1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年五月九日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程第二十三号
平成九年五月九日
午前十時開議
第一 国務大臣の報告に関する件(米国、豪州
及びニュー・ジーランド訪問に関する報告に
ついて)
第二 千九百六十三年五月二十二日に地中海漁
業一般理事会の第一回特別会合(同年五月二
十一日及び二十二日にローマで開催)におい
て及び千九百七十六年七月一日に同理事会の
第十三回会合(同年六月二十八日から七月二
日までローマで開催)において改正された地
中海漁業一般理事会協定の締結について承認
を求めるの件(衆議院送付)
第三 農林水産省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
第四学校図書館法の一部を改正する法律案
(南野知恵子君外七名発議)
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一
一、全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法
律案及び日本国有鉄道清算事業団の債務の負
担の軽減を図るために平成九年度において緊
急に講ずべき特別措置に関する法律案(趣旨
説明)
一、日程第二より第四まで
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/0
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001・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
日程第一 国務大臣の報告に関する件(米国、豪州及びニユー・ジーランド訪問に関する報告について)
内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。橋本内閣総理大臣。
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/1
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002・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、四月二十四日より五月一日まで、米国、豪州及びニュージーランドを訪問いたしました。
私とクリントン大統領との首脳会談は六回目となりますが、四月二十五日に開かれた会談では、多岐の分野にわたり率直かつ踏み込んだ意見交換を行いました。第一に、安保関係では、日米安保共同宣言に基づき、日米防衛協力のための指針の見直し、沖縄問題、軍事態勢等に関する協議等の協力を充実させていく旨確認いたしました。この関連で大統領より沖縄問題について引き続き敏感さをもって協力していく旨の発言がありました。
第二に、経済関係では、私より日本の諸改革について説明いたしましたところ、大統領よりは抜本的な規制緩和を含む日本経済の構造改革に対する歓迎の意が示されました。また、日本経済の内需主導型の成長促進と日本の対外黒字の大幅増加の回避が共通の目的である旨確認いたしました。
第三に、中国、朝鮮半島、カンボジア等アジア太平洋地域の諸問題につき日米協調の重要性を確認いたしました。
第四に、デンバー・サミット、テロ対策、コモン・アジェンダ等のグローバルな協力を進めることで一致いたしました。この関連で、在ペルー日本大使公邸占拠事件に対する米国の協力に謝意を表するとともに、両国はテロリズムと闘う決意を新たにいたしました。
このほかに、米議会訪問やナショナル・プレス・クラブでの演説、ゴア副大統領、ギングリッチ下院議長、コーエン国防長官との意見交換等を行いましたが、これらの会談などは現在の幅広い日米関係をさらに発展させていく上で有意義であったと思います。
豪州及びニュージーランド訪問においては、それぞれハワード首相及びボルジャー首相と会談し、良好な二国間関係を確認するとともに、アジア太平洋地域情勢及び二国間関係について意見交換を行いました。
豪州においては、私よりアジア太平洋地域の中の日豪関係に関する政策演説を行うとともに、ハワード首相との間で、原則として年一回首脳会談を行うこと、次回日豪閣僚委員会を八月一日に東京で開催すること、及び経済のみならず政治・安全保障分野での対話、協力を強化していくこと等につき合意しました。
ニュージーランドでは、両国の共通の関心事項につき首脳間で率直な意見交換を行うとともに、私よりの招待を受け、ボルジャー首相が来年前半に日本を訪問することとなりました。
また、今回の訪問において、アジア太平洋とヨーロッパの首脳との非公式会合であるASEMに豪州及びニュージーランドがアジア側の一員として参加していくことを支持し、そのために協力するという日本の立場を明らかにいたしました。今回の訪問の成果を踏まえ、両国との協力の増進に引き続き努めてまいりたいと考えます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/2
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003・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。板垣正君。
〔板垣正君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/3
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004・板垣正
○板垣正君 私は、自由民主党を代表して、橋本総理に対し質問いたします。
橋本総理には、去る四月二十五日、日米首脳会談に臨み、クリントン大統領と多岐にわたる問題について率直な意見交換を行い、日米関係を一層緊密化する成果をおさめられたごとに対し、まず敬意を表したいと思います。
クリントン大統領との会談は六回目と伺いますが、昨年二月のサンタモニカにおける第一回会談以来の経過を顧みると、橋本総理が推進された積極外交の成果はまことに目覚ましいものがあります。
冷戦後における日米安保体制の新しい意義づけ、そして最大の課題である沖縄米軍基地の整理・統合の進展を焦点として、日米関係の画期的な前進が見られたことは御承知のとおりであります。
今回の首脳会談において、米駐留軍地の特別措置法が衆参両院において圧倒的な多数により成立し、さらに米軍基地の整理の進展に関して、クリントン大統領から総理の政治的手腕に対し感謝と評価の意が表明されたといわれます。
しかし、首脳会談においては今後の幾多の課題が提起されています。
以下、それらに関連して総理の御見解を承りたいと存じます。
総理は、安保体制の基盤を確固たるものにするため、沖縄問題を国政の最も重要な課題として取り組んできたと大統領に述べられたといわれますが、沖縄問題は引き続いて極めて重要であります。
日米特別行動委員会、SACOの最終報告の着実な実施を初め、懸案は山積しています。
在日米軍の兵力構成を含む米軍の軍事態勢について引き続き緊密に協議することが再確認されましたが、現在の東アジア情勢のもとで米軍のプレゼンスが維持されることは当然と考えます。同時に、沖縄県民の負担の軽減を図らなければなりません。
そこで、橋本総理に今後の沖縄対策について基本的な考え方を改めて伺います。
あわせて、大統領が沖縄問題には敏感さをもって対応したいと共同記者会見で言明した真意について伺いたいと思います。
次に、日米防衛協力のための指針、ガイドラインの見直しについて、作業の促進について合意したといわれます。私は、日米同盟の実質的な強化のためにもこの問題は極めて重要と考えます。特に、我が国の周辺有事に際して我が国は何をなすべきかの立場に立って、できるだけ具体的に明確にすべきと考えます。また、必要な法体制の整備も図るべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
次に、朝鮮半島情勢、特に北朝鮮問題について四者協議の実現に努力することについては一致しましたが、北朝鮮支援について両国のずれが表面化したとの報道も見受けられていますが、いかがでしょうか。
総理は、日本人妻や拉致問題等について北朝鮮側も人道的に対応すべきであると、国民世論を踏まえて発言されました。私は適切な姿勢であると思いますが、クリントン大統領の見解はいかがですか、伺います。
また、我が国の対北朝鮮政策について、総理のお考えを伺います。
最後になりますが、総理は本日ペルーを訪問され、フジモリ大統領初め関係者に感謝の意を表されると伺っています。
国際テロとして空前の長期に及んだペルー日本大使公邸占拠・人質事件の人質の大部分の方々は無事救出されました。しかし、人質側に一人、特殊部隊幹部二人のとうとい犠牲のありましたことは痛恨のきわみにたえず、心から御冥福を祈ります。特に特殊部隊の二人は、任務を全うしてテロの凶弾に倒れ、まさにとうとい命をその命より重いもののために殉ぜられたのであります。
我々は、今回の事件を通じ、テロに屈しないとはどういうことかを学んだと思います。また、この際、日本大使館側の責任についても明確にすべきであります。
総理の今後のテロ対策に関する御見解を承り、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/4
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005・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 板垣議員にお答えを申し上げます。
まず第一に、米軍の駐留と沖縄問題への対応についてのお尋ねがありました。
日米安全保障条約に基づき我が国に駐留いたしております米軍は我が国及び地域の平和と安定に大きく寄与しており、現時点においてこの削減を求めることは考えておりません。
他方、我が国の安全のため沖縄の方々が背負っておられる御負担というものは、国民全体で分かち合うべきものであり、既に一〇四号線越え射撃訓練等本土の射撃訓練場に移転の進みつつあるものもありますが、政府としては、引き続き沖縄問題を国政の最も重要な課題とし、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
次に、クリントン大統領の発言についてのお尋ねがございました。
私の今回の訪米時におきましては、大統領から、沖縄問題には敏感さをもって対応したい、沖縄問題に個人的にコミットしており、できるだけのことを行う考えである等という御発言があったところであります。これらの発言は、SACO最終報告の着実な実施を含めまして、引き続き沖縄問題に真摯に取り組むことが重要であるという大統領の認識を示されたものと私は受けとめました。
次に、ガイドラインの見直しについてのお尋ねがございました。
この作業では、日本周辺地域において我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態が発生した場合の協力を含めて、新しい時代の日米防衛協力につきましてさまざまな角度から検討をいたしております。
見直しの結果や、それを踏まえいかなる措置をとるかにつきまして、現時点で予断をすることは差し控えたいと思いますが、今月中旬以降のしかるべき時点において見直し作業の進捗状況及び検討内容を公表したいと考えており、米側の同意も取りつけております。
次に、四者会合及び北朝鮮支援等、北朝鮮問題についてのお尋ねがございました。
我が国は、従来から米韓両国が提唱した四者会合提案というものを支持してまいっております。
また、北朝鮮食糧支援につきまして、クリントン大統領は、北朝鮮に対しては食糧支援が必要だが、それを困難にする事情もあると述べられました。私からは、拉致疑惑やいわゆる日本人妻の帰国の問題等、人道的な問題が我々にも存在をしている、我が国の対北朝鮮世論には厳しいものがあるということを説明してまいりました。
日本は、朝鮮半島に関しましては、韓国との友好協力関係を基本とし、この地域の平和と安定に向けて引き続いて努力をしてまいります。四者会合提案を支持し、KEDOの活動にも積極的に取り組んでまいります。
日朝国交正常化交渉再開につきましてはいまだめどが立っておりませんけれども、今後ともに第二次大戦後の日朝間の不正常な関係を正すとともに、朝鮮半島の平和と安定に資するもの、こうした観点を踏まえながら韓国等と緊密に連携しつつ対処していきたいと考えております。
次に、テロ対策についての御質問がございました。
在ペルー日本大使公邸占拠事件につきましては、事件発生以来、我が国はペルー政府と協調しながら、テロに屈することなく人質全員の無事な解放を目指し、その解決に向け、あらゆる努力を傾けてきたところであります。
天皇誕生日の祝賀のため大勢の方々をお招きし、かかる事件を引き起こしましたこと、また結果として人質の中から一名、救出に当たっていただいたペルー軍の中から二名の殉職者を出しましたこと、まことに申しわけなく、心から哀悼の意を表したいと存じます。すべての方々に対し、政府の最高責任者として、この場をかりて改めておわびを申し上げます。
今後、類似の事件の再発防止に努めますとともに、今回の事件を教訓とし、今後とも国際社会と一層連携し、断固としてテロと闘っていきますために、現在、鋭意全面的なこの事件に対する調査に当たっているさなかであります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/5
