1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年五月十三日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月八日
辞任 補欠選任
梶原 敬義君 山本 正和君
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出席者は左のとおり。
委員長 清水嘉与子君
理 事
小野 清子君
鹿熊 安正君
石田 美栄君
日下部禧代子君
委 員
井上 裕君
釜本 邦茂君
世耕 政隆君
田沢 智治君
馳 浩君
菅川 健二君
林 久美子君
山下 栄一君
山本 正和君
本岡 昭次君
阿部 幸代君
江本 孟紀君
堂本 暁子君
長谷川道郎君
国務大臣
文 部 大 臣 小杉 隆君
政府委員
文部大臣官房長 佐藤 禎一君
文部省生涯学習
局長 草原 克豪君
文部省教育助成
局長 森 敬治君
文部省高等教育
局長 雨宮 忠君
文部省体育局長 佐々木正峰君
文化庁次長 小野 元之君
事務局側
常任委員会専門
員 青柳 徹君
参考人
放送大学副学長 嘉治 元郎君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○放送大学学園法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/0
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001・清水嘉与子
○委員長(清水嘉与子君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る八日、梶原敬義さんが委員を辞任され、その補欠として山本正和さんが選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/1
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002・清水嘉与子
○委員長(清水嘉与子君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
放送大学学園法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として放送大学副学長嘉治元郎君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/2
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003・清水嘉与子
○委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/3
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004・清水嘉与子
○委員長(清水嘉与子君) 放送大学学園法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/4
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005・田沢智治
○田沢智治君 私は、本法案に対する若干の質問をいたしたいと存じております。
放送大学学園法は、ちょうど私らが昭和五十五年当選してここへ来てから、この法律を通すために精力的にここにいる本岡さんたちと一緒にやった経緯がありまして、大変思い出深い法案で、この法案に対して質問ができるということも何かの縁かなというふうに思っております。特に、小杉文部大臣は私の友人でもございますし、また、一生懸命働いている姿を見まして、私もある意味において敬意を表する一人でございます。
放送大学は、五十六年六月法律が施行され、その設立目的の重要な一つに、生涯学習高等教育機関として広く社会人や女性、特に主婦に大学教育の機会を提供し、全国的に教育の機会均等を保障する中核的な役割を果たすためのものであると私たちは認識しているが、文部大臣の所見をまずもって伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/5
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006・小杉隆
○国務大臣(小杉隆君) 今、田沢委員から御指摘のとおり、この放送大学は、生涯学習の中核的な機関として、より多くの国民に大学教育を受ける機会を提供するということを目的としてスタートしたわけであります。
今お話しのとおり、学生の年齢層は大変幅が広くて、二十歳代から六十歳代までの広範にわたっております。先日も私、卒業式に出まして感激をいたしましたのは、最高年齢八十四歳の方が卒業免状をもらったと。こんなことを見ましても、いかにこの放送大学が生涯学習の中核機関であるかということをつくづく感ずるわけでございまして、これからも、今度ことしからCSによって放送エリアが全国化するのを機会に、さらに一層内容の充実とか、あるいはさらに多くの人に受講していただけるような努力をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/6
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007・田沢智治
○田沢智治君 この放送大学の開校は昭和五十八年で、学生の受け入れば昭和六十年というのはそのとおりであるか、お答えいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/7
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008・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/8
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009・田沢智治
○田沢智治君 そうしますと、この間十三年間、今日に至るまでの入学者数と卒業者数の推移と科目別履修者の構成比、さらに放送大学入学者、在学者の年齢別、職業別状況を御報告願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/9
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010・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 放送大学では入学者の種類が幾つかございます。卒業を目的とする全科履修生のほかに、一年間だけ在学する選科履修生や一学期在学する科目履修生がいますので、この入学者数というのは通常の大学の入学者とはちょっと性格を異にしております。
昭和六十年に受け入れたときには、この六十年度の入学者は一万九千人でございました。これが平成八年度の入学者数は五万七千人にふえております。そして、その平成八年度現在で六万四千人の学生が在学しております。
それから卒業生でございますが、平成元年三月に初めての卒業生五百四十四名を送り出して以来、平成九年三月に一千九十四人、これまでの累計で九千九百五十二名が卒業しております。
それから、科目別の履修者の構成というお尋ねでございましたが、放送大学の授業科目そのものは三百二十科目ございます。この学生たちは六つの専攻のいずれかに属しております。したがいまして、その専攻別の学生の構成を申し上げますと、六つの専攻のうち、生活と福祉に二三%でございます。発達と教育に二四%、社会と経済に一三%、産業と技術に一〇%、人間の探究に二〇%、それから自然の理解が一〇%、こういう構成になっております。
それから入学者の年齢別、それから職業別の構成でございますが、これについても平成八年度の在学者についての構成で申し上げた方がよろしいかと思います。平成八年度の第二学期の在学者、六万四千人余りおりますけれども、そのうち年齢で言いますと、十代つまり十九歳までが六・五%、二十代が二八・三%、三十代が二二・二%、四十代が二一・二%、五十代が一一・一%、六十歳以上が一〇・七%、こういう構成でございます。
職業別でございますが、同じく六万四千人の在学者のうち有職者が約半数おりまして、教員が三・二%、公務員が一三・六%、会社員等が二八・七%、個人あるいは自由業が四・七%、農業等が〇・四%でございます。そのほか、無職が二二・九%、他大学の学生等を含めたその他が二六・五%、こういう構成になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/10
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011・田沢智治
○田沢智治君 ただいまの報告を聞きますと、放送大学は幅広い層、幅広い履修科目等に、生活に密着したり社会人としての教養的知識を深めたいというような当初の目的に沿ったような実態を位置づけることができるのではないか、私たちはそう思うんですが、大学教育を受けたいと思っても時間的制約や経済的制約によって大学に通うことができない職業人あるいは社会人、女性や特に主婦等にとって、貴重な生涯学習の役割を果たす高等教育機関として重要視されていることが立証されるのではないだろうかと心を強くするものであります。
そこで、橋本内閣のもとで今六つの改革が行われておりますが、その一つに特殊法人の整理合理化が検討されていることも私は承知しておりますが、広く国民の各界各層からの履修者を得て今後ますます発展している状況を見たときに、整理統合の対象にすべきではない、私はそう思っておるんですが、文部大臣、どういうような考えを持っているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/11
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012・小杉隆
○国務大臣(小杉隆君) 私は、放送大学というのは公共の電波を使うという非常に公共性が強い放送事業でありますので、やはり国がかなりの関与をすべき性格の大学だと思っております。
そこで、今お話しのとおり、特殊法人の整理合理化ということの閣議決定が行われましたので、それを踏まえましてさらに一層事業の効率化あるいは経費の節減ということを図っていかなきゃならないと思っておりますし、またできるだけ自己収入を確保する、こういうことで一生懸命これから努力をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/12
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013・田沢智治
○田沢智治君 そういうことで、この領域だけは絶対に確保するんだという決意と受けとめてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/13
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014・小杉隆
○国務大臣(小杉隆君) はい。そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/14
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015・田沢智治
○田沢智治君 それでは、本法律案に対するお尋ねをいたしますが、まず提出されている法律案の概要について要領よく説明してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/15
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016・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 現在、放送大学の対象地域が東京タワーから電波の届く範囲内に限られております。これを新たに通信衛星を使ってこの電波を全国に提供することにしております。
この通信衛星を利用した放送は、放送大学学園がみずから直接放送業務を行うのではなくて、委託放送業務という位置づけになります。したがって、この学園法の一部を改正いたしまして、放送大学学園に現行の放送業務に加えて新たに委託放送業務を行うことができるとする規定を加えるのが主眼でございます。それとともに、放送法の関係規定の整備を行うものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/16
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017・田沢智治
○田沢智治君 当然委託放送をしなければできないと、こう思うんです。そこで、CSで全国放送を行うとした理由と、今後BSを使おうというような当初の話にありましたけれども、この利用についての文部省の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/17
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018・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 委員御指摘のとおり、当初放送大学は全国化するに当たりましてBSの活用ということを考えておりました。このBSについては打ち上げ時期が当初は平成十一年度ころというふうに目されていたわけでありますけれども、そのBSの方式をどういうものにするかということについて郵政省の電波監理審議会において議論がなされております。その結論が昨年出るはずでございましたが、一年先送りになりました。放送大学としては、早急に全国化を図ってほしいという全国関係者からの要望にこたえてできるだけ早く全国化を実現するために、このたびCSデジタル放送の活用ということに踏み切ったわけでございます。
なお、今後のBSの利用でございますけれども、ただいま申し上げましたように、電波監理審議会において現在放送方式についての検討が行われている最中でございます。その中で、当初予定しておりましたアナログ方式ではなく、BSとしては初めてですけれども、デジタル放送にするという方向での議論がなされているというふうにも聞いております。そういった状況をよく踏まえながら、その経費あるいは普及状況も勘案して、今後BSについてどうするかを検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/18
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019・田沢智治
○田沢智治君 BSじゃなくてCSを使うということでございますけれども、一人でも多くその恩恵に浴するということが一番大事なことでございますので、積極的にお願いしたいと思います。
次に、放送大学がより効果を上げるためには全国各地に学習センターを整備する必要があると思いますが、現在どういう状況に実態がなっているのか、将来の計画等を伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/19
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020・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 現在、放送大学の電波が届くところには面接授業なども行える学習センターが七カ所設置されております。電波の届かないところにおいては地域学習センターという施設が設けられておりまして、そこでビデオテープ等を利用した学習活動が行われています。これが三十六カ所でありまして、すべての県にこのセンターを設置する計画を進めておりますが、未設置県があと四カ所残っております。したがって、当面この未設置県の解消に向けて準備を進めているところでございます。
なお、今後全国化が実現した際には、各地の学習センターにおいて面接授業が行えるようにする必要がございます。その意味で、現在の地域学習センターを学習センターとして拡充整備していくということが今後の課題となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/20
