1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年五月十七日(金曜日)
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議事日程 第十四号
平成八年五月十七日
午後一時開議
第一 警察法の一部を改正する法律案(内閣提
出)
第二 電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改
正する法律案(内閣提出)
第三 通信・放送機構法の一部を改正する法律
案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 警察法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
日程第二 電気通信基盤充実臨時措置法の一部
を改正する法律案(内閣提出)
日程第三 通信・放送機構法の一部を改正する
法律案(内閣提出)
産業構造転換円滑化臨時措置法を廃止する法律
案(内閣提出、参議院送付)
菅厚生大臣の血液製剤によるHIV感染問題に
関する報告及び質疑
午後一時五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/0
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001・土井たか子
○議長(土井たか子君) これより会議を開きます。
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日程第一 警察法の一部を改正する法律案
(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/1
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002・土井たか子
○議長(土井たか子君) 日程第一、警察法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。地方行政委員長平林鴻三さん。
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警察法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔平林鴻三君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/2
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003・平林鴻三
○平林鴻三君 ただいま議題となりました警察法の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、オウム真理教関連事件の経緯にかんがみ、都道府県警察が、広域組織犯罪等すなわち全国の広範な区域において個人の生命、身体及び財産並びに公共の安全と秩序を害し、または害するおそれのある事案に対して、迅速かつ的確に対処することができるようにしょうとするものであります。
その主な内容は、
第一に、都道府県警察は、広域組織犯罪等を処理するため、必要な限度において、その管轄区域外に権限を及ぼすことができることといたしております。
第二に、国家公安委員会の権限に属する事務に、広域組織犯罪等に対処するための警察の態勢に関することを加えるとともに、警察庁長官は、広域組織犯罪等に対処するため必要があると認めるときは、都道府県警察に対し、広域組織犯罪等に対処するための警察の態勢に関する事項について必要な指示をすることができることとし、都道府県警察は、当該指示に係る事項を実施するため必要があるときは、その管轄区域外に権限を及ぼす等の措置をとらなければならないことといたしております。
本案は、四月二十六日本委員会に付託され、同日倉田国務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。五月十四日、今回の法改正の理由、オウム真理教関連事件の捜査の経緯と反省点、広域組織犯罪等の内容、警察庁長官の指示権創設の趣旨、自治体警察の枠組みの維持、警察情報の開示の必要等について質疑を行い、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/3
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004・土井たか子
○議長(土井たか子君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/4
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005・土井たか子
○議長(土井たか子君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第二 電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第三 通信・放送機構法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/5
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006・土井たか子
○議長(土井たか子君) 日程第二、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案、日程第三、通信・放送機構法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。逓信委員長中川昭一さん。
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電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
通信・放送機構法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔中川昭一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/6
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007・中川昭一
○中川昭一君 ただいま議題となりました両法律案につき、逓信委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、電気通信による情報流通の円滑化のための基盤の充実を図るため、信頼性向上施設に有線テレビジョン放送業に係る施設を加えるとともに、高度通信施設整備事業または高度有線テレビジョン放送施設整備事業を実施する者に対する通信・放送機構の助成金交付の対象施設の範囲を拡大する等の改正を行おうとするものであります。
次に、通信・放送機構法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、高度通信・放送研究開発の一層の推進を図るため、通信・放送機構の業務に高度通信・放送研究開発に係る債務保証業務を追加するとともに、同機構が行う高度通信・放送研究開発を委託により実施することができるようにする等の改正を行おうとするものであります。
両法律案は、四月十八日本委員会に付託され、五月十五日日野郵政大臣から提案理由説明を聴取し、質疑を行い、質疑終了後、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案は、採決の結果、賛成多数をもって、通信・放送機構法の一部を改正する法律案は、討論を行い、採決の結果、賛成多数をもって、いずれも原案のとおり可決上べきものと議決した次第であります。
なお、両法律案に対しそれぞれ附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/7
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008・土井たか子
○議長(土井たか子君) 両案を一括して採決いします。
両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の皆さんの起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/8
