1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年十二月十一日(木曜日)
午前十時三十六分開会
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委員の異動
十二月十一日
辞任 補欠選任
青木 幹雄君 野間 赳君
井上 吉夫君 小山 孝雄君
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出席者は左のとおり。
委員長 松谷蒼一郎君
理 事
岩永 浩美君
高木 正明君
真島 一男君
大渕 絹子君
委 員
井上 吉夫君
浦田 勝君
大野つや子君
小山 孝雄君
常田 享詳君
野間 赳君
三浦 一水君
谷本 巍君
須藤美也子君
島袋 宗康君
国務大臣
農林水産大臣 島村 宜伸君
政府委員
農林水産大臣官
房長 堤 英隆君
農林水産省経済
局長 熊澤 英昭君
水産庁長官 嶌田 道夫君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 威男君
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本日の会議に付した案件
○農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、青木幹雄君が委員を辞任され、その補欠として野間赳君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/1
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002・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) なお、平成会及び民主党・新緑風会所属委員に対し理事会におきまして出席要請を行いましたが、まだお見えになりませんので、議事を進めてまいります。
農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/2
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003・三浦一水
○三浦一水君 自由民主党の三浦でございます。
今回の法改正につきましては、昭和四十八年の創設以来、第三次の改正に当たるわけでございますが、平成十年四月からの早期是正措置の導入やあるいはまた平成十三年のいわゆる日本版金融ビッグバンの到来など、最近における我が国の金融環境の変化に対応するものでありまして、基本的に賛同するものであります。
しかしながら、二〇〇一年に導入を予定されております金融ビッグバンにつきましては、農協信用事業等の経営にも重大な影響を及ぼすのではないかと懸念もされております。まずはその点につきまして、日本版ビッグバンが農協信用事業に与える影響について政府としてどうとらえられておりますか、あるいはまたどのような対応を考えていらっしゃいますか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/3
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004・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。
ただいま先生から御指摘がございましたように、二〇〇一年に向けまして金融ビッグバンが進行するということで、農協系統におきましても他の業態との競争がますます厳しくなる、そういう厳しい環境が予測されているわけでございます。
そこで、現在、農協系統におきましても事業、組織の効率化ということを目指しまして、全体として合併の推進あるいは信連と農林中金との合併、そういった方針で経営の効率化、健全化に取り組んでいるところでございます。また同時に、地域機関としての重要な役割も果たしておりますので、系統金融機関が地域の組合員あるいは住民のニーズにこたえるような、そうした機能の充実が重要であるというふうに考えております。
農林水産省といたしましても、昨年、いわゆる農協改革二法を成立させていただきました。その中で、先ほど申し上げました農協の広域合併あるいは農林中金と信連との合併の推進、そういった内容を織り込み、さらには業務執行体制の強化、監査体制の強化、自己資本の充実、そういった経営の健全化のための措置も盛り込んだわけでございます。
また、今御指摘がございましたように、平成十年四月から早期是正措置が導入されるということがございます。それに合わせまして、業務とか財務内容のディスクロージャーの推進、そういうことも進めているところでございます。
今後とも金融ビッグバン、さらには他業態との競争の激化、そういう中で農林系統金融機関が地域の信頼を得つつ、金融機関の一員として健全な機能が発揮できるように指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/4
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005・三浦一水
○三浦一水君 現状の中で、農協合併という問題が非常に重要な問題になってきておると思っております。
そういう中で、単協が固定化債権を抱えておりますと非常に広域合併の阻害要素になってくるのではないか、現実またそうではないかと考えております。経営基盤の強い農協が固定化債権を抱える基盤の脆弱な農協との合併を嫌うという傾向も見受けられるのではないかと考えております。
私の地元の熊本県では竜ケ岳という農協がございまして、諸般の事情で不良債権を抱えておりました。その農協が今年十月に合併を果たしますまで、これは吸収合併でありますけれども、五年以上の時間がかかったというような現実もあったわけでございます。固定化債権を償却するための措置について、その活用状況と今後の見通しについてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/5
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006・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。
ただいま先生が御説明になりました、熊本県の竜ケ岳町農協が五年をかけて不良債権の処理をされたわけでございますが、確かに今後の農協の合併に当たりまして、そうした多額の不良債権を抱える農協を取り込んで広域合併を進めるという際に、そうした不良債権の処理というのは大変重要な問題でありますことは御指摘のとおりでございます。
そこで、これはいろいろな処理の手法がございますが、吸収合併あるいは新設合併でその中で処理をする場合もございます。また、他方で、債権管理回収機関を設立して不良債権を切り離した形で処理をするという手法もございます。
この債権管理回収機関につきましては、不良債権を時価で買い取って処理をするということで欠損金が確定するということでございます。そうしたことで、その後の合併の処理がやりやすくなるということもございます。こうした債権管理回収機関の設立状況を見ますと、二つの都道府県で現在設立が済んでおります。また、組織決定で今後、債権管理回収機関を設立しようという県も二県ございます。
今後、全国的にいろいろな手法の合併が推進されることになりますけれども、そういう中で、この債権管理回収機関の活用ということも大変大きな有効な手段の一つというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/6
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007・三浦一水
○三浦一水君 時間の関係で先へ急ぐわけでございますが、次に、経営が困難になった組合の役員の経営責任についてお尋ねをしたいと思います。
今回の改正案におきましては、貯金保険機構の資金援助の対象として、救済を行う組合と経営の困難な組合との新設合併を内容として追加することになっております。合併を行う組合が破綻組合でないにもかかわらず、貯金保険機構に対しまして資金援助の申し込みができるという点では問題が残るのではないかとも思えます。その点の政府の御認識を伺いたいと思います。
また、そのような資金援助の要請が今後どの程度見込まれるのか。加えて、新設合併に伴い経営困難な組合は解散することになりますが、その場合、理事さん初め組合の役員の経営責任はどうなるのか。この点を明らかにしていただきたいと思います。
つけ加えまして、最後になりますが、一方で経営困難な組合同士の合併に対して資金援助を行いますときに、経営が非常に安易になるおそれがあるのではないかと心配をされます。貯金保険の原則は預金者の保護でありまして、決して金融機関の救済が目的ではないということであります。その点で、金融業としましてのモラルハザードが生ずる危険性が多方面で指摘をされております。
最後に、この点につきましても政府の見解を加えていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/7
