1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年二月二十五日(火曜日)
午後六時九分開議
出席委員
委員長 額賀福志郎君
理事 金子 一義君 理事 坂井 隆憲君
理事 保岡 興治君 理事 柳本 卓治君
理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君
理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君
飯島 忠義君 今村 雅弘君
衛藤征士郎君 木村 隆秀君
小林 多門君 菅 義偉君
砂田 圭佑君 田中 和徳君
中野 正志君 宮路 和明君
吉川 貴盛君 吉田六左エ門君
渡辺 喜美君 上田 清司君
木村 太郎君 北脇 保之君
小池百合子君 鈴木 淑夫君
中川 正春君 並木 正芳君
藤井 裕久君 前田 正君
宮地 正介君 村井 仁君
末松 義規君 田中 甲君
山本 譲司君 佐々木憲昭君
秋葉 忠利君 吉田 公一君
新井 将敬君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 三塚 博君
出席政府委員
大蔵大臣官房長 涌井 洋治君
大蔵大臣官房総
務審議官 武藤 敏郎君
大蔵省主計局次
長 林 正和君
大蔵省主税局長 薄井 信明君
大蔵省関税局長 久保田勇夫君
大蔵省理財局次
長 戸恒 東人君
大蔵省銀行局長 山口 公生君
国税庁課税部長 舩橋 晴雄君
委員外の出席者
大蔵委員会調査
室長 藤井 保憲君
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委員の異動
二月二十五日
辞任 補欠選任
山中 貞則君 宮路 和明君
村井 仁君 小池百合子君
同日
辞任 補欠選任
宮路 和明君 山中 貞則君
小池百合子君 村井 仁君
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本日の会議に付した案件
酒税法の一部を改正する法律案(内閣提出第六
号)
租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者
等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律
の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/0
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001・額賀福志郎
○額賀委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、酒税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川正春君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/1
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002・中川正春
○中川(正)委員 新進党の、三重県から出てまいりました中川正春でございます。十月の選挙以来初めて質問をさせていただくことになりまして、きょうは張り切って、ちょっとこの前に床屋にも行きまして、居ずまいを正して質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず、きょうは大きな観点で三つほど取り上げさせていただきたいと思っております。酒税法と、それから予算査定に関する問題、それからもう一つは金融、この項目に従って質問をさせていただきます。
まず、酒税法の今回の改正論議でありますが、WTOの中の議論というのはいろいろ聞かせていただいておるのでありますが、ただWTOでこうした形で勧告があったから日本の方もこの際それを受け入れざるを得ないのだという説明だけでは、国民に対しての、それこそ今ちまたに言われておりますアカウンタビリティーというものを満たしていないのではないかということであろうと思うのです。
改めてここで大蔵省、その交渉の当事者として、WTOでの議論、これをひとつ総括をしていただきたいのと、その中で日本としてどんなことを主眼に主張をしてきたか、それに対してWTOの勧告としてはそれをどう受け取って今回の結論が出たのか。否定をされたわけですけれども、その否定の根拠というのは何であったのかということ、これをお聞かせいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/2
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003・薄井信明
○薄井政府委員 酒税の税率格差につきまして、御指摘のように、WTOの場で二国間協議あるいはパネル、さらには上級委員会、最後には裁定の場で私ども日本の主張をしてきたわけでございます。
御質問はどういう主張をしてきたかということが最初だったと思いますので、その点を具体的に申し上げますと、我が国においては、しょうちゅうとウイスキーというのは、原料や製造方法、さらには品質等の違う異なる製品という認識をされているわけでございまして、これまでの消費の動向等を見ても、両者の間には直接的競合・代替関
係はないという主張を私ども展開しました。
また、蒸留酒に係る税金につきましては、平成元年の税制改革の一環といたしまして、抜本的な酒税法の改革を行いました。その際に現行の従量税率制度になったわけでございますが、税負担の公平性や消費者の選択に対する中立性の観点を踏まえまして、各酒類の平均的な小売価格の違い等を勘案して税負担を決めているのであるということで、しょうちゅうの国内生産の保護を目的としたものではないという主張もいたしました。
さらには、私ども調べてみますと、しょうちゅうというお酒は、韓国を初め東南アジアあるいは東アジアにおいて広く生産されておりまして、また我が国にも輸入されている酒でございます。日本国有の産品ではないということ等も含めまして、しょうちゅうの国内生産を保護する効果を有する税制ではないということの議論を展開してきたわけでございます。
これに対しまして、提訴したのはEU、アメリカ、カナダでございますが、欧米諸国の考え方は、特に蒸留酒課税につきましては度数による課税があちらの一般的な方法であるということで、それはお酒に対する考え方あるいは蒸留酒に対する受けとめ方が違うのかと思いますが、その辺我々も推測するしかできないわけですけれども、度数に応じて一律の課税方式をとっているということで、ここが対立したわけでございます。
結論的には、WTOのパネルあるいは上級委員会の報告におきましては欧州サイドの考え方がとられ、残念ながら我が方の主張が通らなかったという状況にあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/3
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004・中川正春
○中川(正)委員 その中で二つほどの問題が出てくるだろうと思うのです。
一つは、もう一つ残っておりますアメリカとの協議だろうと思うのですが、その前に日本国内の考え方というのが整理をされていかなければならないだろうと思うのです。
先ほどの日本の主張のように、そしてこの主張というのが、今の日本の酒税体系というのをつくっているいわゆる従量税といいますけれども、その背後にあるのは担税力というか、それぞれの業界の歴史的な流れの中で、日本文化の中での位置づけとそれぞれの業界の力関係等々合わせた形で個々にいわば税額が決まってきておりますよ、こういうことだろうと思うのです。この酒税体系のあり方というものと、今回蒸留酒に関してアルコール度数に対しての一つの体系というのが組み入れられた、これは本来異質のものであろうかと思うのです。
これまでの説明の中では、ウイスキーとしょうちゅうの関係の説明だけではなくて、清酒としょうちゅうあるいはビールとしょうちゅう、これについても日本の国内ではそれぞれ議論の中で説明をしながら体系をつくってきた、こういうことであります。ところが、今回こういう形で異質のものが導入されたために、それはウイスキーとしょうちゅうの関係はこれで説明できますが、清酒としょうちゅうあるいはウイスキー、またビールとの関係、ワインとの関係、いわゆる醸造酒との関係を説明することが全く不可能な状況になったのだろうというふうに思うわけであります。
それで、これは本当に、酒税の今回のWTOの交渉過程の中で、これまでの日本の諸制度が外圧に対して一つ一つ変革をされていく、その過程の象徴的なものをあらわしているように思うわけであります。
そこで、これは私たちも含めてしっかりとした一つの議論の整理というのをこれからしていかなければならないだろうし、それ以上に私は一つ気になっていますのは、これまでのそうしたいわゆる従量税あるいは担税力というようなものを背景にした酒税の体系というものが、本当に議論を尽くされて、国民の間にもそれが納得されて運営をされてきたのであろうかということ。これも含めて大いに反省の材料があるのではないか、こんなふうに思っております。
そうした意味で、これからの国内議論の基準になる考え方をどこに持っていこうとしておられるのか、それをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/4
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005・薄井信明
○薄井政府委員 御指摘のように、お酒は各種ございますので、その関係についての考え方ということかと思います。
ここ十数年、特に平成元年の税制改革以降といいますか、酒税制度については大きく変更してきておりまして、そういう意味では、近年における嗜好の変化あるいは酒の消費の変化、そういったものを反映いたしまして現行の酒税制度の体系ができ上がってきております。
一言で申し上げますと、従来下級酒とかあるいは低税負担酒と言われていたものの消費が伸びております。一方で、清酒特級クラスとかウイスキーなどのかつて上級酒とかあるいは高税負担酒と言われていたものの消費が相対的にそれに比べて小さくなっている。逆に言うと、高級なものの消費が落ちて、そうでないものがふえている、そういったように消費態様が大きく変わってきております。こういったことを踏まえて、ここ数年、酒税制度を変えてきているわけでございまして、そういった大きな枠組みについては消費態様なりなんなりを反映したものとして定着しているものと思います。
今回、そのうちの蒸留酒の部分について、ウイスキーの部分を下げ、しょうちゅうの部分を上げ、その中間的なところに税率を張ったということが全体にどういう影響を及ぼすかということかと思いますが、私は、一方に偏した形でセットしなかったことにより、相対的な関係は崩れてはいないというふうに見ています。
ただ御指摘のように、嗜好というものは変わっていきますし、若い人たちが飲むものも変わっていきます。そういうものを、十分その消費量等を見きわめながら、今後とも各酒類間の税負担の関係というものには関心を持っていかなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/5
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006・中川正春
○中川(正)委員 恐らく、さっきの話を国民にしたところで、これは理解できないだろうと思うのですね。端的に言って、例えば何でビールがしょうちゅうの二倍なんだ、あるいは清酒の一・六倍なんだと。この話が単純に説明されないと、ということは新しい基準というものが日本の国内の中で設定をされないことには、各業界単位の、それこそ位置づけだけ。それが背景にあるのだろうと思うのです、今の議論の背景には。難しい問題があるんだろうと思うのですが、しかし過去の流れがそうだったのですね。それで流れてきて、海外にずたずたにこうして切り刻まれるということであります。
そうした意味から、これは、今恐らくは大蔵省に問いただして突き詰めていっても結論は、ということは、議論ができていないことなんだろうと思いますので、そこまではいきませんが、基本的な我々の主体性というか、説明ができる基準というか、そういうものがあって初めて税体系というものが納得をされるんだ、こういうふうに思っております。それだけに、業界を含めて新しい改革の流れというものがこんなところで一つ一つはっきりしていく、そういうことになっていくだろうというふうに思いますので、そうした意味からももう一回基本的に、こうしたきっかけで国内の体系をしっかり理論づけていく、そういう気持ちを持って対応をしていただきたいというふうに思います。
これ以上詰めていきますと、また外交交渉に影響を及ぼしてくる、こういうこともありましょうから、この辺にしておきます。
それと同時に、もう一つは、アメリカとの交渉であります。これは最後まで頑張っていったとして、最終的には代償補償というか、この件については話し合いがつきませんよ、あとは、この件にかわる代償補償というものを前提にしながらの交渉に移り変わっていくんだろうというふうに思うのですが、その見通しでいいかどうかということが一つ。
それから、そうすると、どうも私たちの目から見ると、アメリカがここまで頑張っているというのは、本来、酒で頑張るんじゃなくて、この代償交渉でひとつアメリカとしての目的を果たしていこうじゃないか、そういう意図自体も見え隠れするわけであります。それをしっかり踏まえた上で交渉していかないと、これをもとに非常に大きな、いわば日本にとっての不利益を醸し出すことになる、こういうことだと思うのです。その辺の見通しと、相手のねらい目はどの辺なんだろうな、そういうことも含めてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/6
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007・薄井信明
○薄井政府委員 お話が逆になりましたが、WTOの上級委員会での報告書、そしてそれを受けてのWTOとしての決定の内容というのは、最初に委員御指摘のように、例えばウイスキーとしようちゅうの税率格差をなくせ、あるいは最小限にせよということでございます。
この点につきましては、私ども、今回提出しております酒税法により税率の変更を提案しているわけでございまして、いわゆるデ・ミニミスと言われているものにつきましては、WTOの勧告どおりにこれはでき上がっているというふうに認識しております。EUにおいては、これを合意するという内容も当然入っているわけでございます。
