1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年六月十三日(木曜日)
午前十時一分開会
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委員の異動
六月十二日
辞任 補欠選任
岡部 三郎君 岩永 浩美君
六月十三日
辞任 補欠選任
松浦 孝治君 岡 利定君
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出席者は左のとおり。
委員長 寺崎 昭久君
理 事
鹿熊 安正君
河本 三郎君
鴻池 祥肇君
横尾 和伸君
委 員
岩永 浩美君
岡 利定君
亀谷 博昭君
鈴木 政二君
二木 秀夫君
吉川 芳男君
高橋 令則君
戸田 邦司君
平井 卓志君
瀬谷 英行君
渕上 貞雄君
緒方 靖夫君
末広真樹子君
栗原 君子君
国務大臣
運 輸 大 臣 亀井 善之君
政府委員
運輸省運輸政策
局長 土坂 泰敏君
運輸省海上交通
局長 岩田 貞男君
運輸省海上技術
安全局長 小川 健兒君
運輸省海上技術
安全局船員部長 金丸 純一君
運輸省港湾局長 栢原 英郎君
運輸省航空局長 黒野 匡彦君
海上保安庁次長 加藤 甫君
事務局側
常任委員会専門
員 志村 昌俊君
説明員
防衛庁防衛局運
輸課長 金澤 博範君
科学技術庁原子
力安全局核燃料
規制課核燃料物
質輸送対策室長 川井 啓裕君
外務省総合外交
政策局科学原子
力課長 高原 寿一君
外務省アジア局
北東アジア課長 別所 浩郎君
外務省経済局国
際経済第二課長 細谷 龍平君
大蔵省主計局主
計官 南木 通君
大蔵省主税局税
制第三課長 伏見 泰治君
文部省高等教育
局専門教育課長 笠井 高芳君
農林水産大臣官
房企画室長 田原 文夫君
水産庁漁政部協
同組合課長 三野 耕治君
建設省河川局河
川環境課長 白波瀬正道君
自治省財政局交
付税課長 荒木 慶司君
自治省税務局固
定資産税課長 片山 善博君
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本日の会議に付した案件
○海上運送法の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
○運輸事情等に関する調査
(福岡空港におけるガルーダ航空機事故に関す
る件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/0
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001・寺崎昭久
○委員長(寺崎昭久君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨十二日、岡部三郎君が委員を辞任され、その補欠として岩永浩美君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/1
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002・寺崎昭久
○委員長(寺崎昭久君) 海上運送法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/2
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003・亀谷博昭
○亀谷博昭君 自由民主党の亀谷博昭でございます。本法律案の質疑に入ります前に、先日行われました日米航空交渉につきましてちょっとお伺いをしたいと思います。
去る三月に、貨物の分野では条約締結以来実質四十三年ぶりという平等な条約交渉が成立をしたということであったわけでありますが、その後、旅客分野について亀井運輸大臣のお申し入れがあり、今月初めに非公式の旅客分野の日米航空交渉が開かれたというふうに伺っております。
そこで、今回の非公式協議の状況と、アメリカのペーニャ運輸長官からの返書では非公式協議でということであったようでありますが、今後の交渉の正式交渉を含めた見通し等をまずお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/3
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004・黒野匡彦
○政府委員(黒野匡彦君) 今、先生御指摘のとおり、六月三日、四日、東京で行われました日米航空非公式意見交換、この場で二つの合意をいたしました。一つは、当面の懸案事項ということでユナイテッド航空の東京−ロス線、それから日本の仙台−ホノルル線、このそれぞれにつきます便数を緩和したわけでございますが、このタイムリミットが六月五日まででございました。それを七月の二十日まで延ばすということが合意の第一点でございます。それから、第二点は大変重要な点でございまして、六月二十七、二十八日にワシントンにおきまして旅客問題について公式の協議を開始する、この二点がまとまったわけでございます。
率直に申しまして、アメリカの方はなかなかこの交渉の場に着くことをちゅうちょしたわけでございますが、私ども、大臣から親書を出すとかいろんな形でやっとアメリカをテーブルに着かせることができた、かように思っておるところでございます。
それで、この正式協議の場にどういう方針で臨むかということもあわせて御説明申し上げますと、基本的にアメリカは、今の航空協定の中で既得権としての以遠権、これが保障されているという立場でございます。したがって、旅客交渉につきましての本格的な協議に入る前にこの以遠権の問題を十分保障しろと、これが彼らの基本的な立場であります。それに対しまして私どもは、以遠権の行使について現に争いがある、これは全体の協議の中で解決を図るべきではないか、こういうことで、あくまでも我々は権益の見直し、早期に日米間の不平等を是正する、こういう方針で臨んでまいりたいと思っております。
ただ、アメリカ側と日本側との対立の溝は大変深うございます。貨物につきましてはおかげさまで関係の方々の御支援を得てはぼ満足のいく形でまとまったわけでございますが、旅客についてはかなり息長く頑張らなければいけないと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/4
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005・亀谷博昭
○亀谷博昭君 今、航空局長から六月末には正式の協議に入るというお話を伺いました。ただ、お話の中での以遠権問題、これは長年にわたって日米間の不平等是正という意味で日本側から提起をしてきた課題でありますので、これからの交渉に当たってはぜひここのところをしっかりと踏まえて不平等是正に向けてお取り組みをいただきたいと思いますが、大臣から一言、今後の交渉に向けてのお考えを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/5
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006・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 日米航空問題につきましては、先生方に大変御心配をいただき、感謝を申し上げるところでございます。おかげさまで貨物交渉につきましては先般合意を見たわけでありまして、その後の旅客の問題等につきましては、正式協議の申し入れをいたしたわけであります。
先般合意いたしました貨物分野以上に不均衡が存在をしておるわけでありまして、この状況をできるだけ早く解消することが日米間にとって大変大切なことであります。したがって、今後の交渉は大変厳しいものがあろうかと思います。また、粘り強くいろいろやらなければならないところがあろうかと思いますが、そのような姿勢で毅然とした対応、そういう中で旅客分野の日米間の機会均等、このことを図るために総力を挙げて努力をしてまいりたい、このように考えております。
ぜひ今後とも先生方の御支援をお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/6
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007・亀谷博昭
○亀谷博昭君 ぜひしっかりしたお取り組みをいただきますように御期待とお願いを申し上げておきたいと思います。
次に、今般の海上運送法の改正案につきまして若干御質問を申し上げます。
今回の改正は、現行の譲渡または貸し渡しをしようとするときは運輸大臣の許可を受けるという条文を届け出に変えるということであります。現行法の許可はこれまで何日くらいで出されていたのか、ちょっと初めにお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/7
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008・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) ただいま先生から御指摘もございましたように、日本船舶を海外に譲渡等を行うときには、海上運送法第四十四条の二の規定により許可が必要なわけでございます。
それで、この許可に何日ぐらい要するかということでございますが、最近の事例を御指摘を受けまして急速調べたわけでございます。かなりというか多少ばらつきがございまして、五日ぐらいのもありますが、十五日あるいは場合によっては若干、例えば連休などが入るものですから二十日ぐらいかかったものもありますが、平均的に見ると十日から十五日以内で許可しているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/8
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009・亀谷博昭
○亀谷博昭君 現行法の許可が五日から長くて二十日ぐらいというようなお話でございましたので、今回の改正案の二十日前までに届け出をという日数はそれなりに整合性があるのだと思います。ただ、本会議で横尾議員からの御質問もありましたが、一般的に届け出よりも許可の方が制度としては厳しいと我々も考えるわけであります。本会議での大臣の御答弁もありましたが、もう一つちょっとはっきりなぜ許可から届け出にしたのか理解できない部分がありますので、改めて届け出に変更する理由をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/9
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010・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 多少法律事項になりますが、ただいま申し上げました海上運送法の四十四条の二で、今ありましたような「許可をうけなければならない。」というふうになっているわけでございます。ただ、第二項を見ますと、これは実は昭和二十四年成立の法律でございまして、いろいろなアメリカの制度や何かを見ながらつくったと思われますが、「運輸大臣は、」「許可の申請が、その許可によって船腹の供給が需要に対し著しく不足にならず、且つ、海運の振興に著しく支障を及ぼすことにならない限り、これを許可しなければならない。」というふうになっています。
船腹の供給でございますが、確かに終戦直後あるいは二十年代にかけて日本に来る船も少ない場合があったのかと思います。しかしながら現状では、内外船、東南アジアの船も、東南アジアといいますか発展途上国の船も含めて多いわけでございますが、日本に物資を運ぶために来る船が通常では来ないというふうには考えられないということでございます。
それからもう一つは、「海運の振興に著しく」ということでございますが、これは戦前からもそうですが、戦後しばらくは先進海運国の海運カルテル、いわゆる海運同盟によって運賃その他の配船が規制され、かつそれで定期的な配船が行われていたわけですが、近年、御案内のように発展途上国の海運は大変振興してまいりました。その結果、そういう海運カルテルによって海運の秩序安定というか定期配船をしようというのが崩れまして、今もそういうカルテルはありますが、そういうカルテルじゃない盟外船とカルテル船が共同して輸送に携わっているという状態でございます。
したがいまして、この法律をつくった当時は、日本船舶が海外に譲り渡されることによって海運カルテルというか一応一つの秩序が崩れるということを防止するためにこの規定が運用されていたわけでございまして、現状ではそういうことがないわけでございます。したがいまして、許可申請があって様式が整っていればすべて許可をしている、あるいはしなければならないというのが現状でございます。
そのようなことを考えますときに、もう一つ、私どもとしては、一見届け出制になるんですが、どうしても日本の海上安定輸送にとって必要なものについては譲渡の中止を求めるような勧告制度を設けるという条件を置きまして届け出制にし、実効あらしめようとしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/10
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011・亀谷博昭
○亀谷博昭君 これまでは不許可の例がないというようなことからの届け出制への変更ということでありますけれども、もう一つ今局長のお話にありました勧告ですね、これも本会議での答弁がありましたけれども、やはり疑問を抱く点は、一つは、勧告ですから強制力というのはないのかもしれませんけれども、どの程度までこの勧告というものの効果があるのか、そして従わない場合はどうなるのか、簡単で結構ですからちょっとお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/11
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012・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 今お尋ねがございました勧告でございますが、日本船舶の譲渡等を行う者に対して、我が国の安定的な国際海上輸送の確保等を図る観点から非常にまずいというような場合は、当該譲渡等について再考を求める手段でございまして、しかしながら、譲渡するかどうかは最終的にはその船主さんの判断になる、そういう制度でございます。
勧告であり、強制するものではないんですが、したがって勧告に従わない場合には罰則等の措置はありませんが、御案内のように海運企業というものは取引を通じて信用やそれから社会的責任が強く求められるものでございます。このようなことを考えれば、勧告が公表されるとかされないとかにかかわらず、国際船舶の譲渡等を行う者に対してそういうものがなされた場合は勧告に従うような認識を促す効果があると考えておりまして、そこら辺は勧告があった場合はかなりの効果があると私どもは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/12
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013・亀谷博昭
○亀谷博昭君 企業側との信頼関係の上に立っての法律ということが言えるんだろうと思いますが、そういう意味ではこの改正案を出されるまでに船主側あるいは海員組合等との協議といいますか話し合いというものもなされてきたのではないかというふうに思いますが、これからいわゆる海運業界関係者の協力をどのように求めていこうとしておられるのか。ここの協力がないとこの法律は実効が上がらないということだと思いますから、これまでの話し合いの経過あるいはこれからの取り組みというものについてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/13
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014・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 海上安定輸送のための国際船舶の実効ある運用でございますが、もちろん、これは海運会社の御協力あるいはそれに携わっている海員の方々の御協力が必要なわけでございます。そういった意味で私どもは、以前にも増してこの制度を、お認めいただければ緊密な連絡のもとに実効ある制度としていきたいと思っております。
なお、今そういう観点から、海運造船合理化審議会あるいはそのもとにおける小委員会、あるいはもっと小ぢんまりとしているんですがワーキンググループを設けまして、今後のこの制度の円滑な運用とか拡充とかについてお話し合いをしているところでございます。そういったことを通じまして、さらなる協調のもとに国際船舶に関する制度を運用していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/14
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015・亀谷博昭
○亀谷博昭君 今回の改正は、「質の高い日本船舶の海外流出を防止すべく、有効な歯どめのための方策を講じる、こういうことでありますが、このたびの改正によって我が国の外航船舶の状況がどう変化していくと考えておられるのか、我が国の外航船舶の現状認識、そしてまた今後の展望を含めて大臣の所感を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/15
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016・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) もう御承知のとおり、我が国の外航海運が大幅な円高の進行、またそういうようなことに伴い海外への移籍等が進んでおるわけでありまして、日本籍船の減少あるいはまたフラッギングアウトが急激に進行いたしておるようなわけであります。
このような中で、島国であります我が国にとりましては、いわゆる貿易立国である我が国、貿易物資の安定輸送、こういう面からも安定輸送ができることは重要な意義を持つ日本籍船及び日本人船員を確保する、このことが必要なことであるわけであります。そのような観点から今回、国際船舶に関する制度を設けて、その総合的な支援策を講じたようなわけでありまして、いろいろ関係の皆さん方の御意見をちょうだいし、進めてまいったところでもございます。
そういう中で、平成八年度の税制改正におきまして登録免許税の税制上の特例措置が認められ、国際船舶についてはこれを具現化し、さらに、これらの船舶の海外流出に有効な歯どめを講ずる、このような視点に立ちまして今般海上運送法の一部改正をお願いしておるところでもございます。このような支援措置と、今先生からも御指摘がございましたが、事業者の皆さん方との相互の努力、そういうことによりまして国際競争力を保つことにより日本籍船の海外流出の防止に効果がある、このように考えておるわけであります。
しかし、何分にも今回のこのスタートは第一歩であるわけでありまして、ぜひそのつもりで対応し、出発点として制度の円滑化とあわせて関係者のいろいろのお知恵を拝借し、また海造審等におきましてもいろいろ御検討をいただきまして、その効果というものを十分発揮できるような体制というものにさらに努力をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/16
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017・亀谷博昭
○亀谷博昭君 ありがとうございました。
ただいまの大臣のお話にありましたように、運輸省としては今回の法律改正によりまして国際船舶制度の推進によりはずみをつけたいということだと思いますが、国際船舶制度にはまだまだお話にございました税制を含めて未解決の課題があります。
そこで運輸省では、海運造船合理化審議会、海造審が、この制度の拡充等の課題に対処するために、三月からですか部会を開いてこれからいろいろな審議をなさるというふうに伺っているわけですが、この海造審ではどのような事項を中心に話し合いがなされる予定なのか、またここで何か問題について結論を出されるようなお考えがあるのかどうか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/17
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018・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 今、先生からお話がございましたとおりでございます。三月二十八日に海運造船合理化審議会の海運対策部会を開きまして、引き続きまして小委員会も開き、さらに、実は海運対策部会と申しましても四十三人のメンバーの方々がおられますので、少し議論を収れんさせるためには小委員会もあるんですが、ワーキンググループということで、実はちょうだいいたしました予算を使いまして、日本船員福利雇用促進センターというところがございましてSECOJと言っていますが、そこの中に国際船舶制度推進調査委員会というものを設けました。
海運造船合理化審議会の先生方というのは大変ランクが高い方、あるいは組合の方でも大変ランクが高い方になるものですから、もう少し実務というかひざ詰め的な議論をするためにそういう調査委員会をいただいた予算を使いまして設けまして、四月九日あるいは五月二十三日、三回目は六月十七日を予定していますが、そこで突き詰めた議論をしようとしております。
何を議論するのかというお尋ねでございますが、実は海運造船合理化審議会の海運対策部会も十年ぶりに開いたわけで、その間にワーキンググループはありましたけれども、その間に世の中が大変変わっている。先ほども申し上げましたように、海運に関しては、先進海運国だけが国際海運をリードしていたという時代は遠く去りまして、中国の船社さんですとかあるいは台湾の船社さんですとか、そういった東南アジアの船社さんが大変な躍進をしております。もちろん韓国の船社さんもそうです。そういった国際海運の場における環境の変化をつぶさに分析し、そこらの海運と我が国の海運がどう違うのか、あるいは先進国海運の間でも我が国の海運とどう違うのかとかいうことまで分析しまして議論を深めていただきたいということでございます。
一言で言えば、国際船舶制度のもとにおきます、それだけの議論もやりますが、少しアングルを引きまして、高い角度あるいは遠い角度から全体的に国際海運を見詰め直そうということで、その中で我が国の海運企業の競争力をどうしたら強化できるかということを議論する、そういうことを踏まえながら国際船舶制度の円滑な実施とかさらなる拡充を求めていきたい、こういうような理想といいますか願いのもとに今審議会を開いているわけでございます。
いつまでに結論ということでございますが、約一年間ぐらいかけて議論をするということでございます。しかしながら、途中の段階でも意見がまとまるようなことがあればそれは中間段階の報告としてどしどし出していただきたい、こういうふうに考えておりまして、今そういった勉強をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/18
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019・亀谷博昭
○亀谷博昭君 かなり高い見地から全体的な国際船舶制度についての見直しあるいは今後のあり方を検討するというお話がございましたが、具体的な問題としてこの審議会の中で取り上げられる重要なことの一つは、日本人船員の問題ではなかろうかというふうに思っております。
外航船舶の船員数は、よく言われますように、昭和四十四年の四万八千人をピークに減少を続けておりまして、現在では多分四千人も割り込んでいるのではないか、こう言われております。さらに高齢化の傾向も指摘をされているところであります。考えてみれば、昭和四十四、五年ごろ、船員不足ということで船会社が全国の水産高校等を走り回って船員を確保したという時代からわずか三十年足らずでこのような状況を迎えている、まさに隔世の感があるわけであります。
しかし、この日本人船員の問題につきましては、いわゆる船主側と海員組合側との考え方も大分違いがあるようでありまして、海員組合側では船長、機関長の二人配乗の議論のみが先行しているということへの懸念があると聞いておりますし、船主側ではまた配乗要件の緩和等を主張しているというようなことも伺っているわけであります。
そこで、それと同時に日本人船員は必ずしも必要ではないのではないかというような議論もあるとも聞いておりますが、改めて日本人船員が必要であるというお考えについて、なぜ必要なのかということを第一点として伺いたいと思います。それからもう一つは、これからこの日本人船員問題、検討が深められていくと思いますが、運輸省としてはどのような方向を目指しておられるのか、望ましいと考えておられるのか、あわせてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/19
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020・金丸純一
○政府委員(金丸純一君) お答え申し上げます。
お尋ねの日本人船員の意義と必要性でございますけれども、日本人船員の問題を語るときにはいつも日本籍船とセットで、日本籍船及び日本人船員の確保とか、こういうことで議論されてきたところでございます。その必要性について申し上げれば、その意味では日本船舶の必要性と共通するところがあるわけでございますけれども、貿易物資の安定輸送、それから海上輸送の安定とか環境保全の確保、これは非常に優秀な日本人船員の技能に支えられているという評価が高いわけでございます。それから、船舶の運航とか貨物の管理にかかわるノウハウの維持及び発展、これは海運国家日本としての必要なものだろうというふうに思っております。
そのほかにも、海事関係国際基準の設定に対しまして国際的に日本人がどうやって発言権を確保していくか、こういった問題もございます。あるいは、これは海運界だけにとどまらず、造船とか保険とか港湾とか海事産業全般に与える影響も非常に大きい、こういったことで、そういった産業を支えるためのノウハウを蓄積していかなければいかぬ、こういったところから極めて私ども重要なものだという認識をしているわけでございます。
御指摘のとおり、日本人船員は非常に急激に減少しております。こういった意味で日本人船員の減少に歯どめをかける、必要な日本人船員を確保していくといったことは、私ども非常に重要な課題であるというふうに受けとめております。先ほど海上交通局長からの御答弁もございましたけれども、今回の国際船舶に関する制度の発足は第一歩である、さらなる拡充を目指しまして海運造船合理化審議会等広く関係者にお知恵をかりながら勉強しておる最中でございまして、その中の一つの重要な柱としては、船員の確保の問題についても今後御議論いただくというふうに私ども考えているわけでございます。
お尋ねのありましたように、例えば二人配乗の問題だけが先に行くんではないかというようなお話がございましたけれども、これも従来の考え方では船員に対する助成策とセットで語られておったということでございまして、二名配乗といいますか、こういった合理化、コスト削減の話というものもその確保策の中であわせて今御議論いただく話だというぐあいに私ども考えるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/20
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021・亀谷博昭
○亀谷博昭君 私も、日本人船員はぜひ今お話しのような意味で必要なことであると思いますので、しっかりした方向が出されますように御期待を申し上げたいと思います。
もう一つは、いわゆる日本籍船の問題であります。これも船員数と同じように激減をいたしておりまして、昭和六十年の千二十八隻、それが十年後には二百五十隻を下回って、今は二百隻近くと、こう言われております。もっとも、ある数字によりますと、最近五年間の便宜地籍船建造隻数と日本籍船建造隻数の比率は約九対一というデータもありまして、便宜地籍船を実質的に所有、支配いたします船主側、船主の国に加算をいたしますと、日本商船隊は総トン数でまだ世界第三位だ、こういうようなことも言われております。
しかし、今我が国が目指しておりますのは、まさにこの日本籍船であります。一隻でも多く確保したいということでありますけれども、これまでも指摘がありましたように、税制の問題、船員の問題等々たくさんの課題がありまして、国策として、国として一隻でも多くという思いと、これは企業にお願いをしなければならない部分と、両面あるわけであります。ある数字によりますと、二百五十隻の日本籍船を持つためには六、七十億ぐらい必要ではないかというような数字もあります。五百隻の日本籍船を持つためには二、三百億というようなことも言われているようであります。
そこで、日本籍船を今後どの程度保有することが我が国のために望ましいとお考えになっているのかお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/21
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022・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) お尋ねにお答えする前に、まことに申しわけございません、一つだけ訂正をさせていただきます。先ほど、日本船員福利雇用促進センターに設置された国際船舶制度推進調査委員会の開催の第二回目を五月二十三日と申し上げましたけれども、五月二十二日の誤りでございました。大変失礼いたしました。
それでは、今のお尋ねにつきましてお答えを申し上げます。
実は、確保すべき日本籍船の規模をどのようにするかということでございますが、大変多種多様な観点があるため一義的にこうだと言うことは大変難しゅうございます。さらに、外国におきましても、米国はいろいろな補助がありますので予算で決まりますが、その他の国におきましても一義的に何隻だというように目標を掲げている国はないと承知しております。したがって、その具体的数値目標を実現するということが今回の改正の主目的ではなく、日本籍船の急激な減少に歯どめをかける制度と認識しておるところでございます。
しかしながら、あえて試算みたいなものを御披露申し上げれば、実は十五年ぐらい前、五十六年でございますが、国会でのお尋ねに対して政府側が、最低限の国民生活水準を維持する上でということで、これもまた最低限というのがいろいろ幅があるんですが、三百五十隻ないし四百隻の船が必要というお答えをしている例がございます。
そのときどういうベースでやったかというのを全部つまびらかにしているわけじゃないんですが、それをなぞった形で私どもがお願いしたわけですが、民間の調査機関が行った一つの試算によれば、これより少し少ない三百隻内外が最低限の国民生活水準を維持する上で必要だと試算をされています。少し隻数が減ってございますが、これは実は船が急に大きくなっておりまして、先生先ほど千二十八隻から二百隻ぐらいということで、隻数ではこの十年間で二〇%ぐらいまで減ってしまっているんですが、実は総トン数とかデッドウエートでやると四割ぐらいでございます。それだけ船が大きくなってございまして、それが大きな理由であると思っております。
ただ、その場合の、政府側の答えもそうなんですが、それがすべて純然たる日本籍船である必要があるのかどうか、ここはまたいろいろな御意見がございまして判断が分かれるところでございます。私どもとしては、できるだけ多くの日本籍船があることが望ましいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/22
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023・亀谷博昭
○亀谷博昭君 今お話にもありましたように、仕組み船でも実質的な輸送には余り問題がないという意見もあるようでありますけれども、やはり日本籍船のきちっとした、今三百隻ぐらいという数字もありましたが、確保というものが当面の我が国の課題ということが言えようかと思いますので、しっかりとお取り組みをいただきたいと思うわけであります。
そこで、日本籍船の確保に向けてこれから税制等を含めてどのように取り組んでいかれるのか。特に、そろそろ平成九年度の概算要求の時期にも差しかかってまいりますので、国際船舶制度の推進を図る立場から、この平成九年度の概算要求等を含めてどのように取り組んでいくお考えなのかお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/23
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024・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 平成九年度の概算要求に向けまして、今回の国際船舶制度の推進、こういう視点から今いろいろ検討しております。先ほど来お話し申し上げますとおり、海運造船合理化審議会の場において御検討いただいております。このことが一つであります。
あわせて、税制の問題につきましては、昨年の税制要求等につきましてもいわゆる既存税制体系との整合性の問題等々いろいろございまして思うようなことができなかったわけであります。それらの面、いろいろ税制の関係者の御理解を得るような努力をする、このような立場で、具体的にどうということは現在大変申しわけございませんけれども申し上げるところまで至っていないような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/24
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025・亀谷博昭
○亀谷博昭君 昨年の予算前のこの委員会でも、大蔵省、自治省からもおいでをいただいて私もこの問題をお話し申し上げました。これはまさに、我が日本、オールジャパン的な課題でありますから、他の制度との整合性ということも当然自治省、大蔵省としてはあろうかと思いますけれども、運輸省としてはやはり運輸省の立場で強く御主張いただきたいと思いますし、私たちもしっかりとこれはサポートしていかなければならない課題だ、こう認識しているところであります。
次に、海上運送法の関連で離島航路についてお尋ねをいたします。
まず、離島航路の補助制度の問題でありますけれども、平成五年まではその航路の補助対象欠損額を国が認定した上で七五%を限度に補助して、残りの二五%を地方公共団体が補助するという仕組みであったと思いますが、この仕組みですと国の予算の関係で七五%まで補助できないケースが結構あったようであります。例えば、国がその欠損金の六〇%しか補助しないとすれば都道府県はその三分の一ですから二〇%、合計八〇%しか補助されない、そうすると欠損金の二〇%は累積赤字として残っていくというような仕組みであったと思うんです。
