1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年三月二十八日(木曜日)
午後一時開会
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委員の異動
二月二十九日
辞任 補欠選任
笠井 亮君 立木 洋君
岡部 三郎君 椎名 素夫君
三月十九日
辞任 補欠選任
岩崎 純三君 山本 一太君
三月二十一日
辞任 補欠選任
山本 一太君 岩崎 純三君
三月二十六日
辞任 補欠選任
畑 恵君 福本 潤一君
三月二十七日
辞任 補欠選任
福本 潤一君 畑 恵君
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出席者は左のとおり。
委員長 木庭健太郎君
理 事
笠原 潤一君
野沢 太三君
寺澤 芳男君
川橋 幸子君
委 員
岩崎 純三君
大木 浩君
武見 敬三君
成瀬 守重君
宮澤 弘君
田村 秀昭君
高野 博師君
畑 恵君
照屋 寛徳君
立木 洋君
武田邦太郎君
椎名 素夫君
佐藤 道夫君
矢田部 理君
国務大臣
外 務 大 臣 池田 行彦君
政府委員
内閣官房内閣外
政審議室長
兼内閣総理大臣
官房外政審議室
長 平林 博君
内閣法制局長官 大森 政輔君
防衛庁参事官 小池 寛治君
防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君
防衛施設庁長官 諸冨 増夫君
防衛施設庁総務
部長 大野 琢也君
防衛施設庁施設
部長 小澤 毅君
外務大臣官房長 原口 幸市君
外務省総合外交
政策局軍備管
理・科学審議官 河村 武和君
外務省総合外交
政策局国際社会
協力部長 朝海 和夫君
外務省アジア局
長 加藤 良三君
外務省北米局長 折田 正樹君
外務省欧亜局長 浦部 和好君
外務省経済局長 野上 義二君
外務省条約局長 林 暘君
事務局側
常任委員会専門
員 大島 弘輔君
説明員
警察庁交通局交
通指導課長 稲葉 一次君
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本日の会議に付した案件
○小委員増加に関する件
○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務
する外務公務員の給与に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/0
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001・木庭健太郎
○委員長(木庭健太郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る二月二十九日、笠井亮君及び岡部三郎君が委員を辞任され、その補欠として立木洋君及び椎名素夫君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/1
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002・木庭健太郎
○委員長(木庭健太郎君) 次に、小委員増加の件についてお諮りいたします。
アジア・太平洋に関する小委員会の小委員の数を一名増加いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/2
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003・木庭健太郎
○委員長(木庭健太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
つきましては、増加いたしました小委員の選任は、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/3
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004・木庭健太郎
○委員長(木庭健太郎君) 御異議ないと認めます。
それでは、小委員に椎名素夫君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/4
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005・木庭健太郎
○委員長(木庭健太郎君) 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。池田外務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/5
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006・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。
改正の第一は、兼館としての在アンドラ、在サンマリノ、在ボスニア・ヘルツェゴビナ及び在リヒテンシュタインの各日本国大使館の新設並びに実館としての在済州日本国総領事館の新設についてであります。
改正の第二は、以上の新設の在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を定めるものであります。
改正の第三は、欧州共同体日本政府代表部の名称を欧州連合日本政府代表部へ変更することです。
なお、本法案は、在外公館の新設が含まれており、法案成立後に行う相手国政府との協議その他の諸準備に相当の時間を要しますので、できるだけ速やかな法案改正が必要であります。
以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。
何とぞ、よろしく御審議をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/6
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007・木庭健太郎
○委員長(木庭健太郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/7
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008・野沢太三
○野沢太三君 池田外務大臣におかれましては、去る三月十九、二十日の両日にわたりましてロシアを訪問され、プリマコフ外相あるいはサスコベッツ第一副首相、またエリツィン大統領とも直接お目にかかって数々の御協議をしていただきましたこと、まことに御苦労さまでございました。冒頭、このロシア問題について一、二お伺いし、質疑を始めたいと思います。
最近の日ロ関係を見てみますると、ひところの、東京宣言が出ましたころのエリツィンさんが見えまして平和条約締結へ向けての熱気が相当盛り上がった状況と比べましたときに、どうも少し冷え込んでいるのではないかという気がするわけでございます。特に、ロシアの新しい議会の選挙等が行われまして、その中で出てまいりました数々の勢力あるいはその代表者等の発言を見た場合に、肝心の東京宣言の効力等についても認めないような発言も散見されるような状況でございまして憂慮しておるわけでございます。
今回の訪ロの中で外務大臣あるいは大統領とお会いになった感触といいましょうか、日本に対する関心がどの程度のものと受けとめられましたか、大臣御自身の率直な御感想をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/8
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009・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 先般訪ロいたしまして、滞在時間は短うございましたけれども、その間にエリツィン大統領と三十分余り会談を持つことができました。また、プリマコフ外務大臣とはワーキングランチも含めまして二時間余りでございましょうか。それからなお、サスコベッツ第一副首相と共同議長を務めます貿易経済に関する政府間の委員会を初めて開催いたしまして、これも一時間余り有益な審議を行ったところでございます。
そういったものを通じまして、ロシアの我が国に対する関心と申しましょうか、我が国との間の友好関係を維持、増進したいという意欲、また二国間関係だけではなくて国際問題あるいはグローバルな問題についても率直な意見の交換をしていきたい、そういった意欲というものが本当に強く感じられたところでございます。
とりわけ、ただいま野沢委員からもお話がざいましたように、ロシアの国内のいろいろな情勢の関係で東京宣言に対するロシアのとらえ方、見方というものに若干いっときのような熱意が失われ、少し事情が変わってくるんじゃないかという、そういうふうな観測もいろいろあったわけでございます。これは、エリツィン大統領御自身が私との会談の中で、先方からむしろ積極的に東京宣言の原則、内容を維持するだけではなくて両国関係を発展させていくことが非常に大切だ、こういうことを言われたわけでございます。私の方からも、この東京宣言をきちんと維持するだけじゃなくて、これを基礎として各方面での関係を強化して、そして平和条約を締結するように持っていこう、こういうことの確認できたということは非常に意義があったものと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/9
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010・野沢太三
○野沢太三君 具体的にその内容を進展させるために非常に重要な問題は、やはり安全保障の問題についての対話を重ねるということが相互の信頼醸成の一番の基礎であろうと思うんです。既に局長レベルにおいての対話については取り組んでいただいておるところでございますが、今回の訪ロの中で、北方領土に駐在する兵力が半減しておるんだ、特に色丹島にはもう軍隊はいないというような事実が明らかにされた。これはやはり外務大臣みずからがお出ましになった大きな一つの成果ではないかと思うわけでございます。
こういった情報が開示されるという意味でも、高い政治レベルでの安保対話というものがもっと行われてしかるべきではないだろうか。定期的に行う、あるいは場所を相互に移し合って行う、そういった意味での安保対話を一層ひとつ促進していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/10
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011・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 委員御指摘のとおり、これまで安全保障の問題につきましても両国間の対話を積み重ねてまいりまして、局長レベルまで対話がいっておったわけでございます。
そういったこれまでの進展を踏まえまして、今回の会合におきまして、私の方から安全保障対話についても政治レベルでさらに具体的に、つまり我が国の防衛庁長官と貴国の、ロシアの国防大臣との間での話し合いを持ったらどうだろうかと提案いたしましたところ、ロシアのプリマコフ外務大臣も直ちにそれは非常にいいことだということで決定いたしまして、あと具体的にどういうタイミングで、またどういう持ち方をするかは外交ルート、また防衛庁と国防省と御相談しながら進めていく、こういうことになったわけでございます。
また、いま一点お話のございました北方四島に駐在するロシア軍の規模でございますが、これは御承知のとおり、かつては旅団規模でございますから一万人ぐらいの規模があったわけでございますが、先年、エリツィン大統領の方から、もう七千までに減っている、それから将来に向かって完全撤退に向かって努力をしたいんだと、こういうふうなことが表明されておったところでございます。その後、さらに大分減っているんだということはいろんな報道とか情報なんかとしては伝えられておったわけでございますが、今回は正式の外相会談の席上で、プリマコフ外務大臣の方から現時点で三千五百人になっておる、そして色丹島にはもう既に存在しないということが明確に表明されたということは意味があったと思うわけでございます。
それで、私の方から、そのことは我が国としても評価するし、エリツィン大統領がかつて述べられた削減方向というのが着実に進んでいるということを評価すると同時に、また将来に向かって完全撤退に向かって努力されることを期待するということを表明してまいった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/11
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012・野沢太三
○野沢太三君 四月には総理が訪ロされる予定があると伺っておりますが、ぜひひとつ総理あるいは大統領の間におかれましても東京宣言の再確認を重ねてやっていただき、なおその上で可能な限り具体的な進展が得られまするような提言、提案等も御用意の上、総理においでいただいたらありがたいと思うわけですが、御準備の方をよろしくお願いしたいと思います。
それでは、名称位置・給与法につきまして、在外公館の課題について質問を申し上げます。
ロシア問題、中国問題等につきましては、御用意いただいておりますが、時間がやや厳しいかと思いますので、その場合にはまた別途機会にお願いをいたしたいと思います。
まず、今回の名称位置・給与法の中におきまして、大使館の設置あるいはそのための諸般の裏づけについての定めが出ておりますが、現在、大使館を置いている国がこの調べによりますと百八十四、また総領事館が七十一と伺っております。しかし、我が国が承認しております国は百八十九カ国ございますから、これを見ますると大使館あるいは領事館を置いていない国が幾つかまだ残っておるということ、さらにはその中で実館としては百十二、兼館が七十二ということでございます。総領事館の実館が六十三、兼館が八と、こういうことでありまして、今回も兼館が幾つか出て実館も一つと、こういうことでございます。
この辺の設置の考え方、基準、どこへ置くかということと、それから実館にするのか兼館で済ませるか、この辺についての考え方をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/12
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013・原口幸市
○政府委員(原口幸市君) お答え申し上げます。
我が国の在外公館の設置に当たりましては、一般論として申しますと、当該国または地域にかかわる政治、経済、文化等の諸分野における我が国との関係の緊密度、国際社会における政治的、経済的な重要性、在留邦人数及び本邦企業の進出状況、第三国の在外公館の設置状況あるいは当該国の要望等を総合的に勘案した上で、その緊急性を慎重に判断することといたしております。
今、先生御指摘の兼館の実館化についてでございますけれども、これは当該国または地域の国際的な重要性、日本と当該国または地域との関係を総合的に勘案するのは当然でございますけれども、同時に今厳しい行財政事情がございますので、それとの兼ね合い及び他の公館新設の必要性ということをも考慮に入れまして決定しているところでございます。
それから、先生今御指摘の我が国が百八十九の国と国交を結んでいる、そのうち百八十四の国に兼館も含めて在外公館を設置しているということで、五つ残っているわけですけれども、今回の法案を御了承いただけますとそのうち四つができますので、あと一つだけ、残りはモナコだけでございます。モナコは、ついでに申しますと、我々は外交関係の設立の可能性を打診しているんですけれども、まだ向こうから積極的な返事がないので、とりあえずそこだけは残しているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/13
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014・野沢太三
○野沢太三君 やはり国交があるということは、少なくともそこへ窓口たる在外公館がなければならぬということはもう条件だろうと私は思います。先方の御都合もあるということであれば、ぜひその辺の話を進めまして実際に形を整えていただきたいと思うわけでございます。
そこで、今回幾つか出ておりますが、アンドラ、サンマリノ、ボスニア・ヘルツェゴビナあるいはリヒテンシュタインとございますが、このうちボスニアにつきましては、昨年十一月のデイトン合意以来、精力的に各国も協力をしていただきまして、今、和平実施部隊六万人が駐在という中で久方ぶりの平和のボスニアということになったわけです。これから必要なのは、人道上の支援に加え、復興のための支援というものは非常に重要ではないかと思うわけでございます。こういうときこそまさに日本の存在というものが意味があるし、また現地にそのために事務所があるということは極めて大事であろうかと思います。
今回のこの措置はまことにその意味では適切ですが、残念ながらこれがまだオーストリアの兼館であるということで一歩退いている。既にアメリカその他主要国は十四カ国も実館を設置しているという状況の中で、日本がちょっと立ちおくれているんじゃないかという気がいたしますが、これを実館に繰り上げるといいますか、格上げをするということについてはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/14
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015・原口幸市
○政府委員(原口幸市君) 先生御指摘のとおり、本年の一月に我が国はボスニア・ヘルツェゴビナを国家承認いたしまして、二月に外交関係を開設したばかりであるという事情もございますので、とりあえずは今回の法改正におきまして兼館として大使館を設置しようとするものでございます。
我が国といたしましては、先生御指摘のとおり、今後いろいろと経済協力関係もふえてまいりますので、同国と適切な外交を行い得るよう今後とも鋭意努力してまいるつもりでございますが、当面はとりあえず兼館という形で公式のコンタクトポイントをつくるということでできるだけの努力をしていきたい、その後、様子を見ていろいろと行財政事情等も勘案しながら我々として必要な決定を下したいと、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/15
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016・野沢太三
○野沢太三君 実質的に働いてくれる人が現地にいるという意味では、ビルト上級代表事務所へ、品田さんでしたか、一等書記官を配置していただいたようですけれども、一人というのはいかにも寂しいわけでありまして、ここへある程度チームをつくって支援団みたいなものを置くというお考えはないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/16
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017・浦部和好
○政府委員(浦部和好君) 委員御指摘のように、今、ビルト事務所には品田君に行ってもらっているわけでございます。そんなにたくさんチームをつくるほどではございませんですけれども、一人というのは確かにいかにもあれでございますので、実はもう少し派遣する可能性がないかということを向こうともいろいろと相談をしているところでございます。
ただ、向こうサイドでも、向こうの要求する条件その他もございますし、あるいはある分野はこちらがこういう人を出したいなと思っても、既に向こうはいっぱいであるというようなこともございまして、いろいろ努力はしておりますが、グループをつくるほどたくさんにはなかなか難しいという状況でございます。ただ、品田君一人というのはおっしゃるとおり寂しいなという感じがするものですから、できる範囲内でふやしていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/17
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018・野沢太三
○野沢太三君 ひとつ工夫し、努力し、実の上がる援助をしていただきたい、かように希望いたします。
次に、外務関係の皆さんの定員査定の考え方ですが、平成八年度の予算案におきましてついに五千人の大台に乗るということで、これ自身は非常に結構なことでございます。平成三年に外交強化懇談会の報告というものが出ておりまして、とりあえず千人の増強をしようということで着々と努力をしてきたわけでございますが、この達成率というのは今どのくらいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/18
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019・原口幸市
○政府委員(原口幸市君) 外交強化懇談会の報告が出ましてから、先生方の御支持と御理解も得まして、確かに着々と人数はふえております。今回、政府案が御了承いただけますと約九割の達成ということになります。九百名よりも若干少ない程度の人数の純増が見込まれます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/19
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020・野沢太三
○野沢太三君 何とかこの懇談会の目標は達成できそうだということにもう一年もすればなるわけでございますが、私ども、時々外地へお邪魔したり、それから今こうしていろいろ議論をしている中で、今の外務省の体制というのはまだまだ十分ではないというふうに感ずるわけでございます。この目標が達成されてもなおかついろんな意味での配置のあり方、人員のあり方、そういったものを含めての外交の体制強化というものが必要ではないか。これに対する準備をもう始めなければいけないと思いますけれども、どんなことになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/20
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021・原口幸市
○政府委員(原口幸市君) 大変御理解のある御指摘、ありがとうございます。
私どもも国際関係が非常に相互依存度を増しておりますし、その中で我が国の外交の重要性もますます増大しているということから、引き続き外交実施体制の強化に努める必要があると考えております。
具体的な取り組み方につきましては、一方において、当然のことでございますけれども、事務の合理化あるいは効率化ということに心がける必要がありますけれども、同時に千人の増員達成時点において予想される我が国の外交課題とかあるいは業務の量というようなさまざまな要素を考慮しつつ、早い機会に総合的な見直しを行って、その中で千人増が達成された後の新しい増強体制というものを考えていかなければならないと、そのように覚悟しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/21
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022・野沢太三
