1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年四月二十六日(金曜日)
午後二時十分開会
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委員の異動
四月十九日
辞任 補欠選任
岩永 浩美君 倉田 寛之君
四月二十五日
辞任 補欠選任
倉田 寛之君 谷川 秀善君
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出席者は左のとおり。
委員長 永田 良雄君
理 事
石渡 清元君
太田 豊秋君
片上 公人君
緒方 靖夫君
委 員
井上 孝君
岩井 國臣君
上野 公成君
谷川 秀善君
橋本 聖子君
山崎 正昭君
市川 一朗君
長谷川道郎君
福本 潤一君
山崎 力君
赤桐 操君
大渕 絹子君
山本 正和君
奥村 展三君
国務大臣
建 設 大 臣 中尾 栄一君
政府委員
建設大臣官房長 伴 襄君
建設省道路局長 橋本鋼太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 八島 秀雄君
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本日の会議に付した案件
○本州四国連絡橋公団法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/0
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001・永田良雄
○委員長(永田良雄君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日までに、岩永浩美君が委員を辞任され、その補欠として谷川秀善君が選任されました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/1
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002・永田良雄
○委員長(永田良雄君) 本州四国連絡橋公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明の聴取は既に終了しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/2
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003・福本潤一
○福本潤一君 平成会の福本潤一でございます。よろしくお願いいたします。
本四連絡橋公団法の一部改正について質問させていただきます。
明治、大正時代には夢の構想と言われておりました本四架橋三橋が、現在今世紀中の完成を目指して進捗しておるところでございます。まさに夢のかけ橋の実現段階ということで、私も建設途中に外国の土木技術者とともに見学に行きましたところ、その壮大な威容さに自然と畏敬の念がわいてくるような思いだというふうな外国の土木技術者の声を聞いたことがあります。関係者各位、特に建設省、本四公団各位の御努力に敬意を払いますとともに、まさに地図に残る仕事ということで、でき上がるこの架橋が最大限に生かされて今後安全快適に運用されることを願って質問をさせていただきます。
最初に、中央の瀬戸中央自動車道、これが供用されて既にもう八年になっております。あとの神戸・鳴門ルートは平成九年度、二年後に供用される。尾道・今治ルートは平成十年度、三年後に供用されるという段階に入っております。中央の八年間の供用実績を料金関係の方で最初にお伺いさせていただきたいと思います。
料金の採算の確保という問題でございますが、まず最初に、現在、計画しておられましたときの借入金の償還計画の現状及び今後の見通しはどのようであるかということをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/3
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004・橋本鋼太郎
○政府委員(橋本鋼太郎君) 本州四国連絡道路の償還計画につきましては、料金の徴収総額が本四に係る建設費、維持管理費、金利等の合算額に見合うそういう計画、さらには利用者の受ける便益の範囲で料金を設定するという考えのもとに道路整備特別措置法により決められているところであります。
現在供用しております橋に係る償還計画につきましては、平成三年に建設大臣から認可されているところであります。建設費は供用中または建設中の三ルート全体で約二兆五千億円、それから償還期間は平成七年から三十三年間、さらに平成三年当時、建設等に要する借入金から発生する金利については国及び地方公共団体の出資金を充当するということで資金コスト四・八%と、こういう計画のもとに償還計画が出ておりました。しかし、その後の交通量の実績等を考慮いたしまして、平成七年度からはこの資金コストを三・九%に軽減しているということでございます。
今後の利用交通量の見通しにつきましては、大変厳しい状況ではありますが、現在の償還計画は一応これを達成できるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/4
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005・福本潤一
○福本潤一君 平成三年に当初計画を見直して現在の対応策になったということでございますが、地元でこの通行料金の問題が出てきますと、片道で児島・坂出ルート六千四百九十円、往復割引で一万円。これは単純に考えた場合でございますが、東名高速では東京から名古屋まで行ける料金というのがこの瀬戸中央道路になっております。距離にしますと児島―坂出が三十七・三キロ、東京―名古屋間が三百二十五・五キロですから、約八倍から九倍の費用を使っている。地元では、フェリーの時代が懐かしいという声も出ております。
