1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
平成八年四月十日(水曜日)
午後零時一分開議
━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第二十二号
平成八年四月十日
正午開議
第一 国務大臣の報告に関する件(高速増殖原
型炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故に
関する報告について)
第二 消防団員等公務災害補償等共済基金法の
一部を改正する法律案(内閣提出)
第三 郵政省設置法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
第四 郵便貯金法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
第五 郵便振替の預り金の民間災害救援事業に
対する寄附の委託に関する法律案(内閣提出
)
第六 簡易生命保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/0
-
001・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
日程第一 国務大臣の報告に関する件(高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故に関する報告について)
中川国務大臣から発言を求められております。発言を許します。中川国務大臣。
〔国務大臣中川秀直君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/1
-
002・中川秀直
○国務大臣(中川秀直君) 昨年末に発生した高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故につきまして御報告を申し上げます。
「もんじゅ」は、実験炉「常陽」等での研究開発成果を踏まえ、高速増殖炉としての安全性や信頼性の確立を目指して開発を進めているものであり、一昨年四月、核分裂が定常的に持続する臨界状態に達した後、性能試験を実施してまいりました。
試験のために出力上昇中の昨年十二月八日午後七時四十七分、ナトリウムが漏えいするという事故が発生しました。今回の事故は、二次系のナトリウムの漏えいであり、周辺公衆及び従事者への放射性物質による影響はありませんでした。また、原子炉は安全に停止し、炉心への影響もありませんでした。
しかしながら、高い信頼性を確保することとしていたにもかかわらず、現実にナトリウム漏えいが発生し、また、原子炉を停止するまでに時間がかかったこと等により、ナトリウムの漏えいが長時間続き、ナトリウム火災の影響を拡大させ、さらに、事故発生後の動力炉・核燃料開発事業団の情報公開等に係る不適切な対応によって、地元の方々や国民の皆様に不安感、不信感を与えるという大変遺憾な結果を引き起こしました。原子力行政を預かる者として、国民の皆様に心からおわびを申し上げます。
私自身、就任直後の本年一月十七日に現地を訪問し、地元自治体を初めとする皆様のお話を直接伺い、一刻も早くこれらの不安、不信を解消していくことの必要性を強く認識いたしました。
そのためには、まず何よりも徹底した原因究明を進め、万全の安全対策を講ずることが重要であります。
このため、安全規制部局である原子力安全局に、外部の専門家及び当庁職員から成る事故調査・検討タスクフォースを設置し、原子炉等規制法に基づく立入検査等により、原因の究明、事実関係の解明、調査を鋭意進めております。
他方、総理府に設置された内閣総理大臣の諮問機関である原子力安全委員会におかれては、第三者機関として、独自の立場から原因の究明及び再発防止のための調査審議を行うこととされ、専門のワーキンググループを設置し、直接現地調査を実施する等により検討が進められております。
さらに、これに加え、研究開発段階の原子力施設に係る事故時の情報公開等情報流通のあり方及び安全確保のあり方について検討が進められております。
科学技術庁においては、去る二月九日、それまでの調査検討の結果を取りまとめ、その時点までの調査で明らかになった事実関係、それらに対する見解及び引き続き調査検討が必要な事項を整理して公表いたしました。その主要点は以下のとおりであります。
第一点目は、高い信頼性を確保することとしていたにもかかわらず、現実にナトリウム漏えいが発生するに至った原因についてであります。
これについては、炉心で発生した熱を一次系から二次系のナトリウムに伝える二次主冷却系中間熱交換器の出口付近に設置されたナトリウム温度計のさやの細管部分が破損し、その部分を通じてナトリウムが漏えいした可能性が高いと考えられる旨指摘しております。これについては、その後の当該温度計部の切り出しによって判明しております。
第二点目は、ナトリウム漏えいを初期の段階で掌握し、火災拡大に至らないように適切に対処できなかったという漏えい後の拡大防止についてであります。
調査の結果、原子炉の早期停止等の適切な運転操作が行われなかったのは、異常時運転手順書の記載に問題があるほか、運転員の判断にも適切性が欠けていたことに起因していると考えられる旨指摘しております。また、ナトリウム火災検知システム等の設備面にも問題があったことを指摘しており、これについては引き続き調査検討を進めております。
第三点目は、動力炉・核燃料開発事業団の事故に伴う対外対応についてであります。
調査の結果、事故発生の第一報につきましては、通報連絡の時間を短縮するため、だれが状況を判断して連絡を行うかについて再検討の必要があること等を指摘しております。また、初期の現場入域調査の結果に関する情報提供については、安全規制当局に正確な情報の提供が行われず、速やかな公表もなされなかったこと、ビデオ等の情報の公開についてまことに遺憾な対応があったこと、対外対応を行う体制も不十分であったこと等を指摘しており、これらについては引き続き調査検討を進めております。
公表した二月九日、動力炉・核燃料開発事業団に対して、この取りまとめの内容に関する対応について報告をするよう指示をいたしましたところ、二月二十七日、これに対する回答書の提出がありました。
