1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年六月五日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
六月三日
辞任 補欠選任
加藤 修一君 水島 裕君
六月四日
辞任 補欠選任
今井 澄君 朝日 俊弘君
六月五日
辞任 補欠選任
菅野 壽君 瀬谷 英行君
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出席者は左のとおり。
委員長 上山 和人君
理 事
尾辻 秀久君
佐藤 静雄君
和田 洋子君
菅野 壽君
瀬谷 英行君
委 員
大島 慶久君
塩崎 恭久君
田浦 直君
中島 眞人君
長峯 基君
南野知惠子君
宮崎 秀樹君
木暮 山人君
水島 裕君
山本 保君
渡辺 孝男君
朝日 俊弘君
西山登紀子君
釘宮 磐君
国務大臣
厚 生 大 臣 小泉純一郎君
政府委員
厚生大臣官房総
務審議官 中西 明典君
厚生省健康政策
局長 谷 修一君
厚生省保健医療
局長 小林 秀資君
厚生省薬務局長 丸山 晴男君
厚生省老人保健
福祉局長 羽毛田信吾君
厚生省保険局長 高木 俊明君
事務局側
常任委員会専門
員 大貫 延朗君
説明員
文部省高等教育
局医学教育課長 寺脇 研君
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本日の会議に付した案件
○健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○理事補欠選任の件
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001・上山和人
○委員長(上山和人君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る三日、加藤修一君が委員を辞任され、その補欠として水島裕君が選任されました。
また、昨四日、今井澄君が委員を辞任され、その補欠として朝日俊弘君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/1
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002・上山和人
○委員長(上山和人君) 健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/2
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003・菅野壽
○菅野壽君 健康保険法等の一部を改正する法律案につきまして、引き続き質問をさせていただきます。
本法律案及び衆議院修正における問題点、抜本改革に向けての課題が浮き彫りになっておりますが、本日はこの点を中心に再度御質問いたします。
第一に、小児の薬剤負担の問題であります。
今回の小児に係る過重な薬剤負担は、子育てに係る経済的コストを軽減するということを明記しましたエンゼルプランと矛盾する点があるんですが、この点についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/3
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004・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 子育てに対します社会的な支援、これは非常に子供の数が減っておりますから非常に重要な課題でございます。そういった意味で、政府としましてもエンゼルプランを定めまして、そして着実な推進ということを図ってきておるわけであります。
そういった意味では、医療費の問題につきましては、現在、難病の子供たちあるいは未熟児、障害児、こういった手厚い支援が必要となる児童の特別な疾病に着目しまして、治療費の公費負担というのを行っております。今回の薬剤負担が入りましても、これらの子供たちにつきましてはこれまでと同様に公費でその分を負担する、そういう取り扱いにいたしております。
一方、医療保険制度全体の中における仕組みとしましては、やはり給付と負担の公平というような観点、あるいはまた薬剤使用の適正化というような視点から一部負担をお願いしておりまして、そういった意味で、今回この薬剤負担を新たにお願いするに当たりましては、子供たちにつきましても一般的には同じような形で御負担いだだかざるを得ないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/4
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005・菅野壽
○菅野壽君 また、現在すべての都道府県におきまして何らかの形で乳幼児医療無料化、軽減が実施されている状態でございます。小児薬剤別途負担が地方財政に与える影響も無視できないと思いますが、この点、厚生省はどう考えていらっしいますか。また、地方財政に及ぼす影響額について試算がありましたらお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/5
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006・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 御指摘のとおり、現在、全国の都道府県におきまして、いわゆる乳幼児に対します医療費の自己負担分、これの減免措置等を行っております。これは対象範囲あるいはまた償還方法、現物給付方法とかそのやり方もそれぞれ各都道府県において必ずしも同じではございませんけれども、何らかの形でこういうようなことが行われているという状況を私ども承知をいたしております。
そこで、今回新たに薬剤の一部負担をお願いするということになった場合に、これまでの措置に加えて各都道府県、これはそれぞれの自治体における単独事業ということで取り組んでおられるわけでありますが、どのような取り組み方になるのかということにつきましてはこの法律成立後における対応というものを見定めていきませんとはっきりはいたしません。ただ、今回の薬剤の一部負担の導入に伴いまして、仮に六歳未満の乳幼児につきましてどれだけ負担することになるのかということで考えてみますと、制度全体で百十億円というふうに私ども見込んでおります。したがって、各自治体がこの分についてもそれぞれの単独事業として御負担いただくということになるとトータルとしてはこの程度の額になるのかな、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/6
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007・菅野壽
○菅野壽君 他方、乳幼児無料化については従来から国の事業として行われるべきとの強い要望があります。先日来の答弁で、小児の過重な薬剤負担について抜本改革の中で検討すると言っていますが、その検討項目の中にはいわゆる乳幼児医療無料化、軽減も含まれていると理解してよいのでしょうか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/7
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008・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 現行制度は、もう御案内のとおりでありますが、そういった中で各都道府県、市町村を通じてやっておりますけれども、各都道府県におかれまして県単の事業ということで一部負担分を公費で支援をするというような事業が行われております。
それに対して、むしろ医療保険制度の仕組みの中でそういったような支援策というものを盛り込んだ方がいいのではないかということは、本委員会においてもいろいろと御意見がございますけれども、私どもとしましては、今回医療保険制度の全体的な見直しをする際に給付率というものをどういうふうに考えていくのか、そういった中でお年寄り、それからまたこういった乳幼児等につきまして特別の配慮ということを考えていくべきなのか、そういった点等を含めまして全体的な検討をしたいと思っております。そういった中で、合理的な、かつ理解を得られるような案というものを考えていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/8
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009・菅野壽
○菅野壽君 六月三日の質疑で局長は、改正案における健康保険法第四十三条ノ八第五項の規定を修正した理由について、政府案では法律に規定したものを政令に落とした旨御答弁がありました。すなわち、一部で報道されたように、これは患者負担が医療費総額を上回る事態は生じないと理解してよいのでしょうか、お知らせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/9
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010・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 衆議院で修正が行われた際に条文上も手直しが行われております。
これは、私ども法制的な問題として理解をしておりますのは、今御指摘の政府原案では健康保険法の四十三条ノ八第五項というのがございましたが、これの修正が行われました。政府原案でここに規定しております内容というのは、薬剤に係る新たな患者負担をお願いするに当たりまして、医療費総額を超えるような事態、これは極めてレアケースでありますけれども理論的には考えられる、これはやはり適当ではないということでございまして、その医療費の給付総額の実費というものを超えることがないような、そういった条文を手当てをいたしました。
これが修正でそこの部分が修正されまして、こういったものについては政令で定められるというふうな形になりました。これは、法制的には政府原案にありました新たな薬の一部負担が医療給付費の総額を超えることのないようにするというその規定をここでは政令で定めることができるというふうに説明を受けておりまして、それならば私どもとしては差し支えないだろうということでこの修正を受け入れさせていただいたわけであります。
そういった意味で、これが法律の条文上は修正されましたけれども、政令で同じものを定めますので実態的には政府原案と変わらない、こういうふうなことで考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/10
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011・菅野壽
○菅野壽君 修正後の第四十三条ノ八第五項は、薬剤の「一部負担金ノ額ノ算定方法ニ関シ必要ナル事項ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム」としています。
一部の新聞では、この政令で相当弾力的な運用が可能である旨の報道がなされております。しかし、それでは法律の意味がなくなります。租税法定主義の原則にも反するおそれがあります。
ここで想定している政令事項とはほかにどのようなものがあるのでしょうか、具体的にお知らせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/11
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012・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 薬剤の「一部負担金ノ額ノ算定方法ニ関シ必要ナル事項ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム」というふうに改められたわけでありまして、そういった中で、薬剤に係る一部負担金の額そのものについては法律に定められておりまして、これそのものを変更したりということでありませんで、あくまでもそういった中で技術的な算定方法に関して必要な事項というものを政令で定められるということになったということで理解しておりまして、そういった意味では租税法定主義というものに反するということにはならないというふうに考えておりますし、また法制的にもそういうふうな説明を受けております。
この政令で今後何を定めるかということでありますが、現在私ども考えておりますのは、政府原案にありましたような薬剤に係る患者負担が医療費給付の総額を上回ることがないということについて政令でこれを定めるということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/12
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013・菅野壽
○菅野壽君 いずれにしろ、改正案では五百七十一円未満の薬剤投与では薬剤負担が一〇〇%という事態が生じます。つまり、比較的少額で投薬日数の少ない場合ほど負担割合が重くなるのです。これは患者のコスト意識の喚起により薬剤使用の適正化を図った改正案の趣旨に逆行するのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/13
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014・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 今回の修正に伴う矛盾点と申しますか、問題点の御指摘だと思います。
政府原案につきましては、衆議院における審議の過程におきましても医療機関の窓口事務、それからまた患者さんサイドにおいてもなかなか計算が厄介で額が非常にわかりにくくなるんじゃないかという強い御批判がございました。そういった御批判を受けまして、やはり一つにはそういった事務の簡素化というものを図るような、そういう案というものが検討され、それからまたもう一つにはできるだけいわゆる高薬価の新薬シフトというふうなものの歯どめになるような、そういった機能というものも含んだものが望ましいのではないかということで今回の衆議院における修正が行われたというふうに私どもは理解をいたしております。
そういった中で、この衆議院における修正案の四百円、七百円、千円という一部負担の額、この額の計算基礎というのが平均的な投薬日数、こういつたものを基礎に、それからまた種類についてそれぞれ二種類から三種類、あるいは四種類から五種類、それから六種類以上ということである程度グルーピングしておりますので、そういった意味ではそれぞれ平均的な数値というものを基礎に四百円、七百円、千円というのが計算されております。
そういうふうにいたしますと、どうしてもそこに平均より下回る、あるいはそれより安い薬というものが投与されますと、四百円、七百円、千円というような額よりも薬代の実費の方が安いというような状況がどうしても生じてしまうという問題がございますけれども、やはりこういうふうな形で定めた場合にはどうしてもその辺のところは出てくるのはやむを得ないというふうに思います。
ただ、問題はその頻度の問題、程度の問題、それがどの程度許容されるものなのかどうかという問題だろうというふうに思っておりまして、そういった中でとりわけ小児についてはやはり非常に矛盾が大き過ぎるのではないかという指摘がございますことは承知しておりますけれども、衆議院におきます修正ということでございますので、今それに対して私どもの理解としては今申し上げたようなことにとどめさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/14
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015・菅野壽
○菅野壽君 一方、負担額を見ますと、多剤投与を必要とする重症患者や高齢者ほど負担は重いものとなります。患者が薬の種類、量を選べない中で重度の患者や高齢者ほど負担額が多くなることは問題が大きいと言わざるを得ません。
厚生省は、老人保健法における低所得者の範囲を拡大することは将来に向けての検討課題と言っていますが、しかし現段階においても薬剤の別途負担については何らかの歯どめの措置が必要ではありませんか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/15
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016・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 薬剤に係ります負担につきましては衆議院での御修正がございまして、政府といたしましては、今回の修正後の改正案におきましては、薬剤が一種類の場合は負担を要しないようにするというような御配慮がされておること、また額につきましても薬剤の種類数に応じまして四百円ないし千円という水準でやっていただいておりますことから、今回の改正は一方において若人の負担ということについてもお願いをいたしておりますのでそういったこととの比較におきましても、また今回のこういった負担を設けました薬剤使用の適正化という趣旨からいたしましても、また大きな背景として危機的な状況にございます医療保険財政を維持するという観点に立ちましても、何とかこの御負担を高齢者の方々についてもいただきたいものというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/16
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017・菅野壽
○菅野壽君 医療保険における給付の内容と範囲の見直しについてお伺いいたします。
平成七年の社会保障制度審議会の勧告では、「医療資源の適正な配分を図るため、医療保険の給付の内容や範囲の見直しが必要である。」と言っていますが、これから抜本改革を進めるに当たりまして、厚生省ではこの点具体的にどのような視点で何を重点に進めようとしているのですか、お伺いします。
あわせて、公的保険と民間保険の守備範囲についてもお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/17
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018・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 医療保険制度の抜本的な改革の内容につきましては、本法案の成立後速やかに検討に着手をしていく予定にしております。そういった中でございますのでまだ確定的なことを申し上げるわけにいきませんけれども、私としましては、まず一つには公的医療保険でどこまでカバーすべきかという問題につきましては、一つの考え方として、保険制度でありますからいざというときにきちんと機能するような保険制度であるべきであるというふうに思います。
そういった中で、相扶共済の制度ということでありますので、負担していただく方と、それからまた保険を利用する、利益を受けられる方、こういうふうな形のバランスということも考えながら制度の安定というものを考えていかなきゃいけないというふうに考えますと、所得水準等の状況から見て、通常負担できる範囲内のものであればむしろそれはそれぞれ御負担いただくような仕組みというものを基本にすべきではないか。しかしながら、真に負担が必要な場合、大変な場合にはまさにこの医療保険制度というものがきちんと有効に機能をする、そしてきちんとした保障が行われる、そういうような保険システムというものを目指すことがこれからの新しい時代においては必要なのではないかというふうに思っております。
そういった中で、当然、所得の低い方、そういった方に対する配慮というものを十分やはり考えるべきでありますし、従来、医療保険というのは一般制度であるから、全く所得によらずとは申しませんけれども、保険料の方はそれぞれ所得に応じて御負担いだだくけれども給付の方はそういった点を抜きにやってくるというような形でありましたけれども、あるいはまた一部負担についても、高額療養費制度というのはございますけれども、やはり所得によらず一律に決めているというような格好がございましたけれども、その辺のところもあわせてもうちょっと福祉制度、福祉制度というのはどちらかというとむしろ所得に応じてきめ細かく逆にまた配慮をしているための矛盾というのがございますけれども、そういった福祉制度のよさというものも加味しながら医療保険制度というのを考えるということも必要なのではないかというふうな気持ちでおります。
それからまた、医療サービスの基本的な部分、これは公的保険できちっとカバーしていくという、そういった原則というものはきちんと維持をしていくことが必要であろうというふうに思いますし、そういった意味で、財政が不如意になってきたからということによって保険の給付からどんどん外に出していくというような考え方ではなくて、やはりカバーすべきものはきちっとカバーしていく、それらをきちっと見据えた上で長期的な医療保険制度の財政の安定というものがどう図られるのかということで検討していかなきゃいけないというふうに思っております。もう一つは、そういった中でも医療に対する国民の要求の多様化というのは生活水準の向上等によりまして随分変わってきておりますから、そういった面における対応なり配慮、これは必要だろうというふうに思っているわけであります。
公的保険と民間保険との関係でありますけれども、そういった中で公的保険を超える部分について、そこは民間がそこら辺のところを営業として保険をしていくというようなことはそれぞれ民間企業における企業の判断でやっていくことになるんだろうというふうに思いますし、私どもとしては、そういった中で公的保険の守備範囲という意味ではまさに基本的な部分、その基本的な部分は何かということは、まさに国民的な合意と申しますか、そういった中で決まっていくべきものであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/18
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019・菅野壽
○菅野壽君 国民の高度、多様なニーズへの対応という観点から、最近顕著なのは特定療養費の拡大であります。
この特定療養費の趣旨、これまでの経緯及び近年になってこの拡大が顕著な理由について御説明を願います。あわせて、特定療養費に係る今後の具体的な方策についても伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/19
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020・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 特定療養費制度というものが設けられました背景としましては、これまで国民生活の水準が向上してきた中で医療に対するニーズというものが非常に多様化してきている、そういうような多様化にどういうふうにこたえていくべきなのかということの中で検討がなされてきた結果、特定療養費制度というものが導入されたわけであります。
まず最初に導入されたときの考え方、これは昭和五十九年に導入されたわけでありますが、いわゆる高度先進医療というのが非常にふえてきた、そういった中でそれがまだ保険の中に一般的に取り入れて全額を医療保険でカバーをするというところまではいかない、しかしそういう医療に対して公的保険というのは全く関係なしということでいいのかというと、加入者の公平という点等々を加味しても、従来医療保険制度の中で見てきた部分、それに相当する部分というのは医療保険でカバーをしょうと。しかし、高度な、かつ先進的な医療ということによってそれをはみ出す部分というのが起こるわけでありまして、そこの部分については自己負担ということでお願いしょうという考え方でまず入ったわけであります。
それからまた、差額ベッドの問題、こういった問題についても特別的な要求によりまして差額ベッドというものを利用したいという場合については、基本的なベッド代については保険で見ますけれども、それを超える部分については自己負担をお願いしよう、こういうような考え方であります。
それからまた、歯科材料につきましても、ベースは通常の医療保険で見ているところまでは見ますけれども、例えば金属床による総義歯の提供というような場合について、それを超える部分については自己負担をお願いする、こんなふうな考え方で始まったわけであります。
これを導入するに当たりましては、いわゆる中医協の中におきまして十分御審議いただいて、どれを特定療養費制度ということで導入すべきかどうかということについては十分御検討いただいた上で導入が行われてきたわけであります。
そのほか、最近における状況としては、例えば予約診療のケースあるいはまた時間外診療、患者さんの都合で時間外に受けたいというふうな場合、こういうようなものについても特定療養費制度というものを適用するというような形で行われてきておるわけであります。
この特定療養費制度のあり方といいますか、どういう範囲についてこういう制度をもっと拡大していくべきかどうかということについては今後さらに検討していく必要があると思いますけれども、公的医療保険制度と国民の医療に対する多様な要求といいますか、そういったものとの調和を図るという方法として一つのやり方ではないかというふうに思いますし、これらについてはやはり国民生活の水準の向上とか価値観の多様化、そういった面を踏まえて今後ともこれが、余り行き過ぎるというと問題になると思いますけれども、適正な範囲内では有効な方法として私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/20
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021・菅野壽
○菅野壽君 最後に、厚生大臣にお伺いいたします。
特定療養費はこれまで診療報酬改定によって次々に拡大されてまいりました。しかし、国会の論議を経ることなく、国民の知らないうちに患者の負担増が拡大しているという点について問題はないでしょうか。高額療養費の限度額や市販薬類似医薬品の給付の見直し等についても同様の懸念があります。
本日は、行政の判断一つで患者負担が安易に拡大していく懸念と政策決定の手法のあり方について伺って私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/21
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022・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 国民の知らないところで勝手にやっているというわけではありませんで、事実、昨年末の与党三党の合意でもいろいろ指摘されております。
例えば、市販の薬品とか高額療養費について抜本的な見直しの中で検討すべきだとか、特定の療養について特別の病室に入ったときなどには患者の同意を条件として医療機関が特別な料金を患者から徴収できるという制度等その見直しについても関係審議会に諮るなど、手続としては私は適正に行われていると。いかに政令とはいえども勝手にできる状況じゃありませんし、国会での審議の状況、政党の考え方、審議会の考え方、そして国民がどう思うかという、そのような幅広い観点から適正だと思われる方法をとっているわけでありまして、知らないところで勝手ということは断じてないということを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/22
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023・菅野壽
○菅野壽君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/23
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024・田浦直
○田浦直君 自由民主党の田浦直でございます。
私、前回は現場の声を中心にいろんな質問をさせていただきましたが、今回は少し抜本的なことについて御質問をさせていただきたいというふうに思っております。
橋本内閣が、現在、財政は主要先進国中最悪の危機状態に陥っている、あるいは後世にツケを回さないようにというふうな認識のもとに財政改革を今一生懸命行っている、このことに対しては非常に評価をいたしたいと思っているわけでございます。
一昨日、「財政構造改革の推進について」ということで閣議決定案というものが出されました。その中に「社会保障」というところがございますので、ここに書かれていることからまず御質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず初めに、この中に「十年度予算については、一般歳出を対九年度比マイナスとすることとしていることを踏まえ、約八千億円超の当然増について五千億円を上回る削減を行う」というふうに書いてあるわけなんですね。十年度は八千億の自然増があるだろうということだと思うんですが、この八千億の自然増と見込まれる内訳、それはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/24
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025・中西明典
○政府委員(中西明典君) 平成十年度につきましては、御指摘のとおり、九年度に比べまして当然増八千億円超が見込まれるわけでございますが、その内訳につきましては、年金等に関する当然増が約千五百億、医療に関する当然増が約五千五百億、福祉等に関する当然増が約一千億円、かように見込んでおるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/25
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026・田浦直
○田浦直君 今、改正案が出されておりますね。それで生じる財政効果というのがあると思うんですが、それは大体どのくらいなのか、そしてその金額は今御説明の中に含まれておるのかどうかをまずお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/26
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027・中西明典
○政府委員(中西明典君) 極めて厳密に計算されたわけではございませんが、今回の健保法改正に伴う、この法案が通ったとした場合の、平年度化といいますか、それのはねというのは当然、当然増としてはね返ってくるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/27
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028・田浦直
○田浦直君 今、この改正案で平成十年度改善される金額というのは大体お幾らと見込んでいるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/28
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029・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 今度の改正で修正等がありましたから相当財源的には縮減されておるわけでありますけれども、制度改正を行わなかったとした場合には六兆九千億円ほどの、これは平成九年度ベースでありますが、平成九年度もし改正を行わないとしたら六兆九千億ぐらいの国庫負担が必要となる。それに対して、制度改正を行うことによりまして国庫負担で六兆七千六百億ぐらいに減ってくるだろうと。そうすると、その差というのが一千四百億というふうに考えておるわけであります。
それで、それが全体的に織り込まれた形で平成十年度は伸びを考えておりますから、その程度の分が制度改正が行われたことによって平成十年度は国庫負担が減っておる、こういうふうな計算になっておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/29
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030・田浦直
