1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
平成九年六月五日(木曜日)
午後一時開会
—————————————
委員の異動
六月三日
辞任 補欠選任
魚住裕一郎君 平野 貞夫君
六月四日
辞任 補欠選任
小島 慶三君 本岡 昭次君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 鴻池 祥肇君
理 事
永田 良雄君
山崎 正昭君
市川 一朗君
緒方 靖夫君
委 員
井上 孝君
岩井 國臣君
坂野 重信君
橋本 聖子君
松谷蒼一郎君
平野 貞夫君
広中和歌子君
福本 潤一君
青木 薪次君
赤桐 操君
小川 勝也君
本岡 昭次君
奥村 展三君
国務大臣
建 設 大 臣 亀井 静香君
政府委員
建設大臣官房長 小野 邦久君
建設省都市局長 木下 博夫君
建設省住宅局長 小川 忠男君
事務局側
常任委員会専門
員 八島 秀雄君
参考人
住宅・都市整備
公団理事 梅野捷一郎君
—————————————
本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/0
-
001・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨四日までに、魚住裕一郎君及び小島慶三君が委員を辞任され、その補欠として平野貞夫君及び本岡昭次君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/1
-
002・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、住宅・都市整備公団理事梅野捷一郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/2
-
003・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/3
-
004・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) 前回に引き続き、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/4
-
005・市川一朗
○市川一朗君 前回に引き続き、御質問申し上げたいと思います。
既に今までの議論の中でもいろいろと議論されておるテーマの一つでございますが、他用途への転用防止の問題でございます。
法案を見ますと、なかなか相変わらず探し出すのが難しい、難解な法案でございますが、建築基準法第五十二条というところの多分一番さわりは第五号の表現だと思いますが、「その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の三分の二以上であるもの」という表現がございまして、これが要するに建物の三分の二以上が住宅部分であるものに限って本法案によって指定された地区内においては四〇〇%が六〇〇%まで容積率を引き上げることができると、こういう制度になると思うのでございます。
その部分に関しては今までにもいろいろ御議論があったんですが、確認をしておきたいと思いますが、この「住宅の用途に供する部分」というのは、何でもってどういうふうに判断されるかということについてまずお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/5
-
006・小川忠男
○政府委員(小川忠男君) 法律の適用に当たって、供する部分というのは現実に住宅として供されているという状況を判断の材料にすると思います。ただ、住宅でございますから、一時的に空室になっているということはあり得るとは思いますが、基本的には構造設計だけではなくて現に住宅として供されているという状態をもって判断の材料にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/6
-
007・市川一朗
○市川一朗君 今のお答えにあったようにも思いますが、要するにこれはある程度設計の段階で決まるわけですね、六〇〇%であるかどうかというのは。したがって、現実に住んでいるかどうかということではなくて、建てる前の段階で六〇〇%まで認めるというのは、住宅としての形態というんですかね、そういうことを求めているということだと思いますが、それはそういうことでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/7
-
008・小川忠男
○政府委員(小川忠男君) 若干舌足らずで恐縮でございますが、御指摘のとおりでございます。
建築基準法の条文について一、二補足いたしますと、住宅として使う場合と事務所を前提とする場合には基準法の若干の条文の適用関係が違ってまいります。端的に申し上げますと、例えば防火関係、これにつきましては住宅として使う場合には事務所よりは一般的には規制が厳しくなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/8
-
009・市川一朗
○市川一朗君 そうしますと、前回、魚住委員からの質問といいますか発言の中にありましたが、例えばマンションを買ってそこを弁護士事務所として使うという形態があったとする。その場合に、建物の構造は一切変えない、つまり見に行ったらマンションそのもの、住宅そのものであるが、実際は弁護士事務所として使っているということが想定されるわけですね。それは違法ですか、それとも適法ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/9
-
010・小川忠男
○政府委員(小川忠男君) 違法であるかどうかはいろんな組み合わせによると思います。といいますのは、一般の用途地域については、事務所、店舗あるいは住宅、すべて許容されている場所においては相互の転用は適法でございます。
ただ、この法律の適用関係については、住宅というのは一つの制度の骨格でございますので、物理的には全く同じ状況でも事務所等々で使われていれば違法でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/10
-
011・市川一朗
○市川一朗君 私は、やはりこれだけの四〇〇%が六〇〇%になるという、ボーナスという表現が適切かどうかわかりませんが、優遇措置を受ける。それに対して、それは一定の条件のもとに受けるのにその条件を満たしていない状況が生じますと、一般的に見て、国民の側から見ると非常に不公正であるということが起こると思いますが、前回の住宅局長の御答弁の中でパトロール等の強化を図って云々というお話もあったように記憶しております。いずれにしても、私が今お聞きしたような形態と実際の使い方までいきますとなかなか難しい問題があろうと思います。
そういった面で、行政当局、実際にやるのは市町村、東京都ですと特別区レベルの話になるのかもしれませんが、一般国民の方々から見てこの制度は非常に不公正じゃないか、そういうことにならないように行政面で十分配慮をする必要があるのではないかというふうに今の御答弁を聞いても思いましたので、その点ひとつしっかりお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/11
-
012・小川忠男
○政府委員(小川忠男君) 今回ほど住宅という概念と容積率の緩和を厳密な意味で連動させたというふうなことは今までの緩和措置にはないことだろうと思います。それだけに、今、先生御指摘になりましたように、やはり制度の信頼を損なわないというためにどうやってきちっと状況を守っていただくかというのは極めて大きなテーマだろうと思います。
その意味では、今お話しになりましたようにパトロールをきちっとやる、これは当然ではございますが、やはり建築基準法を守るという観点からは、今まで試みたことのないような措置、端的に申し上げますと、一軒ごとにきちっと台帳を整備した上で定期的に監督をするというふうなことも公共団体にお願いした上できちっと施行したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/12
-
013・市川一朗
○市川一朗君 きようで最終結論をこの法案については出すつもりでございますので、やや断片的になりますが、問題点を幾つかお聞きしてみたいと思いますが、次は地価問題でございます。
これももう既に前回いろいろ議論が出ておりますが、要するに容積率が四〇〇%から六〇〇%に上がるとこの地域が決まればその地域の土地は地価上昇するんじゃないかということで、建設省がこの法案の効果として御説明の中で使っておられるマンション価格が約三割ぐらい下がるというのはちょっと甘いんじゃないかなという見通しといいますか、感想を持っている人が非常に多いんじゃないかと思います。これは感想程度で済めばいいんですけれども、場合によってこれでかなりの地価上昇が再現するということになりますと、これまた大きな問題になってまいりますが、その点につきましての基本的な考え方をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/13
-
014・木下博夫
○政府委員(木下博夫君) 先般来お答えしておりますお答えの繰り返しになるかと思いますけれども、まさに先生おっしゃられましたように取引によって決まる地価でございますから、傾向的には私どもも今回土地の有効利用が図られることによって土地取引が促進されれば一定の地価上昇につながるということも見込まれるんじゃなかろうかと思っております。
しかしながら、お答えしておりますように中長期的には土地の有効利用が図られますことによって供給が増大するという効果も一方ではあるわけでございますし、それから先ほど来のお話にございました容積等が割り増しされますから、結果的には二戸ずつの住宅についても広がりを持たせることも可能ではなかろうかと思っておりますので、床面積当たりになりますと、これも想定でございますけれども、見込みとしては若干私どもは下がるぐらいの期待を持っております。
したがいまして、現在の地価動向の中では、例えば金利の問題あるいは過剰流動性の問題、そういうものをるる考えますと、住宅に限った今回の施策は私どもは従来のバブル期に我々が大きな教訓を得ましたそういう状況にはならないと願っておりますし、またそうならないためにいろんな地価対策なりあるいは地価に対しての監視体制は引き続きとっていかなきゃいけないと思うんですが、むしろ地価の水準ももちろんでございますけれども、それよりも有効利用が何とか図られるようなそういう促進策として大いに活用していきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/14
-
015・市川一朗
○市川一朗君 前回もそういう御答弁があったと思うんです。
きょうは建設省にしか質問通告しておりませんでしたが、例えば四〇〇%が六〇〇%になったとした場合、これはちょっとストレート過ぎるかもしれませんが、公示価格等で不動産鑑定価格が出ますね。その場合はどういう計算になるのか。変わるのか変わらないのか、変わるとすればどれぐらいになるのか。これは私ども常識としてはある程度知っておりますから、場合によっては常識の範囲内でもいいんですが、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/15
-
016・木下博夫
○政府委員(木下博夫君) 先生お話しございましたように、正式にはやはり地価鑑定の権威である国土庁にお聞きいただくのが適切かと思いますが、私どもで知り得る限りで若干お答えさせていただきますと、当然でございますが、不動産鑑定評価におきましての内容は容積率規制によります土地の利用制限、こういうものは土地価格を形成する要因の一つとして勘案しておるのが現状でございまして、一般的に申し上げますと容積率の引き上げは土地の利用価値を高めますので結果的には土地の価格が高く評価される、そういう方向であろうと思うんです。
もう少し具体的に申し上げますと、現在の標準値のいわゆる比準方式の内容を若干補足させていただきますと、格差率というのを使っておりまして、それぞれの土地の持っております性格といいますか、位置あるいは地積、環境、こういうものを土地の価格形成要因ということで含んでおりますが、その中にも大きく分けまして二つ、いわば地域要因格差率とそれから個別の土地ごとの個別的要因格差率がございますが、とりわけ地域要因格差率の中に行政的条件というのを掲げておりまして、この中にいわば土地の利用に関する公法上の規制の程度ということを入れております。
内容的には細かくなりますので割愛をさせていただきますが、私の知る限りでは容積率においての差は上下で幅がございますけれども、いわば混在系の住宅地におきまして上下で約六%ということでございますし、それから普通の商業地におきますと約二割程度の格差率をその標準値方式の中に見込んでおります。しかし、今回のケースでいきますと、先ほども前段で申し上げましたような混在系の住宅地でございますから、私どもはその評価としては最高であっても数%程度であるというふうに見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/16
-
017・市川一朗
