1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年十月三十日(木曜日)
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平成九年十月三十日
午後零時三十分本会議
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○本日の会議に付した案件
永年在職の議員粕谷茂君、正森成二君、三塚博
君、愛野興一郎君、山崎拓君、瓦力君、加藤
紘一君及び野田毅君に対し、院議をもって功
労を表彰することとし、表彰文は議長に一任
するの件(議長発議)
内国税の適正な課税の確保を図るための国外送
金等に係る調書の提出等に関する法律案(内
閣提出)及び租税特別措置法の一部を改正す
る法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後零時三十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114105254X00719971030/0
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001・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。
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永年在職議員の表彰の件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114105254X00719971030/1
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002・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) お諮りいたします。
本院議員として在職二十五年に達せられました粕谷茂君、正森成二君、三塚博君、愛野興一郎君、山崎拓君、瓦力君、加藤紘一君及び野田毅君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。
表彰文は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114105254X00719971030/2
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003・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
これより表彰文を順次朗読いたします。
議員粕谷茂君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員正森成二君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員三塚博君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員愛野興一郎君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員山崎拓君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
…………………………………
〔拍手〕
議員瓦力君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員加藤紘一君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員野田毅君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
この贈呈方は議長において取り計らいます。
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004・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) この際、ただいま表彰を受けられました議員諸君の登壇を求めます。
〔被表彰議員登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114105254X00719971030/4
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005・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 表彰を受けられました議員諸君を代表して、粕谷茂君から発言を求められております。これを許します。粕谷茂君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114105254X00719971030/5
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006・粕谷茂
○粕谷茂君 ただいま、本院永年在職議員として、院議をもって名誉ある表彰の御決議を賜り、議会人として、まことに身に余る光栄であります。(拍手)
僭越ながら、表彰されました方々を代表いたしまして、御礼のごあいさつを申し上げます。
顧みますると、私どもが本院に議席を得た昭和四十七年は、日本で初めての冬季オリンピックが開かれ、続いてその夏にはミュンヘンで第二十回のオリンピックが開催された年でもあります。このように平和の祭典が華やかに開かれている一方で、ベトナム戦争は日増しに激化の一途をたどり、泥沼化の様相を呈しておりました。以来四半世紀、我が国は幾多の激動の時代を乗り越え、今日に至ったのであります。
