1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年二月二十五日(火曜日)
午前十時一分開議
出席委員
委員長 穂積 良行君
理事 谷 洋一君 理事 平林 鴻三君
理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君
理事 古賀 一成君 理事 富田 茂之君
理事 田中 甲君 理事 穀田 恵二君
石橋 一弥君 久野統一郎君
下村 博文君 滝 実君
中野 正志君 西川 公也君
西田 司君 平沢 勝栄君
持永 和見君 渡辺 具能君
今井 宏君 笹山 登生君
白保 台一君 福留 泰蔵君
松崎 公昭君 鰐淵 俊之君
桑原 豊君 古川 元久君
春名 直章君 畠山健治郎君
出席国務大臣
自 治 大 臣 白川 勝彦君
出席政府委員
地方分権推進委
員会事務局長 東田 親司君
警察庁長官官房
総務審議官 山本 博一君
大蔵省主計局次
長 溝口善兵衛君
自治政務次官 久野統一郎君
自治大臣官房長 谷合 靖夫君
自治大臣官房総
務審議官 嶋津 昭君
自治省行政局長 松本 英昭君
自治省行政局公
務員部長 芳山 達郎君
自治省行政局選
挙部長 牧之内隆久君
自治省財政局長 二橋 正弘君
自治省税務局長 湊 和夫君
委員外の出席者
国土庁大都市圏
整備局首都機能
移転企画課長 大森 雅夫君
国土庁防災局震
災対策課長 岡山 和生君
厚生省保険局国
民健康保険課長 柴田 雅人君
中小企業庁小規
模企業部小規模
企業政策課長 小脇 一朗君
中小企業庁小規
模企業部小売商
業課長 近藤 賢二君
建設省都市局都
市計画課長 山本繁太郎君
地方行政委員会
調査室長 黒沢 宥君
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委員の異動
二月二十五日
辞任 補欠選任
葉山 峻君 桑原 豊君
志位 和夫君 春名 直章君
同日
辞任 補欠選任
桑原 豊君 葉山 峻君
春名 直章君 志位 和夫君
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本日の会議に付した案件
地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の
一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)
地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出第三八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/0
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001・穂積良行
○穂積委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下村博文君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/1
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002・下村博文
○下村委員 おはようございます。下村博文でございます。
一時間も時間をとっていただきましてありがとうございます。私は初めに、地方分権を中心にこれからのあり方についてお聞きしたいと存じます。
第二次橋本内閣が昨年発足をしてから、六つの改革ということで、特にことし一年のあり方がこれからの二十年、三十年先あるいは五十年先の日本を決定するような大切な一年であるというふうに思います。
そういう中で地方分権について、既に平成七年の五月にこの分権推進法ができて、先行して着手をしているということは大変に敬意を表することでもございますし、またこの地方分権推進法に書かれ、そして実際に委員会の中で議論され、昨年の十二月勧告をしたその内容は、これからの日本の地方自治あるいは国のあり方を方向づける大変に貴重な、そして中身の大変にすばらしい内容であるというふうに思います。
しかし問題は、その地方分権推進委員会で勧告をされた内容について、具体的に自治省等各省庁が地方分権に向けてこれからどう着実に進めていくかということが問われてくるというふうに思いますし、それを同時に六つの改革の中でどう連動させていくのか。あるいは同時に、幾つか具体的にそれぞれの時期時期の中で明らかにしていくというふうなことを通すことによって、今後の中央政府のあり方あるいは地方自治のあり方がおのずと見えてくる、そういうふうなことを明らかにしていくことも同時進行で大切ではないかというふうに思います。
私は、そういう意味で、今回、地方分権推進委員会の中で第一次勧告がされましたその内容について、今後、自治省を中心に幾つかの地方分権に向けての関連省庁がどんなふうにとりあえずこの平成九年進めていかれるのか、あるいは基本的な大臣の認識についてお聞きをしたいというふうに思います。
まず、この地方分権推進委員会の中で、これからのあり方について、今までの中央集権型行政システムが制度疲労を起こしている、また変動する国際社会への対応である、三番目に東京一極集中の是正をするんだ、そして四番目には個性豊かな地域社会の形成、そして五番目には高齢社会・少子化社会への対応だ、そのために大胆に地方分権を推進するということを言われているわけであります。その中で、特にこの中央集権型行政をこれから抜本的に変えていくために、国の行政としては、外交とか防衛あるいは環境問題等、本当に国がやらなければならないことを一部にして、それ以外は極力地方に移譲すべきである、こういうことを述べられているわけであります。
また、よく三割自治ということが言われているわけでありますが、予算においては三割自治ですが、それぞれの自治体がやっている内容というのは国の機関委任事務が大変に多くて、実際には都道府県やあるいは区市町村等では七割ぐらいが機関委任事務関係の仕事という中で、今回機関委任事務制度も廃止をするということを明確にうたっている。
同時に、これからの財政についても第二次勧告の中で明らかになってくるかというふうに思いますが、ある意味では国とそして地方自治体が上下
関係であったような財政のあり方を今後は対等なあり方として考えてくるということについてはぜひ期待をしていきたいというふうに思います。
まず、この地方分権推進委員会が昨年の十二月に出された第一次勧告についてどのように評価をされ、また自治省として今後どのようにそれについて対処されるおつもりか、大臣にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/2
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003・松本英昭
○松本政府委員 ただいま委員るるお述べになりましたように、今回の地方分権推進委員会の第一次勧告というのは、機関委任事務制度を廃止するとか、国と地方の関係の新たなルールを創設するとか、そういう意味におきまして、従来の中央集権型行政システムを抜本的に改革して今後の分権型社会に対する道筋をつけたという意味において非常に意義深く、画期的なものであろうかと思います。
個別の内容につきましては、今後の引き続き検討する課題として残されたことは多うございますけれども、委員も述べられましたし、今私も道筋をつけたと申し上げましたように、そういう意義においてはこの第一次勧告というものの持つ意義は大変大きいだろうというように考えております。
政府といたしましては、この勧告を最大限に尊重いたしまして、本年一月九日に内閣に地方分権推進連絡会議というのを設置いたしました。そして、早速地方分権推進計画の作成に着手をしたところでございます。
今後の分権推進委員会の予定といたしましては、今年の前半に残された諸課題についての指針の勧告を行うという予定にされていると聞いております。私どもは、そういう第二次の指針勧告を待たずともこの分権推進計画の作成に着手するとともに、前倒ししてできるものは前倒していくということで取り組んでいるところでございます。
自治省におきましても、一月十日に地方分権推進本部を設置いたしまして、地方分権の総合的、計画的な取り組みに着手をし、現在スタッフをそろえまして鋭意取り組んでいるところでございます。できるだけ早期に、第二次勧告をいただきました後に、地方自治法等の改正の大綱等を定めて、できるだけ地方分権の成果が実りあるものになりますように引き続き積極的に努力をしてまいるつもりでございますので、どうかよろしく御支援、御指導のほどお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/3
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004・下村博文
○下村委員 この中で、先ほども述べましたように、国と地方の役割分担というのが明確に出されておりまして、まさに今までの明治から続いてまいりました中央集権体制をこれから大きく再編をするというふうなことの中で、特に国の役割が非常に限られてくる。先ほど申し上げましたように、外交とか防衛とか国際的な環境問題とかいう中で、ある意味では今までの省庁ももう半分以上は地方に移譲をすべきではないか、こういうふうな勧告であるというふうに思いますが、この原則については自治省としてどんなふうに評価、お考えになっているか、ある意味では自治省そのものの存在も問われてきているというふうに思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/4
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005・松本英昭
○松本政府委員 勧告におきましては、国と地方の役割分担を明確にするということをうたっております。このことは、既に地方分権推進法におきまして、「国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立って行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき」事務、役割を重点的に担う、こういうことを既に法律ではっきりとうたっておるところでございます。
今回の第一次指針勧告におきます考え方も、国が担うべき事務というものを三点、今の分権推進法の規定に沿いまして規定をいたしているわけでございますが、その中で、例えば「全国的規模・視点で行われなければならない施策及び事業」につきましても、「ナショナルミニマムの維持・達成、全国的規模・視点からの根幹的社会資本整備等に係る基本的な事項に限る。」というような形で、さらに一歩進めた指針勧告の内容になっていると思うわけでございます。
そういうことで、やはりこれからは、国としては地方における仕事につきましてはできるだけ地方に任せるという考え方をとるとともに、その枠組みの中で国家として必要なものは国の法律ではっきりと定めていく、こういうことを示しているものではないかと私どもは理解しております。私どもといたしましても、この国と地方の役割分担の方針に則しまして具体的な地方自治制度の改正等に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/5
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006・下村博文
○下村委員 ぜひ進めでいただきたいというふうに思います。
今までの議論の中で、よく地方自治体の方からは、ぜひ分権を推進してほしいということでいろいろな個別的なことについて問題になることがあったわけですが、そのたびに、特に自治省等を中心として、地方に対する不信感といいますか、果たして移譲してやっていけるのだろうかというようなことを今までよくいろいろなところで聞く機会がありました。ある意味では、自治省なり国の方の先導の中で、それぞれの自治体に対して指導することによって成り立ってきた。それを、財政にしてもあるいは権限にしても、いわゆる分権化をすることによって、かえって地方自治体そのものがある意味では破産状態になってしまったり、あるいは調整がとれないようなことになったりすることが多いということで、なかなか分権に対しては自治省はスムーズに進めるようなことが今までなかった印象が私としてはあります。
その辺で、今度は一気に地方分権が進むというふうなことの中で、今までのような、そういうふうな発想では、これが実際はストップがかかるということでは困る、地方自治体から見れば。そういう考えがあるわけでございますけれども、こういうことについては自治省はどんなふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/6
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007・松本英昭
○松本政府委員 今までの地方団体に対する不信というものがあることは事実かと思います。
それを考えてみますと、一つはやはりこれまでの国と地方の関係におきます、例えば機関委任事務制度であれ補助金等の制度であれ、あるいはその他一般の国、地方間の上下を前提としたような諸制度であれ、どちらかといいますと地方側も、果たしてこれは自分たちだけで判断していいものであるかどうかということが非常にわかりにくかったということが一つあろうかと思います。
この点は、今回の地方分権推進委員会においても、例えば機関委任事務制度というものが都道府県では七割から八割を占めるというような中であったわけでございますけれども、それを廃止するということは、特別に法令の規定で国の関与等が明確に定められているもの以外は、これは自分たちで判断をして自分たちでこれを責任を持っていかなければならないんだ。あるいはまた国と地方の関係に関するルールにいたしましても、今まではそれぞれ一々国に指導を仰いでいたけれども、今後は法令に基づくような関与で、その範囲で国は関与はしますけれども、それ以外のものは自分たちで判断をして自分たちが責任を持っていく体制にするんだ。そういうことになってまいりますと、おのずから地方公共団体側の自覚も生まれましょうし、またそれに対して住民からの批判も地方団体に向けられてくるだろう。今までは、どちらかというと、国が悪いのか地方が悪いのかよくわからない、どちらに一体責任があるんだということをよく言われたわけでございますが、これからは自治事務というものは、今申し上げましたように、原則としてこれは地方公共団体がみずから責任を持っていかなきゃならないということがはっきりしてまいります。そうなりますと、やはり地方公共団体としてもそれに対応していく、またそれによって国の不信感等も払拭されるものであろうと私どもは考えております。
いま一つは、チェック機能の問題がございました。地方団体に仕事を任せた場合にちゃんとしたチェックがやれるのかどうか、この問題がございます。それは、一つはやはりこれからの地方議会の機能、この問題があろうかと思っておりますが、これは現在、地方分権推進委員会で第二次指針勧告に向けて審議をしていただくことになっております。
それから、地方公共団体の事後チェックの問題として監査制度というのがございましたが、この監査制度につきましては、昨日も地方制度調査会におきまして監査制度の充実強化のための答申をいただいて、外部監査制度の導入等についてできるだけ速やかに制度化を図るようにという御答申をいただいておりますので、できますならば、関係方面と調整がつきましたら、今国会に国会の方に御審議をお願いいたしたいと私どもも考えているところでございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/7
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008・下村博文
○下村委員 これからの地方分権の取り組みについてでありますけれども、今までもある意味では、終戦直後は一気呵成に行われたところがあったかと思いますが、例えば明治維新でもある年にすべてが全部一気呵成に改革に取り組んだということでなく、時間的なずれは何年かごとにあったというふうに思います。ただ、歴史という長い目で見れば、ある時期に本当に改革が、維新が進んだということになってくるかというふうに思いますし、この地方分権についても、ある年に一気呵成に全く違う体制ができるというよりは、既に今分権の中ですべき部分あるいは必要な部分についてはどんどん進めていくということが大切ではないかというふうに思うわけでありまして、実は私も地方議員の出身でございます。地方議会からあるいは地方自治の方から見ていくと、これは地方分権推進委員会の勧告にまたなくても今からすぐ着手し、またぜひ分権をしてほしいと思う項目の部分は多々あるわけでございまして、それについてはぜひ自治省としても独自に具体的にすぐ着手をしていただきたい。結果的に見ると、この四年とか五年とか、この二十世紀の世紀末がまさに日本の国家的な改革のときであった、そういう歴史的な位置づけで、ぜひことしからできるものは着手していただきたいというふうに思うわけであります。
その中で、一つ危惧する点は、今お話がありましたように、非常に法律についてしゃくし定規に、厳密にきちっと定義をすることによって、この条件が満たされなければこれは認めないというふうな体質が今まで地方自治体に対してあったのではないかというふうに思うわけであります。
ただ、地方分権というのは、これはある意味では、自治省があるいは国がそれぞれの自治体に対して指導をするということではなくて、それぞれの多様性を認める、あるいは自主性を認めるということも思想としてはあるというふうに思います。
その観点から前回、臨時国会のときに質問をさせていただきました東京における二十三区都区制度の移管の問題がございまして、このときに、自治省としては平成十二年の四月から法実施が行われるようにしていきたい、またそういうふうな指導をしていきたい、こういう答弁をいただいたわけでございまして、これは東京都にしてもあるいは二十三区にしても評価をしていただいております。
ただ、その中で危惧をしている点というのは、そうはいっても、いろいろと条件整備が、今までの前提の中ですべてきちっとクリアすることが難しい部分があるかもしれない。そのときに、法的な解釈の問題の中で、いわゆる大枠としてその方向へ進んでいるのであれば、ある意味では重箱の隅をつつくようなことについてこだわる必要が大局的な見地からあるのだろうか。これから地方分権ということが同時に進む中で、今までの延長線上でそれを定義したり、こだわる必要があるのかどうかということについては、私は危惧する点がございます。
それは、もちろんそういうことがないようにそれぞれ二十三区にしても努力をする、あるいは東京都にしても努力をするということは必要でありますけれども、重箱の隅をつつくような中での考え方ではなく、地方分権という前提の中で、それぞれの自治体の主体性、独自性、多様性、これをどうこれから評価するか、そういう観点から、新しいそういう理念といいますか、そういう見方からぜひ検討していただきたいというふうに思います。これは要望でございます。
そして、今申し上げましたように、この地方分権に向けて、具体的な事例で実は今大変に、ある意味では今の中央集権という体制の中でネックになっている問題が幾つかございます。これについて、具体的にこれからどう取り組んでいただけるかということについてお聞きをしたいと思います。
一つは、中小企業設備近代化資金の貸し付けの問題であります。
これは、中小企業の発展というのが特にこれからの日本経済においては必要なわけでありまして、これに対して各都道府県が国の助成を受け、中小企業における設備購入等資金の二分の一以内を長期無利子で貸し付けているわけであります。具体的には窓口が都道府県であるわけでございますけれども、しかし、国の方でこの貸付金の限度とかあるいは貸付金の対象業種あるいは対象設備等が決まっているために、それぞれの都道府県で工夫をする余地がない。また、それぞれの地域の特性とかあるいはこのように非常に激しい大競争の時代の中での、社会経済環境の変化に対応したタイムリーな貸付制度、それができていないという部分があるわけであります。
こういうことについては、今後まさに地方分権の中で、それぞれの都道府県に任せるというふうなことの方が、より中小企業の活性化、またこういう激しい時代の社会状況の中では適しているのではないかというふうに私は思います。これについての今後のあり方についてお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/8
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009・小脇一朗
○小脇説明員 中小企業設備近代化資金制度についてお答えを申し上げたいと思います。
設備近代化資金制度は、都道府県が信用力あるいは資金調達力の弱い中小企業者に対しまして、設備購入に必要な資金の二分の一を貸し付ける制度でございます。
本制度は、中小企業近代化資金等助成法の目的に、都道府県に対して国が必要な助成を行うことというふうに定められていることからも明らかなとおり、そもそも都道府県の固有事務であるというふうに私ども認識をいたしております。実際の制度の運用に当たりましても、全国的な統一を図るため、国が対象業種あるいは対象設備あるいは貸し付け条件等について指定を行っておりますところではございますけれども、貸付企業の選定あるいは貸し付けは都道府県が主体的に実施をいたしているところでございます。
さらに、指定業種以外の業種、設備におきましても、都道府県が重点的に振興している業種あるいは中小企業の近代化に著しく寄与すると認められる設備につきましては、それぞれ貸付予定総額の一定割合を都道府県知事が特認できるといったようなことにもいたしておるところでございまして、地方の実情に合った運用改善も既に行っているところでございます。
いずれにいたしましても、今後、この設備近代化資金貸付制度の充実、運用改善に努めてまいりたい、このように私ども考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/9
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010・下村博文
○下村委員 いや、私がお聞きしているのは、これから地方分権という中で、この問題を今後どんなふうに考えていくかということをお聞きしているわけでありまして、今の状況についてはよくわかっているわけです。
しかし、そうであっても、実際に都道府県がやるにしても、国が二分の一を見ているからということになるのかもしれませんけれども、事務手続の問題とか、そういういわゆる事務作業的なもの
が非常に手間暇がかかる。また、それが大変だということで、特にこういう非常に激しい経済状況の中におきましては、煩雑になっていて、それ自体がかえって経済の活性化を損ねるというのはちょっと大げさかもしれませんけれども、必要以上に内部における事務手続の方が多過ぎてしまって、活性化につながらない。そういう意味では、これはもう地方自治体に完全に任せてもいいのではないかというふうに思うわけでありまして、それについての今後の考え方はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/10
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011・穂積良行
○穂積委員長 小脇課長、再答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/11
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012・小脇一朗
○小脇説明員 一部繰り返しになりますけれども、国が決めた指定業種あるいは設備以外におきましても、先ほど申しましたとおり、都道府県知事が重点的に振興している業種、こういったものについては一定の範囲内でこの制度の対象になるといった制度にいたしておりますので、こういった運用改善を、地方分権推進委員会の勧告等も踏まえながら、鋭意今後とも努めでまいりたい、このように思っております。
一方、事務の煩雑さという点でございますけれども、先生御案内のとおり、この貸付制度は金利が無利子という格段に優遇された制度でございますので、そういった意味で貸し付け条件等々に種々の制約があるところでございます。いずれにいたしましても、この制度の運用に当たりましては、地方分権推進委員会の勧告等々を踏まえながら、事務手続が煩瑣にならないようなことで運用改善に努めてまいりたい、このように考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/12
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013・下村博文
○下村委員 なかなか中小企業庁に答弁してもらうこと自体が大変だというふうに思うのですが、中小企業がこれから活性化するためにどうしたらいいか、そういう視点から柔軟に行政側の対応をお願いしたいと思います。
同じようなことが都市計画事業の認可についても言えるわけでございまして、これが特に道路整備事業や市街地開発事業等、都市計画事業で知事が施行する場合は建設大臣の認可が必要であります。しかし、実際その地域地域の状況を一番よく理解しているのは都道府県であるわけであります。この認可手続が非常に時間と労力がかかるということで、結果的にタイミングを逸してなかなかタイムリーにできないということが、特に都市部においてはいろいろな問題を引き起こしていることがございます。
そういう意味では、都市計画事業についてももう地方自治体にすべて任せて、大臣認可というのは、これはもう廃止すべきではないかというふうに思いますが、これについての今後の取り組みについてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/13
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014・山本繁太郎
○山本説明員 都市計画事業の認可についてのお尋ねでございます。
都市計画法の中では、都市計画事業は市町村が都道府県知事の認可を受けて行うというのが原則でございます。市町村が行うことが困難な場合あるいは市町村が行うことが不適当な場合、そういった特別の事情がある場合については、建設大臣の認可を受けて都道府県が行うという制度となっております。
都市計画事業につきましては、いろいろな法律上の力が事業者に付与されるわけでございますけれども、事業が予定される土地について建築物をつくっちゃいかぬ、これから仕事をするので土地にさわらないでくださいといったようなこと、あるいは土地を売買しようとする際に事業者が先買いできるというような機能、さらには事業の財源に充てるために受益者負担金を取れるといったような機能を付与されますけれども、究極の機能は、事業に充てるために事業に係る土地を最終的には収用できるという法律効果が付与されるわけでございます。
そういう意味では土地収用法の特例と言ってもいいかと思いますけれども、土地収用法の手続では事業認定という行政行為でそういう判断が行われるわけでございますけれども、都市計画事業については認可という行為によってその判断が行われるというふうに理解しております。
国民の財産を最終的に公共のために用いる判断をするわけでございますので、事業者がこれを判断することはできない、第三者が公平な立場に立つで判断をしなければならぬということで、今の制度があるというふうに理解しております。都市計画事業について認可を廃止するということは、そういう観点から甚だ困難であろうというように私どもは理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/14
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015・下村博文
○下村委員 それぞれの立場によってそれぞれの理由や大義名分というのはあるわけでございますけれども、住民の立場から見れば、一般的にいわゆるお役所仕事というのは非常に認可までに時間がかかり過ぎる、また煩雑であるというような、苦情といいますか、クレーム的な話をよく聞きます。そういう意味で、必要以上にその辺でおくらせている部分がある。
その一つとして、この許認可の問題、縦割り行政の問題あるいは国、都道府県、区市町村、その辺で管理をしているというふうな、そういう部分での認可権の問題がおくらせている大きな原因でもあるというふうに思います。これもぜひ今後、これは地方分権推進委員会の方に期待をするわけでもございますけれども、地方分権という観点から、それぞれお役所の方も自主的に、勧告されたから考えようということでなく、これから新しい日本のあり方を考えるという立場で、それぞれのお役所の中で既得的な、権威的な発想ではなくて考えていただきたい、こんなふうに思います。
それから、今お話しした都市計画、それから先ほどの中小企業、そして都市においてもう一つ深刻な問題として商店街の活性化の問題がございます。
大店舗法が改正をされ、緩和をされることによって、これは東京だけではなく全国の都市における商店街が今後壊滅的な影響をこうむるのではないか。しかし、商店街というのは、付加価値として、そこに商店街があることによってそれぞれの地域のコミュニティーを形成している、あるいは町をつくっている、あるいは商店街のそれぞれのお店の人たちが消防関係とか地域のいろんなボランティア活動をしていただいていることによって地域が成り立っているということもあるわけであります。そういう意味で、今このまま放置をしたら、自助努力というのはもう限界を超えていますから衰退化してしまう。これから行政側がこの商店街をどう活性化させるかということについて、十二分な努力をしていくことが必要であると思うんです。
しかし、なかなかこの商店街にしても、中小商業活性化基金というのがあるわけでありますが、私の選挙区板橋でも商店街が五十三ございますが、実際に商店街がこの活性化基金等を使えるというのは限られております。ある程度の、一定規模以上の商店街が組織されていなければいけない、余り小さい商店街はだめだ、未組織商店街はだめだ、助成が受けられない。また、助成の枠も、例えばアーケードであるとか街路灯であるとか、あるいは舗装道路であるとか、限定をしておりまして、もっともっとそれぞれの商店街が独自性を持ってやろうと思っても、なかなかこの助成が得られないということが今のネックになっております。
これは、最終的には、この中小商業活性化基金についても、やはり国が持っている。国の制度で対応を柔軟にしてもらえないために、それぞれの都道府県でもあるいは区市町村でも対応できないという部分があるかというふうに思います。これも分権が実現がされれば、それぞれの住民に対してあるいは地域商店街に対して、よりきめ細かな、あるいはそれぞれニーズに応じた助成、援助策ができるのではないかというふうに思いますが、これについて、分権化の方向でどんなふうに考えられているか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/15
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016・近藤賢二
○近藤説明員 お答えを申し上げます。
今御指摘をいただきました商店街の問題、御指摘のとおりでございまして、全国の商業、今非常に苦しい状況でございます。そういう中で、私ど
もも、各商店街の対策というのは国が一律に講ずるべきものではなくて、むしろ地方の特性を生かしながらやっていかなければいけない問題だ、このように理解をしておるところでございます。
まず、御指摘いただきました中小商業活性化基金という点につきましては、各県が中小企業振興公社というところに基金を造成をいたしまして、国と各県が半分ずつお金を出して基金を造成しておるわけでございます。実際にはその運用は各県にお任せをしておりまして、各県が自主的に運用をし、それぞれの使い方を決めておられるという形になってございます。そういう意味では、今御指摘いただきました地方分権の趣旨というところから、非常にそれにそぐうものではないかと私どもは思っておるわけでございます。
それからもう一点、商店街対策をいろいろやらなければいけない。これはもちろん各県もやりますけれども、国の方からも、例えばアーケードやカラー舗装といったものについては、平成元年から公共事業のような補助制度もつくらせていただきました。それから、中小、小売商業者が一緒になっていろいろ対策を講じようという場合には、中小企業事業団からの無利子融資をするといったようなことも含めまして、いろいろ今対策を講じさせていただいておるところでございます。
いずれにいたしましても、今委員御指摘のとおり、各地方によってその特性はそれぞれ違ってまいります。地方の特性を生かした形でやりたい、各県や各市町村の意思を十分尊重しながらそういった方々に中心になってやっていただきたい、こんなふうに私どもも思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/16
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017・下村博文
○下村委員 商店街も死活問題ですから、これは地方分権を待つ前に、中小企業庁として、都道府県の自主性に任せるということだけでなく、都道府県や市町村に対して、今までの基準だけでなく、それぞれの商店街が希望する活性化策に対して枠を設けないで柔軟に助成制度について対応するように、ぜひ積極的に国が先頭に立って働きかけていただきたいというふうに思います。
次に、これは大臣にお聞きしたいんですが、地方税の財政制度改革の基本的な考え方であります。
これは予算委員会等の中でも、地方税等はこれから後で追っかけてくることだから、余り金の心配はしなくていいんだというようなことを答弁されているというふうに思います。それはそれで、そういうことを信頼をしたいというふうには思うんですが、ただ、地方自治体の立場から見れば、地方分権は具体的にこの第一次勧告でも進みつつある。大体様子が見えつつある、様子として。まだ見えてないですか。とりあえず、一応箇条書きの部分はある。ところが、それにそぐう税制の部分が全くわからない。これは、第二次勧告の中で明らかにされるのかもしれませんけれども、やはりお金が伴わなければ本当の分権にはならないというふうに思うわけであります。
ある意味では、これは骨幹に、国家の本質的な問題にかかわる問題でもあるわけですけれども、国税と地方税のあり方の比率そのものを見直していく、ある意味では、国税をいかに地方税にこれからかえていくかというようなことも同時に議論していかなければ、本当の意味での地方分権には進まないのではないかというふうに思いますが、この地方税制のあり方についてといいますか、これは大臣の個人的な見解で結構でございますけれども、御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/17
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018・白川勝彦
○白川国務大臣 私が、余り金のことを言いなさるなとたびたび申し上げておるのは、そういうことを言っていたのでは、今回の地方分権、あるいは地方自治の時代は来ないと実は深く憂慮しているからなんでございます。
後で行政局長に答えさせますが、今回大分整理をされた、こうおっしゃっていますけれども、都道府県に移譲するという意味では大分整理されたかもわかりません、しかし、地方分権というのは、本来は、基礎的地方公共団体と言われている市町村が基本的には権限を強くしなければなるまいとみんな言ってきたわけでございます。そこの問題が、極めて残念ながら今のところまだ、私に言わせれば本当に詰まっているんだろうかと思います。そこのところをしっかりとしないでいて、すぐ、じゃ権限移譲は結構だけれどもお金は、こういうことが果たして本当の意味で市町村の権限強化につながるのだろうか。
一つの事務を幾らやるかということは、国がやるにしろ地方がやるにしろ、そんなに大きな意見の違いはないわけでございまして、今はむしろ、権限をどれだけ市町村に移譲するというか、本来、市町村がこういう件については権限を持つのかということがもっともっと議論されなければならないときだと私は思っておりますので、そこのところをまず詰めてくださいと。そこが詰まればおのずと、それにかかるお金というものはどうするかというのは、そんなに難しい話じゃないだろうと思っているわけでございます。
どういう分野が、今まで国がやっていた、県がやっていたけれども今度は市町村ができるようになったか、私もよく聞いているのでございますが、まだ隠しているところもあるかと思いますので、松本行政局長の方から子細に報告させてもらいたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/18
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019・松本英昭
○松本政府委員 御説明を申し上げます。
第一次の指針勧告におきましては、まず、国と地方の関係をどういうふうに律するかということが中心課題でございまして、地方の中の都道府県と市町村の関係をどうするかということにつきましては、これからの検討課題に大幅にゆだねられているといいますか、基本的にはもとからゆだねられていると言った方が正確かと思います。そういう中で、分野別の検討というのをいたしまして、地域づくり部会それからくらしづくり部会で、それぞれの分野別の検討をしたわけでございます。それで、現在のところ、分野別の部会を通じた都道府県、市町村の事務配分をどうするかというものについて、一部出たものがございます。
