1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年四月十一日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
四月十日
辞任 補欠選任
長谷川 清君 浜四津敏子君
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出席者は左のとおり。
委員長 沓掛 哲男君
理事
加藤 紀文君
久世 公堯君
荒木 清寛君
前川 忠夫君
委 員
斎藤 文夫君
坂野 重信君
中曽根弘文君
野間 赳君
林 芳正君
平田 耕一君
加藤 修一君
浜四津敏子君
平田 健二君
藁科 滿治君
山下 芳生君
小島 慶三君
国務大臣
通商産業大臣 塚原 俊平君
政府委員
通商産業大臣官
房長 中川 勝弘君
通商産業大臣官
房総務審議官 白川 進君
通商産業省産業
政策局長 牧野 力君
通商産業省環境
立地局長 鈴木 孝男君
通商産業省基礎
産業局長 林 康夫君
通商産業省機械
情報産業局長 渡辺 修君
特許庁長官 清川 佑二君
特許庁審査第一
部長 菅野 利徳君
事務局側
常任委員会専門
員 里田 武臣君
説明員
外務省経済局国
際機関第一課長 鈴木 庸一君
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本日の会議に付した案件
○産業構造転換円滑化臨時措置法を廃止する法律
案(内閣提出)
○商標法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/0
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001・沓掛哲男
○委員長(沓掛哲男君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨十日、長谷川清君が委員を辞任され、その補欠として浜四津敏子君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/1
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002・沓掛哲男
○委員長(沓掛哲男君) 産業構造転換円滑化臨時措置法を廃止する法律案及び商標法等の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/2
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003・平田健二
○平田健二君 おはようございます。
けさから随分慌ただしいようでございまして、本来ですと塚原大臣にもいろいろと御質問を申し上げたいと思っておりましたが、慌ただしいようでございますので、大臣、失礼ですけれども質問を控えさせていただきますので、どうぞ御容赦お願いします。
今回の商標法等の一部改正の背景につきましては、商標法条約の締結こ伴う国内環境の整備という点から見ますと理解はできるわけでございますけれども、特許庁が言われておりますユーザーフレンドリー、いわゆる利用者の利便性の向上という観点から見ますと、果たしてそうかなというふうにも思われるわけでございます。そこで、以下具体的に御質問をさせていただきたいというふうに思っております。
まず、不使用商標対策でございます。
今回の改正のポイントに、使われていない商標の削減ということが挙げられております。削減を促進するために、取り消しの手続の改善でありますとか連合商標制度の廃止あるいは料金の分割納付制度などが盛り込まれておりますけれども、本当にこれらの対策で使われていない商標の登録が減るのかどうか、疑問に思われるわけでございます。
そこで、例えば登録料の分割納付についてですけれども、一括ならば十五万一千円のところ、分割すると十万一千円を二回払う、割高になっております。しかも、五年後の手続も面倒だ。そうしますと、一括納付で済ましてしまおうと。目的とは逆な方向に向かうおそれがある。同じくまた、連合商標制度が廃止されますが、ユーザーにしてみれば、他社が類似商品を出すことの懸念から、類似の商標をたくさん自社で申請をしておこう、こういう可能性が出てこないのか。また、出願手続が簡素化されることによって先行的な出願あるいは防衛的な出願が多くならないか、こういった面が指摘されるわけでございます。これらについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/3
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004・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 今回の商標法の改正は、商標法条約が一昨年の秋にまとまったということもございますけれども、それとは関係ない事項もたくさん含まれているわけでございます。私どもといたしましては、工業所有権審議会に商標法条約の関係も含めていろんな商標制度にかかわる問題点を出していただきまして御議論をいただいて、今回の法案文を作成させていただいたということでございます。
それで、ただいま委員の方から御指摘いただきました中身のうち、分納制度を今回導入したわけでございますけれども、これは実際の経済の変化のテンポが速くなってきておりまして、短サイクル商品というものの比率がどんどんとふえている。一昨年の秋に知的財産研究所というところで企業にアンケートをとりまして、そういう商品のサイクルというのはどうなっているかということを聞いたわけでございますけれども、その結果、八五%前後の企業が短サイクル化する傾向にあるというふうな回答をしているわけでございます。
そういう実態に照らしまして、現在の商標権というのは十年間ごとに権利を取っていただいて更新をしていただくという仕組みになっているわけでございますけれども、物によっては二、三年しか市場に出さない。そういう物に添付する商標につきましては二、三年しか使わないというようなケースもあるわけでございます。ただ、権利として十年間登録料をいただいて権利が確保されている関係で、あとの六、七年は使われないまま登録になって残るというようなことで不使用商標になってしまうというようなことがあるわけでございます。
そういう事態に対応して、できる限りそういう短サイクル商品につきましては五年の分納ということも選択可能なようにいたしまして、その分全く半分というわけにはまいりませんけれども、若干手数料、金利等々も勘案して、半分よりは若干割高でございますけれども、十年一括料金よりは安い料金体系にして五年間で放棄していただくという道も残すべきではないかというのが工業所有権審議会の中での皆様方の意見の結果でございまして、そういうものも念頭に置いて今回の改正案の中に分納制度、これはあくまでも選択でございますので、ユーザーの方々が今までの十年一括払いと五年分納というものを選択できるという形で導入をさせていただいたということでございます。
今回、やはり従来から不使用商標対策、不使用商標の原因の一つではないかということが言われておりました連合商標制度、この連合商標制度というのは、ある商標権者が持っている商標と同一あるいは類似のものを、同一あるいは類似の商品分野、サービス分野に使うというふうな商標のことをいうわけでございますが、こういうものはもとの商標権者以外には登録させないということで、ただそれを連合商標という形で登録をさせて分離移転等について制限を加える、一方では、使用チェックの際に、その連合商標として結ばれているものの一つを使用していれば全体が使用されているとみなすという仕組みになっているものでございますけれども、これが先ほど申しましたように不使用商標の温床になっているという指摘もあったわけでございまして、今回これをやめることにしたわけでございます。
ただ、先ほど委員の方から御指摘いただきましたように、これによって逆にその類似と認める範囲が変更になるわけでも全くございませんので、それによってほかの方がもとの商標権者の類似の範囲内に商標権を出願して認められるということはございません。そこについてはもしそういう誤解があるようであれば、我々としてもそういう点についてなるべく誤解を改めていただくような努力をする必要があろうかと思っておりますけれども、今回そういう類似の概念についての考え方は従来どおりということで考えておりますので、企業の方々にとってみますと、そこは合理的に対応していただければ先はどのような問題はないのではないかなと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/4
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005・平田健二
○平田健二君 不使用商標対策で、現在亘二十万件ぐらいあって、そのうち約半分が使われていない。これをどういうふうに削減していくかということが大きな問題ですので、改正趣旨からいきましてやはり使われていない商標が減っていく、そういうことが目に見えるような方向にぜひ進むように努力をお願いしたいというふうに思います。
次に、商標権の早期付与ということが改正されておりますけれども、特許庁の資料によれば、平成七年度では商標の出願から査定までの期間が二十六カ月ということです。今回の改正では期間がどれくらいまでに短縮されると思われていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/5
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006・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 平成七年、昨年の審査期間、先生御指摘のとおり二年ニカ月ということで二十六カ月でございます。この数字はほかの主要先進国と比べますと、残念ながらまだまだ長いという御指摘はそのとおりかと思います。私どもとしても、今までもコンピューター化でございますとか、いろんな事務処理の効率化等々に努めまして短縮化を図ってきたわけでございますけれども、今後ともこういう努力をしていく必要があろうというふうに考えております。
それで、今回の制度改正案につきましては、従来付与前異議ということで出願があったものについて特許庁の審査官が審査をいたしまして、これは登録を認めてもいいのではないかという判断をした場合に、登録を直ちに認めるのではなくて、一たん公告、公報に掲載をいたしまして、第三者からの異議がある場合には異議を申し立てていただいて、その異議調整をした上で問題がなければ登録をする、こういう付与前の異議申し立て制度をとっておりましたけれども、これを付与後異議制度に変えさせていただく。一たん特許庁の審査官の判断で問題ないと思った段階で登録を認めさせていただいて、その登録をした後に異議調整をしていただくという仕組みに変えていただくようにお願いをしているところでございます。
これは現実に、特許庁の審査官の審査を経た後での公告について異議申し立てがなされるのは、比率といたしまして、年によって若干のばらつきはありますが、二%ぐらいでございます。それで、それに対して出された異議申し立ての内容に理由があるということで特許庁の審査官の判断が修正になるというものはそのまた二八%ぐらいでございまして、三割弱でございます。したがって、全体の中で異議申し立てにより調整が図られる比率というのは〇・六%ぐらいということになっております。そのために登録を数カ月もおくらせるというようなことは果して制度としてどうであろうかということで、工業所有権審議会でもいろいろ種々御審議をいただいたわけでございますけれども、各方面の方から異議申し立てというのはそういう非常に極めてわずかな比率である以上早く権利を付与して、権利を付与した後に異議申し立てをしていただくということにしてはどうかというのが大勢でございました。
そういうことに基づいて今回改正を図らせていただくようにしたわけでございますが、これでどれぐらい短縮になるかということでございますけれども、私どもとしては異議申し立て期間がニカ月でございますし、あとそれに関連する事務処理期間というものもございますので、それプラスアルファの期間短縮は図れるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/6
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007・平田健二
○平田健二君 ニカ月プラスアルファの短縮とこういうことだったんですけれども、果して二十六カ月の期間がニカ月プラスアルファ短縮されたことでその早期付与という表現になるのかどうか、若干疑問に思うわけでございます。できるだけ早期に付与できるように努力をお願いしたいと思いますけれども、特許庁はすぐれた電算システムを、世界的にもすぐれておるというふうに聞いておりますが、お持ちですので、特許はオンラインでいろいろと検索できますけれども、商標についてはいろいろ難しい部分もありますけれども、ぜひひとつオンラインを十分に活用して届け出の短縮化に努力をいただきたいというふうに思います。
それから、新しく新設された多区分一括申請による査定までの時間が今までよりもさらに長くかかるのではないかという気がするわけです。例えば三つの区分を一括して申請をする。そのうち二つはよかった、一つがトラブった、その一つがトラブったことによってその二つまでも一緒に審査の時間が長くなる、こういったトラブルが発生する可能性はないのだろうかと思われますけれども、この辺についてどのようにお考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/7
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008・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 先生ただいま御指摘いただきました一出願多区分制というものを今回の制度改正に盛り込まさせていただいております。これは商標権者がある商標について権利を取得しようとする場合に、商品とかサービスの区分を現在四十二の区分に分けておりまして、その区分ごとにとっていただく。今はその区分ごとに出願して区分ごとに権利をとっていただくということになりますので、同じ商標を複数の区分で使いたい場合には複数の出願をしなくちゃいけないという仕組みになっているわけでございます。これを同じ商標であれば複数の区分を希望している場合に、一つの出願で複数の区分を指定して出願をしていただけるという仕組みにするものでございます。
それで、先生のただいまの御指摘は、そうすると複数の審査官の目を経ることになるのではないかとか、あるいは一つに拒絶理由があった場合に全体がそれに引きずられてしまうんではないか、それによって審査が長引きはしないか、そういう御指摘ではないかと思いますが、私どもとしては内部の審査のあり方というものを今回の一出願多区分制移行に伴いまして来年の施行時から少し変更させていただこうと考えております。具体的には、複数区分の出願があった場合に、原則として一番メーンである分野の審査官がそれを一元的に見る、一人で審査をするという仕組みに事務処理のあり方を変更する予定でございます。
なお、これは先生冒頭、機械処理が特許庁は少しずつ進んでいる、特許実用新案のところはかなり進んでいる、こういう御指摘がございましたけれども、商標の分野におきましても来年の四月から審査のレベルは極力電子計算機処理を十分に活用したシステムに変えていこうということで、一人の審査官でもほかの分野の審査も画面処理でできるという仕組みに変更する予定でございます。それに伴いまして、今言ったような業務処理を考えているわけでございます。
あと一つ、拒絶理由があるとほかの区分まで引きずられてしまうんではないかということでございますけれども、この問題については、出願人の方でもし拒絶理由が複数の区分に出しているところが一つにだけ来た、こういうときには出願の分割というものができる仕組みになっております。したがって、ほかの問題がない分野だけ早く権利を取得したい、それで問題のあるところだけは拒絶理由のところで意見書等を出して議論したい、こういう場合には出願をその時点で分割をしていただいて、早く権利化したい部分についてはそのまま登録査定をしていただくような道が制度上担保されておりますので、そういうことでそういう問題がない解決の方法があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/8
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009・平田健二
○平田健二君 ちょっと確認をさせていただきたいんですが、今は分類ごとに審査官が決まっておるわけですか。一人の審査官が例えば幾つも分類を担当するということなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/9
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010・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 現在の制度は一出願一区分制で区分ごとに出願をしていただくことになっておりますので、それぞれの区分担当の審査官がそれを処理するという体制になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/10
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011・平田健二
○平田健二君 次に、ユーザーの利便性ということを強調されておるんですが、ユーザーの負担の増加が考えられませんかということなんです。登録後異議申し立て制度の導入によって事前二カ月の公告制度が廃止になりますね。そのことによってユーザーの負担がふえないか、こういう懸念があるわけであります。
例えば特許庁の審査は通った、出願をしたらすぐ受け付けて通りましたということで製品をつくって市場に出した。ところが、先発企業からこれは類似性の疑いがあるということで訴えられる。そうしますと、争いを好むわけではありませんので、大体の企業はそうかということで取り下げますね。事前に大量に商品をつくったりして在庫を抱えてしまう、ストックを抱える、こういった事態が発生しないだろうか。
以前にも私の関係するメーカーがこういった事態に陥りまして、商品を出したらすぐ先発企業から異議申し立てがあって、その企業は自主的に商標を変えて新しい商標で売り出したところ売り上げが相当ダウンした、結果として二年数カ月後に商標の登録はそのまま登録された、こういう事態が発生しておるわけであります。そういった点から見ますと、一つの問題としてストックを大量に抱えてしまう、こういった危険性がないか。
また、今度は他社の類似商品を市場に出させないようにするために、従来なら公報を見て注意しておれば、こういうのが出たなということですぐ異議申し立てができるんですけれども、今回はそういったことじゃなくて、絶えずユーザー自身が市場に自分の商品と類似性のものが出回らないかということを自分でウォッチングしなきゃいかぬ、こういった事態にならないかということで、とにかく二カ月の公示期間がなくなることで多くのユーザーがそうした負担増になることを今懸念しております。こういったことについてどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/11
