかいうような根回しを法務省さんが一生懸命されているというような話が、いろいろなところから、一カ所、ニカ所からではなく、私のところに入ってきております。
もしこんなことをしているとしたら、この間の御答弁はうそだったということになりますが、そんな事実があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/56
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057・濱崎恭生
○濱崎政府委員 前回の法案の御審議の際にも御答弁申し上げましたように、私どもとしては、政府原案を立案させていただいた立場として政府原案の考え方を御説明させていただいておりますし、また、御指摘いただいております行政情報公開のあり方との関係で、民事訴訟法上の文書提出命令の制度における行政文書の取り扱いをどうすべきかということについては、私どもとしては、情報公開のあり方に関する議論の推移を踏まえて法務省として検討させていただきたいというふうに考えているどころでございまして、そういった考え方について関係の議員の先生方に御説明をさせていただいているということはございます。ただ、御指摘の、当委員会での議論を見守るということとは矛盾するものではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/57
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058・枝野幸男
○枝野委員 今、国会は、全部基本的には公開の場で議論をしているのですよ、オープンの場で。そもそも情報の公開という話、テーマ自体が情報の公開なのです。裏でこそこそと根回しみたいなことは、もちろん政治、行政との関係のところで根回しは重要なのはよくわかっていますけれども、もはやこういった段階になったら表舞台で正々堂々とやりましょうと。法務省としての意見はこの委員会の中でも、私はよく発言を途中でとめたりしますが、基本的には、かなりの時間、皆様方の主張というのはちゃんとオープンの場で聞かせていただいているわけですよ。あとは、各政党、各議員の立場でそれぞれに議論をさせていただこう、立法府の立場としていろいろ考えていこうということで、余計な邪魔はしないでくださいと申し上げたのです。ぜひそういうこそこそと裏でやるようなことはやめていただいて、意見を言いたいことがあれば、大臣が発言を求めて、この場で正々堂々と公開の場で意見を言っていただければいい。そういうこそこそと裏でやるようなことはやめてください。いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/58
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059・濱崎恭生
○濱崎政府委員 私どもとしても、できるだけ公開の場で、いろいろな御意見に対して私どもの考え方を申し上げさせていただくという機会をいただきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/59
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060・枝野幸男
○枝野委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/60
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061・加藤卓二
○加藤委員長 正森成二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/61
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062・正森成二
○正森委員 私ども日本共産党は、国際仲裁事件の手続について、いわゆる外国人弁護士に代理を認めることを中心とする本法案の改正については、賛成をさせていただきたいと思います。しかし、それに絡みまして、外国人弁護士の事務にかかわる問題について幾つか関心のある問題がありますので、その点について伺いたいと思います。
この問題を考える上で、やはり基本的な問題は、日本の司法制度にかかわる問題でもございますので、弁護士法第七十二条の、弁護士が法律事務を専ら扱うことを原則としている制度、あるいは、日本弁護士会が倫理の尊重を非常に重視しております。それは基本的人権の尊重と社会正義の実現を図るというのを根本問題にしておりますが、これらは日本独自のすぐれた司法制度の一つだと考えております。したがって、法務省や最高裁がこの外弁問題を考えるについても、これらの点を十分に配慮して対処していただきたい。特にまた、外国との関係ですから相互主義の立場も堅持していただきたいと思いますが、この基本原則について簡潔に答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/62
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063・永井紀昭
○永井政府委員 ただいま御指摘がありましたとおり、外国弁護士問題等につきましては、弁護士法七十二条の趣旨、あるいは、弁護士法第一条に定められております弁護士の使命等と密接な関連を持つものであるということを踏まえまして、内外の諸情勢に応じた適正、妥当な解決を図っていくべきものである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/63
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064・涌井紀夫
○涌井最高裁判所長官代理者 裁判所の立場から申し上げますと、訴訟手続なり裁判の運営に直接かかわる分野でということになろうかと思いますが、やはり、そういう問題が生じてきました場合には、委員御指摘のような弁護士の使命でありますとか、あるいは弁護士法の各規定の趣旨、そういうものとの整合性を十分考えながら検討をしないといけないという御指摘はそのとおりであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/64
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065・正森成二
○正森委員 そこで、伺いたいと思うのですが、政府は、規制緩和に関して、さらに推進するとして、三月二十九日に「規制緩和推進計画の改定について」というのを閣議決定いたしました。それを見ますと、外国法事務弁護士による日本弁護士の雇用の禁止の解除、外国法事務弁護士の資格承認基準である職務経験要件の緩和、外国法事務弁護士の第三国法に関する法律事務の取り扱いの緩和などを引き続き検討していくということになっているようであります。
ところで、たしか一九九四年だったと思いますが、前回改正が行われまして、その後の法曹三者を中心とした検討の結果はこれらのいずれについても措置困難として、政府みずから結論を出したはずであります。
私は、ここに資料を持ってまいりましたが、平成五年の九月三十日付で「外国弁護士問題研究会報告書の概要」というのが出ております。これは既に法務省当局は御存じのとおりですが、「本研究会は、法務省及び日弁連の共催によって設けられ、弁護士制度及び外国弁護士受入制度の在り方を調査・研究・検討することとされた。」ということでずっと出ております。長うございますから全文は引用いたしませんが、その中で、例えば今出ております三つの問題のうちの雇用の点についていいますと、
