1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年二月二十二日(木曜日)
平成八年二月二十二日
午後零時三十分 本会議
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○本日の会議に付した案件
平成八年度における財政運営のための公債の発
行の特例等に関する法律案(内閣提出)、平
成八年分所得税の特別減税のための臨時措置
法案(内閣提出)及び租税特別措置法の一部
を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及
び質疑
午後零時三十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X00819960222/0
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001・土井たか子
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
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平成八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出)、平成八年分所得税の特別減税のための臨時措置法案(内閣提出)及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X00819960222/1
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002・土井たか子
○議長(土井たか子君) この際、内閣提出、平成八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、平成八年分所得税の特別減税のための臨時措置法案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣久保亘さん。
〔国務大臣久保亘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X00819960222/2
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003・久保亘
○国務大臣(久保亘君) ただいま議題となりました平成八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、平成八年分所得税の特別減税のための臨時措置法案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
まず、平成八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案につきまして、御説明申し上げます。
平成八年度予算につきましては、租税収入が七年度当初予算で見込んだ水準をさらに二兆円以上も下回る見込みとなり、徹底した歳出の洗い直しに取り組んだものの、多額の特例公債を発行せざるを得ない容易ならざる事態に立ち至りました。他方、こうした厳しい状況のもと、限られた財源の中で資金の重点的、効率的な配分に努め、質的な充実に配慮することとし、豊かで活力ある経済社会の構築等のために真に必要な経費の確保に努めたところであります。
本法律案は、以上申し上げましたように、厳しい財政事情のもと、八年度の財政運営を適切に行うため、同年度における公債の発行の特例に関する措置、厚生保険特別会計年金勘定への繰り入れの特例に関する措置及び外国為替資金特別会計からの一般会計への繰り入れの特別措置を定めるものであります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、八年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書きの規定等による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができること等としております。
第二に、八年度における一般会計からの厚生保険特別会計年金勘定への繰り入れのうち経過的国庫負担については、八千億円を控除した金額を繰り入れるものとするとともに、後日、将来にわたる厚生年金保険事業の財政の安定が損なわれることのないよう、八千億円及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れることとしております。
第三に、八年度において、外国為替資金特別会計から外国為替資金特別会計法第十三条の規定による一般会計への繰り入れをするほか、二千億円を限り一般会計に繰り入れることができることとしております。
次に、平成八年分所得税の特別減税のための臨時措置法案につきまして、御説明申し上げます。
本法律案は、当面の景気に配慮して、平成八年分の所得税につきまして、昨年に引き続き特別減税を実施するものであります。
以下、その大要を申し上げます。
この特別減税は、平成八年分の所得税に限り、同年分の所得税額からその一五%相当額を控除することにより実施することとしております。なお、一五%相当額が五万円を超える場合には、控除額は五万円としております。
この特別減税の具体的な実施方法に関しましては、給与所得者については、平成八年一月から六月までの間に支払われた給与等に係る源泉徴収税額の一五%相当額を原則として同年六月に還付し、同年十二月の年末調整の際に、給与等の年税額の一五%相当額から同年六月の還付金額を控除した残額を控除することにより実施することとしております。
次に、公的年金等受給者については、原則として、平成八年六月及び十二月に半年分の源泉徴収税額の一五%相当額をそれぞれ還付することとしております。
また、事業所得者等については、平成八年分の確定申告の際に、所得税額からその一五%相当額を控除することにより実施することとしております。
次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、御説明申し上げます。
本法律案は、当面の経済状況等を踏まえ、土地税制、証券税制等について適切な対応を図る一方、課税の適正化、租税特別措置の整理合理化その他所要の措置を講ずるものであります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、土地税制について、平成三年に行われた土地税制改革以後の状況の変化や現下の経済情勢等にかんがみ、土地基本法を基礎とした現行土地税制の基本的枠組みを維持しつつ、土地の保有、譲渡、取得の各段階にわたる税負担のあり方を見直し、所要の調整を行うこととしております。
