1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
平成九年十一月十日(月曜日)
午前九時開会
—————————————
委員の異動
十一月七日
辞任 補欠選任
高橋 令則君 直嶋 正行君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 遠藤 要君
理 事
片山虎之助君
高木 正明君
野間 赳君
三浦 一水君
荒木 清寛君
広中和歌子君
伊藤 基隆君
赤桐 操君
笠井 亮君
委 員
狩野 安君
鹿熊 安正君
金田 勝年君
亀谷 博昭君
久世 公堯君
沓掛 哲男君
斎藤 文夫君
清水嘉与子君
田村 公平君
常田 享詳君
長尾 立子君
野村 五男君
林 芳正君
保坂 三蔵君
宮澤 弘君
泉 信也君
今泉 昭君
岩瀬 良三君
小林 元君
菅川 健二君
寺澤 芳男君
直嶋 正行君
益田 洋介君
吉田 之久君
小島 慶三君
齋藤 勁君
峰崎 直樹君
及川 一夫君
清水 澄子君
田 英夫君
吉岡 吉典君
吉川 春子君
西川きよし君
椎名 素夫君
山口 哲夫君
国務大臣
内閣総理大臣 橋本龍太郎君
法 務 大 臣 下稲葉耕吉君
外 務 大 臣 小渕 恵三君
大 蔵 大 臣 三塚 博君
文 部 大 臣 町村 信孝君
厚 生 大 臣 小泉純一郎君
農林水産大臣 島村 宜伸君
通商産業大臣 堀内 光雄君
運 輸 大 臣 藤井 孝男君
郵 政 大 臣 自見庄三郎君
労 働 大 臣 伊吹 文明君
建 設 大 臣 瓦 力君
自 治 大 臣
国 務 大 臣
(国家公安委員
会委員長) 上杉 光弘君
国 務 大 臣
(内閣官房長官) 村岡 兼造君
国 務 大 臣
(総務庁長官) 小里 貞利君
国 務 大 臣
(北海道開発庁
長官)
(沖縄開発庁長
官) 鈴木 宗男君
国 務 大 臣
(防衛庁長官) 久間 章生君
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 尾身 幸次君
国 務 大 臣
(科学技術庁長
官) 谷垣 禎一君
国 務 大 臣
(環境庁長官) 大木 浩君
国 務 大 臣
(国土庁長官) 亀井 久興君
政府委員
首席内閣参事官
兼内閣総理大臣
官房総務課長 太田 義武君
内閣参事官
兼内閣総理大臣
官房人事課長 洞 駿君
内閣法制局長官 大森 政輔君
内閣法制局第三
部長 阪田 雅裕君
人事院総裁 中島 忠能君
人事院事務総局
職員局長 佐藤 信君
内閣総理大臣官
房審議官 安藤 昌弘君
行政改革会議事
務局次長 八木 俊道君
阪神・淡路復興
対策本部事務局
次長 田中 正章君
総務庁長官官房
長 菊池 光興君
総務庁長官官房
審議官 西村 正紀君
総務庁行政管理
局長 河野 昭君
防衛庁防衛局長 佐藤 謙君
防衛庁経理局長 藤島 正之君
防衛庁装備局長 鴇田 勝彦君
防衛施設庁長官 萩 次郎君
防衛施設庁総務
部長 西村 市郎君
経済企画庁国民
生活局長 井出 亜夫君
経済企画庁総合
計画局長 中名生 隆君
経済企画庁調査
局長 新保 生二君
科学技術庁長官
官房長 沖村 憲樹君
科学技術庁長官
官房審議官 興 直孝君
法務省刑事局長 原田 明夫君
外務省アジア局
長 阿南 惟茂君
外務省欧亜局長 西村 六善君
外務省中近東ア
フリカ局長 登 誠一郎君
外務省条約局長 竹内 行夫君
大蔵大臣官房総
務審議官 溝口善兵衛君
大蔵省主計局長 涌井 洋治君
大蔵省主税局長 薄井 信明君
大蔵省理財局長 伏屋 和彦君
大蔵省証券局長 長野 厖士君
大蔵省銀行局長 山口 公生君
大蔵省国際金融
局長 黒田 東彦君
文部大臣官房長 小野 元之君
文部大臣官房総
務審議官 富岡 賢治君
文部省高等教育
局長 佐々木正峰君
厚生大臣官房長 近藤純五郎君
厚生大臣官房総
務審議官 田中 泰弘君
厚生省保健医療
局長 小林 秀資君
厚生省生活衛生
局長 小野 昭雄君
厚生省老人保健
福祉局長 羽毛田信吾君
厚生省保険局長 高木 俊明君
厚生省年金局長 矢野 朝水君
農林水産大臣官
房長 堤 英隆君
農林水産省構造
改善局長 山本 徹君
食糧庁長官 高木 勇樹君
林野庁長官 高橋 勲君
通商産業大臣官
房総務審議官 及川 耕造君
通商産業大臣官
房審議官 杉山 秀二君
通商産業省貿易
局長 今野 秀洋君
通商産業省産業
政策局長 江崎 格君
資源エネルギー
庁長官 稲川 泰弘君
中小企業庁長官 林 康夫君
中小企業庁次長 中村 利雄君
運輸省鉄道局長 小幡 政人君
郵政大臣官房総
務審議官 濱田 弘二君
郵政省貯金局長 安岡 裕幸君
郵政省通信政策
局長 木村 強君
労働大臣官房長 渡邊 信君
労働省女性局長 太田 芳枝君
労働省職業安定
局長 征矢 紀臣君
建設大臣官房長 小野 邦久君
建設大臣官房総
務審議官 小鷲 茂君
建設省住宅局長 小川 忠男君
自治省行政局長 松本 英昭君
自治省行政局公
務員部長 芳山 達郎君
自治省行政局選
挙部長 牧之内隆久君
自治省財政局長 二橋 正弘君
自治省税務局長 湊 和夫君
事務局側
常任委員会専門
員 田中 久雄君
参考人
日本銀行副総裁 福井 俊彦君
—————————————
本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○財政構造改革の推進に関する特別措置法案(内
閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/0
-
001・遠藤要
○委員長(遠藤要君) ただいまから行財政改革・税制等に関する特別委員会を開会いたします。
参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
財政構造改革の推進に関する特別措置法案の審査のため、本日、参考人として日本銀行副総裁福井俊彦君の出席を求めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/1
-
002・遠藤要
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/2
-
003・遠藤要
○委員長(遠藤要君) 財政構造改革の推進に関する特別措置法案を議題といたします。
本案の趣旨説明は去る七日に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/3
-
004・片山虎之助
○片山虎之助君 自由民主党の片山虎之助でございます。当特別委員会の一番バッターとして代表質問させていただける、大変光栄に存じております。
このところいろんな選挙がございますが、大変投票率が低い。これは国民の政治不信、政治離れだ、こういうことが言われておりまして、私は、いろんな原因、理由が考えられると思いますけれども、一つは、我々も政治を国民に身近なものにする、わかりやすいものにする、おもしろくするというと語弊がありますが、興味が持てるものにする、そういう努力がぜひ必要だ、こう思います。そのためには、このテレビ中継による国会論戦というのは大変私は重要だと。そういう意味で、私もできるだけわかりやすい、国民に身近な質問に心がけたいと思いますけれども、総理初め答弁される閣僚の皆さん、そういう意味で、わかりやすい、簡潔明快、そういう御答弁をぜひお願いいたしたい、こう思います。
総理は、きょう七時に羽田にお着きになったそうでございまして、大変御苦労さまでございました。先週はロシア、今回はサウジアラビア、どっちも遠いですね。さすがに総理はお若くてタフだと私は思います。
サウジアラビアという国の重要性は今さら言うまでもありません。湾岸産油国のリーダーでございますし、日本は石油を中心に大変お世話になっている。そういう意味で、そういう重要な国と友好提携をきちっとやるということは、私は当面不可欠の課題だと思います。また、報道によると大きな成果を上げられたようでありますけれども、忙しいこの時期に、総理、何で大変な強行日程でお行きになられたのかということと、今回の大きな成果について御披露賜れば幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/4
-
005・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、委員から中東のリーダー格、そして産油国という位置づけでサウジアラビアの重要性というものを御説明いただきました。私は、サウジアラビアという国をそれとは別に、一つはイスラム教の二大聖地を守護するという立場にある、そのイスラム世界における重み、並びに当然ながら湾岸の雄であり中東和平プロセスの中においても大きな役割を果たす国、このような目でもとらえておりました。
同時に、サウジアラビアと日本との間に石油以外の関係、経済の関係以外のものが育っていないということに対しては何らかしなければならない、そんな思いは以前からございました。そして、ちょうど八一年から八二年にかけまして、サウジ側の御依頼を受けて、がんセンターのフィージビリティースタディーに何回か通ったこともございます。結果的にこれはサウジ側の方針変更がありまして中断をいたしましたけれども、当時並行して動いておりました電子工業技術の学校建設の話は、今非常にしっかりした教育機関になりました。
そういう意味で、何とかしてもっと幅の広い関係を築きたいという思いを持っておりましたところ、本年二月にファハド国王から、ぜひサウジを訪問してほしいという御招待をいただきまして、十五年ぶりにこの国を訪問し、先ほど帰ってまいったところです。
なぜこの時期にと言われましたが、実はこれはお互いの都合をずっと突き合わせておりますうちに、結果的に時期が今回しかとれない、そういう結果で今回になりました。その意味では、二月以降、機会をお互いに模索し続けたということであります。
今回、ファハド国王、アブドラ皇太子を初めサウジ側との間で個人的な信頼関係というものも築けたと思いますけれども、まさに、その意味では二十一世紀に向けた包括的なパートナーシップというもの、政治の分野、経済の分野そして新たな分野という三本の柱から成る多角的な関係をつくりたいということをお伝えし、特に新たな協力の分野として、教育あるいは職業訓練などの人づくりの部分、医療・科学技術、環境というカテゴリー、さらに文化・スポーツといった四つの分野を念頭に置きながら、これを日本とサウジアラビアの協力アジェンダとして推進していきたいという提起をいたしましたところ、幸い向こう側からも非常に喜んでいただき、これで一つの新しい対中東、対サウジアラビアへのアプローチが始められると思っております。
同時に、ここしばらく開かれておりませんでした日サ合同委員会を何とか早く開きたい。本当にその意味では厳しい日程になりますけれども、十二月二十七、二十八の両日、リヤドにおいて開催することについて合意ができました。また、二国間投資保護協定の締結に向けまして、今回、日本側の案を提示してまいりました。恐らく、日サ合同委員会の際に、これに対するサウジ側の考え方というものも出てくるであろうと存じます。
その意味では、石油という大変我々にとって貴重な、しかし一本の線で結ばれておりましたサウジと日本、これを幅の広い関係に組み立てていくその突破口が開けた、そのような思いで帰国をいたしました。
同時に、自分自身で回れなかったものですから、湾岸協力理事会を構成する他の国々、これには今回、私に同行してもらいました平林外政室長をこれらの国々に派遣いたしまして、今申し上げてまいりましたような形の交流をサウジだけではなくGCC諸国全体に広めていきたいという私の気持ちを、親書として各国にお届けしてきたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/5
-
006・片山虎之助
○片山虎之助君 今お聞きしまして、大変大きな、画期的な成果だと私は思います。特に、ファハド国王、アブドラ皇太子と個人的な信頼関係をお結びになった。私は、総理は大変そういう環境をおつくりになるのがお上手だと思うんです。亡くなった司馬遼太郎の小説によく出てくる人たらしというのがある、人たらし。私は、総理は人たらしの大変素質があって、そのことが首脳外交としては大変大きな成果を上げるんじゃなかろうか、こういうふうに思っております。
それから、今いろんなお話を聞きました。二十一世紀のための包括的パートナーシップ、政治、経済その他の分野で、人づくりを初めいろんなことをお聞きいたしましたけれども、あと実務的なフォローをどういうふうにおやりになるか、もしよろしければ簡潔に、外務大臣、お願いいたします。——そうですが、それじゃ総理、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/6
-
007・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 政治対話につきましては、次官級協議を定期化する、これが一つであります。そして同時に、今のアジェンダに基づきます新しい協力の柱、これは、やはり次官級の協議体を置きまして半年後ぐらいをめどにしてその議論をまとめ、それぞれ国王、私に対して報告をする。その間にも、野生生物に対する、あるいは海洋環境に関する環境調査等は、協力体制をとれれば動けるものがあろうかと存じます。
しかし、やはり十二月二十七、二十八両日の日サ合同委員会というものがこうした問題を具体的なものにしていく上では極めて大きな意義を持つと考えておりますし、この会合において投資保護協定にどのようなサウジ側の反応が示されるか。そして、引き続きの協議に入っていくと、そのようなプロセスをたどろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/7
-
008・片山虎之助
○片山虎之助君 来月末に行われる日サ合同委員会に大いに期待いたしたい、こういうふうに思います。
それでは、この問題はそれでおしまいにいたしまして、次に財政構造改革推進特別措置法に入りますけれども、その前に一、二点、その前提としてお伺いいたしたい。
先週金曜日、アジアの株式市場で株が暴落しまして、我が東京株式市場もダウが一万六千円を割る、こういう事態になりました。景気に対する悪影響が大変心配されるわけであります。とにかく株というのは高くなって怒る人はいないけれども、下がるとみんな腹が立つんですね。もちろん、金融機関を初め企業は含み益がなくなる。個人だって予定よりは資産が減るわけですから、含み益というのかどうか知りませんが、これだって下がるんです。そうすると、買い控えをやる。設備投資もちょっと見送る。あるいは金融機関にとっては貸し渋りなんかにつながる可能性が大変ある。
これだけ下がるというのは久しぶりなんですね。これにつきまして、こういう状況を踏まえながら、景気の先行きについて、経企庁長官、いかがでございますか、どうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/8
-
009・尾身幸次
○国務大臣(尾身幸次君) 私がこれから申し上げたいのは日本経済のファンダメンタルズに関してでありますが、最近の景気動向を見ますと、設備投資は設備過剰感が薄れつつあります。つまり設備が余っているという感じが少なくなっているわけであります。それからまた、企業収益も緩やかに改善をしておりまして、設備投資全体としては製造業を中心として回復傾向にあるというふうに認識をしております。
それから輸出面でございますが、アジアの状況は御存じのとおりの状況でございますが、全体としては純輸出は増加傾向にありまして、景気の下支えをしているというふうに考えております。
それから消費でございますが、個人消費も、回復テンポが遅いものの、消費税の引き上げに伴います駆け込み需要がございまして、その反動減があったのでありますが、それからやや立ち直りつつある。
それから雇用の伸びも、鈍化はしているものの消費の下支え要因として働いているというふうに考えております。
ただ住宅建設は、消費税率の引き上げに伴います駆け込み需要の反動減がございまして、非常に当面弱くなっているということでございます。そういう中で、生産の状況は在庫調整の影響もございまして一進一退という感じで推移しております。
以上申し上げましたように、全体を総合して見ますと、民間需要を中心といたします景気の回復の基調は失われていないというふうに考えておりますが、企業の景況感に厳しさが見られます。日銀の短観等にございますような厳しさが見られるところから、景気全体としてはこのところ足踏み状態かなというふうに理解をしております。
政府といたしましては、経済対策を早急に取りまとめまして、将来の二十一世紀に向かっての展望を踏まえた民間需要中心の政策を進めてまいりたい、そのように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/9
-
010・片山虎之助
○片山虎之助君 景気の気は気分の気、気持ちの気ですよね。だから、問題はマインドです、企業を初めそれぞれ国民の皆さんの。どうも株がこれだけ下がるということは決していいことではない。経企庁の公式な発表はいつも、心配するな、悪いんだけれどもまあまあと、こういう話なんですね。
経企庁長官、党におられたときはいつもそれに反対されておったんじゃないですか。立場が変わるとそういうことになるのかもしれませんが。本当にいいのかなという不安が、もうしょうがない、国民の皆さんみんな持っていると思いますよ、いや本当に。株は上がりますね、それじゃ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/10
-
011・尾身幸次
○国務大臣(尾身幸次君) 株の動向に関しましては、ここでとやかく言う立場にはございません。ございませんが、個人的な意見を聞かれればまた別途お答えをいたします。
景気の現状につきましては、私自身は、経済企画庁長官に就任して以来、極めて厳正にこれを見ているつもりでございまして、あえて悪いものをいいとかそういうことを申し上げているつもりはありません。したがいまして、回復過程にあるものの足踏み状態である、一言で言いますとそういう状況にございます。
企業収益も増大をしておりますし、輸出もふえている、そういう中で現在の景気の状況を余りにも悲観的に見過ぎるのはどうかなという気持ちもございます。しかし、企業あるいは消費者の皆様を含めまして先行きの経済に対する信頼感というものがやや損なわれているという、つまり景況感が損なわれているという点は現実問題として認識をせざるを得ない。しかし、経済の数字的な面から見たファンダメンタルズは、いい産業もございますし、悪い業種もございますが、トータルとしては先ほど申し上げたようなことで正確な現状についての認識を持っていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/11
-
012・片山虎之助
○片山虎之助君 その景況感というのがまさに気分の気なんですね。先行きに対する明るさかあるいは暗い見通しかと、こういうことになると思いますので、いずれにせよ、後ほどさらに景気対策については質問をさせていただきたい、こう思います。
そこで我々はこれから財政構造改革推進法を審議するわけでありますが、一方ではこれだけの財政の危機的状況ですから、財政構造改革、財政再建をきちっとやらなきゃいけません。しかし同時に、景気がこういう状況になると景気対策をやらなきゃいかぬ。そこで、例えば財政出動という面からいうと全く二律背反なんですね。下手に両方中途半端にやると、まさに二兎を追う者は一兎も得ずと、こういう状況になる。
そこで我々は、総理もあるいは関係閣僚の方も何度も衆議院の審議で御答弁になりましたように、基本的には財政構造改革を進める、それを支障のない範囲で、それをゆるがせにしない範囲でその中での景気対策をやると、こういうことであったと私は思います。そうすることが、ここでは少々苦しくても、我慢をしても、こらえて耐えることが将来の経済の活性化につながって財政も構造改革ができるんだと、こういう話です。
それからまた同時に、民間の国民経済研究協会なんかも、ここは歳出をカットする方が中期的には成長と財政構造改革に資するんだと。我々もそれを信じて今まで参りましたが、下手をすると沈没してしまう、財政再建はできたけれども経済がおかしくなってどうにもならぬよと。こういうことなら全部が吹っ飛ぶわけでありまして、そこのところが大変心配になるわけでございますが、大丈夫でございましょうか、総理、ひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/12
-
013・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、改革というものが痛みを伴わないですべてが円満にいくという考え方は一度も申し上げてはまいりませんでした。そして、当然ながら痛みを伴うものになる。しかし、それをやり抜くことによって必ず中長期的な視野から考えれば明るい将来を築くことができるということを申し上げてまいりました。
問題は、その痛みの期間をできるだけ短くするためにどういう努力をするかということになろうと思います。
そして、私は、財政構造改革はこれは何としてもやり上げていかなければならない、これ以上将来にツケを残すことはできない。同時に、そのためにも一方では経済構造を改めていく。それには規制の緩和もありますし、土地の有効利用の手法を今以上に講じていく必要もあります。しかし、そうした中で新しい業が起こり得る土壌をつくりながら、そういう一方で明るさをつくり出すことによってこの時期を乗り切っていかなければならない。
いろんなものに手を出し過ぎという御批判も受けましたけれども、実は財政構造改革と経済構造改革、さらには金融システムの改革、同時に社会保障制度というのは、これは国民にとってのセーフティーネットでありますけれども、そのセーフティーネットが維持できる形をつくることによって財政構造改革にも結びつく。私は、この時期、何としても改革をできるだけやり上げていく、これが将来につながること、そうかたく信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/13
-
014・片山虎之助
○片山虎之助君 総理の決意はよくわかりました。お考えもわかりました。
そこで、財政構造改革法案でございますけれども、この法案の中身ですね。これは歳出カットとキャップをかぶせる、上限と申しますか帽子をかぶせる、こういう法案でございまして、歴代の内閣でこれだけ思い切った歳出カットとキャップをやった内閣はないと思います。いろんな評価、議論がございますけれども、これだけ広範で、ある意味では徹底したようなあれをやったのは私はないと思う。これは大変な功績だと、こう思います。
しかも、財政構造改革会議ということをおつくりになって、主要の閣僚の方や歴代の総理、大蔵大臣あるいは与党の執行部の実力者の方を全部入れて、そこで与党はわあわあ言いますよ、こういうことは。それを何となく意見を集約して、まあ抑えたというんでしょうか、まとめたというんでしょうか、大変な功績だと思う。
しかし、何で今までこういう状況になるまでほっておかれたのか。例えば平成七年の秋に、内閣は違いますけれども、前の内閣のときに、時の大蔵大臣は財政非常事態宣言ですか、危機宣言をやられた。あれから二年たっているんですよ。その間にまた財政はさらに悪くなっている。この点はどうお考えでしょうか。また、もうこうなったら、万策尽きたから法律で決めるんだと、こういうことになったんでしょうか、大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/14
-
015・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 御指摘のように、平成七年、そうでございました。平成八年総選挙後の橋本内閣におきまして、この危機的状況をどう克服するかということで、御指摘のように三党の代表者、総理経験者、また政府から代表閣僚、こういうことで半歳余にわたる論議を詰めました。待ったなしであるという基本的な認識に立ったわけであります。
御案内のとおり、八〇年代後半から九〇年にかけて双子の赤字に呻吟をいたしましたアメリカ合衆国、見事にこれを克服いたしました。ヨーロッパ諸国、G7国家が多いのでありますが、その他OECD加盟国家もあります。そういう中で、財政危機を乗り越えてこそ統一通貨への道、ヨーロッパ連合の新しい道が確実になる、こういうことで財政構造改革に深刻に取り組み始めたところでありました。
前段申し上げましたようなことで、半歳余にわたる議論の中でこもごも内外の問題を分析しながら、しからばということでここに御提示を申し上げました法律をつくらせていただきました。その前段は、まず、六月三日に全体会議の「財政構造改革の推進について」、これを取りまとめ、閣議決定をし、今日に至っておるところでございます。
前段の認識もそういう認識でありますが、徐々にこれを展開していくということを全体に、御指摘のように構造改革の項目すべてにわたってキャップをかける、抑制をする、やむを得ない社会保障は対前年度比二%増を認める、こういうことを取り進めさせていただきました。まさにそういう全体の進め方の反省もあったと私は思います。そういう中で全力をこれに傾け、御審議をお願いするというところに参りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/15
-
016・片山虎之助
○片山虎之助君 大蔵大臣の責任じゃありません、三塚大蔵大臣の。しかし、大蔵省の責任ではあるんですよ。財政がこれだけおかしくなるまでいろんな手を打ってきました、それは。財政改革の工夫も今まであった。マイナスシーリングというのも、あれは五十何年から取り入れました。あるいは、景気をよくして税収を上げにゃいかぬということで、景気対策も八回もやっているんです、六十何兆円。しかし、だんだん悪くなってきていると。前の内閣の財政危機宣言ではありますけれども、大蔵省は何をやっておったのかということになる、国民から見ると。ここまで何でほっておいたんだと。わかるでしょうと、専門家なら。そこについての私は何らかの反省というのが要るんじゃなかろうかという気がいたしますが、大蔵大臣、個人の問題じゃありません、大蔵省の長としていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/16
-
017・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 政府は各省によって構築をされます。内閣総理大臣を国会で御指名をいただきまして、それで、そのもとに内閣がつくられ、全力を尽くすと。大蔵省事務方が責任と言われる、反省をしろと言われること、言わんとする意味はわかります。しかし、これは議院内閣制における政党内閣の責任であります。よって、このことは現職であろうと前職であろうと、このことに対して我が国の展望を切り開くための現職でありました以上に、現職であればおのれを捨ててやり遂げ
ていかなければなりません。
これだけ橋本内閣が六つの改革を一緒にやろうということで、政治常識を超えた決断をし、スタートを切っております。二兎を追う者一兎を得ずというのは我が国のことわざでございますが、六兎を追うという前代未聞の大革命的な決断の中でスタートを切ったその心意気は、二十一世紀に向けての国家国民の安泰でありますことに御留意を賜り、しかと責任は前職と私としっかり踏まえていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/17
-
018・片山虎之助
○片山虎之助君 それは大蔵大臣の言うとおりで、我が国は議院内閣制ですから、それはもう与党も内閣も一体ですから、それは同時に与党の責任でもあるんです。しかし、その責任を集約しているところが大蔵省なんだから、みんなで反省せにゃいけません、そういう意味では。いや本当に。内閣も歴代の内閣も我々国会議員も全部総反省でありますが、特に大蔵省がそのまとめなんだから、扇のかなめなんですから、大蔵省がもう少しそこの責任をしっかりと自分でわかる、自覚する、こういうことが必要じゃないかと思います。
そこで、この法律は、よく言われるように法律事項じゃないんですね。予算の中身をどうする、財政の中身をどうするということは法律事項じゃないんですよ。予算編成権は内閣にある。出した予算を審議して議決するのは国会の権限なんです。法律で決めることじゃないんです。
だから、ここでこの法律を内閣が出されて、内閣が自分の予算編成権の手足を縛る、これは大変おかしいんですね、ある意味では、法律的に言えば。政治的に言えば別ですよ。私は今法律論を言っているんだから、法律的にはおかしい。予算編成権を拘束し、国会の予算についての審議権や採決権を、まあこれは拘束まではいきません。拘束まではいきませんけれども、相当大きな影響を与える。自分でつくった法律を破るというわけにはいきませんよ、それは論理矛盾になるから。国会も一種の拘束状況にある。こういうのが果たしていいのかなということで、恐らく今までもこういう法律にならなかったと思うんですね。しかし、今回、非常時だから仕方がないと、こういうことで私はおやりになったと思いますが、その点はいかがでしょうか。
アメリカやイギリス、フランスと違うんです。アメリカは議会に予算の編成権というか権限があるんですよ。フランスの法律は、あれは目標を決めているだけなんですから。この日本の法律は、そういう意味で、今の日本の権限のいろんなことを考えると大変私は特異な法律だと思っておりますが、御所見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/18
-
019・三塚博
○国務大臣(三塚博君) まさに片山委員が指摘をされました政治の根幹に触れる問題であります。それだけに、なぜ両手両足を縛ることを内閣が、内閣総理大臣がやらなければならないのかという今日の我が国財政状況、それはイコール経済の停滞をもたらし、やがて深刻な困難が予想されるということでありますから、みずからの創意工夫、また政治理念の中で物事を進めてこられた政党政治の中で、自分の行動を国会に法律を提示することにより、国会によって、ということは国民総意によってこれを御決定いただく、結果をちょうだいすることによってそれを基本として取り進めなければこの事態の解決、そして前進、そして政治の目標を達することができないという非常な決意の中で行ってまいったところであります。まず、みずからがその痛みをすべて背負うという総理を初め、そして中心とした内閣、与党の皆様方にもそのことのお願いを申し上げ、御理解を得ておると思います。
同時に、そうでありますから官界、官僚は、議院内閣における官僚人というのは政党政治の基本の中で行動していただかなければなりません。従前の意識の中で行動することは許されないということになります。国民各位が、そのことを国会の議決により法律化することによりまして意思が明示をされるわけでございますから、国権の最高機関である国会の御承認を得てサポートと御激励とをいただくことによって日本の財政そして経済、そのことが先進国並みに、また経済国家としてここまで来たわけでありますから、そのリーダーの資格、誇りを、名誉を保持していくことであろう、このように総理の心境をともに行動しておりまして推測をいたし、間違いないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/19
-
020・片山虎之助
○片山虎之助君 政治的には大蔵大臣の言われることがそう的は外れていないと私は思いますよ。的は外れていないと。ただ、この法律をつくるということは、ある意味では、言葉が大変悪うございますけれども、内閣も国会も自信がないということなんです。法律で何年間ぴしっと縛っておかないと構造改革も歳出カットもキャップかぶせもちゃんとできないんだという私はある意味では自信のなさのあらわれだと思います。
しかし、今言われたような財政の危機的状況を、国民の皆さんに痛みを訴えるということ、あるいはそれをお互いがオープンな形で国会で堂々と議論をしていくということの政治的な効果はありますので、与党でございますのでまあやむを得ないと思いますけれども、本来はやっぱり法律事項じゃないな、こういうふうに思っております。
そこで、この財政構造改革法は構造改革とうたっているんですけれども、これも恐らく衆議院その他で議論があったと思いますけれども、量的縮減目標というのが中心なんです、量的縮減目標。それは分野ごとにカットする、帽子をかぶせる、上限を決めると、こういうことなんですね。だから、その質的な改革、質的な構造改革は社会保障関係あります、医療制度や年金やいろんなことを書かれている。制度の実際の改革はこれからになりますけれども、財政構造改革の中でうたっている。私はその部分はまさに構造改革だと思います。公共事業なんというのは何が構造改革かよくわからぬところありますから量的だということになるのかもしれませんけれども、量的削減目標を書いている。だから、その量を抑えれば質も変わるんだと、私は恐らくこういう政府の説明だと思いますよ。量を抑えれば質も変わるんだ、量の抑え方にそれぞれ政策的な意図で差をつけているんだ、これが構造改革だと。もっともですけれども、しかし、私はちょっと苦しいなという感じも本当はあるんです、本当はある。
そこで、三年や六年はいいですよ。三年過ぎてキャップを外したらもとに返っちゃうんじゃないかという心配がある。それは大丈夫なんでしょうかね。いかがでございますか、大蔵大臣ばっかりになって恐縮でございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/20
-
021・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 量を抑えますことは質への転換であります。そういうことで、費用対効果が発揮され、効率的になりますし、それと事業の選択を現状分析の中で進めなきゃならぬものは進めるという決意の中で取り組まれるものと信じております。
集中三カ年プラス三カ年、そしてその後と。これは安定的な名目成長、経済成長率が財政構造改革、経済構造改革以下四改革が断行されますと、三・五という仮定計算にも出させていただいた数字の中で前進をしていくであろう。三・五でまいります限り七年目からは順調にいくでありましょうし、それと集中三カ年でそのめどが明確に立っていくということになりますと、その後の運営も着実に赤字公債発行減を実行しながら旧債務の償還に向けて着実な見通しのベースができるであろう。
六カ年、大変大事な時期になるわけでございますが、国民の皆様方にも、そして私ども内閣は、政治はその先頭に立つ、官僚の諸君も明治維新の官僚群のようにこの国家危機の中で国家目標に向けて国家公務員という責任を果たしていくということで取り進めていかれますならば、またそうならなければなりません、なると思います。
そういうことで、ここ三カ年誠実に法律に明示されたことを実行することによってベースをしっかりしたものにつくり上げてまいるということでおのずから道開けると、このように申し上げさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/21
-
022・片山虎之助
○片山虎之助君 量的抑制が質的転換に変わる要素もそれはありますよ、ありますけれども即ではないと思います。だから、そこに仕掛けというのか誘導というのか、何かがなきゃ私はなかなか難しいと思うのですが、そうすると三年なり六年たてばキャップを外しても、法律をなくしてもあとは大丈夫なんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/22
-
023・三塚博
○国務大臣(三塚博君) そのようになりますようベストの限りを尽くさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/23
-
024・片山虎之助
○片山虎之助君 どう尽くすかということなんだけれども、それはそれでおいておきまして、そこで財政構造改革法案というからには、私は財政のビジョンみたいなものがあればよかったな、こう思います。量的縮減を三年こうやる、六年後に赤字率を三%にするというだけでいいのかなという気、望ましい財政構造、望ましい財政制度、何かそういうことがあれば構造改革につながるのではなかろうかという気もいたしますけれども、おまえ偉そうなことを言うけれども法律にどう書けるんだと。難しいと思いますよ。そういうことが一つあることが私は財政構造改革に先行きの明るさを与えると思いますが、総理、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/24
-
025・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、私は議員の御議論は一つの見識だと思います。
しかし、今本当に我々が必要とするもの、それは量的縮減の目標を設定することによっていや応なしにそれぞれの制度を変えなければその目標が達成できないという状況にそれぞれの分野を持っていくことです。
そうしますと、例えば先ほど議員と大蔵大臣の間の御議論で、じゃこの期間を終わってキャップなしていいのかというお話がありましたけれども、その時点では既に量的縮減の目標の中に対応できるだけそれぞれの制度が変わらざるを得なくなって、変わった制度になっているはずですね。これは、必ずしも私は社会保障だけではないと思います。公共事業の場合におきましても、一方で高コスト構造の是正という目標で三年間一〇%以上の縮減をという作業は動いているわけですけれども、こういうものを受けて当然ながらその構造も変わらざるを得ません。
そうなりますと、この法律の期限を終了した段階においては、新たな制度によってすべてが動いているという状況を我々は考えるわけでありまして、その意味では、私は大蔵大臣が先ほど申し上げたようにその効果というものを十分将来に残し得る。その上で、なお新たなものを求めるかどうか、その時代における御判断というものは当然ありましょう。しかし、キャップが外れた段階においては変わった姿に既に仕組みが変化している、これは当然のことながら将来の明るさをそこに見出すことができる。私は議員のお考えを一つのお考えとして承った上で、私どもがこの制度を考えましたそのポイントの一つを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/25
-
026・片山虎之助
○片山虎之助君 総理の言われること、私もよくわかります。社会保障は書いているんです、構造改革的なことを。公共事業には書いてないんです。まさに公共事業の問題点は高コスト構造の是正であり、シェアの弾力的な変更であり、場合によっては、今、党の行革本部が言っておりますように、補助事業をやめちゃうと。補助事業をやめて国の直轄事業と地方単独事業だけにする、そういうことが構造改革なんですね。それを私は何らか触れるべきだと思う、財政構造改革法案の中に。
構造改革的なものに触れているのは、私の見る限り、申しわけないんだけれども、どうも社会保障に限られているんじゃなかろうか。ODAだって議論があります、私はあると思う。そういうことがもう少しあれば、構造改革への誘導というのか方向づけというのか、量的縮減だけばあっと書いてある、それも一つのやり方です。だが、その中で、社会保障制度変更的なことを少しはめ込むことが望ましい財政構造や望ましい財政制度の一種のビジョンに私はつながるんじゃなかろうかなと、こう考えておりますけれども、いかがでしょうか、御所見があれば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/26
-
027・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は議員のお考えを全く否定するつもりはありません。
ただ、同時に、いわゆる長期計画を有する公共事業だけでも大変幅のあるものでございますし、それぞれがまたその政策目的を持っております。
そうすると、今議員のお話のように、それぞれの中に個別の項目にまで入って果たして書き切れるか。むしろ、そういう問題点は個々の計画の見直し、量的縮減目標の中での努力というものから導き出す、そういう手法も許されるのではないかと、私はそう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/27
-
028・片山虎之助
○片山虎之助君 まさに総理が言われるように法律にどう書くか、大変私は難しいと思うんですよ。しかし、何らかの言及というか、それに触れることが全体の構造改革法案というものの理解を私はもう少し深めたのかなという気がいたしますが、これ以上その論争はいたしません。
そこで、六年後にフローの国、地方を合わせた財政赤字率を三パーに抑えると。これはEUがそうですからね。それから、先ほども大蔵大臣が少し説明されましたように、赤字のストックを今以上にふやさない、四百七十兆か八十兆か知りませんけれども、GDPでいうと九十何%ですよね。それを少なくともふやさないのがこの三パーだと、ふやさないために三パーが目標だと、こういうことにされたんですが、まず、それはそれでいいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/28
-
029・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 御指摘のとおりでございます。国と地方を合わせましたストックはGDP比九二、そう相なっております。これをふやさないということは極めて重要なポイントになります。
そういう点で、本件は平成十五年度までに三%以下とする目標を達成することにより、公的債務残高対GDP比の上昇に歯どめをかける必要があるという御指摘も正解であります。一日も早く公的債務残高が絶対額で御指摘のように累増しないように財政収支均衡体質を構築しながら、公的債務残高対GDP比を低減させていくというところにございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/29
-
030・片山虎之助
○片山虎之助君 その四百七十六兆のうちには国鉄の長期債務に似たもの、四十五兆か何兆かは入ってないんですね。その議論はまたにします。
そこで、三%に抑えるのは、今五・四ですか、大変に難しいんですよ。仮に三パーに抑えたとしても、五百兆近い赤字のストックは減らない。赤字のストックの解消は二段階目の話だと、こういうことになるんでしょうけれども、どうお考えですか。場合によったら増税をやりますか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/30
-
031・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 増税をただいまやれる段階でございません。視野にないと言った方が正解なんでしょうか。
まず、量的縮減目標を明示し、健全財政へのスタートを切らせていただきたい、そして三%という財政赤字削減目標をそこに落ちつける、こういうことでございます。
