1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年五月十四日(水曜日)
午前十時二分開議
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○議事 日程第二十四号
平成九年五月十四日
午前十時開議
第一 放送大学学園法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
第二 放送法及び有線テレビジョン放送法の一
部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付
)
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○本日の会議に付した案件
一、請暇の件
一、環境影響評価法案(趣旨説明)
以下 議事日程のとおり
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/0
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001・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
日下部禧代子君から海外旅行のため来る十八日から十一日間の請暇の申し出がございました。
これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/1
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002・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
よって、許可することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/2
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003・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、
環境影響評価法案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/3
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004・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。石井国務大臣。
〔国務大臣石井道子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/4
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005・石井道子
○国務大臣(石井道子君) 環境影響評価法案について、その趣旨を御説明いたします。
環境影響評価は、環境悪化を未然に防止し、持続可能な社会を構築していくための極めて重要な施策であり、我が国におきましては、昭和五十九年の閣議決定等に基づき、その実績が着実に積み重ねられてきたところでありますが、環境基本法に盛り込まれました新たな課題等にも適切に対応するため、中央環境審議会の答申を踏まえ、今般、本法律案を提案した次第であります。
次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
第一に、この法律案は、事業者が事業の実施に当たりあらかじめ環境影響評価を行うことが、環境の保全上極めて重要であることにかんがみ、道路、ダム、鉄道、発電所等の規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業について、環境影響評価が適切かつ円滑に行われるための手続その他所要の事項を定めることとしております。
第二に、事業者が、地方公共団体等から意見を聞いた上で環境影響評価を行い、その結果を環境影響評価準備書として取りまとめ、これについて、環境の保全の見地からの意見を有する者がその意見を述べることができることとするとともに、関係都道府県知事が、関係市町村長の意見を聞いた上で、環境の保全の見地からの意見を述べるものとしております。
第三に、事業者がこれらの意見が述べられた後に環境影響評価準備書に検討を加えて作成した環境影響評価書について、免許等を行う者が環境の保全の見地からの意見を述べることができることとしております。この際、環境庁長官も必要に応じ環境の保全の見地からの意見を免許等を行う者に対し述べることができることとしており、事業者は、免許等を行う者の意見が述べられた後、環境影響評価書に検討を加えた上で、所要の補正を行い、これを公告・縦覧することとしております。
第四に、環境影響評価の結果を免許等に反映させるため、環境の保全の配慮についての審査等に係る所要の規定を設けるとともに、事業者は環境の保全についての適正な配慮をして当該対象事業を実施しなければならないものとしております。
このほか、発電所についてのこの法律案と電気事業法との関係等について、所要の規定を設けることとしております。
以上が環境影響評価法案の趣旨でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/5
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006・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。山下栄一君。
〔山下栄一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/6
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007・山下栄一