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008・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) 今回の法案改正の中で二つのケースを示しているわけでございます。一つが経営の健全な組合が経営困難な組合を包摂して新設合併をする場合の資金援助、それからもう一つは経営困難な組合同士が合併する場合、その場合には都道府県知事があっせんをして計画の承認をして資金援助を認めるというこの二つのケースでございます。
先生も御指摘のとおり、この法律の目的はもちろん基本的には貯金者の保護ということでございますので、決して経営困難な組合を救済するということを目的といたしておりません。したがいまして、経営が破綻した組合の役員につきましては経営管理責任を問われるということが当然でございますし、従来のケースでも民事、刑事にわたりましてかなり厳しい責任追及がなされてきたという実績がございます。
この資金援助の発動に関しましては、平成七年十二月の金融制度調査会の答申におきましても、資金援助の発動に際しては、「破綻金融機関は存続させないこと、経営者の退任及び民事・刑事上の厳格な責任追及が行われること、株主・出資者の損失負担が行われること、」と、こういうことが前提条件となるというふうに明記されております。私どものこの貯金保険機構の過去の発動の事例におきましても、こうした原則に沿って発動が行われているということが実態でございますので、今回の法案改正の内容でございます新設合併の場合におきましても、きちんとした責任追及、管理が行われるものというふうに考えております。
なお、先生から御指摘の二点目のモラルハザードの問題でございますが、特に経営困難組合同士についてモラルハザードが生ずるのではないかということが御指摘されたわけでございますけれども、経営困難な組合同士の合併につきましては、私ども基本的には経営の健全な組合が経営の困難な組合を包摂して新設合併をするということが基本的な運用だというふうに考えております。
ただ、農漁協の場合には、山間地域あるいは島嶼部の場合には、場合によっては地理的な条件から近接の組合を合併させるとすると経営困難な組合同士の合併もあり得るというふうに考えられますので、今回の法案でそのような合併につきましても資金援助の対象とするということでお示しをしているわけでございます。
この場合にも、法律にも明記してございますように、都道府県知事がまずあっせんをして手続を開始する、その上で経営改善計画をきちんと立てさせる、さらにその後のフォローアップをするということで、特に経営困難な組合同士の合併でございますと、そうした経営面の改善、特に管理面での改善が大変重要だというふうに考えられますので、そうした都道府県知事のあっせん、さらには経営改善計画の承認という手続を入れたわけでございます。また、その際に、農林水産大臣が承認をするということも入れておりますので、そうした手続がきちんと踏まれれば、先生御指摘のようなモラルハザードの問題は生じないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/8
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009・三浦一水
○三浦一水君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/9
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010・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) ただいま衆議院の方からの連絡で、衆議院に新進党より内閣不信任案の提出が十時三十五分にありました。
したがいまして、委員会は暫時休憩といたします。
午前十時五十分休憩
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午後三時三十九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/10
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011・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、井上吉夫君が委員を辞任され、その補欠として小山孝雄君が選任されました。
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012・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) 休憩前に引き続き、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑のある方は順次御発言を願います。
片上君、一井君の出席を得られませんので、やむを得ず次の谷本君の質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/12
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013・谷本巍
○谷本巍君 農協と漁協の場合は違いますけれども、農協の場合は信用事業、共済事業でもうけて販売事業、購買事業の赤字を償うというようなことでこれまでやってまいりました。この農協の場合で、信用事業、共済事業は広域合併にうまくなじむ、つまり効率化が達成されるというふうにこれまで言われてまいりました。ところが、販売事業、営農事業となってまいりますというと地域的制約というのが伴ってまいりますから、したがって広域化になじみにくいというふうに言われてきております。
今回の改正案が成立をいたしますというと、経営の悪い農協もかなり救済再建が可能となってくると見られます。したがいまして、この場合、一層の合理化、効率化が新合併農協に迫られるということになってくるだろうと存じます。してみますというと、経営のあり方が一層信用事業、共済事業傾斜型になって、販売や営農事業等々がおろそかになりはしないかという心配が出てまいります。
こうした点についてどう対処されようとしておられるか、その考え方をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/13
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014・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。
ただいま先生から御指摘がございましたように、農協の広域合併化に伴いまして、販売事業、購買事業等に懸念される面が出てくるのではないかということでございます。
一方でそういう懸念があるわけでございますけれども、他方で、組織全体として申し上げますと、やはり組織の再編、効率化のために広域的な合併というのはどうしても進めなければならないという面もございます。
ただ、その場合に、従来の広域合併の事例を見てみますと、例えば広域化した域内の特定のブランドが確立されているような場合には、そうしたブランドを全域に広げて、むしろ生産基地として拡大をする。そういうことによって広域合併をされた農協の販売事業が拡充される、そういった事例もございます。また、拡大された農協の生産ロットあるいは販売ロットが大きくなるということによる経営コスト、輸送コストの軽減、そういったメリットが生じているという事例もこれまで幾つか見られるわけでございます。
他方で、先生が御指摘になりましたように、一つの小さな単協でも特定の有力なプランドが確立されている場合もございます。そういう場合には、大きくなった合併の中でも一定の地域のブランドとして市場に出すということも他方で行われておりますので、それはその地域の事情、合併された組合の販売戦略の中でこなされていくのではないか。
そういう事例は私ども多々見ておりますので、それぞれの地域の実情において営農・販売体制を強化していくということで対処していくことが一番いいのではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/14
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015・谷本巍
○谷本巍君 ああしたらいい、こうしたらいいというお話はわかりますけれども、農林水産省としてどのように指導していかれるのか、そのことについて端的に伺いたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/15
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016・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) これは、今申し上げましたように、それぞれの地域におきます農業生産の事情あるいは生産されている農産物の事情、例えば米でありますとか野菜でありますとかあるいは畜産物でありますとか、それぞれの販売される生産物によってかなり違うという実態かと思います。これは、それぞれの各局におきまして、販売流通におきます促進事業もございます。そういう促進事業の中で、地域の特性に応じた販売体制の拡充というのを図っていくのがいいのではないかというふうに考えております。
