1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年五月六日(火曜日)
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議事日程 第十七号
平成九年五月六日
午後一時開議
第一 郵便法の一部を改正する法律案(内閣提
出、参議院送付)
第二 環境影響評価法案(内閣提出)
第三 放送大学学園法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
議員請暇の件
日程第一 郵便法の一部を改正する法律案(内
閣提出、参議院送付)
日程第二 環境影響評価法案(内閣提出)
日程第三 放送大学学園法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇
の確保等のための労働省関係法律の整備に関
する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/0
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001・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
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議員請暇の件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/1
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002・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
村田敬次郎君から、五月七日から十七日まで十一日間、柿澤弘治君から、五月八日から十五日まで八日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/2
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003・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可することに決まりました。
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日程第一 郵便法の一部を改正する法律案
(内閣提出、参議院送付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/3
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004・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。逓信委員長木村義雄君。
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郵便法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔木村義雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/4
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005・木村義雄
○木村義雄君 ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、郵便事業の現状等にかんがみ、第三種郵便物の認可条件を緩和するとともに、利用者に対するサービスの向上等を図るため、第一種郵便物及び第二種郵便物の料金の特例措置を拡大し、及び料金受取人払い制度を改善しようとするものであります。
本案は、三月十九日参議院より送付され、同月二十五日本委員会に付託されました。
委員会におきましては、去る四月二十四日堀之内郵政大臣から提案理由の説明を聴取し、同日質疑を行い、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/5
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006・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/6
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007・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第二 環境影響評価法案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/7
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008・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第二、環境影響評価法案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。環境委員長佐藤謙一郎君。
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環境影響評価法案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔佐藤謙一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/8
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009・佐藤謙一郎
○佐藤謙一郎君 ただいま議題となりました環境影響評価法案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に資するため、規模が大きく、環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業に関し、その実施が環境に及ぼす影響について調査、予測及び評価等を行う環境影響評価を事業者が行うとともに、その方法及び結果について地方公共団体の長、事業の実施に係る免許等を行う者、その他の環境の保全の見地からの意見を有する者がその意見を述べるための手続等を定め、その手続等によって行われた環境影響評価の結果を事業の内容に関する決定に反映させるための措置を講ずることにより、その事業に係る環境の保全について適正な配慮がなされることを確保しようとするものであります。
本案は、去る三月二十八日本院に提出され、四月十日本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。
本委員会におきましては、翌十一日石井環境庁長官から提案理由の説明を聴取し、同日質疑に入り、二十一日には審査の一環として京都府に委員を派遣し、現地においていわゆる地方公聴会を開催し、意見陳述者から貴重な意見を聴取するとともに、二十二日には橋本内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行うなど、慎重かつ熱心な審査を行ってまいりました。
この審査の過程におきましては、特に、環境庁の役割の重要性及び環境庁長官意見の形成に当たって学識経験者及び審議会等を活用する必要性、地方公共団体の環境影響評価制度と本法制度との関係のあり方、環境保全対策のための複数案に関する規定のあり方、事業実施後の事後調査及び環境保全措置の実効性の確保並びにモニタリングの必要性、発電所の環境影響評価を本法において統一的に行う必要性、いわゆる計画アセスメントあるいは戦略的環境アセスメントの早期導入の必要性、本制度見直しの検討時期のあり方、環境影響評価の適正な運用の前提となる関係情報の公
開の必要性等、各般の問題点にわたり熱心な論議が交わされましたので、その詳細については会議録を御参照いただきたいと思います。
かくて、同二十二日質疑を終了いたしましたが、次いで、二十五日、新進党、民主党及び太陽党の共同提案による、市町村長の意見の尊重、地方公共団体が定める条例との関係、環境庁長官が行う意見の尊重、本法施行状況の検討時期の短縮等を内容とする修正案が、また、日本共産党から、対象事業の追加、公聴会の開催、評価後の調査、資料の開示等を内容とする修正案が提出され、それぞれ趣旨の説明を聴取した後、採決の結果、両修正案はいずれも賛成少数をもって否決され、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
なお、本案に対し附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/9
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010・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/10
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011・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第三 放送大学学園法の一部を改正する