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021・田沢智治
○田沢智治君 私はやはりこの辺のところが大事だと思うんです。放送大学の学習システムは、電波による授業番組とともに、面接授業を受けたり単位認定試験を受けたりする学習センターでの学習が大事な地位を占めるのではないかと、私はそう思います。学生同士の交流の場としても学習センターの役割は大きいと私は思います。
現在、電波の届かない地域では、ビデオテープなどで放送大学の番組を視聴するための地域学習センターが設置されておると聞いておりますが、その規模は必ずしも大きいものではないと、こういうふうに思うのであります。これから全国放送をすることとなれば、各地で学生数がふえ、現在ある地域学習センターでは学生のニーズに十分こたえられないのではないかという心配があります。全国化に伴って各地域学習センターをどのように整備していくかという問題が大きな課題になるのではないかと私は思っております。
そこで、学習センターについては、やはり地元の大学との協力体制を確立して、国公私立大学の協力を得ながら、学習指導センターを提供してもらいながら、やはりそこの大学の教授が多少面倒を見ていくというように連携、連帯体制の確立をすべきだと。
私もいわきで大学を一つやっているんだが、福島県は一つきりやらないんだなんというような話だったんだけれども、それは一つの分室的役割で置きましょうということで、教授も喜んでやってくれて、東日本国際大学というところなんですが。
ですから、そういう意味で、既存の国公私立大学でも受け入れるというところはやはり積極的に放送大学としても、数の問題ではなくして、効率性があり効果があると思うならばそこに託していく、業務提携していくというような前向きの姿勢が必要だと思うのでありますが、もう時間がないので、御両者の意見、局長あるいは大臣の意見を聞かせてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/21
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022・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 委員おっしゃるとおり、地域学習センターを学習センターに拡充していくということは大変大きな課題でございます。そして、その際に既存の大学等からの協力を得るということも大変重要なことでございます。
実際に現在においても、学習センターや地域学習センターにおいては、既存の大学から非常勤講師を派遣してもらったりあるいは図書館を利用させてもらったり施設そのものを借用する、こういった形で協力をいただいておりますので、今後さらに全科履修生を受け入れることになりますと、面接授業を実施するためにはこれまで以上に地元の大学等との連携協力が不可欠であると思っておりますので、関係者の御理解を得るよう努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/22
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023・小杉隆
○国務大臣(小杉隆君) 先ほど申し上げたようにCSによって放送エリアが全国化するわけですから、今委員から御指摘のような、いろいろな図書館や私立大学やら公立大学、国立大学の協力を得てできるだけ多くの視聴者が受講できるようにする、こういう精神でやっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/23
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024・田沢智治
○田沢智治君 今の決意で私は大変意を強くするのであります。そういう意味で、できる限り既存の大学の施設の中にそういうものを提供して協力してもらえるとするならば大いに協力してもらって、効率性のある、内容のある学習指導センターが運営できるように努力していくというのも、経費の削減にもなるし放送大学の学生も喜ぶだろうと私は思うんで、大いに推進してもらいたい。
時間がございませんので、今回の法律の内容は、CS放送を利用して全国に放送大学の授業番組を視聴する機会を提供しようとするものであり、ぜひともそのように実現していただきたいということを私は要請したいと思っております。
放送大学については、この全国放送の実施を契機に、さらに充実した学習機関となることを私たちも期待いたしますので、最後に、放送大学の充実について文部大臣からの所見を伺い、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/24
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025・小杉隆
○国務大臣(小杉隆君) 先ほど来申し上げているような精神で、ぜひ実質的に今の視聴者、学生数が飛躍的にふえるあらゆる努力をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/25
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026・山下栄一
○山下栄一君 平成会の山下でございます。
この放送大学の構想につきましては、私が所属しております旧公明党の時代に、昭和四十年代ぐらいからさまざまな提案をしてまいりまして、昭和六十年からでしたか、実施されるようになったわけでございまして、全国展開ということを可能にするそういう法案が今審議されていることにつきましては非常に評価するものでございます。ただ、先ほども田沢先生の方からお話しございましたように、行政改革との絡みでやはり問題点もなしとしない、こういうふうに考えておるわけでございます。
まず、特殊法人放送大学学園の経営実態につきまして、一般会計に対する依存の割合、それと、今回の全国展開によりましてどのように改善される可能性があるのか、一般会計依存率ですね。自己収入、できるだけ生徒数をふやしてというお話もございましたけれども、その辺の見通しをお聞きしたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/26
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027・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 放送大学学園の現在の経営状況をまず申し上げますと、収入源は学生納付金等の自己収入と国庫助成から成り立っておりまして、平成八年度は支出が百二十八億円でございます。これに対し自己収入が二十八億円、国庫助成が百億円、こういう状況でございます。
今後、全国化に伴ってこの支出あるいは収入がどのように推移していくかというお尋ねでございますが、収入につきましては、全国化の実現によって学生数の増加が見込まれますので、その分、授業料収入という形で自己収入の増加を図ることができると考えております。他方、支出面におきましては、通信衛星を使うための経費が年間約三億円でございますが、そのほか地上関係の施設・設備の経費がございます。それから、特に今後は学習センターの整備、運営が大きな課題となっておりますので、その面での経費については増加することが見込まれます。
ただ、これが今後どのように推移していくかということについては、まず学生数の増加も今のところ一応十万人程度になろうかという推測をしておりますが、なかなか確実な推計をすることは難しいわけでございます。自己収入の率は現在のところ約二三%でございますが、これを行く行く仮に五割を超えるような程度まで上げようとすれば、現在の授業料を二倍程度に引き上げる必要もあるのかということも考えておりまして、授業料そのものをどの程度に設定するのか、こういったさまざまな要素が絡んでくるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/27
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028・山下栄一
○山下栄一君 放送大学学園の財政につきましては、当初から自己収入を半分は何とか確保したいという目標があったと聞いておりますけれども、それは二割ちょっとだというようなことでございます。
それで、これは全国展開によりまして、先ほども田沢先生からお話しございましたように、地域学習センターを学習センターに格上げするためにそれだけの場所も確保しなくちゃならないと。お借りする、間借りが多いかもわかりませんけれども、今の地域学習センターの状況ではとてもやっていけない。入学手続その他、学割の発行とか奨学金の問題とか、大幅に事務量の負担がふえてくる、そのために人も必要だと。
施設、人員の拡充につきましてどのようなお考えであるかということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/28
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029・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 全国化に伴いまして、現在置かれている各地域学習センターを学習センターにいわば格上げをいたしまして、新たに全科履修生を対象とした面接授業ができるような体制にする必要がございます。そのためには、御指摘のとおり、人的な面あるいは物的な面、両面での整備が必要になります。これについては一挙にすべての学習センターを整備するということは大変難しいと思っておりますので、平成十年から四年間をかけて年次的に整備したいということを考えております。その際には、地域間のバランスとかあるいはそれぞれの地域における学生の規模、また地域の特性、こういった点を十分考慮しながら、そしてまた、いずれにしても経費のかかることでございますので、財政当局ともよく調整をした上で準備を進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/29
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030・山下栄一
○山下栄一君 学習センターの場合は正規職員といいますか五人ぐらい、それに対して地域学習センターは一人で今現在はやっていらっしゃるけれども、とても一人じゃできないのでそれをふやさなきゃいかぬということですね。人も大変たくさん必要であるということでございます。
あと、将来の方向ですけれども、単位互換の問題で、私学の場合は、比較的私学そのものの財政節減にもなるので、非常に今は単位互換はありがたいというふうなこともあるようですけれども、国公立はほとんどそういう制度がないと。私学の場合も一方通行で、放送学園の生徒が私学の単位を認定してもらえるかといったら、してもらえないというようなこともあるわけでございまして一方通行。これは、相互に単位互換し合うようなそういうお考えはどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/30
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031・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 仰せのとおり、現在単位互換制度を設けておりますが、それは既存の大学に学ぶ学生が放送大学においても単位を修得する、そういう意味で一方通行であるということは言えると思います。
なぜそうなっているのかということを放送大学に聞きましたところ、放送大学の学生はもともといろんな事情から既存の大学に通学することが容易ではない人が学生となって勉強しているわけでありまして、その意味で一般大学で単位を修得するニーズが低いということがある、こういう説明を受けております。
しかしながら、そのような双方向の単位互換というのは双方の大学の内容を充実する上でも意味のあることであると思っておりますので、そういう希望には積極的に対応するように放送大学学園に対して指導してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/31
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032・山下栄一
○山下栄一君 引き続き、これからの方向の問題ですけれども、今は教養学部一学部でございますけれども、新たな学部また大学院の設置、そんなすぐには無理だと思いますけれども、そんな方向性をお考えになっておられるのかおられないのか。
国際化、要するに東南アジア等その他、それは限りませんけれども、授業の提供ができるようなそういうことについてのお考えはないのかあるのか、その辺をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/32
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033・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 現在、放送大学には教養学部一学部が置かれているのみであります。教養学部を置いた理由は、今日のように変動する社会の中で、いろいろ複雑な課題を解決するために総合的なあるいは学際的な学問が必要となってきておりますので、そういった領域を取り上げて、必要な学問的教養を身につけられるようにという趣旨から教養学部を設けたものでございます。
新たな学部を設置するということにつきましては、放送大学が公共の電波を利用して限られた時間の中でできるだけ多様な要請にこたえられるようにする必要があるという事情が一方にございますし、また、文学とか経済学とか理学、工学、こういった従来の分類によるような各専門分野ごとの教育については、現在大学の通信教育を通じて相当広範囲に実施されている、こういった事情もございますので、放送大学としては現在のところ新たな学部を増設するということは予定しておりません。
また、大学院についても、そもそも今のところ通信制の大学院という制度そのものがございませんで、これは大学審議会で現在検討しているところでございますけれども、放送大学として現在大学院を設置するという計画も具体的には持っておりません。
それから、国際化への対応ということでございますが、衛星放送を利用して質の高い高等教育の放送を諸外国、特に近隣の諸国に提供するということについては意義のあることであると思っておりますが、放送大学としては、これまで十年余りの間、関東地域に限られていた放送範囲をとにかく全国に広げようということを最大の課題として対応してまいりましたので、やはり全国各地の要請にこたえるということが先決であると考えております。
また、他の国に向けて放送を提供するということについては、どういう言語を使用したらいいのかとか、あるいはそれぞれの国における国際放送に対する考え方といった問題もあると考えられますので、現在の段階ですぐに現在の放送大学の放送内容を諸外国に提供するということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/33
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034・山下栄一
○山下栄一君 先ほど在学生の年齢別のお話もございましたが、十代と二十代を合わせますと三分の一を超えているわけです。
放送大学学園卒業、学士の資格を得た、それに伴って新しい仕事に変わった、また司法試験等の試験にも合格したとか、そういう新たな進路開拓実績、そういうのが、高齢者とかじゃなくて、十代、二十代、これを中心にどうなっているのかということをちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/34
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035・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 十代の学生が六・五%、二十代の学生が二八・三%、御指摘のとおり両方合わせますと三四、五%になります。ただし、十代、二十代の若い学生層の中には一般大学の学生で、ここで単位互換のために特別聴講生として在学している学生が相当数含まれております。高校を卒業してすぐに放送大学に進学するという学生の数はそう多くはございません。
