1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成九年十一月七日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程第四号
平成九年十一月七日
午前十時開議
第一 平成十七年に開催される国際博覧会の準
備及び運営のために必要な特別措置に関する
法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
一、元議員西郷吉之助君逝去につき哀悼の件
一、元議員西村尚治君逝去につき哀悼の件
一、裁判官訴追委員辞任の件
一、裁判官訴追委員等各種委員の選挙
一、国家公務員等の任命に関する件
一、財政構造改革の推進に関する特別措置法案
(趣旨説明)
以下議事日程のとおり
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/0
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001・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
さきに院議をもって永年在職議員として表彰されました元議員西郷吉之助君は、去る十月十二日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
同君に対しましては、議長は、既に弔詞をささげました。
ここにその弔詞を朗読いたします。
〔総員起立〕
参議院はわが国民主政治発展のため力を尽くされ特に院議をもって永年の功労を表彰せられさきに地方行政委員長予算委員長等の要職に就かれまた国務大臣としての重任にあたられました元議員正三位勲一等西郷吉之助君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/1
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002・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) さきに院議をもって永年在職議員として表彰されました元議員西村尚治君は、去る十月十五日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
同君に対しましては、議長は、既に弔詞をささげました。
ここにその弔詞を朗読いたします。
〔総員起立〕
参議院はわが国民主政治発展のため力を尽くされ特に院議をもって永年の功労を表彰せられさきに沖縄及び北方問題に関する特別委員長予算委員長等の要職に就かれまた国務大臣としての重任にあたられました元議員正三位勲一等西村尚治君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/2
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003・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) この際、お諮りいたします。
久保亘君から裁判官訴追委員を辞任いたしたいとの申し出がございました。
これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/3
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004・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
よって、許可することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/4
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005・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) この際、欠員となりました
裁判官訴追委員一名、また、あわせて
検察官適格審査会委員、同予備委員各一名の選
挙を行います。
つきましては、これら各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/5
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006・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
よって、議長は、
裁判官訴追委員に角田義一君を、
検察官適格審査会委員に前田勲男君を、同君の予備委員に野村五男君を、それぞれ指名いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/6
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007・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
内閣から、国家公安委員会委員に磯邊和男君を、公害健康被害補償不服審査会委員に清水英佑君及び原田尚彦君を、社会保険審査会委員に大沢一郎君を、中央社会保険医療協議会委員に工藤敦夫君を、
運輸審議会委員に前田喜代治君を、
また、電波監理審議会委員に秋山喜久君、塩野宏君及び常盤文克君を任命することについて、それぞれ本院の同意を求めてまいりました。
まず、国家公安委員会委員、公害健康被害補償不服審査会委員及び電波監理審議会委員のうち塩野宏君の任命について採決をいたします。
内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/7
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008・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 総員起立と認めます。
よって、全会一致をもっていずれも同意することに決しました。
次に、社会保険審査会委員の任命について採決をいたします。
内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/8
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009・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 過半数と認めます。
よって、これに同意することに決しました。
次に、中央社会保険医療協議会委員、運輸審議会委員及び電波監理審議会委員のうち秋山喜久君及び常盤文克君の任命について採決をいたします。
内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/9
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010・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 過半数と認めます。
よって、いずれも同意することに決しました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/10
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011・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、
財政構造改革の推進に関する特別措置法案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/11
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012・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。三塚大蔵大臣。
〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/12
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013・三塚博
○国務大臣(三塚博君) ただいま議題となりました財政構造改革の推進に関する特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
人口構造の高齢化等、国及び地方公共団体の財政を取り巻く環境が大きく変容する中で、我が国の財政は危機的状況にあります。このため、財政構造改革を推進し、安心で豊かな福祉社会及び健全で活力ある経済の実現等の課題に十分対応できる財政構造を実現する必要があります。
本法律案は、以上の観点から、財政構造改革の推進に関する国の責務及び財政構造改革の当面の目標等を定めるとともに、各歳出分野における改革の基本方針、平成十年度から十二年度までの集中改革期間における主要な経費に係る量的縮減目標及び政府が講すべき制度改革等を定め、また、地方財政の健全化に関する事項を定めるものであります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、総則においては、財政構造改革の趣旨を述べるとともに、国は財政構造改革を推進する責務を有することとしております。また、財政構造改革の当面の目標を、平成十五年度までに国及び地方公共団体の財政赤字の対国内総生産比を三%以下とすること、国の一般会計について特例公債から脱却すること等といたしております。さらに、財政運営に当たり、特別会計を含むすべての歳出分野を対象とした改革を推進することを当面の方針とするとともに、平成十年度当初予算の一般歳出の額は平成九年度の当初予算の額を下回るようにすることとしております。
第二に、社会保障、公共投資、文教その他の九つの各歳出分野ごとに改革の基本方針、量的縮減目標を定め、歳出の改革と縮減の枠組みを明らかにしております。
このうち、社会保障の分野におきましては、改革の基本方針等とあわせて、医療保険制度、年金制度及び雇用保険制度の改革を行うための検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするとともに、年金事業等の事務費に係る国等の負担を抑制すること等を定めております。
また、公共投資につきましては、公共事業に係る長期計画について、その期間を延長することにより投資規模の実質的な縮減を図ること等を定めております。
文教につきましても、義務教育教職員の定数改善に伴う給与費等に係る国庫負担等を抑制することとし、そのために義務教育教職員等の定数改善計画の延長措置を定めております。
その他、人件費の抑制、補助金等の見直しを規定しております。
第三に、地方財政の健全化につきましては、地方公共団体は、国に準じ財政構造改革に努め、財政の自主的かつ自立的な健全化を図る責務を有すること、政府は、地方財政計画における地方一般歳出が抑制されたものとなるよう、必要な措置を講ずること等を規定しております。
第四に、附則においては、検討条項を設け、必要に応じ、財政構造改革の進展の度合いを踏まえながら、国及び地方公共団体の財政のあり方について検討を加えることとするとともに、所要の規定の整備を行っております。
なお、政府は、六月三日に「財政構造改革の推進について」を閣議決定しており、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の見直し、中期防衛力整備計画の見直し等についても、この閣議決定に基づき、着実に実施していくこととしております。
以上、財政構造改革の推進に関する特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/13
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014・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。斎藤文夫君。
(斎藤文夫君登壇、拍手〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/14
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015・斎藤文夫
○斎藤文夫君 私は、自由民主党を代表して、ただいま提案されました財政構造改革の推進に関する特別措置法案について質問をいたします。
それに先立ちまして、去る十一月一日、二日の両日、シベリアのクラスノヤルスクで開かれた日ロ首脳会談についてお尋ねいたします。
今回の会談で、一九九三年十月の東京宣言に基づき、二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすと両国首脳が合意いたしましたことは、行き詰まっていた日ロ関係に新たな歴史的第一歩をしるすものと歓迎いたすものであります。周到に準備を進めてこられた総理の積極的な姿勢が、エリツィン大統領の心を開かせたとも言われておるところであります。その御努力に心から敬意を表する次第であります。
しかしながら、今世紀中に平和条約締結を現実のものとし、日ロ間の真の友好関係を築くためには、北方四島、エネルギー、経済協力、改革支援等々、解決しなければならない問題が山積いたしております。我が国にとり、日ロ平和条約の締結は真の戦争終結を意味するものであり、世界平和のためにも堂々と初心を貫いて、我が国の主権を守る解決を心から期待いたすものであります。総理の御見解を御披瀝いただきたいと存じます。
