1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年十二月二日(火曜日)
午前九時一分開議
出席委員
委員長 村上誠一郎君
理事 井奥 貞雄君 理事 佐藤 静雄君
理事 坂井 隆憲君 理事 村田 吉隆君
理事 北側 一雄君 理事 谷口 隆義君
理事 池田 元久君 理事 佐々木陸海君
飯島 忠義君 石原 伸晃君
今村 雅弘君 衛藤征士郎君
河村 建夫君 木村 隆秀君
小林 多門君 桜田 義孝君
下地 幹郎君 杉浦 正健君
砂田 圭佑君 園田 修光君
田中 和徳君 田中 昭一君
戸井田 徹君 松本 純君
目片 信君 米田 建三君
渡辺 喜美君 木村 太郎君
北脇 保之君 権藤 恒夫君
鈴木 淑夫君 中川 正春君
並木 正芳君 宮地 正介君
村井 仁君 海江田万里君
末松 義規君 日野 市朗君
佐々木憲昭君 秋葉 忠利君
上田 清司君 北橋 健治君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 三塚 博君
出席政府委員
大蔵政務次官 中村正三郎君
大蔵大臣官房総
務審議官 溝口善兵衛君
大蔵省証券局長 長野 厖士君
大蔵省銀行局長 山口 公生君
大蔵省国際金融
局長 黒田 東彦君
証券取引等監視
委員会事務局長 堀田 隆夫君
委員外の出席者
参 考 人
(預金保険機構 松田 昇君
理事長)
参 考 人
(日本銀行総裁)松下 康雄君
大蔵委員会調査
室長 藤井 保憲君
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委員の異動
十二月二日
辞任 補欠選任
新井 将敬君 河村 建夫君
河井 克行君 戸井田 徹君
杉浦 正健君 下地 幹郎君
山中 貞則君 園田 修光君
渡辺 喜美君 目片 信君
同日
辞任 補欠選任
河村 建夫君 米田 建三君
下地 幹郎君 松本 純君
園田 修光君 山中 貞則君
戸井田 徹君 河井 克行君
目片 信君 渡辺 喜美君
同日
辞任 補欠選任
松本 純君 杉浦 正健君
米田 建三君 新井 将敬君
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十二月一日
金融及び証券に係る事件の徹底究明に関する請
願(小坂憲次君紹介)(第八二〇号)
同(堀込征雄君紹介)(第八二一号)
同(小川元君紹介)(第九六一号)
中小自営業者婦人の自家労費の税制に関する請
願(岩田順介君紹介)(第八二二号)
酒販免許制度の堅持等に関する請願(今井宏君
紹介)(第八二三号)
同(大村秀章君紹介)(第八二四号)
同(太田誠一君紹介)(第八二五号)
同(北橋健治君紹介)(第八二六号)
同(河本三郎君紹介)(第八二七号)
同(左藤恵君紹介)(第八二八号)
同(佐藤勉君紹介)(第八二九号)
同(田村憲久君紹介)(第八三〇号)
同(谷口隆義君紹介)(第八三一号)
同(畠山健治君紹介)(第八三二号)
同(古屋圭司君紹介)(第八三三号)
同(川崎二郎君紹介)(第九〇六号)
同(北側一雄君紹介)(第九〇七号)
同(北橋健治君紹介)(第九〇八号)
同(近岡理一郎君紹介)(第九〇九号)
同(中馬弘毅君紹介)(第九一〇号)
同(中野清君紹介)(第九一一号)
同(西川公也君紹介)(第九一二号)
同(古屋圭司君紹介)(第九一三号)
同(三ッ林弥太郎君紹介)(第九一四号)
同(持永和見君紹介)(第九一五号)
同(石田勝之君紹介)(第九三〇号)
同(稲葉大和君紹介)(第九三一号)
同(小川元君紹介)(第九三二号)
同(小此木八郎君紹介)(第九三三号)
同(奥田敬和君紹介)(第九三四号)
同(鹿野道彦君紹介)(第九三五号)
同(海部俊樹君紹介)(第九三六号)
同(川崎二郎君紹介)(第九三七号)
同(北橋健治君紹介)(第九三八号)
同(小坂憲次君紹介)(第九三九号)
同(古賀正浩君紹介)(第九四〇号)
同(実川幸夫君紹介)(第九四一号)
同(谷畑孝君紹介)(第九四二号)
同(中馬弘毅君紹介)(第九四三号)
同(浜田靖一君紹介)(第九四四号)
同(松岡利勝君紹介)(第九四五号)
同(宮本一三君紹介)(第九四六号)
同(吉田六左エ門君紹介)(第九四七号)
勤労所得控除六十五万円の創設に関する請願
(甘利明君紹介)(第八三四号)
同(石田勝之君紹介)(第八三五号)
同(佐藤勉君紹介)(第八三六号)
同(鈴木俊一君紹介)(第八三七号)
同(玉沢徳一郎君紹介)(第八三八号)
同(近岡理一郎君紹介)(第八三九号)
同外四件(西田司君紹介)(第八四〇号)
同(浜田靖一君紹介)(第八四一号)
同(深谷隆司君紹介)(第八四二号)
同(三ッ林弥太郎君紹介)(第八四三号)
同(茂木敏充君紹介)(第八四四号)
同(柳沢伯夫君紹介)(第八四五号)
同(山口泰明君紹介)(第八四六号)
同(木部佳昭君紹介)(第九一六号)
同(高村正彦君紹介)(第九一七号)
同(島村宜伸君紹介)(第九一八号)
同(棚橋泰文君紹介)(第九一九号)
同(近岡理一郎君紹介)(第九二〇号)
同(野田聖子君紹介)(第九二一号)
同(深谷隆司君紹介)(第九二二号)
同(柳沢伯夫君紹介)(第九二三号)
同(小渕恵三君紹介)(第九四八号)
同(亀井静香君紹介)(第九四九号)
同(木部佳昭君紹介)(第九五〇号)
同(田邉國男君紹介)(第九五一号)
同(田村憲久君紹介)(第九五二号)
同(中川秀直君紹介)(第九五三号)
同(中野正志君紹介)(第九五四号)
同(深谷隆司君紹介)(第九五五号)
同(藤本孝雄君紹介)(第九五六号)
同(増田敏男君紹介)(第九五七号)
同(柳沢伯夫君紹介)(第九五八号)
中小自営業者婦人の自家労賃の税制等に関する
請願(佐々木陸海君紹介)(第九五九号)
同(東中光雄君紹介)(第九六〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
預金保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
第七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/0
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001・村上誠一郎
○村上委員長 これより会議を開きます。
この際、委員長から一言申し上げます。
今回の預金保険法改正案の提出に関し、国会の立法権、審議権を軽視する面があったのではないかという御指摘がございました。
大蔵委員長として、このような疑念、誤解を生ぜしめないようにすることが妥当であると考えます。したがって、この際、委員長として、大蔵省に対し、今後このような誤解を受けることがないように気をつけるよう、申し述べます。
内閣提出、預金保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。大蔵大臣三塚博君。
—————————————預金保険法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/1
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002・三塚博
○三塚国務大臣 若干、一分ほど、閣議が延びて遅刻しました。恐縮です。
ただいま議題となりました預金保険法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
政府は、最近における我が国の金融環境の変化に対応して、金融システム改革の制度的な環境整備として、預金保険機構が行う資金援助の多様化を図る等の措置を講ずることとして、本法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。
第一に、現行法で預金保険機構の資金援助の対象とされている、健全な存続金融機関による吸収合併、営業譲り受け及び株式取得に加え、健全な金融機関と破綻金融機関の新設合併についても、新たに資金援助が可能となるよう所要の措置を講ずることといたしております。
第二に、平成十二年度末までの時限的措置として、二以上の破綻金融機関の新設合併に対し、金融機関の経営規律の低下を防止する観点から、厳格な制度的歯どめを設けた上で、預金保険機構の資金援助が可能となるよう所要の措置を講ずることとしております。
以上が、預金保険法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げ、提案の理由説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/2
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003・村上誠一郎
○村上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/3
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004・村上誠一郎
○村上委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁松下康雄君及び預金保険機構理事長松田昇君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/4
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005・村上誠一郎
○村上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/5
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006・村上誠一郎
○村上委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川正春君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/6
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007・中川正春
○中川(正)委員 おはようございます。新進党の中川正春です。
この週末に地元の方に戻りまして、中小企業を中心にしたそれぞれの企業が必死で頑張っておる、その現状をつぶさに見てまいりました。本当に、ここで議論している緊張感以上に、それぞれの分野で頑張っておっていただく人たちの現状に対する認識は非常に厳しいものがあるということ、これを改めて感じて帰ってまいりました。
しかし、また一方で、それこそよく言われる、タイだとかあるいは韓国だとかで起こっているような、そうした現実の見境なく行動するパターンに日本の企業家の皆さん、そしてまた預金者の皆さんが立ち至っていない、厳しいながらも自重しながら静かに見守っておってくれる、その心情に改めて我が国の健全性というか、その裏には、これは昔は官僚の皆さん方に対するあるいは政治家に対する信頼感の裏づけもあってそれがなされていたということでありますが、しかし今に至ってはそれが全く崩れている中にあっても、必死に見守っておっていただくその姿というものに対して、改めて私たち、私自身も含めて、これまでの経済運営と政治、行政の日本のあり方をもう素直に反省をし、ここで起死回生をやらなければ本当に申しわけない、そんな気持ちでおる次第であります。
その裏打ちというのは何かというと、やはり日本のつくっているもの、私たちの社会のシステム、これはどういってもやはりいいものなんだ、自信があるんだ、技術もここまでやっているんだから大丈夫なんだという、そうしたこれまでのそれぞれの努力に対するそれこそ確たる確信というかそんなものなんだなということも、これもまた改めて感じておる次第です。それだけに、これを崩してはならぬ、これが本当に政治の政策の失敗によってそれこそもとのもくあみになってはならないということ、これを自覚していかなければならないことだと思っております。
そうした意味で、ちまたから聞こえてくるのは、一つは経済対策であります。
これまでよく指摘がされたことでありますが、たび重なる経済対策の失敗、一つは九兆円の増税政策、もう一つは財政再建法によって財政政策の縛りをみずから政府がかけてしまったということに対して、将来に対する、それこそ沈んでいく、縮んでいく経済対策が目に見えたということ。それから、そのもう一つ裏にある金融機関の不良債権、これをバブル以降先送りにしながらずっとその傷を深く大きくしてきた。しかも、政府はそれに対して、特に大臣はそれに対して、不良債権は確実に処理をされてきておると。それに発表された数字、これまで公表されたわけでありますが、一つ一つの金融機関が破綻していくたびに、実際の不良債権が二倍も三倍も現実としてあったんだという事実がそれこそ出てきておる、それに対する不信、こんなものが重なっておるわけであります。
