1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年五月二十八日(火曜日)
午後一時十一分開会
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委員の異動
五月二十七日
辞任 補欠選任
小川 勝也君 戸田 邦司君
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出席者は左のとおり。
委員長 菅野 壽君
理 事
鎌田 要人君
溝手 顕正君
続 訓弘君
渡辺 四郎君
委 員
関根 則之君
竹山 裕君
谷川 秀善君
真鍋 賢二君
松浦 功君
山本 一太君
岩瀬 良三君
小山 峰男君
戸田 邦司君
和田 洋子君
清水 澄子君
有働 正治君
西川 潔君
田村 公平君
国務大臣
自 治 大 臣
国 務 大 臣
(国家公安委員
会委員長) 倉田 寛之君
政府委員
警察庁長官 國松 孝次君
警察庁長官官房
長 菅沼 清高君
警察庁長官官房
総務審議官 山本 博一君
自治省行政局公
務員部長 鈴木 正明君
事務局側
常任委員会専門
員 佐藤 勝君
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本日の会議に付した案件
○警察法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
○地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614720X01219960528/0
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001・菅野壽
○委員長(菅野壽君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
昨二十七日、小川勝也君が委員を辞任され、その補欠として戸田邦司君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614720X01219960528/1
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002・菅野壽
○委員長(菅野壽君) 警察法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、去る二十三日に質疑を終局しておりますので、これより直ちに討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614720X01219960528/2
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003・有働正治
○有働正治君 私は、日本共産党を代表して、警察法の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、改正案の内容が、オウム事件の捜査に対する国民の批判を口実にして警察庁長官の権限を拡大するとともに、都道府県を単位とする警察の犯罪捜査のあり方を崩すのみか、自治体警察の原則をますます崩し、中央集権化を強めるものとなっているからです。
現行警察制度は、国の機関としての警察庁と都道府県の機関としての都道府県警察から構成されています。そして、都道府県警察は原則として管轄する都道府県を越えて権限を及ぼすことはできないとされています。こうした原則が確立されたのは、戦前の痛苦の反省から、憲法の民主主義と地方自治の原則に基づき、自治体警察の創設による警察の民主化が進められた結果によるものです。
ところが、改正案は広域組織犯罪等に限定しているとはいえ、都道府県警察が管轄区域を無視して全国どこへでも出動できるようにするものであり、都道府県を単位とする警察の犯罪捜査のあり方を崩すのみか、戦後の法改正で崩されてきた自治体警察の原則をますます崩し、中央集権化を強めるものとなっています。しかも、管轄区域外に権限を及ぼすかどうかは専ら警察庁長官の判断にゆだねられており、その結果、自治体警察が国家警察のもとで活動することとなり、自治体警察として出発した警察の民主化の方向に逆行するものと言わなければなりません。
広域捜査体制について言えば、既に一昨年の改正により広域捜査体制は整っており、私の質問への答弁でもその実が上がっており、この点でも改正は不要であります。
また、警察庁長官の権限拡大は重要な問題点です。本来、長官の指示とは、警察法等で規定されている指導、助言という性格のもので、犯罪捜査に限定されているものです。ところが、改正案によれば、長官の指示権限は警察の態勢に関する事項に拡大強化され、その範囲も広域組織犯罪その他の事案が発生した場合だけでなく、そのおそれがあると判断すれば、犯罪の起きる前から管轄区域を越えて警察を出動させることができるとされています。その結果は、公安委員会制度の形骸化、国家機関の統制強化につながるものです。このおそれという点については、平和、民主主義、暮らしにかかわる全国的な重要課題に対し、政府の悪政を批判し、これを阻止するための労働組合などの全国的デモやストまで公共の安全と秩序を口実として対象とされかねない危険さえ懸念されます。憲法で保障された国民の基本的人権を侵害するようなことは断じてあってはなりません。
倉田国家公安委員長は、私の先日のこれら一連の指摘に対し、そうならないようにする旨述べましたが、そうであれば、法改正の必要性は一層不要であります。
第二の反対理由は、改正案が、国民の生命、身体及び財産の保護という都道府県警察の基本的な責務遂行能力を後退させかねない内容となっているからです。
