1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年十一月四日(火曜日)
午後二時開議
出席委員
委員長 中川 秀直君
理事 甘利 明君 理事 佐田玄一郎君
理事 白川 勝彦君 理事 中山 成彬君
理事 野田 聖子君 理事 北側 一雄君
理事 中井 洽君 理事 海江田万里君
理事 児玉 健次君
浅野 勝人君 小野 晋也君
大石 秀政君 大野 松茂君
木村 隆秀君 小林 多門君
河野 太郎君 佐藤 勉君
桜田 義孝君 実川 幸夫君
田中 和徳君 竹本 直一君
谷畑 孝君 中野 正志君
西川 公也君 林 幹雄君
穂積 良行君 松本 和那君
目片 信君 持永 和見君
望月 義夫君 山口 泰明君
渡辺 博道君 渡辺 喜美君
安倍 基雄君 赤松 正雄君
一川 保夫君 太田 昭宏君
岡田 克也君 左藤 恵君
田端 正広君 谷口 隆義君
中野 清君 西川 知雄君
原口 一博君 池田 元久君
石毛 鍈子君 生方 幸夫君
枝野 幸男君 葉山 峻君
佐々木憲昭君 春名 直章君
矢島 恒夫君 秋葉 忠利君
濱田 健一君 粟屋 敏信君
上田 清司君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 三塚 博君
農林水産大臣 島村 宜伸君
運 輸 大 臣 藤井 孝男君
郵 政 大 臣 自見庄三郎君
自 治 大 臣 上杉 光弘君
国 務 大 臣
(総務庁長官) 小里 貞利君
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 尾身 幸次君
出席政府委員
行政改革会議事
務局参事官 坂野 泰治君
総務庁長官官房
長 菊池 光興君
総務庁長官官房
審議官 西村 正紀君
総務庁統計局長 伊藤 彰彦君
経済企画庁調整
局長 塩谷 隆英君
経済企画庁総合
計画局長 中名生 隆君
経済企画庁調査
局長 新保 生二君
大蔵大臣官房総
務審議官 溝口善兵衛君
大蔵省主計局長 涌井 洋治君
大蔵省主税局長 薄井 信明君
大蔵省証券局長 長野 厖士君
大蔵省銀行局長 山口 公生君
厚生大臣官房総
務審議官 田中 泰弘君
厚生省保険局長 高木 俊明君
社会保険庁運営
部長 真野 章君
農林水産大臣官
房長 堤 英隆君
農林水産大臣官
房総務審議官 石原 葵君
農林水産省構造
改善局長 山本 徹君
食糧庁長官 高木 勇樹君
林野庁長官 高橋 勲君
水産庁長官 嶌田 道夫君
運輸省鉄道局長 小幡 政人君
運輸省港湾局長 木本 英明君
運輸省航空局長 楠木 行雄君
郵政大臣官房総
務審議官 濱田 弘二君
郵政省貯金局長 安岡 裕幸君
郵政省放送行政
局長 品川 萬里君
自治省財政局長 二橋 正弘君
自治省税務局長 湊 和夫君
委員外の出席者
参 考 人
(石川県知事) 谷本 正憲君
参 考 人
(埼玉県志木市
長) 細田喜八郎君
参 考 人
(群馬県上野村
長) 黒澤 丈夫君
参 考 人
(日本銀行総裁)松下 康雄君
財政構造改革の
推進等に関する
特別委員会調査
室長 大西 勉君
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委員の異動
十一月四日
辞任 補欠選任
小野 晋也君 山口 泰明君
竹本 直一君 河野 太郎君
渡辺 博道君 松本 和那君
渡辺 喜美君 林 幹雄君
五島 正規君 葉山 峻君
矢島 恒夫君 春名 直章君
同日
辞任 補欠選任
河野 太郎君 竹本 直一君
林 幹雄君 望月 義夫君
松本 和那君 渡辺 博道君
山口 泰明君 小野 晋也君
葉山 峻君 枝野 幸男君
春名 直章君 矢島 恒夫君
同日
辞任 補欠選任
望月 義夫君 渡辺 喜美君
枝野 幸男君 五島 正規君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
財政構造改革の推進に関する特別措置法案(内
閣提出第一号)
漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整
備計画の一部変更について承認を求めるの件
(内閣提出、承認第一号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/0
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001・中川秀直
○中川委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、財政構造改革の推進に関する特別措置法案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件の両案件を一括して議題といたします。
本日は、財政構造改革について参考人から意見を聴取いたします。
御出席願っております参考人は、石川県知事谷本正憲君、埼玉県志木市長細田喜八郎君、群馬県上野村長黒澤丈夫君、以上三名の方々であります。
この際、御出席の参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
参考人各位におかれましては、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、両案件審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
次に、議事の順序でありますが、谷本参考人、細田参考人、黒澤参考人の順に、お一人十分程度御意見を述べていただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
それでは、谷本参考人にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/1
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002・谷本正憲
○谷本参考人 ただいま御紹介をいただきました石川県知事の谷本でございます。
本日は、地方公共団体のためにこのような意見陳述の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。
財政構造改革の推進に関する特別措置法案につきましては、地方分権推進の観点から、地方公共団体の財政事情にも十分考慮の上御審議をいただきますように、中川委員長を初め各委員の皆様方によろしくお願いを申し上げたいと思います。
私の方からは、第一に、厳しい状況にある地方財政の現状、第二に、地方公共団体における財政健全化の取り組み状況、第三に、財政構造改革に当たりましての地方公共団体の要望につきまして、我が石川県の事情を交えながら御説明をさせていただきたいと思います。
まず、地方財政の現状についてでございます。
地方財政全体の借入金残高は、バブル経済崩壊後の地方税収等の落ち込みや減税による減収の補てん、景気対策のための地方債のたび重なる増発等により急増いたしまして、平成九年度末には百四十七兆円にも上り、平成三年度末の約七十兆円と比べ倍増いたしております。これにより地方債依存度も近年急激に上昇しておりまして、平成八年度には過去最高の一五・二%となっております。この結果、地方債の償還等のためのいわゆる公債費負担比率は、平成七年度で一五%を超える団体が約半分となるなど、財政力の弱い団体を初めといたしまして、財政の硬直化が進んでいる状況にあります。
また、地方財政全体の財源不足額は、地方財政計画ベースで平成九年度には五兆九千億円が見込まれ、これを地方債の増発と交付税特別会計借入金等の補てん措置で賄っている状況にあるわけであります。
以上を石川県の状況で見ますと、地方債残高は平成八年度末で六千二十一億円、これは今年度の一般会計予算五千八百四十六億円を上回っているわけであります。また、地方債依存度は平成八年度で一五・五%、公債費負担比率は平成七年度で一五・七%となっております。
以上のとおり、本県におきましても極めて厳しい状況にあることが御理解をいただけると思います。
一方で、今後の地方財政を展望してまいりますと、二十一世紀に向けての着実な社会資本整備の充実や、少子・高齢化が進む中で、ゴールドプラン、エンゼルプラン、障害者プランや介護保険制度の導入等の福祉関係諸施策の充実など、地方公共団体の財政需要は著しく増大することが予想されているわけであります。さらに、地方分権の推進に伴い、ますます地方税財源を充実することが必要になるものと考えております。
本県は、経済企画庁の新国民生活指標や三菱総合研究所が先ごろ発表された豊かさ指標などで大変高い評価をいただいておるわけでありますけれども、日々の暮らしを営む者の実感といたしましては、隣の芝生は青いといいますか、なかなかそのように感じないものでもございます。特に、気候温暖で社会資本の整備が進んでおります太平洋側に思いを寄せた場合に、なおさらそういう思いを強くいたしておるところでございます。
このような中で、本県では、近年の国際化、高度情報化、少子・高齢化などの進展に的確に対応していくため、昨年秋、「人・もの・情報が交流する、活気とうるおいのある石川の創造」に向けまして新長期構想を策定いたしたところでございます。この構想では、能登空港や北陸新幹線など、県民がこぞって熱い期待を寄せる大型プロジェクト等の推進が盛り込まれており、これを着実に推進することが行政に課せられた大きな役割の一つと考えているわけであります。
また、県内市町村では、県都金沢市に接する一部の市や町を除き、定住人口の減少が著しく、これら地域の活性化が重要な政策課題であると考えており、特に過疎地域においては、例えばダイオキシン対策に即応した広域ごみ処理体制の整備、介護保険制度の導入に伴う介護サービスの提供など、住民に質の高い行政サービスを提供するためには、これまで以上に広域行政の展開が不可欠になっており、そのため、地域をより密接に結ぶネットワークである地域生活道路の整備が急がれているところでもございます。都市部に比して整備水準が低い過疎地等の市町村での道路整備などの公共事業がぜひとも必要であります。
加えて、最近の本県経済は、企業の景況感が一段と慎重化し、先行き不透明感が広まりを見せつつあるわけであります。特に中小・零細企業の経営環境は厳しさを増していると認識しており、早急に何らかの対策が必要と考えております。政府におかれては、規制緩和を軸とした景気浮揚策を検討されていると聞いておりますが、ぜひ適切な対応を検討していただきたいと思うわけであります。
財政構造改革の必要性は重々認識をいたしておりますが、地域経済に占める行政の役割の大きな地域、例えてまいりますと、北陸三県の県内総生産に占めるいわゆる公的資本形成の割合は一〇・六%であり、関東七都県の六・二%に比べますと七割増の状況となっているわけであります。公共事業の縮減に当たりましては、このように地域によって社会資本整備が地域経済に与える影響が極めて大きいことをぜひ考慮していただき、予算編成及び執行面において、傾斜配分を行うなど特段の配慮をお願いするものであります。
また、本県の高齢化率は、本年四月一日現在で一七%と全国平均を上回っており、県内の四十一市町村の中でも、最高三五・五%、最低一〇%と極端な地域差があり、特に奥能登地域や加賀山間部の過疎地域における少子・高齢化対策は待ったなしの状況であります。
こうした中で、本県では、本格的な高齢社会の到来や、お年寄りや障害のある人も地域の中で普通の暮らしができるよう、バリアフリー社会の構築に向けた取り組みを積極的に進めております。
また、少子化対策といたしましては、昨年三月に策定したエンゼルプランに基づき設立いたしました子育て支援財団を核に、各種施策を推進しているところであります。
さらには、介護保険制度の平成十二年度導入に向け、ケアマネージャーの養成、要介護の認定の試行を行うなど、今その諸準備を進めているところでもございます。
いずれにしましても、福祉施策は住民に最も身近なサービスであり、地方分権の推進の観点からも、今後ますます地域の特性に応じた取り組みが求められているところであります。
次に、地方公共団体における財政健全化の取り組みについて申し上げます。
現下の厳しい財政状況、今後の財政需要を考え合わせてみますと、地方公共団体といたしましても、みずからの問題として財政構造改革に積極的に取り組み、財政の弾力性を回復し、政策的、機動的な財政運営を可能にしなければならないと考えております。
地方公共団体におきましては、すべての都道府県が住民参加のもとに行政改革推進委員会を設け、行政改革大綱を策定いたしております。この中で、例えば事務事業の廃止縮小等の見直しを行い、組織機構の簡素化、定員管理及び給与の適正化を進めております。
ただ、もともと地方財政は、人件費等の義務的経費などのウエートが高く、例えば本県の一般会計職員数全体に占める小中高等学校の教職員数は約六割、警察官数は約一割であり、その他の本県独自に配置可能な一般職員は約三割であります。さらに、職員の多くについて国によりその配置等の基準が定められているなど、国によって歳出の水準が規定される分野が広いという事情にあります。
したがって、国、地方を通じる歳出の節減合理化に当たりましては、国みずからが事務事業に係る諸基準の見直し等を行う必要があるとともに、より根本的には、地方分権の推進により地方の裁量の幅を大きくすることが肝要と存じます。
石川県の財政健全化についての具体的な取り組み状況でありますが、先ほど説明いたしましたように、本県では、今後、大型プロジェクトや地域振興対策、少子・高齢化対策に係る多額の財政需要が見込まれております。そのため、スクラップ・アンド・ビルドの徹底により、不断の事務事業の見直し、節減合理化を実施しつつ、これまでの高金利県債の繰り上げ償還を行い、金利負担の軽減にも努めておるところであります。
組織機構につきましても、県民生活の安全、安心の確保のための環境安全部の設置、農業農村対策の総合的な推進のための農林関係出先機関の統合等の大幅な組織改革を実行したほか、全職員による政策提案制度の実施など、職員の資質向上、能力開発にも取り組んでいるところであります。
なお、定員につきましても、徹底したスクラップ・アンド・ビルドにより、総数の増加を厳に抑制をしているところであります。
次に、財政構造改革に当たりましての我々地方公共団体の要望につきまして申し上げます。
もとより、国、地方を通じて危機的な状況にある財政の健全化に取り組むことは、地方公共団体としても、分権型社会の自治の担い手として喫緊の課題であると認識をいたしております。そのため、国と同様、地方も一般歳出の抑制に努めなければならないと考えております。
しかし、この一般歳出の抑制は、何よりも財源対策債や交付税特別会計の借入金の縮減のため行われるべきものでありまして、住民サービスに必要な合理的な財政需要を賄うための地方交付税そのものの必要額はあくまでも確保されるべきものと考えているわけであります。
要望の第一として、地方公共団体の固有財源である地方交付税の所要額の確保をぜひお願いをいたしたいと存じます。
要望の第二点は、地方単独事業の必要量の確保についてでございます。地方一般歳出の抑制に当たりましても、住民生活に密接に関連をする社会資本の整備、地域経済の下支えの重要性から、地方単独事業の一定量の確保をぜひお願いをいたしたいと思います。
第三点は、国庫補助負担金の削減や公共事業の縮減に伴って地方への負担転嫁となることのないよう、くれぐれもお願いをいたしたいと存じます。
最後に、財政構造改革と地方分権推進の関係について申し上げたいと思います。
地方分権の推進は、住民に身近なサービスを住民の身近な地方公共団体で完結させ、効率的に執行しようとするものであります。重複や煩雑な行政手続のむだを省き、国、地方を通じて行政のスリム化に貢献し、財政構造の改革に大きく資するものであります。
既に、地方分権推進委員会から四次にわたる勧告が行われ、いよいよ地方分権推進計画の策定を経て実施の段階へ進もうとしております。
どうか、当委員会の諸先生方におかれましても、事務権限と財源の地方への移譲が国、地方を通ずる財政健全化の方向に一致することを御理解をいただき、地方分権の推進に御尽力をいただきますようにお願いを申し上げまして、私の陳述を終わります。
どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/2
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003・中川秀直
○中川委員長 ありがとうございました。
次に、細田参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/3
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004・細田喜八郎
○細田参考人 全国市長会の財政分科会及び税制調査委員会の委員長をいたしております志木市長の細田でございます。
衆議院財政構造改革の推進等に関する特別委員会の諸先生方におかれましては、日ごろから地方行財政をめぐる諸問題につきまして格別の御支援、御高配を賜り、この機会をおかりして厚く御礼を申し上げる次第でございます。また、このたびはこのような発言の機会を与えていただき、深く感謝申し上げます。
私からは、財政構造改革の推進に関する特別措置法案につきまして、直接都市行政に携わっている市長の立場から意見を申し述べたいと存じます。
まず、御案内のように、現下の地方財政は、平成六年度以降四年連続して多額の財源不足が生じております。特に近年、地方税収が伸び悩む中、景気対策のため公共事業や地方単独事業等を積極的に実施することとされ、また、減税による減収補てんによって地方における借入金が急増してきております。
平成九年度におきましては、通常収支の財源不足額四兆七千億円に加えて、地方消費税の未平年度化の影響が一兆二千億円に上り、合わせて五兆九千億円の財源不足が見込まれる深刻な状況にありましたが、昨年末の地方財政対策によりまして、地方債を三兆二千億円増発するとともに、交付税特別会計の借り入れなどによる補てんが行われたところであります。この結果、平成九年度末の地方債及び交付税特別会計借入金の残高は、百四十七兆円に上ることが見込まれております。
また、平成七年度の都市における決算を見ますと、公債費負担比率が一五%を超える都市が全体のおよそ三割を占め、全都市の平均は一三・三%と、前年度に比べて〇・六ポイント上昇しており、財政の硬直化が進んでおります。
ちなみに、私ども志木市の場合を申し上げますと、平成七年度決算ベースで財政力指数が〇・八五九、公債費負担比率が九・七%、前年度に比べて一・五ポイント上昇しております。さらに今後は、当然のことながらこれまでに発行した地方債の元利償還をしてまいらなければならず、財政運営はまことに厳しいものがあります。
このような状況下、住民に最も身近な総合行政主体であります都市自治体は、地域の行政活動の担い手として、それぞれの特色を生かしつつ、自主的、主体的にさまざまな行政課題に取り組み、福祉の向上に努め、よりよい町づくりを進めていかなければなりません。
少子・高齢化、グローバル化、情報化などの大きな社会経済情勢の変化の中で、介護サービス基盤の整備など総合的な地域保健・福祉施策の充実、ダイオキシン削減やリサイクルの推進などの廃棄物処理対策、生活に密接に関連した社会資本の整備促進、災害に強い安全な町づくりに向けての防災対策など、緊急に取り組まなければならない課題が数多くあります。
特に都市自治体においては、その規模の大小にかかわらず、市民要望もますます複雑化、多様化してきており、本市においても、ごみ問題の解決のための大きな課題の一つである環境センターの新たな建設や都市公園の拡充、さらには都市に残された貴重な自然林としての斜面林や屋敷林などの保護、保存など、緊急課題が山積をいたしております。
都市自治体が住民の負託にこたえ地方公共団体の責務を果たしていくためには、できる限り効率的な行政運営を行い、文字どおり最小の経費で最大の効果を上げるようにしていかなければなりません。
私ども地方公共団体におきましては、それぞれ行政改革大綱を策定し、議会あるいは住民の御協力をいただきながら、職員とも一体となって、絶えず事務事業の見直しを図り、民間委託を推進するとともに、職員数の削減に努めるなど、行政改革に真剣に取り組んでおります。
私ども志木市の行政改革の取り組み状況の一端を申し上げますと、まず組織機構においては、平成五年四月一日現在で十一部二室五十一課であったものを、本年四月一日現在では十部一室四十八課とし、実職員数につきましても、本市の場合、市民病院や消防署を単独で持っておりますが、平成五年四月一日現在七百十人であったものを、退職者の不補充等を続けながら、本年四月一日現在では六百九十六人としており、給料における国と地方の比較資料の一つとなっているラスパイレス指数につきましても、平成三年度時点で一〇六・三であったものを、平成八年度では一〇一・二に下げております。
そのほか、効率的な行財政運営の一つとして、民間委託につきましても、学校や市民病院の給食調理業務を初め、市所有自動車の運転管理業務やごみ収集運搬業務、各種施設の管理及び警備業務など、可能な限りの業務を随時委託してきております。
いずれにいたしましても、ますます複雑多様化するこれら多くの業務をすべて行政が行うことは、行財政面においてもかなりの負担がありますので、私は従来から、まず、みずからできることはみずからでやっていただくための市民の役割、企業の役割、行政の役割を強く訴えつつ、市民参画の市政運営を推進しているところであります。
さて、財政構造改革の推進に関する特別措置法案についてでありますが、危機的な状況にあります我が国の財政の現状を考えますと、財政の再建、健全化は、私どもとしても、国、地方を通ずる最重要課題であると考えております。
地方財政と国の財政は公経済の車の両輪であると言われますように、地方の歳出の多くは国の経済政策や国の予算、制度と密接に関連をしており、特に地方財政の歳出の七〇%は公共事業等の投資的経費、社会保障、教育という分野が占めている現状にあり、地方財政の構造を改革し、その健全化を図るためには、国、地方を通ずる公的歳出全体の抑制が必要であります。
その中で、地方単独事業の役割について一言申し上げておきたいと思います。
地方単独事業につきましては、個性ある地域づくりや住民に身近な生活環境の整備、さらに地域経済の下支えに重要な役割を果たしております。特に、喫緊の課題となっておりますダイオキシン対策のための廃棄物処理施設の整備については、大幅な補助対象の重点化、採択基準の引き上げが行われると伺っております。
本市におきましても、従来から地方単独事業として、都市下水路にふたかけをして、環境に配慮した人に優しい「せせらぎの小径」の設置や、貴重な公共空間である河川敷を水に親しむ公園としたり、現在は、三十数年来の懸案事項であった志木駅東口再開発事業を、高齢者や障害者に優しい駅前とすべく事業を推進しております。
これらの事業の推進に当たっては、住民の理解と協力を得ながら、住民サービスの向上を図ることとしておりますが、このためには住民に密着したきめ細かな事業を行うことが必要となり、都市自治体において大きな比重を占めるものとなっております。
地方単独事業について、ぜひとも以上の点につきまして御配慮を賜りたいと存じます。
なお、国の歳出抑制を急ぐ余り、結果として国の負担を地方が肩がわりすることにはならないようお願いいたします。
例えば、財政構造改革法案は、社会保障関係経費については、八千億円に上る当然増を三千億円程度に圧縮することとしております。増大する医療費等の抑制は必要なことではあると考えますが、市町村は、国民健康保険や老人医療、生活保護、福祉など、社会保障制度を現場で支えております。社会保障関係経費の圧縮に当たって、市町村に財政的負担が持ち込まれたり、現場に混乱を招かぬよう留意していただきたいと思います。
なお、現在、医療保険制度改革が検討されておりますが、保険者のあり方を初め、具体的な制度の仕組みについては市町村の意見を十分にお聞きいただくようお願い申し上げます。
また、地方交付税は、地方税とともに地方の財源として極めて重要な位置を占めております。地方交付税につきましては、地方公共団体の財政運営に支障を来すことのないよう所要の額を確保することとともに、本年三月の衆参両院地方行政委員会における地方財政の拡充強化の決議にもありますように、地方交付税は一般会計を通さず、直接地方交付税特別会計に繰り入れることにつきまして、御検討いただきたいと存じます。
地方自治の確立のためには、行財政基盤の強化が必要であり、財政構造改革法案はそのためにも地方財政の健全化を進めようとするものと理解しておりますが、ただいま述べましたように、都市自治体が直面しているさまざまな行政課題、そして地方財政の仕組みやその実態、さらには地方分権推進の視点を十分に踏まえていただきますよう、より一層の御理解をお願いいたしたいと存じます。
以上、私どもの考えを申し述べさせていただきました。諸先生方には、これまでも大変お世話になっておりますが、今後とも、地方自治の確立のために引き続き御支援を賜りますようお願いを申し上げます。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/4
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005・中川秀直
○中川委員長 ありがとうございました。
次に、黒澤参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/5
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006・黒澤丈夫
○黒澤参考人 全国町村会長を務めております群馬県上野村長の黒澤丈夫であります。
本日は、財政構造改革の推進に関する特別措置法等を審議している本特別委員会にお招きをいただき、意見開陳の機会を与えていただいたことは、まことに光栄であり、深く感謝申し上げる次第であります。
さて、現下我が国は、世界に伍して二十一世紀の繁栄と進歩を確保していくため、政治、行政、経済等各般にわたる改革が必要となっております。中でも、国債残高二百五十四兆円、地方債残高等百四十七兆円など、五百兆円近い債務残高を抱え、国、地方とも行財政運営が極めて困難になっていることを思いますと、国、地方一体となった財政構造改革は焦眉の急であると認識いたしております。
一方、本年十月九日、地方分権推進委員会第四次勧告が出され、勧告は完結しました。次には、これを受け、政府が地方分権推進計画を策定することとなりますが、今こそ地方分権の実現を図るときであり、国と地方、さらには都道府県と市町村との対等、協力の関係を構築し、我々町村も個性的な地域社会の形成に邁進しなければならないと考えております。
最終となります第四次勧告の冒頭には、明治以来続いてきた我が国の中央集権システムを根本から変改するという究極の課題から見れば、まだ出発点に立ったにすぎないとし、勧告が速やかに実施に移され、分権型社会の実現に向けた地歩を確固たるものにしていく必要があると指摘しておりますが、私は、今にして市町村が真の自治ができるよう地方分権を実行しなければ、国民は自治意識を盛んにして、主権者意識を育て、社会に主張し求めるとともに、社会への責任を考える国民に育つまいと憂えるものであります。ぜひ分権が実行されるよう御配慮をお願い申し上げます。
次に、この際、町村の事務能力について一言敷衍させていただきたいと存じます。
町村は、総じて小規模の団体が多いことなどによって、事務能力について誤解されている面があるように見受けられますが、今や明治時代のように地方に人材がいない時代ではありません。教育の普及によって十分な教育を受け、職場でも厳しく訓練を受けた職員も多くなっておりまして、小さな町村でも、国民健康保険制度の経営に見られるがごとく、難しい事務を完全に処理しておりまして、組織として継続的に事務を処理することにより、事務処理に習熟し必要な知識や経験も蓄積されるのでありまして、町村の仕事がふえれば、その結果、職員が育つことを御理解いただきますようにお願い申し上げます。
次に、財政構造改革推進特別措置法につきまして、町村長の立場から意見と要望を申し上げます。
本法案は、財政構造改革の推進に関する国の責務、当面の目標、方針などを定めることを目的とし、国と地方の財政赤字を平成十五年度までに対国内総生産比三%以下とすることや、平成十年度から平成十二年度までを集中改革期間とし、この間に社会保障、公共投資及び文教など各歳出分野ごとに量的縮減目標の設定をすることなどが盛り込まれております。
国民に負担をお願いすることも多々であり、我々地方行政に携わる者も気を引き締めて対処しなくてはならないと存ずるところであり、種々錯綜する課題もありますが、猶予が許されない状況にありますことを勘案し、本法案の早期成立による財政構造改革の推進に賛意を表したいと存じます。
次に、地方財政等について要望を申し上げさせていただきたいと存じます。
一つは、地方財政は三千三百の地方公共団体の財政の集合であり、その多くは財政力の弱い町村であるということであります。これら町村、なかんずく中山間地域や離島に所在する町村にあっては、人口の減少や高齢化が深刻化しており、加えて農林漁業をめぐる状況が厳しいこともあって、かつてない事態に逢着していることは先生方も御存じのとおりであります。
こうした中で、町村は国民の食糧を安定的に供給し、水資源を涵養し、そして自然環境の保全と自然生態系の維持の役割を担ってきましたが、今後においてもこの国家的役割を果たしていく地域であり、そのためには地域社会が存続して人々が定住することが必要であります。そのためには、これらの町村には、経済効果など目先のことにとらわれることなく、国土を管理する大局的立場からの施策が必要であります。
我々町村も、華美やむだを省くなど、財政構造改革だけでなく行政改革をあわせて推し進め、行財政の自主的かつ自立的な健全化を図ってまいりますが、自主的な行政執行等の機能を損なわず、地域社会の存続と発展を図っていくためには、税源の偏在による財政力格差を是正するとともに、一定の行政水準とその計画的運営を保障する上で、その財政調整機能は極めて重要であると考えますので、地方交付税所要額はぜひとも確保していただくようお願い申し上げます。
次に、国庫補助負担金についてでありますが、財政の健全化を図るためにも、国庫補助負担金の整理合理化及び運用、関与の改革を図る必要があり、会館等公共施設の複合化や地域の実情による小規模施設整備につきまして、特に弾力的な運用を図るべきであると考えます。
また、国庫補助金等で整備した施設について、住民のニーズに応じた有効利用を図るため、自主的な判断によって施設が当初目的以外の用途に転活用できますよう、法改正を含め見直しを行っていただきたいと存じます。
なお、地方六団体でも決議しているところでありますが、国の歳出の抑制を行う場合、特に公共事業の縮減や国庫補助負担金の削減に際しては、地方への実質的な負担転嫁となることのないよう、格別の御配慮をお願い申し上げます。
次に、公共投資額は七%削減が打ち出されておりますが、公共事業への依存度が高く、規制緩和による経済活性化効果が期待しにくい地方部においては、事業量が今年度を下回ることのないよう、思い切った傾斜配分を実施していただくよう要望申し上げます。
特に町村におきましては、生活環境施設の整備が相対的におくれておりますので、これを是正するためにも、重点的、計画的な公共投資が必要であり、御配慮をお願いする次第であります。
また、こうした公共投資の抑制に伴って、地方単独事業の割合が増大し、期待が高まると考えられますので、必要な事業費が確保できるよう、財源確保について御配慮をお願いいたします。
最後に、農林水産業の担い手対策を初め、長期的観点に立った総合的な農林水産業対策の確立をお願いして、意見陳述を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/6
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007・中川秀直
○中川委員長 ありがとうございました。
以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/7
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008・中川秀直
○中川委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桜田義孝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/8