回答書では、さきの三点に関連した指摘事項を受け、運転手順書や設備等の改善、事故時の通報連絡体制の迅速化等について、可能なものから早急に改善措置を講じていく考えである旨報告をされております。また、技術的信頼と社会的信用を回復し確立するため、意識の改革、危機管理体制の強化、情報公開の徹底及び地域社会とのコミュニケーションの強化等を早急に図ることを目的とした「自己改革推進本部」を設置し、信頼回復に全力を尽くしていくこと等についても報告をされております。
科学技術庁においては、先ほど申し述べました取りまとめの後、引き続き、切り出した温度計部について、日本原子力研究所及び金属材料技術研究所で電子顕微鏡による破面観察を行う等の詳細な調査を実施してまいりました。その結果、細管部分が破損したのは高サイクル疲労によるものであると判断されております。今後、動力炉・核燃料開発事業団において進められているナトリウム漏えい実験、振動解析等の結果を踏まえ、漏えいナトリウムの挙動、破損原因等について総合的に評価を行うこととしております。
破損し見当たらなくなっておりました温度計の細管部分については、鋭意探索を進めておりましたが、三月二十八日、蒸気発生器のナトリウム入口部で発見されました。今後、配管を切断し、当該細管部分を回収した後、電子顕微鏡による破面観察等の調査を実施することとしております。
また、今回の事故の教訓を踏まえ、科学技術庁自身も反省、改善すべき点があり、情報を的確かつ迅速に入手する体制を構築するとともに、安全確保をより的確に行う必要があると判断し、現地に常駐する運転管理専門官制度を強化するほか、事故時における情報公開について、事業者のみならず科学技術庁においても調査確認した内容を一層積極的に公開し公表していく等、当面取り組んでいくべき運転管理面の対応について各般の検討を行っております。さらに、設計、検査及び品質管理等に係る安全規制面における改善策についても、原因究明の結果を踏まえて取り組んでいく所存であります。
今後、さらに調査等を進め、万全の安全対策を講ずるとともに、節目節目には積極的かつ速やかな情報の提供に努めてまいります。
今回の事故を契機として、原子力施設の立地地域を中心に、原子力政策に関する国民的合意の形成に向けたより一層の努力を求める強い声が寄せられていることを真摯に受けとめる必要があります。このような観点から、原子力委員会において「原子力政策円卓会議」を開催するほか、シンポジウムや地域フォーラム等を開催し、地元の方々を初めとするさまざまな御意見をお持ちの方々との対話を通じ、国民各界各層の幅広い御意見を伺い、これらを政策に的確に反映させるべく関係者一丸となって積極的に対応してまいります。
私自身、去る三月十八日に、再度、地元福井県を訪問し、国民的合意の形成に向けた具体的な取り組みについて御説明したところであります。さらに、今週四月十三日には、福井県敦賀市において開催される予定の「市民と語る会」に私みずから出席し、地元の方々との対話を深めることとしております。
これらを通じ、地元はもとより、国民の皆様の御理解と信頼が得られるよう最大限の努力を重ねてまいりたいと考えております。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/2
-
003・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。石田美栄君。
〔石田美栄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/3
-
004・石田美栄
○石田美栄君 私は、平成会を代表いたしまして、ただいま報告のありました高速増殖原型炉「もんじゅ」ナトリウム漏えい事故調査報告に対して、総理並びに科学技術庁長官に質問をさせていただきます。
さて、これまでの原子力利用関連施設の事故では、調査が一通り終わった段階で結果が公表されることが多かったのですが、今回の「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故では異例の中間報告がなされました。その姿勢は当然としても、そうした段階で発表に踏み切ったことには幾つかの重大な意味があると思われます。また、今後、事故原因などの徹底的な究明がなされることによって、この際、我が国のエネルギー政策の将来展望についても十分な議論と再検討が進められなければならないでしょう。
エネルギー政策、原子力政策の展開は、国の将来を左右する非常に重大な問題であり、社会の信頼と支援がなければ原子力の開発利用は成り立ちません。しかし、今回の事故では、動燃事業団としては、日本ではナトリウム漏れば絶対に起こらないと重ねて言明してきたこともあり、現実に起きてしまうと、事故現場を撮影したビデオを隠してしまったり事故の過小評価を行ったりしたことによって、原子力政策への国民の不安感や不信感を一層あおる結果となりました。
昨年十二月、この事故以前に実施されたある世論調査において、原子力に関する情報は十分に公開されていると思っている人はわずか六・四%という結果もあります。そして、このたびの大騒動から三カ月たった本年二月の世論調査でも、なお情報公開が進むとの見方には半数の人々が懐疑的であり、かつ七割以上もの人たちが日本の原子力発電所でも大事故が起こるのではないかという不安を感じているというのが実情です。
このように、我が国の情報公開がいかにおくれているかは、今回の「もんじゅ」の事故に限らず、薬害エイズ問題、さらには住専への財政資金投入問題を見ても明らかであります。早期に情報公開がなされていれば、とうとい今も国民の血税もどれほど失われずに済んだことでしょうか。幸い「もんじゅ」の事故は二次系で発生したために人命を失うことはありませんでしたが、原子炉内で同様の事故が絶対に起こらないという保証はないのであります。
そこで、橋本総理大臣にお尋ねいたします。
できるだけ多くの国民にわかりやすく、かつ信頼される原子力政策のために、情報の公開、提供について本日までどのような努力がなされてきたのでしょうか。これまでの施策と今後の不安解消と信頼回復のためのお考えをお聞かせ願いたいのです。
次に、このたびの事故の社会的影響についてお尋ねいたします。
さきの沖縄での米兵による少女暴行事件によって、一般国民が米軍基地がいかに沖縄に集中しているか改めて関心を寄せたように、今回の事故によって原子力関係の施設がいかに一部の地域に集中しているかに気づかされました。「もんじゅ」のある福井県には十五もの原子力発電所があります。福島県、新潟県を加えた三県一帯に何と全原子力発電所の三分の二が集中しております。したがって、こうした地元自治体との信頼関係が原子力政策を進めていく上で非常に重要であると考えます。