そういうことをまず御理解いただいた上で、卒業生の進路について簡単な調査がありますのでそれを御紹介しますと、平成五年までに卒業した三千五百名余りの人たちを対象にアンケート調査を行ったことがございます。
回答者が二千百六十一名ですけれども、このうち在学中に無職、ほとんどが有職なんですけれども、在学中に無職であった人が八百八十三名おりまして、この八百八十三名のうち、卒業後に就職した者が九十六名おります。したがって、約一一%ということになろうかと思います。それから、放送大学の学生の間は仕事を持っていたけれども、卒業後、この卒業資格を生かして転職をしたという人も七十二名を数えております。
こんな調査結果がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/35
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036・山下栄一
○山下栄一君 放送大学の授業のレベルは非常に高い。専任、客員の先生方を見ましても本当に各界の大変優秀な方がそろっておられるということで、ますます私はニーズが広がっていくのではないかなと思っておるわけですが、考えようによっては大学希望者が減ってくるわけでございますよね。余り充実し過ぎると、ほかの大学との競合が心配になってくる。若い人、もちろん特別聴講学生の率が高いとおっしゃっておりましたけれども、充実すればするほど、民間の補完じゃなくて民間と競合してくる可能性も出てくるという、そういう心配が考えられるのではないかなと。
財政負担につきましても、自己収入、自立するのがなかなか厳しい状況だということを考えましたときに、もちろん公共性は大変強い面もあるわけでございますが、将来はそうとも言えないのではないかなというふうなことを感じております。
行革の折、今全国展開しようとしている中で水を差すような話で大変申しわけないわけでございますけれども、大臣にお聞きしたいんですが、将来の方向として、特殊法人の民営化、大学人口の減少とともに放送大学の民営化を考えざるを得ない状況になってくるのではないかというふうなことについてのお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/36
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037・小杉隆
○国務大臣(小杉隆君) 公共の電波というのは非常に貴重な私は国民全体の共有財産だと思うんです。そういう公共の電波を使った大学というのは極めて私は公共性が高いと思うわけでございます。また一方、私立大学におきましては大学の自治とか自主性というものがありまして、放送大学の持っている公共性と私立大学の持っている自主性、そういうものの調和が非常に困難であるというようなこと。そういった放送大学は極めて公共性が高い特殊性ということから、国が相当関与していかなきゃいけないだろう、こういうことで、私は、やはり特殊法人という形で国が相当程度関与していかないといけないのではないか、こう考えております。
それから、私学との競合ということですけれども、先ほど答弁にありましたように、何らかの事情で大学に行けない、こういう方がほとんどでありますし、年代から見ましても非常に広範にわたっておりますので、おのずから放送大学の目指すところと私立大学の目指すところというのは違いますし、そういう点で、私は民営化というのは決して好ましいことではないと思いますし、放送大学が内容をもっともっと充実させていくことによって私立大学に学生が行かなくなるという懸念は当たらないんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/37
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038・山下栄一
○山下栄一君 時間の残りも余りないんですけれども、ちょっと別の問題をお聞きしたいと思っております。
昨年の九月以来、覚せい剤を中心とする薬物汚染が広がりまして、何度も言っておりますけれども、教室が汚染されておるという実情がどんどん広がりつつあるということにかんがみましての質問でございます。
この五月に、体育局の方で、児童生徒の覚せい剤等の薬物に対する意識等調査が実施されるというか、それがもう既に実施に向かって今各都道府県教育委員会を通して子供たちの意識調査、小学校五年生、六年生、中学、高校生等約八万人を対象とする意識調査の件でございますが、子供たちのプライバシーを保護するという観点から、これは確かに非常に慎重にやる必要があるけれども、子供たちの意識の実態を把握しないで的確な手は打てないということから非常に大事な調査であるというふうにとらえております。
ところが、今回の意識調査は、子供たちだけではなくて学校、場合によっては教師に対する意識調査、これを同時並行で行われるということになったようでございます。薬物乱用防止に関する指導実施状況調査、このアンケートを見ますと、場合によっては国による学校教育への介入に非常に心配があるような内容になっているというふうに私は感じるわけでございます。
例えば、薬物乱用防止に関する指導を実施しましたか。はい、いいえ。次に、各教科、学年ごとに指導した学級の数、指導した授業時間数はどうだ。それから、指導の中でどんな薬物を取り上げたか。シンナー、覚せい剤、大麻。使用した教材はどうだ。それからチームティーチングまたは指導に協力した人があったら、その教科、学年ごとに丸をしなさい。養護教諭、麻薬取締官OB、学校歯科医その他が書いてあるわけです。
こうなってくると、教育内容、方法にまでかかわってくる。文部省の方はそんなかかわろうとする意図はないんだというふうにおっしゃっているわけでございますけれども、じゃ、ほかの問題で、例えば従軍慰安婦の問題で、君が代の問題で、どんな教材を取り上げてどんな時間数でやったんやというようなことを、やらないとは思いますけれども、それと今回のとどう違うんだと。この場合はよくてこの場合はいけないとかは、それはどこが判断するんだというようなことになってくると非常に私は問題が出てくるのではないか。
こういうふうなことにまでかかわられたら、学校の教師も非常に威圧感も感じるし、強制力を感じるような、指導要領に書いてあるから実施しないとというふうなことになってくると、ちょっとやっぱり問題が出てくるのではないかなというふうに思うわけでございまして、児童生徒の覚せい剤等の意識調査の中に、薬物乱用防止に関する指導実施状況に対する調査についてはやめるべきである、このように私は考えるわけでございますけれども、お考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/38
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039・佐々木正峰
○政府委員(佐々木正峰君) 御指摘の調査でございますが、最近の薬物乱用による児童生徒の補導状況等を見ますと、極めて深刻な状況にあるわけでございます。そういう観点から、より充実した薬物乱用防止教育を今後してまいりたい、そのためには、一つには児童生徒が薬物に対してどのような意識を持っているのか、あるいは薬物乱用の背景となる状況としてどのようなことがあり得るのかということを的確に把握すると同時に、学校において具体にどのような指導状況にあるのかを、かなりの程度状況を正確に把握しておく必要があると考えたわけでございます。そういった観点に立ちまして、今回児童生徒に対する意識調査とあわせて学校における指導状況調査を実施したわけでございます。
この調査に当たりましては、対象となった児童生徒が在籍する学校を対象として調査を実施することといたしておりまして、調査票につきましては、都道府県教育委員会で選定した学校に対して都道府県教育委員会が配付をするというふうな形をとりまして、当該学校につきましては六月六日までに調査を終了し、調査票を文部省の指定する民間調査機関に送付をすることとしておるわけでございまして、具体の学校名等は公表しないというふうな形での対応をしておるわけでございます。
このような調査は、あくまで現在の指導実態というものを把握し、深刻化する薬物乱用の防止教育の充実のために、まず正確な実態把握、それを踏まえて今後の教育を考えていく、その参考資料として活用させていただくということといたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/39
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040・林久美子
○林久美子君 平成会の林久美子でございます。
田沢先生、山下先生と少し質問はダブるんですけれども、少し細かくお伺いいたします。
文部省は、昨年の九六年度の予算段階までは放送衛星、BSによる放送大学の全国化を目指してまいりました。そのために予算を百億円計上し、番組を衛星に飛ばす、そのための整備などを行っておりますけれども、CS放送に切りかわったのですけれども、そのため新進党は積極的に応援してまいりました。これはBSの打ち上げがかなりおくれるということが予想されたため、また当時、BSはアナログ方式のために、世界の方向はデジタル方式に変わっておりますので、そういう旧式というイメージが定着したためだと思います。そして、来年の九八年の一月には試験的にCS放送による放送大学が開始されることになりました。本格的な入学生を受け入れるための年月が来年の十月と伺っております。
そこで三問ほど質問いたします。
BSは今後も使用しないのか、また将来は計画はどうするのか、お聞かせください。
二点目は、CSデジタル放送とは、とりあえず民間のパーフェクTVを使用するようですけれども、もし仮にNHKのBS放送を使用した場合には、CS放送とBS放送のコストの面では相違があるのかどうか。
そしてまた、山下議員が先ほど国際放送のことを話されましたけれども、もう一度お伺いいたします。郵政省は国際放送大学の構想を検討しております。文部省は放送大学の国際化についてはどのように検討されているのか、お聞かせください。
この三問です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/40
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041・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 今後BS放送を利用しないのかというお尋ねでございました。
御指摘のとおり、当初はBS放送によって全国化を図るということを考えていたわけでございますが、BSの打ち上げが予定よりもおくれるという状況になりましたし、その間にCSが実際に活用できるような新しい状況も生まれたということで、放送大学としては、一日も早く全国各地で全国化を待っておられる向学心に燃えた学生に電波を流す、そのためにCS放送を使うことにしたわけであります。
その後、将来BSをどうするかということでございますけれども、BS4後発機の放送方式について、現在、郵政省の電波監理審議会において検討中でございます。ここでは、当初予定していたアナログ方式にかえてデジタル放送を実施する、あるいはデジタルのハイディフィニションTV放送も導入するという方向で議論がなされているというふうに承知しております。したがって、このような当初と比べての放送方式の変更というのは、今後の視聴者の数とかあるいは放送に要する経費の面にも大きな影響を与えるものでございますので、文部省としては、当面CS放送によって全国化を図り、将来的にBSを利用するかどうかについては、電波監理審議会における答申の内容やあるいは今後のCS放送の普及状況等々を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
それから、CS放送を使った場合とBS放送を使った場合のコストでございます。
CSデジタル放送を利用した全国放送を行うためには、放送に直接要する経費は年間約三億円でございます。BS放送については、先ほど申し上げましたようにどういう方式にするのか、あるいはハイディフィニションTVをどういうふうに導入していくのか、そういったことによって変わってくるために、現在の段階で試算をすることは大変困難であります。しかし、いずれにしてもBS放送を使いますとCSに比べると相当高くつくということは間違いないものと思っております。
なお、三番目にお尋ねのありました諸外国に向けての国際放送についてどういうふうに考えているかということでございますが、御指摘のありました郵政省における国際放送大学について私どもは承知をしておりませんが、質の高い高等教育の放送を諸外国に提供するということはそれなりに意義のあるものというふうに認識しておりますが、放送大学として何分これまで全国化が最大の優先課題でありましたので、当面そちらの要請にこたえていくことが先決であるというふうに考えております。したがって、現段階で諸外国に向けて放送するということは予定しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/41
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042・林久美子
○林久美子君 ありがとうございます。
CSデジタル放送を使用しての放送大学は全国展開していきますけれども、現在の放送大学の在学生は、入学金が今一万八千円で、一単位の履修のための学費が四千円です。卒業に必要な百二十四単位の全体の学費が四十九万六千円ですけれども、CSデジタル放送の開始に伴い学生も増加すると予想されております。この放送大学の財政状況は、つまり収入収支はどう変わっていくと予想されておりますでしょうか。また、この学費と文部省の予算補助はどうリンクしているのか。
さらに、CSデジタル放送での全国展開に際して学費の改定があるのかないのか、不足分はすべて文部省が持つのか、その辺はどうなっているのかお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/42
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043・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 現在の収支状況からまず申し上げますと、平成八年度ですけれども、支出が百二十八億円、収入のうち自己収入が、これは学生からの授業料によるものですが二十八億円、国庫助成が百億円、こういう規模でございます。
授業料等の学費は御指摘ありましたように一単位四千円で、通常、卒業するために百二十四単位必要ですから、卒業までに要する経費というのは入学料も含めますと五十一万四千円というふうになっております。この放送大学の学費は、そのほかの私立大学における通信教育の授業料とほぼ同じレベルでございます。私立大学通信教育の授業料の高い方のレベルとほぼ同等である、こう言ってよろしいかと思います。
今後の見通しでありますが、放送大学としては、学習センターを整備する上で支出面での増加が見込まれます一方、収入面では学生の増加によって授業料の収入増も見込まれるわけであります。しかし、現在のような自己収入比率、二三%である自己収入率をさらに高めようといたしますと、授業料についてもこのままでいいのか、見直しをしなければならないのではないかなというふうに考えているわけでございます。そして、いずれにしても全体に要する経費マイナス自己収入の分は国庫において補っていかなければならないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/43
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044・林久美子
○林久美子君 先ほどと話は随分ダブるんですけれども、放送大学のCSデジタル放送による全国展開になりますと、まず単位互換の協定がほかの大学と結ばれていくと予想されております。ビデオ化で勝手に使用される懸念がありますけれども、いわば放送内容の著作権の保護については今後どういうふうに検討していくんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/44
