1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十年十月六日(火曜日)
午後三時開議
出席委員
委員長 杉浦 正健君
理事 橘 康太郎君 理事 八代 英太君
理事 山本 幸三君 理事 山本 有二君
理事 枝野 幸男君 理事 北村 哲男君
理事 上田 勇君 理事 達増 拓也君
加藤 卓二君 鴨下 一郎君
河村 建夫君 笹川 堯君
菅 義偉君 滝 実君
中谷 元君 保岡 興治君
渡辺 喜美君 佐々木秀典君
坂上 富男君 福岡 宗也君
漆原 良夫君 安倍 基雄君
木島日出夫君 保坂 展人君
左藤 恵君
出席国務大臣
法 務 大 臣 中村正三郎君
出席政府委員
法務大臣官房司
法法制調査部長 房村 精一君
法務省刑事局長 松尾 邦弘君
法務省人権擁護
局長 横山 匡輝君
法務省入国管理
局長 竹中 繁雄君
委員外の出席者
内閣官房内閣外
政審議室内閣審
議官 宇野 裕君
警察庁刑事局刑
事企画課長 堀内 文隆君
法務省訟務局長 山崎 潮君
自治省大臣官房
審議官 片木 淳君
最高裁判所事務
総局人事局長 金築 誠志君
最高裁判所事務
総局民事局長 石垣 君雄君
法務委員会専門
員 海老原良宗君
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委員の異動
十月六日
辞任 補欠選任
奥野 誠亮君 滝 実君
古賀 誠君 中谷 元君
熊谷 弘君 坂上 富男君
同日
辞任 補欠選任
滝 実君 奥野 誠亮君
中谷 元君 古賀 誠君
坂上 富男君 熊谷 弘君
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十月五日
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第八号)
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第九号)
九月二十一日
組織的犯罪対策法制定反対に関する請願(木島
日出夫君紹介)(第二五五号)
同(辻第一君紹介)(第二七七号)
同(中林よし子君紹介)(第二七八号)
定期借家制度を導入する法案反対に関する請願
(木島日出夫君紹介)(第二六九号)
同(瀬古由起子君紹介)(第二七〇号)
同(辻第一君紹介)(第二七一号)
同(中島武敏君紹介)(第二七二号)
同(東中光雄君紹介)(第二七三号)
同(藤木洋子君紹介)(第二七四号)
同(藤田スミ君紹介)(第二七五号)
同(保坂展人君紹介)(第二七六号)
同(保坂展人君紹介)(第三一二号)
同月二十八日
児童買春・児童ポルノ等規制法の制定に関する
請願(武部勤君紹介)(第三五六号)
同(中川智子君紹介)(第四五六号)
同(畠山健治郎君紹介)(第四五七号)
同(辻元清美君紹介)(第四七六号)
同(中川智子君紹介)(第四七七号)
同(畠山健治郎君紹介)(第四七八号)
子供の性的搾取・虐待をなくすための立法措置
に関する請願(松本惟子君紹介)(第三五七号
)
定期借家制度を導入する法案反対に関する請願
(保坂展人君紹介)(第三六一号)
同(石井郁子君紹介)(第三七八号)
同(木島日出夫君紹介)(第三七九号)
同(穀田恵二君紹介)(第三八〇号)
同(児玉健次君紹介)(第三八一号)
同(佐々木陸海君紹介)(第三八二号)
同(志位和夫君紹介)(第三八三号)
同(辻第一君紹介)(第三八四号)
同(寺前巖君紹介)(第三八五号)
同(中島武敏君紹介)(第三八六号)
同(中林よし子君紹介)(第三八七号)
同(東中光雄君紹介)(第三八八号)
同(藤木洋子君紹介)(第三八九号)
同(藤田スミ君紹介)(第三九〇号)
同(古堅実吉君紹介)(第三九一号)
同(山原健二郎紹介)(第三九二号)
同(吉井英勝君紹介)(第三九三号)
同(保坂展人君紹介)(第四二八号)
同(保坂展人君紹介)(第四五五号)
同(辻元清美君紹介)(第四七四号)
同(保坂展人君紹介)(第四七五号)
同月三十日
子の姓を出生時に決める夫婦別姓選択制の法制
化に関する請願(中川智子君紹介)(第四九四
号)
選択的夫婦別姓の導入など民法改正に関する請
願(松本惟子君紹介)(第四九五号)
通称使用制度によらない選択的夫婦別姓制の法
制化に関する請願(中川智子君紹介)(第四九
六号)
組織的犯罪対策法制定反対に関する請願(木島
日出夫君紹介)(第四九七号)
定期借家制度を導入する法案反対に関する請願
(志位和夫君紹介)(第四九八号)
同(中川智子君紹介)(第四九九号)
同(保坂展人君紹介)(第五〇〇号)
同(矢島恒夫君紹介)(第五〇一号)
同(中川智子君紹介)(第五九九号)
同(保坂展人君紹介)(第六〇〇号)
児童買春・児童ポルノ等規制法の制定に関する
請願(辻元清美君紹介)(第五〇二号)
同(中川智子君紹介)(第五〇三号)
同(畠山健治郎君紹介)(第五〇四号)
同(保坂展人君紹介)(第五〇五号)
同(辻元清美君紹介)(第六〇一号)
同(畠山健治郎君紹介)(第六〇二号)
婚姻制度等に関する民法改正に関する請願(北
村哲男君紹介)(第五九八号)
十月一日
定期借家制度を導入する法案反対に関する請願
(保坂展人君紹介)(第六五二号)
児童買春・児童ポルノ等規制法の制定に関する
請願(辻元清美君紹介)(第六五三号)
同(土井たか子君紹介)(第六五四号)
同外三件(秋葉忠利君紹介)(第七一三号)
同外一件(岩永峯一君紹介)(第七一四号)
同(北沢清功君紹介)(第七一五号)
選択的夫婦別姓の導入など民法改正に関する請
願(北村哲男君紹介)(第六五五号)
同(土井たか子君紹介)(第六五六号)
は本委員会に付託された。
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九月二十九日
組織的犯罪対策三法案反対に関する陳情書
(第一
〇二号)
被疑者国選弁護制度の早期実現に関する陳情書
(第
一六九号)
組織的犯罪対策法案の廃案に関する陳情書
(第一
七〇号)
国民の代表を法制審議会の各部会の委員に各一
名宛参加させることに関する陳情書
(第一七一
号)
治安維持法犠牲者国家賠償法の制定に関する陳
情書
(第一七二号)
十月一日
組織的犯罪対策三法の立法化反対に関する陳情
書
(第二一四号)
在日朝鮮人への人権侵害に対する適切な対応に
関する陳情書
(第二一五号)
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び
児童の保護等に関する法律に関する陳情書
(第二一六
号)
は本委員会に参考送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第八号)
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出第九号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/0
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001・杉浦正健
○杉浦委員長 これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
本日、最高裁判所金築人事局長、石垣民事局長から出席説明の要求がございますので、これを承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/1
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002・杉浦正健
○杉浦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/2
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003・杉浦正健
○杉浦委員長 内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
まず、趣旨の説明を聴取いたします。中村法務大臣。
裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
法律案
検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/3
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004・中村正三郎
○中村国務大臣 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を便宜一括して御説明いたします。
政府においては、人事院勧告の趣旨等にかんがみ、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしました。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は、次のとおりであります。
第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給は、従来、特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますところ、今回、内閣総理大臣その他の特別職の職員について、その俸給を増額することとしておりますので、おおむねこれに準じて、これらの報酬または俸給を増額することといたしております。
第二に、判事、判事補及び簡易裁判所判事の報酬並びに検事及び副検事の俸給につきましては、おおむねその額においてこれに対応する一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、いずれもこれを増額することといたしております。
これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様に、平成十年四月一日にさかのぼってこれを行うことといたしております。
以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/4
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005・杉浦正健
○杉浦委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/5
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006・杉浦正健
○杉浦委員長 これより両案に対する質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂上富男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/6