平成六年度からは地方公共団体の意向というものが大きく取り入れられるような方向に改正をするということで大分この仕組みが変わりました。時間がありませんから詳細は割愛をいたしますけれども、要するに、実質的にどの航路も単年度で赤字欠損は生じないというふうに制度がつくられていると説明がなされているわけですけれども、実際にはたくさんの課題がこの離島航路にはございます。
そこで、まず運輸省としてはこの離島航路事業者の経営の実態、この平成六年度から取り入れられました補助制度を含めてどのように今認識をしておられるのか、基本的な考えをまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/25
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026・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) ただいまお話がございましたように、制度を変えさせていただいたということでございます。総じて申し上げれば、離島航路事業は決して平たんな道ではないわけでございまして、と申すのも人口が減る傾向にあるわけでございまして、それに運賃もたくさん上げたらますます乗れなくなるわけで、非常に苦しい状況にあるんだろうと思います。
新制度におきましては、国は、収入について効率的な航路の標準賃率に輸送人キロを乗じて標準収入を算出しまして、費用については費用項目ごとに標準単価に使用料を乗じたものを合計して標準費用を算出する、この費用と収入の差を補助させていただくということになっております。実は残余が出るわけでございまして、先生の今おっしゃったとおりでございます。
それにつきましては、地方公共団体の方で主体的な事業として補助をしていただくということでございまして、その財源としては地方交付税が交付されていると承知しております。大変自治省さんにもお世話になっているわけでございますが、これが交付税として満額必要なものがつけられるように私どもとしてお願いをしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/26
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027・亀谷博昭
○亀谷博昭君 仕組みとしては単年度欠損は全額補てんされて赤字は生じない、こういうような御説明があるわけです。自治省からもおいでいただいていますか。普通交付税の算定の基準というのがいろいろありますね。ですから、国で補助した後の欠損分については都道府県が普通交付税の中から補てんをする。ただ、いわゆる離島を抱えている市町村等々に地方交付税の算定基準、積算基礎等の問題で必ずしも欠損分が全部補てんされるくらいの交付税が支給されないという場合もあるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/27
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028・荒木慶司
○説明員(荒木慶司君) 離島航路に対します地方財政措置についてお答えを申し上げます。
普通交付税は、地方団体の標準的な財政需要であります基準財政需要額と標準的な税収入の一定割合である基準財政収入額を基礎としまして、その不足する財源について交付するものでございます。離島航路に対します財政措置につきましては、都道府県が行う離島航路を維持するための助成等に要する経費を、普通交付税において各都道府県ごとの離島市町村人口を基礎に措置をしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/28
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029・亀谷博昭
○亀谷博昭君 時間がちょっと足りませんからこれ以上この質疑はいたしませんが、例えば算定基準に学校の先生の数というのがあります。離島に学校がない場合は先生いないわけでありまして、やっぱりそういう算定基準にも全額欠損金を補てんするという意味からはまだ課題が残っているかなと思いますので、この辺は今後の検討課題としてお取り組みをいただければと思っております。自治省の方、結構です。ありがとうございました。
この制度から考えますと、黒字航路は別にしまして、赤字航路は一応単年度で欠損金が補てんされたと考えても、事業者にとってはそれ以上の余裕というのは全く出てこない仕組みになっております。例えば株主への配当とかあるいは役員の退職金なんというのは、この経費算定の中に含まれていないわけですね。ですから、非常に余裕のない状況で離島航路事業が行われているということであります。
そこで、現在の補助対象外の費目を経費に算入する、あるいは離島航路事業以外の収入については航路損益計算から除外するなどの措置をとることができないのかどうか。制度そのものを変えなければならないのか、あるいはまた制度の中で何かそういった運用が考えられるのか、現在の制度を踏まえた上で結構でございますからお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/29
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030・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 実は大変つらいところでございまして、事業をやっていくからにはそれはそれなりの資本金がありまして、資本金というのには見返りがあるわけで、今お尋ねがありましたように、やはりある程度の配当金は見るべきだという御要望も大変ございます。それから役員報酬、これは管理費に含まれる役員報酬のほかにいわゆる賞与であるボーナスもあるんですが、これも配当が出れば少し役員さんにも賞与ということも考えられます。
ただ一方で、これは国民の方々からの税金でございますので、税金でそこまでやるかどうかというところで財政当局と大変つらい折衝になるということで、税金でやるからにはもらう方もぎりぎりの費用を見積もってこいということになりまして、現在のようになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/30
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031・亀谷博昭
○亀谷博昭君 この問題、後でもう一回お話をいたしますけれども、やはり離島航路の存続、一人一人の幸せを願うという国の政策の基本からいえば、ぜひもっとしっかりした、離島航路がきちっとした形で運営されるような取り組みをお願いいたしたいと思うわけであります。
そこでもう一つ。平成五年までの制度ですと、先ほど申し上げましたように、単年度欠損が出てそれが累積されてくるという状況が生まれてきていたわけであります。また、六年度以降でも欠損を生じている企業もあります。そこで、これらの累積欠損についてどんな対応がなされているのかお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/31
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032・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 平成六年度の制度改正によりましてその後の各年度の事業者の欠損額を補てんするということで、その所要額は確保されていると私どもは思っておりまして、その後につきましては累積欠損は生じてないという考えでございます。
ただ、今お尋ねがございました、その前の累積欠損をどう消せばいいのか、こういうことでございます。これも先ほど申し上げたような大変難しい課題でございまして、税金で欠損を補てんするということとの兼ね合いでございます。現状では、過去の累積欠損を消すために補助金を計上するということは非常に難しいということになりまして、それがそのまま残った形になっているということでございます。私どもとしましては、いろいろな兼業とか、そういうところですぐれた産業があるのかどうかという問題がありますが、いろいろな催し物に関連した収入とか、ぜひ何かそういう形で地元の御協力のもとに企業の努力によってなくなる方に努力していただければという期待をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/32
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033・亀谷博昭
○亀谷博昭君 これはなかなか難しいことだとは思いますけれども、ぜひ、そうでなくても単年度ぎりぎりの状況で株主配当等もできないというところがたくさんあるわけでありますから、この赤字欠損についても何か方策をお考えいただく方法がないのかどうか、これからのお取り組みに期待を申し上げたいと思います。
同じようなことなんですけれども、船舶整備公団との共有建造方式というのがございまして、これは離島にかかわる会社にとっては大変ありがたい、八〇%船舶整備公団が持ってくださるということであります。ただ、例えば平成三年度か四年度あたりに購入をした船については、御存じのとおり金利が今大分下がっておりますが、当時は七%、八%という金利で借りているわけでありまして、この金利負担も現在こういう状況の中で非常に苦しい経営を強いられている大きな原因の一つであります。
これも今お話しのような制度上は難しいということであろうかと思いますが、この高金利に対する何か手だてというものが考えられないのかどうか、期待を込めて御質問したいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/33
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034・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) ただいまの問題なんですが、船舶整備公団を離島航路を維持している事業者さんが利用していただけるということで大変ありがたいと思っているし、またその役割もあるんだろうと思っています。
ただいまのその金利差なんですが、昨年の九月の経済対策における中小企業対策の一環として、船舶整備公団においても、過去の高金利時に中小海運事業者が建造した共有船舶について平成七年度後半支払い分の金利を五%に軽減する措置を行うということで、船舶整備公団に対する補給金が十億四千三百万円、平成七年度二次補正において認められたところでございます。この場をおかりしてちょっと、大臣にごまをするのもあれなんですが、実は大臣が大臣じゃないときにいろいろお世話になったし、あるいは先生方のお知恵というかお力添えで実現をしたところでございます。
ただ、今後さらに同様の措置を行うかどうかについては、行えという関係者も大変強うございます。今後の金利水準がどう動くかということにもよりますが、そのために必要となる財源確保の問題は、いろいろその他の中小企業関係政府系金融機関、大変大きなところがございまして、これとやっぱり共同歩調で統一戦線を張らないとなかなか実現が難しいという問題もございます。
私どもとしましては、これら政府系金融機関の動向も踏まえながら、機会をとらえ、何らかの措置がとれないか、今後その対応を検討していきたいと思っております。当然、そのようなときには、離島航路に関する船舶整備公団の共有船につきましても適切な配慮が払われるよう努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/34
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035・亀谷博昭
○亀谷博昭君 運輸大臣が御努力をいただいたということは存じ上げませんで、大変ありがとうございます。今お話しのように要望が大変強いわけでありますので、今後とものお取り組みをお願いいたしておきたいと思います。
この離島航路についてちょっと細かくお尋ねをいたしてまいりましたのは、陸上においても、例えば鉄道あるいはバス等が過疎のために廃止をされるということが全国的に起きております。しかし、陸上の場合は例えば車というかわりのものもありまして、何とか交通を確保する手段というのはまだ残されているわけですが、島は航路がなくなれば、これはかわる手段というものはないわけであります。そういう意味で、離島についてはこのままでは航路そのものがなくなるという声もありますし、やはりかわるものがないという意味でしっかりとした取り組みが必要ではないかと考えるわけであります。
陸上においては車が走るために道路に公共投資がなされている、船には航路について公共投資はなされていない、であるならば離島航路についてもっと道路と同じような考え方をとるべきではないかという意見もありまして、私もそれも一つの考え方であろうと思うわけであります。そのほかにも離島そのものにはたくさん課題がありますが、私は、きょうのところはこの離島航路についてそういう認識のもとにいろいろお話をさせていただいた次第であります。
この離島航路は、しかしながらなかなか今お話がありましたような制度上の課題もあり、経営が困難、一代限りというところもたくさんある。であるとすれば、これから先例えば企業同士の統合とか集約とかというようなことも考えられてくるのではないか。いずれにしても離島航路の先細りが心配でありますが、これはやっぱり残すところはきちっと残していかなければいけない。そういう意味で運輸省としての離島へのきめ細かい配慮を期待したいわけですが、この問題の最後に離島航路への取り組みについて大臣の御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/35
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036・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 離島航路の問題につきまして先生からいろいろ御指摘を受けまして、まさにかねがね私もいろいろ感じておるところでもございました。特に、先ほどの御指摘の、本土では道路整備あるいはモータリゼーションの進展、こういう中で公共交通機関のみならず自家用車で自由に移動ができる、移動の自由というものが確保されているわけでありますが、他方、離島におきましては隣の島に行くにつきましてもそれは困難なことでもあるわけでありまして、移動の自由は国民ひとしく享受すべきものである、このように認識をいたしております。
そのような中で、その努力というものは当然いたしていかなければならないわけであります。また、離島航路の活性化ということは、観光資源、観光開発あるいは産業振興にとりましても不可欠のことでもありますし、地域振興の中でやはり位置づけもしていかなければならないわけでありまして、そういう視点から運輸省といたしましても、航路経営の効率性を図りつつ助成措置の充実あるいはまた整備に努めていかなければならない。また、このことは地方公共団体とも積極的に協議、協調しつつ、離島航路の維持、整備に運輸省といたしましても努力をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/36
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037・亀谷博昭
○亀谷博昭君 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
次に、先月ですか、危険物輸送の損害賠償条約、HNS条約というのが締結をされました。これについて二、三お伺いをしたいと思いますが、まずこの概要について簡単な経過を含めて御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/37
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038・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 私どもとしましては、海洋法条約というのが大きな条約で大変有名でございますが、今お尋ねがございましたHNS条約、危険及び有害物質の船舶による海上輸送に伴う損害についての責任並びに賠償及び補償に関する国際条約という大変長い名前でございまして、地味ではございますが大変重要な役割を果たす条約だと思っております。この条約につきましては、今先生がおっしゃいましたように通称HNS条約と、これも少し言いにくいのですが、こう言っております。
地球環境に対する世界的な関心の高まりの中で、ガスあるいは化学物質等の有害・危険物質の船舶による海上輸送で生じた損害に対して、被害者の救済の充実あるいは環境保護の観点から、賠償及び補償についての新たな制度を構築するべきとの国際的な認識のもとに、実は一九七六年、二十年前からIMO、国際海事機関で検討が進められてきて、我が国もそういうために有意義だと感じ、一生懸命努力をしてきたところであります。今般、いろいろな大変複雑な条約でございますので二十年にわたってできたわけですが、五月にロンドンの外交会合で採択をされました。
これは今申し上げたように船舶による海上輸送中の有害・危険物質により発生した損害の補償なんでございますが、一つに特徴としては、船主の責任について原則として無過失責任を課すということでございます。一定の責任限度額を設定する、例えば十万総トンの船ですと百五十億円まではこれを強制保険で船主が責任をとりなさい。それから、船主の責任を超える部分については有害・危険物質の荷主が拠出する国際基金ということで荷主さんに負担をしてもらいなさいということで、これの限度額が一応今回の条約では三百七十五億円ということになってございます。
そういうことを定めまして、被害者への適切かつ確実な補償、それから荷主と船主との公平な負担という観点から大変妥当なものであると我々は考えておりまして、この仕組みを評価しているところでございます。この条約の採択につきましては、そういう被害者救済もそうなんですが、あるいは海洋環境の保全、これは清掃とかそういうものの費用も全部賄われますものですから、極めて重要な意義を有していると理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/38
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039・亀谷博昭
○亀谷博昭君 これは、危険及び有害物質の事故による被害者の救済制度の充実、また地球環境問題の解決にとって大変重要な意義があるということでありまして、これは二十年かかったということですが、日本が主体的な役割を果たしたというふうにも聞いておりまして、御当局の御努力に心から感謝を申し上げたいと思っております。
そこで、国際会議で採択された、国際海事機関IMOで採択されたということは引き続いて批准をする、発効する、こういう手続になっていくわけでありますが、この法律の中では二百総トン以下の内航船についての対象除外規定みたいなものもありますし、いろいろ批准に向けて国内法の整備ということが必要になってくるのではないかと思いますが、国内法の整備にはどのぐらいの法律のかかわりがあるのか。それから最後に、今後の批准に向けてのお考え、そしてまた発効はいつごろになる見通しなのか、あわせてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/39
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040・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 内航船は適用しなくともよいということで留保がつけられるということで、適用してはならないということではないんですが、そういった問題は確かにございます。ただ、これは多数国間条約でございますので、やはりたくさんの国の妥協といいますか、話し合いのもとでなされたものでございまして、私どもとしてはやむを得ないのかな、こういうふうに思っております。
実は、この条約は、さっき申し上げましたように責任制限ですとか第三者が責任をとるとか、直接の責任じゃない荷主さんがとるとか、民事関係法令と深くかかわりがありまして、法務省さんの民事局ですとか、あるいは裁判所の管轄権の問題とかいろいろ出てきまして、大変困難な作業が予想されております。私どもだけではそういう民事関係はふなれだし、またわからないところがございますので、裁判所の関係の方も含めてあるいは弁護士さんも含めて国内法化に向けてやっていかなければならないと思います。そういう面では大変な課題が残っておりますが、先ほど申し上げましたような有意義な条約でございますので、一生懸命勉強してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/40
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041・亀谷博昭
○亀谷博昭君 時間がありませんが。
それで、今後批准に向けてタイムスケジュール的なものは今運輸省としてはお持ちではないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/41
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042・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) これは実は実務的にはありとあらゆる有害物質ということで、何千種類のものが対象になるわけです。そういう実績によってお金を負担するとか、あるいは発効要件が定められているものですから、そういう実務的な調査をする必要があります。それからもう一つは、やはりEUが中心となってつくられた条約でございますのでへEUの動向を見ながら私どもとしても歩調を合わせて発効に向けて努力をしたいと思います。国内化についても同様でございます。
そういうことで、今いつまでに発効を求めるかということは断言できませんが、遅いといっておしかりを受けないように、あるいは遅かったからこういう問題が起こったじゃないかということにならないように一生懸命努力していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/42
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043・亀谷博昭
○亀谷博昭君 大切な条約でありますので、改めてまたお伺いをする機会があればと思っておりますが、時間が参りましたので以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/43
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044・鈴木政二
○鈴木政二君 鈴木政二です。
今亀谷議員から、また先日は先輩議員であります横尾議員からもこの海上運送法の一部改正法案の質問がるるされたわけであります。今亀谷議員からもたくさんの質問をされて、私はこの法案に対して、安全保障上の見地から一点だけ質問をさせていただきたいと思います。
先ほどから、外航海運におきましては御案内のように日本籍船が大変急減をしてきた、大部分が外国籍船で占められているという話でありますし、このような状態の進行が続きますと、我が国の近海において緊急事態が起きた場合、平たく言うなら紛争が起きた場合、我が国の生存に不可欠な生活物資の供給が当然支障を来すと思われます。そういう想定がされるわけであります。このような場合、日本籍船の激減というのは、私は安定供給の上から大変大きな問題になると思っております。
先ほど亀谷先生の質問で岩田局長から説明、答弁がありましたが、私の調査したところによると、昭和五十六年に時の防衛局長から、先ほどの答弁のように三百四十隻程度を下ると大変大きな問題になるという答弁が十五年前あったそうであります。ただ、先ほど岩田局長の話で、何となく自信のないようなあるような、積算の非常に難しさを聞いたわけでありますけれども、今、今度のこうした激減の進行状態の中から三百隻ぐらいは確保するべきだという御答弁をいただきました。
その中で、私はもう一つ突っ込んだお話を聞くなら、日本人の船員は一体じゃ最低限何名ぐらいなのかお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/44
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045・金丸純一
○政府委員(金丸純一君) お尋ねの日本人船員の必要数でございますけれども、一般論で申し上げますと日本人船員がなぜ必要かと、先ほど御答弁申し上げましたけれどもいろんな観点がある、どういった観点から物を考えるかといったことでそれぞれ違ってくるということでございます。また、経済環境が非常に違ってきている、こういうこともございます。したがって、一般的にどれだけの船員が必要かということは、私どもなかなか難しい問題だなというふうに考えておるわけでございます。
今お尋ねの話は、我が国の貿易物資の安定供給のためには日本籍船が三百隻ぐらい要るではないか、その仮定のもとでもってじゃ日本人船員が何人要るのか、こういうお尋ねにお答え申し上げますと、例えばどれぐらいの数の人間を乗っけるかということでございます。これは、国際船舶の制度のときに、船長、機関長ということでございましたので二名と仮定をする。二名と仮定いたしまして、その場合には予備船員率が五〇%ぐらい要るであろう、あるいは育成要員を考えなければいけない、したがって六〇%ぐらい考えよう。機械的に計算しますと、もう単純に千四百四十名、約千五百名、こういう数字が出てまいります。
しかしながら、問題はいろいろございまして、これは言ってみれば常時その数の船員が船に乗っかっているあるいは休暇をとっている、こういう状態でございまして一現実には陸上勤務が過半を占めておりまして、そのローテーションで考えなければいけない、こういう会社の言ってみますれば人事政策に絡む問題も出てくるということでございます。したがって、三百隻自体にもいろいろ問題がある。
あるいは、船員数につきましては、これは若干違った観点でございますが、果たして輸送能力という観点だけで考えていいのか、海技の伝承ということは考えなくていいのかとか、あるいは雇用政策との関係、現実には日本籍船でない日本の支配船にもたくさんの船員が乗っているわけでございますので、それとの兼ね合いを考えたらどうか、こういった問題がございますので、なかなか難しい問題だと。ただ、どの程度の船員がやはり日本として必要かということにつきましては、私どもも、できれば海造審の場でもっていろいろと議論を深めていきたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/45
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046・鈴木政二
○鈴木政二君 今の数字を聞かせていただいて、非常時が起こらないなんという話は、オウム事件やいろんな事件で、外国等の今の環境を見ていましてもないとは言えないわけでありまして、こうした非常時の際、外国籍船や外国人の船員の方は、恐らくこの近海へ皆さんもう危険を感ずるときには寄らないと思います。そういったときに、今お話しのように日本籍船と日本人の船員の人が、やっぱり祖国に対しての強い使命感とそれから責任感があって、私は、そうしていただくためにやはりきちっとした確保をしなきゃならないし、今後の進展を見ますと非常に厳しい状況を感ずるわけであります。
そうした意味で亀井大臣、ひとつこういう施策を、私は今、安全保障の面からこれは一番大事な話でありまして、そうした想定をやはり踏まえて強いそうした対策を考えていただきたいと要望するとともに、大臣のひとつ所見を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/46
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047・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 今回、この制度をスタートさせるまさに第一歩をお願いしておるようなわけでございまして、先生御指摘の船籍、あるいはさらに安定的な物資の輸送、このことはやはり島国であります我が国にとりましてはどうしても必要なことでもあるわけであります。そういう面から、やはりこの制度を充実させる、この努力をし、そしてそのような対応をいたしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/47
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048・鈴木政二
○鈴木政二君 ありがとうございます。大変期待をしております。
次に、大変大きな船の話が出て今度は小さい船のことになってちょっと恐縮でありますけれども、これは今大変大きな問題になっていますので、ちょっと数点質問をさせていただきたいんです。
去年、先輩議員のおかげで、二月に参議院本会議で七月二十日が海の日に決定をさせていただきました。この海の日、来月初めて迎えるわけでありますけれども、私どもの海という感覚が、江戸時代から見れば鎖国制度が海によって防波堤になったような感じも受けますし、戦後港湾を特に我が国は整備をして、先輩の運輸省の皆さん方の力で港湾を中心として、先ほどの話ではありませんけれども、我が国の貿易ひいては日本経済を支えていただいたわけであります。
ただ、個人個人の日本人に関しますと、何となく海のレジャーといいますか親しみが海水浴程度な感じがしておりまして、御存じかもわかりませんけれども、今ヨットとかそれからモーターボートをもうまさに普通のマイカー感覚で購入しているわけであります。御存じのように、今小型モーターボートは百万円台であります。普通の乗用車と全く同じ金額で買えるということで大変魅力がありまして、特に最近の傾向では、家族と一緒にキャンピングしたり一緒に釣りに行ったりということでもう爆発的な人気が出たわけであります。
そのボートを普通にプレジャーボートといいます。プレジャーというのは遊ぶという意味ですからプレジャーボートと称しておりますけれども、特に普通のサラリーマンの方、平均的な所得の方が非常に多く、七割以上を占めているという傾向を示しておりますから、まさに国民的に非常に定着をしておる。
特に、年代的には四十代、五十代が多いそうであります。特に、大臣の年代が非常に多いそうでありまして、それはなぜかというと、ある面では、社会学者が言うには、当時東宝の映画で加山雄三の海の若大将、これが非常にあこがれだった部分も反映していると社会学者も言っているようでありますけれども、そういう面では非常にあこがれが現実になってきた。
ただ、この間も栗原先生ちょっと質問されておりましたボートの不法の係留、この問題が非常に多い。それと漁業者のトラブル、それから後ほど質問しますけれども、このプレジャーボートの事故が非常に多い。私、どうも事故の質問ばかりして恐縮ですけれども、そういうのが非常に多いということで、今の段階で手を打っていかないと大変な問題になると思いまして、限られた時間でありますけれども質問をさせていただきたいと思います。
特に、先ほど言いましたようにプレジャーボートの海難事故が非常に多いわけでありますが、車で言う免許証ですね、小型船舶の免許証が要るわけでありまして、御存じのように一級から四級あります。四級は十五歳と九カ月から取れるようなシステムになっております。この四級というのは、普段見ます小さなモーターボートと、それからジェットスキーというのも一緒に四級になっております。
この年齢の問題、これは本当に十五歳と九カ月で取れていいのかどうなのか。それからもう一つ、試験の内容も非常に簡単な試験と言っちゃ恐縮かもわかりませんけれども、取りやすい試験になっております。もう一つ、先ほど言いましたようにジェットスキーと小型のモーターボートと同一の免許が取れる仕組みになっております、四級では。これもちょっといささか問題があろうかと思うわけでありますけれども、それらを含めてこうした海技資格の制度の見直しを考えてみえるかどうか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/48
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049・金丸純一
○政府委員(金丸純一君) お尋ねの問題でございますが、一つは非常に若い者で取れるではないか、ジェットスキーとモーターボートが同じ資格というのはおかしいではないか、この二点だろうと思います。
まず年齢でございますけれども、受験資格は十五歳九カ月、それで免許は十六歳ということでございますが、一応十六歳につきましては中学校卒業の年齢であるということで、オートバイなんかも十六歳ということでございますのでいいのかなと。もともと船の場合につきましては、中学校を卒業いたしまして漁船に就職、漁船で働かなきゃいかぬ、こういう人たちもございますし、中学校を卒業できれば一応のといいますか、かなりの能力があるだろうといったことでもって十六歳を採用しているというものでございます。
水上オートバイにつきましても、私ども、必要な基本的な知識はモーターボートと同じようなものだという理解をいたしておりまして、五トン未満、言ってみれば五海里以内ということで他の小型船と同じに扱っていいのではないかというふうに考えているわけでございますけれども、確かに御指摘のような問題があろうかと思います。
御指摘のように、海難事故全体はここ数年横ばいの中でプレジャーボートの事故だけがふえておる、こういう状態でもございますし、私どももこれはやっぱり必要なことにつきましては見直しをしなければいけないなというふうなことで考えているわけでございます。
ただし、このプレジャーボートの問題で一番難しい点を申し上げますと、これは外国ではこういった小型船について規制をしているところがむしろ少ない。自己責任の原則で、自分たちで危ないことをやって何が悪いんだ、こういうところが多いわけでございます。ところが、日本は御指摘のとおり人に対するトラブル、海水浴客に対するトラブルでありますとか、漁民の方々に対するトラブルでありますとか、こういったことなどがありますから、こういった小さな船までも対象としておるということでございまして、この問題につきましてはもっと規制を強化すべきだという話と、もっと自由にすべきだという議論と、どうしても二つ出てくるということでございます。
私ども、その両方の意見を聞かなきゃいかぬわけでございますけれども、やはりこのプレジャーボートの事故がふえておる、こういった実態に照らしまして、私ども不断に検討を続けてまいりたいというふうに考えております。よろしく御指導お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/49
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050・鈴木政二
○鈴木政二君 おっしゃるとおりで、海の慣習といいますか、自分たちで自分たちのことをするという基本的な考え方をしておりますけれども、これはやっぱりこれから早急にあらゆる角度から検討してもらいたいと思っております。
