1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十年九月十八日(金曜日)
午前十時十五分開議
出席委員
商工委員会
委員長 古賀 正浩君
理事 伊藤 達也君 理事 小此木八郎君
理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君
理事 大畠 章宏君 理事 松本 龍君
理事 太田 昭宏君 理事 西川太一郎君
岡部 英男君 奥田 幹生君
木村 隆秀君 新藤 義孝君
竹本 直一君 中山 太郎君
野田 実君 林 義郎君
山口 泰明君 山本 幸三君
奥田 建君 島 聡君
島津 尚純君 渡辺 周君
坂口 力君 中野 清君
宮地 正介君 小池百合子君
大森 猛君 吉井 英勝君
横光 克彦君 河村たかし君
金融安定化に関する特別委員会
委員長 相沢 英之君
理事 石原 伸晃君 理事 藤井 孝男君
理事 村田 吉隆君 理事 保岡 興治君
理事 山本 有二君 理事 池田 元久君
理事 中野 寛成君 理事 坂口 力君
理事 谷口 隆義君
愛知 和男君 伊藤 達也君
江渡 聡徳君 大野 松茂君
大野 功統君 金田 英行君
河村 建夫君 倉成 正和君
佐田玄一郎君 砂田 圭佑君
滝 実君 宮本 一三君
山本 公一君 山本 幸三君
吉田六左エ門君 渡辺 喜美君
上田 清司君 枝野 幸男君
岡田 克也君 海江田万里君
北村 哲男君 仙谷 由人君
古川 元久君 石井 啓一君
上田 勇君 大口 善徳君
西川 知雄君 鈴木 淑夫君
西川太一郎君 西田 猛君
木島日出夫君 佐々木憲昭君
春名 直章君 濱田 健一君
出席国務大臣
通商産業大臣 与謝野 馨君
出席政府委員
金融監督庁長官 日野 正晴君
金融監督庁監督
部長 乾 文男君
大蔵省金融企画
局長 伏屋 和彦君
中小企業庁長官 鴇田 勝彦君
中小企業庁次長 殿岡 茂樹君
委員外の出席者
議 員 鈴木 淑夫君
商工委員会専門
員 野田浩一郎君
衆議院調査局金
融安定化に関す
る特別調査室長 藤井 保憲君
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本日の会議に付した案件
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出第三号)
信用保証協会法等の一部を改正する法律案(菅
直人君外十二名提出、衆法第九号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/0
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001・古賀正浩
○古賀委員長 これより商工委員会金融安定化に関する特別委員会連合審査会を開会いたします。
両委員長の協議により、私が委員長の職務を行います。
内閣提出、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び菅直人君外十二名提出、信用保証協会法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
両案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付してあります資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承願います。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田克也君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/1
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002・岡田克也
○岡田委員 民主党の岡田克也です。
私の方で、今政府の方から出されております中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、それから野党提案の信用保証協会法等の一部を改正する法律案について、それぞれ質問したいと思います。
まず、質問に先立って、通産大臣の基本的な御認識を聞いておきたいと思いますが、両法案が出てきた背景にあるのは、現下の景気の現状、そしてとりわけ中小企業に対する金融機関の貸し渋りという現実を踏まえてこの法案は出てきたと思いますが、中小企業に対する貸し渋りの現状について通産大臣はどのように認識しておられるか、お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/2
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003・与謝野馨
○与謝野国務大臣 現下の不況並びに金融システムに対する不安から起きております信用収縮の影響を最も受けておりますのは、私は中小企業だろうと考えております。
中小企業庁を中心に八月にきちんとした調査をやりました結果、民間金融機関から融資を受けている中小企業のうち、貸し渋りを受けているということを答えた方が三割を超えております。そういうことで、貸し渋りの状況というのは依然改善されていない、大変深刻な状況にある、そのように認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/3
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004・岡田克也
○岡田委員 どの程度深刻な状況にあるかということを、通産大臣の御認識をお聞きしたいと思うのですが、私どもも当然、週末に地元に戻ればいろいろな声が聞こえてくるわけでありまして、最近自殺が多いというようなこともよく言われるわけですが、私の選挙区でも先般、私のよく存じ上げていたある会社の社長さんが自殺をいたしました。結果的にはそのことによって保険金がおりまして借金が払われた、こういうことがございました。それから、たまたま私の中学校の同級生に、何とか資金繰りというか新規融資をしてほしいということでいろいろ当たったのですが、例えば信用保証協会の枠がもう目いっぱいになっている、そういう状況の中でなかなか新しく貸してくれるところはない、こういうこともございました。
これは一つの例なんですが、今極めて深刻な、戦後未曾有の厳しい状況にあるのじゃないかというのが私の実感でございますが、そのあたりについて通産大臣の御認識をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/4
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005・与謝野馨
○与謝野国務大臣 先生も地元でそういう例をたくさん知っておられると思いますし、私の地元でも、五十万円足りないから手形が落ちない、そのために倒産するかもしれない、そういう危機的なところまで追い込まれる中小企業が非常に多い。
そういう中で、私ども、政府としてできますことは今まで精いっぱいやってきたつもりでございます。これは政府関係の三金融機関に対して資金量を確保すること等でございますけれども、それでも到底間に合わない。したがいまして、新しい観点から、信用保証協会の充実を図って、やはり民間金融機関から中小企業が資金を借り入れる場合、担保だ、保証人だと大変やかましいことを言
われます。そういう中で、保証協会の充実を図って、保証協会が相当程度まで保証ができるということを確保しようとしたのが、今回の中小企業に対する貸し渋りに対するいろいろな大綱、対策でございます。そういう一連の中で、やはり今御審議をいただいております信用保険法の一部を改正するということも必要なこととなってまいりました。
先生が御指摘のように、貸し渋りというのは我々が想像している以上に実体経済の中で進んでいるということを我々本当に十分わかった上であらゆる対策を講じていかなければならないというのは、先生のお考えと私は同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/5
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006・岡田克也
○岡田委員 それでは、鈴木議員の方にも同じ質問をしたいと思いますが、今の貸し渋りの状況をどのように認識しておられるか。
それと、貸し渋りというのは一つの現象だと思いますが、なぜこういうことになったのかということもあわせてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/6
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007・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 岡田委員の御指摘のとおり、私どもも、現在の中小企業に対する深刻な貸し渋りの現状を深く憂慮しているわけでございます。
委員御質問の、なぜこんなことになったんだろうかという点でございますが、当初、政府におかれましては、これは資金が足りない、もっと端的に言えば資本が足りない。自己資本比率規制が早期是正措置とともに四月から入ったものですから、この関係で分母を小さくしたくて抑えているという御理解であったようでございますが、その御理解のもとに、三月に、例の金融安定化緊急措置法に基づいて二兆円弱、主要銀行に資本注入をしましたところが、目に見えた効果がない。人によっては、実はもっと減ったんだろう、それがこの程度にとどまったのは効果があったとおっしゃいますが、素直に見て効果がなかった。
私は、この原因は、実は自己資本比率の問題だけじゃなくて、あと二つほかに原因があって貸し渋りが起きていると思うんですね。そこを見落としているというふうに思います。
二つというのは何かといえば、一つは、四月に同時に外為法の抜本改正でビッグバンが本格的に始動したわけですね。そうしますと、効率を高めなければいけない。端的に言えば、自己資本比率は上げたいが自己資本の収益率、ROEは下げるわけにいかない。そうしたら、両方一遍に上げようと思ったら、融資構造の合理化、そして効率的な融資にどんどん絞り込んでいく、これをやると二つの比率は両方上がるわけですね。それを志向し始めた。それからもう一つは、不良債権の早期処理をしなきゃいかぬ。これはもう、ROEと自己資本比率、両方どんと下げるわけですから。
こういう矛盾した三つのことを同時に銀行に要請している。それに対する答えとして出てきているのが貸し渋りだというふうに考えますので、単純な資本注入で解決するような問題ではないと考えております。
このたび、信用保証協会の保証能力の強化を貸し渋り対策として、私ども一番最初に予算委員会の席上で野田幹事長がこういう構想があるというふうに申し上げたと思うんですが、これを考えまして、政府におかれましても同じ考えの政策をおとりになる、大変結構だと思っておりますが、この保証能力の強化というのは単純な資本注入と違いまして、御承知かと思いますが、保証がつきますとリスクレシオが下がりますので、一般の貸し出しのときほど自己資本比率は下がらないのですね。だから、ROEを上げ、自己資本比率を上げ、両方上げるという観点からいうと、保証で貸し渋り対策をするというのは単純な資本注入よりはるかに効果のあるものだと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/7
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008・岡田克也
○岡田委員 今、鈴木議員は三つの理由を挙げられたわけですが、私は、それに加えて、その大前提としてあるのが実体経済の悪化だろうと思いますね。そういう実体経済の悪化の中で、借り手の体質も非常に、経営体質も弱っておりますから、そのことも当然のことながら貸し渋りの根本原因だ。そういう意味では、やはり現在の政府の経済政策の誤りといいますか、現在のと言うべきなのかあるいは前政権のと言うべきなのかということはあると思いますけれども、やはりそれが根本的原因であるということは指摘をしておかなければいけないというふうに思います。
そこで、通産大臣にお聞きしますが、今回のこの中小企業信用保険法の一部を改正する法律案で、無担保保険については保険価額の限度額を三千五百万円を五千万円に、特別小口保険については七百五十万円を一千万円に引き上げる、こういうことでございますが、このことによってどの程度の貸し渋り対策といいますか、あるいは新規貸し出し増というものが期待をできるのか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/8
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009・鴇田勝彦
○鴇田政府委員 お答えいたします。
政府といたしましては、中小企業等に対する貸し渋り対策を、昨年の秋以来、累次の経済対策において講じてきたところでございます。
保証協会の保証承諾額は前年同期比で約一〇%程度今年度に入ってから動いておりますが、今回の法律改正によりまして限度額が引き上げられることによって、より使いやすい制度に変わりますので、数量的には申し上げられませんが、これがさらに増加していくことと期待をしております。
もちろん、先般閣議決定をいたしました中小企業等貸し渋り対策大綱の中には、別途特別の保証制度、二十兆円の保証制度を、実際これから制度設計をして発足することにいたしておりますが、これらの措置も相まちまして、合計で二十兆円の保証規模に対応できるものと考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/9
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010・岡田克也