その中で出てまいりましたのが、権限移譲は全体で十一項目ございましたけれども、今はっきりと出ておりますのは、都道府県から市町村に権限移譲をよりする方向でというように指摘いただいているのが、都市計画の関係の一部なんでございます。ただこれは、今申し上げましたように、都道府県と市町村の関係というものもこれから地方分権推進委員会で詰めていただきます。
実は私も昨日、地方分権推進委員会の方で、これからの都道府県と市町村の間の権限の問題については、やはり市町村というものを中心に考えていっていただきたい、もし現在の市町村の規模、能力というものが問題ならば、一体どの事務についてどれだけの規模、能力を備えれば市町村の事務とすることが可能なのかどうか、これをひとつお示しいただければありがたいと各省庁の方にお願いしてもらいたいということまで申し上げてまいりました。
そういうことでございますから、これから権限移譲というものが、国から地方へというものを原則として、そして、その中で住民の身近なものについてできる限り市町村におろしていくという基本的方向というものは掲げられているわけでございますけれども、個々具体の事務になってまいりますとなかなか理念どおりにいかないと申しますか、そういう点がございますので、私どもも鋭意、分権推進委員会あるいは各省庁の皆さん方にもお願いをいたしまして、できる限り、分権の担い手としての市町村への権限移譲というものが達成されるように努力をしてまいりたいというように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/19
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020・下村博文
○下村委員 白川大臣の大変に見識のある、また洞察力のある答弁、大変に心強く思います。これは大臣の口からというのはなかなか難しいでしょうけれども、一方で、市町村が地方分権化について積極的に取り組んでいくような世論がまだ余りできていない部分もあるやに感じます。そういう意味では、それぞれの自治体の中でも積極的に分権論議が行われることも必要であるというふうに思いますし、政府におかれましては、分権の徹底
をぜひお願いを申し上げたいというふうに存じます。
そして、もう一つ大きなテーマできょうお聞きしたいことは、この地方分権、規制緩和と首都機能移転との関連をお聞きしたいというふうに思います。
きょう、そういうことで国土庁にも来ていただいたんですが、実は国土庁では、きょうは参議院の国会等移転特別委員会が新しく首都になるかもしれない候補地の視察に行っているということで、ある意味では着実に進んでいる。そういう中でわざわざ課長さんに来てもらったのは恐縮なんですが、私は、この地方分権と首都機能移転がどうしてもよくわからない。同時並行で進めていることがよくわからないわけでございまして、これについて、自治省も含めて説明をしていただきたいというふうに思うのです。
それというのも、首都機能移転というのは、そもそも議論されたのはバブルのときでありまして、東京一極集中が大変マイナス的な部分で出てきた。これはもうなかなか解決できない、このために、あるいは景気的なことも含めまして首都機能移転が議論されました。しかし同時に、先ほど地方分権推進委員会の中で、なぜ地方分権を進めるかという理由の項目の一つとして、東京一極集中の問題をやはり取り上げているわけでありまして、地方分権が徹底することによって東京の一極集中は解決をするのではないかということがあるわけであります。
ですから、私としては、この地方分権あるいは規制緩和をこれから徹底していく、そして、推進委員会で言われているように、国の権限が本当に国家的なあるいは国際関係のところだけに限って、その最終的な中で、それでは首都機能を移転しよう、こういう筋書きであれば話はよくわかるわけであります。
しかし、この時点で首都機能を移転するということは、ある意味では、新しい新都市に同じような一極集中の問題が起きるのではないか、第二の東京問題のようなことが起きるのではないかということを危惧するわけでもありますし、その辺の地方分権とそれから首都機能の移転の関連性というのがわからない。何か同時並行でごっちゃに行っているような気がしてならないわけでありまして、その辺私としては、繰り返すようでありますけれども、まず地方分権、規制緩和をし、その後に、あるべき中央の政府の形、行政の形、これが明確になってから、それから首都機能を移すということを議論してもいいし、また、それの方がわかりやすいのではないかというふうに思うわけでありますが、これについての答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/20
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021・大森雅夫
○大森説明員 首都機能移転に関しましては、先生御承知のように、一昨年の十二月、国会等移転調査会におきまして、移転の意義と効果ないしは移転先地の選定基準等について報告を行いました。その後、国会等の移転に関する法律の一部改正が行われ、昨年末、候補地の選定等に関しましてその調査、審議をするため、国会等移転審議会がスタートをしたところであります。
先生御指摘の地方分権との関係でございますけれども、その国会等移転調査会の報告の中では、首都機能移転は地方分権、規制緩和等の行政改革と並び、二十一世紀に向けた我が国社会の改革のための車の両輪ともいうべき重要施策であると位置づけており、同時に、これらの改革を強力に補完し、加速し、そして定着させるものであるというふうにしているわけでございます。また、それと同時に、これらの政策はどちらが優先されるという性格のものではなく、ともに着実に推進されるべきものというふうに書かれているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/21
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022・下村博文
○下村委員 答弁の原稿を読んでおりまして、それはそれでわかりますけれども、しかし、本当にそういうことが頭の中で全体として整理されているのかな、いや、個人的な話ではないですよ、今の政府のあり方そのものが、そんなふうに私は危惧するわけであります。もちろん、それは与党ですから、六つの改革を同時進行で進めることは大切です。ただ、この首都機能移転と地方分権というのは整合性が合っているのかどうかということが非常に疑問でありまして、理屈としては通るかもしれませんけれども、本当にそのとおり進められるのかな、こんなふうに思うわけであります。
それというのも、この首都機能移転の意義と効果ということで、これは国会等移転調査会が報告をしているわけでありますけれども、その中で、首都機能が移転をすることによって新しい政治行政システムが確立されるのではないか、つまり、どこかに移してしまったことによって結果的に後から制度が追いかけてくるのではないかというふうな考え方があるのですね。でも、今やろうとしている地方分権というのは逆だと思うのですよ。まず制度改革、地方分権をきちっとやろうということが、整合性として私は合わないのではないかというふうな気がしてならないわけであります。それが一つ挙げられていました。
それからもう一つ、新たな経済発展が図られるということが挙げられているのですね。ただ、この首都機能移転が議論をされていたバブルのピークのときと、今の日本における経済状況あるいは今の東京における状況というのは全く違っているのですね。例えば、十年前はロンドン、ニューヨークそしてこの東京が世界の金融の三大拠点の一つとして、確かに当時は東京はニューヨーク以上に活性化をしていた。しかし、今は取引額はニューヨークのもう半分以下になってしまって、事実上は今東南アジアの中心的な経済の役割を東京ではなくて香港とかシンガポールとかほかのところへどんどんシフトしつつあって、東京そのものは相対的に地盤沈下をしつつあるわけですね。ですから、この今の状況と首都機能移転を決めたときの東京における状況というのは違うわけでもありますし、また、地方分権を進めるということは、ある意味でそれぞれの地域の活性化だと思うのですね。北海道は北海道、沖縄は沖縄、それと同じように東京は東京として、これから日本全体の経済の牽引力として、まさに国際都市の、その立場としてこれから発展をさせることは、私は大切だというふうに思うのですね。
その辺で、角を矯めて牛を殺すではないけれども、東京そのものの魅力を逆にある意味ではつぶしてしまう、それが実は日本全体の経済そのものをつぶしてしまうということになりかねないような理屈をつけて首都機能移転が今議論されつつあるということについて私は危惧をするわけでありまして、これについては国土庁に答弁をしてもらうというのは難しいかもしれませんが、ぜひ政府としてもこの辺は考えていただきたいというふうに思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/22
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023・白川勝彦
○白川国務大臣 首都移転というか、首都移転を考えているさなかに官邸をつくり直しているのはどういうことなんだ、こういうことを聞かれますと、どう答えてきたのかわかりませんが、私のような単純な頭にはこれを答えるすべを知りません。
今、下村委員がおっしゃったことというのは、私は大変大きな問題であり、極めて深刻に今改めて考えなければならないことを指摘していると思うわけでございます。全体の改革、今、間口を広げ過ぎたんだという言い方もありますけれども、日本人というのは、こっちはいいけれどもあなたが悪いと言って、あなただけやれと言ってどんどん責めるという、そういうことではなかなかわかりましたと言わないところがございます。みんなでこの際変えなければいけないなという、そういう面ではみんなが痛み分けというか、そういう全体の中で、どこかで、しかしいろいろ言っていでもだめだからこういう点を決断しなければならないという場面が来ると思いますが、今はすべてを含めて改革の対象ということにしているわけでございます。そんなようなことと関係するのかなという気がいたします。
これ以上言うと閣内不統一だとかなんとかという問題が出てきそうでございますので、しかし、
極めて重要なことを今下村委員が指摘された。地方分権というのを思い切って進めるときに、そして国はスリム化する、小さくなるということを今改めて鮮やかに総理自身が言っている中で、この問題をどうするかということはみんなで考えてみるに値する問題だと私は存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/23
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024・下村博文
○下村委員 大臣の率直な答弁、ありがとうございます。
その率直な答弁に関連して、思うことのもう一つとして、地方分権というのは、それぞれ地域の特性をいかに活性化させるかということになるわけでありますが、実はこの首都機能の移転の大義名分としてもう一つ、災害対策ということがあったのですね。これは、阪神・淡路大震災が起きたことによって、東京でも同じようなことが起きたら大変だ、だから首都を移そう、こういう理屈が後で出てきたわけでございます。
しかし、実はその地震なり災害が起きる可能性があるのは東京だけではありませんで、日本というのは今八割の人が都市に住んでいるというふうに言われておりますから、ある意味では日本全体が都市国家であるというふうに言っても決しておかしくない。そして、こういうふうな災害は東京だけの問題ではない。それぞれ全国の都市においてこのような災害対策をきちっとする必要があるということを考えると、新首都建設に十四兆円のお金がかかるということであるそうでありますけれども、東京が災害に遭った場合の、いざというためにも新都市が必要だということが理由の一つになっているのですが、実はその十四兆円を東京だけでなく全国津々浦々の災害が起きるようなところに、その整備として使う方がはるかに地方分権という趣旨からしても整合性が合うのではないかというふうに思うのですが、時間がございませんので、簡潔に、これについて国土庁と自治省のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/24
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025・岡山和生
○岡山説明員 全国的な地震防災対策につきましては、災害対策基本法に基づきまして防災基本計画が決められております。ここでは地震に強い国づくり、町づくり、災害応急対策、復旧対策、復興対策につきまして定められておりますけれども、さらに、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、防災施設の整備の促進や地震調査研究体制の強化を図るために制定されました地震防災対策特別措置法におきましても、各都道府県知事が地震防災緊急事業五カ年計画を策定いたしまして、避難地、避難路、消防用施設などの整備を促進することになっております。
今後とも、関係省庁あるいは関係地方公共団体と密接に連携をとりまして、全国的な地震防災対策を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/25
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026・嶋津昭
○嶋津政府委員 お答えいたします。
先生御指摘のとおりに、地域社会全体、全国の地域の安全対策を含めて、地域づくりを進めていくということは本当に重要なことだと思います。
今の公共投資基本計画等の中でも、そういう国の公共投資、社会資本整備等はバランスよく進めていく必要があるということでございますので、国会等移転との関係につきましても、先ほどの大臣の答弁等も含めまして、やはり全国の地域整備をおくらせるというような方向でそういう整備を進めていくという性格のものではないのではないかというふうに考えております。
また、国会等機能の移転といいますのは、いわゆる政府としての投資だと思いますので、やはり国と地方の役割分担ということからいいますと、地域の整備というものは地方団体が主として役割を持つものでございますから、それをバランスよく進めていくことは可能なんではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/26
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027・下村博文
○下村委員 ぜひ、非常に激しい時代の中で、当時と状況が違ってきている中で、しかし、二十一世紀の日本の発展のためにあるべき方向について、そういう意味では柔軟に対応するところはする、そういう視点の中で対応していただきたいことをお願いを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/27
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028・穂積良行
○穂積委員長 石橋一弥君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/28
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029・石橋一弥
○石橋(一)委員 御質問を許していただいて、委員長初め、ありがとうございます。また大臣、ひとつよろしくお願い申し上げます。
私の質問は、主として地方分権問題でありますが、日本国というものをどうすべきかということがきちっとしていって初めて地方分権であろう、こう考えております。
そこで、先般の大東亜戦争、私たちはそう呼びました、太平洋戦争。一つの国としての理想を持って、その理想でアジア全体を統御をしたいという考え方、それがあったことは間違いありません。結果は、二百万人もの人を殺してしまった。そして、何もできないで敗退をしていった。そして、それに見合うたくさんの物資を消費してしまった。
戦後、私自身も農民でありますけれども、自分のうちでつくったお米も食べられない。等しからざるを憂うということで、食べられない。そして、麦のふすまを焼いて食べていたのが農民の生活です。そんなふうになってしまったのですね。私は、国家というもの、これは一体何をすべきであるかということを大変疑問に思っております。
そこで、私個人はすべての考え方を、キリストが生まれたころが二億五千万人くらい、これは平成五十年になりますと、世界人口約百億と言われております。統計の上からそんなふうになっているようであります。大きな国が、権力を持って、そしていろいろなことをやるということが果たして正しいだろうか。また戦いになってやしないかということを、自分が軍隊に行っただけに、痛切に感じております。
その意味において、憲法九条、これは直すべきところも私はあると存じますけれども、やはり平和というものをどこまでも人類がやっていくということの、これはすばらしい憲法であろう、こう私は思っております。
そんな中において、私の考えは、国というものは小さい方がいい。もっと言えば、分権の話をするときには、やはり国以外のところに権力を分散するという考え方ですね。もっとずばりと言えば、国は緩やかな連合組織ていいだろう。そして、憲法と相反しますが、いわゆる道州制の問題あるいは市町村の問題、これをどの程度のものにしていったらいいかということ。
長くなって恐縮でありますが、幕藩体制、徳川時代ですね。これは、我が国日本の過去の各文化を比較してみた中で、やはり幕藩体制ぐらいきちっとした地方分権をやったことはなかったと思いますよ。例えば、江戸にある各藩の、今でいえば出張所、これは治外法権だったのですからね。徳川幕府といえども、そのところは治外法権にしたというくらい、全く強い地方分権をやったのですね。そんなことを私は基本に思っております。
大臣、大臣ということを抜いて白川さん御本人ということで、そっちの方を私は希望いたしますが、憲法などは守らねばならないと言っていますから、答弁は難しいと思いますが、そんな気持ちでひとつ御答弁をいただきたいと思います。
まず、国とはどんなことをするのが本当なのか、この辺のところをお伺いを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/29
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030・白川勝彦
○白川国務大臣 国というのはやはり、その国に所属する国民の生命財産等を守り、特に外敵から守り、そしてまた国民が生存していく地盤となるべき国土を守り、こういうようなものを本来的に、いかなる国家といえども持たなければならない機能なのではないかな、役割なのではないかな、こう思っております。
しかし、その後いろいろな形で国の果たす役割というのはふえてまいりまして、国民を豊かにするというようなイニシアチブをとらなければならないときもあったと思うわけでございます。治山治水というようなのは、そういうもののためでもあるのかな、こう思うわけでございます。
そして国外、外国、ほかの勢力からの侵略を守ると同時に、災害等から国民の生命、身体、財産を守るというのも国家の二次的な役割でございま
すが、さっき申し上げたのは三番目の仕事としてございまして、国民の生活を守るだけではなくて、どうやって豊かにしていくかというようなこともかなり昔から国家の役割としてあったのかな。そして選挙というようなものがなくても、国民のあるいは領民の経済を豊かにすることができない政治権力は中央であれ地方であれ崩壊せざるを得ないというようなことはあったのではないか、こう思っております。
そんなようなことを含めて、時代とともに多少変わるかと思いますが、国というようなものができてから、太古の昔は知りませんが、少なくともこの千年とか五百年では最低限そのような機能は国の役割としてあったのではないか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/30
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031・石橋一弥
○石橋(一)委員 ありがとうございます。
そこで、ちょっとまだ私の質問に対してどうかなと思われるのは、やはり憲法、私は憲法調査会長です。したがって、まあまあのことを知っているつもりであります。なかなかもってこうしたいということは言い切れないと思いますが、具体的にちょっと触れましたが、国というものは、権力は小さい方がいい。そして違う団体を主権者、そっちへ持っていった方がいいんではないか、そうでないと世界じゅうが覇権を争うことになるんです。覇権を争うことになると結局は戦いですよ、戦争になってしまう。これを避けるには、やはり国の権力というものを小さくした方がいいんではないか。
それから、具体的に申し上げますと、まあ大臣いつもお話しになっておるところでありますが、市町村が基礎的団体だ、私もそれは大賛成であります。自分自身が村会議員をやり村長をやって市長をやったという経歴を持っておりますと、それは私は大賛成です。そこで一歩進めて、さてな、市町村ということ、まあ地域と人口ということになりますが、地域は別として人口を、書類等は私拝見いたしておりますが、どの程度のものにして、そしてやっていく方が地方分権をやりやすいか。そこらのところのお考えをお示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/31
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032・松本英昭
○松本政府委員 市町村の規模の問題につきましてはいろんなお考えがあろうかと思っております。また、時代の背景というものもあろうかと思っております。
委員御指摘のように、昭和の大合併というのは昭和二十八年から始まりましたけれども、新しく創設されました新制中学の運営ということを中心に、人口八千人というような目標を掲げて行われたわけでございます。
今日、基礎的団体としての市町村の規模を考えます際に、市町村に期待されます機能というものと市町村の規模というものがどういうぐあいになるべきかというアプローチが一つあろうかと思います。これにつきましては、やはり個々の市町村が担っております事務というものを十分分析し、その中から、果たして共通的にそういうものが出てくるかどうか、そういうことを考えていかなければならないというふうに考えております。
いま一つは、経済社会の発展あるいは今後の例えば高齢化社会、少子化社会等におきまして、市町村というものが住民のニーズに対応できるようにするための、足腰がどうだ、強くするためにどの程度の市町村の規模というものがふさわしいのかというようなことがあろうかと思います。
これらのことを総合的に勘案してまいらなきゃいけないわけでございますが、やはりその市町村市町村の規模というようなものもそれぞれの地域によりまして、一概に例えば人口だけで示すとか面積だけで示すとかというようなことはなかなか難しいところがあるんじゃないかというような考え方を私どもはとっているわけでございます。
要は、やはりそれぞれの市町村みずからがその地域地域において、ただいま申し上げましたようなことも背景として、最もふさわしいものを求めていくということが重要ではないかというように考えておりまして、私どもは市町村の規模の再編ということにつきまして、そういう市町村のサイドにおきます機運の醸成等に現在努めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/32
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033・石橋一弥
○石橋(一)委員 あなたが答弁に立ちましたから私はお伺いしますが、今のままの形で、やり方で本当にこの分権が皆さんが期待するようなことになると思いますか。私は千葉県ですが、いろいろかつての仲間たちに聞く。私が合併をやったころは昭和二十八年四月一日であります。したがって、合併促進法が施行する以前であります。でもそのころは、このままでは町はどうなってしまうかわからない。村長も首、助役も首、収入役も首、議員全員が首であっても合併した方がいいということでみんなが一生懸命になった。その気概が今私はないと思っています。
そこで、確かに自治なんだから、それぞれの歴史、それぞれの考え方、そこに当然帰結すべきものをやっていったらどうかということだけではなかなかもってこれはうまくいかないなというふうに思う。せいぜいかつてのように、人口規模はこの程度でどうだというくらいのものが出ませんと、なかなか動かないと私は思いますよ。その点だけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/33
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034・松本英昭
○松本政府委員 先ほどもお答え申し上げましたが、市町村にこれからどういう権限がおりるか、その権限との関係で、例えばこの程度の規模が望ましいというような議論というものはあり得ると思います。したがいまして、それぞれを総合して、こういう事務を掌理するにはどの程度の規模、こういう事務を掌理するにはどういう規模のものというものを出しまして、そしてその中から一つの望ましいと申しますか、そういう総体としての規模というものはこんなものが考えられるというようなアプローチというのは一つあろうかというように考えております。
ただ私ども、現在のこの段階で果たして本当に全国に統一されたような基準というものが考えられるだろうかということについてはいろいろと内部でも研究はいたしておりますけれども、なかなかそれに対してこうだという結論が見出せないというのが現状でございますので、どうか御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/34
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035・石橋一弥
○石橋(一)委員 今の答弁の中で、今は言えないということですね。ということは、時期が来ればそうしたことをきちっと示せるだろう、こう解釈してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/35
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036・松本英昭
○松本政府委員 個別の事務に関連をしてどの程度の規模というものがふさわしいのだろうかということをいろいろと問いかけていることは事実でございますが、例えば先日も、これは参議院の方の地方行政委員会でございましたけれども、それじゃ介護保険でふさわしい規模というのはどんなものでしょうかという話を厚生省の方に質問がありましたけれども、厚生省の方の御回答は、それはやはり地域もいろいろございますし、一概に申し上げるわけにまいりませんというのが回答でございまして、結局、個別のそれぞれの事務についても、なかなかふさわしい規模というものが出てまいらないというのが実態ではないかと思うのでございます。
したがいまして、やはりその辺は地域的な条件とかいろいろ違いがございますので、そういうことも踏まえながらこういう地域について、例えばこういう昔の郡の地域がどうであるとか区域がどうであるとか、今残っている郡の地域がどうであるとか、そういう議論で幾つかのパターンを詰めていくというようなことは考えていかなければならないかと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/36
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037・石橋一弥
○石橋(一)委員 では、局長の方は終わりにして、大臣にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/37
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038・白川勝彦
○白川国務大臣 最近になりまして、どのくらいの市町村というか、ある意味では多分そういう人は市ということを言っているのだと思うのでございますが、どのくらいの基礎的地方公共団体があったらいいのかということが、私も問われますし、またそういう意見がいろんなところで述べられております。
先ほど江戸時代の幕藩体制の話が出ましたが、よく三百と言われております。ただ、これも随分
小さな藩もあればかなり大きな藩もあったようでございまして、それとも関連するのですが、私は、その間に立つ都道府県というのをどう見るかによってどのぐらいの受け皿がいいのかというのが決まるのかな、実は非常に密接に相関関係にあるような気がするのです。というのは、例えば三百ということになれば、逆の面でいうと都道府県というようなものの役割はそんなに要るのだろうか、ある面では、もう国と直結して三百がそれぞれやろうと思えばやれる規模なのかなという気がいたします。江戸時代だってそうやっていたのですから。
しかし、そうではなくて、都道府県に基礎的地方公共団体とは別の役割を担ってもらおう、こういう立場に立つと、必ずしも、余り数がそんなに少ないことにこだわらない、ある程度であれば一つの地域のまとまりはその都道府県が、都は特にないかもわかりませんが、県あたりが特に役割を果たすかなというと、ある程度小さくても、県という受け皿の中である程度整合性を持つのかなというようなことで、都道府県の権限をどのぐらいにするかということによって最終的な基礎的地方公共団体の適正規模というのが一方では出てくるのかなという気がいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/38
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039・石橋一弥
○石橋(一)委員 ありがとうございます。
そこで、とんでもない話をいたしますが、市町村があって、私は十万程度かな、一人が治められる範囲ですよ。これ百万だとか三百万だというと長が一人でなかなかこれは治め切れないです、せいぜい十万かなというふうに自分は思っておるわけです。しかし、そのことは局長は将来ともやれないというふうに私は聞き取った。
そこで、とんでもない話ですが、都道府県を全廃をしてしまって、そして道州制に改めるという考え方がどうしても私の頭の中には出てきます。市町村は基礎的団体だ、そして国の任務というものは余り大きくしてはいけない、けんかをしますから、戦いをやりますから。そんなことを考えてみると、どうしても道州制、都道府県廃止という気持ちが出てくるのですがね。大変難しいことであろうと思いますが、どうぞひとつ、自治大臣ということでなく政治家としてどんなお考えを持っているか、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/39
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040・白川勝彦
○白川国務大臣 一時、道州制という問題が大変大きく言われたときがあったような記憶があります。しかし、ここのところちょっと、こんなことを言ったら怒られるかもわかりませんが、下火の感じがするかな、これだけ地方分権ということが言われる割には道州制の議論が余り出てこないという気がいたします。
ただ私自身は、先ほど申し上げましたように、本当に強い市町村をつくる、こういう前提になってくると、都道府県の果たす役割というのは比較的小さくていい。しかも、ある程度都道府県そのものが示すのが、これが国が今までやっていたようにある程度のその地域の統一的な基準を示すということですから、そうすると、山本委員がいる中で恐縮でございますが、四国というあの小さな中で、高知県の基準はこうだけれども香川県の基準はというのが四つある、そのスタンダードがあるのかな、北海道と四国のスタンダードは違うかわかりませんが、四国はこういうスタンダードで決めた方がいいというような物の考え方が出てくると、やはりもう少し広くていいのかなというのが出てきて、そうすると道州制みたいなところにいくのかなと思います。
私は新潟県でございまして、衆議院の選挙区でいえば北陸信越ブロック、こう言われておるのでございますが、この辺、そういう区切りがいいのかわかりません。
さて、関東というようなことになりますと、東京並びに関東というと、まあ大体同じ基準でいいのかわかりません、あるいはそれとも東京は東京、それに対して栃木とか群馬は違うということなのかわかりませんが、いずれにしろ一定の、国全体では一つの基準は示さないようにしようというのが地方分権でございます。それに対して、じゃ、あとは都道府県しかないということでいいのかなと。例えば東北はあるものを決めるときにこのスケールだな、それに対して、例えば土地が高いから関東ではもうちょっと目盛りが万事小さくなるとかということ。
そんなこともあって、要するにある程度のスタンダードはだれかが決める以上、今までは国が決めていたけれども、今度は都道府県が例えばさっき言ったとおり決めることが多くなってくると思うのですが、そうしてくると四十七の物差しが要るのかなという議論は当然出てきて、もう少し大きな、本来その地域の実情に合ったということになると、都道府県を超える、しかし統一の基準が決められる地域があるというような意味で、改めて都道府県の役割が何かということを議論する中で道州制の話ももう一回みんなで考えてみるに値する、そういう気がいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/40
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041・石橋一弥
○石橋(一)委員 踏み込んだ御議論、まことにありがたく存じます。
何度も申し上げますが、国というのは国民の安全そしてまた進歩、これをやっていけばいいことであって、けんかをして相手のところをとってしまうということは、これはやらない方がいいですよ。どう考えてみてもやらない方がいい。
私は国会議員であっていわゆる閣僚ではないですから憲法遵守義務はない、そこで勝手なことを申し上げますが、これに徹していくということが、戦わない世界、戦わない人類——まあ人類、十数億年と言われるでしょう、新しいものが発見された後十数億年。その期間、常に人類そのものだって他種とのけんかがあった。あるいはライオンとあったときがあったでしょう、家ともあったときがあったでしょう。しかし、一番殺りくがあったのは人間と人間の戦いですよ。人間と人間の戦い、これをなくするということ、人類永遠と言うとしかられちゃいますが、どの国もそれを考えるべきである。国連もそんなことでやっていると思いますが、やはり権力を持っている国、大きな国、これは人口だけではありません、いろいろな意味において大きな国、力のある国、これが覇権争いに出ていって、いつかは、よしおれがというふうになってしまうのですね。
そこで、私は、我が国の今度のことをやるに際して、基本的な問題をそこに置いて、そうした哲学を打ち立てて、そして、道州制をどうしたらいいかとか、市町村をどの程度にしたらいいかとかということにいたしませんと、なかなかもって幕藩体制のところまでいきませんよ。大体、気がない、先ほど言ったとおり。気持ちがない。
そうしますと、どうしても、あなたはやらないというような考え方ですが、いずれはやはりこの程度がいかがかなという指導性を発揮しませんと、これは、わいわい騒いだが結果は一体どうなったのだというふうになってしまう気がしてなりません。その点、大臣ひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/41
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042・白川勝彦
○白川国務大臣 地方行政委員会とか、あるいは、例えば我が党でいうならば地方行政部会で今まで合併の議論というのがどういうふうにされてきたか、細かいことを承知しておりません。
私の選挙区には二十六市町村がございますが、高田市と直江津市というのが合併したのが昭和四十七年でございますが、それはもう大きな市同士の対等合併でございました。七万と四万ぐらいの市が一緒になって十一万になったのでございますが、それ以外の、一万を割るような町村の合併はここのところ起きておりません。
そんなような意味で、市町村合併というのがどの程度今まで議論されてきたのかわかりませんが、ただ、一つだけ思いますのは、最近地方分権ということに関連して、市町村合併というのはよくても悪くても大きな議題になり、大勢の人がそれぞれの立場から御議論をしているというのは一つの最近の傾向なのかな、こう思いますので、私は就任したとき、正直申し上げまして、石橋委員のような言い方を行政局長等にやりました。しかし、自治省はそんな大きな権限はありません、とにかくこれを見てください、地方自治法には、技術的な助言と勧告しかできないのであって、そんなに大それたことを自治省が言える立場ではあり
ませんということを機会あるごとに言われました。
どうも、私たちが接する市町村長が自治省を恐れているとは言いませんが、自治省に対する思い入れと、自治省の中にいる人のつつましやかさとの間の落差に私は最初は驚いたわけでございますけれども、そうはいっても、交付税等で大変財政的に大きな権限を持っているあるいは役割を果たしているというところで、実際は自治省というのは指導力あるいは影響力があるのだから、諸事万端にわたってもう少し、私は、こういう方向はどうだろうかという形で誘導することは、あるいは一つの方向を出すことは決して許されないことではないのだからということで、ほかの問題もそうでございますが、市町村合併についても今までよりはある程度トーンを上げていろいろ活動をし始めたところでございますが、まだまだそれで十分でないというのであれば、市町村合併の問題を考え、そして合併を促進するという立場で、機運を醸成するだけではなくて、もっといろいろなことをしていきたいな、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/42
