1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年三月十七日(月曜日)
午前九時五十六分開会
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委員の異動
三月十三日
辞任 補欠選任
笠井 亮君 阿部 幸代君
三月十四日
辞任 補欠選任
岡野 裕君 大野つや子君
阿部 幸代君 笠井 亮君
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出席者は左のとおり。
委員長 鎌田 要人君
理 事
板垣 正君
鈴木 貞敏君
鈴木 正孝君
清水 澄子君
委 員
海老原義彦君
大野つや子君
狩野 安君
村上 正邦君
矢野 哲朗君
依田 智治君
大久保直彦君
永野 茂門君
山崎 力君
角田 義一君
齋藤 勁君
笠井 亮君
聴濤 弘君
北澤 俊美君
衆議院議員
内閣委員長 伊藤 忠治君
国務大臣
国 務 大 臣
(内閣官房長官) 梶山 静六君
国 務 大 臣
(総務庁長官) 武藤 嘉文君
政府委員
内閣参事官
兼内閣総理大臣
官房人事課長 安富 正文君
内閣審議官 及川 耕造君
内閣官房内閣外
政審議室長
兼内閣総理大臣
官房外政審議室
長 平林 博君
内閣法制局第二
部長 宮崎 礼壹君
人事院総裁 弥富啓之助君
人事院事務総局
給与局長 武政 和夫君
人事院事務総局
職員局長 佐藤 信君
内閣総理大臣官
房審議官
兼内閣審議官 安藤 昌弘君
内閣総理大臣官
房管理室長 榊 誠君
総務庁長官官房
審議官 大坪 正彦君
総務庁人事局長 菊池 光興君
総務庁行政監察
局長 土屋 勲君
総務庁恩給局長 桑原 博君
総務庁統計局長 伊藤 彰彦君
防衛施設庁長官 諸冨 増夫君
防衛施設庁総務
部長 伊藤 康成君
法務省民事局長 濱崎 恭生君
事務局側
常任委員会専門
員 田中 久雄君
説明員
内閣総理大臣官
房男女共同参画
室長 名取はにわ君
経済企画庁国民
生活局国民生活
政策課長 薦田 隆成君
経済企画庁経済
研究所国民経済
計算部長 根本 博君
大蔵省銀行局総
務課金融市場室
長 藤塚 明君
厚生省社会・援
護局業務第一課
長 竹之下和雄君
農林水産省経済
局農業協同組合
課長 高橋 賢二君
郵政省貯金局経
営企画課長 藤岡 道博君
労働省労働基準
局賃金時間部労
働時間課長 松井 一實君
労働省婦人局婦
人労働課長 草野 隆彦君
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本日の会議に付した案件
○国家公務員法の一部を改正する法律案(衆議院
提出)
○恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○男女共同参画審議会設置法案(内閣提出、衆議
院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/0
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001・鎌田要人
○委員長(鎌田要人君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る三月十四日、岡野裕君が委員を辞任され、その補欠として大野つや子君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/1
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002・鎌田要人
○委員長(鎌田要人君) 国家公務員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、提出者衆議院内閣委員長伊藤忠治君から趣旨説明を聴取いたします。伊藤委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/2
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003・伊藤忠治
○衆議院議員(伊藤忠治君) ただいま議題となりました国家公務員法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
御承知のように、在籍専従制度は、しばらくの間、国家公務員法に規定されず、人事院規則で手当てされておりましたが、ILO第八十七号条約批准に伴う昭和四十年の国家公務員法の改正によって法律上明文化されることとなったものであります。
当初、在籍専従期間は、在職期間を通じ三年を超えない期間とされておりましたが、第三次公務員制度審議会の答申を受け、昭和四十六年の法改正によって、五年を超えない期間に改められました。さらにその後、現業職員については、昭和六十三年に改正された国営企業労働関係法の附則において、国営企業の運営の実態にかんがみ、五年とされている在籍専従期間の上限を、当分の間、七年以下の範囲内で労働協約で定める期間とされたところであります。
ところが、非現業職員については、同じ公務員でありながら同様の措置が講じられていないのが現状であり、両者の均衡を図ることが求められてきたところであります。
次に、その内容について御説明いたします。
本案は、国家公務員の労働関係の実態にかんがみ、労働関係の適正化を促進し、もって公務の能率的な運営に資するため、現行法上五年とされている在籍専従期間の上限を、当分の間、七年以下の範囲内で人事院規則で定める期間とするものであります。
なお、この法律は平成九年四月一日から施行しようとするものであります。
本案は、衆議院内閣委員会において全会一致をもって委員会提出法律案とすることに決したものであります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/3
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004・鎌田要人
○委員長(鎌田要人君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。——別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、直ちに採決に入ります。
国家公務員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/4
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005・鎌田要人
○委員長(鎌田要人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/5
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006・鎌田要人
○委員長(鎌田要人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/6
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007・鎌田要人
○委員長(鎌田要人君) 恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。武藤総務庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/7
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008・武藤嘉文
○国務大臣(武藤嘉文君) ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、最近の経済情勢等にかんがみ、恩給年額及び各種加算額を増額すること等により、恩給受給者に対する処遇の改善を図ろうとするものであります。
次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
この法律案による措置の第一点は、恩給年額の増額であります。
これは、平成八年における公務員給与の改定、消費者物価の動向その他の諸事情を総合勘案し、平成九年四月分から、恩給年額を〇・八五%引き上げようとするものであります。
第二点は、遺族加算及び寡婦加算の年額の増額であります。
これは、遺族加算の年額について、戦没者遺族等に対する処遇の改善を図るため、平成九年四月分から、公務関係扶助料に係るものにあっては十三万三千八百円に、傷病者遺族特別年金に係るものにあっては八万六千五百十円にそれぞれ引き上げるとともに、寡婦加算の年額について、平成九年四月分から、普通扶助料を受ける六十歳以上の妻または扶養遺族である子が一人ある妻に係るものにあっては十五万八百円等に引き上げようとするものであります。
第三点は、短期在職の旧軍人等の仮定俸給の改善であります。
これは、六十歳以上の短期在職の旧軍人に給する普通恩給またはその妻子に給する扶助料等について、老齢者、寡婦等の優遇の趣旨により、平成九年四月分から、その年額の計算の基礎となる仮定俸給の格付を一号俸引き上げようとするものであります。
以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/8
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009・鎌田要人
○委員長(鎌田要人君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/9
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010・海老原義彦
○海老原義彦君 自民党の海老原義彦でございます。
本日は、武藤総務庁長官に若干伺いました後、関係省庁からもいろいろと聞きたいことございますので、お答えいただくことになるかと思います。
一番初めに、武藤大臣に申し上げます。
今回の恩給改善は、〇・八五%のベア、それから短期在職者の仮定俸給の一号俸引き上げ、さらには遺族加算、寡婦加算の引き上げ、大変バランスもよく、各方面に配慮の行き届いた改善でございまして、お手並みのほどをつくづくと感心するとともに、厚く感謝申し上げます。どうもありがとうございました。
今回の改善の中でなかんずく私どもが重要だと考えておりますのは、短期在職者の仮定俸給の一号俸引き上げでございます。これは言うなれば、これまで最低保障という社会保障的な枠にとらわれておりました恩給制度を一歩国家補償の方向に改善したという画期的なことでございまして、なおこれを引き続きあと三号はどうしてもやらにやならぬという問題もございますけれども、それはしばらくおきまして、いずれにいたしましても、国家補償の方向に踏み切られたということはまことにありがたいことでございます。これはもう恩給受給者が本当に感激しております。
あわせて、昨年十二月五日の当委員会におきまして武藤総務庁長官から国家補償について大変前向きな御発言がございました。恩給の基本的性格は国家補償であるという御趣旨の御発言をいただいております。これも受給者が大変喜んでおるところでございますが、もう一回その御趣旨の御発言、恩給の基本的性格についてこの恩給法の審議の冒頭に当たりお話しいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/10
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011・武藤嘉文
○国務大臣(武藤嘉文君) 前の委員会でも申し上げたわけでございますが、恩給というものは制度としては非常に古いものでございますけれども、年金制度が普及してきてからは正直その対象もなくなったわけでございます。
いずれにしても、年金制度が普及する前、国のために長い間本当に一生懸命御努力をいただいた公務員の方々、あるいは不幸にして国のために戦争でお亡くなりになった方々の御遺族、あるいは国のために戦争で傷病をお受けになった方々、あるいは長い間戦地で御苦労いただいて日本の国のために戦ってこられた方々、あるいはその御遺族というような方々を対象にしているわけでございまして、当然保険的な性格を持っている年金とは違うわけでございます。
私どもは、その意味において恩給というものは国家補償の性格を持っているものと、こういう考え方に立って、今大変お褒めをいただきましたけれども、ことしも財政再建元年ということで非常に厳しい財政状態の中で予算を組んだわけでございますが、その点を主張いたしまして、私どもとしてはできる限りのことをやったつもりでございますし、今後も少なくとも恩給という制度に対しましてはそのような考え方に立って改善に向かって努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/11
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012・海老原義彦
○海老原義彦君 ありがとうございました。
恩給受給者はかつて日本国の危機に際して赤紙一枚で召集を受けて、あるいは倒れ、あるいは傷つき、生きて帰った者もとうとい青春の大事な時期、これから人生を築こうという大事な時期を国のためにささげたという方々でございまして、これに対する恩給というのは国がもう過去の約束として補償しなければならないという性質のものではないかと思うわけでございます。
現在、行政改革あるいは財政再建、いろいろ難しい問題がございます。行政改革、財政再建について聖域を設けないということが基本である、これは当然のことでございます。しかし、恩給の国家補償につきましては、これは聖域を設ける設けない以前の問題である。過去の犠牲に対する補償であるということから、恩給制度あるいは恩給行政というものは今後恩給受給者が一人でも残る限り継続するんだと、私はそうあるべきだと思っておりますが、長官の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/12
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013・武藤嘉文
○国務大臣(武藤嘉文君) 今も申し上げましたように、平成九年度の予算も実は大変厳しい中で予算編成をやったわけでございます。その中において、恩給制度というものは先ほど申し上げましたように国家補償的な性格を持っておる、ほかの年金とは違うんだという観点から努力をし、財政当局も理解を示したと私は承知をいたしておるわけでございます。私どもは今後も聖域を設けず財政の立て直しをしていかなきゃならない、歳出すべてについて見直しをしなきゃいけないのは当然でございますけれども、恩給制度というものはそういう性格であるという考え方に立って私は私なりに努力をしてまいりたいと思っております。
こういうことまで言うのがいいかどうか存じませんが、本当に受給者はもう高齢化してしまわれたわけでございますし、先ほど申し上げたように年金制度が普及してからは恩給制度はなくなっている、要は受給者はふえていないわけでございますから、高齢の受給者だけを対象にしているこの恩給制度、そして不幸にして毎年毎年どんどん何万人という失権者がふえてきているわけでございます。予算だけを考えれば金額的にも非常に減ってきているわけでございまして、そういう面で、聖域を設けずという形はとりながらも、結果的には私は恩給受給者の処遇改善についての財源というものは確保できるのではないかというふうに今考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/13
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014・海老原義彦
○海老原義彦君 恩給制度の今回の改善、これは先ほど画期的なものだと申し上げましたけれども、まだまだ改善しなきゃならないことはたくさんあるわけでございます。
さっきちょっと申しましたが、長期、短期の格差是正のためだけでもまだ三号俸引き上げにやならぬ。ことしの暮れの予算編成のときにはぜひその三号俸引き上げをお願いしたい、これは要望でございまして、お願いいたしまして、きょうは関係各省の方に恩給周辺の問題を伺いたいと思っておいでいただいておりますので、そちらへ移りたいと思います。
まず、厚生省にお願いいたします。
厚生省に伺いたいのは、恩給と密接に関係ございます軍歴の問題でございます。現地召集とかあるいは現地除隊とか、そういったことで兵籍がついたり失われたりする。両方に問題あるんですが、なかんずく今取り上げたいのは現地除隊の方の問題でございます。
その前に現地召集の方の問題も申し上げます。これはお答えいただかなくて結構ですが、後で御検討いただくとしてちらっと申し上げます。
例えば終戦時に満州においてソ連軍が侵入してきたとき、銃をとれる壮年男子はみんな現地召集になった。それで兵籍に入りまして、それからシベリアに抑留されても軍人としてつながっておるということで、これは恩給法上の基礎在職年になるということになりました。
ところが、例えば南方のサイパン島などにおきましては、軍属として飛行場建設に従事していた者が、米軍が上陸したということで一緒に武器をとって戦え、戦える者はみんな鉄砲を持って玉砕突撃をしろという命を受けまして、そこで亡くなった方も多数いるし、また不幸にして倒れたまま捕まりまして抑留されて帰ってきた方もいる。こういう方々は軍属身分のままでございますので、軍人としての期間の通算がない、こういったようなことがあるわけでございます。これは現地召集する手続的な時間がなかったにすぎないのでありまして、満州と全く状況は同じでありますから、現地召集を受けたと同様のことではないか、何で形式的にそこまでこだわるのだろうという問題があるんですが、これは後日改めてお聞きすることにいたします。
きょう伺いたいのは、山西省で終戦後も残りまして閻錫山の部隊に編入されて中国人民軍と戦わざるを得ないという状況になり、中国人民軍の捕虜になりまして武装解除されて戦犯として抑留されて帰ってきた、こういう方々でございます。
従来政府の説明では自分の意思で残ったんだと言うけれども、調べれば調べるほど自分の意思というのは怪しい。司令官の命によって、司令官が閻錫山と取引したことによって、中国人民軍に対抗する力を閻錫山につけようということで残ったんだと、私はどうしてもそうとしか思えなくなってきたのであります。
そうしますと、当人の希望で現地除隊したという根拠はまことに怪しくなってくるわけでございまして、現地除隊にならなければ恩給がつく方あるいは恩給金額がもっと上がる方がたくさんいるわけでございます。そういう方々に対して、また亡くなった方々についても、そういう軍の命令によって公務の延長として行った行為によって亡くなったのでありますから、これは当然名誉の戦死の扱いを受けてよろしいわけです。ところが、そうではないということでありまして、これをどう考えておられるのか、極めて簡潔に御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/14
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015・竹之下和雄
○説明員(竹之下和雄君) 当時、終戦直後、中国国民政府軍の山西軍に参加するために山西省に残留した旧日本軍の軍人につきましては、昭和二十八年から二十九年にかけまして残留者に対して当時の実情に関する調査を厚生省として行いました。そして、その結果については昭和三十一年に国会に報告しているところでございます。
その報告によりますと、山西省にあった日本の第一軍は、終戦直後、中国国民政府軍から中共軍と一緒に戦おうという勧誘、すなわち残留工作を山西軍が行いましたので、一時的に多数の希望者が出たというものの、その後、当時の中国国民政府の日本軍人は全員日本へ帰すという方針、一方日本軍の全員日本へ帰還するんだという方針、これが明らかになったために、第一軍においては全軍内地へ帰還するという基本方針を出して、各部隊において残留を希望する者にも帰還するよう説得に努力した、しかしどうしても残るという方について帰還の時期において現地除隊の措置をとった、こういうような報告をしております。
厚生省といたしましては、この旧軍の措置について見直すことはできないものと考えておりますので、御理解いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/15
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016・海老原義彦
○海老原義彦君 調査をしたと言うけれども、その調査がどの程度のものであったのか、私はどうも納得できない。
私の方の調査もしております。私の方の調査によりますと、山西省残留部隊であった人たちは、自分の意思で残ったんじゃない、自分の意思で中共と戦うためにだれが残るか、さんざん戦争で苦労して、もう戦争は懲り懲りだ、一刻も早く帰りたいというのに命令で残らされたんだ、皆さんがそう証言しているわけでございます。
そのような命令があったということはいわばポツダム条約違反という面もあるかもしれませんので、あるいは厚生省としては別の取り扱いをしたいのだということが根幹にあるのかもしれません。この問題は私はもっと突っ込んで深くやりたいと思いますが、今回は時間がありませんから、この程度にとどめておきます。
もう一つ、福祉定期郵便貯金の問題につきまして伺いますが、恩給受給者には福祉定期郵便貯金も銀行の福祉定期預金もかかっておらない。これはいかなる理由によるものか。時間がございませんから、これは郵政省と大蔵省とお二人から一言ずつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/16
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017・藤岡道博
○説明員(藤岡道博君) お答えいたします。
福祉定期郵便貯金につきましては、本年二月に切れるということで来年の二月まで延長したわけでございますけれども、その際にも、昨年も先生からそういう御指摘をいただきましたので、私どもとしても検討いたしたわけでございますが、一つは福祉定期貯金というのは民間金融機関との共通の商品であること、年四・一五%ということで今の低金利時代に非常に高い金利になっておるということ、それから一般の年金受給者の方々とのバランスなど、私どもとして検討すべき課題もなお多々あるということで今回結論に至らなかったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/17
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018・藤塚明
○説明員(藤塚明君) お答えいたします。
福祉定期預金は民間の金融機関が自主的に取り扱っているものでございますが、特に経済的、社会的に恵まれない方々、一番立場の弱い方々に対して特別の配慮を行うという観点で、例えば所得制限があるような老齢福祉年金や児童扶養手当、そういった受給者の方々が対象となっているところでございます。
いずれにしましても、福祉定期預金は民間の金融機関がそれぞれの経営判断によりまして自主的に取り扱っているものでございまして、また金融機関自身の負担により取り扱われているものでありまして、金融機関のそういった自主的な取り組みというものが前提になっている、そういう事情を御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/18
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019・海老原義彦
○海老原義彦君 民間の金融機関の自主的な取り組みということでございますけれども、民間の金融機関は恩給を扱っておりませんので、恩給受給者の実情ももちろん知らない。そこら辺はひとつ郵政当局と大蔵当局と相談して、民間の金融機関の自主的な取り決めの中にこの国家補償である恩給の受給者、特に同じ遺族、傷病者でも民間の遺族、傷病者は受恵できるのに国で補償されておる恩給受給者である遺族、傷病者は受恵できない。明らかな矛盾でございますから、これはぜひ直していただきたい、直す方向で大蔵省として御指導いただきたい。また、郵政省としては大蔵省と十分相談して直す方向を大蔵省に働きかけていただきたいということをお願いいたしまして、本日は時間の関係もございますので、これで質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/19
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020・山崎力
○山崎力君 平成会の山崎でございます。
恩給の問題の前に、今ほかの委員会でも出ておりますいわゆる従軍慰安婦のことについて政府側、内閣官房の方からお答えをいただきたいと思います。
いろいろな意見があるんですが、私が一番気になっておりますのは、概念がはっきりしないままにそれぞれの思いといいますか取材といいますか、そういったものからの発言が非常にあってすれ違いがあるのじゃないかということで、私なりに整理してみたいといいますか、はっきりさせておきたいという観点から、まず従来のこの問題に対する政府見解というのはどのようなものが出ておるのか、お知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/20
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021・平林博
○政府委員(平林博君) いわゆる従軍慰安婦問題につきましては、平成五年八月四日の当時の河野内閣官房長官の談話を初めといたしまして、それ以後も歴代政府はいろんな機会にこの問題についての発言ないし談話を発表しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/21
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022・山崎力