○岡田委員 その際、予算措置というのは当然必要になってくると思うんですが、どの程度の予算を、追加予算というものを考えておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/10
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011・与謝野馨
○与謝野国務大臣 ただいま申し上げました二十兆というのは、幾つか前提がございます。
それは、現在は、保証協会が保証料をいただきますと、保証協会が保証料の六、保険公庫が保証料の四をとりますが、逆に、代位弁済をしますと、最終的には保証協会が二、保険公庫が八負担することになっております。したがいまして、最終的な姿としては、事故の二〇%を保証協会が負担をして、なおかつ保険公庫が八〇%を負担する、そういう仕組みになっております。この仕組みは今回も残します。
二十兆ということを申し上げましたのは、私どもは大体二千億の中小企業予算を要求し、これを各県の保証協会に県を通じて注入いたしたい。そういうことになりますとどういうことかと申しますと、仮にそれが全部事故に遭ったといたしますと、保険公庫には今後その都度必要に応じて資金を投入していかなきゃいけない。マキシマムそれは八千億でございまして、二千億足す八千億ということに最後の最後にはなるんだろうと思っております。
そこで、事故率、通常ですと二%ぐらいを想定して物事をやっております。実績も二%を実は割っておりますが、今回は、仮に事故率を一〇%まで上げる、そして事故が起きたけれども最後にはその半分ぐらいが回収できたということになりますと、総保証額の五%が最終的には返ってこないという仮に計算をいたしますと、二十兆の五%ですから一兆円、一兆円を八対二で分けますと、八千億が保険公庫、二千億が保証協会ということで、二千億で約二十兆の保証ができるという仕組みはただいま御説明したような構図になっている。したがいまして、予算の要求の規模は二千億というふうに御理解をしていただきたい。
ただ、事故率とか回収率というのはあくまでも想定した数字でございますから、計算の前提に使った仮置きの数字だ、そのように御理解をいただければと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/11
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012・岡田克也
○岡田委員 今、政府の方から政府の法案についての基本的な考え方の御説明があったわけですが、鈴木議員の方にちょっとお聞きをしたいと思います。
今回の政府案の中で提案されております無担保保険と特別小口保険の限度額の引き上げにつきま
して、野党案の方にはその旨の規定がないように思いますが、基本的にこのことについてどういうふうに考えておられるのか、確認をしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/12
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013・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 私どもの案は、御承知のように、貸し渋り対策として、政府案と同じような今の中小企業保険の枠組みでの増強と並んで、破綻金融機関の借り手で他行にシフトできない借り手を支援するための特別の枠組みと、二つ入っているわけでございます。その特別の枠組みの方では、岡田委員御承知のように、融資限度額を思い切って三億円という非常に高いところに置いているわけでございますが、従来からあります中小企業保険の枠組みについては、特別の言及をしていないというのは御指摘のとおりでございます。
これについては、私は、政府案が若干引き上げたというのは一歩前進だなというふうに思っておりまして、そのことについて修正するという考え方、あるいは将来もっと引き上げなきゃいかぬのじゃないか、我々は別途三億円という枠も頭に入れているわけですから、貸し渋りの場合ももう少し引き上げなきゃいけないかもしれないということは、大いに野党三会派の中で議論すべき課題だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/13
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014・岡田克也
○岡田委員 それじゃ、鈴木議員に質問したいと思いますが、野党案の中で、貸し渋り対策としての部分と、それからもう一つは金融破綻関連保険の新設という部分と二つから成り立っているわけでありますが、この金融破綻関連保険について、どの範囲の債権というものが対象になり得るのか。破綻した金融機関が持っている貸し付け、その中のどの範囲のものが、第一分類、第二分類、第三分類、第四分類とこうある中で、すべてを対象にするというふうにお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/14
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015・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 岡田委員御案内のとおりでございますけれども、私ども野党三会派の案では、金融機関が破綻した場合に、通常は法的手続で整理に入っていく、特別の場合として公的管理がありますが。そうなりますと当然、第三分類、それから第四分類がもしあれば、これは、私どものいわゆる日本版RTC、整理回収機構ですね、こちらへ回るわけでございます。したがって、残りの第一分類、第二分類の中で、自分の力で他行にシフトできない借り手というのがこの制度の対象になってまいります。
分類が正しければ、常識的に考えて、そういう借り手というのは第二分類の中にいるんだろうというふうに思いますけれども、しかし、分類が必ずしも正しくないということで、第一分類の中にも自力で他行にシフトできないところがいれば、当然この私どもの法律の対象となりまして信用保証が受けられる、こういう仕掛けになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/15
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016・岡田克也
○岡田委員 今の御説明ではありますが、野党の出している金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案で、我々は、第八条による金融整理管財人による管理と、それから公的管理という、二つのスキームを用意しているわけであります。しかし、この二つのいずれにも乗らない場合というのは当然考えられるわけですね。
例えば八条で、金融整理管財人による管理というのは、八条の一項の一号、二号、特に二号に「その業務の全部の廃止又は解散が行われる場合には、当該金融機関が業務を行っている地域又は分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあること。」こういうことでありますから、特別管理はもちろん非常に限定された場合でありますが、特別公的管理だけじゃなくて金融整理管財人による管理の場合も、法律の建前はすべてをこのスキームに乗っけるわけではないというふうに思うわけですね。
大きな支障が生じなければこのスキームに乗っからない、そのまま破綻させてしまう、法律上はこういうことになるわけで、そうすると、そういう場合の第三分類、第四分類というものは、これはどうなるというふうにお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/16
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017・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 岡田委員御存じだと思いますが、その場合も私どもの野党案では法的な手続に入ってまいりますから、破産法あるいは会社更生法の場合と似た形で、当然、第三分類、第四分類の回収が始まる形になっているというふうに思います。
私どものこの法律の方では、ごらんいただいていると思いますけれども、「債務者の業務及び財産の状況並びに当該債務に係る担保の状況等に照らしその回収について通常の度合を超える危険を含むと認められる債権に係るもの」というふうになっておりまして、これは、第三、第四はこれには入ってこない、通常は第二分類、そして万一第一分類の中にそういうものが入っていればということになります。
ですから、岡田委員御懸念の第三、第四というのは、むしろ我々三会派で出している法的手続の中で、通常の破産手続の中で回収されていく。私は、それは日本版RTCの方へ回るというふうに理解しておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/17
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018・岡田克也
○岡田委員 あらかじめ通告してありませんでしたのでこの辺にしたいと思いますが、いずれにしても、この八条にも乗っからないようなケースについて、それではだれが、第三分類、第四分類である、あるいは第二分類であるということを判断するのか。これは信用保証協会がするのか、ほかにどういう手順があるのかというところがちょっとよくわからないんですが、御説明いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/18
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019・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 信用保証協会へ行く前の段階で、我々の法案、この法案じゃなくて四法案の中の一つで今ごらんになっているものですけれども、それによれば、金融再生委員会が決めた基準、そして金融再生委員会が選任した金融整理管財人等によって分類が行われて、日本版RTCへの引き渡しと、受け皿銀行があればそちらへ行く分というのが分かれてくるというふうに理解しておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/19
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020・岡田克也
○岡田委員 では次に参りますが、この野党案では五兆円の出資ということを想定されているわけでありますが、この五兆円の出資によってどの程度の信用が新たに供与されるというふうにお考えなのか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/20
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021・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 今の御質問にお答えする前に、一つつけ加えなければいけなかったのは、御存じだと思いますが、第六条の二項で、信用保証協会が行う前項の資産の査定とは、金融再生委員会規則で定める基準に従い、回収不能となる危険性または価値の毀損の危険性に応じてその有する債権その他の資産を区分する、こういうことが明確に書かれておりますから、そこで岡田委員御心配のような第三分類、第四分類は排除されていくというふうに思います。
次に、信用保証協会の保証でどれだけの信用が破綻金融機関の借り入れ企業につくだろうかということでございますが、先ほど最初の御質問のときにも申し上げましたように、自己資本比率の計算に当たって、信用保証協会の保証がついている貸し出しというのはリスクレシオが下がりますので、通常の貸し出しよりも自己資本比率を下げないという効果があります。今の貸し渋りの中にあっても、最初に申しましたように、単に資本が足りなくて貸し渋りしているだけじゃなくて、効率的な融資構造へのリストラをしようと思って貸し渋りをしているという側面もありますので、普通は、保証がつけば、これは融資構造のリストラに資するものとして融資がつくというふうに思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/21
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022・岡田克也
○岡田委員 ちょっと今の点は、野党の提案ですので、野党間でもう少し詰めなければいけないかもしれないというふうに申し上げておきたいと思います。
それから、野党案では平成十三年の三月三十一日までに金融破綻関連保険業務を廃止するということにしているわけでありますが、ということは、平成十三年三月三十一日までに新たな融資先を見つけるということになると思うのですが、これが果たして現実的なのか。平成十三年にこの特別の制度を廃止したときに大きな混乱が起こらないか、そこが非常に気になるところでありますが、
どういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/22
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023・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 御指摘のように、平成十三年三月三十一日までにと書いてありますが、ここでこの法案がエクスパイアするわけではなくて、ごらんいただいておわかりのように、見直し規定になっているわけですね。廃止を含めて見直すと書いてある。これは、一緒に出している野党三会派の法案が同じ時期までの時限になっているわけであります、金融再生委員会にしても。ですから、それと平仄を合わせる意味でここで見直し規定を入れたわけです。