しかし一方、残念な出来事がございます。韓国は、昨年来我が国固有の領土である竹島に建設を進めておりました接岸施設がここに完成し、政府高官が出席して完工式が行われたと言われております。大変遺憾な出来事であります。何回抗議しても全く無視されているこの現状をどうお考えになっておられるでしょうか。領土の侵害、即国家主権の侵害であり、国交にかかわる重大事であります。ハーグの国際司法裁判所への提訴を含めて、真剣にしかも即刻に対応をしていただきたいと思います。
さらに、北朝鮮における同胞十名の拉致事件は今なお解決されず、これも我が国の主権が侵された行為であり、人道問題上も許すべからざる行為であります。これら一連の主権侵犯に対する外務大臣、御関係の確たる見解をお示しいただきたいと思います。
さて、本題に入ります。
昨今の経済情勢を見ますと、本年四月の消費税二%アップの反動により四月から六月のGDPはマイナス二・九%と落ち込み、景気回復のリードオフマンを務めてまいりました住宅建設は、昨年の百六十万戸台から百二十万戸台に大幅下落をしました。生産も横ばい、個人消費も低迷、本年度目標のGDP一・九%達成は大方が困難と指摘をいたしております。
特に、中小商工業者の経営環境は悪化をし、中央、地方を問わず活力を失っております。加えて、バブル崩壊による後遺症は今なお大きく影を引いており、金融、証券の倒産、不良債権処理のおくれ、企業と総会屋との癒着、株式市場の暴落など、経済界はまさに嵐の真つただ中にあります。景気の先行きに明るい材料や期待が持てず、不透明感が広がり、特に地方経済では公共投資減による深刻な影響が出ており、金融機関の選別融資と相まって年末にかけて倒産に追い込まれる中小企業が急増するおそれがあります。
一方、アジアの金融不安に端を発した株価暴落は、世界を駆けめぐり大きな衝撃を与えました。ニューヨーク市場は徐々に回復をしましたが、東京はいまだに一万六千円台、回復力のなさは今の景気を如実に反映しております。総理は、こうした日本経済の現状をどう御認識されておられるか、承りたいと存じます。
このような状況の中、十月二十一日に我が自由民主党では、当面の景気対策として、財政出動なき緊急国民経済対策を取りまとめ、政府に提言いたしたところであります。率直に言って、隔靴掻痒の思いであります。
さらに、税制改正を含めた第二、第三の景気対策を取りまとめておりますが、政府として我が党のこの提言を踏まえ、当面の景気対策をどうお考えいただけるのか。あすの改革よりきょうの景気に期待する国民の声は極めて大きいのが実情であります。ぜひ即効的効果が期待できる対策を打ち出していただけないか、お尋ねをいたすものであります。
特に、厳しい財政再建への道を踏み出したところで財政出動を容認すれば、そのフレームが崩れ、財政構造改革は水泡に帰すとの考えに理解を示すものでございます。しかし、改革の基本をなすGDPがマイナス成長あるいは目標よりも低成長であったときは、この改革の基本が崩れることになるわけであります。いっとき景気を浮揚する手段として財政出動を講じ、GDPをアップして、構造改革の目標を達成することも必要と考えますが、大蔵大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
国民は、財政構造改革が今なぜ必要か、率直に言ってその認識は薄いと言わざるを得ません。改革したときの二十一世紀初頭の日本経済あるいは国民生活はどうなるのか、もっと国民に具体的に周知徹底を図るべきではないでしょうか。もし改革に失敗をしたら、そのときはこうなるよということを明示することが、この改革を成功させる道でもあります。国民と遊離したところの改革論では、将来を大きく懸念するものであります。総理の率直なお考えを拝聴したいと思います。
しかも、財政再建の手法は、入るをはかり出るを制することであります。国、地方合わせて四百七十六兆の赤字を抱えながら健全財政化を図るのに、二〇〇三年までの六年間でなし遂げようとするには余りにも期間が短過ぎます。そのため、各般に及ぼす影響は極めて大きく、この激変に今の日本経済がたえられるか懸念をいたしております。総理の御所見を拝聴したいと存じます。
また、来年度予算編成に際し、緊縮財政といえども実効ある景気対策をどう御配慮いただけるのか。歳出に聖域なし、ODA一〇%、公共事業七%カット、平成九年度を下回る予算、大方針が示されておりますが、歳出カットの財政再建緊縮予算で景気対策が果たして期待できるでしょうか。大蔵大臣にお尋ねいたしたいと思います。
次に、内需拡大と公共事業についてお伺いをいたします。
振り返りますと、平成四年から平成七年、八回にわたる景気対策を打ち出しました。公共事業中心に六十四兆円注入をいたしましたが、その効果は残念ながら長続きしませんでした。
既にケインズ的財政手法は古典手法だと言われておりますけれども、地方の社会資本整備はまだまだ不十分であり、例えば地方都市の下水道普及率は一八%、バスが対面交通できる道路は二四%、財政再建でいう子や孫に借金を残さないことも重要でありますけれども、充実した社会資本を後世の子や孫に残すこともこれまた重要なことであります。
しかも、公共事業の生産誘発効果は景気対策に極めて直截的かつ効果的であり、仮に公共事業が一〇%減少すれば、その影響は建設業で三・二兆円、製造業二・五兆円、サービス業一・六兆円、その他合計七・六兆円生産額が落ち込むと試算をしておる向きもございます。その上、五十一万人の雇用に影響が出るとも言われておりまして、これを見ても、ただ公共事業を抑制すればよいということだけで済む問題でございましょうか。海外からも内需拡大が強く要求されているとき、公共事業のユーティリティーにもう一度配慮すべきと思いますが、いかがでございますか。
また、民間活力を生かしたイギリスのPFI型の社会資本整備も景気対策として今我が党の中で浮上しております。その実効性について、いろいろ問題があると思いますが、いかにお考えになっておられるか。以上、総理、大蔵大臣の御見解をお聞きいたしたいと思います。
財政構造改革をなし遂げるには、アメリカのブッシュ、クリントン、二代にわたる大統領が九〇年、九三年、二度にわたりOBRA、包括的調整法を制定し、それぞれ五年間で約四千億ドルの歳入増加を図り、一方約六千百億ドルの歳出削減を講じるなど、赤字削減のために大変努力をしてこられました。
一方、所得税の最高税率を一〇%以上上げて三九・六%、法人税、自動車燃料税、たばこ税、メディケア保険料の引き上げなど、入りを図りながら、国防費、メディケア、在宅医療サービス関連のメディケード、農業補助金をカットし、出るを制した原則論を厳しく実施して、特に昨年の八月には福祉改革法を成立させ、自助自立の原則を打ち出しました。
フランスでも、ジュペ首相の、「今日の赤字は明日の増税」と、付加価値税を引き上げたり社会保障関係費、農業費を削減し、財政赤字と取り組んでおります。
我が国においては、財政構造改革はだれしも避けて通れぬ道とわかっていても、福祉費や教育費補助をカットするとなれば残念ながら総論賛成各論反対となります。そのためにも、国民に負担を強いる、なぜ強いなければならないのか、そして国民の痛みを分けた協力や理解をどうしたらいただけるのか、その対策を真剣に考えるべきであります。
だからこそ、いかに赤字国債をなくす財政再建が待ったなしに必要なのか、本法案の意図する計画の実施をどうしてなし遂げていかなければならないのか、総理の御決意と国民の理解を求めるために総理のリーダーシップを特に期待するものでありますが、いかがでしょうか。
終わりに、地方財政関連の質問をさせていただきます。
今般の財政構造改革は、国、地方を問わず財政健全化を進めようとするものでございます。我が国の公的歳出の三分の二は地方公共団体によって支出をされております。したがって、財政構造改革に当たっては地方財政の改革が極めて重要な意味を持ってまいります。
また、全国地方自治体三千三百、地理的、社会的、財政的、いろいろ見てまいりますと千差万別であります。地方分権を踏まえ、地方公共団体の自主性を尊重しながら地方財政の健全化を進めていくためには一律的な財政改革で果たして効果が上がるでしょうか。あわせて、地方財政へのしわ寄せなど、その影響はどうなるのか、大蔵大臣、自治大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
一方、地方経済の振興、地域の活性化のために、公共投資が高いウエートを占める地方経済においては、財政構造改革の抑制の影響をもろに受ける結果となります。
また、地方単独事業は、地域の活性化や地域経済の振興に果たす役割が大きく、それぞれの地域の実情に即して自主的に実施され、地域の特性を守り立ててきました。上杉自治大臣は、特に地域の実情、地域が抱えている今日的課題を十分承知しておられます。現下の地域経済の状況を考えて、地方単独事業の推進のため、財源や起債確保を構造改革の中できちっと位置づけをいただき、きめ細かな地方活性化対策の展開をお願いしたいと期待するものでございます。御所見を承ります。
最後に一言。我が国が大きな岐路に差しかかっている今日、我々も六大改革に真剣に取り組んでまいります。総理におかれましては、二十一世紀の日本を見据えて、大局に立った大きなリーダーシップを発揮していただかなければなりません。心から期待を申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/15
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016・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 斎藤議員にお答えを申し上げます。
まず、先般の日ロ首脳会談についてのお尋ねがございました。
北方領土の関係では、東京宣言に基づいて二〇〇〇年までに平和条約を締結するよう全力を尽くすことに合意をいたし、経済関係では、今後の両国の経済関係発展の基礎となる橋本・エリツィン・プランを作成いたしました。この成果に基づき、今後とも北方領土問題解決のために最善の努力を払いながら、各般の分野における協力と関係強化に努めてまいります。
次に、日本経済の現状をどう見ているかというお尋ねがございました。
最近の景気動向を見ますと、個人消費は消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減が薄れつつあるものの、その駆け込み需要が予想より大きかったこともありまして、回復のテンポが予想よりおくれております。こうしたことなどから、足元につきましては、景気の回復テンポは緩やかというより、ちょっと足踏み状態でありますし、企業の景況感にも慎重さが見られます。
しかし、個人投資は緩やかながら回復をしていること、設備投資も回復傾向にあること等から、民間需要を中心とする景気回復の基調は続いていると認識をしており、今後とも経済の動向を注視してまいりたいと思います。
次に、景気対策についてのお尋ねがございました。
政府としては、我が国経済の体質改善を行い、企業や消費者の経済の先行きに対する不透明感を払拭し、我が国経済の回復基調を確実で力強いものにしていくため、経済構造改革の前倒し等による効果的な経済対策を早急に決定したいと考えております。
こうした経済構造改革に取り組む政府の確固たる姿勢を明確に示すこと、それ自身が企業、消費者などの景気に対する信頼感を高め、より力強い景気回復に資するものと考えております。
御指摘の緊急国民経済対策につきましては、政府に対し検討を要望するものとして取りまとめられたものと承知をいたしております。政府としては、これをも踏まえながら、真に効果的な経済対策となりますよう取りまとめに努力してまいりたいと考えております。
次に、財政構造改革の必要性及びその影響についてのお尋ねがございました。
我が国財政は主要先進国中最悪の危機的状況にあり、現在の財政構造をこのまま放置すれば、将来、財政赤字を含めた国民負担率が七〇%にもなり、双子の赤字を抱え国民の生活水準も低下するという推計すらあります。このような将来を子や孫の世代に残すことは絶対に避けなければなりません。
このような事態を回避し、安心で豊かな国家、福祉社会、そして健全で活力ある経済を実現するために、財政構造改革の推進は一刻の猶予も許されないと考えております。
財政構造改革は確かに短期的に痛みを伴うものがあります。しかし、中長期的には経済の活性化に資するものであり、経済構造改革とあわせて民需中心の安定成長につながっていくものだと考えております。
公共投資等の財政出動についてのお尋ねがございました。
公共投資は、社会資本整備という意義に加えて、景気に対しましてもそれ自身が需要となる効果と波及効果を通じ民間需要を喚起する効果があると思っております。
しかしながら、我が国財政が主要先進国中最悪の危機的な状況に立ち至っている、今申し上げましたような中で、財政構造改革は私は一刻の猶予も許されない状況になっていると思っております。今後の経済運営は安易に財政に頼るのではなく、民間需要中心の自律的な安定成長を図っていくことが基本だと考えており、そのためには財政構造改革と並んで規制緩和を初めとする経済構造改革の実現がますます必要であると考えております。
イギリスのPFI型の社会資本整備についてのお尋ねがございました。
最近の厳しい財政事情のもとで、社会資本整備に当たりましては民間活力の活用を図ることも重要であり、今後、英国におけるPFIなど海外の事例も参考としながら、新たな整備方策やその問題点等について検討を行いながら社会資本整備の充実に努めてまいりたいと考えております。