○市川一朗君 この制度が理想的に展開することを想定するか、違った形で展開するかもしれないと想定するかいろいろ難しい面がある中の一つが地価問題だと思うんでございますが、亀井大臣、実はもう既に売り惜しみが出ているという情報もあるんです。私はそれは全く確認していませんが、あり得る現象じゃないかなと思います、ある程度これだけ法案ががちっと出ますと対象エリアもわかりますから。
ですけれども、やはりこの法案で最終的に成立してから地区が指定されて、そこで六〇〇%の容積率のボーナスをもらって建てられた住宅は、やはり都心居住を望むといいますか、通勤地獄にあえぐ都市サラリーマンにとって、やっぱり住むことのできるという、もう少しわかりやすく言えば買えるとかあるいは借りられるとかというレベルで家賃とか価格がある範囲内におさまってもらわないと手が届かないわけです。これは非常に難しいわけです。私どもがこの間見てきた都心ですと、塩漬けになっている土地は何かのきっかけ、インセンティブを与えないと動かないかもしれないというような土地もあるわけですから、そういう中で最終的に、東京都で言えば特別区の問題だと思いますけれども、やはり国の政策が土地税制の問題も含めてうまく機能するか機能しないかで大分変わってくると思うんです。
その辺につきまして、今見通しをどうのこうのということを私はお聞きするつもりないんですけれども、サラリーマンに手の届くような住宅を供給するという決意を、この地価上昇を懸念する一般の人にもわかりやすく大臣からお話しいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/17
-
018・亀井静香
○国務大臣(亀井静香君) この法律の成立が地価に与える影響、いろいろな形で議論をされておりますけれども、結局、地価が何によって決まっていくかというのはやはりこれは需給関係、特にそのときの経済の状況ということが基本的であろうと思います。
さらに土地が今のように水びたしにいろんな意味でなっておる状況の中で、そうした土地を含めて貴重なこれは国の財産、国民全体の財産ですから、それがもっともっと価値を持っていくということの中で若干の、価値が上がるということは地価が上がるということの一つのあれにはなるわけですから、そういうことまで否定をするのは私はやっぱりどうかなというように思うわけでありまして、死んだ土地がぴしっと国民のため国家のために生き返ってくるということであれば、これは非常にいいことでもあります。
そうした中で、従来の利用が高度利用されることによって床面積当たりの地価のコストが下がるということは私は間違いなく言えると思いますから、そういうことがやはりサラリーマンにとって少しでも手の届くところにマンション価格が下がっていく一つの方法である。これが私は全部決め手だなんて全然思いませんけれども、しかし黙って座ればぴたりと当たるようなオールマイティーな政策はないと思うんです。
そういう意味で、あとは税制の問題もあるでしょうし、いろんな問題があると思うんですけれども、一つ一つをやはり我々が弊害が起きないようなもちろん配慮をしながらやっていき、トータルとしてサラリーマンのそうした気持ちに沿った結果が出てくるということになればと、このように思っておりますので、せめてこの一助にはなるだろうという気持ちを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/18
-
019・市川一朗
○市川一朗君 この問題は非常に国民の厳しい目と、またある意味で熱い思いも込められていくと思いますので、ひとつ大臣初め行政当局はしっかりした展開をお願いしたいと思いますし、また我々もこういう建設委員会という立場でしっかりとこの問題をフォローしていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それから、こういった問題を進めていく過程でどうしてもいろんなトラブルが出てくるわけでございます。既に法案の過程でもいろんなところから日照の問題その他既に議論になっておりますが、そういったようなことで問題なのではないかという指摘も私どもの方にも参っております。
それから、やはり前回魚住委員が御紹介しましたように新聞の投書欄にも賛否両論でございますが、いろいろ出ておる。そういった中で、この法案それ自体だけの問題ではないんですが、どうも最近、都市計画の案そのものあるいは都市計画に限らない計画の案が、関係する住民、市民の方に余りよく理解されないままに一気に反対運動にいってしまっているということが結構多いんじゃないかなと思うわけです。
これはやはり国、都道府県、市町村、それぞれの行政レベルの問題でもあると思いますし、あるいは事業を行おうとしている事業主体の問題でもあるかと思いますが、何か我々日本人全体の問題かもしれませんが、そういう住民の方々によく理解してもらえるような工夫といいますか、それがちょっと足りないのではないか。やはりもともとは、江戸時代の言葉としては、「依らしむべし、知らしむべからず」というような話があったわけですけれども、都合のいいことは話すけれども、都合の悪いことは余り話さないという部分もあるんですね、何となく。しかし、実際はそこまで行く前に、本当はでき上がれば非常にいい計画で、でき上がってしまいますとみんなが喜ぶようなそういう計画が、そのずっと前の段階でとんでもない反対運動が盛り上がって、結局実現ベースにこぎつかないという実態があるんです。
私のささやかな経験で、もう大分前の経験でございますが、アメリカのワシントンDCにお邪魔したことがあるんですが、そのワシントンDCのあのビルが、DC全体の行政庁のビルであったか都市計画部局のビルであったかというのはちょっと記憶があいまいなんでございますが、いずれにしてもそのビルの最上階に何と絵かきさんチームがいたんです。十人以上の絵かきさんがずらっといるんです。もちろんそこへわざわざワシントンDCの人が私どもを案内してくれまして、これ何だかわかりますかと。
これは、そのビルの中の行政庁で企画されるいろんな計画が全部最後は上に上がってきて、そこで絵にかかれて、それでその絵でもって住民に説明に入る。そして、あと絵が出た先は、今度はその絵の修正という形で議論をして、それである程度話がついた時点でその絵かきさんチームがまた下におろして、今度は専門部局でルールを決めていくと、こういうやり方をしているんですよという話でございまして、これはなかなかやはり工夫しているなと思ったんです。アメリカの場合は、言葉の通じない、そういう多民族国家的な部分もありますから、多民族じゃないですな、あれは、人種が多いと言うことの方が正確だと思いますが。
とにかく、そういうような中でいろいろな経験を積んで、いろいろ工夫してきた結果がああいう経験になったのかなと思うわけでございますが、これは国レベルの問題よりは、もしやるとすれば市町村レベルの話あるいは特別区レベルの話じゃないかなと思うんです。
この間、委員長以下でこの法案の対象地区を回りましたときは、港区と中央区を回ったんですが、特に中央区で私どもを案内してくれた担当の課長さんはもうその地区すべて熟知しているんですね。それで、いろいろ会話を交わしてみますと、単に地区を知っているだけじゃなくて、そこに住んでいる人一人一人も知っているんです。それで聞いてみますと、あそこでもう十年ぐらいやっているみたいですね。そうしたら、前回の御質疑の中で、総合設計制度でしたか、それが全国で適用された中の大部分が中央区で、中央区のためだけにできたような制度だというようなやりとりがありましたね、地区計画でしたか。やっぱり、ああ彼がいたからかなというふうにも思いました。
だから、何も絵をかくだけが工夫じゃないと思います。そういう人がいる、そういう人的パワーの問題もあろうかと思いますが、何かそういうことをそれぞれが工夫すればいいじゃないかというような感じもしますが、ソフトとかハードとかという言葉は余り適切でないかもしれませんが、もう少しソフト面でそういった工夫がある程度進むような努力というのを、建設省の都市計画行政を推進するあるいは住宅行政を推進する、特にそういう建築基準法のように非常にきめの細かいことを推進するとなると、もうとにかく私なんかでも、個人的にちょっと建物を建てたりなんかするときに基準法関係なんてもうわけがわからぬくらい難しいですね。そういったようなことも含めて工夫する必要があるんじゃないかなと思うんです。
これは質問の形式にしますと皆さん答弁大変なんじゃないかなということも若干思いながら、ちょっと自分の駄弁を弄し過ぎてしまったんですが、やはりそういう一工夫はあってしかるべしということにつきまして、前向きに御答弁できる方はひとつ御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/19
-
020・木下博夫
○政府委員(木下博夫君) 前向きのお答えになるかどうかと思いますが、まさに大変示唆に富んだ御指摘をいただきました。
我々も日夜悩みながら取り組んでいるテーマでございますが、歴史的にというと少し大げさでございますが、やっぱり都市づくりという際に、住民なり市民と行政、そういうものとがどうつながるのか、あるいは都市と住民とがどうつながるかと考えますと、ある時期には大変強力なリーダーのもとで町に立派な計画があって、多少の時間はかかるかもわかりませんけれども整然とした町をつくり上げた、そういう歴史なり都市もあろうかと思っております。しかし、最近の都市づくりの中では、限りなく住民の意向もしっかり尊重する方向というのをできるだけ重視しろという御指摘の方がいささか多いような感じも持っております。
したがいまして、これからの進め方として、我々は今回お出ししております法律もそうでございますが、押しなべて都市計画法なりあるいは建築基準法の世界もそうだと思いますが、住民の方々、市民の方々にその内容、制度を限りなくわかりやすくしていく、先生お話のあったビジュアルな形ももちろんでございますが、手続、システムとしても大切だと思っております。
多少くどくなりますが、ステージとしては、例えば線引きとかあるいは用途とかというエリアを決める段階、あるいは個々の事業をやる段階、さらには前後いたしますけれども、町づくりのマスタープランとかそういうものをつくる段階とか、それぞれ住民の方々には公聴会、説明会等を積極的にやっておりますし、たしか平成四年の都市計画法改正も先生おやりいただいたわけであります。その際にいろいろ通達などを、私ども今からもう一度振り返っておりますが、大変きめ細かく各公共団体に対しても指示をしておられます。十分とは言いませんが、その線で我々今も取り扱っておりますが、できるだけ私ども資料をつくるだけでなく、その資料が浸透していく手法をもう少し考えてみたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/20
-
021・市川一朗
○市川一朗君 きょうこの話は、最前線に並んでおられる政府委員の皆さんよりは特に後ろの方におられる若い諸君にぜひ聞いておいてもらいたいという意味もありますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
それから、やはりこれも中央区を回っていまして、担当の方にいろいろ御質問した中で、こんな細かな敷地帯じゃやっぱりうまくいかないんじゃないかという話をしたら、いや、これはやはり区画整理をやりますと言っていました。じゃ、こんなところで区画整理をやって本当に話がつくんですかと、減歩なんかうまくいきますかねと言ったら、幸いにあの地区は非常に細い街路がいっぱいありますから、それを全部合わせただけで大体必要な街路幅がとれるのでうまくいくでしようと、こういう話があって、なるほどと。私だけじゃなくて、御一緒した委員の先生方も納得しておられたように思うんです。
私は、この法案は特にそうなんですけれども、敷地の集積化によって、確か亀井大臣もそういうお言葉を使われたと思いますが、敷地の集積化によってこの容積率問題をより効果的に発揮できるんじゃないかという点でいけば、やっぱり土地区画整理事業というのは非常に重要な問題だと思うんです。
それから、実際私も選挙区でいろいろと経験しておりますが、今土地区画整理事業というと、もう減歩はかかる、土地が取られてしまうということで、新市街地で新しく宅地造成するようなところでの土地区画整理事業はそれほどでもないんですが、例えば駅前で連続立体をやる、それで連続立体と一緒に区画整理事業をやるというようなことが最近全国で展開されておりますが、そういうような地区なんかですと、やはり区画整理事業で公共減歩がかかるというと、もうそれだけの理由で、ほかは全部賛成なんだけれども公共減歩があるので、ということでなかなかうまくいかない。
現実的にもそういうことがいろいろありまして大変だなという感想を持っておるんですが、この法案、前回も私は指摘したんですが、敷地の集積がないと、大臣いろいろおっしゃいますけれども、やっぱり鉛筆ビルになっちゃうんですね。しかし、それじゃこの法案を出す意味が非常に半減されますね。そうすると何かやらなきゃいけないと、そういう中で区画整理をやらなきゃいけない。だから、この法案だけでもそういうことなんですが、区画整理と公共減歩、切っても切れない関係で今の法律はもうできていますが、あれも考えてみればもう五十年前の制度ですから、何かもう少し現在のいろんな事情に対応できるようなそういう一工夫はあってしかるべきなんじゃないかなというふうに思うんですが、政府側としてはどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/21