最近、道路審議会の有料道路部会で料金を抑制する方策を検討しているということもお伺いいたしておりますので、この料金、地元の声にこたえてもっと安くできないかということをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/5
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006・橋本鋼太郎
○政府委員(橋本鋼太郎君) 本四道路の料金につきましては、高速国道等に比べまして割高であるという御意見があることは認識しております。
しかし、この本四道路につきましては、瀬戸内海という海峡部を横断するということで道路構浩物が大規模である、極めて大規模な事業をやっておりますので、建設費が高いということからある程度やむを得ないのではないかと考えております。
しかし、利用していただくことが非常に大事でありますので、回数券とかプリペイドカードの導入、こういうものを導入して利用しやすくしております。さらには、往復割引等の手当てもしているわけであります。
また、先ほども御説明いたしましたように、料金上昇を抑制するという観点からも、本四公団の事業に対する出資金を拡充することにより資金コストも順次引き下げているわけでありますし、大変な大規模な事業ではありますが、技術的にもいろいろな工夫をして新たな技術開発も導入して建設費の節減に努めているところであります。
しかし、御指摘のとおり、そうはいっても高いのではないかということでありますので、今後、明石海峡大橋あるいは多々羅大橋、来島大橋、こういうものが順次供用してまいりますので、道路審議会におきまして本四公団のさらに一層の経営の安定化、あるいはもっと利用しやすくするためにはどうしたらいいのか、その辺の全体を含めまして公的助成のあり方あるいは償還制度のあり方等について御審議をいただきたいということで、現在審議を進めている段階でございます。
そういう中で、今後のさらなる安定化について検討をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/6
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007・福本潤一
○福本潤一君 安定化を考えておられるということでございますが、交通量の面から申しますと、当初計画の半分ぐらい、約一万四千台程度という通行量でございます。本四連絡橋の地元経済に与える効果というものがこれでは十分に引き出せないのではなかろうか。
中国と四国を結ぶという意味では、この三橋の功績は大きいわけでございますけれども、もともと中国、四国は東西ルートはかなり交通量、交流が活発であるけれども、南北は非常に交流が少ないというふうに言われている地域性でございます。例えば九州等のように一つの島である状態と比べますと、南北の交流というのがかなりネックになってきておりますので、今後公的助成も含めて受益者のみに偏った負担がかからないように対応を検討していただきたいと思います。
若干御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/7
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008・橋本鋼太郎
○政府委員(橋本鋼太郎君) 先ほども御説明申し上げましたが、有料道路におきます料金による負担とあるいは公共事業による負担あるいはその他の負担、その負担のやり方がいろいろございますので、その辺を含めまして料金のみによる負担が過大にならないようにという観点も含めまして、現在道路審議会等で審議を進めておりますので、その結果を見まして今後検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/8
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009・福本潤一
○福本潤一君 では、今の観点からよろしく検討をお願いいたしたいと思います。
これだけ大きな架橋が三本建ちますと、従前から働いていた人たちにかなりの影響を及ぼしている様子でございます。フェリーの業者さんとか漁業への補償とかいろいろな面でありますけれども、今回、フェリーで生活されていた方々の生活再建に対する対応策等々に絞ってお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/9
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010・橋本鋼太郎
○政府委員(橋本鋼太郎君) 本州四国連絡橋の建設に伴う旅客船事業への影響につきましては、昭和五十六年に本州四国連絡橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等に関する特別措置法、こういう特別措置法が制定されまして、この法律に基づきまして、架橋に伴いまして事業の規模を縮小することを余儀なくされる旅客船事業者に対して、本四公団の方から、交付金の交付あるいは退職金支払い確保契約の締結、あるいは離職者に対しては職業安定所長等による求職手帳の発給あるいは職業指導等、こういうものを実施してきております。
児島・坂出ルートにつきましても、昭和五十九年に六十五航路四十一業者が規模縮小航路として指定されました。そのうち特に、実際に事業規模を縮小することが余儀なくされました十七航路十二業者につきまして交付金の交付等が行われておりますし、離職者に対しましては先ほど申し上げました求職手帳の発給あるいは職業指導等の措置を行っております。
また、本四公団におきましても、本四公団の業務に関連しまして再就職等のあっせんをしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/10
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011・福本潤一