また、私ども経済局の中では、農協の再編に向けての指導事業を新たに本年度から五億円を計上いたしまして実施しております。その中では、特に生産・営農面での指導体制の確立あるいは農協の経営診断の強化、そういった事業も織り込んでおりますので、そういった事業を活用しながら指導に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/16
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017・谷本巍
○谷本巍君 次に伺いたいのは、きょうの午前中、三浦先生の方から、経営困難な組合同士の合併に資金援助をするということになると経営のあり方に安易化が生じはしないかという御心配の指摘がございました。
私もそういうふうに感じておりますが、その場合に伺っておきたいのは、新設合併に伴い経営困難な組合は解散されるわけでありますが、その場合、理事等の経営責任はどのようになるのか、その点について端的に伺いたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/17
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018・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) 確かに御指摘のように、経営困難な組合同士の合併というのを今回の法改正の中で時限的な措置として設けましてお示しをしているわけでございます。
私どもとしては、やはり貯金保険機構の制度の運用に当たりましては、健全な経営の組合が経営困難な組合を包摂して新設合併をするという形が基本的には重要視されるべき問題だというふうに考えております。
ただ、農協あるいは漁協の場合には、地理的に島嶼、島に存在する、あるいは山間地域に存在するということもございますので、ケースによってはやむを得ず経営困難な組合同士を合併せざるを得ないということも考えるわけでございます。その際には、都道府県知事のあっせんというのをまず手続のスタートにいたしておるわけでございます。
それはとりもなおさず、先生が御指摘になりましたように、いわゆるモラルハザードと申しますか、経営者の管理責任が希薄になっては困るということがございます。これまで農協が経営破綻を生じた場合、それが吸収合併等で救済される場合につきましては、従来の事例では極めて厳しい責任追及が管理者になされているというのが実態でございます。
そういう意味で申し上げますと、やはり経営困難な農協同士の合併については、特にそういった点にも十分に目の届いた合併が行われる必要があるということが考えられます。私ども、そういう点については都道府県知事のあっせんがプロセスのステップの最初でございますけれども、農林大臣の承認というのもこの法律の中で手続として明記してございますので、そうした点も含めてきちっとした厳格な運用がされるように指導してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/18
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019・谷本巍
○谷本巍君 その点はしかとお願いをしておきたいと存じます。
それから、保険料の問題であります。
農協経営の経営のいいところと経営のよくないところ、同じようなものでいいんですかという疑問があります。それからまた、例えば中山間地域に見るような、農業条件として見ますというと、条件不利地のために経営がなかなか困難だといったようなところもありますし、条件不利地ではないが経営のあり方が悪いといったようなもの等々があります。
保険料率を決めるに当たってこうした点についてはどのように参酌されるか、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/19
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020・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) 現行の貯金保険法におきましては、保険料率は特定の農漁協に対し差別的取り扱いをしないようにということで定められているわけでございます。
保険料率に差を設ける仕組みといたしましては、例えば現在アメリカで可変保険料率の制度が導入されているわけでございますが、この制度は、実は先生が今御指摘になった点とやや逆の面もございまして、と申しますのは、いい経営の組合はむしろリスクが小さいという意味で安い保険料率、経営の悪いところはむしろ高い保険料率を設定し得るというのが仕組みでございます。
他方で、現在の我が国の農漁協の状況を見ますと大変経営内容に格差がある、あるいは地理的条件から経営がなかなか難しいという農協が多々ございます。
他方で、現在、金融ビッグバンに向けまして自己資本率の増強とか経営内容の改善、そういったことに取り組んでいる状況の中でございますので、そういう可変保険料率を導入いたしますと、一般的に申し上げればやっぱりリスクの高い、つまり経営の悪い農協が高い保険料率をむしろ負担してしまうという考え方に基本的にならざるを得ない。先ほど申し上げましたような現下の状況のもとでは、やはりある程度健全な内容の農協と多少はハンディを負っている農協とが同じ料率で農協系統全体としてのリスクを分担するという方が適切であろうということで現在一律の保険料率を設定している、現在としてはそういう状況の方が望ましいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/20
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021・谷本巍
○谷本巍君 次に伺いたいのは、責任準備金に関してでありますが、保険事故や資金援助が多発をしてまいりましたら責任準備金が足りなくなる、枯渇するといったような場合が生じてこようかと思います。そうした事態が生じた場合にどのような対応策がとられるのか、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/21
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022・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) 現在の農水産業協同組合貯金保険機構の財源の状況でございますけれども、平成九年三月末、今年の三月末現在で千三百六十二億円の準備金がございます。
これまで貯金保険機構が資金援助を発動した例として四件ございますけれども、この四件につきましても責任準備金を取り崩さないで毎年の保険料収入の範囲内で賄っているというのが実態でございますので、現在のこうした責任準備金の状況と今後の保険料収入の状況を考えますと、貯金保険機構の財源につきましては心配はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/22
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023・谷本巍
○谷本巍君 ここで、大臣に伺いたいのであります。
市場原理の導入が進みますと農産物価格の乱高下が起こりやすい。現在のような市場開放の体制のもとですと価格の暴落状況が起こりやすいというふうにこれまで言われてまいりました。そういう事態が生じた場合にどういうことになるか。
一番大きな問題は、顕著なのは、借金で規模拡大をしてきた大型農家がむしろお手上げ的状況に陥りやすいという問題が一つ出てまいります。同時にまた、そうした状況が生じてまいりますというと、農地の貸し借りの関係に変動も生じてまいりますから、それから農地の持っている価値それ自体の問題のかかわりが出てまいりますから、どうしても農地価格が下落しやすいということになり、それがまた土地担保金融に重大な影響を及ぼす場合があり得るということなどがこれまで言われてまいりました。そうしたこれまで言われてきた問題の指摘が、ことしの自主流通米価格の暴落によって、こう申し上げたら語弊がありますけれども、どうも見事に実証されたなというのが私の印象であります。
現在のところ、さきに行いました政府の米対策、これが一つありますし、それからまた地方自治体も、米作地帯ではそれぞれ低利融資の利子補給などを出したりして手当てをやっておりますから小康状態を維持しておりますけれども、さらに米価が下がってまいりますと倒産状態が起こる可能性があります。
この場合、一軒の農家が倒産したら一軒で済むかというとそうはいかない。お互いにみんな連帯保証の貸し借りをやっておりますから、したがって一軒の農家の倒産というのが連鎖倒産につながりやすいというような状況になっております。つまり、そういう状況が生じてまいりますというと、規模拡大が進んでいるところであるほど農協がお手上げになりやすい可能性があるということであります。
このような事態が多発した場合、果たして本法案が言う農協の合併だけで乗り切れるかというと私はそうはいかないと思います。これは保険料の引き上げ問題も出さざるを得ないような状況になっていきはしないかということを心配いたします。
そういう状況になってきますというと、米作地帯のために他作物の地帯が負担をするという関係が生まれてまいります。かつて、農業共済の場合に、災害常襲地のためにほとんど災害を受けないところが保険料を払わなきゃならぬ、何事かということで共済組合の解散運動が昔起きたことがございました。