そこで、今国民の間から出ている最高の、それこそこれをやってもらいたいという経済対策は、何よりも大臣の言葉、今の内閣の言葉というのが信頼するに足る、裏づけのある、そしてもう一つは、かたくなに財政再建のみに突出した、そして偏った経済対策に凝り固まっているということじゃなくて、柔軟に、現実を眺めた中でトータルで今の現状をどうしていくかというポリシーミックスを取り戻す、そういう新たな視点、これが取り戻せるかできないかというところだと思うんです。
それには大臣、この際は責任をとって交代をしてもらうということ、これが、今の国民にとって、もう一度政府との信頼関係を取り戻す最高の処方せんなんじゃないかということ、これが今、私は、現実国民の間を歩いた中で感じ取ったことであります。
こういう厳しい視点に対して、どういうふうにまず総括としてお答えになるのか、答弁を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/7
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008・三塚博
○三塚国務大臣 いろいろの論点でお話がありました。責任は、責任を果たすということであります。
今日の事態に、昼夜を分かたずとあえて申し上げさせていただきます、大蔵の諸君、全力を尽くして私をサポートしていただいておりますし、私からは、あらゆる観点からあらゆる選択肢を考え今日の事態に対応すべき、そういう点で、預金者等保護の完全な体制をつくり上げる、日銀とも連携をとらせていただいて、御安心をいただくベースをつくり上げてまいってきたつもりであります。
同時に、金融システムの安定維持というのは、産業国家、経済国家日本であります。血液と言われるこの機能をしっかりと確かなものにしていくということが、心臓が健全になり、イコール金融システムが安定をしていくこと、このことにただいま取り組んでおるところでございます。
まず、責任は、今日の事態を、不安感を除くこと、それで透明な経済運営ができるように、ありとあらゆるものを駆使しながら、この国のため、特に国民各位の御安心を得るためにこれからも全力を尽くすということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/8
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009・中川正春
○中川(正)委員 安心をしてくれ、大丈夫だから任せてくれ、これで納得してもらえるものなら、それこそ、今の景気の現状、経済の現状というのは既に回復をしておるのだろうというふうに思うのです。
国民が納得できるというその前提は、政策の中身が具体的にどのように議論をされていくのかということ、そして実際議論されたことが本当に実行していけるのかどうか。そのもう一つ前提に、現状はどうなっているのか、いわゆる情報開示というのがなされないままに来た、それに対する不安感というのが、それぞれの言葉に対する信頼関係を崩してしまっている、そういう現実もあるということ。これを本当に御認識をいただきたいというふうに思うのです。
そういう前提の中で、先ほど、いろいろと幅広く政策を考えているという答弁をいただきましたが、その中身について、この際、いろいろととかできる限りとかといったような抽象的な話に終わらずに、具体的に御答弁をいただきたい。それが、ひいてはこれからの見通しを確たるものにしていく源泉になるというふうに思っているわけであります。
具体的にお聞きをしていきます。
まず、預金保険機構でありますが、現状、それぞれもう資金が枯渇をしておるということを聞くわけでありますが、一つ一つ具体的にどういう状況になっているのかということと、それからこれから予想される金融機関の混乱に対して、理事長なりの見通し、このままでいけばどれくらいの対応ができるのか、そして恐らくそれは十分でないはずなのですが、それを十分なものに持っていくには預金保険機構としてはどういう施策が必要なのか、これを端的に御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/9
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010・松田昇
○松田参考人 お答えをいたします。
まず、預金保険機構の財務状況でございますが、各年度末に責任準備金ということでいろいろ積み立てた金額の公表をいたしておりますけれども、現時点では、十一月末現在の財務状況について、まずお話をさせていただきたいと思います。
勘定が三つございますが、一般勘定というところでは、保険料収入等がございまして、八年度末より若干ふえまして、現在、若干丸めた数字でございますけれども、約一千百億円プラスになっております。それから一般金融機関の特別勘定、これが二千九百億円のプラスという状況でございます。一方、信用組合の特別勘定は、八年度に木津信用組合の破綻処理などで大量に資金が出ております関係で、九年の十一月末現在で六千百億円のマイナスということになっております。総じて見ますと、預金保険機構全体としては二千百億円のマイナス、こういう状態が現在の状況でございます。
私どもが資金援助に使い得る金額と申しますのは、ざっと申しまして、七年度末に責任準備金として蓄えてありました三千八百億円と、それから八年から十二年度までの五年間、この激動の五年間を想定して保険料の値上げが行われたわけでございますが、その結果、各年四千六百億円ぐらいの保険料収入があるということでございますので、これを五年間で掛けますと、二兆三千億円ということになります。この両者を合わせまして二兆七千億円がこの五年間に用意された金額ということになりますけれども、八年で一兆三千億円を使っておりますし、九年度に入りまして五百三十一億円使っておりますので、丸めた数字で一兆四千億円、現在までに使っているということになります。差し引きますと、二〇〇一年までの使用可能財源としては一兆三千億円ということになります。
今後の支出ということでは、現在まだ資金援助の要請はございませんけれども、土岐信用組合、東海信用組合、朝銀大阪信用組合、田辺信用組合、阪和銀行の処理が今年度中に行われる見通しということになっております。
ただ、将来どういうことになるのかという問題になりますと、ただいま申し上げた間近に処理しなければいけない信用組合の数字を含めましても、現状、これからどのような事案が発生してくるのか、あるいは具体的な数字がまだ固まっていないという段階でございますので、これらの数字が実際に固まっていない、預金保険機構として資金援助の申し込みを受けていない段階でございますので、将来の破綻処理に要する資金をこの段階で確実に見通すということは難しいというのが正直なところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/10
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011・中川正春
○中川(正)委員 しかし、実際、過去のそれぞれ金融機関の規模等々を考えていって、信用組合の数もさることながら、それ以上に、一つ大きな金融機関が破綻した場合には一兆円を超える規模が予想されるということは、もう確実なわけですね。北海道拓殖銀行あたりはもう既に見えているわけですね。
そういう現状がある中で、機構そのもの、主体者、責任者が、ただ将来見込みが立ちませんということだけで議論ができるものかというと、そんなことじゃないのですね。恐らく内部ではやっている。やっているから、政府保証なりあるいはそれぞれ特別に政府から直接公的資金を流そうかという議論が与党を中心に起こっているわけじゃないですか。だとすれば、それは内部でやっているのじゃなくて、こうした公の場で、国民に見えるところでやはりそれなりの責任者としての議論をし、予測をし、確たる意見を述べて初めて議論になってくるのでありまして、そこのところが、情報開示としても中身がどうなっているのかということであって、国民が理解をしていくということであっても大事なのだということを、この際は理解をしていただきたいと思うのです。
そういった意味で、もう一回聞き直します。
どんなふうに、今その現状を把握した上で、これから将来の見通しを立てておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/11
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012・松田昇
○松田参考人 お答えをいたします。
将来の見通しが立たないというのは、これから今後どのような破綻が起きるか軽々に申せませんし、また予測もしがたいという実態を踏まえて申し上げたわけでございますが、現在、公的支援のあり方について多様な面からいろいろな御議論がなされていることは承知いたしておりますし、そのこと自体、私どものセーフティーネットである預金保険機構としても極めて重大な関心事でございますから、そういう議論が深まっていくことを大いに期待をいたしているところでございます。
いかなる事態になっても的確に対応し得るような、公的支援を含めて利用可能な資金の拡充、そういう仕組みをつくっていただくということは、当機構にとっても極めて重要なことでございますし、内部でも検討を続けていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/12
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013・中川正春
○中川(正)委員 もう一つ具体的に聞きたいのですが、仮に、今もう現実としてわかっている破綻金融機関、これから出てくる金額、これと、将来
起こり得るであろういろいろな可能性を含めて、これをカバーしていこうと思うと、いわゆる保険料とそれから公的資金、これをどう組み合わせていくかということになるわけですよね。その場合に、いずれにしたって、資金を確保しなければならないということになれば、保険料の値上げ、これを念頭にも置かなきゃならない。それが金融界全体として可能なのかどうかという見解ですね。これについてはどう思っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/13
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014・松田昇
○松田参考人 保険料の問題でございますけれども、先生御案内のとおりで、一昨年十二月の金制調の答申で示されたとおり、昨年の法改正において、一般勘定、特別勘定合わせまして七倍という大幅な引き上げがございました。現在、対象預金残高の〇・〇八四について掛けた保険料をいただいているという段階でございます。
現段階で、先ほど申しましたように、今後の破綻処理スキームの詳細や検査結果が固まっておりませんので、どのくらい将来要るのかということを見通すことが難しい、それは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、いずれにしても、特別保険料につきましては、法令の定めるところによりまして、遅くとも平成十年度末までに特例業務の実施状況を踏まえて検討するということになっておりますので、その検討状況を踏まえながら、先ほど先生からも御指摘のありました金融機関の体力の問題、それから今後の見通しの問題、その他そういうことで十分な論議が行われていくもの、そのように期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/14
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015・中川正春
○中川(正)委員 もう一つ、預金保険機構の問題として、いわゆる不良債権の回収があると思うのですね。
今公的資金の話も出ておりますが、いわゆる責任を明確化するという大前提の中には、経営者の責任ももちろんこれはあります。それと同時に、借り手の責任、これをいかに明確にしていくかということがないと、これはそれこそ正直者がばかを見るという話になっていくということでありますが、そういった意味で、整理回収銀行によってその回収がなされているという仕組みがあるわけですね。
これは、私もデータを取り寄せたのですが、対照的なのは、預金保険機構の中にもう一つ、住専のときにつくった住専管理機構、これが同じように住専の問題について整理回収をしていく機構として存在をする。この整理回収銀行と住専管理機構が二つ、それぞれの立場で回収をやっているわけなんです。これは二つのデータを見てみますと、対照的なんですね。住管機構の方が非常に頑張っておる、それなりの成果を上げているということであるにかかわらず、整理回収銀行の方は、これは全くと言っていいほど中身の回収ができていないという現状だと思うのです。
これは、どういう違いがあって、仕組みの欠陥があってこんなことになっているのかというところ、ここをひとつお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/15
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016・松田昇
