1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年四月十七日(木曜日)
午前九時開会
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委員の異動
四月十六日
辞任 補欠選任
橋本 敦君 吉岡 吉典君
四月十七日
辞任 補欠選任
風間 昶君 荒木 清寛君
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出席者は左のとおり。
委員長 倉田 寛之君
理 事
石川 弘君
永田 良雄君
野間 赳君
荒木 清寛君
泉 信也君
角田 義一君
齋藤 勁君
笠井 亮君
委 員
板垣 正君
加藤 紀文君
亀谷 博昭君
関根 則之君
成瀬 守重君
保坂 三蔵君
松村 龍二君
三浦 一水君
宮澤 弘君
山本 一太君
依田 智治君
吉村剛太郎君
今泉 昭君
鈴木 正孝君
田村 秀昭君
高野 博師君
益田 洋介君
山崎 力君
照屋 寛徳君
田 英夫君
前川 忠夫君
本岡 昭次君
吉岡 吉典君
島袋 宗康君
椎名 素夫君
北澤 俊美君
国務大臣
内閣総理大臣 橋本龍太郎君
外 務 大 臣 池田 行彦君
文 部 大 臣 小杉 隆君
国 務 大 臣
(内閣官房長官)梶山 静六君
国 務 大 臣
(国家公安委員
会委員長) 白川 勝彦君
国 務 大 臣
(防衛庁長官) 久間 章生君
国 務 大 臣
(沖縄開発庁長
官) 稲垣 実男君
政府委員
内閣審議官 及川 耕造君
内閣官房内閣外
政審議室長事務
代理
兼内閣総理大臣
官房外政審議室
長事務代理 東 良信君
内閣法制局長官 大森 政輔君
警察庁警備局長 伊達 興治君
防衛庁参事官 山崎隆一郎君
防衛庁長官官房
長 江間 清二君
防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君
防衛施設庁長官 諸冨 増夫君
防衛施設庁総務
部長 伊藤 康成君
防衛施設庁施設
部長 首藤 新悟君
防衛施設庁建設
部長 竹永 三英君
防衛施設庁労務
部長 早矢仕哲夫君
沖縄開発庁総務
局長 嘉手川 勇君
外務省総合外交
政策局長 川島 裕君
外務省アジア局
長 加藤 良三君
外務省北米局長 折田 正樹君
外務省欧亜局長 浦部 和好君
外務省条約局長 林 暘君
文部省初等中等
教育局長 辻村 哲夫君
建設省建設経済
局長 小鷲 茂君
事務局側
常任委員会専門
員 田中 久雄君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び
安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並
びに日本国における合衆国軍隊の地位に関す
る協定の実施に伴う土地等の使用等に関する
特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○沖縄米軍用地強制使用のための特別立法反対等
に関する請願(第一六六号外一件)
○沖縄の米軍基地の縮小・撤去、日米地位協定の
見直し、軍用地強制使用のための立法措置反対
に関する請願(第二九一号外六件)
○駐留軍用地特別措置法の改定反対に関する請願
(第九三三号外一三件)
○米軍用地特別措置法改正反対等に関する請願
(第九七三号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/0
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001・倉田寛之
○委員長(倉田寛之君) ただいまから日米安全保障条約の実施に伴う土地使用等に関する特別委員会を開会いたします。
理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/1
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002・倉田寛之
○委員長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に荒木清寛君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/2
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003・倉田寛之
○委員長(倉田寛之君) 議事に入るに先立ち、大森内閣法制局長官より発言を求められておりますので、この際、これを許します。大森内閣法制局長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/3
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004・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) 四月十四日の筆坂委員に対しましての私の答弁の中で、不適切な発言がございました。この点は、おわびし、取り消させていただきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/4
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005・倉田寛之
○委員長(倉田寛之君) 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/5
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006・関根則之
○関根則之君 外務大臣にお尋ねをいたしますが、おとといの大臣の御答弁の中で、竹島に関連しまして、安保条約の適用関係で従来からの竹島に関する政府の方針が変わったんじゃないかというような感じがちょっと受けとめられます。マスコミあたりもそんな受けとめ方をしているところもありますので、変わったとは思いませんけれども、本当に変わったのかどうか、変わらないなら変わらないということを明確に明快にひとつ御答弁をまずいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/6
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007・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 竹島に関する政府の立場は従来から全く変わっておりません。一貫したものでございます。
一昨日、私が当委員会におきまして御質問にお答えしましたところは、竹島が我が国の領土であるかどうかという問題と、それから安保条約、しかもその中でも第五条にございます日米共同対処の対象になるか、そういった意味で安保条約が適用されるかどうかと、この問題は二つ分けて御答弁申し上げた次第でございます。
まず、竹島が我が国の固有の領土であるという点は、もうここまで政府が一貫してこれを堅持してきたところでございまして、これは何ら変わるところはございません。
ところが、御承知のとおり、この地域は韓国との間で係争の地域といいましょうか、そういった状態にございまして、残念なことではございますが、事実の問題として、我が国の施政が行われているか、施政が及んでいるかといいますと、残念ながらそうは言い切れない状態にある。委員御承知のとおりでございます。
一方、安保条約の第五条では、その適用される対象というのは我が国の施政下にある領域ということでございますので、領土かどうかという観点ではなくて、施政が行われているか、そういう観点から共同対処が行われる地域かどうかということを考える、こういう書き方になっております。そういったことで、事実の問題として、領土ではあるが施政が及ばない状態にあるのでということを申し上げたわけでございます。
大切なことは、そういった状態にある、事実の問題として我が国の施政を及ぼすことができない状態にある、この問題をどういうふうに我々として解決していくかというところが大切なんだと、こう存じます。
そういった点につきましては、従来から領有権の問題についての我が方の一貫した立場を踏まえましてこれまでも努力をしてまいりました。今後とも、あくまで平和的な方法を通じてでございますが、粘り強く努力を積み重ねまして、我が国の立場が実現するようにしてまいりたいと思います。もとより、この問題に関して両国の立場が違いますことが全体としての両国関係を損なうことがあってもなりませんから、その辺にも配慮しながら、両方において冷静に、そして粘り強く努力を重ねていくべき問題かと存じます。
最後に、繰り返しますが、この領有権についての我が国のこれまでの立場は何ら変更するものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/7
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008・関根則之
○関根則之君 従来の方針を変更するものじゃないということでございますし、両国の間に未解決の問題があるんだと、しかし紛争の解決は平和的にやっていきたいと、こういう方針ですから、それはそれで大変結構だと思いますけれども、日本国の領土であるという立場を踏まえて、解決に向けての真剣な努力をしていただきたいと思います。
そこで、おとといの答弁の中でちょっと気になるのは、北方領土、北方四島と大体同じような立場にあるんだというような御答弁をなさってますね。現在、北方四島あるいは竹島という地域はということで同列に論じられているんですけれども、私は、北方四島と竹島を一緒にしちやっと、ケースが全然違うんですから誤解を招きやすいんじゃないかと思うんですよ。
北方四島というのは、まさにあそこには日本の住民が大勢住んでいて、まさに生業を長い間続けてきて、そこに日本の政府の機関がきちっと入っていたんですね。まさに施政が行われている、人が住んで施政が行われている地域がソ連の侵入によってああいう状態になっちゃっているということで、今までと同じような施政をやろうにも施政ができないという状態が延々続いていた。ところが、竹島の方は、こんなものは無人島ですから、漁業の中継基地か何かになっていたという経緯はあるかもしれないけれども、日本国の竹島に対する施政というのはほっぽっておくことなんですよ。人を住まわせたり、あるいは官憲をそこに常駐させたりする、そんな施政を何もしていないんですよ。
だから、何にもしていないのがまさに日本国の竹島に対する施政なんだから、その施政はずっと継続しているんですよ。よくわからないけれども、たまたまよその国の人が何かいらっしゃるようだと。しかし、それを解決するのは、これは簡単には片がつかない。武力をもって解決するなんということは日本国憲法上できないからやらないでいるだけであって、外交努力でやっているだけ。私は、竹島に関する限りは日本の施政はずっと続いているんだと、そういう解釈も成り立ち得るものという考え方を持っているので、申し上げておきたいと思います。
時間がありませんので、本題に移ります。
総理にお尋ねをいたしますけれども、本当に長い間の審議を通じまして、いよいよ特措法の審議も大詰めになったわけでございまして、この問題が一つ片をつけられますと、二十四日には訪米されるというお話を伺っているわけでございます。早速、外国からの報道等によりますと、大分アメリカの方では首相の訪米を期待していらっしゃる。特に、オルブライト国務長官が、これは多分アナポリスじゃないかと思いますが、十五日に演説をして、日米の同盟関係といいますか、そういうものが総理の訪米によりましてさらに強固になるということを大いに期待しているんだと、こういうような報道もなされているわけでございます。重要な会談になると思いますけれども、ひとつ成果を十分に上げてお帰りをいただきますように御期待を申し上げる次第でございます。
ところで、一説によりますと、今アメリカが日本に期待しているものは、一つは基地の確実な米軍に対する提供である。その問題と、もう一つは、やっぱりガイドラインに象徴されるような共同しての防衛努力、日米の共同体制というものをどう構築していくかという問題だ、こう言われているわけです。そうすると、SACOの結論を実施する、普天間の海上ヘリポートの建設等を含めてこれから現実に実施しなきゃならないものがまだいっぱいありますけれども、まずその入り口としてのこの基地の特措法の改正というものはするんだということだと思うんですよ。その問題も引き続いて重要な問題だと思います。
しかし、もう一つの方は、これはどちらかというとこれから具体的にしていかなきゃならない問題だと思います。日米で共同対処する、防衛協力をしていくということになると、いろいろな問題がありますよ。例えば、アメリカの軍艦に対する日本からの燃料補給だとか、そういうものが果たしてできるのかできないのかという問題、それから掃海の問題なんかも、多少問題のある地域における掃海業務をやることが本当にできるのかどうか、そういうもので協力することができるのかどうかというような問題も含めて、いろんな問題があると思うんです。
そういう問題について私は相当突っ込んだ議論が今回の訪米で話題になるんじゃないかと思いますけれども、総理はこういった問題に対してどんな立場でどんな打開策を協議してお帰りになるのか、その辺についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/8
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009・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今回、国会のお許しがいただければ、月末、日米首脳会談を迎えることになりますが、私は、日本側のマスコミの皆さんを含めて、マスコミの皆さんが報道されていることと実際の会談には相当な開きが生ずるだろうと思います。
ゴア副大統領が来られたときの議論等を振り返ってみましても、必ずしも二国間の問題に多くの時間を割く会談にはならないのではないか。むしろ、例えばデンバー・サミットを控えて、殊に今度はデンバー・サミットの中におけるロシアの扱いというものが、従来よりも参加の幅をふやすわけでありますから、そういう問題に対応するまさに日米両国が足並みをそろえておくべきこと、例えばアメリカは領土問題を抱えておりませんけれども、我々はロシアとの間に北方領土問題を抱えているわけであります。
そして、ロシアの参加の時間をふやすことにつきましてクリントン大統領と議論をいたしましたときにも、ロシア側に対してもこの北方領土問題の早期の解決、東京宣言に沿った解決というものが前進しなければ日本としてはなかなか動かないよということも言ってくれということを電話会談で言い、ヘルシンキで行われました米ロ首脳会談の中にはこうした点も伝えられているわけであります。そうした意味でいきますと、私は本当にちょっとマスコミの感覚とは内容が大分違ってくると思います。
しかし、その中で間違いなしに逆に私の方から出していかなければならない問題は、日米安保条約というものの信頼性強化のために我々は全力を尽くしていくけれども、そのためにはアメリカ側にも協力してもらわなければならず、今後においても情勢の変化に応じた兵力構成を含む軍事情勢の対話というものが必要であり、また沖縄県民の負担を減らすための努力というものも必要であること。
同時に、ガイドラインの問題については秋にその結論を出す。その前提として我々は、五月の下旬あるいは六月の初めにかかりますか、これはむしろ防衛庁長官の方が詳しいんですが、作業の中間報告を行うことによってその透明性を確保するとともに、これはもちろん国会でも御論議いただくでありましょうし、国民的な議論というものをも生かして、それを受けた最終のガイドラインの取りまとめをしたい、そのようなことになるのではなかろうか。
まだ議題の整理等議論をしておりませんのでわかりませんが、今の時期でそのような感じを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/9
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010・関根則之
○関根則之君 わかりました。
これからの問題についてちょっとお尋ねしますが、新進党の小沢党首と総理は会談をなさいまして、米軍に提供する土地の問題につきまして、「国が最終的に責任を負う仕組みを誠意をもって整備する」と、こういう合意がなされたというふうに承知をいたしておりますけれども、そういうことになりますと、当然法律の改正を必要とするということになってくると思います。
そうなりますと、法改正に至るいろんな段取りがあると思うんですが、例えば審議会をつくって議論をするとかいろんなやり方があると思います。どんなやり方をなさるのか、それからいつごろまでにそういう整備を完了する予定であるのかということについて、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/10
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011・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員から御指摘のありました合意事項の三、これには、「沖縄の基地の使用に係る問題は、県民の意思を活かしながら、基地の整理・縮小・移転等を含め、国が最終的に責任を負う仕組みを誠意をもって整備するもの」とあります。この「基地の使用に係る問題」というのは、今回安保条約上の義務の履行というものは国家の存立にかかわる重大な問題であり、使用権原のない状態というのはどうしても避けなければならないということから、必要最小限の法案を提出をいたしました。
他方、駐留軍用地の使用権原の取得に関する事務、これは極めて高度の公共性というものを持っている米軍の活動の基盤にかかわるものであります。そして、我が国が日米安全保障条約上負う義務の履行に関するものでありますことから、実は私は過去にも楚辺の時点でこうした御論議がありましたとき国会答弁で同じようなことを申し上げましたが、本来国が執行責任を負うべき性格のものだということを申し上げてまいりました。ただし、これは実は地域の住民の協力が得られなければどうにもならないものであることも事実であります。
そして、そのあり方につきましては、今地方分権推進委員会で議論をしていただいているところであり、第一次の勧告の中においてはなお調整中という位置づけになっておりました。政府の責任者として、この地方分権推進委員会に審議をお願いをしております。その責任もあります。その御意見なども承りながら幅広く検討してまいりたいと考えておりまして、新進党小沢党首との会談におきましても、私からはこうした考え方を申し述べてまいりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/11
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012・関根則之
○関根則之君 いわゆる駐留軍に提供する用地を取得して提供するという事務はいろいろ複合事務なんですね。
ただ単に事業認定をやるとか、そういうことをぽんと一つ防衛施設局長がやればよろしいというようなものじゃなくて、収用委員会にかけてやらなきゃいけない、また土地の調書をつくらなければいけない、縦覧をしなければいけないと、いろんな段階の手続が複合的に重なっている事務ですから、そんなものを全部ごそっとまとめてぽんと国の直接執行事務にするなんということは、私はそんな乱暴な仕事はとてもできないだろうと思います。
しかし、そういうことですから、分権推進委員会の審議の動向も見きわめながらやるということですからそれはそれで結構なんですけれども、そういう単純に割り切れない複雑な構成を持った事務であるということを頭に置いて、しかも地域でなければわからない判断をする必要のあるようなものも含まれておりますので、ぜひその辺のところを十分地域にも配慮した形で御検討いただければありがたいと思います。
ところで、今駐留軍用地だけじゃなくて土地の収用手続というのが物すごく難し過ぎるんじゃないですか。その辺のところを改めていく。今ともかく手続の簡素化を一生懸命やろうとしている時代でもありますから、この際、公共事業用の土地も含めて一般の土地の収用手続について基本的に見直す必要があるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/12
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013・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、本当に成田空港の関連で大変苦労いたしました時期がございます。そしてその後、県の土地収用委員の方々が全員辞任をされ、後任が決まらないという事態の中でも、横から本当に心配をしておりました。しかし、そうした体験をも含めまして、土地の収用というのはまさに公共の利益の増進と私有財産の調整を図る基本的な制度であります。国民の財産権を強制的に取得する制度でありますから、私も現在の制度が、議員の言われるように、その手続までを含めて至高最善とか唯一のものと申し上げるつもりはございません。しかし、やはり国民の権利を保護し公共の利益を実現する、そうした上で合理的な手続というものをとってはいると思っております。
ただ、現実にはそれでは対応できないケースが生じておりますから、私は現在の制度が至高最善と申し上げるつもりはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/13
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014・関根則之
○関根則之君 今の土地収用法は、これが発動されるのは極めてレアケースみたいになっちゃっているんですね。だけれども、制度としてある以上、本当に公共の目的のために、財産権は法律で定めるということになっているんですから、公共目的にちゃんと奉仕できるような内容にしていく。それから、正当な補償を払ってそれを公共の用に供することもできると憲法に書いてあるんですから、そういう中でそういう制度なり憲法が期待しているものが機能するような形に、今事実上機能しない状態ですから、それを機能するような形に改める。その中で、駐留軍用地もできれば通常のルールの中で提供できるような制度が望ましいと思うんです。
何かもう天下御免で、駐留軍用地の提供だけは特別だと言ってぼんぼんと片をつける、こういう形というのは国民全体の防衛意識といいますか、そういう観点からしても私は余り望ましい姿ではないと思います。ぜひこの簡素化といいますか、もちろん国民の財産権を保護するという観点からは配慮が必要でございますけれども、ひとつ簡素化についても御努力をいただきたいと思います。
次に、ちょっと拉致事件の問題についてお尋ねをいたします。
公式には六件九人というような数字も出ているようですけれども、実際には未遂まで含めますと九件十三人の拉致疑惑というのがあるんじゃないかと思います。そういった拉致疑惑問題について外務省としてはどう把握しているのか、またこれの解決のために外務省として、外務大臣としてどんな態度で望まれるおつもりかお尋ねをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/14
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015・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) いわゆる北朝鮮が関与した形での拉致の疑いが持たれている事件につきましては、今、委員が申されましたように、六件九人ということ、先ごろ政府といたしましても質問主意書に対する答弁書の形でそれを明らかにしたところでございます。そのほかにも、いろいろそういったことが取りざたされているいわば行方不明事件というのがあるのは御指摘のとおりだと我々も承知しております。
このようなものにつきましては、当然のこととして捜査当局におきまして所要の捜査が進められているものと我々も承知しておりますが、外務省といたしましてもそういったいろいろな関係機関と連携をとりながら関連情報の収集に努めておるところでございます。そして、御承知のとおり、最近に至りまして、従来はなかなか入らなかったといいましょうか、とれなかった情報を持っているんじゃないかと言われる人物が新たに登場するというような情勢もございますので、我々としてはそのような状況を踏まえながら、従来にも増してその情報の収集に努力をしてまいりたい、こう思っております。
そして、その詳細につきましては、事柄の性格上、答弁を控えることをお許しいただきたいと思います。
そしてまた、そういったことを通じまして、その疑惑というものが非常に可能性が高い、こういうことになりましたら、当然のこととしてそういったことに応じた対応をしなくちゃいけない、これは当然でございます。例えば、過去におきましても、李恩恵の事件につきましては相当に可能性が高いという認識、判断に立ちまして、当時行われておりました日朝間の協議におきましても我が方から提起してきたところでございます。しかし、残念ながら御承知のとおりの経過で北朝鮮側は一切そういうことの可能性も認めるという姿勢は示しませんで、むしろそのことがいわば原因になりまして日朝間の正常化の交渉も中断されたままになっておるということでございます。
いずれにいたしましても、これは我が国の国民の安全といいましょうか安否にかかわる大変重大な問題でございますので、我々としてはこれからも真剣に対処してまいりたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/15
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016・関根則之
○関根則之君 警察当局でも行方不明者、失踪者の所在確認その他について御努力をいただいていると思うんですが、現在の捜査の状況等についてどういうふうになっていますか。
それから、国家公安委員長に、これから事実の解明、それからその先にある行方不明者の帰還といいますか、そういうことについて御努力をいただきたいと思いますけれども、決意のほどをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/16
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017・伊達興治
○政府委員(伊達興治君) 北朝鮮による拉致の疑いのある事件は、先ほどお話しのとおり、これまでに六件九人となっておりますが、このほかに拉致が未遂であったと思われるものが一件二人というふうに考えております。
これらの事件につきましては、現在でも新たな関連情報の収集、各事件相互の関連性の調査等、関係各機関と連携しつつ所要の捜査を継続して実施しているところでございます。
また、新潟県における少女行方不明事件につきましては、同人が拉致されたか否かにつきましては現在のところ確認されておりませんが、いずれにせよ拉致の可能性も含めて所要の捜査を実施しているところでございます。
なお、捜査の具体的内容につきましては答弁を差し控えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/17
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018・白川勝彦
○国務大臣(白川勝彦君) 御指摘の事案につきましては率直に言って解明は非常に困難でありますが、事態の重大性にかんがみ、現在、捜査当局において国民の協力を得つつ、また関係機関の協力も得ながら真相究明のために全力を尽くして努力いたしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/18
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019・関根則之