アメリカが仲裁に持ち込んだのは何かといいますと、そのことではなくて、その実施をいつからするかというところでございます。この実施を、アメリカはこの四月から実施しろということで、仲裁に持ち込んだわけでございます。私どもは法律に書いてあるようなことで、特に乙については長い期間、しょうちゅう甲につきましても二十三カ月は要るということで議論をしたわけですが、結論としましては、WTOの仲裁はその中間の十五カ月という、WTOの協定の原則に乗った答えを出してきたということでございます。そういう
意味で、デ・ミニミスという税率格差の実態のところについては争いはなくて、いつから実施するかというところの争いであるわけです。
そこで、今度は十五カ月ということの持つ意味ですが、WTOの協定上は当事者両国が納得すればそれが答えになるという世界ですので、WTOの仲裁として出たものを軸に、私どもとしては国内事情を考えれば経過措置がもっと欲しいということを主張しようと思います。そうしますと、御指摘のように、そのかわり代償措置を出してくれという話になると思いますので、そこのところはこれからの話でございますが、来年二月まで一年ございます。そのぎりぎりまでやっているわけにはいきませんけれども、私どもとすれば、国益に反することのないように、かつ、しょうちゅうの愛飲家あるいはしょうちゅう関係者がこれを急に実施することの難しさということについては十分説明し、総合的に国益に合致する答えを見つけていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/7
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008・中川正春
○中川(正)委員 次に、大蔵省の査定のあり方というものについて、少し質問をしていきたいと思います。
私も実は、国会に来る前に県会議員として、それこそ現場で仕事をしてまいりました。そんな中で、公共事業なりあるいはいろいろな補助事業を実施をしていく中に、いろいろな矛盾を感じながら対応をした経験がございます。例えば、治山事業あるいは道路なんかを過疎地域へつけてくれ、予算をたくさんつけてくれと。これは今の補助金体系、いわゆる中央集権の状況ですから、我々もそれを頑張るためにということでやってきました。
ところが、例えば山の中に堰堤だとかあるいは流路工をたくさんつける、でもどこかに、私たちの気持ちの中に良心の呵責がありまして、これをやっても山はやっぱり崩れてくるしなあと。あるいは、急傾斜なんかもう最たるものなんですが、急傾斜をやってくれといって、それに二億、三億かける。ふっと考え直してみると、その前にある家を一軒、二軒のければ二、三千万で済むところを、やはり二億、三億かけてこのがけを直さなきゃいけないのかな、そんなふうなことを思いながらやった覚えがございます。
それはそれで我々の気持ちの中で割り切り方があって、例えば、そうした山の中にいろいろな公共事業を入れていくというのは、公共事業のその直接の効果だけじゃなくて、これはもう失業対策事業なんだと。そこへ向いて公共のお金をほうり込むということで、これは、そこに住みついている人たちが生活ができる源なんだ、そんな気持ちで過疎対策をやった覚えもあります。
そうしたことの繰り返しの中で、例えばそれに対して、若い人たちが集まって、こんな新しい事業をやりたいんですよ、子供たちが塾に山から通うのに、まあ衛星放送あたりで直接とれてそれがちゃんと山の中でも見られるようなそういう情報システム欲しいですよねというようなそんな話が出てきて、それを通して予算査定まで持ってくると、いや、それはなかなかつきにくいんですよ、それよりも堰堤をつくったらどうですか、こういうような一つの大きな流れがあったように思うわけであります。
それ以外にも、巨額なプロジェクト、これがよく問題になっていますが、三重県あたりでいきますと、長良川河口堰あるいは三重用水事業。これは、一番最初に始まったのは、四百億ぐらいでできますよという約束で始まったのです。ところが、今になって振り返ってみると、千六百億。その中に我々の意向、例えばもう途中でやめておこうじゃないか、これはおかしいじゃないかという話ができるかといえば、一たんそうしてプロジェクトが始まってしまうと、そのまま自動的にずっと上ってしまって、それが何倍にもなってもやっぱり予算がつけ続けられるというこの現状。そして、よくこれも批判が出る話ですが、農業の圃場整備。つけてくださいよつけてくださいよとは言っておるものの、つけたあげく、ふたをあけてみたら、あっちやこっち予算を引っ張ってきておる間にもとの事業費よりも補助金の方がたくさんついてしまって、おい、割り戻しできるぞ、こういう現状もある。
でも、やっぱり私たちはそれを黙って、これは地域にとっていいことだ、こういう形でやってきておるというのは、これは、現場でそうした仕事をしながら地域ということを中心に考えていくと、どうしてもそういう仕事がひとつの誇りになり、それがひとつの選挙のもとになる、こういう意識でありました。
そこで、ふと私も振り返って感じたんですが、大蔵省の位置づけというのは、役所の中の役所、特に予算については、そうした一つ一つのチェックの中でこれは流れてきた。それが、あるときは非常につくのが難しい、大蔵省が考え方をまとめてもらえないから、あるいは理解してもらえないからつかないんだという説明があり、あるときはこうした形でいろんな矛盾を抱えながら予算執行がされてくる、こういうことなんですが、一体、そこにある、今の大蔵省の査定システムの基準、いわばこれも先ほどの話と同じことですが、何をもってどういうことを国民に説明しながら大蔵省の今の予算査定というのがなされておるのか、そこをまず聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/8
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009・林正和
○林(正)政府委員 お答え申し上げます。
今の委員の御質問、公共事業に例をとってでございますので公共事業について申し上げるのがよろしいかと思いますが、委員も御指摘になりましたように、公共事業、これを効率的、効果的に実施するというのは、個別の事業に投入する費用、それと当該事業によってもたらされる投資効果といいますか、これは波及効果も含めた便益とを比較する、まさに費用効果分析、こうした客観的な評価を行った上で投資の優先順位をつけ、あるいは箇所づけをやっていくということが基本だろうと思っています。
ただ、今も過疎対策で御指摘ございましたように、公共工事によって整備される社会資本の効用、一体これをどう考えるか、これは非常に多様でございまして、難しい問題がございます。したがって、必ずしもすべての事業についてその効用を数値化していくということはできませんが、私どもこれまでやっておりますのは、例えば道路整備事業、こうした一部につきましては、従来からこうした費用対効果分析ということをやって、できるだけ効率的、効果的に予算が使用されるようにということでやっております。引き続きこれからも、公共事業の投資の効率性を確保するという観点から、それぞれの事業についてこうした評価方法の開発をしていくということ、あるいはこれを公表するというようなことで、可能な限り費用対効果分析を活用していくということが大事だと思います。
ただ、繰り返しになりますが、公共工事、公の行います事業につきましては、なかなかその効果の測定ができないという面もあるわけで、そこら辺は総合勘案しながらというようなことになるんだろうと思います。
ただ、いずれにしても、できるだけアカウンタビリティーといいますか、そうしたものあるいは透明性というものを高めるような努力というのは引き続きこれからもやっていく、努力をしていかなければいけない、そのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/9
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010・中川正春
○中川(正)委員 端的に費用と効果という言葉が出たわけでありますが、そこでひとつ具体的にお尋ねをしたいんです。
今一つの、公共事業の中で見直しをしていくべきだという、そんな論戦が張られております。その中でいつも、いつもというより特に指摘が出てくるのが整備新幹線であります。これについては、これだけ大きなプロジェクトでありますから、それなりに大蔵省としてはこの事業に対する、それこそ先ほどの費用と効果というものに対しての一つの考え方を出しておるだろうというふうに思うんですが、その数字根拠をここで説明をしていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/10
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011・林正和
○林(正)政府委員 整備新幹線のお話がございましたが、私ども、平成九年度予算を財政構造改革
元年度予算だというように位置づけまして、これを最優先の課題として取り組んでまいりました。他方、整備新幹線の整備は、国土の均衡ある発展と地域の活性化というものに資するという点もございます。
こうした中で、私ども平成九年度の予算におきます整備新幹線の取り扱いを決定するに際しましては、私どもとしては、JRの健全性は確保しつつ、国の負担割合をふやさない形での新しい財源スキームを策定し、その範囲内でめり張りをつけるためにはどうすればよいかというところに一番腐心をしたというところでございます。
そうした中で、ぎりぎりの判断が求められたわけですが、御案内のとおり、我が国の財政事情が非常に厳しいという状況も十分踏まえた上で、財政構造改革に沿ったものになるように、国の負担割合三五%は維持しつつ、事業規模を新たな財源に裏打ちされる範囲内として、今後なお、収支採算性の見通しあるいはJRの貸付料等の負担、それから並行在来線の経営分離についての地元公共団体の同意、JRの同意等の基本条件が整えられていることを確認した上で、その取り扱いを厳正に判断していこうということにしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/11
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012・中川正春
○中川(正)委員 先ほどの説明は、財源負担をそれぞれどういうふうに割り当てるか、こういう説明ですよね。私が聞いたのはそうじゃなくて、整備新幹線というものを実行していく上で、先ほどの大蔵省の中に費用と効果という基準があるという話ですから、それがどんなふうに積算がされたのかということをお聞かせをいただきたい、こういう質問をしたんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/12
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013・林正和
○林(正)政府委員 今後、整備新幹線につきましは、先ほど申し上げましたように幾つかの条件がございます。
今後の検討に当たって収支採算性について十分に審査をするということで、私ども、費用対効果の検討ということになると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/13
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014・中川正春
○中川(正)委員 ということは、今回の議論の中に大蔵省の本来の査定というものはなかった、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/14
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015・林正和
○林(正)政府委員 大蔵省としての査定という御質問でございますが、先ほども申し上げましたように、整備新幹線の問題については、全体としての枠組みを決め、今後の個別の路線の問題については今度の検討委員会におきまして、幾つかの検討の視点がございます、先ほども申し上げました費用対効果というようなことも含めて幾つかの検討項目がございますので、こういう点について十分に審査をしていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/15
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016・中川正春
○中川(正)委員 政治の議論なのだろうと思うのですよ。国民が今回の整備新幹線の議論を聞いていてどうも腑に落ちないなというのはそこなのだと思うのです。最終的にはこれは政治決着をしていくということであっても、大蔵省の役割というのは、大事なときに逃げてはいけないのですよ。
そうではなくて、国民に対しても、またこの議会に対しても、それなりのいわば査定基準に基づいた数字を出して、それで、我々はこう思うけれども、それに対してもし政治的に一般の財源を投じてでもこれをやるいうことであれば、その判断を政治にゆだねる。それで、それはだめなのだ、今の財政状況の中ではこれは先に延ばしていくのだという判断が出れば、それも政治に任せる。それだったらわかるのですよ。しかし、今回はほかのことでしっかり大蔵省は頑張っていながら、この一番大事なところになったらそういう形で逃げるということは、これはあなた方のそれこそ存立基盤を否定してしまうことになる。それだったら最初から予算権は内閣でやったらいいではないかという議論にも結びついてくる話だというふうに思うのです。
そこのところを、今大蔵省なりに査定した材料があるのだと思うのですが、それをひとつぜひ表に出してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/16
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017・三塚博
○三塚国務大臣 ただいまの論議でありますが、整備新幹線決定の最終場面は、政府・与党共同責任で開示されておる原案のとおり。その一日前の二十四日、党側の原案は、新規着工地区に全部数字が入っておりました。政府と与党の首脳会談が持たれたものですから、私はその案の撤回を求めたところであります。
基本は、鉄道といっても旧国鉄の概念で物を考えることはやめようと。完全民営会社で、苦労しながら業績アップに努力をしておる。ですから、すべての新規着工地区は、事業担当者に予定されておるそれぞれの地域の鉄道会社が賛同することが基本要件。賛同の基本的なベースは、収支採算性。鉄道事業というのは、各国、我が国においてももちろん、収支採算性の合わないところに私鉄は、民鉄は進出いたしません。そういう基本のベースを踏まえて考えてほしいと。同時に、どの地区をどう決めるかは、鉄道会社の賛成、その前提である収支採算性、それともう一つは在来線を廃止することについての地元の合意、こういうことがありますねと。それと、財源の仕組みはただいまの仕組みより変わることはないということでないといかぬですねと。それらを厳正に判断をして、検討委員会において決定をするべきである、こういうことにいたしました。