○福本潤一君 さまざまな手当てをしていただいているということでございます。特に、転職等に当たりましては、その転職が実際の生活の基盤になれるような形になるまで温かいサポートをお願いしたいと思います。地元では、フェリーを例えば結婚式の会場に使ったり、さまざまな工夫もなされているようでございますので、さらなる政府の具体的な手当てを要望しておきたいと思います。
引き続きまして、特に神戸・鳴門ルートにかかわるかと思いますが、昨年の一月十七日、阪神・淡路大震災がありました。人的にも物的にも甚大な被害がもたらされたところでございます。
今回、明石海峡大橋という橋の中でも、海底の地盤が移動して主塔間の距離が一・一メートルほど延びたという現実が起こっております。この明石大橋における一・一メートル延びたということ以外の現実の被害状況というのをまずお伺いさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/11
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012・橋本鋼太郎
○政府委員(橋本鋼太郎君) 阪神・淡路大震災におきましては、震源が極めて明石海峡大橋に近かったという観点から、この明石海峡大橋の周辺にいろいろな影響が出たところであります。
そういうことで、神戸・鳴門ルートにつきましては工事区間を含めまして調査をいたしております。ほぼ一カ月間、工事を中断して調査をいたしました。
影響につきましては、先ほど先生から御指摘の点でありまして、橋本体についての影響は主塔間の距離が八十センチぐらい延びたということもございました。しかし、その他、例えば明石海峡大橋の作業基地の護岸、あるいは淡路島におきます道路工事、この工事中ののり面、あるいはその中にある橋台等の構造物、こういうものが一部崩壊したと報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/12
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013・福本潤一
○福本潤一君 さまざまな影響が現実に起こっておるようでございます。この一・一メートルほど延びたという地殻の問題を考えてみましても、現実にもし完成していた場合にこういうことが起こったとき、もちろんその一・一メートル延びる加速度に起因して影響力の震度は大きく変化すると思いますが、太平洋プレートのように何百年に何センチメートル地殻が移動したというような話とは違いまして、瞬間にこれだけ大きな加速度を持って移動したわけでございますので、地震というものに、具体的にこれだけ土木事業としてはもう限界に来ているような大きな橋梁では、地元の人としてもかなりの心配が起こっておるのではなかろうかと思います。
それで、こういう世界でも一、二位の橋、つり橋でございますが、長大橋梁というものが耐震設計でどのように扱われているか、地震対策というものをどういうふうにして設計しておるかということをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/13
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014・橋本鋼太郎
○政府委員(橋本鋼太郎君) 明石海峡大橋の場合でございますと、主塔が建っている段階でありましたので、これについては補剛げた等がまだかかっておりません。そういう意味では、ある意味では幸いであったわけであります。補剛げた等につきましては、これを少し延ばすというようなこと、延伸するというようなことで十分対応できるわけでありますが、明石海峡大橋全体の耐震についての考え方はどうかということでございます。
これにつきましては、一般的な道路橋につきましては、道路橋の耐震設計基準、これは平成二年に策定したものでありますが、こういうものによりまして地盤条件あるいは構造特性などに応じて適切な耐震設計は行っております。さらに、支間の長いいわゆる長大橋につきましては、コンピューター等を活用しまして地震時の挙動解析など個別に十分検討を行っております。
また、本四公団におきます明石海峡大橋等につきましては、これは極めて長大な橋でありますし世界の最大の橋でありますので、周辺で起きた地震履歴、あるいはそういうものに基づいて設定した設計地震力、これを入力いたしまして地震時の動的な挙動を正確に把握する、そういうことで独自の耐震設計指針を設けておりますし、模型実験等も行って十分な耐震設計を行っております。
そういう意味で、仮に明石海峡大橋が完成していた場合であってもこの大地震でも十分耐えられたのではないかと思いますし、その点につきましては、今回の地震で得られました地震動を設計上入力いたしましてチェックもしておりますが、十分耐えられただろうと、このように感じております。
しかし、今後これで十分かという点につきましては、今回の阪神・淡路大震災で得ました教訓から、極めて厳しい地震動にも耐えられるように一般の道路橋の耐震設計についても現在見直しをしている段階でありますし、これに基づいて必要な橋脚等の補強は順次進めております。今後の耐震設計の仕様につきましては、本年度中にもその成案を得たいということで努力をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/14
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015・福本潤一
○福本潤一君 耐震設計に関しての具体的な取り組みをお伺いいたしましたけれども、今回のような地殻変動が瞬間的に起こったようなことに対してのシミュレーション等もやりまして、具体的な危機管理対応策まで含めて検討していっていただければと思います。
引き続きまして、私も広島、愛媛に住んでおりますけれども、本四連絡橋で一番西にあります尾道・今治ルートの関係の話を聞きたいと思います。
総延長計画五十九・四のうち今二十五・九キロメートルが既に供用中でございます。