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007・坂上富男
○坂上委員 坂上富男でございます。
しばらく法務委員会を離れておりまして、あるいは間違いや無礼なことがあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思うのであります。
実は、私は、本日は、名誉毀損によるところの裁判のあり方等について御質問をする予定でございましたが、いろいろと飛び込みが参りまして、少しお聞きをさせていただきます。
まず一つは、裁判官、検察官の報酬についてでございますが、これはもう私は賛成でございまして、特に、今裁判所がやっておられます裁判のあり方、それから今検察が、特捜が象徴的に、防衛庁問題を果敢にやっておることについて、国民は非常に期待をしているんじゃないかと思っておるわけであります。
私は今、安保の方で厳しく防衛庁のあり方について指摘をいたしまして、いろいろ調査をして、犯罪ありと思料したならば自首していけ、こういうふうにまで厳しくきょうは言ってまいりました。本当に私たちは、裁判官、検察官に期待をしておるわけでございますので、ぜひひとつ国民の期待にこたえていただきたい。防衛庁がこうやって腐り切っているのに対しまして、検察が毅然としてやっておられることに、私たちは非常に期待をしておるわけであります。
特に、防衛庁が上申書を出したあれを見たらひどいでしょう。おれらが背任になれば、検察官が起訴猶予することすら背任じゃないか、こういうことを上申書の中に書いてあるんじゃないですか。こういうひどい、あなた、法律で規定がある起訴便宜主義について、起訴便宜主義を検察がやるようだったら、我々は背任することは別に違法でないんだとまで、そういうふうな上申書が出ているでしょう。私はもう本当に、これはえらいこっちゃなと思っておりまして、厳しく指摘はしてきたところでございます。
さて、ちょっと私の本題の前に大臣に御質問をしたいのでございますが、少年法の問題でございます。
これは大臣は、法制審議会にかけないで法案を提出するとか、いや、そうじゃない、かけるよとか、いろいろちまたに意見が出ておりますが、ほんの一言でございますが、法制審議会にかけて提案になるんでしょうか、あるいは、法制審議会はもう間に合わないから早く出しますよ、こういうことなのでございましょうか、御答弁を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/7
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008・中村正三郎
○中村国務大臣 一言でというお話でございましたけれども、ちょっと説明させていただきたいの
ですが、まず法制審議会の性格ですが、これは大臣の諮問機関でありまして、会長が私でございます。非常に多くの人員を抱えておりますけれども、半分近くお役人が入ってここで論議をする、学識経験者という組織でありまして、刑事法、民事法にかかわることと法務の基本的な問題について大臣の諮問を受けて答申をする、議論をするというごく一般の審議会でございます。
ですから、ここにまずかけて審議をしてもらうかどうかということは、私が私に頼むというちょっと異例な格好になっていますけれども、それはこの審議会が古くは設置法で定められた行政機関ですから、行政機関だということで私が長になっているんだと思いますが、できたときの趣旨から考えまして、やはり法技術的な法理論と申しますか、そういった専門的なことを御審議いただくためにあったんじゃないかなという感じがしているわけであります。
少年法の中でも、いわゆる裁判のあり方がどうだとか事実関係をどういうふうに検察または裁判官とかが検証していくんだとかいうやり方について、技術的なことはこれは諮問して御論議いただくのは大変いいと思うんですが、今非常に世間の関心事、国民の関心事になっている年齢を、僕は、よく言われるんですけれども、下げると言ったとかなんか言われていますけれども、下げるとも申しておりませんし、上げるとも申しておりません。
こういったものを議論するのは、やはり国民の代表たる国会で御論議いただくのがいいんじゃないか。そして、国民の基本的人権の問題であり、また生活に密接して関係することでありますから、それは国権の最高機関であり唯一の立法機関である国会で御論議をいただきたいという趣旨で、一義的に与党にいかがでしょうかというお話をしたわけでありまして、当面、法制審議会にかけないで国会に御論議をいただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/8
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009・坂上富男
○坂上委員 この問題は、また専門家の先生方が一般質問の際に議論させてもらいたいそうでございますので、どうぞ大臣の方もよくまた御意見も承っていただきまして、どうした方が一番国民が納得することになるかということもお考えの上で対応していただきたい、こう思いますので、これはお聞きをすることだけにしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/9
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010・中村正三郎
○中村国務大臣 その審議の過程においては当然、これは党がおやりになること、国会がおやりになることですから、私が発言するのはちょっと差し控えた方がいいと思いましたけれども、先生の御質問ですから申し上げさせていただきますと、当然専門家の御意見とかいろいろな方の御意見というものも聞いて御審議くださるものと私は期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/10
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011・坂上富男
○坂上委員 その点については先刻申し上げたとおりでございますので、よろしくお願いをいたしたい、こう思っております。
本日、私が特にお聞きをしたい点は、以下の問題でございます。
平成十年の九月二十四日に、静岡地方裁判所におきまして小長井弁護士の名誉回復訴訟事件というのがありました。そして、慰謝料一千万の支払いを命ずる判決がありました。
これについて被告側は控訴する模様でございますが、その判旨は、静岡県警は、書類送検までに十分な裏づけ捜査もせず、関係者の供述の矛盾点を放置したまま、小長井弁護士に、これは業務上横領のことだと思うのですが、業務横領の容疑があると認定をして強引に送検し、もって小長井弁護士の名誉、当時小長井弁護士は政党の公認候補で、選挙運動をなさっている方でもあったわけでございますが、まさに政治家としての立場、弁護士としての立場の名誉を著しく毀損をしたものでありますが、これに対する違法があるとして、捜査のあり方に静岡地方裁判所は警笛を鳴らしたという判決であります。
よって、私は、以下のとおりの質問をまずしたいと思っておるのであります。
これは私が抜粋をいたしました判決でございますが、先生方ごらんになっておわかりのとおり、静岡県に対しまして一千万の名誉毀損の判決をいたしたわけでございます。この一千万というものをどう評価したらいいのか。いわゆる名誉毀損による慰謝料一千万という金額は、私は本当に大変大きな金額、日本の裁判制度にしては大きいんじゃないか、場合によっては最高なんじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。
しかも、この慰謝料の算定というのは、違法性の強弱によって大きくその算定の基礎が影響するんだろうと思っておるわけでありまして、日本でこれだけの、一千万の慰謝料を命ずるなんということは極めて珍しいこと、この反面、極めて違法性が高いということを裁判所が認定をされたんじゃなかろうか、こう思っておりますが、最高裁判所、全体的にはどんなような判例があるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/11
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012・石垣君雄
○石垣最高裁判所長官代理者 名誉毀損事件についての認容額についての一般的な傾向ということでお聞きだと思います。
実は、名誉毀損による慰謝料額につきましては格別に統計をとっておりませんので、一般的な認容額あるいは平均額というものは把握をしておりませんが、文献等によりますと、百万円前後の認容例が比較的多いようでございますが、これが全体を代表するものかどうかということは必ずしもわかりません。
ただ、最近、場合によっては五百万円とか六百万円とかそういった額を認容する判例も散見されますし、一千万円の支払いを命じた例もあるようではございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/12
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013・坂上富男
○坂上委員 一千万の判決をしたのは何件ぐらいありますか。それはいつごろですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/13
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014・石垣君雄
○石垣最高裁判所長官代理者 一千万円の例といたしましては、一つは、甲府地裁の平成十年二月十七日の事件でございまして、これは例のオウム真理教の信者らが、原告がサリン等の毒ガスを同信者らの居住施設に向けて噴霧したとして検察庁へ告訴し、また、マスコミへの記者会見及びオウム真理教のラジオ放送の番組においてそういった発言を行ったということが原告に対する名誉毀損に当たるとして、損害賠償として、慰謝料一千万円及び弁護士費用二百万円の連帯支払いを命じたもの。それから、ただいま委員が御指摘になりました静岡地裁の例ということが一千万クラスの事件ということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/14
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015・坂上富男