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012・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 最初の御質問でございますけれども、付与後異議制度に移行することによって、逆に登録になったので事業を始めたら異議申し立てでそれが変更になった、そういう場合にいろいろ事業に支障が出るんではないか、そういう御趣旨の御質問ではないかと思いますが、これは先ほどの御説明でも申し上げましたけれども、異議申し立てで特許庁の審査官の審査の内容が変更になるというのは極めてわずかでございます。先ほども申し上げましたように全体の中で〇・六%ぐらいでございます。
それで、申請される方からいきますと、なるべくやはり登録ということになって極力安心して使えるものとして権利を認めていただくのを早くしてほしいということがニーズとしてありますので、今回工業所有権審議会でも鋭意御審議いただきましたけれども、なるべく早く登録査定に全体を持っていく方が好ましいんではないか、〇・六%ぐらいのわずかな比率のもののために全体の登録査定をおくらせるということよりはその方が制度として好ましいんではないかという答申の趣旨に基づいて制度改正を図らせていただいたものでございます。
ちなみに、先ほど申し上げませんでしたけれども、特許につきましても同じように付与後の異議申し立て制度ということに、これは平成六年の制度改正でことしの一月一日からしていただいている、そういう付与後異議制度で動き始めているということでございます。
付与後異議制度と申しましても、いずれにせよ特許庁の登録査定が出てそれが公報に載ってから二カ月の間に異議申し立てを出していただくことになりますので、そういう意味ではそう間があるということではなくて、なるべく異議申し立て期間も、特許の場合ですと六カ月でございますけれども、商標の方は迅速にその異議調整を図るという従来の二カ月の申し立て期間をそのまま維持させていただいておりますので、御指摘のような問題は極力回避されるものと期待をしているところでございます。
第二の御質問の点でございますけれども、権利者の方が常に出願の動向等に目を光らせていかなければいけないということになるんではないかということでございますけれども、私どもとしては今回の制度改正とも関連いたしまして、なるべくそういう出願の情報等々についても一般の方々が容易にアクセスできるようにということでいろいろ努力をするつもりでございます。
出願等の情報についてのアクセスの手段としては、特許庁の資料閲覧所というのがございまして、これはいつでも出願の書類の包袋にまでおりてアクセスが可能でございます。これは今後とも当然のことながらそういう形になるわけでございます。
それに加えまして、私どもとしては昨年の秋から特許庁の方で持っています登録のマスター、出願のマスターというデータベースを民間の方に若干有料でございますけれども公開いたしまして、これをいろいろな形で御利用いただくという仕組みにしております。そういう公開されたデータベースをもとにいたしまして、若干の法人がそういう商標の登録あるいは出願に係るデータ提供サービスというものを現在始める段階に来ております。多分、今テスト的なLANをしているところでございまして、近々そういうサービスが開始されるというふうに承っておりますけれども、そういう仕組みを活用してアクセスしていただくということもこれからよりスムーズに行われるような仕組みになるんではないかなと思っております。
あと、これも従来からあった制度でございますが、それぞれの業種分野ごとに出願速報というものを出版物として出していただいている、幾つかの公益法人からすべての分野について、これは出願から四カ月ぐらいおくれでございますけれども提供されるような、これは出版物による提供でございますけれども、そういう体制も維持されておりますので、そういう仕組みでなるべく必要な情報にはアクセスしていただけるのではないかなと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/12
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013・平田健二
○平田健二君 いろいろと御説明をお聞きしましたけれども、〇・六%という数字が非常に小さいからということのようですけれども、実はその〇・六%にはまった企業というのは大変でして、大量につくった商品を売れない、こういった状況で、現実には企業活動に非常に苦しむわけですね。ですから、やっぱりそこらのところは情報をきちっと提供してあげるというようなことをしっかりしないといけないなというふうに思っております。今までも特許庁、いろんな情報を多数出していただきましたけれども、今回の改正によってよりそういった懸念が各ユーザーにあるわけですから、ひとつ出願情報というのをもっときめ細かに出していただくように要望をしておきたいと思います。
次に、第四十三条のヒアリングの問題ですが、今回の改正では四十三条の六で異議申し立てについて口頭審理も可能と明記されております。
確かに今回、現状の企業活動をよく見てみますとやはり子会社、系列化が進んでおりまして、子会社のいわゆる商標登録等も親会社が管理をしているというようなことも間々あるわけでございまして、四十三条の六による口頭審理の際の審理に弁護士、弁理士はもちろん、例えば親会社の担当者が参加をするということも可能なんでしょうか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/13
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014・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 改正法案の中の四十三条の六の第一項は、登録異議の申し立ての審理について述べているわけでございますが、書面審理によることが原則ではございますけれども、商標権者あるいは登録異議申立人及び参加人の申し立てによりまして、または特許庁の審判官の職権で口頭審理によりすることができるという趣旨の中身のものでございます。
今、先生の御指摘の点は、この口頭審理によることになった場合に弁理士さん、弁護士さんに加えて親会社の担当者等はそういうものに参加できるかとか出れるのか、こういう御趣旨だったと思いますけれども、私どもといたしましては商標の審査、これは商標のマーク等々、それの使用商品、役務区分についての議論でございますから、こういう口頭審理によることができる規定は制度として一応手当てをさせていただいておりますけれども、比率として見てみますと極めてわずかなのではないかなというふうに思っております。
ただ、仮にそういう場合があったといたしましても、先生今おっしゃられましたように、弁理士さん、弁護士さんあるいは親会社の担当者等が商標権者から委任をいただくことによりまして代理人として審理に対して対応することは制度として認められるわけでございます。
また、親会社と子会社との関係、例えば当該商標について親会社の方が申請人である子会社の方から使用権を設定してもらっているというようなケースでございましたら、親会社は利害関係ということで審理に参加することにより手続を遂行するということも四十三条の七の規定によりまして可能でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/14
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015・平田健二
○平田健二君 今回の法の一部改正につきましては基本的には賛成でございますけれども、特許庁が言われておりますようにユーザーフレンドリー、いわゆる利用者の利便性の向上、これをぜひ今後も重要視していただいて、本当に使う者が便利になったなというような方向にしていただきたいというふうに要望して、質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/15
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016・浜四津敏子
○浜四津敏子君 平成会の浜四津でございます。よろしくお願いいたします。
それでは初めに、大臣にお伺いいたします。
今回の大幅な改正につきましては、現在の商標法、昭和三十四年法と呼ばれておりますが、三十五年以上経過した法律でございますが、今回大変大幅な改正になりましたその理由と背景につきまして、簡単にお答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/16
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017・塚原俊平
○国務大臣(塚原俊平君) 今回の商標法の改正は、現行法が制定された昭和三十四年以来、商標制度をめぐる内外の諸情勢の大幅な変化に対応したものであります。すなわち、国際的には経済活動の国際化を背景に国際調和の動きが進展をしておりまして、国内的には経済活動の発展に伴いユーザーの新たなニーズにこたえた的確かつ迅速な権利付与が求められているところであります。
本法律案は、商標制度についてこうした内外情勢の変化に即した商標手続の簡素化を初めとする所要の改正を行うものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/17
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018・浜四津敏子
○浜四津敏子君 ありがとうございました。
一つには、国際的なハーモナイゼーションの世界的潮流の中で日本もそれに合わせていく、殊に商標法条約、これを批准することになるかと思いますが、この商標法条約への対応、これがキーワード、ユーザーフレンドリーということになるわけですが、これに対応するという面と、それから日本がこれまで抱えておりました固有の問題、大きな点といたしましては不使用商標対策、そして審理、審判等の手続の促進、これを図っていく、今おっしゃったようにそういう理由及び背景があるかと思います。
ところで、この改正の論議が始まりました時点では、商標法条約に加えましてマドリッド・プロトコルヘの対応ということも契機となりましてこの改正の論議が始まりました。このマドリッド・プロトコル、既に四カ国で発効しておりますが、アメリカはECの投票権の問題でこれを拒絶しているというふうに伝えられております。
日本は入る予定でいたところがいまだに入っていない、こういう状況でございますが、これのマドリッド・プロトコルに対する対応をどうされるのか、またアメリカはどういうふうに対応しようとしているのか、その辺の情報がありましたらこれは外務省の方からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/18
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019・鈴木庸一
○説明員(鈴木庸一君) 先生から御質問ございましたマドリッド・プロトコルでございますが、確かに御指摘のようにECが委員会と加盟国と両一方、投票権を持ちたいということで二重投票権の問題がございまして、アメリカがこれに反対しているのは事実でございます。我が国もこれは重大な問題だと認識しておりますが、マドリッド・プロトコル締結の問題につきましては、それのみならず我が国の国内的なニーズを踏まえて総合的な観点から今後判断していくものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/19
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020・浜四津敏子
○浜四津敏子君 これは特許庁の方にお伺いいたしますが、今外務省からお答えいただきましたこのマドリッド・プロトコルヘの対応ですが、特許庁としてはこの投票権の問題さえ解決すれば加盟していいということなのか、つまり中身としてはオーケーなのか。今回の改正の中でも審理の迅速化、これはマドリッド・プロトコルヘの対応としてもなされたところでありますし、また立体商標あるいは団体商標等もこれはマドリッド・プロトコルヘの対応ということで始まったように伺っておりますが、特許庁のお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/20
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021・清川佑二
○政府委員(清川佑二君) 委員御指摘のマドリッド・プロトコルでございますけれども、この投票権の問題は投票権の問題として大きな問題でございますが、同時にこの内容につきましては、御案内のように、単一の国内、国際出願によって複数の指定国に対して商標登録の機会が与えられる、そしてまた各指定国におきましては一定期間内に審査がされること、これは保証されると。このような意味では一定のメリットがあると基本的に考えているわけでございます。
現在、私どもこれについて国際的に加盟しておりますのはまだ九カ国と理解しておりますけれども、御指摘のようにアメリカ、カナダなどは加入に積極的に動いていない、そのために現段階では加盟国は主として欧州諸国、そしてまたマドリッド協定の加盟国に限られているという現状でございます。
私どもは、今申し上げましたメリットという点はございますので、法制上どうか、実態上どのように対応できるか、こういった点についても考えていく必要がございますが、国際的環境が整った場合には速やかに加入することを念頭に置きながら、今申し上げましたような点についてきちんとした検討をしていく、このような気持ちで対応いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/21
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022・浜四津敏子
○浜四津敏子君 ありがとうございました。
先ほど同僚議員からも出ました我が国で一番今問題となっておりますのが不使用商標対策でございますが、これは商標制度の根幹にかかわる問題でありまして、これまで登録総件数百三十万件のうちその三分の二は不使用商標という現状にございます。また、将来具体的に使用する予定が全くないものも三分の一近くあると言われております。商標は使用されて初めて機能を発揮し、また事業者の信用を蓄積していくことが可能になるわけで、そういう意味でも大変問題でございます。
この不使用商標が累積いたしますと特許庁の審査の負担も増しまして、審査の遅延を招くばかりではありませんで、また企業の商標選択の幅が不当に狭められることとなりまして、結局は利用者の不利益としてはね返ってくることになります。また、先進諸国と比較いたしまして日本は大変商標の登録件数が突出して多いという状況にもあるために、この不使用商標対策の真剣で、また効果的な取り組みが期待されているところでございます。
各論に入らせていただきますが、今回の改正の中で更新時の実体審査及び使用チェックの廃止、これが盛り込まれました。十年ごとの権利更新手続時に、登録商標を使用していることのチェックやあるいは不登録事由に該当しないことのチェックを廃止すると。したがいまして、更新のときには更新の申請書と必要な料金のみで更新が可能となる、こういう制度になるわけでございますが、世界的に確かにこの使用チェックをしている国というのは余りございませんで、主な国としてはアメリカと日本というような状況だったかと思います。
アメリカはぜひこの使用チェックの制度を残したい、こう言っていたようですが、アメリカはこの使用チェック制度をどうしようとしているのか、その辺について情報はお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/22
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023・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) アメリカは商標制度の中で厳格な使用主義というものを維持している国でございます。従来におきましても、出願のときに使用の意図というのをかなり厳格にとっているという、そういう仕組みにしておりますだけではございませんで、十年間の権利期間の途中時で使用チェックを行っているということでございます。
それで、今回商標法条約で更新時の使用チェックというものは事実上できない、自動更新を認めるという仕組みが国際的に合意なされたわけでございます。アメリカについては、今までもやっておりました中間時点での使用チェックというものは、これは商標法条約には抵触をしないということでそのまま維持をするということではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/23
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024・浜四津敏子
○浜四津敏子君 商標法条約上、更新時の使用チェックの廃止というのが要請されるわけですけれども、日本の特殊性を考えた場合に、つまり何が特殊かといいますと、先ほど来出ております不使用商標の問題、この特殊性を考えた場合にこれを単純に廃止してしまっていいのかどうかという疑問が残ります。
商標法条約の仮訳をいただきましたが、この十三条の四項で禁止しているのは、更新の申請に際し使用に関する宣言書または証拠を出させてはならない、こういうふうになっておりまして、つまり使用チェックそのものを禁止しているわけではなく、更新とリンクして更新時に使用チェックをやってはいけない、これが条約上の要請でございます。日本は、これまで更新とリンクしてチェックしていたから問題となったわけでありまして、アメリカのように更新時ではなく六年目にやる、つまり更新時ではない別の機会に使用チェックすることは条約上も全く何ら構わないわけでございます。
日本では、不使用率の高さ、約七割から八割が不使用の状況、この不使用率の高さから考えますと、やはりこの使用チェックというのは必要ではないかと思いますが、それでも不要と考える理由を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/24
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025・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 先生御指摘のアメリカのような中間時点でのチェックというのを、これは商標法条約には違反をしないので日本でも考えてはどうか、そういう御指摘でございますが、この点につきましては工業所有権審議会の場でも随分時間をかけていろいろな議論がございました。
結論から申しますと、今のいわゆる更新時の使用チェックに関連いたしましてもこういう同じような問題があるわけでございますけれども、使用チェックで落とされる可能性のあるものは再出願の方に回るということで、使用チェックの抜け穴が、結構大きい穴が開いているというような問題もございました。
ただ、十年の更新時の使用チェックでございますと、更新に回る比率、先生先ほど数字をおっしゃられましたけれども、全体の約四割というぐらいの比率でございますけれども、それについて使用チェックをすればいいということ、それ自身が実際に商標を使っている中小企業者の方等々から見ますと使用証明書をいろいろつくって出さなくてはいけないというような負担が大変だというような声もございました。それもかなり負担が大きいということであったのに、今度中間時点で使用チェックをするということになりますと、すべての登録商標について同じような使用証明書を出さなくてはいけないというような負担が非常に増加するのではないかと。それが特許庁の側にとってみましても、それをまた審査をするということで負担がふえるというような問題もございます。