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043・石橋一弥
○石橋(一)委員 大変踏み込んだ御見解を披瀝していただいて、ありがとう存じます。それをぜひひとつやっていただきたいな。
これは自治ということからいいますとあるいは違うかもわからない。しかし、自治をやっていくのは、やはり呼び水だとか、だれか立派な指導者、昔で言えば学者、こういう人たちがいて、例えば大正時代の権藤成卿、これは自治学者ですね、農本自治学者だ。彼が指導したために、橘孝三郎を初めたくさんの志士が全国に生まれた。その志士に、大臣、ひとつ我が日本国のためになっていただきたいと思います。よろしくどうぞ。
そこで、さっき何度も申し上げたのですが、やはり国とは何だということをきちっとしていくこと。アメリカは御承知のとおり道州が主権者ですね。アメリカそのものは合衆国だ。ここまで一挙にという議論を出しますと、何だということで恐らく右翼の宣伝カーにやられるかもわからない。しかし、そんなことでなく、やはりさっきちょっと、江戸における藩邸は治外法権で、徳川幕府といえども手が出せないというほどの大変な地方自治であったのですね。殿様が、大きいのがある。加賀百万国、島津家、あるいは東北仙台ですね、こんなところ、大きなところがある。大臣の地元では、これはやはり自分の立場から物事をやるべきであるということで倒幕に反対したりして、本当はあの人の考え方は倒幕ですよ。しかし、立っているところはここであるからということでやった河井蒼龍窟。彼はやはり、もっと言えば、自治という中に生まれて自治という中に亡くなっていった人だと私は思っています。
そんなことをいろいろ考えてみて、局長、さっき大臣がそこまでの話をしてくれたんだから、どこまでもおれは嫌だよと言われては、私も黙っているわけにはいかない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/43
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044・松本英昭
○松本政府委員 大臣が答弁なさったとおりでございまして、適正規模等を一律に示す、これはなかなか難しいと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、この状況の中で、市町村の合併というものは以前とはまた違った、今大臣がトーンを上げてという表現でお答えになりましたけれども、私どもも現にトーンを上げて取り組んでおりますし、また、昨日の地方制度調査会におきましても、今度合併の問題を取り上げようということで正式に決めております。
そういうことでございますので、決してそんな消極的なわけではございません。今まで以上にトーンを上げで、私どもも市町村の合併等の問題には取り組んでまいるつもりでおりますので、どうかよろしく御指導のほどお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/44
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045・石橋一弥
○石橋(一)委員 やるというわけですね。いつかはやるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/45
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046・松本英昭
○松本政府委員 今申し上げましたように、既に機運の醸成等については、これはマスコミに最近取り上げられておりますのでお気づきかと思いますが、例えば合併の相談コーナーを設けるとか、インターネットでそれぞれ情報を流すとか、いろいろやっておりますし、それから制度的な問題につきましても、今申し上げましたように、地方制度調査会の議題にしていただく、あるいは分権推進委員会でもお取り上げになると思います。そういうことに対しまして、私どもも前向きに、トーンを上げて合併の推進についても考えていかなければならないと思っておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/46
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047・石橋一弥
○石橋(一)委員 ありがとうございます。大体大臣の考え方、そしてまた行政局長の考え方、いずれはやるなというふうに思った。安心をしましたよ。よろしくひとつお願いを申し上げたい。
要するに、かつて私の体験、あるいはあの辺の市町村合併の体験を申し上げましたが、やはり何といったって、これは悪口ではないですが、たかが五万や六万の市の市会議員が大変な報酬をもらうようになってしまった。市町村長も同じ。それを一切合併でなくしてしまって、でも村のため、町のため、市のためだというふうに精神構造を変えるのは、これは容易なものじゃありませんよ。容易なものじゃないと思う。
私は、一つの郡の市町村長たち、お隣の郡の市町村長たち、いろいろ話しかけてみると、だめだね、気がないよ、私から言わすと。気がない。それを気を起こさせるようにするのが、これが政治だと思います。これが一番基本の政治だと思いますが、私自身も、じゃどんなことを言ってやったらばその気になるかなということを考えてみると、結局、やはり大臣初め自治省の皆様方がこうするよということで指導をしませんとうまくいかないなというふうに私は考えておりますので、その点もう一度、気を起こさせるにはどうしたらいいかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/47
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048・白川勝彦
○白川国務大臣 事務当局は事務当局でいろいろと努力しておりますが、そういうのを通じて、さあいよいよそれぞれの市町村長が決断をするときには、私は二つのことを考えなければいかぬと思っております。
法律では、いつから人かというのでいろいろ説が分かれます。産道から頭が出たときとか、生まれ落ちたときとか、いろいろあるわけでございますが、私は、よくても悪くても地方自治法で三千三百近くの地方自治体を既に生んだんだ、そしてこれは一つの、人間でいえば一人の人間なんである、一つの独立の意思と価値を持った、そういう団体なんだということをやはり忘れてはならない。特に、地方自治の進展というものを願う立場からいったら、そこを忘れてだれかが、例えばああしろこうしろ、あんたは未熟児で、昔なら未熟児なら一人前には扱えないというようなことはやはり言えないだろうというのが、これがよくても悪くても地方自治法の中で生まれた一つの地方自治体に対するみんなの基本的な見方でなければいかぬと思っております。
しかし一方では、いろいろな意味で地方分権をし、今度はそれぞれの地域のことはそれぞれの地域で決めていただきたいというときに、一定の規模、財源、その他がなければならぬことは事実でございまして、そういう面では、ある面では、いや、私たちのところは多少不便があったとしてもこれがいいと思う、そういうふうに御判断されるなら、それはそれでしょうがありませんが、いろいろ難しい問題やら、あるいは豊かな町と非常に財政力の弱い村が一緒になりますと、いろいろ現実には問題があるようでございます。そういうことの不安の解消とか、いろいろなことを含めて、それは全体の方向として好ましい方向に踏み出そうというところには、やはり思い切った優遇措置というものを与えることによって、望ましい姿の方向にやっていくのが極めて大事なことじゃないかな。
二年前に改正されましたところでも、そういうところは配慮されているようでございますが、よく説明を聞かないと得なのか損なのかよくわからないというようなことで、よく聞いてもよくわからないのでございますが、やはりこういうメリットというのは、合併すれば得なんだというぐらいのわかりやすい、そして思い切ったものの方がい
いのじゃないかな、そういうことによって、合併の機運というのはより一層推進されていくのじゃないだろうかな、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/48
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049・石橋一弥
○石橋(一)委員 論点を幾らか変えさせていただきます。
憲法の問題ですが、第八章ですね、八章に地方自治関係がたしか四条あったと思います。その中で、ここへ憲法を持ってきておりますが、「地方自治の本旨」というのがありますね。「地方自治の本旨」というのは、どこへ行ってもたくさん言われる。また、解説本も読んではおります。一体「地方自治の本旨」というのは、事と次第によっては限りなく余計にある。これについて、これは局長でいいや、どういう……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/49
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050・松本英昭
○松本政府委員 まことに書生的なことを申し上げて恐縮なんでございますが、法律の条文でございますので、法律的なことでお答えさせていただきたいと思います。
憲法九十二条に「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」となっております。この規定の前提は、やはり近代的地方自治というものを大前提にした規定だと思いますが、その中身は、一般的に言われておりますのは、団体自治というのと住民自治だと言われております。
団体自治と申しますのは、地方公共団体が団体として国からその独立した法人格を認められ、そしてその機能の行使について、自分たちみずからの機能が保障されている、こういうことを指しております。
一方、住民自治と申しますのは、その機能の地方団体の行使について、住民がみずからの民主的な手段に基づいてみずから自分たちでその中身を決めていくという、住民の、民主主義といいますか、民主主義の思想を反映した地方自治、これが住民自治の考え方であると言われておりまして、「地方自治の本旨」というのは、この二つを近代的な地方自治として保障していく、そういう制度でなければいけないということを憲法が保障している、こういうことだと私どもは理解しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/50
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051・石橋一弥
○石橋(一)委員 本旨に基づいて法律を定める、こうなっていますね。その法律を定めるということ、今自治省関係の法律はどのくらいありますか。
日本国の法律というのは、世界の分を比較しますと大変多いです。そして、きょう自民党の政審があって、法律を一本廃止をしましたが、現実的には動かなくなってしまっておっても、廃止をする法律というのをつくられないですね、日本は。だから、とんでもなくふえてしまっている。自治省所管の法律は幾つぐらいあって、そして廃止したものがあるかないか、とにかく、地方自治の本旨に基づいて法律を定める、こうなっているのですから、そこら辺のところをお聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/51
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052・松本英昭
○松本政府委員 地方自治関係の自治省所管の法律の本数、本数何本と申し上げるのは、今ちょっと本数では数えておりませんので、また後ほど必要ならば資料をお届けいたしたいと思いますが、地方自治法を根幹的な法律といたしまして、公務員法、地方公務員法、それから財政法、地方財政法、地方交付税法等、地方公営企業法、地方税法、それから選挙に関する公職選挙法、消防に関します一連の法律等が主な法律でございます。
これまで廃止した法律があるかというお話でございましたけれども、例えば先ほどから挙がっております町村合併促進法とか、その後に続きました新市町村建設促進法だとか、ああいう法律はその後廃止をされておりまして、中にはそういう廃止した法律もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/52
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053・石橋一弥
○石橋(一)委員 確かにそのとおりだと思います。しかしこれは、地方自治の本旨に基づいてということになりますと、先ほど自分で言ったとおり、大変限りなく、エンドレスとは言いませんが、広まるわけでありますね。
そこで、局長にまずお話を承りたいと思いますが、あとどんなようなことを法制度としてつくっていきたいなということをお尋ねします。率直に言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/53
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054・松本英昭
○松本政府委員 地方団体に関する規定を設けております法律は、今委員御指摘のように大変多うございまして、しかもこれが年々ふえていくことは事実でございます。これは機関委任事務の数だけを数えましても、法律の条文で五百数十ございますし、それに団体事務を法律で規定したものが三百数本ありますので、そういうことを考えましても、これは大変膨大な法律の数だと思います。
私どもも、この地方公共団体に対する法律というものが国の要望、要請としてどんどんふえていくこと、これはそれぞれ国会で御審議をいただいた上のことでございますのでやむを得ないわけでございますけれども、やはりその法律の中身が地方自治というものの本旨に沿った方向で規定がされていきますように、これは通常の私どもの自治省の組織を挙げて、それぞれの各省庁に御意見を申し上げているわけでございます。
いま一点、これから非常に重要なのは、そういう法律の規定に基づいて地方公共団体が事務の処理を義務づけられるケースが非常に多うございます。そのことが地方公共団体の行政改革というような面からかなりいろいろと制約を受けるということもございまして、そういう点でも、これからはやはり地方公共団体に関します法律の規定等を設けます際には、今までの法律をできるだけスクラップしていただくとか、あるいは地方公共団体に事務の過剰な負担を課するようなことのないように配慮をしていただくというようなことが必要なのではないかというように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/54
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055・石橋一弥
○石橋(一)委員 将来のことまで、ありがとう存じました。
そこで、これはどうかなと思いますけれども、大臣、最後でありますから、花を飾らせてください。
きょうの質疑応答の中において、自治省そのものの考え方、そしてまた政治家白川先生としての考え方、大変ありがたく私は拝聴いたしました。この考えでこれからも私もやっていきたいな。
ここの委員長をやったのはもう五、六年前かな、そのくらいになると思いますね。さっき言ったとおり、村会議員上がりの国会議員というのは私はなかなかいないと思いますよ。村会議員ですよ。しかも昭和二十二年だ。私個人の二十五歳の被選挙権をいただいて一カ月足らなかったと思う。ことし憲法五十周年、うち三十年私は地方自治をやった。こっちに来て二十年、自民党の表彰を受けた。そうした長い中において、日本の国をどうしたらいいだろうか、そして次は地方自治をどうしたらいいだろうかという考え方に自分では徹してきたつもりであります。
そんなようなことでありますので、大臣、ひとつ国家のため、そしてまた地方自治のため、どうぞ御活躍をなさっていただきますことを最後にお願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/55
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056・白川勝彦
○白川国務大臣 文字どおり地方自治制度が生まれて以来、その五十年間、地方議員として、また国会に出てからも地方行政委員会等にはずっとおられたんだという話をこの前開きまして、文字どおり五十年間歩んでこられた上に立っての非常に視野の広い、そして今我々みんなが行こうとしている方向に対して、そうなのか、本当にそれが正しいのかという、本当に我々自身はっとするような視点を指摘されまして、役所はもちろんでございますが、ここにいらっしゃる委員の皆様も感銘新たなものがあったと思います。
先生に比べれば若輩でございますが、ひとつ今の御意見を参考にしながら、自治大臣として、また地方自治の進展のために努力していくことをお約束したいと思います。どうも御指導ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/56
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057・石橋一弥
○石橋(一)委員 どうもありがとうございました。質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/57
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058・穂積良行
○穂積委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十六分休憩
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午後一時開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/58
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059・穂積良行
○穂積委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。今井宏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/59
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060・今井宏
○今井委員 白川自治大臣、地方分権に関しましてその基本的なお考えと決意のほどをひとつお伺いさせていただければ、こういうふうに思っている次第です。
連日にわたりまして、大臣、本当に心強く、地方分権は四十七都道府県のためにあるのではない、基礎自治体への分権がなくては地方分権とは言えないのだ、こういう強い信念の表明がございました。大変心強く思っておるところでありますし、私もそうでなければならないと思っている一人でございます。
そういう中で、現在の分権推進法の法律自体は二層制を前提としながらできた法律でございますので、第二次の勧告が今年の前半に行われる、この勧告のあった後、政府によりまして分権推進計画が策定される、こういう予定、手はずになっているやに聞いておるわけでございますが、この政府による計画策定に当たって、自治体の立場に立ち、基礎的自治体の市町村に分権をするべきだという強い信念をお持ちの大臣としての、政府の策定に当たっての自治大臣の立場としての御決意をぜひお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/60
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061・白川勝彦
○白川国務大臣 今井委員は長い間草加市の市長ということで、現場の苦労をされた上でのいろいろな発言をされております。一方、私は実は全く本当に地方自治というのに携わったこともありませんし、国会に出てきてからも憲法だとか自由主義だとかなんとかだという、いわゆるそんなことばかりやってまいりまして、本当に私は地方自治の問題は門外漢なのであります。
ただ、原理原則はいつも物を考えるときに大事にしているわけでございまして、就任以来どういう物の発想でこれは始まったのかということを機会あるごとに申し上げて、とかく当事者になりますと木を見て森が見えなくなりますが、外から来た人間でございますから、本当に森の中に恐る恐る入ったわけなので、ただ入るときにいただいた地図だけは大事にしながら、この問題について関係の深い大臣——私が所管ならばもっとどんどんいろいろなことをやりたいと思うのでございますが、実は所管大臣ではないのですね。かつ、どういうことで言われているのか知りませんが、今回の地方分権は自治省だけが焼け太りをするなどということが一方では言われております。
そういうことで、この問題について私としては、自治省というのは確かに三千三百の地方公共団体の自治を進展させるためにある役所だから、そういう面で発言することは当然だと思うので今発言しているわけでございます。
細かいことはわかる皆様方に私は言うのではなくて、政治家でございますから、こういうところでしゃべっていればだれかがだれかに言ってくれるだろうということを期待して、私は意識的にこういうことを言っているわけでございまして、ありもしない知識をここで披露するつもりもありません。ただ、ここで偉そうなことを言ってもほかのところで何にもしないというのではなくて、まさに政治的な私なりの波及効果も踏まえて、委員の先生方どここで地方分権について議論をさせていただいているわけでございます。
さて、せっかくのお尋ねでございますので、私は、まず何といっても国会の法律に基づいてできた地方分権推進委員会でございますから、ここが出される最新勧告というのは重たいと思っております。ですから、まだこの作業の真っ最中でありますので、私は今この勧告を詰めておられる皆様にこういう点をぜひこの際深めるだけ深めてくださいと。政府は勧告を最大限尊重しなければならない義務があるわけでございますから、やはり地方分権の本来の趣旨に沿った勧告が出るように、今は関係者全員が力を合わせて地方分権推進委員会に働きかけでいかなければならぬときではないかな、こう思っておりますので、またそれぞれの立場で委員の先生方の御協力をお願いしたいと思うわけでございます。
さて、これが出た段階では尊重するとはいっても、各論になりますと、推進計画をつくるわけでございますけれども、正直申し上げて、相当これは政府部内においでもまた新たなる議論が起きるだろう、こう思っております。
もちろん、橋本総理自身が官から民へというのと中央から地方へということを申し上げております。総理のリーダーシップのもとで行われるだろうと思いますが、総理がおられるところでも私はたびたび、中央から地方ということについては争いがないのだけれども、地方の中の都道府県から市町村へという話がまだ十分に詰まっていないということは十分総理も承知おきだと思いますので、それらのことを閣議で決める際、あるいはその前にいろいろ決める際に、本来の地方分権推進法ができたときの原点に立ち返って、これからは基礎的公共団体である市町村を中心に地方のことは決めていく、そして国も都道府県もそれをお手伝いするという立場なんだということがより明確になるように最大限努力をしてまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/61
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062・今井宏
○今井委員 白川大臣のまさに勢いを感じる強いリーダーシップを、この分権は、分権革命という言葉があるくらいでございまして、今までの百数十年続いた行政の仕組みをすっかり変えることにもなるわけでございますので、かなりの強烈なリーダーシップがありませんと、なかなか基礎自治体を中心とした分権の仕組みに変えることができないと思いますし、勧告が出た後も、あるいは勧告をつくる前にも自治省にも当然委員会からヒアリング等々あるはずでございますので、そこでもただいまの大臣の思想を徹底していただけるように自治省の皆さんにも御指導を賜りたい、かように思っておるわけであります。
やはり心配しておりますのは、都道府県に分権されてしまって、今の国と地方との関係が小さくなって、今度は都道府県知事と基礎自治体と同じような関係になってしまう。これを私は一番恐れているわけでございまして、これは分権にならぬわけで、都道府県はむしろ大臣も言いましたように支援する、サポートする役、市町村ができないものを手助けしていく、こういう形に変わっていかないと、かなり強烈な権限意識を持った知事が出現しますと、分権は我が方だということで違った方向に行ってしまうというおそれをすごく感じている一人でございますので、どうぞ御指導をお願い申し上げたいと思います。
ところで、当然分権をやりますと中央の仕事それから地方の仕事、いわゆる役割分担が決まってくるわけでしょうし、私はこの地方分権が最大の行政改革の一つである、こういう認識を持っておるわけでございますが、これで第一次の勧告後の様子を見ておりますと、やはり各省庁の抵抗もかなり強いようでございますし、国の関与もさまざまな形で残されてきつつあるということでちょっと心配をしておるわけです。
大臣、この地方分権、分権推進計画ができたら、今の国の事務量が現在と比較して減ることはないのか、全く同じなのか、あるいは半分ぐらい減るのじゃないか、あるいは三分の一程度か、そういうアバウトなもので結構なんですが、私もイメージがわかないのです。どうも抵抗が多くて結果的にはほとんど変わらなくなってしまうのかなというおそれを抱いている一人でございまして、大臣、質問にはお答えづらいかと思いますが、どの程度の削減といいますか、事務量の減少のイメージをお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/62
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063・松本英昭
○松本政府委員 ただいまも大臣の方からもお話がありましたが、分権推進委員会において、まだこれから個別の問題については、多くのものが審議されることになっております。
今の分権推進委員会のこれまでの考え方というものを延長してまいりますと、一つは、国の権限が地方に移る部門がございます。その部分の量がどの程度出てくるかということでございますが、現在までのところは、権限移譲としてカウントされているものは、十一項目がカウントされております。これからどの程度この権限移譲という形で
地方の団体の方に事務がおろされるか、そこの側面が一つございます。
それからいま一つは、国と地方の関係で、機関委任事務の廃止、それから機関委任事務にかかわらず、国と地方の関与というものが類型化されまして、そして関与の手続等が定められてまいりますので、今までのように法令に基づかない国、地方間のいろいろな関係というものがある程度整理されていく、そういうことがあります。特に市町村の場合、機関委任事務が廃止されますと、現在の制度のもとでは国も指揮監督できますし、都道府県知事も指揮監督できるという二重の指揮監督の関係が制度上あるわけですけれども、これは機関委任事務でなくなりますと、その辺も整理をされていくだろうというようなこともございます。
量としてこれをはかることは、今の段階ではなかなか難しゅうございましょうけれども、ただいま申し上げましたような権限移譲ということで国の事務が減ることによって、それだけ国の仕事が削減されるということが一点。それからもう一つは、国から地方への関与の是正、そういうことを通じまして、これは国も地方も両方でございますが、事務が合理化されていく、そういう面。定性的に申し上げまして恐縮でございますけれども、そういう点ではなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/63
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064・今井宏
○今井委員 大臣の、権限は基礎自治体へ、財源はその後の問題でしょうというお話も午前中ございました。実は、財源がやはり大事なわけでございますし、財源がこれまた中央コントロールであったのでは分権にならないわけでございまして、その視点から何点か御質問をこれからさせていただきたい、こういうふうに思っておるわけであります。あくまで自主的な自主財源を基礎自治体が持っていくという基本姿勢みたいなものが大事ではないか、こういうふうに考えているからでございます。
さて、御案内のように、地方財政の財源不足が平成六年以降四年連続続いておるわけでございます。これは一つに、平成の景気の後退、あとは住民税減税がそこに重なりました。地方税の収入の大幅な落ち込み、そんなわけで地方財政が大変な低迷を続けているわけでございますし、補助金など国庫支出金もほぼ横ばい状態。これにかわる保障財源としては、地方交付税も、四年間見ますと約一〇%程度の伸びしかない。こういうわけでありますし、またこの間、景気を回復するという政府からの依頼で、地方も単独事業に一生懸命取り組みました。財源不足でございますので、その財源を地方債に求めていくわけでございます。したがって、当然のことながら、公債費の負担が増大いたしまして、地方財政の収支の悪化につながっているわけです。
ということを考えてみますと、この四年間の流れだけでも、これは構造的な問題だろう、このように考えておりますが、大臣の御所見がございましたらお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/64
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065・二橋正弘
○二橋政府委員 ただいま委員御指摘のように、現在の地方財政は四年連続して大幅な財源不足になっております。今お話がございましたように、景気の後退に伴いまして、税、交付税の伸び悩みがございます。また、減税の減収補てんのための地方債の増発も行っておりますし、景気対策による地方債の増発も確かにございました。また、ずっと恒常的に、高齢化に伴います地域福祉施策の推進でございますとか、住民に身近な社会資本の整備のための財政需要といったようなものも引き続き増大をいたしております。
そういうことがいろいろ重なりまして、現在地方財政は、この九年度末で百四十七兆円という借入金残高の見込みになっておりまして、この償還が今後の財政の大きな圧迫要因になるというふうに見込んでおります。国と同様に、構造的に見ても厳しい状況にあるというふうに認識をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/65
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066・今井宏
○今井委員 状況はそういう状況なのでございますが、やはり構造的な問題であるならば、それに対処するのも構造的な問題をもって対処しませんと、対症療法では直らないだろう、このままずっといってしまうだろう、こういう視点からお答えをいただきたかったわけでございます。
今回の地方財源の不足を見ますと、歳入をふやすか、あるいは歳出を削るか、入るをはかって出るを制する、これは基本原則だ、こういうふうに思うわけでございますけれども、九年度の地方財政計画の内容では、地方自治体に自主的な財源を確保する、あるいは拡充するという言及が全くございません。国庫補助金の整理合理化の言及もございませんし、歳出の方を見ますと、地方で行政改革を自主努力をしていく、地方自治体経営をしっかりやっていく、しっかりやればこういうサポートをしてやるよというような言及もないわけでございます。それから、心配しております地方債の発行の歯どめの具体策がないわけでございまして、足りないものは地方交付税で手当てをしていきましょう、こういうふうに見えるのでございますけれども、そのように認識してよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/66
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067・二橋正弘
○二橋政府委員 先ほど申しましたような地方財政の現状にかんがみまして、平成九年度の地方財政対策に当たりましては、地方消費税が平年度化しないという影響、これは単年度の影響がございますが、それを除きました通常収支の不足類がなお引き続き相当多額でございまして、四兆六千億を超える、こういう数字になりましたので、一つは、地方交付税の増額措置により補てんをすることにし、もう一つは、今お話にございましたような地方債の増発ということで対処することにいたしたわけでございます。
その際に、その前提として、九年度におきましては、御案内のように、平成六年度の税制改革で創設されました地方消費税がいよいよ実施に移されることになりました。また、個人住民税の特別減税、財源の手当てのない減税が行われておりましたけれども、これは平成八年度限りということになりましたので、その分については税の増収が図られるということでございます。地方税全般につきましても、地方財政計画で九・六%の増というふうな見込みで地方税の充実が図られておるというところも御理解をいただきたいと思います。
また、歳出につきましても、そういう状況にかんがみまして、歳出全般についても抑制基調にし、かつ、一般歳出につきましては、特に〇・九%増という、そういう徹底した抑制的な基調で財政の健全化の第一歩を踏み出すということにいたしたところでございます。
先ほどお話がございましたが、国、地方通じて今非常に厳しい状況でございますので、現在、政府・与党が一体となりまして、財政構造改革会議を設置し、国、地方を通ずる財政再建方策についていろいろな角度から検討いたしておるところでございます。今後、私どもといたしましては、各地方団体に対しまして、より一層徹底した行財政改革の取り組みを要請いたしますとともに、何よりも国、地方を通ずる行政の簡素化、効率化、そういう方策を講じて、財政健全化に取り組んでまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/67
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068・今井宏
○今井委員 おっしゃるように、地方消費税、後ほどまた御質問させていただきますが、それと交付税、こういうことが主な歳入要因であるわけでございますけれども、基本的な方向としては、言われておりますように、補助金制度の見直し、これらをする中で一般財源化をして、あるいは地方単独事業の措置を、交付税枠の中での措置をしていく、後年度、交付税で見ていくよ、そういう形で枠の拡充の方向をとっているやに見えるわけでございますが、これでは今御答弁いただきました構造改革にはならない、今までと同じことをやって、いわゆるツケ回して結果的には後に先送りしている、こういうふうに思えてならないわけであります。
まさに地方分権を真剣に進めるのであれば、地方税制の抜本的な改革を通じて均衡のとれた地方の自主財源の確保を図る、そういう方向性、こういったものを出していかないと、交付税ですと何か与えられるといいますか、国にいつまでたっても依存体質というものが抜け切れないのではない
か、本当の自治意識が育たないのではないか、こういう心配をしておるわけでございます。構造的な改革につきまして、どのようにお考えになっているのか、お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/68
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069・二橋正弘
○二橋政府委員 この地方財政の再建を図っていく上で、いろいろな課題がございますが、先ほど申しましたように、地方の自主財源を強化するということが、これは最も大切であるということは御指摘のとおりでございます。
また、国庫補助金の整理というのは、私どもは構造的な改革に意味があるというふうに思っておりまして、地方の本当の自主性を高めていく、あるいは財政資金の効率的な使用を図るという意味で、できるだけ補助金を整理してその地方の一般の財源に振りかえていくということは、財政の構造的な立て直しにも非常に大きな意味があるものというふうに思っております。
地方の一般財源を充実する際に、地方の自主財源であります税の増強、これが最も望ましいことは御指摘のとおりでございます。ただ、地方税源につきましては、どうしても偏在ということが避けられないという、そういうことがございますので、やはり地方税と地方交付税とを組み合わせて地方の一般財源を増強していくということが、私どもとして目指す方向ではないかというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/69
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070・今井宏
○今井委員 それでは、課税標準を同じくしております所得税と住民税との関係、あるいは法人税と事業税の配分の比率を考えてみる、そうすることによって地方に財源を移譲していくという考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/70
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071・湊和夫
○湊政府委員 ただいま財政局長から御答弁申し上げましたように、今後の地方分権の推進に対応して地方の税財源を充実強化していくということは、私どもにとりましても大変大きな課題と思っておりまして、基本的な、構造的な取り組みになるものと思いますけれども、その中で、今お話のございましたように、税を国税から地方税へ配分を変えて、それによって税収をふやして構造改革すべきではないか、こういうお尋ねかと思います。