そうした点等々を考えてみますと、私が今申し上げているのは仮定の話じゃなくて現実にあり得る可能性がある問題として申し上げておるのでありますから、してみるなら、この改正法案が描く合併による農協経営の安定にしても価格と所得の対策、ここのところを抜きにしては困難なのではないかというふうに思わざるを得ません。
先ほどの保険料の問題とも関連しながら、その点についての大臣の御所見を承りたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/23
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024・島村宜伸
○国務大臣(島村宜伸君) 農産物価格につきましては、自然条件等、人為的に対応しにくい面も含めて乱高下しやすいという特性を持っておりますから、単に市場動向のみにゆだねた場合にはいろいろな予測し得ない動向が出てまいります。そういう意味で、米を初めとして、価格の維持その他につきましては価格の安定制度を設けまして農家の経営の安定を図るとともに、需給事情その他の経済事情等を参酌しつつ運用してきておるところであります。
米もそうですし、あるいはサトウキビもそうですし、てん菜もそうですし、いろいろな安定制度を設けてこれをいわば補完するという努力をしているところでございますが、この四月に設置されました食料・農業・農村基本問題調査会におきまして、これらを抜本的にといいましょうか、いろいろな事態に対応し得るようすべてのものを御検討いただいて、新たな基本法を今議論していたがいているところでございます。これからも農産物価格のあり方につきましては我々は十分に意を用いていきたい、こう考えております。
なるほど、最近の四年来の豊作等で農家が大変大きな打撃を受けていることは、先日来、先生ともいろいろお話し合いをしてきているところでございまして、我々はこれを傍観するなんという気持ちは毛頭ございません。農家が安心して農業に取り組める環境をつくることが私たちの務めであると十分認識をいたしておりますので、これからもこれらに取り組んでいきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/24
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025・谷本巍
○谷本巍君 ありがとうございます。その辺は篤と大臣にお願いを申し上げておきたいと存じます。
それから次に、本改正法案と関連いたしまして、農協が行っておる相互援助制度、それについて若干伺っておきたいと存じます。
農協経営破綻対策の一環としまして、農業協同組合みずからが相互援助の精神に基づいて資金拠出を行いながら相互援助制度をつくっております。こうして農協同士が支え合うという、言ってみれば自前の組織といいましょうか、そうした自前の組織というのは信用秩序維持のためのセーフティーネットとして、また貯金保険との関連も深め非常に大きな意義を持っておると思うのでありますが、その点どう考えるか。それからまた、これからそことの連携関係についてどのようにお考えになっておるか、お聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/25
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026・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。
ただいま先生からお話ございましたように、本法律に基づきます貯金保険制度と並びまして、農漁協系統におきましては相互に援助をするという相互援助制度を設けているところでございます。この相互援助の制度は、まさに農漁協系統が基本的な相互扶助の精神に基づいて取り組んでいるという自主的な制度でございます。
現実にも、都道府県の段階では、小規模の経営困難な農協が生じた場合に資金的な支援を行うということもやっております。それから、大型の経営困難な農協が生じた場合には、全国段階でこの貯金保険法に基づきます貯金保険機構による資金援助と並びまして、全国の相互援助制度のもとで支援をするということもございまして、両々相まって支援体制がとられているということで、そのような意味では系統の金融信用事業の維持に大変大きな寄与をしているというふうに評価をいたしております。
したがいまして、私ども今後の貯金保険機構の運用に当たりましても、この全国の相互援助制度と並立して、両々相まって適正に運用されるのが望ましいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/26
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027・谷本巍
○谷本巍君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/27
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028・須藤美也子
○須藤美也子君 法案に対する質問の前に、大臣にお尋ねをいたします。
来年の参議院選挙に向けて、農林漁業団体の行き過ぎた選挙運動が各地で大きな問題になっています。
ここに、北海道農業共済組合連合会参事の名前で各農業共済組合長あてに出された、「第十八回参議院選挙比例代表候補日出英輔支援署名の協力依頼について」、事務連絡、平成九年十月二十八日付、出しているのは総務部企画広報課所管、こういうふうになっています。これを大臣に上げます。(資料を手渡す)農水省出身の方でありまして自民党候補、農業共済組合を使って大規模な後援会員集めが公然と行われている。この内容を見ますと、当選ランクは百万人、これを集めなければならないということで、精度の高い役職員の家族、そういう人たちに署名をつけてこれを配付しております。
この共済組合は国から補助をもらい農業共済補償制度の運用を任されている、いわば行政組織を利用した明白な憲法違反行為だと思うんです。その点について、これは北海道だけでないんです。ここにもありますように、全国的規模においてこれが進められている、こういうことは極めて重大な問題でありますので、監督官庁としての大臣の責任は極めて重大であると、このように思います。その点について大臣のお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/28
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029・島村宜伸
○国務大臣(島村宜伸君) 実は、この話はたった今伺ったばかりでござしまして、私はよく承知いたしておりません。そこで、熊澤経済局長から御答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/29
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030・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) 私も、この文書を今初めてここで拝見させていただくわけでございます。
農協の関係で通常、政治活動を行っている団体というのは私ども承知しておりますけれども、私どもが承知している限り、そうした政治活動を行う団体は個人の資格で参加をして組織をつくり、その組織が公職選挙法に登録をしている場合、していない場合があると思いますけれども、通常、登録している場合もかなり多いかと思います。
そうした団体の政治活動、あくまでも私どもは個人の資格で参加をした団体の活動というふうに承知をいたしておりますので、登録をされた政治団体がそのような政治的な活動を行うことについては法の許される範囲内では適切ではないかと。また、私ども、そういう政治活動を行う団体に対しては監督権限はございませんし、指導するという立場にもないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/30
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031・須藤美也子
○須藤美也子君 後援活動のことを言っているのではないんです。この資料を見ればおわかりのように、北海道農業共済組合連合会参事村井氏の名前で各農業共済組合等長様と。しかも、これを出しているのは共済組合連合会の総務部企画広報課所管と、これは行政組織である共済組合ぐるみで出しているということは明らかなわけです。後援会とか政治連盟の名前で出しているならわかりますよ、私の方だって後援会活動やりますから。ところが、共済組合連合会ぐるみでこういう文書を出したり署名を集めるということに対して、これは大臣、どうですか、憲法違反でしょう。大臣に聞いているんです、私。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/31
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032・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) ただいま突然のお尋ねでございます。