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006・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 高野博師君。
〔高野博師君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/6
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007・高野博師
○高野博師君 私は、平成会を代表して、ただいま総理から御報告のありました訪米等につき質問をいたします。
まず、御報告の中でも言及されている在ペルー大使公邸占拠事件に関して何点かお尋ねいたします。
最初に、犠牲となられた方々に対し、衷心より哀悼の意を表するものであります。
私は、この事件は戦後五十年の我が国の政治、外交の一つの総決算であり、橋本外交の一つの帰結であろうと思います。爆破され、銃弾の跡も生々しい公邸の無残な姿は、我が国が今こそ抜本的な改革を実行しなければ、国際社会の中で国家と国民の名誉と尊厳が最大限におとしめられ得るということを象徴的に物語っていると思います。
さて、人命尊重とは理念であり、だれ人も否定できない普遍的価値であります。それは即平和的解決とは同義語ではなく、また平和的解決とは解決の方向性を示したにすぎません。我が国は戦後、武力、武というものに正面から向き合うことを避けてきたところに今回の政府の対応の問題の本質があると思います。
結局、我が国は何ら具体的な解決策、選択肢を持たず、事件解決には貢献できなかった。それどころか、武力行使の事前の通報がなかったということは、遺憾を通り越して主権国家として恥ずべきことであります。これはある種の対日信頼がないということでもあります。人命尊重と平和的解決を唱え続け、フジモリ大統領の武力行使の作戦が奇跡的に成功すれば、今度はもろ手を挙げて賛辞を惜しまない政府の一貫性のなさは、国際社会の中で批判され、信用を落としております。その上、かえって我が国官民がテロリストのターゲットになりやすくしたという重大な問題を残したのであります。
結局のところ、フジモリ任せの政府の対応は自立的外交、創造的外交とは名ばかりであり、これが橋本外交の実体であります。
そこで、総理にお尋ねします。
今回の事件から学んだ教訓とは一体何だったのでしょうか。そして、そもそもだれが責任を負うのでしょうか。責任の所在を明確にすることは危機管理の要請であります。ペルー政府は直ちに責任者を軍法会議にかけることを発表したが、これが常識であります。我が国の場合も責任を決してあいまいにすべきではないと思います。
また、今後万一この種のテロ事件が起きた場合、政府は武力行使をどう位置づけるのでしょうか。
さらに、特殊部隊の創設のような具体的テロ対策はお考えでしょうか。
ところで、政府は事件解決直後にペルーに対して十四億六千万円もの無償援助を供与しましたが、その意義は何でしょうか。事件の総括も終わっていないこの時期に経済援助を実施する必要性と緊急性はどこにあったのか。MRTAが提起した問題の一つは我が国の対ペルー経済援助のあり方であり、少なくもこの点についての議論があってしかるべしてはないでしょうか。今回の無償援助はフジモリ大統領の日本人救出成功に対する謝礼か、それとも池田外務大臣の手土産の意味だったのでしょうか。無原則な援助外交はいかがなものか、総理の明確な答弁を求めます。
また、橋本総理も間もなくペルーを訪問することになっていますが、礼を尽くすべきはペルーのみならず、肩透かしを与えた形のキューバとドミニカ共和国であり、労をねぎらうべきは保証人委員会のメンバーであろうと思います。
さて、ずっしりと重かった肩の荷がおりて、総理は米国、豪州、ニュージーランドを訪問されました。今回の各国歴訪は日米関係の強化とアジア太平洋地域の安全保障の強化の意義があったと思います。
そこで、これから日米防衛協力のためのガイドラインの見直しが重要な政治課題となりますが、特措法改正でも露呈したように、基本的な考え方を異にする自社さ連立政権ではこの問題に対応することはほとんど不可能であろうと思います。憲法論議を含め、国家の根幹にかかわる防衛問題、ガイドライン見直しについて総理はどのような展望と決意をお持ちか、お伺いいたします。
また、今回の歴訪は一定の成果を上げたと思いますが、日米同盟を補完するオーストラリア、ニュージーランドとの関係強化は、一面では対中牽制、中国包囲網の形成という印象を与えたことは否定できない。その意味では一定のリスクを負うことになる。この点についての総理の認識を伺います。
一方、総理の訪米と前後して、江沢民主席とエリツィン大統領の首脳会談が行われ、中ロ両国は建設的パートナーシップから戦略的パートナーシップヘと発展させ、対米牽制の意味を持つ協力関係を強化しております。しかるに、先般のクリントン・エリツィン首脳会談に引き続き、秋には江沢民主席が訪米する予定で、米ロ中の間には対抗と協調、牽制と融和の関係が複雑に入り組んでいるし、それぞれの関係の展開も早い。我が国は、日米同盟を機軸としながらも、確固とした平和理念のもとに複眼的、戦略的思考と行動を持つべきであろうと思います。
そこで、中国とロシアの戦略的パートナーシップと日米同盟との関係について、総理はどのような認識をお持ちか、お尋ねいたします。
また、ロシアはNATOの東方拡大に伴い安全保障の軸足を東に移しつつあると見られ、ロシアの極東の軍事力は軽視できない。朝鮮半島情勢も流動的であることも考慮すると、北東アジアにおける地域的安全保障の体制をつくることが必要ではないかと考えます。したがって、例えば日米中ロ韓による北東アジア・サミットを対話を通じての信頼醸成機構として我が国がイニシアチブをとって実現することも有意義と思いますが、総理の所見を伺います。
さて、久間防衛庁長官は、先般の韓国訪問において、ガイドライン見直しに関連して、日本周辺有事の際の対米協力については、原則として外国領域では行わないことを表明されました。しかし、後方支援の活動地域を限定しただけでは集団的自衛権の行使との関係で憲法上のグレーゾーンがなくなるわけではないが、より明確になったとは言えると思います。
総理は、訪米の際には、ガイドライン見直しは憲法の枠内にて行うと強調するにとどめておられましたが、久間長官の発言内容につき、改めて総理に確認したいと思います。
さて、安全保障や世界平和の問題を考えるとき、冷戦後の国際社会が依然としてパワーポリティックスによって支配されているのが現実であります。そして歴史上の悲劇は、国民を幸福にすべき政治指導者が戦争を引き起こし、国民を苦しめてきたという冷厳な事実であります。指導者がパワーポリティックス、力の政治の思考を変えない限り、この悲劇は繰り返されるおそれがありましょう。
一方で、地球環境、テロ、麻薬、貧困等、人類が連帯して戦うべき共通の敵、緊急の問題は山積しており、国が国を敵とする考え方から脱却しなければ世界の未来はないということは言うまでもありません。重要なことは、発想を転換し、軍事力ではなく、政治、外交、教育、文化等、まさにソフトパワーによって世界の秩序を維持することであろうと思います。
しこうして、人類の英知を絞って地球的問題群に真剣に取り組むべきであろうと考えます。軍事同盟や集団的安全保障というものが意味を失い、文字どおり人命尊重の世界、すなわち人間の安全保障の社会をつくり上げることが求められていると考えるものであります。
最後に、橋本総理に我が国の国際貢献、平和戦略についての展望を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/7
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008・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 高野議員にお答えを申し上げます。
まず第一に、今回の在ペルー大使公邸占拠事件から学んだ教訓、並びにこの事件の責任の所在いかんというお尋ねがありました。
一般論としてお答えをいたしますなら、在外公館の安全の確保は、ウィーン条約に定めるとおり、第一義的には接受国の責務であります。しかし、この事件を顧みますとき、その事前の情報の入手あるいはそれに基づく警備体制、当日の状況、その後の対応、私どもは多くの問題点を認識いたしておりまして、今後の課題として本事件の解明を行うとともに、この事件を教訓として反省すべき点、改善すべき点を調査分析することが極めて重要であると考え、外務省に調査委員会を発足させ、鋭意作業を開始いたしたところであります。
次に、武力行使についてお尋ねがありました。
本件類似の事件の解決方策、私は事案の態様に応じてさまざまな対処が考えられると思います。そして、御指摘の武力行使と言われる趣旨をどのように想定しておられるのか必ずしも明らかではありませんが、武器の使用が必要な場合、必要のない場合もありましょう。しかし、いずれにいたしましても、こうした事件に対し、我々はテロに屈することなしに、同時に人命尊重というものをあくまでも第一に事件の解決を図っていきたいと考えております。
また、特殊部隊についてのお尋ねがありました。
警察におきまして、ハイジャックあるいは人質立てこもり事件などに対応するために、全国七都道府県に約二百名から成る特殊部隊を編成し、実戦的な訓練の実施等に努めてまいりました。今回の在ペルー日本大使公邸占拠事件を踏まえまして、今後あらゆる事態に即応できるよう体制を一層充実させていきたいと考えております。
次に、ペルーに対する今次無償援助供与の意義についてお尋ねがありました。
我が国の無償援助は、ペルーの経済発展及び貧困対策に貢献をし、ペルー政府及び広くペルー国民から高い評価を受けており、事件解決前におきましても各種の経済協力の円滑な実施に努めてまいりました。今次無償援助の供与もその一環として三月に閣議決定を行い、その後、交換公文署名に向けて粛々と準備を行ってきたものであります。
内容は既に御承知と思いますが、例えば国立病院の医療器材整備、小水力発電所の復旧、あるいは豪雨災害に対する緊急援助、こうしたものが中心でありまして、私は、議員の御指摘になりましたような問題意識とは別のものと考えております。
次に、国家の根幹にかかわる防衛問題として、指針の見直しについてのお尋ねがありました。
このような我が国の安全保障のあり方の基本にかかわる極めて重要な問題につきましては、正確な状況認識に基づき議論を尽くしていただき、我が国の安全及び地域の平和と安定のために我が国がなすべきことについて、あくまで日本国憲法の枠の中において国民の理解を得ながら検討作業を進めていく考え方であり、先般来も御報告をいたしておりますように、五月の中旬以降適当なタイミングを見、その時点における作業の進捗状況と検討内容を公表させていただきたいと考えております。
次に、我が国と豪州及びニュージーランドとの関係強化についての御質問がありました。
日米安保体制並びに我が国と豪州及びニュージーランドとの安全保障に関する対話の強化というものは、それぞれがアジア太平洋地域の平和と安定に資するものでありまして、いかなる意味においても特定の国を対象とするものではございません。
中ロの戦略的パートナーシップと日米同盟の関係についてお尋ねがありました。
日米安保条約というものを中核とする日米同盟関係というものは、日本の安全だけではなく、アジア太平洋地域の平和と安定の維持のために重要な役割を果たしておりますことは申し上げるまでもありません。我が国としては、今般の中ロ共同声明にも見られる安全保障分野の協力を含む中ロ両国間の関係の進展というものが、アジア太平洋地域の安定の確保に十分配慮されたものとなるよう期待をいたしております。
次に、北東アジア・サミットという御提言をいただきましたが、この地域における信頼醸成などのために地域的な対話と協力の枠組みを模索していく、そして構築していくことが重要であることは御指摘のとおりであります。
しかし同時に、この地域におきましては政府間で地域的安全保障体制を構築するための環境はまだ整っておらない。そうした状況の中で、現在、我が国としては、関係諸国と協力しながら、まず民間レベルの対話を推進しようと努力をしてまいりました。そして、既に日、米、ロ、中国、韓国の官民関係者が集まりまして、この地域の安全保障問題を自由に議論するフォーラムとして北東アジア協力対話が存在をいたしております。そして、この会合には北朝鮮の関係者の出席をも招請しております。これまでのところ出席を得られていないことが大変残念であります。
次に、久間防衛庁長官発言についてのお尋ねがございました。この発言は、昨年九月の進捗状況報告に、周辺地域事態での協力として例示されました中の三項目について、主として我が国領域または公海上において行う場合を想定して日米の議論が行われてきたことを紹介したものと承知しています。
いずれにいたしましても、指針の見直しは日本国憲法の枠内であくまで行うものでありまして、集団的自衛権の行使のように我が国憲法上許されない事項については、従来の政府の見解に何ら変更はございません。
最後に、我が国の国際貢献、平和戦略というものについてのお尋ねがございました。
