1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年十一月五日(水曜日)
午前十時五十分開議
出席委員
委員長 村上誠一郎君
理事 井奥 貞雄君 理事 坂井 隆憲君
理事 萩山 教厳君 理事 村田 吉隆君
理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君
理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君
新井 将敬君 飯島 忠義君
石原 伸晃君 今村 雅弘君
河井 克行君 木村 隆秀君
小林 多門君 桜田 義孝君
杉浦 正健君 砂田 圭佑君
田中 和徳君 田中 昭一君
渡辺 喜美君 木村 太郎君
北脇 保之君 鈴木 淑夫君
中川 正春君 並木 正芳君
宮地 正介君 村井 仁君
海江田万里君 末松 義規君
佐々木憲昭君 秋葉 忠利君
上田 清司君 北橋 健治君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 三塚 博君
出席政府委員
大蔵政務次官 中村正三郎君
大蔵政務次官 塩崎 恭久君
大蔵大臣官房長 武藤 敏郎君
大蔵大臣官房総
務審議官 溝口善兵衛君
大蔵省主計局長 涌井 洋治君
大蔵省主税局長 薄井 信明君
大蔵省関税局長 斎藤 徹郎君
大蔵省国際金融
局長 黒田 東彦君
証券取引等監視
委員会事務局長 堀田 隆夫君
国税庁次長 船橋 晴雄君
国税庁課税部長 乾 文男君
委員外の出席者
大蔵事務次官 小村 武君
大蔵委員会調査
室長 藤井 保憲君
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十月三十日
内国税の適正な課税の確保を図るための国外送
金等に係る調書の提出等に関する法律案(内閣
提出第二号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第三号)
同月二十日
食料品の非課税実施、消費税の廃止に関する請
願(佐々木陸海君紹介)(第八三号)
同(中島武敏君紹介)(第八四号)
同(平賀高成君紹介)(第八五号)
同(不破哲三君紹介)(第八六号)
同月二十八日
食料品の非課税実施、消費税の廃止に関する請
願(平賀高成君紹介)(第一九四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
内国税の適正な課税の確保を図るための国外送
金等に係る調書の提出等に関する法律案(内閣
提出第二号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/0
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001・村上誠一郎
○村上委員長 これより会議を開きます。
この際、三塚大蔵大臣並びに中村大蔵政務次官及び塩崎大蔵政務次官から発電を求められておりますので、順次これを許します。大蔵大臣三塚博君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/1
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002・三塚博
○三塚国務大臣 先般、再び大蔵大臣を拝命いたしました三塚博でございます。
財政構造改革や金融システム改革を初めとする種々の課題が山積する中であります。引き続き財政金融政策の任に当たることとなり、その責任の重大さを痛感いたしておるところであります。
今後とも、政策運営に遺漏なきよう全力を尽くしてまいりますので、委員長を初め委員各位の格段の御鞭撻と御支援、御指導のほどをお願い申し上げ、ごあいさつといたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/2
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003・村上誠一郎
○村上委員長 次に、大蔵政務次官中村正三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/3
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004・中村正三郎
○中村(正)政府委員 再び大蔵政務次官を拝命いたしました中村でございます。
現在、大蔵大臣がおっしゃられましたとおり、大蔵省は種々の課題を抱えておりますが、その重責を果たすべく、大蔵大臣の方針に従って、大蔵大臣をサポートして誠心誠意職務の遂行に当たる考えでございますので、委員長を初め委員皆様方の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げまして、ごあいさつにさせていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/4
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005・村上誠一郎
○村上委員長 次に、大蔵政務次官塩崎恭久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/5
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006・塩崎恭久
○塩崎政府委員 このたび大蔵政務次官を拝命をいたしました参議院議員の塩崎恭久でございます。
職責の重大さを今感じているところでございます。中村政務次官ともども、三塚大蔵大臣をサポートしながら精いっぱい頑張ってまいりたいと思います。
委員各位におかれましては、法案審議並びに各般にわたっての御指導を賜りますように、よろしくお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/6