○山下栄一君 私は、ただいま議題となりました環境影響評価法案、いわゆる環境アセスメント法案につきまして、平成会を代表して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
環境アセスメントの法制化は、深刻な公害に苦しみ、自然破壊を経験してきた国民大多数の長年の願いであります。我が国で最初にアセスの法案を国会に提出した政党は、当時の公明党でありました。昭和五十年、今から二十二年前のことであります。しかし、その後、今日に至るまでアセスの法制化は実現せず、我が国はOECD加盟二十九カ国中、唯一アセス法を持たない国になってしまいました。
この現実を総理はどのように反省しておられるか、まずお尋ねしたいと思います。
さて、今回、政府が提出しましたアセス法案は、昭和五十九年に定められたいわゆる閣議アセスをベースにして、これに見直しを加えて法案化したものと理解しております。確かに、現行制度に比べ改善された点はありますが、問題点の多い閣議アセスの延長線上にとどまっていることは否めず、また、そうであるからこそ、これまで法制化に反対してきた事業官庁も容認したと思われますが、本法案はなお不十分なものであるとの立場から質問するものであります。
法案の内容に入る前に、環境行政に対する総理の基本姿勢について伺いたいと思います。
橋本内閣が標榜する六つの改革の中核が行政改革であり、なかんずく省庁の再編問題が大きな注目を集めておりますが、現在行われている行革論議では環境の視点がほとんど見受けられず、環境重視の世界の潮流に逆行するものです。
私は、二十一世紀を見据えた環境保全型・資源循環型経済社会の構築は、環境行政の一元化を含め環境庁の権限強化を軸に行うべきであり、環境庁を調整型から監査型へ脱皮させるべきだと考えますが、総理の所見をお伺いします。
翻って、この法案を見た場合、環境庁長官が主体的に関与する場面としては、基本的事項の策定と環境影響評価書に対する意見提出の二カ所だけであります。この法案は、環境庁が主管するものでありながら、事業官庁が前面に出て環境庁の影が薄いという構図になっており、これでは従来の制度と全く変わりありません。環境庁が他省庁に対し強く物を申せるようにするために、法案の総則の中に環境庁及び環境庁長官の役割を前面に出す規定を設けるべきであると考えますが、総理、いかがですか。
さて、ことしは、六月に国連環境特別総会、十二月に地球温暖化防止京都会議、さらに先日、アメリカで橋本総理みずから提案された来年初頭のNGOや途上国の代表を集めての東京会議など、これから一年の間に環境問題に関する国際会議が続きます。これらの会議でリーダーシップをとるべき日本の総理として、今回の法案は世界に誇れるアセス法であるとお考えですか、所見をお伺いします。
続いて、法案の内容について質問いたします。
ことし二月の中央環境審議会の答申で示された現行制度の見直しポイントの第一は、早い段階での環境配慮であります。
早い段階からの環境配慮というのであれば、上位計画や政策の段階でのアセス、いわゆる戦略的環境アセスメントの導入が必要であります。主要諸国において既に取り組みが始まっているこの戦略的環境アセスについての規定を設けておくべきではないか。環境庁長官の見解をお伺いしたい。
そして、戦略的環境アセスメントの導入に向け、今後、国が開発にかかわる計画、例えば公共事業計画や政策等を策定するに当たっては、環境影響について評価し公表することを可能なものから実践していくことを提案したいと思いますが、これに対する総理の見解をお伺いします。
現行制度の見直しポイントの第二は、対象事業の拡大であります。
先月、厚生省は全国のごみ焼却施設に関するダイオキシン排出濃度の調査結果を初めて公表しました。それによると、七十二施設の濃度は厚生省が決めた極めて甘い緊急対策値すら超え、また、全体的な濃度レベルも恒久対策目標値にはほど遠い実態にあることが明らかとなりました。
このように、ごみ焼却施設などの廃棄物処理施設は重大な環境汚染を引き起こすおそれがある事業であるにもかかわらず、なぜ最終処分場以外の施設も対象事業としなかったのか、環境庁長官にお伺いしたいと思います。
関連して、この機会にダイオキシン対策についてお伺いしたいと思います。
今月上旬、アメリカのマイアミで先進七カ国とロシアが参加して開催された八カ国環境大臣会合において、環境汚染の被害を最も受けやすい乳幼児を基準に各国の環境規制を強化することで合意したと聞いております。
そこで、この合意を受けてダイオキシンに関する基準の見直しを行う必要はないのか、環境庁長官と厚生大臣にそれぞれお伺いします。
国の法的規制への対応のおくれにより、埼玉県所沢市ではことし三月、全国で初めてダイオキシンに関する規制条例を制定しました。環境庁は今月になってようやく重い腰を上げ法的規制の方針を打ち出しましたが、大気汚染防止法の指定物質の枠組みによるもので、これには罰則がないため実効性の面で問題があります。
こうしたダイオキシン対策の現状について、総理はどのように認識しておられるか。また、ダイオキシン対策については、関係省庁が一体となって取り組み、早急に人体汚染の緊急実態調査を行うとともに、罰則を伴う法的規制措置を講ずるべきであると考えますが、総理並びに厚生大臣、環境庁長官の決意をお伺いします。
さて、対象事業にかかわる問題に戻りますが、法案ではアセスを行うかどうかを国の行政機関が個別に判定する、いわゆるスクリーニング手続を導入しました。
ところが、この重要な手続において意見を述べることができるのは都道府県知事だけで、市町村長と住民にはその機会が設けられておりません。徳島県木頭村の細河内ダム建設問題などで見られるように、知事と市町村長の対応が異なることはよくありますし、そして、何よりも広範な人々から意見を聞くことこそ、アセス制度における重要な原則であるはずです。したがって、このスクリーニング手続についても、市町村長と住民の意見提出の機会を設けることを求めたいと思いますが、環境庁長官の見解をお伺いします。