この議論につきましては、いわゆる一般的な方法論として、国から地方に税財源をある程度の規模まとめて移転するということを前提に考えました場合に、今御指摘のような諸点は当然念頭に置いていろいろ検討材料となるべき諸点だというふうに思っておりますけれども、今後の具体的なこの分権推進に当たりまして、国から地方へどういう形で、どういう規模の税財源というものを移転すべきか、こういうことと密接にかかわって、具体的な手法としては検討していかざるを得ないもの、こう思っておりまして、そういう問題はこれから分権推進委員会のことし前半の取りまとめの中に当然議論として位置づけられていくものというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/71
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072・今井宏
○今井委員 ありがとうございます。
検討という言葉がどうしても役所は多いわけですが、私も市長経験で、本会議で私が検討と言ったことは英語で言うとノーということですよというふうに議員に全部言っておいたんです。そうしますと私に質問は来なくなりまして、その検討の意味はいろいろあろうかと思いますが、前向きにどうぞ、こういう革命的な時代の転換期でございますので、ひとつよろしくお取り組みをいただきたいと思います。
さて、お手元に昨日、東京大学教授で地方分権推進委員会の専門委員であられます神野直彦先生の「論壇」、小論文をお渡ししてございます。ここで、神野先生のお考えにつきまして、ちょっとお聞きをしたいわけでございます。委員の皆さんもいらっしゃいますので、ちょっと概略御説明させていただきますが、神野先生はこのように言っています。
「財布の自治」がなければ、真の自立がありえないことは、人間も地方自治体も同じことである。自治体も自分の力で財源を調達し、自分の「財布」を自分で管理できるようにならなければ、地方分権は実現しない。
ところが、日本の自治体は、自分の「財布」を自分で管理する能力がないと見なされた「準禁治産者」のような状態におかれている。
親からの仕送りで生活する子供がいつまでも自立できないように、自治体も補助金にしがみついている限り、国との上下・主従の関係を解消して自立し、対等・協力の関係を実現することはできない。しかも、ひとたび補助金という仕送りの味を覚えると、自力で生活の糧を稼ごうという意欲を失い、経費支出も放漫となり、地方の行政改革も進まない。
こうした状態を打破するには、地方政府が自分の地域社会から調達する地方税という自主財源を拡充すればよい。
国税を移譲して地方税を拡充しつつ、自治体の財政力格差を是正する選択肢は、いくらでも存在するからである。
こういう中で、神野先生は、住民税の税率を一五%の比例税率にした事例を発表なさっているわけでございます。そうすることによって、
このように知恵さえ絞れば、自治体間の財政力格差を是正しつつ、地方財源を拡充していく選択は可能となる。自主財源が拡充すれば、自治体は「財布の自治」を回復し、財政の自己決定権を確立することができる。
このように自主財源の拡充こそ、焦眉の政策課題である地方分権、行革、財政再建を解決するカギである。
このように述べておるわけでございますが、この神野先生の御提言に対しまして、御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/72
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073・湊和夫
○湊政府委員 ただいまの神野教授の論文についてでございますが、神野教授は分権推進委員会の中の地方税財源のプロジェクトチームの座長もお務めになっておられるお立場で、地方のこれからの税財源のあり方ということについて、いろいろな角度からこれまでも御議論をちょうだいいたしておるところでございます。
今回のこの論文は、念頭に置かれましたことは、地方に税を回しても偏在の問題があるのでなかなか思い切って税を回すことができないんではないか、あるいは仮に大規模な国から地方への税源移転というものを考えます場合に、先ほど御議論ありましたように、例えば所得課税というようなことを議論しますときに、所得の課税を大幅に地方に回したときに本当に地方の偏在の問題が対応できるのか、的確に地方の財源として活用できるか、こういうような議論が地方への税源の移譲等にかかわる反対側の議論として一方にあるわけでございます。そういった議論に対する一つの提案として神野先生は、所得課税を活用する場合でも、比例税率化することによって今の所得課税よりはより地域の偏在性をなくす工夫もできるではないか、こういう趣旨の主張をなさっておられるわけでございます。
このこと自体は、いろいろそれはもちろん、所得税の体系が一体どうなってしまうか、あるいは住民税と所得税の負担感、今でも例えば住民税の方が実は総額では小さいわけでございますけれども、住民税の負担が大きいということが住民税課税にとって非常に、これはボーナスから差っ引いてないということもありまして、毎月の徴収額を見ますと住民税の方が多いんではないか、こういう誤解もあるわけでございます。そういうことにありますように、税それぞれとしての負担意識や税の構造といったようなことも最終的にはいろいろな角度から検討する必要があると思いますが、いずれにしても、偏在性に対する一つの大きな投げかけとしての意味合いを持った御議論であろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/73
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074・今井宏
○今井委員 自治大臣、大変強い自治大臣で本当に尊敬を申し上げているのです。大蔵大臣よりもさらに強いと私は思っておるのですが、どうでしょう、いい意味で地方自治体の立場、地方自治大臣という立場であらゆる知恵を出して、大蔵といい意味で緊張し、いい意味でけんかをする、そうしないと革命はできない、こういうふうに思っておるのですけれども、白川大臣の御英断を求め
たいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/74
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075・白川勝彦
○白川国務大臣 私は余りこういう数字が得意じゃないし、好きでないものだから政治の世界に来たわけでございまして、本当に細かい議論はわかりません。ただ、大蔵委員会には六、七年いたことがありまして、税の執行体制というのでしょうか、税を捕捉するというのは大変なことなのでございます。例えば、このように住民税が一五%で所得税ゼロ、こういうようになった場合、果たして国は、自分の所得税が一銭もかからない人の税の捕捉に努力してくれるだろうか。あるいは、中所得者層、住民税が一五%、所得税が五%というのなら、じゃ、どうぞ地方自治体でやってくださいということになりはしないでしょうか。
たしか国の徴税職員は五万人、それに対して地方の徴税職員は八万人ぐらいいたと思うわけでございますが、地方税の方は細かいというところもありますけれども、税の執行能力というか税の捕捉というのも実は大変力が要ることでございまして、それらのこともこの論文の中には全然触れていないような気がいたしますが、税を捕捉するというのは大変なことでございまして、私はそういう論点がちょっとここには欠けているかなという気がいたします。
ただ、いずれにしましても、私は別に国の方の味方をするつもりはないので、地方の方に自主的な財源が出てくることは好ましいと思っております。そして、本当に分権が進めば、かなり個性のある税をつくることは理論上は可能だと思いますが、この国会で、御案内のとおり、税を取るのでもこれだけの大騒ぎでございます。ましてやそれぞれの地方自治体で、制度としてはあっても、一つの独自の税を起こすということは、相当議会が強くなければ、私はそう簡単にできることだと思っておりません。
どうかそんなことを踏まえて、そういうところは自分で税が取れないのだから仕方がないじゃないかと。これは法律の面で税目を起こすことはできない、それから執行能力がないという面において、財源がないのはいたし方ないということで、ナショナルミニマムというものはあるわけでございまして、それらを踏まえて、本当にお金の話というのはシビアに物を見ていかなくてはいかぬわけでございます。私はそういうシビアなのは選挙だけでいいと思うものですから、余りシビアな話をするところに首を突っ込んだことはないのですが、私も別にこれらの問題については、最後は課税自主権がなければ真の自治がないのは当たり前だと思いますが、しかし、そういう面で、口で言うのと、実際そういう権利と義務を負って、そして地方財政を支障なくやっていける財源を確保するというのは、これまた別の能力がないとやっていけないのだということをお互いに拳々服膺しながらこの議論を前向きに詰めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/75
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076・今井宏
○今井委員 御案内のように、財政支出に見合った地方財源のシステムを新しく構築していかなければいけないわけでして、現在、実際には、最終支出は地方で七〇%使っているわけでございますので、一たん中央へ吸い上げてそれから地方、これをむしろドイツなんかのように地方で集めて中央に、こういう分権が徹底しますと、共同税なんていう仕組みもあるわけでございますので、いろいろな意味で大臣の強烈なリーダーシップに期待をしておりますので、優秀な自治省の職員の英知を結集して、地方自治体に自主財源、いわゆる財源の確保というものをしっかりと図っていただきますように御指導をお願い申し上げたい、こういうふうに思っております。
そういう意味では、大臣は財政構造改革会議にも御出席ですし、それから政府税調等々で、もちろん国全体の財政をどう健全化するかというのが一番ですが、だからといって地方の財政の健全化をほうっておいていいというわけではないわけでして、もう両輪でございますので、地方はどうしても、後から来るといいますか、忘れられてしまいますので、一緒に議論をして、ぜひ構造改革を進めていただきたい、このようにお願いもさせていただきたいと思っております。
時間の関係で、次に地方交付税の改革につきましてお尋ねを申し上げたいと思います。
地方六団体からかねてから要望が出ております、地方交付税を一般会計を通さずに交付税特別会計に直入する仕組みに変えられないのはどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/76
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077・二橋正弘
○二橋政府委員 交付税を特別会計に直接繰り入れるという問題につきましては、地方の関係者もそういう意見が多うございますし、地方制度調査会の答申等においても、そういう御指摘をいただいているところでございます。
私ども自治省といたしましては、地方の固有財源である地方交付税の性格を明確にする見地から、交付税特別会計への直接繰り入れの実現を図ることが望ましいものと考えておりまして、国庫当局に対しましては毎年要求をいたしておるところでございます。
しかしながら、これまでは、国庫当局の側から見ますと、地方交付税を一般会計から除いてしまいますと、一般会計が国の財政全体を反映しなくなるというふうなこととか、交付税の交付に当たって、国税の収納実績に応じて交付することになるので、各交付時期ごとに法定額を交付することが困難になるのではないかといったような問題が提起されておりまして、これまで国庫当局との合意を見るに至っていない問題でございます。
そういうところでございますが、私どもとしては、今後ともこうした問題点を踏まえつつも、実現に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/77
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078・今井宏
○今井委員 大臣、ひとつよろしくお願いを申し上げます。これを直入じゃなくて一たん国の一般会計へ入れますと、やりくりによってどうしても手かげんができてしまうのですね。また、手かげんをやりたいわけです、政府としては。地方としてはそうじゃなくて、特別会計にして、交付税はそれだけできちんとやってもらいたい、こういうふうに考えて長年要求しております。自治省さんもそのように考えていらっしゃるわけでございますので、大臣ならできますので、期待しますので、ひとつよろしくお願いしたい、こういうふうに思っております。
さて、その交付税なんでございますけれども、交付税の仕組みがいかんともわかりづらいわけであります。非常に複雑でございまして、これは簡素化できないだろうか、こういうふうに思っております。
今年度の地方財政計画では、補助金よりも交付税の額の方が多いわけですよね。補助金が十二兆九千億、地方交付税が十七兆一千億、地方財源に占めるウエートがかなり大幅に上回っておるわけでございます。この巨額の財源の配分システムは、私たち議員にもなかなかわかりませんし、ましてや国民には全くわからない。交付税の算定基準、その配分、調整システムというのが、一応、測定単位掛ける単位費用掛ける補正係数、こういうことになっておるわけでございますが、もっとわかりやすい形で交付税というのが示されて、こういう国会の場のみならずもっともっと公開されて、わかりやすい、だれでもわかる、政治の関与もできる、地方自治体の人もわかる、こういうものに改めていかなければいけないのではないかと思うわけですが、いかがでしょうか。
〔委員長退席、山本(公)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/78
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079・二橋正弘
○二橋政府委員 地方交付税の算定につきましては、いろいろな御意見のあるところでございます。まず基本的に、今おっしゃいましたように、交付税は、基準財政需要額と収入額を計算をして算定することにいたしておりまして、それぞれ需要の算定、収入の算定につきましてはすべて、いろいろな出版物といいますか、書類といいますか、算定の中身につきましては、やり方につきましてはいろいろな形で、地方の関係者がすべてわかるような努力を私どもいたしておりまして、実際に公開されているものをすべてごらんいただければ計算はできることになっておりますが、ただ、最近かなり複雑になってきているのではない
かということは、確かに御指摘のような面もあると思います。
このことは、要するに地方交付税が、地方団体が処理しなければいけない事務についての財源の手当てをする、あるいは財源の保障をするという機能を持っておりますので、いわば地方が責任を持って実行しなければいけない事務事業の内容とか水準とか、要するにそれがどの程度法令等によって定められているかということと、いわば裏腹の関係にあるわけでございます。
具体的には、各分野、教育あるいは福祉あるいは公共事業の関係等々、国庫補助負担金制度を通じましたり、あるいは各種の法令等に基づきまして地方団体が行わなくてはいけない事務、それの水準、これらがすべて法令で定められていて義務づけられているということが、そういう分野が非常に多いわけでございます。したがいまして、そういうものに対して、今地方自治法なり地方財政法で地方団体に対する財源保障を行うというふうな法律上の義務づけを行っておりますので、それに応じて需要の算定をしていかなくてはいけないということから、特に最近は法令等によるそういう内容の規定が複雑といいますか、あるいは多くなっているということを反映して、交付税の計算が複雑なものになってきているということは確かでございます。
この問題につきまして、今申しましたような事情で地方の行います事務事業との裏腹の関係にありますので、もう一つは、地方団体の中にも財政力の比較的強いところと財政力の弱いところ、財政力の弱いところでは、それだけ非常にたくさんの事務が義務づけられておりますと、それをできるだけ精密にといいますか、需要で計算をしてほしい、そうしないと自分のところの事務の執行ができないということから、そういう要望が非常に強うございます。比較的財政力のあるところは、交付税に依存する程度が少ないものですから、もう少し簡素なものでいいのじゃないかというふうな意見がございまして、地方団体の間でもなかなか意見の一致を見ない面があるところでございます。
しかし、私どももいろいろな御意見を踏まえながら、できる限りやはり簡素化を図るべく検討はしなくてはいけないというふうに思っておりますし、それから最初に申しましたように、国と地方の役割分担との裏腹といいますか、表裏一体の関係でもございますので、これからいろいろ行財政改革を進められていく過程あるいは地方分権が進んでいく過程で、役割分担の見直しでありますとか国庫補助負担金の整理合理化といったようなことを通じて、法令等による地方団体への事務の義務づけといったようなものがもう少し緩和できないかといったようなこととも密接に関係するわけでございまして、そういう状況を踏まえながら、算定の簡素化ということについては検討していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/79
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080・今井宏
○今井委員 ありがとうございました。
いや、実は、算定の基礎となります測定単位が、御答弁ございましたように、単位費用とか測定単位は交付税法で定まっているわけですが、補正係数は政令で定める、こういうことになっておりまして、各地方の交付税額は当然この数値の組み合わせになってくるわけですので、この配分のあんばいというものが、これが事実上自治省の手のうちに入っている、こういうふうに地方では見えてしようがないのですよね。ですから、本当に分権をやる自治省であるならば、そういったものをなるべく簡素化していくという御答弁を今いただきましたけれども、わかりやすく、簡素化を強く求めていきたい、こういうふうに思っておるわけであります。
それから、交付税で私がちょっと問題にしたいのがもう一点ございまして、この測定単位なのでございますが、人口とか対象者数、あるいは行政面積、道路、港湾などの面積だとか延長などによるわけでございます。このため、都市が当面仕事をしていきたいという課題に対応するために必要な財政需要のカウントがされづらくて、どちらかというと基盤が既に整備されている成熟都市の方が、未成熟といいますか、成熟発展途上市よりも多額の基準財政需要額が算定される傾向にどうしてもなってくるのではないか、このように考えておりますが、いかがですか。
〔山本(公)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/80
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081・二橋正弘
○二橋政府委員 交付税の算定に当たりましては、いろいろな費目ごとにどういう測定単位を使って計算をするかということが、それぞれの分野ごとの課題でございます。今お挙げになりましたように、道路の延長でありますとか面積でありますとか、あるいは人口とかあるいは高齢者の数でありますとか、ある程度客観的といいますか、数値を、私ども静態的と言っていますけれども、そういう側面でとらえて計算をするのが全部でありますと、今確かにおっしゃいましたように、整備が進んで、あるいは延長の多いところがどうしても多くなるという要素が出てまいりますし、これから整備するところが、いわばそのもとになります測定単位の数値が少ないというふうな面は確かにあろうかと思います。
そういうことがございますので、片方で特に投資的な経費につきましては動態的な算定もしなくてはいけないという要素から、例えて申しますと、港湾を整備をするというふうなときには、まだ整備されていないところで港湾を整備するということになりますと、その港湾の実際の事業費、これは運輸省が補助金を出して全体の事業費を設定するというのが多うございますが、その事業費をもとにして、それの一定割合を実際の事業費に応じて、あるいはそのときに起こした地方債の元利償還に応じて算入をするというふうな仕組みも組み合わせております。これは動態的な算定というふうに私ども俗に申しておりますけれども、そういう静態的な算定と動態的な算定と組み合わせて、今おっしゃいましたような面に対応できるようにいたしておるわけでございます。
そういうことがいろいろ加わってまいりますと、さらにもっとこういう面を配慮すべきではないかというふうなお話がどんどん出てまいりまして、だんだん詳しくなってくるという面が片方であるということを御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/81
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082・今井宏
○今井委員 それでは次に、消費税の方に移らせていただきます。
地方消費税、自治体側としては大変期待もされておるわけでございますが、都道府県への配分方式は、八分の六が各都道府県の小売販売額等の全国のシェアによる案分。八分の六ですから、これが圧倒的に多いわけでございます。そうしますと、都道府県の小売販売額等いわゆる商業上の計数に消費税ですから重点を置いているのだと言われてしまえばそれまでなのでございますけれども、例えば東京圏周辺、中部圏周辺あるいは大阪圏周辺、いわゆる大都市周辺の方々がどうしてもセンターの方へ行って消費をしてしまう、実際の消費力よりも消費水準が下がってしまう、こういうことがあろうかと思っておるわけでございます。
今度は、都道府県から市町村への配分が、二分の一を人口で、残された二分の一を従業者数でこれまた案分する、こういうことになりますので、従業者が集中する都市に有利に働いていく、企業活動が集中する都市に有利に働いていく。実は、そこで稼がせている、住んでいる場が不利に働く、こういうことになるわけであります。東京周辺を見ましても、東京へ勤める方が多いし、東京で買い物する方が多いわけです。そして、東京でインテリジェントビルを建てる、あるいは生産工場が建っている。固定資産税も工業優先ですから、住宅地ですと固定資産税の減額措置がありますが、低減措置がありますが、固定資産税もしっかりと工業優先でその自治体に入ってくる。
実際に地方自治体の行政需要がどこで来るかというと、働く場よりも、むしろ働いている人が住んでいる場に行政需要、サービスが要求されるわけです。例えば、生まれる前、赤ちゃんがおなかへ入って母子手帳ですし、それから幼稚園だ、学
校だ、結婚します、それからごみを出します、子供を産みます、育てます、亡くなってから葬祭料ですと、実は大都市周辺地域に行政需要が、また費用が圧倒的にかかるわけでございます。そういう視点から見ますと、この地方消費税の配分なのでございますけれども、自治省でどんな思案をなさって、どのような分析をなさっているのかをお聞きしたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/82
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083・湊和夫
○湊政府委員 地方消費税の消費課税としての性格というものに着目いたしまして、今、今井委員おっしゃられましたように、国税当局からその所在地の都道府県にまず税が入ってくるわけでございますが、それを各県間で清算をする。その際の基準は、やはり税であるという基本に立って、しかも消費課税であるという考え方を基本にいたしておりますので、それぞれの都道府県における消費に相当する額というのを基本にして考えるべきだ、これは税としての性格上、譲ることのできない部分だというふうに考えております。その際に、消費に相当する額というものを、客観性を持って、かつ正確に、どうしてとらえていくかということになるわけで、その点が今の話と関連することになろうかと思います。
例えば、今委員がおっしゃられた意味合いからいたしますと、例えば東京で買われて埼玉で実際には消費する、本当の物の消費という意味では埼玉で消費する、そういうようなケースを念頭に置きますと、今の配分は、消費と申し上げましても、やはり消費課税の基本からいたしますと、消費される課税資産が実際に譲渡され、あるいは直接対人サービスが提供された場所を消費地として考える以外に考え方がないのではないか。現にそういうことにしないと、先ほど申し上げました正確かつ客観的な指標というもののとらえ方もなかなかできないということで、現在、こういう消費に相当する額に対応します客観的な国の統計といたしましては、先ほど委員も挙げられましたけれども、商業統計によります小売年間販売額、それからもう一つ、対個人サービス事業の収入額、こういった形の指定統計があるわけでございまして、これに基づいて、基本的にそれぞれの消費に相当する額の清算をしていかざるを得ないのではないかというふうに考えておるところでございます。
大都市周辺の行政需要との消費税の対応関係でございます。これは財政全体を通じての議論でも同時にあろうかと思っております。交付税、税通じて、全体として適切に大都市の需要にも、大都市周辺の都市の需要にも着目し、そして、それぞれの地域で実際に配分された税源との関係で、最終的な財源調整も含めて適切な措置が図られるべきではなかろうかと考えておるところでございます。
なお、現在のように、地方消費税につきまして今申し上げたような清算方式をとるわけでございますけれども、委員も御承知のとおり、住民税、消費譲与税と地方消費税はいわば振りかえになっているわけでございます。その中の例えば住民税、これは所得課税でございますので、ある意味で地域的な偏在が消費課税に比べますと高いわけでございます。そういう点を考えますと、住民税等に比べまして偏在の少ない全体としての税源構成になりへそのことは大都市の中心地域と周辺部との関係を考えました際には、トータルで考えますと、個別団体については多少の入りくりはありますけれども、全体として考えれば、税源偏在のより少ない形に地方税制の仕組みはなってきているのではなかろうかというふうにも考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/83
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084・今井宏
○今井委員 この仕組みについては、住民税をたくさん納めているいわゆる生活都市の方が減税で歳入が減り、しかもこの消費税で、かつての地方譲与税と同じように、企業とかいわゆる工場とか、その数値で来るものですから、ダブルパンチを食うわけでございますので、その辺の配分方法に対しまして見直しするお考えがございますかどうか、お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/84
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085・湊和夫
○湊政府委員 現在の清算あるいは県から市町村への交付の基準につきましては、私どもとしては、現在得得る最も適切な数値を用いて配分する仕組みができておるというふうに考えておりまして、これから、初めて四月以降実施されるわけでございますので、現在、私どもとしては適切な運営に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
なお、住民税減税と地方消費税との入りくりの関係でございます。
確かに、住民税の減税が平成六年度ベースで大ざっぱに言って一兆円、それから消費譲与税の廃止分といいますか、これが地方消費税にかわるわけでございますが、消費譲与税の廃止分が一兆四千億強、二兆四千億が結局今回地方消費税に振りかわっている。平成六年度ベースでいいますと、住民税の減税と消費譲与税の廃止と、入れかわりに今度できます地方消費税の創設による増収は相バランスがとれておるわけでございます。
ただ、率直に申し上げまして、いわゆる税源を振りかえる、消費譲与税と地方消費税はある意味で類似した形の税源所在を基本的にはしているわけでございますが、一部が所得課税と消費課税にかわるということは税源そのものを入れかえるということでございますので、当然のことながら、個々的な団体のこれらの両方の税の所在状況はおのずと異なってまいりますので、そういった点についてはある程度避けられないことかなというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/85
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086・今井宏
○今井委員 時間の関係で、次に行かせていただきます。
介護保険でございますが、これは厚生委員会のマターかと思いますけれども、今、地方の声としては、地方に負担を押しつける制度なんだ、国が決めた画一的な基準に従う仕組みで、分権の流れに逆らっているのじゃないか、逆行しているのじゃないか。特に財政力の格差がありますと、ハードの施設のみならず、マンパワーの養成、こういうものにかなり格差が生じるのではないだろうか。
例えば国保なんかでも、東京はたしか年間千七百億円ぐらい持ち出しているのですか、助成しているのですか、ですから、東京はすごく国保税が安いわけですが、東京を離れますと、助成するゆとりがないものですから、国保税が高くなる、こういう格差が出るわけでございまして、この介護保険にもそんな心配をしているわけでございます。
この辺につきまして、地方の立場から見たときにそのような心配を私どもするわけでございますけれども、自治省としては、厚生省にこれとこれだけはこのようにするべきだというお考えがありましたらお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/86
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087・二橋正弘
○二橋政府委員 この介護保険制度がいろいろ検討されました過程から、私どもといたしましては、地方の、特に市町村の皆様方からのさまざまな意見が寄せられまして、それを踏まえて関係省庁といろいろ相談してきたところでございます。
特に市町村の場合には、今井委員も十分実際におやりになっておられましたけれども、いわゆる国保の財政についてのいろいろな御苦労が市町村の関係者の方におありなものですから、そういうことを踏まえて、介護保険制度についてのさまざまな問題提起がされたところでございます。
そういう過程でいろいろ相談をいたしまして、今回、介護保険制度につきましては、市町村を保険者としながらも、国、都道府県、医療保険者等がそれぞれ役割に応じて保険者たる市町村を重層的に支え合う、そういう仕組みにして、今御提案申し上げている制度をつくっておるところでございます。
すなわち、具体的には、財政安定化基金を都道府県に設置いたしまして、いわゆる六十五歳以上の第一号保険料の未納に対する対策として、赤字の二分の一を補てんする、あるいは給付費の増による赤字についての無利子の貸し付けをその基金から行う。第二点として、要介護認定等の事務費
の二分の一を国が支出する。半分は公費で負担するわけでありますが、その公費で負担する公費負担の分、それから医療保険者の負担の、いわゆる四十歳から六十四歳の第二号の保険料の負担について、それぞれについて、実際に行いました費用と徴収いたしました保険料なり公費負担との間で完全に精算を行うという形の制度にしております。市町村の方からまた、施設と在宅の同時実施といったような要望も出されておりまして、それらのことにつきましてもよく相談をした結果、今のような形のもので御提案を申し上げておるわけでございます。
また、マンパワーの関係につきましては、現在、マンパワーの確保につきましては、平成六年に策定いたしました新ゴールドプランに基づきまして、マンパワー確保のための基盤整備に係る地方負担について財政措置を講じているところでございますが、この介護保険法施行後におきましても、市町村、都道府県が策定をいたします介護保険事業計画に基づきまして新たな介護サービスの整備目標を定めて、それに必要な計画的な基盤整備を進め、またそれに伴う財政措置もしていくということにいたしておるところでございます。
これから、平成十二年度以降、実際に実施することになりました後、またいろいろ市町村の方がその実施段階を踏まえて、さまざまなまた経験を踏まえた問題提起があるいはされるかもしれません。そういうことにつきましても、市町村を入れた地方の関係者の意見を踏まえて検討をしていくんだというふうなことにつきましても、法律の附則の中にわざわざ規定を置いて対応していくということにいたしているわけでございます。私ども、国保の経験も踏まえながら、地方の意見をよくお聞きして、関係省庁とのいろいろな協議に反映させていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/87
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088・今井宏
○今井委員 時間が来ましたので終わりにいたしますが、どうぞ、分権は基礎自治体中心という大臣の強いリーダーシップを心から御期待を申し上げて、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/88
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089・穂積良行
○穂積委員長 松崎公昭君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/89
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090・松崎公昭
○松崎委員 先週に続きまして、新人でありますけれども、二度目の登板をさせていただきます。
大臣が三十分で次の予算委員会に退場されるということなので、特に大臣の意見をお聞きしたいということで中心的に先に聞かせていただきますが、まず、今回行われました小選挙区比例代表並立制、この選挙のことについてお聞きをしたいと思います。
いろんな経過で、私は新人でありますので、この選挙制度が導入される経過は新聞でしか闘いでおりませんが、大変な御苦労をされて皆さんが新しい制度をつくられた、それはよく承知しております。実は、私は新進党の比例区で立候補させていただいたものですから、その経験からちょっと考えを述べて、そしてまた大臣の意見をお聞きしたい、そう思っております。
私は、比例区というのは将来、二つの前提があるのですけれども、政党が成長する、政党が成熟する、そしてまた国民のレベルが成熟した場合にはかえっていい制度かなと。私も地方選挙を七回戦っておりますから、今までは個人の名前を書く選挙をずっとやってきたのですけれども、初めて、嫌々ながらですけれども比例区になりまして、やってみましたら、政策をしっかり訴えることができる、そしてあくせくした選挙じゃない、そういうことで、ヨーロッパ、特に北の方のヨーロッパの方ではもう名前を書かない、政党と政策で戦う、非常に本物の政治ができるのかな、そんなことでそれは考えたのですが、残念ながら制度上の問題がありますから、例のオレンジの問題みたいな形に、政党の順番のつけ方、これはまた極めて透明化していかないといけない。これは政党がそういう意味では成熟して、国民に開かれた順位づけをする、そんなことをやれれば私はこの制度はいいと思っておりますが、たまたま大臣は同じく比例区から出られて、今度はコスタリカで小選挙区の方に出られるというふうにお決まりだということでありますので、特に小選挙区は、お名前を書く選挙は大臣既に今までも何度もやっていらっしゃいますから、その両方を経験した大臣として感想をお聞きしたい。
また、今回いろいろ問題がありました。供託金の没収で当選したという、いわゆる飛び越し当選ですか、それから法定得票数に満たない方々、これは八名いたわけであります。それから、指摘されておりますのは、同一順位、これは新進党は少なかったのですけれども、自由民主党さんは大変多くの方々が重複されて、この重複の比例区の当選者、八十四名、四〇%、そのくらいいたわけです。ただ、これは中小政党に対して非常に配慮があるといういい点もあるわけでありますけれども、そういうことを含めまして、御経験から、そして将来の小選挙区比例代表並立制、ぜひ大臣の御経験からのお答えをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/90
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091・白川勝彦
○白川国務大臣 選挙制度について、それぞれ何が理想の選挙制度か、こう問われれば、相当一人ずつ違うかもわかりません。ですから、私は、今自治大臣という立場で、今の法律が現にあり、この法律に従って選挙を守るという立場から、今触れられた幾つかの問題点について私なりの意見を申し上げてみたいと思っています。
正直申し上げて、私は北陸信越ブロックの一位でございましたが、この一位というのは非常にいいものでございますが、これが、結果は五つとりましたけれども、これが六番目とか何かになったら大変だったのじゃないかな、こう思っています。そういう面で、順番をつける方は楽かもわかりませんが、順番をつけられることによって、だれが判定するのかわかりませんが、選挙がないわけでございますからだれかが判定しなきゃいかぬわけでございます。そこに正しい順番をつける能力があるのだろうか。私は、実は、自分の選挙区はさすが自分ではつけませんでしたけれども、ほかのブロックのところ、私も素案を書いた一人として、あらゆる知恵は絞りましたが、これが絶対だなどというどうも自信はありませんでした。そういう問題がございます。
