1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年五月十六日(金曜日)
午前九時一分開議
出席委員
委員長 綿貫 民輔君
理事 自見庄三郎君 理事 野呂田芳成君
理事 谷津 義男君 理事 柳沢 伯夫君
理事 鹿野 道彦君 理事 中井 洽君
理事 枝野 幸男君 理事 松本 善明君
赤城 徳彦君 臼井日出男君
大原 一三君 金田 英行君
熊代 昭彦君 栗本慎一郎君
杉浦 正健君 谷 洋一君
中谷 元君 中山 利生君
福田 康夫君 船田 元君
山口 俊一君 山本 公一君
伊藤 達也君 石田幸四郎君
今井 宏君 河村たかし君
倉田 栄喜君 斉藤 鉄夫君
富田 茂之君 西田 猛君
増田 敏男君 宮本 一三君
安住 淳君 池田 元久君
古川 元久君 木島日出夫君
佐々木憲昭君 畠山健治郎君
前田 武志君 土屋 品子君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 三塚 博君
国 務 大 臣
(内閣官房長官)梶山 静六君
国 務 大 臣
(総務庁長官) 武藤 嘉文君
出席政府委員
内閣官房内閣内
政審議室長 田波 耕治君
内閣審議官 畠中誠二郎君
内閣審議官 白須 光美君
行政改革会議事
務局参事官 坂野 泰治君
総務庁行政管理
局長 陶山 晧君
総務庁行政監察
局長 土屋 勲君
大蔵大臣官房長 涌井 洋治君
大蔵大臣官房金
融検査部長 中川 隆進君
大蔵大臣官房総
務審議官 武藤 敏郎君
大蔵省理財局長 伏屋 和彦君
大蔵省証券局長 長野 厖士君
大蔵省銀行局長 山口 公生君
大蔵省銀行局保
険部長 福田 誠君
大蔵省国際金融
局長 榊原 英資君
証券取引等監視
委員会事務局長 若林 勝三君
農林水産省構造
改善局長 山本 徹君
自治省行政局長 松本 英昭君
委員外の出席者
参 考 人
(日本銀行総裁)松下 康雄君
特別委員会第三
調査室長 田中 達郎君
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委員の異動
五月十六日
辞任 補欠選任
山本 公一君 栗本慎一郎君
永井 英慈君 河村たかし君
北村 哲男君 池田 元久君
末松 義規君 古川 元久君
木島日出夫君 佐々木憲昭君
同日
辞任 補欠選任
栗本慎一郎君 山本 公一君
河村たかし君 永井 英慈君
古川 元久君 末松 義規君
佐々木憲昭君 木島日出夫君
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
金融監督庁設置法案(内閣提出第六六号)
金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備
に関する法律案(内閣提出第六七号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/0
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001・綿貫民輔
○綿貫委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。杉浦正健君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/1
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002・杉浦正健
○杉浦委員 皆さん、おはようございます。
質疑をしてもいいよと谷津先生に申し上げておいたら、いきなりやれということになりましたので、若干当惑いたしておりますが、金融問題についてはまことにずぶの素人でございまして、御質問申し上げることも、見当外れのこともあるし、あるいは間違っている部分もあるかもしれませんが、そこのところはお許しをいただいて、意のあるところをお酌み取りいただきましてお答えいただければありがたい、まずもってお願い申し上げる次第でございます。
最初に、質問に入ります前に、正直な感想から三点ほど申させていただきたいと思っております。
まず第一点ですが、こういうふうなことになってきた、大蔵省の金融等の検査監督を大蔵省から引っぱがして新省をつくる、そして大蔵省の監督のもとでない、総理府に持っていったというようなことになった背景はいろいろと言われておるところでありますけれども、私は、その背景の一つに大蔵省で起こった、もうかなり昔のような感じになってきましたが、不祥事件が一つの背景にあるのではないかという感じがいたしております。
当時、私は選挙に落選して、捲土重来を期して地面をはっておるときでありましたが、もう名前は出していいと思いますけれども、中島さん、田谷さんのあの問題が起こったわけであります。当然のことながら、世間からも私に大変な反響と申しますか、遠慮のないいろいろな意見が入ってまいったわけでありますが、私もあの状況を拝見しておって非常に残念に思ったわけであります。
役所の中の役所と言われております大蔵省の局長、次官コースを歩むと目されておった人たちがあのようなことをする。公でもないお金を自分の職務室の中でやりとりをする。世間も大変なものでありましたが、私も、少なくとも大蔵省の中心幹部については信頼し得る、信頼しなければ政治はやっていけませんが、そう思っていただけに大変なショックでありました。
大蔵行政、ひいては国の官僚並びに官僚組織に対する国民の信頼を著しく損ねた、全幅の信頼を置けないのじゃないかという疑念を相当世間に広く持たせたという点は、政治家の方も政治腐敗等でいろいろと問題を起こしてきて、それが政治改革のきっかけになったという事情もあるわけでありますけれども、これからの国家百年の大計といいますか国家運営において大きな問題を提起したのじゃないだろうか、こういう感じがするわけでございます。
二つ目の点ですが、制度疲労ということが言われるわけですけれども、大蔵省の幹部の問題、不祥事とも関連いたしますが、大蔵官僚あるいはもう少し広げて官僚全体と言ってもいいかもしれませんけれども、今起こりつつある激変、激動、そういったものにきちっと対応し切れていないのじゃないか。
大蔵省の問題について言えば、そんなに古くまではいかなくとも、新しいところだけでも住専の対策があります。それと並行して大和銀行のアメリカの事件がありました。大蔵省がアメリカ政府に対して相当長期間通報をしなかった。もっと早く通報していれば違った対応をしたかもしれない。あれなどは、私は選挙に落ちておりましたけれども、一体どうなっておるのだという感じを受けたわけであります。住専の対策につきましてもいろいろと申し上げたいことがあるわけであります。
野村証券が今不祥事で問題になっておりますが、犯罪行為をやろうと思ってやる人間のチェックはなかなか難しいわけでありますけれども、証券等監視委員会の機能がどの程度かわかりませんけれども、相当長期間やっておったわけですから、もっと早くチェックできなかったのかという感じもするわけであります。
そういったもろもろ、全体の問題に通じて言える点、第二点、申し上げたいわけですが、ペナルティーが少な過ぎる。大和銀行問題で大蔵省のだれかがきちっと責任をとった、あるいは懲戒処分をしたということは聞かないわけであります。住専問題についてもしかりでございます。
アメリカの金融機関の破綻処理では六兆円とも言われる公的資金を投入したわけでありますが、伝え聞くところによりますと、千五百人ぐらい、いや、もっとかもしれない人間が逮捕、投獄されて刑事責任を追及されたというふうに聞いておりますが、住専問題については受け手の側の何人かが、ひどいのが刑事訴追を受けているだけだ。大蔵省のだれも処分の対象になっていない。日銀その他の官庁、農水省等もそうであります。
日本の社会というのは、どうも無責任体制じゃないか。責任の所在が定かじゃない。翻って歴史的に言うと、明治維新以来あるいはそうかもしれないなという感じもいたすわけですが、あの大東亜戦争まで突っ走った軍部の独走のことを持ち出すとおしかりを受けるかもしれませんが、それを連想したわけであります。
制度疲労ということが言われるわけでありますけれども、この問題、行政改革、これから激動の中で対処していかなければならない日本丸のかじをとらなければいけないわけでありますが、ここのところをきちっとしないといけないのではないかと思うわけであります。
三点目は、何日か前ですか、ある方のパーティーで、竹村さんという評論家ですが、言っておられたことで、おもしろいことを言われるなと思ったのですけれども、今の日本の置かれている状況について、明治維新、戦後の敗戦と並ぶ第三の時期だという指摘がある、第一、第二については外圧があった、今はないのじゃないかというような指摘に対して、竹村さんは、いや、圧力が違うのだ、第一、第二は、言ってみれば明治維新と敗戦というのはピンポイント的な圧力だ、今度のは大波のようなものだというような表現をされていて、例え方として適切かどうかは別として、おもしろい表現だなと思いましたが、今私ども当面しているのは、津波、大津波だろう。
しかも、連続してどんどん押し寄せておる。規制緩和もそうですし、グローバライゼーション、自由化、すべてそうでありますが、次々と大津波が日本の東西南北から押し寄せておる。もう既に、一部水浸しになって困っている人もおる。遠くの方には、何十メーターかわからないけれども、大津波の白い波が見えておる。それが幾つも押し寄せてきているなという感じを受けないでもないわけであります。
金融問題について言えば、護送船団方式と言われるやり方で戦後一貫してやってきたわけであります。外為法の改正も通ったわけでありますが、その他、この問題もそうですし、いろいろと、いわゆるビッグバンと言われるところに向かって、金融、経済の関係では規制緩和をし、市場原理に基づく方式にする、自己責任原則を徹底させる。
それはそれで結構なことでありますが、本当に、今申し上げたような体制の中で、民間でも野村証券のように、あれも護送船団方式の結果か知りませんが、銀行業界も住専問題の責任をとったのかどうかわからない不明確な状況の中で、この大津波を受けて、沈没はしないでしょうけれども、国民生活、経済の面で大破綻が来ないという保証があるかどうか、心配をいたしておるわけでございます。
三点ほど心配な点を申し上げました。避けて通れない津波を受けていく状況に日本はあると思うわけであります。
そこで両大臣、御多忙のところ御出席賜っておりますが、つまらない感想を申し上げましたが、この大蔵分割案に臨んでおられる大臣としての御心境について、お二方からまずお伺いできればと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/2
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003・梶山静六
○梶山国務大臣 ただいま委員から、今回に至るまでのいわば時代背景、こういうものに対する率直な御意見の開陳があったわけであります。
確かに戦後、拡大経済の中で、人間が油断をし、そして慢心をし、そして堕落をしたという個人の一面がございます。それから組織としても、考えてみますと、これでやってこられたんだからこれからも大丈夫だといういわば自己保身というか、自分の組織に対するいわば忠誠心というか、そういうものがみずからの誤りを正す勇気に欠けていた。
こういう問題があるのと、今御指摘になりましたように、大変大きな津波というか、うねりというか、そういうものがあるということは、今日本独自の風土というか、独自の習慣、独自の慣習ではやっていけない国際化という波にさらされているというこの現実を見定めないと、この問題の解決はできないという感じがいたします。
そういうものを考えまして、特に住専問題というものに端を発しまして批判の大合唱が起こり、今までの組織でいいのかという問題があったわけであります。ですから、確かにその住専処理、住専問題を起こした背景というのは、指導や監督というものと、それから検査監督、企画立案とか、そういう分野が一緒になって、二枚鑑札でやっていいのかという、私は俗な言葉で言うんですが、二枚鑑札ではいけないんで、画然と分けなきゃならない、そういう思いがいたします。
今私は、態度で示そうということで、大蔵大臣と一ついすを置いて座っております。お互いに声をかければかけ合える場所ではありますが、はっきり一線を画するということがこれからの大切な業務である。そして、今度の金融監督庁を発足させた大きなエネルギーはやはり、今までの大蔵ではだめだという一つの大合唱があったわけであります。
その中から、例えば与党においても、大蔵の改革案というのは昨年の九月に出された。それがだんだん収れんして金融行政機構案というものが去年の暮れ出され、それにのっとって今回のいわば法案が整備をされたわけであります。
いずれにいたしましても、そういう反省のもとに、截然としたいわゆる区分を決めてやることによって金融に対する信頼の回復を図ってまいろう、そういう思いがひしひしとするわけであります。
いずれにしても、この機構を十二分に生かしていかなければならないという決意に燃えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/3
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004・三塚博
○三塚国務大臣 在野の苦悩の国民の声をベースに、ただいま大津波と表現しながら、三つの問題にどう対応するかという端的な指摘であります。同感でございます。
しかし、今度の金融改革、大改革と言ってよろしいかと思います。外為法、そして日銀法、そして金融監督庁、それぞれが独自性、独立性、そして透明性を持って事に当たろう。物事ができますと、さしたる評価にならぬものであります。これは、私自身もそうでありますが、大蔵省の諸君も含めまして、住専問題を契機とした国民各層からなされましたさまざまな批判を率直に受けとめて、ベストな道は何か、こういうことの結果であります。
もちろん、中銀研、審議会、そして与党三党の提案、各党の国会議員の各位の声、国民の声を踏まえてこれをやるわけでございますから、思い切った改革であり、このことは、日本の金融体制、経済の血液でありますから、我が国経済の、民需を中心とした内需を基本として、安定成長、それもインフレなき持続成長、こういうことになるだろうと思います。触れられました責任原則、自己責任の問題、この徹底と市場規律の十分な発揮がこれによってもたらせるだろうと思っております。
そういう中で、野村の問題が出ましたこと、極めて遺憾千万、ざんきの至りであります。本件は、証券第一次事件を契機として独立した委員会とし、証券等監視委員会、公正な取引が行われるよう、法令に違反することのなきよう、こういうことで、信認を得るためにスタートを切ったさなかで起きたことでございますから、証券監視委員会の勧告を待って、厳正に対処をしてまいらなければならぬ。二度とこういうことが起きてはなりませんし、金融システム、いわゆるビッグバンということで、痛みをお互い伴うことを覚悟の上でこれを突破することによって、新しい時代が生まれる、こういうことでお取り組みをいただいておるところでありますので、また格段の御鞭撻を賜りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/4
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005・杉浦正健
○杉浦委員 野村証券の問題について、ただいまきちっと対処するというお話があったわけですが、野村証券さんについては、表現は悪いですが、前科がありますね。今度で二度目であります。しかも、野村証券さんの前に高島屋さんとか味の素さんとか、同種類の、大企業の中で不祥事が発覚した直後の問題でもありました。
この金融監督庁の設立が目指されている重大な背景の一つでもあると思うわけでありますが、私としては、この際、厳正に対処するということの中身でありますけれども、きちっと処分をする。まだ監督庁はできておりませんから大蔵省がやるわけですが、免許の停止あるいは取り消しという処分もできるわけでありますから、優秀な人材の集まっている野村証券さんのことです。野村証券が真に再生をして新しい企業に生まれ変わって、新しい証券界を担ってもらうためにも、この際は、今までのような生ぬるい処分ではなくてきちっとした処分をしていただきたい、こう私は個人的に願っておるわけですが、今おっしゃられた大臣の厳正に対処する内容についてお伺いできればありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/5
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006・三塚博
○三塚国務大臣 今、調査、捜査が進行中であります。これをベースに勧告がなされるわけでございますから、勧告を受けて厳正対処というのは主管大臣の責任かと思いますので、御理解くださ
い。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/6
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007・杉浦正健
○杉浦委員 おっしゃるとおり目下検察庁で捜査中でありますから、その結果を見た上で、万一事態が野村証券のトップに及ぶような、そういうような報道もありますけれども、そういうようなことがあれば、これはもう免許の停止ということもあり得る処分をお考え賜りたいとお願いを申し上げておく次第であります。
法案の中身に入ってまいりますが、この法案の提出に至る過程におきましては、柳沢理事からも質疑があったとおり、自民党内においてもかんかんがくがくの議論がございました。私も、当選させていただいてその議論の端くれに何回か座らせていただいたんですが、そして与党三党の政権でありますから三党の協議も行われて、与党の自社さきがけの三党合意ができておるわけであります。
十二月何日ですか、資料に配付されて、調査室がつくってきた資料にも載っております。これがこの法案のもとになっておると思われますので、委員長のお許しをいただきまして、これを見ながら質問したいと思いますので、私の質疑の中にこの三党合意を添付していただければありがたい。一々読み上げるのは大変なものですから、お許しを賜りたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/7
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008・綿貫民輔
○綿貫委員長 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/8
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009・綿貫民輔
○綿貫委員長 速記を始めてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/9
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010・杉浦正健
○杉浦委員 この三党合意、昨年の十二月二十四日付ですが、国際競争力強化、自己責任制度の確立を目標として、市場原理を基軸とした透明度の高い公正な金融行政を目指すという趣旨でこの改革を進めようということになっておるわけであります。
この金融監督庁の問題は、その三党合意の一の(2)に当たると思います。一の(2)の①から⑨まであるわけでございますが、この三党合意がこの新庁原案に、拝見すると反映されておるというふうに見られるわけであります。その⑨というのが「預金保険機構のあり方については、今後さらに協議する。」ということになっておりますが、この問題も、企画立案と監督検査を分けて盛り込まれておりますから、一応この金融の検査及び監督体制の改革、新機関の設置、新庁の設置という三党合意の内容はこの原案にすべて入っておるというふうに理解してよろしいかと思いますが、事務局の方、それでよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/10
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011・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
委員御質問のとおり、今般の金融行政機構改革の法案につきましては、昨年末に与党三党で合意を見ました改革案の内容に沿いまして、それを具体化したものでございます。
先ほど御指摘のペーパーにもございましたが、それに順次沿って申し上げますと、具体的には、まず民間金融機関等に対します検査及び監督を所掌いたします国家行政組織法第三条に基づく新機関といたしまして、金融監督庁を総理府に設置することといたしております。
また、現在大蔵大臣と各省大臣との共管になっております民間金融機関等につきましては、内閣総理大臣と各省大臣との共管とすることといたしまして、また、金融監督庁は、金融・証券取引制度の企画立案についての意見を大蔵大臣に述べることができるほか、長官及び大蔵大臣が相互に緊密な連絡をとることとしているところでございます。
さらに、破綻処理に関しましては、通常のケースにあっては監督庁が現行法令のもとでの既存の方策により対応することといたしまして、現行法令下での既存の方策により対応するのみでは信用秩序の維持に重大な影響を与えるおそれがある場合には、金融監督庁と大蔵省が協議等を通じまして適切な連携を図ることといたしております。
さらに、証券取引等監視委員会につきましては、合議制機関としての現行の体制のまま金融監督庁に移管することとしており、地方の検査及び監督は、既存の地方支分部局でございます財務局を活用することといたしているところでございます。
なお、預金保険に関しましては、企画立案と検査監督というこの区分の考え方を延長したというもので、預金保険機構の資金援助に係る……(杉浦委員「余り詳しくはいいです。要するに、このとおりにやっているということですね」と呼ぶ)はい、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/11
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012・杉浦正健
○杉浦委員 ③に人事のことについての記載があるわけですが、この問題に関連しまして、大蔵省から分離する金融監督庁と大蔵省の間で人事を遮断しろ、出る人については片道切符にしろという意見が世間にはあるようでございますが、私としては、省庁の人事交流というのはむしろした方がいい。大蔵省の金融検査のプロが金融監督庁に移るわけでありますけれども、できるだけ広い視野を持ってもらった方がいいし、プロはプロとしていろんな官庁との交流があった方がいいとむしろそう思うんですけれども、これは省庁間の緊密な連携をとるとかいうような点からも必要だと思う一のですけれども、どうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/12
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013・畠中誠二郎
○畠中(誠)政府委員 お答えいたします。
金融監督庁の大事につきましては、任命権者たる長官の人事権が厳正に確保されることを当然の前提といたしまして、長官がその判断により業務を的確に遂行できるよう適切に人事権を行使し、望ましい人材を確保していくべきものであるというふうに考えております。
御指摘のように、金融監督庁と大蔵省等との人事交流を一般的に遮断するかどうかにつきましては、まず、省庁間の人事交流は、いわゆる縦割り行政の弊害の是正に資するものであるということ、さらに、国民に信頼される金融行政を実施していくためには、検査監督の実務と制度の基本等の双方に通じた人材を養成する必要があることなどの点も十分に踏まえるべきであるというふうに考えております。
いずれにせよ、金融監督庁長官が厳正に人事権を行使いたしまして、適切な人事を行っていくことになるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/13
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014・杉浦正健
○杉浦委員 ⑧についてですが、地方の検査監督については大蔵省の財務局を活用するということになっております。この資料を拝見すると、調査室のつくった資料ですが、平成九年度の地方財務局の検査関係職員数は四百二十六名ということで各財務局におられるようであります。いろいろお話を伺うと、これらの四百二十六名の方々はほとんどといいますか、金融監督庁の仕事をやるということであります。だから、金融監督庁の仕事をするんだったら財務局に置いておかないで、支分局をつくってそこへ置いたらいいじゃないかという議論も当然出ておったわけでありますが、原案においてはそのままで、身分は大蔵省のままでそれらの人々を活用するということになったわけであります。
新たな地方支分局をつくるということは行革の観点からも問題だということも思いますし、結論は妥当だと思いますが、しかし批判としては、地方の検査については、財務局にいるわけですから、金融監督庁の直接の監督のもとじゃありませんので、結局大蔵省の言いなりになってしまうんじゃないか、思うがままになるんじゃないかという批判もあるわけなんですが、この点についてはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/14
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015・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
地方の検査監督につきましては、御指摘のとおり、昨年末の与党の合意を踏まえまして、行政改革の意義に照らして既存の地方支分部局を活用することといたしたところでございます。このような基本的な考え方のもとで、金融監督庁長官は、その権限の一部を財務局長に委任することといたしておりますが、この委任されます事務に関しましては金融監督庁長官が財務局長を直接指揮監督するということにいたしております。
したがいまして、地方におきます検査監督事務は、長官の指揮監督のもとで、今般の金融行政機構改革の趣旨に即しまして的確に実施されるものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/15
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016・杉浦正健
○杉浦委員 その⑤のところ、前後しますが、新機関、新庁は、破綻処理にも対処する、「現行スキームを超えるおそれのある場合には、大蔵大臣と協議の上、適切に対処する。」というのがこの新庁法に盛り込まれておるわけであります。これからの大波を迎え撃つにあっては、実はこの点が一番大事だろうと推測されるわけなんですけれども、市場原理を基軸とする自由競争を前提とするということになりますと、当然落ちこぼれるところが出てくる。金融機関では破綻するところも出てくる。保険会社も、日産生命さんですか、つい最近そういう状態になったわけでありますが、これからも出てこないとは限らないわけであります。そういったものに、いわば金融の危機管理と申しますか、それにどう対処するかというところが一番問題であって、また万全を期さなければならない、言うまでもないところでございます。
今まで大蔵省一本であったわけですが、今度は役所が二つに分かれるということになりますと、検査監督という部門と企画立案という部門が相協力してこの金融システムの、信用の維持を図る必要があることは申し上げるまでもないことでございます。この三党合意に指摘する、現行スキームを超えるおそれのある大きな破綻処理については、内閣が全体として責に当たることは当然のことでございますが、この新法で、銀行等の業務停止命令、免許取り消しにつきまして、一定の場合に長官が大蔵大臣と事前協議するという仕組みが入っておりますが、それもそういう趣旨だろうと私は理解しておるところでございます。
この協議規定があるために、金融機関の破綻処理に関して、実質的には金融監督庁が大蔵省のコントロールのもとに入ってしまうのじゃないかという指摘、御批判もあるわけでございます。党内にもいろいろと議論があったところでございます。したがって、この協議ということの内容についてお伺いしたいわけですが、この趣旨は一体どういうことなのか、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/16
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017・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
お尋ねの協議規定の趣旨につきましては、これは業務停止命令や免許取り消し、こういう処分自体の是非を大蔵大臣と協議するという、それ自体を対象とするものではございません。
業務停止命令の対象となるような金融機関等の破綻処理に関しまして、現行法令のもとでの既存の方策により対応するのみでは信用秩序の維持に重大な影響を与えるおそれがある場合におきまして、御指摘のとおり金融危機管理に万全を期する、そのために、金融監督庁長官がその判断によりまして、制度の企画立案機能を担っております大蔵大臣と協議を行いまして、法令改正を伴う新たな措置の策定等の最善の方策を見出すこととしている、こういう趣旨によるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/17
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018・杉浦正健
○杉浦委員 そうしますと、この協議というのは、信用秩序の維持に重大な影響を与えるおそれがあると長官が認めるときに行うんだと。今までの破綻処理のスキームは、いろいろと二信組の問題から始まって先例が幾つもできておるわけですが、そういう先例を踏まえてどんどん対処していく、金融監督庁が対処していく。金融監督庁が対処できると判断するものについては協議しない。それを超えると申しますか、それで手に負えないといいますか、重大な影響が出ると認められる場合について長官が申し出る、その場合に協議が行われる。長官がそのように認めないときには協議は行われず、金融監督庁の判断でどんどん破綻処理を進める、こう理解してよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/18
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019・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、金融監督庁長官が、金融機関等の破綻処理に関しまして、現行法令のもとでの既存の方策により対応することによりまして信用秩序の維持に重大な影響を与えるおそれがないと判断いたしました場合には、この協議を行うことなく、長官が現行法令からの方策によりまして対処することになるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/19
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020・杉浦正健
○杉浦委員 次に、この三党合意の一の(1)「大蔵省の金融部局の改革」についてお伺いしますが、これは①から③まであって、その③の「官房金融検査部は、新機関に移す。」これはもう組織上移ることになっているようですからいいわけですが、この①、②の部分につきましてはどのようになっておるのか、進んでおるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/20
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021・武藤敏郎
○武藤政府委員 与党合意の第一項目めの「大蔵省の金融部局の改革」でございますが、「銀行局、証券局を廃止し「金融局」(仮称)として統合する。」それから、「国際金融局については、現在担当している機能の一部を金融局に移管しつつ、当面は今の体制を維持する。」というふうにされております。
私どもといたしましても、近年におきますデリバティブ等の業態間にまたがる金融サービスの出現、あるいは金融市場のグローバル化などの新たな金融行政の課題に対しまして迅速かつ的確に対応していくためには、この縦割りの業態や業法を前提とした現行の組織を改めまして、市場原理を基軸とした業態横断的な制度やインフラの整備を行う、そういうことに適した組織構成とすることが有用というふうに考える次第でございます。
そこで、この昨年末の与党合意を踏まえまして、政府としても行政改革プログラムにおきまして同様の趣旨を決定しておるわけでございますけれども、この金融局におきまして、金融・証券取引全般にわたる制度の企画立案のほか、金融・証券取引に関する行政事務で金融監督庁の所掌に属さないもの、これはいろいろあるわけでございますけれども、そういうものを所掌する部局として金融局に統合したいというふうに考えております。
具体的には、この金融監督庁の発足が、平成十年の四月から七月までの間に政令で定める日から発足ということにされておりますので、それと同時に設置するということにしたいと思っておりますが、こちらは政令改正事項ということになる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/21
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022・杉浦正健
○杉浦委員 三党合意の大きな二、「財政と金融の分離等」、これにつきましては、目下、霞が関大改革、あるいは政府系金融機関のあり方、特殊法人の統廃合というようなことで政府・自民党を挙げて取り組んでおるところでございますので、これからの問題ということになるわけですが、この中で「金融と財政の分離を明確にする。」というのが一項目に載っておりますが、これはちょっと私よくわからない点もあるのですが、大臣、「金融と財政の分離を明確にする。」というのはどういうことでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/22
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023・三塚博
○三塚国務大臣 かねがね、金融は金融、財政は財政でやられた方がオープンであり、透明性があってよろしいのではないか、こういうことでありますし、そういうことに尽きるのですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/23
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024・杉浦正健
○杉浦委員 あと一つ三党合意はあるわけですが、大きな三、「日本銀行法の抜本的改正」、これは現在審議中の日銀法の改正ということでこの三党合意は盛り込まれておる、こう理解してよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/24
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025・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
日本銀行法案につきましては、日本銀行の金融政策の独立性とその意思決定の透明性を高めるとともに、日本銀行の適正かつ効率的な業務運営を確保する必要がございます。したがいまして、政策委員会の権限の強化とその議事要旨の速やかな公表などの措置を講じているところでございます。
これらの法案、今御審議を賜っているところでございますが、この法案の中身は、昨年六月の与党三党で合意されました、中央銀行としての独立性と政策決定責任をより鮮明にする方向で日本銀行法改正を図る必要があるとの基本方針及び御提言されております八項目に完全に合致したものとなっていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/25
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026・杉浦正健
○杉浦委員 要するにこの三党合意に基づいてやっているということですね。それを確認いたしたかったわけであります。おおむねこの三党合意に基づく金融行政機構等の改革については粛々と進んでおる、こういうふうに理解できるのではないかと思います。
若干見方を変えますが、新庁、金融監督庁ができることによりまして大蔵省は一体どういうふうに変わるのかという点について、まずお伺いしたいと思います。
まず権限でありますけれども、大幅に減るというのは改めて法律を読み直してびっくりしたわけであります。資料にございます大蔵省設置法の新旧対照表、総理府が作成した資料の関係法律の整備に関する法律案新旧対照条文、この六ページ以降、六、七、八に大蔵省の所掌事務の新旧対照があるわけでありますが、一から百二十九まであって、関連の金融のところだけ書いてあるわけですけれども、大半の部分、監視、免許・監督に関すること、検査に関すること、監督に関すること、金融監督庁に所掌事務、その権限が第五条であるわけですが、権限もそれに伴って移っておりますけれども、金融に関する大半の権限が大蔵省から減るということに相なるわけでございます。大幅な減だ。それが金融監督庁に移るということであります。
人員がどうなるのかということをお伺いしたいわけなのですが、現在の大蔵省銀行局、証券局からかなりな人が、つまり金融関係の検査監督のプロの人たちが新庁に移る、当然のことであろうと思いますが、それはどの程度になるかということをお伺いしたいと思うのです。
まず、大臣官房の金融検査部、管理課、審査課、これは調査室がつくっている資料の八十一ページに大蔵省の資料としてあるわけですが、この金融検査部というのは定員百五十人ですが、平成九年度、丸々移る、こういうふうに理解してよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/26
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027・畠中誠二郎
○畠中(誠)政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/27
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028・杉浦正健
○杉浦委員 銀行局、定員百三十四名、平成九年度、証券局、定員八十七名ということなのですが、このうち検査監督をしている人と企画立案をやっている人と、一人が二役を兼ねておったり三役を兼ねておったりいろいろ、分離されていないわけです。銀行局、証券局、総勢二百二十人ぐらいおられるわけですが、この中からももちろんそれぞれの所掌の分野で、例えば銀行局の銀行課であれば都市銀行、地銀の一部を監督しておるわけでありますが、その担当しておった人が移る。特別金融課というのは政府系金融機関担当のようですが、これはそのまま全員が大蔵省に残るでしょうが、中小金融課あるいは保険部、保険一課は生保、二課は損保ということですから、保険部からも移る。
現時点では庁もできておりませんし、予算もありませんし、定員も決まっておりませんからあれですが、銀行局、証券局からある程度の人が大蔵省から移る、これは言えるのでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/28
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029・畠中誠二郎
○畠中(誠)政府委員 御指摘のとおり、証券局、銀行局からも相当の定員が新庁に移ってくるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/29
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030・杉浦正健
○杉浦委員 そういたしますと、権限の面では、金融の検査監督についての権限が大幅に大蔵省から抜けて新庁に移る。人員も最低、官房検査部の百五十名を含めて、恐らく二百名かそれを超すかはまだ言えないのでしょうけれども移る、大蔵省の本省定員は二千名弱でありますが、かなりの人員が移る、権限の面でも人的要素でも新庁に移る、大蔵省に残る金融関係は企画立案だけだ、こういうふうになるわけですが、極論すれば、企画立案というのはわかったようなわからない言葉なのですが、やることがなくなるんじゃないか、大蔵省。そんなことは、極論は言えないでしょうが、一体企画立案というのはどういうことをやることになるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/30
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031・武藤敏郎
○武藤政府委員 大蔵省に残ります企画立案機能につきまして具体的なお尋ねでございますけれども、金融及び証券取引全般にわたります制度の枠組みの構築と取引ルールの整備、一言で言えばこういうことでございます。
通常、法令レベルの事項にこれがわたる場合には、法令の制定、改廃に係る事務が含まれるわけでございます。さらに、もうちょっと具体的に申し上げますと、例えば最近の例で申し上げますと、昨年金融三法を制定いたしまして、不良債権問題の早期解決等のための法的整備を図ったわけでございますが、これは企画立案の典型的な例でございまして、今後とも、例えば持ち株会社が解禁された場合にどう金融関連法案が整備されるかとか、あるいは、証券業等の参入に係る規制を見直す場合には、それが企画立案になるというふうに考えております。
取引ルールでも、例えばインサイダー取引規制の導入等が過去においてございましたが、今後とも公正な取引ルールというものを整備していく、さらには、最近言われますように、業態にとらわれない自由な市場参入、多種多様な金融サービスの提供といったようなことになりますと、この業態横断的なルールの整備が必要になりますが、こういうものも取引ルールに、典型になるだろう。
さらには、これが企画立案でございますけれども、大蔵省は、日本銀行、これは銀行券を発行するということが本質的な任務でございますので、日本銀行の所掌、それから政府関係金融機関等の所掌といったようなことがあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/31
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032・杉浦正健
○杉浦委員 大変理解しないでつまらない質問をして申しわけなかったと思いますが、これからビッグバンがありますし、対応しなければならない問題は山積するわけであります。そこのところは、二つに分かれますが、しっかり協力してうまくやってもらいたいうまくといいますか、万一ということがないようにきちっとやってもらいたいということを希望しておきます。
ところで、新庁の機構、人員はどうなるのかという点についてお伺いをいたしたいと思います。
まだ、もちろん法律は通っておりませんし、定員の問題等はこれからですし、来年度の予算もあることですから、はっきりしたことは言えないでしょう、大まかなことで結構ですが、お教え願いたい。
お聞きしたい一つのポイントは、太るのか、やせるのかということですね。大蔵関係等から新庁に移られる人よりももっとたくさんの人が要るのか。つまり、一本でやっていったときの方が少人数でできる、新庁をつくったために人数がふえて行革に逆行するのじゃないかというような心配もする人もありますので、そのあたりをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/32
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033・畠中誠二郎
○畠中(誠)政府委員 お答えいたします。
新庁の機構の点につきましては、今後具体的に検討していくことになりますが、金融監督庁には現在大蔵省が所掌しております民間金融機関等に対する検査監督事務が移管されることになりますので、金融監督庁の設立時には大蔵省の組織の大幅な縮減が伴うということになりまして、両者あわせて行政改革に反するということにはならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/33
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034・杉浦正健
○杉浦委員 ということは、太らないと理解していいわけですね。やせるとは言えるかどうかわからないけれども、太らないということで理解してよろしいわけですね。いいですね。──そのようです。
大分時間もなくなってまいりましたので、絞りたいと思いますが、この監督庁で、長官にどういう方がやっていただくかというのが一番重要だということは再三議論されているところであります。大変な重責を担われることになるわけでございます。官房長官も再三、長官がだれなのか最も重要であると言っておられるところでありますが、官房長官いらっしゃらないのですけれども、大臣がお見えですから大蔵大臣にお伺いしますが、どういう人を任命されるべきだ、官房長官とお考えは違うかもしれませんが、例えば大蔵省から局長クラスを持ってきて充てるとか、官僚の中から出すのかとか、民間人を登用するとか、具体的に、優秀な人を持ってこなければいけないわけですが、お考えのあるところをお聞かせいただければと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/34
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035・三塚博
○三塚国務大臣 これは段々の御質疑で明らかになったように、執行機関としてその目的を達成する、こういうことであります。よって、成立をいたしますと、そこから大事に入るわけでありますが、内閣総理大臣、主管大臣でございますから、総理大臣の決するところ、こうなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/35
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036・杉浦正健
○杉浦委員 もちろん、その長官をだれにするかによって、場合によったら反対するぞという方もいらっしゃると思うのですね。総理大臣、それはおっしゃるとおりなので、大蔵大臣にお伺いするのは筋違いなのですが、ひとつ金融業界の非常に精通した、まあ役人でない方がいいと思うのですが、立派な方を御選任賜りたいと願っておるところでございます、法律が通った暁はでありますけれども。