○関根則之君 もし仮に外国の国家意思に基づいて日本国民の拉致なんという問題が本当に起こっているのだとすれば、これはもう我が国の主権侵害も甚だしい問題で重大な問題でございます。特に、国の政治というのは国民の命を守る、自国民の保護というのは政治の中の最大の責任ではないかと私は思っております。そういう意味におきまして、ひとつ最善の外交努力もしていただきたいと思いますし、人命救助といいますか、そういう観点から捜査の方も徹底してやっていただきたいと思います。
特に、この問題については超党派の議員連盟ができまして、私どもも政府に対して協力できることは協力し、我々なりに努力をしていきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/19
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020・田村秀昭
○田村秀昭君 平成会の田村秀昭でございます。
私は、沖縄とのかかわり合いといいますと、沖縄が返還されて間もなく沖縄研修に出かけまして、今でも印象的に残っていることは、南部戦跡を研修に行ったときに、那覇市内で十九歳か二十歳ぐらいのバスガイドの女性が、ここは前はペリー町でしたけれども山下町になりましたと言って涙ぐんで説明をされたのを今でも覚えております。沖縄の皆さんのここ五十年の痛みというものを強く感じた次第であります。
まず、昨年の四月十七日に日米の共同宣言が発表されまして、二十一世紀に向けてアジア太平洋地域において安定的で繁栄した情勢を維持するための基礎であり続けることを再確認したということを総理もおっしゃっておられます。私も全く同感であります。私は基本的に、日米同盟こそが日本が生存し得る最大の要件であるというふうに考えております。日米同盟を堅固なものとするために我が国がこれからなすべきことは、沖縄を中心とする米軍基地を安定的に使用できるようにすることと、集団的自衛権を行使し得るようにすることだろうと私も思っております。
今国民一般は、日米安保体制を必要だと答えている人が六八%なんですね。どうして日米安保条約が必要であって、なぜ米軍が日本に駐留しているのかということについては余りよく理解されていない嫌いがあるのではないか。私などはもう日本の生存そのものだ、生存する最大の要件だというふうに思っております。
思いつくままに三つほど申し上げますと、まず日本は年間七億トンの資源を輸入しているわけです。マラッカ海峡では毎日二百隻の二十万トンクラスのタンカーが日本に向かっている。その安全確保、安全に航行させることは本当は自国の責任なんですね。だけど、これをしているのは海上自衛隊ではなくて米第七艦隊なんです。こういう自分のシーレーンを他国に依存している国というのは非常に少ないということが一つですね。
それから、朝鮮半島は御存じのように三十八度線二百四十キロのところに約百万以上の軍隊が対峙している。こういう状況というのは世界にどこにもないんですね。もう三十八度線だけなんです。
それと、日本はアメリカから核の傘の提供を受けている国なんです。これから中国が大海軍国になるだろうと思うんです。中国も食糧、石油を輸入しなきゃなりませんから、中国が自分で自分のシーレーンを守るということになると、当然海洋型の大海軍を建設するということは目に見えて明らかであります。そうすると、まず第七艦隊との衝突も起こる、インド洋ではインド海軍と衝突するということはもう明らかなんですね。
そういう時期に、アメリカがアジアに十万規模の軍隊を駐留させるということを明言することは、日米同盟を堅固にするということを言っているんです。これはシグナルなんですね。
それに対して、早く帰れとかいなくなれとか、そういう意見は自分の国を軍事大国にしようという考え方のもとにそういうふうに言っているんだと私は思っておりますが、そうする決意もなくてそういうことを言うということは、全く安全保障に対する責任を持っていない人が言うことであって、そういうことを国民の皆さんによくわかるように問い始めたのが橋本内閣になってからじゃないかなと私は思っているんですが、総理の御見解をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/20
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021・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 議員の今の御議論、要約するならば、日米安全保障条約というものによって維持されている我が国の安全保障、そのあり方を自分は肯定する、その上でその必要性が国民に十分理解されているのか、そう言いかえてもいいように思います。
私は、占領下の日本が全面講和か単独講和かという非常に厳しい選択肢の中で単独講和を選択するとともに、憲法というものを前面に押し出しながら、占領軍の指示に対し、初めは保安隊でありましたか、今の自衛隊の前身をつくり、そして最小限度の即応能力、防衛能力を自国で整備するにとどめ、国の基幹的な安全保障というものを日米安全保障条約による米軍の駐留にゆだねてきた選択というものがある。これはいろいろな言い方はできましょうけれども、やはり私は今日の日本を築いてきた基盤だと、そのように考えております。
その後、御承知のように、昭和三十五年に安保の改定の問題で再び国論が二分するような大変な論争が起こりました。そして、当時、この安保の改定というのは日本を軍国主義の道に追い込むという御批判が世間に多く存在したわけでありますが、その後は事実が証明するとおりでありまして、我が国は依然として何らかの危機があったとき即時対応は自力でと言いつつも米軍の駐留というものに我が国の安全保障の中心を置き、今日までその姿を継続いたしております。
そして、その中でいつの間にか逆にアジア太平洋地域に対し、日米安全保障条約が存在し、その結果として日本に米軍の駐留していること、これがアジア太平洋におけるアメリカのプレゼンスとして位置づけられ、地域の安定の役割の中にも大きなウエートを占めるようになってまいりました。私は一般的に国民の皆さんはそうしたことは御理解をしておられると思っております。ただ、問題がいつの間にか非常に遠い話になってしまった。そして、その条約上の義務である基地提供というものをめぐりましてもさまざまな御議論が行われる下地をつくったであろうことは想像にかたくありません。
問題は、その後、沖縄県が本土に復帰し、名実ともに日本国の一つの県として誕生いたしましてから今日までの間に、沖縄県における米軍基地の整理、統合、縮小というものに対する本土政府の努力の跡が沖縄の方々からすると感じられない、そうしたうっせきしたものが今こうした議論を国会で本当に行っていただける雰囲気の中で改めて噴出し、基地の七五%までを沖縄県に依存してよいのかという問いかけがなされているという状況にあろうと思います。
そうした中における必要最小限の措置を私たちは国会に今お願いを申し上げているわけでありますが、それとは別に、やはり私は沖縄県民の心というものの中にある、苦しみと言うべきなのか痛みと言うべきなのか、ある場合は怒りかもしれません、そうしたものには思いをはせ、それに対して本土の皆もまた少しでもそれを分かち合う努力はすべき、私はそのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/21
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022・田村秀昭
○田村秀昭君 新聞報道によりますと、大田知事が十四日に、上院軍事委員会の戦略小委員会副委員長に海兵隊の段階的削減を求める、訓練による自然破壊の防止などについてアメリカに言っておられるのでありますが、外務大臣、こういう国家の基本に関することを、今アメリカが前方展開をする、海兵隊も削減しないと言って握手を求めているときに、いや、それは要らないと言っているのと一緒なんですね。こういうことをアメリカ側から見ると、政府もこういうのを容認しているんじゃないかというふうに思われるかもしれませんね。これは一体どういうことなんですか。
これは、全く自分が責任を持たないことについて、安全保障については全く責任を持たない人が相手の国と、独立国ならいいですよ、沖縄が。外務大臣、どういうふうに思われますか。政府が言わせていると言われてもいたし方ないんじゃないですか。どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/22
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023・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 大田沖縄県知事が現在米国を訪問して関係する方面にいろいろお話をしておられるということは承知しております。
それは、米軍の駐留に伴いまして大きな負担をしておられる沖縄県民あるいは沖縄県、そういったお立場から、沖縄県におけるその現状であるとか、あるいは県民の方々のお気持ちというものを直接伝えたい、そういう知事としてのお気持ち、お考えのもとにしておられることと理解しておりまして、そのこと自体は私どもも理解できないところではないと思います。
もとより、その安保条約につきまして話し合いをし交渉をするというのは、それは当然日米両国の政府の責任であり、また権限ではございますけれども、しかしそれに伴いまして現実に負担をしておられる沖縄県の立場から実情をお話しになるということを、特に政府の立場からそれを問題にするということは、そこまでの必要はないんじゃないかと思います。
もとより、日本国の政府がどう考えておるか、また米国の政府がどう考えているかということは、これは当委員会でももう繰り返し申し上げておりますし、これは明確になっております。そういったことは大田知事もよく御承知の上で、あくまで沖縄県知事としてのお立場からの現状なり県民の気持ちを聞いてもらいたい、そういう話での訪米であるというふうに理解する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/23
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024・田村秀昭
○田村秀昭君 外務大臣の御答弁は私ちょっと理解に苦しむんですが、総理がこれから大統領のところに行かれようとしている、しかも今特措法の審議を参議院でやっているときに、そういう時期を見計らって、もっと違うことを言えば、沖縄県のためにやることがあるんじゃないんですか。それを容認されているということは、政府もそれを認めているということになっちゃうんじゃないですか。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/24
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025・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 先ほど申しましたけれども、日本国政府の立場というものはもう繰り返し明らかにしておりますし、そこのところにつきましては、米国政府も完全にその認識も一致しておりますし、よく承知しているところでございます。そして、そのことは大田知事さん御自身もよく御存じでございます。
そういうことはよくわかりながらも、しかし沖縄県の知事としてやはり現状を米国の関係の方々にも直接聞いてもらいたい、そういう心情におなりになったとしても、これまた地方公共団体の首長のお立場で全く理解できないというわけにはいかないだろうと思います。もとより、知事もそういったことが日米両国間の外交をどうこうするものでないということは御認識の上に、なおやむにやまれぬお気持ちで県民の心情を伝えておられるんだと、こう理解します。
いずれにいたしましても、総理の訪米も含めまして、日米外交はきちんとあるべき姿で進められていくように我々として努力していくことは当然のことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/25
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026・田村秀昭
○田村秀昭君 私は理解できませんが、先に進ませていただきます。
我が国は資源のない、しかも今現在は軍事力の非常に弱い、物をつくって人的資源で付加価値を高めてそれを買っていただく、そういう商いをする国家でございますので、やっぱり一番大切なことはお得意さんを大事にするという精神、このリアリズムが日本を世界につなぎとめる唯一の道だというふうに私は思っております。
それで、沖縄県についても、大田少将が「沖縄県民斯ク戦ヘリ」、よその県のことは一つも言っていないですね、「沖縄県民斯ク戦ヘリ」と。あそこの摩文仁之塔に行くと各県の戦死者の慰霊碑がありますね、「沖縄県民斯ク戦ヘリ」と。したがって、その県民に対して後世特段の御高配をあらんことをと、特段という言葉を入れているんですね。配慮は私は今までしてきたと思うんですが、特段の配慮をしていない。
この前、泉信也先生から所得税や法人税を軽減したらどうかというお話もありました。政府でも今御検討になっていると思うんですが、今重荷を背負っていることだけは事実なんですから、目に見えるような沖縄県民に対する思いやりというのがないといけないと思うので、私は特に航空運賃を半額にするとか、本土に来られたときは宿泊料を半額にするとか、そういうことを米軍がいる限り続けるというふうにされたらどうかなというふうに思っているわけです。
それと、もう一つ。やっぱり米軍も好きこのんで来ているわけじゃないんですね。日米同盟のために来ている。ですから、総理が沖縄に行かれたときは、米軍の司令官に御苦労だったというようなことをぜひ言っていただきたいと思うんです。
これはお互いさまの話で、PKOに行っている自衛隊の人たちに向こうの元首が御苦労さまと言っているのと一緒でございまして、県民に対してのいろいろな重荷に対するいたわりも当然ですが、米軍も自分の家族から離れてずっと来ているわけですから、そういうお得意さんですから、お得意さんに対する思いやりというのをぜひしていただきたいなと思うものでありますので、総理にちょっと御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/26
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027・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、宿泊料金とか航空料金とか、既に航空料金は一部引き下げておるわけでありますけれども、御意見がありました。こうした点は、これからも沖縄政策協議会の中で、知事もその閣僚と同等に一人の構成員としてここで論議をしておられる中に、どのような議論があるかを待ちたいと思います。
その上で、私ちょっとお得意さんという言い方は余り的確ではないように思うんです。それはむしろ友人として、米軍は米軍としての責任を果たしてくれるために来ている、そのような意味合いで、機会があればそうした場を持つこと、それ自体私は何ら抵抗はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/27
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028・田村秀昭
○田村秀昭君 今、政府も御検討になっておりますがイドライン、防衛協力のための指針でございますが、これにつきましては今までは、五十三年の十一月だと思ったんですが、ガイドラインというのが日米でサインされて、これは研究でありまして、政策に反映するとか予算に反映するというものではなかったんです。これを見直すということで、今回、日本国政府としては、日本の果たすべき義務が含まれていると考えられるんですが、これは防衛庁長官、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/28
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029・秋山昌廣
○政府委員(秋山昌廣君) ただいまの御質問の中で、現在のガイドラインが研究ではなかったかという御指摘がございましたけれども、現在のガイドラインも、日米防衛協力に関する指針ということで、研究ではございません。あくまでも防衛協力に関する指針を明らかにしたものでございまして、それに基づいて幾つかの共同作戦計画研究といったような研究がなされたことは事実でございます。その日米防衛協力の指針の見直しを現在やっておるわけでございまして、それは研究ということではなくて、新しい観点からこのガイドラインの見直しを今行っているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/29
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030・田村秀昭
○田村秀昭君 研究ではないと。そうしますと、厳密な防衛協力という意味の義務づけがされますね。それはいかがですか。義務が生じますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/30
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031・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 今の御質問は、ガイドラインの作業を進めていくと日米それぞれに法的な意味での義務が生ずるんじゃないかと、そういう御趣旨の質問かと存じますけれども、指針はあくまで日米の防衛協力に関して具体的にどういうふうに協力を進めていくか、そのことにつきまして日米それぞれの方針を示すものでございまして、私どもは両国政府に法的義務を負わせるような性格のものではないと、こう考えております。これは現行のガイドラインも同じでございますし、新しいガイドラインについてもそのように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/31
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032・田村秀昭
○田村秀昭君 それは外務大臣、とんでもない話ですよ。
それでは申し上げますが、今度の普天間飛行場に関するSACOの最終報告というのがありますね。その中に、「海上施設の滑走路が短いため同施設では対応できない運用上の能力及び緊急事態対処計画の柔軟性は、他の施設によって十分に支援されなければならない。」と書いてあります。そうすると、「他の施設」というのは何ですか、これ。ほかの民間飛行場や何か使わなきゃいけないんじゃないですか。例えばヘリポートで戦略空輸ができますか、代替のヘリポートで。できないでしょう。そうすれば、戦略空輸とか後方支援とか、緊急代替飛行場機能とか、そういうものをきちっと約束しなきゃいけないんじゃないですか。ここに書いてあるじゃないですか、そういうふうにすると。これはあくまでも権利義務の話ですよ。これものるんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/32
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033・久間章生
○国務大臣(久間章生君) SACOの最終報告の中に書いておりますことは、これは必ずしも今のガイドラインの取りまとめをやっておるのとは直接は結びつかないわけでございます。
ただ、ここで一言だけ言っておきますと、今度ガイドラインの見直しをやりまして、その実行に当たってどういう問題が出てくるか、それはいろいろまた出てくるだろうと思うんです。そのときに、現行の法律でやれるかやれないか、そういったことについては国会の中でも議論していただきながら、政府としても法案を準備しなきゃならない場合も出てくるかもしれません。それはやはり現在ありますがイドラインの見直しを今やっておりまして、その結果出てきたものを取りまとめてオープンにさせていただきますと同時に、国会で議論をいただきながら、現行法ではこれじゃなかなかやりにくいじゃないかとか、いろんな御議論の中で、あるいはまた予算上の問題についても同じことでございます。そういうことで議論をこれから深めていきたいと思っておりますので、今ここでガイドラインの見直しが即法律改正だというふうなことにはならない。
そして、先ほど言われましたSACOの問題についても同じことが言えるわけでございまして、SACOの最終報告を実行するに当たって、今言うようないろんな問題が出てまいります。それは、ガイドラインじゃなくて、またほかの観点からいろいろと議論をしていかなければならない問題じゃないか、そういうふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/33
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034・田村秀昭
○田村秀昭君 防衛庁長官のお答えは今までの五五年体制のなし崩し的なやり方にそっくりなんですよ。これは国家の安全保障にとって重要な問題なんです。アメリカと話し合おうというわけですよ。それがどうして権利義務の発生しない、僕は条約以上に重要な問題だと思っていますが、そういうものを、国会審議を避けるために、どうなるかわからないからそのときになってやるなんて、そんな話にはならないんじゃないですか。ちゃんと日米関係きちっとこれはやらなきゃならないはずだ、九月に。これは集団的自衛権とも絡む話なんです。だから私は申し上げているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/34
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035・久間章生
○国務大臣(久間章生君) いや、そういうことじゃございませんで、やはり現在の憲法の枠内で、安保条約の枠内でガイドラインを見直して、両国の政府間で今度はこういうふうにして協力をやっていきましようという一つの方法を出すわけでございます。しかしながら、そういうのをやるときに、決まってしまってから出すんではなくて、やはりこれからこういう方向でやっていますよというのをできるだけ早い時期に国会の方にもオープンにして、あるいは外国に対しても見せながらそういうことをやっていくわけでございまして、その結果、いろんなことをやるときに法律上これは現行法では非常にやりにくいということになれば、また国会の方にお願いして議論することもございます。
決して五五年体制のときというような感覚ではなくて、きちっとオープンにしながら、こういうことは両国間でこれから先、協力してやっていきましようということを示しながら、しかも国会で議論をしていただきながらやっていこうとしているわけでございます。何かなし崩し的に両国間で取り決めて、こそこそとやるようなそういう形じゃなくて、やはり少しオープンにしながら、そして必要に応じては、実施体制が必要だとなればまた実施体制について研究を国内で今度は決めながらやっていけばいいんじゃないかということで今作業を進めさせていただいておるわけでございますから、どうかひとつそういう点御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/35
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036・田村秀昭
○田村秀昭君 御理解をすることは非常に不可能であります。
この問題は非常に重要な問題でありますので、国民も理解していかなきゃならない話ですから、ぜひ国会での審議をお願いしたいと思っております。
次に、防衛問題で二点ほど申し上げます。
自衛隊ができて四十年か五十年になるわけですけれども、自衛隊というのはどういう位置づけにあるのか。猫だかトラだかわからないようなものを、十年や十五年はいろいろな事情でいいかもしれないですけれども、まず五十年も百年も同じ体制で、F15を百五十機も持ち、イージス艦も持ち、九〇式戦車も持った。近代的な装備だけは持って、有事法制はなくて、軍隊じゃないわけですね。そういうものをいつ総理はきちっとしたものに仕上げていこうと、位置づけを明確にしようというふうになさらないで今のままずっといこうとしておられるのか、もう少し先には考えようと言っておられるのか、ちょっとその辺をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/36
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037・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、議員が日米安保体制に基づく現在の我が国の安全保障の仕組み自体を否定された上でその議論を述べておられるとは思いません。でありましたなら、まず私どもは、今まで放置をされてきて、いわばグレーゾーンという言い方が適切かどうかわかりませんけれども、ルールを持たない中で、何らかの事態に相応するたびに一生懸命に工夫をしてその事態に対応するということをいつまでも長々と続けていることがいいことだと思っておりません。ですから、まずガイドラインの問題に取り組んでおります。
そして、このガイドラインの中で、現行憲法のもとにおける我が国としてなし得ること、なし得ないこと、そのぎりぎりの限界までを詰めてまいりたいと思っておりますし、恐らく議員が今質問をされましたお言葉の中にありましたことから考えますと、いわゆる有事法制というものをいつから国会の御論議の爼上にのせるつもりがあるのかというような視点からの御意見かとも思います。
私は、有事法制というものについては今までも研究はしておくべきものであるけれども、これを法律として国会に提案し御審議を願い取り進めていくということについては、国民各界各層の御意見に非常にさまざまなものがありますことも考えれば、政府としては勉強しつつ慎重に対応するというのが今申し上げられることであろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/37
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038・田村秀昭
○田村秀昭君 せんだっての予算委員会で私が自衛官の地位の問題について申し上げましたが、総理からそのときに、政府委員の名簿に統幕議長、陸海空の三幕長などを加えて、自衛隊幹部が内局の同行なしに首相官邸や国会に来られないという雰囲気を変えるように努力するというふうにおっしゃったと記憶しておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/38
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039・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 政府委員ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/39
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040・田村秀昭
○田村秀昭君 政府委員のことは総理がおっしゃったんじゃないんですが、自衛隊幹部が内局の同行なしに総理官邸や国会に来られるという雰囲気を、国会と言っておられますから、変えるように努力すると総理はおっしゃっていますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/40
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041・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/41
