1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年十一月二十一日(金曜日)
午前九時開会
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委員の異動
十一月二十日
辞任 補欠選任
狩野 安君 岩井 國臣君
久世 公堯君 海老原義彦君
今泉 昭君 長谷川 清君
平田 健二君 加藤 修一君
峰崎 直樹君 前川 忠夫君
志苫 裕君 清水 澄子君
江本 孟紀君 椎名 素夫君
山口 哲夫君 栗原 君子君
十一月二十一日
辞任 補欠選任
亀谷 博昭君 景山俊太郎君
及川 一夫君 三重野栄子君
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出席者は左のとおり。
委員長 遠藤 要君
理 事
片山虎之助君
高木 正明君
野間 赳君
三浦 一水君
荒木 清寛君
広中和歌子君
伊藤 基隆君
赤桐 操君
笠井 亮君
委 員
岩井 國臣君
海老原義彦君
鹿熊 安正君
景山俊太郎君
金田 勝年君
亀谷 博昭君
沓掛 哲男君
斎藤 文夫君
清水嘉与子君
田村 公平君
常田 享詳君
長尾 立子君
野村 五男君
林 芳正君
保坂 三蔵君
宮澤 弘君
泉 信也君
岩瀬 良三君
加藤 修一君
小林 元君
菅川 健二君
寺澤 芳男君
長谷川 清君
益田 洋介君
吉田 之久君
小島 慶三君
齋藤 勁君
前川 忠夫君
清水 澄子君
田 英夫君
三重野栄子君
吉岡 吉典君
吉川 春子君
佐藤 道夫君
椎名 素夫君
栗原 君子君
国務大臣
内閣総理大臣 橋本龍太郎君
法 務 大 臣 下稲葉耕吉君
外 務 大 臣 小渕 恵三君
大 蔵 大 臣 三塚 博君
文 部 大 臣 町村 信孝君
厚 生 大 臣 小泉純一郎君
農林水産大臣 島村 宜伸君
運 輸 大 臣 藤井 孝男君
郵 政 大 臣 自見庄三郎君
労 働 大 臣 伊吹 文明君
建 設 大 臣 瓦 力君
自 治 大 臣
国 務 大 臣
(国家公安委員 上杉 光弘君
会委員長)
国 務 大 臣
(内閣官房長官) 村岡 兼造君
国 務 大 臣
(総務庁長官) 小里 貞利君
国務大臣
(北海道開発庁
長官)
(沖縄開発庁長
官) 鈴木 宗男君
国 務 大 臣
(防衛庁長官) 久間 章生君
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 尾身 幸次君
国 務 大 臣
(科学技術庁長
官) 谷垣 禎一君
国 務 大 臣
(環境庁長官) 大木 浩君
国 務 大 臣
(国土庁長官) 亀井 久興君
政府委員
内閣法制局長官 大森 政輔君
内閣法制局第三
部長 阪田 雅裕君
総務庁長官官房
審議官 西村 正紀君
外務省総合外交
政策局軍備管
理・科学審議官 阿部 信泰君
外務省総合外交
政策局国際社会
協力部長 朝海 和夫君
外務省条約局長 竹内 行夫君
大蔵大臣官房総
務審議官 溝口善兵衛君
大蔵大臣官房審
議官 尾原 榮夫君
大蔵省主計局長 涌井 洋治君
大蔵省銀行局長 山口 公生君
文部大臣官房長 小野 元之君
勇勢大臣官房総
務審議官 濱田 弘二君
労働大臣官房長 渡邊 信君
自治省財政局長 二橋 正弘君
事務局側
常任委員会専門
員 田中 久雄君
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本日の会議に付した案件
○財政構造改革の推進に関する特別措置法案(内
閣提出、衆議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/0
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001・遠藤要
○委員長(遠藤要君) ただいまから行財政改革・税制等に関する特別委員会を開会いたします。
財政構造改革の推進に関する特別措置法案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/1
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002・加藤修一
○加藤修一君 平成会の加藤修一でございます。時間がありませんので簡明直截に質問をいたします。
去る十月十六日に政府は京都会議で採択すべき議定書案の目玉になります数値目標を提案いたしました。その形成過程につきましては、実に不明朗であり、また説得力が乏しい、そういった意味ではアカウンタビリティーがないと国内でも国外でも厳しく受け取られておるわけであります。
衆参の環境委員会におきましては、参考人への質疑を含めまして計十八、九時間余りの審議を重ね、参議院におきましては、十九日の環境特別委員会でありますが、地球温暖化防止の決議を行ったところであります。衆議院もその方向と伺っておるところでございます。
そこで、総理大臣に答弁をお願いしたいことは、京都会議で最低限合意すべきものとは何でしょうか。
第一に、削減パーセンテージの問題。また、それを各国一律にするか、格差を持たせるか、さらに削減対象ガスを何種類にするか、まだ確たる合意の方向が示されておりません。
また第二に、これらについて京都会議中に合意できないと議定書ができませんから京都会議は成功とは言えない、このように私は判断しておりますけれども、この辺はいかがでしょうか。
さらに第三に、日本政府が国際的に提唱しました五%削減目標、またそれ以上の数値目標にアメリカもEUも賛同することになった場合、よもや日本政府が二・五%に固執してそれ以上の一律な削減案に反対することはないものと私は考えておりますが、橋本総理のお考えを明確にお示しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/2
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003・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 地球温暖化防止京都会議が二〇〇〇年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組みを定めようという人類の将来を左右し得る重要な会議であることは議員御指摘のとおりでありますし、このためにも、先進国を中心といたしました温室効果ガスの削減目標に合意するばかりではなく、開発途上国も含めて世界全体が一体となって中長期的な視野のもとに取り組みを進めるための国際的な枠組みに関する合意が形成される必要がある、そのように考えております。
政府としては、京都での合意というものが法的拘束力のあるものを目指すという前提のもとに、議長国として、地球温暖化防止に意味があり、公平で実現可能であるという三原則に基づいて、対象ガスとして二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素を対象といたしました。また、数値目標につきましては、多くの国にとっての実現可能性に公平性の要素を考慮し、五%を基準削減率として差異化の原則によって各国の数値目標を定める、このような提案を行ったことは御承知のとおりであります。
間もなく始まりますAPECの非公式首脳会合におきましてもこの問題は大きな議題となると思いますが、そのAPECに参加している国々の間でもこの問題に対する対応には相当な開きがあることは議員御承知のとおりであります。
この提案と申しますものは京都での交渉のベースとなり得るものでありますし、また現にそういう方向に動きつつある中でこれを軸にして途上国も含めた各国の立場を収れんさせる。意味があり公平で実現可能な目標の国際合意の形成が進むように政府一体として努力してまいりたいと考え、また努力もいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/3
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004・加藤修一
○加藤修一君 ただいまの御答弁の中に三種類のガスの件が出てまいりましたけれども、現在、六種類の米国案、EU諸国の一部が同調する動きがあるわけでありますが、その方向にまとまる可能性が出てきたということもございます。
国際的合意をつくる、そして会議を成功させる、そういった意味では日本も三種類から六種類のガスにするという選択も考えられると思いますけれども、この辺について御見解をお示ししていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/4
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005・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) そうした御意見があることも承知をいたしておりますが、途上国の中で現に非常に多くの現にCO2を排出しております国々にCO2の規制そのものに対しても反対が根強いことは御承知のとおりであります。
会議の行方を今から予断をもって申し上げることもできませんし、また予見することもこれから始まります会議におきましてなかなか難しい点を持っております。ただ、我が国がこの三種類のガスを選定したと申しますか、対象としてとらえておりますのは計測技術等技術的な面があることも御承知おきを願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/5
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006・加藤修一
○加藤修一君 環境先進国と言われるようなきちっとした対応、京都会議の成功をぜひ、積極的にそういう方向に行きますように最大限の努力をお願いしたいと思います。
それでは次に、同僚の議員が何回か質問しているわけでございますけれども、北海道拓殖銀行の経営破綻問題でございます。
拓銀は、北海道債や自治体の地方債の引き受けも多く、また道民の大多数が貯金口座を持ち、その貯金量は道内金融機関の二割を超えているわけですけれども、そういった意味では道民のメーンバンクでありました。北海道の中小企業のうち拓銀だけに依存する企業が約千社ありますし、北海道の中小企業は厳しい経済環境のもと最大限の体質改善に努めているわけですが、拓銀の経営破綻が年末を迎えた中小企業や北海道の経済に与える影響ははかり知れないと非常に私も心配している最中でございます。北海道庁はこの事態を受けて融資制度の融資枠を拡大する方向を検討しておりますが、国及び関係機関のきめ細かい実効性のある金融対策をお願いしたいと思います。
総理の御決意を伺いたい。ぜひとも道民が安心する御答弁をお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/6
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007・三塚博
○国務大臣(三塚博君) ただいまの御指摘、重々私どもも受けとめておるところでございます。
簡明に申し上げて総理からいただくことといたします。
受け皿銀行へ承継されるまでの間、拓銀は通常どおりの営業を継続することとなっております。この間の資金につきましては、必要に応じ日銀が日銀特融により供給することといたしております。したがいまして、健全な融資先等の取引につきましてもこれまでどおり支障が生じないものと考えております。
なお、拓銀の貸出先である健全な地場の中小企業等に不測の悪影響を与えることのないよう、大蔵省としても政府系金融機関を含む地域の金融機関に対して必要な協力を要請いたしておるところであります。
また、北海道庁におきましても、御説のとおり、制度融資の充実拡充等の対策を講じていく旨発表しておることも承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/7
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008・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、大蔵大臣から詳細御説明をいたしましたとおり、全力を挙げて道内の皆さん、特に預金者の方々、また主たる金融機関として拓銀の顧客でおられた中小企業の方々が影響を受けないように全力を尽くします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/8
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009・加藤修一
○加藤修一君 私、先ほどきめ細かい実効性のある金融対策という話をいたしましたけれども、私が求める金融対策とは、第一に融資枠の拡大と条件緩和をするということ、第二に手形決済など資金繰りに支障がないように貸し付けの弾力的運用と迅速化を図ること、第三に信用保証協会の保証手続、それの迅速化あるいは既往債務に対する適切な対応策を含んでいるわけでございますけれども、この辺について政府の見解をお示ししていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/9
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010・山口公生
○政府委員(山口公生君) お答え申し上げます。