それから、最後に人材の確保ということについてお伺いしたいと思います。
長官の名において検査監督を行うわけでありますが、実際、検査監督事務に従事するのは職員であります。事業は人なりという言葉がありますけれども、現在の大蔵省の検査監督のプロフェッショナルが金融監督庁に集結するわけでありますけれども、そういった人材を確保し、育成し、充実していくということがこの金融監督庁あるいはこの制度改革の所期の目的を達成する根幹の一つだということは言えると思います。
機構、定員等、充実を図るという点について、どのように考えておられるか、お伺いしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/36
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037・白須光美
○白須政府委員 先生御指摘のとおり、検査監督事務の大蔵省からの移管、またこれに伴います定員の振りかえなどによりまして、当然これに伴いまして、このような事務に従事してきました者などの相当数を金融監督庁に移しまして活用していくということになるわけでございますが、単に移して活用するということだけではなく、近年におきまして、非常に国際取引あるいはデリバティブその他の高度な技術といったようなものが出ているわけでございますので、こういうものにつきまして研修等を充実する、その他一層の研さんを積みまして人材の充実に努めてまいることになろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/37
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038・杉浦正健
○杉浦委員 以上で終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/38
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039・綿貫民輔
○綿貫委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
ただいま議題となっております両案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/39
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040・綿貫民輔
○綿貫委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/40
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041・綿貫民輔
○綿貫委員長 次に、倉田栄喜君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/41
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042・倉田栄喜
○倉田委員 新進党の倉田栄喜でございます。
ちょっと両大臣、今、席を外しておられますので、ただいまお決めいただきました日銀総裁、お見えでございます。そちらの方からお伺いをしたいと思います。
まず、さきの四月二十四日の本会議で、私は、総理が昨年十一月十一日に示されました「我が国金融システムの改革 二〇〇一年東京市場の再生に向けて」、金融・資本市場改革に当たっての基本的な考え方、この点からお尋ねをさせていただいたわけでありますけれども、きょうもこの点を基本に据えてお伺いをさせていただきたいと思います。
総理が基本的な考え方で示されました金融市場改革の三原則、「フリー 市場原理が働く自由な市場に」「フェア ルールの明確化・透明化、投資家保護」そして「グローバル 国際的で時代を先取りする市場に」そういう東京市場をつくり上げていく。そのフリー原則の中で、さらに具体的な検討項目の中でこういう項目が上がっております。「一千二百兆円の個人貯蓄の効率的運用(資産運用業務規制の見直しとディスクロージャーの充実・徹底)」これはさきの本会議で総理にもお尋ねしたことでありますけれども、時間の関係で、必ずしも総理のお答えに私は満足をいたしておりません。
そこで、まずこのいわゆる個人貯蓄一千二百兆の運用という観点からお聞きをいたしたいと思います。
まず大蔵省に、この一千二百兆、こういうふうに言われるわけでありますけれども、これは正確にはどういう数字なのか。例えば、個人貯蓄が一千二百兆だとすれば、預貯金の法人貯蓄というかそういうものはまた別にあるわけですね。その辺のところも含めて、一千二百兆という数字がどの時点で、正確にはどういう数字なのか。あるいは、法人貯蓄みたいなものが個人貯蓄以外にあるとすれば、それはどういう数字になっているのか。わかっておればお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/42
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043・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
個人金融資産千二百兆と言われておりますが、正確に申し上げますと、平成八年の九月末で千百九十二兆四千五百二十億円でございます。
その内訳を御紹介いたしたいと思いますが、現金通貨が三十五兆九千七百億円、要求払い預金が八十三兆七千二百億円、定期性預金が、これが一番多うございますが五百四十四兆三千七百億円、譲渡性預金が六百億円、非居住者円預金・外貨預金が二千四百億円、信託が七十七兆二千八百億円、保険が、これも比較的多いのですが二百九十九兆九千七百億円、有価証券が百五十兆八千四百億円でございます。これは個人でございますので、法人等は含まれておりません。(倉田委員「法人は」と呼ぶ)法人の、ちょっと今資料としては別の統計でございますが、企業の貯蓄として七百十八兆というのを手元には持っておりますが、この整合性、同じ資料から出ているかどうかの確認がとれておりませんので、比較できるかどうかは御容赦いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/43
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044・倉田栄喜
○倉田委員 これは私、本会議でも総理にお尋ねをいたしましたけれども、一千二百兆の個人貯蓄の運用、これは我が国にとっても企業にとっても、企業は今七百十八兆、比較できる数字かどうかわからないというお答えでありましたけれども、これだけの貯蓄というものがどう運用されていくのか、我が国にとっても非常に大きな問題であります。
一方で、これは日銀総裁にお尋ねをいたしたいところでありますけれども、今我が国が金融政策としてとっておりますいわゆる低金利政策、超低金利政策と言われるこの金利政策、これを今までとってこられた理由、そしてさらに今後もとり続けなければならない理由は一体何なのか。
この間、総理は、確かに預金者の皆さんには大変なのかもしれないけれども、我が国景気の全体の浮揚に役立っているわけであるから、それは結局全体としてその方々にもプラスになっているんですよ、こういう御趣旨の御答弁ではなかったかと思うのです。しかし、これは言われていることだと思いますけれども、経済活動には生産、支出、分配、この三つの顔があって、確かに生産部門については金利を下げるということで生産意欲を活発化させているかもしれないけれども、果たして支出、分配の方でどうなのか。このあり方をゆがめているのではないのかどうか。
さらに、今のこの金利の水準〇・五%、これは、これほどの金利の水準を維持しなければならないほどの我が国の経済の状況であるのかどうかということも私は気になっているわけであります。ことしの一月の経済企画庁の調べでは、期待成長率が大体年二%くらいいっている。いろいろ数字の見方はあるのかもしれませんけれども、こういうことを踏まえたとしても、日本経済がこの〇・五%、これはいわば大恐慌時代のそういう金利水準なのではないか。これを今後なお、いわゆる超低金利政策というのを続けていかなければ──今まで続けた理由、今後もまたその方向を目指さなければならないのかどうか、そこをどうぞ日銀総裁、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/44
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045・松下康雄
○松下参考人 私どもといたしましては、これまで日本経済を自律的な回復軌道にしっかりと移行させるということをねらいといたしまして、思い切った金融緩和措置を講じてきたところでございます。そういった政策効果の浸透もありまして、景気は現在のところ基調的には緩やかな回復を続けております。
ただ、そうは申しましても、日本経済は依然バブル崩壊の後遺症でありますバランスシート調整ですとか、また新しい国際環境下での産業構造調整の途上にあるわけでございまして、また当面は財政面からの影響が最も強くあらわれるその局面に入ってきてもおります。こういった状況のもとで、低金利など現在の金融緩和基調は、経済が自律的な回復軌道にしっかりと移行していく上で大事な役割を果たしているものと認識をいたしております。
また、このように金融緩和を通じまして経済活動を活発化させるということは、生産部門などの経済活動の活発化によりまして、雇用の回復とか所得の増加というように分配のパイの全体が大きくなるという形で国民に広くメリットを及ぼしてまいるものと考えております。
ただ、もちろん私どもも、一口に国民や家計と申しますけれどもそこにはいろいろな世帯がありますことは十分認識いたしておりますし、また、金利収入に多くを依存していらっしゃる家計の皆様方の御苦労というものも肌に感じているのでございますけれども、当面のところ、経済全体の足取りをそのように一層しっかりとさせるということが先決であると考えまして、引き続きこうした観点を基軸に据えながら適切な金融政策に努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/45
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046・倉田栄喜
○倉田委員 総理がさきに、昨年十一月に基本的な考え方で示された改革、その具体的な項目としては、いわゆる金融市場の改革と不良債権の処理、これを掲げておられるわけですね。
そこで、現在のこの、あえて超というふうにつけさせていただきますけれども、低金利政策、先ほどお答えいただきました、その一千二百兆の正確な数字が一千百九十二兆というふうにお答えいただいたわけでありますけれども、例えば、一千七十四兆というのはもうちょっと前の数字でありますけれども、一千七十四兆としてこういう試算があります。
一千七十四兆から三百十四兆の借金がある、そうすると大体七百六十兆、一%で年間七兆六千一億、二年間だと十五兆、一千七十四兆ですから、先ほどの数字ですと一千百九十二兆ですからもっと数字は大きくなると思いますけれども、これくらいの所得がいわゆる国民貯蓄から移転をしている。これは何が原因なのか。今総裁は、景気浮揚、確かに生産の面ではそうなんでしょう。しかし、支出や分配の面でこれだけの大きな所得の移転、ゆがめているのではないのかな、そういう気がしてならないわけであります。
それは一体何なのか。結局、景気浮揚、生産を刺激する、そういう面ではなくて、いわゆる大蔵省がやってきた金融行政のツケ、我が国の金融界が非常に大きな不良債権を抱えて、これから国際市場化に乗り出すときにとてもこのままではいけない、それはそのとおりだと思うのです。だから、国民の多くは、あるいは預金者の多くは、我々のためではなくて、預金者のためではなくて、これは、過去大蔵行政がやってきたその後始末、いわゆる景気浮揚策ではなくて不良債権処理のためにこれだけの超低金利政策を続けているのではないのか、こういうふうにもう皆さんわかり始めているのではないのか、私はこう思うのですね。
そもそも、先ほど成長率のことを申し上げましたけれども、現在のこの金利、これは果たして現在の経済活動のレベルと合っていると日銀総裁はお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/46
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047・松下康雄
○松下参考人 御質問の金融機関の不良債権処理につきましては、これは、日本経済また金融システムにとりまして大変重要な課題でございます。私どもの金融緩和措置自体は、日本経済を自律的な回復軌道に移行させるということをねらいとして講じてまいったものでございまして、金融機関の救済でありますとか収益支援ということを目的としてまいったものではございません。
もちろん、景気全体が回復をしてまいりますと、産業界の資金需要も増加をいたしますし、それが間接的に金融機関にとって何らかプラスに働くということはあろうと思いますけれども、現在の金融機関の調達、運用の構造から見ますと、金利の低下が行われました場合に、預金金利は確かに低下をいたしますけれども、これは貸出金利の方も、過去の実績を検討いたしますと、多少のずれはありますけれども、預金金利の低下と同じ幅の低下が見られるわけでございまして、このことは、ただいま御指摘の家計の側からの収入金利の他部門への移転というものが、金融制度というものを通り抜けまして、その先の産業の面に移転をしてまいりまして景気全体の浮揚に役立ってきているということでございます。この点を御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/47
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048・倉田栄喜
○倉田委員 今総裁がお答えいただいたような、そういう説明の仕方もあるのだろうと思うのです。しかし、先ほどの生産、支出、分配、この視点から申し上げたときに、これもちょっと古い数字だと思いますが、例えばこういう指摘があるわけです。六十代の人たちが定期性預金を幾ら持つているかというと、大体一世帯で一千二百万から一千三百万持っている。一%で年間の利子が十二万円から十三万円変わる勘定。この人たちにとって、四年前の一年物定期預金金利は四%から五%、それが今〇・三%ですから、金利収入は年間四十万円から五十万円減る。私は、これはこの人たちにとってまさに人生設計を狂わせているような、こういう事態だと思うのです。
今総裁がお答えになったように、生産を刺激して、それが回り回って景気を浮揚して支えているから、そのことによってその方々も支えているのだ、このことも私は確かにわかってもらわなければならないと思うのです。しかし、今申し上げたように、四年前と比べて年四十万から五十万収入の当てが少なくなってきている。そのトータルの積み上げが、私は先ほど七兆六千億と言いましたけれども、少なくとも五兆から八兆の間、それくらいの大きな所得移転が行われている。この事態は、どう考えても預金者にもメリットがあると考えられるような事態ではない、私はこう考えます。
大蔵大臣お見えになりましたが、これは、年金の運用とか、さっきの企業貯蓄の七百十八兆も同じだと思いますけれども、運用が大変になっていると思うのですね。今、大体日銀総裁のお考えはお聞きいたしました。この間、総理にもこの超低金利政策については御答弁いただいたわけでありますけれども、この点、大蔵大臣はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/48
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049・三塚博
○三塚国務大臣 低金利政策につきましては、我が国経済の持続的、安定的成長と、もちろん、いつも申し上げることでありますが、インフレがないということはその国の経済運営として最大のベストなものでございます。そういうことを踏まえながらも、御指摘の預貯金者に対して御苦労をいただいておりますこと、肝に銘じておりますと同時に、御理解を得るべく、前回も答弁申し上げました、御辛抱を賜りたいと申し上げました。
同時に、この超低金利政策は物価の安定に大きく寄与しておりますことだけは間違いございません。そういうことによる基本的ベースの面における寄与と、さらに、ローン等の支払いを持っております多くの国民各位が超低利ということの中でプラスがありますことは間違いございません。
両々相まちまして国の基盤をつくりつつあるわけでございますから、これからは日銀総裁の金利政策の基本にかかわるわけでありますので、そういうことであろう、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/49
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050・倉田栄喜
○倉田委員 我慢がどれくらいまでできるか、こうあると思うのですね。私は、もうそろそろ、皆さん、先ほどの例でいけば、年間四十万から五十万も本来、四年前だったら入ってくるはずだった金利が入ってこない、こういう状態がこのまま続くことに我慢ができなくなってきておられるのではないのかな、そういう気がいたします。
そして、私がこの点を今質問をいたしておりますのは、私自身もう一つ心配があります。それは、一方でこれだけの超低金利政策だ、そして一方で、今、大蔵委員会で御審議あったと思いますけれども、外為法の改正があった、やはり相当、資金の動きについて自由になってきた。この二つが相まちますと、今一千二百兆と言われる我が国の個人資産の運用、さらには、七百十八兆ですか、わからないけれども、企業が持っている貯蓄の運用、これらは、どんどん我が国の資本というのが海外に流出していくのではないのか、こういう心配をいたしますけれども、この点はどう認識されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/50
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051・榊原英資
○榊原政府委員 預金あるいは債券投資等の形でお金が流出するかどうかというのは、その改正の時点での海外の金利動向、国内の金利及びそのときの為替市場の状況によっているわけでございます。
一つ大きな誤解がしばしばマスコミ等でございますのは、ドル建ての金利と円建ての金利が基本的に違うということでございます。ドル建ての金利と円建ての金利の間には為替リスクというものがございまして、その為替リスクがどうかということによって、一体、ドル建てで資金を持つのか円建てで資金を持つのかという判断が出てくるわけでございまして、その辺、為替市場の状況、内外の金融市場の状況によって資本が出るのか出ないのかというのが決まってくるというのが第一点でございます。
それから、もう一つの誤解は、資本が出るということと金融取引が外に出るあるいは金融取引が日系の金融機関ではなくて外資系の金融機関で行われるという、その三つの点がどうも混同されている嫌いがあるというふうに思うわけでございます。
基本的に、ネットの資本流出というのは経常収支の黒字とイコールでございますから、ネットの資本取引が大きく短期的に変わるということはございません。
ただ、東京で行われていた取引が、例えば、私が東京で日本の株を買っていた、それをニューヨークの証券会社を通じて日本の株を買う、こういうことはあるわけでございまして、これは金融取引の流出でございます。ただ、これは、日本のお金が流出したということではないということで、よく東京市場の空洞化と言われるのは、金融取引が外に出るということでございます。
それからまた、金融取引が国内で行われても、これを日系の金融機関でやるか、あるいは外資系の金融機関でやるかというようなことがございまして、例えば外為法の改正というようなことをにらみますと、非常に外資系の活動が活発になって、外資系の金融機関と日本の居住者が取引をするというようなことはふえてくるかもしれません。
ただ、この場合も資本が必ずしも流出するということではないということで、私は、外為法改正で資本が流出するというのは幾つかの誤解に基づいた見解だというふうに思っておりまして、必ずしも資本が流出するということではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/51
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052・倉田栄喜
○倉田委員 誤解あるいは混同、経過のつけ方はそれぞれ立場の説明の仕方があると思うのですけれども、私は、結果として資本が流出するのではないのか。今のお答えは、それは多分しない、そういうお答えだと思うのですね。しかし、水が低きに流れる、金利が高きに流れる。もちろん手数料の問題、為替リスクの問題、さまざまあるかと思いますけれども、この超低金利政策、外為法の、改正、私は、この点は大いに心配をしておかなければならない、そう思っております。
同時に、我が国は今大変な財政赤字を抱えている、国政の大きな課題であります。この財政赤字を国民の皆さんが引き受けてくださる限りにおいては、いわば、簡単に言えば半分が債務者であったとしても半分が債権者、そういう理屈の立て方もあるのだろうと思うのです。しかし、我が国の資本が海外に流れていって、国債さえ引き受ける体力がなくなってしまえば、それはまさに大きな問題であります。
官房長官、私は先ほど、年間四十万から五十万、もっと上がると思いますけれども、それくらいの所得移転が、あるいは入ってくるお金が入ってこなかったということを申し上げました。本会議で、この超低金利政策に対する国民の皆さんの怨嗟の声はますます大きくなっていくことでしょう、ちまたに満ちることになるでしようと総理に申し上げました。官房長官は、この預金者の皆さんの声をどういうふうにお受けとめになられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/52
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053・梶山静六
○梶山国務大臣 所管外のことでございまして、余り詳しくは私は知りません。
ただ、私の過去を見ますと、昨年、予算委員会の席で、ちょうど住専問題の討議をいたしているさなかに、いわば銀行の業務純益が八兆何がしかあった。私は、そのとき金利政策に触れたつもりはなかったのですが、しかし、所得を失って預金金利を十分に自分の生活に当て込んでいる方々、もしもあるとすれば、そういう方々には、シルバー定期とかいろいろな、若干小さい商品もありますけれども、せめて一兆円ぐらいは放出をしても罰が当たらないのじゃないか、そういう話を申し上げたらば、私が何か金利政策を批判したといって、日銀の専管事項だといってしかられたのです。
若干お困りになっているというか、確かに所得のある方は所得への循環もあるわけですから、そう目くじらを立てては言いませんけれども、既に所得を失って自分のなけなしの退職金やその他をはたいて定期にしている方々は、私の身の回りにもたくさんおります。そういう方々の話を聞けば、何かこちらからこちらへ移転したんだからちっとも関係ないんだという話は、ちょっと庶民としては受けとめかねる。銀行には住専問題を起こしたその腹いせもありまして、こんな悪党がぬけぬけとという思いが実はしておりましたので、つい記者会見でも申し上げたわけでありますが、冷静になってみても、やはりそれはそう感じます。
私は、今大蔵省の方がるるおっしゃられて、外為法の改正があってもそう資本の流出はない、それは期待、願望を込めて、恐らく大きな変化がないことを望んでいるのでありましょうけれども、私は、そんなに簡単に政府が思うとおりにはいかない。多分金利は、ある商品が日本に出てくれば利用する方がある。為替リスクというのは当然考えなきゃなりませんけれども、長期の金利で考えれば、いっかは、循環の社会ですから、そういうものを見出せば、私は若干でも、日本の一番世界に冠たる個人の金融資産、これを良好に回すことが日本の国益につながるという思いがいたしますので、そういうことになることを心ひそかに期待はいたしておりますが、果たして、私は専門家じゃありませんから、大蔵省の方々が言うように金利は上がらないということになるかもしれませんが、ひょっとすると上がるような商品が出て、庶民は喜ぶということにもつながるのではないかなという期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/53
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054・倉田栄喜
○倉田委員 私は、今官房長官がお答えいただきましたように、庶民、預金者の痛みというものを政治家としてわかっていただきたい、そういうことでございます。
そこで、日銀総裁、私からは最後のお尋ねでございます。
今るる質問をさせていただきましたけれども、この超低金利政策、まだ今後も続けなければならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/54
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055・松下康雄
○松下参考人 私ども、現在、我が国の経済を自律的な回復軌道にしっかりと乗せていくということをねらいといたしまして金融政策の運営に当たっているところでございます。
それでは、今国内経済の現状がどうなっているかということを簡単に申し上げますと、景気は、ただいまのところ、消費税率の引き上げなどの財政面からの影響が一番強くあらわれる局面に入ってきているところでございます。このために、当面は景気の一時的な減速は避けがたいというふうに見られますが、その一方で、民間部門におきましては生産、所得、支出をめぐる好循環というものがだんだんとはっきりするようになってきております。
こうしたことを踏まえますと、財政面からの影響を乗り越えて、この先景気回復の流れが持続していくという可能性は高いというふうに見ておりますが、このあたりのところ、今後の実際の消費者の行動でありますとか企業活動に即して見きわめをする必要があると思っております。
また一方、物価面におきましては、国内需給が緩やかに改善いたしましたので、昨年の末から下げどまりの傾向がはっきりとしてまいりました。四月におきましては、消費税率の転嫁が行われましたから上昇をいたしましたけれども、これを除きますと大体横ばいの動きとなっております。
このような物価、景気の情勢を踏まえまして、私どもでは、当面は金融政策運営に当たりまして、引き続き景気回復の基盤をよりしっかりするということに重点を置きまして、情勢の展開を注意深く見守ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/55
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056・倉田栄喜
○倉田委員 どうぞ総裁、いわゆる金融政策、まさに日銀総裁の専管事項でございます。財政に従属をするという批判がありました。そういうことではなくて、まさに金利政策として、どうぞしっかりと国民の声も聞きながら、誤りなきかじをとっていただきたいとお願い申し上げます。総裁、私からの質問は以上でございます。
そこで、「二〇〇一年東京市場の再生に向けて」について、大蔵大臣、いわゆる野村証券の証券取引法、商法違反事件、このことはいわゆる国際社会から見た場合に、国際社会はこの野村証券事件というものをどう受けとめているというふうに考えておられるのか。あるいは、この事件は我が国の証券市場あるいは金融市場にどのような影響を与える、それを現在の時点でどう御認識になっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/56
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057・長野厖士
○長野政府委員 野村証券事件の証券市場の評価やそれに対する影響という点につきましては、まことにこのような事件が発生しないということが一番望ましい状態ではございますけれども、国際的な評価ということにつきましては、やはりこういう日本の証券市場に問題があったのかという点につきまして注目されておることは当然でございますけれども、また同時に、国際的には、そういった事件がきちんと当局によって摘発され、適正な処断を受けるということが大切であるというふうな考え方であろうかと思います。
その意味で、十三日に証券取引等監視委員会が告発というところまでまいりましたこと、それを受けまして、現在検察当局において捜査が進んでおります。いずれまた監視委員会から、事件の実態を踏まえて、法令違反等の事実に対しまして行政処分等に係る勧告ということも当然考えられます。そういった形で、きちんと、起こった事件についての対応をしていくということが国際的な評価を高める上で肝要ではなかろうかと思っております。
そしてまた、国際的なことを申し上げましたが、国内におきましてもそれはもとよりでございまして、大勢の投資家の方々が、マーケットにおいて不正を働いた場合にはそれがきちんと正されるという御信頼をいただかない限り、この証券市場の健全な発展はあり得ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/57
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058・倉田栄喜
○倉田委員 二〇〇一年まで、我が国東京市場をニューヨーク、ロンドンと並ぶ、そういう国際金融市場にしよう。五年間、五年間で間に合うかどうかという問題もあるわけですけれども、総理が基本的な考え方を示された中での今回の事件であります。しかも、野村証券は以前にもこの国会で取り上げられましたけれども、同じような問題が起こった。
そもそもこのようなことが起こる原因、背景、それは、やはり大蔵省はそれぞれ毎年かあるいは不定期かに、いろいろな形で検査監督をやってこられたと思うのですね。当然、前のことにしても今回の事件にしても、その事件の原因、背景というのは承知をしておられなければならないはずだと私は考えますけれども、この点はどんなふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/58
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059・長野厖士
○長野政府委員 前回にもそのような事件があったという御指摘でございます。そのとおりでございます。また、同時に、その事件そのものが不祥事という意味では共通いたしておりますけれども、また個々の事件につきまして、より深く考察すべき原因、背景というのがあるのかもしれません。
例えば損失補てんにつきまして言えば、前回の時点では、損失補てんは、そもそも証取法上禁止規定すらなかったという状態で起こった事件でございまして、今回またそれが法制化された状態で起こった事件でございます。したがいまして、今後監視委員会あるいは検察当局の御調査によりまして、今回の事件の具体的な端緒といったものが解明されていくであろうと思いますし、そういった具体的な問題につきましての対応はその段階でまた考えていかなければならないと存じますけれども、一般的に、今の段階であえて御答弁をお許しいただければ、証券市場と申しますのは、経済的取引に仮装して違法、不当な取引が行われやすいという意味で、ほかの業界と違った体質なり、そういう取引を扱っておる産業であるということが大事なところであろうと思います。
したがいまして、私どもといたしましては、そういった正常な取引に仮装して不正な取引が入ってくる、それが社内で行われるのに対して、その社内におきまして、まずそういった取引が紛れ込んでいないかということを、社内のいかなる人間が行ったにせよ、それをチェックするシステムというものを構築していっていただきたいと思っております。予断は申しませんけれども、残念ながら今回の事態につきましては、そういった面でまだまだ改善すべきものがあったのであろうか、それは過去検査監督をしておってどうだという御指摘でございますけれども、そういった点につきまして今後も重点的に考えていかなければならないのではないかという印象をただいま持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/59
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060・倉田栄喜
○倉田委員 このようなことが起こった原因、背景、それを大蔵省としてどんなふうにとらえておられたのだろうか。どうも今御答弁を聞いている限りでは、なるほど、そんなふうにお考えになっておったのかというふうには思えませんでした。おわかりになっていなかったのか、あるいは、おわかりになっていてもそれを解決する策を持たなかったのか、あるいは、なかなか簡単にいかないような状況の中でずるずる今日まで来てしまったのか。
まさに金融ビッグバンと言われる状況の中で、国際市場で我が国金融市場が勝ち残れる体力と、そして勝ち上がっていく力をつけていかなければならないときに、私は、もっと抜本的に原因究明も、捜査は捜査として、しかし行政の立場として、大蔵省として、やっていただかなければならないことはあるはずだと思います。同時に、国会としても、当委員会としても、やらなければならないことはあるはずだと思います。
委員長、これはお願いでありますけれども、今回の野村事件、その捜査の発端の一部になったのかどうかわかりませんけれども、我が党の北側委員のいわゆるVIP口座の質問がございました。私は委員長にお願いを申し上げたいと思いますけれども、このVIP口座の資料、当委員会に資料として提出をしていただきますよう、どうぞ委員長のもとで御協議をお願いをしたいと思います。委員長、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/60
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061・綿貫民輔
○綿貫委員長 ただいまの件は、理事会にお諮りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/61
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062・倉田栄喜
○倉田委員 本当は情報公開等々いろいろお尋ねすることがあったわけでありますけれども、時間が大分なくなってまいりました。
そこで、当委員会で議論をいたしておりますいわゆる金融監督庁設置法案、この法案について、総理が示された基本方向に果たして乗っているのかどうか、このことを基本に据えながら、官房長官、大蔵大臣にお尋ねをしたいと思います。
官房長官、最初の質問の中で、何が変わらなければならないのかという質問があったときに、官房長官の御認識として、今までの組織でいいのかという問題意識、今までの大蔵省でいいのかという問題意識、そういう御答弁でございました。
私は、この問題意識をさらに私なりに正確に言わせていただければ、今までの組織でいいのかというその組織論を言う前に、今までの金融行政のあり方でよかったのかどうか、今までの金融検査監督のあり方でよかったのかどうか。組織をいじる前に、その組織が果たさなければならない機能、役割、内容、今まで果たしてきたことがよかったのか悪かったのか、そこを踏まえた上で、こういう内容であれば今までの組織でやれる、あるいは、やはり今までの組織ではやれないから組織を変更する、設置法を変える、実はそういう順序になると思うのです。
ですから、官房長官も、今までの組織でいいのかどうか、今までの大蔵省でいいのかどうかという問題意識の前に、今までやってきた金融行政のあり方でよかったのかどうか、そして、我が国経済にとって、二〇〇一年を目指して、今後必要な金融行政のあり方というのは一体どうなんだろう、どうあるべきなんだろう、こういう問題意識がなければならなかったのだろう、こう思っております。
そこで、大蔵大臣、そして官房長官、金融監督庁の設置によって、いわゆる機能という側面から着目をした場合、今までのやり方を変えなければいけないのか、あるいは変わるのか。だれがやるかという問題でなくて、内容の問題です。金融行政、変えなければいけないのかどうか、変えるとしたら実は何を変えなければいけないのか、そこはどんなふうにお考えになっておられるのか。これは、大蔵大臣、そして今度金融監督庁、その所管である官房長官、双方の大臣にお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/62
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063・三塚博
○三塚国務大臣 それでは、主管大臣の許可を得て、私から先に申し上げます。
倉田議員の、今までのやり方、そしてこれからのやり方という、基本的なポイントだと思うのです。
金融行政は、御案内のとおり、住専問題によって火を噴きました。数々の問題提起がなされ、実態も明らかになり、その反省の中に立ちまして、企画立案と執行分野である検査監督庁、この機能を明確に分離すべし、簡単に言いますとそういうことだと思うのです。そういうことをしっかりと踏まえながら、今次の提案ということになったことは間違いありません。
世に言う護送船団方式さようなら、あの当時の声であります。手とり足とりきめ細やかにやることによって金融秩序の安定を期そう、こういうことがその目的であったわけでありますが、そのことが破れたわけでありますから、その時点から新たなスタートということになるわけであります。
よって、事前のきめ細やかな指導による行政は改める、これが第一点であろうと思いますし、その中で、市場というもの、これは自己責任の原則というのが厳然として立っておるわけでありますから、その徹底を期していく、同時に、市場規律の十分な発揮を基軸とする透明性の高い行政への転換を図る、こういう言葉に尽きるのじゃないでしょうか。
ビッグバンも、まさに公正、公平、自由、そして国際的な基準、こういうことであるわけですから、これまたフロントランナー、外為法。フロントランナー、二つ並んではおかしいですけれども、まさにそういう点の改革が、金融監督庁であり日銀法の問題でもある、このように答弁をさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/63
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064・梶山静六
○梶山国務大臣 前の方の質問にもお答えをしたわけでありますが、今までの長い習慣というか発展というか、経済の拡大基調のときのいわば金融ないしはその他の問題のあり方、そういうものに対する惰性というものがあの結果を、最小限度甘く見てみても起きたのであろう、それに、なおかつ堕落があったのではないかなという気がいたしますし、経営者としての本当に厳しい自己責任の追求がなかった、そういう面もあります。いずれにしても、破綻を来したのが、いわばあの住専問題が契機になったわけでありますから、今までのやり方がよかったならばその問題は起きなかったのかという一つ反省をいたします。
しかし、恐らく、故意や過失とまではいかなくとも、少なくとも世の中の変化を読み切れなかったという過失は当然あの経営者にはあったはずであります、結果責任を負うとすれば。しかし、それが何によってそういうものの発見が遅かったかというと、いわば指導という名のものと、検査をするという機構が同じ場所にあることによって甘くなり過ぎたということ。それから、そういうもののチェックが当然なされていれば、あの銀行の形態がどんなふうに移行しているかわかるはずであります。膨大なものを見ようとするのですから、そんなに全能に発見はできなかったかもしれませんが、そういう時の流れと、それから慢心というか、そういうものが合わさってなったことでありますから、この問題に対して初心に返らなければならない。それには、企画立案とかというものと検査監督というものは截然と分けることによってチェックをしていかなきゃならない。
ですから、恐らくこれからの大蔵省の金融政策というのは、総体として金融はどうあるべきかという問題であるし、監督庁は、個々の金融機関がどういう状態に置かれているか、これはルールにのっとって、いいかどうか、そういう問題をお互いに明確にすることによって今までの問題を何とか解決できるであろうという処方せんになったという思いがいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/64
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065・倉田栄喜
○倉田委員 大蔵大臣は、総理が基本的な考え方として示されたいわゆるフリー、フェア、グローバル、このいわゆる三改革原則、このことをお示しになって、そういう方向に向かって変わっていかなければならないんだろう、従来のいわゆる護送船団方式、裁量的業者行政、そこは変えていかなければならないんだろう、こういうお答えであります。
官房長官は、もちろん今の大蔵大臣のお答えを前提に置いてのことだと思いますけれども、従来同じ大蔵省という組織の中に検査監督があったから、同じ身内の中で少し甘くなったんではないのか、本来チェックしなければならないところをチェックを見過ごしたんではないのか、そういう御認識も一つあるみたいであります。ですから、これは違う組織でやった方がいいんだろうと。
私は、そこのところは、今御指摘のところもそのとおりだと思いますけれども、先ほど大蔵大臣がお示しになった自己責任、市場ルール、そこの部分がこれから示すべき方向としてあるとするならば、検査監督、それは従来の検査監督のあり方で、本来やらなければいけないことを見過ごした、甘くなっていた、そういうことは論外だと思うんです。本来システムの問題として、検査監督するにしても、何の基準に基づいてどういう検査監督をしたのか、そこも変わっていかなければならないんだろう、こう思っております。
ですから、甘かったとかチェックしなければならないのに見過ごしたとか、そういうことではなくて、これから国際市場ルールに向かっていくときに、監督すべき基準、そういうものがきちんとあって、それにのっとって検査監督をする、いわゆる事前にチェックをするのではなくて、事後に、その基準にのっとってやっているかどうか、言葉として言えば事後チェック型、そういう方向に変わっていかなければならないんではないのか、私はこう思っておるわけですけれども、これは官房長官でしょうか。検査監督の目的とか手法とか、それは従来と同じでしょうか、変わるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/65
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066・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
今お諮りいたしておりますように、金融監督庁設置法、これにおきまして任務の規定というのを設けているわけでございますけれども、ここにございますように、民間金融機関等の業務の適切な運営または経営の健全性が確保されるよう検査その他の監督を行うということでございまして、検査監督、これは業務の適切な運営あるいは経営の健全性の確保、これを通じて、預金者、保険契約者等の保護、また金融、有価証券流通の円滑を図る、これを究極的な目的とするというところでございます。
今般の金融監督庁の設置後ということにつきましては、監督庁は民間金融機関等に対します検査監督を専門的に行う行政機関ということでございまして、御指摘のように、監督庁によりまして検査監督事務がルールに基づいて厳正かつ的確に遂行されることとなると考えておるわけでございますが、特に、平成十年の四月以降、客観的な指標でございます自己資本比率に基づいて、透明性の高い手法によって所要の措置を発動することによりまして金融機関経営の健全性確保を図ります仕組みでございます早期是正措置が導入されるところでございます。
このような早期是正措置を、新たに設置されます金融監督庁が透明かつ公正に執行する、こういうことによりまして検査監督の一層の適切を図ってまいりたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/66
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067・倉田栄喜
○倉田委員 余りよく理解できなかったんですけれども、変わるのか変わらないのか、私は変わらなければならない、そう思っております。
大分質問の項目は用意したんですけれども、ちょっと時間がなくなってしまいました。あとちょっと、一点、二点だけお尋ねをいたしますが、いわゆる日銀考査が契約に基づいて定期的に行われるのと違って、従来行われてきた大蔵省の検査監督というのは不定期に突然に行われてきた。そして、そこで知り得た検査監督の資料に基づいて企画立案を行ってきた。
一点だけ教えてください。今までいわゆる蔵検と言われて、先ほどの野村証券事件のことにもかかわるわけでありますけれども、蔵検として大蔵省が金融界から相当な資料というのをお持ちになって帰る。これは、新しい金融監督庁になって、その知り得た情報、資料というのは基本的に公開される方向でお考えになっておられるのかどうか、この点いかがでしょう。簡潔に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/67
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068・白須光美
○白須政府委員 監督庁が検査あるいは監督を通じまして入手いたします資料につきましては、例えばそれぞれ処分等の理由に用いました場合の会議の説明等で示すということはあろうかと存じておりますけれども、それぞれの金融機関の経営、これは信用秩序等にかかわるという面もございますので、それらの点につきましては慎重な対処が必要かというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/68
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069・倉田栄喜
○倉田委員 これも私はディスクロージャーの一つの要請なんだろうと思うのです。持っている情報をきちんと公開をすることによって責任の所在も明らかになる。情報が不明確なままでは本当に、どうなっておるんだ、だれが責任を本来とらなければいけないんだということさえ不明確になってしまいます。従来行ってきたいわゆる蔵検と呼ばれる検査によって集められた資料もどうぞ公開をしていただくように、私は要望しておきたいと思います。