法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/11
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012・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第三、放送大学学園法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。文教委員長二田孝治君。
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放送大学学園法の一部を改正する法律案及び同
報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔二田孝治君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/12
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013・二田孝治
○二田孝治君 ただいま議題となりました放送大学学園法の一部を改正する法律案につきまして、文教委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、生涯学習の機会に対する広範な国民の要請にこたえ、放送大学学園が、新たに通信衛星による放送を利用して全国に視聴の機会を提供できるようにするため、通信衛星による放送を行う者に放送大学の放送番組を委託して放送させることができるようにしようとするもので、その主な内容は、
第一に、放送大学学園が、放送法に規定する委託放送業務を行うことができることとすること、
第二に、放送大学学園が委託放送業務を行うに当たっての放送法の関係規定を整備すること、
第三に、放送大学学園法の規定に違反した行為に対する罰金及び過料を引き上げることなどであります。
本案は、二月二十五日本院に提出され、四月二十二日本委員会に付託されたものであります。
本委員会におきましては、四月二十三日小杉文部大臣から提案理由の説明を聴取し、同月二十五日質疑を行い、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/13
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014・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/14
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015・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/15
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016・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律の整備に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。労働大臣岡野裕君。
〔国務大臣岡野裕君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/16
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017・岡野裕
○国務大臣(岡野裕君) 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律の整備に関する法律案について、その趣旨を説明申し上げます。
男女雇用機会均等法が施行されて十年が経過いたしました。この間、女性の雇用者数の大幅な増加、勤続年数の伸び、職域の拡大が見られ、女性の就業に関する国民一般の意識や企業の取り組みも大きく変化いたしております。
また、週四十時間労働制の実施などにより、年間実労働時間も着実に減少しており、育児休業制度や介護休業制度の法制化に代表される職業生活と家庭生活の両立を可能にするための条件整備も進展いたしております。
しかしながら、女子学生の就職問題に見られますように、雇用の分野において女性が男性と均等な取り扱いを受けていない事例が依然として見受けられ、近年、企業における女性の雇用管理の改善は足踏み状態にあります。
働く女性が性により差別されることなく、その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備するとともに、働きながら安心して子供を産むことのできる環境をつくることは、働く女性のためだけでなく、少子・高齢化の一層の進展の中で、今後、引き続き我が国経済社会の活力を維持していくためにも、極めて重要な課題であります。
政府といたしましては、このような課題に適切に対処するため、一昨年十月より、婦人少年問題審議会において、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保のあり方について御審議をいただいてまいりましたが、昨年十二月、同審議会から全会一致の建議をいただきましたので、この建議に沿って法律案を作成し、関係審議会にお諮りした上、ここに提出申し上げる次第であります。
次に、この法律案の内容につきまして、その概要を説明申し上げます。
第一に、募集・採用、配置及び昇進について、事業主が女性労働者に対して差別することを禁止するとともに、実効性を一層確保するため、公表制度の創設、調停制度の改善等を行うことといたしております。
あわせて、女性労働者の能力発揮の促進に積極的かつ自主的に取り組む事業主に対して、国が援助を行うこととするとともに、事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントを防止するため雇用管理上必要な配慮をしなければならないこととしております。
第二に、女性労働者に係る時間外・休日労働及び深夜業の規制について、女性の職域の拡大を図り均等な取り扱いを一層進める観点から、解消することといたしております。
第三に、母性保護に関する措置の充実を図ることとし、妊娠中及び出産後の女性労働者の健康管理に関する措置を事業主に義務づけるとともに、多胎妊娠の場合の産前休業期間を延長することとしております。
第四に、育児や家族の介護の問題を抱えた一定の範囲の労働者が請求した場合においては、事業主は深夜業をさせてはならないこととする制度を新たに設けることといたしております。
第五に、都道府県婦人少年室の名称を都道府県女性少年室に変更することとしております。
なお、この法律は平成十一年四月一日から施行することとしておりますが、母性保護に関する部分については平成十年四月一日から、都道府県女性少年室への名称変更に関する部分については公
布の日から六月以内の政令で定める日から施行することとしております。
以上が、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律の整備に関する法律案の趣旨であります。
以上であります。よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
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雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/17
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018・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。塩田晋君。
〔塩田晋君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/18
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019・塩田晋
○塩田晋君 私は、ただいま議題となりましたいわゆる男女雇用機会均等関係整備法案に対し、新進党を代表して、質問をいたします。
まず最初に、このたび、男女雇用の平等を目指して、雇用機会均等法をさらに前進させる内容の本改正案が提出されましたことを率直に評価いたします。
思い起こせば、昭和六十年、私も社会労働委員会の一員として現行の男女雇用機会均等法の制定に参加してから既に十年が経過しておりますが、その間に、働く女性の方々の努力と関係者の認識の深まりの中で、男女雇用機会均等の実績は着実に積み重ねられており、必要な環境の整備も行われました。制定当時は不満や批判がかなりあった現行法もまた一定の重要な役割を果たしてきたものと評価いたします。
今回の改正案につきましても、なお一歩、二歩前進を望みたいのでありますが、以下、改正案の内容について、六点にわたり質問いたします。
第一は、女性の社会進出について橋本総理大臣はどのように考え、どのように取り組んでおられるかについてであります。