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007・村上誠一郎
○村上委員長 次に、先般の大蔵省の人事異動によりまして新たに就任いたしました大蔵事務次官等から発言を求められておりますので、順次これを許します。小村事務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/7
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008・小村武
○小村説明員 去る七月十五日の人事異動によりまして、事務次官を拝命いたしました小村でございます。
引き続きよろしく御指導のほどをお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/8
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009・村上誠一郎
○村上委員長 次に、武藤官房長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/9
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010・武藤敏郎
○武藤政府委員 官房長を拝命いたしました武藤でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/10
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011・村上誠一郎
○村上委員長 次に、溝口総務審議官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/11
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012・溝口善兵衛
○溝口政府委員 総務審議官を拝命いたしました溝口でございます。
よろしくお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/12
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013・村上誠一郎
○村上委員長 次に、涌井主計局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/13
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014・涌井洋治
○涌井政府委員 主計局長を拝命いたしました涌井でございます。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/14
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015・村上誠一郎
○村上委員長 次に、斎藤関税局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/15
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016・斎藤徹郎
○斎藤政府委員 関税局長を拝命いたしました斎藤でございます。
どうぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/16
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017・村上誠一郎
○村上委員長 次に、黒田国際金融局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/17
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018・黒田東彦
○黒田政府委員 国際金融局長を拝命いたしました黒田でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/18
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019・村上誠一郎
○村上委員長 次に、堀田証券取引等監視委員会事務局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/19
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020・堀田隆夫
○堀田政府委員 証券取引等監視委員会事務局長を拝命いたしました堀田でございます。
御指導のほどよろしくお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/20
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021・村上誠一郎
○村上委員長 次に、船橋国税庁次長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/21
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022・船橋晴雄
○船橋政府委員 国税庁次長を拝命いたしました船橋でございます。
どうかよろしくお願いいたします。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/22
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023・村上誠一郎