この間、とりわけ私の印象に残っております出来事は、数次にわたるオイルショックであります。当時の世相は、オイルショックの直撃を受け、国民生活はまさにパニックと化し、我が国の経済基盤の脆弱なることを痛感させられたものであります。この教訓に学び、震災、安全保障、食糧、環境等々の国民生活に不可欠な問題点を一つ一つ洗い出し、危機に対して万全を期することが政治に課せられた大切な使命であると私は思います。
私は、この二十五年の間に、政務、党務と幾つかの役職に携わってまいりました。昭和六十二年、竹下内閣のもとで北海道・沖縄開発庁長官の任についたのもその一つであります。私が政治の師匠としてごく短い間でしたがお仕えをいたしました故佐藤栄作先生が、その政治生命をかけて返還をなし遂げた沖縄の開発に携わることができましたことは、忘れ得ぬ感激でございます。(拍手)
人それぞれおのずから生い立ちは異なります。文字どおり一介の無名の青年であった私が、絶ゆることなく今日まで議席を全うし得ましたのは、まさに天の恵みと言わざるを得ません。加えて、「厳父、厳師ありて人は人となる」と申しますが、厳しかった父の子として生をうけ、温情あふれる故佐藤栄作先生との出会いによるものと申せましょう。もし先生この世にありせばと思いながら、先生御夫妻に謹んで今日のことを心から御礼申し上げます。(拍手)
ごあいさつを終わるに当たって、一言申し上げさせていただきたいことがございます。
私が政治家として最近最も憂慮にたえないことは、各種選挙における投票率の低下であります。その原因が国民各位の政治に対する不信にあるとするならば、それは民主政治そのものの危機であると申さねばなりません。
我々の先人が長い年月をかけて生み育てた民主政治をさらに健全に育てることができるか、はたまた、戦前戦中をいささかなりとも知る者にとって、もしかするとあの暗黒時代がどこかで待ち伏せをしているのではないかと脳裏をかすめるのであります。それは大げさな予測と言えるでしょうか。現状はまさにその岐路にあると言わねばなりません。
私たち政治家は、国民を代表してその責任を一身に担った戦士であることを厳粛に自覚しなければなりません。我々のこの身は軽しといえども、その責務は山のごとく重いことを片時も忘れてはなるまいと思います。そのためにも、その身上に国民から疑念を持たれること、一点たりといえども許されるものではなく、厳しく、厳しく自覚しなければならないと思います。
私は、新たな気持ちでこの民主主義発展のためにおのれの人生を全うしたいと思っております。
二十五年といえば四半世紀であります。この長い年月、国会議員としてその議席をお預けくださった選挙区の方々に対し、まず心から感謝いたします。そしてまた、照る日、曇る日、ありがたい友情を賜った先輩、同僚、友人の方々に心から御礼申し上げます。
最後に、この重大な責務を曲がりなりにも全うし得た体力と気力を与えてくださった亡き父と母に感謝の誠をささげます。
皆様、どうもありがとうございました。ごあいさつといたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114105254X00719971030/6
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007・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 本日表彰を受けられました他の議員諸君のあいさつにつきましては、これを会議録に掲載することといたします。
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正森成二君のあいさつ
私はこのたび、院議をもって永年勤続議員の表彰を受けました。同僚議員と関係者の皆様に心から御礼申し上げます。特に、八期二十四年の長きにわたって私を応援し、国会に送り出して下さった大阪一区の皆様に、そして、選挙制度の変更で比例代表候補となった私を、暖かい御支援で九度目の国会に送って下さった中国地方五県の皆様に、心からの感謝をささげるものであります。
私は五十年前に日本共産党に入党いたしました。それは、日本国民を塗炭の苦しみにおとしいれたあの侵略戦争を二度とおこさせないために、そして働く者こそ報いられる社会をつくるために、生涯を捧げることを決意したからであります。以来私は、この初心を忘れることなく活動することを心掛けてまいりました。
現在、日本共産党以外のすべての政党が政策的には自民党に吸収されたいわゆる「オール与党」体制のもとで、消費税の増税や、医療保険改悪で患者の大幅負担増が実施されると同時にもう次の改悪が論議されるなど、庶民を苦しめる政治が横行しています。また、アメリカの戦争に日本を自動的に参戦させる「日米ガイドライン」見直しなど、安保条約の実質的な改悪が押し進められ、平和が脅かされています。さらに憲法調査委員会設置の動きなど、憲法改悪を新たな危険な段階にたかめる策動が企てられています。
私は、このような政治を改め、日本共産党が提唱しているように、第一に安保条約をなくし、アジアと世界の平和に貢献する日本に、第二に「ルールなき資本主義」をただし、国民生活最優先の経済発展を、第三に憲法改悪をやめ、民主主義が花ひらく人間尊重の日本へ、という三つの根本的転換をはかり、「国民こそ主人公」の政治を実現することがますます必要になっていることを確信するものです。
国会に在職すること二十五年、私もいつしか古稀を迎えました。
しかし、いま尚、古人の「驥ハ老イテ櫪ニ伏スモ志ハ千里ニ在リ烈士ハ暮年ナルモ壮心ハ已マズ」の気持ちを失っていません。今後とも皆様の驥尾に付して国政革新の道に参加し、日本と世界の将来を最後まで見届けたいと念じています。
以上をもって謝辞といたします。
…………………………………
三塚 博君のあいさつ