今回、事故通報のおくれや事故隠しがあったことによって、地元住民を初め関係自治体との信頼関係が失われてしまったと言われておりますが、国として信頼回復にどのように取り組んでいくのか、最高責任者である総理の具体的な方針をお聞かせ願いたいと思います。
次に、この中間報告を読みますと、何々していたらとか、何々すべきであった、する必要があったというような表現がたくさん出てまいります。運転マニュアルの不備に運転員の判断ミスが重なって事故を拡大させたと、動燃事業団の対応を厳しく批判しております。
このことから、情報公開に対する意識改革や人員の育成強化、適正な配置、施設機器の充実、さらに危機管理マニュアルの整備や、平時から事故に対する教育訓練などを怠ってきた動燃事業団への批判は当然のこととしても、そのような体制を放置してきた監督官庁である科学技術庁の責任も厳しく問われなければならないはずです。
そこで、安全に対する責任と日ごろの安全審査体制はどうであったのか、科学技術庁長官にお尋ねいたします。あわせて、現在の安全審査の内容も根本から見直すべきだと考えますが、見解をお伺いいたしたいと思います。
また、この中間報告では事業者である動燃事業団に十四項目にわたる改善措置を求め、二月二十七日に動燃からその検討結果が報告されていますが、それを受けて、科学技術庁としてはどのように受けとめて今後対応されていくのか、お伺いいたします。
そして、もう一点、この中間報告では原子力安全委員会の姿がかすんでいることであります。原子力安全委員会こそ安全規制のためにわざわざ原子力委員会から切り離して独立させたのであって、このたびのような事故にこそ機敏に対応し、安全確保に努め、原子力への信頼回復のために役割を果たすべきだったと思うのですが、一体どうなっていたのでしょうか。
さらに、施設の安全性に関する行政庁の審査結果についてダブルチェックを行うことが同委員会の重要な役割であり、海外の大きな事故についての原因究明を行い、教訓事項を抽出することもその役割であったはずであります。だとすれば、一九八五年七月にフランスの高速増殖実証炉スーパーフェニックスで少量のナトリウム漏れ事故が発生し、調査の結果、二次系配管の温度計さやがナトリウムにぶつかって振動したことが原因とわかったため、振動しにくい短いさやに交換したという、こうした事故の経験も生かせていない上、「常陽」の成果も生かされていないということをどのように考えればよろしいのでしょうか。
また、原子力安全委員会が三月二十九日に公表した原子力安全白書では、今回の事故について原因究明と再発防止策について徹底した調査審議を行い、その結果を国民に公表するとしておりますが、みずからの責任や反省については少しも触れておりません。原子力安全委員会の責任について中川長官はどうお考えか、改めてお尋ねいたします。
次に、「もんじゅ」事故の技術的な面での評価と安全性について幾つか中川長官にお尋ねいたします。
一つ目は、ナトリウムそのものの危険性とは何であるのか。
二つ目は、ナトリウムの漏えいによって原子炉の安全上どのような影響が考えられるのかであります。
三つ目は、事故の直接原因となった温度計のさや管については、これまでの調査の結果、構造そのものに問題があること、ありふれた部品との理由で振動の影響についての解析はメーカー任せで実験は全く行われなかった上、安全審査の対象になっていなかったことなどがわかってきております。また、他の温度計十六本にもすり傷が見つかっていますが、ほかにも安全審査の対象から外れているこのような落とし穴があるのではないでしょうか。
四つ目は、事故調査のために三月二十六日に行われた「もんじゅ」事故再現実験でさえ、開始直前の準備中にナトリウムが漏れ出し、激しく燃えて実験がそのまま中止されたという極めてお粗末な出来事がありました。また、先日の二回目の実験も装置故障のため中止になりましたが、事故原因の最終報告はいつごろをめどに考え、その後の対応をいかにお考えかであります。
さらにつけ加えて、環境保護団体グリーンピース・ジャパンの招きで来日し、「もんじゅ」を視察したドイツ・ミュンヘン大学のヨハン・ベネケ博士が「動燃は米国やドイツを超える安全解析をしていないことがわかった。炉心崩壊事故が起こらない保証はない」と指摘していることについての感想をお伺いいたします。
以上五点について、明確にお答えいただきたいと思います。
次に、原子力政策の将来展望についてお尋ねいたします。
国民生活を守ることは行政、政治の大きな役割ですが、エネルギー供給の将来的な保障は、食糧や防衛などと同様に極めて重要な課題であります。資源に乏しい我が国にとって、エネルギー保障のために新しい技術開発が求められており、核燃料リサイクルの技術を確立することも重要な柱の一つでありましょう。今回の「もんじゅ」の事故や再処理計画のおくれなどの状況変化に照らして、新原子力開発長期計画の変更についてはどのようにお考えでしょうか。
また、先ほど申し上げました多くの原子力発電所が立地する三つの県からも核燃料リサイクルなどのコンセンサスのあり方について提言書が出されておりますが、それにはどう対応されるのか。さらに、今後、原子力政策をどのように再構築していくお考えなのか、橋本総理にお尋ねいたします。
次に、この四月十九日から二十日にかけてモスクワで原子力サミットが開催されます。ここでは放射性廃棄物の海洋投棄防止やチェルノブイリ事故から十年経て原子力の安全性向上問題などが中心テーマになりますが、我が国の「もんじゅ」事故についても先進国は大きな関心を持っていると言われております。
そこで、今回の事故を踏まえ、我が国としては何を訴え、どのように我が国の原子力政策に反映させていくのか、総理のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
最後に、あの阪神・淡路大震災、北海道のトンネル事故、住専処理問題、薬害エイズ問題、そしてただいま議題になっております「もんじゅ」の事故に見られますように、何か大きな問題が起きると、その処理や対応には必ず縦割り行政の弊害が顔を見せ、無責任の体系が露呈して、その結果には必ず責任のなすり合いが起こります。そして、最終的な責任の所在があいまいになり、だれも責任をとらないという、極めて国民にとって腹立たしく、不幸な状態になってしまうのが常であります。このような現状では、国民の政治と行政に対する不信感が募るのも極めて自然なことではないでしょうか。
そこで、我が国の最高責任者である橋本総理に、極めて重要な課題や突発的な危機管理にどのようなリーダーシップで責任ある対応をとられる御決意か、お尋ねいたします。