○田浦直君 九年度は九月からということになっておりますから半年度になりますね。十年度というのは、これはもう満年度ですから恐らく九年度の二倍ぐらいにはなるのではないかなと思うんですが、今のお話では二千八百億ぐらいの効果があるんじゃないか、そういうふうに理解していいですかね。
そうしますと、これはもう通ったものと仮定して、その上で五千億削るということになっておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/30
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031・中西明典
○政府委員(中西明典君) 数字については予算要求をするまでにきちっと詰めなければならないというふうに考えておりますが、基本的には、そうした平年度化による増加でございますから、これは当然増の経費として八千億円超の中に含まれるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/31
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032・田浦直
○田浦直君 僕が尋ねているのは、要するに来年度は八千億自然増があるだろうと。そのうち五千億は何とかして削りたいということになっているわけですね。これは閣議決定案にそう書いてあるわけなんですよ。
そうしますと、今修正をしているこの案で二千八百億ぐらいは来年度は財政効果が出てくるだろうと。その二千八百億を取り込んでそのほかに五千億削るというふうなことになるのか、その五千億の中に今度の案で効果が出てくるものも含んで削るのか、そこをお尋ねしているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/32
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033・中西明典
○政府委員(中西明典君) 要は五千億円を上回る削減をする、こういう方針でございまして、当然増からそうした経費も含めまして、要するに医療その他の部分も含めまして全体としてトータルで五千億円を上回る削減を行う、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/33
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034・田浦直
○田浦直君 わかっているんですよ。ここで八千億の自然増があって、そのうち三千億ぐらいに抑えたいと、こう書いてあるわけですよ。だから五千億は削るんだと。それはそれで閣議決定ですからいいんですが、その中に今度の修正案で出てくる財政効果も含めているのかどうかということをお尋ねしているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/34
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035・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 医療で申し上げますと、全体でも八千億厚生省では自然増があるという計算をしておりまして、これも相当切り詰めたものとして私は八千億なんだと思います、通常ですと一兆円は当然増でございましたから。そういった中で、相当官房の方でも精査をした上で、ぎりぎりこれはどうしても切り詰められない。と申しますのは、厚生省の予算というのは政策経費と申しましてもいわゆる義務的経費でございまして、法律上定められておりますから、そうすると、それらでぎりぎりが八千億なんだと思います。
その中で、医療費の部分でいきますと五千五百億であります。ですから、八千億の中で五千五百億が医療費。そうすると、その五千五百億の医療費の増というのは、まさに先生御指摘のとおり、十年度でありますから今回の法律改正後の姿で計算しております。ですから、今回の法律改正によって財政が改善される、その分を織り込んだもの、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/35
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036・田浦直
○田浦直君 そこで、この案を織り込んで、さらに五千億削るということになると大変厳しいんじゃないかなと僕は思うんですね。
今、内訳をお尋ねしましたら、年金で千五百億、医療で五千五百、福祉で一千億というお話でしたが、例えば平成十年度は、これまでの議論をお聞きしておりますと、年金は手をつけないという方針で厚生省はおられるように僕は記憶しているんです。そうすると、年金の千五百億というのはまず動かない。福祉も一千億ですから、もとが小さいですからどうしても削るとなると医療の方にかかってくるんだろうと思うんですね。
その五千五百億増の医療から五千億削る、五千億とは言わなくてもそれに近い数字を削るということになるとよほどのことをやらなければできないんじゃないかと僕は思うんですが、それが実際に可能と考えておられるのかどうか、御意見をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/36
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037・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 今のお話のとおりで、医療費についての改革をしない限り五千億円を上回る削減というのはほとんど不可能だと思います。そういう前提で案を考えざるを得ないと。困難、不可能と思われるような改革をしなきやならない、大変な重荷を負ったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/37
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038・田浦直
○田浦直君 そこで、厚生省のこの案が出たときの談話が新聞に載っておったんですが、抜本対策で何とか対応できるんじゃないかというふうなことが書いてあったんですけれども、そういうふうにお考えなんですか。今度出される抜本案でそういうふうなのができるんじゃないかとお考えなのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/38
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039・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 抜本的な案の中でその削減策を示していかなきゃならない。できるというよりもやらなきゃいかぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/39
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040・田浦直
○田浦直君 私も抜本案について前回もお尋ねしたんですが、抜本案の中には診療報酬、それから薬価、老人医療保険の創設というようなことがあるんですけれども、案は恐らく出てくると思うんですよ。もう大臣が一生懸命やっておられるから案は出てくると思うんですが、十年度から本当にそれが動いて実際にそれだけの節減ができるようなことまで進むのかなというのを私は非常に危惧しているわけなんですね。
例えば薬価でも、参照価格制度というのもやろうというお話もありますけれども、これが仮に案で出てきましても、それを実際やるまでにはやはりならし期間が要るでしょうし、例えば診療報酬でも定額制あるいは出来高払いというものの最善の組み合わせで、こういうふうになっておりますが、それをやるにしても十年度からそれほどの効果が出てくるということは僕はちょっと難しいんじゃないかなという見解を持っているんです。
大臣は今やらなければならないとおっしゃられて、それは私もよくわかるんですね。それを後世にそういうツケを回したくないという気持ちは僕らもあるわけだし、今の財政的な危機というものは感じ取っておるわけですからそのことについてはわかるんですけれども、現実にこれが可能かなということを考えると非常に難しいんじゃないかなというふうに僕は思っているんです。
もうただやらざるを得ないという御答弁なのか、やはり見通しがあるということなのか、その辺をもう一度お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/40
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041・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 非常に困難な作業ですけれども、厚生省としての案を提示して、これを与党なり国会がどう判断するかにかかっていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/41
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042・田浦直
○田浦直君 そこで、僕がもう一つ心配しているのは、非常に難しい、難しいからまた国民に負担を願うということが出てくるんじゃないかという心配をしているわけなんですね、それが一番ある意味ではやりやすいということになるわけですから。だけれども、今この修正案でもかなりの負担をかけるわけなんですね。しかも、それは織り込み済みだということですからまたさらに新しい負担をかけるということはもうできないんじゃないかなというふうに思うんですが、五千億を削るという中で国民負担をふやすという可能性はあるのかないのか、その点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/42
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043・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) これは利用者、いわゆる患者負担でなくても国民負担は税金か保険料かで負担を負ってもらわなきゃならない。今回、将来五〇%の国民負担率を超えないという範囲内での改革ですから、患者負担を避ければ国民負担がないかというと違うのでありまして、現世代に増税するのか、若い世代にツケを回して赤字国債を出すのか、保険料を出すのかと。今回の案でも盛んに言われたのは抜本的な改革をしろと、そうすれば患者負担が少なくなるんじゃないかという意見が出ました。
私は、いかなる構造改革、抜本改革をしてもこの程度以下の負担はあり得ないということを答弁してまいりました。その辺を御理解いただきたいと思いまして、構造改革をやっても今程度の患者負担は避けられないということを言っていたわけであります。
ですから、医療関係者にも痛みを伴います。当然、利用者にも痛みを伴う。それはどのような形でやっても利用者負担を、痛みを避ければ必ずどこかでまた痛みを伴うわけですから、その辺を御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/43
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044・田浦直
○田浦直君 大臣の言うことは僕もよくわかるんですよね。だけれども、さらに国民負担をかけるということが今の御意見の中ではあり得るというふうな感じがするんですね。そこら辺はどうかなという思いがするんですよ。
確かにどこをどう削減するかということは大変難しいことだろうと思いますので、安易に国民負担の方に回さないでほしいということをぜひお願い申し上げておきたいというふうに思います。
今、国民負担というのが出ましたけれども、今度の案を通しますと国民負担率というものがどうなるのか、あるいは今まで橋本内閣が掲げております国民負担率は五〇%を目標として、できれば四五%ぐらいにとどめたいというふうなことを言われておりますけれども、それとの関連性というのがあるのかどうか、この改正案で。そういったことについて何か御意見があったらお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/44
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045・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 財政構造改革五原則の一つに、将来国民負担率が五〇%を超えないようにするという、そういう前提の中で今回出てきた案であります。今まで国民負担というとすぐ患者さんの負担、それが嫌だからいうことで赤字国債、国債を発行してきていた。気がついたら二百五十兆円、これも国民負担に違いないわけです。今の負担が嫌だからどんどん先にツケを回すという反省を込めた財政改革を今しなきやならないということで出てきたんですから当然関連しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/45
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046・田浦直
○田浦直君 次に、この中にも書いてあるんですけれども、保険の制度運営といいますか、今あります国民健康保険、政府管掌健康保険、組合健康保険などの保険集団のあり方を見直すということが書いてあるわけなんですね。私はかねがね、非常に難しいでしょうけれども、国民健康保険にしても組合健康保険にしても、やっぱり一本化する方向には進むべきだというふうに思っているんですね。
今、一本化しているのは政府管掌だけなんですよね。例えば国保だって市町村によって非常にばらばら、まちまちですね。例えば、私は長崎県ですが、長崎みたいな離島の多いところでは高齢者が多くて、やっぱり保険料率がどうしても高くなる。大都会だとやっぱり若い人が多く働き手が多い、そんなところは保険料率が低くなる。年金ではよく世代間の不公正といいまずけれども、同じ世代間でも不公平が生じておると思うんです。健康保険でもそうなんですね。例えば、調べてみますと、健康保険料率というのは千分の六十ぐらいから九十ぐらいまでありますよね。そうすると、その間に同じ時代に働いている人たちの健康保険料というのは大変格差がある。もうどうしても大企業の方が安くなっている。しかも、その上に付加給付までしておるところがありますよね。
そういうふうな不公平があるわけですから、ここに書いてあるように、「保険集団の在り方を見直す。」ということで、この「見直す」というのがどういう見直し方かわかりませんが、私はやはり一本化の方向に見直すという方向にこれを読んでいるんですけれども、その辺の御見解はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/46
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047・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 医療保険制度の抜本的な改革の項目、これは幾つかあるわけでありますが、とりわけ委員会等の議論の中では我が国における医療費のむだあるいは薬価基準制度の矛盾、そういった医療費における問題点というところにどちらかというと議論が多かったという気がいたします。
しかし、一方、まさに医療保険の体系そのもの、これもやはり見直さなきゃいけないというふうに考えているわけであります。
我が国の医療保険制度、これはもう申し上げるまでもありませんけれども、昭和三十六年に国民皆保険制度が達成されたわけであります。その当時における産業構造というのは、これはサラリーマン、それからまた農業、漁業、それからまた自営業、ある程度そこら辺のところが割とはっきりしていた時代というものを背景にしておったと思います。
しかしながら、御承知のとおり、産業構造は今日大きく変わっております。そういった中で、当初発想いたしました国民皆保険、とりわけ国保の制度というのはいわゆる農業、漁業あるいは自営業、こういったサラリーマンではない集団ということを念頭に置いた形でできていると思います。
ところが、現在はどうなっているかと申しますと、そういうふうな制度のくくり方というのは実態に合っていないと私は考えておりまして、むしろ国民健康保険というのは毒口で申し上げれば被用者保険に入れない方が入っているというふうに言った方が制度の実態をあらわしていると思います。
したがって、国民健康保険の加入者というのは年金受給者を初めとして、あるいは無職の方とか、もちろん自営業の方等々入っていらっしゃいますけれども、当初と比べますとそこはもう大きく変わっている。
そういった中で、この我が国の皆保険制度を維持していくということになりますと、基本は国民が連帯して相扶共済の制度として公平公正に負担をしていくと。また、高齢化社会ということを考えてみた場合に、若い世代だけが現役で働いておって老人が少ないというような時代とは大きく変わりますから、そういった意味で老人保健のあり方も含めて公平な負担、公平な給付というふうな視点を基軸にしてやはり考え直してみなければいけないというふうに思います。
現行制度においては、例えば政管健保、それから各種健保組合等々との関係のバランスというのはどうやってとっているかというと、やっぱり国庫負担であると思うんです。政管健保には一三%の国庫負担を入れております。これはなぜか。やはり所得格差等々の問題ということが原点にあるわけでありますけれども、政管健保の一三%の国庫負担、これは約一兆円弱、九千億ぐらい入れているわけでありますから、そういったような問題も全体として公平公正に制度を構築した場合にどうなるのかという問題等もございます。
まさに先生御指摘のとおり、現行の医療保険制度の体系そのもの、老人保健制度を含めて見直すということは、私は医療保険改革の大きな柱であるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/47
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048・田浦直
○田浦直君 今、そういうお話を聞いて、私も全くそういうふうに思うんですね。同世代の不公平というのもありますし、それから自分の組合が財政的に悪くなれば国保に逃げるとか、それまでは自分たちでやっておって、これは年金も一緒ですね、何かそういうふうなことがあるわけですね。そういうのはどうも納得いかない面があるんですよね。だから、やはり僕は、将来的にも全部を一本化するというのは難しいかもしれぬけれども、国保なら国保、健保なら健保の一本化という方向をぜひ模索していただきたいというふうに思っております。
それから、今お話がありましたこの老人保健制度ですけれども、今、政管でもあるいは健保でも財政が悪くなっているのは老人保健の拠出金によるものだというふうに思うんですね。閣議案にも「世代間の負担の公平及び社会連帯の観点から老人保健制度の抜本的改革を行う。」と書いてあるんですけれども、この文章について厚生省のお考えをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/48
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049・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 老人保健制度、老人医療制度につきましては、先生今お話のございましたように、今の医療保険制度そのものが抱えておる問題の大きな部分を、ある意味からいえば老人医療費というものの扱いをどうするかということが書かれております。そういう意味からいえば、この老人保健制度の問題というのは、まずは先生の今御提案のいろいろなお話もございましたような医療保険をどう仕組んでいくかという根っこの問題にかかわってくるところが大いにあるというふうに考えております。したがって、そういった医療保険制度の保険者論を含めまして、どういうふうに仕組んでいくかということとの関連におきまして今後の老人保健制度を考えていかなきやならないというふうに思います。
その際に、やはり現在の老人保健制度、これは、御答弁申し上げておりますように、いわば各医療保険制度の共同事業という形で構成をいたしております。そうした中で、結局、特に被用者保険のサイドからいたしますれば、みずからの保険集団に属するお年寄り以外の方々のために共同事業として出すいわゆる拠出金というもののウエートが非常に大きくなってきたと。それについては保険としてみずからの保険集団の人の給付のためにみずからの保険料を払っていくという姿からすればなかなか納得の得がたい状況になってきているではないかという御議論がございまして、そういったことについての問題点というようなことを十分踏まえながら老人保健制度を考えていかなきやならない。
制度の体系論といたしましては、先般もいろいろ御質疑がございまして、いろいろの御提案ございます。別個の制度に一つ立てる案、それからそれぞれの職域グループは職域グループとしてOBまで見るような案、あるいは、先生今お話しのございましたように、もう根っこの医療保険制度そのものを統合するような中で老人保健制度をもういわば当然のこととして全部一本になってしまう案、あるいは現行のいわば共同事業という形でやっていることについてこれを改善をするという形での対応を考える案、いろいろございますけれども、今、与党の協議会におきましては、特に最初にも申し上げました二つの案を中心に検討を進めるようにということもございますので、そういったことを中心に、さらに根っこの医療保険制度をどういうふうに仕組んでいくかということとの兼ね合いも考えながら、いずれにしても抜本的には改革をしなければならないものというふうに考えております。
そういった制度の体系とあわせまして、やっぱり老人の方々に対する医療をいかに老人の方々にふさわしい医療として、また効率的な医療として確保していくかという老人医療費そのものの中身の問題についても大きな柱として今後検討をしていかなければならない抜本改革の課題であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/49
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050・田浦直
○田浦直君 老人保健制度が確立すればかなり財政問題というのは緩和されると思うんですね。
その老人保健制度というものが、今おっしゃられたように、幾つかの考えがあるわけですね。私は、この医師会の方から送っているのを見ましたら、長期積立型医療保険制度というのを提唱しておるようなんですけれども、この案はどういうふうにとらえられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/50
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051・羽毛田信吾
○政府委員(羽毛田信吾君) 今お話しの長期積立型の医療保険制度の御提案というのは、一番最近では、ついせんだって医療構造改革構想という形で打ち上げられました中にも入ってございます。
この御提案の長期積立型医療保険制度の考え方も含めまして、先ほど申し上げましたように、幅広く検討をする中で取り上げて真剣に検討をしてまいりたいと思います。現時点でその案、私どもの承知をしておる限りでのことで申しますれば、この案は、老人の方々、高齢者の方々の医療は別建てにいたしました上で、まずその財源をどのようにしていくかということで、高齢者みずから御負担をいただく保険料と、それから公費、それからさらに、ここがこの構想の一つの特色だろうと思いますけれども、将来老人医療費がふえてくるとなりますと公費負担が非常に大きくなるというようなことを考えまして、それを抑えるというようなことからも老人保健の拠出金を今回もうやめてしまうということとの見合いで現役世代からの拠出金というのが一つなくなり、それを振りかえる形でその拠出金見合いをいわば現役の被保険者がみずからの老後に備えるような形で積み立てをしておく、積立保険料という形で拠出をしておいて将来に備えるというものを組み込むというのがこの案の概略の中身かなというふうに思います。
この案につきましては、まず私どもの今後の社会保障あるいは医療保障のあり方を考えますときに、高齢者御自身をやはりみずからも制度を支えるいわば自立した存在として保険料というものもきちっと位置づけていくというお考えに立っていただいている点、それからまた、方法論はいろいろ御議論はございますでしょうけれども、やっぱり将来への備えという視点をきちっとこの時点で視野に入れておられる構想であるという、こういつたことにつきましては、やはり私どもとしてもそういった考え方というものは十分参考にしていかなければならないものであろうというふうに思います。
ただ、一方においてなかなか制度をあれしていきます場合に、克服するべき課題もあるのかなという感じがいたしておりまして、これもこれから子細に検討していかなければなりませんが、ごくアバウトなところで申し上げますと、今のような形でするにしても、制度が成熟をします間は結局財源がなくなってしまうわけですから、やはりそこに公費というものが入らざるを得ないとなるとかなり過渡期においては巨額の公費負担というのが出てくることになりはしないかなと。そうしますと、その分だけ移行期における現役世代の負担、どういう形であれ現役世代の負担というのはかなり大きくなってきはしないかなと。ここにうまくコンセンサスが得られるようなところができるかなというところが一つございます。
また、積立型ということになりますと、要するにどうしても運用上のリスクというようなものをどういうふうに考えていくかというようなこともございますし、また今の構想、これも後々少しまた詰められての御構想もあるいはあるのかもしれませんけれども、公費を高齢者の方に集中をして現役世代は保険料、今の国保に入っているような保険料も高齢者の分に振りかえてつぎ込むというような構想になっておりますけれども、そうした場合における国保がどういうふうになってくるのかなというようなところがこれから詰めていかなきやならないところだと思います。
ただ、現時点ではいたずらに欠点をあげつらうということではなくて、そのほかの構想も一緒でございますけれども、何かそれぞれのところで取り入れられる、前向きに検討できるところは検討して、いずれにしても負担を皆さんに求めるわけですから何としても一番納得の得やすい形での負担という形、また公平にかなう負担ということが非常に大事だと思いますので、そういった視点から今の御提案を含めまして十分に幅広に検討をしてまいりたいと思いますし、そのことは単独の検討ではございませんで、先ほどの繰り返しになりますが、医療保険そのもののありようをどうしていくかということ等の関係も含めながら検討いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/51
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052・田浦直
○田浦直君 わかりました。
それでは、この財政構造改革の推進についての閣議決定案についての質問はとどめて、前回、薬剤費に関連して質問したんですが、そのことについて新たにまた質問をさせていただきたいと思うんです。
基本的に言いまして、今の薬価基準制度の見直しということについてどういうふうに厚生省としては考えておられるのか。それから、例えば定率負担というのが当初出てきておったわけですけれども、これについてはどういうふうにお考えなのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/52
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053・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 現在の我が国における薬剤の医療費に占めるシェア、これが諸外国に比べて非常に高いという問題があるわけでありまして、そういった中でその原因は何かということが言われるわけでありますが、大きくは二つというふうに考えておりまして、一つが、非常に我が国の場合には薬が使われ過ぎているのではないかということがございます。それからもう一つが、いわゆる高薬価の新薬にシフトをしていくという問題がありまして、なかなか薬価基準を切り下げても全体のシェアというものは変わらない、こういうふうに考えておるわけであります。そのどっちが大きいのかということになりますと、専門家の研究によりますと、大体半分半分ぐらいだというふうな研究をいただいております。
そういった中で、そこをじゃどう考えるのかということになるわけでありますけれども、やはり薬剤が非常に使い過ぎである、これはいろんな要因があろうかと思います。しかし、そういった中で一つ大きな要因として挙げられますのは薬価差の問題、いわゆる医療機関が薬価差に依存した経営というものをやらざるを得ない。診療報酬と薬価基準、これはワンセットの制度でありますけれども、そういったような状況というものがこれは現実としてあるわけでありまして、そういうようなことからどうしても薬剤に頼ってくるということだろうと思います。こういった薬価差というものが出てきている原因というのは、まさにこれが公定価格を定めている、一方、医療機関は自由取引で薬を買うわけでありますからそれよりもできるだけ安い値段で買いたい、これはもう当然のことでありまして、その差が薬価差、こういうことであります。
それから、もう一つの高薬価の新薬シフトの問題、これは新薬の値段の決め方、これにも原因があると思います。まさにこれが公定価格ということで決めておる、それの透明化を図るべきである、あるいはまたその基準というものを一つ一つきちっとすべきであるということが指摘されておるわけであります。
しかし、公定価格を定めるということの中でいくのがいいのかということになりますと、医療産業の実態、医薬品の供給の実態等から見ますと、もう公定価格を定めるという時代ではないのではないか。戦後の医薬品の供給が非常に少ない時代には価格を安定化させ、そしてまた医療機関がそれぞれ医薬品を入手しやすいような価格に設定していくという意味での公定価格制というのはそれなりに機能してきたと思いますけれども、もう今の時代においてはそれは適当ではないのではないか。むしろ、マーケットに価格の決定をゆだねる、マーケットにおけるプライスメカニズムというものを通して、そして適正な医薬品の価格というものを形成していく方が望ましいというふうに考えております。
そういった意味で、従来の公定価格というものから市場取引の実勢というものを中心とした薬価といいますか薬の値段、そしてそのうち医療保険でどこまで給付していくのかという考え方の方が私どもとしては時代に合っているというふうに考えておるわけであります。
それからまた、薬剤の自己負担における定額、定率の問題でありますけれども、自己負担というものを負担と給付の公平ということで考え、またわかりやすさ、それからまたコスト意識の涵養というような点等々を考えますと、それは定率の方がすぐれているというふうに思います。
ただ一方、そうはいっても、定率ということになると幾らその都度払うかわからないというふうなことから定額の方がいいという意見もございますけれども、審議会等における建議を初めとしましてどちらが多数かといえば、やはり定率ということでいくべきではないかと。それによって過重な負担にならないような措置というものを講ずる方が制度としてはいいのではないかというふうな考え方が大宗を占めておるんじゃないかというふうに理解をしております。
ですから、そういった意味で、制度改革を考える上においては私どもとしてはそういった考え方をベースに考えていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/53
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054・田浦直
○田浦直君 市場原理に基づいて価格を決定するということですね。これも一つの方法だと思うんですね。
もう一つは、先ほどから言っている参照価格制度というのもあるんですけれども、こういった制度のメリット・デメリットというもの、どれをしても実際問題としていい面も悪い面もあるわけなんですけれども、この参照価格制度、あるいは市場原理でも結構ですが、そのメリット・デメリットを教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/54
