1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年三月二十五日(火曜日)
午後三時二十一分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 上山 和人君
理 事
尾辻 秀久君
南野知惠子君
木暮 山人君
菅野 壽君
委 員
大島 慶久君
大野つや子君
塩崎 恭久君
中島 眞人君
長峯 基君
宮崎 秀樹君
水島 裕君
山本 保君
和田 洋子君
渡辺 孝男君
今井 澄君
西山登紀子君
釘宮 磐君
国務大臣
厚 生 大 臣 小泉純一郎君
政府委員
厚生省社会・援
護局長 亀田 克彦君
厚生省年金局長 矢野 朝水君
事務局側
常任委員会専門
員 大貫 延朗君
説明員
内閣総理大臣官
房参事官 衞藤 英達君
内閣総理大臣官
房参事官 山崎日出男君
総務庁恩給局審
議課長 須江 雅彦君
外務省アジア局
北東アジア課長 別所 浩郎君
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本日の会議に付した案件
○戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・上山和人
○委員長(上山和人君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。小泉厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/1
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002・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、年金の支給を初め各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、平成九年度においても、年金等の支給額を引き上げることにより戦傷病者、戦没者遺族等に対する援護の一層の充実を図ろうとするものであります。
改正の内容は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正し、障害年金、遺族年金等の額を恩給の額の引き上げに準じて引き上げるものであります。
以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/2
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003・上山和人
○委員長(上山和人君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/3
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004・南野知惠子
○南野知惠子君 自由民主党の南野でございます。よろしくお願いいたします。
このたびの改正法案につきましては、戦傷病者及び戦没者の遺族に支給する障害年金及び遺族年金の額を恩給改善の基準に引き上げることについては、生活水準の向上などに見合って、今後とも援護の水準を引き上げ、公平な援護措置が行われるよう努力いただきたいと思っているところでございます。
今回は、旧日赤救護看護婦などのうち、慰労給付金が支給されていない人、加算年を加えても十二年未満の者に対して何らかの措置を講ずべきではないかという思いがいっぱいでございますのでお伺いしたいと思っております。
日赤看護婦養成所の教育は、上級の命令はその事のいかんにかかわらず直ちに服従すべしの絶対命令の中で赤札招集されてきました。さらに、家庭に子供があり乳飲み子を抱えていても、内地、外地に、また引き揚げ船に戦傷病兵の看護のために我々の仲間は赴いておりました。昭和二十年八月九日のソ満国境の陸軍病院に勤務していた仲間数名は戦闘に遭って戦死いたしましたところ、彼女らの遺族には戦死という公報が入りました。また、捕虜生活や軍人同様強制抑留され、医療に従事した仲間もまだ生存しております。彼女らの従軍は我が国の兵と同等であると思っておりますが、戦後五十年経過し、最近、平均年齢を見ますと七十八歳ともいう高齢となってまいりましたが、彼女らの戦後はまだ終わっておりません。
この件に関する質問は過去にもたびたびございました。また、この三月四日、十七日にも行われており、そのときの梶山国務大臣の御答弁の中で、これは当然検討に値する、早急に検討を深め、ぜひともそういうものの実現に当たりたいというお言葉をいただいております。
若き乙女、大和なでしこの国を愛した責務とその行動に対し何らかの措置をお願いしたいと思っているところでございます。御検討の成果を早急に、そして次の予算などに明確にお示し願いたいと思うのですが、いかがでございましょうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/4
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005・山崎日出男
○説明員(山崎日出男君) お答えいたします。
旧日赤救護看護婦の方々につきましては、兵役義務のない身でありながら戦地におきまして献身的に戦傷病者の看護に当たられました。このような特殊事情を考慮いたしまして、長年の御労苦に報いるため、昭和五十三年の六党合意に基づきまして、加算年を含め十二年以上の方々に慰労給付金を支給することとなったものでございます。
このような経緯から、先生御指摘のように、現在、加算年を含め十二年未満の方々に対する措置は講じられていないところでございますけれども、先日の国会におきます官房長官答弁の趣旨を十分に踏まえて検討を加えていくこととしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/5
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006・南野知惠子
○南野知惠子君 ぜひよろしくお取り計らい願いたいと思います。
前向きに前向きにお願いしたいと思いますが、そのような御助言、またはきょうのこの委員会のことについて官房長官に御進言いただけますでしょうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/6
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007・山崎日出男
○説明員(山崎日出男君) ただいま申し上げましたとおり、先日の国会におきます官房長官答弁の趣旨を十分に踏まえまして検討を加えていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/7
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008・南野知惠子
○南野知惠子君 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
次に、関連事項でございますけれども、お伺いいたします。
中国残留孤児問題でございますけれども、私自身、黒竜江省で生まれまして子供の時期を黒竜江省で過ごしました。そして引き揚げてまいりました立場でございますが、その子供のころの様子というのがまだまだ脳裏に焼きついております。そのころの敗戦を知った子供たちの気持ちというのは大変残酷なものもございました。でも、残留孤児の方々は今なお御苦労があるだろうと思っております。
私がいました黒竜江省は市内でございますが、今テレビで両親を捜している黒竜江省の方々は田舎の開拓団の方におられた方が多かろうというふうに思っております。そういう方々は本当に早期帰国というものを熱望しているのではないかと思っております。
そういったことも関連いたしまして、私は、平成六年に中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律、その議員立法に参加した一人でございますが、その後の状況、また厚生省におきましてどのような自立支援策が講じられておられるのか、お伺いしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/8
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009・亀田克彦
○政府委員(亀田克彦君) 中国残留邦人の関係でございますが、永住帰国を希望される方に対しましては、先生から今お話ございましたけれども、平成六年の議員立法により成立いたしましたいわゆる中国残留邦人等帰国促進及び自立支援法に基づきまして、帰国旅費の支給を初めとする各種の支援措置を行う、こういうことになっておるところでございまして、こういう措置を用いましていろいろな援護をいたしておるわけでございます。その結果、昭和四十七年九月、御案内の日中国交が正常化した後でございますが、それから今日までの間に中国残留孤児が二千七十五人、中国残留婦人等が三千四百九人、合わせまして五千四百八十四人の方が永住帰国をされておるところでございます。