だから、この二〇〇一年三月時点で見直して、全体のバランスを考えて、もう少し続ける必要があれば続けるし、全部一体のもので、ここでもう打ち切りだという判断であればここで廃止、そういう規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/23
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024・岡田克也
○岡田委員 ここは一つの物事を裏から見るか表から見るかということなのかもしれませんが、もちろんこういう対策ができることで多くの中小企業が救済されることは間違いございませんが、しかし同時に、それは第二分類が中心だとしてもかなり問題のある債務者が含まれていることもまた事実でありまして、問題のある銀行を平成十三年までに整理してしまうという、そちらの方はよくわかるのですが、そこでむしろ問題のある借り手というものをどういうふうにソフトランディングさせていくのか。
平成十三年で全部切ってしまうということになるとこれは大きな混乱を招くわけですし、しかし、そこでそうしないということになりますとこれはいつまでも、今ある第二分類の中での不良債権というのを国が全面的に抱え込んでずっといくということになりかねないわけで、かつての震災手形のような、そんな感じもしないわけではないわけですが、そこのところはどのように考え方を整理されているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/24
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025・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 岡田委員御指摘の点はまさに悩ましいところでございまして、岡田委員もお聞き及びかもしれませんが、私ども野党三会派の実務者レベルの協議のときに大きな問題になり、議論をしたポイントの一つでございます。
当初私どもは、この法案についてはこの見直し規定を外しておきました。しかし、逆に、ずるずるといつまでもやってはいかぬのじゃないか、他の法案とワンセットになっている以上、ここで廃止する時限立法にしてはどうか、こういう意見もありました。三党協議を重ねました結果、これは両方の可能性を含んだ見直し規定にしよう、そして、今岡田委員御指摘のように、ずるずる不良債権みたいな形で持続することは防がなければいけないが、さりとて信用保証という事柄の性格上、そんなぽんと切れるものじゃないという側面も同時に考慮しようというので、最終的にこういう形になった次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/25
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026・岡田克也
○岡田委員 通産大臣にお聞きしますが、先ほど鈴木議員の方からは、政府案の限度額の引き上げについては野党としてももちろんこれは反対するものではなくて、そういう意味では、野党法案と閣法、政府法案は矛盾するものではなくて相補うものである、こういう趣旨の御答弁があったと思います。それでは、通産大臣の方からごらんになって、この野党法案についてどのように考えておられるか、基本的にこういう考え方が必要であるというふうにお考えなのか、あるいは問題があるというふうにお考えなのか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/26
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027・与謝野馨
○与謝野国務大臣 議員立法についてとやかく言うことは差し控えたいと私は思っておりますけれども、ぱっと見たところ、私どもがやっておりますのは中小企業対策で、中小企業の定義の範囲は、昨今、資本金の範囲をふやして中小企業の実態に合わせた改正をやりました。しかし、野党案は中堅企業という概念を使っておられますので、どこまで広がっていくのかがよくわからないという点が一つ。
もう一つは、いわば今岡田先生が問題にされておられましたように、第二分類、第三分類、第四分類と分けたときに、第二分類も公的なものに移動するということについて果たして問題がないのかどうかということは、やはり検討する必要があるのではないか。私は個人的にはそう思っております。
また、この案を推進していきますと限りない財政出動が要請されてしまうのではないかなという心配をしておりますが、実は余りよく詳細な検討はしておりませんので、ぱっと見たところそういう感じがするという、印象だけ申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/27
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028・岡田克也
○岡田委員 野党が中でよく議論をし検討して出してきたものでありますし、非常に重要な中身を含んでおると思いますので、ぱっと見たところではなくて詳細に通産省としても御検討いただき、私は考え方としては非常にすぐれたものがあるというふうに思っております。かつ、今回の通産省、政府提案のものだけでは大きな金融機関が破綻するという事態には対応できないことは明らかでありまして、全体の与野党の協議の中でも野党の考え方を大幅に取り入れた形でのスキームづくりが進んでおりますが、そういう中で、やはり借り手の保護ということは非常に重要になってまいりますので、真剣に御検討いただければ大変ありがたいことだというふうに思っております。
もちろん、ややいろいろな問題を含んでいることも事実でありまして、先ほどの平成十三年以降どうするのかという問題もございますし、それから、これは破綻保険の方ではありませんが、野党案ですと一〇〇%保証ですね、公庫と信用保証協会の関係が。そこに、信用保証協会のモラルハザードと言うと言葉は適切ではないかもしれませんが、そういうものが出てくるのではないか。そういう心配も当然あるわけで、この辺は私は、与野党で協議をして、よりよいと言うとやや語弊があるかもしれませんが、内容について協議をしていくことは可能だというふうに思います。
いずれにしても、私は、政府の案だけではいかにも不十分ではなかろうか、こういうふうに思っているところでございます。通産大臣、この辺について何か基本的なお考えございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/28
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029・与謝野馨
○与謝野国務大臣 今般私どもが出しました法案は、金融機関の破綻を前提として出しているわけではなくて、いわゆる信用収縮の最も被害を受けている中小企業にいかなる資金の手当てをしたらいいのかという観点からこの法案を出しておりまして、大きな破綻が起きた場合を想定して物事を考えているわけではないという点は御理解をいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/29
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030・岡田克也
○岡田委員 鈴木議員の方は、今私がいろいろ、野党ではありますが、少し気になるところを指摘したわけですが、何か御感想ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/30
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031・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 二つ申し上げたいと思いますが、一つは、一〇〇%再保険でモラルハザードが発生するのではないか、これも野党三会派の実務者レベルで相当突っ込んだ議論をしました。
現在七〇%、八〇%の二つの制度が原則になっております。例外的に九〇、じゃこれは九五にするかという議論もあったのでございますが、現下の厳しい情勢、そして破綻金融機関の借り手保護、この要請から考えて、あえてモラルハザードの危険性を冒してでも一〇〇%再保険にして、各地の五十二の信用保証協会が一生懸命これに取り組んでくれるようにしょうよという判断でこれを出しておりますが、岡田委員も御指摘のように、もしこの考え方に政府・自民党さんも乗って一緒に考えようということであれば、ここももう一回議論し直す余地のある大きな論点だと思います。
それからもう一つは、与謝野大臣の岡田委員の質問に対するお答えの中で、こういう信用保証という形で破綻金融機関の借り手にいわば公的資金が入っていく、それも一〇〇%再保険で入っていくということでは、少しずるずる拡大しないかという御懸念を示されましたが、私どものこの破綻金融機関の借り手に対する信用保証のカウンターパート、反対側の政府の案はブリッジバンクなんですね。
政府案はブリッジバンクでございます。ブリッジバンクでよそへ行けない借り手を抱え込んでいくわけですね。私はそれよりも、金融再生委員会
で決めた厳しい基準で、しかし一〇〇%の再保険というバックアップがあって、各地の信用保証協会が審査して信用保証していく方が、ブリッジバンクで丸抱えしていくよりは公的資金の投入額は少なくて済むというふうに思うんですね。
ブリッジバンク側の方が、ずるずる、自分の力ではよそへ行けない借り手企業を全部抱え込むわけですから。しかも受け皿銀行がいない場合なんですから、ブリッジバンクというのは。受け皿銀行が手を挙げていないときに、全部よそへ行けない企業を抱え込んでいくブリッジバンク構想の方がはるかに公的資金がずるずると入っていって、不良債権を公的資金で抱え込むようになる可能性は高いというふうに私は思います。ぜひ、政府・自民党におかれましては、私どものこの部分と対比すべきはブリッジバンク構想なんだということを忘れないようにして、対比して考えていただきたい。
それからもう一つ、行政コストが違うと思うんですね。ブリッジバンクの方は、やはり新しい機関をつくっていこうということですから、一定の行政コストがかかります。私どもは、既に存在しているインフラ、すなわち中小企業信用保険公庫と全国に五十二ある信用保証協会を使おうということですから、これは行政コストははるかに低いんですね。
どうぞこの二つを対比して、どちらが、社会的コスト、そして投入する公的資金の負担、それから行政コストが低いのかということを、ぜひみんなで知恵を絞って、与野党ともに考えていただきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/31
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032・岡田克也
○岡田委員 時間も参りました。最後に通産大臣に一言お聞きしておきたいと思いますが、中小企業政策とそれから中小企業に対する金融政策ですね、特に信用保証制度というものを中小企業政策の中でどのように位置づけておられるのかということを、通産大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
御案内のように、我々の野党の案では、信用保証協会に関することというのは中小企業庁設置法から落としておりまして、基本的には再生委員会に一元化をするという考え方でいるわけでございます。基本的に金融に関することは金融再生委員会に一元化をするという、一貫してそういうことを申し上げておるわけでありますが、他方で、この信用保証制度というものが中小企業政策としても非常に重要な位置づけを持っているということも事実ではあると思いますので、これについての基本的な考え方というものをお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/32
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033・与謝野馨
○与謝野国務大臣 まず、先生御承知のように、一口に中小企業と申しましても非常に業種がたくさんございまして、どういうとらえ方をするかというのは非常に難しいわけでございます。しかし、中小企業庁が今までやってまいりました中小企業政策というのは、例えば商店街の対策とか、あるいは中小企業の立地問題とか環境問題とか、いろいろなセクターごとに持っている問題に対応してきたわけです。
その中で、中小企業全体を貫く、あらゆる業種を貫く問題として最も重要なのは、やはり中小企業に対する資金の供与と申しますか、中小企業の金融の問題は従来から中小企業庁の最も重要な政策でございました。これは、国民金融公庫、中小企業金融公庫あるいは商工中金を通じまして、必要な資金が中小企業に供与されるように十分やってきたつもりでございますし、また、無保証無担保の融資も、あれは昭和四十年代の後半に導入されたんですが、その限度額も今まで何回か上げてまいりました。
中小企業の業種ごとの持っている個別の問題、また中小企業全体を貫く問題、こう二つ分けてまいりますと、やはり中小企業全体を貫く問題としては金融の問題が私は多分最大の問題なんだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/33
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034・岡田克也
○岡田委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/34
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035・古賀正浩
○古賀委員長 大口善徳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/35
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036・大口善徳