○野沢太三君 それから配置のあり方ですが、在外公館の配置の状況を伺いますと、一人二人から始まって百人を超えるような大きな大使館もあるわけでございますが、そこへ満遍なく一人二人と増強をしたのでは必ずしも効果が上がらないというふうに思うわけでございます。
その意味で、課題の多い国あるいは地域に関しては、一種の機動部隊といいますか、先ほども私申し上げましたようにプロジェクトチームのような形でこれをまとめて何人かあるいは何年か限定して派遣して応援をすると。こんなような仕組みも考えないと、問題のないところへべたっと定員を張りつけますと、皆さん楽になったというだけになってしまいますから、もう少しその辺で機動部隊のような考え方を導入されて、せっかくついた定員を有効に活用していただく、こういうことはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/22
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023・原口幸市
○政府委員(原口幸市君) 貴重な御示唆として承ります。
現実の問題は、既にそのような方向でいろいろな場合において対応していることがございます。例えば、大きな会議があるときに、そこに定員として恒常的に張りつけるわけにはなかなかいかないんですが、ある一定の期間、非常に急速に仕事量が増大するということが予想される場合に、周辺の国から臨時に一カ月ないし二カ月そこに応援に行く、あるいは本省からも人をそちらに派遣するというような形で状況に応じて対応して、効率的な業務の遂行ということに心がけている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/23
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024・野沢太三
○野沢太三君 それともう一つ。在外公館で働いておられる皆々様、それぞれに御努力をされておりますけれども、御存じのように地球が丸くて昼と夜が本国と逆転しているという中で、向こうでお休みになっているときにも日本は動いている、その逆もまたあるわけでございまして、有事の場合にどのような対応をするかということに関しては、各公館の職員に対して外務省としてはどういう勤務をなすべきかという危機管理のマニュアルのようなものはきちっとできているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/24
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025・原口幸市
○政府委員(原口幸市君) 先生おっしゃるとおり、在外公館は外国におきまして緊急事態が発生した際の危機管理の拠点にもなるわけでございます。実は、湾岸危機等の経験も踏まえまして、通信とか連絡体制の整備あるいは機動力の充実等、邦人保護体制を含む危機管理体制の強化に私ども努力してきたところでございまして、関連の予算も逐次拡充を図ってきたところでございます。
具体的には、物資、機材の面では、移動電話あるいはパラボラアンテナの配備等を行ってきておりまして、平成七年度末の時点で移動電話が累計で七百台、ポケットベルが四百台、それからパラボラアンテナが累計で二百五十二基を在外公館に配備しておりまして、引き続き拡充に努めていく所存でございます。
また、マニュアルでございますけれども、ソフト面の話でございますが、緊急事態の発生の際により円滑に邦人保護活動が可能となるように、平素より日本人会等の組織を通じて在留邦人と安全問題に関する意見交換を行う等、在留邦人との協力体制の確立に努めるよう日ごろから本省を通じまして在外公館に指示を与えておりまして、緊急事態に備えた邦人保護に関連する要員の充実あるいは緊急連絡体制の整備等についても鋭意努力を行ってきているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/25
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026・野沢太三
○野沢太三君 私は、例の湾岸危機のときにイラクに捕虜になっている皆さんの救出に党の方から一緒に行ったわけですが、あのときも通信手段が非常に限定されまして不自由をした記憶がございます。
その後いろいろ技術的な発展もございまして、インマルサット通信装置が非常に有効適切であるということで、今それぞれお話がありましたように配置を進めていただいておりますが、現在この配置済み公館は三十五館にまだとどまっているということでございます。このような通信手段は全公館にあってしかるべきと思いますし、一式五百万と、そこそこのお値段ではございますが、全体の外務省予算のやりくりの中ではそう大きな金額ではないと思いますので、この辺の早急なる配備増強はぜひやっていただきたいと思うわけでございます。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/26
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027・原口幸市
○政府委員(原口幸市君) 先生御指摘のとおり、インマルサットの通信機器というのは今やアタッシュケース大のものでございまして、持ち歩きが非常に便利で、まさに緊急事態には非常に適切なものでございます。まだ三十五公館の配備でございますが、我々これは非常に有用だと思っておりますので、先生の御示唆も踏まえまして、今後とも拡充に一生懸命努力してまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/27
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028・野沢太三
○野沢太三君 それからもう一つ大事なことは、いわゆる要員の頭数だけではなくて、現場にいらっしゃる皆様の活動のために必要な経費というものが非常に不自由しているんじゃないかということを私ども拝察するわけでございます、旅費とか調査費あるいは食糧費等さまざまなテーマがあろうかと思います。
私が一つ伺った例では、アフリカで実館に赴任されました大使さんのお話ですけれども、周りの国を兼館しておるんだけれども、信任状を持って回るだけがやっとである、そして帰るときにごあいさつに行こうとしても行かれないんだと。なぜかというと、それは旅費がない。自分が回るともうほかのスタッフが回れなくなるんだというような話すらあるわけでありまして、専ら真ん中に座っているだけという一種島流しのような状況でございます。位は高くてもどうも力が出せない。私は、この状況というのは俊寛、為朝、後醍醐天皇のようなものだというお話をかつて渡辺元外務大臣に申し上げたことがございます。
何としても、今いらっしゃる皆様が十分な御活躍をするだけの活動経費を、これはもう官房の責任として国の支援としてつけてあげないことには動けないというのが実態ではないかと思います。この面での手当てをしっかりやっていただきたいと思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/28
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029・原口幸市
○政府委員(原口幸市君) 先生に陳情した我々の同僚の話は若干誇張もあろうかと思いますが、実は私どもこの種の予算を管理するに当たりまして、一定額は各館にあらかじめ配賦しておきまして、その配賦旅費だけでやりますとなかなか今言ったような事態になりかねないわけでございますけれども、他方、残余は本省で留保しておきまして、必要に応じて配賦するということにしております。でございますので、現実には十分納得のいく旅行目的があれば追加の旅費を配賦しております。
さはさりながら、全体としての旅費とかあるいは交際費というものが先生おっしゃるように必ずしも十分であるかというと、そうとも言い切れない面もございますので、我々としては今後とも引き続き財務当局とも十分話をしながら、また先生方の御支持と御理解を得ながらできるだけ拡充に努めてまいりたい、そのように考えておりますのでよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/29
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030・野沢太三
○野沢太三君 頑張ってください。我々もぜひひとつ側面的に御支援をいたしたいと思うわけであります。
あと中台問題について大分質問を用意してあるんですが、時間がちょっと厳しくなりましたので一問だけ、小池さんお見えでございますので、お願いしたいんです。
今回の中国軍の演習につきまして、さまざまな意図があったと言われております。しかし、またそれと同時に、中国軍の実態も大分わかってきたということでございます。あの海峡を押し渡って台湾を軍事的に統合するということがいわゆる軍事力という面から評価したときに可能であったかどうか、この一点についてひとつ率直な御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/30
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031・小池寛治
○政府委員(小池寛治君) 中国軍の台湾に侵攻する能力についての御質問ですけれども、いわば仮定の問題でございますので、事柄の性質上突っ込んだコメントは差し控えたいと思います。
しかしながら、あえて純粋に軍事的な能力という点にのみ限定して防衛庁としての見解を申し上げれば、中国は軍としては規模的には極めて大きいものを持っておりますが、質的には旧式な装備が多く、例えば上陸侵攻ということになれば上陸作戦に必要となる両用戦艦艇が必要ですけれども、中国は数は確かに多数保有しているけれども、大きさというものは極めて小型のものが大部分でございます。したがって、輸送能力などは極めて制約されているということから、台湾に侵攻する能力というのは限定されているというふうに認識しております。しかし、これは先ほど申し上げましたけれども、もともとそのような意図があったか、あるいは状況その他を捨ましたものでございまして、全く純粋に軍事的能力面に着目した見方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/31
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032・野沢太三
○野沢太三君 独立を阻止するというような意図ということが言われておりますが、こういったことであるならば、もっと賢い方法があったのではないか。話し合いなり交渉なりという手段があるにもかかわらず、こういったやり方をとったという点、私ども非常に残念に思っております。今後とも、その意味で何としても平和的な問題解決をやっていただくべく私どもの方からもメッセージを送っていくことが大事ではないかと思うわけでございます。
この件につきましては、まだいろいろございますので、改めて別な機会に質問をさせていただくことにして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/32
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033・成瀬守重
○成瀬守重君 在外公館の問題や外務公務員の問題につきましては野沢委員から今御質問されましたので省略いたしまして、私は沖縄問題について御質問させていただきます。
ことしの一月十六日から十七日にわたって、沖縄北方問題特別委員会の理事、委員の方と一緒に沖縄へ視察に行ってまいりました。沖縄の米軍基地問題及び沖縄振興開発に関する実情調査のために参ったわけでございますが、沖縄に参りまして沖縄県庁で大田知事や吉元副知事、さらには県道一〇四号線越えの実弾射撃演習の実施状況、さらには演習実施時の迂回路になる金武町の産業開発道路やキャンプ・ハンセンの三百二番砲座を視察してまいりました。
さらには、那覇港泊埠頭再開発事業やキャンプ瑞慶覧を訪問し、アメリカ海兵隊第一海兵航空団司令官のジョージ・カラマコビッチ准将にお目にかかりまして、今回の少女暴行事件に関して、まことに遺憾であり、このようなことの再発は絶対に阻止するように万全の措置をお願いしたいということを申し入れてまいりました。
また、嘉手納飛行場も訪問し、米国空軍第一八航空団副司令官のマッカーサー大佐ともお目にかかり、同様の趣旨で沖縄の皆さん方や日本国民のそういった願いを込めて再発防止に万全の措置をとるように要請し、また両司令官とも心から遺憾の意をあらわされ、そのようなことに我々も努力するというお言葉をいただきました。
引き続いて、普天間飛行場、さらには那覇港のコンテナターミナル等を視察してまいりました。
こういった沖縄の視察旅行を通して、特に大田知事、また吉元副知事の沖縄の皆さん方の気持ちを代弁しての切々たる思いというものを聞かせていただきましたが、特にこの中で私どもの心が強く打たれましたのは、安保条約が重要だというならば、例えば自分の出身地や自分の選挙区で引き受けようじゃないかと一言でも言うべきじゃないですかと。それを安保条約の重要性だけを強調して全く自分のところで引き受けようとはしない、そうしたことに県民は腹を立てているんですよというお言葉や、さらには戦争中、本土の防波堤にされ捨て石にされたとか、また戦後も、日本が独立して平和条約を結んでも沖縄だけが切り離されてアメリカの統治下に置かれたといった差別的処遇の記憶が重なっているんですと。今回もまたそうかと庶民のレベルでかつてない怒りが噴き上げているんですよというお言葉を聞きまして、政治家として、これは与党野党を問わず厳しく受けとめる必要があるということを感じたわけです。
同時に、今日まで戦後五十年間にわたって日米安全保障条約が日本を初めとする極東地域の平和と安全、さらには今日の日本の繁栄に大きな貢献をしたということも我々は知っているわけです。そういう意味において、この安全保障条約を何としても堅持し、同時にこれを通して国を守り、今後の日本の将来を守っていかなければならないという思いがあるわけです。沖縄県民の皆さん方の思いと、いわゆる日本国家を中心とするそういった思いと、私どもも非常に複雑な思いを抱いて帰ったわけです。
しかしながら、そういう中にあって、今この沖縄米軍基地縮小問題につきまして、きょうも梶山官房長官がアメリカのモンデール大使に会われて、とにかく米軍基地の縮小、統合、整理を何としても行っていただきたいという要請をされたということを伺い、さらにはまた現実にきょう日米合同委員会において嘉手納基地や普天間基地の騒音防止についてアメリカ軍との間に真摯な話し合いを行って合意に達したということも伺って、大変沖縄の皆さん方のためにもありがたいと思ったわけですが、こういった米軍基地縮小問題について、外務大臣の現状認識と今後の見通しについてお伺いさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/33
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034・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 成瀬委員御指摘のとおり、我が国の安全を考えました場合に、やはり自衛隊の存在と同時に日米安保体制の堅持、これは不可欠であると存じます。しかし、そういった目的を貫徹するためにも、やはり基地の所在します地域の方々の御事情やお気持ちというものは十分に配慮しながら物事を進めてまいらなくちゃいけないと思います。
とりわけ沖縄県の場合には、委員も今御指摘になりましたように、長い間非常に大きな負担を強いられておられるわけでございますので、私どもとしても基地が存在することに伴ういろいろな生活上の御不自由を取り除く、その面でできる限りの努力をすると同時に、基地そのものの整理、統合、縮小にも全力を傾注しなくちゃいけないということで今進めておるところでございます。
この四月、来月はクリントン大統領が訪日されますので、それが一つの大きな節目と考えまして、その段階である程度の成果を出せるように日米共同で努力を進めております。きょう現実に、今御指摘もございましたが、日米合同委員会を開いておりまして、そこでは普天間、嘉手納両基地における騒音問題についての合意に達する、それからまた米軍の車両の標識の問題についても合意に達する予定でございます。
基地の方につきましても、先ほど申しましたようなことで特別行動委員会の作業グループを現在までに五回開催いたしまして、大分煮詰まってまいりました。個々の施設あるいは区域についての論点の整理と問題の洗い直しをずっとやっておりまして、もうかなり煮詰まっておりますので、この四月までに共同作業を精力的にさらに推進いたしましてできるだけの成果を上げたい、こう考えておる次第でございます。
ただ、今、作業の煮詰めの段階でございますから具体的に個別の案件についてはまだ申し上げられる段階ではございませんが、我々もそういった姿勢で取り組んでいるということにどうか御理解、またお力添えを賜れればと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/34
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035・成瀬守重
○成瀬守重君 現在、テレビや新聞などで非常に問題になっております楚辺通信所の使用期限が切れて緊急使用の許可が間に合わないという場合は国による不法占拠になるが、こういったような場合において外務大臣としていかに対応なさるか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/35
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036・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 今御指摘の楚辺通信所内の一部の土地につきまして、政府としてもこれまでもできる限りの手を尽くしてまいった次第でございますけれども、三月三十一日までに話がつかなければ、現在国と土地所有者との間で結んでおります賃貸借契約が終了し、その契約に基づく占有の権原がないという状態になるおそれが極めて現実のものに近くなっておるわけでございます。
政府といたしましては、そういう状態に仮になるといたしましても、これまで二十年間にわたり賃貸借契約に基づいて適法に使用してきたということが一つございます。また、もとより当該土地を引き続き米軍へ使用提供するということは安保条約あるいは地位協定上の我が国の義務である、これは当然でございますし、また我が国あるいは極東の平和と安定のためにも必要なことは御理解いただけると思います。
そんなことも踏まえまして、政府としては目下、駐留軍用地特別措置法に基づいて土地使用の権原を得るための所定の手続をとりまして、何とか引き続いて適法に使用を続けるために努力を傾注しているところでございます。またかたがた、土地所有者の方に対しましては借料相当の全員の提供ということをいたしまして、その損害を土地所有者の方に生じさせない措置も講ずるということを考えておるところでございます。
こういったいろいろな事情を考えてまいりますと、所有者との間で法的に紛争の状態に入ることはやむを得ないわけでございますが、だからといって、当該土地が土地所有権者に返還されていないということになったとしてもそれが直ちに違法であるということには当たらないのではないのか、こういうふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/36
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037・成瀬守重
○成瀬守重君 アメリカ軍はこういうような場合、どういった根拠に基づいてこのような土地を引き続き使用することができるか、こういった点について御意見がありましたら伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/37
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038・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) ただいまのは、米軍はどのような根拠に基づいて使用できるかという御質問だと受け取らせていただきましたけれども、御承知のとおり、安保条約あるいは地位協定に基づきまして、我が国としては安保条約の目的達成のために必要と判断した施設・区域を米軍が使用しますことを協定上認めているわけでございますので、米軍はこれらのこういった日米間の国際約束に基づいて提供されている当該土地を引き続き使用する、こういうことになると考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/38
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039・成瀬守重
○成瀬守重君 こういったことを含めて、間もなくクリントン大統領がお見えになるわけですが、沖縄問題は第一の重要な問題ということで橋本総理もおっしゃっておられますし、ほかにもまだ通商上の問題点が幾つかあるとは思いますけれども、特にクリントン大統領訪日の場合、この沖縄の問題について十分に総理または外務大臣ともお話し合いの場をお持ちいただきたいわけですが、そういった取り組みについてどのようにお考えになられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/39
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040・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 委員も御指摘のように、今回のクリントン大統領の訪日は非常に広い各般の分野についての日米間の対話、あるいは合意というものを目指しているわけでございまして、そこにはいわゆるコモン・アジェンダと言われるようないろいろなグローバルな協力もございますし、あるいは経済関係もあるわけでございます。そういった中でも、今の国際関係あるいはその中での日米関係というものを考えました場合には、政治、特に安全保障の面での緊密な話し合いとその上に立っての合意が非常に大きな意味を持つんじゃないかと思っております。
とりわけ日米関係の中核をなします日米安保体制につきましては、今日から二十一世紀を展望しました場合にも、やはりこれが我が国の安全を守るために極めて大切である、あるいは日米同盟関係の根底にあるということでも重要である、さらにはアジア太平洋地域全体の安定にとっても大きな意義を有する、こういったことをきちんと合意をいたしまして、それを内外に宣明するということが今回の首脳会談の大きな意義になろうかと思います。
そういったことをいたしますためには、やはり沖縄における米軍の基地の問題について、先ほど来委員も御指摘になりますような県民の方々の御心情であるとかあるいは御要望というものにでき得る限りの配慮をして、負担軽減のために大統領がおいでになりますまでにできる限りの成果を生み出すことが大切だと思っておりますので、そういった意味で今、日米共同で鋭意努力を傾注しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/40
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041・成瀬守重