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055・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 価格の決定というものを市場のプライスメカニズムに任せるという考え方というのは、やっぱり自由主義社会においては基本だろうと思います。そして、そのための前提条件としては消費者が適正に選択できるかどうかというのが基本ではないかというふうに思います。
そういった意味で、薬について、医療全般にそうなのでありますけれども、なかなか消費者サイドが適切な情報というものを与えられていない。むしろ逆に医療の内容について専門的な内容であるがゆえになかなか意見を言いにくいというようなことが言われておりますけれども、これはもっとそういった意味で医療情報なりそういったものをきちんと提供していくようなシステムというものを考えていく必要があると思います。しかし、それも程度問題でありまして、私は我が国の国民の医療に対する知識というものは決してそんなに低くはないというふうに思います。ただ、例えば個別個別の医薬品等についての情報ということになると、それは現在の仕組みでは必ずしも適正な情報が与えられていないと思いますから、そういった意味での知識というものは決して豊富ではないというふうに思います。そういった適切な情報の提供というものを確保しながら、そして市場におけるプライスメカニズムというものを発揮させていくということの組み合わせをやっていくならば、それは制度ですから完璧だというのはありませんし、また時代時代によってそこは見直さなきゃいけないことは当然でありますが、現在考えられる仕組みとしては、私はデメリットというよりもむしろメリットが大きいのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/55
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056・田浦直
○田浦直君 特異的な薬、例えばメバロチンなんかは非常に高いけれども、これはほかに類似品がないということで非常によく売れているわけなんですね。こういった薬が本当に市場原理あるいは参照価格制度にした場合に安くなるのかという疑問があるんですね。そういったことに対してはどう対応されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/56
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057・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) いずれにしても、全く自由価格制にして医療保険では薬剤についてはもう見ませんよというやり方ももちろんあるわけでありますが、これは先生方を初めとしまして皆さんそういうことは恐らくお考えになっていらっしゃらないだろうと。そうすると、薬につきましても保険でどこまで償還していくのか、見ていくのかという問題だと思います。その基準の決め方ではないかというふうに思います。
その基準の決め方というものを極めて透明化して、国民にその基準というものがどういうことで決まっているのかという情報を提供されることによってそこの選択は行われる。しかし、それが非常に売れ筋のいい商品であれば値段というものが高くなる。これはもう自由主義経済における原則でありますから、そこを人為的に下げていくということを薬についてもやっていくということが適当かどうかということになると、薬については私はむしろそれはまさに自由経済の中で考えていった方がいいんじゃないかと。ただ、保険でどこまで償還するかという基準、この基準は適正に決めていかなきゃいけない、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/57
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058・田浦直
○田浦直君 高い薬は、高い薬というか類似品がないような薬は高値に張りついても仕方がないんじゃないかという感じに聞こえるんですけれども、私はそういうものについては、長期収載医薬品といいますか、ほかの医薬品でもそうですが、ある年度がたってある販売量が出た場合には幾らかずつ落としていくという、そういうふうなルール化をした方がいいんじゃないかという気がするんですね。全く市場価格原理でいいんだというと、いかにも一見下がりそうに見えるんです。下がるものが多いかもしれませんけれども、本当に欲しい薬はもう高くても買わざるを得ないわけですから、その辺を野放しにするというわけにはいかないのではないかなというふうに思うんですね。
私は、当面の間、例えば長期収載医薬品、これはもう既に中医協の建議書でもルール化しなさいというのが出ているんですね。そういったことを先にやられておくべきじゃないかなというふうに思うんですけれども、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/58
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059・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) まず前段の方の問題なのでありますけれども、本当にもう他社の追随を許さない画期的な薬というものが発明され、そしてそれが流通に供されるといった場合にはそれ相当の高い価格がつくということはあり得ると思います。しかし、一般的には少なくともそういった中で、それは特許期間で六年間とか保護されている期間はともかくとして、それを過ぎますとこれはもう自由に類似品というのが出てくるというのが今の製薬産業における実態だと思います。また、その特許期間のあり方の問題というのはありますけれども、まさに自由主義経済というのはそういうもので、そういった中で他社が出てくることによって全体のコストというものもノーマルなものになっていくというような形をとっているんじゃないかというふうに思います。
それから、後者の長期収載品でありますが、まさに先生御指摘のとおり、これは中医協においても見直そうということでこれまでもやっておられまして、そして引き続き検討が行われている、今こういう医療保険制度の改正の御審議をいただいているというようなことがございますので中医協の方も頻回に開かれておりませんが、中医協においては引き続き検討が行われている状況でございます。
ただ、そういった中でまだ結論が出ておりませんのは長期収載品、それをどういうふうな方向で行くのかというと、いわゆる一般名収載を含めて考えていこうということでありますけれども、そういった中における先発品、後発品との価格をどういうふうに考えていくかとか、いろいろ問題がございます。そんなようなことでまだ結論が出ておりませんけれども、やはりこの薬価基準制度というものの中においてはそういう改善というものがなされていかなきやならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/59
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060・田浦直
○田浦直君 そういうふうなことで、ぜひ慎重な御検討をお願いしたいと思っております。
先ほど局長から話がありましたように、この薬価算定の透明化、これは前回も私は質問をさせていただいたんですけれども、これをさらに進めて、例えば第三者による薬価算定機構とか薬価算定過程の公開とか、そういうことは考えておられないかどうか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/60
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061・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 薬価基準制度そのものについて根本的に改めるということで抜本的な改革の方向においては考えておりますが、そういった中で保険で見るべき基準というものを当然つくるわけであります。そういったものをつくるに当たっては、これは先生御指摘のとおり、第三者による公平公正なそういったシステム、それからまたその内容の公開、これは非常に大事だと思っておりまして、先生御指摘の点も踏まえて今後検討の中でそういった面も生かしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/61
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062・田浦直
○田浦直君 この点は、直接価格に作用するということよりも、やはり価格決定が正しく行われておるんだという認識を広めるためにはぜひ必要だというふうに思うんですね。どこかでどこかおかしい決め方をしているんじゃないかという国民の疑惑を晴らすという意味からも、できれば本当に第三者を入れてやるということになれば、これはもう格段の進歩じゃないかなというふうに思っております。
じゃ、もう最後になりましたから小泉大臣に、今度「財政構造改革の推進について」ということで閣議決定案が出されまして、社会保障という面で大臣も随分頑張られ、マイナスにするのを三千億のプラスで頑張ったというお話も聞いておるわけですけれども、今後この社会保障についてこの閣議決定案を受けながらどういうふうに対応されていかれるのかお話を聞いて質問を終わらせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/62
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063・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 厚生省だけが前年度から伸びるということといっても、この社会福祉に対する国民の期待とか要望というのは多いですから、それを当然増五千億円削減するというのは、実際案が出てみれば大変な痛みを伴う案になると思います。
それだけに、厚生省関係だけでなくて全体の、政府としてほかにむだなことをやっていないかという目はますます厳しくなってくると思います。これだけ医療関係者、国民に痛みを伴うんだったら、政府みずからまず身を切るような行政改革すべしという声が私はほうはいと起こってくると思います。その覚悟を総理初め閣僚はしてくださいと。今回の財政構造改革五原則の中での来年度予算の案で事足れりと思ったら大間違いですよと。これからこれだけ予算を切り詰めるんだから、ほかの行政改革と、そしてさらには、ただただ予算を前年度よりマイナスにすれば経済がうまくいくのか、国債の発行さえ減らせば経済成長が期待できるのかというと、そうでもない。まず、経済成長を促すような経済体制にしない限りは福祉にもお金が行かないんだから、ただ予算をマイナスにすればいいというものじゃないと。行政改革と経済成長を促すような民間活力を発揮させるような経済改革を同時に行ってくれということを私は臨時閣議でも申し述べたわけであります。
その方向で行くということでありますので、私は、これだけの大きな改革でありますから、改革をすれば国民には痛みがないんだという誤解があると思いますが、これだけの借金体質を直すためには当然すべてが痛みを伴うのであります。その中で、より一層全般にわたる行政改革、経済改革が必要ではないかと。それに向かって社会保障改革をすると同時に、そのような改革にも政府一体で取り組めるように国務大臣として微力を注いでいきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/63
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064・塩崎恭久
○塩崎恭久君 自民党の塩崎恭久でございます。
〔委員長退席、理事尾辻秀久君着席〕
今、田浦議員の方からさきの財政構造改革会議の「推進方策」に関連して御質問があったわけでございますが、私も前回老人保健制度を取り上げさせていただきましたので、今回はこの財政構造改革の中でも出ております医療提供体制、特に病床数の問題、それから医師の数の問題、この二つに絞ってきょうはお話を聞かせていただきたいと思います。
先月、五月でございますけれども、国民健康保険中央会が、全国で老人医療費が長野県が一番低い、何でなんだろうかということでレポートを出しております。市町村における医療費の背景要因に関する研究会の報告書でございます。
ここにちょうど信濃毎日新聞の五月七日の記事がございまして、「全国で最低 長野県の老人医療費 在宅ケアが充実」、「元気に生き抜き病まずに死ぬ 信州の高齢者像浮かぶ」と。今井先生おられますけれども、何も全部が全部長野県でいいわけではないのだろうと思いますけれども、この国保中央会の調査の結果では大変理想的な県の一つだということで分析がなされているわけでございます。その中に、在宅、地域医療が充実している、入院日数が短い、それから在宅で亡くなられる方が多い、そして家庭の機能が保たれていて保健活動や社会教育が活発だというのが結論であるようでございまして、まさに今申し上げた医療提供体制に深くかかわっている点について参考になる点がたくさんあるのかなというふうに思うわけでございます。
中身に入りたいと思いますけれども、医療費の分析、つまり今回この健康保険法を改正して国民の負担を、余り好ましいとは思いませんけれども、やむを得ず上げざるを得ないというのは、当然この医療費が上がってきていると、医療費が上がることがいい悪いはまたこれは別問題だろうと思いますが、それが原因だということで、それを何とか抑えなきゃいけないということでいろいろな構造改革をこれからやろうと言っているわけでございます。
今まで医療に関する分析というのは、私も実は経済分析をかつてやっておりましたので多少聞きかじり程度にはそういう知識は、分析方法についてはあるわけでございますが、どうもこの医療の分析を経済学的といいましょうか、そういう科学的に分析をきちっと統計的にされてきている文献とかそういうのほかっては余りなかったなと。最近は大分そういうのが出てまいりまして、恐らく経済官庁の人たちにもわかりやすい医療の分析、医療経済の分析というのがなされるようになってきたのではないかなというふうに思うわけでございますが、この医療費が何が原因でふえてきているのかというきちっとした経済分析を見たいなと思って幾つか当たってみるわけでございますが、分析の仕方としてはどうも今のところ二つやり方があって、一つは診療行為別に分けていく、それからもう一つは医療機関でのコストで分けていくという二つの大きなやり方があるんだろうと思うんです。
今ここで医療提供体制ということで診療行為別に見てみると、かつて厚生省におられて今は千葉大にいる前回も取り上げました広井さんの分析などを見ますと、何が増加寄与度が高いかというのが時代とともに変わってきているわけですね。かつては例えば検査が非常に増加寄与度が高かったときもありますし、昨今は入院というのが大変寄与度が高いんですね。
これは厚生省が出してきた数字でございますけれども、平成二年と平成六年を昭和六十年と比較してみますと、平成二年の時点での昭和六十年からの増加寄与度で見ても、全体が一〇〇%として入院というのが三六・六%、それから次が投薬、薬ですね、先ほどいろいろ質問が出てまいりました。その次が処置という項目でございます。これが平成六年になっても入院というのが三七・六%、それから次が投薬、やっぱり薬。やはり入院と薬というところが非常にウエートが高くなっているわけでございます。
この入院費というのは何かというと、看護料、室料、給食費あるいは入院時医学管理料、こういうマンパワーと、あと医療施設の資本関係コストということになっているわけでございます。
これは何で入院費がふえちゃっているんだろうかということをいろいろ考えてみると、定性的に考えれば慢性疾患がふえてきて疾病構造が変わってきているということが一つと、あとは老人医療のシェアが高くなってきている、つまりケアの部分が非常に多くなってきているということなので一概にこの入院費を何でもかんでも抑え込めといったって、それはなかなか難しいところはあるんだろうと思います。
次に、入院医療費と病床数、あるいは入院医療費と平均在院日数、こういうのを比べてみると、やはりベッドの数というのが多いと当然入院医療費というのはふえてくると。これは分析を見ますと、相関係数などを出してみると〇・八九八とかなり相関度が高い。それから、平均在院日数というのも〇・七八、これも相関係数が大変高いということでありますから、やっぱり状況証拠としてこのベッドの数というのと医療費のふえ方というのはかなり関係があるなということを結論づけられるんだろうと思うんです。
じゃ、これを過剰と見るのかどうかということを聞きたいわけでありますけれども、外国の例を見てみますと、これは改めて私も拝見をして、こんなに日本というのはベッドが多くて、また入院をしている平均日数というのが長いのかなということを思ったわけでございます。例えば、まずベッドの数でいくと大体五割増しか倍、それから平均在院日数でいくと倍から三倍ということでございまして、随分外国と違うんだなと。これはいいか悪いか、これもまた別問題でありますが、そういう差があるわけでございます。
そういうことで、改めて聞きますけれども、今、厚生省としてこのような状況をどう考えているのか、お話を聞きたいと思います。あわせて、これからどうするんだという基本的な取り組み姿勢についても一緒にお答えをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/64
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065・谷修一
○政府委員(谷修一君) 今お話ございましたように、我が国の病院の病床数の現状につきましては、諸外国と比べても多いということはおっしゃるとおりでございます。人口千人当たりで申しますと、日本の場合は十五・七というような数字でございますが、例えばドイツの場合には十、アメリカの場合には四・四というような形で、病床数は諸外国と比べても多いというふうに認識をしています。
一方、我が国として見た場合、病床全体が過剰なのかどうかということでございますが、これは医療法に基づきます医療計画におきまして必要病床数というものを算定しておりますけれども、平成八年の三月末で全国的に見た場合、必要病床数は約百二十万床というふうに計算をしております。これは結核病床等を除いたいわゆる一般病床ということで申し上げますが、現在あります病床は百二十五・三万床ということでございまして、国全体として見た場合には約五万床が過剰だというふうに計算上なります。
一方、これはそれぞれの医療圏ごとの数字を積み上げたものでございますので、現在三百四十四ある医療圏のうち百三十一の医療圏において病床が過剰だということでございまして、したがって地域別に見れば約二百程度の病床が非過剰の地域というようなことで地域的なばらつきがあるというふうに考えております。
また、入院日数のこともお触れになりましたけれども、入院日数につきましても、年々若干ずつ減少はしてきておりますが、諸外国に比べた場合、非常に長いというようなことでございます。
医療費との関係のお話もございましたけれども、お触れになりましたように、病床数なり入院日数、それから病床数と医療費との相関は非常に強いということは指摘をされているとおりでございます。医療の場合には供給が需要を喚起すると、これは一般的な経済学の上では、一般論としては否定をされているというふうに聞いておりますが、医療の場合には供給が需要を喚起するということが、実証的に経験的にはそういうことが経済学者の話の中でも証明をされているというか、ある程度実証されているというふうに承知をしております。
〔理事尾辻秀久君退席、委員長着席〕
この病床数の問題につきましては、現在、地域医療計画に基づく対策をとっておりますけれども、今後この過剰な病床数については病床の算定方式というようなことも含めて全体として改めて見直しをしていく必要があるというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/65
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066・塩崎恭久
○塩崎恭久君 ありがとうございました。
供給が需要を喚起するというお話がございました。
そこで、今、必要病床数の算定式を見直すんだというお話がございましたけれども、これについてちょっと触れてみたいと思います。
よく批判をされるのは、この算定方式の中で、いわゆる流出加算と呼ばれているその地域の外に行っちゃっている患者さんを上限を設けながらカウントしていくということについて批判を受けるときがあるわけでありますが、このいわば現状追認的な今のやり方ということについてどう考えるのか。そのほか入院率とか病床の利用率についても厚生省がお決めになるでしょうが、そういうものもございますし、特に流出加算については地域すべてにわたってダブルカウンティングされているんじゃないかというお話があるわけでございまして、外国の例でどういうことをやっているのかということも含めて、ドイツなどでは平均在院日数を短縮するといういわば政策誘導的な要素を加味しながらカウントしているんだということを聞いたことがあるわけでございますが、今のこうしたやや現状追認的なやり方について、あるべき算定方式の姿としてどういうふうに厚生省は今考えておられるのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/66
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067・谷修一
○政府委員(谷修一君) まず、現在の算定方式でございますが、今、先生お触れになりましたように、これは国として統一的なガイドラインといいますか、そういうものを示して、それに基づいて各県ごとに患者の実態あるいは入院の実態等を踏まえて計数を定めるというような形でやっております。
具体的なお話として、流出加算といいますか、そのことについてございました。これは、流出患者についてのカウント、それから逆にその地域へ入ってくる流入患者についてのカウント、これをあわせてやっております。それから、当然のことながら、その地域の入院率ですとかあるいは全国的な平均在院日数、そういうものを勘案して現在の基準を定めておりますけれども、この算定方式そのものについて今の先生のお話も含めて幾つかの御意見が出ております。
そういうことで、私どもとしてはこの算定方式の問題、それから現在の必要病床数の枠の中で例えば急性期の病床と慢性期の病床というような形に分けていくとか、そういうようなことも含めて算定方式の見直しについては検討していきたいというふうに思っております。
なお、病床利用率について先生ちょっとお触れになりましたけれども、個別の個々の病院、いわゆる必要病床数というのは個別の病院についての病床数を決めているわけではございませんので、もし先生がおっしゃったのがいわゆる病床利用率が個別の病院ごとの病床利用率ということであるならば、それはなかなかそれを算定式に入れるというのは難しいんじゃないかというふうに考えておりますが、地域全体の病床利用率あるいは全国的な病床利用率あるいは平均在院日数というようなものは当然加味をしていく必要があるというふうに考えております。
それから、諸外国での例でございますけれども、私どもが調べた範囲では、例えばフランスですとかドイツにおいて、全く同じかどうかわかりませんけれども、病院病床の規制という観点から、例えばフランスにおいては保健地図というんですか、そういうものをつくって、これも資料を見る限りはやはり圏域を定めてその圏域ごとに入院患者数ですとか入院日数、平均在院日数、あるいは病床利用率等を勘案して必要病床数を定めるといったような形でやっているように思います。それから、ドイツにつきましては各州ごとにやるということで日本のような形での地域という概念はないようでございますが、各州ごとに病院需要計画というものを定めているといったようなことがございます。ただ、具体的な病院病床の算定方式については現在のところちょっとまだ把握をしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/67
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068・塩崎恭久
○塩崎恭久君 後で聞こうと思っていた個別の病院ごとのベッドの数をどうするのかという話が局長の方から先に出ちゃったのでそこにちょっと飛ぶと、今お話があったように、この病床数は医療圏で決めていくわけですね。ですけれども、問題は中でどうなのかということだろうと思うんです。
ただ、これは既にベッドを持っておられる病院の方々の言ってみれば権利にもかかわるような問題でありますから大変難しいことは言うまでもないわけですけれども、例えば一つの地域の中で、といっても私の地元でも改めて今回拝見しましたけれども、昔の中選挙区ぐらいのでかい広さなんですね、その中で、私どもはそれこそ山口県境から高知県境ぐらいまで、島から山のてっぺんまで、それが全部一つの医療圏になっているわけでありますが、当然のことながら地域の中でもいろいろなでこぼこがあるわけですね。また、五年に一遍ぐらいは見直さなきゃいけないことになっていますけれども、どうしてもその中で足りないところと余っちゃっているところが必ず出てくると思うんですよ。
そこで、その辺をどういうふうに調整してよりフレキシブルなものにしていくのかということが大事であるのではないかなというふうに思いますし、例えば問題は稼働率といいましょうか、が低い病院をどうするのか。別につくりたい、しかし地域全体としてはもう目いっぱいよということがあると思うんですね。そうなると、こういう医療をやりたい、例えば僻地で医療をやりたい、病院を新しくつくりたいといってもだめですよということになるといけない。それは特別加算というのがあったような気がいたしますけれども、そういうのに代表されるような、例えば若いお医者さん、が新しいことをやってみたい、あるいは患者さんの特別なニーズに沿ってやりたいというときにできないようでは、やる気のあるお医者さんが新たな病院をやろう、あるいは病院に何かを追加しょうというときにうまくできないんじゃないかなというふうに思うわけであって、その辺の硬直性、個々の病院について、この辺についてどうするのか。例の九項目の特例というのがたしか病院規制の見直しの中で、現行制度の九つの特例に参入をさらに見直すということを決めているようでありますけれども、これについて厚生省はどういうふうに、見直すという方向はわかりますが、どういうふうにしようとしているのか、少し具体的にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/68
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069・谷修一
○政府委員(谷修一君) 確かに現在の医療計画というものは全体として病床を抑制していくという形でございますが、一方、病床過剰地域におきます、今、先生のお話の中の前半で触れられました過剰地域の中での抑制策というのは、現実には現在あるベッドを減らすという方策はないということが一つ。
それからもう一つは、後段でお触れになりましたように、過剰地域では当然のことながら新たな病床は事実上許可をされないということでございますから、意欲を持ってやろうという方たちの参入を規制するという形になっているということはそのとおりでございます。
この問題につきましては規制緩和小委員会の中でもいろいろ御議論がございまして、必要病床数の枠の中で何か新陳代謝が図られるような、いわゆる幾つかの特例的な事項というのがございますが、特例的な事項の参入ということも含めて見直しの検討をしたらどうかという御意見、それからあわせて、先ほどもちょっと触れましたけれども、病床を急性期の病床と慢性期病床に区分するということを検討したらどうかというような御意見もいただいております。
ただ、この問題は全体としてはいわゆる医療費との関係で必要病床数を、病床数全体を抑制していく、そういうことの中でのことでございますので、現在の特例病床の取り扱いということも含めて今後全体の見直しの中で検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/69
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070・塩崎恭久
○塩崎恭久君 この問題は後で大臣にもお答えをいただきたいなと思うんですが、要は新しくやりたい、いいことですね。意欲がある人を生かしていい医療をしたいといってもなかなかできないと、しかしそれについては特例的に認めていきましょうというのは結構だと思うんです。それはどんどんやってもらいたいと思うんです。
問題は、もう古くて新しい問題ですが、既得権益として持っているベッドをどうするか、それをどうするかの答えがなければ、ちょろちょろふやしたって、冒頭言ったように、やっぱりベッドの数と医療費は深い相関関係にあるということでありますから何らの解決にならないということでありますから、その辺をどうするかは大変難しい問題だということはわかりますけれども、よく考えていただかなければいけないということで、後でまた大臣にもお答えいただきたいと思うんです。
もう一つ、過去十年間の病床数の変化なんかを見ますと、民間病院の病床数はやや減ってきている、ところが公的病院の病床数は逆にふえているじゃないかと。今、行革あるいは民活の時代で公的病院、それは政策医療という意味ではそういうところはぜひ頑張ってもらわなきゃいかぬと思うんですが、民間ではペイしないということがありますからそれはいいんですけれども、一般の医療についても公的病院の病床がふえているとすればこれは大変問題じゃないかなというふうに思うわけでございまして、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/70
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071・谷修一
○政府委員(谷修一君) 病院開設者別に見た病床数でございますが、これは毎年十月一日現在の病院報告、医療施設調査等によって統計がございます。
確かに毎年のあれを見ますと、今おっしゃるように、公的医療機関については若干ずつ微増をしていると、〇・何%というあれでございますが。個人病院については減少しております。ただ、個人病院は減少しておりますが、医療法人はふえているわけでございます。
この表の見方もいろいろだと思いますけれども、例えば平成元年と平成七年を比較しますと、公的な医療機関、これが平成元年が約三十四万五千床、平成七年が三十五万五千床、約一万床ふえています。医療法人と個人を足した民間医療機関につきましては、平成元年が約九十万床、それから平成七年も九十万床ということでありますので、若干のあれはあると思いますけれども、全体としてはほぼ横ばいなんじゃないだろうかと。
それから、これはもうちょっと詳しく分析しなきゃいけませんけれども、恐らく個人立の病院の中で医療法人に転換をするという形で個人が減少し医療法人がふえるという形のものが相当数あるんじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/71
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072・塩崎恭久
○塩崎恭久君 いずれにしても、公的病院というのは、民間でできるものについてはやっぱり民間に譲るというのが原則だろうと思うので、その点についてはちゃんとやってもらいたいと思います。
この問題について最後に大臣にお伺いして次の問題にいきたいと思うんですが、今の病床の問題、既得権益の問題も含めてでございますが、大臣の御所見、ひとつ簡単にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/72
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073・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) これからの抜本改革に当たっては、医療保険制度のみならず医療提供体制も並行して見直していきますから、この中で病床数については地域差を配慮しながらも全体としていかに削減をしていくか、この点につきましても削減の方向で見直しを進めていきたいというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/73
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074・塩崎恭久
○塩崎恭久君 時間がないので、お医者さんの数の問題について、もう質問をすっ飛ばして大臣にいきなり聞こうと思います。