○山崎力君 その具体的な中身といいますか、従軍慰安婦問題に今政府はこういう態度をとっておるんだということを、直近のものが今の政府の見解に一番近いと思うんですが、具体的にはどのようなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/22
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023・平林博
○政府委員(平林博君) 累次の国会答弁等で申し上げておりますが、正式な文書あるいは書き物になったものということであれば、昨年八月の総理大臣の慰安婦個人個人にあてた手紙がございます。そこでは、この問題につきまして日本国としての道義的責任を認めまして一定の措置をとる、特にアジア女性基金を通じて一定の措置をとるということを述べております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/23
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024・山崎力
○山崎力君 私が問題としたいのは、その大枠の流れというのは承知しておるんですが、この問題ではいわゆるというのがついているわけでございます。
いろいろな施策をする、あるいは考え方を申し述べるといったときに、政府としていわゆるつきでない従軍慰安婦ということについてどのような定義をなさっていらっしゃるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/24
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025・平林博
○政府委員(平林博君) 従軍慰安婦の定義でございますが、定義というものは正式になされたものはないというふうに了解しております。
当時、日本政府が従軍慰安婦という言葉を使っていたことを示す公文書は今までのところ見つかっておりません。公文書の中には慰安婦という言葉を用いたり、まれでございますが特殊慰安婦という言葉を用いたりしたものは散見されましたが、従軍慰安婦という言葉を使ったものはございませんでした。他方、その後この問題が取り上げられて以降、現在では多くの人が従軍慰安婦という言葉を用いていることもございます。
そこで、政府としては基本的には、この問題に言及する場合には、いわゆる従軍慰安婦と言うか、さもなければ単に慰安婦と言うか、どちらかにしております。基本的にはそういう態度でございますが、仮に御本人に向かって申し上げるときにはまた別途の言いようがあるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/25
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026・山崎力
○山崎力君 今の御答弁でもはっきりしないわけですが、それではいわゆる従軍慰安婦の定義はどういうことになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/26
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027・平林博
○政府委員(平林博君) いわゆる従軍慰安婦についての定義というものはございませんが、当時、日本の官憲が直接、間接に関与した形もあれば、そうでない形もございますが、日本軍とともに各地を転戦して一定の軍の管理のもとに置かれていた女性たち、軍人の性の対象になった女性たちということで我々は理解しております。
繰り返しますが、これがいわゆる従軍慰安婦ですというはつきりした一義的な定義というものはございません。ただ、先ほど申し上げました道義的責任を認め一定の措置をとるということで考えた場合には、その対象となる範囲というのはおのずと明らかだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/27
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028・山崎力
○山崎力君 今の御答弁ですが、おのずと明らかということが明らかでないからこの論議の混乱が生じているのではないかと思うんです。
例えば、今の御答弁の中に各地を転戦という言葉がありました。転戦という言葉が軍人以外に使われることが適当かどうかという問題は別にしまして、仮に一つのそういった対象のものとしても、一つの駐屯地近くの慰安所にいてそこから動かなかった人はいわゆる従軍慰安婦から省かれるということも言えるわけですね、今の御答弁から。余り適当ではないと思います。
それから、軍人の性の対象になったということからいけば、内地のいわゆる師団近くの遊郭等におられた慰安婦というか、そういった方たちも含まれる。
極めてこの問題の定義がはっきりしない以上、対象をどこまで広げるのか、どうなっているのか、調査をするのかというのが一番不明確なまま進んでいるところが私のこの問題に対する疑問点なんで、その辺のところをもう少しはっきりお答え願えればと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/28
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029・平林博
○政府委員(平林博君) 先ほど転戦と申し上げたのは、軍の転戦に応じて移動したというふうに訂正させていただきたいと思います。
また、別に移動しなくてもずっとその地におられた方がおられれば、似たような状況下にあれば当然慰安婦の対象に含まれるということもそのとおりでございます。
いずれにいたしましても、今政府が考えております施策の対象となるという意味での慰安婦につきましては、先ほど来申し上げましたように、これがいわゆる定義だ、確立的な規定だというものはございませんが、政府の調査の結果認められた河野内閣官房長官談話の中にあるような方々、そういう者を対象にしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/29
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030・山崎力
○山崎力君 その辺のところがはっきりしないとこの問題はいつまでたってもすれ違いです。仮に裁判になっても、現実になっているわけですけれども、政府は被告側になっているわけでしょう。そういったところでの抗弁のしようもなかなか難しいということがあろうと思うんです。
例えば、いわゆる慰安婦といいますか、その当時は合法化されていたそういったところで働く女性たちとこのいわゆる従軍慰安婦との差がどこにあるのかということが一番の問題だと思うんです。場所なのか、契約状況なのか、あるいは働いていた状況なのか、そういったものをきちっと詰めて、それでしかるべき問題があるとするならばしかるべきしっかりした対応をとる、そうでなければそれは当てはまらないというふうなことをはっきりさせませんと、この問題というのはいつまでたってもそれぞれの立場での主張が繰り返される。それに対して別の立場の人は違った立場で主張を繰り返してすれ違いに終わる、残るのはわだかまりだけ、こういったことではないかと思うんですが、その辺についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/30
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031・平林博
○政府委員(平林博君) 確かに先生御指摘のように、この問題についてはいろいろな考え方、またいろいろなお立場がございまして、あいまいさが
一条残ることは確かでございます。
しかし、この問題は五十年前ないしそれ以前のものでございまして、しっかりした法的な根拠があったとも思われません。したがいまして、法的な責任をどこまで認めるかということについてもいろいろな御意見があるわけでございますが、日本政府としては、法律的な、国際法上の責任はいろいろな条約、協定等で果たしたという前提のもとで、これは当時の女性の尊厳や名誉を傷つけた重大な問題であるということで道義的な責任の範囲内で何ができるかということを考えたわけでございます。
したがいまして、これをぴしっと境界線をつけてやることについてはなかなか難しい点がある、そういう難しいところを踏まえて道義的な責任論になっているということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/31
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032・山崎力
○山崎力君 この問題が今のままで終了するのであれば今の政府側からの御答弁でいいかもしれません。しかし、これが事あるたびにほかの国の政府あるいは国際機関から言われたときに、道義的だけ道義的だけで済むものなのかどうなのか。道義的なことの責任に対して賠償的なお金を払えというふうな圧力がかかったときに、それを拒否するだけの姿勢が今の政府にあるかどうか。逆に言えば、本当に責任があるような女性たちに対してその補償ができない、賠償できないということもこの事例から考えられると私は思うわけでございます。
その点について、これで済めばいいけれども、次の時点でそういった悪い方に発展した場合、今の御答弁のままで政府は定義すらできない、していないことで対応ができるのかどうかという点を私は危惧しております。
この点についてはそのくらいにいたしまして、この問題で最後にお伺いしたいのは、いわゆる国際法としての法律上あるいは条約上の責任はないんだ、ただ道義的なことだけあるんだということが今の政府の基本方針だとすれば、それを前提として現在巷間いろいろ論議を呼んでおります小中学生向けの教科書の記述についてどのような見解をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/32
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033・平林博
○政府委員(平林博君) お答え申し上げます。
教科書の記述につきましては、これは今の政府のとっている立場とはまた別の配慮が加わって記述がなされているんだろうと思います。それは専門家の方々がいろいろ議論した結果だと思いますが、その一定の事実関係の上にさらに教育的な視点が加わっていくべきものというふうに考えます。
先般の予算委員会で橋本総理は最後に次のように言われております。この慰安婦問題というのは女性の名誉と尊厳を傷つけるこの上ない問題であったという点でどなたも認識は同じだと思うと。その上で、自分なりに言えば、歴史の重みというものは背負っていくし、次の世代に伝えていくべき責任というものもあると。このように述べられた上で、教科書の問題につきましては総理は次のように言われております。問題は、例えば幾つのころにどの程度まで知ってもらえばよいのか、またその国の歴史として知っておいてもらわなければならないことはどうなのか、今そのような思いを持って政府側の答弁を聞いたと、こういうことを言われております。
政府といたしましても、教科書の問題について言えばそういうことであろうかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/33
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034・山崎力
○山崎力君 橋本総理の思いというのはわかるんですが、政府として、省庁は違いますけれども、文部省が一応目を通した教科書において、この問題で政府は、今の一連の私の質問に対するお答えの中で出たように、我が国は法律的には国際法上の義務は果たしているんだ、ただ道義上の問題があってその責任の範囲内でこの問題をやらなきゃいかぬのだということが、中学生に教えることが適当かどうかということは別として、高校生クラスになったら当然その辺の話が出てこなければ、国の教科書に、国が認めたこと、国が歴史をこういうふうに自分たちの子供たちに教えるんだということが記述されていないとすれば、何が教育的配慮なのか、本当に歴史を教えていることになるのかということについて私は疑問に思うんですが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/34
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035・平林博
○政府委員(平林博君) 現場の先生がどのように教科書に基づいて教えられるか、これは先生にもよろうかと思いますが、教科書に法律的な責任とか道義的な責任とかについてどこまで触れるかということはまたそれぞれの執筆者あるいはそれを検定する側のいろいろな作業の過程で決まってくるものと思います。
これは文部省がお答えすべき問題だと思いますが、政府として特に今この従軍慰安婦問題でいろんなことをやっている現場の者としては、教科書にどこまで書かなければいけないかということについては言及をするべき立場にないというふうに御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/35
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036・山崎力
○山崎力君 時間の関係でこの辺にさせていただきますが、この問題は政府として本当に取り上げるのならばきちっとやるべきだし、今のままのような形で対応をとり、しかも公式に歴史として国民に対して、次の世代に対して教えるべきなのが、そういうふうな言及するべき立場にないという形であるならば、これは将来に禍根を残すことになるのではないかというふうな危惧を持っているということだけ申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
恩給法のことでございますが、今回の九年度の改善の基本的な考え方、恩給ベア率の算定根拠あるいは公務員給与、物価等を考えてなさっておるというふうなことを提案理由説明の中で申されております。その辺の大きな流れの部分をちょっと御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/36
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037・桑原博
○政府委員(桑原博君) 平成九年度の恩給の改善につきましては、恩給が国家補償的性格を有するものであること等の特殊性を考慮しつつ、公務員給与の改定、物価の動向等の諸般の事情を総合勘案の上、恩給年額の実質価値の維持を図るために本年四月から〇・八五%のベースアップを行うことといたしております。
具体的な改定率の算定につきましては、公務員給与の改定は行政職俸給表(一)の平均の改定率を用いております。それから、消費者物価の動向は予算編成時の見込み値を用いまして、総合勘案したものでございます。
それ以外の点につきましては、従来、法律上は恩給法の第二条ノ二、「国民ノ生活水準、国家公務員ノ給与、物価其ノ他諸事情」を文字どおり総合的に勘案の上ということでございますけれども、必ずしもこういうものについて確立された方法があるわけではございません。ただ、恩給の改善が時々で大きなぶれがあるということは受給者に不安を与えることにもなりますので、現在までのところ、公務員給与の改定、消費者物価の動向を勘案して決めていっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/37
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038・山崎力
○山崎力君 今まで長い歴史のあることですから、その辺のところをこの問題についてきのうきょうかじった私がいろいろ質問させていただくのはおこがましい点もあるわけでございますけれども、逆に新鮮な目で見ますといかがかなというところがございますので、その辺の御説明を願いたいと思います。
一つは、確かに戦地に行かれた方たち、旧軍人を中心とした方々への恩給というものの意義はわかるんですけれども、今日的には私は年金との絡みというものが非常に大きなものになってきているのではないかと思うわけです。同じような年配の方で、片方は年金だけ、片方は恩給をもらえる。恩給欠格者の問題もそこに絡んでくるわけでございますけれども、年金動向との絡み、具体的に言えば公的年金に関してはこのところ引き上げられておりませんが、恩給は引き上げられている。もちろん公務員給与が引き上げられているわけですからそれはそうとして、引き上げるのはけしからぬというわけではないんですが、その辺のところのいわゆる年金と恩給との関係をどのようにお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/38
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039・桑原博
○政府委員(桑原博君) 恩給制度は国家補償的性格を有する制度というふうに申し上げておりますけれども、相互扶助の精神に基づき保険数理の原則によって運営される公的年金とは基本的な性格を異にしているというふうに考えております。
恩給では年金財政再計算による給付水準の引き上げ等は行っていないわけでございまして、恩給の改善につきましては、毎年度恩給受給者の処遇をどうするかという観点に立ちまして、先ほど申し上げた公務員給与の改定率や消費者物価の動向等を総合的に勘案した上で決定しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/39
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040・山崎力
○山崎力君 先ほどの海老原先生のお話の中にもございましたけれども、短期在職者の場合、要するに今度一号俸引き上げるということで、この理由がいろいろ言われております。今回それを一号俸上げることによって対象者はどのくらいで、予算的にはどのくらいその部分で引き上げられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/40
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041・桑原博
○政府委員(桑原博君) 平成九年度予算において短期在職の旧軍人等に係る仮定俸給を一号俸引き上げるということでございまして、その対象となる者は四万九千人というふうに見込んでおります。所要額といたしましては九億九千六百万円を計上しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/41
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042・山崎力
○山崎力君 文章上からいくと非常にいろいろ問題もあるような趣旨説明でございます。
例えば高齢者になってということになれば、対象者はほとんど高齢者であるというようなこともございますが、私がこの制度の中で今一番ちょっとひっかかっておるといいますか、異常だなと思っている点がございます。それは最低保障制度なんです。
それが悪いというわけではないんですが、適用率が九割を超えているというふうに聞いております。これは制度としては極めて異常でございます。まともな計算でもらっている人が一割しかいない。あとの九割は最低保障だと。こんな制度というのは私自身ほかに余り例を知らないんですが、その辺のところはどうなっておるか、ちょっと御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/42
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043・桑原博
○政府委員(桑原博君) 普通恩給及び普通扶助料についての最低保障制度は昭和四十一年に創設されました。この制度は、厚生年金等の公的年金制度の例を参考に、長期にわたり実際に相当年限勤務したにもかかわらず極めて低額の恩給にしかならない受給者を救済するという社会保障的観点に立って設けられたものでございます。
御案内のとおり、恩給の受給者は旧軍人、普通恩給受給者等は恩給の年額の基礎となる仮定俸給の低い兵、下士官が中心でございました。また、その大半は職業軍人ではない在職期間の比較的短い者でありますからそういった適用率になっていることを御理解いただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/43
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044・山崎力
○山崎力君 御理解いただきたいと言われても、今の説明ではなかなか理解できないわけで、これは端的に言えば二つしかないんです。一つは基礎ベースが低過ぎるか、もう一つはもうこんなスズメの涙のものだったらどうしようもないから最低限のものを求めよといって計算したら九割の人がそうなっちゃった、このどちらかだと思うんです。それを、諸般の事情があったんでしょう、今まで続けてきたということがこのようないびつな方法になっていると思うんです。
考えてみてください。九割の人が同じようになっているわけですよ。期間によって下がってきているということであれば、ここまで勤めて正式にもらえる人の額と、ほとんど違うようなところの人の額とがなだらか線になるはずが、横棒になっている。逆に言えば、この人が自分が働いて当然もらえる恩給と同じ額をそこまで行かない大勢の人がもらっているということになります。これはどう考えても制度的におかしいと思うんですが、行政の立場からいろいろあったんでしょう。
長官、政治家としてそのような制度をいかにお考えか、お聞かせ願いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/44
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045・武藤嘉文
○国務大臣(武藤嘉文君) 私も恩給問題を長いことやってきましたので、その経緯を申し上げますと、正直、戦争に関係したグループというのは、一つは御遺族、一つは戦傷病者、一つは軍恩となっております。
最初、恩給制度はまだこんなに金額も大きくなっていなかったわけでございまして、そのときに恩給の重点をどこへ置いていくか。やっぱり御遺族が一番まず大切ではないか。それからその次に、戦争で傷つき、病に倒れられた方々ではないか。そして、軍恩の皆さんは、いずれにしても国のために戦って大変御苦労いただいたのでございますけれども、しかし元気でお帰りいただいたという点においては少しその辺のハンディをひとつ考えていただけないだろうかということで、それこそ私が出てきたころでございますからもう三十年ぐらい前でございますけれども、そのころそういう形で、どちらかというと遺族、傷痍、軍恩という形で恩給にある程度差をつけてやってきたという事実はございます。
しかし、その中で長期の方々、いわゆる大変長く戦地におられた方々、あるいは非常に厳しい戦地におられた方は加算をしたわけですが、そういうような方々についてはやっぱりある程度お出しをしなきゃいけないんじゃないかということで、結果的に短期在職者の方というのが非常にハンディを背負ってきたというのが、少なくとも私がタッチさせていただいて三十年になりますけれども、恩給の実際のあり方であったと思います。
そういう中にあって、今お話しのように、短期在職者の方々も結果的に高齢になられた。三十年前は、例えば今七十の方はそのころ四十でございますから元気で、おれたちは辛抱するよ、それよりもおれたちの戦友で亡くなった家族のことをやってやってくれよ、おれたちと一緒に戦った中で傷ついた連中が今苦しんでいるからこれをやってやってくれよというのが私は当時の軍恩団体の皆さんの率直な御意見であったと承知をいたしております。
こんなことがありましたのですけれども、今お話しのように、そのころからだんだん年がたってきたから、少し短期の方も考えてくれよという話題も出てまいりまして、やりますよやりますよと言いながら、実際なかなかそちらまで手が回らなかった。それがここへ参りますと本当に七十近くにもなってこられますし、これはやっぱり何か最低保障でひとつ考えなきゃいけないんじゃないかと。
だから、先ほど申し上げましたように、恩給の性格と違ったものが実際この最低保障というもので恩給制度の中に入ってきた。今、年金の方との比較を恩給局長も言いましたが、年金との関係である程度そういう制度を入れて、それでひとつ救済をさせていただこう、こういう考え方が後から入ってきたものですから、だからその辺はごらんいただくと非常に長期の方と短期の方とが違っていて、短期の方は最低保障で救われているというような形に現実になっているというのはそういういきさつから来ているというふうに申し上げると、ひょっとしたら少しは御理解いただけるんじゃないかと私は思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/45
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046・山崎力
○山崎力君 今の問題確かに流れといいますか経過は理解できるんですが、制度として見た場合、非常にいびつな形になっているということは事実だと思うんです。その流れを御承知になればなるほどわかると思うんですが、それこそ最初に申し上げましたように、国家補償制度的なものがあって年金制度とはちょっと性格が異なるという御答弁がありましたが、また後の答弁では年金を参考にするんだというような御答弁もございました。
そういった意味からいけば、この際の改革はそれこそ聖域なしの改革でございますから、いろいろな制度の中で年金もあればこの恩給もあれば、具体的に最後にそういった方たちが、ほかの行かなかったお年寄りと同様の中である程度のプラスアルファは御苦労なさった分は当然として、そういった意味でどういうふうにやっていったらいいか。