そんなことでありますものですから、歳出カットそして経済の体質大改革、高コスト是正と言っておりますが、そしてそのためには規制緩和等々、これを進めることによりまして、生まれ変わった日本経済、企業体質、産業界が生まれていくということの中で、全体の経済の安定、持続的成長が達成できる、こういう目標値の中で取り進めさせていただきたいと思っておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/31
-
032・片山虎之助
○片山虎之助君 ストックの解消が私はもうなかなか難しいと思いますよ、二段階目になっても。今、大蔵大臣は、経済の構造改革その他で、金融制度改革もやるんですから、経済がもっともっと強く活性化してということなんですけれども、それはなかなかそうはいっても五百兆に及ぶものの解消は難しいと思います。
このストックの解消は六年後の課題ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/32
-
033・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 六年後まで九〇%を維持し、その後、逐次減らしていく努力が出てくる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/33
-
034・片山虎之助
○片山虎之助君 大変な借金をそのままずっと持っていってあれするんで、その議論はわかりました。この財政構造改革法案がどううまく作動して、機能して、その結果どういうことになるかまちたい、こう思います。
そこで、この法案には当初予算のことは書いてあるんですね。補正予算と特別会計についてはちょっと書いています。ちょっと書いていますけれども真正面から取り上げていない。それから、財投については何にも書いていないんですね。この巨大な第二の予算と言われる財政投融資。
今、党の委員会で財政投融資の見直しが行われています。資金運用部という仕組みをやめるとか、そのかわりに自主運用を郵貯や簡保にしてもらうとなれば、財投機関債や財投債やそういうものを発行するとか、いろんなことを今議論しておりますけれども、これだけの財政悪化の原因の一つは、景気対策という名で補正予算をどんどんやったこと。もう一つは財投です。やっぱり財政投融資のばらまきなんですよ。それについての御所見、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/34
-
035・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 補正につきましては、御案内のとおり、財政法二十九条に従い厳正に対処と、この原則のもとに取り組んでまいります。
そこで、財投の問題であります。
数々国会からも御批判がございました。同時に、橋本首相が会長の行政改革会議において、本件の基礎になる預託制度廃止という中間取りまとめを決定いたし、ただいま三党を中心に、また党内においても盛んな論議が行われておるわけでございます。
本件は、御案内のように民間補完という起点に立ち、また単年度主義の予算運営ででき得ない事業を取り上げまして、しかしながら有償確実性という基本原則がそこにしっかりとはまっておるところでございます。しかし、数々の諸問題が指摘をされるということでございます。その会議の結果を私は謙虚に受けとめながら、事務当局に命じまして、新しいあり方を積極的に取り組んでいけと、こう申し上げておるところであります。
いずれにしても、最終的な行革会議の取りまとめ、その前にあられると思いますが三党の最終決定までの審議を注意深く見守り、結果に基づいてしっかりと取り進めさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/35
-
036・片山虎之助
○片山虎之助君 財投制度の見直しは法案には何も書いていないんだけれども、ぜひお願いいたしたいと思いますし、同時に特殊法人の改革は一応やりました。ただ、私は、財投制度を変えるときにあわせて財投機関とその事業の見直しを再度やらにゃいかぬと思います。安易に財投機関債なんか出してもだれも買いませんよ。財投債だって大分問題がある。だから、再度この財投制度の抜本的な見直しをこの財政構造改革の一環としてぜひやっていただきたいと思いますが、総理、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/36
-
037・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 財投の見直しが必要だという御指摘、並びにそれを受けてその財投の資金を活用し現に事業を行っている特殊法人に対しても再度の見直しを必要とすると、私はこの御意見は素直にちょうだいをしたいと思います。
もともと、この預託という仕組みの中からその運用というもののために不必要な部分がなかったかという反省は何回か繰り返されてきました。そして、何回かの見直しが行われてきました。しかし、基本的な部分における資金運用部への預託というところまで手を及ばしてはおりませんでしたことは、今日特殊法人の問題あるいは一部公益法人にも問題を生ずる原因になっておると思います。
議員のこの御指摘は私は素直に受けとめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/37
-
038・片山虎之助
○片山虎之助君 そこで、ちょっと個別の問題に入りますが、ガット・ウルグアイ・ラウンド、いわばUR関連経費でございます。
御承知のように、これは平成六年度の補正から出てきたんですね。出方が少し悪かったのかもしれません。最初から補正で四分の三、当初で四分の一という組み方になっちゃったんです。これは簡単に言いますと、別の御意見があるかもしれませんが、シーリング逃れなんです。大蔵省と農水省のいわば共謀のシーリング逃れなんです。だから、そのツケが今まさに来ている、この財政構造改革に。御異論があればまた言っていただければいいと思います。
そこで、どうするのかということなんです、これから。補正予算を組むのか組まないのか、私はもともと補正予算というのは限られて組むべきものを景気対策に使ってきたというのが誤りだと、こう思いますけれども、しかし補正を組まないと継続事業がストップになったり大変いろんな影響が出る。
ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業関連対策費というのは六兆百億円です、この額がいいかどうかの議論はありますけれども。これは国が公にした農家、農民への約束なんですね。この約束を破るということは、これまた政治不信につながるので、それじゃ補正予算かと、しかし安易な補正予算はやりたくないと。当然ですよ。財政構造改革法案をこれからやるというときに最初からそういう補正予算、そういう意味では大変難しい事態になっておりますが、農水大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/38
-
039・島村宜伸
○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。
ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策は、この合意を受け入れることによってにわかに国際化の波をかぶることになったいわば農業農村の体質を強化し、将来の展望を切り開くことをねらいとしておりまして、必要不可欠な事業として決定されたものであります。それゆえ、今後も着実にこれを推進することが必要である、こう認識いたしております。このため、本対策の趣旨並びに緊急性を踏まえ各年度の予算に補正を含む所要額を計上し適切に対応してきたところはただいま御指摘のとおりであります。
本年度におきましても、本対策の効果ある推進が図られるよう、追加補正措置の検討も含め万全を期してまいる必要があると考えております。
いずれにいたしましても、本対策にかかわる経費の取り扱いにつきましては、事業内容の見直しを含めまして今後予算編成の過程で検討することとされております。そういう意味で、今後財政当局とも鋭意調整を進めてまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/39
-
040・片山虎之助
○片山虎之助君 その緊急性というのが、ガット・ウルグアイ・ラウンドが六年ですか、もう一度二〇〇一年か何かに見直す、それまでに日本の農家の体質を強化せないかぬ、それが緊急性の理由になっているんです。いわゆる財政法二十九条か何かで言う緊急性とは違う緊急性なんですね。だから今回、本来の二十九条に返って緊急性ということの説明でやるとすれば、緊急性の説明はできますか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/40
-
041・島村宜伸
○国務大臣(島村宜伸君) ただいま御答弁申し上げたとおり、予算編成に向けてこれから鋭意調整を図っていくという考えに立っております。
また、緊急性の問題につきましては、今までのURはずっと三年間やってきたという経緯もございますので、ここでにわかに中断することが果たして緊急性を損ねないかという問題もあるわけでありますから、この点については十分意を込めて大蔵当局とも話し合いをしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/41
-
042・片山虎之助
○片山虎之助君 私は、農家、農民への約束だから手当てをしなきゃいけませんと言っているんですよ。それは見直しはいいです、組みかえや二年延長は。だけど、ここでほうっておくことはやっぱり大変な不信を買うと私は思うんです。ただ、そこで組むにしたらどういう知恵があるかということなんですが、予算編成過程というお話、予算編成過程になると知恵が出るわけですね、今出なくても。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/42
-
043・島村宜伸
○国務大臣(島村宜伸君) 今までずっと継続して行われてきた事業その他がございます。これらをもし予算編成の過程でこの補正は一切だめであるということで、本予算への軌道に乗せるということのためにこの事業を中断したり、あるいは先ほど委員が申されたように国民との約束に触れるというようなことになれば、これまた問題でありますから、これらを踏まえての緊急性と、こう判断をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/43
-
044・片山虎之助
○片山虎之助君 よろしくお願いします。これ以上時間をとるのもあれでございますので。
そこで、次は公共事業なんですけれども、先ほどもお話が出ましたが、公共事業で昔から議論されているのはシェアですね。それからコストです。それから、今まで投資の額で物を考えているんですよ。どれだけの効果があったかという評価はないんです。あったかもしれませんが我々は知らない。投資額で幾ら道路に投資した、河川にどれだけ入れた、港湾がどうだと。これは私は改める必要があると思う。それから、もう一遍、直轄事業、補助事業、単独事業、これをきちっと洗い直さなければいけません。
こういうことができれば、総理も少し言及がありましたが、私は構造改革につながると思う。建設大臣、どういう検討状況でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/44
-
045・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 片山委員にお答えをいたします。
公共事業につきまして、委員先般来御質問の要旨に述べておられますように、常に私は、効率化、こういったことを整理しながら公共事業に取り組んでいく姿勢が重要と心得ておるわけでありますが、格別、目下厳しい財政状況のもとにあるわけでありますから、公共事業の重点化、効率化、透明化の三つの視点から今まで以上に取り組んでいかなければならぬ、これは不可欠の要因であると思っております。
委員御指摘のように、今日までも取り組んできたわけでありますが、重点化につきましては、まず国と地方の役割分担、これは明確にしなければならぬ。地方分権といいますか地方の考え方というものも大きくなってまいっておりますので、格別私は、国と地方の役割分担というものを進めなきゃならぬということ、さらに経済構造改革関連、地域格差の是正に資するもの、地域間格差というよりも地域の格差が増大した面もありますので、これらを見て思い切った配分を行う、こういう観点にも立って取り組まなきゃならぬ。新しい事業箇所、これもあるわけでありまして、これらについては重点化の中で厳選してまいる、こういう姿勢が必要である、こう心得て取り組んでおるわけであります。
なお、効率化につきましては、省庁間でいろいろ類似した事業がございます。この事業を調整する、こういうことが重要でありまして、既に四省庁間でも取り組んでおるわけでありますが、これまで以上に類似の調整を図る必要があるし、また委員御指摘のコスト縮減、これも今取り組んでおるところであります。
こういうぐあいにして効率化というものをさらに進めてまいるほかに、透明化という問題に取り組んでおるわけであります。これは費用対効果の分析を行いまして公表を行うとかさらに箇所やスケジュールを明らかにしてまいる、そういう政府プログラムを策定いたしまして、公表することによってそれらの事業が一方において進んでいくことを見定めながら他の事業も並行して行われていく、こういうことにつながるわけでありますので、これらを勘案して、これから厳しい財政下でありますのでより一層努力してまいりたい、こう考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/45
-
046・片山虎之助
○片山虎之助君 コスト削減につきましては、十一年度末までに一〇%のカット、こういうことですが、これはできるかどうかという点が一つ。
今、省庁再編で建設省と運輸省が一緒になって、ほかの省庁も入りますけれども、国土開発省という構想がありますね。仮に、建設と運輸が一緒になったら、公共事業のシェアは大幅に変えられますか。二点。
コストは十一年度末までに一〇%カットできるか。運輸、建設が一緒になるとシェア変更が大胆にできるか。二点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/46
-
047・瓦力
○国務大臣(瓦力君) まず初めに、今取り組んでおります行政改革でございますが、これはスリム化して小さな政府、効率的に動かそうということでありますが、目下識者の方々の御意見を踏まえ、与党各党にも御意見を求め、総理主導でやっておるわけでありまして、どういう形でこれから省庁再編をなし得るか、耳を大きく持ちまして、目を開いて見ておるところでありますが、これらのことはもう少し具体化されませんと、ここで返答は差し控えさせていただきたい、こう思うわけであります。
また、公共事業コスト削減でございますが、平成十一年度末までに四分野十九項目にわたる施策を完了し、効果が十分に発現した時点で公共事業コストを少なくとも一〇%以上削減することを目指す、こういうことを目標に掲げておるわけでありまして、目下厳しくその縮減のための努力をいたしております。詳しくは政府委員から答えさせてよろしいわけでございますが、それぞれの分野で目下一〇%削減、そのことの方向に向かって努力をし、一部それを移しておるということで御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/47
-
048・片山虎之助
○片山虎之助君 公共事業は、来年度は七%カットですね。ところが、その公共事業依存というのが大都市と中小都市と農山漁村というのか地方では物すごく違うんです。地方の地域経済というのは公共事業に依存しているんです、よくも悪くも、本当に。そういう意味で、べたに七%カットされたら地方はお手上げなんです。だから我々は、大都市圏はともかく、大都市圏の方に申しわけないんだけれども、地方圏は減らさないようにぜひお願いいたしたい。そうすると、大都市圏に大変しわ寄せが来る。(「それは問題だな」と呼ぶ者あり)そこが問題があるんだけれども、その辺はどういうふうにお考えか。少なくとも地方圏は減らさない、減らすにしてもそんなに減らさない、それが一つ。
それから、もう時間がだんだんなくなってきましたから、自治大臣、地方単独事業を抑えようということになっている。ただ、公共事業ほどは抑えないという大体の関係者の合意なんですよね。公共事業はマイナス七パーです。だから、ゼロからマイナス七パーの間に地方単独事業と、こうなるんだけれども、どういうふうにお考えか。これまた地方単独事業はきめが細かい地域ごとにやるような事業ですから、もう自治大臣が一番よく御承知だと思いますけれども、どうやられますか。
それが一つと、単独事業は今まではむだが多いんです。我々が見たら箱物ばかりつくったり、むしろインフラを補助事業でやるものだから、箱だとかテーマパークだとかレジャー何とか関連だとかというのが多いんですよ。だから、単独事業もインフラをやらなきゃいけません。そこで、補助事業と整理して単独事業のあり方というのを新しくつくってください。
その二点、建設大臣と自治大臣にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/48
-
049・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 委員御指摘の都市と地方という問題でありますが、国土の均衡ある発展、こう考える中で、確かに委員御指摘のように地方がおくれておる場所も非常に多うございます。そういったことにつきまして重点的に配慮をしていかなきゃならぬということは、財政構造改革の推進にも述べられておるところでありますので、さように心得ながら、地域間の格差の是正、こういったことにも留意して進めてまいりたいと思っておるわけであります。
十年度予算の概算要求におきましても、生活関連の社会資本について、例えば下水道といった部門等がおくれておるわけでありますので、地域への重点的な配分を考えたい、こう思っておるわけでありますし、経済に与える影響、これも勘案しまして、用地補償費比率が低いもの、そういったところに重点を置いてまいりたい。いわゆるフローとストックと、こう申し上げる、地方ストックもまだ不備でございますので、その点にも配慮しながら、景気対策に配慮しながら効率的に配分をしたいと。その中で、例えば町村の下水道整備を見ますと、来年度予算においては縮減される中でも六%増、また中心市街地の活性化につきましても事業費九%増、相当虫食いになってきておりますので、そういったことを配慮しながら適切な事業展開というものを行わせたい、こう考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/49
-
050・上杉光弘
○国務大臣(上杉光弘君) 片山委員にお答えいたします。
公共事業に対する認識でございますが、建設大臣から今ありましたように、私の所管ではありませんが、地方行政あるいは地方の公共事業というものを受け入れている立場で申し上げれば、用地代が八〇%から九三%と言われる、その公共事業も公共事業でございます。例えば、一千億の予算を組んだって七十億しか使えないというような道路建設予算というのも存在するわけでありまして、例えば地方に行けば用地代は三割以下で済むわけでありますから、一千億の予算でありますと七百億以上が使える、これも公共事業でございます。そういうものについては十分考えていきたい、このように考えて取り組むべきだという意見を私は自治大臣としては持っておるわけであります。
単独事業でございますが、これは十年度においては、御指摘のように対前年度比マイナスでございますけれども、十分住民の要望には的確に対応したものにならなければならない。特に生活関連施設やその整備については、そこに留意すべきだと考えております。
また、地域経済を下支えする事業でもございまして、その重要な役割があるわけでございます。主な産業、雇用のない農山村におきましては、地方単独事業は生活に直結するものもございます。そのようなことは十分認識をした上で取り組んでいきたい。
また、地方分権が進展をいたしますと、今後において地方単独事業の役割というものはますます重要になってくるという考えに立っておるわけでございます。
そこで、平成十年度の単独事業の事業量についてでございますが、このような認識を踏まえた上で、国庫補助事業における補助対象の縮減などの動向に十分配慮して決定をしてまいりたいと考えております。
また、地方債や地方交付税の必要額を確保し、その配分に当たっては各地方公共団体の計画的事業執行に支障が生じないように、私は十分温かみのある血の通った配慮をしていかなければならないと考えております。
箱物がございましたね。箱物が一つございましたが、箱物については長年、片山議員の御指摘がございまして、十分このようなことは承知いたしておるわけでございまして、御指摘の点を踏まえてむだのないような施設の整備に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/50
-
051・片山虎之助
○片山虎之助君 そこで、旧国鉄の長期債務問題でございますが、これは大変深刻な問題です。国の財政構造そのものではないけれども、大変に関係があるんです。この法案は何にも触れていない。どういうお考えかというのが一つ。
それからもう一つは、十一月中にあらゆる方策を検討して成案を得る。ところが、一つもいい知恵は出ていません。一つ出せば関係者が反対、これを出せばだめと。どうおまとめになりますか。お見通しをひとつ、運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/51
-
052・藤井孝男
○国務大臣(藤井孝男君) お答えいたします。
今、委員御指摘のとおり、国鉄の長期債務につきましてはもう先送りのできないときが来ておりますし、そのことを踏まえまして、昨年十二月の閣議決定によりまして平成十年度から本格的な処理を施すと、こういう決定に基づいて今検討を進めているところでございます。
委員御承知のとおり、現在、政府・与党におきまして、財政構造改革会議の中の企画委員会におきましてさまざまな点について検討を行っているところでございます。おっしゃられるとおり、なかなかいろいろな御意見があり、まだ具体的な方向は見えてきておりませんけれども、しかしあらゆる面から検討し、そして国民の理解を得ながら、本年中に具体的な処理策を出すべく最善の努力を傾注してまいる決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/52
-
053・片山虎之助
○片山虎之助君 ここまでこの債務が多額に膨らみましたのはいろんな原因がありますが、大きくはJRになったとき、民営化したときに分けているんです、国の責任分とJRの分。国の方は十年間ほとんど何もやっていないです。放置した。その放置した責任。
それから、しかもそれだけの資金繰りに困るものだから、そこにある財投の金を入れたんです。財投は国民の金ですから、これは利子をつけなきゃいけません。平均は恐らく五・三か何かです、今、市中が一・幾らというときに。どんどん利子が膨らむ。これが二番目の責任。
三番目には、バブルのときに高く売れているんです。ただ、これはいろんな議論があったと思いますけれども、土地の処分を見送ったことです。これはだれの責任ですか。運輸大臣、どうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/53
-
054・藤井孝男
○国務大臣(藤井孝男君) ただいま委員から御指摘の点、だれの責任かと言われますと大変つらいお答えになるわけでありますが、いずれにしましても、この問題がだれにどう責任があるかと。運輸省といたしましては、その責任の重さを一に痛感いたしているところでございます。
とりわけ、今財投の問題等々おっしゃられましたけれども、委員御承知のとおり、この国鉄の資金調達というのは大変膨大な金額を資金調達しなきゃならない、兆円単位の。そういう中で、その時期に合わせまして長期安定的な、あるいは低利の金利の資金調達ということにつきましては、その時々におきまして適切に対応してきたと考えております。
しかし、結果におきましては、今の時点から考えますと、大変高い金利の負債が残って、それが増大しているということも事実であります。また、土地の問題につきましては、あの当時国鉄清算事業団の持っている土地を大量に提供することによって地価の高騰を冷やすという、そういう考え方も実はあったわけでありますけれども、その説は通らずに、まさに緊急時における、これ以上土地の値段を顕在化させてはならないということで凍結を余儀なくされた、その閣議決定がされた。そういった中で、その後のいわゆるバブル崩壊後の地価の低迷等々、また株式の低迷等々によって、結果においては負債が膨らんだということにつきましては私ども謙虚にその責任は考えておりますけれども、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、何とか皆さん方の御協力、御理解をいただきながら、また国民の御理解をいただきながら、この責任を痛感しながらも具体的に処理策を見出すために頑張っていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/54
-
055・片山虎之助
○片山虎之助君 私は、この問題は結局、落語に三方一両損というのがありますけれども、説明はつきませんよ、きちっと整理しているんだから。しかし、非常時だということで、普通の理屈を超えて、関係の者が少しずつ持ち寄るしかないと思います。
そこはどこだと。JRはもう絶対反対と、もうちゃんとあそこで整理が済んで、我々は独立して民間だと、もうお説のとおりですよ。郵貯だって、もしこれが黒字が出るのなら預金者に返すべきです。道路目的財源は、これは道路のためにみんなが上積みして出しているんだから。ほかにもいっぱいあります。
私は、いろんなあれの中からみんなが持ち寄って、みんなが少しずつ損をしながらこれを整理していくしかないのかなという感じを持っているわけです。しかし、そのためには、私は、それぞれについて大義名分が要るというのと、渋々でも関係者が同意するということが、やっぱり民主主義社会ですから同様なんですが、これは大変難しいと思いますね。
その辺は運輸大臣としていかにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/55
-
056・藤井孝男
○国務大臣(藤井孝男君) 委員が今おっしゃられたとおりでございまして、だれが得したとかだれが損したとかそういうことでなくて、やはりみんながそれぞれの理解と協力の中でこの処理策に御協力をいただければと思っております。その前に、私ども運輸省といたしましても、まず隗より始めよという形の中で、私どももどういった中で歳出削減、そして少しでも、運輸省だけでこの問題が片づくわけではございませんので、まず隗より始めよとの気持ちを持ちながら運輸省といたしましても最善の努力をし、そして今、委員おっしゃられたように、だれが損してだれが得したということではなくて、みんながやはり国民全体の、国全体の負債という観点から御協力、御理解をいただきたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/56
-
057・片山虎之助
○片山虎之助君 時間がだんだんなくなってまいりましたので、景気対策をお伺いしたいと思います。
経企庁長官、財政出動ができるできないは別にして、全くそれは別にして、別に何かできるか今の状況でと、こういうことでしょうけれども、今最も効果的な景気対策は何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/57
-
058・尾身幸次
○国務大臣(尾身幸次君) 現在の景気の状況でございますが、先ほど申し上げたとおりでありますが、そのバックグラウンドとして消費者も企業もそこそこお金を持っております。企業の収益は上がっておりますし、それから雇用あるいは消費者の家計につきましてもそこそこの水準になっているわけでございますし、個人金融資産千二百兆というのもございます。そして、それにもかかわらず、消費について物が売れなかったり、あるいは企業家の態度が、設備投資は上がっておりますが、もう一つ積極的でないのは、やはり将来の経済に対する、いわゆる景気に対する信頼感というものが損なわれているというふうに考えております。
そこで、私ども、発想を転換いたしまして、財政状況こういう状況でございますから、いわゆる赤字国債を出して所得減税をして、そのお金で物を買っていただくというような短期的かつその場限りの政策は必ずしも適当でないと考えております。むしろ、経済構造そのものを改革いたしまして、いわゆる公共事業などを中心として経済の下支えをしてきた政策から転換をして、民間の活力、民間の力を一〇〇%発揮していただくようなそういう体制をとっていく、そういう経済に体質改革をしていくような発想転換が必要であるというふうに考えております。
そのためにも規制緩和、そして民間の活力を生かすとか、あるいは先ほど総理のお話にもございましたようなバブルのしこりを取り除くという意味で不良債権の処理を進める、そのためには土地の有効利用あるいは土地取引の活性化等を図っていく、そういう対策をしっかりとやっていって二十一世紀に向かって民間活力中心の経済活動に脱皮をしていく、そこに新しい展望を開いていくということが今度の経済対策の一番の眼目であるというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/58
-
059・片山虎之助
○片山虎之助君 基本的には経企庁長官のお考えに賛成しますが、しかしその規制緩和や不良債権処理、その後の土地流動化は今の景気に即効性がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/59
-
060・尾身幸次
○国務大臣(尾身幸次君) 即効性の点につきましていろいろ御議論がございますが、例えば情報通信の規制緩和をやることによりまして実はアメリカ経済などにおきましても非常に大きな経済の成長が実現をされました。
それから、土地取引につきましては規制の緩和、あるいはこれから議論になります税制の緩和等がございます。そういうものもやっていかなければならないというふうに考えております。
それから、経済の国際化の中で企業が国を選ぶ時代になってまいりました。そういう時代において、過去数年間、かなりの程度製造業を中心として空洞化が進んできたということも経済が思うほど回復していない非常に大きな原因であるというふうに考えております。
そういうことに対しましても、例えば法人課税のあり方の問題とか有価証券取引税の問題とか、そういうことをしっかりとやっていかなければいけない、そのように考えております。
そして、即効性があるかどうかということでございますが、そういう規制緩和や土地取引の自由化や促進、そういうことによりまして、企業家の立場で見ますと、ああこういう方向で、民間需要中心で日本経済の活性化が実現されるなというふうに私は考えていただけるような方向性が出せるというふうに思っております。
そして、そういう方向性を国として出した瞬間にビジネスマンであれば、これは二十一世紀に向かって日本経済が民間需要中心の活力で活発化し、経済がよくなるなというふうに思った瞬間に企業家の皆さんはビジネス活動にそういう点を取り入れてくる、新しい設備投資を考えたり新しいベンチャーを起こしたり、そういう新しい分野に進出をしてくるに違いないというふうに私は考えております。
そして、そういうこと自体が、直ちに非常に即効性があるという意味からいいますと、いわゆるムードが変わること自体が非常に大きな即効性を持ってそんなに遠くない将来における日本経済の発展に大いに寄与するというふうに考えております。
今、バブルがはじけて一番底にあって経済が上に行くのか下に行くのかわからない、そういうふうに大変心配をしておられる方もあると思いますが、よく考えてみますと、実を言うとバブルが始まる前の段階の土地もかなり低かった時代にいろんな意味で積極経営をやって、バブルの絶頂期にこれを全部売り抜けた人はかなりの利益を得たはずでございます。そういう意味からいいますと、景気の動向がどうかなというふうに国民全体あるいは企業家全体が考えている、しかも全体としては赤字基調にある、そのときに積極的な経営をした方々が二十一世紀の経済の勝利者になれるというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/60
-
061・片山虎之助
○片山虎之助君 いや、大変な御高説を賜りました。基本的には、即効性云々は別にして、今、経企庁長官が言われたことを大胆にやっていただきたいと思いますが、私は同時に、それはそれとしながら、やっぱり何か要ると思うんですね。
そこで、一つは、公共事業じゃないんですが、ゼロ国債、ゼロ県債を出しまして一兆円以上の、八年度もゼロ国債をゼロ県債も加えて一兆円出しているんですから、そういうことの追加をする。
それから、必要なものはやっぱり補正予算を組まにゃいけません。これは規模をどうするか大問題があります。今のURも緊急性の説明がつくものは入れてもらう、あるいは災害関連、阪神・淡路のいろんな復興予算、そういうもので補正も必要なものは、まだ平成九年度ですから、これはなかなかつらいところなんだけれども、措置してもらう。
それからさらに、今盛んに議論されているPFI、民間に公共事業をやらせる。イギリスを中心にそこそこに成功しているんで、インターをやるとかサービスエリアがどうだとか、何とかの建物はどうだとかいろんな議論をしておりますけれども、これも場合によっては財投の金をしてやる。財政出動じゃないんですから、ぜひそれをお願いいたしたいと思いますが、だれにお尋ねすればよろしゅうございますか、建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/61
-
062・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 片山委員にお答えをいたします。
ゼロ国債の御質問でございますが、当然、社会資本整備、または地方状況、雪寒地等々のことを考えますと私もさように主張したいところでございますが、いずれ内閣全体として行政改革を進めつつ、いかに財政改革に取り組みながらやるかという問題がありますので、その時期まで個人的な見解は差し控えさせていただきたいと思います。
PFIについてお触れになりました。社会資本整備にPFI、これはイギリスにおいて取り入れられておるところでございますが、この際民間活力の活用を図るという点につきましては、財政が厳しい状況でありますから大変重要だと考えております。
我が国におきましても既に有料道路、道路公団等が行っておる事業、これは受益者負担を前提とする社会資本整備の手法でございますが、行われておるところでありますが、このイギリスにおきましてのPFIを初めといたしまして、民間活力を活用いたしまして社会資本の整備を行うという新たな試みが出ております。
建設省におきましても、民間投資を誘導する新しい社会資本整備検討委員会、これを設置いたしまして、海外事例等も参考としながら新たな整備方策、問題点について検討を行いたい、こう考えておりまして、先般、社会資本整備の充実に努める、こういう観点からも検討会を設置したところであります。来年四月をめどに識者の意見も取りまとめたいと思いますが、これを機会に在野の意見もできるだけお聞きをして、これからの社会資本のあり方につきまして検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/62
-
063・片山虎之助
○片山虎之助君 それはよろしく検討をお願いすることにしまして、それから税制です。
税制は、政府税調もありますし、こちらの方では自民党税調、与党税協というんでしょうか、あるいは経済対策協議会、そういうところでの議論になると思いますが、私は、所得税減税の御議論がありますけれども、所得税は特別減税を今までやってきて九年度からやめたばかりなんですね。それが直ちにということは、今の財政構造改革法ではとても無理だ。だから、今、党の方で議論しているのは、例えば教育費減税、子育て支援の少子化対策減税あるいは介護の関係の減税、こういうものを所得控除か何かにうまく入れてやる必要があるのではないか、こう一つ思います。
それから、一番大きいのは、やっぱりかねての懸案である法人課税ですね。日本の法人課税は高い高いということで、やっと経済団体も課税ベースを拡大してもらって結構だ、そのかわり税率を下げてくれと、こういうことになりつつあるんです。問題は、大蔵省が言うように増減税同額、税収中立て果たして景気にインパクトがあるのかどうかなんです。
そこで、私は、ネット減税に踏み込まざるを得ない。ただ、しかし、財政構造改革中ですから、時差を持った中期的なインターバルによる増減税同額みたいなことがうまくとれれば、とりあえずはネットと。実質減税というのが大変な皆さんの願いですから、これは心理的効果も非常にある。そういうことについてどのようにお考えか、大蔵大臣、簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/63
-
064・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 経団連初め、そういう御要求が出ておりますことを承知いたしております。
御披露いただきましたとおり、課税ベースを広げまして財源を得て、その財源をもって税率の引き下げに使わさせていただく、原則これに尽きるわけであります。
御案内のとおり、要調整額が二・一兆から二・九兆という財政試算がありまして、到底、特例公債を財源とするネット減税は、財政当局、税務当局、私としても特に構造改革の基本的理念に反するのではないだろうかと思いますものですから、御理解を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/64
-
065・片山虎之助
○片山虎之助君 そうなんですね。課税ベース拡大、税率を下げるというのは、両方とも国際的な基準に合わせるということなんです。私はそれはそれでいいと思うんです。両方とも国際並み、よその国並みにやる、課税ベースも、税率も。
問題は、景気対策の側面がどうしてもあるんですね。そこでいつまでも単年度的な考え方で同額にこだわって、景気対策になるのかなという点なんです。これは大議論があるし、それぞれのつかさで大いに議論していただかなければいけませんが、ぜひそこのところは御認識いただきたい。
それから、あと有価証券取引税です。これももう大変な合唱。株がこういう状況になっている。やめるんなら、もうじくじくやらぬで、ばっとやめるのがいいんです、一番効果は。何年間でやめるとか恐らく役所は考えます。だけれども、もしおやめになるということでいくんなら、私は早期撤廃がいい。
それから、地価税です。これはバブル退治の税制なんだから、しかも税制として問題がある税制なんですから、もう凍結か廃止してもらう。譲渡益課税も何年か前に返してもらう。とりあえず土地のマーケットとして土地が動くようにせにゃいけません。いい土地は売れて高うなる、悪い土地は下がる、そういうことのマーケットが動くような仕組みを税制から援護しないと、土地の流動化なんかできません。手続ももちろんありますけれども、私は税制がかなり絡んでいると思う。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/65
-
066・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 言わんとするところはわからぬわけでもありません。しかし、財政構造改革という大きな二十一世紀に向けて期待が持たれる大改造に踏み込んでいきたい、踏み込まなければこの国のあすは難しい、ないかもしれないという危機感のもとであります。よって、特別減税もやめました。消費税二%の御協力もお願いを申し上げておるわけであります。
そういう中で、少なくとも特例公債を財源とする税制、いわゆる減税に踏み込むということはつつましやかでなければなりませんし、同時にこのことはやってはならないことではないのか。
かつてレーガン大減税、それほどの効果がなく、新しい第二次振興策を視点を変えて今日我が日本が行おうとしている方向でスタートを切り、ブッシュ、クリントンがまさに構造改革をやり抜いて双子の赤字を克服した大きな直近のケースがございますものですから、痛みを分かち合いながら、ここのところは耐えていかなければならないときではないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/66
-
067・片山虎之助
○片山虎之助君 各論で質問しますと総論でお答えになるものですから、国際的な規模でお答えになるものですから、どうもぐあいが悪うございますが、景気対策という観点も加味しながら、税制はきちっとした制度でなきゃいけませんので、引き続いて御検討賜りたいと思います。
そこで、法人課税絡みで、赤字法人課税という問題が今盛んに議論されている。この間の党の税調なんかにも、大蔵省がミニマムタックスというまた横文字を持ち出しまして、従業員の給与に定率課税をかけると、こういうお話もありました。
もともと外形標準的な課税は、応益原則からいって地方税がなじむんですね。法人事業税で昔から外形標準課税論がある。そこへ、とにかく日本の今の法人は六四%は税金払ってないんだから、三六%が重い税金をよいしょと背負っているんで、私はやっぱり赤字法人課税、外形標準課税等を検討して、薄く少しは負担してもらって、法人は公共サービスをみんな受けているんですから、それによって三六%を軽くする、中小企業の軽減税率を含めて基本税率を下げていく、そういうことがぜひ必要だと思いますが、総理、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/67
-
068・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は検討に値するお話だと、率直にそう思います。その上で、実現には幾つかやはりチェックすべき問題点があることも事実です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/68
-
069・片山虎之助
○片山虎之助君 大蔵大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/69
-