第二に、証券税制について、証券市場の活性化等の観点から有価証券取引税の税率の引き下げを行うとともに、株式譲渡益課税の改正を行うこととしております。
第三に、課税の適正化のため、公益法人等に対する課税、消費税の課税等について所要の改正を行うこととしております。
第四に、その他の租税特別措置の改正として、いわゆるストックオプションに係る課税の特例等の措置を講ずる一方、企業関係の租税特別措置等について整理合理化等を行うこととしております。
その他、いわゆるオフショア勘定において経理された預金等の利子の非課税措置等適用期限の到来する特別措置について、実情に応じ、その適用期限を延長する等の措置を講ずることとしております。
以上、平成八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案、平成八年分所得税の特別減税のための臨時措置法案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
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平成八年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出)、平成八年分所得税の特別減税のための臨時措置法案(内閣提出)及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X00819960222/3
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004・土井たか子
○議長(土井たか子君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。上田清司さん。
〔上田清司君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X00819960222/4
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005・上田清司
○上田清司君 新進党の上田清司です。
新進党を代表して、平成八年度における財政運営のための公債の特例等に関する法律案について、総理並びに大蔵大臣の御所見を伺います。
我が国の財政において、近年、建設国債は発行するものの、特例公債いわゆる赤字国債の発行はとどめられていました。大蔵当局においても、特例公債の発行だけは阻止すべく御努力をされていたことは言うまでもありません。しかし、残念ながら、税収不足を補うため、国債整理基金への定率繰り入れの停止を初め、本来返さなければならないお金をストップしたり、決して余っている資金ではありませんが、とりあえず借り入れができるお金があれば借りてくるといった形でやりくりをしていたわけであります。
私は、昨年二月、大蔵委員会で、とにかく特例公債発行を最小限度にしたいといういわゆる繰り入れ法案は国民の目から見て複雑過ぎてわかりづらいという指摘をさせていただいた経緯があります。当時、詐欺専門の弁護士による詐欺の手法を紹介しながら、繰り入れ法案のスキームが詐欺の手法にも似ていると申し上げたところ、身に覚えがあるのかどうかわかりませんが、武村前大蔵大臣を初め政府委員の方々、大蔵委員会のメンバーの方は大爆笑をされたようなことをよく覚えております。
一転して、平成八年度においては、厚生年金保険事業に係る一般会計からの厚生保険特別会計年金勘定への繰り入れ分、外国為替資金特別会計から一般会計への繰り入れを除けば、他の特例的措置は取りやめてしまったわけであります。一方、本命の特例公債は十兆一千百八十四億になります。このことは、これまでさまざまなやりくりのために見えなかったものがはっきりして、我が国財政の構造的な赤字体質を赤裸々に見せるものとなりました。
久保大蔵大臣、これまでの国債整理基金への定率繰り入れ等の停止を初めとするさまざまな出し入れ、やりくりをやめ、特例公債を中心に税収不足を補うように方向転換されたのはなぜですか。大臣の御所見を賜りたいと思います。
御承知のように、平成八年度の建設公債及び特例公債は二十一兆円に上り、支出においても、国債費は社会保障費を抜いて第一位になっています。この国債費の増大は、一般歳出の割合を低め、財政の硬直化を一層進めています。昭和五十年度には一般歳出が七四・四%あったわけですが、八年度では五七・四%と極めてタイトになっています。
国債残高約二百四十一兆円、借金を棚上げにしたまま、今後処理を要する措置が、国鉄清算事業団長期債務を含めていわゆる隠れ借金が約四十三兆円、地方財政の債務全体が約百三十六兆円を超えます。国と地方を合わせて約四百二十兆円にも上るわけであります。とにかく、予算の中で国債償還の利払いだけで十一兆円を超える一方、税収は五年連続対前年度減収の見込みになっています。
総理、日本の財政の現状を見るとき、一体どのような認識を持っておられるでしょうか。また、財政再建の青写真はどのように描いているのですか。私は、財政再建のために、与野党を超えて財政再建特別委員会を設置し、英知を結集して問題解決に当たるべきではないかと思っております。
このような財政の非常事態にもかかわらず、政府は歳出削減の努力もせず、十兆円を超える特例公債を発行せざるを得なくなったのであります。特に、この特例公債の中に、住専処理分のために六千八百五十億投入されるわけであります。この住専処理分の六千八百五十億の税金投入額は、決して小さい数字ではありません。七百万人にも迫る我が埼玉県の予算の二分の一であり、科学技術庁の予算にも匹敵しております。
また、金融機関の不良債権処理のため認められた無税償却が、九四年度分でも四兆六千億とかあるいは五兆二千億とも言われております。本来、この半分の金額が国庫に入るものとしたならば、二兆三千億以上は法人税収入に加算されるものと推定されます。まことに雑駁な計算で恐縮ですが、住専処理分と合わせると三兆円を超えます。新進党が主張するように、予算から六千八百五十億を削除し、無税償却を認めなければ、特例公債を約三兆円減額できることになります。
私は、このような視点から住専問題について若干の質問をさせていただきます。