そろそろもう最後の、この恩給制度からいけば老齢化を迎えた締めくくりになると思いますので、その辺のところを再検討してこれからの制度をよくしていっていただきたいという希望を申し上げて、最後に一言、大臣の決意をお聞かせ願って、質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/46
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047・武藤嘉文
○国務大臣(武藤嘉文君) これはたまたま先ほど海老原さんからお話のあった問題と大変関連してくるわけでございます。特に軍人恩給の制度を根本的に何か考えなきゃいけないということは私もある程度理解をしております。
ただ、問題は、こちらの方の方は案外まだ対象者が多いものでございますから、これを根本的にやり直しますと大変な財政的な問題も出てくるものでございますから、正直その辺に苦慮しているというのが現状である、こう御理解いただければ幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/47
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048・清水澄子
○清水澄子君 武藤総務庁長官にお尋ねいたします。
平成八年度の青少年白書では今日の青少年の非行や問題行動が具体的に述べられておりまして、新しい変化に対応した新たな課題への取り組みの必要性が提起をされております。その中で、「青少年の保護という視点も新たな意味付けを求められている。」というふうに指摘された上で、子どもの権利条約の締結や子供の権利保護に触れられておるわけでございますが、青少年の自立的発達と権利を守るためには具体的にどういう施策が必要なのかという点ではどういうふうにお考えなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/48
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049・大坪正彦
○政府委員(大坪正彦君) 今、先生のお話の権利という観点で、このごろいろいろ指摘があるという中でどのように健全育成していくかというお話でございますが、今まで青少年育成という観点におきましては、青少年の保護という点におきましてある意味で社会情勢を反映した中身として進んできているというふうに理解しております。
例えば戦争直後の復興期におきましては、貧困からの脱却という観点での青少年の保護という対策が中心であったろうというふうに思いますし、その後の経済発展期におきましては、経済の発展に伴います例えば核家族化あるいは高学歴化、そういうことから発生します諸問題に対して青少年をどういうふうに保護していくかという状況であったろうというふうに思っております。最近で言いますと、例えばいじめあるいは自殺というような観点でのある意味で心の問題というんでしょうか、そういう心因的な要因からいかに青少年を保護するかというところにかなり問題が出てきているように感じております。
青少年対策本部としましては、そういうような社会情勢を常に念頭に置きながら、関係省庁と連絡をとりつつ必要な体制について進めてきているわけでございますが、最近のそういう情勢を踏まえた場合には、今の大きい流れとしましては、生活相談というのでしょうか、いろんな相談事業あるいはカウンセリング、こういうような方向性のものが特に要求されているのではないかなというふうに考えておりまして、その辺につきまして関係省庁とさらに緊密な連絡をとっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/49
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050・清水澄子
○清水澄子君 今おっしゃった中で、最近では児童の虐待、それから深刻ないじめとか自殺までおっしゃったんですが、性的搾取というのはおっしゃらなかったのですけれども、書いてありますね、「性的搾取などの問題に直面し、最近、加害者等に対する取締りの強化とともに、相談体制の整備や救済による一刻も早い問題解決を図ることの重要性が再認識されている」と。
私はこの問題意識はとても大事だと思って、そこをお聞きしたがったんです。今日、国際的にも非常に重要な課題になっているのが、子供を被写体としたり、それから子供を描写してポルノとした出版物または映像物が日本では一般書店やコンビニに普通の物品のように売られております。それが国際的に大変な非難を浴びていることは御承知だと思います。この中には、テレクラとか有害図書など、すなわち有害環境については、完全とは言えませんけれども調査も進んで、自治体の施策も講じられているということが書かれているんですが、この子供ポルノの製造や販売、流通については、その実態も把握されておりません。
〔委員長退席、理事板垣正君着席〕
しかし、これは子どもの権利条約批准後、世界じゅうがこの問題について、子供は自分からそういうことは要求しないわけですが、大人が自分たちの性的欲望の対象としてそういう子供の人権を侵害しているということで、国際的にあらゆる法的な整備とか子供のカウンセリングのための研究が進んでおります。そういう実態の中で、私は総務庁としては青少年の政策の新たな課題としてこの分野の実態把握というものをぜひ取り上げていただきたいと思うんですが、長官、このことはぜひひとつ実態をまず調べるということをお約束いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/50
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051・武藤嘉文
○国務大臣(武藤嘉文君) 今の時代にそういう問題が提起されていることは私ども承知をいたしておりますが、これは私どもだけでできない問題だと思います。これは文部省あるいは法務省なり警察なり、そういういろいろの役所が関係してくる問題でございますから、関係省庁とよく協議をしながらこういう問題について真剣に取り組んでいくということをお約束させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/51
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052・清水澄子
○清水澄子君 ぜひよろしくお願いいたします。
〔理事板垣正君退席、委員長着席〕
それでは次に、先週総務庁から経済協力に関する行政監察結果が発表されました。その中で環境問題についてはどのような勧告がされているのか、そしてさらにその勧告の実効について総務庁では今後どのように具体的にフォローアップしていかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/52
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053・土屋勲
○政府委員(土屋勲君) 今お話しの監察はいわゆるODAのうちの有償資金協力につきまして行ったものでございます。
この監察におきまして、環境問題につきましては、開発途上国において優先順位が低くなりがちな公害対策あるいは自然環境保護に係る案件が積極的に要請されるよう、借款条件の緩和等の効果的措置の検討ということが第一点、開発途上国において国際的な水準に達した環境アセスメントの実施が可能となるようにその方法、技術等に係る指針の作成、周知をするようにということが第二点、それから住民移転を伴う円借款案件について在外公館等において現地確認を行うなどにより審査の強化等を図るようにという、三点ほど御紹介をいたしましたが、そんなふうな勧告をいたしているところでございます。
監察結果に基づく勧告につきましては、その実効性を確保するため、関係行政機関の長に対しまして二回にわたる回答を求めるなどそのフォローアップに努めているところでございまして、本監察におきましても同様の措置を講ずることといたしております。それから、勧告についてそれでも改善が図られていないという状況が明らかになりました場合には、必要に応じましてさらに再監察を行って改善を推進する予定にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/53
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054・清水澄子
○清水澄子君 ぜひこの点は、行政監察の報告書が出てもそれが関係行政にそのままストレートに取り上げられるという状況にはなかなかありませんので、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。
次に、防衛施設庁長官にお願いいたします。
まず、長官にお尋ねしたいんですけれども、先日の参議院予算委員会でずっと伺っておりましても、これは防衛庁長官の方ですけれども、同じ考えだと思うんですが、沖縄の駐留軍用地地主三万二千人のうち契約を拒否している地主は一握りにすぎない、百十三人にすぎない、絶えずそういう答弁が繰り返されております。この答弁を聞いていますと、あとの人はみんな賛成なんだ、そして契約を拒否している地主はほんの一握りなんだ、だから特措法の改正はやむを得ないというようなニュアンスに聞こえてまいります。
しかし、この沖縄の基地の歴史的由来は防衛施設庁みずから御存じだと思います。これはもう何回も皆さんたちは議論されているわけですけれども、これまでも契約拒否の地主に対してさまざまな切りましというのが再度行われてきたと思うんです。そして、ついにそういう少数の人になったということですけれども、しかしこのことを、少数になったととるのか、まだこういう人たちが頑張っているととるのかは全然意味が違うことだと思います。
七二年の沖縄復帰のときには三千人の地主が契約を拒否しました。その後の七七年五月には四百人に減少している、そして八二年のときには二百五十人になっているとか、ずっと減っていることは事実です。しかし、その減っている間に防衛施設庁が契約拒否地主にどういう差別的な待遇をやってきたか、こういうことがそういう問題にもつながっているわけです。
例えばがんにかかって入院している契約拒否地主に対しては入院費を立てかえてあげるからということで契約を迫ったり、地元金融機関に対して契約拒否地主には融資をしないように指導してきているという事実があります。
私は最近、「命こそ宝」という阿波根昌鴻さんの本を読みました。昌鴻さんは伊江島で自分の土地を返してほしいということでずっと契約を拒否している方なんですけれども、この人はそんな思想的というんじゃなくて、自分は沖縄で大変な戦争に遭ったと。沖縄というのは海も動いているし、生きておる。風は三味線のようだ。静かに吹けば木の枝はみんな組み踊りする。自分たちはこういう平和な島に生き続けたいという、そういう物すごく素朴な人間の当たり前の気持ちをずっと書いていらっしゃるわけですけれども、この阿波根さんは契約を拒否しているために、八七年二月には県の収用委員会が十年の強制使用裁決をしています。そのときに国は阿波根さんに十年分の損失補償金を一括して払った、そして税務当局はその十年分の損失補償金に対して単年度の所得課税をかけてきているわけです。他の人たちは一年ごとに扱われているわけですけれども、単年にされれば大変な重い税金になる。
こういう形で、契約拒否地主に対しては大変なあらゆる差別が行われていると。このことでこの方は裁判を起こしているわけですけれども、防衛施設庁長官はこの契約拒否地主に対して陰に陽にこのような形で差別を加えているということに対してどのように認識されていらっしゃるのか。
そして、沖縄の心を私たちが本当に同胞の心として認識しない限り、ここで特措法でいきなり力でもってそれを押し切れたとしても、それでは絶対人々の心をつかめないと思います。私たちは一緒になって本土と沖縄の平和を築くという形の中で、長い間差別を受けてきた沖縄の皆さんの心と私たちは一つになれないというこの事態について私はもっと真摯な気持ちで取り組んでいただきたいわけですけれども、今後、差別しないということを約束できるのかどうか、その点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/54
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055・諸冨増夫
○政府委員(諸冨増夫君) お答えいたします。
今の先生御指摘のような事実に対して私ども逐一反論するというわけにもいきませんが、まず概要を御説明しておきたいと思います。
沖縄県の地主総数三万二千六百人まさにおられまして、その中の二万九千五百人、要するにほとんどの方は円満な賃貸借契約に同意をしていただいておるわけでございます。それで、残りの約三千人のうち百十三名が従来から、ただいま先生御指摘の昭和四十七年復帰当時からのいわゆる契約に同意をいただいていない方でございまして、残りの方はすべて一坪地主と言われる方々でございます。
要するに、三千人のうち半分は本土におられるような方々でございまして、四十七年当時からのいわゆる在来地主の方々、そういう方は今百十三名。私どもはこの方々に対してかねがねいろんな形で御理解を求めるべく努力をしておりまして、実はことしも四名の方に同意をいただいているような状況でございまして、私どものこういう安保条約に基づく施設・区域の提供に対する御理解というのは少しずつ進んでおるというふうに考えておるところでございます。
したがいまして、従来から契約を拒否されている方々に対しましても、私ども常日ごろ何回もお邪魔して、こういう条約上の提供義務の必要性といいますか、そういうものについての御理解を求めながら、どうしても契約に応じていただけない方に対して、駐留軍用地特措法に基づきましてやむを得ない措置としての使用をさせていただいておるところでございます。
したがいまして、差別というふうなお話が今ございましたが、そういうことは決してございませんで、常日ごろから私ども職員がそれぞれの地主の方のところにお願いに行って、こういう努力をした結果、どうしても契約に応じていただけない方に対する法律に基づく手続をやむを得ずとらせていただいているというのが実情でございます。
先ほど所得税等のお話もございました。これは確かに現在、阿波根さんも年間一千万円以上の借料が私どもの計算上出てまいります。そういう方が十年分の一時所得ということになりますと、確かにその所得というのは一時所得ということで課税されるというのが日本の税法上の規定でございます。毎年毎年の契約をされている地主さんに対しては毎年毎年の所得が発生する、しかしながらこういう一定期間の収用に関してはそういう一時所得に対する通常の税法の規定に基づく税金がかかる。しかしながら、一方では税法上も平均課税というような制度がございまして、たしか私の記憶によりますと一時所得の金額が年間総所得額の二〇%を超えるような場合には五年に分割するような仕組みもございまして、そういう制度も御利用いただいているんではないかと思います。
そういうことで、税法上の手続等、そういう手続ももちろんございますが、そういうことに伴って私ども差別をしているとか、そういうふうなお考えは必ずしも当たらないのではないかなというふうに考えておるところでございます。
いずれにいたしましても、私どもはそれぞれの地主さんに御理解をいただけるような努力は今後とも続けさせていただきたい、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/55
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056・清水澄子
○清水澄子君 時間がありませんので討論できませんけれども、反戦地主には一括払いをしちやうわけですね。そして、契約地主には一年ごとにする。それも一つの差別政策ですよ。それから、この裁判を起こした翌年この制度がなくなるんですから、これは私は今の御説明では本当の意味で沖縄の心を理解していないと思うんですね。
そういう中で非常に私たちもつらいのは、憲法二十九条では財産権を侵してはならないとあるわけですね。ところが、駐留軍用地特措法というのは本人の意思に反して財産権を侵す性質を持っているわけです。特に沖縄の心というのを考えるとき胸が痛いのは、沖縄の地主の皆さんたちは沖縄の戦争から今日まで一度も自分の所有している土地に立ち入ることができない、戦後一度も憲法二十九条の適用を日本人として受けることができないという、これは私は大変大きな問題だと思うわけです。
ですから、いきなり特措法というのではなくて、やっぱりその前に緊急使用の申し立てをするという法の手続というのをきちんと実行されることをぜひ施設庁長官の御意思としてやっていただきたい、このことを私は再度お願いをいたします。
ぜひこのことについて、差別を今後やらないということと、今私が申し上げたことについてどのような御見解か、お述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/56
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057・諸冨増夫
○政府委員(諸冨増夫君) 財産権と収用の問題につきましては、憲法二十九条第三項に「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」という旨の規定がございます。したがいまして、駐留軍用地特措法もこの二十九条第三項の趣旨に照らして当然公共のために用いることができるということで現在こういう法律が国会で制定されておりまして、そういう法律に基づいて適切な措置をとらせていただいておるというふうに私どもは理解しておるところでございます。
なお、昨年の八月二十八日でございますが、最高裁判所の判決が出ておりまして、駐留軍用地特措法は憲法二十九条第三項に違反するものではないという旨の判例も出ておるというふうに承知しているところでございます。
それから、私どもはこういう現行法に基づく手続を今とらせていただいているところでございまして、これから第三回目の公開審理が三月二十七日に予定されております。したがいまして、現段階では、この三月二十七日の公開審理が整々と行われて、何とか五月十四日までに間に合うような裁決を下していただけるように、収用委員会の方に理解を求めるべく今全力を挙げて努力させていただいておる、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/57
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058・齋藤勁
○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤でございます。
恩給法等の一部を改正する法律案に私は賛成する立場で一、二お伺いさせていただきたいというふうに思います。
恩給年額の改定の指標につきましては、過去いろんな変遷をたどってまいりましたけれども、昭和六十二年度以降は前年の公務員給与の改定、消費者物価の動向その他の諸事情を総合勘案して決定する、この総合勘案方式によって行ってきているわけでございます。
そこで、この総合勘案方式によります今年度の法改正につきましての御提案があるわけでございますが、今回の改正、平成八年度国家公務員の給与改定率一・〇一%、平成八年の消費者物価の上昇率〇・二%、予算編成時の見込みとなっておりますが、長官、仮に平成九年度に国家公務員の給与改定がなかったならば、この恩給法等の改定というのは次の年度はどういうふうになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/58
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059・武藤嘉文
○国務大臣(武藤嘉文君) 今御指摘のように、恩給法では国民の生活水準、国家公務員の給与の改定、それからもう一つは物価の上昇などをと書いてあるわけでございます。
そこで、仮定の問題としてもし公務員給与の改定がなされなかった場合はどうなるかということになりますと、今の総合勘案方式はそちらが八割、それから物価の上昇率が二割、これで総合調整をやっているわけでございます。そうすると、今度物価の上昇率があったと、それは当然二割分はそれが入ってくるわけであります。こちらがもしゼロであったとすればこれは当然入ってこない、こういう形になって計算がなされる、こういうふうに御理解をいただいたらいいと思います。
しかし、こっちが上がるか上がらないかはこれからの話でございまして、まだ人事院勧告も出ておりません。それに対して私どもがどう対応するかも、この間いろいろ話題を官房長官が提供いたしましたけれども、その後の予算委員会の答弁では、人事院勧告が出る前の状態でございますから、そういうことを決めるようなことではない、こう答弁しているわけでございますから、あくまで仮定の問題でございますけれども、もし万が一国家公務員給与の改定がなされない場合はそういう形になる、こういうふうに御理解いただけたら結構かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/59
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060・齋藤勁
○齋藤勁君 総合勘案方式でございます。確かに国家公務員の給与の改定がなくても物価上昇の部分というのはあると思うんですが、ただいま長官の答弁どおり、給与改定が大変なウエートを占めていることは事実だというふうに思います。
今の長官の御答弁の中に若干触れられておりましたけれども、先週、新聞の見出しで、梶山官房長官が人事院勧告の凍結発言をされたということで大変私は驚いたわけでございます。私は昨年末の臨時国会でも、給与改定に伴いまして、多くの委員の方々も御同様でございますが、この給与改定に対し賛成する立場でその考え方についても披瀝をさせていただいております。
この恩給法等の改正で、今回、資料では百六十七万八千七百四十六人が九年度で見込まれて、しかしながら前年度と人員を比較いたしますと五万八千九百十四人という減でございます。国家公務員の給与改定が見送られるということは制度上大問題であり、そしてまた影響は大きいんですが、このように今回の恩給法改定に伴いましての対象者が非常に多いということ、高齢者であるということで、そのことについて、単純に国家財政が大変だからということで責任ある立場の人がこういうような凍結を発言するということには大変問題があることだというふうに思っています。影響が極めて大きい。
後ほど官房長官が出席をされます男女共同参画審議会設置法案のときにも関連をいたしまして伺うつもりでございますが、給与担当の大臣でもございます武藤総務庁長官に、このことについての発言の経緯は非常に影響が大きいということで、しかるべき近々の閣議で政府の統一見解についてきちんとただすべきだということについて私は長官に質問させていただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/60
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061・武藤嘉文
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほどもちょっとお答えをいたしましたように、その後の予算委員会では多少修正をした形になっております。午後、きょうは官房長官も出席をして男女共同参画社会の御審議が願えるようでございますので、そこで御指摘をいただければ結構でございますが、真意は決して頭から人事院勧告を認めないということではなくて、今ちょうど私どもは再来年度、平成十年度予算の概算要求の前までに思い切った歳出削減を含めた予算編成の方針を固めていきたいということで一生懸命やっているものでございますから、たまたまその中でそういう問題を提起してしまったのではないかということでございます。
過去において人事院勧告が実施されなかったことは、御承知のように昭和五十七年度にもございます。しかし、そのときも人事院勧告は出たわけでございますから、正直、人事院勧告の前にそれを言ってしまうというのは確かにいかがかと思いますので、閣議でというよりは、この間、私は官房長官にもそういうことを個人的には申し上げております。そういうことでお聞きいただければいいのでございまして、決して頭からまだ人事院勧告が出る前に凍結をしてしまうということではないというふうに私は理解をしておるわけでございます。
本人がちょうど来られましたので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/61
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062・齋藤勁
○齋藤勁君 梶山官房長官、ただいま実は先週の公務員給与の凍結発言をめぐりまして伺っておりました。長官御自身の真意も後ほど伺うつもりでございましたが、せっかくお見えでございますので、この一問一答だけにさせていただきます、時間の関係で。
この真意、長官はこういうふうに言ったんだけれども新聞記者がこういうふうに書いちゃったんだというのは多分あると思うんですね、いろんな事例で。ですから、長官の真意というのは、いや、公務員給与の凍結なんというのは考えていないが、そういう議論もいろいろあるだろうと。しかし、いろいろあるだろうということを言ったのが官房長官の凍結発言になったんだということなら、いいか悪いかは別にしまして、これはこれで理解をしますが、梶山官房長官の凍結発言についての真意はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/62