○松田参考人 お答えを申し上げます。
私どもの不良債権回収の分野におきましては、先生御指摘のとおり、住専債権を回収する住宅金融債権管理機構と、それから金融破綻処理について、破綻した金融機関の不良債権を引き受けて整理をしながら回収に当たる整理回収銀行と、二つのいわば子会社を持っているわけでございます。
住宅金融債権管理機構の方は、ここ一年一生懸命に頑張ってもらっておりまして、確かに計画を上回る実績を上げております。先生御指摘のとおりでございます。
なお、整理回収銀行の方でございますが、では全く数字的に回収の実績が上がっていないのかというと、これもちょっと御説明が要ると思います。
現在まで引き受けておりますのは、回収に整理回収銀行が入っておりますのは、東京第一、東京第二、大阪第一、大阪第二、大阪第三、兵庫という六つの事業部の信用組合に係る回収でございますけれども、譲り受け債権残高三千八百六十九億円に対しまして、現在までに五百二十六億円の回収をいたしておりますが、これは回収率から申しますと一三%強ということになります。一方、住宅金融債権管理機構の方も、一年間頑張っていただきましたけれども、これも総じて言えば一三%前後ということでございます。
まずその前提がございまして、さらに整理回収銀行の方では、破綻金融機関の資産の引き受け、整理それから回収ということを同時的にやらなければいけないわけでございます。債権はふえる一方の形になります。そこが若干回収専門の住宅金融債権管理機構とは異なった事情にあろうかと思います。
そこで、預金保険機構といたしましても、重点的に整理回収銀行の回収を指導、支援するために、機構内にRCB室というのを設けまして、現在重点的な指導体制、支援体制の取り組みをいたしておりますし、整理回収銀行からも研修ということで当機構に派遣を求めまして回収についての研修を行うなど、その充実を図っているところでございます。
いずれにしても、回収はこれから正念場でございますが、両機構とも私どもと一体となって、さらに回収の実が上がるように努力していきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/16
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017・中川正春
○中川(正)委員 こういう実績の中で推移をしていくということは、将来、結局この債権も塩漬けになっていく可能性の方が高いんじゃないかということが現実なんだろうというふうに思うんです。それに対しての対策でありますが、これは後で総括して大蔵省の方に改めて尋ねていきたい、こんなふうに思います。
次に、日本銀行の総裁、連日御苦労さまでございます。お尋ねをしたいと思うんですが、これはそれこそ公的資金の議論との絡みもありまして、一遍整理をしていただきたいというふうに思うんです。
調べてみますと、預金保険機構に対して日銀の方から実はもう既にさまざまな形で金が出ているわけであります。それをずっと数えてみますと、まずは出資金、それから一般の貸し出し、それから資金拠出という名でもってもう一方で出ておりまして、それに信組特別勘定に対しては政府保証のこれもまた貸し出しが日銀の方から出ております。これだけのチャネルを通じながらこれをやっているわけですけれども、外から見ていると本当にわけがわからなくなってくる。なぜ片方が拠出で、片方が貸し出しで、なぜ出資なのか、こういうことなんですね。こういう不透明さというのが果たして、それが金が出た時点でそれぞれの使い道がさまざまにひん曲がってしまって、いわば先ほど大蔵大臣の方から話の出た預金者の保護、これを目的にした政府資金というものを念頭に置いていますよという、その部分が隠されてしまうというかわからなくなってしまうというか、そういう現象が起きておるということだと思うんです。一度、出資、貸し出し、資金拠出、それから政府保証の貸し出し、その再定義をして、それぞれの目的を説明していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/17
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018・松下康雄
○松下参考人 預金保険機構はいろいろの業務を行う性格を持っておりますので、日本銀行との間の資金関係もその業務の性格に応じて多様になっているという点は御指摘のとおりでございます。
現在、日銀の預金保険機構に対します出資金は一億五千万円でございます。これは、機構が昭和四十六年に設立されましたときに、政府及び民間金融機関ともども、その設立に必要な資本金の一部を提供したものでございます。
それから次に、日本銀行は預金保険法の規定に基づきまして、機構においてその業務を遂行いたすための資金が不足をします場合に、これが将来の保険料収入で賄われますまでのつなぎ資金を供給するという趣旨から、機構に対します貸し付けを行うことができることとされております。現在、こういう意味におきまして、機構の特別勘定に向けまして二千九百三十二億円の貸し出しを行っているところでございます。
また、日本銀行は、住専問題の解決のために制定をされましたいわゆる住専特別措置法に基づきまして、この預金保険機構に対しまして、住宅金
融債権管理機構への出資に充てるための資金一千億円を拠出いたしております。この資金は、預金保険機構を経由いたしまして、住宅金融債権管理機構を設立するための出資金に充てられているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/18
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019・中川正春
○中川(正)委員 それに信組の特別勘定貸し出し、これが政府保証があるんですね。それはちょっと抜けていると思うんですね。これはまだ実行していないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/19
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020・松下康雄
○松下参考人 信組に対します部分が、ただいま申しました特別勘定に向けての二千九百三十二億円でございまして、その他一般の分は出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/20
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021・中川正春
○中川(正)委員 一般が出てなくてこれが出ているんですね。それが政府保証がついている、こういうことですね。
そういうことから考えていくと、今いわゆる政府サイドで公的資金を導入していく議論でさまざまな道筋を考えている、こういう大臣の答弁が何回もあるんですけれども、これは既に出ているわけですね。しかも流用もしているわけです。信組の方の特別勘定が足らなくなった分はそれこそ一般の勘定の方から引っ張ってきてそれで見ている、こういう流用が始まっているんです。これができるということであればその逆もまたできる、こういうことなんだろうと思うんです。そうした公の金もそれから保険料で集まった金もこの預金保険機構の中で一つにまぜ合わされて、それがどこの口へも支出ができるという機構をつくったというのが、この預金保険機構の前回の改正によって可能にした装置なわけであります。
そういうふうに考えていくと、今政府保証のレベルで公的資金を出そうじゃないかという議論については、これは本当にこれが公的資金なのかどうか、あるいはそれも公的資金として含めるのであれば、じゃ実際責任問題はどうなっているのか、どう整理されているのか、そして債権についての回収体制はどう整っているのか、こういう議論が前提としてなければ公的資金は導入をしない、こういうことだと思うんです。これはきのうの議論でもそれぞれが明言をされておるところであります。
そこで大蔵大臣、改めて聞きたいんですが、公的資金というものの定義なんですね。これは何をもって公的資金と今皆さん方は呼んでいるのか、お聞かせをいただきたい。大臣お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/21
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022・溝口善兵衛
○溝口政府委員 定義の問題でございますから私の方からお答え申し上げますが、これは使う使途によって定義が違うように思います。
広くとりますと、一番最終的な負担としては税金、一般会計から出るお金、それから日本銀行の借り入れ、それから政府保証、そういうものが含まれると思います。したがいまして、統一された定義はないわけでございまして、どういう観点から公的資金が議論されているかによると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/22
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023・中川正春
○中川(正)委員 大臣、改めて定義を聞きたいんですが、さっきの答弁でいくと、政府保証も公的資金に含まれる、使う使途によって違う。これは勝手に解釈したらそうなんですよ。こういうことだと思うんですが、それじゃ預金者の保護という議論がどこへ向いていくのかという矛盾が出てくると思うんですよ。ここのところは今国民がじっと見ているところなんですね。それをはっきりさせてくれるということによって、我々も納得しようじゃないか。だから、そこをさっきのような答弁であいまいにしたり、それから、これから責任問題をはっきりさせるその装置をつくらずに、例えばさっきの回収銀行であるとか、あるいはもっと具体的に言えばアメリカ型のそれこそRTCのような形のものをはっきりつくらずに、そこのところをあいまいにしながらもう既に資金をこうして流しているということについては、言っていることとやっていることと違うじゃないか、こういう議論になるんですね。ここはやはり整理しなきゃいけないと思うんですよ、政治として。あんなあやふやな答弁をさしていくんじゃなくて。大臣お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/23
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024・三塚博
○三塚国務大臣 これはただいま与党の中の議論、また昨日の集中審議の議論等で展開をされておるところであります。いわゆる公的資金ということであれば、総審が言ったようなことでもありましょうし、公的資金をぎりぎり詰めていくということであれば、一般会計もあるでしょうし、財投もあるでありましょうし、そして政府保証という形もあるでありましょうし、最終的にどこが責任を負うかというところをもって公的資金、公的支援、こういうことになるのではないでしょうか。
ただいまの預金保険機構は、法律に基づいて職務を執行しております。預金保護との関連いかんということでありますが、預金者に御安心をいただくというのは金融政策、国家行政の基本であります。この保護は、金融システムが健全に回転しておる限り保証されるわけであります。そういう点で、金融システムの安定性を高めるという手法とリンクするということで御理解をいただきたいと思います。
私は、あらゆる選択肢について事務方に検討を命じております。内部検討であります。そういう中で、自由民主党を中心に、三党を中心に、具体的な問題提起、毎日報道されておるようなことで行われておりますが、私は重大な関心を持ってそのことを見ておるわけであります。見るだけではなく、何が今必要なのか、国民世論の動向もしっかりと踏まえるというのが政府の立場でございますから、国会論議もそういうことで、ただいまのような御審議をいただくことの中で論議が深まつていくであろう。
そういう意味で、御趣旨の国民の預貯金の保護との関連は、ただいま申し上げたとおり、金融システムがしっかりとしておるということで、健全な回転を続ける限りこのことは万全になるわけで、今日、システムに対する不安感、これを解消するために全力を尽くしておる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/24
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025・中川正春
○中川(正)委員 ということは、わかりにくい言葉を私流に理解をさせていただいて翻訳をすれば、預金者保護ということは、ひいては金融システムを健全に機能をさせるということなんだ、その金融システムを健全に機能をさせるというためには、どういう方法であれ公的資金を導入していく、そういう理屈でいくということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/25
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026・三塚博