○坂上委員 そういたしますと、名誉毀損の慰謝料の一千万というのは、今までのから見ると最高であるようでございます。私は、それほどこの事件というものはこの一千万によって象徴されているんじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。
判決を調べてみますると、不法行為による弁護費用の請求はしておらないものでございまするから、慰謝料のみで一千万円、こうなっておるようでございます。今裁判所から説明のありましたオウム事件、これはサリンをまいて殺したのはおまえだというものでございますから、これもまた甚だしい名誉毀損でございます。しかも、それが最高一千万、そして弁護士費用二百万。これは、この事件も弁護士費用の請求をすれば、あるいは百万ないし二百万プラスアルファになるんじゃなかろうかとも思っておる事件でございまして、御説明がありましたとおり、それほどやはりこの事件は大変重要な事件であったということが言えるんじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。
そこで、ただ日本の方では、今おっしゃいましたとおり、百万、二百万、せいぜい多くて五百万というのがどうも相場のようでございますが、外国を見てみますると、外国というのは結構高い慰謝料を出しているんですね。
これ、おわかりでございましょうか。「日本ジャーナリズムの検証 前沢猛著」という本の中にこういうふうに書いてあります。マスコミに名誉毀損をされたということについて、アメリカなんというのは十億の賠償命令を命じているんですね。
それから、これは「名誉毀損 被害の実態とその対策実務」として、弁護士の先生方が書かれておるわけでございます。これによりますと、大体、認容平均が百二十七万余り、それから最高額は大体六百万円、最頻認容額が、最も多いのが百万円、こういうような書き方がありまして、そして、その上に立ちまして、外国では、アメリカの例を挙げておりますが、四億から二億、フランスでは千四百万円、それからイギリスでは一億八百万というような数字があって、いずれも日本と比べてみると、日本はこれの何分の一かの慰謝料のようなのでございますね。
そうだといたしますと、こういうような本が出ておるところから見ますると、日本の慰謝料の認定というのは非常に低いんじゃなかろうかという感じもしているのでございますが、最高裁、御所感はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/15
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016・石垣君雄
○石垣最高裁判所長官代理者 ただいま委員から文献の御紹介がございました。大体そのような文献にそのような趣旨の記載がある、そういう指摘があるということは承知をしているつもりでございますが、ただ、私ども、欧米における慰謝料の認容額についての正確な情報を把握しておりませんので、こういった欧米と日本で大きな差があることを前提としてお話を申し上げていいかどうかということになりますと、多少申し上げにくいところがございます。
ただ、いろいろ損害の組み立て方といいますか、懲罰的損害賠償だとかあるいは陪審による認定とか、いろいろな制度上の違いがあるいは影響しているのかなという印象を持っているところではございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/16
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017・坂上富男
○坂上委員 時間があったらまた最高裁にお聞きしたいと思います。
そこで、今お配りをさせていただきました「金の流れ」という表がございますが、右の方は白、いわゆる小長井弁護士の主張でございます。それから「金の流れ 黒」、これはいわゆる警察の主張と申しましょうか、これを見てみますると、杉山、石井の千三百万までは一致をしているのでございますが、この千三百万円を小長井和子さん、親族の方だろうと思うのでございますが、六百五十万円を岡村節子さんに渡して、事務員なんですね、この岡村さんが三岡司法書士に六百五十万円を渡したのですね。そして、これを百五十万と五百万とこうして、六百五十万というのは司法書士さんのところにお渡しして関係者に配分をされて、これで整理が終わった。これがその主張のようでございます。
しかるに、黒の方を見てもらうとわかるのでございますが、静岡銀行から千三百万をおろして杉山、石井さんが受け取って、そして受け取ったまま、このうち小長井弁護士が四百五十万を着服した、あとの二百万は大沢という人以下がこうやって分配をした、こうなっているのです。
どちらが正しいかということが議論の争点になりまして、静岡の警察の方では、小長井弁護士がこのうち四百五十万円を着服、横領したんだと、こういうことになりまして、捜査が行われまして、小長井弁護士の弁明を的確に聞かないまま記者会見をいたしまして送検をしたと。そして、その送検の中で、警察としては小長井弁護士の容疑は認定できる、こういうことを記者会見で発表いたしたものでございまするから、小長井さんにとっては大変な事実無根のことなんだそうでございますが、名誉の侵害を受けた、こういうわけでございます。
私は、実は小長井さんとは、年齢的には私が先輩になるわけでございますが、一緒に弁護もいたしまして、極めて優秀な弁護士さんなんですね。本当にすばらしい、こういう弁護士さんというのはいるんだなということを知って、私は小長井さんと弁護をして、まことに気持ちのいい理論構成をいたしまして幾つか無罪をかち取ったり、あるいは民事でも勝訴を本当にたくさんかち取っておられて、立派な弁護士さんなんでございまして、これはもう本当に全国民に御推挙申し上げていいという弁護士さんなんでございます。
その人がこうやって疑われて、警察の記者会見で、四百五十万円小長井弁護士横領したりと言う。そして送検をした。こういうことから始まりまして、それで検察庁は、いろいろ捜査した結果、これは不起訴になったのですね。そこで、小長井さんの立場としては、この名誉回復をしなければならぬ、こういうようなことでこの民事裁判が起きてきたわけであります。
そこで、この問題のポイントになりましたのは、いわゆる送検された書類の中に、ここに書いてある三岡司法書士さんが金を預かったかどうかということ、三岡さんが全然金も預かったことがないのかということがポイントになりまして、この調書があったのですね。
この調書の中を見ると、金は来たということは調書に書いてあるんです。調書に書いてある。それがどういうわけか、検察庁に送検するとき、この司法書士さんの調書が送られていなかったのですね。検事さんがこれを見れば、何だ、金来ているじゃないか、小長井君の犯罪なんか成立しないじゃないかと一発にわかったのでございましょうが、この大事な書類が送検されていないものでございまするから、小長井さんについていろいろと調べたんでしょう。そして、調べてみてもどうもおかしいということで不起訴処分ということになったわけでございます。
そこで、まず検察庁に聞きますが、検察の実務においては、警察が検察庁へ事件の送付または送致をする場合、捜査資料の取捨選択を是認しているのでしょうか。これは送らない、これは送ろうというようなことを承知しているんですか。認めているのでございましょうか。私の聞くところによりますと、捜査記録は全部検察庁に送致、送付をするというようなことが原則だというふうに聞いているのですが、これいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/17
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018・松尾邦弘
○松尾政府委員 先生お尋ねの点でございますが、刑事訴訟法の二百四十六条がございまして、「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。」こういう本文でございますが、こういう規定がございます。
その趣旨は、検察官が刑事事件の処分について裁量権を有するとともに公訴権を独占しているということにかんがみまして、司法警察員が犯罪の捜査をしたときは原則として全事件を検察官に送致すべきものとしているところでございます。捜査の結果作成された書類や得られた証拠物も、これも原則でございますが、検察官に送致する必要があるものとこの規定からは考えられるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/18
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019・坂上富男
○坂上委員 警察当局は実務上どういう指導をしているのですか。送らなくたっていいよということになっているのですか。どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/19
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020・堀内文隆
○堀内説明員 御質問にお答えいたします。
ただいまの刑事訴訟法二百四十六条の規定、それから同法二百四十二条の規定により、「司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。」こととされております。
そこで、捜査の結果作成された書類や得られた証拠物は原則として検察官に送致または送付することとしておりますが、他方において、警察の捜査は、多くの場合、多数の捜査員がさまざまな角度から捜査を行うことにより、各種の資料を収集しあるいは多数の報告書などの書類を作成し、徐々に事案の真相を明らかにしていくものであることから、結果的には、当該事件と関連性のない資料等も得られるということも実際には多々あるところであります。警察としては、こうした資料まで検察官に送致または送付しなければならないとは考えていないところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/20
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021・坂上富男
○坂上委員 警察の答弁、後の方は余計な答弁じゃないですか。どうですか。
捜査に必要な書類は全部送れ、こう書いてあると検察庁は答弁しているんだ。関係のないのなんて、大体、捜査すべきものでないのが入ってきたという、そんなのは除外するのは当たり前のことだ。言い逃れをしようとしてこんなことを言うんだったら、いかぬですよ。