そして、金融行政が組織の分割の前にどうあらなければならないのか、どう変わらなければならないのか、そこのところがまだ明確になっていないんではないのか。だから、そこが明確になっていないから、残された大蔵省、そして金融監督庁のこの関係も、私も本会議で申し上げましたし、この委員会でもるる御指摘がされておりますけれども、不明確な点、あいまいな点がいっぱい残っているんだろうと思います。その点はさらに解決をされなければ、私は、二〇〇一年、東京市場をニューヨーク、ロンドンと並ぶ国際市場にするということは、この最初の段階でつまずいてしまうのではないのか、こう危惧をいたしております。
残された、一、二分だと思いますが、官房長官、ぜひ前からお尋ねしたいと思っていたことがあるんです。今行政改革の論議をやっておるわけでありますけれども、いわゆる政治改革、政治改革と行政改革は両輪だと思います。政治改革がきちんと完遂をしなければ行政改革もまた完遂をしない。私どもは、私は決して熱病などとは考えておりませんけれども、選挙制度の改革の論議をやりまして、新しい選挙制度になりました。官房長官は、この新しい選挙制度で選挙が行われたわけでありますけれども、政治改革の一つの結果として行われたこの選挙制度、政治改革の一つの到達点、まだまだ完成はしておりませんけれども、一つの到達点、それをどのように総括しておられるのかということが一点。
それからもう一つ、どうしてもこれは官房長官にお尋ねをしたいと私が前々から思っておりましたことは、いわゆる吉野作造という民本主義を唱えた学者の方でありますけれども、この方が民本主義を唱えられた背景というのは、いわゆる政治的自由、その最大のものは国民の政権政党を選択する自由。つまり、かつて三十八年間自民党の一党支配の時代がありました。その間は、国民有権者の皆さんは政権政党を選択する自由は持たなかった。与党に対しておきゅうを据えることができたとしても、自民党にかわり得る政権政党という選択肢が実はなかったのではないのかと私は思っております。民本主義を唱えた吉野作造がいわゆる二大政党制を唱えたのは、国民有権者の側から見て、政権政党を選択をする自由、そこが与えられて初めて、いわゆる自由、政治的選択の最大のものが与えられる、そこから二大政党制というものが一つ位置づけられる、私はこう考えております。
この二点について官房長官の御所見をお聞きをいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/69
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070・梶山静六
○梶山国務大臣 官房長官という立場でお尋ねになったわけでございまして、選挙制度自身も、この立場で論評することの権利を私は持っておりません。
ただ、言えますことは、今までの中選挙区制度とそれから今回の小選挙区制度、大きく違ったことは、やはり政党本位の政治を目指すというのが小選挙区の利点、死に票も多いかもしらない、それから中選挙区というのは、どちらかというといわば連立志向型の選挙制度、このように本質的には理解をいたしております。ただ、長い間自民党の一党支配があの選挙制度で続いたではないかという論点というか、それに関しては、結果としてそうなっているので、中選挙区制度が自民党の一党独裁につながったとは私は思っておりません。
あの当時の世界の情勢を見れば、いわゆるアメリカ側とソ連側という二大陣営があり、日本は特に、戦争に敗れた後、資源もない、いろいろなことを考えればいわば自由経済の恩恵に十二分に浴することがいいという判断、そういうものに立てば、国民の皆さん方は、下世話な言い方で言いますと、アメリカの代理店自民党、ソ連、中国の代理店社会党、共産党、そうなってみますと、やはり国民はどちらが得かということで選択をして、結果として政権が自民党になるような投票行為をしたということは、私は賢明な国民の意思が動いたという見方をいたしております。それが証拠には、ソ連が崩壊した後、前の選挙をやったらば自民党単独政権は崩れてしまったという、この一事を見てもおわかりになると思います。
しかし、小選挙区というのは大変怖い制度であります。これは二大政党などと言えない。私はよく、一強何弱かの政党が生まれるだろうという見方をしているわけでありますが、確かに、大きなスキャンダルやあるいはテロ、暴力等があれば政権交代につながることは多いわけでありますが、それ以外のことでは、飽きがくるまではなかなかかえない、かわれない、そういう思いがいたしますから、政権与党としては、まさに自重自戒をしながらやっていかなければならないという思いがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/70
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071・倉田栄喜
○倉田委員 官房長官の今お答えいただいたお考え、御認識でいいのかどうか、私は少し異論がございますけれども、また次の機会にさせていただきたいと思います。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/71
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072・綿貫民輔
○綿貫委員長 この際、今井宏君から関連質問の申し出があります。倉田君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。今井宏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/72
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073・今井宏
○今井委員 今井でございます。
十二時までの時間をちょうだいいたしまして、ありがとうございました。
さて、今、この行政改革の特別委員会に御指名をいただいたわけでありますが、行政改革のみならず、政府の方でも、橋本総理大臣の六つの大改革を仕上げていく、こういう時代認識のもとでのビジョンの提案かと思うわけであります。
よくこの大転換期を、明治維新、黒船が来たから維新ができたよ、次は第二次世界大戦、連合軍によって、占領軍が来たので改革ができたよ、でも、第三の転換期はそれにまさるとも劣らぬ大きな転換期だけれども、外圧がないので国民みずからがそういう意識改革をしないとできない、こういうふうに言われておるわけでありますが、私はそうじゃないんだろうと思うわけです。
やはり外圧がかなりある。外圧のない限り、どうも日本は改革に取り組む勇気、覚悟、そういったものが足らない国民で、いわゆる島国という歴史、風土、文化もあるのでしょうが、そんな感じがしてならないわけです。島国日本のやり方、システムを変革しなければならぬ、こういうことで、この改革ができなければ政治家としてあるいは行政として国民に対する責任が果たせない、恥であるという認識をしっかり持たなければいけない、そんな視点から何点か御質問をさせていただきたいと思っておるわけであります。
最初に、行革会議でございますが、五月一日に中間報告がございました。この評価を、どのように政府としては評価なさるのか、お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/73
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074・梶山静六
○梶山国務大臣 行革担当は総務庁長官が行っておりますが、便宜私が質問の矢面に立たせていただきます。
五月一日の行政改革会議において取りまとめられた中間整理というものの中には、内閣の危機管理機能の強化に関する意見集約の部分については、危機管理を専門的に担当する官房副長官クラスの職を設けること、そしてこれを補佐する事務体制を整備すること、内閣の情報収集、集約、分析機能を強化する。行政改革会議から政府に対して提言をされ、それ以外のものについては部分的に幾つかのものを列挙をされまして、十一月に成案を得るということになっております。確かに、この部分だけ取り上げて、内閣の危機管理能力の面化ということは、いろいろな自然災害やテロその他のことを考えますと喫緊の課題であり、政府がまた一番取り組まなければならない重要な問題でもあるわけであります。
これを受けて私たちは早急に検討して、できたならば、通常行われるであろうこの八月の概算要求期、それまでには成案を得て、そういうものに対応する仕組みないしは予算、こういうものを目指したい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/74
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075・今井宏
○今井委員 ただいま危機管理、政府にとって国民を安全に、豊かにするのは一番肝心な仕事かと思うわけですが、あわせて、その中間報告では、六つの大改革をなし遂げるための相互の関係、それぞれの達成目標それから手順、スケジュール、これらを明確にするべきであって、工程表を作成し、それを公表するべきである、こういう報告もございました。
この公表でございますが、いつごろを予定なさっているのか、聞かせていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/75
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076・梶山静六
○梶山国務大臣 それぞれの改革が密接に相関連をしていることは、委員御指摘のとおりであります。近々にいたします、発表いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/76
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077・今井宏
○今井委員 さすが、武士道そのものの大官房長官でございますので、明快な御答弁をいただきまして、大変心強く思います。
それでは、今定例会ぐらいには我々も目を通させていただけるというような感じでよろしいのかどうかということでございます。
ところで、省庁再編でございますが、これも首相は、十一月末を目途に省庁の再編案をまとめる、こういうお話を過去何遍かいただいているわけでございますが、このスケジュールに変更はないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/77
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078・梶山静六
○梶山国務大臣 やらなければなりませんし、やれると確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/78
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079・今井宏
○今井委員 その省庁再編案でございますが、いろいろと報道もされておるわけでございます。その省庁再編は、四つの分野に取りまとめをするとか、今ある二十二を半分程度にするとか、いろいろな御意見があって、行革会議を中心に取りまとめがされることだろうと思うわけでございますが、各省庁の設置法案の提出時期というのは、この再編案を取りまとめた後、どういうスケジュールでなされるのでしょうか、お教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/79
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080・梶山静六
○梶山国務大臣 行革に関する専門の方がいないようでありますから、便宜、私からお答えを申し上げます。
これは、二〇〇一年の一月一日にという総理の強い願望があります。これに間に合うようにというか、若干の余裕は持っているものの、総理としては二〇〇一年の一日に行いたいという意向が強いわけです。
それぞれに各省庁、密接な関係がありますから、今どれがどうなるということを私が予断をすることはできませんが、それぞれ国の大きな行政のねらい、それも先ほどありましたように、何がそうさせたかというと、今外圧もあろうと言われますが、今日本がたえなければならないのは国内的なことよりも国際化、世界がどんなふうに動いていくのか、世界と全く違った時点で日本だけが生き残れるのか、あるいは協力ができるのか。これを考えますと、私は、今回のいわば政治改革というか行政改革というか、すべてのものはいわば国際化という改革を迫られている、こう考えますので、その国際化をするに値する、たえられるものをつくり上げるということが第一ではないか、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/80
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081・今井宏
○今井委員 私は、首長、埼玉県の草加市の市長をやっておりました。地方分権を主張しておりますし、これからもぜひ地方分権型社会というものをつくっていかなければ、官房長官がおっしゃる国際的な視点にもかなわない、こういうふうに思っておるわけです。とりわけ地方分権を徹底することが、実は省庁の再編、いわゆる行政改革につながる、ひいては政治改革につながる。私は、地方分権が行政改革の最大のものである、こういう認識を実は持っておるわけであります。
この分権も日本だけが必要なのではなくて、例えば地方分権のグローバルスタンダード化、世界の地方自治宣言、こういうものも既に、国際自治体連盟、御案内と思いますが、IULAによる世界地方自治宣言というものもされております。とりわけ一九九三年、三十一回世界大会で新宣言が採択されておるわけであります。
これはどういうことかといいますと、まさにEU統合に伴うヨーロッパの地方自治憲章とほぼ同一の内容でございまして、地方分権はもう大きな世界的な流れである。後ほど質問させていただきますが、経済同様、グローバルスタンダードに対応していかなければならない。日本の行政の仕組みも、分権という形にして、グローバルスタンダードに対応するものにしていかなければならない。これはまさに国際的な視点、水準に日本の仕組みも革命的に変えていくということが必要だ、こういうふうに思っておるわけであります。
ところで、省庁再編をやる前に、あるいは同時に、一緒に国と地方の役割分担ということを明確にいたしませんと、省庁の姿というものがどれだけ削減、スリム化できるのかわからない。今までのような中央集権のシステムから分権システムにすることによって、省庁のありようが問われるのではないか。とりわけ事務の関係でいえば、機関委任事務は廃止にはなったけれども、自治事務と法定受託事務がある。ヒアリングの経過を読ませていただきますと、各官僚の抵抗が非常に強くて、できれば現状維持でやりたい、国内全体を統一していきたい、こういう要望が非常に強いわけであります。
そうしますと、ここで、どういうふうな分権をする覚悟と、その政治のリーダーシップを発揮できるか、できないか、そこが一番の課題かと思うわけです。それによって省庁再編も事務の内容も変わってくる、こういうふうに思っているわけでございます。
分権推進委員会は、七月にずれ込むということでございますが、今までの答弁その他では、来年の通常国会のできるだけ早い時期に分権推進計画を策定する、こういうふうに政府の方から明言を受けているわけであります。そうしますと、この再編案と分権推進計画、これをどういう視点でお互いにリンクさせ、整合させ、整理され、それで省庁再編になるのか、その辺につきましてお教えいただければと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/81
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082・梶山静六
○梶山国務大臣 残念ながら、私は委員のように地方自治を承知をいたしておりません。そして、分権委員会の最近の動きも詳しくは知りません。
ただ、私が感じますことは、今委員が御指摘になったように、各国、世界の通例を見てもと言うけれども、日本の歴史を考えてみますと、本来、地方の権利というものはそう認めていられなかった。逆に言えば、あったといえば藩閥政治のころ、それぞれの領主、藩主というものは、一つの自治権を、今よりもむしろ強力な自治権を持った集合体の国家を形成したわけでありますが、明治以来、日本を強くしようというところでは、むしろ画一性を求めたところに日本の行政の中心が置かれたわけであります。
しかし、ここまで成熟をいたしますと、やはり民主政治の根幹、揺籃というものは地方自治にある、こう言われているわけでありますから、これからそういう意味での日本の政治の習熟度というか成熟度というか、それを試すというか、でき上がるものは、地方自治がどのようにうまくそれぞれの特色を持ちながら機能をしていくかということになろうかと思います。
ただ、今心配をすることは、大きく分けて国と地方の役割分担、これはできるのですが、それぞれの地方がそれでは何を目指すかというみずからの意欲というものにまだ欠けていると言うと批判をすることになりますが、私はそれができ上がらないと、幾ら分権をされてみてもその問題意識が高まらない。
どちらが先か後かという問題がありますが、今でも、例えば、国はこれだけ財政構造に真剣になっている、地方の問題もそうだといって地方にもその問題を言うわけでありますが、地方自治体に行ってみれば、これは自治省がちゃんとした例えば起債計画を組んでやってくれたんだから全部国の責任ですよと。ですから、責任論を伴わないことは、将来でも、分権をしてみても、その基礎が揺らぐのではないのかなという心配を私はいたします。ぜひとも、やはり権利を付与されるかわりには、責任というものがどこまで遂行できるかということをまず認識し合うところから始まらなければならないのかなという気がいたします。
いずれにいたしましても、規制緩和や地方分権というのは大切な今の政治目標の中心でもあるわけでありますから、個々の問題にいろいろな問題があろうかもしれませんが、それぞれの地域、地域が特色のある自治体として発展できるためにはどうあらねばならぬか。
私はよく、私見でありますが、選択的分権論というのを言っております。都市であるものは都市計画やその他のものに、いわゆる純農村でいくのならば農地制度やそういうものに本当の分権の厚みを加えてほしい。それをしないで全国画一的なものをメニューとして並べますと、熱度が違ってしまう。その意味で私は、その分権メニューを例えば百なら百置くとすれば、私のところは十はAクラスで欲しいですよ、あとの五十はBクラスが欲しい、そういう選択をする自治体の意識と、それから自治体の意欲と、それにこたえられる中央の仕組みがあるのではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/82
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083・今井宏
○今井委員 おっしゃるとおりです。どこの町も金太郎あめで、同じ基準で中央集権だからやっていましたということから、分権ですので選択があっていいでしょうし、歴史、風土、環境、地政学的位置も全部違うわけでしょうし、ぜひそういう方向で官房長官の政治的リーダーシップを強く発揮していただきたいと思っていますし、所管が違うということでございますが、いずれにしても、分権を早く整理をして、そして再編の方にもきちっとリンクさせていただきたい。
地方は、それは中央から見れば心配なんでしょうけれども、やらせればできます、やらせれば。これは、多分だめだろう、だめだろうといっても、やはりやらせて真価を問うていったらいいのではないか、こういうふうに思っています。それ以前に、中央政府としては、もっともっと日本の国のありようとしてやらなければならない歴史的な責任というのが中央政府にはあるわけですし、そちらの方に全注意力を結集していただく、あとは、地方は地方にゆだねるということで割り切りが大事かと思っておりますので、ぜひ御指導いただきたいと思っております。
それから、省庁再編なんでございますが、今エージェンシーが非常にキーワードになっています。これもどうやら、実態がわからないから各官僚の皆さんも答えようがないというふうに行政改革で言っているという新聞報道等がありますが、やはり、外庁方式というよりも民営化という、民営化していくんだ、それでスリム化していくんだという大前提みたいなものがないと、わけのわからないエージェンシーが果たして本当の意味での行政改革になるのでしょうか。事によるとそうじゃないのかもしれないねという心配を私もしていますし、国民もしているわけであります。
最悪のシナリオを考えるわけではありませんけれども、地方分権でも政府が腰が砕けて、国会議員も、地元利益誘導が中央集権ではなくて分権されますとできづらいですから、選挙に弱くなりますものですから、どうも腰が引けてくる国会議員の体質。それから、中央政府も放したくなくて現状でいいよ、地方も受けたくなくて現状でいいよと。ただ単に省庁を半分ぐらいに大くくりにして、企画立案と執行部門は独立しましたよ、一省庁を二分割しましたよ、でも結果的には中身は変わっていないということになったのでは最悪のシナリオで、こうならないと確信していますし、また、私たちも政治の責任というものを果たしていかなければならぬと思いますが、とりわけ官房長官、リーダーシップを思い切って発揮して、革命とも言えるこの時期を乗り切って後世に責任を持つ政治を打ち立てていただきたい、こういうふうに思います。
さて、金融監督庁でございますが、内容を拝見いたしますと、共管の部分が非常に多いわけでございます。これは、共管の部分をできればなくしていく方向という視点が大切ではないか。そうしませんと、どうしても責任の所在というものが非常にあいまいになってくるのではないか。だから、将来は共管の部分は監督庁なら監督庁にずっと収れんしていくということが必要ではないかと思っておるのですけれども、これにつきまして、立法した役所ではどんな議論で最終的に今の原案の提案になったのか、また、そういう方向というのは今後考えられるのか、それをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/83
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084・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
今回の金融行政機構改革の法案におきましては、現在大蔵大臣と各省大臣との共管になっております民間金融機関等につきましては、内閣総理大臣と各省大臣との共管とするというふうにいたしているところでございます。
これは、現在各省で行われております検査監督、これがそれぞれの行政の目的を踏まえて実施されているわけでございます。また、金融監督庁におきましては、金融行政の観点から、民間金融機関等に対する検査監督を所掌する機関といたしまして検査監督を行っていく、これが重要であるというような考え方によるものでございます。金融監督庁と共管省庁との間におきましては、当庁設置後におきまして、一層密接に連携をとりながら、迅速かつ適切に共同いたしまして監督を行っていくというようになろうかと考えております。
なお、全体的な中央省庁の再編等の問題につきましては、御指摘ございますように、現在行政改革会議で御検討いただいているところでございますので、それらの点につきましてはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。一命井委員「最後がわからなかった」と呼ぶ)現在、行革会議の方でまず大枠の方から御検討いただいているところでございますので、その先にわたりましての、その中でどうなっていくというようなことにつきましては、私どもの方といたしましては差し控えさせていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/84
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085・今井宏
○今井委員 済みません、三塚大蔵大臣、よろしいですか。
実は、大蔵省のヒアリングが、一昨日ですか、行革会議でございました。その議事録も読ませていただいたわけでありますので、大蔵省の考え方、そして大蔵省を所管する大臣としてのお考え方、これはよくわかるのですが、私がここで聞きたいのは、大政治家三塚先生、政治家として、この行革会議の中でのヒアリング、行革のあり方、その辺をどうお受けとめになってどう評価なさっているのか、ぜひお聞かせいただきたい、こういうふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/85
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086・三塚博
○三塚国務大臣 行革会議がヒアリングをするというのは一つのプロセスかと思っております。お互いに理解が深まるということは大変よいことでございます。聞く耳を持つ、同時に、聞きっ放してはなくその結論をどうつくり上げていくかというのが、行革会議の設置をされたゆえんだと私は思っております。
昨今、六つの改革、その中で行政改革は極めて重要と。行政改革は内閣が一つや二つつぶれる覚悟でやらなければやれないのだというのは、先輩の政治家が言い続けたことでございました。ましてやこれは全体をやる、こういうことでありますので、価値観がもう従前の発想とは違う。さっき官房長官が言われた、国際化という問題の視点が一つあります。
国際化の視点は、取り残されて消えていく国家であってはならないという、ここに危機感があるわけです。そういうことであれば、外圧を利用してこれをやり抜くのではなくして、これだけの主権国家ですから、みずからの決意と実行で成果を上げていく、こういうことでなければ取り残されるわけでございますから、六頭立て、やり過ぎではないか、何もやらないのではないかという御批判をいただいておりますが、そうではなく、六頭立てていかなければこの国は立ちおくれてしまうという大きな危機感の中で行政改革があり、財政構造改革があり、金融システムがあり、まさに社会保障・医療改革があり、経済構造改革、そして教育改革と、これは国民各位から寄せられた声を内閣において首相を中心に取りまとめたということであるわけであります。
私どもは、みずからの主権国家としての決意と責任で実行していくということでありますので、本件については与党各党、マスコミ流にいきますといろいろあるなと言っておりますが、いろいろあってはだめでありまして、企画委員会で一つの意見、方向に収れんされつつありますし、第一党である自民党がこれをどうだと言ってはだめでありまして、五原則を決めた以上、これをしっかりと踏まえていくというのが、私の知り得る限りの国会議員各位の決意と決心でありますから、この改革は確実に前進をしていく、また、前進をせしめなければならない、こういうことでおるわけであります。これは国家のためでありますので、国会という意味で、野党という立場から批判するときは大いにいただきますが、よいことはひとつ御激励、御鞭撻をいただいて、成果あるものにさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/86
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087・今井宏
○今井委員 大変心強い御答弁をいただきましたので、もう立場を超えて後世の国民に責任を持つということで、まさに全員が火だるまになる覚悟をしなければそう簡単にできるものではない、こういうふうに思っております。そういう意味で、私たちも全力を挙げてこの行革というものに対して、あるいはそのほかの改革に対して取り組んでいく決意でございます。
さて、そうしますと、十一月末には行革会議の結論が出るわけです。とりわけ、先ほど来各委員から御質問がございます財政と金融の分離です。大蔵省の見解はわかっております。行革会議としての結論がどう出るかは、まだ決定しておりません。この財政と金融の分離について、本来、その結論を待ってから大蔵の組織変更を行った方がよいのではないかなと私は思ったりもするのです。その結論の前にこの監督庁、私は中途半端になってやせぬかという心配をしているわけです。
その視点につきまして、手順が違うのではないか、こういうふうに思っているのですけれども、いずれにしても、行革の根本の結論が出る前に検査監督だけを分離する、こういう手法をおとりになったようですが、それは何か理由があるのでしょうか。問題があるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/87
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088・三塚博
○三塚国務大臣 それでは、金融から分離された側のことで言え、こういうことですから、申し上げさせていただきます。
これは前段、倉田議員にもお答え申し上げましたとおり、国民各位から、国会から、大蔵省に対する、金融行政に対する激しい御批判を受けまして、企画立案と検査監督、いわゆる政策、立法という立場、こちらは検査、執行、こういうことで、機能を完全分離ということで一連の金融改革の中で先にスタートをさせていただきました。まさに執行面でございます。金融システムの保護、預金者保護と信用維持、こういうことから早急にやることが正しいな、国内的にも、国際金融の立場に立ちましても、こういうことであります。全く今申し上げたことに尽きるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/88
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089・今井宏
○今井委員 実は、十一月まで行革会議をやっているわけですよね。そこで結論を見出してくる、そのためのヒアリングがあった。大蔵省は、分離はいかぬよ。この御主張はよくわかるのですが、もし仮に、実は分離するべきだという結論が出たらどうするのでしょうか。もう一度大蔵省の組織を見直し、いじるのでしょうか。もしいじるとするならば、それこそが金融システムの不安定化をまたまた招くことになりはせぬかと心配しているわけです。
いわゆる行革会議の結論を、もう結論は結論として、分離はしないというふうになってはいませんね、与党三党でも分離するんだよというふうになっているわけです。与党三党合意では、二〇〇一年までに分離を明確化する、こういうことになっているわけです。そういう状況の中でこの設置法が出てきた。これはどうするのでしょうか、もし結論が違ったら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/89
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090・三塚博
○三塚国務大臣 先ほど金融監督庁に限って申し上げました。金融と財政については、それぞれの意見のあることは承知をいたしております。ここで、見解は簡明にします。財政と金融は……(今井委員「見解は結構です」と呼ぶ)国家運営の基本であることはお互い知っておることでありますが、大くくりで行われる行政改革が十一月、その関連の中で財政と金融の基本的なあり方について論議をされるものと私は思っております。
先ほど官房長官が言われました省庁の分割は、それぞれのパターンがあるわけで、半減とも言われ、九庁とも言われ、十一庁、さまざまな意見がありますから、固まるのは十一月、こういうことであります。そのときにこの結論が出ると私は思っております。結論が出れば結論に従うのは当たり前でして、それが政党内閣の使命でありますから。そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/90
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091・今井宏
○今井委員 懸念をしておりますのは、分権計画でも、いよいよ政府の手による勧告を受けた分権推進計画をこしらえたときに、今どうやら役所の皆さんが落ちついているところを見ると、いや、そのときに骨抜きは十分可能だよ、我々の主張は通るよと思っているのではないかという見方もあるわけです。大くくりの再建案がこの十一月にできた、仮にそうなりましても、実際に設置をやるまでの間に一定の時間がかかるわけですよね。そのときに、設置法をつくったり廃止したり、改廃のこのときにまた骨抜きして、現状維持派でなるたけ、こういうふうになってしまったのでは大変なことになるという懸念を抱いているわけです。まあ、そういうことにならぬと思いますけれども、ぜひそこが政治の発揮する場、こういうふうに思っておるわけです。
時間の関係もありますので、実は、先ほど外圧のお話をさせていただいたわけであります。特に経済、とりわけ金融のグローバル化、すごいですね。コンピューター化といいますか、ある本を読みますと、アメリカのNASAの宇宙開発の技術者がどんどん金融業界に入ってくる、あるいは軍需産業の技術者がこれまたスピンアウトしてそういったところの金融界にどんどん入ってくるという状況の中で、アメリカのドル戦略としてデリバティブなんというのができていると言われています。アメリカにどんどんドルを還流させている、こういうことがありますが、そのデリバティブそのものも倍々ゲームで大変取引が拡大しておるわけであります。
ということを考えてきますと、世界から日本が十年も十数年もおくれている、特に欧米諸国から完全におくれている、こういうふうに言われています。護送船団方式ですと規制もありますし、みんなで渡れば怖くない、これを変えるというわけですから、これはまさに、外圧に対して日本のシステムを思い切って変えていかなければならぬ。そういう意味で、私はこの外圧を十分意識して、利用していかなければいけない。また、日本人は外圧を利用するのが得意ですから、うまく対応しますので、ここでしっかり、時間をかけずに、残された時間は少ないわけでございますので、グローバルスタンダード化していかなければならぬ、こういうことかと思っておるわけであります。
ならば、まさに今までの金融のあり方、大蔵省のあり方あるいは金融行政のあり方、もっと言えば金融政策も含めて、プロ中のプロが役所の方にも育っていかなければ世界の流れに対応できないのではないかという心配をする一人であります。
そういう意味では、役所の中でも金融の専門家をどう育成、強化していくか。場合によったら、この監督庁も中途からでもそうした人をどんどん採用できるぐらいのことを考えないと、本当のプロでなければ検査も監督もできないのではないか。では、役所の中に本当のプロがどれだけいるのだろうか。また、いわゆる生の市場に接する機会が役所ですからなくて、遠いわけですから、大変心配しているのですけれども、こういう金融のプロ、専門家、これをどうやって役所の中で持ち、そしてどう育てていくのか。大蔵大臣が適切かどうかわかりませんが、もしあれでしたら政府委員の方でも結構ですが、御答弁いただきたい、こういうふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/91
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092・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、金融の自由化、国際化の進展に伴いまして、金融ニーズが大変多様化、複雑化するわけでございます。そうしますと、金融機関は高度な金融サービスを開発、提供していくということになるわけでございまして、そうしますと、リスクの管理というのも高度化していくわけでございます。御指摘のとおり、こうしたものにやはり金融監督行政も対応していかなきゃいけないということになるわけでございます。
大蔵省としましては、これまでも、職員を海外へ長期に派遣するとか、あるいは外国の監督当局も同じような状況にございますので、そこで実施しております研修に参加させるとか、そういったことを積極的に取り組んでおるところでございまして、御指摘の点は十分に承知し、今後ますますそういったことに対する研さんを積んでいきたいというふうに思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/92
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093・今井宏
○今井委員 実は、世界の金融の変わり方、変革の仕方のスピードが、スピードに加速度がついているぐらいな感じですから、普通の対応ではもうそのスピードについていけない、こんな状況が現在かと思うわけであります。それで、今の、海外にも職員をどんどん出させている、大変結構なことだと思いますが、もっともっといろいろな知恵、対応力を、我が株式会社日本もその体制をきちんと固めていかないといけないのではないかと思っているのです。
これは、大臣、どうなんでしょうか、今の大蔵省の人事システムというのがありますね。私も専門家ではありませんから物の本でしかわからないのですけれども、どうも財政が主力ですよ、金融はつまというか横ですよ、だから金融出身で事務次官をやったり、将来は極めて少ないんですよ、ただ経過的にちょっとそこへ行くぐらいですよ、人事は御案内のように一年、一年半、最長でも二年ぐらいでどんどん変わってしまいますよと。
だから、そういう人事システムを変えていかなきゃいかぬのではないか、あるいは、金融の責任者を財政の責任者と同格、もっと当然だというところにきちんと認知していく中で、本当にやりがいのある仕事を、能力のある方が金融をばんとやっていくということに転換しないといけないのではないか、こういう指摘もたくさんあるわけですが、大臣、政治家としてどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/93
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094・三塚博
○三塚国務大臣 大変難しい、また斬新なアイデアをちょうだいしました。
人事は、行政が国民の期待にこたえ成果を上げていく、こういうことを基本といたしますと、国際化の時代でありますから、国際的な識見を持った、経験を持った人、また財政運営といえども、これはかつて言われました内政派、ドメスチックオンリーで外国を知らぬのではないかと批判がありましたが、昨今そうではありません。それぞれ言われましたようなことで、若手のころから財政、金融一体化の勉強をしながら取り組んでおるということでございますから、議員御指摘のとおり、いつもこういうことかということではございませんで、よって、次官同格の財務官というのを併置をいたしておるわけであります。
こういうことで、財政、金融が両々相まちまして国民の期待にこたえられる行政組織として成果を上げられる、こういうことであります。ただいまの、行政のあり方大事にありという御見識はしかと受けとめさせていただき、今後の対応に考えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/94
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095・今井宏
○今井委員 そんなわけで、我が方も、日銀の位置づけというものを、金融委員会というのをきちんとこしらえてやっていったらどうだという案を持っておるわけです。日銀の方が、いずれにしても市場に近いわけです、マーケットに近いわけですよね。役所の人がマーケットにどれだけ近いかというと、距離感からいったらやはり金融に近いわけですので、そんなことも提言の中で言わせていただいているわけであります。
さて、先ほども御質問があって、御答弁はほかの委員さんもいただいていないのですけれども、報道には、今度の新庁、金融監督庁の組織体制について盛んに報道はされておるわけです。
例えば、今、七課の組織になっている。それで、四月の九日の新聞等には構成図まであらわれていますよね。大蔵省も金融局というものができて、金融局の組織の原案が明らかになった、こういう報道もあるわけであります。職員の総数も三百五十人前後ですよ、そのうち大蔵出身の職員の方、初めだから当然かと思いますが、九〇%という報道もあるし、九五%ぐらい大蔵出身の割合になる見込みですよと。独立性の担保はどうもできそうもありませんな、なぜならば新庁には人事の独立もないようでございますよと。大蔵とのいわゆる緊張という意味では、人事の交流の禁止、こういうことも、どこまでノーリターンの原則が貫けるのでしょうかねという心配。人事課がないというのは、結局大蔵の傘下、影響下でやっていくのでしょうかね、そういうことになると外部からの人材登用はできづらくなるのではないのでしょうか、こういう報道がずっとあるわけですね。
どうなんでしょうか。この法案を審議する我々にとって、そういった組織だとか人事だとか定員だとか、そういったものが明らかにできないのはどんな理由なんでしょうか。それで、報道機関はこういうニュースが明らかになったという報道をされているのですが、どういうニュースソースといいますか、報道機関には明らかにすることがあっても、この委員会ではまだ、夏の概算要求時期前だし、来年度の予算をつくって職員だってカウントするのだから、それまで待ってちょうだいよと。だから、公式の場ではだめだけれども、非公式ならいいよというのか、その辺を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/95
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096・畠中誠二郎
○畠中(誠)政府委員 機構・定員のお尋ねでございますが、その具体的な内容につきましては、平成十年度の予算編成過程において、行政改革の基本を踏まえて、総務庁と関係省庁が十分相談して詰めていくこととしておるところでございます。
なお、委員からマスコミに出ているじゃないかという御指摘がございましたが、私ども、私どもの案としてマスコミに発表したとかリークしたとか、そういうことはございません。ただ、八月末の概算要求ということでございますので、その過程でいろいろ勉強はしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/96
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097・今井宏
○今井委員 畠中さんの名前は出ていなかったのかな、出ていたのかな、新庁の責任者はそれについてこういうことを言っているというコメントまがいの報道もありましたよね。
草加市というのは人口二十二万なんですが、私は市長を十六年ばかりやっていたんですが、地方では絶対議会が許してくれません。これこれこういう形で条例化します、こう設置します。そうすると委員は何人ですか、その費用は幾らですか、費用弁償は幾らですか、それに伴う予算措置は幾らですかと。全部説明しない限り議会はうんと言わないですよ。民主主義とすれば当然だと思うのですが、それがなぜ国会になると、地方分権委員会で、私も地方分権の議員立法を四人で、政府案とあわせて提案した経験からして、そのときに、両案を審議するときに、幾ら事務局のことを言っても、それは任せてください、任せてください、それはまだ不明確ですということで絶対言ってくれないのですよね。
これは言えないのですか、法的に。それとも、これが通ってから詰めるのですか。準備はしていないのですか。そんなことはないと思うのですね。しているけれども、何が根拠でそういったことを明らかにできないのか、その説明をしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/97
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098・畠中誠二郎
○畠中(誠)政府委員 先ほどお答えをいたしましたが、手続面でお答えいたしますと、まず、十年度の発足でございますので、十年度の概算要求に盛り込むということになります。したがいまして、例年なら、俗に言うシーリング、概算要求基準が決まって、それに基づいて各省庁が概算要求をつくり、八月末に大蔵省なり総務庁に要求を出すという手続になろうかと思われます。したがいまして、新庁の機構・定員もそのような手続にのっとって、私どもは公式に正式の要求として取りまとめ、世の中に問うていきたいというふうに考えております。
なぜ言えないのかということですが、私どもは決してそういうふうには考えておりません。ただ、先ほどいろいろ、まだあらあらの考え方でございますが、そういうことについて勉強しておると申し上げました。
それを申し上げますと、現在、大蔵省において民間金融機関等に対する検査監督事務に従事している職員数は、これから精査を要しますが、おおむね三百人台ということでございますので、これが金融監督庁の定員を検討する上での一応の目安になろうかというふうに考えております。組織につきましては、長官のもと、長官官房、それから監督を所管する部、検査を所管する部の二部体制にしたらどうかということで考えております。
なお、部の下に複数の課を置きたいということで検討、勉強はしておりますが、具体的に、じゃ、どういう課が幾つということについてまでは、今のところまだ固まっておるわけではございません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/98
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099・今井宏
○今井委員 それから、公開、透明化の問題で最後にちょっと一つだけ御質問申し上げたいと思いますが、分権推進委員会では、推進委員会が開かれるたびに委員長が記者会見していただいております。その後、直ちに概要を発表しまして、それから数日置いて議事録を公表している。透明感を持たせるということで、随分議論、やりとりがあったのですが、そうしてくださいました。
それで、今回の新庁と大蔵との関係とか、それから共管の部分とか、検査、指導の部分、この辺の、今お話ししたような具体的な手法をお考えでしたら御答弁いただきたいと思います。どういう形で、国民に共有の情報を持って、そして密室ではない、護送ではない、新しいグローバルスタンダードの検査監督ができるのか、その辺について御答弁いただきたいと思います。
時間がございませんのですが、あと、日銀の総裁、申しわけございません、これもまとめて三点だけ、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