○村上委員長 内閣提出、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。大蔵大臣三塚博君。
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内国税の適正な課税の確保を図るための国外送
金等に係る調書の提出等に関する法律案
租税特別措置法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/23
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024・三塚博
○三塚国務大臣 ただいま議題となりました内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
まず、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
さきの通常国会において成立した改正外為法が来年四月より施行されます。政府は、国境を超える資金移動の活発化、多様化に対応し、所得税、法人税、相続税その他の内国税の適正な課税の確保を図ることを目的として、対外取引及び国外にある資産の国税当局による把握に資するため、一定の国外送金等について、その調書の提出等に関する制度を整備することとし、本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
まず、銀行等の金融機関または郵政官署は、一定金額を超えるその顧客の国外送金及び国外からの送金等の受領について、一定の事項を記載した調書を税務署長に提出いたすことといたしております。
次に、国外送金等をする者は、一定の場合を除き、その氏名または名称、住所等を記載した告知書を金融機関の営業所等または郵便局の長に提出し、当該提出を受ける長は、その者の氏名または名称及び住所を公的書類等により確認することとしております。
また、当該調書の提出に関する調査に係る税務職員の質問検査権、当該調書の提出義務違反等についての罰則等所要の規定を設けることとしております。
次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
政府は、最近における経済の国際化の進展及び外国為替取引の自由化に対応し、非居住者または外国法人が民間国外債等の利子を受け取る場合の非課税制度に関し、一定の手続がとられた場合にはその利子について所得税を課さないこととする等所要の措置を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
まず、非居住者または外国法人が利子を受け取る場合において、その者の氏名、住所等を記載した申告書が提出されたとき、または、非居住者または外国法人から債券の保管の委託を受けている金融機関からの情報に基づき作成された確認書が提出されたときは、その利子について非課税とし、利子支払い者による源泉徴収を免除することとしております。
また、利子受領者に関する情報の開示をすることができない指定国で発行された民間国外債等の利子についても非課税とする特例を設けることとしております。
これらの措置につきましては、平成十年四月一日から平成十二年三月三十一日までの間に発行された民間国外債等について適用することとしております。
以上が、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同願いますようお願いを申し上げ、提案の説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/24
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025・村上誠一郎
○村上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/25
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026・村上誠一郎
○村上委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、これを許します。田中昭一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/26
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027・田中昭一
○田中(昭)委員 私は、自由民主党の田中でございます。委員長のお許しをいただきましたので、数点お伺いをさせていただきます。
ただいま議題となりました内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、いわゆる民間国外債の利子等非課税に係る本人確認制度の導入について、若干お尋ねをいたします。
まず初めに、今回提案されました二つの法案は、外為管理を抜本的に自由化するんだというさきの通常国会での外為法改正の趣旨やビッグバンの精神に照らして、果たして妥当なのかどうかをまずお伺いをいたしたいと存じます。
また、こういった制度を創設することになった背景やその経緯、さらには必要性についてもお伺いをしたいと存じます。
来年四月からの改正外為法の施行は日本版ビッグバンのフロントランナーとしても位置づけられておりますが、このいわゆる国外送金等調書制度の導入は、外為法改正の趣旨である自由取引に抵触することはないのかどうかもお伺いをしたいと存じます。
また、銀行などの金融機関に新たな事務負担を課すことになると思われますが、銀行などの事務を軽減するためにはどのような配慮と検討がなされたのかもあわせてお伺いをさせていただきます。
荷為替手形等によるものや、銀行、証券会社等の名義の国外送金等については調書の提出対象から除外されておる理由は何なのか、お伺いをいたします。