070・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 総理が言われたとおりであります。片山委員の公正の原則に立った持論でありますことをかねがね拝聴いたしておりましたし、正式にこの時点での御提言であります。政府税調等に、どうあるべきか、その審議の中に入れていただき、進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/70
-
071・片山虎之助
○片山虎之助君 次は行政改革でございます。
今、大変霞が関を揺るがしている問題は省庁再編でございます。十七日からの集中審議で最終報告の取りまとめが行われると聞いておりますが、私は省庁再編のような大改革はもう少し時間をかけた方がいいんじゃないか。予算や財政は三年、六年のオーダーで考えてもいいんです。しかし、省庁再編のような中央の行政の大機構を変えるのは、やっぱりつくった以上、五十年百年待たにゃいけません。今の中央省庁は、いろんな変遷がありまして手直しはありましたけれども、基本的には終戦のときの仕組みが残っている。これはもう五十年ですよ。そこで、どうもちょっと拙速ではないかという感じがして私は仕方がないんです。
なぜそう思うかといいますと、行政改革というのは基本的には公の仕事減らしなんです。行政をスリムにすることなんですよ。それによって局や課や出先をスリムにして、その結果人が要らなくなって、人を減らしてというのが大体の順序だと思う。そのスリムにした最後の省庁について、どことどこをくっつける、どことどこをどうするのがいいかということが、私はそれが本当の行革だと思う。ところが、その方は、おやりになっているんでしょうけれども、余り目に見えません。国民にわからぬ、そっちの方は、本来そっちからいくべきものが。
そこで、あの省とこの省をくっつける、これが離れる、何とかは滑った、こういう議論になっていますから、私はやっぱりこれは数字合わせ的な感じを国民の皆さんは持たれるんじゃないかと思います。だから、本当は両方やるのが一番いい。仕事減らし、組織減らし、人減らし、それが中央省庁再編につながる、これが本来のあり方で、そのためには時間が要りますよ。しかし、もうスタートしましたから、わあわあ、こうなっていますから、相当のエネルギーをみんな使っているからまとめにゃいかぬと思いますけれども、総理、どうでしょうか、十七日からの集中審議でまとまりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/71
-
072・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、今の議員の御指摘はもっともだと思います。
そして、その点で少し申し上げさせていただきたいと思いますのは、私が内閣を率いることになりました段階で既に地方分権推進委員会は相当な作業を進めてこられました。そして、既に地方分権については第四次の勧告までが出され、これは特に地方六団体が共通して要望されておりましたことが中心でありますから、この後にも分権推進委の方に作業をお願いしておりますけれども、少なくとも地方六団体から出てまいりました御要請というものを受けた国と地方自治体との事務の再配分のルールはできており、そしてこれに基づいて政府は地方分権推進計画の策定にかかっているわけであります。その意味では、まず国から地方へという部分についてはある程度の整理が行われております。
ただ、私はそれで終わりではないですよと。分権推進委に逆にお願いしておりますのは、その地方六団体から出てきている御要望ではない部分もこれからの作業の中で見ていただきたいということをお願い申し上げております。
同時に、行政改革委員会の方で規制緩和、規制の見直し、撤廃といった作業を既に随分続けてこられました。これはまさに官から民へでありまして、そういった意味でのスリム化の方向というものが既にある程度動いているわけであります。
そして、今、中央省庁再編という点についてもっと時間をかけるべきだという御意見をいただきましたけれども、この行革会議を立ち上げます時点においても申し上げてきたことでありますが、既に動いている、その地方分権についての、また規制の緩和、撤廃、見直しといったものについてのその成績を踏まえた上で、あるべき二十一世紀の行政の姿、その中における中央省庁の役割、そして大ぐくりにしたその機能別の仕組みという作業の手順を踏んできたことも、これもまた事実なんです。
そして、中間報告を公表いたしましてから、あるいはそれまでは、むしろ中間報告を出しますまでは、本当に進むのかなということであるいは皆さん余り御議論いただけなかったのかもしれないんですが、マスコミの皆さんも、あるいは産業界の皆さんも学問の世界の方々も含めまして非常に今いろんな御議論が出てくるようになりました。私はこれは大変いいことだと思い、その御意見を今拝聴いたしております。
しかし、集中審議をもう数日後に控える状況になりますと、そろそろその意見の集約というものも本気で考えなければなりません。そして、その中におきまして、与党十者協議の中でも、あるいは党の中でもさまざまな御議論がなされております。私はぎりぎりまでそうした御意見を拝聴していくつもりですし、そこでまとまっていくものはそれでまとまることが望ましいことでありますけれども、最終的には行革会議の設置を決めた責任者として自分自身の判断でこれを決めていかなければならない。また、それだけの責任が私にはあろうと、そのように考えているところであり、なるべく私は、まあ穏やかな形という言い方はおかしいですが、穏やかな形でこれがまとまることを願いますけれども、最終的には国民が本当に求めておられるもの、そしてこの国の将来に本当に必要だと思われるもの、そうした思いを土台にしながら判断をする場面もあろうかと、そのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/72
-
073・片山虎之助
○片山虎之助君 総理の言われるとおりです。国から地方へ、官から民へ。ただ、今の規制緩和や地方分権が組織減らしゃ人減らしにつながっていないんです。そこのところの私は検証が何か要るんじゃないか。特に地方出先機関ですよ、国の。これをどう考えるかということがどうしても一つ要るんです、一節。ただ、同時並行化ですよ、中央省庁よりもちょっとおくれるのかもしれませんが、ぜひそれをやっていただかないと本当の行革ということになかなかならない、こういうふうに思っております。
それから、一つ今回、総理にあれなのは、財政構造改革会議は全くああいう形でしょう、閣僚に、とにかく政治家を中心に。行革会議は総理と総務庁長官だけ入って、諮問機関ですね。その諮問機関の長に総理がなられる、その代理に総務庁長官がなられるというのは、普通の諮問機関からいうとちょっと何でかなと、こう思うんです。
行革と財政構造改革と、こっちの財政構造改革はずらっとでしょう。主要閣僚から大蔵大臣、総理大臣経験者、与党の執行部、ほとんど入る。それでこっちはまあ民間の方ですよ。何でこの手法を変えられた、特にお考えがあったのかなと私は思いますけれども、それが一つ気になります。
それから、例の中間報告にも最後に、できるだけ与党の理解だとか与党の意向の最大限の反映だとかと、こう書いていますから、ぜひ総理、最終報告まとめの際には、与党の理解が得られるように、与党の意向が最大限反映するように御努力いただきたい。しかし、その上で、総理は最終責任者として決断していただかなければいけません。総理に決めていただかなければいけません。そうでないとまとまらない。その二つの点、いかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/73
-
074・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) この行政改革会議をつくります前、いろいろな角度から議論をいたしましたときに、党の御意見も承りながら、どういう形態が望ましいかということを相談いたしました。そして、そのときに、大きく幾つかのポイントがありましたけれども、できるだけ幅の広い形で委員を選ぶ、それから各省のOBを中に入れるとややもすると自分の出身省の利害に議論が集中してしまう可能性がある、そんな論議もあり、党側の御了解も得て今のような形をスタートさせました。
ただ、そのときに、逆にそういう例えば官僚OBの人たちを排除するとかということになると、責任が明らかにならないのではないか。だから、これは総理が自分でその責任をとるべきだという御意見をいただき、私は自分でその決心をしたわけです。ですから、いろいろな御論議はあろうかと思います。そして、私は、当然ながら党の総裁であり党員の一人でありますから、また与党三党の枠組みの中で内閣を今日維持しておるわけでありますから、でき得る限り御意見に耳を傾けるというのは当然のことだと思います。
ただし、同時に、これは私は必ずしもそれが悪いことばかりだとは言いませんけれども、今各省の諸君が大変華やかに、私の目にも触れるぐらい華やかに自分の省の将来図をみずから夢を描きながら、それを持ち歩きPRをしております。これは少々私は苦々しい思いで見ておりますが、そういう努力をしてはならないと言うつもりもありません。そうした御努力の形跡も判断の中には入れながら、いずれの時点かで最終の判断は私自身の責任で下さなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/74
-
075・片山虎之助
○片山虎之助君 行革と言うからには郵政三事業には触れぬというわけにはいきません。これは大変な大問題でございます。今我が国の郵便局というのはうまくいっているんですね。大変地域に同化して密着してうまくいき過ぎている。うまくいき過ぎているからかえって問題だということになるのかもしれませんが。
そこで、私はいろんなことを考えて、今回その問題点は二つあると思うんです。
一つは、郵貯や簡保の金がそのまま資金運用部に流れて、これは中間ですよね、出口の特殊法人に行っているんです。この辺がしゅっといっているから郵便局は金を集める人、本当ですよ、大蔵省は金を配る人、特殊法人がどっと使う人、こういう仕組みになっているんです。だから、これをやっぱり断ち切る必要が、今議論されておりますが、私はあると思うんです。まず、特殊法人のあり方をきちっと考える、財投のあり方をきちっと考えるということなんです。そこを断ち切っていただくということで大分変わってくる。
それからもう一つは、郵便局は国ですから民にしてみると大変不利だと。税金を納めない、何とか保険機構に負担金も納めない、こういう意味で優遇をされている、手当がどうだとか。だから、それによって民が圧迫されている、こういう感じを持っていますよ、民は。
だから、私はそこはイコールフッティングじゃありませんが、できるだけ民と競争条件をそろえる、民業圧迫にならないように。不公平、不均衡でなくする。そういうことをきちっとやった上で、私はやっぱり国営三事業、並立一体で残さざるを得ないのじゃないか、当面は。ずっと将来は公社化もあるいは民営化もあると思いますよ。
あると思うけれども、当面は与党の体制が、厚生大臣には申しわけないんですけれども、圧倒的にみんな国営維持であり、しかもマスコミの世論調査によりますと、数字は異動してきていますよ。しかし、六割ぐらいは賛成なんです。さらに、これはやらせがあるのかもしれぬけれども、地方議会の決議をこの前聞きましたら(発言する者あり)いやいや全部じゃない、幾らかあるかもしれないけれども、これは九十何%ですよ、九八、九%、そういう背景を考えたときに、私はこのことはしっかりと考えなきゃいかぬ、こういうように思います。
そこで、もう時間がないからまとめて言いますけれども、独立行政法人か特別公社構想が出ている。いいですよ、いいけれども、中身がわからない。独立行政法人というのは人によってみんな違う。こんなものでいいというわけにはなかなか関係者はいかないと思います。だから、独立行政法人はこういう構想なんだ、今から比べるとメリット、デメリットはこうなんだ、こういう点はメリット、こういう点はデメリット、皆さんのお仕事や身分はこう変わりますよと。その上できちっと私は判断させる必要があると思いますので、まとめて総務庁長官、御答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/75
-
076・小里貞利
○国務大臣(小里貞利君) 行革の大きな柱といたしまして、いわゆる民間にゆだねられるものはできるだけ民間にゆだねたい、先ほどお話の一部にもございますが、そういうような話の延長線上から独立行政法人というものを行政改革会議におきまして相当回数かけまして集中的に議論をいたしてまいっております。
その根本は、今も先生からお話がございましたように、国の仕事あるいは事業を可能な限り精いっぱい別の法人格を有するいわゆる独立行政法人を編成いたしまして、そしてそこに事務事業を可能な限りゆだねたい、こういうようなまず基本がございます。
そしてまた、そのことはお話がございましたように、弾力的な組織、業務、運営を可能とするように独立行政法人そのものの制度、中身の仕組みを十分創意工夫しなければならない。したがって、効率性の高い、あるいはまた国民本位のサービスの質の向上、あるいは透明性の確保というものを十分留意していかなけりゃならない。
その結果、申し上げるまでもなく国もスリム化いたしましたよ、事業の効率性も上がりましたよ、さらに民間の活力も、民間が持っている力もうんとそこに活用できましたよという私は結果が出てこなければならないと思います。以上が今模索し、かつまた集約の方向に向かっておりまする独立行政法人であります。
その独立行政法人は、しからば先ほど適用事業としてちょっとお話がございましたけれども、おおらかに申し上げまして国の研究機関あるいはそのほかの施設等々たくさん対象にあるわけでございますが、その念頭の一つに郵政三事業もある。しかも、先生から先ほどお話がございましたが、郵政三事業の中で郵便事業のごときは非常に長い伝統と同時にいわゆるすそ野の広い国民生活的な
一つの機能性というものを十分持っているんだ、これは活用しなければいかぬじゃないか、そういうお話でございますが、御承知のとおり中間報告におきましてもこれは現在の形態を最も注目するべきである、いわば言葉は違いますけれども、国営の維持という一つの視点が示されておりますことも御承知のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/76
-
077・片山虎之助
○片山虎之助君 それじゃ、独立行政法人のきちっと構想を決めていただきたいというのが一つと、これは民営化の過程じゃないんです、恒久的な制度なんですね。仮に郵政三事業を独立行政法人でやるということになると、ずっと先はわかりませんよ。それは恒久的だと考えていいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/77
-
078・小里貞利
○国務大臣(小里貞利君) 正直申し上げまして行政改革会議でただいまお話の点をきちんと取りまどめたものではございませんけれども、私の感触ではその方向でございます。
きちんと恒久性というものをこの際整理してまとめていかなければ、先ほど総理もお話がございましたように、行革会議そのものだけの審議で私どもはこれを取りまとめ、なおかつ、これがそのうち内閣に対しまして答申があり、内閣でまたそれの大綱を決めて具体的推進計画をうんと議論いたしまして、そして練度の高い省庁再編というものを研究し、そしてまた、いわゆる省庁再編の推進計画なるものも大綱として来年の春ごろには国会にも御報告しなければならぬ、そういうような一つの段取りがございますから、その間に十分練っていかなければならぬ、さように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/78
-
079・片山虎之助
○片山虎之助君 言葉は多いんですがよくわからないんです。
恒久的な制度と理解してよろしいかとか、それから国家公務員ですね、この国家公務員は労働基本権はどうしますか。そこだけ簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/79
-
080・小里貞利
○国務大臣(小里貞利君) 先ほど、恒久的なものを私は一つの目標に置いておりますと、こういうことを申し上げた次第でございますが、では、その職員の身分はいかがであるか。これは、今議論されております状況から見ますと、公務員でいいのではないか、あるいはまたその受け皿と申し上げましょうか、適用施設、機関によりましてはそうにあらざるともよろしいですよという団体もあるいは出てくるかもしれませんから、そういう一つの状況を今審議いたしておる。あるいは、この段階で私が推理を申し上げるのはどうかと思いますが、場合によっては両論併記、そして適所適切なる判断でその適用事業というものは最も効率が上がる方向に整理されることも一つの方法かなと、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/80
-
081・片山虎之助
○片山虎之助君 これはいろいろな受け取り方ができますね。こういうのを名答弁というんです。迷う方じゃありません、名前の名の方でございます。
そこで、もう時間がなくなりましたので、最後に内閣機能の強化。
私も賛成ですが、我が国は議院内閣制ですから、それは官僚制度は問題があります。いっぱい問題があるけれども、長い歴史に支えられたメリットシステムが中心の官僚制度ですから、やっぱり私はそこのところの調和がなければいかぬのじゃなかろうかと思います。
だから、例えば基本的なことについての総理の発議権、緊急事態における指揮権、政治的スタッフの任用、内閣官房の強化なんかはいいと思いますけれども、何でも総理が発議できるとか、閣議を多数決にするとか、ほかの省庁の高級公務員の人事の承認権を持つとか、政治的任用スタッフを物すごくふやすとか、これは私は、今の議院内閣制というのは権力分立合議制内閣ですから、合議制ですから、だから余り大統領制的であっては、私は党の本部では、行革会議に大統領制へのあこがれがあるんじゃないかと、そういうことを言いました。それから、メリットシステムなんですから、やっぱり政治的任用、なかなか難しいんです、この辺を考えていただく。人事の任免権は各省庁大臣にある、それをいろいろ審査されるということは、場合によったはいいかもしれませんが、一々承認するとかというのはいかがかなと、こういうふうに思っております。
それからもう一つ、内閣官房、これは総合戦略をおやりになるそうです。内閣府は総合調整をおやりになる、総務省はその実務をやると。結構です。あるいは一つの考えだと思います。ただ、その間の分担と連携の関係をきちっとしてやっていただく。
そこで、最近の案は、総務省の所管大臣を総理にして、その下に補佐で総務庁長官をつけるという案がマスコミに報道されました。こんなことをやったら昔の総理府と同じなんですよ、総理府総務長官と。手間が大変面倒になる、責任が不分明になる。私はやっぱり問題だと思いますね、そういう二重構造は。それを含めて、総理の御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/81
-
082・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず、マスコミの皆さんにはいろいろな報道がなされていることは御承知のとおりでありまして、その中には、特定の委員の方の御意見をどこかで入手されたのかなと思うものもありますし、推測と思われるものもありますし、あるいは何人かの考え方がどういう経過でか報道関係者の目に触れそれが報道されたと。いろんなケースがあると思うんですが、今官邸機能の強化というものについて、また報道された特定のケースについての御意見をいただきました。
私は、しかし内閣機能というのはやっぱり強化をしなきゃいかぬと本当に思っております。そして、緊急事態に機敏に行動できるような、また多様な政策課題に戦略的な判断を下せるような、そうした仕組みが必要だと思っております。中間報告の中にもそうした考え方は盛られていたわけでありますけれども、もとよりこうした提案が議院内閣制というものを前提に、同時に中立性及び専門性を基礎とする公務員制度、これを根底に置いている、その前提については私は議員の御意見を十分に受けとめられるものだと思っております。
今、特定のケースについて、二重構造あるいは責任の不明確を招く可能性といったものに言及をされながら御意見をいただきました。これは、幾つか議論をされてきているうちの一つの類型であることは間違いありませんので、仮にそうした考え方を採用する場合に対する注意事項として私はその御指摘をちょうだいしておきたい、そのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/82
-
083・片山虎之助
○片山虎之助君 もう私に割り当てられた時間が尽きようとしておりますので、最後に一言だけ。
NHKの世論調査によりますと、行政改革に何を望むかというと、一つは官僚の天下りをなくせ、二番目は公務員の数を減らせ、三番目が、大変つらいんですけれども閣僚の数を減らせなんです。閣僚の皆さん、もうこれだけ重労働ですから、これ以上減ると大変になると思いますけれども、一人当たりの労働量が。
それはおきまして、そういう国民の意向もきちっとお受けとめいただいて、五百人委員会もみんな総理の応援団体ですから、この行革、財政構造改革、六つの改革、二兎じゃなくて六兎だと言いましたけれども、六兎でも何でも一遍に捕まえたらいいですよ。ぜひ総理が勇猛心を持って前に進まれることを期待しまして、私の質問を終わります。
同僚の野間議員が関連質問に上がります。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/83
-
084・遠藤要
○委員長(遠藤要君) 関連質疑を許します。野間赳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/84
-
085・野間赳
○野間赳君 自民党の野間赳であります。
片山委員の関連質問で、中小企業の問題、農業問題などを順を追ってお尋ねをしてまいりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
総理におかれましては、今朝サウジアラビアから直接この委員会にお運びということで、大変お疲れでございました。先週はロシアに行かれ、今週は中東ということで、二週続けてのそういうふうな長旅、激務、外交交渉であられます。総理がそのトップにお立ちになられまして、リーダーシップをおとりになっての外交交渉であられます。橋本外交の名にふさわしい外交活動をお続けいただいておりますことを大変私どもは頼もしく、しかも力強く思っておるところであります。
そういった関係で、ロシアの先般の首脳会談のことにつきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。
今月の一日、二日、クラスノヤルスクにおきまして日ロ首脳会談、エリツィン大統領と友情を高められまして、二〇〇〇年までに平和条約を締結する、全力を尽くすということでその合意がなされたのであります。これは東京宣言以来のことでありますし、まさに歴史に残る会談であったと思うのであります。まずは総理に、この御努力に心から敬意を表したいと思います。
この会談では、領土問題はもとよりでありますが、経済問題では橋本・エリツィン・プランというのが合意をなされました。そしてまた、安全保障の分野、人命救済という分野、まことにバランスのとれた合意がなされたと思っております。
しかし、重要なことは、これらの成果を着実にどのように実現をしていくか、今後どのようにフォローアップをしていくかということでなかろうかと考えております。総理の御所見をまずお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/85
-
086・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 議員からも御指摘をいただきましたように、今日なお平和条約を締結するに至っておりません日ロ関係、その基本は何かと言われますなら、東京宣言に基づいて北方領土問題を解決する、そして平和条約を締結し完全な正常化を実現するということでありましょう。
同時に、ロシアがみずから改革を努力しております。それを支持しながら、政治あるいは経済、安全保障その他実務分野を含めた幅広い協力体制あるいは関係強化を図っていくことに尽きると思います。
そして、その上で、今回の首脳会談、ノーネクタイのいわば非公式な形の会談でありましたけれども、その中から東京宣言に基づいて二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすというお互いの合意が生まれ、これとともに幅の広い分野で、バランスがとれたという御評価をいただいたことを大変に光栄に思いますけれども、積極的な話し合いができました。
ちょうど今週ロシアのプリマコフ外務大臣と小渕外務大臣のもとで日ロ外相会談がこの東京で行われるわけでございます。ここから、今度は外交ルートにおいて当然ながらこうした合意を実現するその手順と申しますか、あるいはその内容と申しますか、こうしたものを整理していっていただかなければなりません。
同時に、来年チェルノムイルジン首相の訪日も既に決まっておりますし、またエリツィンさん、今度は日本でノーネクタイで話をしましょうというのに対し、どうぞ家族ぐるみでいらっしゃいと申し上げましたら、本当に喜んでいただきましたので、四月の半ばを目途にこれからその日程の調整、場所の選定等もしてまいります。これもまた非公式な形でありますけれども、その間に小渕大臣にプリマコフ外相との会談を初めとする外交上の努力を願わなければなりませんが、こうした手順を積み重ねていくことにより、こうしたお互いの合意を加速させてまいりたい、今私はそのように願っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/86
-
087・野間赳
○野間赳君 総理の今の御答弁にもございましたが、十二日から十四日までの御予定でロシア・リマコフ外相が訪日をなされる予定であります。小渕外務大臣との協議が予定をされておると聞き及んでおります。私はこの外相協議はさきの首脳会談の成果を実現していく第一歩といたしまして極めて重要な協議であると考えております。
そこで、外務大臣は、この外相会談にいかなる方針で臨まれるおつもりか、御所見、御決意のほどをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/87
-
088・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) お話しのように、プリマコフ外相が、一日さかのぼったようでございますけれども、明日来日をいたします。第九回の日ロ外相定期会議が行われるわけでございますが、過去八回それぞれに重要な会議が持たれたと思っておりますが、私自身は特に今回は大変大切な協議の始まりになるのではないかと。それは、ただいま総理からお話がありましたように、私どもにとりまして最大の課題である平和条約につきまして、二〇〇〇年までにまとめていこうという首脳同士のお約束ができたということでございますので、それを受けまして、今回の外相会談というものはそのスタートの第一歩になるべきものであるという認識をいたしております。
また同時に、首脳会談におきましてはネムツォフ副首相が御一緒されておりまして、外相自身はその陪席をされておらなかったようでございます。私自身は総理からこの重要なネクタイなしの会談につきまして、すべて御説明はちょうだいいたしておりますけれども、プリマコフ外相がエリツィン大統領とどのようなお話をされて来日されるかということは大変関心の深いことでございます。
いずれにいたしましても、両首脳間でまとめられたことを成果あらしめるように最善の努力を尽くしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/88
-
089・野間赳
○野間赳君 一昨日八日の夜、北朝鮮日本人妻第一陣十五名の方々が里帰りをなされました。祖国の土を踏まれたのであります。長い長い道のりでありましただけに万感のものがそれぞれおありであろうと思います。今後、なお第二陣、第三陣と早く現実のものとしなければならないと考えております。
私は、きょうは北朝鮮にかかわります拉致疑惑問題につきましてお伺いをいたします。
この問題は、我が国国民の生命と安全に直接かかわります問題であります。拉致をされました日本人が今現在、日本政府の助けを待っておるのであります。関係者の御家族の方々の心情を考えますとき、本件問題を一刻も早く解決することが政府に強く求められているところであります。
政府は、本件問題を国の最優先課題として真剣に取り組む必要があると考えますが、政府の見解はいかがか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/89
-
090・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 本件につきましては、本委員会でも御報告されましたが、北朝鮮による拉致の疑いある事件は七件十名でありまして、拉致が未遂であったと思われるのは一件二名である、こういうことであると承知いたしております。
北朝鮮による拉致の疑いを持たれておる事件につきましては、捜査当局におきましても所要の捜査が進められておりまして、従来より関係機関におきまして関連情報の収集にさらに努めておるところでございます。八月に行われました日朝国交正常化交渉再開のための北京での予備会談、あるいは九月に行われました日朝赤十字連絡協議会の場におきましても本問題をしっかりと取り上げておるところでございます。さらに、国連に対しましても、私からもこの問題につきまして協力を要請いたしておるところでございます。
今後とも、我が国国民の生命の安全にかかわる重要な問題であるという認識に立ちまして、問題の解決のため効果的な方法を考え、あらゆるルートを通じましてその解決のために真剣に対処いたしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/90
-
091・野間赳
○野間赳君 与党訪朝団があすから訪朝の予定であります。目的は、日朝国交正常化交渉の環境整備であるということであります。そのためには、日朝間の重要な問題であるこの拉致疑惑の解決が不可欠であると存じております。
訪朝団は、この問題を北朝鮮に対し真正面から提起をし、問題解決のため努力を強く求めるべきであると考えます。政府の考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/91
-
092・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 今ほど御答弁申し上げましたように、本件につきましては、政府といたしましても全力でその解明、そして解決のために努力をいたしておるところでございますが、いかんせん、国交のない国を相手にいたしておることでございまして、本件につきまして、今般、与党三党の訪朝団が国交正常化交渉に向けて環境醸成を目的として訪問されるということは聞いております。
こうした党と党との関係におきまして、御指摘の拉致疑惑問題を含めまして、日朝間の諸案件の打開や地域の平和と安定に向けた努力への北朝鮮の取り組みなどについて率直かつ有意義な意見の交換が行われることを強く期待いたしておるところでございまして、先般も、総団長として参られる森団長外三名の団長の皆さんにも、政府といたしましてもぜひ今般の訪朝団にその成果を強く期待をし、努力をお願いいたしておるところでござ
います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/92
-
093・野間赳
○野間赳君 中小企業の対策についてお尋ねをいたします。
初めに、現在の景況につきまして総理にお伺いをいたします。
今進めております行財政改革は、確かに早急に確実に進めていかなければならない問題であると思います。しかしながら、現在の経済情勢は極めて悪く、景気対策と財政改革、どちらを優先すべきかという議論さえ起こっておるのであります。
そこで、総理が現在の景況をどのように御認識なされておるのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/93
-
094・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、先日も本会議でお尋ねをいただき、お答えを申し上げたところでありますけれども、確かに個人消費を見ましたとき、消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動減というものは薄れつつありますけれども、駆け込み需要そのものが予想より大きかったという点もありまして回復のテンポがおくれておるということは事実であります。そして、こうしたことから景気がこのところ足踏み状態にある、企業の景況感にも慎重さが見られる、これは私どももそのように感じます。しかし、同時に、その個人消費は緩やかではありますけれども回復を続けている、あるいは設備投資も回復傾向にあることから私どもは民間需要を中心とする景気回復の基調は続いていると思います。
その上で一点補足をさせていただきたいこと、これは、その金融システム改革に伴う部分もありましょうけれども、今金融機関がそれぞれの体質を強化していくプロセスの中で、貸し渋りあるいは回収の加速といったことが出てまいっていると言われております。しかし、これが中小企業、殊に中小製造業に与える影響というものを我々は意識せざるを得ませんし、この部分に対して、まさに政府系金融機関というものが果たす役割というのはここにあるわけでありますから、積極的にこれに対応してくれるように既に大蔵大臣、通産大臣に指示をいたしてまいりました。こうした点はこれからも注意を払ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/94
-
095・野間赳
○野間赳君 経済構造を改革しまして、その活力を維持して二十一世紀に向けた日本の将来を築くためには、法人税の改革によります公的負担の軽減が喫緊の課題であると思います。このため、平成十年度税制改正の過程で先進国の水準を踏まえ、現在約五〇%の実効税率の一〇%程度大幅な引き下げと短期間でそれに至るスケジュールを明確にすることが大事であると考えます。
先般、通産省の課税ベースの見直しの試算によりますと、大幅な実効税率の引き下げも十分可能であるというような報道がありました。私も全く同感であったわけでありますが、法人税改革につきましての大蔵大臣の御見解をまずお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/95
-
096・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 段々の論評なり経済専門家、アナリストの皆さんの意見、経団連、三党の協議の中におきましても、また政府税調の中におきましても、国際化基準に合わせていこうという中で、特に経団連の提言はそこが明確になっておるところであります。一〇%の差を二年ないし三年で解消をと、言わんとする意味わからぬわけではありません。しかし、御案内のとおり、財政構造改革の健全化目標というのがございます。三%財政赤字を達成するということ、それとイコールになります赤字公債を発行いたしまして減税の財源をつくるということはできない仕組みになっておるわけであります。
そういう点から考えますと、法人税の課税ベースを拡大、適正化しまして、手当金でありますとか準備金で得た財源をもって法人税の減税に充てる、こういう方針が現下の税制に臨む基本的な態度、特に法人税一%、四千億円の財源を必要とするものでありますだけに、この点の理解を得たいと思っております。
経団連におきましても、それぞれの会議において諸手当金、準備金の適正化に向けて検討をしておられるという話も聞いております。党税調、政府税調に向けてまた本件の御論議を進めさせていただきますが、基本的な財政構造改革上の理念というものを今緩めたり踏み外すということは全くできない状況であります。
先ほども片山先生の御質疑にお答えさせていただきましたが、レーガン減税がありました。この結果が双子の赤字を生み出しました。そこで、その次のブッシュ、クリントンは包括財政調整法、今日私どもがモデルといたしております財政構造改革であり、高コスト経済是正構造改革であったということも参考にさせていただき、独自に橋本首相イニシアのもとに半歳余の全体会議を経てつくり上げたことでありますので、格段の御理解と御納得を賜りますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/96
-
097・野間赳
○野間赳君 引当金や赤字法人への課税につきましては、中小企業者からはかなりの批判と不安の声が私のところにも寄せられてまいってきております。
法人税改革を進める上で忘れてはならないことは、法人税で二八%、法人事業税で九%と六%の軽減税率の適用を受けております中小零細企業の存在であると思います。法人税の課税ベースを拡大いたしまして法人税や法人事業税の基本税率のみを引き下げ、これらの軽減税率を据え置いたならば、軽減税率の適用を受けている企業にとりましては負担の軽減どころではない増税ということになってしまいます。
中小企業者は全事業者の九〇%、雇用の約八割を占めるということであります。我が国の発展に不可欠の存在であります。中小企業の負担を軽減し、法人税改革を真に意味あるものにするためには、国税及び地方税において中小企業に対して軽減税率の引き下げ等、特段の配慮をする必要があると考えますが、通産大臣の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/97
-
098・堀内光雄
○国務大臣(堀内光雄君) お答えを申し上げます。
先生の御指摘のとおり、中小企業というものは大変今の日本の産業の中の中核をなしておるものでございます。中小企業は、さらに新規産業の創出による経済の活性化という問題も抱えております。さらにまた、四千万人の雇用の受け皿として我が国の経済社会にとって非常に重要な役割を果たしているわけでございます。
そういう意味で、これらの中小企業が現在経済のグローバリゼーションの中で厳しい経営環境に置かれている現状をかんがみますと、法人課税改革により全体として中小企業の負担が増大するようなことがないように、国税及び地方税において中小企業軽減税率に関する見直しを含めて十分な配慮をする必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/98
-
099・野間赳
○野間赳君 金融ビッグバンの進展によりまして、金融機関が収益性などを一層重視する経営態度をとってまいります。中小企業にとりましては、魅力のある金融商品が利用できるというメリットと選別融資が一層厳しくなってくるというデメリットが考えられてくると思います。現実に、中小企業者に対しての貸し渋りが行われているという声が具体的に深刻なものとして聞こえてくるのであります。地価が下がり、土地の担保不足を理由に融資を断ってくるなど、民間金融機関の貸し出しの態度は大変厳しいものがあります。
この点につきまして大蔵大臣の御認識のほどをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/99
-
100・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 御指摘のお話はお聞きをいたしておるところでございます。
本件は、金融機関の貸出残高、ここ数年必ずしも伸びてはおりませんけれども、その主たる原因につきましては金融機関側のいわゆる貸し渋りにあるという見方があります一方、もう一つは企業側の資金需要の低迷にあるという見方もありまして、両方がそのことを醸し出しておるのかな、こんなふうには思っております。他方、金融機関においてもバブル期の反省などを踏まえましてリスク管理の強化が一般化いたしております。健全経営ということでしょう。
そういうことの中で、このような経営の姿勢の変化、本来の姿に戻ったとも言えますと言っておりますが、取引先の企業から見れば貸し渋りというふうに映るでしょうし、私もその点はわかるわけであります。
いずれにいたしましても、貸出先にかかわらず一様に貸し出しを渋るという意味の貸し渋り、これはあってはならぬことでありまして、公的機関とも言われる金融機関でありますから、お得意さんに対し企業診断、サポートをしながらしっかり頑張りなさいということは大事なことであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/100
-
101・野間赳
○野間赳君 民間金融機関の貸し出し態度が厳しく、また、これから年末を控えてまいりまして、今こそ政府系金融機関の出番でなかろうかと思っております。無論、政府系金融機関であるからこそ貸し渋りなどということが絶対にないように、特色のある、中小企業者の立場に立った融資を進めていただきたいということであります。
この点について、通産大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/101
-
102・堀内光雄
○国務大臣(堀内光雄君) お答えを申し上げます。
最近の中小企業の景況の低迷の中で資金繰りがますます厳しさを増してきていることは事実でございます。さらに、民間金融機関の貸し渋りについて懸念も見られているところでございます。そういう意味で、中小企業の厳しい状況を踏まえまして、中小企業のための金融対策について万全を期すべく具体的措置の検討を強く今指示をいたしているところでございます。
政府系金融機関においては、これまでも例えば担保の範囲に動産、ソフトウエアを含める等担保の範囲のとり方の評価を弾力的に行う、あるいは中小企業の実情に十分配慮した運用を行っているところではございますが、当面の景気動向を踏まえまして、緊急的措置として、これまでの対応に加えたさらなる措置の具体的検討を行っているところでございます。
今後とも、いやしくも政府系金融機関において貸し渋りがないように十分注視をしてまいりますとともに、民間金融機関の貸し渋り懸念への対策もしっかりやってまいる覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/102
-
103・野間赳
○野間赳君 先般、我が党の緊急国民経済対策でも別枠融資制の創設が多く指摘をされているところであります。政府としてこの対策をどのように検討し、実現しようとしているのか、通産大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/103