国際的な相互依存関係が深まる中において、我が国の平和と繁栄を維持していくためにも、世界全体の平和と繁栄が必要であることは言うまでもありません。議員が御指摘をいただきましたように、環境、テロ、麻薬といった地球規模問題の解決が今日ますます重要となっております中で、たしか一昨年、APECの議長国としての日本は、二十一世紀におけるアジア太平洋地域の成長制約要因として人口そして食糧、エネルギー、環境といったテーマを取り上げて、我々の時代からその将来へ向けての警鐘を鳴らしつつあります。
こうした問題に取り組む中で、我が国としては、みずからの知識、経験、技術というものを最大限に生かしながら、こうした人類共通の課題の解決に貢献してまいりたいと考えております。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/8
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009・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 大脇雅子君。
〔大脇雅子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/9
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010・大脇雅子
○大脇雅子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいまの橋本総理の報告について質問いたします。
ポスト冷戦後の国際社会は、これまでの軍事力による抑止の政策から相互理解を基軸とする平和外交政策へと、多くの国がパラダイムの転換を果たしつつあります。
総理は、クリントン大統領との首脳会談において、なおアジア太平洋地域に不安定かつ不確実な要因があるので、現時点では沖縄における米軍の兵力削減についての問題提起をすることは適切でないと繰り返し述べられています。しかし、多くの国民及び沖縄県民は、基地の縮小や海兵隊の兵力削減の要望を強く持っており、日本国の総理としてそうした声や願望を米国に率直に伝えることは必要であったと考えます。
この会談においてクリントン大統領は、沖縄問題に個人的にコミットしており、できるだけのことはしたい、さらに、敏感に対応するど述べられたそうですが、個人的コミットとは何を意味し、敏感に対応するとはどのような内容か、何を我々は期待できるのか、総理の御解釈をお尋ねいたします。
また、国際的安全保障環境の起こり得る変化のもとで、安保共同宣言に基づく防衛政策と軍事態勢にかかわる緊急協議への両国のコミットメントを確認したといわれてもいます。起こり得べき国際的安全保障環境の変化とはいかなる状況を言うのでしょうか。在日米軍の兵力構成を討議し得る環境についてはどうお考えでしょうか。
平成九年四月十七日の沖縄問題に関する与党三党の合意事項によれば、米軍の兵力配置のあり方を含む軍事態勢について、日米安全保障協議委員会、あるいは日米安全保障高級事務レベル協議の場で日米間の協議を進めるよう政府に要請していますが、この見通しはどうなっているのでしょうか。また、沖縄の負担を軽減するには、現状では基地の本土への移転が主軸とならざるを得ないことになりますが、総理の御所見をお伺いいたします。 次に、日米防衛協力のための指針の改定作業が本格化していますが、その場合、あくまで憲法の枠内で、かつ集団的自衛権の行使は憲法上許されないという基本原則は不変でしょうか、お尋ねいたします。
そして、そのことはクリントン大統領に明確に通告されましたでしょうか。大統領はどう返事をされましたか。米軍への武器や弾薬の補強、民間の空港や港の提供、機雷除去のための自衛隊掃海艇の派遣などの後方支援における課題に関しても、この原則の上に揺るぎなく立って行われなければならないと思いますが、この点はいかがでしょうか。透明性の確保とともに、国会における審議も必要だと考えます。
なお、安保体制は日米二国間の軍事同盟の枠を超え、中国の不信感を招いています。日米、日中、米中の外交上のバランスは世界の平和確立のために不可欠で重要な課題であり、国際協調の視点から中国政策についていかなる具体的協議が行われたのか、お尋ねをいたします。
また、北朝鮮の問題に関しては、国連からも食糧援助のアピールがあり、アメリカは一千万ドル、韓国も六百万ドルの援助を決めています。日本人拉致問題と北朝鮮に嫁いだ日本人女性の帰国問題があっても、それは過去繰り返し問題になってきたこともあり、日朝の国交回復交渉の課題とする方向で問題提起すべきで、食糧援助との関係でこれを問題にすることは人道的視点からいかがかと思われます。むしろ、世界の趨勢から孤立をしていく危険性があるのではありませんか。四者会談も開かれようとしている今、北朝鮮の多くの人々、とりわけ子供たちの悲惨な状況もあり、今こそ南北の分裂を終えんさせるために日本はイニシアチブをとるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
次に、総理は規制緩和の推進を表明され、クリントン大統領も内需拡大に期待を表明されました。しかし、規制緩和が内需刺激的効果を出すことは短期的に懐疑的な見方が多く、外需に頼らない回復軌道が描き切れるかどうか、日本政府は財政再建と景気回復のどちらかの選択を迫られる局面もあるのではないかと危惧されます。
アメリカは、財政再建のペースを緩めるように求めてきているとも公共投資削減に不満を表明しているともいわれています。財政状況をこれ以上悪化させることはできません。いかが対処なされるでしょうか。規制緩和推進の日米新経済協議の枠組みの協議は今後どうなるのか、合意された具体的内容とその優先順位の分野や項目についてどのような話し合いがなされたのか、お尋ねいたします。
また、総理はニュージーランドにおいて規制緩和について多くの教訓を得たといわれていますが、ニュージーランドでは、規制緩和成功物語の中で、労働者、マイノリティー、女性、高齢者の最底辺の層において貧富の格差が拡大している現状があります。規制緩和は、基本的に活動の公正を損なう経済的規制の緩和こそ重要で、労働や福祉等社会的規制においては十分に慎重に行うべきだと考えます。ニュージーランドではそうした視点からの説明は受けられましたでしょうか。
最後に、我が国がアジア太平洋地域における平和の構築に貢献していくための総理のイニシアチブに心から期待して、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/10
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011・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大脇議員にお答えを申し上げます。
まず第一に、沖縄問題に関するクリントン大統領の発言についてであります。
今回は、沖縄問題には敏感さをもって対応したい、沖縄問題に個人的にコミットしており、できるだけのことを行う考えであるといった御発言がありました。私は、この発言は、SACO最終報告の着実な実施を含めて、引き続き沖縄問題に真摯に取り組むことが重要だという大統領自身の認識を示されたものと受けとめております。
次にへ国際環境に起こり得る変化についてお尋ねがございました。
将来の国際安全保障環境というものにはさまざまな変化が生ずる可能性があり、現時点でこれを一概に特定することは非常に難しいことだと私は思います。いずれにしても、安全保障というものは国の基本的な備えでありまして、日米間で貿易政策や軍事態勢についての協議を行うに当たりましては、短期的なあるいは表面的な変化だけではなく、国際情勢の中長期的趨勢をしっかりと見きわめていく考えであります。
次に、四月十七日の与党三党合意というものについてのお尋ねがございました。
これは、米軍の兵力構成を含む軍事態勢と沖縄米軍基地の本土移転についてのお尋ねでありますが、軍事態勢や防衛政策につきましては、先般の首脳会談で確認いたしましたように、日米安保協議委員会等の場で緊密な協議を継続いたします。
沖縄米軍施設・区域問題につきましては、県道一〇四号線越え演習の本土移転を含め、SACO最終報告を着実に実施していくことが県民の御負担を軽減する最も確実な道だと考えておりまして、今後とも地元の理解、協力を求めながら全力を挙げて努力をしてまいりたいと考えております。
次に、ガイドラインの問題についてさまざまなお尋ねがございました。
この見直しはあくまでも憲法の枠の中で行うものでありまして、集団的自衛権の行使のように憲法上許されない事項についての政府の見解に何ら変更はありません。この点は、日米首脳会談で改めて確認するまでもなく、これまでの作業のプロセスにおきましても何回も申し上げていることでありましてへ米側も十分理解をいたして協議しております。
見直し後の指針の内容につきまして現時点で予断することは差し控えますけれども、今月中旬以降のしかるべき時点で見直し作業の進捗状況及び検討内容を公表したいと考えており、これによりまして国民的な御論議もまたいただけるものと、それを生かした最終のガイドラインにつなげていきたいと考えております。
次に、今般の日米首脳会談における中国問題に関するやりとりについてのお尋ねがありました。
中国と建設的協力関係を構築することの重要性に関する日米間の認識の一致を確認した上で、大統領からは、米中間には香港、不拡散、貿易、人権という四つの懸案があるといったお話がありました。
私からは、日中関係では今後ハイレベルの交流を行っていく必要がある、中国が日米安保に対して不信感を有しているだけに、今後その誤解を解かなければならないといったやりとりをいたしております。
次に、拉致問題や日本人妻の帰国問題は、日朝国交回復交渉の課題とする方向で問題を提起すべきである、食糧援助との関係で問題にすることは人道的見地からいかがかという御指摘をいただきました。
しかし、私は、今までも日本は、これは北朝鮮だけではなく、世界の各地域におきまして人道的支援あるいは食糧援助を行ってまいりました。北朝鮮に対してもさようであります。そして、北朝鮮に飢餓が発生する以前から日本人妻の問題は、日本としてその安否調査等協力を求めても答えがもらえておりません。人道をもって支援と言われるなら、我々も人道をもって我々の国民の声にこたえていただきたいと願うことは、私はそれが許されないことだとは考えておりません。
しかもそのほかに、最近、北朝鮮からの覚せい剤密輸事件等も発覚いたしております。そして、我が国の北朝鮮に対する世論というものは大変厳しいものがございます。北朝鮮に対する食糧支援の問題といったものにつきましては、こうしたさまざまな要素を考慮に入れて総合的に検討、判断すべきものだと考えております。
次に、日米包括協議の規制緩和分野の今後についてのお尋ねがございました。
先般の首脳会談におきまして、包括協議のもとで規制緩和に関する対話をいかにして強化できるかについて、今後両政府の事務レベルで協議を開始することとなりました。
なお、優先順位の分野あるいは項目等についての話し合いは全然我々はいたしておりません。
それから、ニュージーランドの規制緩和について最後にお尋ねがございました。
ボルジャー首相からは、議員が御指摘になりましたような角度からの御説明はございませんで、成功の例を数多く挙げて御説明をいただいた次第であります。
しかし、私は、その改革に至った背景や経済構造等で異なる面がありますから、ニュージーランドの成果あるいは手法、それがそのまま我が国に役立つとは考えにくいと思っております。しかし、ニュージーランドの改革は、労働や福祉の分野に関する規制緩和につきましての一つの実験として我々は教訓を得るところは大きいと、そのように考えております。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/11
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012・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 武田邦太郎君。
〔武田邦太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/12
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013・武田邦太郎
○武田邦太郎君 橋本総理の昼夜にわたる国政の御努力に深く敬意と感謝をささげます。ここに民主党・新緑風会を代表して若干の助言を申し述べ、御努力におこたえしたいと思います。
外国では、日本が長期の展望に立って総合的な大戦略を樹立する能力を持たない国だという批判があるかに聞き及びますが、これはもちろん誤りであります。能力は持っております。ただし、現在のところ、残念ながらそのような大戦略を樹立し得ていないことも事実であります。このたび米国等を訪問されて、この種の問題を感じられなかったものでしょうか。
例えば、平和・安全の問題、食糧・農業の問題がそれであります。
現代は、戦争学から見て、これまでの時代とは異質の時代であります。戦争に勝利しても、かつてのように領土や資源を獲得できるわけではありませんし、ましてや核戦争でも起これば、地球世界は破局に陥るのであります。まさしく人類は、アーノルド・トインビーが警告しましたように、核戦争の破局か国家対立のない永久平和の実現か、二者択一の岐路に立っております。活路はただ一つ、人類挙げて戦争放棄あるのみであります。それはただいまのところ、世界唯一の超大国たる米国が先頭に立って実践してこそ、現実に歴史の推進力たり得るわけであります。