○成瀬守重君 今、日米安保と沖縄の問題について種々承りましたが、きょうの産経新聞でも、クリントン政権の対アジア政策中枢の国家安全保障会議、NSCアジア部長をこの一月まで務められたスタンレー・ロス氏が産経新聞の特派員との会談をされているんですが、その中で基地問題に関連して「在日米軍基地への批判の高まりについて、日米安保の重要性を説明しない日本の政治指導者を強く批判した。」という言葉があるんです。
確かに、これは私自身も感じるんですが、日米安全保障条約というものが日本の今日の繁栄や極東地域、日本の安全保障について非常に大きな役割を果たしているにもかかわらず、何か日米安保とか安保体制とかいろんなそういった問題について、あるいは五条、六条の問題についても、はれものにさわるような、できたら触れないでおきたい、通り抜けたいというような意識を非常に感じるわけです。
これは外務大臣だけに申し上げるわけじゃないんですけれども、日米安保に対して本当にその果たす役割とか重要性とか、これを今後にかけてもっともっと国民の皆さん方にPRし認識を深めていただくということがあれば、さらにこういった問題に対して国民の方々の認識も深まり、沖縄の方々の苦しい心情に対してもやはり共感というか、じゃ自分たちも一緒になって引き受けようという気持ちも生まれてくるんじゃないかという思いがするわけですが、こういった点について、外務大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/41
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042・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) おっしゃるとおり、日米安保体制というものがいかに我が国の安全のために大切であるかという点、我々政治家が自分で承知しているだけではこれは十分じゃないわけでございまして、そういった認識というものをできる限り大勢の国民と共有し、さらには近隣の諸国の御理解も得ていく、そういう広い共通の認識、理解の上に初めて安保体制も安定的なものになり得る、こう考える次第でございます。そういった意味で、我々も努力しなくちゃいけないと思っております。
ただ、ロス前NSCアジア部長の話でございますが、これはどうなんでございましょうか、いろいろな見方があると思いますけれども、ロスさんが現役の責任者の立場でおられた時代にはあるいはそういう印象を持たれたかもしれませんけれども、ここのところ現に当委員会においても繰り返しその安全保障の問題を御論議いただいている、また最近においては特に小委員会もおつくりいただいたりと、こういうこともございます。
それからさらに、昨年、御承知のとおり十九年ぶりに我が国の防衛計画の基本になります大綱の見直しというのを行いましたけれども、そういった際にも、政治の世界だけではなくてかなり広い分野で我が国の安全、それの関連での安全保障体制の持つ意味などにつきましても議論がされた。そういうふうにだんだんと国民の中でもそういった認識が広まりつつある、このことは歓迎すべきことだと思っておりますし、私どもの立場でもさらに努力を続けてまいりたいと、こう考える次第でございます。
また、恐縮でございますが、アメリカからも言われますけれども、日本からもアメリカに言わなくちゃいけない。日米安保体制というのはアメリカ自身のナショナルインタレストの観点、国益の観点からいっても大切なんだということを昨年あたり国防省も打ち出したわけでございますが、そういった観点はアメリカの政治家もしっかりアメリカの国民に理解させてほしいということを、私はそういう機会のあるごとに米側にも申し上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/42
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043・成瀬守重
○成瀬守重君 ことしの一月十九日に中南米大使会議があった席で私は大使の方にお願いしたわけです。ということは、六兆ですか、莫大なODA予算が世界各国の皆さん方に支援されているわけですが、そういったものに対して各国の大使の方々が、その国の国民の人たちがどんなODA予算をいただいて、それによってその国の民生やいろんな問題、どんな喜びがあったかということをもっともっとつかんでもらいたいと。そういうものがもっと外務省に寄せられて国民の皆さん方に発表されれば、ODA予算がむだ遣いだとかなんとか、わけがわからぬというような批判も消えるわけですね。
そういうことを申し上げたらある中南米の大使の方が、私のところでは小学校をつくったときにその地域の住民や国民の方が大勢寄られて日本に対する非常に大きな感謝の言葉も寄せられまして、そういうのを報告しましたという御報告もいただいたんです。そういったような面で、外務省の政策も、本省だけが知っているというだけじゃなくて、広くPRして国民の皆さん方に理解と協力を求める。もちろん外交問題には機密もありますしいろんな重要な問題もありますから、全部が全部PRできませんけれども、できる限り現在行われている外交政策とか施策について国民の目線でPRできるような、そういうこともひとつ今後とも外務大臣にお考えいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/43
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044・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 非常に大切なところを御指摘いただいたと思います。私自身の経験でも委員のおっしゃったようなケースは時々ございました。
かつて、某国に参りましていろいろ話していたときに、こういう非常にすばらしいプロジェクトが国際機関の手でなされている、そうしてそれは具体的には欧州の某国の力によってやられている、日本もそんなことをやらなくちゃいかぬというのを大使から聞いたわけでございますが、実はたまたま私が知っておりまして、その事業は日本の国際機関に対する特別に拠出した基金を基礎にして出されておった、たまたまその事業を物理的にやっている主体が我が国であったということがあったわけでございます。
いずれにしても、我が国がいろんな国際協力、ODAその他で協力いたしますのは、それで何かすぐに見返りをということではございませんけれども、きちんとやっていることは当該国あるいは国際社会でもよく御理解をいただくということが大切だと思いますし、またそういったことを国内においても広く国民の皆様方に周知徹底し、認識していただくということが国民レベルでの国際理解の増進の動きにもつながってくると思いますので、そういった意味で、対内あるいは対外の広報活動にさらに一層力を入れてまいりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/44
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045・成瀬守重
○成瀬守重君 日米安保の問題にしましても、今のODAの問題にしましても、やはりもっと、よらしむべし知らしむべからずというような昔風の考え方じゃなしにひとつお願いしたいと思います。
ちょっと話は違いますが、別の話ですが、北朝鮮との関係について、政府の取り組みについては外務大臣も外交演説の中で述べておられますが、日朝国交正常化交渉の現状及び今後の進め方について政府の考え方を伺いたいと思います。
また、我が国は昨年、北朝鮮に対する米の支援を行いましたけれども、北朝鮮への支援問題については韓国と協議して、韓国の理解を得ながら行うべきじゃないかと思いますが、こういったことについての政府の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/45
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046・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 日朝の国交正常化の問題につきましては、御承知のとおり、我が国としては第二次世界大戦後の日朝間での不正常な関係は正さなくちゃいけないと思っております。また、そのことが朝鮮半島全体としての平和と安定に資する、こういうことにつながっていくことが望ましいと考えている次第でございます。しかし、いずれにしても、そういった朝鮮半島に係る問題を進めていきますときには韓国との緊密な連携のもとに進めていくということを大切にしなくちゃいけない、こう考えている次第でございます。
正常化交渉は、不幸にしまして七回までやりまして中断した状態になっておりますけれども、我が国としてはただいま申しましたような基本的な姿勢で今後とも臨んでまいりたいと、こう思っております。
それから、米の支援の問題でございますけれども、これは御承知のとおり、昨年、人道的な見地からまことに特例的なものとして支援をしたわけでございます。そういったことでございまして、現在のところ具体的な支援の要請が我が国政府に寄せられているわけではございませんし、さらにこれからということを今考えているわけではございません。
しかし、仮にそういったことが将来あり得るとしても、それは国内のいろいろな状況を考えることはもとよりでございますし、また韓国との連携のもとにいろいろ進めていくという対朝鮮半島の我が国の政策を取り運んでいくときの基本のラインに沿って考えるべきことは当然だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/46
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047・成瀬守重
○成瀬守重君 以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/47
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048・寺澤芳男
○寺澤芳男君 本日の委員会で審議しております法案に関連した質問を二、三させていただきたいと思います。
先ほど同僚委員の質問にありましたように、現在我が国が国家承認をしている国が百八十九カ国あって、今回の法案の四カ国が加わりますと百八十八カ国になり、モナコを除いてすべての国に日本の大使館に大使がいることになります。これは、我が国の国連の常任理事国入りというものに関連して、すべての国家の大使がそろう、大使としての強力な外交を展開できるということでも大変前向きな姿勢ととらまえますが、大臣はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/48
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049・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 御指摘のとおり、我が国の外交というものを考えました場合、一昔二昔前と違いまして、特定のかかわりの強い国だけと緊密に連携をとっておればいい、そういう時代ではないと思います。国際機関その他はもとよりでございますけれども、百八十数カ国という世界じゅうのあらゆる国との関係に関心を持ち、また対話を進め、連携もしていかなくちゃならないと、こう思う次第でございます。
そういった意味で、今回御審議をお願いしております法律を通させていただきますと、現在我が国が承認しております百八十九カ国のうち、モナコを除き百八十八カ国に大使館が、兼館もございますけれども設置されるということでございますので、そういったものを活用いたしまして各国との友好協力関係を一層強化してまいりたいと、こう考えております。
また、先ほども御指摘ございましたように、できれば兼館ではなくて実館をというようなお話もございました。そういった面でも御理解をちょうだいしつつ外務省として今後努力してまいりたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/49
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050・寺澤芳男
○寺澤芳男君 サンマリノですが、けさの新聞によりますと、日本とサンマリノとの外交関係樹立のための書簡の交換が昨日の夜サンマリノで行われた、正式な外交関係の樹立は数カ月後になる見通しという記事が出ております。
非常に素朴な疑問なんですが、まだ正式な外交関係が樹立していない国、サンマリノ等に大使館を急いで日本の国会で法律を通してつくる、その辺の背景を御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/50
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051・原口幸市
○政府委員(原口幸市君) お答え申し上げます。
確かに先生御指摘のとおり、サンマリノにつきましては、昨日サンマリノ政府と我が方との間で外交関係に関連しての書簡の交換を行ったわけでございます。
サンマリノ側では一応形の上で、我が国にはそういう必要はないのでございますけれども、外交関係開設についてはその後サンマリノの議会での了承を必要とするということでございますので、それが終わるまでは一応待たなければならないわけでございますが、少なくともこれまでの接触におきまして議会での承認を得るということについて、時間は多少かかっても問題はないという話でございます。
それで、私どもといたしましては、在外公館の設置につきましてとりあえずサンマリノにおいて兼轄の在外公館を設置するということにつきまして御了承をいただいた上で改めて相手国との間で、特にサンマリノ側の議会の承認が得られた段階で在外公館の設置は施行期日の政令を制定することによって正式に実行する、そういうようにしたいと考えております。したがって、いつ何どきでも対応できるような体制をこの措置によってとれるようにしていただければと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/51
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052・寺澤芳男
○寺澤芳男君 日本の国会で法律をあらかじめ通しておいて、現在は外交関係がないけれども後ほどあるであろうという前提のもとにとりあえず法律を通しておくということは、今までにもそういう例があるのか、外交上の必要でこれはやむを得ないことなのか、その辺のところを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/52
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053・原口幸市
○政府委員(原口幸市君) 前例といたしましては南アフリカの例がございます。
向こうの手続が終わった段階で直ちに在外公館を設置できることが望ましいと考えておりますので、理想を言えば必ずしも適当とは思いませんけれども、やむを得ないものと考えておりまして、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/53
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054・寺澤芳男
○寺澤芳男君 新聞によりますとサンマリノとは一九六一年に領事関係を結んでおりまして、九二年にサンマリノが国連に加盟したことを機に大使の交換などができる外交関係樹立に向け両国の準備が進んでいたというふうにありますが、特に国会での法律制定を外交関係ができていない国にもかかわらず一応やっておくという点について今後どういう影響があるのか、その辺のところをもう少し真剣に私としても考えてみたいと思います。きょうの新聞でこれを知りましたので、これからまたいろいろ審議を進めてみたいと思います。
もう一つは、在外公館に関して最近問題になっていろいろんなことの一つに、ただでさえ少ない職員が日本から来るVIPのお世話に忙殺されていると。私が以前内閣委員会でこの問題を取り上げたときに、平成三年度のこうした便宜供与、いわゆるアテンドが年間二万六千四百八件、世話をしたいわゆるVIPの延べ人数が十四万三千六百七十人という答えが外務省から返ってまいりました。これは平成三年です。これは我々国会議員も含めて政府の他の省庁、地方議員、これがホテルの予約をとるとか、そういう人たちのためにトランジットの便を空港で探してやるとか、空港からホテルまでの移動というようなことをかなり数少ない在外公館の人たちがやっている。
この問題は平成三年に総務庁の行政監察でも問題になりまして、その改善のために例えば空港の送迎は弾力的に対応せよといったような具体策が勧告されているわけですが、最近のこのアテンド業務について実態を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/54
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055・原口幸市
○政府委員(原口幸市君) 今、先生は便宜供与案件、平成三年度のことをおっしゃいましたが、暦年で申し上げますと、平成四年が合計で二万七千三百八十九件、平成五年が二万九千四百七十件、平成六年が合計で三万二千件となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/55
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056・寺澤芳男
○寺澤芳男君 必ずしもエリート外交官が国会議員とか地方議員にぴたっとくっついて飛行場まで行ったり来たりしなくても例えば業者を雇ってやらせるとか、外務官僚はそういう貴重な時間をその国の文化や政治、経済、いろんな情報を摂取するためにもっと有効に使うとか、そういうことについての改善策、そういう具体的な改善のための努力、そういうものを今までやってきたかどうか教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/56
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057・原口幸市
○政府委員(原口幸市君) お答えする前に、確かに数の限られております在外公館員が専ら便宜供与にだけ貴重な時間を費やしていることは適当ではないと思いますが、同時に、今の外交といいますのは在外公館だけで全部できるわけではございませんで、民間の方たちがその任地にやってきていろいろな形で交流をするということが非常にある意味ではその国との交流にも役立っているという面がございます。今日のように国際化が進展してまいりますと、やはり便宜供与の案件数がふえてくるのはある意味ではやむを得ない面があるというふうに私どもも思っておりまして、必要なものについては引き続き我々も在外公館員がこれにアテンドすべきだと思っております。
他方、先生がおっしゃるように、何が何でもすべて限られた人員がそういうもののために時間を費やしていくというのも適当でございませんので、先ほど先生が御指摘になった総務庁行政監察局の御指摘も踏まえまして便宜供与基準の改善を逐次行っておりますし、また派遣員制度というものを導入いたしまして、この活用を非常に大幅に行っております。また、訪問される方々の態様によりましてはできれば例えば旅行業者、民間業者の活用等をお願いするというような形で、できるだけ公館のこの面にかかわる負担を軽減するような努力を行ってきているところでございますが、今後とも必要に応じて便宜供与業務の合理化に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/57
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058・寺澤芳男
○寺澤芳男君 次に、民間とか他省庁の出身者を大使にするという点について御質問をしたいわけです。
外務省が民間や他省庁からの大使の起用を始めたのが昭和二十七年、日銀総裁を経た新木さんが駐米大使に起用されたのが初めだと記憶しておりますが、それから現在までの三十四、五年の間に二十三人が民間とか他省庁から大使に起用されておりますが、いかにも少ない数であります。結局これはアメリカが特別にそういう国だから、必ずしもアメリカを目の中に入れる必要はないとは思いますが、アメリカの駐日大使の場合もライシャワー先生を初めとして学識経験者あるいは非常に日本をよく知っている人、そしてまた民間人を自由に起用してその国の利益のために大使として活躍をさせております。そういう新しい考え方で、民間企業出身の人たちの大使の起用について外務大臣としてはどのようなお考えをお持ちなのか、ぜひお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/58
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059・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 基本的に申しまして、外務省といたしましても、優秀な民間の方々に外交の活動に参加していただき積極的に御活躍いただくということは、我が国の国益にもかなうところであると、こう考えております。
ただ、外交という仕事の性格から申しまして、長年にわたる経験を必要とするとか、あるいは外交という仕事の特殊性に即した訓練を要するとかいろんなことがございまして、現実にはこれまでなかなかはかどっていないというのはおっしゃるとおりでございます。しかしながら、最近でございますから民間におきましても国際的なお仕事に携わる方の数もどんどんふえておりますし、またその深度といいましょうかそういったものも随分高まっておるわけでございますので、これからはそういったいわば人材という面でもよく我々気をつけてまいりますならばそれは多分大勢おいでになるに違いないと思いますから進めてまいりたいと、こう考える次第でございます。
ただ、諸外国の場合には、米国がというわけではございませんけれども、いろいろあるようでございます。本当に有能な民間の方を活用されるというだけじゃなくて、例えば選挙で功績のあった方を処遇するというふうな面で任命されるという例、国もあるやに伺っておりますので、一概に外国と比べてどうこうということはございませんけれども、私どもとしても基本的に民間からの登用というものを進めてまいりたいと思います。
御指摘のように二十七年に、これは講和成立後間もなくでございますが、新木駐米大使が就任されまして以来三十年代の単ばぐらいまではかなりあったろうと思います。それが一時、三十年代後半から四十年代にかけてずうっと少なくなっておった。それで外務省といたしましてもそのあたりで少し考え直しまして、五十年代ぐらいからはできる限りそういった努力をやっておりまして、現に例えばフィンランド大使として御活躍いただいております高原須美子大使はかつて経済企画庁長官もなさいましたが、民間のジャーナリストあるいは評論家としても御活躍なさった方でございまして、今も本当に日本外交の先兵として大変見事なお仕事ぶりであるというのを私も拝見している次第でございます。
今後とも努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/59