時間がありませんので、次に、プレジャーボートの放置艇の問題。
もう最近、皆さん見ていただくとわかりますように、大きな河口、特に都市部の河口のところにいっぱい小型の船が泊まっております。これは調べてみますと、河口はもう御存じのように建設省の河川局、そして漁港は水産庁、そしてあとの港湾関係は運輸省と三つに分かれております。
ここらの問題もこれからの問題でありますけれども、こうした中で、まず河川局の方来ていただいておりますね、もう時間がありませんから簡潔に言います。放置船、河川局として掌握しているのは一体どのくらいあるのか。それから、河川局としてもこういう施設、要するにマリーナみたいな保管施設に収容しているようにも聞いておりますので、それがどのくらいキャパシティーがあるのか。それから最後に、河川局としての放置艇の対策はどうなっているのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/50
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051・白波瀬正道
○説明員(白波瀬正道君) まず河川や湖に不法係留されておるいわゆる放置船、どれぐらいあるかということでございます。放置船の状況を実は正確に把握するのは大変難しいわけでございますが、平成四年に全国一斉調査したことがございまして、そのときのデータ、大変古くて恐縮でございますが、一級河川、二級河川合わせまして全国で約七万九千隻というような状況でございました。
それから、河川局として放置艇対策、どういうふうに取り組んでいるかということでございます。これは、放置船舶が洪水時に流出いたしますと橋脚あるいは堤防の護岸に衝突するとか、そういったものに損傷を与えるというようなこともございます。また、洪水の流れを妨げるといったようなこともございまして、老朽船の放置そのものが美観の面で問題を起こすというようなこともございますので、放置船舶の対策というのは我々としても大変重要な課題であるというふうに思っておりまして、撤去の指導に努めておるというところでございます。
しかし、放置船舶の対策はそういった規制面の対応だけではなくて、やはり係留場所の確保といったような対策、これも非常に重要だというふうに思っておりまして、昭和六十三年度より船舶の収容空間となるマリーナの整備を支援する、河川利用推進事業と我々申しておりますが、こういった事業を推進しております。この事業は地方公共団体、これが主体となりましてマリーナを整備します。その整備に当たりまして基盤施設でありますところ、これが河川管理施設ともなる、そういったような例えば護岸であるとか水門といったような施設、これを河川管理者が公共事業として整備する、こういった仕組みでございます。
そういったことでございますので、河川局所管ということにはならないかもしれませんが、こういった形の事業で整備を進めたものが既に全国で五カ所、約九百隻の収容船舶数に相当いたしますが、そういうマリーナが整備済みでございまして、さらに十一カ所現在実施中ということでございます。さらに、今後ともそういう河川水面利用の適正化あるいは円滑化が求められるような水域におきましては、水域の安全性も考慮しながらマリーナの整備等を推進していきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/51
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052・鈴木政二
○鈴木政二君 河川というのは治水を本当に大原則としますし、ただいろんな要望の面では、例えば河口のところ、平地があるところが多いわけでありまして、そこも使わせてもらえぬだろうかとかいろいろたくさん要望がありますけれども、そこらの原則をまた改めて検討していただきたいなと思います。
次に水産庁でありますけれども、お見えになっていますかね。今、漁船以外の船が私の調査によると七万隻近くあるというふうに聞いております。その中で八一%近くがプレジャーボートだというふうに聞いております。ただ、最近見ておりますと、漁港と分離をさせて、プレジャーボートは線を引いて分けている漁港もたくさん見受けられております。これは水産庁が非常に推しております非常にしゃれた名前でありますけれども、フィッシャリーナ整備事業という大変気のきいたいい事業でありますから、これはどんどん進めてマリーナ等の収容もきちっとしていただきたいと思います。
私、ここで水産庁にちょっと一つ聞きたいのは、全国に三千以上だと思いますけれども、ちょっと数字ははっきりしませんけれども漁港があります。私どもの愛知県もそうでありますけれども、大変活気のある漁港と、正直言ってもう本当に貧しそうな活気のない漁港があるわけであります。その中で、私はこの間も漁業組合の人ともしゃべったんですけれども、確かに魚をとったりノリをとったり貝をとったりするのも一つの漁業振興でありますけれども、そうした寂れたような漁港に、漁業協同組合の人たちがマリーナだとかそういう管理運営を、そしてその中にはガソリンも供給するだろうし、駐車場の管理もするし、いろいろ経済的なメリット、そして地域の活性化に非常につながると私は思うんです。
ただ、法律的に水産業協同組合法でそうしたものが可能なのか、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/52
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053・三野耕治
○説明員(三野耕治君) 先生お尋ねの漁業協同組合でございます。漁業協同組合は、水産業協同組合法上、組合員の漁業に必要な船だまり、船揚げ場に関する施設や漁場の利用に関する施設を整備管理できるということになっておりまして、マリーナ施設の整備管理につきましては、組合員の円滑な漁業活動に資するという観点から、遊漁船やプレジャーボート等の停泊地や係留施設などの整備管理を行うことができるということになっております。
なお、漁港の管理につきましては、漁港法上、漁港管理者でございます地方公共団体が行うこととなっておりますが、地方自治法に基づきまして管理を漁業協同組合に委託できることとなっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/53
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054・鈴木政二
○鈴木政二君 そうしますと、できるという大変いい答弁が、正直言って打ち合わせなしでこの話を聞きましたが、いい話ですので、これは首都圏とか関西圏、中部圏もそうでありますけれども、首都圏のマリーナが欲しくて困っているし、そしてもう油壺あたりだとかああいうところは物すごく高いんですよ。そういう面では漁協が積極的にやっていただけると、これは不法の係留、要するに放置船というのが減るんじゃないか。水産庁の方、しっかりPRしていただきたいなと思っています。
次に、一番基本であります運輸省であります。我が国のプレジャーボートは全部で一体どのくらいあるのか、そして今マリーナに収容されているのは何隻なのか、放置船は一体何隻あると把握しておるのか、そして運輸省としては今後どんな対策を持っていくのか、簡潔に質問しますから簡潔に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/54
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055・栢原英郎
○政府委員(栢原英郎君) 平成四年の運輸省の実態調査の結果でありますが、全国のプレジャーボートの隻数は約二十八万五千隻というふうに把握をしております。このうちマリーナあるいは水域の管理者の許可を得て係留しているものが約六万隻、自宅等の内陸保管が約十二万隻、残りの十万五千隻がいわゆる放置艇であるというふうに考えております。
この放置艇を処理いたしますために、昭和六十三年に全国マリーナ等整備方針というものを平成十二年を目標年次として定めまして、これによって放置艇を平成十二年までにゼロにしたいということで、マリーナあるいは既存の水域を活用いたしました簡易な係留施設等を整備することにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/55
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056・鈴木政二
○鈴木政二君 今局長さんの方から話が出たように、今現在マリーナに入っていない簡単に言うと放置船が十万というんですから、これは普通の車よりも大きいわけでありますから、この処理というのは、確かに新聞紙上やいろんな方々が、栗原先生からもお話があったようにどんどんふえていくわけですから、今早急にマリーナの収容のキャパシティーをつくったとしても追いつかないわけで、これは大変な事態です。特にまた買いかえになると、車では新車を売るときには中古車があるんですけれども、これはまるつきりこのボートをほかしっ放しにしちゃう。大きいものですから早い話が粗大ごみになってしまう。それがずっと置かれちゃうと、もうこれはさっきの河川局じゃない、港もそうだし、これは将来本当に禍根を残す大きな社会問題になってくると私は思っております。
そういう面で、先ほど言いましたように運輸省はもちろんでありますけれども、河川局も水産庁も、そして警察も正直言って関係してくるんです。というのは、トレーナーというのがありまして、普通は欧米ではよく船をトレーナーに載せていくわけでありますけれども、ただこの法律がちょっと古くて、トレーナーに載せるには今の船とサイズがいませんで特殊な免許を取らなきゃいけないということになりますから、なかなか自宅の方とかいろんなところに運搬もこれまた難しい。
ですから、この問題というのは運輸省がやっぱり中心となって、河川局さんや水産庁、そしてあらゆる関係の団体とよく相談をする。例えば五トン以下の小型船は登録をしないんです。だから登録しないということは把握ができないということです。ですから、そういういろんな問題もたくさん出てきますので、ひとつ運輸省さんが中心になって今後の進め方、また一番大事なことは地方自治体と、それからそういう設備や業界関係の人たちの意見も集約しなきゃならない。そしてもう
一つ、今地方自治体が、この間の栗原先生のお話のように条例や何かをつくってやっておりますけれども、結局はイタチごっこになってしまう。
そういう意味で、運輸省、局長さん、どんな強い意思を持ってみえるか、ちょっと御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/56
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057・栢原英郎
○政府委員(栢原英郎君) プレジャーボートの増加に対しまして適切にこれを管理していくということのために、運輸省といたしましても建設省及び水産庁と三省庁共同で対策について現在検討を行っているところでございます。今年度、先ほど数字が古うございましたので、三省庁が協力をいたしましてプレジャーボートの全国実態調査を実施をいたしました。その結果を踏まえて保管等の対策を講じていきたいというふうに考えております。
また、運輸省といたしましても、地方の機関、各地方運輸局あるいは地方港湾建設局等にプレジャーボート対策連絡協議会を設置いたしまして、今利用者あるいは地方公共団体とその対策について協議をする体制を整えたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/57
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058・鈴木政二
○鈴木政二君 大変前向きな御答弁でありがたいと思うわけですけれども、各省庁、関係機関と連絡をとって、まず調査をして、そして新しい制度とかいろんなものをつくり上げていく、なるべく早くしないと本当に大変な問題になると思います。
最後に亀井大臣、いろんな話を今させていただいたんですけれども、正直言って本当に子供たちがマリンスポーツやマリンレジャーで父親母親、強いて言うならおじいちゃんおばあちゃんまで一緒に釣りに行ったりキャンプをしたりして、やっと日本もこうした中で海に親しみ、海とともに育って強い子ができるような雰囲気が出てきました。そういう面で体で覚えていくようなスポーツでありますから、私はいいスポーツだなと思っております。
しかし、今言いましたように、今の段階で十万以上の不法係留の放置ボートがあるわけであります。この整備について、大臣も世代的には加山雄三の世代かもわかりませんけれども、海というもののあこがれも大臣非常に持ってみえるだろうし、そして子供たちにとってすばらしい海洋国である日本、初めての海の日を迎える日本であります。大臣の強い決意をひとつ聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/58
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059・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 委員御指摘のとおりでございまして、実は我が省の広報誌「トランスポート」の対談を加山雄三さんとついこの間いたしまして、我々湘南海岸に縁ある二人でございまして、いろいろな意見の交換をしたわけであります。そういう中で、ゆとりある生活、運輸省といたしましても海洋性レクリエーションの振興あるいはプレジャーボート、これが健全な形で推進されることが必要なことでありますし、加山さんからも特にその辺は海洋レジャー、一方事故の問題も大変深刻に受けとめておられた御発言を承知しておるわけであります。
また、放置船艇の問題、この係留施設の、保管場所の問題等々につきましては、先ほど港湾局長からもお答えを申し上げましたが、関係省庁とも十分連携をとりましてその対策と、特にまたお話しの、ことしは先生方の御理解をいただきまして海の日の制定をさせていただいたわけであります。海を中心に健全なレクリエーションというものがさらに進展するために意義ある本年であるわけであります。先生御指摘のような点につきまして、私どもその趣旨に沿って万全な努力をいたしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/59
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060・寺崎昭久
○委員長(寺崎昭久君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時三十分まで休憩いたします。
午前十一時三十一分休憩
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午後零時三十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/60
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061・寺崎昭久
○委員長(寺崎昭久君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
この際、運輸大臣より発言を求められておりますので、これを許可いたします。亀井運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/61
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062・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 実は、十二時のニュースで御存じかと思いますが、ガルーダ航空、インドネシアの飛行機が、これはDC10でございますが、福岡空港を離陸の際に失敗をいたしまして、事故で、今その詳細はまだ航空局で調査中でございます。委員会中に判明すれば御報告をさせていただきたいと存じますが、現状今その調査をしておるところでございましてその報告ができませんけれども、このような事情にあるという御報告をこの機会にさせていただきたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/62
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063・寺崎昭久
○委員長(寺崎昭久君) 休憩前に引き続き、海上運送法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/63
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064・横尾和伸
○横尾和伸君 平成会の横尾和伸でございます。
私は、去る六月七日の本会議で、本日御提案の海上運送法の改正につきまして質問をさせていただきました。決断をされる、その判断内容と内容的に見た実効性、中身がないということで大きな疑問があるということを申し上げました。中身のない問題先送りの法案だと決めつけもしました。住専で先送りになることがいかに大変なことになるか。九三年の覚書が今回の住専問題でもどれだけ悔やまれることか。国民の皆さんがそう思っているんだと思うんですが、決断すべきときはチャンスを逃してはいけないということが私は大変大事なことだと思うんです。先送りは罪つくりになるということも申し上げました。大変失礼な表現だとは思いましたけれども、私の言っていることがもし当たっているとすると、むしろ御提案をされた政府の方がよっぽど失礼だということで、そのことをむしろ明確にした方がいいんではないか、私はそういうことを考えております。
ですから、もし私の言っていることが正しければ、正しいといいますか、中身がない、先送りだということが当たっていれば、唯一政府のできることは、今後どうやって充実させていくかということを今回の審議の中で明らかにしていただくということ以外にないんだと思います。
今回の補助金案が完全にカットされた、その上でわずかばかりの税制の措置をとった。当のその判断をされた中心の久保大蔵大臣は、本会議の答弁の中で、この税制措置の効果を踏まえて今後の追加策を検討するという旨の御答弁もありましたけれども、わずかばかりのこの税制の効果がわかるのは何年先なのか。五年か十年先のことを言っているように思えましたので、それでは日本籍船はなくなってしまうということで、私は大変その姿勢に疑問を抱いたわけであります。
今回の法律のフレームといいますかスキームというのか、最近の言葉ではちょっとあれですが、そのフレームは、想像するところ関係者の中での合意の産物のようであります。船主の方また船員の方、また運輸省、大蔵省、こういった関係の方々がとりあえず器をつくろうということでそれぞれ器をつくって、これから中身を盛り込んでいこうと思っている方、また器さえつくればしばらくはそのままにできようと気軽に考えているサイドの方、同床異夢の、何かこれこそ問題先送りの、もしかしたらまた間違える大変な火種を残すことになるかなということを心配している者の一人であります。
そういう中で、関係者といっても船主、船員、大蔵省と、まあ運輸省がその中で国民の利益を代表するということを本気になって考えなければならない。業界関係者の利益を守るということはそれは否定するものではありませんけれども、それとともに、国民の安全、安心というものをどうやって守っていくか、国民の利益をどうやって守っていくかというのは、船主の方でもないし、船員の方でもないし、大蔵省でもない。大蔵省が悪いわけではないけれども、大蔵省は別な観点から予算のバランスをとるというお役目もあるんだと思うんです。とすれば、運輸省は、船主、船員の方だけではなくて、国民の利益ということを唯一代表できる立場にあるということをよくよく踏まえていただきたい。
ことしは特に海の日、先ほど来午前中もいろいろ御指摘がありました。海の日は一部の方の、関係の皆さんの日ではありません。国民の祝日です。国民を代表すべき、国民の利益をどうやって守るかということを考えるのにふさわしい、ことしの記念すべき年ではないかと思います。
そういった観点から、運輸大臣、運輸省を中心にお聞きしますけれども、午前中の質疑と一部重なるところがあろうかと思いますけれども、重なったところはお許し願いたいと思います。まずお聞きしたいのは、日本船舶の急激な減少の実態と、その原因をどうとらえているかということからお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/64
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065・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 今、委員からいろいろ御指摘をいただきました。海洋国家であります我が国にとりまして、貿易立国日本の将来を考えますときに、やはり貿易物資の安定輸送、このことは大変重要な意義を持つわけでもあります。
そういう中で、日本籍船並びに日本人船員の確保、これは重要な課題でありまして、先ほど来御指摘をいただいておりますように、運輸省といたしましては、そのような視点に立ちまして安定的な輸送、そして何よりも海洋国家、エネルギーや食糧の大半を港を通じて船を通じて輸出入をするわけであります。そういう面から、現在日本籍船あるいは日本人の船員の問題がこのような状況にある、何とかこれに歯どめをかけて、そして我が国の安定的な地位というものを確保しなければならないわけでありまして、この制度を実施することによって歯どめをかけ将来に向かって努力をしてまいらなければならない、このように考えているところであります。
また現在、我が国の外航海運につきましては、近年海外への移籍等によりまして日本籍船の減少が進んでいるわけでありますが、十年前に比べますと隻数で約二〇%、また総トン数で約四〇%になっているということが事実であります。またこのことは、やはり海外の水準と比較すると割高な船舶にかかる関連諸費用の問題、あるいは外国船との内外八件費格差が要因、このように認識をいたしております。さらに、近年の円高の進展、このことがまた拍車をかけておるんではなかろうか、このように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/65
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066・横尾和伸
○横尾和伸君 資料の中には日本船舶の減りぐあいを十年前からグラフにあらわしたものが手元にあるんですけれども、これは非常に急なカーブで、しかも、これ十年前からであれば五年前でもこの傾向は十分わかったんではないかと思うんです。そのときに関係者は気がついていたんでしょうけれども、それが法律になるまで相当な御苦労があったにもかかわらず顕在化しなかったということがあろうかと思うんです。このこと自体が、普通ではいわゆる空洞化という言葉を使うのに真空化という言葉を使うようになった。これはある意味では恥ずかしいことで、真空化なんという言葉はほかの分野では使われておりません。全くなくなってしまうという危機感をあらわしたんだとうんですけれども、真空化という言葉が横行するほどほったらかしておいたのかということになろうかと思うんです。
真空化が本当ならば関係者の声は急激に小さぐなる。当たり前です。人が少なくなって、船も心なくなって、それを叫ぶ本当の当事者というのが極端に少なくなるわけですから、これから声はどんどん小さくなる。したがって、先ほど国民を代表してということを言いましたけれども、業界を代表して、主務省として、その小さくなる声を、本当に何が必要かということをしっかり見きわあて決断をし、また決断ができるように政府部内で働きかけを行っていただきたいと思うんです。
午前中の答弁の中にもあったんですが、日本人船員が必要な理由というのはいま一つ答弁の中でわからなかった。それは日本人の方がいいというムードは伝わってきました。外国人の人材でも随分、人件費も何分の一どころではなくて、何十分の一と極めて安く、しかももう少し賃金を弾めば優秀な人材も相当得られるんだろうという可能性も多いと思うんです。
ですから、そこのところの判断があいまいですと、言われている流出の防止、船員の確保ということが全く意味をなさないままにどんどん現実が推移していくということになりかねないと思うので、あえてお伺いしますけれども、午前中と同じ答弁ではなくて、どうして日本人でなければいけないのか。外国人でも人材はいっぱいいる、信頼のできる人柄の外国人はいっぱいいる。そういう中で外国人ではなぜいけないのか、明確な答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/66
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067・金丸純一
○政府委員(金丸純一君) 午前中と同じ答弁ではなくという御指摘でございますので、ちょっと観点を変えて申し上げます。
船員数につきましては、もう御承知のとおり、昭和六十年に二万五千人おったものが昨年は五千六百人と、十年間に四分の一以下に減少したわけでございます。
ただ、この減少したという中で、私ども一律なとらえ方をしておりませんで、昭和六十年当時といいますか、それまではむしろどちらかといいますと、日本人船員は余っておったという言い方がある意味では言えるかと思います。要するに、予備船員が非常にたくさんいる。この予備船員を解消していくことが日本の経済の、船社の経営の効率化にもつながる、こういうとらまえ方をある時期ではしておったわけでございます。
それから、部員がかなり余ってきた。これはある程度安い外国人労働者に置きかわったわけでございます。こういったことに伴いまして部員さんが余ってきたものをどうやって対処していくか。要するに、そこのところで私どもがやりましたのは、部員さんの職員化のための訓練をするとか、そういったことをやったわけでございます。
それから、プラザ合意後の話でございますけれども、円高がありまして、やはり外航船社としましては経営効率化を図るためには、経営を立て直すためには思い切ったリストラをしなければいけない。そうしますと、非常にまたこのリストラの結果として船員さんに余儀なくほかの職場に変わってもらわなきゃいけないということでございまして、したがいまして、私ども緊急雇用対策と申しておりますけれども、そのときに例えば外国船に配乗先を見つけて職場を確保するとか、あるいはやむを得ない場合には陸上職場を見つけるためにいろんな訓練をするとかというような作業をしておったわけでございます。
したがいまして、先ほど申し上げましたような、日本籍船と日本人船員の必要性ということはみんな信じて疑わなかったし、セットとして考えてきておった。ところが実際、プラザ合意後、さらに円高が昨年に象徴されますように進展してまいりまして、このままでいくと日本船だけでなくて、日本人船員も本当にいなくなってしまうかもしれない、こういう危機感が非常に沸き上がってまいったわけでございます。
それで、安い外国人でいいのではないかと言いますけれども、私どももこれ生の声として聞いてみますと、例えば日本の海運企業が海運企業として存続していくためには、やはり海技のノウハウを持った物流管理の専門家あるいは船舶運航管理の専門家、あるいはそれらをトータルとした管理者としてやっぱり日本の優秀な海技の者は必要だ、こういう生の意見も聞いているわけでございます。先ほど安定輸送とかいろんなことで申し上げましたけれども、信頼するに足りる職員というものは日本人でなければやはり十分な働きができないのではないかということが、私どもは海事関係者の中でのコンセンサスではないかというふうに考えております。この辺につきましては、いろんな御意見があればそれは先ほどの海造審の場でまた御議論あろうかと思います。
それから、外国人につきましても、ある程度協調しながらコストを下げるためにやっていかなければいけないということは先生御指摘のとおりのことだと思いますけれども、やはり日本の商船隊全体を動かしていく、こういった役割をすべて外国人船員で担っていくということにつきましては、現在の外国人船員の資質とかそういったものを見た場合に、特に発展途上国の船員が日本の場合ですと主となりますけれども極めて困難ではなかろうか。少なくとも基幹職員としての日本人船員を確保する、外国人船員と適切な役割分担を図りながら相互に補完、協力して期待される日本海運の役割を果たしていくといったことが昨年、外航海運・船員問題懇談会での一応コンセンサスであったというふうに私どもは理解しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/67
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068・横尾和伸
○横尾和伸君 日本人船員の確保という面では、職場の確保という観点からはお話の意味はよくわかりました。それはいいんですけれども、そういう意味もさることながら、これから特別な補助金なりあるいは税制なり国として特別なことをしようということは、その業界関係者を守るということは当然なんですけれども、それにも増して国民のために何で日本人でなければいけないのかということをもうちょっときちっと詰めておく必要があると思うんですよ。
恐らく、今言葉では言いづらい面もあるのかもしれませんけれども、今後その点をもう少し詰めていただけるように、例えば日本では余り今、これまでなれていないという面もあるんでしょうけれども、危機管理の場合の危機の想定の仕方を議論するのも、何か非常に具体的な想定の仕方を避けなければいけないといった空気もあったと思うんです。ある意味では、もし今回の問題で、国際的に自由化が進む中で国として特別な、逆行するけれどもやらなければいけないという決断を実効あらしめんとするならば、そこのところも一歩踏み込んでいかなければならないんだろうと思います。それはこれから期待することにいたします。
それと、ちょっともう一つ指摘しておきたいのは、参議院運輸委員会の調査室でつくっておりますこの資料によりますと、外航二団体の船員の年齢構成が出ております。大体四十四歳から五十四歳ぐらいまでの方が毎年次平均で大体三百三十名ぐらいいらっしゃるんですけれども、それが二十六から三十八、九までのいわば二十代から三十代の半ばぐらいまでの人というのはその六分の一以下、一年次当たり五十人と。そこから見てもわかると思うんです。私が言うまでもないと思うんです、御専門の皆さんですから。これ六分の一に減る。
しかも、人材の育成には二十年かかる、こう言っておられるわけです。どこか別なところから人を引っ張ってきてということができないということも午前中から強調されておられましたけれども、もし本当に日本人船員が必要だと、一面で私は十分な説明とは先ほど思いませんでしたけれども、仮にそれをこれから詰めて本当に必要だとするならば、この問題をどういうふうにとらえるのか。
もう後がないんです、本当に真空化なんですよ。真空化という問題で後困るのはだれかというと、一番困るのはもしかしたら国民の生活が犠牲になる、ある状況下で。そういったことをよく考えあわせてこれからの議論を進めていっていただきたいと思います。
次にお尋ねしたいのは、提案理由説明の中に、今回の提案理由の根拠の第一に挙げているのは「便宜置籍国の政情等に左右される危険性の回避」、そのためにやるんだということを一番初めに根拠として挙げているんですけれども、その「政情等に左右される危険性」とは何なのか、具体的にお答えいただきたいと思います。これは、運輸省とそれから外務省のお立場から、少し世界的というかグローバルな立場でどういうことが考えられるのか、運輸省と外務省、両方からお尋ねしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/68
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069・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 先生から御指摘ありましたように、ちょっと言いづらいところもありますが、日本籍船ですと日本の主権による保護が及ぶわけでございまして、緊急の場合に日本政府が国家としての対応措置をとることができる、このような効果があるわけでございます。便宜置籍船は我が国の主権による保護が逆に及ばないものですから、当該便宜置籍国の政情等の影響を受け拿捕されるなどの場合があっても、日本政府として対応措置を直接はとることができない、このため安定した輸送力を確保することができないおそれがあるという意味でございます。
それからもう一つは、大変言いにくいんですが、便宜置籍国自体の政情の問題がございまして、便宜置籍船ですから便宜置籍国のカンパニー、船会社が所有する船でございますので、そこの国自体の政情の問題がありますので、少しそこら辺を余り具体的に申し上げにくいんですが、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/69
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070・細谷龍平
○説明員(細谷龍平君) 先ほど運輸省の岩田局長からも御指摘があったように、例えば便宜置籍船が第三国から拿捕されたというふうな場合を想定します場合に、そもそも船舶は基本的には旗国といいますか、登録国の管轄下にあるわけでございますので、その国、すなわち便宜置籍国の政情等に不安があった場合等にその船舶に対する便宜置籍国の管轄権がそもそも十分に行使し得ない、あるいは保護を行使し得ない、そういった場合に、まして我が国としては、その船舶に対する、船舶そのものあるいは乗組員あるいは積み荷等に対する保護を十分に行い得ないというおそれが必ずしも排除されないということかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/70
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071・横尾和伸
○横尾和伸君 同じ問題でちょっと別な観点のことをお尋ねしますが、領海十二海里の内と外で、商船が日本籍であるか否かということの違いによって海上保安庁が行ういわゆる守る行為に違いが出てくるのかどうか。これは、海上保安庁のお立場と自衛隊の場合と、状況によって同じなのか違うのかわかりませんけれども、運輸省、防衛庁、両方のお立場からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/71
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072・加藤甫
○政府委員(加藤甫君) まず領海内におきましては、船舶の船籍国が日本国である場合、また外国である場合、いずれにいたしましても日本国の法令がすべて適用されますので、その間の差異はございません。
これが領海を離れまして十二海里を離れた公海になりますと、保護される対象として、日本籍船の場合には、外国籍船の犯罪行為が日本籍船に及んだ場合におきましては、その外国籍船を日本の法令に照らしまして処罰し、あるいはその鎮圧行為を図ることができますが、外国船に対して外国船が何らかの不法な侵害行為を行う、いわゆる海賊行為等が行われた場合におきましては、日本の法令によりましてその海賊行為等の不法行為を公海上において海上保安庁は処罰することはできません、というような差があるのかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/72