既に御承知のとおり、我が国経済の成長に伴う労働力不足と、女性の社会参加への意識の高まり等を背景にして、女性の就労が急速に増加してまいりました。しかしながら、勤労女性は男性より低い労働条件のもとで補助的な労働につく例も多く、労働能力にふさわしい待遇が行われず、公然とあるいは隠然と差別が行われてきた現実があります。バブル経済が破綻した後の厳しい雇用情勢の中で、新卒女性の雇用がとりわけ厳しかったのもその一つのあらわれであります。
私は、男女の平等な取り扱いによって女性の職業能力が十分に発揮できるよう、雇用の場を拡大することが最も重要であると考えます。これは倫理的要請だけでなく、また今後の高齢化社会を考える場合、日本経済の活力を維持する上でも必要なことであります。
他方で、女性は家庭に帰るべきなどの意見も存在しておりますが、女性の社会進出についてどのように認識され、女性の能力の活用と雇用における男女平等の確保のために政府としてどのような基本方針で臨まれるか、総理大臣にお伺いいたします。
第二は、男女雇用機会均等法の今後についてであります。
今日、ILO条約、勧告など国際的に見ても、職業生活における女性の地位の一層の向上が求められているだけでなく、性や年齢等を含めて幅広く職業上の平等な取り扱いが要請されております。その実現を図るためには、男女雇用平等法あるいは雇用平等法といった立法が必要と考えられます。今後、そのような検討をされるおつもりがあるかどうか、岡野労働大臣にお伺いいたします。
第三は、職業生活と家庭生活の調和についてであります。
今回提出されました法案では、女性労働者について、「職業生活と家庭生活との調和を図る」という現行法の表現を目的の部分から削除しておりますが、これはいかなる理由によるものか、労働大臣にお伺いいたします。
第四は、女性労働者に対する差別の禁止の内容についてであります。
改正法案では、労働者の募集・採用及び配置・昇進のすべてについて男女差別を禁止しております。私は、この点が今回の改正の核心部分であり、思い切った改革を行うものとして高く評価するものであります。
ところで、女性労働者については、常用労働者であっても実質的に同一労働・同一賃金の原則が実施されていない場合が多数見受けられます。さらに、女性が大部分を占めるパート労働については一層その傾向が強いというのが現実の姿であります。さらに、間接差別や妊娠を理由とする差別が行われている例もあります。これらについて、労働基準監督の実施はもとより、同一労働・同一賃金原則の徹底のために、また間接差別等の解消のために、どのような方策をとられるのか。さらに、パート労働法の改正を含め、パート労働者の地位の向上対策をどのように考えておられるか。労働大臣にお伺いいたします。
また、パート雇用と密接に関連する所得課税最低限度額の引き上げ等の減税措置を、技術的な諸問題を克服して講ずべきだと考えますが、三塚大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
第五は、男女差別の禁止の実効性の確保についてであります。
改正法案は、女性労働者に対する差別を行った企業を公表することができるとしております。その公表の効果は何か、なぜさらに強力な制裁措置を採用しなかったのか、また企業が勧告に従わない場合の公表が恣意的に行われることのないよう客観的な基準を設けるべきではないのか、労働大臣にお伺いいたします。
また、改正法案では、紛争の機会均等調停委員会への申し立てを一方の当事者だけでできるようにした点は一歩前進と言えますが、募集・採用についてはなお対象外としたことは問題であると考えますが、いかがでしょうか。
さらに、雇用機会均等問題に限らず、労働保険、不当労働行為など個別的労働紛争の簡易迅速な解決が求められている現状にかんがみ、訴訟制度に前置される幅広い労働調停審査制度の一元化を図るべきではないか。行革推進の観点から・労働大臣にお伺いいたします。
最後は、女性労働者の時間外、休日及び深夜業の規制の撤廃についてであります。
改正法案では、労働基準法を改正し、女性労働者に係る時間外、休日及び深夜業の規制が全面的に取り払われます。同時に、育児や介護の問題を抱えた労働者が請求した場合には深夜業をさせてはならないとしております。これは、女性労働者の就業の場を男性と同等にまで拡大するために必要な改正であります。
しかし、我が国の残業規制は、労基法上いわゆる三六協定を締結すれば原則青天井であります。今や週四十時間労働制が完全実施となり、年間千八百時間の達成を目指して各界が時短に鋭意努力をしている中、一部にはなおサービス残業が常態化し、時には過労死や過労による自殺等が頻発している現状においては、女性に対する残業、深夜労働規制の撤廃は、女性に適量な労働を公然と拡大する結果を招きかねません。
そもそも、男性労働者の過剰労働の現状とか、今後の我が国における憂うべき少子化現象とか、今日求められている家庭責任の履行を考えれば、より一層生活と健康に配慮した、男女共通の残業等の規制が必要とされます。その実効性を確保するためには、時間外割り増し賃金率の引き上げなども国際的視野で検討される必要があります。
さらに、保育時間の延長や老人介護施設等のサービスの多様化など、家庭責任を負う男女の労働者を支援する社会システムの早急な拡充が必要不可欠であります。
私は、これらの問題が基本的に解決されない限り、女性労働者の残業、深夜業の規制撤廃は見合わせるべきなどの意見に真摯に耳を傾けつつ、これをクリアするために、時間外割り増し賃金率のアップ及び残業、深夜業に対する男女共通の規制について労働大臣に、前述の福祉社会システムの確立については小泉厚生大臣にお尋ねし、両大臣の明確かつ率直な御答弁をお願いいたします。
本法案の審議を経で、女性の自由かつ積極的な社会参加と男女平等の実現、そして男女を通じて家庭責任を果たすことのできる条件が一層整備されることを期待し、私の代表質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/19
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020・橋本龍太郎
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 塩田議員にお答えを申し上げます。
私に対しては、女性の社会進出についての認識いかんというお尋ねがありました。
二十一世紀に向け、我が国においてますます個々の女性が多様な働き方を主体的に選択できる社会の実現が必要であります。個々の女性の人生の進路は、これは男性の場合でも同じことでありますけれども、みずからの意思で決定すべきでありまして、その上で雇用の分野における男女の均等な取り扱いの確保のための対策を積極的に推進し、働く女性がその能力を十分に発揮できる雇用環境を整備してまいりたいと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣小泉純一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/20
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021・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 塩田議員にお答えいたします。
男女の労働者を支援する仕組みについてのお尋ねですが、働く両親が仕事と子育てを両立できるような環境を整備することや、また要介護者を抱える家族を支える社会的な仕組み、これを構築していくことは、これからも大変重要なことだと考えております。だからこそ、今国会において児童福祉法改正案やあるいは介護保険法案を提出して御審議をいただいているわけでありますので、この成立に全力を尽くして取り組んでいきたいと思いますので、どうかよろしく御支援と御理解をお願いしたいと思います。(拍手)
〔国務大臣岡野裕君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/21
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022・岡野裕
○国務大臣(岡野裕君) 塩田先生にお答えをいたします。
まず一つ目は、現在の雇用機会均等法の改正案から竿頭一歩を進めて、男女雇用平等法あるいは先生おっしゃる雇用平等法、これにしたらいかがであるか、その検討はどうだ、こういうお話でございます。
究極的には、私どもが提案をいたしております、女性が男性との間で差別を受けないようにするのみならず、男性もこれまた女性との間で差別を受けないようにする、これが本来の姿かもしらぬ、こう思っております。ただしかし、雇用機会均等法施行以来十年、その経過を見てまいりますと、やはり女性に対する差別というものが大きいというような実態にかんがみまして、今回この改正法案を御審議いただくことに相なった次第であります。
二つ目でありますが、職業生活と家庭生活との調和について、なぜ現行法の女性労働者についてというのを削除したのであるか、こういうお話がございました。
実は、なるほど先生おっしゃいますように、現行法は、女性労働者について、「職業生活と家庭生活との調和を」、こういうふうに相なっております。しかしながら、職業生活と家庭生活の調和を図ることは、あにひとり女性労働者のみであろうか。男性もまた、育児休業法等にありますように、職業生活と家庭生活との調和を図らなければならないということでございますので、目的規定の中から女性労働者を削った、そのような次第であります。御理解をお願いしたいと存じます。