この制度では、一定金額を超える国外送金について調書の提出を要するとしておりますが、その金額基準を現在二百万円で検討中だと伺っておりますが、二百万円にしようとするその理由は何ゆえなのかもお伺いをしたいと存じます。
そういたしますと、一回当たりの送金金額が二百万以下の場合には調書提出が免除されるということになりますと、二百万円以下に分割したり小口化するといった送金方法をとることによって、税務当局に把握されずに多額の送金を行うことが可能と考えられますが、これらに対する対応策はどのように考えておられますか、お伺いをいたします。
また、この調書提出制度が有効に機能しない場合、最終的には納税者番号制度の導入の是非につながるのではないかと考えますが、どのようにお考えなのかもお伺いをさせていただきます。
最近、銀行、証券会社あるいは大手企業等の不祥事、違反行為が頻発して明るみに出ておりますが、このような行為を完全に防止し排除するためにも、納税者番号制度の導入によりこれらの企業の金の動きを一円たりとも、私は明確にとらえることができるようにすべきだと考えますが、どのように考えておられますかもあわせてお伺いをさせていただきます。
調書提出制度は、金融関係から膨大な資料が提出されると想像されますが、税務当局の事務処理能力に混乱が生じることはないのかどうか、また、この資料をどのように活用されるのかもお伺いをいたします。
適正課税を確保しながら市場慣行に配慮する観点から、本人確認制度の導入に当たっては、市場関係者とは意見交換を行ったのかどうかもあわせてお伺いをしたいと存じます。
また、諸外国等G5の制度はどのようになっているのか、バランスは保たれておるのかどうかもお伺いをさせていただきます。
なお、私は、善良なる利用者にはより利用しやすく、逆に犯罪的と申しますか悪質な金融取引に対しては、これらを見逃すことのないような制度の確立をという点で、G5の制度よりもすぐれているというような制度の確立を強く希望するものでございますが、すぐれているという面がございましたら、何点あると考えておられますかもお伺いをさせていただきます。
次に、景気高揚対策の一環として税制上考えられる諸施策についてお聞きいたしますが、先月二十一日に、我が党は、規制緩和、土地流動化及び住宅対策、中小企業対策の四つの柱から成る緊急国民経済対策を発表いたしたところでございます。我が国の景気及び財政の状況や株価の暴落から端を発した世界同時発生の株価の下落など、例えばニューヨーク市場で十年前のブラックマンデーを上回る史上最大の値下げ幅を記録したと伺っておりますが、全世界的マーケットの状況などを踏まえ、早急に具体策を講ずる必要があると考えております。
特に税制面においては、法人税の引き下げ等企業関連税制の改革、有価証券取引税等の廃止など金融関連税制の改革や、地価税の廃止、土地譲渡益課税の見直し等土地税制の改正などが緊急の課題であります。税調との兼ね合いもあろうかと存じますが、実施するスケジュールはどのようになっておりますかもお伺いをいたしたいと存じます。
我が国の一挙手一投足が今まさに注目の的になっておると申し上げても決して過言ではないと考えておりますが、どのようにお考えなのかもあわせてお伺いをして、第一回目の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/27
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028・三塚博
○三塚国務大臣 田中委員にお答えをいたします。
本案の提出をされました精神、理念、政策はいかんというところは私が答弁をし、細部にわたる面につきましては、事務負担、対象除外、金額基準、分割小口化等々は政府委員をして答弁をさせます。
まず、この二制度でありますが、フリー、フェア、グローバルという観点から整備するものでございます。外為法改正に伴う国境を超える資金移動の自由化は、脱税の自由を意味するものではございませんで、国際的な資金移動をめぐる租税回避が横行することになりませんよう、資料情報制度や民間国外債の本人確認制度を整備することをもって当然の対応といたしたところでございます。いわゆる信頼される市場であるために必要な整備を行いました。具体的な制度の構築に当たりましては、国境を超える資金移動の自由化の進んだアメリカなどの制度やユーロ債市場における慣行等を参考にしながら、実務を十分踏まえており、妥当な制度と考えておりますので、格段の御理解を賜りたいと思います。
税制については、与党の第一次経済対策取りまとめの中にそれぞれ網羅されておるところでございます。税は、御案内のとおり、毎年一回通常国会に提出をいたします。その理由は、御承知のとおり、歳出に見合う歳入、歳入に見合う歳出、いわゆる財政の基本方針を踏まえて全体を総合判断して行いますものでございますから、例年十二月中旬に、党税調、今日は三党共同協議会の議を経まして政府に提出をされます。また、並行いたしまして政府税調、ただいまも十年度税制のあり方について御審議を熱心に行っておるところでございまして、十二月中旬に最終の政府税調の答申が政府に提出をされるところでございます。大蔵省といたしましては、これらの収れんした論議、答申、御提言を踏まえて、税の簡素、公平、中立原則を踏まえて取り組んでまいるつもりでございます。
以上、まず私から申し上げ、政府委員から詳しく説明をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/28
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029・薄井信明
○薄井政府委員 あるいは順不同になるかもしれませんが、御質問に対してお答え申し上げます。