そして、重複立候補が是か非かという、私は、この制度をどう使うかという問題だと思います。制度自身はあります。やめる、やめないはそれぞれこれから各党各会派で決めていただければいいのでございますが、例えばこういう点はどうなんだろうかと、まず問題提起したいのでございます。
小選挙区制の最大の欠点は死票が多いというのは、小選挙区制といえばもうすぐ連想ゲームみたいに出てくる言葉でございますが、例えば、Aという候補とBという候補が激突した、わずか二、三千票差だったというふうな選挙結果がございます。そして、自由民主党の場合は原則重複立候補しておりますので、新進党の方が一位をとった、自由民主党が二位だった。しかし、二、三千票差ならば、惜敗率が高い方でございますからほとんど当選しています。そうしますと、何と最終的には有権者の投票のうち、議席につながったという意味では九十数%が死票にはなっていないわけですね。見事に小選挙区制の死票が多いという点をクリアというか、この問題は解決しているんだというふうに言えないだろうか。また、きっとそういうようなことでなされたのだと思うわけでございます。
それから、同一順位という問題は、実際私どもはコスタリカ方式という人たちが、私もそうだったのですが、そういう問題がありましたので苦労いたしましたが、できれば私は、近畿ブロックで採用したように、現職も新人もなく、全部同一順位が一番いいと思っております。そして順位は、政党の一定の限られた人間が、基準と言えるかどうかわからないもので無理してこれが正しいんだといってつけるしかないわけでございまして、そんなことよりも、一生懸命頑張りなさい、そして小選挙区で一番信任を受けた人はもう小選挙区で当選して、比例なんて関係ありません、しかしあとは惜敗率ということで決まっていくという、あ
の当時も随分議論されましたが、私は一つの仕組みかなと思っております。
それから、もう一つの問題といたしましては、候補者がそんなにいるのだろうかという問題に私は正直言って遭遇いたします。また各党とも遭遇したのじゃないでしょうか。三百の選挙区にこの人はと思う立派な候補者を全部立てて、かつ比例で過半数とりたいというぐらいのというと百人、四百人ですね。これはもう一度の人を衆議院議員にしても万全なんです、みんな受からせてくださいという、これだけの候補者をそろえるというのは、そんなに各党にとって楽なことなのでしょうか。
私は、現実に、我が党といえども、自由民主党といえども、三百の選挙区は諸般の事情があって埋められませんでした。そして、全部が全部万全の自信というよりも、とにかく三百、自由民主党の場合は立てなきゃいけないのだということで、もう最後はしようがないということで決めたケースだってあります。
本当に、そういう面でいいますと、三百の選挙区すべてに候補者を立てて、さらに比例区ですから、それよりも人格、識見が高いか低いかは別でございますが、さらに百人近くの候補者を立てるというのは口で言うほど簡単でないような気がいたします。そういう面で私は、重複立候補という問題もそう世間がぼろくそに言うほど悪い側面だけでないのじゃないのかなと。
私は、先生御案内かどうかわかりませんが、小選挙区制の導入という政治改革法案には、基本的に反対の立場でございました。理由は極めて簡単なのでございます。我々は、自由な社会をつくろうとして今日まで努力してきた。自由な社会をつくろうとしているのに、小選挙区制というのはどう考えても、政治的な価値観だけは二つとか三つに収れんしようという、これはどうしても私は理屈論でわからないという青臭い議論をしたのでございますが、一たんこういう制度が決まりまして、そして私は、自由民主党が一番この制度の中で苦労したと思うのでございます。
私はよく言うのでございますが、中選挙区制という中で、本当に中選挙区制の戦いをやってきた政党というのは自由民主党だけだったのじゃないだろうか。かつて社会党がごく限られた選挙区で一選挙区二人立てたとかというのがあったようでございますが、中選挙区の中選挙区たるゆえんは、一つの選挙区に複数人、党の公認候補が出るということでございます。それが今度は、一選挙区で一人というのは、よく私は演説でも言ったのですが、相撲取りに今度はプロレスをやれという話なのじゃないだろうかと。自由民主党は文字どおり相撲取りからプロレスラーにならなければならなかった。そこで自分の体質を変えなければならなかったわけでございます。そういうことで反対した人もいるかもわかりません。
ただ、いずれにいたしましても、今回できた制度を、私自身、党の総務局長という立場で実際やってみて、今の制度は今の制度なりに、いい悪いは別として、私は、一つの完結された物の考え方に立っているというのが、何も自治大臣になってからでなくて、党の総務局長のときにそう感じました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/91
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092・松崎公昭
○松崎委員 白川大臣は一位で、私は実は七番目だったものですから、大変な思いをさせていただきまして、そういう意味では、私はこの比例区の矛盾を一身に受けて勉強させていただいた。
ただ、私、一つここでお話ししておきたいのは、今、世間では友部問題ということで新進党が一身に非難を受けておりますけれども、これはある意味ではどの政党も同じではないか。自民党さんもなかなか順番のつけ方は、党員の数だとか党費でありますとか、それぞれ大変な思いをした。ですから、これは全体の問題として、友部の問題を消したり避けたりする気はありませんけれども、制度としてもじっくりとらえるべきだろう、そういう認識を私は持っております。
さて、もう一つ、大臣は非常によくお答えいただきますので、時間がなくなりますので。
投票率が非常に低い。この前の選挙はもう戦後最低。各首長選も低くなっております。随分、不在者投票の工夫をどうしたらいいか、こうしたらいいか、そんなこともあります。後ほど私が取り上げます住民基本台帳ネットワークのカード化、こんなこともそういう不在者投票を上げることにもなるかもしれませんが、自治省では公選法の改正を目指して研究会を、投票率を上げるということをやっていらっしゃるようでありますけれども、お答えいただけましたらいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/92
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093・牧之内隆久
○牧之内政府委員 投票率の低下の背景としてはいろいろなことが言われているのでございますが、私どもは、選挙を管理、執行するという立場から、管理、執行面において投票率に寄与する改善策はないのであろうかということで、投票率向上のための環境整備という観点から、事務レベルの研究会を発足をさせまして、現在検討を行っているところでございます。例えば、投票時間の延長でありますとか、あるいは投票二日制でありますとか、それから御指摘のございました不在者投票の拡充、こういったものを議題として取り上げようといたしておりますが、そういうものに限らず、投票率の向上に寄与する改善策あるいはアイデアであれば、幅広く多方面から検討いたしたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/93
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094・松崎公昭
○松崎委員 これはしかし、皆さんのいわゆる管理、執行の問題よりも、やはり民主主義のレベルの問題、国民の政治意識の問題。逆に言えば、私はよく、太平の世の中の証拠だとか、一概に投票率が悪いから悲観することはない、逆に言えば暗黙の了解なのだ、そんなことを言うこともありますけれども、やはり投票率は欧米の方がまだいいわけでありますので、この辺はやはり皆さんで、我々も含めて政治をやる側もこれから検討しなくてはいけない、そう思っております。
次に、過日大臣が新聞で、政党助成金のことに関して御発言がありました。これは選挙と金、いろいろありますが、やはり資金の問題、お金の問題は非常に重要でありまして、これも相当先輩の方々が御苦労されて政党助成法をつくったと思うのでありますけれども、現職の自治大臣がこれに批判をされている。あるいは、何かもっと新しい、あるいはかわるべきよりよき方法をお考えでこういう御発言をされたのか。福島県郡山ですか、よろしくどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/94
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095・白川勝彦
○白川国務大臣 きのうもお尋ねがありましたが、私自身いつも言うことでございますが、私は、自分の言動には責任を持ちますが、それを報道される、報道された方については責任を持てませんので、まあ、ここには委員長が、たまたま私が発言したときもいたわけでございまして、テレビも撮っているので、もし必要ならば全部起こしていただいていいと思うのでございますが、私はこういうことを申し上げました。
民主政治というものは、国民のいろいろなメッセージを託されて私たちは議員になるのです。票で、こういうことをやってほしいという願いを込めて支持してくれる人もおります。同時に、こういう政治をしてほしいから、あなたの政治活動を応援するために政治資金を出してあげます、こういういろいろな人に支えられて我々は政治活動をしているのじゃないでしょうか。
そうした中で、政党によって私は一番苦労するところが逢うと思うのでございますが、ただ、どんな政治家も、ごく一部の政党や政治家を除きますと、何らかの意味での固まりをつくらないと当選はしません。一回は風に乗って当選しても、二度、三度は受からないわけでございまして、その固まりをつくるというのが非常に我々政治家が苦労するところなのではないでしょうか。
しかし、組織政党と言われるのは、大きな固まりがあって、その上に候補者がぽんと乗っていればいいケースが多いわけでございます。あるいはそのウエートが高いわけでございます。ところが、自由主義政党、自民党もそういう色彩が強いわけでございますが、これはそういう固まりというのは最初からないわけですね。ですから、私ど
も中選挙区のときはそうでございました。小選挙区になったといえどもその基本は変わらないので、固まりをつくらなければいけない。だから、固まりが既にあってその上に一つの政党が乗っているのと基本的に違う構造にあります。その一つの固まりをつくるのに、いろいろな意味での政治資金が要るのであります。だから、自由民主党という政党は、金が好きだから政治資金を集めたがっているのではなくて、我々は組織そのものをいつもつくらなければいかぬから、自由民主党というのは他の組織政党に比べて政治資金が要るのです、こういうお話をしたのが第一点でございます。
もう一つの話は、民主政治というのは、メッセージのある票、メッセージのある政治資金で、そしてそれぞれを託されて政治をやるべきなのであって、税金という、ただいい政治をやってくださいというメッセージがそこにあるのかわかりませんが、国民の、こういう社会をつくってください、そういうメッセージがないお金で我々が全部政治をやるとしたならば、本当に我々は、民主政治、民の声というものに謙虚に耳を傾けることになるのだろうか、これが第二点目の内容でございます。
それから、個人献金というのは純粋で、何の個人的な要求もない、透明できれいで純粋なのだろうかというところも、私は二十一年間政治活動をやっておりますが、個人献金といえども相当にいろいろな個別の要求がありまして、月三万円個人献金してくださるというと、その人から見たら我々の代議士の事務所などというのは、何でも相談してもいい、就職から結婚から病人から、何にしたって相談してもいいというくらいに意外に思うのが個人献金なのではなかろうか。企業献金の方は、例えば月三万円くらい出しても、まあ経費の一つくらいというふうに、そんなに事細かに頼まれることはありませんが、個人で三万、五万献金している方は本当に、自分の永田町事務所くらいに我々は現実に使われておりますので、個人献金だから純粋でそしてピュアで、もうすばらしいのだという考え方には私は立たない、こういうことを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/95
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096・松崎公昭
○松崎委員 私も保守の方に属した政治活動をしておりますので、その辺のことは、二十年以上地方でやっておりますけれどもよくわかっております。
ただ、私も、公金をもって政党が活動するということは、どうも民主主義の原則からいって違うのではないかなという気は正直しております。ですから、これはなかなか難しい問題であります。そしてまた、この助成金ができた、いわゆるトライアングルの政官業の癒着とかそういった構造を断とうということもあったので、私は、この新聞を見たとき、逆行かなというふうに感じました。しかし、今の御答弁ではいろいろな幅広い御意見を言っていただきましたので、これはこれからやはり政治の世界でしっかりと議論すべきことであろう、そう思っております。
次に、地方交付税に関してお聞きしようと思ったのですが、我が党の今井先生から本質論を含めまして非常にしっかりとした御質問がございましたので、一点だけ、今の制度上でちょっと矛盾があるのではないか、そういうところだけ取り上げさせていただきたいと思っております。
それは不交付団体なのですが、不交付団体は今百四十三団体、県では一つですか、あるわけでありますけれども、どうもこの不交付団体が今非常に不利になっているのではないか。特に今回、税制の制度改正の中で、手元に入ってくる金が非常に少なくなっている。
例えば、私の県であります千葉でございますが、千葉市では、制度減税の影響額がマイナス七十四億。それから、今度の消費譲与税の廃止が四十二億。そして、今度地方消費税が新しくなりました。先ほどもお話がありましたが、八十四億入ってくる。それから、税源の移譲額、たばこ説とかそういったものが県と市の移譲がございましたが、これで十九億入ってくる。差し引きしますと十三億のマイナス。それから、私が住んでおります柏市でも、制度減税の影響額が三十四億、消費譲与税の廃止で十四億マイナス、地方消費税が新設されて新しく入ってきて二十七億、そしてまた税源の移譲で七億入りますがマイナス十四億、こういう状況であります。
交付税制度そのものの本質からいくとこれはしようがないんだと言われるかもしれませんけれども、一生懸命税金を上げで、努力して、少しでも自主財源をつくろうというところに、余っている、超過というのでしょうか、その部分がどんどん削られていくという矛盾を私は前から感じておりました。これでは、一生懸命自主財源をつくって努力をしていこうという意欲もなくなってしまうのではないか、これが非常に今回おかしいのではないか、その辺をひとつお聞きをしたいと私は思っております。不交付団体全体の、百四十二と一つの県、全部この計算方式で金額がわかるかどうかわかりませんけれども、もしおわかりになればお知らせいただきたい。
それから、いわゆる富裕団体という名目のもとにやる気を失わせてしまう。実際に担当者に会いますと、非常に矛盾している、よくなるはずが全然逆じゃないかと。余っている、超過と言われる一生懸命稼いで残したお金がどんどん、みんな交付金で手当てをします、手当てをしますといいますね、それで結局その余った分がなくなってしまう。ですから、その辺で少しかわいそうじゃないか。今の制度上でも、やる気をなくさないように、ちょっと矛盾があり過ぎる、どうにか調整できないものか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/96
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097・二橋正弘
○二橋政府委員 平成六年度の税制改革で、今お話のございましたような、個別団体ごとで見て税制改革前後でのプラスマイナスがあるということは、私どもも承知をいたしております。
基本的に、これは先ほども今井委員のお尋ねに税務局長からも答弁いたしておりましたけれども、住民税の減税を行います片方で、消費譲与税の廃止による減収分については地方消費税によって確保するということにいたしましたので、地方税の減収に対してはトータルとして地方税の措置でおおむねつり合っている、トータルとしては。そういうことになっておるわけでございます。
ただ、住民税、要するに所得の税源を減らして消費の税源に移しかえましたので、税源が移りかわりましたので、個々の団体ごとにはプラスマイナスがあるということは確かでございます。そういうある程度の過不足が個々の団体ごとに出てくることは、税源の移譲がありましてやむを得ないこととは思いますが、基本的には、今の財政制度の上では、地方交付税の算定を通じて最終的に調整されるというのが筋でございます。
ただ、今委員が御指摘になりましたように。交付税の算定をいたしました結果なお基準財政収入額が需要額を上回る不交付団体につきましては、その調整ができないということに確かになります。それで、今の交付税の制度でいきますと、交付税の仕組みの中ではそういうことは限界があってやむを得ないことというふうに私ども考えておりますが、かねてから不交付団体の方からそういう事情につきましてもいろいろ問題提起がされておりまして、今回、平成九年度の地方財政対策を講ずるに当たりまして、そういうことにも対応できますように、各個別の団体からいろいろ財政事情をお聞きいたしまして、地方債の配分等を通じて財政運営に支障が出ないように対応してまいりたいということで、関係の団体にもそういう趣旨のことを御説明しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/97
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098・松崎公昭
○松崎委員 制度からいえば、国からごらんになるわけですから、やはり少ないところ、弱いところに税金を回す、これは制度上は当然なのですけれども、交付税制度の根幹からいっても、独立性を強化することを目的とするとか、それからその使途を制限してはいかぬ、第三条の二項とか、そういういろいろ方針はあるわけですから、それにまじめに従っていたところがどうも不利益になるということではいけませんので、今お話しの、またこれ地方債ということになるようですけれど
も、これはいたし方ないと思いますけれども、これは、先ほど今井質問でもありましたように、分権推進委員会が取り組んでおります財源の問題、交付税を含めたその辺の、分権委員会にお任せをしなきゃいけないと思いますけれども、その辺のことを少ししっかりと自治省もお話しをいただきたい、そんなふうに思います。
次に、固定資産税についてお尋ねをいたします。
今国会に提出されております平成九年の地方税制改革、固定資産税の評価がえについて伺いたいと思います。
シャウプ勧告以来の、固定資産税というのは重要な地方税でございます。市町村では三五%入っておる。非常に安定性と普遍性、応益性を備えている。しかし、この固定資産税の課税標準が適正な時価、つまり変動する地価であるために、特にバブル期からその影響をストレートに受けてしまった、その特性がゆがめられたのではないか。特に、今地価が下落しておりまして納税額が上がるという逆転の現象、今見直し論が出ていると思います。ですから、固定資産税は応益税だから、地価が上がったからといって負担をふやすわけにはいかないと言っていた自治省が、平成六年に、たしか公示価格の七割という評価額の設定をされましたが、この根拠ですね。今非常に業界でも言われております。その根拠をお示しいただきたい。
それから、この応益性と資産性というのは両方あるんだという意見もありますけれども、どうもマーケットで形成された地価に連動させていいのかどうか。これは、いわゆる根拠と二つお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/98
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099・湊和夫
○湊政府委員 七割評価を導入いたしました理由についてでございます。
御承知のとおり、昭和六十年代に入りまして地価が特に大都市圏を中心に高騰してまいりまして、固定資産税の評価がなかなか地価公示についていけない、特に大都市部では、税負担に連動するということもございまして、評価がなかなか地価公示とバランスがとれない、かつ、地域間でも著しい不均衡が見られるようになってきた、こういうことで、固定資産税の評価のあり方として均衡化、適正化の要請がなされてきておったところでございます。
同時に、そういうことを背景にいたしまして国会でもいろいろ議論がございました。土地政策全体の観点から、公的評価を一元化すべきではないかという議論を柱にいたしまして国会の議論を経て、そして平成元年に、もうこれも御承知のとおりでございますが、土地基本法が制定されまして、適正な地価の形成及び課税の適正化に資するというために土地の正常な価格を公示するとともに、これは地価公示価格でございますが、公的土地評価相互の均衡と適正化を図るべきだということが第十六条に位置づけられたわけでございます。今回の一連の固定資産税の七割評価の契機になりましたのは、いわば直接的にはこの法律の規定が定められたということによるわけでございまして、これを受けて平成三年に、政府の閣議決定でございました「総合土地政策推進要綱」で、相続税評価との均衡にも配慮して、速やかに地価公示価格の一定割合を目標として固定資産税評価の均衡化、適正化を推進することというふうにされたわけでございます。こういったことを踏まえて、当時相続税の評価は公示価格の七割ということでございました。
それから、地価公示制度そのものも当時そのあり方についていろいろな見直しが行われまして、収益価格によるチェックシステムを積極的に取り入れるなどの改善が図られるということになったようなことも踏まえまして政府の方針として決定されたところでございます。そのことを踏まえて平成六年の評価がえからこれが導入されたということでございます。
それから、固定資産税の応益性等に絡んで、地価の変動の中で固定資産税を課税する際に応益性との議論あるいは資産課税との議論でどういうことだろうかという御趣旨の御質問がございました。
固定資産税は、確かに地方税の中でも代表的な応益性を持った税であるということでございます。ただ、私ども、この応益性という概念は、個々の税目の構成といいますか、どういう形で税の仕組みをつくるかという際の指針ということよりも、地方税としてその税が適するかどうかという際に主として議論される事柄、要するに応益の概念は、包括的な地方団体とその税源、あるいは税の課税キャピタルとなる行為との関係をとらまえた見方だというふうに考えておりまして、その応益性の概念に適した、一方で資産の保有に対して課税する税であるということで、これは資産課税としての性格を持つものだというふうに考えておりまして、固定資産税のこの資産課税としての性格に着目しまして、今の地方税法では適正な時価を課税標準として課税するというふうになっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/99
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100・松崎公昭
○松崎委員 学者さんじゃありませんので、応益性、資産課税、どっちか云々なんという質問はありませんけれども、なかなかわかりづらいことを言われております。
さてそれで、ことしは三年ごとの評価がえの年に当たるわけでありますが、その三年ごとという理由なんですが、これは、一筆ごとの適切な評価が能力的、費用的、時間的にも無理だということから来たんではないかという説もございますけれども、どうもそれでは実態が合わないんじゃないか。つまり地価の変動、上がるばかりじゃありません、下がることもあるわけであります。ですから、その一筆ごとの評価を用途地域別とかブロックごとにするなんという考えも、そういう説もあるように思います。現場ではそんな意見が随分出ているように聞いておりますけれども、やはり一筆ごとにやりますと実際は大変なことのようでありまして、実地の調査が足りなかったりずさんであったり、非常に問題がある。
ですから、その三年ごとの評価がえと、それから、今六千万筆と言っているそうでありますけれども、一筆ごとの評価について、今言いましたようにブロックごととか用途地域別という、思い切って、わかりやすくて、しかも評価が毎年ちゃんと出しやすいような方式に変えるということは検討されたことがありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/100
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101・湊和夫
○湊政府委員 固定資産税の評価についてでございますが、私どもも、委員の今御指摘になった点については常日ごろ中長期の問題として頭に置きながら評価のあり方を今後ともいろいろな角度から検討していきたいとは思っておりますけれども、現在の評価制度におきましても、用途地域を一つの基本単位といたしまして、その中で一点、例えば標準地点をとらまえて、不動産鑑定を入れて、その額をもとにしてその地域全体についての評価額を算出していくというような仕組みをとっておりまして、極力簡素化に努めてきておるところではございます。
また、現在、市町村におきましては評価事務の電算化の取り組みについても鋭意取り組みが進んでまいってきておりまして、こういう点も、今後の評価の問題を考える際に重要な基礎になることではないかというふうにも思っております。
ある意味で、毎年やろうといたしますと、委員おっしゃられましたように、かなり簡素な仕組みでやらないと全体としての徴税コストがやはり税の徴収に当たりましても大変問題になりますので、大変な簡素化をする必要があるわけでございますが、逆にそうしますと、一方で公平な課税といいますか、やはり資産の価値に応じて税をいただくということからいたしますと、隣近所、道路を隔ててみまして、これがバランスがとれているか。率直に申し上げまして、現在の固定資産税の仕組みはそうでございますけれども、他の公的評価とのバランスの議論でございますとか負担の公平を図るという観点からは、区画や形質によっての土地の価格の異なりぐあい等についても、やはり現段階では、納税者の理解を得るためにはそういうことも踏まえた評価というのが必要な状況に
あるのではないかというふうに考えておるところでございます。
ただ、先ほど冒頭にも申し上げましたけれども、できるだけ適正さと簡便さを兼ね備えた評価の仕組みを今後とも中長期にわたって私どもとしてはいろいろな角度から勉強はしていきたいというふうには思っておるところでございます。この点は、土地のみならず家屋についても同じような課題が私どもとしてはあるようには思っております。
なお、特に地価の下落局面についてのお話がございました。この点は、私ども、納税者側にとりまして、実際に価格が下落しておるのにもかかわらず評価がそのままになっておるということで、そのことについて納税者の不利益になるような状況になってはこれは税としては好ましいことではないということで、今回の税制改正の中で御提案させていただいております。初めての取り組みではございますけれども、地価の下落があります場合に、簡便な方法を導入して、平成十年度、十一年度でも価格の修正ができるという仕組みを法律上入れさせていただいておるところでございます。
こういった工夫もいろいろ凝らしながら、中長期にわたって、私ども、いろいろな角度からの勉強はしていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/101
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102・松崎公昭
○松崎委員 今、次にお聞きすることもお答えいただきまして、確かに、ほかの税との関係でいきますと難しい点もあるかもしれませんけれども、簡便そしてまた公平、適正かどうか、その辺は、やはり納税者はこれからますます地方分権を通じて近くなるわけでありますから、税の問題は、その辺はっきりできるような方法を御工夫をされた方がいいと思います。公平性とかスピード、そんなことも含めまして、納税額は、地価の下落にもかかわらず、今増加しております。
それから、不服申し立てというのは二万二千件ですか、平成六年の評価がえのときに。この中で、大半の不服審査は地方の審査委員会が却下したということであります。しかし、訴訟は百件を超えている。特に、一九九六年九月十一日に東京地裁が、時価を超える評価額は違法と、評価額の減額を命じている。このことについて、どんなふうに対応したのか。
また、先ほど出ました評価審査委員会が非常にスピードが遅いとか、あるいは一応定めでは三十日以内に対応しなきゃいかぬということですけれども、八%しかできていない。それからまた、審査委員会が事務局と混在であるとか人間が少ないとかいろいろ、こういう直接請求に対しては審査委員会はしっかりと対応しなきゃいけないのですけれども、この辺、何か御指導されたのかどうか。二点、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/102
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103・湊和夫
○湊政府委員 前回の評価がえを踏まえまして、今、委員から御指摘ありましたように、二万件を超える不服審査が全国で出てまいりました。そういう諸事情。それから、その後、先ほど御指摘になりました東京地裁の判決以外にも各地の判決もあるわけでございますが、そういった裁判におけるいろいろな論争状況、こういったものも視野に入れながら、今回の改正におきましてもいろいろな角度からの創意工夫を凝らさせていただいたというふうに思っております。
例えて申しますと、今御答弁申し上げましたけれども、地価の下落局面といったものがあります際に、評価額と、場合によっては地価公示の価格あるいは時価というものが、急激にまたこれから地価の下落があれば逆転することだってあり得るではないか。そういう点のことに対応するために、平成十年、十一年の年度において、通称、法律で言えば据置年度に当たるこの年度におきます価格下落があります場合の簡易な修正方法というものも公示させることにしました。
それから、当面の九年度の評価がえそのものにおきましても、膨大な土地を評価いたしますので、本来言えば九年の一月一日が九年度の固定資産税の賦課期日になるわけでございますけれども、実際の評価をこの時点からスタートすることはできませんので、一年前、八年の一月一日を評価の基準日として作業を、通常、固定資産の評価を行っておりますけれども、この作業の過程でやはりかなりの全国的な地価の下落状況がございましたので、この一月一日から半年後、昨年の七月一日までの地価調査の時点の価格の下落状況をも考慮した評価というものを、今回、簡便法も併用しながらとらさせていただいたようなことでございます。
また、評価がえによりまして、先ほどちょっと逆転というようなお話もございましたけれども、地価の下落に対応して今回の評価がえでは評価額が下がるわけでございますけれども、一方で、平成六年の評価がえの際に、評価額は著しく上がりましたけれども、実際に税負担をいただいております基礎になった価格、課税標準額と呼んでおりますが、この課税標準額は毎年二・五%とか五%程度がほとんどのケースになるわけでございますが、かなりなだらかな税負担の伸びに抑えてきたということがございまして、評価額が今回下がりましてもなおかつ、現在いただいております税負担の基礎になっている課税標準額を新評価額の方が上回る。
したがって、従前の仕組みでいきますとすべての土地が、おおむね、これからも引き続き税負担が上がっていくということになるわけでございますが、今回の九年度、十年度、十一年度の負担調整の中では、この辺の仕組みを従前と考え方を変えまして、実際に税負担の水準の高いものは税負担の引き下げあるいは据え置きという措置を一方で講じながら、税負担水準の低いところについては従前に類したなだらかな負担のお求めをするというような形に課税の仕組みも変更をいたしておるところでございます。
こういったような諸点を組み合わせまして、これまでいろいろな角度からの御議論がありました点に配慮した税制改正に努めたつもりでございます。
なお、不服審査に関連いたしまして、事務局体制の問題等についての御指摘がありました。一気に二万件ということでございまして、それがかなり地域的に重なったということもありまして、なかなか法定期限内の的確な対応ができなかったということもございますので、今回の法律改正の中でも御提案させていただいておりますが、委員の定数の上限を引き上げさせていただくこと、それから、それに伴って、委員の選任要件についても一部緩和をさせていただくというようなことを取り入れさせていただくようにいたしております。
また、これは一般的な指導という形ではございますけれども、事務局が課税当局そのものであった人たちが兼ねておったというようなところもあるようでございまして、当然、これは第三者的な立場で取り組むべき事務でございますので、そういう点についての改善方等について、諸点、いろいろ私どもの方でも気のついた点を自治体にもお話し申し上げて、改善についてお取り組みをいただいておるというようなところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/103
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104・松崎公昭
○松崎委員 ありがとうございました。
税の問題は非常にシビアでありますので、より信頼の置ける、透明性のある、そういうことで対応をしていただきたい、そう思っております。
次に、住民基本台帳ネットワーク、前回の質問で途中まで入りまして、時間がなかったものですからやめてしまいまして、その残りを少しさせていただきたいと思っております。
まだ法案が出るのかどうかちょっとわかりませんけれども、この前もちょっと触れましたけれども、国民背番号に近い形で住民基本台帳のネットワーク、カード化、こういったことの光と影というお話をこの前いたしまして、確かにいい点も相当あるのだけれども、かなり問題があるのではないかということで、途中でやめてしまいました。
さて、このシステム、ネットワークはいつごろ導入しようとしていらっしゃるのか、今後の手順についてお聞きをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/104
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105・松本英昭
○松本政府委員 住民基本台帳ネットワークシステムにつきましては、さきのときにもお答え申し
上げたと思いますが、これはあくまでも地方公共団体の共同システムとして構築しようといたしております。したがいまして、地方公共団体の御理解とその主体的な取り組みが明らかになるということが前提でございまして、現在、各地方公共団体の意見を取りまとめております。それからまた一方で、行政機関における利用の範囲につきましても、関係省庁等ともいろいろと意見の交換をいたしております。
ただいま、いつということを申し上げるのができませんけれども、早ければ今国会にもお願いすることがあろうかと思いますが、そういう今まで申し上げましたような手順というものをしっかりと踏みまして国会にお諮りいたしたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/105
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106・松崎公昭
○松崎委員 これは予算委員会でも随分出ておったようでありますけれども、自治省の中に研究会、懇談会、相当あるようであります。その意見も随分聴取しているということでありますけれども、特に、このシステムは、国民そのものが相当直接便利さも享受しますけれども、ひょっとするとプライバシーの問題等で非常に危険性もあるということで、広く国民の声をどのように聞いたかどうか、それをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/106
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107・松本英昭
○松本政府委員 このネットワークシステムに関しましては、まず研究会を設けまして、昨年三月にその研究会の報告をいただいたわけでございますが、その後、大臣の懇談会という形でいろいろな各界各層の方々の御意見を承りました。そのほか、機会を見まして、各地方団体の御意見とかあるいはそれぞれの個人の方々の御意見等もお伺いをしております。
確かに、前にも申し上げましたように、慎重な意見がないわけではございませんけれども、私どもといたしましては、そういういろいろな方々の御意見を踏まえて、総括してみますと、大方の方々につきましては、やはり今日のこの情報化社会の状況等にかんがみまして前向きに対応すべきではないかというようにお考えいただいている方が多いやに私どもは心得ているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/107
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108・松崎公昭
