1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年四月十日(木曜日)
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議事日程 第十一号
平成九年四月十日
正午開議
第一 密集市街地における防災街区の整備の促
進に関する法律案(内閣提出)
第二 密集市街地における防災街区の整備の促
進に関する法律の施行に伴う関係法律の
整備等に関する法律案(内閣提出)
第三 電波法の一部を改正する法律案(内閣提
出)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 密集市街地における防災街区の整備
の促進に関する法律案(内閣提出)
日程第二 密集市街地における防災街区の整備
の促進に関する法律の施行に伴う関係法律の
整備等に関する法律案(内閣提出)
日程第三 電波法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
環境影響評価法案(内閣提出)の趣旨説明及び
質疑
午後零時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/0
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001・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
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日程第一 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律案(内閣提出)
日程第二 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/1
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002・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律案、日程第二、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。建設委員長市川雄一君。
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密集市街地における防災街区の整備の促進に関
する法律案及び同報告書
密集市街地における防災街区の整備の促進に関
する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関
する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔市川雄一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/2
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003・市川雄一
○市川雄一君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、建設委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律案について申し上げます。
本案は、大規模地震時に市街地大火を起こすなど防災上危険な密集市街地についで、関連する防災対策との連携を図りつつ、その防災機能の確保と土地の合理的かつ健全な利用を図ることが極めて重要な課題となっている状況にかんがみ、都市計画に防災再開発促進地区を定めるとともに、耐火性能の高い建築物への建てかえの促進、延焼等危険建築物の除却、防災街区整備地区計画制度の創設、土地に関する権利の移転等の促進、防災街区整備組合制度の創設等の措置を講じようとするものであります。
次に、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について申し上げます。
本案は、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律の施行に伴い、市街地再開発事業の施行区域要件の見直し、都市開発資金及び住宅金融公庫の貸付対象の拡大等を行うとともに、関係法律の規定の整備を行うものであります。
両法律案は、去る四月一日本委員会に付託され、翌二日亀井建設大臣から提案理由の説明を聴取し、昨九日質疑を終了いたしましたところ、日本共産党から、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律案に対し修正案が提出されました。修正案の趣旨説明を聴取した後、両法律案及び修正案に対し討論、採決を行った結果、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律案に対する修正案は賛成少数をもって否決され、原案は賛成多数をもって可決すべきものと決しました。また、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は全会一致をもって可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/3
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004・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これより採決に入ります。
まず、日程第一につき採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/4
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005・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
次に、日程第二につき採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/5