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045・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 放送番組を無断でコピーして利用するということは一般的には禁止されているわけでありますけれども、しかし著作権法によって、例えば私的な使用のためにコピーをするとか、あるいは学校その他の教育機関におけるコピーとか、試験問題としてコピーをする、あるいは営利を目的としない上演等に使う、こういった場合には認められているわけでございます。これは放送大学に限らず、BS、CSを用いた衛星放送を含めて放送全般に共通するものでございます。
放送大学の学生の中には、放送大学の授業は朝の六時から夜中の十二時まで十八時間放送しておりますけれども、学生の中にはやはり仕事の都合などで自分の視聴する番組を録画あるいは録音しておいて、そして後から都合のいいときにそれを聞く、見るという人が大変多いわけでありまして、こういった利用はこの著作権法に言う私的使用のためのコピーに当たりますので、著作権侵害にはなりません。
いずれにしても、全国放送に当たってこういう著作権が侵害されることにならないように放送大学としては目配りをしていくことは当然必要でございますし、仮にそういう侵害されたようなケースには適当な対応をしなければならないことは当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/45
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046・林久美子
○林久美子君 いい番組をまた授業で使うということになりますと本当に侵害になってまいりますし、その点は文部省がしっかりと監視していただきたいと思っております。
では最後に、時間がありませんので。この放送大学卒業生の社会における評価は決してよくないんですね。ただ、講義内容や教員の質とか学生の学習態度は一流校ですけれども、卒業生の能力に対する評価は、親類や家族からの評価、また友人知人からの評価、社会一般からの評価、自分の所属する組織からの評価は余りよくありません。
これは放送大学の卒業生みずからの感想を表にしたもので、決して個人的に評価したわけではありませんけれども、この表を見て思うことは、学生に責任や問題があるのではなくて放送大学そのものにあるんではないかと思うんです。まず、教養学部一学部のみしかない、総合大学ではない、単科大学であるということ。目的にははっきりとうたっておりますけれども、生涯教育のイメージが強過ぎるんじゃないか。卒業したからといって求人があるわけでもなく、卒業生の人的資本量がほかの大学の卒業生に比較すると劣っている等々いろいろ出ておるんですけれども、放送大学生のために改善すべきことをどのように考えられるか、これは文部大臣にお伺いしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/46
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047・小杉隆
○国務大臣(小杉隆君) 今までは大体関東地域というふうに放送対象地域が限定されておりましたことや、また学生の大半が社会人であるというような新しいタイプの放送高等教育機関、こういうことでありますので、社会的な認知度というのは必ずしも高くはないということは御指摘のとおりでございます。
しかし、先ほど山下委員の御指摘にもありましたように、その授業のレベルは高いものがありますし、また、その単位の修得とかあるいは卒業には相当の努力を必要とするというところであって、私は放送大学における学習成果というのは、卒業生というのは非常にまだ少ないものですから、しかし卒業した人はそういう困難を乗り越えて単位を修得したり卒業したということで相当職場等においては評価されているというふうに聞いております。さらに文部省としては、この全国化を契機として、生涯学習の中核機関としてさらに多くの人に放送大学が知られ、そして高い評価が得られるように努力をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/47
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048・林久美子
○林久美子君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/48
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049・山本正和
○山本正和君 ちょっと今の御質問に関連するんですが、卒業した学生数を教えていただけますか、今までの放送大学の卒業生。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/49
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050・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 平成元年から平成九年までの卒業生の累計が九千九百五十二名となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/50
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051・山本正和
○山本正和君 恐らくこれが今度の全国展開によって大きくなっていくだろうというふうに思うんですが、それにつけても一番大事なのはスクーリング。実際、七カ所ある拠点以外に地域学習センターがほとんどいろんな役割を果たさなきゃいけないと。地域学習センターというのは、これは現在幾つあって、各都道府県の中で幾つか複数あるところもあるんでしょうけれども、全体で幾つぐらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/51
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052・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 放送大学の電波が届くところには学習センターが置かれておりまして、そこでは面接授業なども行われております。これが現在七カ所に置かれております。東京都の場合には複数、三カ所置かれております。それから、電波の届かないところには地域学習センターが設けられております。現在のところ三十六カ所でございます。したがって、まだ未設置の県が四県あるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/52
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053・山本正和
○山本正和君 実は私も自分の住んでおる三重県でちょっと聞いてみたんです。三重県の地域学習センターは県の総合文化センターの中にあるんですけれども、施設面積は一応二百三十六・何がし平米となっているんですけれども、実際は教室部分は五十五・七平米しかないんです。しかも、テレビ教室は一部屋しかなくて、これが四十四平米。いかに小さいかということですね。そして、ラジオの教室が十一平米しかない。こういう状況なんです。そうすると、果たしてこれで受け入れられるだろうか。今まではまだいいんですよ、今度全国展開した場合にこれはどうなるんだろうかと。
こういう施設整備の拡充について文部省はどういうふうな構想というか、今は金がないことはわかっていますから、しかし構想ぐらいはやっぱり示していただかなければ、それぞれの地域の受け入れというものは非常に構想が立てにくいだろうと思うんですけれども、その辺をちょっと聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/53
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054・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) この地域学習センターの規模はさまざまでございます。そもそもこの地域学習センターが置かれている場所が国立、公立あるいは私立の大学の中というケースも多くございますし、また、御指摘ありました三重県のように生涯学習センターのようなところに設けられているというケースも幾つかございます。
今後これらをどのように整備していくかでございますが、これについては、その地域における学生の規模とかあるいはそれぞれの地域の事情等を十分考慮しながら、各県の意向も伺った上で放送大学において検討を進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/54
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055・山本正和
○山本正和君 これはひとつぜひ大臣から強調していただきたいと思うんですが、要望を申し上げておきたいんですけれども、今、行革だとか財政構造改革とかいろんな議論があります。だけれども、やっぱり二十一世紀の我が国は何に依拠するかといったら、人だろうと。その人も、幅広い教養を持った国民がたくさんおるということだろうと私は思うんですね。となると、この問題はいわゆる財政構造改革だとか行革の議論とは違うと私は思うんですね。
そういう意味で、やっぱり内閣として、国民の全体の教養のアップという観点からの重要施策の一つとしてこの放送大学の問題は、これこそだれでもいつでも勉強できるわけですから、こういう観点でひとつ閣議で大臣から発言をしていただきたいと思いますが、御所見はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/55
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056・小杉隆
○国務大臣(小杉隆君) 私もできるだけ閣議あるいは閣僚懇談会で発言の機会をふやすように努力をしておりますが、この放送大学そのものについて発言する機会があればぜひやりたいと思っております。
今お話しのとおり、教育は人なりと。しかも教育改革が今回の内閣の最重要課題の一つとして、あらゆる社会経済の基盤をなす教育改革という位置づけでありますので、特に放送大学というのはあまねく生涯学習の中核的な存在として大いに充実を図っていくということで従来から努力してきたんですが、今年度からCSを利用してやっと長年の悲願である全国化が図られたわけであります。
しかし、今までの議論にもありますように、費用のうちの自己収入比率というのは二三%しかないと。したがって、やっぱり国が関与する特殊法人の事業とはいえもう少しコスト意識を持てということで、どうしたらこの自己収入比率を高めることができるのか、そういった点。あるいは一方で支出の効率化、合理化、これについてももう少し検討の余地はないかどうか。あるいは内容の点についても、今までのように関東地域に限られた時代と全国化した場合とはおのずから内容についても十分私は改善、向上を図るという姿勢が必要じゃないかということを言っておりまして、これからの放送大学のあり方については私は大いに検討を進めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/56
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057・山本正和
○山本正和君 教育基本法なり憲法を持ち出す気持ちはないんですけれども、まさに放送大学は、これはお金持ちであろうとなかろうとこれだけの授業料さえ払えば、入学金さえ払えばだれでも入れるわけですよね。特別な受験勉強も要らないわけですよ。高校さえ卒業しておればいいですね。私は、だから放送大学というものの意味をやっぱり文部省はもっと全国民に宣伝していただく必要性があるだろう、こういうことを思いますが、国民に対する宣伝、啓蒙については今後どういう施策をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/57
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058・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) これまでも、各地域の学習センターの設置を進めていく過程で新聞、雑誌、テレビ等を通じて広報活動に努めてまいりましたけれども、全国化を契機に一層この広報活動に力を入れまして、放送大学の存在が多くの人に知られるところとなって、そして多くの人が放送大学で学ぶことができるように努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/58
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059・山本正和
○山本正和君 そういう御答弁はわかるんですけれども、私の言いたいのは、高等学校を卒業する生徒に、定時制も含めてですよ、放送大学がありますよということを周知徹底しているかといったら、実は必ずしもそうでない要素も聞くものだからね。これはお金が要らないんですよ、都道府県教育委員会に連絡して、放送大学に関するいろんな問題を出したらどうかと、こう言えばいいわけですからね。その辺の指導はちょっとされていないように思うんですが、どうですか、そこは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/59
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060・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 私ども、毎年各県の教育長が集まる教育長協議会という場がございます。そういう場を通じて放送大学についてはこちらからも説明をしておりまして、理解を求めるようにしております。しかし、委員の御指摘は大変貴重な御指摘でございますので、私ども今後ますます広報活動を充実したものにするように努めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/60
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061・山本正和
○山本正和君 ぜひひとつ都道府県教育委員会を通じて、高校を卒業する、あるいは高校に入ったときでもいいんですよね、あるいは進路指導の段階でもいいですから、すべての高校生にこういう放送大学というものがありますよと。これからは全国全部受けられますよと。今までは全国じゃなかったから問題あるけれども、その辺の周知徹底をぜひしていただくように指導をお願いしたいと思います。
次に、これも地域学習センターのこれからの役割で重要なんですけれども、実は面接授業、スクーリングですね。これをするのになかなか先生が、これから用意するのに困るんですよね。ですから、これは国立大学だけでは到底対応できませんから、私立大学も含めて対応してもらうように要請しなきゃいけないんですけれども、そういうことについても一定のやっぱり財政的なものが必要なんだろうけれども、その辺は用意してありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/61
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062・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) こういう学習センターの整備充実は今後の大きな課題でございますけれども、御指摘のように、センターだけで独自にすべてを引き受けて実施しようということについては大変無理がございますので、これまでもそうですが、地元の大学関係者等のいろいろな協力をいただきながら面接授業等を進めていく必要があると思っております。