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009・桜田義孝
○桜田委員 このたびは、石川県の谷本知事、志木市の細田市長、またさらに、ただいま御発言のありました黒澤村長、公務多忙の中おいでいただきまして、本当にありがとうございます。こういう席でございますから、それぞれのお立場から忌憚のない意見を聞かせていただければありがたいな、そんなふうに思っております。
戦後、民主主義政治がスタートして五十年余りになるわけなんですが、日本の憲法の中にも第八章で「地方自治」ということで特に定められて、戦後民主主義の一つに、地方自治の確立ということで大きな一つの位置づけがなされているわけですけれども、地方自治の本旨に従って、地方自治の条例等、自主的な課税権を有することも法的に承認されましたので、国民の福祉増進、国家経営の安定を目指すことが財政の終局的な目的であります。
そこで、国及び地方を問わず、国民の生活向上と社会整備の増進を目的として財政が成り立つ必要がありますが、我が国の国債残高が国においても二百五十四兆円ということで、財政状況は極めて悪化しているというところでございます。諸外国の中でも、先進国の中では最悪だということでございます。行政のスリム化を図る一方、現在でも民間委託ですとかエージェンシー化とか検討されておりますが、特に橋本内閣のもとで六つの改革ということで、財政構造改革は大変重要な位置づけをされております。そこで、財政構造改革の推進に関する特別措置法の成立は我が国の経済、財政が好転することのためには不可欠な要素である、そんなふうに考えているところであります。
そこで、地方財政の終局的な目的達成のためには、理想的な自治体のビジョンというものがどういうものだろうかということをやはり第一に考えなくちゃならないと思うのですが、そこで、地方自治体の市長としてどのような基本的認識を持っているか、まず御三方の参考人の方にお伺いしたいな、そんなふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/9
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010・谷本正憲
○谷本参考人 地方自治体のあるべき姿というのでしょうか、そういうお尋ねでございますけれども、今ちょうど地方分権推進委員会でいろんな方策を御検討いただいております。第四次の勧告まで出していただいたわけであります。その中で、地域に身近な仕事は地域がみずから判断をし、みずから決定をし、みずから行動をし、そしてその責任はやはりみずから負うという、そういう本当の意味での地方自治の体制を整えるということがこれからやはり大変大事なことではないのかな、こんなふうに私ども思っておるわけであります。
そういう意味では、今回、四次の勧告まで出していただいたということで、選ばれた市長でありながら国の出先機関のような仕事をやらされておるといういわゆる機関委任事務、これがいずれにしても撤廃をされるというような方向性が示されたということでありますから、我々大変歓迎をいたしておるわけであります。これから自治体も一つの経営、広い意味での経営をやるわけでありますから、やはり責任に裏打ちされた仕事をしっかりやっていくということが地域の住民の皆さん方のニーズにおこたえをする、こういうことになるのではないのかな。
いろんな方から、地方分権が進んで、一体県民の生活はどう変わるんだというお話がよくあるわけでありますけれども、経済界の皆さん方からもそういう御質問をよく受けるのでありますけれども、そのときにやはり、経済界の皆さん方も企業経営というのをやっておられる、企業経営をやる際には、みずから考え、みずから決定をして、みずから行動をして、その責任は負わなくていいということではこれは企業経営は成り立たない。企業経営と地方自治の経営はおのずから違いますけれども、やはり責任に裏打ちをされた仕事をやるということが、これが本当にこれから大事なことではないのかな。
そういう意味では、地方分権の推進をさらに進めていくということによって、地方自治体のいわゆる一つの姿がこれから見えてくるのではないのかな、こんなふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/10
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011・細田喜八郎
○細田参考人 私の立場からは、全国市長会ではございますけれども、私見という形で述べさせていただきたいと思います。
構造改革につきましては、ただいま知事さんからもお話がありましたが、そうしたことに尽きるのかなというふうに思います。ただ、都市自治体といたしましては、やはりこれから、まあ従来もそうですけれども、これから一層都市経営者という認識に立って行政を進めていかなければならない、そのように強く認識をいたしております。
それから、もう一つ大事なことは、例えば基本計画あるいは実施計画というものを各都市自治体もつくっておりますけれども、これらにつきましても行政だけでつくるのではなくて、市民の方々にもこれに参画をしていただく。そして計画そのものを、差しさわりがあったらお許しをいただきたいのですが、例えばコンサルタントなどに全部お任せをして、全国一律、金太郎あめのようなものをつくり上げるのではなくて、地域の個性というものを生かしたものをつくり上げることによって、地域と地域住民、市民の皆さんと行政が連帯感の中でつくり上げていくことが極めて大事であろう、そしてそのことについてはお互いに責任を持って、その計画の実践に向かって最大限努力をしていく、そういうスタンスが極めて大切なことであろうというように認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/11
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012・黒澤丈夫
○黒澤参考人 私は、町村は国土の約七割を預かって維持経営しているというふうに理解しております。したがいまして、これらの地域が健全に維持存続されて、国土が国民全体のためになるように立派に経営されなければならない、その責任を果たすのが我々町村の責務であるというふうに存じております。
そうして、その町村に定住するためには、我々の地域は農林水産業が主な地域でございます、そういうことになりますというと、商工業の地域の方々に比べますというと、どうしても所得を上げにくい、所得が不安定になりやすい、そういう地域でございますので、それぞれの地域で工夫し努力して、それぞれの地域に定住できるような産業を育て、またはもろもろの政策を充実して、みんなが強い連帯意識を持って、その地域社会を我がふるさとの町である、村であると考えて、協力し合う心を強くするような自治体にしていかなければならない、私はそういうふうに感じ、私は村でありますが、村民の皆さんとともに、我々は国土の上野村という部分を預かっているんだから、これを国家国民のためになるように立派に守って、その中で我々も安定的な生活を送ろうじゃないかと訴えてきているところでございます。
町村には非常にいろいろな立場があり、いろいろな条件がありますので、当面する目標はいろいろと異なると思いますが、少なくとも基本的には、預かった国土を国家国民のために活力ある姿で維持存続し、利用していただけるように努めなければならない、そういうふうに思っております。
それから、私は、地方自治という事柄について、分権が行われるまでの今の自治は、国に寄りかかり依存するという形が強くなるような仕組みになってまいりました。しかし、今度の分権が行われますことによって、自主的に我々が自分で負担までを考えて経営するようになっていくということになります。このことは、自治意識を盛んにするとともに、ひいては日本国民であるという意識をも高めることになって、国の底辺を預かる我々が立派な町村をつくり上げるということは、ひいては強力な日本をつくるために大いに役立つ行為を果たしているんだというふうに考えます。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/12
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013・桜田義孝
○桜田委員 ありがとうございます。特に知事と市長にお伺いしたいのですが、今までも行政改革、財政再建というか、健全な財政のために鋭意努力されていることと思いますが、特に従来以上に、今後の方向として既存の事務事業の必要性を見直ししたり取捨選択していくことが求められると思いますが、今後、御自身の行政単位におきましてはどういう分野に力を入れて、どういう分野から撤退していくようなお考えなのかをちょっとお伺いしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/13
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014・谷本正憲
○谷本参考人 なかなか難しいお尋ねでございますけれども、市長というのは、それぞれの地域で、すべての分野にわたってのいわば総合的なプロデューサーというのでしょうか、そういう役割を果たしておりますので、例えば福祉の分野は少し撤退をして農林水産業に力を入れるとか、そういう分野別の濃淡というのはなかなか難しいわけであります。
ただ、やはり言えることは、官民の役割分担というのでしょうか、昔は我々いろんな分野にいわば手を出して、いろんな援助等も行っておったわけでありますけれども、民間がひとり立ちをしてきているような、そういう分野についてはやはり民間の自主的な努力にお任せをする、そういったことはより徹底をしていく必要があるのではないかというふうに思います。
それから、県の方もいろんな事業をやっております。その事業の中では、えてしてその事業の本来の目的が既に達成されてしまっている。今先生がおっしゃいましたように、事務事業の見直しという言葉に尽きてしまうわけでありますけれども、そういった一つ一つの事業を絶えず洗い直しをしていく。目的を達成しているのかしていないのか、従来のままでのやり方でよいのかどうか、そういったことを職員一人一人がそれぞれ絶えず分析、検討するというような姿勢が求められるのではないのかな、こんなふうにも思うわけであります。
これは、我々市長もそれぞれ地域の住民の皆さん方の選挙で直接選ばれておりますから、そういったことを絶えず念頭に置きながら、これは知事一人ですべてできる事柄ではありませんけれども、それぞれ部課職員に絶えずいろいろな意味で叱咤激励もしながら、一つ一つ具体的な取り組みを進めていくということが大事ではないのかな、こんなふうに思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/14
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015・細田喜八郎
○細田参考人 都市自治体の中にありましても、地域によっては異なる問題、そして緊急性を要する問題、それぞれあろうかと思いますけれども、私らの立場でも常に改革、改善、見直しというのは続けているところであります。
現在、来年度の予算編成に向かって担当の方が準備を始めたところであります。したがって、具体的に我が市でどれをということを申し上げる段階ではありませんけれども、基本的なスタンスとしては、常に昨年よりもことし、そしてことしよりも来年というように、前例あるいは前年踏襲というものを避けながら、常に改善、改革、見直しを図っていく。そうした姿勢を限りなく続けていくことが極めて大切なことであろうというようにみずからも認識をし、そして職員にも指示をいたしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/15
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016・桜田義孝
○桜田委員 知事にちょっとお伺いしたいのですけれども、今、官民の役割分担、時代的役割を終わったものについてはもう廃止していきたいということですが、例えば石川県の場合ですと庁内に行革本部とか何か設置してあるかどうかちょっとお伺いして、そして例えば、知事の説明はごもっともでよくわかるのですが、過去二、三年でもいいのですが、時代的役割を果たして削除したもの、そして新たなる時代に対応できるような新しくつくられたもの、そんなことがありましたら、ちょっとお伺いしたいなと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/16
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017・谷本正憲
○谷本参考人 実は、県庁の方でも行革推進本部というのは設置をいたしております。そしてまた、民間の有識者から成ります、行政改革推進委員会というのでしょうか、そういうようなものを設定をしまして、昨年になりますか、行政改革大綱も我々策定をさせていただきました。
その中で、特に何をスクラップにしたか、ちょっと具体的な事業名は即座には思い出せませんけれども、非常に感じましたのは、従来のそれぞれ各部局の対応だけではうまくいかないような事柄がどんどん出てきているということですね。
先ほどバリアフリー社会の実現ということを申し上げましたけれども、これも、主たる所管は私ども厚生部という部局があるのですが、これだけではうまくいかない。やはりこれに土木部もまたかんでこないといけない、あるいは商工労働部もかんでこないといけないということがあります。
それから、中山間地域の話がよくございますけれども、やはりこれらについても、農林水産部が主として所管をするのですけれども、農林水産部の中でも、従来、どちらかというと農政部門それから林業部門、水産部門、畜産部門というのがそれぞれ分かれておったわけですけれども、それらがそれぞれ縦割りで分かれていては、なかなか中山間地域という面をとらえていろいろな対策を講ずることができない。そういう意味では、やはりお互いにそういった垣根を取り払って一つの組織の中へ入れ込んでしまう方がいいだろうということで、今まで農政担当課、林業担当課、そういったありましたものを一遍スクラップにして中山間地域振興対策室という横割りの組織をつくって、そしてラインの課長を全部廃止をして、そこでお互い総合的に知恵を出して中山間地域の振興対策をやってもらおう。やはりこういう試みはこれからますます大事になってくるのではないのかな、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/17
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018・桜田義孝
○桜田委員 市長さんにちょっとお伺いしたいのですが、今回の法律案では、地方財政計画におきまして投資的経費に係る単独事業を抑制することということで、特に十年の単独事業費を対前年度比マイナスということが定められているわけですが、昨今、景気対策という面におきましても、地方におきましては単独事業を非常に伸ばしてきた経過があるように思われるのですが、今日の時点でこれをどう評価していらっしゃるか。また、具体的には十年度におきましては、国の予算が七%削減ということが行われておりますので、十年度においてどのような方針で臨まれるか、ちょっとお伺いしたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/18
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019・細田喜八郎
○細田参考人 単独事業につきましては、これが伸びてきた要因というのは、やはり国の強い指導もあったと思います。そのことによってさらにまた市債が膨らんだ、こういうこともありますけれども、ただ、いずれにいたしましても、そのことによって市民の生活は豊かになったことは事実、いわゆる行政効果としてあったことは事実であります。
しかし、今日のような厳しい財政事情を考えますときに、これは当然のことながら抑制に努めなければならないであろう。しかし、それもやはり財政とのバランス、財政の動向というものを見きわめながら、最大限市民の要望には対応していきたい。その辺の判断に大変苦慮いたすところでありますが、これから十年度予算編成に当たりましても、その辺の市民要望そして財政状況等を誤りなくにらみながら、判断をしながら実行してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/19
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020・桜田義孝
○桜田委員 知事さんと市長さんにちょっとまた続けてお伺いしたいのですけれども、今回の法律案に先立ち政府が取りまとめた財政構造改革の推進についてですが、平成九年六月三日の閣議決定の文、資料が行っていると思います。その中で、地方公共団体の自主的な財政健全化努力を促していく観点に立って地方交付税制度また地方債制度について検討を進めるというようなことが記されておるのですが、現在の地方交付税制度や地方債制度をどう評価しているか、今後改良すべき点はないか、忌憚のない御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/20
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021・谷本正憲
○谷本参考人 財政構造改革会議の中で地方交付税、地方債にも触れておられるわけでありますが、私も詳細はちょっと承知をしておりませんけれども、いずれにしても、地方交付税制度そのものについては、先ほども意見陳述の中で申し上げましたけれども、この制度はぜひやはり堅持をしていく必要があるというふうに考えております。
と申しますのは、やはり現実には税源の偏在という状況があるわけであります。その中で、この地方交付税制度のいわゆる財政調整機能、これはやはり大いに我々としてはこれからもこの機能は維持をしてもらわなければいけないということでありますし,もう一つは、財源保障という役割ももちろん持っておるわけでありますから、そういった意味では、この地方交付税制度というのはこれからもぜひ維持をしてもらいたいというのが私の率直な思いでございます。
それから、地方債の話がございましたが、地方債も、これは詰めて言ってしまえば借金ということですけれども、いろいろな大きな投資事業をやる場合に、世代間の負担の公平を図るという意味で地方債を発行するということですから、そういう意味では、僕は地方債も大変大きな意味があるのではないかというふうに思いますが、ただこれも、法律の附則で当分の間許可という制度になっておるということで、このことについては、地方分権推進委員会の方で、許可制度は廃止をするというような方向が打ち出されておるわけであります。これは、我々、率直に言って歓迎をしたいというふうに思っておりますし、これはまだ政府の案にはなっておりませんので、勧告の段階でございますから、政府の方でも地方分権推進委員会の勧告をぜひ尊重をしていただきたいな、こういうふうに思っておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/21
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022・細田喜八郎
○細田参考人 地方交付税につきましては、先ほども申し上げましたように、都市自治体といたしましても、地方税と並んで重要な財源であることは事実であります。したがって、この地方交付税の充実に向けましては、さらに一層特段のお力添えをいただきますように、この際改めてお願いを申し上げる次第であります。
なお、地方債につきましても、やはり住民ニーズに対応していく一つのプロセスの中では、都市経営者といたしましても、地方債に頼らざるを得ない現状であります。ただ、非常に厳しいものもありますので、この取り扱いについては、もう少し事務手続にも簡易化を図っていただき、自由に地方債が活用できるようにしていただくことによって、私は、ある意味では、信頼される都市行財政の経営をされているところについては金利も安く借りられるとか、そうしたことになりますと、経営の体質そして内容というものを競って、効率よくするための努力がされるだろう、そのことによって、そうした政策競争に負けてはならないというような、ある意味での、いい意味での競争が広がってくることによって、そのことは地方債の効果として広域行政の発展にまでなってくる、そんな思いがいたしておりますので、どうぞこの地方債制度につきましても、一層の簡易化とそして効率化に向けてお力添えをいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/22
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023・桜田義孝
○桜田委員 先ほど御三方のお話を伺って、ちょっと質問しづらいのですが、地方税財源の充実ということの観点から、地方公共団体が歳出を賄うためには、みずから課税し、みずから汗をかいて徴収を行うことが基本であると考えます。地方公共団体が徴税の困難さを実感して、地域住民が税金の使い道について意識を高めるということ、そして結果的には地方行革につながっていく、それが地方自治の基本であろうかと思うのです。
そのような観点から、地方分権推進委員会の第二次勧告におきましても、地方公共団体の課税自主権を拡大すべきであるというようなことがうたわれておるわけなんですが、その中で、これを踏まえて各地方公共団体においても積極的に法定外普通税と超過課税を行っていくべきではないかというふうに考えておるのです。
例えば、地方公共団体にいると、投票権のない法人にのみ法定外普通税や超過課税をかける傾向が強いのですけれども、住民自治の観点からは、むしろ個人住民税ですとか地域住民に対する課税の充実にも積極的に取り組んでいくべきと考えますが、その点、御意見を伺いたいなと思います。短くても結構ですから、この点に関しては三名の方からひとつお願いしたいのですけれども。簡単で結構ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/23
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024・谷本正憲
○谷本参考人 今御指摘をいただいたわけでありますが、地方税源の充実強化という中で、推進委員会の方でも、法定外普通税、そして今度は法定外目的税というのも何か勧告をいただいたというふうにお聞きをいたしております。
もちろん、これは受益と負担の関係ということになってくるのでしょうから、私、個人的な見解ですけれども、方向としてはむしろ法定外目的税というようなものが恐らく相当地方公共団体の間には取り入れられていくのではないのかな。これは受益と負担の関係を明確化してまいりますから、そういったことなんですが、ただ、私ども大変思っておりますのは、住民の皆さん方にそれだけの負担をお願いするといったときに、その行政サービスを賄う従来の財源措置のシステムが、どうも住民の方々から見るとわかりにくいというシステムになっている。
例えば、租税の割合でいうと、今、国が二で、地方が一という形で租税を徴収していますけれども、それが歳出ベースになると、地方が二で国がという割合になっている。その辺のところがどうも、自分たちが納めた税が本当に地方自治の現場でどのように使われているのかということが、少しわかりにくいような感じになっているというようなところがあると思うのですね。
その辺の線引きというのをもう一度、これは税源の再配分ということになるのかもしれませんけれども、その辺の線引きをきちっとして、その上で、例えばこういう新たな行政需要が出てまいりました、この行政需要で恩典を受けるのはこういう住民の方々ですよ、そういった方々に従来の税のシステムに加えて御負担をぜひお願いしたいということになると、非常にこれはわかりやすくなってくるのではないのかな、こんなふうにも思っておるわけでありまして、そういう意味では、そういう税源の再配分と非常に絡んでくる問題ではないのかな、こういうふうな認識もいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/24
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025・細田喜八郎
○細田参考人 私も、住民自治の確立を図ってまいりますには、自主財源の確保がこれは肝要なことであります。したがって、そうした考え方に立ちますときに、税率をそれぞれの自治体が独自に定めていくというような一つの制度になるならば、これも、責任の重さもありますけれども、さらに一層やりがいと、そして住民の皆さんもまさに主権在民というものを、すぐ手の届くところでそうしたものを感じ取ることができるわけでありまして、まさに地方分権にふさわしい一つのあり方である、このように認識をしております。したがって、そうした地方分権を進める中で、自主財源確保の一環としてそうした法律改正がなされることは大変意義のあることと受けとめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/25
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026・黒澤丈夫
○黒澤参考人 自主財源を課税する権限を確立させていただくということには賛成でございます。
私は四十年に村長になりましたが、そのころは、例えば橋をかけるという場合にも、地域住民の方々が応分の負担をするということを私の村なんかでは常識的に考えておりまして、地域からもある程度負担していただいたという時代がありました。それが今日のようになってしまったゆえんのものは、中央集権がどんどん強くなってきて、補助金と起債によってやるのが主たる投資の、大きな仕事のやり方ということになってきたものでありますから、自主財源を少し節約して補助金と起債を仰げば大概のことはできるという仕組みになってしまったから、自主的に住民に持ってもらうという考え方を持たないような方向に、私はむしろ国がリードしてそういう現在の姿をつくった、そういうふうに思っております。
真に分権をやっていただくならば、一個の家庭において自動車を買うときに、この車を買いたいと思うが、果たしてそれだけのお金は蓄えてあるかどうかということを考え、足らなければそれをどうしよう、借金するか、ローンで買うか、あるいはたまるまでしばらく待って買うかという判断をすることになりますが、今言われている分権問題は、そういうところに意味がある、そういうことを考えさせることに意味があるというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/26
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027・桜田義孝
○桜田委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/27
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028・中川秀直
○中川委員長 これにて桜田君の質疑は終了いたしました。
次に、一川保夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/28
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029・一川保夫
○一川委員 新進党の一川保夫でございますが、きょうは三人の参考人の皆さん方、常日ごろそれぞれの地方自治体でいろいろと御苦労されておる貴重な体験を述べていただきまして、まことにありがとうございました。
今回のこの法律につきましては、大変国民の関心も強く、それぞれの地方自治体でも当然ながら非常に関心を持っておられる法律だというふうに思います。
先ほどの御意見の中でも、それぞれの地方自治体の財政の健全化という観点から見て、現状を分析しながらの非常に厳しい御判断があったわけでございますけれども、我々も、この法律のねらいなり内容、そういったものがこの審議を通じてまだ十分方向づけがされてないという印象を抱いているわけでございますが、特に、こういった財政事情の厳しい背景の中には、現状の経済状況が、景気動向が非常に厳しいというのが、今の段階でこういう法案を制定することに問題はないのかというような意見も当然あるわけでございます。
そういうことをいろいろ考えますと、我が国の全国津々浦々、いろいろな面で地域経済が異なるというふうに思いますけれども、まず冒頭に三人の方々から、それぞれの地域における地域経済、景気動向、そういったものをどういうふうに把握をされているか、そのあたり、端的にちょっと御説明をいただければありがたいと思うのですけれども。
〔委員長退席、佐田委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/29
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030・谷本正憲
○谷本参考人 地域の経済動向ということでございますが、石川県の場合でございますと、確かに景気はよろしくないということでございまして、回復基調という話を日銀の金沢支店長、つい先日までしておられましたが、十月の定例記者会見で、北陸地域の景気は足踏み状況であるということを明言をされたわけでございますので、私どもも各産業の実態までつぶさには承知をいたしておりませんけれども、確かに私ども石川県は繊維産業が大変盛んな土地柄でございますけれども、一番川下のアパレル業界に、一番身近なところにある染色業界等の話を聞きましても、もう稼働率が週に三日、四日、注文が余り来なくなったというふうなお話もお聞きをしておるわけでありまして、消費者の心理がそれだけ冷え込んできているのかなというふうな、これは私の感想でございますけれども、そういった状況ではないのかなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/30
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031・細田喜八郎
○細田参考人 私どもは小さな地方都市ではありますけれども、今それなりの努力はいたしているところであります。
例えば、三十数年来の懸案事業でありました駅前再開発事業にも取り組んでおりまして、このほど着工することになったわけでありますが、そうしたことによって、地域社会に及ぼす経済効果というのははかり知れないものがあろうと思います。三十数年もかかったということは、地権者を初めとする関係の方々の御理解をなかなか得ることができなかったわけでありますが、今日ようやくそうした御理解と御協力をいただくことができたということにはなるわけであります。
そうしたことによって、もちろん地元企業、あるいはまたその再開発事業を行うことによって、長い間ほうりっ放しであった例えば都市計画街路、これなども県が重い腰を上げて建設計画に着手をしたところであります。
それに伴いまして、当然商店街の活性化ということも出てまいります。したがって、そうした活性化に向けて、店舗の改造であるとかあるいはまた運転資金に対する利子補給、御案内のように、現在、史上空前の低金利ではありますけれども、やがてこれも五%、六%という時代が来ないとは保証できませんので、そうしたことに向けて融資制度、あるいはまた、どう行政が活性化に向けての役割を果たしていくかということで、鋭意検討をしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/31
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032・黒澤丈夫
○黒澤参考人 一般的に、中山間地域のように農林業主体の地域にありましては、農業も林業も極めて沈滞しておりまして、非常に不況であります。
特に林業におきましては、苗木を植えてから四十年、五十年たたないと製品としての丸太ができないわけでございますが、その丸太を伐採して売っても、大方においては、ほとんど投下した資本が回収できないほど木材単価が低迷している反面、労働賃金が上がっておりますから、成り立っておりません。また、農業の面におきましても、中山間地域は猫の額のような農地、傾斜している農地が多いものでございますから、生産性が乏しくて、これまた、なかなかそれだけでは安定した所得が得られないという状態で困っております。これらにつきましては、いろいろと工夫し、努力し、何とか農林業だけでなく所得が安定的に得られるような方向をねらって、私どもは努力しているわけであります。