○大口委員 平和・改革を代表いたしまして、質問をさせていただきます。
まず、八月二十八日の中小企業等貸し渋り対策大綱によって、二十兆円の特別の保証制度、これが創設されるということになりまして、そして、予算の手当てとして、信用保証協会に国から全額補助の二千億、中小企業信用保険公庫の財政基盤強化ということで八千億、これが出されるという大臣の答弁がございました。
その一兆円を確保する根拠として、事故率を、大体一〇%ぐらいにしよう、今まで二%弱であったものを一〇%ぐらいにしようということで、そして、そのうち求償等を考えると五%ぐらいでいいんじゃないかということで、二十兆の五%ということで一兆円、こういう計算でございました。
しかしながら、今こういう厳しい状況でございますので、求償ということでそこまで確保できるか、回収できるかというと、私は非常に厳しいんじゃないかなということで、この二千億、そして八千億というのでは額として足らないんじゃないかな、こういうふうに考えるわけですが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/36
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037・与謝野馨
○与謝野国務大臣 先ほど岡田委員にもお答えしたのですが、あくまで仮置きの数字としてやったわけでございますけれども、従来の保証協会の事故率というのは一・五%、最近でも一・七一とか、そういう二%弱の事故率でございますから、一〇%の事故率というのは非常に大胆な想定でございまして、本当にそこまでのことができるかどうかという実務的な問題ももちろんございます。
ただ、従来の実績からして、代位弁済をした後、まず約半分は回収できるだろう、そういう想定のもとで計算しておりますが、確かに厳しい状況の中で、貸し倒れの中から五〇%を回収できるかどうかということは、これは今確定的には申し上げられない。先生が御指摘のように、非常に厳しい状況にあるので、回収率五割というのは、仮に先生が無理な数字だとおっしゃるのであれば、そういう無理だというふうに考えることも正しい側面を持っておりますし、また我々も、計算上回収率五割とした根拠は、過去の実績とかそういうことに基づいておりますので、そちらの方も、まあ確定的なことは申し上げられませんが、想定としては相当いい想定ではないか、そのように私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/37
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038・大口善徳
○大口委員 それでは、見込み違いの場合は予算措置をさらにするということでいいですか。そこをちょっと答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/38
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039・与謝野馨
○与謝野国務大臣 したがいまして、事故が発生し、代位弁済をし、回収を行って、最後の最後まで実際はお金が返ってこない、その場合には、やはり予算措置をして例えば保険公庫の穴埋め等はせざるを得ない、それはもう当然の話だろうと。それはその都度手当てしていくというふうに考えていく方が合理的かなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/39
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040・大口善徳
○大口委員 そして、事故率を一〇%というふうなところに持っていく、そこまで制度設計の段階で考えるということですと、審査の基準、これは相当緩やかになってくるのじゃないか、非常に保証を受けやすくなってくるのじゃないか。また、そうでなければ貸し渋りがここで防止できないですから、そこら辺の審査基準の変わり方といいますか、それはどうなのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/40
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041・与謝野馨
○与謝野国務大臣 実際は保証協会も窓口が審査をいたしますから、窓口の方が審査というものを親切親身にやるかどうかという、その審査態度にもかかっております。各県の保証協会の職員の方も大変まじめな方が多いので、いきなり緩めろと言っても、そうは簡単に物事、考え方というのはなかなか転換できない。むしろ、貸し渋りの次には保証渋りなどという言葉が生まれてくる可能性もございまして、そういうことはあらかじめ十分注意をしながらやらなければいけない。
一つは、先般、全国の保証協会の会長に東京にお集まりいただいて、こういう制度の概要について御説明をさせていただき、そして制度の趣旨もよくおわかりをいただいたわけでございます。
今後は、そういう保証協会の方々が、内部において、また県と御相談しながら、保証協会の運営
についてそれぞれ各県ごとに御相談になると思いますけれども、中小企業庁でも、ある種の保証行為を行うときの新制度のもとにおける手引と申しますか、物を考えるためのガイドラインと申しますか、そういうものを目下作成中でございますので、それができましたら、各県と御相談しながら各県にお渡しする、そういうことになる。
額は用意したけれども実際には保証は行われないということは避けなければならないということが先生の御指摘であれば、それはまさにそのとおりだと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/41
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042・大口善徳
○大口委員 やはりネックは、てん補率ですね。保険のてん補率が八〇%、二〇%は信用保証協会の方が負担しなければいけない、こうなっておるのですね。そのことを思うと、緩めようと思ってもやはりその二〇%の負担というのがあるということで、これは地方のレベルの要望として、このてん補率八〇%をこの際もっとアップしてほしい、こういう要望が非常に強いわけであります。野党案というのはそういうことも意識されていると思うのですが、その点についていかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/42
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043・鴇田勝彦
○鴇田政府委員 私どもが十月一日をめどに発足をさせたいと思っております新しい信用保証制度におきましては、一つは、今大臣からもお話し申し上げましたが、保証協会が窓口を含めて保証渋りといやしくも言われないような、そういった中小企業者の立場に立った保証実行がなされるようにしたいという点で、その点で一番大きいのは、新しく、二千億とか大臣申し上げていますが、ニューマネーについては信用保証協会の既存の基金とは別にスペシャルアカウントをつくりまして、そちらにお金を用意するということで、このお金を自由に、実際に赤字になった場合、代位弁済をした場合にはどんどん使っていただくということで、ある意味で後顧の憂いなく保証ができるようにしょうというのが一点でございます。
それからもう一点、てん補率の話につきましては、そういったスペシャルアカウントで制度を組んでおりますので、実質的には保証協会としては従来とは全く違った保証態度がとり得ることになりますし、また、てん補率を一〇〇%にいたしますと、保証協会における審査について、いわゆるモラルハザードの問題とかいろいろ出てまいりますので、この点については、二〇パー、八〇パーという協会と公庫の関係というのは維持をさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/43
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044・大口善徳
○大口委員 ただ、その二千億で果たして緩むのか。確かに効果はあるでしょう。ただ、やはりてん補率もアップすることの方が私は効果は非常に高い、こういうように思います。
損失を二千億でカバーできる場合はいいですが、それを超える場合も十分考えられますので、そういうことを考えますと、やはりこの際、てん補率をアップするということはあってもいいのじゃないか、こう思うのですが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/44
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045・与謝野馨
○与謝野国務大臣 これはいろいろな考え方が.あって、例えば一〇〇%に仮にしたとしますと、保証協会は事実上審査をしなくて保証をするということも可能になるという点で、いろいろな方がモラルハザードという言葉を使っておられるのだろうと思います。ですから、一〇〇%保険公庫が面倒を見てくれるということは、いわば親方日の丸的な融資態度になりますから、それは避けなければならない。二対八というのは、まあ私はいい数字なのではないかと思っております。
保証をしましたときに受け取る保証料というのがございますが、約一%のものですが、それをどういうふうに分けているかというと、六を保証協会が取って、四を公庫が取っております。そういう取り分からいっても、もう既に二対八というのはその取り分を逆転しているわけですから、これ以上逆転させるというのはいかがなものかなと思っておりまして、やはり保険という名に値する公庫のあり方というのは大事だろうと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/45
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046・大口善徳
○大口委員 次に、野党案についてお伺いします。
今、この貸し渋り対策ということでいいますと、野党の方は、信用保証協会に三千億、そして信用保険公庫に一兆円ということで、一兆三千億。これは政府の一兆円と比べますと大きな額になるわけですね。そういう点で、私は思い切った案であると思います。その一兆三千億は、新たな保証規模を新たに確保するということでしょうから、どれぐらいを想定されてこの一兆円、そして三千億という計算になっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/46
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047・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 わかりやすい形で、政府案との対比で申し上げますと、今大口委員御指摘のように、政府案の二千億円に相当するのが三千億円、八千億円に相当するのが一兆円でございますから、同じ前提、事故率一〇%、最終回収が五%で計算いたしますと、政府の二十兆円規模に対してこちらは三十兆円規模になるということでございます。
それで、私はいずれにしましても、私どもの方が大きいぞといって、だからいいんだ、いいんだと言うつもりはなくて、大口委員御指摘のように、ひょっとしてこれ足りなくなるかもしれないねという懸念が十分あるわけでございますね。そうしたら、ひとつ与野党協議して柔軟に対応しようよということで、この点については、本当に両者相矛盾するわけではないのであって、十分話し合いの上で、できれば一本化するべきだし、また将来必要になったら改正して追加していくということは十分行われていいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/47
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048・大口善徳
○大口委員 それから、この貸し渋りの方のてん補率、保険のてん補率ですけれども、大臣の方は二対八がいいじゃないかというお話でございますが、例えば九対一とかということも考えられるわけですね。そこら辺についてどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/48
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049・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 先ほどもお答えいたしましたように、てん補率一〇〇%だとモラルハザードが発生して、信用保証協会が審査もしないでぽんぽんやるんじゃないか、先ほど大臣も、ちょっとそうもおっしゃいました。
私どもは、信用保証協会、それほど無責任だとは思っておりません。特に、金融再生委員会が規則としてきちっと定めたものを信用保証協会に流して、これが新しい制度だ、これが基準だ、この基準で審査してくださいねと言うわけですかろ、そんな無責任なことをするとは思っておりません。が、しかし、モラルハザードが発生しないかと言われれば、その心配は正直言ってある。したがって、大口委員御指摘のように、一〇〇はちょっとどうかなと、九〇とかあるいは九五とかいうところで少しは負担をかけておいた方がよくはないかという配慮も十分あり得ると思います。
ただ、先ほども申しましたように、今の金融危機というのは異常であります。こういう異常な危機の中で金融機関の破綻がまだまだふえるおそれがある、そういう中で、借り手企業が困る、そのために倒れなくていい中小、中堅企業が倒れる、こういうおそれがあるわけです。ここはひとつ、時限的な性格を持っているわけですね、もう見直し規定も入っている、だから思い切っていこうよという考えが野党三会派の実務者レベルではまさりまして、こういう案で出しておりますが、先ほど申し上げましたように、与野党一緒にこの案生かそうよということであれば、もう一度みんなで知恵を出すべきポイントの一つだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/49