現行制度の見直しポイントの第三は、評価のあり方の見直しであります。
中環審答申では、複数案の比較検討ができる手法の導入が適当としています。ところが、法案ではその点が不明確です。一九六九年に世界で最初に環境アセスを法制度化したアメリカにおいては、代替案の検討は環境影響評価書の核心であると位置づけられているのであります。本法案でも、必ず複数案が記載されるようにすべきであると考えますが、環境庁長官の見解をお伺いしたい。
現行制度の見直しポイントの第四は、アセス後のフォローアップ措置の導入であります。
フォローアップ措置としてモニタリングを行った結果、アセスの予測値と実測値が大きく食い違うことが判明したような場合には、当然事業を中断させ、アセスメントを再実施させるようにすべきであると考えますが、法案ではこれに関する規定が見当たりません。これは一体どうしたことでしょう。環境庁長官にお伺いします。
次に、発電所アセスの問題について伺います。
いろいろ議論を呼んだ発電所アセスについては、形式的にはアセス法の対象となりましたが、実質的には電気事業法の改正によって別枠扱いとされてしまいました。
通産省は、発電所アセス別枠化の理由として、アセスの結果の工事計画の認可要件化などアセスメント手続の厳格化を挙げておりますが、このことは、言いかえれば、アセス法案の方はそれほど厳格じゃないということになります。もしそうであるならば、アセス法案も電気事業法並みに厳格化すべきであります。そうすれば、中環審答申で留意事項とされた「統一的で、透明性が保たれ、わかりやすい制度」とすることも実現できるのではないでしょうか。総理並びに通産大臣の見解をお伺いします。
次に、法案と地方自治体のアセス制度の関係について伺います。
地方自治体においては、第三者機関である審査会による審査や公聴会の開催など、今回の法案にはないすぐれた手続を有しているところもあります。
現在、都道府県、政令市においては、ほとんどの団体で条例等によりアセス制度が整備されておりますが、その背景の一つに、長い間、国が法律という形できちんとアセス制度を確立してこなかったことがあると考えます。後から法律をつくって、地方の制度はこれに合わせろというのは、地方分権の時代において問題であります。
また、法案の規定は抽象的なため、具体的にどの地方のどの手続が法律に抵触するのか判然としないという問題もあることから、この際、この規定を改め、地方自治体独自の手続も認められる旨を明確にすべきであると考えます。総理及び環境庁長官の見解をお伺いします。
振り返ってみますと、昭和五十九年に定められた閣議アセスは、今回の法案提出までの約十三年間、一度も見直されることはありませんでした。この間にも先進諸国のアセス制度は、戦略的環境アセスの導入など、どんどん進歩を遂げてきており、その結果、我が国のアセス制度は、法制面だけでなく、内容面においても各国に大きなおくれをとることになりました。
こうしたことからも、この立法時に修正すべき点は思い切って修正して、現時点で世界最高水準の内容で制度をスタートさせた上で、常に内外の動向も踏まえつつ適宜適切に制度の改善を図っていくという姿勢が大事であります。
この点について最後に総理の見解をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/7
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008・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 山下議員にお答えを申し上げます。
まず、OECD加盟国中、唯一アセスメント法を持たないことについてのお尋ねがございました。
政府といたしましては、昭和五十六年に法案を提出いたし、それが廃案になりまして以降、これまで行政指導による実績を積み重ねてまいりました。今回の法案は、そうした実績を踏まえて作成したものでありまして、着実に環境影響評価制度を推進してきた成果として御理解をいただけるものと思っております。
次に、環境行政への基本姿勢についてのお尋ねがございました。
環境への負荷の少ない循環型経済社会システムの構築に向けて、今後とも総合的、効果的な環境政策の推進に努めてまいりますが、中央省庁のあり方につきましては、現在、行政改革会議におきましてさまざまな角度からの検討を行っている最中であります。
次に、環境庁及び環境庁長官の役割について御質問をいただきました。
環境庁長官は、環境行政を総合的に推進する立場から、基本的事項を策定し、環境影響評価書について必要に応じて意見を述べるものでありまして、このような役割を適切に果たしていただくことで十分実効ある環境アセスメントが行われるものと考えております。
次に、世界に誇ることができる法案であるかというお尋ねがございました。
本法案は、欧米等諸外国の環境影響評価制度の実施状況等を十分調査した上で立案に当たったところであります。スクリーニングやスコーピング手続を盛り込むなど、諸外国と比較しても遜色のないものであると考えております。
次に、戦略的アセスメントについての御意見をいただきました。
政府の計画について、あるいは政策につきまして環境配慮を行うべきことは、環境基本法に規定されているところでありまして、今後、中央環境審議会の答申に従い、国際的動向や我が国での現状を踏まえ、政府の計画や政策についてのアセスメントの手続のあり方について検討を進めてまいります。
次に、ダイオキシン対策についての御指摘をいただきました。
この問題は、国民の健康影響を未然に防止するという観点から極めて大事な問題だと認識しており、人への汚染の状況につきましては、現在、関係省庁が連携しながら調査方法の検討を進めております。
また、排出抑制策につきましては、現在、関係審議会において検討がなされておりますことから、今後これを踏まえて具体的な措置を早期に講じていきたいと考えております。