そういうような点も相互に判断をいたしまして、中間時点で使用チェックをするということについてはまた別途の問題が大き過ぎるということで、審議会の答申でもこれにかわる不使用商標対策というのを考えるべきではないかということで不使用取り消し審判制度の改善でございますとか、あるいは分納制度でございますとか連合商標制度の廃止、そういった対応策、それに加えまして早期審査をなるべく少しでも促進していくということで対応するのが望ましいというような答申をいただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/25
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026・浜四津敏子
○浜四津敏子君 今つまり抜け穴がある、チェックをきつくしても再出願へ回るんだと、こういう御答弁がありましたけれども、再出願に回るということはもう一回意思を表明する、新たに問う形でございますから本当に使用したい人がやる、それはそれでいいんだろうと思います。つまり意思が明確になる、これが大事なわけでありまして、だから使用チェックを廃止してもいいんだという理由にはならないのではないかと私は思います。
それからもう一点、使用宣誓書とかあるいは使用宣言書、これが大変な負担になるというお話でしたけれども、これは従来の運用では使用チェックのやり方として写真を出せばいい、こういう運用がなされておりました。写真でいいんだということでかなりにせの写真が横行した、それがかなり問題になったわけですけれども、これは一つには運用の仕方が問題であった、やり方が悪かったということだろうと思います。
また、使用宣誓書につきましては、中小企業にとっては負担が大変だというお話ですけれども、例えば日本でも外国企業の商標に関しましてはこれをとっているはずでございまして、外国の企業には要求しても負担ではない、日本の企業にとっては負担になるというのもちょっと筋が合わないんじゃないかなというふうに思います。これは私の意見として言わせていただくだけで結構でございます。
次に、不使用取り消し審判制度の抜本的な改善についてお伺いいたします。
請求人適格の緩和あるいは駆け込み使用の防止、取り消し効果の遡及といろんな改善策が今回盛り込まれたわけでございますけれども、この取り消し効果の遡及につきましては、確かに現行法は取り消しの効果は審判確定日から発生する、こういうことになっておりまして、審判確定までの使用については損害賠償請求の対象となってしまう、こういう不都合が指摘されていたわけでございますけれども、この取り消し効果の遡及をどの時点まで遡及させるのが最もいいのか。
これはいろんな考え方があるかと思いますが、予告登録日までとか不使用期間の開始時まで、あるいは不使用期間から三年後まで、あるいは予告登録から三年さかのぼった時点までと、いろんな意見が出ていたと思いますが、今回どこの時点まで遡及することになったのか、またその理由を御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/26
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027・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 不使用商標の取り消し審判の効果をどこまで遡及させるかということについてでございますけれども、工業所有権審議会の場でも随分この点について御議論がございました。
それで、昨年の十二月に答申としていただいた中身におきましては、不使用に係る商標権に基づく損害賠償請求等の権利行使を防ぐために不使用取り消し審判における取り消しの効果を審決確定日前に遡及させることとし、三年の不使用期間の初めにまで遡及させる方向で検討することが望ましいという趣旨の答申をいただいております。ただ、これにつきましては、三年の不使用期間の初めの時点まで遡及することに問題がないかどうか、法制度上の視点も踏まえて検討することが適当であるという文言もつけ加えてあるところでございます。
この点につきましては、私どもの中でもいろんな学者先生方あるいは弁理士さん、弁護士さん等の意見も個別に聞かせていただいたところでございますが、諸外国の制度を見ますと、一定の不使用期間が満了したときにまで遡及して取り消すというのが主要先進国の実情でございます。
三年あるいは五年、その国によって期間はございますけれども、そういう実態に照らしますと、我が国でも一定の三年の不使用というのが今までの取り消しの要件になっておりましたので、三年間の不使用期間が満了した時点でということで考えるのが適当ではないかということで、ただ、その起点を予告登録日ということにさせていただきまして、予告登録日であればその取り消し審判が請求されたというのが第三者からも一目見てわかるということで、予告登録日までさかのぼって取り消しをするということになれば、三年の不使用期間は明確に満了していると申しますか、満たされているということで、そこまで遡及しても問題がないし、ほかの欧米諸国との対比におきましても大体バランスのとれた制度になっているのではないかと。これに、こういう予告登録日まで遡及させることによりまして、実体のない、使われていない商標権に基づく権利行使の問題というものもかなり大きな改善が図られるのではないかというような判断になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/27
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028・浜四津敏子
○浜四津敏子君 それでは次に、登録料の分納制度の導入についてお伺いいたします。
更新時の使用チェックをやめるかわりに、短期に使わなくなる登録商標を早いところ整理するため、中間時期までの納付、つまり半分だけの納付を認めようという制度でございますが、この制度導入の理由はどこにあるのか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/28
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029・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 先ほど平田委員の御質問に対してもお答え申し上げましたけれども、近年の技術革新の進展等によりまして短サイクル商品がふえてきている。そういう事情の中で、商標権というのは十年ごとに権利を取っていただくという仕組みになっている関係上、短サイクル商品に使っている商標等について、数年間使った後、不使用商標ということで残るという問題がございます。
こういう問題を極力回避するために、商標の権利は十年間付与するということになりますけれども、商標権者の選択の問題として五年ごとの分納ということができるようにいたしまして、五年たったところでもう使わないということがはっきりした場合には、後半の料金は納付をしていただかないかわりに放棄をしていただくというふうな仕組みを制度上、不使用商標対策の一環として導入してはどうかということでございます。この点につきましても、工業所有権審議会の中の議論で各委員の方々の総意といたしまして、そういう仕組みを導入すべきであるというような答申をいただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/29
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030・浜四津敏子
○浜四津敏子君 今御説明ありましたが、短サイクルのものがふえているという状況の中で、なるべく不使用のものをやめさせる、つまり不使用商標対策の一環としてこれは導入される制度でございますが、なるべく不使用のものをやめさせる、だから分納制度と、こういうことであるとすれば、今回料金は前半と後半と同一ということになったわけですけれども、むしろインセンティブを与えるためには前半の料金を安くすべきではなかったのかというふうに私は思います。当初の議論としては、特許庁としては、前半をむしろ高くするのだというような議論がなされていたと伺っておりますが、それはこの制度導入の趣旨からしても、またユーザーフレンドリーという要請からしてもちょっと発想が逆ではないかなという印象を持ちました。同一の料金でもまだ足りないのではないかというふうに思います。これは意見として述べさせていただくだけで、次に移らせていただきます。
今回、この分納制度を導入することによりまして、分納で途中で失効する権利が出てまいります。この失効した商標権のデータにつきましては、これまでは二年くらいその情報が出てこなかった、実務上はそういう大変不便を強いられていたわけですけれども、これもこの商標法条約のキーワードとされているユーザーフレンドリーの要請に反することになりますので、失効なら失効ということを早く正確に民間にわからせる、知らせるようにデータの早期公開、また正確な情報の公開、こういうことが要請されております。まさに官庁の都合ではなくて、民間の使用される方々の便利のために、それがユーザーフレンドリーの精神だと思いますが、この失効のデータ公開につきまして特許庁としてはどのように対応されるのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/30
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031・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 分納制度、これは制度改正をお認めいただいた後の話になりますけれども、いずれにしましても特許庁といたしましては、所定の料金が一定の期日までに納付されない場合には、それが放棄されたものということで登録を取り消す形になるわけでございますけれども、商標の原簿の中に取り消しの記載というのは明記されますので原簿上はそれがまた残りますけれども、それを見ていただければ、これは失効した権利であるかどうかというのはすぐおわかりいただけるような仕組みになっております。
それで、先ほど特許庁の方で民間の方にも情報提供してということでございますけれども、民間の方に提供する情報につきましても一月ごとに情報をリバイスいたしまして、その中に出願としてつけ加わったもの、登録になったものあるいは失効したもの等々の情報が修正情報として入る形になっております。
したがって、登録になっているのか、失効しているのかというのがわからないような状況で表に出ることは原則ないものと思っておりますけれども、分納の制度に移行した場合でも取り扱いとし
ては同じような形で対応するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/31
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032・浜四津敏子
○浜四津敏子君 今、分納制度について伺っていましたので、その部分だけちょっと、データ公開について一部分だけお話を伺おうと思って質問いたしましたが、後でデータベースの公開を一般的に質問させていただこうと思っておりました。今ちょっとお話が出ましたので、ついでに質問させていただきます。
失効の情報あるいは登録されたという情報、確かにそれにつきましては公開されているというのは承知しておりますけれども、一番重要ななぜこの商標が拒絶されたのか、つまり類似性があるから拒絶されたとかいろんな理由があると思いますけれども、要するに結果だけ出されて、その理由は全く公開されていないわけですね。実務の現場で実は一番不都合に思っているのは、審査経過が全くわからない、要するに結論だけぽっと出して理由がわからないから、同じ商標についてまた申請してもいいんじゃないか、こういうむだが起きてくるわけですね。
ですから、そういう意味で、これは一部JAPIOの方で公開が始まったというふうに聞いておりますけれども、これも拒絶された理由というのは公開されていないわけで、審査経過を含めてのデータベースの公開、これをぜひ前向きに進めていただきたいと思います。これを要望させていただきます。
次に、更新の登録料の傾斜強化について伺います。
日本の登録料というのは、国際的な登録料金と比較いたしますと、他国に比べてほぼ倍以上なんでしょうか。日本に登録するのは非常に高くつくと、こう言われておりますが、これは為替レートによって多少の変動はありますけれども、出願の費用、登録料含めまして、例えばスイスでは約三万七千円、フランスは二万八千円、シンガポールは一万七千円、アメリカは二万五千円、こういう状況にあるわけです。
日本では、初めての出願のときに出願の印紙代として二万一千円を払う。これが登録料になりますと、登録のときに六万六千円払う。非常に高いわけで、世界各国の中でも日本とサウジアラビアが特別な国なんだ、こういう声もありますけれども、なぜこんなに高いのか、ちょっと理由を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/32
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033・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 現在の商標の出願あるいは登録料金等につきましては、平成五年の法改正の際に工業所有権四法あわせて御議論いただいて現在の料金体系をお認めいただいたということでございます。その後の為替レートの変更等で若干割高になっているという面がつけ加わっているということは事実問題としてあろうかと思います。
今回の法改正におきましては、工業所有権審議会の場では料金問題については余り御議論をいただいておりません。私どもといたしましても、若干制度改正に伴います料金の小幅な修正は必要でございますけれども、料金制度全体については平成五年に御議論をいただいて改正をしていただいたばかりでございますので、極力現在の料全体制のもとで対応させていただこうという趣旨で今回の改正法案をつくらせていただいたわけでございます。したがいまして、出願手数料等につきましては、一出願多区分制ということに移行することになったことに伴いまして基本料金プラス区分ごとの可変料金という仕組みに変えましたので、多区分制を選択していただくと若干割安になるというふうな問題がございます。
登録料等につきましては、例えば最初の出願のときは、出願手数料が二万一千円と登録料が六万六千円、更新時は今までは十三万円でございましたが、今度十五万一千円ということに変えさせていただく形になっておりますけれども、更新出願という手続がなくなった関係で、更新出願料と更新登録料というのを合わせて十五万一千円ということで、ユーザーの方の負担はふえないようにという形で立案をさせていただいているところでございます。そういう意味で、私どもとしては、今回の法改正の中で極力今までの料全体制の枠の中で対応していこうということで立案させていただいているところでございます。
各国のそもそもの料金体系の問題につきましては、例えばヨーロッパの諸国でございますと、ほとんどの国が無審査主義で、審査をやらないで登録を認めるという仕組みになっているとか、あるいはアメリカ等におきましても、別途補正あるいは宣誓書というものを出す段階で一回に百ドルずつ取るというような形で、日本の場合には補正等については料金をいただいておりませんので、そういう料金の仕組み自身についてもかなりの差がございます。そういう問題もあるということをひとつ御了解いただければと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/33
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034・浜四津敏子
○浜四津敏子君 今、無審査だからそれも一つの理由で安いというお話が出ましたので、ちょっとだけ言わせていただきたいと思いますが、今回更新時には使用チェックもなし、また審査の負担もなくなるわけで、出願人の負担はふえないんだ、今こうおつしゃいましたけれども、審査の負担は減ったけれども出願人の方の負担は減ってもいない、こういう関係になるわけで、これのどこが傾斜強化なのかちょっとよくわかりませんが、いずれにいたしましても、この更新登録料の傾斜強化は、更新を登録料で圧迫して不使用商標を減らそうという考え方があることは否定できないんだろうと思います。
これは本来の筋からすると違うのではないか。つまり、不使用を前提とした整理方法ではなくて、金さえ払えば不使用でも登録が続けられる、こういう発想というのはやはり本来の筋から外れているんだろうと私は思います。むしろ使用を奨励するという発想でこういう制度を導入しなくてはいけないのに、圧力をかけて使用をやめさせるというのはやはりおかしい。使っている人に優しくしなくてはいけないのに、不使用の人をなくすために使っている人をむしろいじめる制度だというふうにも思われます。これもユーザーフレンドリーの趣旨からすると多少問題があるのではないか、今後も多少は検討の余地があるのではないかというふうに思います。
時間が迫ってまいりましたので、次に、恐らく一番の問題となると考えられます連合商標制度の廃止について伺います。
この連合商標制度廃止の理由について、長い御説明は結構ですので、簡単に御説明いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/34
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035・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 連合商標制度と申しますのは、ある商標権者が持っている商標と同一あるいは類似の商標、マークを類似の商品とかサービス分野に適用する、そういう場合に同一の商標権者であれば登録が認められる形になっているわけでございますけれども、それにつきまして連合という結びつきをつけて、ほかの人に対する権利移転というものを禁止するという仕組みにしているわけでございます。その一方で、連合商標扱いになった商標については、一つが使用されていれば全体が使用されたという扱いになりまして、例えばその連合商標の中の使っていないものが幾つかあっても、それが取り消されないで残るという形になるわけでございます。これが先ほども申し上げましたような不使用商標の累積の一つの原因になっているという指摘がある分野でございます。ちなみに、特許庁の方で現在登録になっている商標の権利数といたしまして約百三十万ある、こう申し上げましたけれども、そのうちの約二割ぐらいが連合商標という形で登録されているものでございます。
この制度につきまして、今般の改正では法施行時において通常の商標という形に登録がえをさせていただきまして、先ほど申しましたような分離移転の禁止というものも解除する。一方で、使用チェックの際の特則、すなわち連合商標として扱われていたもののうち一つだけを使っていれば全体が使っているとみなされて取り消されないという部分についても当然それがなくなる、こういうことで、逆に言うと不使用商標について取り消し審判を免れるということができなくなるというような形にさせていただくということで法案文に盛り込ませていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/35
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036・浜四津敏子
○浜四津敏子君 今御説明いただきましたが、確かに連合商標制度は制度の趣旨から逸脱して利用されていた面があるということは否めないだろうと思います。ハウスマークとストック商標を結合して、つまり不使用取り消し審判のときにハウスマークだけを使っていれば不使用の取り消しを免れる。確かにそういう弊害がずっと指摘されていたわけでございますけれども、しかしそれは連合商標制度そのものの欠陥ではありませんで、現行の商標法の五十条二項、これは括弧書きになっている。つまり、取り消し審判の際に連合商標になっているものについては使用していなくても取り消されない、こういう特例をここで設けたためにそういう弊害が起きたわけでありまして、これはしたがいまして、連合商標制度そのものを廃止すべきという問題よりは、むしろこの五十条の括弧書きをなくせば解決できる問題であろうというふうに思います。そういうことで、これが連合商標制度廃止の理由になるというのはちょっと筋が違うのではないかというふうに思います。