先ほども申し上げましたが、中山間地域のようなところは、そこに広大な土地がある、自然がある、そういうところでございますので、それを活用しながら、一次産業、二次産業、三次産業を合わせた六次産業という表現で、もろもろの産業が少しずつ足し合って、そこに定住できるだけの所得が得られるように工夫、努力しているところでございますが、長年にわたりまして所得の面においては非常に厳しい状況下に置かれているということを言わざるを得ません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/32
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033・一川保夫
○一川委員 今ほどそれぞれの地域の状況について御説明がありましたけれども、それぞれその地域の特性も当然ございますし、いろいろな面での苦労が多いというふうに認識いたしました。
この法律、このタイミングで出すのは適当かどうかということも含めて、また、この法律の中で各分野についていろいろな、一見厳しいシーリングをかけているわけでございますが、そうかといって、それが十分制度的に担保されているかということをいろいろとお聞きしますと、その点は十分担保されていないような嫌いも若干あるわけでございます。そういう面では、この法律をこういう内容で今の時期に出すということについての若干の疑問は抱いているわけです。
これにちょっと関連しまして、特に谷本知事にお聞きしたいのですけれども、今、国、政府がこういう、財政にかかわる予算につきまして一つのキャップをはめて、これから将来、三年間なり六年間について一つのシーリングをはめるというようなことを法律で制定しようとしているわけですけれども、こういうことがこのままいった場合に、こういう財政の改革という位置づけで、例えば条例等を含めて何か制度化する、そういうお気持ちが県レベルであるのかどうか。国会、内閣における議院内閣制と、知事、市町村長の制度というのは当然違うわけですけれども、こういう法律等によって財政の一つの方向づけをしていくというやり方をこれから地方公共団体がどのように評価されるかというところ、そのあたりは何か御意見があったら聞かしていただきたいと思うのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/33
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034・谷本正憲
○谷本参考人 財政構造改革というのは、もちろん現在の国、地方を通ずるこの財政状況を踏まえて今進められているわけでございますから、私ども地方の立場においてもこれは同じ状況にあるわけでありますから、やはり歳出の抑制ということについても我々これから一生懸命考えていかなければいけないわけでありまして、いわゆる財源の足らない分を地方債の増発とか交付税特別会計の借入金という、そういう異例な措置で賄っておるということでございますから、これを早くやはり正常な姿に戻していただきたいということでありますし、そういう意味では、国と同様に我々も必要な財政構造改革は進めていかなければいけないということだろうと思います。
国の方は、この財政構造改革をこういう法律という形で制定をしようとしておられる、その辺のところは私どもはちょっと論評する立場にはないわけでございますが、これは国としてそういったキャップをはめて、ひとつ歳出抑制を通じてこの財政の構造改革を進めていこうという一つの強い意思のあらわれというふうにとられなくもないわけでございますが、その中で、地方財政計画といいますか、地方団体、これは三千三百ございますから、トータルとして地方団体も抑制基調でというような条項がこの法案の中には入っておるわけでございます。そういう意味では歩を一にしてやっていかなければいけない、こういうことではなかろうかというふうに思います。
ただ、県それから市町村の場合もそうですが、条例をつくってやるかどうかということについては、これはそれぞれの地方団体によって事情はいろいろであろうというふうに思います。県民の皆さん方に、我が地方公共団体もこういった形で財政構造改革に取り組むんだということを強くお示しをして、そして御理解をいただくというようなことでは、条例を制定してやるというのも一つの方法かもしれませんけれども、そういう方法をとらずに、知事なり市町村長なりが議会ともよく御相談をして、財政構造改革、こういう方向でやっていくということをしっかりと県民の皆さん方に訴えをして御理解をいただければ、予算編成の中でやっていくということもこれは可能であろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/34
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035・一川保夫
○一川委員 もう余り時間もないので、次に移らせていただきます。
先ほどちょっと触れましたけれども、このたびの法律の中でも、十二の分野だと思いますけれども、重立った分野についていろんな目標、数字を含めて掲げておるわけです。こういうそれぞれの分野におけるいろいろな縮減目標というものは、先ほどいろいろお話がありましたように、それぞれの県、それぞれの市町村で行政ニーズがそれぞれ皆違うわけでございますし、これから当面取り組むべき分野というのは、特に市町村レベルによっては相当大幅な動きがあるのではないかというような感じもいたします。
先ほどの村長さんのお話によると、農林業が相当大きなウエートを占めているというようなお話もございましたけれども、この法律で各分野の一つの大きなシーリング的なものが決まった場合に、そういった一つのおおよその基準で、各県なり各市町村のいろんな財政支出に対しての指導が政府から出てくるのではないかという心配をするわけですけれども、そのあたりに対する御意見をそれぞれ簡単にお聞かせいただければありがたいと思うのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/35
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036・谷本正憲
○谷本参考人 まだ法案の審議の段階でございますので、これが法律として成立をした後どういうふうな通知が国の方から来るのか、我々定かではございませんけれども、もとより私どもも、国からの通知を受けるとか受けないとかにかかわらず、やはり地方団体を取り巻く財政状況は大変厳しいわけでございますから、そのことを踏まえて、必要な手はやはり打っていかなければいけないな、こういうふうに思っております。
もちろん、こういう法律が制定をされたので地方団体もこれに準じてというふうな通知は流れてくるのかもしれませんけれども、その通知を受けて動くということではなしに、私どももやはり、今地方財政の状況は意見陳述で申し上げたとおりでございますので、それを踏まえて、我々も必要な努力はしていかなければいけないな、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/36
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037・細田喜八郎
○細田参考人 私どもの都市自治体としての立場でも、もちろん最大限の努力をいたします。そして、その努力をする過程におきましては、市民の皆さんの御理解もいただかなければならないわけでありまして、御理解をいただき、御協力をいただきながら、財政構造改革を地方都市として努力をしていく。
ただ、行政を進めていく中で、国の役割というものもあるわけであります。その役割を地方に転嫁をするようなことでは大変困るわけであります。そして、私どもは私どもとして、常に住民との接点の中で日々ひざを突き合わせて物を考え、議論をしているわけでありますから、そこからの発想と、一定の距離を置いた中での発想では、これまた若干ニュアンスの違いもあろうかと思います。その辺も十分お互いに話し合いをさせていただいて、指導は指導としていただきますけれども、地方の実態というものも一層御理解をいただきながら、国と地方の相互信頼の中で改革ができればと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/37
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038・黒澤丈夫
○黒澤参考人 国がこのような財政改革を行うということについては、既に我々は、議会や職員に対しましても、時代が大きな変革のときに際会しているということを伝え、そうして、主として自主財源で事務を処理しなければならない時代になるんだということを勉強しながら話し合いをしつつあります。
そういう中で、執行の立場にある首長といたしましては、できる限り行政需要を節減する方向で対処しつつありまして、役場の職員等々につきましても、真に地方公務員として待遇すべき人間と、企業的感覚を持って、第三セクターなりまたは民間委託なりでできる仕事との分離等々にも手をつけ始めているところもあるわけでございまして、このような国の制度が成立し施行されることになれば、我々もそれに従って条例を定め、行財政に対する対処をしていくつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/38
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039・一川保夫
○一川委員 では、最後にちょっと御意見をお聞かせ願いたいのですけれども、先ほど村長さんの方からも、地方ではもう人材が相当育ってきているというようなお話もございました。最近、先ほどの話題のように、地方分権に関する答申も出そろってまいりまして、いよいよ地方分権の時代を本格的に迎えるわけですけれども、そういう中にあって、各市町村の合併問題ということがよく話題になりますけれども、各自治体のそれなりの実力をつけるというか、あるいは広域行政に対応するという観点から、市町村合併問題ということについてそれぞれ御意見をちょっと賜りたいと思うのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/39
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040・谷本正憲
○谷本参考人 地方分権のいわゆる受け皿論というのでしょうか、そういう中で、いわゆる職員の資質の向上とあわせて、行政体制の整備というのでしょうか、行財政能力の強化という指摘があるわけでありまして、その中で市町村の合併という話も出てくるわけであります。
市町村の合併ということは、いわば市町村も一つの法人格を持っております、これは市町村のいわば存立にかかわるお話でございますから、私ども、もし合併をされるとしても、やはり市町村の自主的な合併というのがあくまでも望ましいのではないのかな、こういうふうに思っております。県の場合ですと、もし合併をする意欲がおありになる市町村には、合併がしやすい環境整備をしてさしあげるというのが基本的にはやはり県のスタンスではないのかな、こういうふうに思っております。そういう意味では、もし市町村が合併をしようとした場合にも、それに対する国も含めてのいろいろな財政支援とか、それからその合併にインパクトを与えるためのいろいろな条件緩和というのでしょうか、そういったものもやはりあわせて求められるのではないか、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/40
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041・細田喜八郎
○細田参考人 合併につきましては、かつてはそうしたことがありましたけれども、上からの押しつけというのは、これはやはり住民の理解と協力を得ることは極めて困難であろうというように思います。
したがって、地方分権の時代でもあり、特にまた財政構造改革の時代でもありますので、効率のいい行政展開をしていくためには当然広域行政というものが大事であろう、そうしたものを一つ一つ積み上げることによって、終局的には合併へという、そうした意識が盛り上がってくるような環境づくりをすることが極めて大切であろうというように認識をいたしております。
したがって、人口が幾らが適切とかというものは全く定義はあるはずがありませんので、文化的、歴史的、そうした経緯等も踏まえながら、その地域地域の実情とそして民意を尊重した形での合併を強力に進めていく、そうした雰囲気をつくっていくということが大切であろうというように認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/41
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042・黒澤丈夫
○黒澤参考人 全国町村会の中には、合併を推進しようという声と、合併を推進させるべきでないという二つの意見があります。私は、中山間地域、離島の立場に立ちますから、反対の意見を述べさせていただきたいと思います。
中山間地域や離島のように、広いところに少しの人口で構成する町村におきましては、大きな市と合併することになりますというと、現在の多数決原理のもとにおいては市街地の人口の多いところに票においてはるかに負けますから、合併したら、中山間地域や離島の声というものはほとんど合併してできた市の自治には実質的には反映できなくなる、合併そのものが自治権を奪ってしまうというようになることを非常に恐れております。
前の合併におきましても、市に合併した山村と独立していた山村を見ると、合併した山村の方が刺身のつまにも扱われなかったような結果を招いていて疲弊の度が速いということを見てきている我々には、軽々に合併論に賛意を表するわけにはまいらない、こういうふうに思っております。
したがいまして、この問題は、中山間地域でも合併したいというところもあろうかと思いますので、住民の判断に任せていただきたいというのが私の結論でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/42
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043・一川保夫
○一川委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/43
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044・佐田玄一郎
○佐田委員長代理 これにて一回君の質疑は終了いたしました。
次に、赤松正雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/44
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045・赤松正雄
○赤松(正)委員 きょうは、谷本知事、また細田市長、黒澤村長、大変お忙しいところこの委員会にお越しいただきまして貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。
先ほど来、地方財政が厳しい中、皆さんが頑張っておられる様子がるる説明ありました。私の方から、前二人の委員に続きまして若干御意見をお聞かせ願うために質問をさせていただきたいと思います。
今も一川委員の方から冒頭にございましたけれども、景気の低迷による税収の頭打ちという問題は地方自治体においてより深刻だろうと思います。今までも税収不足を補うために地方債の発行が次々に行われてきたわけでありますけれども、私たちの立場、私は新進党所属でありますけれども、財政構造の改革の名のもとに公共事業の七%カットを初めとする歳出の削減を法律でもってしようとする政府の今回の対応については、一段と現在の景気を悪化させるのではないかという懸念を持っております。
これについてどう考えるかと言うと、それを論評する立場にない、恐らくこうおっしゃると思うのですが、先ほど黒澤村長の方は明確に、評価をする、こうおっしゃっておりましたが、県知事並びに市長、それぞれ、全国知事会あるいは全国市長会でどのような意見集約をされたのか、あるいはされなかったのか、その辺のことについて簡単にお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/45
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046・谷本正憲
○谷本参考人 知事会全体で別に集約をしたということはございませんけれども、財政構造改革というのでしょうか、今の、現下の財政状況を踏まえました場合にそういった対応は我々もやらなければいけない、こういうふうに思っております。そして、今景気を取り巻く状況も石川県を例に、引き合いに出しまして申し上げたわけであります。
その辺のところは、二兎を追う者は一兎も得ずということになるのか、二兎を追って二兎を捕まえるというやり方もあるのか、我々もちょっと具体的な知恵はございませんが、もちろん、地方自治体というのも地域経済ということについては大きな関心を持たなければいけませんから、我々、財政構造改革も進めながら地域経済も活性化していくような努力は一生懸命自治体としてやらなければいけない、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/46
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047・細田喜八郎
○細田参考人 財政構造改革を進めていく中で、市民要望というものも、先ほども冒頭申し上げましたように年々複雑多様化しております。それらを充足していくということになりますと、矛盾点は感じるわけでありますけれども、しかし、それは当然、我々の立場そして使命として、知恵を出しながら、そしてみずからも削るべきところは削る、それが改革でありますから。
ただ、同時に、行政だけが削るのではなくて、市民の皆さん方にも、市民要望というものをもう一度やはり見直しもしていただく必要があるだろう。従来のバブル時代の要望あるいは対応ではなくて、今日の厳しい時代をつぶさに見ながら、お互いに謙虚に問題をとらえて、お互いに努力をする、そうした中で相互信頼関係をつくり上げていくことが大切であろう、また我々の役割でもあろうというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/47
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048・赤松正雄
○赤松(正)委員 谷本知事にお伺いしたいのですけれども、中央の財政構造改革会議におきまして、「地方分権推進委員会における議論等を踏まえつつ、地方交付税制度・地方債制度、更に各地方公共団体独自の自主的な財源調達の方途について検討を進める。」こういうふうな記述があります。
それで、まず一点は、自主的な財源の調達について、知事として、県を預かっておられる立場として明確な展望があるのかどうか、そういう自主的財源調達について。それがまず第一点。
それから、二点目は、さっき質問の中に出て、お答えもありましたけれども、地方交付税制度について、全国の行政を満遍なく平均化していこうという思想がこの地方交付税制度にはあると思うのです。知事が、現在県を預かっておられる立場として、当然、その地方交付税制度をしっかりと堅持していってもらいたい、こうおっしゃるのはよくわかるのです。現に先ほど、財政調整機能をこれからも維持していってもらいたいという御発言がございましたけれども、そのこれからもというのは、未来永劫にわたってこれからもなのか、あるいはまた中長期的な観点において、そういうことを今県知事をやっておられる方に言うのは酷かもしれませんけれども、もし見直すポイント、角度があるとしたらどういう角度なのかという、この二点についてお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/48
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049・谷本正憲
○谷本参考人 自主財源の確保というお話がございましたが、私どもは、地方交付税もそういう意味ではいわば自主財源の一つだというふうに認識をいたしておるわけでありまして、地方債もいわば、先ほど申し上げましたように、世代間の負担の公平ということからいえば、できるだけ弾力的な運用をお願いしたい。そういったことを財政構造改革の流れでも触れておられるのだろうというふうに思います。その辺のところはこれからもしっかり御議論をいただいて、地方交付税制度も、先ほど申し上げましたように、ぜひこれからも維持をお願いしたいということであります。
それと同時に、これから法定外目的税という制度も創設をされるようでございます。これなどは、場合によっては地方団体も大いに活用できる可能性は、法定外普通税よりも法定外目的税の方がむしろ活用する分野が広がってくるのではないのかな、そういう予感すらいたしておるわけでありまして、その辺のところで、我々もこれから私どもなりに自主財源の確保ということについては努力をしていかなければいけない、こういうふうに思っております。
それから、地方交付税制度につきましては、すべての団体を平均化してしまう、まあ見方を変えればそういう見方もあるのかもしれませんけれども、ただ、我々都道府県、四十七ありますけれども、今でもやはり税収で三倍以上の格差があるわけですね。これは、明治以降国の手でいろいろな形で殖産興業が行われてきて、税源がこういう形で地域的に大きく偏在をするという状況がやはり生まれてきておるわけであります。そういう中で、交付税のこの財政調整の機能というのは、やはりこれは我々不可欠だというふうに思っておるわけであります。
今先生から御指摘ありましたように、どうなればこの交付税制度の財政調整機能は必要なくなるのだということになれば、これは恐らく、そういった税源の偏在というのでしょうか、税源の格差が解消されたとき、こういうふうになるかと思いますが、これがいつ解消されるのかということにつきましては、私も定かな予測がつかない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/49
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050・赤松正雄
○赤松(正)委員 次の問題は、知事、市長、村長、お三方それぞれにお答え願いたいと思うのです。
中央は各地方公共団体に対しまして、先ほど来お話に出ておりますが、給与、定員の適正化、それから事務事業の見直し、それから民間委託、また外郭団体の整理縮小、それから公共工事のコスト縮減、いわゆる箱物建設の抑制といった徹底した行財政改革への取り組みを要請していきたい、こうしておりますけれども、先ほど来お話を聞いておりまして、なかなか、言うはやすく行うは難しいだろうなという感じがいたします。
先ほど市長の方も、市民の方にも要望したいという、市民と両々相まってやっていくんだというお話がございましたけれども、以上の問題、とりわけ箱物建設といいますか、いろいろな地域に応じた、応じたというか地域独自のさまざまな、体育館だとかあるいは音楽関係のホールだとか、そういった箱物をつくるということに対する批判が今マスコミを通じて非常に大きいわけですけれども、こういった問題について、特に箱物建設に絞って、地方自治体としてその点をどう考えるかということについて、お三方にお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/50
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051・谷本正憲
○谷本参考人 いわゆる箱物建設についての今御指摘があったわけでございますが、これはいろいろな御批判もあるわけでありますが、一つは、隣がつくるから一緒に、右へ倣えで同じものをつくるとか、せっかくつくるからにはということで非常に華美なものをつくる、そしてまた建物をつくったはいいけれどもその運用についてのソフトが充実をしていない、こういうことが恐らくいろいろな御指摘の対象になっておるんだろうと思いますし、そういった点は我々やはり謙虚に受けとめていく必要があるんだろうというふうに思います。
私どもも、例えばコンサートホールにしましても、せっかくつくるんならやはりソフトあってのホールということでなければいけませんし、石川県の場合でも、今先生御指摘のありましたコンサートホールもこれから着工という段階になるわけでございますが、私どもの場合には、いわば地元のオーケストラ、アンサンブル金沢というオーケストラが発足をして既に十年たっておるわけであります。このフランチャイズホールがないということで、そろそろそういうフランチャイズホールがあってもいいんではないか、そこを拠点にして自前のオーケストラ、アンサンブル金沢がもっと幅広く活動をして、県民の皆さん方の御理解を得ていく。
一つの例でございますけれども、やはりこういった対応が重要ではないのかな、そういうことを通じて、やはり県民の皆さん方あるいはマスコミ等の御理解もいただくように努力をしていく必要があるんではないか、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/51
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052・細田喜八郎
○細田参考人 御指摘の箱物建設につきましては、これは十分慎重に検討する必要があるだろうというように認識をいたしております。
特に、建設をいたしましても、建設費もさることながら、その後のランニングコスト、そして建設したことによっての行政効果、そうしたものを考えますときに、十分慎重にならざるを得ないのであります。いろいろな文化施設であるとか何かをもし都市の段階でつくるとするならば、それは先ほど来からお話が出ておりますように、広域行政の中で一つつくる、決して近隣市と競争してつくる必要性はどこにもないわけであります。もちろん、義務教育施設であります小中学校等については、校舎によってはもう建てかえの時期に来ているものもありますから、これなども状況によっては統合するとか、そうしたことも一つの手法ではあろうと思います。
いずれにいたしましても、実態等、そして財政、行政効果というものを各般にわたって十分検討した上で最終的に判断すべき性格のものであろうというように認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/52
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053・黒澤丈夫
○黒澤参考人 箱物にもいろいろあると思います。学校だとか診療所だとか、もうぜひともなければならないというものもありますし、いわゆる外から見たらぜいたくだと思えるものもあるわけでございますが、町村を総じて眺めたときには、まだまだなければ困るというものが整っていないところが多いわけでございます。
そういう意味においては、町村部においてはぜいたく視されるようなものは比較的少ないであろうというふうに理解しておりますが、幾つか指摘されているようなぜいたく視されるようなものについては、お互いに反省し、もっと実のある、住民のニーズに真にこたえることに直結したものだけに絞るように考えるべきだと、いささか自省の気持ちを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/53
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054・赤松正雄
○赤松(正)委員 知事にお伺いします。
公共事業のあり方につきましては、例えば省庁の縦割り行政で、同じ地域に似たような施設がつくられる二重投資、先ほど来お話がありましたけれども、工事単価が民間に比べて高いとか、あるいは着工後状況に合わなくなっても中止できないなどといった問題点が指摘をされております。こうした仕組みそのものを変えるということが、私たちはこの財政構造の改革といった場合に非常に大事だと思うわけですけれども、今回の法案からこの構造の改革という視点がちょっと読み取れない、こんなふうな感じがいたしております。こういう公共事業のあり方について知事のお考えを聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/54
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055・谷本正憲
○谷本参考人 確かに、公共投資につきましては、今先生おっしゃいましたように、いろいろな御指摘を受けておるわけでございます。同じものが二重投資になっておるんじゃないかというお話があります。そういったことにつきましては、もちろん私どもも横割りという形で、そういう形にならないようにやはり努力をしていかなければいけない、こんなふうにも思っておるわけでありまして、各省庁の方でもようやっと重い腰を上げられまして、お互いにそういう調整をやっていこうという取り組みが始まりつつあるようでございます。
一つの例でございますけれども、石川県でも、小学校が一つ廃校になる、いわゆる空き校舎ができる、それを知的障害者の施設に転換をしたい、こういう話がありました。これは文部省と厚生省にまたがる話でありまして、なかなか調整がつかなかったわけでありますけれども、最終的には御了解をいただいて、これはやはり地元の町長さんが大変な努力をされたということでございますけれども、やはりそういった面、もっと柔軟な対応というのがあってもいいんではないか、こういうふうにも思っておるわけであります。
公共投資の単価についても、我々もいろいろな見直し作業を今進めておるところでございます。ただ、バブル華やかなりしころは、私も経験がございますが、幾ら入札をかけても、五回、六回やっても落札しなかったという、そういう経験もあるわけでございますので、やはり時代の変化に応じて単価も必要な見直しはやっていかなければいけないな、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/55
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056・赤松正雄
○赤松(正)委員 続けてまた知事にお伺いいたしますけれども、高知県の橋本知事が、総合型補助金構想ですか、省庁ごとの縦割りで出す公共事業への補助金をまとめて自治体に分配をして、使い道は自治体に任せろという、こういう構想を出しておられるようですけれども、これについての県知事のお考え方を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/56
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057・谷本正憲
○谷本参考人 総合補助金制度については、私も詳細はしかと承知はいたしておりませんけれども、先ほども申し上げましたように、地方が全体の支出の三分の二を受け持っておるわけでありますから、これからやはり税源の再配分というのでしょうか、ぜひそういった方向づけをしていただきたいなという思いを持っておるわけであります。そういう意味では、今の総合補助金というのは、使途を余り特定しないで地方の自主性、主体性に任せよう、そういう方向であるとするならば、やはり税源のそういった再配分に向けた一つの過程としての位置づけはできるのではないのかな、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/57
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058・赤松正雄
○赤松(正)委員 村長と市長にお伺いをいたします。