そしてまた、今まさにあらゆる場面で権限と責任を明確にする体系づくりが求められております。国民が信頼するに値する責任のとれる行政と政治にするために、総理が言われている「変革と創造」のお立場から、今すぐ何から手をつけてどうしていくべきとお考えかお尋ねいたしまして、質問の締めくくりとさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/4
-
005・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 石田議員にお答えを申し上げます。
まず、情報の公開、提供につきましては、我が国の原子力の開発利用は、原子力基本法に基づきまして、自主、民主、公開を基本といたしております。特に公開につきましては、地元の方々はもとより、国民の皆様の理解と協力を得てまいりますためにも、幅広い意見をさまざまな形でくみ上げるとともに、積極的かつ速やかに情報を公開していくことが重要だと考えております。
このような観点から、安全性に係る情報を初めとして、これまで以上に積極的に、かつきめ細かく、わかりやすい情報の公開、提供に努め、地元の方々を初めとする国民の皆様の御理解と信頼を回復するため全力を尽くしていくことが重要だと考えております。
信頼回復に関するお尋ねがありました。
原子力開発におきましては、御指摘のとおり、安全の確保を大前提としながら、国民の皆さん、殊に地元の方々の理解と信頼を得ていくことが何より大切なことは間違いがありません。しかし、今回の「もんじゅ」の事故によりまして、地元の方々や国民の皆様に不安感、不信感を与える結果となったことを本当に残念に思います。今後、専門家の知見を結集し、徹底した原因究明を進めて万全の安全対策を講じるとともに、積極的かつ速やかな情報公開などにより、地元の方々を初めとする国民各位の信頼、理解を回復できるよう全力を尽くしてまいります。
次に、原子力長期計画の変更及び今後の原子力政策への取り組みについてのお尋ねがありました。
資源に乏しい日本にとりまして、エネルギーの安定供給、また地球環境問題への対応は大変大切な課題です。そうした観点から、安全の確保及び平和利用の堅持を大前提として、今日までも、地元の方々を初めとする国民各位の御理解と信頼を得ながら原子力政策を着実に推進することが重要だと、そうした考え方をとり続けてまいりました。
今後の原子力行政の展開に当たりましては、国民各界各層の幅広い御意見を伺い、いかにこれを原子力長期計画を含む原子力政策に的確に反映していくかという点に一層努力を払わなければなりません。
このため、御指摘の三県知事からの御提言につきましては、原子力委員会におきまして「原子力、政策円卓会議」を開催するほか、関係省庁においてシンポジウムや地域フォーラムなどを開催し、地元の方々を初めとするさまざまな意見をお持ちの方々との対話の場を設定していくことにいたしております。既に科学技術庁長官からも御報告を申し上げましたが、こうした取り組みを通じて原子力政策に対する国民的合意を形成していくように積極的な対応を図ってまいります。
次に、原子力安全サミットについてお尋ねがございました。
国会の御了承がいただけますなら、私としてはぜひ出席をいたしたいと考えております。そして、原子力の安全確保については原子力施設を有する国が第一義的責任を負うことを基本として我が国はまいりましたが、国際的な共通課題として各国が協力しながらその維持向上に努めることが重要だと考えております。
このモスクワ・サミットは世界規模で原子力安全に対する認識を高めるよい機会だと考えておりまして、私としては、我が国の経験を踏まえながら、原子炉の安全、放射性廃棄物の管理、核物質の管理などについて各国が取り組みを強化するとともに、これらに関する国際協力を一層促進すべきである旨を強く訴えたいと考えております。また、首脳間の意見交換の中で学ぶべき点は、我が国の原子力の安全性の向上に反映させていきたいと願っております。
次に、突発的な危機管理という問題についての御指摘がありました。
重要な課題については、関係省庁間の連携を図り政府が一体となって対処していくことが大切であると考えておりますし、こうした観点から、私自身の責任として、当初から事案を掌握しながら自分の責任で的確な対応をしてまいりたいと考えております。
突発的な危機管理というものにつきましては、阪神・淡路大震災の教訓を考えましても、初動が極めて大きな影響を持ちます。したがって、事態が発生いたしました場合、そうしたことを私は決して希望しませんけれども、何らかの事態が発生いたしました直後から、自分自身が陣頭に立ち、政府全体の有機的連携を図りながら迅速的確な対応をしていきたいと考えております。
そして、責任のとれる行政、政治と「変革と創造」という点についてのお尋ねがございました。
国内的には人口構造の変化、国際的には冷戦構造の崩壊と世界経済のボーダーレス化、こうした変化に対応していくためには、我々はいや応なしに大きな変革を遂げなければならないわけであります。そのためには、政治、行政、経済、社会のシステムを二十一世紀にふさわしいものにしていかなければなりません。政治面では政策論争を積極的に行う、そして行政面では情報公開法の早期制定に向け関係の審議会等の審議も促進していただきますし、また、その審議会そのものの透明化にも努めていくつもりでありますが、それ以上に透明で民主的な行政、政治に努めてまいりたいと考えております。
残余の御質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
〔国務大臣中川秀直君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/5
-
006・中川秀直
○国務大臣(中川秀直君) 科学技術庁の安全に対する責任、日ごろの安全審査体制及び安全審査の見直しについてのお尋ねがございました。
現在の法体系に基づきます原子炉施設の規制につきましては、原子炉等規制法に基づきまして、災害を防止する、すなわち最終的に一般公衆の安全が確保されることを何よりも目的として行っております。
そのために、第一に異常の発生防止、第二に異常の拡大防止、第三に周辺環境への放射性物質の異常な放出の防止、以上を図るといった多重防護の考え方に基づきまして、設計、建設、運転等の各段階において安全規制を実施しております。
