1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年三月六日(木曜日)
午後六時一分開議
出席委員
委員長 穂積 良行君
理事 谷 洋一君 理事 平林 鴻三君
理事 宮路 和明君 理事 山本 公一君
理事 古賀 一成君 理事 富田 茂之君
理事 田中 甲君 理事 穀田 恵二君
石橋 一弥君 久野統一郎君
下村 博文君 滝 実君
中野 正志君 西川 公也君
西田 司君 平沢 勝栄君
持永 和見君 渡辺 具能君
今井 宏君 川端 達夫君
笹山 登生君 白保 台一君
福留 泰蔵君 松崎 公昭君
鰐淵 俊之君 葉山 峻君
古川 元久君 春名 直章君
畠山健治郎君
出席国務大臣
自 治 大 臣 白川 勝彦君
出席政府委員
警察庁長官官房
総務審議官 山本 博一君
大蔵省主計局次
長 溝口善兵衛君
大蔵省理財局長 伏屋 和彦君
大蔵省銀行局長 山口 公生君
自治政務次官 久野統一郎君
自治大臣官房長 谷合 靖夫君
自治大臣官房総
務審議官 嶋津 昭君
自治省行政局長 松本 英昭君
自治省行政局公
務員部長 芳山 達郎君
自治省財政局長 二橋 正弘君
自治省税務局長 湊 和夫君
委員外の出席者
大蔵省理財局国
債課長 浜田 恵造君
地方行政委員会
調査室長 黒沢 宥君
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委員の異動
三月六日
辞任 補欠選任
志位 和夫君 春名 直章君
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本日の会議に付した案件
地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の
一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)
地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出第三八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/0
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001・穂積良行
○穂積委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古賀一成君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/1
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002・古賀一成
○古賀(一)委員 御指名をいただきました新進党の古賀一成でございます。
せんだって、大臣の所信表明に対しましての質疑をさせていただきましたけれども、今回提案になっておりますいわゆる地方交付税法及び地方税法二法につきまして御質問をさせていただきたいと思います。
その前に、実は、きょう質疑の後採決ということでございましたけれども、きょう先ほどまでございました税特委、私も提案者になっておりまして、その税特委の関連であした採決ということに相なったわけでございまして、新進党は、あすの税特委、そういうことで法案を提出しておるという立場、いろいろ背後にございます。そういうことで、今回の二法につきまして反対をするという立場に立つということになるわけでございます。これにつきましては、今から私はるる御質問させていただきたいと思いますが、税特委のいわゆる減税法案というものにつきましては、いわゆる歳出削減といいますか、そういうものへの努力なしのいわゆる負担ツケ回しというものが大変目立つじゃないか、そういうスタンスもございまして、反対を申し上げるところでございます。
地方交付税等についても、やはり構造的ないろいろな大きい問題を抱えているんではないか、この法案を、あるいは説明の書類を見るたびにそう思うわけでございまして、嫌がらせとかそういう立場ではなくて、真摯にこの地方財政あるいは地方自治の危機に当たって、この時代の過渡期にもっと腹を割って意見を出し、そして、我々国会議員でございますから、役所の人たちが知らない、恐らく触れようがない論点といいますか、そういう論点も我々政治家というのは気づくものでございまして、私は、だからこそこういうときにいろいろな切り口から、むしろ自治省に、政府ですね、こういう切り口もあるのか、こういう見方もあるのかと、そういうものをあえて御提示申し上げたい。そして、今後の実りある地方自治、行政あるいは地方財政再建というものに資していただきたい。そういう気持ちで、きょう一時間お時間をいただいたわけでございます。
それで、冒頭でございますが、せんだって我々新進党の明日の内閣の大臣といいますか、担当いたしております今井宏衆議院議員の方から国会本会議場で質問を申し上げた点にも重なりますけれども、もう一度お聞きしたいのは、今から審議申し上げますこの地方財政計画そのもの、これはやはり構造的に見て財源不足じゃないか、かように思うわけでございます。
そして、この地方交付税を律しております地方交付税法六条の三第二項というもの、六条の三とついておりますから、これは地方交付税法ができた後、時代の変遷に合わせて当然追加になった法律なんでありますけれども、これによれば、地方交付税法六条の三第二項、ここはこう定めておるわけですね。交付税率による普通交付税の総額が引き続き各地方団体に交付すべき普通交付税の合算額と著しく異なることとなった場合は、地方行財政制度の改正または交付税率の変更を行うこととする、こうなっておるわけですね。これは明文でございます。
そこで、ちょっと財政局長にお伺いをしたいのですが、「引き続き」「合算額と著しく異なる」、この「引き続き」という概念をひとつちょっと教えていただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/2
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003・二橋正弘
○二橋政府委員 ただいま委員がお述べになりました交付税法の六条の三第二項という規定、今御指摘になりましたような規定のしぶりになっておりまして、「引き続き」といいますのは、二年間そういう状態が続いて、次の年もそういう状態が見込めるという状態を指すものというふうに解釈されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/3
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004・古賀一成
○古賀(一)委員 それでは、もう一つの概念でございます、「著しく異なる」と法文に書いてございますが、これは過不足額が交付税総額の一割程度と解されているという説明を聞いたことがございますが、これでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/4
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005・二橋正弘
○二橋政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/5
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006・古賀一成
○古賀(一)委員 そうなりますと、もういろいろな説明書にも書いてございますが、今回の地方財政計画、平成九年度の地方財政というものは四兆六千五百四十四億円の財源不足、こうなっておるわけでございまして、これは地方消費税収の未平年度化分を除くいわゆる普通分ですね、四兆六千五百四十四億円、こうなるわけでございます。
これは、比率というものはちょっと忘れましたけれども、たしか三割を超える、しかも、この財源不足は平成九年度は四年連続ということだと理解されるわけでございますけれども、今年度、そういう法文、明文があるにもかかわらず、せっかく書いてあるその法文を生かして、条件に合うわけですから、交付税率の変更というものを堂々とやったらよかったと思うんですが、今回これをなぜ行わなかったのかというその原点につきまして、もう一つ確認をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/6
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007・二橋正弘
○二橋政府委員 確かに、地方交付税法の六条の三第二項は、先ほど申しましたような事態に該当して、そういう割合の不足が見込める場合には、地方行財政制度の改正あるいは地方交付税率の引き上げを行うべしということを規定いたしております。
私どもも、平成六年度当初から財源不足が続いておるような状況で、交付税率の引き上げを含めた補てん措置をいろいろ検討したところでございます。しかしながら、国の財政も、御案内のとおり大変深刻な状況で、引き続き多額の特例国債に依存しているという、そういう状態にあることなどを考えまして、交付税率の引き上げといった恒久的な制度改正は難しいという判断をいたしました。
そういう判断のもとに、地方行財政制度の改正の一つとして、国の一般会計からの加算による交付税の増額のほか、地方交付税特別会計の借入金の一定分の償還について国が負担するという措置を、単年度の制度ではございますが、法律によって制度化をするということで今回御審議をお願いしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/7
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008・古賀一成
○古賀(一)委員 今の答弁ではっきりしましたように、いわゆる交付税率の引き上げははっきりとやらなかった。そうなりますと、法律でちゃんと規定してあります残る手は、地方行財政にかかわる制度の改正というものをやらざるを得ない、こう読めるわけでございます。
今、いみじくも単年度の措置をすることになった、こういうことでございますが、それでは、解釈上、自治省そのものが法律違反をするわけにいきませんから、「著しく」に該当するし、「引き続き」にも該当する、そうなりますと、地方財政にかかわる制度の改正をやらざるを得ないと思うわけですが、今おっしゃったその単年度の措置というものはこれに当たるわけでしょうか。当たらなければ、法律にのっとった仕事をしておらないということになると思うのですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/8
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009・二橋正弘
○二橋政府委員 この法律の解釈でございますが、以前に、昭和五十三年度の地方財政対策を講ずるに当たりまして、昭和五十二年度の交付税法の改正のときに、やはり大幅な財源不足に対応するための単年度の措置としての地方交付税の増額ということを制度改正したことがございまして、そのとき、やはりいろいろ国会で論議がございました。
そのとき、法制局の方からも御答弁がございまして、この地方行財政制度の改正は、恒久的な制度改正ももちろん予定されておりますけれども、この規定のしぶりからも言えるように、いかなる内容の地方行財政制度の改正を行うかということについては広い選択を法律が許しているんだということから、このときも、単年度のこの制度改正も六条の三第二項の地方行財政制度の改正に該当するというふうな解釈が示されておるところでございまして、今回もそういう考え方に基づいて御審議をお願いしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/9
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010・古賀一成
○古賀(一)委員 この六条の三の第二項というものが改正によりまして追加されたのは五十二年でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/10
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011・二橋正弘
○二橋政府委員 この規定自体は以前からございまして、この規定に該当して、制度改正をしなくてはいけないということになったときに、単年度の改正ということを行ったのは五十三年度改正、地財対策。改正自体は五十二年度の地方交付税法の改正でありますが、地方財政対策といたしましては五十三年度の対策でそういう単年度の措置をとることになりましたので、単年度の措置がそれに当たるかどうか、そういう議論といいますか、法律解釈についての質疑があったということでございまして、この規定自身は以前からございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/11
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012・古賀一成
○古賀(一)委員 ちょっと六法のその条文をひっくり返して何年改正か見ればわかるのですが、私は五十二年かと思っていたのですが、この改正そのものは、いわゆる条文の追加というのはもっと前からあったわけですね。
そうなりますと、近年のいわゆる地方財政の赤字の推移を見ますと、今年度が、そういうことで不足額ざっと四・七兆、去年が五・八兆、さかのぼって平成七年が四・三兆、そのさらに一年前の平成六年が三兆円ということで、相当の額の不足額が生じておる。もう楽々と「引き続き」という概念に該当する状況にございます。しかも、普通交付税総額に比しての比率というものは、先ほど一割を超えれば著しいという概念に該当するというお話でございましたけれども、これをざっと平成六年から追ってみますと、二五%、三五%、四八%、そして平成九年度が三三%ということで、当初、法律ができたときの有権解釈で示された基準から見れば大幅に上回っている現状だということなんです。
そうしますと、私はこの際、もちろん法律をつくったとき、地方の財政が大変になるかもしれない、こういう状況が起こるかもしれない、しかし国はそんなことはなかろうと思っておったのかどうかわかりませんけれども、今のお話ですと、確かに地方財政はこの六条の三に該当する厳しさだけれども国が厳しいから単年度措置、こういうことになったと思うのですが、本当の地方分権、あるいはもう自治省の最大のテーマである地方財政の健全化というものをやるなら、本当にこの際堂々と、対大蔵であろうが何であろうが、対政治であろうが、実るかどうかは別として、やはり言う、提案をする、問題点を指摘する、要求をするということが、私は地方分権推進なり地方財政健全化の一歩じゃないかと思うのですよ。
この点につきまして、これだけの厳しい状況が四年続いている、そして、やはり制度改正というものを思い切ってやらなきゃならぬ時代なんですね。これは違うのですよ。制度はあるのです。あるにもかかわらず、それが適用されない。これでは、本当の意味での今後の地方財政健全化というのは本当に開くのだろうかという感じを私は持つわけでございますが、大臣、この点について御所見をひとついただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/12
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013・白川勝彦
○白川国務大臣 おっしゃることはわかりますけれども、この交付税率というのは大変重たい意味があるわけでございます。国税としてお預かりはいたしますが、この率をもって、国税と同時に地方固有の財源というふうに分ける大きな意味があるわけでございまして、金が足らぬからあっちこっちという話じゃなくて、国の方も御案内のとおり大変苦しい事情にあるわけでございまして、一たび税率を変えたならば、多分地方の方は、今までも我々は主張してまいりましたが、これは財政が苦しいから余計にされたんだ、そのかわり、地方財政が楽になったから今度また縮減されても構わないという、そういうたぐいの話じゃないわけです。