それから、こういうお帰りになられた方々の自立支援の問題でございますけれども、これも先生御案内のように、言葉の問題あるいは我が国の生活マナー等の問題がございまして、帰国をされて直ちに我が国の社会に適応するというのはいろいろ問題がある状況でございます。
そういうことから、厚生省といたしましては中国帰国者定着促進センター、こういう施設を設けまして、まず初歩的な日本語あるいは日本の生活マナー、こういうものにつきまして、約四カ月でございますけれども、研修をいただくということを行いまして、その上でそれぞれ御希望の地域社会へお住みいただく、こういうことにいたしておるわけでございます。
その定着後でございますけれども、その後につきましても三年間にわたりまして自立指導員というものをかなりの回数、この世帯と申しますか、御家庭に派遣をいたしまして日常生活上のもろもろの相談に応じる、こういうケアをしておるわけでございます。それと並びまして、帰国者が多い全国の二十の都市でございますが、中国帰国者自立研修センターというものを設置いたしておりまして、定着促進センターよりもややレベルの高い日本語の研修あるいは就労の心構え、こういうようなものの研修を行っておるところでございます。
なお、先生十分御案内のように、この法律に基づきましては厚生省のみならず関係省庁あるいは地方団体も施策を推進しなきゃいかぬ、こういうことになっておるわけでございまして、私どもといたしましても関係省庁あるいは地方公共団体と連携をいたしまして、帰国された方々が早期にまた円滑に日本社会に定着てきますよう最大限の努力をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/9
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010・南野知惠子
○南野知惠子君 ありがとうございました。
いろいろお試みをしておられると思いますが、やはりそういう方々は高齢化が進んでおるというところでございますので、今お話しになられました言葉、生活習慣、そういったものにもいろいろな御苦労がおありと聞いております。今おっしゃっていただいたようなことがなおさら充実していきますことをお願いしたいと思っております。
また、新年度以降には厚生省として今お話しいただいた以外に何か御計画がございますのでしょうか。今の中に含まれるのでしょうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/10
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011・亀田克彦
○政府委員(亀田克彦君) 平成九年度の予算、現在御審議をいただいておるところでございますが、この中で中国残留邦人対策につきましても幾つかの施策の拡充を図る、こういうふうに計上をいたしておるところでございます。
例えば、高齢の残留邦人が帰国いたします場合には、生活の自立を支援していただくということで、成人の子一世帯を同伴してお帰りになられる、こういう場合に援護の対象にいたしておるわけでございますが、その高齢者の範囲を六十歳以上から五十五歳以上に拡大をする、こういうことに一ついたしてございます。
それから、もう一つでございますけれども、地域社会に定着した後、自立指導員がケアをいたしておるわけでございますが、その派遣回数をふやす、こういうこともいたしております。また、自立研修センターの関係におきましても、就労というのがなかなか難しくなってきておりますので、職業訓練オリエンテーションというものを新たに実施いたしますとともに日本語教室も増設をする、こういうふうにいたしておるところでございます。
今後、残留邦人対策の中でもこの自立対策というもののウエートが高まってくると、こういうふうに考えておりますけれども、そういうことをにらんだ改善をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/11
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012・南野知惠子
○南野知惠子君 職能訓練につきましては、厚生省また労働省ともよく御検討の上、なるべくいい日本の生活ができますようによろしくお願い申し上げます。
引き続きまして、中国残留邦人の問題というのは政府と国がやっぱり一体となって解決していただきたい問題でございます。そういう課題につきまして今後ますますいろいろな施策を充実させていかなければならないというふうに考えておりますが、中国残留邦人の自立問題につきまして、大臣、一言何かお言葉をいただきたいと思っております。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/12
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013・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 私も昭和十七年生まれですから、私と同じ世代の方が、年ごろの方々が随分おられたと。前に厚生大臣をしたときにも、中国残留孤児の方が日本に来られて迎えたときも私と同年輩の方がたくさんおられた。一たび境遇が違えばああいう立場に立った方、同じ日本人がああいう立場に立って大変な御苦労をされたと。子供のころの御本人もそうでしょうし、残された親御さんも筆舌に尽くしがたい辛酸をなめたと思うのであります。
そういう方々が日本に帰ってこられる。言葉の壁やらあるいは生活習慣の問題も多々あると思いますけれども、できるだけ、ああ日本に帰ってよかったなという、そういう支援策をこれからも国としてもとっていかなきゃならぬと。精いっぱい努力をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/13
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014・南野知惠子
○南野知惠子君 大臣のお心をいただきました。本当にありがたいお言葉でございますので、これがぜひ残留邦人の方々に伝わるように、またそのような生活が展開できますように祈ったりいたしております。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/14
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015・和田洋子
○和田洋子君 恩給欠格者という方々のことについて御質問をさせていただきます。
私は父を戦争で亡くした遺児でございます。九死に一生を得られて無事に日本に帰ってこられた皆さんは大変幸せだなという思いがします。でもちょっと間違えばというか、一日違えば、もう一時違えば私みたいなお家に子供さんを残されたお父様たちがいらっしゃったなという思いがします。
そういう意味から、私は、戦地に行かれた皆さんがいつも同じレベルでというか、何がどう違うかわからないけれども、どうしてそういう線引きをするんだろうなという思いがいつもいたしておりましたので、きょうは恩給欠格者の皆さんのことについてお尋ねをしたいと思います。
軍人・軍属として軍務に服した在職期間を、どうして職業軍人として行かれた皆さんと、そして徴用という形で民間から招聘されて、そしてまた民間に帰っていらっしゃる軍人の方に差があるのだろう。同様に、何で年金に加算されないのだろうというのが欠格者の方々の切なる願いでありますので、そのことはどうであるか、もう何回も御答弁でありますけれども、ぜひに前向きにお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/15
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016・矢野朝水
○政府委員(矢野朝水君) 恩給欠格者の問題でございますけれども、これは御承知のとおり、厚生年金、それから国民年金につきましてはいわゆる社会保険方式で行っておるわけでございます。したがって、年金を受けるためには制度に加入していただいて保険料を納めていただくということが条件になるわけでございます。
今御指摘のございました軍人・軍属として軍務に服された方々、こういった方々は国民年金なり厚生年金なりには加入されていなかったと。したがって、そういう加入されていない時期につきましてその加入期間として取り扱うというような、そういった特別な取り扱いを行うことはこれは制度の根幹に触れる問題でできない、こういうことでございます。
ただ、御承知のとおり、共済年金につきましてはこういった軍歴期間というのが通算されておるわけでございます。これは、現在の共済年金といいますのはその前は恩給制度でございまして、軍歴期間というのは恩給期間の対象になっている、つまり制度が一本化されておると、こういうことで、共済年金の場合には通算されておると、こういうことでございます。そういうことで国民年金なり厚生年金なりで通算するということはこの制度の根幹に触れる問題でございまして、難しい問題でございますので、そういった通算を行うことは適当ではないと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/16