ただし、二十一世紀ともなれば、アジア太平洋は米国と中国の二超大国の対立、抗争の場になるでありましょう。これは既に両国が現実に意識し、警戒し合っているところであります。米国が歴史に先んじて戦争放棄を唱導しないのであれば、日本が呼びかけまして、米国、中国と日本、三国が今後三十年、相互不可侵の条約を結ぶことを御検討願いたいと思います。
これによって、三国の財政、国民経済がどれだけ豊かに安定するか、経済企画庁あたりでそろばんをはじいてもらって、両国に呼びかけてもらいたいと思います。このたびの訪問では、このような真の平和政策は全く問題にはならなかったものでしょうか。腹の中では互いに警戒しながら、表面は友好であるように見せかけるような外交は、真の外交ではありません。
同盟は利害の一致にほかならずと申します。利害が一致しなくなれば離反するのであります。第二次大戦におけるヒトラー・ドイツとスターリン・ソ連とがそれをよく示しております。永久平和の理想によって手を結んでこそ、国家間に不動の握手が成立するのであります。来るべきサミットではぜひ問題にしていただきたいと思います。
平和・安全の問題ど並んで急迫しているのが、農業・食糧の問題であります。私はことしになってから二回中国を訪問しましたが、中国では、世界の七%の耕地で二〇%以上の人口を養わねばならぬというので、国を挙げての真剣な努力が感じられます。最近の新聞情報では、今世紀末の目標であった穀物五億トンの生産を昨年度において達成したということで、心から祝福したいと思いますけれども、これからの人口増加、食生活向上を予想すれば、いよいよ難局を迎えるわけであります。
日本は今、穀物の自給率はわずかに三〇%、輸入の肉類を穀物に換算すれば自給率は二〇%に接近するのであります。しかるに、中国ほどに食糧問題に真剣な関心が注がれておるでしょうか。
二十一世紀は飢餓の世紀という声が上がっております。まことに飢餓の問題は戦争の脅威とともに二十一世紀における人類史的問題であります。過日、総理が訪問なさった米国、オーストラリア、ニュージーランドは、いずれもそうそうたる世界の農業国ですが、この種の問題は論議されなかったものでしょうか。
人類は毎年百兆円近い軍事費を使っております。戦争放棄によってその三分の二見当でも平和産業や建設事業費に使えたら、食糧問題は完全に解決するでありましょう。これまたサミットの最重要課題にしていただきたいと思います。
日本は、現に工事期間十年間で四十一兆円の事業費を予算計上し、第四次土地改良長期計画を進めておりますが、農地基盤整備と営農規模拡大は、製造業における新しい工場の設備と同じ意味を持っております。輸入農産物と価格競争しながら、二次・三次産業と均衡する従事者所得と経営利益を獲得し得るような設計をすべきであります。農業基本法ができて三十六年、いまだかつてこのような設計がなされたことは一度もありません。今度制定される新基本法ではぜひこれを可能にしていただきたいのであります。これさえ実現すれば、第五次以後の土地改良長期計画は不要となり、そこに数十兆円の財政支出が節約されるのであります。また、農政の宿痾とも言うべき補助政策の大部分は不要にすることができましょう。財政改革の重要な課題がそこにあります。十分御検討いただきたいのであります。
終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/13
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014・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 武田議員にお答えを申し上げます。
まず、我が国が大戦略を樹立し得ていないということを今回の米国等の訪問で感じなかったか、そうした御指摘をいただきました。
私は、我が国の平和・安全、さらにはアジア太平洋地域の平和と安定の観点から、日米関係の大切さ、そしてその基盤をなす日米安保体制の重要性というものを訴えてまいりました。同時に、今、議員から御指摘のありました食糧・農業に加えて、私どもは、エネルギー、環境、人口等が極めて重要な課題であるということも国際的に主張し続けてまいりました。
一昨年のAPECの総会におきまして、またその後の非公式首脳会合におきまして、二十一世紀におけるアジア太平洋地域の制約要因として初めて、人口、食糧、エネルギー、そしてその結果としての環境という、これらのテーマが首脳間の共通の認識として位置づけられ、今このそれぞれの分野の問題についての論議が進められております。
私たちは、このような問題の意識に基づきながり、引き続き、さまざまな外交努力、そして国内政策を進めてまいりたいと考えております。
次に、アジア太平洋の平和のために、日中米三国の相互不可侵条約の締結を考えろという御指摘をいただきました。
我が国としては、アジア太平洋地域においてより安定的な安全保障環境というものを構築してまいりますためには、地域の安定要因である米国のプレゼンスを確保するための大きな柱である日米安保体制というものを堅持いたしますとともに、域内での安全保障面での対話、協力を通じた信頼醸成の促進に引き続き努力してまいりたいと考えております。
次に、我が国の食糧問題への取り組みについてのお尋ねがございました。
中長期的な世界の食糧供給体制、これは、需要面、生産面においての不安定な要素がありまして、逼迫する可能性もあると考えております。そして、食糧自給率の低下傾向に歯どめをかけることを基本として、これまでも各般の施策を講じてまいりました。
そしてさらに、この四月には食料・農業・農村基本問題調査会をスタートさせ、食糧・農業問題に関して幅広く抜本的な議論を進めていくことといたしておりますが、むしろ国際社会においてこの問題を主張し、APECの中でこれを共通の認識として議長国として各国の同意を取りつけてきたという点で、私は、日本の関心というものをもう一度議員に確認していただきたいと存ずるのであります。
次に、飢餓の問題についてのお尋ねがございました。
今回、オーストラリア及びニュージーランドの訪問におきましては、この問題についての議論は特に行いませんでしたけれども、一般論としてのグローバルな問題への対応の中で確認をいたしてきたことであります。
アメリカとの間におきましては、コモン・アジェンダのもとに食糧問題を含む地球規模の課題への協力を進めておりまして、先般の米国訪問におきましても、こうした協力を一層進めていくことを確認いたしております。
それから、戦争放棄による食糧問題の解決、大変壮大な御提言をいただいたわけでありますが、これも、重要性は私は議員の認識と別に問題を異にすると思いません。殊に、アジア太平洋地域が食糧、人口、エネルギー、環境といった課題を克服できるかどうかが二十一世紀の世界にとって極めて重要な問題を意味していると私は考えております。
昨年のAPECスービック非公式首脳会議におきましても、二十一世紀の制約要因としての食糧問題についての議論を行ってきたところでありまして、サミットに向けましても食糧問題の重要性というものは十分念頭に置きながら臨んでまいりたいと考えております。
最後に、新しい農業基本法についてのお尋ねがございました。
効率的、安定的な経営体が生産の相当部分を占める農業構造の実現を目指して、我が国農業の体質強化を図っていくことの重要性は議員御指摘のとおりであります。
食料・農業・農村基本問題調査会において幅広い検討をいただく中にも、議員から御指摘をいただきましたような問題意識を加え、検討してまいりたいと考えます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/14
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015・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 立木洋君。
〔立木洋君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/15
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016・立木洋
○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、首相の日米首脳会談等の報告について質問をいたします。
今回の日米首脳会談について、沖縄タイムスの社説が「沖縄切り捨ての首脳会談」と述べているように、日本外交の対米追随の深さと危険性を一層あらわにするものでありました。
首相は、訪米を前にして、憲法に反して土地を強制的に米軍に提供する米軍用地特措法の改悪を行っただけでなく、米海兵隊の実弾演習の全国への拡散を、これまでの地元の合意なくしては実施しないとの前言を翻して、国の責任でやらせてもらうと最後通告まで突きつけて強行したのです。その上、日米首脳会談では、アジア太平洋全域での米軍への軍事協力を目指す日米安保共同宣言を再確認し、ガイドライン見直し作業の促進を確認したのです。
このような首相の態度に対し、日本政策研究所のチャルマス・ジョンソン氏が、アメリカという宗主国の王様のところに報告に来てよくやったと褒めてもらっている姿とか、まるで日本は植民地との批判をしているのも当然ではないでしょうか。首相は、このような屈辱的な姿勢を主権国家の外交と考えておられるのでしょうか、お答えをいただきたい。
首相は会談後の記者会見で、現時点で在日米軍を含め兵力削減を求めるつもりはない、アジア太平洋地域には不安定要因は幾つもあると述べていますが、首相は、基地の撤去はおろか、どうして米軍兵力の削減を要求しなかったのですか。沖縄県民を初め日本国民の要求を無視して、首相自身、みずから兵力削減の協議に入ることすら拒み、否定をしたのは一体なぜですか。これはまさに対米追随の姿勢そのものではないでしょうか。これほどアメリカの言いなりの態度をとる理由は何なのか、理由をはっきりしていただきたいのであります。また、いわゆる不安定要因とは何なのかをあわせて明確に述べていただきたいのであります。
首相は、これまで、この不安定要因について朝鮮半島を挙げておられましたが、米海兵隊トップのクルーラック司令官は、海兵隊などの前方展開は北東アジアだけでなく、東南アジア、インド洋、ペルシャ湾までを対象にしていると述べ、朝鮮半島が統一されても何の影響もないとさえ述べているのであります。
このようないわゆる極東以外の不安定要因に対処するために、米軍が居座り続けることを首相は認めるのでしょうか。これは明らかに日米安保条約第六条の極東条項からの重大な逸脱ではないでしょうか。これでは、現時点どころか、米軍の長期の居座りを首相は是認するということになるではないですか。明確な答弁を求めるものであります。
第三に問題なのは、ガイドラインの見直し作業をことしの秋までに終わらせるということを誓約したことであります。これは、首相答弁によれば明確に境界を画す性格のものではないという日本周辺地域における事態で、日本防衛とは無関係のアメリカの有事に日米軍事協力を具体化するものであります。日本が攻撃されていないのに、アメリカの行う戦争や紛争の抑止の名のもとに、自衛隊の基地はもとより、民間の空港や港湾の米軍への提供、武器、弾薬、燃料の補給、米軍の物資や兵士の輸送まで日本側が協力しようとするものです。内閣法制局長官も自衛権の発動が許される場合以外は認められないとしてきた機雷の掃海や洋上補給、軍事情報の提供などの従来の見解を変更して、自衛隊が米軍の支援に乗り出すという違憲の行為を公然と行おうとするものではないでしょうか。
アマコスト元駐日大使も、米議会への文書発言の中で、日本は集団的自衛権について明確にする必要がある、今こそ日本国憲法、米日安保条約、国連憲章が定めているこれらの権利についての解釈を調和させるべきだと憲法の解釈改憲を要求しています。
首相は口では我が国の憲法の枠内と言いながら、さらにアメリカの軍事紛争に協力を拡大しようとするガイドラインの見直しなるものは、いかなる口実をつけようとも、憲法の上に日米安保を置いて集団的自衛権の行使に踏み出すものであり、憲法の精神に真っ向から反するものであることは明確ではありませんか。答弁を求めるものであります。
また、経済問題について、アメリカ側は日本の貿易黒字削減とアメリカから輸入拡大するためのいわゆる内需主導の経済成長を一方的に要求したのに対し、首相は何のためらいもなく積極的にこたえる約束をしています。さらに、アメリカの要求で六百三十兆円に膨れ上がった公共投資基本計画の期間の延長に関して、アメリカ側は懸念と不満を述べたのに対して首相はどうされるのでしょうか。米側の要求に従われるのか、それとも明確に拒否をなされるのか、はっきりしていただきたいのであります。
最後に、憲法制定五十年を迎えたことし、憲法の原点に立ち戻って、ガイドライン見直しの危険な企てをやめ、日米安保条約を廃棄することこそが日本国憲法の恒久平和を堅持し、アジアの平和と安全のためにも差し迫った課題となっていることを指摘し、その実現のために奮闘することを表明して、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/16
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017・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 立木議員にお答えを申し上げます。