正直申しまして、私、今この文書を初めてここで拝見させていただいたわけでございますけれども、事実関係等を私ども承知いたしておりませんので、その点はちょっとコメントを差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/32
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033・須藤美也子
○須藤美也子君 実際、この文書というのは出ているわけですから、これについて敏感に大臣は政治家として答弁するのが当然だと思うんです、違法文書なんですから。それを局長に答弁させるというのはいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/33
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034・島村宜伸
○国務大臣(島村宜伸君) 私がこの文書をつくる、あるいは送付するについて事前の相談を受けたり、私の方から依頼をしたり指示をしたり、そういう事実があれば当然のことにこれは私がお答えすべきだと思いますが、たった今この文書を拝見した、こういう動きがあることも実は初めて知りました。これは正直な話でございますので、これ以上私に対応しろといっても限界がございますので、御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/34
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035・須藤美也子
○須藤美也子君 そういうことであれば、明らかにこれは憲法違反と、そう思います。ですから、違法文書は直ちに回収し、こうした特定政党の選挙活動は直ちにやめるように、監督官庁としてそれを指導をしていただきたい。
これ以上やっても答弁が出ないというのであれば、これでやめますけれども。
次に、法案に入らせていただきます。
大臣は、本法案を提案した理由の一つに、二〇〇一年のいわゆる金融ビッグバンの実施に向けて、系統信用事業の原点である相互援助を基本とする協同組織、農業、漁業という専門性、さらに地域金融機関としての役割、こういう面から農漁協の信用事業をどのように指導しようとしているのか、そこをまずお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/35
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036・島村宜伸
○国務大臣(島村宜伸君) 二〇〇一年の金融ビッグバンに向けまして、農漁協系統におきましても他の金融機関との競争がますます激化されることは容易に想像されるところでございます。そのために経営環境が厳しくなり、結果においていろいろな問題を起こしてもいけません。そのため、農漁協系統につきましては、農漁協の広域合併及び信連と農林中金との統合等を推進するなど、経営の合理化、健全化に取り組んでいるところであります。
農林水産省といたしましても、昨年末に成立した農協改革二法に基づきましてこれらの取り組みを支援するとともに、経営悪化の未然防止のため、平成十年四月からの早期是正措置の導入、または財務内容のディスクロージャーの推進、さらには国際的・全国的業務は農林中金、地域に密着した業務は農漁協が行うという系統組織内での役割分担と連携の強化等を図り、農漁協が引き続き地域金融機関として重要な役割を果たしていけるように指導してまいりたい、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/36
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037・須藤美也子
○須藤美也子君 現行の貯金保険機構によって貯金者に対して保険金が支払われた実績はないわけですね、今まで。
しかし、一方、吸収合併など組合に対する資金援助は四カ所あります。元鹿児島市農協、茨城県ときわ園芸農協、高松市東部農協及び山口県の黒井漁協、合わせまして百三十四億円が資金贈与されております。この四件とも内容を見ますと、経営破綻の原因は役員による乱脈経営と不正融資によるものであります。そのいわばしりぬぐいに保険機構の資金が投入されている、そういうふうに言わざるを得ないわけです。
そこでお聞きいたしますが、乱脈経営や不正融資を行った役員の責任は適切に果たされているのか、農水省はどう考えているのか。その点、簡潔にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/37
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038・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、貯金保険機構がこれまで貯金の払い戻しを行った事例はございません。確かに四件につきまして資金援助を行ったわけでございます。
先生が御指摘のように、役員の解任等、いろんな条件といいますか、状況のもとで経営不振に陥って資金援助が行われたということでございますが、具体的に申し上げますと、こうした事例につきましては、それぞれの役員に対しまして民事上、刑事上のかなり厳しい責任追及が行われております。
鹿児島市農協の場合には、前組合長、前専務理事、非常勤の理事及び監事に対しまして損害賠償請求が行われたほか、前専務理事に対する刑事告訴が行われております。
また、ときわ園芸農協の場合には、前組合長が死亡しておりますが、そのために刑事上の責任追及は行われておりません。他方、前組合長及び理事に対しまして欠損額の一部の補てんが要求されております。
それから、山口県の黒井漁協の場合でございますが、理事に対しまして損害賠償請求が行われたほか、前組合長に対して刑事告訴が行われております。
それから、高松東部農協の場合におきましては、元組合長、前専務理事、当時の非常勤の理事及び監事に対しまして損害賠償請求が行われております。また、元組合長及び前専務理事に対しまして刑事告訴が行われております。
私ども、これらの四件の事例につきましてはそれぞれきちっと、しっかりしたというか厳しい責任追及は行われたものというふうに考えております。
今後の貯金保険機構の資金援助の発動等に当たりましてもそうした厳しい責任の追及は行われるものと、そのように適切に運用されるように指導してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/38
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039・須藤美也子
○須藤美也子君 そうおっしゃいますけれども、十分そういう責任を果たしていないからこそ背任容疑の訴えや損害賠償の訴えが裁判にかけられているわけです。そういう点で、組合内部の民主的討論によって決定される、そこを尊重しなければならないと思うんですけれども、経営責任が明確にならず、あいまいなまま機構が資金援助するということはあってはならないと思うんです。
そこで、機構が資金援助する場合、経営の責任が適切に果たされるなど明記した発動要件があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/39
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040・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) 確かに、貯金保険機構の資金援助が発動される場合には、厳しい客観情勢あるいは経営内容、そして経営者の責任の追及というのが明確になっているということが発動の際に大変重要であるというふうに考えております。
この点は、農協系統の貯金保険機構の資金援助の発動に限らず、金融機関一般の資金援助の発動に関しまして、平成七年十二月の金融制度調査会の答申におきましても、資金援助の発動に際しては、「破綻金融機関は存続させないこと、経営者の退任及び民事・刑事上の厳格な責任追及が行われること、株主・出資者の損失負担が行われること、が前提条件となる。」と、そういうことが明記されているところでございます。
今回の貯金保険法の改正に際しまして、新設合併あるいは経営困難組合同士の合併ということを御提案申し上げているわけでございますけれども、今後の貯金保険機構の資金援助の発動におきましても、さっき申し上げましたように、従来の四件の事例ではきちっと経営者の責任追及は行われております。今後ともそうした明確な基準が客観的にわかるようなルールで厳格に運用されるように指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/40
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041・須藤美也子
○須藤美也子君 今、局長がルールを明確にしてこれからは指導するという答弁でしたので、それはしっかりやっていただきたい。さらに、乱脈経営の経営責任と関係金融機関の援助を中心に再建を行うべきであると考えるわけです。
そこで、一応これまでの実績の内容についてお尋ねをいたしましたが、経営困難な農漁協の吸収合併や信用事業譲渡によって貯金者を保護する、こういう仕組みがつくられているわけです。ですから、現行の貯金保険制度で救済することはできる、このように可能であると私どもは考えるわけです。