○松崎委員 私が伺ったのは、このメンバーは確かに大変御立派な方々ばかりであります。それから、カードを既に使っている、ICカードまで入れているところが三十ぐらいあるので、確かにそういう意味では意見は入っているかもしれませんけれども、実際に一般の国民はどこまで知っているかというと、まだ私はそう知らないだろうと思います。ですから、もう法案が出るか出ないかという段階でありますから、そういう意味で今お尋ねしたのは国民の声をどのくらい聞いたかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/108
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109・松本英昭
○松本政府委員 直接的に国民の世論調査とか、そういう形で私どもが取り組んだわけではございませんけれども、私どもは、こういう各界各層の方々の、例えばマスコミの方々も入っていただいておりますし、それから私どもがお聞きする地方公共団体の方々の、それぞれの住民の方との接点はあるわけでございますので、そういう方々を通じて国民の皆様方の御意見等もそれぞれ反映させていただいて、私どもに御意見をいただいているものと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/109
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110・松崎公昭
○松崎委員 自治省が進めていらっしゃる地域カードシステム、これは三十ぐらいの市町が既に使われております。情報も、健康診断、福祉、血液、病歴、いろいろ入っております。今回当選された岩國さんがその先鞭をつけたような、島根ですか、出雲市なんかも非常に先進的だということで、私どももよく勉強させていただいてはおります。
ところが、この地域のカードシステムは、どうも実際にはなかなか使いにくい。例えば倒れた老人の健康診断のデータが入っていてもなかなかそのポケットへ手を突っ込むのはやりにくいとか、意外と使われ方が低いんだというデータが出ておりますね。
そこで、各自治体はキャッシュカード機能をつけたらどうかということで今やっているわけで、キャッシュカード機能がつきますとこれは本当に非常に使いやすいわけでありまして、そういう意味では、今お考えになっているネットワークは四情報ということになってはおりますけれども、既にキャッシュカードシステムを含めた地域カードシステムを導入している、こういう地区の実際の内容からいくと、それはひょっとするといろいろな情報が入ったまま、ブロックというか、その辺がしっかりしていないと、個人情報の漏れないようにいたしませんと、なかなかこれは危険性が十分ある。ましてこれから大蔵省が納税番号制、あるいは厚生省が基礎年金番号制度、これもいずれドッキングするのではないかというお考えのようでありますので、これは下手すると国民がみんな丸裸になってしまう。便利さは非常にあるわけでありますけれども、下手をすると。というのは、最近、インターネット等でも買い物ができるようにということになると、そういうカードが使えるようになる。そうしますと、インターネットでいきますと、それこそ、私は素人ですからかなり間違っているかもしれませんけれども、下手すると世界に流れてしまう、そんなような心配まであるわけであります。
今、四情報のみ導入ということをおっしゃっていらっしゃいますけれども、将来を含めてそう言い切れるかどうか、その辺をお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/110
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111・松本英昭
○松本政府委員 ただいまの点につきましては、大きく分けると二点ございますけれども、私どもは、このネットワークシステムそのものを利用させるのは、原則としてこれは民間には利用させない、こういうことにいたしております。
原則としてと申し上げておりますのは、公的な要請で利用しなければどうしてもいかなくなる場合、これは当然に法律でもってかっきりと規定をする。法律で規定いたしますと、こちらの法律も規定いたしますが、当然利用する方の規定もしっかりと個人情報保護の規定を置いていただく、こういうことが大前提でございます。今のところ、直ちに民間にネットワークシステムを利用させるということは考えておらない、そういうことでございます。
それから次に、四情報以外のものをこれに乗せることがあるかという話でございますが、これも現在のところこの四情報というものに限ってネットワークシステムに乗せるということでございまして、それ以上に、もしこの四情報というものの範囲でないものを仮にこのネットワークシステムに乗せるということになりますれば、これは当然に国会でまた御議論をいただいた上で考えていく、こういうことになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/111
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112・松崎公昭
○松崎委員 しつこいようですけれども、海外でももちろんいろいろ導入はされているわけでありますね。アメリカ、カナダ、イギリスでは社会保障、スウェーデン、デンマークでは住民登録、フランスは国民ID番号、ドイツは身分証明書。ただ、これらの国も、プライバシー保護の観点や、紛失とか盗難、そういう被害の防止から、いずれもIC使用カードは発行されていないということであります。また、アメリカは、実際私も見せていただきましたけれども、紙になっています。なくしたときに消えてしまうような、使えないようになる。そういうよほどのことをしっかりやりませんと、危険性があるということでございます。
オーストラリアでは、納税者番号をいかなる意味でも民間機関が使ってはいけないと規制している。ドイツの連邦裁判所でも一九八三年十二月に、個人を全人格的に管理することにつながる共通番号制度は人格権を侵害し憲法違反との判断で、この構想は撤回をされております。また最近の、九六年十一月の新聞によりますと、図書館の利用情報を日本で警察に通知した。これもカードがあると非常にやりやすいということで、多くはありませんけれども、そういう警察にもつながっていく、こんなこともございまして、いろいろ矛盾をはらんでいる。そしてまたかなり未知の世
界、しかしカードはどんどん進んでおります。
ですから、自然にどこでもカードを示さないとだめだというような時代が間もなく来るわけであります。そして、そこにICが入っているということになりますと、極めてこれは危険性がある。ですから、民間部門には出さないというお話でありますけれども、その法律的なカバーがどこまでできるのか、その辺も国民的な議論が必要だと思いますので、OECDの勧告、八原則だけではなくて、しっかりとその辺はやっていただきたいと思います。
時間がありませんので、終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/112
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113・松本英昭
○松本政府委員 少し御質問にありました点でお答えさせていただきたいと思いますが、カードシステムについては、これはあくまでICカードは希望した者だけにということでございますので、それを前提にお考えいただきたいということと、それから、先ほどいろいろ出ました民間利用は、国によってさまざまでございます。非常に広く民間利用を現にさせているところもございますし、おっしゃいましたように厳しくしているところもございます。
それから、ドイツの憲法裁判所の判断というのは、あれは国勢調査データをほかに利用させるということに関するものでございまして、ドイツも立派な個人確認のシステムを持っておりますので、その辺も私どもも考えながら研究をさせていただいたつもりでございます。
いずれにいたしましても、個人情報保護というのは重要なことでございますので、十分に私どもも慎重に考えつつ、このメリットを生かせるような方法で導入を図ってまいるように考えてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/113
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114・穂積良行
○穂積委員長 桑原豊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/114
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115・桑原豊
○桑原委員 民主党の桑原でございます。
最初に、平成十一年度を限りにいたしまして廃止をされるということになりました特別地方消費税についてお伺いをしたいと思います。
この廃止をされる特別地方消費税は長い歴史があるわけでございまして、地方にとっては、全体で占める税収額は小さいわけですけれども、大変貴重な自主財源として機能してきたのではないかというふうに思います。国の方から見ますとちっぽけなものかもしれませんけれども、地方にとっては私はかなり重たい貴重な存在だ、そういうふうに思っております。
今回、いわゆる消費税のアップあるいは地方消費税の創設というような絡みの中で廃止が議論をされてきたという経緯はそれなりに理解をできるところもあるわけですけれども、改めまして、なぜそういったことで廃止になるのか、その経緯を少し御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/115
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116・湊和夫
○湊政府委員 特別地方消費税を今回の税法改正の中で廃止することについて、改正をお願いをいたしておりますが、この特別地方消費税は、今お話がございましたように、自主財源の乏しい県あるいは市町村にとって、かなり地域的にも特化したような感じも、逆に言えば偏在になるのですが、そういったようなことで、特に観光振興とかいったことに取り組んでおられますような地域にとりましてはやはり必要な財源であるということも十分承知をいたしております。
この税は、課税対象とされております飲食あるいは宿泊等の行為が、地方団体の行っております行政サービス、環境衛生でございますとか消防あるいは観光振興、こういったものと密接な関係があるというようなことから、この存続についての強い要請もあったわけでございます。
その一方で、これも今御指摘ありましたが、平成九年度からいよいよ地方消費税が導入されるということに伴いまして、形の上では、飲食、宿泊を行いました場合に、消費税それから地方消費税、それと引き続きこの特別地方消費税が残ります場合には特別地方消費税という三種類の税が、同じ課税標準、同じ料金を課税標準として課されるということに対する批判も一方でございましたし、また、近年の国民全体の飲食や宿泊等の行為に対する意識の変化といいますか、消費者の意識の変化、非常に国民一般が広く、日本あるいは世界も含めていろいろ、旅行、レジャー含めて動いておられるわけでございますが、こういった飲食、宿泊等に対する消費者の意識変化ということも十分に考慮するべきである、こういう観点からの議論もございました。
率直に言いまして、こういう両方の議論が厳しくせめぎ合う形になったわけでございますけれども、こうした諸点を結果的には総合的に考慮いたしまして、そうはいいましても、直ちに特別地方消費税を今廃止することにつきましては、現下の地方団体の財政状況が大変厳しい中でございますし、国、地方ともに平成九年度から財政の健全化に取り組もうとしているさなかでもございますので、平成十一年までの三年間は特別地方消費税につきましてもそのままの形で存続することとし、平成十二年三月三十一日をもって廃止することといたしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/116
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117・桑原豊
○桑原委員 この税の名前が特別地方消費税という、何かある意味ではこの時期に非常に誤解を受けるといいますか、かなり屋上屋のような感じを与える、そんな税であるがために少し犠牲になったのかなという感じもいたしますけれども、私の地元でございます石川県で最初にこの税が、発祥の地でもございまして、そして今、県税の中で占める割合は県税収入の二・三%でございます。ですから、少ないのですけれども、三十一億ということでございます。
しかし、全国的に見ますと、私どもの県はある意味では断トツでこの税が常に、税の中で占める割合としては全国一位でずっと来たわけでございます。多くの温泉地や観光地を抱えておりまして、その地域の環境衛生とか清掃、そういう観光資源の開発、発展のために非常に貴重な財源になってきておるわけでございまして、私どもとしては、この税をなくすということであれば、それにかわる代替の税源というものをどこに求めていくのか、はっきり自治省の考え方として、ぜひ責任において打ち出していただきたい、こういうふうに思います。
一説では、法定外普通税を設けるとか、あるいは交付税で一定程度見ていくとかというような、そんな考え方もあるようですけれども、現在段階でどのような代替税等について検討されているのか、その点をぜひ聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/117
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118・湊和夫
○湊政府委員 先ほど申し上げましたけれども、三年度間はなお現行のまま存続という形になっておりまして、現時点におきまして具体的な方向性を申し上げられる状況にはないわけでございますけれども、今後、先ほど来の議論にありましたように、分権推進委員会の議論を踏まえた地方税財源全体がどういうふうになっていくかという、そうした状況、あるいは、今後の財政構造改革の議論の中で、歳出の削減あるいは税収の動向というのはどういうことになっていくか、こういったことも十分念頭に置きながら考えていく必要があるというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、財政運営に支障が生じないような配慮をしていかなければならないものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/118
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119・桑原豊
○桑原委員 ぜひ、そういったことで積極的に検討していただきたいと思いますし、欧米のような滞在税といいますか、そういったふうな、やはり観光を振興していくというところに焦点を絞って、消費税的な議論の中に埋没していかないような、そんな工夫も凝らしてやっていただきたいということを注文、御要望申し上げたい、こう思います。
次に、固定資産税についてお伺いをいたします。
今回の改正におきまして、JR各社に対する固定資産税の措置がとられたわけでございます。黒字経営の三社はこの免除を廃止する、そして赤字の、弱いところは引き続き免除していく、そういうことになるわけでございますけれども、そういたしますと、結果的に財政力の弱い自治体に負担
を強いることになりはしないか、あるいは逆に、強いところにはより有利になるというふうな形で、地方間の格差というものが大きくなるのではないか。自治体財源である固定資産税の免除という方法は、こういった、JRの経営に対する援助という形ではとるべきではないのではないかというふうに考えるのですけれども、その点についてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/119
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120・湊和夫
○湊政府委員 こうした非課税措置、あるいは課税時の特例措置を含めてでございますけれども、こういった措置については絶えずいろいろな見直しをしていかなければならない性格のもの、課税の公平、中立という観点に立ちますと、そういう性格を持ったものだと基本的には認識をいたしております。
ただ、このJRの特例につきましては、これが国鉄という形から十年前にJRに分割され、再編されたわけでございますが、当時、国鉄時代には、国鉄の経営であるということ、経営状況ももちろんあったわけでございますが、固定資産税ではなくて納付金という形で、固定資産税の二分の一相当の税負担をいただくような形になっておったということを継承して、当面、JRとしてスタートするしばらくの間、従前の措置にほぼ相当する措置を継続し、新しいスタートの下支えにということであったかというふうに思います。
お話ございましたように、本州の三社につきましては、それぞれ立派な経営状況になってきておるわけでございますので、今回は、他の民鉄会社と同じような形で、固定資産税の特例措置についても撤廃をさせていただきました。ただ、御指摘の北海道や四国、九州等のこういう会社につきましては、依然として経営状況は率直に申し上げて大変厳しい状況にあるわけでございますので、この特例の、通常承継特例と呼んでおりますが、この承継特例の一部の見直しも実は行っております。それから、こういったものと並行してありました、トンネルとかあるいは本州四国連絡橋に対する臨時的な特例、こういったものの廃止等も実は行っておりますけれども、大筋のところにつきましては、引き続き五年間、これらの鉄道事業の存続ということがそれぞれの地域の発展とか地域の交通確保のためにも必要であるという観点に立って、特例の五年間の延長をお願いしているところでございます。何とぞ御理解を賜りたいと思います。
こうした特例は、今後とも諸状況を的確に踏まえながら、適宜適切な見直しに努めていかなきゃならぬものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/120
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121・桑原豊
○桑原委員 JRに対する国策としての、そういった一定期間財政援助といいますか、そういうものの必要性は認めるわけですが、そのことが結果的にやはり自治体の貴重な財源を食うとか侵すとか、そういうことがかなりの長期にわたって続くというようなことではやはり問題ではないかというふうに思いますので、この点も含めて、ぜひさらなる御検討のほどをお願いを申し上げたいと思います。
それからもう一点、固定資産税で、日野市が市内を走る中央自動車道四・五キロ分について固定資産税の課税を決めたということでございまして、私は、このことについては一定程度理解ができるという立場なんですけれども、一九五八年の自治省の見解では、「当該道路について使用料を徴収していても、それは収益事業ではなく、また公共の用に供する道路としての公共性を阻害するものではない」ということで、高速道路の固定資産税の免除というものを見解として出しておるわけでございます。これはしかし、当該道路の借入金の償還が過ぎれば当然無料になり、将来的には一般国道とするということを前提にいたしているものでございまして、その前提が崩れて、あるいは変わって、引き続き料金を徴収するということになりますと、自治省の見解も変更を余儀なくされるのではないか、あるいは、課税の対象になるのではないかというふうにも考えられるわけでございますけれども、その点について、現段階の自治省の見解をお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/121
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122・湊和夫
○湊政府委員 今お話ございましたが、固定資産税につきましては、公共の用に供する道路は非課税というふうに規定がされております。道路公団の高速道路につきましては、確かに料金は徴収されておりますけれども、期間が定められておる、その期間が経過すれば無料になるということにかんがみまして、一般の、いわゆる事業として行われております有料道路、これは課税されているわけでございますが、それとは取り扱いを異にいたしまして、従来から、公共の用に供する道路として固定資産税を非課税とすべきもの、こうされてきております。
今、料金プール制の導入によって性格が変わってきたのではないかという御指摘がありましたが、昭和四十七年にこの日本道路公団の道路につきまして料金プール制が導入され、実際には四十九年からたしか動き出したかと思いますが、その時期に、実は、今回は日野市の問題提起であったわけでございますけれども、全国的に、特に関西あるいは関東、当時はまだ高速道路の整備がそれほど進んでいなかった時代でございますので地域的にはかなり限定的であったかと思いますが、相当の団体から、この料金プール制の導入というものを踏まえて、道路公団の課税のあり方については再度見直す必要があるのではないかという大きな議論が巻き起こりまして、当時国会でもこの議論が相当行われた経緯がございます。
それで、この問題解決のために、昭和五十三年に町村会それから市長会、これはいわば課税側の団体で、当時この市長会や町村会の中にも高速道路の課税問題について検討する会ができたりというような状況でございまして、市長会、町村会、道路公団、関係省庁それから客観的な立場でということで学者の先生方にも数名お入りいただきまして、この高速道路の課税問題についての研究会というものを開催して問題の解決に努めた経緯がございまして、約一年かけまして、特に中立的な立場でございました学者の先生方が小委員会を構成いたしまして、ここで随分長いこと議論を交わしていただいた経緯がございます。
その結果は、先ほどの、委員が御指摘になりました行政実例を今の状況で積極的に変えてまで課税すべきということではないという結論がそのときに、このときは単なる税法の解釈論だけではなくて、そもそも課税すべきかどうかというもっと広い立場からの御議論を全体でしていただいたというふうに思っておりますが、その際に、先ほど申し上げましたように、委員会全体としての結論として、これまでの取り扱いを変える必要はないという結論でございました。
ただ、その際に、もう一つやはり問題提起のしてありました、道路が通っております地域の団体が、いろいろな意味で財政需要が生じてきておる。地域の分断に伴う地域対策経費とか、あるいは高速道路の整備に関連した関連道路の整備でございますとか、それから消防とか救急の要請に対応した財政需要とか、こういった問題についても何か対策を講ずべきだということがこの委員会の中でも検討課題とされておりまして、結論として、助成制度を通過市町村の特別なこうした財政需要に対応するために設ける必要があるという御指摘をいただいて、五十五年から、道路公団等からメニュー助成金が創設され、交付されてきておるというような経緯をたどっておりまして、私ども、単なる昭和三十年代の行政実例のみではなくて、当事者もそれぞれお入りになった段階で、この料金プール制の導入ということも踏まえた全体としての議論に基づいて、今の取り扱いが定まってきておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/122
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123・桑原豊
○桑原委員 経緯はよくわかりましたが、プール制に移行するというときの見解として、やはり助成制度も含めて何らかの対応をしていかなければならないということが決められたということです。
さらに、今後は道路の維持管理、そういうものも含めて料金徴収を考えていくということになりますと、もう半永久的にそういった措置が行われ
ていくということになるわけですから、私は、一方ではそういう助成制度というものも必要になってきている、そして一方では料金徴収も半永久的にやられようとしてきているということを踏まえるならば、やはりこの時点で従来の見解というものを見直しをして、一定程度この問題に対する新しい見解といいますか、私はどちらかといいますと日野市の固定資産税を徴収していくというあり方の方が妥当のように思いますけれども、そういったことについての見解を打ち出すべき時期に来ているのではないかというふうに思うのですが、その点について、今度は自治大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/123
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124・白川勝彦
○白川国務大臣 今の点につきましては、まだ何分にも、建設大臣の審議会がそういう案をまとめたということであり、そういう中間報告を出したということでありまして、最終的にそれがまだ確定したわけではないわけでございまして、これにつきましては、建設省の中において、大勢の人が入っているわけでございますが、最終的にどうするかというのがまず確定するということが前提だろうと思うわけでございます。
さて、それに基づいて、要するに、従来はいずれは無料になるのだからその間は固定資産税も公共の道路と見ようというふうにしたわけでございますが、料金を取っているから公共の道路とみなせるかみなせないかという話ではなくて、高速道路というのが本来公共の用に供する道路になるかならないかという、これは国民的な価値判断だと私は思うわけでございます。
私はやはり、現実に税金でつくるというだけの余裕は今の国の財政事情の中にはございません。ですから、財投を中心に、料金をいただきながら建設もしているわけでございます。そして、国民がそれを今なお強く望んで、要望に基づいて道路公団が限られた予算の中で建設をしているわけでございまして、これが公共の用に供する道路に当たらないということは、どうも今の国民の感覚からいったら私は違うのではないかなという気がいたしますので、極めて重要な問題でございますので、国全体の中で真剣に議論していく中で、そういうシステムで今つくっている全体の高速交通網、ネットワークが、道路が公共の用に供する道路なのかそうでないのかということは、これは最終的には内閣並びに国会でお決めいただくことなのではないのかなと思います。それに従って、しかし、現実にはそのことによって不利益が出てくる町村に対してどうするかという問題は、また別途別の観点から考えるべきことなのではないかなと思っております。
いずれにいたしましても、まず建設大臣が最終的にどういうふうに法律を変えるかということを受けてから議論すべきことのような気がいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/124
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125・桑原豊
○桑原委員 これ以上の議論はあれですけれども、やはり道路というもののありよう、あるいはそれで国民がどれだけの負担をしていくのかという問題、そしてそのことによって当該の市町村がいろいろな意味での負担が強いられるという、そんなことをぜひ総合的に検討していただきたいと思いますし、建設省の道路審議会の考え方を待ってというのも、私は一理はあると思います。しかし、逆に、自治省の場合は住民の例あるいは自治体の側、そういうところに立ってどうなのかということをぜひ、余りそういうことにこだわらずに、積極的に考えていただきたいなということを申し上げておきたいと思います。
それから、大分時間が迫ってきたので、ひとつ自治大臣にお伺いをいたしますが、今、特別地方消費税の問題ですとかあるいは固定資産税の問題、ともに大変貴重な地方の財源なのですけれども、残念ながら、地方の自立した意思でこれをどうするかということが決められない、どちらかといいますと、国がトータルな中でどうするというようなことを決定して、地方はそれに従わざるを得ないというような、そんな仕組みになっております。課税自主権といいますか、地方はそれが非常に乏しい。せっかく大きないろいろな事業の、国、地方全体の事業の三分の二は地方が担当し、やっているのに、財源的には自主的な財源は三分の一だ、あとは国からのいろいろなあれだということで、地方の、非常に仕事はあるけれどもそういう面での自立性の乏しさというのを、私はつくづく今お話をした二つの税でも感じるわけです。
少し財政制度の問題でお尋ねをしたいのですが、平成九年度の地方財源の不足は、通常収支で四兆六千五百億円、地方消費税の未平年度化分で一兆二千億円だ。この種の巨額の財政的な財源不足というのは、平成四年度から慢性化し、巨額化している、こういうふうに思います。今年度もこの不足分は交付税特会の借り入れとか財源対策債とかで賄われるわけですけれども、こういった状況というものを、どうしてこういうことになるのかも含めて、どのように認識をされているのかということをまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/125
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126・白川勝彦
○白川国務大臣 まず第一に、国並びに地方の累積債務が大変大きなものになっているということについては、今大きな問題になっているわけでございますが、しかし一方では、では逆に累積債務ゼロということはあるのだろうかというと、そんなこともまた、ゼロでなければ不健全だということもないわけでございます。どの程度が適正かという中で、やはり今のような状態で伸びていけば明らかに危険であるということで、財政構造改革会議でこれについては一つの目標を定めて、最終的には財政再建法というものを視野に入れて、とにかく適正水準に一日も早く戻そうということで今努力しているわけでございます。
この数年の間に大変地方の、国もそうでございますが、地方の累積債務も急増したということは事実でございますが、これには住民税、地方税の大幅減税というようなものがたび重なる景気対策という中でなされて、その後を引いているところもあります。また、景気の低迷ということもあります。
ただ、こういう状況が長く続くわけではないわけでございまして、予測したよりもちょっと入り過ぎたときもありますし、予測したよりも悪いときもあるわけでございまして、そう慌てることなくしかし楽観することなく、一つ一つ着実に、どの程度が正しいかというのは人によって意見は分かれますが、今財政構造改革会議で目標にしております、できるだけ早く単年度の赤字がGDPの三%という目標、それから総累計がGDPの六割程度というのを目標に、今のままいったらそうなりませんので、そういう目標に向かって、これからあらゆるところで、国、地方ともに努力していこうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/126
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127・桑原豊
○桑原委員 短期的な、そういういろいろな諸条件での結果がそうだということも理解はできますが、これだけ数年間にわたって続いてまいりますと、これが慢性化をしていくということになれば、やはり制度の大きな問題になるのではないか、こういうふうな気もいたします。
そういう意味で、地方交付税制度の改革もございます。これは後で我が党の古川議員の方から質問をさせていただくことになると思いますけれども、先ほども申し上げましたような地方の自主財源をどうふやしていくのか、どう課税自主権を大きな、充実したものにしていくのかということも、責任を持った地方財政の運営をしていくという意味では大変大切なことだというふうに私は思うのです。
私もこの間、地方議員をしておりまして、地方の県知事だとか市町村長に、大変窮迫した財政だ、中期的な展望を持った立て直しの計画をぜひつくってほしい、こういうふうにいろいろ議論をしかけでも、結局は、地方は自分の持ち財源というものが限られております、ほとんど国の地財計画がもとになって地方の計画を立てざるを得ないという仕組みになっていますから、そんな自分の責任で中期的な展望などはとてもつくれない、そんな力はないのだということをオウム返しに、いつもこの議論をするたびに、そういう議論をしながら、結局はお互いに無力感で、まあまあ成り行きに任すしかないなみたいな話になるのです。そ
ういう意味でも、やはり課税自主権、私は大変大事な課題だろうと思います。
地方の税源の充実を図るために、ぜひ、地方税法の抜本改正、あるいは消費税や所得税、そういった安定的な大きな財源をできるだけ地方に移していく、そんな税源の移譲なども含めてやっていただきたい。これは地方分権推進委員会でいよいよこれから大詰めの議論になると思いますけれども、自治大臣としての御見解をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/127
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128・白川勝彦
○白川国務大臣 基本的には異論はありません。また、地方分権推進委員会でもこの問題は大事な問題として議論されていると思いますし、またそれを受けて政府としては対応してまいりたいと思います。
ただ、税金を設定する権利があるということと、それをそれぞれの地方で現実に条例として通し、かつ、それを徴収していくということは、これまた大変なことでございまして、何か法律で、ある税目を設定することができるといったからといって、そんなにばんばん税金を取れるものでもない、こう思います。
と同時に、地方分権推進委員会全体で確認していることでございますが、地方分権を推進したからといって、国、地方でトータルで国民の負担がふえてはならないということもありますので、いろいろな意味で、この問題は総合的に、最終的にみんなで知恵を絞って、そして国民的な合意を図っていく必要があると思います。
御意見、大変参考にさせてもらいました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/128
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129・桑原豊
○桑原委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/129
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130・穂積良行
○穂積委員長 古川元久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/130
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131・古川元久
○古川委員 民主党の古川でございます。
地方行政委員会では初めて質問させていただきますが、私は、地方交付税制度についてちょっとお話をお伺いしたいと思うのですけれども、それに先立ちまして、まず分権型社会のイメージについて。
分権型社会というのは推進委員会などでもいろいろ盛んに使われているわけでありますが、この分権型社会、これまでの社会の中央集権型社会というのは、国土の均衡ある発展を目指すということで、例えば東京が一〇〇であれば、大阪は八〇で、名古屋は六〇、そんなふうに全国を一つの物差しではかって序列化して、そして下の方にあるのは少しでも東京に近づくように、そういう形を目指してきたのが、これが国土の均衡ある発展を目指してきたものではないかと私は考えておるのですが、そういった意味では、学校を偏差値で序列化するのと同じようなことで、地域を序列化してきたのではないかと思うのです。その結果として、どんな地方に行っても、それなりに駅前に立派なものがあったり、今なんかですと特に、地方に行くと目立つのは、役場はもう大変立派なのが建ったり、それなりにその地域地域に必要なものというものができてきたわけであります。
しかし、もう少しよくその結果というものを客観的に、冷静に評価してみますと、例えばこの東京なのですが、私は先日、ある東京の友人からこんなおもしろい話を聞いたのです。東京というのはあらゆるものがそろっている、何でも手に入る。しかしながら、一つだけ、どうしても手に入らないものがある。それは何かというと、それは日本だ。東京には何でもあるけれども、日本というものがない。私はその話を聞いたときに、非常に言い得て妙ではないかなというふうに感じたわけであります。
その一方で、田舎の地域といいますか、過疎のような、そういう山村地域とかいうことになりますと、今まで多くの税金をつぎ込んでいろいろな施設や道路を整備してきたりとか、とにかくそこの地域にその人たちが定住してもらうように、そしてまた、人が入ってくるようにということで、たくさん税金をつぎ込んできたわけですね。ところが現実には、そういうところからの人の流出というのはとめられない。むしろ一方で、そういうところから人が離れてしまっている。
実は、私は先週末に長崎県の壱岐の方に、壱岐の町の若い、二十代、三十代の若者が、何とか地域を活性化しよう、そして若者が定住できるような、そういう島にしていきたいということで勉強会をやっている、そこに、講演会をやるので来てくれということで行ってまいりました。
そのときに、私はずっと壱岐の島を、車で回っても二時間ぐらいで回れちゃうわけなんですが、見てきたわけなんです。その中には、大変立派な鉄筋コンクリートの校舎があり、体育館があり、また公民館もある。私などが講演をしたクオリティーライフセンターつばさなんというセンターは、中にあるのは、センターの玄関には、噴水のある、モニュメントみたいなものがありまして、中にはカラオケルームから生涯学習室からトレーニングルームから機能回復訓練室からイベントホールから、そしてまた温泉まであるわけですね、大浴場という。大変立派なものがあるわけなんです。