ですから、地方にとっても大切でありますが、一方では国税として、今度は逆に残りの分が国税というか、交付税に回さない分は国税、国の固有の財源ということでありますから、国もこれについては大変強い意思を持っているわけでございまして、国にゆとりがあって、構造的にそうなれば別でございますが、御案内のとおり国の方も大変苦しいわけでございます。ですから、所得税、法人税等でいただくもののうち、何対何で、どれだけの率で分けるかというのは、地方にとっても自主財源は大事でしょうが、国にとっても財源なんでございまして、そう簡単な話じゃないのは御理解を賜りたいと存じます。第一点。
そして、だからといって、私もこのことを考えなかったわけじゃありません。しかし、御案内のとおり、もういろいろ言われておりますが、地方税財源の充実とみんな言っています。みんな言っていますが、これもなかなか大変な話でございまして、さりとて、地方分権をするんだからトータルとしての税負担を多くするということはしないようにしようというのが今回の地方分権の大きなテーマでございますから、そういう面では、簡単に新しい税を設けるということはできないわけでございます。
そういたしますと、国税としてお預かりするけれども実際は地方財源なんだというのは、国から見ても大きな話でございまして、いずれにしましても、ことし、来年あたりに地方分権とも絡んで財源を含めて大幅に見直そうという、そういう最終勧告が出され、それに基づいて政府は分権推進計画を定めて政府部内で調整するわけですから、そのときにもう少し抜本的に議論すべき問題だ、こういうことで、私は、単年度限りの措置で今回はいいと。そのかわり、現実に地方に負担が残らないようにということで、国からも不足分については半分、将来国が面倒を見るということで、今回は決着をつけたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/13
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014・古賀一成
○古賀(一)委員 私も大臣のおっしゃった、国の財政が大変厳しい、対大蔵関係で交付税率を変えるということは至難のわざであるということはよくわかるのです。でも、どこかで言い出さないことには秩序というのは変わっていかないわけでございまして、大学時代に、イェーリングの「権利のための闘争」という本があって、私もうろ覚えでございますけれども、たしか、自分の権利であろうが、あるいは自治省の権限であろうが、あるいは制度であろうが、すぐ実現しなくても、やはりこれはこうあるべきだと言い続けない限り改善にならないと私は思うのですよ。
それでもう一点は、国の財政が厳しいということは、これはもう、あと十年たとうが二十年たとうが三十年たとうが、私は変わらないと思うのですね。もっともっと厳しくなる。そういうことになりますと、一方で自治体だって必死なんだ、大変なんだ、もう税源の構成までは言いませんけれども、むしろ地方の方が厳しいじゃないかという論議もあるし、国依存が強過ぎるじゃないかという論議も地方分権に絡んで昔からあるわけですよね。そういう中で、国も厳しいけれども地方も厳しいわけでありますから、国の財政状況は厳しいということで一種両省庁の妥協の産物でいく限り、結局これを変えていくエネルギーが生まれないのじゃないかという気が私はいたします。
もう一点、私が非常に気になっておりましたのは、今そういうことで対大蔵との関係、きょう大蔵もお見えになっていると思うのですが、大蔵との関係で容易ならざるものがある。国と地方の権限配分、資金配分というのはそう簡単ではない、それはわかるのですが、一面で今回の地方財政計画なりつらつら見てみると、本当に大変厳しい状況だと思うのですよ。
今、先ほど言いました四年連続の財源不足。もう一点重要なファクターを申し上げますと、こう書いてあるのですね。平成九年度地方財政計画においては、財政体質を健全化し、借入金を二兆七千五百四十二億円減額した、こうなっているのです。去年に比べて、地方の借入金は二兆七千五百四十二億減ったということを強調してあるのです。ところが、じゃ残高はどうなっているのと。去年の発行額に比べてことしは減りました、こうそこを強調してあるけれども、じゃ残高はどうなってきたのだと。いわゆるストックですよ。何とこの五年間で、五十五兆六千億円の増加を見ているわけですね。毎年十兆円近い増加を見て、何と平成九年度、この資料にも書いてございます百四十七兆円という巨額な地方債残高が残っておるわけでありまして、それも厳しいのですね。あとたくさん厳しいファクターがあります。
ところが、これは注文でございます。自治省から二、三度いただきました、皆さんもいただいたと思うのですが、「平成九年度地方財政計画の概要」、こういうペーパーがございます。ここにこう書いてあるのですね。「平成九年度の地方財政の姿」、これはちゃんとハッチまでかけてありますから、恐らく強調してある部分だと思うのですね。「徹底した歳出の抑制により地方一般歳出の伸び〇・九%」、次、「借入金を二兆七千五百四十二億円減額」、そのほかにも地財計画の規模、「実質的には昭和五十九年以来の低い伸び率」、それから「地方単独事業の抑制」、こう書いてあるのですね。あとは「地方債依存度の改善」、平成九年度は一三・九%です。前年度は一五・二%で、減りました。
これは、確かにおっしゃるとおりだと思うのですね。でも私は、このペーパーから伝わってくるものは、地財計画あるいは地方財政はうまくいっているよというふうにとれてしまうのですね。まさにそういうペーパーですよ。ところが、私は先ほど、国との関係で交付税率の引き上げ、制度改正が成らなかったと。先ほど言いましたように、いわゆる地方債の残高の急激な伸び、もう言えば切りがございませんが、実際は大変厳しい状況があると思うのですね。それをこういうふうに表現されるところに、私は先ほど言った対大蔵との戦争が、本来あるべき戦争が開かれないというような問題もあるんじゃないかと。
私が申し上げたいのは、やはり地方自治を推進し、地方財政を健全化する、それが自治省そのもののレーゾンデートルだと思うのですね。ならば、結果がどうであれ、大蔵に対して、こういう現状だ、おたくも厳しいだろうけれどもうちだってこうだという論陣を国会も交えて展開していく、これが実は地方財政健全化と分権推進のまずスタートではなかろうか、私はかように思うわけでございますが、もう一回、この点に関して自治大臣の御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/14
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015・白川勝彦
○白川国務大臣 おっしゃることはわかります。わかりますが、国にとっても国の財源は大変でしょう、大切でしょう。地方にとっても大変で、これまで戦いがあったわけです。そして、国も大変な、財政再建元年といえども多額の公債を、借金をしなければいけない。地方もやっていかなければいけない。しかも、地方分権についての大幅な見直し、税財源を含めての見直しかないというなら、私、さあこの問題をどうするかとぎりぎり詰めるつもりでございました。
ただ、御案内のとおり、まず国の事業をどうするか、補助金等をどうするか、ある面では国と地方との事務配分のあり方を含めて、全面的に今見直そうとしているわけです。そして私、見直さないといかぬと思いますよ。言葉ばかりでみんな酔っていますけれども、本当にどうするのだという話になったら、地方分権推進委員会にお任せしているだけで満足なものが出るなんて私は思っていません。
そういうトータルの大変革をする中で、これから国の事務量がどうなるのか、地方の事務量がどうなるのかというのがこの一両年で根本的に決まるのだから、それが落ちついた段階で、じゃ一般的な税というのが、それぞれ苦しいのは事情はわかりますが、どの程度ぐらいに配分をしなければならないというのが出てくるわけでございますから、そのときに本来この問題はトータルで考えるのであって、おれも苦しい、国も苦しいが地方も苦しいと苦しさの度合いをお互いに言い合ったってこの際率は決まらぬと思ったから、こういう措置でいいというふうに、財政局長を含めて私が納得したのでございます。
どうか、いいかげんに考えているのじゃありません。むしろ、地方の税財源をどうするかという問題、これはことし最終勧告が出されますけれども、私はまだまだ本当にこの問題が中央省庁を含めて、なかなか補助金を簡単には放したくないという気持ち、相当補助金を持っている役所はありますよ、率直に言って。それらを含めてトータルで、我々国会、私は国会じゃありませんが、皆さん国会でございますので、国会を含めて、根本的な、大きな事務の見直しをして、だから言うのは、事務の見直しをすれば当然どういうふうに税源を手当てしなければならぬかというのは決まるでしょうと。
だから、私は地方自治体の皆様にもまず金ということを言いなさんなと言うのは、そういう意味なのでございます。どういう事務をどうするかというのが決まれば、それに対してどのぐらいずつ財源の手当てをしなければならぬというのは出てくるわけです。そして、トータルで言えば、じゃ、租税からもらう中で国がどのくらい持ち、地方がどのくらい持てばいいのかというのは、これは交付税の率を決めるときにも出てくるのじゃないですか。そのときにやはり根本的な、抜本的な率の見直し等を含めてしなければいかぬと私は思っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/15
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016・古賀一成
○古賀(一)委員 大臣のお気持ち、お言葉、よくわかりました。でも、また反論するわけではございませんが、私は国の方も、地方もそうだと思うのですが、本当に知恵を絞り出して、しかもそれを、私はよく言うのですが、今までのやり方とか縦割りにこだわらず、本当に地方なり国の財政が、同じ仕事をするにしてもこういう仕組みでやれば、こういう組み合わせでやればもっと効率的に、安上がりにできるというその知恵というのは、私はまだ出てないと思うのですよ。
だから私は、とりわけ省庁の壁を越えて知恵を出し合うというところにしか、しかと言ったら大げさですけれども、その部分に非常に可能性があると思うのです。そこのところは、各省庁とも今までのやり方と、去年はこうやってきた、それは補助金行政もそうですよ、あるいは対大蔵、自治省との財政折衝も恐らくそうでありましょう。交付税特会に借り入れたといういろいろな今までのやり方が続いてきましたけれども、私はこの際、今大臣がおっしゃったように、財政再建元年でございますから、元年一年で解決がつくはずはない、それほど簡単ではないと思いますけれども、この元年を機に、本当の構造的な部分からもう一回、前例にこだわらず論議をしていくということが私は絶対必要だと思うし、それはほかの省庁だけでなくて自治省そのものもそうだと思いますので、ぜひ今の大臣の心意気で、閣内でも引っ張っていっていただきたいと本当に思います。
それで、もう一点。きょうの税特でも議論になりましたし、この前、日経新聞にでかでかと載った記事がございます。何かといいますと、国と地方の債務、合わせますと五百二十一兆円、これは何と日本のGDPの九二%、いわゆるOECD諸国に比べればもう劣後すること甚だしい、世界最悪の借金大国、こう載っておったわけであります。国の債務三百四十四兆、地方債務、先ほど言いました百四十七兆、国、地方の重複分も差っ引いて、あと隠れ借金四十五兆を足して、五百二十一兆円ということでございます。
これはこれでよく聞く話なのですが、かつて大蔵省が、もう赤字国債は減らさぬといかぬ、建設国債だって借金は借金、何といっても国債は減らすということで、血眼になっていわゆる財政再建の行脚に回られた時期がずっとあったのですね。ところが、最近はどうもぷっつんになってしまって、何かもうどんどん出し放題というような感じすら私はするのです。その折、国債は一兆円発行すれば二兆円の元利償還です、大変な後年度負担だという説明をたしか財政当局はずっとしておったと思うのです。
ここら辺、今まで、例えば補正予算が組まれた、金が足りない、赤字国債を五兆円発行する、簡単にこう出て推移してきた経緯がございますが、さて、一兆円国債を発行する、自治体に対しては地方債を発行する、そうした場合、大ざっぱに言って、つまり期間もあるだろうし時期もあるだろうし、いろんな、国債もあります、地方債もある、縁故債もあるでしょうから、一概には言えないことは百も承知でございますが、元利合わせて大体どのくらい後世の人が払うものでしょうか。ちょっとこれは私も詳しく知りませんので、ぜひ教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/16
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017・二橋正弘
○二橋政府委員 地方債でちょっとお答えをさせていただきますが、一兆円の地方債を、現在は比較的金利が低うございまして、現在の政府資金の金利二・九%で通常三年据え置きの二十年償還ということで発行いたしますので、その場合の元利償還金は、一兆円出しますと全体で一兆三千六百億ということになります。金利が二・九という状態であるから、そういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/17
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018・古賀一成
○古賀(一)委員 では、ちょっと大蔵省に、国債の方もお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/18
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019・浜田恵造
○浜田説明員 お答え申し上げます。
国債につきまして、代表的な年限でございます十年利付国債、金利を三%と仮定いたしますと、この十年間での元利は、利子が毎年三%で三百億円でございますので、当然、十年分で三千億円、元金と合わせて一兆三千億円ということに相なりますが、委員御指摘のとおり、国債の場合には六十年で借りかえていくということでございまして、この場合ですと、十年後に今度はまた八千億強財源としての借換国債を出してまいります。それを繰り返してまいりまして六十年で実質的に償還するということでございますので、もし仮に三%という金利がずっと続いていけばという条件でございますが、その仮定の計算をいたしますと、借りかえの方の国債の利払い費が、利払い費だけで六十年間で一兆五百億円、償還額は一兆円で変わりませんので、合計二兆五百億円の元利合計ということに試算されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/19
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020・古賀一成
○古賀(一)委員 今お話ございましたように、長期の建設国債、六十年ということでも、建設国債で子供たち、孫たちに社会資本が残るからいいじゃないかということで割とこれも軽く見られておったと思うのです。開発途上国の追い上げとか、日本の経済の成熟化に伴う経済疲弊とか、まあいろいろな、十年、二十年も予測できないのに、五十年、六十年はもっと予測できないわけですが、ざっと一兆円発行すれば孫子は二兆円払うというようなことでございまして、私は選挙区でよく言うのですけれども、一兆円国債を発行しますと、百万円毎日使ったって二千七百四十年かかるのですよね。一億円毎日使ったって一兆円というのは実は二十七年かかる。まあ国債残高、例えば地方債を例にとりますと百四十七兆円ですね。これは利息抜きですよ。元本だけを見てもですね。この地方債残高百四十七兆円を毎日百万円ずつ使っていくと何年かかるかというと、四十万年以上かかるのですね。これに先ほど言いました利子もつくということで、将来の日本経済の姿、少子化だ、高齢化だといろんなことを考えたときに、本当にこれで大丈夫なのだろうかと私は強く強く懸念を持つわけでございます。