特に、面接の指導をする教員については、財政状況もございますので、できるだけ非常勤の方々の御協力をいただくという形で進めていく必要があると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/62
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063・山本正和
○山本正和君 じゃ、最後に要請だけいたしまして私は質問を終わりたいと思うんです。
実は私も、大変まだ当時貧しい時代ですけれども、昭和三十一年から三年間高等学校の通信教育をやったわけです。そうすると、僻地までスクーリングでこちらから出向いていったんです。三重県の一番南の木本ってありますけれども、今、熊野市になっている。そこへ行くと、大工さんだとかそういう職人の人や、もう中学を卒業しただけで船に乗っている漁師や、みんな寄ってくるんですよ。そこでいろんな話をする。私は実はそのときに、専門は化学なんだけれども、英語も数学も、私、英語なんて全然でたらめだけれども一緒に勉強する、そういうことでやった経験があります。
ところが、今、自分の当時のあれを振り返ると、その三年間に化学を私が教えた、全く自学自習ですよ、自分で勉強して、自分で全部レポートを書いてこっちから送ってやる。その子たちの化学に対する勉強の力の方が、実は私が教えた子で東大に入った子もおる。京都や名古屋に入った子もおる。その子たちよりもよっぽど化学はしっかり勉強していますよ。それぐらいこれは重要なんですよ、この放送大学。自分で勉強しようという意欲がある上に勉強するわけですからね。
大変苦しいですよ、単位を取るのは。全日制の高等学校の場合は授業さえ聞いておればちゃんと単位をくれますからね。それで教室で居眠りしておる、遊んでおるでしょう。ちょっとこの中に大分高校でそういう時代の経験の方多いと思うけれども、大概のものですよあれは。通信教育はそれじゃ単位が取れないんです。それぐらい非常に重要な意味を持っている内容ですから、私は、担当の局も、また大臣もこのことの重要性を感じていただいて、ぜひともこれについては、これからの日本の国の教育のあり方を根本から見直せる大変重要な事業だという観点から、頑張っていただきますようにひとつお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/63
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064・本岡昭次
○本岡昭次君 この放送大学は、一九八一年の六月に法律として決定されて設置されました。そのとき、私は国会に出て初めてこの法案の審議に参加しました。ここにおられるのは田沢さんと二人ぐらいじゃないかと思うんですが、自来十六年経過して、やっと衛星放送ですか、本格化、全国にエリアが広がるというところに来た。長くかかったなと思うのがまず感想であります。
そこで、先ほども卒業生のいろんな話もありましたが、放送大学をまじめに受講した学生が、教養学部だけであるということに対する不満というんですか、もう少し専門的な勉強がやはりしたがったというのがかなりあるようなんですよ。それで、放送大学の目的は、もちろん生涯学習機関という生涯学習というところに力点を置くから教養学部とイコールになっているようです。
しかし、新しい高等教育のシステムとして、今後の高等学校卒業者に対し柔軟かつ流動的な大学進学の機会を保障することというふうな側面もこれはあるのです。したがって、教養学部だけでなく、今回のCSデジタル放送化を契機に、全国にネットワークが広がってエリアが広がっていくという新しい展開、本格的な放送大学がスタートするという状況に合わせて、工学部とか法学部とか、そのほかの専門学部を創設するということをあわせてやって初めて意味があるんじゃないかと思うんですね。この法律を見ると、放送事業主体の何か一項目だけで、中身は全くないわけで、そこのところは非常に残念なんです。
それで、放送大学のようないわゆる遠隔教育機関というんですか、世界のそういうものを見ますと、たくさんの国にあるようです。そこで、日本のような先進国と言われているところを見てみますと、イギリスでは文学、理学というふうなもののコースがある。カナダでも商学、文学、経営学、看護学、理学部というのもありますね。それから、オランダも企業経営、文化科学、経済、自然科学、法律、工学とかいうのがちゃんと入っている。アメリカも工学及び情報科学とか、ドイツも五学部あって、数学、経済、教育、電気工学、法学と、こういうふうに、それ全部日本の放送大学とイコールで結ばれないかもしれません。しかし、少なくともこういうふうな多様な専門の分野を含んだいわゆる放送大学として新しい分野を切り開いていこうとしている。
こういう比較をしたら怒られるかもしれませんが、老人大学とかなんとかいってやるようなレベルの、単に社会的な教養というんじゃなくて、やはり社会に対して有為な人材を育てるんだという分野をはっきりと持って、第二期と私は思うんですが、スタートすべきではないか、なかったかと思えて仕方がないんですよ。もう少し夢とかロマンとか、このあたりを含めて法律の改正をしていただきたかった。というのは、この一番誕生のときに、さあどうなるかなと思いながら賛成してきた人間の思いなんです。大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/64
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065・小杉隆
○国務大臣(小杉隆君) これは昭和五十八年、一九八三年に大学が設置されて、実際の授業開始は昭和六十年、一九八五年ということで、まだ十年ちょっとたったところでありまして、試行錯誤の部分も随分あったと思います。
もともとこの放送大学は、先ほど田沢委員それから本岡委員からもお話がありましたように、多くの方々の要望によって始まったわけですが、従来のコンセプトといいますと、急速に変動する社会の中で、国民が多くの複雑な課題を解決するように、従来の縦割りの専門課程ばかりではなくて、もう少し総合的なといいますか、学際的といいますか、そういった幅広い領域を設けて必要な学問的な教養を身につける、こういう趣旨で教養学部を設置したところでございます。
新たに学部を設置したらどうかというお話ですが、今各国の例を挙げられました。それももちろん私は重要な参考にさせていただきたいと思うんですが、放送大学に対するニーズというのは非常に私は多様だと思うんです。今言われたように、一般教養的な、趣味というかアクセサリー的にやる人もおれば、いろいろな事情で大学に進学できなかった、したがって何とか大学卒業の資格を取りたい、こういう方々等多様なニーズがあると思うんです。
そういう限られた時間の中で多様なニーズにこたえていくために放送大学がどうあるべきか、これは難しい課題でございまして、今まで文学とか経済学とか法学部、工学部、そういった分類による各専門の教育については各大学、国公私立を通じてやっておられるわけですし、また通信制大学などもありますし、しかも、これからどんどん学生さんが減っていくという中で私立大学の経営問題もありますし、むしろそういう学部の増設ということを今考えているという段階ではなくて、とにかく今までの関東地域に限られていたエリアを全国に拡大するというのが当面の私どもの課題でございまして、先ほども申し上げたように、今後の放送大学がいかにあるべきかということは、また当委員会の皆さんのいろんな御意見もお聞きをし、私どもとしても考えていきたいと思っております。
私どもは、そうした多様な生涯学習ニーズにこたえるために、例えば資格の取得とかリフレッシュ教育に適した科目を設けるとか、教育課程、教育内容の改善には今後とも引き続き努力をしていきたいと思っております。
三百二十講座ありますけれども、この中には民法とか商法とかあるいは語学とか、もちろんファッションとかそういうのもありますけれども、かなり専門的な科目もありまして、かなり幅広いニーズにもこたえ得るようになっていると思いますが、なお一層私どもは改善については努力をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/65
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066・本岡昭次
○本岡昭次君 今おっしゃっていることは私もよくわかるんです。ただ、これをここで決めてということではない、やっぱり一つの大学ですから、そういう教育課程を新しくどうするかとか学部をどう設置するとかというのは大学の中で決めていただかなければなりません。
そこで、大臣なり局長にお願いしたいのは、放送大学のこの法律を審議する中で各委員からそういう意見があったということはやはり伝えていただいて、これは周りが決めてやらせるという問題じゃないと思うんです。大学自体がやはりそういう問題意識を持ち、将来展望を持ってやっていただかなければいかぬわけですから、そこに私学との競合ができたとしてもそれはそれでまた新しい問題の解決の仕方があると思いますので、どうかそういう議論があったということは正確にお伝えいただいて、今後せっかくエリアが広がるんですから、そうした問題の検討をぜひやっていただきたいということを要望しておきますが、そういうことをお伝えいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/66
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067・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) ただいまの点も含めまして、本委員会における審議の状況については詳細に放送大学に伝えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/67
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068・本岡昭次
○本岡昭次君 それで、附帯決議というのは、法律を通すときに、とにかく決議として上げておこうじゃないかというものから、中身が非常にその後の問題の進展に影響力を及ぼす附帯決議もあるんですね。
それで、参議院の文教委員会もこの法案を採決するときに附帯決議を出しています。それを全部読むと時間がかかりますから読みませんが、そこに将来あるべき放送大学の方向についてかなりきめ細かくいろんなことが書いてあります。その中の一つに、「学生については、そのニーズの把握に努め、単位互換、編入転学、障害者の教育等を容易にするとともに、学習センターの拡充整備、育英資金の確保、」とかずっと書いてあります。今言いました中で、「単位互換」というのがここにうたってあるんですね。そのことについて一、二質問します。
それで、先ほども質問ありました、一方通行ではないか、それはなぜかと。それに対して局長は、いや一般大学の単位取得のニーズがない、放送大学に学んでいる学生には他の大学の、国立てあろうと公立であろうと私学であろうとニーズがないんだとおっしゃった、たしか。ニーズがないから一方通行、他の国立とか公立とか私学に学んでいる学生には放送大学の単位を取ろうとするニーズがあるからそういう状態になっているわけで、それは制度じゃないんだというふうな意味の言い方でおっしゃいましたけれども、本当にそうなのかどうなのか。
放送大学に学んでいる学生が、単位互換協定が結ばれて、そして他の大学の単位を取得して、先ほど言った放送大学に法学部とか工学部とかいうことがなくても他の大学のそれを取って、そしてそこへ単位を充足すればそれは一体どうなるのかというふうな問題が考えられると思うんですね。だから、本当にニーズでできていないのか、仕組みとして放送大学の学生が国立大学や他の大学の単位を取ろうとしても取れないようになっているのか、そこをはっきりさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/68
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069・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 制度的に申しますと、放送大学の学生が一般の大学において単位を取得するということは可能でございます。
ニーズが余り高くないと申し上げましたのは、放送大学の学生の場合には、多くの方は仕事を持っておられる方、あるいは家庭の主婦のように時間的あるいは空間的な意味でも制約がある中で放送大学の授業を受けている方なんですね。そういう方が普通一般の大学に通学をして、そしてそこで学ぶということは一般的に言えばそう容易なことではない。そういう意味で、放送大学の学生にはそのようなニーズは極めて低いということを聞いておりますということを先ほど申し上げたわけでございます。
しかしながら、放送大学の学生の中に放送大学だけじゃなくて外の大学で単位を取得したいという人がいれば、放送大学としてもそれに対応する必要があると思いますので、制度的には開かれておりますから、そういう学生のニーズを十分くみ上げた上で対応するようにしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/69
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070・本岡昭次
○本岡昭次君 この「放送大学学園要覧」の一九九六年度版を見ると、放送大学長の小尾さんの文章の中に、「既に九十五の大学・短期大学との間に単位互換の協定を締結し、」と、こういうことを書いてございますが、これはどうなんですか、内容的には国立、公立というのはこの九十五の中でどの程度あるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/70
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071・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 一番最新の数字で申し上げますと、現在、放送大学と単位互換協定を締結している大学あるいは短大は百七ございます。このうち国立大学が五校、公立大学が一校、私立大学が五十七校、私立短期大学が四十四校、こういう内訳でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/71
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072・本岡昭次
○本岡昭次君 そうすると、放送大学学園の問題を国会でこのように法律改正をしてさらによりよいものにしていこうというのは、国がこれだけのかかわりを持っているということなんだと思います。だから、国立学校との単位互換の制度を、今五校とおっしゃいましたが、もう少しここのところを広げる努力というものはなさいませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/72
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073・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 放送大学の全国化がなされますと、各大学において放送大学の授業を活用しやすくなりますので、私どもこれまでも、例えば国立大学の学長会議の折などには放送大学の活用についていろいろとお願いもしてきましたけれども、今後その努力をさらにもっと熱心に、理解してもらえるように努めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/73
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074・本岡昭次
○本岡昭次君 それで、他の大学が放送大学の単位を取るということの中に、中国語とかいうようなものが何か特徴的にあるというようなことがこの資料の中に出ております。確かにそういうことは、放送大学は特徴的に持つことのできる分野だと思います。
そこで、アジアの言葉というのは中国語だけでなくて、お隣の韓国、朝鮮民主主義人民共和国、いわゆるハングル語というんですか。我々は隣の国とお互いに共通する言葉で話すことができない、それよりむしろ遠い英語の方が、私のような者でもおはようとかさようならとかいうことは言えるわけで、ところが韓国の方にはそれが言えないんですね。こういう隣国関係なんてあるのかなということを時々思います。