言わんとするところは、それだけ鉄道が、ぜひというのであれば、地域ぐるみで、自分の鉄道ということで盛り上げていくという地元の支援体制、また経営に対する参加体制、こういうものがしっかりと確立をされておりませんと、無用の長物になりかねないという国民の批判があるわけでございますから、みんなで鉄道を支えようということであれば、鉄道は、御案内のとおり使命を果たすことができますし、地域に利益を還元することができるし、貢献することができる、こういうことであります。
事務方は、財政の論理と、国民負担の論理と、再建元年にふさわしい予算をということで、相当全力を尽くしてそれぞれの要所要所を説得したことは事実であります。それをサポートするのは主管大臣の役目でありますから、そういう基本的な枠組みの中で申し上げさせていただき、最終的に検討委員会の議を経てこれを決めるという手続が明示をされてこれから進む、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/17
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018・中川正春
○中川(正)委員 時間が迫ってきたようなので、これだけでいきます。その後の金融は、次の機会にいきます。
先ほどの大臣の御議論を聞いておりますと、それこそ私だちがこれまで地方の感覚でやってきたそういう議論に結びついてくる。いわば陳情政治といいますか、やってくれ、やってくれと。そんな中で、それは地元の熱意が確かにあるだろうと思うのです。新幹線は欲しいだろうと思うのです。右肩上がりの、財政が膨らんでくるとき、そういう背景の中で政治が行われてきた時代であれば、それで話は通ってそれでいろいろなものができてきたのだろうというふうに思います。
その中に、公私混同というか、どこまでが私的セクターでやってどこまでが公的セクターで、まあ言うたら一般財政からお金を投じるかという議論もなしに、そのまま、何やかや言っても仕方ないじゃないかという形で進んできて今の時代を迎える、そのあげくの果てに国鉄が、国鉄自身がですよ、非常に大きな赤字を残したまま問題になっている、こういうことなのだろうというふうに思うのです。
私は、今回の整備新幹線の議論を聞いておりまして、そのプロセスと同じようなことでしかこの議論が決着できないとすれば、これはこれからの日本にとって非常に悲劇なのだろうというふうに思います。そんな中で、やはり大蔵省の役割としては、情報をしっかり、この議会にも、国民にもオープンにして提供することだというふうに思うのです。その情報をもとに、政治判断は私たちがやっていく、これでいいじゃないですか。
現在の状況は、その役目を果たしていない大蔵省というものが、これから先の大蔵省の役割、そして新しい組織の再編というものにどういう結果をもたらしていくかということをそれぞれ担当者は深く肝に銘じてやっていくべきだろうというふ
うに——どこへ行ったのですか、皆さんのその気概というものは。本当にこれでいいのですか。それをひとつ指摘をしておきたいというふうに思います。
以上、時間いっぱいでございますので、バトンタッチをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/18
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019・額賀福志郎
○額賀委員長 次に、並木正芳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/19
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020・並木正芳
○並木委員 埼玉県第八区選出、新進党の並木正芳でございます。
委員長のお許しをいただきましたので、質問させていただきます。不覚にも少し風邪を引いておりますので、お聞き苦しい点があるかと存じますけれども、よろしくお願いいたします。
初めに、租税特別措置法改正案について質問させていただきます。
これについては、去る二月二十日の本会議におきまして、我が党の上田清司議員から質問があったわけでございますが、住宅取得促進税制の効果については、これまで一定程度それなりの評価ができると思います。
しかしながら、御案内のとおり、ことし四月からは消費税がアップするということがあるわけであります。昨年の秋口から、駆け込み需要ということで住宅の取得がかなりございました。こういうことを見ましても、消費税のアップというのがかなり住宅取得に関して影響してくるのではないかということが考えられるわけであります。
したがって、これまでのような考え方でいいかというと、かなりこれは違うのじゃないか。もちろん、大蔵省はその質問のお答えの中でも、先行減税に見合った消費税のアップである、これはもう織り込み済みだというような回答もあったわけなのですけれども、それは、景気の影響ということに関しまして現実的ではないのじゃないかと私は考えるわけです。
したがいまして、消費税を上げてなお余りある、それを上回る控除を住宅取得促進税制の中に織り込んでいかなければならないのではないか、そういう点では大変不十分ではないかというふうに考えるわけなんですけれども、まずその点についてお聞きさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/20
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021・薄井信明
○薄井政府委員 政府の経済見通しにおきましては、平成九年度の民間住宅投資、これは実質で申し上げますと、御指摘のように前年比、つまり八年度に比べて四・九%下がるということを見通しております。
ただ、平成八年度、今進行中でございますが、これも御指摘のように前倒し効果もありまして、対前年度比一一・五%の大幅な増加が見込まれているわけでございまして、平成九年度の見通しの絶対水準ということで見れば、平成七年度に比べて数%高い水準になるというふうに見込まれております。
そういう意味で、バブル期の六十三年度のようなことは望むことはできませんけれども、そこそこの住宅建設が平成九年度においても行われる。その際、その効果の中にはいろいろな効果が含まれると思います。一つは、金利水準が低いということ、あるいは地価が安定的に推移しているということ、それに加えまして、今度拡充させていただきます住宅取得控除、こういったこともあわせまして、今申し上げたような見通しとなっているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/21
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022・並木正芳
○並木委員 説明についてはそれなりにわかったのですけれども、この四月以降、住宅取得の需要については落ち込まざるを得ないのじゃないか。それに対していち早くいかにして立ち直らせるかという点においては、やはりもう一回り大きい控除率で控除していくことが必要じゃないかというふうに考えるわけです。
これについては、そのような考えたということを述べさせていただきます。
また、同じくこの改正案の中に、登録免許税について控除を大きくしていくというような項目がございますけれども、もともと住宅とか土地には何重かに地方税も含めて税がかかっているわけです。こういったことで、今の住宅取得の落ち込みを考えれば、この辺の登録免許税の問題に関しても、この際、住宅取得を促進するためには非課税というようなところまで考えていいのではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/22
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023・薄井信明
○薄井政府委員 登録免許税の趣旨については御存じのとおりでございまして、その中で、例えば住宅用の家屋の所有権の保存登記、これをいたしますと、千分の六という本則税率があるわけですが、これは軽減していくことが住宅建設あるいは住宅取得のために適当であるということで、千分の三ということにしてまいっておりました。しかし、委員御指摘のように、平成九年における経済状況等を考えた場合さらにこれを拡充すべきだということから、今回提出している法律案におきましては、千分の三を千分の一・五にさらに半減するという措置をとらせていただきました。
これをゼロにするということは、他との負担関係を考えたときに、住宅という大きな投資をされる方の経済力ということも考えた場合に、それは行き過ぎではないかなと思っております。しかし、本則に対して四分の一になっている、特にことしそれを措置するということを御理解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/23
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024・並木正芳
○並木委員 御理解ということですけれども、いずれにしても、景気浮揚の大きな要因に住宅土地というのはなっていくと思います。そういう点で、ぜひ十分なる配慮をお願いしたいと考えるわけです。
私ども、既にバブルはもう遠い昔というか終わったという認識の中、土地神話という意味においてのバブルですけれども、その辺について考えれば、バブル時代の税制と言えます地価税はこの際非課税としたらどうかということと、あわせて、法人の長期所有土地などの譲渡益に対して今五%の追徴課税がございますけれども、これを不適用とするとか、また、同じく法人の新規取得土地等に係る負債の利子の課税の特例制度、こういうものも不適用にしていったらどうか。法人ばかりでなく、個人の不動産所得に係る損益通算の特例制度、こういうものもあるわけですけれども、これも不適用としてはいかがか。
こういうような、先ほどまさにおっしゃいましたようにトータルな改正の中で、少しでも住宅土地の取得をしやすくしていく、あるいはバブルであった税制を整理簡素化していく、そういうことが必要ではないかと考えるわけですけれども、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/24
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025・薄井信明
○薄井政府委員 土地税制につきましては、この数年土地をめぐる状況が大きく変わっておりますので、税制自体も毎年のように改正をお願いして目まぐるしく動いてきているような実情でございます。
ちょっと古い話ですが、平成二年秋に土地税制についての根本的、抜本的な議論をいたしまして、平成三年から今御指摘の地価税の創設等の、あのときの、土地問題に対する反省から税制はこうあるべきだということでつくりました税制がまずありました。
ただ、その後、御指摘のように地価は安定してきております。そういった中で、従来どおりの、平成二年あるいは三年につくったとおりの税制でいいのかということは、毎年厳しく私ども見直してきているつもりでございます。残念ながら、平成三年につくった税制がそのまま今も適用されているという誤解が世の中にあるわけで、この点は十分に私ども説明しなければいけないと思っております。
幾つか個別の点について御質問がありましたので簡単に触れますが、まず地価税でございます。
土地を持つことのコストというものを感じていただく、ある程度持っていただくことが、恒久的な意味での地価の安定化、あるいは適正な水準ということに適するという考え方、あるいは資産課税の問題も含めて地価税を創設したわけですが、地価税のつくり方というのは地価に税率を掛けるということでございますので、御指摘のように、地価がどんどん下がってきたことによりまして、今では年間の税収が千五百億円程度になっております。平成四年度、もし〇・三%のままであれ
ば、約八千億円の税収であったわけですので五分の一ぐらいになっている。もう一つのポイントは、去年平成八年度改正で税率を半分にさせていただいたということとあわせて、それほど今や小さくなっております。
ただ、これは土地の保有課税としての固定資産税との関係を常に考えていくべき問題だと思っております。固定資産税の負担との関係を、少なくとも五年に一度は見直せということが法律の附則で書かれておりますので、固定資産税との関係を今後とも見ながら、地価税のあり方については常に考えていきたいと思っております。
それから、土地の流動化対策ということで、法人の長期所有土地の追加課税についての御指摘でございました。
これも平成三年の改正が大きな意味を持っておりますが、必ずしもそのときにできたというか、もうちょっと長い目で、法人なり個人の土地保有に関して土地転がしとかいろいろなことが言われていた時期から変遷をたどっているわけでございます。
そうした変遷の中で、これも昨年、今五%という御指摘がありましたが、一〇%であったものを五%にいたしました。また短期の、超短期といいますか二年以下のものにつきましては、かつては三〇%でしかも分離課税という極めて重い課税制度をとっておりましたが、昨年の改正で一五%の追加課税ということで、かなり軽減されております。
ただ、法人税の中で、あるいは法人が土地を持つということについての考え方について、私どもは、この程度のものは必要ではないかということで去年の制度をつくらせていただいたということでございます。
それから、新規取得土地についての負債利子控除の話でございます。
これにつきましては、土地を取得されて、そのとき借入金で取得されると金利負担が出てきます。その金利を、土地を活用しないうちに一挙に落としてしまうということが適当かどうかということで、これはバブルのときではなくて、昭和六十三年の改正で入れたものでございます。四年間持っていていただく、落とさないでいただいて、四年たったら落としますという形になっておりまして、土地の活用と裏腹で、そのために借りた借金の利子はそれに応じて引いていくという考え方に沿っております。したがって、建物がきちっとそこに一定の規格以上のものができれば、負債利子は引けるという仕組みになっております。かつ、その上物の基準につきまして、これも昨年だったと思いますが、手直しをして実情に合わせたつもりでおるわけでございます。
最後に、個人の不動産所得に係る損益通算の話も出たかと思います。