実は、中央銀行の独立性といいますか、過日、イギリスではブレア政権が誕生いたしました。思い切って直ちに、中央銀行に金融政策は任せるよ、その法律を直ちに出す、こういうことになってきました。言うなれば、イギリスだけじゃなくてヨーロッパを含めて、大きな流れは中央銀行がそういった役割を果たしていくという流れのようでございます。そういう中で、日銀だけが世界から取り残されていくのではないだろうかという懸念を持っております。もちろん、五十年ぶりの日銀法の改正で、それなりの権限なり独立性なりはできたよと言うけれども、まだこれとて、世界の流れから比べるとちょっと、一歩おくれてくるのではないか、グローバルスタンダードなのでしょうかなということであります。法律をつくる以外は、すべて金融政策は日銀に任せろということを言い切れないのでしょうかね。これが質問の一点であります。
それから実は、アメリカのドル圏、それから一九九九年にはヨーロッパのユーロ圏で通貨統合をやるわけであります。そういう状況の中で、ドル圏とユーロ圏によって世界が二分されてしまう心配というものをしている専門家もおるわけであります。そういう状況の中で、円の国際化をさらに促進をして、円エリアを、アジアを中心として基軸通貨の一つであるという位置づけでいかなければ、円がローカル通貨になってしまうという心配をするわけであります。
EUでは、二十一世紀に向けて、実はデノミよりももっと複雑な、大変な通貨統合をやろう、そして新しい時代を、二十一世紀を迎えていくんだというわけです。そういう意味で、私たちは、デノミをぜひ二十一世紀に向けてやるべきだ、こう言っているわけでありますけれども、なかなか総裁としてはこれについてどうかと言いづらいと思いますけれども、この辺につきまして、百分の
一、一ドル一円を想定しておるわけですけれども、その考えに対する御意見で結構ですので、お答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/99
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100・畠中誠二郎
○畠中(誠)政府委員 日銀総裁のお答えの前に、金融行政の情報公開についてお尋ねがございましたので、私の方からお答えさせていただきます。
これまでにも、金融機関に対する金融行政の情報公開につきましては、大蔵省におきまして、例えば金融機関に対する指導内容の成文化とか、認可基準の明確化、金融機関の不良債権額の公表、それからインターネットを利用した審議会の議事概要の公開等が実施されてきたところでございますが、金融監督庁になりましても、引き続きこうした努力は続けてまいりたいと考えております。
なお、現在、先生御案内のとおり、政府は、行政改革委員会が昨年十二月に提出しました情報公開法制の確立に関する意見というものを最大限尊重しつつ、九年度内に所要の法案を国会に提出すべく検討を進めているところでございまして、金融監督庁が発足後は、この中で金融行政に関する情報のうち可能なものは公開すべく取り組んでいく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/100
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101・松下康雄
○松下参考人 現在御審議をいただいております日銀法改正案は、昨年の中央銀行研究会から金融制度調査会へと受け継がれてまいりました検討の結果に基づきまして、中央銀行の独立性と透明性という考え方を軸といたしまして、二十一世紀の金融システムの中核としてふさわしい日銀のあり方を具体的に規定されたものになっていると考えております。
具体的には、現行法の政府と意見が異なることを理由とする役員の解任権や業務命令権などの広範な監督規定は明確に廃止をされておりますほか、日銀の最高意思決定機関でございます政策委員会の機能強化の観点からいろいろの制度的な手当てがございますし、また政府との関係におきましても、政府の経済政策との整合性を図る観点から、透明性の高い仕組みが提案されているところでございます。
私どもといたしましては、この法案が成立いたしますならば、新しい制度のもとで自己改革を進めながら与えられた使命を達成してまいりたいと思っておりまして、この新しい案の基本の考え方は、御指摘がございました欧州各国、イギリスを含めましての中央銀行の制度改正の考え方と軌を一にしたものであると判断をいたしております。
それから最後に、円の役割をグローバル化の時代にさらに強化するためのデノミについての御質問でございますが、円の持つ役割をグローバルスタンダードを取り入れながら強化をしていくということは非常に大切なことでございまして、このために、昨年来提唱をされておりますいわゆる日本版ビッグバンと申しますか、諸般の、金融・証券の面におきまして大きな改革を実行してまいろうという動きが現在進行しているところであると思います。この動きは私どもは非常に意義あることだと思いまして、これに対して私どもの立場からも御協力を申し上げてまいりたいと思いますが、デノミ自身の問題につきましては、かなりのコストがかかります上に、各方面に影響するところも非常に大きゅうございますので、現状におきましては、非常に慎重に検討されるべき問題であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/101
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102・今井宏
○今井委員 時間が参りました。まだ問題点もございますし、引き続き質疑の機会をちょうだいしたいと思っています。
実は、一昨日、私の地元の草加から国会見学に来られまして、津田忠雄さんという、ロータリアンでございまして、社会保険労務士さんなんですが、狂歌を書いていったのですよ、印象を。ファクスを送ってくれたのですが、これを御披露しておしまいにしたいと思いますが、こういうのです。「国会や行革戦争かけひき戦官僚布陣難攻不落」というのですよ。もう一つは「政治屋さん資料集めはお役所に教えをこいて頭上がらず」、最後は「行革や机の数は減らせずにただ看板を取り替えるのみ」。
このようにならないようにお互いに努力していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/102
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103・綿貫民輔
○綿貫委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時二分休憩
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午後一時一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/103
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104・綿貫民輔
○綿貫委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。安住淳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/104
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105・安住淳
○安住委員 民主党の安住でございます。
私の質問時間は一時間でございますが、まず野村証券事件について何問かお伺いをいたします。
九一年の損失補てん、それに端を発して、証券業界全体の不透明さ、まじめな投資家が、一般の投資家がきちっと市場のルールに従ってやっているにもかかわらず、他方で損失補てん、損をしない人たちがいる、これが非常に我が国の証券業界の中の不透明さをあらわしているのではないかということで、大きな問題になりました。
それが国会の問題となって、最終的には証券監視委員会というものができたわけでございますが、しかしそれから、また今回総会屋というものが出てきて、それに対して不正な利益を供与をしていた。なおかつ、後で質問させていただきますが、VIP口座の問題も出てきている。今、私たちの国が抱えている行政改革とも大きくこれはかかわる問題でございますが、つまりは私たち日本の市場というものは果たしてフェアなのかどうなのかということが、私は世界的にも問われていると思います。
それは野村証券という一証券会社の問題なのか、それとも、長く戦後続いてきた証券業界と、またそれを守ってきた、保護してきた、監督をしてきた大蔵行政のどこかに大きな問題があったのではないか。そういうことが今出てきていて、その事件の最中に金融監督庁というものがリンクをする形で、今この法案として提出をされているわけであります。
二〇〇一年にビッグバンをやると橋本総理はおっしゃられました。その決意というものは私どもも評価をいたしますが、じゃ実際に、二〇〇一年のビッグバンに向けて、どのように世界に対して、また本当に善良な一般の投資家が株式市場に対して参入をしていく、そういう環境というものを行政が中心になってできるのかというところが、私は問われているのだと思っております。
そこで、まずお伺いしますが、三塚大蔵大臣、今回のこの野村事件について、率直な感想をお聞かせいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/105
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106・三塚博
○三塚国務大臣 御指摘のとおり、九一年の事件を反省として、二度とかようなことが起こらないようにというので証券等監視委員会がスタートを切ったことは御案内のとおり。
昨今、強制捜査の中で、野村事件が世の批判を浴びることになりました。ビッグバンに向けてスタートということで、諸制度の改廃、強化等を基本にスタートを切っているやさきでありますだけに、極めて残念至極というか遺憾である。表現の言葉がないくらいであります。
よって、これは証券委員会がまだいまいちでなかったのではないか、あるいは大蔵と証券業界、機能しておらなかったのではないか、こういう事件が出ますと、そういう指摘を受けることになります。全く責任なし、こういうことにはならぬ。精いっぱいやりましても、やる人はやるわけですから。
こういうことを考えますと、今後さようなことが起きませんように万全の体制をとらなければなりませんし、そのためには調査及び検察庁の捜査を見て対応をして、どこにどう対応すべきかということを考えることになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/106
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107・安住淳
○安住委員 これは申し上げておきますが、我が党は、この問題が決して──一義的にはやはり野村という企業の体質の問題だとは思います。それを行政の監督が悪いとかそういうふうに、行政に対して何をやっているんだというふうな、今までのような考え方を私どもは持っていません。この問題は、やはり一義的には野村証券という体質の問題はあると思います。
それを前提にして次の質問をさせていただきますけれども、証券業界、大蔵大臣、これは、ここは公的な場所ですから個別の証券会社の名前は申し上げられませんが、野村事件が起きたように、総会屋に便宜供与を図ったり、こうした体質というのは、それでは損失補てんが行われたあの事件の反省が、私はそれは野村だけでなくて、ほかの証券業界全体に対して大きな警鐘を鳴らしたと思いますよ。しかし、実際に事件とじてまだ表立ってはおりませんけれども、じゃ実際同じような体質が証券業界、業者というのはあるのかないのか、そういうことに対する認識というのは、大蔵省はどのように思っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/107
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108・長野厖士
○長野政府委員 お答え申し上げます。
証券市場あるいは証券取引と申しますのは、ある意味で、率直に申し上げますと、健全な経済取引を仮装して不法あるいは不適当な取引が行われやすいという潜在的な特徴を持ったマーケットであろうと思います。そのことがゆえに、先生が御指摘のような問題が現実化してきておるということでございます。
そういう弱さと申しますか問題をはらんだ市場で事業を行う証券会社におかれては、通常の注意以上の注意を持って自社の取引の中にそういったことが紛れ込んでこないような内部的な管理体制等々のものを確立していただく必要があるであろう。その意味で、一つ起こった事件は業界全体としても共通の注意を持って対応しなければいけないことであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/108
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109・安住淳
○安住委員 今の証券局長の認識というのは、証券局長は前からそういう認識を持っていらっしゃいましたですか。それとも、今回の事件を契機にそういうふうに実感をしたということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/109
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110・長野厖士
○長野政府委員 今回急に持ったというわけではございません。証券業の歴史を長くひもときますと、必ずもろもろの事件が過去の長い間において行われております。したがいまして、アメリカにSECという組織がございますが、日本も前回の不祥事で証券取引等監視委員会という独自の検査監視機構を設けさせていただきました。国内にありますもろもろの事業の中でその業界だけを監視検査する組織が設けられておるというのは、国内でも海外でも同じでございますけれども、証券業のある意味では特性かと存じますけれども、そういった組織がなぜ証券業という業界にだけ必要であったのかという点は、先ほどお答えしたことの中に含まれておるように感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/110
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111・安住淳
○安住委員 午前中の答弁の中で長野証券局長は、経済取引の中で証券市場というのは比較的違法行為が行われやすい、そういう市場であると。今のお話を聞くと、前からそういう認識を大蔵省としても持っておったと。それでは、そういう業界、まだそういう証券市場に対してどのような行政を行ってきたのかというのが今度は大きな問題になると思います。
例えば、ある意味では市場というものを重視をして、市場のルールというものを逸脱した者に対して本当に厳しい措置をとってきたのか。それとも、業界を保護してきて、護送船団方式と言われるような行政体質の中で、いわば官と業というものがある意味ではなあなあな体質の中で、こうした不正が行われる可能性が強いという認識をしていたにもかかわらず、行政がみずから厳しい目で業界というものを見てこなかったそうしたツケも、私は今回証券業全体にやはり来ているのではないかという認識を持っております。
例えば株式の固定手数料、この問題一つとってお話をさせていただきましても、海外、特にアメリカにおいては、欧州でもそうでございますが、株式の売買手数料というのはもう既に自由化されております。ところが、我が国ではこれを固定手数料という形で温存をしているものですから、商売をする側に立てば、免許をもらった証券業者は少しでも株を動かせばそれで、極端なことを言えば、ああ、つぶれなくて済むと。
ある意味ではこれは、大蔵大臣、そういう護送船団方式の行政が、ある一時期はよかったかもしれません、しかし、これから、今現在でも私はこうした行政のやり方のツケが回ってきているのではないかというふうな認識を持っておりますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/111
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112・三塚博
○三塚国務大臣 証券業界、先ほどの九一年の御指摘の事件以来、反省をしながら全力を挙げて、業界としてまた会社としての信頼を得るために頑張ってきておると私は見ておるわけです。
そういう中で、今のポイントは、手数料の自由化をどうだという間接的な……(安住委員「例えばの話です」と呼ぶ)例えばの話。これは今、六月に答申が出ますから、引き続きそれを真剣に協議をして取り進める、こうなっていますので、それを見ていきたいと思っております。
そんなことで、業界の体質を批判されているわけですが、批判されないような体質にするため、実は自由であり公正であり国際的な基準に合った、信認の受けられる会社、そして取引もその基準に同じゅうしましてやり得るようなものを二〇〇一年に向けて完成をしていきたいというので、ありとあらゆる関係の審議会に論議をいただいておるところでございまして、六月中にはその中間取りまとめが出てまいりますから、それに向けて、外為法四月一日施行と歩調を合わせながらスタートを切っていく、法律改正を伴わずやれるものはやってまいる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/112
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113・安住淳
○安住委員 私の解釈では、今の大臣の話で言うと、護送船団方式的な行政というものは改めていくんだという認識でよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/113
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114・三塚博
○三塚国務大臣 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/114
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115・安住淳
○安住委員 となれば、私は、なおさら金融と財政というものが明確に分離をされた行政というものが必要だと思います。これについては後でお話をしますが、もう少し野村事件をお伺いしないといけません。
VIP口座というのが出てまいりました。これは普通の一般の投資家から見たら、やはりVIP口座というのは、野村は特定の顧客に対してのいわば通称であると言っていますが、これはしかし私は世間の人が見る目というのは違うと思います。どうも高級官僚や政治家の名前が出てきているのではないか。そしてまた、総会屋と同じように損をさせないための何かのからくりをやっているのではないか。現にそういう報道も多々あります。
ここは私は、襟を正すためにも、大蔵省そして大蔵省の幹部の皆さん、VIP口座にみずからの名前が本当にあるのかないのか、その辺のところを例えば調査をなさるとか、襟を正すような姿勢というのは必要だと思いますが、今この時点に至って、予算委員会では大蔵省側の意向というのは伺いましたけれども、改めて伺いますが、大蔵省としてみずから率先してこのVIP口座に幹部の名前があるのかどうかお調べになるおつもりはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/115
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116・三塚博
○三塚国務大臣 本件でありますが、大蔵省職員の株式取引については平成七年度に通達を発出いたしております。毎年その取引状況について報告を求めてきておるところでありますが、御指摘のように特別の問題があるというものは報告されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/116
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117・安住淳
○安住委員 ないというふうな認識ですが、それでは、また仮の話だと答えられないと言うかもしれませんが、もしあった場合はどのようなことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/117
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118・三塚博
○三塚国務大臣 もしあったならばというもしの話はなかなか、あるともないともどちらで、仮定でありますから、仮定に答えることはこういう正式の国会でありますから御遠慮をさせていただきますが、そういうことで御理解ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/118
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119・安住淳
○安住委員 もし発覚をした場合は厳重な処分を行うというふうな認識は持っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/119
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120・三塚博
○三塚国務大臣 発覚ということではなく、問題はないという報告ですから、問題があるとすれば、その時点で問題点は何なのかということ、ただいまのところはない、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/120
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121・安住淳
○安住委員 これは官房長官、大変恐縮でございますが、現内閣においても、これは政府の例えば全省庁にまたがる問題になるかもしれません。私は、橋本総理大臣が国民に向かって、襟を正して行革をやっていくという姿勢を示すためにも、こうした問題に対してみずから進んで内閣全体を挙げて例えば調査をするとか、そういうことがあってもしかるべきではないか。これは政治の常識ではなくて、国民の側から見た常識としてそんなことを私は感じておるのですが、官房長官として何かおやりになるという、例えば調査をしてみるとか、そういうお考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/121
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122・梶山静六
○梶山国務大臣 にわかにどうするという判断も持っておりませんが、いずれにいたしましても大変な問題であります。前回も、損失補てんの問題をめぐりまして大変な問題があった。私も口が悪いから、当時は、やはり株屋さんかという表現だけで、株屋さん的な体質が出たのだろうと。しかし、今や証券会社というれっきとした、しかも産業資金の調達をし、それぞれの公的な役割を担っている証券業界でありますから、これが正しく運営をされ、疑惑を招かないことは何よりも大切であります。
実は私自身も、おとついの夜、某週刊誌から、VIPの名簿を一部入手した、そこに貴殿の名前が載っておりますよ、ですから名誉を重んじて聞くけれども、いつごろからVIP口座を持ったんですか、だれが接触の相手ですか。そういう、ただタイプで打っておって、名前だけがペン書きですから、これは不特定多数にあるいは配られたのかなという、いわばひっかけ……(安住委員「長官は入ってはいらっしゃらないのですか」と呼ぶ)全くありませんということをその会社に伝えました。
そういう、なくても書かれることが果たして野村にあるのかどうか。これもどこからか調べてみ一なければなりませんが、野村さんにないとすると、某週刊誌がそういうことを捏造して、ひっかけ質問をやったのかなという気もするのですが、そういうものにみすみすまたひっかかっても、閣僚の皆さん方、迷惑かなと思って、私は実はおとついの夜そういうことをなされたわけでありますから、怒り心頭に発しているのです。しかし、野村の問題がなければこんなこと、江戸のかたきを長崎というわけじゃありませんけれども、野村というやつは嫌なやろうだなという感じが実はしております。
個人の私は粗野な感情の持ち主ですから、大変表現がまずいかもしれませんが、何としてでも正常に証券業界が立ち直ってほしい。そして、それを報道する側も、きのう新聞社の人に聞いたら、週刊誌も週刊誌、ちゃんと思うからいけないんだ、こう言われましたけれども、そう言ったらまたこれもしかられますから……(安住委員「大臣、時間がないので」と呼ぶ)そうですが、以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/122
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123・安住淳
○安住委員 長官、そうであれば、なおさら襟を正すためにも、こちらの側から調べたらいかがでございますか。言われて、そういうことで文書が出てくるのではなくて、長官ないし、例えば大蔵省ならば三塚大蔵大臣名で官房長を通して、きちっと局長、課長以上の管理職に対して、そういうものに入っているかどうかということをお聞きになるだけで結構なわけです。なければないで結構でございます、それは。そこは調べることができると思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/123
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124・梶山静六
○梶山国務大臣 私の責任においていたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/124
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125・安住淳
○安住委員 大変、政治家として御決断をいただいて、ありがとうございます。
これは、委員長、要望でございますが、今官房長官、せっかくそう言っていただいたわけでございますから、この委員会で正式にその報告を受けて、また議論させていただきたいと思いますので、理事会で諮っていただいて、今の官房長官の話をこの委員会で報告を受けることをぜひお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/125
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126・梶山静六
○梶山国務大臣 私は、内閣の名においてこの実像を各閣僚に問い合わせをする。これを公表するしないという問題はまた別個な問題でありますので、その点は、ここで私たちを拘束することがいいのかどうなのかも改めて考えて、やってほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/126
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127・安住淳
○安住委員 今官房長官のお話もありましたが、一この件についてはぜひ理事会で諮っていただいて、少なくとも官房長官、そこは、調べていただいたその結果については、国会において質問があったときはきちっとお答えをいただくということはお約束いただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/127
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128・梶山静六
○梶山国務大臣 あるかないかまだわかりませんが、私は九九・九九%ないと思いますが、私のような事例があるわけでありますから、間違った情報によって万一人の名誉を傷つけるということになれば、個人、議員ならばいいかもしれませんが、閣僚の一人が傷つけられるということになると大変でありますから、この発表に関しては慎重にさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/128
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129・三塚博
○三塚国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、大蔵省はやっておるわけです。報告を受けておるわけです、毎年。問題になるものはない、こう申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/129
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130・安住淳
○安住委員 官房長官はお調べになるということでございますが、これは二重三重にやっていただくのも私は結構だと思います。国民の見ているこの疑惑の目を解消するためにも、官房長官、そこは政府の責任者の一人として、そうした調査というものを、今お約束をいただいたわけですから、ぜひ行っていただきたいと思います。
それでは、少し日産生命の問題もあわせて話をさせていただきます。
先日、我が党の枝野議員がこの日産生命のお話をしたときに、資料を要求したら、大蔵省の方からこちらの方に資料をいただいて、私ちょっと愕然としたのです。何かというと、日産生命の不良債権は、社長の記者会見でも、大蔵大臣、これは二千億円近くあるという話だったのです。
しかし、いただいた資料を見ますと、不良債権の償却状況というのがあるのです。平成五年に一億円ちょっと、平成六年が七億三千六百万円、平成七年はちょっと多くて百六億なんですが、これは、実はこのうちの六十九億円はあの住専のときに償還をさせられたという額であります。つまり、これはどういうことかというと、実際に持っていた不良債権の二千億円等のお金は正直隠しておいて、表向き一億、七億、そして百億ということで償還をしているという形をとっていた。
ところが、それだけではないのです。そうしたいわば会社でいえば大きな借金をしているにもかかわらず、納税状況というのがあります。納税状況について資料をいただきましたけれども、見ますと、損益計算書より取り上げた資料でございますが、平成五年には六億四千万、平成六年には三億四千二百万、平成七年には五十二億八千五百万円、税金を納めているわけです。
大蔵大臣、これはどういうことでございますか。これは、内部事情をまず知っていたのかどうか。まあ、知らなかったと答えると思いますけれども、知っていて、不良債権が二千億も山のようにあるこの日産生命に対して、不良債権の償却は一億や七億というその数字を信じて、大蔵省や、つまり税の関係の方は税金を当たり前のように六億、三億とかけていたという話なんです。こうしたことで本当に、その生命保険会社、この日産生命の社内の現状みたいなものをきちっと掌握していなかったのではないかという疑問が私わいてきたのです。これについて、少し大蔵省側の見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/130
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131・福田誠
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
日産生命につきましては、通常の企業会計原則とかあるいは経理基準等にのっとり決算を作成いたしておりまして、それに基づいて納税をしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/131
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132・安住淳
○安住委員 知らなかったわけですね、不良債権の実際の額は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/132
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133・福田誠
○福田(誠)政府委員 御指摘の点は少し次元が違うかと存じますが、私が今申し上げましたのは、日産生命の公表の財務諸表にのっとりまして正規の処理をした結果、最終的に黒字が発生し、それに基づいて納税をしたということでございます。
御指摘の点は、恐らく実質的に債務超過であるということをおっしゃっているかと存じますが、毎期提出されております業務報告書、決算書でございますが、これは正規の財務諸表に基づくオンバランスといいますか、一定のルールに基づいた決算書でございます。債務超過と申しますのは、それとは別に、例えば相場がない証券等々について、実際の時価に基づいて計算したときの実質的な姿を申し上げているわけでございまして、決算そのものが不適正ということではないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/133
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134・安住淳
○安住委員 ちょっと細かいことを伺いますが、これは大蔵省は今まで余り認めたことがないというのですけれども、大蔵省、決算承認というのを日産生命に対して毎年行っていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/134
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135・福田誠
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
決算承認という制度は特にございません。保険会社については、先ほど申し上げましたように、事業年度ごとに業務報告書を大蔵大臣に提出しなければならないことになっておりまして、日産生命もこれらの手続に沿って提出いたしたものでございます。
この決算書の作成に当たりましては、当然のことながら諸ルール、規則により処理されておりまして、加えて監査役や会計監査人の監査を経て当局に提出されているものでございます。したがいまして、そのような法律に基づきます業務報告書、決算書につきまして、その後の事態について当局が審査を行うという性格のものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/135
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136・安住淳
○安住委員 実はこれは大蔵省の方は今まで、委員会でもそうだし、公式には、あるということを一切認めたことはございませんが、実は大蔵大臣、これは業界では当たり前の話になっていまして、それが、どっちが正しいかというのはわかりませんけれども、こういうことを言う人がいるのですよ。
つまり、赤字で、日産生命がそれほどの不良債権を多額に抱えているのはもうみんなわかっている。ところが、ある意味で非公式にやっている決算承認の対象になっているところが、一年に一回大蔵省が検査するわけです、それが、ある意味では、承認をもらうと裏判をもらったという形になるのですよ、業界内部での話は。その裏判をもらうと、表向きはこれは不良債権の話が出ても、大蔵省は守るというふうな前提のもとに、平気でまた商売をしていたというのですよ。これは長官、一般の人たちの、企業の世界での暗黙のルールだということを私は聞いたのです。
だから、実際私は非常に不信を持っているのです。つまり、大蔵行政は本当に我々にとって開かれたものなのかどうか。つまり、業界を守るために妙なことをやっているのじゃないか。これは、私そこはちゃんと正直に実は答えてもらいたいのです、非公式でも何でもそういうことを本当にやっているのかやっていないのか。
どうも聞くと、私は実際別の会社に聞いたら、これは日産生命と同じクラスの生命保険会社の中にも、そういうことでお伺いを立てて、大蔵大臣の判ことは言いませんでしたけれども、お墨つきをいただいて商売をやらせてもらっていますという人が現にいるのですから。いかがですか、大蔵省。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/136
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137・福田誠
○福田(誠)政府委員 御指摘の点、必ずしも十分理解しかねておりますが、例えば、実質的な債務超過にもかかわらず配当などが行われていたというような事例でおっしゃっているのかと存じますけれども、先ほど来申し上げておりますように、日産生命は一般的な経理基準にのっとって決算を行ってきておりまして、例えば配当について見ますと、一定の経理基準にのっとった決算の結果最終剰余が発生しておりますので、その中から配当しておるということでございますし、私どもは、例えば配当の承認に当たりましては、財務内容あるいは営業、いろいろな保険料の……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/137
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138・安住淳
○安住委員 明確に答えてください、明確に。そういうのがあるのかないのかで結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/138
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139・福田誠
○福田(誠)政府委員 ちょっとその御質問の趣旨がよくわからないのでございますが、私どもは、決算書類に基づいて、常にそれを妥当なものとして処理をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/139
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140・安住淳
○安住委員 今の部長のお話がそうであれば、要するに二千億円もの不良債権があるのを知りませんでしたという話ですね。だって、出てきたものに対して課税しているのですから、六億、三億。住専のときは政府がああいうふうに六千九百億円出したものだから、百六億の償還をやらせて、それに応じて五十二億税金を取っているのです、大蔵大臣。ということは、これは審査も何もあったものでないですね。
私は、日産生命は、日産生命の会社ももちろんそれは悪いと思いますが、心配なのは、今この世の中、長官、先ほどから長官は大変庶民感覚のある発言をしていただいておりますが、生命保険は大丈夫かという不安が、もう本当に週刊誌から何から含めて、国民の間に物すごく出ていると私は思うのです。
つたない話ですけれども、私の家内ですら、お父さんに掛かっている生命保険は本当に大丈夫かしらと言うのですね。やはりこれは生命保険の……(発言する者あり)いやいや、若いですから、掛けているのです。生命保険まで、国民から見て、今まで絶対にそれは返ってくると思っていたものに対してまで、不良債権が見えないものだから、不安を与えているわけですね。
私は、これはディスクロージャーの問題が出てくると思いますが、行政の姿勢にもあると思いますよ。例えば簿価会計を時価式の会計にちゃんとしたら、それは京樽などはつぶれてしまったわけですから、そういうことをきちっと出すということが大事だと思うのです。
だから、これはほかの生保を含めて、本当にこの不良債権というものがどれぐらいあるのかというのを、大臣、しっかりこれは行政当局に対して指導して、明らかにするおつもりはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/140
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141・福田誠
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
日産生命につきましては、いろいろな場面でお答えしておりますが、平成七年九月の検査を実施した段階で実質的な債務超過ということがわかったわけでございます。
ただ、一般論として申し上げれば、それぞれの企業会計におきましては、例えば市場性のない有価証券については原価法で処理するというふうなことになっておりますし、それから市場の価格のあるものにつきましては、保険会社については一般事業会社よりもかた目に、金融機関と同様、低価法を採用しているわけでごどいますし、今御指摘の点が、業務報告書ベースのルールにない、いわばオフバランス分も全部表示せよということでございますと、それは一保険会社の会計処理の問題だけではございませんで、一般的な問題かと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/141
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142・安住淳
○安住委員 いや、本当は時間があれば、何か生命保険会社というのは不良債権と言わないで債務超過と言うそうなので、そこはちょっと訂正します。
そもそもこの生命保険の債権というのは一体どういうふうなものなのかという話を本当はしないと、多分始まらない話だと思うのです。しかし、この金融システム全体のバランスが、言ってみれば、大丈夫だという神話がやはりこれは崩れているという時代認識を持って金融行政というものを考えていかなければならないということを、今の日産生命とそれから野村の事件というのは、私はこれは、時期的なことを言っても、我々に対する、いわば行政のあり方に対する警鐘ではなかろうかなというふうに思っておりまして、そうした観点から、今回の金融監督庁の問題について、少し疑問がございますので、何点か質問をさせていただきたい。本来であれば、ちょっと行政改革の問題、後で質問をさせていただきたいのですが、武藤長官が財政構造会議か何かに出ていて、後でおくれて来たら、行政改革の問題に踏み込んで少しまた議論をさせていただきたいと思います。
まず、お伺いします。
三党合意で金融監督庁ができた、そのことはわかりました。しかし、これはその間のプロセスを、実は私ぼうっとこの間、三月か何かにテレビを見ていたら、武藤審議官が主役でNHKの特集か何かに出ておられて、金融と財政を分離するのは反対である、大蔵省で特別チームをつくって反論の紙を、私のところにも参りましたけれども、まきながら、必死に抵抗した、そして政治と、言ってみれば、政と官が激しい闘争をした結果として、妥協の産物としてこういうものが生まれてきたというようなことを特集でやっていました。
武藤審議官にお伺いいたしますが、今回つくった金融監督庁は、武藤審議官というよりも、大蔵省にとってみれば本意ではないわけですか、金融と財政の分離というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/142
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143・武藤敏郎
○武藤政府委員 御指摘のとおり、昨年の二月以来、与党におきまして金融行政組織のあり方についての御議論がございました。いろいろな経緯はございましたけれども、昨年の十二月に三党の合意として、現在提出されております法案の骨子が合意されたわけでございます。
その際、大蔵省に対しまして、大蔵省としてどのような意向、意見を持つのかというお話がございましたので、大蔵省としての考え方を申し述べました。その基本は、大蔵省の三条庁として、検査監督について独立した、独立的な外局としての庁を設置するのが一番いいのではないかという趣旨の、細かく申し上げますといろいろあるのですが、要約しますとそういう趣旨のことを申し上げました。
しかし、私どもが申し上げたことは、あくまでも私どもの考え方でございまして、与党において最終的な御判断が出れば、それをあるがままに受けとめるのが我々の立場であるというふうな考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/143
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144・安住淳
○安住委員 今の言葉、明確には申し上げなかったですが、審議官のお話を聞くと、金融と財政を分離するのは大蔵省としては本意ではないというものが言外に伝わってまいりました。
私は、この法案そのものの細かい共管の問題や、それから、例えば地方の組織の問題については少し後で時間があれば触れますけれども、確かにこれは運用上問題があると思います。
しかし、もっと問題なのは、これは長官ないし大蔵大臣に伺いますが、これはあくまでも暫定的な措置、つまり中間的な措置として、省庁再編のときに改めてこの金融行政、それから財政当局のあり方については考えてしっかり結論を出す、それまでの暫定措置であるということはこの委員会でも何度も答弁をいただきました。では、その本格的な再編のときに、金融と財政というものは、今回のような暫定措置ではなくて明確に分離をした形での省庁再編をやるおつもりなのか。私は、それは政治家の決断でもあるし姿勢の問題でもある。
しかし、逆にこれは、同時に大蔵省にも伺いますが、この法案は新しい省庁再編ができるまでのあくまでも暫定的なものなのか、それとも恒常的なものとお考えなのか、双方のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/144
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145・三塚博
○三塚国務大臣 提案者は内閣総理大臣、総理府でありますが、きちっと整理をしますと、これはもう合い議をいただきました、これでよろしいと。ベストなものとして出しておりますから、金融監督庁、暫定ではございません。これは、このことできっちりと企画立案と検査執行、この分野を明確に機能分担をいたしたことでありますから、これはこれで御理解をいただく。
それと、財政と金融という国の機構の中の原則的なものについては、十一月の大くくりな行政改革、いわゆる行政庁どうあるべきか、武藤総務長官が来ましたけれども、こういうときに、この根幹となるべく財政と金融について協議をいただく、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/145
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146・安住淳
○安住委員 大蔵大臣のお話であれば、この金融監督庁というのは暫定的なものではないと。
そこで武藤長官と梶山長官に伺いますが、前回この委員会では、これは見直しは十分あり得るんだ、つまり、中央省庁再編のときにはまた見直すんだというお話だったと私は伺いました。しかし、これはあくまで暫定的なものでないということは、要するに金融監督庁はこのまま省庁再編があっても残すわけですか。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/146