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006・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第三電波法の一部を改正する法律案
(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/6
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007・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第三、電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。逓信委員長木村義雄君。
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電波法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔木村義雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/7
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008・木村義雄
○木村義雄君 ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案について、逓信委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、最近における無線通信技術の進歩及び我が国内外の国際化の進展にかんがみ、携帯電話などの移動する無線局についで、個別の無線局ごとに免許を受けることなく、一つの免許により複数の無線局を開設できる包括免許制度を導入する等免許制度の合理化を図るとともに、無線局の検査制度について民間能力をさらに活用したものとする等、所要の改正を行おうとするものであります。
本案は、去る四月八日本委員会に付託され、昨九日堀之内郵政大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、質疑終了後、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/8
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009・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/9
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010・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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環境影響評価法案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/10
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011・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、環境影響評価法案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣石井道子君。
〔国務大臣石井道子君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/11
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012・石井道子
○国務大臣(石井道子君) 環境影響評価法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
環境影響評価は、環境悪化を未然に防止し、持続可能な社会を構築していくための極めて重要な施策であり、我が国におきましては、昭和五十九年の閣議決定等に基づき、その実績が着実に積み重ねられできたところでありますが、環境基本法に盛り込まれました新たな課題等にも適切に対応するため、中央環境審議会の答申を踏まえ、今般、本法律案を提案した次第でございます。
次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
第一に、この法律案は、事業者が事業の実施に当たりあらかじめ環境影響評価を行うことが環境の保全上極めて重要であることにかんがみ、道路、ダム、鉄道、発電所等の規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業について、環境影響評価が適切かつ円滑に行われるための手続その他所要の事項を定めることとしております。
第二に、事業者が地方公共団体等から意見を聞いた上で環境影響評価を行い、その結果を環境影響評価準備書として取りまとめ、これについて環境の保全の見地からの意見を有する者がその意見を述べることができることとするとともに、関係都道府県知事が関係市町村長の意見を聞いた上で環境の保全の見地からの意見を述べるものとしております。
第三に、事業者がこれらの意見が述べられた後に環境影響評価準備書に検討を加えて作成した環境影響評価書についで、免許等を行う者が環境の保全の見地からの意見を述べることができることとしております。この際、環境庁長官も必要に応じ環境の保全の見地からの意見を免許等を行う者に対し述べることができることとしており、事業者は、免許等を行う者の意見が述べられた後、環境影響評価書に検討を加えた上で所要の補正を行い、これを公告縦覧することとしております。
第四に、環境影響評価の結果を免許等に反映させるため、環境の保全の配慮についての審査等に係る所要の規定を設けるとともに、事業者は環境の保全についての適正な配慮をして当該対象事業を実施しなければならないものとしております。
このほか、発電所についてのこの法律案と電気事業法との関係等について、所要の規定を設けることとしております。