此の度、本院永年在職議員として、院議をもって丁重なる表彰の御決議を賜り、議会人として、誠に身に余る光栄であり、感無量でございます。四半世紀の長きにわたり、国政に参画することができましたのは、ひとえに福田越夫先生、安倍晋太郎先生をはじめとする諸先輩、同僚議員各位の御指導、御鞭撻、さらには今日まで深い御理解と温かい御支援を賜りました郷土の皆様方のおかげであります。また、陰に陽に私の支えとなってくれた妻壽子の内助の功によるものであります。この機会に当たり、改めて厚く御礼を申し上げます。私が本日賜った栄誉は、これらの方々に帰するものと、重ねて感謝致す次第であります。
昭和二十年八月十五日、東京世田谷の馬事公苑で勤労奉仕の農作業中に玉音放送を聞いた時、ただ一心に国家に尽くすことを念じていた私は、張りつめていた気持ちが抜けていくのを感じました。これから、どうしたらいいのだろう。やがてくる激動の時代に、いったい何をすべきなのか。そんな時に郷土の先輩の演説を聞き、「廃墟となった日本を救うのは、議会制民主主義である。日本の再建にはそれしか道がない。政治家となって、この国を自分の手で再建しよう」と、生涯を決めました。それ以来ただひたすらに、世界平和と我が国の発展、繁栄の
ために努めてきたつもりであります。
顧みて、忘れることができないのは、自らの政治生命をかけ、心血を注いだ国鉄改革であります。国鉄は、昭和三十九年度に赤字に転落してから毎年、大幅な赤字を記録。五十六年度収支見通しては、赤字は一兆円を上回り、これを補てんするための借入金残高が十六兆円を超える天文学的な数字となっていました。国鉄が破産したら、国家の発展もないし地域の繁栄もない。末期的症状に陥っている国鉄の実態を厳しく追求し、国鉄再建のために「分割、民営化」の道筋をつけることが、真に国民の負託に応えることになると決心したのです。国鉄がJRとして生まれ変わった時、行政改革の時代に生き残る指針として、一石を投じることができたのではないかと思います。ここに改めて、改革に取り組んだ多くの同志に感謝の誠を表したいと思います。
二十一世紀まで余すところ三年、世紀末に立つ今、二十世紀を振り返り、来るべき次の世紀を展望することが私たちに課せられた責務であると思います。
我が国は、保守と革新というイデオロギー対立の構図で描かれた五五年体制が崩壊し、新たな政治体制が模索されています。政策を根本に見据えた議論が行える、そして国民全てが真に政治参加できるシステムの構築が必要とされています。
日本経済については、未曾有の危機的状況にある財政事情の中で、二十一世紀の活力ある経済社会を構築するため、財政構造改革や金融システム改革・ビッグバンを断行するとともに、経済構造改革を進め、国民のニーズの多様化・エネルギー・地球環境・高齢化といった構造変化に対応した経済・社会システムを形成していかなければなりません。
一方、冷戦構造の終焉により、アメリカ・中国・ロシアをはじめとする世界各国は国際新秩序の創造に重点を置き、積極的な外交政策を展開、相互依存関係を強めつつあります。各々の国家の拠って立つ理念と責任がこれまで以上に厳しく問われるなかで、我が国は「国際社会において、名誉ある地位を占めたい」という日本国憲法前文の精神を踏まえ、国際舞台で外交理念・政策をどのように打ち出していくかが重要となっています。
こうした内外の厳しい状況下、国民の皆様方の厳粛な信託に応えて、世界の平和と繁栄、活力ある日本の創造を目指し、同志とともに果敢に実現へと邁進し、改革の志を高く掲げ、「勇気ある平和国家」を築き上げる強い決意を申し上げる次第であります。本日の栄誉を機として、初心を胸に、国政・憲政発展のため渾身の力をふるう覚悟をお誓い申し上げ、心よりの御礼の言葉とさせていただきます。
…………………………………
愛野興一郎君のあいさつ
本日、衆議院の本会議場に於いて二十五周年表彰を賜りますことは私にとって身に余る光栄であり、同じく受賞の同僚議員と共に心から感謝申し上げ、議長閣下を始め衆議院議員各位に対しても深く感謝の意を表し一言お礼の挨拶を申し上げます。
思えば一九六七年四月佐賀県議会議員に当選後、一九七二年十二月衆議院選に当選し、爾来今日まで九期、国会議員を務める事が出来ましたのは、偏に佐賀県民の皆様方の暖かいご指導とご支援のお陰であり心から感謝とお礼を申し上げる次第でございます。
私自身としては一生懸命に誠意を尽くし努力したつもりでありますが、自らの至らざるを忸怩たる思いで反省を致しております。顧みれば一九七七年十一月福田内閣の外務政務次官に起用され、園田外務大臣にお仕えし日中平和友好条約を締結し今日の日中関係に至ったのであり
ます。一九七九年十一月大平内閣では総務副長官に就任し小渕長官の下で大平内閣のスタッフとして一曹の労を尽くしたつもりでございます。また、一九八九年一月竹下内閣に於いて、国務大臣経済企画庁長官として我が国初の消費税創設に参加し、便乗値上げの抑制、消費税の定着の為に努力を致しました。
この間衆議院に於いては、文教委員長、外務委員長、石炭対策特別委員長、議院運営委員会理事、予算委員会委員等を務めました。今、二十五周年を迎えるに当り思い返せば、亡き父愛野時一郎は第二次大戦中、国を憂い国民生活に思いを致した昭和十八年以来、戦前の若手政治家各位と共に、東条内閣に終戦運動を画策し、為に国会法を改正され二度の召集令状を受けたのであります。然るにGHQマッカーサー司令部により追放の憂き目を見たのであります。追放解除後、血の滲む思いで国政に復活し僅か当選後一ケ月と二十九日で議政壇上に散ったのであります。その父の反骨の精神を受け継いだ自らを偽ることが出来ず、故に金権腐敗と汚職の相次いだ自民党を離党し、一九九三年七月新生党結成に参画し、爾来、野党に籍を置くものであります。
二十一世紀は茨の道か、薔薇の花咲く様な道であるのか、極端に激しい変化の時代では皆目見当がつきません。私は二十五周年を迎え、若き政治家の諸君が今こそ、この日本国を有史以来の美しい栄光ある世界の日本として、一生懸命頑張ってくれるよう生命の続く限り応援して行きたいと思っております。私を中小企業の経営者としての道から、政治家としての道に導いて頂いた父の同志各位の保利茂先生、社会党の井手以誠先生、三宅正一先生、田原春次先生、稲富稜人先生、自民党の江崎真澄先生の御霊に謹んで哀悼の意を捧げ、私の挨拶を終わります。