そういうことで、発行残高での論議だけではなくて、背後にそれだけの利払いというのもあるということは、やはり大蔵省も自治省も、もっと厳しいのだ、今も厳しいけれども、十年後、二十年後はもっと厳しいのだというのはキャンペーンすべきだと私は思うのですね。そういうためにも、こういう数字はもっと言っていいのではないか、私はかように思いまして、これは私からのお願いというか、提言ということで終わらせていただきたいと思います。
さて、時間も刻々と迫っていきますけれども、先ほど大臣の方から補助金行政の話もちらっと出ました。私も、確かに補助金行政には問題はたくさんあると思います。委員長は農林省御出身だし、筆頭理事も農林省だし、私も建設省でございまして、補助金が一番得意な役所におったわけでございますが、だから言うわけではないのですが、補助金行政への批判が集中している、確かに問題も多い、これはもう率直に認めます。でも、ここは地方行政委員会でございますから、では、補助金だけなの、交付税制度そのものには問題がないのかというのを私はあえて申し上げたいと思います。
論議は、交付税については補助金に比べれば大変少ないと思うのですが、しかし、国への依存体質、一般財源で毎年大体このぐらいは国がくれる、陳情に行かなくてもくれる、そういう面では、国へ依存しているという面では、これは余り変わらないと私は思うのですよ。極端に言えば、とりに行かなくたってくれるわけですから。
それから、経費節減意欲という面でも、交付税に入っている、今度算定基準に入った、これはもともと算定基準に入っているというようなことで、本当に削減意欲というものがどこでわくのだろうか。むしろ、これはマンネリで、惰性に陥る可能性が交付税の方が大きいのではないだろうか。この補助金は絶対とりたいと本省にヒアリングに行ったら、若い係長から、これはアイデアが足りないとか言われるのですね。そうしたら、もっといい知恵を出そうとか、そういう面では補助金は、悪い面もたくさんありますけれども、やっぱりシビアに知恵を出そうというところがあるのですよ。そういう面で、私は、いい企画をどんどん出そうという意欲、あるいは経費節減の意欲、そういうものから見て、この交付税の方がむしろ問題があるのではないだろうかという感じも若干いたします。
それから、先ほどの、大蔵と自治省の、いわゆる交付税特会の資金運用部からの借り入れとかいろいろなことがこれまでなされてきましたけれども、こういうことで、負担の先送りという問題については補助金よりもむしろ交付税の方がでっかい規模でやっているのではないだろうか。こういう構造的な、交付税のいい面もたくさんあるわけでありますけれども、交付税なるがゆえに、しかも最近の運用がそうであるがゆえに、むしろ負担の先送り、無責任というものに流れているのではないだろうか、私はこういう懸念もあると思うのです。
私は、ここで謙虚に、自治省の方でもやはりそういう分野について、交付税制度、戦後ずっと続いてきた巨大なる制度でありまして、巨大なる資金も持っておりますけれども、この点についてそういう問題がないか。これは最近の新聞をいろいろ見ましたが、そういう指摘も多々ございます。この点につきまして御所見をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/20
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021・二橋正弘
○二橋政府委員 地方交付税は、御案内のように各地方団体が仕事を行っていきます上で、地方税が非常に限定されておりまして、かつ地域地域によりまして非常に偏在があるという現状のもとに、片方で、いろいろな仕事をどうしても地方団体の手を通じて行う、しかもその仕事の量あるいは水準が決められておるという要素がございまして、そういう税源の偏在と責任を持たされた仕事をこなしていくための財源を保障するという機能を地方交付税は果たしておるわけでございます。
私どもよく端的に、都会でも田舎でもやはり四十人学級で教育をしなければいけない、したがって、そういうところで地方税が少ないから学級編制基準が五十人学級とか六十人学級でいいかといえば、なかなかそうはいかないというのが今の日本の行政システムでございまして、そういうところでも四十人学級で、財政力のあるところと義務教育の水準として同じような教育ができるようにというところが交付税の仕組みの基本でございます。
そういう要素がございますので、客観的な指標で各分野についてもちろん算定する必要がございます。時に、そういう項目が多うございますし、また算定が非常にきめ細かくなってまいりますと、複雑でわかりにくいのではないかというふうな御指摘をいただくことがございます。また、先ほど委員もおっしゃいましたように、どうしてもみずから汗を出して取る税金と違って、ややそこのところにいわば節減のインセンティブが少ないのではないか、こういう御指摘を受けることもございます。
交付税は、御案内のように標準的な行政を賄うために算定をするものでございますから、税につきましても全部を算定の対象にいたしておりません。市町村の場合には七五%を算定の対象にいたしておりますから、残りの二五%は交付税の外の世界、いわば留保財源として、団体によってはそれが非常に貴重な財源になるわけでございます。そういう要素がございますし、それから、交付税自体はそれぞれの地方団体にとりまして一般財源でありますから、最終的にどういうところに使うかというのは財政運営上の最も重要なポイントの一つでございまして、そういう意味では、税と並んで交付税というのはとらの子の財源と言ってよろしいかと思います。したがって、各年度の財政運営に当たりましては、その財源、交付税をとういうふうに使うかということがその団体にとっては最も大きな留意点といいますか、予算編成のポイントになるということであります。
私どもは、交付税だから一概にそういうところの財源についての節減のインセンティブが働きにくいというふうには必ずしも考えておらないわけでございますが、片方で、今委員もお挙げになりましたように、多額の特会の借り入れのようなものがありますと、これはいわばトータルで、交付税の総額で借りておりますので、各団体に配分されます段階ではどの分が借入金でありどの分が交付税であるかというのはもちろんわからないわけでありますから、そういう意味で、共通の借金が要するに交付税特会一本で行われているので、その借金の痛みというのは個別の団体では通常の地方債に比べてややわかりにくいのではないか、こういう御指摘を時々いただきますし、私どももそのとおりだと思っております。
そういう意味合いでも、今の地方債の借り入れの残高、それの後年度に与える影響でありますとか、特に九年度の場合にはいろいろな会議を通じまして今回私ども一番強調いたしましたのは、そういう財政の厳しさ、それを踏まえてどういうところに九年度の地方財政対策のポイントを置いたかということについて、いろいろな機会にいろいろなレベルの方々に説明をしておるところでございまして、これからもそういう点については各機会を通じて十分趣旨説明を徹底してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/21
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022・古賀一成
○古賀(一)委員 今のお話で、交付税の基本は私は立派なものだと思うのです。これは守っていき、育てるべきだと思うのです。ただ、そこに、運用いかんでは、そういう危険性といいますか、安易に流れる可能性というものを申し上げたわけでございますが、今局長の方からは、地方自治体等にはその点は説明もし、警告も発し、指導をするということでございました。それはそれでお願いしたいのですが、ところが、地方債とその償還を交付税でというシナリオの中で、むしろ自治省そのものが後年度への負担先回しとかそういうものを助長しているのではないかという事例は最近大変多いわけです。
例えば、ここにいただきました資料「平成九年度地方財政計画」、この茶色い資料は一番新しいものですか。嫌みでも何でもないのですが、これは目次のページ数と中身のページ数が何カ所か、大分違っていますので、後で見ておいていただきたいと思います。
この十九ページに、平成九年度地方債計画、地域総合整備事業、こういう起債対象事業が書いてございまして、二兆二千三十六億円。これも聞くところによりますと、とやかく申し上げませんけれども、いわゆる、じゃんじゃん事業はやれ、地方単独でどんどんやれと。地方単独でやったら、後年度また交付税で措置しますよと。ところが、交付税そのものが、国との貸し入れとかいろいろな借金だらけとか、もうあるわけですね。だから、そういう面で、地方財政悪化の背景には、地方単独事業の増大と、自治省の指導もこれあり、それを地方債増発で裏づける、その地方債増発を地方交付税措置が加勢してあげるという構図があるのじゃないか、私は明らかにあると思うのです。
そこら辺については、私は、先ほど言いましたように痛みが直接今来るわけじゃない、ゆえに自治体も安易に流れる可能性があると思うのです。この点については、客観的な基準といいますか、何か、こういうものについては地方単独事業で推奨し、起債で裏づけし、そして交付税でさらに加勢をする、それはこういうものに限るんだよと、そういう基準というものは、クライテリアというものはあるのでありましょうか。私は、それがないとすると非常に怖いなという感じを持っておりますので、質問をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/22
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023・二橋正弘
○二橋政府委員 今委員たまたま、単独事業に地方債を充てて、その元利償還を交付税で措置するというものをお挙げになって、どういうふうな交付税措置の基準があるのか、こういうお話でございますが、これは基本的には交付税を使ってどういう財源措置をどういう形態で行うかということでございまして、単独事業に限った話ではございません。
交付税で、特に投資的経費を算定いたします場合に、客観的な指標で、例えば道路の延長とか面積とか港湾の延長とかということですることになりますと、それはあるところとないところと当然違ってまいります。それから、これから整備しなくてはいけないところはそういう財源が手当てできないということになりまして、交付税で計算するときに、そういう客観的な指標でいわば静態的に算定する要素と、それからある程度、やはり実際の事業を促進していくという意味合いで、実際の事業量に見合って算定をしていくといういわば動態的な算定というのを、特に投資的な経費については組み合わせて行う必要がある、こういう命題が交付税の算定にございます。
この際には、始まりましたのは、何といいましても国の長期計画に基づきます公共事業が最初でございまして、そういう形のものは、港湾でありますとかあるいは下水道でありますとか、それから、やや違いますが義務教育の学校の建物でありますとかごみ焼却施設でありますとか、多額の資金を一度に要するというものについて、単年度で財源手当てするよりも、むしろ地方債を活用して何年かにわたって財源手当てをした方がよかろうという形で、そういう動態的な算定を行うということから今のようなシステムが取り入れられているわけでございます。
そういうものの一つの形態として、単独事業についても一定のものについて、代表的なものは過疎対策事業なんかそうでございますけれども、実際の事業を行いましたときの地方債、過疎の場合には過疎対策事業債について七割を算入するというものの一つの形態として、今委員がたまたまお挙げになりました地域総合整備債というふうなものが挙げられておるわけでございまして、この場合には財政力に応じて交付税の元利償還の比率は三〇から五五という率を定めておりまして、この目鼻は、やはり他方で同種の補助事業がございますので、補助事業とのバランスを考えて、むしろ補助事業の財源措置率を超えないような範囲内ということで決めておる。
それから、例えば下水道なんかの場合にはまた別の理論で、雨水に対応する部分と汚水に対応する部分があるので、どちらの方を、公共で持つべきものについて算入率を決めておるということでございまして、それぞれ事業によって性格も算入率も違ってきておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/23
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024・古賀一成
○古賀(一)委員 今の、起債認可及び交付税の裏づけというものが単独事業だけではない、それはそうだと思うのですね。
でも、あえて地方単独事業だけ申し上げたのは、地方単独事業、これまでの景気対策等々地単事業はこれだけ伸びた、こういい調子で、いいイメージで書いてこられた経緯があると思うのですが、私も地方行政に携わったことがありますし、今政治家としていろいろな、ああ、あれを何で地方単独事業でやるんだ、公共事業でやれるのにと思う事例がたくさんあるのですね。やはり国の関与ですね。いわゆる用地買収を本当に確たる、確信でやれないとか、未執行がばれたら本省に怒られるとか、どちらかというと、もうきついことはやめよう、単独でつけておった方が楽だという、そういう安易に流れる雰囲気も地方単独事業の背後にあるわけであります。事例は私は具体的に幾つも知っております。そういう面で、地単について、とりわけ今後、これまでの地方財政増大の背後に地単事業の増大があったことはもう紛れもない事実でございますので、あえてそこについて私は、警告といいますか、こういう実態があるんだというものを申し上げたいと思います。
それで、時間もどんどん迫ってきましたので急ぎますが、これはちょっと大臣に、くどいと言われるかもしれませんが、再度きょうお聞きしたいことがございます。それは、もうせんだっての二日間にわたります審議で各党から出ました、いわゆる合併の促進の問題でございます。
大臣おっしゃいましたように、基礎的公共団体ということで、この基礎的公共団体が本当の意味での総合的行政主体というものにならずして、私は、地方行政の、地方といいますか、とりわけ地方分権の推進というのはないと思うのですよ。やはり受け皿として地方のある地方公共団体が生まれなきゃならぬ。
その場合、この前申し上げたかどうかわかりませんが、私は柳川という、福岡県の県南でございますが、その柳川の市役所から半径五キロで、あるいは四キロ、五キロでコンパスで描くと、町役場と市役所が七個も八個もあるのですよね。それで、市町村長さんも歴代頑張ってきたけれども、なかなかならない。いわゆるにしきの御旗ですね、合併しないとどうしようもないんだというにしきの御旗が国から与えられてない。そこに、強制はしなくていい、しかし合併をやればこれだけのメリットがある、国もやれと言っておる、こういう仕掛けも用意しておるではないか、私はそこがこの数十年薄かったと思うのです。
この前、大臣もお出になっておられましたけれども、私はこのたび地方制度調査会の委員に命ぜられまして、初めてこの前出ました。自治省の大先輩でございます久世参議院議員が、大変おもしろいことをおっしゃっていたのですね。私も感心して聞いていましたけれども、自民党の久世参議院議員の御紹介は、昭和二十八年に市町村合併促進法が成立した、そのときに、三越百貨店で町村合併大博覧会をやったというのですね。それから、ミズニューシティーコンテストをやったと。昭和二十年代ですよ。これ、自治省がやった。自治省、あのときありましたよね、庁ですね、庁の時代といえども、何とナウいではないですか。だって、合併促進のために三越百貨店で町村合併大博覧会をやった、ミズニューシティーコンテストをやったというのですから。これは私はこの前もちょっと申し上げました、広報を自治省はもうちょっと考えた方がいいのじゃないですか、むしろ強制とか理屈で市町村長とか国民は動かない、行政はファッションだ、これが格好いいとかこれがおもしろいというところに一番のインセンティブがあるわけで、そういうことを言って、翌々日だったですかね、この久世参議院議員、自治省の大先輩の大変おもしろい、私がいみじくもこの前一般質問で申し上げた、それを裏づける出来事をおっしゃったものだから、私は非常に感激をしたのですが、こういうことまでやっているのですよ。