-
022・木下博夫
○政府委員(木下博夫君) お話しございましたように、区画整理は日本の市街地の多くをつくり上げてきた大変歴史がございますし、とりわけ関東大震災以降、当時のいわば区画整理の前身を受けた形でこの制度がスタートしております。
先生お話がございましたように、新市街地におきましてはまだまだ公共施設が足りないわけでございますから、区画整理によってそういう公共施設を編み出すという意味では減歩も余儀なくされており、一方では当然その土地の値打ちも上がるわけですから、それによって相殺されるというメリットもあるわけでございます。
しかし、くどくなりましたが、新しい市街地とは別に既成市街地におきまして当然街路を含めての一定の公共施設ができ上がっているところで、いわば今のように一つの未利用地、低利用地があるようなところを何とか工夫できないかという問題意識は我々も十分持っておりまして、実は大臣の方からも土地の有効利用の一環で何か考えろという指示がありました際に、いわば敷地整序型の区画整理事業を我々としても促進したいと思っております。
区画整理事業は、御案内のとおり税制上の特典もありますので、そういういわば交換分合を促進する背景としては税制も大いに私ども使わせていただきたいと思っております。四月十八日に既に区画整理関係の通達を出させていただきまして、原則的には個人なり組合施工がこの対象になりますけれども、従来一定のただし書きで運用しておりました範囲を広げまして、例えば道路あるいは公園等の技術基準を少し緩和するということによって、いわば今おっしゃられた公共減歩の率を下げる区画整理事業がこれから全国的に進んでまいると思います。
しかし、先ほどもお話ございましたようにこのことすらまだまだ各方面に十分浸透していないというところがありますので、関係方面も含めましてさらに周知を図っていきたい。仕組みとしてはまず第一歩でございますが、そんな敷地整序型区画整理事業を始めたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/22
-
023・市川一朗
○市川一朗君 ぜひそういう方向で、亀井大臣がいる間にひとつりんと進めてください。やっぱりそういう雰囲気の中でどんどんやってもらわないとなかなかこれは難しいテーマですので、よろしくお願いしたいと思います。
それから、私の質問としては最後の質問になりますが、防災対策です。都心居住ということになるとやはり高齢者の方々も非常に便利ですから多分望んで来られると思います。それで、高層ビルでまず最初に思いつくのはどうしても火災の問題、それから東京ということになると地震の問題もあります。その点についてはだれでもが思うことでもありますし、事業をやる以上はその辺は十分配慮しておやりになるのではないかと思いますけれども、このシステムを積極的に推進しようとして政府の先頭に立っておられる亀井大臣、こういう防災対策については当然お考えいただいているんじゃないかと思います。
ただ、防災問題をぎりぎり詰めていきますと、どうしてもコストがかかってくるわけです。この問題はある意味で我が国の宿命みたいなものがございまして、今回これはこの制度でいくとしてもより超長期的には、私もたしか森建設大臣のときにこの委員会で一度取り上げたことがあるのでございますが、要するに我が国が明治維新以降、近代化を進めたときにモデルにしたのはアメリカ、ヨーロッパなんです。その中で地震のあるところはアメリカの西海岸だけなんです。あとはアメリカの東海岸、ニューヨークその他、それからヨーロッパいわゆる西欧は地震がないんです。そういうところで高層ビルとかいろんな高架鉄道、高架道路、地下鉄、そういったものが発達していって、私どもはそれを近代化の象徴として受けとめたわけです。
だから、同じ建物で勝負すると、二、三年前に住宅価格で大分議論があったんですが、何で日本の住宅は高いのか。実際いろいろ工夫することによって三割ぐらいは下げましようという話に今なっていますが、ぜひそういう方向で進めてもらいたいんですけれども、やはり基本的に耐震構造にしなきゃならないとかという意味でアメリカなんかよりも高くつくという部分があるんです。
翻って、我田引水になりますが、私は宮城県出身なんですが、宮城県沖地震が十何年前にありましたときに仙台の中心市街地だけは全く無傷だったんです。よく調べてみますと、それは伊達政宗が青葉城を開いて、そのとき最初につくった城下町が無傷だったんです。だから、もう一六〇〇年に地震を考えて地盤を選んだという、そういうノウハウというか英知があった。
その話を茂木さんでしたか、ある地震の専門家に話しましたら、いやあなたは京都の竹林を知っているか、あれは今京都の風物詩になっているけれども、よくよく調べるとあれは全部断層地帯に植えてある、竹林は、それで地盤強化というのをやっていたんですと。その先生も言っていましたが、京都の竹林というと、それこそもう西暦九〇〇年とかいう時代から地震対策をやっていた。つまり金のかからない地震対策、これが明治以降ちょっと追求がなくなっちゃったんです。この追求をやって、金のかからない、しかも地震に強い都市づくりというのに成功すると、世界じゅうにそれで悩んでいる国がいっぱいありますから、それに対して日本はまさに先進国としていろいろ提供できるんじゃないかなと、ノウハウも含めて、そういうふうに思っております。
こういう立場になってから言っているようじゃ何だという感じもあろうかと思いますが、その辺に関しまして、感想も含めまして亀井大臣のお話をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/23
-
024・亀井静香
○国務大臣(亀井静香君) 都市づくりといいますか、そういうことの基本はいろんなことがあります。それはありますが、やはり防災というのが前提であると思います。そういう意味では、特に東京あたりについてはいつ来るかわからないというようなそうした強迫観念のもとで生活をしていると言ってもいい状況であろうかと思うんです。
阪神・淡路大震災のときの経験からいいましても、一つは簡単なことですが、道路が広くなけりゃいかぬということが決定的であると思うんです。それから緑の空間、やはり空間が相当あるかないかというのが被害が大きくなるかならないかの一つの決め手であったろうと私は思います。それから、あとは建物、構造物の強度の問題もあります。私は東京に限定しているわけじゃありませんが、一つは川の存在です。これがそうした震災のときに決定的な役割を果たすんじゃないか。特に東京なんかの場合、川がたくさん流れておる。それを今のように川があっても避難場所にはなかなか使えないというような、ただ洪水を防ぐというだけのあれですが、今から東京などの河川行政の中で震災が発生をした場合のああした川をいろんな意味での避難とか救助に使えるような工夫というのはもっとできるんじゃないかなという感じも私は持っておるわけであります。
いろんな知恵をみんなが出し合って、とにかく震災というのはいつ起きても不思議はないわけです。マグニチュード二〇が来たらもうお手上げでありますけれども、過去に我々が経験をしておる、あるいはちょっと上程度のものは、我々が努力さえすれば被害を防ぐことはある程度できるわけでありますから、いろんな形でこれをやっていかなければならない。密集市街地の整備、これも御承知のような観点で今国会で成立をさせていただきましたけれども、とにかく人の今、これが一番大事だ。ムツゴロウも大事だけれども人の命という、これがすべてに共通することであろうと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/24
-
025・市川一朗
○市川一朗君 本当にいろんな手だてがきちっとされる必要があると思います。今の川の話などは私もなるほどと思って聞いた次第ですが、やはりこれから都心で高層化していく、既に高層化は始まっていますが、日本もついにそこに人が住むようになる。
イメージとしては、フランスのパリのあのシャンゼリゼ通りの裏側みたいなね、ああいいなと思ったことはありますよ、若いころ。だから、そういうようなことになるとしたときに、そこで火災が起きた場合にそれが大混乱になるということでは日本の立場としてないわけでございますから、それは消防の問題だとかそういったことじゃなくて、しっかりと取り組んでいただければと、そういうふうに思う次第でございます。
私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/25
-
026・小川勝也
○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川でございます。前回に引き続きまして質問の続きをさせていただきますが、まず通告をしていない余興の質問から一個させていただきたいと思います。
私も子供のころ、写真で見るエンパイアステートビルにあこがれたり、あるいは霞が関ビルのプラモデルをつくったりした経験がございます。いろいろと今回の法案を調べてみますと、あるいはいろんな学者の方の意見なんかを聞いてみますと、どうも建設省の中にはまだ高層神話というのがあるんじゃないか。私はこの間の質問の中にも、余りでっかいものを建てて、これが繁栄だ、これが成功だと言うのは途上国の発想じゃないかというふうに申し上げました。
都市局長いかがでしょうか、この建設省や都市計画に携わる人の中に高層ビル神話というのはおありになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/26
-
027・木下博夫
○政府委員(木下博夫君) 先生のおっしゃられる高層というのはどのぐらいの程度かということをまず私も確認してからお答えしなきゃいけないんですが、私の感想的なことで申し上げて恐縮ですが、私は現在の都市計画法の中にも、中高層用途でございますし、それから今回の高層住居誘導地区などということで高層という名前を使わせていただいておりますから、そういう意味ではこれからの都市の一つの姿として、あるいは住まい方として私は高層は進めていく課題であろうと思っています。
ただ、おっしゃられたように、どこにも全部林立するという言葉を時々新聞などで拝見しますが、私は都市としてのポテンシャルを考えたときに、ビルだらけになるようなところは、想像することは自由でございますけれども、現実としてはそれはなくて、ただ一定の容積の利用、活用の仕方として高層化というのは私は認めてもいいんではなかろうかと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/27
-
028・小川勝也
○小川勝也君 今の御答弁を伺いまして安心いたしました。
私も、今回の法律を審議するに当たって視察で同行させていただいた例えば大川端あるいはウオーターフロントであるとか、公園のすぐそばというか特殊な地域、ライフスタイルの多様化に合わせて超高層あるいは高層というところに人が住んでもいいのではないかなというふうに考えております。
しかしながら、この前も質問させていただきましたが、まだ納得がいかない点があります。それは、先ほど市川委員からもお話がありましたように、中央区ではそれまでもいろんな種類のメニューを使いながら今までの規定以上の容積率を擁した建物ができている、あるいはそのような権利はほかの区にもあるんだということを聞いております。
今の制度でもできることをなぜ新しい法律でやらなきゃいけないのでしょうか、改めてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/28
-
029・木下博夫
○政府委員(木下博夫君) 前回もお答えしましたように、この都心居住の考え方というのはきのうきょう始まったわけではございませんで、もう既に十年余りいろいろ施策的にはやってまいっております。
しかしながら、必ずしも都心に住むということが十分にできずに、むしろ都心の人口が減少傾向であるということは現実でございます。私は都市がこれだけ、特にとりわけ都心地域におきましてインフラが既に投資されておりますから、もちろんこれからも我々必要なものについては投資していくことは必要だと思っておりますが、その都市のストックを私は活用する中でこのいわゆる都心居住方式というのはお認めいただけるんではなかろうかと思っております。
したがいまして、今おっしゃったように制度的にダブっているところが全くないかという御質問であれば、それはあると思いますが、前回申し上げましたようにいわば用途地域の補完的な施策としての地区指定というものと、それから個々の、ある一定の広がりはもちろん持っておりますが、地区計画という世界である程度の地域として御同意いただいた方々がやられる手法とは私はレベルが違いますから、むしろこの地区指定をされた中で、今後その中で地区計画をむしろ使っていただくことによってよりよき都市景観、都市環境が整備されていくというために、ぜひ私は地区計画制度を使っていっていただきたい。