今、大臣から御答弁申し上げましたような観点から、早速当面の貸し出しの運用について大蔵省を初め関係省庁から政府系金融機関七金融機関すべてに要請をいたしております。さらに、今お触れになりました保証業務につきましても、大蔵省と中小企業庁から全国信用保証協会連合会に要請をいたしております。また、地元金融機関への説明会を開催し、協力を要請いたしました。これは、道内の各金融機関が協力して対処していただく必要があるからでございます。また、北海道の方でも知事が種々の道の制度の拡大を発表しております。
今御指摘になったような点について、こういった形でできるだけの配慮をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/10
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011・加藤修一
○加藤修一君 いずれにしましても、今まで政府は大手二十行についてはつぶさないと繰り返し発言してきたわけであります。
私は、今後の不良債権処理につきましては、系列会社を含めて金融機関の経営内容を開示すること、第二には破綻金融機関の経営責任を明確にし、刑事、民事、道義上の責任を明確にすること、さらに三点目には不良債権の処理スキームはそのたびに考えるのではなく、日本版RTCのような公正かつ透明なルールと法的枠組みを早急に整備することであるということを力強く申し上げ、私はこの問題を早急に対応していくことを要求し、私の質問を終わります。
以上でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/11
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012・広中和歌子
○広中和歌子君 おはようございます。
引き続きまして、不良債権問題について御質問させていただきます。
拓銀の破産の過程を見ましても、また三洋証券の倒産にいたしましても、破綻した金融機関が別の金融会社に救済されるという可能性が今後現実的ではないということを示しているのではないかと思います。
現在、ビッグバンを目前に、多くの金融機関がまさに綱渡り的な状況にあるんではないかと予想されます。しかし、総理は、今後金融破綻の連鎖反応が起こり得ないと断言なさいますか、そして、もし起こったらどういう形で対応なさいますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/12
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013・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 金融システム改革が進むにつれまして、金融機関同士の競争は当然ながら活発化することが予想されるわけでありますけれども、そうした中におきまして、それぞれの金融機関は利用者ニーズの多様化、高度化あるいは金融の国際化等にみずからの能力を最大限に生かしながら全力を尽くして対応していくものと思っておりますが、同時に金融システム改革というものは不良債権の処理と並行して進めていかなければならない、そうした点では政府として金融システムの安定に対して細心の注意を払ってまいりたい、そうお答えをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/13
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014・広中和歌子
○広中和歌子君 細心の注意を払っても倒産が起こるというのが現在だろうと思いますけれども、それが連鎖反応につながらないというふうに自信を持っていらっしゃいますか、重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/14
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015・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 細心の注意を払ってまいりますと申し上げております中にはいろいろな思いを込めております。そして、市場というものが大変敏感に物事に反応をする性質を持っておられるということを考えましても、今の御質問に対し細心の注意ということを繰り返し申し上げて、御答弁にかえさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/15
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016・広中和歌子
○広中和歌子君 今まで多くの同僚委員がこの問題について御質問をいたしました。お答えとしては、金融三法、そして預金保険機構の枠の中で預金者保護という視点で救済していくと、そういうことでございますけれども、その預金保険機構の責任準備金は三月末でもう既に四千億不足、そして預金保険機構が今後パンクするんではないかといったようなことも言われます。保険料は既にもう七倍に上がっている、これ以上上げたならば優良な銀行でさえその体力を消耗してしまうという中で、日銀特融枠二兆円まで借りられるわけですけれども、これで果たして金融不安を乗り切れるかということが問題でございます。
二〇〇一年までは預金は保証されても、金融機関がつぶれたら金融という国の経済の血液がとまってしまうわけです。国として危機管理の必要をお認めになりますか、そういう場合には。それとも自己責任、グローバル、フリー、フェアということで放置なさるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/16
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017・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、金融システム改革が完了した時点においては、まさにフリー、フェア、グローバル、裏返して自己責任というものを原則とするという姿が我が国の健全な姿であろうと思います。
その上で、その過渡期におきまして、さまざまな想定をいたせばさまざまな想定が出てまいります。これに対応する手法というものは一つに限定されるとも断言できませんし、また一つの手法ですべてが解決できるものではないと存じます。
その上で、議員は今危機管理という言葉をお使いになりましたけれども、危機といった状態にならないように努力をしていくのが金融当局の責任の大きなウエートを占めるでありましょうし、その上でなお問題が生じました場合に、その事案にふさわしい処理方策を許される法の範囲において工夫していくということがその役割であろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/17
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018・広中和歌子
○広中和歌子君 イギリスの場合のように外国の金融機関が乗っ取ってしまう、しかしながらイギリスの金融市場は栄えているといういわゆるウィンブルドン方式というのもあるようでございます。日本の場合がウィンブルドン方式にし、そして同時に、また郵貯という世界最大の金融機関があるわけでございますけれども、それでよろしいのかどうか。そういうことが今後問われるのではないかと思いますが、大蔵大臣、コメントがあったらよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/18
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019・三塚博
○国務大臣(三塚博君) ただいま御指摘の危機に対し、総理大臣からそうなりませんように万全の策をと。委員がそれに対して言われました金融三法、預金保険機構等の詳細についての御言及でございました。
この制度をフルに活用する、すなわち制度の基本的考え方を踏まえながら万全を期することによりまして、預金者保護、そして大事な金融システムの安定、こういうことで取り進めてまいることで、不良債権解消のために自助努力をもって頑張り抜いている金融機関が、さらにその深度を深めることによって金融界全体の安定がもたらされるのではないだろうかと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/19
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020・広中和歌子
○広中和歌子君 危機が起こる前にさまざまな手を打っていかれるという総理のリーダーシップに心から期待を申し上げる次第でございます。
では、次のテーマに移ります。
行革でございますけれども、きのう、きょうと非常に新聞をにぎわしているわけでございますが、総理は、どういう意図でどういう理念で昨年の十一月二十八日、政府行政改革会議を組織なさり、そして御自身が議長を務められたのか、お気持ちをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/20
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021・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、昨年の衆議院選の期間におきましても幾つかのことを国民に訴えてまいりましたが、そのうちの一つに、中央省庁の数が減る、減らすというより減る。それは地方分権を進めなきゃならない、また現在の規制を緩和することによって官から民へ移していかなきゃならない、そうしたものがたくさんある。そして、そういうものを進めていけば当然それだけ中央省庁はスリム化できるはずであるということを国民の皆さんに訴えてまいりました。
そして私は、まさに今制度疲労の目立つ、しかしながら敗戦後今日までの日本を支えてきたという意味では非常に効果のあった行政システム、今後には既に向かなくなってきているそうしたシステムを根底から変えなければならないという思いを持っておりました。
もともと私自身が行政改革というものに興味を持ち始めましたのは、たしか昭和四十八年ぐらいだったと思いますけれども、人口構造の変化というのが目立ち始めた時期に、果たして人生五十年の時代に設計されたシステムが人生七十年、八十年という時代にそのまま使えるかという思いからだったことも事実でありますが、そうした思いの上に、縦割り行政の弊害を越えて機動的に対応できるそうした国民本位で効率的な組織というものは何か、そのような模索をしていたことも事実でございます。
そうした思いの中から、昨年十一月に行政改革会議を設置することを考えました。そして、その時点におきまして、まあできないとかあるいはやれっこないとかいろんな御意見が世上をにぎわしておったことも事実でありますし、それだけの責任をとりながら進めていきたいという自分の思いをいわば反映するためにも、各界の有識者の方々、しかしそれは行政の専門家ではありません、一人の国民としての目の高さで、しかしながらそれだけの専門分野の知識をそれぞれにお持ちの方々にお集まりをいただき、そうした立場で分権推進委員会が進めてこられた地方分権、また行政改革委員会が進めてこられた規制緩和、そういうものを土台にしながら中央省庁のあり方というものを考えていただく、そのような発想でスタートをさせてきたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/21
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022・広中和歌子
○広中和歌子君 十五人のまさに各界各層のトップの方にお願いして、そして九月三日の中間報告までにもう二十八回お集まりになった。実に実に精力的に討議なさったことに対して、総理並びにその委員の方々に心から敬意を表するものでございます。
理念として、中央から地方へ、官から民へ、行政の簡素化、効率化、そして国民本位の政治ということで中間報告が出されたわけでございますけれども、その中間報告に関して総理はどのように思われたんでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/22
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023・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は、本当に行革会議の皆さんが真剣に議論をされ、その中でその時点における意見というものを集約されたものが中間報告であったと思います。そして、中間報告自体にもこれは完成されたものではないということが、表現はちょっと正確に覚えておりませんが付記されておりましたけれども、その後も継続し、今日まで論議を続けてきていただいております。
私は、委員を受けてくださった方々が、それぞれの分野で本当にお忙しい毎日の中からよくこれだけ時間をやりくりし真剣な議論をしてきていただいたと心から感謝しておりますし、手を合わせたいような思いでその御努力にお礼を申し上げたい気持ちでいっぱいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/23
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024・広中和歌子
○広中和歌子君 御努力に感謝し手を合わせたくても、その報告を受けてそのとおりにというわけにはいかないんでございましょうね。