…………………………………
山崎 拓君のあいさつ
このたび私の衆議院議員二十五年の永年勤続に対し院議をもって表彰していただき名誉なことと心から感激しています。
これもひとえに連続当選九回二十五年の永きにわたりお支えいただきました地元有権者の皆様のあたたかいご声援のおかげであり、かつその間の政界の諸先輩及び同僚議員各位のご教導の賜物であると存じ、感謝の念にたえません。
この二十五年間このような皆様のご厚情を無にしないように、「世界の平和と国家の安全」・「経済の発展と生活の安定」・「福祉の充実と老後の安心」を保証する政策の実現に心胆を砕いて参ったつもりであります。又当然のことながら郷土の発展のためにも少しでもお役に立ちたいと念じながら日々を過ごして参りました。
さて振り返ってみますと、私共が初当選を果たしました直後すなわち一九七三年十月に第四次中東戦争が勃発し、第一次石油ショックが全世界を、とりわけわが国の経済を直撃致しました。エネルギー問題が初めて政治問題化した時であり、朝野をあげてその対応に大童となりました。原子力発電の推進、新エネルギーの開発、省エネルギーの徹底等と共に、原油供給先の多角化も重要なテーマとなりました。当時から中東依存度があまりにも高かったためにインドネシア・中国等アジア諸国の石油資源も重視されるようになり、その面からも中東外交やアジア外交の積極的展開が求められるようになりました。私も党外交の一翼を背負う意気込みで世界各国を飛び廻って参りました。
後年湾岸危機が発生した折りには過去の経験を活かしてさまざまな対応策が論じられましたが、一兆三千億円にのぼる多国籍軍への資金拠出や停戦後のペルシャ湾への掃海艇の派遣が断行されました。そのことがさらにカンボジア内戦終息後の国連PKO活動への自衛隊初参加への途を開いたとも言えましょう。
又一九八九年十一月にベルリンの壁が崩壊し同時に第二次大戦後の冷戦構造も崩壊しました。このことは自由主義陣営の勝利であると信じますが、ポスト冷戦期におけるわが国の安全保障政策についても再検討が行われ、防衛計画の大綱の改訂や日米防衛協力の指針(ガイドライン)の見直しが行われました。このような貴重な経験を通じて、自由民主主義や市場経済の価値に改めて確信を抱くと共に、総合的安全保障政策を国策の基本におくべきであるとの政治信条を持つに至りました。
目下橋本政権は行政改革をはじめ六大構造改革に取り組んでいますが、二十一世紀においてもわが国が引き続き活力に富んだ国際国家として、国際社会に於いて名誉ある地位を占め、かつ実のある国際貢献をなしうるよう、これら諸改革を必ず達成すべきだと信じます。今後とも私心を棄てて国政に尽瘁して参りますことをお誓いして、御礼の言葉と致します。
…………………………………
瓦 力君のあいさつ
この度、衆議院在職二十五年にあたり、院議をもって表彰のご決議を賜りました。議会人として、誠に光栄であり、感謝に耐えません。
これも偏に石川県民、特に石川第三区、能登の皆様のあたたかいご支援と変わらぬご厚情の賜物であります。この間私が、衆議院にあっては大蔵委員長、建設委員長として、自民党においては国会対策委員長、政治改革本部長、安全保障調査会長として、内閣にあっては内閣官房副長官、防衛庁長官として政治に真正面から取り組むことができましたのも先輩・同僚議員と、知友のご支援あったればこそと感謝いたしております。
誠に有り難うございました。
私の恩師で元衆議院議長益谷秀次先生の教え
を受け、衆議院に初の議席を得ましたのは第二次田中内閣の発足した昭和四十七年十二月の第三十三回総選挙でありました。当時の我が国は、米ソの冷戦構造が続く国際社会の中にあって、日中国交回復、オイルショックなど経済社会の大きな転換期を迎えておりました。以来、二十五年を経た今日、我が国は行財政改革、選挙制度の改革による真の政党政治の確立など、二十一世紀への新しいシステムを構築していく歴史的な課題の真只中にあります。
私が、特に力を入れて参りましたのは、わが国の平和と安全を守るという、何事にも変えがたい政治の課題。我が国の民主政治をより確かなものにするという政治改革であり、美しい国土づくりと国土の均衡ある発展を実現し、国民が真の豊かさを享受できる社会を創る。という政治だけが解決しうる課題であります。
また、ふるさと能登半島が日本海に面した国土の中央に位置し空路が開かれ、高規格道路で結ばれることにより、地域活力が二十一世紀を約束する事になるとの夢と住民の期待に応えることでありました。
今、建設大臣に就き、改めてこの国の未来に目を向けますと来しかた半世紀の国家目標の一つは国土の開発でありましたが、少子高齢化が進み、世界中が大競争時代を迎えて、豊かな福祉・経済社会の構築のためには安全・安心の国土整備と魅力ある国土づくりに向けた質の高い住宅・社会資本の整備が急がれております。
この転機にあって、未だ道なお半ばであり、只今の栄誉と感激を深く心に刻み、新たな決意を持って歩み続けることを皆様にお誓いし、感謝とお礼の言葉といたします。
…………………………………
加藤紘一君のあいさつ
私は、この度院議をもって、永年在職議員の表彰を受けました。これはひとえに、旧山形二区、現山形四区を初めとする山形県の皆様の二十五年の長きに亙る、変わらぬご支援の賜物であります。ここに心より感謝申し上げます。さらに院を構成する先輩・同僚議員・関係者各位、またこの間私の政治活動を支えてくれた事務所のスタッフ及び家族の一人一人にもお礼を申したいと存じます。私がこの度賜った栄誉の過半は、本来、以上の方々に帰するものであります。
さて、私が衆議院に初めて議席を得ましたのは、昭和四十七年十二月の第三十三回総選挙であります。時あたかも日中国交正常化がなされ、わが国の戦後の歴史は新たな出発点を迎えておりました。私は政治家として、中国問題をライフワークのひとつと考えておりましたので、新しい時代の到来に、新人代議士として、胸躍る日々であったことを、いまだに鮮明に憶えております。