私は、自治大臣おっしゃいますように、強制はできないと思うのですね。地方自治の精神から見て、国が、はい、五十万でまとめるとか、それはできないと思う。しかし、地方交付税を使うか何を使うかは別としても、コンテストをやるか、コンテストぐらいじゃだめなんですが、それは附属の、おまけでございますが、やはりこの際、平成の、大合併とまで看板つけなくてもいいのですが、やはり大胆な地方分権推進スキームというものを示されて、合併が進むような誘導策、強力な誘導策というものを、すぐとは申し上げません、一年かけようが二年かけようがいいのですが、はっきりとターゲット、目標を定めて私はやるべきまさにときだと思いますが、大臣の御所見を再度お伺い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/24
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025・松本英昭
○松本政府委員 市町村の合併の問題につきましては、たびたび御質問を受けているところでございますが、今までのいろいろな御意見の中を整理いたしてみますと、一つは市町村の合併というものを行政の効率という観点から進めなければならないのではないかという視点と、それからいま一つは、やはり市町村のこれからの基礎的地方団体としての対応といいますか、規模、能力という面から合併は必要なのではないかという視点とあろうかと思います。
後者の方にはまた二つありまして、地方分権というものの権限の受け皿という視点を非常に強調される方と、その権限の受け皿ということとは離れたものとしても、本当の自治の担い手というものを考えますと、これからの市町村というものはやはり規模、能力というものを備えていかなければならないという立場で論じられる方とあるように思っております。
私どもは、市町村の合併というものを、行政効率という面だけでこれをとらえていくということは、一方では市町村というものはやはり自治の基盤でありまして、連帯感とかあるいはアイデンティティーとか、そういう面というものも大変重要な要素になっているわけでございます。したがいまして、そういう点から見ますと、単なる効率というものだけで物を考えてはならない面はあろうかと思っております。
それからいま一つ、受け血論との関係で申し上げますならば、やはり具体的に、それではどういう権限を市町村が処理する上にどういう規模というものが必要なのだろうかという個々の議論を詰めてまいりませんと、その議論はアプリオリに成り立つものではないだろう。むしろ逆に、まず市町村に権限をおろしてやってみる、市町村がやっていけるかどうかということを見ていく必要がある、そういう立場の方にむしろ私どもはくみしたいという気がいたしておるわけでございます。
ただ、そういう議論はいろいろありましても、本当にこの市町村というものがこれからの経済社会の変動等に対応して、厳しい状況の中で自治の本当の担い手としてやっていけるようになるためには、やはり私どもはそういう視点からの合併というものを進めていかなければならないのだろう。そういう意味で、さらにトーンを上げて合併に対しては取り組んでいく必要があろうということを考えております。
したがいまして、先ほど委員御指摘になりました、その町村合併促進法の当時にも、いろいろな形で機運の醸成等、当時の感覚としては非常にすばらしい感覚でおやりになったわけでございますけれども、私どもも今現在に合った形の、ナウい形の機運の醸成というものにも努めてまいりたいと思っておりますし、そればかりでなくて、やはり制度的な側面も今後考えていかなければならないだろうということで、委員もこの間御出席の地方制度調査会において、これからはそういう側面も検討していこうではないかというふうに総会でお決めいただいたわけでございます。これからそういう方向、地方制度調査会、また地方分権推進委員会でも御議論になると思いますので、私どもも前向きに、先ほど申し上げましたような視点から、市町村合併には積極的に取り組んでまいる必要があろうかと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/25
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026・古賀一成
○古賀(一)委員 時間が来たとなっております。ただ、今お答えで、私はちょっとはっきり申し上げたいのですが、いわゆる市町村に権限をどれだけ渡したらいいかという議論の前に、それはもう抜いて、要するに、でかくする、もうその一点ですね。でかくしないままで、合併できて町村規模が大きくなるかどうかわからないままに権限の移譲の議論をしても、私は本当に意味がないと思うのですね。まずはある程度の規模まで大きくしたときに、これだけ大きくなったものならばこれは権限を移していいんじゃないかという議論が私は始まるような気がしてなりません。
四十五年前の話ですね、これは。昭和二十八年ですから、もう四十何年前ですよ。もうその後の情報化、きょうはパソコンの話をぜひしたかったのですけれども、時間がなくなりました。残念でありますけれども、少なくともこの恐るべき情報化、そして交通手段の発達、それはもういわゆる地方自治をめぐる道具といいますか手段というか、それは環境は一変しているわけでありまして、私は、そういう面からももう市町村をでかくする機は熱した、こう思います。
今後この問題についてはいろいろ議論の場が与えられると期待を申し上げながら、大変たくさんの質問を積み残しましたけれども、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/26
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027・穂積良行
○穂積委員長 次に、田中甲君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/27
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028・田中甲
○田中(甲)委員 田中でございます。
四十五分間質問の時間をいただきました。まず、外部監査制度の導入に関して御質問をさせていただきたいと思います。突然本題に入りますが、時間の関係もありますので、御理解をいただきたいと思います。
外部監査制度のその委員となり得る者の範囲を、弁護士、公認会計士以外に公務の監理に精通した者としておりますが、これは具体的にどのような方を示しているのか、お答えをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/28
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029・松本英昭
○松本政府委員 ただいま詰めております外部監査制度の問題でございますが、外部監査人となり得る者につきましては、現在、弁護士の資格を有する者、公認会計士の資格を有する者、それから地方団体の財務等に精通した者で政令で定める者という三つのタイプの資格を定めているわけでございます。
最後の、地方行政の財務に精通した政令で定める者というのを考えておりますのは、まず一つは、国の行政機関において会計検査に長年従事した者というのが一つのタイプでございまして、具体的には、会計検査院の経験者で、ある程度の年限を積まれた方ということが一つであります。もう一つは、地方公共団体におきまして財務等に関する事務に長年従事された者ということでございまして、これは、地方公共団体の監査委員事務局の職員として長年積まれた方、あるいは地方公共団体におきます財務、会計、そういうところで財務のチェック、会計のチェックに現に長年携わってこられた者、そういう方々を予定しております。
なお、付言させていただきますと、地方公共団体においてそういう業務に携わられました方は、これは当該地方団体の外部監査人となることはできない、こういうようにいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/29
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030・田中甲
○田中(甲)委員 そもそも、自治体職員OBが多い監査委員あるいは自治体職員である事務局員によって、身内に甘い、そんな監査が問題になってこの論議が始まったと私は思っています。
もう一度ここで確認をさせていただきたいのですけれども、そうすると、この監査委員の退職職員ということの中には自治省の経験者も含まれる、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/30
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031・松本英昭
○松本政府委員 制度的に自治省の職員を含むようなことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/31
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032・田中甲
○田中(甲)委員 制度的に自治省の職員が含まれることはないとおっしゃられたわけですが、自治省から監査委員になられた方が新しく外部監査の中に入ってくるということはありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/32
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033・松本英昭
○松本政府委員 監査委員になった者を対象とする予定はございません。ただいま申し上げましたのは、例えば自治省に一時勤務はしておりまして、今人事交流をたくさんしておりますので、自治省にも地方から職員はたくさん参っております。その職員が、あるいは自治省から地方へ出た職員もおりますが、そこにずっと地方の職員として勤務をいたすこととなった職員もおります。そういう職員が地方の職員としてただいま申し上げましたような職についておりましたようなときには、それは別に自治省の職員であったからではなくて、まさに地方の職員としてただいま申し上げました職に従事していたという意味において外部監査人となる、それは当該団体ではございません、先ほど申し上げたとおりほかの団体になりますが、それはあり得ますが、自治省の職員であったという資格においてこれを外部監査人の資格にするということはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/33
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034・田中甲
○田中(甲)委員 この点はどんなに話しても平行線だと思いますが、私は、外部監査制度が中央官僚の天下り先になってしまうのではないかという危惧を持っています。そもそも行政による行政の監視に何ら変わりがないという点、根本的にその発想ということを変えていかなければならないのだろうという点を、私は、あえて、地方制度調査会というものが開かれて何度も何度も小委員会で話し合いを進めてきたという経緯を承知している者でありますが、もう一度この地方行政委員会の中で確認をしておきたいと思うのであります。本当に地方分権を考えるならば、もう一度繰り返しますが、行政による行政の監視に変わりのないような外部監査制度の導入ということでは意味がない。
実は前回、私は二月の二十日に同様の質問をさせていただきましたが、白川自治大臣から、議会の軽視ということはしてはならない、議会が本来チェック機関として機能しなければならないのにそれができていないというところが問題であり、それを改めていくというのがそもそもの筋論だろうということを大臣がおっしゃられました。その質疑を終えてから私なりによく考えを整理して、大臣の御意見というものを考え直していく中で、まさに本来は議会が行政の監視を行うべきものであり、その本質ということを後回しにして外部監査制度の導入をするということに受けとめられはしないでしょうか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/34
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035・松本英昭
○松本政府委員 地方公共団体の行政のチェックというのはいろいろな局面において行われているわけでございます。
まず、執行組織の中におきまして執行の段階で行いますし、それから、お金の面からいいますと、財務、いわゆる予算統制、会計統制ということを行います。それから、先ほどから問題になっております事後のチェックとして監査委員による監査、これを行っているわけでございます。それから、執行機関と独立の立場において議会におけるチェック、これは当然行うものでございまして、それぞれチェックの目的とか機能とかが異なっております。
したがいまして、もし今まで議会のチェックというものが十分な機能を果たしてきたといたしましても、議会は議会としての視点からのチェックがございます。したがって、これからももちろん議会の機能としての執行機関に対するチェックというものは重要でございますし、そしてまた、これは議会の活性化というような面からも、私どももそういう面の検討を進めていかなければならないということで、地方分権推進委員会の方にも問題を投げかけているところでございます。
それと、またいわゆる監査制度というものを通じたチェック、特に、いわゆる地方公共団体の議会であれ、執行機関であれ、そういう組織機構の中でなくて外の目から見る、外の目から見て、住民の方々からなるほどやはり外の目から見てチェックが届いたなというように見ていただく、そのことは非常に重要なことであろうということでございまして、議会もチェックを強化しなければいけませんが、外部監査も必要だというふうに私どもは考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/35
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036・田中甲
○田中(甲)委員 外部監査制度が必要ではないとは言いません。しかし、憲法第九十二条における地方自治の本旨というものを考え直してみますと、住民自治や団体自治という二つの大原則から成っていて、それぞれ民主主義的原則であり、さらには、団体自治ということでは地方分権的原則というものをそこにうたっているのだというふうに私は受けとめます。
団体自治の本旨、分権から考えてまいりますと、現在の中央省庁からの地方自治体に対する出向者が余りにも多過ぎる。外部監査制度の問題を考えるときに、やはりこの点はもう一度確認をすべきであろうと思うのです。課長以上の出向者は、四十七都道府県の中で現在百二十二名、十二政令指定都市の中で十五人、その他の市町村にも二十六人いるという現状、これは自治省だけてありますが、こういう現状であります。
時間の関係がありますから、この辺で実は質問をしたかったのですけれども、続けてお話をさせていただきますと、これは日経のリージョナルエコノミックレポートというところから抜粋してまいりましたが、一九九六年の段階では、自治省から四十七都道府県に百三十名、建設省からは百六十二名、農林水産からは七十七名、厚生省からは六十五名、運輸省からは三十九名、これは四十七の都道府県であります。政令市の中にも、延べにして六十名出向者がおります。自治省からは、十二政令指定都市に十九人。そして、特に特筆すべき点は、自治省からの出向者は、副知事、総務部長あるいは財政関係の主要なホストというものを、財政部長あるいは財政課長という立場で出向しているという実態があるわけです。
こういう中から見て、本当に自治省が地方分権を進めていくということを考えているならば、それでは現在のこの出向の姿というのをどのように受けとめますか、御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/36