また、事務処理の負担が多くて、その分手続に時間がかかる、こういう面は確かにそのとおりだというふうに思いますけれども、仮に連合商標制度そのものを存続させるメリットがあるのであれば、事務負担が大変だというのはそれもまた本来の筋からはちょっと外れるのではないかというふうに思います。私自身はこの連合商標制度廃止そのものに異論があるわけではありませんけれども、本来のこの筋からちょっと外れた理由づけではないかなというふうに思います。
また、これもまた先ほどちょっとお話ししましたデータ公開に関連いたしますけれども、今後この連合商標制度が廃止されますと、類似判断というのは権利者がみずからしなくてはならない、こういうことになりますので、これにつきましてもどれが類似と判断されたのか、こういうデータ、これについてぜひ、今は一年でこの理由そのものは廃棄されてしまうという状況で理由は見ることができない、これは重ねてになりますけれども、ぜひこの点は今後最も改良をお願いしたい点でございますので検討していただきたいと思います。
また、不使用取り消し審判でございますけれども、これにつきましてもこれまで余り意味のないいわゆる定型審決、結論だけが公開される、これもやはり法律上からいきますと本来は理由まで含めて公開するというのが法の趣旨だろうと思いますが、いずれにしてもこの定型審決だけを示してそれでいい、こういうことについてもぜひ御検討いただきたいと思います。
また、連合商標制度を廃止する、つまりこれまでは分離分割しての移転というのを認められなかつたのを認めるようになるわけですね。そうしますと、それを認めるのであればいわゆるコンセント制度というのを認めるというのが筋だろうと思います。今回コンセント制度を認めていないんですけれども、なぜ認めていないのか、その根拠をぜひ御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/36
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037・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 幾つかの御指摘がございましたけれども、連合商標制度を今回廃止することにいたしましたのは先ほどの不使用商標対策という点もございます。いわゆる連合商標の中で一つ使っていれば全体が使っているとみなされるというところだけ外せばいいのではないか、そういう御指摘でございましたけれども、一方では、そうしますと連合商標の要件であります分離移転の禁止ということだけ残すべきかどうかという議論も工業所有権審議会でございましたけれども、そこまでは縛る必要はないのではないか、むしろそれは誤認混同防止措置を別途講ずることによって分離移転を認めるということ、その二つがポイントでございますので、この際は通常の商標ということで一本化する方が望ましいのではないかというのが工業所有権審議会の答申でございました。
ちなみに主要先進国の中で連合商標制度というのを持っておりましたのは近年までイギリスがございましたけれども、イギリスも一九九四年の制度改正によりまして廃止しております。日本だけに特有な制度になっていたというようなことで、今回の改正では通常の商標ということに一本化させていただいたということでございます。
連合商標制度を廃止するのであればコンセント制度を導入しないと一貫しないのではないかという御質問でございますけれども、コンセント制度といいますのは、ある商標権者が持っている商標と類似の商標を別の方がとりたい場合に、現在の商標制度の中では抵触をするということで登録させてもらえないわけでございますけれども、その抵触するもとの商標権者の同意を得れば登録を認める、そういう制度でございますけれども、商標権のコンセントのための交渉というのは現在の譲渡交渉等との対比で申し上げますと、二、三カ月の期間はかかると言われております。
それで、通常はそのコンセントを得るための交渉というのは、特許庁の審査で拒絶通知が行った段階でそういうもとの商標権者、抵触する商標権者といろいろな話し合いを始めるというケースが多いのではないかと思われますが、その結果を待つということになりますとまた審査処理期間が待ちということになって延びるという要因にもなります。そういう点も十分工業所有権審議会で議論をしていただいた結果、コンセント制度については今回見送ることが適当であるというような結論をいただいたわけでございます。こういう審議会の答申に基づきまして今回は導入を見送ったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/37
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038・浜四津敏子
○浜四津敏子君 これまでは確かにおっしゃるように四条一項十一号に違反するものというのは一切併存登録は認められなかったわけで、ただしそれを回避するために現場では使用許諾という形で事実上他人の使用を認めてきたわけであります。
今回、そういうことでこの分離分割を認めるんだということであれば、最初から入り口から認めた、途中で結局同じことを認めるわけですから、この四条一項十一号の問題が起きたときに引用商標権者から併存登録しても私は構いませんという同意書をもらえば、もうそこから認めても、本来筋から言うとそれでいいんじゃないかと。つまり、コンセント制度も類似商標の分離移転と何ら変わることはないわけで、そういう意味ではむしろ規制緩和という観点からしてもこのコンセント制度というのをむしろ導入すべきではないかというふうに思います。
今の御説明、確かに理解できないわけではありませんけれども、おっしゃるように外国でももちろんこの連合商標制度をとっているところは今はほとんどないということも承知しておりますし、またイギリスがこれを廃止したということも知っておりますが、仮にそうだとしたらイギリスでは防護標章制度までなくしたわけですから、これを存続させたということとどうもちょっと矛盾するのではないか、こう思います。
次に、旧区分商品の書きかえ問題についてお伺いいたします。
現在のこの区分は四代前から、大変古いものからあるわけで、非常に複雑になっているわけですけれども、これを今度統一しよう、こういうことになるわけですが、更新時に書きかえをさせるという方式になるわけで、そうしますと五月雨式に書きかえが行われるということになるわけでございます。そうしますと、これは明治時代から、あるいは最近のものまで完全に全部この書きかえが終わって統一されるのに大体何年かかるというふうに特許庁としては試算しておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/38
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039・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 法案文の中で書きかえに関する規定は附則の第二条以下の部分でございますけれども、そこの部分につきましては、法案におきましては施行日を平成十年の四月一日を予定させていただいておるということでございます。
それで、実際の委員の御質問の書きかえの具体的なスケジュールでございますけれども、書きかえの対象になるその商標権の受け付けの開始日を長官が指定をするということになっておりますが、私どもの方で今念頭に置いておりますのは、二つございます、二種類ございますが、平成十年から明治の古い区分、その明治の区分のものにつきまして書きかえの到来する期間プラス六カ月、一年半の期間の間に書きかえていただくということで始めさせていただく、大正区分のものは平成十一年の四月から同じように更新期限が到来するものの順番で書きかえをスタートさせていただくと。昭和三十四年区分のものについては平成十二年の四月からということを念頭に置いております。
ただ、具体的なスケジュール等については、特許庁長官の指定ということで、状況を見ながら判断をさせていただくこともあり得るかと思っておりますけれども、今申し上げましたようなスケジュールで考えますと大体十二年から十三年、書きかえ期間としてそのぐらい必要であるというふうに思っております。
これは、商標権が御存じのように百三十万という膨大な数に上っております関係上、かなり精力的に努力いたしましても一遍にはなかなかいかないという問題もございますし、あと商標権者の方の書きかえ申請という御協力をいただくわけでございますので、なるべく更新時に重複して手続をしていただけるようなタイミングにお願いした方が負担が少ないんではないかというような配慮から、どうしても十年強かかるという形になっているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/39
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040・浜四津敏子
○浜四津敏子君 試算の仕方によっては二十年以上かかるのではないかという方もいらっしゃいますけれども、本来であればせめて二、三年で整理できればいいと思いますが、十年あるいは十二、三年とおっしゃいましたけれども、なるべく早期に書きかえが済むように御努力を願いたいと思います。
次に、付与後異議制度への移行の関連でお伺いいたします。
今回、情報提供制度につきましては何ら明文が盛り込まれなかったわけですけれども、確かに特許制度と比べまして商標は秘密性がないわけですから、法制度として特許法のような情報提供制度というものを設けるべきなのかどうかという議論はありますけれども、しかし、特に付与後異議に移行されることになるわけですから、これはおかしな出願があったときに特許庁に対して、この出願はこういう理由で拒絶されるべきである、あるいは自分が権利を持っている、こういう情報を提供することによって誤った登録が防げるという大変大きなメリットがあるわけで、この情報提供制度について、多少解決しなくてはいけないそういう法制度上の問題はあるかもしれませんけれども、事実上今も受け付けているんだとおっしゃるかもしれませんけれども、やはり制度としてきちんとするべきだ、むしろその方が特許庁にとっても有益ですし、またユーザーにとっても混乱を避けることができましていいことだと思いますので、これについてぜひこの制度を何らかの形で明文化するべきである、こう思いますけれども、特許庁としてはどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/40
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041・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 付与後の異議申し立て制度への移行に伴いまして異議申し立ての手続を経る前に商標権が発生するという形になるわけでございますので、なるべく第三者からの自主的な意見の提供ということも特許庁の審査の過程に反映できるような仕組みにするのが望ましいという御指摘はそのとおりでございます。
私どもとしても、現在でも情報提供の仕組みというのはございますけれども、今申し上げましたような趣旨からこれを一般の方によりょく知っていただくという意味におきまして、今後どういう形で一般の方にこういう制度をより積極的に活用していただきたい、あるいはいただけるんですということをわかるような形にできるかということについて検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/41
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042・浜四津敏子
○浜四津敏子君 啓蒙活動ということももちろんやっていただきたいと思いますけれども、これは事実上受け付けているんだということではなくて、明確な制度としてぜひ確立していただきたい。これは必ずしも、法律だと多少問題だとおっしゃるかもしれませんが、法律にこだわりませんので、せめて省令あたりででもきちっとやっていただきたいということを要望させていただきます。
次に、この付与後異議の制度の中で、これは異議が成立するということは、つまり審査にミスがあった、こういうことを示すわけでございまして、その場合に審査ミスによって登録された場合でも、これは一たん登録されてしまったんだから登録料というのは返ってこないんでしょうか、つまり返されないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/42
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043・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) これは返還はいたしません。
ただ、今回分納制度という仕組みを導入いたしましたので、登録料を納めていただいたうちの前半分を控除した後半分については返還の手続によって返納する仕組みになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/43
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044・浜四津敏子
○浜四津敏子君 間違った権利が登録されて、結局登録料はそんなに安くありませんから払った人がむだ金になる、こういうことについても、これもキーワードのユーザーフレンドリーからいたしますと多少考え直してもいいのではないかなというふうに思います。
次に、出願の適正化の中で、これは今回の改正法案の五十条ですけれども、取り消しの審判において、「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。」、こういう規定になっておりますが、例えば具体例で申しわけありませんが、漢字で平和という商標を使っていて登録も持っている。その商標権者が時代に合わせてこの平和、漢字で使っていて登録もしているけれども、これを平仮名であるいはローマ字であるいは片仮名で使う、こういう場合には、これは同一の範囲に含まれるというふうに解釈できるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/44
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045・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 五十条の括弧書きの規定でございますけれども、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。」、こういう規定になっておりますけれども、いずれにせよ、平仮名、片仮名、ローマ字読みというのは音読み称呼に直しますと同一のものになるわけでございますが、漢字の場合ですと同じ漢字から音読み、訓読み等によって同じ発言、称呼が生じない場合があるわけでございます。先生今御指摘の平和というものは、読み方によるとピンホーとも読むというような話もあるわけでございます。
したがいまして、この規定上は「その他の当該登録商標と社会通念上同一」ということになっておりますけれども、そういう称呼等が全く複数の称呼を生じさせないというふうな場合については社会通念上同一ということで扱う。これはあくまでも例示でございますので扱うことは可能かと思いますが、漢字の場合は若干そういう複数の称呼が生じ得るという問題がございますので、ここに例示としては挙げてないということで御了解いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/45
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046・浜四津敏子
○浜四津敏子君 時間が迫ってまいりましたので、それでは簡単に何点かお伺いいたします。
これは附則の十条なんですが、附則十条で商標登録の取り消しの審判についての経過措置を定めた条文がございますが、その十条二項で、これは平成十二年三月三十一日までに請求された連合商標制度取り消し審判については、旧商標法第五十条二項の規定、つまり使っていない商標でも連合商標としてハウスマークが使われていれば使ったものとみなすというこの規定は、「この法律の施行後も、なおその効力を有する。」、こういう経過規定がございますが、これがちょっとどうしても理解できないんですが、この三年間延長というのはこれは既得権として認めるということなんでしょうか。ちょっとこの十条二項の立法趣旨がよくわかりません。既得権ということであれば、連合商標制度の先ほど指摘された弊害というのが問題だというふうに言われていたわけですから、むしろ三年間延長するのではなくて即施行するべきであるというふうに思いますが、ちょっとその点について御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/46
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047・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 先ほど来お話がございましたように、今回の法改正案がもしお認めいただければ、来年の四月一日をもちまして現在の連合商標として扱われている商標につきましては通常の商標とみなされるわけでございます。
それで、今の附則の十条の規定でございますけれども、連合商標についての不使用取り消し審判の取り消しの規定の適用の問題でございますが、その適用については平成十二年三月三十一日までに請求されたものはなおこの法律の施行後も従来の規定が適用になる、こういうことになっておりますけれども、これは通常の商標に切りかえられた後三年間不使用の実績をチェックして新しいその五十条の規定を適用するということにしたものでございます。
連合商標制度は現行の制度が維持されている来年の三月三十一日までの期間においては連合商標として取り消されない、どれか一つを使っていれば取り消されないという制度のもとにあるわけでございますので、それはその権利として認めざるを得ない、こういうことでこういう経過規定になっているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/47
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048・浜四津敏子
○浜四津敏子君 以上で終わらせていただきます。大変細かい点まで質問させていただき、またお答えいただき、ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/48
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049・加藤修一
○加藤修一君 平成会の加藤でございます。
私は、産業構造転換円滑化臨時措置法を廃止する法律案について二、三質問をさせていただきたいと思います。あわせて、産業構造の円滑化にかかわる諸問題についても質問をさせていただきたいと思っております。
今回の廃止される円滑化法では、円高等内外における経済的事情の著しい変化により、著しい設備過剰状態を特定設備として定め、その事業者である特定事業者は事業適応計画、これを作成しまして設備処理あるいは事業転換していく、そういつた支援措置が受けられる、そういうものでありますが、この制度が発足してから承認件数を見ますと、非鉄金属などは零件、そのほかの業種も平成三年度以降はゼロがほとんどでありますし、九年間で四十五件という実績でございます。また、同一の業種に属する複数の特定事業者の場合、事業提携計画の支援措置があるわけですが、これについては七業種が承認件数についてゼロ、わずか四業種で九件の承認件数である。