くどくなりますが、先回もお答えしましたし、中央区のときにもお話があったようでございますが、私はちょっと途中で失礼いたしましたが、むしろ基本的な都心居住政策として今回は認めた上で、ただ中央区の場合は非常に積極的に従来から地区計画制度を活用しておったが、まずこの手だてをやっていこうという意欲をお話しされたように聞いておりますので、私は中央区と我々の考え方は差はないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/29
-
030・小川勝也
○小川勝也君 わかったようでわからないんですけれども、ほかの区も中央区のようにやればいいんじゃないかなと思うわけでございます。実はこの間もお伺いをしましたけれども、区が人口を回復したいという気持ちは私もよくわかります。ただし、条件としては子供を伴うファミリーに来てほしいと思っておられる方が多いんじゃないかなと思いますけれども、それは後に譲りましょう。
区がやろうと思ってもなかなかできないことを今回建設省がやってしまおう、そこにはどこかにひずみが出てくるであろう、このことを大臣は明確にお話をしております。都心に今住んでおられる方の幸せの中から一部を削り取るんだと、このようなお話だったと思いますけれども、建設省は今住んでおられる方の幸せを少し削り取って通勤地獄に悩んでおられる方を都心に住まわせる、この大臣の御発言を建設省の立場として容認するのか否か、政府委員の方にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/30
-
031・木下博夫
○政府委員(木下博夫君) 大臣はよく御自分は言葉が足りないとおっしゃられましたが、決して私がそばで御一緒させていただく限りでは、むしり取るとか削り取るということではなくて、むしろ都市環境、都市景観というのは多くの方が共有しているわけですから、そこはお互いに譲り合っていくべきではなかろうかということをおっしゃられたと思います。それは一例で申し上げると日影の問題であったと思います。
したがいまして、私どもは公共施設がある程度整備されたところを今後東京都なり区が恐らく都心居住対策の一環としてこういう区域の設定をお考えになると思いますが、そのときに既に多くのオープンスペースができているところは私はさほど今おっしゃったような従来居住者の問題はないと思います。
問題は、既にお住まいになっている比較的低利用のところを今後ある一定のそういう容積をかぶせていくことによってより高層的な有効利用を図っていくときに地元とどう調整するかは私もなかなか大変な問題であろうと思います。ただ、新しい都市環境といいますか都市問題を私は各個人個人がいろいろ論議する中で御同意がいただければ、そこはむしろ都心のすぐれた環境を使う一つの住まい方としてこの高層住居誘導地区というものは十分私は支持をしていただけるんじゃなかろうかと思っておりますし、そう願っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/31
-
032・小川勝也
○小川勝也君 大臣に聞いてないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/32
-
033・亀井静香
○国務大臣(亀井静香君) いや、聞いてないったって、それはあなた、私に関することをおっしゃったんで、特に傍聴者の方もいらっしゃいますので、私の発言を一方的にねじ曲げてこうだろうという形で、しかも部下との離間を図るような御質問をされるということは極めて心外でありますので私は申し上げますが、削り取るなんて、それはあなたの発想であろうと思います。
私が言っておりますのは、みんなでお互いに幸せになっていくということで、譲り合うことは譲り合っていかなければならないということを言っておるわけであります。あなたのように対立をするという発想は私はございません。お互いに助け合って譲り合っていくということだけでございます。あなたのその対決の発想と私の融和の発想はもう決定的に違うということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/33
-
034・小川勝也
○小川勝也君 きょう私は作戦を立ててまいりまして、大臣には指名しないでおこうと決めておったわけですけれども、私が求めない限り大臣の発言を許さないでください。よろしくお願いいたします。
それで、私は都市計画というのは最低五十年、二百年、こういうふうに長期的な展望があってしかるべきだと思っております。先ほどの仙台の例もお伺いをしたところでございますが、私は実は今回の都市計画はその場しのぎの中途半端なものではないかなというふうに考えております。
局長に短い御答弁をお願いしますが、今回の都心居住者、新しく居住される方、例えば独身の方、ディンクスの方、ファミリーの方、いろんな方がいると思いますけれども、想定がおありでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/34
-
035・木下博夫
○政府委員(木下博夫君) 手短にということでございますが、先般も住宅局長がお答えしましたように、住まい方の一つとして都心居住を認めていただいた上では、お話ございましたようにディンクスもあるでしょうし、あるいはファミリーもあるでしょうし、それからまだ血気盛んな若者が通勤その他で夜間お勤めになるようなこともあるわけでございますので、それはこれからの需要を見ながら供給側がいろいろ判断していくし、それからそういう需要が顕在化してくればそれ相応な住宅供給は行われると思っておりますので、今そこで何がということではないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/35
-
036・小川勝也
○小川勝也君 計画的に、例えば若いうちならばこういう環境でもいいだろう、あるいは都心にどうしても夜遅く働く人にはこういうライフスタイルもあるだろう、そこまで細分化して計画をされているのならば私はそれも一つの考え方であろうと思います。
しかしながら、今回の計画には先ほども申し上げましたようにほとんど計画性が見られないと思います。その一例として、この前の日照の問題もあるでありましょうけれども、高層あるいは中層でも構いませんけれども、そういう高さが高いところに住む住環境というものに対する研究が建設省においては十分に行われていないだろうと考えるからであります。
ここにいろいろな資料がございますけれども、さまざまな問題がありますので聞いていただきたいと思います。
これは一つの例でございますが、まず高層階に住む方に不妊が多い、妊娠が途中でストップする方が多い、高い階に住んでいる子供が外に出歩かなくなる率が高い、犯罪が多い、子供がいろいろな生活習慣を覚えるのが遅い、あるいは幼児の虫歯が多い、それから心身に変調を来すなどのさまざまな問題があります。
これは、例えば計画的に都市づくりをしよう、このマンションにはこういう人たちに住んでもらおうという計画があれば、こういう研究は私は進んでいてしかるべきだと思います。逆に言うと、こういうデータが少しずつそろってきていますので、諸外国においては高層居住ということに関して見直そうなどという動きもあるかと思います。
質問ばっかり多いんですけれども、短く御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/36
-
037・小川忠男
○政府委員(小川忠男君) まず、住宅政策あるいは住宅計画と計画性というふうな関連でございますが、こういうふうなプロジェクトの場合にはかくかくしかじかの住み方を念頭に置く、ないしは住んでもらいたいというのは私は行政としては若干僭越であろうと思います。行政ができるのは、いろいろな住まい方について高度な、多様な選択の可能性をきちっと準備するというのが私どもの政策あるいは役所としての務めだろうと思います。決めつけることはいたしません。
それから、高層住宅での居住、これは確かに日本にとっては新しい居住形態でございます。私どもも十分な関心を持っております。また、先生今御指摘になりましたように妊娠あるいは児童に対する影響、そういうことを指摘される方もいらっしゃいます。がしかし、そういうふうなところの論述の根拠をよくよく見ますと、たまたま外出不足になることが多いとか、母子ともども比較的家に閉じこもるケースが多いとかというところに行き着くような分析が多いわけでございまして、やはりこれは新しい居住形態として定着すればそれなりに解決がつく問題だろうと思います。
また、学説をおっしゃいましたが、そういうことを指摘される方がいらっしゃる一方で、研究者によってはほとんど高層住宅の影響はないということをおっしゃる学者もたくさんいらっしゃいます。念のため申し述べさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/37
-
038・小川勝也
○小川勝也君 今、行政がだれが住むかを決めることではないというふうな御答弁でございました。
しかしながら、この前の大臣の発言を引用するのは危険がありますので引用しませんけれども、日照に問題がある建物ができたときに、必然的にそこにファミリーが住むことはないでありましょう。あるいはさまざまな問題があって、住むに適さないマンションが建ったときにはどういうことが起きるかといいますと、先ほど市川先生からも御懸念があったように、オフィスビルヘの転用が容易になされてしまうのではないかなというふうに心配をしております。
きょうはせっかく参考人においでいただきましたので、少し御質問をさせていただきたいと思います。
住都公団の業務に関してはリーダーシップのある亀井大臣からいろいろな御示唆に富む発言があったと思われますが、参考人はどう受けとめておられますでしょうか、住都公団の業務についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/38
-
039・梅野捷一郎
○参考人(梅野捷一郎君) お答え申し上げます。
私どもの住宅・都市整備公団の改革という点についての御指摘ではなかろうかと思いますが、社会経済情勢の変化を踏まえまして官民の適切な役割分担を行っていく、そういう観点から現在建設省の御指導のもとに次のような方向で検討をさせていただいているところでございます。
分譲住宅については撤退、賃貸住宅については町づくり、都心居住などの政策的な観点から必要なものに特化する、あるいは市街地の再開発などの町づくりへの重点的な取り組みをする、このような点が大臣からもいろいろ御指摘いただいている考え方であろうというふうに受けとめておるところでございまして、引き続き国の御検討に基づきまして御指導を得て我々の方も取り組んでまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/39
-
040・小川勝也
○小川勝也君 組織の改変があったか、近々あるのか、ちょっと聞いたんですけれども、差し支えなければお話しいただきたいと思いますが、参考人お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/40
-
041・梅野捷一郎
○参考人(梅野捷一郎君) 恐らく、我々の仕事の内部におきます実施体制についての検討を進めているという点ではなかろうかと思います。
今も申し上げましたような方向から見れば、町つくりあるいは再開発、そういう問題に重点的に取り組む体制としてどういう取り組みがいいかということで検討している段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/41
-
042・小川勝也
○小川勝也君 そうしますと、今までは郊外で大規模なべヅドタウンとか分譲の造成とかいろいろ仕事をやっておられたと思うんですけれども、これからは今もお話がありましたように都心の居住者をふやすとか市街地の再開発とかに仕事を特化していきたいということで間違いないと思いますけれども、そうしますと私、脇に落ちなかったのが少しずつわかってきたような気がしてしまうのであります。
住都公団は、大臣がおっしゃられましたように、いろいろな業務から撤退をしていく中で、例えば今度の都心居住の問題を失いますとほかに仕事がなくなってくるのではないかというふうに思うわけでございます。
これは建設省の方にお伺いをしておきたいわけでございますけれども、今回の法改正の網かけの中に住都公団が所有しておる土地というのはどのぐらいあるか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/42
-
043・梅野捷一郎
○参考人(梅野捷一郎君) 今御審議をされております高層住居誘導地区というものの候補地といいましょうか、そういうものが第一種住居地域でありますとか第二種住居地域等の容積率が四〇〇%の地区の中にどれぐらい保有地があるのかという御質問だと理解しておりますが、平成八年度末の段階ではそのような用地は現在は保有をいたしておりません。未利用のものは保有しておりません。
なお、既に事業を実施したものの中には、先ほどもお話があったように思いますが、中央区の月島の大川端の東ブロックというようなところがこの対象の地区に該当するとごろでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/43
-
044・小川勝也