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037・谷合靖夫
○谷合政府委員 御指摘の数字を私ども十分承知をしておりますけれども、出向につきましては、基本的には、私どもとしては、各地方公共団体の任命権者からの要請に基づきましてこちらの方から人を送っているというのが原則でございます。
私どもといたしましては、それぞれの地方の現場で責任のある立場で仕事をさせていただくということが後々そうした仕事、私どもの仕事をやっていく上に大変な貴重な経験なりプラスに働くわけでございますし、また地方の側、受け入れる側から見ても、そうした形でいろいろな新しい知識とか新しい、フレッシュな感覚とか、そうしたものをいわばそこから酌み取りながら、組織の活性化なりそれぞれの職員の資質の向上なり、こうしたことに役立っているのではないかというふうに思っておりまして、基本的には、お互いにそれぞれのいわばメリットをそうした中で受け取っているというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/37
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038・田中甲
○田中(甲)委員 その考えでは地方分権は進まないと思います。中央官庁からの出向者が地方自治体で果たす役割というのは決して少なくないだろうと思いますよ、現状。しかし、本当に地方分権を進めるためには、中央からの人材に依存しない地方自治体の運営というのが望まれているはずだと思いますが、自治大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/38
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039・白川勝彦
○白川国務大臣 人事交流それ自体を否定するつもりはありませんけれども、埼玉県の例から始まっただけじゃなくて、私は前から、明らかに指定ホスト化をしているような県や市が多いのじゃないだろうか、こういうことについては私として一つの問題意識は持っておりました。
どういう意味で問題意識を持っていたかというと、例えば建設、土本部長というのでしょうかね、土本部長、長は全部中央省庁から来る、こういうふうにしたならば、例えば県で建設関係の行政に携わっている人というのは相当いるのじゃないでしょうか。そして、みんな建設関係ならば一生懸命努力してできればそのナンバーワンになりたいという、可能性があればナンバーワンを目指して頑張る人が五人とか十人いて、その中で一番すばらしい人が部長になると思うのでございますが、ずっとナンバーワンというのは建設省から来るのだというのが指定されたら、その県の建設関係の人というのは全部死んでしまうのじゃないでしょうか。ナンバーワンにはなれなかったら、ナンバーワンになる人材が育つわけがありません。
そういうことを含めて、私は、中央省庁の人はみんな局長とか部長になれるのだから、その上でなおかつ地方自治体のナンバーワンのポストまでみんなとろうなんというのは明らかに欲張りだよと。こういうことで、少なくとも自治省は健全なそして強い自治体をつくるのが本来の業務なのだから、今おっしゃったみたいに、総務部長だとか財政課長だとか、細かいのは知りません、また財政だとか総務畑というのは、人数からいったら建設とか厚生に比べると数少ないと思いますよ。しかし、とにかくずっと続けて自治省があるポストを独占しているみたいなのがあって、しかも総務部長というのは決して端っぽの方の、ための方の部長じゃないと思うのですね。むしろ花形ポストなのじゃないでしょうか。その花形ポストをずっと自治省が押さえるというのは、一番いいのが自治省だよというのはそれは僭越だよということで、私は、とにかくこれは、参議院の地方行政委員会の委員の質問で聞かれたし、ずっとそのことを思っていたものですから、自治省はまずそれをやめなさいと。
コスタリカ方式というのだってあるだろう、自民党だって。私も実はコスタリカで一回比例に上ったのでございますが、やはりそれは人事交流も大事かもしれない、しかし一方ではプロパーの人がやはりナンバーワンになるということもこれまた大事なことであって、最後はそっちを主にしなければいけないのだから、いろいろ事情があるかもわからぬけれども、最低でもコスタリカにしろと。こういうことで、委員長もコスタリカでこれは比例に上ったのでございますけれども、少なくとも最低限そのぐらいのことはできるはずだ。
こういうことで、私は、この出向人事の問題、同じポストに連続して自治省から出向するということはするな、こう言って、どうしても例外をつくってくれと言うのでございますが、例外はつくらぬと。一つでも例外をつくると、九十九まじめにやっても一をとって自治省はやる気がなかった、白川の言ったのは漏れたなんと言われると嫌なものですから、少なくとも私が大臣のときは例外は一つもつくるなということで今指導しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/39
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040・田中甲
○田中(甲)委員 ぜひそれは推し進めていただきたい。
私は、大臣の答弁をお聞きしていると、ふと、何かこう、助けてくれ、この自治省の中で本当にこのままでいいとは思えないのに、もっと何で委員のメンバーが頑張ってこの自治省を変えていこうという気持ちを持たないのだということを大臣が私たちに逆に伝えてきているような、そういう思いに聞こえてならない思いが……(発言する者あり)そのとおりという声も出ましたが、ですから、白川自治大臣に期待をしております。私たちも頑張ってこの指摘というものをしていきたいと思います。
外部監査制度の話に戻りますが、本当に現在の外部監査制度が地方制度調査会で積み上げられた話の中で最も、現在の日本の中で地方分権をつくり出していく中で、監査という制度を強化していく中で、正しいということが本当に言えるのだろうかということを一人一人が問いただしていかなければならないと思うのです。
地方制度調査会が行われましたその翌々日の産経新聞でありますが、こういう記事が出ておりました。ちょっと紹介します。
サッチャー政権時代に英国で発足した地方自治体会計監査委員会の紹介であります。自治体から完全独立の強力な権限を持つ外部監査制度の導入が行われた。英国の監査委員会は経営コンサルタント、会計士など十五人の委員と民間人主体の四百五十人の会計監査員で構成、全国十三地区に出先機関を置き、監査員が県や市に乗り込んで財政運営をチェック、監査で公金の不正使用の事実が明確になった場合、その自治体の議会は総辞職する決まりである。自治体の分担金と国の助成金で運営され、各自治体で監査制度を持つより効率的である。日本でも自治体から完全独立した強力な調査権限を持つ外部監査制度の導入で、個々の自治体との情実にとらわれない公正な監査を実施、結果を全面公開することで行政の透明性を高めることが本来求められているはずだ。こういうものでありました。
現在、我が国日本が外部監査制度を進めようとしている問題にはまだまだ問題点ありということを、きょう私はこの場所で述べさせていただきたいと思います。もし御答弁がありましたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/40
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041・松本英昭
○松本政府委員 ただいま御紹介ありましたイギリスの制度は、私も一応勉強させていただいております。このイギリスの監査委員制度というのは、まず、監査委員というのは日本でいえば自治大臣の任命でございます。そして、今御紹介になりましたように、そこに会計検査官というものを何百人という人をそろえて、千人以上のスタッフを設けているわけでございます。そういうことをやるという案も一つ確かにございました。
ただ、現在のこの行財政改革の中でそんな機構をつくる、しかも国がその委員を任命するようなものがいいのだろうかということで、地方制度調査会でそういうことも十分二年間のうちに議論をして、そして、ただいま答申のございましたような案に、まずそれでもってやるべきだということでまとまったわけでございますので、どうかその点は御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/41
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042・田中甲
○田中(甲)委員 理解できません。理解できないから質問をしているわけでありますから、それで断定的にお答えをいただくのは大変不満であります。しっかりやっている自治体もあるのですから、そういうところを見て、現行で間違いないのだという答弁は改めていただきたいと思います。
地方交付税の不交付団体、百四十三自治体を数えるということでありますが、私は、この不交付団体について、簡潔に申し上げるならば、現段階においてもっと権限の移譲をすべきでないかということを考えております。これは、先ほども前段の質問者の中から出ておりましたが、やはり市町村合併のインセンティブを与えていくという面においても、不交付の団体でありますから、さらに独自に行政の運営ができるような体制というものを与えていくことに自治省は努力をしていくべきだと思いますが、御所見をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/42
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043・松本英昭
○松本政府委員 権限の移譲につきましてはいろいろな考え方がございまして、例えば規模、能力の大きなところにはより大きな権限を与える制度がいいのではないかというようなことで、政令指定都市の制度は沿革が若干違いますけれども、現在の中核市の制度ができておるわけでございます。その中核市の制度につきましては、これは今のところ人口それから面積というようなことが基礎にあるわけでございますが、今委員御指摘のように財源の状況に応じて権限を与えるという考え方は、今までのところ余りなかったのではないかというように思っております。
やはり行政というものを考えますときに、一般的にその規模ということを示しますのは、例えば人口であるとかそういうことは一つの考え方であろうかと思いますが、財源の状況ということになってまいりますと、その地域が抱えます産業構造等の社会的な要因が非常に強うございますので、そういう視点からの権限の移譲、そういう視点から権限に差を設けるということはいかがなものかなというのが率直な感じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/43
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044・田中甲
○田中(甲)委員 逆を申しますと、地方交付税の問題も補助金の問題も、地方自治団体が自分のところでは賄い切れない金額の不足、財源の不足というところから、やはりそこに自主性というもの、自立性というものが生まれてこないという面があると思います。逆に財源が、現在不交付団体として百四十三ですから、東京都とそして中核市というのが四月から十七になるのですか、そうしますと、それ以外のところは、不交付団体でも中核市になっていないから権限が移譲されていないという状態に置かれているわけですね。それでは、これから合併をして、力をつけて発展をしていくために努力を続けて、そして自分たちも権限を持ち、独自の市町村をつくっていく、そういう姿につながってこないと私は考えるのです。
もう一度お伺いしますが、不交付団体に対して、十二の政令指定都市、十七の中核市以外の団体に対しても権限の移譲ということを今後は考えていく、そんな姿勢は持てないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/44
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045・松本英昭
○松本政府委員 現在、中核市の制度の要件に該当いたしておりますのが二十八市ございます。その中で先発いたしましたのが十二の団体と、それからことしの四月一日から五団体追加になりまして、十七団体が予定されているところであります。それ以外の二十八市の残りも、中核市への移行を目指して今いろいろと作業をしていただいております。
この中核市の制度になってまいりますと、現在のところ、保健所の設置ということが行政事務として新たに加わるわけでございまして、その保健所の設置にたえられるかどうかということが一つのメルクマールになっております。したがいまして、私ども、今後考えてまいります際に、保健所の設置のようなものでなくても、比較的規模の大きなところには権限を移譲してもいいのではないかというような視点も十分考えていかなければならないだろうということで、その件につきましては、先日も地方分権推進委員会に対しまして、私どももそういう目でもって作業をしていただきたいということを申し入れたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/45
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046・田中甲
○田中(甲)委員 保健所の設置ができるかどうかという程度の権限の移譲ということでは、正直申し上げて、自治省というのは本気で地方分権をやる気があるのかということを問いただしたくなりますね。ある意味では、自治省が地方分権を進めることを阻害している要因になっているのじゃないかということさえ感ずるときがあります。
その点もあわせて、市町村合併に私も触れさせていただきたいと思うのですけれども、今、その方向で地方分権推進委員会でも今後検討していくということが話されましたし、地方制度調査会においては市町村合併ということをこれからテーマとして上げていくという方向が見られていますから、たくさんの権限の移譲というインセンティブを与えてもらいたいという希望を申し上げておきます。
そして、私は、この市町村合併の優遇措置、今申し上げたメリットですとかインセンティブということと同時に、最終的に合併をできない、あるいは地方分権ということに極めて消極的である、こういう町村に対してある意味での厳しい措置ということを課していくことも考えていかなければいけないのだろうというふうに思います。自主的、主体的ということには、もちろん、いつまでも経過というものを待ち、努力というものを促していくことも必要かもしれませんけれども、これをある程度国がインセンティブを与えて形にしていくためには、デメリットと言っては語弊があるかもしれませんけれども、合併をせずに適当な規模にならなかった市町村、基礎的自治体については、都道府県の直轄として、各種行政サービスを都道府県に行わせるという考え方を私は持つのですけれども、そのことに対する御意見をお聞かせいただきたいと思います。積極的な御意見をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/46
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047・松本英昭
○松本政府委員 市町村の合併を進めます際に、確かに自然的な条件等でなかなか合併になじまないところがあるのではないかという御意見はよく伺っているところでございます。そのようなところに対してどういうふうに対応していくかという問題がございます。その点につきましても、いわゆる小規模な市町村に対しては、これからいろいろな基礎的地方公共団体一般に権限を移譲いたしました際に、その対応をどうしていくかということが大きな課題になっております。
この点につきましても、例えば補完行政、いわゆる都道府県で補完するというやり方と、広域行政という形で補完するというやり方と、二つありますけれども、そういう補完行政というもののあり方。それから、今も御指摘になりました代行という形。そういうものを取り入れていく必要があるのではないかという意見も出ておりまして、そういうことも今地方制度調査会の審議事項にもなっておりますので、地方制度調査会でも十分議論をしていただくことになろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/47