三つ目であります。
まず第一に、同一労働・同一賃金の原則を徹底させいというお話であります。
先生御存じのとおり、労働基準法の第四条におきまして、男女同一賃金の原則を明記いたし、これの周知徹底、指導に一生懸命努めているところであります。
次に、間接差別あるいは妊娠を理由とする差別、これの解消はいかがに相なっているかということであります。
間接差別といいますのは、これまた先生御存じのとおり、この概念の内包といいますか、外延といいますか、なかなかこれといって決め手がございません。したがいまして、やはり共通のコンセンサスを得るのが一番必要ではないかというようなことで、慎重な議論をお願い申そうという現時点の考え方であります。なお、妊娠を理由とする解雇、退職等は、これは現行法によっても禁止をされております。なお徹底をしてまいりたい、こう思っております。
次は、パート労働法の改正はどうなっているか、パート労働者一般の地位向上については労働省は何をやっているかというお話であります。
パート労働法ができまして、平成五年以来三年の経験をいたしました。これは、三年たちましたら見直しという定めに相なっております。したがいまして、今その経過を振り返っている作業の最中でございます。それから、パート労働者の地位向上につきましては、労働条件を明示するというようなことを初めとして、その労働条件の向上に労働省といたしましても一生懸命相努めているという実態でございます。
次に、差別禁止の実効性の確保についてでありますが、この公表の効果はどうだ、公表なんぞよりは制裁規定というものを設けたらどうだ、これが先生のただいまのお話でありました。
なるほど、制裁規定という考え方を主張なさる先生もおいででございました。しかしながら、やはり罰金ということに相なるだろう。そうすると、幾ばくかの罰金を払えば後はそれで済んでしまうというようなことになってはむしろいかぬのではないか。やはり企業の社会的信用、矜持というようなものに訴えた方が効果があるという一応の判断のもとに公表制度というものを採用し、これの実効を期してまいりたい、こう思っている次第であります。
なお、公表が恣意的に行われてはならないという御注意であります。当然だと思っております。私どもも、公平な手続、公平な基準を定めて、立派な運用を、公表制度に間違いがないように努力をいたしたい、かように思っている次第であります。
次は、募集・採用について調停対象事項になっておらないのはいかがなものかというお話でありますが、募集・採用といいますと労働契約を締結する前であります。労使関係に相なっておりません。というような意味合いで、これは調停になじむか否かというようなことで、今回は対象から除外をいたしております。
それから、労働保険の問題あるいは不当労働行為案件、それから今日のこの調停案件、どうだ、一元化を図ってはいかがなものであるかという御提案でございます。
私が今考えますところでは、労働保険といいましても、例えば労働災害というような問題が起こりますと、先生御専門で御存じのとおり、極めて専門的な知識がなければこれは判断が難しゅうございます。また、不当労働行為案件といいますと、いずれかといえば集団的な労働関係に相なります。というような意味で、ただいま御提案を申し上げておりますところの調停制度といいますものも、それぞれそれに適した制度によって運用を図ってまいろう、これがただいまの私の意見でございます。
それから、六つ目でありますが、時間外労働、
休日労働、深夜業について、男女共通の規制が必要ではないか、あるいは時間外の割り増し賃金率を検討したらいかがなものかというお話でございます。
これまた言うもさらなりでありますが、時間外労働と申し、あるいは休日労働といいましても、景気の好不況、繁閑によりまして、雇用の調整機能というものをこれらが果たしておりますことは御存じのとおりでありますし、生産技術上の必要性というものもあります。高炉の火は消してはならないとか、あるいは国民の生活上の利便でやはりスーパーは二十四時間営業がいいなというようないろいろの声、ああいう声、こういう声というものを勘案いたしますと、共通規制といいますものを法的に措置するのには今後慎重な検討が必要ではないかなというようなことも考えまして、割り増し賃金率ともども、目下、中央労働基準審議会において御検討をいただいている真っ最中であるという次第でありますことをお話しいたしまして、回答とする次第であります。
よろしく御理解を賜りますようお願いを申し上げます。(拍手)
〔国務大臣三塚博君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/22
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023・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 塩田議員にお答えを申し上げます。
課税最低額の引き上げについてのお尋ねでございますが、我が国の課税最低額は既に国際的に見でも高い水準に相なっております。所得税制のあり方として、今以上の課税最低額の引き上げを行うことは適当ではないと考えております。
また、パート労働者の税負担の軽減のために課税最低限の引き上げ等を行うことについては、そもそもパートで働く方でありましても、一人で年間百三万円を超えるような収入がありますれば、独立した納税者として相応の負担をしていただくべきものと考えておりますので、よろしく御理解を賜ります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/23
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024・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 松本惟子君。
〔松本惟子君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/24
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025・松本惟子
○松本惟子君 私は、民主党を代表して、ただいま議題となりました雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律の整備に関する法律案につきまして、内閣総理大臣並びに関係大臣に質問をいたします。
本法案の内容に入る前に、まず、男女平等問題に対する基本的考え方について伺っておきたいと思います。
個人の尊重と男女平等を基本的人権として保障した日本国憲法が施行されて、五十周年を迎えました。その節目に当たり、昨年、総理大臣の諮問機関である男女共同参画審議会は、「男女共同参画ビジョン 二十一世紀の新たな価値の創造」と題する答申を行いました。同ビジョンにおいては、男女共同参画社会の定義について「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」とされ、男女平等の概念が積極的にとらえ直されております。
男女共同参画、いわゆるジェンダーイコーリティーは、今日、国際的な流れとなっている法律上の平等から事実上の平等の実現を目指したものと言えるでしょう。その意味において、私は、従来の女性施策にない画期的な内容を持つものと評価するものであります。
そこで、男女共同参画本部長でもある総理並びに労働大臣にお尋ねいたします。
男女共同参画ビジョンをどのように受けとめておられるのか。また、私は、男女共同参画は単に機会の均等のみを意味するものではないと考えますが、その点についていかがお考えでしょうか。御見解を伺いたいと思います。
次に、本法案の内容につき、焦点となっている事項について幾つか質問いたします。
その一つは、法律の目的、性格についてであります。
男女雇用機会均等法が施行されて十一年が経過した今日、働く女性は二千万人を超え、その職域も、第二次産業かる第三次産業へ、単純、定型的仕事から技術的、専門的職業へと広がりを見せています。しかし、雇用の諸条件における男女の平等といった観点からこうした女性労働者の実態を見たときに、募集・採用から定年、退職、解雇に至る雇用の全ステージにおいて男女差別があり、その状況は均等法制定前と基本的に変わっていません。それは、同法が差別の規制方法や救済の方法について実効性を欠いているところに大きな問題があったと考えます。
本法案では、一部努力義務規定となっていたものを改正して、雇用の全ステージの差別を禁止することとしております。この点については、法制定当時から、公序にかかわる差別禁止を努力義務とすることは憲法秩序の観点から問題があると指摘されていたところであり、今回一定の改善が図られたことは、当然のこととして評価するところであります。
しかしながら、本法案は、女性に対する差別を禁止するにとどまり、男性に対する差別的取り扱いは規制の対象外に置くという片面的な効果しか有しておりません。欧米諸国と同様に、男女双方に対する差別的取り扱いを禁止する法制、いわゆる性差別禁止法の実現が必要であると考えますが、労働大臣の見解をお伺いしたいと存じます。