住専処理のため六千八百五十億円税金を投入するという政府提案は、予算委員会等を通じて論議されてきましたが、もともと関係者による覚書、念書、合意、協力要請といった一切法律に基づかない談合によってつくられた住専処理のスキームは、説明しようにも説明できるわけがありません。いまだ六千八百五十億の積算根拠も示されず、国民の不信は募るばかりであります。
既に新進党の要求によって開示された大蔵省の第一次、第二次調査によって明らかになったように、住専の借り手に対する融資のずさんさは目を覆うばかりであります。しかも、上位貸し付けほど、母体行の紹介、押しつけによるものであることが判明いたしました。住専からは大蔵OBはこそこそと逃げてしまいましたが、いまだ母体行の主力銀行には大蔵OBが恥知らずにも居座っています。身内かわいさの住専処理のスキームではないかと思います。
そもそも、住専処理のスキームは根本的に原則をねじ曲げております。
まず、住専処理のため特別基金いわゆる住専勘定を預金保険機構の中に設立することがおかしいのであります。もともと住専はノンバンクであります。そして、借り手の方も一般国民ではありません。住専には、借り手も貸し手も国民はいないのであります。預金保険機構の意義をねじ曲げていると思いませんか。大蔵大臣の見解を伺います。
次に問題なのは、関係金融機関に対する要請であります。
昨年の十二月十九日の閣議で決定された「住専問題の具体的な処理方策について」であります。「関係金融機関に対し、次により対応することを要請する。」と完全に命令口調になっております。
(1) 母体行は、住専に対する債権約三兆五千億円の全額を放棄する。
(2) 一般行は、住専に対する債権のうち約一兆七千億円を放棄する。
(3) 系統金融機関は、貸付債権の全額返済を前提として、住専処理機構に対して五千三百億円を贈与する。とあります。
過去の経緯からして、関係金融機関が相応の責任をとる必要から、それなりの負担をするのが当然であります。しかし、あくまで要請を行っただけであり、母体行、一般行を含めて三百社と協定書にサインしたわけでもありません。極めて特定の数人に了解を取りつけただけにしかすぎません。約三百社の関係機関で合意されるだろうということを前提に政府の公的関与が決定され、税金投入額六千八百五十億も決定されています。
私は、このスキームは、要請ではなく強要と考えます。反対することはまかりならぬ、当局の強い御意向であるといった、江戸時代の商人から巻き上げる御用金調達と何ら変わりのない方法ではないでしょうか。なぜこんな強引なことができるのか、改めて総理に伺いたいと思います。
私は、政府・大蔵省によるこのような強引な要請に関係機関が了解、協力せざるを得ないのは、次の理由があるからだと考えています。
一つは、銀行の利ざや稼ぎを日銀、大蔵省が黙認しているからであります。
平成三年七月の第一次公定歩合引き下げ直前の銀行の利ざやは、たった〇・四%しかありませんでした。ところが、その後の八度の公定歩合引き下げを経た昨年八月は、それが一・七五%へと拡大しています。定期預金金利は大方のところ十分の一に下がっております。ところが、住宅ローンの貸し付けば半分にもなっていません。この結果が、昨年九月の中間決算で大手二十一行はこの不況下でも史上最高の業務純益を上げたということになったわけであります。
もう一つは、金融機関の不良債権処理に伴う無税償却であります。
この機会に確かな数字も教えていただきたいわけですが、金融専門誌によれば、九四年度四兆六千億あるいは五兆二千億といったような巨額の無税償却が金融機関によってなされたと言われています。本来国庫に入るべき税金が二兆円以上もあるわけであります。
このように、大蔵省は、国民を犠牲にした金融機関救済策を意図的にやっているからこそ、にらみ一つで関係金融機関に五兆七千三百億の供出をさせられるのではないでしょうか。幾ら過去の経緯と責任を感じているからといっても、民間会社にすぎない金融機関が、しかも株主代表訴訟のリスクもかけ、五兆七千三百億もの負担を受け入れるわけがありません。
大蔵大臣、本当に一社も抜けることなく協力していただけるのでしょうか。一社でも協力しなかったら、このスキームは成り立ちません。なぜ協力要請が一〇〇%実現できるのか、その根拠について教えてください。
総理並びに大蔵大臣は、今回の住専処理は信用秩序の維持と預金者の保護と強弁されてこられましたが、このような不健全な処理をする方がよほど信用がなくなると思います。また、外国の市場も心配しているとよく言われますが、いいかげんな金融当局の采配が続いているがゆえに、日本は信用できないといった意味での心配であると認識をしていただきたいのであります。
さらに、住専処理の緊急性を強調され、早く処理しなければ大変なことになるということを言っておられますが、そんなに住専処理の緊急性を訴えるならば、なぜ、昨年の秋、我々新進党が主張したように臨時国会で住専問題を丁寧に論議しなかったのか。しかるに、与党・政府は景気対策もそぞろに宗教法人法改正にのみエネルギーを費やしていたことを忘れたのでしょうかということを強調したいと思います。(拍手)
橋本総理の政治姿勢について伺います。
総理は、大蔵大臣当時、富士銀行不正融資事件について、当時秘書官でありました小林豊機氏が富士銀行に対してあっせんの連絡をとっていた行為も自分自身の責任とされ、辞任されました。政治家の出処進退のあり方として、まさに見事なものであります。深く敬意を表するものであります。
ところで、総量規制通達当時の最高責任者でありました大蔵大臣の秘書であります小林氏が、日本興業銀行から住専の大口融資先六位に名を連ねる桃源社に対する融資のあっせんに働き、その後、謝礼として四千万円を要求していたという疑惑について、総理は否定されていますが、小林氏が興銀に対して桃源社の社長に会うように連絡をしていたということだけでも、富士銀行不正融資事件のときのおやめになった論理展開につながります。総理、この問題について国民の前にぜひ明らかにしていただきたいと思います。
最後に、総理、恐縮ですが、住専問題で何が悪いかというと、大蔵省も母体行も住専も悪いが、もっと悪いのは住専に金を借りて返さない借り手であります。そして一番悪いのが、その借り手から政治献金をもらって平気な顔をしている橋本総理だということを申し上げ、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X00819960222/5
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006・橋本龍太郎
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 上田議員にお答えを申し上げます。