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042・田村秀昭
○田村秀昭君 ところが、来られないようになっているんですよ。
これは昭和二十七年ですからもうずっと状況が違うときですが、訓令の九号で「幕僚監部に勤務する職員は、」「国会等との連絡交渉は行わないものとする。」と十四条で書いてあるから、そういう雰囲気を変えるように努力すると言われても、口だけで言っておられるような気になっちゃうんですけれども、これはこの訓令をお変えになる決意のもとにおっしゃったかどうか、お聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/42
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043・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は国会という言葉を確かに申し上げましたが、それは国会議員の方々から呼ばれましても、制服が国会議員の方々に公に与えられております議員会館の執務室に参上することすらなかなかままならぬ、そのような状態は変えたいという思いで先般申し上げました。そして、議員からもお直しをいただきましたように、私は政府委員云々ということは申しておりません。
そして、私は確かにその保安庁事務調整訓令というものが存在しておることは承知をいたしておりますけれども、同時に自衛隊の最高指揮官であります内閣総理大臣が統幕議長あるいは各幕僚長から直接意見を聞くことをこれが妨げるものではないと考えております。ところが、今までそれが妨げられているかのような運用をされていたということを知りまして、私はこうしたことから直したいと思いました。私は、この事務調整訓令は一体直さなくていいのかねという意識を持ちまして、既に検討した方がいいよということは申しております。
ただ、逆に申し上げますなら、こうした規定をつくられた先輩世代の方々、それは明治憲法における統帥権というものの内閣からの独立が昭和に入り軍人のばっこを招き、そしてそれが軍の内部においても軍の上層部の意向を無視して中堅将校が独走し第二次世界大戦を招いていったという鮮烈な記憶の中でつくられたものではなかろうかと想像をいたしますし、そうした事態を生んではならないという意味では、私はこの保安庁事務調整訓令の検討の中にも限界はあろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/43
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044・田村秀昭
○田村秀昭君 統帥権の話とこれは随分違うと思うんですけれども、シビリアンコントロールは政治が軍事に優先をするということですから、政治が自信がないんならこれは仕方がありませんが、今きちっとシビリアンコントロールが行き渡っているわけでありまして、どうして制服の意見をきちっとお聞きになろうとしないのか、意見を聞く場でお聞きになろうとしないのかというのが私は不思議でしょうがない。
それは総理が今おっしゃったようなそういう時代もあったかもしれませんが、今はそうじゃないんじゃないですか。そうしたら、こういうものはどんどん新しく変えていかなきゃいけないんじゃないかと私は思うんですが、旧態依然で少しも変わっておらないんですね。これは法制的に少しも変わっておらないということだけを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/44
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045・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、私は検討を既に防衛庁長官にも申し上げておりますし、今御質問者の前で確認もいたしております。
ただ、かつてそういう歴史がありましたということ、そして今シビリアンコントロールの原則のもとにあり、私は制服の諸君はそれに対して何ら背馳する行動をとっておると思っているわけではありません。その上で、私は、議員はたしか前回のときにそんなことを自分は言っているんじゃない、そんなことを評価しないという趣旨の御意見でありましたけれども、少なくとも制服の諸君が肩ひじを張らずに総理の執務室をおとなうことができる雰囲気をつくれましただけでも変わったと思っております。
また、国防会議に統幕議長一人しか出ていなかったという従来のやり方を現内閣になりましてから統幕議長だけではなく三幕僚長すべてが出席をできることに切りかえている。事実問題として、きちんとした制服の諸君の意見を聞くべき場、聞くべきであると思われる場に正々堂々と制服の諸君が現に出席をし意見を述べられる体制になっておるということもあわせて御報告を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/45
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046・田村秀昭
○田村秀昭君 ぜひそういう努力をしていただきたいと思います。
もう時間もありませんので、これは質問ではないんですが、明治三十八年に日露戦争が終わったわけですが、四十一年に夏目漱石が「三四郎」という小説を出しておられるんです。それで、三四郎が熊本からだったと思うんですが、東京帝国大学に入学するために上京してくる。車中で東京大学の廣田先生に出会う。三四郎が日本はどうなるんでしょうかと聞くと、先生は滅びるねと答えられた。これはその小説の中に書いてあるわけです。
それで、日露戦争に勝って、これは日英同盟があったために私は勝ったと思うんですが、もちろん日本の努力もありますが、一流の国になったつもりになって、そういう意識がこういう今の状況と非常によく似ているんですね。
これは外務大臣には申し上げたことあるんですが、マレーシアの元上院議員で瑞宝章を受章されたラジャー・ダト・ノンチックという方、これは南方留学生で、戦時中の日本への留学生ですが、その人が一九八九年の四月にクアラルンプールでこういうような詩を述べているんです。
戦後の日本人は
自分たち日本人のことを
悪者だと思い込まされた
学校でもジャーナリズムも
そうだとしか教えなかったから
まじめに
自分たちの父祖や先輩は
悪いことばかりした残酷無情な
ひどい人たちだったと思っているようだ
だからアジアの国に行ったら
ひたすらペコペコあやまって
私たちはそんなことはいたしませんと
言えばよいと思っている
そのくせ経済力がついてきて
技術が向上してくると
自分の国や自分までが
えらいと思うようになってきて
うわべや口先では
済まなかった悪かったと言いながら
ひとりよがりの
自分本位のえらそうな態度をする
そんな
今の日本人が心配だ
本当にどうなっちまったんだろう
日本人はそんなはずじゃなかったのに
本当の日本人を知っているわたしたちは
今はいつも歯がゆくて
くやしい思いがする
自分のことや
自分の会社の利益ばかり考えて
こせこせと
身勝手な行動ばかりしている
ヒョロヒョロの日本人は
これが本当の日本人なのだろうか
自分たちだけで集まっては
自分たちだけの楽しみや
ぜいたくにふけりながら
自分がお世話になって住んでいる
自分の会社が仕事をしている
その国と国民のことを
さげすんだ眼でみたり
バカにしたりする
こんなひとたちと
本当に仲よくしてゆけるだろうか
どうして
どうして日本人は
こんなになってしまったんだ
一九八九年四月
クアラルンプールにてという言葉を発しているんです。
結局、日本という国はある国家目標というか、あるところまで行くと、どうもどこの国にもないようなこっけいさをあらわしていくと。それがさっきの廣田先生の滅びるねというせりふになっているんじゃないか。それからわずか三十年ぐらいで日本は滅びているわけであります。
日英同盟を破棄したのが一九二一年ですから、今、日米同盟がこれほど重要なときはないということを私は強く申し上げ、その同盟というものは軍事同盟ですから、その点をいやしくも忘れてはならない、そして軍事圏は経済圏であるという原則はいささかも朽ち果てていないということを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/46
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047・益田洋介
○益田洋介君 私は、昨年の九月三日、当院の決算委員会において、米国で情報公開された沖縄返還交渉に関する米国の機密文書について政府をただしました。残念ながら明確な回答を得られませんでしたので、本日は総理に二点について御所見を伺いたいと思います。
まず最初に、一九九六年八月三十日にアメリカのシンクタンク、民間研究機関のナショナル・セキュリティー・アーカイブという会社がございますが、その会社がアメリカの情報公開法に基づいて国務省の機密文書を入手したという発表がございました。そこで明らかにされたことによりますと、一九六九年十一月十三日付で、当時のジョンソン国務次官がニクソン大統領と議会の指導者の間の討議用にまとめた「沖縄問題の討議の要点」という文書でございます。この中におきましては、米軍の日本における基地の自由使用について論及されておりまして、私はワシントンからこの原文を取り寄せております。
これによりますと、安保条約の第六条に規定されております日本以外の有事の際、米軍の日本の領土及び基地の使用に関して相当な自由を期待してよいと保証していると。そして、報告内容をそのまま読みますと、この了解によりアメリカが現在持っている沖縄での法的な行動の自由は若干ではあるが制限されるものの、日本本土の米軍基地に関しては現状よりも大きな前進となると。
何を言っているかといいますと、結局、安保条約の六条で言っている有事の際の日本の領土及び基地の使用に関する日米の事前協議という項目は既に骨抜きにされた、形骸化されたと、こういうことになっているわけでございます。
こういう機密の約束がなされて、そして沖縄返還交渉が前進した、そういうバックグラウンドがある、こういう機密文書でございますが、この点に関して総理はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/47
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048・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、議員が引用されました、まず第一に、一九六九年、ジョンソン国務次官がニクソン大統領用に作成されたメモだというお話のもの、これはまさにアメリカ側の内部文書でありますから、これに対して私はコメントする立場にはありません。
いずれにしても、米国政府との関係の中におきまして、例えば事前協議の許諾について、直接あるいは間接を問わずあらかじめ約束を日本政府が米政府との間に行っているかということでありますなら、そのようなことはございません。
ですから、私は、米国政府内の内部文書としてどういうものが存在をしているかということと、現実に具体的な事実に当たりまして、我が国の自主的な許諾の決定が妨げられるものではないと思います。
また、後者の文書は、一九七二年の一月……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/48
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049・益田洋介
○益田洋介君 それはまだ今から質問します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/49
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050・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) そうですか。
では、とりあえず私は、冒頭、今の点について申し上げておきたいことは、米政府内において内部文書として存在したもの、それはあくまでも米政府内の内部文書としての事実でありまして、我々が具体的事実に当たっての自主的な許諾の判断、決定を妨げるものではないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/50
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051・益田洋介
○益田洋介君 そうしますと、総理は現在の総理というお立場で、このアメリカの国務省の機密文書は信憑性はないと、そのようにおっしゃるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/51
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052・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は信憑性があるかないかについても判断をする立場ではないと思います。
その上で、私は、アメリカ合衆国の政府機関の中における内部文書として存在しているとして公表されたものはそのとおりであろうと存じますけれども、それではそのプロセスがどこまでアメリカ政府部内の決定に影響を与え、それが我が国との交渉の上でどう出てきたかということをその文書が証明するものではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/52
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053・益田洋介
○益田洋介君 私は、アメリカは歴史的にこういう了解のもとに、事前協議というものが形骸化されたという理解のもとで現在まで日米交渉を進めてきているものというふうに理解しておりますが、総理はそうじゃないとおっしゃるわけでございます。
七二年のもう一つの文書について答弁なさりたいようですので、質問いたします。
これも原文を取り寄せました。これは何が問題かといいますと、七二年といいますと、当時、那覇空港に配備中のアメリカ海軍の哨戒機、P3と言っていましたが、これを移転しなきゃいけないという事態に立ち至りまして、さてその移転先をどこにしようかということでの協議がなされました。アメリカ側は二つの候補地を挙げまして、一つは山口県岩国、それからもう一つは青森県の三沢基地が候補地でございました。
当時の我が国の外務大臣、故人でございますので実名は差し控えさせていただきますが、後に大蔵大臣、総理大臣になられた方でございます。この方がロジャース国務長官との対談において、本土への移転は困る、特に山口県は困ると。なぜならば、山口県は当時の総理大臣、この方も故人でございますので実名は差し控えますけれども、後に沖縄返還の功績をたたえられてノーベル平和賞を受賞されました。こういう背景があったならば、むしろノーベル平和賞は受賞すべきではなかったんじゃないか。外交官出身の、この方も故人でございますが、ある大手建設会社の会長さんが大分いろいろ交渉をされて、ノーベル平和賞を受賞されたというふうに漏れ聞いております。
その総理大臣の選挙区が山口県である、だから絶対だめだ、じゃどこにするのか、やっぱり沖縄だろう、こういう話し合いが持たれたわけです。だから沖縄の別の基地に移転するようにしていただきたい、そういう申し入れがあった。
そういった背景がありまして、結局徐々に、なし崩し的にすべての新しい基地あるいは既設の基地の移転先が沖縄に集中するという結果になったことが、現在、日本における米軍基地の七五%が沖縄に集結しているという結果をもたらしたわけでございますので、何で沖縄だけに基地が集結するのかということは何の不思議もないわけでございます。当時の政府の首脳がそういう姿勢で、沖縄の犠牲のもとに米軍の基地を拡張しようという話し合いをしていたわけですから。
だから、沖縄を今は救わなきゃいけない、沖縄の基地を本土に拡散しなきゃいけないなんという議論は全くもって私は、自民党の当時のことはわかりませんけれども、自民党という政党の一つの体質をあらわしているんじゃないか、このようにすら思うわけでございますが、御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/53
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054・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、一九七二年一月の佐藤・ニクソン会談の議事録の中で、福田外務大臣が当時のロジャース国務長官、これは議員は名前を伏せられましたが、あえて逆にきちんと申し上げるべきことでありましょう。那覇空港の返還に伴い、同空港に駐留していた米海軍P3機を本土ではなく沖縄の別の基地に移転するように要請したという記述が見られると。これは議員が今御紹介になりましたとおりであります。
私自身、当時のこうした両国間の火花の散るような交渉を存じていたわけではありませんから、論評のできる資格はないのかもしれませんが、私は当時、本当に返還をめぐってさまざまなぎりぎりの交渉の行われておりました中に、例えば那覇空港の早期返還というものを実現するために現実的な解決策を模索する、そうした努力の中のものではなかったんだろうかと瞬間考えます。
今、議員からは大変厳しいお言葉がありました。しかし、私はSACOの最終合意というものを築き上げていく上で、双方の間にある場合は火花の散るような時期も含めて議論をしてまいりました中で、例えばかつての那覇軍港の返還についての合意というものが、移転という一点をめぐって地域の協力が得られず、今日もなお継続している状態等を想定いたします。
当時の私は、交渉に当たられた先輩の方々の御苦労というものは周りで見ているだけでありましたから、何という判断をすべきなのかわかりませんけれども、私はやはり那覇空港の返還というものを少しでも早く実現したい、そういう中でぎりぎりの現実的な解決策を模索する努力というものはいずれにおいてもなされたと思いますし、そうした中の一環ではないか、そのように感じます。
それと、現在我々が努力をしなければならない、決意をして沖縄の問題に取り組もうとしている、それはさまざまな歴史の積み重ねの中で、復帰後今日までの沖縄県における基地の存在、そしてそれが県民に与える苦しみ、痛みというものに対し、余りにも長い間本土の我々が意を用いなさ過ぎた、私はそう考えておりますし、それに対する努力はこれからも全力を挙げて傾けてまいりたい、そのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/54
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055・益田洋介
○益田洋介君 私は、衆参両院の特別委員会を通じて総理の現在の御発言、御決意というものを伺って非常に意を強くしております。これは与党、野党を問わず、やはり国会議員が総力を挙げて努力をしていかなきゃいけない事柄である、そのように了解しております。
ところで、五・一五メモという有名なメモがあらわれてまいりました。政府は三月二十五日、五・一五メモの概要というものを発表されております。ところが、それに先立つ三月八日、沖縄タイムスに全文発表されている。何でこういうふうに文書を出さないのか。非常に重要なことですよ、五・一五メモ。
しかも、まだ未公開の部分がある。例えば国際連合の軍隊による在沖縄合衆国施設・区域の使用に関する日本側提出覚書、こんな重要なものがまだ未公開になっている。もう一つある。国際連合の軍隊による在沖縄合衆国施設・区域の使用に関するアメリカ側提出覚書、これが出ていない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/55
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056・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私が答弁を聞きたい、今のうちに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/56
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057・益田洋介
○益田洋介君 いや、いいです、まだ質問しているんだから。まだ終わっていないよ。とめてください、速記を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/57
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058・倉田寛之
○委員長(倉田寛之君) 質疑者、どうぞ質問をお続けください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/58
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059・益田洋介
○益田洋介君 沖縄の県民の方々は、一昨年の少女暴行事件や劣化ウラン弾の誤射事件発覚時における政府の遅い対応ぶりについて非常に不信感を募らせている。やはりこれから沖縄県、沖縄県民に対して誠意を持って政府としてまた国会として努力をしていこうということで、私たちは力を合わせて今出発しようとしているわけです。その段階でこういうふうな未公開文書がまだ残っている。
聞くところによれば、本土の米軍基地についても覚書がたくさんある。何も出てきていない。私はこういう書類の提出、日米間の合意文書の特に本土の基地に関する、それから沖縄の五・一五メモの残りの部分の提出を委員長にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/59
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060・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/60
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061・益田洋介
○益田洋介君 まだ終わっていない。
昭和五十六年八月一日、条約法に関するウィーン条約というのが締結されております。その中の第三節第三十一条で、関係合意文書というのは条約の本文の解釈に当たって非常に重要な役割を果たすんだ、こういうふうな規定がございます。ということになると、安保条約そのものをきちっとした形で正確に把握するためには、解釈するためには合意文書が全部明らかにならなきゃ解釈できないわけです。この点について、私はもう少し政府の認識を改めていただきたい。
余りにもすべてを隠ぺいしている、そういう印象を与えているわけです。私は大蔵委員会でもそのことを申し上げた。大蔵省が不信を買い、通産省が不信を買い、厚生省が不信を買った原因は何か。全部事実関係を隠ぺいして明らかにしていないからだ、私はそれが主な原因であると個人的に考えますが、総理の見解を伺いたいんです。
その前に、外務省の記事資料というのがございます。これは昭和五十年十二月二十五日に発表されている。表題は「外交記録の公開について」。御存じですか。「外務省では、古い外交記録の公開について鋭意検討してきた結果、今般、原則として作成後三十年を経た外交記録を、一部の例外を除いて」、一部の例外ですよ、どういう例外かわかりませんけれども、「秘を解除し公開するとの方針を決定」した。外務省がつくったんです。「昭和二十年八月以降の外交記録のうち、原則として三十年を経たものは、順次秘密指定を解除し一般の閲覧に供する。」と。こういうものを出している。
出されていないじゃないですか。外務省が決めたことだ。総理、どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/61
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062・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) どうも議員の御議論がいろいろな部分にわたりまして、全部を私はお答えする能力がありませんので、外務省そのものの部分については外交当局からお答えをさせたいと思います。
その上で、五・一五メモに関する問題については、先日、五・一五メモと言われる部分については全部を知事にお渡しいたしました。そして、それに関連する約十ばかりの文書があります。それは知事にリストをお見せした上で、翻訳を終わり、米軍の了承をとり次第お渡ししますと。ただし、中にこれとこれは確実に個人名の問題あるいは特定の技術的な問題でありますので、お疑いであればその実物を知事にお目にかけた上で公表は控えたいと思いますというものを全部御説明し、その非公表とすべきものまで含めて知事との間には合意を得ております。
目下翻訳中のものは、その翻訳が終わり次第届けることを五・一五メモに関連するものにつきましては知事と約束をしておりますので、その約束どおりに進んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/62
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063・益田洋介
○益田洋介君 五・一五メモについては前向きの姿勢を示していただいたので、一歩前進というふうに受けとめます。
ただし、本土の米軍基地における合意文書については、どうか委員長、先ほど申し上げたように政府から提出をさせていただきたい、そのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/63
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064・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 本土の施設・区域に係る合同委員会の合意につきましては、従来から、提供された個々の施設・区域の概要は官報で告示しております。
しかし、沖縄の施設・区域に関するいわゆる五・一五メモのようなまとまった形で、それぞれの施設・区域の使用条件等をまとめた合同委員会の合意というものは本土の施設・区域についてはないわけでございます。関連の合意は昭和二十七年以降、いわば部分的な改正の積み上げといいましょうか、そういう形で進められてまいりましたので、量的にも極めて膨大なものとなっております。
そういった事情がございますので、これを一挙にすべて公開する、公表するということは物理的、技術的に極めて困難であるという点は御理解を賜りたい、こう思います。
いずれにいたしましても、過去の合同委員会の合意につきましては、従来は合同委員会そのものを非公開でやるという了解といいましょうか、日米間の合意のもとに運ばれてきた、そういうことで、原則非公開で来たわけでございます。それが、昨年三月二十八日の合同委員会の際に、自後の合同委員会については原則公開でいくというふうに改めました。そして、そのように実行されております。そしてまた、その際、過去の合意につきましても、その公表の可能性について順次見直していこうと、こういうことを合意されたわけでございます。
いわば五・一五メモの公表というのも、その後別の事情がございましたけれども、基本的には昨年三月二十八日の合意に基づいて公表したものでございます。また、ほかのものにつきましても、今後順次見直しを行い、その公表の可能性について進めてまいりたい。
したがいまして、先ほど申しました本土の施設・区域の使用条件等にかかわるものにつきましても、そういうふうに検討を進めてまいりたいと思いますけれども、先ほど申しましたように、まとめた形になっていないということ、膨大な量になっているということで、公表の時期等につきましては制約があるという点については御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/64