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060・寺澤芳男
○寺澤芳男君 民間あるいは学識経験者、大学関係者あるいは他省庁、そしてまた女性、そういうところから幅広く本当に優秀な日本人が日本の大使として各国に赴任していくというような時代は遠からずやってくるのだろうと思います。要するに、外務省の中のキャリア外交官に欧米などの駐在大使の希望者が非常に多くてポストが余りない、そういう問題も非常に深刻な問題としてあろうかと思いますので、そこにコンペティターとしての民間あるいは学識経験者が入ってくるとまた問題は違った問題として立ちはだかってくると思いますが、基本的な態度として、キャリアの方だけが大使をするというようなことではなしに、やはりもっとオープンなそして思い切った人材登用ということが必要ではないかと思います。
私の質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/60
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061・畑恵
○畑恵君 平成会の畑でございます。平成会の持ち時間はあと三十分余りですけれども、私はこの時間を一括して現在ジュネーブの国連人権委員会で論議されております旧日本軍による従軍慰安婦問題について伺ってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、先月六日に明らかとなりました国連人権委員会の女性に対する暴力特別報告官ラディカ・クマラスワミ女史による報告書が示しております日本政府に対する六項目の勧告に対する御見解を、きょうは少しお時間をいただいてお尋ねしていきたいと思います。
その前に、まずこの報告書では、旧日本軍がアジアの女性たちに強制しました従軍慰安婦としての行為、処遇、これにつきまして性的奴隷であると定義して、慰安婦の場合の女性や少女の誘拐及び組織的強姦は明らかに一般市民に対する非人間的行為であり、人道に対する罪に当たるとしていますが、この基本認識につきましてどのようにお考えであるか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/61
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062・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 政府といたしましては、いわゆる従軍慰安婦問題につきましては多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた大変悲しむべきまた重大な問題であると認識しております。そういった意味で、これまでも従軍慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、今日に至るも心身にわたりいやしがたい傷を負っておられた方々に対して心からおわび申し上げ、また反省の気持ちを表してまいったところでございます。
ただ、法的な観点からどうかということになりますと、いわゆる従軍慰安婦問題を含めましてさきの大戦にかかわる賠償あるいは財産、そして請求権等々の問題につきましては、サンフランシスコ平和条約あるいはその他の二国間の平和条約等々に従いまして誠実に対応してまいったと、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/62
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063・畑恵
○畑恵君 大臣、もしよろしければ、その問題についてはこの次の御質問の、勧告に一つずつお答えいただくところで御発言いただければと思うんですけれども、よろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/63
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064・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) そういうことでございますので、そういった基本的な立場、それから法的な問題についての政府の考え方を踏まえまして、クマラスワミ報告につきましても私どもはそういうふうに見ておると、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/64
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065・畑恵
○畑恵君 申しわけございません。マイクがきちんと入っていなかったようでお耳の方に届いていなかったようなんですけれども、六項目の勧告に対する御見解をこれから伺ってまいりたいと思いましたが、今お答えが先に出てしまいましたので、ちょっと順番が逆になって大変恐縮でございます。質問の方が後から出てしまう不体裁をお許しくださいませ。
それでは、そういうことを受けまして、勧告の内容について一項目ずつ伺ってまいりたいと思います。重複しますので、できましたら簡潔に手短にお答え願えれば大変幸いだと思います。
まず「勧告」の第一番目が、第二次大戦中に日本帝国陸軍が開設した慰安所制度は国際法上の義務に違反した行為であったことを認め、この違反に対する法的責任を認めるべきであるという勧告が出ておりますけれども、お答えいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/65
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066・朝海和夫
○政府委員(朝海和夫君) いわゆるクマラスワミ報告附属1のただいま御指摘の点でございますが、この点につきましては先ほど大臣から答弁いたしましたとおりでございます。いわゆる従軍慰安婦の問題を含めましてさきの大戦にかかわる賠償、財産請求権の問題については、サンフランシスコ平和条約あるいはその他の二国間の平和条約、関連の条約に従って誠実に対応してきているところであるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/66
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067・畑恵
○畑恵君 二番目としまして、日本の軍隊による性的奴隷制の被害者個人に補償金を支払うべきであるという点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/67
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068・朝海和夫
○政府委員(朝海和夫君) 先ほども申し上げたとおりでございますが、いわゆる従軍慰安婦問題を含めましてさきの大戦にかかわる賠償、財産請求権の問題につきましては、常に誠実に対応してきているところであると考えているわけでございます。
ただ、この問題につきましては、歴史を私どもも直視いたしまして、関係諸国等との相互理解の一層の増進に努めていくこと、あるいは我が国としてのおわびと反省の気持ちをあらわすことが適切であろうと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/68
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069・畑恵
○畑恵君 三番目は、慰安所その他第二次大戦中の日本帝国陸軍の関連活動に関し、所有するすべての文書、資料を公開すべきであるという、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/69
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070・朝海和夫
○政府委員(朝海和夫君) 資料の公表に関しましては、平成三年十二月以来でございますが、いわゆる従軍慰安婦問題に関しまして誠実な調査を行ってきたところでございまして、平成四年七月それから平成五年八月の二回にわたりましてその結果を公表してきたところでございます。関係省庁におきまして種々の資料を原則として公開するということで対処しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/70
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071・畑恵
○畑恵君 四番目としまして、日本軍の性的奴隷制の女性被害者として名乗り出た者で、かつその旨が立証可能な個人に対し書面で公式の謝罪を行うべきである、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/71
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072・朝海和夫
○政府委員(朝海和夫君) 内閣総理大臣を初めとしまして、日本政府の最高責任者の方におかれては、これまでもさまざまな場で従軍慰安婦の方々に対する真摯なおわびの気持ち、反省の気持ちを表明してまいられたところでございます。
さらに、政府としましては女性のためのアジア平和国民基金、これを設立したところでございますが、それが事業を実施する中で元慰安婦の方々に国としての率直な反省とおわびの気持ちを改めて表明することとしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/72
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073・畑恵
○畑恵君 五番目としまして、歴史的事実を反映するよう教育課程を改定することによってこういった問題についての意識を向上させるべき、これについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/73
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074・朝海和夫
○政府委員(朝海和夫君) 申すまでもないことでございますが、日本が今後国際社会においてより積極的な役割を果たしていくということに当たりまして、特に我が国の次の時代を担う若い方々が学校教育などを通じまして日本の近代史、現代史にわたる歴史を正確に理解することが重要だと考えております。その面での努力を強化しているところでございまして、現在の学習指導要領などにおきましても、高等学校に近現代の歴史に重点を置いて指導する科目を設けるなど十分に配慮しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/74
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075・畑恵
○畑恵君 六つ目ですが、慰安婦募集及び慰安所開設に関与した者を可能な限り特定し、処罰すべきである、これについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/75
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076・朝海和夫
○政府委員(朝海和夫君) 関係者の特定及び処罰につきましては、特別報告者自身も国が係る国際法上の一般的な義務を負うものではないということを報告書の中で述べております。
それと、必ずしも外務省の所管事項ではございませんけれども、具体的事象につきましては、犯罪の成否について個別に法と証拠に基づいて判断すべき事項でございますから、この点について一概に申し上げることは難しいかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/76
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077・畑恵
○畑恵君 ただいまの御答弁の中に外務大臣の御発言も含めますと誠実という言葉が四、五回、真摯という言葉も出てまいりました。もしこれがそのとおりに実行され遂行されているのであれば、戦後五十年たちました今、クマラスワミ報告の中で恐らくこのような勧告が行われる必要そのものがないと私は思います。ただいまの御返答を国連の場で同じように繰り返されると仮定しまして、果たして世界各国から理解と同意を得られるのかどうかというのは、私はやや疑問があるのではないかという思いを禁じ得ません。
ただ、このような御答弁というのはこれまでさまざまな委員会でさまざまな方々が繰り返しなさっていらっしゃいますので、大変遺憾ではありますけれども、もし政府の立場がこのまま変わらないとおっしゃるのであればなおさらなんですけれども、世界を納得させるような論戦をきちんと展開できるような御準備を進めていくべきだと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
国連人権委員会の報告につきましてはこれでおきまして、では次に、このクマラスワミ報告からほぼ一カ月後になりますけれども、今月四日、今度は国際労働機関、ILOの条約勧告適用専門家委員会におきまして、この従軍慰安婦はILO二十九号条約が禁止します強制労働に当たるかどうかについて、「こうした行為は、条約に違反する性奴隷として特徴付けられる」という意見が表明されました。同じこの委員会が、もちろん申し立てが事実ならという条件つきではありますけれども、「救済は政府のみが与え得る。当委員会は当該政府がすみやかに適切な配慮をすることを希望する」と日本政府への要望を表明していますけれども、これについてはどのような御見解をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/77
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078・朝海和夫
○政府委員(朝海和夫君) いわゆる従軍慰安婦の問題がILOで言うところの強制労働に該当するかどうか、これについては難しい問題があろうかと思います。
それはおきまして、この件がILO第二十九号条約上の義務違反かどうか。その有無を論じるまでもなく、私どもは、いわゆる従軍慰安婦問題を含めましてさきの大戦にかかわるいろいろなことにつきまして、賠償、財産請求権の問題を含めまして、サンフランシスコ平和条約その他の平和条約、二国間の取り決めなどによって誠実に実施しているところでございます。そういった意味で、条約的、国際法的には当事国との間では既に法的には解決済みの問題であると考えているところでございまして、この点につきましては条約の相手方の当事国においても同様の立場であろうと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/78
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079・畑恵
○畑恵君 この点について問答を繰り返しましても恐らく同じ答えしか出てまいりませんと思いますので、ちょっとだけ御紹介をさせていただきます。
この春に去年韓国でつくられました従軍慰安婦に関するドキュメンタリー映画が日本で公開されます。「ナヌムの家」というドキュメンタリーでございまして、日本の山形国際ドキュメンタリー映画祭で小川紳介賞という賞を受けた作品でございます。こういう問題を取り扱ったのですけれども、決して告発型の映画ではなくて、実に淡々と、時にはほのぼのとしたぐらいに、かつて従軍慰安婦という過酷な運命を強いられた女性たちの現在の生きざまと、そしてその胸のうちに秘められた思いというのを伝えておりますので、ぜひ一度こういうものを実際に見ていただいて、どういうことが行われたのか知っていただくというのも大切ではないかと思います。
質問は、その監督が女性なんですけれども、ビョン・ヨンジュさんと申しまして、先日来日されて記者会見をされました。ほとんどの新聞に取り上げられましたので恐らくお目に触れたこともあると思うんですけれども、その記者会見でヨンジュさんがおっしゃられたことは、慰安婦であった女性たちから日本に行ったら必ずこれだけは伝えるようにと言われたことがありますと。何かというと、民間基金は絶対に受け取らない、この思いを伝えてほしい。なぜかといえば、この慰安婦であった方々がこだわっているのはお金ではなくて何よりも名誉回復であるという、このことを繰り返し繰り返しおっしゃっていました。ということで、おわかりでいらっしゃるように、この民間基金というのは先ほど御答弁の中にもございました女性のためのアジア平和国民基金を指している。このアジア女性基金についてこれから伺ってまいりたいと思います。
このアジア女性基金については、設立の経緯については改めて申しません。もちろん先はどのように誠実な思いを込めてつくられた、それも事実だと思うんですけれども、その一方で国家責任を回避するすべとしてこの基金がつくられたのではないか、そういう御意見もかなりありまして、国内にもまた国外にも反発がある。問題なのは、やはり国外の問題でございます。先はどのように、韓国の実際そうした運命を強いられた女性たちのみならず、国や地域レベルでも反対という表明が日本に対して出ている。北朝鮮、そして今月に入って台湾もこのアジア女性基金について反対の見解を表明しています。
政府としては、こうした当事者あるいは当事国の声をどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/79
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080・平林博
○政府委員(平林博君) アジア女性基金につきましては、内外にこれに対する批判がいろいろとあるということは先生おっしゃるとおりでございますが、我々及び基金の関係者が今対話を現地の人々と持ったりいろいろとPR活動をやっている過程で得た情報、感触でございますが、その当事国で国あるいは政府としてこの基金に反対しているということは我々は寡聞にして伺っておりません。ただ、この問題を熱心に追及しているNGOの中あるいは元従軍慰安婦御本人の一部の中にいろいろな思いから反対、御批判をなさる方があるということは、十分に踏まえて対応したいと考えております。
これからもこの元従軍慰安婦に関する先ほど来御説明のありましたような立場を踏まえながら、しかし道義的な責任に基づいて、全国民的な規模で展開されておりますこのアジア女性基金に対する理解の促進と、それからまた実行を可能にするようないろいろの対話等を含めた働きかけ、こういうものを誠心誠意やってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/80
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081・畑恵
○畑恵君 ただいまの御答弁の中で、私は北朝鮮と台湾を挙げさせていただいたんですけれども、それぞれが国、地域レベルで反対表明をしているということについて確認をしていらっしゃらないという御発言がございましたが、私は二月十七日付の朝日新聞夕刊の、台湾が反対の見解を示している、日本にある駐日経済文化代表処が取り寄せた公式文書でこのことが明らかになったという、この記事をもとにして発言をさせていただいたんですけれども、そうしますとこの記事は誤報でございましょうか、または国レベルでは確認をしていないということでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/81
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082・平林博
○政府委員(平林博君) 北朝鮮政府につきましては、直接我々が接触して政府の見解をお伺いすることはなかなかございませんが、いろんなことでこの運動に対する批判を展開しているということは仄聞しております。
ただ、台湾につきましては、先生の今御紹介なさったような記事は我々も拝見いたしましたけれども、政府のルートで接触している限りはその記事にあるようなはっきりした政府としての反対を決めているということではないと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/82
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083・畑恵
○畑恵君 これはどうしても水かけ論になってしまうので、ここでとめたいと思うんです。
もう一度アジア女性基金そのものについてお話を戻したいんですが、実はかく言う私もこの女性基金に大変わずかではありますけれども参画をいたしております。ただ、参画したことによって、この従軍慰安婦問題を解決していこうという団体の方から、特にアジア女性基金そのものについて反対する立場の方々から、どういう考えなのかという批判もまた受けております。
個人のことを申して恐縮なんですけれども、私としては、アジア女性基金に参加しているということは、これはベストチョイスではなくてあくまでも次善の策であると。国家による謝罪と政府からの補償ということを別にあきらめたわけではなくて、ただそこに、その狭いストライクゾーンにずっとこだわっていると、もう既に八十のよわいを超える方々が多くございますので、ひょっとするとその方の一生を終えた後に解決を見るのでは意味がないのではないかということで、せめてもの償いの気持ちを伝えるということで参加している。
実際、アジア女性基金に寄せられた金銭とともにさまざまなお手紙がついていますけれども、私もそれを読ませていただきますと、決して私のような考えの方が少なくないのがわかると思いますし、恐らくそのことについてはいろいろなところで把握をしていらっしゃると思います。まず、アジア女性基金をつくればそれで問題は解決するんだというのではなくて、そこに参画をしている、同意をしている方々も、なおそこから一歩も二歩も進んで、国による、政府による本当の意味での誠実な対応を求めているということを忘れないでいただきたいという一つ御要望がございます。
さらには、これは三月十四日付の毎日新聞の夕刊に掲載された記事なんですけれども、「「アジア女性基金」の願いと現実」というふうに題しまして、この基金の呼びかけ人でいらっしゃいます三木睦子氏、大鷹淑子氏、大沼保昭氏の三氏による共同論文が出ておりました。当然お読みになっていらっしゃるとは思うんですけれども、それによりますと、政府がこの基金の設立に当たり呼びかけ人の方々に約束していたことが遂行されていないのではないかという不信感が高まっているということがこちらの方にございます。
一点は、政府首脳から財界への募金協力への働きかけがほとんどなされていなかったために、本来でしたら一人二百万円相当で全体として二十億円必要だとしていた基金がまだ一億八千万しか集まっていない、もう一点は従軍慰安婦制度解明に向けての調査研究を進めるというふうなお約束が果たされていなくて遅々として進んでいないという、この二点について述べられているんですけれども、この御不満、御不信の声についてはどのようにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/83
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084・平林博