以上が、環境影響評価法案の趣旨でございます。(拍手)
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環境影響評価法案(内閣提出)の趣旨説明に対
する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/12
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013・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。長内順一君。
〔長内順一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/13
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014・長内順一
○長内順一君 私は、ただいまより、新進党を代表して、議題となりました環境影響評価法案、いわゆる環境アセスメント法案につきまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
環境庁は、二十年前の一九七六年ごろから、何度もこの種の法案の法制化に向けて準備を続けできたのでありますが、八一年にようやく提案したものの、二年後には審議未了で廃案になってしまい、それからというものは法案の再提出は常に見送られ、閣議決定の要綱に基づくいわゆる閣議アセスが実施されているにすぎないのであります。このような不幸な経過をたどることになったのは、これまでの我が国の基本政策が経済成長優先主義であり、経済の成長に多少なりともブレーキになるようなものは先送りされてきたからであります。
しかし、この間、日本も世界も大きく変わったのであります。現在では、もはや環境問題を抜きにして私たちの生活を語ることはできません。多くの人々が環境に関心を持ち、環境に配慮して暮らすようになりました。まさに、環境問題は一個人や一国家の問題ではなく、地球的規模の問題になったのであります。今私たちが環境を守る努力を怠れば、私たちの子供や孫の代に取り返しのつかない大きなツケを残すことになるのであります。
さらに、私は、環境は経済活動を支える基盤であり、むしろ経済活動を入れる器と言えるのではないかと思うのであります。器が壊れれば、中身も無事では済みません。私は、経済活動は無論大事でありますが、これからは、それと同じくらい環境を守ることが大事であると考えているのであります。このようなことから、私は、まず総理の環境行政に対する基本的な御認識をお伺いしたいのであります。
そして、環境アセスメント制度は先進諸国ではもはや常識であり、OECD加盟二十九カ国の中でアセスメント法を持たないのは実に我が国だけなのであります。かつて、廃案になったとはいえ一度は法案を提出しているわけでありますし、なぜもっとこの法案を早く提出しなかったのか、不思議でならないところでございます。この十四年の間、政府は一体何をやっていたのでしょうか。法案提出に向けての努力を怠ってきたと言わざるを得ないのであります。なぜ環境アセスメント法案の提出がきょうまでおくれてしまったのか、総理にその理由をお伺いするものであります。
次に、法案について順次質問いたします。
まず、この法案では、事業者が、その手続の過程で、地方自治体の長や住民、行政機関等さまざまな立場の意見を聞きながら、環境に十分配慮した事業計画をつくることになっております。しかしながら、アセスメントの実施に当たっては、事業者みずからがアセスメントの方法を決め、みずから評価をし評価書をつくるのであれば、これまでの閣議アセスと何ら変わりがないのであります。自分で試験問題をつくり、自分で解答をし、自分で採点するということでありますから、まさに事業者による自作自演と言えるのであります。これでは中立公正な観点からの評価が到底保証されるとは思われません。
私は、政府から独立した第三者機関を設置し、事業者の行ったアセスメントをチェックするシステムの確立が急務であると考えますが、環境庁長官の御見解をお伺いしたいのであります。
次に、地方公共団体との関係について質問いたします。
国がアセスメント法案の法制化に手間取っている間に、多くの地方自治体が条例や要綱などでアセスメントを実施したのであります。それらの中には、公聴会の開催や第三者機関としての審査会の意見を聴取するなど、先進的な手続を定めているものも多くあるのであります。このような結果、私は、国の制度が地方の制度より後退するのではないかという懸念を抱くのであります。国の制度の対象となる規模の大きな事業よりも、地方の制度の対象となる規模の小さな事業の方が厳しいアセスメントが適用されるという逆転状況になれば、これはまことにおかしな事態になるのではないかと危惧をするものなのであります。
この際、国は、こうした先進的な地方の制度を積極的に取り入れて、国の制度が地方の制度を下回ることがないよう配慮すべきであると考えますが、この点について総理の明快な御答弁をお願いするものであります。
また、法案では、早期の段階から外部の意見を聞き、調査等の実施方法を選定するスコーピング手続が導入されております。これによって早い時期から住民、専門家、NGO等が意見を述べることができ、この点では大きな前進と言えるのであります。しかしながら、スコーピングといえども一定の事業計画が前提になり、おのずから限界があります。大幅な立地の代替案の検討や、例えば道路を選ぶか鉄道を選ぶかといった手段の選択などは困難なのであります。
私は、このような事業構想の段階で経済的効果や社会的必要性などを総合的に検討するために、現在の単に事業アセスメントにとどまることなく、より上位の計画段階での戦略的環境アセスメントの導入を決断すべき時期にあると考えますが、環境庁長官の御見解をお伺いするものであります。
最後に、発電所のアセスメントについて伺います。