残念ながら外交について議員とは見解を異にするようでありまして、私は、日米安保体制を基盤とする日米間の良好な協力協調関係の維持発展というものが、アジア太平洋地域のみならず、国際社会全体の平和と安定に極めて重要であると考えておりますし、これが我が国の外交政策の基本であります。
今回の日米首脳会談は、日米安保共同宣言に基づく日米安保体制の一層の充実、沖縄問題についての引き続いての協力等への日米両国首脳のコミットメントの再確認、それなりのことがきちんと位置づけられていることをもう一度申し上げます。
次に、在日米軍の兵力構成についてのお尋ねがありましたが、日米両国政府は、現在の情勢のもとにおいてはアジア太平洋地域に現在の水準の米軍兵力を維持することが重要であると意見が一致いたしており、現時点において、在日米軍兵力の削減やそのための協議の開催を求めることは不適切ということを特措法の御論議の際にも繰り返しお答え申し上げてきました。
同時に、在日米軍の兵力構成を含む軍事態勢や防衛政策につきましては、日米安保共同宣言に基づいて今後ともに緊密な協議を継続いたします。
次に、アジア太平洋地域の不安定要因についてお尋ねがありましたが、この地域では、冷戦後も二国間対話の拡大や地域的安全保障への取り組み等地域の安定を図ろうとするさまざまな動きは見られますけれども、依然として核戦力を含む大規模な軍事力が存在をしていること、また朝鮮半島における緊張が継続する等の点において不安定な要因が存続していると思います。
次に、海兵隊についてのお尋ねがございましたが、我が国に駐留する海兵隊が高い機動力と即応性によって、我が国及び極東の平和と安全の維持という日米安保条約の目的達成に大きく寄与しております。
なお、日米安全保障条約は、我が国に駐留する米軍の能力や任務を極東の地域内に限定しているわけではなく、我が国に駐留する海兵隊が極東以外の地域に赴くことは、条約上何ら問題とならないことは従来からお答えを申し上げている点であります。
次に、朝鮮半島統一後の在沖米軍の駐留ということについての御意見がありました。
今回の首脳会談でも確認をいたしましたように、日米両国は、国際的な安全保障情勢において起こり得る変化に対応して、両国の安全保障上の要請を満たす防衛政策や軍事態勢について引き続き緊密に協議をしていく考えであります。軍事態勢や防衛政策はさまざまな要因に左右されるものでありますから、朝鮮半島が統一した場合、在日米軍にどういう影響が出るか、一概に申し上げられないことは御理解を願います。
次に、ガイドラインの見直しについてのお尋ねがありました。
我が国周辺において、我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態が発生した場合、我が国として憲法及び関係法令に従い、状況に応じて適切な対応をとることは当然であります。この指針見直しの作業におきましては、このような事態を含めて新しい時代における防衛協力のあり方につきさまざまな角度から検討を行っており、ことしの秋をめどに鋭意作業を進めるつもりであります。
次に、指針の見直しと憲法の関係についてお尋ねがありましたが、見直しはあくまで憲法の枠内で行うものでありまして、集団的自衛権の行使のように憲法上許されないとされる事項については、従来の政府の見解に変更はありません。
最後に、公共投資基本計画についてどうするんだ、米国の要求に云々というお話がございましたけれども、今回の日米首脳会談におきまして、公共投資基本計画の期間延長や公共事業予算の縮減などというテーマは話し合っておりません。
以上であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/17
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018・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/18
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019・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、
全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案及び日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措畳に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/19
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020・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。古賀運輸大臣。
〔国務大臣古賀誠君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/20
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021・古賀誠
○国務大臣(古賀誠君) 全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案及び日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案、以上二件につきましてその趣旨を御説明申し上げます。
初めに、全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
新幹線鉄道につきましては、国土の総合的かつ普遍的開発に重要な役割を果たすものとして、現在、三線五区間においてその整備が着実に進められているところでありますが、残る未着工区間の整備についても、国土の均衡ある発展、地域の振興等に資するものとして、沿線地域から強く望まれているところであります。
これら未着工区間の新幹線鉄道の整備につきましては、国鉄改革及び行財政改革の趣旨にかんがみ、営業を行う旅客鉄道株式会社の経営の健全性を損なわないこと等を前提として、その財源の手当てについて検討を進めてまいりましたが、今般、整備新幹線の建設費は、国、地方公共団体及び旅客鉄道株式会社が負担することとし、このうち国及び地方公共団体の負担については、既設新幹線鉄道の譲渡収入全額を国の負担分とみなし、これに公共事業関係費を加えた額を国の負担分とした上で、その二分の一を地方公共団体の負担分として位置づけるとともに、地方公共団体の負担については、所要の地方交付税措置を講ずること等により新幹線鉄道の整備のための財源を確保する旨の結論を得たところであります。このため、この結論に従い、日本鉄道建設公団が行う新幹線鉄道の建設費についての国及び地方公共団体の負担等所要の規定を定め、もって新幹線鉄道の着実な整備を図ることを目的として、この法律案を提案することとした次第であります。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、日本鉄道建設公団が行う新幹線鉄道の建設に要する費用のうち、営業主体から支払いを受ける貸付料その他の日本鉄道建設公団の新幹線鉄道に係る業務に係る収入をもって充てる部分を除いたものは、政令で定めるところにより、国及び地方公共団体が負担することとしております。
第二に、運輸大臣は、日本鉄道建設公団が建設する新幹線鉄道に係る工事実施計画を認可しようとするときには、あらかじめ新幹線鉄道の建設に要する費用を負担する地方公共団体の意見を聞かなければならないこととしております。
なお、この法律は、平成九年四月一日から施行することといたしておりましたが、衆議院において「公布の日」と修正されております。
次に、日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
国鉄改革が行われた昭和六十二年度首において約二十五兆五千億円であった日本国有鉄道清算事業団の債務等の額は、平成八年度首には約二十七兆六千億円に増加しており、今後、日本国有鉄道清算事業団が保有する資産の売却収入も多くは見込まれないことから、大幅な債務の縮小は期待できない状況にあります。
このため、政府としては、昨年十二月の閣議決定において、平成十年度より債務等の本格的処理を実施することとし、平成九年中にその具体的処理方策の成案を得る旨を定めたところであります。
本法律案は、このように日本国有鉄道清算事業団の債務等の額が累増している状況にかんがみ、当該債務等に係る本格的処理策が実施されるまでの間において、最終的な国民負担が増加することを防止する観点から、日本国有鉄道清算事業団による平成九年度の借り入れから生じる将来的な利子負担を軽減するため、一年度限りの臨時異例の措置として、平成九年度において緊急に講ずべき特別措置を定めるものであります。
次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
第一に、日本国有鉄道清算事業団の債務等に係る負担の軽減を図るため、政府は、日本国有鉄道清算事業団の債務のうち、額面金額の合計額が三兆三十五億円に相当する日本国有鉄道清算事業団債券に係る債務を一般会計において承継することとし、同時に、日本国有鉄道清算事業団に対し同額の資金を無利子で貸し付けたものとすることとしております。
第二に、政府は、日本国有鉄道清算事業団に対する無利子貸付金について、据置期間を一年以内の期間延長することができることとしております。
以上が、全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案及び日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/21
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022・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。横尾和伸君。
〔横尾和伸君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/22
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023・横尾和伸
○横尾和伸君 ただいま趣旨説明のありました両法律案につきまして、平成会を代表して、橋本総理並びに関係大臣に質問いたします。
まず、全国新幹線鉄道整備法の一部を改正すろ法律案について伺います。
今回の新幹線の整備問題については、国の財政事情が厳しいこと等から、行財政改革の流れに逆行するとして、マスコミや有識者の意見等では批判的な論調が多くなっております。これらの中には、新設、既設の新幹線について、収支状況や採算見通しあるいは経営効率といったような具体的な情報が国民に満足いく形で示されていなかったことに起因していると思われるものもありました。
今後は、整備新幹線をめぐる議論の透明化、明確化が一層重要と考えますが、このためにも、今述べた情報の開示とあわせて、今後設置される政府・与党の検討委員会における収支、採算性等の検討結果等についても速やかに国会に報告し、国会の論議に供すべきと考えますが、この点についての政府の見解をお尋ねします。
さて、整備新幹線の具体的な問題について質問いたします。
まず、今回の法改正の「目的」に「地域の振興に資すること」を加えることとしておりますが、今回あえて地域振興を明文化したことの理由をお聞かせください。
また、地方財政も逼迫している状況で、整備新幹線を国家的事業と位置づけるのであれば、国が歳出の見直し等を行い、責任を持って整備財源を確保し、地方に対し過度の負担を求めるべきではないと考えますが、いかがでしょうか。
次に、財源について伺います。
提案された整備新幹線の財源のうち、国費の大半の部分に既設新幹線譲渡収入七百二十四億円を充てておりますが、これは大変不可解であります。本来、既設新幹線の譲渡収入は国鉄長期債務の処理スキームの中心に位置づけられているはずであり、このほかの用途に使われるはずがないのであります。
この処理スキームの骨格になっている国鉄再建監理委員会答申、「国鉄改革に関する意見」の中では、最終的に国民に負担を求めるのは、用地等を処理財源に充当するなど可能な限り手段を尽くした上でなお残る債務ということに限定しております。橋本総理御自身も、国鉄改革当時の運輸大臣であったときに、国民負担を最小限にするために最大限の努力をすると明言し、その旨、閣議決定までしているではありませんか。
したがって、既設新幹線のJRへの譲渡に伴う収入は国鉄長期債務の処理の中で国民負担の軽減のために使われるべきであり、他の新幹線建設に充当されるのは全くの見当外れと言わざるを得ません。
そもそも、新幹線鉄道網の全国的な整備を国土の均衡ある発展を目指す国家的事業として位置づけるのであれば、国の負担分を堂々と一般会計から支出すべきであります。それができないのは、各省各分野ごとに一般会計予算の既得権化が極限まで強まり、そのため弾力的な是々非々の予算配分能力を失っていると言わざるを得ないのであります。
国の負担分を他からの流用などこそくな手法をやめて堂々と一般会計で手当てすべきことについて、総理の見解を伺います。
次に、新たに建設される整備新幹線施設の財産権はだれにあるのか、伺います。
既設新幹線の場合にはJR各社の所有としており、この場合と違うものとなり、一貫性を失っておりますが、一体どのような考え方なのか、見解を伺います。