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017・和田洋子
○和田洋子君 そういうお答えはいつもお聞きするわけでございますけれども、ぜひに、徴兵という形で兵隊に行かれた皆さんはそんなことは全然考えもしないでというか、そういう形だと思いますので、もう少し柔軟な考えというか、今、年金制度が大変いろいろ取りざたされているときですので大変な問題があることだとはわかりますけれども、戦争という全然立場の違ったことでありますから、どうぞ前向きのお考えがあってしかるべきだと思います。
次に移らせていただきます。
普通恩給の受給者は恩給法によりまして通算十二年ということであります。先ほど南野先生もおっしゃいましたが、十二年というのは、十二年間の服務期間じゃなくて、戦地によって加算される年数が違ってきての十二年ということであります。
兵隊に行かれる方は自分でその戦地を選んで行ったわけではなくて、帰ってきてみて激戦地だったとか、そういうことであります。でも、服務しておられた期間は、毎日一秒一秒が戦地の中でいつどんな状態になるかわからなかったという点では皆さん同じ御苦労をされておったのではないでしょうか。
そういう方たちであれば本当に線引きをしていただきたくないなという思いなんですけれども、例えば百歩譲って十二年間以上、以下という区別があるならば、十二年以下の人たちはその以下の期間の在職期間を恩給の対象とは考えられないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/17
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018・須江雅彦
○説明員(須江雅彦君) 恩給制度は従前の公務員制度の一環をなすものでございまして、官吏、旧軍人等の一定の身分を有する公務員が一定年限以上忠実に勤務して退職した場合などにおいて、使用者たる国が公務員との特別な関係に基づいて給付を行うものでございます。
恩給の対象となるべき身分、年金の資格年限等はそういう意味で恩給制度としてのいわば基本的な約束事でございまして、したがってこれらの要件を満たさない方々に対しまして、勤務が終わってから五十年余を経た今日においてこのいろんな約束事を変更するということは、恩給制度において行うことは制度の根幹に触れるものでございまして適当ではないということでございます。御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/18
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019・和田洋子
○和田洋子君 本当に皆さんがお答えになることはよくわかっております。
でも、恩給欠格者の皆さんがどんなに御苦労されたかということも皆さんに御理解をいただきたいと思います。線引きの関係では大変疑問がありますので、ぜひに皆さんの御苦労を御理解の上、もしこういう制度が大きく輪が広がるものであれば、少しずつ今生存されている皆さんにぜひにそういう恩典をいただきたいなという思いがいたします。
平成元年に創設をされました平和祈念事業特別基金制度についてお伺いをいたします。
いわゆる恩給欠格者とか、戦後の強制抑留者とか、引き揚げてこられた方の戦争のための御苦労に対する慰藉の念と申しますか、そういう目的だと聞いておりますが、四百億円という基金ですね、当初見込まれた果実というものが、今現在では果実が見込まれておらないというふうに思いますが、そういう場合、今どうしておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/19
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020・衞藤英達
○説明員(衞藤英達君) 御説明いたします。
先生御指摘のように、昨今の金利低下によりまして、平和祈念事業特別基金の四百億円から生じる果実は最近ですと約十億円弱ということでございます。しかしながら、この平和祈念事業特別基金による事業につきましては、対象者の方が御高齢であること、また、書状、銀杯あるいは慰労の品等、贈呈を待っておられる方が多数おられるというようなことで、事業の進捗に支障がないよう果実の不足分について補助金を措置することをやってございます。というようなことで、最近確かに逆風の状況ではございますが、事業規模の確保に一生懸命努めているということでございます。
今後とも、基金の事業が円滑かつ適切に行えるよう所要の措置を講じてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/20
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021・和田洋子
○和田洋子君 銀杯と総理大臣の書状と、それに慰労の品々ということでございますけれども、実は恩給欠格者の皆さんはそれを切に望んでおられながら、またその事業が決まったにもかかわらず、高年齢者の方からということの制約のためにその恩恵に浴さないで亡くなられた方がたくさんおられると聞いておりますが、そういう方たちの家族にそういう書状とか銀杯の御計画はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/21
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022・衞藤英達
○説明員(衞藤英達君) 御説明いたします。
いわゆる恩給欠格者の方々への慰藉事業は、危険な戦務に従事したにもかかわらず年金たる恩給を受給できない方々、御本人です、御本人を慰藉するために書状、銀杯等の慰労品を贈呈するというのが本旨でございます。
したがいまして、御遺族の方々からの請求につきましては、御要望は多々あることは存じておりますけれども、この贈呈事業の性格が御本人の慰藉を本旨としているということでございまして、ここの辺お酌み取りいただきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/22
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023・和田洋子
○和田洋子君 せっかくの慰藉事業でありますから、その遺志を御家族の方にも分けてあげたいというのが全国の恩給欠格者連盟の意思というか要請であります。どうぞ、せっかく国でされる慰藉の心が本当に御苦労された皆さんに、そして御家族に示していただければ私は幸いだと思いますので、ぜひにそういうお心も酌んでいただきたいなという思いがいたします。
それで、次は中国残留孤児のことについて私もお伺いをしたいと思ってきょうは質問を用意してきていましたが、南野先生が御自分の体験からすばらしい御質問をされました。そして、大臣からまた自分の年齢と同じような気持ちでオーバーラップをされてお答えをいただきました。私も、いつもこの中国の残留の皆さんがテレビに新聞にお出になるたびに、自分がもしかしたらという形で思っておりましたので、やはり同じ気持ちでおりました。
中国残留孤児の皆さん、また中国に残られた方たちが日本に来て、本当に五十年もの間祖国に帰りたいという気持ち、そして日本という国をもう研ぎ澄ました形で見ておられたと思います。そして、日本に来てみてちょっとがっかりされたとか、言葉の違いとか生活様式、さっきもおっしゃいましたマナーの違いなんということでしょうか、そういうことで大変御苦労されたり落胆して中国にお帰りになったり、またいろんな事件があったりしたわけであります。
本当に御苦労された皆さんとは違って、私たち日本国民は戦争の本当の意味を忘れてしまった人もたくさんおりますから、どうぞそういう方たちのために施策を充実されて、ぜひに落胆のない日本であるような事業をしていただきたいと思います。
そして、先ほどのお答えにもありましたが、平成九年度に盛り込まれました職業訓練オリエンテーションの実施ということでありますが、これをもっと内容をよく充実してお教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/23
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024・亀田克彦
○政府委員(亀田克彦君) 職業訓練のオリエンテーション事業を九年度で新たに実施したい、こういうふうに考えておる事業でございます。
この趣旨でございますけれども、最近の経済状況もございますけれども、なかなか就労が困難になっておる、そこへお帰りになられる方もだんだん年をおとりになっておられる、こういう状況がございまして、ただ労働省さんの方にお願いしただけではそこのつなぎがスムーズにいかないということで厚生省サイド、各省の縄張りを言うわけではありませんが、厚生省サイドでも初歩的と申しますか、日本の職業というもののイメージと申しますか、そういうことをできるだけ頭に植えつけていただいて、それで労働省さんの方の施策の方で正式にはカバーしていただこう、こんな趣旨でございまして、初めてでございますのでいろいろよく検討いたしまして新年度実施をしたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/24