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009・土井たか子
○議長(土井たか子君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/9
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010・七条明
○七条明君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
内閣提出、参議院送付、産業構造転換円滑化臨時措置法を廃止する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/10
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011・土井たか子
○議長(土井たか子君) 七条明さんの動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/11
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012・土井たか子
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
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産業構造転換円滑化臨時措置法を廃止する法律案(内閣提出、参議院送付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/12
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013・土井たか子
○議長(土井たか子君) 産業構造転換円滑化臨時措置法を廃止する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。商工委員長甘利明さん。
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産業構造転換円滑化臨時措置法を廃止する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲〕
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〔甘利明君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/13
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014・甘利明
○甘利明君 ただいま議題となりました法律案につきまして、商工委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、産業構造転換円滑化臨時措置法を廃止するものであります。
同法は、昭和六十年九月のプラザ合意以降の国際経済情勢の変化の中で、我が国の産業構造転換の円滑化を図ることを目的として昭和六十二年に制定された時限法であり、同法に基づき過剰設備の処理や地域の活性化のための支援策が講じられたところでありますが、今日、所期の目的はほぼ達成されたと判断される状況にあることから、廃止期限の本年五月二十九日をもって廃止するとともに、経過措置等の所要の規定を整備するものであります。
本案は、四月十二日参議院から送付され、昨日当委員会に付託され、本日塚原通商産業大臣から提案理由の説明を聴取した後、直ちに質疑を行い、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/14
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015・土井たか子
○議長(土井たか子君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/15
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016・土井たか子
○議長(土井たか子君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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国務大臣の発言(血液製剤によるHIV感染問題に関する報告)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/16
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017・土井たか子
○議長(土井たか子君) 厚生大臣から、血液製剤によるHIV感染問題に関する報告のため、発言を求められております。これを許します。厚生大臣菅直人さん。
〔国務大臣菅直人君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/17
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018・菅直人
○国務大臣(菅直人君) 血液製剤によるHIV感染問題につきまして御報告申し上げます。
エイズは、HIV、ヒト免疫不全ウイルスの感染によって引き起こされ、細胞性免疫不全状態土主な病態とする重篤な疾患であり、現在に至るまでその根本的な治療法は研究段階にあります。
我が国において報告されたHIV感染者及びエイズ患者の累計は、平成八年二月末現在、HIV感染者数で三千五百七十一名、うち血液製剤によるものが千八百六名、既にエイズを発症している患者数は全体で千百八十六名、うち血液製剤によるものが五百八十二名で、それぞれ血液製剤によるものが全体の約五割に上っております。
血友病治療のために使用していた血液製剤によりHIVに感染し被害をこうむったことに対する損害賠償請求訴訟が、国及び製薬企業五社を被告として、平成元年五月に大阪地方裁判所に対して、同年十月に東京地方裁判所に対して、相次いで提起されました。訴訟は長期間にわたって争われてまいりましたが、両裁判所からは、平成七年十月六日、和解勧告が行われました。
和解勧告に当たって、東京地方裁判所は所見を示し、当時、血液製剤を介して伝播されるウイルスにより血友病患者がエイズに罹患する危険性やエイズの重篤性についての認識が十分でなく、国内の血友病患者のエイズ感染を防止するための十分な情報提供、薬事法の緊急命令の権限を行使しての米国由来の非加熱製剤の販売の一時停止の措置等、期待された有効な対策がおくれたため血友病患者のエイズ感染という悲惨な被害拡大につながったこと、被告らには原告らがこうむった甚大な感染被害を早急に救済すべき重大な責任があること、エイズの重篤な病態と被害者や遺族の心情に深く思いをいたすとき、本件については一刻も早く和解によって早期かつ全面的に救済を図る必要があることが指摘されました。
当時の森井厚生大臣は、裁判所の和解勧告の趣旨を重く受けとめ、和解による早期解決を決断し、昨年十月十七日に、和解の席に着くことを表 明されました。
そして、本年一月には与党三党政策合意、総理の施政方針演説において、「和解による早期解決に全力を挙げるとともに、責任問題も含め必要な調査を行い、医薬品による健康被害の再発防止に最大限の努力を尽くす」こととされたところであり、このような方針のもとに取り組みを進めてきたところであります。
本年一月二十三日には、厚生省内に、行政の立場から当時の事実関係を調査、整理するため、血液製剤によるHIV感染に関する調査プロジェクトチームを発足させ、調査を開始し、その後二月九日には、当時の資料が発見されたことを発表いたしました。また、二月十六日には、私が患者、家族の方々とお会いし、裁判所が所見で述べている国の責任を認めた上で、心からおわびを申し上げました。三月七日には、裁判所から第二次和解案が示され、原告及び国、製薬企業がこれを受け入れて、三月二十九日に和解が成立したところであります。
和解確認書において、私は、厚生大臣として裁判所の所見を真摯かつ厳粛に受けとめ、血友病患 者のHIV感染という悲惨な被害を拡大させたことについて指摘された重大な責任を深く自覚し、反省して、患者及び家族の方々に深く衷心よりおわびを申し上げました。
