1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年六月十六日(月曜日)
午後三時二分開議
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○議事日程 第三十六号
平成九年六月十六日
午後三時開議
第一 公職選挙法の一部を改正する法律案(衆
議院提出)
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○本日の会議に付した案件
一、元議員塚田十一郎君逝去につき哀悼の件
一、日程第一
一、電気通信事業法及び電波法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
一、金融監督庁設置法案(内閣提出、衆議院送
付)
一、金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の
整備に関する法律案(内閣提出、衆議院送付
)
一、特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推
進に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/0
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001・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。さきに院議をもって永年在職議員として表彰されました元議員塚田十一郎君は、去る五月二十三日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
つきましては、この際、院議をもって同君に対し弔詞をささげることといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/1
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002・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。弔詞を朗読いたします。
〔総員起立〕
参議院はわが国民主政治発展のため力を尽くされ特に院議をもって永年の功労を表彰せられさきに内閣委員長沖縄及び北方問題に関する特別委員長等の要職に就かれまた国務大臣としての重任にあたられました元議員正三位勲一等塚田十一郎君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/2
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003・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第一公職選挙法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。選挙制度に関する特別委員長武田節子君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔武田節子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/3
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004・武田節子
○武田節子君 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、選挙制度に関する特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本法律案は、地方選挙の投票率の向上及び選挙管理費用の節減に資するため、同一の地方公共団体の議会の議員及び長のうち、一方の任期が他方の任期満了の日前九十日以内に満了する場合には、議員の任期満了による一般選挙と長の任期満了による選挙を同時に行うことができることとするもの等であります。
委員会におきましては、衆議院公職選挙法改正に関する調査特別委員長代理柳本卓治君より趣旨説明を聴取した後、選挙期日の統一と地方自治との関係等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して橋本委員より反対の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/4
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005・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/5
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006・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
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007・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、
電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/7
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008・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長渕上貞雄君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔渕上貞雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/8
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009・渕上貞雄
○渕上貞雄君 ただいま議題となりました電気通信事業法及び電波法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、サービスの貿易に関する一般協定の第四議定書の実施に伴い、第一種電気通信事業の許可及び電気通信業務を行うことを目的として開設する無線局等の免許について、それぞれ外国人等であることを欠格事由としないこととするものであります。