そうしますと、先ほど申しましたように、南北のルートの関係がかなり中国、四国ともに交流ネットワークがおくれているということがありましたので、最初に尾道から北へ行って松江ルートの方ですね。あと今治から南の方へ高松・松山ルートにつなぐ伊予小松までのライン、また今治・松山のラインの大橋を渡った後のネットワークの道路計画が具体的にどのように進んでおるかをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/15
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016・橋本鋼太郎
○政府委員(橋本鋼太郎君) まず、尾道の方から申し上げますと、現在、尾道大橋ができ上がっておりますが、これにつきましては、現在が二車線の道路でありますので、これを四車線に拡幅するということで、四車線の新しい新尾道大橋を架設するということで進めておりますし、全体についても四車線に拡幅したいと考えております。これによりまして山陽道まで接続いたします。
さらに、この山陽道から北につきましては、中国横断道尾道松江線になるわけでありまして、現在、三刀屋町から松江市の間につきましては事業を進めておりますが、この尾道から三刀屋町の間につきましては現在基本計画でございます。これらにつきましては環境影響調査等を実施しておりまして、なるべく早い時期に国幹審が開かれれば、その中でまた次のステップを考えていくというのが現状でございます。
さらに、南の方でありますが、今治から南の方につきましては、今治・小松自動車道、これを経て四国縦貫自動車道に接続する、そして松山市に至るという計画にしております。この今治・小松自動車道につきましては延長が二十三キロございますが、今治東インターから四国縦貫自動車道までの十三キロにつきましては平成元年に事業化をして、現在鋭意事業を進めております。一部用地買収で難航している状況がございますが、平成十年度までには供用ができるように工事を鋭意進めております。開通に間に合うように十分な努力をしてまいりたいと考えております。
さらに、この今治・小松道路と今治南インターの間につきましては、現在の一九六号のバイパスがありますので、こういうものを活用したい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/16
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017・福本潤一
○福本潤一君 地元の声で言いますと、三橋夢のかけ橋ではございますが、と同時に、それに連係する道路関係が陸続きの場合と違って三カ所に集中するという形になりますので、この連係ルートも含めて整備の要望の声が強いということをお伝えさせていただきます。
あと、このルートでいいますと、今治・尾道ルートにYルートという横ルートが安芸灘諸島連絡架橋という広島県の計画で進んでおります。また、周辺にいろいろな計画が今治・尾道ルート、多島海と言われる瀬戸内海でございますので、進んでおるようでございますが、そういう架橋との連係、どのように進んでおるかをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/17
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018・橋本鋼太郎
○政府委員(橋本鋼太郎君) 安芸灘諸島連絡ルートの構想につきましては、地域の産業の振興あるいは地域住民の利便性の向上のため、あるいは広域市町村圏の充実のために、さらにはこの瀬戸内海の観光開発のためにも大変重要な構想ではないかと考えております。
全体構想のうち、現在のところ、広域営農団地計画ということで農道としての整備も進めておりまして、既に三橋農道計画として事業中でございます。また、広島県の本土と下蒲刈島を結ぶ最大の橋梁であります安芸灘大橋につきましては、建設省の地方道事業として平成元年から事業採択をして進めておりまして、平成十年度完成ということで鋭意事業を進めております。なかなか大規模な事業でありまして、厳しい目標ではありますが、この平成十年完成ということを目途に鋭意進めてまいりたいと考えております。
さらに、これをY字構想に延ばしていく構想がございます。一つは、大三島の方へ延伸していく、もう一つは竹原市の方へ延伸していくという大きな構想があるわけでありますが、これらについては今後全体的な経済的な効果等を含めて検討していきたいと思いますし、さらに、この中にも含まれておりますが、豊島と上蒲刈島を結ぶ橋につきましては現在調査中でありますので、調査を進めて、なるべく早い時期にこれについても事業に着手できるように努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/18
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019・福本潤一
○福本潤一君 そういうハードの面でのネットワークも連係よろしくお願いしたいと思います。
今回の法案の大きな柱であります、東京にある事務所が神戸に変わるという事務所移転の話に移らさせていただきたいと思います。
一極集中の是正という観点から大きな意義を感じておるわけでございますが、特殊法人の見直し、整理合理化という意味では、これは一つの大きな議論もあるところだろうと思います。
今回、本社が神戸市へ移転するということになりました中で、例えば三ルートありますので、神戸と鳴門、岡山、坂出、尾道、今治、各市どこも候補になりそうなところでございますが、そういう中で内部で議論されてきた内容、またそれが変わることによって具体的にどういう効果、影響があるのかというのをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/19
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020・橋本鋼太郎