こういった数字から考えていきますと、この法案の所期の目的がほぼ達成されたとはとても言えない、そういうふうに考えられるわけでございますけれども、当初、法律制定時においてどれくらいを見込んでいたのか。そういった意味では通産省の見込み違いがあったように感じるわけでございますけれども、この施策の有効性、そういった面では私自身が考える点につきましては及第点はなかなかあげるわけにはいかない、そういうふうに感じておりますけれども、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/49
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050・牧野力
○政府委員(牧野力君) 委員御指摘のとおり、実態は御指摘のとおりでございます。この法案がどういうような成果を上げたかということにつきましては、率直に申し上げまして見る人によっていろいろ考え方があろうかというふうに思います。
これは御承知のように、プラザ合意後の円高不況というものに対応いたしまして、あるいは黒字が非常にたまっていた、これを内需の拡大によって国際協調型の産業構造にしていくというようなことで始まったものでございます。その後、バブルでございますとかいろんな状況の変化、当時予見できなかった状況の変化もございます。
この法案、ここで期限切れになるわけでございますが、私どもといたしましては当時の制定時の状況を踏まえまして、今御指摘のように使われていない設備もございますけれども、当時非常に過剰でございましたセメントでございますとか、あるいは非鉄でありますとか、転炉でありますとかといったようなものにつきまして、例えばセメントでいけば指定時の稼働率が六八%ぐらいであったものが現在では八八%というふうになっておるとかということを総合的に考えますと、ほぼこの法律の目的は達し、それなりの成果を上げたというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/50
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051・加藤修一
○加藤修一君 この法案に基づきます産業基盤整備基金出資プロジェクト、これは全国で十カ所ほどあるように聞いておりますが、これについての経営状況が余りよくないというふうに私も伺っております。この状況についてお伺いしたいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/51
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052・鈴木孝男
○政府委員(鈴木孝男君) 委員御指摘のように、産業基盤整備基金から出資しました特定出資法人は十件ございます。そのうち九件が既に開業しておりますが、一件は近く開業するように今現在準備を進めておるところでございます。
特定出資法人につきましては、委員御指摘のように、確かにまだ事業の緒についたものも多く、経営の安定にはなおしばらくの期間を要するものもあろうかと思いますが、事業にテーマパーク等の事業が多いわけですけれども、その結果、地域経済への拡大効果あるいは観光客等集客効果が一定の成果を上げておりまして、総じて言えば当該地域の経済の活性化に供しているものと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/52
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053・加藤修一
○加藤修一君 今回の廃止する法律案について私なりに考えてみますと、特定業種の過剰設備処理、それを円滑にしようと思った時期にバブルの崩壊があった、あるいは産業空洞化が問題化した。そういった意味では、日本経済自体を活性化する必要があったことから、別の法律でございますけれども事業革新法に移行してきている。特定地域については、そこは改善しなかったが日本全体が経済、雇用の悪化という状態になってしまった、そういったことからほかの地域が悪化したので特にそこだけが著しく悪いということでなくなつた。そういった意味で、この法律は延長する必要がなくなったように理解できるわけですが、産業構造は円滑に転換され、あるいはその特定の地域の経済状況は大変好転したと通産省はお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/53
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054・鈴木孝男
○政府委員(鈴木孝男君) 私どもも特定地域を五十一地域二百十六市町村指定いたしましたわけですが、指定いたしました昭和六十二年以降の生産の動向あるいは雇用の状況を見ますとおおむね改善をしておりまして、その全国平均等から比べましても改善しているのではなかろうかと思います。
昨年の秋に私どもも地方自治体の方々に調査をした際にも、先生御指摘のように全体が低下しておりますので、特定の地域だけを対策するというよりはむしろ地域全体を、あるいはこれから伸びる、牽引するべき地域とも連携して地域対策をやってほしいというところが大半でございました。そのようなことを受けまして、最近私どもは地域対策といたしましても、スーパーテクノゾーンとか、来年度も特定産業集積の融資制度などを発足するような形で、そういった地域のニーズに応じました対策を別途講じておりますけれども、この特定地域につきましては指定当時に比べましておおむね目的は達成されているものと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/54
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055・加藤修一
○加藤修一君 廃止する法律案についての質問はここで終わらさせていただきまして、産業構造転換にかかわる諸問題というのは当然ございますので、そちらの方に質問を切りかえさせていただきたいと思います。
私は、前回も質問させていただきましたけれども、その最後のときに、今までの時代というのは何であったかということで、武力による競争の時代である、現在は経済による競争の時代である、さらにこれからは人類生存への競争の時代に入っていくという、そういった話をしたわけでございますけれども、まさに現在は経済による競争の時代と、こういうふうに理解していいのではないかと思います。
そういった意味では、巷間言われておりますようにメガコンペティションの時代である、あるいはボーダーレスの時代である、さらに情報化の時代、こういう形で言われているわけでございますけれども、この点を考えていきますと、日本の国際社会に置かれております状況というのは、情報化を中心にして産業構造の転換を円滑に行っていく、いわゆる情報化に視点を置いた場合につきましては非常にお寒い感じがするなというふうに私は思っております。
それで、世界の経済の潮流というのがこういった情報通信関連分野、これを中心の一つといたしまして発展していることは間違いないと思いますし、私はこういった流れについて日本がおくれをとらないようにすべきであるという、そういう立場をとっているわけでございます。しかし、そういった変化していく中で発生するさまざまな事態ということが想定されますし、現にそういった問題が多く発生し始めている。そういったことに関しましては、やはり政府は十分対処すべきであると思うわけでございますが、とりわけ新規成長分野の中で市場規模予測あるいは雇用の規模予測を見ますと、情報通信関連分野がほかの分野と比べまして非常に伸びが急だというふうに言われているわけでございます。
例えば、一九九三年におきましては市場規模としては三十一兆円、百八十四万人の実績がある。予測について見ますと二〇〇〇年には六十五兆円、三百十三万人あるいは二〇一〇年については四百六十七万人という形で飛躍的に規模が拡大しているわけでございます。
ただ、最近の状況を見ますと必ずしもそうではない。情報通信関連についての雇用規模の拡大というのは、どうもこういった予測と比べてみましてもそう順調にいっているような状態ではないというふうに考えられますし、さらに最近の日本開発銀行が行った調査、それは日本とアメリカを比較した調査でありますけれども、情報関連投資がアメリカと比較しても非常に少ない。あるいはアメリカのケースで考えてまいりますと、情報化によってホワイトカラーから職場を奪っている傾向が極めて強く出ている。具体的な数字を申し上げますと十六万人が減少してきているというふうに言われておりますし、さらにその調査レポートの中では、日本は米国に比べて約五年情報関連投資がおくれている。
それから、政府が発表しています報告書を見てまいりますと、いわゆる我が国の情報化のおくれ、これは極めて大変な状態ではないかというふうに私自身は理解しているわけでございます。例えばどういうふうに私は理解しているかと申しますと、この報告書を見ますと人口千人当たりのMIPS、それ自体がどういう状態かといいますと、第一位のアメリカが六七二・九。それで、オーストラリアとかどんどんいきますけれども全然日本の名前が出てこない。十五位にシンガポールが出ている。さらに下の方に、つまり十七位に日本がようやっと出てくるような状態であります。
それから、民間の情報化投資の日米比較を行っている図がございますけれども、それを見る限りにおきましても、八九年以降急激にアメリカはかなりの投資を行っているわけでございますけれども、日本については横ばい状態であるというふうに見受けられます。そういった意味では、非常に情報化に関しての産業構造の面における円滑化という点につきましては非常に心もとないなという感じがいたします。
そういった面を考えていきますと、やはり情報化社会に順応できる技術の習得あるいは新規事業の開拓、支援、そういったことが欠かせないというふうに思うわけでございます。要するに、我が国の情報産業の発展に伴う産業構造の円滑的な対応、それをどのようにお考えなされているか、その辺についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/55
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056・渡辺修
○政府委員(渡辺修君) お答え申し上げます。委員から情報化の推進とメガコンペティション、さらにはそれに伴います雇用との関係について、幅広い御見識のもとに幾つかの御質問がございました。
まず、情報化と雇用との大きな関係でございますが、これにつきましてはかねてから世界で大変話題になっておったところでございます。これにつきましては、九四年の三月、デトロイトでG7の関係閣僚が集まりまして雇用サミットというのが開かれました。我が国からは、当時の坂口労働大臣、通産省からは遠藤政務次官が参加したわけでございます。最終的な取りまとめのときに、新技術、とりわけ情報技術が我々の豊かさを増大させる可能性を有していることで一致し、かつそれで雇用増大につながっていく、そういう基本認識を共有する、ここでこういうまとめが行われたわけでございます。
それを受けまして、昨年の一月でございますけれども、ブラッセルでそれぞれ情報化関係閣僚が集まりましてG7の閣僚会議がございました。それで、これからの情報技術の発展をもとにして、特に製造業のみならず情報サービス関連で思い切った雇用の増大が見込まれる、それを各国お互いによく協力しながら、雇用拡大と生活水準の向上を図っていこう、こういう趣旨の一致した見解が出されたわけでございます。したがいまして、それ以降、この情報化と雇用の関係については、各国ともそういう基本認識のもとにそれぞれ各国が思い切った情報化促進に取り組んでいるというのが現状でございます。
そうした中で、今先生おっしゃいましたように我が国の場合はどうかということでございますが、御案内のようにアメリカは八〇年代末の不況を克服していく形で高度情報化社会に思い切って飛び込んでいったということでございます。当時、日本はまだ好景気のバブルの真っ最中でございました。その後、長期不況が訪れてまいりまして、残念ながら我が国は不況の訪れと同時に情報化投資が落ちてきたというのがつい先日までの状況でございましたが、やっと九四年末から九五年ぐらいにかけまして、個々の企業の生産性の向上を図る意味でも、さらにはメガコンペティションに勝っていくためにも思い切った情報化投資を行おう、こういう姿で、一口で言いますと五年ないし七年おくれぐらいの感じで急速に高度情報化社会に今我が国も入っていっている、こういう状況でございます。
それから、先生御指摘のありました人口千人当たりのMIPSの話もございました。これは御指摘のとおりでございます。しかし、これもつい先日までは二十位とかあれだったのが順々に順位を上げてきております。そういう意味では、パソコンの急速な普及の状況、そういったものを見ますと、私はここ数年の間に今言った順位も相当上がっていくんだろうと思いますし、内閣に本部をつくりまして公的情報化を思い切って進めております。産業情報化につきましては、御案内のように思い切ったエレクトロニックコマースその他の施策を展開しておるわけでございまして、情報化を思い切って進めることによりまして、先ほど御指摘のあった競争に勝ち、かつ雇用を維持する。両方の目的を達成するべく全力を尽くしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/56
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057・加藤修一
○加藤修一君 今の御答弁の中に、最後の方にございましたエレクトロニックコマースでしょうか、電子商取引ということになるわけですけれども、もう皆さん御存じのようにインターネットが相当の速さで拡大している、ユーザー数も急激に増大しているわけです。そういった点でインターネット革命とかあるいはウエーブレボリューション、そういった言い方もされながら、非常に社会に対して大きな影響が与えられる、影響を受ける、そういったことが想定し得るわけでございますけれども、この電子マネーなどのいわゆる電子商取引の展開、これに向けたやはり日本の迅速な整備体制といったものについても当然考えていかなければいけないなというふうに考えているわけでございます。
例えば、こういう乱暴な議論もあるわけですけれども、将来的にはKDDがなくなるかもしれませんよと。つまり、インターネットホンという仕組みも、多少まだ安定性はよくないわけですけれども、そういったものが出てきまして、国内でインターネットの料金は当然電話料金ということでかかるわけですけれども、国外へ出てしまえば基本的に無料というふうに考えていいと。そういった意味では、経済的なコストというのが安い方に当然利用者は行くわけでございますから、そういったインターネットホンが出てくればKDDはなくなるんではないか、多少乱暴だと思っておりますけれども。あるいは商取引の中で、銀行を介さないでそれが行われるというケースもどんどん出てくるであろう。そういった意味では、銀行も三分の二程度ぐらいになってしまうんではなかろうか、そういったショッキングな話もございます。
それから、結局はオープンなネットワークの上で商取引が行われるようになるならば、なかなか捕捉ができない。どこからどこへ送ったとか、そういったことが従来はペーパーがあって、あるいは税務署がそれはきちっと捕捉するということになっているわけですけれども、こういった心配が非常にありまして、アメリカあたりはクリッパーチップとかそういったものを用いまして、政府がそういった面での捕捉を十分やっていかなくちゃいけない、大変な状態になると。すなわち課税もすることがかなわないんではなかろうか、そういった非常に大きな問題が出てくる可能性があるわけでございます。そういったことから、外為法の問題のこととか民法の件あるいは商法の件、さまざまな形で非常に大きな問題を内包している、そういうふうに思わざるを得ません。
それから、基本的にはやはり情報がAからBに伝わっていく場合に、そのデータが本当に信頼性あるデータとして読むことができるのか。例えばデータの改ざん、成り済まし、あるいはデータを盗む、しらばくれる、そういったことも公然と行われている節がございます。例えば一九八六年の話でございますけれども、ドイツのハッカーグループがカリフォルニアの国立研究施設のコンピューターに侵入した、あるいはNASAのコンピューターに侵入して非常に貴重な情報を窃盗してソビエト連邦に売却した、そういった問題も生じている。あるいは史上最悪のハッカーと言われるケビン・ミトニックという人は、自分のコンピューターの中に二万件以上の有効なクレジットカードの番号が入っていたと。それは当然盗んだわけでございますけれども。そういった意味で、このインターネット・オープン・システムというのが自由に行き来する、通信が行き来する、そういったことによる悪影響というのははかり知れないというふうに考えられるわけでございます。
そういった点から、暗号化をしなければいけないということにもなってくるわけでございますけれども、要するに私が最終的に質問させていただきたいことは、想定している技術的あるいは制度的、社会的課題、そういった問題について克服するのに向けた体制というのはどういうふうに通産省はとらえていらっしゃるのか、その辺についてお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/57
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058・渡辺修
○政府委員(渡辺修君) 御案内のように、日本のみならず諸外国一斉に電子取引によって商取引を行っていく、それによって企業のそれぞれのコストを下げ、さらに円滑な商行為を促進していこう、こういうことで積極的な実験がそれぞれ行われているというのが現状でございます。
それに伴います、いわば情報化に伴う光と影の問題というのは、そういった長所とともに常につきまとっておるわけでございまして、それについては先生今幾つが御指摘になられた問題、それぞれいずれも現在大きな課題になっておるところであると思っております。
我々、これに対する考え方は、諸外国で行われておりますように、まずはこの電子取引の促進、それの実験を思い切った規模で行うことによって、今御指摘のあった幾つかの暗号技術の問題あるいは電子マネーの利用につきます暗号認証技術の問題、さらにはICカードに関連する技術の開発の問題、こういったような問題は実証実験をやりながら取り組まなければならないという問題でございます。
それで、昨年お認めいただきました補正予算でございますけれども、エレクトロニックコマースにつきまして約三百五十社、ユーザーも全部入れますと五十万人ぐらいが参加したような、十七ぐらいの大きなプロジェクトを持ちます壮大な実験を昨年の十二月からスタートさせていただいたわけでございます。現在、アメリカにおいてはコマースネットとかいろんな実験が行われておりますけれども、規模においてそれにまさるとも劣らない実験がいよいよスタートしたわけでございます。
こういったことをどんどん二年ないし三年、これから実験をさせていただこうと思っておりますけれども、それの過程で幾つか今申し上げました技術の研さんを積んでいかなきゃいけませんし、それに伴いましていろんな課題が出てくると思っております。
このエレクトロニックコマースにつきましては、先生今御指摘にありましたように、この推進協議会には我が国の銀行、金融取引の関係の団体も全部参加いたしておりまして、そういう意味ではまさに金融界あるいはその他流通関係、すべての業界を包含した問題でございます。推進協議会に入りまして、このプロジェクトででき上がりましたいろんな技術的問題、さらにはその課題、そういったものは共通の財産としてそれぞれの分野でそれの解決のために利用していこう、こういうことになっております。これが一つ。