自民党の行政改革推進本部でございますか、いろいろな御意見が出ているようでございます。もちろん、自民党の議員の方々も国民の各界各層の方の御意見を反映させていろいろ御意見を言っていらっしゃるんでしょうからその意見も酌み取らなければならない、そういう綱引きの中で、総理はどのような立場でいらっしゃるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/24
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025・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) まず第一に、私は行政改革会議の議長という取りまとめ役の立場であります。同時に、これを受け取る内閣の最高責任者でもございます。同時に、自由民主党の総裁という立場で、党の代表でもございます。
しかし、この問題に関してそのようなお尋ねをあえていただくのであれば、私はこの中間報告以降、本当に我が党も含めて、またマスコミの皆さんも含めて本気でいろいろな問題を議論し、あるいはそれまでの行革会議の論議の中には出ておらなかったような論点、さまざまな角度から議論をしてきていただいていることは非常にある意味では大事なことだと思っておりますし、これをどう集約していくか、もうそれほど時間が残っておるわけではございません。そして、海外への出張あるいは国会の御審議等で私自身が参加できなかった会議においても、そうした国民の声を代表されるさまざまな御意見というものも参考にしながら行革会議は一生懸命に議論をしていただいていることを改めて申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/25
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026・広中和歌子
○広中和歌子君 すべてのテーマを扱うわけにいきませんので、郵政三事業について絞らせていただきますが、郵政三事業に関しまして、中間報告では、郵便事業は国営、そして簡保は民間、そして郵貯は民営化の方向にということでございました。
しかしながら、自民党内における強硬な反対に遭って国営で三つが一体化する、三事業一体化という方向が打ち出されている中で、総理としては新型公社という方向だけは譲れないというようなことをおっしゃっているわけですが、新型公社というのはどういうものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/26
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027・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私が一番大事なことだと思いますのは、郵政三事業におきまして今まで集められました資金が、財投の原資として資金運用部にそのまま預託をされ、それが財政投融資の原資として使用されていく。その中で、特殊法人等のあり方についても、本院においてもさまざまな御議論をちょうだいするような状態が出てきている。そして今まで、現内閣も含めまして政党政派を異にいたします内閣の時期におきましても、特殊法人の整理統合というものについては、それぞれの内閣が一生懸命に取り組んでこられましたし、また、今我々も取り組んでおりますけれども、財政投融資の改革というものがなければこれはうまくいかないということが、だんだんみんなの共通の認識になってきたと思います。
その改革のためには、資金運用部への預託をストップする、これが私は一番大事なことだと思っております。そして、資金運用部への預託を廃止することにより、財政投融資のあり方は当然変化いたしますし、結果として特殊法人も変わらざるを得なくなってまいります。同時に、郵政三事業というものが、一方では例えば郵便事業に民間が参入し得る方向が確保される、そして、それぞれその資金は自主運用で国庫に迷惑をかけない形で運用されていく、そうした姿ができることが私は基本だと思っておりまして、その上で今さまざまな議論が行われております。
私自身から、会議の取りまとめの最終段階におきまして、それ以上のことを申し上げることは控えさせていただきたいと思いますけれども、私は、一番大事なことは資金運用部への預託をストップする、これが財政投融資改革さらに特殊法人の改革というものにつながっていく、一方ではこれが自主運用によって国庫に迷惑をかけない形で取り扱われる、ここが一番大事なことなのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/27
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028・広中和歌子
○広中和歌子君 この前開かれた委員会でも指摘したんですが、郵貯は店舗数二万四千六百、世界最大の銀行でございます。しかも、国で完全に保護され優遇されている。そういう中で、グローバル、フェア、フリーに合わないというふうに思うのでございますが、これが完全に自主運用ということにいたしましたときに、本当にそれが可能なのかどうかという危惧もございます。
それから、郵便局でございますけれども、これの国営に関しては、新型公社であろうと私はどちらでも構いませんけれども、民間の参入というのが不可欠だろうと思います。つまり、最近確かに郵便事業はよくなったわけですけれども、宅急便の参入で、そしてまた国鉄とかそうした三公社が民営化する中でサービスがますます向上してきたということが言えるわけでございまして、やはりそういう競争原理が入ることが大切なのではないかと思います。
こうした二つの点、それから財投改革につながるかどうかという点で、小泉国務大臣は今までこの問題に深くかかわり、そしていろいろな意見を述べていらっしゃったわけでございますけれども、今度の、最終的にはまだ決まっていないわけですが、どのような御感想をお持ちなのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/28
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029・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) ただいま総理が答弁された中で指摘された点は、私は大変重要だと思っております。今までの行財政改革で、特殊法人の整理統廃合、財政投融資制度の改革、郵政三事業の見直し、簡潔にしてすべてを総理が要約して答弁されました。
民営ならば危なくて国営の金融機関ならば安全か、そうでないというのは財政投融資制度を見れば明らかであります。巨額の不良債権を抱えて、住専の六千八百五十億円どころじゃありません、何十兆円にわたる公的資金を投入しないとどうにもならない状態になっている。であるからこそ、ここの数年間、特殊法人の整理統廃合、財投の改革、そして郵政の民営化論が出てきたんだと思います。
そういう中にあって、ただいま総理が答弁されたように、郵貯、簡保が資金運用部への預託を廃止する、そして新型公社であれどういう名目であれ、この郵政三事業が国庫に迷惑をかけない、ということは税金を投入しない。なおかつ、郵便事業に民間の参入を認めると総理は答弁されました。
もし、これが実現されるならば、郵政民営化論というのは暴論でなくて、今後現実の問題として本格的に議論されて財投の改革が進み、特殊法人の整理統廃合が進んでいく。私は、もし総理の今言われた方向でこの問題に決着がなされるとするならば、今後行財政改革は本格的に進んでいくのではないかと期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/29
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030・広中和歌子
○広中和歌子君 私は、尊敬する小泉大臣が辞任なさらないで済むような解決であることを心から願っております。
続きまして、外務大臣にお伺いいたします。
大臣に御就任になってすぐに、対人地雷の全面禁止条約に日本は署名すべきだという勇気ある発言をなさいましたこと、そういう御見解を表明されたことに心から敬意を表しているものでございます。
報道によれば、政府は条約署名を今月二十八日か来月二日に閣議決定し、小渕外相が来月三日にオタワの署名式に派遣されるとされておりますけれども、正しいんでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/30
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031・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) この問題につきましては、総理から防衛庁長官並びに私に、オタワにおける署名につきましてその方向で調整するようにという御指示がありまして、今日までこの問題に取り組んでまいりました。
いずれ、時間も差し迫っておることでございますので、最終的に総理の御判断を得てまいりたいと思いますが、私自身としては、ぜひこれは署名に向かって努力できれば幸いだと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/31
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032・広中和歌子
○広中和歌子君 平和外交を標倍する日本として、ぜひこれには御出席いただきたいと思うわけでございます。
それとともに、地雷廃絶に向けた新たな取り組みとして、これも報道によるわけですが、地雷探知、排除のための装置や器具を武器輸出三原則の例外扱いとし、ODAの地雷除去予算を大幅にふやすことを総理がお考えだということが書かれておりましたけれども、これは事実でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/32
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033・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 昨年、リヨンのサミットにおきまして私自身この問題を取り上げ、そしてその結果、三月六日及び七日、二十七カ国及び十の国際機関が加盟した対人地雷に関する東京会議、これをおかげさまで開くことができました。その中からさまざまな課題が出てきております。
そして、現在、我が国がこうした今の御指摘のような完璧な技術を持っておる状況ではございませんが、そうした分野に転用できるのではないか、あるいはもう少し努力をすると有効ではないかと言われる技術が存在することは事実であります。
もしそうしたものが開発され、危険な作業に入ります前にその対人地雷がどこにあるのか発見できるということになりましたなら、これは私は大変大きなことだと思います。そして、そういう可能性が出てきましたときには、今、議員がお話しになりましたような角度も当然私どもの視野にあることを隠すものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/33
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034・広中和歌子
○広中和歌子君 終わります。
どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/34
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035・吉岡吉典
○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。
国民生活にとっても、日本経済の将来にとっても非常に重要な意味を持つ財革法案が、論議を十分に尽くさないうち、きょう締めくくり総括となり審議を終えようとしていることはまことに遺憾であるということを最初に述べておきたいと思います。その上で、私は幾つかの問題について質問をさせていただきます。
まず第一に、財政構造改革の当面の目標に関してであります。
法案は、国は財政構造改革を推進する義務を有するとして、私の挙げ方によれば三つの目標を提起していると思います。それは、国債の比率を国内総生産の三%以下にするということ、第二に、一般会計において特例公債をゼロにする、そして、国債依存度を九七年度よりも引き下げる、この三つの目標を二〇〇三年で達成する、こう掲げていると思います。国債依存度の引き下げについては数値目標が示されておりませんから、九七年度より低ければよいということかもしれません。
いずれにしろ、この目標は努力目標なのか、予算編成に当たって必ず実現しなくちゃいかぬ、いわば法律上の義務のある目標なのか、まず総理にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/35
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036・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 本件は法律案に示されておるところでございます。そして、議決決定をいただくという前提で申し上げます。