そこで、現行法でも経営困難な農漁協の吸収合併や、そういう点で信用事業譲渡によって保護することができるわけですから、今度農水省が改正によって県知事や行政の方からあっせんして新設合併をさせていく、そこにも資金援助をやるというようなそういう合併についても、もし仮に経営困難な農協と健全な農協が合併する場合でも現行の機構でこれは適用されると、このように私は考えるわけです。
そこで、またお尋ねいたしますが、新設合併や特定合併に当たってその職員の削減やリストラを資金援助の要件にするのかどうか、そこを、もう時間がありませんので、簡単に答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/41
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042・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) 現行法では確かに吸収合併と事業の譲渡というのが対象になっておりますが、先ほど御説明申し上げましたように、現在、系統組織全体で組織の合理化に取り組んでおるわけでございますけれども、一般的な形態は、幾つかの農協が集まりまして解散をして新設の組合をつくるというのが通常の形態こなっております。そういう場合に、その中に経営の大変困難な農協を含まざるを得ないという場合がかなりございます。そういう場合に、もちろんその場合でも県内で処理し得る、あるいは経営困難としても自助努力で自己資本率の回復ができる、そういうケースも多々あるわけでございますけれども、この全国支援、貯金保険機構の発動をせざるを得ないという事例も十分想定されるところでございます。
したがいまして、そういう意味では、今回の法改正がそうした来年四月からの早期是正措置の導入に向けて、さらには現下の系統組織全体としての組織の再編合理化に役立つような環境の早急な整備に役立つというふうに私ども考えております。
その場合に、先生から御指摘ございました組織の合理化でございますが、これはやはり先ほど申し上げました経営の責任者、特に役員の責任をきちっとするということと同時に、合併後の組合が健全な経営を維持し得るということがもう一つの大変重要な要素でございますので、そういう場合には施設の合理化あるいはむだな人員を合理化する、そういったことが経営改善の一つの大きな要素にはなろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/42
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043・須藤美也子
○須藤美也子君 そうしますと、施設の合理化、職員の削減、リストラ、これも要件に入ると、こういうことですね。
実際はどうなっているのか。私は、広域合併が進んでいる中でその周辺に新しく上からあっせんした新設合併なんというのはそんなに数多く出るとは考えておりません。
そこで、例えば福島県で二番目の広域農協である新ふくしま農協、ここでは当期剰余金で三億一千七百万円の赤字決算が見込まれております。そこで、経営者が一方的に職員や組合員に何の相談もなく四十五歳以上の職員に対して五十人から六十人の希望退職を勧奨している。そして、五十歳以上の職員百三人には退職意向確認書を配って退職の可否を求め、個人面談を勧めています。また、組合員には片方で増資をお願いしながら一方では配当金は無配、こういうふうになっています。
こうしたことはただ福島だけでないんです。長崎県の平戸農協でも行われております。さらにひどいのは、北海道などでは負債の大きい組合員に対しては離農勧告、これまで勧めている。こういうことで問題になっているんです。経営健全化のために職員や組合員を合理化する、そして農業離れを一層進めるということは、貯金者というのは組合員でしょう、組合員をこれは合理化するということにもつながると思うんです。そういう点で、本来の農協、漁協の経営健全化とはつながらない内容だと、こういうふうに強く指摘しなければならないと思います。
時間が来ましたので、最後に大臣、こういう現状、現場を踏まえて、それでもリストラ、合理化をしてその農協の健全化のために上からのあっせんによる合併をやろうとするのかどうか、そこを明確に答弁していただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/43
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044・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) ちょっと技術的な点も含まれますので、私からまず御答弁をさせていただきたいと思います。
先生が御指摘になりました個々具体的な事例の中では、それぞれの地域、それから農協の経営の内容によりましてかなり対応が異なってくるという実態にはございます。ただ、農協が農家の方々に上から離農を勧告するというような事例につきましては、私ども調査したところでは、それは単なる上からのあっせんというより、むしろ経営がかなり困難になった農家と組合としても相当長時間をかけて話し合いをしてきたという事実も他方でございます。むしろ、それは個々の農家の経営によりましてどのような対応をすれば今後経営改善が図られるのか、あるいは経営の維持ができるのか、そういうことも勘案しながら農協が農家の方々と個別に相談をしているという事例ではないかというふうに考えられます。
他方、全体で申し上げますと、確かに現在の金融事業、それから信用事業を含めまして、これは金融事業に限らずほかの販売事業でもそうでございますけれども、他業態との競争が厳しくなってきているという状況にございます。
そういう中で、これは農林省はもちろん指導、支援し、環境を整備するという立場にございますけれども、系統組織全体といたしましても、組織全体の合理化が今後系統組織全体として経営の健全化を図っていく上で必須の要件であるということで、系統みずから組織、事業の合理化に現在取り組んでいる最中でございますので、私どももそうした系統組織全体の取り組みを支援してまいりたい、本法案もそういう農協の取り組みを支援する一つの有力な手段、手法であるというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/44
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045・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) 須藤君、時間ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/45
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046・須藤美也子
○須藤美也子君 時間ですけれども、長々と答弁していただきましたので一言。
系統信用事業の原点とは相入れられない進め方だと思います。再検討の上、農協、農業、漁業を本当に振興する立場で考えていただきたいということを申し上げまして、時間ですので終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/46
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047・島袋宗康
○島袋宗康君 大臣にお伺いしたいんですけれども、貯金保険法は預金保険法の成立から二年おくれてようやく成立し法律になったわけでありますけれども、今回は預金保険法の改正に連動する形で直ちに改正しようとしているというふうなことになっておりますけれども、そのいわゆる必然性、そして必要性というものはどういうところからこのように急に提案されているのか、それを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/47
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048・島村宜伸
○国務大臣(島村宜伸君) お答えいたします。
農協系統金融機関につきましても、銀行等のいわば金融機関と同様、我が国金融システムの一翼を担っているわけであります。その貯金者の保護に万全を期することが必要だというまずその基本に立って、今回同時にこの法案の御審議を願っているわけであります。
また、このような観点を踏まえまして、二〇〇一年に向けた金融システム、まさにビッグバンの導入に向けて既にもういろんなシステムの改革がスタートいたしておるということもございますし、また平成十年四月から早期是正措置が導入されることにかんがみまして、農漁協系統の合併の大宗を占める新設合併を資金援助の対象として追加する等の法改正を行うこととしたものであります。
なお、対象金融機関の違いにより別制度とされておりますものの、預金保険制度と貯金保険制度の趣旨は基本的に同じでありまして、従来からその時々の金融情勢のもとで両制度がともにその機能を発揮できるよう必要な改正を行っている、そういうところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/48
