1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十年八月二十八日(金曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 相沢 英之君
理事 石原 伸晃君 理事 藤井 孝男君
理事 村田 吉隆君 理事 保岡 興治君
理事 山本 有二君 理事 池田 元久君
理事 中野 寛成君 理事 坂口 力君
理事 谷口 隆義君
愛知 和男君 伊藤 達也君
伊吹 文明君 江渡 聡徳君
小野寺五典君 大石 秀政君
大島 理森君 大野 松茂君
大野 功統君 金田 英行君
河村 建夫君 倉成 正和君
佐田玄一郎君 桜田 義孝君
実川 幸夫君 下村 博文君
砂田 圭佑君 田中 和徳君
滝 実君 竹本 直一君
橘 康太郎君 津島 雄二君
中谷 元君 能勢 和子君
桧田 仁君 宮本 一三君
望月 義夫君 山口 泰明君
山本 公一君 山本 幸三君
吉田六左エ門君 渡辺 博道君
家西 悟君 石毛 鍈子君
上田 清司君 枝野 幸男君
岡田 克也君 海江田万里君
北村 哲男君 仙谷 由人君
古川 元久君 松沢 成文君
石井 啓一君 上田 勇君
大口 善徳君 並木 正芳君
西川 知雄君 鈴木 淑夫君
西川太一郎君 西田 猛君
佐々木憲昭君 佐々木陸海君
春名 直章君 濱田 健一君
笹木 竜三君
出席国務大臣
内閣総理大臣 小渕 恵三君
法 務 大 臣 中村正三郎君
大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君
通商産業大臣 与謝野 馨君
労 働 大 臣 甘利 明君
国 務 大 臣
(内閣官房長官) 野中 広務君
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 堺屋 太一君
国 務 大 臣 柳沢 伯夫君
出席政府委員
内閣審議官 白須 光美君
経済企画庁調整
局長 河出 英治君
経済企画庁調査
局長 新保 生二君
金融監督庁長官 日野 正晴君
金融監督庁検査
部長 五味 廣文君
金融監督庁監督
部長 乾 文男君
法務大臣官房司
法法制調査部長 房村 精一君
法務省民事局長 細川 清君
大蔵大臣官房長 溝口善兵衛君
大蔵大臣官房総
務審議官 武藤 敏郎君
大蔵省主税局長 尾原 榮夫君
大蔵省理財局長 中川 雅治君
大蔵省金融企画
局長 伏屋 和彦君
国税庁次長 大武健一郎君
厚生省年金局長 矢野 朝水君
通商産業大臣官
房審議官 岡本 巖君
中小企業庁長官 鴇田 勝彦君
労働大臣官房長 渡邊 信君
労働省職業安定
局長 征矢 紀臣君
建設大臣官房総
務審議官 小川 忠男君
建設省都市局長 山本 正堯君
自治省行政局選
挙部長 牧之内隆久君
委員外の出席者
議 員 保岡 興治君
最高裁判所事務
総局民事局長 石垣 君雄君
参 考 人
(日本銀行総裁) 速水 優君
(預金保険機構
理事長) 松田 昇君
衆議院調査局金
融安定化に関す
る特別調査室長 藤井 保憲君
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委員の異動
八月二十八日
辞任 補欠選任
大野 功統君 望月 義夫君
金田 英行君 田中 和徳君
河村 建夫君 能勢 和子君
滝 実君 桜田 義孝君
蓮実 進君 橘 康太郎君
宮本 一三君 実川 幸夫君
山本 公一君 小野寺五典君
渡辺 喜美君 大石 秀政君
枝野 幸男君 石毛 鍈子君
古川 元久君 家西 悟君
西川 知雄君 並木 正芳君
同日
辞任 補欠選任
小野寺五典君 山本 公一君
大石 秀政君 渡辺 喜美君
桜田 義孝君 山口 泰明君
実川 幸夫君 竹本 直一君
田中 和徳君 下村 博文君
橘 康太郎君 蓮実 進君
能勢 和子君 河村 建夫君
望月 義夫君 渡辺 博道君
家西 悟君 松沢 成文君
石毛 鍈子君 枝野 幸男君
並木 正芳君 西川 知雄君
同日
辞任 補欠選任
下村 博文君 金田 英行君
竹本 直一君 宮本 一三君
山口 泰明君 桧田 仁君
渡辺 博道君 大野 功統君
松沢 成文君 古川 元久君
同日
辞任 補欠選任
桧田 仁君 滝 実君
八月二十八日
金融システム安定化のための諸制度の整備に関
する陳情書
(第九七号)
は本委員会に参考送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措
置法案(内閣提出第一号)
金融機能の安定化のための緊急措置に関する法
律及び預金保険法の一部を改正する法律案(内
閣提出第二号)
債権管理回収業に関する特別措置法案(保岡興
治君外三名提出、衆法第一号)
金融機関等が有する根抵当権により担保される
債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する
法律案(保岡與治君外三名提出、衆法第二号一
競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整
備に関する法律案(保岡興治君外四名提出、衆
法第三号)
特定競売手続における現況調査及び評価等の特
例に関する臨時措置法案(保岡興治君外四名提
出、衆法第四号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/0
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001・相沢英之
○相沢委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措置法案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律及び預金保険法の一部を改正する法律案並びに保岡興治君外三名提出、債権管理回収業に関する特別措置法案及び金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案並びに保岡興治君外四名提出、競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案及び特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案の各案を一括して議題といたします。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
各案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁速水優君及び預金保険機構理事長松田昇君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/1
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002・相沢英之
○相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/2
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003・相沢英之
○相沢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。保岡興治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/3
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004・保岡興治
○保岡委員 私は、小渕総理がまだお若い、当選回数二回ぐらいのころでしたが、私のふるさとの奄美に、沖縄の関係の参考にするということで、沖縄復帰前に視察においでになりました。私、御案内申し上げたことがあります。そのときに、大変お若い総理を拝見しまして、やはり政治家も、若いときから生涯かけて政治をやるという生き方もあるんだ、そういうふうに思いまして、それ以来政治家を私も目指した、そういう記憶がございます。
その後、大変公私ともお世話になってまいりましたが、こうして今、世界が注目する、また日本の二十一世紀の歴史をかけた、本当に大事な局面における総理の重い責任をめぐる、金融安定化あるいは我が国の経済の回復、こういった重要なテーマについて、与党を代表して総括質疑で質問に立たせていただく、本当に感無量なものがございます。きょうはそういったことで、いろいろお話を率直にお伺いしてまいりたいと思います。
まず、ロシアの中央銀行が、昨日、外国為替取引を全面停止いたしました。ルーブルが急落をする、それが世界の株安に広がって、そうしてまた中南米など問題のない国も、ロシアを連想されて、アジアのときと同じように、昨年の夏にアジアが世界の経済成長センターと見られていた、それが一気に外国の資本が引き揚げて、見るも無残な経済の破綻状況になってしまって、いまだに回復ができずに本当に困難をきわめている。こういうことにまた中南米がならないかということを心配する人たちもいる。
こういうふうに、今本当に世界が経済、金融の危機にさらされているという認識が、世界の経済運営者あるいは金融当局、あるいは経済関係者のみんなの心配だと思います。そういった意味で、まず総理に、こういった今の状況についての御認識を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/4
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005・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 けさほどの朝刊各紙もそうでありますが、ロシアにおきまして、一般の国民の皆さんがドル、マルクその他の外貨を求めて大変金融機関に駆け込んでおる状況を目の当たりにいたしまして、現下ロシアにおける金融問題を含めました状況につきましては大変憂慮いたしておるところでございます。
そうしたことがグローバル化した世界の経済の中で他国に及んでくるということがないことを心から祈念をいたしておるところでございますが、我が国といたしましては、しばしば申し上げておりますように、我が国から世界に発信をする世界的なそうした不安を起こしては絶対ならないという趣旨で最大の努力をいたしておるわけでございまして、何といっても、金融機関における不良債権の処理ということのために今般もこうして国会で真剣な御議論を願っておるわけでございますので、日本としては、金融に対してきちんとした対応をいたしていくということが我が国としての責任を果たすゆえんであり、そのことが世界的な信頼をかち得ていくということが、少なくとも、世界で今起こりつつある大変不安な状況を、日本としては日本の立場でその責任を果たすということによってこれが解消に向かっていく、その責務を負っておる、こう考えておりますので、可能な限り、今回の金融トータルプランに基づくところの諸法案につきまして、一日も早くこれが国会で成立することを心から願い、我々も努力をいたしていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/5
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006・保岡興治
○保岡委員 私は、日本の株価も一万四千円を割ってきている、これはもう本当に重大なことで、こういうふうに資産が下落していく、あるいはそれがいろいろな経済の停滞に結びつく、ほかの資産、特に土地、不動産等、不良債権の担保になっているそういったものが価値を下げていくということは、本当に不良債権はますます膨らんでいくし、処分もできないという状況になっていく。これは日本は大変な経済危機に向かっているのではないかということを心配いたします。
私は、そういった意味で、実は、経済運営に責任のある総理とか大蔵大臣初め皆さんば、こういう危機的状況を余り強く言うことによって、かえって不安心理を呼んでこれに拍車をかけたり、あるいはこういうときは市場が非常に過剰に反応をして、いろいろなリスクを負うことを避けて、どんどんいろいろな動きを始める、こういう状況では、私は、余り大変だ大変だと言うわけにいかないだろうと思うのです。
しかし、国民や多くの識者は、また与野党とも、そういう世界に広がっている危機的な状況、あるいは我が国が置かれている二十一世紀に向かっての大変な瀬戸際というようなこの状況をやはり冷静に受けとめて、そして、総理や大蔵大臣が、控え目にであるけれども、厳しく認識して今の状況に対処しておられることについては十分理解して、施策の議論を詰めていかなきゃいけない、こう思う次第でございます。
総理は、お人柄の小渕だ、総合力だということでございます。このことはきっと、いろいろな大事な施策についていい結果を積み上げていくことにつながると私は確信をいたしております。
しかし、総理に今課せられている責任は、まさにこういう経済戦争、経済混乱、日本発の世界恐慌は絶対避けなければならないと言われましたが、今世紀最後に世界に大迷惑をかけて、大変な被害をもたらして我が国が二十一世紀に向かっていくというようなことにならないようにする大変な責任が、最高責任者、総理の責任だと私は思います。そういった意味で、本当に我々与野党とも、国会もそうでありますが、国民もそうでありますが、やはりこういうときには最高の責任者の判断というものがとても大事だと私は思います。そういった意味で、私は、本当にみんなで力を合わせて、総理の厳しい責任をみんなで支えていかなければならないと思う次第でございます。
そこで、今問題になっております金融の状況、これは非常に病的な状況だと言われておるわけでございますが、この病気を克服して、二十一世紀の日本が活力を持つための、いわば経済にとっては最も根幹である金融のサービスというものを非常によいものに変えていく、生まれ変わらせるということが非常に重要でございますが、大蔵大臣に、一体どうしたらいいのかと。
この点については、病気も、体力の落ちない段階で病を治すのが一番よいと思います。重体になってからでは治療も大変で費用もかかりますし、痛みも大きいし、そして回復にも時間を要するというのは当たり前でありまして、私は、金融についても同じように早目早目に対応して、破綻してから処理するというのではなく、破綻前に処理するということがとても大事だと思います。
そういった意味で、ひとつ大蔵大臣がこの点についてどのように基本的に考えておられるか、改めて国民にお示しいただければと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/6
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007・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 昨年の十一月に中堅どころの証券会社が破綻をし、またその後、北海道拓殖銀行にああいうことが起こりまして、にわかに金融機関の破綻ということが大事な課題になってまいりましたり
それで、保岡委員の言われますように、その不良債権の処理というものが破綻に終わるということはどうしても避けなければならないことと考えますが、そのために、昨年の十一月以来、保岡委員にも非常に自民党の中で御活躍をいただきまして、いわゆる金融再生トータルプラン、第一次、第二次がつくられたわけでございます。
その考え方は、債権、土地をいかにして流動化するかということが中心でありますが、それを中心にすることによって不良債権も流動化できる、あるいは場合によってはそれが証券化というようなことにもなると思いますけれども、そういう形で流動化を図っていくしかほかはないだろうというのが基本的な認識でございました。
そしてまた同時に、やや中間的なと申しますか、出来事でございましたが、今年の三月末の金融状況というものが非常に心配せられましたので、我が国の金融システムが国際的な疑いを受けないように、金融システムそのものの信用を高めるという意味で銀行に資本投入もいたしまして、辛うじてその三月の危機というのは乗り切ったわけでございますけれども、その後、しかし、いわゆる貸し渋りというようなことは民間金融機関に関する限り、改善をいたしておりません。
これは、したがって、さらに改善をしてまいらなきゃならない。政府機関がその補助はいたしますけれども、貸し渋り案を今日も閣議決定したところですが、やはり市中金融機関のそういう態度、貸し渋りというものはまだ矯正されておらないように思います。そういうことの中で、今回も国会に、議員提案並びに政府提案を合わせまして六つの法案を御審議願っておりますが、これによりまして、破綻を避けつつ、いかにして債権、あるいは土地もそうでございますが、流動化を図ってまいりまして、多少時間がかかりましても流動化という市場をつくっていかなければならない。
同時にまた、金融機関について申しますならば、長年のいわゆる護送船団行政というものは、競争というものを全く殴殺、殺したわけでございますから、したがって、日本の利用者は非常に不幸な状態にあった。利用者を中心に考えるならば、当然、金融機関の間に競争が生まれなければならない。従来の行政を改めて、競争を促進するためにいかにすべきか。それは、もとより金融監督庁による検査もその一つでございますが、そういう中で、競争状況を生むことによって金融の今までの一種の沈滞を打破しなければならない、国際的な要請でもございますが。
そのためには、利用者のためにディスクロージャーというものができるだけなされなければならない、そういったような大きな改革の中にございます。その改革が、しかし国際的なビッグバンと同時に行われるというところに難しさがございますが、ここのところは、やはり我が国の金融界はどうしても避けて通れない、ここを通り抜けなければ二十一世紀に向けて生きられないだろうといった大きな問題であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/7
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008・保岡興治
○保岡委員 長銀問題、昨日、いろいろ与野党で随分熱心に質疑がされました。これには二つの要素があると私は思います。
一つは、破綻前に処理すれば、国民負担も社会コストなどの点からもすぐれているという点があると思うんです。破綻してからではなかなか大変だ。破綻前に処理するのは、病を重篤にしないうちに処理するのと同じだと思います。
金融機関というのは、いわば経済でいえば動脈とか心臓だとよく言われるんですが、体の中にあるいろんな組織を維持して生命体を維持するために心臓が動き、血管が血液を全身に送っている。その心臓あるいは血管が何かのばい菌に取りつかれて、例えば不良債権とか、あるいは、そういうばい菌を招くようになったことについては体の管理に問題があったんじゃないか、今いろいろ大蔵大臣からも、過去の行政のあり方についての反省の上に立った今度のプランという趣旨のお話もございましたが、そういった病気にかかった、ばい菌に取りつかれて腐り始めた血管、それが周辺の組織に及んで腐っている。それは預金者であったり、企業であったり、国民の企業であったりする。
したがって、そういう場合には、心臓に近い部分の大変大きな動脈である、そういった銀行に対応するのに、やはり治療費をかけなきゃいかぬ。これは世界どこでも、公費でもって、国民の税金できちっと処理をしていくということに例外はないし、恐らく野党の皆様方の提案も、どこからお金を持ってくるわけではない、国が責任を持つために公的な支援で対応せざるを得ない、その仕方がいろいろ違うだけの話でございます。
したがって、銀行を救済するのではない、公的なお金を銀行に注入することは。そのシステムを守るんだ、血管や心臓を守って、組織を守っていくんだ、ばい菌を取るためにそういう手術をするんだ、そのためにはお金がかかるんだということを国民によくわかっていただかないと、病気を持った悪い銀行を保護するみたいな、温存するみたいな錯覚に陥るような論議はお互い避けていかなければならない、そう思うのでございます。一つは、そういった問題があるということ。
もう一つは、市場の暴力。市場が混乱する場合には、システミックリスクを防がなきゃならないという問題が一つあると思うんです。それはやはり市場というのは、多くの利害関係者が世界に広がる形で話し合って決めていくものでございますから、通常は合理性がある。市場の力によって金融再生も図っていかなきゃならぬ、活力も生み出していかなきゃならないということだと思います。しかし、時に市場も狂ってくることがある。非常に混乱があって、不確実な情報が飛び交うような、そういう事態になれば、例えば銀行がいかに正当な理由を一生懸命資料を出して説明しても、そういうものも顧みず、怒濤のように動いていく。あるいは意図的に市場を混乱させて、株などを売り浴びせて暴落をさせて経済を破壊して、その銀行を破綻に向かわせて、そうしてその落差をもうけるという投機の利害というものが大きく絡んでいるということを我々は忘れてはならない。
そういった市場が暴力的になるときに、我々は、特に病んだ銀行の処理、それもできるだけ早く、国民の負担を少なくし、実体経済に与える影響を少なくして、再生に向かわせなければならない。二十一世紀の活力のある日本の経済がかかっている。こういう場合には、私はやはりこの長銀の処理というのは、一つの大きな危機管理における総理や政府のリーダーシップできちっと進めていくべきことだ、そう思っております。
そういった意味で、昨日来、総理官邸にいろいろ関係者をお呼びになったお話とか、あるいは金融監督庁がそれについてどういう対応をしたかといういろいろな質疑がなされておりましたが、むしろ私は、こういった危機管理はやはり内閣の最高の責任、そしてそれは世界に対する責任、日本の未来に対する責任がかかっておって、例えば長銀が破綻することによって、ヘッジファンドやその他投機筋は、またすきがある、同じように売り浴びせれば、またその次の目標も倒せる、次の目標も倒せるといって、どんどん襲いかかってくる。市場がそういう暴力を振るうときには、それに対する断固とした姿勢を、この金融システムは守って一日本の経済に被害を与えないようにする。そのシステムですよ、銀行の経営者や株主を守るということではありません、システムを守って日本の経済を救っていく、破綻を避ける、国家の崩壊を避けるということが私はとても大事なことだと思いますが、総理、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/8
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009・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 全くお説のとおりだと考えております。大きな銀行が破綻をするということの及ぼす影響は、はかり知れないものがあると思っております。実は、こうしたことは経験されざることでございます。
したがいまして、国民の皆さんの中には、長銀問題を含めまして、一銀行を守り抜くというふうなための施策ではないかという誤解もあるようでございますが、御指摘のように、日本の金融システムを守るということが日本経済全体の大きな責務であるという立場に立ちまして、政府としては全力を挙げて対処しておるということでございますので、ぜひこの点、国民の皆さんにも御理解を賜りたい、こう願っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/9
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010・保岡興治
○保岡委員 私は、きのうもいろいろ議論が出ていましたが、問題は、長銀が債務超過であるかどうかとか、あるいは住信、住友信託銀行が将来また公的資金を受けることにならないか、いろいろ議論がありましたが、私は、この合併構想を、総理やまた大蔵大臣、日銀総裁、そういった金融当局の責任のある方々が、全面的な支援をする、最大限の支援をすると言って、これを崩さないで日本の銀行の崩壊を防ぐ、そのすきを見せないということの決意のあらわれだと思います。そういった前提を踏まえて、お互いが議論をしていくことが必要だと思うのでございます。
それと、債務超過であるかないかという問題も、これは情報開示が必要であります。大蔵大臣も言われましたとおり、債務超過であれば、金融の安定のための公的資金である資本注入は使えません。しかしながら、債務超過であるかないかは、総理大臣の法的委任を受けた金融監督庁に中身をよく見ていただく責任を負っていただいているのであって、だれもほかがそれを見られるわけではありません。
ですから、やはり一方によって過剰な不安をあおるようなことにならないように、むしろ情報開示できるものはきちっと政府の責任でする。これは役所が言うように、確かに守秘義務があると思います。これは法律違反できませんから、検査の内容とか、個人から得たいろいろな情報を勝手に政府が外に出すわけにいきません。
しかしながら、こういう不安定な状況にあるときは、不確実な情報で国民も不安になっているのも事実だし、世界の市場も日本の金融の実態について不安を持っているのは事実でございますから、私は、そこは役所は慎重なのは当たり前なんです。ですから、やはり政治家が個々の資料について、それが国民のために必要であって、必ずしもそれが金融の不安を招くような、あるいは個人情報をいたずらに外に出すような、そういうことにならない基準やルールを、政治家みずから、時々の状況によって決断していくということが大事であって、資料開示その他も、与野党で協力して、また政府の政治的な判断を求めてできるだけ開示するのが私は正しい行き方だそう思うのでございますが、大蔵大臣、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/10
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011・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 この問題につきまして、昨日もいろいろこの委員会で御議論をいただきました。
私、この問題についての各新聞の論調、社説といったようなものをかなり注意して読んでおりますが、もちろん一様ではございません、一様ではございませんが、基本的には、長銀が破綻するということは恐らく非常に大きな影響があって、それは日本国内にとどまらず国際的な大きな波乱を呼ぶであろうというところの認識は、まずまず各社ほぼ一致しているように思われます。
問題は、しかし、そのことは実は非常に事の性質上わかりにくいことであって、国民から見ると、あたかも政府は私企業である一つの銀行を救うために国民の金を使うのではないかという疑いは大変に多くの国民が持っている。したがって、そこのところをどれだけ政府あるいは関係者がディスクロージャーによって納得を獲得できるかという、そこのところの問題だというのがほぼ、多少いろいろございますけれども、中心的な主張のように思われます。それは今まさに保岡議員が言われました、そのことでございます。
問題は、私企業でございますから、私企業の内部を開示するということには問題がございますし、いわんや個々の取引についてはなおさらでございます。ございますが、そしてまた役所にも守秘義務というものがあります。日本銀行には契約上の義務がございます。ですから、そういうことの中でどれだけ国民にある程度の実態をわかっていただけるかというのがこの問題の解決のかぎであろうと思います。
当委員会における御審議もほぼそういうような目的、意思を持って進められておるように思いますけれども、その点は、おっしゃいますように、関係者も、あるいは各党もでございますけれども、一緒になって、どういう方法でできるだけティスクローズできるかということは検討してまいらなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/11
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012・保岡興治
○保岡委員 ぜひ必要な情報開示については国民や国会にお示しを賜りたいと思います。
それから、私はもう一つ、こういう不良債権の実態とか金融の実態というのは、病気になっているのですから、お医者さんである金融監督庁というものがしつかりしてもらわなければいけません。そのためには、医者が問診や聴診器を当てたり、場合によっては切り取って組織を顕微鏡で見てよくその病原を探るように、やはり私は、裁量行政、裁量行政といってそれから決別だというのは結構なんです、市場を大事にして、そこでいろいろな力をいただいて、その中で立派になっていくということが大事だと思います。
しかし、病気になったときは、お医者さんが積極的に介入して、病人に対してきちっとした指示をして、入院を指示して納得させて、関係者には、またインフォームド・コンセントのような説明責任を持たれる。したがって、金融監督庁はやはり破綻前にも、さっき言ったように、体力のあるうちに回復に措置をとった方がいいのですから、破綻前にいろいろ介入する仕組みというものを私は必要とすると思います。
したがって、私は、早期是正措置が実は自己資本比率にリンクしているものですから、金融機関は今自分で思い切ってリストラをしようなぜ率先してやらないのだ、あれだけ国民が非難しているのにどうしたのですかと聞きますと、もし思い切ってリストラや何かを自分だけがどんとやると、取りつけみたいなことに一気になることが心配だ、ましてや早期是正措置で最初に踏み込まれていろいろやられているというようなことが世間にわかると直ちに取りつけになりそうな気がする。したがって、どの金融機関より先立って早期是正措置を受けないために必死になって自己資本比率を上げようとする。それは、自己資本比率が高くても、この春先の長銀のように、半年もすればこういう状態になるのですよ。そしてまた、かつてのように、自己資本比率が低くても世界に席巻する、そういった日本の、邦銀の姿があったわけですよ。
だから、私は、自己資本比率だけで経営がいいかどうか、そういう判断をするのはちょっと考えた方がいいのではないかと。それにプラスして、経営がいいか悪いかの何かの基準を、ルールを設けて、破綻する遠い前のところにはルールを設けて、また破綻直前にはそのルールもしっかりして、私は、破綻前処理で金融監督庁が積極的に病に陥った金融の再生のためにむしろ踏み込む、介入すべきだ、そう思いますが、いかがでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/12
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013・日野正晴
○日野政府委員 お答えいたします。
金融監督庁の発足の趣旨は、もう御案内のとおりでございまして、従来の事前指導的な行政から事後チェック型の行政に大きく転換するということを目指したものでございました。そして、事後チェック型といいましても、結局、先ほど委員がお話しになりましたように、早期是正措置というものをそのツールの一つとしているわけでございますが、早期是正措置と申しましても、それは検査を前提として私どもはそれを活用せざるを得ないわけでございます。
ところが、この検査は去る七月に初めて入りまして、まだ続行中でございますが、まだ早期是正措置を打つべきかどうかという判断をするまでには至っていないわけでございます。結構時間がかかる仕掛けになっております。
また、長銀に対する検査につきましては、従前、大蔵省あるいは日銀においても行われておりますが、やはり危機状態というのは緊急にやってくる場合が、起こることが十分に考えられるわけでございまして、そういった場合に、従来から金融監督庁発足の趣旨と言われております事後チェック型の行政のみで果たして足りるかどうか。金融監督庁設置法を子細に読みますと、預金者の保護あるいは金融システムの安定ということが十分その趣旨の中に含まれているように私は思うわけでございます。
そういたしますと、金融システムの安定と申しますのは、結局、何か事後になって初めて手を打つといったばかりではなくて、事前に、つまり、例えで申し上げて大変恐縮でございますが、まさに今火がつこうとしている。金融システムに火がつこうとしている。保岡先生は病人に例えられましたが、まさに死のうとしている、そういったときに、その患者を助ける、あるいは火事が起こらないようにするということも、やはりこの金融監督庁設置法の趣旨の中にも十分に盛り込まれているのではないかというふうに考えるわけでございます。
そういった意味で、私は、金融監督庁といたしましても、そういった危機が起こる前に適切な措置をとることが重大な責務の一つと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/13
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014・保岡興治
○保岡委員 この点は非常に重要でありまして、今後日本が金融再生を見事に果たして二十一世紀に立派な金融システムを手にするためには、やはり破綻前処理の仕組みが、積極介入の仕組みが、ルールが、スキームが必要だ、私はそう思います。
その点をとらえて私は、本会議場で我が党の津島雄二議員が具体的な提案を幾つかされております、その点については直ちにお答えは難しいかと思いますが、大蔵大臣におかれては積極的に、こういった早期是正措置の基準の見直しとかその他のいろいろな破綻前処理のルール、スキームの検討をぜひしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/14
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015・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 いわゆる護送船団行政と申しますか、指導行政と申しますか、大蔵省が長くそれをやってきました。そのことは大蔵省に対する不信につながりまして、もう一切そういうことはやめるんだ、大蔵省もそういうことからもう所管を外して、そして金融監督庁がやるんだ、こういうようないきさつでありました。私は、そのことは私なりに理解をしております。
そこで、金融監督庁がそういう新しい信頼を得るという立場で行政をせられるならば、今長官が言われましたように、まさにすべて事後チェックだけで事が済むということでないだろうということは、実は明らかだと思います。
せんだって津島委員から本会議でそういうお尋ねがございましたときに、私は、従来の経緯もございまして、そういうことを反省しなければなりませんのでというようなお答えを申し上げましたが、金融監督庁が全面的な信頼を得て行政をやられるということになりますと、保岡委員のおっしゃいますような、あるいは過日津島委員が本会議でおっしゃいましたようなことが当然に考えられなければならないだろう、そう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/15
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016・保岡興治
○保岡委員 しかもこういうときに、大事な金融監督庁の人員が私は不足していると思います。金融検査官にしても、欧米に比べると十分の一みたいな話で、話になりません。今、十九行初め全国の銀行の検査に入っておりますが、本当に今百人体制でやっていて、百人でできるものではありません。私はそういった意味で、今度増員については、役所が今四百人ぐらいの定員に対して、二百人ぐらい、五割増しで要求するんだと言っておりますけれども、役所の、いわゆる総務庁を中心とする定員のルールの中でこれをふやすとすれば、もう精いっぱい、こんなところだと思います。
しかし、こういうことこそ政治が見通しを持って、この金融監督庁の重要性を認識して、総理が言われているように政治主導で、自分たちでどれぐらい必要かをある程度事務当局の話を聞きながら見当をつけて、その水準まできちっと政治決断して引き上げる。我が党においても、調査会でそういった検査員の新しい制度の確立とかいろいろなことを工夫して、また役所でも工夫しているとは思いますが、そこは大きな政治決断が必要だと思いますので、その点きちっと対応していただけるかどうか、総理に御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/16
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017・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 金融監督庁の検査官につきましては、国家公務員全体の定員が厳しく抑制される中で可能な限りの新規増員を確保し、総勢で百六十五人体制とするとともに、金融監督庁長官の指揮監督のもと、地方における検査を所掌する財務局におきましても四百五十六人の検査要員を確保し、全体で六百二十一人の体制となっておるところでございます。
今御指摘いただきました、監督庁発足以来、長官初め各職員の皆さんも、今次の事態に関しまして、昼夜を分かたず、本当に熱心な努力を傾注いたしておる姿を私も拝見いたしております。でございますが、現下のこうした金融の検査その他におきましては、大変物理的な力、能力、こうしたものを最大限発揮いたしましても、なかなか困難な状況でございます。したがいまして、今後金融検査機能の強化を図るため、諸外国の金融検査体制も参考に見直しを行い、厳正で効率的な行政手法の確立に努めるとともに、検査体制の計画的な強化に努めてまいりたいと思います。
先ほど委員御指摘のように、ほかの国々の状況を見ましても、米国におきまして約七千六百人、検査官の総数、こうした体制で臨んでおるというようなことを考えますと、我が国におきましても、これからきちんとした調査、検査、こうしたことが行われるためには相当のやはりそうした人員が必要だ、こう考えておりますので、厳しいこの定員の状況ではありますが、この問題の重要性にかんがみまして、政治主導のもと、可能な限りその努力をいたしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/17
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018・保岡興治
○保岡委員 今総理が言われましたように、計画的に進めていくということですが、その計画をぜひ政治家みずからがっくるということで、御指示を賜って具体化していただきたいと思います。
そしてまた、私はもう一つ、金融安定化二法のことについて触れます。
これは、昨年暮れ、宮沢、今大蔵大臣でいらっしゃいますが、当時は党の金融安定化の本部長でいらっしゃいました。優先株や劣後債の引き受けという、今の危機管理の上で一番重要な政策の手段になったこういった資本注入について発案されて、私も本部長のもとで金融二法の成立に努力した者の一人でございます。これは政治決断でつくったものだと私は承知しています。この間から大蔵大臣が答弁されておられますとおり、一つは、これがほとんど重要なテーマでありますが、システミックリスクを回避するために私はこれはっくられたものだと思います。
日本は、大型の金融機関やその他の金融機関の破綻によって世界に迷惑をかけるような金融破綻の発信になってはならない。昨年の暮れ、本当に大型の金融機関の破綻、北海道拓殖銀行、山一あるいは三洋証券みたいな、連続した大型金融機関の破綻で日本の経済はあっという間に真っ黒になって、それがアジアに波及することを心配され一世界に波及することが心配されている現状を招いています。
今ここで、本当にそういう大型の金融機関の破綻というものが連続するようなことがあったらどういうことかと先ほど申し上げましたが、まさにそういうときのためにこれはつくったものでありまして、審査基準はこの佐々波委員会で法律に基づいてつくられましたが、ここにはこう書いてあります。審査基準二というところであります。
なお、判断に当たっては、金融システムが信用を基盤として成り立っており、現在、我が国の金融システム自体に対する内外の信頼が大きく揺らぎかねない状況にあること及び企業等への資金供与に支障が生じていることからすれば、金融システムの不安についての、いいですか、わずかな兆候も見逃さず速やかに対処し、それが全体に波及して危機に陥ることを、いいですか、未然に防ぐことが重要である点に留意すべきだ、資本注入のこの基準二がはっきり書いてある。
しかも、基準の三のところにどう書いてあるかというと、申請金融機関が第二区分、第二区分て、言うなればゼロから四%です。自己資本比率ゼロでも注入をしろという、できるという、ちゃんと規定があるんです。その場合には、どういう場合かというと、明らかにシステミックリスク、日本発の世界恐慌などを防ぐようなそういう場合なんだよ、しかし、その場合にはこういうことをやりなさいと書いてあるんです。
一、代表権のある役員の退陣を含む経営体制の刷新、既存株式の配当・役員賞与の禁止・抑制に係る利益の社外流出の防止、役職員の給与の水準の切り下げ、給与体系の見直し、役員数一店舗数の削減、子会社・海外現地法人の業務縮小・廃止などの組織・業務の抜本的な見直し。要するに、リストラ、総ざらいをやって、そうしてシステムを守って、世界の経済や金融や我が国の破綻を防げ、こういうために資本注入は入れる。
その場合に、どういうことが書いてあるかというと、営業譲渡や合併等により新しい経営形態に移行すると認められる場合にも、その対象とすることができる。まさに、住信と合併する長銀のようなケースがここに予想されて書かれているんです。
しかも、基準二のところにあるのは、その引き受ける額、要するに資本注入する額ですね。これは、我が国における金融の機能に対する内外の信頼を回復するとともに信用秩序の維持と国民経済の円滑な運営を図るために必要な範囲となるよう留意する。要するに、その目的を達成するだけきちっと入れなさい、中途半端にやってはいけない、そうすることがかえって金融不安や破綻に結びつく、思い切ってやるときはきちっと実態を把握して、それに沿った正確な対応をしてほしいとちゃんと書いてあるんです。
私は、そういった意味で、債務超過でない銀行へ公的資金を注入することの意味は不透明だ、こう言っているんですけれども、じゃ、債務超過で……(発言する者あり)いや、そうですよ。でも、ゼロの場合、できるんですよ。そういった破綻していない銀行になぜ公的資金の注入をするんだと。長銀は債務超過でないけれども、わずかしか資本が残っていないから、それにまるで注入できないような質疑をされているから、私はおかしいと。破綻してからでは遅いから破綻前に処理するんだから、わずかでも資本が残っているなら資金注入の理由になるんです。私はそういうことも政府にもはっきり言ってもらいたい。
それから、投入した株が普通株に換算して評価損がどれだけ出たという話がありました。しかし、これとて私は、一時そういうことになるのは当たり前です。民主党の案にも、公的なブリッジバンクの株を将来民間に売るんだ、そのときは高く売れて、そしてもうかるケースがあると言っているように、公的資金、今税金を金融機関につぎ込むと言うが、それは一体どういう目的のためにつき込んでいるかということを考えなければいけないんです。
その目的というのは、これはまず預金者を保護するためです。これは当たり前です。それから、健全な借り手が行き詰まらないようにこれに対して資金をつないであげるというのも当たり前なんです。そしてもう一つは、不良債権を買い取って回収してあげるためのその買い取り資金が必要なのも当たり前なんです。だれがやるわけじゃない、国がやる以外ないんです。
そして同時に、そういった意味で資本注入もまた、元気がよぐなってその価格が上がって回収するという可能性を持って注入されているのであって、破綻することでそれが毀損されることだけを予想してこんな資本注入をする政策になっていないんです。ですから、資金を入れるが、それが立派な経済になって返ってくるという前提であります。ですから、まるで税金を使ってそれをむだにしているような印象を与えるような議論は、この国会においては避けるべきだと思います。
私は議論を先に進めますが……(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/18
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019・相沢英之
○相沢委員長 お静かに願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/19
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020・保岡興治
○保岡委員 もう一つあります。それは例えば……(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/20
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021・相沢英之
○相沢委員長 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/21
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022・保岡興治
○保岡委員 不良債権の処理といって、不良債権には第一分類から第四分類まであります。第一分類は正常債権でありますから、これは問題ありません。しかしながら、第二分類というのをよくお互い注意しなきゃいけないと思います。まさに注意をして回収すれば回収できるという部分の不良債権であって、不良性を持つかもしれない債権と言ってもいいんじゃないかと思います。
例えば、銀行の自己査定で、実は全銀行のこの三月期決算の不良債権の総額が七十一兆九千億と発表されました。そのうち実は第二分類が六十五兆八千億であって、回収が難しいというのは六兆一千億なんです。この第二分類をいたずらに回収、回収といって減らすことだけを念頭に置いたら、これはやはり大変なマイナス効果もあるということを十分考えなきゃならない。そして、経済運営をよろしくして、経済が回復していく、そして施策をきちっとしていけば、私はこれは本当に第二分類というのは生き返ってくる、これが銀行の腕であり、我々政策責任者もそういうことをよく考えて不良債権の処理に当たっていかなければ国民が困る。
皆さん、第二分類というのは、不良債権の大部分を占める、八割、九割を占める第二分類は、既にバブルの……(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/22
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023・相沢英之
○相沢委員長 御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/23
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024・保岡興治
○保岡委員 バブルの崩壊によって積み上げられた不良債権から、このところの不況によって広がっている、多様な業種に広がっている、国民の、一般の企業や生活のかかったそういった部分に広がっている不良債権、回収注意の債権であって、この判断を間違って、もし生かすべきものから無理に回収することは経済を破壊することになる。本当に審査能力が問われる部分だと思うんですが、与謝野通産大臣、国民の生活や企業を守る立場からお答えいただければと思います。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/24
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025・相沢英之
○相沢委員長 御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/25
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026・与謝野馨
○与謝野国務大臣 実は、昨年の山一証券、三洋証券、北海道拓殖銀行のそれぞれの破綻以降、中小企業、中堅企業あるいは大変優良な大企業でも、いわゆる銀行から、貸しているお金を返してくれ、また新規の融資はお断りだというような事例が相次いでおりまして、中堅、大企業は若干改善いたしましたけれども、まだまだ中小企業に対する貸し渋りというのは続いているわけでございます。