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048・白川勝彦
○白川国務大臣 市町村合併について随分御議論をいただくということは大変ありがたいことだと思います。
先ほどの古賀委員のときも指名されたら言おうと思っていたのでございますが、数年前に合併の特例法が改正されたようでございますが、それがされたから随分市町村合併については国会で議論があったのかといいましたら、ああいうことはありましたけれども、この臨時会並びに通常国会の市町村合併に関する質問はもう圧倒的に他を超しておりますということですから、喜んでおります。私が就任したときは、自治省は、やりますけれども自治省がどうこう言える立場ではありませんというのに終始していたわけでございますが、国会でこういう御議論をいただくことが一つ大きな機運の醸成につながります。
ただ、そこで、私なりの一つの考え方を申し上げますが、これは難しい言葉でございますので、もし問題があったらお許しをいただきたいと思うのでございますが、三千三百の自治体は、よく例に引かれますが、例えば数百人という自治体がある、こう言われておりますが、しかしそれは地方自治法のもとで生まれた団体であり、言うなら子供だということなんですね。例えば、ここに大変な未熟児がいる。おまえは未熟児だから生きていくことはできないよというようなことは言えるのかということなのであります。要するに、健常人はこのぐらいだけれども、背丈が三分の一しかない、おまえは人間でないよと言っていることにつながりかねない。
ですから、合併しないという一つの団体があっても、どこまでいっても、しかしそれはみずからの意思で生まれた、あるいは国がつくった団体なんだから、どうしても私たちは合併は嫌ですというものに、今あるものをさらに下げるとかペナルティーを与えるというのは、まさか民主党の田中議員の口から出てくるとは私思っておりませんでした。
一方では、もうその人たちは、損得でなくて、それがいいと思っているならどうなんでしょうか。これは、言いたかったんだけれども言葉が難しいものだからあえて言わなかったのですが、私は、これでいいと言っている人を、おまえは小さくて、そんなので住民の期待にこたえられるのかと中央なりどこかが言う権限というのはあるのだろうか。これだけはひとつ原理原則の問題として私は押さえておかなきゃいかぬと思います。
それに対して、一方では、私が言ったとおり、これから地方分権の時代の中で、強い自治体、財政力もある強い自治体が必要だということもわかります。私は、余り効率論はとらないのですが、やはり力強い地方自治体でなければ自治への信頼も生まれないだろう、こう思いますから、それをつくることには賛成であります。
そして、今地方分権推進委員会でいろいろ議論をされている中で、何度もお話ししているとおり、市になかなか権限がおりてこない。市というか、市町村におりてこないという事情もわからぬわけではありません。そこは私は私なりの一定の戦略は持っておりますが、やはり基本的には、まず市町村におろせという大運動をすることが今は一番大事なんだろうと思っております。しかし、なかなか、小さな町村もあるところに、基礎的地方公共団体からおろせといっても現実に不安があるというのは、率直なところ中央省庁にもあるし、世間的にもあると思います。
それはそれで、例えば一定規模を持っている基礎的地方公共団体はこういうことができるできないというのは後でできると思います。それはそれで考えておりますが、しかし私は、今言ったとおり、合併しなさい、合併しなさいと言うよりも、まず基礎的地方公共団体である市町村にはこういう権限を与える。それを与えられた方がそれを執行するためにこの体制でできるだろうかというのを根本に置かなければ私はいかぬと思っているのでございます。
明治の初め、それから昭和三十年のころの大合併というのは、ほかにもあったかもわかりませんが、昔は、義務教育を施行することによって町村で学校をつくらなきゃならなかったというのが大きな理由で、十万近くあったのが一万五、六千になったそうであります。そして、それからずっと続いていったのが、今度は新制中学校を市町村立にするということになったので、これまた三分の一にならなきゃならなかったというような歴史を見ると、合併しなさい、合併しなさいと幾ら口で言ってもだめなんだと思うのです。これをやりなさいと言って、もうあなたは大人だよ、やれるやれないはあなたで考えなさいという、そこを根っこに置かないと私はだめだと思っています。自治というものはそういうものだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/48
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049・田中甲
○田中(甲)委員 ありがとうございます。拝聴させていただきました。また宿題もいただきましたので、しっかりと学んで、また発言をさせていただきたいと思います。
以前は教育でありましたが、私は今回、この市町村合併というものは福祉ということがどこまで充実できるか、住民に対する、市民に対するそのサービスの充実ということがどの規模だったら図れるのかということが大きなテーマになってくるんだろうと思っています。
起債の問題に入らせていただきたいと思いますが、地方自治法第二百五十条、「普通地方公共団体は、地方債を起し並びに起債の方法、利率及び償還の方法を変更しようとするときは、当分の間、政令の定めるところにより、自治大臣又は都道府県知事の許可を受けなければならない。」としています。「当分の間」とはどのくらいの期間をいうのでしょうか。簡潔に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/49
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050・二橋正弘
○二橋政府委員 地方自治法で「当分の間」と書いておりますのは、よく議論になるわけでありますが、特に期間を定めておるというわけではなくて、不定期の期間のことを意味しているものというふうに解釈をされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/50
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051・田中甲
○田中(甲)委員 大臣、それでよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/51
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052・白川勝彦
○白川国務大臣 財政局長が答弁したとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/52
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053・田中甲
○田中(甲)委員 白川大臣らしくない答弁がありました。昭和二十二年からの施行でありますから、五十年が経過しているということですね。「当分の間」というのは五十年以上のことをいうことは間違いないようですね。しっかり覚えておきたいと思います。
起債の許可に当たって、自治大臣は資金運用部の管理者である大蔵大臣と協議をすることになっている。こうした地方債の発行に、自治、大蔵の協議を前提とした許可制度を続けているというのはどのような理由からか、簡潔にお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/53
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054・二橋正弘
○二橋政府委員 地方債が許可制度がとられております理由はいろいろございますが、簡潔にというお話でございますので、特に二つ申し上げれば、一つは、許可をすることによって信用を付与して良質な資金を財政力の弱い団体にも配分できるようにする、全体的な資金配分機能というのが一つでございます。それからもう一点は、先ほど来もちょっと議論に出ましたけれども、公共的な事業、公共投資のような事業を行います。その財源の手当ての仕方として、単年度で財源を手当てするということよりも、地方債という形をとって財源手当てをして、後年度、その元利償還ベースに合わせて財源措置をしていくということが事業の性格上合理的である。そういう税、交付税全体を通じて、地方債も含めた地方税財政制度の一環として地方債の許可制度がとられて、そのことによって全体の財源の量のカウントなり資金の重なりが調整をされている。
まあそのほかにもいろいろございますが、たまたま簡潔ということでございましたので、二点を申し上げさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/54
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055・田中甲
○田中(甲)委員 時間がないものですから、簡潔にということで失礼をいたしました。
私は、すべてとは言いませんが、この地方公共団体の債券の発行、運用に現状安定した能力がないという認識が根底にあるのだと思います。こうした認識は地方自治の観点から非常に好ましくない。地方ではできない、中央省庁ならできるということではないでしょうか。なぜならば、現在、地方公共事業に関して地方債の応募を行う自治省が所管する公営企業金融公庫がありますが、なぜこれを、地方自治体が共同で債券を管理する、いわば共国債券発行機関という形にはしなかったのですか。十分できるはずだと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/55
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056・二橋正弘
○二橋政府委員 公営企業金融公庫は、まさにおっしゃるとおりに地方団体の共国債券発行機関という機能を果たしております。
そのやり方といたしまして、市中から債券を発行いたしまして資金を調達するというやり方をいたしますので、その際に政府保証ということがつけられております。そのことによって長期に安定した資金を供給できるというシステムになっておりまして、そういうことから、現在、国の保証をつけるという意味もございまして、国のいわば特殊法人という形になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/56
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057・田中甲
○田中(甲)委員 それはやはり、弱い団体には起債を起こす力がない、債券というものを発行することができないと。つまり、起債の許可が得られたということは国の保証がついたということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/57
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058・二橋正弘
○二橋政府委員 公営企業金融公庫の場合にはそういう共同発行で大量に資金を調達をいたしますので、その際に政府の保証ということもあって大量の資金を調達をして、市中から個別に団体が行いますよりは当然低利で資金調達ができるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/58
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059・田中甲
○田中(甲)委員 東京の都債は売れても過疎地の発行する公債は売れないといった財政のアンバランス問題もクリアできる、そして、中央が地方を管理するという縦の体系よりも、地方公共団体が横に連携をしていくということ、それを自治省というものは進めていく、これが本当の意味での地方分権を進めていく中での持たなければならない姿勢ではないでしょうか。私はそう考えるんですが、いかがでしょうか。簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/59
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060・二橋正弘
○二橋政府委員 今、公庫はそういうことで実質的に地方団体の共同の債券発行機関という形になっておりますが、今委員が御指摘になりましたような、地方団体相互が共同発行するというやり方も当然あるわけでございまして、実例はそんな多くはございません、それぞれの団体の事情がありますから。多くはございませんが、そういうやり方がございまして、今、分権委員会の議論の中でも、そういうことについてももう少し工夫して拡充する余地があるんではないかというふうな議論が行われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/60
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061・田中甲
○田中(甲)委員 地方交付税の地方公共団体の配分方式、これは非常にわかりづらいですね。もう難解で、これは樹海の中に入り込んでしまうような、これがまさに自治官僚の独壇場となっているゆえんなんではないかなということを改めて思います。
こういうことが出ています。これは補助金ですけれども、地方の事業を行うに際して、交付の申請から補助金の確定までに事業費の自己負担とは異なるむだな費用が出てしまうというこれは最たる例なんですけれども、ある県の、実は正確な資料がまだ入手できていないんですけれども、国道の改良事業、工事区間は七・二キロ、工費約十七億円において建設省との協議に要した延べ職員数は二千八百八十五人、作成された説明書類等は段ボール箱二十箱を超えたという、交付を受けるために県の自主財源から多額の出費がされているということを示す事例というものが私の耳に入ってまいりました。
こういう実態を、自治大臣いかが受けとめられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/61
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062・白川勝彦
○白川国務大臣 私も自治大臣になってから、交付税というのはどういうんだといって、自治省の役人が勝手に決めているんではないかと言ったら、とんでもありません、もう非常に緻密ではありますが、それぞれの地方公共団体に有能な公務員がいて、決められたことをよく読めば、もうほとんど一円たりとも間違わずに幾ら交付金が出るかというのはわかることになっております、こういうふうに決めてあるんです、こういうことでありますが、そういう有能な財政課の人がいるのかどうか私わかりませんが、どうもそういう雰囲気がないから、さっき、総務部長とか財政課長に自治省の役人から来てもらった方が手っ取り早いというんで来てもらっているんじゃないのかなという気がしてしようがありません。ただ、理屈はよく読んでいただくとわかるんだそうであります。
そうすると今度は、自治省の交付税課というか、交付税を配る方は要らないなという話になったんです。そんなに細かくコンピューターに入っていろんならば、単純に女の子が各町村ごとに何人、何人と入れれば、ぱぱぱぱっと交付税が計算できるなというような話でありまして、いろいろございます、何言ったのかわかりませんが。
要するに、どういうことかというと、おっしゃるとおり、それぞれまじめに一生懸命やっているけれども、やはり改善する余地があると思います。
起債の許可も、考えてみるとこういうことなんであります。借金しても後の面倒を全然見なくてもいいというんなら許可は要らないと思いますが、しかし一方では、この起債については後で交付税措置するというのがあるわけですから、全く関係なく借金されて、請求書だけ持ってこられても困るわけでございますので、そういうことなのかなと私は理解をいたしております。