今後、新幹線の整備予定区間では、並行在来線については開業時にJRの経営から分離することとされております。ことしの十月一日に開業が予定されている北陸新幹線の高崎—長野間では、従来の信越本線が分断されることとなります。新幹線の整備の進展に伴い、今後、各地でこのような事態が予想されるわけですが、地域交通の確保について運輸大臣の責任ある答弁を求めます。
次に、日本国有鉄道清算事業団に関する法律案についてお尋ねします。
昭和六十二年にいわゆる国鉄改革が実施され、国鉄長期債務の処理については、JR各社等の新事業体に承継された部分を除く約二十五・五兆円について国鉄清算事業団が負担することとし、その処理は保有する土地やJR株式の売却収入により償還することとされました。しかし、国鉄改革から満十年を迎えた平成九年四月には債務残高が約二十八・一兆円と、改革当時と比較して約二・六兆円も増加しております。このように債務残高が減少するどころか逆に増加してしまっていることは、政策の失敗以外の何物でもありません。
この失敗を当初から運輸大臣として担当された橋本総理はどのように認識し、責任を感じているのか、お尋ねします。
次に、国民負担について伺います。
昭和六十二年の国鉄改革時の長期債務処理スキームでは将来の国民負担は十三・八兆円と見込まれていたにもかかわらず、この国民負担の額もへ債務の累増に伴い二十兆円を大きく上回るのは必至な状況と言われております。
これは、可能な限りの手段を尽くした上でなお残る債務は最終的に国民に負担を求めるというスタート時点での基本的な考え方に影響されていると思われますが、これは国民の無限責任を意味するものでしょうか。法律にはこのような条文は一切見当たりません。
そこで、伺いますが、スキームの中で、国民負担についての規定はどのようなもので、だれがどのような手続で決めているのか大蔵大臣に正確な答弁を求めます。
やるだけやったら残りの債務は最終的に国民が負担してくれるという無責任であいまいなこの考え方の中に、国鉄清算事業団の運営の甘さ、主務省庁の指導監督の甘さ、無責任さを芽生えさせる温床があったのではないでしょうか。負担の上限や条件等の制限的な要素を改革のスタート時点でなぜ明確にしなかったのか、この点について、当時の運輸大臣でもあられた総理の明快な答弁を求めます。
また、JR各社では一致して、JRへの新たな負担は国鉄改革の経緯を否定するものですと主張しております。同じように、国民への新たな負担は国民生活と国民感情を無視するものですとの国民の声も聞こえできます。どちらも当然のことと言えましょう。
国鉄長期債務処理における国民負担について、現時点での総理のお考えとその根拠を伺います。
処理スキームのもう一つの基本的問題点について伺います。
すなわち、財政投融資の資金に極度に依存してきた処理スキームの是非についてであります。
いわば破産団体の清算法人である国鉄清算事業団に対し、それまで累積してきた債務にさらに金利負担を課したこと、及び、それをそのまま十年間継続してきたことに基本的に大きな問題があったのであります。昭和六十二年四月の発足時点で、国鉄清算事業団の債務二十五・五兆円のうち八・九兆円は財投資金であり、その平均金利は七%を超える高率のものでありました。そして、九年後の同七十一年四月時点では、財投資金は十、五・五兆円となり、その平均金利は依然として五・三五%と市中金利をはるかに上回る高率のものとなっております。
すなわち、この処理スキーム自体が高率の金利となった財投資金に極端に依存していたと言わざるを得ず、このことが驚くべき債務の増大をもたらした主原因の一つであり、問題の先送り体質の最たる弊害にほかならないのであります。
このように財投に依存し過ぎてきたことに対する総理の見解を求めます。
国鉄長期債務の累増に伴い、国民負担の増大が心配されるわけでありますが、これをすべて一般会計につけかえるのでは余りにも無責任であり、将来の世代への単なるツケ回しにすぎず、賢明な施策とは言えません。
そこで、その財源の確保をどのようにするのかが問題となりますが、考えられる処理方策として、公共事業等の見直しによる歳出削減、JRに対する再負担、揮発油税等の道路特定財源の一部充当等が議論されております。
これらの財源確保策については、今後十分検討をしていかなければならない課題でありますが、私は、まず何よりも公共事業等の見直しによる歳出削減を抜本的かつ改革的に行うことが基調にならなければならないと申し上げたいのであります。
その上で、その一環でもありますが、例えば、限られた財源の有効配分や総合的交通体系の整備の必要性から、現行の揮発油税などの道路特定財源制度のあり方を見直して、その税収の一部を国鉄長期債務処理の財源とすることは極めて現実的かつ有効な方策と考えます。
平成九年度予算では、揮発油税収入約二・六兆円のほか、石油ガス税収入や自動車重量税収入等で約三・三兆円程度が国分の道路整備財源となっており、これの歳出削減を徹底的に行った上で、その税収の一部を国鉄長期債務処理財源に充当するのはいかがでしょうか。
歳出削減を基調とする方策に加えて、道路特定財源の見直しなどの財源確保策について、総理及び大蔵大臣の見解を求めます。
また、この十年間における債務処理状況を見てみると、土地や株式等の保有資産の売却収入がありながら、有利子債務の利払いに追われてしまい、債務残高が増加してしまうという構図になっております。
そこで、最近の金利情勢などを勘案して、財投資金を初めとする利率の高い債務については、より低利な資金調達に切りかえることが必要であると考えますが、この点についても総理及び大蔵大臣の見解を求めます。
最後に、当面の政府方針について伺います。
昨年末の閣議決定によると、具体的処理方策を平成九年末までに得ることとしておりますが、その半分を過ぎた現時点での進捗状況について伺います。
また、平成十年度末までに清算事業団の定員を半減するとしておりますが、その根拠を伺います。
さらに、本格的処理を実施した上で速やかに事業団を整理することとしていますが、本格的処理の年次的目標はいつか、伺います。
ところで、総理は、今夕にはペルーに向かって旅立ち、フジモリ大統領に人質問題解決の謝辞を述べる予定と聞いております。私も御多忙な総理に対してエールを送りたいと思いますが、あわせて、大切な時期でありますので、不本意ながら一言御進言申し上げます。
フジモリ大統領からは、ぜひ結果責任の政治学を学んできていただきたいということであります。
ペルー人質事件の解決が、ある意味で大成功であったことの背景には、フジモリ大統領の決断力のみならず、いかなる結果になろうとも、いかなる責任逃れもしないし、できないとのぎりぎりの葛藤に打ちかった強さと潔さがあったからだと感じました。
それに対し、総理の政治姿勢には言いわけという柱が目立ち過ぎます。このたびの国鉄長期債務問題についても、担当の運輸大臣当時の判断について、当時としてはベストを尽くした、これ以上の対策はなかった等の言いわけをされております。大蔵大臣当時の住専問題でも同様の言葉を聞いております。私たちは、総理の担当大臣当時の失政のしりぬぐいをしているようで、どうも気分がすぐれません。
ベストを尽くしたとは、古来より常に敗者の言いわけでありました。結果責任の厳しい立場に立つからこそ、政治家に強大な権力が与えられていると確信します。
行財政改革を初め、国の動向を決める重大な決断が要求される中、言いわけの政治から結果責任の政治への転換を強く御進言申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/23
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024・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 横尾議員にお答えを申し上げます。
まず、既設新幹線譲渡収入の使途についてのお尋ねでありますが、平成三年の鉄道整備基金の設立に際し、国会における御審議を経て、幹線鉄道の高速化という要請にこたえていく必要があること、整備新幹線が既設新幹線と一体となって幹線鉄道ネットワークを形成するものであること等を勘案し、既設新幹線の譲渡収入を整備新幹線の建設財源に充てることとしたものであります。
次に、整備新幹線の財源について御意見をいただきました。
整備新幹線は国土の均衡ある発展と地域の活性化に資するものでありますから、昨年の政府・与党合意におきまして、整備新幹線の建設費の負担については、既設新幹線譲渡収入額を国の分とみなし、これに公共事業関係費を加えた額を国の負担分、その二分の一を地方公共団体負担分とすることとしたものであります。
次に、国鉄長期債務問題の責任の所在についてのお尋ねがございました。
国鉄長期債務の処理につきましては、昭和六十三年の閣議決定に基づき、まず資産の処理に全力を挙げてきたところでありますが、土地、株式の処分について、地価高騰問題に対処するための土地売却の見合わせ、株式市況の低迷、阪神・淡路大震災の影響等から、結果としては思いどおりに進まなかったことは事実でありますが、政府としては、そのときそのときの情勢の中で国鉄長期債務の処理に最善と思われる措置を講じてまいりました。
この国民負担についてのお尋ねがございましたが、国鉄改革時には、まず土地や株式等の処分に最大限努力を尽くすことが大前提とされておりましたが、議員から御指摘を受けましたような国民負担の上限をつけるといった御議論は全くございませんでした。そして、これらの処分価格などを正確に予測することが不可能であったことから、将来の利子分も含め、最終的な国民負担の額を確定することが難しかったわけであります。
そのため、昭和六十三年の閣議決定では、土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る債務等については最終的には国において処理することといたしました。
六十三年一月の閣議決定におきまして、土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る債務等については最終的には国において処理するとしたところであり、今後、最終的な国民負担のあり方としていかなる措置があり得るかなどにつき、幅広い検討を行う必要があると考えております。
次に、国鉄清算事業団の財投への依存についてお尋ねがありました。
資産の処分に全力を挙げていく中におきまして、事業団としてそのときそのときの状況下におけるできるだけ有利な資金調達を行ってきたところであります。
次に、道路特定財源制度の見直しによってこれを充当できないかという御意見がありましたが、特定財源制度につきましては、財政構造改革会議で幅広くさまざまな検討を行っていくことになります。
いずれにいたしましても、国鉄長期債務等の本格的処理を平成十年度より実施できるよう、あらゆる選択肢を精力的に検討していく必要があると考えております。
次にへ国鉄清算事業団の金利負担の軽減を図ること、これは重要ね課題でありまして、清算事業団が今後借り入れを行うものにつきましては、昨年十二月の閣議決定に基づいて、より有利な資金を調達することといたしております。
また、この検討状況というお尋ねがございました。
この問題につきましては、現在、与党を初め関係方面で検討の場が設けられ、有識者等幅広い関係者からのヒアリングを行いつつ、あらゆる選択肢についての検討が進められております。
政府としては、このような幅広い国民的議論を十分に踏まえた上で、平成九年中に具体的処理方策の成案を得るべく取り組んでまいりたいと考えております。
次に、清算事業団の定員につきましては、昨年十二月二十五日の閣議決定におきまして、平成十年度から国鉄長期債務等の本格的処理を実施した上で速やかに整理する方向で、組織、定員の合理化等を進めることといたしました。
そのため、今後の業務量の見通しを踏まえるとともに、清算事業団の整理の円滑な実施に資するよう、当面の目標として平成十年度末までに定員の半減を図ることといたしております。
国鉄長期債務の本格的処理の年次的な目標というお尋ねをいただきました。
これは、繰り返し申し上げてまいったように、平成十年度より実施することとしており、具体的処理方策は九年中に成案を得ることといたしております。
残余の質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
〔国務大臣古賀誠君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/24
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025・古賀誠
○国務大臣(古賀誠君) 横尾議員にお答え申し上げます。
まず、国民に対する情報の開示についてのお尋ねでありますが、整備新幹線の整備に当たりましては、先生も御指摘いただいたとおり、国民の理解を得ながら進めるということが必要であろうと考えております。このため、政府及び与党から成る検討委員会において作業を進める際には、国民に対する情報の公開に十分配慮してまいります。
次に、法の目的に「地域の振興に資すること」を追加した理由についてのお尋ねでありますが、新幹線は地域格差の是正、地域住民の利便性の向上、産業の振興等に大きな役割を果たすものであることから、今般、新幹線の建設費につきまして地方公共団体の負担を法律上定めることにかんがみ、新幹線の整備が地域の振興に資するものであることを法律の目的規定においてあわせて明らかにしたものでございます。