今回の事故は災害に至るものではありませんでしたが、我が国で初めてのナトリウム漏えい事故であり、事故後の動燃事業団の対応等が適切でなかったことから、地元を初め国民の皆様に不信感、不安感を与えたことを十分認識し、事故の反省の上に立ちまして、科学技術庁としてもこの教訓を真摯に受けとめて、改善すべきものは改めるということにいたしております。
今後の原因究明の結果を踏まえまして、事業者である動燃事業団への厳正な監督はもちろん、設計、検査等に係る安全規制面における改善策についても真剣に取り組んでまいりたいと考えております。また、原子力安全委員会における研究開発段階の原子力施設の安全確保のあり方についての検討の結果を十分尊重して対応してまいります。
動燃事業団の回答への対応についてのお尋ねでありますが、二月二十七日、動燃事業団から提出されました回答書においては、科学技術庁の指摘事項を受け、可能なものから早急に改善措置を講じていく考えである旨報告をされております。
指摘事項に対する回答で示された基本的な考え方はおおむね妥当であると考えておりますが、具体的な中身については、現在、引き続き動燃事業団において検討されている状況にあり、具体化されたものから内容をきちんと聴取し、十分実効のある対策がとられますよう厳しく指導してまいることにいたしております。
原子力安全委員会の役割についてのお尋ねでございますが、原子力安全委員会は、事故の発生の翌日、直ちに原子力安全委員を現地に派遣するとともに、行政庁とは一歩離れた立場から原因究明及び再発防止対策等の検討を行うこととし、専門のワーキンググループを設置して、原子力安全委員みずからも参加して四回の現地調査及び八回の会合を開催するなど、原因の背景にまで踏み込んだ独自の調査を実施いたしております。
また、これに加えまして、研究開発段階の原子力施設に係る事故時の情報公開等情報流通のあり方及び安全確保のあり方について真剣な検討を行っております。
原子力安全委員会におかれては、行政庁とは別の客観的な立場から、行政庁の調査検討結果をダブルチェックする役割を持っており、今後、今回の事故に関する原子力安全局の報告がまとまれば、これを含めて独自の立場から調査審議が行われ、原子力安全委員会としての結論がまとめられるというふうに考えております。
スーパーフェニックスの事故の教訓及び「常陽」の成果が生かされていないとの御質問でありますが、原子力安全委員会においては、海外の原子力施設の事故についても、例えば米国スリーマイルアイランド原子力発電所事故やソ連チェルノブイル原子力発電所事故の際、特別の委員会を設置し徹底的に調査審議を行うなど、災害防止上の観点から必要な活動を行っているものと理解をいたしております。
原子力安全委員会は、現在、「もんじゅ」の事故に関し独自の立場から原因究明及び再発防止等について調査審議を行っているところであり、御指摘のスーパーフェニックスの事故の教訓の反映等についても、調査審議の結論が得られた段階でおのずと安全委員会において明らかにされるものと理解しております。
また、原子力安全白書において、みずからの責任や反省について少しも触れられていないとの御指摘でございますが、今般の原子力安全白書は、原子力安全委員会が「もんじゅ」の事故に関し原因究明及び再発防止等について調査審議を行っている最中であり、中間的な段階での内容が記されているものと理解をしております。次の回の原子力安全白書等においては、より明確な内容となるものと理解をいたしております。
なお、原子力安全委員会におかれては、既に研究開発段階の原子力施設に係る事故時の情報公開等情報流通のあり方及び安全確保のあり方の二つの問題について検討の必要性を指摘し、みずから検討していくこととしております。
「もんじゅ」の事故の技術的な面での評価と安全性についてのお尋ねがありました。
第一点目のナトリウムそのものの危険性については、水と接触した場合は激しく反応して水素を発生し、空気と接触した場合には燃焼するということがございます。しかし、水素が発生した場合であっても、空気と触れさせないように水素を的確に処理することにより安全に措置することとしております。また、燃焼した場合であっても、延焼対策を講じることにより事故の拡大を防止することにいたしております。
第二点目のナトリウム漏えいによる原子炉の安全性への影響については、ナトリウムが漏えいした場合、原子炉から発生する熱を取り除く能力が低下し、炉心の安全な冷却ができなくなる等の可能性があります。このため、安全審査の際には、炉心の冷却能力、漏えいナトリウムによる熱的影響等の観点から最も厳しい結果となるナトリウム漏えい事故を想定し、その場合であっても安全性が保たれることを確認しております。
第三点目の温度計さや管のほかに審査対象外のものがあるのではとの御指摘がありますが、安全審査は、原子炉等規制法に基づき、災害を防止する、すなわち最終的に一般公衆の安全を確保するとの観点から必要なものについて審査を行っているものであり、御指摘のとおり、温度計さや管以外にも審査の対象となっていないものがございます。
今後、動燃事業団においては「もんじゅ」の安全について総点検を実施することとしており、科学技術庁としては、機器、設備類の設計施工に見落としがないか十分な措置をとるよう厳しく指導するとともに、この安全の総点検の結果を報告させ、改めて評価を行うこととし、安全の確保に努めてまいります。
第四点目の事故原因の最終報告についてでありますが、今後、蒸気発生器のナトリウム入口部で発見された温度計さや管の破損した細管部を取り出して破面観察等の調査を行うとともに、ナトリウム漏えい燃焼試験を行う必要があると考えており、これらの結果の解析評価を経てタスクフォースにおいて十分最終報告とし得ると判断できる状況になれば、最終報告できるものと考えております。しかし、調査の進展の都度判明した事実を公表することといたしており、できれば今月中にも最新の調査結果についても明らかにする方向で努力をしたいと考えております。
ヨハン・ベネケ博士の指摘についてのお尋ねがございました。
博士は、高速炉で瞬時に炉心から冷却材が喪失し炉心が溶融するという事故に着眼し、その安全評価に用いられている解析コードが適当なものでないということを主張されていると理解をいたしております。
「もんじゅ」の安全評価においては、技術的に起こるとは考えられないケースとして、炉心の冷却機能の喪失と原子炉停止系の不作動が重なり合って発生することなどを仮定し、用いる解析コードの妥当性を含めて評価を行っております。その結果、放射性物質の放散が適切に抑制されることが確認されていると承知をいたしております。