-
104・堀内光雄
○国務大臣(堀内光雄君) 先ほども申し上げましたが、金融貸し渋りに対しての政府系金融機関の対策をしっかり行っております。こういう中小企業の厳しい状況を踏まえまして、中小企業のための金融対策といたしまして、年末の金融繁忙期を迎えることでもありますので、政府系金融機関及び信用保証協会、これに特別の相談窓口を設置いたしまして、貸し出し、保証手続の迅速化、一定の条件のもとでの返済猶予などの既往の債務に対する適切な対応を図ることをいたしております。
また、金融機関との取引に著しい変化を生じて資金繰りに支障を来しているおそれのある中小企業者に対しましては、別枠の融資制度の速やかな創設を行ってまいりたいと考えております。
別枠の融資制度につきましては、具体的には中小企業金融公庫におきまして、現在一般貸し付けの枠が四億八千万円でありますところを、これに別枠として一億五千万円上乗せをいたします。また、国民金融公庫につきましては、現在一般貸し付けの枠が四千八百万円であるところを、これに別枠として三千万円上乗せをするというような措置を検討いたしておりまして、貸し渋り懸念への対策にしっかりと対応いたしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/104
-
105・野間赳
○野間赳君 産業構造が大きく変革をしてまいります中で、雇用の安定と確保が大事なことであります。経済構造改革を通じて新たな雇用の場をつくり出していく必要があると考えます。中小企業の活力を生かした方向の雇用対策をどのように進めていくのか、労働大臣にお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/105
-
106・伊吹文明
○国務大臣(伊吹文明君) 経済の構造改革が進んでまいりますと、当然のこととして産業のあり方が変わってまいります。産業というのは、生産を行い、同時に雇用の受け皿になるわけでございまして、先生がおっしゃったような国際化の進展に対応できる産業の体制になっていくわけでありますが、その際の雇用の受け皿としての将来を考えますと、新たな中小企業、ベンチャー企業によってその雇用の受け皿をつくっていかねばならないということは御指摘のとおりでございます。
そこで、中小企業労働力確保法という法律がございまして、例えば新しい分野を担う中小企業の雇用の賃金について三分の一の限度でこれを補助しているとか、あるいは訓練にかかわる経費を助成しているとか、そういうことを労働省としてもやっているわけでございます。いずれにいたしましても、産業活動、生産活動というのは資本と技術とそして質のいい労働力によって支えられておりますので、雇用に途切れのないように万全を期してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/106
-
107・野間赳
○野間赳君 農業の問題でお尋ねをいたします。
世界の人口はどんどんふえてまいってきております。九五年で五十七億人でありますが、二〇二五年にはもう八十億人、二〇五〇年には九十四億人という大幅な増加が見込まれます。
そこで、今後の世界の食糧需給見通しがどのように見込まれておるのか、特に世界の栄養不足人口はどのくらいの規模になるのか、推計値をお教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/107
-
108・島村宜伸
○国務大臣(島村宜伸君) 大変重要な御指摘だと思います。
世界の穀物需給の中長期見通しにつきましては、世界の各種の研究機関がいろいろな研究の結果を発表いたしております。中には比較的いわば安定して推移するというものもございますが、逆に大変タイトになり将来が非常に危険視される、こういう指摘もあるところであります。
農林水産省といたしましては、需給面では、開発途上国を中心とする人口増加、あるいは畜産物消費の拡大に伴う飼料穀物需要の増加等から大幅な増加が見込まれる一方で、生産面では、砂漠化等地球環境問題から生ずる制約や異常気象による生産の変動等から極めて不透明な問題も数あり、我々はこれらについて十分な検討をしていかなきゃいけない、こう考えているところであります。
また、先生は既に十分御調査なさっている旨承知いたしておりますが、世界の栄養不足人口も、FAOが一九九〇年から九二年の三年平均で八億四千万人出るであろう、こう推測しているところでもございまして、我々はこれらに十分対応していかなきゃいけない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/108
-
109・野間赳
○野間赳君 食糧自給率は年々低下をしてまいっておりまして、七年度には四二%、これはカロリーベースの自給率でありますが、穀物では三〇%ということになりまして、世界百六十三カ国中百十一番目ということであります。もう先進諸国では最も低い水準まで落ち込んでまいりました。
国民にとりまして食糧の安全保障は大変重要なことであります。総理の御所見をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/109
-
110・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かに、委員が御指摘になりましたように、異常気象でありました平成五年度の数値だけはちょっと別でありますけれども、全体的に供給熱量自給率を見ましても穀物自給率を見ましてもじりじりと減ってきている状況にある、これは御指摘のとおりであります。
しかし同時に、食糧というものは国民生活にとりまして最も基礎的な物資でありますし、国民に対し安全な食糧を安定的に供給していく、これは国の基本的な役割だと思います。だからこそ、先年日本が議長国としてAPECを主催いたしましたとき、非公式首脳会合の、二十一世紀アジア太平洋地域が成長地帯と言われる中、そこに制約要因はないのかという議論の中に、食糧、エネルギー、環境というものを人口の急増とともに加えて問題提起をしていただきました。我々は、そうした思いで今後の食糧というものを見なければなりません。
したがって、今後の農政の推進に当たりまして、国内の生産体制を強化し、それに加えて輸入及び備蓄を適切に組み合わせることによって食糧の安定供給確保を図ってまいりたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/110
-
111・野間赳
○野間赳君 農用地の問題につきましてお尋ねをいたします。
今、我が国が輸入をいたしております主要農産物の生産に必要な海外の農地面積は千二百万ヘクタール、国内の農地が約五百万ヘクタールでありますから二・四倍ということになります。
このような状況にありまして、規制緩和ということで検討をなされている中に、生産性向上のために農業投資をした優良農地でさえ農業外への他用途に転用しやすくするようなことが検討をなされております。長い間にわたりまして労資が投下をされた農用地は、一たん失われますと慌ててもとに戻すことはもはや不可能なことであります。
将来の食糧事情を見据えて、日本にとって本当に必要な農用地はどのくらい要るのか明確にする必要があろうかと思います。このことにつきまして農林大臣にお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/111
-
112・島村宜伸
○国務大臣(島村宜伸君) これまた大変大事な御指摘だと思いますが、今二・四倍というお話がございましたけれども、日本の農業の農家二戸当たりの面積を例えば先進国と比較いたしますと、ドイツがざっと十九倍、フランスが二十三倍、イギリスが四十五倍、何とアメリカにおいては百二十七倍と、もう圧倒的に差があるわけでございます。
そんな中で、どうも大規模化あるいは効率化しようという農業の改革にもおのずから限度がございまして、それらを踏まえて考えますと、いわばこれからも農地というものをしっかり確保するということに関して十分な施策を講じていかなければならない、当然のことであります。
我が国農地面積は、昭和三十六年をピークといたしまして、当時六百九万ヘクタール。しかし、平成九年には何と四百九十五万ヘクタールと五百万ヘクタールを割る状況にございます。こうした中で、食料・農業・農村基本問題調査会にお願いをいたしまして、我が国の食糧安全保障のあり方等につきまして各般から十分な御検討をいただき、十二月半ばに中間答申をいただくことといたしておりますが、具体的にどれだけの農地が必要かというような事ごとにつきましても、それらを含めて御検討をいただいているものと考えておりますので、その結果を待っていきたい、こんなふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/112
-
113・野間赳
○野間赳君 三年連続の豊作であります。生産調整の目標を達成いたしましたが、国内産の米の在庫が三百五十二万トン、適正在庫百五十万トンと言われますので二倍以上にもなっておるということであります。米の過剰処理が大きな問題になっております。
このような状況のもとで、米の市場価格はまた大幅に値下がりをいたしております。規模拡大を行った稲作農家は大きな打撃を受けております。生産調整をこれ以上拡大することはもはや限界に来ておると思います。稲作の生産性の向上、所得確保を図りつつ、米の需給調整も可能とする抜本的な方策を検討しなければならないと思います。
その方策として、米の市場価格が一定以下に下落した場合、生産調整協力農家に所得補てんをする積立金制度を検討しているのか、伺いたいのであります。現実にうまく機能させるにはいろいろ調整すべき課題がたくさんあると思いますが、今現在の構想をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/113
-
114・島村宜伸
○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。
実は、十四年前に私は農林水産省の政務次官を約一年いたしました。その当時、昭和五十六、五十七、五十八、五十九は作況八七、九六、九六、九六と大変な不作でお米が足りなくなりまして、韓国から十五万トン返していただく等々苦しんだ記憶があるわけでありますが、実は今回農林水産大臣に就任いたしますこの四年間は一〇九、一〇二、一〇五、一〇二でございまして、これまた大変に今度はいわば豊作でございます。
本来感謝すべき豊作でございますが、これだけ豊作に恵まれますと、当然のことに、いわば自主流通米の価格が大幅に低落いたしましたり、あるいは計画外米が極めて増大して市況は軟化の一途をたどっておって、農家は途方に暮れ先行きが暗い気持ちでおることは当然でありますが、これらについて我々も拱手傍観していることは許されませんで、現在、生産調整、備蓄運営あるいは稲作経営等のいわば全般の米政策について再構築に向けて検討を進めているところであります。
その意味で、具体的には、今、先生も御指摘になりましたが、一つのこれを補償する制度として、生産者の拠出と政府の助成によりましてまず資金を造成し、自主流通米の価格下落時に稲作経営の影響を緩和するため、一〇〇%以上の生産調整に御協力いただいた農家に対しては補てん金を交付する等の仕組みを創設するべく検討しているところでございます。この検討といいますといつになるのかと、こういうことがよくつきまとうわけでありますが、少なくも今月中にはこの結論を得るべく政府・与党あるいは関係団体とも協議中でございます。
今後、さらに米政策全般の再構築の一環として各方面の御意見、財政構造改革の趣旨を踏まえつつ仕組みの具体化に向けて検討を急ぎたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/114
-
115・野間赳
○野間赳君 農業をめぐります内外の厳しい状況の中でありますが、政府は、来年夏を目指しまして新しい農業基本法の策定に取りかかっておられるわけであります。その中で食糧、農業、農村の各分野に新機軸を早く打ち出すことが急務であります。
各界の意見を幅広く聞いて、検討状況、今後のスケジュールなどをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/115
-
116・島村宜伸
○国務大臣(島村宜伸君) 社会情勢の変化や国際化の進展に対応いたしまして新たな基本法の制定を含む農政の抜本的な改革が必要となっておりまして、現在、先ほども申しました食料・農業・農村基本問題調査会において幅広い議論が進められているところであります。
その具体的な検討事項といたしましては、食糧の安定供給の確保のあり方、また、消費者の視点に立った施策のあり方、新しい農業構造のあり方、農業農村の多面的機能の位置づけ、中山間地域を含めた農村地域の振興のあり方、これらいろいろな角度から現在検討を進めていただいていまして、先ほどちょっと申しましたけれども、本年じゅうに基本的考え方について第一次答申、来年の夏ごろを目途に具体的政策についての最終答申をいただく予定でありまして、調査会での議論を十分踏まえ、二十一世紀における我が国農業農村の発展と国民生活の向上のための新たな農政の指針をつくり上げていく考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/116
-
117・野間赳
○野間赳君 自治大臣にお尋ねいたします。
この法律が成立をいたしますと、国も地方公共団体も歳出の抑制を図っていくことになってまいります。この過程で国の歳出抑制によりまして地方公共団体に負担が転嫁をされるのではないかということであります。過去にもそういうふうな事例がございました。昭和六十三年度から平成二年度までの暫定措置といたしまして補助率のカットがなされたのであります。同様なことが今回も行われてはならないのでありまして、今回の財政構造改革の目標は、国と地方とを通じた財政の健全化を図ることにありますので、国から地方公共団体への一方的なツケ回しのようなことは絶対にあってはならないのであります。
この点につきまして、自治大臣の御所見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/117
-
118・上杉光弘
○国務大臣(上杉光弘君) お答えいたします。
御指摘のような負担転嫁は地方の側から大変心配をされておることでございまして、御指摘のとおりでございます。
財政構造改革には地方団体の協力が不可欠でございまして、そのためには負担の転嫁をするようなことが行われるべきものではないと考えております。また、単なる負担転嫁は、国、地方を通じます財政赤字の縮減には何ら効果がないものと認識いたしております。
地方財政法では、国は、「地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」とされておるわけでございまして、このことは今回の財政構造改革にも十分適用されるものであると思っております。
地方に関係する法律や予算につきましては自治大臣の意見を求める、こういうことにもなっておるわけでございまして、自治省といたしましては、このような点に十分留意いたしまして対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/118
-
119・野間赳
○野間赳君 地方財政の地方債への依存度は、平成八年度には過去最高の一五・三%、平成九年度でも一三・九%と、高い数字を示しております。このように厳しい財政状況であるわけでありますが、一方で、地方公共団体は、地方分権の具体化に伴いまして今後ますます重要な役割を担い、地域住民の多様なニーズにこたえていかなければならないのであります。
そのためにも、一刻も早くこの厳しい財政状況から脱却していく必要があります。この法律の第三十九条でも規定されておるのであります。
地方債依存体質からの脱却の対策は、どういうふうに具体的に地方財政健全化を進めていくのか、自治大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/119
-
120・上杉光弘
○国務大臣(上杉光弘君) お答えいたします。
御指摘のように、財政構造改革は、これは私どもの世代で絶対やり遂げなければならない重要課題でございまして、次世代に残してはならないと考えております。
しかし、実態を見てみますと、租税総額で国の三分の一、歳出の合計額では国の三分の二という大変厳しい状況に地方財政があるわけでございます。
また、国の財政が国債に依存しておるわけでございまして、特に地方財政として私どもが心配いたしておりますのは、地方交付税を三千三百の団体に配分するときには財源が足りません。これは借金に頼らざるを得ない、借入金をいたしておるわけであります。また、国の財政が国債に依存いたしております以上、国の補助事業につきましての地方の負担分については、これも借入金に頼らざるを得ません。
さらに、地方の皆様から大変喜ばれております単独事業、これも財源措置をしなければならない、借入金に頼らなければならぬという実態にあることは御承知のとおりでございまして、四兆一千億から五兆五千億程度の幅で毎年度財源不足を来しておるわけでございます。
そのような意味で、国、地方双方の歳出抑制につながる施策の見直しなどによりまして、地方財政計画の地方一般歳出を抑制いたしますとともに、地方公共団体に対しましても徹底した行財政改革と歳出の抑制に努めるよう要請するなどあらゆる方策を絞りまして、地方財政の構造改革の推進に積極的に取り組み、健全化に方向づけを持ち込んでまいらなければならぬと考えておるわけでございまして、この財政健全化の趣旨を徹底してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/120
-
121・野間赳
○野間赳君 これまでの予算編成におきます歳出抑制策を見ますと、その一つといたしまして、地方財政対策で当該年度に支払わなければならないものを先送りするという手法をとってきたように思われます。これこそ国が赤字財政だから地方にも一部肩がわりをしてもらおうという安易な考えによるものではないかと思います。
大蔵大臣、このような手法は予算編成の本来のあり方ではないと考えますが、いかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/121
-
122・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 御指摘のように、繰り延べ措置が行われてきました。各年度の地方財政計画の前提になる財政対策を講ずるに当たりましては、法定化されておる措置を重く受けとめながら、それを前提に議論し、検討してきたところであります。
しかしながら、財政はその時々の経済情勢に大きく影響されます。また、国と地方という公経済の車の両輪に地方自治団体、国があるわけでございますから、バランスのとれた財政運営を行ってまいりますことは当然のことでございます。したがって、各年度の地方財政対策に当たりましては、法定化された措置を十分踏まえながら、国、地方を通じての財政運営の基本的な考え方に基づいて、一般会計からの加算額を含め、地方財政の運営に支障の生ずることのないように措置を講じておりますことは御案内のとおりでございます。
しわ寄せになりませんようにと、こういうことであります。このことは十二分に踏まえながら、今日まで償還できるときには財政の許す範囲で申し上げておりますし、それと地方財政計画の不足分はありとあらゆる努力を駆使しながら補てんし、両々相まって地域の発展、我が国の進展に寄与しておると考えております。
御指摘のように、国と地方一体となりまして今度の構造改革の理念に基づき全力を尽くすということになっておるわけでございますから、お互い協調し合いまして全体をつくり上げてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/122
-
123・野間赳
○野間赳君 ここに政府が昭和六十一年度以降、歳出削減によりまして後年度へ負担の繰り延べをいたしました一覧表がございます。これによりますと、地方財政対策に伴う繰り延べ分の残高七兆一千四百九十八億円、交付税特別措置の減額の残高三千八十八億円となっておるのであります。合わせまして七兆四千五百八十六億円は、本来、国が地方に支出していなければならないものであります。どのような経緯でこのようなことになりましたか、また七兆四千五百八十六億円の地方への支出は可能なものでありましょうか。大蔵大臣に、最後にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/123
-
124・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、公経済の車の両輪が国であり地方でございます。両々相まちまして、国民生活のレベルアップ、社会保障制度の充実の中におけるその執行、さらには全般の諸問題に相提携して努力をいたしてきておるところであります。
時に財政状況、経済状況の変化の中で、お互いが協調し合いながら取り組んでまいりましたことも事実でございまして、御指摘の七兆四千億余貸し越しになっておりますよと。この事実は事実として受けとめてまいりながら、構造改革の前進の中で解消をしていく諸方策を見つける。同時に、その大前提は財政ベースを健全なものに仕上げていく、そして経済が安定的に持続的に運営され成長していくということが一番政治の目標でありますので、両々相まち、協議を進め、信頼関係の中で、むだな歳出を省きながら前進のための諸方策の樹立、執行に努力をさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/124
-
125・野間赳
○野間赳君 終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/125
-
126・遠藤要
○委員長(遠藤要君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午後零時一分休憩
—————・—————
午後一時一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/126
-
127・遠藤要
○委員長(遠藤要君) ただいまから行財政改革・税制等に関する特別委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、財政構造改革の推進に関する特別措置法案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/127
-
128・直嶋正行
○直嶋正行君 平成会の直嶋正行でございます。
財政構造改革法案の審議に当たりまして、私の方からは特にその前提となる経済情勢について、総理初め関係閣僚の皆さんに御質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、総理、大変恐縮なんですが、けさも出ましたので、冒頭に総理の御見解をお伺いしたいと思うんですが、先ほど聞きましたら、本日午前中の東京証券市場も株価が一万六千円を切ったというふうに伝えられております。朝も同じような質問があったんですけれども、私ども、これは大変な事態になりかねないのではないかというふうに大きな懸念を持っております。
御承知のように、この株価の低落によりまして、特に金融不安とか、あるいはまさにこの株価そのものが日本の経済に対する先行きを評価した市場のメッセージではないかというふうに思うわけであります。私は、本当にこのまま何の思い切った対策も打たずに、総理がおっしゃるようにこの財政再建法案をつくり構造改革一本で突き進んでいけるのかどうか、大いに疑問があるのではないかと思います。
巷間お聞きしますと、年末の企業倒産件数も史上最高だというようなお話もございます。そういった観点からしますと、本当に総理がおっしゃっているように、今のこの法案を成立させ強引に突き進んでいくことが望ましいことだとお考えになっておられるのかどうか、この株価の状況も踏まえて、まず総理の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/128
-
129・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、市場の内容そのものを批判することは許されないと思いますけれども、私自身、この状況が気にならないのかと言われれば非常に気にもいたしますし、注視もいたしております。
そして同時に、証券不祥事の際に特定の人だけが利益を受けて自分たちは捨てられたということで一般投資家が市場を離れられた。それ以来、その方々が市場にようやく戻りがけた状況の中で起きている現在進行中の問題というものがどの程度これによってまた個人投資家を市場から離してしまうのかという懸念も率直に持っております。ですから、私はそれが心配でないなどと強がりを申し上げるつもりはありません。
しかし同時に、今逆に、財政構造改革にいたしましても金融システム改革にいたしましても、また行政改革もしかりでありますけれども、経済構造改革、こうした改革をそれでは中断したときの影響はどうかということも真剣に私は考えるべきだと思っております。私は、改革に伴う痛みがないというようなことは全く今までも申し上げてはまいりませんでした。必ず短期の痛みは出るということも申し上げてまいりました。同時に、その時間を少しでも短くしなければならないという思いが当然のことながらございます。
しかし、議員にぜひお考えをいただきたいことでありますけれども、往々にして今まで日本に対して向けられました目の中には、やり出したことが途中でとまってしまうのではないかという目があったことも事実であります。金融システム改革を打ち出しましたときにも、外為法の改正案を国会に提出し御審議をいただきますころまでは本気とはなかなかとってもらえなかったのが世界の市場の関係者の実感でありました。
私は、非常に厳しい状況であり、そして経済構造改革という点だけではなく、我々が努力をしていく方策を考えていかなければならないことを決して否定いたしませんが、それは財政構造改革を中断するとか、いわんや財政構造改革を後退させるとかという選択肢にはなり得ない、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/129
-
130・直嶋正行
○直嶋正行君 今、総理のお答えの中で改革を中断するのかというお話がございましたが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/130
-
131・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 中断するのかなんて、そんな失礼なことは言っていませんし、それは失礼ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/131
-
132・直嶋正行
○直嶋正行君 中断をしていいのかというふうにおっしゃったですね。私たちは、後ほどまた議論していきたいと思うんですが、決して改革を必要ないとは言っていないんです。問題はやり方の問題だと。私は、そういう意味でいいますと、この約二年ぐらいの間の、村山政権から橋本政権に至るこの間の経済政策は本当にちぐはぐなものだったのじゃないかなと、このように思っておりまして、後ほどまたそのあたりも総理と議論をさせていただきたいと思います。
それで、あともう一つ、株価の問題とやはり避けて通れない問題が超低金利の問題であります。
これはちょっと日銀に最初にお伺いしたいと思うんですが、御承知のとおり、九五年九月から今の公定歩合〇・五になったわけであります。たしか、これはあの当時一ドル八十円という異常な円高に対する緊急対策で始まったはずなんです。ところが、もうこれが二年二カ月たってしまった。過去の金利のボトム期から上がる期間をとってみましても、ほぼ最高に近いところにある。しかも〇・五という異常に低い金利がこの間続いているわけであります。それで、なおかつ経済は一向に自律回復の兆しを見せてこない。今申し上げたように、株価も下落をしている。
私が思うのは、ひょっとするとこれはいわゆる金利を上下させる金融政策の本来の役割からいいまして、今は余りにも金融政策に対して過大な役割を押しつけ過ぎているのではないかな、このように思っているんですけれども、この点についてまず日銀の御見解をお伺いし、それからまた議論をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/132
-
133・福井俊彦
○参考人(福井俊彦君) お答えを申し上げます。
ただいま委員御指摘のとおり、我が国の金利水準は現在歴史的に見ましても非常に低い水準にございます。かつ、その低い水準の金利が続いている期間という点から見ましても、私どもが公定歩合を現在の水準でございます〇・五%というところへ引き下げましてから既に二年を超える長さが経過しているわけでございます。この間、我が国の景気の推移を見ますと、民間の努力、それからさまざまな経済対策の効果もございまして緩やかに回復してきたわけでございますけれども、ことしの四月以降は減速局面にあるというふうなことなど、公定歩合引き下げのねらいの一つでございました、あるいは重要な目的でございました自律的な回復軌道へ日本経済を移行させる、そのことが今なお十分に確認できない状況が続いているわけでございます。
結果として低金利が続いているということでございますが、その背景には、我が国の経済が単に過去の経験のように循環的な経済の調整を進めるというだけでは足りず、バブルの崩壊後のいわゆるバランスシート調整という大きな負担、それから二十一世紀を展望しての産業構造の再編といった新しい構造調整を進めていく場合の圧力、その重しを経済全体が依然として引きずり続けていることが背景にあるからでございます。
そういう意味で、金融政策の運営の面にも、通常の重し以上にそうした構造調整面等からくる重みが加わりまして、私ども政策運営していきます場合に、ずっしりとその重みを感じ続けながら運営をさせていただいているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/133
-
134・直嶋正行
○直嶋正行君 今はっきりおっしゃらなかったんですけれども、要するに従来の金融政策では考えられないような政策の重みがかかっている、これを受けとめているというお話でございました。
まさに、二年以上長期にわたって低金利政策を発動しても一向に自律回復してこない苦しみがあると思うんです。やはりここに今の日本の経済情勢について大きな問題点があるんじゃないかというふうに私は思います。
次に、経企庁長官にお伺いしたいんですが、今申し上げた低金利が日本経済、あるいは私は国民生活というふうに申し上げた方がいいと思うんですが、この部分にどんな影響が出ているというふうに認識されておられますか。かいつまんでちょっとお伺いしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/134
-
135・尾身幸次
○国務大臣(尾身幸次君) 公定歩合等につきましては日銀の専管事項であるという前提でお話を申し上げたいと思います。
最近の景気動向につきましては、先ほどから申し上げておりますとおり、足元につきましては本年三月までの消費税率引き上げに伴います駆け込み需要が予想以上に大きかったこと、そしてまたその反動も予想以上に大きくかつ長かったこと等七月以降も影響が残っておりまして、企業の景況感にも厳しさが見られるなどやや足踏み状態にあるというふうに認識をしております。
しかし、民間需要を中心とする景気回復の基調、は崩れていないと考えておりまして、そういう中におきまして、低金利は民間の設備投資やあるいは住宅建築を通じまして景気を下支えしているものと考えております。もちろん、家計に対しましての影響という点から見ますと、金利生活者を初めといたしまして家計の利子所得の受け取りを減少させるという効果があることは否定できないところでございます。他方、低金利が企業部門に対しましては資金コストを引き下げ、収益を下支えし、設備投資を促進するという働きを持っているわけでございまして、このことによりまして設備投資等の経済活動が活発化し、それに伴って雇用や賃金も上昇して、総体として見ると家計所得全体の増加につながるものと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/135
-
136・直嶋正行
○直嶋正行君 今、経企庁長官から下支えしているというようなお話がございました。しかし、よく見てみますと、現状で見ますと長官がおっしゃったようないわゆる金利効果というのは私はどんどん薄れてきているのじゃないかと思うんです。確かに一時期はあったと思います。
例えば、今設備投資のお話をされましたけれども、設備投資の先行指標であります機械受注を見ますと、もう既に陰りが出てきています。また、今お話があった住宅投資も激減をしているわけであります。それから、朝の議論にありましたが、この間の日銀の短観を見ましても中小企業の資金繰りが悪くなってきている。また今、日銀の方からもお話がありました。それだけの長期間低金利政策を打ちながら、依然として経済は自律回復軌道に乗ってこない。
こういうことを考えますと、これだけ長期に続けてきたんですけれども、金融政策としての低金利はもう耐用年数が過ぎちゃったんじゃないか、とうに耐用年数の過ぎた政策を依然として続けているんじゃないか、こんなふうに私は思っておりまして、むしろさっき長官がおっしゃった利子所得の減少等を初めとしまして、こういった消費に及ぼす悪影響等、経済に対してはマイナス影響の方が大きくなってきているんじゃないか。
この間あるシンクタンクが発表しました試算によりますと、この二年間の低金利で約四・二兆円のお金が利子所得の減少を中心にして家計部門から失われて企業部門に回っている、こういう統計データもあるわけであります。しかも、私はこういう問題だけじゃないと思うんです。
次に、厚生大臣にお伺いしたいんですけれども、大臣は先週の金曜日の参議院本会議におきまして、社会保障改革のこれからの方向ということで御答弁されました。その中で、自助を基盤にしながら、自助、公助、共助、こういう考え方で対応していきたいというお話をされました。私どもも、これからの社会保障は自助、公助、共助、この考えが大事だと思っているんです。
しかし、現実にこういう低金利だとかあるいは株式市場の動向だとか、こういうものを見ますと、大臣が一番基盤にしたいとおっしゃっているこれからの社会保障の自助の部分が大きく阻害されているんじゃないか、あるいは今のこの低金利によって公助の部分、これも非常に大きな影響を受けているんじゃないか。私は、こういうことが今の国民のマインドが沈滞をしてしまう、そして経済も停滞をしてしまっている、ここにつながっているんじゃないかなと思うんですけれども、厚生大臣の立場で今の状況を見てどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/136
-
137・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 今の低金利政策、〇・五%で有効に働いていない。確かに、私は金利政策も財政政策も限界に来たと思っております。十六兆円の国債を発行しても、なおかつもっと赤字国債を発行せよという方が私はおかしいのではないかと思っております。今年度予算でも十六兆の国債を発行しているんです。もし、十六兆円の国債を発行してこの国債が全部新規の政策や事業に使えたら景気も何とかなっているでしょう。しかし、この国債も今までの国債発行の利払いに全部消えちゃっている。借金を返すために借金をしているんです。こういう状況でなお借金せよというのは私には解せない。
なおかつ、金融政策においても〇・五%でありますけれども、今これだけ景気が低迷している中で金利を上げて果たしてプラスになるかどうか。すべて一長一短です。金利が低いというけれども、物価は安定している。金利が上がるときは物価が上昇しているはずであります。私は、二十五年前に当選したときに、まさか物価上昇率が一%、二%の時代が来るとは思いませんでした。一〇%、二〇%、狂乱物価の時代だった。考えてみれば、どんな政策にも一長一短がある。
でありますから、現在は財政政策にも金融政策にも限界が来た。行政改革、財政構造改革、金融制度改革、経済構造改革、この構造改革にはっきりとした道筋をつけないと、もう財政、金融も大した効果を発揮できないんじゃないか。幾ら薬を飲んでも、幾ら注射を打っても、もう効かない。すっきりとした自立の、みずからの足で立つ構造改革を進めるべきだと思っております。(「小泉総理」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/137
-
138・直嶋正行
○直嶋正行君 今、小泉総理というお話ありましたが、私の質問とは大分外れてお答えになりました。私が申し上げたのは、厚生大臣として自助、公助、共助という高邁なお考えをお出しになりましたが、現実に今一年間銀行に預金しても〇・三%の利息です。御承知のようにこういう株式状況です。今お話があった国債だって利息はもう二%を切っているわけです。こんな状況で本当に大臣がおっしゃるようにみんなが自助努力できるんでしょうか。
今の低金利でいくと、さっき経企庁長官も、低所得者層の皆さん、それから年金生活者の皆さんに非常に迷惑をかけています、こういうふうにおっしゃいました。それだけじゃないんです。将来に備えて国民がこれから蓄えていかなきゃいけない、このこと自体が今難しくなっているんです。だから、幾ら自助努力といったって、これは不可能なんです。
しかも、公的年金もそうでしょう、予定利率五・五でやっておられる。だけれども、もう御承知のとおりじゃないですか。九五年の実績が出ていましたけれども、予定利率をはるかに切っています。国民年金に至っては五%を切っているんです。今の財投金利が、預託金利は二・九ですから、これは恐らく九七年もこの運用利回りは悪くなるでしょう。そうすると、これから本当に社会保障をどうしていくんだというこういう大事な時期に、そのことのいわゆる与件になる、与件になること自体がもう狂ってしまっているんじゃないか、こういうことを私は申し上げたわけなんです。
結局、総理にお伺いしたいんですが、ここまでいろいろマイナス面がある、これはエコノミストの評価を見ましても、さっきはこれをやめるというお話もありましたが、この金利政策、やめるのは一方では経済上からいって難しい、こういうお話もありますし、しかしこの評価はいろいろ分かれているところなんです。
ただ、私が一つ申し上げたいことは、それはマクロではプラスかマイナスか議論があります、プラスかもしれません。しかし、これだけの期間、多くの国民に負担をかけてきて、この超低金利政策を続けてきて、なおかつ今の日本経済はこんな状況なんです。これは、やはりさっき経企庁長官の御答弁ありましたけれども、よほど今の日本の経済情勢が深刻な状況である、こういうことの裏返してはないでしょうか。
それからもう一つ、これは国民の立場から申し上げたいことは、ことしになって何が起こったかということなんです。要は、低金利政策をずっと打ちっ放した状態の中でことしになって何が起こったかということなんです。
一つは、医療保険の個人負担がふえました。お年寄りの個人負担は約二・六倍になっています。健保本人の負担だって二・四倍になっています。これは医療保険改革だとおっしゃったけれども、実は国民の負担をふやしただけなんです。これが二つ目です。それから、三つ目は消費税です。私は、消費税そのものは否定しません。しかし、この時期に税率が二%上がった。消費税は、やはり逆進性がある税金であるということは否定できないと思うんです。
結局、そういう面で見ると、例えば年金生活者から見ると、これはトリプルパンチです。金利で生活自体が思わしくないわ、そこへ消費税が上がって、医療の個人負担までふえちゃった。それから、もう一つ特別減税もありますが、これも、特別減税そのものがどちらかといいますと中低所得者に対して厚くしていましたから、そういう人たちから見るとやはり家計負担は大変なものだと思うんです。このことはセットで起こっているわけです。
私は、これは申しわけない言い方ですけれども、やはり総理のこれは政策の判断の失敗ではないかなと。特に、今申し上げたような社会的に弱い立場の人々に対してこれだけの負担を押しつけたというのは私は大変な問題だ、このように思うんですけれども、総理の見解をお伺いしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/138
-
139・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは、私として前提を置かせていただかなければなりませんのが、公定歩合につきましては、これは日銀の専管事項として、我々がこれに云々すべきではないと思います。
ただその上で、私は、超低金利政策というものが継続された中において、殊に所得の低い方あるいは年金生活者、預貯金で暮らしておられる方々に影響が出ていること、これを否定しようとは思いません。そうした点があるということは、私自身それは認めます。その上で、だからこそ私は、この回復に力強さがどうしても出てこない、それは構造的な問題ではないのかと本気でそう思います。そして、その構造的な問題に対処するためにも、いわゆる規制の撤廃あるいは緩和といったものを初めとした政府自身が決めております行動計画、これを前倒していく努力、新たな施策を追加する努力、また土地の有効利用など土地に対する方策を広く検討していきたいということを申し上げているのも、そうした気持ちのあらわれであります。
また、まだ議員から御指摘あるいはあるかもしれませんが、これに加えて私自身が心配をいたしておりますのは、本来なら伸びていくだけの、私は職人国家日本ということをよく言いましたけれども、我が国を支えてきた中小の特に製造業、こうしたところが新たな分野に、あるいは今の業を一層展開しようとされるときに、貸し渋りとかあるいはむしろ資金回収に金融機関が走る動きがあるといった状況の中で、政府系金融機関が本来の役割を果たすように大蔵大臣や通産大臣に対して指示をしておりますこともそうした流れの一つでありますが、やはり私は、今の我が国の構造そのものを変えていく努力を本気でしなければ一層問題は深刻になる、そのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/139
-
140・直嶋正行