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049・島袋宗康
○島袋宗康君 次に、農協が健全な経営を図っていくための必要要件についてどのようにお考えになっておられるか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/49
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050・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。農協の健全な経営の確保ということでございますけれども、これまでいろんな視点からの御指摘かございます。
一つには、やはり今後、高度化、複雑化する業務に対応できる業務体制の整備というのがございます。また同時に、そうした業務執行をチェックする監視体制、これは内部からの監視体制のチェックあるいは外部からの監視体制の強化、そういった点もございます。それから、特に信用事業につきましては自己資本の強化ということが要請されているわけでございます。
そこで、私ども、昨年の末に成立をさせていただきましたいわゆる農協改革二法、その中では常勤役員の兼職の制限、あるいは自己資本・内部留保の充実、これは最低資金制度の導入とか法定準備金の積み立て基準の引き上げ、そういったものでございます。さらに、監視体制の充実といたしましては員外監事、常勤監事の必置あるいは中央会の監査の強化、そういった規定も整備をいたしたところでございます。
現在、特に来年四月からの早期是正措置の導入に向けまして、自己資本の充実、さらこその一つの単位組合でそれが達成できないような場合には合併という手段によりまして自己資本の充実を図っていく、そういうことで、各県とも連携をとりながら来年四月の早期是正措置の導入に向けまして現在取り組みを鋭意進めている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/50
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051・島袋宗康
○島袋宗康君 信連と農林中金における余裕金の運用の実態、それについて現在どのようになされているか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/51
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052・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) 信連と農林中金の余裕金の運用についてのお尋ねでございます。
まず、信連の資金運用についてでございますけれども、貸出率が低いわけでございまして、まず農林中金への預け金が二十九兆五千億円ございます。それから、農協とか連合会等会員、さらに員外への貸出金が約六兆一千億円でございます。そのほか、国債等の有価証券による運用が十一兆九千億円というふうになっております。
それから、農林中金の資金運用の状況でございますけれども、出資団体、関連産業、それから特別貸し出し等を含めまして、貸し出しが約十六兆九千億円でございます。それから、国債等の有価証券の運用が約十三兆六千億円ございます。それから、預け金による運用が約七兆六千億円というふうになっているのが実態でございます。
なお、貸し出しと有価証券による運用等、全体として貸し出しの範囲がかなり制限されている、実態として拡充がなかなか難しいという面もございますので、やはり上部機関、つまり信連から見ますと農林中金への預け金、それと有価証券による運用、そうしたものが全体としてバランスがとれるような健全な運営に配意していく必要があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/52
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053・島袋宗康
○島袋宗康君 農協貯金に関しては地域間の格差が非常に目立つようであります。平成九年二月以降は好転しているようでありますけれども、依然としてその増減の率が対前年比にいたしますとマイナスの地域が見られるというふうな状況でありますけれども、その原因はどこにあるんでしょうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/53
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054・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) 確かに御指摘のとおり、農業所得の減少とか、あるいは一部の地域では土地売却代金の減少、そういった面もございまして地域的にはかなり格差がございますけれども、全般的に申し上げますと本年の二月からは増加に転じているという状況にございます。
農協系統金融のサイドでも、こうした状況につきましてはかなり厳しい状況であるというふうに受けとめております。そのために、現在、貸出先の選定、これは貸出先を選定する場合にも優良な貸出先を見つけるというのは大変重要なことでございますけれども、あるいは地域の地元でのニーズにこたえる、さらには組合員が有しているニーズにこたえていく、そういった面での努力が今後とも重要であるというふうに考えております。
現在の早期是正措置の導入の中で農協の場合には自己資本の増加ということがうたわれておりますけれども、資金的には貸出面でも余裕はございますので、むしろ貸出先の選別とそうした貸出先を見つけていくということは一つの活動として大変重要であるというふうに考えております。そういう意味でいえば、農協系統の金融機関が地域の金融機関としても信頼を得ていくということが今後とも重要であるというふうに考えておりますので、業務体制の強化と相まってそういった面も指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/54
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055・島袋宗康
○島袋宗康君 預金者が相当ふえている傾向にあるようでありますけれども、貸し渋るということはないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/55
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056・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) 昨今、新聞等で金融機関による貸し渋りの問題が提起されております。その背景としまして、これは来年四月からの早期是正措置の導入に伴いまして自己資本率を強化する必要があるということで、そのために貸し出しを制限する、そういうことによって結果として自己資本率を上げるということから貸し渋りが生じているというのが実態かと思われます。
他方で、系統金融の場合には、さっき申し上げましたように、貯貸率、貸出率が三割ぐらいでございますので、資金的には十分余裕があるというのが実態でございます。
また、自己資本率の増加につきましては、現在、単位農協におきまして、増資による場合とか劣後債による増資とか、そういった面を指導しておりまして、来年四月までにそうした特に自己資本率の低い農協につきましては改善するように現在県とともに指導している最中でございますが、さっき申し上げましたように、資金的には系統の場合にはかなり余裕がございますので、資金面から貸し渋るということはないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/56
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057・島袋宗康
○島袋宗康君 沖縄県内の農協の経営の現状及び合併の必要性の有無、その辺について御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/57
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058・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) 沖縄県内の農協の経営動向を見ますと、平成八年度末の時点におきまして農協数が二十八、組合員数が十一万四百十七名ということでございます。組織のスリム化は現在進んでおりますけれども、確かに平成八年度の決算におきましては、離島の組合もあるということでなかなか厳しい状況にございます。
ただ、沖縄県の系統全体といたしましては八農協構想というのを有しておりまして、その実現のために、これは平成六年の沖縄県の農協大会で決定されたものでございますけれども、現在その合併構想の推進に努力中でございます。農協数は平成五年度末には五十一農協ございましたけれども、平成九年十月末では二十八農協ということで、進んでいることは進んでいるというふうに考えております。