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065・益田洋介
○益田洋介君 順次公開をするという約束を取りつけさせていただきました。
時間を余りかけないで、今こういう重要な時期でございますから、検討することを検討するなんということを言わないでいただいて、どうか前向きに、情報の公開には政府全体として、特に外務省はお願いしたいと思っております。
次に、一昨日、同僚議員の高野博師議員から外務大臣に質問をいたしまして、竹島は安保条約の適用対象となるかどうかという質問に対して、外務大臣は、竹島は日本の施政下にあるとは言えないので安保条約第五条に基づく適用ができない、こういうふうな答弁をなさいました。私はこの言い方はちょっと問題があるのではないかというふうに感じております。
施政権という言葉につきましては、行政、立法、司法上の権利の全部または一部を行使する権利を有するものとする、こういうことでございまして、沖縄の返還時も領土、つまり領有権の返還ではなくて施政権の返還であった、こういうことになっておるわけでございます。政府は、昭和四十四年、四十六年の衆議院、参議院のそれぞれ予算委員会におきまして、そうした見解をあらわしているわけでございますが、私は竹島には日本国有の施政権が存在するというふうに考えております。
施政権、つまり統治権というのは固有不可分の権利であり、国家の権利、主権と呼ばれることもあるということで、施政権がなくなったという外務大臣の発言は主権を失ったという意味にとられかねない。つまり、統治権は今もって日本にあると私は思っておるわけでございます。ただし、統治権を行使することができない状態に、昭和二十七年当時ですか、当時の総理大臣がもう少し頑張っていただければ、そういう状況にもならなかったわけでございますが、残念ながら今そうなっている。
私は、竹島の領有権並びに施政権は依然として日本にある、しかしその施政権を行使できない状態になってしまったんだ、そういうふうに解釈すべきではないかと思うわけでございます。
ポツダム宣言の第八項には、日本の領土というのがどういうものであるか、統治権を行使する領土はどういうものかということがきちっと規定されております。その中に竹島は入っている。だから、統治権は依然として日本にあるということを私は改めて認識していただきたいし、外務大臣の口からそういうことを伺いたいと思っているんです。統治権を失ったなんというのは大変なことですよ。
さらに、もう一つ事例を申し上げます。
今、韓国は物理的に竹島を占有しているわけでございますが、占拠しているわけでございますが、施政権を行使しているわけじゃない。施政権は日本にあるんです。その点を改めてもらわなきゃ困る。韓国は条約やその他の何らかの法的根拠を持って施政権を行使しているわけじゃないんです。ですから、第一種の漁業権や鉱業権、鉱業権というのは鉱山を採掘する権利でございますが、これはまだ日本にある。だから、施政権は立派にある。行政権を持っている、日本は。施政権がないなんて言ったらとんでもないことになる。この点について、まずお考えを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/65
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066・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) まず、一昨日の高野委員の御質疑に対する御答弁、それからけさほどの関根委員に対する御答弁、正確にチェックしていただきたいと思いますが、私は我が国の統治権がないあるいは施政権がないという御答弁はいたしておりません。事実の問題として施政が行われていない、あるいは施政が及んでいない、そういうことを申し上げております。
もう一度繰り返しますと、我が国政府の立場は竹島は我が国固有の領土である、こういうことで一貫しております。そういった意味では、仮に施政権ということをおっしゃるならば、法的には施政権が我が国にあるといいましょうか、あるいは我が国が施政を行う立場にある地域である、それが我が国政府の立場でございます。我が国固有の領土であると申し上げているのはそういうことでございます。しかしながら、事実の問題としてそういった施政が及んでおるかといいますと残念ながらそういう状況にない、こういうことを申し上げたわけでございます。
そして、我が国のこういった一貫した立場からするならば、今韓国が事実上占拠しているという状態をもとより我々は認めるわけじゃございませんし、あるいは今あそこで事実行為、事実行動としていろいろなことがございましても、韓国が正当な根拠に基づいて施政を行っている、あるいは施政権が及んでいるなんということは私どもは認めておりません。そこのところは正確に申し上げておりますが、チェックしていただければ、私は我が国の領土であることを明白に申し上げておりますし、統治権あるいは施政権を否定するような御答弁はしていないということを繰り返して申し上げておきます。
委員も御承知だと思いますが、私は安保条約第五条の日米共同対処が行われるべき地域かどうかということで御答弁申し上げたわけでございまして、それは英文で申しますと、テリトリーズ・アンダー・ジ・アドミニストレーション・オブ・ジャパン、アドミニストレーションという表現でございます。だから、それは施政権かどうかではなくて、事実の問題として施政が行われているかどうかという観点から御答弁申し上げた、そういうふうに御理解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/66
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067・益田洋介
○益田洋介君 ですから、竹島は日本の施政下になくしたがって安保条約の対象にはならないという言い方は間違いなんです。日本の施政下にある、ただし占拠されているから施政ができないだけなんです。そういうふうに改めてください。もう答弁は要らない。
もう一つ例証を挙げます。
東京地方裁判所の昭和三十六年十一月九日の判例があります。「辻富蔵V国および島根県」ということで、これは「課税権の国際法上の限界−竹島の地位」という命題で裁判が行われました。どういうことかというと、昭和二十九年の二月二十六日に原告が竹島における採掘権を許可され、登録がなされた。ところが、竹島は昭和二十九年五月以降韓国によって占拠された。事実上採掘が実施できなかった。したがって、原告は、課税処分は違法であり納付義務がないということの確認を求めたほか、損害をこうむったとして、内閣総理大臣の義務懈怠によるものであるから国の損害賠償を請求した。
それに対して東京地裁は、日本国の統治権は原則として日本国民及び日本国の領土内にあるものに対してあまねく及んでいるものだ、国際的二重課税防止の見地から、課税対象である鉱業権の所在地である竹島は日本国の統治下にあるものだから、日本国の統治権の一作用としての課税権が消滅する理由はない。鉱区所在地域に対する統治権が失われたわけではなく、行使が事実上不可能になったにすぎないんだ、鉱区税の賦課徴収権は消滅していないんだ、納付義務がないことの確認を求めた部分はしたがって却下されましたし、損害賠償請求は棄却された。
つまり、この判例からもわかるように、竹島は日本の統治下にある、法律上は。この点ははっきりしてください、外務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/67
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068・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 先ほど申しましたように、我が国の立場は、竹島は我が国の固有の領土であると申し上げております。そうして、統治権、施政権とおっしゃるならば、それは私どもはそんなものは否定しておりません。そして、我が国の施政が行われるべき地域である、こう申しております。
ただ、事実の問題として、そういった当然行われるべき我が国の施政が行われる状態になっていないのは残念だ、そしてそういった状態を解消するために粘り強く努力する、そちらが問題だ、大切なんだ、こう申し上げているわけでございます。
そして、私が御答弁申し上げましたのは、あくまで安保条約第五条の共同対処の適用範囲になるかどうかという観点で申し上げているわけでございまして、そういう点はそれを御理解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/68
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069・益田洋介
○益田洋介君 この話だけしていても時間がもったいないんですけれども、最後に一つ、領土という観念がございます。これは英語で言うとテリトリー。主権のことです。国際法上、領土の変更は割譲、併合、先占によって行われるわけです。国際法上の先占、これはオキュペーションと言っていますが、他国の国家の機関によって行われ、領土権取得の意思表示と現地における実力の樹立があると先占が成立する。これは今のままでいたら領土が移転しちゃうんだ。これが問題だと言っているんです。
最後に、総理にお尋ねしますが、先日、ウィリアム・ペリー前国防長官が見えて、八日に内幸町でインタビューに答えた。日米両国間が進めている日米防衛協力のための指針、ガイドラインの見直し作業に関連して、中東からのシーレーン、海上輸送路は日米両海軍による共同作業の対象である、こういうふうに明言している。この点についてはいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/69
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070・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 新聞で報道されておりました御指摘のペリー前国防長官の発言、これは私は正確に内容を存じませんので、それ自体へのコメントは控えたいと思います。
その上で、今ガイドラインの見直し作業の中で、日本周辺の地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合における日米協力のあり方につきまして、生じ得るさまざまな事実、事態を想定しながら検討を行っております。
現時点におきましてその具体的な内容についてはお許しをいただきたいと思いますけれども、先般来お答えを申し上げておりますように、このガイドラインの見直しの問題というものは、国民の皆様の御理解を得ながら進める必要のあるものでありますし、当然ながら国会でも御論議をいただく場があるという性格のものと考えておりまして、五月中旬以降、作業の状況のしかるべきときに、そのときまでの進捗状況と検討内容を公表させていただきたいと私どもは考えております。
さまざまなケースを想定していく、このガイドラインの見直し作業の中間報告をいたしますと、逆に今度は、それに加えてこういうケースはどうかという御指摘を受ける場面も多々あろうかと思います。最終的にはそうした国民的な御意見というものをその中に我々としては盛り込んでいきたい、そのようなことを考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/70
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071・益田洋介
○益田洋介君 終わります。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/71
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072・田英夫
○田英夫君 冒頭から私ごとで恐縮ですけれども、太平洋戦争中、私は学徒出陣で海軍に入り、震洋特別攻撃隊の隊員になりました。これは船の特攻隊ですが、そのときに任地が沖縄になれば、沖縄が私の死に場所になったわけであります。大勢の戦友が死んでおります。
同時にまた、昭和四十六年、初めて参議院議員になりましたとき、最初の仕事が沖縄返還であります。同年の十一月、十二月にかけて行われたいわゆる沖縄国会が私の最初の本格的な国会でありましたので、沖縄については殊さら大きな関心を持っていると自分で思っております。
そこで、今回のいわゆる特措法改正問題を考える場合に、四つの視点があると思います。
一つは、いわば沖縄の心の視点です。沖縄の皆さんが置かれてきた過去、現在の状況、そういう中でどう対応したらいいかという問題。二番目に、法律的な視点があると思います。このことは当委員会でもいろいろな視点から取り上げられた問題であります。三番目に、外交、防衛的な視点からの立場があると思います。最後に四番目に、政治的な視点、これはかなり広い問題でありますが、例えば率直に言って保保連合というような動きもこの問題を契機にして出てきたとすれば、一つの政治的な波及の視点の中に入ってくるんじゃないかと思います。
それはそれとして、きょうは外交、防衛の視点から問題を絞って伺いたいと思います。
それは沖縄の米軍基地を縮小するということ、これがなければ最終的に沖縄の皆さんの心を満たすことができないことは明らかでありますから、外交努力によっていかに米軍基地を縮小できるかという、これは与野党を通じ、あるいは国民の皆さん全部の大きな関心であり、また課題であると思います。
そこで思い出すのは、今米軍基地が沖縄に置かれているその根源は言うまでもなく日米安保条約であります。日米安保条約は、昭和二十六年のサンフランシスコ平和条約締結のときに、同時に当時の吉田茂首相の署名によって結ばれたというところから始まりますが、サンフランシスコ平和条約が締結されて十年後の昭和三十七年に、私は新聞記者として、もう総理をやめておられた、リタイアされていた吉田茂さんを大磯のお宅にお訪ねしてお話を聞く、そういう機会がありました。
そのときに吉田さんが言われた言葉は非常に私の印象に強く残っているんですが、当時、全面講和ということがあったけれども、あのときの国際情勢の中で全面講和なんということはあり得なかったんだ、社会党の人たちはずるいよという言葉をそのときに言われたのを今も覚えております。確かに全面講和ができればそれにこしたことはない、しかしアメリカを中心とする自由陣営とソ連を中心とする社会主義陣営が鋭く対立して、その年まで実は朝鮮戦争が火を噴いていた、そういう状況の中で全部と講和を結ぶということはあり得ないじゃないか、私は自由主義者だから自由陣営に身を投じたらいいと思ったんだ、こういう大変率直なお話があったことを記憶しております。それから日米安保条約が始まった。経過はいろいろありましたけれども、これが根源であることは間違いない。
では、今の世界情勢を見たときに、吉田さんが言われた両陣営が鋭く対立していたという構造は明らかに変化をしている、いわゆる冷戦構造の崩壊という状態になっているわけです。
私は冷戦構造の崩壊を考えるときにきっかけとして大事なのは一九七二年という年だと思っております。つまり、一つはニクソン訪中です。そして、田中総理、周恩来総理のいわゆる日中国交正常化の実現、三番目に実は沖縄返還があるわけです。もちろん、このアジアの周辺では、世界を驚かせた南北朝鮮による七・四共同声明というのが出されたのもこの年であります。これはもちろん実りませんでしたけれども、これはまさに資本主義か社会主義かというイデオロギーの対立が政治の中では今後それまでよりは大きな価値は持たなくなってくるという、その前兆だったと思うんです。
そこで、朝鮮問題に具体的に触れていきたいと思います。
今、南北ともに国連に加盟しているという、かつては想像つかないことが実際に起こっています。もう一つ、余り皆さんお気づきになっておりませんが、北朝鮮は実は非同盟諸国会議に参加をしている。あの東西対立の時代に実は入ったわけですが、ソ連の社会主義陣営にいたんじゃないんですね、構造上は。この問題。しかし、現実に世界でただ一つイデオロギー対立という状態が鋭く残っている、いわば世界の動きから取り残されてしまった場所だという、このことは私は悲劇だと思います。
そこで、日本はといいますか日本政府は何とかしてこの南北対立という状態を解きほぐす努力をすべきではないかと思いますが、総理、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/72
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073・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 朝鮮半島に不安定な状況が継続をしていること、そしてその一方の当事者との間に正常な国交が開かれておらないこと、これは日本としても当然のことながら意識し、この状態を改善するための努力を怠ってはならない対象であると思います。
その上で、現時点におきましても、例えばKEDOの問題でありますとかあるいは人道支援といった形での対応というものは我々も努めてまいりました。しかし、例えば金韓国大統領、クリントン米大統領が呼びかけた四者会談の提案、これには中国と当然ながら北朝鮮が入る、これに対しましてもようやく共同説明会が開催されるというところまで、そういう動きまで見えてはきております。しかし同時に、依然として従来よりも少し兵力の展開規模は大きいわけです。そして、軍事境界線を挟んだ兵力対峙の状況は変わっておりません。
私は、不確定な情報をもとにしてこういう議論はすべきではないと思います。しかし、その上で、日朝正常化交渉というものが外交ルートによって、これは国会側の御協力を得て始まったものでありますが、始まって数回目かに特定の日本人と思われる女性の存否をめぐって中断をいたしました後、政府レベルにおける交渉というものはごく低いレベルで、この糸を切らないように私は努力を続けておりますけれども、大きなものになる状況ではありません。
さらに、このところ本院においても何遍か御論議をいただいておりますように、一定の時期の間に消息を絶っております日本人、年齢の幅も多少幅があります。確認されております方、もう一つ確認ができていない方がありますけれども、少なくとも六件九人という方々に対し、北朝鮮に拉致されたのではないかという疑いがかかっており、それに対する答えを、それが真実でないならないというその証明を、答えを求めなければならないという状況にあることも事実であります。
しかし、繰り返して、例えばKEDOに対して我々はその理事国として積極的に取り組んでおりますし、そういう努力はこれからも必要なことと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/73
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074・田英夫
○田英夫君 今、総理も言われたKEDOの問題あるいは北への食糧援助の問題、そしていわゆる四者会談の問題、これを見ると、アメリカ政府はこのところ非常に積極的に取り組んでいると思います。
実はきょう、日本時間のけさ、ニューヨークのいわゆる説明会で北朝鮮が四者会談について回答をするのではないかという期待があったわけですが、先ほど外務省に確認をいたしましたら、これは十八日に延びたということでありますから、まだ四者会談の実現についてはわかりませんけれども、いずれにしても総理が今言われたこと、一部を除いて私も同感なんです。
そこで、朝鮮半島の問題の中でもう一つ、北朝鮮の態度というのが実は極めて不透明であるということは私も事実だと思います。私自身、何度か北朝鮮を訪ねております。しかし、にもかかわらず不透明な部分が非常に多いという国でありますが、最近一つの情報といいますか、事実があります。
三月十一日に、まさにアメリカとの話し合いのために金桂寛という北朝鮮の外務次官がワシントンで講演をしまして、冷戦の終結は思想やイデオロギーに基づいた国家関係ではなく利害に基づいた国家関係をもたらし、国家関係において今や永久の敵もいなければ永遠の友もいないという状態になったと思う、こういう発言をしているんですね。これは従来の北朝鮮の主張やイメージからすると、大変大きな変化だと思います。つまり、北朝鮮は依然として南、韓国を見ながらイデオロギー対立ということを、いわゆるチュチェ思想を振りかざして対決の姿勢をとり続けてきていたその外務省の高官がこういうことを言い出した。
こういうものはやはり見逃さずにいた方がいいのではないかと思いますが、北朝鮮の最近のこの動きというものを外務大臣はどういうふうに見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/74
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075・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) ただいま御指摘になりました金桂寛副部長のコメントにつきましては、私も正確にそれを承知しておるわけじゃございませんので、直接どうこう申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、全般的に申しまして、委員御指摘になりましたように、北朝鮮はああいう体制でございますし、非常に情報がとりにくいということもある。それから、いろいろな立場なり方針の表明にいたしましても、他の国に比しまして表面に出ましたものからは非常に読み取りにくい面があるというのは事実でございます。それだけに、逆に申しますと、小さな変化に対してもよく目を凝らして、変化あるいはその兆しを的確に認識していく必要があるという点は私も同感でございます。
そういった上に立ちましてお答え申し上げますと、確かに最近の北朝鮮のいろいろな場における動きなり姿勢というものには、先ほど申しましたような変化の兆しといいましょうか、あるいは兆しを予感せしめると見られないこともないという程度のものが感じられるということは事実でございます。
それは、委員も御承知のとおり、今の北朝鮮の状況というものを考えてみますと、経済社会的には大変困難ないわば切迫した状況にあると見られます。そして、世界がこれだけ大きく変わる中で、いつまでもこれまでのようなイデオロギーを中心にして、それですべての国家としての行動を決め展開していくというやり方が限界に来ているということも、当然指導部でも認識はせざるを得ない状況にあるんだと思います。
そういったことを踏まえまして、あの国があるいはあの体制がこれからもみずから継続しようとするならば、やはり国際社会との関係に何らかの変化をもたらさなくちゃいかぬという認識はあるんだと思います。それがむしろはっきりした行動としてあらわれているのがKEDOのプロセスであり、あるいは今いわゆる四者協議についての北朝鮮の姿勢からうかがえるところだと、こう考える次第でございます。
日本といたしましても、正常化の問題はもちろんございますし、近い地域でございますので、我が国にとりましても大きな関心もあり、また利害も存する地域でございますから、そういった北朝鮮の変化あるいは変化の兆しというものはよく注目しながら、我が国としてどういうふうに対応していくか。これは関係する国々、とりわけ韓国、米国等ともよく情報の交換なり意見の交換もしながら我が国として適切に対応してまいりたい、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/75
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076・田英夫
○田英夫君 外務大臣のおっしゃった小さな兆しをということをぜひ外務省はやっていただきたいと思います。
問題は、要するに沖縄に米軍基地が集中しているというところに問題がある。外国の軍隊の基地があるということ、これはまさにその国の国民にとってはうれしいことではない。
私の体験ですが、一九八七年だったと思いますが、東ベルリンで東ドイツ主催の核軍縮の国際会議がありました。私も出席をしたんですが、当時の社会党の、もう委員長をやめておられたかもしれませんが、石橋さんも一緒に行かれました。そこで東ドイツの人たちと話し合っている中で、実は我が国には三十五万のソ連軍が駐留している、これは我々にとって決して愉快なことじゃありませんよということを一人の東ドイツ人が言いました。私はすぐに沖縄のことを思ったわけでありますが、それはどこの国だって愉快なことではない。
その一つとして例えばフィリピンの例を、これは例だけ申し上げておきますが、御存じのとおり、フィリピンのクラーク、スービックという空、海の両基地が一九九一年にアメリカから返還をされた。
そのいきさつを見てみますと、私も実はフィリピンの上院の友人に招かれて行って、その反対運動そのものを見てきた経験があります。簡単に言えば、ちょうど一九九一年で米比基地協定の期限が切れた。当時のアキノ政権は、これをアメリカとの交渉で十年延長するという協定を結んで、この批准を求めて上院に提出した。フィリピンの上院というのはわずか二十四人なんですね。サロンガ上院議長、この人はマルコス疑惑の追及をしてその追及の委員長になった人ですが、いわばアキノ与党と言っていい人でありますが、自由党の総裁でした。この人が中心になって、実は上院の採決の結果、この延長協定を否決してしまったわけです。
これで実はフィリピンの米軍基地というものは返還せざるを得なくなったといいますか、そういうことになったわけです。もちろん、そのときの国際情勢の変化が直接あります、まさに冷戦構造が崩壊し始めたときですから。ベトナムにあったソ連のダナンなど、あるいはカムラン湾の海軍基地、これから全部ソ連は引き揚げた。これに対置してフィリピンの基地があったわけですから、そういうことが可能な情勢になったということはありますけれども、いずれにしてもこれは一つの例として私どもの頭のどこかにあっていいことじゃないかと思います。
次に、非常に重要な問題として中国との関係があります。実は私は今週末に北京で開かれますアジア太平洋の平和・軍縮・共生のための国際会議というのに出席をするつもりでいるんですけれども、中国がこの会議に、アメリカの共和党でかつて国防長官をやったラムズフェルドという人を、皆さん御存じと思いますが、招いております。中国は今やそういうところまで来ている。
こういうことでありますが、中国の最近のそういう意味の国際情勢に臨む態度の変化というものを、外務大臣、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/76
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077・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) 中国は政治の運営あるいは政策展開する上におきましてどういうプライオリティーを置いているかと考えますと、基本的にはやはり改革・開放路線を推進することにより国民生活の向上を図っていくということ、このことを最も大切にしているんじゃないかと思います。
しかし、それを実現していくためにも、やはり国際社会が安定していることは必要でございますし、それだけではなくて、国際社会とのいろいろな連携協力、場合によっては日本あるいは米国等々からの技術あるいは資本といったようなものの協力も大切であると考えておると思います。そういったこともございまして、中国もいわゆる安全保障と申しましょうか、そういった分野におきましても極力アジア太平洋の地域あるいは中国が隣接するロシアその他との関係においても安定した状況を望んでいる、基本的にはそうだと思います。
そういったあらわれが、例えばロシアとの関係で申しますと、今月末には江沢民主席が訪ロされるとお伺いしておりますけれども、その際に、カザフスタンその他の中央アジアの国も含めながら、あの地域の安定のために、あるいは軍備の縮小のためにいろいろ相談をし、新しい協定を結ぶんじゃないかということも報ぜられているのは委員御承知のとおりでございます。