○小川勝也君 フジテレビ跡地の計画がございますが、ここは二種住居で容積率が三〇〇%のところが大部分で近隣商業地域の四〇〇%のところはちょっとしかありませんでしたので、残念ながらこのフジテレビの地域は今回の法律の適用にはならないんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/44
-
045・梅野捷一郎
○参考人(梅野捷一郎君) 今回の改正案の中には、いわゆる今の高層住居誘導地区に絡んだ部分と共用部分に関する部分がございます。私どもは、先ほど来先生も御指摘ございますけれども、より豊かな高層住宅をつくるためには共用部分もまたそれなりに大いに工夫をしていかなければいかぬというテーマを掲げております。
そういう点では、このフジテレビ跡地で計画する今後の検討の中では関係をしてくるのではないか、またその趣旨に沿った我々の最終的な検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/45
-
046・小川勝也
○小川勝也君 じゃ、その高層住居誘導地区、いわゆる六〇〇%になることを願っているということでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/46
-
047・梅野捷一郎
○参考人(梅野捷一郎君) 高層住居誘導地区の四〇〇%が六〇〇%になるかどうかということが、このフジテレビの地区については先生も御指摘のように、この敷地の中の該当部分は約六%程度のシェアでございますので、そのことが直接にこのプロジェクトに影響してくるということはないと思いますが、既にこのプロジェクトは周辺の開発ともさまざまな形で関連をして進められることになると考えております。今私が申し上げましたのは、その部分ではなくて、廊下とかそういう共用部分についての問題がございます。そういう問題については、今回の改正とも四〇〇、六〇〇ということとは関係なく、別のテーマとしては大いに関係があるということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/47
-
048・小川勝也
○小川勝也君 じゃ、六〇〇%になることをねらっていないということでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/48
-
049・梅野捷一郎
○参考人(梅野捷一郎君) 私ども、このフジテレビの用地につきましては、東京都の要請に基づいてこの四月に取得をしたわけでございます。その間、この用地の取得については、当然取得した場合には地元のいろんなお考えを受けて内容が実現できるかどうかという調整をした上で取得するわけでございますが、今日までの計画の中では、現在の用途地域の枠組みの中で組み立ててきて用地の取得を決断したわけでございますので、今後直ちにこの計画が先ほど申し上げましたような全体の町づくりの中で、変更があれば別でございますけれども、このプロジェクトという単独のことで考えますと、現状のところはそこまで及ぶことはないというふうに考えておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/49
-
050・小川勝也
○小川勝也君 答えだけ言ってもらえればいいわけなんです。今、その既存の容積率をもとに計画が出ているので、もし東京都がここは六〇〇%にしていいですよと言われてもこの計画のままいくということですね。一言でいいですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/50
-
051・梅野捷一郎
○参考人(梅野捷一郎君) 公共団体あるいは地元からのそのような要請が強く出てくれば、また計画についての再検討ということはあり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/51
-
052・小川勝也
○小川勝也君 私は、最初からその再検討を予定しているんじゃないかと思っています。
しかしながら、これはどういうことかと言いますと、フジテレビが臨海部に移転をしました。あそこはまとまった土地ですので高いわけですね。御案内のとおり容積率三〇〇%のところと四〇〇%がちょぼっとしかついていない。それは本当であるならばディベロッパーと呼ばれるような市場の原則によって、だれかが買ってそこにマンションを建ててやろうと考えれば普通のことだと思うわけでございますけれども、実はこれを住宅・都市整備公団が取得した。そして、その後に法律を改正して容積率を二段トリックで六〇〇%にする、こんなことがあっていいのかなと思うわけでございます。
今、明確な御答弁をいただけませんでしたが、もう一度聞いてみましょう。六〇〇%にして計画し直すおつもりだと私は思うんですけれども、お答えいただければ参考人、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/52
-
053・梅野捷一郎
○参考人(梅野捷一郎君) 現在までの経緯、地元と打ち合わせをして固めてきている現在の状況ではそのような考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/53
-
054・小川勝也
○小川勝也君 大臣、いかがですか、これ。私の推理作家のような話だったと思うんですけれども、計画を変更して六〇〇%にするということが僕は詐欺まがいのことだと思うんですけれどもね。これは梅野参考人は今のところはありませんと言っていますけれども、僕はもし本当に六〇〇%を前提にした計画に変更ということになると大変なことになると思うんですが、大臣の方からありませんと言っていただければありがたいんですが、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/54
-
055・亀井静香
○国務大臣(亀井静香君) 私に聞かぬという話でしたから、こんなパンフレットばかり読んでおったんで、よく議論の経緯が頭に入っておりませんので、とんちんかんな答えになるかと思います。
私どもは、どこかの場所をどうこうするためにということで法律制度を変えるということは原則的にはないことでありまして、そうした法律なり制度を変えた場合、これは住都公団がやる仕事であれ、民間のディベロッパーがやる仕事であれ、それぞれがそれに従ってやることでありますから、どうも私は聞いていなかったから理解できないのかもしれませんけれども、御質問の趣旨がよくわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/55
-
056・小川勝也
○小川勝也君 じゃ、梅野参考人にお伺いします。
足立区にまとまった土地を所有しておられると思いますけれども、多分十七ヘクタールか十八へタタールぐらい、工場の跡地だと思いますけれども、この法律が施行される前の容積率は何%の場所でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/56
-
057・梅野捷一郎
○参考人(梅野捷一郎君) ちょっと御通告がなかったのですが、足立区新田三丁目のことかと思います。
現在の用途地域でございますが、工業専用地域の二〇〇%でございまして、地元の御意向を受けてこの敷地を取得したわけでございますが、その際に私どもが伺っておりますのは、この用途地域を変更いたしまして第一種住居地域三〇〇%、一部第二種住居地域、準工業地域に変更が計画されているというふうに伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/57
-
058・小川勝也
○小川勝也君 ここは四〇〇%にして、また六〇〇%になったらいいなと思っているんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/58
-
059・梅野捷一郎
○参考人(梅野捷一郎君) 私どもは、それぞれのプロジェクトにつきましては、一つは地元の公共団体の御意向とその地域にふさわしいプロジェクトをやるということと、私どもが事業としてはその地域にふさわしい結果を出すということでやっているわけでございまして、ありとあらゆるところでただ容積を積み上げるということで決めているわけではございません。
したがいまして、それぞれの地域に最もふさわしい答えを出していこうという姿勢でプロジェクトには取り組んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/59
-
060・小川勝也
○小川勝也君 例えば、亀井建設大臣が住宅・都市整備公団の生き残りのために法律を改正したなどと私は思いたくありませんが、この前も話題になりました東京都心居住推進本部というのがございます。この事務局が何と住宅・都市整備公団の中にあるわけでございまして、この発会のときの資料がここにございます。
どういう会合かというと、テーブルの割りまで出ておりますけれども、都知事か副知事か知りませんが座る。都市局長、住宅局長がいて、公団の副総裁がいて、あとはいろんな区がずっと来ているんですね。
これは質問をする時間がありませんでしたが、触れることはできませんでしたが、建設省は間接的にでありますけれども、各区の町づくり予算に対して非常な力を持っておる。各区は東京都の言うことや建設省の言うことにはなかなか逆らいにくいという今の地方自治体の原則がある。そして、都心居住、皆さんの区が望んでおることでございましょう、建設省としてこういう施策があります、そして四〇〇%にして、そこから六〇〇になるんで、ついでにここの住宅・都市整備公団をよろしくというような会合だったと思います。この中で、住宅・都市整備公団も発言しております。賃貸住宅から都心居住に特化して頑張ります、都心居住をぜひ支援したいというようなしゃんしゃんの会合が行われたというふうにここには報告ができております。
河田町とか新田が六〇〇%になるかどうかというのは別にいたしまして、こういうふうなからくりがあったのかと、私は一人で納得をさせていただいております。そうでもないと、今回の全部に網をかけて六〇〇%という、非常に注意をして都市づくりをしないと、町づくりをしないと、その住環境や周辺に及ぼす環境が非常に大きいという施策をぱっと法律で出せるようなものじゃないと私は思うからであります。将来的には、この東京は中層を中心とした本当に美しい景観が長く保たれるような町づくりをするべきだと私は個人的に思っておりますが、ばら建ちが云々などという議論もございました。今の都合でここはまとまっているから、ここはちょうどいいからといって六〇〇%の町を偏在化させるということには非常に懐疑的でございます。
亀井大臣に発言の時間はありませんけれども、私は亀井大臣は今のことや一年、二年のことを考えるんじゃなくて五十年後の日本を考える大臣であってほしいとひそかに願っておるファンの一人として、大臣の答弁を求めませんで私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/60
-
061・緒方靖夫
○緒方靖夫君 現状を見ましても、大都市、特に都心地域の住機能回復のために特別な対策が必要だということはもう言うまでもないと思います。
その基本方策として九五年の大都市法の改正、これには私たちの党は賛成いたしました。当時の改正は、国や自治体が都市の居住機能の回復を計画的に進めていく、そういうものだったと思うんです。ところが、今回の法改正というのは方向が違う、そう思います。高層住居誘導地区であれば、住宅が一定割合以上ということだけで容積率割り増しを初め一連の緩和を図ろうとするものです。
建設省は、これまでも中高層階住居専用地区制度、用途別容積型地区計画制度、街並み誘導型地区計画制度など、都心の住宅建設推進のためのさまざまな計画手法を設けてきました。個別の建設に対する一般的な容積率の緩和ではなくて、何らかの地域、町づくりの計画を持ってそれをつくって、それを前提に容積率をどう緩和するか、そういう形で物事が進められてきたと思うんです。
今回のように、住宅さえ確保できれば計画の内容のいかんにかかわらず自動的に容積率を上乗せする、あるいは前面道路幅員による容積率制限、斜線制限などを緩和する、こういう制度は初めてだと思うんです。都市計画制度が目指している方向、これに逆行するのではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/61
-
062・小川忠男
○政府委員(小川忠男君) 都心居住のこれまでの政策のプロセスでございますが、今先生も大都市法の話をされました。確かに大都市法の改正で都心居住というものをきちっと位置づけて、それに基づいて基本方針を定めたというのが政策として都心居住がきちっと位置づけられた端緒であったろうと思います。
その後、そういうふうな法制度の改正を踏まえた上で、予算面でございますが、いろんな意味でこれまで努力をしてまいりました。例えば、都心共同住宅供給事業という制度を設けて予算措置でてこ入れをするということもやってまいりました。
ただ、若干御意見を異にするかと思いますが、今回は恐らく都市計画というふうな手続を正面に出した上できちっと都心居住を推進するための体制、制度、枠組みというふうなものを都市計画の場で位置づけた、むしろ私どもは今回が初めて都市計画という手法を動員した上で都心居住を進めるための体制を整備したものと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/62
