1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年六月十日(火曜日)
午後一時開会
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委員の異動
六月五日
辞任 補欠選任
本岡 昭次君 小島 慶三君
六月十日
辞任 補欠選任
小島 慶三君 武田邦太郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 鴻池 祥肇君
理 事
永田 良雄君
山崎 正昭君
市川 一朗君
緒方 靖夫君
委 員
井上 孝君
岩井 國臣君
坂野 重信君
橋本 聖子君
松谷蒼一郎君
平野 貞夫君
広中和歌子君
福本 潤一君
青木 薪次君
赤桐 操君
小川 勝也君
武田邦太郎君
発 議 者 永田 良雄君
発 議 者 松谷蒼一郎君
発 議 者 山崎 正昭君
発 議 者 市川 一朗君
政府委員
建設省住宅局長 小川 忠男君
事務局側
常任委員会専門
員 八島 秀雄君
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本日の会議に付した案件
○建築士法の一部を改正する法律案(永田良雄君
外六名発議)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/0
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001・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る五日、本岡昭次君が委員を辞任され、その補欠として小島慶三君が選任されました。
また、本日、小島慶三君が委員を辞任され、その補欠として武田邦太郎君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/1
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002・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) 建築士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、発議者松谷蒼一郎君から趣旨説明を聴取いたします。松谷蒼一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/2
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003・松谷蒼一郎
○松谷蒼一郎君 建築士法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
現在、設計等を委託する建築主の利益の保護を図る要請が高まっております。さらに、さきの阪神・淡路大震災の経験から、建築物の安全性の確保と質の向上が社会全体の要請となっております。
本法律案は、このような観点から、建築士事務所の業務の適正な運営等を図るため、所要の改正を行うものであります。
次に、その概要について御説明申し上げます。
第一に、建築士の説明義務、建築士事務所の開設者の書類の閲覧義務と書面の交付義務を新たに規定するほか、建築士事務所の登録の規定を改正することとしております。
第二に、建設大臣は、建築士事務所の業務の適正な運営及び設計等を委託する建築主の利益の保護を図ることを目的として設立された公益法人であって、指導、苦情の処理、研修等の業務を適正かつ確実に行うことができると認められる者を、申請により、その業務を行う者として指定することができることとしております。
以上が本法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/3
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004・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) 以上で本案の趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/4
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005・小川勝也
○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。
阪神大震災、建物の倒壊が相次ぎ、建築士事務所及びその契約と責任、いろいろな観点からこの法律の重要性は私なりに認識をしていたところでございます。
個人的なことでございますが、泉下にある義父、松江廣元、構造の専門家でございましたが、建築士事務所を経営する傍ら、建築士事務所がもっと施主に対して説明をする、あるいは責任を負う、いい設計業者がそろう、そんなことをずっと運動しておった、そんなこともありましてぜひ提案者になりたいと思っておったわけでございますけれども、行政改革等に関係しまして非常に厳しい見解を持っております我が党の賛同が得られることができませんで、党議としては民主党は反対ということになってしまいました。
しかしながら、建築士法の中にあって、建築士事務所ということをもっと明確に打ち出したい、あるいは建造物に対する責任を事務所が負うことにしたいという希望がありまして、どうしても賛成をしたいということで、今回、松谷提出者に一点だけ質問させていただきます。
民主党内で心配をしておった点がございますが、今までの行政と公益法人との関係において、指定を受けた団体が研修、講習名目でいろいろな利益をはむ、そんな行政改革の流れに逆行する法律じゃないかという懸念がありました。私もその辺を何度も確認いたしましたが、議事録に残る形でその一点だけ、この法案が行政改革の流れに大きく逆らうものではないという一点だけ御説明をいただきまして、賛成をさせていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/5
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006・松谷蒼一郎
○松谷蒼一郎君 ただいま小川委員より御質問がございました。この法案に関連をいたしますと基本的には賛成である、推進したいという御趣旨でございます。民主党としての基本的な方針があるにもかかわらず賛成をしていただくということに心から敬意を申し上げます。
ところで、この法人の指定制度でありますが、これは公益法人は多数あるわけであります。公益法人の中には工務店を中心とした設計事務所関連の公益法人もあれば、大手の設計事務所を中心とした公益法人もありますし、それからいわゆる芸術家を中心としたいろいろな公益法人等ございます。建設大臣の指定する基準に従って建築士事務所が正当に業務が運営できるように、そしてまた建築主の利益の保護を図るように、そのために一定の基準を建設大臣が示し、それによって指定する法人を指導監督していくということで建築士事務所全体の質の向上を図る、こういうことでございますので、よろしくお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/6
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007・小川勝也