いずれにしましても、さっき言ったとおり、税財源を含めて地方の独立性を高めるという大革命のとき、また大革命のときにしなきゃいかぬと思いますので、どうぞ地行委員会でも大いにここはけんけんがくがくの議論をして、この二、三年かかってもいいですから、それぞれの地方が本当に自立できるような地方自治制度をつくるためにこの地方行政委員会の皆様方に、私は余りもう長く大臣をやっていませんが、皆さんはずっとここで頑張るんでしょうから、どうぞひとつここで頑張っていただきたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/62
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063・田中甲
○田中(甲)委員 私も発言は十分注意して行いますが、大臣も、そうおっしゃらずにしっかりと自治大臣で地方分権を進めていただく、その役目をぜひとも担っていただきたいと思います。
問題点をもう一点挙げて、終了させていただきますが、単独事業費を強力に推進してきたのが、一転単独事業費の削減ということをうたいました。これはどういう問題があったのか実は質問をしたかったんです。どうしてこのシステムというものを削減していかなければならなくなったのか。これは非常に大きな、巧妙な仕組みが仕組まれている中で地方が大幅な借金を抱えていくという実態に追い込まれたというところがあると私は思います。その点を、答弁は要りません、質問ではありませんが、こういう問題点もあるということを御指摘をさせていただきたいと思います。
民主党は、地方税法、地方交付税法、これに対して、具体的な項目を附帯決議並びに決議という形で挙げさせていただく中、地方税財源の確保ということを行っていくことを最優先するという立場の中から賛成をしたいと思います。
質疑を終了します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/63
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064・穂積良行
○穂積委員長 次に、春名直章君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/64
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065・春名直章
○春名委員 日本共産党の春名直章です。
先ほどの議論の中でも一つの焦点になりました自治省職員の地方公共団体幹部ポストへの就任の問題について質問をさせていただきます。
今自治大臣は、絶対に例外をつくらないということをおっしゃいましたが、早くも例外が生まれようとしています。宮城県の副知事として自治省の消防庁予防課長を起用する案件が本日六日宮城県議会に提案され、私どもは反対しましたが、議会で承認されたとのことです。宮城県の副知事ポストへの自治省幹部職員の就任状況が昭和六十年以降どうなっているのかを確認したいと思います。出向就任した職員の自治省そして消防庁在籍中の役職名、宮城県副知事の就任期間を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/65
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066・谷合靖夫
○谷合政府委員 昭和六十年以降、自治省から宮城県副知事に出向した職員の直前の自治省での役職名でございますが、古い順に申し上げますと、選挙課長、企画室長、消防庁総務課長、それから大臣官房付及び指導課長という五名がそのような形になっております。
その就任期間でございますが、今の順で申し上げますと、一人が二年二カ月、二年六カ月、二年、二年三カ月、さらに二年九カ月というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/66
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067・春名直章
○春名委員 少なくとも昭和六十年、一九八五年の七月以降はずっと自治省と消防庁職員が就任をしていて、まさに指定席化であります。今回もそうなろうとしています。
本日の議案に関する私の本会議の質問でも、それから、今お話が出ましたけれども、先ほどのお話でも、そして参議院の昨年の地方行政委員会での御答弁でも、今いる者も自治省の出向者だ、その人が本省に帰ってきて、そこにまた自治省が行く、こういうことは次回から少なくとも改善されるよう私は厳に指示している、こういうふうにお話をされ、今もお話をされました。
今回の宮城県の副知事の場合は、大臣が厳に戒めるケースとしたそのものであります。これを大臣はお認めになるということになりますと、国会での答弁に反することにもなります。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/67
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068・白川勝彦
○白川国務大臣 私は、参議院の地行委員会で答えて以来、一貫して、議会のチェックのある特別職についてはこれに含まないということは常に申しております。
それで、そこの県民の代表である議会がいいというのならどうしようもないじゃないですか。私がそれが適切であると思うか思わぬか別にして、県民の代表である知事がそうしたいと言い、県民の代表である議会がそれでいいというのを、自治大臣がいいとか悪いとかと言う資格があるのでしょうか。昔の内務大臣ならあったかもわかりませんが、自治大臣にはそんな強力な権限は法律上与えられておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/68
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069・春名直章
○春名委員 国会での答弁では、本会議では、副知事は除くということの条件はそのようには言われませんでした。
それから、先ほどのお話の中では、それをかりますと、副知事のポストがこれだけ昭和六十年からずっと一貫してやられているということになると、まさに副知事を務める人材は育たないということにもなるわけでありますし、そして、むしろ課長や部長さんよりも副知事さんの方が自治体における影響力が大きいのは当たり前ですから、そういう点を考えても、このことを議会がお認めになったのでそれをひっくり返せというふうにはまいりません、もちろん、そういうふうには私たちも言いませんけれども、少なくとも国会答弁には責任を持つ対応をしっかりとこれからしていただきたいというふうに思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/69
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070・白川勝彦
○白川国務大臣 私は、最初から、議会のチェックがある特別職は含まないと言っているんです。最初から言っているんです。
それで、例えば国会答弁であなたは触れていないと言うけれども、私に橋本総理のような長い時間が与えられるのならば全部細かくしゃべるでしょうが、自治大臣に与えられる時間はいつもほんのちょっとでございますから、大事なことを述べているのであって、私が国会で述べたことと違うと言われたらまことに不本意であります。
私は、最初から、特別職の場合は議会のチェックがあるからこの対象には特にするつもりはない、こう言っておりました。そして、その是非については、本当にその議会がするんですから、それがいいか悪いかは、もうそこの議会の見識と同時に議会の責任だろうと僕は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/70
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071・春名直章
○春名委員 じゃ次に、地方交付税の問題について質問していきたいと思います。
先ほど古賀委員からのお話でもいろいろなやりとりがありましたけれども、交付税特別会計の借入金で財源不足を補てんするという方法は地方の財政運営に支障を来すということで、八四年度に廃止をされました。その八四年度の地方財政規模が四十八兆三千億円でした。これに対して、借入金の残高が五兆七千億円でした。九七年度の地方財政規模は八十七兆五百九十六億円、借入金の残高は十五兆二千億円になっています。財政規模は一・八倍伸びたけれども、借入金の残高はそれ以上、二・七倍と大きく上回って伸びてしまいました。
一九八四年当時の自治大臣の答弁なんですが、「今の地方財政は大変巨額な借入金を抱えておりまして、これ以上の借入金への依存は地方財政の基盤を揺るがしかねない状況にあるわけでございまして、」このように答弁もされております。今は、そのとき以上に深刻な事態である、地方財政の基盤を揺るがすような事態になっている、こういう基本認識について、まず御確認をいただきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/71
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072・二橋正弘
○二橋政府委員 再三御説明申し上げておりますように、現在の地方財政は、毎年度多額の財源不足が続いておりますし、それから、借入金残高も九年度末見込みで百四十七兆円に達するという状況でございまして、また、個別団体の公債費負担比率という面でいいましても、いわゆる警戒ライン一五%を超えている団体数が四五%、等々の事情を考えれば、大変厳しい状況にあるということは御指摘のとおりだと思います。
また、委員、五十九年度との比較でお話しになりました、交付税特会の借入残高が当時と比べて現在の十五兆二千億というのは非常に厳しいのではないか、こういうお話でございます。
五十九年度と九年度を借入金残高の金額だけで単純に比較するのはやや難しいところがございます。と申しますのは、今の借入金残高には税制改正のフレームで償還財源が確保されているものがございましたり、あるいは利子負担のあり方が違っておりましたりいたしますので、単純な比較はやや困難なところはございますが、いわゆる交付税の対象税目でいえば、交付税特会は先の交付税をいわば借りているということになるものですから、そういう意味で、交付税の対象税目の決まった率分での計算といいますかその比較で考えますと、確かに五十九年度よりは平成九年度の方がその交付税に対する割合が高いという意味で、九年度の方が厳しい状況にあるのではないかという認識でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/72
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073・春名直章
○春名委員 大変厳しい状況だということであります。先ほどの議論の中でも出されましたけれども、そうしますと、やはり恒久的な措置、六条の三の二項の恒久的な措置をとる、それが望ましい、そうすべきであるけれどもなかなか難しいということなんですが、そういう恒久的措置をとることが必要になっているし、望ましいという点では認識は一致していただけますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/73
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074・二橋正弘
○二橋政府委員 引き続いてそういう財源不足の状態が続いておりまして、交付税法の六条の三第二項の事態に該当しております。
望ましいのは、恒久的な制度改正ができるのは望ましいということは、御指摘のとおりでございます。先ほど来申しておりますような状況からそれがなかなか難しいので、今回御提案のような御審議をお願いしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/74
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075・春名直章
○春名委員 そのとおりであります。
六条の三の二項の中身で先ほどやりとりがありました。この条文というのは、古賀委員がおっしゃったように、二年続いて、そして三年後もそういう大変な厳しい見通しがある、そして、その幅というのは、不足額というのは一〇%程度、一割程度という事態になったときに、制度の改正あるいは交付税の引き上げということが提起をされているわけですね、これは条文でそのとおりの読み方ですけれども。
ですから、先ほどお話を聞いていますと、大臣も、今地方分権の問題でかなり税源移譲の問題などが議論されている最中なんだというようなお話だとか、それから、やはり国の財政が本当に大変だというお話などをされて議論されておりましたけれども、この条文の解釈からいえば、まさに制度の改正、恒久的な措置をとるということはどうしても求められているんだということはもう間違いないと思うんですね。だから、それを、地方分権の勧告が出るからとか、ほかのいろいろな要因があるから、国の財源が大変だからとかいうようなことを持ち込む余地はこの条文の中にはないと思うんですね。その点はいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/75
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076・二橋正弘
○二橋政府委員 先ほど古賀委員にもお答えをさせていただいたわけでございますが、六条の三の第二項で言っております制度改正というのは、恒久的な制度改正だけではなくて、行財政制度の改正としては幅広い選択が許されているというのがこの条文の解釈でございまして、法制局も国会でそういうふうに答弁をされております。
そういうことでありますので、今回御提案申し上げているのも、この六条の三第二項に言う制度改正であるということで御提案申し上げているわけでございます。そこのところは御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/76
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077・春名直章
○春名委員 そこの法制局の見解についてはちょっと私も一言しゃべらせていただきたいと思うのです。「逐条解説」も読ませていただいて、法制局が、単年度のこういう措置も制度改正に該当するということを根拠にされているわけですけれども、こういうふうに出ています。
例えば経済情勢が変動期にあるため将来に向かっての的確な財政の見通しが予測し難い状況にあるような場合には、さしあたり当該年度の地方交付税の総額を増額する特例措置を講ずることもまた、ここにいう地方行財政制度の改正に該当するものと解される。
こういうふうに出ていますね。
この文章が今の根拠になっているというふうに私は思ったのですが、見通しが予想しがたい場合というふうにされていますけれども、今、私も率直に思いますけれども、四年連続の財源不足が続いて、今後もそれがすぐに好転するというふうになるような事態が予想されていない。そういう意味では、もう予想しがたいいろいろな状況というのは通り越して、本格的な恒久的な制度の改正、そしてそれだけでも不十分な場合は交付税率の引き上げ、こういうことをまさに求めている。
私たちは法制局のこの見解そのものを是とするものではありませんけれども、その見地で見ましても、単年度限りのこういう措置ではなしに、恒久的な制度改正あるいは交付税率の引き上げ、これを求められているというふうに私は思いますけれども、これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/77
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078・二橋正弘