そこでお聞きをしますが、これ、私が質問をするに当たりまして、昭和五十七年十一月十二日の送検された書類の中の三岡司法書士調書というのは極めて重要な書類であるということがわかるでしょう。どうですか、警察当局。一言でいいです。重要なものであるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/21
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022・堀内文隆
○堀内説明員 御指摘の最初の一回目の調書を送付しなかったことにつきましては、静岡県警において、その後の信憑性があると判断された二回目以降の調書を送付すれば足りると判断したからであると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/22
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023・坂上富男
○坂上委員 法務省、そういう答弁どうですか、聞いておって。調書があるのにそれを送らなかったと。しかも検察庁は、検察庁もぐるになっていたのですか。そうでないでしょう。二回目の方が信憑力があるからそっちはいいと本当に言ったんですか、検察庁どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/23
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024・松尾邦弘
○松尾政府委員 今先生お尋ねの点でございますが、何分、先生お尋ねの調書類がどういうものであったか、あるいは、どういう経緯で送り、あるいは送られなかったのかというその具体的な内容がまずつまびらかではございませんのでなかなかお答えしにくいということと同時に、具体的な捜査の内容そのものでございますので、ここであれこれ私の方から申し上げるということも控えるべきかなと思いますので、答弁は差し控えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/24
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025・坂上富男
○坂上委員 刑事局長、判決や書類全部ごらんになりましたか。これは後で提出命令がかかるわけですが、捜査記録であるけれども、もう捜査上の影響は全くない、不起訴にもなっておるし。また、これが今後の捜査に悪影響を及ぼすことは全くない、だから提出命令は容認しますよと言っているんですよ。それを、まあ直接担当されたのでないからわからぬのはいいんですよ。だけれども、そういう言い方の答弁だと私はちょっと承知できません。
本当にそういうような意味において、やはりこの問題は、この調書というものがこの事件の成否を決する一番重要な証拠であるんだということがわかっておりまして、それを検察庁が、一回目はもういいから二回目を送れと言ったんだと言うんだったら、これは重大なことです。刑事訴訟法に違反しませんか、もしこれが事実であるとすれば。もう一遍答弁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/25
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026・松尾邦弘
○松尾政府委員 先生お尋ねではございますが、再度で大変申しわけございません。
その具体的な状況について、いかなる状況でこの調書がどう取り扱われたかということについても今現在つまびらかではございません。したがいまして、当時検察庁でどんな判断をしたのかということも含めまして、なかなかお答えしにくいところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/26
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027・坂上富男
○坂上委員 警察にお聞きします。
そうすると、第一回のこの司法書士さんの調書は送らぬでよろしい、二回目のものだけ送ってくださいと、検察庁の指示ですか。どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/27
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028・堀内文隆
○堀内説明員 その辺の具体的な状況につきましては承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/28
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029・坂上富男
○坂上委員 さっきそういう答弁したじゃないですか。一回目は信憑力がない、二回目は信憑力があるから、一回目はよろしい、こういうふうなあれがあってそうしたんだ、こういう答弁。違うじゃないですか。どっちが正しいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/29
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030・堀内文隆
○堀内説明員 最初は、静岡県警がそのように検討して判断をしたということで承知しているということでありまして、地検とどういうふうに協議をしたかというようなことについては承知していないということを言ったつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/30
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031・坂上富男
○坂上委員 地検と相談して送らなかった、これでいいのですね。どうですか。地検と相談して送らなかったんだ、これでいいのですね。どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/31
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032・堀内文隆
○堀内説明員 その辺、地検とどういうような協議をしたかということは承知していないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/32
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033・坂上富男
○坂上委員 この調書の送付のことについて聞いているのです。あなたがこれについて答弁しているから聞いているのです。この調書は送らぬでいいという協議があったのですかと、こう聞いているのです。答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/33
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034・堀内文隆
○堀内説明員 地検とどういうふうに協議をしたかは、再三申し上げますけれども、承知していないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/34
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035・坂上富男
○坂上委員 最初は、地検と協議をして、第一回目の調書は信憑力がないし、第二回の方があるから、そうして協議をして送ったということを言った。これは訂正したわけだね。それなら、まあいいですよ。
これは、そうでないと検察庁は大変ですよ。検察庁の御答弁があったでしょう。関係記録は全部送りなさい、こう刑事訴訟法に書いてあるのに、これを送らぬだっていいみたいなことになったら、これは大変だ。この調書があったから、小長井先生は犯罪なんて全くしていないということが明確になった事件なんですよ。さっき私がせっかく検察も警察も頑張っていると言っているのに、こういう生ぬるい答弁をされたのでは、我々はどうやってこの基準に対応したらいいかわからなくなります。もう少しきちっと対応してくださいよ。
さて、そこで、ちょっと時間がないから急ぐのですが、今度裁判所は、この文書、調書を提出命令をかけました、とうとう。提出しなさいと地方裁判所は命令をしました。静岡県側は不服であると東京高等裁判所に抗告をいたしました。この抗告も却下になって、最高裁判所に行かなくて確定をいたしました。直ちに提出をすべきなんでございますが、驚くことは、十年たってからこの調書を提出したのであります。一体、法務省は、裁判所から提出命令が出たにもかかわらず、法務省が訴訟代理人であったら、法廷の戦略戦術上出さないなんということはありますか、裁判所の命令で。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/35
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036・山崎潮
○山崎説明員 民事訴訟法におきましては、文書を提出する場合の要件と、それに従って裁判所が命令を出せる根拠がございますが、それとともに、「当事者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができる。」こういう規定も設けられておりまして、従わない場合の制裁も設けられているところでございます。
しかし、法務省が国の指定代理人となる事案につきまして、裁判所から文書提出命令があった場合につきましては、当該文書を保存しております関係行政庁ではできる限り裁判所の文書提出命令を尊重するように運用しておりますし、また、私どもといたしましても、そのように厳重に指導しているという実情にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/36
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037・坂上富男
○坂上委員 それはもう当然でございますわね。しかも、提出命令に従わなくて、十年たって出してくるというのですね、これは。これには、理由があることはあるのですよ。だけれども、皆さん聞いておっても、そんな裁判をしているのか、そんな訴訟をしているのかといって、普通の先生方はびっくりしますわね。
さてそこで、警察は、十年間放置した理由は何ですか、出さぬでいたのは。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/37
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038・堀内文隆