それからもう一つは、セキュリティー、プライバシー、さらにはハッカーの問題、これにつきましては、昨年三月に機械情報産業局長のもとで関係者の英知を結集しまして一つの答申をいただきました。それに基づきましてハッカー対策、ウイルス対策、いろんな各種のものを二〇〇〇年まで各段階で年度でロードマップを敷きまして、これに伴って各種の対策を今進めておるところでございます。
それに加えまして、先ほどお話がございましたが、電子商取引環境整備研究会というのを現在組織いたしておりまして、先生御指摘のあった各種の法制度の問題あるいは知的所有権の問題、いろんな問題に絡んでまいりますけれども、そういった問題を総ざらいいたしまして、それぞれこれから検討していくべく現在勉強しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/58
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059・加藤修一
○加藤修一君 昨年の補正予算で計上されたと思いますけれども、私の受ける印象としては非常にスピードが遅いなという感じでおります。世界じゅうでやはり実験プロジェクトが相当進行しているわけでございますし、それからきょうのNHKの朝の「おはよう日本」でございますけれども、ニューヨークでこの秋に大規模な電子マネー実験を行うと発表があったということで、これはチェースとシティ、それからマスターとビザ、クレジット会社ですけれども、これが五万人、五百店舗の規模で、そういった意味では非常に大きな規模の実験だと思いますけれども、そういった点を考えても相当の速さで世界じゅうで進んでいるということが言えるわけでございまして、今通産省の御答弁の中にありましたけれども、やはりもう少し力を入れて一生懸命やるべきではないかなというふうな感じがいたします。
通産省さんだけじゃなくして、郵政省あるいは法務省等々ですか、そちらにおきましてもこういった面についての研究を進めていくようなことも聞いております。ただ、通産省だけという話じゃなくして、やはり私は国家的なプロジェクト、そういった視点から相当力を入れながら、アメリカのゴア副大統領の情報スーパーハイウエーといったような形の日本版ですか、そういった国家的なプロジェクトとして考えていく必要があるんではないかと思っておりますけれども、その辺の今後の対策、省庁間の統合的なアプローチのあり方、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/59
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060・渡辺修
○政府委員(渡辺修君) 社会全体が情報化に向かっておるわけでございまして、それを最も円滑にスムーズにやるために関係省庁一丸となってやるべきじゃないか、もう全く御指摘のとおりだと考えております。
それぞれの特に公的分野の情報化につきましては、新社会資本整備の名のもとに、この数年間でございますけれども、通産省は関係省庁とスクラムを組みまして教育の情報化、研究の情報化あるいは医療関係で各種の画像処理を厚生省と一緒にやっております。そういった施策を展開しております。
それらを総結集するような意味で、二年前に内閣に高度情報通信社会推進本部というのを設置いたしました。そこの本部長が内閣総理大臣でございまして、副本部長が通産大臣、郵政大臣、官房長官、こういうことで全閣僚を網羅した本部でございます。このもとに十二人の我が国のえりすぐった有識者がおりまして、これが積極的な議論を展開いたしております。特に関係各省のそれぞれの情報化につきましては、そこに報告をいたしましてこの本部がそれぞれの調整を図り、あるいは場合によればそれのおしりをたたく、こういったような姿で現在非常に有効的にワークしておるわけでございます。いわば我が国の高度情報化のヘッドクオーターになっておる、こんな感じでございまして、ここの御指示を受けながら、我々全力で引き続き関係各省と協力しながら進めていきたい、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/60
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061・加藤修一
○加藤修一君 情報化の進展ということの中で、非常に大きな課題の一つとしては、やはり私は規制が強過ぎる、規制緩和をしていく必要が十分あり得ると。例えば企業同士のコンピューターを直接オンラインで結ぶこと、そういったことさえ今まではなかなか容易には行うことができなかった、政府の認可が必要であった、そういった実態がございます。
リクルート事件なんかは非常に大きな問題でございました。しかしながら、産業の面から考えていきますと、非常に不幸な事件であったように私は考えております。それは、要するに超大型電算機の輸入とかあるいは通信回線のリセールですか、そういった点について、私としては不必要な規制があったというふうにとらえているわけでございます。
それからさらに、先ほどビザの話を申し上げましたけれども、日本の銀行も第四次オンライン等々を含めまして相当の情報化を行っていることは周知の事実でございます。銀行のCDあるいはATM、ビザ、マスターのカード、それは受け入れていることはいるんですけれども、日本の銀行のCDとかATMは国際基準であるカードの裏側の磁気テープ、それを読むことができないような対応になっていると。そういったことを考えていきますと、国際基準化という点もございますけれども、やはり規制緩和、そういったことがこういった情報化の中で極めて重要な課題であると思いますので、規制緩和と経済構造改革の関係について大臣の所見をお伺いしたい、このように思います。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/61
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062・塚原俊平
○国務大臣(塚原俊平君) 現在の産業の空洞化を回避するためにも、経済構造改革による経済フロンティアの拡大が必要だというふうに認識をいたしております。
規制緩和は経済構造改革の大きな柱であります。通産省といたしましても、規制緩和に積極的に取り組み、経済が活力あふれたものとなるように努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/62
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063・加藤修一
○加藤修一君 質問を残しておりますけれども、時間が参りましたので、ここで質問を終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/63
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064・山下芳生
○山下芳生君 まず、円滑化法廃止法案について聞きます。
廃止される予定の円滑化法の成果を簡潔に聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/64
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065・鈴木孝男
○政府委員(鈴木孝男君) 円滑化法は、御案内のように昭和六十年九月のプラザ合意以降の国際経済情勢の変化の中で、我が国の産業構造の転換の円滑化を図るために六十二年に制定されたわけでございます。
この間、九年間にわたる支援措置の効果等によりまして特定事業者の過剰設備の処理については一段落するとともに、その稼働率が向上しておりますこと、あるいは特定地域の経済動向につきましても、法制定当時に生じておりました経済及び雇用情勢の著しい悪化という事態につきましては、他地域と比較いたしましてもおおむね解消しているものと認識しております。したがいまして、円滑化法につきましては、所期の法目的をほぼ達成しているものと考えておりますことから、五月二十九日の廃止期限を踏まえまして、今回廃止を提案させていただいたところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/65
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066・山下芳生
○山下芳生君 新日鉄という企業があります。円滑化法の承認を受けた企業ですが、この新日鉄の事業適用計画はどういう内容でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/66
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067・林康夫
○政府委員(林康夫君) お答え申し上げます。
鉄鋼業におきましては、プラザ合意後の急激な円高等厳しい事業環境の変化に対応するために、高炉を中心とする設備の休廃止と事業転換とを行ってきたところでございます。
御指摘の新日本製鉄株式会社は平成元年四月、産業構造円滑化臨時措置法に基づきまして事業適用計画の承認を受けております。その計画は、平成元年中に釜石、堺、広畑、そして室蘭、各製鉄所の高炉やその関連設備の休廃止を行うことを主たる内容とするものでございます。これらの設備の休廃止は、ほぼ予定どおり実施されてきたものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/67
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068・山下芳生
○山下芳生君 新日鉄は、円滑化法の施行期間、つまり一九八七年から九六年と同じ期間に三度にわたって中期経営計画を実施しています。この中期経営計画と承認された事業適用計画は一体どういう関係なのか、説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/68
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069・林康夫
○政府委員(林康夫君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、新日鉄は、昭和六十二年二月、平成三年三月、そして平成六年三月の三次にわたりまして、労働組合とも協議の上、中期経営計画を策定、そして発表してきたところでございます。これらの中期経営計画におきましては、事業環境の変化に適応していくために、鉄鋼生産設備の合理化とあわせましてエレクトロニクスを初めとする事業多角化等を積極的に推進することを計画したものでございます。
先日、申し上げました事業適用計画、これはこれらの中期経営計画の中の第一次の計画の一環として位置づけられておるものと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/69
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070・山下芳生
○山下芳生君 今、第一次の中期経営計画と事業適用計画が対応しているということをお認めになりました。
そこで、この一次から三次にわたる中期経営計画の中身なんですが、中身には合理化計画も入っておりまして、第一次では製鉄事業の労働者が一万九千人削減をされております。直接、事業計画、適用計画と関係がないということですが、第二次の合理化計画では三千人の削減、第三次合理化計画では管理職、事務部門四千人、現場三千人、計七千人の削減計画となっています。一次、二次、三次合わせますと二万九千人の労働者の削減になって、ほぼ労働者は半減という状況になっております。
円滑化法第二条には、国に雇用機会の確保、中小企業者の新たな経済環境への適用の円滑化を義務づけております。新日鉄の労働者削減に対して、国として雇用機会の確保のためにどんな努力をしたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/70
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071・林康夫
○政府委員(林康夫君) 御指摘のとおり、新日鉄の中期経営計画は、第一次一万九千人、第二次三千人、第三次七千人の要員削減を想定したものでございます。
この産業構造転換円滑化臨時措置法に基づく事業適用計画は、先ほどお話ししたように、第一次の計画と相対応しているわけでございますけれども、この適用計画に基づく設備の休廃止に伴う要員の減につきましては、一応自然退職でその大部分を充てるとともに、出向や新規部門への配置転換で対応することによって可能な限り従業員への影響を小さくするように努めてきたと承知しております。
御質問の国として何をしたかということでございますけれども、私どもといたしましても、この計画の特に円滑な実施について円滑化法の適用以外にも新日鉄に対して適宜指導をしてきたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/71
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072・山下芳生
○山下芳生君 今、自然退職や出向などで円滑にとおっしゃいましたけれども、その計画の中で設備処理に伴って削減される人数というのは出ているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/72
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073・林康夫
○政府委員(林康夫君) 事業適用計画で明確になっているところでございますけれども、昭和六十二年度から平成二年度までの間、一万二千五百三十人の削減となっているわけでございまして、これがほぼ第一次の設備処理に伴う要員の削減の計画でございます。これも実際は退職と採用抑制によりまして一万四百二十六人の減ということで推移してございます。基本的には自然退職、そして採用抑制ということで対応しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/73
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074・山下芳生
○山下芳生君 私、今円滑にという言葉がありましたけれども、新日鉄の労働者がどういう状況に置かれているのか、やはりもっと責任を持ってリアルに見る必要があるというふうに思います。
例えば八幡では当初四万五千人いた従業員が今では一万人を切る状況になっております。さらに、その残った労働者のうち正規の社員として雇用されているのは四千人ほどです。それから大阪の新日鉄堺でありますけれども、一九九〇年三月に高炉の火が消えました。三千人以上いた労働者が現在約千三百人へと激減をしております。ここでも残った千三百人のうち六割はいわゆる出向の労働者になっている。ですから、先ほど自然退職、円滑にというふうにおっしゃいましたけれども、それだけでも大変な労働者の削減ですが、残った方も大変な状況に今置かれているわけであります。
例えば出向がどういう形で行われているのか聞きましたけれども、まず一つの部門が丸々外注下請化されたり、あるいは工場単位で分社化をされる。そうしますと、そこの労働者が丸ごと出向扱いになって、働いている場所は同じだけれども、例えばヘルメットの色が変わるとか労働条件が変わるということになる。しかもその後、出向した労働者が五十五歳を迎えましたら、今度はその出向先の企業に転籍されることになる。これは転籍というのは事実上首切りですから、そういう状況になる。あるいは出向に関しまして、新日鉄が一〇〇%出資した日鉄ビジネスプロモートという会社があるんですが、ここは出向社員を受け入れるということをやっております。受け入れて何をやっているかというと、布団の丸洗い事業、魚のタイの養殖事業、シイタケの栽培、蚊取り器の製作事業などをやっている。それからさらに、受け入れた人を振り分けて人材派遣も行っている、食器洗い機の販売や警備、社宅や寮の管理などを担っているそうですけれどもね。
ですから、こういう合理化計画の中で労働者が減らされていっている。しかも、残った人もこういう事態に遭って、三十年以上会社のために働いてきたのに最後は事実上追い出されるようにしてやめていかなければならない、現場の中では非常に大きな怒りの声が出ておりますよ。そういう中で、表立っては自然退職、退社というふうになつているけれども、実態はこういうことが進行しているということを私はやっぱり見る必要があるんじゃないか。話を聞いていて私本当に心底腹が立ちました、正直。
労働者というのは物ではないと思うんですね。切ったら血の出る生身の人間ですよ。一人一人に家族もあり、それから生活設計もあると思うんです。経営の危機を言えば何でもありではないと。私、大臣にぜひ、少なくとも指導する側の通産省としては労働者を三千人とか四千人という数字だけで見るべきじゃない、上辺だけで見るべきではない、やっぱり一人一人生きた人間として見るべきだというふうに思いますが、労働大臣経験者でもある大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/74
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075・塚原俊平
○国務大臣(塚原俊平君) 大変厳しい状況の中で、会社そして働く方々が大変な御苦労をして、その中でも何とか明るい道を見つけ出そうと努力している姿を今先生の質問の中から聞き取ることができました。苦しい状況だけれども、皆さんに頑張っていただきたいというふうに思います。
この円滑化法は、産業構造転換が雇用に与える影響を極力緩和し、雇用の安定にも十分配慮しつつ施行してきたところでございます。通産省は、この法律のみならず、雇用機会の創出など個々の労働者への対応も視野に入れた政策を実施いたしております。産業政策の基本は国内雇用の確保と活力ある産業の発展と認識をしており、今後とも各般の施策を遂行してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/75
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076・山下芳生
○山下芳生君 この法律の制定時、本委員会における政府の答弁でも、私たちの市川正一前議員がこれまでの法律と比べてみて雇用の確保という点で心配があるということを聞きました。そのときの答弁で、「むしろ私どもといたしましては、気持ちの上では産構法、特安法以上に雇用の問題については配慮し、中小企業問題についても重要視したつもり」だと。「あくまでもこの第一義的な責務というのは国にあるというのが私どもの基本的な考え方でございます。」というふうにお答えがあった。
これは本当にそういう意味では、労働者がこの法の承認に基づく設備処理に伴って一体どういう実態に置かれているのかということをやはり国が第一義的に責任を持ってフォローすべきだというふうに思うわけですね。そうでなかったら、円滑化法という言葉が泣くと。これは廃止される法律ですけれども、これからも産業構造転換という中でこういう事態が起こる。そのときに本当に私は国として第一義的な責任があるという精神を生かしていただきたい。
そのためにも、これは大臣にもう一回お尋ねしますけれども、やはり大きな千とか万という単位で労働者を固まりとして見るんじゃなくて、やっぱり一人一人の生身の人間として見る視点が大事じゃないかということについてどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/76
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077・塚原俊平