-
063・緒方靖夫
○緒方靖夫君 初めてということは認められましたけれども、結局町づくりの計画あるいは公共施設をどうつくる、そういう整備も伴わないでその計画が地区や町づくりにどういう影響を与えるか、そういう判断も持たずにただひたすら住宅をふやすために容積率緩和、それが初めてだ、それは初めてですね。私はそれがやっぱり大問題だ、そのことを指摘しているんです。
それで、今度の改正というのがやはり長期的な視野に立ったものではない、そのことを私は指摘したいと思うんです。建設省の資料からもそれは明らかだと思うんです。私は、これが最初に打ち出された平成九年二月二十日付の建設省の文書、これを非常に興味深く読ませていただきました。その中には、「良質な中高層都市住宅の供給促進を図るとともに、民間による都市開発投資の拡大・誘導を通じて低迷する我が国経済の活性化を図る」、そのためというふうに書かれているんですね。
これは非常に直截な正直な書き方だと思うんだけれども、景気対策ということになるんですね。この点については、一昨日、大臣の答弁でこの側面はもちろん否定されませんでした。そうすると、この間お聞きしました法改正の趣旨、この中で大臣はなぜ景気回復のためだということを正直に言われなかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/63
-
064・亀井静香
○国務大臣(亀井静香君) 私は、いつも正直に言っておるわけでありまして、ただ景気というのは委員御承知のようによくなったり悪くなったりするわけです。今日のこの時点のためにこの法律はつくるわけじゃありません、将来にわたってこの法律は適用されていくわけでありますから。私どもとしては、景気不景気のそういう波は今からもあるでしょうけれども、やはり都心へのサラリーマンの居住を可能にしていくようなそういう施策をやるということ。
ただ、その反射的利益として、現在土地が塩漬けになって水浸しになっておるそういう状況が土地の価値が上がるという意味でこれのいわば流動化といいますか、そういうことに役に立っていくということは現時点においてはあるだろう。これはある意味で反射的利益かもしれませんね、そのことは否定していない。ただ、法律の趣旨としては現在の景気対策として立法するわけじゃありませんから、そういうことをうたっていないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/64
-
065・緒方靖夫
○緒方靖夫君 居住推進といえば非常に聞こえはいいわけですが、しかしこの法改正がどこからきているか、どこの要望からきているかということを見るとその点が非常にはっきりすると思います。都市計画による建築規制を目のかたきにしてまいりました不動産業界の要求、これを受けたものだと私は率直に思うんです。
それは、不動産協会がことし二月に出したものがあります。ここにありますけれども、「都心居住の推進のために」という提言を出したわけですが、この法案のまさに原型と思われるようなことがここに全部書かれているんです。つまり、今回の法案の原型というのは不動産協会が提言した中身そのものにある。もちろんそのままじゃありません、そのままできませんよ、なかなかそんなことは。しかし、その形に沿った形でこれは打ち出されている、私はそこに非常に大きな特徴があると思うんです。例えば、虫食い的な高容積率建築を容認していく。容認してほしいと言っていますよ、それを容認していくということでしょう。それからまた、今回の措置では不動産業界からはまだ足りないまだ足りないという声も出ている。
確かに、今回の法改正というのは中途半端という指摘もあります。私は、そういう点で特に対象地区などの拡大ということが今後行われてくると大変なことになると思うんですけれども、その点でこうした方向で第二弾、第三弾ということを考えられているのかどうか、その点について大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/65
-
066・亀井静香
○国務大臣(亀井静香君) 私どもとしては、そうした土地政策あるいは都市政策、これはやはりその時点その時点において常に新しい検討が加えられていくべきだ、このように思っております。
サラリLマンの都心居住を推進するというこのたびの措置は、現時点において日照の問題もあります、いろいろな意味で地域の方々のコンセンサスといいますか理解も得ながら進まなければならない、そういう意味では葡萄前進という言葉を私も使っておるわけでありますけれども、やはりコンセンサスを得ながらそうした目的を達するという意味で今回の改正というのが、ある意味では中途半端と言われるかもしれません、ダイナミズムが足りないと言われるかもしれませんけれども、こういう改正案になっておるということでございますから、今後住民の方々を含めて国民の方々からのコンセンサスといいますか、もっとこう進めたらいいんじゃないかという声等が上がってくれば、またそれを検討することはやぶさかではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/66
-
067・緒方靖夫
○緒方靖夫君 中途半端だと言っているのは、不動産協会、そういう業者の側だということです。そしてまた、そういうことはやめてほしいと言っているのがやはり大都市に住む居住者の大多数の声だということもあわせて述べておきたいと思うんです。じゃ、実際どういうことになるかということなんです。そこがやっぱり肝心なんです。
具体的な例を挙げていきたいんですけれども、それは一つの具体ということではなくてやはりかなり共通性を持っていると思います。高層住居誘導地区が指定されてばらばらに高層住宅が建っていくと一体どういう町並みになっていくのか、その問題について私は提起してみたいと思うんですけれども、今回対象になる地域は、東京でまとまっているのは港区、中央区の臨海部の準工業地域です。しかし、同時に一般の住宅地の中にもところどころに四〇〇%の指定が散見されるんです。
例えば文京区大塚三丁目から小石川五丁目、四丁目、隣の春日通りと氷川坂下通りに挟まれた地域、ここは旧教育大の跡地あるいは学校、公園など、三〇〇%の一種、二種の中高層住居専用地域、これを囲むようにして四〇〇%の一種、二種住居地域、近隣商業地域、準工業地域が隣接して指定されているわけです。私はその地域によく行くんですけれども、先日は都市計画図を持ってずっと視察してみました。ここが四〇〇%に指定されている、そのこと自体に私は非常に改めて驚いたんですね。準工業地域は、伝統の産業ですけれども、印刷・製本関係の工場とまた住宅の混在地域です。住居地域はうっそうとした緑に囲まれた閑静な住宅、それから一般の二階建ての住宅、そういうところがある。マンションもあるけれども、ほとんどは四階程度まで。そしてまた、近隣商業地域以外は日影規制もかかっている。これは一例でありますけれども、こういう地域というのは東京に幾つもあるわけですね。
こうした地域をどうして都心の高層住宅建設を推進すべき対象の地域にするのか、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/67
-
068・木下博夫
○政府委員(木下博夫君) まず先生、ばら建ちとか計画的でないというお話でございますが、そう御理解されているとすれば我々まだ力不足でございますが、先般の視察でもお読み取りいただきましたけれども、例えば東京の生活都市東京とか、あるいは中央区、港区にそれぞれマスタープランがございます。計画としてもっともっと熟度を上げろとか、あるいは中身を詳細化する、いろいろあろうかと思いますが、まずそういう順次スデップを踏みながら計画というものが成り立っていくわけでございまして、その中に例えば都心の居住のあり方としていろんなタイプの中で進めていきたいという区の意向があると思います。
したがいまして、我々は今回は一つの割り切りとして、五用途について四〇〇という容積を持っているところを一つの目安にしておりますが、その中でどこを選択するかはそれぞれ東京都であり区が御相談されながらやっていくわけでございますから、たまたま先生おっしゃられたようなところがどうなるかというのは今即断できませんし、私どもが決める問題ではありませんが、それが例えば非常に問題があればそれは当然地元としていろいろお考えなさろうと思います。
したがいまして、これからの作業だと思いますが、周辺の環境などをあわせて選択されるわけでございまして、一つ一つを取り上げられて、したがって今回の制度そのものがおかしいということには私はならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/68
-
069・緒方靖夫
○緒方靖夫君 一つ一つ取り上げるけれども、しかしそれがただ単なる孤立した例ではないということで述べているわけですね、先ほどから。
それで、ばら建ちではなくと言うけれども、例えば港区、中央区、我々が見たところというのは一定程度まとまっているわけです。しかし、今言ったところ、例えば住宅地の中にぽこつと四〇〇%のところがあって、そういうところというのは東京都内に少なからずある。そういうところは一体どうなるのか。そして、今そういう問題を提起すると、それは自治体が決めることですと言われるんだけれども、私はこれも逃げ口上だと思います。
この間からそういう答弁を繰り返されているんだけれども、私は東京都心居住推進本部の構成、それから資料等々を読みました。議事録も読みました。それを読むと、そこに参加しているのは建設省でしょう、東京都、特別区、これは全部じゃないけれども、そういう参加。都市局長も住宅局長もそれに参加されています。そこで結局一緒になってどうするかということをやっているわけです。
東京都というのは一地方自治体、東京といえども一地方自治体ですから、省庁と東京都が一緒になってそういう計画をつくるということ自身異例だと思いますけれども、そういう形で進めておきながら決めるのは自治体だと言うことは、はっきり言って逃げ口上だと思います。それならば、こういう問題が起きたときに、一緒にテーブルに着いているわけだから、一緒に推進本部に入っているわけだから、やっぱりきちっと建設省の方からそういう問題をチェックする、そういうことをきちっとやっていただく、このことがどうしても必要だと思うんですね。ですから、このことをきちっと述べておきたいと思うんです。
それで、この地域の話の続きですけれども、今でもところどころに九階、十二階、十五階のマンションがによきっと建っているわけです。それだけでも町並みからして異質なわけです。こういうところでさらに容積率を六〇〇%を認め、斜線制限を緩和し、日影規制を廃止したらどんなことになるのか。町並みを壊し、住環境を破壊することは明白じゃないですか。高層住居誘導地区は都市計画で決定するものですけれども、少なくともこういう地域は高層住居誘導地区指定にはなじまない、私は見ながらはっきりそう思ったんです。その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/69
-
070・木下博夫
○政府委員(木下博夫君) 先生のお考えはしかと受けとめておきますが、私が先ほど申し上げましたのは、現段階において私なりの考えはもちろん持っております。それは、一般的な全国的なお話として今まで申し上げまして、くどいから手短に申し上げますが、例えば公共施設の整備のあり方とか、ある一定の広がりといいますか、そういうものをまとめたところで、むしろそこに限ってはある一定の広がりの中に高層住宅がそろっていくということを私はイメージしております。
もう少し個別にお話しすべきことかもわかりませんが、個別に申し上げると言いましたのは、例えば東京都のお考えを我々は尊重するというのは、決して逃げているつもりは毛頭ございませんで、先生がおっしゃられたように、そこに対して建設省が介入するんじゃないかという逆に声すらある中で、むしろ私どもは都なり区がしっかりお考えになって、それについて我々がサポートさせていただくことはやぶさかじゃない。
先ほどお話がございました居住本部についても、前の質問者の方にもお話ししました。議事録も全部出ております。我々、逃げも隠れもしておりませんし、これからもオープンでしっかりと東京都、区と御相談していくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/70
-
071・緒方靖夫
○緒方靖夫君 自治体が自主的にやられることでしようということを言いたいんでしょうけれども、逆に自治体の側から、私はよく事情を知っておりますけれども、例えば幾つかの特別区の方に会ってみると、やはり建設省からいろんな形で圧力がかかる、そういうことを言われるわけです。あなた方はかけているつもりはないかもしれないけれども、一緒にテーブルに着いてそこで発言すれば、ああ建設省はこう考えていたかということで、それがやっぱりそういう力を持ってくるわけです。もしそういうことを気づかれていないならば、これからそういうことを自覚して、自分たちの言うことはそういう意味を持ってしまうということを自覚してやっぱり考えていただきたい、対応していただきたい、そう思います。