我が国の財政は、議員からも御指摘がありましたように、平成八年度末におきまして国債残高が二百四十一兆円にも増加する見込みであり、国債費が政策的経費を圧迫するなど構造的に極めて厳しい状況にあることは、そのとおりであります。
そのため、今回の予算編成に当たりましても、このようにもはや危機的と言っても過言ではない財政事情のもとで、景気や国民生活の質の向上に十分配慮しながら、歳出削減に一層強力に取り組んでまいりました。今後、この平成八年度予算を地ならしとして財政改革に取り組みながら、できる限り速やかに健全な財政体質をつくり上げていくことが緊急課題であり、国会や財政制度審議会等での御議論を踏まえながら、財政改革に強力に取り組んでまいりたいと、たびたびその方針を申し上げているところであります。
また、今回の与党三党の合意によりまして設置されることになる財政の構造改革に関する与党の検討の場、さらには国会の広い御議論の中におきましても、財政の構造改革について幅広い御議論が行われるものと考えております。
次に、政府としては、我が国の金融システムの安定性と内外の信頼を確保し、預金者保護に資するとともに、経済を本格的な回復軌道に乗せる観点から、住専問題を一刻も早く解決することがどうしても必要だと考え、慎重の上にも慎重な検討の上で具体的な処理方策を決定いたしました。そして、関係当事者に対し要請を行い、おおむね了解が得られているところでありますが、こうした判断は民間当事者が自主的に行われているものでありまして、処理方策を強要しているという御批判は私は当たらないと思います。
次に、私の元秘書について御言及がございました。
事務所を通じて事情を聞きましたところ、融資仲介の見返りに四千万円を要求したという件については、全く事実無根であり、昨日、名誉毀損で告訴の手続をとったと聞いております。なお、興銀の頭取が先日の参考人質疑で、融資あっせんの事実は明確に否定された上で、二回小林元秘書から電話があったと述べられました点につきましては、興銀の頭取がそう言われるのであればそうかもしれない、しかし自分としては全く記憶がないということでありました。
最後に、一番悪いのは私だという御指摘がありました。
私の場合、既に御報告をいたしました四社のうち二社につきまして、百貸付先実名リストによりますと星印がついておりません。結果的にそのような企業から、現在寄附は受けておりませんものの、過去受けていたということをもって今御批判があるのであれば、その御批判は率直に私は受けたいと思います。そして、この二社から過去受けました献金につき今後返却する方向で現在検討を急いでおります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣久保亘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X00819960222/6
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007・久保亘
○国務大臣(久保亘君) 上田さんにお答え申し上げます。
最初に、特例公債の発行に関してお尋ねがございました。
これまでの予算編成で歳入歳出両面であらゆる努力を行う過程において、とりわけ特例公債の発行を回避するため、国債整理基金への定率繰り入れの停止等いわゆる特例的歳出削減措置等が行われてきたところであります。平成八年度予算の編成に当たっては、我が国財政が特例公債を発行せざるを得ない危機的状況に直面していることも踏まえ、財政の厳しい現状を国民の皆様方にもわかりやすく開示していくためにも、これらの措置についてはこの際改めて見直しを行うこととしたところであります。
見直しに当たっては、それぞれの事業の運営に支障が生じないかはもちろん、個々の措置に即してその制度・施策のあり方に立ち返り、どこまでこうした臨時緊急の措置をとり得るかについて、今まで以上に慎重に検討を行ったところであります。
例えば定率繰り入れにつきましては、国債整理基金の資金繰りに支障を生ずることから、法律の原則どおりの定率繰り入れを行うことといたしました。その結果、八年度予算では、法律による手当てが必要な措置として、厚生保険特別会計年金勘定への繰り入れ特例と外国為替資金特別会計からの繰り入れ特例を講ずることとしておりますが、前年度に比べてその数は二つに減っておりまして、歳出削減・歳入確保合計額のベースでも一兆円、厚年の八千億、外為の二千億と六分の一に縮減しているところであります。
次に、なぜ無税償却かというお尋ねでございました。
今回の住専問題の処理方策の策定に当たりましては、我が国金融の国際的位置づけ、住専設立から破綻への経緯等、また当事者の経営状況、対応力等を考慮した負担割合で母体行、一般行に対してそれぞれ債権放棄を要請するほか、系統金融機関に対して資金贈与を要請したところであります。このような処理方策及びその策定経緯を前提として考えれば、今回の債権放棄によって金融機関に生ずる損失は、寄附金に該当しない限り損金の額に算入するという従来からの課税上の取り扱いに照らせば、損金として処理される性格のものであると考えられております。
次に、預金保険機構の意義についてのお尋ねがございました。
住専問題は金融機関の不良債権問題における象徴的かつ喫緊の課題であり、その早期処理により、我が国の金融システムの安定とそれに対する内外からの信頼が確保されるとともに、ひいては預金者保護に資するものであります。このような考え方のもとで、具体的な処理方策を実施していくに当たりましては、預金者保護を図り、信用秩序の維持に資することを目的とする預金保険機構を活用することが最善の方策であるとの判断をしたところであります。
次に、金融機関の不良債権処理に伴う無税償却額についてのお尋ねがございました。
平成七年九月末の都銀、長信銀、信託二十一行の不良債権処理額は約二兆百七十七億円となっており、このうち無税償却の額は約九割となっていると推定されます。
次に、金融機関に協力要請を行ったことに関して、全金融機関の納得を得たと言えるかということについてお尋ねがございましたが、この点については先ほど総理からお答えを申し上げました。
次に、なぜ住専だけが税金による国民負担の対象となるかというお尋ねがございました。
住専問題は、民間の債権債務関係から発生した問題であるため、本来は民間当事者間の話し合いで解決を図ることが望ましいと考えられます。しかし、関係する金融機関が多数に上り、それらの金融機関の利害関係が極めて錯綜していることなどから、当事者の意欲と努力だけでは解決を図り得ない状況となっていたのであります。仮に本問題の解決がおくれるようなことがあれば、経済の動脈である金融システムに無用の不安、混乱を広げ、景気への悪影響が懸念されるほか、せっかく回復した海外金融市場における我が国金融システムヘの信頼も損ないかねないなど、国民経済全体にとって取り返しのつかない事態を惹起する可能性があります。