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063・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 衆議院の方でも若干質問を受けたわけでありますが、記者会見は何の話が飛び出すかわからないところでございまして、十三日の日本経済新聞に大きい見出しで「公務員ベア凍結検討 議員歳費もカット 政府・自民財政再建へ率先」と、こう書いて、「首相、十八日に方針」というと、何かこれがあたかもひとり歩きをするように大きく新聞に出ておったので、これを見て、記者から某紙にこういうことが載っているけれども、この問題の真意やいかんということで聞かれたわけでございます。
新聞に出ること自身を私は否定する能力もなければ、その責任も負う気はありませんけれども、前に財政の大変苦しかった時代に公務員のベアの延伸があったり、一部カットがあったりしたことがある。それから、昨年のベアの完全実施は結果としてできたわけでありますが、実は私、前回も官房長官でいたわけですが、給与関係閣僚会議で、当時、この財政の窮乏の折、指定職について幾ばくかのしかるべき対策をしてはどうだという話が、名前は申し上げませんが一部閣僚からあったことも現実であります。大変政局の緊迫した事態で、それによって延びることはいけないことだということで完全実施に踏み切った経緯もございます。
ですから、そういう議論が最近において全くなされないということではないわけでありますから、私はそういう議論が起きることを抑えることはできないという表現でその記者会見を終わったわけでありますので、真意のほどはどうぞひとつお酌み取りを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/63
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064・齋藤勁
○齋藤勁君 持ち時間もございませんので、意見だけにとどめさせていただきます。
たびたびの公務員給与の改定に当たりましては、公務員労働者の持つ労働基本権制約の代償措置として、人事院が設置をされまして、官民格差を精査して勧告をしているわけでございます。歴史的にはいろんな経緯もあったと思います。ただ、きょう今日、この恩給法の改正に伴いまして審議をしていますように、このすそ野は広い、対象者は非常に多いということについてぜひとも受けとめていただきまして、人事院勧告が出れば、これはきちんとそのとおり尊重して政府としても取り扱うと、こういうことでお取り組みいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/64
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065・聴濤弘
○聴濤弘君 まず、私は梶山官房長官にお伺いしたいと思っているんですけれども、ちょうど今私が伺おうと思った問題が出たところなので、同じような質問になるのでまことに恐縮でありますが、今の官房長官のお答えを受けた形でこの公務員のベア問題について冒頭に質問させていただきたいと思います。
細かい経過は省きまして、長官は先ほどいろんな意見が出ることを抑えるわけにはいかないということをおっしゃいました。ということは、あす十八日の財政構造改革会議でこれを決定するという報道もあるんですけれども、あすとなれば、もうきようでありますが、今現在抑えることはできないということで、あすにならないとこの問題ははっきりしないということなんでしょうか。やはり統一見解というものがもうまとまっていないとあすの会議は混乱するということになるので、ベアを抑える、人事院勧告を凍結するということは、理由は述べませんが、これはあってはならないこと、だと私は思います。
それで、いろいろ意見があることを抑えるわけにはいかないということと統一的な見解をどうするのかということ、その点について長官の御意見をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/65
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066・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 私の舌足らずかもしれませんが、衆議院で同様の質問を受けた際も申し上げたことは、既に本年度の人事院勧告はなされて、それを完全実施するという方針を政府は決定し、今それに基づいて完全実施を年度内やっているわけでありますから、過去にあった勧告をどうこう直すということでないことだけは間違いがございません。
それから、これから勧告がどう出るかというのは次なる時代の、来年度の展望でございますから、その問題をあらかじめ完全実施をするとか不完全実施をするとかどうこうするということを今直ちに議題にすることは不見識のきわみであります。あす何らかの会議があって、これから財政再建のいわば道すがらに今言われていることは、一切のものを聖域としないであらゆるものをもう一回再検討してやるべきものはやる、切れるものは切る、そういうことを総理は考えているのであろうということを、想像して申し上げるだけでありますが、まだそういうことを私は総理との間で打ち合わせをしたことがございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/66
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067・聴濤弘
○聴濤弘君 今実施されようとしているものについてどうするこうする、凍結するということではないということを御発言になったことを私は確認したいと思います。
私はもうこれ以上この問題について官房長官に質問することはないんですが、意見を一言申しますと、新聞にも報道されているんですけれども、国会議員あるいは特別職の職員の給与を云々するということはあり得ることだと私は思います。抑えるということはあり得ることだと思います。
しかし、一般職員、一般の国家公務員の現在の生活の状況等々考えた場合に、これを抑えるということはあってはならないと思います。仮に抑えたとして、計算するところによると一千億円程度の話だということでありまして、公共事業のあの膨大なむだ遣い、山崎自民党政調会長は年に一兆円ぐらいの規模で削減したらどうかというようなことまで発言されたということもこれまた新聞に出ている。そちらの方がはるかに大きな意味を持つわけでありまして、一般公務員のベアを凍結するというようなことがあってはならないということを意見として申し上げておきたいと思います。
次に、私は元日赤救護看護婦等の慰労金の問題について質問をさせていただきたいと思います。
大きく言いまして二つ問題があるんです。一つは、旧日赤救護看護婦及び旧陸海軍従軍看護婦の方々への慰労金というのは恩給制度を準用して兵に準ずる処遇とする、兵士と同じ処遇にするという一九七八年の六党合意に基づいてこれが出発をいたしました。しかし、現在の実態というのはこれと大きくかけ離れておりまして、恩給とは実に三倍以上の開きがある、恩給の方が三倍以上高いという状況にある、これが一つの問題です。
もう一つの問題は、慰労金をもらっていない方々があるんです。そのもらっていない方々については何らの措置も講じられていないというもう一つの大きな問題があります。恩給欠格者に対しては慰藉事業の対象として銀杯とか書状とかというようなことが行われておりますけれども、この慰労金の場合には何らの措置も講じられていないというのが現状であります。
この二つの問題について私はお伺いしたいと思うんです。そもそも何で兵に準じて処遇しなければならないのかというその原点について私は一言申し上げたいと思うんです。
旧日赤救護看護婦というのは、軍が日赤に命じて、戦時において傷病兵の看護を行うための教育をして、そして看護婦養成学校を卒業すると、後十二年間はいつでも軍の召集によって戦地へ赴かざるを得なかった。ちょうど兵士が例の赤紙をもらって行かなければならないと同じように、戦時召集状というのを受ければ、これは拒否することはできない。絶対に行かなきゃならなかったんです。赤紙と同じだったんです。ですから、まさに兵と同じ扱いをしなければならない、ここに原点があると私は思っているんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/67
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068・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 聴濤委員の冒頭に、ベースアップの問題で最後に所感を申されましたけれども、これは公共事業が高い、給与はやってみても一千億というその金額の差で私は申し上げているものではない、全く意味が違うということを御了解願いたいと思います。
昨年の給与関係閣僚会議でも、我々内閣というか政府は率先してやろうということで、閣僚は報酬の一割を実は拠出いたしております。そして、ある大臣からは、いわば指定職である、兵隊の言葉で言うと一番位の高いと言うんでしょうか、位の高い公務員の方は一部返上というか、そういうことがあってもしかるべきという議論があったわけです。これは金目のものであるということではなくて、国民の前に率先垂範をするというか、我々も痛みを伴いますよという精神的なものをむしろ一番基調にしてそういう話が起きたという現実だけはひとつ御了解のほどを願っておきたいと思います。
それから、旧日赤看護婦の慰労金の問題兵に準ずるというのを私も読ませていただきました。これは陸海軍の看護婦も全く同様で、日赤看護婦だけではございません。そういうものはどういうことによって具体的な地位、給付額が違っているか、これは後ほど政府委員の方から具体的な話はさせますが、いわば恩給というのは最低保障制度があり、この給付金というのは兵に準ずるということで、兵と同じという意味ではないかもしれないけれども、本来ならば、準ずればそのようにやってあげられることが一番望ましい。私はかつて軍籍を持った人間だけに特にそういうことを感ずるわけであります。
それからもう一点の、加算年を加えてもそれに該当しない方々、確かにこの間、私のある知り合いが、戦記とでもいうべきものなんでしょうか、持ってまいりまして、ようやく私はかつて軍属でいたあかしがここに生まれました、これは金銭ではない、私の孫に私がかつて五十年、六十年前にそういうことに参加したことすらわからなくなっていることを私はこの書状一つであかしを立てることができたと、こう言っております。
いろんな難しい点があるかもしれませんし、横並びのことがあるかもしれませんが、当時どういう環境でその任に当たったかどうか、率先して行ったかあるいはやむを得ず行ったか。今、聴濤委員が言われるように、拒否ができない体制の社会の中で、しかし少なくとも国のために、社会のために懸命にやろうとした者に対して一片のあかしを差し出すことは私は今の国民の義務だという感じがいたします。この問題は早急に検討を加えて、ぜひともそういうものの実現に当たりたい、こういう思いであります。
残余は政府委員から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/68
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069・榊誠
○政府委員(榊誠君) 今、官房長官からも御答弁されましたように、慰労給付金の性格といいますか、これは看護婦さん方が大変長年の間御苦労されたその御労苦に報いるためのもの、そういう性格の慰労給付金でございます。一方、恩給につきましては所得の保障を図るという本来の目的がございまして、基本的な性格の違いから現在ある程度金額上に差が出てきているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/69
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070・聴濤弘
○聴濤弘君 今、官房長官が慰労金以外の問題についての研究をして早急に対処したいとおっしゃられた慰藉事業、これはもうぜひ早急にお願いしたいというふうに思うんですね。
ともかくあれだけ国のために仕事をされて、そして慰労金はもらえない、国のためにあれだけのことをした、本当に御苦労さんでしたという言葉一つ正式に国からまだもらっていないと。これは金をくれと言っているんじゃないんだとおっしゃるんですよ、皆さん。私はそういう方々からの声も直接聞きましたけれども、金が欲しいとかなんとか言っているんじゃないんだ、本当に御苦労だったという言葉が欲しいんだ、正式に欲しいんだと。このことが切実に願っておられることなんであって、書状あるいは銀杯は恩欠者それからシベリア抑留者、そういう方々に対してはそういう措置はとられているわけですから、これが旧看護婦の方々にとれないということはないと思います。官房長官が今おっしゃったことは非常に大きい意味として私受け取りますので、早急に御検討いただき、いい結果が出るようにぜひお願いをしたいと思います。
それから、慰労金の問題についてですけれども、慰労金が三分の一あるいは四分の一ぐらいと非常に開きが出てくるという問題です、恩給の場合と。この問題、何でこうなるのかということを私は研究してみたんです。そうしましたら、最初はともかく兵に準ずるというところから出発しましたから、最初は余り差がなかったんです。ところが、だんだん差が出てきたんです。何でかといいますと、二つ理由があるんです。
一つは、恩給の場合には毎年の改定が行われて上がっていく。ところが、慰労金の場合には物価上昇に合わせてということになっていて、おくれおくれになるんですね。それで、何年か後に物価がこのぐらい上がったからこのぐらいにしようかというような形になっている、そのために差が出てくるというのが一つの大きな問題なんです。
ところが、もう一つ大きな問題があるんです。それは、恩給受給者の場合は六十五歳以上の方々に最低保障額というのが保障されているんです、六十五歳になると最低保障額というのが。ところが、慰労金の場合にはこれがないんです。実際、今慰労金を受け取っておられる方はもうすべて当然六十五歳以上です。恩給の場合とは違ってこの方々に最低保障額というのが保障されていないんです。そのことがまた差を非常に大きくしていく原因になっている。特に後者の場合というのが非常に大きいと思うんです。ですから、この二つの問題があって、兵に準ずると言いながら、どんどん差が開いているというのが現状でございますので、この点もぜひ改善をする必要があると思うんです。
官房長官がちょうど来ておられるので、官房長官としてもこういうところに差が開いていく原因があるということをぜひ御認識いただいて、知っておられるかもしれませんけれども、ぜひ改善の措置をとられるようにこれもまた研究をしていただきたい、そういうふうに思いますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/70
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071・榊誠
○政府委員(榊誠君) 先生今お話のありましたように、差が出ている要因というのは二つ、そのとおりでございます。
第一点目の消費者物価の上昇率の関係でございますが、以前は確かに何年かまとめてアップ率を反映させていたわけでございますが、平成六年の十二月に与党の戦後五十年問題プロジェクトにおいても御意見がございまして、現在では毎年度消費者物価指数のアップに見合ったものを反映させていくということで努力をさせていただいているところでございます。
もう一点の最低保障制度の関係でございますが、最低保障制度の性格が、先ほど申しましたように所得の保障を図るという本来の目的から保障制度が出てきておるというものでもございますので、慰労給付金の持っている性格とは必ずしもなじむものではないということで、これまでも種々議論をいただいてきたわけでございますが、その基本的な性格の違いから、最低保障制度については慰労給付金に適用するのは適当じゃないという今までの議論もございましたものですから、今いろいろ御意見がございましたが、従来の考え方を御説明するとそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/71
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072・聴濤弘
○聴濤弘君 最後ですけれども、本当にこの方々がいわゆる旧満州を転々とされ、またソ連を転々とされ、そしてまたフィリピンではマラリアにかかって亡くなられた方もたくさんおられる。それからまた、中国ではそのまましばらく残されて十年ぐらい日本に帰ってこられなかったというような方々もいらっしゃるということを私直接聞いております。本当に苦労をされた方々で、そして今残念ながら毎年物故者がふえておる、そういう状況であります。ですから、何としてでも今私が申し上げましたような点については政府として早急に措置をとられることを私の方から重ねて官房長官にお願いして、私の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/72
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073・鎌田要人
○委員長(鎌田要人君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
別に御意見もないようですから、直ちに採決に入ります。
恩給法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/73
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074・鎌田要人
○委員長(鎌田要人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/74
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075・鎌田要人
○委員長(鎌田要人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします一
午後二時十五分に再開することとし、休憩いたします。
午前十一時四十七分休憩
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午後二時十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/75
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076・鎌田要人
○委員長(鎌田要人君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
男女共同参画審議会設置法案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。梶山内閣官房長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/76
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077・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) ただいま議題となりました男女共同参画審議会設置法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
女性と男性が互いにその人権を尊重し、ともに支え合い、喜びも責任も分かち合える男女共同参画社会の実現は、さまざまな社会経済情勢の変化に対応していく上で、我が国の将来を決定する大きなかぎであります。
今般措置しようとする男女共同参画審議会は、内閣総理大臣を本部長とする男女共同参画推進本部とともに政府の取り組み体制の中核をなす組織として、男女共同参画社会の形成の促進に関する政府の政策についての調査審議を通じ、国民生活全般にかかわる関連施策へ国民各層の意見を反映させ、男女共同参画社会の形成の促進に資するものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
男女共同参画審議会は、内閣総理大臣または関係各大臣の諮問に応じて男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的かつ総合的な政策及び重要事項を調査審議することを任務としており、諮問に関連する事項について内閣総理大臣または関係各大臣に意見を述べることができることとしております。
審議会は学識経験のある者のうちから内閣総理大臣が任命する二十五人以内の委員をもって組織することとし、さらに男女のいずれか一方の委員の数は委員の総数の十分の四未満であってはならないこととしております。
また、審議会は、関係行政機関の長に対して資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができることとしているほか、特に必要があると認めるときは関係行政機関の長以外の者に対しても必要な協力を求めることができることとしております。
なお、本審議会において売春対策についても男女共同参画社会の実現という新たな観点から議論することとしたことに伴い、本法律案の附則において、現在総理府に置かれている売春対策審議会を廃止することとしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/77
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078・鎌田要人
○委員長(鎌田要人君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/78
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079・鈴木貞敏
○鈴木貞敏君 自由民主党の鈴木でございます。
梶山官房長官においては午前中に引き続いて御苦労さまでございますが、こういう変革と創造の時代といいましょうか、大変な時代でございますが、内閣の枢要なポストにおいて日夜身を粉にして御努力されておるその御努力に対しまして心から敬意を表してきょうは質問させていただきます。
ついては、非常に短い時間でございますけれども、この法律も男女共同ということでございますから、狩野先生とそれぞれ手分けして御質問いたしますので、簡潔にひとつよろしくお願いいたします。
まず第一点は、今回法律によって男女共同参画審議会というものが設置されるわけでございますが、考えてみますと、男女共同参画社会という、率直に私自身も余り今までなじんでおらない言葉でございます。しかし、いろいろビジョンとか、あるいはその後そのビジョンを受けての、提案を受けての説明書等を一通り読ませていただきますと、大変多岐にわたる、しかも全省庁にわたる極めて重要な問題であるというふうに認識を改めた次第でございます。
ただ、総理大臣を本部長、官房長官を女性担当大臣ということで発足したのがそもそも平成六年でございますか、まだ大変新しいということで、私も今回のこの法律によって設置されるというゆえんのもの、これが下から盛り上がったというのはもう当然でございまして、基本的人権の柱でございます男女平等はもうだれがどう言おうと守るべき人権の柱でございます。
そういう意味で、だれも反対しないわけでございますけれども、いろいろやっているだろうというか、いろいろの習俗その他があるわけでございまして、法制的その他を含めていろいろな問題がある、それをしこしこと我々の先輩はやってきたわけでございます。青鞜社の平塚らいてうとか、あるいは普通選挙権を獲得するための市川房枝さんの活躍とか、そういう女性なんかがそれぞれ教科書では紹介されておるというふうなことでございますが、きょうも質問ございました慰安婦の問題なんというまことに女性の尊厳を傷つけるようなものがまた教科書に載る。私個人として大変残念に思う、そういう一人でございます。
そういう中で、初めて審議会設置法ができまして、法律に基づいて二十五名の方を任期二年で任命してやられる、いろいろこれから政府が諮問してやられていくわけでございましょうが、こういう時期におきまして官房長官のこの審議会に対する御期待といいましょうか、何を期待するかということについてのお考えをまず最初にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/79
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080・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) この新たな審議会には男女共同参画にかかわるさまざまな課題を幅広く御審議いただき、今まで形式的に確かに男女平等社会は生まれたわけでありますが、これから実際の社会においてそういう行動がとられるようなことができるための仕組みなりそういうものをこの審議会で継続的に検討しそれを実行に移してまいる、これがこの審議会設置の一番大きな目標でございます。
またもう一つは、今お話にありましたように、売春対策審議会を発展的に継承することによって、男女共同参画社会の実現という、より幅広い観点から売買春をめぐる問題も同時並行的に検討し対策を講じていきたい、このような観点から当審議会が発足するわけでありますので、御協力のほどを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/80
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081・鈴木貞敏
○鈴木貞敏君 長官のおっしゃることはよくわかります。下から盛り上がるような、国際的ないろいろの会合が昭和五十年でございますか、メキシコシティーで国際婦人年の年に第一回の会議、そしておととしてございますか、中国の北京で第四回の女性会議が開かれる。そういう際に行動綱領とかいろいろなものが出て、その目標値が示された。それに応じて日本もそれにこたえていく、先進国としてこたえていく、こういうことでいろいろの手が打たれてきたと思うわけでございます。