第二は、労働基準の男女共通規制についてでございます。
日本人は働き過ぎであるという批判は、二十年ほど前から欧米諸国から出されておりました。こうした批判にこたえるためにも、また、内需中心の経済構造を実現し、国際的に見て公正な労働条件を実現する観点からも、労働時間短縮は重要な課題であり、官民一体となってその実現に取り組んできた経過があります。
しかしながら、他方では、働き過ぎによる健康障害が増加して、過労死が社会問題化するようになっています。豊かな社会、少なくとも豊かになろうとした社会で、過労死が多くの人々の関心を呼ぶということは尋常な状態とは言えません。
政府は、国際公約である年間総労働時間千八百を達成するために、完全週休二日制と年次有給休暇二十日間の完全取得、そして時間外労働を百五十時間以内とするモデルを示しました。しかしながら、十年を経た今日においてもまだ実現するに至っておりません。こうした状況をかんがみると、有効な方法として、直接、時間外・休日労働の上限を法的に規制することが強く求められているのではないでしょうか。
五十年前、男子の時間外労働を一年につき百五十時間以内に規制する、この今日においてさえ画期的なアイデアも、一度はあり得べき選択肢として浮上したことがありました。戦後、労務基準法の作成を検討していました労務法制審議会にそのたたき台として出された当時の厚生省草案がそれであります。同草案は、法的規制のあり方として考慮すべき内容を持っていると私は考えます。
労働時間法制については中央労働基準審議会の審議にゆだねられていることを私は十分承知しております。しかし、あえて申し上げるのですが、女子保護規定の撤廃と男女共通規制の実施に空白期間が生じることがないよう、時間外労働並びに深夜業等については、ILO条約の水準に照らし男女共通の法的規制を加えるべきだと考えますが、総理並びに労働大臣の御所見を伺いたいと存じます。
第三は、家族責任を持つ男女労働者の保護についてでございます。
子供の数が減り続けて、四、五十年後には六十五歳以上の高齢者が総人口の三割を占めるという将来推計が国立社会保障・人口問題研究所から発表されました。これまでの予想を上回る超高齢社
会の到来であります。あらゆる分野で今からさまざまな改革に取り組むべきですが、その一つに、少子化、出生率の低下への対応があります。
積極的な子育て支援策の成功例の代表は、七〇年代後半から育児休業制度や保育所の整備などを進めたスウェーデンだと言われております。我が国においても、女性の社会参加に見合った、男女がともに子育てに当たれるような時間外や夜間の保育システムの充実、配偶者や子供の突発的事故や病気のための休暇である家族看護休暇の法制化等、子育て支援策を充実すべきであると考えます。そこで、この点について政府はどのように対処されようとしているのか、厚生大臣並びに労働大臣にお尋ねをいたします。
また、本法案では、小学校就学前の子を養育する労働者及び家族を介護する労働者が請求することにより、深夜業の免除が認められるものとなっております。これは労働基準法上の女子保護規定撤廃を補うものとして設けられる規定であると考えますが、家庭責任を持つ労働者の時間外・休日労働についての規制がありません。ILO条約や諸外国の水準と比べでも、深夜業と同様に免除されてしかるべきかと考えますが、労働大臣の見解を伺いたいと思います。
第四は、ポジティブアクションについてであります。
本来なら、一方の性に対する優遇措置を講ずることは性差別禁止に抵触することとなりますが、一方の性に対するこれまでの事実上の不平等を是正することを目的としてとられるポジティブアクション、いわゆる暫定的な特別措置については差別とみなさないとするのが、今日、国際的な常識となっております。その意味で、今回の法改正で、我が国において初めてポジティブアクションに関する規定が盛り込まれたことについて評価するものであります。
しかしながら、事業主の努力義務にさえなっておらず、そのため行政指導さえも行われにくい結果となることに危惧を抱かざるを得ません。制度の実効性を高めるために、せめて事業主の努力義務とすることが必要であると考えますが、労働大臣の見解はいかがでございましょうか。
また、総理を本部長とする男女共同参画推進本部がさきに取りまとめた男女共同参画二〇〇〇年プランにおいて、女性国家公務員の採用、登用等の促進についてポジティブアクションの取り組みが明記をされました。国の積極的な姿勢を示すものとして評価をするところですが、絵にかいたもちに終わることなく、民間のモデルとなるように積極的に取り組むべきであると考えますが、女性問題担当大臣でもある総務庁長官の御意見を伺いたいと思います。
最後に、本法案の行方によっては、今後の男女の働き方や暮らし方を大きく変えるものとなります。したがって、十分な審議を尽くした上で、必要な場合には見直しを含めて検討すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
総理並びに労働大臣の御見解を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/25
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026・橋本龍太郎
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 松本議員にお答えを申し上げます。
私には、三点お尋ねがございました。
まず、男女共同参画ビジョンにつきましては、男女共同参画社会の実現のために目指すべき方向、それに至る道筋を示していただいたものと考えております。また、男女共同参画、これは男女が社会の対等な構成員としてあらゆる活動に参画する機会を確保し、もって均等に利益を享受し、ともに責任を担うものであり、女性も男性も性別に縛られることなく、各人の個性に基づいて能力を発揮できる真の男女平等を目指しているものだと考えております。
次に、時間外あるいは休日労働、また深夜業についての法的規制の御提言がありました。
これらは、先ほど労働大臣も答弁を申し上げておりましたように、景気変動に対する雇用調整機能を有していること、あるいは生産技術上の必要や国民生活の利便などの点で不可欠な面もありまして、法的規制については慎重な検討が必要だと考えております。こうした理由のもと、議員からも御指摘をいただきましたように、現在、関係審議会で検討されておりまして、その結果を踏まえて対応してまいりたいと考えております。
次に、本法案の見直しを含めた検討についての御意見がございました。
本法案は、雇用の分野における男女の均等取り扱いを確保する観点から提出をさせていただいたものでありまして、御審議の上速やかに御可決いただきたいと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣小泉純一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/26
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027・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 松本議員にお答えいたします。
子育て支援策の拡充についてですが、今国会において児童福祉法改正案を提出して御審議いただいておりますが、この法案の中におきましても、利用者の保育需要に柔軟に対応し得るような保育所制度としたいという内容も含んでおります。また、エンゼルプラン及び緊急保育対策等五カ年事業についても、種々工夫を図りながら着実な推進に努めていきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣岡野裕君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/27
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028・岡野裕
○国務大臣(岡野裕君) 松本先生の御質問にお答えをいたします。
まず、男女共同参画ビジョン、これの受けとめ方はどうであるかというお話でございます。
これは、総理答弁の趣旨に基づきまして、労働省といたしましては、時短の促進あるいは育児・介護休業法、そして今回のこの男女雇用機会均等法の改正案等々の制度を踏まえまして対処をいたしてまいりたい、こう思っておるところであります。
次に、性差別禁止法の実現が必要だというお話でございます。
これはなるほど、先ほどお話をいたしましたが、究極的には男女それぞれの差別を禁止するということが姿だと思っておりますが、現状、実態にかんがみますと、やはり女性が男性から差別をされているというケースが多うございますので、まずこの差別というものからの解消をいたしていきたいということで提案をさせていただいたわけであります。
なお、改正案によりましても、求人等その他女性のみというようなことにつきましては、原則として、これは差別であって禁止をするということに相なっておりますので、先生のお考えも加味をされている、こう御理解をいただければと思っているところであります。
次に、時間外労働等につきまして、男女共通の法的規制を設けるべきだというお話であります。これは、先ほど総理から答弁がありましたとおりであります。
次に、看護休暇制度の法制化はいかがであるかというお話であります。