またこの時期は、戦後確立してきた諸制度の見直しが求められ始めたときでもありました。私は国民のニーズを政策に生かすことが重要と考え、実際に有権者の皆さんの要望を聞き、それを法案化させる作業を自ら行いました。この時の仕事として、聾唖者の方が補聴器をつけて自動車の運転免許が取れるようにしたことや、公務員と民間の年金格差の矛盾を取り上げ、それの是正を図ったことなどが想い出されます。
なかでも、あるご婦人から、涙ながらに、「おかげさまで、息子がトラクターの運転ができるようになりました」と言われた時は、政治家になって本当によかったと実感しました。その後、内閣官房副長官、防衛庁長官、内閣官房長官、そして自由民主党にあっては政調会長を経て、現在、幹事長をやらせていただいておりますが、私の政治家としての原点は、今後とも、国民のニーズを政策化していくことに置きたいと考えております。
老子に、「大国を治むるは、小鮮を煮るが如し」という言葉があります。政治は小魚を煮るように丁寧にしなければならないという意味であります。私はこの言葉を故・大平正芳元総理から教えられましたが、政治と政治家の要請はここに在ると考えております。
今後とも、初心を忘れることなく、次々に湧出する政治課題に真剣に、誠実に、謙虚に対処していく決意を表明して、永年勤続表彰への謝辞とさせていただきます。
…………………………………
野田 毅君のあいさつ
このたび、本院永年在職議員として、院議をもって、ご丁重な表彰のご決議を賜り、議会人として、また政党人として、まことに身に余る光栄であります。
私が在職二十五年の長きにわたって国政に参画し、今日このような栄誉に浴することができましたのは、ひとえに先輩、同僚議員の皆さんのご厚情と郷土熊本県の皆様方の多年にわたる温かいご支援のたまものであります。この際、衷心より感謝の意を表します。
また、この間苦労を掛けてきた妻と母にも感謝と結いの意を表します。
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内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律案(内閣提出)及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114105254X00719971030/7
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008・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) この際、内閣提出、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣三塚博君。
〔国務大臣三塚博君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114105254X00719971030/8
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009・三塚博
○国務大臣(三塚博君) ただいま議題となりました内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律案及び租税
特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
まず、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
さきの通常国会において成立した改正外為法が来年四月より施行されます。本法律案は、国境を越える資金移動の活発化、多様化に対応し、所得税、法人税、相続税その他の内国税の適正な課税の確保を図ることを目的として、対外取引及び国外にある資産の国税当局による把握に資するため、一定の国外送金等についてその調書の提出等に関する制度を整備するものであります。
以下、その大要を申し上げます。
まず、銀行等の金融機関または郵政官署は、一定の金額を超えるその顧客の国外送金及び国外からの送金等の受領について、一定の事項を記載した調書を税務署長に提出することとしております。
次に、国外送金等を行う者は、一定の場合を除き、その氏名または名称、住所等を記載した告知書を金融機関の営業所等または郵便局の長に提出をし、当該提出を受ける長は、その者の氏名または名称及び住所を公的書類等により確認することとしております。
また、当該調書の提出に関する調査に係る税務職員の質問検査権、当該調書の提出義務違反等についての罰則等、所要の規定を設けることとしております。
次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
本法律案は、最近における経済の国際化の進展及び外国為替取引の自由化に対応し、非居住者または外国法人が民間国外債等の利子を受け取る場合の非課税制度に関し、一定の手続がとられた場合には、その利子について所得税を課さないこととするなど、所要の措置を講ずるものであります。
以下、その大要を申し上げます。
まず、非居住者または外国法人が利子を受け取る場合において、その者の氏名、住所等を記載した申告書が提出されたとき、または、非居住者または外国法人から債券の保管の委託を受けている金融機関からの情報に基づき作成された確認書が提出されたときは、その利子について非課税とし、利子支払い者による源泉徴収を免除することとしております。
また、利子受領者に関する情報の開示をすることができない指定国で発行された民間国外債等の利子についても非課税とする特例を設けることとしております。
これらの措置につきましては、平成十年四月一日から平成十二年三月三十一日までの間に発行された民間国外債等について適用することとしております。
以上、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を申し上げた次第であります。(拍手)