本法案作成に当たって、発電所の取り扱いについては中央環境審議会や政府内部で激しい意見交換があったと伝え聞いております。通産省では当初、発電所については今の制度で十分なのであえて法制化の必要はないと言っていたのであります。ところが、突然昨年末には、法制化はするけれども、統一法であるアセスメント法ではなく電気事業法で行うことを主張し始めたのであります。この経緯については全くもって不明瞭、不可解そのものであります。なぜ発電所については特例を認めることになったのか、総理にこの理由を明快にお示しいただきたいのであります。
さらに、もう一つ不可解なことは、アセスメント法案では、評価書が作成されるまで国は関与しないということになっておりますが、電気事業法の改正案では、評価書が作成される前の各段階で通産大臣が勧告を行うことができるとされております。私は、早い段階で通産大臣が勧告を行った場合、電気事業者は当然地方公共団体の意見など聞かずに通産大臣の勧告だけ聞いていればよいということになると思うのであります。
発電所については、地方公共団体の条例や要綱においてもアセスメントをこれまで行ってきたところであり、通産大臣が勧告を行うことによって地域の声や地方公共団体の意見が無視されるばかりではなく、環境アセスメント法自体が骨抜き法になってしまうおそれがあるのであります。これは重大な問題であります。通産大臣はこの点をどう考えるのか、明らかにしていただきたいのであります。
今後とも、生活基盤や産業基盤の整備を中心に多くの開発事業が計画される中で、良好な環境を適切に保全し、将来に引き継いでいくことは、私たちの重要な責務であると思うわけであります。今回の法制化が、そのための具体的方策の一つとして、国民の信頼を得て、魂の入った実効性あるものになるよう強く要望して、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/14
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015・橋本龍太郎
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 長内議員にお答えを申し上げます。
議員から御指摘がありましたように、環境というものが社会経済活動の基盤として認識すべきものであることは言うまでもありません。環境基本法にも明記されているとおりでありまして、私は、健全で恵み豊かな環境を維持しながら、環境に負荷の少ない健全な経済の発展を図りつつ、持続的に発展することができる社会を構築する、環境基本法のこの基本理念にのっとって環境行政を
進めでまいりたいと思います。
次に、法案提出がおくれた理由についての御質問がありました。
政府といたしましては、鯨岡環境庁長官のときに提出をいたしましたアセスメント法案が廃案になりました後、それを受けで、環境影響評価制度を閣議決定し、まず行政指導による実績を積み重ねてまいりました。今回の法案は、中央環境審議会の答申を受け、これまでの実績を踏まえて作成してまいったものでありまして、着実に環境影響評価制度を推進してきた成果として御理解がいただけるものと思います。
次に、国と地方との関係についてお尋ねがございました。
今般の法案は、準備書の作成前の手続を導入するなど、地方の制度に比して充実した内容となっております。同時に、知事の意見形成に係る公聴会あるいは審査会め手続などを条例で定められる仕組みとなっておりまして、地方制度の後退にはならない、両面ともにそのように考えております。
次に、発電所の特例についての御質問がありました。
発電所は、過去二十年間、電源立地の円滑化のために、通商産業省の省議アセスの制度におきまして、手続の各段階から国が監督指導することにより十分な実績を上げてまいりました。また、民間事業者の個別事業が電力の安定供給という国の施策と強いかかわりを持つという点では、非常に特殊な性格を有する分野であります。こうした観点から、アセス法の手続に加え、国が関与する特例を設けさせていただきました。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣石井道子君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/15
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016・石井道子
○国務大臣(石井道子君) 長内議員の質問にお答えさせていただきます。
第三者機関についてのお尋ねでございますが、本法案は、事業の免許等を行う者による審査のほか、第三者として都道府県知事や環境庁長官が意見を述べることとされております。そして、客観的かつ公正に手続が行われることとなります。また、その過程で、行政の外部の専門家の知識を活用することが可能であります。環境庁としても、信頼性が十分確保されますよう制度の運用を行う考えでございます。
また、上位の計画段階でのアセスメントの御質問でございますが、個別の事業の計画や実施に枠組みを与える政府の計画や政策についても、環境の保全上の配慮が必要であります。中央環境審議会の答申に従い、国際的動向や我が国の現状を踏まえて、政府の計画や政策についてのアセスメントの手続等のあり方についで、今後、具体的に検討を進めていく所存でございます。(拍手)
〔国務大臣佐藤信二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/16
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017・佐藤信二
○国務大臣(佐藤信二君) 長内議員にお答えいたします。
私に対する質問は、発電所アセスにおける地方公共団体等の意見の取り扱いでございました。
発電所に係る事業者は、関係地方公共団体の意見を勘案し、住民等の意見に配慮すべきことが法律上明記されております。また、通産大臣の勧告に際しては、関係地方公共団体の意見を勘案し、住民等の意見に配慮することが法律上明記されております。したがって、発電所アセスメントにおいても、地方公共団体や住民等の意見は十分反映されるわけでございます。
以上です。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/17
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018・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 桑原豊君。