そういう中で、当然私どもは、不良債権を処理する過程、また、銀行はBIS規制の八%を維持して国際業務に携わっていこうということ、また、新たな不良債権は発生させたくない、また、心理的に非常に支店長あるいは窓口の融資担当の人たちが委縮した気持ちになっておりまして、資金が円滑に企業に供給をされておりません。これは、設備資金もしかりでございますし、日々の運転資金についても中小企業を含めていろいろな企業は大変苦しい思いをしております。
かてて加えまして、企業側としては大変警戒心が強くて、手元流動性を確保しておこうということで、実は、遊んでいるお金を実際は手元に置いております。これは実はある意味では資金が寝ているという部分もあって、全体としては企業に対する信用供与というものはだんだん小さくなっている、いわば信用収縮という状況が生まれてきているわけでございます。
したがいまして、私どもとしては、不良債権問題は、企業が今後企業家精神を持って企業を発展させていく、また、その中で雇用もふやしていくというためには、不良債権問題というのは一日も早く解決しなければならない問題だというふうに考えております。これは大変痛みの伴う問題でございますけれども、どうしてもこれは乗り越えていかなければならない、また、日本の経済再生のためには避けて通れない関門であると私は思っております。
したがいまして、今回提出されております六法案のうち二法案はブリッジバンクの法案でございますけれども、あとの四法案もまた、権利関係を調整する、あるいは民事執行手続等の簡素化を図るという点ではやはり非常に大事な法案でございまして、破綻前の処理、破綻後の処理をあわせまして、この国会で与野党の御協力のもとでなるべく早期に成立をさせていただいて、企業を経営する人たちが今後円滑な資金供給が得られるように、そういう点に御留意をいただいて審議をしていただければと思っております。
総じて言えば、金融機関も今回のことは大変心配していると思いますけれども、むしろ中小企業、中堅企業等が、今後自分たちの運転資金、設備資金は一体どうなるのだろうか、このまま不安が続けば運転資金もなかなか手に入らない、ましてや設備資金などはとても手に入らないという不安のもとで、営々と経営にいそしんでいるわけでございまして、そういう中小企業を初めとする日本の経済を支える人たちの気持ちもぜひ酌んでいただいて、円満に、円滑に審議が促進されるよう心からお願いをする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/26
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027・保岡興治
○保岡委員 景気が非常に悪くなってくると、ふだんであれば六十点、七十点で優秀な企業と仲間に入ってやっていける企業も、それは企業には優秀なのもあれば中ぐらいの能力の企業もある、それが水準が高くなって厳しくなってくると、六十点、七十点がやっていけるのにやっていけないというようなことで、私は、国民の多くがやりたいことも、本当にいい目的でやろうと考えているのに、資金がない、あるいは回収を急がれるというようなことで、おかしくなっていく可能性がやはりある、そういうふうに思えてなりません。
特に、この第三分類と第二分類の仕分けというのは、ブリッジバンクにおいてもいろいろな不良債権の実態を把握する上でもその審査眼というのはとても重要なのですが、これは経営者の能力やあるいはプロジェクトのよしあし、その他資産状況や債務の支払い状況すべてを勘案して、この企業を破綻させて取るべきか、あるいは生かしてつないで、融資をしてあげて回収していくべきかという非常に難しい判断を伴うものでありますから、もちろん、モラルハザードが起こらないようにその基準や判断を正しくするための努力はしなければなりませんが、今のような実体経済が弱いときには、脆弱なときには、その点の行き過ぎがないように、厳し過ぎがないようにするのも重要なテーマだと私は思います。
それではもう一つ、こういった不良債権を処理する上では、資産がどんどん下がっていくような状況、きょうの株安に見られるように、また連動して不動産も弱含みになって取引が停滞していくというようなことになれば、不良債権はどんどん大きくなって処分もできない。どんなに不良債権を処理する体制や制度や政策を立案しても、資産デフレが続いていくと一向にその問題は、大きくこそなれ解決しない。したがって、私は、不良債権処理、金融再生のもう一つのポイントは、資産デフレをとめることに全力を挙げるということにあると思います。
こういった意味で、いろいろな施策もあると思いますが、詳しいことは、ちょっと時間がありませんので、こういったことについての決意を簡単に大蔵大臣から述べていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/27
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028・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 保岡委員は、金融二法等々、私どもが自民党におりましたときに作業をいたしました中心になられたお方でございますので、御指摘のことは私には一々ごもっともに思われます。
ただいま御提起なさいました資産デフレというものでございますが、やはり私は最終的には流通の問題にあるのだろうと思います。価格がつかない、品物が動かないという状況においては取引が行われるはずがないわけでございますから、やはり流通の市場というものをつくらなければなりませんし、また、今度、権利調整の法律案を議員提案でちょうだいして御提案がありましたが、これなども、債権者と債務者の間で話が実はつきそうなものだが、いろいろな事情でつかないというときの役割を果たすわけですから……(保岡委員「政府提案」と呼ぶ一政府提案でございます、失礼いたしました。でございますから、これなども流動化に資するであろうと思います。
それから、前回の国会で通過をさせていただきましたSPCにつきましても、これは証券化につながる道でございますから、これなども具体化をして、不動産等々の証券化に進める道もございますので、そういう意味での流通ということは今大変にこの問題を解決するのに大事なことと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/28
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029・保岡興治
○保岡委員 今大蔵大臣が、市場が動くようにするということのいろいろな制度を用意したことをお話しされました。それが動くためにも、やはり資産デフレをとめる政策をひとつ大きな政府の大方針として答えが出るように詰め切っていただきたい、そう思う次第でございます。
そして、そのトータルプランは、実は不良債権処理、金融再生を目指して、多くの問題群を、金融機関から不良債権を切り出すところから、それを権利整序することから、有効利用することから、都市の再開発を促進することから、総合的な政策として一気に三週間、一カ月足らずで、これは議員が、ここにおられる石原先生や党の関係の議員が延べ三十回も議論を重ねて、そうして官僚をリードして、そうして具体的にその処理の内容まで詰め切って、そして政治主導で立案したものでございます。
きのうも申し上げましたが、官僚は縦割りの行政の中でそれぞれ責任が違うものであります。自分の都合もございます。したがって、一つの国家戦略、国家目標のためには、それを明確に示して、そしてそれを総合調整していくためには、政治家がその政策手段を示して、ただお願いするだけだったら今までもしていたと思います、官僚に全部お願いをして答えを待つと。答えを待たないで、政治家が中身のアウトラインは詰め切ってしまうというところまで踏み切らないと、本当の意味で、役人が、なるほどと思って、それに従って技術的、専門的に協力する体制につかないと思います。私は、そういった意味で、トータルプランはそのことに一つの、議員各位の努力によってそういう新しい政治の流れをつくったものだ、そう確信をいたしております。
そこで、私は最後にもう一度繰り返したいと思いますが、危機管理でございます。本当に今日本は大変な危機にあるということを冒頭に申し上げました。危機管理は、我が国はさっき総理も言われましたように、こういう危機管理の経験がないものですから、どうも、幾つかの危機管理を経験していながら、このところまだ危機管理ということについて国民や与野党の一致した認識というものがないようぐ危機管理は、国民全体が一致した認識に立つ、そして与野党とも一致した認識に立って国を救うという行動が必要であります。
そういった意味で、例えば、村山内閣のときに阪神・淡路大震災がありましたが、あのときも、初めての経験でということで、その後察知するのがおくれてどれだけ問題になったか、それが行政のあり方の一つの反省のきっかけになったことを想起しなければなりません。それから、オウム・サリン事件の大量な組織的な事件が起こったときも、反省に立って、組織犯罪法というのを国会に提出して、与謝野通産大臣などが党で中心になって野党の諸君と詰めて、今国会に提案しております。こういった組織犯罪法なども危機管理の一つの重要な法律であって、中身に議論があれば、国家を救うという同じ認識で、こういう組織的な犯罪がこれから起こっていくということを頭に置いて詰め切らなければなりません。
それからまた、今度の金融二法と財革法の関係であります。
私は、この二月にこの金融法をつくったときは資本注入なんということを、あのときに外国の、ヨーロッパの大蔵大臣やアメリカの金融当局が、健全な銀行に資本注入をしろと矢のような催促だったのですよ。これはどういうことかというと、日本の健全な銀行、問題のない銀行までが倒れるような状況をつくらないでほしいという、そういう世界の願いだったわけです。それは一種の危機管理であります。市場経済では禁じ手であります、国家が銀行の株を所有するなどという。あえてそれをやるということは危機管理なんです、はっきり言って。市場が荒れるときに、それに対する防衛手段なんです。
にもかかわらず、私は、遺憾なことながら、財革法が、通常のときを予想して、戦争や災害やそういうときは当然法律の性質上例外であるべきだから、注意規定がなくてもそう判断すべきところを、この六月に改正したわけですが、ああいう弾力規定を直ちに置くことに決断するということは必要だったと思うのです。それから、当年度予算、十年度予算はその財革法に従った緊縮財政でありました。それを防ぐために、九年度補正も思い切って努力したり、九年度中の減税もやりました。そういった努力をしてきちっとやっているにもかかわらず、十年度予算が成立したらすぐ十六兆規模のそれを超える補正を組んだにもかかわらず、予算を出している間はこれが正しいという前提で、補正のことが言えないという、これも私は右肩上がりの、役所が長い間でつくった一つのルールだと思います。こういうことを破っていかないといけません。
小渕総理は、実は十二月十五日の経済見通しが出るまでは、我が党は、長年、税というものは決めないという憲法がありました。しかし、小渕総理はそれを破って恒久減税を明確にここで政治決定されました。そういうふうに機動的に事態に対処する、官僚と政治家との役割の分担ということがもっとはっきりしていかないと、この国は危機管理において十分な対応ができずにおかしくなっていくと思えてなりません。
最後に、総理に、こういった危機管理についての御決意を再度聞かせていただいて、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/29
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030・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 全く御主張につきましては賛同をいたします。
この点につきましては、長い政治の一種の慣習のような形にありまして、我々もこの大きな官僚機構の上に乗って政治をとってきたという反省があるわけでございますが、今日、時代の進展がまことにスピードを持って行われている段階でございますので、そういったことを考えますと、改めて、政治主導のもとに迅速に問題に対して対処していかなきゃならない、これは危機管理にとりましても全く同様のことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/30
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031・保岡興治
○保岡委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/31
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032・相沢英之
○相沢委員長 この際、石原伸晃君から関連質疑の申し出があります。保岡君の持ち時間の範囲内でこれを許します。石原伸晃君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/32
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033・石原伸晃
○石原委員 ただいま、伺僚の保岡議員より危機管理のお話がございました。
日本経済、あるいはロシアのルーブル危機、また隣国であります中国の洪水に端を発した経済の不安定化並びに人民元の切り下げ懸念の高まり、あるいは東南アジアのエマージングカントリーの国々の中での金融破綻あるいは不良債権問題、数々の難問が今世界に覆いかぶさってきているような気がしてなりません。
そして、どこの国々の問題も、金融システムの不安定、いわゆる銀行の経営のあり方の失敗に端を発し、多くの不良債権問題を生んでいる。先ほど与謝野通産大臣が御指摘されたように、この不良債権問題の解決なくして、経済の回復、金融の安定化というものは私はないと思います。そしてまた、それを今この当委員会がやらなければなりませんし、当委員会でどれだけのものをまとめることができるのか、それによって、日本の将来が、あるいは世界の経済にどのような影響を及ぼすのか、重要な局面に来ているような気がいたします。
冒頭このようなお話をさせていただきましたのは、これは質問通告をしていないのですが、実は昨日は、もう皆様御承知のように、一万四千四百十三円とバブル以来二番目の底をつけました。きょうは、寄りつきから売り気配が大変強くて、九時十五分のときは昨日に比べて五百円安、十時半の段階では一万三千九百四十一円、やはり四百七十円と、四%ぐらいマーケットが下がっております。
もちろん、政治家が株価のあり方あるいはマーケットプライスについて言及することは慎むべきであると私は思いますけれども、行政の責任者がマーケットに対して温かい目をもって見守っているという姿を示すことは私は重要なことではないか、そしてまた、今そういうところに踏み込んできたような気がいたします。宮沢大蔵大臣の御所見を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/33
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034・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 御指摘のように、具体的なマーケットに直接触れることは避けなければならないと思いますが、環境といたしましては、ロシアにおける御承知のような状況、あるいは、それとどういう関連がございますか、ございませんか、昨日のウォールストリートの市況等々が外側の環境と思いますが、国内的には、報道等によりますと、殊に金融株を中心に昨日あたり下げがございましたのは、政府の金融再生トータルプランが国会においてどのような御審議を受け、どのような結末に至るであろうかということについての不安感、これは当然時間のかかることでございますから、そう速やかに決まると期待するわけにはまいりませんが、先行きの不安感というものがやはり市場に反映をしておるということは、関係者が一様に申しております。
私どもとしましては、したがいまして、国際的な問題はまた国際的に処理をいたさなければなりませんが、少なくとも国内の問題として、そのような不透明な環境をなるべく早く透明化していくこと、これが一番大切なことではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/34
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035・石原伸晃
○石原委員 宮沢大蔵大臣の御指摘のとおりであると思います。そしてまた、この金融不安というものを払拭する、人間でいうならば悪いどころを切って外科手術をして、悪いものを外していくのが、私たちが取りまとめた金融再生トータルプランであると思っています。
それでは、具体的な質問に移らせていただきたいと思うのですが、やはり私は、この金融不安を取り除く方法、言葉をかえますと、問題銀行の処理の方法というのは、大ざっぱに言って今三つしかないんだと思います。
一つは、市場に任せて何も手を打たない。昨日大蔵大臣が御指摘されたように、何もしなければ今問題になっている銀行は破綻をするわけであります。私は、これはまさに愚の骨頂であると思います。
そうしますと、残るのは二つでございます。一つは、破綻前処理をどうするか。これは金融安定二法の中に資本注入のスキームというものがありますから、これを現在の行政の責任者がとるということは可能であります。そしてもう一つが、破綻した後の処理であるこのブリッジバンク法案であると思います。
私は、ここでまず総理大臣にお尋ねを申し上げたいのは、やはりいずれにしても、これらの施策を実行していく上では、国民の皆様方に、透明性の確保、そして一体現実はどういうふうになっているのかということを明らかにしていく必要があると思います。すなわち、言葉を言いかえれば、正確な不良債権の公表。また、細かい話ですけれども、各行がどういう基準で引き当てをしているのか、考え方の明示であります。
そして二番目は、経営困難な金融機関の処理のルールの明確化、これも明らかにしていかなければならないと思います。監督庁の検査の現状あるいは資本注入のスキーム、こういうものを明らかにしていく必要があると思います。
そして三番目は、責任の所在の明確化。昨日も同僚の多くの議員から、モラルハザードについての言及がありました。金融機関だけは国に助けてもらう。やはり、間違った経営をした経営者がしかるべき責任をとる、あるいは株主が責任をとる。こういうもののルールというもの、この三点のルールというものを明らかにしていくことが私はすべての根本にあると思います。
総理大臣にお伺いをさせていただきます。どのようにこの三点を確保されていくおつもりか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/35
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036・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 金融行政につきまして、明確なルールに基づく透明かつ公正な行政を確立することといたしておりまして、金融機関の経営に市場規律と自己責任原則を徹底させ、市場の信認を得ていくことが重要と考えております。
具体的には、早期是正措置の導入に伴い、金融機関が資産の自己査定を行いまして、監査法人による外部監査を受けた上で償却、引き当て等を行い、さらに、この結果について当局が検査によりチェックを行うとの厳格な償却、引き当てのための体制を整えてまいらなければならないと思っております。
また、監督体制の強化につきましては、諸外国の金融監督当局の体制も参考に見直しを行い、厳正で効率的な行政手法の確立に努めるとともに、検査監督体制の計画的な強化を図ってまいりたいと考えております。
以上のような枠組みの中で、今後、市場メカニズムを通じて金融機関の再編等が進むことになり、これにより、金融ビッグバンを乗り切ることができる金融機関により、強力な金融システムが構築されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/36
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037・石原伸晃
○石原委員 次に、今は一般的な決意を総理が御披瀝いただきましたので、ちょっと具体論、長銀の問題についてお話をしていただきたいと思います。
今回の処理は、よく税金を投入して銀行を救済するんだというようなことが言われておりますが、私がちょっと調べましたら、経営問題が発生した大きな銀行、有名なのは、昨日やはり同僚議員が指摘されていたコンチネンタル・イリノイ銀行、八四年の五月、資産規模で四百十億ドル、九・五兆円です。あるいは九一年末のスカンジナビスカ・エンシルダ銀行、スウェーデン、八百十五億ドル、十兆二千億円。そしてまた、九四年の末、フランスで起こりましたクレディ・リョネ銀行、資産規模で一兆七千五百三十億フラン、三十六・三兆円。
これらが、例としては今回の問題に匹敵する例ではないかと思うのですが、そのいずれもどのような対応策をとっていたのか調べましたら、コンチネンタル・イリノイの場合は、シカゴ連銀の貸し出し、あるいは資本注入、これは十億ドルでございます、長期的な経営支援を行った。あるいはスウェーデンの銀行の場合は、政府に対して資本注入あるいは債務保証の申し出があり、その申し出が後に取り下げられて国有化をされた。今民主党の方がお考えになっている案に大変近いものではないかと思います。あるいはクレディ・リヨネ銀行の場合は、政府による資本注入、三十五億フランも投入されております。
そんなことを考え合わせますと、今回はやはりちょっと説明がうまく至っていないのじゃないかという気がしてならないわけであります。これは救済合併じゃなくて、私は長銀を実質的に解体するんだと思います。言葉をかえると、スクラップすると。スクラップして、住友信託が手を挙げられていらっしゃって合併するのであって、決して救済ではない。
そして、コスト論をちょっと話させていただきたいのでありますけれども、法的に清算する、先ほど冒頭述べました、マーケットに任せてつぶれて、その後は破産処理であります。これと、今資本注入をすることによるコスト論ということが明らかになっていない。どっちが安くて、どっちが国民の皆さんに負担をかけることが少ないのか、大蔵大臣にお考えをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/37
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038・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 昨日もそこのところを申し上げようと思いましたが、今石原委員がスクラップとおっしゃいましたので、なるほど、委員から言っていただけば、それが一番事柄を説明することになるなと。
昨日私が申し上げましたのは、ともかく経営者はみんな退陣をする、本店も売ってしまう、海外の店もやめだ、そして払った退職金は昔の人から取り戻す、行員も減らすという、そこに残ったものは何かといえば、長銀スピリットとでもいうものが残りますのか、とにかく、合併をかけてリストラをして、そして延命とは言えない、やはり新しい命とでもいうのか、今のお言葉が一番本当はいい言葉だと思います。
したがいまして、長銀を救うのだということは全く実態において当たっていないと、私はこれは自信を持って申し上げられると思いますが、それで、長銀がこういうことにならずに破綻をいたしました場合の国内及び国際的な影響につきましては、昨日もかなり詳しく申し上げました。
非常にたくさんの取引先が債権を回収されますから、どこへ新しく金を借りるといっても、こういう時代でございますから容易じゃございません。そこで、破産が起こる、それから小さな企業にそれが及んで失業につながるといったようなこと。あるいはまた、これだけ大きな銀行がつぶれることによって、国内においてさらに同じような疑いが、ルーマーがその他の銀行にも及ぶような危険。あるいは国外では、これだけ合わせますと二十近くの店等々があるわけでございますから、そういうことが国際的に及ぼす迷惑、あるいはデリバティブ等々。どう考えましても、このコストというのは、はかり知れないものがあるように思います。
実は、昨日の本委員会の御審議におきまして、総理大臣が公邸に関係者を呼ばれたことについていろいろお話がございましたけれども、これは明らかに、国の最高権者としての総理大臣が、この問題の持つリスクの大きさと、国が総力を挙げてこれを防がなければならないという意思表示をされたもの、私はそういうふうに受け取っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/38
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039・石原伸晃
○石原委員 宮沢大蔵大臣のお話を簡単に総括させていただきますと、長銀の預金者、取引先は救われることになるけれども、長銀は合併、消滅する、そういうことを自信を持っておっしゃられたのだと思います。
もう少し具体的に御質問をさせていただきたいと思います。これもやはり昨日同僚議員から質問がありました、デリバティブの問題でございます。
まず、スワップについて話をさせていただきますと、スワップ契約の中には、もう皆様御承知のように、途中解約に対するペナルティーというものも入っております。
あるいは想定元本、長銀の場合は五十一兆円、十九行くースでは千六百兆円と言われておりますけれども、このデリバティブ契約をネットアウト、すなわち清算するときに、マーケットに対するインパクト、同時にこれが清算されたということはないわけです。もちろん想定元本というのは取引残高でありますから、リスク量はこれに比べて少なく、一%から二%と言われておりますけれども、既に、二十六日に野党の三会派の皆様方が破綻銀行の原則清算を柱とする案を打ち出されました。一方、二十六日にはスワップ市場が暴落、金利が急上昇したわけであります。
また第三には、デリバティブ契約の担保の流動化に伴い、市場で流通が難しい資産、すなわち、例えば長銀は二十年のローンみたいなものを持っているわけですけれども、こんなものを一体だれが買ってくれるのか。
そしてまた、もしデリバティブ契約の、デリバティブは相対ですから、買う者、売る者、あるいは勝つ者、負ける者という世界ですから、そのことを、特に海外の投資家が、では危ないと言われている他の銀行、これは風説の流布だと私は思うのですけれども、まことしやかに言われている、そういうもののデリバティブ契約を解約する方向に走りたら一体どういうことが起こるのか。私は、ちょっと考えてもぞっとするわけであります。
その事例とは言えないかもしれませんけれども、昨年、三洋証券のデフォルトによりまして、コール市場で五十億円の損失が出たわけであります。これが心理的な不安なんです。実態は違うのですけれども、心理的な不安につながって、コールからの資金回収のあらしが巻き起こって何が起こったか。私は、山一そして拓銀が倒れたような気がします。
このデリバティブの点について、日銀総裁おいででございますので、昨日もお答えになりましたが、ちょっとわかりにくかったので、簡潔に短くお話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/39
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040・速水優
○速水参考人 ただいま、デリバティブ取引が、大手銀行が崩壊した場合にどういうことが起こるかという御質問であったかと思います。
大手行は、一般に、デリバティプ取引を含めて、多様な取引を海外で、海外の顧客や金融機関との間で広範に行っておるわけでございます。このために、万が一そうした先が破綻するということになりますと、そうした多様な取引の連鎖が起こっていって、国際的にも非常に大きな混乱を引き起こしかねない。さらに、邦銀全般にわたって格付が低下している現状のもとでは、ジャパン・プレミアムが急騰するのはもとよりのこと、邦銀が海外市場から締め出されていく、海外において破綻状態に陥る懸念が非常にあるということを、私どもはかねてから非常に心配をしておるわけでございます。
邦銀の大手銀行は、一般に、極めて多数の顧客を抱えて、海外も含めて広範な取引をしておるわけですが、デリバティブ取引もそうした大手銀行の幅広い業務活動の一つでありまして、数多くの取引が累積的に行われているということ、それから裁定取引などによってほかの金融機関とも密接に結びついているということ、それから取引の国際的な広がりが大きいということ、こういうことから、万一大手行がデフォルトといったような状態になりますと、影響を受ける当事者が極めて広範かつ多数に上っていくおそれがございます。
現在のような金融システムの不安定な状況のもとで、こういうことが一つ起こりますと、ほかに、邦銀全体、日本の銀行全体に対する不信感というのは、もう救いがたい状態になっていくことを私どもは恐れておるわけです。
六月にこの問題が起こり始めたときから私ども最も心配しておりましたのは、長銀がこのことによって万一破綻するようなことが起こりますれば、長年にわたって日本の銀行が築き上げてきた日本の銀行への信認というものが崩れてしまって、これはもう取り返しのつかないことになるんじゃないか、長銀一行の問題ではないということを心配しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/40
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041・石原伸晃
○石原委員 私も総裁の懸念とまさに同感でありますが、しかしながら、国民の皆様方に公的資金の資本注入をお願いするというような事態になるとしたならば、私はやはり最低条件があると思います。それは、やはり経営実態の情報の開示、これなくして国民の皆様方に、大きな危機がそこに迫っていることは事実ですけれども、私はお願いすることはできないと思いますので、ぜひ、監督庁また大蔵大臣におかれましても、情報開示の徹底ということをお図りいただくように、この場をかりてお願いを申し上げる次第でございます。
また、昨日同僚議員からやはり御指摘があったように、一体どの分類の債権を債権放棄するのか。もし回収の可能性のあるものを債権放棄するようなことであるならば、これは大きな問題でありますので、また今後の委員会の中で議論をさせていただきたいと思います。
そして、私が一つ疑問に思っておりますのは、今回、長銀が土壇場になってリストラ案を出してきた。しかし、本来、免許事業でありますから、銀行法二十六条の中に規定されておりますように、業務停止ということができる。銀行に経営改善計画を提出させて、そして実態が明らかになってきた段階で、不良債権処理やリストラの実行状況を、監督庁の検査官の方が問題銀行には常駐して毎日監視するようなこと、こういうこともやはりやっていかなきゃいけない。それほど私は厳しい問題であるという認識を持っております。
最後になりましたけれども、今、日本の金融界を取り巻く諸状況は大変厳しいものがあります。これは、高いコストでお金を借りてきて低い利ざやで運用している過少資本の銀行が日本全国に多いわけであります。これは再編問題にもつながりますし、先ほど与謝野大臣が御指摘された貸し渋りの問題にもつながります。総理がこれからのオーバーバンキングの問題をどう考えるのか。あるいは、今話をしたようなことをスピーディーに解決していかなくては、もう待ってくれない。きょうのマーケットがまさに待ってくれないということを示しております。
総理の御決意をお聞かせ願いまして、質問を終了させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/41
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042・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 今、開示の問題につきましてもお触れになられましたが、私も全くそのような考え方でございます。
監督庁が発足いたしまして以来、真剣な取り組みをいたしておりますけれども、その中で、公表のできるものにつきましては最善を尽くしていかなきゃならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/42
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043・相沢英之
○相沢委員長 これにて保岡君、石原君の質疑は終了いたしました。
次に、中野寛成君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/43
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044・中野寛成
○中野(寛)委員 まず、本論に入ります前に、水害の被災、大変拡大をしているようであります。心から被災地の皆さんにお悔やみと、そしてまたお見舞いを申し上げたいと思います。
同時に、柳沢長官、担当大臣でいらっしゃいますが、ここに御出席をいただいております。短時間ではありますが、少なくとも私の質問の中で長官にお尋ねすることはございませんので、少しの時間でもその災害対策に当たっていただきますようにお願いいたします。
きょうの午前中の株価を見ますと、ついに平均株価一万四千円を割っているようであります。まさに堤防が決壊したような感覚を持つのであります。しかも、先ほど来の与党の質問の中で、それが野党にも責任があるかのごとき、しかも野党の質問の中で無責任な質問があるかのごとき発言がありました。これは極めて重大な発言であります。
あえてここで申し上げておきたいと思いますが、いっときも早くこの法案を成立させなければ国の財政が危ないと言い、金融システムが危ないと言い、国民生活が危ないと言って強行採決をして通してきた法案が幾つもあります。しかるに、財革法にいたしましても、昨年暮れあのような無理難題を言いながら成立させて、今その改正を図ろうとしておられるのであります。また、この春の金融安定二法にいたしましても同じことが言えるわけでございまして、昨日も大蔵大臣御答弁でありましたけれども、あれは貸し渋り対策であったと公的資金の注入についておっしゃられたが、しかし効果が出ていないというふうにおっしゃられた。
言うならば、間違った法案、間違った政策を出して、これが通らなければ大変なことになるのだから野党は質問を省略してでも、国会審議を省略してでも早く通せと言わんばかりの姿勢は、これは厳に慎むべきである。そのような政府・与党の思い上がりがあるとすれば、むしろそのことこそが現在のこの重大な局面をつくってしまった最大の要因だということをまず申し上げ、反省を促したいというふうに思う次第であります。
さて、私は、午前中の短時間でありますから、総理にいろいろな諸問題についての御認識をお伺いしたいと思います。
まず、今我が国を取り巻く内外の諸情勢は、極めて深刻であります。正直言って、むしろ国会審議さえも休んで何らかの手を打つために走り回りたいぐらいの気持ちに、今我々も焦燥感にさいなまれているぐらいであります。よって、この審議を通じて、総理の明快な御答弁によってその対策の端緒になりますことを祈ってやみません。
そこで、まずお聞きをいたします。
金融ビッグバンの時代と言われます。既に始まっていると言っていいと思います。総理は、金融ビッグバンとはいかなるものと御認識をされておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/44
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045・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 金融ビッグバン、大破裂ということでございますが、これは、かつてイギリスにおきましても米国におきましても、金融を自由化するためにいろいろな措置を講ぜられてきたわけでございますが、日本におきましても、グローバルスタンダードという形の中で、日本の金融の、いろいろシステムその他にわたりましても新しい時代を迎え、市場を自由化していかなければならない。こういう形の中で、金融関係の諸政策をより自由化し、そして効率化していく、こういう作業のためにいたしていかなければならないことでございまして、そのためには、為替の自由化を初めとして種々の対応をとることがそうしたことになる、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/45
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046・中野寛成
○中野(寛)委員 後ほど少し具体的に聞きたいと思いますが、きょうは労働大臣もいらっしゃいます。大変な不況の中で、失業、雇用問題も深刻であります。
私は、総理の御認識を今お伺いいたしましたが、金融ビッグバンというのは、ある意味では国境がなくなるんだというふうに言っても過言ではないと思っています。金融のビッグバンは経済のビッグバンです。経済のビッグバンは雇用のビッグバンであるというふうに申し上げてもいいと思います。そういたしますと、経済システムについても雇用システムについても、これは国境を越えて考えなければなりません。今日までの日本の労働行政でそのことが図れるのか、今そのことを認識した対応策を考えているのかということを、一言、冒頭お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/46
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047・甘利明
○甘利国務大臣 金融のビッグバンが経済構造改革を加速させ、そのことを通じて雇用の移動を初めとする新しい事態が起こり得る、それを想定してきちんと対処せよというお話だと思います。
古い時代を担った産業形態から新しい時代を担う産業に雇用が失業の不安を持たないでスムーズに移動する、このための対処をきちっとやることが大事でありますが、そこにミスマッチングを排除するための労働力のバージョンアップといいますか、職業能力開発が適時適切に時代のニーズを受けてなされているか、これが大事なことだと思います。
あるいは、今先生が、国境を越えてというお話がありました。雇用政策というのは、労働政策というのは、ある面、ナショナルミニマムの要素も持っております。労働者の権利と、そして誇りを持って働けるような環境を整備するということが大事でありますし、今国境を越えてというお話がありましたが、これは言ってみればグローバルスタンダードを働くという意味でも整備せよというお話と受けとめますと、ILO等を通じましてそういう整備に日本は主体的に動かなければならないと思いますし、今までもそうしてきたと思います。
御案内のとおり、ILOの常任理事国でありますし、理事会の議長も兼ねております。ILOに拠出している金額につきましても国際的な使命を果たしていると思いますし、先生の御指摘を踏まえてこれからも、労働行政、万遺漏なきを期したいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/47
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048・中野寛成
○中野(寛)委員 事前に御通告もいたしておりましたので、大体質問の趣旨に合った御答弁をいただきました。
それで、私は、言うならば外国の安い労働力を利用するために日本が資本投下をしていく、また海外進出をするというようなやり方というのは、最初はその国の雇用創出で喜ばれても、必ずひんしゅくを買って終わるということだと思います。また同時に、そのことを野放しにいたしますと、日本の労働問題、雇用の空洞化等にもつながるわけでありまして、これはまさに、世界的な視野に立って労働行政を積極的に進めていただくことを、特に強く要請をしておきたいと思います。
さて、金融ビッグバンは既にスタートをいたしておりますが、これからは業態間の垣根を越えた国内金融機関同士の競争、外資系金融機関との競争、内外の非金融産業との競争という三種類の競争が入り乱れ、そして金融業界は大きな再編の渦に巻き込まれるだろうと思います。言うならば、銀行のリストラではなくて、金融業界のリストラが今必要になっているのだと考えるべきだと思います。一つ一つの銀行のリストラの問題なんという時代ではもはやない。しかし今、我々、この国会でも、また大蔵省の御説明を聞いても、全体のことを考えるという前に、一つ一つの銀行のことについて、むしろ視野が狭くなっていはしないかという気がいたします。
そういう意味で、このままでは我が国の金融市場で一流プレーヤーとして活躍するのはすべて外資系金融機関になるのではないかという危惧の念があるわけであります。国内金融機関は不良債権に苦しみ、また非金融産業は大不況にあえいでいる、国民は未来に向かって大きな不安の中で夢も希望もなくしている。それが消費不況につながり、悪循環を起こしている。こういうことだろうと思うのであります。よって、そういう認識を持った中で、この不良債権処理もやっていかなければなりません。
といたしますと、事の深刻さをきのうから重ね重ねみんなが言うのでありますが、情報開示こそはこの問題を解くかぎだと思っているのであります。すなわち、国民がその実態、全容を知り、納得し、協力し、ともに行動をするという体制がつくれなければ、総理が幾らこの金融システムは破綻をさせないと大見えを切っても、だれも信用しません。ましてや、国民からの支持率の高い総理ならいざ知らず、残念ながら支持されないで生まれた総理でありますから、大見えを切れば切るほど、実はこっけいな姿に映ってしまう。
だから、それは論より証拠で、具体的なシステムをつくってみせなければなりません。今回政府が出されたブリッジバンク法案というのは、この深刻な事態にこたえるのではなくて、まさに対症療法、びほう策でしかないというふうに言わざるを得ないわけであります。
よく、ソフトランディングを目指さなければと言われる、ハードランディングではいかぬのだと言われるが、もうソフトランディングもハードランディングも時代は終わっちゃって、通り過ぎて、墜落しちゃう。まだ自民党の場合はランディングしない方法を考えているようですが、もうソフトもハードも時代は過ぎてしまって、事態は過ぎてしまって、墜落する。そのときに、亡くなる死者をいかにして減らすかということを考えなければいけないというぐらい深刻な状況なんだという認識が必要だと思うのであります。
そういう意味では、今やるこの不良債権処理、金融再生の法案というのは迅速でなければなりません。情報開示と同時に大胆な方策が必要です。そのときに、まさに、私も申し上げたが、総理もおっしゃった鬼手仏心、大胆でなければならぬが、そこにはやはりきちっとした対応策というものも必要である。そのときに、私は、その鬼手になっていないと思うんですね。それから、自民党政府の今日まで言ってきたことは、体力のあるうちに改革をとおっしゃったが、既に体力はなくなっているということを忘れていた。体力をつけて手術をするということではないのでしょうか。
大変抽象的ですが、その心構えがまず基本に必要ですから、総理の現在の心境をお聞きしたいと思います。
〔委員長退席、村田(吉)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/48
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049・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 現在の金融における不良債権処理の問題につきましては、今日まで、よりよきお手本というものは我が国においてはなかなか発見し得なかった。したがって、他国の状態などを十分勘案しながら、これに対してその方策を考えてきたわけでございまして、そういった意味で、今日提案いたしております政府としての法案をできる限り早期に成立をさせていただくことによりまして、この状態を乗り越えていかなければならない。そうした考えに立って、今御審議をお願いいたしておるところでございます。したがいまして、ソフトランディングかあるいはハードランディングか、いろいろと御主張もありますけれども、具体的に一つ一つの事案につきましてこれを処理することによりまして、金融のシステムの安定をまず大前提に考えながら対処していくことが必要ではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/49
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050・中野寛成
○中野(寛)委員 そういう中で、総理のお言葉は、何か大変な強い決意があるようにおっしゃられるのだけれども、具体的に行動で示してもらわなければいかぬ。一例としてこの長銀の問題が出てきたんですね。
この長銀の問題も、先般、自己査定の結果が公表されましたね。あれは、この委員会の理事会で我々野党が要求していなければ公表されていませんね。我々は、長銀の集中審議をやりましょう、また、それに先立って長銀の自己査定の結果を公表してくださいと要求をした。最初は、自民党さん、与党の方は大変否定的でありました。我々が再度強い要請をして、これが発表されました。何かその後不都合が起こったのでしょうか。
むしろ、それを見て、最大限に怒っているそぷりか何か知らぬが、反応をしておられるのは与党の方じゃないんですか。おおい、ごんなに退職金たくさん払っていたのか、給料こんなに高かったのか、第一分類、第二分類こんな状況だったのか。むしろ、きのうの自民党さんの質問を聞いておっても、まさにそのことを一生懸命言っておられました。あと残り十八行それぞれおやりになって、その実態を明らかにしたらいかがですか。それが大事なのではありませんか。
我々が要求した資料、これを出すことによって、何か事が大変重大なことであって、大変な混乱が起こるんだとおっしゃる。おっしゃるけれども、私たちは、そうではなくて、例えば我々野党案として今まとめておりますものも、重大な危機、影響があると思われるものについては、一時期、公的管理または国有化して、そしてそういうパニックを防ぐ、または連鎖倒産を防ぐことなどの配慮を加えながら、しかし、大胆に情報開示をしましょう、情報開示をするための環境整備をしてやりましょうという提案をしているわけでありまして、このようなことがなければ、いいかげんなことをやっておりますと、今の長銀救済策のように政府が国民に負担を押しつけて公的資金を注入する、そうするとどうなるか。
財政が悪化して、国債の格付の低下を生んで、金融機関の調達コストの増大を生み出して、すべての金融機関の業績が悪化するという悪循環に陥るのではないのですか。そして、国民がどうしても納得し得ない、言うならば債権放棄という形で、何千億、何兆というものを放棄しようとしている案が出ている、こう聞くのであります。もう公的資金というのがあれだけぽかぽか出てくると、本当に総理は打ち出のコブチかと、そんな気持ちになるんです。そうではないはずです。これは国民の税金から出るんです。
債権放棄と聞くと、ああそういえば自民党さん、財界から金を借りて、そして、今はもう献金は断っているよと言いながら、その借金を返すための銀行業界からの献金だけは、十年分割か何か知らぬけれども、受け取っているとおっしゃる。これは明らかに、銀行に自民党に対する借金の債権放棄をさせていることと同じではありませんか。
私たちは、そういうまさに体質の問題、本質の問題をしっかりと受けとめながら対策を講じていかなければならないというふうに考えているのでありますが、この我々の基本的な考え方について総理の御認識をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/50