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025・和田洋子
○和田洋子君 この二十カ所というのは、今までの二十カ所に、同じ二十カ所のところに足してということですか、新しく二十カ所ということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/25
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026・亀田克彦
○政府委員(亀田克彦君) 自立研修センター、これは定着促進センターが四カ月、その後八カ月の自立研修、こういうことでございますが、先生今御指摘ございました全国で二十カ所ございます。その中で従来からいろんな施策をやっておりますので、日本語の研修でございますとか、そういうものと連携をとりながら職業訓練のオリエンテーションもしていきたい、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/26
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027・和田洋子
○和田洋子君 質問がダブりましたので、時間を大変残して申しわけありませんが、終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/27
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028・菅野壽
○菅野壽君 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案について、本日は国籍要件の問題に絞ってお伺いさせていただきたいと思います。
この問題については、かねてより同僚議員から質問がありましたが、私もこの一月に台湾に参りまして、旧日本兵の皆様方と懇談する機会がございました。こうした意味でも、この問題について一刻も早い解決を望むものであります。
そこで、本日はまずこの援護法立法時において国籍要件を付したそもそもの考え方についてお伺いしたいと思います。また、同法附則において戸籍条項を付した理由についてもあわせてお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/28
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029・亀田克彦
○政府委員(亀田克彦君) 援護法は昭和二十七年に御制定をいただいたわけでございますが、この法律におきまして先生御指摘の国籍要件を設けました考え方でございますが、当時の資料等を検討いたしますと二つあった、こういうことになってございます。
一つは、この援護法が、これは大正年間に恩給法というのができておりますけれども、この恩給法に準じた形でこの援護法ができたわけでございますが、その恩給法に国籍要件が設けられていた、それに準じたというのが一つでございます。
それから二つ目には、昭和二十七年に援護法を制定いたしますときには既にサンフランシスコ平和条約が調印はされておりまして、予定に具体的に上っておったわけでございます。この平和条約の中におきまして、朝鮮半島、また御指摘の台湾などいわゆる分離独立地域に属する方々の財産・請求権の問題につきましては、これは個々の法律ではなくて二国間の外交交渉により解決を図る、こういうように予定をされたおった、こういうことが二つ目の理由、考え方というふうに理解をしておるところでございます。
それからまた、援護法の附則におきまして、御指摘のように戸籍条項が設けられておるわけでございますが、これは先ほどもちょっと申し上げましたけれども、分離独立地域に属する人々がサンフランシスコ平和条約によりまして日本国籍を失うことになったわけでございますが、これが平和条約の発効の日ということで昭和二十七年の四月二十八日でございます。
それに対しまして援護法は少し前の昭和二十七年の四月一日から適用されたわけでございまして、そういう時間的なずれということから、そういう時間的なものを背景にいたしまして、これらの分離独立地域の方々の財産・請求権の問題はサンフランシスコ平和条約において二国間の外交交渉により解決される、こういうふうに予定をされておりましたことから国籍要件とともにこの戸籍条項を設けた、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/29
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030・菅野壽
○菅野壽君 今、戸籍条項について御説明をいただきましたけれども、厚生省の見解も二転三転したように記憶しております。
昭和三十六年当時の厚生省の通知の内容及びその趣旨について御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/30
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031・亀田克彦
○政府委員(亀田克彦君) 御指摘の通知でございますが、昭和三十七年に出ておりますけれども、これは御指摘の援護法の国籍条項につきまして、個人の意思に関係なく国家間双方の条約等の一方的権力によって国籍を喪失させられた場合にはこの戸籍条項は適用されるべきではない、こういう考え方に立ちまして、分離独立地域の出身者が日本に帰化することによりまして、その後日本の戸籍法の適用を受ける、こういうことになった場合には援護法の適用がある、こういうふうにこの通知でしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/31
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032・菅野壽
○菅野壽君 一片の通知によって市民の権利関係が百八十度変わってしまったということは、法治国家としては元来許されざるべきものと思います。このことを指摘しておきます。
さて、近年、この国籍条項に関する訴えが相次いで提訴され、判決が幾つか出ております。この問題に関する裁判の動向、これまでの一連の判決の概要及び政府の見解、対応についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/32
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033・亀田克彦
○政府委員(亀田克彦君) この国籍要件関係の訴訟でございますが、現在四件が係属中でございまして、このうち二件につきましては、一つは平成六年七月十五日に東京地裁で、それからもう一つは平成七年十月十一日に大阪地裁でそれぞれ判決が出ておるところでございます。
まず、平成六年の東京地裁判決でございますが、判決の主文は、援護法の戸籍条項は憲法十四条に反するものではないと、こういう国側の主張は認められたわけでございますが、判決理由の中におきまして、ちょっと読み上げますと、「在日韓国人が日韓両国のいずれからも何らの補償も受けられない状態となっていることは、その意味では、立法不作為の状況にある」が、その「不作為の状況について、その適否ないし当否を軽々に評することは適当ではない」、こういうふうに述べられておるところでございます。
また、平成七年の大阪地裁の判決でございますけれども、これも判決主文におきましては、憲法十四条を理由として援護年金の請求却下処分の取り消しを求めることはできない、こういう国側の主張は認められたわけでございますが、同じく判決理由の中におきまして、日韓請求権・経済協力協定の締結後においては日韓両国のいずれからも在日韓国人に対する補償の道が閉ざされたにもかかわらず、これらの者を援護法の適用対象外としていることは憲法十四条に違反する疑いがあるというふうに述べられておるところでございます。
厚生省といたしましては、この大阪地裁の判決理由につきましては、一つには、韓国との間では昭和四十年に日韓協定が締結されまして、韓国人の補償の問題は在日韓国人を含めまして法的には解決済み、こういうふうになっておるわけでございますから、当該協定を締結したことによって我が国が国籍要件の見直し等を行わなければならない、こういう状況が生じたとは到底考えられないというふうに考えておるところでございます。
また、援護法の国籍要件の合理性につきましては、先生から台湾のお話がございましたけれども、台湾住民、元日本軍軍人・軍属が補償を求めました事件につきまして平成四年四月に最高裁の判決が出ておりますけれども、援護法の国籍要件は合理的だ、こういうふうに認められておるところでございます。
ちょっと長くなりましたけれども、この二つのことから厚生省といたしましては大阪地裁の判決理由の中で述べられておりますことにつきましてはちょっと受け入れがたい、こう考えておるところでございます。