ただ、先生も御承知のとおり、離島の農協もございますので、なかなか今後の合併あるいは経営改善について大変難しい状況があることも事実でございます。今後とも沖縄県中央会を中心に、そうした合併あるいは経営改善への取り組みということで、私どもも県とも連絡をとりながら指導、強化に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/58
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059・島袋宗康
○島袋宗康君 それから、沖縄県内の漁協の経営の状況と問題点、あるいは合併の必要性の有無について、御認識があればお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/59
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060・嶌田道夫
○政府委員(嶌田道夫君) 漁協も農協と同じでございまして、最近の我が国漁業を取り巻く状況が一段と厳しさを増しておりますものですから、漁協経営は総じて厳しい状況にございます。当然のことながら、沖縄県の漁協につきましても同様でございます。
しかしながら、漁協は今後組合員に対します経営指導でございますとか資源管理への取り組みにも従来にも増しまして重要な役割を果たすことが期待されているところでございますので、漁協がこれらの役割を十分果たすためにも漁協の体質強化への取り組みはますます重要となってきているところでございます。
このようなことから、漁協系統におきましても、新たに一県一漁協または一県複数自立漁協の実現を目指しました漁協系統事業組織改革のための指針を本年五月に機関決定しておりまして、漁協全体として合併に取り組んでいるところでございます。
沖縄県の漁協につきましては、今答弁にありました農協と同じように、島嶼部という地理的な制約がございますものの、県の漁協系統におきましては五年後、十年後の計画を組織内で計画しておりまして、今後合併に積極的に取り組んでいかれるものというふうに承知しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/60
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061・島袋宗康
○島袋宗康君 農協の数に対する合併件数と漁協の数に対する合併件数を比較してみると、農協の合併件数に比して漁協の合併件数が非常に比率が低いというように言われておりますけれども、それはどういう事情でこのようになっておりますか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/61
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062・嶌田道夫
○政府委員(嶌田道夫君) 今申しますように、漁協系統といたしましては、その体質強化を図るという観点から合併でありますとか事業統合、いろいろ努力しているところでございます。
沖縄県の場合には、今申しましたように島嶼部という地理的な制約がございますが、そういうものも含めまして一般的に漁協合併の阻害要因となっておりますのは、例えば漁協役員の合併に対します意識の問題、さらに財務格差等経営の問題、推進体制が整備されていないこと、それから合併後の展望に不透明性がある。さらに、これは漁業独特の問題でございますが、漁業権の問題がございます。当然のことながら、こういう一般的な阻害要因につきましては沖縄県の場合にも当然当てはまるということでございます。
このようなことから、水産庁といたしましても、従来から漁協合併助成法でありますとか、また合併促進のための予算措置をとりまして、役職員への啓蒙でございますとか、財務格差の是正促進などを図り、その合併を支援しているところでございますが、なかなか進んでいないというのが状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/62
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063・島袋宗康
○島袋宗康君 さっきの預貸率が低いという関係ありましたけれども、農協の平成七年度末の貯貸率が二九・一%で、前年度より一・三ポイント上昇しているようであります。都市銀行等、他業態と比べて著しく低いのが現状ではないかと思います。その原因、そしてこれからの対策、どういうようにお考えか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/63
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064・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) お答え申し上げます。
確かに先生御指摘のとおり、他業態と比べまして農協系統の貯貸率は大変低うございます。これは基本的には農協の貸出先が農家の方々あるいは地域の住民の方々ということに限定をされている、そういう中で最近の農業投資がやや低くなってきているという、そういった状況にあることは事実でございます。
そこで、私どもそうした貯貸率の向上に向けてのいろいろな環境を整備するということで、例えば昨年の農協法の改正におきましては員外貸し付け、これは一般的に百分の十五でございましたのを百分の二十に上げるとか、さらには従来、員外貸し付けの規制の対象となっておりました地方公共団体貸し付け、これの制限を廃止するということで地方公共団体への貸し付けをよりしやすくする、そうした環境整備もやってきているわけでございます。
ただ、なかなか農業関連の投資が飛躍的に伸びるという状況も考えにくいというところもございますので、やはり地域の住民あるいは地元の関連産業、そうしたところのニーズにきちっと対応していく、地域金融機関としての役割を果たしていく、そういった面での取り組みも重要ではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/64
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065・島袋宗康
○島袋宗康君 最後に、農協、漁協の合併に関しては、それぞれ農業協同組合合併助成法、それから漁業協同組合合併助成法というのがあるわけでありますけれども、今回の改正が直ちに適用されるような事態が想定されるのかどうか、その辺についてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/65
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066・熊澤英昭
○政府委員(熊澤英昭君) まず、今回の法改正につきましては、現在の吸収合併による資金援助に加えまして、新設合併の場合を基本的には資金援助の対象とするということでお示しをいたしたわけでござします 特例的には時限的な措置としまして経営困難な組合同士の合併につきましても資金援助の対象とし得るということで、この二つの事例をお示ししたわけでございますが、私ども基本的には、農協の経営の観点から申し上げれば、仮に経営困難な農協を含む場合にはやはり経営の健全な農協が中心となって合併をするというのが基本的な形であろうというふうに考えておりますので、まずはそうした方向での合併が進むように指導してまいりたいというふうに考えております。
そういう意味で、現在進められている広域合併の中では一部にかなり経営が困難な農協があることを私ども承知いたしておりますので、そういう意味ではこの法案の対象になり得るというケースは十分に予想される。具体的に今ここというふうに見ているわけではございませんけれども、十分にそういうケースがあり得るというふうに見ております。
ただ、経営困難な組合同士の合併につきましては、これはできれば私ども基本的には経営の健全な組合と経営困難な組合を包摂した合併が望ましいと考えておりますので、そういう意味では例外的な運用になろうかというふうに考えておりますので、できればやはり本則でございます経営健全な組合が経営困難な組合を包摂して新設合併するということを基本に指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/66
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067・島袋宗康
○島袋宗康君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/67
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068・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/68
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069・松谷蒼一郎
○委員長(松谷蒼一郎君) 御異議ないと認めます。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時五十分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115007X00619971211/69
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