そこで、放送大学こそ、こうしたアジアの中のハングル語を初めそのほかさまざまた言葉があって、各大学がそういうものを一つの教育課程としてセットすることが非常に難しいというものを、アジアとの将来の友好関係というものを視野に置きながら、積極的に講座を設置していくということなどは特に力点を置かれるべきではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/74
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075・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 現在、放送大学で用意しております外国語の授業科目は、英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、中国語、スペイン語、この六種類でございます。
確かに、御指摘のようにそのほかの言葉についても需要はあろうかと思いますが、限られた時間の枠の中で公共の電波を活用するということになりますと、それをどんどん広げていくというのもなかなか難しい面がございます。
現在はその六種類以外に、単位にはなりませんけれども、学生のいわば教養のために外国語の導入部に当たるような授業も実施しております。特別講義という形で実施しておりますけれども、その中では、アジアの言葉七カ国語を含めまして十二種類の外国語について、ほんの入り口の導入部の特別講義をして、それで視聴者にそういう外国語に関心を持ってもらうようなことも努めております。
いずれにしても、正規の授業の中でどういう外国語を取り上げていくかということについては、先はどのような制約もありますけれども、いろいろなニーズを踏まえながら大学において検討されるべきものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/75
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076・本岡昭次
○本岡昭次君 大臣、一言。本法案から外れるんですが、私非常に今心配しておるのが、第六次教職員定数改善計画の問題がいよいよ何か大詰めを迎えているようなことが新聞等の報道で出るんですが、どうなりましょうか。一言聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/76
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077・小杉隆
○国務大臣(小杉隆君) 御指摘のとおり、大変厳しい環境にございます。
私としては、先日来お答えしているように、現在進行中の第六次改善計画を当初予定どおり来年度で完結をさせたいと、こういうことで取り組んで全力で頑張りたいと思っております。現在のところは以上しかお答えができません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/77
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078・阿部幸代
○阿部幸代君 いつでもどこでもだれでも学べる大学を目指して設立された放送大学が、今回の法改正による全国化を機に、生涯学習体系の中核的機関として国民から寄せられている期待に一層こたえることができるようにと願う立場から質問したいと思います。
身体障害者にも広く勉学の機会が与えられるのが放送大学であると思うのですが、実際、放送大学人学者の中に修学上の特別措置を必要とする身体障害者がどれくらいいるのか調べてみました。
九六年度で、入学者数三万三千四百五十一人中、視覚障害者が三十一人、聴覚障害者が二人、肢体不自由者が七十二人、その他が四人、合わせて百九人となっています。開学以来の累積数で見てみますと、入学者総数が十九万九千五百二十三人であるのに対して、視覚障害者が百六十三人、聴覚障害者が十二人、肢体不自由者が五百二十三人、その他が六十二人で合わせて七百六十人となっています。
一年間で百九人、十一年間で七百六十人というのは、私にとっては思いのほか少ない数でした。ただ、これは入学願書に修学上の特別措置が必要と記載してきた人の数であって、実際の身体障害学生の在学者数はもっと多く、昭和六十年度以来の数で見てみますと、八十八人、百四十一人、百六十八人、二百五人、二百十一人、二百十九人、二百二十五人、二百二十四人、二百二十四人、二百五十人、二百五十九人、二百八十二人と毎年の数がなっています。
参考のために伺いたいんですけれども、大学入試センターの試験で、解答時間など、身体に障害があるために特別に配慮を必要とする受験生がどれくらいいるのか。また障害の種別でそれぞれ何人いるのか。また、その人たちの受け入れ、進学状況ですね、など具体的に把握されているのかどうか。最新の例でよいのですけれども、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/78
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079・雨宮忠
○政府委員(雨宮忠君) 入試センター試験におきましては、今お尋ねのように視覚障害、聴覚障害、肢体不自由等のために、その障害の種類、程度に応じまして特別な措置を行っているわけでございます。
その特別な措置の内容といたしましては、点字による解答でありますが、そういう解答方法の問題。それから試験時間をどうあんばいするか、これは通常の場合よりも五割増しにするとかいうことでございます。試験室をどうするかというようなこと、それから照明をどうするかというような種類のものでございます。平成九年度のセンター試験におきまして五十五万三千二百二人が受験いたしたわけでございますが、このうちの五百三十九人がこのような特別な措置を受けているということでございます。
それからもう一つのお尋ねの、これらの方々の進路状況ということでございますが、実はセンター試験を受けられた方々のその後の進路状況がどうこうということにつきましては、これらの障害者の方々も含めて数字はございません。ございませんが、平成八年度の入学者選抜を経て大学に入学した方の中で、先はどのような障害を持たれた方の大学進学者ということで申しますと、国公私立大学合わせまして三百五十二人、こういう数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/79
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080・阿部幸代
○阿部幸代君 ヘレン・ケラーの事例を引くまでもなく、障害者が、条件が整いさえずればすぐれた才能を発揮していくということは当然考えられるわけですが、私は、まだ日本の高等教育、大学教育の受け入れ体制は不十分なのではないかなというような気がするんですね。筑波の技術短期大学など障害者を全面的に受け入れることができるような大学もありますけれども、まだまだ不十分ではないかなという気がして、そういう意味では、一般の大学に比べると、テレビやラジオを通じて自宅で学習できる放送大学には身体障害者がより多く在学する可能性があるのだというふうに思うんです。
それで、放送の全国化に伴ってその期待はますます大きくなるというふうにも考えることができます。放送大学の方では、実はそういう予想される期待にこたえるべく、既に九一年度、平成三年度から、身体に障害を有する学生の受け入れ体制の改善方策を検討するための基礎資料を得るため、調査委員会を発足させて、国内外の先進的事例を調査して、九三年度、平成五年三月に「身体障害者の修学に関する調査報告書」というのを作成し提出しています。私も全部目を通してみました。
この中で、中央、つまり放送大学の本部機構ですね、ここに身体障害者に関する教育支援センターのような機関をつくったらどうか、教育方法開発センターのようなものもつくったらどうかとか、大学として身体障害者の受け入れについて本格的に対応するセクションを設ける必要があるというようなことがこもごも述べられているんです。
この報告書の中でも述べられているように、身体障害者にやさしい大学は高齢者にもやさしい大学になる。つまり、生涯教育を担うのにふさわしい大学になるし、だれもが安心して入学したくなるような大学になるんだというふうに思います。
生涯教育の中核的機関として、この報告書の中で述べられている身体障害者の受け入れについて本格対応するセクションを設けてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/80
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081・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 今御紹介いただいた平成五年三月の「身体障害者の修学に関する調査報告書」でございますが、これは、放送大学に在学する身体障害者の状況を把握し、国内の各大学で調査をした結果を報告書としてまとめたものでございますけれども、この中で座談会が行われておりまして、その座談会における発言の中に、例えば大学として身体障害者の受け入れについて本格的に対応するセクションを設ける必要があるというようなことも含まれているわけでございます。
この点について、現在は放送大学の本部に障害者のための特別の相談窓口というものは設けてはおりませんけれども、しかし放送大学では、障害者からの入学、修学の相談については、本部に修学指導課というものがございますし、また各学習センターにおいては、個別にそういった入学の受け入れあるいは入学後の履修について相談に乗っているところでございます。これらの点も含めまして、この調査報告書を踏まえて具体的に可能なところから取り組んでいるところでございます。
例えば、毎年出しております学生の募集要項がございますけれども、募集要項においても、身体に障害を有する場合の修学について、特にお知らせの内容を詳しくわかりやすいものにしているというような対応をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/81
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082・阿部幸代
○阿部幸代君 この報告書の中で言われているのは、日常的な障害者の相談に乗るというその程度の位置づけではなくて、もっと本格的な、放送大学としての身体障害者の受け入れについて本格対応する構想、日常的にいつもそのことを考えているそういうセクションが必要だというような相当積極的な提案で、私は本気になるのでしたらこれをやる必要があるのかなというふうに思うので、これはぜひ検討していただきたいというふうに思います。
次に、障害者の高等教育の機会を拡大するために、特に聴覚障害者のための字幕放送について伺います。
テレビの字幕放送は、アダプターを設置して通常のテレビ画面で字幕を呼び出すもので、実用化されて十年もたつんだそうです。アメリカでは全体の七〇%、ゴールデンタイムでは一〇〇%が字幕放送。それから、イギリスでも来年までに全番組の五〇%以上に字幕放送をつけるように法律で決められているんだそうです。日本では、NHK総合テレビが一一・八四%、全放送の二・九二%と字幕放送が極端に少ないことが問題になりまして、NHKの方でも来年度からは教育テレビでも字幕放送を取り入れることを約束しています。
そこで、放送大学でも全国化を機に文字放送を本格的に実施するべきではないかと思うんですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/82
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083・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 今国会に提出されている放送法の改正案においても、すべてのテレビジョン放送事業者に対して字幕番組等をできる限り多く放送するようにという努力義務規定を設けることにしているようでございます。放送大学としても、大変このことは重要なことでございますので、字幕放送の実施の可能性についても現在検討をしている段階でございます。
しかし、実際これを実施するとなりますと、大学教育の講義内容をどういうふうにして字幕によって適切に伝えていくのかとか、その実施方法、内容等、技術面あるいは経費の面も含めていろいろ検討すべき課題も多くあるように思われますので、これらの点について放送大学において十分検討を進めてもらいたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/83
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084・阿部幸代
○阿部幸代君 最新の入学状況で聴覚障害者の入学は二人ということで、先ほど私言いましたけれども極端に少ないわけです。ですから、条件が整えばぜひ勉強したいという人は潜在的にたくさんいると思われますので、ぜひ字幕放送を内容も充実させて急いでいただきたいと思います。
あわせて、この報告書は、開学以来、身体障害学生の増加に伴う受け入れ体制整備の努力、お話がありましたように、学習センターにおける施設整備とか、体育実技の特例とか、あるいは単位認定試験の特別措置など、こういうものを評価しつつ、「点字または拡大文字の印刷教材、音声教材(録音テープ)等の用意、文字多重放送、手話通訳放送の実施、学習センターでの介助者の配置、実験・実習を伴う面接授業への無条件の受講などについては、現在のところ実施が困難な措置とみなされている。し」今後の課題も明らかにしています。これらの課題についてもぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。これは要望と
いたします。
次に、放送大学が高等教育機関としての役割を発揮する上で不可欠な面接授業の拡充策について伺います。
放送大学が大学である以上、学生にとっては学問的な専門性と豊かな人間性を持つ教官との直接の触れ合いの場であり、学生同士の交流の場でもある面接授業の持つ意義は大きいというふうに思います。
それは、印刷教材の学習や放送授業の視聴だけでは十分に理解できない問題の解決や、より深い学問内容を追求する場となることが期待されて、実際放送大学でも進められてきたと思うんですが、学生の面接授業に寄せる期待も大きく、九四年度の面接授業の実施状況を見てみますと、通常面接授業の受講希望者が六万六千七百二十六人、実際の受講者が五万六千六百四十人で、希望者が一万人も上回っているわけです。集中面接授業の方も、受講希望者が二万二千八百十八人で、実際の受講者一万三千百三十一人を九千六百人も上回っています。面接授業の希望者全員が受けられるように拡充をしていくべきではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/84
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085・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 現在、放送電波の届いている地域の学習センターで毎学期約百科目程度の面接授業を開設しておりますし、電波の届いていない地域でも一部の地域学習センターでは、毎学期七科目と少ないんですけれども、その程度の集中面接授業を開設しております。
この面接授業は、通常、収容定員五十名程度の教室において実施しておりまして、したがって希望者をそこにだれでも受け入れるというわけにはまいりません。面接授業の受講に当たっては、学生に第一希望、第二希望、第三希望と第三希望まで出させて、それをできるだけ考慮しながら自分の希望する面接授業を受けられるようにと、こういう配慮を行っておりますけれども、しかし、委員御指摘のとおり、一部の面接授業については受講希望者が大変多くて、収容力の問題ですべての希望者の意向に沿えないというような例もあるというふうに聞いております。