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内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律案(内閣提出)及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114105254X00719971030/9
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010・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。西川知雄君。
〔西川知雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114105254X00719971030/10
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011・西川知雄
○西川知雄君 新進党の西川知雄でございます。
私は、新進党を代表して、ただいま議題となりました内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につき、総理大臣及び大蔵大臣に対し質問いたします。
さて、いわゆる日本型ビックバンの流れの中で、フロントランナーとして外為法が改正され、来年四月からの改正外為法の施行により、国境を越えた資本移動が自由化されます。
外国為替管理の自由化は、市場経済の国際化、自由化という世界の潮流から見て遅きに失した感もいたしますが、我が国が進むべき方向であります。同時に、これに関連する税制も、グローバルスタンダードに沿った制度にすることが必要不可欠です。そうでなければ、外為法改正の趣旨に反し、逆に金融・資本市場が空洞化し、本邦企業の資金調達コストが上昇し、さらには多くの個人の金融資産が海外に流出していきかねません。
今回提案された国外送金等調書提出制度及び民間国外債の非課税制度における非居住者性の確認制度は、これらの観点から、基本的には、対外資金取引をめぐる租税回避行為を把握し、ルールに則した公正、フェアな市場とするために必要な制度であると考えます。しかしながら、これらの制度は、国際化に伴い、国外送金及び国外からの送金を受領する国民並びに国際市場で活動する金融市場関係者に多くの事務負担を負わせるものです。
そこで、まず総理にお伺いいたします。
総理、外為管理を抜本的に自由化し、ビッグバンの大きな契機とするという先般の外為法改正の趣旨及び税制をグローバルスタンダードに沿った制度にする必要性に照らして、今回の二制度はこれを阻害しない妥当な制度になっているか、その確認及びこれに対する総理の御所見をお伺いいたします。
これに関し、第二に、両制度は国民及び金融市場関係者に多くの税務上の事務負担を負わせるとともに、税務当局の市場に対する監視権強化につながるのではないかと懸念されます。これは政府が掲げる規制緩和、市場への政府の介入の縮減という重要な指針に反するものではないかと考えられます。日本の財政難の現状にかんがみ、公正なルールにのっとって税収を確保することは当然ですが、それだからといって日本が徴税国家になってはならないことは言うまでもありません。
これらの点についての総理の御所見をお伺いいたします。
第三に、税の負担、これに関する手続は、国民に直接大きな影響を及ぼすものであります。それゆえ憲法にも租税法律主義が規定されております。その意味からも、原則としてすべての税に関する規定は租税法自体に規定されるべきものであり、政府、大蔵省等が国会の審議を経ないで制定し得る政令、省令等に委任をされるべきものではありません。
しかしながら、本二法ではかなりの重要な部分が政令または省令で規定されることになっております。これでは国民の目の届かないところで国民に直接大きな影響を与える租税法の実質的内容が変更されることになるのではないかとの危惧を持たざるを得ません。
この点についての総理の御所見をお伺いいたします。
次に、民間国外債の非課税措置における非居住者性の確認制度について、大蔵大臣にお伺いいたします。
適正課税のために一定の本人確認は必要であるということは、既に衆参の大蔵委員会でおのおの外為法改正に際し附帯決議がなされているところですが、国際的な競争にさらされている企業がユーロ市場で起債し、効率的に資金調達する道を阻害するべきものでないことはもちろんのことです。私のもとには、国際金融にかかわる弁護士として長年活動してきた経験を持つ者として、欧米の証券会社を初め多くの市場関係者が、本制度に対する事務負担増大の懸念、資金調達コスト増大の懸念等、多くの意見を寄せてこられました。
そこで、大蔵大臣にお伺いいたします。
このような懸念に十分配慮しつつ、適正課税のための本人確認制度とのバランスを図るため、大蔵大臣は内外の市場関係者の意見を十分に聴取し、これらの人々と意見を交換し、また、なされたとすればどのような意見交換をなされたのか、御説明願います。
第二に、ユーロ債の本人確認に関するグローバルスタンダードとして、例えば米国、TEFRA(D)ルールでは、ユーロ債を米国人が購入した場合には一定のペナルティーを課すことにより米国人によるユーロ債保有を牽制している反面、本人確認は債券発行後四十日目一回限りとしています。本法案では、第一回目の本人確認は民間国外債の発行後四十日から行うことができることとしていますが、それ以降については、原則として利払い日ごとに毎日本人確認をしなければならないとされております。
日米では背景となる証券流通制度や納税者番号制度の有無が異なることから、両国の本人確認制度が全く同じである必要はないと思われますが、グローバルな観点から見て国際的なバランスは保たれているのか、お尋ねいたします。
第三に、市場の現状を精査すると、居住者、内国法人が、非居住者または外国法人と称し意図的に脱税する割合は、発行額の約〇・〇一%程度ではないかと考えられます。その〇・〇一%程度の保有額の数%の利子の脱税ということになると、かなり小さな金額の脱税を問題としていることになります。