○政府委員(橋本鋼太郎君) 本社の事務所の移転先につきましては、昭和六十三年七月に閣議決定されました「国の行政機関等の移転について」というものに基づきまして、本四公団が移転の対象となりました。それを受けまして、本四公団によりまして事務所の移転先の調査を始めたところでございます。その調査の結果によりますと、いろいろなところが地域からも地元からも御要望があったということは聞いておりますが、結果的にはその中で神戸市が適当ではないかということが確認されたわけであります。
その理由といたしましては、本州四国連絡道路のシンボルであります世界最長のつり橋がある明石海峡大橋の現場に一番近いという点、あるいはもう一言申し上げるとすれば、関西というものが学術研究の点においても情報の集積を含めて集積度が高いのではないかというような点がこの理由ではないかと考えております。
いずれにいたしましても、これらの検討を踏まえて、平成元年の二月に国の機関等移転推進連絡会議におきまして神戸市が正式に移転先として決定されたわけでございます。
この移転によりましてどのようなメリットがあるかということでありますが、これにつきましては、本社が現場に近いということになりますので業務の効率化あるいは利用者サービスの向上に紹立つのではないか、結果として経費も節減できる、このように考えておりますし、地域と密着したきめ細かい業務運営が可能となるという意味では地方分権にも十分資するものではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/20
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021・福本潤一
○福本潤一君 若干、先を急がせていただきます。
今回へ特殊法人の見直しということで、七百名体制を完成の暁には三分の一に削減するというようなことが言われております。また、本四公団の中には橋梁技術、ある意味では世界でもトップレベルの技術が蓄積されております。首都機能移転以外にも、国土軸構想の中で第二国土軸ということで、四国を通った上で豊予海峡という一つのルートをトンネルで結びたいというような声も上がっております。そうしますと、平成十年度に工事が完成した後も、この本四公団の技術レベルというものは維持発展また貢献、役立たさせていくという必要があると思いますけれども、この豊予海峡の構想と、今後本四公団がどういうふうな形で技術を維持発展させていくのかということをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/21
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022・橋本鋼太郎
○政府委員(橋本鋼太郎君) 本四連絡橋の三ルートが概成した時点におきましては、本四公団の長期債務の償還について現行の国と地方公共団体との協調体制を堅持し、維持管理段階においても必要不可欠な長大橋技術の継承・高度化を図るということを基本としまして、現行の組織体制を見直すと、このように定められております。そういう意味で、その時点では要員の大幅な削減をするということになっております。
しかし、今御指摘のとおり、本四公団に蓄積されました長大橋の技術は極めて貴重なものでありますし、我が国においても今後長大橋を建設していくという要望は極めて強い、あるいは国際的に見てもそういう要望は極めて強い状況でございます。
本四公団三ルート概成後におきましても、維持管理をもちろんやっていく必要がありますが、長大橋技術の継承・高度化のために必要な要員を確保すると、この点を十分配慮して組織形態の見直しを行っていきたいと思っております。
その際、豊予海峡ルートにつきましては、現在、建設省あるいは地元の愛媛県あるいは大分県等でもいろいろな調査を進めております。海峡部十四キロメートルと相当長い海峡でございますが、技術的にいきましてこの海峡を連絡するということは可能であります。トンネルの案あるいは橋で連絡する案、二案ございますが、それぞれについて現在調査を進めております。
その際、大深度の海底にピアをつくる、あるいはトンネルでその下を掘る、あるいは耐震、耐風にすぐれた構造物を構築していく必要があるということでございますので、本四公団に蓄積されたこの貴重な技術というものをぜひ生かすということが必要ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/22
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023・福本潤一
○福本潤一君 こういう本四架橋、世界に冠たる三つの大きなルートが完成するわけでございます。平成十年度までの計画でございますが、最後に建設大臣から、この四国また中国、地元の要望の大きな架橋の建設方針に関しての決意をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/23
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024・中尾栄一
○国務大臣(中尾栄一君) 福本委員にお答え申し上げます。
この橋の件についてはもう従来から国会の中でも大きな話題となっておりましたし、私も、先般来ずっと国会でぎゅう詰めでございましたが、ちょっと合間を縫って尾道の方に行ってまいりました。その際にも、いろいろ遠大なる構想、さらなるまた活性化につながっていく道のりを見させていただいたわけでございます。
本州四国連絡道路は、神戸・鳴門ルートあるいはまた児島・坂出ルート及び尾道・今治ルートの三つのルートで本州と四国を連結することによって、本州と四国の地域連係の強化を図り、なおかつ西日本地域の産業、経済、文化等の発展にも極めて重要な役割を果たすものと確信するものでございます。