そういう面で、国際的ないろいろの動向というか取り組みが刺激剤になってこの設置法、やっぱり法律じゃなきゃいかぬということで設置されたのかなと私は個人的に思うわけでございますが、その点について考えが間違っていないかどうか、その辺をひとつお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/81
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082・安藤昌弘
○政府委員(安藤昌弘君) お答え申し上げます。
ただいま長官からお話し申し上げましたような大きな目的を持って今回審議会を法律で設置させていただこうということでございますが、また今、委員御指摘のように、そういう国際的な流れももちろんあろうかと存じます。
ただ、事務的に一つ申し上げさせていただきますと、これまで政令で置かれておりましたものを今回法律に変えたいということでございますが、この点につきましては、審議会等のうち設置省庁以外の他の大臣から諮問を受けるなど設置省庁の所掌事務の範囲を超えるものにつきましては法律で設置することとされているところでございます。新たな審議会におきましては、先ほど来ございますように、政府のあらゆる施策への男女共同参画の視点の反映等に資するため、内閣総理大臣以外の関係各大臣の諮問にも応ずることができることとする、これが適当であるというふうに考えまして法律で設置することとしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/82
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083・鈴木貞敏
○鈴木貞敏君 次に、官房長官にお伺いしたいのですが、昨年の内閣法の改正によりまして総理大臣の補佐官制度というものができました。お二人が既に任命されて活躍されているわけでございますが、三名を常勤あるいは非常勤で設置できる、こういう一部改正であったのでございます。二名が任命されて一名がまだ欠員であるということにおいて、これほど非常に範囲の広い多岐にわたる、女性問題が主でしょうが、ひとつこれに欠員の一人を充てて本部長である総理を補佐する、そしてまたこの審議会法案の趣旨説明にもありましたように、日本全体が生き生きとしてこれから質の高い生活を享受できるようなことで補佐官制度を活用したらどうかと思うんですが、官房長官のお考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/83
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084・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 内閣総理大臣補佐官は内閣総理大臣のブレーンとして内閣の重要政策に関し内閣総理大臣に直接進言、意見具申をすることにより内閣総理大臣の思考及び判断を助けることを職務といたすものであります。
いずれにいたしましても、内閣総理大臣補佐官の任命については、社会経済情勢や政策課題を踏まえつつ、内閣総理大臣自身が御判断になることであります。恐らく総理は各般の女性の意見を公式、非公式にたくさん取り入れながらやってまいるわけでありますので、一人の補佐官を置くか置かないかということが一番大きな問題ではないというふうに感じます。適時適切にその場に応じた補佐官制度は必要でありますが、女性問題に関する限りは男女平等の社会をつくるということが究極の大きな政策課題でございますので、全員力を合わせてやってまいりたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/84
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085・鈴木貞敏
○鈴木貞敏君 ひとついろいろ多角的に検討していただいて、一つの視野に入れていただければありがたい、こう思う次第でございます。
それから次は、予算委員会でも質疑があったようでございますが、選択的な夫婦別姓問題でございます。各党それぞれの御意見があり、それぞれの人生観なり家族観、そういったものに裏打ちされたいろいろのお考えがあるわけでございまして、党の一致というのはなかなか難しいというふうな一つの動きがあるようでございます。
私は、これは男女同権というか平等というか、そういう観点からすれば、夫婦が別姓であるか同姓であるかというのはどうも男女平等という次元とは違った問題じゃないかな、そういうふうな感じを持っておりまして、また国民の世論というか大方の考え方はこれについてまだ熟していないんじゃないかというふうなことも考えます。
さらにまた、選択的ということでお互いに相談の上どちらかに決めるとしましても、一体子供の名前をどうするのかとか、そういうものを含め、さらにまた日本伝統の家族倫理観といいますか、そういったものにひびが入るんじゃないかな、これは相当慎重に論すべきものであって、余り早く結論を出すということについては十分考えなくちゃならぬな、こんなことを個人的に実は思っているわけでございます。
もう官房長官はほかの席でお答えになっているかもしれませんけれども、この選択的夫婦別氏制度につきましていかなるお考えをお持ちか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/85
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086・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 今、委員お述べのとおりでございまして、お聞きをしますと千差万別、それぞれの方々がそれぞれの立場で主義主張を申されていることは御案内のとおりであります。
確かに女性の社会的な進出やその他で、ともすると男性の姓を名乗るということに不便を感じ、あるいはそれぞれの人格の独立性、こういうものから別姓であってもよろしいという意見もあるし、あるいはそうではない、家族制度その他を残すときにはそういうことには余り意を払ってはいけないという意見もあるし、それから選択的にやってもいいではないかという議論もありますが、まだ結論を出すというのには事至らないのじゃないのかなという気がいたします。
いずれにしても、国民的な議論の高まりの中からこういう問題には対処をしてまいることが適当である、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/86
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087・鈴木貞敏
○鈴木貞敏君 この問題はこれからいろいろ煮詰めなくちゃならぬ問題だと思いますが、ひとつそういうお考えのもとでリーダーシップを発揮していただきたいな、こういうことを願望している者の一人でございます。
もう時間でございますので、最後に農水省に伺います。
先ほど来の男女平等といいますか、そういう面で、私も山形県出身でございますので、農業というものの分野で占める女性の労働力の貴重さというか貢献といいますか、これはもう大変なものだと思います。統計的にも、六割ぐらいは女性の労働力だという統計が出ておるようでございます。
そういう中で、範囲を広げません、漁業組合とか農業委員とかいろいろ農業団体があるわけでございますが、農業協同組合だけに限定して一つお伺いします。五百万の農業人口のうち六割は女性であるというふうな中で、農協の役員に一体現実にどのくらい女性が進出しているのか。
この法律も、十分の四ですか、二十五人のうち四〇%はどちらかにしないといかぬ、こういうふうな規定、クオーター制というんでしょうか、そういうことを書いております。
したがって、私は、日本全体の女性の意気込みというかパワーをフルに発揮させる、あるいはこういう閉塞的な社会で農村社会が生き生きと生きていく、田園から都市じゃございませんけれども、これがまた日本全体のパワーをアップする、また気持ちを明るくするということにあずかって力があるんじゃないか、こういうことを思うわけでございます。
そういう面で、基本法を今つくる時期でございますので、農協はいつまでに何割女性を登用せいと、こんな思い切ったことをやれないものかなと思うわけでございますが、その点について農水省のこれからの取り組みなりをお伺いして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/87
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088・高橋賢二
○説明員(高橋賢二君) 農村部におきまして女性の役割が非常に高まっているというのは御指摘のとおりでございます。
農協について数字で申し上げますと、現在、正組合員に占めます女性の割合は一二・七%、役員に占める女性の割合は〇・二%ということで、いまだかなり低い数字になってございます。ただ、これは近年、徐々にではございますが、増加傾向で推移はしております。
それで、農村における女性の役割の高まりということもございますので、農協系統におきましては全国農協大会で決議しまして、女性の農協加入促進による一戸複数組合員化、それと女性の農協運営への意見反映、役員等への選出、この二点を農協系統組織の基本方針として打ち出しまして現在取り組んでいるところでございます。
そこで、農林水産省としましても、先ほど具体的な目標というふうなお話がございましたが、なかなか具体的な目標というまでに至らない数字でございますので、現在のところこういった農協系統の方針等も踏まえまして、いろんな場面で積極的に女性の登用ということを指導してございます。したがいまして、今後ともいろんな機会をとらえまして、先生の御指摘も踏まえまして、重ねて指導していくというのが今の考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/88
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089・鈴木貞敏
○鈴木貞敏君 もう時間も来ましたので終わりますけれども、農水省、ひとつ積極的に女性がいわゆる政策決定段階に参入するように強力に指導していただくとか、また法制面でも何か手当てがあればその面で、ああ農水省やってくれるなというふうなことで、女性が本当に今の貢献度にふさわしいそれぞれのステータスを得るように格段の御努力をあらゆる面で傾注していただきたいということを心からお願いしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/89
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090・狩野安
○狩野安君 もう二十一世紀は目の前に来ておりますけれども、名実ともに男女共同参画社会が私はできてくると思います。それにいたしましては少し遅過ぎた感はございますけれども、こういう男女共同参画審議会が法案化されるということに心から敬意を表し、御苦労に感謝を申し上げたいと思います。
この中で売春対策審議会が廃止になっているわけでございますけれども、これはどういう理由で廃止になったのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/90
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091・安藤昌弘
○政府委員(安藤昌弘君) 今回、売春対策審議会を廃止いたしまして新しい審議会の中で統合して進めていきたい、こういう基本的な考え方でございますが、これは昨年七月の男女共同参画審議会の答申であります男女共同参画ビジョンにおきまして、「売買春に関する諸問題を、女性の人権の保障、男女共同参画社会の実現という新たな観点に立って検討するため、当審議会と売春対策審議会の関係の在り方を含め、これらの問題を審議する体制の見直しを進めるべきである。」という提言をいただきました。また、八月には売春対策審議会からも、こういう体制の見直しを図りまして、幅広い視野に立った審議を行う場を設置すべきであるという御意見を承っているところでございます。
これらの意見を踏まえまして、今回、現在の売春対策審議会を発展的に統合して、従来の専門的な知識経験に基づく調査審議に加えまして、男女共同参画社会の実現という幅広い視野に立った審議を行えるようにということでこのようにしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/91
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092・狩野安
○狩野安君 売春対策審議会の今までの活動状況とかそういうことをちょっと知らせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/92
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093・安藤昌弘
○政府委員(安藤昌弘君) 売春対策審議会につきましては、昭和三十一年に総理府に設置されて以来、売春対策に関する重要事項について調査審議を行いまして、内閣総理大臣等に対して各種の建議、要望等を提出してきたところでございます。
最近におきますれば、平成六年七月にエイズに係る対策を中心とした売春防止対策について、また昨年八月には、ただいま申し上げましたように、今後の売春対策を審議するための体制の見直しについてそれぞれ内閣総理大臣に対して要望を提出しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/93
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094・狩野安
○狩野安君 売春対策といいますと何となくもう過去の問題のような気がするわけで、廃止しても当然かなというような気もいたしますけれども、今大変社会問題になっております援助交際とか、いろんな形で売春が行われているわけですから、これはもう大変な重大な問題だと思います。
その中で、この審議会の法案の中にこれに対しての明文化がなされていません。これは明文化することは難しいと思いますが、この男女共同参画審議会の中で大きな役割を果たしていただきたいというふうに思っておりますけれども、その辺のお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/94
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095・安藤昌弘
○政府委員(安藤昌弘君) お答え申し上げます。
ただいま申し上げましたようなことで、新たな審議会におきましても売買春の問題というのは調査審議事項の柱の一つになろうかというふうに考えておるところでございます。したがいまして、審議会におきましては必要に応じ部会を設置することができることとしたいというふうに考えておりまして、この問題を専門的に御議論いただくための部会が設置されることを期待しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/95
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096・狩野安
○狩野安君 ぜひこれは積極的な姿勢で取り組んでいただきたいというふうに心からお願い申し上げます。
話は変わりますけれども、今コピー人間もつくれるというクローン技術が世界じゅうの話題を集めておりますけれども、受精の必要がないから男性不要の社会というようなことも実現してくるような気もいたします。結婚はしたくないが自分の分身は欲しいという日本の女性も大変ふえております。こういう気持ちになったのは男性社会が長かった結果だというふうに思っておりますけれども、こういうことは命の尊厳に対する大変な冒涜だというふうに考えておりますし、男女共同参画社会じゃなくてコピー人間との共同参画社会が生まれる可能性もできてくるわけです。
これはもう笑い話でもないし、ブラックユーモアでもないし、夢の話でもSFの世界でもないという感じでありますけれども、このような研究に対しまして、私は一日も早く哲学、それから倫理とか政治、経済、社会、広く論議を深めて倫理法を制定すべきだというふうに考えております。
科学の発達というか、研究の進歩というのは著しいものがありますので、あっという間にこういうおかしな社会ができてくるというふうに思っております。私としては科学者のロボットにはなりたくないというふうに考えております。
その辺のことについて、倫理法の制定をすべきだというふうに考えておりますけれども、御意見をお聞かせいただきたいと思います。もしできましたら官房長官にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/96
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097・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 私は余り科学的な人間じゃございませんので、クローン羊というかこういう技術、何か人間社会がそういうことを行っているという実感をまだ持っておりません。
ただ、怖いことには、こういうものが場合によっては産業技術あるいは生命科学その他である意味で利便というかメリットがあるというようなことになりますと、我々の持っている倫理観を乗り越えるスピードよりはるかに速いスピードでそういうものがこの人間社会に充満すること、あるいは部分的にでも先行すること、これは人間社会の崩壊につながるというか、生命の尊厳というものを台なしにしてしまう大変なことでございますので、私はこの問題に関しては中立的な見方というよりも、むしろ極端なことを言うと禁止的な見方でこの問題には対応してまいりたい、これを自分自身の基本的な考え方としておりますが、まだ各般の意見を聞いておりません。
どういう意見があってどういう利便性があってどういうあれなのか知りませんが、一つ間違ってクローン人間によって自然の人間が崩壊するということが夢物語でない時代が生まれないという保証はないわけでありますので、お互いにこれは念には念を入れるというよりも、むしろ逆にこの問題には禁止的な感覚で対応してまいることが大切ではないか、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/97
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098・狩野安
○狩野安君 ぜひひとつ真剣に議論をしていただきたいというふうに思っております。
次に、北京での女性会議のときに出た話題でございますけれども、アンペイドワークということが議論されております。また、日本でもこのことについていろんな形で取り組みをしているわけですけれども、総務庁もアンペイドワークについて調査を行ったということを聞いております。どんな調査を行ったのか、またどうなったかをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/98
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099・伊藤彰彦
○政府委員(伊藤彰彦君) 私ども統計局ではアンペイドワークの把握を主たる目的とした調査は行っておりません。しかし、国民生活の実態を明らかにするものとしまして社会生活基本調査、こういうものをやっております。
この社会生活基本調査は昭和五十一年に始めたものでございまして、従来の統計が明らかにしておりませんでした経済活動以外の国民生活の実態を把握する、こういうことを目的として五年ごとに実施しております。そして、昨年十月に五回目の調査を実施いたしまして、約九万九千世帯の十歳以上の世帯員二十七万人について行いました。
この調査では、生活行動を睡眠、食事、仕事、家事、社会的活動など二十区分に分類して、それぞれの区分の行動に費やす時間を調査しております。これによりまして、家事、介護、看護あるいは育児、こういうことなどについても見ることはできるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/99
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100・狩野安
○狩野安君 経済企画庁の方でもこの研究会をスタートさせたということですけれども、ちょっとそれもお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/100
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101・根本博
○説明員(根本博君) その目的はいろいろございますけれども、世界的な動きといたしまして、一九九五年に北京で開催された第四回国連世界女性会議で採択されました行動綱領におきまして、家事等の無償労働の価値の数量的評価について研究促進すべきだという点が盛り込まれたわけでございます。また、諸外国におきましても、既に家事等の無償労働を具体的に金額でとらえ、その規模をGDP等の経済データと比較することが実際に試みられております。
そこで、我が国におきましても、現在把握されていない無償労働も社会を支えているという観点から、無償労働を金額でとらえまして、その規模や動向をGDP等の経済データと比較することが必要と考えております。こうした計算を行うに当たりまして、無償労働の範囲や評価方法について検討する上で、専門家の意見を聴取するという目的のために研究会を設けているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/101
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102・狩野安
○狩野安君 男女共同参画社会にどう生かすおつもりなのか、その辺もお聞きしたいわけですけれども、これが余り男女共同参画社会に行き過ぎて生かされるということも私は大変心配をしております。そして、行き過ぎた場合には味気ない、温かさの感じられない社会になるような気がいたしますので、そういう意味でも留意していただきたいと思いますけれども、一応簡単で結構ですので、男女共同参画社会にどう生かすつもりなのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/102
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103・薦田隆成
○説明員(薦田隆成君) お答え申し上げます。
平成七年十二月に策定されました政府の経済計画、構造改革のための経済社会計画におきまして、男女一人一人の個性が尊重され、その持てる能力に応じて社会の中でさまざまな役割を有し、意欲的に社会に参加することができる公正な機会の保障された男女共同参画社会を構築する必要があるというふうにされております。
昨年十二月に男女共同参画社会の形成促進に関する国内行動計画、男女共同参画二〇〇〇年プランが策定されておりまして、その中におきまして、男女共同参画にかかわる情報の収集、整備、提供のための具体的施策の一つとして、アンペイドワークの数量的把握の推進が盛り込まれているところでございます。また、女性がその大部分を担っておりますアンペイドワークにつきまして、数量的には必ずしも十分に把握されておらず、そのことが女性の担う役割への過小評価等につながっているとの指摘もあるわけでございます。
このような状況も踏まえまして、先ほど御説明申し上げましたように、検討が行われておりますアンペイドワークに関する研究会の研究成果が各種政策において男女共同参画の視点を盛り込む際の参考資料として提供することができればというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/103
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104・狩野安
○狩野安君 二十一世紀は確実に男女共同参画社会が訪れてくると思いますけれども、一人一人が妻でもあり母でもあり、ときには職業人でもあり、また一人の女性であるという、大切な自分という意識を男の人も女の人も持つ、それが私は男女共同参画社会だというふうに思っております。そういう意味で、いろんなことを調査されてもそれが行き過ぎにならないようにぜひ注意をしていただきたいと思います。
官房長官に一言だけ感想などをお聞かせいただければ大変うれしく思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/104
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105・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 男女共同参画社会というのは、前向きにとらえても、この少子化時代に社会の健全な発展というか円満な発展というか、これを願うためにも、これは打算的に考えても極めて大切だという気がいたします。そして、我々の人間社会はそれぞれの民族あるいは育った場所によって違うかもしれませんが、私個人の狭い社会を考えますと、私たちは今、男女共同参画社会は形成しておりません。
しかし、男女の平等というより女性の尊厳というか、これはそれぞれの家庭によって若干の差はあるかもしれませんが、日本の社会というのは女性にある意味で優位を、内容的な実質上の優位を与えてきた社会ではないかと思います。名目上というか、男の権威とかなんとかという意味で男が横暴に見える場合もあるかもしれませんが、私個人を考えてみても、母ありて我ありというか、妻ありて我ありという思いで今日まで生きてきているつもりです、それは反省もひっくるめてでありますが。