また、サリドマイド、キノホルムの医薬品副作用被害に関する訴訟の和解による解決に当たり、薬害の再発防止を確約したにもかかわらず、再びこのような悲惨な被害をもたらしたことを深く反省し、その原因についての真相究明に一層努めるとともに、国民の生命、健康を守るべき責務を改めて深く認識し、本件のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることがないよう、最善最大の努力を重ねることを確約いたしました。
さらに、HIV感染症の治療研究センターの設置、拠点病院の整備充実等、HIV感染症の医療体制及びこれに関連する問題については、厚生省において原告らHIV感染者と協議をする場を設け、その意見を聴取しつつ、適切な措置をとることに努めることとされております。
私は、七年に及ぶ裁判において、和解が成立したことを厳粛に受けとめております。同時に、和解の成立後においても、エイズ治療・研究推進体制の整備等について、患者の方々の意見も伺いながら、安心して治療が受けられるようできる限りの対応を行う考えであります。
具体的には、とりわけ患者の方々から強い要望が寄せられているエイズ治療・研究推進体制の整備につきましては、国立国際医療センターの病院にエイズ治療や臨床研究を担当するエイズ治療・研究開発センター(仮称)を設置するとともに、基礎研究を担当する国立予防衛生研究所エイズ研究センターの充実を図り、治療、研究、情報及び研修を一体的に推進するセンター的機能の整備を図ることとしております。
エイズ拠点病院につきましては、現在、全国で百八十九の医療機関が拠点病院として選定されており、センター等との連携を強化するほか、拠点病院の医療従事者の研修やカウンセラーの配置等により、全国の拠点病院における診療水準の向上と均質化を図ることといたしております。
また、エイズ治療薬ができるだけ早く患者の方々に行き届くよう、迅速審査の実施によるエイズ治療薬の早期供給や、承認前のエイズ治療薬の幅広い提供を図るとともに、エイズ治療薬の研究開発については、本年度、予算額を倍増して、さらに積極的に取り組むこととしております。
さらに、差額ベッドの問題につきましても、拠点病院における個室の整備促進、診療報酬における新たな対応と指導の徹底等の施策を講じ、エイズ拠点病院等を中心に、HIV感染者が個室に入院した場合に基本的に差額ベッド代を負担しなくてもよいよう、万全の措置を講じていくこととしております。
このような対応のほか、鎮魂、慰霊の措置につきましても、御遺族の意見を伺いながら、その具体化に向けて全力を挙げて取り組むこととしております。
今回の問題において、患者、家族の方々に例えようのない苦痛をもたらしたことは痛恨のきわみであります。真相解明への努力を引き続きしてまいるとともに、今回の経験を重い教訓として、本のような医薬品による甚大な健康被害を再び発生させることがないよう、その再発防止に最大限の努力を尽くしてまいりたいと考えております。
血液製剤によるHIV感染に関する調査プロジエクトチームにおいては、本年一月二十三日に設置して以来、国民等から疑問とされている十一の調査項目について、文献等調査と公表を前提とした文書による質問調査の方法によって調査を行ってきたところであり、これまでの約三カ月間の調査結果を、二月二十八日及び三月十九日の中間報告に続き、四月二十六日に補完的な調査結果を含め報告書として公表したところであります。
この報告書の主な内容としては、
昭和五十八年当時、厚生省等は、米国政府機関等の勧告等の米国の事情を知っていたこと、及びエイズの病因は不明であるが、ある種のウイルスによる感染症の可能性が強く、その伝播様式は血液を介して感染する可能性が強いことを認識していたこと、並びに原因ウイルス固定後の五十九年十一月末には厚生省は我が国の血友病患者の抗体検査陽性の状況を知っていたものと認められること、
第二に、エイズ研究班においては、いわゆる帝京大症例について、ステロイド剤投与による細胞性免疫の低下を否定できないこと等から疑似症例としたものと考えられること、米国CDCのスピラ博士の診断が報告された後もこの診断の見直しに至ることなく、引き続き検討することとされたと推測されること、及びこの症例は六十年四月にAIDS調査検討委員会に調査票が提出され、同年五月にエイズと認定されたこと、
第三に、加熱製剤の導入については、エイズ研 究班の血液製剤小委員会では臨床試験が必要との意見が多かったこと、厚生省は五十八年十一月に臨床試験を含む加熱製剤の審査方針を示し、六十年七月にメーカーの承認申請を一括して中央薬事審議会で優先審査し、承認したこと、加熱製剤承認後の非加熱製剤の扱いについては、当時の担当職員の回答によると、患者の治療に重大な支障を来すおそれがあると考えたこと等が自主回収の理由となっており、また、回収状況についてはメーカ一の報告等を通じて把握していたことなどであります。
さらに、国会の場においても、本年四月十二日以降、衆参両院の厚生委員会において、原告である患者や家族の方々の意見陳述や当時の厚生省担当課長、エイズ研究班班長などに対する参考人質疑が行われてきているところであり、真相解明への取り組みに注目をいたしているところであります。
調査プロジェクトチームの報告書については、「記憶にない」という回答も多く、完全に事実関係を解明できたとは考えておりませんが、権限に基づかない任意の調査として、当初指示した調査項目についてできるだけの事実関係の調査、整理を行ったと考えられることから、先月二十六日の報告を一応の最終報告としたものであり、調査プロジエクトチームの組織は存続させているところであります。
また、血液凝固因子製剤による非血友病HIV感染に関する問題につきましても、四月二日、厚生省内にプロジェクトチームを設置し、全国の医療機関に対する調査等により、その実態把握に努めていくことといたしております。
さらに、HIV感染問題の反省に立った医薬品による健康被害の防止対策を徹底するため、今般、厚生科学会議において、法律や社会保障等の学識経験者の方々にも臨時委員として御参加をいただき、医薬品による健康被害が発生する制度的、構造的原因や再発防止対策の基本的方向について大所高所から御議論をいただいたところであり、また、厚生省内にプロジェクトチームを設置し、厚生科学会議の意見等も踏まえ、医薬品等による健康被害の再発防止の具体策を取りまとめていくこととしております。
このプロジェクトチームにおきましては、
まず第一に、非加熱製剤の使用を停止することがおくれた政策決定プロセスを反省し、今後のあり方を確立すること、
第二に、血液製剤由来の感染症に対する危機管理のための情報収集・提供が重要であることを踏まえ、行政サイドの情報収集・提供の仕組み、医師と患者間での情報提供のあり方の改善を図ること、
第三に、今回の事件の反省に立って、薬事行政及びその組織のあり方を見直すことといった項目について鋭意検討を行い、六月ごろまでをめどに検討結果を取りまとめることとしております。
また、本年三月に国会に提出した薬事法等の一部を改正する法律案では、特に今回のHIV感染問題も踏まえて、
まず第一に、国民の生命、健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延を防止するため、いわゆる緊急輸入などの例外許可制度を設けること、
第二に、製薬企業に医薬品の使用によるものと疑われる感染症例等の報告を義務づけること等が盛り込まれております。
以上、これまでの取り組みについて申し上げてまいりましたが、残された大きな課題である恒久対策の確立、真相解明、薬事行政の改革、医薬品による健康被害の再発防止について、今後とも国会における御審議も踏まえて全力を挙げて取り組むことといたしており、国民の皆様の信頼が得られるよう最大限の努力を重ねてまいる所存であります。(拍手)
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国務大臣の発言(血液製剤によるHIV感染
問題に関する報告)に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/18
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019・土井たか子
○議長(土井たか子君) ただいまの発言に対し質疑の通告があります。順次これを許します。古屋圭司さん。