○国務大臣(塚原俊平君) 先生の御質問の中にございました、新日鉄の非常に具体的な事例をお挙げになりましたけれども、養殖あるいは布団の丸洗い等につきましても、これはやはりそれぞれ一人一人を大切にした中で経営者側は経営者側あるいは労働組合側と一生懸命話をしながら決めてきた施策であるというふうに思います。
私は、今それぞれ経営者も働く方々も非常に努力をした中で、この大変厳しい状況を乗り切るためにそれぞれお一人お一人がどのような形のお仕事に向くのかというようなことを相談しながらいろんな対応が図られていると。中には非常に御不満もお持ちの方も私の地元等でもございますけれども、それぞれに皆様生きがいを持ったところで、従来の専門とは違う部分でも精いっぱい努力をしている方々もたくさんいらっしゃるわけでございまして、そういった面では、昔の一つの大きな企業が好況のときに一つのラインで仕事をしたときよりも、やはり一人一人を大事にした会社経営というのがなされているんじゃないのかなというような感じも持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/77
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078・山下芳生
○山下芳生君 労働者が犠牲になっている一方で、合理化の最大の理由とされてきた赤字がなぜ生まれたのか。
例えば新日鉄は一九八七年からの第一次中期経営計画の中で複合経営を打ち出しています。中身は、会社の言い分ですが、鉄以外の成長分野への迅速かつ積極的な事業展開によって業容の拡大を果たしていく、将来に向けて揺るぎない経営基盤を確立てきるというふうに述べて進めた事業です。具体的には、鉄鋼部門で一万九千人を削減する一方で、エレクトロニクスや情報通信システム、新素材、バイオテクノロジー、都市開発など新規事業に巨費を投じてきたわけですね。ところが、その新規事業が一部を除き赤字続きになったと。これはマスコミも、八九年三月期以降子会社整理に絡んだ損失は百九十億円強に上る。別のマスコミでは、ダボハゼ的な多角化、雑食性の多角化は見直しが迫られているという批判もあります。
ですから、一方で労働者を削減する、労働者が犠牲になっている。しかし、その理由にされている経営の危機、赤字をつくったのはこれは労働者の責任じゃない。こういう事業を立案、推進してきた経営者自身にあるわけですよ。しかし、結果として一万人を超える労働者が職場を追われ、そして残った労働者にも、先ほど大臣は生き生きととおっしゃいましたけれども、これまで鉄をつくる男たちが布団の丸洗いを事業として生き生き本当にできるかというのは、これはやっぱりいかがなものかと私は思いますよ。
そういう中で、私は今申し上げました経営者の責任という点に関しまして、円滑化法第五条四項には「事業適応計画の承認」の条件に「従業員の地位を不当に害するものでないこと。」という項目があります。こういう点に照らしたら、みずからの責任に属さないこの赤字も含めて労働者がそういう状況に置かれている。これは全く不当な扱いを受けているという見方ができないわけでもないと思うんですね。
ですから、これはそういう点では承認する際に経営者の新規事業の計画ということも、事業転換計画もこの申請する項目に入っておりますから、そういう中身もよくチェックして、これではぐあい悪いんじゃないですかということもきちっと指導する。あるいは、そういう赤字が経営者の責任で出たような企業については、そういう甘い経営をしているようではこの計画は認められないという、こういうことはやられているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/78
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079・塚原俊平
○国務大臣(塚原俊平君) まず、新規事業につきましては、新日鉄の具体的な例は私ちょっと認識していないので申しわけないですが、すべてやっぱり働く方々がよりいい立場になるように、さらに雇用の場が確保できるように、さらに豊かな生活環境が自分の会社の人たちにとれるように、福利厚生がしっかりできるようにというようなことで、一生懸命考え出して新規事業をみんな始めているんだと思います。それから働く方々も、その新規事業に携わっている方々は、少なくとも今大変にうまくいかなくて苦しい立場の方がいらっしゃいますけれども、やはりそのときは非常に大きな夢を持って進んでいたこともこれは全くの事実だというふうに思います。
そういう状況の中で、ちょっと法律の細かなものにつきましては担当の方から御返事させますけれども、果たして新規事業につきましての細かなところを一々国がチェックしていくというのは、これはやはり国家が管理をするような形になってきますので、私は、ちょっと法律的なところで私の答弁と食い違うと申しわけないんですけれども、全体としては国が一々チェックするということは決してよくない方向になるんじゃないのかなというふうな感じは持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/79
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080・山下芳生
○山下芳生君 一々チェックということじゃございませんで、実際の経営が破綻している企業に対して、労働者が間違いなく削減されるであろう設備の処理をやろうとしたときに、片一方の赤字を大きく生み出した経営者の責任もしっかり考えて指導すべきではないかということであります。次に行きます。
特定地域対策について聞きますが、この新日鉄八幡のある北九州地域の評価はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/80
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081・鈴木孝男
○政府委員(鈴木孝男君) 先生御指摘の北九州市は特定地域に指定されておるわけでございますが、北九州市向けの支援といたしましては、特定出資法人事業といたしましてスペースワールドに対しまして出資、融資その他の助成をいたしました。スペースワールドにつきましては、入場者数が年平均二百万人程度ということで、地域の活性化にも大変寄与しているのではなかろうかと思っております。そういったこともございまして、北九州市の雇用情勢、出荷額などから見ますと、全国並みとは言えないものの、それなりの回復を示してきたのではなかろうかと思っております。
このような状況から北九州市におきましても、この特定地域対策がこれまで九年間の間にいろいろな面で活用されて、北九州市の活性化に寄与したものとして私ども認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/81
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082・山下芳生
○山下芳生君 有効求人倍率を調べますと、北九州市は今〇・三四ですね。全国平均は〇・六四程度ですから、まだやっぱり半分ぐらいということで開きがあるわけですから、そういう意味では、スペースワールドをつくっててこ入れもされているということですが、やはり全体として地域の経済が活性化されるようにぜひ地域の皆さんの声もよく聞いていただいて、本当にスペースワールドがその点でどう貢献しているのかということをもう少し私は科学的な分析も必要だとは思いますが、次に進みたいと思います。
泉州地域について聞きます。
泉州地域も特定地域に指定されておりますが、今、泉州の中でユニチカの貝塚工場という工場が来年の三月をめどに閉鎖、撤退する計画が起こっております。
ユニチカの前身、大日本紡績は昭和四年、当時の貝塚町が五万四千坪の土地を買収して、そして大日本紡績に譲渡した。あるいは道路や水路をつくる、工場排水のための新たな排水溝も新設すると。それから、東貝塚駅を誘致して鉄道の引き込みを行うなど、これは至れり尽くせりの地域整備を含めて年間の町の財政の半分をつぎ込んで誘致したという歴史的な経過があるわけです。
また、ユニチカの貝塚工場というのは、泉州地域全体、これは繊維産業の盛んな地域ですが、その地域の象徴的な存在だったわけですね。それだけに、このユニチカ貝塚工場が撤退することになりますと、泉州繊維産業全体に有形無形の影響を及ぼしかねないという声が出ております。地域に大きな影響を与えてきた、またいろいろ恩恵も受けてきた、そういう大企業が市民や地域に対して何の相談もなしに海外へ進出するという理由で撤退というのは、これはいかがなものかと私は思うわけです。
今地元の方からは、ぜひ撤退計画の見直しをしてほしいという声、あるいは撤退する場合でも跡地利用については一方的に決めてしまうんじゃなくて地域住民や貝塚市当局と十分な協議を行ってほしいと。住民の皆さんの中には、例えば繊維の歴史記念館などをつくってはどうかというふうな非常に建設的な提案も出ております。
私は、これは本当に大事な問題で、企業というのは単に利潤を追求するだけが存在価値ではないと思うんですね。やはりその地域に対する責任、社会的な責任というのがある。その地域に関したら、先ほど申しましたように、もう戦前から長きにわたって町の住民の皆さんと一緒に歩んできた企業なんです。ですから、中には、まさに青春時代をその企業で過ごした。そしてそこで結婚し、子供もでき、地域に住んでいらっしゃる。そういう三十年、四十年、その企業とともに人生を歩んできた方がたくさんいらっしゃるわけですね。それなのに、はい、さようならというのではいかがなものかと。しかも町ぐるみ支援をし、なおかつ今回の法律の特定地域に指定されているわけですから、私はそういう企業の身の施し方と申しますか、ぜひそういう問題も所管の通産省として、これはできるだけ地域住民あるいは市当局とよく話し合って処遇を決めるべきではないかという、そういう指導といいますか助言といいますか、そういうものができないものか、ぜひしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/82
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083・塚原俊平
○国務大臣(塚原俊平君) ユニチカが平成九年の三月を目途として貝塚工場の綿紡績の生産を縮小、中止する計画を有しているということは通産省も承知をいたしております。
私も結構自分の地元で、例えば日立鉱山の閉山、あるいは日立の溶鉱炉がとまる等々のことに直面しましたけれども、今先生が御指摘したように何の相談もなしというようなことは全くあり得なかったわけで、企業として最大限のその地域に対する努力と敬意は払っていたわけなので、まず、その何の相談もなかったかどうかというところが一つの大きなポイントのような気がいたします。
ただ、それはそれで私どもも向こうに伺ってみることにいたしまして、地域経済に対する影響は大変に大きいわけでございますから、地域との融和が図られるように努力をされることを私ども期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/83
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084・山下芳生
○山下芳生君 ぜひ、その期待が実るように御尽力をいただきたいと思います。
次に、商標法改正案について聞きます。
まず、商標権の存続期間の更新登録についてですが、実体審査を廃止する問題ですけれども、今回の改正で不使用商標をチェックするために一九七五年の改正で追加された現行法第二十条の二を削除しています。不使用商標チェックの法的根拠をなくしたことになると思うんです。特許庁の「工業所有権法逐条解説」によりますと、商標権を保護することの重要性について、「商標の使用をする者は大量の商品やサービスの提供に係る物品等に一定の商標を継続的に使用することによって業務上の信用を獲得するものであるが、この信用は有形の財産と同様に経済的価値を有する。」と説明しています。つまり、商標法は単なるマークそのものを保護するというためのものではなくて、その商標に化体された商標権者の信用を守るためのものだということだと思うんです。したがって、そうした内容のない、実体のない商標、不使用商標は保護の対象にしてはならないというふうに思うわけです。不使用商標のチェックについて、商標法本来の目的に則してこの法的根拠をなくしたという点について説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/84
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085・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 商標制度につきましては、国際的な調和と使っていただく方の手続の簡素化というものも大きな課題でございます。
我が国にとっては、現在、先生が御指摘になられましたように、昭和五十年の制度改正によりましてもう一つの課題であります不使用商標の累積という課題にこたえるために更新時の使用チェックを始めたわけでございますけれども、これが今後商標法条約ということでこれに対応するためにできなくなる、あるいは実際に商標権を持っておられる方の声として更新時の使用証明等々の負担が大きいというような別の声もございました。こういうさまざまな課題に対して、更新時の使用チェックというものをどう考えたらいいのかということを工業所有権審議会の場で御議論いただいたわけでございますけれども、国際化あるいはユーザーの負担の軽減という見地から、今次の改正案につきましては、工業所有権審議会の答申の趣旨に対応いたしまして、これをやめるということにさせていただいたわけでございます。
先生がおっしゃられますように、商標権というものがその商標の中に化体された業務上の信用というものを保護するということが中心的なものになっているわけでございますけれども、そういう趣旨から、不使用商標対策といたしましては、今般、別途不使用商標の取り消し審判制度というものをより強化いたしまして、そういう信用を化体していない不使用の商標につきましては、これをスムーズに取り消し審判で取り消せるという仕組みにしているものでございます。さらに連合商標制度等、不使用商標の温床になっているんではないかというような制度につきましてもこれを廃止する、さらには短サイクル商品等々に使う商標については分納制度を選択できるというような別途の不使用商標対策によりまして、極力使われていない商標が累積されることのないように対応してまいりたいと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/85
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086・山下芳生
○山下芳生君 先ほどもありましたけれども、工業所有権審議会の答申の中で、更新手続とリンクした形での使用チェックや出願時の業務記載の義務づけが禁止されることについては、この点は不使用商標の累積を悪化させる方向に働くおそれがあるというふうに指摘をされています。そういう指摘もあるわけですから、一方で不使用商標の削減対策をとると言いながら、一方でそのおそれがあるという方向に今度は行こうとしているわけですから、これは十分そこのところはしっかりと体制もとっていただいてやっていただきたいと思います。
次に、商標権付与前の登録異議申し立て制度から付与後異議に変更する問題ですが、答申は、異議申し立てにより特許庁の判断が覆るのは全体の一%にも満たないとして、すべての出願が何カ月も待たされている状況は適当でないと言っています。しかし、一九九四年度の実績で見ますと、特許庁の判断が覆された実数は八百八十四件、決して少ない件数ではありません。そうなりますと、一度は特許庁が正式に商標権を認めておきながら、後で異議申し立てがあれば取り消すということもあるというのでは、これは権利の安定性に欠けることになることは明らかでありますし、特許庁の信頼性にもかかわる問題だというふうに思います。こうしたいわば瑕疵のある商標の登録を防止するためには審査の質を上げることが必要だと思いますが、その点でどんな対策をとるのか、お聞かせいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/86
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087・清川佑二
○政府委員(清川佑二君) 商標法制度の大幅な改革、そしてまた、今御指摘の権利の安定性の確保、そういうために審査の質の向上ということは私ども非常に重要なものと考えております。
現在、商標の審査官につきましては、研修制度を集中的に行っているわけでございますけれども、充実しているわけでございますけれども、これは、特許庁におきましては工業所有権研修所を設けておりまして計画的に研修を行っております。例えば審査官補のコースの研修あるいは審査官になってからの研修、こういったものを充実しておりますし、かつ審査官として経験を経た後、上級の審査官になっていった段階でも研修を積み重ねていく、このような形で研修に努めております。
今回、数十年ぶりの商標法の大改正ということになりますので、研修につきましてはさらに意を払うということが必要でございます。現在、審査事例研究などの法制度の運用についての実務研修の充実を図るということも踏まえて準備を整えつつあるという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/87
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088・山下芳生
○山下芳生君 この付与後異議の制度はマドリッド・プロトコルヘの加入を視野に置いた改正でもあると思います。そうなりますと、加入しようとすれば十八カ月以内に審査結果が示される必要がある。ところが、我が国の現状は二十八カ月程度かかっているということでありますが、その原因として、やはり審査期間を短くするのに必要な定員の確保を初めとした審査体制が不十分だということもあると思うんですね。その問題を解決しなければ根本的な対応にはならないと思いますが、この点での対策はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/88
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089・清川佑二
○政府委員(清川佑二君) より迅速、より的確な審査処理ということは我が特許庁にとりまして極めて重要な課題でございます。
人員の体制につきましても、これまでのところ、過去数年にわたりまして少しずつ商標の関係の人員もふえているわけでございますけれども、今回の法律改正に関連しましてこれを考えてみますと、この適正な人員配置をとるように努めることは当然でございます。当然でございますが、他方、法改正におきまして業務量あるいは負担の増減ということが必然的に制度の改正から起こってまいります。このようなものを見きわめてまいりたいと思います。また同時に、この制度の改正とともに事務量の増加ということも見込まれますので、コンピューター化を一層進めて処理の促進が行い得るように機械システムの改変といったことも現在検討中でございます。
このようなものをあわせまして、総合的に効率のよい事務処理体制が確立していくように努力をしていくつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/89
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090・山下芳生
○山下芳生君 審査の質の面と、それから迅速に行う上での体制、量の面ですね、あわせて整えていくということをぜひ要望しておきたいと思います。