この二つの訴訟につきましては、現在それぞれ東京高裁、それから大阪高裁と上の段階に係属中でございまして、私どもといたしましては法務省あるいは外務省と相談をいたしまして、今申し上げましたようなことを国の主張ということで申し述べておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/33
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034・菅野壽
○菅野壽君 今御説明があったとおり、平成六年の東京地裁では在日韓国人の戦後補償は立法不作為の状況にあると指摘されています。また、七年の大阪地裁判決においては違憲の疑いありとされております。さらに、平成四年四月の最高裁判決は、台湾住民である軍人・軍属への措置は立法政策に属する問題として、むしろ国会並びに政府にボールを投げかけた判決であると解釈しております。
戦争中、同じ日本兵として戦い、傷ついた人々に対し区別なく援護の手を差し伸べることはまさに政治の役割ではないかと思いますが、最後に厚生大臣の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/34
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035・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 今のお話を伺っていまして、戦争の傷跡というのは本当に深いなと思いました。
二国間の問題、国籍の問題、特に韓国と台湾という日本の特殊な関係を考えまして、本当に複雑だなと。しかも、台湾という問題は中国との関係もあります。より複雑にしていると思います。そういうことから、政治的な判断以上に法的な判断を求めて今それぞれの理由が述べられたわけでありまして、今後この問題について政治的に何らかの措置を行うというのは困難ではないか、もう私の手には負えないと、申しわけないがそう考えざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/35
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036・菅野壽
○菅野壽君 要望でございますが、先ほど南野議員が看護婦さんの補償の件でお話しされました。
私は戦後、臨東三、臨時東京第三陸軍病院、現在の国立相模原病院におりまして、百六十人の看護婦さんの手当てをした一人でございます。そのときに、手のない、足のない看護婦さん方が百六十人おいででございました。主に長野日赤、前橋日赤から派遣された看護婦さんであります。どうしてあなたは手がないの、足がないのと言ったら、ビルマ戦線だった、足がないともうほとんどその場で戦死した、手をやられだからこそ、足があったからこそ助かってきたと。
手のない兵と足のない兵が両手、両足のない兵と今度はけんかをします。そうすると、いつも両手、両足のない兵が負けます。というのは、おい、おまえは北支だろう、満州だろう、手のない人が足のない人は北支だろう、満州だろうと言います。おまえさんたちは軍医、看護兵を煩わせて助かったんだろう、我々は南方戦線で足をやられたらもうそれでおしまいだと言って、両手、両足のない人に論争では勝っておりました。
という現実の中で、私は臨東三で二千人の傷病兵を取り扱い、その中に百六十人の看護婦さんがおりました。それはビルマ戦線でマンダレーから引き揚げる途中にやられた人です。軍医さんは倒れた馬のいい肉ばかり食べてきた、我々看護婦はその中の臓物しが食べられなかった、それでも生き残ってきたんですよと。そして、友達はみんな倒れた、そうしたら泥沼の中を私は帯で胴をくくって引っ張ってきた、そして事絶えたとき、黙って後ろを見ないでその帯を離して帰ってきた、それで私は助かった、そういう戦線の中を私は生き抜いてきたという看護婦さんたちの話を聞いて私は涙しておりました。
そしてまた、南野先生がさっき力説された看護婦さんの援助に対して、どうかひとつ非常に温かい御配慮を賜らんことを私は希望して終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/36
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037・今井澄
○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。
今の菅野先生の質問に引き続くような形で、援護法における国籍条項の問題について御質問をしたいと思います。
この問題はたびたび本委員会でも取り上げられてきたところでありますが、これもかつて質問としてありましたが、最初に事実関係として、第二次世界大戦で、私は特に朝鮮半島の出身者のことを中心に伺いたいと思います。
日本の軍人・軍属として徴用された朝鮮人、韓国人は何人いたのか、またそのうち戦争で亡くなられた方及び負傷された方は何人いたのか、まず事実関係をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/37
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038・亀田克彦
○政府委員(亀田克彦君) さきの大戦におきます朝鮮半島出身の旧日本軍の軍人・軍属数でございますけれども、旧陸海軍の作成した資料によりますと約二十四万人、こういうふうに把握をいたしてございます。
また、戦没者数でございますけれども、これは旧陸海軍の資料をもとに厚生省が昭和四十六年に取りまとめたものでございますが、約二万二千人、こういうふうに把握をいたしてございます。
また、戦傷病者数でございますけれども、これは大変恐縮でございますけれども、旧陸海軍の資料の中に、これは日本人も含めてでございますけれども、戦傷病についての記載は一般的にない、こういうことでございますので把握できておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/38
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039・今井澄
○今井澄君 そうですが。戦傷病者の人数は把握できない。
推測もできないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/39
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040・亀田克彦
○政府委員(亀田克彦君) 日本人の場合は戦傷病者特別援護法という法律がございまして、これに基づきまして、御案内でございますが、戦傷病者手帳というものを出しております。この数字を見ますと大体こんなものかな、戦傷を受けられた方はこんな人数かなと。今の時点で約十万人でございます。
そういうことでございますが、朝鮮半島御出身の方につきましては、戦傷病者特別援護法につきましても国籍要件がございまして適用されていないということでございますので、全くの推測もできない、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/40
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041・今井澄
○今井澄君 それでは、日本の国籍を取得せずに日本に永住している朝鮮半島の出身者の戦傷病者や遺族で障害年金や遺族年金等を請求した方、これは却下されておるわけですが、その方の数はどのぐらいおられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/41
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042・亀田克彦
○政府委員(亀田克彦君) 在日の朝鮮人あるいは韓国人の戦傷者、あるいは遺族で援護年金の請求を却下された方の数でございますけれども、私どもの実態を申し上げさせていただきますと、これまでの裁定件数が約百六十六万件、却下件数だけでも三万二千五百件、こういうことでございましてすべてを正確に把握する、こういうのは困難な状況でございますが、これまでに私ども裁定原本を当たるなどできるだけの努力をして調査いたしましたところ、現時点で把握できておりますのは十六名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/42
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043・今井澄
○今井澄君 その十六名のうち、訴訟中のものが先はどのように四名の方ですか。
そうしますと、あと十二名の方はどういうふうになっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/43
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044・亀田克彦
○政府委員(亀田克彦君) 先生御指摘のように、訴訟中の方が四名でございます。それから、この訴訟中の方は障害年金の方が却下になって四名の方でございます。それ以外に二名、障害年金で却下になった方がおられます。それから、残りの十名ですが、これは遺族年金の方で却下になられました方でございます。いずれにいたしましても、現時点でできるだけの努力をして把握した数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/44