このような小さな額の脱税の可能性を予防するために負担の大きい利払い日ごとの非居住者証明を要求するのは、ベネフィットとコストの均衡を著しく失していると言わざるを得ません。とりわけ、流通市場で海外金融機関から直接取得し、保護預けしている債券の利子について脱税行為の可能性があるのはすべての外債について言えることであり、ひとり我が国の発行体の国外債についてのみ、その脱税の可能性を多大なコストを払ってまで予防すべき必然性はないと考えられます。
この点についての大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
第四に、ユーロ債市場のセカンダリーマーケットは、広範かつ重層的で複雑な仕組みになっております。末端のカストディアンからの非居住者情報が上部カストディアンに正確かつタイムリーに流れるかどうかが問題となります。非居住者としての本人確認が積極的になされない場合には、発行体自身が源泉税及びペナルティー、これに対する遅延税等を支払うことになり、これらの情報の流れの担保が発行体自体にとっても極めて重要なことになります。これらの情報の流れの担保と事務簡素化をどのように具体的に両立させるのか、大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
次に、国外送金等調書提出制度、すなわち資料情報制度につき大蔵大臣にお伺いいたします。
今回の資料情報制度は、外為法改正に伴い対外資金取引の自由化をめぐる租税回避行為を把握する観点から制定されようとしていますが、税制以外の目的でこの制度が使われてはならないことはもちろんです。
そこで大蔵大臣にお尋ねいたします。このように本制度により得られた情報が本法案の目的以外の目的のために使われないということはどのように担保されるのか、御所見をお伺いいたします。
第二に、金融機関は、その顧客が当該金融機関を通じて二百万円超の国外送金または国外からの送金等の受領に係る為替取引を行ったときは、その国外送金等ごとに国外送金等調書を税務当局に提出しなければならないとされています。諸外国の例を参照いたしますと、おおむね百万円以上の国外送金等についてこのような調書の提出義務が課されているようですが、今回の制度においては政令に基づき二百万円超とされております。
そこで大蔵大臣、どのような根拠、理由で国際基準よりも二倍程度高い金額を決定されたのかお尋ねいたします。
第三に、一回当たりの送金が、二百万円以下の場合には調書提出が免除されているため、二百万円以下に分割、小口化することにより、税務当局に把握されずに多額の送金を行うことも実質上可能ではないかと思われます。このような脱法行為を防ぐためにどのような手段を講じられようとしているのか、大蔵大臣にお伺いいたします。
第四に、本法案は金融機関に対して調書提出義務を課しているばかりでなく、新たに国外送金等をする者に対し、口座のない銀行からの送金などの場合に氏名、名称、住所、送金原因等を金融機関に告知しなければならない義務を課しており、その際顧客は住民票の写し、法人の登記等の抄本等を提出することを要求されています。
このような義務は従来なかったものであり、さきにも指摘したように、金融、手続面での規制緩和の大方針の中で送金依頼者の負担軽減について十分な工夫が必要であると考えますが、この点についてどのように対応しているのか、大蔵大臣の御所見をお伺いします。
最後に、為替管理の撤廃、金融・資本取引の技術革新により、国際的な資本移動が自由となり、企業が国を選ぶ時代が到来したとも言われておりますが、こうした中で、いわば国際的に資本を誘致するために税を引き下げていく動きも見られます。このような動きは、財政のスリム化等のよい影響をもたらす場合もありますが、このような税の引き下げ競争が行き過ぎますと、結局、金融のような足の速い経済活動からは税金が取れなくなり、逆に、勤労や消費等の足の遅い経済活動に税負担をシフトすることにもなりかねず、不公平となるおそれがあるとも指摘されています。こうした問題については、国際的な税制の協調という観点で取り組む必要があると思いますが、総理大臣の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣橋本龍太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114105254X00719971030/11
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012・橋本龍太郎
○内閣総理大臣(橋本龍太郎君) 西川議員にお答えを申し上げます。
まず、外為法改正の趣旨及び税制の国際的整合性と今回の二制度の関係についてお尋ねがございました。
この二制度は、議員御指摘のとおり、金融システム改革の理念の一つである公正という観点から整備をするものであります。
具体的な制度の構築に当たりましては、外為自由化の進んでいるアメリカなどの制度、あるいはユーロ債市場における慣行などを参考にしながら、実務を十分踏まえておりまして、妥当な制度だ、そのように考えております。
次に、税務当局の権限強化についてのお尋ねがございました。
先ほども申し上げましたように、まさにこの制度は、両方ともが公正という観点から整備をしていくものであります。また、国民や金融機関などの負担に配慮し、調書提出の範囲を限定するなど、必要最小限の措置となっておりまして、議員が警告されましたような、徴税国家になってはならない、そうした問題意識は当然持っておるもの、そのように思います。
次に、租税法律主義との関係からの御意見がございました。
今回の法律案では、租税法律主義にのっとりまして、国民、金融機関などの義務、手続に関して、重要な事項は法律で規定をいたしております。その法律の規定の委任に基づいて、実務的、細目的な事項につきましては、状況変化に機敏に対応できるよう、政令または省令で定めることができるようにいたしました。