警察の管轄区域を明確化したことは、そこを管轄する都道府県警察の責任を明確にさせるものであり、これが地域住民の生命や身体、財産の保護という自治体警察の責務をはっきりさせてきたのです。今回の改正案のように、警察庁長官の指揮命令などの権限を拡大することは、今後の警察活動で警視庁や大阪府警など大規模な警察組織を全国的に運用することとなり、その結果は、一つには、警視庁の一層の肥大化と国家警察化をもたらすこととなり、二つには、その反面で地方警察の活動の低下、ひいては全国警察の総体としての捜査能力を低下させることとなりかねません。警察庁については、いたずらに長官の権限を拡大することをやめ、都道府県警察が警察本来の犯罪捜査の責務を自主的、自立的に行えるようにし、都道府県警察の調整を図り、通信、鑑識、科学捜査の知識の提供などの仕事に徹するべきであることを強く主張するものです。
第三に、現在国民が警察に求めているものは、改正案のような警察組織の中央集権化の強化などという法律の問題ではなく、警察の捜査のあり方、姿勢の問題です。
日弁連の反対声明でも指摘されているように、坂本弁護士一家殺人事件を拉致事件として迅速な捜査をしなかったことや、松本サリン事件で被害者である第一発見者を事実上容疑者扱いし、誤った見込み捜査を行うなど、オウム事件の捜査過程で見られた捜査のあり方に対する反省と教訓を警察庁自身が真っ先に国民の前に明らかにすべきです。さらに、警察は警備公安偏重の活動を改め、主権者である国民の生命と身体、財産の安全を守るために全力を挙げるべきです。
以上、私の反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614720X01219960528/3
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004・菅野壽
○委員長(菅野壽君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
警察法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614720X01219960528/4
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005・菅野壽
○委員長(菅野壽君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614720X01219960528/5
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006・菅野壽
○委員長(菅野壽君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614720X01219960528/6
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007・菅野壽
○委員長(菅野壽君) 次に、地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。倉田自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614720X01219960528/7
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008・倉田寛之
○国務大臣(倉田寛之君) ただいま議題となりました地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
地方公務員災害補償基金支部が行う補償に関する決定に不服がある者については、訴訟を提起する前に、支部審査会に対する審査請求及び審査会に対する再審査請求をするという二段階の不服申し立て手続を設けているところでありますが、最近の処理事案の複雑化等から処理期間が長期化する傾向にあり、その迅速かつ適正な処理を図るため、所要の措置を講ずる必要があります。
以上がこの法律案を提出した理由であります。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、地方公務員災害補償基金支部審査会の決定遅延の場合における救済規定の創設であります。
審査請求をしている者は、審査請求をした日の翌日から起算して三カ月を経過しても地方公務員災害補償基金支部審査会による決定がないときは、支部審査会が審査請求を棄却したものとみなして、地方公務員災害補償基金審査会に対して再審査請求をすることができることとしております。
第二に、地方公務員災害補償基金審査会における審査体制の整備であります。
地方公務員災害補償基金審査会は委員六人をもって組織することとし、審査会に対してされた審査請求及び再審査請求の事件の取り扱いについては、委員三人をもって構成する合議体で行うこととし、法令の解釈適用について、その意見が前に審査会のした裁決に反すると認められる場合等においては、委員の全員をもって構成する合議体で行うこととしております。
第三に、不服申し立て中の処分の取り消しの訴えに関する規定の整備であります。
処分の取り消しの訴えは、原則として、再審査請求後三カ月を経過しても地方公務員災害補償基金審査会による裁決がないときに限り提起することができることとしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決賜りますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614720X01219960528/8
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009・菅野壽
○委員長(菅野壽君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲るものとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時二十一分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113614720X01219960528/9
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