○直嶋正行君 今、総理は構造改革ということを強調されたんですけれども、けさの議論にありましたが、問題は時間経過だというふうに思いますし、それと、事実、構造改革を進めていくとしても、この低金利というのは、逆に言いますと、これだけ二年も、今エコノミストの分析だと大体これは年内は続いて来年になるんじゃないかと、これは観測ですよ、観測をされる方が多いんですけれども。これだけ異常な金利が続いていくということは、本当は金融政策というのは景気循環に対する一種の刺激ですから短期のものなんです。それがこれだけ長期に続いていく。口の悪い人は、今は公定歩合じゃなくてこれは固定歩合だと、こういうふうに言う人もいるくらいなんです。結局、そういうことが続いていくと、実は総理がおっしゃった構造改革も弊害が出てくると思うんですよ。構造改革にもつながってこない面が出てくる。
例えば、結局長い間この低金利が続くわけですから、自然に本来であれば残念ながら淘汰されなきゃいけない採算の悪い企業が結果的には生き残ってしまう、あるいは資金がどんどん海外へ流出する。これはもう現実に出ている現象ですね。それから、もちろん円安になりまして、今ございますように貿易黒字がまた増大をし、貿易摩擦が再燃をする可能性がある。
こういう状況を考えると、やはりこの低金利というのはもう本当は、さっきも申し上げましたけれども、とうに耐用年数が過ぎていて、むしろこのメリットがメリットじゃなくなってきて、マイナス面、特にそういう経済構造に対するマイナス面が強く出てきているんじゃないかと思うんです。
しかし、残念ながら今こういう経済情勢ですから、私個人の意見で申し上げますと思い切って上げてもいいと思っていますが、これはリスクが大きいと思います。ですから、なかなか恐らく日銀も踏み切れないというふうに思います。
しかし同時に、今政府がおっしゃっていることは、これはもう構造改革一本だから財政出動は絶対しないと、こういうふうにおっしゃっているわけですよ。もう早くも来年度の予算も、これはいわゆるデフレ予算でいくということを言い切っておられるわけです。
御承知のように、冒頭申し上げましたように、その一方で、アジア経済の危機とか、きょうもございました株価の問題が出てきているわけです。今回のこの財特法を成立させますと、例えば将来金融問題が生じた場合も当然これは財政出動というのはできないということになってくるわけですね。
こんなことを考えますと、もう本当に出口がない状態じゃないかなと。すべてが、さっき厚生大臣は限界だと、こういうふうにおっしゃったけれども、あらゆることが限界になってきて、しかもあえて申し上げますと、結局、政府自身がみずからの手足を縛ってしまわれていると、こういう状況じゃないかと思うんですよ。
これは私の勝手な判断で申し上げますと、この財特法をお決めになったのはことしの六月でございます。六月のたしか初めに総理は記者会見をされて、この財特法について御説明をされております。
しかし、私が思うには、恐らくこれは総理のそのときの経済の先行きについての御判断が違っていたんじゃないかなと。日本の経済がこんな状況になるとは思わなかった。さっきおっしゃった言葉で言えば、消費税アップの反落がこんなに続いてくる。私はもう反落の段階を超えてもっと深刻な状態だと思っていますが、こういうふうになってくる。しかも、さっき申し上げたようなアジアの金融不安が出てくる。
恐らくこれは、そのときお考えになっていた経済情勢と、今私たちが国会でこの法律を議論しているこの時点の経済情勢と相当違ってしまっているんじゃないかなと、私は勝手にそういうふうに推察をしているんです。しかし、これはもう決めたことだ、とにかくもうこれで走るしかないというふうに総理自身はかなり思い込まれておられるんじゃないかと、勝手にこのように思っております。
したがって、結局、こういう今の閉塞状態と申し上げてもいいような状況を打破していくには、思い切った政策転換が要るんじゃないか。簡単に言えば、やはり財政に道を開くということを真剣にお考えになった方がよいのではないか、私はこのように思うんですけれども、いかがでございましょうか、総理。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/140
-
141・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 間違いなしに、六月の時点、私は、現在証券市場をめぐる関係者の中に起きておりますような投資家の信頼を失う行為が続発するというような予測は持っておりませんでした。そして、消費税の二%の税率引き上げ及び特別減税の影響というものがここまで大きく残るという予測をしていなかった点は、これは議員が御指摘のとおりであります。
ただ、議員が触れられましたアジア経済の不安定というものは、デンバー・サミットのときの記録をお調べいただくとわかると思いますが、その時点で私は問題視をしており、しかし、それ以上に議論が広がらないままに終わりましたが、むしろ特定の国、幾つかの状況がどのようになるのか、それが日本の経済に進出企業の経営その他を通じどういう影響が出るのか等々の意識は持っておったつもりであります。
その上で思い切った財政出動をと言われる点につきましては、思い込んでいるとさっき言われましたけれども、それはまさに思い込んでいる、思い詰めていると申し上げた方がいいかもしれません。私は、これ以上、子孫の代に我々の時代のために国債という名前の借金を続けてそれを残すことになる、そのような施策はとるべきではないと思っております。
であればこそ、厳しさのあることを承知で現在御審議をいただいておりますような法律案、ある意味では確かに政府の予算編成権に対しては一定の制約が加わるわけでありますから、みずからの手を縛ると言われるような手段をとってでも財政構造改革に取り組む、取り組まなければならない、そう考えてまいりました。そして、それと並行し、構造改革等の手法をあわせて進めていかなければ非常に深刻な状態になるという思いも真剣にいたしております。
一度に多数の改革をという御批判を受けながら、あえて金融システムあるいは産業構造改革等々に言及し、そうしたことをあわせて進めようとしておるのもそのような思いからであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/141
-
142・直嶋正行
○直嶋正行君 よく総理もおっしゃられるんですけれども、赤字国債を出してといいますか、こういうお話されるんですが、私は例えば今この時点で、私たちは確かに財政と言っています。一時的に赤字を出してもその方が改革は進むんだ、こういうことを申し上げているわけです。
そこで、我々の考えをちょっと申し上げますと、結局、財政出動といっても、いわゆる公共投資を中心にやるというやり方もあります。しかし、私たちは実は財政出動と申し上げても公共投資は否定をしているわけです。なぜ、公共投資を否定しているかといいますと、公共投資をこれ以上政府の経済対策としてやっていくということは、やはり大きな政府につながる。それから、文字どおり、総理がさっきおっしゃった構造改革にも反することになってくる。
私は、今の日本の経済構造改革で最大の問題は何かといいますと、従来の日本の公共投資依存型経済体質といいますか、ここからいかにして脱却をしていくか。つまり、公共事業に一種、言葉を悪く言えば、ぶら下がったようなこういう経済の構造を変えていくということが何よりも必要だというふうに思っています。
では、どうすればいいかということなんですが、これは先ほどおっしゃっておられましたが、結局は民間を中心にした、民間の創意や活力を生かせる経済にしていかなきゃいけない、私はこれが経済構造改革だと思うんです。この経済構造改革を通じて、やはり財政も改革されてくる、このように思っております。したがって、財政だけを帳面づらだけきれいにすればいいというものではない、このように思っております。だから、民間の創意と活力をふやしていく、このことは構造改革につながるんだ。ですから、私たちが言っているのは法人税減税であり所得税の減税なんです。
私は、これからの社会で一番大事なことは何かといいますと、民間の活力を生かしていくということは恐らく総理も同じようなことをお考えだと思うんです。そのときに一番大切なことは何かといいますと、やはり企業や個人に直接負担をかけるということはなるべく避けていく、負担を軽減していかないと活力は出ないと思うんです。
ですから、ちょっと話がそれますが、例えば来年から年金がいろいろ議論されると思います。仮に年金財政が厳しいからといって保険料をどんどん上げていくということになってきますと、やはり社会保険の保険料というのは個人負担が半分ですし、法人の企業負担も半分です。お互いに労使折半ででき上がっていますから、いたずらに保険料を上げていくことは税金を上げることに等しい。ですから、この考え方もどこかで議論しなきゃいけないというふうに思っていますが、いずれにしても、やはり企業や個人の負担をできるだけ引き下げていく、このことが民間の活力につながってくる、このように思っております。
したがいまして、今私たちは法人税減税あるいは所得税減税、こういうことを申し上げているんです。確かに、総理が御心配になるように一時的にはそれは赤字国債をふやすということになるかもしれません。しかし、これは経済構造改革ということでいいますと、少なくともベクトルは違う方向ではないんです。むしろ経済構造改革を進めていく方向になっていくことは間違いないと思うんです。
私が法人税減税で大蔵大臣に特にお願いしたいのは、やはり税率を下げて課税ベースを広げて税収としては中立だと、こういう考え方は、財政当局の方は、大蔵省の主税局の方はそういう発想をお持ちになるかもしれませんが、やはり今私たちが経済構造改革を考えていく、当然これはグローバルスタンダードも念頭に置かなきゃいけない、こういうことを考えると、法人税の中で増減税中立なんという発想で考えていたんでは、私は本当に改革はできないと思いますよ。
ですから、ちょっとこれは余分な話かもしれませんが、そういう意味で、私たちは、減税をぜひやるべきだと、このように申し上げているわけでありまして、決して循環型理論で単に今まで議論されてきたような視点で減税を申し上げているわけではないんです。
それで、先ほど申し上げたような手詰まりの状態を考えますと、やはりこれはむしろ積極的に取り上げ実施していただくべきものではないかなと、このように思っておりますが、総理、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/142
-
143・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、その最終の部分で議員が述べられたこと、例えば法人税や所得税が低ければそれが企業あるいは個人の意欲をふやすであろう、そういうお考えを理解できないと申し上げるつもりはありません。既にこれまでの税制改革の中におきましても、所得税を引き下げてきたことは御承知のとおりであります。また、法人税につきまして、これは、議員はそれは違うと仰せになりましたけれども、構造改革の一環として、課税ベースを適正化しながら税率を引き下げる方向で検討いたしておりますし、これは欧米諸国並みの税制に近づける上にも必要なことであろうと思います。
ただ、そこで議員と意見が食い違ってしまいますのは、特例公債を発行せざるを得ない今の状況におきまして減税を行う、これはまさに財源を特例債にある程度依存しなければならないということでありまして、それが現下の危機的な財政状況というものを考えたときには、これはなかなか私は実施は容易ではないと申し上げざるを得ないと思うんです。
それは、議員の先ほどの御意見、言いかえれば、それによって企業活動等が加速される、そして結果として税収はふえて、いっかそれは返せるんじゃないかということだと思うんですが、実際に私どもはそれほど簡単なものではなさそうな気がしますし、これもタイムラグのある話であることは議員御自身、御理解をいただいていると思います。
ですから、私は、そのお考えに全く理解ができないと申し上げるつもりはありません。しかし、特例公債を発行せざるを得ない状況下の減税というものは、今の危機的な財政状況を考えますと、これを実施するのはなかなか容易ではないということは申し上げなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/143
-
144・直嶋正行
○直嶋正行君 ひとつ角度を変えてお話を申し上げたいと思うんですけれども、この財政再建で申し上げますと、けさ大蔵大臣が答弁の中でお話しされていましたアメリカのケースについて。
これはある新聞に載っている話なんですが、アメリカは今確かに財政赤字を大幅に減らしています。そういうことでいいますと本当にうらやましいような状況なんですが、しかしこの記事にもありますが、これもよく分析をしてみると、結局アメリカの財政赤字をこれだけうまく減らせたのは、もちろんこれは政策効果もありますが、実はその五五%がいわゆる景気拡大効果なんだと。
ですから、私は今、総理がお答えになりましたけれども、この経済情勢を本当に考えずに財政削減をしながら財政再建をしていくという方法は、やはり結局は経済全体をシュリンクさせてしまって、本当の財政再建につながらない可能性があるんじゃないかというふうに思うんです。アメリカのケースを見ても、やはり半分以上はこれは景気拡大効果なんです。
ですから、私たちが考えていかなきゃいけないことは、もちろん財政再建も大事ですが、やはり足元の経済をきちっと自律回復軌道に乗せながら財政再建をしていく、こういうことではないかと思うんですね。ですから、今私が申し上げていることはまさにそのための布石を打っていただきたい、こう言っているわけです。
先ほど来議論がありますように、日銀の方からの話にもありましたが、とても今はまだ経済が自律回復軌道に乗らない、乗っているとは言えない、こういうお話がありました。冒頭申し上げましたような株価の状況等から考えますと、私はやっぱりここは、自律回復に乗せるために、さっきの総理の御答弁あったところでまことに恐縮なんですが、思い切った手を打たないとこのまま失速してしまうんじゃないか。そのことによって決して財政再建がマイナスになるわけじゃなくて、アメリカのケースを見ればそのことの方がむしろ大事なんだ、こういうことを示しているんじゃないかと思うんです。
この中にアメリカの政策当局者のコメントというのがありますよ。今財政赤字削減を急ぐ日欧に対して、「増税や歳出削減に頼りすぎて景気を冷やすな」と、これはアメリカの財政赤字削減を経験した政策当局者の発言としてこの今の言葉が言われております。私は、やはりこういうことは謙虚に考えていくべきだと、こう思うんですけれども、大蔵大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/144
-
145・三塚博
○国務大臣(三塚博君) アメリカの方が言われたこと、万感を込めて日米の問題も視野に入れながら考えられておることであろうかと思います。
それはそれといたしまして、今日、日本がここまで来ました。そして、御指摘のような段々の審議の経過の中で、六月三日に「財政構造改革の推進について」を閣議決定、以下、法律に向けて取り進められるわけでございます。
まさにレーガン減税というのも分析をさせていただきました。もちろん、下支えの効果はあることは御案内のとおりであります。しかしながら、双子の赤字の原因をつくったということで、第二次レーガン政権はこれに対して実は経済にニュートラルな税制へ変えるという決断をされました。所得法人税の税率引き上げは、課税ベースの拡大、適正化、こういうことでその基盤をつくり、土壌改良をしましてブッシュ大統領につなぎ、以後クリントンと、こういうことの中で、アメリカの今日の好況の基盤、間もなく、二年後には財政赤字は黒に転ずるであろう、こういうことすら言われるようになりました。また、ヨーロッパ統一通貨へ向けてただいま財政赤字、GDP比を三%以下に抑える熾烈な戦いをやられております。
ひとり我が日本がその中でも極めて厳しい財政赤字を抱えておる、要調整費を入れますと五百二十兆、地方、国を合わせましてGDPを超える財政赤字、これの利払いだけで気が遠くなる話になるわけでございます。
そういう中で、構造改革の必要性を痛感し、会議を持ち、討論を集約し、三党の協議を経て六大改革、そしてフロントランナーのような形で財政構造改革と経済構造改革というのが金融システム改革とともにスタートを切るということになりました。
景気いかんというのは、経企庁長官が午前答えられましたから私からは触れませんけれども、確実にその成果が信頼関係に出てきておることだけは間違いないんだろうと思っております。基礎的経済諸条件、いわゆるファンダメンタルズが、成長率において、景気動向でありますが厳しい足踏み状態、しかしながら基本的にはその基調が変わらない、こう言われていることもそれぞれのデータの裏づけがあって言われておることを考えますと、私もそう分析をしておりますものですから、ここでやり抜くことが日本の世界国家の一角として信任状態をキープする大事な瀬戸際じゃないんだろうか。
G7の会議にたびたび年初以来出まして、日本経済の動向について先生とのやりとりのようなことを各国の大蔵大臣とやらさせていただきました。構造的な問題を乗り越えることで必ず日本経済が往年の状態を取り戻すことは間違いありません、今血みどろの努力をやっております、トップを中心に政治の命運をかけ与党と全体的な力を合わせながらやり抜いております、このことを御理解いただきたいと。ほぼ理解を得て今日ここまで来ておるわけでございます。
長くなりますから、この辺でとどめさせていただきます。どうぞ、その分析の上に立った構造問題解決へのエネルギーというものを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/145
-
146・直嶋正行
○直嶋正行君 実はもう一、二お聞きしたい点があったんですが、今の大蔵大臣の大演説で私の時間がなくなってしまいました。
一言だけ申し上げたいと思うんですが、さっき大蔵大臣のお答えの中で経済のファンダメンタルズはまだいいんだと、こういうお話がございましたが、私はとんでもないことだと思っています。
ずっと一連の大蔵大臣や経企庁長官のお話を聞いていますと、どうも数字のいいところだけをとっている。いいところだけ見ておっしゃっている。むしろ、傾向的には悪い部分がふえてきていると思います。
ですから、これはなかなか議論が平行線であるわけなんですけれども、率直に言いまして、やはり今のような政策で橋本内閣が突き進んでいかれる限りは日本の経済は極めて危険だ、心配だと、このことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
では、委員長、関連の荒木清寛君の方にお願いしたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/146
-
147・遠藤要
○委員長(遠藤要君) 関連質疑を許します。荒木清寛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/147
-
148・荒木清寛
○荒木清寛君 まず総理に、国民は政治により高い倫理を求めております。総理も今回の所信表明におきまして同趣旨のお話をされております。
ところで、先般、自民党の比例代表近畿ブロック選出の野田実衆議院議員の地元事務所職員が公選法違反、買収で最高裁に上告を棄却され、有罪、すなわち野田議員への拡大連座制の適用が問われる展開になってまいりました。先般も、宮城六区選出の同じく自民党の菊池福治郎氏が同様のケースで衆議院議員を辞職しております。続けて起こったわけでございまして、私も大変残念でございます。
そこで、この野田実議員につきましても、私は政治倫理の上からはみずから辞職を決断するのが当然であると思います。また、自民党の総裁である総理におかれても毅然たる対応をこの問題に対して示すべきだと思いますが、まずいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/148
-
149・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 野田議員の事件、事件と申しますか件につきましては、本当にこうした事態を厳しく受けとめております。
新たな選挙制度のもとで初めての衆議院選に臨みます前、自由民主党として連座制の趣旨を徹底して啓蒙してまいったつもりでありましたけれども、さらに選挙の風土をより近代的なものにするために、選挙浄化という法の趣旨を再度徹底し、努力をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/149
-
150・荒木清寛
○荒木清寛君 そういう啓蒙をされてきたということはわかりますが、しかし、それに反する事態が起こってしまった場合にどうするのかというのが私は総理の政治倫理ではないかというふうに思います。
そこで関連しまして、現在、参議院の宮城選挙区の補欠選挙が行われております。この選挙には自民党は公認候補を擁立しておりません。この件につきまして、先月二十九日の記者会見におきまして加藤紘一幹事長が、知事選の惨敗、我が党議員の辞職表明もあり、県民の叱正を受けとめ反省の意を表したいと擁立を見送った理由を記者会見で述べておられます。私は、それは一つの見識であり、これが自民党の政治倫理であろうというふうに判断をいたします。
しかし、もしこの立場に立つのであれば、ここでおっしゃっている我が党議員の辞職表明といいますのは、実は連座制に問われまして辞職しました衆議院第六区の菊池福治郎衆議院議員でございます。そうであれば、この宮城六区の今度行われます選挙で自民党としては擁立をしないというのが、ここでおっしゃっている県民に対する反省の意を表したいということじゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/150
-
151・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、今ここに内閣総理大臣という立場で出席をしておると思います。自由民主党としての立場で物を申し上げるのがふさわしい場所かどうかわかりません。
ただ、あえてお尋ねでありますから、私は、その当時幹事長が下した判断をそのとおり認めておりますし、相談を受けたときも、それについて幹事長の判断に同意を与えたという事実を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/151
-
152・荒木清寛
○荒木清寛君 先ほどは野田実議員の話につきましては、そうはおっしゃっておりますけれども、きちんとお答えをされたわけでございます。連座制で辞職をした議員について県民に反省の意を表したいというのであれば、まさにそのやめられた後の補欠選挙で擁立をしないというのが本当の反省であると私は意見を申し上げます。
次に、先般の予算委員会でも私は取り上げましたが、泉井石油商会の献金疑惑問題につきまして再度お尋ねをいたします。
政官界に多額の献金や接待攻勢をかけ、目下、所得税法違反、詐欺、贈賄罪で起訴されております泉井純一被告人が九月八日に記者会見をいたしました。そこで述べたことは、自民党の山崎拓政調会長に対して平成三年十月から七年八月までの間に合計七回、総額二億七千八百六十万円を献金するなどし、このうちの二億円が山崎氏を経由しての渡辺美智雄元副総理向けへの総裁選や衆参選挙用の資金名下で献金をした、そういうことを言ったわけであります。
これに対しまして山崎政調会長は、私個人への資金提供の総額は七千八百六十万円と言っているが、全然違う、パーティー券その他で一千万円程度と、九五年の参院選のある候補者の責任者をしているときに一千万円を借り、その後返したと反論をされています。
私は、この反論をもとに、予算委員会におきまして十月十五日、自治省に平成七年の山崎拓氏の資金管理団体の収支報告書に泉井純一被告人からの借り入れと返済の記載の有無があるかと確認をしましたところ、記載はございませんという話でありました。
そこで、さらに詰めてきょうは聞いていきたいと思いますが、自治省にお聞きをいたします。
先般は私は借り入れと返済の有無につきまして報告を求めましたが、平成七年に山崎拓氏の資金管理団体に対し、泉井純一被告人から貸し付けではなくて寄附の記載が収支報告にあるかどうか、報告をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/152
-
153・牧之内隆久
○政府委員(牧之内隆久君) 拓政会の平成七年度の収支報告書には、泉井純一氏ないし泉井石油商会からの寄附金の記載はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/153
-
154・荒木清寛
○荒木清寛君 それでは次に、山崎拓氏は平成七年の参院選挙におきまして福岡選挙区の候補者合馬敬氏の選対責任者を務められました。そこで、山崎拓氏個人または山崎氏の資金管理団体から合馬敬氏の資金管理団体へ寄附がなされているかどうか、あるいは合馬敬氏の選挙運動費用収支報告書にこの寄附の記載があるかないか、御報告願い
ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/154
-
155・牧之内隆久
○政府委員(牧之内隆久君) 合馬敬後援会の平成七年の収支報告書を確認いたしましたところ、山崎拓氏ないし拓政会からの寄附の記載はございません。また、同氏の平成七年の参議院通常選挙における選挙運動費用収支報告書につきましても、寄附の記載はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/155
-
156・荒木清寛
○荒木清寛君 山崎氏の反論を素直に受け取りますと、選挙の責任者をしているときに一千万円借りて返したと言うんでありますから、そのお金は恐らく選挙のために使われたんだろうというふうに思います。しかし、今報告を求めましても、この収支報告にはそういうお金の流れというのは出てこないわけでありまして、私は全く何が真相であろうかと思うわけでございます。
そこで、総理にこれはお尋ねをするわけでありますけれども、この山崎政調会長の会見といいますか反論を聞きますと、まず普通思いますことは、じゃその一千万円なら一千万円の政治資金としての収支の届け出はどうなっているのか。きちんとなされているのかどうか。お金を借りたと言うんですから、あるいは返したわけですから、借用書なり返済の領収書、そういうものがあるんですかと、普通であればそういう疑問を持つわけでありますが、こういう具体的な点を山崎氏に総理は確認をされたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/156
-
157・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私自身が、泉井被告という方、現在裁判進行中の方ですから、立ち入って申し上げる立場ではありませんけれども、その方がいろいろ外でお話しになっている、あるいはお書きになっている、そういう中で名前の登場される方々に対し、大丈夫、きちんと説明できるんですねということはお尋ねをいたしましたが、一々の出入りがどうだとか、そういうことをお尋ねをしてはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/157
-
158・荒木清寛
○荒木清寛君 一々の出入りといいますか、きちんと収支報告をしていますか、あるいはそういう書類はあるんですかと普通であれば私は聞くべきだと思うんです。
それで、総理はこの国会の所信表明でこうおつしゃつていますね。佐藤総務庁長官の起用問題につきまして、「政治により高い倫理性を求める世論の重みに十分思いをいたさなかったことを深く反省するとともに、多大な御迷惑をおかけしたことをおわび申し上げます。」とおっしゃっております。同趣旨のことは何回も承りました。
そうであれば、やはり倫理を問われているのがこの泉井問題でありますから、私は、総理は総裁でもあるわけですから、みずからリーダーシップを発揮して究明するというのが当然のスタンスではないかと思うんですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/158
-
159・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、少なくとも自由民主党の中において、党人として十分説明ができますねと言い、そして説明はできますと言われましたなら、それ以上問いただすようなことをするならわしは我が党にはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/159
-
160・荒木清寛
○荒木清寛君 これで私は法案の質疑に入りますが、しかし六つの改革というのが最重要課題だとおっしゃっているわけであります。これは国民にある意味で痛みを伴う改革でありますから、その前提として、政治倫理がしっかりと確立をしているということが大前提でありまして、私は今のような御答弁で本当に国民が納得されるのかというふうに思います。
何かあるんでしたらどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/160
-
161・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど来、議員のお話の中で、一部私の所信表明等あるいはその他の場の発言を引用していただきましたので、私がもう一つ申し上げておりましたこともぜひつけ加えさせていただきたいと思うんですが、国民の政治不信というものを払拭するためには政治家が常に自戒し襟を正さなければならないと考えており、その意味で、明らかにしなければならないことは適切な場で政治家みずからの判断で明らかにされるべきと考えている、これも私は繰り返して申し上げてまいりました。この点は補足をさせておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/161
-
162・荒木清寛
○荒木清寛君 そこで、今回審議をされております財政構造改革法案につきまして入ってまいります。
この法案の第二章の歳出削減についての具体論、各論でございますけれども、最も詳細な規定がこの社会保障関係費の歳出削減でございます。そういう意味で、ある人はこの法案は別名、社会保障関係費削減法律だとも言っているわけでありまして、私も同感です。
それで、私は何回この法案を読んでもよくわからないんですが、この第二条の「財政構造改革の趣旨」の中の一つとして「安心で豊かな福祉社会」、これを「実現するために行われるものとする。」というふうに書いてあるわけです。しかし一方で、七条を見ますと、「人口構造の高齢化等に伴う社会保障関係費の増加額をできる限り抑制するものとする。」というふうに書いてあるわけです。この二つの関係が私ども全くよくわからないんです。
そこで、まず総理にお聞きをするんですけれども、福祉予算を圧縮、削減してどうして二条に言っているような、こういう「安心で豊かな福祉社会」というのが実現できるんでしょうか。全くこの法案の趣旨とこの具体論とはそごしているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/162
-
163・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) これは本来なら厚生大臣が答えられる方が正確であると思いますが、あえて私にお尋ねでありますので、私なりにお答えをさせていただきたいと存じます。
今、我が国が極めて厳しい高齢社会の到来という中で、現行の制度におきまして例えば年間百万人単位での年金の新たな受給権の発生といった状況になっておることは議員御承知のとおりでありまして、現在の社会保障の構造をこのままにしてまいりました場合の自然増といいますか当然増というものが非常に巨額なものに上るということはよく御理解のとおりであります。
同時に、出生率の低下が続いてまいります中で若い働き手の数は減ってきております。一体、その勤労世代がふえていく高齢者の負担を現在の仕組みのままでいつまで背負えるでしょう。そして、それを見直すとするならばどのような角度から見直すべきなのか、まさにそれがこれから御論議を
いただかなければならないものだと思います。
しかし同時に、その社会保障財源、これは給付の水準を一定に仮定をいたしました場合には、その財源構成は保険料か税かあるいは本人負担か、そのどれをどう組み合わせるかという中からしか出てまいりません。さらに将来世代との負担の公平、給付のバランスというものを考えました場合には、当然のことながら制度をきちんと見直していき、再構築する必要がありましょう。
そういう努力を払った上で、なおかつ安定的に将来も継続できる社会保障の仕組みを求めること、これは国民生活に対するセーフティーネットとしても私たちは将来ともに医療保険制度、年金の仕組みというものを持ち続けなければなりません。
そこで、申し上げておりますことは、一方でそうした負担と給付のバランスを世代間の公平という視点もとらえて組み立てながら、将来ともに永続し得る制度をつくっていきたいという願いを込めたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/163
-
164・荒木清寛
○荒木清寛君 私にはどうしてもこの福祉予算を削減してどうして安心で豊かな福祉社会が実現できるのかわからないわけです。
それで、総理にもう一言申し上げたいのは、国民としましては、消費税その他で九兆円の大増税、その上で福祉のレベルが下がるのであればたまらない、そういう思いでございます。
この第八条によりまして、来年度につきましては社会保障関係費が八千五百億円の当然増になるところを三千億円にする、実質的には五千五百億円を圧縮というか削減をするということでありますね。財政再建ということが大切であることは私も理解するのでありますけれども、だからといってなぜ福祉予算まで削ってしまうのか。少なくとも三年前に消費税の増税を議論するときの話とは全く違っているというふうに思うわけなんです。
当時、平成六年の消費税国会と言いますか消費税の二%アップを決めるときに、これはもう何回も議論されていることでありますが、例えば武村大蔵大臣は六年十月二十四日の衆議院特別委員会におきましてこう答弁をされております。今回の税制改革は、三・五兆円の所得減税に対応する二%の消費税アップを基本に、その中で辛うじて五千億円の福祉財源を見出すものであり、五%への消費税率引き上げのみで高齢社会に対する年金、医療、介護などの大きな財源を見出すことは不可能である。これは何回もそういうお話をされているわけですね。
私なりにまとめてみますと、要するに二%の消費税アップを決めるときには、これによって五千億円だけ福祉予算がふえます、しかしまだまだ足らない、そういう話であったわけなんです。ですから国民の中には、それだったらやむを得ないなというふうに思った方がいるかもしれない。少なくともその時点において、将来社会保障関係費が圧縮されるなんていうことはだれも私は思っていなかったというふうに思うんですね。要するに、福祉予算が足りません足りませんと言ってこの二%アップをお願いしておきながら、いざ二%上がると、今度は財政構造改革で五千五百億円圧縮をしなければいけない。これでは余りにも国民にとって酷な話じゃないかというふうに思うんですが、総理、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/164
-
165・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、今、議員が組み立てられた御論議を全く無視するつもりはありません。
確かに、自然増、当然増、現行の制度のままでいくならば八千億を超える当然増がありますものを三千億円ぐらいの範囲に何とか抑えたい、ふえるんですけれどもそれぐらいで抑えたい、これは事実私たちは本気で考えております。そして、その理由は、今も申し上げましたように、年金であれ医療保険であれ、その給付のために必要な財源というものは保険料か税金かあるいは個人の負担で構築しなければならないわけです。殊に、年金の場合には自己負担という言い方はございません、保険料あるいは税です。しかし、医療の場合にはそれに自己負担というものを組み合わせて給付の水準を決めていくことになります。
そして、少子化ということも御承知のとおりでありまして、本当に私どもがかつて社会保障関係の仕事をしておりました当時では想定できない速度で高齢化とともに少子化が進行いたしました。大きく我が国の人口構造は変わりました。その上で、世代間の公平というものまで考えて仕組みをつくっていかなければならない、そういう現実にあることもぜひ御理解をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/165
-
166・荒木清寛
○荒木清寛君 総理のおっしゃることはそうかもしれませんけれども、しかし、それは三年前の消費税を二%上げるときの話とは違うんじゃないですかということを申し上げているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/166
-
167・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 三年前というと僕じゃないですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/167
-
168・荒木清寛
○荒木清寛君 それはそうですけれども。まあやめておきます。
次に、公共投資の削減の問題につきまして、公共事業予算に係る改革の基本方針という問題につきまして若干話をさせていただきたいというふうに思います。
公共事業にいろいろなむだ遣いがあるということはいろんな場面で指摘をされております。我が党の機関紙であります公明新聞にも、「血税が消える ルポ ムダ遣いの現場から」ということで六回にわたり連載をさせていただきました。もっと追及をしてくれという声をよく聞いているわけであります。省庁間の縦割り行政によりまして同じ地域に似たような施設がつくられるとかという問題がいろいろあるわけでございます。
ちなみに、どういう問題を取り上げておったかといいますと、建設休止で七十億円もかけた高規格道路が山の中に残されている大規模林道ですとか、あるいは漁業補償など六十億円も投じながら挫折をした干拓事業、あるいは高い、不便で完成間際のまま放置をされた住都公団の塩漬け住宅、あるいは採算は二の次で百二十四億円も投入した農道空港、あるいは農水、建設両省の縦割り行政により同一敷地に重複して建設された双子の排水処理場、あるいは四百七十億円も投じながら釣り堀の名所と化した重要港湾ということですね。本当にこれは一部だと思うのであります。
しかし、その一方でまだまだ社会資本の整備がおくれている分野があるということも事実であります。そういう現実を考えますと、公共投資の構造改革というのであれば、一番大事なことは公共投資の優先度を判断する投資基準を設けることであろうと私は思います。午前中もそういう議論がありましたけれども、そういう視点がこの法案には全く欠けているんではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/168
-
169・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 荒木議員にお答えいたします。
公共事業、各般の事業があるわけでありますが、いずれにいたしましても、これらにつきまして検討を要することは私は間違いないと思うわけであります。
極めて資源は乏しいわけでありますから有効に活用しなければなりません。そういう考え方に立ちますと、来年度の公共事業予算はかつてない厳しいものになるわけでありますので、公共事業の一層の重点化、効率化、こうしたものは考える必要があるわけでありまして、既に取り組んでおるところでもあります。このため、国と地方の的確な役割分担というものがあるわけでありますので、これを踏まえつつ、経済構造改革関連や地域格差の是正に資するものなどへ思い切った配分、新事業箇所を厳選して行っていく、こういうことで重点化を進めてまいるわけであります。
既に来年度予算につきましても、いわゆる中心市街地の活性化事業、さらに重点化の例といたしまして、情報ハイウエーの構築の支援であるとか、あるいはまた生活関連におきましては市町村の下水道の整備であるとか、加えて高齢者向け公共住宅の供給であるとか、また安全な国土づくりをしなければなりませんから、緊急土砂災害防止対策、大変厳しい中でございますが九五%増、安心、安全な国土をつくり上げなきゃなりませんので、こういったところを重点化して進めてまいることといたしております。
また、今御指摘の省庁間の連携を密接にして類似事業の調整を図ったらどうかと。このことも極めて重要でありますので、既に国土、農林、運輸そして建設の事務次官会議を重ねておりまして、幾つかの問題につきまして類似事業を調整するというようなことで仕事を進めておるわけであります。
また、コストについて申し上げますと、一〇%以上のコストの縮減を図ることを目指しましていろいろ試行しながら取り組んでおるわけであります。総合設計であるとか、いろんな分野に、資材もどんどん変わってまいる今日でありますから、そういったことも眼中に置きながら、いわゆるコスト縮減、こういうことにも取り組んでおるわけであります。
また、委員御指摘の費用効果分析の試行、公表を行ってきたところでありますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/169
-
170・荒木清寛
○荒木清寛君 そこまで言っておりません。そこまで私聞いておりませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/170
-
171・瓦力
○国務大臣(瓦力君) いわゆる効果的に公共事業を進めるということにつきまして御質問でありますから、そういう国民の理解を得なければ、いってみますれば、今福祉の問題を中心にして御質問でありますが、私は福祉の基盤というのは、この脆弱な国土、急峻な国土でどうして安心、安全で生活ができるかという基盤をなすところでありますので、それらに取り組むための基盤整備をやっていくというのがいわゆる建設省並びに公共事業の一環の仕事である、こう理解しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/171
-
172・荒木清寛
○荒木清寛君 今いろいろおっしゃいましたけれども、しかし法案には、第十三条に「重点化及び効率化を図るものとする。」という、この一言が書いてあるだけなんですね。どういう手法でそういう判定をするのかということは一言も基準が書いていないわけです。なぜそういうことをこの法案に盛り込まなかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/172
-
173・涌井洋治
○政府委員(涌井洋治君) お答え申し上げます。
公共事業の合理化等の内容につきましては、実は閣議決定の文案には入っているわけでございますが、具体的には法律化しておりません。