それで、建設省が定めている用途地域等決定運用方針というのがありますね。私はこれを読ませていただきましたけれども、これ読んでも、これらの地域では二〇〇%、三〇〇%が原則だ、四〇〇%は例外的な扱いとされているわけです。四〇〇%で例外なんだから、六〇〇%ということになると、これ一体どうなるのかということになるんです。ですから、今回のこういう方向というのは、みずから定めていることに照らしても一体どういうことになるのかということを私は感じざるを得ません。
もう一つ例を挙げます。
文京区本郷一丁目、二丁目の近隣商業地域、ここも一歩入れば低層住宅と中層マンションが混在しているところ。江戸時代から弓町と言われた今でも由緒ある町並みのあるところです。ここに区立本郷保育園というのがあります。本郷、湯島地域で唯一の公立保育園です。約八十世帯のお子さんを預かっているところ。ここは西側が道路に面しているんだけれども、南側は事務所ビル、東側、北側はマンション、今でも高いビルに囲まれていて保育園が大変圧迫感がある。わずかのすき間の南東側に今度は高さ四十五メートル、十四階建てのマンションが建設予定になっているんです。
圧迫感もさることながら、日照問題が大変なわけです。日当たりの多少ある二階が一歳児の保育部屋になっている。冬至のころは南側の窓は終日日が差さない。唯一南東部から午前十時になってようやく四割程度日が入って日が当たる。しかし、高層マンションがこれから建つと、わずかに当たる日もほとんどゼロになってしまう、そういうところです。
この保育園には屋上に、三階建てになっているんです、保育園が三階、三階で子供たちが遊んだりするんですよ。悲しいじゃないですか。その屋上にやぐらを組んで集光器というのが置いてあるんです。大臣、集光器って何か御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/71
-
072・亀井静香
○国務大臣(亀井静香君) 知らないな。何ですか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/72
-
073・緒方靖夫
○緒方靖夫君 御存じないようで申し上げますと、反射鏡で太陽光線を集めて日だまりをつくるんです。その日だまりに子供さんを集めて、日陰干しにならないようにということでやっているわけです。こういう状況です。小さいころから都心の子供たちは日が当たらない。だからこういう機械で太陽に当たっている。そういう大変な問題が起きているわけです。私はこれは本当にひどい話だと思うんです。もちろん、こういう状況だから不動産屋に対してもっと何とかせよということを言うと、もう一個集光器をつけますと言うんです、それで解決しましようと。そのぐらいひどい問題です。そして、不動産屋の本音は、そもそもこんなところに保育園があるのが悪い、保育園は出ていけという態度なんです。私は本当にひどい話だと思うんです。
こうしたマンションの建設、これは都心共同住宅供給事業で事業費の五・七%、一億七千万円の補助が行われている。幼児の成長にとっても太陽に当たることはもちろん不司欠です。言うまでもありません。都心に住みたければ日照は我慢せよという大臣の答弁が衆議院であったと議事録で読みましたけれども、都心の幼児に日の当たらない保育園で我慢せよと大臣は言われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/73
-
074・亀井静香
○国務大臣(亀井静香君) 非常に何といいますか、文明論までしなければならないような御質問で私はあろうと思います。
我々が子供のときには、野や山や川で学校をサボってでも一日真っ黒けになって遊んでいた、そうした我々の少年時代。今はそういうことがほとんどできない状況が広がっておると思います。
政府が強制的に別に都会に人を集めたわけじゃないけれども、やはり自然と利便性だとか生活の豊かさとか、いろんなことを求めて生活環境が悪いところにずっと集まってきている。しかし、それを政治は少しでも生活環境を守っていく、よくしていくという努力をしなければならぬことは当然のことであります。日照の問題について、やはりみんながそこに住みたい、集まりたい、生活したい、活動したいということで集まってくるわけです。強制収容しておるわけじゃありませんから、そうした集まってきた場合、お互いに自分だけここで生活すればいいんだ、ほかの人間がここに来るのは排除するというのは、私は間違いだと思うんです。やはり自分がそこに住みたい、生活したいというんであれば、他もそうしたいという気持ちをお互いに尊重する、そういう意味では我慢し合うということがなければならないと思います。
今、幼稚園の話を聞くと非常に心が痛む思いでありますが、余り頭に詰め込みの勉強とかそんなことばかりしないで、郊外に遠足なんかにしょっちゅう連れていくなりそうしたところで遊ばせるというようなことも、私は幼児教育その他の中でもっと取り入れていくというようなことも、都心で幼児を預かっている方々はそういう工夫もぜひしていただいたらいいんじゃないかなと。
これはちょっとすりかえのように聞こえるかもしれませんけれども、いろんな方法でやはりこういう問題を解決しないと、残念ながら黙って座ればぴたりと当たるというようなことは、特に自由主義国家でありますから、国や自治体が強権力を持って光をきちっと与えていくようなことは不可能でありますから、そういうような感じがいたします、答えになっていないかもしれませんけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/74
-
075・緒方靖夫
○緒方靖夫君 子供たちも、それからまたお年寄りも大変多く住んでいるんですけれども、二十四時間そこで生活しているわけです。もちろん郊外に行くことも非常に大事ですけれども、いつもは行けないんです。ですから、やっぱり都心の居住環境というのはそういう形で大事なわけです。
ですから、私はこの問題で言うと、やっぱりこういう問題をさらに激しくしてしまう、今でもこうなんだから。その地域というのは六〇〇%の可能性を今度の法改正でつくってしまうわけです、そういう問題を今度の法改正はもたらすんだと。そして、決してこれは部分的な問題じゃない。私は一例を挙げたけれども、先ほどから言っているように東京でそこかしこで起こる問題だ、そのことを述べておきたいと思うんです。
そういった点で、私は次の問題に進みたいと思うんですけれども、都心地域は地価高騰とバブル経済のもとで地上げや事務所ビルの住宅地への侵食が進んで、定住人口が大幅に減少する。この間行った中央区では、十七万から今六万三千になつたということを言っておりました。特にファミリー世帯の減少が顕著で、小売商店、地場産業の衰退、地域コミュニティー、伝統文化の崩壊、これが進んでおります。
こうした問題、これをどう解決するかということでそれぞれの地区、中央区でも港区でも地元ではさまざまな苦労があるわけですね、住宅手当をつくるとか。こういうことが進んできた原因をそもそもなくしていく、言いかえれば今住んでいる人たちを減らさない、住み続けられるようにするためにはどうしたらいいのか、それがやはり都心居住の基本に据えられるべき問題だと思いますけれども、大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/75
-
076・亀井静香
○国務大臣(亀井静香君) もちろん、現に住んでいる方々の生活をできるだけ破壊しない、守るという視点は大事だと思いますが、一方、先ほどもちょっと申しましたけれども、二時間あるいはそれ以上の通勤を余儀なくされている、全く疲れ果ててしまうというそうしたサラリーマン戦士といいますか、そういう方々がやはり三十分とか一時間以内のそういうところに自分の住居を、一生涯じゃなくても、とりあえず働いている間は持ちたいというような、そういう願いを持っている方も大勢いらっしゃると思うんです。
そういう人たちに対してどうするかということでありまして、そういう人たちはだめだよと、あなたたちは。こっちは、おれたちは先に住んでいるんだから、あんたたちはだめだよと言うわけには私はいかないだろうと思うんです。
そういう意味では、土地は限られているんですから、キャパシティーをふやしてそういう方々のいろんな願いもかなえるということも私は政治の一つである。それによって近隣の方々も若干のいろんな我慢をされるとか、いろんな問題は出てくるだろう。しかし、これは同じ国民ですから、そこらはあんばいに我慢し合うというのが私は国民としての連帯感じゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/76
-
077・緒方靖夫
○緒方靖夫君 通勤問題出ましたし、それからまた亀井大臣が趣旨説明をされた中でも最初にそのことを挙げられていたと思うんですね。それで私もその点よく考えてみました。また試算もしてみました。
大都市地域住宅供給基本方針ですね、これは建設大臣のものですけれども、それによると東京都心部の住宅建設というのは、一九九六年度から二〇〇五年までの十年間に五十万戸ですね。東京都の住宅のマスタープランによれば、都心居住の推進を図るべき地域で同じ時期に建設戸数は六十二万戸になります。しかし、実際にふえる数というのはわずか三万戸なんです。そして、都心十区では二十九万戸の建設計画で実増は一万戸です。
都心三区に通勤時間一時間以上かけて通う人が何人いるか、ちょっと東京都から資料を出してもらったら百五十万人です。すると百五十万人そういう人がいて、もちろんそこに全部中堅サラリーマンが入るとして、そうとは到底考えられないけれども入るとしても一万人。そうすると、この法案の提案理由で最初に大臣が胸を張って言われるような実効性というのはどれだけあるのかなと。首都移転の問題で座布団一枚という話があったけれども、それ以下の話ではないかなと思うんですね、はっきり言って。ですから、その点をちょっと指摘しておきたいと思うんです。
それで、私はそういった点で非常に強く思いますのは、国土庁が行った最近の都心の人口回復のアンケート、そこで何が大事かということで、第一は地価対策、第二は公共住宅の供給、三番目が税制の見直しで、四番目が家賃補助。住宅の高層化というのは何番目だと思いますか、九番目ですよ。ですから、実際に実感している方々が何が必要かということを順番に並べると九番にしかならない。そういうことを考えていくと、都心の住民から高層化ということについてのどれだけ熱烈な支持があるのか、そのことが問われると思います。
そしてもう一つ、先ほどから地価が上がるか上がらないか、そういう議論がありましたけれども、私は今回の措置によって地価が上がるなんて単純な主張はしません。しかし、高層住宅で採算がとれる収益還元価格まで地価は上昇する。当然固定資産税も上がる。容積率の恩典を受けて新たに建設される高層住宅はよいとしても、その地域の既存の住宅等はますます存続が困難になる。そして都心居住に逆行するおそれがある。
したがって、大臣自身もおととい、地価の上昇の可能性を否定されなかったけれども、やっぱり背景にこうした問題があるんだということ、このことを指摘しておきたいと思うんです。
時間がありませんので、大変失礼ですが質問を省かせていただきまして、直接この法案とはかかわりないんですけれども、やっぱり居住の安定を図るという意味で大事な問題について最後に提起させていただきたいと思うんです。
それは、中層のアパートでエレベーターのない住宅が相当数あるわけです。これは民間でしたら民間で独自に解決するということになってきますけれども、住都公団で高齢者がどんどんふえてくる中でこの問題が非常に深刻になっているんです。私は各地で住都公団の居住者の方々とお会いして懇談会をやります。そうするとそこで必ず出るのが、エレベーターがない、エレベーターをつけてほしい、そういう要望なんです。古い団地ほどそういう問題が深刻になっております。
そうした点で住都公団の団地の高齢者対策、どういう対策を現在とられているのか、それをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/77
-
078・小川忠男
○政府委員(小川忠男君) 高齢者対策一般というふうなことではないと思いますが、家賃対策としていろんな措置を手当てしているというのは御承知のとおりだと思います。
エレベーターに限定してということでございますと、現在抱えております賃貸住宅のうち、高層六階以上は大体基本的には全部エレベーターがついております。ただ中層、一般的には三階から五階、これを中層と言った場合に、これは全国で四十二万戸管理いたしております。四十二万戸のうちのエレベーターの設置率は現段階では約一%、約四千戸でございます。
したがいまして、中長期的な今後の政策としては、三階というのはちょっと別といたしましても、できるだけ五階については設置をしたいと思います。
ただ、建物のつくり方として階段方式と片廊下方式がございます。階段方式といいますのは上がっていって両側に住宅が並んでいる、これは技術的には非常に難しいという点がございます。技術的には片廊下式のものについては設置は可能でございます。
ただ、公団としても、あるいは建設省としても一番頭を痛めておりますのは、それなりの経費がかかる。したがいまして、独立した経営体として直ちに全部ということについては基本的には無理がございます。どう考えましても、幾ら安く見積もりましても、例えば中層五十戸ぐらい入っているといたしますと、一戸当たりの家賃が八千円くらい値上がりする計算になります。したがいまして、やはり五十戸の方々とのいろんな御相談をし、家賃負担もお願いしながら、話がまとまったものから設置していくというふうなことで努力をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/78