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073・金澤博範
○説明員(金澤博範君) 御指摘のような事態に自衛隊としてどのような対応をとるかあるいはとれるかということにつきましては、具体的な状況によりまして異なるものでございまして一概に申し上げることは困難でございますけれども、一般論として申し上げれば次のようなことになると思います。
まず、我が国に対する武力攻撃が発生して我が国が自衛権を行使している場合、その場合に我が国攻撃の一環として相手国が我が国船舶を攻撃しているときは、自衛権の行使として当該攻撃を排除できます。なお、自衛権の及ぶ地理的範囲は、必ずしも我が国の領土、領海、領空に限られるものではなく、公海及び公海上空にも及び得るというものでございます。
他方、領海外で外国船舶が攻撃を受けた場合、国際法上、その攻撃を排除し得る立場にあるのは原則として当該船舶の旗国でございます。しかし、理論上の問題として申し上げれば、我が国に対する武力攻撃が発生し、我が国が自衛権を行使している場合におきまして、我が国を攻撃している相手国が、我が国向けの物資を輸送する第三国船舶に対しましてその輸送を阻止するために無差別に攻撃を加えるというような可能性は否定できないところでございますけれども、このような事態が発生した場合において、例えばその物資が我が国に対する武力攻撃を排除するためあるいは国民の生存を確保するため必要不可欠な物資であるというような場合には、自衛隊が我が国を防衛するための行動の一環としてその攻撃を排除することは、我が国を防衛するため必要最小限度のものである以上、自衛権の行使の範囲に含まれるだろうということでございます。
次に、海賊行為につきましてでございますが、我が国におきまして海上における治安の維持等につきましては、第一次的には海上保安庁が対処する、海上保安庁だけでは対処できないあるいは対処することが著しく困難な場合に、海上警備行動等の下令によりまして自衛隊が対処するという仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、海上警備行動等が下令された場合には、領海の内外を問わず、我が国船舶に対する海賊行為に対しましては立入検査、停船等により対処することになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/73
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074・横尾和伸
○横尾和伸君 余り考えたくないことですけれども、物騒な話も出てきましたけれども、危機管理というのはどうしてもこういう部分を避けて通るわけにいかないこともあると思います。時間の問題もありますので、この点についてもう一点だけお伺いします。
今のお話ですと、日本籍があるということがやはり必要である場合が相当に出て、相当と言うとちょっと語弊がありますけれどもそれなりにあるんだと、すべての船が日本籍でなければいけないということではないけれども、低い比率にしてもどういう比率にしても、それはこれから決めることになると思うんですが、日本籍であることのメリットというのはそれなりにあるということがわかりました。
そこで一つお伺いしたいんですが、外国籍船が航海中、例えば太平洋の真ん中で国籍を変えたい、日本籍に急速したいというときに手続上はすぐにできるものなのかどうか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/74
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075・小川健兒
○政府委員(小川健兒君) 航海中に外国船籍を日本船籍に変更する手続ができるかということでございますが、日本船籍を取得するためには、船舶法の規定に基づきまして、管海官庁が行う総トン数の測度を受けた後で日本船舶として登録し、船舶国籍証書を付与するということが必要でございます。航海途上においてはこの手続がとれませんので、外国船籍を日本船籍に変更することは事実上できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/75
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076・横尾和伸
○横尾和伸君 有事の際とか非常時の際には国籍をさっと手続上変えればいいじゃないかという御意見もあろうかと思いますし、またそういうことも多いと思うんです。条件がそろっていればそういうことも可能なんじゃないかと私素人ながら思うんですが、ただ、今の御答弁のように海の真ん中にいるとか、あるいはその他政情の問題とか、条件がそろわないときにはそう簡単にいかないということもわかりました。
あと何例かお聞きする準備もあったんですが、ちょっと時間の関係で別な観点の問題に移らせていただきます。農水省さんは来られているでしょうか。
今回の問題と直接関係ないんですが、むしろ御答弁というよりお教えいただきたいと思うんですが、食糧自給率の一定水準を確保するということが、水準そのものの違いはあろうかと思いますけれども、今や国民の間では一定水準の確保という考え方は相当定着していると思うんです。そこで、この考え方をちょっと整理して、基本的にどういう考え方によってこの一定水準の確保という思想が我々の国民の中に定着しているものか、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/76
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077・田原文夫
○説明員(田原文夫君) お答え申し上げます。食糧の自給率と申しますか自給力と申しますか、そうした概念自体につきましては、例えば農業基本法でございますとか関係法令に基づく正式の概念ということではございません。ただ、農業基本法に基づきまして農産物の長期見通しというものを出しておりまして、これは需要ですとか消費という観点からの将来見通しというのを出しておりますが、これから類推するというふうなことで自給率ということが最近いろいろと議論されているという現状でございます。
特に、昭和四十年代後半、世界的な食糧危機というのが起こりまして、世界的な穀物需給を中心といたしまして不安定な面もあるというふうなことから、いろいろと国内においてある程度の供給力は維持する必要があるんではないかということで、食糧の自給率等が議論されているという経過でございます。
ちなみに数字的に申し上げますと、供給熱量ベース、これはオリジナルカロリーベースに換算しているわけでございますけれども、三十年前でございます昭和四十年度におきましては七三%が国内自給率でございました。これが十年ほど前であります昭和六十年代前半に五〇%を切るということでございまして、最新の数字は平成六年度の数字でございますが、現在四六%という数字でございます。すなわち、半分は切っているという状況でございます。
こういうふうに自給率が半分を切っているという主たる原因は、いろいろございますけれども、一言で申し上げますと、国民の食生活が多様化いたしまして国内の生産ではなかなか対応できにくくなってきている、こういう原因ではないかというふうに考えております。
ただ、先生ただいま御指摘になりましたように、食糧というものは日々国民の方々が毎日とらなければいけないという基礎的な物資でございますし、また、国内において供給されるということに対します国民の安心感というものもぜひ必要であるというふうなことで、私どもといたしましては、昨年末策定いたしました平成十七年度を目標といたします農産物の長期見通しにおきましても、現状程度の自給率の維持をしたい、すなわち、平成十七年度におきましても供給熱量ベースにおきましては四六%程度の国内供給が可能になるようにというふうなことで各般にわたる施策を展開していきたい、かような趣旨でいろいろと法律あるいは予算等々各般にわたる面におきまして施策を展開している、かような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/77
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078・横尾和伸
○横尾和伸君 どうもありがとうございました。
御存じのとおり、食糧自給率の一定水準の確保ということの考えが定着している、そして国の予算についてもそのことを前提として予算がつけられまた運営されている、こう思います。
そこで、食糧と海運とを両方一緒にするというわけにいかないんですけれども、やはり国のある一定のラインといいますか水準といいますか、そういう観点からやはり海運の分野においても生活物資の輸送というのは、今断たれたら国内だけで、米の問題じゃないですけれども生活が成り立たないということは説明するまでもありません。
そういう状況の中で、先ほど午前中の御答弁では日本船舶の確保する目標が三百と言いましたが、ちょっとその根拠がわからないんですが、あるいは考え方でも結構ですがなぜ三百なのか、お聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/78
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079・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 大変難しい式になっておりまして、コンピューターの中までちょっと私能力がないことはお許し願いたいと思うんですが。
先ほど申し上げましたように、昭和五十六年に政府側が予算委員会で何隻要るんだというお尋ねに対してお答えをしたのが、幅がありますけれども三百五十隻から四百隻と、こういうことでございます。それはベースとして最低限の日本の生活水準を守るという意味ですから、最低限の生活保護の生活レベルでございます。その必要となるカロリーをもとにしまして、国民がみんなその最低限の生活をやっていけるだけのカロリーについて、どのぐらいの船が要るのかということを試算しておられたようでございます。私ども、当時の資料の細かいのが残っているわけではありませんものですから、わかる限りでそれになぞらえていろいろな仮定を置いて計算した結果、三百隻ぐらいが要るのかな、こういう試算があります、こうお答えをしたわけです。
ただ、それが全部日本籍船であるかどうかというのはまた別の議論でございますが、最低の生活を維持していくためには三百隻が要る、こういうことでございます。ただ、最低でいいのかどうかとか、それが最低なのかとか、いろいろなまた大変な議論がございます。そこら辺についてはそれぞれの方々の御見解がかなり幅があるものですから、私どもとしてこうだというのはなかなか申し上げられないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/79
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080・横尾和伸
○横尾和伸君 この法案はだれが出しているんですか。今のお話を伺っていると昔の人はこう言いましたという解説だけで、そしていろいろ難しいから答えられないと、担当局長としての御自分のお考えはないというふうに聞こえたんですよ。それで法律を出しているんですか。もう一度お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/80
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081・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) そこで、ちょっと私が今はしょってしまったのですが、私どもとしては、三百隻が日本に出入りする船として必要ではないかということは申し上げております。試算ではありますが、一つの目安として申し上げているわけであります。
ただ、これが全部日本籍船でなければいけないのかというと、そこが私、先ほどほかの先生方からも御指摘がありましたように、全部日本籍船じゃなきゃいけないのか、FOC船、便宜置籍船じゃないのかというところで少し自信がありません。ただ、できる限り日本籍船の方が多ければ多いほどいいということについては、そういう気持ちでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/81
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082・横尾和伸
○横尾和伸君 それだったら法律案を何で国会に出してくるんですか。何だかわからないという答えでしょう、今のは。日本籍船が多ければいいと思うけれども、どのぐらいかわからないと。外国の便宜置籍船でも用は足せると。何が言いたいんですか。なぜこの法律を出してきたんですか。私は数字がきちっと言えなきゃいけないと言っているんではなくて、それなりにこういう場合にはこういう考えを持っています、こういう考えのもとに法律を出してきましたということを言うべき立場じゃないんですか。むしろそれがあったから法律案が国会に上程されたんじゃないでしょうか。今のお話を伺っていると人ごとのようで、担当局長とはとても思えない答弁だったんですけれども。
生活保護の最低線を確保するという思想を持つのか持たないのか。数字が今言えないんだったら、昔は三百、その三百という根拠は国民の生活を最低限守るんだということの説明のようですけれども、今もその考えがあって、三百という数字についてはちょっとまだ検討不足だとかそういうことがあってもいいけれども、思想がなきゃいけないでしょう。国民生活の保護の最低線というのを守るんだという思想ぐらいあるのかないのかわからない答えでは、これは法律出さない方がいいですよ。
もう一回、答弁を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/82
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083・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 私どもがこの法案を出すベースとして計算というか想定をしていたことは、正直に申し上げれば、標準世帯収入と生活保護世帯受給額というものを仮定に置いていろいろ試算をしております。今私が申し上げた、望ましい最低限という言葉もないんですが、最低限必要な日本に出入りする船舶の試算としては、生活保護世帯受給額をベースに計算をしてこの船は確保したいという前提で国会に法案をお願いしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/83
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084・横尾和伸
○横尾和伸君 ますますわからなくなりましたけれども。私は前向きに、今回は器の中身がないけれども器だけでも何とか成立させて、次に中身をというようなことができないものかということで必死なんですよ。それに対して、私には考えがありませんというふうに聞こえるんです。これはしっかり今後審議会の専門家の方、委員の方に詰めていただくのもそうですけれども、局長御自身が自分の頭の中で、自分の心で考えなきゃいけないんですよ、そういうものをこれからつくっていただきたいと思います。
そこで、私は今自信を持って言えるわけじゃないんですけれども、船舶の保有率を含む海運自給率みたいな、言葉はどう変わってもいいんですけれども、日本としてやはり対外的な発言力もあろうし、それからリーダーシップをとるということもあろうし、先ほど来の危機管理という面もあろうし、そういう観点から海運の自給率のような考え方というのはやはり海運国、島国の日本としてあってもいいのかなと。むしろこういう思想を裏づける詰めをしていただけたら、海の日ということも国民は納得しているわけですし、中身ではなくて今回制度としてスタートしょうとしているわけですし、こういう御検討をしていただきたいと思うんです。
ちょっとこの点については通告をしてないんですが、基本的な方向で結構ですが、局長、大臣、御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/84
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085・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 海運自給率という表現、ちょっと私も不勉強で今初めてお話を伺ったようなわけであります。概念的にと申しますか日本として必要なと申しますか、今度の制度、先ほど来局長が答弁申し上げておりますが、あくまでも数値目標と、なかなか難しいことであろうかと思いますが、もうこれ以上いわゆる急激な減少を食いとめると申しますか、そういう視点に立って法案を提出し、またそのような視点というものが今先生御指摘の自給率というかそのようなことではなかろうか、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/85
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086・横尾和伸
○横尾和伸君 大臣には急な御提案で少し乱暴だったと思いますので、結論がどうかということにはこだわりませんけれども、ひとつ前向きに御検討をいただきたいと思います。
次に、ちょっと補助金の今回の措置内容に関連してお伺いします。
運輸省が大蔵省に提出した今年度予算の概算要求の中では六億円の国庫補助、これは要するに運輸省としても考えに考えて、これはもう省内あるいは局内では相当前から御議論もされ検討されていたものだと思いますけれども、やむにやまれず関係者の合意も得た上で六億円という予算要求をされたんだと思うんです。細かいことは結構ですが、この考え方、概略どういう思想に基づいてどういうことをしようとしているのか御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/86
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087・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 平成八年度の概算要求でございますが、これは税制と複雑に絡まっておりますけれども、まずそういうことをちょっと捨象しまして予算要求だけのところで申し上げますと、日本籍船の国際競争力の低下の大きな要因は、先ほど来申し上げておりますように人件費のコスト差ということが一つあるということでございます。
その点に着目しまして、これは船員税制とも絡むんですが、予算要求だけに限定して申し上げれば、当時の日本籍船を二百二十五隻、これは流動的なものですからその後悉皆調査しまして二百十八隻になったんですが、当時二百二十五隻と推計をしておりまして、これを対象に船長、機関長及びこれに至る育成過程中の船員、これは船長、機関長になるための養成期間等を考慮しまして一隻当たりに一・二人いるということで、船長と機関長合わせて合計三・二人になりますが、について日本人船員と外国人船員のコスト差、細かい数字は省略させていただきますと年間約一千万円との試算の一部をカバーするということで、四分の一をカバーするということを積算のもとに要求をさせていただきました。
それから、この法案とか実行までに実施期間があるものですから、通年ではなくて限られた期間をベースに要求したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/87
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088・横尾和伸
○横尾和伸君 こういう財政の厳しい折に六億円の要求をされたと。その内容を今お聞きしますと、当面初年度が六億円ということで、その根拠は対象の期間がスタートするのが遅いからという単純な話ですから、もしこれが要求どおりになって二年目からは単純にすると四倍になる、二十四億円。基本的には毎年二十四億円かかるということになろうかと思うんですが、この財政難の折にある程度、半永久的にとは言いませんけれども、ある期間相当続くということで二十四億円支出するということは大変なことだと思うんです。この大変なことをしようとしているということの自覚、そのことを、先ほどから申し上げていることと裏腹の話ですから、ひとつ十分御認識を深めていただきたいと思うんです。
時間の都合で、次に、同じ問題でこの補助金をカットした理由。財政難ということはわかるし、そうそう自由競争の分野にルールの違ったことをできないということもわかるんですけれども、今回大蔵省が運輸省の予算要求に対してカットをしたと、そのことも業界ではというか国民にはよく見えているわけですから、その理由をお聞かせいただきたいんです。
これはなぜ聞くかというと、本会議の私の質問に対する久保大蔵大臣の御答弁の中に「なお関係者間で国際船舶制度について検討、調整すべき課題が明らかになったことから、今回認められた税制改正等の効果を踏まえつつ、」云々ということで、「検討、調整すべき課題が明らかになった」から認めなかったんだと。補助金を認めなかった理由が「課題が明らかになった」からだと言っているんですが、これの続きを受けて「明らかになった」と明確に言われているんで、何が明らかになった課題なのか、それをお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/88
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089・南木通
○説明員(南木通君) 国際船舶制度につきましては、ただいま御指摘がございましたように、八年度予算要求におきまして運輸省から、外国人船員と日本人船員との人件費差の一部を助成するための補助金が要求されたところでございます。
その後これは、ただいま御指摘がありましたように、大蔵大臣が本会議で御答弁申し上げたわけでございますけれども、「予算編成過程の議論の中で、なお関係者間で国際船舶制度について検討、調整すべき課題が明らかになった」ということで「今後、国際船舶制度のあり方につき関係者間の調整を図りつつ議論を深めていく」ということにしたところでございます。
具体的なことでございますけれども、今般、税制面での支援措置が講じられたわけでございます。これに加えまして、日本籍船をある程度維持するために人件費の高い日本籍船のコスト削減のためにさらにいかなる措置があり得るか、また緊急時の輸送体制のあり方、特にそれをいかなる形で担保すべきかというようなこと等につきまして、今後とも関係者間で検討を続けていきたいという御要望がございました。それを受けまして、新たに国際船舶制度に関する調査費という形で計上したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/89
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090・横尾和伸
○横尾和伸君 明らかになった内容というのは今代表例として言われたんでしょうけれども、かなり基本的なことを言われているんですね。これから詰めなきゃいけない問題、「検討、調整すべき課題が明らかになった」と、明らかになった内容は基本的問題だと。基本的問題について説明し切れなかった運輸省はどういう釈明ができるんですか。
要するに、今大蔵省は基本的な二つばかり代表例を挙げましたけれども、その問題について、今まで説明を受けた話ではわからないと、そのことが明らかになったからそれをこれから詰めるんだと。高度な問題だったら別ですけれども、基本的な問題がまだわからないからこれから明らかにするんだ、こう言っているんですが、運輸省はどう大蔵省の対応を理解して受けとめているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/90
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091・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 今、主計官からお答えございましたけれども、税制とも絡むんですが、私どもとしては一生懸命、人件費コストを削減するために、それで一層国際競争力を高めるためにということで御説明申し上げたんですが、やはり今御指摘ございましたように、具体的配乗をじゃどうするんだということについて私どもの説明ができなかったことも事実でございます。それは私どもの勉強が足りなかったというよりも、というのもありますが、関係者のコンセンサスがなかったこともあります。
それから、航海命令ということで特定の産業の特定の者に補助金を出すとすれば、やっぱり義務が要るというような御指摘もございました。それはほかとのバランスの問題です。そして、航海命令についてどうするんだということでございますが、これもさらにお尋ねがあればお答えいたしますが、そこにつきまして最終的に関係者間で意見がまとまらなかったというところでございます。
その点につきましては、先生の御指摘のように私どもの不十分なところがあったわけでございますが、私どもいろいろなそういった補助制度も含めまして、国際船舶のコスト差が縮まるような手法もほかにいろいろ考えまして再度挑戦していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/91
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092・横尾和伸
○横尾和伸君 先ほどの前の問いでも申し上げたけれども、六億というのは実態が二十四億ですからそう簡単なことじゃない。それから、ルールとしても逆行するルールをあえてつくろうとしているわけですから、もっと本気になって詰めないとそんな簡単なことじゃないんですよ。それはまた期待をして、次の課題に移ります。
国際船舶制度を今回創設をするというのが今回の法案の中心だと思いますけれども、その柱は許可制を届け出制にして勧告制度をくっつけるということと税制の改正だと思うんですが、その第一番目の許可制を変えるという問題をお尋ねします。
従来の許可制で何がまずいのかというその届け出制に変えなきゃいけない理由、まず許可制の問題点に絞って伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/92
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093・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 許可制の問題点でございますが、日本船舶は一定の貨物船を除いて海外譲渡するときに許可を受けなきゃならないという規定がございます。これも先ほど御説明申しましたけれども、二項で「前項の許可の申請が、その許可によって船腹の供給が需要に対し著しく不足にならず、且つ、海運の振興に著しく支障を及ぼすことにならない限り、これを許可しなければならない。」と書いてあります。
これは昭和二十四年の法律でございまして、その当時のアメリカや何かの事例を見ながら案をまとめたんだろうと思いますが、この条文によりますと、まず船腹の供給が需要に対して著しく不足になるということでございまして、我が国に出入国する内外船が、我が国籍船を売ったことによって内外船の現状から見て供給が需要に対して著しく不足になるということはまず考えられません。
それからもう一つ、海運の振興に著しく支障を及ぼすということでございますが、これは当時は先進海運国が海運秩序の安定とそれから安定的供給で国際カルテル、海運同盟というものをつくっておりまして、それが配船とか賃率の調整をやっていたわけでございます。そのほかに盟外船というものがありまして、日本船舶を売ることによって盟外船化する、そういうカルテル外の船になって海運秩序を乱すことが海運の振興にならないということで、それについては許可をする必要がないけれども、それ以外は全部許可をしなさいという規定でございます。
したがいまして、申請があって、その申請に基づいて、形式的な要件がそろっていれば役所としては定められた審査をして許可をすべてしている、こういうことでございまして、要するに形式化してしまっているということが問題であったとすればそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/93
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094・横尾和伸
○横尾和伸君 何か本末転倒したような話でよくわかりませんね。今のは説得力がないと思いますよ。
第一項で許可制の骨子をうたっていて、第二項で許可をしなければならない条件を設定しているわけですね、あるいは許可をすべき条件といいますか。それの裏返しでもいいですけれども、二項を変えればいいんですよ。後でそのことをちょっと申し上げますけれども。
そうしたら、今回の措置で海外流出を防止するために国際船舶制度の骨子になる、許可制、届け出制の対象になっているこの部分、これは基本的に規制を強化する必要があるのかないのか。これ、イエスかノーかですけれども、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/94
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095・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 一言で言えば、形骸化している制度を実効力のある制度にし、日本国にとって必要な船舶がいたずらに海外流出をしないようにした制度であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/95
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096・横尾和伸
○横尾和伸君 ある条件をつけて規制をしなければならないことはするということを今求められているわけですね。そうしようとしているわけです。逆に、今度は届け出制と許可制という、その制度としての禁止の強さといいますか、これはどっちがどうだと思いますか。
ある条件下で規制をしなければいけないということを今お答えになった、何でも規制をするというわけじゃないけれども。今まで本会議で聞いた答弁ですと、この許可制がありながら許可をしなかった例はない、すべて許可をしてきたと。しかし、それはそれとして、それは恐らくこの二項が原因だと思うんですけれども、その許可制と届け出制、これは一般論として届け出制は届ければいいわけでしょう。許可制は権利を解除するというのか、専門用語でもっといい言い方があるんでしょうけれども、許可をあえておろす、許可を出すということになるわけで、極めて許可の方が制度としては強いということはこれは常識じゃないかと思うんですよ。反論があったら後で別なときに言っていただいて結構ですが、時間の都合で先へ進めます。
そうだとすれば、二項を今回の改正案の届け出制にして、勧告を出す条件というのがあるでしょう、四十四条の三、中止の勧告を出す要件なり考え方が規定されておりますけれども、この同じ考え方を許可制の中にぽんと入れればいいんですよ。第二項が許可制ではまずいというのは先ほどの理由であって、第一項、現行の四十四条の二の許可制そのものの性格がまずいという説明はさっき伺ってないんですよ。どうしてその根幹的な問題を逆行させて、そして二項を変えずにこの根幹である許可制まで変えてしまうのか、その点についてお考えを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/96
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097・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 立法技術的なことであればいろいろな考慮があったわけでございますが、私どもとしては、外航海運が完全な国際競争のもとにあって諸外国との間で競争しているということでございます。したがいまして、経済的自由というのも必要であります。規制を強化することによって外航海運が立ち行かなくなれば元も子もなくなるわけでございます。したがって、経済的自由を与えながら、私どもとしては税制その他の一定の助成措置をすることによって日本国海運の国際競争力を高め、かつその上で勧告という一見緩いんですが、指導といいますか誘導的な措置をとるということでこのような制度を仕組んだわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/97
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098・横尾和伸
○横尾和伸君 助成措置でやわらかくして、助成措置で誘導するという趣旨だと思うんですけれども、そんな助成措置になっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/98
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099・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 私どもが最初に要求したものからすれば先生の御指摘のとおり必ずしも満額ではないわけで、何割だと言われると非常につらいんですが、できる限りのものしか得られなかったということでございます。ただ、登録免許税、固定資産税もございますが、その他に教育訓練施設の特別償却というのもございまして、これらと相まって船社経済についてかなりの税制面からの改善が図られたと思います。
それからもう一つ、全部もらわないと進めないというと、なかなか全部くれないわけでございます。主計官がおられないから言うわけじゃないんですが、私どもとしては、もらったものをまずコアといいますか核にしまして、これを踏み台にして少しずつでもいいからだんだん大きくしていこうという覚悟でこういうものをいただいて制度を考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/99
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100・横尾和伸
○横尾和伸君 だんだん大きくするのはいいんですけれども、そのだんだんのだんを少なくしないと、影も形もなくなれば、それを必死になって運動する人もいなくなってしまうんですよ。そういう意味でだんだんというその期間がどのぐらい短く考えているのか、どのぐらい長く考えているのか、ニュアンスでも結構です、できるだけ早くということが必要だと思うんですけれども局長いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/100