そういうことになりますと、国会の意思が明示をされたということになり、これを受けて政府としては目標達成に向けて最大限の努力を傾注しなければならない、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/36
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037・吉岡吉典
○吉岡吉典君 努力をするということですけれども、これは極めて具体的であって、二〇〇三年の時点ではこういう目標が達成される予算案の数字になってあらわれるわけですね。したがって、この法律のもとでは、少なくとも二〇〇三年に関して言えば、さっき言いました三つの目標、国民総生産の三%以下、特例公債ゼロ、依存度は下げる、これを満たす予算が組まれることになる、それを法律が義務づけているととっていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/37
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038・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 広義の意味でまさに義務づけでありまして、政党内閣でございますから、本件についてはすべてをかけて全力を尽くしてスタートさせていただきますことが、二〇〇三年に向けて我が日本の展望が確実に開ける、こういうことになると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/38
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039・吉岡吉典
○吉岡吉典君 そこが大変なんです。日本の明るい展望が開かれるのではなくて、国民にとって大変重大な未来が生まれてくるということになるところにこの法案の問題がある。これはきょうも私幾つかお尋ねしたい点ですが、この財政改革法案というのは、今の三つの目標を実現するためにということで提出されているわけです。
ところで、この当面の目標達成のために財政構造を改革するとうたいながら、その内容は財政構造改革になっていないということが衆議院、参議院を通じて論議になってきました。きのうもこれは財政赤字解消法案だという指摘が与党から行われておりました。私の方もこれは国民生活関連自動削減装置をつくろうとするものだということをきのうも指摘したところです。財政構造といえばもう論議されたことですから詳しく言いませんが、歳入と歳出から財政構造が成り立つことは、これはもう当たり前のことです。
私は、きょう総理に確かめておきたい点は、財政構造改革とおっしゃるなら、この法案をいわば第一部として、第二部に歳入構造改革法案、私どもが主張し続けてきたところによれば、不公平税制の抜本的な是正ということになりますが、そういう歳入構造改革法案とでも言うものを提出する考えがあるのかないのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/39
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040・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今、大蔵大臣からも繰り返し申し上げてまいりましたように、財政構造改革法案は、財政構造改革の当面の目標達成に向けて、歳出の改革と縮減のための具体的な方策、枠組みを規定すると同時に、国は財政構造改革を推進する責務を有することとしておりまして、財政構造改革を推進するに当たって、まず歳出の改革と縮減に最大限の努力を傾注すべきであると思います。
歳入面につきましては、より国民的な理解を得られる財政構造改革といたしますためにも、引き続き公平、中立、簡素という幅広い観点に立って税負担のあり方についての検討を行い、改革に取り組んでいくことが肝要だと考えております。
税負担の公平確保、これは税制の基本理念の一つをなすものでありまして、あえて歳入構造改革法案を出すまでもなく、今後ともこの実現に向けて不断の努力を続けていくことは当然だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/40
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041・吉岡吉典
○吉岡吉典君 今の答弁ですと、歳出削減、私どもの言う国民生活関連予算を自動的に削減するその部分についてはこういう法律をつくる、しかし、歳入、とりわけ税制の抜本的改正、この問題については年々努力をするということで、こういう法律を出そうということは考えておられない、こういうことだというふうに今の答弁、またこれまでの論議での答弁でとらせていただきます。
そうしますと、私は、先進国中最大の危機的状況にあると繰り返しおっしゃる財政危機の打開のために、中心的にはやはり国民の負担を一層大きくする、一層どころか飛躍的に国民の負担をふやす、こういう方法でこの財政危機の打開を考えておられる、こういうふうに考えざるを得ません。
中心問題になって論議されてきました社会保障ですが、橋本総理は、短期的な痛みと盛んに言われ、その先には何か明るい未来があるようにもおっしゃっていましたけれども、この法案は、社会保障について短期的な痛みだけでなく、それが制度化される。したがって、集中改革期間が終わってももとへ戻るというものではない、そういうふうに私は思いますが、短期の痛みとおっしゃるのは、集中改革期間が終わった後はまた負担が軽くなってもとへ返る、こういうふうなことをおっしゃるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/41
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042・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) どうも議員の御議論と私が申し上げておることがかみ合わないのかもしれません。だとするなら、これはお許しをいただかなければなりません。
現況が厳しいこと、そして現在の状況をそのままに、この仕組みをそのままにしていきました場合に、二〇二五年には赤字を加えました国民負担率が七〇%を超えてしまうという状況が来るということは推計の上で繰り返し申し上げてきている状況であります。私どもは、そういう状態になりましても一そういう状態というのは大変ちょっと言葉の使い方を失礼いたしました。そして、そういう状況を生んでいく大きな要因に高齢・少子社会ということがあるということも申し上げてきました。そして、その上で……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/42
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043・吉岡吉典
○吉岡吉典君 質問に簡潔に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/43
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044・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) ですから、ちょっと食い違うかもしれませんとお許しを得て申し上げているんですけれども、そういう状況の中で、それでは今のままの仕組みを若い勤労者の方々がいつまで背負えるんでしょう、このままで。そうした中でも、我々は、少子・高齢社会というものの中で、国民生活のセーフティーネットとしての社会保障、医療保険であれ年金であれ、その仕組みは本当に守っていかなきゃならないと思います。その上で、世代間の負担の公平というものも念頭に置き、背負い切れる仕組みというものをつくっていこうとしている。
何か現在の仕組みに固執されて御論議をいただきますと、どうも意見がかみ合わないというのが率直な感想であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/44
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045・吉岡吉典
○吉岡吉典君 今の答弁、いろいろなことをおっしゃいましたが、短期の痛みということではなく、今のような負担が制度化する、そういう仕組みをつくるんだと、こういうふうにおっしゃったと思います。その目的、理由は、将来ともそういう仕組みをつくるということです。
そこで総理、きのうもおっしゃいました、このままでいけば国民負担率七〇%になってどうだこうだというようなお話です。これは、今何も総理に改めて話していただくまでもなく、一昨年、財政危機宣言が行われて以降、繰り返し大蔵省が巨額な金を使ってパンフレット等をつくって宣伝してきたことで、きのうも同じことをおっしゃいました。例えば、去年出ている。パンフレットでも何を書いているかというと、これは「破局のシナリオ」だと。二十一世紀は破局だという大宣伝ですね。「財政・社会保障は二十一世紀には破綻へ」、「「双子の赤字」で純債務国へ転落する日本」、「財政赤字と合わせた国民負担率は、実に七〇%をオーバー」、ここで大きい声で繰り返し言われなくてもこういう宣伝がやられてきました。
私は、これは大蔵委員会で、国民を恫喝して負担を求めようとする宣伝だと、こう言いました。なぜかといえば、巨額な赤字があることは事実です。それは私も認めます。しかし、それを打開するというなら、この赤字が生まれた原因、責任を明らかにして、その上でそれを解決する方向を示すこと、これが本当の解決策で、そういうことを示さないで、日本は破局だ破局だと言って大量のパンフレットをつくって全国に宣伝するという、こういうやり方では国民生活の未来に対して不安が広がるばかりなんです。
それで、今度の法案についても、結局はそういう根本策は示さない、そして国民生活関連についての新たな負担を求める、そういう内容になっています。
十月三十日、衆議院特別委員会での参考人の意見の一つには、今回の法案は医療に対する、いわゆるカットマシンという性格が強い、こういう指摘が行われております。これが今度の法案の基本的性格だということを私は申し上げておきたい。
この問題が私のきょうの中心目標ではありませんので次に進みますが、この財政改革法案によれば、ゼネコン向けの公共事業あるいは軍事費等の大枠は維持される、国民生活に対する負担は大変なものになる。
私のところに一つの試算があります。これは試算できるものを拾い上げて行った一つの試算ですが、社会保障での国民負担は一兆九千四百三十億円ふえる。文教費は私学助成だけで百十七億円、生活関連公共投資二千億円、補助金削減一千億円。数字として拾うことができるものだけでも二兆二千五百億円、こういう数字が出ております。こういう負担を国民にさらに求める。
そこで大事な問題は、国民にこういう新たな負担を求めながら、大蔵省の「財政事情の試算」によると、それでもなお目標は達成できない、そういうことが大蔵省が作成し国会にも出している「財政事情の試算」で明らかになっていると思います。大蔵大臣、そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/45
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046・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 要調整額という形で出させていただきました。
国の歳出は法律に基づき、また緊急性に基づき毎年計算をされます心これに見合う租税収入がありますと、大変健全な財政で評価を受けるわけでございます。高齢化社会を迎えての社会保障制度の基本的な見方、また新しい改革案を入れさせていただくことによって、国民的合意という意味であります、のもとに取り進められることにより、福祉国家としての日本は引き続きこの制度をよい方向に押し上げてまいりたい。そのことによって生ずる自然増経費というものをどう捻出するかという問題などもあります。
それともう一つは、累次にわたるバブル崩壊後の経済の回復、下支えということで全力を尽くしてきたものが累積赤字ということの中で来ましたことに対して、この際、思い切った歳出削減をしていかなければなりませんから、万般に目配りをし、聖域なき見直しの中で、なるほどこれがカットとなることはやむを得ないことだということを取り進めさせていただきます。御指摘のような状況を打破するためにはそうしなければならぬと申し上げさせていただいたところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/46
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047・吉岡吉典
○吉岡吉典君 後から質問しようと思っていることまで一括してお答えがありましたが、順次質問します。
大蔵省がつくられた「財政事情の試算」にある要調整額というものの性格と言うべきか、この額は結局どういう意味を持つ額かといえば、この要調整額をそのままにしておいたのでは目標が達成できない。したがって、各年度ごとにこの要調整額を法案に基づいて作成された概算要求にさらに追加して、各年度ごとに予算ではこういう額が残らないように予算編成される、そういう数字だととってよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/47