委員会におきましては、WTO基本電気通信交渉の経緯、本改正が情報通信産業に与える影響等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して上田委員より本法律案に対し反対する旨の意見が述べられました。討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/9
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010・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/10
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011・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/11
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012・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、
金融監督庁設置法案
金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案及び
特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/12
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013・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。行財政改革・税制等に関する特別委員長遠藤要君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔遠藤要君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/13
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014・遠藤要
○遠藤要君 ただいま議題となりました三法案につきまして御報告申し上げます。
まず、金融監督庁設置法案は、市場原理を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換に資するための金融行政機構改革の一環として、銀行業、保険業、証券業その他の金融業を営む民間事業者等に対する検査、その他の監督及び証券取引等の監視に関する事務を行わせるため、総理府の外局として金融監督庁を設置しようとするものであります。
次に、金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案は、金融監督庁設置法の施行に伴い、総理府設置法その他の行政組織に関する法律及び銀行法、保険業法、証券取引法その他の関係法律について所要の規定の整備を図ろうとするものであります。
委員会におきましては、以上の両案を一括して議題とし、橋本内閣総理大臣の出席を求め、企画・立案機能と検査・監督機能の分離の目的、金融監督庁に対する大蔵省の影響力の排除、検査体制の充実強化方策、野村証券、第一勧業銀行、日産生命問題等について質疑が行われ、また、参考人からの意見聴取を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑が終わりましたところ、両案に対し、民主党・新緑風会の齋藤理事より、金融監督庁を金融庁に改めるとともに、任務並びに所掌事務及び権限を拡大すること等を内容とする修正案が提出されました。
次いで、討論に入りましたところ、平成会を代表して今泉理事より原案及び修正案に反対、自由民主党を代表して松谷理事より原案に賛成、修正案に反対、民主党・新緑風会の峰崎委員より原案に反対、修正案に賛成、日本共産党を代表して吉川理事より原案及び修正案に反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。
次いで、採決の結果、修正案は否決され、金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案は、いずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、両案に対し、七項目から成る附帯決議を行いました。
次に、特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律案は、特殊法人の財務内容の公開の推進に資するため、財務諸表等の作成、公告及び一般の閲覧等について関係規定の整備を行おうとするものであります。
委員会におきましては、特殊法人の連結決算導入の必要性、特殊法人見直しと政府の対応等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終わりましたところ、日本共産党の吉川理事より特殊法人について連結貸借対照表及び連結損益計算書の作成及び公開等の義務づけを内容とする修正案が提出されました。
次いで、採決の結果、修正案は否決され、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/14
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015・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) ただいま委員長報告がありました議案のうち、金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。阿曽田清君。
〔阿曽田清君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/15
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016・阿曽田清
○阿曽田清君 私は、平成会を代表して、ただいま議題になりました金融監督庁設置法案、金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に反対の立場から討論を行います。
金融は産業の血液であり、預金者、投資家を通じて集められた資金の円滑な循環と決済機構の安定は、国家存立に欠くことのできない基盤をなすものであります。