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045・今井澄
○今井澄君 これはたしか衆議院でそういう質問があったときにはわからないということだったですよね。
その後お調べになったわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/45
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046・亀田克彦
○政府委員(亀田克彦君) その後新しいところからさかのぼっていきまして、これは原本といいましても認容になりましたものも一緒になっていたりしまして大変なあれでございますけれども、さかのぼってできるだけの調査をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/46
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047・今井澄
○今井澄君 そういうふうに一生懸命調べていただくことは非常に大事なことだと思うんです。
実は本日の質問に先立って昨日、厚生省の担当の方に御説明を伺ったら、わからないと。国籍別に分類していないと言うので、私はそれは職務怠慢じゃないかということをきのうの午後申し上げたんです。現に、衆議院の予算委員会要求資料、ことしの二月十七日には、「「申立者国籍別」の統計はない」、こういうふうに書いて出されているんですよね。やればできるじゃないですか。
しかも、私が申し上げたいのは、きょうこういう答弁が返ってきたから一歩前進だと思いますけれども、この衆議院に出された資料は一九八八年、昭和六十三年からの数字があって、この中の国籍別はわからない、国籍別だけじゃなくて事項別もわからない、分類していないという話だったんですよね。ところが、例えばわかっている限りでも、一九七三年には名古屋市在住の梁さんと朴さんという御夫婦が亡くなられた長男の補償のことを問い合わせたときに、厚生省はそれは日韓協定で一括解決されているからだめだという回答を既にしているんですね。その後も幾つもそういうのがあるんですよ。ですから、衆議院に出された資料の一番最初のところ以前に厚生省はこういう認識を持ってしかるべきなんですよ。国籍要件で却下せざるを得なかった、にもかかわらず分類していなかったとすれば、やっぱりこれは職務怠慢なんですよね。やればできると、一晩で。ここまでできるということですからね。
さらにもっとさかのぼれば、一九六二年に大島渚さんが「忘れられた皇軍」というのでテレビ放映がされて、非常にそのことで厚生省の方法では出てこなかった方たちが出てきて帰化をしてもらえるようになった人もいるわけですよね。そういう意味で、やっぱりもうちょっと、そういう本当に困っている人の立場を考えて厚生行政というのはやられるべきものだと思います。それにしても、そういう御返事があったので私は前進だと思っております。
現在訴訟中の皆さんや、訴訟はしておられないけれども申請をして却下された方五人のことは、かつて同僚の竹村議員が詳しくこの委員会でもこういう方がおられるということを述べられたので、きょう私は申し上げませんが、訴訟を起こされた四人の方で既にお二人、鄭商根さんとそれから陳成一さんはもう亡くなっているわけですね。何の補償というか、そういうものを受けられずに亡くなっているわけですが、そういう訴訟の中で、先ほど菅野委員の御質問にお答えになったように、東京地裁判決では立法不作為の状況にある、大阪地裁の判決では憲法十四条等に違反する疑いがあると言わざるを得ないというふうな判決もあって政治の方に任されたということだと思います。
そこで、実は一九九五年、一昨年のちょうど今ごろ、三月十六日に、やはりこの援護法の審査のときの質問に対して当時の厚生大臣がこう答えておられるんですね。ちょうど戦後五十年であると、「政府全体でぜひ取り組んでいかなくちゃならぬまさに大事な時期だな、こう考えておるところでございます。」と。厚生省だけではどうしようもない、政府全体で取り組まなきゃいけないという認識を当時の厚生大臣は示しておられるんですね。
先ほどの厚生大臣のお話は大変後ろ向きの御答弁だったように思いますが、厚生省としてはこの間、これは厚生省だけでは解決できない、政府全体として取り組むという当時の大臣の答弁を受けて何かの努力をされましたか、法務省なり外務省なり。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/47
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048・亀田克彦
○政府委員(亀田克彦君) 先生御指摘の平成七年三月十六日の井出元大臣の御答弁でございますが、先生もお読みになられましたように、「私ども与党の方の五十年問題プロジェクトチームでもこの問題が論議もされております。したがいまして、まさに戦後五十年という節目の年でもありますから、私としても何らか政府全体でぜひ取り組んでいかなくちゃならぬまさに大事な時期だな、こう考えておるところでございます。」というような答弁をされておられます。
そういうことで、先生御指摘の井出元大臣の御答弁でございますけれども、これは当時、与党三党の戦後五十年問題プロジェクトチームにおきまして、戦後諸問題の一つの項目として旧植民地出身の軍人・軍属等の補償問題というものが議論されておったわけでございまして、そういうことを踏まえた御答弁ではないかなと、こういうふうに考えておるところでございます。
その後、この戦後五十年問題プロジェクトチームにおきましては……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/48
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049・今井澄
○今井澄君 いや、厚生省としての対応を聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/49
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050・亀田克彦
○政府委員(亀田克彦君) 平成八年三月に最終的な取りまとめが行われたところでございますが、この問題につきましては合意ないしは解決に至らなかったものと、こうされておるところでございまして、私どもといたしましてもこの新たな取り組みをする、こういう状況には至っていないと、こういう認識でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/50
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051・今井澄
○今井澄君 私は、非常に厚生省に対しても不信感を抱かざるを得ない経過があるんです。
翌年度の十月三十一日のこの厚生委員会の大臣答弁なんですが、そのときの大臣は何と言われたかというと、私も検討はしてみましたが、残念ながらなかなか解決方法がないと。それで、実はその経過として、対象の人数が少ないんじゃないだろうかということがこの委員会でも何回もなされているんですが、いやなかなか人数は少なくないようだと、いろいろと大勢いるようだというふうな答弁をその当時の大臣はしておられるんですね。これは何を意味するかといいますと、井出大臣の答弁を受けて何とかならないかと厚生省が動いたのではなくて、むしろそんなことをし出すと広がって大変なことになりますよというので次の大臣を説得したとしか見えないんですよね。私は、これは非常に不信感を抱きますね。
そこで、もう一つですが、時間がなくなってきましたが、外務省、お見えですね。
ちょっとお尋ねしたいんですが、実はこのことでもうこれは解決済みだ、解決済みだと言うけれども、実は韓国の外務部はそういう見解をとっていないということを御承知だと思います。訴訟を起こした四人の方が韓国外務部あてに請願を出したと、それに対する回答として、韓国外務部としては在日韓国人の戦傷者は日本政府に対して援護補償を請求することができるものと判断されると。
このことは、毎年末に両国のアジア局長級会議が行われていると思いますが、そこで毎年出されているのではないですか、韓国側から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/51
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052・別所浩郎
○説明員(別所浩郎君) 先生御指摘のとおり、日韓局長級協議というのが毎年行われておりまして、これは平成三年に外務大臣同士で合意いたしました覚書に沿いまして在日韓国人の法的地位及び待遇に関する関係の話をしているわけでございますが、御指摘のとおり、近年韓国側から、援護法の国籍条項を撤廃して在日韓国人への補償の道を開いてほしい、そういう要望は出てきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/52