○政府委員(平林博君) アジア女性基金の運動に関与しておられる方々の中にはいろいろな考え方の方々がおられます。先生と同じような考え方の方々も呼びかけ人を含めましてたくさんおられます。呼びかけ人の方々だけをとっても本当にいろいろと考え方の違う人々がおります。このアジア女性基金が最終的な目的だと考えている方もおられれば、これはさらに国として何か行うまでの間の一つのキャンペーンだという方もおられます。
政府といたしましては、いずれにいたしましても先はどのような立場でございますのでその立場を変えるわけにはまいりませんが、しかし政治的、道義的な責任も感じ、また国民の皆様方といろいろとこの問題に対する知識や考えを分かち合いながらやっていこうということで進めているわけでございます。
先ほど御紹介のありました毎日新聞への投稿につきましては、呼びかけ人の方々の投稿でございますので、我々も十分に御本人たちと話し合いを行っております。確かに、この投稿の後の方の部分では、政府の努力不足に対する御不満、批判ということが強く出ておりまして、我々もこれを読みまして大変じくじたる思いをしたわけでございます。
しかしながら、政府首脳を含めまして、この投稿に書いてあるような努力不足だとか何もしないということでは決してありません。この三人の方々には個々に御説明は申し上げてありますが、すべて呼びかけ人の方々に情報が行っていないというところが反省材料として我々にございます。
今の橋本総理、梶山官房長官を初め、さらには発足当時からの経緯を考えますと村山前総理、五十嵐あるいは野坂当時の官房長官が財界、労働界、それぞれ大口の方に働きかけております。ただし、残念ながらやっと最近理解が進みまして、少しずつ約束をいただけるような段階になってきているということでございます。ペースが当初予定していたより遅いことは確かでございますが、そのうちに徐々にこの努力が実ってくるものというふうに考えております。
現在では二億円を少々上回るところまでまいっておりますが、私の目分量では五億円ぐらいまではめどが立っている。それ以上にするために今一生懸命これは努力をしているということでございます。何とかことしの半ばごろまでには一部の国、一部の方々なりともこの基金のお支払いができるように募金の面でも、また対話の面でも努力したいというふうに考えております。
調査研究につきましては、先ほど朝海部長からも一部御報告がありましたが、今までのところ、発見された公文書等調査結果はプライバシーの点から特に問題があると思われる点を除いてはすべて公開してきておるわけでございますが、これからも逐次資料が発見されればその公開の原則に従って対応してまいりたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/84
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085・畑恵
○畑恵君 この論文の中にも記載されていますけれども、「政府の担当者の中には熱心に努力して下さる方もあります。」ということで、お三人の方々も政府担当者の方々の御苦労というのはよく御理解していらっしゃいますし、私もそれは全く変わらないところでございます。ただ、そこから続いて文章を読ませていただきますと、「しかし、問題は個々の官僚レベルの話でなく、政府の最高責任者の政治的意思です。」という文章がこちらの方にございます。また、少し戻りまして「日本の名誉を少しでも救う鍵は、政府の決断にあります。」ということで、やはり最高責任者の高度な政治判断、意思に対する期待というのが非常に大きい文章でございまして、これは私も変わらぬところでございます。
ということで、質問の最後といたしまして、冒頭に御発言を途中で遮るという大変な御無礼をいたして本当に申しわけございませんでしたが、大臣に政府の最高責任者といたしまして、この中に「私たちの間には政府への不信感が深まっています。」という言葉がございます。熱心に運動を続けていらっしゃる、そして大変見識の高い方々の御発言でもございます。私は、この論文というのは決してこのお三方だけの声ではなくて、この問題に対して真摯に、誠実に取り組んでいただきたい、そして自分たちも取り組んでいるすべての方々の思いを代弁している文章だと思いますので、ぜひ大臣から、今後さらに一層誠実にこの運動を進めていくに当たってどのようにお考えになっていらっしゃるか、御決意をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/85
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086・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 先ほども申し上げましたように、この問題につきましては、政府といたしましてもこれまでもあまたの女性の名誉と尊厳を傷つけた大変な問題だと認識いたしまして、機会あるごとに心からおわびと反省の気持ちを申し上げ、表してきたところでございます。しかし、それにもかかわらず、なかなか我々のそういった誠意というものがお酌み取りいただけない。それは、それだけ心身にわたりお受けになった傷が大きかったと、こういうことであろうかと思います。そういったことをよく踏まえながら、国としての法律上の権利義務の関係は先ほど来御答弁申し上げているところでございますけれども、しかしながらそれはそれといたしまして、政府としてこれからも誠意のある対応をしていかなくちゃいけないと、こう考えております。
そういったことで、女性のためのアジア平和基金というのも設立させていただいたわけでございます。この基金のこれまでの動きにつきましてもいろいろな御批判、ただいまも委員からお話がございましたこともよく踏まえながら、どういうふうにこれからその基金の事業を進めていくならば少しでもその目的とするところに近づいていくことができるか、そして我が国政府の誠意のあるところが御理解いただけるか、これからも全力を尽くしてまいりたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/86
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087・畑恵
○畑恵君 もちろん、傷の深さが余りにも深過ぎて伝わらないというところもあると思いますけれども、その御本人たちが求めていらっしゃるのとは違う方向に幾ら思いを日本の方から働かせても届かないところもございますので、あちらが何を求めていらっしゃるのかという、そこのところにぜひ誠実に耳を傾けて対応をしていただきたいと思います。心からお願い申し上げます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/87
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088・照屋寛徳
○照屋寛徳君 去る三月二十五日に福岡高等裁判所那覇支部で、内閣総理大臣が原告となり、大田沖縄県知事を被告として提訴しておりましたいわゆる職務執行命令裁判の判決がございました。
私も判決言い渡しを傍聴席で聞いておりましたが、言い渡された判決主文は、私を含めて大方の沖縄県民が予想していたとおりであり、その内容は、怒りは禁じ得ませんが、驚くことはありませんでした。なぜ訴訟当事者でもない、あるいはまた訴訟代理でもない私などが判決を予想し得たかというと、この裁判の全審理過程を通して沖縄県が申請をしておった証人を一人も採用しなかった、そして訴訟指揮の過程で裁判所が人権のとりでとしての使命、司法権の独立の精神を放てきして行政に追随をし、司法権の自殺行為に等しい訴訟指揮であったから、私を含めて県民はそのように判決を予想したんだというふうに考えております。
大田沖縄県知事は昨日コメントを発表いたしまして、高等裁判所の判決に従わない、要するに土地調書、物件調書への代理署名を拒否する、こういうコメントを発表いたしました。
コメントの中で知事はこう言っております。
今回の判決は、沖縄県にとって極めて厳しい内容となっており、基地問題の根本的な解決の方向性は示されておりません。
さらに知事は、
この裁判においては、沖縄の米軍基地の実態を通して、機関委任事務と地方自治の本旨との関係、平和的生存権、財産権や平等原則についての憲法上の問題が問われた重要な裁判でした。県民は、戦後五十年間も基地と否応なく同居を余儀なくされてきたことが、今回の判決により少しでも先明が見えるものと心の底から期待していました。
しかし、県民は、一人の証人の採用もなされないまま、実質的な審理を尽くさずに判決に至ったことで、公平、公正さを欠くのではないかと感じており、判決の内容に失望しています。
私は、県民から負託を受けた行政の責任者として、このような県民の意向を尊重し、最高裁判所に上告したいと考えています。
高等裁判所が命じた代理署名にも従わずに、さらに上告をして争うと、こういう意思を明確にしたわけでありますが、この三月二十五日の高裁判決と、高裁判決を受けてなお代理署名を拒否するという意思を明確にした大田知事の態度に対して外務大臣並びに防衛施設庁長官はどのようにお考えか、御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/88
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089・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 私どもといたしましては、楚辺通信所の問題の係争の土地につきましても、またその他その訴訟の対象になりました問題につきましても、かねてから国といたしましては安保条約あるいは地位協定に基づく区域あるいは施設として提供する必要があると、こういう観点で地主の方々の御理解を得るべく努力してまいったわけでございます。そうしてまた、残念ながらその御理解を得られなかったケースでございましたので、地方公共団体の長である市町村長さんとか、そしてさらには沖縄県の知事さん方に法律に基づく職務を行っていただきたい、こういう立場でお願いしておったわけでございます。
今回、その判決が出された、これを受けまして県知事におかれて代理署名をしていただきたい、このように期待しておったわけでございますけれども、昨日、今も委員から御指摘ございましたように、これには従えない、そして上告するつもりである、こういったお話があったということは私どもの立場からすれば残念だったなと、こういう気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/89
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090・諸冨増夫
○政府委員(諸冨増夫君) 判決をいただきまして、私も沖縄県に参りまして、何とか判決に従って御署名をいただきたい旨の要請を大田知事にさせていただきました。しかしながら、知事の御返事は、沖縄県の県民の意向というものを踏まえて、国の立場は理解できるけれども、やはり県民の皆様の意向なり県議会、そういう関係者の方々の意向を踏まえて御返事したいという趣旨のお話がございまして、昨日公式に署名できないというようなお話がされまして、まだ文書は届いておりませんが、きょう午後には県からの正式な文書が送達されるというふうに私ども聞いております。
私どもとしましては、きょうの五時で判決に命ぜられております期間が過ぎますものですから、やはり駐留軍特措法に基づきまして手続を進めさせていただきたいというふうに考えております。
この楚辺通信所という施設・区域は、安保条約第六条に基づきまして私ども施設・区域として提供しておる土地でございまして、安保条約の目的達成のために極めて重要な地域であるというふうに私ども認識しておりますので、政府としては今後とも引き続き米軍に協定に基づきまして提供をさせていただきたいと、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/90
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091・照屋寛徳
○照屋寛徳君 外務大臣、高裁判決の中でこういうことを言っております。知事が米軍基地の現状、県民感情等に照らして代理署名を拒否したことは理解できないことではない、さらに米軍基地の整理、縮小は国の重大な責務である、こういうふうに言っているわけですね。判決で米軍基地を整理、縮小するのが国の重大な責務だと言い切っている。そうするとこれはやっぱり政府の責任、政治の責任ですよ。
この判決で指摘された沖縄の米軍基地の整理、縮小に関する国の責務ということについてどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/91
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092・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 委員から今御指摘のあった点でございますけれども、まず最初に、判決の本論というところは、やはり法に従って県知事において署名という行政行為をとるべきである、こういうことであったと私は理解しております。
ただしかし、その中で裁判長が、県知事がこのような行動に出ざるを得なかったとするそこのところは理解できないでもないということを述べられたことは、やはり我々も軽々に考えるわけにはまいらないと思っております。それと同時に、基地の整理、統合について段階的に縮小していく、そういった面で国の責任も重いという指摘があったことも我々は重く受けとめなくちゃいけない、こう考えておるところでございます。
そういうことがあればこそと申しましょうか、我々といたしましてもそのことの重要性というものはかねてからつとに承知しておりまして、現在、特別行動委員会という場を通じまして沖縄における提供施設・区域の整理、統合、縮小に最善の最大限の努力を傾注している、そのことは委員も御理解いただいていると考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/92
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093・照屋寛徳
○照屋寛徳君 諸冨長官にお伺いいたしますが、私は別に長官個人に恨みも何もあるわけじゃありません、大変重要な時期に長官に就任なされて大変だと思いますが、この判決を受けて、通称象のおり、いわゆる楚辺通信所について防衛施設庁は本当に素早いスピードで二重のフェンスを張りました。報道されたところによりますと、楚辺通信所の地主の一人である知花昌一君の土地については三月三十一日をもって賃貸借契約の期限が到来する、そして彼は既に文書でもって継続的に契約に応ずるわけにはいかない、土地を明け渡してくれと、こういうことを国に要求しているわけですね。
ところが、国の方は知花君の土地についても収用委員会に対して収用裁決の申し立てと同時に六カ月間の緊急使用の申し立てをする、こういうことが報道されておりますが、二十九日、あした、収用裁決の申請と緊急使用の申し立てをすることは間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/93
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094・諸冨増夫
○政府委員(諸冨増夫君) 本日、総理から代行署名の指示をいただきまして、私ども書類ができ次第、明日、沖縄県収用委員会に裁決申請の手続と同時に、六カ月間の緊急使用の手続をとらせていただきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/94
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095・照屋寛徳
○照屋寛徳君 私は、今度のケースで法律的に緊急使用が認められるような要件は全くないというふうに私個人は思っております、判断するのは県の収用委員会ですが。
ところで、この賃貸借契約の期限が到来をした。国として楚辺通信所の知花君の土地について使用権原を失うわけですが、四月一日以降、地主の知花君に彼の土地に対する立ち入りを認めるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/95
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096・諸冨増夫
○政府委員(諸冨増夫君) この土地は、私ども安保条約及び地位協定に基づきましていわゆる条約上の義務として現在在日米軍に提供している土地でございます。したがいまして、米軍は地位協定の第三条第一項の規定に基づきまして「施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。」という規定がございまして、こういうすべての措置をとることができる権原を有しておるということでございます。したがいまして、安保条約の目的達成という観点から見ますと、在日米軍といたしましては、施設・区域の運用に支障があるときには土地所有者等に対する施設・区域への立ち入りを拒否する場合がございます。
それで、仮に立ち入りを認めることによりまして楚辺通信所の運用に支障があり、日米安保体制にも重大な支障を生じるような場合というような場合が想定されますと、米軍としては立ち入り要請があっても拒否することになるということになろうかと思います。それに対して、私ども政府としても、そういう状況になればやむを得ないことかなというふうに今考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/96
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097・照屋寛徳
○照屋寛徳君 ずばり聞きますけれども、賃貸借契約もない、国が条約上の義務を果たすためとはいえ、その土地を占有する、占拠すると。どういう実体法上の根拠があるんですか。どういう法律上の根拠があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/97
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098・諸冨増夫
○政府委員(諸冨増夫君) 先生今御指摘のように、現段階では三月三十一日まで賃貸借契約に基づく使用権原というのを国は持っておるわけでございますが、三月三十一日までにこういう緊急使用の許可がおりない、あるいは改めて所有者からの同意を得られないというような事態になりますと、まさに先生御指摘のように国としてはその占有についての権原がない状態になることは御指摘のとおりでございます。
しかしながら、私どもとしては……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/98
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099・照屋寛徳
○照屋寛徳君 いいです。
確認しますけれども、民法でもいいですよ、日本の現行法の実体法上、正当な使用権原の根拠はないでしょう。そう正直に言ってくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/99
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100・諸冨増夫
○政府委員(諸冨増夫君) 占有する権原というのはないという状況になるわけでございますが、私どもは従来からの二十年間の平穏な賃貸借契約の状況が一方ではございます、今までの借りてきた状況といいますか。それから、ここの地域については引き続き米軍に対して使用を提供する義務がございます。これは条約上、私ども日本政府の義務でございまして、これは引き続き提供する必要がある。
それで、ここの地域の状況を私ども、若干長くなって恐縮でございますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/100
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101・照屋寛徳
○照屋寛徳君 いや、もういいです。
施設庁長官、やはり私は実体法上の使用権原を失うわけですから、その後、四月一日以降地主に明け渡さないで占拠すると。これはやっぱり政府が、国が不法行為を犯すことは明白なんですよ。条約上の義務がある、義務を履行しなければならない、それは結構でしょう。しかし、条約上の義務を履行するためには、沖縄のあの膨大な米軍基地の三分の一以上は個人有地なんですから、個人から条約上の義務を履行するための使用権限を取得しないといかぬでしょう。賃貸借契約を結ばなけりゃだめでしょう。だれが考えたってそうですよ。過去二十年間賃貸借契約を結んでいたから今後も使えるなんて、こんな論理がありますか。期限が切れて本人は明け渡してくれと言って意思表示しているんですから。そうでしょう。だから、そういうことをごまかして、言葉だけで戦前、戦中、戦後、沖縄の県民に多大な犠牲を強いたと。そういう同情は要りませんよ。法治国家なら法治国家らしくなぜやらないんですか。そのことが今問われているわけでしょう。
先ほど大臣も長官も、地位協定三条の米軍の基地管理権を根拠に、何だか四月一日以降も地主に土地を返さないでも済むようなことをおっしゃっておりますが、地位協定三条の基地管理権というのは、あくまでも正当な手続でその土地に対する使用権限を取得しているということが大前提なんですよ。そういうことを法律的な手続もやらない。これは民主主義社会じゃないでしょう。適正手続をやる、そうすることによって法も正義も貫けるんですよ。なぜ沖縄だけに法も正義も適用されないんですか。こんなことを百二十七万県民は許すわけがないでしょう。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/101
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102・諸冨増夫
○政府委員(諸冨増夫君) 今のお話でございますが、私どもは賃貸借契約を結んでいただけるようにこの土地所有者の方に再三再四お願いをしておりまして、現在もまだお願いをしておるところでございます。しかしながら、どうしても賃貸借契約に応ずることができないという御本人の意思が非常にかたいということで、現在、駐留軍用地特別措置法といういわゆる土地収用法にかわる法的手続をとらせていただいているという状況でございます。
したがいまして、この駐留軍用地特措法に基づく緊急使用なりあるいは裁決が認められれば、私ども、この土地は法律に基づく適正な権限を取得するというふうに考えておるところでございまして、この状況といいますか、私ども決して法律を無視して手続を進めているわけではございませんで、あくまでも法律に定められた手続に基づいて現在賃貸借契約に応じていただけないお一人の地主の方に対してこういう手続をやむを得ずとらせていただいている、このように御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/102
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103・照屋寛徳
○照屋寛徳君 冗談じゃないですよ。皆さんは賃貸借契約の継続を地主にお願いしていると言うんだけれども、地主は弁護士を代理人として、国に既に契約はしません、返してくれと言っているじゃないですか。法的な意思表示をやっているんですよ。それは理由になりません。