○小川勝也君 ただいまの答弁をしっかり伺いました。行政改革、これを考えるのは国民を含めた我々議員全員の責任だと思います。特に、建設省にゆかりの今回の提案者の方々を含めまして、しっかり今国会の法律の改正の趣旨が徹底されますように一緒に監視していただきますようお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/7
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008・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) 次に、緒方靖夫君より質問の通告がございますが、ただいまなお出席をされておりません。本来でありましたら採決というところでございますが、せっかく御質問の通告をされておりますので、緒方靖夫君の持ち時間、ただいまから十三分間お待ちするようにしたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。
速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/8
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009・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) 速記を起こしてください。
それでは、緒方靖夫君から質問をいただきますが、持ち時間十三分で、十三時二十分まで質問の時間といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/9
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010・緒方靖夫
○緒方靖夫君 政府は建築物の単体基準について、従来の使用基準から性能基準に改め、また建築確認・検査について民間委託を導入する建築基準法改正案を来年度の通常国会に提出することを予定しております。
そうなると、建築士、建築士事務所の社会的役割も大きく変化いたしますし、そのあり方についても総合的な検討が必要になると思いますけれども、そういう状況を目前にして、なぜ今建築士事務所のあり方にかかわる部分を殊さらに取り上げて法改正するのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/10
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011・松谷蒼一郎
○松谷蒼一郎君 今、緒方委員からお話がありましたように、建築基準法の規定について確認業務あるいは検査業務の一部を民間に委任しようという考え方は以前からございました。これについては建築審議会におきまして建設省が現在審議中であるというように聞いております。ただ、それをどういう形でまとめて国会に提案するのか、その内容あるいはその時期等については政府で検討をしているところでありますので、私どもは存じません。
ただ、私どもが今回提案をしようとする建築士法の改正案はそういうような建築審議会で審議をされているものとは若干異なりまして、さきの阪神大震災におきまして、建築設計とその設計によりきちっと行われていれば当然安全であった建物、あるいは建築設計そのものが当初の契約とそごを来して十分な安全度を確保できなかった等々のために非常に多くの建築物の倒壊というような結果を招来いたしました。その反省に立って、建築設計事務所の質の向上、あるいは建築設計の契約のあり方、あるいは建築設計事務所の運営、経営のあり方等について十分合理的な制度の改正を図るべきである。さらに、建築設計事務所を構成員とする団体につきましても、できるだけ適正な運営を図って全体の質の向上を図るようにしようではないかというのが目的となってこういうような法案になったわけでありますから、ただいま建築審議会で審議されていることと直接的な関係はないものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/11
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012・緒方靖夫
○緒方靖夫君 性能規定が変われば、現在の建築士の資格を持っている人についても一定の講習が必要になると思うんです。その場合ですけれども、そういう講習とか研修も一定の民間団体にやらせることになることが予想されるわけですけれども、今回の指定法人はそれも念頭に置いているかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/12
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013・松谷蒼一郎
○松谷蒼一郎君 建築基準法が性能規定にいつどういうような形で変わるかというのは私ども存じません。しかし、いずれにいたしましても建築基準法そのものの規定についてこの指定法人が研修を行うとか、それだけを目的とするとか、そういうことではないわけです。
やはり、建築物の例えば構造計算のあり方、安全度のチェックあるいは監理体制のあり方、そういう諸般全般についてやはりこの指定法人としては建築設計事務所の質の向上を図るためにいろいろな研修とかいろいろな基準の策定とか、そういうことを行っていかなければならないわけでありますから、その中の一つとして性能規定の考え方というのがあれば、それはそれでやっていかなきゃならないであろうというように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/13
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014・緒方靖夫
○緒方靖夫君 建築士事務所はいろいろ多様だと思うんです。したがって、関係団体もいろいろあると思います。それと、いろいろ見ても全体をカバーする団体というのはないように見えるんですけれども、その点で第二十七条の二に規定されている「業務を適正かつ確実に行うことができると認められるもの」という、その指定の要件、これはどういう趣旨なのか。建築士事務所に対してこの業務を確実に行える法人でなければならない、そういう趣旨だと思いますけれども、あるいは全国的にそういうふうにカバーするのか、それともある地域、ある範囲の建築士事務所に対して指導等を行う法人も指しているのか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/14
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015・松谷蒼一郎
○松谷蒼一郎君 今、委員からお話がありましたように、確かに建築設計事務所を構成員とする団体はいろんな団体があります。大工、工務店を中心としたような団体もあるでしょうし、あるいは芸術家を標倍している有名大手建築設計事務所を構成員とする団体もありますし、あるいは全国的に非常に大きな広がりのある通常の設計事務所を構成員とする団体もある。多岐にわたっておるわけでありますが、今回、法人指定をすることによりまして、一定の基準、一定の監督のあり方によって法人指定を行って、そして建築物の質の向上、安全性の確保、あるいは建築設計事務所の経営の合理化を行うということを目的としているわけであります。