○堀内説明員 静岡県警におきましては、当初、御指摘の調書を提出しないことにつきまして裁判所に対して示した理由につきましては、御指摘の調書は、旧民事訴訟法第三百十二条第一号の「引用シタル文書」に該当しないこと、また、刑事訴訟法第四十七条本文において「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。」と規定されており、御指摘の調書はこれに該当する非公開文書であること、また、御指摘の調書は、供述者など訴訟関係人の名誉、プライバシーの保護等の必要性から、いまだ保管者である警察において秘密を守る必要があることという理由で提出をしなかったわけであります。
しかしながら、その後、御指摘の調書の内容につきましては、今回の裁判の過程で既に実質的に公になり、御指摘の調書を提出することによって新たに関係者の名誉、プライバシー等が害される
おそれがないと言える状況になりましたことから、御指摘の調書を提出するに至ったものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/38
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039・坂上富男
○坂上委員 警察庁、裁判所の抗告決定を読みましたか。名誉毀損にもなりません、捜査の秘密にもなりません、捜査に何らの影響はありません、そして、あなたたちが引用した文書なんだから、きちっと出して公正な審理を仰ぐべきですと裁判所は決定しているのですよ。何で今さら裁判所の決定について、裁判が間違っている、幾ら事件が確定したって裁判所の裁判が間違っている、こういうようなことで提出しないなんというのは、これはとんでもないことです。
最高裁判所、これをどう聞いていますか。警察のこういう答弁。もう決定でもって確定したんだ。確定したのに、裁判所の言っていることはいまだもって全く実態を見ていない、間違いであるから従いませんよ、こういう答弁だ。最高裁判所はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/39
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040・石垣君雄
○石垣最高裁判所長官代理者 一般的な問題といたしまして、裁判所の決定、判決は尊重していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/40
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041・坂上富男
○坂上委員 警察庁、よく聞いていますか。最高裁判所、最も権威のある最高裁判所は、裁判所の決定は尊重してもらいたいと。警察は尊重しますか、しませんか。御答弁どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/41
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042・堀内文隆
○堀内説明員 静岡県警が当時そのような判断をしたというふうに承知しております。(坂上委員「あなたが守るかどうか聞いているのです。あなた、裁判所の命令を」と呼ぶ)裁判所の命令については、尊重いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/42
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043・坂上富男
○坂上委員 それは当たり前のことです。だから、当時の静岡県警、間違っていたというのですね。
そこで最高裁、この提出命令に従わないことに判決はどう言っていますか。声高らかに読んでください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/43
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044・石垣君雄
○石垣最高裁判所長官代理者 判決理由、かなり長いところから、関連の部分を読み上げさせていただきますが、御指摘の第一回調書につきましてはこう書いてあります。
第一回調書については、前記のとおり、文書提出命令が出された後においても、頑なにその提出を拒み続け、右命令から約一〇年を経てようやく乙五三号証を提出した被告静岡県の不誠実な態度は著しぐ信義則に反し、かつ裁判所に対する背信行為でもあり、強く非難されなければならない。
しかしながら、云々、こういうのが静岡地裁の判決の判文でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/44
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045・坂上富男
○坂上委員 ありがとうございます。
再度、よく聞いてください。裁判所がこう言うのですよ。提出しないことは、静岡県の不誠実な態度だ、著しく信義則に反すると言うのです。かつ、裁判所に対する背信行為だ。裁判所に対する背信行為というのは何ですか。最高の裁判所の怒りの言葉です。裁判を信頼してもらえないことに裁判所は非常に、背信行為としている、強く非難されなければならない。警察はこのことはどう考えていますか。こんなのは裁判所が間違っているのだ、こういうことですか。謙虚に受けとめる気持ちはありませんか。どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/45
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046・堀内文隆
○堀内説明員 今回の判決におきまして御指摘のような裁判所の見解が示されたことは承知しております。しかしながら、先ほども御説明ありましたが、民事訴訟法第二百二十四条第一項におきまして、当事者が文書の提出命令に従わないことが、この規定によりまして、必ずしも従わないことが法律上許されないものではないというふうに承知しております。
したがいまして、静岡県警におきましては、当初、先ほど御説明申し上げましたような理由から調書の提出をしなかったわけでありますが、その後、裁判の過程で、プライバシー等が害されるおそれがないと言える状況になったことから、御指摘の調書を提出するに至ったということで承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/46
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047・坂上富男
○坂上委員 そうしますと、警察庁、提出しないということについて、提出しない場合は相手方の主張を全部認めたことという制裁規定があるのでございますが、それは承知の上だったのですね。たまたま裁判が長引いたから、もう十年もたったから出そう、こうなったのですか。どっちです。あの命令が出たとき直ちに出さなかった理由。もうこれは相手方の主張を認めようということで出さなかったの、それ。わかりますかな、私の質問の意味が。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/47
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048・堀内文隆
○堀内説明員 プライバシー等を害するおそれがなくなったので、後ほど提出したということで承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/48
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049・坂上富男
○坂上委員 まだ質問があるのでございますが、時間だぞというお話もありますのでもうこれで打ちどめをいたしますが、大臣、今のお話、お聞きをされておりまして、御感想はどうでございますか。
私はやはり、こういうようなことがあって、私自身が公認候補であったやさきに、全く無実のことだ、警察から犯罪容疑ありと、そしてまた弁護士としても、一番信頼関係のある、それも犯罪容疑ありとしたら、これはもう本当に致命傷。私みたいな気の小さいのは、小長井さんのように十数年間も争うだけの力も勇気もありません。へなへなとしただろうと私は思っているのです。そういう意味で、この事件は我々全体が本当に真剣に考えなければならぬ重大な問題だと実は思っているわけでございますが、御所感、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/49
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050・中村正三郎
○中村国務大臣 坂上委員の問題意識というのはよくわかるわけでありまして、私ども議員ですからわかるのですが、具体的なこの事件の大要については、私も、どういうことだったんだといって刑事局に調べさせたのですが、当時の記録がよく残っていないのでよくわからないのですね。
ただ、私は、一般論として言えば、刑事訴訟法二百四十六条というのは非常に大きな重たいものだと思っております。といいますのも、検察の起訴独占が許され、そこでもって起訴するという判断をすることが法律で決まっているわけでありますから、そこに判断するための資料はすべて送れというこの条項は非常に重いものだと思っております。
それで、先ほど原則というような話もちらっとありましたけれども、ここには原則と書いていないので、「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。」と書いてあるわけでありまして、これが崩れますと、起訴独占の日本のこのシステムというのは崩れてしまうわけで、非常に重いものだと一般論として思います。
それからもう一つ、刑事訴訟法四十七条は、よく問題になることですが、特に私は国会対策も長くやってきて議員として思うのですが、「公判の開廷前には、これを公にしてはならない。」しかし、公益上の必要その他の事由があって、相当と認めたときはこの限りではないということで、これでいつも国政調査権なんかとぶつかるのですね。ただ、公益であるかないかというのを判断するのが、そのいろいろな証拠物なりなんなり、記録の保管者であるというところに私は問題があるのではないかと思っているわけで、ここいらはやはり立法府においても十分御論議いただいて、将来に向かって私は検討すべきところではないかというふうに個人的には思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/50