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101・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) まさに先生がおっしゃいましたように、できるだけ早く大きく階段を上っていきたいと思っていますので、ぜひ御支援をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/101
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102・横尾和伸
○横尾和伸君 先ほど来届け出制に変えるのは、全体としては規制を強化しないととめられないけれども、一見柔らかくするために変えるんだと、それでその裏づけとなる中止勧告というのを出すからということなんでしょうけれども、その中止勧告を出せるのかどうかが非常に私は心配なんですよ。
本当は許可制という制度を残して、四十四条の二の第二項の方を改正して、許可制の中でこれこれこういう条件下以外は許可しなきゃいけない、それ以外はという中にきちっとしたものを今回の中止勧告の趣旨を入れれば一番よかったんだと私は思うんです。それでも、世の中が規制緩和の時代だから形だけでもということかもしれませんが、そうだとすれば、中止勧告を出す判断基準というのは、やっぱりきちっと判断ができて、きちっととめるべきはとめる、あるいはとめるときの考え方はこうだ、それなりにある程度周知を図りながら合意形成をしていくとか、いろんなやり方があろうかと思うんです。
ただ、今示されている中止勧告を出す判断基準及び勘案事項、こういったことが余りにも抽象的過ぎて、これでは恐らく勧告を出す決断ができないんではないか。制度が弱くなってなおかつ勧告を出す。またその勧告も乱発して、乱発された船会社の方が数社が集まって一緒にその勧告を無視すれば怖くも何ともない、罰則も何ともない、みんな一緒に渡れば何でもないということにもなりかねないわけで、今はこういう段階で中止勧告を出す判断基準をある程度示す、あるいはお持ちであるということでないといけないと思うんです。そういう点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/102
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103・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 法文に書いてありますとおり、三つの勧告の要件がありまして、それを総合的に勘案してということでございます。
それで、これは確かに船種ごとに船腹量に占める日本籍船の割合が一〇%とか何%か言えという基準は、私今答える資料を持っていませんし、まだ決めておりません。そういう面ではお許し願いたいんですが、そういう基準。
あるいは、一定国への便宜置籍国への船の集中、これは特定の国に今六、七割行っているわけです。それから、その他の国で一、二割行っている国もあります。ちょっと名前を言うとすごく語弊があるのでそれはお許し願いたいんですが、そういうところの政情がありまして、もちろん船社さんも自分の商売ですからそういうところの政情のことをよく考えると思います。ただ、我々が外交手段、外交ルートを通じて知ったとか、あるいはそういうような状況が我々だけに伝わってきたというような場合については、そういう置籍国への移籍がどうであろうかと勧告するつもりでございます。
それから、具体的にもう少し申し上げますと、例えばLNG船とかLPG船とか非常に難しい操船、操船だけじゃなくてその船自体が一つの工場みたいなものでございまして、操船技術だけじゃなくてそれを管理している技術についても重要なものがあります。これらの船がどんどん海外に売られていって、そういう管理能力が絶えてしまうということになれば、これは勧告をいたさなきゃならない。
個々具体的に挙げれば私の今想定しているところがあるんですが、ただ何割になったらどうだということにつきましては、申しわけございませんが今そういう基準を持って用意をしているわけではないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/103
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104・横尾和伸
○横尾和伸君 数字だけを求めているわけじゃないんですけれどもね。もう少しきちっと、答弁の仕方の問題よりも、運輸省さん内部でその辺のところを詰め切っていないんじゃないかということを私は感じて余計心配になったんです。
例えば、先ほど三百隻ぐらいは、これは仮の数字でもいいですよ、それは二百でもいいんだけれども、それなりにあるイメージがある、どうしても確保したいということが言うに言えないけれどもあるんだと。しかし、二〇〇〇年の予測というのは、これはどこでしたのか、百隻を割り込んでしまうと。ことしの四月時点で二百隻を割り込んでいるということのようですけれども、その三百隻なり二百隻なりが急激に三、四年でもう百隻になってしまうというかなり確からしい予測が今ある。その目標を達成するためにはそれなりにストップをかけなきゃいけないんですよ。今補助金といってもない。わずかばかりの税制、それでとまるとは到底思えないんです。思えるんだったら反論していただいていいんですが、思えないのにつまらないことを言わない方がいいと思いますが。
それで、今聞きたいのは、勧告は年に何回ぐらい出したら、百隻になるであろうものが二百隻なり三百隻なりということを確保できるのか。年に何回ぐらい出すことを予想されているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/104
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105・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 大変難しいお尋ねでございます。
実際上申し上げると、これはちょっと答弁じゃないんですが、船社経済で初めどうしようかということを考えるんだろうと思いますが、一つあるのは、古くなった船を売って新しいものを買う、そういう場合がございます。それからもう一つは、もうかってないんだけれども、もうどうにもこれは維持できない、これを維持していると会社がつぶれちゃうということになると、船社さんは、もちろんそこで働く人々との交渉がありますが、それを経て売るということがございます。もう一つは、採算は合うんだけれども、それで日本の国にとって私どもが必要だと思う、しかし今船価が高いから売ってしまおうというようなケースがあります。そういったケースをすべて想定して今何隻だという、勧告するんだということのお尋ねに対して、何隻ということはどうしても私答えられないわけでございます。
それからもう一つは、これは私どものあれじゃないんですけれども、幸いなことに円が少し戻ってきているというか安くなってきているんです。一円円が上がることによって、これはこの法案と関係ない一般的な海運の情勢なんですが、十三億とかそういう数字の営業収支の改善になるというところもあります。
そこら辺を見ながら、かなり収益が上がるようになれば船社さんもそうやたらに船も売ることもないだろうし、また私どもに対して、売らないと海運企業がやっていけないんだ、この優良船も売るんだということのもしお申し出があったとしても勧告で対応できる、こういういろんな絡みの中で考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/105
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106・横尾和伸
○横尾和伸君 業界の中の営業収益が上がれば何とかなるということで期待をされているようですが、期待できるんだったらこれはつくらなくてもいいんじゃないですか。よっぽど切迫しているから特別なことをしようとしているわけでしょう。余り言葉を遊ぶようなことはしてほしくないんですよ。
それで、私が言いたかったのは、何回かを聞きたいんじゃなくて、数年後に百隻になるという勢いで今真空化が進んでいる。それをとめるといろのであれば、毎年二、三回勧告を出せば済むという問題じゃないです、そのくらい厳しい状況なんじゃないか、その認識が足りないんだろうということを言いたかったんですよ。
勧告そのものも、先ほど言いましたように効力が疑わしい。勧告すれば必ずしも勧告に従うとは限らない、状況が厳しければ限らない。その厳しい状況にどんどん近づいている、だから大変だ、こう言っているわけで、だから、制度の骨格そのものを許可制から届け出制にがたっと下げて、下げたからには勧告をちゃんと受け入れてもらえるように、あるいは受け入れざるを得ないようにしなければ意味がないんですよ。そういうことをこれからしっかり詰めていただきたいと思うんです。
それで、もう一つ税制について伺いますけれども、運輸省の税制に関する当初案の登録免許税非課税、固定資産税非課税、船員税制については所得税非課税、個人住民税非課税、これはある意味では、横並びの税制の、国民の負担の公平性からすると大変思い切った御提案だったと思うんですが、この考え方を御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/106
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107・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) さっきの予算要求との裏腹なんですが、やはり日本籍船は、その他の関係経費も諸外国の船と比べて、発展途上国の船でございますが割高である、それから人件費のコスト差もあるということで、あわせてこれを税制改正についても、船員税制あるいは固定資産税あるいは所得税等について税金がまからないか、こういうことでございます。
登録免許税と固定資産税につきましては御理解を得まして、我々としては第一歩としてそれなりのいただくものはいただいたのかなとは思っております。
船員税制でございますが、これは人件費コストの差のためにお願いをしたわけでございますが、これにつきましては、大蔵省さんとか自治省さんとかいうのもそうなんですが、税制関係の国会の先生方のいろいろ御説明に上がったわけでございます。そうしたところ、これも先生のおしかりを受けてしまいますが、船員さんの税金を安くするということは、その安くした分を船会社に戻すという仕組みを考えて私どもは要求したわけなんですが、ここが結局、平たい言葉で言えば主計局と主税局を運輸省がやるのか、こういう制度になるわけでございまして、そこら辺がどうかなという御意見がございました。
それから、これも私どもももうちょっと勉強しなきゃいけないんですが、船員さんとか日本国籍船は確かに重要であるけれども、例えば夜中に働いている看護婦さんはどうなのか、それから過疎地帯のお医者さんはどうなのかというようないろいろな他とのバランスの御指摘も受けまして、そことは違った、船員さんだけに特別の義務がかかるとか、何かそういう説明をしてもらわないとなかなか自分としてもしにくいなというような、いろいろな先生方の御意見もありまして、私どもとしてはそういった改善が得られなかったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/107
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108・横尾和伸
○横尾和伸君 聞いていることをしっかりお聞きいただきたいんです。私は、運輸省がどういう考えで要求をされたのかと。要求が落とされた言いわけを聞いているんじゃないんですよ。それは大蔵省に聞こうと思っていたんです。局長が図らずも大蔵省の立場に立って切った理由を説明されたので、その点はちょっと飛ばしまして、それでは次に行きます。
大蔵省が査定をした結果、八年度予算にわずかばかりの税制が、わずかばかりというのは効果を上げるという観点からです、決して額が少ないからばかにしているというんじゃなくて、今回の目的となる効果が上がるか否かということからするとわずかばかりの税制の措置である、こう言いたいんですけれども、その主なもの、登録免許税と固定資産税、例えば登録免許税は四分の一にしたと。その数字だけ見るとすごくありがたそうなんですけれども、これは額にするとどのくらいになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/108
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109・伏見泰治
○説明員(伏見泰治君) これは運輸省とも御相談させていただきましたが、一定の前提を置きまして推定をいたしております。一概には申し上げにくいところがございますが、一億円から二億円の間ぐらいかなというふうに推定をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/109
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110・横尾和伸
○横尾和伸君 登録免許税というのは新しく船をつくった初年度だけにかかるということですね。今、新しく船をつくって日本国籍船にするということ自体が極めて少なくて困っているんです。その対象になるというのは、今のお話ですと一億円から二億円、随分、二倍ほど差があるんです。
運輸省資料による将来予測という資料があるんですけれども、これによると三年間は毎年五隻ずつ、次の三年間は三隻ずつ、近年の状況からして新しい船が日本籍船に登録されると仮定して予測したところ、先ほど言いました紀元二〇〇〇年には百隻を割ってしまうという話だったんです。この予測によると五隻ほどだということなんですが、仮にこの仮定が正しいとすれば、税制の改正による恩恵を受けるのは船の数にすると五隻程度ということになりますけれども、その合計額が一億円から二億円ということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/110
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111・伏見泰治
○説明員(伏見泰治君) 当面の八年度の推計でございますが、これによりまして、今回の制度あるいはその他諸施策という全体としまして、私ども持っている資料でございますが、平成七年度には日本籍船約十二隻が建造されていると承知しておりますという状況等を踏まえまして、八年度におきましても最低限そのうちの半分国際船舶として建造されるものがあるだろうということで、船価にもよるわけでございますけれども、おおむね一億から二億の間の登録免許税の減収になるのかなという推計をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/111
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112・横尾和伸
○横尾和伸君 その際の対象船舶数、どういう仮定を置かれたんでしょうか。税金がかかるであろうとして試算されたわけですね。何隻が対象になるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/112
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113・伏見泰治
○説明員(伏見泰治君) この点は、むしろデータはもちろん運輸省からいただかないとできないわけでございまして、五隻と推計をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/113
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114・横尾和伸
○横尾和伸君 その程度なんですね。先ほど言いましたように、補助金はなくなった、許可制は届け出制になった、がたっと規制力が落ちた、そして税制だけはやったぞという御答弁もあったんですけれども、その税制の一番中心のものは四分の一に減った、これはすばらしいことだと思って今お聞きしたら、今二百隻が数年の間に百隻になろうとしている、これをとめようとするのに対象になるのは五隻しかないと。仮定ですから正確な数字じゃないけれども、そういう前提を置かれるということは恐らく実態がそういうことだと思うんです。
逆に言えば、その程度の影響しかないんだなということで大蔵省は判断をされたんだと思うんですよ。その程度かどうかわからないけれども、少なくともその判断が大蔵省の専門の分野だと思うので、それはそれでいいとも悪いとも言いたいわけじゃないんだけれども、要は、この税制は四分の一という看板をかけていながら対象になるのはほとんどない。ほとんど空振りなんですよ。税制でこれだけのことをやったと威張るほどの内容じゃないんですよ。そのことを一つ申し上げたいと思います。
もう一つ、その並びで固定資産税の課税標準を変えた、これが唯一今申し上げた登録免許税の四分の一と並んで柱になっているんですけれども、これはどのくらいの減収を想定されておりますか。これは自治省さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/114
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115・片山善博
○説明員(片山善博君) 固定資産税の減収につきましてもやはり一定の前提を置いて計算せざるを得ませんが、仮に現在の地方税法上の外国貿易船に該当しているもののうち、例えば五五%から六五%ぐらいの程度のものが国際船舶に対します固定資産税の特例対象になる、こういう前提を置きますと、特例率が十二分の一から十五分の一に変わりますので、この拡充に伴います追加の減収見込みが八千万円ないし一億円程度、こうなるものと見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/115
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116・横尾和伸
○横尾和伸君 税制だけはやったという意味でも、やった内容は額にするとせいぜい今も言われた一億円から二億円。それから二番目に、固定資産税の点については一億円弱と。むしろ、これで制度の効力を弱くして、許可制から届け出制にして、これほかに制度としてないわけですね。非常に今回は中身がないと私あえて冒頭に申し上げました。失礼を覚悟で申し上げる、もしかしたら、私の失礼よりもこういう法案を出してくる失礼の方がひどいんじゃないかということを想定して申し上げているんですけれども。
そういうことで、今政府が提案しているのは、器としては国際船舶制度としてそれなりに格好はよさそうですけれども、中身がないんです。この問題が中身がないままに推移してしまえば、これは住専と同じような後悔を、しゃれじゃないですよ、後悔をしなきゃいけなくなつちゃうんですよ。
それで、もう一つ申し上げますと、二千万調査費をつけたということなんですが、一年単位で調査費をつけるとなると、普通今までお役所が調査というと一年単位、しかも年度を越えて数カ月後あるいは半年後に出てくるんです、調査結果が。そうすると、今から一年以上かかることを心配しているんですけれども、先ほど言いましたように、四年ほどたつと百隻、半分になつちゃうということを予測しているわけで、この一年というのは物すごく貴重なんです。
したがって、今回の二千万という調査費は、まさか一年かけて結果を出すなんていうことを言うんじゃないんでしょうね。今年度内に使えばいいわけですから、三カ月で使い切ってもいいわけです。早急に結果を出すべきだと思うんですけれども、その点はどうお考えなんですか。来年もまた調査費をつけて何年も延ばすのか、あるいは本年だけにして、しかもそれをもっと短く結論を出して検討に使うのか、その辺をお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/116
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117・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) この調査費なんですが、我々としては二千万円ということで、調査費の単位にすればまあそこそこいただいているかと思っております。
これは何年もかけて調査をするというんじゃなくて、さっき申し上げましたようにSECOJというところで勉強会をつくってございます。そこの費用でございます。そこの費用というのは、そこの方々の謝金じゃなくて、例えば日本籍船が何隻要るのかというコンピューターを回したり、それから諸外国で何か新しい施策を今やっぱり先進国では議論しているわけで、そういったものをいち早く取り入れて調査というか何か私どもの手本にできないかとか、そういったいろいろな作業費でございまして、何かレポートを書いて文章を書くということが主眼の調査じゃないので、まさに毎月使っている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/117
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118・横尾和伸
○横尾和伸君 そんな言いわけはいいですから、早く出さなきゃいけないですよ。そういう作業をしていなかったこと自体が問題なんです。今さらそんな基本的なことをすること自体が問題です。しっかり頑張って急いで結論を出して、検討を急いでください。
最後に大臣にお尋ねしたいんですけれども、こういった器だけつくって中身が今回は残念ながら入らなかった、この次は内容をできるだけ早く入れて実効あらしめんとするのが今一番大事なことだと思うんです。我々人間でいえば、虫歯だったりあるいはがんだったりすれば、少々のことがあっても早く手術をしなければいけない。そういう意味では、もう既にこの問題はかなりのところまで来ている。したがって、あと何年も待つ、あるいは何年たたなければ検討ができないなんてことを言っていられないので、ひとつその点を踏まえて大臣の御決意を伺って、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/118
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119・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 御審議の中で申し上げておりますとおり、この制度をまず第一歩と認識をいたしております。特に、税制の問題あるいは調査費等々の問題につきましても、実は私は運輸大臣に就任する前この問題にかかわっておりまして、いろいろ努力をしてきたわけでありますが、大変厳しい財政状況、また税制の問題もスクラップ・アンド・ビルドと、こういうような中でなかなか新しい制度というものの導入ができなかったわけでありますが、ようやく一つの制度というものをつくることができたわけであります。先ほど来委員御指摘のように、この置かれております現状を十分認識しておりますので、そのさらなる拡充のためになお一層努力をしてまいりたい。また、時期の問題も御指摘がありました。そのような時期を逸することなく対応を拡充してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/119
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120・横尾和伸
○横尾和伸君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/120
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121・瀬谷英行
○瀬谷英行君 この委員会で今まで質疑応答で論議が行われました中で、私聞いておりまして非常にもどかしい思いをしたことがございます。それは竹島の問題でした。
前回、何名かの方から御質問がありました。この竹島問題は、随分昔からこの領有をめぐってトラブルの材料になっているような気がするんでありますが、政府側の答弁としては同じことが繰り返されているわけです。しかし、近々橋本総理大臣も韓国を訪問される、あるいはまたサミットに出席をされる、国際会議という舞台に立たれるということなんでありますから、出先でもって何回も同じことを繰り返していても一向に前進しないわけですね。こういう問題は、政治的に解決の方向に向かうように努力をするのが為政者の使命であろうというふうに私は思いますので、この機会にどのような解決の方法が有効であるかということについて大臣のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/121
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122・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 現在、外交を通じて、外務大臣を通じいろいろ話し合いが行われておるわけでありまして、政府の一貫した考え方、こういうことは変わらないわけでありまして、外交ルートを通じて早期にこれらの問題が解決できるようになお一層努力をすることが必要じゃなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/122
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123・瀬谷英行
○瀬谷英行君 問題が日本と韓国の間にある島の問題なんです。幾ら地図に書き切れないような小さな島であっても、海の上に陸が上がっていればこれは島なんですから、やはりこれらの問題を何か出先の役所が交渉でもって解決をしようとしてもできるわけがないんですよ。だから、例えば、国際舞台でもって問題にするならば国際司法裁判所のような機関もあるわけです。ただ、相手がこれに応じないということになれば手だてがないことになってしまう。両国の外交問題として真剣に取り組むことが問題解決のために必要であろうというふうに思うのでありますけれども、この点について、努力が足りるとか足りないとかという問題じゃないんだけれども、同じことを繰り返していたのではいつまでたってもらちが明かない、ここで審議をしてみんなが話題にしてももどかしい思いをするだけだということになると、もうそろそろ解決策というものを思い切ってどんと打ち出すという時期ではないかと思うのでありますが、この点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/123
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124・別所浩郎
○説明員(別所浩郎君) 竹島問題につきましての我が国の立場が一貫しているということは、運輸大臣からも御答弁があったとおりでございます。他方、この問題に関しまして、日韓両国の立場の相違が両国民の感情的な対立に発展して両国の友好協力関係を損なうことは適切でないと考えております。あくまでも韓国とは話し合い、冷静に話を積み重ねて努力してまいるというのが政府の基本的な態度でございます。
先ほど、国際司法裁判所についても先生言及されました。御案内のとおり、また御指摘のとおり、我が国が一方的に提訴をしたとしても、韓国が応訴する義務がない以上、国際司法裁判所の管轄権が設定されないということもございまして、この問題については引き続き検討を要する側面があると認識しております。もちろん、御案内のとおりに、かつて一九五四年に我が国が国際司法裁判所に提訴するということを韓国側に提案しましたけれども、韓国側がこれを拒否して現在に至っているわけでございます。
いずれにいたしましても、政府といたしましては、あらゆる可能性を検討しつつ、本問題の平和的な解決のために粘り強く努力してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/124
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125・瀬谷英行
○瀬谷英行君 国際司法裁判所が本来ならば取り上げるのに適当な問題であるというふうに私は思うんです、今までの経緯からすると。それを日本側が提案をしても韓国側がこれを拒否するということは、向こうに自信がないからだというふうに見られてもしようがないと思うんですね。これも一つのてこにして今後の交渉に当たってもらった方がいいんじゃないか、こういう気がいたします。
しかし、それはそれとして、さらにこの問題について考えてみますと、外交上の問題であっても、海の上の問題ですから、この小さな島を起点にして領海というものを主張されるということになると、海上交通やら漁業やらあらゆる面でいろんなトラブルを引き起こすことになると思うんですね。トラブルを起こしたけれども、原点がはっきりしないということになると、これまた解決の方法がつかないということになって大変不幸なことになると思いますから、あらゆる可能な手段、相手方が納得せざるを得ないような手段を外交的にも講じていくということが、海の安全ということから考えてみても必要だろうというふうに思いますから、具体的な安全面の理由ということもこれまた大きなファクターとして考えていただいて交渉に臨むべきであると思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/125
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126・別所浩郎
○説明員(別所浩郎君) 今、委員御指摘のとおりに、海上の自由交通、安全交通、あるいはそれ以外の経済的な活動にもいろいろかかわってくることでございます。そういったことも踏まえまして、日韓両国間で平和的な解決を図るべく外交努力を引き続き粘り強くやってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/126
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127・瀬谷英行
○瀬谷英行君 この竹島問題も大分古くなりましたけれども、やはり同じようにもうかなり古くなった問題として日韓大陸棚の問題があるんです。
この日韓大陸棚のときは、結局、日本と韓国とが共同で大陸棚の開発を行う、あそこを掘って石油が出るだろう、石油が出たならばその利益は折半をしよう、こういう話でもって国会に問題が提起されました。そういうおとぎ話みたいな話は信用ならぬということで、当時野党だった私どもは反対したんでありますが、結論的に言うと、当時自民党と民社党が賛成をしたけれども野党は反対したということで、強行採決が行われました。その強行採決が行われたために国会がストップをするといったような事態を招いたんですね。
だから、あの日韓大陸棚の問題はうやむやにしちやいけないと思うんですよ。今日までどうも話がわからないんです、どうなったのか。やってみたけれども石油は出なかったんです、一滴も。大山鳴動してネズミ一匹という話がありますけれども、大山鳴動して油一滴も出なかった。とすると、あれはやはり一つの見込み違いであった、勇み足であったと。だから、まだ五十年という期限はあるかもしれないけれども、見込みがあるんなら見込みがあるでもって継続して検討してみる、試掘をしてみるということがあってもいいけれども、見込みがないんならばもう決まりをつけて、あれは失敗だったということで話を終わりにした方がいいという気がするんですよ。
大変古い話でもう具体的なことは忘れてしまいましたけれども、うやむやになったということだけは覚えているんです。一体あれはどうなったのかということもこの際はっきりしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/127
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128・別所浩郎
○説明員(別所浩郎君) 委員御指摘のとおりに、昭和四十九年に韓国との間の大陸棚に関する協定が結ばれたわけでございますが、御案内のとおりに、大陸棚の北部につきましては原則として中間線により境界画定を行うことが合意されたわけでございまして、今議員の御指摘の南部の方でございますが、南部については共同開発協定ということが提起されたわけでございます。
その後の状況でございますけれども、これまで二度共同開発が行われたわけでございますが、採掘には至りませんで、現時点では具体的な開発計画はないものと承知しております。その理由でございますけれども、地質構造に関する共同スタディーを実施したわけでございますが、当時の経済条件ではそれ以上の探鉱を行うのは適当ではないということで平成五年に終了したわけでございますけれども、ただ、今後の経済動向いかんによりましては、協定の定める共同開発区域を開発する可能性が生ずることもございますので、現時点ではその協定を終了させることはなく、今また状況を見守るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/128
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129・瀬谷英行
○瀬谷英行君 油が出なかったんだけれども、見守っていたんじゃなお出ないでしょう、これは。可能性があるのならばやってみる。
〔委員長退席、理事横尾和伸君着席〕
今までに使ったお金をむだにしちやいけない、こういう気がするんですね。もし可能性があるんならば、やはり見守るんじゃなくてやってみるというようなことをしなきゃいかぬと思うんです。見守るということはあきらめるということになるような気がするんですが、そう解釈する以外にないですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/129
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130・別所浩郎
○説明員(別所浩郎君) 私の説明が不十分、不適切だったかもしれませんけれども、まさしく今後の経済動向いかんによってはそういう共同開発を行っていく可能性が生ずるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/130
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131・瀬谷英行
○瀬谷英行君 話は違うけれども、私が知っている範囲では、ある町の町長さんが自分のところに温泉を掘ってみよう、何かそういう可能性があるというんで町の費用を一千万円ほど出してもらって掘ってみたけれども、温泉が出ないで出るのは水ばかりだった、こういう話があったんです。この話とややこれは似ているなというふうに感じたんです。しかし、だめなものはだめとして潔くあきらめた方がいいというふうに思いますから、余り人をごまかさないようにしてほしいという気がいたします。これ以上は申し上げません。