言うまでもなく、医科、歯科ともに少しずつ抑えていこうということでやってまいりました。歯科の方は二〇%目標を大体もう達成しているにもかかわらず、医科の方は平成七年までに一〇%ぐらい削減しようということだったんですが、七・八%ということですからまだ道半ばと、こういうことでございます。
それで、今回の財政構造改革会議の中にも、「医学部定員の削減に取り組む。あわせて、医師国家試験の合格者数を抑制する等の措置により医療提供体制の合理化を図る。」と、こういうふうに書いてあるわけでございます。医学部に入って一生懸命勉強しておられる学生さんにとってみると、国家試験の合格者数を抑制するということになると夢が少し小さくなつちゃうなということで私ども自民党の社会部会でも反対の意見も出ておりました。
しかし、これは評価の分かれるところで、先ほどの数字を見てみても、やはり学校によって、減らせといってもなかなか、それは私学なんかの場合にはそれは自由でありますから急に減らせといったってできないということもありましょう。ですから、当然、国家試験の合格者数を削るという考え方が出てくるのもおかしくないし、司法試験のように数を設定して減らす、今は何かある一定点数いけば合格とするという格好になっているようでありますけれども、その辺を変えようという話であります。
最後に大臣、この点をどういうふうにお考えになって、どういうふうにしょうとしているのか。合格者数を抑制するということについてもお答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/74
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075・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) お医者さんの数を減らすということも問題なんですが、お医者さんの資質を向上させるということも問題だと思うんです。
当面、お医者さんの数を減らす場合、今言ったような、数を決めますと、医学部とは何なのかという御批判も出ています。それから、定年制を導入しようという意見もありますが、これもまた今いろいろな、賛否両論があります。
しかしながら、この点は今後の議論を待たないと、今こうやりますとは言えませんが、すべて今までの意見を検討の俎上にのせて結論を出したいと。今この場でどうやるとは言えません。どっちにしても賛否両論ありますけれども、結論は出さなきゃなりませんから、どうやったら削減できるか、いい方法を考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/75
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076・塩崎恭久
○塩崎恭久君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/76
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077・上山和人
○委員長(上山和人君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
午前十一時五十七分休憩
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午後一時一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/77
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078・上山和人
○委員長(上山和人君) ただいまから厚生委員会を再開いたします。
この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、菅野壽君が委員を辞任され、その補欠として瀬谷英行君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/78
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079・上山和人
○委員長(上山和人君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/79
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080・上山和人
○委員長(上山和人君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に瀬谷英行君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/80
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081・上山和人
○委員長(上山和人君) 休憩前に引き続き、健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/81
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082・水島裕
○水島裕君 私も、財政構造改革の推進案を拝見いたしまして、社会保障も含めてこのようなことが実現すれば借金のない国になるということで、ぜひ頑張ってやっていただきたいと思います。これからの話も財政改革や行政改革につながるところが多いかと思いますので、どうぞ前向きの御答弁をいただければと思います。
まず第一は、先週の質疑に続く形で恐縮でございますけれども、これも将来の薬代を減らすということに役に立つ一般名処方を可能にするためのコピー商品の品質を確保すべきではないかということで、後で業務局長の方から御答弁いただきたいのは、抜き取り検査などのことを十分やる、それでそういうことがうまくいかない会社はいわゆるゾロ商品はつくらないようにしたらどうかということでございます。私どもよりかあるいは大臣のように余り業務行政に毒されていない方の方がかえってよくおわかりになるんじゃないかと思いますので、また御答弁もいただければというふうに思います。
この間は錠剤を飲んでも余り吸収されないものもあるというお話をしまして、業務局長が御答弁のように、最近は溶出試験その他でもってそういうものはぐっと減ってきたと思いますけれども、まだまだ多くの問題点があります。
それで、あるいは大臣のお手元の方にも行っているかとも思いますけれども、十年ぐらい前ですか、生体成分の薬が世に出たわけでございます。それが恐らく先発権がなくなったためだと思いますけれども、おととしあたりからそれのゾロ商品、全く同じ薬が去年とおととしで十六と二十一ですから何と三十七出たわけでございます。これは注射薬でございますので、厚生省のGMPというきちんとつくらなくちゃいけないという指導のもとにつくりますと、結構大変なお金がかかるわけでございますね、三十七社が。この薬は、名前言わないからよろしいかと思いますけれども、余り効かない薬ということになっている。多少は効くかもしれませんけれども、それほど効果はないという薬を非常に大きなお金をかけてそういう会社がつくっているということがまず第一。
それから第二は、これは業務局の方に行っていると思いますけれども、私もよく知っております西日本のある教授でございますけれども、その方が、今三十七あるうちの十ぐらいについてエンドトキシン、いわゆる薬をつくるときに不純物が入ったか、不潔な操作があったかどうかというものの指標の一つになると思いますし、まかり間違えば細菌が入っているということになるんですけれども、それを調べてみましたところ、AからJまでをやっていきますと、後から出てきた後発品のものはみんなけた違いにこのエンドトキシンが多いわけですね。ですから、少なくとも品質がどちらかといえば悪くなったわけで、エンドトキシンがふえても大した問題がないという考えもございますけれども、中にはやはりそれで感染性の関節炎、これは関節に注射する薬で、そんなことを言っているとだんだんわかっちゃいますけれども、感染性の関節炎、副作用も起きてきたということでございます。
それから、このゾロが出たときのメリットというのは何かというと薬価が下がることで、薬代が全体に抑えられるということで、確かに薬価は下がったのでございますけれども、売上高はゾロ開発前が千百万本、ゾロ開発後が千三百万本ということでございますので、薬価がちょっと下がってもまだ結構売れているということで、そのメリットも十分に発揮していない。
それから、ゾロめ会社がつくるものだから情報が悪いとか安定供給が悪いとかいうことでありまして、どうもこういう薬代を何とか減らそうとかスマートにしようというときに、特に生体成分あるいは注射薬で三十七もゾロが出てくるということはどこから見ても問題、将来トータルの薬価が、薬代が少し安くなるということはきっとあるんでしょうけれども、それだったら何か別な方法があるものだと、日本全体で損しているという感じでございます。
これについて、この間お尋ねしたことも含めて、まず業務局長から、あるいは大臣から何か御感想があったらお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/82
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083・丸山晴男
○政府委員(丸山晴男君) 後発薬につきましての承認の問題、またエンドトキシンという毒性試験の基準と規格の絡みのお話でございます。
後発品の承認に際しましては、当然でございますけれども、先発既承認品目との有効成分、用法・用量、効能・効果、これの同一性を調査し、加えて生物学的同等性試験、すなわち人に投与して有効成分の吸収が同一であるかどうかということを確認した上で承認を出しておりまして、加えて技術進歩に伴いまして、溶け出す度合いといいますか、徐放性試験を加えまして、より品質の同等性を担保しているということでやっておるところでございます。
お話に出ましたエンドトキシン含量につきましては、実は先発品の承認後に規格についての一部変更がございまして、その関係で既に後発品が申請をしているものの中でその規格をその段階では満たしておらなかったというものもございまして、後発品が出た後、先発品が一部変更をしたときに後発品も同じように一部変更を指導するということでやっておるわけでございますけれども、それが必ずしも十分でなかったということで、現在は全部規格どおりのものにしておりますので問題はございません。また、そういったことが起きないように、今お話がございました、抜き取りというふうに言っておりますが、私ども薬事監視でその実際の製造段階を確認いたしまして、さらに毎年特定の製品を指定して一斉収去を行って、国立衛生試験所でございますとか各県の衛生試験所で実地に試験をしまして、不適合のものが万が一ありますれば回収等の措置を行っているところでございます。
こういった薬事監視、また既承認薬につきましても再評価の際の溶出試験ということで十分規格の同一性を担保し、有効性、安全性のある医薬品が販売されるように十分指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/83
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084・水島裕
○水島裕君 そういう細かいことはいいんですけれども、要するにそれほど効果がなくて、それから値段の高い薬が特許切れとか先発期限切れになったときに三十七も同じものがばっと、本当にこれは最近の話ですから、出てきて、品質もどうも当てにならないというような、行政自体をもう一度やはり見直さないと、最終的に一般名処方とかいろいろなことを将来改革をするときにこういうことを認めていたらどうにもならなくなるというふうに思いますので、ひとつさらに御検討いただきたいと思います。
それから次は、この間もお話ししました治験のことでございます。
御存じのように、これは橋本総理も本会議の答弁で、すぐれた、画期的な医薬品開発というのは日本にとっても必要であるし、また日本人に、日本国に向く産業でもあるので、これは全面的に支援したいということを総理もおっしゃっておりますし、私も全く同感なのでございます。
そのためには、一つが製薬会社を中心とする前臨床試験と、あとは臨床試験、医療機関で行う臨床試験でございます。
この間は厚生省にお尋ねしましたので、きょうは主として文部省にお尋ねいたしたいと思います。
文部省は、この厚生委員会の質疑あるいは学会の要望等を非常によく前向きに対応していただいて、時々私も厚生省よりか文部省の方がこのごろ話がよくわかるようになったと申しているわけでございます。この治験に関しましては国立大学附属病院の治験取り扱い規定でございますか、を出していただきまして、前向きと言えば前向き、特に兼業を認めるとかということではいいんですけれども、実際あのとおりやっていくと、まだまだうまくいかないんですね。
細かいことはまた学会あるいは製薬その他でディスカッションするとしまして、この間も多少申し上げたんですけれども、今どうしても人類あるいは日本人のためにやらなくちゃならない治験があるというときに、臨床試験は大体一つの項目で四つぐらいやればいいわけなんです。そのうちの一つが幾らかかるかと申しますと、一億円から二億円は楽にかかる、トータルとして百億と申しますからもう当然なわけでございますね。
この間、私どもも関係しているそういう一つの試験をイギリス、これは決して途上国ではなくて医学先進国でございますが、イギリスに頼みまして、ちょうど五十万ポンドですから大体一億円でございますね、ちょうど一億円払いましたら、払ったというかお願いいたしましたら、あとは何も言わなくても一つの臨床試験が日本の臨床試験と違って脱落もなければ違反もない、もちろんGCPにものっとっているきれいなデータが出まして、しかもこれは循環器の薬だったわけでございますけれども、循環器のインターナショナルのジャーナル、国際誌ではトップの「サーキュレーション」という雑誌がありますけれども、それにも投稿してこの間パブリッシュになったばかりなんです。ですから、もう日本の会社としては願ったりかなったりということでございますけれども、そういうことを日本で今やろうと思っても全然うまくいかないわけでございますね。
ですから、細かいことは後で個々言うことはたくさんございますけれども抜きにしまして、やはりこの間の前向きの取り扱い規定であってもどうもうまくいかない。日本は外国に比べて国立大学ばかりが多くて、それでうまくいかないというんだったらしょうがないんですけれども、そうでもないわけでございます。公務員の方には非常に優秀な方がたくさんいらっしゃるわけでございますので、そういう方の手伝いはどうしても必要であるということになりますと、私が申し上げているのも本当に超倫理的にいきますと一〇〇%合っているというわけじゃないとは思いますけれども、ともかくこのままでは先ほど申しました非常に大切な治験が全部外国に行って空洞化してしまうという状況でございますので、ひとつ文部省の方のお考えをまずお聞きしたいと思います。
ですから、そういうのをもう一回検討するところがあるかどうか。もう一つは、私大が多少フレキシブルにできるわけでございますので、それぞれの大学でいろいろ取り決めをつくって、外部から見て疑惑が持たれてはもちろん困るわけでございますけれども、そういうことがないように規約をつくればかなりフレキシブルに行っていいかどうか、その二点お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/84
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085・寺脇研
○説明員(寺脇研君) 委員御指摘のとおり、治験につきまして私どもいろいろ頭を悩ますわけでございますけれども、先般、御承知のように、国立大学附属病院における治験の取り扱いについて一応のルールをつくったわけでございます。
本当はもっと治験が自由闊達に行われるような雰囲気をつくっていくというのは大切なことだと思うわけなのでございますが、大変私どもの不徳のいたすところでございまして、国立大学附属病院で幾つかの不祥事が起こったというようなことがございましたり、また私どもが国民の皆さんに治験がどういう意味を持つのか、治験というのはこういうことでやるんだということの大学病院を受診される患者さんたちへの説明も不十分だったというようなこともございます。また、昨今、公務員倫理ということが特に強く求められているというような諸事情がございまして、先般つくりましたルールというのはかなり厳しい形で運用をするようにしておるわけでございます。そのために、御指摘のように、治験が自由闊達に行われにくいというようなこともございます。
また、私立の大学附属病院の場合は、公務員ではないというようなことから、国立大学に比べますとかなり裁量の幅のあるやり方でできるというような、同じ大学病院でありながら国立と私立ては違ってくるというようなことが出てまいっておるところでございます。
私ども今ルールを決めてスタートしたばかりのところでございますが、それを運用していく上でのいろんな問題点等が出てまいればまたそのことは再び考えてまいらなければなりません。また同時に、私どもが襟を正すだけではなしに、国民の皆さんに大学病院で行われる薬品の治験というものはどのような性質のものなのかということを知っていただく努力をしなければならないと思っておるわけでございます。従来、大学病院で行っている治験がすばらしいことだというのはもう自明のことだというような考え方もあって余りPRをしていなかった、そのために治験のいわゆる陰の部分と申しますか、不祥事が起こったときのことだけが国民の皆さんの耳目に届くというようなことになってまいりまして非常な不信を招いていたことが今回非常に厳しいルールづくりということになったわけでございます。
そこで、文部省といたしましては、ルールをつくることと並行いたしまして、大学病院で行われます治験の意義というものにつきまして、現在、すべての国民の皆さんに御理解いただけますような内容の。パンフレットを作成いたしておりまして、各国立大学附属病院を通しまして広く国民の皆さんに大学病院で行われる治験というのはこういう目的のために行われているんだと、委員御指摘がございましたように、世界の医学の進歩にこのように貢献しているんだと、またそれは十分なインフォームド・コンセントのもとに行っていくんだということ等々の御理解を求めるPR活動を積極的に進めてまいりたいと思うわけでございます。
そういった意味で、今御指摘がございましたように、今後このままずっとこのルールを絶対に変えずにやっていくのかということでございますが、今後のそういった国民の皆様の大学病院における治験への御理解が深まっていく状況が出てくるということが、将来そうなりますように努力をいたしまして、また今のルールに基づいて行っていった際の問題点等についても見直していくというような考え方の中で、現場の先生方の御意見に十分耳を傾けながら、よりよい治験のルールづくりということに努力をさせていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/85
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086・水島裕
○水島裕君 PRはぜひしていただいて、大学でやっている治験がすばらしいことというのは実はだれも思っていないので、みんな何か悪いことでもしているんじゃないかというのがもう世間の一般的な目でございます。
それから、私は国立大学と私立大学、両方とも勤めましたけれども、お医者さんの気分としては、今いろんなことを言うから国立病院はちょっとやばいとかと言う人はいますけれども、国立大学も私立大学も医者の使命というのは大体同じようなことでやっていて、向こうは公務員としてやっている、こちらは私大でやっている、そういう感じじゃないわけで、その二つに余り差がつきますとこれはまた医学の中で相当混乱が出てきますので、その点もよろしくお願いいたします。いずれにしましても、空洞化ということはぜひ避けたいと思います。
厚生省の業務局の方にもお尋ねしたいのは、今、治験のモデル事業を日本で二カ所行っておりますね。ですから、そういうところではいろんな条件を、もちろんGCPとか法律を犯してはいけませんけれども、いろんな条件でやってみて、こういう方法だったらうまくいきそうだというのをモデル事業できちんとやっていただくとよろしいと思いますが、その辺はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/86
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087・丸山晴男
○政府委員(丸山晴男君) 今お話しの治験の実施基準の適正運用推進モデル事業を平成八年度から二つの立派な病院でやっていただいております。その中で幾つかの具体的な検討事項をお願いしておりまして、治験を円滑、適正に実施していくための体制のあり方、特に、医師のみならず薬剤師、看護婦などが協力して治験を支援する体制をつくっていくにはどうしたらいいか、また治験薬を一元的に管理する体制をつくっていくにはどうしたらいいか、その他体制の問題、また被験者への文書による説明と同意の具体的な仕方の問題、また被験者に対する治療面でのサービスの充実などの被験者のメリットの問題、また各治験実施医療機関でつくります治験審査実施委員会におきます適正な運営の問題、またモニタリングや監査についての方法の問題等々具体的な検討事項盛りだくさんでございまして、これらにつきましていわば先行的に試行的な事柄も含めましてモデル事業としていろいろ試みていただきまして、今後のモデルになるような具体的な基準と具体的な内容をつくっていきたいということでございます。
特に、最近における各治験実施機関におけるいわゆる治験にまつわる問題というのはどうしても費用の問題がございまして、そこにつきましても透明化していくというようなこともしながら、また算定モデルもありますので、それの具体的な適用についてもぜひこの中で検討していただきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/87
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088・水島裕
○水島裕君 この治験というのは、本当にゼロになつちゃうか百点かというようなことでございますので、それを一番左右しているのは何かといいますと、医療スタッフ、医師のこれまでの知識、能力あるいは非常に膨大なノウハウというのが関係するわけでございますから、それに対する評価がないというのはもう仕事がうまくいかなくてもいいというようなことに等しいんじゃないかと思います。やはり、だれにも文句を言われないような悪い試験だったら幾ら行われてもいいというのじゃなくて、目的にかなう試験ができるようにいろいろ配慮をしないと元も子もないと思います。
それでは次に、適応外使用のことで、この間も申しましたように、医師全部がスピード違反を犯しているようなことではないかということでディスカッションしましたけれども、その際、私ども臨床薬理学会で専門家から集めたデータを厚生省の方にお渡ししておりますので、それについてのコメントをぜひいただきたいと思います。なるだけ簡単にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/88
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089・丸山晴男
○政府委員(丸山晴男君) 医薬品の適応外使用、適応症の追加の問題につきましては、有効性、安全性の評価の問題が大前提でございますので、今お話しの臨床薬理学会からの追加が望まれる医薬品のリストも私ども入手をしているところでございます。
また、難病研究班におきます適応外使用のガイドラインにおきましてもそういった適応外での医薬品の事例もございますので、それらにつきまして協力していただける専門医の方に対しまして、外国での適応状況、また適応拡大や有効性の根拠となっているデータ等につきまして調査をさせていただきながらこの問題にも積極的に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/89
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090・水島裕
○水島裕君 もう少し前向きの御答弁をいただけるとありがたいんですけれども、ただ時間だけを使っているというような答弁のような気もいたしますけれども、ひとつこちらの真意を理解していただいて、いろいろ検討、行政を進めていただければというふうに思います。
それでは次に、効き目が薄いのではないか、もしかしたらむだな薬ではないかというものがかなりありそうだということを取り上げたいと思います。というのは、薬代が高くてしょうがないといっても、まず第一は効かない薬がなくなればそれだけでもいいわけでございます。
御存じの方もあると思いますけれども、週刊読売の一月十九日号に木村という人が海外では評価が低い、つまり余り効かないのじゃないかという薬のリストをつくって出しまして、これは引用されるときは効かない薬のリストということになって、そこの中に入った薬の会社は非常に迷惑がっているわけでございます。
私どもが見ますと、その中には明らかに効く薬もございますけれども、かなりの部分はこの方の意見に近いものであります。例えば、私どもの専門に近いところですと消炎酵素剤なんというのがありますけれども、あれは口から飲んでも千分の一も吸収されないぐらいでとても効果がありそうにもないというのがトータルだと二百億ぐらいまだ売れているわけでございます。
それで、この週刊読売に出た薬の中で年間百億円以上売れているものだけ、余りたくさんお願いしても御迷惑だと思いまして、そういうものだけを厚生省の方で売上高を調べていただきました。それを全部足しますと五千億円になるんです。どこかで聞いた数字だと思いましたら、先ほど八千億を三千億に、五千億減らすのが本当に減らせるかどうかということでありますので、この薬だけそのまま減らせばちょうど五千億浮くわけでございます。
見ますと、先ほど申しましたように、この中には効く薬もございますけれども、百億円以下の薬は計算しておりませんし、ここに書いていない薬でもほとんど効かないのじゃないかと思う薬は結構ありますので五千億から一兆円の間ぐらいの薬は、全然効かないとは言わないけれども、あってもなくても余り変わりがないような薬ではないかというふうに思います。こういうことを言うと皆様方ショックだと思いますけれども、本当に近いというふうに思います。
その一つの例は、これも十年ぐらい前で恐縮ですけれども、日本では抗がん剤が結構売れているんですね。その第一位、第二位、第三位は欧米諸国では全然売れていないわけでございます。つまり、日本だけしか使っていない薬が日本のがん市場の一位、二位、三位を独占しているわけであります。それで、口の悪い人がそれほど日本でいい薬が出て日本がそれだけ使っているんだったら日本のがん患者は少しは治るようになっているんですかと。そうじゃなくて、日本の方ががん患者が少し多いぐらいで、しかも予後も一つも変わらないということでございますから、そういう日本で
一位、二位、三位のものを売っても売らなくても、ほかの外国の薬でもいいわけでございますということで、どうも大部分は合っているんじゃないかというふうに思います。
といっても、なかなか一回許可したものを取り消すというのも大変でしょうから、そこをひとつ厚生省にお伺いしたいのは、再評価をもう少し厳密にやるということですね。その一つとして、日本で十年も十五年もあるいは二十年も売れているんだけれども外国が一向に見向きもしない、というのはほとんど役にたたない薬、そういう薬はやはり再評価を厳しくしたらどうかというのが一つ。
それから、今のままの薬価制度でしたらまたいろいろ考えなくちゃいけないんですけれども、今の制度でもできると思いますけれども、公定価格の薬価を廃止しましたら、そのうちどのくらいを保険で見るかという話にきっとなってくると思いますので、そのときにどうも効いているか効いていないかわからない、なくてもよさそうなものじゃないかというものも明らかにある、真ん中の辺はどっちかに入れるのはなかなか難しいということもあるでしょうから両極端だけでもいいかと思いますけれども、そういうものは保険でどのくらい持つかというところで見直すということは、これは十分できるわけでございますのでそういうことをお考えになったらいかがかなというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/90
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091・丸山晴男
○政府委員(丸山晴男君) 今お取り上げになりました週刊読売の記事の医薬品の表の題名は「海外では評価が低い」というふうに、薬のリスト三十五成分でございますけれども、一面、評価が高いか低いかという問題もございますけれども、逆に海外でも売られている薬がほとんどでございます。したがいまして、したがいましてといいますか、それがどういう理由でその評価が低いというふうに判断されるに至るのかということはよく検討してみたいと考えております。この三十五成分につきましては、主として新薬が多いものですから再審査の対象になっておりまして、二十九成分が再審査の対象となり、そのうちの二十三成分が再審査が終了しておりますが、その中におきましては市販後の有効性を私ども確認をして再審査を終えているものでございます。
また、その中でお話が出ました消炎鎮痛剤等につきましては再評価に指定をいたしておりまして、幾つかのものについては既に再評価の結果を出しております。特に、消炎鎮痛剤につきましては、特に内服剤の場合の吸収というのは、たんぱく質を体内に吸収するというのは人体の構造上大変難しいものですから吸収が悪いということが言われておりまして、そういう点での再評価の結果、ほとんどの医薬品につきましても効能の一部削除を実施いたしたところでございます。
したがいまして、再審査、また再評価を厳格にやっていくということはもう当然のことながら大事な問題でございまして、再評価につきましてもあり方検討会を設置して鋭意この再評価のあり方についての御論議もお願いをしているところでございます。その際に、本年度からは海外における使用状況も安全性定期報告ということで私どもにも入ってまいりますので、そういった世界各国における使用状況、これもデータとして再評価の対象にしながら厳正に、より一層厳正にやってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/91
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092・水島裕
○水島裕君 ごく一部は取り上げていただいているようですけれども、もう業務局長にお聞きしても余り進歩がないから今度はやめて厚生大臣にでもお聞きしようかなと思いますけれども、もう一つ、局長、今三十五品目は外国でも売られていると、そうおっしゃいましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/92
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093・丸山晴男
○政府委員(丸山晴男君) 三十五成分中、三十成分は外国でも売っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/93
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094・水島裕
○水島裕君 その外国というのは欧米の先進国ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/94
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095・丸山晴男
○政府委員(丸山晴男君) 半分が欧米でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/95
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096・水島裕
○水島裕君 アメリカとかイギリスでは、こういうのは売れていないと思いますけれどもね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/96
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097・丸山晴男
○政府委員(丸山晴男君) 十六成分が欧米でも販売されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/97