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051・坂上富男
○坂上委員 大変時間も超過して、ありがとうございました。後ろを見たら御本人の小長井弁護士がおりますので、ひとつごらんになってください。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/51
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052・杉浦正健
○杉浦委員長 次に、漆原良夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/52
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053・漆原良夫
○漆原委員 平和・改革の漆原でございます。
本日は、中村法務大臣が御就任されて最初の衆議院での法務委員会でございますが、私は、弁護士時代から一貫して日本の法律扶助制度について強い関心を持ってまいりました。この問題につきましては、松浦元法務大臣からも、また下稲葉法務大臣からも、いろいろその導入について積極的な御答弁をちょうだいしているところでございますが、改めて新法務大臣にお尋ねしたいと思っております。
この法律扶助制度というのは、もう御存じのとおりですが、憲法三十二条の「裁判を受ける権利」という、この権利を実質的に保障する制度であるというふうに考えております。しかし、現在の我が国においては、法律扶助に関する法的整備がなされておらない。また、そのために、国民の裁判を受ける権利の保障というのはまことに脆弱なものになっているのではないかというふうに私は考えております。
そこで、法律扶助に関する法的整備を行うこと、そしてそのための財政措置を講ずること、これは国家の国民に対する責務であるというふうに私は考えておりますが、大臣の御意見をちょうだいしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/53
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054・中村正三郎
○中村国務大臣 基本的には委員と私は同じ認識を持っております。憲法三十二条で、裁判を受ける権利が認められているわけですから、それは国家として、国民がそうした権利を享受できるようにしていくのが筋だと思います。
そこで、法律扶助の問題について、二つあると思います。
現法律扶助協会でやっている制度を国が補助しているわけでありますけれども、実は、個人的なことで恐縮ですが、たまたま私の友人が法律扶助協会の理事長になりまして、そのときにちょうど私は大蔵政務次官をやっておりましたので、陳情に来られまして、一年間の予算を伺ったら二億九千万とかなんとか、そんな額でありまして、非常に少ないのでびっくりいたしまして、私も法務省と相談して予算獲得に努力したことがございます。今四億かそこらだと思いますね。
私は、やはりこうしたことを通じて法律扶助制度に力を入れていくことと、もう一つは、これからの自由市場経済で自己責任の世界で、そして規制緩和をして経済活性化していこう、いろいろなことが起こってくるけれども、それを事後救済型の社会の構築を目指して、結局は小さな政府にして国民負担を減らそうという方向で、大体皆さん考えて動いていると思うのですね。
そういう中で、今小渕内閣が司法制度の改革を公約として打ち出しております。その中で、私はこの法律扶助制度の充実ということを一つ取り上げるべきだというふうに考えておりまして、今後も国民がこうした権利をちゃんと受けられるように、権利を行使すると申しますか、できるように努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/54
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055・漆原良夫
○漆原委員 大変力強いお言葉をちょうだいして、本当にありがたいと思っております。
今ほどもちょっと日本の法律扶助金額が少ないというふうなお言葉がありましたが、諸外国における法律扶助の実態と日本の実態、予算面においてどうなのか。例えば英、米、仏、ドイツ、韓国、日本と、この辺比べて、最近の実績をお知らせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/55
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056・横山匡輝
○横山政府委員 お答えいたします。
まず諸外国の方で御説明いたしますと、これはいずれも民事法律扶助関係の国庫負担額ということで御説明いたしたいと思います。
まず、イギリスでは約千百四十六億円、これは一九九四年度でございます。それからフランスが約百八十二億円、これが九三年度でございます。ドイツが約三百六十三億円、これが九〇年度。それからアメリカが約四百六十二億円です。これは九四年度でございます。それから韓国が約十四億四千四百万円、これが九七年度でございます。我が国は本年度で約四億七千七百万円でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/56
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057・漆原良夫
○漆原委員 本年度頑張っていただいたということでも四億円だと。諸外国に比べて大変少ないというふうに私は考えております。
先ほど法務大臣おっしゃったように、日本には法律扶助の根拠法がない。したがって、日本弁護士連合会でやっております法律扶助協会、この法律扶助協会に対する補助というか援助というか、こういう格好で予算を国が出していると思うのですが、日本が諸外国に比べて非常に金額が少ないという理由の一つに、根拠法がないということが挙げられるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/57
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058・中村正三郎
○中村国務大臣 このことに限らず、外国と比べて日本は裁判に大変時間がかかるとか、一般の庶民の方がこういう法律扶助を受けたりなんかして裁判所に行ったら、びっくりするのではないかというような現状があると思うのですね。裁判なれしている人たちはよくわかっておりますから。そういったものをすべて司法制度改革の中で議論させていただきたいと思っているのです。
そういうときに、やはり憲法の三十二条だけということは、私はあり得ないと思っておりますが、委員の御意見なども伺いながら、司法制度改革の中であるべき法律扶助の制度について検討を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/58
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059・漆原良夫
○漆原委員 財政難の中、大変厳しい状況だと思いますが、ひとつ一日も早い法律扶助制度の充実を願っております。
ところで、法律扶助制度研究会というのがありましたが、その後の進捗状況について御報告をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/59
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060・横山匡輝
○横山政府委員 お答えいたします。
今委員御指摘のとおりの法律扶助制度研究会というものを法務省は平成六年に発足させまして、その後、最高裁、日弁連、法律扶助協会、学識経験者等の参加を得て、我が国の司法制度に適合した法律扶助制度のあり方等について調査研究を行ってまいりまして、本年三月二十三日にその最終報告が取りまとめられたところでございます。
現在、法務省におきましては、本研究会の成果を踏まえ、法律扶助制度の充実発展を図るため、本制度に深くかかわりのある日弁連等との間で意見交換を行いつつ、法制度化を含め鋭意勉強しているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/60
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061・漆原良夫
○漆原委員 この研究会の役割はこの報告で終わったと思うのですが、今後、どんな状況のもとで法制化されて、例えば根拠法が法案として出てくるとか、あるいはもっとたくさんの予算措置が講じられるとか、これはいつごろのめどになるのか、また今後、それに向けてどんな努力をされていくのか、その辺をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/61
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062・横山匡輝
○横山政府委員 お答えいたします。
法制度化等も含めまして法律扶助制度の改革をする、これにつきましては、先ほど述べました報告書が出ておりますけれども、まだまだいろいろと検討すべき点が多々ございます。そういう点等も含めまして、法制度化を図る場合の時期等につきましては、今言いましたように検討すべき点が多々ありますので、今後関係機関とも十分協議して検討してまいりたいと思っているところでございます。
ただ、先ほども大臣がお答えしましたとおりに、この法律扶助制度というのは司法制度改革の中で非常に重要な位置づけを占めるものであると私どもも十分認識しておりますので、そういう認識のもとに今後も検討を進めてまいりたい、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/62
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063・漆原良夫
○漆原委員 具体的なめどとして、ある程度時期は目標を持っておられると思うのですが、いつごろをめどにされているか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/63
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064・中村正三郎