そして、最後に私にありました御指摘は、行き過ぎた税の競争についてのお尋ねでありますが、これはまさに、議員が御指摘になりましたような公平などの観点から、サミットなどでも強い懸念が表明されている問題であります。
このため、各国の税当局が協調して行動することが重要であるという認識から、OECDで具体的な検討が進められておりまして、我が国も、来年春の報告取りまとめに向けまして、積極的にこの作業に参加しているところであります。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣三塚博君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114105254X00719971030/12
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013・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 私に対する質問は八問であります。順次お答えを申し上げます。
市場関係者との意見についてのお尋ねでございます。
本人確認制度の検討に当たりましては、民間国外債の発行、流通に支障が生じませんよう、市場の慣行にも十分に配慮する観点から、内外の市場関係者と事前に幅広く意見交換をしてまいりました。このような意見交換のプロセスについては、内外市場関係者からも高い評価を受けているところでございます。
次に、米国等の制度とのバランスについてのお尋ねでありますが、米国では、御指摘のように、債券の保有、流通が登録により管理されていること、米国居住者が取得した場合の罰則が適用されることなどを前提として、居住者のユーロ債保有に対する牽制が続く仕組みになっております。我が国にはそのような前提がないことから、原則として、利払いごとに本人の確認を求めつつ、非居住者が保有している限り確認は実質一回で済むような簡素化を図っており、居住者の牽制としてバランスのとれたものと考えております。
本人確認制度による市場関係者の事務負担についてのお尋ねでありますが、民間国外債の利子非課税制度はあくまでも非居住者向けのものであり、居住者は課税されるのがグローバルスタンダードであります。したがって、外為取引の自由化に伴い、この非課税制度が居住者によって乱用されることのないよう本人確認制度を導入する必要があります。この検討に当たっては、市場慣行にも十分配慮して、制度の簡素化を図っております。
情報の流れの担保と事務簡素化についてのお尋ねでございますが、ユーロ債市場はプロの流通市場であることから、本人確認制度においても、その特例として本人の住所、氏名による証明は不要であり、金融機関から利子の受取者が非居住者であるという情報が通知されれば足りるなどの簡素化措置を講じております。さらに、利子の受取者がすべて非居住者である限りは、金融機関からの情報の通知は一回限りとし、二回目以降省略できる特例を設けております。
税務当局が得た情報が本法案の目的以外の目的のために使われないかとのお尋ねでございますが、今回の資料情報制度は、法律案第一条に規定しているとおり、所得税、法人税、相続税等の内国税の適正な課税の確保を図ることを目的とするものであります。本法律案では、この目的の範囲を逸脱することのないよう、この法律による税務職員の質問検査権は犯罪捜査のために認められたものではないこと、税務職員の守秘義務違反に対しては、国家公務員法の規定よりも重い罰則を科することを規定しております。
国外送金等調書の提出を要する金額基準についてのお尋ねでございますが、外為法改正による海外資金移動の自由化の趣旨を尊重しつつ、実効性のある資料情報制度を構築するための最小限の情報資料の提出を求める観点から、欧米の資料情報制度の例を参考にしつつ、我が国の銀行口座の所在等に関する資料情報制度の現状、外為取引の実務等を総合的に勘案し、また今回新たに制度導入を図るものであることも踏まえ、二百万円を超える国外送金等を対象とすることが適当と判断されたところでございます。
最後に、分散、小口化による脱法行為の防止についてのお尋ねでございます。
御指摘のとおり、送金額を分割すればある程度の金額の送金が調書の提出なしに行えることは事実であります。二百万円という金額基準につきましては、こういったことも念頭に置いて、ある程度低い金額基準にする必要がある一方で、外為自由化の趣旨を尊重するという両方の観点を総合勘案したものであります。
いずれにせよ、来年四月以降、適正、公平な課税の確保を図る観点から、この制度の実施状況について注視してまいりたいと考えております。
今度が最後であります。
国外送金をする者の告知義務についてのお尋ねであります。
本法案による告知書の提出については、我が国国民の大宗が預貯金口座を有している現況、銀行等の実務等を踏まえ、本人確認が済んでいる本人口座を通じて行われる国外送金や国外からの送金等の受領等については、この告知書の提出を要しないこととしておるところでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114105254X00719971030/13
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014・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。
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015・伊藤宗一郎
○議長(伊藤宗一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後一時二十一分散会
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