〔桑原豊君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/18
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019・桑原豊
○桑原豊君 私は、ただいま議題となりました環境影響評価法案につきまして、民主党を代表して、質問をいたします。
実は、私はかつて石川県の職員として環境行政を担当していたことがございます。したがいまして、この法案につきましては、その早期実現に特別の思いを抱いてまいりました。いよいよその法案が提出され、今ここに私が趣旨説明への質問に立っていることを思いますと、極めて感慨深いものがございます。
しかし、それだけに、今回提出されました法案が私を満足させるものではないことを大変残念に思う次第でございます。恐らくは、環境問題に深い関心を寄せている多くの国民の皆さん方も同様ではなかろうかと思うのであります。
残念ながら、持ち時間は少ないのでありますが、主要な問題につき、総理並びに環境庁長官に質問をさせていただきます。
環境アセスメントは、さまざまな環境影響の事前予測・評価と社会的意思決定をその内容とし、環境保全と持続可能な発展のために必要不可欠な制度でございます。しかし、この二十有余年の間、産業界や事業官庁の強い開発志向の前に、幾たびかの挫折を余儀なくされ今日に至りました。さらに今回も、住民意見を幅広く聞くことへの抵抗があり、法案提出の時期がおくれたと報道されております。さまざまな障害を乗り越え、充実した、実効ある制度の確立を強く望むところでございます。
ところで、現状の閣議アセスが、いわゆるアワスメントと呼ばれるほど開発を前提としたものとして批判されていることは、御承知のことかと思います。この法律は、開発事業を容易にするためのものではなく、開発が環境に与える影響、環境破壊を未然に防止するものでなければなりません。総理にはまずそのことを明言していただき、そして決意のほどを語っていただきたいと思います。
次に、自治体との関係についてお伺いいたします。
本案では、関係市町村長の意見は都道府県知事のところでまとめられ、一本化されることになっており、直接事業者には伝わらない仕組みになっております。市町村と都道府県で利害が対立する場合には、市町村の意見が全く伝わらないことも起こり得るわけでございます。巨大な事業でも関係市町村の数は限られており、環境破壊による影響を直接的に受ける市町村の意見を事業者が率直に受けとめ、話し合いを積み上げて互いに理解を深めることは十分に可能であると思います。関係市町村長の意見が直接事業者に伝えられるとともに、その内容と、事業者がその意見に基づきどのように判断したかを公表するべきであると考えますが、いかがでしょうか。
また、地方自治体では、条例や要綱によって、多くの面で先進的なアセスメントを既に実施いたしております。本法案の対象事業について、いわ
ゆる上乗せや横出しがどこまで認められるのか、また既存の条例による制度を後退させないためにどのような配慮がなされているのか、長官にお尋ねをいたします。
次に、住民参加の視点からお尋ねします。
アセスメント制度の科学性と民主性をより高めるためには、まず人々の環境影響に対する評価が民主的な形で反映されることが重要であります。住民参加のあり方については、アメリカの国家環境政策法のもとでの公聴会の制度や、日本の自治体での公聴会や審議会などの制度においで、多くの実績を上げているところでございます。これに対して、本案では公聴会が全く位置づけられてはおりません。意見書のような机上での文書のやりとりだけではなく、事業者と直接討論できる場が保障されるべきであり、環境の影響を直接受ける住民の意見をしっかりと受けとめられる仕組みにするべきであります。これらの点について、長官の御所見をお伺いいたします。
次に、情報公開の視点からお尋ねをいたします。
本案では、事業者のつくる方法書や準備書等については公開されますが、住民等の意見についてはその概要が公表されるだけとなっているなど、情報の公開が不十分であります。また、事業者と住民がお互いに情報を共有して議論を行うためにも、事業者の行った調査の結果や基礎データなどが公表されなければなりません。情報の対称性を確保する方策と情報公開に対する考え方について、長官のお考えをお伺いいたします。
次に、評価書の仕上がりの段階で環境庁長官が主務官庁などに対して述べることができる意見について伺います。
この環境庁長官の意見については、主務官庁等が事業者に意見を述べる際に勘案すべきものの一つとして位置づけられているにすぎません。環境保全の見地から、環境庁長官の意見の正確性、信頼性を確保し、一層の拘束力を持たすためにも、その意見提出の前提として、例えば審議会や専門家の活用などにより環境庁長官の意見が形成されるような仕組みをつくるべきではないかと考えますが、長官の御所見をお伺いいたします。
最後に、この法律案は、今回の立ち上がりに際してはやむを得ない面もございますが、アセス手続の適正さの担保方法、計画アセス、対象事業のさらなる拡大、代替案の義務づけ、運用上の課題など、今回提起した問題のほかにもさまざまな問題点が残されております。環境行政はまさに日進月歩であり、世界のアセスメント制度はさらに前を向いて進んでおります。新たな環境問題に対応するためにも、運用状況をチェックして、なるべく早い時期に改善を行うべきであると考えます。
この点について総理の御見解をお伺いして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/19
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020・橋本龍太郎
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 桑原議員にお答えを申し上げます。
まず第一点のお尋ねは、制度の趣旨についてでありました。
この法案は、開発事業に関しまして、環境の保全についての適正な配慮がなされることを確保する、これを目的としたものであります。
次に、制度の改善についての御意見がございました。