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098・水島裕
○水島裕君 それでは、それはまた後ほどお伺いすることにいたします。
大臣、ちょっと恐縮でございますけれども、今のようにとにかく保険で少なくともみんな見なくともいいぐらいの余り効果のない薬があることはこれは確かでございます。そういうことも含めまして、大臣の御答弁を聞いていると余り御賛成ではないようですけれども、やはり基礎的なところは公的な保険とか、そういうもので見るけれども、この治療法をやっても、少しはいいかもしれないけれども、値段もかかるし、しなくてもいいかもしれないというようなものは将来選択科目としまして、公的じゃなくて患者さんの負担とか、あるいは民間保険でするとか、そういう方向にしていかないと、一度認めると全部公的というのではこれはなかなかうまくいかないんじゃないかと思いますけれども、御意見ございますでしょうか。質問をお出ししてなくて恐縮でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/98
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099・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 医薬品の有効性、専門的なことは私もよくわかりませんけれども、再評価するということは必要でしょうし、これから薬価基準を見直す際にどのような改善策があるか、さらにはどの程度保険で見てどの程度自由裁量をきかすかという点は今後の抜本的改革の中で検討させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/99
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100・水島裕
○水島裕君 これからは価値観の多様化というようなこともございますので、やはりいろんなことで選択ができるような医療あるいは薬物療法というのがあってもいいんじゃないかなというふうに思います。
それでは次に移りまして、この間もお話ししましたけれども、予防医学ということも含めて今後病気を少なくして治療費を減らそうという方向だと思いますけれども、そういうときにどうしてもネックになりますのが予防、つまり生活指導とか、そういうものをしても余り値段にならない、薬を出したり検査すると値段になるということですからこういう分野こそDRG的な考え方がいいのではないかと思います。
二つぐらい例を申し上げますと、一つが糖尿病でございますね。糖尿病は合併症が出てきて特殊な治療が必要になってくるということになりますと大体どのくらいかかるかというのはなかなか見当がつかないわけでございますけれども、それまでの間はおおよそどのくらいの治療をすればいいかというのは見当がつくわけでございますね。そのときに一番大切なのが生活指導でありまして、食事療法とか運動療法ということを説明するわけでございます。そういう疾患は包括医療費、糖尿病の中等度の人あるいは軽度の人だったらこのぐらい出すからこれで糖尿病が悪くならないようにするようにとすれば医師も一生懸命生活指導をしますし、あるいは栄養士さんに頼んでということになりますので結果として糖尿病も進まないし医療費も抑制がきくのではないかと思います。やはり、慢性疾患のうちで一つ一つ検討をされて、こういうものは包括する方がいいかというふうにお考えになるといいと思います。
もう一つの例は、がんとストレスの関係でございます。最近はそうでもないんですけれども、がんの免疫療法の薬が非常に売れた時期があって、今も売れているわけでございますけれども、がんと免疫というのは間違いなく関係ございますけれども、私どもが検討した範囲では、むしろ精神的なストレス、免疫抑制の方が薬でそういう状態を上げるよりかははるかに効果があると思いますので、がんにならないようにストレスを解消するとか、あるいはストレスから守る心のケアというものにお金をかけた方が薬にお金をかけるよりもずっと安上がりという感じがいたします。
この二つを例にしまして、生活習慣病あるいはDRG的な考え方について、これは保険局でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/100
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101・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) これからまさに診療報酬体系のあり方を検討していくということにしておるわけでありますが、そういった中で、現在の出来高払いに加えまして、いわゆる定額払いなり包括、あるいはDRGといったものをどううまくかみ合わせていくかということで考えております。
今、先生の御意見、これはまさにそういった意味では医師なり医療担当者の技術料を適切に評価するという問題でもあろうかと思いますし、御意見を参考にさせていただいて今後検討させていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/101
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102・水島裕
○水島裕君 それでは次に、標榜科と専門医あるいは認定医のことについてお伺いしたいと思います。
患者さんに情報を提供するようにということで、これは前々からそういう希望があったんですけれども、だんだんそちらの方に向きまして、今度の医療法改正でもそういう方に向いているわけでございますけれども、それの最も学問的なものが標榜科あるいは認定医、専門医ということになっております。標榜科、要するに自分が何の専門であるかということを看板に出してもいい、広告してもいいというのが去年の九月からぐっとふえたわけでございます。
そこで問題になるのが、看板は出したけれども中にいる人が本当に専門家かということが問題になってきて、野放しにしていても、その看板を出しているところに行って余り専門そうじやなかったらもう次に行かなければいいかというので野放し論もないわけじゃないんですけれども、せっかくほとんどの学会が認定医制度をつくっているわけでございますので、やっぱりそれと標榜科が合った方がいいわけでございますのでその関係についてお尋ねしたいと思います。
現在は学会それぞれで独自の規則で認定をしておりますし、その人数もまちまちであると。大きな学会が少なかったり、少ない学会が多かったりするというので一般的にするのにはその辺をもう少し検討しなくちゃいけないと思いますけれども、まずその辺について健政局長の御意見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/102
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103・谷修一
○政府委員(谷修一君) 昨年の夏に医療法の施行令を一部改正しまして、標榜科を追加いたしました。その際に、今、先生からお話ございました関係の学会から標榜科についての幾つかの要望がございました。大体三十ぐらいあったと思います。それぞれの学会に委員会に出席していただいていろいろと議論をいたしました。その結果、例えばリウマチ科ですとかアレルギー科ですとか、幾つかの科を追加いたしました。
その際に、この認定医あるいは専門医とこの標榜科との関係というのは大分議論がございまして、ほとんどの学会の方々がおっしゃることは、認定医ないしは専門医が標榜する、そういうことを念頭に置いたお話だったと思います。ただ、現在の標榜科というのは御承知のように自由標榜制ということでございますので、極端に言えばその人の専門性と標榜科とが、一致しなくても構わないとは思いませんが、仕組みとしては関係ないようになっております。本来はやはり標榜科と専門性というものは一致をすべきだというふうに思います。
ただ、現在の学会が決めております認定医あるいは専門医の認定基準というのは学会によってばらばらでございますので、私どもとしては、学会認定医制協議会というのがございますが、そこの代表の方にこの間私お会いしまして、ぜひその基準を統一していただきたいと。それから、そもそも何のために認定医なり専門医があるのかと。これは確かにお医者さんの中の専門性なり、あるいは、言葉はよくないかもしれませんが、差別化ということもあるかもしれないけれども、やはり患者さんのためになる認定医なり専門医であるべきだと。ですから、将来的にはこれが広告できるような形、あるいはもっと自由にわかりやすい形で住民の方に示せるような形、そういうものに持っていきたいと。そのためにはやはり基準を統一していただきたい、できるだけ早急にそれをやっていただきたいということをお願いいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/103
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104・水島裕
○水島裕君 これは医学会の人との話になると結構出てくる話なんですけれども、そうするとその協議会の方でそういう基準を統一すれば認定医、専門医の人が標榜を出すという方向にお進みになるというふうに解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/104
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105・谷修一
○政府委員(谷修一君) そこは若干留保をさせていただきたいことがあります。
つまり、今の標榜科というものを全部もし今おっしゃるような形にした場合には、学会が認定する専門性を持っていない方は何科を標榜するのか、何でもない科という科もないわけじゃないわけですが、そうもいかないのでそこは調整をする必要があると。
私が申し上げたのは、そういう専門医なり認定医というものを自由に広告ができる、一般の方に表示できるという形にまずしたいということを申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/105
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106・水島裕
○水島裕君 この間のこの厚生委員会で申し上げたのは、その何でもない科というのが非常に重要だということで、何でもない科というのは何でもできるということでホームドクターあるいはかかりつけ医がそれになるわけでございます。何でもない科あるいは何でもできる科というのもひとつぜひこれは標榜の一つとしてできるといいわけでございます。
今、何でしつこく申し上げるかと申しますと、実は学会活動の中で認定医を取ったり専門医を取ったりすることで非常に皆さん苦労している、もう御存じだと思いますけれども。それの先行きがはっきりしないと詐欺をしているみたいなところもありまして、お金ばかり取ったりなんかいたしまして。
ですから、もう一度お聞きしますけれども、今度はそういう協議会で一致すればそれを標榜するというんじゃなくて、今、認定医とか専門医というのは診察室とかそういうところには飾っていいんですよね。それを表に飾っていいということでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/106
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107・谷修一
○政府委員(谷修一君) 最終的なところまで明確にお答えできなくて申しわけないんですが、私たちの内部で今いろいろ議論しております過程の中では、やはり広告できる事項というような形で考えていくべきではないかというふうに考えております。
それからもう一つは、学会の中で先生おっしゃるようにいろんな意見があるということは承知していますが、一方、この話そのものは役所が、役所といいますか、行政側が余り介入をしないでやるべきだというのが従来からの学会側の御意見でございまして、そういう形で進んでおりますので、私どもとしては、先ほど申しましたように、代表の方にお願いをしましたけれども、これ以降の問題についてはやっぱりある程度学会の方で詰めていただいた上で再度お話し合いをさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/107
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108・水島裕
○水島裕君 しかし、学会でちゃんと決めろということでよければもうそれはそれでいいんですけれども 最終的に外部に標標していいかどうかというのは、やはり厚生省が標標したらいけないとかという指導が出るわけでございますので、学会に決めろと言ったり、決まってもだめだというのではやはり困るわけでございますので、先ほどお答えになったからそちらの方向でということで、協議会、医学会の方が正しい方向で認定医を統一基準で選べば、そういう方向であるというふうに解釈したいと思います。
それから、脳死判定も、この間本会議で大臣にお聞きしましたら、冷たく、厚生省は認定医でやって十分だと思いますというような御答弁なさったんですけれども、認定医というのも今の状態じゃ危なっかしいんですよね。例えば、私個人は内科とリウマチと糖尿病とアレルギーの認定医と、そのうちの幾つかの専門医になっているのでございますけれども、一回も試験を受けたことがない。学会の役員か何かをしているのでそうなっちゃったということでございますので、本当に認定医の人が脳死判定とか何か、ちゃんといいかどうかというのはもう一度、あのときはそれで十分だとお答えになりましたけれども、少なくともそういうことを自信があるかどうかぐらいは一回聞いてごらんになったらいかがかと思いますけれども、これは御答弁は結構でございます。
次は、国立病院についてお尋ねいたします。
一つは行政改革は非常に重要ということで、厚生省の職員というのが大体七万人でございますか、そのうち国立病院の職員が五万三千人ぐらいだと、そうお聞きしております。要するに、七万人中五万人は国立病院の職員で、大部分の国立病院は移譲しても、なくなっても構わない、それだけ減ったらもう厚生省の最大の行政改革となるわけでございますので、これをしっかりやっていただきたい。決まりが割合と甘いんですけれども、最近になりまして平成十二年までに移譲に決めたところがうまくいかなかったら廃止も含めて検討するということになっておりますので、それはそれで間違いなくそうなさったらよろしいかと思います。
大臣のお手元に行っていないかもしれませんけれども、大臣の地元で国立横須賀病院というのがあるのでございますね。あれもほかに病院がございますので国立病院である必要はないので移譲の対象になったというのでよろしいと思います。実はあそこが早く移譲されますと、今、厚生省で、特に国立病院部で進められている準ナショナルセンターの一つが割合とうまくいく、それがばねになっていくようなところもあるのでございます。ですから、ひとつ何とか国立横須賀病院を予定どおり、あるいは厚生省の国立病院部のためにも譲渡に御努力していただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/108
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109・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 私の地元です。結構反対運動ありますよ。やはり、国立病院というのはあった方が地元の人にとったはいいんですね。しかし、全体の方向としてこれは早く移譲を進める、十二年度までに移譲できなかった場合は廃止を含めて見直す、その線に沿って鋭意努力していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/109
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110・水島裕
○水島裕君 小林局長、それでよろしゅうございますか。何か国立横須賀病院について具体的に、もうそろそろ譲渡できそうだとかという情報はございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/110
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111・小林秀資
○政府委員(小林秀資君) 国立横須賀病院につきましては、移譲というのはもう昭和六十一年から言っているわけでありますけれども、具体的にお話が今までも出てまいりましたのですが、移譲についての条件で折り合わなくてお断りを受けてしまったというのが現状でございまして、現在のところは具体的な進展はございませんが、今後とも地方自治体等とよく相談をしてスムーズな移譲ができるように最大限の努力をしたいと、このように思っております。
それも、先ほど大臣が十二年までにとおっしゃいましたが、十二年まで待つこともなく、できるだけ早く移譲した方が我々ベターですので最大の努力をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/111
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112・水島裕
○水島裕君 厚生省の方針が大臣の地元でうまくいくというのは、これは見本でございますので、そうじゃないと大臣のところでもうまくいってないんだからいいじゃないかというような話になりますので、公務、ほかのことも非常にお忙しいでしょうけれども、これはひとつぜひお考えいただきたいというふうに思います。
それから、国立病院でもう一つ重要なのは、国立病院ではしっかり研究をしてもらいたいというのが私どもの希望でもございます。
それで、今度の医薬品機構、厚生省の一番大型の研究費をおつくりになったときも国立病院がその主任研究医になっているところが結構あるんです。少なくとも三つか四つのチームはそうでございます。
ところが、国立病院というのは非常に今研究がやりにくいというので、いろんなことがございますけれども、きょう一つだけお伺いしたいのは、国立病院では受託研究費制度、これは説明していると時間がかかっちゃいますけれども、は認められているんですけれども、我々大学などでやっております委任経理金制度というのは認められていないので、例えば今の医薬品機構、お国の重要な研究をやるのでも手続がすごく面倒くさいんですね。それから、別個の研究をしょうと思ってもできないということで、これは予算が必要とかそういうわけじゃないので、委任経理金制度みたいなのを国立病院でも何とかできないかどうかということについてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/112
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113・小林秀資
○政府委員(小林秀資君) まず、国立病院・療養所でもいろいろ受託研究を実施いたしておりまして、これについては必要な所要見込み額を国立病院特別会計の予算で歳入歳出予算として計上をいたしておりまして、最近もこれをふやしているところでございます。平成五年度を一〇〇といたしますと、平成九年度は予算額でいくと一三四という数字ですから五年間で三四%増というような状況でふえておるところでございます。
今、先生がおただしのもう一つの委任経理制度という話に関してでございますが、大学病院ではこの委任経理制度が導入されておりまして臨床研究等に非常に有用であると、こういうことでそのことは先生方、お医者さん方にも非常に喜ばれているのでありますが、この委任経理制度は国立病院・療養所はありませんので、そういう意味では、お医者さん方には国立病院で働くよりは大学病院にいた方がいい、こういうようなことになりがちで、実際には研究費自体として困るわけではないんですけれども、お医者さんのお気持ちとしては大学にいた方がいいということで、人材確保の点では差異が生じる、その制度の差が生じているということはあることと、そういうふうに認識をいたしております。
ただ、だから国立病院に委任経理制度を使えとかという話になりますと、これは実際にこの制度が例外的な制度として文部省関係の大学に使われているわけでして、全体については会計制度全般の中で検討していくべき課題だと私も承知をいたしております。
ただ、いずれにいたしましても、国立病院の臨床研究自体は今後も伸ばしていかなくちゃいかぬということで、この受託研究もありますし、それから国立病院特会でも研究費をとっておりまして、その研究費では国立病院の先生にも、それから大学の先生にももちろん入っていただくという形で特別会計の中でも研究費をとって一生懸命やっていただけるということで努力をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/113
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114・水島裕
○水島裕君 お聞きしたのがおとといできょうの答弁ですから新しい方法を見つけるところまで議論をなさっていないんだと思いますけれども、やはりそういうことでやりにくいことは確かでありますし、大学との差がついているということも確かでございますし、こんなことで研究がしにくくなったのではばかばかしいわけでございますのでもう一度いろいろ、私も決して詳しい方じゃございませんけれども、その辺検討していただきたいと思います。
それから、大分前に調べましたら、国立病院というのは寄附もいけないんですね、いろいろ研究とかなんかで。それが何か、ちょっと忘れましたけれども、大正何年かごろにできた法律で、十万円以上のものは寄附しちゃいけないとかというのがまだ続いているとすれば、その辺ももう一回、多分大正だったと思いますけれども、そのときの十万円は今でいえばもうすごく高いわけですので、少なくとも金額だけでも一回ずらさないといけないと思いますので、そこもひとつ一緒に御検討いただきたいと思います。
それでは最後に、今度の健保法の中で衆議院で修正された案について、これは意見だけ申し上げますと、随分ここでディスカッションになっておりますから同じような意見も出ているわけでございますけれども、ああいう修正案によりますとどうしても薬の二週間とか四週間の処方をするおそれが出てきまして、その弊害としましてはどうしても薬を出し過ぎる、それから薬を出し過ぎるために今度は受診回数が減るために薬の、薬というのは出して効果があって副作用がない、それでもっと続けようというのが本来の姿でございますけれども、そういう薬の効果、副作用のチェックが不足になる。それから、どうしてもたくさん出しますと薬が余るので、あるいは皆様方もお薬をもらってそのうち大部分は捨てちゃうという例がたくさんあると思いますし、退院して見ましたらベッドの下から薬がごっそり出てきたということもあって、薬というのはたくさん出すとかなりの分がむだになってしまうわけです。例えばあの修正案だと、二日出してもう二日出す、二日出すのを二回繰り返すよりか十四日出した方が安くなるというようないろいろ御指摘も既にあることでございますけれども、そういう矛盾点があるのです。
どういう制度にしてもなかなかうまくいかないんですけれども、一つだけ、小児科ではこういう問題点が特に顕著にあらわれできますので、もしもこういう委員会で小児科のことについてもう一回考えてみょうということがあれば私は個人的に大変賛成であるということを申し上げて終わりにしたいと思います。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/114
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115・山本保
○山本保君 平成会の山本保です。
質問通告の順序をちょっと変えまして、今ちょうど水島先生からお話がありましたので、それに絡めて最初にお聞きしょうと思います。
まず、水島先生はお時間の都合もありまして、それについてはもう返答は要らないということでございましたけれども、私はそこを少しお聞きしたいと思っておりました。
今回、衆議院で突然そういう修正がなされたわけでありますけれども、そして今お話ありましたように、本来薬を余り使わないようにというふうな形で改革を進めているというふうに伺っておりましたのに、どうもそうでもないんだという議論もある。この辺の経過、そしてその修正案に対して、これは当然提案者に聞くべきところではありますけれども、しかし全体の責任を持っておられる厚生省として衆議院のこの修正内容についてどのようにお考えなのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/115
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116・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 今回の衆議院の修正でありますが、これは国会の御審議の中で薬剤の負担方式について政府原案に対してはいろいろと御批判がございました。そういった中で、このたびの審議を通じて、与党における協議も踏まえまして今回の修正が行われたものであるというふうに理解をしているわけであります。
具体的な政府案に対する問題点として指摘されておりましたのが、政府案は一日一種類十五円というような形で御負担をお願いするということであったわけでありますが、こういった計算方式というのは医療機関の窓口等における実務上の煩雑さというのが一番問題であるというふうに言われたわけであります。と同時に、また患者さんの方も計算がなかなかややこしいのではないかという御批判でございました。
そういった意味で、医療現場における実務というものの簡素化と申しますか、そういった観点の御批判からこのたびのような実際の投与日数にかかわらず平均的な投与日数を基礎といたしまして、また薬剤の種類数につきましても若干グルーピングをいたしまして今回の修正案が提案されたというふうに考えております。
それからもう一点は、そういった中で薬剤の適正化という原因の一つに高薬価シフトというのがあるということがございました。そういった意味では、同じ効き目ならばできるだけ低廉な価格の薬をお使いいただくような格好に制度的に一部負担を考える上においても構築した方がいいんじゃないかというふうなことから一種類の場合には薬剤の一部負担は取らないというようなものが新たに導入されたと、このように理解をいたしております。
それからまた、老人の入院負担でございますけれども、これは政府提案は七百十円を一日千円にということでお願いをしましたけれども、議論の中でやはり一つには外来との負担の均衡といった面、そういった意味では負担率の面で見ますと外来に比べて入院の負担の方が、入院の負担とのバランスを欠いているのではないかというふうなことでその整合性ということが一つ配慮をされ、しかもまた社会的入院の是正というふうなことが叫ばれている中で、また介護保険の一割負担というふうな率等々が提案されている中で、その辺の格差というものをできるだけ是正していく方がいいというような判断のもとに、今年度は千円でありますけれども、来年度百円引き上げをいただき、そして再来年度もう百円ということで引き上げるような形の修正が行われたということでございます。
それからもう一つが政管健保の保険料率でございますけれども、これは政府提案では千分の八十六に引き上げをお願いしたいということでございました。ただ、これはこれまでの政管健保の最高保険料率が千分の八十五であるというようなことから、被保険者の負担の急激な増加ということを避けるべきであるというような観点で過去最高の保険料率の千分の八十五に修正が行われた、こういうことでございます。
そういったような考え方で修正がなされたわけでありますけれども、政府としましては、非常に医療保険制度の財政が窮迫している状況でございますから、私どもとしては何とか三年程度はバランスのとれたものでぜひ成立をお願いしたいというふうに考えていたわけでありますけれども、ただいま申し上げたような趣旨も全く理解できないわけではありませんので、そういった意味で私どもとしては今回の衆議院の修正というのはやむを得ないものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/116
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117・山本保
○山本保君 私は野党の立場から、やはり今回多くの方からそれに対する批判が出ているということを考えますと、少し細かい話ですが、今お話の中にあった例えば保険料率の引き上げでありますとか、健康保険の本人負担の増でありますとか、こういうものについては、私のところへ来るものなどを見ておりましてもそれほど、やむを得ないかなという論も非常に強いように思うんですね。強いといいますか、あるように思うんです。
ところが、薬剤負担でありますとか入院負担についてはやはり非常に抵抗といいますか、弱者に対する配慮が足らないというように言われるのも筋、そういうこともゆえなしとしないわけでありまして、私は今回この辺のところをもう少し厚生省は個々の皆様の、国民各層の意見を聞いて進めるべきではなかったかと思うわけです。
これは本当かどうかわかりませんのでちょっとお聞きしたいのですけれども、今回の修正は特に医師会の、先生方がおられますからあれですが、特に開業医の方の御意見が強く出て変更になったのではないかというようなことを漏れ聞いておるんですけれども、そういうことはなかったでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/117
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118・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 今回の修正の経緯は先ほど申し上げましたようなことで、衆議院における各般にわたる御審議、また与党内における協議を踏まえた形で行われたわけでございまして、御指摘のような観点での修正というふうなことではないのじゃないか。また、この修正が行われましても、これはそれぞれ開業医とか病院とかそういうことに関係なく適用になりますので、そういうことはないだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/118
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119・山本保
○山本保君 わかりました。
そこで、厚生大臣にお聞きしたいのでございます。
もうこれは大臣というよりも政治家としてお聞きしたいんですが、今お話しになっていますように、政府が出した案を国会で修正をするということは、建前といいますか、そのことだけとらえますと私は非常にいいことだと原則として思うわけなんです。しかし、私ども、また国民の皆様から見ますと、その間の経緯が余りはっきりせず、今、局長はそういうことは、変なことはないということでありましたけれども、そのこともはっきりせず、突然出てくると。これもわかるわけでして、実際与党の中で調整が大変だったんだろうということですが、やはりそれは本来与党案としてまとめる前に行われるべきことではないかと思うわけでして、それをやってからまたやるのは大変だというのは実際よくわかります。
しかし、ここは修正をされるのであればやっぱり、仮にですが、きちんとそのことについて与野党が公の場でそういう議論が進んできた段階でそういうものを出さなければ何にもならないといいますか、仮にもしこれからそういうものが出てくるようなことになりますと、私どもは慎重にこの内容について国民の皆様にお見せして、そして万が一のことはないかというふうにチェックをするのが仕事でありますから、突然そんなことになったりすればまたそこからもう一度審議をし直さなくちゃならないというのも一つの筋になるわけです。
大臣、この辺についてどのようにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/119
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120・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 連立内閣ですから、法案を政府案として出す際には当然政党間で調整がなされます。議院内閣制のもとにおきましてはそれが通るのが一番いいと思うんですが、その中でも委員会、国会での審議を聞きながら議員独自が、また政党独自が判断して修正するというのもこれまたやむを得ないことではないかと。いろいろ委員会で審議されているわけですから、そういう声も反映して修正が行われるなら政府としては国会の意思に従わざるを得ないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/120