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051・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 ディスクロージャーの問題に触れられましたが、その点につきましては、それぞれの金融機関、特に長銀につきましては、自己開示につきまして与野党の話し合いによりましてその方向が打ち出され、そのことについての開示がなされたわけでございまして、その点につきましては、その開示されましたそれぞれの問題につきまして、さらにこの委員会等で御検討し御批判をいただければよろしいかと思っております。
なお、全体の問題につきましては、現在監督庁で検査中でございますので、そのことの中間的な報告ということは私はあり得ないというふうに思っております。
それから、今委員のお説のようないろいろなお考えもあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、この法案につきましては、それぞれ各党が提案されております法案もまとまりつつあると聞いておりますので、そうした問題を十分検討させていただきまして、よりよいものをつくり上げるという努力につきましては政府としても柔軟に対応していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/51
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052・中野寛成
○中野(寛)委員 よく聞かれるのでありますが、政府案についての修正協議はいつ始まるかとマスコミに聞かれるのでありますが、私たちは心血を注いで、よりよいものをつくろうということで一生懸命努力をし、その対応もまとまり、今日段階でも法案要綱まででき上がってまいりました。もっと与党に対するそういう立案体制をより一層確立をさせてきて、ヨーロッパ並みの政党制度にしていただければもっとスピーディーにできますが、我々も心血を注いで頑張っております。むしろ、政府案に対する修正協議ではなくて、我々の案に対する修正協議を、与党から求められれば応じたいというふうに思っております。
さて、大手銀行は債務超過ではないと政府はおっしゃってこられた。一方で、長銀に対して税金を投入して破綻させないようにしようとしている。
債務超過であるかどうかというのは、第一分類、第二分類などのその審査と線引きなどによっていかようにでも変わるというのは言い過ぎかもしれませんが、私は、事の認識というものはあいまいにしてはならない。よって、第三者機関にそれをきちっと審査をさせる。佐々波委員会も、何か、どこまで審査したのかようわからぬですな。そのうち御本人に聞きたいと思いますけれども、大蔵省と日銀の調査を聞いた、それで判断したという感じのようでありますが、我々としては、本当に調査能力を持った第三者機関をつくるべきだというふうに思います。
第一、債務超過でなければ、通常、破綻はしないわけであります。ところが、拓銀を初めとして、破綻前は債務超過でないと言っていたのに、破綻して、ふたをあけたら債務超過だったという銀行も多いのでございまして、まさに時々刻々変わることも事実でありますし、厳しい認識を常に持っていなければならぬのであります。そしてその結果、株価が下がっているから資金調達が困難になったとおっしゃる。ところが、マーケットは債務超過だと考えているから株価が下がって、資金調達が困難になるのではありませんか。すなわち、因果関係が私はむしろ逆だと考えております。
そういう意味では、これを防ぐためにも、情報開示こそきちっとやっておくべきだ。情報開示がきちっとなされていないから憶測を生み、そこにまたいろいろな工作もされる、そして売りかぶせだとかいろいろなことも行われるということになるのでありまして、むしろ情報開示こそ、証券取引が投機から投資本来あるべき姿の投資へと正常化され、株価も実質価格に安定をしてくるということなのではないでしょうか。
冒頭私が金融ビッグバンについてお聞きしたのは、まさに、金融ビッグバンの時代というのはそういう時代でなければならないのではないでしょうか。それにたえ得る日本の金融システムや証券システム、またはそれに伴う周囲の慣習などについても改革をしていかないといけないのではないでしょうか。この認識について、また総理にお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/52
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053・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 お説のとおりと考えます。
その場合に、情報開示のためのスタンダードというのがやはり一つになってまいりませんといけないと思います、少なくとも国内で、あるいは国際で。そういたしますと、情報が本当に生きてくると思います。
〔村田(吉)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/53
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054・中野寛成
○中野(寛)委員 大蔵大臣の大変スマートな御答弁をお聞きいたしました。御同意いただきましたから、それでは、その方法についてどのように今お考えなのか。政府は恐らく、大蔵大臣もそう同意されるのですから、情報開示のあり方だとおっしゃられる。
それでは、こういう問題について、情報開示の仕方にもいろいろありますね。例えば、マスコミに公表する情報開示もありましょう。中には、その与える影響がいろいろな形で短期的には大きいから、しばらくは伏せておきたいというのもあるというのは私も認めるのです。そういうもめについては、必要な第三者機関、国民が信頼する第三者機関に審査を任せて、その審査が開示を一たん受けとめて、そして審査した結果、これは公共の福祉に見合うものだという判断をする場というのが用意される、しかしそれがしばらく後には当然国民にも知らされるという、二段構えの仕組みも必要かもしれませんね。
私たちは、そういうことも含めながら野党案というのはつくつて、いろいろ努力をしているわけであります。
総理、どうですか、情報開示について。この前、きのうからでも聞いておりますと、金融監督庁から何から、守秘義務があるのか何か知りませんけれども、答えてもいいようなものについて答えられない、またはお役所だから答えられない。それなら政治判断で政治家が答えろなんというようなことをここの理事協議でやらなければいけないというのは、実に情けない。そういう質問のときには大臣がとっとと出てきて答弁をされたら、もっと国会審議はスムーズに進むのですね。そういう意味での気持ち、決意というものを総理にお伺いをいたしたいと思います。総理にお聞きをいたしたい。元総理にお聞きしているのではなくて、総理にお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/54
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055・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 私の答弁の続きでございますから、私から補足をいたします。
私は、情報開示というものは、基本的には、競争社会、市場経済においては企業そのものから来るべきものだと思います。企業が自分の企業のために正しい情報をお客さんに与える、それが基本でなければならないと思います。そのような情報は、ただし、公的機関による検査とかそういうものがまずございまして、そして市場がそれをどう評価するか、顧客がどう評価するかというようなことはございますが、基本的には企業自身から、自分の企業のために行われるべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/55
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056・中野寛成
○中野(寛)委員 終わりますが、それが極めて正常だと思います。今大蔵大臣がお答えになったこのことが、まさに模範解答であります。しかし、それをしないのです。しないで今日に至っているのです。そして、護送船団方式か何か知らぬけれども、みんなでかばい合ったりして今日を迎えて、それがこの大きな大問題のこの緊急事態を迎える最大の原因になっているわけであります。ですから、今その大蔵大臣の模範答弁で済むのなら、それをまた各業界がやるのならば、日本はこういう事態になっていないのです。それをいかにしてやらせるかが今は政治の責任なのです。
そのことに真剣に取り組む決意がおありかどうか、その答弁を最後に総理にお聞きして、時間も参りましたので、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/56
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057・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 情報開示につきましては、今大蔵大臣が申されたことに尽きることと思いますが、やはりこれは、民間の各企業が、みずからの生き残りをかけてこれからの経営をやっていくという中で、やはりこれを明らかにして、そして国民の批判の前にきちんと答えを出していくという形の中でいたしていくことが私は筋だろう、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/57
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058・中野寛成
○中野(寛)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/58
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059・相沢英之
○相沢委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十九分休憩
――――◇―――――
午後一時開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/59
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060・相沢英之
○相沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
各案審査に関し、金融安定化問題等について、来る三十一日月曜日に、参考人として、株式会社日本長期信用銀行取締役頭取大野木克信君、株式会社日本リース代表取締役社長岡本弘昭君、日本ランディック株式会社代表取締役社長木村栄二郎君及びエヌイーディー株式会社前代表取締役社長中島省吾君、以上四名の出席を求め、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/60
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061・相沢英之
○相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/61
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062・相沢英之
○相沢委員長 質疑を続行いたします。
この際、池田元久君から関連質疑の申し出があります。中野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。池田元久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/62
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063・池田元久
○池田(元)委員 民主党の池田元久でございます。
きのうから委員会で、日本長期信用銀行、長銀の問題につきまして私もずっと聞いておりました。国民の皆様の最大の疑問は、三月の一千七百六十六億円に続いて五千億円を超える税金をつぎ込んで、なぜ、バブルに踊った関連ノンバンクの借金を棒引きにしなければならないのか。この皆様の最大の疑問は、解消するどころか、ますます納得できなくなりました。
政府側は、納税者に説明する責任があると思います。しかし、政府は、長銀の経営実態を明らかにしないまま、国民が愚かと言わんばかりに、金融システムの安定というお題目を繰り返すばかりでした。
政府が明快に説明できないのは、一つ、三月の一千七百六十六億円の税金投入について失敗であったこと、また五千億円以上の税金の投入は、つまるところ、関連ノンバンクとその大口借入先の生損保や農林系金融機関の救済であること、この二つを認めたくないからではないか。この二つを正直に認めて別の方法をとれば、政府の答弁も大分楽になったのではないか、そんな感想を持ちました。
まず、原則的なことをお伺いいたします。
長銀の言うとおり、三月の税金投入前には自己資本比率が入・八九%、また現時点でも債務超過ではないというならば、別に税金を投入しなくても、自己資本で不良債権の償却を続けていけばよいことです。一方、債務超過であれば、秩序立った処理をしなければならないと思います。これが基本的な原則ではないか。また、これこそが国民の皆様とマーケットの信頼を得る道ではないか。原則的なことをまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/63
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064・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 三月に金融危機管理委員会の御判断で資本投下が行われた。そのときの長銀の状況はおっしゃったとおりでございます。危機管理委員会としては、決定をされて投下されました。
その後、いろいろ危機説等々風説がありまして、株価が下がったりいろいろいたしたのは御承知のとおりですが、先般、長銀当局が、住友信託銀行と合併をするに際して、リストラ案を提示されました。それは私どもも拝見をいたしましたが、それによりますと、まずその前段として、日銀の考査においても金融監督庁の御所見でも債務超過でないということでございますから、債務超過でなければ資本を投下する基本的な条件はある。
リストラ案を見ますと、最初の七千五百億円という債務の処理の結果、長銀の資本は千数百億台に低下する、その状況において長銀は非常な資本不足となりますので、それに対して公的資本の投下をしてもらいたい、そういうのが長銀のリストラプランの基本でございますので、これはその段階で金融危機管理委員会が判断せられるべきことでございますけれども、そういう申請があれば恐らく審査の対象になるであろう、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/64
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065・池田元久
○池田(元)委員 本日、株が続落いたしまして、バブル後の最安値を記録いたしました。金融の危機は一層深まる気配です。
今、債務超過ではないとおっしゃっておりますが、長銀は原価法をとっておりますから、これは実質の話ですが、例えば一万四千円になるとどれだけ評価損があるか、含み損があるか。四千百七十四億円、こういう状態になっているわけです。実際は債務超過だが債務超過ではないと言うからいろいろ矛盾が出てくるのではないか、そう私は思います。
さて、今申し上げたとおり、世界同時株安の状況になっております。危機は深まる気配です。最も重要な課題であります大手銀行の危機管理策についてまず取り上げ、私なりに提案もさせていただきたいと存じます。
まず、対外取引の点についてお尋ねをしたいと思います。たびたび取り上げられました。
国際業務を行っている大手銀行が破綻した場合、国際取引、デリバティブ取引などに影響は出ます。しかし、その程度はどうか。長銀につきましては、経営の悪化につれて取引を手じまい、減少し、既に想定元本が五分の一に減っていると自由党の谷口議員が昨日指摘をいたしました。影響についてどう考えるか、簡潔に一言でお答え願いたいと思います。宮沢大蔵大臣、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/65
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066・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 確かにデリバティブスの総額は低下しつつあるであろうと思います。
しかし、けさ日銀総裁が言われましたように、デフォルトということになりますと、日本の銀行全体が国際的な信用を失って、いわばデリバティブス取引からは少なくとも締め出しを食うだろう。それだけのことから考えましても、やはり大変なことであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/66
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067・池田元久
○池田(元)委員 私もこの問題について、国際金融筋など、いろいろな方々から意見、考え方を聞いてみました。
破綻認定を行いますと、事務上の混乱、資産の劣化、他の邦銀への波及などが予想できますが、取引相手の格付などに応じて担保を提供し合っており、言われるほどの影響はないという見方がどうやら多いようです。長銀の想定元本は五十一兆円ある、日本発の金融恐慌は起こしてはならないというのは当たらないと思います。一種のイソップのオオカミ少年の話ではないか、そんな感じがいたします。
しかし、私は影響はないと言っているのではありません。また、大手銀行の破綻は初めてのことなので予測できないことがあるかもしれません。
そこで、私は、破綻認定と同時に、政府、日銀が、公的管理に置かれた間は、その銀行の債務の支払いは保証するという趣旨の、外国向けのいわばステートメントを出すのが一番よいと思いますが、外務大臣もいろいろ経験されております宮沢大蔵大臣からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/67
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068・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 先ほど日本銀行総裁の言われましたことは、そのテリパティブスの支払いそのものの可能か不可能かということもさることながら、そういうデフォルトが日本の代表的な銀行によって起こされたということ、それによって日本の銀行全体に対する信用が低下をして、いわゆるジャパン・プレミアムがふえるとか、いろいろな意味での日本の銀行そのものに対する疑惑、それがいろいろ波及することが多々あるであろう、そういう意味のことを日銀総裁言われましたので、支払いそのものが何かのやり方で可能であるかないかということはそれといたしまして、そのことから起こる日本の金融そのものに対する国際的な不信感、このことはやはり救いようがないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/68
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069・池田元久
○池田(元)委員 ですから、対外的なステートメントを出したちどうかと申し上げているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/69
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070・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 仮に政府がデリバティブスに関連の支払いをするということにいたしましても、代表的な銀行がデフォルトしたことには違いありませんから、政府がいかにこの我が金融システムは健全であると言いましても、そういう具体的な例が生じますと、恐らく説得力は余りないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/70
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071・池田元久
○池田(元)委員 後から、その点はまた具体例に即してお尋ねをしたいと思います。
長銀など大手銀行が破綻した場合どうなるか。後で御説明いたしますが、野党三党の金融再生法案を間もなく提案することになると思います。それにも関連いたしますが、長銀の場合とか大手銀行の場合どうなるか。実質債務超過であれば二つの処理方法があると思います。
一つは、従来の破綻処理のスキームどおり、受け皿銀行、この場合は住友信託銀行に正常債権を営業譲渡する。もう一つは、金融再生法案のように、株を全部国が取得して一時的に公的管理に入る方法があると思います。
海外取引の影響から見ると、最初の営業譲渡の方法では法人格が消滅するわけですね。これは国際的な慣行からいってデフォルト、債務不履行となってしまいまして、先ほどのステートメントを出してもリスクは残ると私は思います。
一方、株の取得による一時的な公的管理方法では、法人格は消滅しません。消滅しないので、ほとんどリスクはないと見られます。国際金融筋は、何ら問題はないと言っております。それに、公的管理銀行方式では、株主の責任をすぐ問えるという利点もあります。
私は、野党三会派の金融再生法案を軸にした提案をしたいと思うんですが、長銀が実質債務超過であれば、破綻認定と同時に株の取得と経営者の総退陣を内容とする公的管理に入ることを明らかにする、また、外国向けのステートメントを出す、以上を一括して行えば、混乱が避けられ、健全な借り手との取引も継続されることになります。税金でノンバンクの借金を棒引きするようなアンフェアなやり方も排除できると私は思います。私は、今の金融危機の深さからいって、この方法しかないと思います。まさに今やるべきことはこの方法ではないか。
以上の私の提案に対して、総理、大蔵大臣はどのように思われますか。国家の危機を管理する、この大変重大な事態に対して、今やるべきことは何か、そういう視点からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/71
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072・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 御検討せられました案の具体的な内容をまだ承っておりませんし、かたがた、この法案につきましては、政府・与党とも、各党のいろいろ御示唆に対して、あるいは御提案に対して十分に柔軟に対処して成案を得たいという基本的な態度でございますので、一つ一つのことを御批判申し上げるのはいかがかと思います。
ただ、強いて言えとおっしゃれば、国がとりますときに、私ども、このブリッジ法案をつくりましたときに一番苦労しましたのは、株主総会というものをどうするかということでございました。したがいまして、その点の問題がやはり法的には何か解決をしなければならないんじゃないかという、せめてそのぐらいなことを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/72
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073・池田元久
○池田(元)委員 御心配のところでございますが、我々はそこのところをもう鋭意検討いたしました。後からできた自民党案でも、特別決議をいかにクリアするかとか、いろいろございました。私たちは、デュープロセスといいますか、司法の手続をやはり入れた方がいいんじゃないかということで、破綻認定に当たっては、その認否を裁判所に求めるという手続を入れたわけです。(発言する者あり)金曜日に裁判所に出せば、当然日曜日の夜には返ってくる、そこまで考えておりますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
これはあくまで危機管理ですから、時限的にやることですから、大きな公益のためにやるということが前提としてあると思います。いかがでしょうか。そういうことでぜひ御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/73
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074・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 私どもがブリッジバンクを考えましたのは、できるだけその間に本体を身軽にしまして、嫁入り先の、いわゆる合併の話を二年間の間に促進したいと考えておりますので、御検討中の案につきましても、国有化されました後も不良債権が排除されまして、なるべくいいものが残って、そしてさらに、合併先があった場合に合併が可能になるような、そういうことを御考慮いただければというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/74
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075・池田元久
○池田(元)委員 私は、政府・自民党が出したものは、いろいろ批判点は多いのですが、この際批判ではなく、私どもの建設的な提案、対外ステートメントを含めた私なりの提案をさせていただきました。ぜひ御理解を深めていただきたいと思います。
FRBのグリーンスパン議長も、日本の金融行政には迅速さが必要だ、従来のカルチャーというのですか、文化や慣行に反しても、ドラマチックな方法で断行しなければならないと。まさに今申し上げたこと、ドラマチックな方法で金融危機を管理し、乗り切る、それが今必要なことではないかと思います。
さて、この金融危機管理の問題については多くの論点があるのですが、次に、これはどうしても避けて通れない資本注入の問題、税金投入の問題について取り上げたいと思います。
三月に、にわかづくりの金融危機管理審査委員会が、大手銀行など二十一行に、合わせて一兆八千億円余りの税金の投入を決めました。大変な額のお金です。標準家庭で六万円のお金になります。しかし、政府・与党が鳴り物入りで言っていた貸し渋りの減少については、宮沢大蔵大臣はきのう、貸し渋りには役に立たなかったと、まるで人ごとのようにおっしゃいました。貸し渋りで苦しんでいる中小企業経営者はどう感じたでしょうか。私は、あきれるばかりと言わざるを得ません。
さて、とのうち長銀は、三月の資本注入の際、ここに申請理由がございますが、「金融システムヘの不安感の高まりは、当行においても以下の状況を引き起こしております。①外貨調達への金利上乗せ(いわゆるジャパンプレミアム)が急速に拡大し今日まで目立った改善が見られぬまま継続し、外貨調達コストの著しい増加を招いている。」などを挙げて、いわばこれはきれいごとですね、そういうことを並べて、税金の投入を申請いたしました。金融危機管理審査委員会は、この理由を認めた上、長銀の経営状況が著しく悪化していない、また資金繰り破綻のおそれもないなど、あの複雑といいますか、乱反射をしてわかりにくくする意図があるとさえ言われております基準に当てはめ、一千七百六十六億円の税金の投入を決定しました。
政府が引き受けた優先株は、その後どうなったか。きのう、民主党の仙谷議員の質問に対して大蔵省は、株価の大幅下落により、国が一千三百億円で買った優先株は、現時点では一千億円以上の評価損が出ていることを認めました。
元本に含み損が出ているばかりではありません。先日の長銀の発表によりますと、優先株は無配になりました。年間十三円の配当はゼロになったわけです。つまり、国が得られる配当十三億円はなくなるということです。得べかりし利益というのですか、それがなくなった、損失が生じた。
これは一体どうなるのでしょうか。わずか五カ月で、一千億円の評価損が出て、配当もなくなり、いわばぼろ株同然となったわけです。
皆さんは損失は確定していないと言うでしょうが、税金をこんなふうに使っていいんですか、税金をこんなふうに。国の財産を危うくしていいんですか。そういう六十年前のRFCのまねをしてもだめなんです。国家国民に損失を与えているのではないか。不明だったと言うんですか。責任はどうするのか。
まず、税金投入を、つまり優先株を引き受け、税金投入を全会一致で決めたいわゆる佐々波委員会、長たらしい名前の金融危機管理審査委員会に聞きたいのですが、その委員長はこの時期に、八月十六日から外国に行っている。全く無責任だと私は思います。
佐々波委員長にお尋ねできませんのでと言うと大変失礼ですが、その当時も内閣の一員として承認を決定した小渕総理大臣に、責任をどうするか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/75
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076・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 ちょっと委員のお尋ねを、あるいは間違っておとりしてはいかぬかと思いますが、責任ということにつきまして、佐々波委員会の対応についてということでございましょうか。あるいはまた、それは……(池田(元)委員「閣議にサインして、評価損が出ているということです、配当十三億が少なくとも」と呼ぶ)わかりました。
それでは、三月の資本投入のことにつきましてお尋ねがございましたが、これは優先株あるいは劣後債、こういう形で今投入をしておるわけでございまして、現時点におきましての評価でなくて、これは最終的に決定をすべきものでございまして、この時点におきましての市場における株式等の変動につきまして、この時点での責任ということにはこれはならないのではないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/76
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077・池田元久
○池田(元)委員 政治家である総理の発言としては極めて残念です。そんな、法律的に評価損が現実化していないとかなんとか、当たり前じゃないですか。しかし、国民の財産をそういうふうに危うくしていいのか。しかも、無配当になって十三億円損失が出ている。税金を大事にしない、この発言に対して、私は国民、納税者の皆さんとともに大変残念に思うものです。
以下、この議決に関係した御三方に一言ずつお尋ねをします。これは国民の税金がそういう使われ方をしているわけですから。
自民党の関係ポストの長をしていた、また、現在審査委員会のメンバーであります大蔵大臣に、一言お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/77
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078・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 その前に、昨日の私の答弁の中で確かに、この資本投下は貸し渋りの期待された効果を上げませんでしたと申し上げましたが、本来のこの投下の目的は、御存じのように金融システムの健全化のためでございますので、その点は誤解をいただかないようにお願いをいたします。
そして、資本投下をいたしまして、日本の金融システムは、あのときに危機に陥りましたけれども、それはともかくも維持することができた、そういう意味で目的を達しつつあると思います。
それから、政府の投下いたしました資金というものは、御承知のように、将来回収されるということを期待されておりまして、ただいまの段階で評価損が出ていることは、それはもうそうでございますけれども、先々それは損のない形で回収をすべく努力を続けていくということに変わりございません。
もともと、何か利益を得るという目的でこの資本を投下したわけではございませんので、ただいまそれに評価損が生じておりましても、投下した目的はそれによって疑われるものではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/78
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079・池田元久
○池田(元)委員 宮沢さんともあろうものが、おわかりでしょうけれども、もうぼろ株同然なんですよ。そして、これから入れる税金投入、資本注入につきましては、優先株を引き受けてもそれが処分できるかどうか、そこが一番難しいところなんですよ。そういう状況ですよ。それをのうてんきに、処分できるだろう、損はしないだろうと。そんなのが通りますか。
それから、貸し渋りが金融安定化措置法の大きな目的であったことは、はっきり法律にも書いてあります。
さて、もう一人、審査委員会の議決に加わった預金保険機構の松田理事長、一言責任についてお話をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/79
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080・松田昇
○松田参考人 お答えをいたします。
三月の資本注入のときには、私ども審査委員会、全力を挙げて厳正に、法令とそれからそれに基づいて作成いたしました審査基準、これは公開をいたしております。それから、各行から出された経営健全化確保計画も公開をいたしておりますけれども、それにのっとって慎重に審査をいたしました。やれる限りの努力はしたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/80
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081・池田元久
○池田(元)委員 不明を恥じるというぐらい、検察出身の方だからおっしゃると思いましたが、極めて残念です。
さて、これからお尋ねするのは、責任も一部あるとは思うのですが、当時自民党の幹事長代理で、大蔵、日銀、銀行業界のモラルについて、モラリスティックアプローチといいますが、との方が一番やっていらっしゃると思います。たびたび発言されております野中官房長官、私は野中さんだけは違うのじゃないかと。こういう国民の税金の使い方、私は本当に残念です。それでいいんだという声が後ろからありましたので、それがまた非常に悲しくなりました。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/81
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082・野中広務
○野中国務大臣 委員に申し上げるまでもなく、政治家たる者、その節々において責任を感ずるのは当然のことでございます。
この数年間、私どもは、ある意味において、改革すべきところを先送りをしてまいりました。残念ながら、共産党を除くすべての政党が政権にかかわってきたわけであります。私もまた、その中に、長期に政権を担当した自由民主党に所属する者として、今日の事態に深刻な責任を痛感いたしております。また、ここに至る間、高利貸しにもまさるような金融機関の不祥事は、一人の国民として絶対に許せないことであります。
けれども、委員が先ほど来おっしゃっておりますように、国家存亡の重大なときでございます。ぜひ、皆さんの御理解をいただいて、本法案が早期に成立いたしますよう、皆さんのせっかくの御理解を賜りますことをこの機会にお願いを申し上げておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/82
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083・池田元久
○池田(元)委員 若干、野中官房長官には失望いたしました。前半のお話は大変私はしっかりとお聞きいたしました。しかし野中さん、こんな税金の使い方をされて本当にいいんですか。それで、しかも責任はどうでもいいみたいな、こんなことがまかり通るというのは、私は全くおかしいと思います。
政治家は少なくとも形はどうであれ、責任をとらなければならない。やったことが間違ったことであれば、損失を与えるおそれがあるとすれば。もう既に一部損失が出ている。私はそういうことを申し上げたいと思います。
国が個々の国民に損害を与えた場合には国家賠償訴訟が起こせるが、国家に被害を与えた場合は、行政府の人間、公務員に背任や賠償責任を問えないことになっています。これは聞きました。大変これは一方的な話であると私は思います。私は、法律はともあれ、関係大臣には大きな責任がある、そしてまた、たとえ民間人であろうと、ポストの更迭や自発的な辞任という責任のとり方もあろうかと思います。評価損は長銀だけで一千億円以上、全部合わせると七千億以上なんです。
さて、この問題ばかりやっているわけにはいきませんので、今後の税金投入、資本注入についてお尋ねをしたいと思います。
八月二十一日の長銀の処理策で、総理大臣は、談話で、両行の合併について最大限の支援を行っていきたいと述べております。また大蔵大臣と監督庁長官も、合併が金融システムの安定に役立つなどとして、資本注入の申請があれば適切に対処していくと述べております。最大限の支援とか適切に対処と言っているわけですが、この資本注入、つまり税金の投入はどのくらいになるのか、お尋ねをしたい。多額の税金を使うことですから、納税者に明確に答弁していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/83
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084・日野正晴
○日野政府委員 お答えいたします。
長銀が申請することによりまして金融危機管理審査委員会が審査されることになると思いますが、いかほどの金額になるかということは、長銀がこれからさまざまなリストラ策を実施していった上で検討されることになるものと思料いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/84
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085・池田元久
○池田(元)委員 現在の長銀の資産状況から見て、さらに六千五百億円程度の資本注入をすることになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/85
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086・日野正晴
○日野政府委員 お答えいたします。
金額はいかほどになるかは、長銀が決めた上で申請されることでありますので……(池田(元)委員「見込みは」と呼ぶ)見込みについても、私どもの方でお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/86
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087・池田元久
○池田(元)委員 大変遺憾です。
別の面から検討したいと思います。
長銀の自己資本比率は、発表によりますと、これはあくまで発表ですからね、実態は違うのではないかという疑いが極めて濃厚です。ことし三月期に一〇・一八%でしたが、きのう監督庁長官は、仙谷議員の質問に対して、長銀からの報告として、次の九月期は約六%、来年の三月期は約四%になると言いました。これは流れで見ていくと、一〇%が六%、四%になる。次は何%ですかね。健全だと言ってきた銀行の自己資本比率が、税金を投入しても一向に改善されない。大変問題です。
これはそうですが、ここでは私は、下期に二%自己資本が減少することに注目をしていきたいと思います。私は会計学には縁のない人間ですが、まあ小学校の算数ぐらいはわかりますので。
長銀の自己資本比率の分母、いわゆるリスクアセットというものですが、およそ二十兆円あるわけです。ですから、二%ということは約四千億円になる。二十兆掛ける〇・〇二ですから、そうなるわけですね。これはだれでも計算できます。この分母を貸借対照表の資産二十六兆円に置きかえますと、自己資本は五千二百億円になる。これは初歩の数学の話です。つまり、長銀はことし下期で自己資本が約五千二百億円減少することになります。こういう計算でいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/87
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088・日野正晴
○日野政府委員 お答えいたします。
昨日私が仙谷議員に申し上げたのは、あれはいわゆる連結ベースで申し上げたわけでございまして、今委員が計算されたのをお聞きしておりましたところ、長銀単体でございますので、数字は違ってくるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/88
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089・池田元久
○池田(元)委員 連結と単体ということがありますが、自己資本の減少というのは、長銀単体と連結の関係からいって、ほとんどそういうことは単体で行われているというふうに専門家は見ておりますね。
五千二百億円じゃなくてもいいです。五千億円でもいいんです。下期に自己資本がおよそ五千億円減少するのは、上期に不良債権の処理を七千五百億円やるわけですね、それに加えてさらに五千億円を不良債権の処理に充てると考えていいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/89
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090・日野正晴
○日野政府委員 お答えいたします。
ただいま長銀が発表しておりますリストラ計画では、今のところは不良債権としては七千五百億円償却するということでございまして、さらに償却引き当てが必要になるかどうかは、やはりその後の様子を見てみないとわからないのではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/90
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091・池田元久
○池田(元)委員 ただいまのところ七千五百億円までだと。そんなのんきなこと言ってられますか。長銀の不良債権の額はどうですか。どなたか、不良債権の償却はさらに必要だと、たしか宮沢大蔵大臣、そんなことおっしゃいませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/91
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092・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 私は、計数を存じませんので、申していないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/92
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093・日野正晴
○日野政府委員 お答えいたします。
これは長銀が発表していることでございますが、連結ベースで、上期には一連の処理を有税償却で行うことによって税効果が見込まれる、しかし、下期になりますと無税に振りかわることによりまして税効果分が減少するために、その結果、自己資本比率が四%程度に低下することが予想されます、そのため、株価の動向等によっては四%を下回ることもあり得るために今回公的資金の申請を行うことを決めた、こういうふうに言っておりますので、私どももそのように承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/93
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094・池田元久
○池田(元)委員 それは当然連結ベースの話ですね。そうですね。それでよければいいです。
次に、今四%という数字が出てきましたが、来年三月期に長銀の自己資本比率が約四%ということは、住友信託銀行と合併した場合、住信の来年三月期の見込みが九・八%という数字が出ております。そうしますと、合併後の銀行は、そのままでは国際業務を行うための自己資本比率八%を下回ることは確実です。ということになると、第三次の資本注入が行われることになると思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/94
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095・日野正晴
○日野政府委員 お答えいたします。
ただいまの四%という数字は、このたびの資本注入をするという前提の前の話でございますので、そのように理解していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/95
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096・池田元久
○池田(元)委員 資本注入の前の数字が約四%というのは本当ですか。自信ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/96
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097・日野正晴
○日野政府委員 長銀がそのように申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/97
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098・池田元久
○池田(元)委員 私は、六月二十二日から発足して、ある種の期待を持った金融監督庁、そして長官が、このようなことも正確に把握をせずに伝聞で言っているということを大変残念に思います。これ以上質問する気になれなくなりました。(発言する者あり)中止をするわけにはいきません。
それで、密室行政と言われておりますが、それから護送船団行政、余り決めつけの言葉は私は好きじゃないんですが、三月の無原則な横並びの税金投入はまさに護送船団以外の何物でもない。それから、八月二十日の官邸での会談は、まさに密室行政そのものであります。
八月二十日深夜、総理大臣官邸に住友信託銀行の高橋社長を呼び出し、総理、官房長官、監督庁長官が協議をした。総理は高橋社長に何をおっしゃり、高橋社長は何と答えたか、率直にお答え
いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/98
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099・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 私は、かねてから申し上げておりますとおり、日本発の金融恐慌は決して起こしてはならない、こうしたかたい決意のもとに金融システムの安定を図っていく考え方でありまして、このような観点から両行の合併構想の実現を願っておったところでございます。
こうした中で、去る二十日に金融監督庁長官より、長銀から極めて思い切ったリストラ案が提示される予定であるとの説明をお聞きいたしました。私は、長銀の合併予定行である住友信託の高橋社長と面談をいたしまして、その内容を伝えるとともに、政府としての支援をしていく方針を伝えたところでございます。