制度の運用状況を真摯に点検しながら、内外の科学的知見の集積の状況を踏まえ、必要に応じて環境影響評価の手法などの指針を見直す、こうした運用の改善を図っていくと同時に、個別事業のもととなる計画のアセスメントのように、中央環境審議会答申で今後の課題とされました事項についても、当然のことながら検討をきちんと進めてまいりたい、そのように考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
〔国務大臣石井道子君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/20
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021・石井道子
○国務大臣(石井道子君) 桑原議員にお答え申し上げます。
自治体との関係についてのお尋ねでございますが、市町村長の意見が的確に知事意見に集約され、これに対する事業者の見解とともに評価書等に適切に記載されるよう、制度の趣旨を徹底してまいります。また、本法案は地方制度に比較しても充実した内容であり、さらに、知事意見形成に係る審査会等の規定や対象外の事業に関する手続を独自に条例で定められる仕組みとしており、地方制度の後退にはならないものと考えております。
住民意見についてのお尋ねでございますが、本法案は、住民等の意見に対して、評価書等で事業者が見解を明らかにするほか、事業者が住民等に直接説明する説明会の開催を義務づけております。これらを通じて、事業者が住民等の意見を適切に受けとめ得るよう、制度の趣旨を徹底してまいります。
情報公開についてのお尋ねでございますが、住民等の意見の概要、調査結果や基本的なデータなどについては、環境影響評価書等に的確に記載され、公表されることを基本とするとともに、詳細な基礎データの出典等についても必要に応じ明らかにされるように配慮するなど、制度の運用に万全を期してまいります。
環境庁長官の意見についてのお尋ねでございますが、環境庁長官は、政府において環境行政の総合的推進に責任を持つ者として意見を述べるものであり、主務官庁にとって重みを持って受けとめられるものと考えておりますが、必要に応じ専門家の知識や経験も活用しつつ、さらに適切な意見の形成に努めてまいります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/21
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022・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 辻元清美君。
〔辻元清美君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/22
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023・辻元清美
○辻元清美君 私は、環境影響評価法案、通称環境アセスメント法案につきまして社会民主党・市民連合を代表して、橋本総理大臣並びに関係閣僚に質問をしたいと思います。
今から五年前、一九九二年の六月に、私は、ブラジルのリオデジャネイロで開催されました環境と開発に関する国連会議、地球サミットにNGOの一員として参加しました。百カ国以上の元首、そして三万人の市民やNGOがたくさんブラジルに集まりました。地球温暖化を防ぐ気候変動枠組条約など、そういうものを採択したり、たくさんの取り組みがなされました。
まず、このサミットについて触れたいと思います。
この地球サミットでは、東西の冷戦の終結を踏まえて、対立から対話へという発想の転換が図ら
れました。具体的には、政府や企業は、住民やNGOをうるさい存在やなあと見るのではなく、また住民やNGOは、政府や企業に対して単に反対反対と主張するのではなく、ともに具体的な解決策を模索して同じテーブルに着く、そのことがなければもう環境問題は解決できないということを各国が確認したわけなのです。
私は、この地球サミットで二つのことにびっくりしました。一つ目は、欧米諸国の政府は、その正式な政府のメンバーの中にNGOや住民の代表を加えて、彼らが活発に発言していた点です。そして二つ目に驚いたことは、先進国の中で環境アセスメント法を持っていないのは何と日本だけだったということに愕然としました。環境アセスメン小法は、一日も早く成立させなければならないというふうに思います。
さて、このような視点に立って今回の法案を検討してみますと、まだ多く改善すべき点が残っていると思います。
まず、橋本総理にお伺いします。
総理は、この法案を通しで何を実現されようとしているのでしょうか。環境保全か開発促進かは、いかなる事業にも適用される実に大きな選択であり、これは決断であると思います。この制度を適用することが、事業そのものに何の影響も与えず、一種のお墨つきを与えるだけの結果になっては非常に残念です。環境を守るための実質的な変更や、あるいは場合によっては事業そのものを停止させるだけの力を本法案が内包すべきであると考えております。
私は、本法案がその力を持つためには、その評価プロセスに住民参加をいかに組み込むか、ここが一番のポイントだと考えていますが、橋本総理のお考えをお聞かせください。
次に、環境庁長官に対象事業について質問します。
今回は、道路やダムなど規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業とされていますが、リゾート法に規定する事業は見当たりません。全国でリゾートのための乱開発が続いていることは、皆さんも御承知のとおりだと思います。
例えば北海道のトマムリゾートなどでは、既存部分が千ヘクタール、そこにゴルフ場、スキー場、リゾートホテル、そしてリゾートマンションまで建つでいるのですね。さらに、二千三百ヘクタールの農地、国有林を利用して拡張計画が進められ、これに対して随分たくさん批判があるのです。環境アセスメントでの規模要件の基準は百ヘクタール程度というふうに規定されると聞いております。千ヘクタールというのはこの十倍なんですね。リゾート法は許認可法ではないので環境アセスメントの対象外だという声も聞こえてまいりますけれども、これはどう考えてもおかしいと思うのです。この点について、環境庁長官の御意見を伺いたいと思います。