大都市から効率よく集められた税金が日本全国の、特に過疎地の自治体に流れるということで、いわゆる過密自治体と過疎自治体との違いということが今いろいろな面で指摘をされておるわけですけれども、特に最近、某総合雑誌系の週刊誌の上で、要するに、税金収奪のからくりに都市住民は怒れというふうな、そういう角度の、いわば過密地域の住民にとって非常に、ごみの問題ですとかさまざまな住環境に厳しい状況が過密であるがゆえにあると。
特に東京、市長も志木でいらっしゃるからそれに近い地域における似たような状況があると思いますけれども、東京の比ではないかもしれませんが、特に東京を中心としたそういう過密都市に住む住民が、非常に端的に言えば、過疎には過疎の問題は先ほど来黒澤村長からいろいろ聞かせていただいてわかるわけですけれども、同時に過密地域における都市住民の厳しい現状というものがある。それが、いわゆる過密地域に集められた税金が補助金あるいは地方交付税制度という形でもって山間地域にどんどん流れていく、こういう実態は果たしてこれでいいのかという主張が厳然とあるわけです。
現に、今申し上げたようなキャンペーンというような形でなされておりますけれども、そういうことに対しまして、市長はどちらかといえば過密地域の代表として、村長は過疎地域の代表として、今申し上げたような主張に対するお考えを聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/58
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059・佐田玄一郎
○佐田委員長代理 細田喜八郎君。大変申しわけありませんけれども、質疑時間を過ぎておりますので、簡略にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/59
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060・細田喜八郎
○細田参考人 均衡ある国土をつくるという観点に立ちますならば、一定のそうした財源が過疎あるいは山村地域に行くことは、これはやはりやむを得ないことであるというように考えております。
したがって、我々としても、都市自治体としての役割の中で経済の活性化にもさらなる努力をしていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/60
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061・黒澤丈夫
○黒澤参考人 私は、都市の方々が、都市だけがたくさん税金を納めて地方の面倒を見ているという、そういう考え方は間違っているというふうに思います。都市と一口におっしゃいますが、都市の住民が全部納めておいでになるわけではありません。
私のところで、今東京電力が大きな揚水発電をしようとして準備中でございますが、東京電力の所得税や法人住民税は、電力を発電する上野村には一銭も落ちませんけれども、東京都に全部納めているわけであります。
また、ここに一つの離島があるとします。その離島の周囲の二百海里の水域で漁獲したお魚は、それはその離島に住んでいる、または離島の町村の住民税につながらず、漁港へ帰ってその地元で納めるというような格好にもなっているわけであります。離島が存在することによって大きな所得の源を守っているわけであります。
そういうことを考えていただくならば、単純に都市に税金が集まるからといって、都市住民が、おれが納めて地方を面倒見ているという考え方は間違いだと思います。お互いに助け合って国家社会を守っておるのであります。
我々は、木材はほとんど一文にもなりません。しかし、上流で水源を涵養しております。空気の浄化もやっております。私の村なんかは、もう竹下総理が一億円を配った前から、水源の村でありながら水の浄化を進めてきているわけでございまして、そういうことは都会への協力であるというふうに御理解をいただけるならば、都会が云々、地方が云々、とりっこだというような考えでなく、国家をみんなで預かって、みんなで助け合って生きているのだという考え方に立って御理解をいただきたいと思います。
私は、税制度は人間が決めたものであります。どんな神様に近いような人がお決めになっても、全国の市町村を公平公正に、みんなが満足するような税制度なんというものはだれにもつくれない。それを穴埋めし、公正公平を期そうとしているのが地方交付税であるというふうに理解しております。どうか、そういう気持ちで中山間地域や離島の人間は地域社会を守っておるのだというふうにお認めをいただけたらありがたいと思います。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/61
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062・赤松正雄
○赤松(正)委員 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/62
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063・佐田玄一郎
○佐田委員長代理 これにて赤松君の質疑は終了いたしました。
次に、葉山峻君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/63
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064・葉山峻
○葉山委員 民主党の葉山であります。
きょうは、谷本知事さん、また細田市長さん、黒澤村長さん、御三方御参考人としてこのお忙しい中を御出席いただき、それぞれの地方自治に関して貴重な御意見、御高説をいただきまして、本当にありがとうございます。また、日ごろそれぞれ県民、市民、村民のために大変な御努力をされておることに対しまして、心から敬意を表する次第であります。
私は、ごく簡単に御質問を申し上げますので、どうか日ごろ思っていることを率直に忌憚のない形でお答えいただければ幸いでございます。
まず、谷本参考人にお尋ねをさせていただきます。
先ほどのお話で、地方分権の推進により財政の健全化を図る、特に地方分権推進委員会が第一次答申から最近第四次答申まで出されまして、さまざまな勧告を行われております。しかし、この財政的な面ではもう一歩、私はその勧告がもう少し具体化してほしかったというふうに思っておるものでありますが、推進委の先生方も若干遠慮されているのではないかということを率直に思っております。これからの国会あるいはこのプログラムの中で明らかにして、本当の意味の地方分権が日本に達成されることを心から願っているものでありますけれども、先ほどのお話にもありました地方分権の推進の問題と地方財政の健全化の問題についてどのようにお考えか、お考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/64
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065・谷本正憲
○谷本参考人 地方分権と地方財政の健全化というお話でございますが、地方分権は、確かに委員会の四次の勧告でまさに大きな扉が開かれたというふうに我々は理解をいたしておるわけでございます。これで百点満点だとか大いに満足しているとかという、そういうことでは決してないわけでございますが、大きな扉が開かれたわけでありますから、これをさらに大きな流れにぜひしていかなければいけないな、こういうふうに思っております。
その中で、財源の面については、確かに地方分権推進委員会の中では機関委任事務の廃止ほどには明確にうたわれていなかった。眼光紙背に徹するようにしてこう見ますと、税源の再配分というふうなこともうたわれているのかなという感じでありまして、この辺はもう少し明確に勧告をしていただきたかったなという思いはあるわけでございます。
だけれども、いずれにしても大きな扉が開いたわけでございますから、その中でこれから地方公共団体の側も、この財政の健全化ということについては地域の住民の皆さん方にやはり責任を持つ立場になっていくわけでありますから、その方向に向けてのいろいろな取り組み、工夫をやはりしていかなければいけないな、こういうふうに思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/65
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066・葉山峻
○葉山委員 ありがとうございました。
もう一つお尋ねをさせていただきたいと思います。それは、公共事業費についての考え方であります。
石川県からは瓦建設大臣も今度は建設大臣になられまして、いろいろな県民の期待も、そういう意味では公共事業に関して非常に大きいものがあるのではないかと思うわけでありますけれども、一方、太平洋岸に比べてこの社会資本といいますか、まだ立ちおくれているのではないかというような御指摘も先ほどございました。
そういう問題と、それからもう一つは、今度のこの方針の中で公共事業費は七%削減というような問題がありまして、どのようにこれからそのバランスをとっていくお考えであるか。そしてまた、今までの公共事業の中でいろいろ全国的に見直しも始まっているわけでありますけれども、御当地の方でその問題についての、公共事業についての考え方について、お考えをお聞かせいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/66
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067・谷本正憲
○谷本参考人 公共事業、公共投資についての御指摘でございますけれども、財政構造改革を進めるという中で七%のカットというお話もあるわけでございます。それで、私どもも地方団体としてはこの財政の健全化についてはやはり真剣に取り組んでいかなければいけない。いわば車の両輪ということでございます。
ただしかしながら、先ほども意見陳述で申し上げましたけれども、この公共投資の地域経済に占める割合の大きなところ、小さなところ、やはりこれはあるわけですね、地域によって。その辺のところを余り考えずに一律にやられると、やはりそれぞれの地域経済に非常に大きな影響を与えるのではないのかな、こういうふうにも思っておるわけでありまして、その辺のところはよくよくやはり御勘案をいただきたいな、こういうふうにも思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/67
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068・葉山峻
○葉山委員 ありがとうございました。
次いで、細田市長さんにお伺いをしたいと思います。
先ほどのお話で、平成六年度以降、都市行政は多額の財政赤字を記録しておって、特に公債費の負担が一五%以上というのがもうかなりの自治体にわたってきている、この借入金の窮状。特に、神奈川でも同じでありますけれども、起債で借りますとそれをまた公債費の返還に充てる。それが六割、七割から、ある自治体によると、もう九割方。つまり、借金で借金を返すというような形の構造になっていることは御承知のとおりであります。そういった面で、今後この財政の健全化についてどのようにお考えであられるか。
そして、特にこの財源問題というのが私は一番大きな問題ではなかろうかというふうに思っておるわけでありまして、消費とか所得とかあるいは相続税とかさまざまな税目があるわけでありますけれども、少なくとも三分の二の仕事を地方自治体はしているわけでありまして、最終的にはそのようになっているわけであります。しかしながら、現実には三分の一が自治体に入り、そして最終的に補助金やいろいろな形の中で三分の二は地方自治体で消化をしているというような現実の財政の姿を、やはり根本的に改めるという問題が一番重要ではなかろうかと思うわけでありますけれども、その辺につきましての御参考人のお考えを伺いたいと思います。
〔佐田委員長代理退席、中山(成)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/68
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069・細田喜八郎
○細田参考人 財政が非常に厳しいことはもう御指摘のとおりでありますし、その打開に向けて全国の都市自治体、鋭意努力をいたしているところであります。そこで、今日までの町づくりの中で市債が大変膨らんできた。その要因は、やはり国の政策にも責任の一端はあろうかと思います。
そこで、今後健全財政を目指していく中では、やはり地方税というものも、地方分権と並行して地方税のあり方を根本的に見直す必要もあるのではなかろうかというように考えております。税収は少なくて仕事は多いわけでありますから、当然そのバランスを地方債なりあるいはまた地方交付税なりで補てんをしなければ地方経営は成り立たないわけでありますので、それを根本的にこの際、財政構造改革という名のもとに、国におきましても発想の転換を図りながら積極的に地方への一つの施策を講じていただくようにお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/69
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070・葉山峻
○葉山委員 もう一つ伺いたいと思います。
これからの中で、先ほどお話がありましたように、社会資本の整備とかあるいは災害対策とか、またダイオキシン等、それに伴うごみ対策とか、住民の要望というものも非常に多岐多様にわたっておりまして、そういう要望にこたえながら自治体はやっていかなければならぬ。これは非常に御努力大変なことだと思います。
私も、去年の二月まで湘南の方の自治体の長を二十四年間務めさせていただきました。その市長さん方の御苦労というのは身にしみるものがあります。それだからこそまた、よりよき町をつくり、そしてまた住民の期待にこたえて、本当に美しいすぐれた町を築いていくというために御努力をいただきたいと心から願っておりますし、そういう意味では、今始まっておるこの地方分権の過程を一層促進させるということがその根幹をなすというふうに思っておりますけれども、今後のその地方分権、あるいは地方自治体のよりよき町をつくることについての理想といいますか、基本的なお考え方をお聞かせいただければ幸いであります。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/70
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071・黒澤丈夫
○黒澤参考人 私どもは、今までは、国に補助金や起債の制度があることにならされまして、それに依存する町村制を当然のことのように考えてやってまいりました。
しかし、地方分権が実現されますと自主財源によって住民のニーズにこたえていかなければなりませんが、今ある税制度の中で、我々が住民からいただく税金だけでやっていけと言われても、それは無理なことであると思います。そこに、税を払う所得の少ない住民が少しきりいないということになれば、どうしたって自主的に住民から拠出していただく税金は少なくなるわけでありますから、それを交付税制度によって補うという措置もお願いしたいと思いますが、同時にまた、先ほど市長さんもおっしゃいましたように、今まで補助金等々でたくさんの事業を地方がやってきたわけであります。それをまるっきりやらないというふうにぱたりととめてしまうということは地方経済や地方住民に影響するところが非常に大きいので、それは避けなければならないと思います。
それではどうするかということが、国政に携わっていただく方々においても我々においても重大な課題だと思いますが、私は、今までの補助金をいただいてくる過程におきましては、事業を発注するに際しましても、国の積算に基づいた計画の中から出てくる設計価格というものを基準にしまして、入札に出すときにはそれを余り下回らないようにすべきであるという御指導に従ってまいりました。会計検査院の方々は、技術的に何も知らない町村長が勝手に設計価格を減額して入札予定価格を入れるなどということはもってのほかだという御指導がありましたが、そういうような規制を外していただけるならば、私どもはもっと安く事業を発注して、しかもそれを立派に監督し、仕上げることができるというふうに理解しております。
先ほども申し上げましたように、私の村では東京電力が大きな発電所をつくっておりますが、聞くところによると、発注価格は公共が発注する価格に比べると相当低いようであります。私は、業者の方々に、今、入札をする際には、こういうことを聞く、それで地方分権になる、そうしたら予定価格をもっともっと低くするから、上野村の仕事をする方々は覚悟してくださいということを言っておりますが、そういうことができるようにしていただけるのが地方分権ではなかろうか、そういうふうに思っております。
ぜひ、この地方分権を早く実行に移していただきまして、我々が自主的に自分の議会の承認さえ得れば工夫ができる道を開いていただきたいとお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/71
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072・葉山峻
○葉山委員 最後に御質問させていただきます。
先ほど黒澤参考人のお話で、地方では人材が育っている、国保の経営の例を引かれながら、人材が多くて、職員が育っているんだというお話を伺いました。確かに私もそういうふうに思っておりますし、地方分権というのは、言うなれば三ゲン、つまり、行政の権限とそれから財源とそして最後に人間がやはり育たなきゃいかぬ、この三ゲンあってこそ地方分権だというふうに思うわけであります。御参考人は、先ほど伺いますと、昭和四十年からという大変な長い間の豊富な御経験をお持ちだと思いますけれども、この人材の育成についてどのようになさっておられるのか、お考えを御披瀝願えればうれしく思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/72
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073・黒澤丈夫
○黒澤参考人 私は群馬県の一村長でございますが、就任したときに、自分の村の職員の能力の程度が極めて低いということを痛感させられるようなことに遭いまして、まず第一に、今話題になっておりますような公共事業等々を監督するような能力を養う必要があると考えまして、そういう人材を育成するために、県からの御指導をいただき、さらには若い職員を一年県に預けて勉強させるということから始めまして、だんだんとそういう事業を財政の面にも広げ、またはいろいろな総合的な計画立案の面にも広げていって、今日では相当数の職員が育ってきている、そういうふうに思っております。
私は、なるべく結婚前に県庁に若い職員を一年預けたい、結婚してしまった職員は自治省がおやりになっている自治大学等々に三カ月のコースで参加させて御指導をいただき、レベルアップを図りたいというふうに思っておるところでございます。
そこで、私は、一つお聞き願いたいと思うことがあります。それは、昭和六十年に私の村で発生した日航機の事故でございます。
あのとき、身元識別のできない方々の喪葬の責任は亡くなった地域の町村にあるんだということを、事故は八月に起こりましたが、八月当初におきましてはそんなことを知りませんでした。八月の末つ方からだんだんと、死体がばらばらになっていて腐敗も進んでいって、識別が困難だという御遺体がいっぱいある、その喪葬の責任は、我が村でやるんだということを聞きまして、どれどれというので法律を調べたところから始まりましたが、実際に、警察が身元識別を行いましてこれ以上識別ができないという判断を下し、御遺体を私に渡してくださったのは十二月の二十日でありました。それから遺体をだびに付し、そうして喪葬の任務を果たす方向で仕事に入ったのであります。
〔中山(成)委員長代理退席、委員長着席〕
御巣鷹山に登るためには、四キロ以上の道のないところがあります。救難の過程におきまして、お線香を上げに行く人が上から落ちてきた石にぶつかって亡くなったというような、道なき道の連続であります。これを村は、翌年の命日までには山登りができるようにしなければならないという使命のあることを感じました。また、亡くなられた御遺体は、本当に全遺体がお帰りになった方が百八十二人でありまして、あとの方々は、多かれ少なかれ私の村に御遺体の一部または全部を残されたわけでありますが、その人たちの御遺骨を収納する納骨堂を基本に墓所をつくるという仕事がありました。
これらの準備のための土地の買収、借り上げ、道路の設計または慰霊の園の設計等々から、相当大きな仕事を、翌年の八月初頭に行われる慰霊祭に間に合うように十二月二十一日から私の村は始めました。この際、私の村は職員を一人も増員しておりません。千七百人の村がそれだけの仕事を計画し、保安林を解除していただくとか、借りるとか、買うとかいう問題を全部片をつけて、八月三日の慰霊祭に間に合わせることに、私の村は実際にできたのであります。
千七百人の村で、職員を増員しなくてもできたというこの事実をごらんいただきまして、私は、小さい村には何もできないというお考えは改めていただきたいとお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/73
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074・葉山峻
○葉山委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/74
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075・中川秀直
○中川委員長 これにて葉山君の質疑は終了いたしました。
次に、春名直章君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/75
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076・春名直章
○春名委員 日本共産党の春名直章でございます。きょうは三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
最初に、この法案についての御意見をお聞きしたいと思います。三人の方によろしくお願いしたいと思います。
この法案の第四十一条では、地方財政計画の一般歳出を抑制するということと、来年度はことしの一般歳出の額を下回るようにするということが法律で決められようとしています。このことは、一般歳出が前年度を下回るということは今までなかったことなんですね。それで、四十条には、自治体も財政構造改革を推進しなければならないという規定もございまして、地方財政計画は自治体の財政運営の指針でもありますので、それに従っていくということになると思うんですね。そうしますと、私は、財政状況がそれぞれすべての自治体、三千三百異なっているんですが、この法律で一律に縛るということにならざるを得ないと思っております。地方自治の観点から、これでいいのかどうかということを考えているわけでございます。
もう一つは、地方財政計画の一般歳出の圧縮を通じて、三千三百ある地方自治体一律に歳出の圧縮を進めていく、しかも財源不足が生じた場合に国から地方への支出、地方交付税も削減していくことになるんじゃないか、そういう不安を私は持っています。当委員会でも議論がされまして、大蔵省は、この法案が成立しましても、この法案の目標達成に向けてなお二兆一千億円から二兆九千億円ぐらいの要調整額が出る、これを埋めていくためには地方交付税の見直しも対象であるという旨の発言もされていらっしゃいます。
私は、そういう点でぜひ皆さんに率直な御意見を伺いたいと思いますが、地方自治という観点からいって、こういう手法が果たしていいのかなということ、あるいは交付税の削減ということにつながっては元も子もないと思いますので、その辺の、この法案についての皆様方の受けとめ、御意見をぜひお聞かせいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/76
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077・谷本正憲
○谷本参考人 今回の法案は、今先生御指摘のように、地方公共団体にも一般歳出抑制という規定が入っておるわけであります。
御指摘のように、地方公共団体は三千三百ございますから事情はいろいろだろうというふうに思います。ただ、私ども思いをいたさなければいけませんのは、やはり地方財政トータルとしても財源不足という状況の中で、特例地方債ですか増発をしたり、交付税特別会計で借り入れをしたりして財源の調達をしている。これはやはり正常な状態ではないということでありますから、そういった財政健全化に向けての努力を我々地方公共団体もこれは当然やっていかなければいけないということでありますし、これまでもそれぞれの地方公共団体、行政改革には一生懸命取り組んでおるところであります。
個々の自治体、個別にどうしろこうしろというところまでは恐らくこの法案は触れておられないのではないかというふうにも思います。そういう意味では、それぞれの地方公共団体の事情というものを我々は踏まえながら、地方公共団体なりにこの財政構造改革というものを、私どもなりにやはり進めていく必要があるのではないか、こういうふうに思っておりますし、その中で、地方交付税につきましてはその必要性、るる申し上げましたのでもうあえて加えませんけれども、やはり総額の確保はぜひとも必要である、このように思っておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/77
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078・細田喜八郎
○細田参考人 御指摘の点についてでありますが、いずれにいたしましても、私ども、地方の立場で日々努力をいたしております。ただ、一律に下回ることがどうかということについては、いろいろ議論はあると思います。
それぞれの抱えている課題、そしてその中身等については十分御精査をいただくと同時に、私ども自身も、市の内部において市民と、あるいは職員と、あるいはまた議会といろいろさまざまな議論を展開しながら積極的な行政展開をしていこう。積極的というのは、数字を膨らめることではなくて、中身をどう取捨選択をしながら効率のいい行財政計画をつくり、それを実践していくかということであります。したがって、一概にそれがいい悪いということは言えないと思いますが、その真剣な姿、内容というものを御精査をいただいて、御判断をいただくべきものであろうというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/78
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079・黒澤丈夫
○黒澤参考人 私どもは、国を挙げて大きな転換のときに差し当たっているというふうに思います。
今までは毎年毎年財政規模を多少なりとも大きくする方向で動いてきましたが、どうしても、ここへ来て財政を縮減しなければならないという事態に際会した以上、我々地方も国と一緒になってそれを実行していかなければならないと覚悟しておりまして、そのような考え方を、先ほども申し上げましたが、議会や職員に持たせるように努めている昨今でもございます。
そうして、この方向に向かって国が措置を講じて縮減するという方向でお進みになるならば、地方もまた多少は事業の量も減ってくるでありましょうし、財政支出も縮減する方向に向かうというふうに思いますが、そういう中で地方交付税を縮減するというようなことになれば、私どもは大変なことだと思います。
これはぜひそういうことにならないようにしていただきたいと思いますが、例えば交付税を百億なら百億出すのを削るということになれば、国が百億を全部とってしまうということではないと思うのです。そのうちの七十ぐらいは、大ざっぱな話ですが、地方に回す分が当然あるわけだと思います。それをストレートに自主財源として我々のところへ回すような仕組みを考えていただくならば、交付税の枠を大きくするということになるかもしれませんし、その他の方法になるかもしれませんが、我々は、国、地方を通じて財政を縮減する方向で、しかも事業をそんなに急速に圧縮しないで自治に臨めると理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/79
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080・春名直章
○春名委員 どうもありがとうございました。
続いてお伺いしますが、来年度の概算要求で二百八十四億円以上の国庫補助金の一般財源化というのが行われる予定になっております。
それで、そのことに関連しての御質問ですが、八五年からの補助金の一律カット以来、その額は四千億円を超えているわけでございます。一般財源化をして国の補助金がなくなった分をどこで埋めるかということで、それがいつも問題になるわけですが、交付税で措置をするということで進められていると思います。しかし、その過程が国民にはなかなか見えにくいといいますか、算定されていると言われてもなかなかよくわからないといいますか、ブラックボックスの中にあるということもよく言われております。この間かなりの国庫補助金が一般財源化をされているのですが、それを理由にして地方交付税の税率を上げるということはもちろんやっておりません。
この地方交付税で財源措置をするという一般財源化ということについてどうお考えか。私は、やはり、交付税の税率そのものの引き上げや、あるいは、議論もありましたけれども、国から地方への税源の移譲といいますか、これを目に見える形で、こういうことが今本当に必要になっているんじゃないかということを感じているわけでございます。
このことについて、同じ順番で結構ですので、三人の方からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/80
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081・谷本正憲
○谷本参考人 来年度の概算要求で国庫補助金がどれだけ一般財源化されるか、私、ちょっと数字は承知をしておりませんけれども、国庫補助金というのは、今もいろいろお話ございましたけれども、やはり各地域に画一的な行政を押しつけるということになりますし、補助金があると、やはりどうしても我々それに依存をしてしまうというのでしょうか、補助金があるから事業をやるか、こういう安易な姿勢になりがちでございます。
そういう意味では、やはり税、交付税を含めた形で、これはもちろん国と地方のいわゆる役割分担ということもあるのでしょうけれども、地方公共団体の事務として定着をしているというようなものについては、一般財源化、税あるいは交付税で手当てをするという一般財源化の方向は、私は、これは正しいのではないかというふうにも思うわけであります。ただ、これが単に地方への負担転嫁というふうな形にすりかえられてしまうようなことがあっては、これはいけない。その辺はよくよくやはり御議論をしていただく必要があるのではないか。
そして、一般財源化がどうもよくわからないというようなお話があるとすれば、それは我々も、やはりわかりやすい形でお示しをいただくということが大変大事なことではないか、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/81
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082・細田喜八郎
○細田参考人 大変難しい問題でございますけれども、やはり地方の時代、そして地方の自主性を尊重していくという考え方に立ちますときに、その裏づけとして財政的なものも地方に任せていただく、そうした措置は当然必要であろうと思います。
したがって、地方の実態をよく認識し、そして使命感に立って市政あるいはまた地方政治をとり行っている立場からいたしますと、ただ陳情によって物を確保するとかということではなくて、やはり一定の権限は地方に財源としても与えていただきながら、与えるというか、むしろそれは地方に確保をさせていただく、自主的に確保させていただくという考え方に立って自主財源を確保する、そうした中で行政展開をすることが最も望ましい姿であろう、そして、地方の時代にふさわしい行財政のあり方であろうというように認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/82