そこで、これまた今までの質疑をいろいろとお聞きしておりまして、日米航空協定、ここでもって日米間の不均衡といったような問題が、大臣からもちょっと触れられましたけれども、この問題もまだ不均衡が是正されないで、なかなかアメリカも言うことを聞かないというようなことがあるやに聞いておりますが、その辺はいかがでしょうか。この点、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/131
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132・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 貨物の問題につきましては一つの決着を見たわけでありますが、旅客の問題は、まだ機会均等、こういう点で是正をしなければならない課題があるわけでありまして、六月二十七、二十八日に正式協議の申し入れをいたしまして協議をワシントンでいたす、こういうことになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/132
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133・瀬谷英行
○瀬谷英行君 運輸委員会の課題は陸海空にまたがっておりますけれども、午前中の亀谷さんの質問だったかに離島航路の問題が出てきました。この離島航路の問題も、話を聞いてみるとなかなかこれは解決が難しい問題だなということを感じました。
本委員会でも、前に離島航路の視察を委員会でやったような気がいたします。大分前の話なのでいつだったかは忘れましたけれども、その際、沖縄から船に乗って奄美大島まで各島々をめぐって離島航路の実情を視察するということになったのでありますが、たまたまそのとき船が出てから台風が近づきまして、岸壁に横づけできるような状態であればよかったんですけれども、はしけでもってお客さんを送り迎えする、こういう状態だったんです。その島の名前もちょっと忘れましたが、大きな島じゃなかったです。
そのときに、台風が近づいたために波が高くなった。本船の方はそんなに揺れないけれども、はしけの方は上下に大きく揺れまして、そしてお客さんを運ぶときは、はしけの入り口の高さと本船の出入り口の高さとが同じになったときにひよいと飛び乗ってもらうというんですね、お客さんに。間違えば落っこつちゃうわけですから、両方から船員が間に立って、ちょうど高さが同じになったときにかけ声を上げてばっと乗り移ってもらう。若い男ならいいですけれども、子供をしょったお母さんなんかはこっちが見ていてはらはらした。
今まで数多くの視察がありましたしいろんなところを見てまいりましたけれども、あのくらいスリルに富んだといいますか、見ていてはらはらしたことはなかったです。だから、乗りおりにも時間がかかるわけですね。本船の方はいいけれども、はしけの方に乗り移ったお客さんは、全部乗り移るまでは大きく揺れるはしけに乗ったきりですから、そのはしけの中で酔って吐いたりなんかするという、まことに何とも言いようのないような情景を見たのであります。
離島航路ということがきょうも問題になりましたから、ああいうような航路、はしけでもって運んできて送り迎えをするというああいう状態が今でも残っているのかどうか。大分年月がたちましたから少しは近代的になったのじゃないかなとは思いますが、何しろ船のことですから設備が整わなきゃそう簡単に岸壁もできないだろうと思いますので、そういう状況の離島が現在でも存在しているのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/133
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134・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 私、直接の港湾整備の方の担当じゃないんですが、そういう航路は存在しております。幾つあるかはわかりませんが、存在しております。
したがいまして、先ほどお尋ねがあった件なんですが、ただ航路が維持されるだけではなくて、そこで乗降の便利、安全がやはり必要だと思います。だから、そういう面からも、私どもは運航の確保の方なんですが、担当の方にそういう島民の本当の容易さを考えた埠頭の整備をお願いしてきたところでございますし、今後もするつもりでございます。
ただ、そういう島は大変急に海が深くなっておりまして、そのまま本船が横づけできる埠頭をつくるのは大変時間とお金がかかるものでございます。したがいまして、今つくりつつあるものが、まだ使えないものもありますが、そういったものにつきましてもできるだけ早く完成するようにお願いをしまして、先生の御趣意に沿った、島民のことを本当に考えた航路運営ができるようにいたしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/134
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135・瀬谷英行
○瀬谷英行君 陸で言えば地方ローカル線みたいなものですね。だけれども、陸の上の地方ローカル線の場合は列車の回数が少なければ自動車を使うということもあるし、自動車がない場合には最悪の場合には歩くほかないけれども、海の上だと使う船がないということになれば泳いで渡る以外にないんですから、これはやはり設備を整えるということが航路自体の問題以上に深刻な問題じゃないかなという気がいたしました。
先ほど私がちょっと質問しましたのは、沖縄から九州までの間に島がたくさんありまして、その間の島を島伝いに船が渡るということを実際の視察で見聞したわけでありますが、いまだにそういうような方法でもってお客さんを運んでいる、あるいは荷物を運んでいるというところがまだ残っているのかどうか、それらの島々についての利用者の便宜を図る手だてができたのかどうか、その点を具体的にお伺いしたいと思ったわけです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/135
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136・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 私、先生が御視察いただいた埠頭をちょっと存じ上げないんですが、その埠頭であるかどうかは別として、例えば青ケ島ですとか、ここら辺の近辺も必ずしもすべてそういう本船が横づけできる埠頭ができているという状態ではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/136
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137・瀬谷英行
○瀬谷英行君 大分声が小さくなったから余り自信がないんだろうと思うけれども、要するにまだそういうところが存続しているんだ、こういうことなんですね。
沖永良部島とか与論島とか、何かそういったような島の名前を私記憶しているんですが、九州と沖縄との間には、そういう島々が今でもそういうような方法でお客さんを運んでいる、荷物を運んでいるということが残っているということなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/137
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138・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 細かいことは後ほど事務当局から詳細に先生のところに御説明を申し上げるということで御理解をいただきたいと思います。若干、専門の部局が来ておりませんので失礼をして申しわけございませんけれども、今の御趣旨を申し伝えまして、後ほど説明をさせたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/138
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139・瀬谷英行
○瀬谷英行君 はい、わかりました。
だから、そういう航路についてやはり採算は船の方だって合わないと思うんです。これは北海道あるいは九州、四国等におけるJRのローカル線は採算が合わないんですよ、今日に至っても。それは利用者が少ないからです。どんなに交通機関が一生懸命にサービスこれ努めたところで、利用者の少ないところが採算ベースに乗るわけがないんです。だから、そういうところはやはり公費でもって助成をするという以外に方法ないでしょう、うまい方法はないと思うんです。それらの点については、やはり住民の足を守るという立場でもって真剣に努力をしてもらう必要があると思うのであります。これは陸上であっても海上であっても同じだと思うんです。その場合に地方にばかり任せるということではこれは気の毒だと思うんです。だから、その辺のところは今後の問題としても十分にお考えをいただきたいという気がいたします。
その点についての大臣の御見解をもう一度お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/139
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140・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 私ども運輸省といたしましても、航路のいわゆる経営の効率性を高める、それは今先生御指摘のようなことでもございます。この助成措置の充実整備に努めてまいりたいと思います。また、このことは地方公共団体とも積極的に協議をし、そして離島航路の維持整備に努めることが必要と、このように考えておりますので、そのような措置をいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/140
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141・瀬谷英行
○瀬谷英行君 それでは今後の大臣の御努力を期待いたしまして、私の質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/141
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142・緒方靖夫
○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。
本題に入ります前に、本委員会冒頭で亀井大臣から御報告のありました福岡空港でのガルーダ・インドネシア航空機事故の被災者の皆さん、また関係者の皆さんに心からのお見舞いを申し上げたいと思います。
これはマスコミの報道ですけれども、乗員乗客二百七十六名、全員日本人で死亡者も三名確認され、重傷者もふえているということです。
そこで要望なんですけれども、まだ不明の方もおられるようですので救出を第一に、それからまたけがの手当て、もちろん医療対策を含めてですけれども、万全の対策をとっていただきたい。それからもう一つ、さきに中華航空機の事故もありましたけれども、事故の原因の徹底究明を、そしてまた再発防止のための措置をとっていただきたい。その点で最初に亀井大臣の御決意を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/142
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143・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 先ほど冒頭お話を申し上げましたが、目下航空局挙げてその対策並びに調査をしておるところでございます。私もこちらに参りまして、細かい公式の情報を得ておりませんけれども、航空局長を中心として、あらゆる万全の体制をとるように指令をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/143
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144・緒方靖夫
○緒方靖夫君 ぜひよろしくお願いいたします。
それでは本題ですけれども、最近の新聞でも日の丸商船が消えていく、日本海運は真空化寸前、こういった報道、論調が目立っております。この十年間、八五年度から九五年度までを見ても、日本船籍は一千二十八隻が二百十八隻に、船員は二万五千二百五十人が五千六百十人にまさに激減している、そういう状況です。この問題の本質というのは、日本の経済の発展に大きく貢献してきた海運がすべて外国依存になって自前の質の高い海運がなくなろうとしている、そういう事態を目前にしている、そういうことだと思います。言いかえれば一国の主権が守られるかどうか、そういう性格の問題だと私は認識しております。
今度の法改正で、初めて国際船舶制度を一部取り入れようとしているわけです。これが果たしてどれだけ有効な歯どめの方策になるのか。
まず、船籍の確保の実効性の問題ですけれども、四十四条の二、そこに国際船舶の海外への譲渡等を許可制から事前届け出制に緩和するとあります。ほかの船舶は自由にということで法的規制がなくなるわけです。これでどうして歯どめになる、そう言えるのか。制度として緩和するわけで、逆にこうしたこれまでの減少に拍車をかける、FOC化を容認することになるのではないか、そう思うわけですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/144
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145・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 先ほど来のお尋ねと同じお答えにならざるを得ないんですが、現行の四十四条の二におきましては、二千トン未満の船舶は今も許可はないんですが、それ以外の船は許可になってございます。繰り返しになって恐縮でございますが、第二項として要件が定められておりまして、その要件は船舶の需給関係と海運の振興ということでございます。これに著しく支障がない限りはみんな許可をしなければならないということでございます。
したがいまして、この第二項の解釈の規定によりまして、申請があったものにつきましては形式的な審査はいたしますが、現在では五日から二十日の間、あるいは標準的なものをとれば十日から十五日の間にすべて許可されているということで、そういう意味で今の制度が形だけのものになっている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/145
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146・緒方靖夫
○緒方靖夫君 次に、日本人船員の確保の問題なんですけれども、船員の方々に伺いますと職場がなくなる、そういう危機感を抱いておられるんですね。これは当然のことだと思います。
今回の改正には直接出されていないわけですけれども、国際船舶制度の流れの中で検討されていることは、肝心の日本人船員については船長、機関長、これが原則日本人ということですね。育成定員も加えるというけれども、それ以外はそれじゃ外国人でいい、そういうことになるのか、そういう政策なのかどうか。しかも、そもそもその二名についても強制ではない、だから必ず日本人ということにならないのではないかと思うんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/146
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147・金丸純一
○政府委員(金丸純一君) 二名配乗の問題でございますけれども、これは日本船の国際競争力を増していくためにはやはり人件費コストを下げなければいけないという問題が一つございます。その中で、やはり日本人の船員コストを下げるといういろんな施策の中でのパッケージ、まだちょっと不幸にして八年度では成立いたしませんでしたけれども、税制措置でありますとか財政措置のパッケージとして船機長二名を配乗する、育成定員を配乗する、それによってコスト競争力を上げていこう、こういう政策がワンパッケージで出されたわけでございます。
したがいまして、私ども今現在の段階ではパッケージとしての出発ができない、この二名配乗の問題につきましても、国際船舶制度の拡充を図る方策の中でこれから検討してまいるわけですけれども、その中でもって十分に議論して進めていく話ではないかというふうに考えておるところでございます。
近代化船の歴史からずっと配乗の問題まで含めまして、やはり日本のこれまでの海運につきましては、労使が話をする、場合によりましては官が入り学識経験者が入り、ある程度の方向性を示し、労使が協調をした中で進めてきた、こういう経緯がありまして、私ども今回もそういったスタイルでもっていこうではないかというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/147
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148・緒方靖夫
○緒方靖夫君 先ほど岩田局長はめどとして三百隻の船を確保ということを言われましたけれども、それでは、局長のお考えでは日本人船員は何人をめどと考えられていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/148
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149・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 再三のお尋ねがございますが、そういう試算がなされていて、まさに私どもとしてはそういうのを一つの目標としているということを申し上げたわけです。その中で、これは配乗権の問題がございまして、船社が結局どのような人をどのように乗せるかということは、最終的には船会社の方が必要があれば組合と協議をしながら乗せるということでございまして、私、今何人乗っているかというお尋ねがありましたけれども、ちょっと今すぐ何人ですという数字は持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/149
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150・緒方靖夫
○緒方靖夫君 どういうお考えだということですね、政策を見ていると大体わかるような気がいたしますけれども、もしそういう数字がわかれば後でお考えを教えていただきたい、そう要望しておきます。
今回の法改正では、日本人船員を確保するためとして登録免許税、固定資産税の軽減などの措置をとろうとしています。額は少ないわけですけれども、その措置の始まりということのようです。しかしその一方で、大手海運は着々と内部蓄積をしていると思うんです。
私は大手五社の内部留保を計算してみました。大変驚きました。大変だ大変だ、そういうふうに言っていながら内部留保はふえているんですね。減っているんじゃないかと思ったんだけれどもふえている。九五年度の大手五社全体で見ると、内部留保は二千七百七十六億円と莫大ですよ。有価証券報告書の海上従業員の一人当たりにすると何と一億一千百万円になるんです。しかも重大なのは、八五年度の内部留保は二千七百三十九億円、九五年度は二千七百七十六億円と、三十七億円内部蓄積をふやしている。海上従業員一人当たりで見ると、八五年度は四千十万円、九五年度は一億一千百万円、約三倍増加しているということになります。
日本郵船の例で見ますと、八五年度、これは内部留保は一千三百七十億六千七百万円、海上従業員一人当たりの額は九千五百十九万円。九五年度になりますと、内部留保一千五百七十五億五千六百万円、一人当たりは何と二億九千九百九十四万円になっているわけですね。これはトヨタがよく内部留保日本一と言われるわけですけれども、従業員一人当たりの日本一、これはすべての企業の中で日本郵船がトップなわけです。
ですから、こういうことを見ると、事態は非常にはっきりしていると思います。内部留保を増大させる、一人当たりで見ると大増大させる。その一方で、日本船や船員を減少させてきた責任は非常に大きいと言わざるを得ません。むしろ、この内部留保を活用すれば日本船や船員を減らす根拠は全くないと思うんです。財政援助をしても、大手船会社は日本人船員の養成ということには実際関心がなくて、もっぱら国際競争力、コストダウンという理由で事実上日本人船員の排除、安上がりの外国人船員ばかりを使おうとしている。そういうことじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/150
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151・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 今、先生から数字をお示しいただいたわけですけれども、手前どもの数字におきまして、何を内部留保というかという範囲の問題もございますが、ちょっと一致をしないわけでございます。
ただ、当然商法上で積み上げなければならない資本準備金とか利益準備金がございますが、これは義務でございますので、これを崩すということは大変なことになるのでこれは別としますと、剰余金の話なのかなと思います。
それは任意積立金等があるわけですが、今お尋ねがございました郵船の例を見ると、確かに剰余金というか任意積立金がございますが、少しずつ減ってございまして、例えば平成六年度では五百六十億、平成七年末では五百三十三億になってございます。やはり苦しい中で若干の利益は郵船だけに限って出ておりますが、これは配当に充ててしまうものですから、配当後そういう積み立てる十分な余裕がないような状態で、そんなに経営が豊かであるというふうに私どもは承知をしていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/151
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152・緒方靖夫
○緒方靖夫君 私の計算の根拠は、内部留保といった場合には、公表内部留保と引当金とそれから資本準備金、これを計算しているということですね。それが根拠になっているということを申し上げておきます。
それで、国際船舶制度を導入しているノルウェーではフラッギングアウトに歯どめがかかった。懇談会の報告書には、四ページですけれどもこんなことが書かれていますね。各国の登録制度の中で最も成功している例としてノルウェーのNISがある、そこでは船腹量は増加、ノルウェー船員も確保、そういうことが書かれております。
この点でお尋ねしたいんですけれども、それじゃノルウェーの船隻数と船員数はNISを導入した後どう変化しているのか、数字を挙げてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/152
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153・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 隻数でございますが、先生から資料要求があったんですけれども、実はこれはロイド統計がベースになっておりまして、これには国内船と国際船が分かれておりませんものですから、そこら辺を調べているうちにちょっと時間が来てしまったんです。
〔理事横尾和伸君退席、委員長着席〕
結局、どれが国際に従事してどれが国内に従事しているかというのはちょっとわかりませんものですから、隻数だけで申し上げますと、ノルウェーですと、八四年には二千二百七十一隻、八八年には二千七十八隻、八九年には、これは導入をした後ですけれども二千三百四隻、それから九三年には二千二百九十九隻ということで少し減ってございます。それから九四年ですと、これが一番新しいデータでございますが、二千二百五十九隻ということで少し隻数は減っております。ただ、これは内航その他の船が入ってございますので、ちょっと申しわけございませんけれども、外航船だけという統計は手元にないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/153
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154・金丸純一
○政府委員(金丸純一君) 船員数について申し上げます。
ノルウェーでございますけれども、ノルウェーの船主協会の資料をもとに調べましたところが、一九八九年は一万三千五百二十人、一九九〇年一万三千二百人、一九九二年一万三千四百人、若干増減ございますけれども、ほぼ横ばいといった数字になっておるところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/154
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155・緒方靖夫
○緒方靖夫君 今挙げられた数字なんですけれども、それは確かですか刀正確だと言えますか、自信を持って。
私は、この数字は非常に大事だと思って四日前から出してほしいと言っていました。きのうの夕方、難しい、確約できないと言うので、出るかどうかわからないので私の方でオスロの政府の船舶局に電話で問い合わせてみました。ビョルグ・ブルブランセン船舶局長から回答を受け取ったんです。ここにありますから、どうぞ一つ持っていってください。(資料を手渡す)
この内容を見て私本当に驚いた。今、船員の数でいうと横ばいと言われましたでしょう。横ばいじゃないんですよ。ちょっと局長に渡してください。二ページ目、申し上げます。
問題があれなんで、これ報告書の資料五なんですけれども、八四年、八八年、九三年の数字で申し上げますと、船隻数でいうと、八四年七百四十四、八八年五百二十五、九三年千百十二とずっと上がっているわけです。
それじゃ船員数はどうかというと、これはノルウェーの船舶局長の正式の回答、八四年二万六千人、八八年一万三千人、九三年一万五千七百五十人。だから、八四年と九三年を比べると一万二百五十人減っているわけですよ。四〇%減っているわけでしょう。何で横ばいなんですか。答えてください、ちゃんと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/155
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156・金丸純一
○政府委員(金丸純一君) ノルウェーの船員数と申し上げましたけれども、私ども準拠にしておりますのは、ノルウェーの船主協会の資料をもとに主にお出しいたしました。
若干補足いたしますと、ノルウェーの船主協会の資料、これは自国船員だけの数を挙げております。ですから、とっている範囲がひょっとしたら違うんではないかな、これは確認はできません。ノルウェーの政府におきましては、言ってみれば外国船員につきまして割と簡単に免許を出しております。その数字がひょっとしたら入っている可能性もあるしということで、私どもが今お話しできます話は、この船主協会の資料をもとにいたしましてノルウェーの自国船員の数をお出ししましたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/156
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157・緒方靖夫
○緒方靖夫君 これはノルウェーの船舶局の政府の公式回答ですよ。局長のサインもあるでしょう、このファクスに。三時間後に送ってきたんです。こちら何回要求しても出ない資料が、一議員が要求して欲しいと思ったらすぐ入るわけでしょう。ちゃんとやってもらわないと困る。そのことを言っておきます。
ですから、数字の違いについては、真実は一つなんだから、後でちゃんと数字を出してください。この点は非常に大事なんです。ノルウェーが最も成功している例と言うけれども、確かに船舶数はふえている、しかし船員数はがた減りです、ほぼ半減、どうしてそれで最も成功している例と言えるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/157
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158・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) この船員数の数字を、まことに申しわけございませんけれども初めて知ったわけでございまして、あるいはそのベースが私どもと一緒なのかどうかということもあわせまして少し勉強をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/158
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159・緒方靖夫
○緒方靖夫君 それではしっかり勉強してください。
それでもう一つ、ノルウェーの政府の船舶局の話では、ノルウェーのNIS導入後、六割の船舶が船長を含めて自国人ゼロ、すべて外国人船員になったというんですね。これはやっぱり大変な問題なんで、そういったことも実態をよく調べて、そして審議に間に合うように、そしてまた資料も出していただきたい、そのことを要求しておきます。
日本郵船など大手船会社はフィリピンに教育施設をつくって短期間で海員教育をしている、安い賃金で船に乗せられる、そういう対策をとっているんですが、それは御存じですか。まあいいです、時間がないから。
また、アモサップと呼ばれている組織がありまして、日本の船に船員をあっせんしているわけですよ。船員コストが日本人の八分の一、月でいうと十万円という理由でフィリピン人など外国人をどんどん雇う状況にあるわけです。さらにもっと大変なことは、その半額ぐらい、月四万円台の安いベトナムにも今手を伸ばそうとしている。そのことを船員の皆さん方は非常に懸念を持って私たちに伝えられております。だから、コストを基準にする限りこの流れはとまらないと思うんです。やはり極端に言って日本人船員がゼロになる、ゼロに近づく、ほうっておいたらそういう日が遠からず来るんじゃないか、そんな懸念を持つわけです。
四十五条に国際船舶に対する援助規定がありますけれども、その関連で特に注目したいのが、開発途上国の船員養成のためのODA予算なんですね。これは九六年度の予算で見ると九千二百万円、これは今述べたように大手海運会社の外国人の雇国策に手をかすものになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/159
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160・金丸純一
○政府委員(金丸純一君) ODAの話でございますけれども、これは国際協力の一環でございまして、発展途上国につきましては、非常に船員のなり手が多いけれども、言ってみれば自国船員を養成する施設とか訓練施設がない、こういったことでございますので、これはIMOの総会でも決議として先進国はそれに手をかすべきである、こういうことを言っております。私どもの方も、これは当該国、二国間でございますけれども、の申し出に従って出しておるところでございます。
したがって、これはODAでございますので基本的には色をつけられない。要するに、その船員さんは縛りがかかりませんで、日本で研修を行いますけれども、もしその後でどこの会社へ行こうともそれは船員さんの自由である、こういうことでございます。したがいまして、特にヨーロッパなんかの船会社、日本の船会社もやっておることでございますけれども、自社船員を養成しようということになりますと自分のところでもって養成施設をつくる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/160
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161・緒方靖夫
○緒方靖夫君 私は船員の何人かの方にお話を伺ったんですけれども、船長、機関長の方はやはり五十を過ぎる、そういう方は当然多いですね。キャリアはやっぱり三十年ぐらい必要ですから。それで、そういう方々が幾ら頑張っても六十まで、後が心配だと言うんです。若い船員の養成が肝心だと強調しておりました。ところが、外国人の船員の育成にODAを使う反面、日本人の船員の育成という点では先細り、展望がなかなか持てないという状況があるんじゃないですか。
商船大学卒業生で船員になったのは何人、どのぐらいいますか、比率でもいいですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/161
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162・金丸純一
○政府委員(金丸純一君) 商船大学の学生でございますけれども、特に平成七年度は非常に悪うございました。平成六年度までは、商船大学二百名ぐらい定員はございますけれども、乗船実習科を出た者、大体毎年百二十名前後ございます。その中で海上産業に就職しました者が平成六年度は七十二名、これは外航でございます。七年度は五十三名という形でもってかなり落ち込んできておりますということでございます。
それで、海上産業ということで申し上げますと、内航でありますとか水産でありますとか官公庁船とか合わせまして六年度では九十名、七年度は八十七名という数字になっておりますけれども、外航に行きたいということで商船大学に入りながら外航に行けないという方がちょっとふえてきているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/162
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163・緒方靖夫
○緒方靖夫君 私の聞いた数字では、二百名のうち、実際船員になっていくということで、卒業生ですから頑張る決意を持っているわけですね、それでやっぱり五人とか十人未満だというんです。それだけ多かったらとってもいい話だと思うんですけれども、そうじゃないんです、現実には。やっぱり先細りだ、船員はどんどん減ると。やっぱりゼロの運命を甘受するというか、もっとそれを促進してしまうような、そういうことが今進んでいるんじゃないかということを懸念するんです。
だから、そのうちに内航にも外国人が来るんじゃないかという話さえあるでしょう。あるいは分野が違うけれども、日本から遠洋漁業で出港するときには日本人が乗っかって、途中で香港とかフィリピンで総入れかえして、アフリカ沖なんかで魚をとってきて、また戻ってきて、途中でまた日本人を乗せてという、そういう実態があるじゃないですか。これも全部コストの論理なんですね。コスト至上主義でいくとこういうことになる。やっぱりこういうことで本当にいいのかという、そのことを痛感するんです。
そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、先ほど農業との関連の話も出ました、食糧の自給率の問題。農業も一日でできません。船員もすぐにはできない。やっぱり非常に国の独立にとって戦略的な問題、課題だと思うんですね。