このため、我々としては、こうした事態は何としても避ける必要があると判断し、財政資金の投入を含む今回の処理方策を決定したのであります。この点について国民の皆様方に御理解を賜りたいと考えております。
最後に、昨年の秋の臨時国会で丁寧に住専問題を論議すべきではなかったかというお尋ねでございますが、政府といたしましても、臨時国会におきましてこれらの問題について御論議をいただいたことをも踏まえながら、また、与党の金融・証券プロジェクトにおける二十回を超える議論の経過や結果等にも配慮しつつ、今回の措置を決めたのであります。臨時国会における論議が行われるべきではなかったかどうかということについては、これは国会御自身の問題であろうかと思っております。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X00819960222/7
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008・土井たか子
○議長(土井たか子君) 竹内譲さん。
〔竹内譲君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X00819960222/8
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009・竹内譲
○竹内譲君 私は、新進党を代表し、ただいま提案のありました平成八年分所得税の特別減税のための臨時措置法案、租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
村山前内閣は、関係者の責任追及は不徹底、根拠は不明確、スキームはあいまいなまま、ずさんなバブル融資に狂奔した預金者なき住専の処理に税金六千八百五十億円を投入することを決定し、平成八年度予算に潜り込ませました。
このような重大決定を行いながら、編成した予算を国会に提出する前に、敵前逃亡とも言える突然の元旦青空退陣をした村山前総理、武村前蔵相は、憲政史上まれに見る無責任大臣として後世に悪名をとどめるでありましょう。(拍手)日本の最高の政治指導者が、このような責任回避と言いわけに明け暮れていてよいのでありましょうか。
自社さ三党の政権たらい回しで橋本内閣が誕生じ、この住専予算を国民に押しつけようとしています。住専問題をきっかけに、国民の税に対する怒りが爆発しておりますが、だからこそ、この機会に税制問題を根本から論議する必要があると考えるものであります。
税制改革に対する質問に先立ちまして、私は住専問題についてどうしても総理に伺っておきたいことがあります。
総理は、平成二年三月、当時大蔵大臣であったときに総量規制を出されました。しかし、これは住専を例外としていたため、その後一年間に農林系金融機関を通じて約二兆円のお金が住専に融資され、そのほとんどが住専から不動産などの事業者向けに貸し出されていったことは事実であります。
総量規制を出した後、総理は平成三年十月まで大蔵大臣に在任されています。その間、大蔵省は住専から四半期報告をとっており、住専がどんどん不動産投機にのめり込む実態を知りながら、一年半にわたって手を打たなかった。総量規制後、大蔵省は関連会社通達等によって住専に対する指導権限を持ちながら放置してきたことが、今日の非常事態を招いているのであります。特にその中でも、総量規制後の一年半に、農林系金融機関から住専へ、住専から不動産へ二兆円以上の資金が流れていったことが決定的な原因となっているのです。
その意味で、私は当時大蔵大臣であった総理の責任こそが最も重大であると考えます。一月三十一日の予算委員会の質疑の中で、既に総理は「全く責任がないなどとは申し上げません」と言われています。人の責任をとやかく言う前に、総理は御自分の責任をどのようにとるおつもりか。もし責任をとるとしても、これだけ多くの国民が反対している以上、私は住専への税金投入を争点にして解散・総選挙を行うべきであると考えますが、総理はその勇気はおありでしょうか。明快な答弁を求めます。
続いて、本題の税制改革についてお尋ねいたします。
質問の第一は、所得税改革、消費税改革を含む抜本的税制改革についてであります。
村山前内閣は、社会党の公約を公然と破り、中途半端な所得税減税を抱き合わせに、消費税率を来年の四月から五%に引き上げる税制改革を強行いたしました。
平成六年一月の第六十回定期全国大会で、村山中央執行委員長は次のように述べておられます。「減税の財源を消費税率アップに結びつけることについては、断じて認めることはできません。消費税のアップは消費を抑圧させるばかりでなく、大多数の勤労者や年金生活者などには、減税効果はなく、ただ増税が押しつけられるだけであります。減税の財源は、徹底した不公平税制の見直し、不要不急の歳出を削り、足りない分は短期の特例国債で賄うべきだというのが社会党の主張であります」と。
にもかかわらず、この年の秋に消費税率引き上げを強行採決したのです。これは明らかな公約違反ではないでしょうか。それは社会党の公約であって、社民党に看板をかえたのだから関係ないと強弁されるのでしょうか。そういえば、税制改革法が成立したとき、社会党はこっそり「消費税率引上げ反対運動推進本部」の看板を外しました。それと同じ手法でしょうか。久保大蔵大臣の明快な答弁を求めます。
いずれにせよ、消費税五%という税率は仮置きであって、税率は、ことしの九月までに、社会保障費用、行財政改革の推進状況、租税特別措置の整理と消費税の課税の適正化、財政状況の四点を勘案して見直すこととなっています。消費税率を五%に引き上げた場合、三兆五千億円の制度減税とわずか四千億円の社会福祉費用ですべて財源が消えてしまいます。したがって、高齢社会の福祉対策のあり方、行政改革の進展状況次第では、消費税率は五%を超えることもあり得ると村山前内閣は示唆してきたわけであります。
現に、税制改革法案を審議した際、当時の武村蔵相は「将来の急速に進展いたします高齢社会に対する年金、医療、介護の大きな財源をこの五%の消費税率アップで見出すことは不可能であります」とはっきり述べておられます。また、「行財政改革を真剣に進めることによって、具体的な数字の上で成果を上げることによって初めて、過不足といいますか、将来の福祉財源との関係でどれだけ足りないのか、あるいはイコールになるのか見えてくる」とも述べておられます。