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083・黒澤丈夫
○黒澤参考人 補助金の一般財源化の問題につきましては、私どもは、地方の立場に立って自治省が地方財政計画をつくっていただいております。その中においてきちっと処置していただいて、抜け目のないように配慮していただけているものというふうに理解してきたわけでございますし、今後もそうなるであろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/83
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084・春名直章
○春名委員 どうもありがとうございました。
最後の御質問です。黒澤村長さん、細田市長さん、お二人にお伺いしたいと思います。
法案の四十条で、行財政上の措置をとるということも述べられておりまして、先ほどどなたか御質問ありましたけれども、その中の一つとして市町村合併のことがあると思います。この法案のもとになっている閣議決定でも、六月三日の閣議決定ですが、「市町村の合併について、集中改革期間中に実効ある方策を講じ、積極的に支援していく」という決定が出てまいります。
それで、黒澤村長は、私は反対派ですというふうに先ほど言われておられたわけですけれども、今度の四十条で、そういう法案とその閣議決定に基づいた推進ということになりますと、今まで以上に市町村合併というのが国からも押されてくるといいますか、ということを私は危惧しているわけであります。
その点について率直な御意見を最後に伺いまして、私の質問にさせていただきたいと思いますので、お二人、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/84
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085・細田喜八郎
○細田参考人 合併ということにつきましては、最初に合併ありきではなくて、効率のいい行財政運営をしていく、そして市民ニーズに基づく数々の施策を確実に展開していくという中では、広域行政の展開、そしてそれらの実績を踏まえて、合併ということが合意を得られるならば、私は最も望ましいものであろうというように考えます。
したがって、効率のいい行財政運営をしていく一つのプロセスとしては、いろいろな議論があろうと思いますけれども、しかし、それが一つの、人口何万とかあるいは面積が何平方キロとかということで画一的に決められるものではなくて、それは、それぞれの地域の自治体そして住民の皆さんの自主的な判断に基づいて効率化を求めたときには、一定の規模と面積の中で合併という、当然そうした問題に到達をするであろうというように認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/85
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086・黒澤丈夫
○黒澤参考人 地方自治については憲法にはっきりとうたってあります。憲法にうたわれた地方自治を否定するような合併ということは、私は、そういうことに対しては熟知しておられる政府や国会の先生方はまさかおやりになるまい、必ず住民意思を尊重してくださると信じて疑いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/86
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087・春名直章
○春名委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/87
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088・中川秀直
○中川委員長 これにて春名君の質疑は終了いたしました。
次に、濱田健一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/88
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089・濱田健一
○濱田(健)委員 お三方には、お忙しい中に貴重な御意見、本当にきょうはありがとうございました。社会民主党の濱田健一でございます。
時間が十分しかございませんので、二点、三名の参考人にお伺いをしたいと思います。
財政投融資のあり方が今論議をされております。財投の二割程度は、いわゆる住民に身近な社会資本整備として各自治体の方に融資がなされておりますが、この財投の今後のあり方について、お三方、もし御意見がございましたらちょっとお伺いしたいんですが、どういう方向性が望ましいのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/89
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090・谷本正憲
○谷本参考人 財政投融資の問題につきましては、今政府の方でもいろいろ議論がなされているようでございます。
私ども自治体の立場からは、地方債を発行する際にそれぞれ財投資金という形でお引き受けもいただいておる。昨今は大変低金利の時代になってまいりましたので、有利な地方債とは余り言えなくなってまいりましたけれども、相対的には、民間の資金に比べれば有利な地方債ですし、償還期間も大変長いということでありますから、それなりの役割を果たしてきたのではないか、こういうふうにも思っております。
ただ、今国の方でもこの財投そのものが、入り口の部分で、ほうっておくとどんどんどんどんこれが膨れ上がってくる、そしてそのはけ口を求めるという意味で、ニーズのあるなしにかかわらず、どんどんそれがさばかれていくというふうな、そういう危惧もあるようでございますから、その辺のところにつきましては、入り口、出口の議論はやはりしっかりやっていただきたいな。
その中で、我々、やはりこれからも地方債というものは、世代間の負担の公平という見地からも発行していかざるを得ないわけでありますから、地方債を発行する際の有利な資金としての位置づけはぜひお願いをしたいな、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/90
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091・細田喜八郎
○細田参考人 地方財政計画の中で種々議論をされているようでありますが、私どもの立場からいたしますと、やがて将来は地方主権という時代をぜひ迎えたい、あるいは確保したいというような考え方に立っておりますので、そうした期待感と、そして地方は地方としての主権性というものを強く認識をしながら責任と独自の政策展開を図っていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/91
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092・黒澤丈夫
○黒澤参考人 今まで、私ども町村の中、特に中山間地域や離島のような条件不利地域については、起債の面で有利な起債を使わせていただくというようなことがありまして、それに甘えてきたということを反省し、新しい分権時代の財源措置ということでは、自分が返せる程度の借金をという中で考えを改めていくような時代が来るというふうに覚悟しております。
そういう視点に立ちまして、今までのような有利な起債がだんだんと少なくなっていくであろうというふうに思いつつ、財政に対処しようとしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/92
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093・濱田健一
○濱田(健)委員 この法案が成立しますと、具体的な点なんですが、約一月半ぐらい後の九八年度の予算編成から一定の縛りがかかってくると思うのです。
各県そして市、町村の代表として、お三方、きょうこの場においでいただいたわけですが、いろいろな縛りがかかってくるけれども、やはり地方としてはこういう視点だけは絶対に落としてほしくない、こういうところには重点的な予算といいますか、今盛んにこの論議をしている状況の中でも例年どおりのいろいろな陳情が来ているという実態があるわけですけれども、各代表とされまして、県や御自分の自治体の思いとしてでも結構でございますが、やはりこういうところには配慮が欲しいなという点がございましたら教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/93
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094・谷本正憲
○谷本参考人 これから財政構造改革というのは本格化していくんだろうというふうに思います。どれをどうのという個別具体の問題まではまだ頭にはございませんけれども、先ほど意見陳述でも申し上げましたけれども、私どもの地域としては、やはり地域経済に占める行政の役割というか、別の言葉をかりて言えば公共投資の役割というのは非常に大きいわけですね。やはり、そういったところは十分、実際の予算の編成、執行に当たっても配慮をいただかないと、地域経済は大変危ない状況になるのではないか、そのことを今私ども、当面、一番危惧をしておるところでございます。
我々、県の予算編成に対してこれをどういうふうにしていくかということについては、これからいろいろなことがつまびらかになっていくでありましょうから、その中でめり張りをつけながらいろいろな対応をしていかなければいけませんけれども、今私ども大変危惧しておりますのはその点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/94
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095・細田喜八郎
○細田参考人 いろいろな考え方はできるわけでありますが、時と場合によっては力以上の事業も行わなければならない、一つの地方自治体としての宿命とも言える責務があります。したがって、そうしたものについては、国も一定の役割として、国づくりの中の役割として、一定の御負担あるいは御支援をしていただく必要があるだろうというように考えております。
基本的には、やはり自主財源をどう確保して、そしてみずからの自治体の町づくりを効率化、あるいは市民の幸せを求めて努力をするかという、そうした責務はありますけれども、物によってはそうしたものもあります。
例えば、私どものところでも、大きな事業としては駅前再開発事業なども、三十数年にわたる懸案事業が今動き出したところであります。これらにつきましては、やはり国の役割として、その役割の中で一定のあるいは応分の御支援はお願いをしたいところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/95
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096・黒澤丈夫
○黒澤参考人 この問題は、私どもの仲間が全部同じように理解しているわけではございませんが、多くの方々は今までと同じような政策が続くであろうというような気持ちで来年度を考えておられるということは御指摘のとおりだと思います。
そういうこともありますので、私はなるべく早く、非常に起債等々についても窮屈な時代が来るんだというようなことの説明は、政府や国会の先生方からもなるべく多くいただけるように御配慮をお願いしたいと思いますし、同時にまた、来年度から急速にぱたっと変わったような規制措置を起債の面で行って、地方側が窮地に立つようなことのないように御配慮をお願いいたしたいと思います。
もう一つは、条件不利地域に対しましては、できる限り温かい御配慮が起債の面からもいただけるような方向で対処していただけたらありがたいとお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/96
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097・濱田健一
○濱田(健)委員 ありがとうございました。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/97
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098・中川秀直
○中川委員長 これにて濱田君の質疑は終了いたしました。
次に、上田清司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/98
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099・上田清司
○上田(清)委員 三万の参考人の皆様には、貴重なお時間を、いろいろと御提案、御提議をいただきましてありがとうございます。
私は、たまたま志木市長は選挙区の市長でございまして、日ごろから尊敬してやまない方でございまして、こういう形でまみえるとはまた夢にも思っておりませんでしたので、きょうはせっかくですので、市長の卓見をまた改めて伺いたいと思います。
これは谷本知事もそうでございますが、地方への負担の転嫁が行われないようにしてほしいという、これは細田市長も申されましたが、どのようなことを具体的に考えておられるか、一つでも結構でございますので、こんなことが地方負担として懸念される、そういうふうな見方をお申し述べいただければ大変ありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/99
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100・谷本正憲
○谷本参考人 個別具体の事例はちょっとすぐ念頭には思い浮かばないのでありますけれども、かつて国庫補助負担金を一律にカットをして、それを交付税で受け入れられないので、地方債を発行して対応したというようなことがございます。そして、その地方債の元利償還金は、後年度、交付税で手当てをするというような措置がかつて講じられたことがあるのですけれども、これなどは本当はもう理屈抜きで国庫補助負担金を一律にカットしてしまう一つの例ではないのかな、こういうふうに思うわけであります。
そういった形で、要するにそれぞれの事務事業の中身を余り深く検討もせずに、国庫補助制度をやめて事務事業だけは残す、こういうことになりますと、あとは地方公共団体が自前で財源を調達してやらざるを得ない、こういうことになるわけでありますから、その辺の一つ一つの事務事業をつぶさにやはり御検討をいただくということが大事だろうと思います。
そういう意味で、安易に補助金だけをカットして、事務事業だけが残されて、そして負担だけが地方へ転嫁をされる、こういうことがあっては絶対に困る、こういう意味で申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/100
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101・細田喜八郎
○細田参考人 地元の先生ではありますが、ヒアリングなしにお尋ねをいただきましたので戸惑っておりますけれども、私どもの立場から申し上げますと、日々、町づくりの中でも、大変関係の多くの皆さんのお力添えをいただきながら町づくりの展開を図っているところであります。したがって、それぞれの施策一つ一つが市民の将来に向かって、あるいはあすの市民の生活も考えながら努力をいたしているところでありますが、さらに今後に向けましても精いっぱい努力をしてまいりたいと思います。先生にもよろしく御指導をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/101
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102・上田清司
○上田(清)委員 十八条関係でちょっとお伺いをしてみたいと思います。
御承知のとおり、公立義務教育諸学校等の教職員の給与の国及び地方公共団体の負担の抑制を図れという文言でございますが、この点についてお三方に、これも地方のいわば負担がふえていくだろうということが懸念されているわけだというふうに私は理解しておりますので、どのような御感想を持たれているか、感想でも結構でございますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/102
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103・谷本正憲
○谷本参考人 公立義務教育諸学校のいわば教職員の人件費は、国と地方でそれぞれ負担をし合っているわけであります。その抑制というお話が今あったわけでございますけれども、これは必要な定員は標準法、法律の中で定員が決められておるわけであります。その定員を、現下の財政状況にかんがみて必要な、例えば削減を、調整を加えるということであるならば、これは国と地方がそれぞれ負担をしなくていい、こういうことになるわけであります。
ただ、そういったところに、例えば検討を加えずに単に国庫負担金だけをカットということになりますと、これはその分は全部今度は地方がかぶらなければいけない、こういうことでありますから、その辺のところは、そういったことも十分念頭に置いた上で、そしてこの財政構造改革も念頭に置いていただきまして、十分やはり御検討をいただきたいな、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/103
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104・細田喜八郎
○細田参考人 当然のことながら、地方の時代と言われる今日でありますから、地方の独自性というものも遺憾なく出しながら、そして効率のいい市政運営をしていこうということに日々努力をいたしているところであります。したがいまして、すべてが安易に国庫負担を求めたり期待をするということではなくて、市の、地方の独自性というものも考えながら、あるいはまた各般にわたっての御指導をいただきつつ効率的な行政展開を進めていかなければならないという使命感は持っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/104
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105・黒澤丈夫
○黒澤参考人 教育に対する先生等の負担は国と県の問題であって、町村は関係ないと思いますが、強いてそういう面から意見を述べさせていただくならば、私は、地方教育委員会というものがありながら、地方教育委員会の権限というものは非常に形式的なものであって中身がない。
推進委員会の席でも私は訴えてきたのでありますが、地方教育委員会というものを置いて教育行政をやっていただく以上は、財源までも町村に回して、自分の好きな先生を、もう来たときから山の中は嫌だというようなのが今でもあるのであります、そういうような先生でなく、真に恵まれないところの教育に熱意のあるような先生を選ぶということになれば、地教委の力というものをそこまで上げていただく必要がある。ですが、今の段階におきましてはそういうことになっておりませんから、私は、国と県がしっかりやっていただく以外にはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/105
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106・上田清司
○上田(清)委員 ありがとうございます。
特に、与党の皆様方にお願いしたい点でございますが、定員を割っているようなところで削減をしていくというような意味合いであれば、これはまた意味のあることでございますけれども、そうではなくて、総額で削減していくということになりますと、いわゆる市町村あるいは県レベルでの教育の水準の低下というような問題にもつながることだというふうに私は思っておりますので、その点についても、法案の中身を詰めていく段階でしっかりと御指導していただきたいということをあえて申し上げる次第であります。
もう時間がありませんが、最後になりますけれども、私は志木の市長をヨイショするつもりはありませんが、かねてから志木市はソフト事業に力を入れておられる市でございます。お金で勝負するということじゃなくて、お金の金額は少ないけれども市政について市民が誇りを持つような、そういう市政というもののあり方もこれから地方自治体として大いに考えていくべきではないか。とかくハードのミニマムをきちっとつくっていくというところに視点があったがゆえに財政が膨張していくという、そういう嫌いがあったというふうに私は思っております。
この点につきまして、最後でありますが、細田市長、御見解を一つだけお申しいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/106
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107・細田喜八郎
○細田参考人 従来からも、町づくりというのは、やはり市民の皆さんの創意工夫を尊重しながら展開をしていかなければならないというように考えております。したがいまして、先ほど来種々議論がありますように財政事情も非常に厳しい中でありますが、市民の皆さんと一緒になってこの厳しい財政事情の中を乗り切っていきたいと考えておりますので、よろしく御指導をいただきますようお願いを申し上げたいと存じます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/107
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108・上田清司
○上田(清)委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/108
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109・中川秀直
○中川委員長 これにて上田君の質疑は終了いたしました。
以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。
この際、暫時休憩いたします。
午後四時五十七分休憩
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午後五時十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/109
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110・中川秀直
○中川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、ただいま議題となっております両案件中、財政構造改革の推進に関する特別措置法案に対し、池田元久君外一名から修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。池田元久君。
―――――――――――――
財政構造改革の推進に関する特別措置法案に対
する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/110
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111・池田元久
○池田(元)委員 私は、提案者を代表し、議題となりました内閣提出の財政構造改革の推進に関する特別措置法案に対する民主党提出の修正案の概要と提案理由について御説明をいたします。
民主党は、国民の皆様に痛みを伴う財政の構造改革を進めるには、何よりもまず財政に関するあらゆる情報を国会に開示し、予算審議などを通じて、財政事情について国民の皆様の理解を得る必要があると考えております。
しかし、政府案では、財政健全化の目標すら国民の理解を得るのは困難です。政府案は、財政赤字の指標として「中央政府と地方政府の貯蓄投資差額の合計額」を用い、これを二〇〇三年度までに国内総生産、GDPの三%以内にするとしていますが、貯蓄投資差額といっても、ほとんどの国民には理解できません。しかも、貯蓄投資差額には、外国為替管理特別会計など為替相場次第で変動する事業会計の収支も含まれまして、国会で予算案を審議している段階では確たることもわかりません。これでは、法律で財政健全化の目標を決めても、国会で予算を民主的にコントロールすることは不可能と言っていいでしょう。
そこで、民主党の修正案では、財政健全化の指標を、国全体の借金を最も端的にあらわす「国と地方自治体の公債発行額及び借入金の総額」に改めております。これにより、財政健全化の指標はわかりやすくなり、予算書や地方財政計画と政府の経済見通しを合わせれば、予算審議の段階で容易にその達成状況を確認できることになります。
二〇〇三年度までに赤字国債ゼロというもう一つの目標も、財政の構造改革にはむしろ有害です。従来のように国債を赤字国債と建設国債に分けて、赤字国債を悪者扱いにし建設国債は野放しにするという財政運営のやり方では、今日の累積債務の拡大を防げなかったことを厳しく反省しなければなりません。
財政の健全化には、国全体の公債発行額や借入金の総額を国の経済規模に対して一定以内に抑制することが重要です。赤字国債という部分ではなく、国債全体を管理することで新たな財政運営の規律を確立する必要があります。いわば公債発行の総額管理、国と地方の債務の総額管理という考え方で、イギリスのコントロールトータルがこの考えに基づいて運用されております。こうした考え方に立って、修正案では、国及び地方公共団体の公債発行額及び借入金の総額を毎年削減するように努め、二〇〇三年度までに国内総生産比で三%以内に抑制していくことを財政健全化の目標としております。
また、政府案のように、集中改革期間と称して三年間にわたる分野別の歳出上限、キャップを設けることは、予算の重点配分という本来の財政構造改革を阻害し、かえって財政の硬直化を招くおそれがありますので、修正案では関連条文をすべて削除しております。分野別キャップ方式を日本版コントロールトータルというべき債務総額管理方式に改めることで、初めて財政規律の確保と予算の重点配分を両立できると考えます。公共事業や教員配置に関する計画の一律二年延長も、構造改革にはつながらないので、関連条文をすべて削除しております。
各歳出分野別の方針については、公共事業予算は、入札制度改革や公共事業に関する計画の見直し等を前提に抑制する方針を明記しました。文教予算は、三十人学級の導入等を急ぐ観点から、矛盾する政府案の文言を削りました。防衛関係費では、肥大化する後年度負担の抑制を図る観点から、国庫債務負担行為の縮減に努める旨の規定を追加しております。医療保険や年金制度改革など、何ら構造改革の方向性を示さない努力義務規定も、不要でありますので削除しております。
財政再建の抜け穴を防ぐ意味で、補正予算の編成は、災害や予想を超えた景気の悪化など、予算編成後の事由に基づく緊急かつ避けることのできない経費に限定すべきことは言うまでもありません。それでも、阪神・淡路大震災のような事態があれば、一時的に財政再建のペースを緩める必要も生じます。そこで、修正案では、公債発行額及び借入金の増額を伴う補正予算の国会提出に際して、目標年次までの残りの期間に必要な歳出減または歳入増のための計画を国会に提出するように政府に義務づけております。これはいわば日本版のペイ・アズ・ユー・ゴー、収支相償原則と言えるものです。これにより国会で、十分な情報をもとに、場合によっては財政健全化の目標年次を動かすといった議論もできるようになります。
こうした柔構造の財政健全化の枠組みのもとで、修正案では、毎年その執行状況に照らした見直しを行うことにしております。
以上が、民主党提出の修正案の概要であります。本当の、真の財政構造改革を実現するには、債務の総額管理という民主党の修正案を可決する以外に道はないということを委員の皆さんに強く訴えまして、提案理由の説明とさせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/111
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112・中川秀直
○中川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/112
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113・中川秀直
○中川委員長 内閣提出の両案件及びただいま趣旨説明を聴取いたしました修正案について議事を進めます。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
両案件審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/113
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114・中川秀直
○中川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/114
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115・中川秀直
○中川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中井洽君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/115
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116・中井洽
○中井委員 最初に、民主党にお尋ねをいたします。
ただいま、大変立派な、法案に対する修正案を御説明をいただきました。私どもも、かねてから骨子等をちょうだいをして検討を進めてまいりました。ほとんどの点で異議はないわけでありますが、この骨子の中に、二〇〇三年度まで毎年、国と地方自治体の公債発行、借入金総額を減額、こうなっております。この点で、景気対策あるいは財源問題を含めて、御党の考え、新進党の考え、少し違いがあるのかな、できる限りこの修正案に私どもも理解を示していきたいと考えてまいりました。
この委員会の質疑の中で海江田委員等の質問を聞かせていただいておりますと、国債に関しては、例えば赤字国債、建設国債、区別すべきじゃないのじゃないか、あるいは現行超低金利下で、場合によっては借換債を増発してやるというのも一つの方法じゃないか、こういう質疑がありました。
そんなところを考えてまいりますと、私どもは、かなり違いというのは幅を減らしてお互い乗り越えられるところまで来たかな、こんなふうに考えておりますが、今法案におきまして私ども新進党と民主党との大きな差異となっているその点につきまして、御説明を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/116
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117・海江田万里
○海江田委員 中井委員から質問がございました件でございますが、私どもは、赤字公債と建設公債の区別はもう既に時代おくれになっているのではないだろうかということは、当委員会でも再三指摘をしたところでございます。
また、当委員会がお呼びをした参考人、四人の経済学者の方たちがいらっしゃいましたけれども、その方々もこもごも、私どもの考え方に同意であるというような発言もございました。
この赤字公債と建設公債の区別をなくすることにつきましては、私どもは、当委員会ではございません、国会に対しまして、財政法の改正案の中で、もうそのような区別をなくすることが必要であるということを法案化をしまして、そして国会に提出をしているというところでございます。