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121・山本保
○山本保君 建前はそういうふうになるということは私も思いますけれども、こういう非常に流動化した政治状況、政局状況で、この委員会ではそういうことは話は出ませんし、私もそれは言いませんし、非常に内容について先生方はきちんと議論されておりますからよろしいんですが、大臣がおっしゃいましたからちょっとそれについて言いますと、やはりこういうときには枠組みが先にあって問題をするのではなく、課題ごとにでもきちんとそれについて意見をまとめるような努力をぜひ厚生大臣はやっていただければこんな混乱はないんじゃないかということと、もう一つ、法律というのはできましてもそれは施行しないという手もありますので、その辺はぜひこの問題についてきちんと今後考えられている改革にプラスになるような方法をよく御検討いただければというふうに思っております。
問題は次に移りまして、先回もお聞きしたことなんですが、財政構造改革会議についてお伺いい
たしたいと思います。
最初に、大臣にお聞きいたしますけれども、この前もお聞きしたことでございますが、実は先回私御質問しましたら、もっと消極的な御返事があるのかと思っておりましたら大臣が、いや私が厚生省を代表して会議に出て私がきちんと議論をリードしているんだというような御趣旨のことを言われまして、私は当初そういう返事が来ると思っておりませんでしたので質問をそこで切ってしまったわけなんです。
もう一度そのことをお聞きしたいわけでございますが、この会議の結果なり審議というのはどのような位置づけの会議であって、それについてはどんな拘束をされるのか、また、今後新しい審議会ができていくわけだというふうに聞いておりますが、その審議会との関連というようなことについて、大臣、包括的な御返事をいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/121
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122・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 財政構造改革会議の結論というのは、これから改革を考えた場合に大変重要な意味を持っていると思います。その枠組みの中で我々は来年度予算編成に取り組む、そういう中でこれから医療制度につきましても抜本的な総合的な案を厚生省で取りまとめなきゃならないし、その案を審議会で議論をいただく、そして最終的には厚生省が責任を持って法案にまとめていくということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/122
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123・山本保
○山本保君 これから局長にお答えいただきたいと思うわけですが、先回の委員会でも、今度つくろうとしておられるこの新しい審議会は従来の枠にとらわれずに、そして真に国民全体のために立った新しい制度改正のプランをつくっていこうという熱意をおっしゃったわけです。その中身についてはまだ白紙でございますというのが前々回ぐらいの返事だったと思うんですけれども、今の大臣のお話ですと、もう既にその枠組みといいますか、方向性が相当程度示されているわけですね。こういうものが先に出てまいりまして審議会がうまくリードできるのかどうか非常に心配なんですけれども、その辺はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/123
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124・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) この法案が成立いたしますと新しい審議会を設立していくということになるわけでありますが、その中でのいわゆる医療保険制度の抜本的な改革について御議論いただく部門につきましては、これは私どもの方が審議会に具体的な案というものをおつくりいただきたいというような形でお諮りするわけではありませんで、これまでも大臣から御答弁申し上げておりますとおり、むしろ厚生省としてきちっとした案をまとめまして、それが複数の案になるという問題もあろうと思いますが、それに対しまして国民的な立場から御意見をいただき御批判をいただく、そして幅広く国民的な合意が得られた案というものを最終的にまとめ、そして厚生省として法案の形で国会に御審議をお願いする、こういうことであります。そういった意味では、これまでいろいろ財政構造改革会議の報告を初めとしまして、あるいは私どもが御答弁申し上げております方向性等につきましてもそれらを踏まえた案というものを厚生省としてはつくっていくということになりますから、そういった意味で新しくできる審議会との関係というものは全くそごを来すというようなことはないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/124
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125・山本保
○山本保君 これまで医療制度改革について何回も改革があったのかなかったのか、とんざしたのか、いろいろ意見があると思いますけれども、その際過去の厚生省はその責任は例えば医師会にありとかさまざまなことを言って自分の責任というふうに余り言ってこなかったんじゃないかなという気がするわけですが、今の大臣の御返事、また局長のお話を伺いますと、いやそうではなくて今後は厚生省が責任を持ってリーダーシップを発揮して案を出すということでありますので、これは一面期待したいわけでありますが、しかし本当にうまくいくのかなということを感じております。
そこで、内容について少し細かく、きょうもいろいろ御議論が出たところですので余り同じことは繰り返さないようにしたいと思いますけれども、最初に薬価差についてお聞きしたいわけです。
この中で参照価格制度というのが出ているようでございますけれども、この制度はどういう形でメリットがあるというふうに考えればよろしいのか、まず基礎的なところをお答えください。
〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/125
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126・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) いわゆる参照価格制、これは現在ドイツ等で行われているものでございます。これを我が国がストレートに導入するということを今決めているわけではありません。
ただ、我が国の現在の薬価基準制度、これはまさに公定価格を定めている制度である。この公定価格を定めているというやり方から、現在の製薬産業、製薬企業の状況等から見た場合に、むしろそれは市場のマーケットのメカニズムによって価格というものは形成されるシステムというものを考えていく方が望ましいのではないかというふうに私どもは考えておりまして、そういった際に一つの方法論として今ドイツで行われております参照価格制というものが参考になる、こういうふうに考えておるわけでございます。
これは価格そのものについては市場取引の実勢というものにゆだねる、それを基本にいたしまして、ただそういった中で保険で償還すべき基準というものを設ける。その保険で償還すべき基準というものについては、これは透明性のある形でこの基準というものを設置していくことによって今までの薬価基準制度よりも国民にとってわかりやすいのではないかということがございます。
それからまた、この基準の運用をきちっとやれば決して薬価の高どまりとかそういう現象は起きないというふうに考えておりますし、今、医療保険制度全体がある意味では統制経済のような形での制度でありますから、そういった中で薬についての価格の形成というものをできるだけ市場の実勢というものにゆだねるということになりますと、こういうようなやり方というのは一つ参考になる、こういうことで考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/126
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127・山本保
○山本保君 もちろん、非常に専門的な内容だというふうに思いますので今お聞きしただけでとても理解できるわけではないわけなんですが、ただお聞きする限り、その基準をどうやって定めるのかというようなことによって実際には今の方式とほとんど変わらないんじゃないかという気もいたしますし、それから自由市場、きょうそういうお話もあったように、自由な価格のメカニズムということとその参照価格というのがどのように結びつくのかというのもなかなか難しいのじゃないかなという気もいたします。
また、きょう田浦先生のお話にもありましたように、値段が下がるのかどうかということを考えますと、薬品というのは、最近はいろんな商品もPL法などできまして難しくなったとはいえ、それ以上に非常に厳しいし、また治験の問題などでなかなか新しい薬が出てこないというようなこともあるようでございますので、その辺のところまできちんと整理しておきませんと市場メカニズムというのは働かないというふうに思うわけですね。
当然その辺は考えられていると思いますのでこれはお聞きしませんが、一つお聞きしたいのは、今のような理念といいますか、これからの方向ということと、先ほどお話ありました今回薬剤負担を新設したということはどうもかみ合わないような気がしてしようがないんですけれども、その辺はどういうふうにお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/127
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128・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 今回の薬剤一部負担をお願いしましたのは、やはり我が国における薬のシェアというのが非常に高い、この薬の適正化というものを図っていくことが急務であるという考え方が基本でございます。それと同時に、また給付と負担という面における公平の観点のもとで財政的な観点というものも配慮いたしまして今回お願いしているわけでございまして、そういった意味では、今後ともこの薬のシェアというものをやはり適正化していく必要があるという点については、新しい方式を導入いたしましてもそういった視点が達成されるような、そういう機能が働くようなものを念頭に置いて考えてまいりますから、そういった意味では方向性、手段という面では変わってくるにしましても、方向性という面では決して変わらないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/128
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129・山本保
○山本保君 つまり、一般の国民が薬品を選ぶのは幾ら情報提供があったとしてもなかなか難しいわけですし、またお医者さんの前であのお薬にしてくださいなどということはなかなか言えないわけですから、そういう点でいいますと、一般の国民の方に負担がかかるのでというのとお医者さんと例えば薬局との関係というようなものとはちょっと違うんじゃないかなという気がしますね。
ですから、例えば医薬分業をもっときちんと進められて、そして薬をいただくのはお医者さんの先生にというよりは薬局のおじさんにいただく、そのときにそこへ持っていって買う。そのとき、いわゆる一般名処方などでその薬局の方にわかりやすい情報として目の前で教えてもらったときに選ぶことができるというような形の方が薬剤費を抑えるのには効果があるんじゃないかと思いますけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/129
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130・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 今私どもが検討しょうとしております一つの参考材料の参照価格制、これは我が国の現在の制度を踏まえた上で考えますといわゆる薬価差というものが発生しない仕組みになりますから、そういったことで考えてみますと、今我が国において薬剤が多用されている一つの原因にこの薬価差の問題があるというふうに言われております。それからまた、医薬分業が進まないという問題についても、この薬価差に医療機関も経営原資として依存せざるを得ないということも言われております。これが解消され、そして医療機関は新しい診療報酬体系のもとで経営が確立されるということになれば、まさに医薬分業の面においても今までとはまた違った方向ということに流れが変わっていくということは期待できます。
それからまた、これはもうどんな制度をつくってもそうだと思いますが、消費者である国民自体がやっぱり賢くなりませんとこれはどんな制度をつくってもいい方向には向かわないわけでありまして、その点については徐々にと申しますか、かなり急速にというふうにあるいは考えてもいいかもしれませんが、私は国民は知識をかなり持つようになってきていると思いますし、決してそれはそれほど悲観すべきものではないのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/130
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131・山本保
○山本保君 ちょっと移りますけれども、同じような問題が診療報酬といいますか、定額払いの関係とか、あとフリーアクセスというところに問題があるかと思いますので、時間のこともありますので途中飛ばしましてちょっとお聞きしたいわけです。
先ほど水島先生からも、ホームドクターというんでしょうか、この名前はいいなと思うんですが、ゲートキーパーなんという名前を聞いたことがありますけれども、これだと訳せば門番ですね。余りいい言葉じゃないなと思うわけですが、専門の先生をつくってその専門の先生がいろいろやられるということは、なかなか我々には実際に、雑誌情報であの専門医はとかあの名医はと言われましても、非常に情報があればあるだけわけがわからなくなってくるわけで、やはり近くのかかりつけのお医者さんがそのお医者さんについては結構うまく選べるということになるんじゃないかなと思うんですね。ですから、フリーアクセスの問題というのは、全部の機関がフリーアクセスというよりは、地域のお医者さんはフリーアクセスで、そしてその専門家の判断によってより高度な医療にアクセスする、ある程度それはお任せするというふうな形がいいのかなと思うんですけれども、そうなりますといわば専門のお医者さんよりは地域でお年寄りのお相手をして、いわゆるカウンセリングなどもきちんとできて、そういうお医者さんをまず大事にしなくちゃいかぬのじゃないかなという気もするんです。そういうことについて国はどんな手を打たれているのかということをお聞きしたいんですね。
言うならば、地域の中で、または自分の持っておられる患者さんがちっとも悪くならずに元気でおられるようにされていて、つまり医療行為を何もしない先生が一番名医だという気がするわけですけれども、今の制度ではそういう名医はまず多分生きていけぬだろうというわけですから、この辺の矛盾があると思うんですね。この辺をきちんと制度につくっておかなければ、まさに私どもは何もわからず名医と言われている先生のところへ駆けつけるようになってしまうわけですから、この辺は局長、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/131
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132・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 先ほど水島先生の御質問の中でやはり同じような話が出ましたが、まさにその何でもない科じゃなくて本当に何でもできる先生というものが身近にきちっといるような形が望ましい、とりわけこれからの高齢社会ということを考えますとそういったシステムが望ましいと思います。しかし、現在に至る過程の中においてそういう方向というものがなぜ進まなかったかという問題をよく考え、その上でどうやったら今申し上げたような流れがつくれるのか、こういうことだろうと思います。
それは一つには、今、先生御指摘のとおり、診療報酬上の問題というのは非常に大きかったのではないか。これは日本人の特性という面もあるかもしれませんが、やっぱり何かやらないとお金にならないというか、そういったようなところがあって、目に見えない知的な作業に対してはなかなか評価が難しいというようなこともあろうかと思います。そこら辺のところはまさに本来は医師の技術なんだろうと思います。その辺のところを診療報酬体系の中でどういう形で評価し、またどういう支払い方をするのがいいのか、そこら辺のところをきちっとすることによってまさにプライマリーケアを担うお医者さんというものの評価というものを高めていくというのはこれからの時代の一つの方向ではないかという認識は持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/132
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133・山本保
○山本保君 同じ観点からもう一つお聞きしたいんですけれども、つまり保険者といいますか、その機構が今の日本の制度の中では一番財源を気にして何とか医療費を下げよう下げようということを思っている多分唯一の団体七やないかなという気がするわけですね。そうしますと、この保険者の機関がきちんと健康に留意されるような手を打つ、予防の方を重視するというようなことが大事で、それに対して国はどんなインセンティブを与えているのかということが問題ではないかと思うんですよ。
それで、時間もないので具体的に一つお聞きしますが、今回も話がたしか出ましたが、最近よくホテルのような保養所をつくったりとか、そういうものは非常によくないんだと、福利厚生的なそういう事業を見直すというのがあるわけですけれども、私もそういうホテルがやればいいようなことを何も安価でやる必要は全然ないと思います。そういうことと、地域もしくは被保険者の健康を増進するというものとはきちんと立て分けて見ていかないといけないんじゃないか。医療費にだけ金を出すのだと、直接的に医療費にだけ出すのだというのは結果的に医療費を増大させる方に力が入ってしまうということになるんじゃないかと思うわけですけれども、その辺はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/133
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134・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 現行の医療保険制度の中においてもまさにそういった保健福祉活動というものを重視するような仕組みになっております。問題は、やはりそれぞれの保険者が本当にやる気で、そして工夫をしてそれを実践していくということじゃないかと思います。
今、保険者機能の強化ということがよく言われますけれども、私は保険者機能というものが現在の制度の中において何か規制があって制約されている、決してそればかりではないというふうに思っておりますので、そういった意味では何か新しい権限が法律で付与されないと動かないということではなくして、やはりそこは保険者の自主努力で自覚のもとにやれば現行制度でも十分できまずから、そういった点については大いに今後とも各保険者が努力をしていただきたいということを期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/134
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135・山本保
○山本保君 それでは、最後に一つお聞きしたいんですが、来年度予算編成に絡みまして、先ほどの話に戻るかもしれませんが、財政構造改革会議、きょうもお話が出ました。当然増八千億を五千億ほど削減するというようなことが報道されておりまして、ある報道を見ますと、例えば五千億は医療保険制度の抜本的改革で圧縮するんだというような報道があったところ、先ほどほかの先生からの質問で、いやこれはもう当然増の中に盛り込み済みであるというような答えがあったかと思うんですけれども、この辺は本当にそういうことでよろしいんでしょうか。これから一体どんな形でこの削減を進める予定なのか。つまり、今度から削減をするというところにもう既にこの医療保険改革が盛り込んであるとすれば、その報道では五千億ほどこれやるんだというようなことが書いてあるようですが、こんなことはとてもできないということになるわけですけれども、この辺は私の認識が間違っているのかどうか、お答えいただきたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/135
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136・中西明典
○政府委員(中西明典君) 御指摘のとおり、「財政構造改革の推進方策」の中に掲げられております社会保障関係費の削減につきましては、「約八千億円超の当然増について五千億円を上回る削減を行う」、このように明記されているところでございまして、今後十年度予算編成に向けまして厚生省としてはあらゆる方面から縮減策を検討していく必要があると考えております。
その中で、先ほど申し上げましたが、医療の当然増というのが一番大きいわけでございまして、そういった当然増の大宗を占める医療関係予算の伸びを抑制するということはその範囲内に抑えていくためには避けられないと、したがいまして十年度から、先ほど来議論になっておりますように、医療保険改革にできる限り着手していくということは避けて通れないものというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/136
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137・山本保
○山本保君 ちょっと今までの御返答と違うような気がしておりますけれども、時間が来ましたのでまたこれは改めてお聞きしたいと思っております。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/137
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138・朝日俊弘
○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。
〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕
きょうは、今回の健康保険法の改正の問題とかかわって、主として医療の世界のディスクロージャーの必要性について幾つかお尋ねしたいというふうに思っております。
なぜこういう課題を取り上げたのかといいますと、既に多くの委員の皆さんが御指摘になっているように、今回の健康保険法の改正はそれはそれとしてきっちりと審議をし一定の結論を出す必要があるけれども、むしろ今後の医療保険制度のあり方を含めて医療制度全体にわたる抜本的な構造改革が必要なんだと、この点はほとんど問題意識は一致するのではないかというふうに思っております。
ただ、この間の議論を聞いていて少し気になるのは、抜本的な構造改革についてはこれから九月に向けて精力的に検討するんだというやりとりで終わってしまっていて、課題が何であるのか、どういう課題が具体的にあって、その課題についてどういう改革の道筋を示しながら今後九月に向けてやっていくのか、この辺が残念ながらいま一つ明確になっていないのではないかというふうに思います。
私は、これからの医療制度全般にわたる構造改革の中で、とかく医療の世界は密室的であるとかあるいはブラックボックスなどとも言われるわけで、そういう医療の世界をもっとディスクローズする、情報の提供、情報の開示あるいは情報の公開、こういうことがさまざまな改革のいわば前提になるだろうというふうに私は思います。
ただ、この医療の世界をディスクローズするといいましても、実はかなり質の異なる幾つかのレベルがあります。
そこで、まず最初に具体的な診療場面における患者さんあるいは家族の側の問題意識から考えてみたいと思いますが、幾つかのアンケートの結果などから見ても、大変患者さんや家族の多くの皆さんがとにかく説明が足りない、あるいは情報の提供が少ない、さらにはどうも医療提供者側がある種のパターナリズムを押しつけてくる、これは知らず知らずにやっているのかもしれませんが、そういう点に不満というかあるいは問題を感じておられるように受けとめております。
この点に関して言えば、先ほども少し議論がありましたように、現在介護保険法とセットで提案をされております医療法改正案の中でいわゆるインフォームド・コンセントという規定が盛り込まれました。このことは一歩前進というふうに私も評価をしたいと思いますが、ただ残念ながら法的にはこのインフォームド・コンセントの規定は理念的な努力規定にとどまっているわけであります。したがって、今後各医療機関においてこの原則、インフォームド・コンセントのルールがどこまで着実に実践されていくのか、今後のフォローアップの作業が極めて重要であるというふうに思います。
さて、そこできょうお尋ねしたいのは、ようやくインフォームド・コンセントという診療場面における一つのルールが努力規定として定められたわけですが、その上で、そこからさらにもう一歩踏み込んで、今後の課題として、個人の情報を知る権利の一環として、患者さん本人に対して例えば診療記録、カルテですね、あるいは診療報酬明細、レセプト、これらをきちっと請求があれば開示するということについてもうそろそろ具体的に検討をし方向を定めるべきではないかというふうに私は思っていますが、この点に関する厚生省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/138
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139・谷修一
○政府委員(谷修一君) 医療についての情報公開といいますか、情報を十分患者さんに知らせるという観点からのお尋ねでございますが、カルテやレセプトの開示ということにつきましては、やはり開かれた医療の推進に役立つという非常に大きなメリットがある一方、病名の告知の問題というようなことから診療上支障が生じるおそれがあるという慎重な意見も一方にございます。ただ、昨年の十一月に国民医療総合政策会議の中間報告というのがまとめられておりますが、その中でもこういつたような問題に積極的に取り組むべきだという意見もまとめられております。
それで、現在、レセプトの開示については具体的にどういうふうにしていくか前向きに取り組んでいるところでございます。また、一方、カルテの開示でございますが、これは先ほど言いました病名の告知との問題等もございますけれども、いずれにしてもどういう形で患者さんに示していくべきなのか、カルテに書かれている情報をどういう形で患者さんに示していくのか、このカルテの開示ということについて今年度に検討会を設置して検討を進めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/139
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140・朝日俊弘
○朝日俊弘君 かなり慎重なお答えながら、今後検討会等で検討を進めていきたいと、こういうお話でございます。せっかくインフォームド・コンセントという規定を設けて、まだ法律は通っておりませんが、いよいよそれが実践段階に入るわけですので、さらに次のステップに向けてきちっと準備をぜひお願いしたいというふうに思います。
さて、そこで患者さんあるいは家族の方に医療にかかわるさまざまな情報提供をいたします。そういうことが仮にできたとしても、もう皆さん御承知のように、例えば医療提供側あるいは医者と患者との関係というのは決して対等な関係とは言いがたいわけであります。最近は結構強い患者さんも出てきておりますが、全体として見ればそういう状況にある。なかなかお医者さんには物を言うこともはばかられるとか、あるいは看護婦さんは忙しそうで声をかけることもはばかれるということがあるわけであります。
そこで、患者さんの側に立って患者さんとかその家族の方をサポートする人ですね、例えば難しい雷葉があればそれを一緒に読み解いてくれる人とか、あるいは医療提供側と多少のトラブルがあればそれを間に立って調停してくれる人とか、あるいは患者の立場に立って患者の権利を擁護してくれる人とか、いろんな名称というか呼び方があると思うんですが、そういう役割を有する人を配置していけるような、そういう制度を具体的に検討していただけないかというふうに私は思っております。
実はこれは全くの思いつきではなくて、欧米の幾つかのところでは例えば患者の権利擁護者制度という形での制度を実際にやっているところもあるわけで、そういう意味では全く非現実的な話ではないと思いますし、そういう患者さんを横にいて支えてくれる人、こういう人の配置についてそろそろ具体的に検討を始めていただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/140
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141・谷修一
○政府委員(谷修一君) 確かに、医療の現場において医療を提供する側と受け入れる患者さんとの間にはその知識なりあるいは情報ということについて大きな格差があるということは、何といいますか、残念ながらというか、そのとおりだと思います。そういう意味から、先ほどお話がございましたような情報をできるだけ提供していく、あるいは医療法の中でも、努力規定ではございますが、十分に説明をするといったようなことの規定を設けて法案としてお願いをしているわけでございます。
今お話のあった患者さんの立場に立ってお医者さんから説明を聞いたりあるいは調停をする、意見を述べたりする人の配置ということでございますが、実際にどれぐらいのそういう必要性というのかニーズがあるのか、あるいはどういった人がサポート役というかそういったようなことをやるのか、あるいは費用というのがどういう形になるのか、だれが配置をするのか、今伺っても幾つかの課題があるようにも思いますので、まことに申しわけありませんが、今直ちにこれを検討させていただくというような積極的な答弁はなかなかしづらいということを率直に申し上げさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/141
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142・朝日俊弘
○朝日俊弘君 だから、そういう幾つかいろいろ検討すべき課題があるので検討を始めていただけないかということを申し上げているわけで、いろいろ検討すべき問題があるから検討は始められないというのはちょっとおかしいんじゃないかと思うんですね。答弁はいいですから、そういう問題意識はどこかでぜひ持っていただいて、少なくとも幾つか具体的に制度がありますので、そういう部分については少し勉強していただければというふうに思います。検討から勉強にちょっと格下げをします。
次に、どんな医療機関がどこにあって、その医療機関がどういう診療機能を持っているのか、今、市民の皆さんはどちらかといえば口コミ情報以外にはなかなかそういう情報が入らない、また入ってもなかなか判断するのが困難という状況にあることは御承知のとおりです。そこで、これからはもっともっと個々の医療機関に関する情報公開、さらにはそれから一歩進んで個々の医療機関の機能評価、これを積極的に進めるということが必要ではないかというふうに考えております。
そこで、例えば一つの方法として、それぞれの医療機関がみずから積極的に情報を提供したり、あるいはみずからが医療機能を評価し、その結果を公表する。決してこれは誇大広告を積極的にやるということではなくて、みずから情報を患者さんや家族の皆さんに提供する、あるいはみずからの機能を積極的に評価して公表していく、こういうような自主的な努力がされる場合に、そういうことに対してぜひそういうことをもっとやってほしいという形で何らかのインセンティブを与えることができないだろうかということをこの間から考えております。