いずれにせよ、今回の合併構想は両行の自主的な経営判断に基づくものでありまして、御指摘のような密室行政に当たらないと考えておりますが、総理大臣公邸でこのことが行われました当日前後、たまたま予算委員会等が開かれておりまして、なかなか時間的余裕がございましたので、そうした形で公邸にお招きをいたしましてお話をいたした次第でございます。私は、そういう意味で、決して密室で内々にということではありませんで、このことについては堂々とお話を申し上げておることでございますので、御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/99
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100・池田元久
○池田(元)委員 反論したくはないんですが、あれは高橋さん一人じゃなくて、前の会議か何かに紛れて会談を開く予定だったわけですね。ですから、そういう意図がありますから密室なんですよ。こういうのを密室と言うんです。それで、密室であるとか密室でないとか言っても繰り返しになるばかりですから、金融監督庁にお尋ねします。
金融監督庁、六月二十二日に発足して、我々は日本の金融監督体制の強化が必要だという立場でいろいろやってきました。そういう意味で注目していたのですが、この間の監督庁の対応には本当に疑問がある。
日野監督庁長官は二十日、官邸の会談の前に住友信託銀行の高橋社長を呼び出した。また、日野長官は高橋社長に、現在進められている長銀の検査について、債務超過でないという説明をしたとされております。野中官房長官も翌日の記者会見で、日野長官が検査内容について話をされたと述べたが、会見後、事務方がこれを訂正する一幕もあったという報道がなされております。金融にかかわる話だといいますが、これはやはりやり過ぎではないでしょうか。
税金を投入する金融機関の経営内容を、守秘義務を盾に国民や我々国会にほとんど知らせない一方、ほかの銀行に検査中の別の銀行の検査内容を明らかにしたとすれば、全く公正を欠いた行為と言うべきです。日野さんのお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/100
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101・日野正晴
○日野政府委員 お答えいたします。
せっかく答弁の機会を与えていただきましたので、先ほどの四%について若干敷衍して申し上げたいと思いますが、長銀はそう言っておりますが、私どもは今その真偽について検査によって確かめているということをひとつ御理解いただきたいと存じます。
それから、八月二十日のことでございますが、これは六月二十六日に両行から合併の構想が発表されました。私どもとしましては、この合併はこれから日本の金融界にとりまして大変喜ばしいことではないかということで、その当時も長官の談話を発表させていただいたと思いますけれども、それ以来両行が、来年の四月一日の合併に向けましてもろもろの手続がございます。これはさまざまな手続がございまして、これを一つ一つクリアしていかなければなりませんので、随時、事務方ももちろんですが、頭取レベル、社長レベル、あるいは副頭取、専務、いろいろなレベルを通じまして、両行との間では緊密な関係を持ちながら、いろいろ事情を聞かせていただいたわけでございます。
その結果、長銀がリストラ策をいよいよまとめることになったということになりましたので、そのことを総理にも御報告申し上げますとともに、高橋社長にもその日の朝私がおいでいただいて、リストラ策についてこういうことになったようですよというようなことから、支援するという方針を打ち出すことになったものでございまして、今御指摘がありましたように、まだ検査が済んでおりませんし、またその検査の内容、あるいは債務超過かどうかということについて、国会にさえ言えないようなことを私が他の一企業の社長に対して言えるはずもございませんし、また言ったこともございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/101
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102・池田元久
○池田(元)委員 とにかく、残念ながら、監督庁の信頼性に疑問符がついたということは言わなければなりません。
日銀総裁、日銀総裁は八月十九日の予算委員会で、長銀、住友信託銀行の合併構想について、住友信託銀行の方から連絡を受けたと言っておりますが、実際はどうだったですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/102
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103・速水優
○速水参考人 本合併構想は、あくまでもその当事者間で自発的に合意されたものだというふうに理解しております。
ただ、両行から合併構想の公表に向けて検討中であるという連絡を内々受けておりました際に、私より、仮に決断されるとすれば我が国金融システムの安定と信認回復に大きく寄与すると考えられるということは申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/103
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104・池田元久
○池田(元)委員 速水日銀総裁、そういうことをおっしゃっていいんですか。御連絡を受けまして、会った。住友信託銀行の方は大変反発しております。あなたがアメリカの意向も受けて積極的に、強く働きかけたわけじゃないんですか。もう一度答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/104
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105・速水優
○速水参考人 けさほどから申し上げておりますように、長期信用銀行のような大きな銀行が破綻を来すといったことは、今までも、世界市場の中でも例のないことでございます。それはそういうことが今日本を、この非常に苦しい時期に起こったとすれば、これからの日本経済はもとよりのこと、日本への信認というのは一段と……(池田(元)委員「あなたの態度を聞いているんだ、あなたの対応を」と呼ぶ)一段と……(池田(元)委員「本当だったのかどうか」と呼ぶ)だから、それは私は両方から話を聞きまして、それは大変結構な話であると思うからぜひ前向きに進めていただきたいということを申しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/105
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106・池田元久
○池田(元)委員 関係者は、速水さん、あなたが、評価は別ですよ、事実として、積極的に動いたと。そうであればそれでいいじゃないですか。住友信託銀行の方から連絡を受けてこう言ったんだと。これは金融ですから信頼の問題があるわけですよ。それで反発しているわけでしょう。そういう状況になっているわけです。
合併構想が心配だといって、いろいろ、住友信託の高橋社長をできるだけ参考人に呼ばないとかそういうことがありますが、高橋さんに聞けばそういうことが明らかになるわけですよ。私は、そういうことはおやりにならないで、率直に中央銀行総裁としての、事実関係ははっきりお述べになったらいいじゃないですか。違いますか。
そういう、積極的に強く、強要という言葉がありますが、目的は大変いいと思ったかもしれない。中央銀行総裁が強くやった。そしてそれを隠べいして、自分から声をかけたのに、相手からありましたって、こんな隠ぺい的な体質ありますか。小さな事実といっても象徴的な話ですよ。今大分話題になっていますよ。これは心配しているわけです。
今いろいろ申し上げましたが、密室行政ということで、民間銀行の合併に総理大臣が暮夜ひそかに銀行の社長を呼び出す、監督庁長官は、やぶの中ですが、検査内容について何か言ったらしい、野中官房長官も一言会見でおっしゃいました。そしてまたさらに、日銀総裁は相変わらずそういうことを言っていらっしゃる。私は、全体を見れば、ルールにのっとった金融行政であることを願っているのですが、ルールがない金融行政のもとでの露骨な政治介入と言われてもやはり仕方がないのではないかと思います。
官房長官が答弁を求めていらっしゃるので、ぜひ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/106
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107・野中広務
○野中国務大臣 八月二十日の夜のことについて委員御指摘でございますけれども、私ども、これが密室で行われたなど考えておりません。しかも一私の会見でやや誤解を生んだ向きがあるようでございますけれども、検査内容が言われたわけでなく、いわゆる長銀と住友信託の経営判断による自主的合併の経過について日野金融監督庁長官から御報告があり、そして長銀の大胆なリストラ策、今日詰められておる現況をお話しになったわけでございます。その点を詳細に言わなかったために補充をさせていただいたわけでございまして、先ほど日野長官がここで答弁をされたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/107
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108・池田元久
○池田(元)委員 私は、この一連の動き全体をまとめて言えば、まだそういう密室行政から抜け切っていないな、やはりそのためにはルールのある金融行政が必要だ、そういう密室、護送船団行政ですから、日本はここまで来てしまったわけです。なお私はこのことを皆様方に強調していきたいと思います。
残念ながら金融再生法案、民主党、平和・改革、自由党がつくりました、この全般的な危機に対応できる金融再生法案、自民党のことは余り批判したくはありませんが、ブリッジバンク法案というのは、もう既に政府関係者も言っているとおり、第二地銀以下というか、中小の金融機関の破綻の処理ぐらいしか適用できないというのが通説になっております。我々の金融再生法案は、まさに今危機の核心でありますマネーセンターバンクの危機にも対応できる、しかも政府案のように二段階でやるというのではなくて、我々は一挙にやる。迅速さ、グリーンスパン議長も言っております。まさに、この法案を皆さんも一致して迅速に成立させることが当臨時国会の使命であると私は申し上げたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/108
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109・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 誤解を生ずるといけませんので、昨日も何度も申し上げましたが、ブリッジバンクの法案というのは、もし仮に大手銀行が合併のことなどがなくて破綻に瀕しましたときには、この制度しか救いようがないのです。この制度で救って、そして中身をよくして合併先を探す二年間、これがこの法案のメリットでございますから、大銀行に適用がないなんということは、昨日もあれだけ申しました。それこそこの法案の一つのメリットだということは、あれだけ申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/109
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110・池田元久
○池田(元)委員 まあ、法案を通すというか、提出する立場ですから、割り引いて考えますが、宮沢さんの、大蔵大臣になってからの発言とその前の発言は違うのです。テレビでも言っていたじゃないですか。中小ぐらいしか適用できないのだとあなたは言ったじゃないですか。テレビ朝日でも言っていましたよ。私のところに発言録もありますよ。(発言する者あり)今までも幾らでもあるじゃないですか。そのことをはっきり私は申し上げまして、終わりたいと思います。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/110
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111・相沢英之
○相沢委員長 この際、お諮りいたします。
最高裁判所石垣民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/111
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112・相沢英之
○相沢委員長 御異議なしと認めます。よって、
そのように決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/112
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113・相沢英之
○相沢委員長 この際、枝野幸男君から関連質疑の申し出があります。中野君の持ち時間の範囲内でこれを許します。枝野幸男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/113
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114・枝野幸男
○枝野委員 私は、金融関連六法案と言われているものの中で、不動産に関連する権利等の調整に関する臨時措置法案という大変長ったらしい名前ですが、世間ではゼネコン徳政令法案と言われておりますし、先日の本会議での質疑では、私どもの仙谷由人議員から、恥知らずな法案ということで指摘をさせていただきましたが、この法案の問題点について質疑をさせていただきたいと思います。できるだけイエス、ノーで答えられるように端的に聞かせていただきますので、余計なことはお答えにならずに、聞かれたことだけお答えください。
まず、前提として、法人税法、法人税について大蔵大臣にお尋ねいたします。
法人が寄附をした場合、あるいは債権を放棄した場合、法人税法三十七条で特に規定されている場合、例外的な一部の場合はありますが、原則として、寄附金や債権放棄をした金額というのは損金に算入されずに課税の対象になる、これはよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/114
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115・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 御質問の理由を考えますと、例えば今御審議になっております長銀の問題ですが、こういうリストラ計画などで債権を放棄する、全体の大きな計画の中で自分の立場を守るために債権を放棄する、何かの理由で。こういうことは、いわば普通の意味での寄附とは違う、チャリティーとしての寄附とは明らかに違いますから、そういう場合にはこれを寄附と考えるべきかどうかという問題があると思います。したがって、寄附でないと考えます場合には、これは損金になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/115
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116・枝野幸男
○枝野委員 今のどこが損金になるのかならないのかということは後ほどお尋ねしますが、当法案、権利調整法案について一この法律の三十五条に課税についての特例という規定がございます。幾つかの意味、同じ表と裏と、債権の放棄をした側と債務の免除を受けた側と、裏表の関係、いろいろありますが、端的に損金算入があるのかないのかというようなところで絞ってやっていきたいと思いますが、三十五条で寄附金の額に含まれないものとされるケース、どういつだ条件で寄附金の額に含まれない、つまり課税の対象にならない、その条件は何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/116
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117・柳沢伯夫
○柳沢国務大臣 社外流出があった場合に、先ほど大蔵大臣が言ったように、堂々たる寄附というのが一つあるわけです。公益法人に対する堂々たる寄附。それから、一方的な社外への資産あるいは資金の流出なんだけれども、これは何だろうかというようなことがあるわけですけれども、一番我々が損金性を否認しなければならないのは、これは利益操作あるいは利益調整と言われるような形で一方的な資金の流出を行うような場合。その他の場合には、経済的な合理性がありということになれば、これは損金性を認めるというのが経営者の主観的な気持ちだし、また、課税当局もそのことをよく審査の上そういうことを認容する、こういう仕組みになっております。
そこで、この法律は、そういう一般の課税当局の認容というものを一種定型化して、そしてこれを事前的に、画一的に損金性を認めていこう、こういう趣旨を規定したものであります。
その要件は何であるかということでございますが、これは、企業の再建、債務者たる企業の再建ということが一つあって、そして、その企業の再建の中で自分の放棄してしまう債務以外の残余の債務の弁済可能性というものも高まる、こういうようなことを念頭に置きつつ、債務の免除について、放棄について合意を行う。その合意については、調停人がこの三つの条件であるところの公正、それから妥当、遂行可能性、こういうようなものをしっかりと見きわめて損金性を認める、こういうスキームを今度確認的につくった、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/117
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118・枝野幸男
○枝野委員 お尋ねしたことにお尋ねしたようにお答えください。
寄附金の額に含まれないものとされる要件、法律上の要件を答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/118
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119・柳沢伯夫
○柳沢国務大臣 要件と申しますのは、このスキームに乗っかった、そういう債務の免除ということになるわけで、先ほども申し上げましたように、債務者の企業の再建に寄与し、そしてまた、そのことを通じて弁済可能性が高まるということを念頭に置きつつ、債務の免除について公正、妥当、遂行可能な合意が行われること、これがこの要件だということが言えようかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/119
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120・枝野幸男
○枝野委員 しょうがないですから、順番に聞きましょう。
三十五条、例えば一項では、法人が、調停における合意等に基づき、利益を無償で供与し云々の場合に寄附金の額に含まれないものとすると。調停が成立をしていれば無条件で税は安くなるという理解でよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/120
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121・柳沢伯夫
○柳沢国務大臣 調停が行われ、それが関係者によって受け入れられるということによって、今申したような事態に立ち至る、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/121
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122・枝野幸男
○枝野委員 調停が成立するというのは、調停に参加している当事者が全部合意した場合は成立すると申し上げる。その調停が成立をすることだけが税の免除の条件なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/122
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123・柳沢伯夫
○柳沢国務大臣 それはそのように解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/123
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124・枝野幸男
○枝野委員 当事者がこれでいいと言って合意をしたら、それだけで税が免除されるのですか、本当に。そんなのはおかしいんじゃないですか。税の免除を債権者と債務者と、例えば二者でもあり得ますね、この調停は。債権者と債務者とどちらもこのスキームに乗っかれば税が安くなるわけですから、その当事者だけで税が安くなるなんてことはおかしいんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/124
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125・柳沢伯夫
○柳沢国務大臣 そういう二者だけの場合は、いわば私的な合意ということになるわけでございます。
その場合には、先ほど言ったように、一般の現行税制のもとで、税務署の認容が事後行われて初めて損金性が確定する、こういうことになるわけで、このスキームはそうではなくて、事前的にそういうことをやろうということですから、そこに調停委員会というものを設置して、そして一定の行政が介入することによってそのことを成就する、こういうスキームであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/125
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126・枝野幸男
○枝野委員 つまり、不動産関連権利等調整委員会というところが絡んでいるから、そこが絡んでいるから、自動的に、調停が成立をしたら税が安くなっても構わないというスキームですね。
そうすると、不動産関連権利等調整委員会は、税の見地から見ておかしいと思ったら、当事者間で合意ができていても調停を成立させないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/126
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127・柳沢伯夫
○柳沢国務大臣 ちょっと質問の趣旨がよくわからなかった面もありますけれども、合意が成立するということでありますが、その合意については、公正、妥当かつ遂行可能であるということが必要だ、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/127
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128・枝野幸男
○枝野委員 もう一度確認して聞きますが、調整委員会が公正かつ妥当で遂行可能な合意であるというふうに認めない場合には、当事者同士では意見が一致していても調停は成立をしない、これでよろしいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/128
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129・柳沢伯夫
○柳沢国務大臣 それはそのとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/129
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130・枝野幸男
○枝野委員 では、この公正かつ妥当ということの中の意味に、税の見地から合理的な、公正な、公平な内容になっていなければ調停は成立させないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/130
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131・柳沢伯夫
○柳沢国務大臣 委員がどういうことを念頭に置いてそういう質問をなさっているか、ちょっとよくわからない面もありますけれども、これはあくまでも、この法律で認めることは、この調停委員会が関与しない形で、今言ったように合意があって、それを税務署に持っていって認容されるようなケースを、その調停委員会がすることによって、事後の認容、それは非常に法的に不安定ですね、そういうものを事前的にもうこの調停委員会が関与して、それが調停委員会が公正、妥当でかつ遂行可能だということを確認できれば、それで税の方の損金算入、税の措置を発動させよう、こういうことになっておるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/131
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132・枝野幸男
○枝野委員 いいですか、つまり今おっしゃられていることは、本来はいろいろなことが終わってしまってから税務署に申告をして、そこで税務署が認めるか認めないか判断することを、事前にこの調整委員会のところで認定をしてしまうというスキームですね。ということは、当事者間では、いや、こういうやり方でいいじゃないかと言っていても、調整委員会がだめだということがあり得るという理解でよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/132
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133・柳沢伯夫
○柳沢国務大臣 それは当然であります。委員会は、それが公正、妥当、遂行可能であるということをやはり独自に判断をして、そして初めてこのスキームを動かす、こういう仕組みであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/133
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134・枝野幸男
○枝野委員 ところで、現在の法人税法の損金算入を認めるか認めないかなどについては、本来はこんなものを通達でやってもらっては困ると思うんですが、法人税基本通達の中に、例えば九-六-一とか九-四-一とか九-四-二とかという通達があって、とりあえずの基準があります。どういつだ場合に損金算入されるのかされないのか、こうした基準はつくらなくてよろしいんですか。それとも、現在存在している法人税法の通達に準拠してこの調整委員会は認定をしていくんですか。どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/134
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135・柳沢伯夫
○柳沢国務大臣 公正、妥当、遂行可能ということは、今委員がお引きになられた法人税法の通達と軌を一にしているものであるというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/135
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136・枝野幸男
○枝野委員 それでは、そこから先は、柳沢大臣よりも、今現在の法人税法を担当している大蔵大臣にお尋ねをした方がいいと思いますが、まず抽象的にお尋ねしましょうか。
今回の長銀の日本リースに対する債権放棄、これは、現行の法人税法のスキームの中では損金に算入されますか、されませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/136
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137・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それは、債権放棄の内容が何であるかによって決定すると思います。
基本的には、先ほど申しましたように、いわゆる寄附であるかどうかということは、チャリティーとしての寄附ではなくて、その本人自身がいろいろリストラ等の計画があって自分としてはそれ以外にどうも生きられないというような動機から発します種類のものは、まあ普通の寄附とは違うなということは考えてもいいと思いますが、特定の、今長銀が日本リースとの関連で貸し付けを放棄するということは、具体的な内容に立ち入ってみませんと、申し上げられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/137
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138・枝野幸男
○枝野委員 それでは、長銀の話を離れまして、一般的な場合についてお尋ねをいたします。
多くの債権は担保権がついている場合があります。債権者が最優先の、第一順位の担保権を持っている。その債権を放棄した場合には、当然のことながら損金に算入することは認められませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/138
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139・大武健一郎
○大武政府委員 お答えさせていただきます。
ただいま、優先担保権を放棄するような債権放棄は経済合理性が認められないんじゃないか、こういう御質問かと思いますが、債権者としては、債務者が再建計画に基づき再建されて取引関係などが継続されることによる利益を考慮に入れて再建計画に合意することもあり得ると考えられますので、優先担保権を放棄するような債権放棄であるかちといって、それが直ちに経済的合理性が認められないとは言い切れないのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/139
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140・枝野幸男
○枝野委員 まず、事前の通告のときに、政府委員の方ではなくて、これぐらいのことは当然大臣にもお答えになれる基本の基本だと思いましたので、大臣にお答えくださいというふうにお願いをしておったんですが、大臣にはお答えになる能力がないようでございますので、仕方がありませんね。
それでは、ただいまの問題についてさらに突っ込ませていただきますが、確かにおっしゃるとおりです。優先担保権を放棄する場合でも損金算入が認められる場合があり得ると思います。それは、優先担保権を放棄した方がトータルとしての回収の可能性が高いということが認められる場合であるというふうに思います。
ということは、その優先担保権を実行すれば債権全額が回収できるようなケースについて放棄をすれば、これは損金算入は認められませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/140
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141・大武健一郎
○大武政府委員 ただいま申しましたとおり、あくまでも、その当該企業にとって、言ってみますと、債権放棄そのものがいわば必要である、自分たちにとって、まさに経費性を認めるかどうかでございますから、当該企業にとってその債権放棄が必要であるかというところに一番の力点が置かれるということかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/141
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142・枝野幸男
○枝野委員 今の企業というのは、債権者企業ですよね、当然のことながら。しかし、債権者企業にとって利益があるかどうかというのは、経済的側面でとらえるんでしょう、税金を免除するんですから。
つまり、優先担保権を実行すれば全額債権回収できるのを放棄をするなんてことが、確かに、債権者企業にとって利益があることはあるかもしれません。日本リースがつぶれたらもしかすると手が後ろに回るかもしれないと思ったら、放棄しちゃった方がいいなんて考えるかもしれませんが、そういう経済的利益以外のところの話は関係ないですよね、税金の免除をする以上は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/142
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143・大武健一郎
○大武政府委員 これはなかなか一般論でお答えするのは難しいのかと思いますが、あくまでも、債権者としては、債務者が再建計画に基づいて再建される、そのことによって債権者として有利であるという、いわば経済合理性があるか否かというところに税制上の力点があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/143
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144・枝野幸男
○枝野委員 いいですか、これは大臣お答えください。理屈の世界の話ですから、単純な。
いいですか、優先担保権を持っている、優先担保権を実行すれば持っている債権は全額回収できる、その場合に、その担保権も債権も放棄をしてしまう、経済合理性はありませんよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/144
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145・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 政府委員の申し上げていることで極めて明快だと思いますが、どういう事情にせよ、債権者として、それを放棄することが自分にとって有利である、こう考えた場合には、それはチャリティーとしての寄附とは違いますから、そういうことを考えなきゃならぬということを申し上げているのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/145
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146・枝野幸男
○枝野委員 じゃ、その利益というのは、経済的利益に限定してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/146
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147・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それも政府委員が申し上げていると思います。何らかの形において、債権者にとって利益がある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/147
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148・枝野幸男
○枝野委員 そこは限定していただかないと、税金が安くなるということは、公金をぶち込むのと一緒ですからね、裏返しですから。どうした場合に税金がまけてもらえるのかというのは、税金を補助金でもらうのと全く同じことの裏返しですからね。そこの基準はしっかりさせていただかないと、日本リースがつぶれちゃったら刑務所へ入れられるかもしれないからつぶさない方がいいやと思って債権放棄するだなんて、こんな話は、仮にあったら認められませんよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/148
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149・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 今、日本リースの話をしているのではないので、一般的な話をしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/149
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150・枝野幸男
○枝野委員 いいですか、もう一つあるのですよ。
債務超過ではない債務者、融資先に対して、利息の免除とか利息の猶予をするのはよくわかります。しかし、債務超過ではない融資先に対して、債権本体そのもの、元本そのものを放棄するだなんということには経済合理性はない、つまり、損金算入は認めるべきではないと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/150
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151・大武健一郎
○大武政府委員 例えば、ただいま言われた債務超過でないかどうかという点ですが、財務諸表上は債務超過でない場合でありましても、実際には資産に多額の不良債権あるいは含み損があって、実質的な債務超過によって経営危機に陥っている場合に、やはり合理的な再建計画に基づいてやむを得ず債権放棄をするというようなときは、経済的に合理性があると解釈することになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/151
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152・枝野幸男
○枝野委員 今そんな答弁が出てくるとは思わなかったんですが、おもしろかったですね。帳簿上は債務超過じゃない企業でも実際は債務超過の場合があるケースはあり得ますと大蔵省の幹部の方がおっしゃる。長銀はまさにそのとおりだと思うんですが、それは私の質問の本筋とは違いますので。
いいですか。じゃ、まずは、帳簿上とは言いません、実質的に債務超過ではない企業について。これは認定の問題ですから、国税庁が、実際に税務署が認定ずるときには難しいんだろうと思いますが、理屈の世界の問題としては、債務超過ではない融資先の債権の元本そのものを放棄するということは合理性がないですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/152
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153・大武健一郎
○大武政府委員 一般論でこういうのはお話しするのはなかなか難しいのでございますが、ただ、緊急性があるような場合において、いわばその企業の継続そのものが当該債権者に有利なような場合に債権を放棄するというようなケースはあるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/153
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154・枝野幸男
○枝野委員 そんなはずないじゃないですか。債務超過である企業だったら、つぶしちゃったときは返ってこないかもしれないとか、いろいろな話はありますよ。しかし、債務超過ではない企業だったら、破産させたら全額債権は返ってくるんですから、それは債権者にとっては場合によってはつぶしちゃってもいいぐらいであって、債権の元本を放棄するだなんてことはあり得ないですよ、経済的な合理性だけだったら。
それで、確かに、私先ほど申しましたとおり、利息を免除しますとか猶予しますとか、それから元本の償還を五年待ちますとか、こういう意味の猶予だったら、それは、今きついから今は返さなくていいですよ、五年待ってあげますよ、これだったらあり得ますよ。でも、元本そのものは、債務超過でもないんだったら、債務超過でないところからどうしても取りたいんだったら、破産を申し立てたら全額取れるわけですよ、理論上は。ただ、債務超過かどうかと認定するのは難しい、判断するのは。だから、今のような話は本来あり得ないんですよ。経済合理性以外の世界で回っているからそういった場合も放棄することがあり得るんです。
もう一つお尋ねします。
逆に、債務超過の融資先に対する債権の放棄、これは経済合理性が債権者にとってもあり得る場合は十分考えられます。これは一定の要件で税が免除される、つまり損金に算入される、これはこれでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/154
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155・大武健一郎
○大武政府委員 ただいまの御質問も、ある意味では債権者にとって明らかに合理的であるかどうかというようなことでございますから、そこはあくまでも債権者、債務者、それが特に複数にまたがるような場合、まさに合理的な再建計画が必要かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/155
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156・枝野幸男
○枝野委員 そうです。合理的な再建計画が必要なんだと思いますよ。そこをその後お尋ねしたがったんですがね。
債権を放棄したことによって、債務者の側、お金をりていた側は楽になります、借りていたお金を返さなくてよくなるわけですから。お金を貸していた側は、お金を貸していた額が取り戻せないことになりますからその分は損しますが、それを損金に算入させれば、少なくとも、例えば一億円放棄しても、一億円のうち、例えば今は法人税の税率が三、四割ですから、それぐらいの部分は、実は税金が安くなることで穴埋めされます。つまり、借りていた人は、税収が減るということの見返りとしてこちらで利益を受けているという部分に、実はお金に色はついていませんが、そういう効果が必然的に出てきます。
とすると、債務超過の企業にこれは限らないと思うんですが、債権を放棄します、債権を放棄して損金に算入してください、それは企業、経済を回していくために必要な場合もあるでしょう。しかし、それを認める以上は、借りていた側が一番得しているわけです、借りていたお金を返さなくてよくなるわけですから。その株主とか取締役とかというものの責任が、実は納税者、国庫よりも最優先に来ないとおかしいとは思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/156
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157・柳沢伯夫
○柳沢国務大臣 今の枝野先生の一連の御質問を聞いていますと、非常に法律家的というか、事態を静態的にとらまえていらっしゃるような気がいたします。最後の御質問の中で、企業社会が動態的に動いていくという中でというお話があったので、その面についても御配慮をいただいているということで、少し我々と同じ土俵でお話ができるかなとも思ったんですけれども、いずれにせよ、これは動態的な話で、経済社会が今一般に非常に苦境に陥っていますから、自分だけの債権を、抵当権でもって担保されているから、これを十分に実現してしまおう、あとはもう全部破産でも何でも清算をしてしまって、自分の債権だけ確保できればいい、こういう立場に立ったら、こういう話というのはそもそもあり得ないわけです。お互いに譲り合いの中で、自分の債権もそれなりに確保されつつ、また相手も再建できるようにして、そして長いことお互いに商取引、経済取引をやることによって、全体として相互にメリットを得ていこう、こういうことなのであります。
それから、質疑の第二点でございますけれども、この点は、実は、株主の責任はどうか、あるいは経営者の責任はどうなのかというようなことも、これは、公正、妥当かつ遂行可能ということの今回の調整の中で、やはり前提条件的には、当然公正を求めていく、合意を形成していかなきゃいけないわけですから、当然それは必要な場合には必要に応じて話題にされることは非常に多いだろう、このように我々は考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/157
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158・枝野幸男
○枝野委員 例外があるのは認めますけれども、多いかなではないのだろうと私は思いますよ。
片方では、税金が、税収が減るということは、税金を使うのと裏返しで一緒なわけですよ。つまり、国民全体の負担で債権を整理するわけです。そのときに、お金を借りていた側、借りたお金を返さなくてよくなる側、そこが企業であるならば、会社であるならば、まず株主が、株の価値がゼロになるというのがまず一番最初にあった上で、その上で、今度は債権者も負担してください、今こういう経済社会だから、国民も結果的に税の裏返しで負担をしてください、それなら十分よくわかります。当然そのときには会社の経営者の責任というのも入ります。そういう場合がほとんどであるというふうに理解をすれば、もちろん経済のいろいろな話ですから例外はありますが、こういう理解でこの法律は理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/158
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159・柳沢伯夫
○柳沢国務大臣 委員の質問の趣旨はよくわかります。わかりますけれども、二点申し上げたいのは、一つはこの損金算入、先ほども問題を限定して損金算入だけで議論を進めようということですから、私もその話に乗せていただくわけですけれども、これを非常に恩恵的、創設的な措置であると考えての御質問のように思われます。
しかし、現実にあの法人税基本通達で言っていることは、むしろ経営者の感覚に合っている。つまり、社外流出が起こった、本当の意味の寄附だったらこれは寄附金としてのいろいろな規制を受けるということですけれども、それ以外の社外流出ということについては、経営者が意図的に利益調整をやるとかそういうようなことでない限りは、法人企業というのは利益を追求するものでありますから、そういう社外流出については、一般的に国税庁は、もうちょっとリジッドに言ってもらいたいと思って恐らく彼は言うだろうけれども、私なぞは、それは損金性ありと認めてしかるべきものではないか、そういう精神であの通達はできているのではないか、このように考えております。
したがって、今委員が言うように、国の税金を使ってというようなことを余り強調してお考えになられるということだと、我々と若干意見が異なってくるかな、このように思います。
それから、さらにもう一つつけ加えさせていただきますと、責任の追及というのは十分考えられます。これは同じです。ただ、一つあえて言うと、結局再建ができるかどうかというのは、過去の責任追及も同じなんですけれども、今度新しく経営者としてその企業のかじ取りをして、再建計画にのっとって再建をする人が人材としていかに能力があるか、こういうようなことも非常に大きなファクターになりますので、今先生がおっしゃったように、それは私は決して責任追及を生ぬるくしていいとは言っていないのですけれども、余り一義的に、リジッドにお考えになり過ぎるのは、やはりちょっと世の中の実態に合っていないのじゃないかなということを感じています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/159