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053・今井澄
○今井澄君 それで、さらにこの方たち及び亡くなった方の遺族は韓国の国会に請願をしまして、国会でもこちらで言う外務委員会に当たるところで今取り上げられつつあるんですね。これはやっぱり大きな国際問題になってくる可能性もあるわけです。
しかも、御承知のとおり、今いわゆる先進国と言われる諸国の中では日本以外はみんなそういう旧植民地の人たちの補償をしているんですよね。日本だけなんですね、やっていないのは。これは国連でも人権委員会で取り上げられています。
最後に、厚生大臣、こういうことで、先はどのような御答弁ではなく、やっぱりこれは国際的な問題であり、人権の世紀を前にしての問題であるんですね。しかも、裁判でもそういうことが言われているんです。前向きの御答弁を、御決意をお願いしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/53
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054・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 御期待にこたえられなくて本当に申しわけないんですが、本当にお気の毒だと思います。しかし、これ以上の措置は困難だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/54
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055・今井澄
○今井澄君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/55
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056・西山登紀子
○西山登紀子君 きょうは私も中国残留孤児問題、中国帰国孤児対策についてお伺いをしたいと思います。
四年前の平成五年五月十一日、当委員会で身元引受人制度の問題について質問をいたしました。ボランティアである身元引受人の方々が各種保証人までやらされて大変過重な負担をおかけしているということを指摘いたしまして、その改善を求めたわけであります。公営住宅に入るときの保証人、こういうこともやらされておりましたし、就職するときの保証人、こういうこともやらされているということで、当時改善を求めたわけですけれども、当時の佐々木局長も、負担は少なくしていく必要がある、いろんな角度から研究をしていきたいというふうに答弁をされたわけです。
その後もいろいろ改善をされてきたと思いますけれども、簡潔にその点をお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/56
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057・亀田克彦
○政府委員(亀田克彦君) 身元引受人の負担軽減でございますけれども、平成六年一月からでございますが、これまで身元引受人が行っておられました帰国旅費の申請につきまして、帰国希望者本人が厚生省に請求する、こういうことにいたしまして負担の軽減を図ったところでございます。
それから、公営住宅への入居の際の保証人の問題でございますけれども、その後関係省庁、建設省でございますけれども、改善方を相談してきたところでございますが、公営住宅を実際に運営されておりますのは地方自治体でございまして、現在のところ、残念ながら、保証人を要らないで入居させます、そういうような特別の扱いをしていただいております自治体は大変少ないと、保証人をつけないというのは困難だと、こういう自治体の方が多いというのが実態でございます。引き続き厚生省といたしましては努力をしていきたい、こう思っております。
それから、就職の際の保証人でございますが、これは従来からでございますが、公共職業安定所を介して就職する場合に雇用促進事業団が身元保証を行うことができる、こういう制度になっておるわけでございまして、先生御指摘ございました平成五年の厚生委員会におきましても、この制度を知らない方が多いのでPRすべきではないか、こういう御質問もいただいたところでございまして、私どもいろんな機会をとらえましてPRを図ってきたところでございますが、こちらの方も、聞きますと、ほとんどこれを利用している実態はまだない、こういう状況のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/57
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058・西山登紀子
○西山登紀子君 身元引受人を募集されて、そして身元引受人をお引き受けいただいたという通知を出しているのは厚生省ですね。ですから、やはり身元引受人が今なおこういう公営住宅の保証人までやらされているとか、そしてまた、今言ったように、就職についての保証人についても改善が図られていないというのはやっぱり努力が私は足りないというふうに思いますよ。ボランティアの方々が本当に誠意を持って身元引受人として孤児の方々を温かく迎えていることについて、もう少し厚生省は誠意のある努力を期待したいと思います。
次に移りますけれども、ドラマ「大地の子」は大変話題になりまして、残された孤児の苦難の様子が描かれて、衝撃を与えました。私も、孤児の方々とは年齢はそう違わないということから、大変身につまされて全編を見せていただいたわけです。
ごく最近ではありますけれども、京都の宇治に住んでいる女性の方でMさんという方の戦時死亡宣告取り消しの申し立て事件、こういうのがありまして、家庭裁判所で審判がおりたということで、この審判というものを見せていただきました。まさに内容は「大地の子」そのものであります。
御紹介いたしますと、「戦時死亡宣告取消の申立事件 審判」となっていて、主文、「申立人に対し、未帰還者に関する特別措置法に基づき昭和三十九年九月十日(確定)なした戦時死亡宣告はこれを取り消す。」。その理由、「本件記録によれば、次の事実を認めることができる。」。部分的に御紹介いたしますと、「申立人は、昭和二十年八月九日、ソ連軍の参戦により開拓団の人々と祖父、祖母、叔母らに連れられて避難を始め、山河を歩き続けていたが、同月十九日、祖母は、雨の中を渡河していた際、渦巻く河に流されて溺死し、その後、黒龍江省方正県の難民収容所に避難したが、食料がなく、祖父は、やむなく申立人を養父に預ける約束をした後、昭和二十一年一月二十五日、右収容所で病死した。」と、こういう理由が述べられております。そして、この方の父親は現地収容、消息は不明、お母さんは妹の出産で日本に帰国をしていたわけであります。
このような苦難を経た女性ですけれども、帰国後は大変なれない生活、家族関係等々で一時ノイローゼになられたそうであります。帰国後も決して平安ではなかったということです。
そこで、大臣にお伺いしますけれども、戦争というものは非常に過酷なものであります。最大の犠牲者は子供と言ってもいいと思います。中国残留孤児の方々、確かに個人差はいろいろあると思いますけれども、筆舌に尽くしがたい苦難の道を歩んでこられた人が大変多いのではないかと思います。大臣の中国残留孤児の皆さんに対する認識をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/58
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059・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 先ほどの南野先生のお話でもありましたように、その苦難の道というのは本当に涙なしに語れないし、また私も「大地の子」を拝見して、涙なしに見ることができませんでした。本当に苦難の道だと思います。
今お話しの戸籍問題でもこんなことがあるのかと、我々の世代から見れば小説の世界の出来事ではないのかと思うぐらい、現実にあるという、当時のいろんな本を読んでみまして胸ふさがるる思いがするのを禁じ得ません。
これからも、そういう中国残留孤児の方々が日本で生活する上においてできるだけの支障を取り除いていくというのは我々としても当然の責任ではないか、支援策について今後とも一層努力していきたい、そう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/59
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060・西山登紀子
○西山登紀子君 大臣の積極的な御決意をお伺いできたわけですけれども、しかし現実に孤児がどういうふうに扱われているかという問題なんです。
