1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年五月二十九日(木曜日)
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議事日程 第二十六号
平成九年五月二十九日
午後一時開議
第一 電気通信事業法及び電波法の一部を改正
する法律案(内閣提出)
第二 金融委員会設置法案(鈴木淑夫君外四名
提出)
第三 金融監督庁設置法案(内閣提出)
第四 金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律
の整備に関する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 電気通信事業法及び電波法の一部を
改正する法律案(内閣提出)
日程第二 金融委員会設置法案(鈴木淑夫君外
四名提出)
日程第三 金融監督庁設置法案(内閣提出)
日程第四 金融監督庁設置法の施行に伴う関係
法律の整備に関する法律案(内閣提出)
午後一時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/0
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001・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
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日程第一 電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/1
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002・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第一、電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。逓信委員長木村義雄君。
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電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法
律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔木村義雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/2
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003・木村義雄
○木村義雄君 ただいま議題となりました電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、サービスの貿易に関する一般協定の第四議定書の実施に伴い、第一種電気通信事業の許可及び電気通信業務を行うことを目的として開設する無線局等の免許について、それぞれ外国人等であることを欠格事由としないこととする等所要の改正を行おうとするものであります。
本案は、去る五月二十日本委員会に付託され、同月二十二日堀之内郵政大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十八日質疑を行い、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/3
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004・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/4
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005・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第二 金融委員会設置法案(鈴木淑夫君外四名提出)
日程第三 金融監督庁設置法案(内閣提出)
日程第四 金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/5
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006・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 日程第二、金融委員会設置法案、日程第三、金融監督庁設置法案、日程第四、金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。行政改革に関する特別委員長綿貫民輔君。
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金融委員会設置法案及び同報告書
金融監督庁設置法案及び同報告書
金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔綿貫民輔君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/6
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007・綿貫民輔
○綿貫民輔君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、行政改革に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、鈴木淑夫君外四名提出の金融委員会設置法案について申し上げます。
本案は、金融政策の決定に関する事務を行わせるとともに、金融機関等に対する監督及び証券取引等の監視に関する事務を行わせるため、総理府の外局として金融委員会を設置しようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