また、総論は賛成でもいざとなると反対が出るよと御注意をいただきました。
財政再建の必要性を国民に御説明する体制につきましては、財政状況につき、従来からさまざまな資料などをそろえまして広く国民の皆様に御理解を得られるよう努めてまいりましたが、今後とも一層御理解をいただくような努力を重ねてまいりたいと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/16
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017・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 斎藤議員にお答えを申し上げます。
まず、景気浮揚の手段として財政出動を講じて構造改革を進めるべきであるとの御指摘、また、来年度予算編成と景気対策についての御質問でございます。
我が国財政は危機的状況に立ち至っております。財政構造改革が総理答弁にもありましたとおり一刻の猶予も許されない課題でありますことから、今後は安易に財政に依存せず、規制緩和を初めとする経済構造改革の実現により民間需要中心の自律的成長の達成を図ってまいりますことが経済運営の基本であると考えておるところでございます。
こうした観点から、我が国経済の回復基調をより確実なものにいたしてまいりますために、経済構造改革の前倒し等による効果的な経済対策を策定いたしますとともに、平成十年度予算編成に当たりましては、集中改革期間の初年度として将来世代に負担を先送りいたしますことのないよう、また重点的かつ効率的な予算とするよう全力を尽くしてまいる所存であります。
次に、公共投資の実効性についてのお尋ねでございますが、バブル崩壊後に行いました累次の経済対策は、需要の拡大により景気の下支えの役割を果たしてきたものの、一方で公債残高が累増するなど、現在の危機的な財政状況の一因にもなっていると認識いたしております。
公共事業へのPFIの導入については、総理答弁にもありました。社会資本整備に当たっては、民間活力の活用も重要であるとの認識のもと、この問題等についての検討が必要であると考えておりますが、いずれにいたしましても、公共事業の効果的な実施に努めてまいりたいと考えております。
地方財政についてのお尋ねであります。
地方財政は、国の財政と並ぶ公経済の両輪であります。ともに厳しい状況にありますことから、地方財政についても赤字を縮小し、財政構造改革を推進してまいることが必要であります。
その際、地方財政が三千二百の地方公共団体の集合体でありますことや、地方自治、地方分権推進の視点に留意することといたしております。また、地方財政の円滑な運営に支障の生ずることのないよう、各年度の地方財政計画の策定を通じ適切に対処してまいりたいと存じます。
今後、このような基本的な考え方を踏まえ、地方財政健全化に向けて、各地方公共団体におかれましては最大の努力がなされることを強く期待いたしておるところでございます。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/17
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018・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) まず、竹島の領有権問題についてでございますが、我が国の立場は一貫したものでありまして、韓国に対して累次にわたりましてかかる一貫した立場につき申し入れを行う等、外交努力を続けてきたところでございます。
特に、我が国の累次の抗議にもかかわりませず、接岸施設が完成し、完工式が行われたことはまことに遺憾であり、我が国としても受け入れることはできません。
本件につきましては、昨日、在京韓国大使を招致して、柳井外務事務次官より厳重に抗議するとともに、改めて施設等の撤去を求めたところでありますが、なお、私といたしましてもさらなる努力を傾注してまいりたいと存じております。
第二に、北朝鮮による拉致の疑いの持たれている事件については、捜査当局において所要の捜査が進められておると承知をいたしておりまして、また、関係機関におきましても関連情報の収集に努めております。
また、八月に行われました日朝国交正常化交渉再開のための予備会談や、九月に行われました日朝赤十字連絡協議会の場におきましても、この問題をきちんと取り上げております。
さらに、自民党からの申し入れを受けまして、国連に対しましても協力を強く要請をいたしておるところでございます。
今後とも、我が国国民の安全にかかわる重要な問題であるとの認識に立ちまして、問題の解決のため、効果的な方法を考え、真剣に対処してまいりたいと思います。(拍手)
〔国務大臣上杉光弘君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/18
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019・上杉光弘
○国務大臣(上杉光弘君) 斎藤議員にお答えをいたします。
地方財政の健全化につきましてお尋ねでございますが、財政構造改革は、次世代に残してはならない、私たちの世代でぜひともやり遂げなければならない重要課題でございます。
このような認識に立ちましてお答えをいたしますが、そのためには、国、地方、双方の歳出抑制につながる施策の見直し等によりまして、地方財政計画の一般歳出の抑制に努め、その健全化を進めてまいる所存であります。
その場合、大蔵大臣からもお触れになりましたが、地方財政は三千三百の地方公共団体の集合体でございます。また、地方自治、地方分権の推進の視点に十分留意をいたしまして、住民に身近なサービスを提供する地方行政の運営に支障が生ずることのないように、適切に対処してまいる所存であります。
次に、財政構造改革と地域活性化対策についてのお尋ねでございましたが、高齢化社会に向け、地方財政の健全化を進めますとともに、地域の活性化、地域経済の振興を図っていくことが必要でございます。
その中で、地方単独事業が果たしております役割は極めて重要と認識をいたしておりますが、平成十年度の地方単独事業の事業量につきましては、こうした点に十分配慮して決定してまいりますとともに、財源となります地方債や地方交付税の必要額を確保いたしまして、またその配分に当たっては、各地方公共団体の計画的事業執行に支障が生ずることのないように、でき得る限りの配慮をしてまいりたいと考えております。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/19
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020・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 広中和歌子君。
〔広中和歌子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/20
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021・広中和歌子
○広中和歌子君 私は、平成会を代表して、ただいま議題となりました財政構造改革の推進に関する特別措置法案につき、総理並びに関係大臣に質問いたします。
まず、総理、ロシア共和国エリツィン大統領との首脳会談、御苦労さまでした。西暦二〇〇〇年に向け日ロ関係の真の改善を心から期待いたしております。
外務大臣、対人地雷全面禁止条約に署名される御決断をされたことに心からの敬意を表します。
さて、本題の財政構造改革法案についてですが、伺いたいことは大きく二つ。第一は今なぜこの時期に財政構造改革法案なのか、第二にこの法案は財政の構造改革の名にふさわしいのか、の二点です。
初めに、総理は我が国の経済の現状についてどのような御認識をお持ちなのか伺います。
政府は、本年度を財政構造改革元年と称して、三%から五%への消費税の引き上げ、二兆円の特別減税廃止、医療費の引き上げ等を強行し、合わせて九兆円もの負担を国民に押しつけました。その結果、本年九月上旬、我が国の四月から六月期の国内総生産の実質成長率は、一月から三月期に比べ年率一一・二%の大幅なマイナスになったことが公表されました。このような大幅な減少は、第一次オイルショック以来実に二十三年ぶりのことです。
住宅着工の落ち込み、自動車や家電等耐久消費財の売れ行き不振、百貨店、スーパーの売上高の前年割れ、在庫の増加、生産調整など、景気後退がだれの目にも明らかになったにもかかわらず、政府の月例経済報告は、景気は底がたく推移しているとの基本的立場を崩さないまま今日に至っております。
自民党は、規制緩和、土地流動化などの景気対策を公表いたしましたが、発表当日株価が下落するなど、市場は政府・与党の景気対策に対し極めて冷ややかな反応を見せております。
今日の不況を招いた責任についてどのように反省しておられるのか、そして今回の景気対策がいつからどのような効果をあらわしてくるのか、まず総理にお伺いいたします。
私は、今日の消費不振、経済の低迷を脱却するためには、財政出動を伴った景気対策、すなわち二兆円の特別減税の復活と法人税の実効税率を一〇%引き下げる等、思い切った景気対策が必要だと思いますが、あわせて総理並びに経済企画庁長官の御見解を伺います。
次に、景気が後退する中での中小企業への配慮について伺います。
来年四月から実施に移される早期是正措置を控え、金融機関は現在、資産の圧縮に懸命になっております。すなわち、貸出金の回収と新規貸し出しの抑制であり、いわゆる銀行の貸し渋り現象がここに来て急速に広まって、中小企業の景況感は悪化の一途をたどっております。一部では既にクレジットクランチ現象が起きていると思います。金融機関の融資行動についても十分調査を行い、中小企業等への資金供給が適切に確保されるよう求めておきたいと思います。
現在の景気の低迷は、消費税の税率引き上げ、所得税の特別減税の廃止等のほかにも大きな原因があります。それは、金融機関の不良債権問題がいまだ解決していないことです。政府は不良債権処理は着実に進んでいるような発言をしておりますが、ますます混迷の度を深めているというのが実態ではないでしょうか。平成九年三月の預金取扱金融機関の不良債権総額は二十八兆円と公表されていますが、一説には百兆円に達するとの見方があります。こうした不良債権の処理については、問題が先送りされたままで、銀行等のリストラの進展も不十分です。
このような厳しい経済状況にもかかわらず、政府は、財政構造改革を至上命題として集中改革期間としている二〇〇〇年までは財政出動を行わない方針のようですが、それで何ら問題は起こりませんか、総理に伺います。
そこで、政府の提案しているこの財政構造改革ですが、デフレ予算につながるもので、不況を一層進めるものとして、経済界を中心にこの法案に批判の声が高まり、また国民の多くも前途に不安を感じています。
本年度を財政再建元年となさりたい政府の気持ちもわからなくはありませんが、経済はまさに生き物です。香港発の株安がアメリカ、日本、ヨーロッパの市場を直撃したのを見てもわかりますように、今後何が起こるかわからないグローバル市場経済の中で、日本の財政を向こう六年間このような形で縛ってしまうことに危惧の念を抱く者は私一人ではないと思いますが、総理のお考えを伺います。
本法律案では、来年度の公共事業が七%削減されることが規定されておりますが、この措置によりGDPが四兆五千億円程度マイナスになると試算されております。これは、GDP総額の約一%になる金額です。さらに、公共事業費の削減によって六十万大規模の雇用機会が失われ、失業率が一%上昇するとの試算が公表されております。これらの試算に対して、政府はどのような雇用の見通しと対策をお持ちなのか、労働大臣の御所見を伺います。
さきに述べましたように、私は、現在の景気低迷の背景には構造的な問題として不良債権があると考えており、この解決なくして本格的な景気の上昇は考えにくいのではないかと思いますが、不良債権処理スキームを示すべきではございませんか、総理、大蔵大臣の御見解を求めます。
今後さらに不良債権の早期一括処理を見送り続けていけば、我が国の金融機関が不良債権問題で体力を使い果たしてしまい、迫り来る金融ビッグバンにおいて海外の金融機関との競争に打ち勝っていくのは至難の道となりましょう。多くの金融機関が淘汰され、それがまた金融不安を増幅しかねないと思います。米国が一気に不良債権処理を行ったのに対し、我が国は常に問題先送りの政策をとり続けてきた。その結果が不良債権処理の長期化であり、株式市場の長期低迷の一因ともなっております。
今回の法案の趣旨説明にもありますように、健全で活力ある経済を実現するため、この際、日本版RTCの設置と公的資金の導入問題について政府は真剣に検討していく必要があるのではないでしょうか。総理、大蔵大臣の御見解をあわせて求めます。
米国では、八〇年代に各分野における規制緩和が先行し、大幅な減税、不良債権の大胆な処理によって経済を立て直したことが今日のニューエコノミーと呼ばれる息の長い景気拡大につながったものと評価されております。米国の財政赤字削減の五五%は景気拡大効果によるという分析もなされており、景気拡大の方が財政赤字を削減するためにはより大きな効果があったのです。
このことを見ても、財政構造改革を進めるには景気に対する配慮が欠かせず、経済に悪影響を及ぼせば税収が落ち込み、失敗に終わることは明白です。日本経済が成長してこそ財政再建が可能になることを忘れてはならないと思いますが、総理の御見解を伺います。