これは基本的な考え方といたしまして、行政府に執行をゆだねている事項であるということで、法律という形式で規定するにはなじまず、既に閣議決定している以上、必要なし、そういう判断でしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/173
-
174・荒木清寛
○荒木清寛君 私は、そうではなくて、まだ明確な基準が確立をしていないという話だと思うんです。現に、六日に行われました財政制度審議会の歳出削減合理化特別部会では、公共工事予算について予算配分基準の明確化等々が必要との認識で一致をしたと。要するに、そういう投資基準というのはまだ議論をしているという段階でありまして、私は、公共投資の構造改革というのであれば、それが決まってからこういう法案をつくるべきだというふうに考えています。
そして、この第十五条によりますと、各種公共工事関係の長期計画の延長を規定しております。二年から四年延長する。その中に、あえて「当該各計画に定める事業の量を変更することなく」ということでありまして、こういう全部の長期計画を一律に延長するという手法では、真に国民にとってお金を使わなければいけない分野の予算まで削減されるということを心配するわけであります。
そこで、厚生大臣、お待たせいたしました。お聞きしますが、今国民の大きい関心事というのはごみ問題です。どうやって減らすのか、あるいはリサイクルをするのか。ところが、今度の法案によりまして廃棄物処理施設整備計画も二年間延長になってしまうわけですね。圧縮をして、短縮をして前倒しで実現をするというのが本来でありまして、こんなことで本当に国民の期待にこたえる厚生行政あるいはごみ行政というのが展開できるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/174
-
175・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 廃棄物処理施設の予算につきましても、財政状況が厳しい中でできるだけ対応できるように今苦しい作業を進めておりますが、今後、各市町村、いろいろ計画が上がってくると思います。その時点でこの廃棄物処理関係施設については重点的に対応していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/175
-
176・荒木清寛
○荒木清寛君 もう少しこのごみ問題、具体的にお聞きをいたしますが、ごみ焼却施設等から発生をしますダイオキシン類は自然界には存在をしない化学物質で、人類がつくり出した最強最悪の毒物とも言われております。
今ダイオキシン問題が新聞に載っていない日はありません。この削減対策の重要性を大臣はどう認識していますか。私は強い危機感を持って臨んでいただきたい。これは予算の面も含めてそういう施策を講じなければいけないと思います。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/176
-
177・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) このダイオキシンの問題につきましては、さきの通常国会におきましても、それぞれの委員が真剣に危機感を持っていろいろの問題点を指摘していただきました。
私は、このダイオキシン問題、大変重要であるという共通の認識のもとに、今後いかにダイオキシンの規制をしていくか、有効な措置はどういうものか等考えまして、埼玉県等、現地も視察し、住民のダイオキシンに対する不安、危機感、いろいろお話を聞いてまいりました。そして本年八月、廃棄物処理法に基づく政省令を改正し、焼却炉の規模に応じたダイオキシンの排出濃度基準を定めるなど規制措置を講じたところであります。
今後、市町村等の関係者と十分連絡しながらこの規制措置の円滑な施行を図るとともに、施設整備に対する補助の重点化、効率化を図る等によりダイオキシンの排出削減に全力を尽くしていきたい。厚生省としては、資源循環型社会を構築することが重要でありまして、このダイオキシン問題は、単にごみ処理といいますか、地球環境、生態系に対する影響も大変大きいものと思いますので、この排出削減には今後とも十分注意して全力を尽くしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/177
-
178・荒木清寛
○荒木清寛君 その御決意はわかりましたが、では実際にダイオキシン対策に係る予算、来年度の概算要求額は本年度に比べましてどのぐらい伸びた額を要求しているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/178
-
179・小野昭雄
○政府委員(小野昭雄君) ダイオキシン対策の関係の十年度概算要求の関係でございますが、廃棄物処理施設の平成十年度概算要求額につきましては、他省庁計上分を含めまして対前年度三・七%減の千五百七十八億円を要求しているところでございます。
そのうちダイオキシン対策でございますが、ごみ焼却施設のダイオキシン対策のための改造事業につきましては対前年度七五一%増の二十九億円、ごみ焼却施設の新設事業につきましては五百六十一億円を要求いたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/179
-
180・荒木清寛
○荒木清寛君 ですから、ダイオキシン対策費は合わせて何%の伸び率になるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/180
-
181・小野昭雄
○政府委員(小野昭雄君) ダイオキシン関係の対策につきましては、今合わせてということでございますが、手元にちょっと数字ございません。
ただ、このほかにダイオキシン関係につきましては、健康影響等につきまして国民の皆さんの御不安があるわけでございまして、これら調査費等は別途研究費という形で計上いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/181
-
182・荒木清寛
○荒木清寛君 私が事前に要求して報告をしてもらったところでは、本年度は五百九十億六百万円、来年度の要求は六百十四億八千八百万円、プラス四・二%ですよね。伸びているは伸びているんですが、しかし厚生大臣、いよいよこれからダイオキシン削減対策をやっていこうという話です。市町村の運営するごみ焼却施設につきましては昨年、ことしと点検をし、この十二月一日からは排出規制もなされると。そういう中でたったこの四・何%の伸びの予算で本当に国民の期待するような対策というのが、さっきおっしゃったような力強い対策ができるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/182
-
183・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 限られた予算の中で、それぞれ市町村から今後いろいろな要望が出てくると思います。その要望に重点的に効率的に対処していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/183
-
184・荒木清寛
○荒木清寛君 ここにも機械的に一律に延長するという、厚生省は恐らくもっとダイオキシン対策に割きたいんでありますが、この廃棄物処理関係の予算が三・七%減という状況の中ではそれもままならないという話だと思います。
私は、一方で、こういう予算こそばっさりと切るべきだと思うことは、第三十六条の「特殊法人等に対して交付される補助金等の削減等」という話です。
この特殊法人の整理合理化というのは村山内閣以来の公約でありました。その後、どの程度数で減ったのか、総務庁長官に数だけで結構ですからお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/184
-
185・小里貞利
○国務大臣(小里貞利君) 平成七年、九十二ありました特殊法人が、現在八十六法人でございます。
以上でよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/185
-
186・荒木清寛
○荒木清寛君 それで、この法案をつくった方にお尋ねをしたいんですが、この三十六条は、特殊法人等に対して交付される補助金は、「削減又は合理化を図るものとする。」と、こういう書き方なんですね。これですと、削減をしなくても合理化をすれば逆にふえてもいい、そういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/186
-
187・涌井洋治
○政府委員(涌井洋治君) お答えいたします。
今回の法案におきましては、制度的見直しをする補助金とその他補助金とに分けておりまして、制度的補助金につきましては根本的な施策までメスを入れて見直しをして削減合理化をするということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/187
-
188・荒木清寛
○荒木清寛君 村山内閣以来、特殊法人の合理化というのは行革の目玉としてやってきたわけですから、どうしてここに削減するというふうにはっきり書けないんでしょうか。あるいはキャップ制で七%、あるいは五千五百億円、どんどん具体的な数字が出ているのに、どうしてここは数値的に何割減らすというそういう書き方ができないんですか。総務庁長官にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/188
-
189・小里貞利
○国務大臣(小里貞利君) 先ほど簡単にというお話でございましたから、現段階では八十六であると申し上げましたけれども、村山内閣が決定をいたしましてからその後、例えばことしに入りましても不断の努力はいたしております。
御承知かとは思いますが、三党協議を経まして、さらにまた現内閣におきまして閣議をもって決定をして、これを順次強力に進めておるところでございますが、近々これが進んでまいりますと、七十二から七十五法人にこれが削減してくる、そういう見通してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/189
-
190・荒木清寛
○荒木清寛君 そういうことであれば、どうして一割どころか二割、三割減らすという話がここでできないのかということを言っているわけで、平成七年以降本年度に至るまで、特殊法人に対する補助金等及び出資金の伸び率を報告してもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/190
-
191・涌井洋治
○政府委員(涌井洋治君) お答えいたします。
特殊法人に対する出資金、補助金等の合計額でございますが、平成六年度が合計二兆七千四十一億円、四・二%の伸び率でございます。平成七年度が二兆七千六百六十三億円、二・三%の伸び率でございます。平成八年度が二兆八千三百六十三億円、二・五%の伸び率でございます。平成九年度が二兆八千九百九十八億円、二・二%の伸び率でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/191
-
192・荒木清寛
○荒木清寛君 合理化をする、すると言いながら、実際は補助金はふえているわけでありまして、それで福祉予算を減らされた国民が納得するのかというふうに私は思うわけであります。
最後に総理にお尋ねをいたします。
これは、元経企庁長官の田中秀征氏が毎日新聞にインタビューでお答えになっております。
行革より景気が大変、という声があります。首相は財政構造改革路線を堅く守り、財政出動はしない決意のようですが。
僕は行革先行論だ。財政改革は納税者に痛みが帰属し、行革は行政に痛みが帰属する。それがなされなかったら財政改革に国民的協力は得られないですよ。まず自分からやれ、ということ。
私は全く同感なんですね。消費税増税のときの公約であった特殊法人に対する補助金も減っていない、また中央省庁の再編もこれからであってそれが経費節減にどういう効果をもたらすかもわからないという中で、まず国民に対する痛みを伴う財政構造改革をしていくというのは順序が逆だというふうに私も思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/192
-
193・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 午前中も申し上げましたことと一部重複することをお許しいただきたいと存じますが、私は、これらの改革というのはそれぞれに密接に絡まり合っており、どれを先行させ、どれを後に残していいと言えるような状況にはないと考えております。そして、財政構造改革も行政改革も、そしてこれに連動いたします部分を持っておる金融システム改革も社会保障構造改革も経済構造改革も、その基をなす教育改革も、これはその意味では皆絡まり合っております。殊に、行政改革と財政構造改革、社会保障構造改革というものは一体で進んでいかなければならないと私は思います。そして、これからもそういう決意で進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/193
-
194・荒木清寛
○荒木清寛君 同僚の直嶋議員も話をいたしましたが、今この財政デフレをもたらす本法案を成立させることになれば、まさに私は日本経済は失速をすると懸念をしております。しかも、この法案の内容たるや、単なる歳出の繰り延べでありまして、とても構造改革の名には値しないわけです。そういう中で本当に、先ほどのダイオキシンの問題ではありませんが、国民が一番望んでいるところへの投資が削られてしまうのではないか、あるいは政府のリストラも不十分なままに福祉という一番弱いところに負担がしわ寄せになっているわけであります。
そういう意味で、私はこの法案には断固反対であるということを表明しまして、質疑を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/194
-
195・峰崎直樹
○峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございます。
総理、大変御苦労さまでございます。きょうは四十分間という時間で、この財政構造改革法案、主として経済状況、景気状況の問題、後でまた申し上げたいと思います。
最初に、財政構造改革という名は打っているんですが、先ほど来、どうも構造改革になっていないんじゃないかと、こういう指摘が随分続いております。午前中の与党の質問にもそういう指摘がございましたけれども、私もそうではないかなというふうに思うわけであります。
私は、例えば構造改革になっていないというのは、公共事業一つとってみても、何だか長期計画の五年を七年にするとか、そういう今ある内容を変えないままに時間を延ばしてしまうというような、それで果たして構造改革かなと。むしろ、構造改革と言うからには、先ほど問題になっていましたけれども、費用対効果、これを一つ一つの公共事業の中で、ダムならダムあるいは干拓なら干拓、こういうことについて、これはどれだけの費用をかけるけれどもどれだけの効果があるという、そのことを我々国会の場であるいは市民の前に明らかにして初めてそれが是なのかあるいは非常なのか、そういうことを決めていくような仕組みを考えるべきじゃないかという指摘なども私はやはり当然出てくるだろうと思うんですね。
そのことはまた後で構造改革のお話をするとして、私ども民主党の菅直人代表が、十月の初めに総理に対して、我々自身の行政改革、これについての見解を実は明らかにしたわけなんです。
その四点を実は整理しているわけでありますけれども、一つは、やはりまず民間でやれるものについては民間に任せていこうじゃないか。規制緩和、私は規制緩和という言葉よりも規制改革の方がいいというふうに個人的には思っておりますが、規制改革あるいは市場化、民営化といったようなものですね。それからもう一つは、これもやがて大きな問題にしなければいけませんが、地方自治体に任せるものは地方自治体に任せるべきじゃないか、これは分権改革ですね。それからもう一つ、実は市民団体に任せるべきものは市民団体に任せたらどうだ、これが実は市民活動促進法案、通称NPO法案と呼ばれておるものでありますが、現在参議院にかかっております。そして、残ったものを国としてどのようにやるのか。
こういう手順が踏まれて初めて、実は今我々が議論しておる財政構造改革の中身もある意味では構造改革の名前に値するものではないかなというふうに私どもは考えるんですが、この点、総理はどのようにお考えになっているか、まずお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/195
-
196・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今既に本院におきましても、けさから今までの御質疑の中で、規制緩和あるいは、議員は改革という言葉の方がいいと言われましたけれども、これは現在進めておる状況も申し上げてまいりました。また、地方分権推進委員会から既に四次の勧告を受け、これは特に地方六団体を中心とした御意見に対する答えでありまして、まだ作業は続けていただかなければなりませんけれども、ここまでちょうだいをした四次の勧告を合わせ、地方分権推進計画として今取りまとめ中であることも申し上げてまいりました。その意味では、規制というものを撤廃、緩和、見直すという中で、官から民へという流れとともに、地方分権への流れというものも既に定着し、動いている状況を申し上げております。
また、いわゆるNPO法案、これは議員立法として検討が進められ、今参議院で継続審議になっておることを私も存じております。そして、一番直近で本院において御答弁をいたしましたのは六月六日でありますが、私は、本当に国際化あるいは高齢化の進展などに伴う社会環境の変化の中で、政府部門あるいは企業部門に次ぐ第三の部門とでもいうべきボランティア活動を初めとする市民の自主的な活動というものが活発化している状況を考えますときに、この市民活動促進法案は極めて重要なものだと我々は考えておりまして、できるだけ早く立法府から行政府の手に渡していただけることを心から願っておりますという答弁を申し上げました。今も同じ答えを申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/196
-
197・峰崎直樹
○峰崎直樹君 そこで、今NPOセクターというのを大変高く評価しておられます総理の答弁をいただいたんですけれども、実はちょっと、私北海道におりまして、札幌のある女性の活動家から陳情を受けました。女性担当大臣はたしか官房長官で、女性の大臣がだれもおられない、あるいは女性の政務次官がだれもおられないということで評判が余りよくないのでありますが、私は女性のその活動家から実は民間の女性シェルターという問題について先日陳情を受けました。
官房長官、内容は御存じでございましょうか。余り時間ありませんから、さまざまな理由で危機に陥った女性を緊急に一時保護する目的で、日本でもようやく十年前ぐらいからできているらしいんですね。これは民間の女性シェルターというふうに呼んでいるんだそうですが、もっとわかりやすい言葉で言うと女性のための駆け込み寺と、こういうふうに言われております。
私はそれをずっと聞きながら、日本に今どれぐらいあるんですかと聞いたら、横浜の女性協会というところが調べたら、一九九四年現在で神奈川県に三カ所、東京に三カ所、そして木更津に一カ所、全国で七カ所なんだそうです。アメリカではと言ったら、一千カ所から一千二百カ所。とらえ方が違うんでありましょう、全然けたが違うんですね。
今我々、規制緩和だとかあるいは行政改革だとか市場化だとかいろいろずっと議論しているときのモデルは、恐らくアメリカ、アングロサクソンの経済体質をずっと見ているんだろうと私は思うんです。そうすると、そのシステムというのは、そういう多様なNPOセクターが実は支えているというところを、関連性を持って実はアメリカ社会やイギリスの社会が存在しているというところを見ないと、アメリカの市場メカニズムだとかそういうところだけを引っ張っていくと大変これは問題が出てくるんじゃないかなというふうに思うのでありますが、官房長官、今その種の民間の女性シェルターといった、これは法人格を取っているところもあればないところもあるんですが、それが現在どのような状況で苦しんでおるのか、どのようにつかんでおられるか、ぜひ一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/197
-
198・村岡兼造
○国務大臣(村岡兼造君) 今まで女性担当大臣でございましたが、私になりましてから男女共同参画担当と、まずこうなったわけでございます。
民間の女性シェルターですね、私がわかっておりますところは、北海道に四カ所ぐらいありまして、現在全国で二十カ所程度あると。その機能、実態はさまざまで、大変小規模である、こう聞いております。
どういう悩みがあるかと。全国で二十カ所しかなく、絶対数が少ないということ。財源を有志から寄附などで賄っており、恒常的に財源が不足しておる。シェルターの運営には相当数のスタッフが必要であるが、人材の確保が難しい。また、民間シェルターの活動に対する社会の認識が不足している。また、保護女性の自立に困難を伴うことが多く、自立までに日数、費用がかかる。こんなところが困難な情勢でございますが、唯一、このうち売春を行うおそれのある要保護女子の保護更生に関しましては、民間の社会福祉法人の運営する婦人保護施設に対し費用を補助していると聞いておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/198
-
199・峰崎直樹
○峰崎直樹君 今、官房長官御指摘されたように、同じことを私も、財政的に大変である、人材の確保で非常に苦労している、援助プログラムがなかなか少ない、進まない。実は行政の側も、例えば道庁でいいますと女性援護センターとかあるんです。ところが、それは売春防止法とか児童福祉法とか精神薄弱とか、そういう法律に基づいてでき上がっているものですから、このいわゆる駆け込みに来る方々は単にそれだけではないんですね。
聞いてみますと、地域行政とどれだけネットワークしているのかというと、福祉事務所、福祉ケースワーカー、警察、裁判所、弁護士、婦人相談員、本当にあらゆるところと連携をしないと実は問題が解決しないという意味で、ある意味では私はこのような問題は女性の問題だけではなくて、子供もそうかもしれない、あるいはお年寄りもそうかもしれない、社会的に弱いところに全部今しわ寄せがいき始めている。そのことを実は行政が、もちろん十分努力をしているんですが、それだけではカバーし切れないという意味でNPOのセクターというものがますます必要になってきているんだと思うんですね。
そうすると、総理、先ほど非常に高く評価をしていただいたんですが、NPO法案が通ります。それから寄附金税制がたしか与党と、我が民主党ももちろんその中にはぜひ入れていただいて、そしてこの寄附金税制の問題も議論しようと。そうなったときにはこの財政構造改革というものの中にきちんとこれは位置づけられるんだろうかどうだろうか、位置づけるべきではないんだろうかというふうに思うんですが、この点は、担当大臣は大蔵大臣ですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/199
-
200・村岡兼造
○国務大臣(村岡兼造君) 積極的な財政支援を行うべきでないか、こういうお尋ねであろうと思います。
ただいま男女共同参画二〇〇〇年プラン、あるいは審議会でもこの問題を審議していただいております。緊急やむを得ない場合の一時保護や社会復帰の支援は極めて重要と考えております。今後、地方公共団体やNPOが運営する相談・救援施設との連携を強めるとともに、それらに対する、まず今の女性シェルターの実態を把握しまして支援方策を検討してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/200
-
201・峰崎直樹
○峰崎直樹君 先ほど総理から本当にNPOセクターと、これは恐らくいわゆる市民のNPO法案に規定されるものもあれば、恐らくさまざまな大学であるとか私立大学だとか、あるいは法人格を取っている団体も入ってまいりますので、それらは今税制における支援をしておったりするわけでありますから、当然これはこれからの重要な、地方に任せるものは地方に任せていこう、さらにNPOセクターに任せたものはこれを支援していこう、こういう形になって初めて私は財政構造改革の構造の中身が変わってくるんだというふうに思いますので、この点はぜひ要望しておきたいと思います。
きょうはもう残された時間は少のうございますが、景気の問題と構造改革の構造の問題について今からお話を聞いてみたいと思います。
そこで、まず日銀からちょっと、お呼びしていると思うのでありますが、先ほど直嶋委員の質問にもありましたように今から二年前に〇・五%まで下げました。そして、今通貨の供給量というのは、私の調べたところ大体直近では七ないし八%、それからM2プラスCD、いわゆるマネーサプライはそれよりも相当下がっているんじゃないか、さらに銀行貸し出しはもっと下がっているんじゃないかと思いますが、このあたりは日銀としてはどうしてこのようにマネーサプライが下がっているというふうにお考えなんでしょうか。
どんどんじゃぶじゃぶお金は出しているんだけれども、それが与信機能として実は銀行の方から中小企業とか企業に回っていないんですね。そうすると、一方では貸し渋りだと言われている、一方で日銀の方はどんどん貸していると言う。そのお金は一体どうなっておるんだろうと。この点は実は大変疑問に思う点でありますし、また国民の前にその点はぜひ明らかにしてもらいたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/201
-
202・福井俊彦
○参考人(福井俊彦君) お答えを申し上げます。
ただいま委員から七%あるいは三%、あるいは銀行貸し出しはもっと低いのではないか、こういう御指摘がございましたが、恐らく七%とおっしゃいましたのは銀行券、現金通貨のことではないかと思います。三%ぐらいとおっしゃいましたのは、多分一番通貨の代表的な指標でございますマネーサプライ、その中でもM2プラスCDというところではないか。それから、銀行貸し出しの伸び率はそれよりもさらに低いのではないかと。いずれも御指摘のとおり、そういう状況にただいまございます。
九五年の秋以降、現行の公定歩合水準ということで非常に低い金利をしいて金融緩和政策を遂行し続けてきておりますが、その緩和効果の浸透はさまざまな面に見られるわけでございます。現在までのところ、代表的な指標でありますマネーサプライの伸び率で申し上げますと、今申し上げましたとおりおおむね三%前後ということでございます。昨年の水準が三%台半ばぐらいでございましたから、厳密に比較をいたしますと最近通貨の伸び率がやや下がっているということでございます。
この変化を正確に分析することはなかなか難しいわけでございますけれども、御議論の対象になっております現在ただいまの日本経済の動きがことしの四月以降減速局面に入っている、経済活動のスピードが少し落ちているということと恐らく密接な関係があるのではないか。したがいまして、企業の資金需要が積極的にはこの低金利の状況のもとにおいても出にくい状況が続いているということが一つあると思いますし、金融機関の方も、かつてのバブル期の時代とは違いまして、リスク意識あるいは収益性意識というものを強めながら二十一世紀への新しい経営姿勢の確立の途上ということで融資姿勢が変わっている、その双方の影響がここに出ているというふうなことだと思います。
私どももマネーサプライの動きは経済全体を判断していきます上に非常に重要な指標と受けとめております。かつまた、マネーサプライの動きが大きな変化を示しますときには、過去の経験から申し上げましても、経済のどこかで大きな問題が生じているリスクがあるときだということでございます。
今申し上げましたとおり、最近のマネーサプライの伸び率の変化はまだわずかでございまして、今後これがどういうふうな変化を示すか、そこに重要なサインが示されてくるかどうか慎重に見ていきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/202
-
203・峰崎直樹
○峰崎直樹君 ありがとうございました。
ということは、通貨の発行量は非常にふえていると。先ほど言ったことの繰り返しになるんですが、中小企業は景気が悪いから金を借りないんだということなんでしょうか。私ども地域で聞いてみますと、いや、とにかく最近は銀行は金を貸してくれるどころか貸していた金を戻せという、そういう動きすら出てきているんですよと。
これは、昨年実は金融三法で通りました金融機関の健全性確保法、来年四月から早期是正措置の導入がなされるわけですね。この早期是正措置が入ってまいりますと、銀行は不良資産というものを抱えている、そうすると株価が下がってくれば当然それに対応して貸し出しを渋ってくるという意味で、ある意味では非常におかしな現象というのは、むしろその一番の根っこには金融機関のいわゆる不良債権の堆積というものがあるんではないのか。
これは、先ほどの構造問題に実は帰着するんですが、日本経済の構造と言うときの構造の中身は、私はこの間の景気の動きをずっと見ていると、どうもこの金融機関の不良債権問題というものがまだ根っことして残っていて、その根っこが実は貸し出しを渋ったり、マネーサプライをふやしても全然動かない、金利は下がっているのに借り手がいない。これは通常、流動性のわなだというふうに経済学者の中で言う人もいるんですが、そういう状態に陥っているときに一番解決をしなきゃいけないのは、財政構造だとかいわゆる総理のおっしゃっている六大改革全体をやるんではなくて、何か構造の中でも一番のポイントになるのは、不良資産の問題をこの機会に変えないと大変なことになるんではないか。
きょう今、私の部屋へ帰ったらエコノミストが届いていまして、「金融恐慌の地鳴りが聞こえる」と書いてあるんです。こんなふうになってもらっちゃ困るんですが、実は戦前の日本の金融恐慌から経済恐慌へと、大不況へと移っていったときとどうも非常によく似ているんじゃないか。あのときは金解禁で、今回はビッグバンだと。そして折しも関東大震災と、余り例えばよくないんですが兵庫の大震災と。何か非常によく似ている雰囲気が出てきて、そしてあのときも今と同じような状況が続いていたんじゃないのか。
だからこのときにきちっとその不良債権問題を、あの住専で何だか政治家は懲りちゃったのかもしれませんが、今ここで変えないと、実は世界の人たちは日本の株式市場あるいは債券市場もそうなんでしょうが、この状態を見たときに、このいわゆる不良債権問題というものをしっかり解決するというところにメスを向けないと、本当に日本発の世界恐慌、金融恐慌に移っていってしまうんではないかという、そういう心配はないんだろうかというのを私は非常に痛感するんですが、この点はいかがでございましょうか。これは大蔵大臣でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/203
-
204・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 大変深刻なサイドに立っての警告の御質問かと思います。
そういう中で、不良債権の問題が指摘をされました。御指摘のとおり早期是正措置、来年の四月からスタートであります。自己資本比率と相並行してセクターのオープン、情報公開、信頼がそこから持ち上がるであろう、こういうことで各金融機関それぞれが全力を尽くして不良債権の解消、健全経営に向けての努力をしておりますことは御承知のとおりでございます。
私が把握する限りにおきましては、不良債権の解消は全体として状況が大きく改善の方向にありますと、こういうことです。九七年三月、対一年前の三十四兆八千億円の不良債権が大体七兆減りまして、二十七・九兆円、こういうことであり、進行しておりますから、それが改善の方向にあると見ております。
それと、その件について貸し渋り等々で中小企業者が金融的に押し込まれるのではないかということでありますが、その点はそれぞれ当局として金融の持つ社会的責任、そういう観点からサポートをするべきである、こう申し上げさせていただいておるところでありまして、いわゆる貸し渋りという問題は、全体の金融需要の低下と、もう一つはさらにリスク管理のそれぞれの金融機関の経営方針の徹底という中のはざまにあることは間違いありません。そういう中で、金融三法がしっかりと機能して下支えをしておるという意味で、私は御指摘のような事態は起きることはございません、ファンダメンタルズ、経済の基礎的諸条件がきっちりとしており、決して悪くないということでありますと、こういうことで答弁にかえます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/204
-
205・峰崎直樹
○峰崎直樹君 そういう答弁なんですが、今状況は改善の方向にあるとおっしゃったんです、全体の不良債権の金額を表示されたんですが、これを実は余り信用している人は少ないんじゃないかと思うんですよ。
先日、実は三菱銀行、最近は東京三菱銀行と言っておりますが、合併して非常に強力になって、恐らく日本で今一番優良バンクじゃないかと言われております。だからその名前を出しても差し支えないと思うんですが、そこでたしか一兆円近い不良債権の償却をやった。これはアメリカのSECに出していたときの不良債権の額と比べたら何倍になっていますでしょうかね。
それから、もう一つ私が気になるのは、これも名前を出しません、ある有力な銀行が去年の段階で、赤字を出してこれで償却は全部終わりましたと。その銀行がまたことしも同じように赤字を出して償却しましたというふうに言っているんです。
そう考えると、こうやって政府の大蔵大臣が答弁されるけれども、どうもマーケットの人たちは日本の金融不良債権の実態というのはそんなものじゃないんじゃないかと。公表されているものの三倍ぐらいあるんじゃないかというふうにある格付機関はこの間、新聞報道に載っていますよね。その意味で、私はやはりそこのところは大変大きな問題を持っているのではないかなと思うんです。その際に、去年金融三法を出したからこれで万全なんだというふうにシステムをおっしゃるんですが、私はそうだろうかと。
金融機関の健全三法がございましたね。先ほど言いました早期是正措置、それから金融機関更生手続特例法、それから預金保険法の一部改正。特に預金保険法の一部改正が非常に重要なんだろうと思いますが、この預金保険法の一部改正で日銀が担保できているのは一兆円、今のところはそうでもありませんが、もしこれからの金融機関の債権を、不良債権の問題は関西の方でいろいろ言われていますが、そういうものを出したときに果たしてこれで賄えるのか。日銀だって恐らくバランスシートがあるでしょうからそれを貸すわけにはいかない、貸し出せない、あるいはそうなると財政資金も投入せざるを得ないというところにいくのではないかなというふうに思うんです。
余り多くの時間がないので私の方から先に言いますが、そういう破綻をした金融機関の処理の問題はいいんですが、破綻をさせないで実は再建をさせるスキームというのが私は非常に重要になっているんではないかと思うんです。この点、例えばマネーセンターバンクと言われる大変大きな都市銀行なんかになると、私はこれは倒産をさせると言ったらシステムにシステミックリスクという大変な問題が出てくるというふうに思うわけでありまして、その点で私はもう一つ考えなきゃいけないのは、今かなりの大銀行が非常に不良債権を抱えておる、そのときにこの不良債権を抱えている銀行をどのように支えていきながら、その銀行を破綻させないで再生させるか、この点が非常に重要なんだと思うんです。
ですから、今ちょっと戦前のお話を申し上げましたけれども、第二次世界大戦の前のアメリカにおいて、一九三〇年代に実は自己資本の再構築による財務体質の改善ということをやっているわけです。RFC、レフコープといいますか復興金融公社、ここで銀行の発行する優先株を買い入れて、レフコープは債券を発行してそれを受け入れる、そしてそれは銀行の体力回復によって徐々に償却をさせ、そして実はその優先株から、経営が上がれば、経営体制がよくなればそこから利潤が戻ってくるということで、最終的にはほとんど国民の負担がなかったと言われている。こういうようなものも実は考えられてしかるべきなのではないかなというふうに思うわけであります。
もちろん、それ以前にペコラ委員会という不良債権の問題についての処理をした金融機関もあるわけでありますが、この点、合併方式あるいは持ち株会社というものがこれからできますから、そういうものをやる方法もあるんだと思いますが、今お話を申し上げたような銀行のいわゆる体力の回復を図らせる方法ということについて、今大蔵省は何らかの方策を考えておられるのかどうなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/205
-
206・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 詳しくはまた政府委員から答弁させますが、御指摘のようなことをお互い頭の中に置きながら、絶えず注意深く金融界、セクターを見詰めております。適宜適切そのことが大事に至りませんように指導しておるところでございます。
そういう中で、不良債権の改善というのは絶対の要件でありますから、これは自己責任の原点に立ちまして、その金融機関の前進、経営安定、こういうところで信任を得て十分の活動ができるようにサポートする、支援をするという、これはお金でどうということではなく、頑張れということで相努めておるところでございます。
私の判断は、先ほど不良債権の改善が進んでおると申し上げたのは、血みどろの、改善に向けて最大の努力をしていることだけは間違いございません。そのことを申し上げました。
そういう中で、御指摘のように、昨年通常国会において成立をいたしました金融三法を踏まえまして、引き続き預金者保護の観点、さらには金融システムの安定性確保のために適切に取り組んでおるところであります。
以上が取りまとめた基本的な考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/206
-
207・峰崎直樹
○峰崎直樹君 今のお話ですが、結局その場合でも、やはりその大前提としては、その金融機関の不祥事を起こした、あるいは問題を起こした人たちの責任の問題というのは当然出てまいります。
今ちまたには四大証券を初めとして企業の方々が連日報道されない日はないぐらい不祥事が続いているわけでありますが、こういうある意味では今、私先ほど金利の問題をお話し申し上げませんでしたけれども、〇・五%の公定歩合をずっと続けているというのは、この金融機関の不良債権を何とかしょうというのが根底に私はあるんだろうと思うんです。そのことのマイナス要因がどんどん今出始めているという意味で、ある意味では早くこの問題の根っこを解決しなければ、その場合はやはり公的な資金を使っても解決をしなきゃいけないのではないかという有力な意見があるんだと思うんです。
ちなみに、第二次世界大戦前の日本の昭和金融恐慌の教訓として、各銀行がばたばたと倒産する、その合併をするときに、岩手県、群馬県、宮崎県、この各自治体は県債、県の債券を発行してその資金を使って合併銀行の発行した優先株を買い入れておる、こういうことまで実はやっているわけですね。
それで大蔵大臣、これは答弁要りませんが、その公的な資金というものは、地方自治体も含めて、そういう形での銀行の基礎体力の回復というところに早くメスを入れていかないと、おくれればおくれるほど私は問題が出るのではないかなというふうに思っておりますので、この点はぜひ政府の方で、今株価はまだ四十円、五十円下がったぐらいだと言っていますけれども、いっこの不安定な状態が深刻になるかわかりませんので、その点はぜひよろしくお願いしたいと思います。
さて、もう時間も余りなくなってまいりまして、この財政構造改革の内容の問題について少し触れてみたいと思うわけでありますが、実は私どもの仲間であります今井澄さんが十月の初めに代表質問で総理に質問をいたしました。その中にいわゆる国民負担率というのがある。今度の財政構造改革の中でも、国民負担率は二〇二五年においてもいわゆる上限は五〇%以下に抑える、こう書いてある。その中に財政赤字も含めると書いてある、括弧して。この財政赤字を含めるというのがどういう意味を持っておるのかということがよくわからないというのが一点でございます。
それと、実は今井澄さんが厚生委員会でも小泉厚生大臣とも論争しているところでありますが、国民負担という表現はどうもやはりますいのではないか。まずいというか、間違いとは言わないにしても、先ほど実は、これは国民負担率の問題ではございませんが、厚生大臣、衆議院の財政構造改革の特別委員会の議事録を読みますと、これは共産党の児玉さんの質問にこのように答えられております。「国民負担といいますと、税金も国民負担であります。保険料も国民負担であります。病気になったときのいわゆる自己負担、これも国民負担であります。すべてを勘案して、国民負担が過重にならないように、」云々ということを述べられています。
そうすると、国民負担率というのは、個人負担で払っているところまで入れて考えなければお話しなさったことと一貫性、国民負担率という表現で使っているのは別のことだというふうにおっしゃるのかもしれませんが、そこら辺はやはり私ども、今井さんとよく議論をするんですが、公的負担というふうに言い直した方がそれは正確なのではないかなと。
と同時に、これは何を言っているかというと、財政構造改革会議、今度の法案の中で、絶えずキャップが出てきますね、数字が。この数字が出てくると、かつてのシーリングと同じように、当然同じ問題が、今度はそれぞれの省庁の分野ごとに弱いものに実は一番問題がいくのではないか。国民負担率というふうに言って、それを五〇%に抑えたときに、本来積み上げていくと五五%になるかもしらぬ、それを五%下げるというときに、その負担は、しわ寄せば弱い方にいく危険性がないかなということを実は一番心配しているわけです。
そうすると、社会保障という考え方からすると、これはある意味ではそのセーフティーネットの問題も含め、ただ単に救貧的な性格じゃなくて、人間らしい生活をするための最低限の費用という観点からすれば、私はやはりこのパーセントを、上限をそういうふうに設けることの是非の問題も含めて、まず厚生大臣にこのように答弁されている点のお考え、そして総理からもお考えをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/207
-