○二橋政府委員 この六条の三第二項という規定は、交付税制度ができましたときからある規定でございまして、中長期的に財源の過不足を調整するための規定ということで設けられておるわけでございますが、先ほど申しましたように、どういう行財政制度の改正を行うかということにつきましては、いろいろな情勢との関連がございまして、法律の解釈としては、先ほど申しましたような幅の広い選択が許されているということでございます。
その後、先ほど議論になりました昭和五十三年度の地財対策で単年度の措置を設けました際、あるいは五十九年度に制度改正を行いました際、いろいろ議論されておりますけれども、そのときにも、そういう幅の広い選択が許されているということは確認された上でそのときの制度改正を図ってきておりまして、今回も、今のようないわゆる急速に借入金の残高がふえて、特にバブルの崩壊後に財政が非常に大きな圧迫を受けているような大変な変動期といいますか、状況の変化というものに対応したこういう状況の中で考える場合には、今のような制度改正の幅の広い選択が許されるというふうな範囲内で考えることができるだろうというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/78
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079・春名直章
○春名委員 今までの話を総合してちょっと言いますけれども、大臣は、先ほどの地方分権推進委員会の勧告、これは第一次が十二月に出て、六月ですか、財源も含めたいろいろなものが出るということになるわけですが、自治省の皆さんも、今こういう深刻な事態になっている、そして、法の解釈からいえば恒久的な制度をとるのが望ましい、しかし、単年度限りのいろいろな措置をやってしのいできた、このまま続くのはそう褒められたものじゃないというふうに私は受けとめました。
大臣も地方分権推進委員会との絡みをおっしゃったので、あえて質問させてもらいますけれども、そうすると、この六月に予定されている勧告は、財源の問題で、恒久的な抜本的な財政の措置を改正を含めてやるということがまさにここで問われるわけでありますね。そういう方向で全力を挙げる、この条文に沿った形で地方分権推進委員会の勧告の中身も仕上げていくし、議論もしていく、そういう努力をされるという点ではいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/79
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080・白川勝彦
○白川国務大臣 地方財政も深刻でございますが、御案内のとおり、国家の財政はどうだということで、またこれ、皆様方から総理、大蔵大臣が責められているところでございます。
さてそこで、一つは、財政構造改革会議の中で今回、国と地方の借入金残高、トータルを問題にするというのが出されたというのは私は大変ありがたいことだと思っています。正直申し上げまして、地方があるときぶっと膨らんだり、中央が膨らんだりするのは、例えば、中央だけ着目しているときは中央の形だけつくるために地方に割り振ったころというのも現実にあるのですよ。しかし、今度はトータルで、まず赤字国債、地方の場合だったら特例公債からも脱却、そして単年度で発行するのを可及的速やかにGDP比三%という目標を立てたわけで、当然、ではそれぞれの財源をどうするかというときに地方の分もそのとき一緒になるわけでございますので、それとさっき言ったとおり、税財源を含めて抜本的な見直しを夏までに地方分権推進委員会が思い切った勧告を出す、こういうことでありますので、それらを加味して、では貴重な税源である正税をどういうふうに割り振るのが事務の分担等から見て正しいかというのは、当然、おのずと出てくると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/80
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081・春名直章
○春名委員 四年連続で十数兆円の財源不足になっているわけですから、この分権の勧告をきっかけにして本当にそれを解決していく、条文のとおりに沿って、そういう方向で本格的に自治省自身も努力していただくということがやはり問われていると思います。
それから、国の財政への問題がやはり出てくる、いつもおっしゃられるわけですけれども、私はそれを言うのであれば、本当にこの間、この三カ月間の通常国会の議論の中で、公共投資のあの初めに総額ありきという六百三十兆円の公共事業費の問題。それから、そこには必要なものもあるけれども、大きなむだもたくさんある。これから首都移転で二十五兆円も使おうかというような計画とか、そのようなことに対して本当にメスを入れる。それから、私が思うには、世界の軍縮の流れに反してやはりふえていっている軍事費の問題とか、そういうところにも本当にメスを入れて国の財政をしっかりと健全化させていく。
そういう努力の中で地方の財政もつくり上げていくということを追求していかなければ、国の財政がそういう放漫なことをやっていて大変だから地方はもう我慢してくださいというふうにするわけにはやはりいかないと思いますので、そういう方向でぜひ、私らも努力もしますし、検討していただきたいと思いますし、努力をお願いしたいというように私は考えます。
その中で、最後にこの点でお聞きをしておきたいと思いますけれども、やはり今まで地方の財政がこれだけ大変な事態になってきた大きな要因は、単年度主義というやり方で、その場しのぎのやり方で地方の財源が、先ほども大臣のお話にありましたけれども、肩がわりさせるというようなやり方もあったというふうな話がありましたが、そういうやり方によって地方に大きな負担を押しつけてきたというのが歴史を見ればやはり明らかだと思うのですね。
ですから、地方分権ということが今議論されているチャンスだからこそ、本当にこの点で、財源を本格的に恒久的に、地方に財源がちゃんと行くという方向になるように今本格的に頑張っていただきたい。私もそういうつもりで頑張りたいと思いますが、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/81
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082・白川勝彦
○白川国務大臣 今おっしゃったようなことは、課税自主権というようなものがあれば、あるいは国に頼らない財源があればそういうことにならぬわけでございますが、しかし一方では、税がよって立たなきゃならぬ基盤というのはどうしても、どれを着目してみても地域的な偏在というのがあるのですよ。ですから、どうしても交付税、名前は別にしたって、どこかで地域間の所得移転をしなきゃいかぬという話があって、そこはなかなか国に頼らない形でそれぞれのところが力を持ってくればいいというのでよろしいのですけれども、しかしそれをやって果たして、もともとどの税で取ったって、多分経済的に苦しい地域は地方税をどういう取り方をしても苦しいと思います。しかし、そういうところこそ余計いろいろ事業費がかかるというような問題もありまして、おっしゃることはよくわかりますけれども、国と地方というのはある程度お互いに力を合わせながらやらないと、本当の意味でいいことはやれないのじゃないでしょうか。もう中央と絡むなということで本当に地方が助かるかというと、どうもそういう気はいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/82
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083・春名直章
○春名委員 私は、最後に、消費税の増税分の公共料金への転嫁問題についてお聞きしておきたいと思います。
私どもは、消費税の増税そのものが公約違反ですから、衆議院ではああいう形になりましたけれども、中止に向けて引き続き全力を尽くす決意でありますが、地方公共団体が今苦慮しているのは、消費税増税分の公共料金への転嫁という問題であります。
公共料金を決めるのは条例や規則などであって、地方公共団体固有の権限だと私は認識しております。消費税導入のときにもこの点が議論になりました。当時の津田財政局長さんは、「料金の決定の問題は各自治体の固有の権限でございます。」とはっきりと答弁をしております。公共料金を決めるのは自治体固有の権限である、この基本原則をまず確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/83
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084・二橋正弘
○二橋政府委員 公共料金は、地方団体の場合には水道料とかそういうものが典型でございますけれども、条例で決めますので、条例は議会の議決を必要とするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/84
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085・春名直章
○春名委員 議会の議決ということで、そういうことだと思います。
それで、一月の二十日に各地方団体に内簡というのをお出しになっておられます。この現物を全部読ませていただきましたが、この一月二十日の内簡の文書の中で、消費税の項目でこういう文章が出てくるのですね。「消費税の円滑かつ適切な転嫁を基本として対処するものとし、所要の措置を講じられたい」。つまり、円滑に適切に消費税の税率アップ分を公共料金に転嫁するように、事実上自治体に求めております。
私は、地方自治体が住民の福祉や生活を考慮して、いろいろと工夫をして住民の負担にならないようにする、公共料金に転嫁しないように努力する、こういう努力は当然あってよいと考えます。一律に転嫁すべしと指導すべきではないと私は思いますが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/85
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086・二橋正弘
○二橋政府委員 改めてまた申し上げるのは税の性格からいっておかしいと思いますけれども、おかしいといいますか、当然と思いますけれども、消費税とか、それから今回は地方消費税という県税ができるわけでありますけれども、これは消費に対する課税でありますから、最終的な納税義務者は当然消費者であります。
したがいまして、今委員は転嫁させるのはおかしいというような言い方をされましたけれども、税の性格からいって当然転嫁されるべきもの、これはもうどなたも議論の余地のないことではないかと思います。そういうことについて、かつてのときに議会の方でいろいろ議論があったということもございまして、私どもは、今回、内簡の形でそういうことについての要請をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/86
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087・春名直章
○春名委員 これは税の性格を私は聞いているのではないのですけれども、そういう転嫁をすべきだということで、前回そういう失敗と言うたら変だけれども、あるから、今回は厳しく転嫁をするんだということを指導をしているということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/87
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088・二橋正弘
○二橋政府委員 税の性格が、最終的に消費者が納税義務者になるという性格でありますので、当然転嫁をされるべきものでありますから、そういうことを過去の経緯も踏まえていわば注意を喚起しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/88
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089・春名直章
○春名委員 私が質問したのは、いろいろと工夫して住民の負担にならないように公共団体自身が努力するという努力は認めるべきではありませんか、そんなものは当然じゃありませんかということを聞いているわけであります。
私どもが調べた調査によっても、県知事選挙をやっている千葉県を除いて大体どこも、いろいろなところで公共料金への転嫁がほとんどの県、全県でやられているという状況が明らかになっています。ここに一覧表もつくってまいりましたけれども、もう百何十種類というような形で一律に全県でやられてきているわけですね。
転嫁しないでいろいろ工夫して努力している自治体に対して、まさかと思いますが、ペナルティーをかけるとかそういうことはないというふうに私は確認したい。そして、もしそういうことがあり得るとすれば、それは法的な根拠がどこにあるのか、このことも示してもらわなければなりません。その点を質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/89
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090・二橋正弘
○二橋政府委員 消費税とか、それから今回できます地方消費税は、今言いましたように、税の性格からいって最終消費者に税負担を求めるのは当然の話でございまして、そういう意味で、税の転嫁という立場からいきますと、それは当然転嫁されるべきものということははっきりしていると思います。ただ、この内簡のときにも、その場合にも公営企業の経営の効率化とか健全化とかといったような内部努力はまた行って住民の理解を得ていただきたいということもあわせて申し上げておりますが、基本的に税の性格がそういうことでありますから、最終消費者である納税義務者に転嫁されるべきものは、基本はそういうことでございます。
それから、ペナルティー云々とおっしゃいましたけれども、そういう性格のものでございまして、私ども、そのことによって一々ペナルティーを科すとか科さないとか、そういう筋合いの話とは思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/90
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091・春名直章
○春名委員 筋合いの話ではないということは、そういうことは絶対ないということですね。その点は間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/91
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092・二橋正弘
○二橋政府委員 このことで特にペナルティーを科すとか科さないとかという筋合いのものではございませんで、そういうことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/92
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093・春名直章
○春名委員 では、以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/93
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094・穂積良行
○穂積委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
次回は、明七日金曜日午後零時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後八時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114004720X00619970306/94
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