以上の観点から、本法案は時期尚早であり、経済の立て直しを最優先し、法案の撤回をすべきであると強く訴えるものですが、総理、いかがでございますか。
次に、この財政構造改革の中身がその名に値するものかについてお尋ねいたします。
本法律案は財政構造改革を標榜しておりますが、肝心かなめの構造改革については抽象的な表現にとどめているなど、極めて不十分なものです。構造改革とは名ばかりで、規定されているのは一般会計の各分野における歳出削減目標だけであり、本質的な検討は先送りされております。本法律案は、従来の概算要求におけるシーリング方式を複数年度にわたって行うことを定めたものにすぎません。さらに、歳出削減違反に何らの制裁措置が規定されていないし、各年度ごとの歳出削減の具体的な数値目標が示されておりません。その理由は何なのか、大蔵大臣に伺います。
また、補正予算により一般会計の歳出削減がしり抜けとなるのを防ぐ歯どめを設けていない理由についても総理、大蔵大臣に伺います。
さらに問題なのは、歳入についてこの法案では何も触れていないことです。
歳入の根幹をなす税収は経済成長によって変動いたします。したがって、歳出歳入のギャップが生じた場合、どのような手段で調整されるのか。歳出削減のみをうたい、歳入について不透明にしておくことは大問題です。このような法案で抜本的な財政構造改革ができると考えておられるのか、総理の御見解を求めます。
また、本法律案を先取りした平成十年度の概算要求では、各省庁の公共事業のシェアは固定化されたままであり、従来と何ら変わっておりません。公共事業の重点化、効率化が本法律案でうたわれておりますが、どのような事業に重点が置かれるのか、この法案からは読み取れません。従来の各省庁の公共事業のシェアを抜本的に変えるような思い切った改革を行わなければ財政構造改革の名に値しないと考えますが、総理、大蔵大臣の御見解を伺います。
めり張りのきいていない分野別削減の中で、ODAだけは対九年度比一〇%減となっております。ODAは日本の外交の大きな柱であるのに、このような結論が出された理由を総理、大蔵大臣に伺います。
さらに、第五次ODA中期目標の達成をどのように考えておられるのか。そして、緒方貞子さんが御苦労されている国連難民高等弁務官事務所や、総理のお母さまが深い関心を寄せてこられたユニセフ等、人道的支援を行っている国連機関への拠出金を四〇%前後も削減する理由についても、あわせて総理、外務大臣に伺います。
次に、財政構造改革と地方分権の関係についても伺います。
国と地方の財政赤字削減に向けて構造的な解決に取り組もうとするのであれば、現在の国と地方の財政構造、事務配分、税源配分にまで踏み込み、国と地方の財政再建の方途を示すべきだと思いますが、総理の御見解を伺います。
読売新聞の調査によれば、実に二十年以上の長期にわたって計上されている国の補助金が七百七十件、金額にして四兆七千億円にもなっており、十年以上継続している補助金を合わせますと実に五兆四千億円にも上っていると報道されています。本年七月、総理に提出された政府の地方分権推進委員会の第二次勧告では、現行補助金制度について国庫負担金は十年ごとに見直しをすることとし、国庫補助金は原則として五年以内に廃止するという抜本的見直しが示されました。
ところが、本法律案では、地方自治体に交付される補助金を制度的補助金とそれ以外の補助金に分類し、それ以外の補助金を一割削減するなどの量的削減目標を掲げるにとどまっております。平成十年度予算の概算要求を見ても、分権推進委員会の勧告に沿って補助金が見直される気配は全く感じられません。
財政構造改革を標揺するのであれば、補助金のあり方についても抜本的な見直しを行うことが必要であると思いますが、この点についての総理並びに大蔵大臣の御見解を伺います。
さて、あと一カ月足らずに迫った気候変動枠組み条約第三回締約国会議、COP3京都会議は、二十一世紀の地球環境の将来を決する大切な会議です。しかるに、リーダーシップを発揮すべき議長国日本が示した二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量の数値目標は余りにも低く、EU、途上国はもとより、日本を含む世界のNGOからもマスコミからも失望の声が大きく上がっております。総理は、この数値目標を撤回し、環境立国として志の高いリーダーシップを発揮していただけませんか。
日本は環境面では技術も経験も豊富です。環境関連産業は二十一世紀を切り開く新産業のニューフロンティアであり、雇用創出の機会を提供するものでございます。広く環境面から日本の財政構造を変えていくべきであると思いますが、いかがですか。本法案には環境保全が推進されるような内容が盛り込まれなかった理由は何なのかも、あわせて伺います。
最後に、明るい提案をさせていただきます。
あと三年で二十一世紀を迎えます。西暦二〇〇〇年から二〇〇一年に至る一年間は、二十世紀を締めくくり、過去百年を振り返る年であると同時に、新たな千年に向けて人類、地球の未来を考えるときでもあります。また、これを機にさまざまな行事を行い、国の経済、社会を活性化し、あわせて国民の気分にも活気を取り戻す機会でもあります。諸外国ではさまざまなイベントが計画され盛り上がっていますが、我が国では国としての動きは全く見られません。この記念すべき年をどう祝うか、総理は具体的構想をお持ちですか。
総理、総理のもとに国民、各界各層、さまざまな世代の代表から成る二十一世紀委員会をつくられたらいかがですか。
この提案をもって私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/21
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022・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 広中議員にお答えを申し上げます。
まず、我が国の経済の現状あるいは景気対策についてのお尋ねがございました。
その現状を申し上げますなら、先ほども御答弁をしたことでありますけれども、最近の景気動向は民間需要を中心とする景気回復の基調は続いておりますものの、足元の回復テンポは足踏み状態と先ほど私は表現をいたしましたが、となっておりまして、企業の景況感にも慎重さが見られます。
政府としては、我が国経済の体質改善を行い、企業や消費者の経済の先行きに対する不透明感を払拭し、我が国経済の回復基調を力強い確実なものとするためにも、経済構造改革の前倒し等による効果的な経済対策を早急に策定していきたいと考えております。
こうした経済構造改革に取り組む政府の確固たる姿勢を明確に示すことが、企業、消費者等の景気に対する信頼感を高め、より力強い景気回復に資するものと考えており、今後とも経済の動向を注視し、政府として責任を持って適切な経済運営に努めてまいる所存であります。
特別減税の復活を初めとした御提案がございました。
しかし、今後の経済運営は安易に財政に頼らず、民間需要中心の自律的な安定成長を図っていくことが基本だと考え、そのためには財政構造改革と並んで、規制緩和を初めとする経済構造改革等の実現がますます必要であると思います。
法人課税につきましては、課税ベースを適正化しながら税率を引き下げる方向で検討を行い、十年度税制改正において結論を得ることといたしております。
なお、特例公債を発行せざるを得ない状況下での減税につきましては、現下の危機的な財政状況を踏まえると、これを実施することはなかなか容易ではないと考えております。
当面、財政出動を行わないことで問題は起こらないのかという御指摘がございました。
しかし、我が国の財政事情は本当に危機的な状況に立ち至っておりまして、財政構造改革は将来の世代へ負担を先送りしないために一刻の猶予も許されない課題となっていると思います。
こうした中で、一刻も早く財政構造改革を含むさらなる構造改革を進めていくことこそ、中長期的に日本経済をより活性化させる上で重要であり、今後は安易に財政に依存せず、規制緩和を初めとする経済構造改革の実現によって民間需要中心の自律的成長の達成を図っていくことが基本であると考えております。
また、不良債権問題についての御意見をいただきましたが、現在、我が国の金融機関は不良債権の早期処理に取り組んでおり、全体の状況は改善されております。政府としては、金融三法により整備されました制度の基本的考え方を踏まえて、引き続き預金者保護の観点から不良債権問題の処理に適切に取り組んでまいります。
また、経済が成長してこそ財政再建が可能になるという御指摘をいただきましたが、先ほど申し上げましたように、財政構造改革を含むさらなる構造改革を進めていくことが中長期的に日本経済をより活性化する上で重要だと考えておりますし、本法案を撤回すべきとの御指摘でありますが、将来の世代へ負担を先送りしないために財政構造改革の取り組みには一刻の猶予も許されないと考えておりまして、本法律案の速やかな成立を心からお願いをいたします。
次に、補正予算に関連をしてお尋ねがございました。
補正予算につきましては、財政構造改革を推進するに当たり、財政法第二十九条の補正事由の趣旨を厳正に判断し、適切に対処することといたしております。
歳出と歳入のギャップが生じた場合についても御指摘がありましたが、歳入面につきましては、引き続き公平、中立、簡素という幅広い観点に立って改革に取り組んでまいりますが、いずれにせよ、まずは歳出の改革と縮減に最大限の努力を傾注すべきだと考えております。
本法律案で抜本的財政構造改革が果たせるかという御懸念をいただきましたが、本法律案では主要な経費ごとにめり張りのきいた量的縮減目標を設定しており、さらにその量的縮減目標を達成するために個別の歳出の中身に踏み込んだ改革を行うこととなります。このように、本法律案の実施は構造改革に直結するものであると考えております。
次に、公共事業の重点化、効率化についての御意見をいただきました。
公共投資につきましては、六月三日の閣議決定におきまして、経済構造改革関連の社会資本について、物流の効率化に資するものを中心として優先的、重点的に整備をするとともに、相対的に立ちおくれている生活関連の社会資本について、真に整備がおくれている分野、地域への重点化を図ることといたしております。
次に、来年度のODA予算についてのお尋ねがございました。
対九年度比一〇%マイナスの額を上回らないものといたしましたが、これは近年の我が国のODAの量的拡充が国際的に顕著な一方で、我が国の財政が危機的な状況にあることにかんがみ、量から質への転換を図ることとしたものであります。
第五次中期目標におけるODA実施総額の目標達成は、このところの為替水準等を考慮いたしますと大変厳しい状況にありますが、引き続き効果的、効率的な援助を実施するために最大限の努力をしてまいりたいと思います。
また、私自身、国連等を通じました国際貢献の重要性を認識しているつもりであります。来年度のODA予算につきましては、定められた金額の範囲内で総合的な調整を行うよう指示したところでありまして、今後とも財政改革の必要性につき国際機関の理解を求めつつ適切に対処してまいります。
次に、国と地方を通じた財政再建のあり方についてのお尋ねがございました。
国と地方は公経済の車の両輪でありますし、ともに厳しい状況にあることから、ともにその赤字を縮小し、財政構造改革を推進していくことが必要だと考えております。当然ながらその際には、三千三百の地方公共団体の集合体であるという地方財政の特性、地方自治、地方分権推進の視点に十分留意し、適切に対処してまいります。
また、補助金等につきましては、地方分権推進委員会の第二次勧告におきまして、積極的に整理合理化を進めることとされておりまして、政府としても、この勧告の内容を踏まえつつ、経済社会情勢の変化、官と民及び国と地方の役割分担のあり方の観点から、すべての分野にわたりまして補助金等の見直しを行ってまいります。
次に、COP3について御意見をいただきました。
政府としては、議長国として、地球温暖化防止に意味があり、公平で実現可能な、これを三原則としながら、京都会議で合意を目指しております法的文書には、日本、アメリカ、ヨーロッパ等の主要国の参加が不可欠であること、他方でEUが提案をしておりますバブルによる一五%削減、これは不公平であると同時に非現実的であること、そうした点を総合的に勘案し、交渉の基礎となるものとして今回の提案を行いました。
本提案に基づきまして、現在は意見の分かれておりますアメリカ、ヨーロッパ、さらには途上国など各国の立場を収れんさせ、意味があり、公平で実現可能な目標の国際的な合意が形成できるように政府一体となって努力をしていく考えであり、委員におかれましても御協力を心から願う次第であります。
次に、本法律案と環境保全の推進についてお尋ねがございました。
環境保全の推進は政府の重要な施策の一分野でありますが、他方、本法律案は財政構造改革の推進方策及び閣議決定に沿い、主要な経費の量的縮減目標や政府が講すべき制度改革等、財政構造改革を確実に実施するための所要の措置を定める、これを目的とするものでありまして、私は本法律案にはなじまないと思います。
いずれにせよ、政府が財政構造改革を強力に進めながら、環境保全の推進につきましても引き続き適切に対処してまいる所存であります。
最後に、二十一世紀委員会をつくってはどうかというお尋ねをいただきました。
確かに、アメリカにおきまして、クリントン大統領の提唱によりホワイトハウス千年期計画という、米国の歴史上の業績をたたえながらその遺産を米国の将来の世代に伝承していくことを目的としたさまざまな企画があると承知をしております。議員からの積極的な御提案として受けとめさせていただきたいと思います。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/22