今回の法案提出の背景には、今日、次々に明るみに出る組織的な金融不祥事を防止し、再発させない業界の環境をつくるべきという強い国民世論の要請があります。そして、急速な金融技術の革新に対応し、特異な金融規制を解き放つことで、自由で国際水準にかなう金融制度を早急に築くことにあります。すなわち、金融サービス業全般を視野に入れた抜本的な金融改革を断行し、名実ともに自由主義先進国家たらんとする産業界の要請にこたえることこそが金融監督庁設置の目的とするところでありましょう。
しかしながら、国民の血税を投入せざるを得なくなった住専問題、他国の行政当局におくれをとる金融行政、組織ぐるみで預金者から集めた預金を不法者に流す疑いを持たれる銀行あるいは証券会社、失政や不祥事は後を絶ちません。再発防止、未然抑制の期待に対して、検査・監督の分離を図ることだけで解決策として果たして有効なものでありましょうか。市場原理に基づく金融事象の独自性を真っすぐに認め、財政と企画・立案まで含めた金融行政の分離を図ることで、効率的で機能的な行政組織をつくることこそが今求められている金融行政の姿なのではないでしょうか。
政府案は、こうした要請の趣旨にかなうものではなく、むしろ大蔵省の行政権限の拡大強化を推し進める内容に色濃く彩られたものとなっております。
そこで、反対の理由を申し上げます。
まず第一に、金融行政の独立の世論に反し、企画・立案部門を大蔵省に残した姿で検査・監督部門のみを切り離して設置されていることであります。
一方で、検査・監督機能の独立を図るとしながらも、手足となる地方部局を大蔵省にゆだね、さらに免許権、認可権等を総理大臣に移しながら、検査・監督に関するすべての省令を大蔵省との共同省令としているように、新設の監督庁の独立を欠くものであります。
また、検査・監督の専門性の充実を図るとしながらも、人材登用、検査行政の充実に向けた施策はなく、さらに透明な行政を目指すことを掲げるものの、不透明な通達指導を改めるという姿勢も見えません。加えて、独立性、専門性を欠く監督庁への信頼性は失われてしまっております。大蔵省とは細い糸で結ばれていい関係と言われておりますが、私には赤い糸で結ばれた深い関係としか見えません。
例えば、免許を付与する総理大臣が、免許の申請様式に至るまで大蔵省に相談を求め、監督権限を発動するにも事前協議、連絡、通知に終始するという権限の不明朗な分配、あるいは常時監督に当たる監督庁の頭越しに資料を求める新たな権限など、かように新設の監督庁の進退を大きく阻む不徹底さが顕著にあらわれております。
第二に、政府案は、専ら現状の維持に努めるばかりで、今直ちに求められている行政改革の期待に逆行しているということであります。
本来求められている監督庁の姿は本格的と称する省庁再編まで先送りされております。効率的でスリムな行政機構を構築することが行政改革の趣旨であります。現行の行政制度の枠が温存された形での監督庁設置では国民の期待に沿ったものとは思えません。
第三に、人の問題であります。もとより、制度の改廃の真髄は、それを担う人の心に込められた崇高な理念が伝わるかによって試されるところであります。しかしながら、新設の金融監督庁は、人事権の独立すら担保されたものではなく、母体である大蔵省幹部のノーリターンルールは原則としてさえも定められず、さらに地方部局は大蔵省との二元的な管轄構造を持ち、従来から指摘され、批判のやむことのない大蔵省の官庁支配の構造をむしろ拡大させる内容を持つものであります。
第四に、あわせて進められる監督庁設置と密接不可分な行政施策の内容の不明確な点であります。
検査・監督の内実をなす早期是正措置の発動基準には各種の行政裁量が残され、一九八五年のプラザ合意に始まる金融自由化の規制緩和は、十二年を経てもなお国際基準の追随を目指す議論にとどまっております。自由化を切望する市場に対し、権限に恋々と執着する相も変わらぬ行政姿勢が金融不祥事の温床であると考えざるを得ません。
以上が政府案に反対する主な理由であります。
最後に、抜本的な行政改革を早急に実現し、財政と金融の分離を明確にし、公正で透明な金融行政、自由で安心できる国民こぞっての期待にかなう金融システムが早期に確立されることを願って、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/16
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017・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 永田良雄君。
〔永田良雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/17
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018・永田良雄
○永田良雄君 私は、自由民主党及び社会民主党・護憲連合を代表して、内閣提出の金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に賛成の立場から討論を行います。
住専問題の処理を通じて金融機関に対する信頼が揺らぎ始め、ひいてはそれが国民各位から、これまでの大蔵省の金融行政に対し、大変厳しい批判に発展したところでございます。
すなわち、護送船団方式という保護行政の中において、政策決定過程やルールの適用に不透明なところがあるということ、また、責任の所在が不明確であるといった批判でございます。一方、金融の技術革新に伴い、業態間にまたがるさまざまな新しい金融サービス商品の出現や金融市場のグローバル化など、金融を取り巻く環境は極めて速いスピードで変化しているところであります。
これらの批判を真摯に受けとめるとともに、激動する時代の変化に的確に対応し、国民に信頼される金融行政を確立することは、今後の我が国経済にとって極めて重大な課題であります。
現下の金融行政については、金融機関の不良債権問題の早期解決に努めるとともに、フリー、フェア、グローバルという三原則にのっとり、我が国の金融市場をニューヨーク、ロンドンと並ぶ国際金融市場とすることを目指す、いわゆる日本版ビッグバンを実現することが急務とされるところであります。こうした金融システム改革を促進するためにも、これに対応し得る金融行政を早急に確立する必要があります。
政府案は、こうした課題に適切に対処するため、民間金融機関等に対する検査・監督という執行面の機能を総理府設置の金融監督庁が担い、企画・立案という政策面の機能を大蔵省が分担することにより、市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換を図るという明確な理念に基づく機構の改革であります。