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147・武藤嘉文
○武藤国務大臣 この間申し上げたのは、従来から住専の問題その他で、今のままではいけないということで、金融に対する検査監督は別のところでやるべきだということからこの問題は起きてきた。
もう一つは、私ども行革会議で今進めておりますのは、二〇〇一年からは全く新しい感覚で、考え方で日本の行政機構をつくり上げていきたい。今までのもの、いわゆるこちらとこちらをくっつけるとかいうような考え方ではなくて、二十一世紀においては国家はどういう機能を果たしていかなきゃならないのか、あるいは二十一世紀において国民に対する行政サービスは、どういうことを国民が望んでおられるか、それをしっかりつかんだ上で、それじゃこういう仕事を行政としてやっていかなきゃならない。
その行政としてやっていかなきゃならない仕事をどういう組織でやっていったらいいのか、こういう考え方で私ども新しい行政機構をつくっていこうと思っているわけでございますから、当然この問題についてもその中で、どういう形になっていくかは、私は必ずしも今のままいくとは考えられないというふうに申し上げたわけで、そうなればおのずからそのときには変わってくる可能性はある、こう思って私は申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/147
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148・安住淳
○安住委員 つまり長官、これは監督庁も例外なく見直しの対象になるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/148
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149・武藤嘉文
○武藤国務大臣 今申し上げましたように、現時点の行政機構というものはすべて私は見直しの対象にしていかなきゃならぬ、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/149
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150・安住淳
○安住委員 私がなぜこの話をしつこく言うかといいますと、与党三党の合意だから仕方なくこういう省庁、つまり金融監督庁というのをつくった。しかし、大蔵省は金融、財政一体論でありますから、これに対しては本意ではございません。しかし、与党の、例えば山崎政調会長は十二月一日のテレビにおいて、これは新聞報道にも載っていて私も持っていますけれども、二〇〇一年に財政と金融の完全分離をするんだ、そのための中間的措置として今回の案を考えたとはっきり言っているわけですよ。
だから、ある意味では、法案の細部を少し話をすると、いろいろな矛盾点が残っているわけです。大体これは共管なんということ自体もおかしいし、これは梶山長官所管でございますから私一つだけちょっと説明をさせていただくと、例えば地方の財務局の問題は典型だと思います。
財務局長が金融監督庁に依頼をされたら、金融監督庁の仕事をその財務局がするわけです。これは役所的に見たら確かにそれで整合性はとれると思います。しかし長官、検査を受ける銀行の側に立ってみてください。同じ人間が行って、きょうは財務局の仕事で来ました、あしたは金融監督庁の仕事で来ましたという話になるんですよ。こんなことが私は役所としてまかり通るはずがないと思うんですよ、行政として。
そういう整合性のない中途半端なものをつくった。それは金融の検査監督を、個々の銀行はやる、しかし業界は大蔵省がまた抱えますという話ですね。これはどう考えたって私は矛盾があると思います。
そして、答弁をひもとくと、橋本総理も我が党の池田委員の答弁にこういうふうに答えているんです。いいですか官房長官。最善の案と信ずるものを国会に提出をして審議をしていただいております、しかし、これは建前と本音とが、ある意味では、ないまぜになっているという話です。
長官、いかがでございますか。要するに私が聞きたいのは、二〇〇一年までのあくまで暫定的な措置としてこうやっているけれども、二〇〇一年のときには財政と金融をきちっと分離をして、そして金融というものに対しては市場を、大蔵大臣さっきからおっしゃっているように市場ルールというものを、メカニズムを大事にして、そこから逸脱したものに対して市場にペナルティーを課していくような行政に改めていくんであれば私はそれはそれで評価をしますが、しかし、どうも行政サイドはそうではないような意識を持っているんで、果たしてこれはうまくいくんだろうかという危惧を持っているわけです。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/150
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151・梶山静六
○梶山国務大臣 私は、委員から、説明申し上げますがと言って私に御説明をちょうだいしたわけですが、その説明、必ずしも十分には理解をいたしません。
この発端というのを何遍も私ここで申し上げておりますが、住専問題に端を発したいわば銀行と大蔵の悪く言えばなれ合い、これにメスを入れなきゃならないというのが発端であったわけであります。他党はいざ知らず、この与党三党の議論も実はそこに集中をして、初めは大蔵改革案というのを去年の九月にまとめた。そして、去年の十二月には金融行政のあり方というものにまとめ上げてきたわけであります。
だんだんそれがそういうふうに収れんをしてまいったわけでありますが、この中で見られることは、冒頭私が申し上げましたように、表現が悪いけれども二枚鑑札は要りませんよ、少なくとも企画立案をする分野とそれから個々の検査監督というのは全くセパレートしなければ、今までのあいまいな、護送船団方式とよく言われるようなものになってしまう。この二つを峻別することが一番大切だというのが、この金融監督庁をつくる発端であります。
ですから、その後になって皆さん方もそれぞれの議論が分かれて、あるいは金融は一本でやれ、それならば今の大蔵省そのまま何にも変えないで置けばいいのかということが一つあります。それから、今委員が言われるように財政と金融の分離という問題、これも大き過ぎるから分けるのか、あるいはどこの金融と財政の部門に矛盾、不都合があるのかどうなのか、その指摘がなくて、これをただ分ければいいという性質のものではない。
ですから、事財政、予算編成その他について、内閣に置けという案もあれば、主として今日までやってきた大蔵が責任を持って一時的には置いて、最終的には内閣が責任を負うわけでありますが、そういうことがあるわけでありますから、この問題を、この金融監督庁というのは、今日ただいま考えられる、あるいはやがて二〇〇一年にできるものまでじっと待っていて果たしてこの間のような事故が起きないかどうかという保証がないから、緊急このことだけは冒頭、一丁目一番地でやらなきゃならないという意識のもとに今度の金融監督庁をつくった意義というのをお考えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/151
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152・安住淳
○安住委員 二〇〇一年の省庁再編というのは、今、現時点でどういう青写真を持っておられるのか、それは私よくわかりませんけれども、これは武藤長官、所管でございますから、そのときには金融と財政の政策の部分での分離をするのか、それとも今のように大蔵省なりほかの省庁になるのか知りませんが、そこが一体としてやった方がいいのか、その辺はどういうふうな認識を持っていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/152
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153・武藤嘉文
○武藤国務大臣 おととい、実は行革会議でもこの問題を議論いたしましたけれども、委員の方々にもいろいろ意見の違いもございましてまだ方向を見出しておりません。私自身も実はまだ、今どうしたらいいのかというはっきりした結論を持っているわけではございません。
ただ、今御指摘がありましたように、与党三党では何か、財政と金融ははっきり分離すべきだと文書にも書いてありますから、私ども、やはりそれはそれなりに尊重していかなければいけないと思っております。実際どういう形で、組織として財政、金融を、とりあえず仕事を分けようというのは簡単ですが、中央省庁をこれから私どもつくっていくときには、やはり簡素で効率のよい行政にしていかなければいかぬとなっておるときに、複雑な行政機構をつくるわけにいかないものですから、その辺で私、今苦慮しているというのが正直な現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/153
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154・安住淳
○安住委員 大蔵省に伺いますが、おととい行革会議があった。私テレビを見ていたら、武藤長官、相当不愉快なお顔をなさって、財投の問題もちょっと今聞きますけれども、言っていたというのは、どうも大蔵省、相当武藤長官と違うことをお話しになったのかなと思うのです。大蔵省、財政と金融の分野について、新聞にはいろいろ出ていますけれども、どういうことをこのヒアリングの中でお話ししたのか、簡単にお話ししてもらえませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/154
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155・武藤敏郎
○武藤政府委員 十四日の行革会議のヒアリングにおきまして、冒頭大蔵省から、行政改革への取り組み、財政構造改革、金融システム改革、財政投融資の見直しなどについて御説明を申し上げた後、委員の方からいろいろ御質問、御意見が出まして、それに対しまして大蔵省としての考え方を申し述べたところでございます。
この項目、六つのヒアリング項目がありましたけれども、財政投融資、予算の内閣移管、財政と金融の分離、印刷局、造幣局の民営化といったことについての議論がございました。
ごく簡単に、手短にやりますと、財政投融資につきましては、現在、資金運用審議会の懇談会で本格的な検討を行っているという事実がございますので、このあたりの状況を御説明申し上げました。それから予算の内閣移管につきましては、現在でも予算編成は内閣全体で行われているといったような現状の御説明が主なものでございました。それから財政、金融分離については、特に、金融は日銀の問題であって大蔵省が所管するという主張はおかしいではないかというような御質問がございましたが、金利政策は日銀の専管事項でございますけれども、金融システムの安定は行政の所掌であるといったようなことの御説明を行ったところであります。それから印刷局、造幣局のエージェンシー化などについても、いろいろな御議論があり、御説明を申し上げました。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/155
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156・安住淳
○安住委員 それを武藤長官はお聞きになって、武藤長官自身、率直なところどういうふうに思われたのか。今は多分冷静だから、テレビというのは正直で、出てきてからの武藤長官はむっとしておられました。特に財投の問題について、武藤長官の話をすぐ私メモしたのですが、郵貯、年金、簡保、理財局がやっているものについては、償還の見通しもないようなものに金を預けてどうするんだ、やめたらいいじゃないか、そういうふうに僕は言ったんだという発言をしている。本当でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/156
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157・武藤嘉文
○武藤国務大臣 私は、あくまで財政投融資が融資であるならば、少なくとも返済のめどが立っているところへ貸すのが当たり前じゃないか。例えば国鉄清算事業団が今問題になっております。これは多分返せっこなかったんじゃないかな。それから国有林の特別会計、これも今三兆何千億という赤字を抱えています。これもどう考えたって返せないですね。それから、返せるか返せないかわかりませんけれども、道路公団にしたってあるいは都市整備公団にしたって、大変大きな赤字を抱えている。
少なくとも金融で、融資というものであるならば、そういう大きな赤字を抱えている法人へ融資ができるのだろうかという点から見たら、私は、今の財政投融資は本当の融資なんだろうかということを非常に疑問に思っているわけであります。これが第二予算というように割り切るのならまた話は別だと思うのですけれども、あくまで融資ということであれば、これは私は大変おかしなことではないか。
それからもう一つ、今郵政の三事業、いろいろ問題になっておりますけれども、例えば郵便貯金、預かるだけは預かるけれども、それをうまく運用するのは資金運用部でやってくださいといって預けてしまうということは、果たして、金融業という形からいけばこれは片手落ちじゃないか。やはり金融業となれば、お預かりした金をうまく運用して、そしてお預けになった方に金利をつけてきちんと返す、これが金融の姿であるのであって、そういう点が郵貯というのはどうも片手落ちじゃないだろうか、こういう話をしました。
そうすると、いや、郵貯は今度は五十兆、自主運用をしていただくのをふやしましたという話だから、五十兆といったって郵貯の資金運用部へ入っている全体の金から見ると大したことないじゃないかということを私は言ったわけでございます。その点についても、郵貯のあり方というものも、やはり預かるだけじゃなくてそれを自主的にどう運用したらいいのか。しかも今の五十兆にしても、一遍資金運用部へ入ってからまた郵貯の特別会計へ戻している、なぜそんなことを、二度手間のことをしなければいけないのか、こういうことも率直に、私は財政投融資に関係しては申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/157
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158・安住淳
○安住委員 武藤長官のお話と、大蔵省のたしか涌井官房長のお話というのは、どうもこれは見解が違うような気がいたします。きのうのテレビを見て、新聞を見ていても、みんながそう思ったと思うのです。
つまり、この財投の問題というのは、今いみじくも武藤長官は、融資をする以上はこれは金融であると。しかし、財政当局は金融だと多分思っていないと思うのです。これは大蔵省いかがですか。財投というのは金融ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/158
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159・伏屋和彦
○伏屋政府委員 お答えいたします。
財政投融資は、私ども従来から国の政策、特に財政政策をいわゆる融資という金融的な手法によって行う制度であるというぐあいに御説明させていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/159
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160・安住淳
○安住委員 大蔵大臣それから官房長官、財投の問題で、きょうは私、本当は小泉厚生大臣にもおいでいただいて議論したかったのですが、お忙しいようだったので無理は言いませんでした。
しかし、この問題は、やはり私がさっきからしつこくお話をさせていただいたように、金融と財政というものを一体で運営して、それが財政投融資となって、我が国がそれこそ高度成長の中で、住宅が足りないといえばそっちの方に資金を充てる、非常に効果的に使われたことを私は認めます。しかし、それが今後も続くかといえばそうではないという認識を持っているからこそ、私は、やはり財政と金融を行政の立場からも明確に線引きをすることが財投問題、ひいては特殊法人の改革の問題にもつながっていかざるを得ないと思うのです。そこの基本的な考え方が、大蔵省の言っていることも、それから長官のおっしゃっていることも、それぞれがみんな違う、原点が違うわけですから、意見が分かれたら行革はできないんじゃないかと私は思うわけであります。
この財投の問題、これは基本的には、やはり行き着くところは金融と財政の問題、分離をするのかしないのかという問題にもつながっていきますので、もう時間がございませんが、最後に、これは官房長官そして大蔵大臣、この問題にどういうふうにメスを入れていくのか、この基本的な姿勢をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/160
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161・三塚博
○三塚国務大臣 これは、制度がパーマネントなものは一つもありません。時流と政治の要請、社会、経済の要請で変わっていく、絶えず見直すのは当然のこと。ただ、財投方式でやらなければ大型プロジェクトの問題はできない、御案内のとおり。金融機関は五年とかというのが長い、あとは書きかえですからね。そういうことからいうと、一点、道路公団、高規格道路などというのはそういうことでしょう。
そういうことで、確実に償還をされていくというものは、それは十二分に機能しておるという意味で、国民がサポートをしていますから、いいわけです。借りた金を返さなくて債務がこんなになっておる、役目は終わったのだと言われるものは、見直すのは当たり前です。そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/161
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162・梶山静六
○梶山国務大臣 私は、まだ財投に関して一言もいまだかつて公的な場所で発言をした覚えはございません。もう少し議論の落ち着くところを見て自分の意見もまとめてみたい、このように考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/162
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163・安住淳
○安住委員 この金融監督庁、法案の細部についてはきょうは触れませんでしたけれども、我が党の池田議員それから枝野議員が言っているように、御指摘をさせていただきましたが、法案の細部の問題について大変問題があると私ども思っておりますので、修正案というものを出させていただいて、この委員会でまたその御審議をいただければと思います。
時間が参りましたので、私の質問はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/163
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164・綿貫民輔
○綿貫委員長 この際、古川元久君から関連質疑の申し出があります。安住君の持ち時間の範囲内においてこれを許します。古川元久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/164
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165・古川元久
○古川委員 民主党の古川でございます。
私そしてまた安住議員と、大先輩方から見ますと、私たちのような一年生の、しかも三十代の若造が大変にぎゃんぎゃんとうるさく言うのはまことに耳ざわりかもしれませんが、大臣方の明確な御答弁をいただければ四十分で終わりますので、どうか明確な御答弁をいただきたいと思います。
きょうは、お忙しい中、武藤総務庁長官にもおいでいただいたわけでありますが、最近本当によく行政監察局は頑張っておられまして、私、見ていると、ここ半年で十年間ぐらいの仕事をしておられるのじゃないかなというふうに感じております。
私どもが、この委員会にも付託されております行政監視院法案を提出いたしましたときには、行政監察局の廃止を打ち出したわけでありますが、その理由の一つには、長官が長官になられる前の行政監察局というのがどうもちゃんと機能していないのじゃないか、そういう認識をしておりましたから、そういう意味で行政監察局の廃止というものを打ち出したわけであります。
しかし、最近の活動を見ておりますと、これはなかなかどうして、さすがやはり武藤長官というふうに私などは大変に感服しておるわけであります。やはりリーダーというのが大事だなということをつくづく痛感するわけです。同じ人でもとにかく長官の指導力によってもう組織がこれだけ変わるわけですから。
そういった意味で、長官は、政治が行政をリードしていく、そういう本来の政治と行政のあり方を実践しておられるわけでありますから、きょうはその長官の指導力をぜひとも発揮していただきまして、きょうの御答弁を伺って、私たち、行政監視院法案のうちのこの行政監察局を廃止するという部分はもう取り下げてもと、やはり行政監察局というのは残しておこうと、そういうふうに決断できるような、やはり行政監察局というのは、行政の立場に立っているわけじゃなくて、通常の行政とは離れたところにあって長官の強い指導力のもとに行政のお目付役として存在しているのだ、そういう聞いている者が納得できるような長官らしい御答弁をまずお願いさせていただきたいと思います。
最初に、最近、三塚大蔵大臣は私が話をしますとすぐ諌早の話になるのでもううんざりしておられるかもしれませんが、諌早の干拓事業について御質問させていただきます。
私ども民主党、どうも一部の与党の人々の中には民主党が人気取りのためにやっているのではないか、そういう本論を外れたところで、党利党略のところでこの問題を議論してしまうようなところが若干見受けられるわけでありますが、私どもは決してこれは党利党略でやっておるわけでもありませんし、また、ムツゴロウを救おうということが特にクローズアップされておりますが、これは私たちは別にムツゴロウを救うことだけが目的じゃないのです。
もっと大きな目的というのは、この諌早の干拓事業というのが、公共事業のこれまでのあり方、つまり、よく私ども地元でもそうですけれども、とにかく事業として着工してしまえば、後はもう何をしょうがお金は毎年ついてくる。だから、着工までこぎつけること、そこのところを一生懸命やって、着工してしまえばもう後は左うちわというようなところがあった。そういう公共事業のあり方について見直していかなければいかぬ。その公共事業のやられ方が問い直されている。その発端が私は諌早湾の干拓事業ではないか、そういうように考えて私どもは主張しているわけでございます。
そうしたことから、民主党は人気取りをしているというふうにもし思われるのであれば、そういう問題意識を同じくしておられる諸先輩方は、ぜひとも政治家として、長官を初め、もう本当に次に総理にどなたがなられてもおかしくない、そういう方々がきょうお三方来ていただいておるわけですから、そのリーダーシップでむしろもう先にやっていただいて一向に私どもは構いませんので、そういう御決断をいただきたいと思うのです。
きょう武藤長官に来ていただいた理由は、行政監察局がことしの二月二十八日に、農水省に対して、大規模な農業基盤整備事業に関する行政監察結果というのを勧告しているわけです。
まず最初に農水省に聞きたいのですけれども、この勧告を行政監察局から受けて、農水省は何か対応はしたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/165
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166・山本徹
○山本(徹)政府委員 総務庁から御勧告いただきました行政監察については、私ども十分に検討させていただいております。
五月三十日までに御回答することになっておりますけれども、今の諌早の干拓事業についての御指摘は、環境に十分配慮し、また、土地利用、営農等の確実性について確認しながら適切に対処するというような趣旨の御勧告をいただいております。
この事業の環境対策につきましては、六十一年に県の条例に基づきます環境アセスメントを実施し、工事を始めておりますし、また、現在、工事の過程におきまして、水質等の環境モニタリング、環境の監視、測定を行いながら、これを毎年広く住民の皆様方に公表して工事を実施させていただいております。
また、土地利用や営農の点につきましては、事業の実施の工事計画の中に営農計画がございますけれども、これが現在時点で地元の農業経営として成り立ち得るものかどうか検証するために、地域の農業関係者のアンケート調査、また、現時点でのいろいろな農業情勢に引き直してこれを調査し、現時点で農業上の利用は十分図られるという見通しを持って進めさせていただいておりまして、これからも、この事業の実施に当たって、行政監察で御勧告いただきました点を十分尊重しながら事業を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/166
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167・古川元久
○古川委員 そうすると、十分勧告の趣旨は踏まえて、勧告は尊重しながら無視してやっているということですかね。それか、ちゃんと勧告の趣旨はもう今やっているとおりで十分踏まえているというふうに農水省は考えているということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/167
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168・山本徹
○山本(徹)政府委員 現在も勧告の趣旨を十分尊重して事業を実施しておりますし、これからもそのようにしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/168
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169・古川元久
○古川委員 武藤長官、今、勧告の趣旨を十分尊重しながら今事業を続行しているというお話があったわけでありますが、その行政監察局が勧告をした中には、昭和六十一年五月に関係一市十町の中核農家の約一〇%に当たる五百戸を対象に実施されたアンケート調査の結果、約六〇%の農家は規模拡大をしないという回答をしたという記述とか、また、その中核農家は、昭和六十年には四千二百九十七人であったのに対し、平成七年には二千百七十人と半減しているとの記述があるのですね。一体これで、こういう記述をしているのに、土地利用、営農等の確実性というのは本当に図られると考えられるのでしょうか。
また、もう一つそこの中に記述があるのは、昨年七月には、諌早湾が締め切られれば多数の魚介類が死滅するおそれがあるとして、工事の差しとめの訴訟が提起されているわけですね。今これは係争中なわけですよ。実際に環境の面でそういう疑義を呈している人がいるにもかかわらず、本当にこれは環境に十分配慮していると言えるのか。
現実に、四月にこの湾を締め切って、その後干潟が干上がり始めて、淡水化が進んで、今や魚介類は、長官もテレビで見てわかられると思いますが、実際に行っていただいたら、もう、すぐこんなのはというふうに思われると思いますけれども、どこか、何かこれは天変地異が起こった、あるいは戦争で焼け野原になった、そういうところかと思うかのような、荒涼とした、ひび割れた干潟の上に、貝の死骸とか、何かカラスがつついていて、大変な異臭がしている。果たしてこれで、今農水省が言った、勧告を十分に配慮して、環境にも配慮して、それで工事を進めている、事業を進めているというふうに長官はお感じになられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/169
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170・武藤嘉文
○武藤国務大臣 私は、実はテレビでは見ましたけれども、現実を見ていないので、なかなかお答えがしにくいのでございますけれども、環境に十分配慮しながらやってくださいということはこちらから勧告しているわけですから、果たしてどういう形で、勧告どおり、環境に配慮しながらやってくれているのか、ちょっと私も現実を見ていないものですから何とも言えませんが。
いずれにしても、農水省から、これも私は今三カ月となっているのがちょっと長いような気がいたしますが、一応今のルールでは三カ月後に勧告についてお答えをいただくことになっておりますから、これが五月末になるわけですね。ですから、ちょっとそれまで、私も今の段階で、いろいろ世間を騒がせていることは事実だと思いますが、では、けしからぬかどうかという判断は、やはり向こうから出てきた回答書に基づいて判断するというのが一応行政上のルールだと私は思います。
しかし、現実に環境に十分配慮されていなければ、これは勧告と違うわけでございますから、場合によれば、再勧告をするなり、事業の見直しをもう一回していただきたいということをお願いするなり、それは起きてくることが全く可能性がないとは言えないと思います。
しかし、実際問題として、どういう答えが出てくるのか、その答えに基づいて私どもの担当者が当然現場をまた見に行くことになるだろうと思いますので、その報告に基づいて私は判断をしたい。きょう現在でどうこうということはなかなか申し上げられにくいというのは、行政上の今のルールとして御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/170
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171・古川元久
○古川委員 行政のルールはよくわかりますが、今求められているのは政治的な判断だと思うのですね。確かに、長官が言われたように、行政のルールでは、三カ月が来て、その勧告に対する対応が来てから、また監察局、そして長官として判断をされるというのがルールかもしれません。
しかし、今干潟が置かれている状況を見れば、これがすべてだめになって、生物が全部死んでしまって、そういう一回だめになる状況をつくってしまったら、またこれを後に戻すということは極めて困難なわけなんですね。今、排水門をあけて、とりあえず海水を入れて、生物も生活できるような、そういう状況にした上で、むしろ、そうおっしゃるのであれば、勧告に対する回答が来たところで、そこの判断の結論を踏まえてまた排水をすればいいじゃないですか。
それこそ、そんな、いやルールは三カ月です、それまでは何も手が出せないというのでは、私、最初には、行政監察局、いや大したものだと言ったのですけれども、まさに行政監察というのは、万一、本当にもうこれは今すぐこの行政をとめなきゃいけない、やっていることをとめなきゃいけないというときであれば、それはそこでちゃんと言えなければ、それをとめることができないのであれば、やはり同じ穴のむじなかと。
最初に褒めさせていただいたのですけれども、いや、それは勧告のちゃんと返事が来るまでは何も言えませんというのでは、やはりこれでは行政監察局は要らないんじゃないかというふうに思わざるを得ないのですが、どうですか、長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/171
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172・武藤嘉文
○武藤国務大臣 おっしゃる気持ちはわかりますけれども、やはり今行政の一つの中で私どもやっているものですから、これは私は前から言っているように、私どもの行政監察局、私は相当尻をたたいてやってまいりましたので、少なくとも過去よりは変わってきたことは、これはお認めいただけると思うのです。
しかし、私は、限界があることも正直痛感しております。委員会でも、私、前に予算委員会あたりで答弁申し上げておりますように、今のままではやはり横並びで、それだけ権限がないわけですね。だから、やはり法律改正してでももう少し権限強化をさせていただかないと十分な監察の効果は出てこない、これは私は痛切に感じております。
今おっしゃることも私はよくわかるのです。思い切ったことを本当はやりたいのですけれども、ルール上そこを認められていないものですから、幾ら私が蛮勇を振るってやっても、それはどういうルールかと言われたときには、なかなかそれが答えられない。
その辺は私も切歯扼腕しているというのが正直な気持ちでございまして、できるだけ早い機会に、私は、前のときは、臨時国会が秋に開かれれば、ぜひそこで法律を改正してでも、我々の設置法を改正してでも、ひとつもう少し権限を強化したものにしたいということを申し上げておるわけでございまして、それができない間は、残念ながら今申し上げたようなことしかできないということは、私は御理解をいただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/172
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173・古川元久
○古川委員 ルールがないとおっしゃったのですが、そこで、私は、いいルール、今の法律でも長官がその勇断を発揮できる場所があるのです。今からお伝えします。ぜひともそれを行使していただきたいと思うのです。
私ども民主党は、おととい、とりあえず排水門を開いて海水を干潟に流入させて、死滅しつつある生物を救うことを求める質問主意書を提出いたしましたが、この質問主意書というのは、もう御承知のとおり、来週ぐらいには農水省から、来週か再来週になるかもしれませんが、きのう聞いてみますと、まだ農水省の方に来ていませんから、来週ぐらいになるんじゃないですか、うちに来るのは、というお話をしておりましたから、閣議にかかるのは再来週になってしまうのかもしれませんが、これは閣議の了解がない限りは、私ども返答をいただけないわけですよね。
この閣議というのは、もうこれは言うまでもなく、全閣僚のサインが必要なわけであります。もし、この農水省の私どもの出した質問主意書に対する回答が、排水門をあけることはまかりならぬ、とにかく、このまま干潟が干上がって生物が死んでも、もうここまで来てしまったんだからだめです、あとはどんどん事業を進めます、そういう一方方向の回答しか出てこなかった場合には、これは、長官が、いや、もう一回検討する時間が必要だとお思いになられるのであれば、その場で署名を拒否していただければいいわけです。これは今の法律の中でできるわけです。
そこでお伺いしますが、もし、そういう排水門をあけないという回答が出てきた場合、長官は閣議の中でサインをされますか。それとも、今おっしゃられたように、できるならばここで何とか言いたいと、その気持ちをサインをしないということで表明されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/173
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174・武藤嘉文
○武藤国務大臣 正直、まだ質問書に対してどういう回答を農水省が出そうとしているのか、今おっしゃったのはあくまで仮定の問題ですから、私は、やはり閣議にかける前に十分その辺はチェックできると思っておりますので、どういう回答書が出てくるか、それによって判断をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/174
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175・古川元久
○古川委員 長官は半から外交日程があるというお話を伺っておりますが、私は、それはいろいろな、ほかの条件はあると思いますが、少なくとも排水門をあけて海水を入れるか入れないかというところだけは、ほかのところの条件は別ですよ、しかし、もしそこがあけないということであったら、海水を入れないということであったら、サインをするかしないか、そちらの、するかしないかを聞いているわけでありますから、それは別に、仮定だから答えられないとかいう話じゃないはずであります。そこをお答えいただかないと長官にお帰りいただくわけにいかないわけでありますが、ぜひとも御回答いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/175
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176・武藤嘉文
○武藤国務大臣 農水省が、こういう議論もしておりますから、どういう形の文書を出してくるか、私は農水省がこれから考えることだろうと思っておりますから、そうして閣議にかかる前に当然私の目に入ると思いますから、こちらと関係のあることであれば当然私どもの方にも文書は目に入ると思いますので、その辺で、場合により私が行政指導をする場合もあり得る、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/176
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177・古川元久
○古川委員 私は武藤長官に、総務庁長官として、行政監察局の長として判断をしろというふうにお願いをしているわけじゃないわけです。政治家武藤嘉文としてどういう判断をされるのか。閣議の中では、長官が所掌されているものだけでなく、すべてのものについて個人的な意見を述べることもできるはずでありますし、意見を表明することができるはずであります。その政治家個人としての判断を聞いているわけでありますから、ぜひともお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/177
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178・武藤嘉文
○武藤国務大臣 だから、申し上げているのは、閣議に正式にそういうものが出てくる前に、私の役所との関連がございますから、当然、どういう形で質問書に対する答えを出したいかというのは私の目に入ってくるはずですから、その時点で私が判断をして、こういうことではちょっとこちらはオーケーしかねるよというようなところは注意をしてやるという行政指導は私はできるということを今申し上げたわけであります。
ですから、閣議に出てくるものが今御指摘のようなものになるかどうかは、私は必ずしも、そういうものが出てこないかもしれないというふうに思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/178
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179・古川元久
○古川委員 私が聞いているのは、とにかくそういうものが出てこないかもしれないから今言えないというのじゃなくて、もしあけないというものが出てきたらどうするかということです。
私は、長官が今このままどんどん事業を進めるのがいいと思っておられるのか、あるいはやはりもう一度議論する時間を設けるのがいいと思っているのか、もしいいと思っておられるのであれば、議論をする時間が必要だと思うのであれば、とりあえず一度海水を入れるということ、それには御納得いただけるはずだと思うのです。それが御納得いただけるのであれば、排水門はあけられないという回答が返ってきたら、論理的に言って、それは署名できないというふうにならざるを得ないと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/179
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180・武藤嘉文
○武藤国務大臣 なるべく閣議で署名を拒否するとかなんとかということは私は避けるべきだと思っておりますので、その前の段階でできるだけ調整をさせることのできるところは調整をさせたいという意味で私は申し上げたわけでありますから、その辺はそんなに気持ちとしては変わっていないと私は思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/180
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181・古川元久
○古川委員 では、長官のお気持ちというのは、私どもが期待する方向で進んでいくというふうに考えてよろしいわけですね。そういうこととして理解をさせていただきますので、長官も次のがあると思いますから、そのように言っていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/181
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182・梶山静六
○梶山国務大臣 閣議は総理が主宰をするものでありますが、便宜私がその進行をいたしております。しかし、委員の今の、この問題の質問に対する意見があなたと同じ意見でなければ幾らお答えをしていてもお答えにならない、よって帰すわけにはいかないという理論は、内閣と委員会、議会の問題でありますから、協議願って、ちゃんとやってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/182
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183・古川元久
○古川委員 私が最初に申し上げましたように、はっきりと一言言っていただければ別に何もとめるつもりは全くありませんから、そういうことを申し上げているわけでありますから、御了承いただきたい。
どうぞ、もう長官は行っていただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/183
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184・武藤嘉文
○武藤国務大臣 よく御理解をいただきたいのは、私は先ほど、もう一回念のために申し上げておきますが、閣議で署名を拒否するようなことはなるべく避けるべきであると思っております。ですから、当然、こちらと関係のあるものはそういう質問書に回答するときには相談があるはずですから、そのときに私がよくそこで判断をして、これならいいのじゃないかということを私は申し上げようと思っているわけであります。
それがそちらと全く同じ考え方に立つかどうか、そこは私は違うわけで、私は私の判断で、文書を見て、そしてここはこう直すべきだとか、これはもう少し書き直せとか、いろいろなことがあり得るというふうに思っており、そういうものになってくれば当然署名をすることになるだろうと思うと、そういう段取りを、手続を私は申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/184
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185・綿貫民輔
○綿貫委員長 ちょっと古川君に申し上げます。
先ほど官房長官からも御発言がありましたが、自分の答弁に対して全部いいあれが出ないから帰すわけにいかぬとかいうことは、委員会の運営上ちょっとおかしいと思いますから、そこは御注意願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/185
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186・古川元久
○古川委員 わかりました。
どうも長官、ありがとうございました。
では、大蔵大臣の方にお伺いいたしますけれども、私は、先日の大蔵委員会では、みずから閣議に発議してはいかがか、そういうことをお誘い申し上げたわけでございます。では、大蔵大臣はこの質問主意書に対してはどう考えられるのか。
もしこれを、先ほども長官の話の中でありましたけれども、否定するような話であれば、長官はとにかく閣議にかかる前に何らかの、自分の方から注文をつけるなら注文をつける、そういうことをやるというふうにおっしゃいました。大蔵大臣のお立場からしても、六月、この国会が終われば現地を視察したいというような御希望もお話しされておられましたし、こうした公共事業、大規模なものをあらゆる意味で見直していかなければ財政再建なんというものはとてもじゃないけれどもできないはずであって、財政再建、そして財政構造改革を進めるのであれば、これはやはりこうした問題についてもう一度よく検討する、そういう時間を──大体この事業というのは、四十五年間もある意味ではたなざらしにされてきて、ちょぼちょぼと進んできたようなものでありますから、何もここで一カ月、二カ月を焦る、そんな話ではないと思いますから、大蔵大臣はその質問主意書の回答に対してどのような態度で臨まれるおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/186
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187・三塚博
○三塚国務大臣 これは、これだけ論議になった問題は、大蔵大臣として分析、検討しなければなりませんし、また、内閣ですから、基本的に内閣というのは一体でなければ運営がその都度つまずくわけですから、そのことは外部的に見て内閣不一致、こういうことになる。これは官房長官の言をまつまでもなく、大事なポイントはそこにあるのです。共同して責任を持つ、与党とともに国会に責任を持つ、国民に持つということでありますから、大所高所から本件に対応してまいる。
今直ちにここでどうするということは、まだ主意書も拝見しておりませんし、またそれに──要旨は聞きました。同じ省の担当大臣がどう考えるのかの弁明も全くまだありません。そういう点で、後は私自身閣僚として全体を考え、判断をします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/187
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188・古川元久
○古川委員 今のお話を聞いていますと、閣僚、確かに内閣は統一しなければいけないというふうに、それはもちろん必要だと思うのですが、しかし何のために私たち政治家が閣僚として行政に入っているかといえば、それは政治が行政に国民の意思を私たちを通じて反映させていく、そのために大臣そして長官は内閣を構成しておられるわけだと思うのですね。