さらに、今御質問がありました全国的なものとそれから地域に分散したものといろいろありますが、それは私どもの考えでは、そういう全国的なものも一定の指定基準に合っていれば指定をすることになるでしょうし、地域的なものであっても、それが一定の指定基準に合っていて十分その地域について効果を発揮するというものであれば、それは指定することができるというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/15
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016・緒方靖夫
○緒方靖夫君 今言われたように、特に木造住宅では伝統的な設計手法があって、地域に密着した工務店とか大工さんが施主と相談しながら設計、監理、施工を一体的に三位一体で行ってきたという実態があると思うんです。施工者と設計、監理を別の者が行う方がよいという場合ももちろんあるわけですけれども、逆の場合もあって、必ずしも設計、監理を施工から分離するのがよいとは限らない、そういうことがあると思います。こういう場合も、工務店は同時に建築士事務所でもあるわけで、一般の設計・監理専業の業者とは異なる役割を果たしているわけですけれども、そういう指導や研修等もそれに適した独自のものが必要だと思いますけれども、その点はどう考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/16
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017・松谷蒼一郎
○松谷蒼一郎君 委員のお話のように、確かに設計、監理と施工が分離しなきゃならないということは私はないと思うんです。設計、監理、施工一体となっていい建築物をつくり上げるというシステムもあります。したがいまして、その点について、設計事務所だけを取り上げてその分離を今後実施しようというような考えによる法案ではないわけです。
特に、今お話のありました工務店等を中心としました設計、監理、施工一体的なものについても、それはその業務の形態に従って研修を実施していく必要があるんだろうというように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/17
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018・緒方靖夫
○緒方靖夫君 そうすると、そういう指導や研修を指定する際のことなんですけれども、指定するならば、それぞれそういう実績を持つ関係団体をそれぞれ指定する、これが道理ではないかと思うんですが、その点はどう考えられていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/18
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019・松谷蒼一郎
○松谷蒼一郎君 冒頭申し上げましたように、指定基準というものは、やはり建築設計事務所を構成員とする団体で、この法第二十七条の二にございますように、「建築士事務所の業務の適正な運営及び設計等を委託する建築主の利益の保護を図ることを目的として民法第三十四条の規定により設立された法人であって、」、以下、法律の中に四項目ほどありますが、そういう業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを申請によって指定するわけです。
したがいまして、そういうような体制がきちっとでき上がって、それで業務が確実に行われれば、これは当然建設大臣としては指定基準に適合していれば指定をするということになるのだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/19
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020・緒方靖夫
○緒方靖夫君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/20
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021・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/21
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022・緒方靖夫
○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表し、建築士法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
今、政府は、建築審議会の答申を受けて、建築物単体に関する基準を性能基準に変更すること、建築物の確認・検査の一部を民間団体に委託することなどを検討し、来年の通常国会にも関係法律の改正案を提出することを予定しております。そうなれば、設計、施工、監理のあり方、建築士や建築事務所の業務や社会的役割に極めて大きな変化をもたらすことは明らかです。本改正案に盛り込まれている紛争処理体制についても、建築審議会の答申では今後長期的に検討する課題とされています。
そもそも建築士事務所は、設計・監理業を独立、専業に行っているものばかりではありません。そうした実態を無視して、特定の団体に建築事務所の指導、勧告等の権限を独占的に付与するのは、業界の健全な発展よりも無用の混乱を招くおそれがあります。
建築士事務所のあり方については、設計・監理のあり方、建築物の確認・検査のあり方について、消費者の意向も踏まえ、関連業界の中での十分検討を尽くした上で民主的に決めるべきものです。そうしたことを尽ぐさないまま特定の団体の要望を受けた法改正を性急に行うことには反対であることを表明して討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/22
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023・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
建築士法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/23
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024・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/24
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025・鴻池祥肇
○委員長(鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時二十三分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014149X01519970610/25
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