第一に、金融委員会は、通貨及び金融の調節に関する事項の決定に関する事務を行うとともに、銀行業その他の金融業を営む民間事業者等に対する免許及び検査その他の監督並びに証券取引等の監視を行うこと。
第二に、金融委員会は、九人の委員をもって組織することとし、委員は、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命する任命委員六人のほか、日本銀行の総裁及び副総裁二人をもってこれに充てること。また、議長は、委員のうちから互選した者について、内閣総理大臣が任命し、天皇がこれを認証することとし、金融委員会の議長及び委員は、独立してその職権を行うこと。
第三に、金融委員会に、証券取引等監視委員会を置くこと。
以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
本案は、去る五月二十一日本委員会に付託されました。
本委員会におきましては、二十六日提出者鈴木淑夫君から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、二十八日参考人から意見を聴取し、同日質疑を終了し、討論、採決の結果、賛成少数をもって否決すべきものと議決した次第であります。
次に、内閣提出の両法律案について申し上げます。
まず、金融監督庁設置法案について申し上げます。
本案は、市場原理を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換に資するための金融行政機構改
革の一環として、銀行業その他の金融業を営む民間事業者等に対する検査その他の監督及び証券取引等の監視に関する事務を行わせるため、総理府の外局として金融監督庁を設置しようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
第一に、金融監督庁は、銀行業その他の金融業を営む民間事業者等の検査その他の監督及び証券取引等の監視を行うほか、預金保険機構による資金援助に係る金融機関の合併等の適格性の認定等を行うこと、
第二に、金融監督庁の長は、金融監督庁長官とすることとし、金融監督庁長官は、所掌事務に関し、関係行政機関の長に対して資料の提出、説明その他の必要な協力を求めることができること、
第三に、金融監督庁長官及び金融関連業者に対する検査を所掌する行政機関の長は、効率的な検査の実施のため、意見の交換を図るとともに、それぞれの求めに応じ、それぞれの職員に協力させることができること、
第四に、金融監督庁長官は、大蔵大臣に対し、金融制度等の企画または立案についての意見を述べることができるほか、金融監督庁長官及び大蔵大臣は、相互に緊密な連絡をとるものとすること、
第五に、金融監督庁に、証券取引等監視委員会を置くこととしております。
次に、金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について申し上げます。
本案は、金融監督庁設置法の施行に伴い、総理府設置法その他の行政組織に関する法律及び銀行法、保険業法、証券取引法その他の関係法律について、所要の規定の整備を行おうとするものであります。
両法律案は、去る三月十一日本院に提出され、四月二十四日本会議において趣旨説明をそれぞれ聴取した後、質疑を行い、同日本委員会に付託されました。
本委員会におきましては、同日梶山内閣官房長官から提案理由の説明をそれぞれ聴取し、昨二十八日まで九回にわたり政府等に対する質疑を行ってまいりました。この間、二十六日には池田元久君外一名から両法律案に対しそれぞれ修正案が提出され、同日趣旨説明を聴取した後、質疑を行いました。また、二十八日には参考人から意見を聴取する等慎重に審査を重ね、同日質疑を終了し、討論の後、採決を行いましたところ、両修正案はそれぞれ賛成少数をもって否決され、内閣提出の両法律案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
なお、両法律案に対し附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/7
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008・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 三案につき討論の通告があります。順次これを許します。富田茂之君。
〔富田茂之君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/8
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009・富田茂之
○富田茂之君 私は、新進党を代表して、ただいま議題となりました鈴木淑夫君外四名提出の金融委員会設置法案に賛成し、政府提出の金融監督庁設置法案、金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対し反対の立場から、討論を行います。
急速に進展する金融技術の革新や規制緩和等を背景とする金融のグローバル化などを踏まえたとき、証券、保険等を含め、金融サービス業全体を視野に入れた抜本的な金融改革の断行が急務であります。
とりわけ、今最も求められていることは、数々の失敗を繰り返し、限界を露呈した、密室の行政指導によるいわゆる護送船団行政から脱却して、預金者や投資家を保護するとともに、自己責任に基づく公正な競争の促進という市場原理を貫徹することであり、事前に明らかにされた透明性の高い公正なルールに基づく行政へと転換することであります。
もし、今、経済の心臓、血液ともいうべき金融が世界に劣後することになれば、それは、我が国経済が国際的な大競争から脱落せざるを得ないということを意味します。この点から見て、政府・与党のこれまでの対応は時代の要請から大きく立ちおくれており、その象徴的なあらわれが今回政府が提出した金融監督庁設置法案であります。