特にアジア太平洋、こちらの、我々日本もかかわる方について申しますと、二国間の関係でも安全保障の面でもいろいろ対話を進めようという姿勢があらわれておりますし、極めて典型的なのはASEAN地域フォーラムにおける中国の参加のあり方だと思います。従来は、どちらかと申しますと、そういったフォーラムに参加いたしましても、中国自身の利害に直接関係してくるような、触れてくるような問題については明確に主張いたしましたけれども、地域の安定全体を求めるという点につきましては余り目立った発言はなかったというように見受けられました。
しかしながら、昨年あたりからそういった面でも積極的に発言されるようになり、そして具体的に申しますと、あの中に信頼醸成のためのワーキンググループがございます。日本とインドネシアが従来共同議長としてかなりの成果を上げていたわけでございますが、それを中国が自分が次から引き受けようじゃないかと、こう言いまして、現在フィリピンと共同議長を務め、先般北京でその会合も持たれたところでございます。
そういうふうなこともございますし、二カ国間でも、先ほど御指摘になりましたが、政府間におきましても、例えば米国との間で安全保障の問題についても議論しておりますし、日中間におきましても、私も先般北京へ行ってまいりましたけれども、もちろんそういった地域の国際情勢、そして安全保障の問題についてもいろいろ話をしてまいりました。
さらに、最近の進展で目立ったことを申しますと、三月でございますが、局長レベルにおける日中安全保障対話というのを行いまして、数時間かけまして、七時間だったですかな、そしていろいろ突っ込んだやりとりもいたしました。例えば、中国は日米安保体制のあり方について心配を表明されたということもありましたけれども、そんなものじゃないんだぞということを我が方からるる説明し、向こうもそれには彼らなりの疑問点を提起しながら真剣にいろいろ聞いてきたというようなこと、それから逆に当方からは中国の軍事態勢、例えば軍備の近代化についての透明性を図る努力、それなりに最近見られはするがそれを一段と強化する必要性があるというようなことも率直にこちらが申し上げる、こういうこともございました。
そういった意味で、マルチの場においてもバイの場においても、安全保障の面でも中国が少なくとも対話を積極的に進めていき、そして安定化を望んでいるというのは基本であろうとは思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/77
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078・田英夫
○田英夫君 中国のことについての外務大臣の今のお話は私も全く同感するところが多いんですが、そこで一つ提案といいますか、本当に日本を中心にした世界の情勢を安定させる、これが結局沖縄の基地撤去ということに直結していくと思うので、そういう立場から申し上げたいのは、最近アメリカでも中国でも、日米中、日本、アメリカ、中国、この三カ国のトライアングルという考え方がしきりに議論をされているという事実であります。
一つ御紹介すると、もう御存じと思いますが、ドナルド・オーバードーファーというかつての著名なアメリカのジャーナリストですが、今はジョンズ・ホプキンズ大学の客員研究員という肩書で、ことしの三月に来日して日本で講演したときのことを読んだのでありますが、まさに日米中トライアングルという題で講演をしているんです。その中でオーバードーファー氏は、日米中というのは三角形なわけですが、日米関係というこの辺は非常に太い実線だ、それから米中関係というのはまだ細い不安定な線だ、それから日中の間の線は最も細くて不安定だと。このオーバードーファー氏の意見には私もちょっと異論があるわけなんですけれども、それはそれとして、この著名なジャーナリストであり国際問題の専門家がこういうことを言っている。これは注目に値すると思います。
実は昨年四月に後藤田さんが中心で、日中民間人会議という、これは超党派の議員あるいは学者、文化人、そういう方で総勢五、六十人で行ったんじゃないでしょうか、そのときの議論、それからその直後に、同じような意味で、国会議員も参加して日中懇談会という中国の国際問題の専門家との話がありましたが、このときにまさに日米中三角形論というのが中国側から出てきました。私がそれは二等辺三角形と思っているんですかという質問をしたことを覚えていますが、中国側でもこういう考え方が最近出てきている。
日米中というこのトライアングルの線をすべて実線にしていくことができるようになってくれば非常に大きな意味がある。ただし、そういうことについてはASEANを初めアジア各国に十二分の了解をしてもらっていかなければならないということはもちろんだと思いますけれども、この辺の日米中トライアングルということについて総理はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/78
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079・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨年、東京で日米首脳会談を行いましたとき、余り公表いたしませんでしたが、クリントン大統領に対し私から申し上げたことは、米中関係をもっと進めろよと。まさに今お話のありましたような日米、米中、日中、これは大事だよという話であり、今とにかく大統領選を控えてなという話だったんですが、その後アメリカは非常に努力をしてこられました。
私本人が少しへまをしたこともありまして、昨年ちょっと日中関係が一時期ぎくしゃくいたしました。しかし、先ほど議員がスービックを引用されておられましたけれども、APECのスービック非公式首脳会合、その前日の日中首脳会談である程度まで回復はできたのではないだろうかと思っております。
そして、ことしがちょうど二十五周年ということもありまして、両国の間の人の交流も政治家ばかりではなくいろいろな層での交流がふえていくであろうと思っておりますし、そうした中で中国との関係というものは私はしっかりしたものに仕上げていかなければならないと思っております。
そして、むしろ私はその三角の形をしっかりと安定させること、ASEANの了解をというお話がございましたが、実は私はことしの正月にASEANのうちの五カ国を回りましたとき、同じような考え方を述べ、その必要性を訴えてまいりました。濃淡の差はありますけれども、それに対して異論のある首脳たちはございませんでした。我々は、議員の示された方向、今我々が動きつつある方向、殊に中国を建設的なパートナーとして国際社会に受け入れさせるために中国側にも努力をしてもらうが我々もその受け入れの努力をする、この考え方は非常に共通したものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/79
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080・田英夫
○田英夫君 まさに今、橋本総理がおっしゃったクリントン大統領ともそういう話をしたんだということは大変我が意を得たという感じがいたしますが、私は戦後五十数年のこの日本の外交を中心とした動きの中で大きな決断をしたのが過去に二つあると思います。一つは吉田総理のサンフランシスコ平和条約の締結、二番目は言うまでもなく日中国交回復、田中総理のやられたこと、そして実は今それに匹敵するぐらいの大きな日本の今後の進路についての決断を橋本総理はしなければならない、される、そういう状況にあるんじゃないかとさえ私は思っております。
この沖縄問題というのは、私は本会議の質問の中でその言葉を使いましたが、日本の進路が決まるという意味で、実はその根底には今の日米中の問題あるいは朝鮮半島の問題、そういうことを含めて考えていたわけですけれども、そういう意味で例えば今言われた日米中トライアングルを構築していくんだとこの三カ国が一致してくるということになれば、これは大変大きな、何々条約を結ぶとか国交回復をするとかいうことは大変目に見えることでありますが、トライアングルをつくるというのはある場合には目に見えないかもしれません。しかし、非常に重要なことで、これを進めていくという決断をぜひ橋本総理初め政府の皆さんはやっていただきたい。迂遠なようだけれども、そういうことを進めていく、そうした外交を進めるということが沖縄の基地縮小、最終的には撤退ということに結びついていくのではないかと私は思っているわけです。
先ほどのフィリピンの基地撤去のときに、実はその中心になったタニヤーダ上院議員という若い人ですが、お父さんも上院議員でしたが、そのタニヤーダ上院議員が言った言葉というのはある意味では大変情緒的ですが、最後のアメリカ軍機が我が領空から飛び去り、最後のアメリカの軍艦が我が水平線から姿を消す情景は感動的であろうと。これはまだ反対が決まる前の演説の中で言った言葉ですが、これは沖縄の皆さんが期待していることだということを最後に申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/80
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081・齋藤勁
○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤でございます。
私自身は田先輩ほど厚みのある、深みのある、そういった体験はございませんが、自分自身の人生体験といたしまして、私自身が小学校時代まで住まいをしたところは二百メートルぐらいのところまで米軍の住宅接収地がございまして、その後何年かたちまして接収解除されましたけれども、私の母校でございます、この前甲子園に選抜で出ましたが、Y校に通うのに、もし基地があるならば相当迂回をして行かなければならなかった、そういうところに実は住んでおりました。また別に、基地の中にも年何回か開放日がございまして、遊びに行くと何かもらえるというような幼児体験も実はあるわけです。
そんな思いと、そして昨日お話しさせていただきましたけれども、この国の安全保障について根幹を揺るがすことはないことであるけれども、基地の持つ重圧、そしてまた苦しみをできるだけ和らげていかなければならないということについて、沖縄の方々の痛み、苦しみ、そのことについては自分ながらも認識をしているつもりでございます。
そういう意味で、我が会派といたしましては、今度の法改正が少なくとも国際情勢の変化ということも含めまして、そしてまた今回の法改正に至る手続的な点も含めまして、五年の時限立法であるべきだということについて、なお主張させていただく次第でございます。
さて、私は今回の論議に先立ちまして、改めて「日本の防衛」を隅々まで読ませていただきました。国際協調、平和への努力の推進と民生安定による安全保障の基盤の確立、あるいは効率的な防衛力の整備、日米安保体制を基調とする、このことを基本方針とする、あるいはこの方針を受けまして、我が憲法のもとで専守防衛に徹して、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないんだと、こういう基本理念は当然のことだというふうに思います。そして、この安保体制を引き続き基軸としていく中でシビリアンコントロールを確保していく、あるいは非核三原則、節度ある防衛力ということについても整備をしていく、こういったことについても私は認識を一つにするところだと思います。
加えて、この非核三原則と同時に、今日まで国是と申しましょうか、代々内閣で確認してまいりました武器輸出三原則に対しても、これはまた重要な事項であるというふうに思います。
まず、この基本方針について防衛庁長官にお伺いいたしますけれども、これはもうここに書いてあることなんで、そのとおりであるということになってしまいますけれども、改めてこの国防の基本方針、そしてこの原則、基本理念、あるいは武器輸出三原則も含めまして確認させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〔委員長退席、理事永田良雄君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/81
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082・久間章生
○国務大臣(久間章生君) 今書いておりますとおり、それはもう全く同じような考え方であります。その考え方はこれから先も引き続き我が国の防衛としてとられていこうと思います。
ただ、武器輸出三原則につきましては、最近いろいろ議論がございますのは、例えばカンボジア等でいろいろと地雷等の発見をして取り除いていく、それを撤去するために必要な機具まで武器輸出三原則になるのかならぬのか、そういう議論が実はございます。そういうことについては国会等の議論も経ながらいろいろと検討していく問題じゃないかというふうなこともございますが、ただいま委員が述べられましたほかの件についてはもう従来どおりの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/82
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083・齋藤勁
○齋藤勁君 後段の部分でございますが、内容的に吟味をしていきませんとなかなか論議が深まらないことは事実だというふうに思います。
ただ、私も何かオウム返しに武器輸出三原則、三原則という言葉を言うわけではないんです。これは、つい最近も対米武器技術供与についての内閣官房長官談話というのが昭和五十八年に出されておりまして、これもこのときに、少なくとも武器輸出三原則のよって立つ平和国家としての基本理念は確保していくと、さらに今後とも基本的に武器輸出三原則を堅持していくということ、そしてさらに昭和五十六年三月の武器輸出問題等に関する国会決議の趣旨を尊重していくということについて確認をして今日に至っていると思うんですが、このことについては変わらないということはよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/83
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084・久間章生
○国務大臣(久間章生君) そのようなことについては全く変わりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/84
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085・齋藤勁
○齋藤勁君 そういった前提で、国の安全を確保する手段のうち、外交の分野での努力が極めて重要であるということで、これも論を異にするということはないと思います。
外交で信頼関係を築くということは大変大切でございますが、これも前回議論させていただきました。参考人のお言葉もございましたけれども、フロントチャンネルとバックチャンネルがあるということでございますね。フロントチャンネルはあるけれども、バックチャンネル、これはいろいろ大変だと思うんです。ところが、このバックチャンネルが日本の場合、とりわけ日米で比較をいたしまして、非常に何か言葉として貧弱過ぎるんではないかというふうに思います。
これは質的に違うのかもわかりませんが、人事院が昨年の勧告のときに官民人事交流を積極的にしましようと、こういう提言がありまして、そして今改めて法制化をしなさいということについて両院そして政府に対しても提起をしています。
アメリカの場合は大統領制、そして我が国の場合は議院内閣制ですけれども、例えば国防次官補とかいろいろ政府の要職に、大学の教授だとか研究所の人とか、そういう人が政策決定者になって、そしてまた民間にと、循環という言葉が当てはまるかどうかですが、そういうシステムができている。日本の場合はまだできていないわけです。
あともう一つは、厚みとしてはシンクタンクの量もまた違うと思うんですが、これから発信をする側、議会もある、あるいは政府もある、そしてまたもちろん霞が関もあろうかというふうに思うんですけれども、やはり発信をする努力というものを私は多角的に検討していかなきゃならないんではないかというふうに思います。
そういう意味で、外務大臣、フロントチャンネルそれからバックチャンネルですね、日米で比較した場合、私はそういう人事面での違いも含めて御指摘させていただいているんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/85
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086・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) まず、米国の社会であるいは日本の社会でどういうふうに、ソーシャルモビリティーと申しましょうか、いろいろな職をどういうふうにかわるかという点は随分違うんだと思います。日本の場合は、最近随分変化があるとは申しましても、基本的に終身雇用制というのが中心になっておったところでもございます。それから、政治の観点から申しますと、アメリカではいわゆるポリティカルアポインディーの制度なんかもございます。
そういうこともございまして、確かにこれは安全保障とか外交に限定されたわけじゃございませんけれども、米国の場合には政府関係者、政府の政策決定の責任ある立場につく方が学界であるとかシンクタンクであるとかビジネスの世界から来られるということ、あるいはまた逆の流れということも日常的にあるというのはそのとおりでございまして、日本の場合はそういったところが非常にまれであるということは御指摘のとおりだと思います。しかし、そういった中でも、極力いろいろな形での交流、意見の交換を通じまして民間の意見等も反映されるように努力をしていることは御承知のとおりでございます。
それから、国をまたぎましたいわゆるバックチャンネルをどうかという点でございますけれども、そういう点につきましても我々は我々なりに努力しているつもりでございます。例えば日米間でも、安保条約に基づきますSCCだとかSSCだとか、そういったきちんとした政府間の協議の仕組みはもちろんございますが、そのほかにも民間でもいろいろなチャンネルがございます。それから、多国間でもそういったものもございます。それから、シンクタンクもまだ米国に比べてというお話がございましたけれども、しかし世界的に見ますと我が国のシンクタンクも最近随分大きな役割を果たせるようになってきたと思います。
そういったものを踏まえまして、今シンクタンク問での外交あるいは安全保障問題についてのいろんな対話の場というのが多国間のものも含めまして随分ございます。それは外務省とも関係がございます国際問題研究所なども積極的な役割、場合によってはスポンサーなんかもやっておりまして、例えば日米韓の対話の場であるとか、日米中あるいはロの間のものであるとか、あるいは北東アジアについてのフォーラム、これは北朝鮮にも入ってちょうだいよと言っているんですが、それは実現しておりませんが、日、米、中、ロ、韓の間でのシンクタンクベースでのそういったいろんな意見の交換というのはかなり頻繁に行われておるところでございます。
〔理事永田良雄君退席、委員長着席〕
また、そのような性格のフォーラムには我が国の外務省あるいは防衛庁といった安全保障問題に責任のある立場におります者が個人の資格で入っている、他国も同じような資格で入っている、そういうふうなものもございまして、委員がおっしゃいましたいわゆるバックチャンネルにつきましても最近いろいろな努力はしておるところでございます。今後とも努力は続けてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/86
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087・齋藤勁
○齋藤勁君 私も、ただいま外務大臣から御答弁いただきましたアジア太平洋地域における安全保障対話あるいは防衛交流について政府から資料をいただきまして、二国間あるいは多国間の実績について見させていただきました。とりわけ、大変私が重視をさせていただきますのは、民間主催ですけれども、北東アジア協力ダイアローグが目についたわけでございます。今も外務大臣からお話がございましたけれども、残念ながら北朝鮮が加わっていないということであります。既に六回ほど開催をされているということでありますが、ただこれは率直に言ってなかなか外に出てこなくて、私どもわからないですね。資料をいただいて初めてこういうのはということなんで、そういう意味ではもっとこれを発信していただきたいということと同時に、もっとこれが豊富化するということ、またこれだけじゃなくたっていいわけですから、そういう意味でいけば、私は防衛庁の予算がどうのこうのと今云々するつもりはございませんし、外務省の予算も云々するつもりはございませんが、やはりこの対話関係、防衛交流、信頼醸成については積極的に進めていくということを私は訴えさせていただきたいと思います。
そこで、北朝鮮のいわゆる脅威ということがずっとこの間話されておるんですが、私はとりわけこの四者会談、そしてロシア、日本も入っての六者会談、南北そして米中だけでなく六者への枠組みというのを展望すべきではないかというふうに実は考えているわけであります。
この枠組みが発展をしていくならば、南北間の信頼関係というのは、信頼醸成が進むことによって、双方の部隊の移動、演習についても誤解を与えないための事前の通報を取り決めていこうではないか、あるいは突発的な事態が生じたときに緊急協議のためのホットラインがあった方がいいんではないかとか、あるいは先制攻撃をしませんよという約束があってもいい、そういうことの取り決めというのはこの信頼醸成がどんどん進むことによって可能になっていく。そうすると、いたずらに何か危機ということでの軍事衝突なりそういったことが回避できるというふうに私は思います。
いずれにしましても、大規模な攻撃というのが行われる可能性は極めて小さくなるわけでありまして、そのことを条件とするならば、緊急突入用の師団、今回私はずっと海兵師団のことを話させていただいていますが、サポート部隊を前線に近い日本に配置していくという条件は著しく低減していくのではないか、これは仮定の話をしているわけですけれども、そういう展開というのをとっていくべきではないかというふうに思っております。中国あるいは台湾についても同様な展開があろうと思います。これは見解として述べさせていただいておきます。
そこで、きょうの新聞各紙ですが、私は読売新聞一紙だけコピーをとったんです。田議員からもお話がございましたけれども、米朝韓の四者協議のニューヨークからの発信がございます。とりあえず一つだけ提起させていただきますが、食糧支援の問題なんですね。
食糧支援がこの四者協議受け入れに導く重要な材料になっていくということで、いずれにしましても米側の方は食糧支援というのは絶対的に必要なんだということでこの交渉の先行きには全体的に楽観をしているし、食糧支援については前向きに米側の方は考えていくということです。
もう一つ、この記事なんですが、外務省のアジア局長の加藤さんが昨日のある会議で、日本人拉致疑惑や日本人妻問題があり、日本人の人道も侵されているおそれがある、あるいは援助が軍部に渡り一般国民に届かない可能性があるということで、食糧援助問題について、人道的支援にすぐ流れる情勢ではないという報道がございます。政府として協議をしてこういうような態度が出されているのかどうかということがまず私がお尋ねしたいことの一つです。
それから、この疑惑問題については、私は解明しなきゃならないというのは当然のスタンスだというふうに思います。そしてまた、何よりも、一般国民に行かないなんということについては何のための食糧支援なのかということにもなります。ただ、これは我が国だけではなくてアメリカにも当然そういう疑念はあるのではないかというふうに思います。ということで、食糧支援ということについては人道的立場に立つということ、そして日本は米国とのチャンネルもそうですが、何か後からついていくみたいな気がどうしてもしてならない。やはりここら辺で独自の、中国からも情報交換というチャンネルがあってもいいと思いますし、日本が先に何かを発信していくというようなそんな努力があってもいいと思います。四者協議が何かおくれてしまうというような、そしてまた六者協議に入っていかなきゃならないというそんな思いを含めて、気になる点がございます。
お尋ねする点は、政府としてこの人道的支援に直ちに同調しないということを含めましてお伺いしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/87
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088・池田行彦
○国務大臣(池田行彦君) まず、四者協議だけではなくて日ロを含めた六者協議というお話がございましたけれども、四者協議というのは、御承知のとおりかつて行われました朝鮮戦争、これの後始末が最終的に確定した姿になっておりません。休戦の約束はできておりますけれども、それを最終的にきちんと確定できていないわけでございます。
そういったこともございますので、あの戦争に直接かかわった当事者でございます南北、そして米国、中国というもので協議しよう、そういうことで行われているということでございます。事柄の性格上、我が国そしてロシアも朝鮮半島の安定には当然関心がございますし、果たせる役割もあるわけでございますが、このことについては四者でやる、こういう性格のものだというふうにお考えいただきたいと思います。
そして、こういった四者の協議が進展していきますならば、将来的にまたいろいろな国際間の協力もあり得るのだと思います。そういった話は、実は私どもも各国との間で何度も話題にはしております。現時点ではそういうことでございます。
それから、食糧支援の問題でございますが、新聞報道はともかくとして、これも四者協議とは事柄の性格上は分けて考えていただきたいと思います。今話題になっておりますのは国連機関、WFPであるとかあるいは国連人道問題局、そういったところが人道的な観点から食糧支援をすべきであるというアピールを出している。それに対してどういうふうに対応するかという話でございますが、これにつきましては、当然のことでございますが、各国それぞれにいろんな事情がございます。
人道的な見地からこれをどう考えるかという点については共通項がございます。それからまた、朝鮮半島の安定を考える上でそれがどういう意味を持つかという点につきましても、各国、とりわけ日本と韓国、米国の間では共通の認識はあるわけでございます。そういった大きな意味での共通認識の上に立って、しかしながら各国それぞれにまた個別の事情もあるということは委員も御指摘になったと思います。
そういったことで、情報の交換、情勢の分析あるいは意見の交換はいろいろ進めながら、決定自体は各国独自の自主的な判断でするわけでございまして、そういった中で、我が国といたしましては、人道的な観点はよくわかっておる、それから半島の安定を望むという立場、あるいは戦略的な観点と言ってもいいかもしれませんけれども、そういうことも当然あります。それから、事情として大変窮迫しているということはよく承知しておりますけれども、そういったことを踏まえながらいろいろ検討を進めているということでございます。
その際に、いわゆる拉致疑惑の問題あるいは日本人妻の問題等もございます。そういったものが直接これにかたく結びつく、リンケージがあるとは申しませんけれども、しかし人道的な観点でいろいろ支援するのならば、こちらの方についても何か解明あるいはできれば解決、そういったことについて、日本政府が努力するのはもとよりでございますけれども、かかわりがあるのじゃないかと言われている北朝鮮の方でも、もし何か果たせる役割があるならばそういったことを果たすという姿勢が見られてもいいんじゃないのか。もしかかわりが一切ないと言うのならば、そこのところを明白にしてもいいんじゃないかという気持ちが我が国の国民の中に、それはもう御家族、関係者の方はもとよりでございますが、国民の中にあるというのも当然の話でございますので、これは直接のリンケージではないとしましても、そこのところはいろいろ総合的に勘案していく一つの要素になるということはあり得るんだと思います。