以上、お答えを申し上げました。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/6
-
007・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 照屋寛徳君。
〔照屋寛徳君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/7
-
008・照屋寛徳
○照屋寛徳君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま中川科学技術庁長官から報告がありました高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故に関して質問を行いたいと思います。
さて、昨年一九九五年は戦後五十周年という歴史的節目の年でありましたが、同時に、我が国の国家システム全体において安全神話の崩壊を予兆せしめる年でもあったような気がいたします。
昨年一月十七日に発生した阪神・淡路大震災はその被害の甚大性において都市と建築技術の安全神話を、三月二十日に発生した地下鉄サリン事件などオウム真理教による未曾有の凶悪犯罪は治安と防犯の安全神話を、九月四日に発生した沖縄県でのアメリカ海兵隊員らによる少女暴行事件は日米安保条約という我が国の安全保障の神話を、住専問題は金融システム全体の信用と安全の神話を、そして十二月八日に発生した「もんじゅ」の事故こそは、我が国の原子力行政における安全神話を一瞬にして打ち砕いたと言えるのではないでしょうか。
「もんじゅ」の事故から四カ月余りがたちました。この間、事故原因の究明が進められてきましたが、国民の、とりわけ地元住民の動力炉・核燃料開発事業団と監督官庁である科学技術庁に対する不信と怒りはいまだ消えておりません。
私も、本年三月二十日、福井県敦賀市在のもんじゅ建設所を訪ね、「もんじゅ」に立ち入って事故発生状況等を検分してまいりました。私が現認し説明を聞いた限りにおいて、今回の事故は動燃が言うような想定の範囲の軽微な事故ではなく、極めて重大かつ深刻な事故であります。
高速増殖原型炉「もんじゅ」開発の最大の技術的課題として、ナトリウム使用の技術的困難性、危険性などがこれまでも数多く指摘されてきました。今回の事故はその懸念が現実のものとなったという点で極めて重大であります。また、地元自治体への通報のおくれ、運転手順書いわゆるマニュアルの欠陥、事故発生直後のビデオの隠匿など、動燃の不誠実きわまりない対応が厳しい批判にさらされてまいりました。
去る二月九日に科学技術庁は、「高速増殖原型炉もんじゅナトリウム漏えい事故の調査状況について」を発表しました。この中で科学技術庁は、
一 もんじゅの施設・設備は設計、製作、建設及び試験検査を通じて高い信頼性を確保することとしていたにもかかわらず、現実に漏えいが発生した。二 漏えいを初期の段階で掌握し、火災拡大に至らないように適切に対処できなかった。三 事故後の現場入域調査の結果が、ビデオによる情報を含め、規制当局に正しく提供されず、速やかな公表もされなかった。ことなどについて、「極めて重く受けとめる必要がある」と述べております。指摘事項は至極当然であります。
科学技術庁の調査報告は、事故後の拡大防止について、原子炉を手動で緊急停止すべきであったのに、異常時運転手順書、運転員の判断にミスがあったこと、事故発生第一報体制の不備、不適切な対外情報提供などにおいても安全規制の基本を揺るがす問題があったとの認識を示しております。事故調査は、今後に残された課題も数多くあり、まだまだ不十分で、緒についたばかりと言えましょう。
そこでお伺いいたします。
第一は、事故原因の徹底究明であります。絶対に起きないと繰り返し説明してきたナトリウム漏えい事故の重大性を認識し、事故に関する資料やデータを詳細かつ速やかに公表する姿勢を堅持すべきです。その上で、徹底的な原因究明を当事者と利害関係のない第三者的独立調査機関のもとで行う必要があるのではないでしょうか。
動燃は事故の当事者であり、原子力安全委員会は「もんじゅ」の安全審査を行って合格の判を押してきた当事者であって、今度の事故に対してはむしろ責任をとらねばならない立場にあります。推進の役割と規制の役割を果たす専門家を明確に分離して考えるべきではないでしょうか。調査の客観性を確保するためにも、高速増殖炉を推進してきた科学技術庁から独立した第三者機関に事故原因の究明と今後の対策の検討をゆだねるべきだと思いますが、橋本総理大臣の御見解をお伺いいたします。
第二に、今回の「もんじゅ」ナトリウム漏えい事故の直接原因と言われる二次主冷却系熱交換器の出口付近に設置された温度計の問題です。
ナトリウム温度計のさやの細管部分が折れたのは、高サイクル疲労による破壊の可能性が高いと発表されております。だが、「もんじゅ」においては、温度計の設計だけでなく、炉心の核設計及び液体ナトリウムの伝熱流動設計及び配管システムの構造設計などにも欠陥が指摘されておるのでございます。この際、「もんじゅ」全体の安全性について徹底的な見直しを行うとともに、原子力発電所に対する国の安全審査や検査体制を再検討する必要があると思いますが、科学技術庁長官の御見解をお伺いいたします。
第三に、破壊した温度計さや管が、去る三月二十八日、蒸気発生器のナトリウム入り口部分で発見されました。単刀直入にお伺いいたします。本件温度計は重大な設計ミスではないでしょうか、科学技術庁長官に伺います。
第四に、プルトニウムリサイクル計画についてお聞きいたします。
「もんじゅ」の運転停止や新型転換炉実証炉の建設中止などの実態を踏まえれば、プルトニウムの長期需給計画を早急にかつ全面的に見直す好機だと思います。私は、高速増殖炉を中核とする我が国のプルトニウム計画全体の進め方を見直し、経済、環境、核拡散、地域の安定化などのあらゆる側面から再検討すべきであると提言いたします。その上で、原子力にかえて水力や風力、地熱、太陽光などの自然エネルギー利用を柱に据えた総合エネルギー政策を確立するための研究開発を進めることが必要だと考えますが、科学技術庁長官にお伺いいたします。
第五に、「もんじゅ」の今後についてであります。
高速増殖炉「もんじゅ」の運転再開に当たっては、事故原因の究明結果と防災・安全対策の確立などで地元自治体や住民の合意が得られるまで行わないことを確約すべきと思います。少なくとも「もんじゅ」のシステム全体の安全性を再点検すること、次にシステム全体の製造・施工の再検査であり、最後に液体ナトリウムが漏れても火災・爆発事故に発展しないようにシステムの部分的改造を図ることが必要であるとの専門家の意見を最大限尊重すべきと考えますが、橋本総理大臣の御見解をお伺いいたします。