そういう際には、卒業を目的とした全科履修生や、あるいはそれまで面接授業で取得した単位数の少ない人をできるだけ優先させるというような措置も講じているわけでございますが、この面接授業の開設というのは、テレビ、ラジオによる放送事業とは異なって、先ほど申し上げたように一定の場所が要りますし、それから指導する教員の手配も必要でございますので、そういった点も十分踏まえる必要がございます。また、教育内容のバランス、学生のニーズということも十分考慮しながら、今後その面接授業のあり方について総合的に検討を放送大学において行っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/85
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086・阿部幸代
○阿部幸代君 放送大学もみずからうたっているように、やはり印刷教材の学習や放送授業の視聴だけでは十分に理解できない問題の解決や、より深い学問内容を追求する場としての面接授業、これは大学本来の姿であるし、大学を名乗るからには、その風格といいますか、それを示す姿でもあると思うんですが、放送大学の自己点検・評価報告書、平成七年三月のものですが、これを見ますと、「テレビによる授業は、ある程度対面的要素もあるので、面接授業に代替できるのではないか」とか、「全国化が実現した場合に、これまで行ってきたような面接授業を実施することは、極めて困難であろうという見通しもある。」ということで、面接授業の義務制緩和が検討されているんですけれども、これはやっぱり学生や国民の期待に正面からこたえる方向ではないような気がするんですね。このあたりどういうふうに考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/86
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087・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 御指摘の放送大学における自己点検の報告書ですけれども、この中で、先ほど委員が御指摘になったような理由で、全科履修生の中にもいろんな学習目的を持っている人がいるので面接授業を一律に必修にする必要はないんではないか、こういった意見が出ていたことは事実でございます。面接授業の価値を否定するものではなくて、それをすべての全科履修生に必修にする必要はないんではないか、こういう趣旨であったかと思います。
しかし、いずれにしても、現在、通信教育においては面接授業で一定単位数を取得しなければ卒業できないという仕組みになっておりますし、この放送大学も通信制の大学の一つでございますので、通信教育における面接授業のあり方をどう考えるかということについては現在大学審議会の方で検討がなされておりますので、文部省としてはその大学審議会の検討状況も踏まえ、また放送大学における検討も十分踏まえた上で対応したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/87
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088・江本孟紀
○江本孟紀君 この法案の中身は一応手続上の事務的なことですので、私は反対する理由はありませんけれども、もう既にいろんな御質問されておりますので、私は簡単にちょっと聞いていただきたいと思いますけれども、この放送大学は他の大学に先駆けて任期制をとっておりまして、これはしかし、それ自体は私はいいことだと思うんですけれども、一律に五年というのはちょっと長過ぎないかなと思います。
というのは、テレビでこれを放送するわけでして、毎度毎度同じ方がしょっちゅう出てきて同じことを言われるというのは、それぞれせっかくのこういういろんな意見を、いろんな考え方を皆さんに聞いてもらえるという場所でもありますから、できたら一律に五年というのではなくてどんどん入れかえをしていただきたい。それともう一つは、いろいろこれ見ていますと、今の段階で非常に必要以上の役員やスタッフがいるんではないかなというふうに思いますので、私はその辺も検討していただきたいと思います。
それから著作権のこともお聞きしたがったんですけれども、この次の法案のこともありますので、でもまあそれは先ほどお尋ねになったときにいろんなお答えをしておりましたので、これは省きます。
最後に、最後といいますか、この放送大学についての、これも先ほどどなたかお聞きになりましたけれども、国民のその認知度、理解度、こういったものがやっぱり非常に薄い。ましてや全教科を履修している、全教科を履修しないと卒業できませんので、そういう目的の人がいるんですが、この約二万五千人ぐらいですね、その二万五千人の方のために百五億円もの補助金が出されているというようなことはもう全く知らないと思います。
私は、この放送大学は、ちょっと例えが悪いですけれども、テレビ局をつくるんじゃないかということでいいますと、テレビ局というのは大体ようもうかっていまして、次々に新社屋がどんどんできるぐらいですから、そういうことでいいますと、これは単なる教育に関することだからその補助をどんどん出してもいいんだというような考え方ではなくて、先ほどの質問にもございましたけれども、自己収入比率が二三%、これは先々いってもそれぐらいじゃないかなという気がするんですね。そうすると、大きくなればなるほどどんどんまたその補助をしていかなければいけないというようなことでいいますと、特殊法人の整理合理化が問われている今日ですから、これが別のふうに問われないように、例えば文部省の優良天下り機関ではないかとか、そういうふうに言われないようにひとつ十分その辺を踏まえて運営していただきたい。
幕張のこの立派な施設なんかも、初めて私はこれで見させていただきましたけれども、なかなかすばらしい施設があります。三百二十何人のためのグラウンドも立派に備えてありますけれども、これは体育実習の中でここでするわけじゃありませんね。だからそういったこともいろいろ、これ嫌みで言っているようなものですけれども、こんなことを言われないようにひとつこの施設も立派に活用していただいて、すばらしい運営をしていただきたい、こう思います。もうお答えはいいです。
突然ですけれども、実はきょうの朝の新聞に、体協の常務理事さんが盛岡大学のスポーツ系学部新設のために六千三百万というお金をいただいていたというような記事が載っておりまして、この体協の常務理事さんは文部省の出身の方ですけれども、これは個人的な問題として私はとらえたいと思うんです。
ところが、新聞によってはどうもこれは、きょう午後からスポーツ振興投票法案成立総決起集会というのがあるわけですけれども、当然私も参加するんですが、きょう開かれるのに、そのことに対して、この問題とリンクしているんじゃないかというような書き方をされる。例えば、こういうことがあるからスポーツ振興くじなんかだめなんだというような、いかにもそういうこととリンクしたような書き方をされたりなんかしておるわけですね。
本来、今度のスポーツ振興法案というのは議員立法ですから、文部省関係のOBの方のこういう問題とこれを結びつけられるというのは、これはまことに遺憾なわけです。新聞の記事によりますと、「ある幹部は「文部省と体育協会の関係で、後ろ暗いところがあるというイメージを与えかねない」」というようなことを話されたというようなことなんですけれども、こういうことはちょっと問題じゃないかなと思うんですね。そこら辺を踏まえて、ひとつこの辺についてお答えしていただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/88
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089・小杉隆
○国務大臣(小杉隆君) けさそういう報道がされたことを私も残念に思います。
今、江本委員から御指摘のように、このスポーツ振興くじは、平成四年からスポーツ議員連盟が中心となってやってきたものでありまして、報道によりますと、この常務理事の金銭授受というのは、日本体育協会の職務とは全く関係のない個人的な活動として受けたというものであって、このくじ制度の創設とは全く関連がない。したがって、私は信頼性の問題は生じないと考えておりますが、いやしくもこういうような報道がされるということはまことに残念であって、これは個人の問題、そしてしかも退職して相当年月がたった人の問題でありますが、私どもは、今後一層文部行政としては、学部の新増設についてはそういう疑惑を招かないように透明性を確保していく、こういうことで一生懸命努力していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/89
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090・江本孟紀
○江本孟紀君 ぜひひとつその辺をしっかりとやっていただきたいと思います。
時間がちょっと早くなりましたけれども、私はもうこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/90
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091・堂本暁子
○堂本暁子君 新党さきがけの堂本でございます。
今回、全国で放送大学が視聴できることになったことは大変いいことだと思っておりますが、今、江本委員も言われましたけれども、実は私は、もう今までも全国で見られていたんだと勝手に信じておりまして、関東だけしか今までは視聴できなかったということ自体を存じませんでした。その意味では、大変にこれだけ百億からの国費を投じながら、非常に宣伝が不十分なんじゃないかというふうに感じております。例えば、NHKのどこかでとか、だれにでも見えるようなところで、いつ学期が始まるのだとか、それからどういうチャンネルに合わせるのとか、どういう申し込みをするのだとかいうことは、まさに放送を利用してもっと宣伝をしていただく必要があるのではないかということをまず感じました。
用意した質問は、ほとんどもう同僚議員がお聞きになったので省きます。
あと伺いたいと思っておりますのは、働いている学生さんが多いということを何度も先ほどから強調されておりますけれども、スクーリングに出席するときに果たして休暇をとるような何らかの優遇措置があるのかどうか、その辺を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/91
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092・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 確かに、スクーリングに参加するためには、勤務時間面での配慮など、働いている人が学びやすいような環境の整備というのは重要であろうと思います。
他方、放送大学の方においても、このスクーリングを行う際に、学生の負担とか生活時間を考慮いたしまして幾つかのパターンに分けたスクーリングを実施しております。決められた曜日の決められた時間に集中して行うとか、あるいは多くの人が出席しやすい日曜日を使って行うとか、あるいは夏、冬の休暇期間中、働いている人に休暇期間というのがあるわけではありませんけれども、そういう夏、冬の休みのとりやすいときに集中的にスクーリングを行う、こうした三種類の形態のスクーリングを実施することによって働いている人たちも面接授業が受けやすいよう配慮しております。
それから、あと一般的な勤労者の休暇支援措置としては、職業能力開発促進法において、職業に関する教育訓練を受ける勤労者に対しては事業者が有給休暇を付与することを奨励をしておりまして、そういう場合には事業主への奨励金の給付助成が労働省において講じられているということもございます。放送大学において学習する場合もこれに該当するものでございます。
他方、文部省としては、生涯学習を振興するという観点から、産業界、経済団体の方々に勤務時間における配慮等について協力を要請してまいりました。今後ともそういう努力を続けていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/92
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093・堂本暁子
○堂本暁子君 大変逆説的な物の言い方になりますけれども、勤労している人、働いている人を大変前提にお考えになっている。しかし一方で、もう大学に通わなくても、放送大学の質が非常によければ、そこで大学を出ようという形で、それから事によったら、特に家庭にいる女性の場合なんかが多いと思いますけれども、必ずしも限定されたところでのスクーリングでなくてもいいかもしれない。
そういった場合に、先ほども限定的であるというお話が出ましたけれども、特に例えば語学とか体育とか、そういった一方通行では非常に習得しにくいものがありますね。語学の会話、発言を直すとか、そういったようなものについては、もっと積極的にスクーリングをすれば、放送大学が単に非常に受け身な、しかも働いている人だけを対象にしたようなものではなくて、もっと積極的な存在に展開していくんではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/93
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094・草原克豪
○政府委員(草原克豪君) 御指摘のような事情も十分あると思っております。どういう授業科目についてスクーリングを行うのか、これについては放送大学の教育活動の一環として放送大学において検討がなされるべきことですけれども、十分にそういう学生のニーズといったものも配慮しながらその検討を進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/94
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095・堂本暁子
○堂本暁子君 きょうは、嘉治副学長にわざわざお越しいただきましてありがとうございました。
これは質問に予定はしてないんですけれども、前の質問とダブるところを避けさせていただきますが、放送大学が受け身ではなくてより積極性というような形で、単に働いている人が大学へ行くということ以上に、放送大学がもっと大学として活用されるというような視点は大学側ではお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/95
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096・嘉治元郎
○参考人(嘉治元郎君) 嘉治でございます。
ただいまのお尋ねの点につきまして、教務を担当しております副学長の立場でお答え申し上げます。
まず、面接授業の関連のことでございますが、私どもは遠隔教育ということで生涯学習の一端を担っているわけでございますけれども、同時に通信制の大学として大学水準の教育を提供するということにも努力しているわけでございます。したがいまして、卒業の要件といたしましては、百二十四単位のうちの二十単位は面接授業で修得するということに取り決めております。
ただ、この面接授業への参加は、学生諸君の中に大変忙しい仕事をお持ちの方もありますし、また、普通の意味では無職であるけれども、家庭の主婦としてお忙しい方もおられますので、どういう仕組みで面接授業を提供すれば一番学生諸君の受講に都合がよろしいかということについて鋭意努力しているわけでございます。
ただいまお尋ねの、外国語でございますとか実験、実習の科目、こういうものは少しでもふやすべく努力しております。ただいま関東地区の場合には百科目程度の面接授業を開設しておりますが、そのうち外国語は十八科目開いております。それから、実験、実習もほぼ二十科目程度開いているわけでございます。
それから、一般的なことといたしましては、学生になっておられる方の年齢層、それから現在のお仕事の状況等を見ますとまことにバラエティーに富んでおられますので、そのすべての方に完全に御満足いただくということはなかなか難しいのでございますが、できるだけそれができますようにカリキュラムを組みまして、それからまた授業の実施の面でも努力している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/96