最後に、関連もするんですけれども、一出願多区分制あるいは多件一通方式の問題ですが、確かに出願人にとってはこれも便利になることだと思います。しかし、先ほどから御答弁あるように事務量が間違いなくふえる、これは明らかで、特許庁としてはこれは従来の実務処理体制も大幅に変更する必要があるんじゃないかというふうに思います。
そこで、これはどうしても審査官やあるいは実務担当者などの大幅な増員、あるいは今度新たに導入される立体商標制度の導入などに伴う審査基準の整備等、これはやはり的確な対応が必要だと思うんですが、この点の対策、できるだけ具体的にお答え願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/90
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091・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 今回の制度改正に伴いましていろんな面で従来の業務のやり方等を変えざるを得ないという面が生じるのは御指摘のとおりでございます。
先ほどもお答えいたしましたが、一出願多区分制に伴いまして、一人の審査官が複数の区分の出願書類を処理するというような点、仕組みが当然変わらなければいけないということになります。また方式審査というのは、逆に今まで一出願一区分制でやっていますと出願件数が多くなりますので、複数の区分をとる商標出願人がいるとすると何件か方式審査が発生するというようなこともございました。そういう意味で、いろんなところで逆に業務量が減ったりふえたりというような問題もあるわけでございます。
先ほど長官の方から御答弁いただきましたけれども、いずれにしましても、そういう業務量にいろんな変動が生じるということも踏まえながら適切な人員配置に対応していく。それに対応した職員の資質の向上、能力の向上のための研修体制の整備ということも重要であろうかと思います。
先生今おっしゃられた立体商標等新たな制度の導入に伴う問題でございますけれども、これも、当然特許庁の中の審査をより円滑、効率にするための審査基準を早急に制定をしてそれぞれの職員に徹底をするということも肝要でございますし、使っていただく方にもどういう基準で我々は考えておりますということをなるべく早く明らかにするということも肝要であるというふうに考えております。
いずれにしましても、特許庁内部も、使っていただくユーザーの方々にとっても、そういう面でなるべくスムーズに制度移行が図られるように最大の努力をしてまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/91
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092・山下芳生
○山下芳生君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/92
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093・小島慶三
○小島慶三君 時間の関係もございますので、簡潔に二、三問お伺いいたします。
初めに、円滑化法の関係ですけれども、この円滑化法が設備効率の改善、地域振興の両面で非常な成果を上げたことに対して敬意を表します。
ただ、考えてみますと、従来の立地政策の要点というのは拠点化であったと思うんですね。点から線、線から面、面から立体へという形でだんだん対象は広がってきたけれども、その対象というのは拠点化という線に沿って行われてきたというふうに思うわけです。拠点化というのはある意味では差別化、他の拠点化されないところに対しては差別化であり、そういうものと空洞化の関係というのも必ずしもないわけではないというふうに私は思うんです。
通産省のこれからのお考えとして、従来のような立地政策のあり方として拠点化ということをお進めになるのかどうか、例えばテクノポリスみたいなものはこれからもどんどんおふやしになるのかどうか、その辺について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/93
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094・鈴木孝男
○政府委員(鈴木孝男君) 委員御指摘のように、産業立地政策の過去を振り返りますと、その時々の経済情勢に対応しまして重点も変わってきているかと思います。高度成長期におきましては臨海型の立地を促進するということで立地環境の整備というところに重点があったのではなかろうかと思っておりますし、また昭和四十年代後半から五十年代にかけましては過密公害ということで工業の再配置というところに力点があったかと思います。五十年代以降につきまして、知識集約化という中で、委員今御指摘のようにテクノポリスとか頭脳立地とかそういう意味で産業の拠点というところに重点があったかと思っております。
そういうこれまでの産業立地政策の積み重ねの中で、最近の円高傾向あるいは産業空洞化の懸念、グローバル化、そういった中でどういうふうに産業立地政策を展開するのか、これは大事な問題だろうと思っております。先般、四月八日に通産大臣から産業構造審議会の産業立地部会に対しまして、今後の内外の経済環境の変化に対応した地域産業政策のあり方いかんという諮問をしたところでございまして、産業立地部会を現在開催しております。
そういった意味で、これまでの産業立地政策の経緯あるいは点から線、線から面へということもありますけれども、現在のグローバル化あるいは日本経済の成熟化という中で、地域経済の活性化、地域産業の高度化をどうしたらいいか、産業立地部会の議論を踏まえながら新たな政策展開を図ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/94
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095・小島慶三
○小島慶三君 次に、商標法の一部を改正する法律案の関係で少しお伺いをしたいと思うんです。
最近アジアの諸国では、だんだんに工業化してまいります。その流れに対応して、非常に日本のいろんなノウハウ、そういったものを活用するというかうまく使おうというか、そういうことが行われてくるということに関して、いろんな地域で日本の工業所有権等を不当に利用するということが行われてきているように伺っておりますけれども、この辺に対してはどういうふうな対策でそういった国々との調整というものを図っていかれるおつもりか、ちょっと伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/95
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096・清川佑二
○政府委員(清川佑二君) アジア諸国におきまして日本の工業所有権が十分に守られていないという委員の御指摘でございます。
私どもも産業界から往々にしてお聞きしているわけでございますけれども、商標、トレードマークの問題あるいは特許権の問題、こういった問題について意識が低いんではないか、制度が未整備ではないかという点も含めて、実態とともにお聞きをしているところでございます。
この工業所有権の保護のために私ども考えておりますのは、やはりこれらの諸国における知的所有権についての保護憲識を高揚していくということが第一に大切でございます。それからまた、それぞれの国内でのエンフォースメントといいますか、保護の実施の体制を整備していただくということが必要だというふうに認識しております。
前者の意識の高揚に関しまして、これは法制度前の問題でございますけれども、普及啓発活動ということは非常に重要でございます。私ども特許庁といたしましても、アジア諸国にいろいろな支援をいたしまして意識の高揚を図っております。本年の一月にも、例えばマレーシアにおきまして日本・ASEAN知的所有権シンポジウムというものを開きまして、日本の発明協会も協力して実施をいたしておりますし、あるいはまたアジア諸国の特許庁首脳全員がこの一月にマニラに集まっていただきまして、知的所有権の保護水準の引き上げについていろいろな議論をしたところでございます。
このような意識の高揚のほかに、もう一つは体制整備、特にこれは人材育成ということが非常に重要でございます。これらの点につきましては、特に昨年のAPECの大阪会合におきましても、アクションアジェンダにおきまして、審査協力、情報化あるいは人材育成の分野の協力を実施すること、拡大することというようなことがうたわれているところでございます。
私どもといたしましても、従来から研修生の受け入れということを心がけて実行してまいりましたけれども、今回予算でお願いをしておりますけれども、TRIPS協定が発展途上国で実施される二〇〇〇年までの間にアジア太平洋諸国から官民合わせて約千名の研修生を受け入れるというようなことを推進いたしまして、これらの国におきまして人材面での協力を実施したい。
さらに、そのほかにコンピューター化あるいは情報化の協力を現在具体的に進めているところでございますが、これらの点につきましてもさらに引き続き実施しまして、意識の高揚、体制の整備、これらの点につきまして、アジアの中で先進国になっております日本の特許庁として最大限の協力をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/96
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097・小島慶三
○小島慶三君 今回の商標法の改正というのはもう実に三十五年ぶりですか、大変な大改正であるわけでありますが、一つはユーザーフレンドリーなシステムヘということに沿っての簡素化とかそういうことが目標であり、一つは国際的な整合性の確保という点にねらいがあるように承っております。
それで、初めのユーザーフレンドリーな制度への移行ということでありますが、これは確かにユーザーとしては大変にメリットのあるいろんな新しいシステムがつくられるわけでありますが、それについて特許庁側の労働といいますか、これは大変に、従来とは比較にならないくらい大きくなるんではないかということを私ども心配しておるわけであります。
例えばその一例として書きかえ制度といったようなものがございますけれども、これもボリュームとしては大変なボリュームに私はなると思うんですけれども、その辺に対する対応といいますか、先ほどもちょっとこれに類したような質問がございましたけれども、これはどういうふうにお進めになっておられるか、人的あるいは予算的にいろんな問題があると思うんですけれども、その辺についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/97
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098・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 書きかえ制度でございますけれども、先ほども浜四津委員の方から御質問いただきましたけれども、なるべく短期間にという御質問であったかと思いますが、百三十万件くらいの商標権がありますので、これを十年強かけて計画的に処理をさせていただく。書きかえに当たっては、商標権者の方の御理解と御協力もいただきまして、書きかえ申請というのを商標権者の方からしていただくというような仕組みで立案をさせていただいているところでございます。
もちろん、これだけ多くの商標権が対象になっておりますので、かなりの業務になることも事実でございます。商標権者の方にとっても、私どもにとりましてもこれをスムーズにやるために、現在並行的に書きかえのマニュアルというものを内部で、外部の専門家の方々にも参加いただきまして検討しております。
明治の古い区分が二つ、大正の十年の区分が一つ、それで昭和三十年区分、こう四種類あるわけでございますけれども、それぞれと現行の商品区分というものの細かな対比表をつくっておりまして、これを参考にして権利者の方からは書きかえ申請をしていただく。我々も、それに大体準拠したものはなるべくスムーズに審査をして書きかえを認めるというふうなことで、極力円滑にさせていただくような工夫をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/98
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099・小島慶三
○小島慶三君 最後にもう一つお伺いしたいと思うんですけれども、世の中の変わり方が非常に激しい流れに沿っておりまして、マルチメディアといったようなものはこれから産業の主流になっていくということが言われておりますが、そうなりますと、商標とかいろんなそういう関係につきましても大変にいろんな新しい、従来例を見なかったような形態のものが出てくるということが予想されるわけでありますが、その辺についての対応の仕方についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/99
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100・菅野利徳
○政府委員(菅野利徳君) 御指摘のように、マルチメディア、情報化の進展に伴いまして、商標と関連するいろんな問題が出てくるということも予見されることでございます。
具体的にアメリカ等ではインターネットの普及等に伴いまして、ドメインネームと商標権の抵触問題というものが若干ですけれども争われるケースも出てきているというような話も聞いているわけでございます。
いずれにしましても、こうした新しい問題についてどう対応していくべきかということにつきましては、インターネットに関するような問題でございますと我が国だけの課題ではございませんので、海外のそれぞれの国々におけるいろんな議論、動向等々も踏まえながら考えていかなくてはいけないという問題であろうということで、我々といたしましてもそうした海外の動向等を注視しながら対応していく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/100
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101・小島慶三
○小島慶三君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/101
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102・沓掛哲男
○委員長(沓掛哲男君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより両案の討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに両案の採決に入ります。
まず、産業構造転換円滑化臨時措置法を廃止する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/102
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103・沓掛哲男
○委員長(沓掛哲男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、商標法等の一部を改正する法律案について採決を行います。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/103
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104・沓掛哲男
○委員長(沓掛哲男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
荒木清寛君から発言を求められておりますので、これを許します。荒木君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/104
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105・荒木清寛
○荒木清寛君 私は、ただいま可決されました商標法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、日本共産党及び新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
商標法等の一部を改正する法律案に対す
る附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、次の諸点につい
て適切な措置を講ずべきである。
一 今回の大幅な制度改正が、商標権者に無用
な混乱を生ずることのないよう制度改正の趣
旨の周知徹底を図ること。また、中小企業者
が制度改正等に円滑に対応し得るよう、指
導・相談業務の一層の充実を図ること。
二 不使用商標取消審判制度については、一層
の活用が図られるよう商標権者への啓蒙・普
及に努めると共に、事務処理体制を強化し、
不使用商標対策の実効性を高めること。
三 商標権の指定商品の書換については、書換
マニュアルの策定等事務処理体制を整備する
ことによって、商標権者に過重な負担を課す
ことがないようにすること。
四 アジア諸国における急速な工業化の進展に
対応して、同地域における工業所有権制度が
確立されるよう、我が国の豊富な経験を生か
し、国際協力に積極的に取り組むこと。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/105
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106・沓掛哲男
○委員長(沓掛哲男君) ただいま荒木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/106
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107・沓掛哲男
○委員長(沓掛哲男君) 全会一致と認めます。よって、荒木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、塚原通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。塚原通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/107
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108・塚原俊平
○国務大臣(塚原俊平君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしまして、今後とも商標を初めとする工業所有権行政の推進に全力を尽くしてまいる所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/108
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109・沓掛哲男
○委員長(沓掛哲男君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/109
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110・沓掛哲男
○委員長(沓掛哲男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614461X00719960411/110
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