それで、それはそれなりに立派なのですが、ただ、私はこういうものを見て、私の場合は地元が名古屋でありますし、またその後も東京で生活していたわけでありますから、そうしたもののもっとある意味で大規模な立派なものを見ていますから、そのミニチュア化されたものを見てもそれほど感動を覚えるわけじゃないんです。ああ、まあどこにでもあるようなものだなという程度であったわけですね。むしろ私はやはり壱岐に行って感じたのは、そしてまた感動したものは、そこにある海であったり野山であったり、それからまた古くからの町並みであったりといった、やはりそういった都会にはないもの。
私はそこで講演のときに申し上げたのは、先ほどの東京には日本がないという話をしましたが、ここの場合には、確かに手に入らないものがたくさんある、しかしここには日本というものは厳として存在しているのじゃないか、そんな話を申し上げたわけなんです。
したがって、私は、壱岐に行って感じたのは、これからの分権型社会という場合には、根本的に考え方というものを変える必要がまず大前提としてあるのじゃないか。それぞれの地域がそれぞれの価値観を持って、みずからの周りの中で長所というものを見つけてそれを伸ばそうと努力をしていくことが、とりもなおさずその地域を生かしていく、そして外から見ても魅力あるものにする。みんなが同じように東京を目指して、他をうらやましく思って、少しでもあそこにあるならこっちに欲しいということでやっていても、確かにそれができたばかりのときはいいかもしれませんけれども、例えば今の壱岐の場合ですと、二十分も飛行機に乗れば福岡に行けるわけです。福岡に行ったら、もう立派なものがあるわけですね。そうすると、幾らちょっとこんな立派なものがあっても、すぐそういうものを見てしまえば、人間は飽きてしまうわけですよね。そうしたら、そういうほかのところをうらやむような形では、いつまでたっても都会と田舎との格差、それで人が流出していく、税金をどんどん地方に落としてもそれが生かされていかない。
ですから私は、分権型社会というのは、そういった価値観を、そもそも根本的に価値観の転換をする、そういうことが必要だというふうに考えているのです。ここでいろいろなことが言われている、分権型社会、どうも私、こういうものだけを読むと、今までの価値観の中で国が持っていた権限を地方に譲っていこうみたいな、どうもそういう形の発想のように見えるのですけれども、大臣はその辺のところはどのようにお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/131
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132・白川勝彦
○白川国務大臣 私も同じような、言葉で、どなたが地方分権ということを言い出したのかわかりません。地方自治専門家の中では、中央集権に対比されて学術的にはかなり昔からある言葉だ、こう言っておりましたが、地方分権という言葉で血沸き肉躍るという、どうも私は日本語は余りよく理解できませんか知らぬけれども、委員と同じような感じがする。もっと言うならば、地方主権と
かあるいは地方自治の進展という普通の言葉の方がはるかに私は燃えるのだけれどもなというような意見を申し上げましたが、しかし、あえて言葉自身に異論をするつもりはありませんが、おっしゃるとおりだと思います。
多様な価値観があっていいと言いますが、多様な価値観があっていいというふうに思うこと自身が、私はまたいささか全体的に、場合によったら一つの価値観にできることも可能みたいな感じがありまして、一番大事なのは、それぞれの地域が自分のことは自分で決めることができる、個々人が自分の運命は自分で決めることができるようにする、結果として多様な価値観、多様な地域が生まれるということなのじゃないかと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/132
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133・古川元久
○古川委員 大臣は前々から地方主権という言葉をお使いになっている。私も地方主権とかあるいは地域主権といったような言葉を使ってやはり議論すべき問題じゃないかというふうに、中央から分けてもらうのじゃなくて、地域が、自分たちのことは自分たちで、これだけは自分たちでやるんだ、自分たちで、権限というのですか、そういうものをとっていくのがやはり本来の地方自治のあり方じゃないかと思うのですけれども、そういう分権型社会、大臣がお考えになっていらっしゃるような分権型社会からしますと、現行の地方交付税制度というのは整合性がとれているのかな、そういう若干の疑問なしとしないというところがあるわけであります。
昨年の十二月に出ました「国庫補助負担金・税財源に関する中間とりまとめ」によりますと、地方交付税につきましては、「分権型社会を支えていくためには、地方公共団体間の財政力の格差を是正するとともに、地方公共団体に一定水準以上の行政の計画的運営を保障するという地方交付税の財政調整機能が極めて重要であることにかんがみ、今後とも、その総額の安定的確保を図る必要がある。」というふうにあるわけでございます。私は、この財政力の格差の是正ということは、これは分権型社会においても必要なことであるというふうに考えておるのですが、「一定水準以上の行政の計画的運営を保障する」、この「一定水準以上の」というところが、どうも一つの物差しではかっているのじゃないかな、そんなような気がするわけでありますね。
地方交付税というのは、本来地方団体固有の財源であって、地方団体の自主的判断で使用できる一般財源というふうにされているわけでありますが、しかしながら、同時に、地方交付税法の第三条第三項では、地方団体の行政について、「少くとも法律又はこれに基く政令により義務づけられた規模と内容とを備える」ことが要求されているわけです。
したがいまして、そういう観点から、交付税の配分のあり方については、国が地域の歳出歳入額を定めて、その差額を補てんするような仕組みになっているわけですが、それが結果として、今ある三千三百の地方自治体というのは、その差額を補てんしてくれるということで、最低限の行政需要、国が課しているものについでは、それを満たすための財源というのはいわば保障されているわけですよね、地方交付税があることによって。そうなりますと、地方の側から見れば、何の努力がなくても行政運営自体はできるわけです。もちろんいろいろ知恵を図ろうと思えば別ですけれども、とりあえず大過なく四年間を過ごそうという市長さんだとか町長さんがいれば、それは可能になるわけです、今の交付税制度ということがあれば。
そうしますと、三千三百ある地方自治体の中で、行革を推進して行政効率を高めようというインセンティブが、今の地方交付税制度があることによって働かないような仕組みになってしまっているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/133
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134・二橋正弘
○二橋政府委員 地方交付税の基本的な性格についてのお尋ねでございます。
今いろいろ委員がお述べになりました中にもございましたように、今の地方交付税制度、いわば地方財政調整制度というのは、国と地方がどういうふうに役割を分担するか、地方の方がその役割をどの程度要するに責任を持って果たさなくてはいけない建前になっておるかということとのいわば裏腹でございます。
例えて申しますと、地方の行っておる仕事の中で一番多い仕事といいますのは、教育とか福祉関係あるいは社会資本整備といったようなところが多いわけでございますけれども、教育一つをとってみても、全国どこで義務教育を行うについても、やはり六年、三年という九年間は義務教育を行う、学校の先生は四十人学級で編制をする、そういうことはもう決められておるわけでございます。これは地方の方が、自分のところは学級編制の基準を変えて、おっしゃいましたように自主的にもう少し教育内容を考えるということができるような仕掛けになっていれば、これはまた考え方が別でありますけれども。
そういうことで、今たまたま教育を一つの例にとりましたけれども、教育だ、福祉だ、いろいろな分野について、それぞれ各省庁の法令でもって地方の行うべき仕事の内容あるいはその水準といったようなものが定められておりまして、本来それがまた地方の税金で貯えればこれはこれにこしたことはないわけでありますけれども、なかなか実際には偏在があってそうはいかないということがございまして、その分を埋めるためのものが地方交付税ということになっておるわけであります。
この地方交付税につきましても、今も言いましたようなことで、標準的な行政を行えるようなものということを前提にして組み立てられておりますので、計算するに当たりましても、税収は全部計算するわけではございません。市町村の場合には七五%だけ計算するということになりますので、二五%分というのは地方のいわば自主的な、交付税の外の財源として使うということになっておりますので、そういう意味からいいますと、地方交付税が一般財源であるという意味も含めて、地方はその配分された交付税をどういうふうに使うかということは、それぞれもちろん考える余地は十分ございますし、それから、行革をしてその財源を有効に使うということにすれば当然それだけのものは浮いてくるわけでありますから、そういう意味では、行革をするインセンティブも十分あるということでございまして、基本的には、交付税でどこまでどういう計算をするかということについては、最初に申しましたように、事務分担と裏腹ということはぜひとも御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/134
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135・古川元久
○古川委員 要するに、今の要求している行政水準という基準自体も、やはりこれはもう一回見直す必要があるのではないかと思うのですが、今の中での、行政効率を高める一つとして市町村合併ということもあると思うのです。
実は、先ほどの話で、壱岐に行ったときに、壱岐の島には、あの小さな島に四町もあるのですね。こんなおもしろい話を聞いたのですけれども、壱岐の島で、今ある空港をちょっと別の隣の町に移転したい。そうしたら、今空港のある町長さんが、隣の町に行くのに二十分かかるから、そんな空港の移転には反対だといって反対している。空港に行くのに二十分かかるようになる、反対、ちょっとこれはとんでもない話ですよね。
そういうことが、ある意味で、都会に住んでいて、東京にいる人であったら、成田まで行くのに二時間もかかっているわけですから、それからしたら、二十分かかるなどというのはとんでもないといって反対するのは、ばかばかしい議論といえばばかばかしい議論なんですが、そういうことから考えると、やはり合併というものも進めていかなければいけない。しかし、今の地方交付税制度というのは、どうも逆に合併を阻害しているような感じがあると思うのですね。
これについては大臣は、この委員会の中でも、優遇措置を講じたりして、いわばあめを与えることによって合併を促進させればどうかというお話
がございましたが、まず、そもそもそうしたあめを与えるといったことが、今これだけ税負担が高い、あるいは税金がむだ遣いされているのではないかというような国民の不満が高い中で、国民全体のコンセンサスを得られることなのかどうか。
特に、都市部に住んでいる人は、自分たちは税金ばかり取られて、その税金は田舎に行ってしまって自分たちの方に全然戻ってこないという、やはり不満感が物すごくあるわけです。その上に、市町村合併をするために税金をもっと何か、あめを与えてやって、それで合併してくださいねということが果たして本当にいいことなのか。それが理解されることなのか。
先日、壱岐でたまたま私はタイを出していただいて食べたわけですが、そのタイの目とかが非常にかわいくて、口が小さいのです。本来、玄界灘という大変厳しい海の中で育っているタイであれば、もっと目も厳しくて、口も大きくなければいけない。どうしてこうなるのだろう。そうしたら、そこの地元の人が、これは不漁のときに備えてタイをとってきておいて、生けすみたいなところで飼っている。そうすると、もともとは厳しい目をして鋭い歯があったものが、すっかり目も優しくなって、口も小さくなっている。まさに、あめを与えるというのは、逆に自立心とかいうものをなくしてしまうということもあるかもしれない。本当に分権型を進めるということであれば、やはりそれはあるときには突き放すということも必要じゃないか。
そういった意味で、この交付税制度というものも、この分権型社会において特に強調されているのは、交付金については安定的確保を図る必要があるということがかなり強調されているわけですが、これは私があえて申し上げるわけでありますが、逆にこの交付税制度を利用して、合併を進めていかないと十分に行政需要の必要なものが満たされないというような形になるような形で、この交付税制度の見直しというものも考えてもいいのではないかというふうに私は思うのでございますが、大臣の御意見はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/135
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136・白川勝彦
○白川国務大臣 さっき言ったとおり、とにかく今の法律のもとで、人がどう言おうが、現実にそれぞれ地方自治体は生まれたわけでございます。おまえ、ちょっと最近煩わしいから、足手まといだからといってペナルティーを与えるというほど、どうも私はそういう気持ちにはなれないのでございます。
それから、確かにいろいろな意味でのメリット、優遇的なものを与えたらどうかというのは、合併を促進するというためにやるわけでございまして、大きな目で見ますと、それが結果としては全体として行政効率を高めるものになるということであるとしたならば、私は、一時的には合併を促進するために財政支出が仮にふえたとしても、長い目で見れば行政効率が上がり、国民の税金が有効に使われるというのであれば、それ自体は私は否定されるものではないのではないかな、そんなふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/136
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137・古川元久
○古川委員 もう大臣、お忙しいことと思いますので。
確かに、大臣のおっしゃるようなあめももちろん必要だと思うのですが、あめばかり与えるのが、やはりこれが行政の役割あるいは政治の役割ではないと思います。特に、これからの厳しい経済成長というか経済状況、そしてまた厳しい財政事情ということも考えれば、将来のためには今みずから苦しい思いを時にはするということをあえて提示して、それをお願いするということもやはりこれは政治であり、行政の役割ではないかと思いますから、また、その点に関しては御一考いただければと思います。
交付税について、大臣がいらっしゃらなくなったので、ちょっともう少し、事務的な話といえば事務的な話をお伺いしたいと思うのですが、この地方交付税について、現実には、三千三百ある地方自治体のうち九五%が交付金を受け取っているわけですね。
今の地方自治体は、自主財源だけでは国の定めた基準を満たすことさえできない。要するに、これだけ見れば地方は、先ほどおっしゃられましたよね、例えば四十人学級とかそういう、国で求められたそこの基準を満たすだけで、ほとんどの部分はもういっぱいいっぱいだ。確かに、算定しない部分でごく若干はあるかもしれません。しかし、小さな町に行ったらそんな部分がどれくらいあるのかということは考えられない。
例えば、先ほどちょっと例に挙げたセンターなどというのは、十億円かけてつくっているわけなんですけれども、十億円のうち一億三千八百万は過疎対策事業債、地域総合整備事業債が六億九千万、一般財源が一億三千七百万ということでありますが、この事業債は両方とも後から交付金で賄われるように大体なっていると思いますし、また一般財源についても、この壱岐あたりであれば、ほとんどがやはりこれは交付金で賄われざるを得ない状況だ。そうすると、十億のをつくっても、ほとんどこれは交付金でつくられているようなものですよね。
何でそういうのができるかというと、ある意味でこれは国のいろいろな施策に合っているからできるわけでありますが、そういうことになると、結局、例えばこの地域でこういうものをつくりたいということがあっても、それが要するに、国のいろいろな基準とかガイドラインに合っていないと、自分のところだけのでは実はほとんどつくれない。そうなると、これは交付税制度が事実上、一般財源とはいうものの、国が地方をコントロールしている、そういう手段として使われている一面もあるのではないか。それが自治省のある意味で権限の大もとになっているわけでございますが、その点についてはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/137
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138・二橋正弘
○二橋政府委員 今、壱岐の建物の例をお挙げになりましたけれども、それは恐らく単独事業でつくったものだと思います。それで、今おっしゃいましたような地域総合整備債とか過疎債とかというのが充当されているということだと思います。先ほど委員が最初にお話しになりましたことと若干関連いたしますけれども、私どもが単独事業でいろいろ財源の手当てをして工夫してほしいということを近年特に力を入れてやってまいりましたのは、いろいろな施策を地方の方が、それぞれの地域の個性を生かして工夫しようということを従来行いましても、各省庁の持っております補助事業を実際に自分のところに引っ張ってこようと思いますと、補助要綱でいろいろな基準が決まっておりまして、その基準に当てはまらないとなかなかできない。あるいは、基準に合うようにむしろアイデアの方を変えていかなければいけないというふうなことがございまして、せっかくいろいろ考えたけれども、どうも実現がなかなかできないというような話はよく聞く。
そういうことを踏まえまして、地方の方でいろいろ工夫はしてもらって、具体的な内容について国の方があれこれ口出しをしない形の単独事業というのはもっと充実させる必要があるんじゃないかということから、今たまたまお挙げになりましたような地域総合整備債とか過疎債とかというものが出てきているわけであります。ですから、これは私どもの方で内容をああだこうだと申し上げているわけではございません。また、実際に地方債を出しました後交付税で元利償還をするにつきましても、要するに補助事業より財源手当てする率が高いということになりますと補助とのバランスもございますので、そこらを考えまして補助事業まではいかないようなということで財源措置率を考えております。
過疎債の場合には、これはいろいろ過去の議員立法の経緯もございまして、七割を元利償還している。恐らく今お挙げになりましたような事業ですと、交付税で元利償還を見るのが大体半分ぐらいになるのかなというふうに思います。残りの半分は当然自分のところの財源を用意してその償還をしていかなくちゃいけないわけであります。その中にはもちろん相当交付税が入っていると思いますけれども、これは最初に申しましたように交付税は一般財源でありますから、どういうところ
に使うかということはそれぞれ工夫して考えていただくということでありまして、それは、その町において議会の方々あるいは住民の方々と相談の上でこういう建物をつくろうという選択をされたなら、そのときにそういう財源を充てていこうということでお考えになったんだろう。これはこれでやはり地方の方がいろいろその地域の個性に応じて事業を工夫していただくという意味合いから、これはこういう芽は育てていかなくちゃいけないんじゃないかと私どもは思っております。そこのところは御辛抱、御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/138
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139・古川元久
○古川委員 もちろん、今おっしゃられましたように、交付税以上に例えば国庫支出金とか補助金の方が問題があるということは事実でございますので、きょうは交付税のところから御指摘をさせていただいておるわけではありますが、ただやはり、本来分権型社会ということであればもっともっと、どこにでも似たようなことがあるというんじゃなくて、例えば壱岐であれば壱岐らしいものを、何かやはりそこの地域のそういうよさというのは必ずどこかにあるはずだと思いますから、そういうものをその地域の人たちが見つけ出せるような、やはりそれをサポートするようなのが本来の交付税のあり方であったり、または国のあり方ではないかと思いますので、ぜひともまた御検討をいただきたいと思います。
時間がなくなってまいりましたので、最後に来年度の地財対策について若干御質問させていただきたいと思うんですが、先ほど恒常的な財源不足ではないかということについては我が党の桑原委員から御質問させていただきましたので、私はもう少し全体の国と地方との予算規模についての話をちょっと御質問させていただきたいと思うんです。
地方財政計画の推移というものを見てまいりますと、昭和五十年度からこの資料には載っているわけでありますが、国の予算と地方の歳入歳出というのはほぼ見合いでずっと進んできたわけであります。もちろん途中でどちらかが少し規模が大きくなったりといったことはありますが、しかし、それが平成四年、五年ぐらいから急に地方の方が規模が拡大してまいりまして、国の予算に対して地方の歳出というものが大きく膨れ上がってきたわけであります。これは明らかに、要するに国の方が苦しくなって、また景気が悪くなっていた段階でそのしわ寄せが、景気対策等のしわ寄せが地方に行ったせいであるとは思うんですけれども、まあとにかく地方財政対策に関する意見でも何でも、国から地方への単なる負担の転嫁というものはいけないということをいろいろなところでこれは政府として示されておられるわけであります。
しかし、この数字だけ見ると、国と地方とで今や十兆円近い開きが出てきているわけですね。これはこの結果だけ見ると、要するに国のしわ寄せを、国から地方へ負担を移転した、あるいは国の財政が悪くなるのを地方に移すことによって表面上そこを見にくくしたというだけではないかというふうに思うんですが、その辺については自治省としてはどういう御認識を持っておられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/139
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140・二橋正弘
○二橋政府委員 平成四年度以降、国の一般会計の予算と地方財政計画の規模が、地方財政計画の方がかなり大きくなってきておることは確かでございます。平成四年度で比べますと七十二兆対七十四兆でございましたが、今、平成九年度で約十兆円ぐらい地方の方が大きくなっております。
幾つか要因がございますが、一つは、交付税が国の一般会計を経由して出てまいります。その額が、この間国税がずっと不振でございましたので、平成四年度から平成九年度までほとんど伸びがございません。そういうことで、むしろ若干のマイナスという数字になっております。しかし、この間に全体の財源不足が続いておりまして、また減税があったりいたしますので、交付税総額が一般会計からの繰り出しだけで足りないということで交付税特別会計で借り入れを行います。その借り入れ分は、地方財政計画は膨らみますが、国の一般会計は膨らまない、こういう要因が一つございます。
それから、国債費あるいは地方の公債費でございますが、国債費は、金利の低下等によりまして平成四年度から平成九年度まで国の方は一千億程度しかふえておりませんが、地方は元金償還の増がございまして、平成四年から九年度までの間に三兆円ぐらいふえております。そういう要因の違いが一つございます。
それから、一般歳出の伸びは、これは国も地方もおおむね二・五ないし三%という同じぐらいの伸びでありますけれども、そもそも一般歳出の絶対額が国に比べて地方財政計画が大きゅうございますので、同じ率でありましても絶対額でその差が出てくるといったような要因が加わって、国と地方との財政規模が四年度以降乖離してきているということだと思います。
過去におきましては、今ちょっとお話にもございましたように、国庫補助負担率の引き下げ等によりまして国の歳出を抑制して地方の歳出を増加せざるを得ないというふうな時期もございましたけれども、今申しましたこの四年から九年の間というのはおおむね国と地方は同一基調で編成されてきて、先ほど申しましたような要因でその規模の差がついてきているということだと理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/140
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141・古川元久
○古川委員 同一基調ということであればなおさら、やはりこれは国と地方というのは財政、ある意味では表裏一体でございますから、国がこれだけ抑えているのに、じゃ地方だけ膨れていっていいかという、これは真剣に考えていただきたい。総理におかれても十年度においては四兆円の歳出削減をしたいということを財政構造改革でも言っておられるようでございますから、ぜひともこれは地方においてもそういうような大幅な歳出カットを目指していただきたいと思います。
時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/141
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142・穂積良行
○穂積委員長 穀田恵二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/142
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143・穀田恵二
○穀田委員 きょうは、国民健康保険に関連して一つ二つ質問します。
御承知のとおり、国民健康保険は七六年以降ほぼ毎年限度額が引き上げられています。この限度額の引き上げが市町村の国保料、国保税の引き上げを誘発していることは言うまでもありません。
そこでお聞きしたいんですけれども、この限度額の決定というのは何を基準に行われているのか、まず最初に厚生省にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/143
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144・柴田雅人
○柴田説明員 まず賦課限度額でございますけれども、御承知のように国民健康保険は医療保険でございますので、その受益としての保険給付の程度というのは保険料の負担能力の大小とは関係がないということで、負担能力が大きくても給付とかけ離れた保険料を賦課されるのは適切でないということで、まず限度額を設けているということでございます。
その設定の考え方でありますが、政府経済見通しに基づきまして国保世帯の所得の伸びを推計しまして法定限度額を設定するという形にしております。この限度額の引き上げにつきましてはどういう効果があるかといいますと、高い所得層から保険料を御負担いただくことになるわけですけれども、その結果中間所得層の負担が軽くなるということになるわけでございますので、逆に据え置けば中間所得層の負担がふえていくということもありますので、私どもも、各自治体において賦課限度額を決めるに際しましては、法定賦課限度額を踏まえて対応していただくようにお願いをしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/144
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145・穀田恵二
○穀田委員 余り質問していない部分も随分お答えいただいたようで。要するに私が聞いたのは、何で決めているのかと聞いたので、上げた率を、中間層を抑えるだとか負担がこうだからというようなことを聞いているわけじゃないんですね。そこは次に聞こうと思っていたところなんですけれども、先回りして答えていただいたので、じゃ論を進めます。
要するに、所得の伸びを勘案してやっているということは間違いない、これは二つ目のところでお話がありました。
私がいただきました予算委員会提出資料で、「国民健康保険の平均所得及び保険料(税)調定額、負担率」、こういうのがあります。その中で、実は資料によりますと、一九八五年、昭和でいいますと六十年、これを一〇〇とした場合、一世帯当たりの平均所得の伸びは現在でいいますと一二〇・八、片や一世帯当たりの保険料(税)算定額というのは、同じ時期の比較でいうならば一三〇・六%になっているわけですね。だから、結果として加入者の所得の伸びよりも調定額の伸びの方が高い、こういうふうな事実があるわけなんですね。だから、より根本的に言えば加入者が一番困難を抱えているのと違うか、そういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/145
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146・柴田雅人
○柴田説明員 先生御指摘のとおり、医療費の伸びとそれから所得の伸びとを比較しますと、今は医療費の伸びが多うございます。この医療費というものを保険料あるいは国庫負担でカバーしていくということでありますけれども、結果として医療費に対応した形でふえていくということになりますから、保険料の伸びというのも所得の伸びというものを上回っていくということになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/146
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147・穀田恵二
○穀田委員 事実を、話をよく聞いていただきたいのだが、要するに困難を抱えているのと違うかと聞いているんですよね。こうなっている、ああなっている、数字はさっき聞いたんですよ。さっきはそういう話はせんといて今度はこういう話をするというのは、これはちょっとまともに答えていただきたいというのが私の希望ですね。だから、要するに、加入者が一番大変な事態を迎えているんじゃないかと思うがどうかということなんですよ。もう一遍。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/147
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148・柴田雅人
○柴田説明員 所得に応じまして保険料の割合がだんだん高くなるということは、加入者にとってもなかなか大変なことであるということはおっしゃるとおりだと思います。したがいまして、今、保険と給付の見直しを含めた医療保険制度の改革案というのも国会に提案しまして御審議をいただくということにしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/148
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149・穀田恵二
○穀田委員 全然かなわへんな、それ。保険と給付の見直しをしているという話まで飛び出してきましたけれども、それはそれでまたこれからの議論をするところですし、私どもはこの問題について言うならば、さらに負担が国民にかかるということを言っているわけですから、ちょっと全体的に論外だと私は思うのですね。だから、そういうことで言って、さらに負担をふやそうかということが出ている話まで持ってきて、だってそうでしょう、みんなこれ与党だって、二兆円の新しい負担がこれによって伴うということはだれも否定していないのですよ。その件まで持ち出して、これは加入者が大変と違うかという話をしているときに、それで直すなんということを言っているとしたら、僕はちょっとお門違いも甚だしいなと思わざるを得ないのですね。これは論議がかみ合っていないというよりも、残念ながら、まともにお答えいただいているというふうに私は思えないのですね。
それで、私のところの京都をちょっと例にとりますと、最高限度額を今度四万円引き上げて五十万円にしようとしているわけなんです。その場合、その最高限度額を支払わなければならない層はどういう層か、これをぜひ聞いていただきたい。年収でいいますと三百四十八万円ぐらいから、まあ三百八十万ぐらいでもいいんですけれども、大体その辺で該当するのですね。だから、先ほど柴田さんがおっしゃった、いわば高所得者層で一定負担をしていただいて、中間層で負担がかからないようにやるというのはちょっと私は違うと思うのですね。そう思いませんか。私は、そういう中で、やはりそういう払えない層が随分あるからこそ滞納者がふえているんじゃないか、そういう事実をひとつお聞きしたい。
二つ目の事実としては、結果として、まとめていいますと被保険者資格証明書、それから短期被保険者証の発行が急増しているんじゃないだろうかということが一つですね。それからもう一つは、収納率も結果として低下しているのではないか。もちろん個々の自治体のばらつきはありますよね、オールジャパンでいったらそういうことになりはしないか。大きく分けてその二つの事実についてお知らせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/149
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150・柴田雅人
○柴田説明員 まず、滞納対策の関係でございますけれども、国民健康保険制度、みんなで保険料を出し合って制度を維持していくというのが基本的な考え方でありますから、特別な事情もなくて保険料を納めないで給付のみを受けるということであるならば、被保険者間の公平の観点から問題があるのではないか、そういうことで私どもも、滞納というのを何とか少なくしようということで努力をしているところでございます。
具体的には、被保険者資格証明書とか短期被保険者証の発行というものをやっております。確かに数はふえております。この数、何でふえているかということでありますが、きちっと、すぱっと切れるものでもございませんけれども、だんだんこういう滞納対策という取り組みが浸透してきた面があるのではないかというふうに考えております。
それから保険料の収納率でございますけれども、ここ数年、大体九四%から九三%ということで、ほぼ横ばいでございます。つい最近の状況で見ますと、平成六年度は九三・二七%、平成七年度は九三・三二%ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/150
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151・穀田恵二
○穀田委員 要するに、滞納に対する考え方はいろいろあると思うのですけれども、ただ事実を私は聞いたわけです。滞納対策がうまくいっているからだとか、何かわけのわからぬ話でしたけれども、要するに、収納率からいいますと横ばいだという話がありましたけれども、それは確かに平成六年と七年だけ比較すれば九三・二七から九三・三二です。しかし平成元年度からいえば、九四・二二、九四・一七、九四・一六、九三・八七、九三・四八、ずっと落ちているわけでして、去年どことしぐらい比較して、いや、どうだなんていう話はそれはだめですよ、それはずっと落ちているんやから。
それから、滞納の数はおっしゃらなかったので言いますと、こっちから言うのもなんですけれども、ペナルティーを随分科しているわけですよね、そういう収納率の問題からすると。そういうものを見てみますと、ペナルティーを受けた地方自治体というのは、これまたもらった資料ですと、私、千九百何年と言った方がいいのですけれども、ちょっともらった資料を言わせていただきますと、平成二年度で二百六十九、平成三年度二百七十六、こういうふうにさあっとふえまして、平成七年度でいうと四百八十七の自治体がペナルティーを受けているわけなんですね。つまり、これは明らかに収納率というものが先ほど言ったように少しずつ低下している。だから結局、ペナルティーを受けている自治体もぐっとふえている、こういう結果を示しているのですよ。横ばいだなんていうようなことは絶対あり得ない。しかもその結果、交付金の減額がどうなったかというと、平成二年度でいえば九十八億だったものが、平成七年度は百二十六億円という減額までされている。
こういう事実から明らかなように、明らかにこれは収納率が低下をし、ペナルティーをかけてもやはりそれは相変わらず低下しているということを示しているということじゃありませんか。だからそこはしっかり見ていただいて、なおかつもう一度、いわば資格証明書だとか短期の保険証なんかの発行実態についての現状を含めてもう一度御答弁ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/151
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152・柴田雅人
○柴田説明員 済みません。数字を申し上げませんでしたので申し上げます。
まず、被保険者資格証明書、何度も何度も自治体が催促し、そういった特別な理由もないのに保険料を納めていただけないというような場合に被保険者資格証明書というのを交付するということ
がございますが、この交付件数でございますけれども、平成三年度が三万二千七十三件、そして順に四年、五年と申し上げて七年まで申し上げますと……(穀田委員「七年だけでいいです」と呼ぶ)七年だけでよろしいですか。七年度は五万二千八百二十二件ということになっております。