それからまた、現実にその支援が行われた場合に、それがどういうふうに配布されるかということですが、これは一昨年あるいは昨年、我が国も支援いたしました。そのときに、国会におきましてもいろいろ御論議ございました。人道的な観点からやっているんだけれども、本当にそういうふうにいっているのかということもございました。そういった透明度、現実に適切に配布されることはもとより、そのことが明らかになるというふうな点についても一層の改善努力が必要だということは、我が国だけではなくて各国も共通の認識でございます。そんなこともいろいろ考えてまいりたいと思います。そういったことをいろいろ勘案しながら、我が国としての対応ぶりは慎重にかつ真剣に今検討しているところでございます。
何か追随するとかいろいろ言われますけれども、報道の中でそういう言葉が踊るというのは報道の自由でございますからやむを得ませんが、これはいろんな状況を勘案しながら、政府として行うか否か、行うとしてもどういう手法か、あるいはどういう量なのか、あるいはまたどういうタイミングなのかということは、先ほど申しました関係各国ともいろいろな考え方のすり合わせ等はいたしますが、我が国独自の判断において決定するというのは当然のことでございます。
そして、年によりましては我が方が先行したこともございます、あるいは物量的にも多かった例もございます。ことしの我々の検討が現在のような状況にあるというのは今いろいろ申し上げました。申し上げればまだ幾らでも事情がございますが、そういったことをいろいろ考えているんだというふうに御理解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/88
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089・齋藤勁
○齋藤勁君 外務大臣はもう本当に能弁で、改めて認識しました。前回も言いましたけれども、本会議でもう少し発言してほしかったなというのを今思いました。
先日、我が会派の本岡議員がおしまいの方でいわゆる地位協定とボン補足協定の話を出しました。総理は、初めて見たのでというので、補足協定は非常に細かいんだなと、否定的ではないんですが細かいですねというのが多分率直な感想だったと思うんです。
それで、私も日米地位協定、それからNATO軍地位協定・ボン補足協定というような大変長文のものを見て比較しているんですが、例えばボン補足協定のみに規定されている主な項目として、防疫とか環境保護、それから非刑事訴訟手続あるいは訓練と、これまた話しているうちに長くなっちゃうのですが、こういうのがあるわけです。
このボン補足協定に関連いたしまして、これの改定に動き出したきっかけが、一九八八年の八月にドイツの西南部のラインラントファルツ州にあるラムシュタイン米軍基地で行われましたいわゆる航空ショー、これは毎年行われているんですが、航空ショーを見物に集まってきた二十万人を超す観客の頭上でアクロバットチームの三機が空中衝突をして死者三十人以上を出し、四百人以上の人々が重軽傷を負った、こういう大惨事がございました。これは前段もずっとあるんですが、一挙に国内で改定の動きが高まったということであります。
これは予算委員会の一般質疑でもお話をさせていただきましたし、所属する内閣委員会でも時間のある限り話をさせていただきました。日本の中で横田、嘉手納、大きな基地がございますが、神奈川にも厚木基地というのがございまして、毎年、ことしの場合六月二十八日から航空ショーがあるんですね。ところが、県知事、周辺の市長さんも含めて全部これはもうやめてほしいという話をしましたら、この前の御答弁では、米軍はアクロバットはやらないけれども展示飛行はやるよと、こういうことなんですが、この中身がどうなっているのか、展示飛行ということは。展示飛行そのものが問題なんだという地元の意向がまだ政府の方に伝わっていないのかななんということで、私自身も実はおしかりを受けました。事故はあってはならないことですし、向こうも起こすつもりでやってはいないと思いますが。
いずれにしても、この航空ショー、地元の人が喜ばないのを続けるということについては日米関係にとっても極めてよくないということで、これは外務省のお役人の方々にもお話をしていたことなので、こういうことをたまたま日米地位協定、ボン補足協定の中身ということより、きっかけとして提起させていただきまして、お話しさせていただきました。あってはならないことでありますけれども、大惨事があっては困るという神奈川県民の危惧と、事実上いつもNLPで騒音で悩んでいるのに、なぜそこでまたやるんだといういたたまれない気持ちが集積をされていますので、ぜひこれは中止に向けまして政府として努力をしていただきたい。
それから、あわせてこの地位協定につきまして、自治体のかかわり方というのがあるわけでございます。日米合同委員会というのは政府の組織でありますけれども、実際今回の、この間もそうです、これからもそうだと思うんですが、自治体の役割というのは住民との窓口として大変重要なわけであります。そして、さまざまな問題につきまして地域住民から自治体が受けて、そして外務省なり防衛庁、防衛施設庁、そして米軍とやりとりがあるんです。例えば消防の問題にしても、これからの災害の問題、地震の問題、さまざまあるんですが、これは私、今短い時間の中で法的整備をしろということについてまだそこまで主張するつもりはないんですが、地方自治体と実際に協約をいろいろ結んでいることもあるわけですね、消防協約とかなんかで。
今後こういう方向で米軍と地方自治体の間の直接的関係の拡大が望まれるというふうに思います。基地を持つ自治体としては、そういう意味ではその方が安心だと、地域住民にとって。そしてまた、在日米軍のそこの司令官とかなんかについても、自治体があるからこそ私たちはそこで今仕事ができるということについて非常にまた安心しているわけですね。ですから、ここはルールが今ないわけですよ。法律的にはルールがないことを実際に協約としてやっているということなんで、この自治体の直接的関係ということについて今後やはり考えていかなきゃいけないのではないか、積極的に政府としても研究をしていかなきゃならないというふうに私は思っているところであります。
大きく言って二つ提起させていただきましたけれども、航空ショーの問題と地方自治体の役割について、御答弁はどこになりますか、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/89
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090・折田正樹
○政府委員(折田正樹君) 前段の厚木基地の開放日におきます米軍の航空ショーの問題でございます。
この行事は日米友好親善を目的として行われているということで毎年多くの方々が観覧されておりますが、他方で飛行ショーの開催に伴う周辺住民の方々の御負担ということにも十分配慮をする必要があると考えておりまして、地元住民の方々の御要望につきましては在京米国大使館を通じて米側に伝達しているところでございます。
米側も危険を伴う曲芸飛行については自粛しているということを言っているところでございますが、今後ともいわゆる飛行ショーのあり方については引き続き米側と話をしていきたいと思います。
それから、後段の米軍と周辺住民との関係の話でございますが、最近、地方公共団体と米軍との間で積極的な関係を持ちたいというお話は我々も伺っております。私どもはこれは基本的には前向きにとらえていいのではないかというふうに考えておりまして、例えば委員が今おっしゃいました消防の問題等があろうと思います。
そして、在日米軍が運用上許される範囲で可能な限りこういうことに対応していってもらえれば非常によろしいのではないかということで前向きに対処しておりますが、どういう方式でやればいいのか、それから現地の米軍がどれほどの権限を持っているかという点もございまして、いろいろ検討しながら米側とも協議していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/90
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091・齋藤勁
○齋藤勁君 ここはよく議論に出てきます分権推進委員会との関係もあるんですけれども、これは大変長い間、五十数年にわたりまして、今も基地があるところ、過去に基地があったところ、それぞれに大変な思い、苦労をして今日まで一つの到達点に来ているわけでありまして、これから日米関係を基軸にしていくということ、そして私どもは将来的に信頼醸成、さまざまな対話をしながら国民の生命、財産を守っていくということは基本的には必要ですけれども、やはり沖縄と同様に、全国にあります基地につきましても整理、統合、縮小という基本方向というのがある。
そういう中での現実的な苦労というのを自治体がしょっているわけですから、日々自治体と政府との関係についてコミュニケーションをぜひとっていただきまして、遺漏のないような施策をとっていただきたいということを要望させていただきたいと思います。
残り時間が本当にわずかになりましたけれども、例えばこれも沖縄にも関連することですし、全国の基地にも関係いたしますので、一点だけ申し上げさせていただきます。
昨年十二月、日米合同委員会で承認されました「合衆国の施設および区域への立ち入り許可手続きについて」というのがあります。今まで立ち入りに対してはなかなか難しかったんですが、私自身も書類を見ていますが、一つのルール化はできたと思うんです。実際にこの制度を使って申請をしたら立ち入りを拒否されたという事例があって、これは内容的にはあるのかもわからないんですが、市民の側が、これは横須賀の市会議員なんですけれども、行って手続をしたらだめだったと。だめなのは最初からだめなように例示をすればいいわけで、あたかも新しい制度ができたというのに実効を伴わないではないかということになるわけなんです。これは浦郷倉庫地区です。いわゆる劣化ウラン弾が使用されているのではないかという疑義がある、別に劣化ウラン弾を見に行っているわけじゃないんですけれども。
そういう意味では、制度はきちんとすべきであるというふうに思いますが、答弁ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/91
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092・折田正樹
○政府委員(折田正樹君) 今のお話は、多分、横須賀米海軍の浦郷倉庫地区、これは弾薬庫の地区でございますが、そこに劣化ウラン弾使用の問題で市民グループの方々が施設の立ち入りの申請をした話だろうと思います。
委員御指摘の昨年十二月二日の日米合同委員会合意というのはいろいろ手続をきちっと定めてあるわけでございますが、立ち入り許可手続をすれば必ず施設・区域の立ち入りが許可されるということでは必ずしもございません。米側の部隊防護の問題とか、施設・区域の運用を妨げるようなことがあれば、米側としては立ち入りは勘弁してくれということはあり得ることでございまして、無条件に立ち入りを許すというものでは必ずしもございませんので、そのところは御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/92
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093・吉岡吉典
○吉岡吉典君 きようで委員会の審議終了、採決を強行し、さらに本会議への緊急上程ということに日本共産党は強く反対するということを最初に申し上げておきたいと思います。
日弁連の鬼追会長は、政府が本法案を閣議決定した三日、談話を発表して、この法案は極めて違憲性の強い改正と評価せざるを得ないと述べ、国会においては各党が慎重審議をなすよう強く要望しております。沖縄の大田知事も、憲法の理念を十分尊重して慎重かつ十分な審議を尽くしてもらいたいという要望を表明しておられます。
こういうことから見ても、法案に対する一層徹底した論議が行われ、解明し尽くす、そういう責任が国会にあると思うからであります。その上で質問を行います。
まず最初に確認しておきたいことは、この法案提出の目的についてであります。
総理を初めこれまでの審議での答弁、あるいは私どもがいただいているいろいろな資料によれば、沖縄で米軍基地の期限切れが想定される、あるいは却下が想定される、そういう事態に備えて、米軍基地が中断することなく、また日本の権原に中断がなくこれを提供することを保障しよう、こういう目的に沿うものだというふうに言われてきていると思います。
総理、間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/93
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094・久間章生
○国務大臣(久間章生君) 御承知のとおり、我が国は日米安保条約に基づきまして駐留しております米軍に対して施設・区域を提供しなければならないわけでございます。
ところが、現に沖縄におけるああいう事例を見ましても、五月十四日までに期限が切れてしまって十五日から無権原になる、そういうおそれが生じております。そういうことで、これから先のものも含めまして、今後こういうような収用委員会の裁決がある間に期限が切れるということになりまして、日本が対外的にも大変信用を失墜する、その他義務を果たせなくなるということは大変なことなので、今度法律を改正することによって暫定使用という制度をつくらせていただきたいということでこのように提案したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/94
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095・吉岡吉典
○吉岡吉典君 ともかく、どんなことがあっても在日米軍への基地提供を保障するための法案だということであります。
そして、防衛庁長官から今説明がありましたように、米軍用地については、使用期限が切れても防衛施設局長が収用委員会に裁決の申請さえすれば強制使用が続けられる、収用委員会の裁決がなくてもあるいは収用委員会が却下の裁決をしても、暫定使用の名で強制使用を続けられるようにする、そういうことですね。再度確認願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/95
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096・久間章生
○国務大臣(久間章生君) 収用委員会の裁決は必ずあるわけでございまして、それまでの間、暫定使用を続けるという制度でございます。
なお、収用委員会が却下の裁決をしました場合には、法律に基づいて審査請求する手続が残されておりますから、そういう一連の手続が完了するまでの間は暫定使用を行わせていただきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/96
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097・吉岡吉典
○吉岡吉典君 これまでの答弁でも明らかですけれども、沖縄県民の動きに対抗してとられる法的措置だと、こういうことだと思います。沖縄県民、とりわけ反戦地主を中心とする地主の基地返還の要求を法律上実現しないようにして、米軍基地の提供を法的に保障しよう、そしてそのために暫定使用という名前で基地の使用が継続できるようにするということですね。私はそのこと自体が公正中立の独立機関である収用委員会の権限を形骸化することだと思いますし、我が党が言い続けてきたことでもあります。
そこで、私は収用委員会の機能、権限について幾つかお尋ねしたいのであります。
法案と裏腹の関係にあるのかと思われますが、政府の収用委員会に対する態度というものは、これを過小評価して、まるで政府の下部機関であるような扱いをしておられるとしかとれない答弁があります。諸冨防衛施設庁長官が四月三日の衆議院予算委員会で行った答弁にもそれがはっきりとあらわれており、施設庁長官は、建設大臣が上級機関でございます、だから拘束すると、こういうふうに答弁しておられます。言いかえれば、収用委員会は建設大臣の下部機関だと、こういうことになります。建設大臣は収用委員会に対する指揮監督権を持った上級機関ではないはずであります。
施設庁長官、この答弁は認めますか。速記録にはっきり残っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/97
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098・諸冨増夫
○政府委員(諸冨増夫君) お答えいたします。
土地収用委員会というのは、本来、公共の利益と私有財産との調整を図るための手続、効果等を決めておる……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/98
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099・吉岡吉典
○吉岡吉典君 上級機関かどうかだけ聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/99
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100・諸冨増夫
○政府委員(諸冨増夫君) 先般の私の答弁において上級機関という表現を使っておるとすれば、そこは若干不正確でございまして、収用委員会というのは、審査を請求する際、収用委員会におきます国と使用を強制される人との関係というのはあくまでも当事者同士だという考え方に立っておるものですから、その当事者問において裁決に不服があった場合には、建設大臣の方に不服申し立てをすることができるという制度になっております。
そういう点をとらえまして、私は審査を請求することができるという趣旨を申し上げたわけでございますが、ちょっと表現等舌足らずの点があったことについてはおわびして訂正させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/100
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101・吉岡吉典
○吉岡吉典君 一度なら言い過ぎた、あるいはつい舌足らずだったと言えると思います。あなたは二度、三度そう言っているんですよ。
別のところではどう言っているかというと、これは上級行政庁になります、だから収用委員会を縛るんだ、こう言っていますね。上級機関だと言うときには、だから拘束すると。上級行政庁と言ったときには縛るという表現になっています。あなたは収用委員会と非常に深い関係を持っている仕事をしているわけですけれども、そういう言葉が出るところを見ると、そう思い込んでいるんじゃないんですか。
どうですか。もう一回。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/101
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102・久間章生
○国務大臣(久間章生君) 施設庁長官に今尋ねられておりますけれども、私もひょっとしたら言葉の中で上級行政庁というような表現を使った部分があるかもしれません。
これは不服審査、要するに審査請求ができると。そして、要するに審査庁でありまして、審査庁の決定は処分庁であります収用委員会を拘束するということを言いたいためにそういう表現をつい使ったんだと思いますけれども、防衛施設庁長官にしましても、私にしましても、もし上級、下級という形で使っているとすればそれは正確ではございませんので、その意味では審査庁というふうに言い直させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/102
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103・吉岡吉典
○吉岡吉典君 建設大臣の裁定には従わなくちゃならない、これはもう間違いないわけです。それは上級の決定だから従わなくちゃならないということではなく、行政不服審査法の四十三条の規定によって従わなければならないということであって、それをあたかも上級機関の言うことは下級機関として聞けと言わんばかりの態度の中に、私は今度のこの法案を貫く姿勢を感じざるを得ない。そういうわけで、今訂正されました。ですから、ここは厳密にしていただきたいと思います。
その上で、収用委員会の機能、権限の問題であります。
我が党が繰り返し述べてきましたように、この問題は実は新しい憲法の二十九条一項、二項、三項の財産権を公正に処理する上で非常に重要な問題だと私は思っております。我が党が繰り返し強調してきましたように、戦前の土地収用法は、土地の強制使用について国が使用認定を行い、国の機関がその裁決を行ったが、戦後の土地収用法は、国家による不当な財産権の侵害に立って、国家権力による国民の財産権の侵害が行われるのを防ぐよう国による使用認定、そして県の収用委員会による裁決と、こういう仕組みをつくりました。
この仕組みについての実際の運用、解釈がどのように行われているかは別としまして、これは憲法の新しい精神、そしてまた土地収用法の精神からいって、やはり国家による国民の財産権の侵害がないように二重、三重の審査、チェックが必要だ、そういう立場で運用しなければならないものだと私は思います。そして、法解釈、運用もそういう方向に外れておれば、あるいは誤りであれば正していくべきだと私は思います。
ところが、この論戦の中では、現在どうなっているかということの答弁ではありますが、使用認定は総理の権限、そして収用委員会は主として期限とかあるいは補償金の額を決める、こういうことで、収用委員会には憲法二十九条が公正に適用されるかどうかの審査権限はないと、こういう答弁で貫かれてきたと思います。
とりわけ、基地提供というのは閣議決定がもとになって形式的には防衛施設局長の名前で提供しますが、しかしこれは国が提供するものですね。国が事実上の起業者である。その認定が公正を持っているかどうかということについて収用委員会で審査するというのは、これは私は当たり前のことだと思います。でなければ、総理大臣の決定一つで全部貫かれてしまう、そういう形になると思います。
総理大臣、それでいきますと総理の判断は絶対的なものだということにもなりかねないんですが、その歯どめの措置というものについてどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/103
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104・久間章生
○国務大臣(久間章生君) 現在の土地収用法に基づくほかの事業でも、例えば国営事業の場合でも、建設大臣とか農水大臣とかそういう起業者が建設大臣に事業の認定を受けて、そして今言いました個々の損失の補償とかあるいは期限とか、そういうのは収用委員会が裁決をするという仕組みになっておるわけでございます。建設大臣あるいは農水大臣のそういう起業者にかわって今度は防衛施設局長が申請して、それを、国全体の国防に関することでございますから総理大臣が使用認定をするという制度と、そして土地収用委員会にこれをまたゆだねまして、そこで期限とか損失の補償とかをやることになっているわけでございますから、現在の特措法もそういう点では変わらないわけでございます。
ただ、委員が今どういう意味でおっしゃっているのかわかりませんけれども、これから先は全部国に召し上げてしまえというような議論があるじゃないかということで言っておられるとしますならば、それはまた別の次元の話でございまして、私どもが今度出しました法律の中でも、使用認定と収用委員会の権限等には何ら触れていないわけでございます。
ただ、暫定使用、そこの部分だけはひとつ新しく暫定措置という制度をとにかくお認めいただきたいということで出しているわけでございまして、全体の仕組みとしては権限あるいは役割については変えていない、そういうふうに御理解していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/104
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105・吉岡吉典
○吉岡吉典君 私は、新しい憲法の二十九条一項、二項、三項の調整がより客観的より公正に行われるようにするためには、今の土地収用法の運用、解釈を含めて、収用委員会もまたその点についてのチェック機能も持つという方向にすべきではないかということを言っているわけです。
とりわけ、基地の提供というのは、これは建設省とかいろんな省と違いまして国が米軍に提供するわけですから、だからそれを総理大臣の認定にだけ任せていたのでは、総理大臣の意思が全部を貫くということになるわけですから、それでは本当に公正な、だれも納得できるチェック機関というふうには言えないと思いますけれども、そうは思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/105
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106・久間章生
○国務大臣(久間章生君) それはちょっとおかしいわけでございます。
といいますのは、例えば今ここにダムをつくるというふうになりましたときには、建設大臣だけの事業認定で終わるわけですね。ところが、事国の防衛に係りますと各大臣だけではないというようなことで、要するにそれよりもさらに全体の責任を持って担当する総理大臣の認定に係らしめているわけでございます。現在の土地収用法の仕組みそのものを言いましても、例えばダムをつくる場合だったら、国営ダムだったら建設大臣の認定になるわけでございますので、それは何ら変わらない。むしろ、総理大臣が使用認定をするということは、国全体のトップとしての立場でやるわけでございますから、よりその意味では網羅をしているんじゃないか。
いろんな配慮をした上で基地提供すべきであるという認定をするわけでございますので、それは全然問題ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/106
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107・吉岡吉典
○吉岡吉典君 この問題で押し問答していてはならないんですが、権力による財産権に対する侵害がないようにということでつくられた制度であります。権力による財産権の侵害がないようにそのチェック機能のあり方はどうあるべきか、それは総理大臣の認定だけで十分だということでは、私は憲法の精神が本当に貫かれた考え方だとは言えないと思います。しかし、それはおきましょう、もう時間がありませんから。
それと同じ問題、つまり国家の意思が無条件に貫かれないようなチェック機能が必要だということを私は言いたいわけです。
そこで、次の問題として、収用委員会の裁決に対して防衛施設局が審査請求をできるという問題です。
そもそも行政不服審査法というのは国家権力による国民の財産に対する侵害から国民を救済するための制度としてつくられたものであって、国民の救済、人民救済と書いた本もありますが、その中に行政機関が入るか入らないかということは論議のあるところであり、私は行政機関に不服審査請求権があるというのは行政不服審査法の目的からいっておかしな話だと思います。