この法案は、行政改革の名に全く値しないばかりか、国民の血税を投入せざるを得なくなった住専問題やたび重なる金融不祥事等について、なぜ大蔵省による金融検査監督行政が十分に機能しなかったのかという点について何らの反省も感じられず、むしろ大蔵省の行政権限を拡大する内容となっております。
以下、政府案に反対し、我が党案に賛成する理由を申し述べます。
その第一は、政府案は、金融の検査監督行政を大蔵省から切り離すに当たって、中央省庁の中にいたずらに新しい組織をつくったため、効率化、スリム化という行政改革の流れに逆行していることであります。政府案は、来るべき金融の抜本改革を全く視野に入れておらず、大蔵省を初めとする行政当局の権限維持のみに腐心した結果、何のために新しい機関を創設するのか全くわからなくなっております。
これに対し、新進党案は、金融検査監督行政を大蔵省から切り離すに際し、これを金融政策を担当する金融委員会の所掌とすることで、行政改革の趣旨に沿った効率的でスリムな中央省庁の仕組みをつくろうとするものです。金融検査監督行政と金融政策の間には、財政政策の場合とは異なり、利益相反の関係はなく、むしろ相互に補完関係にあることも、この行政組織改革の根拠となっております。
理由の第二は、政府案は、金融行政における企画立案と検査監督の分離を意図しているにもかかわらず、依然として大蔵大臣に行政権限が集中し、適正な権限の移管や機能の分担が図られていないことであります。
これは、大蔵大臣が民間金融機関等に対し直接資料の提出等を求めることができるとされ、大蔵省から金融監督庁に監督権限を移した事項についても、細目については大蔵省と共同して省令を定めることとされており、また、個別金融機関の破綻処理についても、まず金融監督庁が担当しますが、信用秩序の維持等に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときには事前に大蔵大臣と協議することを義務づけられていること等に端的にあらわれております。
また、住専問題において検査監督行政の二元化に問題があると指摘された信連等農林系統金融機関に対する検査監督についても、農水省の共管相手が大蔵省から金融監督庁に変わるだけで、他に何らの手当てもされておりません。これでは、問題が発生した場合には、大蔵省、金融監督庁、農水省三者による責任の押しつけ合いや協議のおくれによる混乱が懸念されております。
さらに、一九九八年度導入予定である、裁量行政の不透明さを排除し、客観的な基準である自己資本比率に基づいて銀行に対する改善命令、業務停止等の早期是正措置の発動も、本来金融監督庁行政の根幹となるべきであるにもかかわらず、大蔵省との共管事項とされ、金融監督庁単独での発動は不可能となっております。
結局、政府案では、大蔵省から独立して金融監督庁自身の決断でできることはほとんどなく、行政の二元性、煩雑性を招くなど、金融行政システムの将来に禍根を残すものとならざるを得ないと考えます。
以上、我が党案に賛成し、政府案に反対する主な理由を申し述べました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/9
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010・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 岸田文雄君。
〔岸田文雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/10
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011・岸田文雄
○岸田文雄君 私は、自由民主党を代表して、内閣提出の金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に
賛成、新進党から提出された金融委員会設置法案に反対の立場から、討論を行います。
住専問題を初めとする金融機関の不良債権問題、さらには大和銀行事件を初めとする金融不祥事等を契機として、国民各層から金融行政に対してなされたさまざまな批判はまことに大きなものがありました。その批判を真摯に受けとめ、新たな金融サービスの出現や金融市場のグローバル化などの激動する時代の変化に的確に対応し、国民に信頼される金融行政を確立することは、極めて重大な課題であります。
また、日本版ビッグバンと称される我が国の金融システム改革に臨み、金融市場の活性化、金融機関の国際競争力の強化、自己責任原則の確立が急務とされるところでありますが、こうした改革の動きにも対応し得る金融行政を早急に確立しなければなりません。
政府案は、こうした課題に対処するため、民間金融機関等に対する検査監督という執行面の機能を総理府設置の金融監督庁が担い、企画立案という政策面の機能を大蔵省が分担するという体制を目指すものであります。
このように、金融監督庁と大蔵省との間の明確な機能分担と両者の適切な緊張関係のもとで、市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換に資することになると考えるところであります。
また、政府案は、金融機関等の破綻処理においては、信用秩序の維持を図るため、検査監督を担う金融監督庁長官と企画立案を分担する大蔵大臣とが明確な役割分担のもとで必要な連携を図ることにより、金融危機管理に万全を期することになっているものであります。
なお、新進党提出の金融委員会設置法案は、金融委員会を国家行政組織法第三条の委員会として総理府に設置すること等を内容とするものでありますが、金融機関の検査監督は、経済や国民生活に重大な悪影響を及ぼすことのないよう、預金者保護、信用秩序維持等を図ることを目的とするものであって、議院内閣制のもとで内閣が明確に責任を担うべき性格のものである等の理由から、反対であります。
昨今、第一勧業銀行が総会屋グループへの融資に関して大蔵検査で虚偽報告を繰り返したという不祥事が報じられております。こうした有力都銀の不祥事が、日本の金融機関の体質や日本の金融行政に対する国際的な信用失墜につながるのではないかと危惧する声が出ています。ビッグバンにより迎える新たな国際的な大競争は、金融商品やサービスの質の競争であるとともに、信用力の競争であるとも言われています。