○三塚国務大臣 これはありとあらゆることでありますから、最終的にはそういうことも当然考えられることではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/26
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027・中川正春
○中川(正)委員 それだと恐らく国民が納得しないだろうというふうに思うのです。私は、必ずしも公的資金の導入に反対しているわけじゃない、ここまで来たら必要だろう、こういうふうに思っておるうちの一人であります。しかし、その前提に立って考えていくと、さっきのような、それこそ無責任きわまる、定義のはっきりしない、そんな使い道で公的資金を導入してもらったら困るのだということが出発点だったじゃないですか。住専のときもそんな議論をした。だから、そこのところを今回ははっきりしていく必要がある。それでないと国民の理解が得られないということは、もう肝に銘じてわかっているはずなんです。それにもかかわらず、さっきのような議論しか出てこないというのは非常に残念なんですよね。
そこで、もう一回聞きますが、政府保証というのは、これはその資金の行き先というのが、今回出てきたような法案の中で、例えば破綻金融機関同士の合併をしていくために不良債権を買い取ったりあるいはそれに援助資金を与えたりする、そうした資金に流れていくわけですね、可能性としては。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/27
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028・三塚博
○三塚国務大臣 それは機構を中心に流れるわけであります。そういうことの中で、その最終責任を政府が負うということになるわけです。
その最終責任の中身でありますが、この機構がただいま健全に動いておるわけでありますから、そのことによって健全化された銀行等から回収銀行を通じて、預金保険機構を通じて返還が行われ
るという仕組みでありまして、そういう点で、最終的に政府の責任を明確にすることによって健全な運営が行われるようにサポートをしていく。危機的な見解に対しては、そういう点で、そういうことをやることによってシステムが安定性を増していきますと、投下された資金が回転して政府に戻ってくるという、これだけはきっちりとつくり上げていかなければならない、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/28
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029・中川正春
○中川(正)委員 そうなると、さまざまな問題が出てくると思うのです。
一つは、先ほど答弁が出ました整理回収銀行、これに不良債権部分の処理を任せていく。ところが、現状として機能していない、これがあるわけです。だとすれば、政府保証した部分が将来に対して塩漬けになってしまって、それが将来の具体的ないわゆる債権として政府へ向いて回ってくる。いわば現在の問題を、これまた同じ手法ですが、将来に対して先送りしたということだけの解決になってしまう、これが目に見えておるわけであります。
ここが、また同じことを繰り返すのかという批判の出てくるところでありまして、まず先送りはだめだ、これを認識していただきたいと思います。それに加えて、保証という形でやる限り、歯どめをどこでしていくのかという議論があるわけでありますが、これはやはり国会で一つの仕組みというものをつくっていかないと、それぞれ必要だから保証をしていくということだけでは納得のできない部分があるという問題、こういうことが指摘をされるということだと思うのです。
そこで、私はこの際、こうした保証というような、いわば国民の目をごまかして問題を将来に先送りするだけのそうしたスキームをとっていくということよりも、現在の、それこそ現時点の我々の世代の中でこの問題をしっかり受けとめて、生の公共の金、これを議論していくということ。ただし、それには条件がありまして、使い道についてははっきりと預金者保護ということに限定をしていく、そういう特別のチャネルをつくるということですね。そんなはっきりした打ち出し方というのが特に必要なんだというふうに思っておりますが、どうでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/29
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030・三塚博
○三塚国務大臣 今回の御論議の基本にあるもの、また大蔵省として、政府としても、国民の預貯金等に対する保護であります、きっちりと担保させていただき、万が一の場合はお支払いはいたす、こういう国民預貯金の保護が目的でありますと申し上げておるわけです。
そういうことの中で、先ほど申し上げましたそのことをやりながら、昨今の金融不安というものに対して不安を解消するために、金融システム、言うなればネットワークですね、心臓から血液が末端まで送られていく、血液の一部が梗塞を起こしていくということでありますと心臓にさわりますし、そういうことのないように、そういうものを一つ一つ除いていく体制をとっておりませんと、金融システム、いわゆる健全な金融のネットワーク、組み合わせが障害を起こすことにより不測の事態が起きることだけは、断じて大蔵省、主務大臣としてやってはならないし、それに対する基本だけはつくり上げていかなければならない、こう思っておるところでございます。
委員御指摘のように、国民の目をごまかすなどというのは毛頭ございません。その都度その都度、会見で、また御質疑の折に答弁を申し上げております。具体的な論議は、ただいま与党の方でありとあらゆるこれまた議論が行われている。それはそれとして重大な関心を持って受けとめながら、最終的に、政府として、内閣としてこのことに対して取り組んでいかなければならない。プロセスの段階における論議は極めて大事でございますから、よろしくお願いを申し上げます。
〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/30
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031・中川正春
○中川(正)委員 先ほど申し上げたように、今の政府に信頼関係があるときはそれでいいのだろうと思うのですが、それが崩れているという前提では、さっきの説明だけでは恐らくは国民は納得しないだろう、こんなふうに思っております。そこのところは、本当に遠回しなわけのわからないようなシステムを中でこね回すのじゃなくて、はっきりと、この部分は公的資金を現ナマで使います、しかしその目的は預金保護ですという仕組みを提示しながら説得をしていくこと、これを早急に組み立てること、これを改めて認識をしていただきたいというふうに思うのです。そこのところ、御指摘をさせていただきたいというふうに思っております。
そして次に、それに関連もすることなのですが、日銀特融であります。
これはほかの公的資金と違って、日銀特融はシステミックリスクを回避するということが目的で投入をするということ、これはこれでいいわけですね。その目的に限定しながらこれまでやってきたということなのですが、これが三兆円を超えて四兆円、五兆円とそれこそ膨れ上がってくる様相を呈しているわけであります。今、円が下がってきた、こういうことも踏まえて、総裁としては、この日銀特融の限界というか、どの辺が大体飽和点と考えておられるのか、その飽和点があるとすれば、それを超える部分についてはどういうふうな対策をとっていくべきかということ、その辺をまず聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/31
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032・松下康雄
○松下参考人 私どものいわゆる日銀特融の目的につきましては、御指摘のように、我が国の金融システムに対するこのシステミックリスクの発生を防止するということでございまして、これは非常に重要な課題でございますので、私どもといたしましては、一たんこの措置に踏み切りました以上は、この目的を達成するために必要な措置は十分にとっていかなければならないと思っております。
ただ、その際に、やはり私ども中央銀行といたしましては、幾つかの特融発動についての条件を持っておりますけれども、その中で、ただいまの御質問に関連のある一つの条件は、中央銀行としての財務の健全性を維持することに配慮していくということでございます。
そのような考え方におきまして、これまで日銀特融を決定いたしてまいりましたときには、常にこの回収の可能性ということに非常に重きを置いて検討いたします。回収の見込みが確実であるかどうかということが判断の基準でございまして、これまでのところは、私ども戦後に実行いたしましたさまざまな日銀特融につきましては、今日まで処理の終わったものはすべて回収されておりますが、今後とも、この点につきましては特融の判断の際に十分注意をして検討いたしてまいりたい。そういう意味では、日銀としての規模の限界というようなことでなしに、内容的な回収の可能性ということで判断をいたしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/32
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033・中川正春
○中川(正)委員 そんな中で、先日から山一の債務超過の問題が出まして、こうした見込み違いというか、これは織り込み済みだったのか見込み違いだったのか、どっちかその答弁を先にいただかなければいけないのだと思うのですが、これをどのようにとらえ、いわゆる回収というものに対しての手順、これをどう考えられるか、もう一度答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/33
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034・松下康雄
○松下参考人 山一に対します特融を決定いたしましたときの判断でございますけれども、第一には、山一証券は、同社の計算、報告によりましても、現状におきまして、自己資本については資産超過の状況でございます。したがいまして、これは、発覚をいたしました簿外債務等を考慮いたしましてもなお債務超過にはなっていないという状況でございますので、同社向けの特融の返済につきましては、基本的には、山一が廃業、解散に向けて資産処分を進めてまいります中で、資産処分によって返済財源が確保されるというように判断されるわけでございます。
ただ、破綻処理のことでございますから、場合によりまして、その見込みが狂いまして、同社が債務超過の状態に陥るというような場合につきましては、政府におきまして、この本件の最終処理
も含めて財源確保のためのいろいろの方策を検討しているところと承知いたしております。例えば寄託証券補償基金の財務基盤の充実や機能の強化というようなことも検討されていると理解しておりまして、私どもは、そういう政府の検討を踏まえて、本件の回収に努力をすることによって特融の返済財源は確保されるということを強く期待をいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/34
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035・中川正春
○中川(正)委員 私は、これは不思議で仕方がないのですよ。さっき、預金保険機構に対して将来の見通しは、こう聞きましたら、預金保険機構は、これはわからないのだ、こういう答弁が出てきたのですよね。ところが、日銀の方は、これはもうやってしまったことですね。やってしまったことが思惑と違って、それを解決していこうというときに使ったその理屈というのが、まだ決まってもいない政府の今の議論を盾にとって、それで返せますよ、こういう話なんですね。ここのところが結局は、客観的にそれを聞いていると、何だ、政府というのはルールに基づいてやっているのじゃなくて、それぞれがあたふた慌てふためいてその都度その都度対応をしている、それの結果を後から埋め合わせるために法律をつくって、どんどん深みへはまっていくようなことでしかないじゃないか、こういうことになっていくのですよね。だから私は、先ほどもお話をしたように、内部でがたがたやっているのじゃなくて、こうした席ではっきりと大臣の意思というのを表に出して、それの可否を国民に問いながら柔軟に政策決定をしていくというシステムを私たちの政治の中に組み込まないと、いつまでたっても大蔵省に対する不信、日銀も含めてですが、それに対する信頼感が崩れていってしまう、そういうことになってしまうわけです。