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050・大口善徳
○大口委員 私は、信用保証協会の窓口の方のことを思いますと、やはりてん補率はもう少しアップをしてあげた方が保証をつけやすい、これはもう現場の感覚であります。そういう点で、野党三会派のこの思い切った、一〇〇%とするかどうかはともかくとして、こういう発想は大事であり、ここはしっかり与野党で議論して、できればこの現状よりアップする方向で合意をしていただきたいな、こういうふうに思っております。
それから今、岡田委員の方からも、借り手の分類基準といいますか、これは金融再生委員会で定める、こういうことであるわけですけれども、第二分類というのはその中に入る。ただ、第二分類、
これは正しく査定をするということが前提なわけでしょうけれども、今議論されているものは、その第二分類の中にも第一に近いものから非常に第三に近いものまであるわけですね。そこを絞るのか絞らないのか、そこら辺についていかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/50
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051・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 先ほどもお答えいたしましたように、第一分類の中にも第二分類まがいのものは十分入っている、第二分類の中に第三分類に行かなきゃおかしいんじゃないかというものも入っているということでございますから、この金融再生委員会で決めた規則に従って、さっきも読み上げましたように、リスクが通常の度合いを超える危険を含むと認められる債権に係るもの、そういうことで厳正に審査をしてもらいたいというふうに考えております。
平均的な形としては、正しい意味の第二分類が中心になるはずだと思うのですね。正しい意味の第一分類は自力でかなりの部分はシフトできるはずですし、正しい意味の第三、第四は整理回収機構の方へ回らなければおかしいわけですから、我々は、第二分類中心で、第二分類の相当な部分が仮にここへ来ても受けられるような規模の信用保証能力を考えたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/51
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052・大口善徳
○大口委員 そうするとまた、今回の、保険公庫において中堅企業というものも対象にするということで、中堅企業、資本金一億円超から五億円以下、これが入るわけですね。そういう場合に、保険公庫の中に区分経理をするかどうかという問題が一つあります。そして、区分経理をしないとしたならば、中小企業の枠に中堅企業、額が大きくなりますから食い込んでくるということで、中小企業団体等の、心配というものもあります。本来の我々の枠が圧迫されるんじゃないか、そういうことについて、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/52
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053・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 大口委員もう十分御存じかと思いますが、法案をお読みいただきますと、破綻関連の保険制度は別区分をいたしますが、その中で、中小と中堅の区分はしていないわけですね。ですから、御懸念のような中堅に対する保証が中小の保証を圧迫するということは、心配される方がおられるというのはよく事情がわかります。
ただ、大口委員御承知のように、この我々が考えている枠、保証能力は物すごく大きいわけですね。五兆円出資するということは、これはさっきの事故率で計算しまして、仮に一〇%が回収できなくなるとしても、十倍の五十兆円の能力を持ってしまいます。自己査定ではありますが、三月末の第二分類の額というのは、大銀行で四十五兆円、全国銀行で六十五兆円、それから信用組合等全部入れたって八十兆円でございますので、五十兆円の保証能力というのはべらぼうに大きなもので、実際はそんなに要らないのだと思います。
ですから、私は、そういうふうなことを懸念される中小企業の方のお気持ちはわかりますけれども、枠が、保証能力が大変大きいので、どうぞ御安心くださいと申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/53
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054・大口善徳
○大口委員 そういう中で、中堅企業について保証限度は三億、こういうことでありますが、中堅企業がその三億で十分なのか、こういうことが一つあると思います。これは斎藤先生、この前来られておりましたが、やはりちょっとけたが、必要なけたが違うんじゃないかという点がどうなのかということと、あと、今回、金融破綻関連保険準備基金に五兆円以上、五兆円以上という額になっているわけですけれども、大体どれぐらいの額を想定されているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/54
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055・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 御指摘の問題は、これもやや悩ましいところがございまして、大銀行が破綻したときに、借り入れをシフトできなくなる企業の借り入れの額というのは三億円なんというものじゃないぞ、十億円あるいは何十億円だぞという議論が一方にあるわけですね。斎藤精一郎先生なんかはそういうことを言っています。しかし、他方では、こういう形で保証していったら、ここに不良債権がどんどん紛れ込んできはせぬか、甘くなり過ぎはしないかという心配もあるわけですね。そこで、私ども野党三会派の実務者協議では、その両方をにらんだ上で、とりあえず三億円という限度を置いたわけです。
だけれども、資本金五億円の企業にとって三億円というのは小さいなという議論、当然ございました。しかし、逆に、これは十億円とかいって大きくしていくと、ちょっとこれは不良債権の吹きだまりになりはしないか、先ほどから少し出ているそういう懸念の方が逆にふえてまいります。ここについても、とにかく制度をスタートさせてみて、これからの金融危機がどれだけ激しくなるか、その辺をにらみながら、実情を反映させる形で必要ならば改正するということも十分考えられるポイントだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/55
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056・大口善徳
○大口委員 あと、五兆円以上というのはどれぐらいかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/56
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057・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 失礼いたしました。
五兆円以上と言っているときに、我々実務者レベルで考えていたのは、政府の金融安定化緊急措置法、十三兆円、あれは私どもは反対をしておりますね、あの資金をもっと効率的に使って金融危機対策を講ずるとしたらこういう信用保証の強化だなと言っていましたものですから、頭には皆さん十三兆円があったのですね。しかし、そんなに要らないねということで、五兆円でも十二分だろうというので五兆円と置いたのですが、しかし、頭には十三兆円がありましたが、それは本当に緊急事態になってきたらもっと要るのかなということで、十兆円とか十三兆円とか入れるのはちょっと大き過ぎると思ったものですから、五兆円、ただし、超ということで、将来必要ならふやしていく余地を残したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/57
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058・大口善徳
○大口委員 最後に、野党の方は中堅企業ということについてカバーをしているわけですが、それでは政府の方で、金融が破綻した、その金融機関が清算をして、そしてその場合の中堅企業の救済というのはどうするのか、特に短期資金、短期の運転資金はどうするべきか、そこについて、大蔵省、お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/58
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059・伏屋和彦
○伏屋政府委員 お答えいたします。
金融機関が今後抜本的に不良債権処理を図る過程で、経営困難に陥る金融機関が出てくることが予想されるわけでございまして、こうした場合においても、預金者保護及び金融システムの安定性確保、さらには、今先生が言われました中堅企業への資金供与を含めまして、善意かつ健全な借り手に対する適切な配慮に万全を期す必要があるわけでございます。
その意味で、ブリッジバンク制度は、金融機関の破綻に際しまして、民間の引受金融機関が登場しない場合でも金融システムの安定と預金者保護を確保し、また迅速に金融の危機管理が行える体制を整備して万全を期すとともに、民間の引受金融機関が登場しないために、その中堅企業も含めまして、善意かつ健全でありながら新たな取引銀行を見出せない借り手の対策に資する体制を整備するものでございまして、ぜひともこのブリッジバンク制度の導入が必要であると考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/59
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060・大口善徳
○大口委員 ブリッジバンクでない場合に清算の場合はどうなのかと聞いたわけでございますが、時間も来ましたので、これで終わります。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/60
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061・古賀正浩
○古賀委員長 西川太一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/61
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062・西川太一郎
○西川(太)委員 きょうは各党の御理解で連合審査が持たれましたことを、院に所属する一人として大変喜んでおります。
そこで、対三党に、提出者にお尋ねをいたすわけでありますけれども、まず、九月二日に私は金融特の場で、本年三月、二十一行に対して二兆七千億の資本注入を行ったけれども、結果的にそれが貸し渋りの対策としては効果がなかったのじゃないかということを大蔵大臣にお尋ねをいたしましたところ、大蔵大臣は、金融機関は自己防衛的になっている、将来有望な客を育てようという気概が全く感じられないと、銀行の貸し渋りに不快感を示されて、三月の銀行に対する資本注入で資本率がふえれば貸出能力が増すはずだと言ってきたが、そうはならなかった、期待された影響は今
日まで見られない、こういうふうにおっしゃったわけであります。そして、平和・改革の中野清議員の質問に対しても同趣旨の、もっと今度はわかりやすく、よい担保をとって金を貸すのなら、時計をとって金を貸す質屋と一緒だというような答弁をされたわけでございます。
私どもは、そうなりますと、今までの政府の政策を貸し渋りに対しては変えるべきではないかと思っていたところ、本案が出てきたということで、これは時宜にかなったものだというふうに思うわけでございますけれども、ただ、私なりに、これは皆さんにお配りすればよかったのですけれども、きのう明け方まで起きていたものですから、ちょっとそこまで頭が回らなかったのですが、政府案と、野党というか三党案の違いを一覧表にしてみたのです。
貸し渋り対策に限ってみても、例えば予算額について、信用保証協会に三千億補助する、これを法案に野党案は明記してありますし、中小企業信用保険公庫に一兆円の出資をするということも明記してあります。一方、政府案については、与謝野通産大臣が私の質問にお答えをいただきまして、その違いを、政府の方としては初めの部分は二千億、後の部分は八千億ぐらいになるだろうという御趣旨の御答弁をいただいておりますから、大した違いはないといえばないのですけれども、そこで引っ込むわけにもいかないので、鈴木提出者に伺うのです。
まず、基本的な部分でございますけれども、貸し渋り対策としての効果は、今のような違いもありますが、それ以外に政府案と野党三党案ではどう違うのか、はっきり言えばどっちが効果があるのかということをお尋ねしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/62
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063・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 宮澤大蔵大臣の御答弁を引用されましたように、私も、貸し渋りの原因というのは単純に資本金が足りないからではない、先ほども申し上げたわけでございます。融資構造をリストラして、自己資本収益率、ROEを上げてビッグバンに備えるのだという経営者の必死の努力のあらわれでもあるわけですから、質屋の例を引いてああいう失礼なことを言うというのはいかがなものかと思っております。