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048・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 要調整額が解消されませんと、この法律に明示をされましたその目標が達成できませんので、そのとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/48
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049・吉岡吉典
○吉岡吉典君 今そうおっしゃいましたけれども、これがまた大変な額なんです。
私、今試算できる数字を拾った額として二兆二千五百億円という負担がふえる、こう言いました。この大蔵省の要調整額によると、来年度予算の場合に、それに加えて低い数字でも二兆一千億円、高い数字だと二兆九千億円、もし国鉄、国有林野の債務処理問題をこれに加えることになるとさらに八千億円ふえる。こういう額をうまく処理しなければ来年度予算編成ができない、こういう数字だと思いますが、これは間違いありませんか。これは事務当局でもどちらでもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/49
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050・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 私からお答えします。
この「財政事情の試算」に基づいて、構造改革法でありますこの法律の基本を踏まえて編成をしてまいりますと、御指摘のとおり相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/50
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051・吉岡吉典
○吉岡吉典君 これは、今の法案のキャップをかけて国民に負担を求めるよりも、さらに大きい額の負担を求めなければ来年度予算が編成されないということになる。そういう大きい額の数字ですから、これはもう今まで我々はキャップ制によってこれだけ国民生活が犠牲になるということを言い続けてきましたが、それをはるかに上回る、それに倍する負担がかかる大変な法案だ、こう考えざるを得ません。
二〇〇三年について言えば、要調整額は、この試算の一番低い数字をとってみても、つまり成長率が三・五%も予想され、そして予算増はないと、こういうもとでも一兆二千億円、国鉄、国有林の債務処理を加えれば二兆九千億円。そして、一番高い数字を見れば、これは実に七兆六千億円、国鉄、国有林野を合わせれば九兆三千億円。九兆三千億円というと一般歳出の一九・五%、二〇%近い額に当たる。そういう巨額の要調整費が生まれ得る、こういう表になっているわけです。間違いありませんね、この数字は。事務当局で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/51
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052・涌井洋治
○政府委員(涌井洋治君) 先生の御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/52
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053・吉岡吉典
○吉岡吉典君 そうしますと、これは私は本当にこういうことが可能かどうか、この法案の根本問題にもなると思います。
大体消費税が値上がりになったことが今の不景気を一層深刻にするということ、これも論議されてきたことです。消費税一%値上げで二兆円、こう言われております。今の法案のキャップ制で二兆円以上ですから、一%以上の引き上げに当たる国民負担、さらに要調整額で来年度でもそれを上回る、要するに消費税一%を上回る追加の削減、国民負担増が行われざるを得なくなる、こういうのがこの法案の中身だと思います。
しかも、これをどういう方向で生み出していくか。国債はストップがかけられている。衆議院での論議、参議院でも大蔵大臣は、今は増税は考えられないと繰り返しおっしゃっている。そうすると、これは新たな国民負担増という答えになりかねないと思いますが、どういう項目でこれを捻出していこうとお考えになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/53
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054・三塚博
○国務大臣(三塚博君) もう吉岡委員、すべてを知悉してその計算の中で御質問をされておるわけでございますが、一般論として申し上げますと、こういう事態の場合、だれが考えましても、借金を減らして健全な財政、健全な家計にしようというときには節約をするということになります。
この法律によりまして、健全化目標を達成するためには歳出カットをしていかなければならない、聖域なき見直しをすることによってむだは徹底的に洗い出す、義務的その他の経費の節減を図ると、スリムな政府とよく言われるゆえんがそこであります。
そのほかもう一つは、第二次OBRAのアメリカの例ではございませんが、ヨーロッパ各国においても三%を目指して努力しておる先進各国、新たな税を、また増税を目指して論議をいただき、また成功したところもあります。いわゆる税の増収を図る、新たな負担をお願いするという手法をとる、こういうことであろうかと思います。両方セットでやるところもありますし、その国の政治状況でやられておるところもあります。
委員御指摘のように、今我が国は増税する環境にございません、こう申し上げております。すべての歳出カットを展望してやり抜いていくことに徹しなければならない。しかしながら、めり張りをつけて、国民生活上やらなければならないもの、そういう方々に対する施策は講じてまいる、こういうことで取り組んでいく以外にないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/54
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055・吉岡吉典
○吉岡吉典君 すべての歳出カットというお話ですが、この額がわずかなら僕は節約ということででも出てくるかとも思いますよ。しかし、来年度予算でも二兆円、三兆円近くになる可能性もあるという計算が大蔵省で行われている。これは私はちょっとした節約ぐらいでは出てこないと思います。
大体、キャップ制による財政削減でも、小泉厚生大臣が衆議院で答弁されたところによれば、これを生み出すのは容易じゃない、四苦八苦、七転八倒の苦労をしなくちゃ編み出せない、こうおっしゃっている。そこへもってきて、さらにこのキャップを上回る追加の削減ということになれば、私は本当に、これを法律の義務だとおっしゃってやれば国民生活に新たな大変な問題が出てくると考えざるを得ません。
それは、この財政構造改革法案自身が、繰り返し私ども言っておりますように、むだは大枠として省かないで残しちゃう、専ら国民生活関連に負担を求めているという仕組みになっているからそう考えざるを得ません。
私は、そこで総理にひとつお伺いしたいんです。
この財政改革法案はそういう削減すべき対象を間違えているという点でも問題があると思いますが、先進国中最も深刻な危機的状況にあるという財政危機を三年間の集中改革期間、二〇〇三年までとしても六年間で解決しようということ自身もまた無理ではないか、こういうふうに思います。
我が党も、日本の財政のこの危機的状況をどう打開するかということで試算しましたが、これも十カ年で再建する計画を我々は立てております。つまり、私は、これはできもしないこと、残るのは結局福祉カットマシンだけが残る、こういうことにしかならないではないかというふうに今の数字からも考えざるを得ません。
総理、これを三年の集中改革期間で本当にやれるとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/55
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056・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほども申し上げましたように、このままの状態を持続することによって、議員は大変国民を脅迫しているというような言葉までお使いになりましたけれども、そのパンフレットに記されている数字は、一定の前提を置いた場合、当然ながら予測されるという将来推計でありまして、これを私は必ずしも議員がおっしゃるような思いで見たわけではありません。
その上で、そうした事態を起こさないためにもどうしなければならないかを考え、同時に、財政の厳しい状況の中におきましても、将来ともに国民の暮らしのセーフティーネットとしての医療保険や年金の役割を維持し続けるために何ができるかを模索しようとしてこれを御提案申し上げております。その努力をやめて、このままこの国が衰退していくのを黙って見ているつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/56
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057・吉岡吉典
○吉岡吉典君 国民生活を破壊させて日本の明るい将来はないということだけ申し上げて、質問を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/57
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058・佐藤道夫
○佐藤道夫君 私からは、大蔵大臣にお尋ねいたしたいと思います。
実は一般質疑も含めましてこれが三度目でありまして、本日はどうしても結論まで話を持っていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
前回の質疑を通じまして、大蔵大臣から我が国の財政状況がどんなに危機的状況にあるか、深刻な問題を抱えているかということをるる説明いただきました。そして私は、一体何が原因でこういうことになったのかとお尋ねいたしまして、それにつきましても御回答をいただきました。
要すれば、三十五年ほど前に右肩上がりの経済成長がかなりな期間どこまでも続いていくのだろう、こういう前提で歳入を上回る歳出予算を組んで、その差額は赤字国債で埋めていった、こういう状況がずっと続いてきて今日のこういう状態を迎えた。こういうふうに考えてもよろしいかと思いますので、率直に申し上げまして政治責任をどう考えるかというふうにお尋ねいたしまして、これにつきましては大蔵大臣から結果責任であろうか、こういう御答弁をいただきました。実は結果責任というのは責任がないことをえんきょくに言いあらわす言葉でありまして、やむを得ない、どうしようもなかった、こういうことであります。
拓銀は破綻しました。その他三洋証券や何とか生命も破綻いたしました。こういうところの経営者がこれも結果責任で仕方がなかったんですよと言えば、やはり国民はけしからぬ、こう言うんだろうと思います。金融機関何千とあるうちに破綻したのは三つか四つだけでありまして、証券会社も一つ、生保会社も一つだけでありまして、こういうような事態を迎えたについては、それぞれの破綻した企業の経営者の責任というのはやはり厳しく追及さるべきでありましょうし、追及することも可能だろうと思いますし、現にまた刑事事件にまで発展しているものもある。
こういう角度で考えますと、一言で結果責任でした、御了承くださいで済むんだろうか。深刻な反省があってこそ初めて新しい処方せんが描けるんだろうと思いますし、国民の理解と協力も得られるのではないか、こう思います。
まず原因追求と反省ありき、責任追及ありき、こういう角度から、もう一度改めて大蔵大臣の御所見を例えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/58
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059・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 先般の質疑で申し上げました結果責任ということは、実は法律的な意味の感覚がございませんでした。言うなれば、出た結果を真摯に受けとめ追及をし、そして二度と過ちがないように、また批判を受けることのないようにしていかなければならない、こういう実はわかりいい言葉というものですからそうさせていただきました。
御指摘のとおり、経済の右肩上がり、これを当時全体が当たり前のことと受けとめたときにバブルがスタートをいたしました。その結果としてこれが収束の事態に入ったわけでございます。
限られた時間でありますからポイントだけ申し上げさせていただき、真摯にそれを受けとめ、政治、行政がスタートをしませんと国民のための政治とは言われないということで、深く受けとめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/59
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060・佐藤道夫
○佐藤道夫君 率直な御答弁、まことにありがとうございました。