先生おっしゃいますように、なるほど突発的なお子さんの病気だというような場合看護を必要とする、職場と家庭との生活の両立を図らなければならないという意味合いで一つの検討課題である、こういうふうに認識をいたしております。労働省といたしましては、目下、平成八年度女子雇用管理基本調査におきまして、家族看護休暇制度等の導入状況について調査をしているところであります。よって、実態の把握をした上で研究に努めてまいろう、こう思っているところであります。
五つ目であります。
家族責任を持つ労働者の時間外あるいは休日、これらの労働についても、今回の改正案にありますように、深夜業と同様、免除をしろという御趣旨であると存じます。
育児休業法では、これらの労働者に対する勤務時間の短縮等の措置が、事業主の義務だとかあるいは努力義務だとかいうようなことで規定をされていることは、先生御存じのとおりであります。また、休日労働等につきましては、三十六条に基づくところの協定、これを労使間において締結をしていただき、その範囲の中で休日労働、時間外労働を行うということに相なっておりますので、その協定締結の内容でそれらの点を加味することも可能ではないかと思っております。
いずれともあれ、我々としては、労働時間の短縮そのもの、時短促進等、一生懸命積極的に努力をしてまいろうと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
その次、ポジティブアクションにつきまして、先生から評価をすると非常にありがたい言葉をちょうだいしました。ありがとうございました。
これをひとつ事業主の努力義務としたらどうだというお話でありますが、先生、ポジティブアクションというポジティブは、義務だからしようがない、受け身でやるというのではなくて、みずから積極的に自主的にということでポジティブアクションということに相なっておりますので、義務とするのはポジティブアクションと違うのではないかな、こう思っております。
私どもといたしましては、ポジティブアクションというものの重要性、その手法というものを十分事業主に周知をし、徹底をし、そういった事業主の皆さんに対して、事業主のセミナーを開く、あるいは業種別の勉強会もやる、あるいは表彰制度を導入するというような積極的な援助活動を展開することによりまして、これの強力な推進を図ってまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
次に、七番目であります。
本法案はやはり重要であるので、今後、必要な場合は見直したらどうだというお話がございました。本件につきましては、総理答弁と同様、十分な御審議の上速やかに御可決賜らんことをお願いする次第であります。
以上であります。よろしくお願いをいたします。(拍手)
〔国務大臣武藤嘉文君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/28
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029・武藤嘉文
○国務大臣(武藤嘉文君) 松本議員にお答えをいたします。
私に対しては、女性の国家公務員に対しての採用の問題でございます。
国家公務員法で、採用はすべて平等に取り扱わなければならないという原則がございます。いま一つは、成績主義という原則もございます。それらを踏まえながら、せっかく今回男女共同参画二〇〇〇年プランができ上がりまして、女性の国家公務員に対する採用、登用などについても記述がなされておりますので、その趣旨を十分踏まえまして、今御指摘のような絵にかいたもちにならないように一生懸命努力をさせていただきたいと思います。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/29
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030・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 藤木洋子君。
〔議長退席、副議長着席〕
〔藤木洋子君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/30
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031・藤木洋子
○藤木洋子君 私は、日本共産党を代表して、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律の整備に関する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
雇用機会均等法が施行されて十年たちますが、男女賃金格差はかえって拡大し、雇用の場の至るところで依然、女性差別は続いています。今政府がなすべきことは、この差別の是正ではありませんか。ところが、政府はこれには十分こたえようとはせず、女性労働者の時間外・休日労働の規制、深夜労働の禁止を撤廃する労働基準法改悪案と一体で提案してくるとは、一体どういうことですか。
この法案の最大のねらいは、この女子保護規定の撤廃にあります。
顧みれば、女子保護規定は、一九一一年、明治四十四年の工場法に初めて制定されました。時の財界の猛反対で、施行は五年後の一九一六年、大正五年まで延期されましたが、あの女工哀史に見られるような戦前の無権利状態の中でも言わざるを得なかった女性労働者の権利です。それが戦後、生存権、勤労権を定める現憲法を受けて女子保護規定が労働基準法に明記されました。これらの規定は、健康でしかも自己の創造性を主体的に展開していくことが可能な生活を保障するため、下回ってはならない、まさに最低の基準として定められたものです。
にもかかわらず、政府は歴史的意義を踏みにじって、その最低の基準さえ奪うのですか。本改正によって、女性労働者は法律上、深夜労働を拒否することができなくなるのではありませんか。明確にお答えください。
我が国の正規労働者の年間総労働時間は、サービス残業を加えるならば、約二千五百時間とも言われています。諸外国が法律によって規制している残業時間も、我が国では何ら法規制がなく、三
六協定があるとはいつでも、事実上、青天井です。「カローシ」が国際語になるほどの異常な長時間・過密労働が横行しているのです。労働大臣、こうした中での時間外・休日・深夜労働の規制撤廃は、女性労働者をも長時間労働に駆り立てで、女性の健康・母性破壊、家庭生活の崩壊をさらに進めるのではありませんか。
あなたは、女性の職域拡大のために女子保護規定の撤廃が必要だと言っています。しかし、女性の職域拡大を妨げている最大の原因は何でしょうか。国際的にも例を見ない我が国の長時間労働、際限のない残業、休日労働、何の規制もない深夜労働、これこそが女性の職域拡大を阻んでいる現実ではありませんか。
女子保護規定が撤廃されるならば、家庭責任を事実上負わされている多くの女性は、長時間の残業などは難しくなり、正規の労働者として働き続けることができなくなります。その結果、低賃金で不安定なパートや派遣労働者でしか働けなくなるでしょう。大臣、女性の地位向上に真っ向から反するこうした働かせ方が女性の職域拡大だと言うのですか。
しかも、低賃金の女性労働者があらゆる職場に投入されることによって、男性労働者を含め、低賃金、労働条件の引き下げ、雇用不安を一層増大させるのではありませんか。そうはならないと断言できますか。
総理、豊かさを実感できるゆとりある社会を実現するとおっしゃるのなら、男性の野放しの長時間労働、深夜労働をこそ規制すべきではありませんか。
既に国際的には男女共通の労働時間規制があります。現にドイツ、フランスなどの男性労働者は、我が国の女性より厳しい法的規制に守られています。国際的批判を受けて、政府は年間一千八百時間への労働時間の短縮を閣議決定しましたが、この国際公約は十年たっても達成されていません。女子保護規定撤廃は、時短の達成をますますおくらせ、政府の方針とも矛盾するのではないですか。また、男女ともに労働時間を法的に規制する国際的な常識にも逆行するのではありませんか。
総理、女子保護規定撤廃は、社会全体に重大な影響を及ぼす問題です。政府案は、子供が小学校就学までは深夜業は免除申請できるとしていますが、仮にそうできたとしても、一年生になったらもはや両親とも深夜労働を拒否する道はありません。総理、幼い子供に深夜一人で留守番をさせるおつもりですか。ちなみに、ドイツでは子供が十二歳になるまでは深夜業の免除が男女とも認められているのです。父親のみならず母親までも長時間労働に組み込まれるなら、家庭生活は崩壊し、子供たちの非行や教育問題を激増させるでしょう。それでもよいというのでしょうか。総理の答弁を求めます。
加えて、少子化が大きな社会問題になっています。出生率は一・四二にまで低下していますが、女子保護規定撤廃はこれをさらに加速させるのではありませんか。安心して子供を産み、育てられる環境を国が保障していると言えるのですか。
女子保護規定撤廃に反対する声が全国に広がっています。多くの労働組合が反対しています。女性労働者を多数組織するゼンセン同盟は、男性の野放し的長時間労働と同様な働き方を容認することによって均等取り扱いとする、いわば一方の条件を悪くすることによって平等策が進められる懸念を表明しています。日本弁護士連合会は、職場における労働実態、家庭生活の実態を無視したもので、女性労働者の健康、家庭生活に大きな支障を及ぼし、働き続けることをも困難とするものと厳しく批判しています。総理、こうした広範な国民の声にどのようにこたえるのですか。