平成三年度までに児島・坂出ルート全線と他のニルートの五つの橋が供用されたところでございます。平成九年度には明石海峡大橋を完成させまして、平成十年度には多々羅大橋、来島大橋を完成させまして、そして本州と四国を三つのルートによってつなぐべく鋭意事業を進めていく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/24
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025・福本潤一
○福本潤一君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/25
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026・緒方靖夫
○緒方靖夫君 日本共産党の緒方です。
本四公団本社の移転を決めた竹下内閣の政府機関移転策については、私は大いに意見があります。しかし、本改正案の移転は瀬戸内海を事業エリアとするというわけですから、本社を神戸市に移転するということに反対するものではありません。また、新設される公団への無利子貸付は、阪神・淡路大震災で必要となった追加投資について、通行料金や事業採算性への影響を最小限にとどめようというものだと思います。
さて、本四公団の事業の採算性についてなんですけれども、この問題は、瀬戸大橋の開通の際に通行台数が予測を大幅に下回ったというときから問題になっていると思うんですが、現在、償還計画は、生口橋の供用開始は九一年十二月ですけれども、そのときに見直されたもので、九五年二月の起算日から三十三年で償還することになっていると思います。そのときに想定した九五年の通行台数とその実績はそれぞれ幾らか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/26
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027・橋本鋼太郎
○政府委員(橋本鋼太郎君) 本四道路におきます現在の償還計画につきましては、今御指摘のとおり平成三年度に生口橋供用に伴いまして料金の認可をしたときのものでございます。
その際、児島・坂出ルートの交通量は、平成九年までおおむね十数%の交通が伸びるだろうということを想定しまして、平成七年度は約二万台程度とこのように見込んでおりました。実績につきましては、平成五年度一万二千六百台、平成六年度一万三千七百台と増加してまいりましたが、平成七年度につきましては、一万四千四百台ということで若干の伸び悩みが見られております。これらにつきましては、経済状況あるいは震災等の影響、この辺も考えられるんではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/27
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028・緒方靖夫
○緒方靖夫君 一日のあれを見ますと、結局一万四千四百台ということですね。そうすると、想定からするとやっぱり三割近く落ち込んでいるということになると思うんです。道路分の建設事業費の想定額と九四年度末までの累計は幾らか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/28
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029・橋本鋼太郎
○政府委員(橋本鋼太郎君) 平成六年度までの執行額は二兆八百億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/29
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030・緒方靖夫
○緒方靖夫君 道路分の建設事業費は、九五年度で千九百五十六億円、九六年度で二千十億円、このままでいくと最終的に三兆円ぐらいになり、予定より二割ぐらい上回るんじゃないかと思うんです。
一方、通行台数の方は予測を大幅に下回って、今後についても、政府の経済計画の中の経済成長率、これが三・五%程度、あるいは構造改革が進展しない場合は一・七五%となるとされているわけですから、伸び予測も下げざるを得ないと思うんです。償還計画の見直しが必要となることは確実ではないかと、そういうように思うわけです。
通行台数が伸び悩んでいる大きな問題、その一番大きな理由というのは、やはり高い通行料金にあると思います。
岡山大学の坂本忠次教授が編さんした「瀬戸大橋と地域経済・環境問題」という本があるわけですね。私、読みましたけれども、その中では本四公団の料金問題の分析があります。
それによると、普通車についていうと、料金を五五%割り引きしたときに料金の収入が最大となると。それから大型車でいうと、二五%割り引いたときにやはり最高と。全車種共通して四五%割り引いたときに一番収入がふえるという、そういう試算なんですね。もちろん、経済のいろんな指標がそのときと違っているとしても、やはり地元の要求というだけじゃなくて、本四公団の償還計画の上でも料金の割引、これは償還計画の見直しの中で検討すべき問題ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/30
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031・橋本鋼太郎
○政府委員(橋本鋼太郎君) 交通量の見通しにつきましては、計画に比べまして厳しい状況であるというのは御指摘のとおりであります。
そういう意味からも、平成七年度に本四公団事業の資金コストを四・八から三・九に引き下げているということで、公的助成の強化も着々と進めているということでございます。しかし、今後の交通量見通しについては大変厳しいというのは御指摘のとおりだと考えております。