この点につきましては、不要不急の投資的な土地需要というものを抑制するという観点、いわゆるワンルームマンションの動きに対応したものでございまして、現在もこういう節税ということをねらった動きが必ずしも少なくなっていないのが実情でございまして、そういう意味ではこの制度を今廃止して適当かどうかということにつきましては、私どもは消極的に考えておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/25
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026・並木正芳
○並木委員 説明が足りないというようなお話もあったのですけれども、その辺で論点が若干異なってくる点もあろうかと思いますけれども、とにかく土地あるいは住宅、こういうものに対する課税というのは非常に大きく景気にかかわってくると思います。
そういった点で、もうバブルは既に終わって、大蔵としては立て直しに入ったんだ、土地の流動化策というのをトータルな意味で考えているのだという、そういう国民心理に与えるメンタルな面というのですか、そういうものを私も重要視していきたいと思っているわけです。ですから、地価税を非課税にしても、一般の方の懐に残るお金というのは地価税の性格からいってもそう高くはないわけなんですが、メンタル的な面で、そういうふうなバブル時代の、まあそうじゃないと言うのですけれども、税制が終わりを告げて、むしろ流動化策に入ってきた、そういうような中で効果があるんじゃないか、そういうふうに考えておりますので、ぜひ今後とも積極的に取り組んでいただきたいというふうに考えます。
もう一つ、租税特別措置法の改正案の中での沖縄振興策についてなんですけれども、これについては直接ここには法案としてはないのですが、沖縄に私も何度か行きました。基地の島として、日本の日米安保を基軸とする防衛の拠点として、大変大きな負担を果たしていただいているというふうに考えるわけであります。
そうした中で、今国際情勢、冷戦終結ということで変化してまいりました。また、東アジア、東南アジア等も経済的に大変高い成長率を示してきている。中国の華南経済圏とか蓬莱経済圏とか長江経済圏とかいろいろございますけれども、そういったところでもかなりの経済的発展を示している。
そうした中で、沖縄の人たちは、基地を段階的になくしていってそして自立していこう、そういう中では、基地の空港の民間化、ハブ空港化とか、こういう条件はある意味では本土より備わっていると思うのですけれども、そういうような中を通して、ぜひとも自由貿易地域というか、そういうものを拡大していって、世界的に言えばシンガポールだとか香港とか、そういうところのような経済発展を目指したいというようなこと宣言われているわけです。
一国二制度という問題があるわけですけれども、御案内のとおり、ことし七月には香港が中国に返還されまして、まさに一国二制度でやろうとするわけです。日本においてはもっと条件が、逆に言えば中国よりもいいんじゃないかな、そういうふうに考えるのですけれども、この辺について御見解をお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/26
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027・薄井信明
○薄井政府委員 沖縄の自由貿易地域についての御質問でございました。
税制上も既に措置はしておるわけでございますが、自由貿易地域内における経済活動というのは余りはかばかしくないということで、これをどう活性化するかということが議論されていることを承知いたしております。
ことしの改正のことを申し上げますと、租税特別措置法の中ではありませんが、別の特別措置の中におきまして、自由貿易地域内における工業用機械等の特別償却の対象となります設備、今までは一件当たり千九百万円以上のものとしておりましたが、これでは使い勝手が悪いということですので、一千万円に引き下げる措置を講じることとしております。また、自由貿易地域投資損失準備金制度というのがございます。ここに投資したけれどもうまくいかないという場合に備えて積み立てるというケースですが、現在一五%となっておりますが、これを四〇%に引き上げるという措置を講じております。
その他、沖縄関連の租税特別措置、期限の延長等を行っておりますし、また沖縄路線の航空運賃を軽減しようということで、航空機燃料税の税率の引き下げ、これは租税特別措置法で措置させていただいているかと思います。そういうようなことを従来の路線の延長線のもとでやっているということは御承知のとおりかと思います。
それ以上の、発想を変えてというのが御質問かと思います。
私どもも、沖縄振興のためにどのような政策を、税というか全体として総合的に講じていくかにつきましては深い関心を持っておりまして、沖縄政策協議会のもとに設置されました各省と沖縄県によるプロジェクトチームがございます。ここで県からの要望も踏まえつつ精力的に調査検討が進められているというふうに認識しております。
そういった中で、税制上の何か措置が要るということであれば、その総合的な措置の中でうまく組み合わせられるならば、税制上の措置も講じていくことは必要であろうかと思いますが、ただ、税金といいますのは、税金を納めるということ
は、どうしても、例えば所得課税であれば所得がなければいけないといったような実情があります。また、国税と地方税の違いもあります。そういう意味で、税制の根本にわたるものあるいはなじまないものは措置できないわけでございまして、かなり大胆な税制上の措置ということも考えられるとしても、例えば税率を地域によって変えてしまうといったようなことはなかなかとりがたいと思います。そうでない手法で適切なものがあり、施策を講じていくのにインセンティブになるというのであれば、私どもも一緒に考えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/27
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028・並木正芳
○並木委員 その点については、ぜひよろしくお願いいたします。
時間もありますので、次に大臣にお聞きしたいと思いますが、少し質問が長くなるかもしれませんけれども、よろしくお願いします。
大臣は、上杉鷹山という方については御存じかと思います。江戸後期、米沢藩主として破産寸前の藩を救ったとして、名君の誉れ高い方であるわけです。また、聞くところによりますと、「なせばなる なさねばならぬ 何事も ならぬは人の なさぬなりけり」という歌の作者だとも言われているわけです。私は、ぜひ大臣に、平成の上杉鷹山と言われるような方になってほしいというふうに願うものであります。
鷹山というのは、日向の高鍋藩、三万石の小藩でありますけれども、そこから、かの上杉謙信を祖とする米沢藩上杉家の養子となったのでありますけれども、米沢藩は、当時は、回復不能と思うほどの極端な財政不振に陥っていたということであります。ある面で、大臣がこの財政に厳しいときに大蔵大臣になられたという点で重なってくるものがあろうかと思いますけれども、この上杉家の経済破綻の原因というのは、およそこうじゃないかと言われているわけです。
上杉家というのは、会津百二十万石の名門であったわけですけれども、関ヶ原で石田三成方についてしまった、徳川方につかなかったということで、その責めを問われまして、そして三十万石米沢藩に転封された。ところが、また不幸なことに、藩主が急に死んでしまったというようなことで相続がもめまして、結局、あの吉良上野介、忠臣蔵で有名でございますけれども、あの上野介の長子の三之介というのですか、その方が養子になった。そこでまた半分に、十五万石になってしまった。
こういうふうにどんどん財政規模が小さくなっていったわけですけれども、この当時、会津にいた五千人の仕官している侍をそのまま米沢に連れていって、百二十万から三十万、四分の一ですね、さらに二分の一、十五万石になったのだけれども、全然人員減らしをしなかった。そしてまた、吉良家というのは、そういう伝統があるようですけれども、文化に造詣が深いと言えばいい言い方なんですけれども、大変ぜいたくな感覚の方で、こうした状態にもかかわらず、城の本丸の書院を直したりとか、あるいは新築していろいろな家の部分を直したりとか、あるいはぜいたくな能を演じたりとか、そういうことで、一向に緊縮財政策をとらなかったというようなことで、どんどん財政が窮乏していった。
それで、年貢は当時半分光、半分お金ということだったらしいのですけれども、この現金収入を得るためのいろいろなベニバナだとかアオジソとかありますけれども、そういうものは藩が買い入れる、専売になっていましたから、当然、藩の財政はこのような状況ですから高くは買ってもらえないというようなことで、農民は生産意欲を失って逃げ出していったというようなことで、とうとう破産寸前になってしまった。結局、残ったのは借金、商人から借金したり藩士から借金をしたりということで、まさに借金の山になっていった、そういうような状態であったということであります。
江戸時代と現代の相違はあるわけでございますけれども、共通の原因というのが見えてくると思うわけです。つまり、財政動向に見合った機構改革とか人員減らしをしなかった。いわゆる歳出削減をせずに借金でその場を繕ったものの、今お話ししたように借金に借金を重ねていく羽目に陥ってしまった。
今、オレンジ疑惑とか経済革命倶楽部の詐欺事件について大きな話題になっているわけですけれども、返す当てのない借金を重ねていくということは、これは国そのものがこのようなたぐいになりかねないんじゃないか、そういう声さえ聞こえてくるわけです。果たして、国は返す当てがあるのかということですね。
そういった点では、かなり惨たんたる状態であろうかなと思うわけですけれども、それに加えて、当時、江戸時代もやはり飢饉というのがダブルパンチで襲ってきている。今も、皮肉なことに、御案内のとおり、阪神・淡路大震災だとかあるいは豊浜トンネルの崩落事故だとか、小谷の土石流だとかナホトカ号の重油流出とか、ペルーのテロ事件もありますけれども、この自然災害、人為災害といいますか、あわせて泣き面にハチのような現象が起きている。当時の飢饉というのも、単純に自然災害というだけでない、やはり人為災害的なものもあったかと思いますけれども、まさにこういうときではないかなというふうに考えます。
そのときにあって、鷹山というのは、藩を立て直すために、今と同じですけれども、まず徹底した倹約を進めて、みずからも実践した。つまり、徹底的な歳出抑制策を行ったということであります。
次に、これまた現代にも通じると思いますけれども、産業を興して領内を富まそうと図ったわけです。そのため、荒れ地を開いて農業を営もうとする者には農具料とか種もみなどを与えまして、そして、この辺が肝心なところなんですけれども、三年の間税金を免じたというのです。まさに、この破綻寸前の財政状況で、一銭の金でも欲しいというときに税を免じた。つまり、目先の一銭より、生産者の意欲を駆り立てて経済の活性化ということを重視していったわけであります。
こういうことを考えますと、今消費税が五%にアップするということで、個人消費の減速が懸念されているわけであります。賃金所得は鈍化し、四月には特別減税が打ち切られ、所得税は、御案内のとおり年間二兆円増加する。去年十月には厚生年金保険料が引き上げとなりまして、九七年度の可処分所得というのは〇・七%前後押し下げられると言われております。消費税率引き上げの四分の三ぐらいが消費者物価にも転嫁される、こういうふうにも言われているわけですけれども、そういうふうになりますと、実質可処分所得というのは減少に入ってくるというようなことになってくる。
八九年度の消費税導入当時は、この当時においては大型減税を実施したわけです。そして、可処分所得も伸び、労働市場が好況で、そういった意味では、消費者心理というのは下支えされたわけであります。今回は、消費者というのはかなり慎重な姿勢が強まるのではないか。八九年当時とはかなり事情が違ってきているのではないかと考えるわけです。内需拡大による景気の浮揚を考えざるを得ず、今の消費者心理への影響をまじめに考えれば、この際、特別減税二兆円は継続すべきではないか、まずこのように考えられますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/28
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029・三塚博
○三塚国務大臣 私は東北の出身でありまして、鷹山公、東北では深く敬愛をされておる名藩主でございます。我が身を持し、我が身の節約をもって民の富のために頑張る、今、並木議員からの鷹山公の事績の数々、御教示をいただきました。感銘を覚えますと同時に、そうしたいのでありますけれども、時代が大きく変わりましたことと、我が国の持つ経済力、それと膨大な累積赤字。富がありましても、累積赤字は、転がしていくたびに赤字が赤字を生みまして、破局を迎えることだけは間違いなく見取れるようになりました。
よって、鷹山公の心は心としつつ、改革の面においてこのことを断行していく。鷹山公は、改革
は血の出るものではあるが、お互い次の世代、先々を見て楽しくやろうと言ったという言葉も聞いておるわけでございます。士農工商が身分を忘れて一体となってやり抜こう、先祖に感謝をしながら、後世のために汗を流そうではないか、こう言われました。今日の我が日本、新しい日本像を目指してやらなければならない、それは原点に戻ってやるということに通ずるわけですけれども、そういう中にありますが、日本人の勤勉さと頑張りは、依然としてよき文化として続いておると思うのであります。ここ一番の辛抱をやり抜くことが、構造改革二年目を迎える予算編成にとりまして大変大事なことのように思います。
現代が、我々が、この苦労をともに乗り越えていくということで、日本人の気迫を、また日本人の我慢強さを内外に示すことによりまして、三カ年先行投資の恒久減税、そして同時に特別減税、こういうことに、特別減税にだけは別れを告げるわけでございますが、二%あるじゃないかという御指摘、当然私どもは体しておるわけでございますけれども、このつらさを乗り越えることによりまして、我が日本は自信を得ることになるのではないでしょうか。もちろんそのためには、行政改革、規制緩和が大前提でありますが、経済システムの改革、以下、言われる諸改革を断行するということになると思いますし、財政構造改革は、主管大臣としてその責めを負うております。
九年度は、一生懸命やりましたがあそこまでであります。十年度編成は、ありとあらゆるものに聖域を設けず、国会論議において指摘されました数々をその基本としながら、全力を尽くして成果あるものにしてまいりたいと存じます。