そうしたら、これだけ国民の中でもいろいろな疑義があって、現実に、どう見たって、今このままこういう事業を進めていくのがいいかどうかということの非常に不透明なものについて、そして予算を所管しておられる大臣の立場からすれば、閣議で言えないのだったら、もう今から大臣が農水大臣に、これは予算の立場から見てももう少し見直すようなそういう時間をとってもいいのじゃないか、それくらい言われてもいいのじゃないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/188
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189・三塚博
○三塚国務大臣 いかがですかと言われると困るんだよね。それは事務方を通じて、意見交換、調査、報告をしろ、こう言ってありますから、それからのことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/189
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190・古川元久
○古川委員 事務方を通じて、事務方を通じてというお話が何度も出ますけれども、今やはり必要なことは、政治がみずからの責任で、みずからの意思で動くことだと思うのですね。事務方行政でやる、官僚がやること、そこから聞いてその意図で動いていたのでは、これはやはり政と官とのあり方、最初に武藤長官が言われたような、そして武藤長官が行政監察局の運営で大きな手腕を振るったような、やはりそうした、国民が見ていても、私ども民主党が見ていても、ああ、自民党も変えようとしているのかな、そういう気持ちがわいてこないですよね、事務方の意見を聞いて、事務方の意見を聞いてということになると。
私は、大蔵大臣が政治家としてどういう判断をされるかということが聞きたいわけでございまして、その点について大臣としてはどういうふうに考えておられるのか。個人的に、三塚博という政治家一個人としての、政治家としての考え方をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/190
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191・三塚博
○三塚国務大臣 九年度予算を大蔵大臣として認定をしておるわけですね、この部分について。認定をした以上、認定したものの責任は私にあるわけです。ですから、状態を私、見に行けないわけですから、御案内のとおり、毎日国会で論議をいたしておりますし、そういうことでありますので、報告をよこせ、こう言ってありますが、まだ参りません。それを見て判断するのは大蔵大臣、査定した立場にある大蔵大臣としてどうするか、こういうことでありますから、それ以上は聞かないでください。どうぞお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/191
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192・古川元久
○古川委員 その後の御判断を、報告を聞いた後の大臣の御勇断を期待いたしております。
先ほど官房長官、大変にお怒りになられたようでありますが、梶山官房長官は、政治がやはりリーダーシップをとっていくというふうに考えておられると私は理解をしている。そういう意味で、今までの官僚主導じゃなくて、政治が主導権を持ってやっていく、そうした政治をやっていかれる政治家だと思うからこそ、私は官房長官の御意見をお伺いしたいと思うのです。
官房長官は、先ほど私どもの安住議員の質問に対して、野村の話で、私の個人で調査をするというお話をされました。この問題についても私は、官房長官が官房長官の個人の責任で、この門を開く、排水門を開いて、とりあえずこれだけ議論になっているものについて議論をする時間を設ける、そういう決断を官房長官であればできるのではないかというふうに期待をしているわけであります。
そしてまた官房長官は、大変に政局観にすぐれておられるわけでもありますから、この問題でいつまでも排水門をあけないということでやっておられるようなことになれば、これは場合によって本当に内閣の支持率を下げるようなことも起こり得る、そういうものではないかというふうに官房長官はもう鋭く感じておられるのじゃないかと思いますが、よもやそういう危険を冒すようなことはされない、早い時点での政治的な決断がいただけるというふうに感じておりますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/192
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193・梶山静六
○梶山国務大臣 私が、前段取ってかわって積極的にこの場に立って申し上げたことは、議会は最大限に尊重さるべきもの、この立場は私は変わりがございません。さりとて、議会が内閣の決議それ自体に極めて強力に干渉することも私は排除しなければならない、これは政治家としてそう考えます。
ですから、武藤長官も今大蔵大臣も、みずからの判断はもちろんお持ちになれる方であります。あなたの要求する政治的決断、政治的判断と言われますけれども、政治的な決断とか政治的な判断というものは、それ相応の資料、データに基づいて判断は下さるべきで、ただ単に感じで、ムツゴロウが大切だからえいと跳び上がるというようなことを私は申し上げるわけにはまいりませんし、今までやってきた経緯が、なぜ干拓になったか、なぜそこに災害防除があるのか、そういうものを見合わせなければなりませんし、もろもろのことの資料を整え、知見を整えてこの判断は下さるべきもの、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/193
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194・古川元久
○古川委員 じゃ、今までそういうもろもろの資料や判断もしてなくて、こういう事業がこのまま進められてきたわけですか。私は、最初に申し上げたように、決して、ムツゴロウを救う、そのために門をあけろと言っているわけじゃありません。この問題は、公共事業そのもののあり方、一度着手してしまったら、途中でいろいろの問題があっても続けてしまっていくという、そうしたこれまでの公共事業のあり方について、おかしいじゃないかと、もう一度そこを考え直す。
だから私は、何もこの事業をここでやめろと言っているわけじゃないのです。一度ここで後に戻ることも可能な状況に戻した上で議論をして、官房長官もいろいろな資料、これから御検討されると思いますが、その上で判断をしていただく、その時間をつくったらいいじゃないかというふうに申し上げておるわけでありますから、そういうことからすれば、官房長官も今おっしゃられたように、そういう資料は今まで見ていないし検討もしていないというのは、これは事業を進められてきた内閣として、甚だ責任という点で疑義があると言わざるを得ないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/194
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195・梶山静六
○梶山国務大臣 この干潟の干拓問題のすべてを知るだけの私は知見がございません。そのことによって私が不適格と言われるならば、これは甘んじて受けなければなりませんが、それほどの調査研究をしなければそれぞれの予算ないしは事業というものを認定しないという立場には私は立ちません。それぞれの廨署廨署においてその問題の専門的な研究をなされ、なおかつ地元の合意を得てやられているという一つの普遍的なものを考慮に入れておればこそ、そういうものは成り立つ。一つ一つをくまなく全部調べることの能力があなたに、あなたは神様のような人ですからあるかもしれませんが、私には、残念ながら古い人間ですから、そこまでの能力は持ち合わせがありません。しかし、今からでも勉強はしようと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/195
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196・古川元久
○古川委員 私が申し上げているのは、だれもそんな神様みたいな人はいないのです。ですから、誤りがあった、そうじゃないかというようなときには、今長官は勉強しようと思われているわけですよね。もし今から長官が勉強されて、これから一カ月後とか二カ月後に、やはりこの事業はおかしかったというようなことになった場合には、どうするのですか。もうそこまでいってしまったら、いや、もうでもここまで来たら、全部干上がっているし、すべていないから、これはやるしかない、そういうふうになってしまうわけですか。じゃ、それは、仮にそういう状況になっても、この事業をやめるなんというそういう判断も出てくるということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/196
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197・梶山静六
○梶山国務大臣 私の申し上げている意味がおわかりで、なおかつお尋ねになっていると思いますが、私は、あなたが言う水門をあけるということがどんな影響が出るのかもよく知りません。あなたは、水門さえあければ、全部すべてのものは中立のニュートラルになって、なおかつその次に即刻物事が前へ進むというふうに御理解になっているのかどうなのかもひっくるめて、私はまだそれだけの知見がないということを申し上げているわけであります。
門をあけることによってどんな影響が出るのか、どれだけの工事の遅滞が起きるのか、あるいは今までの投資に対してどういう問題が起きるのか、それをあなたは全部知っていて言っているのでしょうから、その問題に対してお互いに私は勉強しなければならないということを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/197
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198・古川元久
○古川委員 この議論を続けていても水かけ論に終わると思いますから、この辺にさせていただきますけれども、私は、この問題というのは、ただ単に、もう何度も繰り返しになりますけれども、ムツゴロウだとかそういう、もちろん環境の問題も大事でありますが、今この国がやっていかなければいけないこと、そして橋本内閣が命運をかけて行財政改革をやるということであれば、今までのあらゆる公共事業について見直しをしていかなければいけない。
確かに、この門をあけることによって何らかの被害は起こるかもしれません。その問題については、逆に、これから事業を進めて新たに何百億、何千億とお金を投入するよりも、そういう被害が起こらないようにその部分の手当てをした方が、実は金額的に言えば経済的であるかもしれない。そういうことも、官房長官は、私が全部知っているのだろうと、そういう大変に御皮肉を言われましたけれども、私どもの党なんというのは本当に衆議院だけで五十人の小さな党で、そんな調査能力はありません。内閣はまさにたくさんの役人もおられて、そういうことを日々調査するだけの能力もあるわけですから、それは早急にやはりやられて、そういう意味で私たち国民が期待しているのは、内閣はそのために、行政というのはそういう我々が知りたいことを、そしてこういう疑念を持っていることをちゃんとクリアにしてくれるように、そのためにあるはずなんです。
国民のための行政であるはずですから、私は官房長官にお願いしたいのは、今この問題を、そうおっしゃられるのであれば、至急に、ではあけたときにどういう問題が、これはマイナスだ、こうなると幾らかかるとかそういうことを、むしろそういうことであれば、この事業を進めるのはこれだけで、ここをあけることにかかって生ずる被害よりも、これから事業をどんどん続けていった方がむしろ経済的にもいいのだというようなことをお示しをしていただきたい。その辺がわからないで、今の皆さんのお話を聞いていても、非常にまだそこははっきりとしていない状況では、やはりもう一度議論をする場を設けていただきたい。
私どもが言っているのはその一点でございますので、ぜひともその点を考慮に入れていただきまして、本当は金融監督庁の質問をしたがったのですけれども、こういうことになってしまいましたので、これで私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/198
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199・綿貫民輔
○綿貫委員長 次に、佐々木憲昭君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/199
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200・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
金融監督庁について最初に御質問したいと思います。
金融監督の独立と権限の強化というのは今大変強く求められていると思います。空前のバブル経済とその破綻、その過程で護送船団方式と言われる状況というのが大変弊害があったということで、いろいろ指摘をされております。
住専問題あるいは東京二信組の問題、あるいはアメリカでの大和銀行の不正事件に対する大蔵省の対応、最近では野村証券の総会屋に対する不法な利益供与、こういう相次ぐ不祥事に国民の怒りが今非常に高まっております。これにどうこたえるかというのが政治の課題だと思うわけであります。
私どもは、大蔵省から独立をした金融監督機関の設置、これを強く主張してまいりました。提案されている金融監督庁の新設というのは、検査監督権限を大蔵省から分離をする、そして単独の専門機関をつくるということでありまして、これは組織的には私は一歩前進しているというふうに思います。しかし、実際に求められている課題から見ますと、まだまだこれは不十分だというふうに思っているわけであります。
一つは、独立した行政委員会、権限を持った行政委員会になっているのかどうかという点でございます。昨年の九月二十五日の連立与党の合意文書、ここにありますけれども、この合意文書の中ではこのように言っているのですね。「公正取引委員会のような国家行政組織法第三条委員会として独立した機構を設置する」、このことを基本にするとされていたと思うわけでありますが、これはこのとおり確認してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/200
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201・畠中誠二郎
○畠中(誠)政府委員 先生御指摘の文書はたしか去年の九月時点の文書で、最終の合意文書ではないというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/201
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202・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 最終の合意ではないけれども、九月の時点では先ほど申し上げましたような内容になっていたわけであります。
ところが、現実に、その後の経過それから実際につくられた法案を見ますと、この金融監督庁設置法案によりますと、同じ総理府の外局とはいいましても、公取型三条委員会とは違いまして、独立性の弱い監督庁ということになってしまったわけでありますが、なぜこのように後退したのか、その理由を明らかにしていただきたいと思います。
この過程で大蔵省の巻き返しがあったのではないかと言われておりますけれども、それは事実でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/202
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203・白須光美
○白須政府委員 お答えいたします。
昨年九月の与党・大蔵省改革プロジェクトチームの報告、これは論点整理ということで取りまとめられておりまして、特に、新機関につきましては基本的方向が示されているものでございまして、そこにございますように、「各国の機構も参考にしながら具体化することとする。その際、次のような要件を満たすことが必要であると考える。」ということで、幾つかの要件を挙げているところでございます。
この点につきましては、与党内におきまして、行政委員会型も含めましてさまざまな御議論がなされまして、最終的に、国家行政組織法第三条に基づく庁ということで金融監督庁を総理府に設置するというように、昨年十二月二十四日の与党の合意でなったというふうに承知しているところでございます。
政府といたしましても、民間金融機関等に対します検査監督と申します執行面の機能、これは長官の指揮監督に服します金融監督庁によりまして十分に発揮されるものと考えまして、かような法案を提出させていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/203
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204・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 十二月にはそうなったということでありますが、その過程で、十一月に大蔵省が根回しに使ったという文書がありまして、それは報道もされているわけですけれども、「独立官庁では優秀な人材の確保は困難」、こういうふうに書かれているわけでありますが、これは今もそういうふうに考えておられるわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/204
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205・武藤敏郎
○武藤政府委員 組織をどうするかという議論の際に、職員の、人材の確保という観点が必要であるということは十分考えなければならない。この点につきましては、そもそも今御指摘のあった九月の与党の中間整理の中にもその旨が書かれているというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/205
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206・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 「独立官庁では優秀な人材の確保は困難」、こういうふうに書かれていたわけであります。この立場は今も変わらないかというふうにお聞きしたわけですが、お答えにならないのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/206
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207・武藤敏郎
○武藤政府委員 私どもといたしましては、この与党の中間整理のところにもありますように、専門的能力を有する人材が確保できなければならない、こういう趣旨のことを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/207
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208・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 「専門的」という言葉を使われましたけれども、十一月の文書では「優秀な人材」、こうなっているわけですね。それで、公正取引委員会は、では我々は優秀ではないのかというようなことで、事務総長が烈火のごとく怒ったというふうに言われているわけであります。つまり、大蔵省の意識の面で、これはやはり常識から外れているのじゃないかというふうに私は思うわけであります。
法案では、検査監督を金融監督庁、それから企画立案は大蔵省、この二つの機能を基本的に切り離すということで提出されているわけでありますけれども、お伺いしたいのですけれども、なぜこれを、二つの機能を切り離したのか、その積極的なねらい、その理由ですね、これを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/208
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209・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
今般の金融行政機構改革におきましては、与党の合意を踏まえまして、政府として検討いたしました結果、企画立案という政策面の機能、これを担う機関、また検査監督という執行面の機能、これを担う機関、これをそれぞれ独立の官庁として設ける。これによりまして、公正かつ透明な行政の実現に資することができる、こういう考え方でもって両者を切り離すという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/209
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210・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 透明かつ公正なという答弁でありましたが、それで、具体的な内容を見ますと、必ずしも検査監督機能と企画立案機能というのは明確に分離されていない。例えば、大蔵省の権限を定めた大蔵省設置法改正案、この中には、預金保険機構を監督する、こういう部分がありまして、監督という点を大蔵省に残しているわけであります。
二月二十五日の与党三党の合意では、預金保険機構に関する大蔵省の権限を三つに分類をしまして、個々の金融機関の破綻処理に関する権限は金融監督庁、定款変更の認可などの場合は大蔵省、特例的な破綻処理に関する権限は両者の共管、こういう三分類が行われていたそうであります。ところが、大蔵省設置法改正案によりますとこういう明確な分類になっておりませんで、預金保険機構については大蔵省が監督する、こう明記されているわけであります。
大蔵省に全般的な監督権を残して、それで、金融監督庁設置法案には個別の権限だけは書き込む。こうなりますと、分離ではなくて、大蔵省は監督庁よりも上位の監督の機関になってしまうというふうに思うわけですけれども、なぜこれを、預金保険機構については大蔵省に監督権を残したのか。これでは、検査監督を移すという趣旨から外れているのではないかというふうに思うわけですけれども、これはいかがでしょうか。
〔委員長退席、柳沢委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/210
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211・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
検査監督を移すということで申し上げておるわけでございますが、これは、民間金融機関等、つまり事業を行います民間金融機関等の検査監督につきましてこれを移すということでございます。預金保険機構、これは、言いますと預金保険法に基づきまして、預金保険制度という制度、仕組みを担っていく認可法人という立場のものでございます。
したがいまして、いわゆる民間金融機関等と同じ検査監督というレベルでとらえているわけではございませんで、預金保険の所管等につきましては、いわば民間金融機関等に対します検査監督ということの延長線上ということで、検査監督を通じまして実態を把握しているという点から、いわゆる個別金融機関に対します適格性の認定、これを監督庁が所掌する。
他方、預金保険制度そのものの中身を構成いたしているわけでございますこの機構が決定いたします保険料率の設定の認可とか機構の業務の範囲とかいう定款変更認可、あるいはいわゆる整理回収銀行その他に対する出資の認可とか、そういうような保険制度そのものの枠組みに係るもの、こういうようなものにつきましては、その認可法人といたしましての機構の監督というものと一体のものといたしまして、大蔵省の方で所掌ということで整理をいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/211
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212・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 今の説明は、結果的にこうなったというその結果についての説明だけでありまして、私が質問したのは、二月二十五日の与党三党の合意の三分類から今回の法案は変わっているではないか、このことを聞いているわけです。二月二十五日の合意と違うという点はお認めになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/212
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213・白須光美
○白須政府委員 お答えいたします。
預金保険法の改正案、こちらの方をごらんいただきますれば、ここで申し上げましたとおり、また二月の与党の方の合意、御説明いたしましたものと同じということでもって何ら変わっているところはないというふうに考えております。
なお、設置法におきましては、個々のものを、一つ一つを必ずしもすべてを書くものではないということでございまして、また既に、大蔵省設置法の場合には、現在ある規定がございます。この規定のうちのあるものは削り、あるものは残し、またそれに対応する規定を監督庁の方に設けるとか、そういうことで処理いたしておりますので、一方に、監督庁設置法の方に、事務及び権限の方におきまして適格性の認定、その辺が書いてある。他方、大蔵省設置法の方に預金保険機構の監督が残っておる。これは、まあ監督と申しましても、先ほど申しました法人としての監督、そういうことが中心でございまして、あとそれぞれのものはそれぞれの実体法、この場合でございますと預金保険法によって定められているわけでございますので、何ら変更はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/213
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214・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 もう一つ納得できるような答弁ではありませんでした。
次に、天下りの問題についてお聞きをしたいわけですが、大蔵省の高級官僚による特定金融機関への天下り、頭取や役員に対する天下りというのがこれまで常態化しておりまして、一度占めたポストというのはその人がやめた後も後輩に受け継がれるというのが通例になっております。一九九五年三月末現在、ちょっと資料は古いかもしれませんけれども、全国銀行百五十行の中で、大蔵OBが百三十八名天下っているということであります。このような天下りは金融行政をゆがめ腐敗の温床にもなるということで、国民的な批判を招いているわけであります。
先ほども取り上げましたけれども、昨年の九月二十五日の連立与党の大蔵改革プロジェクトチームのこの文書の中では、大蔵省を初めとする中央省庁の天下りの問題については、「抜本的な改革を検討する。」とされていたわけであります。既に八カ月経過しているわけですけれども、抜本的な改革というのは検討されたのかそれともされていないのか、この点について、できれば大蔵大臣にもお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/214
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215・三塚博
○三塚国務大臣 天下りの問題というのは、天上がりと言う人もおったりしまして、一概に定義することが難しいのではないでしょうか。
なぜそう申し上げておるかというと、再就職については、従前より国家公務員法の規定に従って行われるわけですね。それと、やはりそこに再就職する以上、その人の能力、人材また識見、こういうものなくして受け入れるという、最近だけではなく、今まで私はそういう状態にないと思うのです。
特に、国際金融が国内金融と直接間接の影響を及ぼしながらいくわけでございますから、そういうことでありますと、国際金融を担当しておる大蔵省の官僚諸君、また民間金融を担当しておる大蔵省の諸君、その部分について、長年行政を通じノウハウを蓄積してきているでしょうし、国会において議員各位から御鞭撻あるいは問題点の指摘、こういうことについてやり来たった能力というものを評価をされていくということもあるのだろうと思うのであります。
よってしからばと、こういういろいろな反論が、世評出ておるわけですが、そのことで、けしからぬ、OBが再就職をしたが、業績が上がらないだけではなく数々のけしからぬことがあるという批判がなされたかというと、そのようなことはないのですね。これは冷静に私ども見ていかなければならぬことだと思います。
いずれにいたしましても、民間金融機関への再就職を禁止することについては、公務の公正な執行の確保という国家公務員法の要請、言うなれば、直ちに就職するということになると、前職をもって影響力を及ぼす、こういうことがあっては、公正な、また公平な自由社会、金融の立場からとるべきことではない、こういうことであります。
それと、憲法に保障されておる職業選択の自由という基本的な人権との関連というのも、官界におった者だけは再就職まかりならぬ、選択の幅を、この部分ということだけで果たしていいのだろうか、こういうこともございます。調和との関係であります。
また、定年年齢等のあり方を含めて、公務員制度全体の論議の中でこれは行われていかなければならぬわけで、後段の御指摘、こういうものを、官房長官を中心に、また総務庁長官を中心に、内閣は内閣として協議をしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/215
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216・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 今大蔵大臣の御答弁を聞いていますと、天下りを合理化するというふうにしか私は思えないわけです。
大分長い御答弁でありましたけれども、結局従来の、昨年来続いている政府の立場ということを繰り返し説明されただけでありまして、九月二十五日の与党プロジェクトチームの、「抜本的な改革を検討する。」こういうふうに書かれていた中身を実行していない、こういうことになるわけでありまして、それならば、九月の時点でなぜこういう合意をされたのか。与党が合意されたことさえできないようでは、行政改革はできないのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/216
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217・三塚博
○三塚国務大臣 この点は、この御指摘、与党ですから真剣に受けとめておるわけです。批判を受けないようにすべきであるという基本で進んでおりますことは御案内のとおり。OBの諸君といえども、二年たってもなかなか就職できないという実態は御承知かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/217
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218・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 それでは次に、日産生命の問題についてお伺いしたいと思います。
生命保険会社としては初めて業務停止命令を受けたわけでありますが、このことは、生命保険全体に対する不安、こういうことで国民の中に大きな議論を呼んでいるわけであります。原因を徹底的に究明して、納得いく対策をとるということが求められていると思います。
四月二十五日に、日産生命の米本社長は、既に三、四年前から債務超過に陥っていた、このように述べているわけであります。つまり、一九九三年から九四年ごろには実質的な債務超過に陥っていたということであります。
そこで、大蔵省にお伺いしますが、大蔵省の検査が行われていたと思いますけれども、それはこの当時の前に行われていたのか、それとも後に行われていたのか、この点についてお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/218
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219・福田誠
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
平成七年の九月の検査を実施した段階で、資産内容が悪化しておりましたために、資産を時価で評価してみたところ、時価ベースで負債が資産を超過する状態、いわゆる実質債務超過状態にあるとの事実を把握したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/219
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220・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 先ほど申し上げました、実質的な債務超過に陥っていた後で大蔵省の平成七年九月の調査があった。したがって、大蔵省は債務超過の事実について既に知っておられたわけであります。しかし、今回このように実質的には再建不可能ということで業務停止命令というのが発せられたわけですけれども、それでは、再建ができない、あるいは従来の経営が維持できないというふうに判断をされたのはいつの時点でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/220
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221・福田誠
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
日産生命は、バブル崩壊に伴う市場金利の低下あるいは株価の低下等の影響を受けまして、運用利回りと予定利率との間に大幅な逆ざやが生じることとなったわけでございますが、その当時から経営改善努力を続けてまいりましたが、株式投資の失敗とかあるいは株価の低下の影響を大きく受けまして、含み益が枯渇し、最終損益で大幅な赤字決算となる見込みとなりまして、去る四月二十五日の朝、日産生命の臨時取締役会において事業継続を断念する決議が行われたわけでございます。
大蔵省に対しましては、直ちにその決議の報告及び保険契約者保護基金の発動を伴う処理スキーム策定の要請が行われまして、私ども大蔵省としましても、事業継続はこれ以上困難であり、日産生命に対しては契約者保護上業務の一部の停止を命じることが必要であるとその時点で最終的に判断したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/221
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222・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 最終的には四月二十五日ということでありますが、それでは、大蔵省としては日産生命が立ち行かなくなっているとその以前に既に判断をされていると思うわけでありますが、二十五日に初めてその事実がわかったわけではなくて、それ以前に既に知っていたのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/222
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223・福田誠
○福田(誠)政府委員 日産生命の財務内容が不良であるということは、先ほど申し上げましたように平成七年九月の検査等により把握しておりましたが、その後、日産生命におきましてはいろいろな内容に基づく収支改善計画を強力に推進しておりまして、平成七年度決算では単年度収支黒字も達成できていたわけでございます。平成八年度につきましては、一層のリストラによる事業費の圧縮とか、グループ企業支援、グループの企業支援による基金の増強、営業力の強化等を柱とする経営改善計画を策定いたしまして、さらに進めておったわけでございますが、最終的に八年度末、すなわち三月末の株価の低下等を受けまして、事業の継続が困難に立ち至ったものと認識しております。
平成七年九月の時点では、残存する含み資産等もあり、さらに経営改善計画も策定されておりまして、経営努力による再建は可能と考えておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/223
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224・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 大蔵省は、日産生命の保険を引き継ぐ救済会社として、大手生保会社に対してその救済会社になってくれるようにことしに入って打診をしていたという事実があると思うのですが、そのとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/224
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225・福田誠
○福田(誠)政府委員 日産生命そのものについてのお話はございませんが、一般論として、また日々の行政の中の話としまして、経営困難な生命保険会社が仮に出てきた場合に今後どのように対処したらよいかというようなことは、話題として交換したことはあると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/225
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226・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 報道によりますと、最大手の日本生命に対しては何度か働きかけた、しかしこれは拒否されたということも言われているわけであります。そうしますと、既に以前からそういう深刻な事態について掌握をし、今一般的にはいろいろな話をされるということを言われていましたけれども、話の内容は極めてリアルで具体的な内容ではなかったのかというふうに私は思うわけであります。
そこで、先ほど四月二十五日の時点で最終的に判断をした、こういうお話でありましたが、二十五日の朝、もう不可能ということで業務停止命令やむなし、これをその朝決めたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/226
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227・福田誠
○福田(誠)政府委員 先ほど申し上げましたように、最終的な判断はその時点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/227
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228・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 最終的な判断は二十五日の朝と言いますけれども、実は当日朝、緊急役員会というのが日産生命では開かれていて、その前に、もうお客さんからいろいろな問い合わせがあるということを想定されまして、「お客さまQ&A」というのが、こんな分厚い一問一答が作成されているわけであります。それから「緊急業務対応基準」、こういうものも作成されています。
つまり、業務停止命令が最終的に出される以前に、業務停止命令が既に出た後のことについてもう社内ではこういう準備をしていた。大体、ワープロを打つだけでも、これだけの分量ですから大変なものであります。これだけのものを準備するには一定の大蔵省との連絡が必要でしょうし、そういうことであるならば、これは少なくとも二、三日かかるんじゃないかというふうに思うわけであります。
ですから、そういう点で、業務停止命令をもう出しますよということは、日産生命の一部幹部との間では了解を得ていたということになるんじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/228
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229・福田誠
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
御指摘のように、先ほど申し上げましたように、たしか三月三十一日の株価水準で決算としてはかなり困難な状態になったということは事実と承知しております。それを踏まえまして、日産生命におきましては、つまびらかには存じませんが、やはりグループ関係企業にも最後の支援協力を依頼してきていたようでございますし、そういうことも踏まえて、今後の事業継続が可能か否か、最終的な検討を行っておられたものと思います。
大蔵省といたしましても、経営者が最大限努力した上での経営判断をも考慮すべきものと考えておったところでございまして、そういう状況におりましたところ、先ほど来お話ございます二十五日の緊急取締役会での決議を踏まえ、大蔵省も事業継続は困難というふうに判断したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/229
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230・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 このように、事実上の経営破綻に陥ったということについて、実は三、四年前に債務超過に陥っていたということを検査の結果掌握をしていた。ところが、実際に経営の内容について大蔵省自身が情報を開示し、あるいは傷の浅いうちに処理するという立場に立つべきでありましたけれども、それをいわばずっと引きずってきたというところに非常に大きな問題があり、そういう点で大蔵省の責任は非常に大きいと私は思うわけであります。そういうふうに、早目に処理をするということをしなかった。それだけではなくて、逆に日産生命と一体になって事実の隠ぺいを行ってきたのではないか、こういう疑問もわいてくるわけであります。
日産生命は、決算対策のために、外貨建てデリバティブ、こういうリスクの高い金融商品、これをオフバランスにして、それに手を出してインカムゲインを計上してきた。そのために、九六年度には表向きは黒字を出していた。しかし、実態はそうではない。このオフバランス、つまり帳簿外の外貨建てデリバティブ、これが全体として大変大きかった。外国証券それから国内投資信託の元本が総資産の中で占める割合は一七%、三百七十億円の規模に達していた。それが、ことしの三月では八百九十七億円の大変な損失を抱えていた。これを含めますと、本当の、真の債務超過の金額というのは二千億円とも二千五百億円とも言われている。ところが、日産生命の側は、そういう点を表に出すことを避けて、あるいは隠して、契約者に配当を続けてきた。こういうところに非常に大きな問題があるわけです。
そこで大蔵省との関係ですけれども、この債務超過の実態について報告を受けていたと思うわけですけれども、このオフバランスの実態があったにもかかわらず、なぜそれを黙認をしてきたのか、この点についてお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/230
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231・福田誠
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
債務超過事態を把握してから黙認していたのではないかというお尋ねでございますが、私どもは決して黙認なり放置していたわけではございません。
大蔵省としましては、バブル崩壊後に日産生命の収益基調が劣後してきた状態を踏まえまして、平成四年度以降、新契約費の削減とかあるいは安定的収益の確保等を柱とした数次にわたる収支改善計画の策定方を指導し、その実行を求めていたところでございます。平成七年度の決算では単年度収支において黒字を計上するなど、経営改善の効果も認められたわけでございます。ただ残念ながら、この直近の一年におきまして、御指摘のような有価証券投資の失敗が響いて、最終的に事業継続が困難に立ち至ったものでございます。しかしながら、繰り返し申し上げますが、平成七年九月の時点では、残存する含み資産の状態あるいは経営改善計画の成果から見まして自力による経営再建は可能と考えていたわけでございます。
一般論でございますが、免許業種たる保険会社でございますから、いやしくも契約者の保護を考えますと、最大限の努力により、自主努力による再建を目指すのが当然であると存じますし、行政当局もこれを支援するのが適当な立場ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/231
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232・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 私が申し上げたのは、実質的に債務超過になっていたということを大蔵省も知っていながら、それを公表しなかったということを言っているわけです。経営改善努力を指導したと言われましたけれども、しかし、それは表には見えないわけでありますから、経営の実態がどうかということを契約者自身は知ることはできないわけですね。そこに問題があったと思うわけです。
先ほど私、外国証券や国内投資信託の元本が三百七十億円と申し上げましたが、三千七百億円でありますので、訂正します。