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160・枝野幸男
○枝野委員 いいですか。現在も法人税基本通達があって、一定のものは損金算入を認められています。
現在の仕組みについて、別に私もろ手を挙げていいと言うつもりはありませんが、今大臣がおっしゃられたとおり、基本的な通達の内容についても、まあ納得できるものです。しかも、日本の税務署の判断というものについては、これもいろいろな評価はあるでしょうが、逆に税を取り過ぎる、厳し過ぎるという評価があるぐらいのところで、ずるずると甘い判断で損金算入を認めてしまうということはないだろうという信頼があります。
しかし、今回の法律は、その税務署の判断をすっ飛ばして、新しい何とか調整委員会というものをつくってしまって、そこが判断をしてしまったら、厳しいと言われている日本の税務署の判断を入れることなく税金が安くなってしまうわけです。
しかも、この不動産権利関係等調整委員会の議事は、この会議はこれは公開をしない。当事者とこの権利調整委員会の委員だけが密室の中で話をして、そして話がついて、じゃこちらは債権を放棄しましょう、こちらは借りた金を返さなくてよくなります、貸した金が返ってこない方については税金が安くなることで三分の一助かりますね、みんな円満ですねという話を密室の中で、今までなかった機関で、新しくつくってできてしまうわけです。
そうすると、その調整委員会の委員がよほどの中立公正さを、国民が信頼をしてくれなければ、そしてもう一つは、そこでどういう基準で税金を安くするのかということを事前にできる限り明確に国民の前に知らせた上でなければ、それこそ本来、今までの制度だったら税務署が厳しくやって取っていた税金が密室の中で取れなくなるかもしれないという国民の不安を払拭することはできないのじゃないか、そう考える方がむしろ普通ではないか。
そして、この法律全体を見ていくと、税が安くなるというところ以外には、実は後で裁判所にお伺いしますが、当事者間で集まって話し合いをして、そこに第三者が公的な立場から加わってなんというのは、民事調停で今でも十分できるんです。それなのにこういう制度をつくるというのは、まさに税のところの効果を、税務署に判断させるとややこしいから事前に決めてしまうということ以外に効果はあり得ないと私は思っているので、したがって、こんなことを繰り返しお尋ねをしているのです。
そこで、最高裁の民事局長においでをいただいていると思います。現在の裁判所の民事調停が、例えば事件数が多過ぎて処理ができないとか、あるいは専門性が高過ぎて裁判所では扱い切れないとか、こういったケースが出てきているというような認識をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/160
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161・相沢英之
○相沢委員長 ちょっと、民事局長の答弁の前に、柳沢国務大臣が答弁を求めていますので、許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/161
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162・柳沢伯夫
○柳沢国務大臣 今、枝野委員が、公表しないのは密室性ではないかとか、わけのわからぬ人が出てきて両者がなあなあで合意してしまったものを認めれば、それが自動的に租税上の措置を受けられるというようなお話がありましたが、これは、先ほど来委員も御質疑の中で言っておられたとおり、いろいろなケースがある。そのいろいろなケースの中で公正、妥当ということは、いわゆる算術的な公平ではなくて、かなりいろいろな要素を、今までの経営であるとかそういうようなものを全部ひっくるめて、ぞして実質的な公正さあるいは妥当さ、こういうものを求めていくわけであります。したがって、そこにはいろいろな形での譲り合いというものがなければ、この話はそもそも成立しません。そういういろいろな過去の経緯であるとかあるいは譲り合いであるとかというものを、これを公表するというようなことはなじむというふうにお考えでしょうか。私どもはそういうふうに思っておりません。
それからまた、密室でごちょごちょと、こういうふうに言われますけれども、これは会議制にしてあるわけです。会議制にしてありますから、その点についても、我々の公正さを担保する制度の措置というものはしっかりとられているということを御理解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/162
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163・石垣君雄
○石垣最高裁判所長官代理者 裁判所の民事関係の事件といいますのは、私人間の紛争を公権的に解決をする役割を果たしているわけでございますが、具体的に申し上げますと、現行法上裁判所が担当すべきものとされているものとしては、権利義務の確定については訴訟、それから調停もございます、あるいは督促。権利の強制的実現に関しては民事執行があり、あるいは倒産手続や非訟事件手続、いろいろなものがございますが、先ほど委員の御質問でございますが、裁判所は従来から、申し立てられました事件については法律の趣旨にのっとって適正迅速な処理に努めてきておりますし、今後もそのように努力をしてまいりたい、この一言でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/163
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164・枝野幸男
○枝野委員 今裁判所がお答えになったまさにその権利関係の話というのは、まさに司法に一番なじむ話なんですよ。しかも、担保権つき金銭消費貸借、つまり不動産を担保にとってお金の貸し借りをするなんというのは、もう典型的な民事事件ですよ。まさに裁判所が行うに一番適した事件ですよ。
確かに、私人間の紛争にかかわる問題でも、厳密に言うと私人と言えるかどうかわかりませんが、例えば公害等調整みたいな話。これは、要するにテクニカルな、技術的な、科学技術にかかわるような話とかかかわってきまずから、司法が少し、ちょっと事前にこちらでやっておいてくださいねというようなことはあるでしょう。しかし、お金の貸し借り、返せる返せない、あるいは会社がつぶれる、破産とか会社更生とか、まさに明らかに司法のど真ん中の話ですよ。
したがって、これが今件数がたくさんあって大変だということであるならば、今民事局長は、別に民事調停が滞っているとかという話はないようなニュアンスでありましたが、もしもこれからどっとふえるので困るのであるならば、民事調停というのは全部裁判官がやらなくていいんです。裁判官が一人入って、どうせ、この不動産の権利調整委員会をつくっても、五人だか十人だか何人だったか知りませんが、この委員だけでは足りなくて下請に出したりするんでしょう、司法関係者なんか入れて。そういう人たちに調停の委員に加わってもらったら、裁判所の民事調停は十分回りますよ、今のシステムの中で。
権利関係の調整をするんだったら裁判所の民事調停をやればいいし、あえてそれとは別にこういう制度をつくることの意味は、今申しました、先ほど来ずっと言ってきていますように、税について事後だとどうなるかわからないし、税務署が厳しいから事前にやってしまいましょうと。
いいです。確かに、こんなことを全部国民の前でオープンにするのはできにくいということ、一方であるかもしれません。だったら相当明確な基準をつくってくださいよ。事前に、ルールに基づいて、そのルールに違反したら違法ですとわかるようにつくっていただけるなら、まだそれは話はわかりますよ。当事者間の調停ですからなかなか全部公開はできません。あるいは、公開の仕方だって、税が現実にまけられたときには公開をするという事後の公開だってあり得るわけですよ。
しかし、どう考えても、今までのこの金融の全体の流れ、先ほど来、中野先生や池田先生などもずっとやってきている審議の流れ、例えばこの例の佐々波委員会のお金の入れ方もどうも密室でわけがわからぬ、それから今回の長銀合併の話についてもどうも密室でごちょごちょやっているような印象がある。こういった一連の流れの中でこういった法律が出てくる。
柳沢大臣の提案者としての意図は、何とかこれによってうまく回っていけばということを思っていらっしゃるかもしれないし、これをつくった方の多くの方はそうなのかもしれないけれども、密室で、基準もあいまいで、そして、そこで決まってしまったら税金が安くなるということが税務署のチェックもかからないでできてしまう。つまり、その分国民の負担がふえる。そうですよね、入るべき税収が入らなければ、ほかの国民みんなで負担をするわけですよ、その分。そういった仕組みをつくってしまうということは、これは公平さの観点からも、特に税の公正さという大変重要な観点からもおかしいと思います。
しかも、こんなものをつくるという話が出てきていることについて、まさに民事調停を所管している司法部は、司法の独立とかなんという憲法問題を持ち出す気はありませんよ。しかし、こんなものは民事調停で調停できますよと、それは税の話は知りませんけれどもねと、当事者間で担保つき債権の話でいろいろごちゃごちゃしているんだったら、どうぞどうぞ皆さん、裁判所に民事調停に持ってきてくださいと、どんどん裁判所がおっしゃるべきですよ。こんなことを、私、行政府が国会に法案を出して、こんな委員会をつくって、本来裁判所がやるべき仕事の一部をこちらでやらせますなんということを、裁判所としてはお認めになるべきではないというふうに思いますが、柳沢大臣、お答えになりたそうですから、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/164
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165・柳沢伯夫
○柳沢国務大臣 委員はもう法律家でいらっしゃいますから、先ほどちょっと私も由したように、やはり問題を静態的にとらえよう、その中で正義を実現していこうということだと思います。
法律家の中でも、私自身法曹界にいたわけではありませんけれども、私の友人たちの中でも、再建型の倒産処理というものについては、かなり柔軟にやらなければいけない、かなり創造的にやらなければいけない。かなりいろいろなことを勘案して、本当に譲り合いを、針の穴にラクダを通すがごとき可能性を追求しなければいけないというようなことで、むしろ司法の手続というのが、言い過ぎになったら大変恐縮なのですが、必ずしもなじめない面もあるというようなことは、法律家の間で話し合われているということを私も聞いておるわけであります。
そこで、そういう創造的、譲り合いを求める柔軟なそういう処理というものについては、従前は、私的な再建という格好で、メーンバンクであるとかあるいは地域の有力な経済人が中に入っていろいろ骨を折ってきた。今はなかなかそういう力というものが世の中で見つけにくい。しかも、需要というか、そういうものは非常に多くなってきた。そういうことで、今回行政の中にこういう制度をしつらえることによってその需要に、国民のニーズにこたえていこうではないか、こういう趣旨でありますので、ぜひとも御理解をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/165
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166・枝野幸男
○枝野委員 時間になったので終わりますが、今の話も、ちょっと二つの争点をごちゃごちゃにしてされているのかなと思います。
私自身は、例えば裁判所に全部かかわらないと、私的な、特に再建型の清算はできないということはよくわかっています。ですから、それをなさるのならなさるで、どんどんやっていただいたらいいのです。しかし、先ほど来ずっと申し上げているとおり、それと税の話、税務署から権限を取り上げてしまう話を何で一緒にしなければならないのか。
確かに、柔軟な整理をしなければならない、再建型の整理をしなければならない。それはそれでやったらいい。税の話について、事後では困るという視点もわかりますよ。わかりますけれども、それを一つにして、ごちゃごちゃにして、わけのわからないところで基準も、抽象的なものでいいのですよ、そんなに具体的に書けないのもよくわかっていますよ。しかし、今のままでは何にも基準はない、全部密室、これでは国民は納得しないと思います。
時間なので終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/166
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167・相沢英之
○相沢委員長 これにて中野君、池田君、枝野君の質疑は終了いたしました。
次に、大口善徳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/167
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168・大口善徳
○大口委員 新党平和の大口でございます。平和・改革を代表いたしまして、質疑に入らせていただきます。
本日、一万四千円を日経平均株価は割りました。非常に私は深刻に受けとめておりますし、非常にこれは政治家としてやはり責任を感じます。一番感じていただかなければいけないのは小渕総理であろうと思いますが、我々も政治家として、これを何とかしなければいけない、そういう危機感でいっぱいでございます。そういう中で、我々、平和・改革、民主、そして自由でもって三党の合意をさせていただきました。
この案は、今法案化されておりますが、特に私、アメリカのシードマンさん、これはRTCの初代の総裁であり、そしてまた連邦保険機構の責任者でもあった方でございますが、自民党の案について、二段階というのはよくない。金融管理人と、それでどれぐらいやれるかわかりませんが、それがだめな場合はブリッジバンク、二段階というのはよくない、こういうふうに言っておられました。そしてまた、ブリッジバンクについて言えば、破綻という認定を金曜日にしたら、もう月曜日にはブリッジバンクができていなければいけない、それでないと迅速な対応はできない、こういうことをおっしゃっておりました。
またもう一つ問題なのは、このブリッジバンクというもの、これはアメリカの場合は監督庁の方が認定をする。ところが、政府の案は、当初、自民党の素案の段階では、破綻の認定ということは死刑宣告を与えるようなものでありますから、ですからもう自己申告ということ、それにのっとっていくべきか。ただ、そうしますと、自己申告というのは出されない可能性もあるということで、監督庁の方も認定をする。しかし、監督庁の方は本当にそれだけの、死刑宣告をできるだけの勇気があるかというと、非常に疑問がある。
そういうことで、三党案の場合におきましては、基本的には準司法的な形で金融管財人がこれをやる。それと並列して、非常に内外に影響を与えるような大変な場合については国有化、その場合も裁判所がチェックをして、迅速にそういうことをやるということで、市場も非常に野党の案を評価している。金融関係者の方にお話を聞きますと、評価をされているようでございます。
また、もう一つは、とにかく我々は一年で処理しよう、こういうふうに主張したわけでございますけれども、本当に二〇〇一年三月まででこれはもう全部処理してしまうのだ、こういうふうに期限を切っている。政府の案も一応二年ですが、結局五年までオーケーということで、これはやはり、これだけの危機的な状況を打開していくためには、私は野党の案を大いに見ていただきたい。
そしてまた、情報開示ということ。これは我々が一番強く求めているわけでございます。要するに、今この情報があいまいだと。きのうからきょうにかけていろいろ議論をしておりますが、国民に、また市場に明確なアピールができない。ですから、バッドバンクもグッドバンクも一緒くたになって、日本の金融市場全体に対して、情報があいまいであるがために非常に否定的な評価を与えられているということでございますので、情報開示を徹底的にする、こういうことを訴えておるわけでございます。
こういう私の今の主張に対しまして、大臣の方からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/168
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169・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 各党におかれまして、いろいろなことを御検討の上で案をおつくりになっておられると伺いますので、私どもも、政府案がベストだといって固執するつもりはございません。いろいろ御教示を得たいと考えております。
今シードマンのお話がございまして、私も実は、党におりましてこの案を考えましたときに、アメリカのようなやり方をすれば大体いけるのではないかというふうに当初考えました。
ところが、発見いたしましたことは、アメリカの管財人は、ほとんど破産管財人のように全くオールマイティーでありまして、株主総会も無視できるし取締役は解任できるし、これはもう大変な力を持っておる。アメリカの法制で可能であったと思いますが、我が国ではそういうことができないということを発見いたしまして、殊に、なかんずく株主総会というものは会社の命でございますから、これが簡単に無視できるということは我が国ではやれない、そういうことがわかりまして、いろいろ模索をいたしました結果でございます。
それで、先ほどもちょっと申し上げましたが、国が企業をテークオーバーするときに株主総会の意向というのは果たしてどうなるのだろうかということは、私どももそこのところで一思案した問題でございましたので、なおその点もまた御教示を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/169
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170・大口善徳
○大口委員 このことについては、さらに真剣にいろいろ検討しなければいけないことがあると思いますが、野党のよさというものもよく理解をしていただきたい、こう思っておるわけでございます。
次に、我々庶民的な感覚でいきますと、超低金利でございます。超低金利ということは、これは家計に対して非常にマイナスである、逆に言えば、金融機関にとっては非常にプラスである、こういうことであるわけです。
そういうことで、経企庁、これは国民経済計算でいきますとどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/170
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171・堺屋太一
○堺屋国務大臣 低金利によりまして所得が個人から事業者に移転している、低金利の見方にもよりますが、これは事実だと思います。細かい数字が必要でございましたら、事務当局から報告させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/171
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172・大口善徳
○大口委員 細かい数字は結構です。
ただ、これによりますと、これは九六年度の国民経済計算でいく上三年連続二十四兆、金融機関は得ております。それに対して家計の方は、五年間連続で十五兆円、マイナスである、こういうことでございます。
とにかく、今や、五万二千円の定期を預けたら、他行からカードで引き出したら、もう手数料でその一年間の金利が飛んじゃう、こういう状況であります。あるいは十万円預けて、バスで行き帰りしたら、そのバス代で利息を食っちゃう。こういうことで、私は、国民の非常な負担の上に今の低金利政策があると思うわけです。
次に、これは年金にも非常に深刻な影響を与えております。これにつきまして、厚生年金基金について厚生省にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/172
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173・矢野朝水
○矢野政府委員 お答え申し上げます。
バブル崩壊後の低金利あるいは株価の低落、こういうことで、企業年金、非常に厳しい状況に追い込まれておるわけでございます。厚生年金基金について見ますと、平成四年以降、五年連続して予定利率の五・五%を下回る、こういう状況になっております。
そこで、平成八年の決算でございますけれども一千八百七十八基金につきまして決算状況を見ますと、責任準備金に見合いました資産を保有している、非常に健全な基金ということでございますけれども、これは全体の三分の一でございまして、残りは剰余が発生していない、あるいは積み立て不足の状況にあるということでございまして、基金資産全体では、簿価ベースで平成八年度末、六千六百億円の積み立て不足、こういう状況になってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/173
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174・大口善徳
○大口委員 低金利で六千六百億の損である、こういうことでございました。これにいろいろ、デフレによってそういう実質の損ということになりますと一兆二千億とも言われているわけでございます。これは、今厚生年金基金が非常に危機的な状況にある、基金によっては解散しなければいけないところも出てきている、そしてまた、その配当も従来より受け取る額が減ってしまう、こういう状況にあるわけでございます。
そして、庶民が怒るのは、ところが長銀におきましてはどうですか、九二年から六年間、取締役三十五人で四十三億六百万の退職金をもらっている。これは、長銀あるいは金融機関の取締役という役員の方々は老後は安心ですよ、何億という退職金をもらえるんですから。ところが、どうですか庶民は。金利は減る、そしてまた年金まで危ない。庶民の老後は脅かされて、そして銀行の役員はぬくぬくとしている。私は、これは正義の観点からいってこんなことは許せない、こういうふうに思うわけでございます。そしてまた、公的資金を使っても貸し渋りは一向に改善をしない。こういうような状況であるわけです。ですから、私は特に、今回資本注入を受けたところはもう徹底的にリストラをすべきである、こういうふうに思います。
ところが、非常にリストラが十分じゃない、こういうことが、これはある大手の研究機関の研究でございますけれども、そこで出ております。この研究によりますと、総貸出金、大手十九行で大体四百兆円と言われていますが、これの標準的な償却コストというのは一・二兆円、こういうふうに言われております。そして、この一・二兆円の償却コストを確保しようと思いますと、これは粗利益を一六%増にするか、あるいは経費を二七%圧縮しなければいけないわけです。
ところが、今回、ことしの三月に出されました資本注入された大手行のリストラ計画、これで平均をしますと、二〇〇一年三月末までの経費の削減は平均して三%だ。だから、十分の一ぐらいしか経費の削減をしない、こういうことなわけです。
もう少し言わせていただければ、これからは諸外国と競争していかなければいけません。諸外国、欧米並みの収益性を確保していかなければ、これからは日本の銀行も、特に八%銀行については、私はこれは太刀打ちできない、こう思うわけでございます。
それでいきますと、欧米並みでいきますと、粗利の総資産に対する利回り、ROAですね、これは欧米のクラスは二%以上である。これにするためには、それこそ今までの粗利を四九%、約五〇%ふやすか、あるいは経費を五五%削減しなければいけない。経費を五五%削減ということは、人件費だって半分以下にしないと、欧米の一流行と対等に競争ができない。そういうふうなレポートになっておるわけでございます。
そうしますと、余りにも、これは人を減らせばいいというものじゃないです、やはりその銀行の戦略がございますから。ですから、本当に効率的な形で人員の配置をするということは大事だと思いますが、しかしながら、ここまでやはり欧米の銀行と、日本の大手十九行についてのリストラに対する感覚が鈍過ぎる。
それは、今初めに言いましたように、国民がこれだけ負担をして、将来に対する不安も持っている。にもかかわらず、その銀行のトップクラスが余りにもそういうことに無神経だ。本当は血を流して、本当に真剣なリストラをしていくということがなければならない、私はこう思うわけでございますが、総理、いかがでございますか。これは総理にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/174
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175・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 お説のとおり、金融機関が今日の状況を迎えておるということに関しましては、やはり今日まで十分なリストラといいますか、そうしたことが行われておらない結果もその一つの原因として考えられるわけでございまして、そういった意味で、大変経営が困難になっておられる金融機関におかれましては、みずから、もっと血のにじむようなリストラを実行していかなければ国民の信頼はかち得られない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/175
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176・大口善徳
○大口委員 本当に、今私が申し上げたこと、そして庶民の思いというものをやはり銀行トップはしっかりと受けとめてもらいたい、そういうふうに思うわけでございます。
次に、今回、三月に資本注入をされました。そして、長銀におきましても、一〇%以上という自己資本比率でございました。ところが、この九月期には四%になるかもしれない。そして、そのことについてもるる数字として説明がございました。
これもちょっとおさらいしてみますと、単体の自己資本が七千八百億円。これで七千五百億円の不良債権の処理をする。そうしますと、それに業務純益の一千三百を足して一千六百を確保する。そして、それを税効果会計で連結をしますと、一兆二千が五千五百億に減少する、こういうことでございます。そして、この五千五百億に含み損を、これを三千億と見るか四千億と見るか、今株価は一万四千を切っておりますから、四千億、こういうふうになってまいりますと、あと千五百しかない。そうなってきますと、例えば第二分類を一・八兆円としますと、これは一〇%掛けて一千八百億要る、こういうことですね。一千三百億初めに注入したものに傷をつけちゃう、こういうような事態になってきておるわけでございます。ですから、私は、この佐々波委員会ですか、ここは何を判断をしていたのか、本当に疑問に思うわけでございます。
私は、情報公開をしっかりすべきだ、こう思います。本当に、果たして佐々波委員会といいますか金融危機管理審査委員会が、この資本注入をしたところについて健全性をしっかりチェックしたのか、そしてリストラ計画についてちゃんとやつたのか。そして、そのことは、これは議事録というものの公表というのは法律上義務になっております。ですから、相当期間経過後この議事録を公表するということになっておるわけですが、今や、この預金保険機構の金融危機管理審査委員会、委員長さんは、何か貿易の方が専門で、金融のことは全くわからないということを言っておる方もいらっしゃいまして、非常にこの委員会に対する信用が厳しいわけでございます。ですから、情報公開をして、議事録は公表することになっているわけでございますから、直ちに公表してもらいたい、そして、どんな審査をしたのかということをはっきりしてもらいたい。
これは日銀、きょう総裁が来ておられますが、政策委員会のはきちっと出しておられるのですよね。本当にまた詳細に出ておるわけです。ところが、この委員会の発言要旨というのを見てみますと、議決ごとに出ておるわけですが、本当、全然何も情報公開していないということなのですね。ですから、これはもう早急にこれを出して、そしてこの審査委員会において、胸を張ってこれはもう大丈夫なんだと、そういうことは果たして信じてもらえるかどうかわかりませんけれども、長銀のあのことを見ますと信じてもらえるかわからないですが、その姿勢を示してもらいたい。いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/176
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177・松田昇
○松田参考人 お答えをいたします。
先生ただいま御指摘のありましたとおり、法文によりますと、審査委員会の委員長は、引き受けなどをしたときに限って、そういう議決をしたときに限って、「審査委員会が適当と認めて定める相当期間経過後に、これを公表しなければならない。」と記述されております。情報公開の必要性は私も十分認識はしておりますが、さて、では相当期間をどう考えたらいいのか、その問題になるわけでございまして、前回の審査委員会でもこの問題を取り上げて議論をいたしました。ただ、まだ決定を見ていません。
それで、これは例えば一つは、審査委員会はかなり厳正に審査をいたしましたので各行各行の経営の根幹に触れるような問題についての議論が随所に出てまいりますので、それを、相当な時期を置いてからでないと思わぬ不測の事態を招きかねないことがある、そのおそれがあるというのが一つと、それから各委員の発言が逆に制限されることにもなりかねないのではないか、こういうことがございまして、なお慎重に検討してみようと。
念のためにドイツの連邦銀行の議事録について調べましたところ、これは原則として三十年後に公表ということになっておりました。それから、日銀の政策委員会のも、議事録は、まだ相当期間の方は定まっていないのではないかなと思っております。アメリカでは、公開市場の委員会では原則五年後公開というようになっておりまして、現在、重要性をかみしめながら慎重に検討している、こういうところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/177
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178・大口善徳
○大口委員 全然納得いかないですね。それは、今のはおかしいですよ。どうですか。きのうの段階で、この資本注入を受けたところは株価が、普通資本注入をすると株価が上がるのですよ、というのは、委員会のお墨つきがある、そして国がバックアップした一株価が上がるのが普通でしょう。そして、貸し渋りを解消すると言ったけれども、これができなかった。今何と言っているかというと、金融システムの安定のためにやったのだ、こう言っている。
どうですか。株価が、資本注入をしたときから八月二十七日、きのうまでで六一・六%しか、だから三九%ぐらい下がっているわけですよ。これは金融システム安定について、政府の、そしてまた委員会の信用がないからこういうことになるわけです。
それをはね返すためには、直ちに審査委員会で議事録を発表する。そして、恥ずかしいことをやっていない、真剣に委員は一生懸命やったと。そして、いろいろな経営の根幹に関するものをしっかり聞いて、間違いない、債務超過になっていない、自己資本比率はこうだということ、全部クリアしているということ、認めておられるわけでございますから、発表することによってむしろプラスになるのではないですか。それが出せないということは、それは自信がないということじゃないですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/178
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179・松田昇
○松田参考人 お答えいたします。
三月の注入時につきましては、例えば厳正に審査したということの一つの証左として、非常に限られた時間ではございましたけれども、自己申告の資料も別途取り寄せておりまして、それが正規の決算のもとになりますから、それについて検査、考査の権限をお持ちの大蔵大臣と、それから日銀総裁に委員長から要請をいたしまして、しかるべく調査をなされた後で、その数字の信用性について御回答をいただいて、またそういうものをみんなで議論をして、六人の委員が全員一致で、要件をクリアしている、こういう決定を見たところでございます。
確かに、今私どもが議論しておりますのは、先ほど申し上げましたように、一つは、引き受け等をしたときの議事録だけではなくて、もっと広く、審査基準を決めたときあるいは経営健全性確保計画の内容を決めたとき、そういうものについても議事録を公開することにしよう、これはもう既に決定を見たところでございますが、あと時期について、なお詳細に先ほど申し上げたような理由で検討を続けているということで御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/179
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180・大口善徳
○大口委員 全然理解できませんね。しかも、発言について自信を持たなければだめなんですよ。日銀の場合は、例えば中原さんなんか積極的に金融緩和策を言っています。それはもうニュースに出ているわけです。表に出ても自信のあることを議論を闘わせる、そういう時代なんです。ですから、今理事長がおっしゃったことというのは、情報公開の時代では国民には全然納得できないことなんです。どうですか、総理、今のことを聞いていて。どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/180
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181・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 精いっぱいのことをやっている、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/181
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182・大口善徳
○大口委員 そういうことを言うから。もう少し味のあることを言ってくださいよ。やはり総理は人格者だと。だから、国民の思いを今言ったわけですから、もう少し何か誠実な答弁はないのですか。どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/182
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183・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 大口委員の思いは受けとめておりますけれども、政府として申し上げることは、現時点におきましては、精いっぱいそれぞれの機関において与えられた任務を遂行しておる、こう申し上げざるを得ないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/183
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184・大口善徳
○大口委員 こうやって隠すものだから、ますます下がってくるのですよ。情報開示はこれから大事なんです。そのことを一番わかっておられるのは日銀総裁じゃないかな、私はそう思っているのですよ。一番市場に近いわけで、敏感なわけでございます。
そこで、今回の十九行の財務諸表の中で、銀行の財務諸表の中で、一つは、公表不良債権、リスク管理債権、この区別と分類債権の区別というものがはっきりしていないといいますか、なかなか誤解をされているというような面もあるわけです。そして、公表不良債権、リスク管理債権だけ発表すればこれで情報公開はすべて終わった、こう考えることはできないわけでございます。
と申しますのは、例えば今回の長銀の場合におきましても、日本リースの二千五百億、そして日本ランディックの一千百億、計三千六百億はこのリスク管理債権に入っていないのです。リスク管理債権に入っていないというのは、これは金融監督庁の方から私は聞きました、入っていないと。そして今回入れている、こういうことなんですね。ですから、リスク管理債権だけではだめで、やはり第二分類というものを開示すること、これが大事である、こう思うわけでございます。
そのことにつきまして、日銀総裁は、六月十六日の総裁の記者会見で、政府といいますか、自民党の方でもトータルプランをいろいろやっているけれども、情報開示をやらないと大変なことになる、九月、十月というのはもうもたない、情報開示は非常に大事だ、こういうことを述べられているわけでございます。引用しますと、六月十六日、日銀総裁は、不良債権問題の解決と金融システムの再生、安定化のためには、自己査定の結果の自主的な開示を進めていくのも選択肢の一つである、こういうふうに述べておられるわけでございます。
ところが、監督庁日野長官はどういうふうに言っているかといいますと、分類債権は開示になじまないのではないか、こういうふうに言っているわけですね。そしてまた、全銀協の岸会長も、九八年三月からリスク管理債権を開示している、自己査定結果を開示する必要はない、こういうふうに言っているわけでございます。
そこで、日銀総裁にその記者会見の趣旨についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/184
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185・速水優
○速水参考人 自己査定一自己開示、このことが日本の今の金融機関の健全化といいますか、信認の回復には最も早道であり大事なことだというふうに私は強く感じたものですから、先ほど御指摘ざいましたように、六月十六日の記者会見で、情報開示の一層の徹底を図る上で、自己査定の内容について自主的な開示を進めていくということが選択肢の一つとして考えられるという私の考えを言わせていただきました。
それに対しまして、若干そのとき反論もございましたけれども、全体の世論の方向としては、皆さんこのことは大体そのとおりだというふうにおっしゃるようになってきているように思います。
一遍にやりますと、なかなかその基準をどこへ置くかといったような問題も出てまいりますので、もうしばらく時間をかげながらこの方向に進んでいく。どういう不良資産を持っていて、それに対してどういう引き当てと、それからいっそれをなるたけ早期に償却していけるかということを銀行がみずから明らかにする、ディスクローズするということがその銀行の信認を預金者からも市場からも得る近道であるというふうに私は思っております。特に、ビッグバンで市場を開放し海外の銀行とも同じレベルで競争しようと言っておりますときに、日本の銀行の信認の回復にはこの方法が、自己査定、自己開示、そして早急に償却をするということが最も大切なことであるというふうに言い続けております。
確かにSEC方式もよろしいのですけれども、これはいわばローン・バイ・ローンといいますか、一つの形式的な基準でございまして、むしろ、本当にローン・バイ・カスタマー、借り手がどれだけ力があるかというようなことで査定をしていって、それを公開していくということが大切であろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/185
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186・大口善徳
○大口委員 若干時間をとってというようなお話でございましたが、この六月十六日の時点におきましては、トータルプランを待っていたらもう間に合わないのだ、九月、十月、間に合わないのだと、非常にせっぱ詰まった総裁の記者会見であったわけでございます。ですから、いろいろな圧力もあるのでしょう、独立性というのはしっかり法の改正で認められているわけでございますから、大いに遠慮することなく市場の声を、やはり総裁、しっかり伝えていただきたい、こう思っております。
そしてもう一つ、金融監督庁は、分類債権の開示をやると貸し渋りになってくる、こういうことを言っているわけですね。ところが、今回の三月期の決算については、二十七の地方銀行、大体三十ぐらいの地方銀行が分類債権の開示をしているわけです。その中でも、ある銀行なぞはもう第二分類、第三分類、第四分類と、そして要注意債権は不良債権に当たらない、それから、税効果を勘案すれば引き当ても完了している、こういうふうに明確に情報開示して、そして第二分類についてもこういう形できっぱりと言っておるわけです。これは地方の銀行です。
ですから、こうやってやることが実は顧客のプライバシーに関することだという話も、これも開示に消極的なことを言う方の中にはおりますけれども、地方はもう三十も二十七も率先してやっている。それこそ大手よりも地方の方が、あるいは推測もできるわけですが、あえてそういうふうにやっているということを私はしっかりと考えるべきである。その点につきまして総裁の御意見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/186
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187・速水優
○速水参考人 御指摘のように、もう既に三十数行の地方銀行は自己査定、自己開示をやっております。始めました。それに、先般、東京三菱銀行におきましても、今やっておりますSEC方式による自己開示というのをもう少し厳しくして、自己査定の基準、第二分類を二つに分けるとか、あるいは第三、第四分類についてはなるたけ早くバランスシートから落としていくといったような、今のやり方を少し厳しくしていく一歩前進の規律を公表いたしております。
そういうような方向で進みつつはありますけれども、御指摘のように、これは極力早くやらなきゃいけないことだというふうに考えております。
〔委員長退席、山本(有)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/187
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188・大口善徳
○大口委員 そういうことで、大手行の中にもそういう形で情報開示しようという動きが出てきた。この中間期の九月決算で、そういうことで態度を決めていかなきゃいけない、こういう状況にあるわけです。
それで、やはり今の市場というのは、三月に護送船団方式のように軒並み資本注入をやった、そしてまた有価証券の時価法を選択制にしたというような姑息なことで、表面づら厚化粧してしまった。ところが、そういうことはもう市場は見抜いているわけですよ。市場としては、今分類債権はこれだけあります、それに対してはこうやって償却をしていきますということを明確にする。そしてまた、そういうことだけじゃなくて、将来我が行は、例えば外国と提携してこの方面を重点を入れていきますとか、そういう明確なビジョンを持ってやっていかなきゃいけないわけでございます。
私は、これはアメリカのある有名な、日本にも支店がございます銀行の会長が、九〇年の時点において大変な状況であった、それこそOCCの五、六人もの担当官から常時監視をされていた、そういう中で、二年間で十四億ドルという経費を削減し、一万四千人という方を削減した、そしてまたアメリカじゅう、そして世界じゅう講演会を開いて、どうかこういう方針でやりますから、どうか株を買ってくださいということで二十五億ドル、資本を充実させた、そして今や全世界に百の支店がある、そういう大銀行になった。それが本来のあり方ではないかと思うのです。
ですから、私は、この三月の資本注入というのは間違っていた、そうではなくて、その時点で、本当に今日銀の総裁がおっしゃったように、その自己査定を発表する、こういうことで、そしてその中で、ここはこういうふうに手当てをしていきます、そしてビジョンはこうですと言うことが本来のあり方であろう、こういうふうに思っておるわけでございます。
そこで、私は、金融監督庁というのは、これは銀行がきちっと健全な経営で保っていくことを監督するのが金融監督庁だ、こう思っておるわけでございます。
今金融監督庁、非常に自己査定の開示について後ろ向きであるわけですけれども、そうしたらどういうことが起こるか。今日銀総裁がおっしゃったように、東京三菱が第二分類もきちっと分けて、非常に悪いものからいいものまであるわけですから、それを仕分けして、そして開示をしようと。こういう銀行は、これはマーケットから歓迎されるわけです。そして、格付も上がるわけです。そうなってきますと、その資本の調達コストが、これが安く済むのです。そうしますと、非常に経営の改善になるのです。
ですから、やはり情報開示をしたところがどんどんよくなっていく、こういうふうになっていくわけです。そういう場合、監督庁がもしそういうことに対して圧力をかけるようなことがあっては大変なことだと思うのです。それは、監督庁が、所管の銀行のその資金調達コストは本当だったら減少できるのに、それを護送船団的な感覚で抑えるというようなことは大変なことだな、私はそういうふうに考えております。
そういうことで、この点につきまして、私は大蔵大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/188
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189・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 今前段におっしゃいました、銀行が自分の問題としてそのディスクロージャーをする、ディスクローズするというのが、これがまさに私は本筋のお話と思うのです。監督庁に出せ出せと言って圧力をかけるよりは、やはり自由競争の結果、銀行が、自分がディスクローズする。
あの銀行はディスクローズしないが、あれは悪いんじゃないかというようなことがあって、当然それではうちもしっかりしなければと、こういうのが本筋の、おっしゃるように私はお話だと思うので、監督庁がそれを抑える、それは昔の護送船団のときのお話でございますから、むしろ監督庁は反対にそういうことを促進されるお立場でいらっしゃると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/189
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190・大口善徳
○大口委員 今大蔵大臣から明快な答弁があったわけでございますが、ただ、その点について、どうですか日野長官、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/190
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191・日野正晴
○日野政府委員 お答えいたします。
金融機関のディスクロージャーにつきましては、これは、金融機関の経営の透明性を高め、市場規律により経営の自己規制を促すというような観点、それから預金者の自己責任原則の確立のための基盤となるといったようなことから、極めて重要であると考えております。
問題は、このリスク管理債権とそれから分類債権との違いについてでございますが、御案内のとおり、リスク管理債権につきましては、本年の四月から全銀協の統一基準に従いまして、客観的でかつ形式的な物差しによりまして、先ほど日銀の総裁がローン・バイ・ローンとおっしゃいましたが、そういった観点から、金融機関同士で比較可能な数字として設定されているものというふうに承知しております。