原子力の開発利用にとって国民の信頼は欠かせません。原子力長期計画でも、国、原子力事業者に対する国民の信頼感、安心感を得ることが重要であると指摘し、具体的には、国民参加型の行政運営、情報公開、情報の提供への一層の配慮、方策の充実を指摘しております。
この点で、高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故に関してさきに指摘した動燃の対応は、国民の信頼を損なうものとして厳しく批判されなければなりません。また、指導監督の任務を負う科学技術庁の責任も重大であります。
今後とも事故原因を徹底的に究明するとともに、地元住民の信頼を回復するため、積極的かつ速やかな情報公開を推進し、地元住民が納得する安全対策が講じられるまで「もんじゅ」の運転再開は凍結するよう強く求めます。
「もんじゅ」の名は釈迦如来の脇士の一つである文殊菩薩に由来すると言われます。文殊菩薩は知恵の象徴でありますが、人類の知恵は原子力を自在に操る技術をいまだ手にしておりません。私は、人間が唯一頼りにすべきは確かな地球の存在そのものであると考えます。
この際、原子力政策、とりわけプルトニウム利用を中心とした核燃料リサイクル計画を抜本的に見直し、高速増殖炉からの勇気ある撤退を求める声が日増しに高まっていることを申し上げて、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/8
-
009・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 照屋議員にお答えを申し上げます。
今回の「もんじゅ」の事故におきましては、科学技術庁の安全規制を行う原子力安全局において、大学、研究機関などの専門家を中心とするタスクフォースを設置いたしまして原因調査等を進めてまいりました。これまでの調査により、先ほど科技庁長官から御報告をいたしましたとおり、ナトリウム漏えいの発生原因などの重要な点が明らかになってまいりました。
また、総理府に設置されました諮問機関であり、国会の同意を得て内閣総理大臣が任命する委員から成っております原子力安全委員会におきましては、独自の立場から原因の究明及び再発防止のための調査審議を行うとされておりまして、専門家グループを設け、現地調査を実施されるなど、鋭意検討が進められております。
私としては、このような体制によりまして今回の事故の調査などが適切に実施されるものと考えております。
次に、「もんじゅ」の運転再開につきましては、私は、地元の方々の同意がない限り原子力行政というものは進められるものではないと思います。その意味で、「もんじゅ」の運転再開のためには、地元の皆様が安心していただける状況をつくり出すことが何よりも大切なことだと考えております。
このためにも、今回の事故につき専門家の知見を結集し、徹底した原因究明を進め、万全の安全対策を講じるとともに、積極的かつ速やかに情報公開を行うことなどによりまして、地元の方々を初めとする国民各位の御理解と信頼を得るよう全力を尽くさねばならない、そのように考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣中川秀直君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/9
-
010・中川秀直
○国務大臣(中川秀直君) 照屋議員にお答え申し上げます。
「もんじゅ」全体の安全性の見直し及び国の安全審査や検査体制の再検討の必要性についてお尋ねがございました。
「もんじゅ」については、徹底的な原因究明を継続し、二度とこのようなことが起こらないようさまざまな角度から安全対策を講じてまいる所存であります。
また、科学技術庁としましては、今回の事故から謙虚に教訓を学び、反省し、改善すべきものは改めるということにいたしております。この中で、事故の原因究明の結果を踏まえて、設計、検査等に係る安全規制面における改善策についても必ず取り組んでまいる所存であります。
温度計の破損原因は設計ミスによるものではないかというお尋ねがございました。
これまでの調査の結果、温度計さや管の細管部が破損したのは、温度計さや管に生じた高サイクル疲労によるものと判断されております。このようなことから、この段階で断定的に申し上げるのは避けさせていただきますが、温度計の設計に問題があった可能性が高いと考えております。
いずれにせよ、現在進めている調査の結果を得て最終的に判断したいと存じます。
エネルギー研究開発に関するお尋ねがございました。
資源に乏しい我が国が後世代にわたって豊かで潤いのある社会を実現していくためには、エネルギーの安定確保が不可欠であります。このためには、省エネルギーに努めるとともに、御指摘の太陽エネルギー等の新エネルギーの開発導入に政府一体となって最大限努力をしていくことはもちろんでありますが、さまざまなエネルギーを最適に組み合わせ、総合的に対応を図っていくことが必要であると考えております。
この中で原子力は、既に我が国の総発電電力量の約三割を担い、その供給安定性や地球環境問題への対応の観点から、安全の確保と平和利用の堅持を大前提として、地元を初めとした国民の理解と信頼を得ていくことが何よりも重要であると思っております。
プルトニウム利用を含めた今後の原子力開発利用に当たっては、核燃料リサイクルの重要性を踏まえつつ、「もんじゅ」の事故の経験を十分に生かし、原子力委員会「原子力政策円卓会議」の開催等により、地元はもとより国民各界各層の幅広い御意見を伺い、これを政策に的確に反映させ、広く国内外の理解を得ていくように努力をしてまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/10
-
011・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/11
-
012・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第二 消防団員等公務災害補償等共済基金法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長菅野壽君。
—————————————