政府案により新たに設置される金融監督庁が、民間金融機関等に対する検査監督を専門的に行う機関として、その検査監督機能を適切に発揮していくことにより、国民からのみならず国際的にも信頼される日本の金融行政が実現することを切に期待いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/11
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012・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 藤田幸久君。
〔藤田幸久君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/12
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013・藤田幸久
○藤田幸久君 私は、国民の負託を受けた国会議員として、内閣提出の金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案並びに新進党提出の金融委員会設置法案の両案に反対する民主党の立場から、意見を申し上げます。
金融ビッグバンの時代に対応した金融行政への改革を目指す今回の金融行政機構の改革は、橋本総理による霞が関改革の第一弾となる重要な意義を持つものです。しかしながら、政府案では、行政改革特別委員会の審議でも重ねて指摘されたように、財政と金融の分離が不十分と言わざるを得ません。信用秩序の維持のみならず、取引所や業界団体の監督、金融監督に付随するはしの上げおろしのような規則や通達まで引き続き大蔵省が関与するというのでは、まさに大蔵省天動説の容認と言わざるを得ません。
金融の企画立案と検査監督の間ではなく、まさに財政と金融の間にこそミシン目を入れるべきであります。資源の配分を政治的に決定しようとする財政の論理から、金融行政を組織的にも明確に分離することこそ、真の市場原理を貫徹し、公正なルールに基づく透明な行政を確立するコペルニクス的転換につながると確信いたします。
昨日の行政改革特別委員会で否決はされましたが、民主党が提出した修正案では、企画立案も含めて金融行政全体を総理府に移管し、検査監視行政とそれに密接に関連する企画立案の事務を金融庁に一本化しようとする提案をいたしました。
民主党案では、日本銀行や預金保険機構など信用秩序維持に関する機関も金融庁に移管し、金融庁長官には、三年間の任期中の身分を保障して、高い独立性を持って職権を行使できるものといたします。そうすれば、仮に大地震など突発的な要因で金融危機が発生した場合にも、信用秩序の維持のために、政府案のように一々大蔵大臣にお伺いを立てずとも、独自の判断で即応的な対応ができるのです。
また、住専問題などで指摘されてきた金融検査監督の縦割り行政の弊害は、政府案では放置されたままです。金融は、昨今の野村証券事件や第一勧銀事件にも見られるように、個別の金融機関の融資が互いに連鎖しており、金融検査を一本化して効率的に融資構造全体を把握してその抱えるリスクに対応する必要があります。
住専問題では、大蔵省と農水省が負担と責任を押しつけ合い、問題の処理を先送りして傷口を広げたことが、縦割り行政の弊害として批判されました。少なくとも金融業務に関しては、監督権限を一本化して責任の所在を明確にすべきではないでしょうか。また、金融監督庁長官を所管する立場とはいえ、内閣の最高責任者である内閣総理大臣が大蔵大臣に事前協議を義務づけられることは、極めて奇異に思われます。
民主党の提案では、監督権限の一元化にあわせて、金融庁長官が事業官庁の大臣に重要な検査結果を報告し、業務停止命令等の処分に際しては事前協議を義務づけて、政府部内で適切な調整を行えるようにしています。こうした体制を整備すれば、政府案のように金融監督庁と事業官庁の共同管轄を続ける必要はないと思われます。
さらに、政府案では、金融監督庁は自前の地方組織も持たず、大蔵省の財務局等に検査監督権限を委任することとしています。地方の金融検査官の定員増も、大蔵大臣にお伺いを立てなければ要求することもできません。しかも、立ち上げに際して、金融監督庁職員の九割近くを大蔵官僚が占めることになります。これでは、金融監督庁が、独立した一つの官庁というよりは、総理府に置かれた大蔵省の植民地かのように映るではありませんか。
大事については、出身官庁には戻さないというノーリターンルールを原則とした運営を行うことで、金融行政のプロを育成し、国際的にも信頼される一流の金融監督官庁をつくっていくことができると思います。
新進党提出の金融委員会設置法案については、政府案と同様に、大蔵省に金融の企画立案部門を残しており、財政と金融の分離が明確でない点、金融の検査監督の一元化が盛り込まれていない点など、残念ながら金融行政の改革案としてはなお不十分と考えざるを得ません。
以上、申し述べましたとおり、私たちは、民主党の提案しておる金融庁を実現することこそ、ビッグバン時代に対応した金融行政の抜本的な転換への道と考えております。政府案のような中途半端な改革では、我が国がますます金融市場で国際的な信用を失っていくであろうと思います。
最後に、一連の行政改革は、政治つまり国会が、官主導、霞が関主導の流れを変えられるかどうかにかかっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/13
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014・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 藤田幸久君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/14
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015・藤田幸久