208・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 一般の国民にわかりやすくお話しすると、国民負担というのは税金も国民負担、保険料も国民負担、病気になったときお医者さんに払う自己負担も国民負担、これはわかりやすいと思うんです。しかし、政府が使っている国民負担というのは、今言ったように公的負担と言った方がいいじゃないかという議論は承知しております。私もその方がわかりやすいかなと思っております。しかしながら、定義が、国民負担という名前がいいのか、公的負担という名前がいいのかというのはこれからの問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/208
-
209・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 通常、国民負担率と言いましたときに、租税並びに保険料というのが通例でありますけれども、今回これに財政赤字を加えて国民負担率という考え方をとりましたのは、この債務が長期にわたり本当に残念ながら一遍に返せるようなものではない、そうすると、当然ながらそれがどういう形かで国民にはね返る性格のものでありますから、やはりあわせて考えていくべきではないだろうかということからこういう考え方をとりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/209
-
210・峰崎直樹
○峰崎直樹君 そうすると、このいわゆる五〇%、括弧財政赤字を含むというのは、そのときにはどのようにして財政赤字をこの国民負担分として計算するんでしょうか。これはもし専門家おられればちょっと、主計局。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/210
-
211・涌井洋治
○政府委員(涌井洋治君) 先生御案内のとおり、この法律に明記してありますように、税それから社会保険料負担、これが従来使われてきた国民負担の考え方でございますけれども、現在、政府サービスに対する負担率が低いと、その差額が財政赤字であるわけですが、これは将来的には国民の負担になるということでございますので、その政府赤字分を加えた分がこの法律の意味する国民負担ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/211
-
212・峰崎直樹
○峰崎直樹君 要するに、毎年のいわゆるフローの負担と、将来的に出てくるであろう、しかもそれはよく大蔵省が言うように、橋をつくるかもしらぬ、それは将来の人も実は便益を受けるんだよ、だからこれは決して今のものではないんだよと、そういうものがごっちゃになっているような気がするんです。
それで、私は非常によくわからないところがあるんですが、これは時間がありませんから、最後に小泉厚生大臣にちょっとお聞きします。
実は今、年金制度はいわゆる修正賦課方式と呼んでいますが、移行過程では大変困難ではあるけれども、これを積立方式に変えたら、その積み立てに要する費用はこの国民負担率から外せますか、外せませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/212
-
213・近藤純五郎
○政府委員(近藤純五郎君) 国民負担率の関係で、保険料として当然上げるということになりますので、その分は国民負担率の中に含まれると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/213
-
214・峰崎直樹
○峰崎直樹君 そうすると、要するにこれは個人がいわゆる貯蓄をしていくわけですね、個人が積み立てていくわけでしょう。このようなものが私は将来的には望ましいと思うんです。しかし、そうなると、個人の私的な貯蓄とこの公的な貯蓄とどこに差があるんだろうかということで、これは本当に国民負担率五〇%という表現というのは、どうもいろいろ考えていくと、目標値として見たときにいろいろな改革の上でなかなかこれは我々納得しにくいところがあるなと。
大蔵大臣もうなずいておられますが、その意味で私は、我が民主党の態度は、国民負担率というのはやはり我々努力はするけれども数値として設けるべきではないのではないかという意見を申し上げて、時間が参りましたので私の質問を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/214
-
215・赤桐操
○赤桐操君 財革法が衆議院で論議がなされ、いよいよ本日から参議院に回ってまいりまして審議のスタートを切ることに相なりました。総理初め閣僚各位には大変御苦労さまに存じます。
まず、私は、私ども連立与党が求めてまいっておりまする財政構造改革の真の目的は、政官財の癒着によるしがらみと惰性の歳出から速やかに脱却して、新しい財政のあり方へと大胆に切りかえることにあったのではないかと考えております。それは、同時にまた、納税者の要請にこたえ得る安心、安全な公共サービスを提供できる効率的で信頼性のある行政府を再建することでもございます。
財政構造改革を進めるに当たりましては、まずは何を目的とする財政構造改革であり、その結果としてどのような新しい社会の具体像を目指すのかということをいかに明確に国民の前に明らかにすることかと思うのであります。なぜ財政危機が生まれたのか、その構造的要因にまで踏み込んだ御認識をお聞かせいただきたいと存じます。大蔵大臣にお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/215
-
216・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 大変財政構造改革の目指す政治哲学、政治理念にわたるお話でございます。国家は、長い歴史の中で積み上げてまいりました伝統と文化、よき美風をしっかりとキープしながら、次世代にこれを渡していかなければなりません。この国に誇りを持つということは、教育改革の分野の中で、自立した国民として、そして日本国民として存在する限り何をしなければならないかという基本論にまで結びつくのではないでしょうか。
そういう意味で、最大限深刻な問題は、後世によいことではなく最悪の事態を先送りしていくということであろうと思います。五百二十兆に及ぼうといたしております国、地方の長期債務を含めた要処理額等があります以上、これを確実に償還して健全財政に戻るのだという道筋をしっかりとしなければならぬだろう。そのためには、旧来の陋習と言われるしがらみは絶っていかなければなりません。
国民各位に痛い思いを御辛抱いただく以上、政治がまずみずからを戒め、みずからを改良、改善していかなければなりませんでしょうし、そうすれば官界またしかりであります。国民の公僕でありますから、この激流と潮流をしっかりと皆さん見詰めてやり抜くということ。そうすれば産業界も、頼るのではなくして自分の両足で立ち上がって物事を解決していくという自立経営方針というのが自己責任とともに確立をされるのではないだろうか。こんなふうに思いながら一生懸命御指導を賜りつつ頑張っておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/216
-
217・赤桐操
○赤桐操君 今回の財革法には、先ほど来お話がありましたとおり、いろいろと目標値がそれぞれ定められております。キャップもされておりまするし、抑制額も明示されております。こういう経過でございますが、歳出の削減のみが至上命題化してしまいまするというと、その痛みは公共サービスの削減や負担増などの形で国民にのみしわ寄せされてしまう。これを避けるには、行政、社会保障、経済などの改革を同時に進めて公共サービスの効率化や高コスト体質の是正を図っていくことが財政改革を進めるに当たりまして不可欠の前提となるべきものと考えますが、大蔵大臣の御見解はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/217
-
218・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 赤桐先生御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/218
-
219・赤桐操
○赤桐操君 大蔵大臣ばかり集中しているようで申しわけありませんけれども、大体財革法は大蔵大臣が主管でございますのでこれはひとつ御了承願いたいと思います。
財革法というものを成功させていくためには、やはりこれと並行して日本経済全体の上昇がなされていかなければならないだろう、こういうように考えるわけであります。そして、総理の目標とされた六つの目標が同時に進められていくわけでございますが、その関連の深いものの一つとして、この法律には出ておりませんが、財政投融資の問題があると私は思います。
この財政投融資というのは、今取り組まれている行財政改革とはまことに深い関係を持つものと存じるものであります。大蔵省に資金運用部が設立されましたのは一八七六年、明治九年でございます。さらに、現在のようなシステムで運用させるようになりましたのはそれからしばらくたちまして一八八五年、明治十八年と記されております。そして、戦後、敗戦という未曾有の混乱の中から世界的にも驚異の復興を遂げ、さらに一九六〇年、昭和三十年代でございますが、高度経済成長を遂げ、その後の経済変動等を支え抜いてまいったのがいわゆる財政投融資の資金でございます。一般会計と並行して推進されてきたこの財投の役割は非常に大きかったと私は考えるものであります。
財投に使われてきたこの金は、御承知のとおり庶民の皆さんの金でございます。国民の皆さんが積み上げられた資金でございます。したがって、その運用については、民間金融機関とは異なって公的運用、すなわち財政投融資として国民の皆さんの最も身近なところに還元されながら使われていく、こういうシステムで運営されてきたと思うのであります。
すなわち、住宅や道路、学校、上下水、下排水を初めといたしまして、関連公共施設を中心とする生活基盤向けの投資、あるいはまた産業道路、港湾、鉄道等々、産業基盤向け投資に使われてきたものであろうと思います。これは毎年の統計で大変よく数字が出されてきた。あるときには生活基盤向け投資に重点が置かれた年代もございました。あるときには産業基盤向け投資に大きく比重を傾ける時代もありました。しかし、いずれにしてもそういう形で運営されてきた、一貫性を持ったものであったと思うのであります。
したがって、民間金融機関の資金運用はこうした基盤向け投資に支えられて民間資金として十二分に運用することができたと私は考えております。道路や港湾その他、こういったいわゆる産業基盤や生活基盤向けの投資がこうした資金によって賄われながら、そして一般会計と並行して遂行される中で、その整備された基盤の上に、民間の銀行の金あるいはまた生命保険等のいわゆる民間金融機関の金は使われてきたと思うんです。みずから集めた金を一〇〇%運転することができたのもそのためだろうと考えております。
要するに、財政投融資は、長い歴史的経過の中で明らかにされておりまするように、我が国の今日の経済社会をつくり上げる支えとして大きな役割を果たしてきた、このように考えるのでございますが、大蔵大臣の御所見はいかがなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/219
-
220・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 単年度予算主義をとっております我が国の財政運用でございます。そういう中で、赤桐先生御指摘のように、まさに財投は、民業においてでき得ないこと、そしてまた政府一般会計予算において十分になすことのでき得ないもの、長期プロジェクトがそれに相当するわけでありますし、長期資金を必要とする、こういうことであり、国民の要請また時代の要請に基づいて今日の日本の基盤を築き上げてきたことだけは御指摘のとおり、同感であります。
今後とも、この国民のとうとい預託されたお金、郵貯二百二十兆円、そして厚年百二十兆円を超えると言われております、簡保百兆円というようなことで、合わせますと四百五十兆円にもなろうといたしておるわけでございますが、この資金運用が、預託制度という問題についてただいま行革会議におきましてもまた三党の中でも御論議が行われておるところでありますが、民業補完と償還確実性ということを基本として、いずれの体制になりましょうともこのことがしっかりとキープされ、役目を果たしていくということは大事なことかなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/220
-
221・赤桐操
○赤桐操君 そして、伺いたいと思うのでありますが、そういう役割を果たしてまいったわけでありますが、これから二十一世紀に入っていくことになりますと、もう今そういう状況になりつつありますが、いわゆる超高齢社会という話が出てまいります。そうすると、健常者を中心としていた時代では考えられないような各種の社会構造の変化が求められてくるのでございます。
それはもう具体的に申し上げるまでもありませんが、医療とか福祉施設とかはもとよりでありますが、住宅にいたしましても道路にしましても、あるいはまた町づくりにしても交通機関等にいたしましても、これはやはり大変大きく変えていかなきゃならない時代になるんじゃないでしょうか。こういった生活基盤づくりに相当なやはり大きな資金も必要となるであろうし、対策も必要となるであろうと私は思っております。また同時に、そういう状態になってくると新しい産業も開発していかなきゃならぬ、新たなる産業基盤の整備も求められてくることになるだろうと思います。こういうぐあいに、社会構造全体が根本的に大きく変わっていかなければならないだろう。これは先進諸国の状態を見ましてもそういうように配慮されてきておることも事実でございます。
したがいまして、財投の資金がこれから私はますます必要となると思うんです。その資金源がどこにあるかは別にいたしまして、財投の金はますますなければ仕事にならないだろうと私は考えております。最近、財投不要論等も出てきているようでありますが、私はこういう説は用いないのであります。やはり財投の資金はますます必要となる、そしてまたこの資金ができる限り低コストでなければならないと思います。今までの財政投融資に使われてきた資金のあり方としてはまことに低コストの資金だったと思いますね。
こういうことも考えてみるというと、今日までの財投のあり方というものについてはもう一遍きちんと整理をしておく必要があるのではないか、このように実は考えるのでございますが、大蔵大臣、どういうようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/221
-
222・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 本件につきましては、赤桐先と言われるとおり、私もその果たしてきた役割は極めて重要であった、こう思っております。
こういう大きな転換期に当たりまして、構造改革という全体の見直しの中で行政改革会議が本件を取り上げられております。同時に、各党でもこの論議が行われ、与党三党の中でもこの重要性を認めっっも、どうあるべきかというその存在感の問題について議論が行われておりますこと、御案内のとおりであります。さらに、資金運用審議会におきましていち早く本件を取り上げ、研究、分析をしておられます。そういう中で私どもは、その議論を踏まえながら改革を推進する方針のもとで、今後基本方針を堅持しながらどう取り組むか、こういうことで勉強をいたしておるところであります。
行政改革会議、三党の会議、国民世論の動向、これを体して御研究、審議をいただいておる資金運用審議会懇談会の結論を待って、その結論が出ますれば当然その結論に従いまして今後にしっかりと対応していかなければならない、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/222
-
223・赤桐操
○赤桐操君 この財投問題を論議すると、当然財投債なり財投機関債という問題が出てまいるのであります。最近の新聞の論調でもやかましくこれが出ておるようでございますが、財投債と財投機関債というのは明確にこれは異なるものだと私どもは認識いたしております。どういうものであるか、大蔵大臣からお差し支えない範囲で御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/223
-
224・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 内容は具体的には理財局長から答弁させますが、財投機関債、新しく見直しの上に立って財投のあり方が決定をいたしますと、今まで財投資金の配分を受けて事業をいたしておった各位が、事業執行を命ぜられておることであれば、資金の調達を独自にその機関が発行する国債のマーケットにおける消化を目指してやらなければなりませんでしょうし、それと党において論議をされて出ております財投債という問題もあるのではないか。いわゆる預託を廃止するという中間取りまとめがなされておることを踏まえて真剣な論議が行われておるところでございまして、私からはその結論を待ってどんな対応でもできるように事務当局に研究、勉強をしておけ、こう申し上げておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/224
-
225・赤桐操
○赤桐操君 私は、財投機関債というものと財投債というものは根本的にこれは違っていると思っておるんですね。
ですから、今のように例えば年金積立金やあるいは簡易保険、郵便貯金等の金をこういうところへ、資金運用部に預託したような形でもってやるということはできないと思うんです。財投債は、これは求めることはできると思います。しかし、財投機関債というのは、これはそういう性格のものではないように私は今論議の中で見受けておるんです。これは案が決まったものではないようでありますからわからない点もありますが、どうも論調が大変ぐあいの悪い方向に行っているのではないだろうか。
私どもの立場といたしましては、これは財投債と同じような形では扱えない、財投機関債に対してはいささか慎重にならざるを得ない、こういう考えでございます。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/225
-
226・三塚博
○国務大臣(三塚博君) ある仮定を置いて実は財投機関債という勉強が党において行われていると聞いております。その話を聞く限りにおいて申し上げたところであります。
公社公団の中長期プロジェクト遂行上必要であるというA公団が運用部資金の活用ができなくなるという大前提に立ちました場合に、そのA公団、公社なりが発行する国債によって資金を調達する、こういう方式が最終的に残されるのかなと。ただ、いろいろとその場合のマーケットに及ぼす影響、また調達についてのハンディはあることは間違いなかろう。優秀なプロジェクトだという判定のもとでいけばまさにそのことは消化されると思いますが、財務内容の問題等がよくないということであれば、高利、いわゆる普通の利子のプラスオンされたものでありませんと消化ができないのではないか。市中の資金調達と競争をするからそういう結果になるだろうと。
財投債の問題は、従前の中でやってきた手法でありますが、新しい前提に立って行われるというお話を聞いておれば、この財投債については新しい仕組みをどう備えるのかということであろうと思いますし、特にこういう自由市場、金融の大システム改革を断行するという、フリー、フェア、グローバルという観点に立って物を考えますと、新たな財投の運用はどこが行うのか、こういうことになるでありましょうし、この辺のところは今後の行革会議の最終の取りまとめまでの間御論議が行われる、こう思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/226
-
227・赤桐操
○赤桐操君 財投機関債というのは、これは大体政策金融としてなされるものでしょう。したがって、本来であれば、財投から金が出ていけばこれは国が保証しているものですよ、財投というものを出すんですから。そうでない、市場調達をするということになれば、これは話が違ってくるわけです。保証はないわけです、淘汰もされていくことになるんです。そういうところに金を集めさせて一体何をやるか。少なくとも政策金融機関として行っていく以上は政策的な緊要性が高いものでなきゃならぬ。そして収益性が低くてリスクが大きい。だからこうしたいわゆる政策金融機関に財投から金が出ていたんだろうと思うんですね。
そういうところに独立した機関として調達しろということはどだい矛盾したことじゃないですか。これは私は、目的とそのあり方については大変大きな矛盾を感ずるものでございます。
さらにまた、結果として今までの政策金融機関としては、民間では実施しがたい長期の資金供給、あるいはまた市場で安定的低利の調達が困難である、こういう場合において行われてきたものでありまして、であるから政策的な金融だったと思うのでありますが、それがこういう形でもってほうり出されてやるんだということになるならば、これは財政負担がますます大きくなることを考えなきゃならぬでしょう。これはもう倒れる場合もあるわけだ。その場合にはそのリスクはどこに背負わせるか。国民に背負わせるか、どこかで吸収するものがなきゃできない、こうなってくる。
いろいろ考えてみるというと、まことにこれは危険なものではないかなと思っておるし、政策的に行っていく機関としては大変矛盾したものではないかと私どもは考えておるものでございます。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/227
-
228・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 赤桐先生御指摘のような問題指摘も当然ありますし、お聞きもいたしております。
そういう中で、構造改革ということで大きな転換期に立っております。いつまでも役所がまた公的機関がそれぞれの政策目標を持った仕事を全部抱えてやる時代なのだろうかという視点があります。これは行政改革、地方分権、地方の行政改革を含めた問題点として指摘をされ、論議を呼んでおるところでございまして、公社公団もその限りにおいては、民業補完をしながら長期プロジェクトをお国のために地域住民のためにやり抜くということの効果は、また今日までやってきたことについては私どもは認めつつも、しかしロスがあったのではないだろうか、問題がなかったのであろうか、こういうことで、衆参合わせての御論議においていつも指摘をされるところでございました。よって、効率的、スリムな、また期待にこたえる組織とは何かという原点の御論議があるでありましょうし、入りと出の問題が盛んに論議をされるようになってきております。
赤桐先生の言われるとおり、そういう批判は批判として、一生懸命やっておるところについての客観的な冷静な見方をしたらどうだと、こういう御指摘があられようと思いますが、それは認めつつ、決して私もそれは否定するものではございませんが、大事なポイントは、今申し上げました、聖域なく、それで全部を見直し、二十一世紀に十二分にたえ得るものにつくり変えていかなければならないのではないかということであろうと思います。
財投機関債についても、まさに特殊法人の財務に対する市場の評価を受けさせることという半面があります。効率性の悪い機関はこれによって浮かび上がってくる、資金調達が難しい、こういうことにもなろうかと思います。
そういう意味で、特殊法人の運営効率化へのインセンティブがここに意義を持つということになるでありましょうし、その反面、政策として不可欠な事業が、市場の評価が低いために資金調達コストが上昇するか十分な資金調達ができずに不可能となるおそれもあるという御指摘もあろうと思っておるところであります。
そういう点を考えますと、財投債の問題が新しいシステムの中で出てくるであろう、こんなふうにも思い、論議の帰趨を今見ておるところでございまして、今後のあり方、今日の主管大臣として行政会議の動向を、また中間取りまとめを視野にしっかりと入れながら、御論議の帰趨を体し今後に対応できるよう、資金運用審議会の諸先生方にもお願いを申し上げ御勉強をいただいておるというのがただいまの現状です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/228
-
229・赤桐操
○赤桐操君 この財投の問題は長い歴史を持つものでございまするし、いろいろとお話がございましたように、これから新しい時代を迎えるに当たってますますこれは大きな役割を果たすものでありましょうし、今後の各種施策を遂行するに当たりましてはなくてはならないものであろう、こう考えますので、いろいろな角度から慎重にひとつ御討議をいただきまして、きちっとした方式を確立していただくように、御提示願うようにお願いを申し上げておきたいと思います。
次に、公共投資関係の問題について少しくお伺いしたいと思うのでありますが、一般歳出の中で大きなウエートを比較的持っておりまするのは公共投資関係費であろうと思います。今回の法律案では、公共投資関係費につきましては平成十年度予算の伸びを対前年比でマイナス七%以下に抑えることといたしております。また、下水道、都市公園等の各種の公共事業に関する計画についても、計画期間を延長することによって毎年の事業量を削減するということになっております。
このように、今後公共投資関係費が削減されて全体の事業量が減っていくという中で、これまでの公共事業費のあり方につきましては真剣にかなり絞った見方で見直していく必要が出てくるのではないか、このように考えるのでございます。
私は、公共投資関係費の配分等につきましては、やはり重点的に分野を絞って濃淡をつけていく以外にはないと思いますが、その場合、分野の問題につきましては、これは国民生活に最も直接的に関係する住宅やあるいは各種関連公共施設等の分野に予算を重点的に投入していくべきだと、このように考えるのでございますが、これはいかがでしょうか、大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/229
-
230・瓦力
○国務大臣(瓦力君) これらの問題に大変造詣の深い赤桐先生でございますが、住宅事情につきましては、今日まで国民の努力とそれを支援する政策によりまして着実に向上はしてきた、かように思うわけでありますが、良質な住宅ストックはなお十分でないと考えておるわけでありまして、今後、適正な負担により良質な住宅が確保される、こういう点に配慮をしつつ、質の向上を目指した総合的な住宅政策を積極的に推進していかなきゃならぬ。
その場合、いろんな手だてが必要だと思うわけでありまして、質の向上、住宅の整備につきまして、いろいろ今経済が極めて困難なときでありますので、このときが知恵の出しどころということで、今研究をしておるところでございますが、委員御指摘の点を踏まえながら政策立案に取り組んでまいりたいと思っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/230
-
231・赤桐操
○赤桐操君 住宅につきましては、もう大臣からお話がございましたが、バブルのころから見れば土地も大分下がってきておる。しかし、建設省の調査によりまするというと、なお住宅取得価額についてはかなりの価額に上っているようですね。年収の四・四倍、これは決して低いものではないと思います。いまだに一般庶民がこれを求めようとするときには、まだマイホームについては大変な夢となってきておるように思います。そういう状況でございまして、まさになかなか手が届かない状況に置かれている。
また、住宅の質の面におきましても、欧米諸国と比較して決して誇れる状況にはない。借家の一戸当たりの床面積等についても決してそういう状況にはなっていない、こういうことになっているようでございます。
しかし、そういう状況の中で、今この経済の大きな立て直しの中で、やはり住宅政策は一つの柱として位置づけられていると思うんです。先般の通常国会では、建ぺい率あるいはまた容積率全体が非常に大きく拡大をされました。あるいはまた、東京都内等でもかなりいろいろの土地が虫食い状態に置かれている、こうしたものにどう対策をとるか、土地の有効利用をどんなふうに促進していくか等々、大変論議がなされているところでございます。
現在、官邸でも一、二カ月論議されて、私も参画をさせていただいておりますが、そういう論議の中で、一番大事なことはやはり需要に対する供給でございますから、求める人、国民の皆さん方の求める額にならなくてはこれは処分できないんです。建ててみたところで売れないと思うんです。だから、今の状態では無理だというならば、もっと安くする方法はないのかということは当然考えなきゃならぬでしょう。その安くする方法というものについても、これは税を安くしたりいろいろの対策を今講じようとされている。これもよくわかっております。建設省はもちろん、大蔵省も御検討いただいているようでありますから大変結構だと思いますが、ただ問題は、土地の問題についてはいささかやはり矛盾があるではないかなと思っている。欧米各国と大きな違いを持っているのは、いわゆる土地費に差がありますよ、日本の場合は。これは二口’建て住宅の場合はもちろんでありますし、集合住宅でもそうですよ。関連公共費というのは半分ぐらいかかっているんですよ。その半分のものは全部受益者負担にかかっているんですから、これは当然倍のものになって、それを購入しているのがいわゆる購入者であろうと思います。欧米の各国であるならば、国ないしは州政府がほとんどこの関連公共費については一〇〇%近い補助、補助というよりはこれは賄っております。我々が行ってそれを聞いてみるというと、税金を払っているじゃないか、何でそんなものまで払うんだ、税の二重払いじゃないか、こう言って笑われるのが関の山なんです、実際申し上げて。
私は、もちろん今の財政状態、財政出動ということになると大蔵大臣の方になると思いますが、これはよくわかりますよ、現在の状況の中で。直ちに全額これは負担するということはできないかもしれない。しかし、もう既に関連公共費というものは一つの項目として建設省の予算の中にも入っているでしょう、これは。これはもう二十年前にスタートを切っているはずです、今はまだ二千億になっていませんが。そうなってくるというと、そういうものまでもう二十年前に持たれているんですから、これをもっと真剣に建設省自体も検討され、大蔵省との折衝の中でふやしていくことをどうして考えないのかというように私は思うんです。
率直に申し上げまして、今十万坪の土地で団地の開発をしようと思いまするというと、五万坪は関連公共になっちゃうんです。公共負担分ですよ。道路、公園、学校、そしてまた遊水地、上下排水、全部こういったものの費用になるんです。この費用が大体半分です。本当の純然たる用地費というのは全体の中の半分です。
ですから、これをきちっと見るということになるならば用地費は半分で済むことになる。例えば、四千八百万の四LDKで約三十キロか五十キロくらいの範囲内で建てられているものが、恐らく一千万から一千四、五百万安くなるんじゃないですか、土地費についても。そうなれば三千万前後ですよ、これは。私は日本経済を支えるに足るだけの大きな活況を呈することになるだろうと思いますね。こういうことについて建設省と大蔵省は真剣に論議をしてもらうべきだと思っております。
これは質問ではないですから、私の提言ですからお聞き取り願いたいと思うんです。これは官邸の中でも申し上げてきております。大蔵大臣に申し上げたはずであります。ですから今申し上げているわけでありますが、これは本気になってこの際検討してもらいたいと思うんです。
民間ディベロッパーの現場をやっている人たちが話し合っている中で全部出ております。もうディベロッパーにそういう負担を負わせる段階は終わった、これは国が負うべきだと、民間ディベロッパーがそう言っておるんですよ。そういうことで、これにひとつ本気になって取り組んでやっていただくならば、私は大きな成果を打ち出すことができるだろうと。これは国民の皆さんにも喜ばれるし、また日本の経済全体を吹き上げる大きな柱にもなってくる、こういうように思いますので、このことをひとつ私は御提案申し上げておきたいと思うのでございます。
いろいろまだたくさんあるんですが、少し話が長くなりまして半分ぐらいしか申し上げることができませんでしたが、ちょうど時間のようでございますので、この辺で終わらせていただきます。
最後に、ひとつ総理のいろいろと御所見を承りまして終わらせていただきたいと思っております。よろしくどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/231
-
232・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 本日の議員の御議論のうち、特に私は財投についての御論議を大変興味深く拝聴いたしました。
私は、財投資金というものが将来ともに全く不必要になると想定したことはございません。同時に、今の財投の仕組みそのままでいいとも思いません。殊に、預託というやり方があり、これは保険料あるいは郵便貯金等、郵政事業で集められたお金も自動的に資金運用部に預託される、そしてそれを資金運用部が使わなければならないために不必要なところにまでその資金は行っていないかという視点でのチェックは私は常に欠くことのできないものであろうと存じます。
そうした思いを一方では持ちながら、財投の有用性というものを忘れてはならないという御意見は非常に真剣に拝聴させていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/232
-
233・赤桐操
○赤桐操君 ありがとうございました。
終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/233
-
234・笠井亮
○笠井亮君 日本共産党の笠井亮でございます。
財政構造改革法案について総理並びに関係大臣に質問をいたします。
衆議院以来の審議を通じまして、今回の法案が、浪費については温存しながら国民の生活には耐えがたい犠牲を将来にわたって強いていくレールを敷いたと、かつてない内容であることが私は明らかになってきたと思います。国民の負担の増ということで一番今度の法案の中で端的にあらわれているのが医療を含めた社会保障の分野だと思います。
そこで、まず幾つかの数字的なことから確認をさせてもらいたいと思います。
去る九月から医療保険の改定が行われました、実施された。これによって受診抑制とか、それから治療中断ということで深刻な事態です。医療費が二倍になった、あるいは払えないので医者に行けないとか、お年寄りは早く死ねと言っているに等しいということを含めて全国各地で国民の怒りの声が上がっているということだと思います。
厚生省、今度の九月からの改定による国庫負担の削減額は幾らになっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/234
-
235・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 先般の医療保険の改正によります国庫負担の削減額でありますが、平成九年の九月実施で見ますと千三百二十億円でございます。満年度ベースで見ますと約三千億円ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/235
-
236・笠井亮
○笠井亮君 これによる実際の国民の負担がどれだけになるかという問題なんですけれども、どれだけふえるかと。たしか厚生省は一兆二千億円というふうに言っていると思ったんですが、私は二兆円の国民負担が新たにふえているということが常識になっていると思うんですけれども、少なくとも九月からの改定の場合、国庫負担の削減額の約四倍の一兆二千億円ということで、厚生省、よろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/236
-
237・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) これはいわゆる患者負担増、それから保険料負担増、この保険料と申しますのは政府管掌健康保険の保険料負担増でありますが、先般の改正は平成九年の九月の実施でありますが、先生が今おっしゃっております一兆二千億というのはこれを満年度ベースで見た場合でございまして、これを満年度ベースで見ますと政管健保の保険料負担増が二千二百億円、それから全体の患者負担増が九千八百億円、合わせまして一兆二千億円という数字になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/237
-
238・笠井亮
○笠井亮君 満年度ベースで約四倍だということでありますが、この社会保障の予算全体で見ますと、先ほど来ありましたが、年金受給者がふえたりあるいは賃金だとかあるいは物価上昇に伴って必要経費いわゆる当然増がある。今度の法案の第八条で見ますと、来年度で八千五百億円と見込まれている当然増を三千億円以下に抑えようということで五千五百億円を削らなければならない。さらに九九年度、二〇〇〇年度ということで、その予算でも当然増が二%を上回らないということが書かれておりますので、その間にやると言っています制度改革、前の基準でいけば連続ほぼ同規模で来年度、それから次の年、その次の年も四、五千億程度の大幅な削減になると思いますけれども、厚生省、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/238
-
239・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) 医療保険制度全体の中で今抜本改革というものの検討を進めておるわけであります。来年度、十年度予算におきましては、厚生省予算の中でさらに四千二百億ほど節減をしなけりゃいけないということでございます。十一年度以降につきましては、医療費の動向、それから抜本改革の方向等々を見ませんと、数字的なことはまだ今の段階では申し上げられないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/239
-
240・笠井亮
○笠井亮君 いずれにしましても、こうした予算削減がどれぐらい国民の負担になるのかという問題が非常に大きな問題だと思うんです。
それで、今制度改革をやってみないとわからないという話もありましたが、制度改革というのは結局国民や患者負担がふえてくるということでありますから、そういう制度化されるということでありますので、社会保障関係費全体としても国庫負担削減によって大体約四倍程度の国民の負担となると見込まれるというふうに考えられると思うんです。
今度の法案に基づいて、まず来年度に医療費の四千二百億円を含めて社会保障関係費全体で五千五百億円を削るわけですから、それはそういうことでいきますと二兆円を超える新たな国民の負担増になる可能性がある。この法案に沿ってさらに三年間連続で行っていくと負担増ということになると思うんですが、厚生省、締めてどのぐらいの国民の負担がふえるというふうに考えていらっしゃるか、その可能性についてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/240
-
241・高木俊明
○政府委員(高木俊明君) まず一点、来年度厚生省予算の中で四千二百億の国庫を縮減するということでありますけれども、これは中心的には医療費ということになろうかとは思います。四千二百億の国庫を医療費で縮減するということは、医療費ベースで約四倍ということになるわけでありますけれども、これは国民の負担増ということではありませんで、むしろ現在の医療費規模というものをそれだけ縮減するという内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/241
-
242・笠井亮
○笠井亮君 今いろいろ縮減するとかなんとかと言いましたけれども、患者だけに押しつけるのではないとか、この間の議論でいえば、厚生大臣も薬価や診療報酬の問題も言われました、そういうことをさまざまするということではありますけれども、結局そういうもので埋まるものではないということであります。
この間のいろいろな言われている問題、それから今申し上げたようないろいろな数字を計算してみますと、結局、このようにして社会保障の国庫負担を削減していくということになれば、毎年二兆円規模で三年間は国民の負担がふえてくるという可能性もある、そういうケースもあるということになると思うわけでございます。
そうしますと、二兆円規模で毎年国民の負担がふえるということになると、大体消費税の一%が二兆円と言われておりますから、毎年毎年消費税一%分の負担が国民にかかってくる、こういうことにもつながってくる非常に重大な問題だというふうに思うわけでございます。
そこで、総理が戻ってこられたので総理に伺いたいことでございますが、今、国民が負担を受けるという問題について議論をしてまいりました。それで、総理は、この法案が国民の短期の痛みを伴うということを繰り返し、それはもう当然認めるということをおっしゃってこられましたけれども、この短期といいますのは、ことしとか来年とかいう非常に短期ということではなくて、少なくともこの法案でいきますと三年連続で続く痛みだということは言えると思うんです。
しかも、こういう予算削減を求める三年間の集中期間というのがありますけれども、これが終わるということになりましても、午前中も明言されておりましたけれども、医療も社会保障ももとに戻すわけではないと。仕組みが変化している、その間に。新たな制度で動いていくとその効果が出てくるんだというふうに言われました。
総理に伺いたいのですが、この痛みというのは、この法案でいけば、三年連続の国民負担増に加えて、そのための社会保障制度のつくり直しをやっていく、負担増の仕組みをつくっていくわけですから、それが固定化されて、国民には短期の痛みどころか将来にわたる恒常的な痛みを強いることになるんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点で総理、御見解を伺いたいと思います。
総理にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/242
-
243・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 今、総理が席を外されていましたから、いろいろお話しされていましたので、その前に私にもちょっと話させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/243
-
244・笠井亮
○笠井亮君 端的にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/244
-