そしてまた、来年の四月からは、前回のこの国会で御承認、可決していただきましたシステム改革法に基づきまして、罰則つきでSEC基準というものが、リスク管理債権と同じような概念の、しかも連結ベースでこれが開示が強制されているわけでございます。したがいまして、まずこの法律を遵守していただくということが基本、スタンダードになろうかと存じます。
問題は分類債権でございますが、これは、決して私どもは、分類債権を公表される銀行に対して、それをやめろとかいったような圧力を加えるようなつもりは毛頭ございません。先ほども申し上げましたように、金融機関のディスクロージャーを充実させることは、いろいろな観点からこれから大変重要だというふうに考えております。
先ほど委員が、地方銀行が最近どんどんディスクローズしているではないかというふうなお話がございました。やはりこれは、自信があるからディスクローズしているのではないかという感じがいたします。また、特定行につきまして、何か都市銀行について、一々個別行のことですから申し上げることは差し控えたいと存じますが、やはり自信があればみずから開示していくだろうと思います。
ただ、私どもの立場といたしましては、それぞれの銀行は違った物差しで自己査定を行っておりますし、それから、中にはやはり、第二分類を公表いたしますと貸し渋りが増進されるといったような観点から、これをどうしてもちゅうちょするところがあろうかと思いますが、これを私どもが強制で、ぜひこれは開示しなさいという立場にはございませんことを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/191
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192・大口善徳
○大口委員 それと、やはり特にこの分類債権については、特に第二分類については、定性的な基準プラス定量的な基準というもの、これをつくって一そして引き当てをきちっとやっていくということを、金融監督庁、そして日銀、それから公認会計士等協議をして、そういうものを早急につくって、基準を明確にした方がいい。そうすれば、比較客観性といいますか比較可能性というものが出てきますので、私はこれはやはり早急にやるべきだと思います。
次に、私は、自己査定、この自己査定に対してやはりきちっと客観性、信頼性を確保しなければいけないと思います。結局長銀だって、自己査定の公表と今はずれているわけでございますね。ですから、自己査定自体が信用されていない。そこで、私は、やはり会計監査人というものの監査機能というのは非常に大事だと思います。ところが、東海興業、多田建設、大都工業のゼネコン倒産のケースを見ましても、また北拓のケースを見ましても、山一証券のケース、日住金のケースを見ましても、これは会計監査人が適正ということを出した、そのすぐに倒産ということになっているわけですね。
ですから私は、会計監査人、これからゴーイングコンサーンという形での継続性についても、会社についてマイナスのことについても、これはきちっと指摘していく方向にあるわけでございますけれども、そのときに、やはり監査人の中に企業との契約関係のことを考えて、適正意見について、手心を加えるということは私はないと思うのですが、そこら辺についてもし圧力があったとしたならば、これは問題だなと。
今回、住友信託の場合も、結局外資系の監査法人を使うというようなことにもなっておりますし、私は、やはり株主代表訴訟の対象に、この会計監査人というものを対象にすべきである、そしてまた、会計監査人の責任の明確化ということからいえば、証券取引法上の損害の算定、そして因果関係の立証というのはやはり大変でございますので、そういう立証責任の転換ということも含めて立法的なことをやらなければいけないのじゃないかな、そういうふうに提案を申し上げさせていただきます。
時間がもうございません。今回バブルで土地は一千兆円ぐらい、これが消えた、泡が消えた、価格がダウンした、こう言われております。そして、その一千兆円のうち個人が六割、事業者が四割。今、事業者の四割の中のことで注目が、今回はこういう形になっておるわけですけれども、個人がバブルをもろに受けて、そして住宅ローンを払って大変な思いをしている、その上会社が厳しいのでその後失業した、こういう人たちがいらっしゃるわけでございます。
私は、やはりここはそういう方々にこそきちんと手当てをすべきじゃないか。そういう点で、前回公明の浜四津代表が、そういう方に、国がその家を買って、そしてそれで賃貸をするということも考えられるんじゃないか。また、私なんかは、例えば公営住宅とか特優賃というようなことを、この発想からいたしますと、国がそのローンを払っている方から借り上げる、借り上げて、そしてまたそのローンを払っている人に貸す、そして家賃補助をする、そして今のこの大変な状況をフォローしてあげる。血も涙もある、人格者である小渕総理がこういうことに力を入れるべきじゃないか、こう思うわけでございますが、総理、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/192
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193・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 かねて御主張のことは承知をいたしておりますが、住宅ローンで返済に困った人の住宅を国が買い上げる、あるいはまた本人に賃貸すること、こういうことにつきましては、仮に中低所得者層に対象を限定いたしたといたしましても、なお公平性の観点から問題は残るのではないかと考えられるところでございまして、具体的には、実は同じような所得層にある方々が懸命にローンの返済に努力をされておられる、自力で返そうとしている方が多数おられるわけでございまして、こうした方々、苦労しながら家賃を支払い、民間賃貸住宅で生活をしている方々、こうした方が支援を受けられなくなるということもございまして、こうした事実に照らしますと、なかなかこの問題は難しいことではなかろうか、こう判断をせざるを得ません。
〔山本(有)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/193
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194・大口善徳
○大口委員 非常に、お役人がいろいろ細かいことを考えたものにのっとった答弁だったな、こう思うのですね。
建設省、どうですか。これは、特優賃だとか公営住宅ということ等の関係でいえば、別に公平性は変わらないんですよ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/194
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195・小川忠男
○小川政府委員 お答えいたします。
ただいま御指摘の点、国が借り上げるにせよ、あるいは公共団体が借り上げるにせよ、今総理から御答弁がございましたように、基本的にはやはり政策全体のバランス、公平性の観点からの基本的な問題というのが根底にあろうかと思います。
したがいまして、事務的には、今総理が御指摘になりましたような問題を念頭に置きながら、賃貸住宅政策、確かにいろいろございます、いろいろございますので、その御指摘の点、これをクリアするような形で、既存の賃貸住宅政策の応用動作として何か工夫があるのかないのかというふうな点につきましては、検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/195
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196・大口善徳
○大口委員 何か、どちらが総理かわからないような答弁がございました。
以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/196
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197・相沢英之
○相沢委員長 この際、並木正芳君から関連質疑の申し出があります。大口君の持ち時間の範囲内でこれを許します。並木正芳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/197
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198・並木正芳
○並木委員 改革クラブの並木正芳でございます。平和・改革を代表して関連質問をさせていただきますが、質問の前に、きょうは現地に建設大臣も赴いているようでございますけれども、北関東、東北地区におきます豪雨におきまして被害を受けられた皆さんに、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
それでは質問に入らせていただきますけれども、時間の関係もありますので、ぜひ簡潔にお答えくださいますよう、恐縮ですけれども、お願い申し上げます。
申すまでもなく、金融不安の解消には、景気の回復あるいは経済の立て直しが何よりも前提となるわけであります。政府はこれまで、いわゆる小出しにびほう策を講じながら、景気が回復しさえずれば不良債権額も減少するとの期待の中で、不良債権に関する情報開示を渋り、処理を先延ばしにしてきました。こうした間に、円も債券も地価も下がり、株価もついにバブル後最悪という事態まで下落してしまいました。もはや日本経済は非常事態宣言を発するほどに厳しい状況にあり、そのことを小渕総理自身のお言葉で国民に語り、そして国民の痛みを伴う改革への理解と協力を求めるべきであると考えます。
どうも総理におかれましては歯切れが非常に悪いわけですけれども、民間政治臨調等におきましても、既に、政治のリーダーシップ、それは総理の言葉をもってしか取り戻せない、そのような指摘もあります。ぜひその辺、総理に、現況のこの事態につき一言お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/198
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199・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 私は、国民が何よりまず我が国の経済情勢を極めて深刻に感じ、その一日も早い回復を願っているということは真摯に受けとめております。
こうした現在の日本の経済の状況を脱却するために、この内閣といたしましても、経済再生内閣をモットーに取り組ませていただいておるわけでございまして、諸般の諸施策を、スピーディーに、的確にこれを実施することによりまして、この危機的な状況を脱却すべく全力を挙げて努力いたしておるわけでございます。
それにつけましても、金融の今日の事態というものはまことに厳しい環境でございまして、一日も早くこうした不良債権を解消することによりまして、適正な経済運営ができますようにぜひ努力をいたしていきたい、こういうふうに考えております。
なお、景気の実態につきましては、ぜひ我々といたしましては、申し上げましたような税制あるいは財政面、こういった点からあらゆる手法を講じながら、その脱却のために懸命に努力をいたしていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/199
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200・並木正芳
○並木委員 総理、金融ビッグバンは既に開始されていると言ってもいいと思います。ビッグバン時代においては、これはもう申すまでもないわけでございますけれども、預金者自身が自己責任において金融機関を選択する、そういう時代になるわけです。そういう時代には、情報開示、これが徹底されていかなければならないわけであります。そのことを考えるならば、不良債権に関する徹底した情報開示と経営責任の明確化、そして期限を決めての不良債権の処理を、早急に、かつ思い切って行うべきであると考えるわけです。
昨日来の長銀への対応を見ましても、こうしたことからは極めて不十分であります。ビッグバン時代の認識にいささか欠けているのではないかと思えるほどの情報開示であると私は感じておりますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/200
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201・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 委員御指摘のように、いよいよ二〇〇一年三月期を終われば、預金者自体も自己責任におきまして金融機関を選択していかなければならない、こういう時代を迎えていくわけでございます。そうなれば、それこそ預金者のためにも、これは完全なディスクロージャーというのが行われ、それぞれの機関に対しての選別、選択が行われていくわけでありまして、こうしたことにつきましては、金融機関におきましても当然そのことを十分認識をしながら、それぞれの金融機関自体がこのことをしっかり踏まえて努力をいたさなければ、それこそ金融機関としての存在が危うくなるわけでございます。
ただ、今日の時点におきまして、これを自己開示以外にすべて行うということになりますと、なかなか今日は問題が多いと思っております。したがいまして、検査その他におきましても、SECの新しい基準におきまして、そのディスクロージャーに対する一つの基準を的確に行うことによりまして、金融機関自身もさらなる努力をされていくことが至極当然だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/201
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202・並木正芳
○並木委員 さて、今回の法案にございますいわゆるブリッジバンク方式の救済スキームでございますけれども、御案内のとおり、アメリカにおいては中小規模の銀行の破綻処理に用いたスキームであります。宮沢蔵相も、大手銀行破綻の処理策としてはいかがなものかと一度は発言されたわけでありまして、この時期にこのスキームで事足れりという認識自体、現下の危機を軽く見ているということではないか。
一方では、長銀が破綻すれば、連鎖的に大変なことになるというようなこともおっしゃっているわけでございますけれども、こうしたちぐはぐな処理スキーム自体、危機意識の欠如ではないかと考えるわけですけれども、その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/202
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203・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 先日来、本会議等におきまして、このブリッジバンクは大手銀行にはどうもふさわしくないのではないかという何度かお尋ねがありまして、私は何度も申し上げておるわけでございますけれども、仮に、ある大手の銀行が非常なピンチになりまして、幸いにして合併の相手が登場すればよろしいわけですが、そうでない場合には、どうしようもなくて結局破綻をしてしまうといたしますと、もちろんその場合預金者は保護されますけれども、結局その銀行は資産を処分して解散せざるを得ない。それ以外に救う方法は、今ですとないわけであります。
ブリッジバンク法が成立いたしますと、その際、金融管理人が入って、そしてお客さんを保護する。顧客でございます。いいお客さん、顧客は保護する、悪い資産は回収銀行に売るということになって、恐らく次の段階は、ブリッジバンクに行きますから、そこから二年ございますので、したがって大変中身はいい銀行になっておりまして、その場合に買い手があるチャンスは大きい。そのいい銀行になっているという部分が大事なんですね。
皆さんおわかりいただきたいのですが、不良債権は回収銀行が買ってしまう、そしてお客さんは善良な顧客だけになるという状況は、大変に中身がいい銀行でございますから、二年間の間に買っていく銀行のあるチャンスは非常に大きい。このシステムがございませんと、今のままでしたら、大手の銀行、小さいところもそうですが、破綻して、そこで行きどまりになるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/203
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204・並木正芳
○並木委員 まあ蔵相、日本では間接金融のウエートが先進諸国に比べて高過ぎる、こういう見解があるわけですけれども、これについてはどのように考えていらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/204
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205・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 理由はいろいろありますけれども、そのように私も思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/205
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206・並木正芳
○並木委員 ビッグバン時代においては、多様な金融商品開発とともに、企業の直接資金調達のウエートも増す、このように考えられるわけです。だとすれば、日本の現在はオーバーバンキングの状態にあるのではないか、このように考えるわけです。
だとするならば、破綻し、リストラを行ってもなお赤字となる金融機関までをブリッジバンクとしての国の信用力を使って存続させることは、むしろ金融市場をゆがめることになるのではないでしょうか。この時点で民間金融機関への売却が困難な金融機関は、いわば、これは言葉が適切かどうかわかりませんが、安楽死をさせるような方向で考えるべきであると思いますが、いかがでしょうか。
オーバーバンキングの状態をいたずらに継続しかねないばかりか、結局不良債権の民から官への移しかえというそれだけの結果になれば、国民にコストを強いることになり、それだけで終わってしまいかねない、そういうふうに考えるわけですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/206
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207・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 確かに間接金融のウエートが多過ぎると委員と同じように私は考えていますので、エクイティーであるとかあるいは社債であるとか、そういうふうにもつと動いていかないといけないと思います。また、国民の貯蓄の動向もそれと関係すると思います。したがって、ビッグバンに入るということは自由競争になるということでございますから、自然にその間に、銀行の間で、合併でありますとか、あるいは吸収でありますとか、いろいろな再編成が行われることは恐らく自然の流れではないだろうか。
そういう意味では、オーバーバンキングという状況は、競争になって初めて適正化できる、そういう時代に今入りつつあるというふうに私は思っていまして、ただ、その場合に、今野たれ死にということで顧客が置いていかれることは非常に問題がございますので、できれば、いいお客さんはそのまま取引が継続してできるような仕組みはやはり考えておくべきではないか。北海道の状態などを見ますと、非常にそれを強く感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/207
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208・並木正芳
○並木委員 既にいろいろな方の議論もあるわけですけれども、私としては、むしろオーバーバンキング状態を一つのランディングさせて、次のビッグバンに備えた金融体制をつくるべきだ、そのように主張しておきます。
次に、これもさまざまな方から取り上げられておりますけれども、貸し渋りということについてですけれども、貸し渋り問題について日商が本年五月に行った調査によりますと、貸し渋り状況というのはほとんど改善されておらぬ、特に大都市圏ではむしろ悪化という状態であるわけです。
総理御自身も、予算委員会において、大手銀行に資本注入したが、貸し渋りには十分な効果があらわれていないとおっしゃっておられるわけです。公的資金の投入を行っても、具体的対応を銀行の自主的裁量に任せているため、貸し渋り問題の克服に結びついていない、これは事実であり、現状であると思います。貸し渋り問題の解消に向けまして、早期是正措置の見直しを含めた抜本的な対応を再検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/208
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209・与謝野馨
○与謝野国務大臣 御指摘のように、貸し渋りは依然続いておりますし、特に中小企業を中心とした貸し渋りの状況というのは、それぞれの分野で非常に厳しいものになっていることは先生御指摘のとおりでございます。
本日の閣議において、貸し渋り対策の大綱を決めました。これは二つの方向で物事を決めております。
一つは、政府関係金融機関、すなわち商工中金、国民金融公庫等の貸し出しを強化していこうという方向と、もう一つは、中小企業とはいえ主たる取引銀行は一般の金融機関でございまして、一般金融機関から借り入れますときに、やはり担保を要求されたり、保証を要求されたり、さまざまな困難が借り入れについてつきまとうわけでございます。そういうときに、やはり保証人がないというような隘路が最も厳しいわけでございますので、本日の閣議において小渕総理が指示されましたとおり、中小企業に対する貸し渋りを、やはり各県にございます保証協会が、一般金融機関から中小企業等が借り入れをしますときに積極的な保証行為に出る、こういうことが骨子でございます。
そのための予算措置等も従来に増して相当大幅な額になっておりまして、約二十兆円の保証行為がさらに追加されまして、現在保証協会が行っております約十五兆円の保証行為プラス二十兆円の保証行為が理論上可能になるというところまで一応制度を整備する、予算措置もする、こういうことを決定いたしましたので、中小企業に対しては、窓口での親身、親切な対応とともに、財政的な裏づけ、保証協会、保証料等々、もろもろのことにつきましても細心の注意を払って今後政策運営を行っていく決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/209
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210・並木正芳
○並木委員 貸し渋りということについて金融監督庁にお尋ねしますけれども、民間金融機関の中小企業に対する貸し渋りに関する実態把握、いわゆる民間金融機関についてですけれども、この体制整備を金融監督庁において行えないかということであります。
中小企業庁の中小企業対策相談窓口、あるいは貸し渋り一一〇番、こういったものもあるわけですけれども、金融一一〇番を設置しまして、生きた情報、意見を得るとともに、貸し渋り対策として実効ある監督行政を行うべきと考えますが、簡単にお答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/210
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211・日野正晴
○日野政府委員 お答えいたします。
いわゆる貸し渋りにつきましては、これまでにさまざまな政策が打ち出されてきたばかりでなしに、本日、先ほど通産大臣から御答弁ございましたように、信用保証協会を通じてさらに一層拡充されたわけでございますが、金融機関に関する苦情ということになりますと、基本的には金融機関みずからが適切に対応すべきものだと考えております。
ただ、金融機関や、あるいは全国銀行協会の窓口における苦情相談体制を整備していくことが、やはりこの際非常に大事ではないかというふうに思いますので、当庁といたしましても、従来から、融資相談窓口の設置、あるいは苦情処理体制の充実強化等をするようにということを協会や各金融機関に行ってきたところでございますが、さらに一層、この貸し渋り問題を含めた苦情相談につきまして、どのような方策が可能であるかどうかを真剣に検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/211
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212・並木正芳
○並木委員 景気対策のための住宅減税あるいは都市政策等、お聞きしたいことはたくさんあったわけですけれども、時間も参りましたので、最後に一点だけ。
根抵当権法案についてですけれども、これについては、不動産を流動化し不良債権の処理等を促進することを目的とする法案、このように理解して、その趣旨には賛意を表するところでありますけれども、この法案に、整理回収銀行、サービサー、共同債権買取機構への根抵当権確定の特例を設けているわけです。その列記されている対象金融機関等に生保、損保が含まれていません。それについての理由を、私としては含めるべきと考えるわけですけれども、提出者の保岡議員にお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/212
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213・保岡興治
○保岡議員 我々が提案しました法案に御理解をいただきまして、本当にありがとうございます。
並木先生御提案の生損保を加えたらどうかということでございますが、理由というお尋ねでございますが御理解いただいているとおりでございまして、先生の御提案、我々の法案の趣旨に沿うのじゃないかと思います。したがって、これから与野党の協議の場を一日も早く立ち上げて、そこで答えを出していきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/213
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214・並木正芳
○並木委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/214
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215・相沢英之
○相沢委員長 これにて大口君、並木君の質疑は終了いたしました。
次に、鈴木淑夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/215
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216・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 自由党の鈴木淑夫でございます。
小渕総理、宮澤蔵相、堺屋長官、お三人とも以前から存じ上げた仲でございまして、時折意見交換をさせていただく機会もございました。それぞれの分野のエキスパートとして尊敬申し上げておりますが、きょうは、申すまでもなく、危機に瀕する日本の金融再生を審議する国会の場でございます。遠慮なく討議をさせていただきますので、お許しいただきたいと思います。
さて、私ども自由党と民主党、平和・改革、いわゆる野党三会派は、このほど、不良債権の早期処理、危機に瀕する経営困難な金融機関の整理、そして、金融システムの安定を維持しながらどうやって日本の金融機能を再生していくかという、いわゆるパッケージディール、総合的な政策について合意に達し、金融再生法を政府提出の六法案に対する対案として当委員会に提出することになっております。
私どもの野党案というのは、今言いましたようなパッケージディール、総合政策体系であります。破綻前の金融機関の経営が悪化したときにはどうするか。それから、実際に破綻してしまったときには、その結果、支払い不能の輪が広がって市場が混乱したり、決済システムが不安定化することを防ぐ、システミックリスクを防ぐためにどうするか。それから、システミックリスクを回避した後に、その破綻金融機関を整理、清算していくためにどうするか。その際、取引先の企業をどうやってほかの健全な金融機関に移すか。それを行う行政主体はどういう行政主体か。全部入った総合的な体系であります。
私は、これからこの我が野党案の体系と今政府がここにお出しになっている六法案とを対比しながら、テレビをごらんの国民の皆さんはもちろんのこと、国民の皆様に、どちらの案が本当に日本の金融システムを安定を維持しながら再活性化できる方法なのか、政策体系なのかということを御判断いただきたいというふうに思いますので、そういう形でこれから質問を進めさせていただきたいと思います。
さて総理、まず、破綻前の、しかし経営が悪化しているという金融機関の問題についてお尋ねいたしますが、今、長期信用銀行の問題が出ておりますね。
総理、公的資金を資本注入という形で入れようと思っているこの長期信用銀行というのは、経営状態が著しく悪化しているんでしょうか。あるいは、市場からの資金調達ができなくなってしまうおそれがあるんでしょうか。あるいは、破綻して経済に甚大なる悪影響を与えるおそれがあるんでしょうか。今私三つ言いましたが、どういう状態にあるんでしょう。どういう状態にあるから公的資金を入れるんですか。お答えください。総理、これは非常に大事な問題。総理がお答えになれないなら、どうぞ大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/216
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217・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 今長官がおられませんので、私から申し上げます。
御承知のように、三月に資本導入をいたしましたときは、金融危機管理委員会の判断では、長銀というのは著しく経営の悪い状態ではないという御判断でありました。その後、御承知のようにいろいろ危機説などがささやかれ、株価が暴落する、あるいは恐らく金融債の発行並びに償還について予期せざるような状況が起こる結果、事実上、長期信用銀行は住友信託銀行との合併を求めざるを得ないような状況にただいまございまして、リストラクチャリングの案を具して金融監督庁長官に提出され、そしてその案によりますと、やがてある段階で公的資金の導入を求めたい、そういう状況にあると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/217
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218・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 そうしますと、三月はそうじやなかったけれども、今は経営の状態が著しく悪化しているとお考えでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/218
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219・日野正晴
○日野政府委員 お答えいたします。
現在、経営の内容、資産の内容について鋭意検査をしている最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/219
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220・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 それでは、経営の状態が著しく悪化しているかどうかわからないというわけですね。
経営の状態が著しく悪化しているかどうかわからないんだったら、この金融安定化法に基づいて公的資本を注入することはできません。条文を見てごらんなさい。いいですか、第三条第三項に「経営の状況が著しく悪化している金融機関等でない金融機関等」に対してと書いてあるんですね。こんな変な、法律も私ども反対していますが、日本語も変ですね。だけれども、「経営の状況が著しく悪化している金融機関等でない金融機関」なんですよ。
そういう判定ができていないのに、どうして公的資金を入れるなどとどんどん言っているんですか。これは完全にこの法律に違反していますよ。どうですか、総理。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/220
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221・日野正晴
○日野政府委員 お答えいたします。
金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律に基づきまして、長銀はこれから公的資金をお願いしたいということを言ってくると思いますが、これは、言ってきた段階で、金融危機管理審査委員会がこの法律に定めるざまざまな要件に該当するかどうかを審査されるものと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/221
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222・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 それなら、言ってくる前から公的資金を入れる入れるなんて言わないでくださいよ。もう当然のように言っているじゃないですか。今の長官の答弁だと、今まで総理や大蔵大臣が言ってこられたことはおかしいですよ。これを、今だって、数分前にだって宮沢蔵相は、住友信託との合併を前提にして、経営を立て直すためにやるんだと言っておられたわけですからね。
ですから、まだ公的資金を入れられるかどうかわからないと言い続けなきゃいけないんですね。入れると言ったら、もう法律上、経営は著しく悪化していないということを何らかの手段で判定したことになるんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/222
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223・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 先ほど私は、リストラの案の中でやがて公的資金の導入を要請してくるというふうに承知をしておりますと申し上げましたが、ところで、預金保険機構によります基準によりますと、今鈴木委員のおっしゃいました、申請金融機関等の経営の状況が著しく悪化していないこと、法律第三条第三項第二号の定義は、次のようになっております。「最近三年間連続して、経常利益又は当期利益について赤字決算ないしは無配当となっていること。」逆に、なっていないことですが、早期是正措置の発動区分として第三区分云々、つまり、非常に自己資本比率が低いということでないこと。この二つが、経営が著しく悪化している、いないの判定基準であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/223
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224・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 自己資本比率が著しく下がっているかもしれないんですよね。それがまだわかつていないんでしょう。わかっていないんだったら判定もできないんですよ。
さあ、ここにばかりいると時間がかかりますから先に進みますが、いずれにしても、国民がこの話を聞いて大変怒っている最大の理由は、系列のノンバンクである日本リースなど三社、これに対する債権五千二百億円を一方では放棄する、放棄してこのノンバンクの再建を図るわけですね。そうしておいて公的資金五千億円を入れるというわけですから、これはもうだれが見ても、えっ、系列ノンバンクを救うためにおれたちの血税を使っちゃうのというふうに見えるわけですよ。どうしてこれ、今までだってノンバンクというのはそんな形で救ってはいないですよね。住専だって整理したじゃないですか。日貿信だって会社更生法を使って整理していっていますよ、あるいは立て直そうとしていますよ。それなのにどうしてこの長信のときだけ、系列ノンバンクまで含めて、血税を入れてまで経営救済しちゃうのだろり。これは不公平な話だな、大銀行なら系列ノンバンクごと税金で救われちゃうのかと。
今、もう御承知のように、倒産数は戦後最高のところへ来ている。たくさんの分野で、日夜経営立て直しに努力しておられる中小企業がたくさんいる。そういう中小企業の皆さんがこれを聞いて憤慨しておられるのは、もう当然だと思うんです。
総理、これは不公平な話だと思いませんか。他産業に比べ、あるいは大銀行と中小企業の間、極めて不公平だと思うんですが、これはどういうふうに御説明になるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/224
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225・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 私の理解しておりますところでは、政府は長銀と住友信託銀行の合併を全面支援したいというふうに考えておるわけでございますけれども、この両行の間の合併の一つの条件として、正常な債権のみということはよく知られておりますが、第二項に、関連会社、関連親密先の同行による責任を持った整理という項目がございます。
これは鈴木委員御承知のとおり、今おっしゃいましたノンバンクは、いわば古い言葉で申せば、長銀の、まあ母体行とも言われるべきものを、関連親密先の云々はそれを指しておると思いますが、そういうことが合併条件の一つであるというふうに承知をいたしております。
したがって、その合併条件を支援するという意味になろうと思いますが、御承知のように、その目的のノンバンクというのは大変に各行から大きな資金援助を受けておりまして、母体行がその務めを果たさないときには、その結果非常に大きな問題がまた新たに生まれるというふうに考えられた結果、このような合併のための条件が提示されたものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/225
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226・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 蔵相、それじゃ伺いますが、住友信託銀行が、いろいろ調べた結果、もう合併するのは嫌だよと言ったら、公的資金は入れないんですか、それでも入れるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/226
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227・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 政府といたしましては、総理大臣が、これは日本における金融のシステミッククライシスであると判断をされ、みずからリードして、リーダーとしてこの処理を図ろうとしておられるわけでございますので、私どもとしては、この合併が両者の間の話し合いで成就していくものという前提で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/227
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228・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 それはしかし、住友信託、私企業ですから、総理官邸に呼び込んだかどうかは知りませんが、これから自己責任で判断されると私は期待をしています。
ところで蔵相、今、日本全体にシステミック危機のリスクがあるというふうにおっしゃいましたね。リスクはあると思いますよ。しかし、長銀をノンバンクごと救わなければそのリスクは回避できないんだ、そういうふうに考えていらっしゃるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/228
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229・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 長銀が住友信託との合併を成就することが、この際の危機回避に極めて大切だ、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/229
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230・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 極めて大切かもしれませんが、しかし、長銀だって一般の私企業の一つですから、これは整々と、拓銀のように、山一のように、大銀行といえども整理、清算の手続に入ったっていいわけでしょう、公的資金で根っこから救済しなくたっていいんでしょう。なぜそんなことをするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/230
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231・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それはお答えは明白に、長銀がそれを希望しておられるからであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/231
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232・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 長銀がそれを希望したって、ちゃんと法律に基づいて審査すれば、それは有資格かどうかはわかりませんよね。だから、必ず公的資金を入れて救わないとシステム全体が混乱してしまうんだと。
実は私は、きのうからきょうまでの総理あるいは蔵相のお答えをずっとチェックしてあります。例えば、長銀が破綻したら日本経済が大混乱に陥るということを何度も言っておられますね。しかし、そんなことをおっしゃるから私は国民が不安に陥るのだと思います。
一番きのうの委員会でひどい御答弁を読み上げますよ。これは佐々木陸海委員の質問であります。破綻した銀行の対応の問題を我々は法案で今議論をしようとしているわけでしょうと。そうしたら小渕総理が、できないですよ、こうおつしゃつたのですね。ここに記録に残っている。できないといったって、そのためにみんなで知恵を出し合おうと言っているわけじゃありませんかと。そうしたら宮沢蔵相がお立ちになって、破綻した銀行の対応はございませんと言ったんですよ。これには私は驚いた。テレビに映っていたんですよ。
破綻した銀行に対する対応がないと時の大蔵大臣が言って、後ろからやじで総理大臣までそう言っているのがテレビで映し出されたんですね。私は、きょうの株価の暴落が全部そのせいだとは言いませんよ、もちろん、ニューヨークが崩れたとかいろいろありますよ。だけれども、あのテレビを見ていた国民、市場関係者はびっくりしたと思いますね。一体どういうつもりで、破綻したらお手上げたと言わんばかりの答弁をされましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/232
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233・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それは御質問が、あたかも、破綻したら破綻したでいいではないか、いろいろやり方があるだろうとおっしゃいましたから、預金者が保護されることはこれはもう御存じでございます。そのことはそれとして、実際、このブリッジバンクの法案が法律になっておりません限り、破綻した銀行に対して施すすべはないわけでございます。破綻した銀行は、破綻してしまえば財産整理をして解散するしか道はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/233
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234・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 今のに対しては私は……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/234
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235・相沢英之
○相沢委員長 ちょっとまだ発言中です。ちょっとお待ちください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/235
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236・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 どこかの銀行がそれを合併でもしてくれれば別でございますが、それは民間の出来事であって、政府として破綻した銀行に対して、まことに申しわけないが、今のままでは処置する方法がないということを申し上げているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/236
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237・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 大蔵大臣は非常に大事なことを言い忘れているのですよ一もちろん、一つ、預金者が保護されるということは言ってくださった。もう一つ、テレビの前ですから、国民に対しておっしゃらなければいけない非常に大事なことがある。それは、最後の貸し手としての中央銀行、日本で言えば日本銀行が、必ず破綻した銀行にぱっと飛び込んでいって、その破綻した銀行の支払い不能によって支払い不能の連鎖、ドミノ現象がばっと広がることをとめますと。
日本銀行法第三十八条、ことしの四月かち施行された新しい日本銀行法には、大蔵大臣が総理大臣と協議して、そして特融を日本銀行に要請する。そうすると日本銀行は、政策委員会でそれを決定して、無担保で、その破綻した金融機関にばんと飛び込んでいって、システミックリスクが本当に表面化するのをばんととめることができる。現行法律体系の中でそうなっているわけですよ。
だから、破綻したら処置なしたというような言い方を絶対してはいけない。大蔵大臣は国民に対して、破綻しても皆様方の預金は保護されている、それから支払い不能の連鎖は日本銀行の無担保の特融でぱっととめる、だから安心しなさいと言わなければだめでしょう。それを、安心しなさいと言わないで、破綻したらそれっきりと言うから、テレビでごらんになっている国民の皆さん、びっくりしてしまうのですよ。なぜ特融のことをおっしゃらない。なぜシステミックリスクはこれによって阻止できるとおっしゃらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/237