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔菅野壽君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/12
-
013・菅野壽
○菅野壽君 ただいま議題となりました法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本法律案の主な内容は、消防団員等公務災害補償等共済基金を民間法人化し、その経営の活性化及び効率化に資するため、役員の選任、財務等についての政府の関与を縮小するとともに、同基金のほか、自治大臣の指定する法人も消防団員等公務災害補償責任共済事業等の事業を行えるようにすることであります。
委員会におきましては、指定法人制度導入のねらい、消防団員の処遇改善等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して有働委員より反対の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/13
-
014・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/14
-
015・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/15
-
016・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第三 郵政省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長宮崎秀樹君。
—————————————
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔宮崎秀樹君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/16
-
017・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 ただいま議題となりました法律案につきまして、御報告申し上げます。
本法律案は、最近における我が国の郵政行政をめぐる国際的な諸情勢の推移等にかんがみ、郵政行政の強力な推進を図るため、郵政省にその所掌事務の一部を総括整理する郵政審議官を設置しようとするものであります。
委員会におきましては、郵政審議官設置の意義、二十一世紀に向けた情報通信分野の国際的課題、郵政国際協会の活動に関する問題等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/17
-
018・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/18
-
019・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/19
-
020・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第四 郵便貯金法の一部を改正する法律案
日程第五 郵便振替の預り金の民間災害救援卒業に対する寄附の委託に関する法律案
日程第六 簡易生命保険法の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出)
以上三案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長及川一夫君。
—————————————
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
—————————————
〔及川一夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/20
-
021・及川一夫
○及川一夫君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、郵便貯金法の一部を改正する法律案については、要介護者である郵便貯金の預金者の利益の増進を図るため、要介護者が預入する定期郵便貯金について利率の特例を定めようとするものであります。
次に、郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律案については、天災その他非常の災害に際して行われる民間の発意に基づく被災者の救援の充実に資するため、郵便振替の加入者がその口座の預かり金の寄附を郵政大臣に委託する制度を実施しようとするものであります。
次に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案については、近年における保険需要の動向にかんがみ、簡易生命保険の加入者に対する保障内容の充実を図るため、主たる被保険者または配偶者たる被保険者のいずれか一方が死亡した日から年金を支払う夫婦年金保険を設けようとするものであります。
委員会におきましては、要介護者福祉への郵便貯金の取り組み、災害ボランティア口座創設の経緯と支援の拡充、簡易保険の財政状況と今後の見通し等郵政事業をめぐる諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
質疑を終了し、順次採決の結果、三法律案はいずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、郵便貯金関係の二法律案に対し、それぞれ全会一致をもって附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/21
-
022・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより三案を一括して採決いたします。
三案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/22
-
023・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 総員起立と認めます。
よって、三案は全会一致をもって可決されました。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113615254X01019960410/23
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。