大蔵大臣、そういう前提で最後にもう一度お聞きをしたいのですが、先ほど私は、それこそ大臣がやめることが国民にとっては一番経済対策としてはいいのだ、そういう思いを伝えさせていただきましたが、御本人がやめないというのであれば、そこのところ、大臣として、議論を待っているのじゃなくて、自分の意思で公的資金をどういうふうに整理をしていくのか、ここではっきりと表明をすべきだと思うのです。それがこれからのオープンな議論につながっていく、こういうことだと思うのですね。最後にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/35
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036・三塚博
○三塚国務大臣 ですから、申し上げておりますのは、最終的に政府保証ということを考えていかざるを得ない、こう申し上げているわけです。日銀特融にしろ保険機構にしろ、出したお金が返ってくるようにしていかなければならない、そのめどがありますと日銀総裁は申されておる。ただ、不良債権の処理に当たりまして、そのときの価額によってマイナスになる場合もあり得るでしょう、こういうこと。マイナスかプラスか、物によって違うとは思いますが、トータルでその分析をされて、その対応の中で今後の預金者保護に万全を期してまいる、こういうことであります。
私自身、住専の論争のあのときのしこりが今日まで残っておるわけですね。ですから、この論争を超えて、今日的な課題として国民の預貯金を保護するためには何が必要なのかということで、まず金融システムという、このことの安定性を維持していくための検討を命じておるわけであります。そういう中で、国民代表は国会でありますから、国会の論戦を謙虚に重大な関心を持って承りながらやっておるわけでございますから、あのときこう言ったじゃないか、それはお立場から結構であります。受けとめます。しかし、今日的課題は何をしなければならないのかということで、国民の皆さんの御安心、また経済界、それぞれの企業の頑張っておる各位の健全な立ち上がり、不安感をなくして頑張れるような状態をつくるためにということで、万般の点検を行いながら取り組んでおるところであります。
よって、今日提出をいたしております改正法もその一端で、新たなルールづくりの中で、頑張っていくものに対しては政府が、大蔵省が、厳正な判断の中でこれを取り進めていくことも大事と。これは別建てであります。ただいまの問題は財源論であります。別建ての御論議も真剣にお願いをいたすということで、本日スタートを切っていただきましたことに感謝を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/36
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037・中川正春
○中川(正)委員 先ほどの答弁の中で、公的資金援助、橋本総理がこうして表現をされた言葉の中身というのが、大蔵大臣の今のレベルでは政府保証なんだ、こういうことですね。これを確認させていただいたということだと思います。これについては、これから私たちも精いっぱいの議論をしていきたいと思います。端的に言えば、このスキームではだめだということだと思います。もっとはっきりした、もっと今の時点で解決のできる、そうしたスキームを用意すること、これが本当の意味での金融破綻を回避していく道だというふうに思っております。
以上、質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/37
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038・村田吉隆
○村田(吉)委員長代理 次に、谷口隆義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/38
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039・谷口隆義
○谷口委員 新進党の谷口隆義でございます。
今般の金融情勢の混乱状況は、極めて重大な事態に陥ったというように考えております。今回、一連の金融機関の破綻の始まりは三洋証券の経営破綻。これは、今までの短期金融市場において初めてデフォルトが行われた、そういう状況の中で、短期金融市場の中で極めて疑心暗鬼が出てまいりまして、非常に資金調達が困難になってきたというような意味において、大変重要な破綻であったというように考えておる次第でございます。
その後、十一月の十七日に、御存じのとおり北海道拓殖銀行の経営破綻。これも大変大きなニュースでございました。なぜならば、三塚大蔵大臣、我々三党合同で不信任案を出させていただいたわけでありますが、一番大きな理由は、二十行は絶対つぶさないというように大蔵大臣がおっしゃっておったにもかかわらず、これが経営破綻した、こういう意味において大変大きな事件でございました。
その後、同じ週の土曜日でございましたか、山一証券の経営破綻のニュースが十一月二十二日の早朝に入ってまいりました。これも、もう四大証券で、北海道拓殖銀行以上に、我が国の国内はもとより海外にも知名度の高い証券会社の経営破綻でございまして、二十四日に最終的に自主廃業というような状況になったわけでございますが、もう大変な状況でございました。
その後、国内におきまして大きな混乱状況と申しますか、いろいろうわさが出てまいりまして、あの銀行が危ない、この証券会社が危ない、それを打ち消すためにそれぞれの経営者が会見を行ったというような状況になったわけでありますが、私は、一つ大蔵大臣の責任が極めて大きいというような発言があったと思うわけでございます。
それは、山一証券の経営破綻が行われたときに、三塚大蔵大臣は記者会見をされました。この記者会見の内容は、山一証券に日銀特融を実施した六五年のときと違い、今回はなぜ救済しなかったのですかというような質問に対して、市場が山一に対し宣告したのだと思う、簿外債務の発見が信認に極めて大きな影響を与え、信認せずともう市場が判定した、このような記者発表を行われました。
私は、これを読みまして一瞬大変な恐怖心に駆られたわけであります。あの昭和恐慌のときの片岡大蔵大臣の失言にも似たような思いがいたしたわけでございます。案の定、市場におきましては、先ほど私が申し上げましたような極めて混乱した状況になったわけでございます。
まず初めに、三洋証券、北拓、また山一証券は、いずれも株式市場の株価の低迷から信用を失墜し、先ほど私が申し上げましたような短期金融市場で資金が調達できなくなったというような状況で経営破綻したのが直接の原因、このように言われておるわけでございますが、それを追認するかのごとく大蔵大臣のおっしゃった発言は極めて重要である、このように思うわけでございます。これについて、そのときの御真意、またどういうことが背景にあってそういう発言をされたのか、御
答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/39
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040・三塚博
○三塚国務大臣 本件は、そのときの会見の要旨を持ってくればよかったのですが、こちらにありません。
問題は、山一は総合判断の中で廃業、こういうことの決心をして、申し入れがありました。こういうことでございまして、簿外債務が存在をするということもございました、株価低迷が続いておった、資金調達が極めて困難であった等々の諸事情を勘案しながら自主廃業を決意するに至りましたということを受けて、申し上げておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/40
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041・谷口隆義
○谷口委員 大蔵大臣、それは違うんです。私は、市場関係者、市場の声をずっと聞いてまいりました。そうしますと、大蔵大臣のおっしゃった発言は、政府は今の金融情勢の悪化をコントロールできなくなった、市場に任せてしまった、こういうようなことで大きく株式市場が反応したのであります。それについて、私は、大変大きな責任がおありですよということを申し上げておるわけでございまして、今御答弁をいただいたことは全くそれに対して触れておらないわけでございますので、再度御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/41
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042・三塚博
○三塚国務大臣 もう前段申し上げたことに尽きます。もう護送船団方式というのはおやめなさい、日本版ピックバンがスタートをいたします、当委員会においても何回も言われ、私はそのことは、破綻処理ということ、金融システムという大前提を中心としてやることであるとも申し上げてきておるところでございます。あれだけの伝統のある、あれだけの業績を持った会社がみずから自主廃業を決心した、この重みをしっかりと受けとめて、自後の対策に専心をいたして、投資者に対する万全の措置を講じておるということはよくお知りいただいておるところであると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/42
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043・谷口隆義
○谷口委員 市場の宣告に対して政府がどういう対応をとるかというようなことが問われたわけでございます。
今、確かに株価は戻っております。私は今回のこの預金保険法の改正案の折に本会議において代表質問をさせていただきました。その折に、今やこの金融状況の悪化は公的資金の導入の議論をやっていかなければいけない、どういうことをおいても、その前提条件はあります、大変な前提条件をクリアしないと、これは公的資金を投入するわけでございますので、国民の理解は得られないという観点で申し上げたわけでございます。
政府の方でも、その後この公的資金の導入論がずっと高まってまいりました。私がこれを申し上げたのが十一月十三日でございましたが、その後、公的資金の導入論が高まってまいりました。その公的資金の導入論によって市場の方は一応の落ちつきを見せておるわけでございますが、現実の問題は、それに対して明確な措置をした、対応をしたということではありません。これはアドバルーンを上げただけの話でございます。
今後、政府がどのような対応を行うのか。もっと大きなことを言いますと、政治がどのようにリーダーシップを発揮していくのか、このようなことが問われておるんだろうというように私は思っております。政治が今こそ引っ張っていかなければいけない国家の重大な時期に来ておる。
私は、従来から、この不良債権の問題については、そのように申し上げておりました。小手先の問題では解決できない。今回の預金保険法の改正の問題におきましても、また後ほど触れさせていただきますが、政府・自民党の方も、今回の法案を提出して、聞くところによりますと、今度の通常国会でまたこれを再修正するというようなお話、このような状況であれば、これは市場に大きな混乱をもたらすだろう。今や政治がリーダーシップをとって、どのようにして安定をさせていくのかという具体的な方策を示さなければなりません。
そういう意味において、市場の宣告に任す、こういう発言はぜひやめていただきたい、私はこのように強く申し上げたいと思います。大蔵大臣、もう一度御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/43
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044・三塚博
○三塚国務大臣 当面、日銀特融で万全の策をとっておりますことは、御案内のとおりであります。預金者等の皆さんの不安はいただきませんようにと談話でも申し上げました。万全の態勢をとらせていただいておるところでございます。
そういう中で、具体的な論議がそれぞれなされております。そのなされておることを重大な関心を持って見詰めておるというのは、ただ見詰めるだけではなく、先ほど申し上げましたように、安定のために何があるのか、何をやらなければならないのか、あらゆるものの分析をいたしております。
私どもは、ただいま出しております預保の改正案で、現行法で適切に処理できる方策のない金融機関がモラルハザードを起こさないようにした上で合併することを可能にすることにより、預金者保護と金融システムの安定を図りますとともに、特にその機関とお取り引きをいただいておる顧客の皆様、中小零細企業を初めとした健全な取引先や地域経済、雇用に寄与するためにこのルールをお認めいただきたい、こう申し上げておるところでございます。