〔古屋圭司君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/19
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020・古屋圭司
○古屋圭司君 私は、自由民主党、社会民主党護憲連合、新党さきがけを代表いたしまして、ただいま議題となりました血液製剤によるHIV感染問題に関する報告につきまして、厚生大臣に質問をいたします。
まず、血液製剤によりエイズウイルスに感染され闘病生活を送られている方々や、その闘病生活を支えている御家族の方々に心からお見舞いを申し上げますとともに、最愛の御家族を亡くされた御遺族の方々にお悔やみを申し上げます。
エイズ訴訟については、平成元年の提訴以来七年の歳月が流れました。原告の方々にとってはつらく長い日々であったと思います。去る三月二十九日に和解が成立し、ようやく原告患者の方々の救済の道が開かれました。
この和解の成立に向けて、昨年十月六日、東京・大阪両地裁から和解勧告が出され、同月十七日には、森井前厚生大臣が、エイズ訴訟の早期解決に全力を尽くす立場から和解のテーブルに着く旨決断をされ、和解協議が開始をされたのであります。
その後、本年一月八日、連立与党は三党政策合意を結び、この中で「早期和解を推進するとともに、薬事行政の中でHIV問題に関し、責任問題をも含め、必要な調査を行い、薬害再発防止のために万全の措置をとる」ことを合意いたしました。
また、同月二十二日、橋本総理大臣が施政方針演説におきまして、「和解による解決に全力を挙げるとともに、責任問題をも含め、必要な調査を行い、医薬品による被害の再発防止に最大限の努力を尽くす」と表明をされ、引き続き和解協議に精力的に取り組むとともに、同月二十三日、菅厚生大臣が厚生省に血液製剤によるHIV感染に関する調査プロジェクトチームを設置し、行政の立場から事実関係の調査、整理が開始されたところであります。
そうした中で、連立与党も、エイズ問題検討ワーキングチームを中心にこの問題に積極的に取り組んでまいりました。二月十四日から十六日にかけての原告患者の方々の座り込みの際も、厚生大臣に恒久対策や再発の防止、真相究明を要請するとともに、原告患者の皆さんと厚生大臣との会談をセットし、厚生大臣が裁判所の所見に示された責任を認め、患者の方々におわびをするなど、和解の実現に向けて精力的にその役割を果たしてきたところであります。さらに、その後も、和解の成立を挟んで、治療体制の充実を初めとする恒久対策の実現や再発防止対策、真相究明に積極的に対応してまいりました。
和解の成立は確かにこの問題の大きな区切りではありますが、今回の和解の際の確認書において、「厚生大臣は、引き続き原告らHIV感染者の意見を聴取しつつ、HIV感染症の医療体制の整備等につき適切な措置をとることに努める。」こととされているように、恒久対策や再発防止といった残された大きな課題があります。
そこで、まず、大臣の薬害エイズ問題に対する基本認識、今後の恒久対策、再発防止への取り組みの姿勢をお伺いいたします。
次に、恒久対策の中でも医療体制の整備は、患者の方々が安心して治療を受ける上で大変重要な課題であると思います。
和解成立後におきましても、原告の方々が求め、また和解確認書において協議事項とされている医療体制の整備等の恒久対策について、患者の方々が納得し得るような対応が求められていると理解をいたしますが、エイズ治療・研究開発センター、中核拠点病院、拠点病院あるいは通院可能な病院といった体制を整備し、完治可能な治療方法を一日も早く見出すとともに、発症を予防し、免疫の低下を抑える治療方法の開発、さらには二次、三次感染者の医療費について、どのような具体策を講じていくのか、お伺いをいたします。
とりわけ国立病院は、率先して政策医療としてのエイズ治療の役割を引き受けるべきと考えますが、厚生大臣のお考えと決意をお伺いいたします。
また、こうした医療体制の整備とともに、患者の方々は、一日も早く、承認前であってもエイズ治療薬が使用できるようになることを求めています。厚生省の積極的な対応が求められていますが、どのような対応策を講ずるのか、御所見をお伺いいたします。
さらに、差額ベッド代の負担が患者の方々、御家族の方々に重くのしかかっているとの指摘がございます。せっかく医療体制が整備をされても、医薬品が使用できるようになっても、経済的に過大な負担があっては真の解決のための処方せんとはなりません。この差額ベッドの解消に向けて具体的にどのような対応策を講じようとしているのか、お伺いをいたします。
また、弔意のあらわし方については、与党と原告団の間で協議中でありますが、結論が出れば誠意を持って対応していく決意があるか、お伺いをいたします。
また、原告患者の方々の切実な声として、自分はなぜエイズに感染しなければならなかったのか、血友病を治療してくれるはずの血液製剤によってなぜ死に至るような病にかかってしまったのかということがございます。さらには、本件の被害者の方々だけではなく、今や国民の多くが、なぜこのような悲惨な被害が生じたのか、その原因はどこにあったのかについて、国民の前にしっかりと情報が開示され、真相が解明されることを求めております。
厚生省は、真相解明のプロジェクトチームを設置し、一応の事実関係について公表をしたところであります。一方、国会においても参考人質疑が衆参両院の厚生委員会において行われておりますがいまだ真相解明の道半ばであり、今後ともより一層の徹底した究明を進めることが不可欠であり、そのことこそが国民の信頼を回復する唯一の方法であると考えますが、御所見をお伺いいたします。
また、これまでもサリドマイド、キノホルムの医薬品副作用被害に関する訴訟で薬害の発生防止を確約したにもかかわらず、またしても今回のような極めて悲惨な被害がありましたことは、まことに遺憾であると言わざるを得ません。今度こそ再びこうした医薬品による被害が生じることのないよう、万全の措置を講ずるべきと考えます。
今回の和解の際の確認書におきましても、国は、医薬品の副作用や不良医薬品から国民の生命、健康を守るべき重大な責務があることを改めて深く認識し、本件のような医薬品による悲惨な被害再び発生させないよう、最大最善の努力を重ねることを改めて確約したところであります。
厚生省においては、医薬品による健康被害の再発防止対策に関するプロジェクトチームを設置し検討を進めていると聞いておりますが、今後、具体的に再発防止にどのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。
去る三月二十九日に和解が成立いたしましたが、和解の対象となったのは提訴された方々の一部にすぎないことは御承知のとおりであります。また、まだ提訴されておられない患者の方々が大勢いらっしゃいます。こういった方々との間においても和解による早期解決を進めていかなければならないと思いますが、御所見をお伺いします。
これに加え、今回の和解の対象となった血友病患者の方々と同様、血友病以外の治療に用いた非加熱製剤によりHIVに感染した方々、御家族、御遺族もつらい日々を過ごされており、この問題への対応も重要な課題であります。今後どのように取り組まれるのかをお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣菅直人君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/20
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021・菅直人
○国務大臣(菅直人君) 古屋議員の御質問にお答えを申し上げます。
薬害エイズ問題に対する基本認識、また今後の恒久対策、再発防止の取り組みの姿勢というお尋ねであります。
エイズ問題に対する基本認識等については、病気をいやすべき薬によって何の落ち度もない方々が甚大な被害をこうむり、その被害の拡大を防止し得なかったことについて、厚生省の責任を認めるとともに、深く反省し、患者及び家族の方々に心からおわびを申し上げたいと思っております。
エイズ訴訟の和解協議については、三月二十九日に和解が成立したところであり、七年に及ぶ裁判について和解が成立したことを厳粛に受けとめているところであります。和解の成立後においても、エイズ治療・研究推進体制の整備等について患者の方々の意見も伺いながら、安心して治療を受けられるようできる限りの対応を行う考えであります。