次に、アセスメント法案を電気事業法並みに厳格化すべきという御意見をいただきましたが、発電所につきましては、通産省の省議アセス制度による過去二十年間の実績、民間事業者の個別事業が電力の安定供給という国の施策と強いかかわりを持つという特殊性から、アセス法の手続に加えて手続の各段階で国が関与する特例を電気事業法に設けたものであります。これは、電気事業という事業の特性に即して対応したものでありまして、中央環境審議会の御答申にも沿ったものと考えております。
次に、自治体との関係につきましては、本法案におきまして条例との関係について第六十条に規定をいたしまして、地方公共団体がその意見形成に当たり御指摘のような第三者機関による審査や公聴会の開催などを独自に条例で定められる仕組みとしておりまして、その旨を周知徹底させてまいりたいと考えております。
最後に、法案の修正及び将来の改善についてのお尋ねをいただきました。
本法案は現時点において最善のものと考えておりますが、法施行後、制度の運用状況を真摯に点検しながら、必要に応じて制度の改善についても検討してまいりたいと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣石井道子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/8
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009・石井道子
○国務大臣(石井道子君) 山下議員にお答え申し上げます。
戦略的アセスメントについてのお尋ねでございますが、中央環境審議会の答申においても、なお検討を要する事項が多いことなどの点から今後の課題とされていることでございまして、総理の御答弁にもありましたように、今後、具体的に検討を進めてまいる所存でございます。
廃棄物処理施設についてのお尋ねでございますが、最終処分場以外の廃棄物処理施設につきましては、他の対象事業に比べて一般的に敷地面積が小さく、大気汚染につながる排ガスの発生量等から見た規模も大幅に小さいことなどから、対象事業とすることは考えていないところでございます。
ダイオキシン基準の見直しのお尋ねでございますが、ダイオキシンの健康リスク評価指針値につきましては、環境庁の検討会により、発がん性にとどまらず発達影響や生殖影響など乳児や小児への影響をも考慮して、体重一キログラム当たり一日当たり五ピコグラムとされたものでありまして、今回の合意により直ちに変更の必要はないと考えているところでございます。
ダイオキシン対策につきましては、先ほど総理が御答弁されたとおりでございまして、私どもも早期に対策を講じてまいりたいと思っております。
スクリーニング手続における市町村長、住民の意見についてのお尋ねでございますが、スクリーニングについては、客観的な基準を定めることにより相当程度類型化して判断することが可能であるために、都道府県知事が有する地域の基本的な情報により判定は十分適正になされるものと考えております。
複数案の記載についてのお尋ねでございますが、本法案では、中央環境審議会答申を踏まえ、準備書及び評価書に環境の保全のための措置を講ずることとするに至った検討の状況の記載を義務づけております。事業者において複数案の比較検討が行われた場合には、その検討の状況が適切に記載されることとなると考えております。
予測値と実測値が食い違った場合にアセスを再実施させるべきであるとの御指摘でございます。
アセスは事業着手前の手続でありまして、既に着工済みの事業についてアセスを再実施させることは制度の趣旨になじみがたいものと考えております。
なお、予測値と実測値の乖離につきましては、手続の中で十分な審査を行うとともに、予測技術の充実に努めることを基本として対応してまいる所存でございます。
自治体との関係についての件につきましては、先ほど総理が御答弁したとおりでございます。(拍手)
〔国務大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/9
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010・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 山下議員にお答えいたします。
ダイオキシンの基準の見直しについてですが、今回の八カ国環境大臣会議における合意は新しい視点からの提案であると受けとめておりまして、乳幼児を含めて国民の健康を守るということは最も大事であるという視点から、今後、WHO、OECDなどの国際機関での専門的な検討を踏まえて適切な対処をしていきたいと考えております。
それと、ダイオキシン対策の取り組みについてですが、廃棄物焼却施設から排出されるダイオキシンの削減のための規制措置につきましては、現在、専門的な検討の場において検討しており、その結果を踏まえ、人体における影響、健康を守るという点から、法的規制という点がいろいろありますが、実効性のある法的規制措置を講じてまいりたいと思います。(拍手)
〔国務大臣佐藤信二君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/10
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011・佐藤信二
○国務大臣(佐藤信二君) 山下議員にお答えいたします。
私に対する質問は、発電所アセスメントについてでございました。
発電所は過去二十年間、通商産業省の省議アセス制度において、手続の各段階から国が監督指導し、十分な実績を上げてきたところでございます。また、民間事業者の個別事業が電力の安定供給という国の施策と強いかかわりを持つという点で特殊な性格を有するものだと、このように思っております。