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238・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 ちょうどまさにそこはいいことを言ってくだすったと思うのです。一体、特融というものが何日続きますか。金融が何日続くとお思いですか。銀行は破綻しているのですよ。日本銀行がとめどもなくそれに特融を出せるとお思いですか。あなたのおっしゃることは、金融的には何とかなるだろうということをおっしゃっているだけであって、破綻した銀行が債務超過を回復する道はないということです。簡単にそういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/238
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239・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 何をおっしゃっていますか。それでは、拓銀が破綻したとき、山一が手を上げちゃったとき、どうなりました。とりあえず日本銀行の特融でとめたじゃないですか。どうして長期信用銀行だとそれができないなんて言えるんですか。
長期信用銀行だとできないとかいう理由として、先般来、デリパティブス取引が海外とたくさんある、これは大変な額だと言っていましたが、もう既にこの委員会でも出ているように、デリバティブスというのは、先物だのオプションだのスワップだので両建てでいきますから大きく見えますが、ネットアウトしちゃえば小さくなるし、長銀には失礼だが、もう長銀を相手にデリパティブスの取引をする外国の金融機関なんていませんよ。長銀に聞いてごらんなさい。今、長銀は外国とデリバティブスの取引なんかできませんよ。これだけ信用を失っていたらできないですよ。今、長銀のデリバティブスというのは、もうほとんどない。わずかにあるのは、国内でちょっとあるだけ、関連先と。
ですから、デリバティブスがあるから長銀がつぶれたら日本銀行の特融で支え切れないぐらい支払いが出てくるなんて、そんなのは大うそ。大体、デリバティブスというのは、ネットアウトしたら小さくなる。その上、今はもうやっていないんですね。ですから、一日しか支えられないなんて、そんなありもしないことを、またこれも聞いていて国民はびっくりしますよ。そんなことはあり得ない。
それから、もう一つ言います。我々野党案は二段構えになっているんですよ。特融ではんととめろと。それで、万々が一、日本銀行が特融を出すと言ってもまだその支払いに不安を感じているような金融機関がマーケットにあったりなんかしたら、そのときは二十四時間以内に国が管理してしまう、全部株を買い上げてしまうという、二段構えでシステミックリスク対策ができている。これが我が野党案です。政府のように打つ手なしなんという話じゃありません。
何を根拠に、特融でシステミックリスクがとめられない、長銀程度のでとめられないなんて言うんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/239
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240・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 論点をちゃんと、焦点をぽかさずにひとつ論戦をさせていただきたいと思います。
私どもが提案をしておりますブリッジバンクは、まさにそのときに救えるという方法を申し上げているんです。それは昨日も何度も申し上げました。鈴木委員のおっしゃるのは、破綻した銀行が日銀の特融を受けると生き返ることができる、こうおつしゃつているのですか。(鈴木(淑)委員「そんなことは言っていない」と呼ぶ)そんなことはあり得ませんよ。何日か延びるだけのことで、そこは違います。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/240
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241・相沢英之
○相沢委員長 御静粛に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/241
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242・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 そして、おまけに、今度鈴木委員のおっしゃった案によりますと、何か国有銀行がそれを買えると言いますが、一体、株主総会の議を経ないでどうして買えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/242
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243・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 どうも大蔵大臣は、私が直前に言ったことが全然耳に入っていなかったようですね。
私どもの政策体系というのは、破綻前の金融機関がおかしくなったらどうするか、破綻したときにシステミックリスクをとめるためにどうするか、三番目は、システミックリスクをとめた後どうやって整理、清算していくか、四番目に、そのとき取引先をどうやって健全な銀行に移すか、五番目に、それの行政主体は何か。ずらっと言ったじゃないですか。だれがシステミックリスクをとめる話とその後の整理、清算の話をごちゃごちゃに言いました。全然違うのです。私どもは、その後に整理、清算をこうやっていくというのがちゃんとついているんですよ。そんなところをわからないで、ごっちゃに議論しないでください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/243
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244・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 絶えず申し上げておりますけれども、私どもの案そのものが最善だとは考えておりませんので、委員会においていろいろ御議論をいただいて、そしてよりすぐれたものにしたいと私どもも考えておりますから、いろいろそういう意味では御教示を賜りたい。
今申し上げましたのは、たまたまおっしゃったことについて私の感想を申し上げましたけれども、これは御一緒の作業の中でいいものができていくことを私どもも希望しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/244
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245・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 トーンがぐっと変わってくださったので、これならかみ合うなと今思いました。
それで、この先に、ブリッジバンクの話へ進んでいく前に、日銀総裁、お忙しい中お越しいただきましてありがどうございました。今、日銀の特融のことが出ておりますので、お尋ねしたいことがあります。
前総裁が国会で申されたことなのですが、日銀は、無担保ではんと特融が入っていくときに、四原則、四つの原則があると。
一つは、もう日銀以外にだれも貸さない、まさに最後の貸し手のとき、これはまあそうですね。それから、システミックリスクが明らかにあるとき、それをとめるために。そして、三番目に、同時に、もう特融に入っていったらその金融機関の経営者は失格だから、責任はきちっと追及をする。そして最後に、四番目に、さはさりながら日銀財務の健全性を確保するという言葉がありまして、これは確かに、特融といえども日銀貸し出しは我々が持っている日本銀行券の裏づけになる健全な資産でなきゃいけないわけだから、こういう第四番目の条件が入るのはもっともではあるけれども、しかし今度は、これをきつく言い出すと、さっきの宮沢蔵相ではありませんが、一体何兆円やれるのだろうとか、限度があるじゃないかとかいう話になってくるのですね。
速水総裁、この四つ目の日銀財務の健全性確保というのは、具体的には、政府が保証してくれとか、あるいは引当金を積むが、今特融したとき二五%積みますね、引当金を積むが、利益がなくなっちゃって政府への日銀納付金がマイナスになっちゃう、政府から公的資金を入れてもらわなければ引当金が積めない、そういった事態のときは公的資金を入れてくれとか、どういうことを頭に置いておられるか。もしこの四原則を今でもお守りなら、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/245
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246・速水優
○速水参考人 御指摘のように、日本銀行特融の四つの条件というのは、これは大切な、私ども、レンダー・オブ・ラスト・リゾート、最後の貸し手として貸せるかどうかというのは、この四つの条件を満たすときに初めてできるわけでございます。
昨年の十一月ごろからかなりこの特融を出しました。ピーク三兆八千億ぐらい。今、それは返ってきて二兆六千億になっておりますが、そのうち一兆八千億は拓銀でございます。これは、恐らく営業譲渡のときに返ってくるものだというふうに考えております。私どもは、やはり具体的には、損失補てんではなくて、回収可能と見込まれる場合に限ってこうした資金供与を行うこととしていかなければいけないと思っております。
委員も御存じだと思いますけれども、私も日銀におりましたときに、昭和の初めの不況のときの日銀特融、第二別口と言って、第二別口貸し出しと言っておりましたけれども、このとき貸したのが、何と返ってきたのは昭和二十六年なんです。要するに、担保がなしに、返す責任者がいなければ、これは出しつ放しになってしまうのですね。
その辺のところをよく考えた上で、四つの原則が守られていないと貸さないということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/246
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247・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 重ねて伺いますが、そういうことがございますので私どもは、特融の能力を強化するために、もし引当金が積み切れなくなったらここにこそ公的資金を入れるべきじゃないかな、あるいは何かの形で政府保証が要るのかなというようなことも考えておりますが、その点は、総裁、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/247
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248・速水優
○速水参考人 確かに、タイミングが必要でございますから、政府資金が出るまでの間に、ぐずぐずしておりますと市場が対象の銀行をつぶしてしまうかもしれない。そういうおそれのあるときに、日本銀行としては直ちに出ていかなきゃいけないわけでございます。そういうタイミングというのはまことに大切なことであることは、私ども十分承知しております。
特に最近のように市場の流れがグローバルに速くなっているときには最も大事なことの一つだと思いますが、やはり、財務、返る当てのないものを貸すわけにはいきませんので、そこのところは、中央銀行の立場からいけば、何が、いつ、どうやって返ってくるかということは、大事な条件の一つであることは御運解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/248
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249・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 ありがとうございました。
おっしゃいますように、特融というのは、間髪を入れず入っていって、システミックリスクを抑えることができる強力な武器ですが、今言ったような日銀財務の問題がございますので、私が申し上げましたようなことを考えることによって、特融の機能を強化するということはぜひ考えなきゃいけないことだと私は思っております。
蔵相も今首を縦に振っておられますので、ぜひ、ここを強化すれば、大銀行がつぶれたらお手上げたみたいな印象を与える答弁ではなくなっていきます。国民の皆さんも、そうなのか、日本銀行の最後の貸し手機能というのはそういうものかと理解をされると思うのですね。
日銀総裁、お忙しいかと思いますので、お引き取りいただいて結構でございます。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/249
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250・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それはよく了解いたします。
日銀特融というものが、いわばカンフル注射といいますか、そういう役割を果たすことはよく存じておりますが、総裁が言われましたように、返ってくる見込みのない特融というものは出せないということもまた大事な点でございますから、特融のことをこの問題の中に入れて考えなきゃならぬという御主張は、私もそこは同意いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/250
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251・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 それはそうなんですね。幸いにして日本銀行は、過去の特融は全部返ってきておりますけれども、今出したものは返り始めているけれども、まだ残ったりしています。しかし、とにかくタイミングが大事なものですから、そういうことで右顧左べんしなきゃいけないような状況ではないような状況をつくることがすごく大事で、それで私は、引当金のところに公的資金を入れることだって一つの案だと申し上げているわけですね。
それで、問題のシステミックリスク回避をした後に、さあその破綻した金融機関をどうやって整理するんだということですね。
政府案はブリッジバンクだというわけですが、私どもは、金融再生委員会という国家行政組織法上の三条機関。委員長を国務大臣にして、これの任命する金融整理管財人が破綻金融機関の債権債務を整理し、清算処分をするということを原則にしております。第三分類、第四分類という不良債権は、私ども、新たに日本版RTC、整理回収機構というのをつくろう、その下に今ある整理回収銀行や住宅金融債権管理機構を吸収させて、強化した日本版RTCで不良債権の回収を図ろうというふうに考えているわけであります。
それに対して政府はブリッジバンクだというわけですが、政府のブリッジバンクは、破綻したときに、受け皿銀行があらわれないときに国が引き取って、そしてブリッジバンクで原則二年、一番長ければ五年、その間に、さっきもおっしゃいましたが、不良債権がなくなる、優良銀行になるから、民間で買いたいなという人が出てくるだろう、こう書いてあるのですね。
ところが、蔵相は英語の雑誌なんかどんどんお読みになっていますから御記憶に残っているかもしれませんが、このブリッジバンク構想が出たときに、七月の第一週のロンドン・エコノミスト誌に、この日本のブリッジバンクはオリジナルモデルのアメリカのブリッジバンクとは違う、似て非なるものであると。
アメリカのブリッジバンクというのは、どこかが破綻した、受け皿銀行がいる、手を挙げているんですね。だけれども、コストを極小化するために、まずその破綻したものを国のブリッジバンクが引き取って、債権債務を整理して、いわば化粧直しをして高く売りつける。そうしますと公的資金の投入を極小化できますからね、そういう目的なんですね。ところが、日本のブリッジバンクというのは、受け皿銀行がいないときに国が抱え込むのですね。だからこれは全く違うといって、ローマ字でブリッジバンクと書いてありましたよ。英語のブリッジバンクと書いてはならぬ、これは英語のブリッジバンクとは似て非なるものだからと書いてあった。そのとおりだと思うのですね。
私が一番心配しておりますのは、そうやって引き取り手のないものを引き取ったら何が起きるかですね。
それで第三、第四分類は回収機構の方へ、第一分類はもちろん健全な金融機関の方へ取引を移してしまうでしょう。ひょっとすると、第二分類の中で、移りたくても健全な銀行が取引を拒否するために移れないというのが残ってしまうんじゃないかと思うんですね。移りたくても移れない。しかし、うちはブリッジバンクとまだ取引しているんですと言ったら、これは実は信用を失うだろうと思いますよ、ブリッジバンクの性格から考えて。信用を取り戻すためには移りたいですよ、企業はみんな。
ですから、最後にブリッジバンクに二年も五年もぶら下がっている企業というのは、残念ながら、善意かもしれないけれども、かつ健全とはなかなか言いがたいようなところが残っちゃうんですね。そうすると、一番悪いところだけ抱え込んだ国営ブリッジバンク、これが二年も五年も公的資金をつぎ込んでそういう企業を支えていくといりことになるだろうと私は思うんですよ。これよりも私どもの案の方がいいですよ。ブリッジバンクはだめよと。
そして、それではどうやって、そういう第二分類でよそへ移りたくても移れない企業を移してあげるのか。
そこで私どもは、信用保証協会の保証だと言っているわけですね。それも、普通は七〇%か八〇%を中小企業信用保険公庫に再保険していますが、この再保険の率を上げてあげよう、そして保険公庫の方にどんと公的資金を入れてあげよう。それで信用保証協会に安心させて、その破綻銀行の自分では移れない第二分類、繰越欠損なんかないんだけれども一期、二期、赤字を出しちゃったために第二分類だというような、そういうところに保証してあげて、さあどうぞお移りなさいとやってあげる。
私は、この方が公的資金の投入量ははるかに少ないと思います。そうじゃないと、ブリッジバンクで抱え込んだら、どんどんその一番移りにくいところを抱えていくんですからね。これはよくないと思いますね。どうですか、私どもの野党案の方がいいんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/251
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252・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 私も、党におりますときにこのブリッジバンクを考えまして、アメリカのようにいくかと実は最初考えておりましたっ
それで、一番困りましたのは、今鈴木委員の言われましたブリッジバンク全体をテークオーバーする部分で、アメリカのシステムは破産管財人のように力が強うございまして、もう株主総会も何も全く無視することができる。もちろん役員の解任はできますし、オールマイティーでございました。
我が国の場合、しかし、株主総会を無視するということが、我が国の法制上、当然のことながらできないということに立ち至りまして、これは先ほど失礼ながら申し上げました、国営のときに、とるときに、株主総会をどうされますかというその問題と同じ問題でございます。それがどうもできないということになりまして、そこで、それならば管財人を入れてそのまま進めるしかないんだろう、そしてその後にブリッジバンクになってこうこうと、こういうふうな発想になった経緯がございます。
しかし、今お話を伺っていまして、その信用保証協会のところはさすがに感心しております。これは気がつきませんでした。何かそれをうまくこなせますといい案ができるかもしれない。ただし、私は、いい方のお客さんはどこかの銀行へ移れるだろうという、おっしゃる点については、今のような状況でございますとなかなか受け入れる、こういう状況でございますから、銀行が簡単にあるとも思えないという気持ちはいたしますけれども、しかし、信用保証協会をそこへひとつ一役買ってもらうというのは、確かに一つのお考えだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/252
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253・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 私ども自由党は、民主、平和・改革と一緒に、この法案もできるだけ早くここへお出ししようというふうに思っております。蔵相にもお褒めいただきましたので、これはもうぜひとも実現をしたい。最も公的資金の投入を少なくして、極少化して、かつ破綻銀行の借り手を移す一番いい方法だなというふうに思っております。
さて、以上のようなことで、我々は、破綻前の金融機関に公的資本は注入しない、破綻したら絶対システミックリスクは起こさないように二段構えだ。その後、整々と整理をしていく。そのときに、ブリッジバンクではなくて信用保証協会を使って借り手を保護していく。
五番目に、これをやる行政主体として金融再生委員会というのを、私ども、三条機関として言っているわけですね。なぜそうかといえば、これは恐らく議論が長くなると思うんですが、やはり国民の皆さん、大蔵省のこれまでやってきた金融行政の失敗というのをよく御存じだと思うものですから、財政政策優先の影が残っているような金融行政というのはまずいな、やはり金融行政というものを財政政策から組織上完全に分離すべきだという、これは野党三会派の共通の認識でございます。
これは論争なんかすると長くなっちゃいますからさっとまいりますが、やはり財政政策と金融行政の間には利益相反があると思うんですね。
これは宮沢蔵相もお認めいただけるんじゃないかと思いますが、例えば不良債権処理がこんなにおくれちゃった、金融行政上こんなにおくれちゃった、これはやはり租税政策と利益相反があると思うんですね。不良債権処理を急げば、これは税収が落ちるんですよね、直接償却にしろ間接償却にしろ、どんどん認めていくと。あるいは、今度お出しになった、私どもは反対ですが、例の権利調整委員会のところも、あれは税収は減っちゃうんですね。明らかに利益相反があるんですよ、不良債権の早期処理と租税政策に。
それから、金融市場の発達を阻害している租税、その他たくさんある。FB金利は本当に自由化されるんでしょうかね。FB金利を自由化していないとか、有取税がある、取引所税がある、印紙税がある、受取利息の源泉徴収は公的機関以外の非居住者にも実施している。これらすべて、やはり租税政策の方が金融行政よりも強いからこういうことになっていると思うんですよ。
そういうわけですから、私どもはこの際、金融再生委員会のもとに金融監督庁や預金保険機構を入れて、行革で二〇〇一年三月に金融庁になるときに、この行政委員会やめちゃって、金融庁に移す。政府・自民党さんが考えている行政組織の改革と、そこですっと一緒になるんですが、もう今からそうしてしまおうよということを言っております。ただ、これは時間がなくなるおそれがありますので、御見解は伺いません。
最後に、一番大事なところにまいりたいと思います。
それは、堺屋長官、お待ちいただいていたわけですが、不良債権処理、それから金融機関の経営立て直し、そして金融機能の再生、これは景気の追い風がないところでやったら非常に難しいですよ。非常に難しい。
これはもうアメリカの経験を御存じの方ならすぐわかることで、八〇年代からいろいろ工夫してきました。RTCもつくった。SアンドLをそれで処理した。それからコンチネンタル・イリノイ、八四年。やはり大銀行のときはツービッグ・ツーフェールなんだから、大き過ぎてつぶせないんだからという肯定的な引用をされた委員がいますが、今日、アメリカでは、コンチネンタルーイリノイのツービッグ・ツーフェールは失敗だったという評価ですね。御承知かと思います、九一年の保険法改正のときに、ツービッグ・ツーフェール原理はだめと否定された。あのコンチネンタル・イリノイ以来のそれは非常に不公平を生んでいる、モラルハザードを生んでいるということで、だめとなったんですね。
そういうわけで四苦八苦したんですが、アメリカで不良債権の処理がぐっと進んで、アメリカの銀行がよみがえったのは九二年以降です。御承知のように、景気が立ち上がってきたからですね。景気が立ち上がってくれば、言うまでもなく取引先の業績が好転する、地価が底入れをするから担保不動産の値段が上がってくる、そうなれば売りやすい、みんなも先高感を持つから買いたがる、不動産の流動化もどんどん進むということで、今までつくった仕掛けが一斉にいい方向へ動くわけですよね。ですから私は、日本で景気の追い風をつくる、今は金融再生のためにも絶対欠かせない条件だと思うのです。
ところが、ここから先が長官への御質問でございますが、私の見るところ、本年度の景気が危ない、ここから先の景気が危ないというふうに思います。
御答弁を伺っていると、例の十六兆円の対策、それを入れた第一次補正がいよいよ動き出す、秋口あたりからはよくなってくるだろうと言っておられます。総裁選のときに打ち出された七兆円の恒久的減税も、十兆円の事業規模の第二次補正、それを入れた十五カ月予算も、これが成立して動き出して効果を発揮するのは来年度でしょう。そうでしょう。だって、一月にお出しになると一何といったってそうなってしまいますよ。それですから、小渕内閣の皆さん方は、年度内は、来年の三月まではこのままほっておいても景気が秋口から立ち上がると思っているらしいが、この見通しが僕は間違いだと思いますよ。
それで、これが間違いだということがわかったときが、本当に金融危機がまたさらにきつくなるときだと思うのですよ。極めて危険きわまりない。追い風であるべき景気が、アデンストになっていきますからね。
それで、長官にお伺いします。
何か、きょうのNHKのニュースが正確なら、堺屋長官も秋口以降の方を心配しておられる、秋口から立ち直るとは思っていない、秋から先も大変だという御認識をお持ちだと。もしそうなら、その場合に、この金融問題はますます大変になりますが、いかがですか、長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/253
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254・堺屋太一
○堺屋国務大臣 鈴木委員の御指摘、私も本当のことを言いますと、まことに心配しております。
小渕内閣は、既に発足前から六兆円、今七兆円になっておりますが、減税を打ち出し、また十兆円の第二次追加予算を打ち出し、極めて迅速に手を打っているのですが、なかなか、きょう言ってあしたお金が出るような仕組みに日本国はなっておりませんし、また、公共事業にいたしましても減税にいたしましても、法令その他があって、きょう言ってあしたお金が出るようになっておりません。もう最大限のスピードで今やっていると私は認識しておりますが、その上に、諸外国の、アジア、ロシア、そして中南米、ヨーロッパ、これも余り景気がよくございませんし、アメリカの株にも陰りが出てくるのじゃないかという説もあるぐらいでございますから、本当に鈴木委員のおっしゃるように心配しております。
しかし、今この十六兆円を追加し、そして途切れなく、すぐ十兆円の第二次補正をやり、そして、一月一日でございます、来年度じゃなしに一月一日から減税は実施できると思いますが……(発言する者あり)個人税ですね、所得税と地方税は一月一日からできるわけでございますが、そういったもののアナウンス効果で最大限の手は打っていると思います。
これをさらに手を打つとなりますと、場合によっては、世界情勢の場合によっては、大胆なかじの切りかえが必要な場合も出てくるかもしれませんが、打つ手がかなり限られているということも御承知いただきたいと思います。あるいは、場合によっては、世界的な情勢によりましてはさらに大胆な政策を考えるときもあるかもしれませんが、今までのところ、私の認識では、小渕内閣は発足以来、最大限のスピードで経済対策をやっていると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/254
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255・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 最大限のスピードで最大限の努力をしているそうでありますが、申しわけありませんが、私は逆の認識を持っています。ツーリトル・ツーレートだと思います。
まず、ツーリトルというところを申しましょう。
小渕総理、七兆円減税と言っておられますが、ネット減税は幾らだかわかっておられるでしょうね。ネット減税は三兆円ですよ。そうでしょう、ことし四兆円をやっているのですから。ネット減税は三兆円ですよ。それから、今度第二次補正で、十五カ月予算で載っけてくると言われますが、あの公共事業費、第一次補正後の本年度の公共事業費に比べてほとんど横ばいではないですか。公共事業費はほとんど増加しないですよ。ツーリトルと言うゆえんであります。
ツーレートというのは、最大限のスピードとおっしゃるが、最大限のスピードなら、今すぐ何で消費税率を三%に引き下げることに取りかからないのだ。引き上げのときは準備が要るけれども、引き下げのときは、これはよく引き下げというとそのアナウンスメント効果だけで消費が引っ込むと言うけれども、これは非常に早くやれます。
それから、減税についてだって、来年一月からとおっしゃるけれども、いつ、どういう法案を出してくるのですか。それは、実際に法案が成立して一月にさかのぼって計算するという話であって、本当に減税になるなと国民が納得するのは、一-三月中の通常国会でそれが成立したときでしょうね。だからツーレート。
ですから、本当に危機感を持っているように私は思えないですね、小渕内閣は。最大限のスピードで最大限の政策なんか打っていない。そこに非常な危機がある。それを認識していないという事実に大変な危機が潜んでいる。マーケットはそれを見ているからこんなに先行き感が弱いのだというふうに私は思います。
小渕総理は、七兆円の恒久的減税と言い、それから十五カ月予算と言っているのに何でマーケットは動かないとお思いかもしれませんが、私の分析ではツーリトル・ツーレートなんです。ぜひそのことをよくお考えになって、私ども自由党が主張している減税案の中身をよくごらんになって、早く実施することをお考えにならないと、これは手おくれになるというふうに思いますよ。
それからもう一点、堺屋長官はお気づきでおっしゃっていないかと思いますけれども、なぜ私が、これから先、年度内の景気が危ないと言っているかといえば、設備投資です。総理、蔵相、設備投資の数字をちゃんとチェックしておられますか。設備投資が急激に弱くなっている。
設備投資は、御承知のように、GDPベースではことしの一-三までしか出ていない。名目でいえば、去年の十-十二に初めてマイナス〇・三、そして一-三はマイナス四・七です、前期比で。実質では十-十二はとんとんですけれども。一-三にマイナス四・七と落ちてきたのは、いやあ、えらい設備投資落ちたな、しかし四-六から上がるかなと思いきや、法人企業動向調査では、四-六の設備投資は一-三以上の幅でマイナスになります。
それから、一般資本財出荷というのがありますね。一般資本財出荷、堺屋長官はチェックしていますか。一-三がマイナス〇・六ですが、四-六はマイナス一〇・二ですよ。ですから、GDPベースで一-三にマイナス四・七になった設備投資は、さらに加速して四-六に落ちるということが、大体もう出ているのです。
そしてさらに、ではその先ほどうかなといえば、先行指標は機械受注でしょう、民需、除く電力・船舶というものですね。この機械受注が何と四-六月はマイナス一六%ですよ。これは六カ月から九カ月の先行指標です。だから、もう年度内の設備投資はアウトということです。
そうしますと、総理、設備投資というのは公共投資の倍の規模を持っています。ですから、仮に公共投資を一〇%ふやしたって、設備投資が五%落ちたら相殺されてしまうのですよ。これは、現についこの間起きた。九一年度から九三年度までの三年間の平成不況中、幾ら景気対策を打っても景気が浮揚しなかった。だから公共投資は効果がないなんといういいかげんな議論をした人がいますが、公共投資は効果がないのじゃないのです。公共投資の倍、当時は倍以上の規模を持っていた設備投資が急落していたから、公共投資のプラスを相殺してマイナスが残った、だから景気が突っ込んだ。あの平成不況のときと同じような状況が今起きてきているのです。
総理、どうぞ、ツーリトル・ツーレートということを私に言われた、そして自由党の政策、あの減税政策を早くおやりなさいと言われた、このことをしっかり覚えておいてください。そうしませんと、この先もし景気が突っ込んできて、金融危機が今どころの状態じゃないよみたいなことになったら、これはえらいことですからね、日本国民のために。
どうぞ、堺屋長官も設備投資をよくチェックしてください。何か御意見ありますか。設備投資をしっかりチェックして、それが公共投資などというのを吹っ飛ばしちゃうというのをよく見てください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/255
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256・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 鈴木委員から、ツーリトル・ツーレートというお話がございました。
ただ、私といたしましては、橋本内閣が退陣をいたしまして、この内閣を組閣する前、自由民主党の総裁選挙に当たりまして、減税あるいは追加予算のことにつきまして申し上げました。普通の政治の情勢でまいりますれば、当然、党内の手続も十分経た上でそうした形をすべきところでございましたが、私といたしましては、この内閣の使命としては、経済再生内閣をうたい、景気の回復のためには、打てる手段としてはこのようなことを積極的に進めることが極めて重要だという観点でいたしたつもりでございます。
総合経済対策もいたしておりますが、実質的に公共事業その他につきましての景気の効果が出ますのも、これまた必ずしも四月から始まるわけでございませんで、この九月ごろから出てくるということでございますので、追加補正予算につきましても、切れ目なく一-三月もいきませんと、従来からいいますと第二次補正等いたしましても一-三月がダウンしてまた四月からと、こういうことでございまして、そういった意味では私なりに精いっぱい、ツーマッチ・ツーファストということで努力してきたつもりでございますので、その他いろいろの、各党の御意見も承りますが、この内閣としてやるべきことを適切に打っておりますことも、ぜひ御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/256
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257・鈴木淑夫
○鈴木(淑)委員 総理は責任あるお立場ですから、一たび口から出したことは実行していただきませんと、逆に日本の信用を失います。
時間が参りましたので、これで打ち切りといたしますが、以上申し上げたことで、私どもの野党案、野党の金融再生法案というのは、部分的なものではなくて大きな体系になっているのだ。破綻前処理、破綻時のリスク回避、そしてその後の整理、そして借り入れ企業をどうやって移すかとか、そして行政主体、最後に景気の追い風、そこまで完結したパッケージディール、総合政策であります。
どうか国民の皆さんも、政府案が通らなかったら、あるいはどうかしたら日本の危機が来るなどという一部の論調に惑わされないで、野党案が成立したときにこそ日本経済そして日本の金融の再生があるということを御認識いただきたいと思っております。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/257
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258・相沢英之
○相沢委員長 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。
次に、佐々木憲昭君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/258
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259・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
質問に先立ちまして、昨日未明からの東北、北関東地域を中心といたしました集中豪雨の被災者に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。政府は、被災者救済に万全の対策をとり、今後の被害の拡大防止に全力を挙げるよう、要望をさせていただきます。
そこで、日本長期信用銀行と住友信託銀行の合併について最初にお伺いをしたいと思います。
私は、昨日来、この委員会の質疑を聞いておりまして、大変驚きました。宮沢大蔵大臣は、今度の合併というのは私企業間の契約で、いろいろ条件を出すのは当然である、住友信託の経営陣としてはベストの状態で合併を図るのが当然だという趣旨の答弁をされました。まるで、この合併は民間同士のものだから、あたかも口を出すべきではないというような言い方でございますけれども、それなちなぜ税金を投入するのか。
純粋に民間銀行同士の合併なら当事者の話し合いで勝手にやればよいというのが当然だと思うのですが、民間同士の自主的な話し合いであれば、身ぎれいにしろとか持参金を持ってこいとか、どのような条件をつけようとそれは自由でございます。しかし、なぜそこに国民の税金を投入するのか。六千億円から一兆円、こう言われる莫大な公的資金をなぜ投入しなければならないのか。ここに最大の問題があると思うわけでございます。
そこで、総理に基本的な認識を伺いたいのですが、この合併が民間同士の合併だというのになぜ真っ先に国民に負担を求めるのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/259
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260・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 私は、かねて申し上げておりますように、金融システム全体の危機的状況は絶対に起こさないというかたい決意のもとに、我が国金融システムの安定と内外の信認向上に全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
今回の長銀と住友信託の合併構想は、確かに民間企業同士の合併ではございますが、我が国金融システムの安定と国民経済の円滑な運営に資するものでございまして、政府といたしましては、本合併構想、最大限の支援を行っていく所存でございます。
なお、公的資金の使用については、まずは金融危機管理審査委員会におきまして判断されるものでありますが、長銀から公的資本注入について申請があれば、審査委員会において、そのような事情も踏まえ、審査基準に沿って適切に対応されるものと考えております。
民間企業同士であるからといって政府が全く手をこまねいておるという状況は許されない環境にあるわけでございまして、むしろこの金融の不良債権処理なくしては日本経済の再生はあり得ないという立場で、政府としての責任において対処するわけでございまして、さればゆえに金融二法も国会で成立をされておられるわけでございまして、また、今日こうして国会で、この金融再生のトータルプランに基づくところのこうしたブリッジ法案等も含めまして真剣な与野党の審議がされておることも、ひとり民間企業であるということでなく、特に金融機関につきましてはこれまた政府としても国民に対して大きな責任を負っておるという立場で対処いたしておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/260
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261・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 私がお聞きしましたのは、なぜ真っ先に国民に負担を求めるのかということをお聞きしたわけです。
おかしいじゃないですか。あなた方は債務超過ではないと言っているわけですね、債務超過ではないと。それなら、最終的に債務不履行になるはずがないわけであります。何でそれが金融システムの危機になるのか。デフォルトというようなこともあり得ると。それであるなら、先ほども質疑がありましたけれども、最後の貸し手としての日銀、その日銀の特融で対応するというのがこれは当然のことでありまして、まず国民に負担を求める、こういう考え方は私は納得できない。
それで、金融システムを守るために資金が必要だというならば、当事者である銀行業界に負担を求めるのがこれは当たり前のことでございます。民間同士の合併なのに、なぜ当事者である銀行業界に負担を求めないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/261
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262・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 この二社の合併の話でございますけれども、長銀のいわゆるリストラ計画を見ておりますと、これはまあ、ありていに申して、長銀はもうひとり立ちすることは難しいと自分で考え、そしていろいろなものを放てきして、しかし日本のシステミックリスクを守ろう、こういうのが長銀の考え方と、私どもあのリストラ計画を見ると受け取りますので、したがって、これができることが日本のシステミックリスクを救う道だという判断をしております。
そして、その長銀のリストラ案の中で、ある段階で政府資金を投入してほしいということが書いてございますから、その段階になればそれは考慮に値すると考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/262
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263・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 ひとり立ちするのが難しいと。それなら、真っ先に負担を求めるのは当然銀行業界にではありませんか。ところが、銀行業界には話もしていない、負担を求めていない。国民に対しては、ともかく金は出せ、口は出すな、こういう話では絶対納得できません。今からでも遅くありませんので、銀行業界に負担を求めるべきではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/263
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264・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 預金保険機構は各銀行からのプレミアムを徴収しておりますけれども、今度の問題が起こります前にプレミアムを七倍にいたしております。これは相当な負担でありまして、恐らく優良銀行にとっては、自分のためというよりは預金保険機構の成立のためという犠牲と思います。それだけの負担はしております。
この上で、具体的なことが起こって、これは銀行業界の利益ということとちょっと違いまして、日本のシステミックリスクというのは日本の信用全体のことでございますから、業界の話だから業界で持てということとちょっと似つかりませんし、それに、業界のことだから業界で持てというのは、よくおっしゃいます護送船団の思想にどうもちょっと似ておるような気がいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/264
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265・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 大体、今おっしゃった護送船団の発想というのはあなた方がやっていることですよ。税金を投入するというのがまさに護送船団じゃありませんか。我々が言っているのは、銀行業界に自己規律を求めなさい、自己負担でやりなさいと言っているんですよ。
大体、七倍に引き上げたというお話ありましたね。しかし、預金保険料というのは、アメリカのピーク時に比べてもまだ三分の一にすぎません。全然負担は重くありませんよ。システムの安定によってまず利益を受けるのは当然銀行でありますから、だから自分たちが負担する、これは当たり前のことなんです。
例えば、一九九五年、平成七年十二月の金融制度調査会の最終答申。この中には、金融機関の破綻処理は金融システム内の最大限の負担により行われることが原則である、米国においても商業銀行の破綻処理は預金保険の発動により金融システム内で処理されている、こう書いているじゃありませんか。
アメリカでは、ブレイディ財務長官が、一九九一年のFDIC、連邦預金保険公社の改革法、これがつくられたときに、議会で次のように証言しております。私たちの提案は、銀行業界がシステムの安定から直接利益を受けるのだから、業界が負担すべきだという見解を反映したものである。これはアメリカの考え方ですよ。
つまり、自分たちで負担するというのが原則じゃありませんか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/265
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266・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それが十三兆とか十七兆とかいう大きな金額を必要とする規模の計画でない限りはそうでございますけれども、今政府が準備いたしました、あるいはシステミックリスクが直面しております危険というのは、それよりはるかに大きなものでございますので、やはり国民のお金を拝借するということでないと処理ができないと判断したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/266
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267・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 大体、銀行に負担を求めることもしていないで、よくそういうことが言えると私は思うのですよ。
私どもは、昨日、金融機関の不良債権及び破綻処理問題についての日本共産党の見解、具体的な今回の金融問題の提案をさせていただいております。
この提案では、銀行業界の不始末は銀行業界の負担で解決すべきであり、公的資金は投入し.ない。そのためには、預金保険料の引き上げを図る。それでも預金保険機構の資金が一時的に不足するような場合には、金融市場からの調達あるいは日銀からの借り入れで対応し、その返済は銀行業界全体の責任で行う。こうした自己責任を貫いてこそ、銀行業界のモラル、自己規律が確立てきるからでございます。
ところが、あなた方はすぐ、銀行の体力がない、こうおっしゃるわけですね。しかし、本当に今、日本の銀行業界はぎりぎりの努力をしているのだろうか。