そして、周知のとおり、政府が取り組んでいる新ゴールドプランは全く不十分、二兆円の特別減税も継続ということになった上に、平成八年度予算では国債を二十一兆円発行するという非常事態となりました以上は、消費税率五%という根拠は全く薄弱であります。これではとても足りないことになります。
他方、今までの自社さ政権の主張にかんがみれば、消費税アップの前提としてきた歳出削減や行革の具体的数値を示さないままでは、五%への消費税率引き上げさえも公約違反であり、国民を愚弄するものではありませんか。
田中経済企画庁長官は、平成六年に、新党さきがけの行財政改革対策本部の本部長に就任されておられます。このときに、御党では二兆四千億円の歳出削減案までつくられました。田中経済企画庁長官にお尋ねいたしますが、平成六年の消費税法改正以降、今日までに行政改革によってどれだけの歳出削減が実現したのか、具体的な数値としてお答えいただきたい。
また、総理及び大蔵大臣にお尋ねいたしますが、消費税率は五%にするのか、あるいは引き下げもあり得るのか。六%以上の税率も考えていたが、住専で国民の反発が強いのでこのまま五%でいけたら上出来というのが本音でしょうか。御所見を承りたい。
引き続きまして、我々の抜本税制改革に関する基本的考え方を披瀝いたします。
新進党は、特に所得税、法人税の減税と妥当な消費税率の設定に取り組みつつ、資産、消費、所得のバランスのとれた税体系の確立、総合課税化などの税制改革を進めていくべきだと考えます。
まず、中堅勤労者を重点として、余りにも高い所得税、住民税を大幅に引き下げ、可処分所得をふやし、個人の選択の多い社会を目指すべきであります。具体的には、所得税、住民税を現在の半分に減らし、最高税率を現行の六五%から五〇%に引き下げるべきであります。したがって、特別減税などという手法ではなく、すべて恒久減税で実施するのが筋と考えます。また、法人税も実効税率を五〇%から四五%に引き下げ、国際的な水準に近づけるべきであります。
税制論議を行う前提として、財政需要が拡大するから増税という発想をとるのではなく、官を中心とした資源配分、所得配分の時代が終わったことを認識し、税で民間の資金をどこまで吸い上げる必要があるか、まず議論すべきです。経済規模が拡大しないゼロ・サム社会においては、現在の税収五十兆円台をこれ以上ふやさないで、コスト意識を持って合理化する。歳出の優先順位の明確化を進め、何が何でもこの歳入の中で予算を組むという原則を貫くべきです。当然、行政経費の節減、納税者番号制度の導入を前提とした総合課税の確立が不可欠であります。
以上、我々が示したような税制哲学の確立、目指すべき社会にふさわしい税体系の再構築、長期的な財政運営等を視野に入れたパッケージ型の抜本税制改革を断行すべきであります。村山前内閣が実施した、単に所得税減税を行って財源を確保するために消費税率を引き上げるという小手先の税制改革ではなく、抜本税制改革についてどのようにお考えか、橋本総理、久保蔵相の答弁をいただきたい。
質問の第二は、平成八年度税制改正についてであります。
政府が決定した平成八年度税制改正案の一部は、新進党の政策の流用であります。昨年秋の臨時国会では、新進党が既に法案として提出した土地譲渡益課税の軽減については審議を拒否しておいて、これと同様の案を今回の政府案に盛り込んだことは言語道断と言わざるを得ません。昨年夏の臨時国会に新進党が提出した自社株取得に際してのみなし配当課税の停止措置についても、与党はこれを無視し、再び政府案として提出して成立させた経緯があります。これでは政策泥棒ではありませんか。我々は、政策の正当性よりも連立の枠組み維持に固執する与党の前近代的な姿勢に対し厳重に抗議を行うものであります。
平成八年度税制改正は、土地税制も証券関係税制も、産業界の目先の要望を中途半端に取り入れることに終始した近来まれに見る内容の乏しいものであります。累進税率の引き下げによる本格的な所得税改革には手がつけられていないし、消費税の仕組みにも問題は多い。世界的に見て負担が重過ぎる法人課税や資産課税のあり方については、早々に議題から外されています。
土地税制改革については、体系的に見直されたわけではなく、専ら地価税を中心に議論が矮小化されています。地価税については、創設の経緯からして、地方税である固定資産税との調整が課題であるはずです。にもかかわらず、それは将来に先送りされ、税率が〇・一%案と〇・二%案を足して二で割る典型的な妥協の産物となっています。
この地価税については、橋本総理の政治的リーダーシップに不満を感じます。総理は、自民党総裁選の選挙に出るに当たって、地価税凍結をはっきり公約されました。しかし、政府案では税率が半分になるなど中途半端な内容にとどまっています。これは明らかな約束違反ではありませんか。自民党単独政権だったら完全に凍結したが、社民党が反対したので妥協したと釈明されるおつもりですか。
平成七年十二月十六日の日経新聞は、その社説で、「与党税制改正大綱は、産業界からの要請にできるだけこたえようとする自民党と資産性所得課税の軽減に抵抗がある社会党との、筋の通らない妥協の産物だが、政府税調の答申もこれにひきずられ、全体として論理的整合性がほとんどない税制改正となった。現在の連立与党が、筋道だった政策を実行する能力に乏しいことを、改めて実証したといえるのではないか。」と述べています。私も全くそのとおりだと実感いたしますが、総理の明快なる答弁を求めます。
次に、有価証券取引税についても完全停止とならなかったのはなぜか。これも自社で意見が対立したからなのか、それとも総合課税体制が確立したときはきちんと廃止する予定があるのか、大蔵大臣に明らかにしていただきたい。
また、今回の税制改正の中で、発泡酒に対するビール並み課税が行われたことは、安易な措置であり、納得できません。今回の増税案が実施されることになると、現行法を信じ、それを基準に新商品の開発に傾注した企業努力は全くの無に帰することとなり、称賛されてしかるべき企業家精神はまさに増税によって完全に否定されることとなってしまいます。
また、大手企業だけではなく、発泡酒をつくって安く売り出そうという地方の醸造会社の方々もおられたはずであります。せっかく地方のベンチャービジネスを育成しようとする機運を阻害するような発泡酒に対する増税については断固反対であります。これは単なる財源探しの対策ではないのか。大蔵大臣より答弁をいただきたい。
あわせて、日本のウイスキーの税率がしょうちゅうより高いことは不当として米国、EU、カナダが日本に対して提訴している問題について、日本側はいかなる主張をしているのか、また、WTOの紛争処理委員会の勧告の見通しについても明らかにされたい。