こうした観点から、アセス法の手続に加え、発電所に固有の手続を電気事業法に規定することとしたものであります。
これは電気事業の特性に即して対応したところであり、中央環境審議会の答申に沿ったものであると、かように考えております。
以上です。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/11
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012・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 清水澄子君。
〔清水澄子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/12
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013・清水澄子
○清水澄子君 私は、環境影響評価法案につきまして、社会民主党・護憲連合を代表して、橋本総理大臣並びに関係大臣に質問したいと思います。
間近に迫った二十一世紀を環境の世紀とする上で、目標となる持続可能な社会構築のためには、この環境アセス法案が重要な手段とされなければならないものと思っております。
この制度の法制化については、昭和五十一年、当時の社会党においても法律案を提案し、平成五年の環境基本法提案の際の国会においては本院に提案いたしております。
リオの地球サミットから五年が経過し、環境基本法制定から三年余りが過ぎたことしは、六月にはデンバーでの先進国首脳会議、さらに国連環境特別総会、十二月には二十一世紀の地球温暖化防止策を決める京都会議が開催されるというように、環境にとって重要な国際会議が続いております。この年に、OECD諸国の中で環境アセスメントを唯一法制化していなかった我が国がこのたび法制化をするに至ったことは、遅きに失したとはいえ、また、さらに検討を要する課題もあるとはいえ、一歩前進であると考えております。
また、我が国は先進国の一員として、一刻も早く廃棄型文明から決別し、持続可能な地球を維持していく国際的な責任を果たしていくことが重要であります。
そこで、まず橋本総理にお伺いいたします。
総理は、みずから国連環境特別総会に出席したい意向を持っておられると伺っております。デンバー・サミットでも環境問題は重要な議題になると思われますが、総理はこの両会議を通じて環境問題についてどのような提言をされるおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
また、環境問題は、国際的な枠組みや基準を定め、協調して実行していく時代に入っております。アメリカは、デンバー・サミットで、発展途上国に対する公的輸出信用制度に環境保護のための国際的なガイドラインの設定を提案すると伝えられております。我が国も、ODAや企業の海外進出に対して国内の環境アセスメント法の適用を検討していくことを含め、率先して国際的な枠組みや基準づくりに取り組むことが必要ではないでしょうか。橋本総理のお考えをお聞きしたいと思います。
さらに、環境庁長官にお伺いいたします。
十二月の京都会議で我が国は議長国として国際的な責務を果たさなければなりませんが、二〇〇〇年以降もさることながら、二〇〇〇年までの二酸化炭素削減目標を達成することも重要な責務であります。達成困難と言われている状況の中で今後どのように取り組んでいくおつもりなのか、長官の決意と方策をお伺いしたいと思います。
次に、法案の内容について伺います。
環境アセスメントが閣議決定されてから約十三年が経過いたしました。その間、この制度をめぐる状況は国内的にも国際的にも大きく変化をしております。
一つは、多くの自治体が条例または要綱に基づく環境アセス制度を持ち、中には国の制度より先進的と評価される制度を持つところも少なくございません。一方、他の先進国においては、上位計画の段階から事業の必要性を含めて検討できる戦略的環境アセスに取り組みつつあります。また、アメリカのフロリダで開かれた先進国環境担当閣僚会議は、今月六日、子供の健康を守る環境サミット宣言を採択して閉幕いたしましたが、環境規制を従来の大人を基準としたものから環境汚染の被害を最も受けやすい子供や乳幼児を基準とするように強化することで合意しております。このことは六月のデンバー・サミットに反映されるとしております。その結果、今後は環境アセスや環境基準の抜本的な見直しが必要になってまいると思います。
このような環境をめぐる状況の変化の中で、今回の法制化によってどこまで実効性あるものにすることができるのか、政令や省令にゆだねた部分の多いこの法案の運用面を含め、主要な点を確認したいと思います。
第一に、地方自治体との関係であります。
この法制化が先進的な自治体の制度の後退につながることはないか、また、関係市町村の意見が都道府県知事の意見にどう反映されるのかについて担保がないではないかとの懸念が出ております。特に、第三者審査機関など先進的な制度を持つところの政令指定都市においては、要望書を出してその懸念を表明しております。さらに、第二種事業のスクリーニング手続において関係市町村は意見が述べられないこと、そして先進的な自治体の制度と国の手続が逆転してしまう事態が生まれかねないなどの指摘がされております。
そこで、環境庁長官にお伺いいたします。
このような地方自治体の懸念を払拭するため、政省令等、及び運用面において、その趣旨を十分担保できるような措置を講ずるということをぜひお約束いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
第二に、諌早湾の干拓、中海宍道湖の干拓、長良川河口堰など、生態系への影響が懸念される中での公共事業のあり方に疑問が投げかけられておりますが、この法案の事業アセスのみでは事業停止を含めた国民の納得のいくチェックが十分できるかどうか疑問のところもございます。諸外国におくれをとらないよう戦略的環境アセスの制度化に向けた検討を直ちに始める必要があると思いますが、環境庁長官の決意を伺いたいと思います。