並木議員のせっかくの御提案でありますが、鷹山公の心はしっかりと受け継ぎますので、御鞭撻、御叱正をくださいますようお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/29
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030・並木正芳
○並木委員 特別減税を継続するとすぐにお答えがいただけるとは思わないわけなんですけれども、かなり現実には、大蔵省も経済企画庁も景気は徐々に回復しているというような、そのようなことを言われてはいるんですけれども、どうも一般の方の感覚からすると、暗い話題といいますか、景気はいつよくなるのかというのが実感じゃないかなというふうに思うわけです。数字において徐々に回復だとか、そういうところは必ずしも説得力を持っていないということを考えて、そして消費税の二%アップ、三から丘へというような、一般の方へのいわゆる消費に対しての慎重姿勢をつくってしまうような、そういうようなことを考えると、やはりこれは減税をもう少し継続していくということが、むしろ景気を早く立ち直らせることじゃないかというふうに思うわけです。ですから、その辺について、ぜひ今後とも考えていっていただきたいというふうに思います。
それともう一点ですけれども、時間がなくなってきているのですが、鷹山公がもう一つやったことは、これは養蚕を勧めた。いわゆる殖産興業ですけれども、繭をふやした。桑を植えるために、もちろん自分の衣食のお金を出して買い与えたとか、そういう立派なこともあるわけなんですけれども、それだけでなくて、越後から技術者を呼んで、米沢がすりですか、米沢織を製品として開発していった。こういうようなことで新産業を興していった、そして社会資本を整備していったというようなことなんです。
この租税特別措置法改正案にもベンチャービジネスへの配慮もあったわけですけれども、この辺について、さきに橋本総理が、公共事業費削減のために社会資本の整備に民間資金を活用する民間資金構想、PFIというんですか、イギリスなんかで行われたあれですけれども、そういうようなものを導入していくというような方針を述べたということです。蔵相の諮問機関であります財政制度審議会では、このイギリスのPFIをやはり紹介しまして、しかし、公共的部門の雇用を奪うとか、あるいは支出の繰り延べだというような批判がある、こういう指摘もしているというのですけれども、大臣はこの点については、総理がそういうふうにお話はしているのですけれども、大臣の見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/30
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031・三塚博
○三塚国務大臣 ただいま、公共事業についてのPFIの導入についてでございますが、もう経過は御案内のとおりでございますから結論のみ申し上げますが、我が国の公共事業にPFI、すなわち民間資金構想を導入することについても、国の負担が軽減するのかという視点はもとより、民間部門がこうしたリスクを引き受けられるかどうかという気構えの問題が極めて重要なポイントになってきております。
そもそも、こうしたリスクを引き受けることが可能な公共事業分野があるのかどうか。収支採算性が合うということでありますと、前段申し上げました民営鉄道はそれに手をつけてまいります。航空事業またしかり、輸送事業またしかり、こういうことになりますから、公共事業に民間資金ということについては、これから私どもも真剣に実は検討しなければなりませんし、第三セクター方式という方式でいける工事をこれに振りつけるためにはどうしたらいいのかということなども含めまして、真剣な検討をしていかなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/31
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032・並木正芳
○並木委員 質問の時間が来たようですけれども、大臣の答弁というのは、いろいろな新聞で、非常に難解である、質問者まで混乱してしまうなどという話もあったのですけれども、きょうは大変明快なお答えを一応いただいたと思います。
時間があればもっとお聞きしたいことがたくさんあるのですけれども、またの機会にさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/32
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033・額賀福志郎
○額賀委員長 次に、小池百合子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/33
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034・小池百合子
○小池委員 新進党の小池百合子でございます。きょうは予算委員会とのダブルヘッダーで、大臣も御苦労さまでございます。私は、いつも申し上げておりますように、納税者の観点、そして本日は、ちょうど今回の法案が阪神大震災の復興関連でございますので、兵庫県の議員として御質問させていただきます。また、後ほど時間によりましては、エンゼル税制についても若干御質問させていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
御承知のように、震災復興は、官の部分はどちらかというと進みつつあるわけでございますけれども、まだ民の部分のおくれが目につくところでございます。仮設住宅にお住まいの方々のこれからの行き先等々も不安が募っているというような状況でもございます。そういったことをひっくるめまして、今回のこの法案に関しましては、少しは明るい材料であるということを信じたいと思っておりますが、若干問題点もあろうかと思いますので、そのあたりを伺わせていただきたいと思います。
まず何よりも、せんだって建設省の方が容積率の規制緩和ということをおっしゃっていただきましたけれども、被災地からいたしますと、今ごろというような感が否めません。例えば、容積率の変更によりまして、傷んだマンション等が、本来は建てかえをしなくてはならないのだけれども、建てかえてしまうと容積率が小さくなってしまって、そしてマンションは特に空間を買っているわけでございますから、特に容積率の問題等、住んでいる方にとりましては非常に深刻な問題ということがございます。そこで、この容積率の緩和、どうやら景気対策として出てきたような感がございますけれども、被災地からいたしますと、やはり震災復興というのはもっとより早く、スピーディーに決断をしてやっていただきたかったというふうなことをまず申し上げておきたいと思います。
そして、今回の法案につきましても、むしろ、震災復興という形で、ジャンルでくくっていただいておりますけれども、なぜ今ごろというような感覚を持たざるを得ない部分も多々あることを最初に指摘させていただきたいと思います。
まず、住宅取得の特例でございますけれども、被災者の再建住宅に係る住宅取得促進税制の特例
に関してでございますが、借入金の年末残高一千万円までは、現行は一・五%が、このたびこの改正案によりまして二・〇%ということで、これは大変ありがたく思うところでございます。しかしながら、ここで考えなければならないのは、震災後、最も大変な平成七年、八年に住宅をみずから再建した、これは自分でできるからいいのではないかということではございましょうけれども、この特例にはこの人たちはもう当てはまらないということになってしまいますけれども、これ以前に住宅を再建した被災者はこの特例の対象になるのかならないのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/34
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035・薄井信明
○薄井政府委員 阪神・淡路大震災の被災者の再建住宅の問題についての御質問でございます。
平成七年の一月に大震災が起こりまして、その後、二月、三月と私ども対応を考えたわけでございまして、その後、当委員会あるいは災害対策委員会あるいは予算委員会におきまして、各種の税制上の措置についての御質問をいただいております。
そういった中で、小池委員を含め住宅問題について税制上何とかならないかというお話もいただいたことを記憶するわけでございますが、今回の特例は、阪神・淡路大震災で家屋を失ってその後二年を経過する現時点においても住宅再建ができないあるいは借家住まいを余儀なくされている方々について、できるだけ早く住宅を再建していただくという考え方が含まれているわけですが、一方で、住宅取得控除についてかなり本格的に手直しをする必要があって一般的にも直させていただいた、この時期にちょうど合致した形で措置をとることができたというふうに考えております。
御質問の、これまでにお建てになった方については適用にならないということではございますが、それはそれなりに、住宅取得控除につきましても、当時の実情の中で考えられる措置を講じさせていただいたことは御承知のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/35
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036・小池百合子
○小池委員 今の御説明ですと、やはり景気対策の観点から全体を見ておられるような、そういった印象を受けるところでございます。
今御答弁の中にもありましたように、災害対策特別委員会の場におきまして、こういった被災者に関しての震災の復旧復興に関して税制面の特例を何とかということでずっと訴え続けてまいりまして、ここへ来て景気対策の方面からそういった措置がとられるということ、それはやはり被災地の軽視ではないかという声が当然起こってくるわけでございます。
そうしますと、平成七年、八年の被災者の住宅取得に対して、さかのぼってこの特例を受けるということはできないものなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/36
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037・薄井信明
○薄井政府委員 住宅取得促進税制の本体といいますか、制度そのものの成り立ちが、新築住宅をつくっていただくためのインセンティブ税制としてつくられておりまして、これまでも何度も改正をしてきておりますが、新たに建てていただく方のためのインセンティブ税制としての大枠の中でこれができていることからすれば、過去にさかのぼるということはできないということを御理解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/37
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038・小池百合子
○小池委員 さかのぼることができないということであるならば、次の、印紙税の引き下げの部分でございます。印紙税の引き下げ、つまり不動産譲渡の契約書及び工事請負契約書に係る印紙税の税率を次のとおり引き下げるという部分でございますけれども、これにつきましても、今と全く同じことが言えるかと思うのですね。
これについて平成七年、八年にさかのぼって引き下げをすべきだということを私は強く訴えたいところでございますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/38
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039・薄井信明
○薄井政府委員 不動産譲渡契約書等に係ります印紙税の軽減措置を一般的に措置するわけでございますが、これは御存じのように、印紙税というものをどの時点でどうかけるか、印紙を張っていただくという行為で納めていただくこの税の特殊性といいますか特徴からいいまして、これもさかのぼることができない税制でございます。
ちょっと先ほど言葉が足りませんでしたが、震災に遭われた方々にいろいろな方面から手助けをしていくということは大事なことと思います。私どももそう思って平成七年に各種の措置を講じたわけですが、それぞれの税目ごとに、できる分野があります。また不可能な分野がありまして、それを総合的にできるところはなるべくやっていくということで措置してまいったわけでございます。そういう意味で、各税にそれぞれの特徴があるということを御理解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/39
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040・小池百合子
○小池委員 阪神間というのはこれまでの納税の実績から申しますと、極めて、表彰状を上げてもいいような納税者の方々がたくさん住んでおられる地域でございます。それだけに、自助努力ということで皆さん頑張ってみずからの住まいの再建などをしておられるところでございますが、この昨今の不況の問題、それにかかわってリストラの問題、そして神戸のこれまでの産業などが壊滅的な状況にあって職場そのものがなくなってしまうとか、本当にこの阪神大震災というのは大都市の、そして大規模な災害であったということで、やはりここは国としてもローカルな問題ということではなくて、新たな経済を生み出すポテンシャルのあるところでございますので、できるだけ早急に、そうやって支援していただくと、きっとまた納税者はお返しできると思うのですね。そういった意味から、全体的なさまざまな措置をこれまで講じてはいただきましたが、まず、そういう感覚を持っていただきたいということを強く申し上げたいと思います。
そして、先ほど一たん話しかけました登録免許の軽減税率の件でございますが、こちらについては二年延長ということで、これも極めて被災地にとりましては助かる措置でございますが、まだまだ復興というのは、東京の空襲の復興だってかなり、そこと比べるとみんなそうかもしれませんけれども、やはり復興というのはかなり時間がかかりますし、その辺のタイムラグというものもございます。
そういった面で、これは将来のことではございますけれども、また二年後の見直しというのもぜひ担保としていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/40
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041・薄井信明
○薄井政府委員 今御指摘の点は、阪神・淡路大震災の被災者が新築または取得した建物に係る所有権の保存登記等につきましての免税制度だと思います。