最後に、消費税の飲食料品の軽減問題について社民党にお尋ねいたします。
一月二十五日の我が党の同僚議員の質問に対し、久保蔵相は「単一税率を維持することにしたものでありますが、飲食料品に対する軽減税率の問題は、消費税のあり方の問題として将来とも不断に検討していく課題」と答えておられますが、意味不明の点がありますので、再度お伺いいたします。
消費税率五%の枠組みでは単一税率でいくということなのか、五%の場合でもことし九月の見直しまでの検討課題になるということか、それとももっと高い税率になる場合にのみ検討するということか、あるいは党の支持者に対するアリバイ的な言動なのか、久保大蔵大臣に所見を求め、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X00819960222/9
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010・橋本龍太郎
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 竹内議員にお答えを申し上げます。
まず、住専問題に対する当時の大蔵大臣としてのおまえの責任はどうかというお尋ねがございました。
大蔵省は、私が大蔵大臣に就任いたす以前からノンバンクによる土地関連融資に注意を払ってきており、私の在任中におきましても、平成元年の十月、平成二年の一月の二回にわたり、住専を含む業界団体に対し土地関連融資の厳正化を要請いたしました。住専を含むノンバンクに対しましては、大蔵省は金融機関に対するような経営全般にわたる監督権限を有しておりませんために、こうした要請を行うことが制度上許される最大限の措置であり、このことは当時も繰り返し国会等において御説明を申し上げてきたところであります。
私としては、平成元年から平成三年秋といういわばバブルの最終の局面におきまして、大蔵大臣として、予算、税、金融それぞれの面で自分なりに力いっぱい努力をしてきたつもりでありますが、今後もこの問題の解決に向けて全力を尽くしていくことで責任を果たしていきたいと考えております。
また、解散・総選挙についてのお尋ねがございましたが、私は、現在、政治の空白をつくるようなことはとても許される状況ではないと考えております。
国内の経済を考えますとき、ようやく明るさが見えてきたとはいいながら、雇用は依然として極めて厳しい情勢にありますし、また、中小企業の立ち上がりは遅く、予算の早期成立によってその後も切れ目のない経済運営に努めることが、私は景気回復のために最も必要だとかたく信じております。
加えて、クリントン大統領の訪日を控え、沖縄米軍基地問題について誠実に取り組み、我が国外交にとって重要な日米関係をより強固にすることなど、米国、アジア、欧州、ロシアなどさまざまな問題や抱えている懸案のあることは御承知のとおりであります。
次に、消費税率についてお尋ねがありました。
所得税、個人住民税の負担を軽減し、消費税率を五%とする平成六年秋の税制改革は、法律で一体のものとして成立し、国民に認知をされております。法律にのっとり、これを確実に実施することこそ、財政経済運営の信頼、安定につながるものだと考えております。
消費税率の検討条項が設けられた趣旨や深刻な財政状況を考えますと、しっかりした議論を避けてはいけないと考えておりますけれども、消費税率について五%を超える負担を求めるかどうか、これは、社会保障等に要する財源確保の観点、行財政改革の推進状況、財政状況等を踏まえながら、本年九月末という法律上の期限に向けて慎重に検討を進める必要があると考えております。
また、我が国は、少子化、高齢化、国際化等の構造問題への対応が求められているさなかであります。このため、高齢化など我が国社会の中長期的な構造問題に対応し活力ある福祉社会の構築を目指す観点から、平成六年秋に抜本的な税制改革を行い、現在その着実な実施に努めております。今後とも、公平・中立・簡素という租税の基本原則にのっとりながら、所得、消費、資産等の間のバランスのとれた税制を構築すべく、国民の皆様の御意見を伺いながら取り組んでまいりたいと考えております。
また、地価税についてお触れになりました。
私は、地価税の税率の引き下げを含む今回の土地税制の見直しは、土地の公共性を規定した土地基本法の基本理念を踏まえながら、経済情勢に最大限配慮した内容となっており、全体として、土地税制の抜本的見直しを行うという私の考え方に沿った内容であると考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣久保亘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X00819960222/10
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011・久保亘
○国務大臣(久保亘君) ただいまの質問にお答えいたします。
最初に、消費税の問題に関してお尋ねがございました。
消費税についてはさまざまな経緯がございましたが、一連の改革を通じて、導入が世界的な潮流となっておりますいわゆる付加価値税として、よりふさわしい体系を整えるように努力が続けられてきているところでありますが、今後も一層の努力が求められていると考えております。同時に、ゴールドプランの推進等福祉の充実が図られてきておりますが、高齢化の進展を初めとする我が国社会の構造問題に税制面で適切に対応する必要は、これまで以上に増大していると考えます。こうした点を踏まえて、安心と活力ある豊かな福祉社会の構築を目指す観点から、平成六年十一月の税制改革が行われたところであります。
なお、平成六年十一月の税制改革は、六年六月の連立政権樹立に際しての与党三党の間の合意事項を踏まえ、連立与党において議論を重ねて慎重な検討の末結論を得たものであり、御質問にあるような発言をもって公約違反とする指摘は当たらないものと認識いたしております。
次に、消費税率についてのお尋ねがございました。
平成六年十一月に成立いたしました税制改革関連法において、消費税率は、既に先行実施している所得税、個人住民税の負担軽減とおおむね見合う形で五%とすることが法律によって定められております。また、この税制改革が我が国社会の中長期的な構造問題に対応するものであることを踏まえれば、この法定の税率は確実に実施されなければならないと考えております。