それから、中井委員御懸念の、私どものこの修正案の中で、毎年毎年の赤字、建設公債全体を含めた公債の発行残高あるいは借入金に対して一定の枠をはめるべきではないだろうかという御指摘でございますが、これは私どもの出しました修正案第六条に該当しますが、ここをよく読んでいただきたいわけでございます。
ここは、「国及び地方公共団体は、平成十年度から平成十五年度までの間の各年度における国及び地方公共団体の公債の発行額及び借入金の額の総額が当該各年度の前年度における公債の発行額及び借入金の額の総額を下回るように努めるものとする。」という表現になっております。
それから、これはもう既に御案内だろうと思いますが、第七条で、「補正予算を提出する場合における歳出の削減等に関する計画の作成等」ということで、補正の手当てということも、これは私どもは考えているところでございます。それはまあ今の池田委員からの趣旨説明の中でも十分説明をしたはずでございますけれども、この補正も、私どもはやはり必要な歳出の削減または歳入の増加に関する計画をしっかりとしたものを出して、その計画の範囲内でこの補正、これはもう私どもは、建設、赤字の区別のない公債を発行するということにすればよろしいのではないだろうかという内容でございます。
どうか私どもの意のあるところをお酌み取りいただきまして、そして、私どもの修正案に対する賛同方をよろしくお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/117
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118・中井洽
○中井委員 ただいまの御説明よくわかりました。党に持ち帰りまして、大至急真剣に検討させていただきたい、このように思います。
政府にお尋ねをいたします。
御承知のように、準大手証券会社の三洋証券が三日、会社更生法の手続を開始いたしました。かねてからいろいろなうわさがあったわけでありますが、ついに証券会社もこういう状況になってきたかと複雑な思いであります。冷静に対応がなされ、証券界が混乱に陥らないことを望んでおりますが、先ほど予算委員会等では、そういった面についての質疑は既に十分おやりになったと思いますので、私はここで一点だけお尋ねをいたします。
昨年、住専の処理が行われましたとき、私どもは、住専のようなノンバンクに税金を投入するのはおかしいじゃないか、法的処置を行えば十分だ、こういったことを申し上げてまいりました。それに対しまして政府あるいは与党側から、そんなことはできない、間に合わない、ありとあらゆる御意見をちょうだいをいたしました。
しかし、これ三洋証券に対しては、わざわざ三日間休みの最終の休みの日に手続を申請させて、しかも、その中で財産保全命令もきちっと出さすということをおやりになっておる。住専のときにどうしてこれをやらずに、今三洋証券でこういう方法をおとりになったのか。昨年の議論を踏まえて、大蔵大臣、お答えをいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/118
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119・三塚博
○三塚国務大臣 住専のとき、なぜ新進党の提案を採用しなかったか、こういうことでありますが、端的にお答えを申し上げますと、日本の不良債権の問題の象徴的なものが住専であったと考えております。その早期処理を図ることにより、預金者保護と信用秩序の維持を図る、ここに最大の目標を置いたところでございます。部分的、総合的な検討の結果、信用秩序の維持を図ることが大事、前段申し上げました預金者保護の観点もこれあり、こういうことであります。
今回の三洋の問題につきましては、当事者間において全力を尽くされたことは承知をいたしております。特に、証券業本体というよりも、関連ノンバンクの業容の悪化という特殊事情がありましたことを理解をしておるところであります。
よって、顧客資産は、関係金融機関や寄託証券補償基金の協力によりまして、顧客の要求に応じ円滑に返還されるよう、顧客資産には万全を期す、こういうことにさせていただきました。
三洋証券は、今後、会社更生法という透明性のある法的枠組みの中で会社再建に向かうということになります。同証券の再建に向けての努力を見守ってまいると、あわせて答弁をさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/119
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120・中井洽
○中井委員 大蔵大臣独特のお話でありますが、申し上げたいことは、預金者保護という言葉を住専でお使いになりますが、住専はノンバンクでありまして、預金者の預金を預かったわけではありません。このノンバンクをつぶしてはならないということであるならば、三洋証券のノンバンクもつぶさなければいいじゃありませんか。同じ金融機関に悪影響を与えるというのなら、三洋証券でも住専のときの金融機関でも同じことであります。それを透明な公平な法的措置、こうやって、住専のときに私どもがそれを言ったときには全然違うことを言われたでしょう。これはどうしてですか、こう聞いておるのです。中身だとか何か、そんなこと聞いておりません。端的に、どうしてだとお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/120
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121・三塚博
○三塚国務大臣 本件は三洋証券自身の御判断であった、このことが前提に相なります。それを踏まえ、一般的に申し上げますと、証券業は仲介業であることから、ストック商売である銀行業とは違うということであります。顧客資産の引き出しとは別に、証券取引の仲介業務は行うことが可能であると考えられることがございました。
今回の件については、証券業本体の問題というよりも、前回申し上げましたとおり、関連ノンバンクの業容の悪化という特殊な事情であるということであります。そのことを会社再建の見込みがあると判断して、会社全体が会社更生法の適用を決定した、こういうことと理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/121
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122・中井洽
○中井委員 余りこのことばかりで時間をとりたくありませんが、大蔵大臣が言われるたびに反論したくなるので言いますが、例えば、銀行と証券と生命会社が違う、こうおっしゃるのなら、それでは住専のときにも、証券あるいは生命保険の住専だけつぶせばよかったじゃないですか、銀行関係の住専だけ助ければよかったのでありましょう。そのときには全部一丸めで助けて日産生命はほったらかす、これは法的措置、こういうやり方で世間の人が、金融機関全体の不良債権の処理、本当に進んでいるな、こういう安心感を抱くかどうか、私はまた別だろう、こう思っています。
私どもも、ありとあらゆる金融機関の不良債権が早急に処理されていく、このことが大切なことは承知をいたしております。しかし、そのときそのときで都合のいい理屈を垂れて、そして先行きの見えない処理をずるずるとやっていること、これが今の日本経済に一番閉塞感を与えておるんだ、先行き不安感を与えておるんだ、このことを申し上げておきたいと思います。
それから、もう一つ申し上げておきたいことがあります。それは、損失補てんのときにも私は当時の橋本大蔵大臣に申し上げ、その後も何度か委員会で申し上げたことがございます。
今回、こういう倒産事件相次ぐ中に、証券、銀行を含めまして不祥事が起こり、捜査当局の手が入っているわけでございます。損失補てんのときも、これらの一流企業で責任をとってたくさんの方が職を辞されました。しかし、本当に職を辞したかというと、相談役や顧問におなりになって、前よりも高い月給をおもらいになっておる。それでは責任を果たしていないと私は申し上げました。
今回、野村証券を含めて幾つもの証券金融機関に捜査の手が入り、そして逮捕者が出ておりますけれども、そこにおいても、記者会見でお謝りになられて責任をとられておるが、聞かせてもらうと、責任をとった人が大半会社に残られておる、相談役だ顧問だとやっておられる。こういうことでは世間は、金融機関が身を正した、こういうふうには受け取らないと私は思います。
過般の橋本内閣の佐藤孝行さんの任命の後始末と同じであります。責任はとりました、後はちゃんとやります、何もとっていない。上に立つ者が、特に金融機関というところで働く方々が本当に身を処す、会社のためにやったことであれ何であれ法的にだめなことはだめ、こういう毅然たる姿勢を持つことが世間の信頼回復に一番つながる、私はこう思っています。
この点について大蔵大臣のお考えをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/122
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123・三塚博
○三塚国務大臣 経営者の経営責任、まさにそのことは自己責任の身の処し方であろうと存じます。民間会社でございますけれども、これだけの大事件を起こしましたことについて、毅然たる態度で身を処しますことが金融機関の信認を得る最大の道であろう、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/123
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124・中井洽
○中井委員 次に、景気対策についてお尋ねをいたします。
尾身長官は、当委員会におきましても予算委員会におきましても相変わらず、穏やかな回復基調にあるけれども停滞、こういう楽観的を通り越した御判断を示されておるわけでございます。かつて、私が商工委員長をさせていただいておりますとき、尾身さんは野党筆頭の理事さんで、中小企業対策を含めてすさまじくかわいがっていただいたことを思い出しておりますが、あのころの元気はどこへ行ったんだ。あなたがしゃべると余計不景気になりそうな感じすら昨今はいたしております。
過般、少し景気の動向について訂正をされたように私は聞いておりますけれども、当委員会最終の質疑に当たりまして、改めて現在の景気動向についての御判断をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/124
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125・尾身幸次
○尾身国務大臣 最近の景気動向、御存じのとおり、四月以降のいわゆる消費税の駆け込み需要の反動がございまして、二・九%というマイナスを記録いたしました。
それで、景気の動向を見ますとそれぞれ区々でございまして、消費につきましては、個人所得、賃金所得等はやや増加をしている、雇用も上がっているものの、消費がもう一つはかばかしくないという状況にございます。
設備投資につきましては、企業の収益も増加をしており、そして設備過剰感も低くなっているという状況の中で、徐々に増加はしているわけでありますが、これもまだまだ本格的な回復過程にあるというふうには言えないと考えております。
建設は、住宅建築は消費税の反動がございまして大幅減を示しているところは御存じのとおりでございます。
輸出入でございますが、これは、輸出の伸びが非常に強くございまして、景気の下支えをしている。
個々に申しますと以上のようなことでございますが、総体として申し上げますと、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動もございまして、足元の景気回復のテンポは緩やかになっております。基調としての回復基調は変わっていないと考えておりますが、言うなればやや足踏み状態というふうに考えている次第でございます。最近の数字を見ますと、景況感等につきましてやや厳しさが増しているかなというふうに考えている次第でございます。
中井委員には従来から大変御指導いただいておりますが、総理からの御指示もございまして、今月の半ばには経済対策を政府としてまとめることにしております。
そういう中で、規制緩和を進め、民間の活力を十二分に発揮できるような体制をとること。それから、企業活動が国際的な展開をする中で日本という国が、外国の企業や日本の企業から、生産活動や事業活動の拠点として選ばれるような環境をつくり上げること。もうちょっと具体的に言いますと……(中井委員「いや、具体的には結構です」と呼ぶ)そういう課税の問題等々で考えております。
それから、土地の問題につきましても、いわゆるバブルのしこりを取るという意味での土地資産の流動化あるいは有効利用、活用を図るということでございまして、そういう中長期にもわたります経済構造改革を進めることによりまして、将来の景気に対する信頼感を回復し、そして消費や設備投資も含めまして、経済を順調な回復軌道に乗せていきたいと考えている次第でございます。
財政は非常に厳しい状況でございますから、そういう手段で回復をしてまいりたいと思いますし、景気状況についての認識については、私自身が一つ一つの指標についてかなり細かく見ておりまして、注意深く見守っているところでございます。
したがいまして、政策の方もしっかりとしたものを出して、景気回復を本当に回復軌道に乗せられるようなものにしていきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/125
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126・中井洽
○中井委員 だれも景気が悪いことをよしとしているわけじゃありません。少しでも景気回復するようにと議論しているわけであります。尾身長官のお立場はよくわかります。
しかしあなたは、この間まで当委員会、予算の総括においては、労働力人口がふえておるじゃないかとか、あるいは実質賃金は上がっておるじゃないか、こういうことも数字を挙げられて、景気は穏やかな回復基調にあると言ってこられた。
しかし実際には、我が党の鈴木委員から、先ほど予算委員会で違うんじゃないか、こう言われたから、数字をもう挙げなくおなりになっておる。現実には、実質賃金もあるいは労働力人口も、最近また前年比マイナスになってきているんでしょう。そういう数値じゃなしに、私どもが感じております実際経済というのはすさまじい不況にあると思っております。
私はこの間、この法案のスタートに当たりまして、本会議で質問をいたしました。そのときに、株価一万八千円を割っているじゃないか、こういうことを言いました。このときにいろいろ議論しましたが、質問しておる最中に、一万八千円回復したらどうだとか、いろいろな議論もあったわけであります。
だが、現実にもう三週間の間に、きょうは一万六千五百円ですか、こういう状況にあります。これは、〇・五%の公定歩合、超低金利で株価がこんな安いなんということはあり得ないことでありましょう。そういう中での大不況だと私どもは考えております。
この不況感、私どもの焦るような思い、日銀総裁はどのようにお感じになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/126
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127・松下康雄
○松下参考人 最近の景気の状況につきまして、私どものまず判断から申し上げたいと存じますが、最終需要面におきましては、やはり個人消費や住宅投資の総じて低調な動きから、また生産が、一部の業種での在庫調整の動き等もございまして横ばい圏内の動きとなっておりますことから、そういったことを背景に企業の景況感もこのところ慎重、やや慎重なものとなっているように思われます。
ただ、その一方におきまして、純輸出や設備投資は増加傾向を続けておりまして、これが経済活動を下支えしている面がございます。こういった設備投資の増加の背景には、企業の売り上げ、収益が全体としては増収増益傾向を維持していることが挙げられると思います。
そういう点から、雇用や家計所得面におきましては、これは景気減速の影響が徐々にあらわれまして、増加テンポは鈍化をいたしておりますけれども、全体として見れば、なお引き続き緩やかな改善基調にあるというふうに考えているわけでございまして、我が国経済は、消費税率引き上げ等の影響が依然尾を引いておりますが、しかし、景気回復の基盤そのものは損なわれないでいるというふうに見ております。
今後、私どもは、個人消費が回復に向かい、また、在庫調整圧力が低下をいたしますにつれて、景気はいずれ再び緩やかな回復テンポを取り戻すというふうに見ておいてよろしいと考えております。ただ、この点につきましては、消費の回復テンポとか、あるいは在庫調整の進捗度合いでありますとか、さらには企業や家計のマインド面の動きも含めまして、私ども、引き続き注意深く点検をしてまいりたいと存じております。
このような景気、物価情勢でございますので、当面の金融政策の運営に当たりましては、引き続き景気回復の基盤をよりしっかりとしていくことに重点を置きまして、情勢の展開を注意深く見守ってまいることが適当であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/127
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128・中井洽
○中井委員 お立場もわかりますし、苦しい物言いであることもお察しをいたします。
しかし、先ほど予算委員会で総理も初めてお認めになったわけでありますが、この超低金利、〇・五%、銀行の金利がほとんどつかず、年金生活者を中心にほとんど利子配当がないときに、消費税を無謀にも、あるいは私どもの主張を無視してお上げになった。このことが日本経済、一般消費を直撃した、私は間違いなかろうかと思います。
先ほど日銀総裁は、消費動向も見なければならないとおっしゃっておるけれども、こういう超低金利下でなかなか消費動向というのは上がってこないんじゃないか。いつまでたっても、この〇・五%を続けているならば、景気回復というのは望めないだけじゃなしに、ずるずるとアリ地獄に入っていっていると私は心配をいたします。
私自身は三重県でありますが、ありとあらゆる産業が興ったり、まあまあ凋落したり、また新しい産業が出たり、柔軟に対応した県であります。この県におきまして、私が心配していますのは、私の知り合いの中小企業が、もう子供に継がさない、もう自分の代でやめるという人が続々と出てきておる。日本を支えているのは中小企業の方々の本当に、親より子、子より孫の代で、こういう思いで頑張る姿勢だと僕は思っています。
そういう人たちが、もうこれはだめだ、自分の一代で終わりだ、こう思うような政策を今おとりになっておるんじゃないか。〇・五という超低金利、長期金利は一・六ですか、物価上昇を考えますと本当に金利なしみたいな政策で、それで企業の経営がおっしゃるようにそんなにいいですか、みんなあっぷあっぷしているんじゃないでしょうか。
これは〇・五、どういう状況になったらおやめになって金利を普通の状況に戻されるんでしょうか。これは、世間は、銀行を初め金融機関、そしてそこから最大融資されておるゼネコン、ここを助けるために〇・五を続けざるを得ないんじゃないかとみんな思っていますよ。どうでしょうか。
〔委員長退席、白川委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/128
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129・松下康雄
○松下参考人 私どもが、一昨年でありますが、公定歩合を〇・五%に引き下げるということを決断をいたしましたときの目的は、一つには日本経済が当時、非常な円高の影響下にございまして、この経済を放置しておきますならば、デフレの悪循環に陥りかねないようなおそれもあるということ、そのような状態を防止しなければならないということが一つございました。
また、私どもとしましては、低金利によりまして、企業あるいは市場の自信というものを回復していくことができると考えたわけでございます。
これらを通じまして、日本の経済を自律的な回復の軌道に再び戻すということがねらいでございました。
その後、約二年余りが経過をいたしたわけでございますけれども、私どもの考えますところでは、これまでのこの金融緩和政策の浸透もございまして近年の景気が緩やかな回復を続けてきたのでありまして、現状は、四月以降減速局面に入っておりますけれども、全体としての景気回復の基盤は損なわれるには至っていないと思うわけでございます。
低金利の効果というものは、やはりこれは主として、日本の企業に対しまして資金調達のコストを軽減するということから企業の収益を下支えをし、また、そのために企業の投資に対する意欲を高めるという点が主要なところでございます。
銀行の点についての御指摘がございましたけれども、銀行の金利は、預金、貸し金それぞれほぼバランスをしておりますから、調達金利が低下すると同時に貸し出しの金利も低下をいたします。ただ、低下の時期に早い遅いがございますので、金利が低下する局面のときには調達金利から先に低下をいたしますために、一時的に銀行の収益が増加をする局面はございますけれども、それはもう現状におきましては既にその局面は終わっていると考えられますので、低金利のそういうメリットは企業の側に参っているわけでございます。
ですから、私どもは、やはりこの現在の状況におきまして、なお日本経済を自律的な回復の筋道に戻していきますために、現状の金融緩和政策を持続することによって、これを活用して企業が収益の増加、業容の拡大に努力していただくことを期待しているわけでございます。
一つつけ足して申しますが、家計に及ぼす影響の御指摘がございました。この点につきましては、確かに家計部門は金融資産と金融負債と両方持っておりますけれども、金融資産の方がずっと多く保有しておられますから、低金利の効果というものは、金利のネットの受取額を減少させることに働いていることは事実でございます。
ただ、私どもは、一方でそういうマイナスの効果はありますけれども、他方でやはり企業自体が元気を出しまして、雇用の維持とか、あるいは賃金の維持あるいは改善というようなことに努力をしてまいりますれば、そのメリットというのは広く家計全般に及ぶわけでございまして、現状におきましては、やはり預金の金利の低下によりますマイナスを上回る、全体としての雇用なり個人の雇用者所得なりから生ずる利益が期待できるものと思っております。
もちろん個々の家計にはいろいろな違いがございますから、私どもも、大変金利に多くを依存していらっしゃる御家庭は今非常に苦しい状態にあるというふうに感じますけれども、今の経済全体をそういうふうにして活力を高めてまいりますために、どうかしばらくこの状況において、私どもの政策維持ということに御理解をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/129
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130・中井洽
○中井委員 お話を承りますと、当時円高で大変であった、そしてこれを是正して、そして企業が、あるいは景気が円滑に循環するようにこの〇・五%をとったのだ、こういうお話でございます。
今考えますと、円は百二十円、こういうところでまあまあ安定をいたしておりますから、一つの面では目的を達成されたのだろうと私は思います。
もう一つ、一方、景気、企業、こういうことを考えますと、日本で最大の雇用を誇っておりますいわゆる建設業、ここはさっぱり、厳しい環境にある。ことしの予算で、あるいは来年度においても公共事業を削っていく。しかし、九二年から九六年まで毎年一〇%ずつぐらい建設業はふえてきた。従業員数もこの間に七十万人ぐらいふえているのですね、建設業界で。
そうすると、この法案では、公共投資基本計画、これを三年延長して六百兆円を四百七十兆円、バブル前の普通の公共計画に戻すのだ、これは、たびたび大蔵大臣言われておる。戻すということは、これだけの会社の数や人員が余剰だということでしょう。これが整理できるまでは回らないではないですか。ということは、〇・五%を続けるということですか。ここに私は、政府あるいは金融当局のおやりになっておられる経済政策や金融政策の矛盾があると思っています。
私どもは、財政再建をしなくていいなんて言っておりません。もっと厳しくやろうと言っております。しかし、今のこの景気の現状を見たときに、思い切った景気対策というのが必要ではないか、そうでなければ日本経済は死んでしまいますよ、こういうことを提言しているわけでございます。
どうぞ、この〇・五、超低金利政策、二年続けておられる、この厳しさというものも御認識をいただき、御判断いただくことを要請して、日銀総裁、これでお帰りください。
この法案のことにつきましては、私どもは、何度も申し上げておりますように、今申し上げた景気対策上という面で一つは大きく反対であります。同時に、この間、三週間にわたりまして真剣に議論をいただきましたが、中身がどうもさっぱり脇に落ちてこないというところばかりでございます。
先ほどから民主党の修正案の提案理由の中でも述べられておりましたが、GDP比三%、これはこれで結構でありますが、ここの数値に貯蓄投資差額という数値を使って、一部事業特別会計、財投あるいは旧国鉄長期債務等が入っていない。あるいは、三%という数値は出しているけれども、この間ここで参考人の御意見を聞きましたら、石参考人の方から、まあ三%は少し幅を持たせるのですよ、こういう極めて気楽なお話があったりした。また、そういう数値はあるけれども、累積債務残高の数値というのは全く入っていない。あるいは、来年度は公共事業、ODA、具体的に削る数値が盛り込まれておるけれども、再来年以降は平成十年を下回るというだけで具体的な数値も入れていない。平成十五年にこれができなくても何ら罰則、こういったことも書かれていない。
私どもは、そういった意味で、これは財政再建、構造改革だ、こう言いますが、名前だけで抜け穴だらけの法案かな、こういう思いがますます募るわけでございます。熱意や決意は言葉で伝わってまいりますが、中身の、あるいは実際の財政構造改革ということに値しない法案かな、こんな思いで反対であります。
こういう中で、一つだけ御確認を申し上げたいことがございます。北側議員がたびたび議論をいたしましたが、要調整額という数値が、経済成長三・五あるいは一・九、こういう場合で出されているわけでございます。これを見ますと、まあこれだけ削ったんだけれども、どうしてもこれだけ足りなくなりますよ、こういうことが書かれているように思えてなりません。これは、従来の大蔵省的やり方からいけば、必ず増税になってまいります。私どもは一生懸命削った、行政改革もやった、地方分権もやった、規制緩和もやったけれども、足りないのは仕方がないじゃないか、これでは私どもは、あるいは国民はたまったものではありません。
大蔵大臣は、増税をやらずにというニュアンスの御答弁はたびたびされましたけれども、重ねてお尋ねをいたします。この期間、増税なしに財政再建ということをなし遂げられる、この御決意であることは間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/130
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131・三塚博
○三塚国務大臣 ただいまの状況の中で、直ちに増税という環境にございません。この財革法の中に数値目標を明示をし、抑制することをまた明示をし、そこで御協力をいただくわけでございますから、聖域なき見直しというこの言葉に表現される歳出全体の制度、またその費用対効果、必要性というものにメスを入れることが大事であります。同時に、公社公団またしかりであります。ありとあらゆる分野にわたってこれを見直すわけでございますから、そういうことの中で、来年度予算編成、十二月末に行われますけれども、要調整額がその努力によって達成をされる、こういうことで進まなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/131
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132・中井洽
○中井委員 どうも増税はやりませんとはおっしゃらない。こういうところを見ますと、これはすべて、行革も含めて、増税が当然のことだとするための理屈づくり、こう思わざるを得ません。私どもは、そういう形での財政構造改革に反対をいたします。
そういう中で政府が、今もお話ありましたが、財政の改革だけじゃない、行革もやるんです、こういうことでしばしば言われている行革について、幾つか私の思いといいますか、私個人の意見を申し上げたいので、大臣諸公の率直なお考えをお聞かせをいただけたらありがたいと思います。
まず最初に、政府の行革会議であります。この行革会議の中に、NHKの会長、また、ある新聞社の社長、今、NHKの会長は前会長になられたと思いますが、お入りになっている。私は、このことは、政府自体がこの行革会議あるいは行革の必要性を宣伝をするためにマスコミの代表者をお入れになったことは、しばしばとられる手段だ、このように思いますが、しかし、NHKの会長を入れるというのは聞いたことがありません。NHKの会長が政治的に中立であることは当然。その方が行革会議で物を言う、判断される、私はとんでもないことだとかねてから思ってまいりました。
NHK会長と某新聞社の社長がおられるから、どうしても行革会議で議論したことがいろんな形でテレビ、新聞に出る。もう決まったように思われる。それがまた国会あるいは与党内、いろんな議論、これはさっぱり、国民から見ると何をやっているんだ、こういうことになってきておるんじゃないかと思っています。特に、某新聞社の社長は特定のことに関して熱心でありますから、これに逆らう議論というのは、なかなかのせないみたいなところもある。私はそこら辺、少しこの行革会議のメンバーの選び方が違うんじゃないか、こんなふうに思いますが、長官、いかがですか。
〔白川委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/132
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133・小里貞利
○小里国務大臣 行革会議のいわば構成メンバーにつきまして、特定の機関の理事者がお入りになっておられるがどうか、そういうお話でございますが、私は本来、この構成メンバーの御選任あるいは依頼というものは、各方面のいわゆる国民的すそ野を広く対象に置きまして、それぞれ造詣の深い方々を各界各層から適切に、かつまた公平な視点で、しかもその効果を最も大局的に国民の皆さんに評価をいただけるであろうという一つのあとう限りの期待を持って指名をしたものであろう、かように確信をいたしておる次第でございます。
決して先生のお言葉を返すわけではございませんが、現実に、行革会議のまさに五十数回にわたる議事録等も大まかに読み通してみましたが、それぞれ専門的な立場から、あるときには大学の先生が、あるときには今御指名がありましたような方々等から大変貴重な御意見を賜っておる、さように判断をいたしておるわけでございまして、ぜひ御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/133
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134・中井洽
○中井委員 小里さんは御存じかどうかわかりませんが、前会長は芸能局の出身でございまして、私は、彼が行政改革に深い学識を持っているとは到底思っておりません。
ついでに言いましたならば、民営化を論じるなら、一番先に私はNHKの民営化を論ずるべきだ、行革会議は。国民一人一人がいつまでNHKの受信料を負担するんですか。もうNHK、役割は果たしたんじゃないでしょうか、日本じゆうにあまねく放送を提供する。僕は、NHKが民営化して他の民放とよりよい競争をしてもらうことは、日本のマスコミのよりレベルアップにつながる、こう思っております。この点について郵政大臣、お考えいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/134