そういうことでありますので、この男女共同参画社会という、より充実した、おのおのが特性を発揮できる社会をつくり上げたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/105
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106・狩野安
○狩野安君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/106
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107・鈴木正孝
○鈴木正孝君 平成会の鈴木正孝でございます。
きょうは男女共同参画審議会設置法案の審議ということでございますけれども、その前に、官房長官お見えでございますので、初めに沖縄の米軍用地の使用問題に絡みまして若干御質問をさせていただきたいというふうに思います。
御案内のように、来る五月十四日をもちまして嘉手納とか普天間とか十数カ所の米軍用地の使用期限が終了するという状況になっております。現在、沖縄県の収用委員会で一生懸命審理をやっておりますけれども、伝えられるところでありますと、その期限終了前に裁決が出るというような状況にはどうもなさそうな感じがしているわけでございます。また、昨年の楚辺通信所の問題で法的な空白状態が現在も生じているという状態を考えてみますと、非常に重要な課題で今や国内的にもあるいは国際的にも大変注目されている、そういう状況だろうというふうに思っております。
初めに、収用委員会の審理状況はどういう状況になっているのか、あるいは現在どのような審理を行っておって、あとどれくらいやるような見通しになっているのか。また、伝えられるところによりますと、現地調査の実施の可能性、こんなようなことも言われているようでございますけれども、そんなことを総合いたしまして、現時点の現実的な状況を御説明いただきたいというふうに思います。まず、施設庁の方からで結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/107
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108・伊藤康成
○政府委員(伊藤康成君) ただいま御質問の件でございますが、駐留軍用地特措法に基づきます手続でございますけれども、先般二月二十一日に沖縄県収用委員会におきまして第一回の公開審理が行われたところでございます。また、この三月十二日には第二回の公開審理が行われておりまして、いずれも整々と審理が進んだというふうに承知しております。
その審理の中身でございますが、第一回の公開審理におきましては、起業者の立場から那覇防衛施設局の方から裁決申請理由を陳述いたしました。また、その後に所有者等十名の方からそれぞれ意見陳述がなされたところでございます。
また、第二回の公開審理におきましては、所有者等からの意見陳述、さらに那覇防衛施設局が第一回公開審理におきまして陳述しました裁決申請理由に関して求釈明がなされまして、これに対して那覇防衛施設局から釈明を行ったというような状況でございます。
今後でございますが、第三回の公開審理については来る三月二十七日に開催される予定ということになっております。
その後でございますが、過去の例から申しますと、例えば御指摘の現地調査等数回行ったというのが過去の例でございます。しかしながら、これらにつきましてはいずれにいたしましても収用委員会の権限に属する事項でございまして、この場で私どもの方から今後のことを、どうなるであろうというようなことを申し上げることはできないわけでございます。
いずれにいたしましても、私どもといたしましては、これまでの二回の公開審理が整々と行われたということでもございまして、五月十四日の使用期限までに使用権原が得られますよう、今後の手続また公開審理を初め裁決あるいは裁決書送達等の各手続が円滑かつ迅速に行われることを期待しているところでございますし、またそのために最大限の努力を払ってまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/108
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109・鈴木正孝
○鈴木正孝君 今度、三月二十七日に三回目の審理があるということでございますけれども、官房長官、この収用委員会の審理というのは制度上後ろの期限が何日までという期限が切られていない、そういうことであるわけでございます。
この特措法の手続に入る過程で、確かにいろんな曲折があったように思います。関係者はいろんな形で御努力をし、苦労もし、そして今日に来た、そういう国と県との各般の話し合いの中で手続が実質的に進んでいるというような背景、経緯というものもあろうかと思います。このことを考えてみますと、事柄は大変重要であるということでありまして、そういうことからすれば十分審理を尽くすのは当然のことだろうというふうに片方では思います。
しかしながら、そういう状況を考えてみますと、ある程度合理的な範囲内で審理、裁決の期間というものも総合的に勘案して対応していただくということも非常に重要なことではないか、あるいはそういうことも可能ではないかというような思いもしないわけではございません。正直言いましてそんな感じもしないでもないわけでございます。
その点、官房長官、どのようにお考えになっているか。先ほどの施設庁からの御答弁にもありましたように、収用委員会の固有の権限ということで大変微妙な事柄とは思いますけれども、そういうトータルで見ましたときに、背景等を踏まえてどのようなお考えをお持ちか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/109
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110・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 収用委員会のいわば権限というか、審理や裁決の期間を区切ってこういう問題が行われるべきというのは一つの方法、方策ではあろうかと思いますが、現実に今定められていないということもまたこれ事実でございます。
それと今御指摘の沖縄の米軍用地に対する措置についてどうこうということは、直接これを連動して収用委員会のあるべき姿をここで論ずることは、もうちょっと広範な部門でございますので、私はこの時期を除いてこういう問題は検討されてしかるべきだと思います。
それから、今お話にありますように、収用委員会はそれなりの特色ある審理を行っていくと思います。まだ回数があることでございますから、予断を持ってどうこうということを私は申し上げる立場にありませんが、祈るような思いで今その裁決が出ることを期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/110
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111・鈴木正孝
○鈴木正孝君 最近の報道によりますと、沖縄県の副知事さんから特措法の改正については県としては反対だというような意向が実質的に政府に伝えられている、そういうことを言っているというような報道があるわけでございます。
その理由といたしまして、一つは適正な収用手続の最中に手続のルールを変えるやり方に県民は我慢ができないと。二つ目に、事実上沖縄県にだけ適用される法改正に対して、県民の中に憲法九十五条による住民投票実施を求めるような動きもあると。あるいはまた、現行法の緊急使用申し立てを行わずにいきなり法改正を行うのは県民は納得できない、そういうような報道であったように承知をしておりますけれども、この報道の内容の真偽はちょっと別にいたしまして、それなりに言われることの疑問、それなりの理由もあろうかなというような感じもするわけです。
そこでお尋ねするわけでございますが、収用手続の最中に手続のルールを変えるというやり方、この批判に対しまして施設庁の方はどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/111
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112・伊藤康成
○政府委員(伊藤康成君) ただいま委員の御指摘でございますが、私から申し上げるまでもございませんけれども、日米関係と申しますものは我が国外交の基軸でもございますし、また日米安保体制がその基盤をなしているということでございます。そういう中で、日米安保条約の目的達成ということのためには、我が国に駐留いたします米軍に施設及び区域を円滑かつ安定的に提供するということは我が国の条約上の責任ということが言えるかと存じます。そういうことで、その条約上の義務履行ということで現在私どもは現在の駐留軍用地特措法に基づきまして手続を進めているところでございます。
そして、先ほども申し上げましたし、ただいま官房長官からも御答弁があったわけでございますが、この法律に基づきまして期限の五月十四日までに使用権原が得られることを私どもは期待しておりますし、またそのための努力をしているところでございますので、引き続きこのような努力を続けてまいりたいというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/112
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113・鈴木正孝
○鈴木正孝君 次に、これは先ほどの二つ目のことでもございますけれども、憲法九十五条との関係ということでございます。
特措法の改正が事実上沖縄県だけに適用されるというような背景を考えてみまして、住民投票による過半数の同意が必要ではないかというような考え方、これが憲法上どうかという点でございますが、過去、昭和四十六年の四月だったと思いますけれども、沖縄及び北方問題に関する特別委員会でも同じような議論がたしか行われたように私も記憶しております。そんなことを踏まえまして、憲法解釈上この点はどういうふうに理解し、どのように考えたらよろしいのか、ひとつ法律論として法制局の御見解を確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/113
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114・宮崎礼壹
○政府委員(宮崎礼壹君) お答えいたします。
ある法律が憲法第九十五条に申します「一の地方公共団体のみに適用される特別法」というものに当たりますかどうかにつきましては、最終的には国会の御判断によるべきものとされておるところでございます。しかし、一般的には憲法九十五条の規定は特定の地方公共団体の組織、運営または機能について他の地方公共団体と異なる定めをする法律というものを指すものというふうに理解されていると承知しております。
御指摘の駐留軍用地特措法でございますが、その改正ということにつきまして現在何らかの意見を申し上げる段階にはないと思います。現行の駐留軍用地特措法そのものにつきましては、我が国に駐留するアメリカ合衆国の軍隊の用に供する土地等の使用または収用に関し規定しているものでありまして、特に沖縄県という地方公共団体の組織、運営または機能について特例を定めているものではないというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/114
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115・鈴木正孝
○鈴木正孝君 結論的に言いますと、憲法九十五条に直接該当するようなことではない、そういうことと理解してよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/115
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116・宮崎礼壹
○政府委員(宮崎礼壹君) 改正案がどうこうというふうには直接お答えできるわけではございませんが、現行の駐留軍用地特措法につきましては、今申し上げましたように、我が国に駐留する米軍の用に供する土地の使用、収用ということにつきまして一般的に書いてある法律でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/116
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117・鈴木正孝
○鈴木正孝君 次に、官房長官、蓬莱経済圏構想ということを言われて、これは一月の終わりの衆議院の予算委員会でも御議論があったように承知をしているわけでございますが、経過的には昨年の三月ころですか、那覇でありましたシンポジウムでそういうような提唱があったということを踏まえてのことだろうと思いますけれども、沖縄県の将来像をどのように描かれておられるか。あるいはまた、沖縄県の入った政策会議で大変御熱心に御議論されているようでもございますけれども、沖縄、台湾あるいは中国そのもの、外交、政治、経済含めましていろんな問題があろうかと思いますけれども、どのようなお考えでおられるか、ぜひお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/117
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118・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 衆議院等の話の中で出した問題でございますが、私は特定のお断りをいたしまして、官房長官ないしは国務大臣ということよりも一議員としてというまくら言葉をつけてお話を申し上げました。
というのは、私も長い年限沖縄に大変関心を持っておる人間であります。ですから、琉球王朝時代からのいろんな歴史やあるいは地政学的なことの勉強を若干したこともあります。そして、特に官房長官になって以来、昨年以来、この沖縄問題を特に注意して見るようにという総理の示唆もあり、今回はまた沖縄担当という一つの部門も仰せつかったこともこれあります。
そういうことから考えますと、沖縄という地政学的な見方からいいますと、南西に開かれた極めて特色のある亜熱帯性の気候を持った地域であるし、日本のどの土地をとってみても、これほど南西方面に向かってのウイングを広げられる場所はないという気がいたします。そして、昔そういう蓬莱経済圏的なものがありましたし、それからまた沖縄の今の方々も二十一世紀のグランドデザイン等に蓬莱経済圏という言葉を使っております。
私は昔からよく御懇意を願った、かつて国土次官をやった下河辺さんともこういう話を熱っぽくやったことがあるんですが、これは裏を返しますと、沖縄の軍事的な、米軍基地があそこにあるというゆえんは南西に対する大きな力を持っているということで、裏返しに見れば経済的にもそれと同等の力があるという見方をすることもできるわけであります、軍事力がいいか悪いかという問題は抜きにして。
そういうのを考えますと、ここに専門家の方も大勢おいででございますが、画一的な地方自治というものは確かに日本を統一国家とするためには必要だったかもしれませんが、これからはむしろ特色のある地方自治を、あるいは一番生きられる、一番活力のあふれるような地方とはどういうものかというと、いろんな分権論がありますが、画一的な分権よりは選択的な分権を行って、どの地方にはどういう法律が欲しい、どういう権限が欲しいというのを選び抜いてこそ初めて地方は生きられるものだと思います。
これを考えますと、沖縄の特性や地政学的なものを見れば、いわば画一的な地方自治からこれから目覚めようとしておりますが、もう一段階飛び越えて、もうちょっと広範な意味での人間的な見方があってもいいではないか。それは今政治上お互いに政体の異なる、あるいは認知のできないというか認めない台湾や中国その他の問題がありますから、一概にこの政治の場で言うことがいいかどうかわかりませんが、政治の壁を取ってみますと、私は中国や台湾その他の地帯が一つの経済圏を構成して発展できる方式があるのではないのかな、こういう思いを年来抱いております。
沖縄の振興のためには、長い先に確かに一国二制度になるのではないかという懸念もないわけではありません。しかし、人間の幸せやその地域の特性というものを生かすのに全く画一でなければならないということはない。この声は残念ながらまだ私一人の声でありますが、これを大きくして、何とか沖縄の地域の振興というか沖縄の独自の経済圏的なもの、それがひいては日本全体の力になるということを確信して、私は声を小さくしながら申し上げておることでありますが、おいおい大きな声にして何とかそういうものにこたえていきたい、これが私の真意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/118
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119・鈴木正孝
○鈴木正孝君 私も大変大事な視点の一つだろうなというふうに思いながら、自分の耳で官房長官の言葉も聞いてみたいと思って御質問させていただいたということでございます。
では、設置法案の方に移らせていただきます。
今回の法案は先ほど来鈴木先生、狩野先生からも大体似たような御質問が出たわけでございまして、大変恐縮でございますが、重なるかもしれませんけれども、お許しをいただきながらやらせていた、だきます。
男女平等の達成に向けて北京で一昨年ありました世界女性会議、第四回ということであったように思いますけれども、ここで各国政府の取り組み体制の強化の要請ということがあって、各国が体制整備を行っているという国際的な動きの中で今回設置法を出すということでございますので、内外ともに大きな評価をされる事柄だろうと思っております。
現在の政令で設置されておりました審議会、これが来る三月三十一日で切れるということで、今度は法律に設置根拠のある審議会にしようということでございます。この意味することは、単に審議会の衣がえといいましょうか、あるいは格上げというものにとどまるものではないんだろう、それ以上のものがあるのではないかというふうに私は思っております。
そうしますと、審議会の答申、勧告が諮問した政府機関から尊重されなければならないだろう、法律に根拠を有する審議会であればあるほどその程度は高いというような、そんな気もするわけでございます。そのことを担保するため、あるいはそれを強く確認するというために、最近はどちらかというと審議会の設置法案等でも政府の尊重義務というものが盛り込まれている場合が結構多いといいましょうか普通になりつつある、そういうことだろうというふうにも思います。
そんな中で、今度の法案には尊重義務規定がないということ、そして昨年の七月三十日に出ました男女共同参画ビジョンを見ますと、かなり包括的、網羅的に答申が出されているというような状況、後は明確な方針に基づいて実行をどうするかという状況に片方ではまた入っているんだろうというふうに思えないこともないということでございます。
また、法律でやっておりますからということかもしれませんけれども、この存置期間が明記されていないというような状況を総合的に考えてみますと、ちょっと厳しい見方、言い方をしますと、多くの女性の方々の期待に反してとは言いませんけれども、本当にその期待にこたえられるようなものなのかなというような感想、懸念、懸念的な感想といいましょうか、そういうこともないではないわけです。
ちょっと長くなりましたけれども、その尊重義務とかあるいは存置期間を明記しなかった理由、そしてここのところは官房長官にぜひお願いしたいと思うんですけれども、こういう私の杞憂といいましょうか懸念、心配、そういうものに、心配するな、こういうものにこたえられるものであるよという力強い御答弁も、ぜひお願いをしたいな、こういうふうに思うのでございます。ひとつよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/119
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120・安藤昌弘
○政府委員(安藤昌弘君) お答え申し上げます。
ただいま先生の方から御質問を二点いただいたわけでございますが、まず一つの今回の設置法案に尊重義務を設けなかったのはなぜなのかというお尋ねでございます。
一般に審議会等の答申等につきまして、諮問した行政機関の長がこれを尊重すべきことは当然とされておるわけでございますが、さらに内閣総理大臣が男女共同参画推進本部の本部長を務めておりまして、全閣僚が同本部の構成員となっておりますことからも、新たな審議会から内閣総理大臣または関係各大臣に提出された答申等がそれぞれの所管行政の中で適切に反映するというふうに考えておるところでございます。
また、存置期限についてのお尋ねもございましたが、今回の法案の中に存置期限を付さないことといたしましたのは、今後、男女共同参画ビジョンの実現に向けて広範多岐にわたる施策の総合的かつ効果的な推進、あらゆる施策への男女平等の視点の反映を図るための仕組みが必要とされる一方、現行の各種施策につきましても社会経済情勢の変化あるいは国民意識の変容等に適切に対応して常に見直しが求められることを踏まえますと、新たな審議会の調査審議の対象は決して臨時的、暫定的な事項にとどまらず、恒常的、継続的な事項まで含むものと考えておるためでございます。
また、先生の御指摘にもございましたけれども、近年、国際的に男女平等の達成に向けた取り組み体制の充実強化が各国に要請されておりまして、国内におきましても、各政党、女性団体を初め関係方面から審議会の恒久化が強く求められているところでございます。これらのことを考えまして、先生の御趣旨にも沿えますように努力してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/120
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121・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 今の政府委員の答弁に尽きるわけでありますが、私はやはり日本の男権と女権といいますか、そういう長い歴史を見て、日本は農耕社会だけに比較的女権は認められておった社会、しかし必ずしも女権が表に出て堂々と語られなかったというか表現できなかった社会でありますが、今ちょうど少子化やその他の問題をひっくるめまして日本のあり方というのを考えますと、社会的な必然性で私は男女の共同参画社会ができるはずだ、そしてそれだけの能力を十分に持っているはずだと思っております。
それから、ほかの国のことを言うとまた差別になりますから申しませんが、ほかの国と違うとは申しませんが、日本ほど女性に対する思いやりを男性が持っている社会はそうないのではないかと思うほど、私はその意味ではこの社会はできるはずだと思います。ということは、今度、審議会自身が本当に中身のある活発な審議を通じて政府やその他社会に要請をするならば、そういうものを実現する社会的な背景が十二分に整いつつあるということで、ですからこれに火をつけない方が悪いわけでありまして、お互いに、私は男性としてこの問題には火をつけていきたい、狩野さんもぜひひとつその意味で火をつけていただきたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/121
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122・鈴木正孝
○鈴木正孝君 大分時間も来ましたものですから最後にいたしますが、いわゆるセクハラの問題、セクシュアルハラスメントについて伺いたいと思います。
この問題も女性の社会進出、特に職場への進出や各種企業の海外への進出というような社会変化の中で急速に増大をしてきているテーマだと、このように理解をしております。しかしながら、訴訟として表面化するものはごく一部あるいは氷山の一角のようなものではないかなというような気もいたします。こんな状況を反映しておるかもしれませんけれども、この問題に対する行政の対応というものはいささか消極的なのかな、そんな思いもございます。
諸外国の中では、フランスあるいはドイツのように立法措置を講じている国もあるやに聞いておりますけれども、この辺はどのようになっているのか御説明をいただきたい。そしてまた、我が国におきます対策あるいは立法化の検討状況、こんなものも御説明いただければと思います。
今回新設されます男女共同参画審議会、ここの格好の審議テーマになり得るものかなというような感じもいたしますので、この種のテーマを諮問するお考えは、ちょっと今の時点では言えないよということかもしれませんけれども、その辺も含めまして御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/122
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123・草野隆彦
○説明員(草野隆彦君) お答えいたします。
職場におけるセクシュアルハラスメントにつきましては、現在その概念及び防止の必要性について企業等に対し啓発を行っているところでございまして、婦人少年室におきましてセクシュアルハラスメントに関する相談もあわせ行っております。この状況は年々ふえておりまして、平成六年八百五十件でございましたが、平成七年九百六十八件、平成八年度前半で六百二十六件という状況になっております。
今後でございますが、今国会に雇用機会均等法の改正法案を提出しておりまして、この中でセクシュアルハラスメントの防止について事業主の配慮義務を規定するとともに、その配慮すべき事項について国が指針を定める、こういうことにしてございます。したがいまして、仮にこの法案どおり定めがなされますと、趣旨に基づいて今後企業等に対し御指導申し上げていく、こういうことになろうかという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/123