まず、国外送金と調書提出制度につきまして、いわゆる資料情報制度でございますが、銀行等の事務負担を軽減するためにどういう配慮をしているかという御質問がございました。
今回の制度におきましては、対外的な資金移動を抜本的に自由化するという今回の外為法改正の趣旨を尊重するとともに、一方で銀行等の事務負担に配慮しなければならないということで、最小限の情報資料の提出にとどめるということも考えました。このバランスの中で、事務負担をぎりぎりに軽減するということを考えた次第でございます。
具体的には、輸出入貨物についての荷為替手形等の取り立て等によるものにつきましては国外送金等の範囲から除いたということとか、あるいは証券会社を通じた海外証券取引のための代金支払いあるいは受け取りこういうものも除いております。それから、銀行名義での海外送受金、これも除いております。
それから一方で、金額でございますが、先ほど御質問ありましたように、一定金額以下の国外送金等につきましては調書の提出を要しないということにしてございます。
それから、調書の記載事項ですが、このためにわざわざ新しい作業が加わらないようにということで、銀行等の実務を踏まえまして、極力簡素化する努力をした次第でございます。
それから、税務署長の承認を受けた場合ですけれども、書面で提出するということに限定せずに、これにかえて磁気テープ等の提出も認めるということを考えたということが、御質問の事務負担軽減についての私どもの配慮でございます。
それから、荷為替手形等によるものや銀行、証券会社等を除いた理由ということでございますが、そうしたものにつきましては、例えば荷為替手形等によるものにつきましては、輸出入貨物の裏づけのある国外送金等でございますから、国内における税務調査等でも把握ができるというようなこと、あるいは金融機関における信用状の発行手続だとか、それから荷為替手形等の取り立て等の際の船荷証券等の運送書類の検査も厳格に行われているということを考えまして、不正取引が行われにくいと考えられる、そんなことを踏まえまして、調書提出の対象から除いたということでございます。
それから、資料情報制度における調書のいわゆる国外送金等の金額基準を二百万円にしているということについての御質問でございました。
この点は、外為法改正がこの春なされたわけですが、これによりまして対外資金移動が自由化する、この趣旨は私ども尊重しないといけないと思っております。他方で、実効性のある資料情報制度を構築しなければならないという、このバランスの中でどういった範囲を決めていくか悩み抜いたところでございます。
結論としましては、欧米の資料情報制度の例を参考にしつつ、我が国においては銀行口座の所在等について、特に個人の場合には資料情報が整備されていないという現状、それから外為取引の実務も大事であるということ、そういった点を総合的に考えまして今回の制度に結実させたものでございまして、そういったことを総合勘案して、二百万円を超える国外送金等を対象とすることが適当であると判断したところでございます。
それから、二百万円以下の場合には免除されると、今度は小口化、分割化されて、分割した結果、多額に送金を行うことができるではないか、これに対してどう対処するのかということでございました。
今回の資料情報制度につきましては、今申し上げましたようなことで二百万円ということを総合勘案して決めたわけでございますが、一方で、考えている途中では、アメリカはどうなっているの
か、外国はどうなっているのか、勉強させてもらいました。
アメリカの場合ですと、一日の送金総額といったような形で金額基準を設けることも行っているようですが、日本の場合には、いかんせん今の制度のもとでは銀行等に名寄せを義務づけることはとても無理で、それをしたら、先ほど申し上げた資金移動の自由化という外為法改正の趣旨に反するということもありまして、今回のような一回ごとに二百万円ということにした次第でございます。
この金額がどのぐらいがいいかということの御質問でございますけれども、外為法改正の対外資金移動の自由化の趣旨を尊重しつつ、かつ、低い数字が見つけられればそれはそれで望ましいわけで、両者の観点を総合的に勘案して二百万円というところに到達したということでございます。
いずれにしましても、来年四月からこれは動き出します。どういうことになっていくのか、私どもきちっと動いていくと確信しておりますが、いずれにしましても、この制度の実施状況については十分注視していかないといけないと思っております。その上で、対応する必要があるならば対応していきたいと考えておる次第でございます。
それから、納税者番号についての御質問がございました。
私ども、納税者番号につきましては、これまでも、税務行政の機械化とか効率化の観点から検討の対象として議論はしてまいりました。また、政府税制調査会におきましても長年にわたって議論を続けてきておりまして、三つの類型があるのではないかということも提示されております。
そういったことを受けまして、私ども、国民の皆様がこの納税者番号についてどういう受けとめ方をするか非常に関心を持っておりまして、アンケート調査等々を行っております。その結果は、徐々に理解は深まっておりますが、かといって、皆さんが御存じだというわけでもない。それから、御存じのように、欧米の状況を見ますと、アメリカあるいは北欧等ではスムーズに動いておりますが、それ以外の国においてはプライバシーの問題等が話題になっている。この辺も十分議論した上で結論を出していくべきだと思っておりますが、ただ、時代の流れといいますか、機械化あるいはカード化の中で、民間はほとんど機械化が番号によって進んでおります。そういった中で行政の側がどう対応していくのか。時代も大きく変わっているということも踏まえて、今後の対応を考えていきたいと思っております。納番については、以上でございます。