御指摘のとおり、平成十二年の三月三十一日までの間の登記についてこれは適用になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/41
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042・小池百合子
○小池委員 一番欲しいところが抜けてしまったのですけれども、ぜひともこの見直し、二年間の時間をいただいたわけでございますけれども、二年後、そのときの状況に応じて、先ほど申し上げましたような観点からの見直しをぜひともお願いしたいということをここで強く申し上げておきたいと思いますが、また加えてお答えいただけるならばよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/42
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043・薄井信明
○薄井政府委員 やや私の説明が不十分だったと思いますが、この登録免許税の特例はもともとの法律で平成十二年の三月三十一日までの適用期限になっておりますので、最初からそうなっていた。今回租税特別措置法の中で日本全国一般的に住宅関係の税率を引き下げ、それを二年間延長していくという措置も講じております。
いずれにしましても、期限到来のときに御指摘の点なども含めてまた考えていくということかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/43
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044・小池百合子
○小池委員 ありがとうございます。
今の御答弁を伺っておりますと、最初に私が指摘をさせていただいた被災地の震災復旧復興という観点よりも、やはり景気対策の一環としてこれも入れておいてやろうじゃないかといったような、そういう印象を私は受けざるを得ないのですね。
震災の問題、確かに神戸におりますときと東京に戻ってこの永田町におりますときと全く空気が
違うのですね。しかし、この問題というのは、先ほど申し上げましたように大都市大規模災害であるということで、非常に特徴的なことかと思います。それはいつこの東京で起こるかもしれない、またより多くの被災者を生むかもしれないというようなことで、これはまた国家にとりましては大変な負担も生じるかもしれませんけれども、やはりここで納税者たちが、肝心なときには救ってくれないというようなことになりますと、非常に国家の責任が希薄になってしまう、納税の意欲ということにもかかわってくるというふうに思うわけでございます。
大蔵大臣、この先ほどから申し上げている点でございますけれども、今回の法案、阪神・淡路大震災の被災者に係る国税関係法律の臨時特例ということでございますけれども、どうも私は景気対策の方が先に来て、であるならば、震災復興に対しても景気に対してもむしろ二年前にやるべきだったのじゃないですか。私はむしろ景気対策の方が遅いというべきか、この辺のところを指摘したいと思うのですが、大臣いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/44
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045・薄井信明
○薄井政府委員 最初に私から一言だけ申し上げますが、小池委員御指摘の中で住宅取得促進税制につきまして、過去の件については先ほど申し上げたとおりではございますが、これからの面について申し上げれば、一般の住宅取得控除制度につきましては平成九年に住宅を建てられた方が一番有利になるような仕組みで税法をつくっております。だんだんに従来の、かつての住宅取得控除に収れんしていくというような改正の仕方をしておりますが、震災特例の方は平成九年から十二年の間であればその間ずっと最大の額が認められるという措置にしてありまして、単に景気対策だけではないということは、この制度の仕組みから御承知おきいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/45
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046・三塚博
○三塚国務大臣 ただいま主税局長言われましたが、主税局長が言いますと取る方だけ考えているのじゃないか、こうとられる節がございましてお気の毒なんです。小池議員も御案内のとおり、震災後の税制その他振興策については、政府は精いっぱいやってまいりましたことは御理解いただけると思います。
そこで、今度住宅取得税制に関しまして、印紙税ももちろんあるわけでありますが、さかのぼるというのは制度的にさかのぼれない問題もあります。それと、住宅の皆さんについてさかのぼって公平にやってください、この理屈もわからぬわけではないのですけれども、しかしやはり税制の基本というのは、その都度その都度前進をしていって、今回さらに住宅のない方をどうするのかという多くの方の要請、要望がありました。よって、立ちおくれるという、立ち上がりが遅いという御家庭の方々はそれなりに苦しい経済状況もありましたということもお聞きするものですから、その辺のところを十二分に配慮をしながら、新しい税制ということで時限を切ったということでございます。
先にお建ていただいた方には不公平じゃないかという見方は全くなしとしませんが、税制全体からいいますと整合性という意味で、また政府が、また県が、市が、地域が一体となって震災復興に全力を尽くされてきたことに思いをいたしますと、今回は今回として御理解をいただく、これ以外ないと思いますので、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/46
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047・小池百合子
○小池委員 被災地の人間といたしましては、災害そのものが突然やってきて本当に災難なわけですね。そこで一生懸命自助努力で頑張られて、これは結構なことではございますけれども、またちょうど消費税の導入に合わせてこういう形でまた次の、命は奪われないものの、これまたショックなんですね、本当の話。ですから、そういった面も踏まえて、私は、結論を先に言うと、これはもっと早くにやっていただきだかったということですね。何よりもスピード。
確かにいろいろな面、やっていただいていることを私も認めます。しかしながら、ここへ来ての消費税導入だ、景気対策だというような観点からではなくて、やはり被災地としての受けとめ方というのをもう少し真剣にやっていただきたい。まだまだ被災地の復興はこれからも続きますので、そういった点をぜひともよく理解していただきたいと思います。大臣もよろしくお願いいたします。
次に、これは運用面の問題でございまして、大蔵委員会でこの点をお答えいただけるのかちょっとわかりませんが、公営住宅に入るときの所得制限の緩和をしていただいてはおります。しかしながら、現実はどうかといいますと、所得が低い方から入っていただくというようなことで行われてはいるのですけれども、逆に、少し高い方だけれども将来の不安が非常に強いというところ、その人の所得は公営住宅の所得の制限よりも若干は超えるけれども、しかしながら震災後二年たっても住む家がまだない、公営住宅にまだ入れていない。もちろん、これからも公営住宅がたくさん出てくる、お建ていただいているわけではございますけれども、こういった中途半端など言ったらあれですけれども、納税額の中間層ですね、そういった方々の入居の促進ということもお願いしたいところですが、これについてお答えお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/47
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048・薄井信明
○薄井政府委員 恐れ入りますが、多分建設省でないとお答えできないと思います。お呼びいただいていないようですので、御指摘の点は伝えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/48
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049・額賀福志郎
○額賀委員長 今の点は、それでは建設省から後でお答えできるように計らってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/49
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050・小池百合子
○小池委員 ではその辺、委員長、よろしくお願いいたします。
それからもう一点、震災関連で伺いたいことがございます。
土地等の譲渡特別控除の件がございますね。二千万円の特別控除の特例の適用期限を二年延長するという部分でございますが、これは被災地の市町村の土地が地方公共団体に買い取られる場合は二千万円の控除が認められてきたわけでございます。そして、そこに公営住宅を建てるといったようなことを進めていただいてきたわけでございますが、現実には、例えば民間のマンションがあって、それが壊れて、そしてそれぞれ区分所有に応じての建てかえということではじき出すわけですね。ところが、それがなかなかできないということで、公営住宅ではないけれども、例えば民間のディベロッパーにその土地をみんなの同意のもとに売って、そしてその民間ディベロッパーが建てるというようなことだって可能なわけなんですね。そのときには、その特別控除の対象にはならないわけです。
しかしながら、現実のケースには、こういった形でやっていれば、また地方の公共団体に買い取られる場合のいろいろな制限、制約等々もありまして、むしろ民民でやった方が早いときだってあるわけですね。ところが、それにはその特別控徐が受けられないということで、一たんそこを売るような形にしたときには、その二千万円分が控除されないというようなことがあります。
むしろ民民の場合にもこれを当てはめていただけないものかどうか。中には土地転がしであるとか、その辺をうまく利用してやろうなんというやからがいないとは限りませんが、ここでよくそういったことの歯どめも考えながら、この二千万円の控除という形は可能かどうかお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/50
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051・薄井信明
○薄井政府委員 今御指摘の特定住宅被災市町村につきましての二千万円の特別控除、この控除自体が、災害直後に私ども、土地を動かす、売る、あるいは公共団体が購入するというときに、従来型の所得税の特別控除では動きがとれないだろうということで、特例として設けた制度でございまして、そういう意味では、言葉が見つかりませんけれども、市町村にとっては使い勝手が非常にいいということでお褒めをいただいている制度でございます。これの期限が来たということで、今回さらに二年間延長するということにいたしました。
今申し上げましたように、特別の事情を勘案し
ての、税制として仕組めるぎりぎりのところでこの二千万円特別控除をつくらせていただいているものですから、これを御指摘の民間事業にそのまま適用することは、いろいろな意味で無理があると思っております。
ただ、現在の所得税の譲渡の特別控除制度の中には、民間の事業についても幾つかの措置がございます。それが、いろいろな要件がありますからすべてがおっしゃることに適合するとは思いませんけれども、優良な建築物を建築する場合の事業で、一定の施工、地区の面積が一定の広さ以上で、あるとか、あるいは建築面積自体が何平米以上であるとか、そういった基準はございます。こういったものを活用していただくことによって千五百万円の特別控除とか、あるいは一五%の軽減税率、国だけで一五でございますが、そういう制度もございまして、こういったものを活用していただいているのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/51
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052・小池百合子
○小池委員 いずれにいたしましても、一日も早い復興、そのための支援は何が必要なのかという観点をぜひとも御理解いただきたいと思います。
最後に、高齢者ローンのことについて伺いたいのです。
御承知のように、今もマスコミでは常に、仮設にお住みになる高齢者の方々の姿がよく映し出されるわけでございます。高齢者の方々でも、いろいろな環境、違った環境におられるわけでございますけれども、例えば身寄りがない、行き場がない、そして所得がない、お金がないというような方々もおられるわけで、そういった方々については、これから公営住宅の方にお移りいただくことで優先して進めているところではございます。
しかし一方で、例えば高齢者が住宅再建をしようというときに、ローンを組むということになりますと、現実には年齢制限があるわけでございますね。そこで、いろいろと相続税の軽減等々の措置もおとりいただいているわけでございますが、全然発想を変えて、高齢者に住宅再建の高齢者ローンみたいな支援措置があれば一番いいのですけれども、高齢者が死亡した場合などに、そのローンなり資産を債券化しておいて地方公共団体がローンと相殺するなどという、そういう考え方というのはいかがなものなのでしょうか、可能でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/52
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053・薄井信明
○薄井政府委員 高齢者ローンの問題も、建設省の所管事項だと思います。きょう、来ておりませんので、この点も先ほどのこととあわせてきちっと伝えておきたいと思いますので、御返事、個別にさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/53
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054・小池百合子
○小池委員 ちょっと建設省絡みのことで直接お答えはいただけませんでしたけれども、ただいまの件、委員長、また改めてよろしくお願い申し上げます。
いずれにいたしましても、いろいろなアイデアも出てくるわけでございまして、先ほどからも繰り返し申し上げておりますように、被災地の復旧復興に関しましては、さまざまなアイデアをもとに、これだめ、あれだめと言うのではなくて、むしろ積極的にこういうのはどうだろうかという形で、今申し上げましたような債券化みたいなことも視野に入れて、ぜひとも対応していただきたいと思っております。