緊急使用を申し立てると言いますけれども、じゃ緊急使用は皆さんはいつまでに認められる、そういうふうに思っていますか。認められない場合にはどうするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/103
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104・小澤毅
○政府委員(小澤毅君) ただいま緊急使用申し立てから許可を得られるまでの間にどのぐらいの期間がかかるかという御質問だと思いますけれども、緊急使用につきましては、土地収用法にももちろん同じような規定がございます。この際に、土地収用法における過去の事例では最短で一日というものもございますけれども、何日ということを今定かに申し上げるということはいろいろケース・バイ・ケースによって違いますので、なかなか申し上げられないと思います。ただ、過去に駐留軍用地特措法に基づきます使用権限取得手続におきまして緊急使用の手続をとった事例がございます。ここでは申し立て後、許可までにおおむね十日間程度を要しているというところでございます。
いずれにしましても、私どもとしましては、県収用委員会の方でできる限り早期に許可が得られるよう期待したいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/104
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105・照屋寛徳
○照屋寛徳君 過去のケースは私もよく承知していますよ。十日間で認められたというんだけれども、非公式でありますけれども、県の収用委員会は四月十二日の定例日にしか第一回の審理をやらぬと言っていますよ。不法占拠でしょう。
外務大臣、施設庁長官、四月一日以降当該地主にはその地主の土地への立ち入りは認めるんですか拒否するんですか、はっきりおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/105
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106・諸冨増夫
○政府委員(諸冨増夫君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、米軍と私どものこれは最終的な判断になるわけでございまして、四月一日時点で、現在のところ、私ども、施設・区域については地位協定第三条に基づきまして米軍はすべての措置をとることができるという旨の規定もございますし、地元の情勢等を見ながらそういうところは最終的な判断をすることになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/106
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107・照屋寛徳
○照屋寛徳君 十九年前にも同じように法的な空白の四日間というのがございました。そのときも政府は地主の立ち入りについては拒むことができないという見解を示したわけです。それは私は当たり前だと思いますよ。そういう意味では、とにもかくにも四月一日以降、その日に緊急使用が認められない限り使用権原を失うわけですから、私は政府が、国家がこの不法行為を公然とやるということは、これはもう民主主義国家、法治国家の名に値しないと思うんですね。
その意味では、この楚辺通信所の知花昌一君の土地については私はその時点で返還すべきである、返還しなければどんなに政府が安保条約に基づいて基地の提供義務があるからといって、個人の、国民の憲法で保障された財産権を侵害してそのようなことを言ったってだれも納得しませんよ。そう思いませんか、諸冨長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/107
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108・諸冨増夫
○政府委員(諸冨増夫君) 繰り返しで恐縮でございますが、私どもとしては施設・区域の提供というのが日米安保の目的達成上どうしてもやむを得ない、我が国の安全と平和あるいは極東地域の安全と平和を守るためにどうしても必要だという認識に立った上の手続をとらせていただいているということでございます。
使用権原がない状況ということはもうできるだけ避けたいということで今も最大の努力をしておるところでございますが、そういう事態に立ち至った場合でも私どもとしては従来から平穏な手続を別途とらせていただいている状況で、確かに先生御指摘のように一時そういう正権原のない状態というのがあることは間違いございませんが、それをもって直ちに違法であるとか不法状態だというふうには私どもは認識していないということは昨日も官房長官からの御答弁がほかの委員会でございましたが、政府としては現在そういうふうな認識に立っておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/108
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109・照屋寛徳
○照屋寛徳君 その政府の認識は明らかに間違いですよ。使用権原がないのにそれを占有支配しておって違法じゃないなんというような、こんな論理がありますか。私もマスコミ報道で官房長官談話を見ましたけれども、とてもとてもごく常識的な人にはそんな法律的な見解が通るはずはないと思いますよ。
去る二月二十二日に宜野湾市で発生したアメリカ海軍兵士による海老原鉄平君を被害者とする業務上過失致死事件の事故状況、そして現在までの捜査状況についてお尋ねいたします。
海老原君は兵庫県から沖縄の大学に進学を目指して、そして沖縄で芸術活動をやろうと、こういうことで在沖しているさなかの不慮な事故で、その後に沖国大の合格が判明した。非常に無念の死を迎えたわけでありますが、現在までの捜査状況等について簡潔にお教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/109
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110・稲葉一次
○説明員(稲葉一次君) 御質問の件は、本年二月二十二日午後五時四十分ごろ、在沖縄米軍海軍兵士が私用で普通乗用車を運転し、沖縄県中郡部北中城村の国道三百三十号線上で丁字路交差点を右折する際、直進中の原動機付自転車と衝突し、その結果、運転者を死亡に至らせたという交通事故のことであろうかと思います。
沖縄県警におきましては、事故発生後直ちに現場での実況見分等を行ったほか、被疑者の取り調べ、関係者の事情聴取等の所要の捜査を遂げまして、三月十九日に業務上過失致死事件といたしまして那覇地方検察庁に事件を送致したという報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/110
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111・照屋寛徳
○照屋寛徳君 最後に外務大臣にお伺いいたします。
いよいよ四月、クリントン大統領と橋本総理の日米首脳会談が開かれるわけでありますが、この日米首脳会談で、とりわけ沖縄の県民は普天間基地の全面返還をいかに実現できるかということで注目をいたしております。ところが、三月二十二日の大田・橋本会談、二回目の会談でも総理は大変厳しい状況であると、こういうふうに言っておりますが、私は普天間基地の全面返還ということを実現できないと今度の日米首脳会談は失敗であったというふうに沖縄の立場では言わざるを得ません。今回の首脳会談で普天間基地の全面返還をアメリカに要求するおつもりはございますか、端的にお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/111
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112・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 私ども繰り返し申し上げておりますように、沖縄県民の皆様方の御負担をできる限り軽減してまいりたい、もとより安保条約の目的達成との調和を図りつつでございますが、そういうことで今最大限の努力をいたしております。その際に、沖縄県から協議会の場その他を通して御要望を受けております。そういったことも十分念頭に置きながら今作業を急いでいるところでございます。
ただ、現段階で具体的に個別の案件につきましてこういうふうになると、あるいは見通しなり、そういったことを申し上げられる段階にないという点は御理解をちょうだいしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/112
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113・立木洋
○立木洋君 今回上程されておりますこの法律案につきましては、検討させていただきましたけれども、これは私は賛成であります、内容的に見ましても。ですから、この問題に関しては改めて特にお尋ねしなければならない重要な問題はないと思いますので、今問題になってまいりました台湾海峡の問題をめぐっての日本政府の評価と態度について若干のお尋ねをしておきたいと思います。
二十三日に出されました外務大臣のコメントを読ませていただきました。あの選挙の結果と台湾海峡に関するコメントは読ませていただきましたけれども、台湾で初めて直接選挙が行われて、今回、李登輝総統が誕生したという状態、同時に台湾海峡でああいう極めて緊迫した事態が起こったというふうな問題については極めて遺憾だったと思うわけです。
こういう経過の中で、日本政府が中国及び台湾に対して評価の上であるいは態度の上で何らかの変化が生じる可能性があるんでしょうか。もし態度、評価について変化が生じるとするならば、どういう変化が生じ得るんでしょうか。今までの態度、評価については変化の可能性はないと言われるんだったらそれでも結構ですが、中国と台湾について今度の経過を経て日本政府としての評価、態度が変わるのか変わらないのか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/113
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114・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) ただいま御質問の趣旨は、これまでの経過を踏まえて日本政府の態度に変化があるか、こういう御趣旨というふうに拝聴させていただきましたが、私どもとしましては基本的に変化はない、こうお答え申し上げたいと思います。
長くは申しませんけれども、我が国の中国に対する立場あるいは台湾に対してどういうふうに見ているかというのは委員御承知のとおりでございます。そういったことを踏まえまして、私どもは、台湾問題につきましては、その両当事者の直接対話を通じて平和的な解決を期待する、これが基本的な立場でございます。それは変わりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/114
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115・立木洋
○立木洋君 日本と中華人民共和国の間で一九七二年九月に共同コミュニケを発表し、一つの中国という立場を承認するということになりました。カイロ宣言あるいはポツダム宣言の経過を経てみても御承知のように、台湾が中国に返還されるべきものであるというふうなことについても、共同声明の中でポツダム宣言の第八項を引用してその立場も表明されているというふうに考えて、そういう立場は変わらないということであります。
そうしますと、中国が今回台湾で行ったああいう軍事的な行動、これは台湾が中国の国内問題であるとはいえ、いわゆる力でそれを抑えるような、意思を押しつけるようなことはやっぱりあってはならないことだと私は思うんです。今おっしゃったように、やはり話し合いによって平和的な手段で解決すべきであるということが基本的な考えでなければならない。それを武力を使うというふうなことで相手に意思を押しつけるというふうな行為は、現在の国際的な状況から見ても、たとえ国内問題であれ、そういうふうなやり方についてはやっぱり慎重な態度をとるべきじゃないか。こういう態度をとるというのは極めて遺憾であるということにならざるを得ないだろうと思います。
日本政府は、中国が今回とった台湾に対するいわゆる軍事演習を通じて威嚇を加えたというふうな行為、これについては賛成できない、反対であるというふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/115
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116・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 今回の中国の軍事演習がいかなる意図あるいはいかなる目的を持っておったかということにつきまして、日本の政府としてコメントを申すべき立場にはないと思います。しかし、日本としましては、先ほど申しましたように基本的に両当事者での直接対話を通じて平和的な解決を求めるという基本線がございまして、そういった立場から、今回のあの地域における緊張の高まりについても、これは両当事者の自重、自制した対応を通じてそれが和らいでいくことを期待するということを繰り返し表明してまいりました。
今回、軍事演習も一応終わった、また台湾における総統選挙もありまして、その後、両当事者がどういうふうな動きあるいは対応をされるか、非常に注視しているところでございます。そういった中で、なるべく平和裏に話し合いを通じてという動きが強まってくるんじゃないかと期待されるような兆しもないではございませんけれども、まだそういったことははっきりしていないので、これからも注視してまいりたいと思います。
なお、我が国としての立場は機会があればこれからも表明していくところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/116
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117・立木洋
○立木洋君 大臣の見解はそのような御説明ですけれども、今国内関係における紛争問題やあるいは対外的な関係における紛争問題等々について、武力を通じてその問題を解決しようという兆しが強まっていくならば、人類がこれまで築いてきた平和的な形で問題を解決しょうという努力の方向として歩んできた世界の歴史から見て、やっぱりそれは逆行することにならざるを得なくなる。
だから、そういう点については、その意図がどうであれ、台湾の人々について言うならば、台湾の人々の主張によれば、これはやはり自分たちに対するああいう武力の攻撃、威嚇によって自分たちの意思を変えようとするような意図を我々は受け入れるわけにはいかぬという表明をしているわけですね。
だから、軍事演習をどういう意図でやったのかということも一つあるでしょうが、またそういう武力攻撃というか演習を受けて、威嚇を受けた側にとってみてそれがどういうふうに判断をされるのかということがありますから、やはり問題を平和的に解決すべきだという主張をなされる限り、この問題については当然肯定されるべきものではないということを私はあえて述べておきたいんです。御賛成いただけるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/117
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118・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 先ほど御答弁申し上げたつもりでございますが、基本的に当事者による平和的解決、そして当面の緊張の高まりにつきましても、やはりそういった基本線にのっとった解決が望まれる、こういうことでございます。
そして、その軍事演習の目的なり意図が何であったかはあえてコメントは申し上げるべきではないと考えますけれども、仮に言われるような目的なり意図があったとするならば、そういった目的が達せられたかどうか、そのあたりはやはり当事者において御判断なされ、そしてまたその判断を踏まえた対応が出てくるんじゃないかというふうに見ているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/118
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119・立木洋
○立木洋君 この問題についてはこれ以上重ねて質問することはいたしません。
一九七二年に中国とアメリカの間で上海コミュニケが出されまして、一九七九年一月一日から米中間での国交が樹立いたしました。その後、台湾関係法という法案がアメリカの国内法として出されたことは御承知のとおりで、台湾の自衛については援助をするという内容のものだったわけですが、一九八二年の台湾に対する武器売却に関する米中間の共同コミュニケでは、武器を提供する水準を今以上超えない、それどころか、それを漸次削減して、最終的には武器の売却はなくすということを確認されたのが一九八二年だったと記憶をしております。
その後、確かに一九八八年、李登輝氏が台湾の総統になって、さらに中国では一九八九年に天安門事件という国際的に見ても人権問題上大変な許しがたい事態が起こりました。そういう経過がありました。
ところが、その後の事態を見てみますと、アメリカと中国との関係において、やはり李登輝総統が登場して明確な態度を示したのは台湾の国際的な地位、影響を高めるということが一つですね。それからもう一つは、それは間接的な、あえて別の言葉で言いますと、一つの中国、二つの政府という考え方で表現されておりますが、だから国際的な台湾の地位を強めたいという態度が表明された。台湾らしい台湾政権のあり方の実現のために努力していくという一定の改革が進められたということはもう大臣御承知のとおりだと思います。
ところが、武器の売却を減らし、これを完全に終わらせていくという経過から見ますと、一九九二年のブッシュ政権時代にF16を百五十機売却するということが決定された。これは大幅な増加になったわけですね。だから、米中間の約束から見るならばこれはやっぱり反した行為にならざるを得なかったんではないかというふうな問題、それから李登輝総統に対して通常のビザが発給されたというふうな問題等、あるいはガットの加盟に対して支持するだとか、さまざまな経緯がありました。
そういうことを見てみますと、一つの中国という観点からいうならば、台湾の国際的な地位を強めるために努力をするというのはどういうことになるんだろうか、あるいは武器の供与が増加していくというようなことはこれまでの米中間の約束に比べてみてどういうことになるんだろうかという点がやっぱり問われなければならないだろうと思うんです。
今度の問題についても、御承知のように空母二隻を出した。空母一隻ならばこれは別としても、空母を二隻も出したということは、これは相当な圧力を加えるものになったという、二隻も出したということを中心とするあれだけの派遣の状態は大変な事態だったということがアメリカの国防省内部でも問題になっているぐらいの状況だったと。
だから、平和的に問題を解決するということに反して、これまでの米中間の約束について異なる態度が一定の間にアメリカの対応の中には存在したということを考えるならば、アメリカの態度についてもやっぱり日本政府としては批判的に見る必要があるし、そういうふうなことがあってはならないことだと。台湾海峡の問題を平和的に解決するという立場をとるならば、そういうことがあってはならないものだというふうにお考えになるのは当然だと思いますけれども、アメリカのこういう態度についてはいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/119
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120・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 米国の中国あるいは台湾問題に対する基本的な考え方は、やはり米中間の国交正常化の段階でとった方針が今も踏襲されておる、そしてそれは基本的に我が国の立場とおおむね一致するものである、こう考えております。ただ、具体的に今回の台湾地域における緊張の高まりをめぐる対応、あるいは今武器の話がございましたけれども、そういったものへの対応については、それは見る者の立場によっていろいろな評価はあり得ると思います。
しかしながら、例えばF16を供与したのが八二年の米中コミュニケとの関係で一体どうなるんだということになりますと、やはりそれは例えば軍事技術面であるとか、あるいはいろいろな各国の軍備の状況等々、そういったものとの相対的な関係で考えなくちゃいけないのじゃないのか。そういうことになりますと、仮にF16が供与されるにしても、一方においてもかつてはなかったスホーイ27というものがかなりあるということもあるわけでございます、例示をすれば。だから、そういうことを考えますと、八二年コミュニケの基本的な方針というか精神というものは必ずしも変わったと見なくちゃならないということでもないのじゃないかと思います。
それからまた、経済面等での国際社会とのかかわりについても、これはやはり一つの中国ということを前提にしながら実務の関係でどういうふうに見ていくかということで、米国流に判断するところがあったんじゃないかと思います。
しかし、いずれにいたしましても、我々も、米国も基本的にはそうでございましょうけれども、これは両岸の、両当事者の平和裏の直接の対話でというラインがあるんですから、それを大切にしながら問題の解決に結びつけていくように我々も側面的にいろいろ見解を表明するとか、そういう格好でそういった条件をつくり出していく、あるいはそういった環境を醸成することに資するような対応をしていくべきじゃないか、米国も同じことを考えているんじゃないか、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/120
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121・立木洋
○立木洋君 横須賀の空母インディペンデンスを初めペルシャ湾から来た原子力空母等十七隻、さらに飛行機は百四十機ですか、台湾海峡に急派された。この問題については、日本から台湾海峡に出ていく、出動するということについては日本側にアメリカ側から何らかの通報、通知、連絡等があったんでしょうか。あったとしたら、いつどういう内容で通報があったんでしょうか。事実関係だけで結構ですから教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/121
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122・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) まず、空母でございますが、今台湾海峡という御指摘ございましたが、たしか台湾の海域、近い海域を動いたということはあるようでございますが、海峡そのものには入らなかったんじゃないか、このように理解しております。