残留孤児のお世話をしている方からこういうお話を伺いました。帰国されると、全国六カ所の定着促進センターというところで四カ月間、日本語などのいろんな訓練を受けるわけですけれども、そういう場所では実はお布団は支給されるのではなくて、そこの設備としてリースでやられているわけです。定住地にそこから行くわけですけれども、そのときにはお布団は持って行かないわけです。あてがわれていない。身元引受人の人が公営住宅の入居手続などとともにお布団の用意をするわけですけれども、トラブルが起こるわけです。というのは、府県によって支給するところとしないところがあると。こんなことで身元引受人の人が悪いんだというふうに言われてみたり、いろんなことでトラブルが起こっているそうであります。
せめて布団ぐらい、その日から要るものですから、定住地に移動するときには差し上げてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/60
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061・亀田克彦
○政府委員(亀田克彦君) 身元引受人の方は大変御苦労をいただいておるわけでございます。
そういう中で、善意で布団をお送りされておる、こういう例があるということは聞いておるわけでございますが、国におきましては、帰国された残留邦人、それからその家族の方々が帰国後、地域において新たな生活を始めるため必要な生活用品の購入のため、こういうことで自立支度金というものを従来から支給いたしておるわけでございまして、国として改めて布団代をということは考えておらないところでございます。
また、都道府県におきましても、定着されます帰国者世帯に対しまして、金額はまちまちのようでございますが、見舞金等を支給しておるという状況にあると聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/61
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062・西山登紀子
○西山登紀子君 今おっしゃった自立支度金ですけれども、平成七年度、八年度はわずか大人一人当たり十五万八千円、子供はその半額なんですね。
そこで、大臣にお伺いいたしますけれども、九年度はこれを二百円上げまして十五万八千二百円にしているわけです。これは一時金として支給をするわけですけれども、ほとんど資産のないような状態で帰国され、言葉も不自由、かなり病身の方も多い、しかも高齢、非常に不安感が大きいと思います。学生の下宿なんかの移動の場合でも、やはりこれの何倍も必要なのが普通だと思います。もっと配慮があってよいのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/62
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063・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) それは多ければ多いほどいいにこしたことはないと思いますけれども、今の財政状況を考えるとぎりぎりの配慮ではないかなというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/63
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064・西山登紀子
○西山登紀子君 ぎりぎりの配慮が一年間にわずか二百円アップというのでは、余りにも私は寂し過ぎるというふうに思うわけです。
次に、大臣に続けてお伺いいたしますけれども、さきに御紹介いたしましたこの戦時死亡宣告がされていた方の取り消しの問題ですけれども、家庭裁判所で審判が下るまでには、弁護士の紹介、家裁への同行、いずれも身元引受人あるいは自立指導員の方々が面倒を見なければならないわけであります。この審判が下るまでに実に半年がかかっているわけです。日本に生きて帰ってきても死亡状態が続いている。私はまさに人権問題だと思います。
問題は、帰国と同時に国籍の回復だとか取得というものがなぜもっとスムーズにやれないかということであります。この方の場合、家裁の審判が下ったから、それでは自動的に戸籍が回復するのか、日本国籍が確定するのかといいますと、実はそうではありません。またまた法務省、法務局の審査が必要なわけであります。その審査というのもまた一から調査をいたしますので、これも半年ぐらいかかってしまう。実に同じようなことを重複して行うということであります。生活の自立に支障を来すのはもちろんでありますし、精神的にも大変な不安感は続くわけであります。
大臣にお願いしたいのは、法務省にもっと手続の簡素化、これを要望していただきたいし、もう一つは、実はこの方が帰国したのは一九八八年でございますから、八八年に帰国したときにこういう手続をとらなければならないということを御存じなくて、そして十年がたっているわけです。ですから、厚生省がこういう手続を帰国してお迎えしたときに一括してやればいいじゃないかという声もあるわけです。その方が自分で死亡宣告をしたわけではないわけです。それを取り消しは本人に任せるというのでは、余りにも酷なのではありませんか。厚生大臣の英断をお願いしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/64
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065・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 御指摘ごもっともだと思います。できるだけ関係機関に働きかけまして、速やかにそういう措置が行われるよう、関係改善の措置をとっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/65
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066・西山登紀子
○西山登紀子君 ぜひお願いしたいと思います。帰ってきているのに死亡の状態が続くということ、これはどう考えても私は二重の悲劇だと思います。あれほどの筆舌に尽くしがたい苦難を経てやっと帰ってきた、生きて帰ってきているのに本人は死亡状態、しかも手続に半年、また半年、これは人道上も決して許されることではないと思うんです。ぜひ大臣にお願いしたいと思います。
最後に、自立指導員の援助の問題でお伺いします。
自立指導員の方にお聞きしますと、大体三年なんですけれども、後は自分でやりなさいといっても、なかなかそうはいかないでいろんな相談を続けて受けることが多いそうです。
そこで、自立指導員の方々の提案ですけれども、せめて府県に一カ所ぐらい帰国者や家族が何でも相談できる、いわば駆け込み寺のようなセンターを一カ所でもつくってもらえないか、検討してもらえないかという声がありましたけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/66
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067・亀田克彦
○政府委員(亀田克彦君) 永住帰国者の方々の状況でございますけれども、帰国後三年ぐらい経過したところで大半の方々がおおむね日本の社会に適応できておる、こういうような状況でございますものですから、この間は自立指導員を派遣する、こういうことにいたしておりますけれども、三年を経過した後につきましては、経過した後もなお自立が困難だと、こういう方々に対しましては一般の社会福祉制度等により対処する、こういう考え方でおるところでございます。
先生からございました駆け込み寺と申しますか、相談窓口と申しますか、こういうことにつきましては、既に厚生省から都道府県の方に、帰国後の年数に関係なく広く帰国者の方々のための相談を受けられる窓口を設置していただきたい、こういうことで指導をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/67
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068・上山和人
○委員長(上山和人君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/68
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069・上山和人
○委員長(上山和人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/69
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070・上山和人
○委員長(上山和人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十分散会
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発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X00419970325/70
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