次に、発電所のアセスメントについて伺います。
このたびの電気事業法改正案によって、環境庁長官の意見提出は、アセスメント法案とは異なり、事業者による評価書の作成の以前に行うようになっているのです。それでは、私は長官の意見の重みが半減してしまうのではないかと心配しております。私は、発電所の環境アセスメントは、ほかのと同じように、長官意見の提出は事業者の評価書の提出の後にすべきだというふうに考えておりますが、長官はいかがお考えでしょうか。
また、事業がスタートした後のフォローアップも環境の保全にとってはとでも大事だと思います。事前の評価内容と事業後の現実とが異なった場合、その食い違いをどのように確認して、どのような事後処理を事業者に求めていくのか、長官にお聞きしたいと思います。
さて、最後に、この法案の目玉は、いつでも環境庁長官が意見を述べることができるという点だというふうに言われています。都道府県知事が住民の意見を集約するかどうかは自治体の制度によって左右されますので、長官が意見を形成する際、知事の意見を聞くだけでは不十分であり、これまでと何ら変わらないのではないかというふうに考えます。
私は、長官のもとに、独自の第三者機関として、環境影響評価委員会の設置を提言したいと思います。この委員会に、専門家、関係自治体、それだけではなく、環境問題に取り組むNGOや住民代表をメンバーに加えることが大切です。そして、この長官の意見形成のプロセスを情報公開していくべきだと考えています。このような過程を実行することで、最初に申し上げた住民と政府とのパートナーシップ精神が実現できます。環境庁長官の意見形成の具体的な方法をお示しいただきたいと思います。
いよいよ最後に、土地と宇宙をこよなく愛したアメリカの先住民族、一般にアメリカインディアンと呼ばれている人たちに受け継がれていることわざを紹介して、私の質問を終わりたいと思います。
私たちの土地は、先祖からの預かり物にすぎない。私たちは、これを消費してはならない。同じ状態で子孫に引き継がなければならない。私たちは、土地と宇宙の支配者ではなく、土地と宇宙の一部であって、これを侵してはならない。まさしく、この言葉が環境影響評価法案の精神をあらわしているのではないかと思います。私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/23
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024・橋本龍太郎
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 辻元議員にお答えを申し上げます。
私には、この法案の趣旨及び住民参加についてのお尋ねがございました。
私は、議員がリオ環境サミットに行かれたお話を伺い、ストロングさんに依頼を受けて特別報告を提出した一人として、あの会議を思い起こしながら今御答弁をしたいと思います。
そして、あのときみんなが合意したこと、それは、環境に与える負荷を最小限度にし、持続可能な開発というものを求めていくということでした。まさにこの法律案は、環境影響評価が適切に行われることなどによって、対象事業に係る環境の保全について適正な配慮がなされることを確保するためのものであります。同時に、手続の各段階で、環境保全の見地から意見を有する方々が意見を提出することができることにするなど、住民などの御意見を聞く手続も備えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣石井道子君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/24
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025・石井道子
○国務大臣(石井道子君) 辻元議員の御質問にお
答え申し上げます。
リゾート法関連の事業につきましてのお尋ねでございますが、本法の対象事業については、規模が大きく環境に著しい影響を及ぼすおそれがある事業であって、かつ、国が許認可等によって関与するものとして規定をしており、具体的には政令においてこの法律の要件に従って対象事業を定めることとしております。
発電所に関するお尋ねでございますが、環境庁長官は、事業者が取りまとめた環境影響評価の結果について、主務大臣に対して意見を述べるものであります。発電所の手続においては、評価書の作成前の段階で主務大臣が勧告を行うこととされているため、この段階で環境庁長官が意見を述べる必要があるところであります。
事後処理についてのお尋ねでございますが、環境影響評価制度は、事業の実施前に環境保全上の適正な配慮を確保しようとする制度であり、事業実施後に重大な環境保全上の支障が生じた場合には個別の許認可法等により対応が図られるものと考えておりますが、本法案におきましては、予測の不確実性にかんがみ、評価後の調査等やその結果に応じた措置について評価書に記載させ、事業者に適正な配慮を義務づけております。
環境庁長官の意見の形成方法についてのお尋ねでございますが、環境庁長官としては、手続の過程でのさまざまな方々の意見を参照した上で、必要に応じ専門家の知識も活用しながら適正な意見を述べてまいりたいと考えております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/25
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026・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X02419970410/26
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027・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後零時五十七分散会
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