さらに、これはこれで上げていただき、全体の中で、国会内の論議を踏まえ、そして各党間の論議を踏まえ、昨日宮澤提言もございました。また、各党の御質疑もございました。そういうものを分析し、きっちりと対応できて効果が出る措置というのは何かということで、ただいま真剣な部内論議を大蔵省としていたしておるところであります。国民世論をベースに行って、体制をつくり上げてまいりたい、こういうことでありますので、御理解ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/44
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045・谷口隆義
○谷口委員 ただいまはシステミックリスクきわまれりというような状況でございますので、政治がリーダーシップを発揮するとともに、大蔵大臣の発言は十分慎重にやっていただきたいというようにお願いする次第であります。
それで、これもマスコミの報道によりますと、十一月二十九日に総理から、一番重要なのは預金者保護であり、金融機関が淘汰されることはやむを得ないというような御発言があったようにお聞きいたしております。この発言は破綻を容認したともとれる発言でございますが、このような発言につきまして、大蔵大臣、御答弁をお願いいたします。——大蔵大臣、もう一度お願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/45
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046・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
きのう、私予算委員会に出ておりまして、総理は、淘汰という言葉を用いてないというふうに否定されておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/46
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047・谷口隆義
○谷口委員 今回のこの預金保険法の改正法案は、私はまさに、また後ほどこれは申し上げたいと思うわけでございますが、不可欠性の原則に基づいて地域の金融機関を守っていかなければいけない、こういう発想から出ておる法案でございまして、そういう意味において、私は、総理が仮に、今銀行局長は否定されましたが、この破綻を容認するような発言はむしろ前向きだと思うのですよ。前向きだと。
というのは、今、この法案の一番最大の疑問点と私が思っておるのはこの法案を行うことによって、本来破綻すべき、実質的に死に体の経営機関を延命させるのではないか。延命させるのなら、それによって社会コストがかなりかかるわけでありますので、延命させる金融機関、また存続させる金融機関、整理すべき金融機関をそのように整理していくことが必要ではないか、このように思っておるところでございまして、実は私は大変前向きな発言をされたな、このように思ったわけでございますが、今おっしゃったようにそういう発言をしておらないということであれば、またこれは後ろ向きになってしまう。
今やらなければいけないのはシステミックリスクですよ。ある金融機関が破綻することによってそれが金融システムに大きな動揺を与え、この金融システムが崩壊に至るような事態を避けなければいけないということなんです。今や護送船団行政とは決別されて、一行もつぶさないという時代
じゃない、もうこれから存続ができないような金融機関はそれなりの整理をしていかなければいけない、残すべき金融機関は残していくんだ、こういう明確な基準が必要だと思うのです。これについて御見解をお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/47
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048・山口公生
○山口政府委員 お答え申し上げます。
総理の御発言は非常にいろいろな意味でとらえておったということで話題になったわけでございますが、総理はそういう言葉を用いていないというふうにきのうおっしゃっておられました。
私どもとしまして、整理すべき金融機関と継続すべき金融機関、それは当然出てくるだろう、そう思うわけです。例えば破綻して継続が全く不可能な金融機関をまた立ち上がらせるということは、それは難しい。したがいまして、預金保険機構でもって資金援助を行うことによりまして、預金者を保護し、システミックリスクを防ぎ、受け皿がもしありますと、健全な取引先も保護をし得るというシステムでやっておるわけでございます。
したがって、例えば破綻という定義でございますけれども、預金の払い戻しの停止または停止のおそれがある、こういった状態になった場合には何らかの対応ということが迫られるわけであります。しかし、そうでないところにつきましては、ぜひともリストラ等をやり、その健全性を回復し、どんどん頑張ってやってもらいたいという気持ちは重々あるわけでございます。したがって、その整理すべきという、あるいは淘汰すべきという言葉をどんどんつぶしていくという意味でおとりになりますと、それは全く真意ではないということでございます。
先ほど、この法案についての御疑問点を申されました。せんだって鈴木先生の御質問でもお答えいたしましたけれども、経営の悪化した金融機関が特定地域に複数存在して、それがそれにとどまらず連鎖的に破綻するおそれがあるという場合の話でございまして、その地域経済に大きな影響を及ぼすというときに、その地域経済における円滑な資金需給に大きな支障があることを未然に防止する、そういう広い公的な観点から、どうしてもこれは当局として、もう破綻状態に近いということでその銀行は消滅させて、これは消滅でございます、それで新しいクリーンバンクをつくってお取引先のそういう資金がストップしないようにしてあげることが必要ではないか。それをあっせんします。向こうから助けてくれというのじゃありません。こちらからあっせんします。それで、向こうは拒否しても構いません。そんなことしたらまた何か責任とらされるだろうということで、拒否されるかもしれません。それは拒否は自由である。しかし、今のこの特例期間中はぜひそういう機能を与えていただいて、預金者にも安心してもらうと同時に、取引先までやっていただきます。
そうしませんと、私が軽々に申し上げるべき話じゃありませんが、非常に金融というのは不安定な状況になる場合があります。一カ所の倒産あるいはニカ所の倒産が三カ所、四カ所、五カ所と物すごいうわさが広まるということもあるわけでございます。そういったことをぜひ防ぎたい。そのためにはあっせんという行為がまず前提であると同時に、モラルハザードを防ぐ意味から、きちっとした計画を立てるなり、そういった計画をつくってもらうということを前提にするわけでございます。そこは矛盾はしないというふうに思うわけでございます。
〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/48
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049・谷口隆義
○谷口委員 私は、橋本総理の発言は大変前向きな発言で、実は大変評価したのです。今、そういう発言はしておらないということをまたこの大蔵委員会で述べられたので、大変がっくりきたわけであります。
今我が国は経済の二重構造、非常に生産性の高い産業、これは自動車、また工作機械であるとか家電であるとか、非常に生産性の高い産業がございます。一方では、金融業界、これは典型的なものですよ、金融業界また農業、こういう規制に守られた産業、こういう二重構造をなくしていかなければいけないということから、今回この金融業界のビッグバン、護送船団行政からの決別、これがひいては競争原理の中にこの金融業界を持っていく、金融を競争原理が働くような産業にしていかなければいけない。
こういう観点でいくと、実質的に経営破綻の金融機関が残ることは、これは大変好ましくない、私はこのように考えておる次第でございまして、今そのような選別をやっていかなければいけないときではないか、このようなことで先ほど申し上げたわけであります。
大蔵大臣、御発言をしていらっしゃいませんが、今私が申し上げたことに対する御答弁を大蔵大臣にお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/49
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050・三塚博
○三塚国務大臣 きのうの宮澤元総理と橋本さん、集中審議においてそれぞれの提案をいたした中で、印象的なのは、フーバーさんの言葉を引いて、フーバーさんは恐怖は恐怖を生むと言いましたが、疑念は疑念を生む、それを払拭するためにありとあらゆる手だてを講ずるべきであると、全く私は同感であり、既に山一証券の事態が廃業の危機との報告がありました折に、ありとあらゆる選択肢を点検、検討、立案、何をやるべきか、やらなければならないかを事務当局に厳命をいたしたところでございます。
そういう中で、ビッグバンについて、護送船団方式はやめたと委員は認識をされておる、全くそのとおりでございまして、こういう中で金融機関は得意の分野に重点化をして営業をやる、あるいは合併やリストラなどでおのおのの努力をすることを期待しなければならぬと思っております。こっちから強制をするということではなく、みずからの自己責任、自己判断、自助努力の観点から、どうすれば今後とも地域の顧客の皆様の期待にこたえられるかという点で、経営者が深刻な判断の中でリストラを今やっておるわけでありますし、そして合併についても、そのことの方が地域経済に、顧客の皆様に御安心をいただけるというのであれば、メンツを捨てて、従来の流れを捨てて、合同、合併というのがあり得て当然ではないかと期待をいたしておるところでございます。
そういう点で、今回の法律も、そのことをしつかりと支えてあげますよ、こういうことでございます。もちろんモラルハザードもあります。自己責任もあります。今後の展開に対する展望について明確にやはりリストラを断行して、当然のことながら頑張り抜く、こういうことがその次にあることであろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/50
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051・谷口隆義
○谷口委員 今回の預金保険法の改正でございますが、先ほども申し上げましたように、これが実質的破綻金融機関の延命であってはならない。また、銀行救済であってはならない。先ほど銀行局長が御答弁されましたが、あっせんを求めるのは金融機関だというようなお話でございましたが、金融機関の側からすれば、生死の境をさまよっておる状況の中で、よほどの理由がない限り一般的にはあっせんを求めできますよ。ですから、今おっしゃった御答弁は、私は正しくないと思います。
今政府の方で、この金融機関が本来存続すべきなのか、またこれは破綻を前提に処理をすべきなのか、これを考える例えば一つの基準であるとか、こういうことをやっていかないと、僕たちは極めて、これからある意味では護送船団行政が続いていくだろうというような危惧を持っておるわけでございまして、ぜひそういう観点で、私は先ほど冒頭お話をしました橋本総理の発言は大変前向きに評価いたしておるわけでありまして、そういうように決断をしていただくよう、ぜひ申し上げたいと思うわけでございます。また、今回のこの預金保険法の改正については、そういう観点でも私は好ましくない、このように考えておるところでございます。
それで、先週大蔵委員会におきまして一般質疑の場で、我が党の鈴木委員がアメリカにおける金融機関破綻処理について質問をされました。あのときの質問は、アメリカにおいてかつて破綻処理をした変遷を述べられたわけでございます。
一つは、一番初めに基準になったのは不可欠性
の原理。これはその地域においてこの金融機関が不可欠なのであるというような観点で金融機関を存続させる、こういうようなことであるわけでございます。しかし、金融機関というのは、一般的に言って地域に対してどこでもそういう意味において大きな影響があるわけでございますので、もう今やこの不可欠性の原則は適用されておらないというふうに聞いております。
その次に出てまいりましたのが、ツー・ビッグ・ツー・フェール原則。これは余り大き過ぎてつぶせないという原則でございますが、これも大きい小さいでもう大変不公平ではないか、こういうような観点から、今やシステミックリスク原理、連鎖危機が全体に及ぶかどうかという観点で判断していかなければいけない。その際にコストテスト、これを破綻することと継続させることによるコストを比較することによって考えていく必要がある、こういうことに今なっておるようでございますが、どうも近時の我が国の金融機関の破綻の処理状況を見ておりますと、このあたりの基準が全くばらばらになっておる。