それから次に、国民がこういうこの国の破産状態をどれほど深刻に考えておるかということについてもちょっとお尋ねしたいと思いますが、そんなにむしろ問題視していないのではないか。一言で申し上げれば、この法案につきましても、国民サイドからは総論賛成各論反対、自分の利害にかかわることについては絶対反対、既得権はどこまでも擁護すると、これがおおむね国民の傾向ではなかろうかと思います。こんなことでよろしいんだろうか。これの代表例が景気対策であります。財政再建も大事だが、何をおいてもやはり景気対策、そのためには大幅な企業減税とかいろいろなこと、公共投資も従来どおりなるべくしてほしいというふうな意見が随所に出ております。
これに対して、そう甘いときではない、もう大変な国家破産の状態になりかけているんだということを、なかなか言いにくいことではありますけれども、きちっと説明するのもまた政治の責任ではないかと思いますが、この点についてこれまた率直な御意見を例えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/60
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061・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 認識は全く共有します。
戦後五十年、そして高度経済成長、それぞれの国際事件の中で日本が大きな壁を乗り越えることができたことは御案内のとおりでございます。多年の陋習が政治、行政すべて、ですから国民各位の中にもそういうことが無意識の中に累積したのではないでしょうか。自立というのが民主主義最大のポイントでありますが、極端な個人主義、自分だけ、自分主義ではこの危機は乗り越えられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/61
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062・佐藤道夫
○佐藤道夫君 三十年先のこの国の財政状態についてお尋ねいたしたいと思います。
実は、この法案は平成十五年に一応のめどを置いておきまして、それまでの目標を掲げております。第四条関係がそうであります。そして、これに基づきまして事務当局から平成十五年現在の財政状態、赤字がどれほど減っているか、そういう御説明も承りました。しかし、私は財政の全くの素人でありますけれども、平成十五年というのは五、六年先でありますから、これについてこの国の財政がどうなっているか私は私なりに大体見当がつきますし、皆さん方も同じだろうと思います。
そこで、なぜ三十年を持ち出したかといいますと、実はこの赤字財政が始まったのは三十年前の佐藤内閣のときであります。ただいま折り返し点に来ている。ここで過去を振り返って将来を展望する、三十年サイクルがちょうど手ごろではないかと、こういう気もいたしますし、企業にしろこういう役所にしろ大体三十年で陣容が一変する。三十年前にいた人は三十年たてばだれもいなくなる。国会も同じことで、大体二十五年ぐらい勤めて永年勤続の表彰をもらってあと一期ぐらい勤めてやめていかれる。まあ五十年たっても頑張っておられる方もおりますけれども、それは別といたしまして、三十年サイクルで後継者にバトンタッチをしていく。バトンタッチを受ける三十年先の後継者がこの財政赤字についてどういう状態でこの国を受け継ぐことになるのか。今現在、政治の責任において三十年先はこうなっておりますよと。八卦見じゃないからそんなことはわからぬと言われれば、それはそれっきりかもしれませんけれども、やはりどうしても、三十年先あなた方にこういう形で受け渡しますよということを今現在はっきりと言っておいていただきたい。
そして、大体この法案によってこういう努力をする、いろんな法律もつくって頑張っていくということになると、三十年先にはほとんど赤字のないような状態で受け継ぐことができますよということが言えるのか言えないのか、その辺のところもまた御説明いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/62
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063・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 短い時間でなかなか言い切れないことでございますが、孫子にツケを回すことは親として絶対にいかぬことであります。美田を残さず、それは自前で立て、こういうことになります。
そういう点から考えますと、三十年サイクルはしっかりと視野に入れながら私どもは進まなければなりませんし、この時代の大人たちはよくぞやり抜いたと、後継者に、かわった次の世代の方々にその基本を踏まえてまた孫子のために頑張り抜いていただく、こういうことが大事なことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/63
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064・佐藤道夫
○佐藤道夫君 質問の予定がなくて大変失礼でございますが、総理からも今の点につきまして一言御所見を承れればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/64
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065・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 美田を残さずと私は申し上げるつもりはございません。しかし、大蔵大臣が述べようとされた気持ちと同様であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/65
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066・佐藤道夫
○佐藤道夫君 終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/66
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067・椎名素夫
○椎名素夫君 自由の会の椎名でございます。
皆さん大変御苦労なさって、きょう、あしたぐらいには詰まるんでしょうが、中央省庁の再編というのは大体格好はついてきている、それなりに大変御苦労なことだと思っております。
しかし、一度に何もかも一緒にやるわけにいきませんから、これは無理はないんですが、もともと官から民へ、それから中央から地方へ、こういう分権と広い意味での規制緩和とそれから中央省庁の整理というのはセットになっているものだと私は理解しております。
しかし、今非常に大きくマスコミなんかで中央省庁の問題が取り上げられているが、地方に行ってみますと、どうもそのほかの二つが十分に見えていない。見えないのは見ようとしないからという努力不足も確かにあると思いますが、地方自治体あたりの人から話を聞きますと、中央省庁はあれがこうなって、こっちがこっちへくっついてというような話らしいけれども、今まで中央とのかかわりで見なれていたメニュー、建設レストランに行くとこういうメニューがあったとか、あるいは通産亭に行くとこういうメニューがあったと。みんな見なれたのがあって、それで何か仕事をしているような、これは私はいい癖じゃないと思うんですけれども、新しいことになってしまうと、どこへ行くと一体どういうメニューが出てくるのかなというようなことが関心の中心になっている。
それと同時に、ここで審議しておりますこの法案に関連して、何か知らないけれども削られる削られるというようなことが組み合わさって、非常にわけがわからない状態になっているというのが正直に言って地方の相当大部分の人たちの心理だろうと思っております。
ですから、大事なことは、それぞれ地方分権は地方分権推進委員会、それから行政改革委員会で規制の問題をやっておられますが、それが全体としてどうなるかということ、これを割に早目にはっきりした形で示していただくということが非常に大事かと思っております。その点についてはどういうようなお心づもりあるいはプログラム、タイムスケジュールでおやりになるのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/67
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068・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) この点につきましても何回か御説明も申し上げてまいりましたけれども、地方分権推進委員会からは既に四回の勧告をちょうだいいたしまして、これをベースに既に地方分権推進計画の策定作業に政府は入っておりますげ
そして規制緩和、行政改革委員会からの御提言を含めまして、これは政府自身、経済対策そして構造改革のための対策として進めておりますものを含め、既に計画の前倒し等がどんどん進行いたしております。そして、それを土台に据えました上で行革会議の論議というものは今日まで行われてまいりました。
これらはいずれも議員が御指摘になりますようにパッケージでありますし、殊に規制緩和は実はむしろどんどん先行して現在も動いております。地方分権推進計画も来年の国会の適当な時期には御提案できるように努力をいたしておるわけでありますが、中央省庁の問題は、いずれにいたしましても二〇〇一年以降を想定しての論議をいたしておるわけでございます。
ただ、ややもいたしますと、報道の皆さんは御自分たちが知っておられる知識を前提にして記事を国民にお届けくださる、国民の方は必ずしもそこの土台の知識をすべての方がお持ちではありませんから、あした看板がかわるみたいな感じで受けとめられる。その辺にも、今、議員の御指摘を伺いながら、ギャップを生じている部分があるとすれば広報においても工夫をしなければならないし、手順というものも十分周知徹底の努力をしなければならない、そのような思いで今の御提言を受けとめさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/68
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069・椎名素夫
○椎名素夫君 おっしゃるとおりでありまして、手順を踏んでいらっしゃるんですが、これはマスコミの方々に本当にお願いしなきゃいけないけれども、やっていることの一部だけを取り上げるという傾向はやっぱりどうしてもありますね。政府全体で本当に何が進んでいるかということは、広報の努力というのは大変に大事だと思いますので、一段とお願いをいたしたいと思います。
金融機関、金融システム全体の話ですが、このところ非常に株式市場なんかも上がったり下がったりということが続いておりますし、金融機関の破綻などということもある。いわゆるマーケットの反応というのが日本の金融システムへの不安というのをそのまま反映しているんだろうと思うんです。総理はこの言葉を使うのはお嫌いですが、いわゆる公的資金の導入というようなことも場合によってはやらなきゃいかぬというようなことはあるだろうと思いますし、またそういうことで与党の方々も議論を始めていらっしゃると思うわけです。
しかし、これについて少なくとも表向き非常に慎重な言い回しをしていらっしゃるということはまことに私は適切なことだと思います。というのは、マーケットの警告というのをどう受け取るかというのは非常に難しいものであって、過剰反応をしてばたばた慌ててはいけない。しかし、同時にもつと大事なことは、マーケットの警告を無視しちやいかぬということだろうと思うんです。いろいろ株式相場の上がったり下がったり、どかどか来るといったときに、こっちはファンダメンタルズがしっかりしているんだから向こうが間違いだというような反応は、これは避けなきゃいけない。
極端なことを言うと、人のことを言っては悪いですが、マレーシアのマハティール首相がそこあたりでは相当間違ったマーケットの反応に対する反応を示しておりましたが、あれはいかぬと思うんです。そういう意味で、この二、三日の総理の挙措振る舞いは、なかなかまあまあ適当、適切ではないかと思っております。
その対応の具体策についてはこれからお考えになるんでしょうが、一つ二つ申し上げると、とにかくだめなところの延命治療に陥ることだけは避けていただきたい。それから、この法案で縛ってしまうと、表向き、財政は出動できないでしょうけれども、そこでいわゆる財投のお金、これを使おうかというようなことになりますね。これを節度ある使い方をいたしませんと、非常に後で苦労するんじゃないかと思うんです。大事なことは、
一応その物事は片づいて、まあこんなことかとなったときに、日本のマーケットにゆがみを起こさないようにするという心がけでこれからの対応策をぜひ考えていただくことが重要であると思います。フリー、フェア、グローバルということ、これに合うような形でお考えを願いたい。
時間がありませんから、もうお答えはなくて結構です。申し上げただけです。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/69
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070・栗原君子
○栗原君子君 新社会党・平和連合の栗原君子でございます。