○中村国務大臣 今、いつまでに法律を出すとかそういうことは決めておりません。と申しますのも、先生御存じだと思うのですが、現に法律扶助協会でやっていらっしゃる方がある、こういう制度を維持して発展させようということがいいというお考えの方もいらっしゃれば、国家で直接やった方がいいとお考えの方もいらっしゃるでしょうし、そこらの議論を少し進めて、制度のあり方全体について司法制度改革の中で少し議論をして方向性を見出さなければいけないと思っておりますので、なかなか今、現におやりになっているところがあるということもあって、どういうふうにしていくかということについて、いつまでに法律を出そうというようなことは、まだそこまで結論に至っていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/64
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065・漆原良夫
○漆原委員 少しでも早くということで、希望は申し上げておきたいと思います。
この研究会の発表内容を見ますと、法律扶助の対象というのを民事事件に限定している。現在、法律扶助協会では、刑事被疑者弁護の援助だとかあるいは少年保護事件付添援助、こういうこともやっておりまして非常に大きな成果を上げているというふうに聞いておりますが、研究会はともかくとして、法務省として、法律扶助の対象を民事事件に限らず、今申し上げた刑事被疑者の弁護援助だとかあるいは少年の保護付き添い、こういうところまで広げて対象とすべきではないかと私は考えておるのですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/65
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066・中村正三郎
○中村国務大臣 私は根っからの民主主義論者でありまして、重要なことは国会で御論議、お決めいただきたいという論者なんですが、やはりこうした法律技術的なことを含む部分は御専門家の意見も聞いたり、現にいろいろやってくださっている方の意見を聞いたり、それから私は法律扶助協会の方に伺ったのですが、民事だけかといったら刑事もやっておるということでございますね。そういう方々の意見も聞きながら、少しダイナミックな議論をしなければいけないと思うのですね。
ただ私は、裁判でいえば、裁判を受ける権利は民事も刑事も差がないと思いますので、そういうことは十分考えに入れて検討を進めていかなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/66
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067・漆原良夫
○漆原委員 今のお答えは、私が申し上げましたような刑事事件も含めて、刑事被疑者弁護あるいは少年保護事件の付き添いも含めて、これから法務省が検討をされるところの法律扶助事業の対象と考えているというふうに理解をしてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/67
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068・中村正三郎
○中村国務大臣 結論が前にあるのではなくて、検討をする場合にはそういうことも検討の範囲から排除することはないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/68
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069・漆原良夫
○漆原委員 ありがとうございました。
私も、刑事事件において弁護人の必要性というのは何も公判中に限らない、被疑者の人権の擁護という観点から見れば、今警察とやりとりしているその事態でむしろ弁護人が一番必要だというふうに思うし、また、何といいますか、安易な自白によって、それが裁判の基礎になって間違った判決をしてしまうというケースも非常に私は多いと思うのです。そういう意味では、被疑者の人権という観点、あるいは正しい判決を得るという観点からも、私は、この被疑者段階における法律扶助の制度、これは何としても確保してもらいたい、こう思っております。
もう一つは、少年事件でも、今少年法がいろいろ議論されておりますけれども、事実認定で非常に難しい重大事件が最近多く発生しておるわけですね。現在の少年法では、裁判官がある意味では弁護人の役目もしたり、ある意味では検察官の役目もしたり、一人で三役をこなしているというのが少年法の建前になっていますね。これでは非常に事実認定という点で、一人三役をこなすことは構造上私は不可能ではないかな、こんなふうに考えています。
そういう意味で、少年の人権を守るという観点からも、ぜひ付添人に対して法律扶助の対象にしてもらいたいということを強く法務大臣にお願いをしておきたいと思います。
それから、今少年事件がちょっと問題になっておりますと申し上げましたが、法務大臣は、八月の御就任直後の八月十八日の会議で、現行の少年の刑事罰対象年齢、現在十六歳以上となっておるわけでございますが、これを引き下げる少年法の改正案を次期の通常国会に提出するという方針を表明されたと聞いておりますが、それはそのとおりでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/69
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070・中村正三郎
○中村国務大臣 そういうことではございませんで、就任のときの記者会見でも申し上げ、その後のいろいろな委員会の答弁でも申し上げたのですが、国民の重大な関心事だから、これをいろいろ国会としても取り上げ、また行政府としても国民の意識というものをくみ上げてどうするべきかという検討をしなければいけないということを申し上げたわけでありまして、通常国会に出す、下げるというようなことは、私は言っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/70
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071・漆原良夫
○漆原委員 そうですが。少年の年齢引き下げについて大臣は、法務当局に指示をされたこともなげれば、また次期通常国会にその法案を出すおつもりもないということで聞いてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/71
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072・中村正三郎
○中村国務大臣 それでは正確に申し上げますが、今少年法の問題について国民の関心事が二つあるであろうということを法務当局に言いました。
一つは、今先生御指摘になりました家庭裁判所の審判のやり方が、事実認定がこれできちっとできるだろうかという国民の疑問に答えなければいけない、それは裁判官と被疑者の相対峙した中で行われるので、これで十分ではないじゃないかという御意見が多くある。これについては、前法務大臣が法制審議会に諮問をして、検討して十一月ごろには結論が出るであろうと伺っておりますので、この部分については、結論が出てくれば通常国会にでもかけられる法律の準備ができるのではないかと思っております。
もう一つは、年齢の引き下げのところに関してでありますけれども、これは皆さん議員だったらお感じになっていると思うのですが、私が法務大臣になって、そのときに地元からいろいろな御意見が寄せられた中で、一番多かったのがこの少年の年齢問題でございました。これを、やはり国民がこれだけの関心を示しておられるのだから、どういうふうにこれから国としていくかを考えなければいけないだろう。
しかし、こういった国民の基本的人権、そして国民生活に直接関係のある問題、これは法技術論ではない。法技術論ではないから、これをどうしていくかということは、国会の御論議を一番重視していくべきだろう。
その中で、問題提起として私が申し上げましたのは、今の少年法がいわゆる保護更生という立場からだけ書かれている。しかし、そういう中に、やはり国民の御論議の中には、犯罪抑止的な意味の、普通の刑法にあるような考え方を入れたらどうだというお考えが多く聞かれるものですから、そうした観点からも検討をする必要があるだろう。
しかし、これを例えば法務省で考えろと言われても、また学者の方に決めろと言われても、これは無理な話ではないかと私は思うわけです。これはやはり国民の代表たる、憲法の規定にもあります、前文にあります、日本国国民は、正当に選ばれた我々の代表である国会における代表を通じて行動するという規定がありますように、国民の代表たる方々に、難しい問題であれば難しい問題であるほど御解決いただかなければいけないのじゃないかと考えまして、そういうことを党と御相談してくれと。一義的には、与党がありますから、与党に御意向を伺ったら、それは従来審議をしてきて、実はそういった小委員会もできているというお話でございましたので、それではそこにひとつ御論議をいただきたいということをお願い申し上げました。
そこで、先ほどもちらっと申し上げましたけれども、もう早急にいろいろな関係の方とか専門家の方の意見を聞いたりして御審議をしていこうというふうに承っております。その結論が出て、こういう方向で行けということになって、今の国会の構成からいって、自民党だけでは法律は通りません。ですから、当然野党の方とも協議をしなければ法律は通らないわけでありますから、いろいろなプロセスを経て、それが可能であれば、裁判の制度のあり方とあわせてこの法律を国会に提出した方がいいのじゃないかなということは与党の方ともお話ししておりますが、いつまでにとか、そういうことを確定的に申したことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/72
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073・漆原良夫
○漆原委員 その少年の年齢引き下げも含めて、これは現在法制審議会で手続面について議論をしているわけですが、やはり年齢問題はみんな興味というか、非常に重大な関心を持っておるわけなんです。いろいろな総合的観点から議論が必要だというふうに大臣もおっしゃっていましたが、そういう意味では、国民の広い意見を聞くという意味で、またあわせて専門家の意見を聞くという意味で、ぜひこれは法制審議会に諮問をしていただいたらどうだろうかというふうに考えるのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/73