○藤田幸久君(続) 本院に御出席のお一人お一人の国会議員が十分御認識の上、良識ある御判断を下されることをお願いいたしまして、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/15
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016・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 木島日出夫君。
〔木島日出夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/16
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017・木島日出夫
○木島日出夫君 私は、日本共産党を代表して、内閣提出の金融監督庁設置法関連二法案に対して、反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、本法律案が、住専問題や一連の金融不祥事について、大蔵省に対する国民の批判を逆手にとって、日本の金融市場全体を弱肉強食の荒波に追い込む日本版ビッグバンの推進体制をつくることに最大のねらいがあることです。
政府が今進めている日本版ビッグバンなるものは、金融、証券、保険といった業態間の垣根の撤廃、金融新商品の開発の自由化、外国為替取引の自由化など、我が国金融の規制緩和を推し進めようとするものです。その結果、一部の多国籍企業化した金融大資本がますます肥大化する一方で、中小金融機関の整理淘汰が激烈に進められ、地域の産業と経済に重大な影響をもたらし、金融労働者へのリストラ攻撃は強まり、雇用は不安定化します。リスクの高い危険商法やギャンブル化した投機的金融取引がはびこることも必至です。
大銀行本位の破綻処理を進める役割を持って金融監督庁が設置されようとしていることは明らかです。金融の公共性をないがしろにするこのようなビッグバン体制を認めるわけにはいきません。
第二の理由は、本法律案による検査監督体制自体が極めて不十分であるということです。
現在の検査監督体制が全く不十分であることは、大和銀行事件や最近の野村証券事件、第一勧業銀行の不正事件に対する大蔵省の対応を見ても明らかです。今日求められていることは、こうした不十分な検査監督体制を抜本的に改めて、銀行の不正行為や金融不祥事の再発を防止し、不祥事に対し徹底したメスを入れられる体制をつくることです。
本法律案で、金融に対する検査監督権を持つことになる金融監督庁に対して、引き続き大蔵省がさまざまな形で介入、関与できる余地を残していること一つ見ても、金融監督庁は第二の大蔵省になるだけで、金融監督機能が強まることは全く期待できないことは明白であります。
とりわけ、政党が金融業界から多額な企業献金を受けていたり、官僚が金融業界に天下っていては、不祥事を引き起こした銀行や証券会社に対してまともな検査監督ができないだけではなくて、金融行政全体の民主的転換もできません。企業・団体献金の禁止、ディスクロージャーの徹底、官僚の天下り禁止は不可欠です。しかし、本法律案にはそのかけらさえも見出すことができません。
第三の理由は、消費者保護について全く触れられていないことであります。
金融監督庁の任務として、法案の中には、預金者、保険契約者、投資者保護の規定はありますが、消費者保護や銀行からの借り手保護の規定はありません。今日、銀行が消費者に過剰融資を押しつけるなどして、消費者と金融機関の紛争がふえています。変額保険では、被害者の中から自殺者までが出ています。日本版ビッグバンが進展すれば、被害者の増大は必至であります。アメリカより十五年おくれていると言われている我が国の消費者保護対策を抜本的に改めることは緊急の課題になっていますが、本法律案はこれについても全く対策がありません。
以上が、政府案に反対する理由です。
なお、新進党の対案につきましては、日本版ビッグバンを推進する体制整備を図るもので賛成できないことを申し上げまして、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/17
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018・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/18
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019・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これより採決に入ります。
まず、日程第二につき採決いたします。
本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/19
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020・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 起立少数。よって、本案は否決されました。
次に、日程第三及び第四の両案を一括して採決いたします。
両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/20
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021・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/21
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022・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後一時三十八分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114005254X04019970529/22
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