そういう意味で、この信用保証協会の保証をつけるというのは、自己資本比率の面でもROEの面でも大変すぐれた貸し渋り対策になるというふうに思います。自己資本比率の面では、信用保証がつきますとリスクレシオが下がりますので、自己資本比率を計算するときの貸し出しウエートが下がるのですね。だから、自己資本比率が高目になります。それから、融資構造の効率化、リストラという観点から見ましても、保証がついているということは安全な融資という意味になりますから、これにも資する。
だから,これは非常にいい貸し渋り対策で、我が党、自由党の野田幹事長が一番早く国会で指摘された。本年の通常国会の予算委員会だったと私は記憶しますが、保証協会と中小企業保険公庫を使ってやるのがいいのだ、いたずらに公的資金を注入したってだめだという指摘をきちっとされた。今回、それに政府・自民党さんも気がつかれて乗ってこられる。また、私ども野党三会派でも出したということは大変大きな前進であると思っております。ただ、西川委員御指摘のように、それじゃこれは全然同じかと言われますと、実は規模において違いがあります。
先ほども申し上げましたが、私どもは、信用保証協会のところに三千億、そして保険公庫に一兆円を入れますと、全体で、政府と同じ仮定を置いて計算しますと、三十兆円の保証能力拡大になります。政府の方はそれが二千億、八千億だものですから、同じ仮定で計算して二十兆円になるわけで、そういう意味では私どもの方が効果は大きいと思いますが、考え方として、政府・自民党さんが、私ども野党側で言い出した案を御自分の案として出してこられたということはもう大きな前進で、どっちが言い出したなんということをこの際争うのではなくて、ともに今の金融危機対策として話し合って、一本化していくということができれば、これは一番いいことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/63
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064・西川太一郎
○西川(太)委員 よくわかりました。
それで、先ほど大口先生がお尋ねになったこととダブりますが、破綻金融機関対策として、ブリッジバンクを使うよりも三党案の方が行政コストが少なくなる利点があるというふうに考えますし、また、政府案のように公的ブリッジバンクによる融資継続についての問題点というのはいろいろあると思うのですね。そこら辺について鈴木先生に伺って、その後政府に質問をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/64
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065・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 御指摘のとおり、まず行政コストにつきましては、私どもの案、そして政府・自民党さんの案として今ここへ出ている案は、既に存在しているインフラ、すなわち中小企業信用保険公庫と、全国に五十二あります信用保証協会を使うわけでございます。新たな行政システムをつくるわけではございません。そして、そこにはもうベテランの専門的な職員がいるわけでございます。そういう意味では、行政コストは安い。
これに対して、ブリッジバンク方式でいこうというと、ブリッジバンクという新たな組織をつくる、そこにまた新たに人を連れてくる、さあ、その人たちは本当に審査能力があるのかしら、それを訓練するためにはまたさらに行政コストがかかる。もう明らかに、行政コストは、この方式、信用保証の方式の方が低いというふうに思います。
それから、ブリッジバンクの問題点は、ブリッジバンクに破綻金融機関、それも、御承知のように受け皿銀行が手を挙げない場合があるのですよ。受け皿銀行がいない、何か欠陥があるのでしょう、それをブリッジバンクが引き取る。そして、自分の力ではよそへ移れない借り手企業をブリッジバンクで抱えるわけですね。
そうしますと、受け皿銀行が手を挙げないほど何か問題のある銀行、それに自分の力ではよそへ移れない借り手、これを全部抱え込んでいくわけですから、ブリッジバンクというのは、悪く言いますと、そういう問題企業の吹きだまりになる。そして、その不良債権に対して、もうツーカーで公的資金を入れていくわけですね。公的資金でその不良債権をキープしていく。そして、問題企業がますます悪くなっていけば、それがつぶれないように一生懸命国のメンツにかけて抱えちゃうわけですから、これも相当に効率の悪い、不良債権の拡大、公的資金の拡大を伴うやり方だと思います。
信用保証協会できちっと我々の金融再生委員会の基準に従ってやる方が、これはもう今言ったような懸念はなくなると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/65
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066・西川太一郎
○西川(太)委員 通産大臣にまとめて二点お伺いいたします。
一点は、金融特で私に直接御答弁いただきました、例の法案には明記されていない出資や補助金の額でございますけれども、あのとき二千億の八千億とおっしゃいました。今もその線だ、こういうことであれば、それが一つ。
それからもう一点は、いろいろ私なりに、またいろいろな専門家の知恵もかりながら研究しましたところ、政府案に欠けているものは、破綻金融機関の融資先対策がないですね。
今いろいろ折衝過程ではあるけれども、しかし、貸し渋り対策として純化して見た場合も、そこのところは、運用の妙を得て補っていくとか何か知恵を出さないと、今の鈴木議員のお話のとおり、引き取り手がないような形になる。使途はあれとしても、仮に、もちろんそれも含んでということでもいいのですが、破綻した金融機関の融資先、これをどういうふうに面倒を見ていくのか。政府案にはそれがないというふうに私は思うのですけれども、この点についての通産大臣の御所見を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/66
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067・与謝野馨
○与謝野国務大臣 金融機関が仮に破綻しますと、善良な借り手は、その破綻をした日から銀行との円滑な取引ができなくなる。もちろん新たな借り入れもできなくなるでしょうし、従来約束していた融資等も受けられなくなるというさまざまな弊害が出てまいります。
今回私どもが考えておりますのは貸し渋り対策でございまして、破綻後のことを前提にしているわけではありません。ただ、信用収縮という面では同じかもしれませんが、私どもは、あくまでも中小企業の金融の円滑化、特に貸し渋りの非常につらい目に遭っている方々に資金が行き渡るということの必要性を考えて、こういうものを考えているわけでございます。そういう意味では、破綻した後の善良な借り手をどうするかというのは、むしろ金融特の方で御議論をいただいているのだろうと私どもは思っております。
そこで、先般の金融特で先生の御質問にお答えして予算の規模をお話ししましたが、これは、政府としては二千億を確保して中小企業庁の予算として計上する。また、その都度必要になってまいりますでしょう中小企業保険公庫の方のお金は、その都度必要に応じて予算に計上していけばいいと思いますが、ある一定の事故率、回収率を想定しますと、それは多分八千億ぐらいになるだろう。合わせますと二千億と八千億で一兆円になる、こういう想定のもとに進んでおりますが、二千億の予算を要求するということは、政府の方針として確定し.ていることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/67
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068・西川太一郎
○西川(太)委員 通産大臣、できるだけ時宜を得て適切な、予算面でも必要ならば必要なだけ省としては要求をしていく、こういう姿勢と受けとめてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/68
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069・与謝野馨
○与謝野国務大臣 当面、財政当局と話し合って、両省で了解しておりますのは二千億でございますけれども、しかし、状況というのはどういうふうに展開していくかわかりません。状況の変化に適切に対応した態度で今後予算編成に臨むというのは、先生御指摘のとおり、必要なことだと私どもは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/69
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070・西川太一郎
○西川(太)委員 これは要望しておきたいと思いますけれども、小規模企業者が無担保無保証の小口のお金を借りたりしますと追加で融資が難しくなるというような、せっかくいい仕組みをおつくりになっても制度の運用面でいろいろ問題があるというふうに実務家からは聞いております。したがいまして、これは要望で、答弁は結構でございます、そういうこともこれからひとつきめ細かくやっていただきたい、こういうふうにまずお願いをしたいと思います。
鈴木議員、今の大臣の御答弁をお聞きになって、破綻金融機関の借り手対策というのは、三党案ではあるのですよね。これも時間がもうあれなのでひとつ手短に、どういうことの効果があるのかということを一点だけ、簡単で結構でございますので、御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/70
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071・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 政府・自民党さんの案の借り手対策は、ブリッジバンクで抱え込んでいくということなんですね。そのことと今ここへ出ております貸し渋り対策と全然別個のものとして分けてお考えなのですが、私どもは、さっき申し上げました理由で、ブリッジバンクを借り手対策に使うと非常に非効率で、公的資金は拡大する、行政コストはかさむ、非効率な話になるだろう、それなら、ここへ出ている貸し渋り対策と一本化して、借り手対策も信用保証協会と中小企業信用保険公庫のインフラを使ってやろうよ、こう言っているわけでございます。
ぜひその点、御理解を政府・自民党の皆様にもいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/71
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072・西川太一郎
○西川(太)委員 時間も迫ってまいりましたので、金融監督庁に伺いたいのですが、その質問の前に今ひょっと思い出したのは、この間、参考人質疑で大野木頭取に、あなたのところは三月に一千七百六十六億円の資本注入を受けた、貸し渋りはそれで改善されたかと言ったら、大変正直な御答弁があって、背に腹はかえられないので信用収縮に走らざるを得なかった、こういう回収に狂奔した姿を赤裸々に語られて、これはやはり効果なかったな、こういうことなのです。
今私が非常に問題にしたいと思っているのは、第二分類の債権が、この政府案でいくと、貸し渋り対策の中に十分に意識して組み込まれていないのじゃないかという心配があるわけなんですね。例えば北海道拓植銀行と北洋銀行のケースで、健全債権すら受け取らないというようなニュースが流れているぐらいで、いわんや、第二分類とかそれからサブスタンダードなものは、そんなものは到底受け取れないと。長銀と住銀の合併でもそうだと思うのですけれども、この第二分類を融資制度で具体的に助けていかない限り、これはなかなかうまくいかない、こう思うのですけれども、日野長官、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/72
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073・日野正晴
○日野政府委員 金融監督庁の立場から果たしてお答えできることかどうか、はっきりいたしません。
と申しますのは、私どもはあくまでも、与えられた法律を執行する、そういう立場に立っております。ただ、私どもに与えられている法律で、今委員が御指摘になりました第二分類、これはあくまでも、各金融機関が自己査定ということで査定しているものでございます。
野党三会派が今お出しになっている金融再生委員会のスキームを拝見いたしましたところ、金融再生委員会の規則でもって、各金融機関が資産を査定して、それを金融再生委員会に提出すべしということになっておりまして、罰則もたしか懲役五年以下という、通常の刑罰法令からいたしますと非常に厳しい罰則になっているというふうに承知しております。ただ、こういった意味で、非常に厳しい罰則ですから、構成要件はよほどしっかりしておりませんと大変難しい問題が生ずるかなというふうに思います。
ただ、私どもの現行法の立場でいいますと、結局、銀行法ということがその基本になっておりまして、銀行法はあくまでも、不良債権つまりリスク管理債権をどういうふうにして把握して、それを金融監督庁に報告させるかということになっているわけでございます。第二分類かどうかということは、あくまでも自己査定という立場に立っておりますので、今野党の三会派でお出しになっている分類の仕方とはかなり違ったものがあるかなというふうに承知しているところでございます。