それで、四月二十五日の日産生命の社長の記者会見では、配当をするという点について大蔵省に認可をお願いしてきた、こういう発言をされているわけです。大蔵省はなぜ、実質的な債務超過を知っていながらこのような配当を認可してきたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/232
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233・福田誠
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
日産生命におきましては、一般的な経理基準にのっとって決算を行ってきておりまして、平成七年度決算までは決算基準によります当期剰余が発生しております。当期剰余でございます。保険業法の第五十八条等の規定によりまして、配当は最終剰余の中から行うべきということになっておりますので、当期剰余がございました七年度分まで同社が配当しておりましたことは法律上は問題ないわけでございます。業績が悪化してきてから、一部含み益のある資産の売却等により決算を行ってきたことは事実でございますが、そのこと自体は特に問題ではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/233
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234・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 当期剰余が生まれていた。しかし、オフバランスで、帳簿以外のところで大変な損失を出しているわけでありますね。そのことついては大蔵省は十分承知をしていた。しかし、契約者や国民はそのことは一切見えないわけでありまして、手続上表に出てきたのは、確かに当期剰余があった。しかし、実態はそうではない。まさに会社は火の車の状況にあった。
そういうときに、本来ならこういう配当というのは、大蔵省としては、そのような状況にある以上見合わせるというようなことを指導するのが当然だと思うわけですけれども、この日産生命は、そういう状況にありながら、配当を出したいということを大蔵省にお願いをした。お願いをされた大蔵省はそれを認めた、こういう問題があったんじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/234
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235・福田誠
○福田(誠)政府委員 若干御説明を申し上げますが、配当についてのお尋ねでございますが、相互会社たる生命保険会社の配当につきましては、株式会社の株主配当とは同一に考えることはできない側面もございます。
生命保険会社によります配当でございますが、これは、生命保険会社は、あらかじめある程度の安全度を見て、予定死亡率なり予定事業費率あるいは予定利率を設定しているわけでございまして、予定よりも剰余が出た場合には、その部分を保険料の過剰受け取りということで契約者に還元するという性格があるわけでございます。したがいまして、実質債務超過状態にあるからといって、そのような保険料の調整的性格を有する相互会社の契約者配当を直ちに、全くできない性格のものと考えるには至らないのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/235
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236・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 今は配当の仕組みについての御説明でありましたが、しかし、配当の問題というのは経営全体の中で決められるものでありまして、粉飾経営だったと一般的にも指摘をされているわけであります。それは、明確なルールが定まっていないこれまでの護送船団方式でやってきた、そういうことのツケが回ってきたということでもあると思うわけです。
大蔵省が今後ともそういう方針で臨むということになれば、契約者に対して自己責任ということは問えなくなるわけですね。つまり、情報が開示されて、判断基準があって初めて契約者自身の自己責任が問えるわけであります。しかし、それは隠されていた。破綻するような生命保険会社と契約した契約者が悪い、こういうことは絶対に言えないわけであります。したがって、こういうやり方では、国民の望んでいる金融改革とは逆行するものだというふうに言わざるを得ないと思うのです。
次に、日産生命の経営破綻の原因についてであります。
大蔵省は、その原因について基本的にどのように認識をされていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/236
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237・福田誠
○福田(誠)政府委員 御答弁申し上げます。
四月二十五日の大臣談話でも申し上げているところでございますが、大きく分けますと、二つの要因があろうかと存じます。
一つは、日産生命が高金利の時期、バブルの時期でありました昭和六十二年から平成二年にかけまして、高予定利率、例えば五・五%というような、そのような利率の個人年金保険を他社に比べて異常に大量に販売し、短期間に業容を拡大したわけですが、その後のバブル崩壊による金利低下、株価低下等の影響を受けて、運用利回りと予定利回りの間に大幅な逆ざやが生じたということが一つでございます。
その後、日産生命につきましては、経営改善努力を続けておりましたが、さらに平成八年度に至りまして、同業他社はリスク資産の縮小に極力当たりましたところ、それに反しまして積極的に株式投資等を行い、それが期末の株価の低下と相まちまして、また大幅な含み損が発生した。大体その点が、今回の事業継続断念の要因かと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/237
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238・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 それで、個人年金保険が急増したというのが、その後の低金利時代に逆ざやを生む非常に大きな原因になったということでありますが、問題は、この個人年金保険がどのような方法で急増していったかという点であります。
これは、銀行と提携をしまして、提携ローンという形で銀行と保険会社がタイアップして急増させていったわけであります。これが、ほかの生命保険会社と比べまして、日産生命の場合は異常にふえ方が大きいわけですね。しかも、全体としても契約残高に占める割合というのは非常に高い。これが今回の引き金になったわけでありまして、ここに「日産生命八十年史」という社史があります。この中で、こういうセット販売というのが大変大きな反響を呼んで、どんどんふえたというふうに書いているわけですね。積立年金保険というのはその中でもとりわけ大きいわけでありまして、実に九十六機関と提携した。保有契約は、八六年の四百七十一億円から二年後の八八年の一兆九千百十三億円、実に四十倍というふうにふえているわけです。この積立年金保険というのは個人年金保険の九割以上で、これが急増したわけですね。
この積立年金保険が今回の破綻の引き金になったわけでありますが、この保険も当然大蔵省が認可した保険だと思いますけれども、そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/238
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239・福田誠
○福田(誠)政府委員 大蔵省として認可しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/239
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240・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 そこで問題は、これが、銀行とセット販売で大変乱暴な形で勧誘が行われたということであります。この中には違法なやり方も含んでいた。
きょうの日本経済新聞の社説によりますと、
バブルの時代、銀行など金融機関の中には、日産生命と組み、融資と抱き合わせで年金型保険に入らせる事実上の保険窓販をやっていたところが少なくない。変額保険もそうだが、こうした違法に近い行為が日産生命の保険契約、契約資産を膨らませ、今日の破たんの遠因となつた。このように指摘されているわけです。
まず、一般論でお聞きをいたしますけれども、銀行員が、かばんの中に保険のパンフレットを入れまして、単独で保険の勧誘それから保険料の一括払いのローンを勧める、こういうやり方というのは、これは違法だと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/240
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241・福田誠
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
御指摘の点につきましては、具体的な事例なり事実関係を把握しておりませんので一概には申し上げられないところでございますが、一般論として申し上げますと、銀行員が顧客に対して行う融資に関する説明等に関連して、融資の対象とする保険商品の概要に触れることが、それが直ちに法律に違反するとは断定できないと存じます。当該銀行員が行った行為がどの程度の事実行為であったかという点も、個別の具体的な事実認定を経て判断すべきものであると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/241
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242・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 今の答弁は納得できないわけでありますが、もっと具体的に私先ほど指摘したのです。銀行員が、行員が生命保険のパンフレットを持って、それで、この生命保険に入りますと有利ですよ、私の方で融資もしますから、こういうことで保険の契約をとるというのは、これは違法なのか違法でないのか、このことを聞いているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/242
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243・福田誠
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
また一般論でございますが、提携ローンにつきましては、保険会社と金融機関があらかじめ所要の提携事項を定め、当該金融機関が保険料の融資を行うものでございますので、そのような所要の提携事項を遵守した上での保険料ローン自体は問題となるものではないと考えております。
そのほか、お尋ねの事例については、そのような説明資料がどのように利用されたのか、あるいは、説明資料そのものの内容等々に即して具体的に事実を拝見しないと何とも言いがたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/243
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244・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 全然聞いていることに答えていないわけですね。つまり、銀行の行員が保険の募集をしてはならないというのは、銀行法に決まっているわけでしょう。銀行法第十条「業務の範囲」にそう書いているのじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/244
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245・福田誠
○福田(誠)政府委員 御指摘のとおりでございまして、銀行員を含めまして、生命保険募集人以外の者が保険の募集を行うことは法律により禁止されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/245
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246・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 これは当たり前のことで、隠す必要も何もないわけであります。そういう姿勢が、これが銀行を弁護し、こういう生命保険を弁護する、そういう結果になるわけであります。大蔵省に対する疑惑がますます大きくなるわけでありますから、ぜひ正面から答えていただきたい。
それで、我が党の矢島恒夫議員が、具体的な事例について、一九九〇年に駿河銀行の違法な事例、これを指摘したことがあります。
ここにありますけれども、これは、駿河銀行が「〈するが〉年金保険ローン・ステップ」、こういうパンフレットを持って、それから保険の契約書、こういうものも持って勧誘に歩いたという事例がありました。それからここには「日産の積立年金Will・Well」「保険料一括払は、〈するが〉年金保険プランSTEPで」と。ここには、駿河銀行と日産生命、並んで社名が書いてあるのです。そういうパンフレットを持って、それで、保険会社の勧誘員ではなくて、銀行員が単独で保険の募集をやったということがありました。
これは、八九年五月二十五日の毎日新聞静岡版ですけれども、大蔵省は、法律違反を知りながら、銀行として行員に勧誘させていたことが事実なら確信犯だということで、再度事実関係の調査を始めた、こういう報道もあるわけですね。このような調査をした事実はありましたか、その結果はどうだったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/246
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247・福田誠
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
御指摘のように、平成元年当時に、駿河銀行と日産生命の提携ローンが問題になったようでございます。
本件につきましては、駿河銀行と日産生命という個別具体的な案件にかかわることでございますので、お答えすることは、これまでと同様、差し控えさせていただきたいと存じますが、いずれにしましても、当局におきましては、必要に応じて事実関係等についてヒアリングを行い、問題があれば適切に対処をしてきているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/247
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248・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 その具体的な是正の指導がまともになされてこなかったのですよ。ですから、最近もこういう事例がたくさんあるわけです。私が知り得る範囲だけでも多数あります。
例えば、千葉銀行の行員が、この保険は得な保険だ、僕も入るからあなたも入ったらどうか、こうやって勧めた例がある。それから、横浜銀行の行員は、お年寄りに息子の名義で積立年金保険に入らせた、こういう例。それから、島根中央信用金庫では、金庫従業員に保険募集をさせた。労働組合がこれを問題にしまして、募取法違反だ、こういうふうに追及したけれども、理事長は、地銀もやっている、ばれるまでにやってしまうのだ、こう言って従業員に号令をかけた。とんでもない話であります。
四月二十九日付の信濃毎日によりますと、「日産生命保険の「積立年金保険」への加入を、年金ローンと一緒に長野信用金庫の職員から勧められた一との苦情が同市内で相次いでいる。」これはつい最近の話です。「保険の加入用紙は信金職員が持参し、保険会社や代理店の社員と会ったり、連絡を受けたことはなかった」。つまり、単独でこういうふうに金融機関の職員がやっているわけですね。
それで、苦情が相次いでいるので、五月一日付の毎日新聞長野版によりますと、大蔵省長野財務事務所はこう答えている。「「関心を持っている。金融機関から「自主的に調査をする」との報告を受けており、その結果を待つ」との方針を示した。」というふうに報道されているわけでありますが、長野信金については、その後、報告はありましたでしょうか。
〔柳沢委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/248
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249・福田誠
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
当局におきましても、御指摘のような報道があることは承知しております。
ただ、関東財務局、長野も所管しておりますが、財務局からは、現時点でそのような報告は受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/249
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250・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 これは積極的に、そういう事例が報道もされ、社会問題になり、そして保険の契約者が不安を覚えている、そういう状況なわけでありますから、このような事態を招いた根本的な原因である個人年金問題について、その実態はどうだったのかということを現在の時点で調査をするという姿勢が私は大事だと思うのです。そういう決意があるかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/250
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251・福田誠
○福田(誠)政府委員 先ほど来申し上げますように、銀行員を含めまして、保険募集人以外の者が保険募集を行うことは保険業法違反でございますし、また、銀行員につきましては、銀行法の規定によりまして、銀行法その他の法律により営む業務のほか、他業は営むことができないというふうにされているところでございます。
したがいまして、銀行、保険会社とも、そのような業務の公共的側面にかんがみまして、いやしくも社会的批判を受けることのないように努める必要がございます。
当局におきましては、今後とも銀行、保険会社に対する国民の信頼が損なわれることのないよう、業務運営につきましては一層適切に指導してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/251
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252・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 大蔵大臣に最後にちょっとお聞きをしたいのですけれども、このような具体的な事例が、実際今お話がありましたように、法律違反になると言われる事例が報道もされ、訴えもあるわけでありますが、そういう事実、訴えがあった場合に、大蔵省として、積極的にその実態について調査をし、事実関係を明らかにし、これは法令に違反しているということであれば、具体的な処罰も含めた対応をするという決意をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/252
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253・福田誠
○福田(誠)政府委員 大臣の前で恐縮でございますが、先ほど申し上げましたように、大変重要な問題でございますので、当局におきましては、必要に応じて事実関係等についてヒアリングを行いまして、適切に対処してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/253
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254・三塚博
○三塚国務大臣 段々のお話、承っておりました。新しい金融システムを迎えるに当たりまして、法律は守らなくちゃいけませんし、違反をすれば対処するのは当然のことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/254
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255・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、今後の対応の仕方といいますか、これについて、契約者が不安を覚えないようにどのような対応策を考えておられるか、一言、その点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/255
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256・福田誠
○福田(誠)政府委員 お答えいたします。
四月二十五日に業務停止になりましてから、今回は保険管理人として生命保険協会を選任しておりまして、保険管理人におきまして、契約者の保護のためにどのように契約の引き受けを行うか、今スキームづくりを鋭意行っております。
そして、営業停止に伴いましてもろもろの業務が停止されておりますので、スキームにつきましては一刻も早くできるよう、また、その方向として契約者の保護にできるだけのことができるように、私どもとしても指導してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/256
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257・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/257
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258・綿貫民輔
○綿貫委員長 次に、栗本慎一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/258
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259・栗本慎一郎
○栗本委員 自由民主党の栗本慎一郎でございます。
質問予定時間が大臣等の御予定によって繰り上がりましたので、実は、行政改革の一般論の問題として、今回の金融監督庁はどのように考えられるか、問題点がかなりあるのではないかというふうな御質問を申し上げたいと思っておりましたが、これは一応、内閣全体の課題だ、最優先課題だとおっしゃられておりましたので、関連して大蔵大臣等にも御質問を申し上げるということをお許しいただきたいと思います。
まず、行政改革、行政改革特別委員会でございます。行革、行革と、今社会的にあるいは時代的にこれは重要な問題だと言われておりますけれども、中身は実は二つの点から語られてきていると思います。
一つは、行政における予算、人員の節減ということである。一部の民間の論者は、行革が行われ省庁が実際に削減されれば、四兆円、五兆円のお金が出てくる。私は、検討いたしましたが、その金額は無理だろうと思いますが、削減することによって予算が相当浮くということだけは事実だろうと思います。すなわち、予算、人員の節減というところから一つ議論がされて、二つ目の点は、実は、効率化、公平性の確保という点であります。
よく考えますと、この二つは対立するところがございます。
今回の金融監督庁、これまで金融行政に関する企画立案も監督検査も、これは大蔵省内部に保持されていたわけであります。今回、それを二つといいますか、分けることになるわけでありますけれども、分けない方が効率的である、人員もさして要らない、まあ、随分要るのですけれども、改めて余分に要らないではないか。また、分けてそのまま必要な人員を確保するとなると、実は相当な無理も生じて、部分的な連携等をとらなければいけないところが残って、残ると、それは大蔵省の主導性が残っているところじゃないかというふうに議論をされる、こういうふうになっているわけです。
問題を整理いたしますと、予算、人員の節減という行革の一つの柱、方向と、それから効率化、公平性の保持という方向、この二つはぶつかるものであり、今回の金融監督庁の問題でいえば、この予算、人員の節減は金融行政に関して言えばされないだろう、むしろふえるということにもなるのではないだろうか、その辺の疑問を持っているところでございます。実は、自由民主党の財政部会でも、きちんとやっていれば大蔵省の中にあればいいんだ、何か大蔵省にペナルティーという格好で出てきた、ということは行革の問題とは別じゃないか、ペナルティーが要るか要らないかという問題は、これは一つ別の問題ではないのだろうか。田谷さんだ中島さんだの問題がたまたま議論されているというか、世上にとかくのうわさ、実際事実でもあったわけですが、そういったときにあったために、与党合意もほぼ、議論をすっ飛ばして、やはり分けちゃった方がいいんだという話になったという部分があるんじゃないだろうかというふうな疑問を一つ持っているわけでございます。
行革担当大臣ではございませんが、内閣の最重要課題であり、内閣の最重要閣僚の一人、先頭であられます大蔵大臣に、その辺のことをちょっとお伺い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/259
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260・三塚博
○三塚国務大臣 時代は変遷をしていく、激流の時代になりますと人の意識も変わる、これは栗本教授からいっか聞いたことじゃなかったのでしょうか。今お聞きしておりまして、そんな感じを持ちました。しかし、政治は、物事を正確に見詰めながら、その中ではありますが、この国のため、また国民生活のプラスになりますように取り組んでいかなければなりません。
昨年の住専問題、これはまさにさまざまな批判が出ました。何をしておるんだ、金融行政しっかりしろ、どうなっているんだ。こういうことどもの中で、それぞれ答申、またプロジェクトチームの取りまとめなどがございまして、これに沿うという形がありますが、しかし、こういうときというのは、積極的に時代を先取りをしてやり抜くというのも大事ではないのか。就任のとき、あいさつで申し述べたところでありました。
大蔵省の諸君、そのことを基本にしながら、積極的に諸制度の改革に邁進したことだけは間違いありません。よって、この諸制度ができ上がることによって、金融システムが一段と預金者保護の観点から、また、金融システムの根幹である信頼の維持、これは早期是正措置等を含め、透明性を深め、預貯金者、投資者、契約者が安心をして選べる、こういうことにも通ずるところまで行き着いたことは時のメリットだったのかな、こう思っております。
そういう中で、行政改革上プラスマイナスどうだと言われますと、必ずしもそのことでプラスオンが直ちに立つというものではないんだろうと思うのですね、新たに庁舎を借り入れるということもあるでしょうし。短期ではございませんが、中期で物を見てまいりますと、そのことは計算が合ってくるでありましょうし、また意識改革という意味で、新しい機構の中で機能の分担を明確にしながら、それぞれ緊張関係の中で努力をするということで成果が上がることではないのでしょうかと思います。このことが全体の金融システム改革にプラスとして働くということであれば、我が国金融また証券市場の活性化に資する、ひいては預貯金者にプラスをもたらすことになる。そのようなことで頑張ろう、こう申し上げておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/260
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261・栗本慎一郎
○栗本委員 なかなか把握の難しい御答弁でございましたが、要するに効率化、公平性の保持がまず基本であって、そのことから結果的に予算、人員の、国家予算の節減につながる部分が出てくるのじゃないかというふうなことだと思います。実は、私個人の考えもそのとおりでございます。
実は、大蔵省の中に金融行政の企画立案及び監督検査もあった段階で、いわゆる住専問題が発生し、融資に対する覚書というのが一体どの程度の法的効力を持つか。行政は、企画立案といいますけれども、そこで法律をつくってもらっては困るわけです。こうした方がいいですよという話はいいのですけれども、法律をつくってもらっては困る。法律は立法府がつくるわけでございます。これは違法だ、こうすべきだ。ところが、それに先行して、覚書の方が現実にどうも強いみたいだという話があった云々がございまして、結果的に六千八百億を超す予算を使わなければならなくなったということになるわけです。
したがいまして、トータルで見て、私は、自民党財政部会の中の議論でも、形としては分けない方が行革にむしろ逆行しない形になるということにとりあえずは賛意を表しましたけれども、現下の日本の金融行政は、実態を見た場合次の段階に行かなければならないという場合に、今、効率化、公平性の保持、また国民の信頼を回復するということが重要なんだということを、大蔵省の皆さんにも大蔵省出身の議員の先生方にも申し上げたかったというふうなところでございます。大臣の見解を勝手にまとめて申しわけございません。
それで、効率化、公平性のことについてもう少し敷衍いたしますと、例えば効率だけを考えたならば、例を少し挙げますと、例えば司法、立法、行政とあって、裁判というものがある。検察庁は行政府にある。検察庁が捕まえてといいますか起訴をして、司法の裁判所に持っていくのだ。これを裁判所の中でやってしまったらどんなに効率的か。
今裁判が詰まっているからこの部分についてはちょっと起訴は少し先送りしようとか、もちろんボーダーラインケースについてのみでですね。基本的に、今殺人罪が多過ぎるからちょっとこの一年間殺人罪は起訴しないとか、そんなばかなことはできませんが、現実には、法律はボーダーラインケースが物すごくあるわけでございますので、そうしたことをしたり、大分その辺の捜査あるいは審査の余裕があるからことしは詐欺罪を多目に捕まえようとかいうことができればどんなに効率的かと思いますけれども、三権分立の司法と行政に分かれておるわけですね。
しかし、いわゆる法曹は、同じ国家試験を通った人間が検事も判事も資格を持ちます。持っていなければまたできません。これは、実際にはこの異動、流動がある程度行われているわけでございます。私は、それでいいのだ、こういったものを一つにすべきだという議論は多分ないと思いますし、出たならばそれがいかにおかしいことかということはわかっておられるかと思います。
ところが、今日の段階になりまして、金融監督庁、これが提起されているわけでございますが、当初金融検査庁というような仮称で議論をされ始めたときに、新聞がたたきましたけれども、大蔵省の皆さんが我々議員のところを回りまして、レクチャーをしていただいた。そのときに、私もいただいたその紙をこの一週間捜したのですが出てこないのですが、どこかにありますけれども、たしか間違いなく、主要国の金融行政は企画立案、監督検査、全部同じところなんですよというふうなことをおっしゃったかのように記憶をしております。
ところが、そうじゃないですよね。外局ということも含めて、外局は一応内部とは言わない。例えばドイツなんかが外局、金融監督局、証券取引監督局となっている。外局という形を含めて言ったら、基本的には企画立案と監督検査は分かれておりますね。こういう理解だと私は思うのです。
またそこで、イギリスのようにイングランド銀行というのが一応独立の組織としてあって、ところが、イギリスのイングランド銀行は、イギリスの方がいないからいいと思うのですけれども、独立の組織になっているけれども、ほとんど指示権、指揮権は大蔵省が持っていまして、それこそ完全にコントロール下にあるという格好なので何とも言えないのですけれども、そのイングランド銀行、BOEが行うということも含めて一応分かれた格好になって、それなりの私は意味があると思うのですね。
その辺、大蔵省いかがでしょうか。諸外国は全部一つのところにあるのに日本だけ分けて、そのときは金検庁ですが、名前が金検庁で悪いから金監庁に変えたのかもしれませんが、金監庁にするというのは、これは後でまたお伺いします。なぜ検査庁でなくて監督庁なのか、このことに意味はあるのかと思いますが、その金監庁がなぜ、あのときどうも大体中だとおっしゃったのがいまだに蹄に落ちないので、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/261
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262・武藤敏郎
○武藤政府委員 今お尋ねの中にいろいろな問題が提起されていると思いますけれども、まず、検査と監督がばらばらになっているということはないということを申し上げました。検査は監督のためにあり、検査なき監督ということはあり得ないということをるる申し上げました。したがって、検査だけを独立させるべきであるということを私どもとして申し上げたことはありません。
次に、検査監督と企画立案がどういうことになるか、これはまた別問題でございますけれども、この点については、外国の事情はいろいろお国柄がございまして一概に言うのは難しいのでございますけれども、例えば、一つ言えますのは、企画立案、これは大蔵省ないしは大蔵省に相当する組織が企画立案機能を行っている。これは、アメリカでも財務省であり、イギリスでも大蔵省、フランスでも経済財政省、ドイツでも大蔵省の内局が企画立案を行っております。
ところが、検査監督につきましては、アメリカにおきましては、まず御承知のとおり国法銀行制度と州法銀行制度という二元銀行制度があるものですから、国法銀行については財務省の外局であります通貨監督局が、州法銀行については州当局が所管するということになっております。ただ、さらに事情が複雑なのは、FRBと預金保険公社のFDICが、州法銀行についても連邦の組織でありながら監督権があるという事情がございます。
イギリスにつきましては、監督は御承知のとおりイングランド銀行が行っております。今まで、労働党政権になる前までは大蔵大臣がイングランド銀行に対して一般的指示権を持っておりましたが、これがどのようになるかはよくわかりませんが、イングランド銀行が監督をやっております。
ドイツにつきましては、監督は大蔵省の外局たる銀行監督局がやっております。
フランスにつきましては、監督は銀行委員会、この委員会というのは一種の合議制なんでございますけれども、中央銀行の総裁が委員長をやり、経済財政省の国庫局長が委員に当然なり、その他の委員は大蔵大臣が任命するといったような組織でございますけれども、そこの銀行委員会が監督をやっております。
結局、今申し上げましたとおり、企画立案はそれぞれ大蔵省に相当する組織の内局がやっているという意味で、今回御提案申し上げているシステムとそこは共通だというふうに私どもは理解しております。
検査監督につきましては、歴史的経緯等々によって各国ごとにありますけれども、しかし、マクロ経済に大きな影響を与えるような破綻処理に見られるような信用秩序の維持というためには、この企画立案機能と検査監督機能の連携が確保される仕組みが講ぜられているというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/262
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263・栗本慎一郎
○栗本委員 答弁も多岐にわたっておられましたので一瞬ちょっと聞き漏らしましたが、大蔵省の内局が検査監督をしているとおっしゃったのはイギリスについてでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/263
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264・武藤敏郎
○武藤政府委員 イギリスは、イングランド銀行が検査監督をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/264
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265・栗本慎一郎
○栗本委員 では、内局で検査監督と今おっしゃらなかったのかもしれないのですが、まとめますと、大蔵省の内部で企画立案と検査監督がある、そういった形の場合でも、別局なんですね。大蔵省銀行局という格好になっていたのはやはり日本だけだったのだということは理解しなければならない。
そして、効率性という点からいえば、うまくいけばそれは最高だった。それをそのままぜひとも今世紀中維持し、来世紀も発展させていただきたかったというふうに大蔵省応援団なら思うでしょうけれども、それがあれだけの問題を起こしたということだ。したがって、やはり効率ともう一つ、公平性の保持というのがここで大きな問題として出てきたんだということが確認されなければならないと思うのですね。これは、武藤審議官よりも少し前の世代が出されたことが今ここで議論されているのだということになるかと思います。
そこで、今後お願い申し上げたいのは、もう一つは、企画立案という言葉は相変わらずきちんとして残っております。先ほどちょっと申し上げましたけれども、行政における企画立案というのはどういうことか。その企画立案というのは、現実にはしばしば大蔵省のような重要官庁では立法化につながってまいります。
今ここにおいでになりませんけれども、私、二年ほど前テレビで、名前を隠していてもわかってしまいます、榊原さんが、前後の脈絡からいうと、我々大蔵省は毎国会で大体五十から六十だったか、四十から五十だったか忘れましたが、法律を担ぐんだ、つまり大蔵省がつくっているのだと。私も当時既に国会議員でありましたから、面目丸つぶれ、実際はそうなっているかもしれないけれども、それを言われちゃおしまいだよということで、ばかやろうと言った覚えがあります。榊原氏は、いや本当はそうだろうみたいな顔をずっとしてうるさくしておりましたけれども。
その企画立案で、だから内部保持というか内部の矜持みたいなものなんですね。企画立案を覚書でやっちゃって、それが何千億円というふうな問題になるということが、これはある。また、さらに担ぐ法律もある。
この辺について、俗な言葉で言いますとお行儀といいますか、きちんとした言葉で言いますとその法的対応の概念は大蔵省の中ではどうお考えになっているのか。今日、企画立案と検査、監督、この三つのものが一応分かれる。だから、改めて、残った企画立案に関しましてもどういうものなんだろうかということはきちっと考えて、今後は国会でこんな議論が起きないようにされるだろうと思っているのですが、当然企画立案とは何だということがあると思いますので、ひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/265
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266・武藤敏郎
○武藤政府委員 企画立案と申しますと、金融及び証券取引全般にわたります制度の枠組みの構築、それから取引ルールの整備、これが企画立案の典型だろうというふうに考えております。これらは、一般には法令の制定、改廃ということになりますので、それが典型例でございます。金融システム改革の例えば具体案の策定とか、信用秩序維持を図るために新たな措置をいろいろ講ずる、預金保険制度を拡充するといったようなことは、いずれも企画立案に属するわけでございます。
企画立案の典型例ということでさらに申し上げますれば、今後として考えられるものとしては、例えば持ち株会社が解禁された場合に必要となります金融関連法制の整備でありますとか、証券業の参入に係ります規制の見直しでありますとか、あるいはインサイダー取引規制の導入などが過去に行われましたけれども、さらにそれを強化するような公正取引ルールの整備、あるいは金融サービス法などという議論がございますが、そういう共通横断的なルールの確立といったようなことはまさに企画立案になろうと思うわけであります。
今お尋ねの中に、一つ問題提起といたしまして、かつて行政指導と言われるような事前の指導が企画立案及び監督という場で行われていたのではないか、今後はその事前の行政指導というものを事後のチェック体制に改めていくべきではないか。これは、実は組織の問題ではなくて金融監督行政の中身の問題でございまして、組織改革と同時に、その監督行政の中身を変えていくということが当然求められるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/266
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267・栗本慎一郎
○栗本委員 大変よくわかりました。
また、日本の国会、日本の法律が具体的特定主義を大体とっておりますために、一部を改正する法律案が非常に多く、例えば麻薬なら麻薬を取り締まるという場合でも、あの麻薬、この麻薬、この麻薬とやっていて、あのカエルが一匹抜けているじゃないか、それを入れなければいけないというふうなことがあって、大変でございます。イギリスのように、むしろ天網恢々疎にして漏らさず、といって結局漏れちゃったりするのですが、そういうように比較的大きくしていって、その枠の中で企画立案していただいて、その企画立案がその枠を超す場合に立法化あるいは改正していくという形にぜひしていきたいと思っているわけですが、これは大蔵省と国会だけの問題ではございませんので、一般的な私ども立法府の人間の責任、その辺を明確にする責任ということで考えておきたいと思います。
それで、今のようなことをお聞きして、結局どういうことかといえば、今回の金融行政機構改革というのが、ある面で私は大蔵省バッシングというところが、一体どの程度の、十のうち三なのか二なのか一なのかよくわかりませんけれども、なかったとは言えないと思っているわけです。私は、それはおかしいというふうに思っている。バッシングはバッシングではっきりバッシングしてしまえばいいというふうに思うわけですね。機構改革にそこが結びつくのは本来おかしかった。そういう意味で実は、少し時期尚早といったものではないかという自由民主党内部の議論に、そちら側にくみしたわけでありますが、しかし今回、今時点、ここに立ちまして、要するにそういう部分が一〇%か三〇%あっても、もうそんなものは払拭して、そうした次元の低いもので終わってはならないというふうに考えているわけであります。当然そうしなければならない。
そこで、今議論されましたようなこと、企画立案、検査監督を含めまして、この目的全体を改めてお伺いすると一体どういうことになるのか。検査と監督、またその中で、検査庁と当初言っていたと思うのですが、今監督庁というふうに、そちらをいわばより優先したことの意味等々を大蔵大臣にお聞き申し上げたいのですが、よろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/267
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268・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
今般の金融行政機構改革の趣旨といいますか概要、それにつきましては、まず、既に委員が御指摘ございましたように、企画立案の機能というもの、こういう政策面の機能、それと検査監督という執行面の機能、これを二つの機関で分有することによりまして、独立した両機関の間で明確な分担を定める、それによりまして透明かつ公正な金融行政機構の実現を図るということが趣旨でございます。
なお、その際、検査及び監督ということで申し上げましたが、実は与党の合意等におきましては、当初、金融検査監督庁というような言葉が使われていたわけでございます。この点につきましては、一般に金融の行政の機能といたしまして、企画立案また検査、監督と三つに分けて論じられることが多かった。また、少なくともこれまでの与党等の御議論でその三つに分けて御議論がなされていたということがあるわけでございます。
ただ、これは銀行法あるいは証取法、保険業法等々の他の法律も同様でございますけれども、大体検査というと権限が監督のところに入っております。例えば、銀行法でも「監督」という章の中に「立入検査」という規定が入っているということで、法制的に申しまして検査は監督に含まれるということで、短く金融監督庁ということで立法化を図った、法案を作成させていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/268
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269・栗本慎一郎
○栗本委員 よくわかりました。
それで、今回のこの改革、大きくは金融ビッグバンにつながるものだというふうに議論されておりまして、しばしばこれにかかわって預金者の自己責任原則云々、これによってある程度促進するのではないか。またそのためには、先ほど共産党の議員からも御質問がございましたが、銀行に関する諸情報のディスクロージャーがなければ、いい、いいと言われて預けたら本当は全然ひどかったというふうな話じゃ困るじゃないかという趣旨の御質問がございました。
私もそう思いますが、しかし、よく考えてみると、今回大蔵省の内部から金融の検査監督を引き離すと、一体その自己責任原則、預金者自己責任というのが正しいとして、それが進展することになるのですか。私は、どうもここのところがよくわからない。これは別個の問題ではないだろうかと思っているのですけれども、その点、大蔵省の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/269
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270・武藤敏郎