そういう意味で、これからもこの本四公団事業につきましてはいろいろな検討が必要だと考えております。従来も往復割引券あるいは回数券、プリペイドカード、こういうものを導入しておりますし、そういうものによって利用を促進していこうという点、あるいは先ほど申し上げましたように資金コストも既に下げてきているわけであります。そういうことから申し上げますと、これでは十分ではありませんが、今後十分な検討をしてまいる所存でございます。
その際、今後平成九年に明石海峡大橋、平成十年度に多々羅大橋、来島大橋というものが供用開始しますので、最終的な事業費の見通しあるいは経済情勢の変化等も相当の確度で見込めると考えておりますので、償還計画を適正に見直して料金の上昇の抑制あるいは公団経営のさらなる安定を図ることが必要と考えております。道路審議会等のお知恵も拝借しながら、これらの方策については検討してまいりたいと考えております。
それから、一つの試算でありますと四五%引き下げると料金収入が最大となるという御指摘がございましたが、一般的に申し上げまして料金を引き下げますと、引き下げた分だけの交通量増が見込めないというのは有料道路の一般的な考え方でございます。しかし、それについても十分な検討は今後必要と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/31
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032・緒方靖夫
○緒方靖夫君 今の件については、学者の研究ではありますけれども、いろんな角度からの研究なので、ぜひ研究を進めていただきたいと要望しておきます。
最後に、中尾建設大臣にお伺いいたします。
有料道路の料金制度についてなんですけれども、首都高速の料金値上げ、この問題で世論の非常に大きな批判があったと思います。昨年の道路審議会の中間報告では、高速道路について償還後の料金徴収が打ち出され、また大問題になっていると思います。現在、本四連絡道路も含めて、その他の有料道路の料金制度の検討が行われていると聞くわけですけれども、この問題について大臣の基本姿勢、これをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/32
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033・中尾栄一
○国務大臣(中尾栄一君) 委員御指摘のとおり、国民から極めて強い要請のある高規格線の道路網等の早期整備を図るためには、有料道路制度の活用が必要であるとはいうものの、いろいろ論議がなされている点も事実でございます。
しかしながら、利用者の料金に対する関心も高まっておりまして、有料道路事業の推進に当たっては今後一層国民の御理解が重要となることだなと、こう認識しておる次第でございます。有料道路制度のあり方につきましては、平成六年十一月十日、道路審議会に諮問し、昨年十一月にこのうち高速自動車国道について中間答申をいただいたところでございます。引き続き、本州四国連絡道路、都市高速道路等につきましても鋭意御検討序始めていただいておるところでございまして、今後十分に御審議をいただきまして、委員からの御指摘なども十分にまた脳裏に刻みながら、これからの道路行政に生かしてまいりたいものだ、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/33
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034・緒方靖夫
○緒方靖夫君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/34
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035・永田良雄
○委員長(永田良雄君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。――別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
本州四国連絡橋公団法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/35
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036・永田良雄
○委員長(永田良雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中尾建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/36
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037・中尾栄一
○国務大臣(中尾栄一君) 本州四国連絡橋公団法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことを深く感謝申し上げます。
審議中における委員各位の御高見につきましては、今後、その趣旨を生かすように努めてまいろ所存でございます。
ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/37
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038・永田良雄
○委員長(永田良雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/38
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039・永田良雄
○委員長(永田良雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十六分散会
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614149X01019960426/39
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