ところで、それはともかく、議論がある。今度はそれを法律の中で請求ができるようにするという点では、この法律は、行政不服審査法の精神に照らして、一層そういう国家の意思を貫く法案にしているというふうに私は考えざるを得ないわけです。なぜそういうことまで法律で、議論のあるものを法律にまで仕上げるかというと、やはり不服審査をしなければ、あなた方が今度の法案でつくろうとしている暫定使用期間というのが始まらない。暫定使用というものを持ち込んで基地の強制使用をつなぐためには、どうしても防衛施設局長の審査請求ということをこの法律ではっきりさせておきたかったと、そういうふうにしか私にはとれません。
いずれにせよ、そういう問題があるということだけ私はここで申し上げておきたいと思います。
その上で、時間が迫っておりますから、私は結論的に総理にお伺いしたいと思います。
こういう憲法二十九条に照らして日弁連会長まで疑問があると提起している法案、その内容はずっと論議もされてきたし、今も私は述べましたが、そういう法律をつくって米軍に基地を提供する。それは基地のない沖縄を目指す要求とどういう関係にあるのか。沖縄は、総理もよく御存じのように、基地撤去のアクションプログラムをつくって、二〇一五年には基地のない沖縄を目指しておりますね。二〇一五年に基地のない沖縄をつくろうと。
この要求そのものについては総理は支持なさっているのか支持なさらないのか、それとこの法案とはどういう関係があるのか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/107
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108・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず第一点申し上げたいのは、私が就任いたしまして最初に大田知事にお目にかかったときにアクションプログラムのお話を伺ったと記憶をしております。そして、まさに沖縄の我々の夢という言葉をお使いになりました。後でその夢という言葉を述べられた理由としてわかりましたのは、例えば議会で御相談をされたものではないとか、あるいは既に基地を提供することに同意しておられる地主の方々の声は余り聞かれていないとか、いろいろな県内の手続の問題があり、そうしたことを踏まえて夢という言葉を使われたのであろうと思います。
そして、そうしたお気持ちが沖縄の皆さんのものであるという知事の言葉を我々は胸に置きながらSACOでの交渉を行い、少しでも沖縄の基地の返還、縮小というものに努力をいたし、それが日米両国政府のぎりぎりの努力の結果としてSACOの合意に結びついたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/108
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109・吉岡吉典
○吉岡吉典君 時間が来ましたから、二〇一五年までに基地をなくせという沖縄のアクションプログラムについては答弁がなかったということを確認して、終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/109
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110・島袋宗康
○島袋宗康君 私は二院クラブの皆さんの御理解と御協力によってこの特措法の改正問題について終始今日まで携わってまいりましたけれども、沖縄だけに適用される大きな重要な法案であるために、私は今非常に胸を痛めております。
この審議の中で、私はせめて公聴会を沖縄で開いていただきたい、そして参考人の方々の招致に当たっては沖縄で意見を求めてほしいというような意見を述べてきたわけであります。昨日、参考人の方からこちらでお聞きいたしましたけれども、どうも今の状況からすると非常に多勢に無勢、そして不承不承という感じで私は今ここに立っております。
今回の特措法改正問題に絡めて沖縄の振興策が取りざたされております。私は、沖縄の振興策は復帰直後からの我が国としての課題であり、今回の法改正とは全く別次元の問題と考えております。つまり、沖縄に広大な基地があるからその見返りとして振興策を現段階で考えるのではなく、沖縄は長い異民族支配により産業基盤や生活基盤が未整備であったために、その関係で振興策を考えていくというのが私たちの考え方でありますけれども、総理はどういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/110
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111・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、大変恐縮でありますが、一通の手紙を御紹介いたしたいと思います。これは日本内航海運組合総連合会会長からの手紙であります。そして、沖縄に行かれ知事に会われたときの話を書かれた上、現地におきます若者の雇用促進に関しましては過日御報告申し上げているところでありますが、現地にあります水産高校、海員学校の卒業生及び沖縄出身の海技大学校の卒業生を含め十三名全員を漏れなく採用することといたしましたと。これが本土の、言いかえれば沖縄県民以外の本土の国民たちが沖縄の問題というものにどれほど胸を痛め、そして少しでもその心にこたえようと努力をしているかのあらわれだと私は思います。
先日来繰り返し議員と論議を申し上げてまいりました。そして、しばしば議員から厳しいおしかりをいただきました。
この内航海運という業界は、船腹調整の廃止あるいは需給調整の廃止という規制緩和策を求められ、それ自身が大変苦しい立場にある業界です。しかし、自分のところのリストラを進めながらも、県に行き、県の若い人たちの職場がないという話を聞き、全員雇いますと言って本当にその約束を果たしましたという手紙でありました。こうした気持ちが本土の国民の皆の気持ちだということは、私は沖縄県の皆さんにも御理解をいただきたいと思います。
そして、私は、本委員会あるいはその前の予算委員会の御審議等におきまして、基地の問題と振興策の問題を重ね合わせ、これがあるから振興策をというような言い方は一遍もいたしておりません。これからもいたすつもりはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/111
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112・島袋宗康
○島袋宗康君 そのとおりの決意でひとつぜひ沖縄の振興策を考えていただきたいというふうに要望しておきます。
そこで、米兵が起こした一昨年の事件、事故に対する補償の問題、これは明らかに基地問題でありますけれども、いわゆる少女暴行事件については日米両国政府の最高責任者が謝罪をしておられます。
そこでお尋ねいたしますけれども、アメリカ政府による被害者への被害補償はその後どうなっているか、明らかにしていただきたい。また、この件について政府は被害者に対してどのように対応されてこられたのかを御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/112
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113・諸冨増夫
○政府委員(諸冨増夫君) 現在、被害者の方から補償要求というのが出ております。それで、現在私どもは米側との間に入ってそういう調整をさせていただいております。
一般的に申し上げますと、こういう公務外の補償事案につきましては本来当事者間の示談に任されるわけでございますが、この示談が成立しない場合には、私どもが一応その算定をいたしまして米軍の方に通知をして、米軍の方でその内容等については十分審査した上被害者の方に補償をする、こういう仕組みになっておるところでございまして、現段階ではまだそういう段階まで至っておらないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/113
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114・島袋宗康
○島袋宗康君 合衆国軍隊等の行為等による被害者等に対する賠償金の支給等に関する総理府令、昭和三十七年七月三十一日、四十二号が出ておりますけれども、その第十四条、第十五条に基づき見舞金を支給できることになっておりますけれども、この点についてはどのような適切な措置をとられたか、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/114
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115・諸冨増夫
○政府委員(諸冨増夫君) お答えいたします。
現在、米軍が起こしましたこういう公務外のいろんな補償につきましては、私ども先般のSACOの最終報告においても運用改善の措置を図らせていただいております。
幾つかございますが、そのうち幾つかを御紹介いたしますと、一つは、米国内法によるこういう補償金の支払いというものが若干おくれる場合がございますが、今般米側から、米側の規則に、いわゆる療養費等の費用について被害者が非常に困っておるといいますか、そういう状況にある場合には一定の金額の範囲内で積極的に行えるというような規定がございまして、その規定を適用してそういう事前救済を図っておるというのが一つの改善事項でございます。
それから二つ目には、被害者に対する米側からの補償金の支払いというのが手続がございます関係でどうしても一定時間がかかることがございます。そういう場合に、私どもといたしましては今般新たに、これは本年の三月二十八日からでございますが、一定の基金といいますか一定の融資といいますか、そういう所要の融資をこの被害者の方にして、米側からの補償金の支払いまでの間にそういう救済をするというような制度を新しく設けております。
それからもう一つ、今ちょっと先生お触れになりました点に若干関連いたしますが、過去非常に少ない例でございますが、米側の支払い金額に不服があって民事訴訟が行われた場合に、その確定判決額と米側の支払い額との間に若干の差額が出ているような場合がございました。そういう場合につきましても、今般、日本政府から所要の見舞金を支給するということで改善措置をとらせていただいているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/115
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116・島袋宗康
○島袋宗康君 私の知る範囲では、交通事故等で死亡事故を起こしたり、いろいろな事件、事故に遭っても、公務外ということで米軍との対等の立場での話し合いがなかなか難しい。御承知のように、みんなが英語をわかっているわけじゃないものですからいろんなトラブルがあるわけです。そういう解決のために時間がかかる。そして、公務外であるために補償がなかなかうまいぐあいにいかないということが沖縄で非常にあるわけです。
そういうことは、これから申し上げますけれども、要するに現在の日米地位協定では米軍の公務中として補償することになっておりますけれども、公務外の事件、事故については日米両政府ともに法的責任がない仕組みになっているというふうに思っております。そして、政府の責任できちんとこういったものを、駐留している米軍によっての公務外事故であっても、これはちゃんとした補償をしていかなくちゃいけないというふうなことが被害者の大きな願望でありますが、この点についてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/116
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117・諸冨増夫
○政府委員(諸冨増夫君) 先ほど御説明いたしましたように、そういう公務外における交通事故等につきましては、当事者間のそういう争いができた場合には当然裁判になるわけでございまして、その裁判に従って米側としては一定の金額を払います。ただ、確定判決との間に差額が出たような場合には私ども政府側として見舞い金を新たに支給するというような制度を設けたところでございます。
なお、今般もこういう争いを避けるために、米側としては昨年からことしにかけまして在日米軍の車両につきましては全部任意の交通保険、いわゆる保険を掛けるということで現在米軍の海兵隊を含む全員の車両についてそういう手当てをしておりまして、そういう交通事故等に伴います公務外の全体の被害等につきましては万全の措置をとるように政府としても努力をさせていただいている、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/117
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118・島袋宗康
○島袋宗康君 米軍に出入りする沖縄の業者は一人一億円の任意保険に入らなければ米軍の基地に入れないというふうな条件もつけられておる。今任意保険に米軍は全部入っているとおっしゃいますけれども、私の方の調査の結果ではほとんどが入っていない。入っても軽微の、いわゆる見せかけの任意保険に入っている。それじゃ補償にならぬわけですよ。
だから、そういった意味で政府が責任を持ってこの補償をちゃんとやるというふうな条件をしないと、沖縄だけに集中している基地の非常な重圧というものはその辺にもあるわけですから、任意保険の問題についてはもっと真剣に取り組んでください。本当に強制的に、そして日本人と同じような補償が得られるように条件をつけてやってください。アメリカだって一億円のいわゆる任意保険を掛けて基地内に出入りさせているわけですから、そういった権限というものを、日本においてやっぱりしかるべき措置をとるべきだというふうに思っていますので、よろしくお願いします。
終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/118
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119・椎名素夫
○椎名素夫君 今回の特措法については参議院でも大変濃密な議論が行われてきたように思います。
私は、一日目には日本の安全保障あるいはアジア太平洋地域の安定のために日米同盟を確保するということが非常に大事だということを申し上げ、二日目には沖縄に対する負担の軽減、そして振興策というようなことについてぜひ強力にやっていただきたいということをお願いしたわけであります。
きのうは六人の参考人の方に来ていただきまして、それぞれの立場から、あるいはそれぞれの学識の範囲からお話を承ったんですが、特に私が非常に感銘を受けましたのは沖縄から来られたお二人の方である。琉球大学の仲地教授、それから弁護士の金城さん、このお二人が忙しい中を来られていろいろと意見を述べられました。
お二人とも実はこの特措法には反対の立場の方である。私とは立場は違うわけですけれども、しかし御意見を述べられる中で、その行間から非常に強力な発信をされたという感じがいたしました。
まず、ああいう非常に悲惨な経験をなさった沖縄の方々の、何としてでも平和を確保しなければいけないという叫びと申しましょうか、が一つと、それから先ほどの総理の御答弁の中にありましたが、大田知事の言われた夢というような、これはまことにそういう表現が適切かと思いますが、そういうことを代表しての心から発する発信と、こういうようなことを私は受け取ったような気がしております。
さらに、直前の総理の御答弁の中で、沖縄振興策と今回の措置というものを絡めて考えるというようなことは一切考えたことはないということを非常に強くおっしゃった。私はまさにそうあるべきだと思うんです。しかし、それにもかかわらず、我々はやるべきことをやろうということ。それも国全体としての振興策ということでやっていこうという御決意のあらわれだと受けとめまして、まことに心強く考えております。
そこで、私はもう二点だけ申し上げて、それに対してのお答えがあればいただいて、私の質疑は終わろうと思います。
一点目は、負担の軽減であります。SACOというところで非常に詰めた議論をして、あれだけの結論が得られた。まず、これだけは全力を尽くしてやっていただきたい、これが第一であります。それから、振興策についてはいろいろな難しさはあるでしょうけれども、もう繰り返しませんが、おととい申し上げたような気持ちでぜひ強力に、総理自身が取り組まれるということだけでなしに、そういう体制をきちっとつくっていただきたいということであります。
二点目に、もう一度強調しておきたいんですが、この日米安保の持つ意味であります。私は先ほど参考人の平和追求の心というのを申し上げたけれども、それを追求する。しかし、恐らくやり方についての見解は違うんだろうと私は思います。
私は、よく言われますが、まず平和外交をやって、その後ろにいろんなほころびが出たときに安保があるというような考えではなしに、今の場合でいえば日米安保というものをしっかりと堅持する、そしてその中身をきちっとするということ自体が外交の非常に重要な一部分であるということをもう一度確認しておきたいと思うわけであります。
そういうことを言いました上で、これからある意味では、今度のこの特措法の措置というのは決して終点でも何でもない、途中の話だと思うんです。これから十年、二十年先というと遠過ぎますが、当面のアジアの安定というものを確保していくためには日米同盟がしっかりしてなきゃいかぬ、こういうことであります。
この間も申しましたことを繰り返しますと、同盟の強さというのは、この日米同盟をいえば、日本とアメリカの有機的に総合された能力というものが大きな強い抑止力になる、信頼できる抑止力になる、こういうふうに私は考えております。ガイドラインの見直しというような作業も今続いておりますが、それにとどまらず、これから先どういうふうに物事の考えの枠をつくっていくかということをぜひ積極的にお考えを願いたいと思う。
一つだけ挙げておきますが、私は集団的自衛権というものは避けて通れないものだと思っております。集団的自衛権なんというものを認めたら一遍に何か危険な状態が来るんじゃないかというような論議がよく聞かれますけれども、そうではなくて、権利というものは持っていても行使するかしないかというのは国の場合でいえば政策の問題である。恐らく九九%行使しないというような権利というものもある。しかし、できないということと、やれるけれども本当に考え抜いてここではその権利を行使するかしないかというのは私は次元の違う問題だと思うんですね。にわかにどうこうしろというわけではありませんが、これからの日米同盟の信頼性を確保していこうという中では、これを避けて通るわけにはいかないというのが私の主張であります。
以上、安保関係、それから負担軽減及び振興策について考えているところを申しましたので、私の質問はこれで終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/119
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120・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず冒頭、立場を異にする参考人の御意見の行間から酌み取られたという言葉を私は大変真剣に聞きました。そして、私は、その参考人の方も今の一言を聞かれれば非常に幸せに思われた部分があると思います。
その上で、先日来、本院においてさまざまな角度から沖縄県における今後の振興策というものについての御論議がございました。また、政府として今日まで考えてまいり、既に県と具体的な御相談に入っております内容を含め御説明を申し上げてまいりました。そして、我々はこれを誠実に実行すると申し上げたら言葉は当たり前に過ぎるかもしれませんが、誠実に実行してまいりたいと思いますし、先ほど仕組みの点についての御心配をいただきましたが、官房長官以下関係する全閣僚とともに、知事が対等な構成員として参画をしていただいておるこの沖縄政策協議会システム、これが私は一番よいと思います。そして、この中で県が独自に作業されたものをも受けとめ得る状況にあるわけであり、現にまた受けとめております。こうした体制で、全力を挙げて私どもは沖縄県の振興に当たってまいります。
また、我が国の周辺をめぐる国際情勢の中において、日米安全保障条約というものを基軸にした我が国の安全保障体制の問題点としてなお明確にすべき点があることを一方で論じられました。そして、今私どもはまさにそのガイドラインの作業を本年の秋に終了することを目途に防衛協力小委員会、いわゆるSDCのもとで検討を進めております。そして、この内容は五月の中、下旬以降できるだけ早い時期に、その時点までの作業の検討状況というものを国民の前に明らかにし、その透明性を確保いたしますとともに、当然本院においても御論議をいただくことでありましょう。各般の御議論をちょうだいし、それを私は最終のガイドラインの中に生かしてまいりたいと考えております。
ただ、議員から、ある意味では有事法制を含め集団的自衛権までを視野に入れた御議論をちょうだいいたしました。考え方に共通する部分がないと私は申し上げるつもりはありません。しかし、政府として作業をいたします限りにおきまして、あくまでも憲法上我が国が許されないとされております事態につきましては、政府の作業の中には取り入れておりません。あくまでも指針の見直しは日本国憲法の枠内で行っておりまして、これを公表いたしました上、各方面、当然それには国会及び国会を構成される個々の衆参両院議員の方々の御見識がこれに結実していくこととなる、そのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/120
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121・椎名素夫
○椎名素夫君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/121
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122・北澤俊美
○北澤俊美君 四日間審議に参画をいたしまして、毎回高い見識を持った椎名委員の後でありまして、知恵を絞ろうにも絞りようがなくて苦労をいたしました。胸中察していただきたいと思います。
私は今のこのときを大変大切にしております。この四日間、この問題に参画できたことを幸せに思っております。歴史に自分の名前を刻もうとすれば、これは愚かな行為でありますけれども、自分たちが生きている時代を歴史の中にきちんと刻み込む努力というのは崇高なものだというふうに思います。それは、今このときに、日本の安全保障という見地から一地域に大きな犠牲を強いる中で我々が決断するわけでありますから、歴史に時代を刻む努力というのはここでしっかりお互いに認識し合わなきゃならぬというふうに思っております。
昨日、参考人からいろいろ御意見をいただきました。ポスト冷戦の中で、ヨーロッパも十万人体制の米軍の基地があります。しかし、それはもうスケルトナイズされた形であります。きのうおいでになった岡崎さんのお話によれば、もう三百年前のピョートル大帝のころにまでロシアの脅威は後退しちゃっていると。また一方、リビアにしてもイランにしても既に米軍の基地はなくなっておる。さらに近隣ではフィリピンの二つの基地はなくなっておるわけでありまして、残されたのは沖縄とディエゴガルシアの基地だけ。しかも、ディエゴガルシアは三カ月も機材を置いておけばさびちゃうというような環境の中だそうでありまして、結局は沖縄に米軍の世界秩序の中心がある、こういうふうに認識されるわけであります。それを沖縄の県民は、なぜ我々のところにだけと、こう言うわけであります。しかし、それは国家的見地からすれば忍んでいただきたいというのが我々の気持ちであるわけであります。
そういう中で、私たちは沖縄に何をなすべきかということを論議してきたはずであります。先ほど来お話のありますように、SACOの合意によるこれの着実な実施、それから沖縄振興はまだまとまり切ってはおりませんけれども、政策協議会の中で徐々に姿が見え始めてきておるわけであります。
私は、きのう島田先生とやりとりをする中で、官僚の皆さんに対して少し失礼なことも言いましたけれども、私は官僚の諸君が極めて優秀であるということはよく承知をしておるわけでありまして、官僚の諸君に望むことは、狭い意味での保守主義に陥ってもらいたくないということであります。
それは、きのうちょっと乱暴なことを言いましたが、いざとなれば沖縄に対して予算を投入することには官僚の諸君は結構気前のいいところがある。これは単年度で税金を国民から吸い上げたものの中で処理をしていく。しかし、制度を変えることについては極めて憶病であるということを私どもは知っておるんです。だから、官僚の皆さんにはそういう意味での勇気を持ってもらいたいというふうなことを島田先生とのやりとりの中で申し上げたんです。
私は、沖縄がこれほど本土と経済的におくれたのを島田先生に確認しましたら、大体認識は共有できました。それは私から改めて総理や防衛庁長官に、それから沖縄開発庁長官に申し上げるまでもないが、私はこういうときだから重ねて申し上げておきたいんですけれども、占領政策の中で沖縄は輸入促進政策で百二十円のB円でスタートをした。このことによって沖縄はおくれたんです。それを島田先生は、沖縄には製造業が見えないと、こういうふうにおっしゃられた。それはB円、いわゆる円高で、百二十円の円高政策で十二年間を過ごして、そしてまたドルの時代に移行していった。そのことが基本ではないですかと言ったら、そのとおりだと言うんですね。
その後、今度は我が国は何をしたかというと、供給能力のない沖縄に、労働力も資財も含めて、それから技術もないところへ大きな公共投資をやった。それを助けたのはだれかというと、従来の本土の資本がそれをやった。利潤も戻っていっちやう。そういう二度の失敗をしておるわけであります。
今度新たに我々は沖縄問題を解決する中で三度目の失敗をしたら、これは本当に沖縄の人たちが民族としての誇りを汚されたということで大きな反発が起きるだろう。だから、ここは私はある意味では歴史の一つの結節点だというふうに思うのであります。
そこで、本来なら総理に先にお聞きをしたいところだが、この問題にこれからも取り組んでいく内政審議官の及川さんに私が今申し上げたことに対する見解を聞かせていただきたい。あなたは官僚の代表として答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/122
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123・及川耕造
○政府委員(及川耕造君) 代表ということで大変緊張しておりますけれども、お答えさせていただきます。
先生がおっしゃるとおり、ただいま政策協議会の下にプロジェクトチームを十設置をさせていただきまして、各省それぞれの担当が取りまとめ省庁のもとに一生懸命三十四のプロジェクトを検討させていただいております。
御指摘のとおり、大胆な制度改正等も含む検討を進めてまいりたいという意欲で一生懸命やっておりますので、御了承いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/123
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124・北澤俊美
○北澤俊美君 総理、決意をお聞きしたいんですが、島田先生は、今度本当にしっかりやって、沖縄は少し違う、沖縄はおもしろいと、この表現がどうかとは思いますけれども、そういう変化を見せたい、そうでなかったら沖縄は救えませんよと、こういうふうに言われたんですよ。そんなふうな施策を強力に進めていただきたいと思いますが、決意のほどを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/124