今まで見てきたように、国際船舶制度というのは、やっぱりノルウェーの事態が非常にはっきり示しているように自国の船員減らしなんです、本質は。私はそう思うんです。そして、結局その制度のもとで乗組船員の要件の緩和ということが行われる。ですから、こういうことがずっと続いていくと、結局はすべて外国人船員でいい、日本人船員は排除されていく、そういうことになるんじゃないかということを非常に懸念するわけです。
大臣はその点で日本の海運についてどういう展望をお持ちなのか、そしてそれをどう打開されようと考えているのか。その点についてのお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/163
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164・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) いろいろ御指摘をいただきました。しかし、この制度を創設して何しろ第一歩を踏み出すということが、一番この日本籍船の減少やあるいは日本人船員の減少に歯どめをかけるということが必要なことであるわけでありまして、先ほど来農業の問題につきましても御指摘がございました。貿易立国である我が国の立場あるいはまた貿易物資の安定輸送の面、こういう点から日本籍船及び日本人船員を確保することが大変必要なことであるわけであります。いろいろまだまだ制度、あるいはまたスタートを何とかさせていただいて、これを拡充することがこれからの我が国の海運国、海洋国としての使命であるわけでありますので、その努力をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/164
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165・緒方靖夫
○緒方靖夫君 次に、余り時間ありませんけれども、国際船舶制度の導入に当たっていわゆる有事などの緊急事態に対して航海命令を明文化すべきだという議論があったというふうに聞いております。これだけ国が支援するんだから航海命令制度を導入するのは当然じゃないか、そういう発想のようなんですけれども、衆議院の議論では岩田局長は、検討課題として議論されたが、今の法案ではそれが前提となっていないと述べられております。
これは、運輸省が当初概算で要求していた懇談会報告のスキームとは違って一部の対応にしかならなかった、だから今度の法案では前提にならないということであって、概算要求やスキームがそのとおりであったならば航海命令制度を導入したということなのかなと思うんですけれども、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/165
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166・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 当初、要求段階からこの航海命令の問題は検討事項でございました。したがいまして、概算要求を折衝している間にきちんと関係者間で詰めて話がまとまれば、そしていただけるものが満額に近いものがいただければ、その制度にのせるんだということで検討をしたことは事実でございます。
しかしながら、いただけるものの額とか範囲のほかに、航海命令につきましては、概算要求とは別に、例えばどういうときに命令をかけるのかとかいろいろ構成要件があります。国内海上輸送には確かにそういうのはあるんですが、航海ですから、例えば遠くの方まで日本の船が命令をかけられると行かなければならない。それこそ強制で行かなければならないとなりますと、航海先や航路によって治安や政治情勢その他の情勢も大変異なるわけでございまして、どのような場合にどのような内容の命令をかけ得るかというその構成要件で、私どもいろいろ勉強したんですが、さらに検討する余地も残ってしまいました。
それから、当然のことながら関係者間の合意も得るわけにはいかなかったところでございます。これはいろいろな沿革がございまして、いろいろな関係の方がいろいろな御意見をお持ちなものですから、そういう余地が残ったわけでございます。
それから、もう一つお答え申し上げますと、外航海運は先般来申し上げていますように国際市場で完全な競争下に置かれている、要するに裸の競争をしておるわけでございまして、その中で航海命令という義務づけだけをかけますと受益との関係で非常にハンディキャップを負ってしまうということで、そこら辺もまだまだ検討する必要があるということで、結論を得るわけにはいかなかったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/166
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167・緒方靖夫
○緒方靖夫君 もう時間がありません。一言だけはっきり端的にお答え願いたいんですけれども、そうすると航海命令は運輸省としてはこれから検討するわけですか、それともしないんですか。関係者の話をいろいろ聞いて検討していくという方向なんですか、端的に述べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/167
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168・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 検討する課題として残っているというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/168
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169・緒方靖夫
○緒方靖夫君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/169
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170・末広まきこ
○末広真樹子君 末広真樹子でございます。
最初に、ガルーダ航空の事故に遭われました関係者の皆様に心からお見舞い申し上げます。
海上運送法の一部改正案についてお伺いしてまいります。
昭和二十四年にできました法がようやく改正案として上がってまいりました。今回の法改正の目的は、日本籍船の減少を食いとめることにございます。
しかしながら、税の優遇措置を例にとってみますと、百億円の新造船を例にとった場合に、固定資産税は現行一千万円が七百五十万円に、登録免許税は一千万円が二百五十万円に減免されるわけでございまして、つまり一回こっきりの登録免許税は四分の一になりましたが、毎年払う固定資産税に至っては四分の三にとどまったのみでございます。これはパナマ籍にすれば、固定資産税は五十万円で済み、登録税は十五万円という、従来からのFOC方式の方が船主にとってはうんとありがたい制度であって、本改正案が日本国籍船の海外流出への強力な歯どめになったとは言いがたい。非常に緩やかな改正にとどまったなと率直に申し上げざるを得ません。この点に関しまして大臣の御所見をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/170
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171・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 委員御指摘のとおり、まさに緩やかなとお話をいただければ、そのようなことになろうかと思います。しかし、何としても歯どめをかけなきゃならないと。また、先ほど来申し上げましたとおり、貿易立国、我が国はやはり貿易物資の安定輸送、こういう面で日本籍船また日本人船員の確保、これを図っていかなければならないわけでありまして、まずこの制度を創設すると。まさに大変緩やかなと、こう御指摘でございますけれども、制度をスタートさせ、何とか皆さん方の御協力をちょうだいし拡充したものにいたしまして、そして先ほど来いろいろ御指摘を受けておりますようなことにならないような努力をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/171
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172・末広まきこ
○末広真樹子君 六月七日の本会議で、総理並びに運輸大臣の御答弁に、この改正案は第一歩であるというのがございました。二分の一世紀ぶりに出された小さな第一歩でございます。ぜひ近い将来にダイナミックな第二歩、三歩を期待したいところでございます。
さて、このたびの改正案は船舶については少し盛り込まれたのでございますが、船を操る人と技術については何ら対策が出ておりません。これは簡単にお答えいただきたいんですが、世界の海から日本の旗を上げた船が消えるのと日本人の船員がいなくなるのでは、どちらが深刻なダメージを与えるものでしょうか、一言で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/172
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173・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 一言で申し上げれば、船は買えばすぐ買えるし、つくれますが、そういう大きな船を操船する船員さんはすぐには育たないわけでございまして、船員さんが大切でございます。
ただ、日本籍船がないままで船員さんだけを養えといっても、それは外国で働いてこいということになるので、結局日本籍船がないと日本人船員も育たないというか維持できないということでございまして、私どもとしては一体として考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/173
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174・末広まきこ
○末広真樹子君 そのとおりですね。日本人船員確保のためにどのような対策をお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/174
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175・金丸純一
○政府委員(金丸純一君) 日本人船員の確保でございますけれども、先ほどから御答弁申し上げておりますように、日本人船員の確保、日本籍船の確保、私どもはこれ従来セットとして考えてまいりました。そのセットの中で今回日本人船員に対します財政措置、税制措置が実現しなかったということでございます。
これにつきましては引き続き、大臣が第一歩と申し上げましたけれども、国際船舶制度に関する調査費二千万円が計上されておりまして、今年度から海運造船審議会その他でもって有効な方策を私ども鋭意検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/175
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176・末広まきこ
○末広真樹子君 参考までに船員を養成するのにかかる教育コストについてお伺いしてみたんです。そうしましたら、私は若鳥になるには卵の間の値段は幾らかというようなことを聞いたんですが、卵の話は文部省に聞いてくれということなので、文部省の方にお越しいただいておりますが、商船大学を例にとって乗船実習を入れた四年半で船員一人を育てるコストはお幾らなんでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/176
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177・笠井高芳
○説明員(笠井高芳君) 平成六年度の決算でございますけれども、国立大学の商船学部、これは東京商船大学、神戸商船大学の二大学でございますが、その経費から建築費とか土地代を除きました経費を学生数で割りますと一人当たり三百二十一万三千円ということになります。したがいまして、四年半、これ四・五倍いたしますと一千四百四十五万八千円ほどになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/177
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178・末広まきこ
○末広真樹子君 ありがとうございました。
これは国立一般大学の生徒の一・五倍という数字でございます。
先ほどもう数字が出ましたけれども、卒業生たちの平成七年度海上産業への就職状況というのを見てみますと、商船大学東西二校合わせた卒業生が百二十六人、そのうち就職できたのが八十六人、つまり三分の二ということですね。外航海運へはたったの五十三人と、これはもう半数以下という大変な数字でございます。お金をかけて優秀な船員を養成しても就職できない。また、入学者も二百八十人いた船員コースが二百人に減らされておる。
その原因と対応策についてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/178
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179・金丸純一
○政府委員(金丸純一君) まず、原因でございます。
商船大学卒業者の海上企業への就職状況が思わしくない原因につきましては、近年の円高基調、あるいは長引く不況の影響等によります船会社の方の経営状況の悪化により採用を見合わせたためというふうに考えております。
これに対する対応でございます。基本的には、どの程度卒業生を採用するかというのは、これは企業の雇用の問題であるということかと思います。基本的には企業の判断にゆだねるべきものであるというふうに考えているところでございます。しかしながら、我が国商船隊の安全な運航等に必要な日本人船員を養成していくためには、措置していくためには、毎年安定的に新卒者の採用を行うということが優秀な人材がその大学にも入ってくるということにもつながりますし、必要なことではないかというふうに考えているわけでございます。
また、先ほどからも御指摘ございますように、非常に日本の船員社会の高齢化が目立ってきているわけでございまして、やっぱり新規採用者を雇い入れていく必要があるだろうというふうに考えているわけでございます。このような考え方に立ちまして、私どもは、当面は企業側にこういったような安定的な採用につきまして配慮していただけませんかというような要望を行ってきたところでございます。
しかしながら、やはり基本的な話としましては、減少を続ける日本人船員の確保策についてどう解決していくのかという、国際船舶制度の充実強化といいますか、拡充の中でこの問題はあわせて考えていくべき問題であるというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/179
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180・末広まきこ
○末広真樹子君 そこに大きな問題が潜んでいるんですね。
船員の人件費を見てみますと、平均で日本人船員は年間一千二百万円、フィリピン人は二百万円と一千万の差があるんです。こんな大きな差があったんでは雇う側から見ればどちらを望むかはもう明らかです。そうなりますと、日本人船員は高度な技術を持つ管理者である職員の部分に特化していかざるを得ない、それ以外の労働については外国人船員の導入についても積極的に考えた力が現実的ではないのかなと。
実はこの論議は、議事録をひっくり返してみますと昭和六十二年に陸上での規定に準ずるという結論が出ているんです。その前からも繰り返し出て、結局ここでとまるんですよ。日本人労働者の雇用確保を考えますともっともなことではございますが、職場が海の上、船の中と限定されているのでございます。しかも、昭和六十二年といいますと今から十年も前で、プラザ合意の前、円も一ドル二百四十円の時代でございますね。国際海運における環境の変化があるわけでございます、厳然と。
改めて、日本人船員に対する支援措置とセットで議論の俎上にのせていってもよいのではないか、あるいはもういかざるを得ないのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/180
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181・金丸純一
○政府委員(金丸純一君) おっしゃるとおりであろうと思います。
基本的には、我が国商船隊におきまして日本人船員と外国人船員の混乗化というものが非常に進展しております。したがいまして、先生御指摘のように今後の日本人船員に求められる資質につきましては、すぐれた操船技術あるいは貨物管理技術を有するキーパーソンとしてリーダーシップを発揮していく、船舶管理等に精通いたしました統括管理者としての資質が求められるというふうに特化していくことだろうと思います。
一方、外国人船員の話でございますけれども、これは昭和六十年九月のプラザ合意ということで先ほど申し上げましたけれども、この急激な円高によりまして日本船の国際競争力を一層増強しなければいけない、こういう要請がございました。こういう背景のもとで、昭和六十三年十二月でございますが、海運造船合理化審議会のフラッギング・アウト問題ワーキンググループ、ここで議論をしていただきまして、当面海外貸し渡し方式による混乗の拡大で対応することが適当である、こういう報告書をいただきまして、労使合意の上、平成二年から一般船舶において外国人船員との混乗が開始される、あるいは平成六年からは近代化船につきましてもこういった混乗を実施してきたという経緯がございます。
さらに、もう少し基幹船員にすべきではないかという話につきましては、国際船舶制度の議論とのセットの中で船長、機関長を原則として日本人船員がやってまいるということでもって、他の支援策とパッケージで議論されてきたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/181
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182・末広まきこ
○末広真樹子君 日本の海運業の将来というビジョンをきちんと示していただいて、教育を含めた船員の雇用政策をきちんと整理して学生や国民に明らかにしていただきたいなと痛感いたします。また、外航船における単純労働での外国人船員の規制緩和はもはや時代の流れではないのかな、我が国の海運の国際競争力を高めるためにも御検討いただきたい緊急の課題であると思います。
次に、災害時における船舶の活用についてお伺いしてまいります。
昨年の阪神・淡路大震災では、陸上の交通手段、通信手段が壊滅状態になりました。その結果、素早い対応と指揮がとれずに多くのとうとい命を失ってしまいました。あのときに私は思ったんですけれども、なぜ海上に総司令本部を置かないのか、即座に神戸港に船を浮かべて、そこをヘリポートとして、あるいは病院船として、また難民船として活用する、さらにテレビカメラや情報通信を駆使して的確な情報を得ることによって適切な指令を下す。つまり、海上から通信と医療の分野をサポートし、また緊急対策本部としての威力を発揮し得たんじゃないか。大変悔しい思いをいたしました。船は、ただ人や物を運ぶためのものなんだろうか、これが素朴な疑問でございます。
海上保安庁では、災害時の船舶の果たす役割についてどのようにお考えなのでしょうか。また、現在の対策の進捗状況についてもお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/182
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183・加藤甫
○政府委員(加藤甫君) ただいま御指摘ございましたように、海上保安庁におきましてはさきの阪神・淡路大震災の被害状況あるいは災害救助活動におきまして、当庁の巡視船艇の活動、特に防災救難業務指揮・情報処理機能、あるいは災害対策本部等設営機能、医療・宿泊・生活援助機能といったような災害対応の諸機能を備えた巡視船の働きというものが非常に有効であるという認識をいたしたわけでございまして、一部私どもの巡視船も、必ずしもこうした機能が一〇〇%整えられているものばかりではございませんが、急速神戸港に全国から集結をいたしましてさまざまな活動をやったわけでございますが、そうした折の評価といたしましてただいま申し上げましたような結論に達したわけでございます。
災害対応型の大型巡視船を建造し、災害発生時にいち早く被災地に派遣することによりまして種々の災害対策を効果的に推進させる体制を整える必要がある、このように現在は考えているところでございます。
そして、平成七年度の補正予算におきまして災害対応型の大型巡視船約三千五百トン一隻、そしてこの平成八年度予算におきましては同じく災害対応型の大型巡視船約三千トン一隻を要求いたしまして、その建造が認められたところでございまして、現在日本国内の大規模な災害に対しまして迅速かつ効果的な対応が可能となるよう、その整備を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/183
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184・末広まきこ
○末広真樹子君 それは大変結構なことだと思います。
建設省の河川局が、阪神大震災のときにヘリコプターがちょうど定期点検に入っていたそうでございます。それで出動できなかった、そういう体験がおありだそうでございまして、その反省のもとにことしの四月から一機しかなかったヘリコプターを急速三機にふやしたというような話も聞いております。
そこでお伺いしますけれども、船一そうがドックに入った場合、点検に何カ月ぐらいかかるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/184
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185・加藤甫
○政府委員(加藤甫君) ドックに修理に入るのは通例年一回定期的に行われておりまして、期間は平均いたしますと約四十日といったようなところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/185
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186・末広まきこ
○末広真樹子君 その四十日間は一隻だけになるわけでございますね、今の予定どおりでつくられてまいりますと。それではちょっと不安だなという感じもいたします。
さて、このほど静岡県ではテクノスーパーライナーの実験船を購入した、防災船として活用することを決めておられるということでございます。テクノスーパーライナーといいますのは一千トンの貨物を積むことができまして、何よりもスピードが速いんですね、時速五十ノット。今政府の防災船としてプランにあるのは恐らくその半分か三分の二ぐらいのスピードじゃないでしょうか、このように伺っております。やっぱり災害時にはいち早く、もう速さこそがベストということでございますので、そういう時速五十ノットで疾走できることから防災船としては能力を持っているなと私は思います。
前回の造船協定の質疑の際に、テクノスーパーライナーを海上保安庁が巡視艇として活用してはどうかという御提案をさせていただきました。さらにきょうは、災害時には防災船として、そして平常時には巡視艇というダブル活用をなさってはいかがかなと思いますが、御見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/186
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187・加藤甫
○政府委員(加藤甫君) ただいま私が御説明いたしましたものは災害対応という機能を重点的に強化したものということでございまして、巡視船は海上保安業務のあらゆる分野でおおむね、重点の置きどころが違いますものの活用されるということが前提になって建造されております。したがいまして、先ほど申しました災害対応型の巡視船におきましても、平素は通常の巡視船として活動をいたしております。
また、それらがこうした災害時におきましては現地にいち早く赴きまして、いろいろな災害復旧、災害応急対応等に必要な機能を果たすという、まさに先生おっしゃる二重の機能を、通常その重点の置きどころはそれぞれ程度の差がございますが、機能を満たしているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/187
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188・末広まきこ
○末広真樹子君 ちょっと確認しておきますが、災害時の機能というのは何と何を考えていらっしゃるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/188
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189・加藤甫
○政府委員(加藤甫君) 今重ねて申しますと、防災あるいは救難業務を陣頭指揮する指揮機能、まずそういうものであります。それから、いろいろな情報が錯綜して入ってまいりますのでそれらの情報を的確に処理する機能、そして災害対策本部をつくる、いろいろな関係機関などがそこに集合して直ちに会議が開かれるようなそうした部屋等も備えたそういう機能、そしてさらに医療、宿泊あるいは生活援助の機能といったような機能を主として考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/189
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190・末広まきこ
○末広真樹子君 そうしますと、私の提案とぴたり一致しているということでございますね。それはでき上がるのが大変楽しみなんですが。
もう一点、私が何でテクノスーパーライナーにこだわるかといいますと、開発費を含めて百五十億円かかっているんです。百五十億円かけてつくったものを静岡県にぽんと二十二億かなんかでお売りになったんですね。それで済んじゃっていいのかな、開発というのはそういうことなのかな、つまり物を一個つくれば開発なのかなと。違うと思うんですよ、私。それを活用していくスタイルを政府みずからが示して、これはこう活用するんです、だから皆さんどんどんと御検討くださいと、ここまで営業セールスやれとは言いませんが近いです、そこまでの責任を持って国の税金を使っていただきたい、このように申し上げたいと思います。
既にアメリカでは、古くなりました飛行機の内部を全部改造いたしまして病院にしているんです。それで災害時の緊急医療対策を進めている。つまり、きょう突発的に起きましたガルーダ機の事故とかあるいは名古屋空港の事故ですとか、空港なんかでそういう事故があったときには空飛ぶ病院が飛んでいって、そこで人命救助に当たれて治療できてという、もうそれぐらいの体制に入ってきているということです。
最後に大臣にお伺いいたしますけれども、二つございます。船員教育機関卒業生の海上産業への就職対策、それから今申し上げました災害時における船舶の活用について、運輸大臣の御決意をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/190
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191・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 第一番目のいわゆる船員の教育機関卒業生の海上企業への就職問題、大変厳しい状況にありますことは承知をいたしております。しかし、この採用の問題は企業の経営判断によるところがあるわけであります。私どもといたしましても関係者にいろいろお話を申し上げ、特に将来的に優秀な人材の確保がまた必要なことでもありますし、その就職について努力をしてまいりたい、このように考えております。
また、災害時の船舶の活用、このことについていろいろ今御意見をちょうだいいたしました。阪神・淡路大震災の際にも、救援物資の緊急輸送、罹災者の宿泊施設の提供、これらのことにつきましては、海上保安庁の巡視船艇のほか民間の貨物船や旅客船あるいはフェリー等を活用し極めて大きな成果を上げたり、内航海運の関係者も和歌山やあるいは関西空港から神戸にいろいろの船を使って輸送をした、このような中で船舶の活用につきましていろいろお話を承ったところであります。
また、海上保安庁におきましても横浜に海上防災基地をつくりまして、海上からの防災のいろいろの訓練、施設だけでなしに人材のやはりそれに対する対応、このような訓練もいたさなければならないわけでありまして、いろいろ努力をしてまいりたい。
災害時における各種の船舶の活用につきましては、先生からもいろいろ御指摘をいただきました。今後、十分この御指摘を踏まえてその対応に努力をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/191
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192・末広まきこ
○末広真樹子君 ただいま大臣から大変前向きな御発言をちょうだいして、ありがたく思います。
日本籍の外航船は数年後の二十一世紀には百隻を割り込み、かつ海上保安庁の巡視船もまた五年後には耐用年数を超える船が五割、心配な面が多々ございます。ことわざで備えあれば憂いなしというふうに申しますように、八月から始まりましょうが来年度予算ではそこら辺を期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/192
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193・栗原君子
○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございます。
まず最初に、本日のガルーダ航空機の事故に遭われました皆さんに対してお見舞いを申し上げ、そして運輸大臣を中心にされまして、省を挙げましての救出と手当てをしていただきますように、十分なそうした手だてができますようにお願いをする次第でございます。
まず、今回の海上運送法の一部改正ですが、新たに国際船舶制度を導入いたしまして、日本船籍の海外流出を防ぐとともに日本船員の確保を図ろうというものでございます。
現在、WTOの場で海運サービスの自由化について交渉が持たれていると聞いておりますが、特にどんな点が検討課題となっておりますのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/193
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194・岩田貞男
○政府委員(岩田貞男君) 我が国としては、自由で公正な海運市場の形成は世界貿易の健全な発達に不可欠と認識しておりまして、WTOを初めとした国際的な場において自由な海運市場の実現に向けて積極的に取り組んでおります。
WTOにおける自由化交渉の内容でございますが、本年六月末でございまして残された日も余りないわけでございます。一つの大きな問題は、主要国である米国が、アラスカ原油の貨物留保、アラスカ原油については自国船でなければ輸出してはならないという規制でございます。そういうものとか、自国海運の保護政策、例えば政府関係物資あるいはワシントン輸出入銀行の融資を受けた物資はアメリカ籍船の船でなければならないといった規制をとっておるわけでございまして、これらの規制に大変固執しておるわけでございます。
したがいまして、難航を重ねておるんですが、実は先進海運国と発展途上国も含めましてアメリカに、我々はここまでやるから、ここまで自由化するからアメリカも何らかの回答をしてほしいということで今最後的なお願いをしているわけでございます。十四日がそれの回答期限でございまして、米国がどのような対応をするかまだわかりませんが、そういったぎりぎりの線まで来ているわけでございます。
WTOで数々の問題が解決される中で残され坊主となったのがこの海運の自由化の問題でございまして、私としても大変焦っておるところでございますが、米国の歩み寄りをお願いしながら何らかの解決をしていきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/194
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195・栗原君子
○栗原君子君 今伺いますと、アメリカの国益優先の姿勢が大変近ごろ目立ってきていると思っております。
それで、さまざまなマスコミの報道などにもありますけれども、各国がアメリカの立場については受け入れがたい、こういったことを言っていると思います。特に欧州連合がそういった声を上げておりますし、またカナダにいたしましても大変深く失望をした、こういったことを言っています。それからブラジルも計画的な交渉のボィコットだ、こういうことも言っております。そしてまた、我が国の運輸省の方も、米国のお家芸である自分勝手なダブルスタンダードの典型だ、これだけ強くおっしゃっていらっしゃるということが報道もされているわけでございます。
先般の当委員会におきまして、私も日米航空心渉の不平等あるいはまたダブルハルタンカーのことでも申しましたように、近ごろこうしたアメリカの国益優先が大変目立っておりまして、こういったことが世界の国々に対しても影響いたしておりますし、何かすべてアメリカに振り回されている、こういう状況が見られるわけでございます。これに対しては、大臣はこれからどういった態度で交渉に臨んでいただけるんでございましょうか。一言、大臣お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/195
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196・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) 今、御指摘をいただきましたとおりでございまして、私もアメリカに対して、アメリカのそのような考え方をぜひ是正してこの問題の解決に当たってほしい、このように強く要請をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/196
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197・栗原君子
○栗原君子君 日本は独立国でございますので、すべての面において米国に対してはもっと強い態度で出ていただきたい、私はこういうことをお願いする次第でございます。