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124・安藤昌弘
○政府委員(安藤昌弘君) ただいま御審議いただいております法案が通りました上で新たな審議会が発足いたしますれば、ただいま先生の御質問ございましたような点も含めましてぜひいろいろな形で審議を進めさせていただきたい、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/124
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125・清水澄子
○清水澄子君 まず最初に、この設置法案につきましては賛成、長い間要求をしてまいったわけでございますのでもちろん賛成です。
まず、目的のところに男女共同参画社会というのが括弧で書かれているわけですけれども、せんだってのビジョンはさらにこれよりももっと、これから二〇〇〇年に向けて社会的、文化的に形成された性別に縛られないようにということがつけ加わったはずなんですが、なぜここでは外されておるのか教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/125
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126・安藤昌弘
○政府委員(安藤昌弘君) お答え申し上げます。
ただいま先生から御指摘ございましたけれども、現行の男女共同参画審議会が総理の諮問に答えまして昨年の七月に男女共同参画ビジョンという答申を出されたわけでございます。この中で「男女共同参画社会の基本的な考え方」というところにあるわけでございますが、「男女共同参画社会は、男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会をいう。」と、このようにされておるところでございます。今回の法案におきましても、第一条におきましてただいまと全く同一の定義をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/126
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127・清水澄子
○清水澄子君 いや、これは今までずっと主張されてきた定義だったんです。それが昨年の七月にこのビジョンの答申を受けたときに、ここに「この答申は」といってもう一つつけ加わっているんですね。社会的、文化的に形成された性別意識とか慣行とか制度とか、そういうものに縛られないようにということがこの共同参画する社会の実現を目指すときに大事なのだという定義が新たにつけ加わっているんですが、ここがまた抜かれているというのを私は聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/127
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128・安藤昌弘
○政府委員(安藤昌弘君) お答えを申し上げます。
ただいままさに先生がおっしゃられましたように、その社会をいうという後に、「この答申は、女性と男性が、社会的・文化的に形成された性別(ジェンダー)に縛られず、各人の個性に基づいて共同参画する社会の実現を目指すものである。」と、確かにこのように記されております。
私どもの理解といたしましては、これはそういう社会を目指すということでございまして、男女共同参画社会そのものは先ほど申し上げましたような定義ということで理解しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/128
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129・清水澄子
○清水澄子君 男女平等の社会をつくろうということは一九七五年から国際的な共通の各国政府の目標、課題となって、二十二年間このことが努力されております。そういう中で、先ほどからの御論議を伺っていると、物すごく皆さんたちは善意でもって話していらっしゃる。その善意は大事なことなんですけれども、また個人的な生活の中の体験も非常に大事なことなんですけれども、しかし私たちがここで目指しているのは、日本だけじゃない、世界じゅうにこれは存在していたんですが、社会的に文化的に長い歴史を通してつくられてきた、男性の生き方というものがつくられたり、女性の生き方がつくられたり、そういう価値観のもとで、そして男性を標準にしてしまったさまざまな考え方、意識、生き方、制度、そういうものを今後なくしていかないと本当の民主主義はできない、本当のお互いの人間としての平等とか自由というものが尊重されないんだ、こういうことでこの運動が始まって、これは政府もやりますけれども、全世界の女性たちの大きな人権運動になっていると思うんです。
そういう中で、私はもうきょうは論争する時間がありませんけれども、先ほどから官房長官も何回もおっしゃっています、日本の女性ほど男性から思いやられている女性はいないとか。それは個人の善意かもしれませんけれども、社会的にはどうなのか、国際的にどうなのかと見たときに、発展途上国の女性が必ずしも地位が低いとは言えませんけれども、そういう経済的な条件がない中での比べ方ではなくて、日本は先進国と言われる中でいつでも国際社会へ行くと批判を受けるんですね。そういうことをやっぱり認識していただきたいと思います。
例えば男女賃金格差で言いましても、韓国より日本はおくれてしまったわけです。男女賃金格差の一番大きいのは日本だというのは世界じゅうの女性が知っておりますし、それからいまだに堕胎罪という明治のときの法律が変えようとされていません。こういうのを言い出したら、日本の法整備のあり方、女性を個人として、人権として扱うということが余りにおくれているというので、そういう国際会議に行くと私たちはいつでも大変つらい思いをしているわけです。
特に、政治やこういう場に参加をするという点では、私たちは今こうして男性のところに対等に並んでいる、だから対等かといえば、私は対等にここにおりますけれども、しかし個人の生活では皆さんたちとは女性は違いますよ。帰ると洗濯もしなきゃならない。いろいろ夫と分け合ったり、もう大変です。皆さんたち男性の議員より女性の議員はうんとたくさんの、それこそ家事やらいろんなこと、余分のことをいっぱい持っている。それは自分で処理していますけれども、社会的にそれが当たり前だということになると、これは問題になるわけです。
日本では政治参加でも衆参合わせて六・八%しか女性は参加していない。世界各国の中で、百八十六カ国ぐらい国連に加盟していますけれども、百四十四番目なんですよね。日本はこれだけ経済力があり学歴があり社会がこれだけ発展をしているのに国際的にどうしてこんなに女性の地位が低いのかと言われているところで、私たちはそれを一生懸命女性自身が自覚しようとして運動をしているところなんです。それが官房長官のように日本の女性には多くの優位を与えていると言われると、この議事録が今度どこか外に出たらこれまた大変だなと思って今伺っておりました。
そういう状況ですから、私たちが全然そこには不平等はないと思っているところが実は長い間の文化的な慣習になってしまっていますから、意識化されていますから、それらをどう取り除くかというのは相当長い運動期間が要ると思います。
そういう意味で、私はもう一言お伺いしますけれども、このビジョンが提起しました「社会的・文化的に形成された性別に敏感な視点の定着と深化」という項目は何を訴えようとしているのかお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/129
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130・名取はにわ
○説明員(名取はにわ君) 先生の今おっしゃいました男女共同参画ビジョンでジェンダーについて何を強調しているかということでございますが、昨年七月三十日、男女共同参画審議会から御答申いただきました男女共同参画ビジョンにおきまして、男女共同参画社会への五つの目標の一つとして、社会的・文化的に形成された性別、これを括弧してジェンダーと言っておりますが、それに敏感な視点の定着と深化が掲げられております。
これは、男女共同参画社会の実現に向けてはあらゆる社会システムの構築とその運営に当たって明示的な性差別がない、あるいは文面上男女平等の規定があるということだけではなく、それらが実質的に女性と男性にどのような影響を与えるかを常に検討するというジェンダーに敏感な視点が必要であるということが示されているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/130
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131・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 大変誤解のある言葉を使ったことをおわびいたしますが、確かに世界の歴史を見ましてオール男性対オール女性というのは絶えず相闘ってきたものであります。ですから、女性史を調べてみれば、あなた方には大変耐えがたい男権に対する抵抗をやってきた歴史、これは私も認めるわけでありますが、委員御指摘のように、いずれにいたしましても個々の女性、男性はお互いに相寄るもの、その別な面があるわけです。
ですから、日本のように農耕社会的な社会を営んだところは家庭というもの、家族というものが大きなウエートを占めていたから、諸外国と比べてみますと、オール男性対オール女性という争いよりは、むしろ家族ないしは家庭というものの視点のいわばやわらかさ、これが多分に出ている、そういう意味で私は申し上げたわけでございまして、必ずしも私自身がどうこうとか、そのことだけを申し上げたわけではございませんので、誤解がありましたらお解きを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/131
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132・清水澄子
○清水澄子君 これもまたいずれ論争いたしましょう。家族というのは、ただ一体感というと言葉ではきれいなんですが、その中で本当に一人一人が大事にされてお互いに本当の意味で尊重されてというのは、やっぱり日本はかつて家族制度があってそういうものがなかったんです。女性は無能力者と規定されていたのがあの戦争中の法律でしたから。
家族というのをもっと本物の家族にしたいというのがこの男女共同参画社会なんですね。ですから、私たちも本当の意味の人間的な家族というのはどうあるべきかを今一生懸命追求しているというのがこのテーマだと思います。
そういう中で、男女共同参画なんという言葉はとても伝わりにくいんです。そういう意味で、これは英文ではどういうふうに言うんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/132
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133・名取はにわ
○説明員(名取はにわ君) ジェンダーイコーリティーだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/133
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134・清水澄子
○清水澄子君 それは日本語で直訳すると何と言いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/134
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135・名取はにわ
○説明員(名取はにわ君) とりあえず当室の英訳を今申しましたので、直訳というか何というか、ともかく男女共同参画ということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/135
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136・清水澄子
○清水澄子君 だれが聞いても直訳は男女平等です。男女平等という言葉を使わないで、そして英文ではちゃんとそういうふうにジェンダーイコーリティーになっている。ですから、国連に行く文書はそのままですし、何かどこかで男女平等ということをあえて伏せたみたいな、ですからイメージでも非常に言いにくいんですね。
それはそれとして、あらゆる文書に男女平等という言葉がなくなっているんですが、実は国連の北京会議で私はちょうど行動綱領の平等というところの議論をずっと聞いていました。各国政府の代表ですけれども、私はもう感心いたしました。
そこでは、イランやスーダンの原理主義国の代表は、平等という言葉を絶対に使うべきでない、女性はやっぱり男性とは違うんだという形で、いわゆる劣っているという表現まで言いませんでしたけれども全部違うんだ、だから平等というのはいけないということを言ったんですけれども、しかしあらゆる国の人たちは、我々は平等をつくるためにこの運動をやっているんだ、こういう問題提起をしているんだと。今まで差別されてきた、だからそれを平等にするためにアファーマティブアクションとかポジティブアクションとか、まず特別に平等にして、それからが均等であり公平になるんだと。そういうところの定義は明確にすべきだというのが各国の大多数の意見になって行動綱領が修正されたのを私は見ていました。
ですから、そういう点で他の国の政府代表というのは非常に厳密に、その平等の意味というのは人権とかそういうところを非常に大事にしていると思いましたけれども、日本の中では何か文言がどこかで変わってしまうから、そのイメージと国際社会で使う言葉が違ってくる。
こういう点でも、対等というのは、さっき申し上げたように、ここに一緒にいれば対等ですけれども、社会的に女性がどういう性差があるか、それを直していくというのが政策ですから、本来ならばその辺の考え方をずっと社会に普及させていく、啓発していくのがこの運動の大事な柱だと思うんです。それはもっともっと私は男性議員の皆さんやら閣僚の皆さんとも論議をして、お互いに本当の意味の人権ということをこれからも論議できるようにしたいと思っております。
そこで、次にこの二〇〇〇年プランについて伺いますけれども、二〇〇〇年まであともう三年もないんです。二〇〇〇年までにある程度実行しなきゃいけないというのが北京会議で約束になっていますね。ですから、ここにいっぱい並べてあることが実行する課題、具体的な課題だと思うんですけれども、その中で「家族に関する法制の整備」を見ると、ここにはっきり「男女平等等の見地から、選択的夫婦別氏制度の導入や」とか、きちんと書いてあるんですね。それとさつきからお答えになっていることとは全然違うわけですが、こういう問題、ここに書かれているのが二〇〇〇年までの政府のプランなんでしょう。その具体的な施策のプランと今いろいろお答えがあることと全然違っているというのは、これは今後どういうふうに整合性というか実行に移していかれる意思か、決意かということをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/136
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137・安藤昌弘
○政府委員(安藤昌弘君) お答えいたします。
ただいま先生の御質問にございました二〇〇〇年プランの中で、選択的夫婦別氏制度の問題につきましては、「男女平等等の見地から、選択的夫婦別氏制度の導入や、再婚禁止期間の短縮を含む婚姻及び離婚制度の改正について更に検討を進める。」と、このようにしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/137
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138・清水澄子
○清水澄子君 はっきりそれをやっていくという意思なんですね。
それで次に、これからこの審議会のメンバー構成といいますか、今後こういう女性問題を総合的に審議していく場になると思います。ですから、これをより強化していっていただきたいわけですけれども、そのためには女性運動をやっている女性団体のメンバーというものも一定の比率で入れていく、そういうことをぜひやっていただきたいのと、やはり女性自身の意識も変わっていかなきゃ、ライフスタイルも変わらなきゃいけないわけですから、審議会はぜひ情報公開をしていただきたい。その場合には、ただ文書でだけじゃなくて、審議のときにそれを傍聴できるような方法、そのことをぜひお願いしたいと思います。
そして、続けてもう一つだけ質問ですが、売春対策審議会が閉鎖されてこの男女共同参画審議会の中に統合されるわけですが、今後、売買春の根絶に向けた審議はどのような方法で行おうとされているのか、以上お答えください。
そして最後に、今は総務庁長官に女性問題担当大臣がかわっているわけですけれども、やはり官房長官は副推進本部長としての非常に大きな責任をお持ちだと思いますので、この問題について、男女共同参画社会という社会をつくっていくわけでございますので、ぜひひとつ最後に御決意をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/138
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139・安藤昌弘
○政府委員(安藤昌弘君) まず初めに、委員の人選についてでございますけれども、新たな審議会につきましては、男女共同参画社会の形成に関する広範なテーマを調査審議するということでございまして、委員の人選に当たりましても、国民各界各層から幅広く御意見を賜るべく、経歴や肩書にとらわれることなく、先ほどございました女性団体を初めといたしまして関係方面から幅広く適切な人材を得られるよう努めてまいりたいと考えております。
また、審議会の公開についてのお尋ねでございますが、これにつきましても、新たな審議会自身がお決めになることでございますけれども、政策決定過程をより透明で国民に開かれたものとすることは行政に対する国民の信頼を確保する上でも大変重要なことというふうに考えておるところでございます。
また、売春対策審議会を今回廃止するが、それに対する今後の審議はどうかということでお尋ねでございますが、この点につきましても、売買春の問題というのが新しい審議会におきましても調査審議事項の大変重要な柱の一つになるというふうに考えておるところでございまして、必要に応じ部会を設置するなど、この問題を専門的に御論議いただくための部会を設置することも期待しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/139
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140・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 男女共同参画室を所管する内閣官房長官であります。全力を尽くしてまいります。
なお、女性問題担当は官房や総務庁長官にお願いをいたしてありますが、これはこれからの行革のかなめをなす機関であります。その中でしっかと男女共同参画社会とは何物であるかという女性の願いを込めてその問題を見てほしい、その意味で、非力な私よりははるかに強力な権限を持つ総務庁長官に女性問題担当をやっていただくことに私は大変な力強さを感じているわけでありますので、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/140
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141・齋藤勁
○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。
このたびの男女共同参画審議会設置法案に私はもちろんのことながら賛同する立場でございます。一、二伺わせていただきまして、また官房長官、きょう午前も伺った部分もございますが、沖縄等の問題につきまして、若干関連をいたしまして一、二伺わせていただきたいというふうに思います。
昨年七月三十日の男女共同参画審議会の答申でございますこのビジョン、私ども大いに賛同する立場は変わらないわけでございます。二十一世紀の到来まであと四年余りとなったということで、ただいま参画というより平等という言葉が適切ではないかという清水委員の御発言もございましたけれども、私もごもっともな提起だというふうに思います。そして、このことが我が国の社会が目下迫られている歴史的な変革をなし遂げる上で極めて重要なことであり、先ほど官房長官のお話がございましたけれども、やはり男社会の日本であったのではないかというふうに思います。
そういう中で、やはりこれから男女参加、男女平等ということが、今日のさまざまな閉塞した状況と一口に言っておりますが、これを打ち破る意味でも、私はこのビジョンに基づきます施策というのは大変重要なことではないかというふうに思います。
そこで、まず第一点でございますが、このビジョン実現に向けましての第一歩なんだ、今回この審議会を設置していくのは第一歩なんだということで、二〇〇〇年プランを全省庁挙げてやっていくという具体的な施策等にするための法律だということについて冒頭御確認をさせていただきたいと思います。官房長官、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/141
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142・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) この男女共同参画審議会の設置は、ただいま委員御指摘のとおり、これから強力に推進をしていくための一つのいわば起爆剤と申しますか、今までがどちらかというと予備段階、これからが本当の体制に入るわけであります。全省庁挙げて取り組んでいただかねばなりませんし、この審議会が中心になってもろもろの意見を集約して、強力な推進体制を図ってまいりたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/142
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143・齋藤勁
○齋藤勁君 先ほど鈴木貞敏委員の質疑の中で、農協の女性役員の占める割合について農水省から答弁がございまして、〇・二%という数字が披瀝されました。これからどうするんだろうかと私も大変心配でございまして、この二〇〇〇年プラン、三年しかない、今年度を入れましても四年度しかございません。二〇〇〇年プランの具体的な年次の進行計画というのは、九七年度はこうしていこう、九八年、九九年、二〇〇〇年というふうになっていくんですが、各省庁が具体的にいつ何をしていくのかということが大切なわけでありまして、今度のビジョンの中にもフォローアップをしていこうということが盛り込まれております。
この各省庁がいつまでに何を実現するかということについてどう考えられているのか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/143
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144・安藤昌弘
○政府委員(安藤昌弘君) お答え申し上げます。
この男女共同参画二〇〇〇年プランにつきましては、昨年の十二月に男女共同参画社会の実現に向けて政府が取り組むべき施策を総合的、体系的に整備した国内計画でございます。この中の具体的施策につきましては平成十二年度末までに実施することとしておりますが、確かに年次ごとの計画という形ではございませんけれども、実施可能のものから順次実現を図ることとしておるところでございます。
これらの計画を確かに着実に実現するためには、プランの進捗状況につきまして定期的なフォローアップを行うことが極めて重要であると考えておりまして、いわゆる白書というような形で毎年男女共同参画推進本部に報告するなど計画的な実施を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/144
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145・齋藤勁
○齋藤勁君 衆議院でもこの法案につきましての議論があったところですが、審議会でもこの推進に当たりまして政府に要望している事項がございます。それはいわゆる女性基本法の問題でございます。政府は男女共同参画社会の実現を促進するための基本的な法律の制定に向けて早急に検討をすることと、このことがうたわれているわけでございます。
この点につきまして、私もぜひこの女性基本法の制定を早期に図るべきだというふうに思いますけれども、官房長官の女性基本法の制定に対する考え方についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/145
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146・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 昨年七月の審議会の答申でも検討が求められており、そういう中から、国民各層の意見に幅広く耳を傾けながら検討をすべき重要な課題というふうに位置づけております。ですから、今度できます審議会において十分な検討を踏まえ、さらにこの基本的な法律について検討を進めてまいることは当然であります。どうか十二分な検討、討議がなされて、この審議会において立派な成案ができることを私たちは期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/146