さらに、今般の事件を深く反省し、二度とこのような医薬品による健康被害を起こすことがないように万全の対策を講ずることが極めて重要と考えており、このため、厚生省において、広く有識者の御意見も伺いつつ、できるだけ早期に再発防止の具体策を取りまとめるため、検討に全力を挙げているところであります。再発防止対策については、これまでも国会において種々御指摘をいただいているところであり、これらの御意見も踏まえながら適切に対処してまいりたいと考えております。
次に、エイズ治療・研究推進体制の整備等についてのお尋ねでありますが、この点につきましては、国立国際医療センターの病院にエイズ治療や臨床研究などを担当するエイズ治療・研究開発センターを設置するとともに、基礎研究を担当する国立予防衛生研究所エイズ研究センターの充実を図り、治療、研究、情報及び研修を一体的に推進するセンター的機能の整備を図りたい、このように考えております。
また、エイズ拠点病院については、今後一層の整備充実に努めるとともに、各地方における中核拠点病院については、各地方ブロックの病院長や都道府県、患者団体等において中核的な機能のあり方や選定等についての協議を行うことにより、その具体化に努めてまいる所存でございます。
また、血液製剤によるHIV感染者からの二次、三次感染者の医療費については、本年七月から、抗ウイルス剤の投与等エイズ治療が必要になった者について、血友病患者と同様、高額療養費の特例措置を講じて医療保険の自己負担限度額を一万円に引き下げるとともに、その自己負担分を治療研究事業として公費負担することにより医療費の自己負担を解消することとして、精力的に準備をしていきたいと考えております。
また、国立病院等におけるエイズ治療の取り組みについてのお尋ねでございますが、エイズ拠点病院として選定されたものにおいては積極的な診療体制を整えるとともに、それ以外の国立病院等においても適切な医療を提供するよう、各種会議等を通じて指導を行っているところであります。厚生省としては、国立国際医療センターの病院にエイズ治療や臨床研究を担当するエイズ治療・研究開発センターを設置する等、研究、治療、情報及び研修を総合的、一体的に推進する体制を検討しているところであり、この体制の中で、国立病院には特に積極的にエイズ治療、研究、研修に取り組んでいただきたい、このように考えているところであります。
承認前のエイズ治療薬の早期使用についてのお尋ねでございますが、血液製剤によるHIV感染者への恒久対策の一環として、できる限り早急に有効なエイズ治療薬を患者の皆さんが使用できるようにするため、米国で既に承認されているエイズ治療薬については承認審査の迅速化を図ることとしております。
また、承認前であっても希望する患者に幅広くエイズ治療薬が行き届くよう、インフォームド・コンセントを確保しつつ、治験の形で、この治験を早期に開始し、治験の対象患者の大幅な拡大について開発企業に協力を要請しており、今月中には患者を対象とした治験が開始できる見込みとなっております。その際、患者の方々に対しては治験に関する正確な情報を提供することが重要であると認識しており、医療機関に対してはどのような医薬品について治験が行われるのか等の情報をエイズ拠点病院を経由して提供するとともに、患者団体や医師等で構成されている患者支援団体に対してもこれらの情報を直接提供することといたしております。
差額ベッドの解消についてのお尋ねですが、本人の意思に反した不適切な差額ベッド料の解消を図るため、まず第一に、エイズ拠点病院等における個室整備の促進を行うとともに、第二に、個室に入った場合には新たに医療保険の診療報酬における重症者加算の対象とする。さらに第三に、都道府県に差額ベッド問題に関する苦情相談窓口を設置し、不適切な事例については指導を行っているところであります。これらの指導方針については、先月のエイズ拠点病院長会議等の場において周知徹底を図ったところであり、不適切な差額ベッドの解消に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
弔意のあらわし方についてのお尋ねでありますが、三月七日の裁判所の所見において「被害者への鎮魂・慰霊の措置を含め、最大限の配慮をされるよう要請する」とされているところであります。鎮魂、慰霊の措置については与党と原告団の間で協議が進められているところでありますので、それらを十分に念頭に置き、また御遺族の御意見も伺いながら、厚生省としてその具体化に向けて全力を挙げて取り組む考えであります。
真相解明についてのお尋ねですが、調査プロジェクトチームにより、十一の調査項目について、文献等の調査と質問調査の方法によって権限に基づかない任意の調査としてできるだけの調査、整理を行ってきており、先月二十六日に、これまでの約三カ月にわたる調査結果を最終報告書として公表したところであります。真相解明については、国会において衆参両院で参考人を招致されるなど鋭意調査が進められているところであり、その取り組みも注目をさせていただいております。厚生省といたしましては、厚生科学会議の御意見を参考にし、今後の真相究明についてどのような形をとっていくか、現在さらに検討をしているところでございます。
再発防止についてのお尋ねですが、今回の問題において患者、家族の方々に例えようのない苦痛をもたらしたことは痛恨のきわみであり、今回の経験を重い教訓として、本件のような医薬品による甚大な健康被害を再び発生させることがないよう、その再発防止に最大限の努力を重ねる必要があると考えております。
このため、厚生科学会議を開催し外部の有識者の御意見を賜ることとするとともに、省内にプロジェクトチームを設置し、まず政策決定プロセスのあり方について、第二に情報提供のあり方について、第三に薬事行政及びその組織のあり方について、この三つの検討課題を中心に鋭意検討を進めているところであります。省内におけるこのプロジェクトチームにおいて、厚生科学会議における御意見等を踏まえながら、六月ごろまでをめどに再発防止の具体策を取りまとめることといたしております。再発防止対策については、これまでも国会において種々御意見をいただいているところであり、これらの御意見も踏まえながら適切に対処してまいりたいと考えているところであります。
未結審または未提訴の方々との和解による早期解決についてのお尋ねでありますが、今回の和解に際しての確認書におきまして、まず第一に、未結審原告については「速やかに非加熱製剤の使用によるHIV感染の事実等についての証拠調べを実施した上、順次和解の対象とする」。また第二に、未提訴者については「訴えの提起を待ち、非加熱製剤の使用によるHIV感染の事実等についての証拠調べを実施した上、順次和解の対象とする」。こういうこととされているところであります。
国としては、三月の和解後初めて、五月十五日、大阪地裁で開かれた法廷において未結審原告について和解を求める上申をしたところであり、今後とも、未結審、未提訴の方々について和解による早期解決を進めてまいりたいと考えております。
最後に、血友病以外の方に対しての血液製剤によるHIV感染についてのお尋ねであります。
これらの方々も非加熱製剤に起因したHIV感染であり、基本的には、血友病患者あるいはその二次、三次感染者と同様の性格であると考えております。しかしながら、非血友病HIV感染者については、その感染の実態等が十分まだ把握されていないこと、また非加熱製剤による感染について国、製薬企業を含め責任のあり方をどのように考えるかについて検討する必要があること、さらに、長期にわたり頻繁に投与を受けている血友病患者の場合と異なり、非加熱製剤の投与と感染の間の因果関係をどのように認定するのかという手続上の問題があることといった点で、血友病患者あるいはその二次、三次感染者とは異なる面があります。
こうしたことから、まずその確実な実態を把握するため、四月二日、省内に調査プロジェクトチームを設置したところであります。現在、薬事法に基づいて把握した血液凝固因子製剤が納入されたとされる医療施設の協力を得て、製剤投与及びHIV感染の実態について調査を行っているところであります。厚生省としては、非血友病エイズ感染の方々についても、血友病患者と同様、早期の救済に向けて努力してまいりたい、このように考えているところであります。
以上、お答えとさせていただきます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/21