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023・三塚博
○国務大臣(三塚博君) 広中議員の御質問にお答えをさせていただきます。
まず、早期是正措置と貸し渋りに関するお尋ねでございます。
早期是正措置の導入に際しましては、その趣旨を踏まえ、円滑な運営が図られるよう努めておるところでございます。
また、貸し渋りにつきましては、企業側の資金需要の低迷が主因とする見方もあります一方、バブル期の反省を踏まえた金融機関のリスク管理の強化が借り手には貸し渋りと映ることもあり得るものと考えますが、いずれにいたしましても、各金融機関が経営の健全性を確保しながらその資金仲介機能を十分に発揮することを期待いたし、要請いたしております。
なお、大蔵省といたしましては、中小企業に対する金融については、強く総理指示もこれあり、通産省との連携の中で政府金融機関の活用など適切な措置を講じてまいる所存でございます。
不良債権に関するお尋ねでございます。
各金融機関は、現在経営合理化等を行い、不良債権の早期処理に取り組んでおります。全体としてその状況は御案内のとおり改善をされています。大蔵省としては、昨年の通常国会において成立いたしました金融三法により整備された制度の基本的な考え方を踏まえまして、今後とも預金者保護を図りつつ不良債権の処理が図られますよう、公的資金の導入にも言及をされましたが、それをまたずとも、安定化、健全化に向けて努めてまいりたいと考えておるところであります。
本法律案に違反をした場合についてのお尋ねでございます。
本法律案は、政府が予算を作成するに当たっての守るべき規範を決めたところでございます。政府はその遵守義務を負うことになります。
各年度ごとの歳出削減の具体的な数値目標についてでございますが、本法律案では、主要な経費ごとに集中期間中の具体的な上限を定めた量的縮減目標を規定しますとともに、平成十五年度を目標として、財政赤字の対GDP比を三%以下にするという目標を明示いたしておるところでございます。
次に、構造改革法案と補正予算についてでございます。
補正予算については、財政構造改革を推進するに当たりまして、財政法第二十九条の補正事由の趣旨を厳正に判断し、適切に対処することといたしておるところでございます。
なお、本法律案における財政健全化の目標はいずれも実績の数値でありますことから、補正予算についても財政構造改革の趣旨は反映しているものと考えておるところでございます。
次に、公共事業に係る御質問でございますが、平成十年度以降三年間の集中期間中におきましては、経済構造改革関連の社会資本の整備について、物流の効率化対策に資するものを中心とした優先的、重点的な整備を行いますとともに、引き続き相対的に立ちおくれております生活関連の社会資本への重点化を図ることを基本方針として改革に取り組む考えでございます。
平成十年度予算におきましては、こうした考え方を踏まえながら、物流効率化による経済構造改革特別枠及び生活関連等公共事業重点化枠が設けられたところでございまして、今後、予算編成過程において、これらの特別枠の配分を通じまして公共事業予算の重点化、効率化を図ってまいりたいと考えます。
ODA予算につきましては、我が国のODAの量的拡充が国際的に顕著である、ここ数年第一位でございます。その一方で、我が国の財政赤字が主要先進国中最悪の状態に立ち至ったことにかんがみまして、財政構造改革会議、与党の党首、幹部の方々、総理経験者、また大蔵大臣経験者、政策責任者等で半歳余にわたる会議を行いました。
そういう中で、量から質に転換を図るという、その水準の今日的引き下げを図るべきであるとの論議がなされ、明示をいたしましたのは一〇%を超えることのないようと、こう法律の中にうたわさせていただいたところでございます。
特に、平成十年度予算につきましては、一般歳出を対前年度比マイナスとすることを踏まえまして、対前年度比一〇%マイナスの額を上回らないと決定したことの重みにかんがみながら、量より質への政策決定をしてまいらなければならぬということでございます。
もう一つ補助金等について、地方分権推進委員会の第二次勧告において、御案内のとおり、事務事業の内容等を勘案し、国と地方公共団体の役割分担の見直しにあわせまして、真に必要なものに限定していくなどによりまして、積極的に整理合理化を進めることとされております。財政構造改革法案におきましても、経済社会情勢の変化、官と民及び国と地方の役割分担のあり方の観点から、すべての分野について補助金等の見直しを行うものとしております。適正な運用が図られるものと信じます。(拍手)
〔国務大臣尾身幸次君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/23
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024・尾身幸次
○国務大臣(尾身幸次君) 広中議員にお答え申し上げます。
二兆円の特別減税、法人税の一〇%引き下げなどの景気対策を行うべきではないかとの御質問がございました。基本的には先ほどの総理の御答弁と同じでございますが、私なりにお答えを申し上げますと、現在、消費者や企業も懐はある程度豊かであるにもかかわらず消費などの形で物が余り売れないのは、むしろ景気の将来に対する信頼感が不足していることによるものと認識しております。このような状況のもとにおきまして、赤字国債を出し、そのお金で所得減税をして、そのお金で物を買ってもらうような景気対策は適当ではないと考えております。
むしろ、今後の経済運営の基本は、安易に財政に頼らず、民間活力中心の自律的な安定成長を図っていくことであると考えております。そのためには、経済構造改革を積極的に推進し、我が国経済の体質強化を図っていくことが不可欠な課題となっております。
税制につきましては、法人課税のあり方や土地税制の見直しなどにいたしましても、企業の経済活動の活性化を図り、それがひいては需要の拡大につながるとの考え方に基づいて検討することが必要であると考えております。したがいまして、所得税減税による短期的な需要喚起策とは考え方が異なるところでございます。
経済対策につきましては、第一に、経済のグローバル化により企業が国を選ぶ時代になってきた現状で、我が国が企業の活動拠点として選ばれる国となるよう企業にとって魅力ある事業環境の整備を図ること、第二に、土地の有効利用、土地取引の活性化を促進するなど不良債権問題の処理を促進し、経済全体を活性化させること、第三に、経済構造改革に資する規制緩和をさらに加速することの三点を柱に、十一月中旬に対策を取りまとめるべく現在政府部内で鋭意検討を進めているところでございます。(拍手)
〔国務大臣伊吹文明君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/24
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025・伊吹文明
○国務大臣(伊吹文明君) 広中議員にお答え申し上げます。
この法律をお認めをいただいた後は、明年度以降の予算編成において公共事業費が七%削減されるので失業がふえるという試算があるがどうかという御質問であったと思いますが、試算モデルというのは御承知のように一定の条件を置いて将来を予測するものでございます。多分その前提は財政支出の現状は変わらないという前提であったと思いますが、本法律が予算再建法案であるとかあるいは財政削減法案ではなくて、財政構造改革の推進に関する特別措置法と銘打たれておるのは私はそれなりに意味があることであろうかと思います。
既にその検討は景気対策の中で始まっているわけでありますが、従来のような直轄事業あるいは補助事業から、民間資金あるいは財投資金の公共事業への導入という道筋をとって、少ない支出で大きな有効需要、つまり雇用の受け皿を生み出すような財政の構造に変えていこうということを、各歳出の上限を設定することによって、関係の皆さんにお願いをするための法律であろうかと私は思っております。したがって、六つの構造改革を着実に推進していくことによりまして、健全で活力ある民間経済が実現をされ、新たな雇用機会が創出されるものと私は考えております。
もちろん短期的には非常にフリクショナルな問題が生ずるということは私は否定をいたしません。したがいまして、職業紹介でございますとか、職業能力開発対策でございますとか、あるいは継続雇用助成金を機動的に支出いたしますとか、そのような対策には万全を講じまして、失業のなき構造改革の実現のために全力を尽くしたいと思っております。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/25
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026・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) ODA予算の中におきまして、国際機関への拠出金の削減率について御批判をちょうだいいたしました。
なるほど十年度の外務省予算概算要求におきましては、ODAの一〇%減、義務的経費の増大及び円安等によりまして、国際機関への拠出金につきましては一律大幅な削減となっておることは事実でございます。この点につきましては、国際機関等からも我々に対して大変強い懸念も表されておるところでございます。
先ほど総理から御答弁ございましたが、この要求段階におきまして、ODAの予算については定められた金額の範囲で総合的調整を行うようにと、こういう御指示もちょうだいいたしておるところでございます。したがいまして、国際機関への拠出金につきましては、国際社会への貢献の観点から、予算の編成過程におきまして財政当局の御理解を得るよう十分相談をいたしてまいりたい、こう考えております。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/26
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027・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 小島慶三君。
〔小島慶三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/27
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028・小島慶三
○小島慶三君 私は、民主党・新緑風会を代表しまして、財政構造改革の推進に関する特別措置法案につきまして、橋本総理の御見解をお願いしたいと思っております。
昔のことですが、ローマ帝国というものがありまして、これは中興の祖と言われたのはジュリアス・シーザー、向こうの名前でユリウス・カエサルという人でありますが、彼は世界国家への改造ということを目指しまして、暦、通貨、市民権、こういった改革を手始めに、政治、行政、地方制度、司法、金融、社会福祉、土地、文教、医療など広範な改革に着手したのであります。
ところが、これに対して、彼の友人であり、そしてまた政敵でもあったキケロという人がありまして、これら全体を覆う改造の目標というものは一体どこにあるかということを吟味して、そして公生活の浄化というところにあると彼は批判したのであります。これなくしては社会の安泰は期しがたいというのでありました。こういう話は塩野七生女史の「ローマ人の物語」という大著の五巻に書いてございます。
それで、橋本内閣の改革も世界史的な意味を持っていると私思っております。六つの改革、いずれもシステム改革として最適な設定であろうというふうに思います。
しかし、そのメンタルな面においてはどうでありましょうか。キケロの言う公生活の浄化、これは私は倫理革命であるというふうに思いますが、そういうふうなことが日本の改革に求められることではないでしょうか。恥を知らない公務員、また倫理観を喪失した企業のリーダー、それから倫理的な危機感を持たない一部の市民、こういった市民を幾ら再生産しても日本の未来はありません。それでは仏をつくって魂を入れないという改革になってしまいます。
だから、その意味で、この六つの改革の最後にある教育の改革、これが最も重要であるというふうに私は思っております。私見として述べるならば、これからの教育に、国語、それからモラル、それから歴史、こういったものの復権、これが最も重要であるというふうに私は思っております。この点についての総理の御見解をお願いしたいと思います。
それから、いろんな改革の切り口はやはり行財政改革だろうと私は思っております。その意味で本法案が最初に提案されたということは、これは評価に値するものであろうと思います。
行財政改革についての私の案が、幾つかございますが、その第一のステージは、政府案と同じく既存の経費の切り込みということであります。
そのうち最も気になるのは公共事業であります。殊に、累次の追加で膨れ上がった費目の中で大規模プロジェクトにつきましては、これを個別に精査いたしまして、まず民間事業との連動性に欠けるもの、それから長期の時間経過において目的が希薄になったもの、それから費用効果の検討にたえないもの、環境への影響が大き過ぎるもの、こういつたものを場合によっては凍結あるいは停止する、そういったことも必要ではないでしょうか。また、医療費、ODAなどについても、節減、抑制の措置をもっとはっきりすべきではないかというふうに思います。