今回の預金保険法の改正は、先ほども申し上げましたように、極めて地域に対して大きな影響を与えるという観点から金融機関を残すんだという意味において、不可欠性の原則が働いておる。また、先日経営破綻をした北海道拓殖銀行は、ツー・ビッグ・ツー・フェール原則で一行もつぶさない、大きな銀行はつぶすと極めて大きな影響が出るからということであったわけでございますが、現実に金融機関北拓は破綻したわけでございます。
こういうようなことで、我が国の処理方法、破綻処理について、一貫した処理方法が行われておらないというのは極めて問題であるというように考えております。そういうことにつきまして、大蔵大臣、御答弁がございましたらお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/51
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052・三塚博
○三塚国務大臣 鈴木委員の先般の御質疑を引用されて、合衆国の例を引かれました。私自身、本件については基本的には米国の当時における考え方に大きな相違感を持っておりません。すなわち、明確にさせていただきますことは、破綻金融機関は存続させないという原則がございます。そのとおり今後も取り組むわけでございますが、経営者の責任、これは厳格な責任追及が行われるという考え方、本件もそのとおりであります。既に一昨年十二月、金融制度調査会答申に基本が示されておるわけでございますが、今時点に立ちましてこのことに対応していかなければならない、こう思っております。
二十銀行をつぶさないということでありますが、会見でも申し上げ国会答弁でも申し上げておりますとおり、北海道拓殖銀行は海外から支店を全部撤去いたしまして、北海道経済に特化をして金融の責任を果たそうということになりました。二十というのは、我が国金融システムだけではなく、外国に日本発パニックとして輸出するような事態は断じてとれないのが我が国経済国家としての責任である、こう申し上げてきておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/52
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053・谷口隆義
○谷口委員 先ほどのまた繰り返しになりますが、今回の預金保険法の改正は、先ほどのアメリカの破綻処理の変遷で申し上げますと、不可欠性の原理が採用されている。地域においてこれはつぶすわけにいかないという観点で行われたものでありまして、既にアメリカにおいては採用されておらない破綻処理の方法でございます。今申し上げましたように、今やシステミックリスク原理、システミックリスクで、連鎖危機が大きな影響を及ぼしてシステム全体を崩壊させかねないというようなときにやらなければいけないというような状況の中で、私はこれは大変問題がある、このように言えるのではないかというように思います。
また、先ほど中川委員の質問の中に、預金保険機構の財務状況の質問がございました。十一月末現在で責任準備金が二千百億のマイナスになっておるというような状況で、もう既に今枯渇しておるわけですね。年間四千六百億円の保険料収入があるようでございますが、現状はそういうように資金が枯渇しておるような状況の中で、私は、実質的にこれを延命させるような救済措置の中に預金保険機構の金をつぎ込むということについては、これはよくないというように申し上げたいと思います。
それと、日銀特融についてお聞きいたしたいと思います。
これは、昨日の日銀総裁の御発言で、山一が債務超過の心配もあるというようなことをおっしゃったようでございますが、そのような現状について、日銀総裁の方から御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/53
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054・松下康雄
○松下参考人 私どもがいわゆる日銀特融を実行いたしますときには、その際の特融の返済の可能性ということは重視をいたしまして、回収が可能であることによって、この特融を実施しても中央銀行としての財務の健全性を損なうおそれがないという点を一つの判断の基準にいたしているわけでございます。
そこで、山一証券に対する特融を決めましたときの判断でございますけれども、山一証券は、現在、会社側の報告によりますと、簿外の損失その他いろいろとございますけれども、これらを差し引きましてもなお実質の自己資本において債務超過の状態に陥っていることはないということでございます。
私どもといたしましては、当面、現状におきましてそういうことであれば、最終的に自主廃業、解散という措置をとってまいりますときに、山一証券の資産の処分によります収入によって日銀の特融の回収が可能である、こういう判断をいたすわけでございます。
ただ、破綻の処理ということでございますから、この間におきまして、不測の事態が生じまして、万が一、山一証券の自己資本が毀損されていたという場合にどうなるかということでございますけれども、私どもといたしましては、この点につきましては、政府の側も十分の関心を持っていろいろと対応策を検討している。例えば、今の寄託証券補償基金の財務基盤の強化でありますとか、機能の拡充でありますとか、そういう点を含めて、いろいろと方策を具体的にこれから検討を行っていくということでございます。
そういう段階でございますので、私どもは、これらを総合して判断いたしますと、仮に、将来債務超過という事態が起こりましても、私どもの特融の回収に支障を生じることがないという判断で、これを実行いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/54
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055・谷口隆義
○谷口委員 総裁にまたお尋ねしたいわけでございますが、今、債務超過でないというような御判断でいらっしゃいますが、債務超過でなければ日銀特融は全額回収できるというように考えていらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/55
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056・松下康雄
○松下参考人 全体を清算いたしましたときに、現状での判断で債務超過であるかないかということが、最終の資産の処分あるいは債務の償還というものを実行するそのときまで確実にそのとおり保証されているものかどうかという点は、それは実行上、いろいろと現状の見通しから変わる点もございます。
そういう点がございますから、現状債務超過でないという点が、最終結果におきましても、実際に回収資金が超過するということを確実に保証したものであると考えるわけにはまいりませんけれども、現状における一応の判断といたしましては、その点は懸念がないということは一般的に申せるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/56
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057・谷口隆義
○谷口委員 これは総裁のおっしゃるような形にはならないと僕は思うのですね。
というのは、十一月末現在で、日銀特融の残高が、これは新聞に載っておりまして、北海道拓殖銀行が二兆二千億、山一証券に一兆一千億。一兆一千億山一に対して特融を今現在なされているようですね、十一月末現在で。
一方、山一の状況を見ますと、九月末時点で四千三百億円に上る総資産があるのです。これに対して、純資産ですか、これで資産と書いておりますが、純資産ですね、これに対して、それから控
除されるべき簿外損失、飛ばしの簿外損失が二千六百億円、評価減による損失が三百億円、十月以降の期間損失が百億円、毀損の可能性が高い関係会社の貸付金が二百億円、含めると三千三百億円が減少するということで、最終的にこれは、長野証券局長もおっしゃいましたが、約一千億ぐらいの純資産。資産から負債を引いた残り分、純資産が一千億ぐらいなんですよ。今、現状がですよ。それに対して、今申し上げたように一兆一千億の日銀特融がございます。これはどう考えても現状の中では回収はできません。債務超過ではございません、一千億の資産超過になっておるわけでございますので債務超過ではございませんが、一兆一千億を全額回収するということは当初からこれは無理なんですね。これについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/57
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058・松下康雄
○松下参考人 私どもが特融を行いますときの具体的な目的は、債務超過でありませんケースでございましても、資産を処分いたしまして負債を返却していく。山一の場合でございますと、顧客から預かっております多額の有価証券あるいは現金を顧客の請求に応じて、これは直ちにお返しをしなければならないものでございます。
ただ、一方で、資産の方は、これを処分してその代金を入手いたしまして、これで返済に充てる。経理上はそうでございますけれども、ただ、資産の処分には時間もかかりますし、また容易なことではございませんので、支出と収入との間に時期的な差が非常に大きく出るわけでございます。山一ほどの規模の企業になりますというと、この時期的な差で必要とされますいわばつなぎ資金というものが非常に大きなことになりまして、これが円滑に供給されませんと、例えば顧客に対する預かり資産の返済も、また海外その他の国内の既契約の契約の実行も滞るということになります。
私どもは、そういう資産・負債の時期のずれによりますつなぎを提供しているものでございまして、それらは現在は債務でございますけれども、本体の方の債権債務を清算いたしました段階で償還されることになるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/58
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059・谷口隆義
○谷口委員 これは多分九月末現在の、これは新聞報道でございますが、貸借対照表、BSから持ってきたのだと思いますが、簿外負債がない限り、これ以上の資産は多分ないと思います。むしろ毀損する部分が資産の方で出てくる可能性が一般的にはございまして、ですから、今このBS上一千億ということは、一千億よりも減る可能性があるという場合の方が多いわけでございますが、そのような状況の中で一兆一千億の特融は、今現状の中で考えますと、到底全額回収できないだろうというように思うわけでございます。
それで、その次に考えますのは、今まだ任意組合的な寄託証券補償基金、これを法制化しようという動きがどうもあるようでございますが、これに資金を投入して、その寄託証券補償基金が山一に対して拠出し、その拠出したものを日銀の特融で回収するのかな、それぐらいしか回収はできないだろうなというように私は考えております。
また、それにつけ加えて中央銀行の役割、金制調答申を見ますと、「明白に回収不能なケースについての損失補填は、金融機関のモラルハザードを避けるためにも行うべきではない。」このようになっていますね。また、資金供与を行う場合の四原則もございます。この中に一言も債務超過というような文言はないわけでございます。なぜこういう状況の中で債務超過という文言が出てきたのか。回収できるかどうかという判断が一番問題であって、債務超過であるかどうかということはこの際余り問題ではないのではないかというように思うわけでございますが、これについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/59
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060・松下康雄
○松下参考人 御指摘のように、現状、仮に債務超過でありましても、例えば銀行の場合でございますと、預金保険機構からの支援を受け、また自己の資産を処分する、これらのかわり金の収入を合算いたしますと、最終的には、日本銀行の行います特融の返済が可能である。こういった場合には、現状、債務超過でありましても、その返済の計画あるいは破綻の処理計画がきちんとしたものでございますと、私どもは回収可能と判断することができるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/60
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061・谷口隆義
○谷口委員 私が申し上げました、その前の質問ですね。要するに、一千億の資産に対して一兆一千億の特融がある。この回収の問題について、そうしたら、証券局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/61
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062・長野厖士