この法案は、歳入には全く手をつけていません。したがって、歳出削減法案にすぎないと思います。もっと歳入面の改革を行うべきだと思います。あわせて、歳出の削減についても問題が多いと思います。それは、歳出の削減しわ寄せを弱者に集中していること、これでは特に高齢者いじめと言わざるを得ません。また、むだな公共事業費は削減すべきでございます。軍事費についてもほとんど削減されていません。大幅に削るべきでございます。
以上の考えに立ちまして、私は次の基本方針で対処したいと思います。
一つは、社会保障費の削減は行わない。
二つ目に、公共事業費はまず不要不急のダム建設や干拓事業を中止すること。産業優先から国民生活優先の公共事業に転換をすること。特にまた、建設談合は厳しく禁止し、入札制度を改善することも必要でございます。建設単価を民間単価に合わせることなどをやればできる課題ではないでしょうか。これらの考え方で、事業量を一九九〇年の公共投資基本計画を実施する以前の水準に引き下げるというような改革の内容と目標を明確にすべきでございます。
年間で五兆円に上ります防衛費は、平和外交を進めることで他国の侵略は一切ないとの判断から正面装備の発注を停止し、五年間で三分の一の削減を行うべきだと思います。
歳入の大企業優遇税制と言われます各種引当金や準備金など租税特別措置を大幅に是正し、課税ベースを広げて増収を図るなど、法人税の改正や総合課税方式への転換を行うことも必要だと思います。
政府の言う二〇〇三年の赤字公債ゼロ、公債発行額対GNP比三%は達成できるということを基本にしますが、一方で景気対策を急いで行わなければなりません。
そこで、私は二・五兆円の特別減税と消費税の飲食料品の非課税措置を行うべきだと提案いたします。したがって、財政再建は六年間でなく多少の幅を持たせても景気対策と並行して行うべきと考えますが、総理のお考え方をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/70
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071・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 大変幅の広い論点を提起された上で考えをただされましたが、基本的に私どもの考え方と相入れない部分が非常に多数存在するように拝聴いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/71
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072・栗原君子
○栗原君子君 景気対策は特に急ぐ課題であるということを近ごろ特に痛感いたします。
私の地元広島でも、数日前、広島県の呉市というところに参りました。ここには大変にぎやかな商店街がございました。今、中通りというところはまさにシャッター通りとまで市民が言っておりますし、本通りはサラ金通りとまで言っている状況でございます。
消費税の五%への税率アップ以降、購買力は落ち、中小企業は大変深刻な状況です。私は、市民の購買力を高め、町に元気を取り戻す方法として、特別減税と消費税の飲食料品の非課税措置を当面行うことが必要であろう、このように思いますけれども、もう一度御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/72
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073・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 委員言わんとされますベースの問題でありますが、御意見は御意見として承っております。すべてが今回の法律に基づき、成立後の話でありますが、財政再建に向けて厳しく対応してまいらなければなりません。
歳入の問題については、毎年、租特等を中心に見直しをしながら公平の原則を満たす、公平の原則に基づいて見直ししながら適正な税制にこれを仕上げていくということでやっておるところであります。
経済につきましても、先般政府が発表いたしました万般の経済対策の中で問題が前進をしていくことになろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/73
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074・栗原君子
○栗原君子君 見直しをしながらやっていくとおっしゃいましたけれども、今、中小零細業者にとりましては大変厳しい状況、そして商店街あたりでは本屋さんも酒屋さんも今までのように事業をすることができなくなって閉店に追い込まれているという状況が起きております。
そういう中で、幾ら政府がそうした方向を打ち出そうといたしましても、なかなか地方に行きましては特効薬にはなっていないという状況があるんです。中小零細業者いじめであり、そして高齢者いじめ、弱者いじめの弱肉強食の状況がまさに地域では行われているという、そういうことについてやはり政治家として胸の痛むものがあるんではないでしょうか。もう一度、総理、答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/74
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075・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 中小企業金融対策につきましては、総理から特命があり、既に通産大臣、経企庁長官、私ども、年末融資につきまして、窓口の増加また融資枠の拡大、都道府県信用保証協会との連携を密接に行い意思の共有をしながら窓口なども整備をし、受け入れ体制を完璧にしてまいるという努力をし、既にスタートをいたしておるところでございます。
また、弱い者いじめとよく言われますが、我が国の政治の基本は、恵まれない方々、また働こうにもお体に障害がこれあり、あるいは難病、御高齢と、こういうことの分野につきましては法律がございます。全力を尽くしてこれに対応しようと。
ですから、今度の歳出削減の問題についても、めり張りをきかせるという意味で第一順位に社会保障制度がこれあり、当然増八千五百億あるということの中で、三千億はその中でお認めを申し上げながら、今後の改革、改善、医療制度等に向かって行われるわけでございますが、本件は小泉大臣が中心となりまして努力をいたしておる一事を御紹介申し上げ、答弁にかえます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/75
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076・栗原君子
○栗原君子君 あくまでも弱者いじめにならないようにということをお願いするわけでございます。
そして、削減しなければならない問題もあります。特に不要不急なダムや、あるいは諌早湾の干拓に示されますようなそうした干拓事業もそうだと思います。あるいは、世界は米ソの冷戦構造が崩壊した時代でありますから、防衛費につきましても大幅に削減すべきではないでしょうか。
そうしたことを含めまして、時間が参りましたので、最後に決意のほどをお伺いできればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/76
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077・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 財政構造の危機的な状況を改善し、この状況から立ち直るために、今財革法の御審議をお願い申し上げております。
そして、議員が挙げられました項目に必ずしも同意をいたすことではございませんが、我々はこの財政状況を改善するために全力を尽くす決意であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/77
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078・遠藤要
○委員長(遠藤要君) これにて質疑は終局いたしました。
大蔵大臣以外の大臣の方々は、大変今日まで厳粛に御聴取願ってありがとうございます。御退席願って結構です。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/78
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079・岩瀬良三
○岩瀬良三君 私は、平成会を代表いたしまして、ただいま議題となっております財政構造改革の推進に関する特別措置法案につきまして法案に反対の立場から討論を行います。
政府は、我が国の本年度の実質経済成長率を一・九%と見込んでおりますが、一%を切るというのが大方の見方であります。政府が本法律案でモデルにしている米国の包括財政調整法でも、経済成長率が一%未満にとどまると予測される場合には歳出削減が行われないという例外規定を設けております。現在の我が国の状況はまさにこのような状況にあるのではないでしょうか。それにもかかわらず、景気の動向を考慮せず、本法律案の成立を図ろうとする政府・与党の姿勢に対しまして、私は強い疑念を持たざるを得ないのであります。
御承知のとおり、今月三日に三洋証券、十七日に北海道拓殖銀行が相次いで経営破綻いたしました。大蔵当局が大手二十行はつぶさないと公約していたにもかかわらず、大きな流れには逆らえなかったのであります。来年四月の早期是正措置の導入を控え、今後さらなる厳しい状況が予想され、景気は一層冷え込むことが懸念されるのであります。
去る十八日に、政府は百二十項目にも及ぶ緊急景気対策を発表いたしましたが、即効性は期待できないとの失望感が示されたところであり、私どもは所得税減税、法人税減税などの景気対策を一貫して主張してまいったところであります。
以下、本法律案に反対する主な理由について申し上げます。
反対の第一の理由は、本法律案の実効性に疑問が持たれるからであります。
本法律案では、財政構造改革の当面の目標として、平成十五年度までに国、地方の財政赤字を対国内総生産比で三%以内とすることを規定しております。本法律案が成立しても、なお毎年度数兆円以上の要調整額が発生すると見込まれる中で、公共事業等構造の改革がなされず、予算縮減のみで政府の見込みが達成できるとは到底思えないのであります。
第二の理由は、本法律案成立後の国民生活に直結する歳出の各分野において、制度改革後のビジョンが政府から示されなかったことであります。
例えば、社会保障予算では、各分野での数値削減目標の提示にとどまり、法案成立後の具体的な制度改革のビジョンは示されませんでした。このようなことで国民に改革に伴う痛みや辛抱を強いることができるのか、疑問と言わざるを得ません。
第三に、地方公共団体にも財政構造改革に努めることを求めておりますが、国、地方を通ずる既存の行財政制度の改革なくしてこれがなされ得ないということであります。
このほかにも、本法律案が財政投融資や特殊法人のあり方に踏み込んでいないなど、財政構造改革に対する疑問が数多く残されていることを申し述べ、私の反対討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/79
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080・三浦一水
○三浦一水君 私は、自由民主党を代表して、財政構造改革の推進に関する特別措置法案に賛成する討論を行いたいと思います。
我が国の財政は、現在、最悪の危機的状況に陥り、平成九年度末における国、地方の長期債務残高は約四百七十六兆円になることが見込まれております。この危機的財政状況を改革しなければ、国民生活は破綻に向かっていくということが明らかであります。二十一世紀に向けて行政改革、経済構造改革と同時に、財政構造の改革を進めることにより財政の再建を果たすことが喫緊の課題であり、もはや一刻の猶予も許されないところであります。
本法案では、量的縮減目標を設定するとともに、制度改革及びその基本方針を定めるなど、財政構造改革の具体的方策が明らかにされております。また、これまでの概算要求基準にはなかった公共事業の七%削減を初め、ODA経費の一〇%削減、あるいは防衛費、社会保障関係費などの抑制にもあえて踏み込んだ内容であります。このことは、橋本総理を初めとする政府の財政改革をなし遂げたいという強い強い意思のあらわれであると高く評価することができます。
現在の財政構造を放置すれば、西暦二〇二五年には財政赤字を含めた国民負担率は七〇%に上ると言われております。そして、そのときには双子の赤字を抱え、国民の生活水準も、したがって低下するとも言われております。きょうの赤字はあすの増税と言われております。このような財政的ツケを子供や孫の世代に残すことは絶対に避けなければなりません。
本法案は、我が国財政のかかる危機的状況を踏まえ、将来にわたって安心できる福祉社会の実現や、負担額は仮に上がっても、それを十分カバーできるようなより高い所得を我々の子や孫が得ることができるように、この崇高な課題に対して対応すべく提出されたものであります。まことに時宜にかなった措置と考えるところであります。