それから、最大の問題は特殊法人の民営化という視点であろうと思います。
財政改革の目標が目標年次の国民総生産対比赤字三%以下ということにあることを重視いたしますと、対症療法としては、これは効率化、スリム化というほかはないというふうに私は思うのでございます。そのために民営化による活性化というのは最も有効な手段であるというふうに思います。これによって、改革を単に人員整理とし、改革に死力を挙げて反対することを、そういう動きを防ぐということが可能になるのではないでしょうか。
一九七八年以降のサッチャーのイギリス大改革があのようにイギリスを再生させたというのも、その秘訣は私は民営化にあったのではないかと思います。
したがって、私案の第二ステージは、財投に係る特殊法人の徹底的な改革に置かれております。法人数が実に八十八、そこに配分される資金は、郵貯、簡保、年金等合わせて五十兆を超える。これが大蔵省の采配一つで各機関に流し込まれ、その使用は制約を受けず、結果は公表もされない。これはまさしく官僚の独善資本主義というものではないか、正常な資本主義とは言えないというふうに私は思うのでございます。
この八十八の機関の中には、特権をバックにそびえ立つ特殊金融機関があります。また、企業の参入を許さない専任業務で立っている機関が多数ございます。それから、既に設立の目的を失っているのに、なお存立している法人もあります。ルーズな経営で大赤字を出しながら、巨大な投資を継続している法人もあります。これらの機関については、その経理、経営が明瞭でないものがあるばかりでなく、その評価も全くされていない。このような野放しの巨大資本の横行というものが許されてよいものかというふうに思うのであります。
私は、これを廃止すべきもの、統合すべきもの、民営化すべきものに整理をいたしまして、本当に特殊法人として特殊目的のリスク負担をゆだねるべきものを選んで、国費を投入するということが必要であるというふうに考えます。これについても行革機関で議論されているようでありますが、これは余りに微温的であるというふうに思います。この民営化を徹底すれば、赤字問題はほとんど解消できるのではないかというぐらいにまで私は思っております。総理の御意見を承りたいと思います。
それから、私の設定しました第三のステージ、これは中央諸官庁の整理統合であります。
今の議論でまいりますと、どことどこを一緒にする、あるいはそれに沿った仕事を分け直す、こういうふうな議論がほとんど中心であって、これでは、一方では焼け太り官庁、一方ではスケープゴート官庁が出るだけであるというふうに思います。全体の人数は少しも減りません。まさに、新たな官僚王国の誕生であるというふうに思います。
まず、各官庁の中から業務的に処理できる仕事を摘出しまして、これを民営化する、これが必要である。それから、各省の本来の仕事と区別できる特別の業務組織、その他各省の許認可事務あるいは営繕管財、調査統計、警備保障、こういったものが挙げられると思う。そして、残された企画、政策立案の事務、こういったものを中心に整理統合を考えたらどうかというふうに思うのであります。(「時間ですよ」と呼ぶ者あり)はい。もちろん、この段階で内閣に移管すべき事務を含めて処理するということは必要であると思うのであります。
あと簡単にいたしますが、今アメリカの経済は絶好調で、ニューエコノミーとまで言われているわけでありますが、その理由はいろいろ挙げられておりまずけれども、アメリカの景気を長続きさせているのは、実は日本からの投資の波及効果であります。
日本の超低金利政策によって、高金利を求めてジャパン・マネーが流出。これが財務省の統計では、昨年一年で四千八十億ドルが海外から投資され、そのうちの二千五百億ドルが国債、そのかなりの部分が日本からだということが言われております。その意味では、日本は超低金利政策を続けながら、かなりクリントン政権あるいはアメリカの長期繁栄に貢献しているということが言える。しかし、それにもかかわらず、アメリカの対日経済戦略というのは、グローバルスタンダードの名のもとに一方的であり強圧的である。
これまでの先方からの要求の重点は、内需中心の回復によって対外不均衡を是正せよ、あるいは財政資金投入によって不良債権を片づけろ、こういうふうなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/28
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029・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 小島君、時間が相当超過いたしております。簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/29
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030・小島慶三
○小島慶三君(続) はい。
日本がこのような政策をそのまま実施できるものかどうか、私は非常に疑問に思うものであります。したがって、アメリカのこういった形の恫喝に対しては主体的に処理されるということを総理にお願いしたいというふうに思います。
これで私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/30
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031・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 小島議員にお答えを申し上げます。
まず、教育改革についての御意見をいただきました。
教育が国政の重要課題であること、御指摘のとおりでありまして、次代を担う子供たちに国語をしっかり身につけさせる、我が国の歴史や先達が残した文化を学び、これらを大切にするような心を育てる、基本的なモラルなど倫理観を養うことを含めてバランスのとれた人間を育成することは極めて大切なことだと考えております。
次に、大規模公共事業について御質問がございました。
公共事業の実施に当たりましては、民間経済活動との関連、社会経済情勢の変化、費用対効果、環境への影響などを総合的に勘案し、不断の見直しを行ってきたところでありますが、これにより、真に必要な事業の推進を図っているところでありまして、今後ともにこのような姿勢で適切に対処してまいりたいと考えております。
次に、特殊法人に対する資金配分の御指摘がございました。
特殊法人に対する出資金、貸付金、利子補給金等の財政資金は、各法人がその根拠法令等により担っております政策的な必然性に基づいて各年度の予算により国会の議決を得て措置されております。また、特殊法人の財務内容の公開も進めてきております。また、必ずしもすべての特殊法人が財政投融資の対象になっているわけではありませんけれども、財政投融資計画につきましては、その原資ごとに予算の一部として国会の御論議をいただいております。
さらに、財政投融資そのものにつきましても、資金運用審議会懇談会の議論をも踏まえながら、改革を推進するという基本方針のもとで、民業補完や償還確実性の原則を徹底してスリム化を目指してまいります。また、預託制度のあり方についても見直してまいりたいと考えております。
また、特殊法人の経理、経営の明瞭化、評価につきまして、平成七年十二月の閣議決定等によりまして、財務諸表の概要等の官報掲載、事務所備えつけなどのディスクロージャーを図ることとしておりまして、また、特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律が本年から施行されております。これらを通じ、その経営実態等につきまして各方面から評価いただける体制を整えたと考えております。
特殊法人の民営化を徹底すれば、国の財政赤字問題はほとんど解消できるのではないかという御意見をいただきました。
確かに、特殊法人の整理合理化は重要な課題でありますし、鋭意取り組んでおるところでありますけれども、我が国の財政の現状を考えましたとき、特殊法人の民営化を徹底すれば財政赤字の問題がほとんど解決するとは私は考えておりません。なお、特殊法人に対する補助金などにつきましては、民営化を含む整理合理化を内容とする閣議決定を踏まえながら、真に必要な財政需要に対して財源配分を行ってまいりたいと思います。
また、行政改革について御意見をいただきましたが、中央省庁につきましては、民間や地方との役割分担の見直し、規制緩和などを大前提として、現業の縮小及び政策の企画立案と実施部門の分離を図り、企画立案部門を行政目的別に大ぐくり再編成をしたいと考えております。また、内閣機能につきましては、その抜本的な強化拡充を図り、内閣の総合的、戦略的な判断のもとで、各省庁が効果的に政策を遂行できるようスリムな体制をつくってまいりたいと思います。
また、アメリカの要求という点について何点が御指摘をいただきました。
私どもは、たびたび申し上げてまいっておりますように、規制の撤廃、緩和を初めとした経済構造改革に関する政府の行動計画を可能な限り前倒ししていきたい、また、新たな施策の追加も進めていきたい、そのフォローアップも年内に行うなど、内閣を挙げて経済構造改革を進めていきたいと考えております。あるいは土地の有効利用、土地取引の活発化を促進する方策等も検討してまいりたいと考えておりますが、これはいずれも内需中心の経済運営に資するものであり、こうした努力を続けていくことは我が国自身のことだと、そのように思っております。
また、不良債権につきましてお尋ねがございましたが、現在、我が国の金融機関は不良債権の早期処理に取り組んでおり、全体の状況は改善してきている。海外の当局におきましてもその状況については御理解をいただいているものと考えておりまして、政府としては、引き続き、昨年国会で成立いたしました金融三法の基本的な考え方を踏まえ、システムの安定性確保に万全を尽くしてまいりたいと思います。
米国が求めるような財政出動を受け入れることなしにという御指摘に関しましては、私どもは国益を中心に今後とも行動してまいりたい、そう申し上げて答弁にかえさせていただきます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/31
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032・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 谷本巍君。
〔谷本巍君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/32
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033・谷本巍
○谷本巍君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、財政構造改革の推進に関する特別措置法案について総理と関係大臣に質問をいたします。
橋本総理は、第二次橋本内閣の発足に際し、六つの改革を掲げました。一人の首相がその在任中に一つの改革をなし遂げただけでもその名を後世に残すことがしばしばですが、総理は実に六つの改革を挙げたばかりか、それを同時並行的に実施されようとしております。
そこで、初めに伺いたいのは、十月二十六日に行われた宮城県知事選の結果をどうとらえておられるかについてであります。
この選挙戦は、自民、新進、公明の三党が推した候補が脱政党を掲げた現職知事に大差で敗れたというものでありました。その原因は、時代の変化に伴う国民の新たな要求に対応し切れぬ政党全体への批判等々もありますが、相も変わらぬ政治と金をめぐる腐敗事件の続出に愛想を尽かした政党不信に主要な原因があったことは明白であります。
総理が掲げた六つの改革とともに、当面する行財政改革を見ても、現体制とその既得権との衝突は避けられません。本法案の成立と円滑な施行を期すには、国民の側に立ち、政官業の癒着を断ち切り、政治と政党への不信の解消を基礎に据え、取り組んでいくことが不可欠的前提となります。私ども社民党は、そういう意味合いを込め、組閣に当たっての総理への要望とあわせ、企業・団体の政治献金禁止等について提案してまいりました。それらの点も含め、総理はどうお考えになっているか、御所見を伺いたいのであります。
さて、財政構造改革推進法案ですが、本法案は、総論的には、国の一般歳出の抑制と、特別会計を含むすべての歳出分野の改革とともに、明年度当初予算の歳出を前年以下とし、また各論的には、各歳出分野の改革方針や経費縮減目標と政府が行う制度改革等を規定するなど、歳出抑制を主眼としております。ということは、この法案の成立と施行は各界各層に多大な影響を及ぼすことを意味し、それだけに国民合意が得られるかどうかがかぎとなってまいります。
そこで、本法案は、財政赤字をGDP比三%以下とする規定との関連で、その実績検証に向けての公表制度をつくろうとしているが、これでは全く不十分と言わざるを得ません。本法案は、財政だけを対象としているのではなく、国政のほとんどの分野を対象としていることを見ても明白であります。
国政に関する情報開示制度の充実強化と情報公開制度の早期法制化、早期実施が喫緊の課題となります。橋本総理の御認識と情報公開制度法制化の現状についてお伺いいたします。
次に、歳出の個別分野の問題ですが、多くの国民が最も注目しているのが社会保障であります。