それからまた、横須賀を母港といたします艦艇が従来から移動すると。出動という言葉がございましたけれども、出動というのはそこから直接戦闘行為に出ていく、そういったケースでございますので、出動ということはございませんけれども、いろいろな米海軍としての平生の任務遂行、あるいは運用上のあれでいろいろ移動するということは日常的によくあることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/122
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123・立木洋
○立木洋君 御答弁の内容というのは大体移動ということに結局はなってしまうわけですね。
秋山さん、先日の新聞で、米軍と自衛隊が「十二日から十三日にかけて、「演習を装って集結した中国軍部隊が台湾海峡にある金門、馬祖両島やそれ以外の台湾の島に対して限定的奇襲攻撃をかける恐れがある」と判断、極めて高度の厳戒態勢に入っていた」ことが報道されていますけれども、だれからの指示で、どういう態勢に入ったんでしょう。簡単に述べていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/123
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124・秋山昌廣
○政府委員(秋山昌廣君) 自衛隊は、常日ごろから航空機などによりまして我が国領域及びその周辺を行動する航空機とか艦船などに対しまして常時継続的に警戒監視しているわけでございます。
今回、台湾付近で実施された中国軍の一連の軍事演習の動向につきましては、これはやはり十分注意を払う必要があるというふうに考えたわけでございまして、そういう考えのもとで航空自衛隊及び海上自衛隊の航空機などによる情報収集体制の強化ということを行いまして、当該演習に関連する情報をなるべく集めようということで行ったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/124
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125・立木洋
○立木洋君 一番最初に私が日中共同コミュニケの問題を提起したのは、台湾問題というのは中国の国内問題だということが日本と中国との間で確認されているわけですね。そういう問題として見た場合に、いわゆる中国と台湾との関係に問題が生じた場合に日本側がどういう根拠を持ってこれにかかわるのか。
アメリカのアーミテージ元国防次官補がつい先日日本にやってこられました。外務大臣もお会いになったし、防衛庁長官もお会いになった。
これは新聞紙上で書かれているんですけれども、ここでは、最低限アメリカ軍としての要求は、日本の自衛隊基地に補給物資を持ち込むことを求めたいということが要求されて、もしそれに対して回答がなければアメリカはそれを拒否回答と受けとめる、それ以降アメリカは日本を信用することはないだろうと。そして、中国の軍事演習を容認するならば東アジアでの日本の立場はかなり厳しいものになるということを言って、そして沖縄の問題にも関連して、今日の状態からいうならば兵力の削減を全く意味しないというところまで強調しているわけですね。
この文言を読みますと、どうもアーミテージ元国防次官補は、これに対して協力しないとあなた方は大変なことになるよと、ある意味で言えばおどかしとも感じられるような内容なんですね。
私はやっぱりこういうふうなものにならないようにしていただきたいということがあるので、中国の行為についてもアメリカの行為についても、言うべき態度、そのあり方、表現の仕方はどうあろうとも、日本側が台湾海峡の問題については国内問題として平和的に解決すべきだということを適切なときに意思表示することが適切ではなかっただろうかと。
この台湾海峡の状態をより緊張の方向に導くようなことに、いわゆる黙認するというようなことになるならば、これは日本が共同声明を結んだ立場から離れていく結果にならざるを得ないというふうに考えるので、その点については十分なるお考えを示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/125
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126・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) まず最初にお答えしておきますけれども、今、委員が御指摘になりましたアーミテージ氏のコメントでございますが、それは恐らく某新聞が報道したもので、それは某新聞との対話か対談の話の内容だと思います。
それで、私はアーミテージ氏とはもうかなり長い間の知り合いでございますので、今回初めてじゃなくて、折に触れていろいろな話をすることがございます。今回も、外務大臣としての立場ではなくて、そういった古くからの友人関係にある人間ということでお会いしたのは事実でございますが、アーミテージ氏と私の話というのはその新聞で報道されたようなものじゃございません。それだけをまずお答えしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/126
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127・立木洋
○立木洋君 残りは後にします。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/127
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128・佐藤道夫
○佐藤道夫君 私からは三点ほど尋ねさせていただきたいと思います。
最初は中国の銭其シン外相の訪日の問題でありまして、来日の日程が決まったということで大変結構なことだと思います。会談の機会もあろうかと思います。どうかフランクに、二国間の問題だけじゃなしにグローバルな、世界的な問題も踏まえて、実りある会談をやっていただければと思います。
その際に、これは当然テーマとして取り上げられているかとも思いますが、核実験停止の問題でございます。フランスは核実験はやめたということを宣言しまして、残るは中国だけです。中国はやめたということは言っておりませんので、これから三回か四回か何回かやるんだろうと思われますが、ひとつ会談の機会があらば厳重に、強硬に申し入れていただきまして、もはや国境の壁、人種の壁を越えて世界が一つになろうという時代ですから、おもちゃみたいな核を持っていても何もならぬ、そういう金があれば少し民生の安定にでも使われたらどうかということを外務大臣から強硬に、強硬という言葉はちょっと語弊がありますけれども、強く申し入れていただければと思います。いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/128
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129・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 銭其_中国副総理兼外務大臣とは私が外務大臣に就任いたしましてから既に二回個別にお目にかかっておりますし、また先般、バンコクにおいて李鵬首相と橋本総理との間で首脳会議が行われたときも、双方、銭其_さんも私も同席していたところでございます。そういった機会を通じまして、両国間あるいは国際問題についてもかなり意見の交換をしてまいっておりますし、その中で御指摘の核実験の問題についても私からも強く申し入れてきた経緯もございます。
今回は三十一日にまたおいでいただいてお話しすることにしています。これは日曜なんです。国会の関係もございますから、ゆっくり話すためには日曜がいいよ、日曜においでなさいよと私が言いまして特に来てもらう、三十一日に来日していただくことにした。こういう経緯もございますので、本当に忌憚なく日中両国の友好関係を踏まえ、また友人の立場からもいろいろお話をしてまいりたい。そういったところで今御指摘の核実験の問題についてはまたきちんと我が方の考え方をお話ししたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/129
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130・佐藤道夫
○佐藤道夫君 次の委員会でぜひともこの問題につきまして、外務大臣からどういう申し入れをして、それに対して中国側からこういう回答があったということを明らかにしていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/130
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131・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 委員会の方でまたこの会談の後に審議の場をおつくりになり、そういうことがあれば、お話しできる範囲内で明らかにしてまいりたいと思います、外交でございますので、中には機微に触れる点もあろうかと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/131
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132・佐藤道夫
○佐藤道夫君 次は、台湾の将来の問題なんですけれども、きのう実は外務小委員会がございまして七時、八時まで熱心に協議をいたしたわけですが、その場には専門の高名な学者先生三人の方に来ていただきまして、台湾問題でいろいろと意見を交換いたしたわけでございます。今回の台湾海峡における中国側の軍事演習についてどう評価するか、アメリカはどう出るか、日本はどう対応すべきか、そういう問題についていろいろと教えていただいたわけです。
私が一番知りたかったのは、長期的な展望の上で一体台湾の地位がどうなるのか。極端な言い方をしますと、十年先、二十年先、三十年先に台湾がどうなるのか、中国にのみ込まれておるのか、独立独歩の姿勢でなお歩んでいるのか、あるいは第三の選択の道があるのかどうか、そういうことだったんです。遺憾ながら学者先生方からは、そういう話ならば易者の方がいいんじゃないかというふうな御回答で、まあ冗談ですけれども、多少不謹慎で、易というのはこれは易学ですから立派な学問なんで、決して易者というのはいいかげんなことをやっているわけじゃない、自分のあらゆる資料を分析して彼らは彼らなりに結論を出しておるわけです。
いいかげんな学者よりはむしろ易者に尋ねた方がいいのかもしれませんが、そのことはおいておきまして、やはり政治というのは三十年先、五十年先を見込んで対応を考えていくということが必要だろうと思います。一体、台湾はどういうことになるのか、外務省として、外務大臣としてお考えがもしあらば教えていただきたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/132
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133・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 学界の権威者をお呼びになりましてもなかなかお答えが出てこなかった問題につきまして、私から申し上げるのは非常に難しいところでございます。
当然、我が国外交を展開してまいります場合には、対中外交も含めまして中長期的な展望を踏まえなくちゃいけないのは当然でございます。しかしながら、これから中国あるいは台湾問題がどうなるかというのは、基本的にはやはり当事者である中台両当事者のお決めになることでございますので、日本の外務省、外務大臣の立場でこういう方向がということを申し上げるのはいかがかと存じます。
ただ、御承知のとおり、我が国としては、先ほどから何度も出ております日中共同声明におきまして、中華人民共和国政府が中国唯一の合法政府であるということを承認しております。その上に立って、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるというその中国政府の立場を理解し、そして尊重すると、こういうことで来ておるわけでございますね。こういうことでやってまいりたいと思うのでございます。
さらに申しますならば、今回の緊張の高まる前にも中台両方においていろいろな交流もあり、いろいろな平和的な解決を目指したような動きや見解の表明をされたことがございます。そして、今緊張の高まりが若干緩和しておる中で、先ほどもちょっとその兆しと申しましたけれども、やはり平和的な解決がいいんじゃないかということを考えておられるんじゃないかどうかがわれるようなことがございます。そういったものを大切にしてまいりたいと思います。
そうした場合に、決してそんな急ぐものじゃないんだということは中華人民共和国の責任者の口からもかねて言われたことはございます。独立というものは絶対許さないけれども、基本が維持されるならば性急に事は運ばなくてもいいということと理解しておりますが、そういったことで、いずれにしても両当事者の話し合いを通じて平和的に、しかも経済的にもあるいは社会的にも非常に安定した、またその地域の方々がいわゆる幸福な生活を送れるような状況ができるということは、隣国であり関係の深い日本としても望ましいことだと、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/133
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134・佐藤道夫
○佐藤道夫君 二つの中国をつくったのは恐らくアメリカだろうというふうに見ていいと思います。我が国もかかわりがなかったわけではないと思いますが、中国と台湾、同じ民族で話し合いがつかないことはないんだろうと思います。そして、武力の解決というのはもう今日は絶対にこれはいけないということになっておりますれば最後は話し合いと、こういうことになります。
何しろ中国は三千年の歴史ですから、のんびり、悠々としておることはそのとおりですが、我が国もかかわりを持つ、もし両者が話し合いのテーブルに着くとすれば、その呼びかけ人とすればやはりアメリカか日本ということで、我が国が一番関係が深いのではないかという気もしており、ます。そういうことを我が国として考えてはどうだろうか。しかし、中国政府、これは中央政府が一地方政権と話し合えるかと、あの国はメンツの国ですからなかなか難しいこともあろうかと思いますが、五年単位、十年単位でゆっくりゆっくり話し合いの機会を徐々に徐々に醸成していく、そういう方向に我が国としてももう少し積極的に動いてはどうだろうか、こういうふうに私は考えておりますが、この点いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/134
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135・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 先ほども申し上げましたように、基本的には当事者がお決めになることでございますけれども、我が国としても大きな関心を持たなくちゃいけない問題だと思います。そういった観点から、友情ある説得と言ったらこれは思い上がりでございますが、友情を持った助言なのか示唆なのか、アドバイスかサジェスチョンか、そういったことはこれまでも日本の官民含めていろいろな方が両当事者にしてこられたんじゃないかと思いますし、そういうことは政府としてもやっていいことだと思いますので、これからもそのような対応をしてまいりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/135
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136・佐藤道夫
○佐藤道夫君 ぜひともそういう方向で努力していただきたい。成果は歴史が判定することになろうかと思いますが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
それから次は住専問題で、何で住専が外交かと、こういうことだろうと思いますが、実は衆議院の予算委員会で橋本総理が、住専処理案を発表した際にこれは内外からそれなりの評価を受けた、国内的には株価が上がったということを指摘しておられました。それから、国際的にも、この問題を説明いたしたところ各国首脳陣からそれなりの評価を受けたということを胸を張って答弁しておられました。
株価が上がった下がったというのは、これは実は株屋とか相場師が言うことであって、一国の総理がこういうことを言うのはいかがかなという気もいたします。どこかで戦争が始まると軍事産業株は上がるわけです。それに伴って関連の企業株も上がると。古い話で恐縮ですけれども、昭和二十五年の朝鮮動乱の際に、景気がこれでもって回復する、上昇するということで株屋さんたちが集まって万歳をしたという有名な話があります。そんなものでありまして、株が上がったということを一国の総理が自慢するのはいかがかという気もしておりますが、これは国内問題。
それでは国際的にどうか。橋本総理は各国の首脳とお会いになって住専問題の処理について説明されたんだろうと思います。それについての好意的な評価を受けた、こういうふうなことだったと思いますが、彼は一体どういう説明をしたのか。貸し金業者、言うならば町の高利貸しが乱脈経営の結果つぶれかかった、それの後始末として税金を投入する案を発表したらそれなりに金融システムは回復の道を見せ始めていると。それは結構ですな、さすが日本ですなと、そういうふうな評価を受けたのかどうかよくわからないんですけれども、しかしもしそんなことで見直されるような評価ならば私は評価じゃないんだろうと思います。こういうことは胸を張って各国に対して言えることかどうかと大変疑問を持っております。
外務大臣も各国首脳といろいろ会われましてこの話が出たことと思います。その際に外務大臣としてどういう説明をされたのか、それについてまた各国首脳はどういう反応を示されたのか、これからもまた各国首脳と会われてこの話が出ることと思いますがどういう説明をなさる予定なのか、それをお聞かせ願えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/136
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137・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 我が国の経済が一体どういうふうにこれから動いていくか、そしてとりわけその中で金融システムがどうなるか、この点につきましては世界の各国も非常に大きな関心を持っているところでございます。それは、それだけ日本の金融なり経済なりの動きというものが世界経済、各国の経済にも大きな影響を及ぼすから当然のことでございます。
そういったことを踏まえまして、政府でも、特に担当の大蔵大臣等は国際会議の場等におきましてこの住専の処理問題についてもいろいろ御説明しておられると承知しております。例えば、年頭に開かれました七カ国の蔵相・中央銀行総裁会議でもそういった御説明をされて各国の理解を求められた。そして、こういった日本の政府が金融システム安定のために努力をしていることについては各国から評価されたというふうに承知しております。
それからまた、橋本総理が特におっしゃいましたのは、サンタモニカで行われましたクリントン米国大統領とのお話の中で、こういったことで金融システム安定のために努力をしているんだという話をされた。それに対してクリントン大統領の方が、いや、それは大変だな、しかし自分たちも数年前にやはり金融の問題で随分苦労したんだというような話。それからさらに、たしかメキシコの金融不安のときに、いろいろ米国としても手を打ったけれどもそのときは非常に米国民から評判が悪かったんだよ、しかし政治家というのはそのときは評判が悪くても必要な措置はとらなくちゃいかぬ場合もあるんですねという、そんな話があったと、そういうふうに承知しております。
それから、私自身がということでございますが、私も、就任以来まだ二月半ぐらいでございますが、いろいろな会議へ出てまいり、また日本においでになります方々といろんな話をしております。外務大臣だけでもたしか三十数カ国の外務大臣とお目にかかっておりますけれども、そうした中でこういったことが話題になることもございます。そういったときには、住専がどうというよりも、やはり日本経済がこれからきちんとしていくために金融システムをきちんと安定させることが大切だ、そしてそのために今あえて公的資金を導入しても住専問題を処理するということが避けられなくなっているんだ、国民の皆様方の御理解を得るのは非常に難しいんだけれども今苦労していると、そういうふうなお話をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/137
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138・佐藤道夫
○佐藤道夫君 これからもそういう問題が出るかと思いますが、どうか我が国の考え方をしっかりと説明していただければと思います。その際に、今も大臣のお話にありましたが、国民の大多数が反対しているということと、国会議員の中には座り込みまでして反対した人もいるんだということもあわせて説明していただければ、各国も日本のことをよく理解してもらえるんじゃないかという気がいたします。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/138
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139・矢田部理
○矢田部理君 法案には賛成でありますので、質疑はいたしません。
当面の課題である沖縄問題を中心に伺っておきたいと思います。
沖縄の基地問題では沖縄県自身が基地返還アクションプログラムというのをつくって政府にもお願いしていると思うのでありますが、この扱いなり位置づけなりについてはどんなふうに外務省は考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/139
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140・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 沖縄県からアクションプログラムという形で御要望あるいは沖縄県としての考え方をお示しいただきました。これにつきましては、沖縄県としても、最終的なものじゃない、まだ調整を要する部分もある、こういうことではございますけれども、しかしそういった御要望として私どもはしっかりと受けとめておるところでございます。そして、そういった御要望があったということは、特別行動委員会の作業グループ等でいろいろ作業を進める際にも当然これを念頭に入れてやらなくちゃいけないわけでございますので、米側にも御要望をちょうだいした早い段階で示しておりまして、米側もそれを承知しながら今作業をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/140
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141・矢田部理