245・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 国民負担というのは、税金も国民負担なんです。保険料も国民負担。そして今、薬価とか診療報酬にむだがないか、効率化していこう、できるだけ国民負担を減らしていこうという改革案を練っているわけであります。
そういう中で、今どのような改革があるか。いろいろ自己負担、保険料負担あるいは税金投入、それぞれ高齢者も若い世代も支えていかなければならない。給付を受けるばかりではなくて、その給付を支えている保険料を負担していることも考えようということから、いろいろ全体的な調整をしなきゃならないということで改革をしているわけであります。
そういう中で、今税金で医療費だけで今年度予算においても六兆五千億円使っております。防衛費は五兆円です。防衛費を上回る六兆五千億円を税金で医療費だけに使っているんです。これは、日本はいかに社会保障関係に熱心だったか。年金にしても社会福祉関係にしてもそうです。厚生省予算だけで一般歳出の中で十四兆五千億円、どの役所よりも厚生省は税金を使っている。
今後このままの制度でいくと、例えば医療に関して言うと病気にならない若い人に大変過重な負担になるんではないか。お互い制度を変えよう。あるいは高い薬ばかり使いたがるのではないか、できるだけ安くても効果のある薬を使おう。あるいは診療報酬等におきましてもむだがないだろうか。過剰投薬、過剰検査、過剰治療がないだろうか。この診療報酬体系にもメスを入れよう。抜本的な改革をして、できるだけ税金も保険料も自己負担もお互い公平な、給付と負担の公平を図るような制度を考えようじゃないかということでありまして、今政府は国民負担を増加させるために改革をしているのではないということをぜひとも御理解いただきたい。
そして、今回、厚生省予算は三千億円増を認められましたけれども、全体で五千五百億円この年末の予算で削減しなきゃならない。その中で約四千二百億円程度医療費で削減しなきやなりませんが、これはさらに年末にかけて具体的な項目を明らかにいたしますから、その時点でまた御議論をいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/245
-
246・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 厚生大臣がお答えを申し上げたことに尽きておると思いますけれども、私がつけ加えさせていただきたいと思いますのは、今のままの仕組みを続けていったとき、一体働く世代がその負担にいつまで耐えられるかということです。
幾つかの人口動態に即した推計がございますけれども、その中には本当に間もなく国民負担率が七〇%になってしまうといったような推計があることは議員も御承知のとおりであります。
我々が考えていること、それは将来ともに医療保険制度も年金制度も、社会保障制度というものが国民の暮らしのセーフティーネットとして存在しなければならない。そのために後の世代の負担も含め、世代間の公平ということも考えの中に入れながら、どうすれば安定した仕組みをつくれるかということを模索しようとする、その努力をしようとしていることだけはどうぞ御理解をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/246
-
247・笠井亮
○笠井亮君 いろいろ言われましたけれども、私の伺ったことにきちっと端的に答えられていないんです。
それで、例えば厚生省の試算を見ました。いろいろ負担が減るようなことで苦労しているんだと言われますけれども、ここにも資料があります。
例えば二〇二五年までの社会保障、医療、年金二百数十兆円のうち二割以上、約五十兆円もの給付カット、つまり負担増が必要になるだろうということも厚生省は具体的に資料を出されて言われているんです。社会保障をそういう状況にするということまで考えておいて、そして法案の二条でいろいろ言われながら、安心で豊かな福祉社会の実現などというふうに書かれるべきじゃないというふうに私は思うんです。
国民負担率と言われましたけれども、これもさっき議論がありました。政府が国、地方の財政のうちどれだけ国民に負担をかぶせるかという計算を一生懸命しているということだと思うんです。これで二十一世紀にすべての国民が安心して良質な医療サービスを受けられるといっても、これはだれも安心できない。いろいろ言われましたけれども、私は削るべきところが違うということを一言言いたいと思います。
その上で、まず総理に伺いたいと思います。
今回の財政構造改革法案が成立したら、橋本内閣はもちろん、それ以降の内閣もこの法律に基づいて今言ったような三年連続で社会保障関係費の大削減、私は大負担と言いたいと思いますが、この法律では縮減というふうに政府は言うんでしょう、それをやるための毎年の政府予算を大枠で組まざるを得なくなるという義務を負うことになりますか。将来の内閣もそういうことを負うんだということでいいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/247
-
248・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) この法律案が通過、成立いたしましたなら、当然ながら政府の予算編成権においてこの法律の範囲内で予算を編成するというその責任は生じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/248
-
249・笠井亮
○笠井亮君 要するに、内閣がかわっても、この法律がある限り、社会保障分野でも削減した予算を出すことを義務づけられるということだと……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/249
-
250・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) いや、二%はふえているんです。二%はちゃんと毎年ふえています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/250
-
251・笠井亮
○笠井亮君 それでは伺いますけれども、今後例えばこの法律が実施されて、来年度の四千二百億円の医療費国庫負担の削減が実際に問題になる。そして、九月からの医療保険の改定に続いてそれを上回る国民の負担がふえた結果、医療や社会保障をめぐって一層大変な問題が現実に起こりかねない。もっとたくさんの国民が病気になっても医者にかかれないとか、今でさえ大変な状況の国民健康保険、それに輪をかけたような事態となって、何としてもそういうことをやめてほしいという声が急速に高まるというふうになった場合でございます。
そういう声にこたえて、政府自身が、この法案の第八条に言っております社会保障費の量的縮減目標の上限を超えた予算案を出さざるを得ないなと、こういうふうに判断した場合に、総理、どうなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/251
-
252・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) どうもちょっと議論がかみ合わないんじゃないかと思うんですが、我々はこの財政構造改革をやり遂げよう、そしてそれによって将来の日本をしっかりとしたものにしていこう、その枠の中において社会保障の関係については、ほかの予算はカットカットカットという中でむしろ初年度もプラスを認めてるおるわけであります。その後もプラスを認める。当然ある程度、むしろこれから先を考えるときに、後の世代まできちんと維持のできる仕組みをつくっていこうという努力を我々は払うと申し上げております。
議員はそれを負担増負担増という言い方のみをしておられますけれども、むだを省き、より効率的な医療の仕組み、同時に、薬価に依存しないで医療機関が経営できるようなそうした薬価算定のルール、医療供給体制をも含めてさまざまなことをこれからこの中で議論をし、政府としての考え方を整理していかなければならないでありましょう。そういう努力をしていこうと考えておりますものが、議員のお立場からすると、努力の方は全く見ていただけず、国民の負担増負担増という一点張りの御論議になりますことを大変私は不幸な悲しいことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/252
-
253・笠井亮
○笠井亮君 プラスプラスと言われますけれども、当然増を減らされて負担増になるんですよ、これは。
それで、私質問しているのにちゃんと答えていただきたいんですが、実際に四千二百億円の今度の削減によって、これはまずいということが国民の声、意思になって、これは本当に怒りが高まるというふうになったときに、なおかつ総理は、そういう声はあくまで聞かない、この法案があるからそれは全部無視しますよと、こういうふうに言われるのかどうか。実際にそういう声があって、その上限を超えた予算案を出さざるを得なくなるような判断をする場合がないのか、そうなった場合どうするのかということを伺っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/253
-
254・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変一般論でお答えをするとまたおしかりを受けるのかもしれませんけれども、衆議院でそうした御論議がありましたときに私が例としてとりましたのは、例えば湾岸危機、湾岸戦争のような全く予見しない事態が、大異変が勃発をし、それに対し政府として対応をせざるを得ず、この法律の上限を超えざるを得ないとき、それから、こうしたことはあってほしくありませんけれども、大災害等が発生をし、そのために上限を超えるような予算を設定しなければならない危険性というものも、それは全く排除のできることではございません。そうした場合には、政府としてはこの法律の改正案を国会で御審議いただくという手順を踏むことになるであろう。これは一般論としてそのようなケースが全くないわけではありませんということはお答えを申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/254
-
255・笠井亮
○笠井亮君 総理としては、医療保険の問題を含めて、そういうことで国民の声が高まった場合というのは一般論ということでなかなか言えないということは、総理の立場はそうなのかもしれません。
一般論としては、つまり政府が予見しないような事態が起こる、それは国民の声かもしれません、湾岸戦争かもしれません、あるいは災害かもしれませんが、そういう場合には上限を超えるということで出さざるを得ないと判断すれば、これは法改正しかない。これはお認めになった一般論ということで確認をしたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/255
-
256・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) いやいや、私が申し上げたとおり、勝手な解釈だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/256
-
257・笠井亮
○笠井亮君 勝手な解釈じゃありません。一般論としてそうおっしゃった。そして、その中で予見しない事態と言われたわけですから、政府の判断としてそういうことで予見しなかった場合ということだと思います。
では、国会がそういう国民的な要求が非常に高まったということを受けましてさまざま議論をする。そして、政府が財革法に基づいて編成して提出した予算案に対して、これは憲法八十三条で審議権がございますので、これに基づいて、この予算案はうまくない、まずいから、政府、これは組み直してきなさいと政府予算案に対して撤回の上編成替えを求める決議ということで、組み替え決議、動議を議決せざるを得ないということだって起こり得ると思うんです、これは。
国会の審議権の一つとして重要な内容だと私は思いますが、これに対して政府としては、みずからの予算編成権はこの財政構造改革法で上限を縛られている、だけれども国会の意思にはこたえなければならないと。当然、国会の意思にこたえるために、該当部分の上限を定めたこの法律の改正案と同時に予算を組み直して改めて国会に提案せざるを得ないということになると思うんですけれども、それはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/257
-
258・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) ただいまのお尋ねで、予算の組み替え動議が可決されたときどうするのかということでございますが、組み替え動議の法的効力いかんという問題は別にいろいろ議論があろうと思います。
ただ、衆議院でもいろいろのことをお尋ねいただきまして、まずこの法案が国会の審議権を侵害するのではないかというお尋ねがございました。しかし、この法案と申しますのはあくまで予算を作成するに当たって内閣を拘束する規範である一と。国会における予算審議や予算の議決がこれに拘束されるわけじゃないということが第一点。
そしてまた、組み替え動議の問題の前に、国会自体が予算の修正をなさることを拘束するのではないかという議論がるるございました。しかし、これに対しましても、私どもは、予算についての内閣の提案権と国会の審議権の調整の問題として、一般的な予算修正権の限界の問題はあるとしましても、この法律自体によって国会の予算修正権が制約されるということはございませんということをお尋ねに対しましてお答えしてきたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/258
-
259・笠井亮
○笠井亮君 私は、もう今言った議論は全部踏まえた上で、編成替えの動議が出たときにどうするかと伺っているわけですよ。これは仮定の問題じゃなくて、実際にこういうことで国民の皆さんが非常に敏感に困ると思っていらっしゃることがある。
それで、実際に橋本首相だって九四年のときに、羽田内閣のときに組み替え動議を自由民主党を代表して提案されているわけです。福祉は大事だ、私学助成は大事だと言われていますよね。ですから、そういう問題について今組み替え動議が出されたときに、改めて聞きますが、当然それが通ったときに、国会の意思にこたえるために、該当部分の上限を定めたこの法律の改正案と同時に、組み直して予算を出すということになるしかないでしょうということを伺っているので、その問題について、これは生きた政治の問題ですから、ぜひ総理にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/259
-
260・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほどから委員は二つの言葉を使い分けておられます。決議を提出したときというお言葉と、成立したときという二回使い分けをされました。提出をされることについて政府が何ら物を申し上げるべきことではないと存じます。同時に、議院内閣制のもとで、私は与党の皆さんが当然ながら政府の予算案の成立に協力してくださると信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/260
-
261・笠井亮
○笠井亮君 少数与党ということもあります。それから、現実に昭和二十二年の補正予算のときには組み替え動議が通りました。そういうことはやっぱりあるわけですよね。さまざまな政治的な状況の中でそういうことが当然ある。そういう場合にどうするかということなんですよ。答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/261
-
262・大森政輔
○政府委員(大森政輔君) ただいま、修正の問題ではなくて組み替え動議が万が一可決されたときに政府としてどういう対応をとるのかという、そこに焦点を置いた御質問であろうと思います。
そもそも我が憲法上、一院の組み替え動議が成立するということにどのような効果が付せられるのかという問題がまず前提としてございまして、そういうことが一般的な決議の一類型としてあった場合にどう考えるかということになりますと、政府がとるべき態度としては、この法律によりまして、予算作成についての一般的なよるべき基準、方針というものはこの法律によって確定し、その方針によって予算を作成すべく義務づけられているわけでございますから、成立した場合に、この法律を改正することなくこの法律に定める方針と異なる予算を作成するということは一般的にはできない問題であるというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/262
-
263・笠井亮
○笠井亮君 要するに改正するしかないんです。そうしますと、はっきりしてきました。結局、国民の社会保障削減反対の要求を受けて政府自身が財政構造改革法の上限を超えて予算をつけようとしても、縛られてできないと。国会がそういう予算案ではだめだと組み替え動議を出して通したとしても、今言われたように改正するしかないと。大変なことですよ。
結局、国会も財革法に制約されて事実上一々改正しなきゃいけない。まさにそういう点では国会をも縛る。そして、やることは大変な福祉の削減、自動的に国民生活関連予算を削減するという大変な問題だ。こういう大変な法律案はやはり取り下げて廃案にするしかない。こういうことを強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/263
-
264・西川きよし
○西川きよし君 どうぞ、短い時間でございますが、よろしくお願い申し上げます。
私は、法律案の第十条の「年金制度改革に関する検討」についてお伺いしたいと思いますが、まず橋本総理大臣に、ことしの七月に橋本総理は六十歳になられた、つまり還暦ということでございますけれども、一応おめでとうございますと。でも、現行のこの年金制度では六十歳が区切りとなっております。年金制度にきょうは集中してお伺いしたいと思うんですけれども、受給権が発生した総理大臣といたしまして、そして六十歳という区切り、いろいろ高齢社会も含めての感想をまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/264
-
265・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 確かにこの七月に還暦、六十歳を迎えましたけれども、実は私は国民年金に加入しておりまして、六十五歳から支給開始となります。減額年金であればことしからですけれども、きちんとした年金をいただくためには六十五歳までということで、私はまだ五年受給権が発生するまでには時間があると思っておりまして、委員から今御質問を受け、ちょっと慌てました。
ただ同時に、たまたま御質問でありますから感じたことを率直に申し上げますと、ちょうど私が社会に出ましたころ、まだ子供の数は減り始めてはおりませんでしたし、中学から実社会に巣立っていかれる方も多かった時代でありました。同時に、後期高等教育に進まれる率、短大まで入れまして一〇%をちょっと超えるぐらいだったでしょうか。そして、まだお年を召された方々というものは社会にとって貴重な存在であり、高齢者が家庭におられることが自慢の時代でありました。
そうした状況を振り返りますと、むしろこれから先、高齢者のふえていく社会、自分自身もその中に入っていくわけでありますが、その高齢者の生活安定のために雇用という問題を真剣に考えなければならないなと。少なくとも国民年金の場合に、減額年金でないものを選択するなら六十五歳から支給が始まるわけでありますから、そこまで働ける状況をつくり出すことに全力を挙げなければならないところに問題がある、そのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/265
-
266・西川きよし
○西川きよし君 僕は、初登院のとき廊下ですれ違ったときに、福祉のことをおやりになりたいというのをテレビのニュースで見ましたということで声をかけていただいて、厚生省の方々も御紹介していただいて、いろいろ公約も守れるというようになったことは改めてお礼を申し上げたいんですけれども、還暦を迎えられても、耳順ではありませんけれども、素直に聞く耳をこれからも総理としてお持ちいただきたいと思います。
そしてまた、我が家も実は私の両親とそして家内の母親と、家内の母親は来年九十歳になるんですけれども、これは老齢福祉年金の対象で、父親はサラリーマンでしたので老齢厚生年金ということでございます。私は成人しているわけですし、子供も成人しておりまして、我々は現役で負担をしておるわけです。私はいわゆる団塊の世代でありますけれども、子供たちはこれから長年にわたりまして高齢世代を支えるために保険料を納めていかなくてはなりません。
年金に関してはそれぞれの立場があるわけですけれども、時間の関係でちょっと飛ばさせていただきますが、この年金制度は各世代の支え合いによって成り立っていくわけですから、お互いが理解をし合い納得のできる制度でなければいけないと思うんです。国民の信頼を得られるようないわゆる国会討議、そして今回の法律案には年金制度改革の検討という項目が盛り込まれているわけですけれども、年金給付の水準、保険料の引き上げのあり方等について検討を加える、こういうふうに記されているわけですけれども、平成六年の年金制度改正で支給年齢の引き上げを含めた改正が行われたわけです。にもかかわらず、また年金の改正と。一体政府はどういうことを考えているのかなというのが本当に不安なんです。
お年寄りは、私は大体お年寄りのことをやらせていただいているんですが、きよしさん、ひょっとしたら削られるのではないのかな、若い人たちは将来もらえるのかなという不安の声を聞きます、この先不安だと。日々の生活の中で感じる率直な皆さん方の感情だと思うんです。
この年金制度については、前回の改正時から現時点までどのように変わったのか、御説明を厚生大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/266
-
267・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 前回の改正時と現時点では何がどういうふうに変わったのかということなんですが、ことし初めて六十五歳以上の人口が十四歳以下の人口を上回りました。
高齢化と子供が少ない少子化の傾向は今後続いていくと思いますが、今の時点でこのまま何も改正しないということになりますと、二〇二五年以降の厚生年金の保険料率は二九・八%、いわゆる若い世代の保険料率の負担ですね、二九・八%と平成六年時点では見込んでいたのですが、現在ではこれが三四・三%となると見込まれております。今の倍になります。
そうすると、三〇%以上を負担できるかどうかという問題が出てきますから、これからこのままでいいだろうか。あるいはちょっと負担が重過ぎる、もっと軽くしてくれとなると、給付が今のままでいいかという問題が出てきます、給付を下げるのか。二〇一三年には六十五歳から支給になりますから、これを果たしてどうしようかという問題、これが今後の検討課題になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/267
-
268・西川きよし
○西川きよし君 社会の変化というのは本当にわかりますし、こんなに高くなりますと、後々の子供たちが本当にかわいそうだというふうに思うわけです。
総理大臣といたしましては、保険料率の負担の上限、今、厚生大臣の方からも御答弁いただいたんですけれども、いかがお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/268
-
269・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、厚生大臣が述べられました、これは厚生年金の保険料の方で保険料率を述べられたわけですが、これは平成六年と平成九年でなぜそんなに変わったか。まさに人口構造の変わりのそのままの影響なんです。
実は、同じこと、国民年金の方の数字を今見ていたんですが、平成六年の再計算のときには段階保険料二万一千七百円ということ。ところが、新人口推計で対応してこれを試算してみますと二万四千三百円になる。それだけやはり高齢化のピッチが早いということはこれはもう否めません。
そうすると、私自身、どれぐらいが適切かという判断の基準は持てませんけれども、少なくとも年金と医療保険の保険料プラス税金を負担していただく限界というものはおのずからあるんじゃないでしょうか。
問題は、だからその範囲内でどこに重点を置いた設計をするかということになると私は思いますし、そうした考え方から、私は、厚生省も年金白書を新たに九年度につくる、あるいは給付と負担に関する複数の選択肢をお示しをし御議論をいただく、そうしたやり方をとりながら皆さんに問題の所在を知っていただこうと努力をしてくれているんだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/269
-
270・西川きよし
○西川きよし君 時間がたつのが早くて、もう一分になりましたので、厚生大臣に最後にお伺いして、質問を終わりたいと思うんです。
五年に一度の改正、何か納得できない、先が見えない不安な気持ちになるんですけれども、これからは国民に早目にいろいろと公表していただいて、例えば賦課方式、つまり割り当てられた不安、そして積立方式、これはインフレに弱いという面もあるんですけれども、そんなことが起こったらいけないんですけれども、こっちに移行すべきではないかとか、厚生年金については民営化にすべきではないかなという意見もいろいろ目にしたり耳にしたり、報道もされておるわけです。
民営化をしたら年金制度は国民にとってどのようなメリットがあるのか、あるいはどのようなリスクを覚悟しなければいけないのか、国民全体が将来を正面から見据えて考える材料の一つとして民営化も含めた選択肢をお示しいただきたいと思うわけですけれども、厚生大臣に最後に御答弁をいただいて終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/270
-
271・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 次期財政再計算のときまでにどういう選択肢があるかということですが、年末までには幾つかの選択肢を提供したいと思います。
今の時点でいったら、先ほどお話ししましたように一七%台の保険料率が三四%ぐらい、いわゆる倍になる。厚生年金の場合、これは企業と折半でありますけれども、これ一つじゃない。今、保険料を合わせたらどこまでが限界か。二〇%が限界だと思う人もいるでしょう。じゃ二〇%だったら給付はどうなりますよ、二五%だったら給付はどうなりますよと。今言ったように、じゃ民営化したらどうなるのか、今の修正賦課方式を積立方式にして民営化にしたらどうなんだといった場合にはどういうプラスとマイナスがあるか、幾つかの選択肢を、論点を整理して国民に論議の材料を提供したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/271
-
272・西川きよし
○西川きよし君 ぜひよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/272
-
273・椎名素夫
○椎名素夫君 総理、どうもお疲れさまでございます。
大変短い時間なので、きょうは財政改革についての総理の基本的なお心づもりについて伺うだけにとどめます。
そもそも予算の編成というのは政府のおやりになる仕事である、この法律案は専ら政府の手に制約をかけるものであるということで、先ほどややこしい議論はありましたけれども、基本的にはそういうことだろうと思うんですね。
そういうことでしたらば、政府がこれから集中的な改革期間を設けてこういうふうにするということを閣議で決めて、そして内外に明らかにし、それから与党の皆さん方もそれでいこうと一致結束してお決めになるということでも本来いいんじゃないかという気もするんですが、あえてこれを法律にしようというその理由をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/273
-
274・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) もっとうまい言い方があるいはあるのかもしれませんけれども、率直に申し上げますならば、確かに議員が今提起されましたような閣議の決定においてというやり方もとれるでありましょう。しかし、このキャップ方式を採用しながら財政構造改革を進めていきたい、それをこの形にして国会に御審議を願い、成立をさせていただきますことにより、予算編成権そのものが拘束されるという明確な保証を得ることによって一定の期間内に、当然ながら法律の定める期間内でありますけれども、政府の財政運営の方向というものが明確になります。その意思を明らかにする効果というものも私の脳裏にはございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/274
-
275・椎名素夫
○椎名素夫君 この法案の趣旨、財政は危機状況であるという認識、これはもうそのとおりだろうと思うんです。そしてまた、これは今まで私なども振り返ってみてじくじたるところもありますけれども、ともすればだらしなくなるんですね。
例えば、特例公債というのは本来出しちゃいけない。これを発行するためには、特例等に関する法案をその年ごとに提出をして、これは特例であるということの審議をするわけですが、大分前からそうですけれども、特例でなしに恒例になってしまっているというようなこともありますから、その御趣旨は非常によくわかるような気がいたします。また同時に、構造を直さなきゃいかぬというところに着目するということにも私は賛成です。
しかし一方、先ほど総理が、例えば湾岸危機のようなものであるとか大災害とかいうような極端な場合を挙げられましたけれども、経済の動き、こういうものについては、さてこれは本当に危機か危機でないか、極めて見る人によっては何とも言えないようなことも起こり得る。経済というのは生き物でありますから、特に今は国際的な依存関係が非常に強まっている中で、日本の中だけで身を正していればそれですべてうまくいくというものでもない。今度の株価の各地における暴落みたいなこと、これが本質にかかわるのかどうか別にして、ああいうことも起こり得るというようなことを考えると、予期せざる原因から日本の経済が括弧つきかもしれないけれども危機的状況に陥るというようなことがあり得る、これは可能性は排除できないと思うわけです。
いろいろ解釈はその場その場でありましょうけれども、本当にこれは危ないというときにはやはり財政なり金融政策なりというものが乗り出してそれに対処しなきゃいかぬという場合が、これから六年間にないとは言えない。しかし、それをあえて法律をつくって御自身の手を縛るということになさったということはどういうことなんでしょうか。
いわば今申し上げたような財政出動というようなことがあり得る場合というのは、ちょうど火事が起こったときの消防車みたいなものだろうと思うんですが、とにかくこの消防車、もう長年使って、しかも使い方が荒っぽかったのでそこらじゅうがたがたになっている、これを直さないことには百メートル走ったらエンストを起こしてとまってしまうかもしれないからとにかく直すというのがこの趣旨だろうと思うんですね、財政構造改革と。そして、エンジンもばらしてオーバーホールする、ブレーキも直す、何もする。これにある期間かかる。その間に火事が出たときはどうするかというあたりが私はよくわからない。しかし、考え方はいろいろあると思います。
どうもここのところ空気が乾燥して火が出そうな気配がないわけでもないから、とにかくだましだまし消防車は用意しておこうというのがこんな法案をつくらないでまず体力を回復しろという御議論だろうと思うんです。もう一つの考え方は、とにかくこれを直すことが先決である。その期間は、きちっと使うにたえるような、あるいは今よりももっと機能のすぐれた消防車にオーバーホールするまではとにかく目をつぶって通り抜けるというのか、その二つの選択があるだろうと思うんですが、いろんなことはありましょう。
国内だけでなしに、例えば日本は内需拡大をやれというようなことを言う外国もある。そこらからわあわあうるさく言われたようなときも、とにかく今は消防車はガレージに入っている、修理工場に入っているんだから出ませんということで頑張って突っ走るのかどうか、そこらあたりのお心づもりがどの程度であるのかということをきょうは伺って、私の質問を終わりにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/275
-
276・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 議員が提起をされました幾つかの想定、それはそれぞれに真剣に拝聴しなければならない性格のものであることは私も否定をいたしません。殊に、国際経済の中において他の国から日本の財政運営にクレームをつけられるケース、こうしたことはかつてもありましたし、今後も起こらないという保証はございません。
しかし同時に、私は本当に考えていただきたいと思うんですが、今先進国中私どもは最悪の財政状態、言いかえれば危機的な状況にあります。そういう要求をされて受け入れられるほど我々にゆとりがあるわけではないんです。むしろ我々は、そういう財政的な要望をほかの国からされて受けられるぐらいの余力があるところまで日本の財政を何とかしたいぐらいです。これは率直な言葉を使って恐縮でありますけれども、むしろそれぐらいの思いであります。
しかし、そのためにも経済構造改革等、例えば規制の緩和、撤廃、見直しといった、あるいはその他の市場開放の努力とかいうものは当然並行して我々は努力をしなければなりません。また、日本自身の産業構造が内需拡大の中で自律的な成長に行くような努力は当然払わなければなりません。
しかし、それを財政を使わなきゃならないという前提でこれに対応するのか。その点になりますと、私はこの危機的な状況の中でこれをさらに拡大する方向に事態を動かすことはできないと考えておりまして、今、議員から御指摘をいただいた幾つかのケースに対しては、むしろ他の手段をもってこたえていきたい。そういう想定を全くしなかったわけではありません。しかし、他の手段をもって対応してまいりたい、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/276
-
277・椎名素夫
○椎名素夫君 お考えはわかりました。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/277
-
278・山口哲夫
○山口哲夫君 新社会党の山口哲夫です。
我が国の借金は、今地方自治体も含めると四百七十六兆円、それに隠れ借金というものを含めると何と五百二十兆円になんなんといたしております。これを一世帯四人ということで計算してみましたら、何と驚くなかれ、一世帯一千六百万円の借金に該当する、こういうことであります。
一体なぜこんなに借金がふえてきたのだろうか。いろいろと理由はあるでしょうけれども、一つの理由として、少なくともあのバブル期に税収がふえてきたわけですから、まず借金を返すことに私はもっと努力をするべきだったと思うのです、歴代内閣は。ところが、あのバブル期でさえ建設国債を発行して、結局はどんどん歳出に回してしまった。ですから、バブル期にもこの借金の残高、公債残高というのは毎年ふえていって一つも減っていない。そして今日になったわけであります。そして、日本の景気はなかなか芳しくないという今このときに、今度はこういう財政改革のための法案を出してきたわけであります。
そして、私がこの法案の中で一番驚いたのは、どうして社会保障費をこれほどまでに詰めなければいけないのかということです。一年間に大体八千五百億円くらいふえるというのに、それを三千億円しかつけない、五千五百億円も切ってしまうわけです。社会保障費の主なものは医療費と年金だと思います。
私は、医療費の改革をやるなとは言いません。先ほど総理はやらなければならないと言っておりました。医療制度の改革は必要でしょう。しかし、それは例えば薬剤費一つとってみましても、医療費全体に占める日本の薬剤費は二九%、アメリカは一一%です。三倍も高いんです。そういうものこそまず改革をしなければならないのに、今厚生省が考えている中には、高齢者の医療費が高くなるからといって高齢者専門の健康保険組合をつくってその保険料、掛金を今度は年金から差っ引こうということまで考えているようであります。これは余りにもひど過ぎるんではないでしょうか。
それじゃ、そんなに日本は社会保障費にお金をかけているんだろうか。そんなことはありません。いわゆる国内総生産に対する日本の社会保障費は一五%、ドイツは二五%、フランスは三〇%です。ですから、これから高齢者がふえていくわけですから当然自然増は出てくるのに、それを切ってしまうというのは余りにも私は冷た過ぎると思います。
そして教育費です。義務教育なのに今度はそれに受益者負担金制度を取り入れようというわけです。せっかく今教科書は無償なのに、恐らく有償になるんではないでしょうか。
アメリカでは、日本と同じようにこういう財政再建の赤字解消のための法律案を出してきました。そのときには、アメリカはちゃんと防衛費も削っていますよ。ソ連邦が崩壊し冷戦構造が崩壊した、先進諸国はみんな一生懸命に軍事費を削っているのに日本だけが毎年防衛費を増額してきた、気がついたら世界第四位の軍事大国になってしまったというわけです。ところが、この法案を見たら、防衛費については前年を上回らないと書いてあります。前年同額だったら軍縮にならないじゃないですか。どうしてそういうようなことをやらないのかと私は言いたいのであります。
そして公共事業です。七千億円くらいですか、減額するのは。七%は減額するというわけです。十兆円の公共事業費のうち約七千億円です。しかし、談合一つきちっとやめて法律どおり入札をやれば識者の話では一〇%は削減できるというわけですから、それだけでも一兆円は浮くはずです。
そして公共事業費。これはもう御案内のとおり。日本とアメリカを比較してごらんなさい。国内総生産に対して日本は社会資本整備に七%使っている、公共事業に使っているんです。アメリカは二%ですよ。三倍も日本は公共事業をアメリカに比べて多くやっているんです。私はそういうところをやはりきちっと切るべきだと思うんです。
そして、どうして今度の法律案は歳入に一つも手をつけないんですか。財政構造改革ならば歳入に手をつけるのが当然であります。今、日本の大企業ほど税制面で優遇されている国はないとさえ言われております。私は、もっとこの大企業に対する優遇税制、よく不公平税制と言われておりますけれども、やはりこれに手をつけるべきではないですか。この間通産省が新聞で発表しておりました。それを見ましたら、四年間で大体五兆円程度の新しい財源を生み出すことができると、こう言っているわけであります。そういうものに一つも手をつけないで、いわば国民の、弱者と言われる医療費とか年金だとか、そういうものを中心にこの改革をやろうとすることについてはとても納得ができません。
一体どうして、歳入については一切手をつけないで、歳出のしかも国民の一番弱い部面にまずしわ寄せをするような、こういう法律案を出されたか、その基本的な考え方について総理にお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/278
-
279・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず、冒頭申し上げておきたいことは、国民の御理解を得る形での財政構造改革を実現するためには、まず歳出の改革と縮減に最大限取り組むことが肝要だと考えておりますことを第一点に申し上げなければなりません。
政府としては行政改革に一生懸命取り組んでいるところでありますが、本年春には消費税率を引き上げさせていただいた、その中には当然地方消費税の創設も含んでおりますけれども、そうしたこともありまして、まず歳出の改革、縮減に最大限努力をすることが肝要だと考えてこの法案を作成する決意をいたしました。
議員が述べられましたいろいろな数字につきましては、一つ一つについては多少私は異論のある数字もございますし、むしろその裏づけをお尋ねしたい数字もございますけれども、それを議論を今いたそうとは思いません。
むしろ、そうした意味では、税という問題がないではないかと語調を荒げて御主張になりましたが、税制面につきましては、毎年政府・与党の間におきまして税制改正について十分御議論をいただき、見直しを行ってきておるところであります。そして、当然のことながら、より国民的な理解と納得を得られる財政構造改革にするためにも、公平な税負担制度の確立という幅広い観点からの検討、取り組みをすることは当然のことだと私は思っております。
また、その意味では、こうした具体的な規定を税制については置いておりませんけれども、その負担の水準というものは、財政状況、税制全体の中でその時々の国民的な御議論で決していくものだと思います。
また、租税特別措置等についてもお触れになりましたが、これまでも徹底した整理合理化をしてきていることは御承知のとおりでありまして、今後とも一層の努力をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/279
-
280・山口哲夫
○山口哲夫君 今、総理は公平な税負担というのは当然考えなければならないというふうにおっしゃっておりました。
しかし、先ほど申しましたように、公平な税負担が行われていないから私は指摘するわけです。日本ほどこの優遇税制、もう数え上げたら切りがないほどあります。そういうものをずっと特に大企業が使っているわけですから、そういうものを差っ引きますと、今大企業の三七・五%の法人税率というのは何と二八・二%にしかならないんです。ですから、諸外国に比べて法人税が高いと言うけれども、実際には低いんですよ。そこのところを私は指摘したいわけであります。
ぜひそういう歳入面についてもしっかりとした対策を講じてもらうことをお願いして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/280
-
281・遠藤要
○委員長(遠藤要君) 明日は午前九時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後五時九分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X00319971110/281
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。