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022・土井たか子
○議長(土井たか子君) 鴨下一郎さん。
〔鴨下一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/22
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023・鴨下一郎
○鴨下一郎君 新進党の鴨下一郎でございます。
私は、新進党を代表して、ただいま議題となりました薬害エイズ問題に関して、総理大臣並びに厚生大臣にお考えを伺いたいと思います。
まず初めに、非加熱製剤を介してエイズに感染し、既に亡くなられた方、重篤な症状と闘っておられる方々、さらにHIV陽性でいつエイズが発症するかに大きな不安を抱いて毎日を過ごしていらっしゃる方々とその御家族の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
さて、エイズという疾患は、一九八一年にアメリカで初めて報告されました。翌年、アメリカの血友病患者の症例が報告され、治療薬として使われた第Ⅷ、第Ⅸ因子の血液製剤が売血を原料とすることによって感染の危険性をはらんでいることが指摘されました。
当時、日本では、血液製剤の原料の多くを輸入に頼っており、エイズ日本上陸の危険性が危惧されることとなってきました。厚生省は、八三年にエイズの実態把握に関する研究班を発足させ、この危険に対して体制を整えたかに見えました。
しかし、この時期からさらに三年間も、つまり製薬会社による一応の自主回収が終わったとされる八六年夏まで、危険な非加熱製剤が使われ続けたのです。その結果、日本人血友病患者五千人の中で約二千人が感染し、既に四百人を超す人が亡くなり、さらに、発症直前に陥っている患者さんが増加しており、極めて対策には緊急を要する問題として現在に至っております。
今回の薬害エイズの問題は、なぜそのような結果に至ってしまったのか、その責任はどこにあるかというところにあります。総理はどのようにお考えになっておられるか、お聞かせください。
血友病患者、家族の方々は、八九年、国、製薬企業に対し損害賠償を求めて訴訟を起こされました。九六年三月には、厚生大臣が国の責任を認め和解は成立しましたが、その疑問はいまだわかっていません。
さきの厚生委員会に参考人として出席いただいた川田龍平さんは、「十歳のときから死について考え、そして友達にも感染の事実を隠して生きてきました。でも、この薬害を多くの人に知ってもらいたいと思い、実名を公表しました。僕たちのような苦しみはもうだれにも味わわせたくないと思っています。この国会ですべての真相が明らかにされることを期待します。この国会しかすべての真相が明らかにされる場はありません」と思いを語ってくださいました。総理は、このような患者さんの声を聞き、真相究明についてどのような感想を持たれていらっしゃいますか。
エイズ薬害の悲劇は、濃縮製剤が開発され、八三年の二月に自己注射という家庭療法が医療保険でできるようになり、製剤の消費量が増加してきたころから始まります。患者さんはQOLが高まることに大きな期待を持ちました。製薬会社も、これで使用量が大幅にふえると皮肉にも予測していたにかたくありません。この家庭療法の推進に、当時、橋本総理は積極的に尽力なされたと聞いておりますが、いかがだったのでしょうか。
その六月には、エイズ研究班が生物製剤課に設置されました。当時の課長郡司篤晃氏は、非加熱製剤の危険性を参考人の意見の中でも述べています。しかし、濃縮製剤が有用だという意見が多く、さらに国内メーカーへの打撃を懸念することなどから、一転して危険性よりも有用性をとる方針となりました。しかし、非加熱製剤がエイズ伝播の危険性があるという前提でなければ、当時の生物製剤課に研究班を設置し、血友病の専門家である安部英氏を班長にするという必然性が説明できません。厚生省はエイズ研究班をなぜ生物製剤課に設置したのか、その目的、研究結果についての責任の所在、責任者についてお答えください。
そして、なぜ第一号の認定がおくれたのか。意図的な問題がなかったのでしょうか。
八三年六月のエイズ研究班のときに帝京大症例がエイズとして認定されていれば、濃縮製剤の危険性が明らかになっていました。しかし、第一号症例は留保されてしまいました。
その後、エイズサーベイランス委員会が設置されて塩川さんが委員長になり、八五年の三月二十二日に本邦第一例が認定されます。この例は、診断、経過、受診動機、予後などあらゆる面で疑義あることが参考人の供述などで明らかになっています。参考人の松田重三氏は、帝京大症例を認定しなかったのは行政に汚点を残さないため、また、本邦第一例はでっち上げと供述しています。なぜ血友病患者がエイズに感染しているということを明らかにしなかったのか、帝京大症例をなぜ認定しなかったのかということについて、総理はどうお考えになっているのでしょうか。
さらに、厚生省は、非加熱製剤の危険性を知りながら、その使用を容認していくことになりました。それはなぜだったのか、総理はどのように御理解なさっておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
加熱製剤の治験中にも、危険性に対する認識は八三年、八四年、八五年とより明確になっていきました。スピラ博士が、血友病患者のエイズ発症、死亡を診断したとき、ギャロ抗体検査が判明したとき、非加熱製剤の危険性は十分に推察できたはずです。厚生省は、エイズが予後不良で重篤なビールスによる感染症であり、さらに非加熱製剤に混入している可能性があると認識したのは一体何年何月なのか、公式に示していただきたい。厚生委員会において、八四年十一月エイズウイルスが固定された時点とお答えになりましたが、御確認をいただきたいと思います。
もし八四年十一月以降に認識されたのであれば、さまざまな副作用情報がある中で、情報収集に関して行政としての怠慢であり、厳しく責任を問われる問題と言わざるを得ません。また、そのときだとすれば、それ以降、非加熱製剤の回収または危険性につき行政としてしかるべき役割を果たす必要があったはずです。行われていないとすれば、重大な責任を問われなければなりません。
危険な非加熱製剤の回収を指示すべきだったのに、企業の自主回収に任せたのは一体なぜなのでしょうか。総理並びに厚生大臣、それぞれの御所見をいただきたい。
患者さんも、非加熱製剤の危険性の情報開示が行われていれば加熱製剤の使用を開始することも可能でさらなる感染を防ぐことができたはずであります。その辺の罪は非常に重いと考えます。
総理はその責任をどう感じているのか、お聞かせいただきたいと思います。
また、自己注射による家庭療法導入後に非加熱製剤の使用量がどう推移していったかについて、厚生省に示していただきたいと思います。
非加熱製剤メーカーの一つ、ミドリ十字は、厚生省薬務局ミドリ十字分室とも言われているように、薬務局長以下数多くの官僚が社長、役員等に天下っています。官業の癒着構造がメーカーの得になる非加熱製剤野放しの原因になっていた可能性がある点も、厳しく問われなければならないと思います。厚生省からミドリ十字、日本臓器など非加熱製剤メーカーへの天下りの実態を、過去二十年間にさかのぼり具体的な数を示していただきたいと思います。
今回、随所に良識ある官僚もしくは学者がアドバイスをしたり、非加熱製剤の使用を中止しようと発言した人もありました。しかし、政官業の癒着構造の大きな流れの中で、医学的正論が通らないような雰囲気がありました。その中で、メーカーの論理に抗し切れないで、これほどの大惨事になっていったと思われます。実際、ミドリ十字などにくみし、政治献金をもらって暗黙のあるいは無言の政治的圧力をかけた政治家の罪は非常に重いと考えます。まさしく今言われている政界、業界、官界の癒着構造がもたらした典型的な病理現象と考えます。この点について、総理はどのようにお考えになりますか。
総理、あなたは参議院予算委員会で、ミドリ十字から献金をもらっているという御答弁をされていますが、それは事実ですか。また、薬業界全体からの献金は過去十年間でどのようになっていますか。さらに、衆議院予算委員会で、当時ミドリ十字の社長である、薬務局長を歴任した松下廉蔵さんとの交際もあるとお話しされていましたが、これも事実ですか。厚生族の重鎮として隠然たる存在と言われる総理、この事実確認と責任とをお聞かせいただきたいと思います。