外国法事務弁護士は日本法に関する法律事務を取り扱ってはならないということが外弁法の基本的な原則であるところ、雇用の法的意味は、雇用主が被雇用者に労務提供を命じ、被雇用者を使用することによって自己の業務を遂行しようとするものであるから、業務範囲が制限されている外国法事務弁護士が弁護士を雇用することになると、外国法事務弁護士が被雇用者である弁護士を使用して、日本法に関する法律事務を自己の業務として遂行することになり、上記の外弁法の基本的な原則と抵触するのではないかとの疑問がある。
そこで、本研究会は、外国法事務弁護士が単独で弁護士を雇用することは、引き続きこれを禁止することが相当であると考える。こうなっております。しかしながらということで、日本の弁護士と外国法事務弁護士との共同事務所においては、日本の弁護士が共同事務所の一方を担っており、それが関与するので弁護士を雇用することが認められるようにするということで、私どもはいろいろ意見がございましたが、前回はこういう制限つきのものになったはずであります。ところが、そういう改正が行われて非常に間もないのに、今言いましたような三項目について政府がそういうことを言う。
しかも、私が看過することができないのは、ここに持ってまいりましたのは、二月十六日の読売新聞と三月二十三日の日経でありますが、それには「外国弁護士の受け入れ 三項目規制緩和」という見出しで、特に日経に至っては「法務省は外国弁護士の日本での活動に関する規制を緩和する方針を決めた。外国の法律事務所が日本人弁護士を雇うことを認めるほか、資格を得た母国以外の国の法律を扱えるようにする。」こういうように、何か法務省が検討どころかもう結論を決めてしまって、政府の閣議決定に入れさせるようにした、こうとられる発言をしているのですね。
そうしますと、これは日本弁護士連合会の権利義務に重要な関係があることを、三者協議もやらないでそういう方針を決めてしまうなどということは非常に問題ではないか、こう思います。まあ新聞の報道ですから、必ずしもそれは法務省の本旨ではないというような御意見があるかもしれませんが、一応ここにこういうように出ておりますので、御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/65
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066・永井紀昭
○永井政府委員 日経の記事等は、はっきり言いまして、私どもに全く取材がありませんで、誤報であるということで、私ども強く申し入れをいたしまして、この記事が出たその日に直ちに日本弁護士連合会にも、ちょうど外弁委員会も弁護士会でやっておられまして、そこで実はこれはこういうことで、私ども法務省の見解では全くないということを申し述べまして、日本弁護士連合会でもこの点は御了承いただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/66
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067・正森成二
○正森委員 今そういうように答弁されましたので、これ以上は申しません。
それでは最後に、もしよろしければ法務大臣に政治家として伺いたいと思います。
今規制緩和委員会でいろいろの項目が検討されておりまして、それに司法に関する問題も数項目、例えば法曹人口の増員を初めとして今の外弁法の問題からいろいろ出ておりましたことは、これまで当法務委員会でもいろいろ言われたことでございます。私は厳密には自分の考えというのは持っておりますが、百歩譲っても、行政にも関係することですから、国民の要望からこういう見解があるという問題提起をすることは仮に許されるとしても、司法の基本にかかわるようなことは、やはり裁判所、弁護士会、検察というように、法曹三者が協議してその大方の合意のもとに立法をするとかあるいは制度を制定するということが望ましくて、行政機関が行う規制緩和委員会などが決めたから司法もこれに従うというのでは、司法権の独立に重大な悪影響を及ぼすことになると思います。したがって、法務大臣のその点についての御見解を承って、私の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/67
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068・長尾立子
○長尾国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。
規制緩和の問題、これは現在我が国におきましていろいろな観点から大きな課題として取り組んでおりますことは、もう先生も御承知のことであると思います。その大きな流れの中で、今おっしゃいましたこの司法の分野は、確かにその資格につきましても非常に厳格なものをお願いいたしておりますし、その服務規定、倫理等につきましても厳しいものをお願いしている大変特殊な分野であるということは十分承知をいたしております。
そういう意味では、そういった状況を踏まえまして、また今お話がございました関係者の意見を十分に踏まえた上でこの問題に対処すべきであるというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/68
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069・正森成二
○正森委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/69
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070・加藤卓二
○加藤委員長 これにて質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/70
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071・加藤卓二
○加藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/71
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072・加藤卓二
○加藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/72
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073・加藤卓二
○加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/73
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074・加藤卓二
○加藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時六分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605206X01119960531/74
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