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097・堂本暁子
○堂本暁子君 文部大臣に伺いますけれども、放送大学の最大の利点は入学試験なしにだれでも入れるということだろうというふうに思っております。その意味では何か時代を先取りしているという印象すら受けるわけなんですけれども、新しい大学のあり方を先取りしているんではないかということが一点。
それから、今、学校に行けない、行かれない、行ってないという中学生、高校生がいっぱいふえてきているわけですが、そういった子供たち、それから、もしかしたら入院しているときとか、それから動けない障害児の場合、恐らくこれだけ全国規模で放送が行われるのであれば、そういった場合にでも放送を活用することができるんだということを思いついたんですが、せっかくこれだけの機能を国のお金で備えているのであれば、そちらの方へ展開するということはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/97
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098・小杉隆
○国務大臣(小杉隆君) 第一点の、新しいタイプの大学として時代を先取りした大学ではないかと、こういうことでありますが、私もそのとおりに思っております。これをさらに充実させるための努力を今後ともやっていきたいと思っております。
それから第二点の、学校に行けない高校生等にも授業が受けられるようにしたらどうかと、こういうお話ですが、これは制度面と実際面と二つの面から非常に困難だということを申し上げなければならないわけでございます。
学校教育法と放送大学学園法におきましては、大学教育を行うということを目的として設置をされているということ。それから実際面では、今までの答弁にありましたように朝六時から夜中の十二時まで十八時間放送しているんですが、その中で三百二十科目にわたる講座を放送しておりまして、これから全国展開をしていくCS放送におきましても同じ規模で考えておりますので、これに加えて通信制の高校用の番組を放送するということは物理的に困難だという二点があるということを御理解いただきたいと思います。
ただ、今回の全国放送を機会に、通信制の高校生を初めとする多くの高校生が、放送大学というのはいつでもどこでもだれでも見られるわけですから、できるだけ大学レベルの教育に触れていただけるように、高校生の多様な興味とか関心にもこたえていくためにもさらに放送の充実を図っていきたいし、またそうしていただくことが非常に意義のあることだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/98
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099・堂本暁子
○堂本暁子君 百億円の国費を投入されて、私も放送局にいましたから、例えばバラエティーショーをつくるとか、それから歌番組をつくるとかドラマをつくるとかということに比べましたら、放送大学の放送というのは非常にコストがかからない。にもかかわらず二〇%の収益ということで、細かく検証して全部の会計を見せていただいているわけではないし、人員配置を拝見しているわけではないですけれども、しかしやはり効率からいったらば、非常に民間に比べたら悪いんではないかというふうに思っていることが一つです。
それからもう一つは、特殊法人であると。今お隣の江本さんに放送大学学園は株式会社だということを伺いまして、ますますわからなくなったわけですね。大変そこの、天下りということだけではなくて、経営の透明性それから経営の効率化、これがもっと必要なのではないか、それを行うことによってもっと放送大学が国民に愛される、より知られる大学になっていくんだろうというふうに思います。
副学長にも大臣にも伺いたいんですが、今特殊法人が問題になっているとき、大臣は先ほど公共性が強いとおっしゃった。公共性が強ければ強いほどそういった運営面の透明性、それから国民に開かれているということがやはり税金を使っている以上は義務だというふうに思いますので、その辺をどう考えておられるか。
それから、副学長にぜひ伺いたいんですが、もっと積極的に宣伝をする、運営をもっと効率化する、少なくともこの国会にわざわざきょうお越しいただいた理由は、やはりそのことを直接申し上げたかった。殿様稼業をしていただくことは税金を使っていただく以上は大変困るということです。ですから、運営をきちっとやっていただきたい。
それからもう一つは、大事についての透明性。たとえ任期が長かろうが短かろうが、大事についての透明性、公開性、そこのところで批判が出るようなことがあってはならないということもございます。
その二点について大臣と副学長にお答えいただきとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/99
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100・小杉隆
○国務大臣(小杉隆君) 堂本先生も民放で働いておられ、私も同じ職場で働いた経験も持つ者として、公共の電波を使うということが、商売というふうに考えるといかに大きな価値があるかということは御承知だと思います。
現在、NHKが年間聴視料で収入を上げておりますのは、その他の収入も含めてですけれども、六千数百億に及んでいるわけです。それから民間放送全体では年間二兆数千億に及んでいるわけで、放送大学がこの公共の電波を使ってこれだけの放送時間を持っているんだったら、もっともっと効果を上げていいじゃないかと、こういう気持ちを私も率直に持っております。そういう点では、放送大学の皆さんにもぜひコスト意識というものを持っていただきたいということを私は常に申し上げているわけでございます。
ただ、自己収入の比率を上げるということですけれども、現状でも一単位四千円ということで、トータルいたしますと五十一万余かかるわけですね。放送大学と比較的似通っている通信制の大学でも大体同じくらいの授業料を持っているんで、とめどなしにこれを上げていくということはなかなか社会的な合意が得られないと思いますので、そういう他の通信制大学とのバランスで授業料というものを考えていかなきゃいけない。先ほど本岡委員から五〇%ぐらいの比率にできないかという話がありましたが、そうなりますと授業料をとてつもなく上げなきゃいけないということで、これは現実的には非常に難しい。
しかし、例えばNHKなんかを見ましても、いろいろ副次収入というんですか、そういうようなことでかなり財源的に努力をしているというところもありますし、例えば、私の私見ですけれども、年間の講義をコンパクトにまとめてそれを販売するとか、やっぱり特殊法人だからといってすべて税金と学生の授業料だけに頼るという姿勢ではなくて、これだけの有利性を持った公共事業をこれだけ与えられている、波を与えられているというそういうことを自覚して、認識をして、もっと何らかの自己収入を上げられる手だてはないか、そういう視点で考えてもらいたいと思いますし、また一方、支出の方においてもできる限り効率化、合理化を図っていくと、こういう姿勢が必要かと思います。
あと、具体的な問題については副学長から答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/100
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101・嘉治元郎
○参考人(嘉治元郎君) 私どもは教学面をお預かりしておりますので、形式的には、経営の問題でございますとか財政の問題でございますとか、そういった面は放送大学学園の立場でお考えいただいていることでございますけれども、さはさりながら、私どもも大きな国費のお助けをいただいて大学を運営しているという意識は強く持っているつもりでございます。
その際に私どもとして何ができるかと申しますと、まずよい教育をして少しでも大勢の学生諸君に入学していただいて、そういう形で教育の実績を上げるということで、それを通じまして財政面にも貢献する、こういう立場で物事を考えております。
一つつけ加えさせていただきますと、これまでは関東地区に放送のエリアが限定されておりまして、しかもそれがUHFのテレビジョン、FMのラジオという、FMのラジオの方は比較的視聴の手順が簡単でございますが、UHFのテレビジョンは特別のアンテナをつけなければいけないとか、受信の装置にも通常のものに何かをつけ加えなきゃいけないということがございまして、そのことも学生数が期待以上にはなかなか伸びにくい一つの事情であったのではないか、これは私の私見でございますが、そんなふうに思っております。
近い将来CSの放送を使うということになりますれば、まず第一に、視聴していただく方の数がふえますでしょうし、それと相伴いまして学生として入学してくださる方も当然ふえるだろう。そういうことがあれば、先ほどからお話が出ております自己収入比率というものも当然高めることができる、そんなふうにも思っております。
それから、もう一つお尋ねがございました教官人事の話でございますが、これは既にお話が出ていると思いますけれども、放送大学は発足のときから任期制を導入しておりました。それにはいろいろ理由がございますが、一つは、放送という公共性の高いメディアを使いまして多くの方に視聴していただく教育でございますから、特定の人間が十年も十五年も同じ科目を持ち続けることはいかがかということが相当大きな理由だと私は理解しております。
ただ、その点になりますと、科目をどのくらいの年次でつくりかえていくかという技術的なこともございますし、それから、私どもができるだけよいカリキュラムをつくりまして、現在でも三百二十のうちの三分の二に近い数は客員の先生方にお願いしておりますが、客員の先生方をお願いする際に、できるだけ広く有能な先生方を見出しまして、その方々にお願いしてよいカリキュラムをつくるということで対応できるというふうに思っております。
ついでながら、専任教官の人事は一般の大学と全く同じ仕掛けでございますので、そこには私どもとしては問題はないというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/101
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102・清水嘉与子
○委員長(清水嘉与子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/102
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103・清水嘉与子
○委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
放送大学学園法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/103
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104・清水嘉与子
○委員長(清水嘉与子君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/104
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105・清水嘉与子
○委員長(清水嘉与子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/105
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106・清水嘉与子
○委員長(清水嘉与子君) 次に、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。小杉文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/106
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107・小杉隆
○国務大臣(小杉隆君) このたび、政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
近年、コンピューターを用いた情報処理の技術及びネットワークを用いた送信の技術が著しい進歩を遂げ、インターネットを初めとするさまざまな情報伝達手段が急速に発達、普及しており、これに伴い、著作物等の利用形態についても多様化、複雑化が進んできているところであります。
このようなネットワークの発達等に対応した著作権保護制度のあり方については、国際的にも大きな関心を呼んでいるところであり、世界知的所有権機関、いわゆるWIPOにおきましても、昨年十二月に、このような課題への対応を含むWIPO著作権条約、WIPO実演・レコード条約の二つの新条約が採択されたところであります。
このたびの改正は、このような国際的な動向を踏まえつつ、情報技術の急速な発達に対応して著作者等の適切な保護を図るため、著作権制度の整備を行うものであります。
次に、この法律案の概要について申し上げます。
第一は、送信形態の多様化に伴い、送信に関する規定の整理を行うことであります。
有線と無線が併用されている送信形態の増加に対応するため、現行法第二条に規定する「放送」と「有線送信」とを「公衆送信」という新たな概念に統合するとともに、これに伴い「放送」の定義を改正することとしております。
第二は、プログラムの著作物について、同一構内での有線による送信を権利の対象とすることであります。
現行法では、同一構内での有線による送信は、権利の対象から除かれておりますが、近年急速に拡大、多様化しているLAN等を用いたコンピュータープログラムの同一構内での送信が著作者に与えている不利益を考慮し、コンピュータープログラムに限り、同一構内での有線による送信も権利の対象とすることとしております。
第三は、インターネットなどを用いて利用者の個々のアクセスに応じて自動的に行われる送信である、いわゆるインタラクティブ送信に係る著作者の権利を拡充することであります。
インタラクティブ送信に係る著作者の権利については、我が国は、既に昭和六十一年の改正において法整備を行ったところでありますが、昨年十二月に採択されたWIPO著作権条約の考え方に従い、送信の前段階である、端末からのアクセスに応じ自動的に公衆に送信し得る状態に著作物を置く行為についても著作者の権利が及ぶ行為に含めることとしております。
第四は、実演家及びレコード製作者に、実演及びレコードを端末からのアクセスに応じ自動的に公衆に送信し得る状態に置くことについて権利を付与することであります。
現在、著作者とは異なり、実演家及びレコード製作者については、インタラクティブ送信に関する権利が十分には認められておりませんが、ネットワークを用いた送信による実演、レコードの利用が増加しつつある状況に対応するため、WIPO実演・レコード条約の考え方に従い、端末からのアクセスに応じ自動的に公衆に送信し得る状態に置く行為を対象として新たに許諾権を付与することとしております。
最後に、施行期日等についてであります。
この法律は、平成十年一月一日から施行することとし、所要の経過措置を講ずることとしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概略であります。
何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/107
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108・清水嘉与子
○委員長(清水嘉与子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
本案の質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十八分散会
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発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015077X01119970513/108
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