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135・自見庄三郎
○自見国務大臣 中井委員にお答えいたします。
NHKの使命についてどういうふうに思うのか、こういう質問でございますが……(中井委員「いやいや、そんなこと聞いていません、端的に聞いています」と呼ぶ)端的にですね。
NHKは公共放送でございますから、先生御存じのように、広告主の意向や視聴率にとらわれない豊かな広い放送番組の提供をやっておりますし、また、山間僻地に放送の普及維持、いわゆる少数者向けの番組の提供など収益性の低いサービスの実施をいたしております。また、御存じのように、ハイビジョンなんかにも代表されますように、やはり、放送技術の研究開発ということをやっておりまして、先生も御存じのように海外への情報発信ということ、あるいは公共性の高い役割をやっておりますので、現在NHKと民間放送の共存体制の中で切磋琢磨することが私は大事じゃないか。
そういった意味で、NHKの現行体制、公共放送ということで受信料で成り立っているわけでございますが、受信料は財源を広く国民に直接求めてあるものでございますが、これはもう御存じのように、予算も決算もこの国会で御承認をいただくということでございますから、そういった意味で、私は、現行体制でいくことが適当ではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/135
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136・中井洽
○中井委員 国民一人一人の負担から考えたらもういいんじゃないか。国際放送をやっていることもすべて承知の上で申し上げております。
次に、旧国鉄の長期債務。本日も、政府が無利子分の先送りを決めたというニュースが出ておりますが、膨大な赤字を、これ、どうするんだろう、本当に心配をいたしております。
過般、大蔵大臣は、これで増税しません、赤字国債、出しません、こう当委員会におかれても断言をなさり、みずからの努力、こういうことでございます。JR各社が努力で返せるとは到底思えません。そうしますと、運輸省関係かな、こう思いましたとき私は率直に――本年、行政改革委員会で、イギリス、カナダへ視察に参りました。あのニュージーランドのいろんな行革の話も聞いております。私は、ニュージーランドやイギリスやカナダの行革というのは、実は余り参考にさせていただくところがない。ただ、一点、カナダの空港や港湾を商業化、エージェンシーじゃないんですね、民営化でもない、商業化という言葉、私どもも、概念としてどうもわからないところ、まだございますが、やって大成功した。これは大変おもしろい発想だと僕は思っております。
ニュージーランド等は、空港も民営化をしたようですが、空港の敷地やらそういうものはみんな無償で出しちゃったんですね。ところが、カナダはこれ、リースしている。そして管制官やらの施設は売却した。これ、物すごく利益が上がって、お互いがよくて、しかも利用者から見ると物すごいサービス向上につながっている、こういう事例をつぶさに勉強させていただきました。
大臣も、予算委員会でカナダヘお行きになったということでございます。もちろん、一遍にいくとかどうということではありません。しかし、発想を変えれば幾らでもあるんじゃないか、こういうふうに思います。大臣、率直な御意見、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/136
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137・藤井孝男
○藤井国務大臣 ただいまの中井委員の御指摘は、私は一つの見識だと思います。委員御自身がカナダ、イギリス、ニュージーランド等、視察されたということで、もうこれについて私の方から御説明する必要もないと思います。
私も、先般七月に、委員会の視察としてカナダ、イギリスを訪問いたしました。とりわけカナダにおきましては、この行財政改革に中心的な役割として担ってこられたマルセル・マッセ財務委員会委員長兼インフラ担当大臣にもお会いして、今委員御指摘のこともお伺いしました。確かに、成功をおさめて、進められております。
ただ、それを我が国の空港、港湾に当てはめますと、今委員もおっしゃられたとおり、そういきなりというわけではないけれども今後の課題としてということは、私どもは、率直にそれは、これから検討といいますか、考えていかなきゃならない一つの識見だと思っています。
ただ、まだ我が国の港湾、空港そのものが、カナダはもう大規模な港湾、空港を整備されている上での今回の改革だったと思います、そういう中で、むしろ、私どもは、空港につきましても、まだまだ成田におきましても羽田におきましても、その他の国際ハブ空港、こういったものについてはこれから引き続きまだ整備をしていかなきゃならない、そういう状況であります。
港湾につきましては、我が国の港湾は、その管理者は地方自治体であります。カナダの場合はそのほとんどが運輸省等国が直接、一部三十二港湾程度民営化されておりますけれども、そういった形態の違いもありますけれども、しかし、そういった中で、これからの長期債務に対して、こうしたものをどんどん取り入れて、それの利益をそうした債務に充てるということも、我々としては、カナダのやり方については一つの参考にいたしますけれども、現状で私どもがこのカナダの方式等々を受け入れることについては、まだちょっと無理があるかなと思います。
いずれにしましても、今、政府・与党で構成されております財政構造改革会議の企画委員会におきまして、あらゆる今度の長期債務につきましての細部をどう処理すべきかということを検討いたしておりますので、それについて、これからも処理策について検討していきたいと思っておりますが、委員のおっしゃられていることは一つの見識だと承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/137
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138・中井洽
○中井委員 自治大臣にお尋ねをいたします。
先ほどの参考人の質疑でも、地方自治体の合併問題、出ておりました。三千三百、地方自治体があって、それぞれに住民サービスをやっておられるわけでありますが、今の交通網あるいは通信網の発達した世の中で、本当に三千三百の市町村が要るのか、また、本当にそれほどの地方公務員を抱えるだけの余裕があるのか、含めて、私どもは論議のあるところでございます。
私どもの党は、五百から三百の市に集約をする、こういうことを掲げてあります。例えて言えば、三千三百で、御承知だと思いますが、六万五千人の首長さん、地方議員さんがおられます。一年間の給与は七千億円であります。これ、五百の市にして、三十人の市会議員、こうしてやった場合に、月給、倍払ったとしても三千億円というところじゃないか。
何も地方議員さんだけじゃありません。当然国会も削ればいいんですよ。しかし、こういったことを含めてやらないと、もうもたないんじゃないか。国家の財政、地方財政、もたないんじゃないか。それは増税を幾らでもできるというのならもつんでしょう。先ほどから聞いていますと合併というのはなかなか難しそうでありますが、自治大臣として、これ、この法案にも進めると書いてありますが、どういう形で地方自治体の合併促進をお図りになる予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/138
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139・上杉光弘
○上杉国務大臣 お答えをいたします。
市町村の合併につきましては、市町村の行政体制を整備するという行財政改革、分権推進とセットのものだと私は認識をいたしておるわけでございます。したがって、さまざまな議論がありますように、地方の行政組織につきましては十万とか十五万でまとめる、あるいは三十万で行政区を整備してはどうかというような御意見等もあるわけでございます。
しかし、市町村の人口がばらつきがございますし、多いところもあれば少ないところもある、あるいは構成社会が違う、農村部が多かったり、あるいは市街地が多かったり、三千三百にはいろいろと個性のある市町村があるわけでございます。したがいまして、数で決めて、そしてそれを地方にやれというようなことはなかなか難しいのではないか、そのように認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/139
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140・中井洽
○中井委員 地方自治というのは当然であろうか、しかし、財政再建をやるというのなら、思い切ってやっていかないと何もできなくなってしまう。
例えば、私、あるところで調べていただいたんですが、人口六万の市がおありになる。清掃、消防、市民病院含めて六百五十人ぐらいの人がおられる、職員がおられる。これ、かなり少ない方なんですよ。この自治体で持っておる自動車、大臣、幾らだと思いますか。二百三十台。二百三十台、自動車をお持ちだ。
ついでに言わせていただきますが、皆さん、お帰りになって一度お調べください。皆さんの役所、自動車は余り多くありませんが、ガソリン、年に八回ぐらい入札されておるが、全部百十円じゃないですか。今ガソリンなんか九十八円で売っていますよ。この二百三十台持っています市は、毎回入札して百十五円です。
こんなことはいっぱいあるのですね、やろうと思えば。だから、そこら辺を一々一々言うわけにいきませんから、やはり思い切った町村合併、こういったことをして、全体的に構造を変えていくのが一番じゃないでしょうかと申し上げているところでございます。
また同時に、ここに岡田議員もおられますが、私ども、去年、三重県知事のしりをたたきまして、いわゆる空出張、二年間全部暴きました。七億円ぐらいだと言っていたら、十五、六億出てきたと思っています。その当時、日本じゅうの都道府県の空出張、食糧費問題、どのぐらいの金額になっているのだと自治省に聞きましたら、十九の府県で一千九百五十億円である、こういう数値もお出しをいただきました。だから、そういった意味で本当に、税金の有効な使い方、これをするためにどうあるべきか、お考えをいただかなければならないと私は思います。
それから、有効に税金をどう使うかということで一つだけ、私、この国会で十数年の間に二回やりました議論を蒸し返しますので、ぜひ御返事をお聞かせいただきたい。
それは、過般橋本総理が御提言なすったそうでありますが、国税で地方税も全部徴収する。決定するのはみんな地方ですよ。これ、どうしていけないのか、私はさっぱりわかりません。地方税関係の職員さんは九万五千人から十万人おられます。国税は約五万七千。多分五千人国税をふやせば、地方税全部徴収が可能だろう。これ、徴収すること、何か地方自治に違反しますか。私は何も関係ないと。決定は地方自治体、徴収は国税庁、そしてその浮いた人数は福祉なりなんなりに回していく、そういうこともお考えになったらどうだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/140
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141・上杉光弘
○上杉国務大臣 お答えいたします。
前段で質問ございました、税金を有効に使う、また地方の財政運営の中でむだを省くということは当然のことでございまして、行財政改革の中でも、歳出の抑制を図るためには効率のいい一つの歳出というものを考えていかなければならぬことは当然だと思っております。
そこで、税の一元化についてでございますが、行政改革会議においては、省庁の再編に関連いたしまして、国税と地方税の徴収一元化の問題について議論をされておるわけでございまして、中間報告において、「地方自治との関係等を問題とする見解もあるので、この点については、今後、真剣に検討すること」とされておるわけでございます。現時点におきましては、徴収一元化の具体的な姿は明らかではございませんが、地方自治の観点から論議されるべき多くの重要な問題があると考えておるわけでございます。
国税は申告制であり、地方税は幅広のものを、小さな税を見つけてこれを徴収して財源といたしておるわけでございますから、御指摘のように、大変徴収コストのかかる税を地方では集めておる、国税とは違うそこの問題もあるわけでございまして、このようなことも十分踏まえた上で、地方公共団体の御意見等もお聞きしながら、十分に検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/141
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142・中井洽
○中井委員 ほかの大臣の方々、もう一問ずつ聞きたかったのですが、もう時間がありません。どうぞ、結構でございます。
大蔵大臣に、最後に二点お尋ねをし、御意見を伺います。
この行政改革で、私どもずっと聞いておりますと、何か大蔵省を分割することが行政改革の目玉だ、こういう論議がある、あるいはこれが確定的な空気になっている、こんなふうに見てまいりました。いろいろな論議や、この間からの金融監督庁の設置の法案等見てまいりましたが、どうも私は少し違うのじゃないかなという気がいたします。
それは、大蔵省を分割するのに反対という意味ではありません。日本の大蔵省はかなりの権限を持った役所であります。しかし、私自身、国会へ出て大蔵委員もやらせていただきましたが、どうも主計局がいろいろなことで失敗を重ねてきているのじゃないか、この責任というのは重たいのだろうと私は思っています。同時に、いろいろな役所の仕組みの中で、予算編成というものはやはり政党がもっとやってもいいのだろう、こういう思いもございます。
そういう意味で、万々一、大蔵省分割という議論があるのならば、私は予算編成、この主計、この面を分離する、このことが一番合理的な発想じゃないかと思いますが、あえて大蔵大臣にお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/142
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143・三塚博
○三塚国務大臣 それぞれのセクション、それぞれの任務を持ってやっておると思っております。御案内のとおり、財政の分離という議論もございました。住専の批判等もこれあり、そうであったと思っております。
本件については、中間取りまとめにおいて、預金者保護、危機管理、破綻処理等は重要であるということで仕切りが行われておりますが、三党の会議、政府行政会議の会議の結果を私の立場は正視をして見ていく、こういうことであります。既に金融監督庁は、金融の不祥事件にかんがみ、来年の六月にはスタートを切るであろうと言われております。日本銀行は、御審議をいただきまして、開かれた独立性を付与されまして、今全力を尽くしておるところであります。
主計局の改組ということかと思いますが、本件は中井議員から本日ただいま初めて承りました。承ったということで答弁にかえさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/143
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144・中井洽
○中井委員 これはどなたが御答弁いただくのか、最後に。
調べておりましたら、妙なことが六月の三日におまとめになった財政構造改革の推進方策の中に出ております。それは、「定員・人件費」のところの「両院議会費、国会議員の歳費については、両院議長の下において、現下の財政事情に照らし早急に検討されるべき事項である。」こういう大変きつい口調で書かれておる項目でございます。
もちろん私どもは、国家財政厳しい折、定数削減、いろいろなことについて議論することにやぶさかではありません。しかし、国会の給与は国会法においてきちっと定められ、これの変更についてはまた別問題であります。大蔵を含め、政府・与党の皆さん方が御議論なすって、ありとあらゆる人件費について書かれているならともかく、人件費については「抑制する。」こう書いてあるだけで、他の人件費は何も触れず……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/144
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145・中川秀直
○中川委員長 中井君に申し上げます。時間が参りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/145
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146・中井洽
○中井委員 そしてこの国会だけ触れてあるということは、私は少しルールが違うのじゃないか。しかも、極めて厳しい口調で書いてある。されるべきであると書いてある。この点については、国会と政府の関係上からぜひ御判断をなすっていただきたい。
このことを申し上げ、本当は民主党の皆さんに私の勝手放題な行政改革の案を聞きたかったのですが、時間でございますのでお許しをいただきまして、質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/146
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147・中川秀直
○中川委員長 これにて中井君の質疑は終了いたしました。
次に、枝野幸男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/147
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148・枝野幸男
○枝野委員 それでは、民主党を代表して質問をさせていただきたいと思います。
私ども民主党は、未来への責任を立党の精神にしております。そうした観点から、財政の健全化が待ったなしの状況にあるということについて、政府・与党以上に強い危機感を持たせていただいていると自負をさせていただいております。
特に個人的に申し上げますと、まさに高齢化社会のピークが二〇二〇年から二五年ごろにあるということがもう明らかになっております。そのとき、私は今三十三歳でございますので、ちょうど五十代であります。大臣席にお座りの大臣の皆さんを初めとする世代の皆さんを我々の世代が高齢化社会のピークのときに支えなければならない。当然のことながら、世代間扶養という観点からしっかりと支えさせていただく責任世代となっていかなければならないと思っておりますが、しかしこれ以上のツケを我々の世代に残されたのではやりたくてもできない。もうこれ以上のツケは残さないでいただかなければ、先輩方の世代を私ども責任を持って背負っていくことはできないということをまず申し上げたい。
そうした観点から、今回出された法案、財政の健全化も、残念ながらこれまでの議論で明らかなように、抜け穴だらけでありますし、ましてや法案の表題にあります財政構造改革といった構造改革の中身は全く出されていない。私どもとしては政府の原案をこのまま成立をさせることには断じて反対であるということをまず申し上げたいと思います。
財政構造改革については、財政の健全化と財政構造の改革を両立し得る柔軟な枠組みを定めていく必要があると考えております。こうした観点から、政府案に対する民主党の修正案の内容とメリットについて掘り下げて修正案の提案者の皆さんに質問をさせていただきたいと思っております。
まず、修正案では財政健全化の指標として、財政赤字をストレートな表現で、国及び地方公共団体の公債発行額及び借入金の額の総額としておりますが、例えばいわゆる借換債などはどのように扱うのか、そういったことを含めて公債の定義を明確にしていただければと思います。また、なぜ貯蓄投資差額ではなくこうした指標にしたのか、具体的な説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/148
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149・池田元久
○池田(元)委員 大変基本的な点から御質問をいただきました。
まず、修正案で財政健全化の目標としております国及び地方公共団体の公債発行額及び借入金の総額の定義につきましては、財政健全化の目的が国及び地方自治体の長期的な債務を管理し財政収支の均衡化を図ることにあることから、当然のこととして、返済期限一年未満の蔵券、大蔵省証券、為券といった短期証券はその中には含まれておりません。
また、委員お尋ねの国債整理基金特別会計法に基づいて国債整理基金特別会計の資金繰りのために発行される借換債も、財政収支を悪化させる要因とはならない性質のものでありますので、含めないことにしております。したがって、予算書に書かれている財政法第四条に基づく四条公債、建設公債と、従来特別に立法措置によって発行される特例公債、赤字国債の合計が国債発行額ということになります。地方公共団体につきましても、この基準を準用いたします。
それから、指標の問題をお尋ねでございますが、政府案が出しております貯蓄投資差額ではなぜいけないのか、そういう認識だと思いますが、政府案では、貯蓄投資差額の計算に一般会計の負担となる国鉄清算事業団の赤字や国有林野事業特別会計の赤字は含まれない計算になります。一方で、一部の先進国では、国際収支の勘定に外国為替収支が計上されているのですが、日本では、先ほどまで総裁がいらっしゃいましたが、日銀ではなく大蔵省が市場介入をしているために、中央政府の勘定に計上されていることになっておりまして、これによって財政以外の要因で大きく収支が左右されるおそれがあるわけです。これでは、財政収支の状況を正確に反映した指標とは言えないのではないでしょうか。
それに比べて、我々の提案であります国債発行額及び借入金の総額は毎年の予算で確定するものです。予算審議の段階で、予算書や地方財政計画で確認し議論することができるという点で、事後的な発表になります政府案の貯蓄投資差額よりはるかにわかりやすくなります。国会による予算の民主的コントロールを図る上でも、指標としては修正案の方が望ましいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/149
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150・枝野幸男
○枝野委員 次に、修正案では、財政健全化の目標から赤字国債ゼロという目標値を削除していますが、これによる問題がないのかどうか。それから、これに関連いたしまして、財政法等の改正案を国会に提出していますが、修正案のみが成立して財政法の改正案の方が成立しなかった場合、問題が生じないのか。この二点について、あわせてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/150
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151・池田元久
○池田(元)委員 お答えをいたします。
土光臨調以来、我が国の財政再建論議の中で、常に赤字国債ゼロの目標がいわば金科玉条として掲げられてきましたことは皆様御承知のとおりです。しかし、それが果たして今後本当に財政の健全化に役に立つのかということは、この委員会の参考人質疑等でも繰り返し指摘されたところであります。
諸外国を見渡しても、国のレベルで赤字国債と建設国債を区別して管理しているのは我が日本だけです。地方政府レベルでも、アメリカの州レベルで公債の分割管理をしている例があるぐらいなのです。橋本総理御自身も、そろそろ赤字国債と建設国債の区別をやめることについて検討することをにじませた答弁をされております。財政規律について、新たな工夫が必要な段階に来ていると考えます。
民主党は、国会に提出している財政法等の改正案で、財政法四条を改正して、この赤字国債と建設国債の区別をなくすこと、つまり国会の議決した金額の範囲内で特別立法によらずとも公債を発行できるようにし、公債の発行総額を管理していく仕組みを導入するように提案しているわけです。
国の借金に赤や白といった色がもともとついているわけではありません。償還の確実性という点から、建設国債の中にも灰色のものが少なからずあることは皆様御承知のとおりです。国と地方の債務の総額を管理し、予算の透明性を高めていくことで、毎年の予算審議の過程で、経済情勢を踏まえて、国会のコントロールが働く仕組みに変えていく必要があると考えております。
民主党の財政法等の改正案などが不成立となる、そういうことは考えたくないのですが、修正案のみが成立した場合には、引き続き赤字国債の発行にはその都度特別措置法を制定する必要がありますが、修正案で提起されております財政健全化の枠組みを執行する上での問題は特に生じないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/151
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152・枝野幸男
○枝野委員 確かに赤字国債で、人材の育成やあるいは将来にわたっての技術を育てていくというようなことで国債が残るのであれば、後世代の者としても、むしろそれは歓迎すべきところ。しかし逆に、物が残るからといっても、米をつくらない田んぼや人が通らない道路のために建設国債でツケを残されても、後世代の人間としては到底承認できない。そうしたことを考えても、赤字国債と建設国債の区別というものはナンセンスであると考えます。
そこで、修正案の債務の総額管理という考え方について伺いたいと思いますが、民間企業の会計は複式簿記で、資産があればそれに見合った債務というのが対照されて出てきているわけですが、御承知のとおり、国の会計は大福帳であります。貸借対照表などありません。債務の総合管理という以上は、債務に見合った資産があるのかどうかという点も大事であると思いますが、この点についてはどうなっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/152
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153・海江田万里
○海江田委員 債務に見合った資産が国にあるかどうかということは大変重要な観点でございまして、これは私どもも委員会の場で政府側に答弁を求めたところでございますが、大蔵大臣等は、資産がどのくらいあるのかということは、はっきり申し上げまして、お答えができなかった。
これはそういう意味では、大蔵大臣がお答えができなかったということは、そういう意味での資産の評価あるいは資産の時価というものをやはり資料として現在とっていないというような状況があるわけでございます。こういう状況があると、私どもが財政の中身がわからないということだけではありませんで、やはり国民も財政の中身というものがわからないことになります。
そういう意味で、やはり議論する前提として財政の中身がわからなければいけないわけでございますから、財政の透明化を高めるという観点から、私どもはまず第一歩としまして、既に国有財産法の改正案を国会にお出しをしております。これは、河川や公園など公共用財産とそれから皇室財産を除く国有財産、これにつきまして時価評価を行いまして、国会に定期的に報告するよう義務づける法案でございます。
それからもう一つ、国の貸付金や債務の保証などにつきまして、この貸付金や債務が確実に償還されるものなのかどうなのか。これが確実に償還されない場合は将来補助金を投入をしなければいけないということになるわけでございますから、こういう将来の見込みにつきまして、これを調書にまとめて予算案と一緒に国会に提出するように義務づける、これは財政法の改正案でございますけれども、やはりこういう法案も現在国会に提出をしているところでございます。
これらの作業を通しまして財政の透明化を図るということ、それから先ほど委員から質問がありました、民間企業では当たり前の複式簿記であるということでございますけれども、これは何のためにそういう複式簿記を導入をしているかというと、やはりコスト意識でございますね。民間のコスト意識というものを、やはり私ども国の財政を運営をしていく、あるいは国の施策を実行していくという場合、政策のコスト意識を高めるということからも、やはり可能な限り国の公会計にも導入をすることが必要である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/153
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154・枝野幸男
○枝野委員 次に、政府案では分野別のキャップという考え方をしておりますが、修正案では債務の総額管理という考え方、この優劣について伺いたいと思います。
そもそも、三年分の予算の内訳にまで立ち入って法律で決めておくというのが国会の予算審議権との関係で相当な問題があると考えておりますが、さらに言えば、分野別キャップを法律で定めることは、かえってそのキャップの内側ならオーケーということで予算の既得権化を進めるという側面が強過ぎると考えます。特に政府案のままでは、近い将来、鹿野内閣でも菅内閣でも結構でございますが、政権が交代をして大胆な予算の重点配分を進めようとした場合に、この法律自体が邪魔になるのは明らかであります。
修正案ではこうした点の問題はないのかどうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/154
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155・海江田万里
○海江田委員 今おっしゃられた、一つは予算の既得権化ということ、これともう一つ、これは当委員会でも議論のあったところでございますけれども、やはり予算委員会等の国会の予算審議権を縛ることになるのではないだろうか、この二つの問題点をまず挙げることができるかと思います。
それから今御指摘のありました、要するに三年間予算の枠組みを縛ってしまうわけでございますから、その三年の間に政権交代があるのではないだろうか。私どもはこれはぜひあってほしい、あってほしいというよりも主体的にそういうことを求めるわけでございますが、仮に十二月に政権交代があったような場合、これは今のこの政府が出しております法律を改正をしなければいけない。この法律の改正と予算の編成というもの、順番からいけば、これは法律の改正の方を先にしなければいけないということになるわけでございますから、それによって予算の編成がおくれる、それが景気等に与える影響というものも非常に大きな問題ではないだろうかという点が挙げられると思います。
それからもう一つ、実はこれは小選挙区制度の導入がこの問題をまさに一つの方向性として目指しているわけでございますけれども、国民がやはり政策を選ぶ、政策選択による政権交代を可能にするということでございます。これを全部枠組みを決めてしまうと、政策を選ぶ幅がもう狭められてしまうということになりやしないだろうかということでございます。
私どもはキャップをかけておりませんから、キャップをかけていないということは、つまり、そこでもってそれぞれの政党がやはり政策を、自分のところは今こういう時期だからやはり減税が必要なんだ、こういうような考え方もあるでしょう。あるいは、今これから高齢化社会に向かってまさに福祉の青写真をしっかりしたものにするということが必要である、そのためにこういう福祉の内容を充実させることが必要であるというようなことを、それぞれの政党がそれぞれの政策の優先順位の中で予算に盛り込むでありますとか、あるいは選挙の際の公約に掲げるということ、このことが私は可能になるのではないだろうか。そうして選挙などの場合はその政策を有権者に選んでもらうということが可能になるということでございまして、現在の、個別の予算の中身についてキャップがかかっているということは、そういう、政党が政策を国民に対して提出をしていくということを大いに奪うものであるということはやはり指摘せざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/155
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156・枝野幸男