また、国が責任を持って財源を確保すべきとのお尋ねでありますが、整備新幹線は国土の均衡ある発展と地域の活性化に資するものとしてその整備を推進する必要があることから、その整備方策について長年にわたり検討されてきたところであります。特に、平成六年十二月の連立与党申し合わせ及び関係大臣申し合わせによりまして、未着工区間の整備のための新しい基本スキームを検討し、平成八年中に成案を得ることとされたところであります。
これを受けまして政府及び与党において精力的に検討が進められてきた結果、今般、ぎりぎりの調整の結果として、新しい財源スキーム等について成案を得て政府・与党合意がなされたところであります。
既設新幹線の譲渡収入の使途及び整備新幹線の財源についてのお尋ねでありますが、ただいま総理に御答弁をいただいたとおりであります。
整備新幹線の施設の財産権についてのお尋ねでありますが、整備新幹線につきましては、既設新幹線と異なり、収益性等にかんがみ、平成元年の政府・与党申し合わせに基づき、日本鉄道建設公団が保有し、営業主体でありますJRに有償で貸し付けることとしたものであります。
最後に、並行在来線についてのお尋ねでありますが、整備新幹線を建設着工する区間の並行在来線につきましては、JRの経営に過重な負担をかけることを避け、第二の国鉄をつくらないという観点から、従来どおり開業時にJRの経営から分離することといたしました。具体的には、工事実施計画の認可前に沿線地方公共団体及びJRの同意を得て確定することといたしました。
その際、地域の足の確保につきましては、これに支障が生ずることのないよう代替交通機関について関係者間で十分協議をいたしまして、適切に対処していくことといたしております。(拍手)
〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/25
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026・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 私に対する質問は三点であります。
まず、国鉄長期債務の処理スキームについてのお尋ねでございますが、債務の償還に関する基本方針については、昭和六十三年一月二十六日、政府において閣議決定が行われたところであります。
その中で、最終的に債務についで国民に負担を求めざるを得ないということ、また土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る債務については最終的には国において処理するということとされておるところでございます。
次に、特定財源の見直しをいたし国鉄長期債務に充てるべきとの御指摘でございますが、この問題については、国鉄長期債務の本格的処理策を早期に策定し実施していくことが喫緊の課題であると認識をいたしておるところであります。また、先般の財政構造改革会議において示されました基本的な考え方にもあるとおり、将来世代への負担の単なるツケ回しとならないようあらゆる選択肢を精力的に検討すべしということであり、そのために必要があるものと考えておるところであります。
次に、国鉄清算事業団の資金調達についてのお尋ねでございますが、国鉄長期債務について金利負担の軽減を図ることは重要でございまして、昨年十二月の閣議決定においても、清算事業団の九年度の借り入れについて低利の民間短期資金の拡充等、より有利な資金の調達を図ることとされているところでございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/26
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027・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 中尾則幸君。
〔中尾則幸君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/27
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028・中尾則幸
○中尾則幸君 私は、民主党・新緑風会を代表しまして、ただいま趣旨説明のありました両法律案につきまして、橋本総理並びに関係大臣に質問いたします。
全国新幹線鉄道整備法の一部を改正する法律案についてであります。
新幹線は、都市間を結ぶ高速輸送手段として、安全性、輸送能力、エネルギー効率等どれをとっても他の交通機関に見られない特性を有しております。私は、このようにすぐれた役割と特性を有する新幹線こそ我が国の交通政策の基幹的な国家的プロジェクトであり、二十一世紀の子孫に向けて整備を進めるべき社会資本であると考えておりますが、総理は新幹線網の整備についてどのような認識をお持ちでしょうか。まず、総理の率直な見解をお聞かせください。
新幹線は、地方の振興や経済発展にとっても大きな役割を果たしております。しかし、最近の公共事業全体の見直し論議の中で、まるで悪者のように扱われ、報道がされておりますことは大変残念であります。それは、昨年暮れ、政府の平成九年度予算編成過程における整備新幹線をめぐる取り扱いが余りにも国民に不透明であったことにも原因がございます。九年度予算編成では、肝心の採算性や着工順位等の検討が先送りにされ、専ら財源の確保に終始した感がございます。その結果、国民に誤解を与え、新幹線整備自体が行政改革や財政構造改革に逆行するプロジェクトのような扱いがされてしまったのでございます。
総理は整備新幹線をめぐるこのような現状をどう認識されておられるのか、所見をお伺いしたいと思います。
さて、新規着工区間の具体的な事業費の配分につきましては、整備区間ごとに収支採算性、JRの貸付料等の負担、並行在来線の経営分離についての沿線自治体等の同意等、基本条件を確認した上で決定されるのは当然であります。しかし、今後設置される政府・与党の検討委員会という閉ざされた場ではなく、国会の場で国民に開かれた議論を担保する必要があります。この検討委員会で論議されたデータ等については、ぜひ国会並びに国民の前に開示し、加えて国会での論議、検討に付していただきたい。
また、整備新幹線の新規着工の取り組みについては旧国鉄の長期債務問題の償還計画が明らかになった時点で行うべきではないでしょうか。
整備新幹線に対する国民の幅広い理解を得るためにも、運輸大臣の明快なお答えをいただきたい。
次に、日本国有鉄道清算事業団の債務の負担の軽減を図るために平成九年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案についてお伺いいたします。
国鉄清算事業団の抱える長期債務は、昭和六十二年度首の二十五・五兆円から平成九年度首には二十八・一兆円と、減少どころか逆に二・六兆円もふえました。この理由については清算事業団の有していた土地と株式の処分に対する見通しの甘さ等が挙げられます。さらに、将来の国民負担を最初から想定しておきながら、返済方法については何も決めずに問題を先送りしてきた政府の責任は重大であります。
土地が売却できないときには少なくとも金利負担の軽減策等を講ずるべきでありました。しかし、債務償還の資金繰りのために安易に財政投融資の借りかえを行い、その結果、利子がかさみ、債務を増大させてしまったのであります。
橋本総理、総理は国鉄改革時の運輸大臣でしたが、清算事業団の長期債務を増大させてしまったことについて、どのような責任を感じ、反省されておるのか、明快な答弁を求めます。
国鉄長期債務のみならず、国、地方が抱える債務肥大化の要因として、財政投融資制度をめぐるあり方がその背景にあることも看過できません。債務問題の処理に当たっては、財政投融資制度の抜本的改革も視野に入れ議論すべきと考えますが、大蔵大臣は現状の財投制度についてどのように認識され、またどのような改革を考えられておるのか、所見をお聞かせください。
あわせて、資金運用部資金からの借り入れについて、その借りかえや繰り上げ償還の実現に向け、ぜひ検討をお願いしたい。
平成九年度首の有利子債務十九・一兆円のうち財投資金は十五・五兆円を占め、その平均金利は五・二%となっております。この低金利時代に、平均五・二%の高利の財投資金を借り続け、その結果、長期債務がふえてしまうという愚策はすぐにやめるべきであります。
大蔵大臣、この際、財政投融資制度の改革とあわせて、資金運用部からの借り入れについて、災害に準じて特例的な借りかえや繰り上げ償還を認めてはいかがでしょうか。大蔵大臣の前向きな答弁をいただきたいと思います。
さて、昭和六十二年の国鉄改革時の想定では、国鉄清算事業団の有する自主財源を処分してもなお残るであろう約十三・八兆円については、最終的には国において処理するものとされておりました。この当初の国民負担の額も、今では二十一兆円から二十二兆円に達すると見込まれております。もちろん、政府の責任は厳しく指摘されなければなりません。そしてまた、その具体的な処理策づくりも急がねばなりません。
一つの提案として、国鉄改革当初に想定され、最終的に国において処理するとされていた約十三・八兆円の債務とその間の利子分については、一般会計での処理もやむを得ないとの考えがあります。橋本総理並びに大蔵大臣はどのような見解をお持ちか、お聞かせください。
交通ネットワークは、鉄道、空港、港湾、道路等が有機的に整備されてこそ真価を発揮いたします。今まさに、交通政策全般についても総合的な見直しを図り、その財源のあり方を含めて全体像を描き直す時期に来ております。我が国の交通政策全体の見直しをせずに、単に長期債務の処理や財源探しだけの議論では視野が余りにも狭過ぎます。運輸大臣、どうお考えでしょうか。
中でも道路特定財源のあり方については、総合交通体系の立場から積極的な見直しを行うべきであります。平成九年度の道路財源は、国分だけでも揮発油税収入約二・六兆円のほか、石油ガス税や自動車重量税等で約三・三兆円になっております。さまざまな社会資本の中で道路だけ突出して特定財源で整備する時代はもう過ぎたと言えます。総合交通体系の立場から、道路特定財源制度の見直しを行い、当面、その見直し分の一部を国鉄長期債務の処理に充てることを真剣に検討すべきと考えます。この点はぜひ総理自身がみずからリーダーシップを発揮していただきたいと存じますが、総理の前向きな所見をお伺いいたします。
この国鉄長期債務の処理は、過去の清算といういわば後ろ向きの議論であり、これまで先送りにされ続けてきた問題であります。国、地方を含めた全体的な財政難の中で、解決に向けての名案や、だれもが満足できる処方せんがなかなか見つからないだけに、考えられる選択肢の総力戦をとらざるを得ない現状となっております。国鉄長期債務処理に向けて政府内で検討されているさまざまな議論や選択肢全般について、その内容、データ等を幅広く国民の前に開示し、国民の合意形成に向けての努力をしていただきたい。
最後に、一日も早い償還計画策定に向けた総理の御決意を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/28
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029・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 中尾議員にお答えを申し上げます。
まず、新幹線網の整備についてのお尋ねがございました。
整備新幹線が国土の均衡ある発展と地域の活性化に資するものであること、これはもう今さら私が申し上げるまでもありません。そして、その整備に当たってのスキームにつきましては、政府及び与党における精力的な検討が進められ、昨年末、ぎりぎりの調整の結果として新たな政府・与党合意がなされたものであります。
今後は、国民の理解を得ながら、政府・与党合意に基づいて、収支採算性の見通し、JRの貸付料等の負担、並行在来線の経営分離についての地方公共団体の同意、JRの同意等の基本条件が整えられていることを十二分に確認した上で、財政構造改革と矛盾しないよう、その取り扱いを厳正に判断することとしております。
次に、国鉄長期債務問題の責任の所在についてお尋ねがありました。
国鉄長期債務の処理につきましては、昭和六十三年の閣議決定に基づいて、まずその資産の処分に全力を挙げて取り組むことになったわけであります。
土地、株式の処分につきましては、地価高騰問題に対処するための土地売却の見合わせや株式市況の低迷、阪神・淡路大震災の影響等から、結果として御指摘のように思いどおりに進まなかったという事実はございます。政府としては、その時々の状況の中で国鉄長期債務の処理に最善と思われる措置を講じてまいりました。
国鉄改革当初の国民負担分とされた十三兆八千億円及びその後の利子について、一般会計でこれを処理してはどうかという御提言がございました。
国鉄長期債務の処理につきましてさまざまな御意見があることはよく承知をいたしておりますけれども、いずれにいたしましても、今後、最終的な国民負担のあり方としてどんな措置があり得るか、幅広い検討を行っていく必要があると今考えております。
議員からも今、道路特定財源制度の見直しによって国鉄長期債務の返済に充当できないかという御意見がございました。
特定財源制度につきましては、財政構造改革会議で現在幅広くさまざまな検討を行っております。いずれにいたしましても、国鉄長期債務等の本格的処理を平成十年度から実施できるよう、あらゆる選択肢を精力的に検討していく必要があると考えております。
また、この処理に向けて、検討の内容やデータ等を幅広く国民の前に開示する必要があるという御指摘をいただきました。