厚生省には、資料隠しや不都合なものは出さないんじゃないかという疑念など、さまざまな思いがあります。和解後に資料が出てきたことなどは、明らかに作為的としか思いようがありません。資料公開の不明瞭さについて、総理並びに厚生大臣はいかにお考えでしょうか。
さらに、今後の課題として、薬害エイズの患者さんたちに対する恒久対策、第四ルートの解明、またメーカーに対する行政処分、責任の明確化などに対する総理並びに厚生大臣のお考えをお示しください。
医学の祖とされる古代ギリシャの医学者ヒポクラテスの誓いの中に、「私は、自分の能力と判断の限りを尽くして患者の利益になると思う養生法をとり、悪くて有害と思われる治療法は決して行わない。頼まれても死に導くような薬は与えない」とあります。すべての医療にかかわる人間はこの誓いをもう一度心に銘記すべきであり、より患者中心の医療を実践していく上でも今回の薬害の大きな犠牲を決してむだにしてはなりません。
最後に、これからいかに国民に対し信頼を回復していくかということについて、政府及び厚生省はどう反省し、総括し、これから次なる行政を進めていくためにどうしたらいいとお考えなのか、また、今回の責任の所在、責任のとり方について行政としてどう考えているかについて総理と厚生大臣にお伺いして、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/23
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024・橋本龍太郎
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 鴨下議員にお答えを申し上げます前に、血液製剤を介してエイズに感染され亡くなられました方々に対し心から御冥福をお祈りするとともに、患者及び家族の方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
血液製剤を介して伝播されるウイルスにより血友病患者の方々がエイズに罹患する危険性、エイズの重篤性についての認識が十分でなかったため、期待された有効な対策がおくれ、被害の拡大を防止し得なかったことにつき、政府は重大な責任を深く自覚し、反省する次第であります。患者、家族の方々に衷心からおわびを申し上げたいと存じます。
今回の薬害エイズの問題について、血友病患者のHIV感染につきましては、裁判所の所見でも指摘をされておりますように、当時、血液製剤を介して伝播されるウイルスにより血友病患者がエイズに罹患する危険性やエイズの重篤性についての認識が十分でありませんでしたために、期待された有効な対策がおくれ、被害の拡大を防止し得なかったものと認識しており、この点につきまして、行政としての重大な責任があったものと考えております。また、安全な医薬品を供給すべき製薬企業にも重大な責任があったものと考えております。今後、本件のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう、最善最大の努力を重ねてまいりたいと思います。
真相究明についての患者の方々の声についてお尋ねがありました。
あの切実な声というものは、私も非常に真剣に聞かせていただきました。私自身、スモンの患者の方々と和解の交渉をいたしましたとき、厳しい声を浴びせられ、真剣に聞いていただきたいと。本当に真剣に聞かせていただいたそのころを思い出しておりました。
真相解明につきましては、厚生省におきまして調査プロジェクトチームを設置し、できる限りの事実関係の調査、整理を行ってきているところであります。また、国会において参考人質疑が行われるなど真相解明に向けての努力が行われていることに敬意を表しますとともに、その取り組みに注目しているところであります。
血液凝固因子製剤の在宅自己注射については、日本血液学会からの要望があり、中央社会保険医療協議会におきましても、医療費の節減という意味からも保険導入すべきであるという御議論があったことから、これを踏まえ、昭和五十八年二月一日から保険適用されるものとなったと承知しています。
次に、帝京大症例の認定についてのお尋ねでありますが、この症例は、エイズ研究班において専門的に議論をされた結果、エイズの疑似症例と判定されて公表されたものと理解をしております。この問題につきましては、現在、国会の場におきましても参考人質疑等を通じ種々の論議がなされていると承知をいたしておりまして、この状況も注視していきたいと考えております。
血液凝固因子製剤は血友病の治療に不可欠のものでありますが、当時の知見のもとでは非加熱製剤によるエイズ感染についての知識が十分でなく、一方、クリオ製剤に戻ることについては医学的見地等から限界があり、加熱製剤については新たな副作用の懸念があったことから臨床試験が必要と判断され、非加熱製剤の使用が継続されたものと理解をいたします。この点につきましては、裁判所の所見でも指摘をされておりますように、血友病患者がエイズに罹患する危険性、エイズの重篤性についての認識が十分でなかったために、期待された有効な対策がおくれましたことにつき、再発防止の観点から検討が必要だと考えて去ります。
また、非加熱製剤の回収についてでありますが、加熱製剤承認時には、将来にわたり安定して供給できるという見通しが得られなかったことから、非加熱製剤を一斉に回収する措置が講ぜられず、自主回収にゆだねられたものと理解しております。現時点からいたしますなら、当時は非加熱製剤の危険性の認識が十分ではなく、加熱製剤の承認後も相当の期間使用された事例が生じたものと考えております。
次に、情報開示については、非加熱製剤の情報につきましては、当時、厚生省においてマスメディアを通じて提供するよう努力したものと承知をしておりますが、この点については、製薬企業や国による医療機関や医師に対する情報提供、医師から患者への情報提供がもっと積極的に行われるべきではなかったか、今後の再発防止の観点から検討が必要と考えております。
次に、薬害エイズ問題は政業官の癒着がもたらしたものというお尋ねでありますが、私はこの御指摘は当たらないものと思います。しかし、こうした御指摘をいただくこと自体が残念なことであり、こうした疑念を受けることのないよう十分注意し、国民の生命と健康を守るために今後とも努力をしてまいりた一と考えております。
次に、私自身にお尋ねがございました。
ミドリ十字から、平成六年までは私の政治団体の会員として会費をいただいておりました。昨年より寄附は受けておりません。
過去十年間の薬業界全体からの献金いかんということでありますが、薬業界全体として集計した数字がありませんことから、政治資金規正法上、保有義務のある過去三カ年の書類からできるだけ調査し、大まかな数字として御報告いたしますと、平成四年約二千百万円、平成五年三千四百万円、平成六年約三千六百万円であります。
なお、松下廉蔵氏との関係につきましては、私が厚生省の政務次官をいたしましたときに松下氏は厚生省の官房審議官でありました。そして、御家族に御不幸のありましたことから交流を深めております。そして、厚生省に勤務しておられたころからよく存じ上げており、それ以上のおつき合いではありません。
資料公開についてのお尋ねでありますが、和解後新しく資料が出ましたこと、これは作為的なものとは思いたくありませんけれども、そうした疑いを持たれたことは十分反省していかなければならないと思います。
次に、今後の恒久対策等についてのお尋ねがございました。
エイズ問題につきましては、和解の成立後におきましても、医療体制の整備等恒久対策につき、できる限りの対応を行ってまいる考えであります。
血友病以外の患者のHIV感染の問題につきましては、現在、厚生省において調査プロジェクトチームを設置し、実態の把握に努めておるところであります。
メーカーに対する行政処分、責任の問題につきましては、血友病以外の患者の感染実態の調査結果等を踏まえ、厚生省において適切に対応するものと考えております。
今回の事件を深く反省し、二度とこのような医薬品による健康被害を起こすことのないよう、人知の及ぶ限りあらゆる対策を講ずることが今一番重要だと考えております。このため、厚生省において、広く有識者の御意見をも伺いながら、できるだけ早期に再発防止の具体策を取りまとめるための検討を全力を挙げて行っておられるところであり、国会における御意見も踏まえながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