そのことに加えて、例えば日本医療機能評価機構という仕組みがございます。この間、二年間ほど準備段階というか助走段階が終わりまして、平成九年度から実際にこの日本医療機能評価機構は動き始めています。日本医療機能評価機構という機構が個々の病院にサーベイヤーを送ってその病院の機能を評価する、こういうことが動き始めたわけです。そのことについてはぜひ評価もしたいし、期待をしたいと思うんですが、こういう第三者的な医療機能評価をもっと広範に、幅広く実施できるような仕組みがないのだろうか。あるいは、残念ながら今の現状では結果は公表しない仕組みになっているようで、調査した側と調査を受けた病院との間でしかその結果が伝わらないということになっているわけで、それをもっと広く公表できるような方策は考えられないのだろうかと。
お聞きしますと、せっかく九年度から動き始めたんですけれども、この医療機能評価を受けるためには一回百二十万とか百六十万とかかかるようですし、なかなか手を挙げてぜひみずから自分の病院の医療機能評価をしてほしいという数が必ずしも多くないというふうに聞いていますので、ぜひこれをもっと広範にできるように、しかもオープンにできるようにできないかというふうに私は思いますが、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/142
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143・谷修一
○政府委員(谷修一君) やはり患者さんが自分の症状に合ったというか病状に合った適切な医療機関が選択できる、そのために医療機関側が情報を提供していくということは今後ますます必要になってくると考えています。
それに関連いたしまして、広告事項の拡大ということにつきましては、現在国会の審議をお願いしています医療法の一部を改正する法律案においても、法定されている広告事項を追加する、それからまた告示の改正、法案が成立した後のことでございますが、告示の改正によって客観性あるいは正確性を確認し得る事項についてはできるだけ拡大をしていくという形で取り組みたいと考えております。
今、先生お話のございました医療機関がみずから自分のところの医療機能を評価する、これは御承知かと思いますが、後で申し上げます第三者による機能評価をする以前に、今から十年ほど前に厚生省、それから関係団体が協力をして自己評価のマニュアルというのをつくって、その後病院団体がみずからそれを改定されたというような経緯もございます。そういうような意味で、みずからの医療機能を評価して、それを患者さんに説明するということについてはぜひそれぞれの医療機関で積極的に対応していただくということは非常に望ましいことだというふうに考えております。
ただ、先生もおっしゃいました、それについて何らかのインセンティブというようなお話もございましたけれども、それについて役所側といいますか行政側が何か担保、担保といいますか、するというのはなかなか難しいのかなというような感じがいたしております。
一方、第三者による機能評価ということにつきましては、本年度から本格的な評価事業を行うということでございまして、現在、日本医療機能評価機構、財団法人でございますが、いろんなPR活動、それから関係者の講習会の開催等を行いまして広く医療機関に呼びかけをしております。現在、手を挙げてきたところはまだ百には行っていないということでございますが、今後ともその事業の拡大ということについて積極的にやっていきたいというふうに思っております。
また、その評価結果でございますけれども、現在、機能評価機構において検討しておりますけれども、地域住民に対してそれぞれの医療機関の評価結果というものをできるだけ情報提供していくという方向で検討をしていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/143
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144・朝日俊弘
○朝日俊弘君 各医療機関の情報公開と医療機能評価の推進に当たって、もう一つの方法として、実は先ほど議論がありましたけれども、やはり各医療保険の保険者の機能としてそういう機能を持っていくことができないかということを考えております。
何か先ほどのお答えでは、現在の法律でもそういうことを何も制約していない、やろうと思えばやれるというお話もあったわけですが、ただ率直に言いますと、現在の保険者規模、これは結構大きなところもありますけれども大変小さいところもあるわけで、幾つかを除いては保険者機能の強化を求めてもなかなかその機能を発揮することが期待しにくいような規模の保険者もあるわけですね。
そういうことであれば、例えば今後の医療保険制度の再構築という課題があって、これからより具体的に作業が進められていくと思うんですが、例えば、これは例えばの提案として受けとめていただきたいんですが、国民健康保険は都道府県単位に統合する、逆に政府管掌健康保険は都道府県単位に分割する、健康保険組合は一定規模以上へ統合するというようなことも含めて相当大胆にこれからの保険者規模のあり方について検討すべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/144
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145・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 現在の保険者というのは、これは昭和三十六年の皆保険以降、ある意味ではそれぞれが例えば組合をつくりたいということであれば政管から抜け出るというような形でやってきましたけれども、そういった意味ではそれぞれの制度というのはかなり数多く分かれておる。そういった中で、とりわけ国民健康保険制度というのが産業構造の変化の中でこのままではやはり立ち行かなくなっているという面がございます。
そういった意味では、保険者機能の強化という今の御質問の点ももちろんございますけれども、もう一方、財政的な仕組みとしても現在の保険集団のあり方というのはいかがなものだろうか、時代に合っていないと。それからまた、これからの時代を踏まえたときに、このままの状況というものでいいのかという問題意識を持っておりまして、そういった意味では私ども相当大胆に考えていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/145
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146・朝日俊弘
○朝日俊弘君 それでは次に、医療にかかわる行政情報、現在は主として保健所を設置している自治体のレベルで医療法に基づく医療監視等の結果を通じて行政は医療にかかわる情報を相当量保有しているはずであります。しかし、これらの情報は極めて限られた範囲でしか公表をされていませんし、調べてみますと、情報を公開している、公表している範囲も自治体によってかなりばらつきがあります。
この際、こうした行政が保有している医療にかかわる関連情報をもっと広範囲に公開すべきではないのか。個々の医療機関にかかわる情報についても、例えばこの医療機関はお医者さんが何人いて、看護婦さんが何人いて、こんなことはもう当たり前の情報だというふうに思うわけで、そういうことをぜひ積極的に広範囲に、つまり持っている情報を公開できる範囲をもっと広げてほしい。もし、現在の規定がそれはちょっと無理ということであるならば、それを根拠づけている法律の改正も含めてさらに検討をしてほしいというふうに思います。
また、先ほども申し上げたように、かなり自治体によってばらつきがあります。ぜひ最低限、一定のここまでの範囲は各自治体共通に公表できるようなルールづくりはできないのかということも考えております。この点についてお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/146
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147・谷修一
○政府委員(谷修一君) 先生御承知のように、医療監視というのはいわゆる行政側が医療機関の適正な運営を確保するということを目的として認められました一つの権限でありまして、したがって医療監視を通じて得られた情報を広範囲にそれぞれの個々の医療機関の内容に立ち入って公開をするというのは適切ではないというふうに考えております。
ただ一方、先ほど来お話ございますように、患者さんが医療機関を選択するといったような観点から広告事項を拡大していく。現在、今後の課題として考えておりますのは、例えば職員の数ですとか、これは非常に客観的なものでありますから広告事項として当然含めていいのではないかというふうに考えておりますが、一方、自治体が持っているいろんな形で得た情報をその地域の実情に応じて積極的に地域住民に提供していくということはやはり今後やっていかなきゃいけないことだというふうに思っています。
それで、今のお話ですと、自治体によってばらつきがあるといったようなお話もございましたので、そういったような意味での一つのルールといいますか、そういうようなものについては検討してまいりたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/147
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148・朝日俊弘
○朝日俊弘君 大変慎重な答えで少しがっかりしましたが、次の問題とも関連しますので移ります。
具体的な説明はちょっと時間がなくなりましたので省略しますが、最近、新聞で大阪の安田病院等系列三病院における幾つかの複合的な事件について報道がなされております。行政は、この病院の医療監視あるいは保険診療機関としての機能などを含めて、少なくとも毎年調査をしていたはずであります。私に言わせれば、ようやく最近積年の問題が明らかとなってきたというふうに思っています。
例えば、架空職員を登録して、それによって例えば看護婦さんは何人という形で水増し請求をしていた。いわゆる幽霊看護婦が何人かいた。さらには、最近の新聞報道によりますと、単なる水増し請求にとどまらず労働基準法違反の疑いも極めて強い、こういうことが安田病院を中心に系列三病院についてさまざまな形で報道がされているわけであります。まだ現在捜査中ということでもありますので、きょうはこの場では詳しい状況の報告は求めません。
最後に、大臣にお伺いいたします。
改めて言うまでもなく、現在提案されております健康保険法の改正案は、どう説明しようと明らかに患者さんには自己負担増をお願いしておりますし、労働者には保険料のアップをお願いするという内容になっています。しかし、一方で今申し上げたようなこういう安田病院のような問題が、これだけではなくて再々起こってきている。これでは皆さんに理解を求めようにもその限度を超えているというふうに言わざるを得ません。ぜひ、こうした病院の問題、とりわけ今問題となり、これからさらに捜査が続けられるであろう安田病院問題の厳正な決着に向けて大臣のお考えと決意をお伺いして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/148
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149・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) あの安田病院等の問題につきましては、これは医療というよりも病院に対しても国民の信頼を大変傷つけたといいますか、損なったと思うのであります。かなり前からこういう状況を心配していた方も多かったと思います。にもかかわらず、なかなかその実態が明らかにされなかった。今回ようやく厚生省の強い指導のもとに詳細な調査を行い、大阪府あるいは大阪市と共同して実態を調査したところでありますので、この結果を踏まえて厳正に対処していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/149
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150・朝日俊弘
○朝日俊弘君 ありがとうございました。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/150
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151・西山登紀子
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
この間の質疑の中で、健康保険法の修正をされてきました改正案というのが薬の二重取り、そしてそれは単なる二重取りではなくて薬の払い過ぎというものをその制度の中に矛盾として持っている、これはもう局長さんもお認めになりましたが、そういう問題とか、それから年金では払うことができない、それほどに高い国民負担を求める法案であるということ、これもはっきりいたしてまいりました。それから先日は、国民負担増によりまして、しかも急激な負担増によりまして深刻な受診抑制、治療の中断、こういうことについても非常に心配が大きいということも私は質問をしてまいりました。
きょうは、とりわけこの赤字の原因であります、主要なと言っていいと思いますが、最大と言ってもいいと思いますけれども、薬価の問題、いわゆる新薬シフトを解消することについて質問をしたいと思います。
この新薬シフトには二つの問題があるというふうに考えておりますが、その一つは八〇年以降日本で年間どれぐらい新薬が承認をされてきているかということですけれども、日本製薬工業協会のデータブックを見ましても、八〇年以降で六百四品目が承認をされているわけです。その新薬の承認というのが、実は薬の安全性だとか効能、これに重大な疑問があるのに承認がされてきているという、二つの問題のうちの一つはこの安全性、それから効能についての問題であります。これは既に衆議院の予算委員会で我が党の志位書記局長が質問をした点でもございますけれども、阪南大学の浜六郎先生が「薬害はなぜなくならないか」という御本の中でも紹介されているわけです。
医薬品・治療研究会が九四年に承認をされました新薬の総合的な評価というものを下しているわけです。
それは、もう御承知かと思いますけれども少し御紹介をさせていただきたいと思うわけですけれども、調べますと、その三十七剤のうち七剤は無用だとか、危険だとか、不可だとか、禁止だとか、こういう項目の中に入ってしまう。一八・九%がそれだと。目新しくない、これが三二・四%。わずかに有用だというのは二一・六%で八剤でございます。中にはイリノテカンのように非常に重大な毒性死というものを発生したものもあると指摘をされているわけです。
承認してきたのは厚生省です。厚生省、この点についてどのような反省をしていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/151
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152・丸山晴男
○政府委員(丸山晴男君) 今お話しの九四年承認の新薬三十七剤につきましての有用性がないとか、そういったような評価でございますけれども、私どもとしましては、その逐一について確認をいたしまして、そのような御指摘は適当ではないというふうに理解をいたしております。
いずれにしましても、医薬品の承認に際しましては、有効性と安全性が極めて大事でございますので臨床治験、それからその前の動物実験といったようなことで、承認に当たりましては最高度の医学、薬学的な知識に基づいてその有用性を判断するようなことで中央薬事審議会にも諮問し、また、事務局審査につきましても欧米に比べて弱体だと言われておりますので、有効で安全な医薬品を適正に承認していくといったような体制の整備に努めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/152
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153・西山登紀子
○西山登紀子君 非常に重大な死亡例も出しているというのに、私は厚生省の反省がそういうことであるということに大変驚いています。
大臣、五カ月前に答弁に立たれまして、薬というのは適正に飲まないと毒にもなる、副作用も怖い、だから薬の審査は厳重にしなくちゃいけない、今の御指摘を参考にしながら薬価基準の見直しに取り組んでいきたいというようにお答えになっているわけですけれども、あれからもう五カ月がたちました。どのような点で改善に着手をされているか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/153
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154・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 医薬品の安全性確保につきましては、昨年六月の薬事法改正により、ことしの四月から国際基準に則した治験の実施基準の導入等、制度的枠組みの整備を図ってまいりました。
今後、これを着実に実施していくため、七月から医薬安全局の設置、医薬品医療機器審査センターの設置等組織再編を行っていきます。そして、審査・安全対策を担当する職員の計画的増員を図り、欧米諸国に比べて遜色のない審査体制を目指していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/154
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155・西山登紀子
○西山登紀子君 新薬シフトのいま一つの問題というのは、この新薬の薬価が非常に高いということであります。これは大阪府保険医協会の調査、これはもう政府の方でもお認めになっているわけですけれども、これは一・五倍から三倍は高値がついていると。総理もお認めになった、とりわけ新薬については高いということについてはお認めになっているわけですね。この新薬が非常に高い、そしてその新薬の薬剤費が年間に占める比率というのが非常に高いと。ドイツだと約一割なんだけれども、日本は五割を占めている。しかも全体の薬剤費は年間八兆円に上るわけですから、この新薬が薬剤費を押し上げていると、こういうことはほぼ日本の国民の中でも常識となりつつあるのではないかと思います。
そこで、なぜ高くなったのかという解明が必要だと思うわけです。薬価は二年に一度見直され、大手製薬メーカーというのはだんだん薬価が下がっていくということにつきましてどういうふうな手段をとってきたかといいますと、結局薬価が二年ごとに下がっていくわけです。つまり、下りのエスカレーターのように薬価が下がっていきます。そうすると利潤が少なくなるということから、実は先発品をコピーした非常にマイナーな改良品の開発を一生懸命やり出します。いわゆるゾロ新というものです。効能もほとんど変わらないんだけれども少し表を変えて、新しい名前をつけて、しかも高薬価で売り出す。つまり、薬価はずっと下がっていくんだけれども、ゾロ新だけは後ろに向かってぽんぽんと上に上がっていくような形で高値がつけられていく、これがいわゆる新薬シフトであります。ゾロ新であります。つまり、薬価が下がっていった分をこんなふうにして取り戻す、そして高い利益を得てくる、これが日本のいわゆる新薬シフトの一つのからくりです。
私もよくわからなかったから何度も聞きましたよ。薬価基準がずんずん下がっていくのにどうして薬剤費が、全体のパーセンテージが下がらないのか、また製薬企業がどうしてこんなにもうけているんだろうか、わからない。何度も聞きました。そのからくりが、今申し上げましたように、下りのエスカレーターのように薬価が下がっていくんだけれども後ろ向けにぴょんぴょんと上に上がっていくゾロ新という非常に高値な新薬が次々に承認され高値がつけられていく、そしてどんどん売っていくと、こういうことです。
この製薬企業の高利潤ですけれども、もう皆さん先刻御承知のことなんですけれども、売上高営業利益率というのは他産業に比べまして率が非常に高いですね。日本開発銀行のデータでも売上高営業利益率の比較というのは、平成五年度のものですけれども、全産業は二・六%に比べて医薬品というのは一三・四%。利益率が非常に高い。もう一つ、和光経済研究所が三月期決算会社の決算実績集計というのを出しているんです。これでもやっぱり断トツに製薬業界というのはもうけています。ここでも本当に、いわゆるバブルのときに全体として他産業が落ち込んだときにも製薬企業というのは二けた台の高い利益率をずっと維持して、むしろ上がっている、こういう利益率を持っております。
なぜ不況のときにでも断トツにもうかるのかといえば、それはやはり大手製薬企業に高い収益を保証してきた新薬シフトというのがあるからじゃないでしょうか。大企業の高い利益というのはいわゆる高薬価の新薬シフト、そのためではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/155
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156・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) ただいま御指摘のような問題点、新薬シフト、これがどういうことで起こってきているのか、まさにそこのところが重要な点であろうと思います。
これはまさに薬価の決め方の問題に起因するわけでありまして、現在、中医協の建議等に基づいたルールに従って薬価を決めておりますけれども、これはいわゆる公定価格を決めるというやり方であります。
なぜ薬価が数年するとどんどん下がるのか。これは市場の流通の中で、いわゆるマーケットの中での価格形成ということになるともっとそれが下がっていく、こういうことだろうと思います。
そこで、私どもとしてはやはりこういった公定価格というものを定めるというやり方そのものを改める、そのことによって薬価差というもののない制度にしていく、そのかわり診療報酬の中で医業経営についてきちんとした評価をしていく、こういうことがやはりこれからのとるべき道であるというふうに考えているわけであります。
製薬企業における利益率、これは他産業に比べて高いということでありますけれども、国際的にどうかという問題ももう一つありますからその辺のところの比較という点も抜きには考えられないわけでありますけれども、一般的に申し上げれば医療費というのは余り経済の好不況に影響されないで伸びますから、現実に伸びていますから、そういった意味でそれに使われる薬についてもそれほど変動がない、こういう要因もあろうかと思います。
したがって、私どもとして特に大手製薬企業の高利潤というものを保証するようなことでこの制度というものを運用しているということではございませんので、その点についてだけは御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/156
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157・西山登紀子
○西山登紀子君 私、全然納得できません。
製薬企業というのは薬しか売っていませんよ。製薬企業の収入の八五%は国民の保険ですよ。ですから、皆さんがお決めになってきた、厚生大臣がお決めになってきた公定価格ですから、それで薬の製薬企業がこんなに、私たちはもうけちゃいけないと言っているわけじゃないんですよ、断トツにもうけ過ぎているこの製薬企業の利益を保証してきたのは厚生省がお決めになってきた新薬シフトの高い薬価じゃないかと、この点をお伺いしているわけです。
次に移りますけれども、具体的にお聞きしたいと思います。
大阪府保険医協会の調査では、インターフェロン一千万単位はイギリスでは九千七十三円、アメリカでは一万二千九十四円に対して日本では二万八千六百十円なんですね。現在の薬価は少し改定されていますが、二万六千五百八十五円に下がっていますけれども、それでもイギリスの三倍以上、アメリカの二倍以上あるわけです。
なぜ日本の薬価はこんなに高いんですか、インターフェロン。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/157
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158・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 今御指摘のインターフェロンでありますけれども、これは八七年十一月に第一回目、最初の新薬として収載をされております。そのときは三万六千七百八十三円という額でありましたが、これが今二万六千五百八十五円ということで御指摘のとおりであります。
この最初の収載されたときの値段、これは先ほど申し上げましたような中医協の建議に基づくルール、その中での類似薬効比較方式という類似薬の値段というものをもとに当時このような値段が決められ、その後マーケットの中でこのような値段の改定が行われきた、こういうふうに理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/158
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159・西山登紀子
○西山登紀子君 お答えになっていないと思うんですね。
なぜイギリスの三倍、アメリカの二倍なんですか、インターフェロン。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/159
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160・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 今申し上げましたように、薬価を決める際のルールというものが決まっておるわけでありまして、その決め方としては二つありまして、一つは類似薬が既にある場合にはその類似薬との比較において、いわゆる類似薬効比較方式というふうな呼び方をしていますが、類似薬との比較において値段を設定するという考え方が一つであります。それから、もう一つは類似薬がない場合、この場合は原価というものを基本にいたしましていわゆる原価計算方式というような形で値段を決めている。これが中医協で決められたルールでございます。
このインターフェロンにつきましても、八七年十一月に収載されておりますが、その当時いわゆる類似薬効比較方式ということで決められたということでありまして、イギリスあるいはアメリカで売られている額に比べますとかなり高いという実態がございますけれども、我が国におけるこれまでの新薬の値段の決め方のルールにのっとって決めた結果このような額になっている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/160
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161・西山登紀子
○西山登紀子君 そのルールが非常に不透明で国民にはわからないんですよ。どうしてこんな二倍も三倍も高い薬に日本の国民はお金を払わなければいけないかということが全然今のお話ではわかりません。
実は厚生省のOBの証言が私どもの方に寄せられているわけですけれども、非常に不透明な形で決まっていくというわけですよね。それで、最終的にはメーカーと厚生省の業務局、保険局の三者協議で決定されるわけですけれども、最後にはまあこの辺でいいんじゃないのかというような談合の形で決まってしまうのが実態だというOBの証言もあるわけです。
ですから、今のお話では、一般的なルールはそうなんだけれども、二倍、三倍になぜインターフェロンがなったかという理由についての御説明にはならないというふうに思います。非常にブラックボックスなんですね。
さらに続けますと、ミドリ十字の販売している潰瘍性大腸炎の薬、サラゾピリンというのがあるんですが、これとアザルフィジンENという薬は医薬品としての成分は同じだと思うんですけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/161
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162・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 今挙げられました二つの薬の有効成分でありますが、これはサラゾスルファピリジンという同じ成分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/162
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163・西山登紀子
○西山登紀子君 成分は同じなんです。問題は、アザルフィジンENというのは腸溶剤というんですか、適応症が慢性関節リウマチとなって新しく発売されたわけですけれども、アザルフィジンENというのは典型的なゾロ新です。内容は先ほどのサラゾピリンと同じ、成分はサラゾスルファピリジンという同じものなんですが、値段が全然違います。このENの方は一錠百十五円八十銭ですけれども、サラゾピリンというのは一錠三十九円四十銭。成分が同じなのに後から出てきたゾロ新には三倍の高値がついています、三倍の高値。このサラゾピリンというのは収載されたのは八一年の十二月二十八日。ですから、ずっと値段が下がってきて今三十九円四十銭になっているわけなんですね。それでゾロ新が出てきた。百十五円八十銭ということで三倍の値になっています。同じ成分の薬です。
どうしてこんなに高値がつくんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/163
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164・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 直近の薬価で申し上げますと、サラゾピリン錠というのが三十八円三十銭、それからアザルフィジンEN錠というのが百十四円五十銭でございますけれども、これはそれぞれ有効成分は同じでありますが効能・効果が違っておりまして、サラゾピリン錠というのは潰瘍性大腸炎、それから現局性腸炎とかあるいは非特異性大腸炎、これに効能・効果がうたわれておりまして、もう一つのアザルフィジンEN錠というのは慢性関節リウマチの薬ということでございまして、それぞれの効能・効果あるいは用法・用量というものが違っております。
そういう中で、このような価格になっておりますが、サラゾピリン錠というのが収載されましたのが昭和四十五年の八月でありました。それからアザルフィジンEN錠というのが収載されましたのが平成七年の十一月ということでございます。アザルフィジンEN錠の方は比較対照薬、いわゆる類似薬効比較方式ということでこのような薬価が設定されているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/164
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165・西山登紀子
○西山登紀子君 それはなぜ三倍の値段をつけたのかという理由にはならないですよね。説明ができないはずですよ。不明朗な、厚生省のOBだってよくわからないような決め方で決まっているというふうにおっしゃっているんですから説明がされないはずだと思います。
それで、ちょっと質問時間がなくなってきたので先に急ぎますが、私はやっぱりこのゾロ新、不可解な高値のついている薬価を直ちに下げるべきだと思うんですね。それを下げることがまず第一だと思います。薬価基準は二年に一回改定を行っているわけですから次の改定のときにはこれを下げるということが今までの国民の批判や国会での論議の中で指摘をされたことに対する厚生省がまず第一にやるべきことじゃないかなと思うわけですね。
私は、予算委員会の中で例の先発品と後発品の問題を取り上げたことがございます。つまり、七八年以前は同一成分は同一価格であったわけですが、その後、後発品の値崩れで先発品が下がっては困るということで銘柄別収載方式に変わって今日までなっている。その銘柄別収載がずっと続いた結果どうなったかといいますと、実は後発品の値崩れを防ぐということで二・五分の一ルールというのがあることがわかりました。よく考えてみると、これを逆さまにすると二・五倍のルールだと。つまり、後発品の値崩れを防ぐためのルールだとはおっしゃってきましたけれども、これをひっくり返すと実は先発品の値崩れを防止するための、先発品が二・五倍の高値をずっと保持するためのルールだということではないかということを指摘させていただいたわけです。