○矢田部理君 三つの段階に分けての基地返還の要請だと思いますが、その焦点、最初の段階で、先ほどから議論になっております普天間基地が問題にされているわけであります。この基地の返還とあわせて非常に重要なのは米軍の撤退、なかんずく海兵隊、この存在がかねてから問題にされております。
私は、もう海兵隊は撤退してもらって結構だというふうに考えているわけでありますし、ひとり私だけではありませんで、アメリカのペンタゴンサイドでもかねて議論があり、最近でも民間のシンクタンクなどがそういう指摘をしているわけでありますが、これを本格的に減らしていく。とりわけ、沖縄に一万八千人の海兵隊がおりますね。もともと日本の防衛のためには全く必要がない、海兵隊というのは敵前上陸用部隊でありますから。こんなものに沖縄にいてもらう必要は全くないのでありまして、その海兵隊にもう少し切り込んだことを含めた基地撤去計画を立てるべきだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/141
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142・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) まず最初に、先ほどの沖縄県のアクションプログラムが三段階になっている、それは承知しております。
また、先ほど私は、我が国政府としてもその御要望はよく念頭に入れながら、また米側にもよく知ってもらっていますと申し上げましたけれども、それは必ずしもこのアクションプログラムそのものに従って作業を進めているわけではない、これは御要望は御要望として十分念頭に入れておる。しかし一方で、安保条約の目的達成のために一体どういう必要性があるか、こちらの方も十分勘案しながら作業を進めているんだというふうに御理解をいただきたい、これを一つ申し上げておきます。
さて、沖縄の海兵隊は要らないというお話でございますけれども、今沖縄を含めまして日本に駐留します米軍というのは、日米安保条約に基づきましてアメリカが我が国の安全を守る上で役割を果たさなくちゃいけない、あるいは極東地域の平和のためにも役割を果たさなくちゃいけない、そういった責務、義務を条約上負っているわけでございます。そういった米国の負っている義務をきちんと果たしていくためにどういうふうなことを米側でしなくちゃいけないかと、そういうことを考えましていろいろな備えをしている。その中にいろんな軍隊の構成もあれば部隊の編成あるいは兵員のレベルもあるわけでございます。全体としてそういった備えをしながら条約上の義務を果たしていこうとしているときに、その義務だけを抜き出しましてこれをどうかこうかと言うことは我が国としてなすべきではないのじゃないか、なすことは必ずしも適切とは思えないと、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/142
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143・矢田部理
○矢田部理君 余り一般的、抽象的な説明を聞いてもしようがないんです。海兵隊の問題というのは一部分ではありませんで、在日米軍の非常に主要な部分を占めておる。これはもう本格的な議論をいっぱい準備してきておりますが、改めてやりますが、日本の防衛のためには全く要らない。これはもう軍事常識です。ここの本格的な撤退を含めて基地の問題を考えていく必要があるという問題点だけきょうは指摘をしておきたいと思いますが、いずれこれは本格的にやります。
そこで、先ほど同僚議員からも議論になりました知事の代理署名拒否、これは沖縄の基地反対の願い、それから沖縄県民の人権や暮らしということを考えた知事の態度が率直にここにあらわれていると思います。その結果、政府は裁判を起こし、さらに次なる手続の段階に入ってきつつあるわけであります。
先ほどから出ております楚辺の通信所の土地の問題を厳密に議論していきたいと思います。これは義理人情の世界ではありません。梶山官房長官の幾つかの理由を見ておりますと何か義理人情の世界みたいな答弁というか説明をしておるのでありますが、きょう法制局からおいでいただきましたのも、権利義務のきちっとした課題として議論をしていく必要があると思います。私が国会に出たてのころ、十九年前でありますが、同じような議論をしてそれ以降全く変わっていないというのは大変残念に思うのであります。
三月三十一日をもって象のおりの一部の土地の賃貸借期限が切れます。この期限が切れますと政府はこれを正当に使用する権原はなくなる。この点はようございますね。法制局に聞きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/143
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144・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) 御指摘のとおり、楚辺の通信所の一部敷地につきましては三月三十一日で賃貸借契約が終了いたします。そういたしますと、土地所有者と国との関係では契約に基づく使用の権原は消滅するということはお尋ねのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/144
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145・矢田部理
○矢田部理君 権原が消滅をすると借り手である国は返還義務が発生しますね。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/145
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146・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) 国と土地所有者との間の賃貸借契約という面にのみ限定すれば、確かに賃貸借契約の終了に基づいて民法上は一般的には土地の返還義務が生ずるのは、一般理論としては仰せのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/146
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147・矢田部理
○矢田部理君 それを返さない行為はどういう理由に基づくのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/147
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148・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) 返さない理由という言葉で表現するのが正確な表現かどうかわかりませんが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/148
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149・矢田部理
○矢田部理君 ではこう聞きましょう。返さない法律的根拠がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/149
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150・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) まず、現時点では、賃貸借契約は三月三十一日まで存続する。したがいまして、国については使用権原がない状態が生じておらないということがまず大前提でございます。そうしまして、明二十九日には収用委員会に対し使用裁決及び緊急使用裁決の申請を行う予定である。
したがいまして、四月一日以後も確定的に無権原状態に陥るということは、現段階では確定していないということをまず確認いただきたいと思いますが、そのもとでは、仮に四月一日以後、契約が終了して正権原がないという状態になった場合はどうかということでお答えいたしますと、結局これは国と土地所有者の関係のほかに、本件土地につきましては国と米軍、すなわち安保条約及びそのもとにおける地位協定に基づき、土地を提供使用させている国と米軍との関係という国際関係が伴うわけでございます。一部報道されております官房長官の説明は、結局こういう説明であったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/150
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151・矢田部理
○矢田部理君 私は、いろいろ経過や説明を聞いているんじゃなくて、返還しない法的根拠がありますかと聞いているんです。ずばり答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/151
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152・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) 私どもは、返還しない法的根拠があるかどうかについてはいまだ見解を述べておりません。ただ、仮に返還しないという状態になった場合に、それが直ちに違法ではないという評価ができるのではないかということを官房長官が申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/152
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153・矢田部理
○矢田部理君 官房長官が何を言ったかを聞いているんじゃなくて、使用期限が終了すれば権限がなくなる、一般的には返還義務が生ずる。返還しない法的根拠はありますかと、あるかないかだけを聞いている。あるなら言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/153
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154・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) あるかないかということを一言のもとでお答えするということは、本件についてのお答えとしては誤解を生みます。したがいまして、私どもが申し上げている理由をまずお聞きいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/154
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155・矢田部理
○矢田部理君 必要ならば私が理由を聞きます。私が質問をしているのでありますから、あなたがあるかないかを言うと誤解を生むなどという議論はかえっておかしいのでありまして、正確にしてください。そのために法制局に来ていただいています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/155
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156・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) 若干時間をいただきまして詳しくその関係を申し上げたいと思います。
前置きは省略いたしまして、今般、土地所有者との関係で賃貸借契約上の使用権原は四月一日以後に消滅するということになる予定でございますが、その賃貸借にかえて現行制度上は駐留軍用地特別措置法に基づく収用委員会の許可により使用権限を取得できる道がある、また裁決までのつなぎとして緊急使用許可の制度が設けられておる、これは憲法二十九条により許容されている制度であるということでございます。
このような法秩序のもとで政府が当該土地を引き続き米軍に提供するということは、安保条約上の義務であるのみならず我が国及び極東の平和と安全のため必要であると考えられるとの判断のもとに、権限再取得のための所定の手続に従い、先ほど述べました裁決申請及び緊急許可の申請を行っているという現段階におきましては、土地所有者に対しては、加えて借料相当の全員の提供をして損害を生じさせない措置を講ずるということになりますと、法秩序全体の立場から考えて、土地所有者との間で法的紛争状態にあるとはいえ、当該土地が土地所有者に返還されていないというそういう事実状態というものは直ちに違法と言うには当たらないのではないかというのが、現在までに私どもを含めた政府部内で検討した結論でございます。
長くて恐縮でございますが、大体そういう道行きでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/156
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157・矢田部理
○矢田部理君 直ちに違法と言えるか言えないかという評価を聞いているんじゃなくて、返還しない法的根拠はありますかと。ないんでしょう。緊急使用を認められるべく申請をする、それは手続ですから自由ですが、申請の結論が出るまでは法的根拠はなくなるわけでしょう。申請が認められない場合だってあるわけだから、法的に説明がついていないんです。
それから、賃料相当の損害金を払うと。不法占拠だから損害金を払うのは当たり前です。損害金を払っているから合法になるわけではないんです。不法占拠であり、違法使用である。違法と言えるかどうかはまたいろいろ議論があるのかもしれませんが、返さないという法的根拠はないんじゃありませんか、その局面に限って言えば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/157
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158・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) 冒頭に申し上げましたように、国と土地所有者との関係では、賃貸借契約が終了をしますとそれに基づき取得していた使用正権原が消滅するということは御指摘のとおりでありまして、そういう関係からは、普通の場合には返還をしなければならないということになろうかと思います。
しかしながら、先ほど申し述べましたような事情を加えて申し上げると、しばらく土地の返還を猶予願った上、所定の手続を経て正権原の再取得をするという努力をしているわけでございまして、しかもその間に生ずる損害については借料相当の全員の提供をするということによって土地所有者に損害が生じないようにする、しかもそういう努力は国際関係上必要であるという判断をしているといういろいろ申し述べましたような事情を申し上げますと、返すことを暫時猶予願っていることについて違法とは言えないという判断ができるのではないかということを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/158
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159・矢田部理
○矢田部理君 権利義務の存否にかかわることを聞いているんであって、政府が土地を返さない事情を聞いているんじゃないんです。
事情からいっても、アメリカ軍の使っている施設・区域、これを提供するには政府自身が当該土地ないしは建物について所有権、賃借権その他の権原を持っていることが必要であると。当然の前提である。政府に権原がなくなった後、アメリカ軍の使用はこれまた適法性を失うというのは、これは法律論の当然の帰結じゃありませんか。コンメンタールだってそう書いてある。政府には権原がないがアメリカには使う権原があるなんという法律論はありません、もとがだめになっているんですから。
いずれにしても、事情はいろいろあるでしょうが、しかしやっぱり沖縄の人たちが考えているのは、所有者の了解もなしに一方的に法律でだめだというやつを強制的に使うと。これはもう沖縄戦以来ずっとそういう問題が続いておりますから、ここだけを取り上げるんではなくて、これが象徴的な課題ということで大変怒りを持っており、その怒りの気持ちを代弁しているのが知事の態度だと私は思っているんです。そういう点で今の法律論は全く法制局としては落第点です。本当は施設庁にも聞きたいし外務大臣にも聞きたいのでありますが。
それから、所有者が自分の土地に立ち入ることは、自分の土地がどんなふうに使われているだろうか、現状はどうなっているだろうかと立ち入ったり見に行くことは当然よろしゅうございますね。法制局にまず、法律的にどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/159
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160・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) この問題も、土地所有者と貸借人との関係に限定をして、しかも賃貸借契約終了後はどうかということになりますと確かにお尋ねのことも肯定できるのではございますが、本件につきましては、そのほかに国と米軍との間の、誠実に遵守することが憲法上予定されている安保条約に基づく地位協定上の土地の提供使用という法律関係が伴っておりまして、先ほども施設庁から答弁があったように伺いますが、地位協定三条に基づく米軍の土地管理権というものが存在し続けますので、それを無視して所有者が本件土地に立ち入るということは必ずしも民法上の理論だけではまかり通るわけではないということを言わざるを得ません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/160
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161・矢田部理
○矢田部理君 いや、前提となる所有権とかを適法に政府が持っているとか賃借権があるという場合にはその議論でいいですよ。そのもとがなくなっているわけですから。政府が不法占拠した土地でも何でも、アメリカは一たん借りた以上は自由に使えるということなんですか、あなたの議論でいえば。それなら、これからの緊急使用などという手続は必要なくなるじゃありませんか、そんなことを言ったら。根っこがだめなんですよ。正確な意味での又貸しかどうかは知りませんけれども、もともとの賃借権がなくなった以上、転借人というか又借りをしている人たちの権原が当然あるなどという議論はないですよ。この議論もちょっと政府としては破綻しているんじゃありませんか。
いずれにしても、十九年前にもいろいろ議論してきたところでありまして、立ち入りについて所有者から要請があればこれは認めざるを得ない、認めることは当然のことですという当時の真田法制局長官かな、私も質問しているんです。ありますよ、議事録。見せましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/161
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162・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) 法務省の民事局長じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/162
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163・矢田部理
○矢田部理君 ああ、そうかもしれませんが、両者でやり合っているんです。
これは三原国務大臣ですが、「所有者の方が自分の土地を見たいという要請があった場合には、丁重に応対をして、できるだけそういう意思に沿うようにやれとか、そういう問題等について指示をいたしてまいっておるのでございます。」という三原国務大臣の答弁もありますし、さらには今あなたが言われた法務省の政府委員も「正当な所有者が平穏にこれを見たいという御要望がありました場合に、それを拒否する権限というものはないのではないかと考えます」と。
この答弁の基本は今もそのとおりだと伺ってよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/163
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164・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) 前回なされました答弁は、前回のような状況における前回のような目的土地についての答弁でございまして、その限りでは現在変更しているというものではございませんけれども、本件土地につきましては現に通信所の敷地の不可欠の一部として使用されているという関係にあり、またこの土地の立ち入りについてはいろいろなことが言われているわけでございまして、本件土地の立ち入りについて前回と同様の結論になるかどうかということについては必ずしもそう言えないんではなかろうかと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/164
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165・矢田部理
○矢田部理君 もう一点で終わります。
前回、特定の場所を指定してその条件のもとで立ち入りは結構だと言っているんじゃありませんよ。一般的原則を政府の答弁として出しているわけでありまして、今それを変えるというのは不届ききわまりないし、所有者としての権利の行使は当然のことでありますからこれは認めてしかるべきというのが私の意見でありますから、十分そこに留意して対応していただきたいということを申し上げておきます。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/165
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166・木庭健太郎
○委員長(木庭健太郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手をお願いいたします。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/166
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167・木庭健太郎
○委員長(木庭健太郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/167
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168・木庭健太郎
○委員長(木庭健太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時二十一分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113613968X00419960328/168
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