第三に、評価の対象項目を広げ、スコーピング手続が導入されますが、これまでの項目以外の新たな評価項目についてどのような予測、評価方法をとるのか、法案だけではそれが見えません。また、複数事業の場合の予測、評価方法の問題もあります。主務官庁がガイドラインをどう定めるかによるわけですが、環境庁は基本的事項としてどのような内容のものを提示する考えなのか、長官にお伺いいたします。
第四に、だれでも意見書の提出ができるようになりましたが、事業者から環境アセスにかかわる資料がどこまで提供されるのか、住民参加の前提となる情報公開が明確になっておりません。また、公告・縦覧の期間、その方法など、住民が積極的に参加できるものとしていただきたいと思います。環境庁長官の的確なお答えをお聞きしたいと思います。
第五に、環境影響評価書に対する長官の意見についてお伺いします。
主務官庁は、環境庁長官意見を勘案して、評価書についての意見を事業者に対して述べるとされておりますが、この勘案とは尊重するという解釈で運用されるものと受けとめてよろしいでしょうか。
また、この長官意見は、第三者審査機関を設けない以上、それにかわるものとしての重要性を持つものであります。ですから、長官意見の形成に当たっては、第三者審査機関に匹敵するような仕組みを設けて、外部の意見や知見を最大限に取り入れていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
最後に、この法案は、環境庁長官が主務官庁に意見を言うという従来からの縦割り行政を崩すことができず、それぞれの主務官庁が審査する基本姿勢は変わりませんでした。発電所のアセス制度がその顕著な例でありますし、動燃の事故で国民の間に不安が高まった放射能の環境影響は科学技術庁の所掌であって、本法案の対象外にあります。
また、環境庁については行政改革会議でもいろいろと議論があると伝えられておりますが、私は環境庁にはより強い権限と指導力の発揮できる機能が絶対に必要であると考えておりますが、総理の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/13
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014・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 清水議員にお答えを申し上げます。
まず、デンバー・サミット及び国連環境開発特別総会についてのお尋ねをいただきました。
五年前の国連環境開発会議以降の成果を率直に評価し、今後優先的に取り組むべき分野について国際的な合意を得るべく努めますとともに、地球温暖化防止京都会議の成功に向けた強いメッセージを発出すべきこと、また、環境問題を真に解決する上での技術の開発普及、環境教育、啓発の重要性などについてこの場で訴えてまいりたいと考えております。
次に、ODA等へのアセス法の適用についての御意見をいただきましたが、これは他国の管轄下で行われる事業でありまして、本法の手続を適用することはできません。しかし、国際協力事業団や海外経済協力基金が策定しておりますがイドライン等によりまして、引き続き適切な環境配慮が図られるよう努めていきたいと考えております。
次に、環境に関する国際的な枠組み、基準づくりをという御意見をいただきました。
我々は、こうしたことも含めまして、地球環境問題への取り組みについて国際的にリーダーシップをとるなど、その国際的地位にふさわしい役割を率先して果たしてまいりたいと考えております。
最後に、環境庁の機能強化についての御意見をちょうだいいたしました。
環境問題は、二十一世紀に向け人類最大の共通の課題であります。今後とも、総合的、効果的な環境政策の推進に努めていくべきことは当然であり、これを前提にし、中央省庁のあり方につきましては行政改革会議で現在さまざまな角度から検討が行われておりますが、こうした視点は見失わないようにしていきたいと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣石井道子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/14
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015・石井道子
○国務大臣(石井道子君) 清水澄子議員の御質問にお答え申し上げます。
地球温暖化防止に関するお尋ねでございますけれども、二酸化炭素排出量の二〇〇〇年目標達成はこのままでは非常に厳しい状況でございます。我が国は、世界第四位の二酸化炭素排出国でありまして、京都会議議長国として国際合意への積極的な対応を期待されていることを念頭に置きまして、今後も、温暖化防止のための省エネルギー対策、新エネルギー対策や低公害車導入等の政府の施策を推進してまいります。そして、国民総ぐるみの取り組みを展開いたしまして、目標の達成に向けて最大限の努力をしてまいる所存でございます。
次に、自治体との関係についてのお尋ねでございますが、本法案は、準備書前の手続を導入するなど、地方制度と比較しても充実した内容となっているものと認識しておりますが、さらに、御指摘のような懸念につきましても、地方公共団体の意見が十分反映され、地域の実情に即したアセスメントが行われるよう、本法の施行、運用に万全を期してまいる所存でございます。
次に、戦略的環境アセスメントにつきましては、中央環境審議会の答申に従いまして、国際的動向や我が国の現状を踏まえて、政府の計画や政策についてのアセスメントの手続等のあり方について、今後、具体的に検討を進めていく所存でございます。