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125・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、第一次振計から第三次振計にかけて本土政府だけが大規模公共事業を沖縄につき込んだ、そうは思っておりません。県からの御要望の中に、本土の各都道府県に追いつくためのインフラ整備として相当程度の大規模公共事業の御要望があったことも事実です。しかし、その上で、確かに沖縄が基地依存の経済から思い切って自立、欲を言いますならむしろ日本経済に裨益するところのある沖縄県経済をということになりますと、これは思い切った振興策が必要になります。先日もちょっと議員が触れておられました例えばフリー・トレード・ゾーンのようなもの、これにしても既に政策協議会で今後のあり方についての検討に入っておりますし、沖縄開発庁を中心にいろんな作業が進んでおります。
ただ、今県から御要望のあるもので、私が一点だけ実は首をひねっておるものがございます。それはノービザの問題ですが、それは理屈の上で日本国内どこでも統一すべきとかいうこと、それもありますけれども、それ以上に、このところ組織的に送り込まれてくる密入国者の数を考えますときに、受け入れ側としての日本にも同種のものがありはしないか。さもないとこの密入国者の急増、しかも警備の手薄なところを非常によく調べている。
例えば先般、日本海側の重油をくみ出すために海上保安庁の勢力が一時的に一部の地域で薄くなった時期があります。この時期はその地域に上陸が集中をした。こういうことを考えてみますと、私はこの点は非常に怖いという気持ちをもう率直に知事にも申し上げました。その上で大変強い御要望がなおあるものですから、例えばビザの面でどういうやり方があるのかな、そういう工夫をいたしております。
いずれにいたしましても、私どもはこの政策協議会の場での論議というもの、検討というものを積極的に進めてまいりますし、また県が国から言われるのではなくて自分たちで沖縄のために欲しい規制緩和を検討委員会をつくってまとめたいと書っておられますので、今その作業も実は注視しております。議員が指摘をされましたような方向に向けていけるように我々も全力を尽くしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/125
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126・北澤俊美
○北澤俊美君 これは沖縄の県民だけがああよかった、なるほどよくやってくれたというのではだめなのでありまして、日本国民全体が沖縄の処理を納得できるような施策を展開しなきゃいかぬ、こういうふうに思います。
及川審議官にはもうちょっと私のハートを揺さぶるようなことを聞きたかったのでありますが、なかなかそうもいかなかった。
ちょっと時間が残っていますから、予定外でありますが、生意気なようでありますが私の宝物をちょっとプレゼントしますから、聞き取っていただきたい。
心がけを持って何かをすれば必ず新しいものはできるというふうに思います。若山牧水の歌に、「けふもまたこころの鉦をうち鳴しうち鳴しつつあくがれて行く」というのがあります。これは若山牧水二十三歳のときの歌であります。この最後の「あくがれて行く」というのは、講釈を言うわけじゃないが、万葉語で「あく」はここです。「がれ」は離れる。あこがれるということは、ここを離れて新しいところへ行くと、こういうことです。その気概を持ってやらなかったら、今度の法律が成立して日米間がよくなったって、日本国民の中に同胞としての喜びは誕生じないというふうに思います。
それを申し上げて、終わらせていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/126
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127・倉田寛之
○委員長(倉田寛之君) これにて質疑は終局いたしました。
本案の修正について前川忠夫君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。前川君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/127
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128・前川忠夫
○前川忠夫君 私は、民主党・新緑風会を代表して、政府提出のいわゆる駐留軍用地特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由及び概要について御説明いたします。
私は、政府提出の特措法改正案が暫定使用制度の名のもとに実質的な恒久使用制度に道を開く可能性を秘めており、また日本政府及び米国政府に沖縄の海兵隊の削減に向けて協議しようという意欲が見られない中において、沖縄県民の方々が本改正案に強い反発を抱いておられるのは当然のことであると考えるものであります。しかしその反面、国政を預かる政党の一員として、日米安保条約の円滑な運用に支障を来すような法的空白状態を許容してはならないと信じるものであります。
その意味におきまして、特措法の改正自体は否定されるべきではないと考えるものですが、同時に限られた選択肢の中で、沖縄県民の願いに少しでもこたえる努力をすることが立法府の務めでなければならないと思います。
民主党・新緑風会が、政府提出の特措法改正案に対して、これを五年間の時限立法にする修正案を提出いたしますのはまさにそのような思いからであります。
政府案におきましては、収用委員会が却下裁決をしても防衛施設庁が審査請求すればいつまでも暫定使用が許される仕組みになっており、それが沖縄県民の方々に大変な不安を与えているのであります。しかし、五年間の時限を付すことができれば少しでも沖縄県民の皆さんの不安は払拭できると考えるものであります。
さらに、本修正案を提出するもう一つの理由は、本修正案の実施時期を五年間に限定することによって、その期間内に沖縄県民の最大の念願である米軍基地及び兵力の縮小について目に見える成果を上げるよう政府を督励することができるからであります。
沖縄の人々は、復帰後、米軍基地の整理、縮小に対する政府の約束がいかにたやすく破られ続けてきたかを知り抜いています。そのような状況のもとで、特措法は改正するが、同時に沖縄の願いにも必ずこたえますと訴えても、県民の方々が政府の言葉を信用できないのも当然であります。政府の言葉に信用を取り戻すためにも、政府に五年間の時間的猶予を与え、沖縄の諸懸案に集中的に取り組ませることが極めて重要であると考えます。
以上が民主党・新緑風会提出の修正案の趣旨と内容であります。沖縄の本土復帰二十五周年を目前に控えて、沖縄の米軍基地を目に見える形で縮小していく第一歩を記すためにも、本修正案に対して委員各位の御賛同を賜りますよう強くお願いをして、提案理由といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/128
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129・倉田寛之
○委員長(倉田寛之君) これより原案及び修正案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/129
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130・田英夫
○田英夫君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、いわゆる駐留軍用地特別措置法改正案及び民主党・新緑風会提案の修正案に反対する討論を行います。
政府提案に反対する第一の理由は、法案の内容からも、また政府の姿勢からも、残念ながら沖縄県民への十分な配慮がうかがえないということであります。
日米安保条約上の義務は、実際問題として、沖縄の皆さんの理解と協力なしに履行することはできません。沖縄の皆さんは安保体制の重みの大きな部分を現に担っているからであります。しかも、米軍基地の過度な集中によって沖縄は既に過大な負担を強いられてきたばかりでなく、古くから今日に至るまで一貫して本土によって忍耐を強いられ続けてきたのであります。
したがって、私たちは、沖縄の現状がどのような歴史によってつくられたかを思い起こし、特別措置法の改正に関する沖縄県民と知事、県議会の意向、基地の縮小を求める昨年九月の県民投票などについて十分に配慮するとともに、苦痛と負担を軽減する展望を示さなければならないと思います。
それと同時に、もともと米軍の銃剣とブルドーザーで強奪された土地であることに思いをいたし、使用権原の空白を埋める法的措置は少なくとも必要最小限の緊急避難としての内容に抑制されるべきであります。
反対する第二の理由は、冷戦後に求められている平和のための多国間協力を構築する努力を欠いたまま提案されているということ、言いかえれば軍縮時代に対応しようとする視点が改正案の背後に全く欠如しているということであります。
冷戦構造はアジア太平洋地域においても崩壊の過程にあり、したがって日本の外交は東アジアの緊張緩和、とりわけ朝鮮半島や中台関係の安定に貢献することが必要であります。しかし、政府がいまだに日米基軸だけにしがみついている印象を受けるのは私たちだけではないと思います。
以上で民主党・新緑風会提案の修正案及び政府提案の駐留軍用地特別措置法の一部を改正する法律案に反対する討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/130
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131・加藤紀文
○加藤紀文君 私は、自由民主党を代表して、日米地位協定の実施に伴う駐留軍用地特別措置法の一部を改正する法律案に賛成、同法律案に対する修正案に反対の討論を行います。
沖縄においては、米軍用地として政府が民間並びに自治体の土地約一万五千六百九十三ヘクタールを地主から賃借しておりますが、現在、このうち九九・八%の土地並びに二万九千五百四十四名の地主については契約更新の手続は終わっているのであります。ところが、三千七十八名が所有する約三十六ヘクタールの土地については地主が契約更新を拒否しております。
嘉手納飛行場を初め十三施設にわたるこれらの土地は、国が使用権原を取得するため、日米地位協定の実施に伴う駐留軍用地特別措置法に基づいて沖縄県収用委員会が現在公開審理を続けておりますが、しかし公開審理のペースから見て、これらの土地の使用期限が切れる五月十四日までに国が使用権原取得の手続を完了することは困難なことが確実な状況であります。
これらの土地は、日本が国家の基本政策として選択している日米安全保障条約に基づく安全保障体制を支える基礎的な条件として、国が賃借によって使用権原を確保して米軍に使用させているものであります。その土地について、国が使用権原を失い不法状態に陥るということになれば、日本という国の統治能力が問われても仕方がない。
米国から見れば、日本は同盟国として最も基礎的な義務を果たせない無責任な国、あるいは不安な国に映るでありましょう。また、周辺諸国は、日米安全保障体制あるいは日本の安全保障戦略そのものの、その最も基礎的な部分に空隙があることを目撃し、軍事的、政治的にさまざまな評価をめぐらすことでありましょう。つまり、このような事態は日本という国家の信用と能力評価に重大な影響を及ぼしかねないのであります。
我が自由民主党は、こうした無権原の事態を回避し、安全保障という国益を守る立場から、日米地位協定の実施に伴う駐留軍用地特別措置法の一部を改正する法律案につきまして賛成するものであります。
しかしながら、国土面積のわずか〇・六%にすぎない沖縄県に、全国に存在する米軍基地の実に七五%が集中しております。県下五十三市町村のうち二十五市町村にわたり二万四千五百二十六ヘクタールの米軍基地があり、県土面積の一一%、沖縄本島の二〇%を占め、地域の経済、交通、生活上のいわば生態系が分断され、経済活動や沖縄県民の生活が著しく阻害され、制約されている実態があることを真摯に受けとめております。
言いかえれば、米軍基地の重圧の中で懸命に生活している沖縄の人々の犠牲の上に日本の安全保障戦略が事実上維持されているという現実があることを認識しなければなりません。
安全保障の本質的な基盤は、武器や弾薬のみならず、国と国、人と人との信頼が大切であります。沖縄問題は二十一世紀の安全を確保するには何をすればよいのかを国民全員に問いかけているのであります。
我々自由民主党は、先頭に立って沖縄県の自立的発展の基盤を整備し、沖縄問題解決のため、たゆまぬ努力をしていく覚悟であることを表明して、私の賛成討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/131
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132・笠井亮
○笠井亮君 日本共産党を代表して、原案及び修正案に反対の討論を行います。
まず、私は、この重大法案の質疑が我が党の強い反対にもかかわらず打ち切られたことに厳しく抗議するものであります。
沖縄は、今年五月十五日、平和主義、主権在民、基本的人権の尊重を大原則とする日本国憲法のもとに復帰して二十五年になります。ようやく収用委員会でも土地所有者の権利を守って実質審理が行われるようになり、政府の土地強制使用の不合理を追及し始めたやさきであります。まさにこのとき提出された本法案は特措法改正の名で土地の強制使用永久化を図るものにほかなりません。そして、沖縄県民の二十一世紀に基地のない平和な沖縄をという願いを真っ向から踏みにじって、米軍基地の固定化の仕組みをつくり出す許しがたいものです。
本法案は、防衛施設局が裁決の申請をしているだけで、また収用委員会が却下してもそれに対して不服審査請求をするだけで、暫定使用の名目で土地を強制使用し続けるようにするものです。土地の所有権者に事前の防御権は全く与えられていません。これは、本来、公正中立な独立機関である収用委員会の役割をも根本から否定して、憲法二十九条の保障する財産権を著しく侵害し、三十一条の適正手続に違反するものであります。
さらに、本法案は、沖縄県民に対する新たな人権侵害にとどまりません。法治主義の原則をじゅうりんし、法に対する国民の信頼を著しく損なうものであります。悲惨な地上戦の体験を持つ沖縄県民、そして戦争の痛苦の反省に立ち、平和憲法と民主主義を守り抜いてきた日本国民に対する挑戦と言わなければなりません。
このような重大な問題を持つ本法案は、十分な審議を尽くして、国民に問題点を明らかにし、慎重に判断すべきは当然であります。ところが、沖縄での公聴会も開かず、わずかの時間で審議を終結し、採決を強行するということは、国権の最高機関である国会がみずからの責務を踏みにじるものであります。
日米安保共同宣言に基づいて、アジア太平洋地域に米軍十万人体制を維持する米戦略を支えるために、国民の財産権を踏みつけにする悪法を強行する責任は厳しく問われなくてはなりません。
なお、民主党・新緑風会提案の修正案は、五年の時限立法にしても違憲明白の法案を正当化できるものではなく、反対であります。
以上で反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/132
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133・益田洋介
○益田洋介君 私は、平成会を代表して、ただいま議題となっております日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして賛成、民主党・新緑風会提出の修正案に反対の立場から討論を行うものであります。
今回の政府案は、沖縄駐留軍用地の強制使用に係る県の土地収用委員会の裁決が来る五月十四日の使用期限までに間に合わないことに伴い、国による不法占拠状態を回避するための必要最小限度の措置として提案されたものであります。
私どもは、この改正案について、国民の間に試合の途中でルールを変えるようなものなどといった批判があることを十分に受けとめており、このような事態を招くに至った政府の責任は極めて重大であるとの認識を持っております。
沖縄県の大田知事が代理署名拒否をした一昨年九月以降の村山、橋本両政権の対応は、常に政権維持だけを念頭に置くものであったため、結局問題を先送りにしてきたわけでございます。
国家安全保障という国の根幹にかかわる問題に対して、日米安全保障条約を是認する立場をとるのであれば、その義務を履行するために責任ある政治家は不断の努力を積み重ねなければなりません。
基地用地の使用期限が切れ使用権原がなくなった場合の混乱や、日米関係に及ぼす影響を考えた場合、基地用地に関する法の空白や違法状態を招くことは好ましくないと考えるものであります。
もとより、今回の法改正で沖縄の基地問題が解決したとは到底申せません。むしろ、改正案自体が包含する問題点や、昭和二十七年に制定された駐留軍用地特別措置法そのものが日米安保条約に基づいて安定的な基地提供を行い得る法体系かどうか疑問を持つものであります。
すなわち、特措法は、基本的には総理大臣が基地用地として国の使用が必要であるとして認定したものを都道府県知事や県の収用委員会が審査する仕組みとなっていることであります。純国内的な施策であれば土地収用法の規定も当然ですが、在日米軍基地の確保は国の安全保障の根本的問題であり、条約上の義務であります。したがって、政府が最終責任を負う仕組みがどうしても必要であると考えるものであります。
さらに、沖縄の基地の負担を減らすため、日本国全体で基地負担を分かち合おうとするならば、国が責任を持つ法整備は不可欠でございます。これは一見厳しい法改正のように感じますが、そうしなければ結局本土への移転が進まず、沖縄での基地の固定化となり、沖縄県民にとっても、日本の安全保障にとっても正しい選択ではないと確信するものであります。
こうした認識に基づき、四月二日、三日の両日、橋本総理と小沢新進党党首との会談が行われ、三項目の合意がなされました。この合意は基地の整理、縮小を含めた沖縄の基地問題に政府が責任を負うための新しい仕組みを整備することで一致したものでございます。我々はこの合意を重く受けとめ、その実行を求めるものであります。
その上で、沖縄米軍基地用地の不法占拠状態を避け、日米安保条約上の義務を履行するとの観点からこの法律は必要であると判断し、暫定的措置として容認するものであります。
冷戦後の今日、日米安保体制の存在は日米両国政府間に限られたものでなく、アジア太平洋地域の将来の安定に向け大きな影響力を持つと認識するものであることを付言いたし、私の賛成討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/133
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134・本岡昭次
○本岡昭次君 私は、民主党・新緑風会を代表して、駐留軍用地特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成する立場から討論を行います。
民主党・新緑風会は、現在に至るまでの特措法をめぐる政府の姿勢に対して、本委員会審議を通じて幾つもの問題点を指摘したところであります。
まず第一に、法を遵守すべき行政府として、現行法で認められた手続を尽くすことこそとるべき道であったにもかかわらず、また十分な時間的余裕があったにもかかわらず、緊急使用の申し立てをあえて行わなかった点であります。
本来、使用期間内に収用手続を完了するのが政府の義務であります。そのことを考えれば、今回の法改正は全く本末転倒であると、日本国民とりわけ沖縄国民に映ってしまうのは当然とも言えるのであります。
また、政府は改正案を必要最小限の措置と説明していますが、収用委員会が却下裁決しても、防衛施設庁が審査請求しさえずればいつまでも暫定使用が許されてしまう仕組みは、実態的には恒久使用となるおそれをはらんでおり、必要最小限の法改正とは到底言えないのであります。
戦後、日本は国の安全を守るのに必要な負担を沖縄にのみ過重なまでに強いてきました。政府はもちろん、私たち国会議員もまたその現実に目を背け、沖縄県民の痛みを少しでも分かち合い、県民の思いにこたえようとする努力を怠ってきたとは言えないでしょうか。
ところが、残念なことに、この間の特措法の改正をめぐる政府の姿勢はまず特措法の改正ありきで、あらゆる努力を尽くして沖縄県民の理解を得ようというものであったとはどうしても言えないのであります。
しかしながら、既に五月十四日まで残り一カ月を切り、使用期限切れ後の法的空白は避けられなくなりつつあります。こうした状況において、国政を預かる者として、この事態をこのまま放置することを許してはならないと考えるものであります。その立場から、私は法改正はやむを得ない措置だと判断をします。
民主党・新緑風会から提出された修正案は、法律の施行から五年後その効力が失われるという条項を盛り込むことにより、沖縄県民の基地恒久化への危惧を少しでも払拭し、同時に五年の間に政府が誠心誠意、沖縄米軍基地の整理、縮小、日米地位協定の改善、地域振興策の充実等の諸重要課題に取り組むことを促そうとするものであります。その意味において、本修正案は現段階で私たちがとり得る最も望ましい選択であると確信するものであります。
今申し述べましたとおり、我が会派提出の修正案が最も望ましい案であるという考えを表明いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/134
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135・倉田寛之
○委員長(倉田寛之君) これにて討論は終局いたしました。
これより日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
まず、前川君提出の修正案の採決を行います。
本修正案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/135
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136・倉田寛之
○委員長(倉田寛之君) 少数と認めます。よって、前川君提出の修正案は否決されました。
次に、原案全部の採決を行います。
本案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/136
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137・倉田寛之
○委員長(倉田寛之君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
泉信也君から発言を求められておりますので、これを許します。泉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/137
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138・泉信也
○泉信也君 私は、ただいま可決されました日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、平成会、社会民主党・護憲連合、民主党・新緑風会、自由の会、太陽の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協
力及び安全保障条約第六条に基づく施設
及び区域並びに日本国における合衆国軍
隊の地位に関する協定の実施に伴う土地
等の使用等に関する特別措置法の一部を
改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、沖縄県に米軍
基地が極度に集中している実態とこのことが県
民生活に様々な影響を及ぼしていることにかん
がみ、次の事項について適切な措置を講ずるべ
きである。
一、日米安保条約の義務を果たすべく、沖縄県
民の負担を全国民が担うとの考え方に基づ
き、在沖縄米軍基地問題に最大限の努力を払
うこと。
二、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)に
おける合意事項の推進に当たっては、着実か
つ迅速に実施するよう努めること。また、引
き続き、米軍基地の整理・統合・縮小等に全
力で取り組むこと。
三、アジア・太平洋地域の安定のための外交努
力を行うとともに、米軍の兵力構成を含む軍
事態勢について、継続的に米国政府と協議す
ること。
四、沖縄振興策等の立案、実施に当たっては、
沖縄の歴史的、地理的特性を活かし、制度・
予算を含め、積極的に取り組むこと。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/138
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139・倉田寛之
○委員長(倉田寛之君) ただいま泉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/139
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140・倉田寛之
○委員長(倉田寛之君) 多数と認めます。よって、泉君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、久間防衛庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。久間防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/140
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141・久間章生
○国務大臣(久間章生君) ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、沖縄に米軍施設・区域が集中している現状と、このことが県民生活にさまざまな影響を及ぼしていることに思いをいたし、その御趣旨を踏まえて適切に対応してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/141
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142・倉田寛之
○委員長(倉田寛之君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/142
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143・倉田寛之
○委員長(倉田寛之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/143
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144・倉田寛之
○委員長(倉田寛之君) これより請願の審査を行います。
第二八六号沖縄米軍用地強制使用のための特別立法反対等に関する請願外二十三件を議題といたします。
これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、保留とすることに意見が一致いたしました。
以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/144
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145・倉田寛之
○委員長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十五分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114014960X00619970417/145
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