次に、先ほどから、若者がなかなかこういった海運業界に居つきにくい状況があるという質問もなされているわけでございます。いただきました資料を見ましても、船長とか機関長が日本人であれば国際船舶の助成の対象に加えていく方針である、こういったことを運輸省はおっしゃっておられます。先ほども同僚の質問の中にありましたように、商船大学とか商船高専を卒業した若い船員が次の日本の海運業界を担っていくような状況になっていないという答弁もあったように思うわけでございます。
こういったことにつきまして、日本の農業も若者が居つかない、そして海運国である日本の海運業界にも日本の若者が居つかない、こういうことに対して、どこに原因があるか、一言で答えていただけませんでしょうか。端的にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/197
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198・金丸純一
○政府委員(金丸純一君) ちょっと誤解があるかもしれませんので申し上げますと、先ほどから話になっていましたのは、商船大学を卒業した学年がなかなか採用してもらえないというところが一つ問題であると思います。
それで、今先生が御指摘になりましたのは、では、日本の若者が海運に来てくれないのか、こういう観点からだろうと思いますけれども、この初につきましては、外航海運の船員を養成しますのは商船大学とかあるいは商船高等専門学校があるわけでございますが、特に商船大学は六倍とか非常に高い倍率でございまして、やはり海を目指す若者はまだ相当数がいるというのが私どもの実感でございます。こういった若者たちに職場を何とか確保していきたいといいますか、その夢をかなえてやりたいというのでもって先ほど来のお話をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/198
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199・栗原君子
○栗原君子君 ぜひそうした若者の夢を実現させていただけるような施策を講じていただきたいということをお願いする次第でございます。
次に、少し私は時間をいただきまして、先般、陸海空の危険物の輸送につきまして御質問をさせていただきたいということを申し上げまして、陸につきましては質問をさせていただいたところでございますが、きょうは海の危険物の輸送、とりわけ核物質の輸送につきまして幾つか質問をさせていただきたいと思います。
日本からイギリス、フランスに使用済みの核燃料を過去何回運んでいるのか、お教えいただきたいと思います。日本から高レベル廃棄物が出ていった回数、できたら量、さらにはいわゆるプルトニウムあるいはまた高レベルの廃棄物が返ってきたもの、そしてまたこれらの輸送に関しまして周辺国の住民あるいはその国、そういったところでトラブルがあったものかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/199
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200・小川健兒
○政府委員(小川健兒君) 使用済み核燃料の運送につきましては、運送計画書に記載された運送方法、これが危険物船舶運送及び貯蔵規則に規定する基準に適合することについて運輸大臣が確認を行っております。
その確認の回数ですが、平成三年度から平成七年度の五年間、英仏への使用済み核燃料の運送実績は四十航海、ウランに換算いたしまして合計で千五百六十トンでございます。
それから、プルトニウムの運送は過去一回だけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/200
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201・栗原君子
○栗原君子君 周辺国の住民あるいはまたその国からの何かいろいろトラブルなり、また申し入れとか、そういったことはあったのでしょうか、なかったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/201
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202・小川健兒
○政府委員(小川健兒君) プルトニウムの運送に関しましては、IMOの場でいろいろ反対を表明した国が何カ国かございます。IMOの場でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/202
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203・栗原君子
○栗原君子君 それはどういった国でございましょうか。主にどういう地域ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/203
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204・小川健兒
○政府委員(小川健兒君) プルトニウムの運送の際はその航路は公表しておりませんでした。ですから、自分の周辺に来るんじゃないかということで南米の諸国とか、そういった諸国で反対を表明する国がございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/204
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205・栗原君子
○栗原君子君 このことはまた後ほど質問いたします。
それでは、日本の近海についてでございますけれども、日本の近海では、ただいま原発が四十九基あるという報告をいただいておりますけれどもこういった廃棄物についてはどのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/205
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206・小川健兒
○政府委員(小川健兒君) 日本の発電所から出る使用済み核燃料の運搬につきましては、今、日本では日の浦丸という一隻の運搬船がございます。これを使って主に国内の再処理工場に使用済み核燃料を運搬しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/206
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207・栗原君子
○栗原君子君 今日、それは年間どれくらい出ておりますか。年々これは大幅に増加しているものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/207
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208・小川健兒
○政府委員(小川健兒君) 平成七年度の放射性輸送物の運送実績、これは使用済み核燃料ばかりじゃなくて新燃料も含めてでございますが、平成七年度五十回、ウラン換算をいたしますと約九百トンということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/208
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209・栗原君子
○栗原君子君 資料を見てみますと、毎年これはふえております。減るということはない状況になっております。
そこで、これらの新燃料の運搬とか高レベル廃棄物船が火災とかあるいは事故とか、とりわけ沈没事故などを起こしたときはどのようになるのでございましょうか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/209
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210・小川健兒
○政府委員(小川健兒君) 使用済み核燃料運搬船が例えば沈没した際の対応でございますが、まず船舶の安全確保に関しまして国際的には海上人命安全条約において必要な構造、設備が定められております。また、海上人命安全条約に加えて、使用済み核燃料、プルトニウム及び高レベル放射性廃棄物を運搬する船舶につきましては、その特殊性にかんがみて追加の要件がございます。これをINFコード、照射済核燃料等の国際海上安全輸送規則という形で定められてございます。さらに、それに加えまして、我が国ではこれらの国際基準よりも厳しい要件として、船舶安全法により特別基準を制定してございます。
これらの基準は衝突とか座礁等を未然に防止するための装置を義務づけているわけですが、もうちょっと具体的に申し上げますと、その装置は航海用レーダーだとかあるいは自動衝突予防装置、船位測定装置、それから音響測深儀などでございます。また、万一の衝突、浸水を考慮いたしまして、十分な損傷時の復原性、それから二重船殻構造、それから耐衝突構造、これらを船舶に義務づけておりまして、安全には万全の措置を講じております。
仮に事故が発生した場合でございますが、原子炉等規制法に基づきまして事業者は関係機関に通報する、そして安全上必要な措置をとることが定められておりまして、運輸省は関係省庁と協力して事業者に対し災害防止のための必要な措置を講ずるよう命ずることとなっております。
それから、沈没のことですが、仮に船舶が沈没した場合の使用済み核燃料等の運搬船の位置特定とか、海洋環境への影響評価とか、サルベージの問題等につきましては、現在IMO、国際海事機関において検討されておりまして、運輸省といたしましても、そのような国際的な議論の動向を踏まえて関係省庁と連絡をとりながら対処していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/210
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211・栗原君子
○栗原君子君 幾つか基準があるようでございまして、例えば火災に遭った場合、三十分以上の八百度の基準をといったようなことがあるようでございますが、これがもし三十分以内で消えなかった場合にはどうなるのかとか、あるいは沈まないといっても沈まないための検査を運輸省がやったわけではないと思いますね。そういったときにどうなるのかとか。あるいはまた万一海に落とした場合に、これを引き揚げるのはどういった状況のときに引き揚げられるのか。浅い場合でしたら当然引き揚げることができると思いますけれども、少し深くなるともうそれは無理になると思います。
それから、特に低レベルの廃棄物はドラム缶のようなものに入れていると思いますけれども、昨日来ていただきました担当者の方の説明を伺いますと、ドラム缶を定期的に検査をして安全な状況を保っているということをおっしゃっていますけれども、私はこういう核の問題については余りにも安全神話とでもいいましょうか、神話のようになっているんではなかろうかと思います。例えば、「もんじゅ」の事故でございますけれども、あの「もんじゅ」の事故にいたしましても絶対に事故は起こさない、こういう強い決意でありましたけれども、結局事故が起きたわけでございます。
こういったことを含めますと、私は、国際基準が出るのを待つのではなくして、日本でも政府の段階において担当の省庁が連絡をとり合って検討していく必要があるんではないかと思うんですけれども、まずこういったことを運輸省ではどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/211
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212・小川健兒
○政府委員(小川健兒君) まず、核燃料物質の運送に関しましては国際基準といたしまして、国際原子力機関、IAEAでございますが、放射性物質安全輸送規則を定めております。各国ともこの規則に基づいて安全規制を実施しております。
この規則では輸送物、輸送物というのは容器と中身でございますが、輸送物が満たすべき強度、それから耐火性等の条件が定められておりまして、使用済み核燃料を収納する容器の場合、これは先ほど先生が御指摘されましたように、九メートルの落下試験の後、八百度C、それから三十分の耐火試験を行って、その結果として放射性物質の漏えい量が一定値以下であるという基準に適合しなければならないということになっております。一方で、船舶に対しましては、火災に対する十分な防火消防設備として各種の消火装置、それから貨物倉の非常時濃水装置、こういったものを装備することになっております。このように、船舶と輸送物の両面にわたり安全な装置を構ずることによって、核燃料物質の海上輸送に対しては万全を期しているところでございます。
それから、海に落とした場合どうかというお尋ねでございますが、海に落とした場合でも大丈夫なように二百メートルの浸漬試験というものを義務づけておりまして、これに合格することが条件となっております。
それから、先ほどありましたサルベージの問題でございますが、これは現在、先ほど申し上げましたようにIMOの場で検討をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/212
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213・栗原君子
○栗原君子君 そこで、東京の大井埠頭の関係について市民団体の人から私の方にも情報が入っておりますけれども、とりわけ大井埠頭では一般の輸入品がたくさん入ってくるわけでございますが、そこにやはり爆発物とか劇物とか塩素、水素などもある、特に危険であると言われております六弗化ウランとか二酸化ウランなどのこうした原子ウランについてのものも入っている、こういった報告も来ております。とりわけ六弗化ウランにつきましては、五十六度でもうガス化するんだと。そして、アメリカではこの実験をしているんだそうでございますけれども、八百度に三十分耐えるどころか、二十数分でとめ金のところから噴き出した、こういったアメリカでの実験のデータがある、こういうことも言われております。
こうした猛毒を出すものが東京の大井埠頭からも入ってきているわけでございます。そういったことについては承知していらっしゃると思いますけれども、どういった対策を講じていらっしゃるものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/213
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214・小川健兒
○政府委員(小川健兒君) まず、危険物の船舶輸送に関しましては)核燃料やあるいは火薬類を含めて、船舶安全法に基づく危険物船舶運送及び貯蔵規則に基づきまして、それぞれの危険性の性状に応じた容器、包装、それから積載方法が定められております。それらの危険物ごとに安全性を確保しているわけでございます。また、二種類以上の危険物の同一船舶への積載につきましては、この規則に基づいて別の区画に積載するなどの隔離要件、それから混載の禁止等が義務づけられております。
このような危険物の船舶輸送に関する安全基準、これは海上の安全に関する国際機関でありますIMOの勧告でございますIMDGコードというのがございます。国際海上危険物規程と言っておりますが、これや原子力にかかわる国際機関のIAEAの放射性物質輸送規則、これらを全部国内規則に取り入れたものでありまして、それで安全性を確保しているところでございます。
それから、あと荷役や何かの方法につきましては、放射性物質のような危険物の場合、クレーンでつり上げる高さは九メートル以下に抑える、あわせて船長への荷役の立ち会いを義務づけておりまして、荷役の安全を確保しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/214
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215・栗原君子
○栗原君子君 関連いたしまして、作業員の安全についてやっぱり聞いておきたいと思うんです。
実は、陸の輸送のときでございましたけれども、トラックの運転手は普通の作業着を着ましてそれで運転をしていく、そしてまた、市民運動の人たちが放射線探知器を近づけますとピーピー鳴るという状況でございますから、被曝をしながら運んでいるという状況ですね。私は、船についてもそういうことがあるんだろうと思います。それから、陸に揚げられましたときに、核の関連のそうしたものの上に作業員が腰かけてお弁当を食べていた、こういった報告もあるようでございまして、安全面についてどういった指導がなされているのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/215
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216・小川健兒
○政府委員(小川健兒君) 海上運送の場合の船員への放射線の影響でございますが、先ほど申し上げました危険物船舶運送及び貯蔵規則では、国際放射線防護委員会、ICRPと言っていますが、それの放射線障害の防止に関する技術基準という勧告、これを取り入れて実施しているところでございます。
その規則では、放射性物質等の遮へいには万全を期すということで、まず被曝を最小限とするため船舶の一定区域を立ち入り制限区域とするというのが一つと、それからもう一つは、船内にある者の受ける放射線量をICRPの勧告した一般公衆に対する被曝限度、これは年間一ミリシーベルトでございますが、一ミリシーベルトを超えないようにするなどの管理が規定されてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/216
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217・栗原君子
○栗原君子君 七七年に決められたICRPの勧告でございますけれども、国際放射線防護委員会が決めたものでございますが、これでしたら年間五十ミリシーベルトということになっておりますけれども、この数字というのはいかがなものでございましょうか。
それで、時間がなくなりますので少しプルトニウムのことについて触れさせていただきたいと思いますけれども、プルトニウムはとりわけ最も危険でございまして、一グラムで放射線労働者の年間摂取量の一億人分に匹敵する猛毒である、このように言われております。特にまた輸送に当たっては、諸外国では軍隊が警備をやっている、こういったことも報告されております。
日本におきましては、九三年一月でございますけれども、茨城県の東海村の東海港にプルトニウムの輸送専用船あかつき丸、四千八百トンが入ったわけでございまして、これには一トンのプルトニウムを積んでいたと、原爆にいたしますとこれが百発分の原料になると言われているわけでございます。
また、フランスに向かったあかつき丸は、ジャックのこともありまして、コースも船名も秘密であったということでございまして、これは尾行をいたしましたグリーンピースの船がキャッチをいたしまして世界に知らせた、こういうことが言われております。それから、通過地と想定される国々においては寄港を拒否した、あるいはまた住民の反対運動があった。この輸送に対しまして、海上保安庁の巡視艇が機関砲で武装をしながらこれを警備したということが言われております。
今のような状況からいたしますと、これから二〇一〇年までに返還分とかあるいはまた六ケ所村で再生生産されるものを含めますと八十五トンにもなるという計算の数値も予想されるということが出ております。
こういうことを言いますと、恐らく私は将来的には、今のような状況であるとミサイルをコンピューターで発射いたしますイージス艦が出動するのではないか、これは自衛隊に守られて行くんではないか、もうこういった情報が次々流れているんですけれども、海上保安庁はあかつき丸の警備に当たりまして機関砲で警備をしながら運んだということが言われておりますけれども、これはうそではございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/217
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218・加藤甫
○政府委員(加藤甫君) 放射性物質なかんずく先生おっしゃいましたプルトニウム等につきましては、奪取あるいは盗取されたりした場合の社会的な反響が非常に大きいということから、厳格な警備、警戒の体制をとることといたしておりまして、さきのあかつき丸の輸送におきましては巡視船一隻を常時並行、随伴させまして警備を行ったところでございます。
その巡視船には装備として、先生おっしゃったような機関砲等の装備が備えつけられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/218
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219・栗原君子
○栗原君子君 科技庁の方それから外務省の方、いらっしゃいましたらちょっと御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/219
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220・川井啓裕
○説明員(川井啓裕君) 先生御指摘の核燃料物質の海上輸送の際の輸送経路の点でございますが、輸送中の核燃料物質につきましては、盗難とか妨害、破壊行為などといった不法行為などに対しまして非常に脆弱でありますことから、核物質防護条約の中で国際輸送中の核燃料物質については適切な防護対策をとることとされております。また、核物質防護の具体的な基準を定めました国際的な指針でありますIAEAのガイドラインの中では、事前に輸送情報を知らなければならない者の数は必要最小限にすることとされております。
我が国におきましても、核物質防護条約及びIAEAのガイドラインの趣旨にのっとりまして、公開することによりまして核物質防護の実効性を損なうおそれのある情報につきましては、必要最小限の範囲でこれを慎重に取り扱うとの方針によりこれまで対処をしてきております。
ただし、核物質防護に名をかりました不必要な情報の管理は厳に慎むべきであると考えておりまして、政府といたしましても、原子力に対する御理解と御協力を得るために、核物質防護上問題のない安全性などに関する情報につきましては今後とも積極的に公表してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/220
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221・寺崎昭久
○委員長(寺崎昭久君) 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/221
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222・高原寿一
○説明旦(高原寿一君) 御説明申し上げます。
先般のプルトニウム輸送に関連いたしましての防護の問題でございますけれども、先ほど来、運輸省の方からあるいは科学技術庁の方から御説明申し上げているとおりでございまして、先生まさに御指摘のとおり、プルトニウムというのは盗取等に対して最大限の配慮を要する物質でございます。したがいまして、その輸送に当たりましては、核物質防護条約等に基づきまして、護衛船として海上保安庁の巡視船を充てることに加えて、クレーンの無力化ですとか、オペレーションセンターによる常時監視ですとか、あるいは二重の通信体制を設ける等、万全の体制で臨んだ次第でございます。
航路につきまして公表されなかったのも、これもまた同じく核物質防護の観点からの措置でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/222
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223・栗原君子
○栗原君子君 終わります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/223
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224・寺崎昭久
○委員長(寺崎昭久君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、松浦孝治君が委員を辞任され、その補欠として岡利定君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/224
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225・寺崎昭久
○委員長(寺崎昭久君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/225
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226・緒方靖夫
○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、海上運送法の一部を改正する法律案への反対討論を行います。
反対理由の第一は、税制上の支援措置や外国人船員の乗船促進を図るための要件緩和などを内容とする国際船舶制度を導入したことです。
国際船舶制度導入の根拠に、日本籍船と日本人船員の維持、確保を図るとしています。しかし、私が質問でも指摘したように、日本人船員の雇用確保にならないということです。
一つは、国際船舶制度そのものの大きな柱が乗組船員要件の緩和にあり、コストの高い日本人船員を配乗させないで、安い東南アジアの船員を乗船させるものであります。二つは、懇談会報告書にもあるように、「国際船舶にあっては、船長及び機関長は日本人船員であることを原則とする」、それ以外は外国人船員ということです。三つは、国際船舶制度を導入し、最も成功していると運輸省が指摘するノルウェーは、自国籍船が幾らか回復しているけれども、自国船員は逆に半分に減っているのです。
つまり、税制など国の特別な支援をし、幾らかの日本籍船を維持できても、肝心の日本人船員の雇用対策にならないことは明白であります。
反対理由の第二は、外航海運政策の基本が日本商船隊の便宜置籍船化を一層促進させることになっているからです。
国際競争力を確保するとの大義名分ですべての物差しを便宜置籍船に置き、便宜置籍船と競い合い、比較する、この考えにこそそもそも問題があるんです。それでなければ、日本海運は便宜置籍船か、形は自国籍であるが船員は外国人船員の道しかないということになるからです。
この十年間で日本船と日本人船員は激減しました。ところが、その一方で大手海運は着々と内部蓄積をしてきています。私の調査では、九五年度の大手五社全体で見ると内部留保は二千七百七十六億円と莫大となっています。有価証券報告書の海上従業員の一人当たりにすると何と一億一千百万円にもなります。しかも重大なのは、八五年度の内部留保より三十七億円も内部蓄積を図っているのです。海上従業員の一人当たりで見ると約三倍も増加しています。
内部留保を増大させ、その一方で日本船や日本人船員を減少させてきた大手海運企業と運輸省の責任は大きいと言わざるを得ません。日本海運にとって今一番重要なことは、便宜置籍船などの方向を目指すのではなく、こうした内部留保を活用し、日本船や日本人船員の確保を図るべきであります。
最後に、海外への船舶の売船、譲渡を許可制から国際船舶は届け出制に、ほかの船舶は自由に、規制緩和することになります。しかし、これでは日本籍船や日本人船員の維持、確保にならないことは明白です。逆に、日本船と日本人船員の減少に拍車がかかると言わざるを得ないことを指摘して、反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/226
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227・寺崎昭久
○委員長(寺崎昭久君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
海上運送法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/227
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228・寺崎昭久
○委員長(寺崎昭久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
横尾和伸君から発言を求められておりますので、これを許します。横尾和伸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/228
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229・横尾和伸
○横尾和伸君 私は、ただいま可決されました海上運送法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
海上運送法の一部を改正する法律案に対
する附帯決議(案)
近年の急激な円高の進行等により我が国外航
海運の国際競争力が低下した結果、日本船舶及
び日本人船員の数は急激に減少し、深刻な事態
に立ち至っている。我が国にとって安定的な国
際海上輸送力を確保することは、海洋国家とし
て不可欠な重要課題であり、政府は早急に次の
事項について万全の措置を講ずべきである。
一 我が国外航海運の全体的な基盤強化を図る
ため、政府は関係者に一層の努力を求めると
ともに、日本船舶と日本人船員の減少を防止
するための国際船舶に係る措置の拡充等有効
な施策を講ずること。
二 我が国の国民生活・経済活動の安定、海上
輸送における安全性と技術の確保、海洋環境
の保全等の観点から、我が国船員の優秀な技
術を今後とも維持していくことが必要であ
り、そのための有効な施策を講ずること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/229
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230・寺崎昭久
○委員長(寺崎昭久君) ただいま横尾君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/230
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231・寺崎昭久
○委員長(寺崎昭久君) 多数と認めます。よって、横尾君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、亀井運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。亀井運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/231
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232・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) ただいま海上運送法の一部を改正する法律案につきまして、御熱心な御審議の結果、御可決をいただきましたことに心から御礼申し上げます。まことにありがとうございました。
また、附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、運輸省として十分な努力をしてまいる所存であります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/232
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233・寺崎昭久
○委員長(寺崎昭久君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/233
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234・寺崎昭久
○委員長(寺崎昭久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/234
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235・寺崎昭久
○委員長(寺崎昭久君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。
福岡空港におけるガルーダ航空機事故について、運輸大臣より報告を求めます。亀井運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/235
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236・亀井善之
○国務大臣(亀井善之君) ガルーダ・インドネシア航空八六五便の事故について御報告申し上げます。
六月十三日、十二時八分ころ、福岡発デンパサール経由ジャカルタ行きかルーダ・インドネシア航空所属のダグラス式DC10型機が、福岡空港において一たん離陸したが、滑走路の南側の飛行場内の緑地、滑走路の延長上約五百メートルに墜落し、大破炎上した。同航空機には乗客二百六十名及び乗員十五名の計二百七十五名が搭乗していたが、現在までのところ、三名が死亡、七十七名が負傷したとの情報を得ております。
死亡された方々に対し心から御冥福をお祈り申し上げると同時に、御遺族の皆様方にお見舞いを申し上げる次第でございます。また、七十七名の負傷された方、またこの航空機に搭乗された方々、また関係の皆様方に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
運輸省では、十二時十分、現地に福岡空港事務所長を本部長とする現地対策本部を、十二時三十分に航空局長を本部長とする事故対策本部を、また十三時三十分、運輸大臣を本部長とする事故対策本部を設置するとともに、航空事故調査委員会は調査官六名を、航空局では一名を現地に派遣しました。
今後とも、事故状況、原因の把握、究明に一層努めるとともに、被害者の方々の救急救援活動に全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/236
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237・寺崎昭久
○委員長(寺崎昭久君) 以上で報告の聴取は終わりました。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時十五分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613830X01619960613/237
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