昨年十二月にこの長期債務処理についての閣議決定を行いまして、平成十年度から債務の本格的処理を実施することとして、その具体的処理方策について今年中に成案を得るべく今努力をいたし
ております。
この問題につきましては、御指摘をいただきましたように、国民に対する情報の開示を図りながら、あらゆる選択肢を精力的に検討するとともに、国民的な御論議が十分尽くされるよう努力していきたいと考えます。
残余の質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
〔国務大臣古賀誠君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/29
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030・古賀誠
○国務大臣(古賀誠君) 中尾議員にお答え申し上げます。
まず、国民に対する情報開示についてのお尋ねでありますが、先ほども答弁申し上げましたように、整備新幹線の整備に当たりましては、国民の理解を得ながら進めることが必要であろうと考えております。このため、政府及び与党から成る検討委員会において作業を進める際には、国民に対する情報の公開に十分配慮してまいりたいと思います。
次に、整備新幹線の整備と国鉄長期債務処理との関係についてのお尋ねでありますが、整備新幹線につきましては、国土の均衡ある発展と地域の活性化に資するものであることから、その整備を推進する必要があります。収支採算性の見通し、JRの貸付料等の負担、並行在来線の経営分離についての地方公共団体の同意、JRの同意等の基本条件が整えられていることを十二分に確認した上で、財政構造改革と矛盾しないよう適切に対処することといたしております。
一方、国鉄長期債務につきましては、昨年十二月の閣議決定において、平成九年中に本格的処理のための具体的処理方策の成案を得ることとされております。今後、あらゆる選択肢を精力的に検討するとともに、国民的論議を十分に尽くし、今年中に具体的処理方策を策定できるよう最大限の努力を行っていく所存でございます。
以上のように、全国新幹線鉄道整備法に基づく整備新幹線の整備と国鉄長期債務処理の問題とはそれぞれに推進していくべきものであろうと考えております。
最後に、交通政策全般の総合的な見直しについてお尋ねでございます。
近時の我が国経済社会情勢の変化に対応いたしまして、安全の確保を基本といたしまして、陸海空にわたり整合性のとれた交通体系の形成と安定的で質の高い運輸サービスを確保していくということは必要なことでございます。
このため、運輸省といたしましては、関係各省とさらに緊密な連携をとりながら、極めて必要性の高い分野、緊急性の高い分野に効率的、効果的に予算配分を行い、運輸関係社会資本の整備を図る所要の施策を展開してまいりたいと考えております。
よろしくお願いいたします。(拍手)
〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/30
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031・三塚博
○国務大臣(三塚博君) お答えを申し上げます。
財政投融資の改革については、財政政策の中で有償資金の活用が適切な分野に対応するという基本的な役割、必要性は将来とも残るものと考えております。
まず、国鉄長期債務等の処理のいかんにかかわらず、財政投融資については、社会経済情勢の変化に応じまして対象分野等を見直し、資金の重点的、効率的な配分を図ることが必要であります。私は、資金運用審議会の懇談会において本格的な検討、研究が進められておるところであり、見詰めておるところであります。
いずれにいたしましても、今日まで財政投融資についてはその都度見直しをしてまいったところであります。今後もそのあり方について真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、資金運用部からの借り入れの繰り上げ償還等についての御指摘であります。
金利低下を理由とする繰り上げ償還は、借り手の負担軽減のコストがそのまま資金運用部に転嫁されるということになりまして、政府全体のコスト低減にはなりません。
資金運用部は、低利資金の供給のため、貸付金利と預託金利を同一とし、利ざやを取らずに長期固定の貸し付けを行いつつ収支相償うよう運営しておるところであります。このようなコストの転嫁を受け入れる余地はございませんので、御理解を賜りたいと存じます。
第三問は、国鉄長期債務の一般会計での処理についてのお尋ねでございます。
国鉄長期債務の本格的処理策を早期に策定し、実施していきますことが喫緊の課題であるということは、御認識のとおり、私もそう信じております。
先般の財政構造改革会議におきまして示されました基本、すなわち、将来世代への負担の単なるツケ回しはやめるべきである、あらゆる選択肢を精力的に検討すべしという基本があります。これを踏まえまして真剣にこれまた取り組んでまいるつもりであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/31
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032・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/32
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033・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第二 千九百六十三年五月二十二日に地中海漁業一般理事会の第一回特別会合(同年五月二十一日及び二十二日にローマで開催)において及び千九百七十六年七月一日に同理事会の第十三回会合(同年六月二十八日から七月二日までローマで開催)において改正された地中海漁業一般理事会協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。外務委員長寺澤芳男君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔寺澤芳男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/33
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034・寺澤芳男
○寺澤芳男君 ただいま議題となりました地中海漁業一般理事会協定につきまして、外務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
我が国は、地中海において、クロマグロを対象にした遠洋マグロはえ縄漁業を行っておりますが、この協定は、地中海及び黒海並びにこれらに接続する水域における海洋生物資源の保存、管理及び最適利用の促進等を目的とする地中海漁業一般理事会の設置及び運営について定めるものであります。
委員会におきましては、一九五二年、昭和二十七年に効力を発生した本協定を、今回、我が国が締結する理由と意義、地中海漁業に関する本協定の理事会と大西洋まぐろ類保存国際委員会との関係、地中海におけるマグロの資源状況等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終え、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/34
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035・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/35
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036・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 総員起立と認めます。
よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/36
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037・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第三 農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長鎌田要人君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔鎌田要人君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/37
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038・鎌田要人
○鎌田要人君 ただいま議題となりました法律案につきまして、御報告申し上げます。
本法律案は、最近における我が国の農林水産業をめぐる諸情勢の変化に対応して、農業協同組合、森林組合、水産業協同組合等の健全な発展を図るため、農林水産省の本省においてこれらの団体の業務及び会計の検査を統一的かつ効率的に実施することとし、森林組合、水産業協同組合等について林野庁及び水産庁が所掌する検査に関する事務を農林水産省本省に移管しようとするものでございます。
委員会におきましては、検査を監督から分離し一元化する目的と効果、新しい農業基本法制定に向けての取り組み、米国のリンゴ輸入解禁要求と我が国の対応等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/38
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039・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/39
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040・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/40
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041・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第四 学校図書館法の一部を改正する法律案(南野知恵子君外七名発議)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。文教委員長清水嘉与子君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔清水嘉与子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/41
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042・清水嘉与子
○清水嘉与子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、学校図書館の一層の充実を期し、司書教諭の養成と設置の計画的拡充を図るため、これまで大学で行うこととされてきた司書教諭の講習について、大学に加え、新たに大学以外の教育機関が、文部大臣の委嘱を受けて司書教諭の講習を行うことができることとするとともに、当分の間、置かないことができるとされている司書教諭の設置についての猶予期間を、政令で定める規模以下の学校を除き、平成十五年三月三十一日までの間としようとするものであります。
委員会におきましては、学校図書館の現状と課題、司書教諭の養成及び設置の具体策、設置が猶予される小規模校の取り扱い、司書教諭といわゆる学校司書のあり方等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑終局の後、日本共産党の阿部委員より、学校司書制度の創設等を内容とする修正案が提出されました。
本修正案は予算を伴うものでありますので、内閣の意見を聴取いたしましたところ、小杉文部大臣より、政府としては反対である旨の発言がありました。
次いで討論に入り、日本共産党を代表して阿部委員より、修正案に賛成、原案に反対の意見が述べられた後、順次採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し、六項目の附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/42
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043・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/43
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044・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02319970509/44
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