長銀をやめた頭取は、九億円以上の退職金をもらっている。これは長銀だけじゃありませんよ。莫大な退職金をほかの銀行もみんなやっているじゃありませんか。これで何がぎりぎりですか。なぜ一円も新たな負担ができないのか。退職金の返還を求めていると言われますけれども、こんなに退職金をもらって平気でいるという姿勢自体が問題ですよ。しかも、全国銀行ベースで見ましても業務純益五兆四千億円、大変な規模であります。新たに一円も負担できない、こういうはずがございません。
金融システムの安定のまず第一の責任は銀行業界が持っているというのは、これは当然のことだと思うのです。システムの安定ということを言われましたけれども、システムの安定というのは一体どういうことか。
銀行が、まず第一に預金業務、これをしっかりやる、これは当たり前ですね。それから二つ目に、融資業務をきちんと行って、日本産業の必要なところに資金が流れる、必要なところに資金が回る、こういうふうにすることであります。そして第三には、決済業務がきちっと行われることでございます。金融システムの安定というのは、これらをしっかりやって、日本経済や私ども日本国民の暮らしを守る、こういうことが銀行の本来の業務でございます。
そこで、具体的に聞きたいわけですけれども、今度の長銀と住友信託の合併で、このことが実際にどうなるのか、必要なところに資金がきちっと回ることになるのか、これが問われていると思うのです。住友信託銀行の高橋社長は、正常債権しか引き取らない、こうおっしゃっているわけですね。問題は、どこまでを正常債権とみなしているかだと思うわけです。
大蔵省の検査基準によりますと、言うまでもなく銀行の貸国債権というのは四つに分類されておりまして、第四分類というのは、回収不能または無価値と判断されている資産。第三分類は、最終の回収または価値について重大な懸念があるもので、損失の発生の可能性が高いもの。第一分類は、問題がない正常債権でございます。そうしますと、ここで、第二分類は一体どうなっているか、その定義をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/267
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268・日野正晴
○日野政府委員 お答えいたします。
いわゆる第二分類債権と申しますのは、注意を怠らなければきちっと回収できるという債権でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/268
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269・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 大蔵省の検査基準、今は監督庁の検査基準でありますけれども、債権確保上の諸条件が満足に満たされないため、あるいは信用上疑義が存する等の理由により、その回収について通常の度合いを超える危険を含むと認められる債権等の資産、こういうふうになっておりまして、監督庁の解説によりますと、例えば、中小製造業者などのように、返済や利払いはきちんと行っているが、競争上常に新規投資を行わざるを得ないため赤字決算が継続しているような企業に対する貸付金が含まれている、こういう解説がございます。
そこで、先日発表されました、野党が要求をして提出されました長銀の自己査定結果ですね。これによりますと、正常債権を除いた部分は、金額として二兆八千二百四十億円です。そのうち第二分類は二兆三千七百九十六億円、つまり第二分類から第四分類の間、その第二のところは八四%になっております。圧倒的多数が第二分類。そして、長銀の貸出先の九割、これは中小企業です。有価証券報告書を見ましても、九二・八%が中小企業になっております。そのほとんどがこの第二分類に入っております。
そうなりますと、住友信託の社長さんがこの第二分類を引き継ぐのかどうかというのが問題になるわけです。住友信託は引き継ぐというふうに言っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/269
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270・日野正晴
○日野政府委員 お答えいたします。
正常債権という定義と、それから分類債権という定義とは、大変関係が難しゅうございまして、いわゆる非分類と言われるものが正常債権であるとか、あるいは二分類が不良債権であるとかいったような定義には必ずしもなりませんが、二分類の債権については、いずれ、住友信託が長銀の債権をどのように引き継ぐかということを、両行間でこれから検討していくことになろうかと思います。
そこで、政府といたしましては、今後の合併交渉の推移について注意深く見守っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/270
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271・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 今の答弁ではっきりしたと思うのですね。引き継ぐということになっていないのですよ。そうでしょう。極めてこれは重大であります。
住友信託の高橋社長は、六月の記者会見で、資産内容がわからないのになぜ合併を前向きに検討できるのかと聞かれまして、それは正常債権しか引き取らない前提があるからだと答えております。正常債権というのは第一分類でしょう。第二分類の扱いをどうするのか、こう聞かれまして、行政に処理する能力があると期待している、こういうふうに答えている。つまり、引き取る保証は全くないのです。つもりはないのです。
だから、第二から第四までの合計二兆八千二百四十億円のうち、今度の処理策で債権放棄するのは七千五百億円ですね。そうすると、残るのは約二兆円です。まじめにやっている赤字の中小企業のほとんどは一この二兆円の中に入っているのです。これを引き取らないと一体どういうことになるか。赤字の中小企業のほとんどはここに入っているわけですから、行き場を失ってしまう。あなた方は金融は動脈だと盛んに言いますけれども、これでは合併によって中小企業の動脈が断ち切られるということになるじゃありませんか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/271
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272・与謝野馨
○与謝野国務大臣 けさの閣議で小渕総理が指示されました貸し渋り対策の件でございますが、どういうふうに物事を考えていったかということをぜひわかっていただきたいと思いますが、およそ、第二分類にあります債権が仮に八十兆円といたしますと、その中で五〇%強が中小企業向けの融資だろう。そうなりますと、四十兆円近いものが中小企業に対する融資である。そうなりますと、大体四十兆円前後の資金量というものを中小企業向けに確保しておりませんと、そういう貸し渋り対策の総額をカバーできない。そういうところから物事を考えていったわけでございます。
したがいまして、従来の約二十兆円のほかに、もう二十兆円、保証協会の保証行為を通じて資金が確保できる、そういうことでございまして、それは一般的に、不良債権というか、第二分類の問題も考慮しながら中小企業の貸し渋り対策というものを考えたわけでございまして、中小企業が必要としている資金というものをそういう形で手当てするというのが中小企業に対する貸し渋り対策、こういうことで考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/272
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273・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 私が聞いているのと全然違う答えじゃないですか。聞いているのは、長銀と住信の合併で、この第二分類というのを住信は引き受けないと言っているわけでしょう。その第二分類は、圧倒的多数、九割が中小企業。その中小企業は一体どこに行くのか、こういうことを聞いているのですよ。そういうことに対して、今の通産大臣のお答えは、要するに閣議決定で政府系金融機関を何とかしましょう。全然違う話じゃないですか。まともに答えなさいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/273
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274・与謝野馨
○与謝野国務大臣 これは政府関係金融機関のことだけを言っているわけではございません。中小企業も、圧倒的な部分は一般の金融機関からの借り入れで成り立っているわけでございます。そういう中で、不良債権を処理する過程で発生するであろう貸し渋り対策、これについて、けさ閣議で大綱を決定したわけでございます。個別具体的な金融機関の名前はそこに出ておりませんけれども、不良債権の処理の過程で発生するであろう貸し渋り対策ということで一般的な方策を決定したわけでございまして、これは個別具体的な話に対する対策を決定したわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/274
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275・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 必要なところに資金が流れる、これが金融システムの重大な柱であります。日本長期信用銀行の中小企業はその資金の動脈が断たれる、こういう問題になるということを言っているのですよ。ところが、善良な借り手を保護するという保証が全然ない。何でこれが金融システムの維持なんですか。全く逆じゃありませんか。金融システム維持の名で中小企業をそこから締め出してしまう、その上で税金を投入する、どうしてこれで国民が納得できますか。
結局、この合併では、住友信託がおいしいところだけを食べて、中小企業を切り捨てる、ほっぽり出す。長銀の資本低下の穴埋めに膨大な公的資金、税金が投入される。そのツケが全部国民に回ってくるじゃありませんか。余りにも国民をばかにした話です。
こういう住友信託のような銀行の姿勢というのは、銀行業界全体にあると私は思う。その一つが、やはり貸し渋り問題ですよ。
では通産大臣に聞きますが、七月に行った貸し渋りの調査、ここでは、中小企業に対する銀行の融資態度は厳しくなったと答えているのが、減っているのか、ふえているのか、どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/275
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276・与謝野馨
○与謝野国務大臣 通産省が七月上旬時点で行った調査によりますと、取引先の民間金融機関から貸し渋りを受けているとする中堅、大企業の割合は、二割弱にとどまっております。五月時点に比べればわずかにふえているものの、本年一月に比べればおよそ半減をしております。
一方、中小企業については、民間金融機関の貸し出し姿勢が厳しくなっているとする企業の割合が三割近くに上がっておりまして、貸し渋りは依然として厳しいものと認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/276
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277・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 今の答えのように、中小企業に対する貸し渋りというのは依然として深刻なんです。通産省の調査でも、先行きに対する不透明感の根強いことがうかがわれると。
それでは、貸し渋りがなくならないその理由は何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/277
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278・与謝野馨
○与謝野国務大臣 昨年の十月、十一月に発生しました三洋証券あるいは山一、北拓の破綻、こういう一連のことがございまして、いわば信用収縮、クレジットクランチというのが起きたわけでございます。
そういう中で、銀行側も経営内容は従来よりははるかに弱っておりまして、かてて加えましてBIS規制というものがございましたので、これは中小企業ばかりでなく、十月、十一月以降は、優良な貸出先からも資金を回収しようという、いわば資産圧縮という現象が実は起きたわけでございます。そういう中で、力の弱い中小企業に対しては過大な要求がなされるという現象が一部で起きたということは、私は事実であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/278
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279・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 今の答弁のように、銀行の資産圧縮という姿勢、そういう行動、これが中小企業に対して極めて重大な影響を与えているんですよ。
例えば、ここに第一勧銀の文書がありますけれども、「十年度上期の基本方針について」という全店あての指示文書でございます。この中では、貸し渋りどころか、資金回収の方針がはっきりと打ち出されている。重点課題の一番トップに挙げられておりますのは、管理されている融資先、つまり与管先と専門用語では言うそうですけれども、その回収促進、これが重点課題のまず第一に挙がっているんですよ。
これまでの与信管理体制の抜本的見直しを行い、不良債権予備軍である与管先の回収、つまり不良債権にまだなっていない、なっていないけれども予備軍だ、それの回収に徹底的に取り組む、こう書いてあるんです。今後は原則としてそういう融資先については回収を前提にした取り組みを強化することとする、こう書いてあるんです。
与信管理先というのはちょっと難しい言葉ですけれども、この銀行の位置づけでは、要注意先、破綻懸念先、実質破綻先、こういうふうに定義をされていまして、この要注意先というのはどういうものかといいますと、返済をまじめにやっているが、業況が低調ないし不安定な債務者、または財務内容に問題のある債務者、これが含まれている。つまり、この不況のもとで必死になりてまじめに融資の返済を続けている中小業者、これをまさに回収の対象にする、こういう状況なんですよ。
こんなひどい貸し渋りを、なぜ具体的に改めないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/279
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280・与謝野馨
○与謝野国務大臣 これは、金融機関が自己防衛に走り過ぎた、あるいは萎縮をし過ぎているということは、私は確かだったろうと思うわけでございます。
それに対して、政府の行います施策というのは、一つは、政府系金融機関が積極的に中小企業に対して支援を行うということのほかに、今回決めました、信用保証協会が信用保証の供与の枠をふやす。今までも信用保証協会は全国の県ベースで十五兆円の保証行為を行っておりますが、加えまして、プラス二十兆円の保証行為ができるというところまで今回の閣議決定で政策を決定いたしましたので、そういうものは随時効果があらわれてくるものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/280
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281・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 信用保証協会の枠をふやすというのは、これは当然だと思うんです。しかし、問題なのは、民間の銀行が現に行っている資金の回収、貸し渋り、どう具体的にそこに手を打つかということですよ。全然具体的な手を打っていないじゃないですか。
この文書の日付を見て、私はもう一度びっくりしました。三月二十日ですよ。三月二十日というのは、まさに貸し渋り対策を名目に一兆八千億円という莫大な金をつぎ込んだ、資本注入をやったその月ですよ。
一方では国民から税金を受け取っていながら、中小企業に対する貸し出しはどんどん回収する。まさにこういう銀行の姿勢を正すというのが政治の役割じゃないですか、政府の役割じゃないですか。具体的なことは何もやっていない。回収のこういう方針を出している銀行が是正されない限り、幾ら税金を投入したって貸し渋りはなくならないですよ。体力じゃないですよ、問題は。銀行のこういう体質を改めるかどうかというのが問題であります。
四月からずっとこういう問題が何度も何度も国会でも議論をされ、指摘をされているにもかかわらず、全然改善されない。なぜ改善されないか。私は、ここに銀行に対する自民党政府の姿勢の甘さといいますか、この姿勢に非常に大きな問題がある。その裏にあるのは、やはり、銀行業界から自民党が巨額の政治献金をもらっている、ここに重大な原因があるのではないか。
総理にお聞きをいたしますけれども、自民党は現在、銀行から幾ら借金していますか。通告をしておりますから、答えてください。
自分たちの借金も具体的な数字がわからぬというのは、おかしいじゃないですか。私は事前に質問の通告を出しております。通告を出しております。
もう具体的に答えないので言いましょう。九六年度政治資金収支報告百十一億六千万円、こういう莫大な金を借金している。百十一億六千万円です。銀行からです、借金です。
ではお聞きしますけれども、担保や保証人は出していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/281
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282・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 総理大臣としての立場で御答弁申し上げることは、これはあり得ない。党の総裁として、こういうことかもしれませんが、こうした党の財政、経理につきましては、経理局で詳細にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/282
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283・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 私は、質問通告も出しまして、具体的な質問事項をお知らせいたしました。それに対してまともな答弁をしない。
しかし、事実は、借金を百億円以上しまして、私は調べましたけれども、まじめな借り手という声もありますが、そうではございません。自民党は、本部の建物の謄本をとりましたけれども、土地は国有地でしょう、担保として提供できない。建物も担保に入っていない。担保もなしに百億円以上もぽんと融資を受けている。この貸し渋り横行の時代に異例のことであります。担保はないが貸してくれと言ったらばんと百億円貸す、そんな銀行が一体どこにあるでしょうか。
この返済資金は、ではどのようにして賄っていますか、返済資金は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/283
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284・与謝野馨
○与謝野国務大臣 これは私の担当でございませんが、多分、平成五年のときに借り入れた借金を今営々として返している過程でございまして、これは借りっ放しというわけではありませんで、毎年返済を計上して党としてお返ししていることでございまして、私どもの借金が不良債権化するということはあり得ないことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/284
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285・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 返済は、では具体的にどこから返済しているかといいますと、銀行から新たな政治献金を受けて返しているんじゃありませんか。大体、借金の減少と政治献金の額がほぼ合っているんです。政権党が巨額の無担保融資を受けて政治献金で棒引きする、こんなやり方はまともなやり方だとは思えません。これだけでも自民党に金融問題の解決の能力がない、ゆだねることはできないというふうに思うのです。
小渕総理に最後に聞きたいのです。銀行業界からの献金は中止すべきだと思いませんか。いかがでしょうか。献金の中止かどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/285
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286・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 私は、先ほども申し上げましたが、内閣総理大臣として御答弁申し上げる立場にあるということ、また、自由民主党におきましては、それぞれつかさつかさにおきまして、このような問題があれば経理局で詳細にやっておりますことを申し上げさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/286
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287・佐々木憲昭
○佐々木(憲)委員 銀行から献金をもらって、それで国民の税金を銀行にどんどん入れる、そういうやり方をしている自民党政府には金融システムの安定について語る資格も能力もない、この点を最後に申し上げまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/287
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288・相沢英之
○相沢委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。
次に、浜田健一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/288
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289・濱田健一
○濱田(健)委員 質問の最初に、私、台風銀座と言われる鹿児島で生まれて育ちましたが、この四十八年間の中で、保岡先生もお気づきだと思うのですけれども、六月から八月の終わりまで一度も台風が来ないという、ある意味で異常な現象が続いております。しかしながら、台風四号が日本に接近して、東北地方そして北関東を初め多くの犠牲者の皆さん方が出ていらっしゃることに、社会民主党として心からお悔やみを申し上げ、そして被災された皆さん方にお見舞い申し上げたいと思います。
先ほどから出ておりますとおりに、国土庁長官も一生懸命走り回っていただいておりますけれども、政府が一生懸命この復旧、復興に努力されることをまずお願い申し上げたいというふうに思っております。
それでは、ブリッジバンク法案を中心に質問をさせていただきたいと思います。
二十五日の本会議、そしてきのうの長銀の集中審議、きょうの法案の審議というものをほとんどすべて一番隅っこで聞きながら、どうもこのブリッジバンク法案というものは大手の金融機関には適用できないというか、適用しないという方向が出ているのではないかというふうに思うのですが、この辺をはっきりさせていただきたいというふうに思いますし、ある意味でいうと、いわゆる中小金融機関の破綻処理の最後の安全弁としての役割しか期待されないのではないかというふうに、御答弁を伺いながらお聞きしているのですが、これは総理に伺った方がいいのでしょうか、大蔵大臣でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/289
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290・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 この点は、本会議からずっと御質問がありまして、この委員会でも御質問があるのでございますが、何となくそういう先入観というものが生まれておるように思いますが、それは多分、例えば今、長期信用銀行のお話が、御議論がありますが、これは住友信託というものとの合併の話として皆様がお考えになるものですから、ブリッジバンクの話じゃない、こうお思いになっていらっしゃるのだろうと思います。
しかし、仮の、全く仮の話として、あるマネーセンターバンクが、そういう合併やなんかの話なしに実際経営が危機に陥って破綻をしちゃったという場合に、政府としてどういう処理があるかといえば、そこへ金融管理人が入りまして、そして悪い債権といい債権とを分離する、そしていいお客さんをなるべく残して、その上で恐らくブリッジバンクに行きまして、そうしますとかなり中身はよくなりますから、そうなると合併の話が、二年間ございますから、出てくるだろう。これは大小にかかわらずそういう方法がとれるわけでございますので。もし、もし不幸にして大きな銀行が突然破綻をしたという場合には、今この方法は法律になっておりませんから使えませんのでほかの処理の方法がない。それゆえに、この方法はそういう場合に役に立つんだと。
つまり、もう一遍申しますと、破綻をして、それから後の処理の二年間の中で、中身がよくなって合併の話がそこへ持ち込まれる、そういうチャンスは相当大きいというふうに私は考えておりますものですから、適用があると。なかなかそれをおわかりいただけないので、なぜかと思って、説明の仕方が悪いのかなと思っていますけれども、そういうことと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/290
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291・濱田健一
○濱田(健)委員 海外で事業を展開する大手銀行は、いわゆるデリバティブ、先物取引を含めて、こういうものが一度破綻してしまうと大きな金融不安、金融恐慌を招く。だから、お話を聞いていると、今回の長銀の問題を典型的な例として、絶対に政府としてはつぷさないんだ、合併を前提にした公的資金投入をして絶対につぶさないんだというようなニュアンスの答弁、気持ちが、この委員会の中での御答弁の中に脈々と流れているような気がするのですが、そうじゃないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/291
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292・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 それは、よほど気をつけて御答弁をいたしませんと反対の効果を生みますので注意して申し上げますが、仮の話といたしまして、ある大銀行が破綻をしてしまった、あるいはそれに近い状況になってきたときに、合併先があらわれるかあらわれないかというのは、全く私企業の間の話でございますので、それを政府の力で強制するわけにはまいりません、事実上。
ですから、全く仮定の話ですが、そういうことが起こりましたときに、政府はそういうことは起こしませんといったような答弁は論理上できないということを、これはよほど注意しながら申し上げないといけませんが、ということでございます、筋道は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/292
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293・濱田健一
○濱田(健)委員 今の大蔵大臣の御答弁からいうと、いわゆる二つなら二つ、三つなら三つの銀行同士が合併をするという方向には、特に大手ですよ、それには政府としてはアドバイスやこういう方法がありますよというようなことは全くしないで、お互い同士の方向性が出るまでは待つのが政府としての立場だということも含めておっしゃっているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/293
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294・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 お話がございますと、進むための支援はするということは今回も申し上げておるのですが、お話そのものがないと、あるいはどう申しますか、ここのところが護送船団でございますといろいろあったかと思いますが、そういうことは避けなければならないというのが国会の御意向でもございますから、そういう話を政府がやるということは、やはり慎まなければならぬのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/294
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295・濱田健一
○濱田(健)委員 ということは、地方の小さな銀行であっても、お互いに今回のような合併のお話が出てきて、それがまだまだ資本余力も残していて、一緒になることが地方の経済も含めていいことであるということであれば、やはりこの制度を使って、いわゆる危機勘定十三兆円も投入をするということも考えながらバックアップをしていくという政府の考えだということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/295
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296・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 金融監督庁長官がお答えになるべきことでございますが、私はそうであると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/296
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297・濱田健一
○濱田(健)委員 話の流れというのが、この三日間、どうもテレビを見ていらっしゃる国民の皆さん方の電話なんかがかかってくるときに、大きな銀行だけを助けるのじゃないかという脈々と流れているそういう疑問点、それを今大蔵大臣は打ち消された答弁をされましたから、それはそれでいいというふうに私は思います。
しかしながら、これまでの御論議の中で、やはり今度の長銀の問題が、破綻しているのか破綻していないのか、金融監督庁の長官も現時点ではわからない。ましてや、ことし三月のいわゆる一千七百六十六億円の投入をした後、きのうも私言いましたが、いわゆる体力が回復したであろうと国民は思っていた長銀が、わずかの間にこういう合併劇をとらなければならないという方向に向かった。
そのときのいわゆる審査委員会の審査の中身というのが、どういうふうな申請があって、どういうふうになったということの公表がもうすぐなされるのかもしれませんけれども、国民の皆さん方にとっては、どの質問からも出るように、中身の情報が開示されていないということの疑義が、これだけは解消できないわけでございまして、いわゆる情報開示、ディスクローズというものの中で、これから野党案も出てまいります、私は後ほど時間があればお伺いしたいと思うのですが、特命の大臣でも置いてきちんとした責任をとれる仕組みを、破綻の処理の仕組みというものをつくるべきだという気持ちを持っておりますけれども、そういう部分の解消な七に、いわゆる危機勘定十三兆円を投入して銀行だけを生き延びさせようという姿が見えるということは、やはり国民の不信感を払拭し得ないということだけは申し上げておきたいと思います。
それと、それに関連するのですが、いわゆることし三月の資本注入をした一兆八千億円、十九行。長銀は一千七百六十六億円。この体力回復のために一回お金を使いました。投入されました。今度また、幾らになるのかわからないけれども、審査基準にパスしさえすれば、今度も同じ銀行に貸してあげる。また、実際に住信との合併がうまくいった、ところが住信は住信で不良債権を抱えておられますので、ここがやばくなったときにまた資本投入というようなことなんかも考えられると思います、私はそう思っているのですが。
やはり、国の財政、国民の血税を公的資金として投入するときの政府のモラルといいますか、どこまでいったらいいのかという疑問点が国民の中にはいっぱいございますけれども、大蔵大臣、どう思われますか。監督庁長官でも構いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/297
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298・日野正晴
○日野政府委員 お答えいたします。
今、合併の交渉が進行中でございまして、合併比率もまだ決まっておりません。これは合併してみませんと、その資本構成が、全体の資本、負債、資産、この三者の関係が明らかになりませんと、果たしてどういう形になるかということを今から明確に申し上げることができませんので、また、そういうことが明確になりませんと、今お話がありましたように資本注入が必要かどうかということも判断できない事柄であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/298
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299・濱田健一
○濱田(健)委員 一律に十九行、一兆八千億投入した。そのうちの一つの長銀がこのようになってきた。あとの十八行はどんな状況なんだろう。情報は開示されていない。
いわゆる金融危機管理審査委員会がその当時出された申請の書類をしっかりと審査して、一律という言葉が悪ければ、審査で通る条件があったからそれなりの金を出したと言われておりますが、国民は、本当ですかね、借りたくもないのに借りろと言ったのじゃないかなという疑問点などを持っているわけでございますけれども、一律お貸しした、この判断が果たしてよかったのか悪かったのか。
この審査委員会の持っている重要性というものにかんがみて、その影響や責任というものはやはり国民の前に明らかにしなくちゃいけない、一回投入したけれどもまたすぐこういう形になったという意味で、その辺はいかにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/299
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300・宮澤喜一
○宮澤国務大臣 預金保険機構の危機管理委員会におきまして、何度も御説明がございましたが、厳重な審査を経て十九行に資本投下が行われた。その際、また将来の計画についてもヒアリングが行われたということは、しばしば御説明がございました。
そして、その中で、今、長銀についてどうしてというお尋ねであったわけですが、私が見ておりました限りでは、危機説というものが何かを事由にして起こりまして、そして、実際上金繰りが片方で恐らく苦しくなる、他方で金融債の新規発行それから償還等々の数字が大体見当がつきますので、そういうところで非常に事態が悪くなってきた。
実態が悪くなったということでは、恐らく、日銀考査でも金融監督庁の検査でも債務超過ではないというふうにお考えのようですから、その間実態がひどく悪くなったというよりは、そのような風説に発しまして、株価も低落するということから、経営がなかなか苦しくなったということであって、三月のときと実態が何か非常に悪くなったということではないのではなかろうか、私は中身を存じませんので、そういうふうに自分は想像しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/300
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301・濱田健一
○濱田(健)委員 マーケットの実態が刻々動く中で、予想し得なかったこういう事態になってしまったということも全然なくはないと思うのですが、いわゆる危機審査委員会の審査基準、この委員会の中でも多くの委員が触れられておりましたけれども、この審査基準に問題はないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/301
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302・伏屋和彦
○伏屋政府委員 松田理事長がお答えになられる前に一般論としてお話ししますと、申請がありますと、これは前から申し上げておりますが、健全性確保のための計画、これがやはり法律に決められておりまして、それも一緒に審査の対象になるわけでございます。
今、金融危機管理審査委員会は、この健全性の確保のための計画の履行状況について報告を求めることができるわけです。そして、これを公表することができますので、今先生の言われた資本注入後の経営に対するフォローアップは、こういうことによって可能になると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/302
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303・松田昇
○松田参考人 お答えいたします。
先生のお話で、審査基準がおかしいのではないか、どういうことなのかという御趣旨……(浜田(健)委員「おかしいのではないかじゃなくて、もっと工夫する、厚みを加えることはないのかということを問うたのです」と呼ぶ)わかりました。では、その御質問について、これからお答えしたいと思います。
緊急措置法の中で、先生も御案内だと思いますけれども、一般金融機関が申請をいたします場合の要件は、五つ書いてございます。これは法律に明記してございます。審査委員会でよりまして、それを具体的にどういう基準で判定しようかとつくったのが審査基準でございます。そうしてつくった審査基準にのっとって三月に審査をした、こういうことでございまして、法令の趣旨の中で、あるいは法律に書いてある要件をかみ砕いてつくった基準、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/303
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304・濱田健一
○濱田(健)委員 まだまだいろいろな観点で、新しい、この出された法律以外にも整備しなければならない点がいっぱいあるということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/304
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305・相沢英之
○相沢委員長 これにて浜田君の質疑は終了いたしました。
次に、笹木竜三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/305
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306・笹木竜三
○笹木委員 無所属の会の笹木竜三です。限られた時間ですので、基本的なことをお話ししたいと思います。
今、この最悪の経済の状態の中で、いろいろな商業者の方ですとか中小企業者の方、そういう方とお話をします。そういう方が皆さん言うのは、部分部分の話、小事も大事だけれども、大きな方向性でどうかじを切ってくれるのか、ぜひ希望を持てる、勇気を奮い立たせることができるような、そんな政策転換、かじ切りを政治家にお願いしたい、そういう意見が非常に多い。これが実感です。
それで、きょうまず第一点目、後で先ほどほかの委員もお話ありました検査体制についてもお聞きしたいと思いますけれども、その前に基本的なことを、国の経営、財政の経営についての基本点についてお聞きしたいと思います。
もう数年前から借金の話ばかりをするわけですけれども、お金が足りないといって増税という話もありました。あるいは、住専のときにも、隠し財産を持っている企業に対して税金をつぎ込む、そのことが問題になって、隠し財産、資産を徹底的に調べよ、そういうことも話題になりました。こういうことは絶対あってはいけないことだと思うわけですけれども、残念ながら国の経営において同じようなことがないかどうか、そのことをただしたいわけです。
約五百兆国債残高がある、このことはいつもおっしゃる。ではどうして、数字はちゃんと挙がっているのに、資産のことをお話しにならないのか。
例えば、国の比較でいっても、アメリカ、カナダ、フランス、日本。この他の国と比べて、例えば負債に対する国有財産も含む資産、これが二倍近くある国は日本だけです。五百兆の負債に対して、九百兆の資産。アメリカは、五百九十六兆の負債に対して、資産はわずか百四十兆。フランスは、百二十八兆の負債に対して、資産が五十九兆。日本は、四百七十兆の負債に対して、資産が八百九十四兆、国有財産が約百兆、金融資産は四百兆、その他の資産、もろもろがあるわけです。
今、長銀の話題を一つとりましても、徹底的なリストラということで、既に資産の中で七百億円、長銀は民間に売却をしている。借金が大変だといって増税をお願いする、これ一辺倒。あるいは、借金が大変だといって一律の緊縮の財政をとる。このことの前に、国の資産で、例えば民間に移転する、あるいは民間に委託する、あるいは売却する、このことによる経済的な効果、どうしてその議論がないのか、このことをお聞きしたいわけです。
まず、官房長官に。官房長官は、減税の財源について、国有財産、まあ国、地方が持つ資産のうちのほんの一部ではありますけれども、国有財産の売却も考えるということをお話しになりました。しかし残念ながら、現状を言いますと、国有財産の中でも売却可能な国有財産は、未利用国有地あるいは管理委託財産の合計一兆六千三百億円。現状ではほんの一部にすぎません。長官が言われているこの新しい政策としての資産の売却は、単にこんなちっぽけな小さい政策のことを指しておられるのかどうか、そのことをまず確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/306
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307・野中広務
○野中国務大臣 お答えいたします。
小渕内閣が発足いたしました最初の初閣議におきまして、小渕総理から、現下の厳しい状況のもとで早急に取り組むべく、四点が発言として我々に命ぜられました。その一つは、御承知のように特殊法人の役員の給与のあり方でございました。
もう一つは、今委員御指摘の国有財産につきましては、各省庁のそれぞれ公館、公舎等を含めて、徹底した情報公開をし、そして資産の売却及び転用について早急に検討をすることということでございまして、閣議における総理のこの発言を受けまして、私もかねてかちそういう気持ちを持っておりましただけに、ぜひ徹底した情報公開と売却、転用を期してまいりたいということを申し上げてまいりました。
八月二十一日、内閣に国有財産の情報公開と売却、転用の連絡会議を持ちまして、目下整理をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/307
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308・笹木竜三
○笹木委員 ぜひ確認をしたいわけですけれども、情報公開、この問題についても非常にお寒い現状でありまして、金融資産四百兆円のうち、運用実績がわかっているのはわずか百八十兆円にすぎません。こういったことは徹底的に、例えば残りの二百二十兆円の金融資産についてもしっかりと運用実績も含めて情報公開するのかどうか、確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/308
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309・野中広務
○野中国務大臣 ただいまお答え申し上げましたように、内閣に、国有財産の情報公開、さらに売却あるいは効率的な運用に関して連絡会議を持ちましたので、ここで徹底して調査をし、その上で、委員御指摘のようなことを踏まえて私どもも取り組んでまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/309
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310・笹木竜三
○笹木委員 総理にお聞きをしたいわけですけれども、私も質問主意書とかいろいろなことで苦労しまして実態をお聞きするわけですけれども、例えば資産の評価がえ、二十二年間以上も評価がえを一回もしていない。例えば国有林野、今これだけ話題になっている国有林野の分野でもそういうことが現実にあります。もっとお寒いのは、各省庁でこういった評価がえの担当の職員はどのぐらいいるのか、それを聞いたら、把握できない、わからない、こういう答えが返ってきました。
こういったことも含めて、これはまさかわからないということじゃないと思うんですけれども、現状も含めてしっかりまず情報公開をやる、そういったことからスタートをしていただきたいと思いますけれども、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/310
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311・小渕恵三
○小渕内閣総理大臣 今官房長官から申し上げたように、初閣議におきまして、国有財産につきましてきちんとした対応をとろうということで私から指示いたしまして、今御答弁申し上げたような趣旨でございます。
今、具体的なこれに関する人員その他につきまして把握しておりませんけれども、ぜひ、私といたしましても今の趣旨にのっとって、国有財産というものを効率的に、国民のためにいかにこれを還元していくかということにつきまして、全力で努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/311
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312・笹木竜三
○笹木委員 もう時間だそうで、終わりますけれども、二〇〇一年の三月から民間企業においても時価会計原則で含み資産を表に出さざるを得ない、国も、そういった中で範を示して国の経営をやっていた、だきたい、そう思います。
日本の銀行検査官のお寒い状態、これをやはり変えないとどうしようもないんじゃないか、不良債権の全体把握もできないんじゃないか、そのこともお話ししたがったわけですけれども、きょうはあきらめます。質問は以上です。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/312
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313・相沢英之
○相沢委員長 これにて笹木君の質疑は終了いたしました。
次回は、来る三十一日月曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304056X00419980828/313
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