○武藤政府委員 金融行政が市場規律を基軸とした透明、公正な行政に転換すべきであるとか、あるいは自己責任原則といったようなお話は、これは行政の中身の話でございますので、厳密に言いますと、組織が変わってもそう変わるかどうかというのは、これは行政の中身を変えなければそうならないということであろうかと思いますが、ただ、今回なぜ検査監督と企画立案を分離するのかという議論の中に、そこが一緒になっておると監督当局がルールを、行政指導という形で、検査に都合よくと言うと言葉は適切でないかもしれませんが、便宜的なルールの設定をするおそれがあるのではないか。それから、業界にある程度距離を置いた企画立案当局の方が公正な、いわば一歩距離を置いた観点から厳正な企画立案を行うことができるのではないかといったような、そういう問題提起があったわけでございます。
したがいまして、そういう意味で、この企画立案と検査監督を分離するということが、より透明、公正な行政への転換に資するということになるのではないかというふうに理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/270
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271・栗本慎一郎
○栗本委員 よくわかりましたが、最後の資するというのは言い過ぎじゃないかと思うのですね。要するに、マイナスといいますか、ハザードになっている部分を取り除くという外部環境の整備なんだ、大体そういうふうにおっしゃったと思います。最後に突然資するになって、資するためには、現実に、この金融監督庁をつくることとは別に、これは大蔵省がつくるわけじゃないのですけれども、別に大蔵省の内部でやっていただかなきゃいけないことがある。
例えば、財務諸表の公表をどこまでするのか、自己資本比率に関するさまざまな情報をどこまで出して、大蔵省が把握するだけじゃなく、我々国民あるいは立法府の人間に明確にするように、それじゃどこまでやってくれるのか。不良債権の状態、これが現実には一番大きかったわけであります。大蔵省銀行局がやはり住専の問題で批判されましたのは、そんなところに貸していたって返ってこないじゃないか、間違って貸したということが一回ぐらいあるのはわかるけれども、まだその後も貸しているじゃないか、それをどうするつもりだったんだというような話であったというふうに、もう遠い過去の、一年前でありますけれども、記憶しております。
したがいまして、この問題は、金融監督庁設置それ自身の問題ではないという点で私は武藤さんと同じ考えですけれども、外部状況を整備していくということですが、この問題に関連いたしまして、今のようないわゆる情報ディスクロージャーについてどのようにお考えであり、どこまでやっていこうというふうなことをお考えになっているのか、今はそれをお聞き申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/271
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272・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
金融機関のディスクロージャーを充実させるということは、金融機関経営の透明性を高めまして、市場規律によって経営の自己規正を促すものであると考えております。また、預金者の自己責任原則の確立のための基盤としても大変重要だと私どもも思っている次第でございます。
この金融機関のディスクロージャーにつきましては、これまで金融制度調査会におきまして数度にわたり提言をいただいておりまして、大蔵省としては、これらの提言に沿ってその拡充に努めてきております。
先生よく御存じのように、ディスクロージャー制度は、昭和五十六年の銀行法で規定が創設されました。その後しばしば改定がなされておりますけれども、大きな意味で申し上げますと、平成五年の一月になりまして、すべての銀行で破綻先債権の開示というのが始まったわけでございます。その後、六年に至りますと、今度はリスク問題ということで、金融機関が抱えるさまざまなリスクの内容、リスク管理に対する基本方針、リスク管理手法・指標及びリスク管理体制のリスク管理に関する情報の開示を提言しております。金融機関本体のみならず、子会社も含めた企業集団としての情報というのも大変大事でございますので、子会社関連情報の開示を充実させたのも、この平成六年の答申でございます。
その後、また不良債権問題に戻りますが、平成七年になりまして、破綻先債権のほか延滞債権、金利減免債権についても開示するということになりました。その後、同じく平成七年六月に、今度はデリバティブの情報が非常に大切だということで、デリバティブに関する情報を開示するようにいたしました。平成七年の十二月になりまして、来年の三月末までには企業態についてすべての不良債権、先ほど申し上げました破綻先債権、延滞債権、金利減免債権の開示をしなさいというようにしております。それで、これを全銀協の開示基準ということで着実に実行しておるわけでございます。
大蔵省としては、この自己責任原則の徹底と、市場規律の十分な発揮を基軸とする透明性の高い金融システムを構築しなきゃいけないと思っておりますので、先生のおっしゃいましたディスクロージャーの重要性はますます高まっておると思います。今後、ディスクロージャーの内容についても充実を図るということでございます。
また、企業の方のディスクロージャーも大変重要でございまして、企業会計審議会では、例えば時価評価を含む金融商品に関する会計基準、あるいは連結財務諸表のあり方等をいろいろまた意欲的に検討しております。そういったものも、こういったディスクロージャーの中に含めていくという着実な動きをいたしていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/272
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273・栗本慎一郎
○栗本委員 全体の流れの御説明、了解いたしましたし、およそ理解しているつもりでございます。
質問を申し上げました趣旨の根幹は、なぜディスクロージャーが行われるか。国際的な要望、要求もあるでしょうけれども、むしろあらゆる、例えばある金融機関が経営危機、経営破綻に陥ったんだといったときに、今日マスコミは、まず二言目以内に言うのが預金者保護であります。これは、和牛商法を含めまして、投資者保護はどうなっているんだ、さすがにこれはテレビのニュースコメンテーターもいいかげんにしろと言っておりましたけれども。私は、さまざまな金融機関に対して全部預金者保護というのが入ってくるのはおかしい、どこかで自己責任という、といってもそれなりの保護なりそれなりの規定はあるでしょうけれども、どこかで原則としては自己責任なんだと踏み切る必要があるし、そのための条件整備だと思うのです。
それで、どこまでいったら、どのぐらいのときに、いつなのかというふうなことは、これは今の段階では全然言えないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/273
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274・山口公生
○山口政府委員 預金保険制度は、去る国会での金融三法によりまして、今世紀中は全額を保護できるというふうにさせていただきました。その後は、一般原則のペイオフという姿になっております。したがって、このディスクロージャー問題とも非常に絡みまして、そういったディスクロージャーをきちんとやるということがあくまで前提になるのだろうというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/274
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275・栗本慎一郎
○栗本委員 個別にはいろいろ意見がありますが、とにかく、例えば数年以内というような格好で、実際の一般の国民にも自己責任、危ないところへ預けたら危ないんだというふうなこともこれはわかってくるかというふうに思っております。
私は、アメリカに生活しておりまして、理論的には州法銀行とそうじゃないものがあるというのは知っているわけですが、余りにもたくさん、一年に一つぐらい破産するのですね。預けておいたものがいつの間にか別の銀行から、あなたの預金は私のところでやりますから。預金ならいいのですけれども、債権も私どもに集まっていますから。アメリカから引き揚げるときに、一応全部、大したことじゃないんで全部払ってきたつもりですが、日本に帰ってきて一年たった後に、また全然聞いたこともない金融機関から、これを払えと言ってきました。つまり、その債権といいますか小切手が、アメリカは簡単にパーソナルチェックもありますから小切手といっても立派なものじゃないんですけれども、こちらに支払いが来ているからと。まだ国会議員にもなっていないから大丈夫だろうと二度ばかりほっておきましたら、今度は別のうるさいところから取り立てが来る。ある面では感心したわけであります。
そうしたことを通じて、いわばお上が保護していくという形から、実際の民間の機関同士の契約なり、この債権を売り渡しました、こうしましたということでやっていっている、そういう形に早く――全部それがいいとは言いません。余りにもばらばらでありますし、この検査監督という点でいいますと、アメリカの場合には、担当は一体どこがやっているかわからないと言うとオーバーなんですけれども、そういった面があります。
また逆に、少しボーダーが重なっているからいいんだという考え方もある。一つのところですっきりしないで重なってやっていく方が、極端にひどい場合は、住専のような問題の場合には、その方が早く問題が明らかになったかもしれないということがありますが、ぜひともひとつ、金融と実際の国民の生活とのかかわり、遅く遅くは進行していると思いますけれども、きちんとさせていく方向をとっていただきたいと思っております。
それで、次の質問に移りたいと思いますが、今回の金融監督庁の具体的な成り立ち、そこにおける問題点でございます。
形の上で言えば、今回は、金融監督庁は総理府に所属し、その上に内閣があり、内閣総理大臣がいられる。この総理府にもちろん長がいられるわけですけれども。内閣においてはそれと同格の形で大蔵大臣がいられて、この大蔵大臣が大蔵省を担当しておられるという格好になる。人員及び業務の連絡に関しては、いわば検察庁と裁判所と同じとなぞらえたらちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういった形で、その連絡はある。点線で結ばれているような格好になっている。しかし、実線は、金融監督庁、総理府、内閣、それでまた内閣から、大蔵大臣、大蔵省、こうなっているわけですね。それでよろしいですね。
にもかかわらず、金融監督庁長官は、必要な措置について事前協議を行うという仕組みがとられております。一方で、この協議により金融監督庁が大蔵省のコントロール下に置かれるのではないかというような批判がなされているような気もいたします。
この辺に関しまして、実際にはどういうふうに運営されるおつもりなのかということについてお聞きしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/275
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276・白須光美
○白須政府委員 今般御審議いただいております金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律、これで幾つかの金融関係法について改正をお願いを申し上げているわけでございますが、例えばその中で銀行法を代表的な例としてとりますと、銀行に対します監督権限、特にそのまた破綻にも関連いたします例えば改善命令にいたしましても、業務停止命令、免許取り消し、これらの権限につきましては、現在、大蔵大臣と銀行法に書いてございます。これをすべて改めまして、内閣総理大臣というふうに書き直して権限を移し、かつ、このうちでこの金融監督庁長官に、免許取り消しを除きまして委任するということになっているわけでございます。
免許取り消しにつきましても、監督庁長官はこれを補佐して、実際上助けていくということでございます。その際、したがいまして、免許取り消しにいたしましても、業務停止にいたしましても、これは金融監督庁長官あるいはその補佐いたします内閣総理大臣の方の権限にすべて移るわけでございます。
ただ、言われております御批判という点で申しますと、銀行等の破綻処理につきまして、一部の場合におきまして大蔵大臣との協議という規定があるということかと存じます。
銀行等の破綻処理につきましては、通常のケースにおきましては金融監督庁が現行法令のもとで、既存の方策によりまして対応するということになります。
お尋ねの協議につきましては、破綻処理に関しまして、現行法令のもとでの既存の方策により対応するのみでは信用秩序の維持に重大な影響を与えるおそれがあると金融監督庁長官が認める場合に行うものでございまして、執行機能を担います金融監督庁と企画立案を担います大蔵省がこの協議を通じまして適切な連携を図ることによりまして、金融危機管理に万全を期していくためのものでございます。この協議は金融監督庁が的確に業務を行っていく上で必要なものでございまして、このことをもちまして、監督庁が大蔵省のコントロール下にあるというような批判は当たらないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/276
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277・栗本慎一郎
○栗本委員 そういたしますと、金融監督庁長官がそのように認めないときには協議は行われない、こういう認識でまずよろしいですか。
続いてもう一つ言います。
その事前協議の対象になる必要な措置というのは、業務停止命令それ自体じゃなくて、金融監督庁が何か措置をする、それが先ほどから問題になっております企画立案機能に関連する、あるいはそれを駆使した新たな措置について関係があるから行う、こういう理解でよろしいですか。二点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/277
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278・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
まず、金融監督庁長官が必要であると認めた場合に協議をいたすものでございます。必要ないと考える場合には、監督庁長官は通常のルート、現行ルールのもとでもって処理をするということでございます。
それでは協議をする場合でございますが、これは、例えば業務停止命令をする、あるいは免許取り消しをするということが妥当かどうか、その是非について協議をするものではございませんで、いわばその環境整備と申しますか、業務停止命令をするという場合に、単にそのままでかけました場合、信用秩序の維持に重大な影響を与えるおそれがあるというようなときに、現行のルールのもとでは対処し切れないような場合に、どういう方法でもってこれに対処していくかという、その新たな企画立案、これを大蔵大臣の方と御相談申し上げる。大蔵大臣にそういう機能を発揮してもらうということにつきまして協議をするというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/278
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279・栗本慎一郎
○栗本委員 聞いた二点については、私は納得で、きるといいますか、そうかなというお答えをいただいたのですが、今おっしゃられた最後の部分がよくわからない。その措置が企画立案にかかわってくる。よくわからない。
こういう例を出すというのはいけないかもしれませんが、検察庁が殺人者を捕まえる、捕まえているのは警察ですが、これを起訴する。これを起訴するということは、それじゃ、臓器移植も殺人になっちゃうかなというふうなことになるから、そのことについては別の、この場合大蔵大臣ですけれども、相談をする、こういうふうな感じなんでしょうか。
それはしてもしなくても、それが問題になってくれば、これはまた国会の、まずは内閣総理大臣の問題でありますが、そのルールでこうやっていると、例えばここは捕まえたけれども、ほかも全部捕まえなきゃいけなくなっちゃう、それはおかしいではないかという話はどうせ提起されなきゃならないし、どうもその協議というのがそこで大蔵省を対象にセットされているのがもうひとつわからないんで、私の理解が違っていれば、ひとつお答えいただきたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/279
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280・白須光美
○白須政府委員 その協議の内容につきましては、まさに制度の企画立案の観点からということになるわけでございますが、当然、大規模な破綻というようなことがにわかに起こるということも通常ないわけでございまして、大蔵大臣の方でも、長官から協議を受けた場合に備えまして、迅速かつ的確に対応できるよう、長官からのそれまでの行政処分についての事後通知でございますとか、日常的な相互連絡、こういうことを通じまして、一般的に権限行使がどう行われるべきか、これを十分に把握いたしまして、検討を積み重ねておくことになるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/280
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281・栗本慎一郎
○栗本委員 まだちょっとつまびらかになりませんが、今後その辺もよくこちらもチェックさせていただき、勉強させていただこうということで、次の質問に移りますが、実はその事前協議というのも、その業務停止命令にかかわるんじゃないかという、今否定されましたが、いわば誤解があると。その誤解の一つは、預金保険機構が大蔵省の側に確保されているからだというふうに思うんですね。
もっとも、先ほどからの私の質問の趣旨、あるいは、この間銀行法を含めた改革でやってまいりました預金者の自己責任ということでいうと、預金保険機構というものに非常に重責を負わせるのはいかがなものかというふうに思いますが、しかし、金融パニック等を引き起こさないための、そのための保険としてこういったものはあってもいいだろう。
改めてお伺いしますが、預金保険機構が大蔵省に継続して所管される理由をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/281
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282・武藤敏郎
○武藤政府委員 まず、金融監督庁の所掌事務は、民間金融機関に対します検査監督ということでございます。
預金保険機構、これは民間金融機関とは全く性格の異なるものでございまして、要するに、信用秩序の維持を図るための全国一つの組織として、いわばその運用によって全体のシステムの安定を図る、こういうものでございます。したがいまして、その預金保険機構は、検査監督に関する部分と企画立案に関する部分と二つ出てくるわけでございます。検査監督と企画立案を今のように分掌するということを前提といたしますと、この預金保険機構も、それぞれの機能に応じて二つの組織が分掌するということがどうしても必要になるというふうに考えられるわけでございます。
そこで、まず、よく話題になります合併等の適格性の認定、これは個別の金融機関が適格性があるかどうかという認定でございますから、日ごろ検査をして実態を一番よく把握しておる監督庁が所掌するのが当然である。ところが、例えば預金保険の支払いが続いていって、やがて預金保険料を引き上げるかどうかということが話題になるとすれば、それは預金保険料引き上げということによって信用秩序の維持、預金者保護の全体の政策というものをどうするかということでございますから、それは企画立案を担当します大蔵大臣が所掌するのが自然であるということでございます。
結局、例えば住専処理のときにも、受け皿銀行に対しまして預金保険機構が出資するというようなことがございますが、その認可も預金保険料の設定と同様のことでございまして、そういう組織の出資とかいうことに関する認可ということになれば、それはすなわち預金保険機構そのものの監督ということも含まれるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/282
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283・栗本慎一郎
○栗本委員 そのことは、今回の改革でも、まだ実は金融監督庁とほかの各省で共管になっている金融機関があるという問題、そうしたものが今後どのようにこの金融監督庁との関係で整理といいますか、されていくのかという問題をお聞きしたがったわけでございますが、時間がございませんので、そうした問題はまた別個の機会にお伺いしたいと思います。
そして最後に、結局、イギリス型のイングランド銀行を軸にした、それに関連する機関が監督検査をしていくというのは、やはり幾つか非常に大きな問題がある、今回、これも運用については今後我々ウォッチしていかなければならないけれども、最終的にこの方向に賛成であるということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/283
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284・綿貫民輔
○綿貫委員長 次に、前田武志君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/284
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285・前田武志
○前田(武)委員 太陽党の前田武志でありますが、今回でこれは三度目になるわけございます。ずっとこの委員会の同僚議員の質疑等を聞きながら、やはりこれは難しい問題だなという思いを深くするわけであります。
大きくとらえれば金融市場といいますか、銀行、保険、証券、そういったもの全体を含めました金融市場そのものが、いわゆるグローバル化した世界市場の中では最先端を切って拡大し、情報化され、そして日本がそれにおくれをとっている。しかも、この金融関係というのは高度に抽象的な世界でありますから、恐らく私のみならず、まあ議員の立場からいうと、こんなものは専門的には余りわからぬような世界が多いんですね。したがって、政府委員、そこにお並びのプロから見ると、私なんかの質問というのは、ちょっと基礎的知識が欠けていたりするような場合があるわけでございます。
しかし、考えてみれば、先ほど話題になっていたデリバティブだとか、こんなものは最近急に出てきて、多介護送船団方式の中では業界だってこういったものについては、欧米、特にアメリカ等から比べると、こういうヘッジのために金融先物を、新しい商品を開発してやっていく、こういうところでは随分おくれをとっているわけでございます。
私の金融や証券関係の友人なんかに聞いてみますと、プロの大蔵省でさえ、どうもこのマーケットについては全くわかっていないというようなことを言う人が多い。その業界ですら、またアメリカあたりから見ると、護送船団に安住して全然勉強もしてなければ、わかっていない。どうもわからぬ者同士が全部集まって、結果破綻を来して、さてどうするかというような感じを持つわけでございます。
そういった意味では、やはりこの国会において大体我々が議論していくと、具体的な、専門的なところはいざ知らず、トータルで言えば、やはり市場というものがきちっと評価をしていくわけでございますから、余り良識から外れるようなあるいは倫理にもとるようなことをしていたら、これは市場が必ず最後は評価をするということでありましょうから、そういう意味においては、私はこの辺で、自分なりにこの金融監督庁、要するに日本の金融、大きくとらえて金融市場というものを、透明性のある、公正なルールで動く本当に信頼されるものにしていくにはどういうふうにしていったらいいかというようなことで、若干、自分なりにまとめに向けての質問をしてみたいな、こういうふうに思うわけでございます。
私自身は、金融市場に登場する業態ということで考えると、銀行関係があり、これが当面いろいろ金融監督庁の大きな業務になると思います。特に銀行というものが、通貨によって日本の経済の決済システムを担当しているまさしく日本の経済の血液、動脈になっているわけでございますから、それがきちっと秩序だって行われており、社会的に信頼をされているということがまず第一条件でありましょう。
そしてまた、保険、損保も含めまして保険関係の業務がある。これは高齢化社会あるいはまた社会が複雑化していくにつれて、危機管理も含めまして、損保等も含めて、非常に大きな重要な役割を背負っている業界だろう、こう思います。それに証券市場。
そして、そういうものがお互いに垣根を越えて、今互いにどういうふうな業としてやっていくかというような問題になってきておるわけでございまして、先般来、私が質疑をしたセキュリタイゼーションの進行、これはもう日本の恐らくこれからの内需拡大といったようなこと、あるいは日本の町づくりといったようなことについても非常に大きな役割がある、こういうふうに思うのでございます。
さて、そういうような業界から成っているところに対して、それがうまくいっている、非常に透明な、公正な市場の中でそれぞれが知恵と才覚を出して一生懸命もうけてもらう、中には、うまくいかない場合には監督行政がきちっとそこに対応している、私自身は、そういう業界が全部プレーしているのが市場である、こういうふうに思うんです。
そこの市場というものをどういう軸で考えたらいいのかなという、まあ座標軸といいますか、そんなことを考えていたわけでございますが、そこに一つ金融監督庁という、市場のアンパイアとして公正なルールをきちっと守って判定していくといいますか、もちろんあるときには業務の改善措置であったり停止命令であったり、破綻処理までやる、そういう金融監督をつかさどる独立した組織ができてくる、これはいいことだと思いますね。
そして、そういうものがうまく動いているときにはいいわけですが、うまくいかない場合、個々の会社にいろいろ問題が出てくる、日産生命の件であったり、あるいは不正なことをやる、例えば野村証券のケース。そういうときには、一方では金融監督庁が証券取引監視委員会も含めて検査に基づいて監督、処理に乗り出す。そしてさらにそれがうまくいかなくなった場合には、多分預金保険機構であったり、あるいはこれは保険契約者保護基金といいましたかね、それから証券関係においてはまた証券関係のたしか補償基金的なもの、これは純民間だろうと思いますが、そういった装置もある。
そういったものでどういうふうに現状がなっていて、どう対応していくか。そういった全体の市場を実態的に考えていくと、そこに一つの金融監督庁という柱が立ったというのは、私はこの時点においては一つの進歩だと。当然こうやらざるを得なくなってこういう独立したものをつくるということで、そんな全体像の中から、金融監督庁のこと。また最悪のケースになったときにどういう対応がし得るのかといったようなこと。そして、いずれにしろ市場全体というものが、プレーヤーがプレーをするそのグラウンドというものが、本当に透明性があってプレーしやすくあるいは公正なルールが明示されているか、そういった意味においての情報公開。そんな三点から御質疑をしたいと思います。
さて、最初に官房長官に、これも何度か質疑をしているわけですが、今申し上げたようなイメージの中で言えば、やはりこの金融監督庁の独立性、信頼性というものは、最終的にはもちろん市場で評価されます。その市場というのは特に金融市場でありますから、瞬時に情報が回るでしょうし、世界で評価をされるのだろうと思うのですね。
もう少し具体的に言えば、私のある友人が言うには、急に円高になった、円高に振れた。三塚大蔵大臣がG7で、ニューヨークでこの間ああやって会議をされ、そしてちょっと円安過ぎるのじゃないかというようなことで会見、御発言された。そういうことからある時差を経て今こういう形になってきて、大蔵大臣は評価をされておられるのでしょうが、そちらの方の専門家に言わせると、アメリカのヘッジファンドが即座にドル売り円買いに入ってきた。どうもアメリカのたけた連中が、こういうときにはすぐ、まずは先頭を切ってやってもうける。
かつてはPKO、今だって私は実はまあまああるのだろう、こう思うのですが、そういうところにも、情報そのものについても、何も意図的にやっているとは思いませんけれども、何かしらちょっとアメリカのそういったところが先に動くようなところもある。これは公正を期し過ぎて情報がきちっとスピーディーに公開されないというようなところもあるし、その真意というものが伝わらないというところもあるのかもわかりません。
そんなことも含めまして、金融監督庁の信頼性ということについては、やはりその幹部の、もちろん長官大事についてもここで何度か御質疑がありました。そして、その長官のもとの幹部、少なくとも各セクションの責任者といいますか、そういったところ以上の大事については、よほどこれは独立性を確保しておかないと、監督庁の部長か局長からまた大蔵省の局長か事務次官に戻るとかいうようなことになってしまうと、信頼性というのはなかなか市場の中で評価されないのじゃないのかな、こういうふうにも思うわけであります。
そんなことを踏まえながら官房長官にお聞きしたいのですが、金融監督庁、人事の面が大切でございますから、いかに人事の面からその独立性というものを、信頼されるようにするための官房長官の基本的な考え方といいますか、見解をお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/285
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286・梶山静六
○梶山国務大臣 前段の、金融監督庁をつくることによって今までの惰性を打破し、厳正な検査監督を行うことに対する評価をちょうだいいたしまして、完全なものであるかどうかは別として、一日も早く立派な金融監督庁を立て上げていきたい、これがまず一つであります。
そして、特に初動というか、初めにおける長官の人選というか、人柄というか、信用というか、これが私は、金融監督庁のいわば次なる活動というか、それを一番大きく左右をするものではないのかなという気がいたします。機構で動くのだから人ではないと言う人もありますが、私は、当初この金融監督庁の長官に座る人をどんな人を求めるべきか、総理とも恐らくこの法案が通ればその問題に私は一番の力点を置かなければならないし、その長官がみずから厳正な人事権の行使をすることによってこの独立性が保てる、信頼性が保てる、そういうことにつながってまいるという確信をいたしております。
ただ、私が心配をするのは、確かに諸外国等を見て、日本の金融機関は大変おとなしいというか健全な社会でありますから、国際金融に見られるような一握りのディーラーが思惑をやりながら動かしてしまう、そういうことにたけていない日本でありますから、今までの常識の中でやっていって、果たしてそれが検査監督をして間違いないものであるのかどうなのかという点には、若干の懸念、心配をしないわけにはまいらない。
ですから、ちゃんとした今までの形でやられていれば問題はなかったのですが、いわば今まで惰性に回ったバブルの時代、それからそれによって派生をした幾つかの問題、こういうのを見てまいりますと、私はまだまだ金融界の体質は必ずしも健全、丈夫ではない。そこへきて規制緩和というか国際化を進めるわけでありますから、若干の創業を飲むような思いもいたさないわけではありません。
そういう場合に、果たして今の機構、あるいはそういうもので流されないで済むのかどうなのか。これは、検査監督をする金融監督庁独自でできない。ですから、そこに大蔵との協議があり、大蔵の関与が強過ぎるのではないかという懸念を持つ方もありますが、本来、金融というものの大蔵の企画というかそういうものが正当に作動をしないと金融不安を生んでしまう。
ですから、きょう、冗談にも、私は大蔵大臣と席を一つ置いて座りました。というのは、お互いに一線を画さなければならない、しかし、声の届くところにいないと大変なことになりますよ。これは私も、実は切実な思いがなかなか説明がうまくいきませんので、このいすでそういう思いを込めているわけであります。
これからもそういう意味で危機的な状況というか不安につながるような問題のあるときには、すぐに相提携ができる。今までの専門的な知識、そんなに専門家が多いわけではありません。ですから、縦割りになっての弊害もまた出るわけでありますから、連携というのも見ながらやれる。それにはやはり長官の確固たる人事権と指揮権、そして、そのもとに若干のスタッフがいなければあるいは無理なのかしらという感じもいたしますが、これからのそういうものの勉強をしながら、立派なものを立ち上げていきたい、御協力を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/286
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287・前田武志
○前田(武)委員 席を一つ置いて、こういうお話でございました。
アメリカも、何かルービン財務長官はたしかゴールドマン・サックスのディーラーまでやって、会長までやったというプロでございますが、それとFRBのグリーンスパン議長、この二人が緊張関係ながら信頼感を持って互いにやっておるものだからうまくいっている、こういうお話を聞きます。ただし、これは二人ともプロ中のプロなんですね。官房長官も大蔵大臣もそんな世界のプロだとは思っておられないと思いますが、それだけに、監督庁は長官を初めそちらの組織の方でプロを配置するわけでございますから、そこの人事の独立性というものについて特に懸念があるものですから、注文をつけるわけであります。
さて、大蔵省に残る組織、企画立案部門でございますが、これはもう同僚議員が既に何度もきょうも質問をしておられましたので、当初予定していたような、どういう組織になるかということではなしに、いずれにしろ不良債権問題の処理というものもまだまだあるわけでございます。政府の政策的な対応も必要でしょうし、それから財政出動的なこともあるいはあり得るかもわかりません。また、当委員会、きょうの中でも、金融持ち株会社の解禁に伴ってどういうふうにしていくか、あるいは取引ルールであったり、政府金融機関の問題であったり。
そして、ちょっとお聞きしたいのですが、先ほど私が申し上げた銀行、保険、それから証券、そういった業界にわたる、それぞれ破綻のときの預金者保護といいますか、利用者の保護機構、そういったものの現状、さらにこれからそれをどう整備していくかといったようなことについては、これは監督庁でやるのですか、それとも企画立案、大蔵省の方に入るのですか。どちらに入るかだけ、まず。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/287
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288・白須光美
○白須政府委員 お答え申し上げます。
預金保険機構あるいはそれに類似というような形の保険契約者保護基金、これらにつきましては、それぞれ法律によりまして、現在の資金援助に係ります適格性の認定、これについては、金融監督庁の方が個別金融機関の検査監督の延長線といたしまして行うということでございます。これらの制度につきましては、これに係ります定款変更の認可でございますとか、そういうものにつきましては企画立案の一環ということで、これについての法人としての基金というものの監督、これは大蔵省の方の担当ということになろうかと思います。
なお、証券関係につきましては、これはいわば業法上あるいは単なる民法上の存在のようでございますので、だれが監督あるいは企画ということはないことだろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/288
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289・前田武志
○前田(武)委員 そこで、もちろんこの世界でございますから、自己責任原則というものに立脚して、投資家あるいはユーザーというのも当然そこをよく理解して市場に、こういう証券であったり預金であったり、そういうものに登場してくるわけでございますが、しかし、預貯金の世界というのは性格的に確かに違いますね。一つは、きちっと預金保険機構みたいなもので、ペイオフは別にして、保証を、預金者保護というものをしてやらなければいけない世界でございます。
それから、保険の世界だって、日産生命が起きるまで、こんなものひっくり返るなんてだれも思っていなかったわけでございまして、今、急に、保険は大体日本の場合には相互会社でありますから、余計また経営情報の開示がなされにくい世界であって、その辺にも問題があるわけなんですけれども、これはもともと契約なんだからというわけにもいかない。したがって、御指摘の保険契約者保護基金ですか、そういったものがある。
それから証券、これはもうリスキーな世界でもあるし、もちろんもうかるときもあれば損するところもある、こんなものは初めから自己責任の世界だということではありますが、しかし、野村証券のような、ああいう考えでもいなかったような不正行為で、もしもそこに投資していた一般の投資家が、特定のそういうVIPであったりあるいは総会屋であったり、そういったところの利益を確保するために一般の投資家がマイナスを受けていたということになれば、これは違った制度で保証するのかもしれませんが、これは問題であります。そんな意味においては、法的措置というのもあるのかもわかりませんが、しかしまた、北浜の方で証券会社が倒産したという話も聞きます。そういうことも含めまして、証券関係の補償基金。
この三つの分野における現在の制度がどうなっていて、そして、新たな金融監督庁等をつくり、ビッグバンの中でこの組織、基金であったりそういった組織をどういうような方向でバージョンアップしていこうとしているのか、その辺について政府側の見解を聞きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/289
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290・山口公生
○山口政府委員 まず、銀行の方から御説明申し上げます。
預金保険制度は、預金者等の保護を図り、もって信用秩序の維持に資するという大きな役割を持っているわけでございます。今の制度は、金融機関が現金払い戻しを停止した場合における保険金等の支払いや、あるいは破綻金融機関の事業譲渡等にかかわる資金援助というものができるようにしております。
せんだっての通常国会において金融三法を成立させていただきました。これによりまして、今世紀中は預金を全額保護できる仕組みをお認めいただいたわけでございますが、これはある意味では特例の期間の問題でございます。これは、ディスクロージャーがまだ充実過程にある、自己責任を問い得る環境がまだ十分に整備されていない、あるいは不良債権問題等がありまして信用不安を醸成しやすいという特別な事情であったわけでございます。
そういった預金保険を使ったいろいろな保護措置というものをお認めいただいておるわけでございますが、本来、この預金保険制度は、預金者は元本保証を受けた預金というものを前提に経済取引をやるわけでございますので、非常に大切な制度でございまして、この預金保険制度を昨年お認めいただきましたので、これを活用しながらやっていくというのが現状でございますけれども、将来またいろいろな機能の問題とか出ますと、そのときにはまたいろいろ考えてまいりたいというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/290
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291・福田誠
○福田(誠)政府委員 保険会社について御答弁申し上げます。
保険会社の破綻処理組織としましては、平成八年四月の新保険業法の施行に伴いまして、御指摘のような保険契約者保護基金が設立されております。これは業法に基づく指定法人でございまして、現在、生命保険会社については生命保険協会、損害保険につきましては日本損害保険協会が大蔵大臣の指定を受けております。
この基金の目的でございますが、経営危機に陥った保険会社の保険契約をそのほかの保険会社に円滑に移転する、そのために援助をするものでございます。保険契約の場合は、契約者の保護で最も大切なのは契約自体を継続するということでございますので、この保護基金の援助によりましてそれを円滑に進めるというものでございます。資金援助限度額は現在、生命保険におきましては二千億円、損害保険会社では三百億円となってございます。
したがいまして、この新保険業法に定められました基金の活用によりまして保険契約者の保護を図ってまいりたいと存じます。
ただ、今後のバージョンアップと申しますか、それにつきましては、今の基金が救済保険会社が出現することを想定しておりますので、これがもしあらわれない場合についてどうするかということになるわけでございまして、その場合についても手当てをするという観点から、いわゆる支払い保証、銀行で言うペイオフに似たものをつくってはどうかという問題がございまして、昨年十月から大蔵省内に支払い保証制度に関する研究会を発足させておりまして、現在検討中でございます。今後、結論が得られ次第所要の法改正を行いまして、そういう意味での体制整備に万全を期したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/291
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292・長野厖士
○長野政府委員 証券会社の破綻処理につきまして簡潔に御説明いたします。
証券会社は、銀行、保険とは異なりまして、証券会社の顧客は、資産はその銀行や保険会社そのものの資産となっておるわけではない。そこで、株券を買えば株式を持っておる、あるいは国債を買えば国債を持っておりますので、問題になりますのは、そういった取引の際に、信用などで取引しましたときの証拠金でありますとか、有価証券を預けたりすることがございます、そういった預かり資産を返すという問題だけでありまして、購入した株式そのものの保証ではないということを御理解いただきたいと思います。
それにいたしましても、そういった預けておることの損失のケースでございますので、現在は寄託証券補償基金という、先ほど白須参事官から御説明いたしました財団法人による組織がございまして、これは、証券会社一社当たり二十億円、総資産三百五十億ほど今積み上がっております。まだ幸いにして今日までこれを適用した事例はございませんけれども、今後のことを展望いたしますと、先ほど御説明がありましたような、単なる民間上のシステムでよいのか、少し法的な位置づけを与えるべきか、そして、この基金、一社当たり二十億、現在総額三百五十億というのが将来的に十分であるかどうかということを現在検討を進められておりまして、金融システム改革の中で、この点につきましても、仰せの言葉で言えばバージョンアップを図りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/292
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293・前田武志
○前田(武)委員 最後に、情報公開、情報開示について御質問をいたします。
これも既に同僚議員が随分と御質疑されておりますので、情報開示が言ってみれば最も安い監督機能を発揮する、情報公開こそ最も安い監督体制だ、こういうふうにも言われるわけであります。
これまたいろいろ事業会社の人たちあるいは市場関係の人たちに聞いてみますと、事業会社自体は、これは例えば固有名詞を出すと、高島屋にしろ何にしろ、ああいうことがありますと途端にもう市場で評価される。したがって、情報開示ももうきちっとやっていかなければいかぬということで、かなり進んできていると言うんですね。しかし、支配力のある大銀行であったり証券会社、こういったところが、今までの悪習の中であるいは護送船団の中で情報を抱え込んでということが、野村証券であったり富士銀行の不正貸し付けであったり大和銀行のニューヨークであったりというような結果に出ているのではないのかな、あるいは日産生命ですね。
さらに言えば、やはりそれを監督、指導してきた大蔵省初め政府の情報公開というもの、これは別途情報公開法が進んでいるわけでございますが、そういう中ではなるべく公開せずに済ませようという力も働くか、こう思いますが、その辺、やはり最後は市場の評価ということにつながるわけでございますから、特に支配力の強い金融機関については、もう先ほど幾つか実例の紹介もありましたから、時間も来ましたのでその辺は問いません。
最後に、情報公開法も含めまして、いかに情報公開というものが重要であるか、その面についての内閣としての意気込み、取り組みのこれからの姿勢についてお伺いをして、終わります。これは官房長官にお聞きしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/293
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294・梶山静六
○梶山国務大臣 あらゆるものの情報を敏速に公開をすることが、すべての行政を進め、あるいは国民の利便に供する最大の道だというふうに確信もいたしております。
さはいうものの、なかなか情報公開というものには抵抗がございます。役所は役所なりに、民間は民間なりにそれぞれの今までの、あるいは現在行われているものに対するものを赤裸々に出すわけですから、ある時間を置けとかいろいろな抵抗がありますが、いずれにしても、原則この情報公開こそが世の中を進める一番有力な武器だということを確信して頑張ってまいりたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/294
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295・前田武志
○前田(武)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/295
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296・綿貫民輔
○綿貫委員長 次回は、来る二十日火曜日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004278X00519970516/296
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