ただ、これはあくまでも、私どもは金融に関する企画立案の権限は有しておりませんので、感想として今委員の御質問にお答えさせていただいたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/73
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074・西川太一郎
○西川(太)委員 幸い午後の商工委員会で三十分の枠をいただいておりますので、続けてまたさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/74
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075・古賀正浩
○古賀委員長 吉井英勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/75
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076・吉井英勝
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
最初に、きょうはまず大臣の方にお伺いしたいと思うのですが、今日の深刻な不況の中で、中小企業の経営というのは非常に大変な状況であります。ですから、そういう深刻な状況にある中小企業に対して貸し渋りが行われる、これに対する対策をとっていこう、これは当然のことだというふうに考えているのです。その貸し渋り対策として、信用保証協会の基金を上積みするなど財政的基盤を厚くしていくこととか、それからまた中小企業信用保険法を改正して一層いいものにしていく、これは非常に大事なものだと思っているのです。
貸し渋りがあり、その対策としてそれを考えて、逆に、その対策をとったことによって、今度は銀行の方が安心して貸し渋りに走っていく、悪乗りをするようなことになると、これはせっかくの今回の趣旨が生かされないことになってしまう。
私はそういう点では、銀行には銀行法第一条によって、銀行業務の公共性にかんがみ経済の健全な発展に資するという、ちゃんとそういう役割があるわけでありますから、したがって、信用保証協会の役割も、また中小企業信用保険法の役割にしても、銀行が貸し渋りをやったり、あるいは資産圧縮だといって善良な借り手から融資を引き揚げていったりとか、あるいは銀行の合併等に際して銀行が引き継ぐのを渋るような、そういう融資の後始末、こういうことのために利用されるということになってはならないというふうに思うわけです。
そこで通産大臣に伺いたいことは、第一義的に
は、やはり銀行法に基づいて、銀行に公共性の立場に立った社会的役割を果たすというこの責任をきっちり果たさせる、この上に立って、信用保証協会や中小企業信用保険法を、いかに積極的な役割を果たさせていくか、役割を果たすようなものにしていくか、私はこういう点が非常に大事だというふうに思うのですが、大臣のお考えを最初に伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/76
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077・与謝野馨
○与謝野国務大臣 政府としましては、昨年の秋以来、累次の貸し渋り対策を講じてきたところでございますけれども、中小企業等を取り巻く資金調達環境は一層厳しくなっている、これは各党の共通の認識であろうと私は思っております。今後、民間金融機関の不良債権処理に伴う中小企業に対する信用収縮の不安を払拭するためには、政府系金融機関の対応のみならず、民間金融機関からの円滑な資金供給を促進することが重要であると考えております。
そういう観点から、先般閣議決定されました中小企業等貸し渋り対策大綱においては、信用保証制度について、二十兆円の保証規模の確保、貸し渋りを受けた中小企業者に対する特別の保証制度等の対策が盛り込まれているところでございまして、議員の御指摘のとおり、いやしくも民間金融機関の貸し渋りを助長するような趣旨で今回の対策を講じたものではないということでございます。
通産省としては、金融監督庁を初め関係省庁等の協力を得ながら、民間金融機関に対して、本大綱の趣旨を十分体していただくよう要請してまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/77
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078・吉井英勝
○吉井委員 同様のことを提案者の方にも伺いたいと思うのですが、やはり第一義的には銀行というのは法律に基づいてきちっと果たすべき役割があって、そしてその上に立って、今度提案していらっしゃるこの信用保証協会あるいは中小企業信用保険法の改正等に基づく対策というのも、まず第一義的には銀行はちゃんと役割を果たす、そのことを前提として、それぞれの役割がさらに積極的に果たされるようにするべきものだと思うのですが、この点について最初に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/78
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079・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 委員御指摘のとおり一銀行というものは一般の産業における企業と違った公共性を担っている。
まず第一に、決済システムという、これは公共財であります、それの担い手である。それから、産業の血液ともいうべき金融で、金融仲介をして、貯蓄と投資を仲介して、そして経済を発展させる。その際に、銀行というのはある意味ではリスクをとるわけですね。リスクをとって、その専門性を発揮してうまくリスクを回避しながら、一般の人にはとれないリスクをとって貯蓄と投資をつなぐ、こういう使命を帯びているわけでありますから、いたずらに、リスキーな貸し出しは怖いとか、あるいは決済システムを担っているという公共性を忘れて、貸し渋りをしたりあるいは取引先の企業をきちっと面倒を見ていかないということがあってはならない、それはもうおっしゃるとおりだと思います。
ただ、銀行をそういう行動に陥れている環境というのもまたあるわけでございまして、先ほど岡田委員の質問に対して申し上げたのですが、まず根本的には、今の景気の状況ですよね、九一年から今日まで足かけ八年間も日本経済を停滞させて、そのあげくの果てに二年連続マイナス成長、それでしかも、本年度のマイナス成長の幅は去年よりも大きくなる、これで手を打てないでいるこの政府のマクロ経済政策の失敗ということが基本にあると思いますね。
その上で、今度は金融行政の失敗をしていると思うのです。これも先ほど申し上げましたけれども、自己資本比率規制という早期是正措置と、ビッグバンという効率を上げろという話と、それから不良債権を早く処理しろという話、この三つ、全部矛盾したことをどんと言うわけですから、これは銀行もたまったものではない。その一つの答えが、貸し渋りという公共性に反する行為に出ているわけでございます。
ですから、委員の御指摘のとおりでありますが、同時に、このマクロ経済政策、そして金融行政の大失敗というものがあってこういうことが起きているということも忘れてはならない、それを一刻も早く是正しなければいけないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/79
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080・吉井英勝
○吉井委員 私も、やはり今、緊急の対策として消費不況を打開する、消費を温めて進めるという、これをやっていかないと根本的にはうまくいかないわけですから、その点は、今おっしゃった話、よく理解しているつもりです。
同時に、最近問題になっておりますのは、この銀行の貸し渋り行動を見ていると、信用保証協会の保証がついていても融資を断るケースがあったりとか、あるいは銀行が自己の優良な顧客に信用保証協会の保証つき融資の方を先に使ってしまって、枠がなくなってきて外されてしまうとか、一般の中小企業の融資が、求めた方が難儀をするとか、そういう事態もありますから、私、やはり同時に、銀行の融資行動を正すという、この点では政府の行動というものが、こういう仕組みとともにやはりそれがきちっとしないとなかなかうまくいかないと思うのですが、この点についても伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/80
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081・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 委員御指摘のような動きが一部にあるのだということは私も承知をしております。そういう銀行の行動というのは言語道断であると私も思っております。金融監督庁あるいは日本銀行などが、日常の接触あるいは検査、考査を通じて、こういう点は指導していかなければいけないのだというふうに私は考えております。
それと同時に、今度こういう形で信用保証枠を拡大するわけでありますから、これを契機にして、信用保証協会あるいは中小企業信用保険公庫に対してもきちっとした指導を監督官庁として行われるということをぜひ御期待申し上げたい。さっき、既にやったと言っておられましたが、引き続きその点についても目を光らせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/81
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082・吉井英勝
○吉井委員 次に、金融機関が破綻した場合に、破綻金融機関や銀行業界に対して、善良な借り手を保護することに責任を果たすという、やはり自己責任原則の確立が必要だというふうに思うのですね。そうでないと、個々の銀行にしても銀行業界にしても、善良な借り手に責任を持たないで、税金で面倒を見てもらって当たり前とか、あるいは政府系金融で面倒を見てもらって当たり前、保証協会が面倒を見てくれて当たり前、こういうことになってしまうと、私は、文字どおりモラルハザードを引き起こす問題が新たに生まれてくるというふうに思うのです。
ですから、銀行業界が自己規律を崩さないようにさせる、つまり、銀行にしても銀行業界にしても借り手保護の責任をきちんと果たすのだという点ですね、この点をやはりきちっとさせていくということが必要だと思うのですが、この点についての御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/82
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083・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 私は、銀行の自己規律と業界の自己規律というのを分けて考えたいと思うのですね。
市場原理を基本としてやっていく、したがって、それぞれの銀行は自己責任原則に基づいて行動をとれ、その結果責任についてもとりなさい、これはもう大原則であって、私どもの提出している法案はすべてそういう原理原則にのっとってつくられているというふうに思います。ところが今度は、業界という話になると、これはやや難しいところがありまして、銀行業界の責任を問うという言葉は、実は長いこと護送船団方式の行政の中でも使われたのですね。ですから、この業界の責任というのは極めて難しいところがあります。
それで、この前も共産党の委員の方の質問にお答え申し上げたのですが、例えば預金保険。預金者を保護するために、今十七兆円の公的資金を用意しております。しかし、あんな公的資金を入れないで銀行業界からもっと保険料を取ればいいじゃないか、保険料率をもっと上げればいいじゃ
ないかという議論になってきますと、これは私は、護送船団的奉加帳方式に近づいていくおそれがあると思うのですね。つまり、奉加帳を回すからみんな負担しなさいと。しかし、これは、自己責任でやっている優良銀行は、何でその自己責任で無責任なことをやっておかしくなっている銀行の分までおれたちしょうのという話になります。
米国ではそういう議論が出まして、預金保険料は変動保険料率になっておりまして、優良企業の保険料は安いわけですね。だから、それが本当の自己責任だというふうに思うものですから、業界という話になると、私はちょっと委員とニュアンスの違う考えを持っております。
恐らく委員の頭の中には、全国銀行協会などというものが現にあるじゃないか、それが政治資金を出しておるじゃないかとか、そういうところから来ておると思いますが、その意味では、私は、全国銀行協会などという業界組織も、ある意味では見直しが必要だ。本当の自己責任原則、個々の企業、個々の銀行の自己責任原則という観点からいうと、日本の業界システムというのは見直すべきだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/83
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084・吉井英勝
○吉井委員 その議論はまた時間のあるときに改めてやりたいと思います。
最後に、提案者の言う金融破綻関連保険制度を活用する場合に、今日の大不況のもとで苦況にある中小業者、中堅企業などの善良な借り手と、ゼネコンやノンバンクなどへの投機的性格の融資とを区別して、前者は継続して融資が保護される、後者の不良債権後始末のためのごみ箱にはさせないという立場をとられると思うのですが、その選別をどのように考えていかれるか、これを最後に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/84