それでは、こちらの阪神大震災を離れまして、もう一点の、いわゆるエンゼル税制について伺いたいと思っております。
今回の措置は、まずは第一歩前進であると思いますけれども、この制度だけでどれくらいベンチャー企業そして新しい産業の発展につながるとお考えなのか。大蔵大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/54
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055・薄井信明
○薄井政府委員 もともとベンチャー企業に対していろいろな施策がどう対応するかという考え方の問題があろうかと思います。
アメリカにおける制度なり各国における仕組みなり考えて議論の中に出てくるわけでございますが、私ども法人税を議論する中においては、まず我が国においては、どちらかというと、まずは課税ベースを広げて法人税の税率を下げていく、このことがある意味で政策的、あるいは我々政府の立場からはわからない新しいベンチャーの芽が育っていく土壌を育成することになるというような基本的な発想でおります。
ベンチャーというのは、リスクを負って新しい分野を開発していくということだと思いますので、そこを政策的に余り支援してしまうということが、どれがベンチャーなのかを我々判断するわけにいかないわけですから、またそれを仕分けするわけにいかないわけですので、なかなか本格的に、いわゆるぴったりしたエンゼル税制とかベンチャー税制というのはつくりにくいというふうに基本的に思っております。
ただ、それにしてもいろいろなことを考えていこうではないかということで、今回のエンゼル税制を仕組んだわけでございまして、その効果が大きいことを私どもも望みますが、現実にどういうふうに発展していくのか、これは見ていかなければならないと思っております。十分にPRを通産省と一緒にしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/55
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056・小池百合子
○小池委員 エンゼル税制といいますか、この支援ということについては、私もこれからの芽を育てるという意味でも重要かと思いますし、また、きょう予算委員会の方でも申し上げたのですが、今の日本の金利というのはイスラム原理と同じだ、イスラムでは銀行は金利を取ってはいけないという教えになっているわけで、ほとんどそれに近いんじゃないかということを申し上げさせていただきました。よって、その千二百兆円の宝の持ちぐされといいましょうか、個人資産が動いていない。
なおかつ、私、以前日本銀行の貯蓄増強委員会か何かの対談に引っ張り出されたこともあって、とにかく日本人というのは一生懸命貯蓄はする。ところが、今そこの金融機関というのが、どこそこが危ないなんて言われて、大丈夫がしらと結局郵便局にお金が行ってしまう。郵便局に行って、それでまたそれが財投として使われて、中には不良債権化する。そして、それは公のものに行きますので、民の方にはなかなかおりてこない。例の、きょうも取り上げましたけれども、公共投資の乗数効果というのが非常に薄れているというようなことでございます。
その意味で、個々の方々が個人の責任において、そして新しい産業を育てるといった意味でこれが活用されるということは必要なことであろうというふうに思っておりますし、またほかにも、この千二百兆円をいかに活用するかという議論は本当に真剣に行われなければ、今の金融不安であるとか、それから現在の経済情勢に対しての突破口がなかなか見つからない。そういう観点からも、きょうは、アメリカの四〇一Kのような年金の導入ということについてどうかといったことを指摘させていただいたところでございます。
それで、基本的に大蔵大臣も、新産業を育てる、それが今後の新しい日本の飯の種になるかもしれないといった意味で、このエンゼル税制についてもちろん御理解いただいているわけでございますけれども、今後のベンチャーの育て方ということについては、大臣はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/56
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057・三塚博
○三塚国務大臣 本件は、税制から力をつけていただく、リスクを恐れず頑張る、こういう補完措置をやることが一つあるでしょうし、それと経済システムの改革の中でビジネスチャンスは生まれてくるわけでありますから、そのチャンスを生かしていくようにしなければならないでしょうし、全体を見て取り組むということであろうと思います。
小池さん言われるイスラム圏、利子はあきらめて神様に差し上げるわけでしょう。そういう慣行のお国もありますが、やはりお金を預かった以上、利子をお支払い申し上げるというのも活力をつけることに通じ、我が国の円が円として価値を持ち続けるゆえんにもなるわけですから、超低利金融政策がいつまで続くはずでもございません。一日も早く、切れ目のない予算執行を行うことによりまして、四半期の緩やかなダウンはそこで上昇カーブに引き上げられますように、経済総合政
策を展開することによって取り組んでまいらなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/57
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058・小池百合子
○小池委員 今大蔵大臣、切れ目のない予算執行ということをおっしゃいましたけれども、とにかく今回の予算については、ありとあらゆるところからばらまきであるというような指摘もされているわけでございます。
きょう予算委員会の方で私申し上げさせていただいたのですが、荷崩れなしにそのままとにかく通してください、そればかりをおっしゃって、質の問題よりも時間の問題ばかりおっしゃるということについて、私は違うじゃないかというふうにも思うわけでございますし、またその予算の修正ということは何ら政権に対するメンツをつぶすものではなくて、納税者に対しての責任の方を、また日本の経済そのものに対しての責任を優先するならば、予算の修正も、これもありというふうに考えるべきではないかというふうに思っております。
それで、先ほどのベンチャーの件に戻りますけれども、私は、今回のエンゼル税制ということでございますが、これは第一歩だとは思います。ただ、税制だけで育つものでもない。また、ある意味で、アメリカの場合を見ましても、やはりまず自己責任の哲学というのが、ベンチャーを始める方も、それからキャピタリストにも両方にあるわけですね。そういった自己責任感覚は、まだ日本には私は十分あるとは思えません。ですから、また、ある意味ではベンチャーに対するインフラが整っていないのではないか。
このインフラの中には、例えばアメリカのベンチャービジネスを見ておりますと、産と学が非常に密接につながって、そこで人的な交流というか、大学教授がベンチャービジネスを始めたケースなんて山ほどあるわけです。一方、片や全然話は違うかもしれませんけれども、去年暮れごろだったでしょうか、京都大学の医学部の教授が何か逮捕された事件があった。結局不起訴に終わったのですけれども、アメリカの場合ですと、国立大学という形が余りないからということもあるかもしれませんが、やはりそこの産と学の協調といいますか、非常にベンチャーとしてのインフラがあるというふうに思うのですね。だから、決して税制だけでは育たないということだと思います。
何よりも最大の違いは、今回の予算委員会でもずっと、箇所づけを出せとか何かいろいろ私ども叫んできたわけでございますが、要は、日本の予算についてもディスクロージャーが行われていないということに対しての問題なんですね。特に、このベンチャーの場合というのは、ディスクロージャーをよっぽどよくしなければならない。アメリカのベンチャーキャピタルがなぜあれだけ十分機能しているかというと、ディスクロージャーが完璧に行われているからと言っていいかと思います。
私も以前、ニューヨークのNASDAQに上場する企業の目論見書というのを見たことがあります。それにはいいことだけを書いているわけじゃない。この企業にはどういう危険性があるということをはっきりと書いてあるのですね。それでもいいかと言って、それを納得してまたベンチャーキャピタリストもしくはそこに普通の投資家が参加するということで、まずディスクロージャーが全然違うということもあるかと思います。
ですから、私が心配するのは、中途半端にこのエンゼル税制を始めてしまうと、かえってエンゼル税制なんていうのは危ないぞということになって、大体日本はそうなるのです、これまでのいろいろな傾向を見ていますと。そしてそこで、国はどうしていたんだ、大蔵省は何していたんだときっと言われるかと思います。そうすると、規制していこう、その連続なんですよね、日本の場合は。それは今申し上げましたような自己責任、ディスクロージャーの問題というのが非常に大きいと思います。
また、システムとして、アメリカの証券取引委員会、いわゆるSECですけれども、二千人のスタッフを持っている。そしてもう専門家、弁護士その他そういった専門の方々が、コンピューターがばあっと並んでいる、御承知だと思いますけれども、そこで不自然な値動きについては全部監視をしているわけですね。日本のSECは、幾つかの事件を挙げましたけれども、まだまだ十分機能しているとも言いがたい。また、ウォールストリート・ジャーナルの本社の方ものぞいたことがあるのですが、そこでもコンピューターが監視をしているのですね。ですから、そういった意味でのインフラが十分整っていないというのは大きな問題点だと思います。
日本では、政府だけでなくて企業もディスクロージャーをまだまだ怠っていると私は思います。株主総会をみんな同じ日にやって、いかにしゃんしゃんで終わろうかということに企業の経営者たちが腐心しているというのは、まさにディスクロージャーは嫌いという、そういう体質を示しているのではないかというふうに思うわけでございますが、こういったこれからの問題点も多々あろうかと思いますが一そういったセーフテノーネット、セーフティーネットというのは別に投資家のセーフティーネットというだけでなくて、システムとしてのセーフティーネット、フェールセーフといいますか、それについてどうお考えか伺わせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/58
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059・薄井信明
○薄井政府委員 私どもも、ベンチャー育成あるいはエンゼル税制を大きく動かすべきだという主張に対しては、むしろ小池委員と同じようなスタンスで、税制だけが先行していいんだろうかということを迷いつつ、こういう形であれば大丈夫ではないかということでつくり上げたものでございます。そういう意味では、評価のしようによれば小ぶりであるのではないかと言われるかもしれませんが、この制度自体で今御指摘のようなおかしなところに行ってしまうということはないかと思います。
いずれにしましても、政策というと常に税制というところに来てしまいがちなところについては、私ども、税制だけでは世の中は変わっていかないし、変えていくのもおかしいと思っている立場でございまして、今の御指摘を十分踏まえて今後とも研さんしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/59
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060・小池百合子
○小池委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、連結納税等々も含めて考えていただきたいと思っております。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/60
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061・額賀福志郎
○額賀委員長 ただいまの小池君の質疑に関しまして、高齢者ローン問題と公営住宅と所得制限については、後で建設省から答弁が行きますように、主税局長の方で計らってください。
次に、吉田公一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/61
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062・吉田公一
○吉田(公)委員 まず酒税法改正について伺いますが、WTOの機関決定によりまして、ウイスキーの税率を下げろ、しょうちゅうとの税率の差があり過ぎる、こういうことで下げることになりましたが、下げろと言われたんだからウイスキーだけ下げればいいので、何でしょうちゅうを上げなければいけないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/62
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063・薄井信明
○薄井政府委員 お酒に対する税負担がどうあるべきかということを考えたときに、先ほども御質疑ありましたが、ビールについてはこう、清酒についてはこうということで、これまで、特にここ十年くらいの間がない嗜好の変化とかあるいは生産の仕方あるいは消費の仕方に対応して税制、税率構造の相対関係を決めてきたわけでございます。
そういった中で、今回蒸留酒の部分についてだけこうしたらどうかという裁定をいただいてしまったわけでございまして、私どもとすれば、税収にどれだけ影響するかということと、それからしょうちゅう並みにウイスキーを下げてしまうことが税体系の中でどういう影響を及ぼすかということを考えますと、結局は少々のネット減収になりましたが、現在の水準が一つの解決策ではないかと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/63
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064・吉田公一
○吉田(公)委員 そこがよくわからないので、WTOから、外国産ウイスキーの税率が高いのでしょうちゅうを保護しているのではないか、税の