また、血友病患者の方々にこれだけの悲惨な被害を招いたことを、政府としても責任を深く自覚しております。行政の責任について、どのようなけじめをつけるべきかは、現在、厚生省の方で、省内の調査、国会における参考人質疑等の調査の状況を踏まえ検討していると承知をいたしております。
残余の質問につきましては、関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
〔国務大臣菅直人君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/24
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025・菅直人
○国務大臣(菅直人君) 鴨下議員の御質問にお答えを申し上げます。
エイズ研究班の設置についてのお尋ねですが、血液を介しての感染が疑われていたこと、また血液研究事業を所管していたことから、薬務局生物製剤課がエイズ研究班を組織したものであります。
エイズ研究班の目的は、欧米でエイズが流行し、発生の報告がなされており、我が国においても血液製剤を使用している血友病患者にこの疾患が存在するかどうか調査し、その対策を早急に検討することがこのエイズ研究班の目的であった、そのように理解いたしております。
エイズ研究班の研究結果については、エイズ究班において責任を持つものであります。その結果を行政にどう反映させるかは、厚生省が責任を持っものであります。しかし、このエイズ研究班の意見が、実質的には非常に大きな意味を持つものであったと考えております。また、現時点から見ますと、研究班という専門家のみの検討結果に頼り過ぎたのではないか、政策判断に直結する段階で、検討の場を法律的な責任の明確でない研究班から責任と権限の明確な組織にゆだねるべきではなかったか、こういつた反省がありまして、今後の再発防止の観点から検討が必要である、このように考えております。
いわゆる帝京大症例については、エイズ研究班において、ステロイド剤投与による細胞性免疫の低下が否定できないことから、エイズの疑似症例としたものと考えられます。また、昭和五十九年九月に設置されたAIDS調査検討委員会においては、順天堂大学から提出された症例について、昭和六十年三月二十二日にエイズである疑いが極めて濃いと判定されました。一方、帝京大症例については、サーベイランス調査票や関係資料の提出がおくれたことから認定がおくれたという、そういう事態であったと承知をいたしております。したがって、帝京大症例の認定がおくれたことは事実でありますけれども、これが意図的であったかどうか、これについては断定することは現時点でできない、このように考えております。
エイズに関する認識についてのお尋ねでありますが、エイズの原因ウイルスがほぼ固定されたのは昭和五十九年九月の国際ウイルス学会であり、当時、原因ウイルスとされていた二つのウイルスが同一であることが示され、原因ウイルスが回定されたのは昭和五十九年十一月から十二月にかけてであったと承知をいたしております。昭和五十八年当時、エイズは既に生命に対する予後が著しく悪い病気であると認識されており、その後、エイズの原因ウイルスが固定されたことにより、血液製剤によるエイズの伝播も認識し得たと考えておりますが、抗体陽性の意味や発症率については、なお定説がない状況であったと考えております。
エイズウイルスの固定時期については、先ほども申し上げましたが、昭和五十九年十一月から十二月にかけてである、このように考えております。
非加熱製剤の回収についてのお尋ねでありますが、エイズウイルス固定時においては、加熱製剤はまだ承認されておりませんでした。非加熱製剤は血友病患者にその時点では不可欠であったものであることから、当時の判断としては回収の措置をとらなかった、そのように理解をいたしております。
また、加熱製剤承認時においては、将来にわたり安定して供給できるとの見通しが十分得られなかったために、非加熱製剤を一斉に回収する措置を講ずることはせず自主回収にゆだねた、このように調査などで当時の担当者が答えているわけであります。現時点から見ますと、当時は、非加熱製剤の危険性の認識が十分でなく、加熱製剤の承認後も、そうした結果、相当期間非加熱製剤が使用された事例が生じたもの、そのように考えております。
家庭療法導入後の非加熱製剤使用量の推移についてのお尋ねですが、非加熱第Ⅲ因子製剤の製造量で見ると、導入前の一九八二年には九千百五十九万単位、導入された一九八三年には一億四百三十四万単位、翌一九八四年には九千七百七十万単位であったという結果が出ております。
非加熱製剤メーカーに対する厚生省職員の再就職についてのお尋ねでございますが、非加熱血液製剤メーカーに対して聴取した結果等によりまして現在厚生省が把握しているところによれば、過去二十年間、昭和五十一年から平成七年の間に在職していた厚生省退職者の数は八名であった、このように把握をいたしております。
資料公開についてのお尋ねですが、一月二十六日に発見されたファイルのうち、エイズ研究班に関連が薄いとして報告されなかったファイルの中に、当時の行政内部の資料として真相究明のための資料価値があるものがあることが判明したものであります。エイズ研究班と関連がないということで、真相究明に役立てるべき資料の提出がそうした判断からおくれたことは適切な対応ではなかった、このように思っておりまして、こうした資料の公開がおくれたことは深く反省すべきもの、そのように考えております。
今後の恒久対策等についてのお尋ねでありますが、和解の成立後においても、エイズ治療・研究推進体制の整備、エイズ治療薬の早期使用、差額ベッドの解消、二次、三次感染者の医療費などの恒久対策についてはできる限りの対応を行ってまいる考えであります。
厚生省としては、非加熱の血液凝固因子製剤による非血友病HIV感染の問題、いわゆる第四ルートの問題の重要性を考慮し、四月二日に省内に調査プロジェクトチームを設置したところであります。血友病以外の患者のHIV感染の実態の把握の徹底に現在努めているところであります。
メーカーに対する行政処分や責任の問題などについては、先ほど総理の方からもお述べいただきましたが、現在、血友病以外の患者の感染実態の調査など一連の調査を実施しているところであり、これらの調査が一段落した段階で、その調査結果を踏まえて厚生省としての対応を検討してまいりたい、このように考えております。
信頼回復のための行政のあり方と責任についてのお尋ねであります。
患者の方々が安心して治療を受けることができるよう、エイズ治療・研究推進体制の整備などできる限りの対応を行いたい、これは既に述べたとおりであります。
また、今回の経験を重い教訓として、その再発防止に最大限の努力を重ねる必要があると考えております。このため、厚生科学会議を開催し外部の有識者の御意見を賜ることとしているとともに、省内にプロジェクトチームを設け鋭意検討を進めているところであります。
また、血友病患者の方々にこれだけの悲惨な被害を招いたことについて、厚生省としての責任を深く自覚いたしております。厚生省としては、今まで省内で調べた調査の結果を十分に検討するとともに、国会における参考人質疑等の調査の状況も踏まえながら、その責任について適切に判断し、けじめをつけていく必要がある、このように考えているところであります。
以上、お答えとさせていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/25
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026・土井たか子
○議長(土井たか子君) これにて質疑は終了いたしました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/26
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027・土井たか子
○議長(土井たか子君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時二十九分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113605254X02519960517/27
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