問題は、二・五倍がいいか二・六倍がいいかという問題ではなくて、なぜ科学的な根拠のない二・五分の一ルールというようなものが極めて恣意的に、極めて一律的に先発と後発の関係をつくっているのかというここが問題です。これがやはり薬剤費を引き上げて国民の皆さんからたくさん医療費を取る、こういうことになっている、これをどうやって直すかという問題であります。
衆議院の議論の中で高木局長は、我が党の児玉議員の質問に対しまして、「個別個別の薬の値段について、これは必ずしも従来公表されていないわけでありまして、私どもは、やはりこれについても、薬の透明化を図るという観点から公表の方向に行くべきであるというふうに考えております。」というふうに御答弁をされています。原価の公表というところに私は一歩踏み込んだ発言をされたものと受けとめておりました。
そして、児玉議員が資料請求をいたしまして出てきたのがこの表でございます。今、資料配付をさせていただいているこのシメチジンという薬です。これは胃腸薬じゃないかと思うんですけれども、このシメチジンという薬、やはり先発と後発があるわけですね。シメチジンの先発品の値段というのはやはり二・五分の一ルール、そういうことでシメチジン、二枚目の資料ですけれども、三九・八〇、後発は一五・九〇という値段。この差は二・五倍の差があります。
ここでそれぞれ先発、後発の原価を明らかにしてくださいというふうにいたしましたところ、厚生省がお出しになった資料がこの資料でございます。パーセンテージが書かれております。販売名はA、B、C、Dですからどこの会社の製品かはわかりません。製剤原価対薬価比ということでパーセンテージが出ております。
これをどう見るかということであります。
後発品の会社は六社ございます。先発品は一つです。先発品の薬価というのは高値になっていますから三九・八〇の高値、後発品は一五・九〇の薬価がついているわけです。製剤原価と薬価の比率がこうだというパーセンテージ、これは各委員の皆様もどのように分析をされるでしょうか。いろいろ考えてはみたものの、非常に難しいですね。これから原価を割り出したり、あるいは、この製剤原価の中には原価と流通経費とマージンと三つ入って製剤原価だという説明を受けましたので、先発品の原価や後発品の原価あるいはマージンが幾らかということはこのパーセンテージだけではわかりません。
厚生省にお伺いしますけれども、ゼネリックは六つ、先発は一つです。先発品はこの中のどれか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/165
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166・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) この表を児玉先生に御説明したその経緯をちょっと申し上げないと……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/166
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167・西山登紀子
○西山登紀子君 時間がないから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/167
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168・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 結論だけというのは極めて危険な質問でありまして、まず申し上げなきゃいけないのは、我が省の職員は児玉先生にはこの製薬企業の出されているいわゆる薬価設定に当たって製薬企業は当然こういうことでこのぐらいの薬価ということを考えているんだという説明を行っているわけでありますが、その際、原価の説明というものは入ります。しかし、これはあくまでも対外的には公表しないという、そういった了解のもとに各製薬企業はそれぞれの企業の原価というものを御説明してきているわけでありまして、そういった意味で、製薬企業のそれぞれの原価というのは、これは企業における一種の経営機密の一つというふうにも考えられますから、そういった意味でこれは公表はしないという約束のもとにヒアリングをしてきているわけであります。
ですから、これまでそういった意味で原価というものは直接は公表しない、こういうやり方で来たわけでありまして、児玉先生から、しかしその原価というものを教えてくれということであったわけでありますけれども、今申し上げたようなことでそれはお教えできませんというふうに申し上げたわけであります。しかし、原価と薬価比率、それだったらどうかということになればこういうことでありますということで御説明をしたというふうに聞いております。
今まさに先生御指摘のとおり、この中で先発品はどれかというのが決まるとすべて原価が出てきちゃいますから、したがって冒頭申し上げたようなことで、申しわけございませんけれども、これは差し控えさせていただきたい。
ただ、これからはそういう個別の値段の決め方についてきちっと中医協に御説明をし、公表していくということにことしの冬の中医協でなりました。したがって、そういうことで製薬企業の方もそういうような納得と合意のもとに原価というものも出ていくということを承知の上でこれからはいくわけでありますから、ただ過去の分についてはそういうようなことでやってきておりますので、それは私どもとしては公表は差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/168
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169・西山登紀子
○西山登紀子君 ちょっと確かめておきたいんですが、これからは原価を公表されるとおっしゃいましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/169
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170・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) これからは個別の薬の値段、どういうふうにしてこういう値段になったのかということについて個別個別についてその決定の過程というものを中医協に報告をする、そして公表していく、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/170
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171・西山登紀子
○西山登紀子君 これから公表していくということで確認をさせていただきたいと思うんです。
もちろん、国民に大変な負担を強いるわけですから不明朗な、わけのわからないような、例えば二・五倍だとか、国際的にも非常に高いような薬をこのままにしておくことは絶対にできないと思うわけですね。
大臣、大変失礼いたしました。時間がありませんのでまた次の機会に質問させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/171
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172・釘宮磐
○釘宮磐君 これまで数々の議論がなされてきましたし、また問題点もいろんな意味で煮詰まってきていると、私はそのように感じております。
ただ、今、西山委員とのやりとりを聞いていまして、私は昨年の通常国会で、ちょうど今ごろだったんですが、薬害エイズの問題を議論しておりました。そのときに感じたのは、やはり国内のメーカーをとにかく守るということが結果的にああした悲惨な問題を引き起こしたというふうに私は感じたわけであります。
その後、厚生省は不祥事が相次いだわけですけれども、今回、医療保険改革の中で国民の皆さんに大変な負担をお願いをするわけでありますが、そういう際に、大臣が今まで答弁の中で言ってこられた、国民の皆さんにも負担はいただくけれども、これは医療の提供者も、また薬剤のメーカーも一緒になってある意味では痛みを感じてもらわなきゃならないというような御答弁がなされてきました。
私は至極ごもっともな発言だと思いますし、それゆえに、今の議論を聞いていまして、私は本当にこれで厚生省は本当の意味でこの改革を何が何でもやらなければ、きょう田浦委員からのお話がありましたが、本当に五千億削り込めるのかというような、そういう疑念の声も上がりましたし、私は、そういう意味で、大臣の感想といいますか、そういうようなものをちょっと聞かせていただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/172
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173・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 今国会の審議の中で一番批判が多かったのは今までの薬価の決め方でした、薬価基準の見直し。そういう御意見、御批判を踏まえてこれからの抜本改革、薬価基準の見直しについては抜本的な改革をしていきたいと。
当然、薬価基準だけじゃありません。診療報酬体系、医療提供体制、総合的な改革をする場合にはそれぞれが、医療関係者、製薬業界、医師会、国民、すべてにとって大変大きな影響のある改革でありますので、お互いが公正感の持てる改革をしていきたいと。当然、薬価の見直しにつきましても抜本的に行っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/173
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174・釘宮磐
○釘宮磐君 それでは、今の大臣の答弁を私どもは大いに期待をし、そしてこれからまた見守っていきたいというふうに思います。
きょうは、診療報酬についてまずお伺いをしたいと思います。
我が国の診療報酬体系というのは、これまで出来高払いが基本になってきました。近年、部分的にではありますけれども、診療報酬改定のたびにいわゆる包括的評価定額払い方式の導入が図られつつあるわけです。
これまでの包括的評価導入の経緯及びその成果についてまずお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/174
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175・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) これまでも、出来高払いを基本としながらも、それをできるだけ合理的なものにしていこうということで包括払いあるいは定額払いというものが導入されてきたわけであります。ただ、その歩みの問題でありまして、その歩みはそんなに多くないのではないかということではないかと思います。それでも全体の中で定額払いなり包括払いをしてきている量はふえてきておりますけれども、今回の抜本的な見直しに当たっては、そこを総合的に出来高払いが適切なもの、それからまたむしろ包括払いのよさというものを生かした方がいいもの、それらの組み合わせというものを積極的に図っていこう、こういうふうに考えているわけであります。
そこで、そういう意味で包括払いにおいて最も効果を上げたと言われておりますのは老人医療の分野でありまして、老人医療につきましては包括払いを実施いたしました。その結果というものを平成二年度に調査したものがございますが、それによりますと、日常生活動作能力ということを損なわずに検査とかあるいは投薬とか注射とかそういうような件数あるいは点数、そういったものが減少した、こういうような報告がありまして、私どもとしてはこれは包括払い制導入の一つの成果ではないかというふうに評価をいたしております。
本来ならばこれをもっと継続的にフォローしていくべきでありますが、その後のフォローアップの調査はしておりませんで、ことし、その後における状況というものを調査することにいたしておりますけれども、この成果が顕著にあらわれているのはこの分野であります。
そのほか、やはり患者さんの心身の特性等に応じた診療報酬上の評価ということで、お年寄りのほか精神障害者にかかわる慢性期の医療、あるいはまた急性期におきましてのいわゆる集中治療室、救急医療の関係でありますが、そういった集中治療室における医療等について包括払いというのが導入されてきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/175
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176・釘宮磐
○釘宮磐君 いわゆる出来高払い方式が結果的に過剰診療、過剰検査、こういったものを生んで、幾らでも請求すればいわゆる収入があるわけですからそういうようなものが医療費を高めているのではないかという評価が当然あるわけでありまして、そういう中で私どもが一方で心配するのは、これが包括払い、定額払いになることによっていわゆる粗診粗療のおそれがないのかというようなことが言われております。
この点について厚生省はどういうふうに考えておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/176
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177・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 包括払いの場合にいわゆる手抜きが行われ、結局それが粗診粗療という結果になるのではないかと、これが包括払いの懸念される問題点でございます。そういった意味では、まさにそれぞれの疾病の特性とかあるいは患者さんの心身の特性とか、そういったものを踏まえて最も包括払いがふさわしいというものについて導入していくというやり方が一番適当だろうというふうに考えておるわけでありますが、問題はそういった粗診粗療とかそういうような問題をどういう格好でチェックしていくか、このところが一番大きな課題だというふうに思います。
私は、基本は医療機関なり医師の良心なり基本的な姿勢というものがベースだと思いますし、そういった意味で相当みだりに流れるということはないと思いますけれども、私どもとしてもそういった意味ではこれからもやはり審査なり支払いに当たっての厳正なチェックというようなものを欠かせないというふうに考えておりますし、それからまた患者さんに対する情報の提供ということを十分やることによって患者さん側が十分な治療を受けられているかどうかということを感ずるような、そういったようなことができないかなということも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/177
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178・釘宮磐
○釘宮磐君 おっしゃるように、私はこれは医者の倫理観、こういうようなものにある意味ではゆだねなければならない部分があろうかと思いますし、またそういうふうな風評が立てはこれは選択ができるわけですから当然淘汰をされていく。私は、そういう意味での厳しさみたいなものはこれから患者サイドも当然持つだろうし、また医療機関サイドもそういうようなものを認識していくというような形でのシステムをつくるべきだろうというふうに思います。
厚生省ではこの十月から国立病院にいわゆる入院定額払い方式を試行するというふうに言われておりますけれども、この点についてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/178
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179・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) いわゆるDRGというものを試行していきたいという考え方でございます。
これはことしの秋、十月から予定しておりますけれども、国立病院、公立病院、公的病院、合わせて十カ所程度予定しておりますが、一定規模以上の病床数、あるいは平均在院日数が比較的短い、そしてまた診療内容についても合理化や医療の質の確保ができる、それから病院経営の合理化等の状況、そういったような項目についてそれぞれ比較対照しながら分析をしていきたい、こういうようなことであります。そして、今後このDRGというものが我が国においてどういう形で導入されるべきなのか、そういった点の検討資料ということでやっていきたいというふうに考えております。
そして、十月から予定をしておりますこの十病院については、いわゆる診療報酬の請求の仕方としましては定額部分に出来高の部分を加えた新しい仕組みとして請求をしていただくような形で今回のデータというものをそろえていきたい、そしてその具体的な状況というものにつきましては中医協でも御報告し御議論いただきたい、そんなふうなことで考えておりまして、そういった意味では我が国で初めての試みということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/179
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180・釘宮磐
○釘宮磐君 定額払い方式というのが今後拡大をされていくというふうに理解をするわけであります。
これは大臣にお伺いをいたしますが、いわゆる与党の医療保険制度改革協議会の議論の中では、当初は定額払いの拡大の方向というものが示されたわけですけれども、その後四月七日には最終的に「医療制度改革の基本方針」という中で定額払いと出来高払いとの最善の組み合わせを目指すというふうに若干ニュアンスが変わってきているんです。
私は、何となくこれはトーンダウンしたのではないかな、またそこは利害調整か何か働いたのかなというふうなことを疑うわけですけれども、これはある意味ではこれから抜本見直しの中で当然議論はなされていくのでしょうが、基本的には、先ほどからの議論の中にもありますように、私はやっぱり定額払い方式というのを拡大させていくべきだというふうに思いますが、その点について、大臣、どういうふうな御見解でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/180
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181・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 出来高払い制度にしても定額払い、包括払いにしても一長一短があります。今、出来高払いが原則ですから過剰診療、過剰検査、過剰投薬という批判がありますが、そういう点も踏まえまして、これからは一定の疾病に対しては一定の額で診療してもらう方がより適切ではないかという声も多いものですから、出来高払いを全部廃止はできません、また全部定額払いにもできません、それをいかに組み合わせていくかというのはこれからの問題です、両方の長所を生かせるような組み合わせを考えたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/181
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182・釘宮磐
○釘宮磐君 私が今特に強調したかったのは、要するに最善の組み合わせではあるんですけれども、やはり出来高払いの方が医療機関としてはある意味ではメリットが高いわけですから、そこにどうしてもいわゆる圧力がかかってくるというようなことをあえてこの際大臣にそういうふうなものは排除してでもやるんだというような答弁がいただきたかったわけであります。
もう時間がありませんので次に移らせていただきますが、保険者機能の強化という点についてお伺いをしたいと思います。
昨年十一月の産構審ですか、いわゆる産業構造審議会、この小委員会の中間取りまとめの中で、HMO方式の導入ということがうたわれております。これはヘルス・メンテナンス・オーガニゼーション、いわゆる健康維持組織、これはアメリカで行われているわけですが、この導入、いわば給付対象、保険料に関する規制緩和等健保組合の創意工夫を通じた保険の効率化が提言されております。医療保険審議会や財政審特別部会においても保険者機能の強化による医療費の適正化が報告をされておりますけれども、この保険者機能の強化策について厚生省としてはどのような見解を持っておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/182
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183・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 昨年十一月二十七日にいただきました医療保険審議会の建議の中でもこの保険者機能の強化ということがうたわれております。これは保険者というものが被保険者の代理人として被保険者に対して適切な情報の提供とかそういったことを積極的にやっていくべきである、これは私もそういうふうに考えております。
しかし、それが現行制度でできないのかというと、何ら規制がかけられているわけではありませんから必ずしもそういうことはない。問題は、我が国の医療保険制度における保険者というものが保険料を徴収し、そして医療機関で給付を受けた場合に、それに対してお金を支払うということの機能を余りにも中心に考えてきたのではないか。むしろ、そういった意味では保険者は被保険者の代理人としてサービスに努めるという、そういった発想といいますか、頭の切りかえといいますか、こういうことも非常に大事じゃないか。
そういった意味では、保険者機能の強化といった場合に特別に何か法的に権限を与えるとか、私はそういう方向なのかどうかということについては若干疑問を感じておりますけれども、ただこの産構審の中で言っておりますHMOがやっておりますように、それぞれの医療機関と契約をして、そこの契約医療機関でしかその組合員は医療を受けられないという仕組みというのは、我が国の国民皆保険の中で、しかもあらゆる医療機関が保険医療機関として自由になれるような仕組み、それになれ親しんできた我が国でありますから、アメリカのそういった民間保険のシステムを公的保険の中にそのまま導入するということは逆に被保険者にとっては非常に不便を来すことになります。その点については私は産構審の意見というのが必ずしも適当かどうか、これはよく検討する必要があるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/183
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184・釘宮磐
○釘宮磐君 今の問題で、これは当然保険者が努力をすることであるという局長のお話ですが、先週の日曜日だったと思いますけれども、医療費は正しく請求されているかというNHKの特番があったんです。その番組をちょっと私は見たんですが、ある生命保険会社の健保組合が医療費削減のためのレセプト審査を専門会社にレセプトによる請求は正確かどうかチェックの依頼をしている。そのレセプト審査会社によると、例えばレセプト百件のうち再審査請求を起こす件数は六件、実際に二件は査定して払い戻しがあるというようなことでいわゆる過誤請求がある。今この会社は七十の組合や団体と契約をしてここ五年で五倍にふえてきたということで、これ実際問題、この生保の健保組合としては危機感を感じて始めたわけだろうと思うんですね。
レセプトの間違いは四つに分類されているそうで、単純記入ミスがまず一つ、それから二つ目に使用禁止薬の投与、それから三番目に過剰な投与・検査、それから四番目に病院と治療法の食い違いに分類されているそうです。
ちなみに、東京都の社会保険診療報酬支払基金の審査委員会でのレセプト審査は一月に六百万件、審査員三百名でそれを七日で審査する。ということは約五秒に一件を審査する計算になるわけです。しかも、一件について百十六円の手数料を払っているわけです。この体制で五秒で実際にできるのかどうかという問題、しかも六百万件に百十六円掛ければどれだけになるのか。これは一カ月ですから年間になるとどれだけになるのか。しかも、レセプトを受け取って、今度は保険のレセプトを専門にチェックするところにまたお願いをしている。これは二重にチェックをしているということになるわけですけれども、そういう状況を考えたときに、こういうお金が使われているということには問題がないのかどうか、私はこのことを指摘させていただきたいと思うんです。これはいわゆる健保組合ですけれども、これと同じように政保、国保にも同じようなことが言えるわけです。
こういうことについて、局長、どういうふうにお感じになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/184
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185・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) まず前段の問題でありますが、まさに御指摘のとおり、現在、支払基金なりあるいは国保連合会で審査をすることになっております。しかしながら、まさに支払基金で申し上げれば、年間七億件という物すごい膨大な請求書が来るわけでありますから、それを一つ一つ目でチェックする、これは実際問題として非常に無理がある。ということは、やはりそういった面でも現在の仕組みなりというものがもう実態に合わなくなってきているというふうに私は思っております。
しかし、そういった中で、この審査というものを支払基金においてもきちっとやってもらいたい、何か審査のために審査をやっているということじゃなくて、本当に真剣に内容について厳しくチェックをするということをやっていただきたいということはかねがね言ってきております。しかし、そういった状況だけでそれではいいのかというと、私は現在のこういう紙による、目によるこのような一件一件のチェックシステムというのはもう今の時代には合わない。そういった意味で、我々はレセプトの電算化というものを急がなきゃいけない。これは十年前からレセプトの電算化ということに取り組んでおりますけれども、モデル的な実施状況以上には出ていない。これはなぜなのか。そういうことを考えたときに、これまでと同じような取り組みではだめなので、発想の転換をして、まずこれを実現するにはどうするか。それは一〇〇%一遍にやらなくてもいい、九〇%できればあと一〇%は順次やっていけばいい、こういうふうな考え方で、まさに今回の医療保険制度の改革の取り組みの中で、各論にわたりますけれども、こういった問題についても私は今検討をしてもらっておりますし、何としても検討だけではなくて実現させなきゃいかぬということでやっております。
それからもう一点の問題、政管なりあるいは国保、これはそのとおりだと思います。とりわけ、私は、これだけ政管健保が赤字を抱えている、そういった中で国民に大幅な負担をお願いする、だとすれば政管健保そのものが千億でも二千億でも努力をして、そしてこのレセプトのチェックの中で不当あるいは不正というものがあればそれについて改善を求めていく努力をしてほしいということを社会保険庁にもお願いしておりますし、社会保険庁も今本気で取り組んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/185
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186・釘宮磐
○釘宮磐君 今、年間のレセプトの件数、七億と言ったんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/186
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187・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 七億。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/187
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188・釘宮磐
○釘宮磐君 七億。これは全部百十六円払っているんですか。——そうすると、その審査料だけでもこれは大変な金額ですよね。それが五秒間でやられているというんですね。
いみじくも私が言おうと思ったことを先に局長が言われたのですが、これはやっぱり私は電算化を進めるべきだと。これは、今の時代に電算化をやっていないなんというのは、これだけの費用をかけて、しかも審査委員というのは大体お医者さんが多いわけですよね、そうするとある意味では仲間内の審査をするわけですから、そういう意味でこれが本当に厳正なのかどうかという問題も私はこれは問題として残るのではなかろうかなと、そんなことも感じております。
大臣、どうですか、感想を聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/188
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189・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) これからの抜本改革の中で効率的な厳正な審査体制ができるように改善を図っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/189
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190・釘宮磐
○釘宮磐君 もう時間がなくなりましたので薬剤の問題については後に譲りますが、一点だけちょっと聞きたいんです。
六月二日の月曜日の日経新聞に、「今年四月に病院に納入された医薬品のうち、卸会社が代金の約八割を回収できないでいることが日本医薬品卸業連合会の調査でわかった。」「公定価格との差益を稼ごうとする医療機関との間で価格交渉が難航しているため」「厚生省に対し医療機関がすみやかに代金を支払うようルール化などを求めている。」という記事が載っているんですね。
今回、そのことについては議論が随分ありました。もちろん、ですからそのことが薬価差というものを生み、しかもこのことがいろんな問題を派生しているということが指摘をされてきたところでありますけれども、こういう問題が起こってきているという現実を一日も早く解消しなきやならぬと私は思うんですが、最後に局長、何か感想があれば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/190
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191・丸山晴男
○政府委員(丸山晴男君) 薬価改定の都度価格交渉がございまして、今般の日本医薬品卸業連合会の調査によりますと、本年四月の医療機関との価格妥結状況は一九・三%ということでありまして、これは過去薬価改定の都度行われる価格交渉としては、四月としては大体おおむねこの程度でございます。
しかしながら、こういう状況が好ましいというわけではございませんで、ほとんどの医療機関の場合には欠品を避けるために仮納入ということを受け入れておりますので医薬品の供給に欠品をもたらすということではございませんけれども、好ましくないことでございますので、流通当事者の代表者から成ります医薬品流通近代化協議会というのを設置しておりまして、そこの協議の場を通じて関係団体などに改善を求めますとともに、関係省庁あるいは関係部局にも協力を要請してきているところでありまして、今後ともこういった状況の是正に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/191
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192・上山和人
○委員長(上山和人君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後四時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014237X01619970605/192
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