基本的事項についてのお尋ねでございますけれども、御指摘の点も踏まえまして、環境基本法に対応した評価対象の拡大、環境負荷をできる限り回避し低減するものであるか否かを評価する視点の導入、そして、我が国の状況に応じた複数案の比較検討の導入等が適切に行われるように定めてまいりたいと考えております。
情報公開と住民参加についての御質問でございますが、調査結果や基本的なデータなどについて、環境影響評価準備書等への記載により公表させ、また、公告・縦覧の方法等について、住民等の便宜も考えて適正な運用を図ってまいる所存でございます。
環境庁長官意見についてのお尋ねでございますが、この意見は免許等を行う者が意見を述べるに当たって相当の重みを持って受けとめられるものと考えております。環境庁長官の意見形成に際しましては、案件に応じてそれぞれの専門家の意見を聞きつつ、その信頼性が確保されるように努めてまいりたいと思っております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/15
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016・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
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017・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第一 放送大学学園法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。文教委員長清水嘉与子君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔清水嘉与子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/17
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018・清水嘉与子
○清水嘉与子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、放送大学学園が通信衛星による放送を通じて、放送大学の放送番組の視聴機会を全国に提供するため、放送法に規定する委託放送業務を行うことができるようにするとともに、放送法の関係規定の整備を行う等、所要の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、放送の全国化に対応する学習センター等の整備方針、専門分野の拡充等教育内容の見直し、他大学との連携協力の強化等の諸問題につきまして質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/18
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019・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/19
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020・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/20
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021・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第二 放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長渕上貞雄君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔渕上貞雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/21
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022・渕上貞雄
○渕上貞雄君 ただいま議題となりました放送法及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、視聴覚障害者の利便の増進を図るため、テレビジョン放送事業者等は字幕番組等をできる限り多く放送するようにしなければならないこととするとともに、放送番組審議機関の活性化に資するため、放送事業者が行う報告及び公表に関する規定を整備するほか、衛星放送技術の進展に伴う有料放送の役務の料金に関する制度の合理化を図る等の改正を行おうとするものであります。
委員会におきましては、字幕放送の拡充方策、放送番組審議機関の機能強化、放送倫理の確立等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し、全会一致をもって二項目から成る附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/22
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023・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/23
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024・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。本日はこれにて散会いたします。
午前十時五十四分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X02419970514/24
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