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085・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 お答えいたします。
まず最初の段階で、信用保証協会の方に来る破綻金融機関の借り手というのは、第三分類、第四分類ではないわけですね。これは回収機構の方へ行きます。第二分類が中心になるのだと思いますが、その際の審査の基準は、私どもが法案で出しております金融再生委員会におきましてきちっとした規則、基準をつくって、信用保証協会がそれを守っていく、その基準の中に、今御懸念のようなことが起こらないように、きちっと入れたいと
いうのが私どもの考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/85
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086・吉井英勝
○吉井委員 時間が参りましたので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/86
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087・古賀正浩
○古賀委員長 濱田健一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/87
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088・濱田健一
○濱田(健)委員 まず、閣法から三点ほど質問させていただきたいと思います。
昨年の十一月、緊急経済対策が実施されまして、いわゆる信用保証協会のリスク幅を、たしか三%から一〇%まで高めたというふうに記憶しているところでございます。全国の信用保証協会のその後の事業概況を見てみますと、保証債務残高にほとんど変化がないというように私は読み取っているわけでございますが、リスク幅を大きくした状況の中で、本来なら増加に転じてもよさそうですが、そういうふうになっていない現実を感じております。その辺をちょっと見解を伺わさせていただきたい。
また、ことしの五月からは総合経済対策も実施されております。この間の資料、手元に持ち合わせておりませんが、債務保証残高の推移はどうなっているのか。増加しているのか。その辺、御見解をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/88
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089・鴇田勝彦
○鴇田政府委員 信用保証協会の保証債務の残高についての御指摘でございます。
昨年の秋以来、保証対策に力を入れるということでやってきておりますが、その保証承諾額は、本年四月から八月までの最新時点では、約六兆四千四百億円になっております。昨年の秋の経済対策以降で見ますと、前年同期比で約一〇%の伸びになっております。
御質問の残高ベースではどうかという話につきましては、本年三月末におきまして、二十九兆五千五百億円でございましたが、この数カ月間の間に、八月末におきましては二十九兆七千七百億円ということで、二千億強の残高の増になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/89
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090・濱田健一
○濱田(健)委員 努力はされていると思うのですけれども、今回の法改正で、政府は中小企業の資金調達の円滑化にどの程度向上が図れるものとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/90
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091・鴇田勝彦
○鴇田政府委員 今回の信用保険法の一部改正によりまして、無担保保険、特別小口保険につきまして限度額をそれぞれ上げさせていただき、なおかつ、別途十月一日を目途に設計をいたしております二十兆円の特別の保証料率、特別の保証基準によります新しい貸し渋り保証制度にもよりまして、相当な効果が上がると考えておりますが、実際、数字の面でどのぐらいになるかという点については推計はできないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/91
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092・濱田健一
○濱田(健)委員 枠といいますか財源的なものは確保される努力を評価したいと思うわけですが、政府系や民間を問わず、金融機関の貸し出しの融資審査について、当然、土地を中心とする物的担保で行われております。この融資審査は、そもそも担保になる土地を持っていなかったり、地価の下落によって土地の担保価値が減少していると言われる中小の零細企業者、新規の開業者にとっては、極めて厳しい審査になっていると言わざるを得ません。
そこで、中小企業を取り巻く金融環境を円滑化し、新規産業を積極的に支援していく観点という部分から、経営能力、知的な財産権、技術力を総合的にそして客観的に評価する融資審査というものを数多く取り入れるべきではないかというふうに考えるのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/92
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093・鴇田勝彦
○鴇田政府委員 政府系金融機関の融資審査におきましては、委員御指摘のように、単に物的担保だけをもとに融資をするということだけではなくて、いろいろな観点、総合的な評価をして審査をするように指導をいたしているところでございます。
具体的に申し上げますと、例えば融資審査を行うに当たりまして、貸付先からの情報に加えまして、当該企業の取引先、取引銀行あるいは業界関係者等から業界の行く末について情報を収集したり、あるいは成長性、発展性という長期的観点にも立って融資審査を行うように指導いたしております。
あと、担保の関係で申しますと、具体的に中小企業金融公庫の例で申し上げますと、例えば一般の民間金融機関が通常対象とはしておりません機械設備等の動産とか、あるいは今御指摘いただきましたソフトウエア等の知的財産権等を担保の対象にするなど、担保の範囲のとり方、評価をなるべく弾力的に行っているところでございます。
担保が不足しがちな、御指摘にありましたベンチャー企業の育成を目的とした新事業育成貸付制度とか、あるいは担保価値の下落等によりまして運転資金の調達に困難を来している中小企業者向けには、例えば貸付額の二分の一までは物的担保を徴求することを免除するという特例を設けた制度もつくらせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/93
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094・濱田健一
○濱田(健)委員 現下の状況にかんがみて、審査の基準等を当然厳格に守るということも必要でしょうけれども、相手の身になってしっかり聞いて差し上げるということを丁寧にやっていただきたいというふうに思います。
鈴木先生にお尋ねをいたします。
信用保証協会法の改正案でございますが、従来あります特別保険、これはそれぞれの政策目的を持つ特別法を根拠としておりますが、今回、時限的に金融破綻関連保険という形で信用保険法の本体に規定をされようとしておられますが、その根拠といいますか、これをこういうふうに位置づけなければ大変ですよという理由等がありましたら、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/94
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095・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 委員御指摘のように、従来でありますと、政策目的を持った特別な保険を設定するときは特別保険の中で行うわけでございます。御疑念はもっともな面があると思いますが、御承知のように、今度の破綻金融機関の借り手企業に対する保険というのは、今までの中小企業保険の枠組みに入らない特色が二つあります。
一つは、中小企業、資本金一億円以下だけでな
くて、資本金五億円までの中堅企業まで入れてくる。そうすると、中小企業信用保険法という法律の名前も変えなければいけないのかな、中小を中堅と変えなければいけないのかなと私どもは実は迷ったぐらいでございますが、これは時限的なのだから名前を変えることもあるまいということ。ただ、それほどちょっと質的に違う。
それから、二つ目の違いは、したがって、上限が三億円という、今までの基準からいうと大変に高くなっているわけですね。これは、量が大きいだけではなくて、ちょっと質の違いがある。
そんなことで、特別保険の枠組みの中に入れないで別途こういう形にさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/95
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096・濱田健一
○濱田(健)委員 保証対象の枠が広がるというふうに今鈴木先生お話しいただきましたが、その保証対象が、資本額または出資額が一億円以上五億円以下という形になって、特定の企業者、三億円以下であればどんな債務も保証できるというような読み取り方を私はしているところでございます。
そうすると必然的に、今最も保証を必要としている製造業の皆さん方など健全な中小の企業だけではなくて、ちょっとうがった言い方かもしれませんが、バブルで踊ったような不動産業界などの債務保証まで行えるのではないかというふうに思いまして、仮にそういう部分が出てきた場合に、せっかく善意でつくる法律だと思うのですけれども、国民的な批判どいうものを招く結果になりはしないかなと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/96
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097・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 私どものこの法律だけではなくて、他の四法案をあわせた全体の枠組みの考え方といたしましては、委員御承知のように、金融機関が破綻したときは原則的には清算過程に入る、法的手続で入ったり公的管理を置いたりいたします。もちろん、受け皿銀行が出てくればそちらに渡すわけですけれども。その過程で当然、バブルに踊った一番悪い第三分類、第四分類に入っている連中は整理回収機構の方に行くわけでございます。したがって、ここに来るのは主として第二分類。第一分類の一部もあるいは来るかもしれません。そういうわけですので、みんな抱え込んでしまうという御懸念はない。
それからもう一つは、金融再生委員会においてきちっとした審査の基準を定めます。それを信用保証協会に流して、この基準で審査してくれというふうにいたしますから、その中でも御懸念のような企業を排除するということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/97
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098・濱田健一
○濱田(健)委員 三野党が出していらっしゃるほかの法律との関連性の中で、今私が申し上げたような疑念は担保できるというふうに回答いただいたと思います。そのように承知しておきたいと思います。
最後の質問ですが、借り手のモラルハザードを引き起こさないためにも、保証協会の審査、運用面での細心の注意が必要だ、これはだれでもそう思うわけでございます。例えば、法案にあります特定企業者の定義に、事業計画の認定を受けたものといった借り手の健全さを示す基準を加えるべきではないかというふうに私は思うのです。その方が貸し渋りから健全な中小企業を守るという野党三党の本来の法案の趣旨も生かすことになるのではないかと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/98
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099・鈴木淑夫
○鈴木(淑)議員 委員の御指摘はごもっともでございまして、返済計画について、きちっとした裏づけを持ったものという条件を金融再生委員会の定める基準、信用保証協会に守らせる基準の中に反映させるべきだと私は思います。その点で、委員の御意見と全く同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/99
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100・濱田健一
○濱田(健)委員 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/100
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101・古賀正浩
○古賀委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。
これにて散会いたします。
午後零時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114304488X00119980918/101
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