今後の金融行政については、まず第一に、金融機関の自己責任原則を徹底することとし、その上でディスクロージャーの拡充を図らなければなりません。行政は、このような市場規律を補完するものとして、事後チェックを中心として検査・監督機能を発揮していくことが必要であります。具体的には、客観的な指標に基づく新しい監督手法である早期是正措置の的確な運用やリスク管理体制の検査によるチェックの充実を図ることが求められております。新たに設立される金融監督庁はこうした新たな金融行政の任に当たるものであります。
また、政府案は、金融機関等の破綻処理においては、信用秩序の維持を図るため、検査・監督を担う金融監督庁長官と企画・立案を分担する大蔵大臣が明確な役割分担のもとで必要に応じ連携をとり、迅速かつ的確な対応を図ることとしており、金融危機管理に万全を期するものと考えます。
大和銀行事件を初めとして、最近では野村証券や第一勧業銀行が総会屋グループヘの利益供与を行い、さらに第一勧銀は大蔵検査でも虚偽報告をしたという不祥事が報じられております。
こうした有力な都銀や証券会社の不祥事は、国民の金融機関に対する信頼を著しく害するとともに、我が国金融機関全体の国際的な信頼度を著しく低下させるものであります。自己責任原則はまさに自由、自主性を尊重するがゆえに、市場の制裁を受ける、そして市場によって罰せられるということを金融機関は肝に銘じる必要があります。政府案により新たに設置される金融監督庁が、民間金融機関等に対する検査・監督を専門的に行う機関として、検査・監督事務をルールに基づき厳正かつ的確に遂行し、その機能を適切に発揮していくことにより、国民のみならず国際的にも信頼される日本の金融行政が実現することを切に期待いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/18
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019・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 齋藤勁君。
〔齋藤勁君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/19
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020・齋藤勁
○齋藤勁君 私は、民主党・新緑風会を代表して、議題となりました内閣提出の金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に反対の立場から意見を申し上げます。
金融ビッグバン時代の透明で公正な金融行政への改革を目指す今回の金融行政機構改革は、橋本内閣の六大改革の第一弾となる重要な意義を持つものであります。しかし、政府案は、本院における審議でも重ねて深刻な利益相反が指摘された財政と金融の分離が中途半端に終わっています。信用秩序の維持のみならず、取引所や業界団体の監督、はしの上げおろしのような金融監督に付随する規則や通達の類まで引き続き大蔵省が関与するということでは、果たして改革の名に値をするのでしょうか。
金融の企画・立案と検査・監督の間ではなく、まさに財政と金融の間にこそメスを入れるべきであります。資源の配分を政治的に決定しようという財政の論理から、金融行政を組織的にも明確に分離することが、金融に市場原理と自己責任原則を貫徹するための基盤となるのであります。
残念ながら、本日の行財政・税制改革特別委員会で否決されましたが、民主党が提出をしました修正案では、金融の企画・立案も含めて金融行政全体を総理府に移管し、検査・監督行政とそれに密接に関連する企画・立案の事務を金融庁に一本化しようという提案をしました。
日本銀行や預金保険機構など信用秩序維持に関する機関も金融庁に移管し、金融庁長官には三年間の任期中の身分を保障して、高い独立性を持って職権を行使できるものとします。そうすれば、仮に大地震など突発的な要因で金融危機が発生した場合にも、信用秩序の維持のために、政府案のように一々大蔵大臣にお伺いを立てずとも独自の判断で機動的な対応ができるのであります。
また、住専問題などで指摘された金融検査・監督の縦割り行政の弊害は政府案では放置されたままです。金融は、融資構造全体を把握してその抱えるリスクを分析しなければ正確な実態はっかめません。金融検査は一元化して効率的に融資の全体像が把握できるようにしていくことが必要ではないでしょうか。
住専問題では、大蔵省と農水省の局長が覚書を結び、問題の処理を先送りして傷口を広げたことが縦割り行政の弊害として批判されました。不良債権の適切な処理を金融機関に求めるのは金融行政の基本です。少なくとも、金融業務に関しては、監督権限を一元化して責任の所在を明確にすることが行政の責任ある対応を促す基盤になると考えます。
民主党の提案では、監督権限の一元化に合わせて、金融庁長官が事業官庁の大臣に重要な検査結果を報告し、業務停止命令等の処分に際しては事前協議を義務づけて、政府部内で所要の調整を行えるようにしています。こうした体制を整備すれば、政府案のように金融監督庁と事業官庁の共管を続ける必要はないものと考えます。
さらに、政府案では、金融監督庁は自前の地方組織も持たず、大蔵省の財務局等に検査・監督権限を委任することとしています。大蔵省と金融監督庁の人事交流も引き続き行われるようであります。これでは、金融監督庁が大蔵省の植民地のようになってしまうおそれさえあります。金融行政機関が自前の地方組織を整備することは、市場監視の体制を整備し行政の質的な改革を進める上で極めて重要であります。大事についても、出身官庁には戻さないというノーリターンルールを原則とした運営を行うことで、金融行政のプロを育成し、国際的にも信頼される一流の金融行政機関をつくっていくことができると考えます。
橋本内閣が、中央省庁の再編成に本格的に取り組むというのであれば、金融監督庁についても民主党の提案のとおり行政改革の進展状況を踏まえて、適切な時期に法律を見直すのは当然のことと考えます。
以上、申し述べましたとおり、私たちは、金融ビッグバン時代に対応した金融行政の抜本的な転換を図るには、民主党の提案している金融庁を実現する以外にないと考えております。政府案のような中途半端な改革でお茶を濁しているだけでは、我が国がますます金融市場で国際的な信用を失っていくであろうことを強く訴えるものであります。