我が党議員の予算委員会での質問に対し、武藤総務庁長官は、女子保護規定撤廃はそのものずばり財界の要望によるものだと答えました。総理は、国民の声よりも財界の声を大事にされるのですか。明確な答弁を求めます。
事は日本の未来にかかわる重大問題です。労基法の女子保護規定の廃止は、断じて行うべきではありません。
日本共産党は、今全国に広がっている女子保護規定撤廃反対の声を全身で受けとめて、労働基準法改悪の撤回を強く要求いたします。
真に男女の雇用平等を実現するため奮闘する決意を申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/31
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032・橋本龍太郎
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 藤木議員にお答えを申し上げます。
まず、法改正の形式についての御意見がありました。
今回の法的整備に当たりましては、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を確固たるものとするために、募集・採用から退職に至る雇用管理における女性に対する差別の禁止、その実効性を強化するとともに、あわせて、女性労働者に対する時間外・休日労働、深夜業の規制を解消することが必要と考えたからであります。
男性の長時間労働や深夜労働を規制すべきではないかという御意見をいただきましたが、時間外労働は景気変動に対する雇用調整機能を有しており、また深夜労働は生産技術上の必要や国民生活の利便などの点で不可欠な面もあり、これらに新たな規制を設けることは慎重に対応すべきものだと考えております。
また、女子保護規定の解消の影響ついてさまざまな視点から御意見がございましたが、女性労働者に対する時間外・休日労働、深夜業の規制につきましては、婦人少年問題審議会の全会一致の建議に基づいて、女性の職域の拡大を図り男女の均等取り扱いを一層進める観点から、解消するものといたしました。
労働時間の短縮に関しましては、本年四月から、週四十時間労働制が全面的に実施されたところであります。男女の同一の枠組みの中で、今後とも引き続き労働時間の短縮になお積極的に努めてまいりたいと思います。
時間外・休日労働は、景気変動に対する雇用調整効果を有するばかりではなく、我が国の労使関係に与える影響も検討する必要があることなどから、法的規制を設けることについては慎重な検討が必要だと考えています。
また、深夜業につきましては、生産技術上の必要あるいは国民生活上の利便などの点で不可欠な面もあることから、深夜業に従事される労働者につき、その健康や社会生活に対する影響をできるだけ少なくすることが必要だと考えており、健康確保や母性保護に関する措置の充実を図ってまいりましたが、今般の改正法案でも、育児や介護を
行う一定範囲の男女労働者の深夜業の制限に関する規定を設けることを予定いたしております。
また、次代を担う子供たちの健全な育成のためには、家族的な責任を男女がともに担い、子供の育成と教育に当たることができる環境をつくることが重要であり、引き続き、男女がともにバランスのとれた職業生活と家庭生活を送ることができるよう対策の推進に努めてまいります。
最後に、武藤総務庁長官の発言という言い方をされました。
しかし、本来なら御本人に聞いていただきたいところでありますけれども、女性労働者に対する時間外・休日労働、深夜業の規制については、女性労働者自身からもその解消を求める声が上がっております。深夜勤務等を希望する女性労働者の機会を奪うことのないようにすることが重要であると考えておりますし、婦人少年問題審議会の全会一致の建議に基づきということを繰り返し御答弁申し上げ、残余の質問については、関係大臣から御答弁申し上げます。(拍手)
〔国務大臣岡野裕君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/32
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033・岡野裕
○国務大臣(岡野裕君) 藤木先生の御質問にお答えをいたします。
まず冒頭、女子保護規定、つまり時間外労働等の制限の規定の撤廃はまことに遺憾である、こういうおしかりでございました。
しかし、女性が男性と差別されることなく職域を拡大して、その職場で自分の能力というものを存分に発揮し、正当な評価を受け、生きがいというものを感ぜられるという仕組みにいたしますことが、先生のおっしゃいました自己の創造性を主体的に展開していくということを可能ならしめるものだ、これが本法の趣旨である、こういうふうに存じているところであります。よろしく御理解をお願いいたします。
二つ目でありますが、女性労働者は今回の改正によって深夜労働を拒否することができなくなっちゃうのかというお話でありますが、これも先生御存じのとおり、労働基準法あるいは労働安全衛生法、育児・介護休業法等にそれぞれ母性保護の観点からする規定が設けられておりまして、その場合には深夜労働を免除されるというように相なっていることは御存じのとおりであります。
その次、女子保護規定の撤廃は女性労働者を長時間労働に駆り立ててしまうという御見解でありますが、私どもは、時間外労働、深夜労働ができなかった、それによって女性の職場が狭かった、それを改めて、時間外労働等ができることによって職域を広めるということに意義があるということで、そのかわりに、労働基準法の先ほど申し上げました点であるとか労働安全衛生法上の規定でありますとかいうようなもので母性保護に相努めているということを御理解賜りたいと思います。
我が国は時間外労働が非常に多くて、女性の職域の拡大を妨げているというこれまたおしかりでありますが、時間外労働は労働基準法三十六条に基づきまして規定をいたしております。それによって、労働を提供する時間等が定められているところであります。そのほか、時短の促進、育児休業法及び本法改正案等々によりまして、職場と家庭の両立、よってもって女性の職域の拡大を図ってまいろうというのが趣旨でありますことを御理解賜りたいと存じます。
次に、女性はこの規定によって低賃金で不安定なパートであるとか派遣労働者でしか働けなくなってしまうというおしかりでありますが、パートタイム労働や派遣労働は多様な働き方の中で選択肢の一つであるというところに意味があるわけであります。そういう意味合いで、今後も、労働時間の短縮でありますとか家庭生活と職場生活との両立というような面につきまして我々としては一生懸命努力をしてまいりたい、その一つが今度の法律案である、こう御理解を賜りたいと存じます。
次に、低賃金の女性労働者があらゆる職場に進出をする、そうするとそこにおられる男性労働者も含めて低賃金、労働条件切り下げにつながるのではないかというお話であります。
しかし、女性が新たな職場を得られること、そこは男女同一労働・同一賃金であります。そういう意味合いにおいて、女性であるがゆえに低賃金であるというのは、もう労働基準法を施行しましてから五十年、我々としては努力をしてまいったところであります。先生の御指摘は必ずしも当たっておらない、こういうように存じているところでありますし、賃金、労働条件につきましては労使間において十分話し合いをして結論を出していただきたい、かように存じているところであります。
以上、答弁であります。よろしくお願いいたします。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/33
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034・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) 辻元清美君。
〔辻元清美君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/34
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035・辻元清美
○辻元清美君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、男女雇用機会均等法の整備法案につきまして、橋本総理並びに関係閣僚に質問したいと思います。
社民党はこれまで男女平等社会の実現を目指して全力で取り組んできました。一九七五年の国際婦人年を契機に、男女雇用平等政策や法制度の研究をもとに、一九七八年、今から約二十年前に、男女雇用平等法案を国会に上程いたしました。その後、男女平等社会実現のパイオニアとして法制定を公約に掲げ、広く訴えてきました。
このような取り組みが、一九八五年の女子差別撤廃条約の批准で男女雇用機会均等法成立や育児・介護休業制度など、国内の法制度が整備されることにつながってきたと思います。仕事と家庭の両立を可能にするための条件整備は、ILO百五十六号条約の批准からさらに具体的になったと申し上げねばなりません。