社会保障関係費は、平成九年度予算では十四兆五千五百億円と、一般歳出の三三・二%を占めておりますが、平成十年度には八千億を超える当然増が五千億円以上の削減を迫られるほか、平成十一、十二年度の伸び率も前年度比二%以下に抑えるという厳しい内容になっております。このため、本法案は、医療保険、年金、雇用保険の制度改革を求めており、その大きな柱となるのが給付切り下げと負担の引き上げであります。
厚生年金の平均給付額で見ますと、確かに我が国の年金は国際的に遜色のないものと言えますが、肝心なことは、低所得者の多くが加入している国民年金も含め、老後の最低生活の保障が必ずしもされていないことにあります。その点は、これまた低所得者にとって過重負担となる医療保険の本人負担引き上げとあわせてとらえることが重要であります。
私は、社会保障制度の改革に当たっては、そうした視点からのとらえ方を重視しつつ、適正な給付と負担を進めるとともに、高齢化社会に見合う新たな労働システムの創造による働く場の確保、並びに相互扶助的居住福祉の確立を目指すべきだと考えます。この点についての総理の認識をお伺いし、所管の小泉厚生大臣に全知全能を発揮し対処されんことを要望しつつ、所感のほどを承りたく存じます。
ところで、今回の財政構造改革と一体的に進められている規制緩和の分野では、大店法や農地法の改正が俎上に上っております。近年、いわゆる量販店の進出で、市街地の商店街が閉店街と化し、地域社会はその担い手を失ったことによって崩壊していくといった事例が続出しております。株式会社に農地取得の道を開いていくなら、相互扶助的農村社会もまた崩壊に追い込まれるのは必定であります。
これらのことは、高齢化時代を迎えての居住福祉の確立を危うくし、地域住民の生存の基礎をも揺るがすものと言わなければなりません。橋本総理並びに島村農林水産大臣の御所見をお伺いいたします。
次に、公共投資の問題ですが、道路、港湾、土地改良、上下水道などに見るように、整備率は依然不十分であり、引き続き推進すべきであります。
とはいえ、バブル崩壊後の不況対策のようなことを二度と起こしてはなりません。そのためには、投資の対象について十分吟味をすることが必要であります。ダムや大規模干拓などの中には、事業それ自身が必要かどうか疑問視されるものも少なくありません。また、事業費が民間に比べ異常に高い例が多いことも問題であります。
このような公共事業の問題点を克服するには、情報公開など事業の透明性を高めることが必要です。国会審議にしても、予算成立後の箇所づけの公表で初めて具体的内容がわかるありさまであります。真に必要な公共事業を安く仕上げるには、公共事業についての地方分権の推進と情報公開がかぎであると考えます。瓦建設大臣の御所見をお伺いいたします。
この法案が成立しますと、来年度から三年間の予算骨格は決まったも同然となります。それが憲法が定める国会の審議権を制限することになりはしないかとの指摘があります。総理はどうお考えでしょうか。
また、個別分野の政策決定の環境条件に重大な変化が生じた場合の予算上の対応がどうなるかの声も上がっております。
ことしの秋に入ってからの米をめぐる問題がその例であります。米をめぐる政策費は、平常の場合と過剰の場合の政府支出は大きく違ってきます。農家は生産調整を一〇〇%達成してきましたが、好天候による豊作が供給過剰をもたらし、戦後五十年、かってない生産者米価の暴落が起き始めました。そこで、政府の選別政策で育成された大型専業農家からつぶれかねぬ状況が広がりつつあります。
通常ベースの政策費さえ抑制する財政改革のもとで、戦後最大の米作農業の危機を回避する対策確立は至難であります。その帰結は、やがて大きなツケとなって国民全体にはね返ってくるおそれ十分です。こうした事態にどう対処されるか、総理の御所見を伺い、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/33
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034・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 谷本議員にお答えを申し上げます。
まず、宮城県知事選の結果についてお尋ねがありました。
選挙の結果につきましては、さまざまな要因によってあのような残念な結果に終わった、そう理解をいたしております。
また、企業・団体献金の禁止につきましては、去る九月三十日の政治倫理等に関する三党確認におきまして、「政治資金規正法附則九条及び十条については、その趣旨を確認し、平成七年一月施行後の実施状況を十分見極め、入念な検討を加え、今国会中の合意に努力する。その際、わが国民主政治における政党及び政治家の政治活動のあり方を検討しつつ、国民の浄財である個人寄附の拡大など政治資金について、諸外国の政治資金制度などを参考に、具体的な方途を講ずる。」旨明記をいたしているところであり、これに沿った検討が鋭意進められていると承知をいたしております。
次に、情報公開制度についてのお尋ねがございました。
国政に関する情報は、国民の十分な理解を得るためにも積極的に提供していく必要があると考えており、今後とも努力を続けてまいります。
また、いわゆる情報公開法、これにつきましては、行政改革プログラムに沿い、本年度中の国会提出に向け、現在準備を進めているところでございます。
次に、社会保障制度改革について御意見をいただきました。
しかし、今後、社会保障給付費の増加が見込まれる中で、所得の低い方を含め、すべての国民に必要な給付を確保しながら将来の世代に過重な負担を課さないよう、給付と負担の公平を図るなど、構造改革を進めてまいらなければなりません。
あわせて、民間活力の活用やボランティアの支援等を推進していき、地域が一体となって高齢者やその御家族等を支えていく体制づくりに努めていかなければなりません。
同時に、高齢者雇用につきましては、急速に高齢化の進む中で、少なくとも六十五歳までは現役として働いていただくことのできる社会を実現するための施策の充実に努めてまいりたいと思います。
次に、大店法及び農地法改正についての御意見をいただきました。
大店法の見直しにつきましては、現在、産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同会議で審議を行っているところであります。本件につきましては、廃止からこれ以上の規制緩和反対まで、国の内外にさまざまな角度から大変幅広い御意見が存在をしておりまして、これらの意見を十分踏まえ検討していく考えであります。
また、農地法を改正し、株式会社の農業経営への参入を認めるということにつきましては、確かに、農業の活性化に役立つという御意見があります一方で、土地投機や農村社会の混乱の懸念があるという御指摘があるなど賛否両論があります。食料・農業・農村基本問題調査会の場におきまして、農政全体の見直しの中で検討しているところであります。
次に、本法律案と国会の予算審議権との関係についてのお尋ねがございました。
本法律案は、基本的に予算を作成するに当たって内閣を拘束する規範でありまして、国会の予算審議権を拘束するものではございません。
また、その重大な変化が生じた場合という御質問がございました。
これは、私はそういう事態がないことを願いまずけれども、一般論として申し上げますならば、仮に大規模災害などのような緊急事態が発生する、そうした特別な事情の変化などによりまして、この法律に定める上限を超える予算の必要性が生じました場合には、国会で御審議をいただいて本法律を改正する、そして所要の予算を提出する、そうした措置を講ずることが考えられると思います。
次に、米価の低落という厳しい状況の中でどうするんだというお尋ねがございました。
御指摘の厳しい状況の中におきまして、食糧法の目指す米の需給と価格の安定を図るために、財政構造改革の趣旨を踏まえながら、備蓄運営、生産調整、稲作経営等米政策全般の再構築に向けた検討を鋭意進めております。できるだけ早期に結論を出すよう努力をしてまいりたいと思います。
残余の質問につきましては、関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/34
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035・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 谷本議員にお答えいたします。
社会保障改革について、総理が今お答えしたとおりでありますが、特に低所得者対策についてはきめ細やかな配慮が必要であると考えております。同感であります。
また、相互扶助的居住福祉についての御提案ですが、個人の自立を基本としつつ、民間活力の活用やボランティアの支援等を推進することで地域が一体となって支えていく体制づくりに努めていきたいと思います。
また、今後の社会保障制度改革に臨んで、基本は、みずから助けるという自助の精神を基盤にしながらも、足らざるところをお互いに助け合うという連帯感、そして公的に支え、助け合うという制度、この自助と共助と公助、これが適切に組み合わされた重層的な社会保障制度の構築に全力を尽くしていきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣島村宜伸君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/35
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036・島村宜伸
○国務大臣(島村宜伸君) 谷本議員にお答え申し上げます。
株式会社の農地取得についてのお尋ねでありますが、このことにつきましては、先ほど総理から御答弁がありましたように、技術、情報、資金力を有する株式会社の参入により農業の体質強化が図られ、農業の活性化に役立つという意見がある一方、農地の買い占めなどの土地投機や農村社会の混乱の懸念があるとの指摘もあるなど、賛否両論があるところであります。
この問題は、これからの日本農業の担い手の姿、農業農村の活性化方策、土地利用のあり方等農政全般にかかわる事柄であり、食料・農業・農村基本問題調査会の場で、農政のあり方の見直しの一環として検討しているところであります。
以上です。(拍手)
〔国務大臣瓦力君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/36
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037・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 公共事業の実施についての御質問でございますが、谷本議員御指摘のとおりでございまして、公共事業につきましては、費用対効果分析の活用や建設コストの縮減などを図ることにより、今後とも一層効率的かつ効果的な実施に努めていくことといたしております。
また、公共事業を行う際にはできる限り情報を公開し、公共事業の透明性を高めることにより、国民の理解をいただくことが重要でございます。建設省におきまして、道路事業などにおける費用効果分析の試行・公表、事業箇所やスケジュール等を明らかにした地域的な整備プログラムの策定・公表に取り組んでいるところでございます。
さらに、公共事業は国と地方の適切な役割分担のもとに実施することといたしております。できる限り地方公共団体の創意と選択により、真に必要な事業、これが実施できるよう補助制度の一層の改善にも努めてまいる、かような考え方でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/37
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038・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 立木洋君。
〔立木洋君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/38
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039・立木洋
○立木洋君 私は、日本共産党を代表し、財政構造改革法案について総理に質問をいたします。
本法案は、医療、社会保障、教育など国民生活のあらゆる分野の予算削減を二十一世紀まで国民に強要する前代未聞の悪法であります。
本法案は、総則で「将来に向けて更に効率的で信頼できる行政を確立し、安心で豊かな福祉社会及び健全で活力ある経済を実現することが緊要な課題である」と述べていますが、問題の基本は、日本の財政構造の最大のゆがみがどこにあるのか、どうして危機的と言われる財政状態になったのか、その原因と責任を明らかにすることであります。この根本問題を究明して初めてゆがみを正し、財政を国民の立場から改革していく展望が開かれるのではありませんか。
総理、まず今日の財政を危機に至らしめた最大の構造的欠陥、すなわち政官財癒着による利権構造のもとで財政破綻に導いた原因はどこにあるのか、責任ある明確な答弁をまずいただきたい。
これまで日本共産党は、世界的にも異常に高く膨大なむだをつくり出している巨額の公共事業と国債大増発が、軍事予算の膨張とともに財政破綻の二大要因となっていることを明らかにし、ここにこそメスを入れることを強く主張してきました。
公共事業については総理も問題があることを認めてこられました。ところが、本法案では公共事業の量を変更することなくとわざわざ法案に書き込み、九六年度に閣議決定された五カ年間にわたる七つの公共事業長期計画の合計は、その前の五カ年計画の合計に比較して四〇・九%ふえています。この五カ年計画を今回の法案で七カ年に延長しましたが、それを九五年までの五カ年計画と単年度で比較してみますと、縮減どころか単年度ごとに五百一億円の増加になるではありませんか。