他方、消費税率の検討条項が設けられた趣旨や深刻な財政状況を考えると、しっかりした議論もまた避けてはならないと考えておりますが、五%と法定されております消費税率をさらに引き上げるかどうかというようなことは慎重でなければならないと考えております。国民各層の意見等を十分に伺いながら、今後も各方面で議論を尽くしていただき、慎重に判断してまいりたいと考えております。
次に、抜本税制改革についてのお尋ねがございました。
税制は、経済社会構造を支える基盤であり、経済活動を規定する制度として安定性が求められる一方で、経済社会の構造的変革に伴って、あるいはそれを見通して、新たな視点からの改革を行うことが絶えず求められているものと思います。少子化、高齢化に対応して安心と活力ある豊かな福祉社会を構築するとの見地から税制のあり方を検討するに当たりましては、こうした二つの要請にバランスよくこたえながら、公平・中立・簡素という租税の基本原則を貫いていく必要があると思います。
以上のような考え方から、高齢化など我が国の直面する構造問題に対応してまいりますため、平成六年十一月に、所得税、個人住民税の負担を軽減し、消費税率を五%とすることを柱とする税制改革を行ったところであり、法律にのっとり、これを確実に実施してまいりたいと考えております。
次に、有価証券取引税についてお尋ねがございました。
有価証券取引税については、株式取引に係る課税について、有価証券の取得、保有、譲渡の各段階を通じ、全体として適正な負担を求める観点から検討する必要があります。今回の改正では、有価証券取引税については、株式市場の活性化に資することに重点を置きつつ、証券税制全体の中で、株式取引に係る税負担の公平確保にも配慮して、現下の厳しい財政事情のもとにおいて許容される範囲内での負担軽減措置を講じることとしたものであります。
なお、有価証券取引税のあり方については、引き続き、株式譲渡益課税を含めた証券税制全体の議論の中で十分検討を深めてまいる所存であります。
次に、発泡酒課税についてのお尋ねでございますが、発泡酒については、品質的にもビールに近似し、ビールと同様にあるいはその代替品として飲まれている商品が急激に増大し、ビールとの税負担の不公平が顕在化いたしております。このような最近における生産、消費の状況の変化にかんがみ、税負担の公平確保等の観点から見直しを行うものであり、財源確保をねらったものではありません。また、見直しに当たっては、商品開発努力や新規参入の面等にも十分配慮し、全体として、現行の発泡酒の三区分の税率体系を維持しつつ、その範囲内での最小限の負担調整にとどめたところであります。
次に、ウイスキーの税率についてのお尋ねでございましたが、昨年九月、EU、カナダ及び米国は、しょうちゅうに対する税率がウイスキー等より低い日本の酒税は、しょうちゅうを保護するものであり、ガットに反しているとしてWTOに提訴し、現在、WTOの紛争解決機関のもとに設置された小委員会において審査が行われているところであります。
我が国としては、パネル審査において、酒税の税率は税の公平性等の観点を踏まえ、各酒類の消費の様態や税負担水準等を考慮しつつ設定しているものであり、しょうちゅうに保護的なものではない旨を主張しているところであります。パネルの審査は、先月末に第一回会合が開催されたばかりであり、今後の見通しについて現時点で申し上げることは困難でありますが、我が国としては、我が国の主張に理解が得られるよう努力してまいりたいと考えております。
最後に、消費税の軽減税率の問題についてお尋ねがございました。
消費税については、いわゆる付加価値税としてよりふさわしい体系を整えるよう努力が続けられてきていることを踏まえ、我が党は欧州諸国に例の見られる軽減税率を課題とし議論してまいりましたが、軽減税率は、公平・中立・簡素という消費税の特徴に照らし、減収分を補うために標準税率の引き上げ幅を大きくする必要があるといった問題があること等を考え、消費税率五%が法定された平成六年秋の税制改革においては、単一税率を維持することといたしたものであります。
したがって、軽減税率の問題は消費税率のいわゆる検討条項においては予定されておりません。しかし、この問題は将来とも不断に検討していく課題であると認識しており、これまでの議論の経緯も踏まえながら、消費者や納税者双方の声に十分耳を傾けて取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣田中秀征君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X00819960222/11
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012・田中秀征
○国務大臣(田中秀征君) 竹内議員にお答えいたします。
確かに平成六年に私どもは御指摘のような議論をし、それに基づいての主張もいたしました。当時、私どもは党内議論を大筋二つのことに集約いたしました。その点について、竹内議員に多少の誤解があるようでございます。
一つは、景気対策のための所得税減税と新ゴールドプラン実施の財源を確保するため、消費税率の二%アップ、すなわち消費税の五%への引き上げはやむを得ないということであります。もう一つは、それ以上のアップの議論に際しては、行政改革、歳出削減によって捻出することを基本とするということであります。そして、そのために御指摘の二兆四千億円の具体的な歳出削減案をまとめたわけでございます。
行財政改革の必要性が当時より一段と強まっております。私どもの行革に対する決意や姿勢にいささかの変更もないということを申し上げておきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X00819960222/12
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013・土井たか子
○議長(土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X00819960222/13
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014・土井たか子
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
午後一時四十四分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X00819960222/14
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