このような経過を踏まえ、現在はさらに一歩踏み込み、男女の平等取り扱いを一層進める観点から、均等法の改正そして強化とともに、女子のみの保護規定を男女共通のより質の高い労働条件基準の設定へと組みかえていく重要な時期に来ていると思います。
しかし、共働きの家庭でも育児や介護などは女性への負担になっている場合が残念ながらとても多いです。さらに、男性も残業などでふらふらになっているケースも多く見られます。このような現状を変えるためには、女性だけではなく男性もゆとりをもって働け、かつ、男女ともに仕事や育児や介護などに取り組みやすい労働条件を私たちがつくっていかなければならないと思います。
今回の均等法改正も、男女共通の時間外労働の
規制を初めとする長時間労働の見直しあっての有効な措置であるということです。過労死は男性も女性も両者にとってあってはならないことだと思います。時間外・休日労働、深夜業、変形労働時間などまでを対象とする男女共通のより質の高い基準の設定は、早急に解決が迫られている重要な課題と言えます。
そこで、労働大臣に質問です。
この問題について労働大臣はどのように取り組まれるおつもりか。そして、かつ、将来的には性を理由とするあらゆる差別を禁止する男女雇用平等法の制定こそ目指していかなければならないと思いますが、同じ立場をとっていただけるかどうか、労働大臣にまずお尋ねしたいと思います。
さて、今回の均等法改正で、今まではれもの扱いされていたあのセクシュアルハラスメント、セクハラ条項が法的に明記されました。これはまさに時代の要請にかなうものと言えます。ただし、事業主の「雇用管理上必要な配慮を」といった極めて穏やかな拘束力しか期待できず、欧米諸国などでは、政府がセクハラを起こした企業との取引をやめてしまうというような実行力まで持たせている国もあると聞いています。
セクハラを違法行為として位置づけ、それに対する救済措置と予防措置を盛り込むべきと考えますけれども、労働大臣はどのようにお考えでしょうか。そこに到達することを射程に入れた労働大臣の指針はどのように策定されようとしているのか、お聞かせください。
さらに、事業主が行う男女の差別を是正するための積極的な取り組み、ポジティブアクションに対するノウハウの提供など援助措置の採用は、企業の創意工夫を呼び込む呼び水効果が期待できると思います。ポジティブアクションは既に各国政府が取り入れていまして、男女平等を進める上で大きな成果を上げています。欧米では女性の管理職の比率を政府に報告させるというような事例も見られます。日本でも事業主の措置をさらに実効ある内容へと高めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
先ほど労働大臣は、ポジティブですからそれぞれの事業主が自分で積極的に行うというような御発言がございましたけれども、なかなかそうはいっても今の現状はいっておりませんのでこの法律が必要だと思うのですが、政策としてどのように取り組んでいかれるのでしょうか、御所見をお伺いしたいと思います。
最後に、橋本総理大臣にお尋ねいたします。
現在、女子学生の就職は非常に厳しい、超氷河期にあると言われていることは総理も御存じでしょうか。男子学生に比べて雇用機会は極めて限られています。この例に見るように、男女雇用機会均等法は存在するものの、現実的にはこの日本社会において男女の雇用機会は均等ではありません。総理はこのことを御存じだと思いますが、どのようにお考えでしょうか。また、このような状況を変えるためにこそ新しい法律が必要だとお考えなんでしょうか。
私は、雇用平等推進の国際女性サミットの創設を提唱したいと思いますが、いかがですか。
女性が生き生き働ける職場や社会は、男性にとってももちろん生き生き働ける社会であると思います。今回の法改正が、女性だけでなく男性にとっても大きな意味があるということを確認して、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/35
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036・橋本龍太郎
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 辻元議員にお答えを申し上げます。
まず、現在の女子学生差別等の状況を知っているかというお尋ねでありますが、私自身、体育会の後輩たちの就職の世話をしておりましても、そうした壁にぶつかっております。その現状は存じているつもりです。
また、新たな法律の必要性ということですが、私は、この雇用機会均等法の趣旨は着実に浸透してきていると思います。そして、それなりに女性の職域が広がってきていることも事実ですが、なお依然として均等な取り扱いを受けていない、そうした事案が往々にして見受けられることも事実であり、企業における雇用管理について一層の改善が必要だと思います。この法案は、このような状況に適切に対応するために提出したものであり、御審議の上速やかに御可決をいただきたいと考えております。
次に、国際女性サミットについてどう考えるかというお尋ねがございました。
私は、新たな国際会議をスタートさせるということについて、既に行われている国際的な取り組みあるいは会議というものが存在する場合に、その前の会議との整合性、新たな会議を設定することによる参加国の財政負担などを考えますと、なかなか慎重な検討が必要ではないかと思います。日本政府としては、こうした既に存在する各種の国際会議に対し、より積極的な参加、貢献を行うことによって、国際社会の一員として、雇用における男女平等の実現に向け一層取り組んでまいりたいと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣岡野裕君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/36
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037・岡野裕
○国務大臣(岡野裕君) 辻元先生の御質問にお答えをいたします。
時間外労働等につきまして、男女共通の規制を設けたらいかがなものかというお話がございました。
先ほど総理からも私からも答弁を申し上げているところでありますが、時間外労働等につきましては、好不況、その繁閑に伴うところの雇用調整、これに絡むわけでありますし、また生産技術上の問題もありますし、国民生活上の要望にこたえなければならないという面等々これあるというような中で、公的な規制を設けるのは慎重に対処しなければならないということでありますが、目下、中央労働審議会におきまして検討が進められておりますことを御報告申し上げます。
次に、性差別禁止法といいますか男女雇用平等法、これを目がけていかなければならないのではないかという御要望であります。
究極的には、私はそういう姿があり得ることだ、こう思っておりますが、現下の実態からいたしますと、今御提案を申し上げている雇用均等改正法、これが現実の姿であろう、こう思っているところであります。
セクシュアルハラスメントについて、違法行為として位置づけて、その徹底を図れというお話でございました。
セクシュアルハラスメントにつきましては、このセクシュアルハラスメントが発生する土壌と
なっている雇用関係の問題点をまず除去するのが第一の我々の責務ではなかろうかというようなことで、改正案につきましては、このセクシュアルハラスメントの防止について、雇用管理上の配慮をそれぞれの事業主に義務づけるということをいたしておりますと同時に、具体的な指針といいますものを研究会等で審議いたしまして、これを労働省において定めたい、こう思っているところであります。そういうようなことを踏まえまして、あるいは助言をし、指導をし、勧告を行う等々という地道な努力を積み重ねてまいろう、こう思っている次第であります。
次に、ポジティブアクションについて、欧米等の例をお話しなさいました。
ポジティブアクションを定着させよ、全く私もそのとおりだ、こう思っております。外国の例等におきますと、採用試験官に女性をより多く任命したらどうであるかとか、いろいろな事例が私どもの手元にも届いているわけでありますが、まず、このポジティブアクションの重要性、手法について、経営トップ層の理解を促すとともに、業種別の取り組みを促進し、それを表彰するとか、あるいはセミナーをやるとかいうようなことで、我々としては積極的な支援に努めて、このポジティブアクションが定着をするように努力をしてまいろう、こう思っているところであります。
よろしくお願いをいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/37
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038・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X03119970506/38
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039・渡部恒三
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時三十七分散会
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