それからもう一つ、短期の被保険者証を発行するということもございますが、これが平成三年度は六万六千三百九十九件でございますが、平成七年度は十三万三千百二件ということになってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/152
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153・穀田恵二
○穀田委員 以上のように今数字が出ました。短期保険証並びに資格証明書、いずれも、平成三年度と平成七年度を比べた場合には、短期の方の保険証でいいますと約倍、それから資格証明書の方でいうと一・七、八倍、こういうふうにふえているわけですね。さらに、先ほど言ったように、自治体としての収納率も落ちている、ペナルティーをかけられている自治体もふえている。こういういろいろな角度から見ますと、結局、払うに払えないという事態が背景にあるのではないか、ここが肝心かなめのところではないかと私は思うのですね。私の先ほど言いました京都の例なのですけれども、そういう事態の中で何が起きているか、こんなふうなことになっているのです。
聞きましたら、五十九歳の男性が、病気で仕事ができず、妻の国民健康保険に家族として加入していたものの、十年間も病院に一回もかかれず、病院に担ぎ込まれたときは既に手おくれで亡くなられた。さらにもう一つの例ですが、昨年の夏には、子宮がんの末期症状で入院後二時間で亡くなった六十六歳の女性がおられて、これは新聞にも載りました、知恵おくれの娘さんと二人暮らしで、保険証も持たず、一度も医者にかかっていないということでした。
こういう例は全国でいつでも枚挙にいとまがないのですね。もし保険証があれば命が救えたのになどという、当然のそういうことがたくさんあるわけですね。私は、これをなくすことが当然大事だ。その意味では、加入者に対してやはり負担を、高過ぎて払うに払えないという事態を押しつけてはならぬと思うのです。そういう事態の一方で、では国や自治体というのはどんな対応をしているのかということが問われると思います。
これはまた資料なのですけれども、いただいた資料によりますと、最近二年間の保険料の伸び、それの分布状況、九五年度で九五・三%の自治体が保険料を上げています。九六年度でいいますと、九七%がそうなのですね。ところが、積立金は四千五百六十八億円にも上っていて、この積立金が九二年度では四千百八十億円。ふえ方が、それは確かにこの間でいえば四百億ちょっとと見えるでしょうけれども、その四年間で実は倍になっているのですね。これは九二年度の段階では、四年前の二倍になっているということなのですね。だから、私は、加入者に対して所得の伸びを上回る負担増を押しつけながら、一方では、地方自治体で毎年積立金は五%以上の積み立てを行えということで行っている指導というのは適切がな、その辺はどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/153
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154・柴田雅人
○柴田説明員 基金の取り崩しの御質問ということでございますけれども、私どもは、保険者が基金を取り崩す場合には、財政の長期安定化の観点から、優先的に保健事業、要するに病気にならないような事業、そういう事業費に充てることとして、安易な保険料の引き下げには充てないものということで、自治体にはそういう運営でお願いをしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/154
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155・穀田恵二
○穀田委員 私は、積立金を毎年五%以上ふやせという指導はいかがなものか、こう聞いたのですね、今。その後で、そういう取り崩しがあってもいいんじゃないかということが既に課長の方からお話があったわけですけれども、そしてさらに、安易な保険料の引き下げはだめだ、こうおっしゃいました。
そうしますと、たしかこれは平成五年一月二十七日、厚生省保険局長の通知によりますと確かにそう書いているのです。「基金を取り崩す場合は、優先的に保健施設費に充てること。その場合、安易な保険料(税)の引下げには充てないこと。」こう書いているわけです。そのとおりですね。そうすると、安易なことじゃなくで、どうしても検討して必要な場合というのは引き下げることは当然あり得るという見解ですね。それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/155
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156・柴田雅人
○柴田説明員 大変申しわけありませんけれども、安易な保険料の引き下げには充てないという考え方で私どもはおります。ですから、例えば保険料を当座に引き下げるために基金の取り崩しということを行った場合には、例えば翌年、翌々年に今度は大きく保険料を上げなければいけないという話にもなります。そういう意味で、安易な保険料の引き下げには充てないものであること、こういう指導をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/156
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157・穀田恵二
○穀田委員 全部取り崩して、それでとてもじゃないという事態を一気につくり出すということは、それはあり得るでしょう。そういう場合もあるでしょう。しかし、極端な例を持ってこずに、私ども言っているのは、安易でなくて検討して、一定の計画性を持ってやったら、当然それはあり得ることでして、別にそれが絶対だめやということはあり得ないということですよね、そのお話だと。それはそういうふうに理解していいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/157
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158・柴田雅人
○柴田説明員 繰り返しになりますけれども、短期的に見て、保険料引き下げのために安易に取り崩すことは好ましくないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/158
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159・穀田恵二
○穀田委員 安易にというから、安易でなければ、しっかりした考えを持って自治体がやっていることですから当然だということのあれだと思いますね。
そこで、今言いましたのは、地方自治体が自分たちの財政の中で基金等の保有額としてずっと積み立てている額ですよね。これは、地方自治体が独自に努力をされておられて、もちろん政府としては五%と指導していることは事実なのですけれども、同時に、そうなりますと、では歳入に占める保険料、これは、さっき言いましたように、所得が伸びていないから相対的にずっと低下する傾向にある。
さらにもう一方、「国民健康保険の歳入・歳出内訳(全国計)」という資料でいただきましたところ、歳入に占める保険料の割合も、この四、五年でいいますと低下をしています。その上で国庫支出金もこれまた低下をしています。ところが、その一方で、繰入金は明らかな上昇傾向でふえています。例えば、平成三年度でいいますと四千三百三十億円で六・三%だったものが、平成七年度では大体一・八倍近くの七千五百九十億円で九・二%というふうになっているわけです。
ですから、私は、一方で繰入金が増加しているということの事実を見た場合、この一般会計から国保会計への繰入金の増加が積立金をふやしているんじゃないかということが示されていると思うのです。ですから、先ほど言いましたように、国保財政の現状をよく分析をして、それに見合った見直しをやれば大丈夫だという立場で私は提案をしておきたいと思っています。
ところで、来年度国保の見直しに係る地方財政措置六百九十一億円が先送りされているわけですけれども、これはなぜなのですか。これは自治省ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/159
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160・二橋正弘
○二橋政府委員 国保の見直しが来年度、平成九年度行われるわけでございまして、国保基盤の安定化等の措置がとられることになったわけであります。そういうことの関連で、今御指摘もございましたように、六百九十一億という加算が行われるということが自治大臣と大蔵大臣との折衝で決まっております。
ただ、この加算に当たりましては、本来的にはこういう加算は国の一般会計からの繰り入れが望ましくて、また法定加算は法律の規定どおり加算されるべきものでございますが、今、国の財政が非常に特例国債に多額に依存しているような状況である中で地方財政対策を講じましたものですか
ら、その中で、一般会計からの交付税特会への繰り入れは、国の財政事情が許すぎりぎりの額として三千六百億円を確保して、残余については交付税特別会計の借り入れで賄うことにいたしました。
その結果、今申しました六百九十一億円という国保制度改正に係る特例加算につきましても、後年度に送らせていただくということで、今回御審議をお願いしておりますこの交付税法改正案において、平成十五年度以降に加算するということで御審議をお願いしておるわけでございます。
今申しましたようなことで、三千六百億円という一般会計の加算と、それから交付税特会の借り入れで、しかもこのものにつきましては、そのうちの九千七百二十二億円についての償還は平成十年度以降、国の一般会計が負担するということをまた法定するということにつきましても、今回御審議をお願いいたしておりまして、そういう全体の状況の中で、今の国保の関係の六百九十一億円については平成十五年度以降に加算するという形で先送りをさせていただくということでお願いいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/160
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161・穀田恵二
○穀田委員 では、まず最初の方のだけ大臣にお聞きしたいと思います。
今、加算については自治大臣と大蔵大臣の折衝の結果ということでありましたので、私は調べてみてもよくわからないものですから、この点はなぜこういうことになるのかなと思うのですよね。
保険基盤安定制度の分、いただいた資料を見ますと三百三十一億円、それから高額医療費共同事業分の三百六十億円の六百九十一億円だったというのですね。これが、もともとそこが出発点ですね。それのもともと始まった八八年、昭和でいいますと六十三年ですか、そのときに保険基盤安定制度が始まって、低所得者に対する保険税の軽減措置だったわけです。市町村が一般会計から繰り入れる軽減費相当額の二分の一は国が負担する制度として始まったわけですね。その後定額になっているのですね。いろいろ経過をしてさらに三年後に二分の一に戻る、そういう経過をずっと踏まえています。
ところが、肝心なところは、いずれにしても国の負担分は、八八年度に、制度を始めた年に一回入れられただけで、後はずっと先送りしているのですね。先送り、先送り、先送りで来ている、こういうことなのです。しかも、この時期に都道府県の財政負担を導入しているわけですけれども、私は、制度導入にかかわって、こういう事態で国が責任を果たしたと言えるのだろうかという根本について、まず自治大臣にできればお聞きしたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/161
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162・二橋正弘
○二橋政府委員 今委員御指摘ございましたように、保険基盤安定制度と高額医療の共同事業で今の加算という問題が出てきておるわけでございます。特に、その保険基盤安定制度につきましては、低所得者の保険料の軽減を国、地方の一般会計が負担をして、その保険料軽減の補てんをしようということでスタートしておるわけでございまして、これは国が二分の一、県が四分の一、市町村の一般会計が四分の一ということで、それぞれ一般会計の負担で国保会計をいわば助けるという形のものがこの仕組みでございます。
その際に、確かにその国の負担分が現在も丸々の二分の一になっておりませんで、国民健康保険法の附則で暫定的な定額の金額を定めて、今二分の一に達成するまでの間はそういう暫定の額になっておりまして、今回、国保の関係につきましても、厚生大臣を含めた大蔵、自治三大臣でこの九年度の地財対策の際に合わせて取り決めましたときに、三年かけて本来の額の二分の一に、国が出すように持っていこうということで、今回また国保法の改正を出しております。
その間の地方の負担に対して、国費の縮減分という、いわば本来国が出すべき、二分の一出すべきものの縮減をしておりますので、その縮減分についてのいわば交付団体分、交付団体と不交付団体がありますので、その交付団体分について特例加算をするというのがこのそもそもの特例加算の趣旨でありまして、それを大蔵大臣と自治大臣との折衝の中で、その縮減分については国の方が特例加算をするということを決めました。
決めましたが、実際にその加算をする年度については、先ほど申しましたように、平成九年度の全体の地方財政対策を講ずる中で、三千六百億というぎりぎりの一般会計の加算は確保いたしましたけれども、これは過去の交付税の特例減額したものの償還でありますとか、あるいはそれの繰り上げ償還でありますとかといったようなものにその三千六百億を充当するということにいたしまして、今の国保の関係につきましては、そういう平成九年度の地方財政の全体の状況をにらんで、これは確認をして約束をいたしましたけれども、それをさらに平成十五年度以降に送るということを今回の交付税法の中でお出しをして、御審議をいただきたいということをお願いしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/162
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163・穀田恵二
○穀田委員 いや、お話は、その経過と構造はわかっているのです。問題は、今お話があったように、平成十五年度まで先送りする、これで本当に責任が果たせるのかと言っているのですよ。しかも、今まで先送り、先送りという問題をずっとやってきたのじゃなかろうか、私はこう言ったのですよ。
前を見ますと、これは調べてみますと、こういう同じようなパターンでやってきた、先送り論でやっていきますと、平成二年度からの見直し分として百五十億円ある、こういうことから始まって、平成二年度といいますと九〇年ですかね。要するに、九〇年から百五十億円、九一年同じく百五十億円、九二年百五十億円、こういうふうにずっと来て、去年の、九六年の六百三十八億円を足しますと、先送り、先送りと言っているのをずっと足しますと、三千四百八十五億円ぐらいにもなってしまうのですね。
だから、構造と仕組みはわかったけれども、そして、それを先送りするという考え方が、私は、本来当該年度にきちんとすべきじゃないか。そして、おっしゃるのは多分、交付税で措置して、その結果、一般会計と特別会計、いろいろあって、操作しながら、全体としては交付税で見ています、こういうふうに最後は言うのでしょうけれども、そんなことにはならぬのじゃないか。やはりそれは本来当該年度で措置すべきものだし、十五年度に先送りじゃなくて、そうきちんとやれということと、本来、ではそういった額、私の計算では大体三千四百八十五億円ぐらいになるけれども、これをきちんと戻す気がまともにあるのか、その二つはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/163
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164・二橋正弘
○二橋政府委員 この特例加算の額、これは地方交付税の中でといいますか、地方財政対策の中では国保だけの問題ではございませんで、過去の補助率カットでありますとか、いろいろな形のものが、それぞれ国と地方との約束事といいますか、というものであるわけであります。そういうものにつきまして、今回のこの国保のように先に送るという場合には、その旨を法律で定めて、かつ、いつからこういういわば計画でその六百九十一億について加算をするということをもちろん確認した上で法律に明記するということでございまして、もちろん、当該年度に加算できるのが望ましいということはおっしゃるとおりであります。
おっしゃるとおりでありますが、先ほど申しましたような全体の財政事情の中で、一般会計からの加算も三千六百億というぎりぎりの額を確保するということになりまして、それは過去の交付税の特例加算、特例減額したものの戻し分でありますとかといったようなことにいわば優先的に充当して、今のこの国保につきましては十五年度以降、年割り額を決めて、そういう意味では数字をはっきりさせて、加算する時期もはっきりさせて、しかもそれを法律で書くという形でいわば国の責任を明らかにしているということでございます。
そういう扱いをしているということは、全般的に、交付税の中期的な、安定的な確保という意味で、交付税特会の借り入れの地方負担分というの
は平成十五年度から返していくということに、またこれも今回の法律で出しておりますので、そういうこととも兼ね合わせて、十五年度以降に送るということを明記をするという形で国の責任を明らかにしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/164
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165・穀田恵二
○穀田委員 私は、国の責任を明らかにしているというのでは納得できません。つまり、国の責任を果たしているかどうかと私は問うたのですね。国の責任を果たすという点では、やはり当該年度に払うということが本来の筋だということを私は改めて言っておきたいと思うのです。
私どもは、ついでに言っておきますと、じゃ財政的にどうしたらいいかということも含めて、今後の方向といいますか、やはり地方自治体の要望も含めて、また加入者の要望も含めてきちっと対処すべきじゃないかということを言っておきたいと思います。
その中心は、何といいましても、先ほどお話ししましたけれども、所得の伸びを上回る毎年の値上げ方式、こういうパターンはやめるべきだということが一つ。
それから二つ目は、先ほど言いましたように、地方自治体のそういう積立金方式は、それはそれで五%という指導が実際やられているわけですから、地方自治体の自主的な判断で、財源の方向も出しながら、それはきちんと、取り崩すことを含めて認めるべきだ。
それから三つ目に、国の負担を先送りするというやり方はやめて、当該年度にきちんと処理すべきだ。
最後に、その上で、国庫補助率というのは随分これは下げてきたわけですから、これを全部もとへ戻せとは言いませんけれども、せめてそういうものを漸次戻していく必要があるんじゃないか。
そういう四つのことだけ提案して、時間も来ましたので終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/165
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166・穂積良行
○穂積委員長 畠山健治郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/166
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167・畠山健治郎
○畠山委員 きょうは珍しく重複する質問にはならないようでありますが、時間もございませんから、地方交付税を中心とした地方財政の財源対策問題を一点、集中してお尋ねをさせていただきたいというふうに思っております。
地方財政の財源対策につきましては、これまでも地方交付税法の第六条の三第二項との関連でたびたび議論をされてきたところでございました。そこでお尋ねいたしたいと思います。昨年と同様に本年度の地方財政対策も単年度措置とされておりますが、その理由はいかなるものか、自治省と大蔵省からお伺いをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/167
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168・二橋正弘
○二橋政府委員 平成九年度の地方財政は引き続き大幅な財源不足が生じることになりましたが、一方で国の財政も極めて深刻な状況にあることなどから、交付税率の引き上げ等の恒久的な制度改正は難しいという判断のもとに、国の一般会計からの加算による交付税の増額措置のほか、交付税特別会計の借入金の一定部分の償還につきまして国が負担する措置を、単年度の措置ではありますが、制度化を図るということにより対処いたしたところでございまして、今後とも地方財政の運営に支障が生ずることのないように対処してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/168
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169・溝口善兵衛
○溝口政府委員 国と地方財政は車の両輪でございまして、一緒になって国民に公共サービスを提供しているわけでございますから、毎年度の地方財政対策におきましても、地方で財源が不足して地方財政の運営に支障が出るということがないようにしなければいかぬということが基本だという考えで、自治省と一緒に地方財政対策を年末考えたわけでございます。
先ほど自治省から御答弁ございましたように、地方財政は引き続きまして巨額の赤字が来年度も見込まれる。他方で、国の方も特例公債七兆円強を含め十七兆円の公債を発行せざるを得ない非常に厳しい状況にあります。そういう厳しい状況の中で、先行きにも経済の見通しあるいは税収の見通し等にも不透明な要素もございますし、そういうことがあるものでございますから、単年度ではございますけれども、地方財政の運営に支障が生じないように、先ほども自治省の方から御答弁ありましたような対策を講じたということでございまして、そういう意味で、恒久的な対策がなかなかとり得なかったという点について御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/169
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170・畠山健治郎
○畠山委員 単年度措置であれ何であれ、交付税法の六条の三の二項に基づく制度として法定化した以上は、今回の法定内容は当然後年度の交付税総額の確保に連動するということになると思いますが、そういうことでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/170
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171・二橋正弘
○二橋政府委員 今回の措置は単年度限りの制度改正として実施するものでございますが、交付税法の六条の三第二項の規定に基づく制度として法定化をお願いするというものでございます。したがいまして、国の負担による交付税特別会計の借入金については国の負担による償還が法定をされております。それから、地方負担の借入金の償還年度は平成十五年度以降に設定することにいたしておりまして、後年度の法定加算についてもそれとの均衡で平成十五年度以降に加算することにいたしております。
こういうふうに、後年度の交付税の総額の確保に配慮したものになっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/171
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172・畠山健治郎
○畠山委員 大蔵省。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/172
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173・溝口善兵衛
○溝口政府委員 自治省の財政局長から答弁があったとおりでございますけれども、借入金いたしておるわけでございますけれども、その償還につきましては、後年度国が負担すべき分は一般会計の繰り入れということで、今回の交付税法の附則に書いてございますけれども、そこで後年度に加算して、後年度の交付税総額の確保に配意しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/173
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174・畠山健治郎
○畠山委員 過年度地方財政対策に基づく法定措置によって、九七年度の交付税特会には一般会計から四千八百十億円が繰り入れられることになるはずであったと思います。しかし、実際に繰り入れられた額は千九百六十億円。残り二千八百五十億円は九八年度以降に繰り延べされております。法定繰入額が一部しか入らないで後年度に繰り延べされたというのは、今、国の財政も大変だというのは、それはそれなりにわかるわけでありますが、どうしてもやはり納得ができない。
どうしてかといったら、確かに国からしたら出口の問題かもしれません。ところが、地方自治体からしたら入口ですよね。自治体固有の財源なわけであります。それがどんどん延ばされるというようなことは自治体からすると大変な問題になるわけでありますから、どうしてもその点納得できません。もう一度御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/174
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175・二橋正弘
○二橋政府委員 今委員がお挙げになりました九七年度の法定加算額四千八百十億円、このうち、今回、二千八百五十億円について後年度に繰り延べをするということで法案の提出をお願いをいたしておるわけでございます。
国の一般会計からの繰り入れはできるだけ、特に法定加算の場合には法律の規定どおり加算されるべきものでございますが、先ほども申しましたように、非常に国、地方の財政、ともに厳しい中で、国の財政は特に特例国債に大きく依存しているような状況でございます。そういう状況の中で、私どもと大蔵省当局との方でぎりぎりのいろいろなやりとりをいたしまして、一般会計からの繰り入れとして三千六百億円を確保することとし、残余については交付税特会の借り入れにより対処することにいたしたわけでございます。
その千六百億円という加算につきましては、平成八年度の地財対策で今回と同じような単年度の制度改正が行われておりますけれども、その際に国の方が後年度負担をすることにいたしましたもののいわば初年度分としての六百四十億円をまず加算をしていただく、それから、平成三年度、四年度に特例減額をしていわば国の方に地方交付税を貸しておりますけれども、それの九年度の返還分に充てさせていただく、今の三、四年度の特例減額の繰り上げ償還分に一千億を充当させてい
ただくというようなことにいたしまして、法定加算額の四千八百十億円につきましては、そのうちの千九百六十億円を今回、三千六百億円の一部として加算をすることにして、残りの額につきましては後年度に送らせていただくということで今回御審議をお願いしておるわけでございまして、全般的な財政状況の中でぎりぎりの判断をいたしたものでございます。
平成九年度全体の地方財政収支の見込みの中で、今申しましたようなことで、地方財政の運営に支障がない地方交付税の総額は確保されておるというふうな判断のもとに今のようなことをお願いいたしておるわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/175
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176・溝口善兵衛
○溝口政府委員 二橋局長から詳細な答弁がございましたけれども、大体考え方は同じでございますが、基本的な考え方だけ申し上げますと、地方の財源不足があって、これはちゃんと補てんをいたしまして地方財政の運営に支障が生じないようにしなければいかぬ、これは基本でございます。
他方で、国も非常に財源事情が悪いものでございますから、国、地方、車の両輪ということでございますから、一体となって努力をしていかなきゃいかぬということで今回のような措置を御提案申し上げているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/176
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177・畠山健治郎
○畠山委員 過去に交付税法の附則で法定化された額が当年度になったら繰り延べにされるということは、結局、冒頭で申し上げましたように、単年度措置に大きな原因があるのではないだろうか。地方交付税率の引き上げをするなど、やはり恒久的な対策が、こんなに何年も続いているわけでありますから、今こそやる必要があるのではないのだろうかということが第一点であります。
第二点では、何のために法定化をしているのかというようなことを問われることになろうかと思うんです、毎年毎年このようなことを繰り返しておるわけでありますから。どうかひとつ、そういう意味で、やはりこの恒久化に迫るということが今こそ一番大事なときだ。何のために今こんな審議をしているのかということが問われることになろうかと思っておるわけであります。
ぜひひとつ、その観点からお尋ねを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/177
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178・二橋正弘
○二橋政府委員 最初にお尋ねがございましたように、その際に御説明を申し上げましたように、単年度の措置とせざるを得なかったという事情は先ほど申し上げましたとおりでございます。
望ましいのはもちろん恒久的な制度改正が望ましいわけでございますが、国、地方、全般的に非常に厳しい財政状況が続いている中で、国の方も特に多額の特例公債に依存しているという深刻な状況の中で、恒久的な制度改正は難しいという判断をいたしたわけでございまして、その点は御理解いただきたいと思う次第でございます。
また、もう一点、過去のいろいろ法定化したものをさらに先送りするのでは法定化した意味はないんじゃないか、こういう御指摘でございます。もちろん、法律で当初規定いたしましたものはその規定どおり加算するのは筋でございまして、私どもは、この地財対策の折衝を行います際には、当然そういう主張は常にいたしておるところでございます。
しかし、ぎりぎりのやりとりの中で、今申しましたようないろいろな状況を踏まえて、一般会計への加算の額を決め、また、単年度め措置ではございますが、特会の借り入れについての国の負担の措置を決めて、平成九年度の地方財政の運営がやっていけるようになるというふうな措置をとったところでございます。
その中で、確かに今、法律でこれまで決めておりましたものを今回この法案を提出いたしました中で再度先に送るということを御提案申し上げておるわけでございまして、心苦しいところではございますけれども、そういう意味で、またその観点から御審議をいただき、何とか御理解をいただきたいというふうに思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/178
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179・溝口善兵衛
○溝口政府委員 先生御指摘のように、恒久的な制度改正をするというのが筋じゃないか、それはそのとおりだろうと思います。しかし、現在のような国の非常に困難な財政事情、それから経済の不透明な状況等々を考えますと、先行きを長く見通した制度改正をやるというのは、なかなか現実の問題として困難であるということでございまして、その点はぜひとも御理解を賜りたいと思います。
それから第二点目で、去年法定したのにその分をまた変えるというのはおかしいじゃないかという御指摘でございますけれども、その点も私どもも非常に重く受けとめておるわけでございますけれども、なかなかそういう現実の財政事情等々が許さないということがありまして、まことに申しわけないわけでございますけれども、そういう改正の法案を御提案申し上げて御審議をお願いしておるということでございます。よろしくお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/179
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180・畠山健治郎
○畠山委員 まとめとして自治大臣にぜひお願いをしたいというふうに思っておりますが、ある年度の法定内容はその後の財政対策の約束事の始まりだと思うんですね。それが毎年ひっくり返ってしまう、こういうことでは立法の意思が否定されておるというようなこととどこが違うんでしょうかと言われても仕方がないと思うんです。しかも、事は交付税の心髄ともいうべき六条の三の二項の問題であります。
一方では、地方財政に重大な影響を与えないように、今いろいろお話がありましたように御努力をなさっておるというようなことは評価はいたしたいというふうに思います。評価はいたしますけれども、こんなことがいつまでも続いておったのでは行政府と立法府の接点が問われるということになろうかと思うんです。
そういう制度の問題としても大事な問題ですから、根本の問題ですから、ぜひひとつ改めてこのことを大臣から、それから大蔵省から締めくくっていただきたいというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/180
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181・二橋正弘
○二橋政府委員 平成九年度の地財対策を講ずるに当たりまして、六条の三第二項の規定に基づく措置として、単年度限りの措置といたしました理由、あるいは法定加算をやむを得ず後年度送りといたした理由は、先ほど来御説明を申し上げたとおりでございまして、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。
ただ、一言だけつけ加えさせていただきますと、確かに、先送りするというようなことは過去にも何回かございまして、今回またそういうことをお願いをいたしておりますけれども、当然のことでありますけれども、そういうことの結果、約束がほごになるということは決してございませんので、これまでもそういうことは一度もないということだけはぜひとも御理解をいただきたいと思います。
もとより、恒久的な制度により地方財源が安定的に確保されるということは、私ども強く念願いたしておりまして、今、財政構造改革会議で、国、地方を通ずる抜本的な財政の健全化を政府・与党一体となって検討をいたしておる中でございまして、そのためのいろんな検討の中で私どもも対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/181
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182・溝口善兵衛
○溝口政府委員 現在の地方交付税制度におきます、先生御指摘の六条の三第二項、これは大変重要な意味を持っておるわけでございまして、私どももよく認識をいたしております。しかし、財政事情とか年々の事情もございまして、そこは厳正に対応せざるを得なかったという面がございます。
しかし、いずれにしても国と地方は一体になりまして財政の健全化を進めていかなければいかぬわけでございますから、その方向で今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/182
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183・畠山健治郎
○畠山委員 最後に、一言だけ申し上げてお聞きしたいというふうに思っております。
地方分権がこのとおり進んでおる時代ですから、地方交付税というのは国から下へ与えているものだというふうなとらえ方になっているのは大
変乱は間違いだと思うのです。交付税というのは自治体固有財源なわけでありますから、このことをきっちりと踏まえていただいて、これからも対応に万全を期していただきたいというふうに思います。それから、不足する分はその分地方債に頼るわけでありますから、それだけやはり自治体に迷惑が及んでおるわけでありますから、及んでおるというようなことも含めて、対応に誤りのないようにしていただきたい。そして、大変重要な問題でありますから、ぜひひとつ大蔵大臣、どう話してもらちが明かない問題が残るわけでありますから、いつかの機会で結構でありますから、大蔵大臣にもお尋ねする機会をつくっていただければ大変ありがたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/183
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184・穂積良行
○穂積委員長 それでは、大蔵大臣出席を要請する件については、理事会で御相談をいたします。
次回は、来る二十七日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00419970225/184
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