終わりに、このたびの野村証券、第一勧業銀行の両金融機関にまつわる事件は、その実態が明らかになるとともに、次々と幹部が逮捕されるに至り、国民の金融機関への不満、不信は頂点に達しています。加えて、日産生命保険の業務停止は、直接の契約者はもとより全生保契約者まで不安が広がっています。日本版金融ビッグバンを前にして、政府は、預金者、契約者の保護を大前提にしたより積極的なディスクロージャーを進め、信頼される金融システムづくりに努力されることを強く訴えて、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/20
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021・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 笠井亮君。
〔笠井亮君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/21
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022・笠井亮
○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案に対して、反対の討論を行います。
今日、金融制度の改革にとって、大蔵省と大手金融機関の癒着の構造を断ち切り、金融機関の公共性を重視した監督・監視体制を確立することが喫緊の課題であります。ところが、本法案はこれにこたえるものになっておりません。
反対する理由の第一は、これまでの金融行政と検査・監督機能に対する国民の厳しい批判を受けて、本法案により金融監督庁を設置しようとしていますが、それが金融機関に対する検査・監督体制を強化することにつながるものでないからであります。
今、国民の怒りが沸騰している野村・第一勧銀不祥事でも、政府は、長期にわたる腐敗を見逃した大蔵省の検査・監督体制に問題があったことを審議の中で認めながら、結局、その点での積極的な再発防止策を示し得ませんでした。この際、大手銀行・証券会社に対する集中した特別検査を実施すべきという要求に対しても、政府は銀行の自主的な調査に任せる態度に終始しました。このままでは第二、第三の野村・第一勧銀事件が発生する可能性を閉ざすことはできません。
しかも、今後、政府が進めようとしている金融制度改革によって、日本の金融市場が世界的規模での激しい弱肉強食の荒波に巻き込まれ、巨大金融機関の支配力が一層強化される一方、中小金融機関の整理淘汰が激烈に展開されることは必至です。そのもとで、金融監督庁は巨大金融機関の活動をチェックできるような強力な体制にもなっておりません。
これらのことに手をつけず、大蔵省から検査・監督部門を分離しただけで問題が解決しないことは明白であります。
第二の理由は、金融監督庁が、預金者を初め消費者の保護を図ること等を主たる任務と規定しながら、その消費者保護については、金融機関の経営の健全化を通じて守られるというだけで、本法案には直接に消費者を保護する規定がないという矛盾したものだからであります。金融再編が急速に推し進められ、銀行倒産が言われる時代に、預金者等の不安が広がっています。また、バブル崩壊以降、金融機関による消費者被害が激増しており、特に銀行による過剰融資は自殺者まで招く惨劇を生んでいます。今後のいわゆる日本版ビッグバンによって一層の被害が予想されています。
政府は、現に起きている消費者被害についても、自己責任原則を言うだけで、被害の実態調査もせず、必要な法整備や被害者救済の体制づくりも先送りするというものでしかありません。参考人質疑でも明らかになったように、グローバルスタンダードを言うなら、消費者保護行政も世界の進んだ規制は取り入れるべきなのに、これでは消費者が保護される保証は全くありません。
さらに、金融監督庁の検査結果は公開されず、ディスクロージャーが強調されながら、公開される情報は一般消費者には直接役立たないもので、強力な情報力を持つ金融機関を圧倒的に優位に立たせるものであります。
第三に、金融監督庁が実際にやることは、消費者、国民の立場から金融機関への監督・監視を強めるものでなく、いよいよ実施の段階に入った日本版ビッグバンによって国際化の大波にさらされる金融機関が、その自己責任において経営の健全性を図ることに資する検査・監督の体制を整えようとするものでしかありません。
不良債権処理や日本版ビッグバン推進における適者生存の時代に予想される、経営危機に陥り破綻する銀行をどれだけ救済するかという課題にこたえようというのが本法案であります。
最後に、私は、野村・第一勧銀事件など後を絶たない金融不祥事の徹底解明と根絶のための措置の具体化、消費者保護行政の確立、さらに、政財官の癒着の根本にメスを入れる情報公開、天下り禁止、企業・団体献金禁止の法整備を重ねて強く求めて、討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/22
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023・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/23
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024・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
まず、金融監督庁設置法案及び金融監督庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案を
一括して採決いたします。
両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/24
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025・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 過半数と認めます。
よって、両案は可決されました。
次に、特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/25
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026・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十七分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114015254X03619970616/26
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