最後に、我々自由民主党は、希望に満ちた二十一世紀を責任を持って実現するため、今はつらくとも、仮に幾ばくかの痛みはあっても、この崇高な行政改革、そして財政構造改革に果敢に取り組み、国民の信託にこたえていくことを、その決意をここで改めて表明をいたしまして、私の賛成討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/80
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081・前川忠夫
○前川忠夫君 私は、民主党・新緑風会を代表し、政府案に反対する立場で討論を行います。
本法案が審議されている間、我が国経済はいよいよ深刻な状況になってまいりました。政府は十八日に緊急経済対策を発表しましたが、消費低迷や金融不安を打開し得る決め手を欠いており、世間でも全く関心を持たれておりません。総理が火だるまになると誓った行政改革も、国民の意思に必ずしも十分にこたえるものとはなっていません。その上、この法案が成立するとすれば、財政構造改革の実効は何ら上がらず、景気の足を引っ張るだけに終始することは確実です。
以下、本法案に反対する具体的な理由を何点か申し上げます。
第一に、法案は、財政構造改革といいながら、何ら我が国財政の構造的問題の改革に踏み込んでおりません。国と地方財政のあり方や公共事業のあり方といった本質的な構造改革には触れず、医療、年金、雇用保険等の改革の具体的方向性も示さず、予算の抑制だけを先に法律で決めるというやり方は余りにも無責任であります。
第二に、赤字国債をゼロにするという目標は、赤字公債は悪いが建設公債はいいという従来の考え方が累積債務をここまで増大させてきたことからすれば、適切とは言えません。
第三に、法案は、これまで財政規律を著しく損なってきた補正予算編成についてのルールを定めていないことです。特に、ウルグアイ・ラウンド対策費を安易に補正予算に計上する慣例を改め、補正予算の対象を財政法本来の趣旨に立ち返って厳しく制限すべきであります。
第四に、本法案が定めている個別分野のキャップは、長期的視点に立った政策的な優先課題が全く示されておらず、かえってむだな公共事業等への歳出を温存するとともに、今後、一層重要となる社会保障への予算の重点的な配分を阻害し、財政支出の硬直化を招くおそれが強いということです。
以上述べましたような理由から、私ども民主党・新緑風会としましては、本法案に反対であることを申し上げ、私の討論を終わらせていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/81
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082・三重野栄子
○三重野栄子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、財政構造改革の推進に関する特別措置法案について賛成の討論を行います。
戦後、我が国は、焦土の中から国民のたゆまぬ努力により目覚ましい経済発展を遂げ、国民の暮らしも豊かになってまいりました。この間、国の財政が果たしてきた役割については一定の評価を与えなければならないと考えます。
しかし、少子・高齢化の進展、生産年齢人口の減少など、我が国の財政を取り巻く環境は大きく変容し、主要先進国の中でも最悪の財政赤字を抱えております。健全で活力ある経済を実現させるためには、財政構造改革に取り組むことが喫緊の課題となっております。
本案は、こうした我が国の危機的な財政状況を踏まえ、早急に財政の健全化を図り、多様な財政需要に対応できる財政構造を実現しようとするものであり、賛成すべきことは言うまでもありません。
この見地に立ち、賛成する理由を申し述べます。
まず第一に、財政構造改革の当面の目標を定めたことであります。
平成十五年度までに国及び地方の財政赤字の対GDP比を三%以下とし、国の一般会計について特例公債から脱却すること等としております。さらに、平成十年度当初予算の一般歳出の額を平成九年度当初予算の同額以下としております。
これらは、政府みずからが目標を掲げ実行するという強い決意を示したものとして評価できるものと考えます。
第二に、各歳出分野ごとに改革の基本方針、量的縮減目標を定め、歳出の改革と縮減の枠組みを明らかにしたことであります。
しかも、一律削減ではなく、社会保障や文教、科学技術などが例外事項として歳出増が認められていることも評価に値します。これらは未来への投資としての性格を持つ分野については重視すべきという我が党の主張が酌み取られたものと認識しております。
また、すべての経費について要求上限が設けられておりますが、これにより財政の既得権益による硬直化を廃し、優先度や緊急度を政治が判断し、新しい施策へ弾力的に対応でき、内需振興の柱となる住宅対策の充実など、めり張りのきいた政策の取捨選択を行うことが可能になったと考えます。
第三に、財政構造改革の方針を法定したことであります。
本法案は、政府が予算を編成するに当たって守るべき規範を規定したもので、これに国会の意思を与え法律として成立させれば、従来のように政府みずからの判断のみによって自由に予算編成することはできなくなるものであります。
財政が危機的状況に陥った原因の一つとして、政官財の癒着によるしがらみと惰性の歳出というものが挙げられますが、これらの弊害から速やかに脱却することは国の責任であると考えます。
社民党は、内需拡大には国民負担の軽減を最優先する施策を行う必要があるとして、既定経費の大幅な節減による財源で特別減税や政策減税の実施を提案しております。この問題については、与党全体として積極的に検討し、また社会的弱者に対する十分な対策を講じることを期待いたしまして、私の賛成討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/82
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083・吉川春子
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、財政構造改革の推進に関する特別措置法案について反対討論を行います。
本法案は、国、地方合わせて五百兆円に及ぶ債務は主要先進国中最悪であり、このままにしておいては破綻しかあり得ないなどとしながら、財政破綻の原因やそれをもたらした政治責任を明らかにすることなく、また改革すべきシステムもそのままにして、集中改革期間の三年間、医療、福祉、教育費などを大幅にカットして、犠牲を一方的に国民に押しつけるものであり、まさに国民福祉の自動削減装置とも言うべきもので、内容的にも法形式上もおよそ財政構造改革の名に値しない法案です。
このような重大な法案については、参考人からも共通して徹底審議を求められましたが、野党の審議時間はいまだ衆議院の三分の二にすぎないにもかかわらず、我が党の強い反対を押し切って質疑が打ち切られたことに強く抗議します。
以下、法案の内容に即して具体的に反対の理由を述べます。
第一に、財政危機を招いた最大の原因はむだな公共投資と軍事費です。しかし、法案では公共投資は九八年度はマイナス七%、集中改革期間になると各年度の引き下げを図るとの抽象的な目標のみで、公共投資基本計画は投資規模を削減することなく計画期間を三年延長したのみです。防衛費に至っては、わざわざ「節度ある防衛力の整備を行う必要があることを踏まえつつ、」という文言を入れて、抑制というものの前年度並みを容認するものとなっています。しかも、今後極めて膨大な費用が見込まれている重大なSACO経費は本法案の対象外で増額は上限なしというありさまです。
第二に、これに対して社会保障関係費は、約八千億円の当然増に対して五千億円を上回る削減を行い、二〇〇〇年度まで対前年伸び率を高齢者数の増によるやむを得ない影響度、二%程度以下に抑制するとしています。また、受益者負担の徹底という不当な国民犠牲拡大の原理さえ導入し、義務教育、国立学校に対する一般会計の負担、私学助成の見直しにまで踏み込んでいます。これは憲法の保障する生存権、義務教育の無償、教育の機会均等の諸原則を一大危機にさらすものと言わなくてはなりません。
しかも、九兆円に上る消費税、医療費負担増に加え、新たな負担増を強いることで極めて深刻な不況に追い打ちをかけることになるのです。
第三に、本法案は予算、法案に対する国会の審議権を侵すものです。三年間の予算の枠を決めてしまうことで、憲法八十三条、八十六条に定める財政民主主義、予算単年度主義を覆し、国会審議を制約するものです。このような法案は国会を自縄自縛することでしょう。例えば、大蔵省は一般会計の二千二百に及ぶ補助金も見直し、削減と一律カットの対象であると私の質問に答弁しましたが、カットの対象になる補助金を具体的に示さず、本法案で三〇%カットだけは認めてしまうことなどは憲法四十一条に定める国会の機能を侵すものであり、到底受け入れることはできません。
以上のとおり、本法案は国民の暮らし、福祉に犠牲を強いるだけで、財政再建を進める上で何ら役に立たず、廃案しかないことを申し上げて、私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/83
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084・遠藤要
○委員長(遠藤要君) これにて討論は終局いたしました。
これより採決に入ります。
財政構造改革の推進に関する特別措置法案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/84
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085・遠藤要
○委員長(遠藤要君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
広中和歌子君から発言を求められておりますので、これを許します。広中和歌子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/85
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086・広中和歌子
○広中和歌子君 私は、ただいま可決されました財政構造改革の推進に関する特別措置法案に対し、自由民主党、平成会、民主党・新緑風会、社会民主党・護憲連合、二院クラブ、自由の会の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読させていただきます。
財政構造改革の推進に関する特別措置法
案に対する附帯決議一案)
政府は、本法施行に関し、次の事項に十分配意すべきである。
一 財政構造改革の推進に当たっては「各分野
における改革の内容を国民に明らかにし、そ
の理解を得るよう努めること。
一 財政構造の見直しを行うに当たっては、一
般会計のみならず、特別会計、財政投融資に
かかわる諸問題を含め、幅広く検討すること。
また、財政に関する情報を積極的に開示する
よう努めること。
一 現下の厳しい経済状況にかんがみ、我が国
経済の成長力を高めるよう、財政構造改革と
の整合性を維持しつつ、経済構造改革を推進
すること。
一 今後の歳出の縮減及び制度改革の検討に当
たっては、国民生活への影響に十分配慮する
こと。
一 限られた予算を有効に活用する見地から、
財政資金の重点的な配分と効率的な執行に努
めること。
一 地方分権の着実な実行が期待されているこ
とにかんがみ、地方の財政構造改革の推進に
当たっては、地方公共団体の自主的かつ自立
的な行財政運営が可能となる環境の整備に努
めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/86
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087・遠藤要
○委員長(遠藤要君) ただいま広中君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/87
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088・遠藤要
○委員長(遠藤要君) 多数と認めます。よって、広中君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、三塚大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。三塚大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/88
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089・三塚博
○国務大臣(三塚博君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/89
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090・遠藤要
○委員長(遠藤要君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/90
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091・遠藤要
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114114269X01219971121/91
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