格差があるからウイスキーが売れないんだ、だから税率を下げろ、こう言われたんでしょう。だけれども、しょうちゅうの税率を上げるなんというのは国内問題だよ、それは。何もWTOに合わせてしょうちゅうまで上げてしまう必要はない。さっきだれか質問したということですが、私はたまたまいないから、どういう質問したんだかよくわからないんだが、しょうちゅうの税率が下がっているのは、つまりもともとは庶民のために税率を下げてあるんじゃないの。どうなんですか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/64
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065・薄井信明
○薄井政府委員 しょうちゅうの飲まれ方あるいは生産のされ方ということを勘案して、かつてはかなり低い税率でありました。その後、折々を見て、我々のしょうちゅうに対する接し方が昔とは変わってきております。特に、若い人たちはしょうちゅうを飲むようになってきております。そういった中で、しょうちゅうの税率は徐々に上げてきており、ウイスキーの税率は徐々に下げてきているという傾向の中にあって、今度WTOの結論が出た。
WTOの結論は、おっしゃるように相対関係を指摘しております。したがって、絶対水準をどうしろということは言っておりません。そういう意味では、しょうちゅう並みに下げなければいけないということでもないわけですけれども、そうなると、まさに国内問題として、蒸留酒のウイスキーとしょうちゅうの税負担の水準をどうするかというのは国内的に判断したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/65
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066・吉田公一
○吉田(公)委員 何でもかんでも増税しようと思って、ウの目タカの目で探しているわけだ。たまたまWTOからウイスキーの税率を下げろと言われたものだから、これ幸いとばかりに、しょうちゅうも一緒に上げてしまえ、そうすれば、ちょうどWTOのせいにしてしまえば、これはまた酒税改正法なんて改めて出さなくて、ああでもない、こうでもないと言われなくて済むんだ。ついでにしょうちゅうを上げるなんということは余りいいことじゃないね、これは。そうじゃなくたって、増税、増税でもって、今度、一杯やっていろいろな話をするなんという若い人たちだってしょうちゅうを飲むときに、税率を上げるなんということはよくないんじゃないの。
要するに、もともと国内の問題だから、ウイスキーを下げろといったときにはウイスキーだけ下げていればいいんだよ、それは。何もしょうちゅうまでこの際ひとつ税率を上げてやろうなんて、そう思うから間違いのもとなんだ。
それで、この平成七年度の酒税の課税実績を見たって、しょうちゅうなんか二・八%と一・四しかないんじゃないの。そんなものに、何も税金なんかかける必要はないと思うんだ、庶民のために。その点どうなんですか。税収のためと、こう言ったけれども、何でもかんでも税収をすればいいというものではない、そう思っているわけですよ。その辺どうなんですか。もともと庶民のために税率が低いのでしょう、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/66
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067・薄井信明
○薄井政府委員 WTOでの議論を、繰り返しになりますが申し上げますと、蒸留酒の中のしょうちゅうもウイスキーも同じ製法によるではないか、また原料もそう変わらない、そういったものについて差を設けているのは、しょうちゅうを優遇しウイスキーを輸入しないための方策であるという考え方が示されたわけでございます。私どもとすれば、そうではないということを長い間議論してまいったわけですが、結論として、その格差をなくせ、最小限にしろというのがWTOの結論でございました。
私ども、非常に残念ではございますが、それをWTOの一員としてどう受けとめるかということで、今度の税率関係にさせていただきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/67
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068・吉田公一
○吉田(公)委員 普通の人が考えれば、ウイスキーの税率を下げれば格差是正になったと思うのだけれども、そうじゃないんだね。大蔵省の考え方というのは不思議な考え方です。
次に、一昨年だったか、交際費課税を強化するということで、たしか私は予算委員会のときに質問したことがあるのです。大蔵省の皆さん方は交際費がないと思って、民間企業の交際費課税を今強化するなんということは逆行しているのではないか、お金を使ってもらって循環させなければいけないときに交際費課税を強化する、幾ら省庁が交際費を認められてないといって、民間が一生懸命働いたやつに、大きなお世話だと言ったんだ。ところが、何のことはない。官官接待でやっているんじゃないの、交際費を。国民はかんかんだよ、本当に。だから、ぜひ交際費課税強化をした目的というのは何かを教えてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/68
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069・薄井信明
○薄井政府委員 具体的な内容は差はありますが、いわゆる会社による、法人による乱費の支出を抑制するという発想から、この種の経費については、企業会計上は損金になりますけれども、税制上は課税対象としているというのがどこの国でもとっている手法でございまして、その程度の差はあります。日本におきましてもそういう発想に立っているわけでございまして、交際費による企業のビヘービア、営業活動というものについての税制上の抑制策ということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/69
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070・吉田公一
○吉田(公)委員 この交際費課税も、考え方によっては増税の一種ですよ。当時、社用族なんというのがはやった、昭和三十年代に。だけれども、そんな時代はとっくに過ぎてしまって、今は交際費が出るか出ないかわからないなんという企業がたくさんあるのです。だから、交際費をもっと緩めることによってその企業活動を活発にする。これは私が言ったんじゃないのです。渡辺美智雄元大蔵大臣が、交際費課税強化をするなんということはだめだ、お金を回さなければならないときに強化をするなんということは、吉田君、逆だよ、そう言っていたのです。その元大蔵大臣の考え方はいかがなんですか。渡辺大蔵大臣が言ったのです。吉田公一が言ったんじゃないのですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/70
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071・薄井信明
○薄井政府委員 おっしゃるように、この部分を緩めれば交際費支出はふえるのかもしれません。ただ、私どもとすれば、先ほど申し上げたような、交際費のような支出を極力抑制することによって企業利益の確保、拡大をしていくというのが今後の方向に合っているのではないかと思います。短期的な景気対策ということでこの交際費課税の問題を緩めることは適切でないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/71
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072・吉田公一
○吉田(公)委員 もともとこの課税権というのは、どの範疇まで課税権というのを及ぼすのかという、原則をどこに置いているかということが一つあると思うのですよ。
民間企業の皆さん方が全力投球で頑張って、そして利益を上げた。利益を上げたら、乱費を許さない、こう言って交際費課税強化をしてしまうなんということは、まさにこれは悪代官みたいな話だよ。だから、これはもともと自分たちで稼いだ金だ。そして交際費を生み出して、次の事業活動にそれを使ってまたやっていこうという、いわば原動力の役を果たしているわけだ。それを、自分たちは交際費が認められないからといってどんどん強化して、さっきの官官接待じゃないけれども、税金でやっているのだから、官官の方は。だから、国民がかんかんになるのは当たり前の話だ。最近は弱まってきたようですけれども、しかし、これまた油断するとまた戻る可能性があるから、十分注意していかなければいけないと思っているわけです。
次に、何しろきょうは十分だったけれども五分多くなったものですから、少し質問を追加させていただきますが、ガソリン税の、消費税転嫁によって二重課税じゃないか、こう言われているのですが、消費税に統一したんじゃないですか。ガソリン税の二重課税ということについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/72
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073・薄井信明
○薄井政府委員 平成元年に消費税を創設いたしました。このときには、個別間接税五本をやめて消費税に統合したわけでございます。個別間接税と一般的な間接税である消費税との関係につきま
しては、究極の姿というのはどういう姿か私もよくわかりませんが、お酒だとかたばこだとか、あるいは揮発油につきましては、それ相応の負担力があるということで、一般的な付加価値税あるいは消費税とは別に個別間接税を残しているのが通常でございまして、我が国の場合、この揮発油に対する課税によりまして財源を生み、これが道路建設の財源になっているというような関係にあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/73
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074・吉田公一
○吉田(公)委員 ガソリン税は道路建設の費用になっているけれども、そのくっついた消費税は別に、それは道路建設に使っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/74
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075・薄井信明
○薄井政府委員 今の御質問は、ガソリン税に加えて消費税を重ねてかけることがどうかという御質問になろうかと思います。
消費税あるいは欧州の付加価値税に共通でございますけれども、前段階税額控除の形をとり、すべての経済取引を対象にするということでこの付加価値税制度は構成されておりまして、この付加価値税制度のいわゆる課税標準といいますか、これは価格でございます。その価格の中に製造段階で払いましたガソリン税、揮発油税が入るということは、この仕組み上当然といいますか、二つの税制がある以上、おかしなことではないと思います。各国におきましても、個別の揮発油税があり、それを含めた価格に各取引段階で消費税がかかっている、それをもってタックス・オン・タックスということでこれを排除している国はございません。こういうシステムであるということを御理解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/75
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076・吉田公一
○吉田(公)委員 これは何日やったって絶対に検討しますと言わないのはわかっているから、これ以上言ったって、もう夜は遅いし。
次に、酒屋さんの酒販免許というのがあるでしょう。大店舗に酒販免許を交付するというようなことが議論されていると思うのですけれども、その議論はどの程度まで進んでいるのですか。全くない話ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/76
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077・舩橋晴雄
○舩橋政府委員 お答え申し上げます。
今御指摘の点は、大型スーパーマーケット等に対して特例の手続を設けまして免許を付与しているということかと存じます。これは、輸入酒類の販売拠点として期待できるということ、あるいは広範囲にわたる地域住民を対象として営業を行う公共性といったものに配慮いたしまして、抽せんを経ずして人的要件のみの審査により、申請すれば免許を付与するという形になってございます。これにつきましては、全般的な酒類販売業免許制度のあり方につきまして、現在、中央酒類審議会において、このような大型店舗に対する免許の取り扱いを含め、幅広い観点からの審議を行っていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/77
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078・吉田公一
○吉田(公)委員 何かうれしそうな顔して答弁したけれども、これは酒屋さんにとっては深刻な問題だ。スーパーで酒を売れば三倍売れるということではないんだから、量は同じだから。
やはり酒屋さんは酒屋さんで三代も四代もみんなそれで生き抜いてきた人だから、何でもかんでも規制緩和すればいいというものじゃないんだよ。零細企業をぶっつぶしてまで規制緩和では、これはもう全然話にならない。だから、スーパーは何でも扱いたがっている、薬まで扱いたがっているんだから。そんな薬剤師のいないところでもって薬なんか扱われちゃって、下痢どめと便秘の薬と間違えて売られちゃったらかなわないよ、本当に。だから、そういうように、ぜひ酒販免許だけは気をつけてもらいたい。
時間が来たからこれでやめますけれども、大臣に質問できなくて済みませんでしたね。失礼します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/78
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079・額賀福志郎
○額賀委員長 次回は、明二十六日水曜日午後三時五十分理事会、午後四時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をいたします。
午後八時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004629X00419970225/79
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