軍事費についても、本法案では「抑制する」と言っていますが、縮減ではありません。財政構造改革会議の最終報告によると、二〇〇〇年までの中期防を一割見直すと言っていますが、仮にそれが行われたとしても、前中期防より約三兆円もの増大であります。しかも、沖縄に対する日米特別行動委員会関連経費については別枠にすることが法案に明らかにされています。これは米軍基地のたらい回しのための予算であり、基地の縮小、撤去を願う沖縄県民の声に反し、新たに膨大な第二の思いやり予算をつくることになるではありませんか。
こうして見るなら、聖域なしの看板は偽りであることは明瞭であり、これでどうして財政構造を改革すると言えるのでしょうか。明確な答弁を求めます。
深刻な財政危機をつくり出した原因にはメスを入れないで、国民生活分野の予算の削減を来世紀まで法律によって強要することは、政府の言う健全で活力ある経済に全く逆行するものです。
特に、社会保障、高齢化社会のためにと述べて消費税率引き上げを行い、九月の二兆円規模の医療費負担増の上に、さらに本法案で健康保険法、老人保健法など引き続く大改悪を予定し、向こう三年間で毎年巨額の国民負担増を押しつけることが、お年寄りを初め国民に、あすの命にかかわりかねない過酷な実情になる状態を総理は理解しておいでになるのでしょうか。
さらに、現在被扶養者となっている三百四十万の高齢者から新たに保険料を徴収し、年金についても、医療施設などに入所している高齢者への年金支給を減額し、保険料の負担増、支給年齢の延期などの検討を細かに列挙していることは、憲法に定めた国民の生存の権利を著しく脅かすものではありませんか。
文教予算についても、受益者負担の徹底を図り、私立学校に対する助成の見直しや抑制を求め、地方財政についても予算削減の義務を強調し、さらなるサービスの低下、地方自治体のリストラを要求するものとなっております。
さらに、農業に市場原理の一層の導入を図るということは、今日の自主流通米価格の大幅な下落に見られるように、農産物価格制度を一層不安定なものにしていくことは目に見えています。
しかも、これら各省庁の予算は前年並み以下に抑えられるばかりでなく、本法案第十二節の「補助金等の見直し」によってさらに切り込まれることになるではありませんか。これを中小企業対策費で見るなら、同予算のほぼ全額がこの法律で言う「補助金等」で構成されており、この見直し、削減によって一層厳しい切り捨てが行われることは中小企業の存亡にかかわり、我が国の経済構造の一層の悪化をもたらすことは明白であることを厳しく指摘するものであります。
しかも、重大なことは、こうした国民生活関連予算を三年ないし六年間にわたって削減を政府に義務づけ、国会までその道連れにしようとしていることであります。
あなた方は国会における予算審議権や修正権に新たな拘束を加えるものではないと言います。ではなぜ閣議決定ではなく、法律で国民生活予算の削減を決定するのですか。まさに国会をも拘束しようとするためではないですか。
具体的に聞きますが、この法律が通れば政府は三年間にわたって社会保障予算の当然増を法律どおり大幅に削減した予算を国会に提出し、それを国会がこの法律に背いて社会保障予算を増額する修正が可能となるのかどうか。もしこの法律の改正がなければ予算の増額修正ができないとしたら、そのこと自体が憲法上の権限である国会の予算議決権、修正権に対する重大な制約を加えることになるではありませんか。明確な答弁を求めます。
今日の景気情勢は極めて深刻であります。この最大の原因が消費税率のアップ、減税の中止、医療保険の改革による九兆円負担増にあることは多くの民間調査機関がこぞって指摘をしています。この上にさらなる膨大な負担を国民に押しつける本法案が、国民可処分所得をさらに減らし、個人消費を冷え込ませることになることは明らかであります。それでも景気に大した影響はないと言い切れるのでしょうか。
この法案の無責任さは、国民生活関連予算を削り込み、不況に拍車をかけるだけではありません。これだけ国民を犠牲にしても、間違いなく財政再建ができる保証がないことは政府自身が認めているではありませんか。
浪費の根源にメスを入れないなら、消費税再引き上げによる大増税か、それともさらなる国民生活関連予算の切り捨てか、大借金で埋めるのか、そういう選択しかないではありませんか。赤字国債は出せないのですから、結局消費税再引き上げが政府の選択になるのではないのですか。消費税の再引き上げは絶対にないと約束できるのか、明確にしていただきたい。
財政構造問題を解決するためには、歳入についても当然検討されるべきであります。
政府は今、大競争時代と称して、日本の法人課税の実効税率が欧米と比べて高いとの一面的な数字を持ち出して法人課税の引き下げを要求していますが、社会保険料負担を含めれば日本の大企業は国際的に見て軽いとの少なくない指摘や統計があります。さらに、外国に例を見ない三十種にも近い引当金や準備金制度などを設けている事態を放置することは、財政構造の欠陥を一層拡大するものにほかなりません。そうであるならば、歳入における大企業優遇の不公正税制にこそ徹底してメスを入れるべきではないでしょうか。
最後に、日本共産党は既に昨年九月、財政再建十カ年計画を発表し、ゼネコン型の公共投資や軍事費を削減し、大企業優遇の不公平税制にメスを入れてこそ、国民の立場から財政を立て直すことができることを明確に示してきました。この国民の願いが生かされる方向に努力してこそ再建の道があることを強調し、財政構造改革法案に断固反対して、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣橋本龍太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/39
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040・橋本龍太郎
○国務大臣(橋本龍太郎君) 立木議員にお答えを申し上げます。
まず、財政悪化の原因につきましては、バブル崩壊後の累次にわたる景気の下支え策としての公共投資の追加などのほか、人口構造の高齢化等、財政を取り巻く状況の変化、社会保障分野に見られるような政府の役割の増大に伴う歳出拡大、これまで大量の公債発行を続けてきた結果、利払い等に要する国債費が巨額に上っていることといった構造的な要因が考えられます。
次に、公共事業長期計画についてのお尋ねでありますが、公共事業関係の長期計画につきましては、財政構造改革の趣旨を踏まえ、計画期間を土地改良については四年、それ以外の長期計画については二年延長することとし、これにより現行計画の投資規模の実質的縮減を図ることとしております。
防衛関係費につきましては、我が国の安全保障上の観点と経済、財政事情等を勘案し、節度ある防衛力の整備を行う必要があることを踏まえ、防衛関係費を抑制するとの考え方のもとに、中期防衛力整備計画について、当初計画より残り期間の物件費総額の一割に相当する金額の所要経費の縮減を行うとしたところでありまして、財政構造改革の趣旨にのっとったものと考えております。
次に、SACO関連経費につきましては、沖縄県民の負担を軽減するために、SACOの最終報告の内容を実施しようとするものであります。他方、在日米軍駐留経費負担は、日米安保体制の円滑かつ効果的運用を確保していくことは極めて重要という観点から、我が国の自主的な努力を払ってきたところでありまして、これらの経費は性格を異にするものでございます。
また、財政構造改革法案は、公共事業、防衛など主要な経費ごとにその性質に応じてめり張りのきいた量的縮減目標を設定するとともに、制度改革の内容を定めるなど歳出構造に直接切り込む内容となっております。財政構造改革は将来世代に対する我々の責務であり、改革を着実に実施していくために速やかな法案の成立がぜひとも必要と考えております。
また、医療、年金の改革は国民の生存権を脅かすという御質問でありました。
しかし、これらの制度の改革は、将来にわたって安定した公平な医療保険制度、年金制度を構築するために取り組むものとしておるものでありまして、社会保障の向上に努めるものであり、憲法二十五条違反という御指摘は当たらないと考えております。
補助金等につきましては、本法案におきまして経済社会情勢の変化、官と民及び国と地方の役割分担のあり方を踏まえ、すべての分野で見直すこととされております。これは、主要な経費に係る量的縮減目標に重ねて縮減しなければならないという趣旨ではございません。
中小企業対策費のお尋ねがございましたが、国際的な競争の激化、流通構造の激変など中小企業を取り巻く経済環境が厳しい状況にあることは認識をいたしており、こうした状況におきましても、我が国経済活力の源泉である中小企業が先行きに明るい見通しを持って事業活動を行っていけるよう、基盤強化や新事業展開支援など、めり張りのきいた中小企業対策を講じてまいります。
財政構造改革を閣議決定でなく法律化いたしましたこと、これは、本法律案は基本的には政府が予算を作成するに当たって守るべき規範を規定することであります。この法律案の成立により、予算編成の基準、方針が中長期にわたり国会の御意思として明示されるとともに、内閣がそうした方針などを自由に変更して予算を作成することが許されなくなるというところに法案化する意義があると考えております。
本法律案は、基本的に予算を作成するに当たり内閣を拘束する規範であり、政府はその遵守義務を負うことになりますが、国会の予算修正権を拘束するものではありません。
本法案の景気に与える影響について御意見がございました。
財政構造改革は、短期的には痛みを伴うものの中長期的には国民負担率の上昇を抑えること、あるいは公的部門の簡素合理化などにより経済の活性化に資するものと考えます。今後の経済運営は、安易に財政に頼らず民間需要中心の自律的な安定成長を図っていくことが基本と考え、そのためには、財政構造改革と並んで規制緩和を初めとする経済構造改革などの実現がますます必要だと考えております。
消費税率についても御意見がございましたが、まず歳出の改革と縮減に最大限努力を傾注すべきであり、当面の目標達成のために増税を国民にお願いできる環境ではないと考えております。
いずれにいたしましても、消費税に限らず、税負担の水準につきましては、経済情勢や財政状況などを踏まえて、その時々の国民的な議論によって検討していくべき課題だと思います。
税負担の公平確保につきましては、従来から、企業関係の租税特別措置等の徹底した整理合理化などに取り組んできているところでありまして、今後とも一層の努力を続けてまいりたいと考えております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/40
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041・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/41
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042・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 日程第一 平成十七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。商工委員長吉村剛太郎君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔吉村剛太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/42
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043・吉村剛太郎
○吉村剛太郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、平成十七年に愛知県で開催される国際博覧会の開催準備体制を早急に充実させるため、同博覧会の準備及び運営を行う博覧会協会に対して、協会経費の一部補助、人材確保に係る支援措置等を講じようとするものであります。
委員会におきましては、国際博覧会を開催する今日的意義、環境影響評価の実施方法、財政負担問題、住民合意の形成等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終わり、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して山下委員より反対する旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対して五項目の附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/43
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044・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/44
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045・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114115254X00419971107/45
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