○長野政府委員 山一証券の財務の問題でございますから私から御説明させていただきたいと思いますが、山一証券の最新時点のバランスシートは二十五日の臨時報告書でございます。そこにおきまして、九月期末決算で四千三百億ございました資産勘定が、御指摘のとおり一千億ということになっておる。これを総裁がそれだけの資産超過とおっしゃっておられます。
そこで、この一千億の資産超過である状態と、御指摘の一兆一千億の日銀からの借り入れというものの関連でございますけれども、細かな計数は精査しておりませんが、一兆一千億の日銀借り入れは二つの道に今使われておるわけでありまして、一つはほかの債務の返済に充てられておる、これは内外の。したがって、その部分は日銀からの債務になっておりますけれども、ほかの債務が減少しておる、バランスシート上は債務全体として変更はない。もう一つは、現場におきます現金の手当てのために貸し出しが行われておりまして、これは、山一証券の支店におきまして支払いに備えた現金として積み立てられておりまして、これは資産が膨らんでおります。
したがいまして、一兆一千億というのは、十一月二十五日のバランスシートとの関係でいえば、債務が、他の債務者から日銀特融の債務に切りかわっているか、あるいは資産勘定において現金が積み上がっておるという状態でございまして、一千億の資産超過の状態に変更を及ぼすものではないということを御理解賜りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/62
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063・谷口隆義
○谷口委員 一つは、今証券局長おっしゃったように、じゃ現金の積み上げはどのくらいあったのか、また他の債務についてはどのくらいあったのか、これを御報告をお願いいたしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/63
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064・長野厖士
○長野政府委員 ただいまさまざまな繁忙の中で日々行っておりますから、計数は把握しておりません。計数が把握できる時点になりましたら、御報告できると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/64
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065・谷口隆義
○谷口委員 債務超過でないということを従来から日銀総裁談話の中でもおっしゃっておりますし、山一に対する特融を発動する一つの大きな根拠としておっしゃっておるわけでございます。
ですから、私が申し上げておるのは、債務超過でないから全額が回収できるわけではないですよ。一般的な議論を聞いておりますと、どうも新聞報道を見ましても、きょうの産経新聞の朝刊も、債務超過でないから日銀特融は全額回収できるんだというようなお話でございますが、決してそんなことはありません。財務状況が問題なのであって、返済原資があるかないかということでございますので、そういうおっしゃり方をされますと、逆に国民が混乱をするのではないか。
また、それにつけ加えて山一の最近の財政状況、私がさっき申し上げました、証券局長おっしゃったように、今一千億の純資産がある。一千億しかないわけです、逆に言うと。これが、昨日の予算委員会の御答弁で総裁は、ちょっと私もそのことを聞いておらなかったわけでございますが、どうも飛ばし、簿外負債が二千六百億と言われておるが、調査した結果、これが膨らむ可能性があると。膨らむ可能性ありませんか、御答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/65
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066・松下康雄
○松下参考人 簿外負債の内容については私もまだ承知をいたしておりませんので、この点についてはお答えで触れたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/66
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067・谷口隆義
○谷口委員 そうじゃないというようにされたので私お聞きしたのですが、簿外債務が、今証券取引監視委員会の方で調査なされておるようでございますが、これも一般的に、東洋経済あたりは五千億ぐらいある、このように報道しております。そうしますと、一遍に債務超過になつちゃうわけ
でございますので、特融を発動する大きな根拠もそこで崩れてしまうというような状況でございます。
私は何を言いたいかといいますと、明確な基準はやはり必要なのであって、とにかく、国民はわからなくてもいいんだ、我々がしっかりこのシステムを守っておるからいいんだというようなやり方はだめですよ、きちっと明確に説明ができるように、特融の発動が行われるなら特融の発動が行われるような根拠を明確にしないとこれは納得はしませんよということを申し上げたいわけです。先ほどの破綻処理の原則にしましても、どうも個別対応になっておるから問題である。こういう問題を解決しなければだめですよ。
私は、従来から言っておったのは、こういう事態を招来するのはある意味では当然であったわけでございますので、危機管理体制を設けていただきたい、きちっとした処理方法を定めてもらいたい、そういう状況の中で、破綻させる金融機関、また整理すべき金融機関を分けていく必要があるだろう。それも国民の説得をしてそれをやらないと、また今までのような、金融機関の不良債権の金額も銀行局長がおっしゃっているような金額ではない、これは国民全体がそれを思っているんです。だから大変危機感を感じておりまして、それで、銀行局長が今もう既に二十七兆円ほどの金融不良債権になっておると言っても、なかなかそれは国民の中で、本当にそうなのというのが現実でございます。
これはなぜそういうことになったかといいますと、今までの処理の方法、また金融機関の不良債権の公表についても明確におっしゃらなかった。これはずっと私は従来から申し上げていたことでありますが、それが不信を生んで今の現状になっておる。ですから、そういう意味においては市場は敏感に反応します。むしろ市場の方が早く反応し、我々の方がその状況を見て現実がわかるというのが今の現実じゃないですか。そういうことはやめなければいけないということをずっと私は言っていたわけであります。今我が国最大の危機に至っておるわけでありまして、ここに至るまでの間に本来はやっておかなきゃならないんです。バブルが崩壊してもうかなりの年数がたっておりますが、私は国会議員になって今もう四年になりますが、従来からそのように申し上げておったわけであります。
今後、それにつけ加えて、また破綻が予想される金融機関、銀行、証券会社、また生損保、またゼネコンが、私の個人的判断でございますが、ここへ来て極めて経営状況が厳しいところがかなりあるわけであります。そのような状況の中で、これをまた存続させていくようなことをやるのか。そういうようなことは今はもうできませんよ、むだな金はもう使えないですよ、このように申し上げたいわけでございますが、大蔵大臣、これについて御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/67
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068・三塚博
○三塚国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、破綻金融機関はそのとおり対処されていくわけでございます。
そういう中で、この機会にもう一度申し上げておきたいのは、個別金融機関の破綻が金融システム全体に及ぼさないよう内外のマーケットの信認を維持する、ここが一つあります。そのために、預金保険制度といったセーフティーネットを通じまして、預金の全額が保護されることにより、預金者に自己の預金は安全だという安心感をしっかり持っていただこうということも重要な課題であります。もちろん、専門的でありますが、インターバンク取引の安全を確保するためにも、内外に日本の金融のあり方の信認を受けることになります。
経営困難に陥っておる金融機関の資金繰りの悪化がその他の金融機関に影響することのないよう、日本銀行により十分な流動性が市場に供給されていくことの観点が重要でありますから、そのように日銀において対処をいただいておるところであります。
さらに、現在の金融情勢のもとでは、ただいま御審議をいただいておる預金保険法改正案による措置を一刻も早く破綻処理の手法として追加することが、極めて緊急性を要する事柄であると考えております。ぜひとも成立を期していかなければなりませんし、重ねて申し上げますことは、預金者保護を図りつつ金融システムの安定確保に全力を挙げてまいりますことが、当面の課題に対応する財政当局、大蔵当局、大蔵大臣としても、また政府機関としても、内閣としても重要な事柄であう、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/68
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069・谷口隆義
○谷口委員 今、自民党の党内でも、公的資金の導入の方法をめぐっていろいろ議論があるというように報道されております。先ごろ私が本会議で申し上げましたように、いろいろな越えなければいけない前提条件がございますが、この公的資金の問題を避けて、この難局は乗り越えることはできないというように考えております。
そういう状況の中で、この臨時国会が十二月十二日に予定では終了するわけでございますが、この年末資金が果たしてとれるのかどうかというような状況も聞いておるところでございます、短期金融市場においてですね。そうしますと、今の状況は、確かに、先ほど申し上げましたように、株式市場は一応の落ちつきを取り戻しておるわけでございますが、これはアドバルーンを上げただけの話で、何にもやっていない。このような議論を一刻も早くやって、それなりの方針を与野党間で審議をしてやっていかないと、本当に年末大変な状態になるのではないかというように私自身は感じております。
先ほど議論の中で申し上げましたように、今は政治がリーダーシップをとっていかなければなりません。大変な事態であります。そういう状況の中で、この問題を放置して、翌年の臨時国会でまたやる、この預金保険法の改正も、とにかく今回は通しておいて、また通常国会で修正をするんだというような考え方では、どうも能天気と言わざるを得ないんです、大変な事態なんですから。
今、何らかの方針をこの国会の議論の中で、私は先日本会議で、全議員の皆様に訴えたわけであります。今やるべきだ、そういう観点において、一刻も早く公的資金の議論も含めたこの議論を、これはいろいろ与野党考え方が違うでしょう。議員の皆様もいろいろ違うと思います。見解をそれぞれ持っていらっしゃると思いますが、今やらなければいけないときである、このように強く申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/69
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070・三塚博
○三塚国務大臣 年末に向けての資金対策であります。既に政府金融機関総動員態勢に入りまして、それぞれの窓口を都道府県、それぞれの地域に配置をして、相談を受け、対応するようにということで全力を尽くしておるところでございます。
さらにまた、ただいまの公的資金等の問題については、本法案はルールづくりであります。地域に影響を及ぼさない、最小限にして、新銀行にスタートをさせる、こういうことの手法を取り決めさせていただきました地域危機対策、ひいては、全体的に見ますと、日本の金融システムの安定、こういうことであります。
これとは別に、財源対策がただいま論議が行われております。政府としても、大蔵省としても、タイミングを見て、リードするときはリードしなければなりませんが、ただいまは国民間の議論、国会の議論が重要でありますということを重ねて申し上げさせていただき、格段のまた御鞭撻をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/70
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071・村上誠一郎
○村上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時六分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114104629X00819971202/71
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