○枝野委員 次に、補正予算との関係についてお伺いをしたいと思いますが、本案では、修正案では補正予算についての縛りが厳しくなっているというふうに理解をいたしますが、例えば景気対策等の理由で補正予算が必要な場合も、当然のことながら、状況によってはあり得ることは否定できない。あるいは人事院勧告の実施などは、当初予算を組んだ後に人事院勧告が決まりますので、こうした場合に補正が必要になるようなこともあると思います。こうした場合の対応というのはどうなっているのか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/156
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157・池田元久
○池田(元)委員 大変大事な論点の御指摘だと思います。
補正予算については、ウルグアイ・ラウンド対策費のように当初予算の編成時点から明らかな経費を補正予算で組むようなことは、財政規律をゆがめることになります。財政法第二十九条の原則、緊急かつ必要な支出に限る、それも予算成立後生じた事由による、そういう原則を徹底する財政法の改正を我々は提案をしております。
しかし、阪神・淡路大震災や経済の急激な変動などで予期できない事態が起きたときにどうするか。そういうときは政治判断で公債発行を増額する補正予算を編成することがあるのは当然だと考えております。
その際に、修正案では、残りの期間の間に財政健全化の目標を達成するにはどのような歳出増に見合った歳出削減または歳入増を図らなければならないかを計画として国会に提出するよう、政府に義務づけております。これはいわば日本版ペイ・アズ・ユー・ゴーの原則、つまり収支相償の原則でありまして、景気対策などを名目に補正予算によって財政規律がゆがまないための歯どめの措置となっています。
こうした厳しい枠組みのもとで、政府から出された計画が果たして実現性があるのかどうか、あるいは少し財政健全化の目標年次をずらしても災害や景気のために対策を行うかどうかは、まさに国会で議論して与野党の合意で決めていく問題でありまして、それこそまさに国会の問題であるということを強調したいと思います。
重要なことは、そうした議論ができる素材となる計画を政府に出させまして、毎年この法案の執行状況を検証しながら財政健全化を進めていくという柔軟な枠組みを整備しておくことだと考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/157
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158・枝野幸男
○枝野委員 景気対策のためという補正予算であっても、中身次第ということだろうと思っております。
最近自民党さんが発表した緊急経済対策では、ウルグアイ・ラウンド対策費を含む補正予算を早期に編成し、成立を図るという項目がありますが、そもそもこうした対策費は、予算成立後に突然降ってくるような災害とは違いますし、予算成立時点で予期できなかった経済状況の変化とも全然違います。当然のことながら、こうしたことは当初予算で入れておくべきであり、そのときに入れなかったということは予算編成を間違えたということであります。
こうした補正の提案をするということは間違えましたということですから、まず責任をとって総辞職をしていただいた上でなければお出しになるべきではないし、それぐらい政治的に重い歯どめをつけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/158
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159・池田元久
○池田(元)委員 補正予算の内容は千差万別であります。そのときの経済情勢等にもよりますので、補正予算のすべてについて画一的な議論はできないと考えております。
しかし、今委員御指摘のように、当初予算の編成時から財政構造に取り組むということが明らかであったのに、今の状況ですね、当初予算で編成すべきウルグアイ・ラウンド対策費のような予算を補正で計上するということがあるとすれば、その政治責任は厳しく問われるべきではないかと考えております。仮にそうした予算が提出された場合には、これを認めるかどうかはまさに国会の予算審議権の中で、国会において判断すべきものと考えるところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/159
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160・枝野幸男
○枝野委員 最後に、公共事業の件について、政府案で「重点化」「効率化」とだけしか書かれていなかったのを「抑制」という書き方に変えています。この点について簡単にお答えをいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/160
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161・海江田万里
○海江田委員 簡単にという御指摘がありましたので簡単に答弁させていただきますが、おっしゃるように、この政府案では、はっきり「抑制する」ということが書かれているところと、それから「重点化」「効率化を図る」ということが書かれている、書き分けがやはりあるわけでございますね。特に公共事業の場合は、前年度より七%削減するという内容が出ているにもかかわらず、実際の法案の表現というのが「重点化」「効率化」ということになっておりますので、これはやはり、先ほどの社会保障費などのように、削減をする、抑制をするという表現と比べてバランスを欠くのではないだろうかということで、私どもは、やはり公共事業についても、これは抑制をするという表現をとることがいいんではないだろうか。
それから、その削減の仕方でございますけれども、一律二年延長をするというような考え方じゃありませんで、やはり時のアセス、時間が来て不必要になったものはもうこれはやめるというようなこと、それから、特に自治体が自分の判断で補助事業をやめるということをやりますと、それまでのお金を返さなければいけないというようなこともございますが、これは、それまでのお金を返さなくてもそれがやめられるということ、これは補助金等適正化法案でございます、私どもが既に国会に提案をしてございますが。これがあれば自治体が独自の判断で自由にもう要らなくなった補助事業というものをやめられるということでございますので、そういう案も出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/161
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162・枝野幸男
○枝野委員 いろいろとやじられたり茶化されたりするのは結構でございますが、中身のしっかりとした議論を聞いていただいて、まじめに中身を検討していただければ、今回の私ども民主党の修正案の方が、財政の健全化あるいは財政構造の改革という意味では柔軟性があり現実性があるというふうに言えるんだというふうに考えております。
ちなみに、アメリカでは、一九九〇年の包括財政均衡法案は民主、共和両党の合意で圧倒的多数で成立をしております。財政構造改革、国家百年の計であります。与野党対立の中で、与党の数の力で成立をさせて済むような話ではないというふうに考えております。与党を含めて各党の皆さんが真摯に民主党の提案を受けとめていただいて、政府案をよりよいものにして、修正して成立させるべきものと考えます。
委員の皆さんの御賛同を私からもお願いをして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/162
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163・中川秀直
○中川委員長 これにて枝野君の質疑は終了いたしました。
次に、春名眞章君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/163
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164・春名直章
○春名委員 日本共産党の春名典章でございます。
参考人質疑に続いて、地方財政問題に絞って、短時間でありますが質問させていただきます。
法案の第四十一条では、平成十年度の地方財政計画の地方一般歳出の額が、平成九年度の地方一般歳出の額を下回るようにする、必要な措置を講ずるとなっております。
それで、自治省に御確認ですが、地方一般歳出の額が前年度を下回るということは初めてのことだと思いますが、これは御確認を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/164
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165・上杉光弘
○上杉国務大臣 御指摘のとおり、対前年度比マイナスとなるのは初めてでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/165
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166・春名直章
○春名委員 それ自身が大変なことだと思うのですね。
それで、こういうやり方がいいのかどうか、地方自治の観点から許されるかどうかということを次に問いたいと思います。
四十一条では、地方財政計画の問題が述べられておりますが、この地方財政計画の一番大事な役割、そもそもの性格というのは、地方の財源を保障するというところにあるのはもう周知の事実であります。それは、この地方財政計画の収支に大きな乖離が生じたときには交付税率あるいは行財政制度の変更を行う、地方交付税法の六条の三の二項ですが、交付税率あるいは行財政制度の変更を行ってこの財源保障をちゃんとやるんだ、これは国の責任なんだということを法律で書いてあるわけです。ここにも示されているように、地方財政計画の機能というのは、財源保障をするというところにあるんだということは明らかだと思います。
ところが、今度の法案では、歳出の部分だけ削るんですよ。歳出の部分だけ枠をはめて、キャップを決めて、これをやっていくというふうになるわけです。私、これは大問題だと思います。
地方財政計画の財源保障の機能というのは、収入そして支出、それぞれがどれだけになるのか、その結果財源不足が出たらその財源不足を補てんする、その補てんする責任は国にある、恒常的に財源不足が生じる事態だったら交付税率の引き上げなどをやらなければならない。この法律で支出にだけ枠をはめてしまうというのは、どう考えてもこの地方財政計画の性格を大もとから変えてしまうものになるんじゃないか、このことを明確にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/166
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167・上杉光弘
○上杉国務大臣 御承知のとおり、国が国債に依存しておる財政の体質から脱却できない以上は、地方財政は極めて厳しい状況に連動してあることは、もうおわかりのとおりでございます。
さような意味で、地方財政計画は標準的な歳入歳出を見積もることにより地方公共団体の財源を保障する機能を有しておるということは、もう御指摘のとおりでございます。
現下の地方財政は、毎年度多額の財源不足の状況にあり、その健全化が急務となっておるわけでございまして、その健全化方策につきましては、まず、総理や大蔵大臣からもたびたび申し上げておりますように、国民に新たな税負担をお願いできるような状況にはございません。
それを踏まえて、財政構造改革会議においては、歳出の抑制により財政の健全化を図るべきとされていることから、歳出の抑制を中心とした法案としているものでございますが、各年度の地方財政計画においては、その時点における歳入の見通しを確定した上で、地方財政の運営に支障が生じないように必要な財源補てんを講ずることといたしておりまして、地方財政計画の性格を変更しようとするものではございません。御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/167
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168・春名直章
○春名委員 それはおかしいと思うのですよ。
そもそも、歳出の上限を最初から決めてしまう、歳出でどれくらいこれから要るのかわからないけれども、最初から決めてしまう。それで、その不足額を補てんするというのが国の責任だということになっているわけですね。しかし、一方だけ枠を決めてしまうというのはおかしいと思うのですよ。
それで、私、ちょっと別の角度からお聞きしますけれども、地方財政計画がかつて国の方針に反するようなものになったことがあるのでしょうか。恐らくこれはないと思うのですけれども、これも端的でいいですから、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/168
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169・二橋正弘
○二橋政府委員 地方財政計画は、国の予算におきます歳出と地方の歳出の関係につきましては、常に整合性をとって作成いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/169
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170・春名直章
○春名委員 整合性をとってやられているということを言われました。
九五年の策定方針でも国と同一基調で、九六年でも国と同一基調で、今年度の地方財政計画の策定方針でも「極めて厳しい地方財政の現状を踏まえ、」こういうふうに書いてあるわけです。
もともと地方財政計画というのは、初めから国に反するような性格といいますか中身はないわけであります。にもかかわらず、大蔵大臣にぜひここのところをよく聞いていただきたいし、質問したいのですが、歳出の上限だけをあらかじめ決めてしまって地方財政計画にかぶせるのは一体なぜか。国の方針にも反していないし、整合性を持ってそもそもやっているのに上限だけは決めてしまう、なぜこんなことをするのですか。大蔵大臣、これは何か特別の目的といいますか、ほかの目的があるのではないかと私感じてしまうわけですけれども、そこのところをちょっとお答えいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/170
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171・三塚博
○三塚国務大臣 四十一条二項に「地方財政計画における地方一般歳出の額を下回るよう、必要な措置を講ずるものとする。」これは、この法律、財政構造改革の推進に関する特別措置法案は、毎回申し上げますとおり、次世代に赤字は先送りさせない、健全財政を確立することが第一、よって、そのためには特例公債の発行は六年目にこれをゼロとする、よって借金体質からの脱却を期することが、健全財政というその財政体質が持続的な経済成長の基本的な下支えになります、そういうことであります。
それと、地方、国合わせまして五百兆に近い、隠れ借金というものを入れますと五百二十兆になってしまいますが、これだけの膨大な赤字を抱え、国債費、公債費で国も地方も呻吟をしておる昨今の現況であります。これからの脱却のためには、スリムな政府ということにならなければなりませんし、そのために、国と地方あわせて、健全な地方自治体、健全な国の行政機関、そして、スリムであり、機能的であり、地域住民、国民から信頼される機関に生まれ変わらなければならない。こういうことのもとに同一歩調で取り組む。
地方財政は国の財政と並ぶ公経済の車の両輪であるということはかねがね申し上げておるわけでございまして、ともに厳しい状況の中でございますが、地方財政についてもその赤字をみずから縮小する、こういう観点で、国と同一歩調の中で財政構造改革を推進していこう、こういうことに尽きるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/171
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172・春名直章
○春名委員 車の両輪というのは、もう繰り返しお聞きしました。
第三章に「地方財政の健全化」という章を設けておられますけれども、それならば、私は、地方財政の健全化というのであれば、地方自治の本旨に沿ったやり方があると思うのですよ。こういうふうに歳出を、前年度、初めてのことをやる。そういうふうに上を押しつけて、三千三百の自治体いろいろ事情は違うけれども、この法律が決まれば、上限がそうやって枠が決められていくわけで、そこに従っていくということになるわけでしょう。
実際、一つ一つの自治体の自主性に配慮して財政を健全化していこうということであれば、今でも地方財政再建促進特別措置法という法律もあるわけであります。こういう法律があるのはもちろん御存じだと思います、中身はもう説明しませんが。あるいは、公債費の負担が高くなって大変な自治体に対しては、公債費負担比率適正化という行政指導を自治省自身がやられていらっしゃる。
既にこういうことをやっているのに、改めて地方財政計画の性格をゆがめるような、一律に規制をして上限を決めていく。なぜそんなことをする必要があるのかということが、私はおかしい、問いたいと思います。
それで、先ほど自治大臣が少し言われましたけれども、六月三日の閣議決定を読んでみまして、なるほどなと思ったわけであります。財政構造改革の推進についてという文書の中で、その閣議決定で、「地方財政の赤字の縮小は、財源不足を補てんするための特例的な借入金に依存する財政構造の改革」であるというふうに書いてあります。
この閣議決定と法案の内容を素直に読んでみますと、この法案の構造というのは、地方財政計画を作成する過程でその性格をゆがめて、歳出だけを圧縮することを通じて、財源不足をそのことを通じて減らしていく、できればなくしていく、そして国が支出する分をそこでなくしていく、これが本法案の一番のねらいであるというふうに私読み取れますが、どうでしょうか。大蔵大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/172
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173・三塚博
○三塚国務大臣 委員はそれぞれの前提を持って質問をされておるわけでございます。
だれも好きこのんで痛みの伴うものをやりません。やらなければならないところに来たというめぐり合わせの中で、政府、与党三党、そして内閣が、次世代のためにともに痛みを分かち合いながらやり抜きましょうと。そのことが、国と地方一体となって両輪のごとくその歩調を合わせてまいりますときに、よきふるさとが活性化し復活をするでありましょうし、大都市も、いろいろな諸問題を解決をして、これまた日本のよき伝統と文化をしっかりと保持し前進をするだろう、哲学はこういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/173
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174・春名直章
○春名委員 全然私の質問にはお答えにならないということがよくわかりました。それが哲学なのかということですけれども。
それで、私なぜこういう質問をしているかといいますと、今年度の通常収支だけで四兆七千億円の財源不足があるわけですね。一遍に四兆七千億円の財源不足をゼロにすることは、それは不可能です。そうですよね。幾ら歳出をやっても、そう簡単にはいかないです。それで、その後が問題になるわけです。そこで財源不足が出た場合に一体どうするか。国が財源不足を補うために支出しているその財源の割合をいかに減らしていくのかということを、この法案でできるようにしたいと。
私、ちょっとこれを聞きたいのですけれども、先日私どもの佐々木憲昭議員が、二兆一千億円から二兆九千億円もの要調整額、これは、目標をやろうと思ったときに、法案どおりやっても二兆九千億円ぐらいの要調整額が出る、これを一体どう解決するのかという質問をいたしましたところ、大蔵省はこうお答えになりました。地方交付金につきましても、地方財政計画を策定して、地方財政全体を見た上で精査をしてまいります、こうおっしゃいました。さらに、国債費、地方交付税あるいは歳入面において精査によってこれを解消していきます、このように御答弁なさっております。
また、九月九日付の日経新聞では、大蔵省は自治体の財源不足のために一般会計から支出するという特例措置、つまりこれも地方交付税ですが、特例措置を一兆円程度減らす方向だということも報道されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/174
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175・中川秀直
○中川委員長 春名君に申し上げます。
時間が参りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/175
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176・春名直章
○春名委員 大蔵大臣、地方への負担転嫁は絶対やらないと。この法案で私はそこを危惧しているわけであります。どんな形でも地方交付税には絶対に手をつけないということをきちっと言明をしていただきたい、このことをぜひお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/176
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177・三塚博
○三塚国務大臣 聖域なく見直して、車の両輪が仲よく、辛抱強く痛みを分かち合いながら、よいふるさと、よいお国をつくろう、こういうことに尽きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/177
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178・中川秀直
○中川委員長 これにて春名君の質疑は終了いたしました。
次に、粟屋敏信君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/178
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179・粟屋敏信
○粟屋委員 いよいよ最後の質問者であります。
私は、今の景気の状態また日本経済の先行きについて非常に心配をいたしておりますので、そういう点につきまして経済企画庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。
まとめて質問をいたしますので、後、簡潔に御答弁をお願いいたします。
現在の景況感ですけれども、国民所得統計、日銀短観、また、さきに経済企画庁が発表されました景気動向指数を見ましても、非常に心配であります。企画庁長官は足踏み状態であるということをおっしゃったけれども、後退局面に入ったのではないか、そういう見方もあるわけでございます。読売新聞の朝刊によりますと、主要企業百社にアンケートを出したところ、四〇%が後退局面だ、こう言っておるわけでございますが、企画庁長官の現在の景況に対する認識をお伺いいたしたい。
第二番目は、自民党の先般発表された景気対策でありますけれども、山崎政調会長は、これで年率〇・九%押し上げる、こうおっしゃったけれども、民間の機関によりますと大体〇・一%ぐらいではないかということが言われております。また同時に、発表された途端に株価が下がった。その経済対策に対する長官の評価。
それと、近くまた政府としての総合経済対策を御発表になるようでありますけれども、自民党の経済対策とどこが違うか、これだけ具体的に示すから株価は下がらないという御確信はお持ちかどうか、その点についてそのポイントをお伺いいたしたいと思います。
第四番は、この法律が成立をいたしました場合、経済政策の柔軟性が失われて、そして不況期に陥ってもこれを押し上げるだけの景気対策はできないのではないかという疑問がございますが、その点についてお伺いをしたい。
以上、四点についてお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/179
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180・尾身幸次
○尾身国務大臣 この四つの質問、大変大きな質問でございますが、時間をいっぱい使ってよろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/180
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181・粟屋敏信
○粟屋委員 時間いっぱいやっていただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/181
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182・尾身幸次
○尾身国務大臣 景気の現状につきましては、かねがね申し上げておりますとおり、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動もございまして、足元の回復テンポは緩やかになっている、いわば足踏み状態ともとらえている次第でございます。
ただ、中の状況を見ますと、先ほど日銀総裁のお話にもございましたが、消費に関しましては、賃金所得、雇用等もやや増加をして、この点についてはもうちょっと詳しい説明もできればしたいと思いますがそこを飛ばさせていただきますと、おります。
それから投資関係につきましては、企業収益も増大をしておりますし、それから設備の過剰感も少なくなっているということで、消費、設備投資ともに基盤としては回復の条件が整っているというふうに考えております。
それから住宅建築につきましては、駆け込みの反動がまだ続いておりまして、厳しい減少の状態である。
純輸出については、これは総じて言いますと、アジアの景気問題等の動向もございますが、全体としては極めて順調な拡大をしている、まあ景気の対策観点から申し上げますと。
以上、総合して先ほど申し上げましたようなことでございまして、設備投資あるいは消費が思ったほど順調に回復しないのは、やはり景気の将来に対するコンフィデンス、先行きの見通しについての景況感等のことではないかというふうに考えている次第でございます。
そういう中におきまして自民党の経済対策が出されまして、私どもとしては非常にこの内容について評価をしているわけでございまして、規制緩和の推進とか土地流動化・有効利用の促進、あるいは税制の改革、中小企業対策の充実等々ございますが、一般の市場といいますか、そういうところからの評価が実を言うと余り高くなかったのも事実かなと思っております。
この原因は、実は、私はいろいろあると思いますけれども、その大きな原因は、税制についての最終的な決定がなされない状態の中で景気対策を打ち出すということで、税制についてのきちっとした数字的な内容が決めがたい。これは、十二月の半ばごろに与党三党の税調あるいは政府税調で決めることになっておりまして、技術的に今すぐ決めるのが難しいという観点から、一部、税制についてもうちょっとはっきりした傾向を出すべきであるという御意見がございまして、それに対する期待がまだ時間的な問題で満たされていないという点も私はあるように感じている次第でございます。
ただ、内容的には大変に具体的なこともありますので、それを私どもとして十分受けとめて対応をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
そこで、これから私どもどういうことを考えているかということでございますが、自民党の方も今月の半ばに第二弾の対策を打ち出すということにしております。私どもも、与党三党と相談をしながら、今月の半ばごろには、これは第二弾というか、第一弾といいますか、政府の対策をまとめていきたいと考えている次第でございます。
その対策の内容につきまして、主な考え方を申し上げますと、一つは、経済のグローバル化時代に対応して、企業が国を選ぶ時代になった。そのときに日本という国が、例えば法人課税の問題が他の先進諸国と比べて高いという実態を踏まえて、他の先進諸国並みにする、少なくとも第一歩を踏み出すような法人課税の改正をお願いをしたい。それから有価証券取引税につきましても、必ずしもほかの先進諸国にない、あるものでないものでありますので、この点についての見直しも行っていただきたいということで、そして東京マーケットをロンドンやニューヨークに匹敵するようなマーケットとして活性化してまいりたいということでございまして、そういうことによりまして国内における企業活動が活発化するということを目指していきたいと考えております。
それから二つ目が不良債権の問題でございますが、このしこりを取らなければいけない。
それから同時に、非常に地価抑制という政策を長い間続けてまいりましたことに伴い土地利用がおくれているということでございまして、土地の流動化あるいは土地有効利用ということを目指して、これは規制緩和の面と、それから税制の面と、両面から対応してまいりたいと考えている次第でございます。例えば土地の売買についての規制緩和とか、あるいは税制面におきましても土地の流動化を促進するようなことを進めてまいりたいと考えています。
それから規制緩和につきましては、規制緩和を進めて民間活力を十分生かすような体制を整えていきたいと考えております。
それからさらに金融等の問題につきましては、中小企業に対する金融、いわゆるクレジットクランチの問題もございますので――いや、ゆっくりでいいとおっしゃったからやっているのですけれども、そういう点、間違いなく必要な資金が有効なプロジェクトあるいは正常な企業活動に供給されるような体制をとってまいりたいというふうに考えております。
そういう体制をとることによって、新しい時代に即した、民間需要中心の経済の活性化を図り、経済を正常な回復軌道に乗せていきたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/182
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183・中川秀直
○中川委員長 時間です。粟屋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/183
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184・粟屋敏信
○粟屋委員 今経済企画庁長官から御答弁ございましたけれども、やはり国民の信頼を得る、コンフィデンスという言葉を使われましたけれども、信頼を得る経済政策をきちんとやっていただきたいと思っております。
これをもちまして質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/184
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185・中川秀直
○中川委員長 これにて粟屋君の質疑は終了いたしました。
以上をもちまして、内閣提出、財政構造改革の推進に関する特別措置法案及びこれに対する池田元久君外一名提出の修正案並びに漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の一部変更について承認を求めるの件に対する質疑は終局いたしました。
次回は、明五日水曜日午前十時委員会、午前九時三十分理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後七時二十一分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104375X01319971104/185
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