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147・齋藤勁
○齋藤勁君 残る時間、沖縄の問題に関連いたしまして、米軍基地用地を継続使用するためということで、ここ数日来大変な状況下にあるということは私も認識をしております。
そこで、先ほど総理補佐官の数の問題も出ておりましたけれども、ここ最近、総理大臣補佐官でございます岡本氏が当初はアメリカを訪れて海兵隊の削減等について話し合うんだということで、具体的なアメリカ側の名前も報道されました。そんなことを見たわけでありまして、これは橋本首相じきじきの補佐官に対する指示かなというふうに受けとめておりましたが、また数日たちましたら、そうではなくて、今度はこれを取りやめて沖縄に行くんだという内容でありました。
これにつきまして、当然こういう重要なことでありますから、アメリカ側とコンタクトをとって、なぜアメリカ側はやめたんだろうかといういぶかしげな、そういったことも成り立ちますし、違った意味で、国内の問題ではなくてアメリカ側の事情であったということならまた別でございますが、どういう経緯で今回の補佐官の訪れ場所がアメリカから沖縄に変更されたのかについて、総理大臣の補佐官ということですので総理大臣の指示に従って行動するというふうに私自身は了解しておりますが、このことについて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/147
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148・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 総理の権限に属するたぐいのことでございますから、発言をすべきではないかとも思いますが、岡本さんとは私は長い間の友人でもございます。そして、岡本さんは、実はアメリカに前々から約束があって、講演に行く約束と、それからあるところの座談というか、そういうものに行くということで、内閣の沖縄担当の補佐官という立場ではなくて、実は彼個人の長い年限の間に蓄積された友情、そういうものから行く予定を組んでいたように聞いております。
しかし、今回の問題でも、いわゆる嘉手納の代替地、この問題に関していわば基礎的な調査だけでもまず始めたい、その意味で合意が取りつけられていないという現実、それからもう一つは、私たちはこの収用委員会が一日も早く裁決を出す環境ではないかと、過大な期待と言われれば過大かもしれませんが、祈るような思いで期待をいたしているんですが、そういう状況下にない、そういうこともこれあり、幾つかの問題点を提げて、彼が沖縄に幾つかの友人もありますので、そのことの方が彼自身も緊急性がある、重要性があるという意味で訪米を延期し、沖縄を訪問する、そういうことになりました。
この問題については私が岡本君に助言をいたしました。その責任は私が感じます。これは総理の助言ではなくて、私から岡本君に助言し、沖縄の補佐官としての彼の立場、総理に正確ないろんな情報を上げるためにはその方がより賢明であるという判断を彼もして訪米を取りやめ、多分あすあたりには沖縄に出発をする、そういう状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/148
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149・齋藤勁
○齋藤勁君 時間もありませんので、一言だけ意見を申し上げさせていただきます。
ただいまの官房長官の答弁で真意についてはわかりました。そうなりますと、岡本さんはアメリカに友人がいる、首相自身の指示で最初アメリカ行きの行動を決めたことではないと、どうもそういうふうに受けとめざるを得ない。この辺は報道にも出た問題でありまして、非常に重要視せざるを得ないのではないかというふうに思いますので、今後とも補佐官としての慎重な行動をとってほしいということを私は申し上げさせていただきたいと思います。
それから、先ほど御答弁で嘉手納とございましたけれども、普天間の間違いではないかというふうに私は受けとめさせていただきます。
なお、先ほどの梶山長官とのやりとりの中で、沖縄県の振興策、経済策ということは大変重要でございますが、基地を将来的に存続をするかどうかということについてはもう明確に方向が分かれるわけでありまして、私は将来的になくしていくということの中での振興策について論議をしていくならば大賛成でございますので、私もそういう立場でいるということについて申し添えさせていただきまして、時間が来ましたので終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/149
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150・笠井亮
○笠井亮君 今回の法律案によって男女共同参画審議会を恒久的なものとして設置しようとすること自体は真の男女平等を実現していく上で極めて当然のことであって、ようやくここまで来たというのが要望してきた多くの女性団体の率直な気持ちだというふうに思うわけでございます。
きょうは、先ほど来出ておりますが、男女共同参画二〇〇〇年プラン、国内行動計画の推進について、それをめぐって伺いたいと思います。
このプランでは、男女共同参画社会の最も基本的な考え方の一つが、労働者が性別にかかわらず職業上の責任と育児や介護といった家族的責任とを両立させることができるようにすることというふうにしていると思うんです。
それでは実態はどうかということでありますけれども、昨年七月の審議会の答申、男女共同参画ビジョンの方では、「依然として育児や介護と仕事の両立は容易ではない」と。それから、「責任の多くは女性が担っているが、男性の家事時間は極めて短いばかりか一九七五年(昭和五十年)の国際婦人年以降ですらほとんど伸びておらず、家庭生活に主体的に参画している男性は極めて少ない」というふうにされているわけであります。
そこで、総理府に伺いたいわけですけれども、共働き世帯の夫と妻の家事時間の実態は今平均どのぐらいになっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/150
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151・安藤昌弘
○政府委員(安藤昌弘君) お答え申し上げます。
平成三年十月に総務庁が実施いたしました社会生活基本調査によりますと、家事時間につきましては、同調査分類中の家事と育児及び買い物、介護、看護、これらの時間を合計いたしまして週平均一日当たりを見ますと、夫が二十五分であるのに対しまして、妻は五時間二十五分というふうになっておるところでございます。
一方、ただいま先生御質問の共働きの場合はどうかということでございますけれども、これは平成二年の数字で見ますと、女性の有職者につきましては三時間三十七分、男性の有職者では三十五分ということになっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/151
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152・笠井亮
○笠井亮君 世界のいわゆる先進国と比べても日本は家事労働、家事時間が圧倒的に女性の肩にかかっていて、事実上の平等にはまだ相当の距離があるというのが実態だと思うんです。
以前、私は我が党の女性議員と一緒に官房長官に申し入れに伺ったときに、長官から御自身のお母様が戦前大変苦労されてお子さんたちを育てられたというお話も伺ったわけでありますけれども、今日の家事労働の実態を今出してもらったんですが、どういうふうに受けとめていらっしゃるか。それから、男女の職業と家庭的責任を両立させて男女共同参画社会を実現していく上でゆとりのための労働時間の短縮の問題が極めて重要になっていると思うんですけれども、この問題について政府としてどういうふうにお進めになるつもりか、官房長官に伺いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/152
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153・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 経済計画に掲げられているように、千八百時間、これを達成するためには週四十時間、それが達成できますと今度は中小企業にまでこの四月から及ぼすわけでありますが、このことが完成をいたしてまいりますと男女間のいわば家事労働その他に対する比重は相当変わってくるのではないか、このように期待をいたしております。
私自身の家庭を顧みても、戦前、決しておやじが遊んでいたわけじゃありませんけれども、おやじは家事以外の仕事で万般の仕事をしておりました。貧しい時代でありますと、おやじもおふくろもともに過重労働にあえいでいたということが現実であります。今の私の家庭から見ますと、おやじ、おふくろの時代から見ると雲泥の差ほどよくなったという気がいたしますが、ただ私は政治という社会を持ち込んでおりますので、家事労働とは言えない分野で私のうちは大変特殊な労働を家内に強いているというこの現実には頭が上がらないでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/153
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154・笠井亮
○笠井亮君 平成四年十月の閣議決定で労働時間短縮推進計画というのがありますけれども、これによりますと、「平成八年度までの間に年間総労働時間千八百時間を達成することを目標とする。」というふうに述べてあります。その期限がもうあとちょっとでありますが、それが来たのに現実には相当の開きがあって、先ほども本会議でありましたが、時短促進法の改正で先送りを繰り返しているのは極めて問題だというふうに思うわけであります。
その中で大きな問題の一つが所定外の労働時間の問題だと思うんです。労働省の労働基準局が編集しました「労働時間のしおり」というのを見ましたら、総労働時間を千八百時間にするには所定外労働時間は百四十七時間ぐらいになるということでシミュレーションをしております。ところが、他方で、現在の労働基準法の特別の事業を除いた女子労働者に対する制限、すなわち深夜労働の禁止とともに、工業的業種の場合には一週間について六時間、一年について百五十時間を超えて時間外労働、また休日に労働させてはならないという女子保護規定を取り払おうとしているということが今問題になっていますけれども、常識的に考えても、一方では百四十七時間というのでシミュレーションで千八百時間ということを想定して考えながら百五十時間というのを取り払うのは大いなる矛盾じゃないかというふうに思うわけであります。
閣議決定の立場からも、また男女共同参画社会を実現するためにも、むしろ男性の方こそ時間外労働をもっと強く規制する必要があるし、現行の女子労働者に対する時間外労働の年間百五十時間より厳しい規制を男女ともに適用していくことこそ本筋だというふうに思うんですけれども、その点での政府の見解はどうなっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/154
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155・松井一實
○説明員(松井一實君) 男女につきましての時間外労働のあり方、これにつきましては、今度均等法の改正をするという過程で、婦人少年問題審議会で今言われた規制廃止というふうなことと男女の機会均等をセットで法案を出すという審議がございました。しかしながら、時間についてのあり方そのものは時間法制全体のあり方の中で見直していこうということで、現在、中央労働基準審議会の中で御審議いただいております。労働省としてはその審議の結論を踏まえて対応したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/155
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156・笠井亮
○笠井亮君 今説明がありましたけれども、労働省が今考えて法案として出てくる中で説明されているのが、時短は必要だ、それは促進するけれども、女子保護規定の撤廃というのは女性の職域の拡大を図っていくために大事なんだということも言われていると思うわけでありますけれども、今問題なのは、男女ともの残業規制が国際的な流れとなっている中で、やっぱり働き過ぎの男性の方を規制しないと四十時間も達成できないし、そして本当に共同参画社会ということになりますとそういう方向にも行かないんだということを大いに見ていかなければいけないというふうに思うんです。働く女性に厳しい日本の現実では、そういう規制が撤廃となれば圧倒的な女子労働者がますます大変になるということがあると思います。
総理大臣の諮問機関である経済審議会の労働環境検討委員会の報告というのが平成五年十月に出ておりますけれども、その中で、労働時間の短縮というのは「長時間労働の心身への悪影響を緩和し、中長期的な労働供給増加率の低下の中で、女性・高齢者の労働市場への参加を促進する。」というふうにむしろ言っているわけでありまして、時短を進めてこそ女性の市場参加も促進されるというふうに言っていると思うんです。
そういう点では、政府の推進本部のプランが、男女の職業生活と家庭、地域生活の両立支援とか労働時間の短縮等の就業条件の整備をうたい、そういうことを進めると言っている一方で、他方で女子保護規定の見直しというのがあのプランの中にもあるわけですけれども、そうしますと相逆行するというか相矛盾するものがこのプランの中に盛り込まれているということになって、事実上の平等を実現するんだということに大いに問題があるんじゃないか。その点を推進本部としても検討し直すべきだし、国としても真剣にこの問題に取り組むべきだというふうに思うんですけれども、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/156
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157・安藤昌弘
○政府委員(安藤昌弘君) お答え申し上げます。
確かに今回の男女共同参画二〇〇〇年プランにおきましてもそのような趣旨のことが盛り込まれておりまして、仕事と家族的責任等を両立できるようにするということが男女共同参画社会の最も基本的な考え方の一つでもありますし、重要な課題であるというふうにとらえているところでございます。
このため、育児、介護サービスの充実や、育児や介護を行う労働者が職業生活と家庭生活とを両立できる雇用環境の整備、労働時間の短縮等、男女がともに家族的責任を担いつつ安心して働くことができる環境整備に向けて総合的に対策を推進していかなきゃならない、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/157
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158・笠井亮
○笠井亮君 ぜひ総合的にやってほしいんですが、今言われたような問題の中にも、結局、共働き家庭の女性労働者は三時間以上の家事をこなしながら、その上に女子保護規定の撤廃というふうになれば、例えば深夜や休日にも両親とも仕事に行くということになって子供たちが留守番を余儀なくされるとかいうことにもなりかねないし、介護、育児の問題でも、措置をとるからということをいろいろ言われていますけれども、これも十分なものじゃない。むしろそれではカバーできない問題がたくさんあるということでありますし、それから健康と母性破壊の問題も大変に重大であります。
今大事なのは、過労死する平等を目指すのじゃなくて、男性もともに労働時間を規制して、まさに先進国らしいゆとりある生活ができる、人間らしい二十一世紀の日本社会を実現するということが必要だと思うので、そのことをぜひ私は強調したいというふうに思います。そのことを申し上げて、次の質問に移ります。
育児休業制度の問題で人事院に伺います。
この制度が導入されて六年目を迎えました。そこで、国家公務員の育児休業について伺いますが、一般職の国家公務員の育児休業の取り扱い状況を伺いたいんです。初年度の平成四年度から各年度ごとに、一歳未満の子を養育することになった女性職員に対する取得割合、男性の取得者数の増減傾向、男女別の取得期間はどうなっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/158
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159・佐藤信
○政府委員(佐藤信君) お答え申し上げます。
平成四年度にこの制度が実施されたわけでございますけれども、一歳未満の子供を有する女性職員の場合の取得割合は、平成四年度が七二・一%、五年度が七〇・二%、六年度が七一・二%、それから七年度が七七・一%でございます。
それから、男子職員の数というお話がございました。平成四年度が二十三人、平成五年度が十五人、六年度が十四人、七年度が十九人ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/159
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160・笠井亮
○笠井亮君 七年度のパーセントが七七・一%ということで、それまでに比べると上がってきていると思うんですが、共済組合からの手当金が出るようになったということが大きな要因というふうに伺っております。そのことを見ても、育児休業中の経済的援助の重要性というのが非常に大事だというふうに思うんです。
そこで、育児休業中の期末・勤勉手当の取り扱いについて伺いたいわけでありますが、国家公務員の期末・勤勉手当は民間のいわゆる一時金に相当するものだというふうに思います。これは三月一日、六月一日、十二月一日の基準日というものに在職していないと支給されないということになっている。これを育児休業に機械的に適用するためにさまざまな不合理が起きているという現実があると思うんです。
具体的な例を紹介申し上げますと、国の役所で働くYさんとさせていただきますが、給与が月額約二十五万円で、十一月の十九日から育児休業に入って翌年九月一日に復帰をすると、今の制度では十二月一日、三月一日、六月一日の基準日に休業中のために十二月、三月、六月の期末・勤勉手当が支給されない。勤務期間に応じて支払われるとすれば、Yさんの場合、六月一日から十一月十八日、休業に入るまでは五カ月と十八日働いていたので、十二月に約五十二万円支給されるはずの手当がもらえないという現実があります。
他方、どうにか手当をもらえるようにということで、無理しても基準日までは、または基準日からは働くということで年休でやりくりする例もあると伺っております。そうしてどうにか手当をもらえる人が出ると。ところが、その人の育児休業中のかわりの臨時的任用職員とか、あるいは教員でいうと代替の教員の場合はパートでなくて正規なのに、基準日には在職していなくてその直後から働くことになるために当然、要するに手当が一円ももらえないということになって、職場によってはなり手が見つからずにアルバイトでやりくりするというところもあるというふうに伺っているわけであります。基準日間のほとんどを働いていても結局オール・オア・ナッシングになっちゃうという現実があると思うんです。
人事院総裁、九四年十月の衆議院内閣委員会で我が党の松本議員の質問にお答えになって、この問題は研究してみたいというふうにおっしゃったと思うんですけれども、その後の研究の進捗状況はどうなっているか。いつまでも研究じゃなくて、きちっと検討をされて、在籍日数の比率に応じて何とか手当を支給できるように改善すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。総裁、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/160
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161・弥富啓之助
○政府委員(弥富啓之助君) お答えを申し上げます。
ただいま委員が言われましたとおりに、期末・勤勉手当というのはこの基準日に在職する職員に支給されるものでございまして、これにつきましては育児休業法第五条二項におきまして「育児休業をしている期間については、給与を支給しない。」というふうに法定をされているところでございまして、これはもう御承知のとおりでございます。
基準日制度というものをとっておりますのはいろいろないきさつがございますけれども、期末・勤勉手当におきましては制度創設以来一貫して基準日に在職する職員に対して支給されるという主義をとっております。これにつきましては長年のいきさつがございまして、納得性のある方式として大方の理解を得ているのではないかと思います。
他方、ただいま委員が言われましたとおりに、育児休業をした時期によりまして、極端に言えば基準日の直前と直後によって期末・勤勉手当の取り扱いに差が生ずるという、これは私も松本委員から質問をいただいていろいろ研究をしてみたいと申し上げましたが、そういう御意見があるということは十分に承知をいたしております。
いずれにいたしましても、育児休業中の期末・勤勉手当の取り扱いにつきましては、例えば民間の状況等、言ってみれば平成七年の雇用保険法などによりまして民間企業でも取り扱いが変わってきたりすることもございますし、これからの社会経済情勢というんでしょうか、それを考慮しながら、制度としての整合性や公平性という観点も含めまして制度の検討を引き続き行わせていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/161
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162・笠井亮
○笠井亮君 民間との比較ももちろん必要だと思うんです、やったらいいと思うんですが、公務の中での不合理、矛盾もあるわけでありまして、この育児休業の制度を本当に実効あるものとして定着させる上で、少なくとも経済的な理由で取得困難にならないようにする、そのための使用者責任があるというふうに思います。その立場で、人事院として早急に検討の結論を出していただくということを強く要望したいと思うんです。
最後に、官房長官に伺いたいんですが、昨年五月に総務庁の我が国の子供の数の調査と厚生省の人口問題に関する意識調査が発表されました。出生率の低下による少子化について、約八割の人が出生率を引き上げるために何らかの対策が必要だというふうに考えており、育児休業制度の充実の要求は非常に切実になっているというふうに思います。昨年度の社会保障制度審議会の答申でも、「出産、育児、介護等と就業との両立を支援する施策が推進されなければならない。このため、労働時間の短縮や弾力化、育児休業・介護休業の定着普及や休業期間中の経済的支援を進める」というふうにあります。
今、人事院総裁はさらに検討を進めると言われたわけですけれども、まさに男女共同参画社会を実現していくために、いわば常識的に見て不合理や明らかな矛盾については政府としても見直しをして解決のために努力をしていただきたいと思うんですが、最後にそのことについての御見解をいただいて、質問を終わりにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/162
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163・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 今、委員御指摘の育児休業制度というか施策というか、そういう問題は必ずしも少子化という問題に直接連動するというふうにはなかなか考えづらい点もございますが、男女共同参画社会という意味では大変重要な施策でございますから、充実のために努力を払ってまいりたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/163
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164・笠井亮
○笠井亮君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/164
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165・鎌田要人
○委員長(鎌田要人君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
別に御意見もないようですから、直ちに採決に入ります。
男女共同参画審議会設置法案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/165
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166・鎌田要人
○委員長(鎌田要人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/166
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167・鎌田要人
○委員長(鎌田要人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時十九分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014889X00219970317/167
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