-
079・緒方靖夫
○緒方靖夫君 私も住都公団に話を伺ったんですけれども、結局高齢者の階段の上りおりの問題で言うと、対策というのは今のところ住みかえですね、上に住んでいるお年寄りが下に部屋がえをするという、それが一つあるということを伺いました。それで、今局長が言われたように、エレベーターをつけるということはどうしてもこれからの問題として重要になってくると思うんです。住みかえだけでは解決がつきません。
それで、実は東京都でどうしているかということもちょっと私は調べてみたんです。私たちも居住者と一緒に都営住宅にエレベーターをつけるという運動をずっとやってきました。平成三年からこれはっけ始めたんです。それで、東京都で現在のところ百二十八基、六十七団地、五千八百七十一戸分に設置ができたんです。今年度は四十基設置するという予定で、予算は二十一億円、その二分の一は国庫補助を得ているわけですけれども、財政難の東京都でもこうしてやってきたわけです。
確かに、今局長が言われたように大変な数になります。しかし、よく見ますと分譲と賃貸があります。分譲は分譲でということで一つの理屈が成り立つと思うんです。賃貸というのはまた限られる。しかも、その中で片廊下式というのはうんと数が少ないんです。ほとんどが階段式なんです。
そうすると、まず片廊下式につけるということになると、東京都だってあれだけ都営住宅があるのにそういう対象というのは四百六十棟しかないんです。そして、そのうち今残っているのは三百棟余りです。東京都は全部エレベーターをつけるという計画を持っているわけです。最初は、膨大でそんなことはできないと東京都の役人は言ったけれども、しかしお年寄りが多くて大変だと言ったらそういうふうにやっていった。今その半ばにあるわけです。
ですから、住都公団もやっぱりその点でこの問題について、エレベーター設置等々確かに技術的に大変なところもあります、階段式は。しかし、片廊下式についてそれを進めるということ、そして都営住宅もやっているわけですから、やっぱり知恵を出せばいろんな方法があると思います。
ですから、そういった点で最後に大臣に、やはり居住者の安定を図っていく、そういう立場でぜひそういった問題についての施策を検討していただくということをお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/79
-
080・亀井静香
○国務大臣(亀井静香君) 委員が御指摘のように、入居されたときはまだハネムーンの足腰のしっかりした御夫婦も今や、私もそうでありますけれども、足腰が弱ってきて、本当に深刻な問題が私は起きておると思います。
上から下に移るといいましても、そう簡単にそういうわけにいかぬでしょうし、しかし一方では大変な費用がかかるという現実の問題、その費用をどういう形でだれが負担していくのかという問題もあると思うんです。
しかし、おっしゃることは、住居というのはただ雨露をしのげばいいというものではありませんし、特に体の不自由な方とかお年寄りにとって住みいいものでなければ、これは刑務所と同じことになっちゃうわけでありますから、そんなものじゃ住居と言えないわけでありますから、委員御指摘の点を今後どういう形で実現できるか、一生懸命研究をし努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/80
-
081・緒方靖夫
○緒方靖夫君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/81
-
082・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
本案の修正について小川勝也君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小川勝也君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/82
-
083・小川勝也
○小川勝也君 私は、民主党・新緑風会を代表し、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。
政府原案では、高層住居誘導地区を新設することとしております。しかし、この制度は、現在ある地区制度とほぼ同様の内容であって、創設する意義が認められないばかりか、地区制度のように、自治体と住民が個別案件ごとに容積率等の緩和がふさわしいか判断できないため、都市計画制度における地方分権の流れを後退させるものであります。さらに、この制度の背景にある思想は、特に大臣の答弁にあらわれておりますが、長距離通勤者の痛みを考えれば、現在都心に住んでいる人々の住環境はぜいたく過ぎるのであって、その維持を主張することは自分のことしか考えないエゴイズムであり、都心居住者は全体の利益のために住環境のさらなる悪化を受忍すべきであるというものであります。
私ども民主党・新緑風会は、都心部の住環境はファミリー層が住むには限界まで悪化しており、これ以上悪化させれば若年独身層しか住めない町になるであろうことを確信しており、そのような町を現在あるコミュニティーや歴史的伝統を破壊してまで推進する意味を全く感じないのであります。
したがいまして、既存の住宅地域においては、住環境を維持しつつ容積率等の緩和を推進するため、既存の地区制度を活用することとし、高層住居誘導地区は、これから新たに住宅地を形成しようとする地域に指定すべきであります。
これが本修正案を提案する理由であります。
次に、修正案の要旨を御説明いたします。
第一に、高層住居誘導地区の対象地域の限定であります。
原案においては高層住居誘導地区を指定することができる用途地域を五地域としていますが、このうち、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域については指定対象から除外することとします。
第二に、原案では高層住居誘導地区における日影規制を一律に適用しないこととしておりますが、この条文を削除することといたします。一以上、本修正案に御賛同いただきますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/83
-
084・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/84
-
085・緒方靖夫
○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案並びに民主党提出の修正案に反対の討論を行います。
都心居住の推進で最も基本的なことは、今住んでいる人たちが住めなくなって出ていくということがないようにすることです。高層住宅を林立させても、地域ではぐくまれてきたコミュニティーや歴史の中で培われた文化が支えられるわけではありません。それどころか、大幅な容積率拡大による高層住宅建設が周辺住宅の日照を阻害し、地価の上昇を招き、既存の住宅や商店そのほかの地場産業を駆逐していくことさえ予想されます。これでは都心居住推進の看板も本末転倒になります。
新たに建設される住宅が中堅サラリーマンが入居できるような住宅でなければならないことは言うまでもありませんが、容積率の上乗せによるコスト引き下げが住宅価格の引き下げになる保証はありません。また、日照を犠牲にした住宅は良好な住環境とは言いがたいもので、特に二十四時間そこに生活する幼児やお年寄り、主婦にとっては耐えがたいことです。勤労者やその家族が快適に生活することができない住宅では正常な町づくりとはなり得ません。
都心居住の推進のためには、何よりも都心の地価を普通の勤労者が無理なく住宅を取得できる水準まで引き下げることが重要です。また、住宅供給を市場原理に依存するのではなく、多様な公的住宅の供給を本格的に進めることです。地上げの失敗で放置されている低未利用地は、例えば東京の都心八区だけで七百ヘクタールもあり、これらを活用すれば十分可能です。
本法案は、当面の土地の流動化など、長期の計画と視野を欠いた景気対策のために、不動産業界の要望にこたえ、大手ディベロッパーにもうけの道を拡大しようとするものと言わざるを得ません。土地の有効利用を図ろうとするのであれば、地域住民の意向を踏まえた町づくりの計画をつくり上げることが最も大切です。そうした計画もなく、個別の建設計画に容積率の割り増しを認めるやり方は、無秩序な高層建築物のばら建ちとなり、取り返しのつかない町壊しとなりかねません。
以上の理由で、本法案には反対です。
民主党の修正案は、高層住居誘導地区の対象を狭めてはおりますが、本法案が持つ根本的な問題点はそのまま残されており、反対であることを述べ、討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/85
-
086・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
まず、小川君提出の修正案の採決を行います。
本修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/86
-
087・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) 少数と認めます。よって、小川君提出の修正案は否決されました。
それでは次に、原案全部の採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/87
-
088・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、市川一朗君から発言を求められておりますので、これを許します。市川一朗君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/88
-
089・市川一朗
○市川一朗君 私は、ただいま可決されました都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会及び新党さきがけの各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
一、高層住居誘導地区の決定過程において住民の意見が十分に反映されるよう、地方公共団体を指導すること。
二、高層住居誘導地区の目的が十分達成されるとともに、採光、通風、開放性などの点で周辺の良好な住環境の確保が図られるよう、道路・公園・河川等の都市施設の整備を推進し、公開空地の確保などについて適切な指導を図ること。
三、容積率引上げ等の規制緩和が、地価上昇をもたらすことなく適正な土地利用につながるよう、十分配慮すること。
四、高層共同住宅等の整備に当たっては、高齢者、障害者等が安心して居住できるよう、地震・火災等の災害に対する万全の防災対策を講ずること。
五、高層住居誘導地区において容積率が引き上げられた建築物について、本来住宅の用に供すべきものの他用途への転用が行われることのないよう、必要な対策を講ずること。
右決議する。
以上でございます。
よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/89
-
090・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) ただいま市川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/90
-
091・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) 多数と認めます。よって、市川君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、亀井建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。亀井建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/91
-
092・亀井静香
○国務大臣(亀井静香君) 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝申し上げます。
今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいま議決になりました附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/92
-
093・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/93
-
094・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十七分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01419970605/94
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。