それから、こういうことでつくりました制度が税務当局で有効に使われるのかどうかという御質問がございました。この点については、国税庁が来ておりますので、国税庁の方から後ほど答弁させます。
それから、民間国外債関係についても御質問がありました。
本人確認制度の導入に当たって、市場関係者とどういう意見交換をしてきたかという趣旨の御質問かと思いますが、実はこの本人確認制度、いわゆる民間国外債の問題につきましては一昨年からもう動き出していたわけですが、いわゆる還流制限の撤廃ということが大きな流れとして既にございました。一度四十日間にし、そして来年の四月からは還流制限を完全に撤廃するという問題がありまして、これへの対応を私ども考えなければいけないと思っていたやさきに、去年ですけれども、外為法改正というものがさらに加わってきたということで、私ども、ほぼ二年間にわたりまして、これへどう対応していくかということを議論してまいりました。単に国内だけの問題ではなくて、おかしなものをつくってはまさにユーロ市場で笑われることになりますので、私ども、内外の市場関係者と十分議論を積み重ねてまいりました。
具体的には、国内の発行体、それから金融機関、それからアメリカ、イギリスを初めとする主要国の税当局とも相談しましたし、それから市場参加者との間でも議論をさせていただきました。これなら動くということですので、今回の制度がまとまったということでございます。できる限りの努力をしたつもりでございますが、いかんせんこれも初めてのことですので、始めてみてまた問題があれば、その際には工夫をしなければいけないかと思っております。
それから、本人確認制度について、どのような事務負担上の配慮をしているかということでございます。
これも一点だけ簡潔に申し上げますと、本人確認をいっするかというのが実は非常に重要なポイントでございまして、私ども、ユーロ市場の事情を調べましたところ、債券発行後四十日目に利子受領者が非居住者であるかどうかの情報が通知できるということでございまして、これを踏まえるというか、これに乗って制度をつくることが適当であるということを考えまして、四十日目から、利子受領者が非居住者である旨の情報の通知が可能であるというように最終的には決めさせていただきました。このようなことによりまして、事務手続を簡素化できるのかと思っております。また、個々のカストディアンの利子受領者がすべて非居住者である場合に限りまして、本人確認の事務手続は実質的に一回で済ませられるというような形にしてございます。
このようなことで、繰り返しになりますが、ユーロ市場からも、これなら動くというお墨つきをいただいているということでございます。
それから、他国にすぐれている点があるかということですが、私ども、正直申し上げまして、この制度だけで全体をつくることはできませんで、日本の国内の制度がどうなっているかということとの関係がございます。そういうわけで、各国との間で比較するというのはなかなか難しいかと思います。少なくとも、この制度を入れたゆえに動かなくなってしまうということのないようにしているということで、いずれがすぐれているという判断はなかなかしにくいということを御容赦願いたいと思っております。
それから、景気との関係で幾つか御質問がございました。
大蔵大臣から御答弁申し上げたので、ここは簡単にいたしますが、例えば法人課税の問題、それから有価証券取引税を含むいわゆる金融課税制度の問題、それから地価税とか土地譲渡益課税についての土地税制の問題、いずれも私ども重要な課題だと思っております。年末に向けて、これをどういう答えを出していくか、かつ財政構造を改善していくという大きな命題のもとでどこまでこれが可能であるか、そういったことについて今後議論を続けていきたいと思っております。
長くなりましたが、御答弁いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/29
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030・乾文男
○乾政府委員 海外送金等の調書提出制度により提出されますたくさんの資料をどのように国税当局が活用していくのかというお尋ねでございました。
本制度が導入されました場合に、年間で数百万枚の調書が提出されるというふうに見込んでおりますけれども、現在、国税庁の資料情報の関係では、法定資料それから法定外資料合わせまして約一億二千万枚の資料を収集いたしまして処理をしているわけでございます。
今回の国外送金等の調書が提出されました場合にも、これをただいま申し上げました国税の資料情報システムの中に入れまして、納税者別に名寄せをいたしました上で、新たに申告が必要と見込まれる方の把握、また調査対象の選定におきます活用、そしてまた実際の調査における活用等に有効、十分に活用してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/30
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031・田中昭一
○田中(昭)委員 私は、この法律がしっかりとした法律、そして現在報道されております証券会社の不祥事、このような不祥事が、この法律からまた二度と再び起こることのないような法律であってほしいと心からこいねがいつつ、私の質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/31
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032・村上誠一郎
○村上委員長 次回は、来る十一月七日金曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00219971105/32
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