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074・中村正三郎
○中村国務大臣 これは法制審議会の性格の問題になるのですが、法制審議会の構成メンバーというのは関係庁の職員と学識経験者によって構成をされて、刑事法、民事法に関する問題と法務に関する基本的な問題を大臣の諮問に応じて審議をするという行政機関であります。多くのお役人の方がその中にいて働いているわけでありまして、会長は私であります。
だから、私が私に諮問をして、私の部下の職員に、学識経験者の人が入った法制審議会で審議するよりか、多くの国民の方の意見をくみ上げようとするなら、それは、まさに国会があるわけですから、国会の何百人という国民の代表の方が、御専門家の意見を聞いていろいろ審議してくださるのが私はいいんじゃないかという判断をしているわけでありまして、そういう意味で、国民の代表たる国会に御論議をまずお願いしている、こういうわけなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/74
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075・漆原良夫
○漆原委員 確かに私も、法制審議会の、諮問をする審議会の委員長ですか、委員長が法務大臣である、法務大臣が法務大臣に諮問をするみたいな結論になりまして、いつもおかしいなとは思ってはいるのですが、しかし、そういうふうな建前になっている以上は、もしそれがおかしいというふうにおっしゃるのであれば、すべての諮問ができないという結果になると思うのですね。
現在、審判手続について、五つの分野についての諮問をなされておるわけですが、こういう制度がある以上は、自分で自分に聞くのはおかしいとおっしゃるだけではなくて、その制度を使って専門的な知識あるいは広く国民の意識を聞くということは必要なんではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/75
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076・中村正三郎
○中村国務大臣 私は、広い国民の意見を代表するのは国会だ、これは思想と申しますか私の考え方で、そうでないと国民が選挙に行く意味がなくなってしまうわけですから、それはそういうふうに私は理解をしております。
それから、こういう審議会のあり方ですが、法制審議会に限らず、与野党御論議をして行政改革の方向で進んでおりますが、今度できました省庁再編法案の中で、この手の審議会を廃止するということが決まっているわけです。
それで、野党の御論議の中でも、いろいろな程度の差はありますけれども、基本的な問題、政策等、こういったことを審議する審議会は、技術的な問題に対して聞きたいときに集まっていただいて、アドホックに審議会をつくるというようなことはいいけれども、そうでない恒常的な審議会というものは透明性を増して、役人の入った審議会なんかはやめろという御意見もあったし、また、こういったものをやることが、何と申しますか、業者だとか専門家等の方が集まって立法作業をしてしまって、行政の隠れみのになって、そして国民に行政なり国会をわかりにくいものとするから、こういうのはやめようという御議論もあって、全体の国会の御議論の中で、恒常的なそして基本的な政策をやるような審議会をやめようというような御意見は、大体行政改革の委員会では一致したところだったと思うのですよ。
それで、今度の法律で、それを実行していこうということで、法律に廃止が決まっておりますので、この間の閣議でも総務庁長官が、こうしたものは廃止をしていくということで決まっているんだから、そういう方向で行くという御発言があったわけでありまして、だんだん世の中は変わってきているんだと私は理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/76
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077・漆原良夫
○漆原委員 おっしゃる意味はよくわかるのですが、何といいますか、少年法において年齢をどうするか、十四歳未満の場合不可罰、十六歳の場合に可罰とするという、刑法それから少年法に通ずる非常に基本的な問題だと思うのですね。少年法における年齢の問題が、単に年齢だけじゃなくて、私はこれは少年法の基本的な問題だろうと思うのです。こういう問題について、決して技術的な問題じゃないわけだから、じっくり審議会で審議をしていただく、これは必要なんじゃないでしょうか。
確かに、国会で議論することも、オープンですから非常に国民にはわかりやすいかもしれませんが、やはりある意味では時勢に流されやすい面もあるし、また感情に流されやすい面もある。それを一歩また違った観点から諮問をしていただいて、その結論を得て、それに我々が議論をしていくということも大事な観点じゃないのかな、私はこう思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/77
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078・中村正三郎
○中村国務大臣 私は、それは党なら党がそういう機関を持って、いろいろな意見を吸収していくということがいいんじゃないかと思います。また、委員会でも参考人を呼んだり専門的な意見を聞くということはできるわけでありまして、そうしたことを国民の代表たる議員みずからがやる。
これを進めていけば、アメリカのように政策スタッフが大勢いてということになるんだと思いますが、日本の国会においても、政策秘書を一人ふやしたとか、その方向にあるわけですね。そして、今私どもが、役人の答弁はやめて、立法府から議院内閣制で入った、国民の代表権を持った大臣がみずから答弁せよという時代に入っているのも、その流れの一つだと思うのですね。
国会なり政党なりが専門家の意見を聞いてまとめていくというのがいいんじゃないか、私はそういう考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/78
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079・漆原良夫
○漆原委員 最後に一点だけ、ちょっと離れますが、お尋ねしたいのですが、法曹一元という考えがございます。キャリアシステムを廃止する、いろいろなとらえ方がありますが、その一歩前進ということで、この前、日弁連が弁護士研修制度というのを提案しております。大臣もお読みになったと思いますが、この法曹一元に向けての一歩前進、一里塚という意味で、この弁護士研修制度についてどんなお考えをお持ちでしょうか。お聞かせいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/79
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080・中村正三郎
○中村国務大臣 私、ちょっと勉強不足でありまして、そこまでよく勉強しておりません。よく勉強させていただきまして、意見を述べさせていただきたいと思いますが、やはり、法曹一元化ということも私どもが考えております司法制度改革の中の一つの課題になっておりますので、よく御意見を伺って対応してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/80
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081・漆原良夫
○漆原委員 これで終わります。大変ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/81
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082・杉浦正健
○杉浦委員長 これにて漆原良夫君の質問は終わりました。
続いて、達増拓也君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/82
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083・達増拓也
○達増委員 自由党の達増拓也でございます。
きょうは、私は、いわゆる下関慰安婦訴訟判決について取り上げたいと思います。
これは、平成十年、ことしの四月二十七日、山口地方裁判所下関支部で判決言い渡しが行われたものであります。新聞でも報道されましたし、また、今いろいろ話題にもなっておりますので、委員の先生方御存じとは思いますけれども、どういう概要かといいますと、第二次世界大戦中、いわゆる従軍慰安婦として動員されたとする韓国人女性三名及び女子勤労挺身隊員として民間企業に就労させられたとする韓国人女性七名が、国に対し、損害賠償ないし損失補償として総額五億六千四百万円の支払い並びに国会及び国連総会における公式謝罪を求めた、そういう事案であります。
判決の内容ですけれども、まず、元慰安婦の原告ら三名の請求については、国会議員の立法不作為による国家賠償責任ということで、慰謝料各三十万円の支払いが認容されたわけであります。なお、公式謝罪請求については棄却、また、その他の請求も棄却。元女子勤労挺身隊員について、こちらの請求についても、請求すべて棄却ということで、判決として出てきたのは、国会議員の立法不作為による国家賠償責任ということなわけであります。
この問題は、原告が国を相手取って、国は、政府が、さらに具体的には法務省が国を代表して争う中で、裁判所の判決として、国会がやることをやっていない、国会がやるべき立法をやっていないから国としてこれは違法であって、慰謝料を支払えという判決が出たということでありまして、国会、内閣、裁判所、そういう三権の関係について改めて考えるにもいいケースではあると思います。
立法の不作為による国家賠償責任という考え方でありますけれども、この判決、国が五月八日に控訴しておりますから、まだ確定していないわけであります。しかし既に、この判決を受けていろいろな団体が立法を求める運動を展開しておりまして、国会議員にもいろいろ、私のところにも陳情がありましたし、そういう働きかけがなされているわけであります。国会としては、そういう判決とはまた別のところで立法するならすることができるわけでありますし、国会は国会でいろいろ考えていかなければならない。
そういうことで、係属中の裁判について国会で大々的に取り上げるのは、余り積極的にはやらない方がいいとは思うわけでありますけれども、国会は国会として対応が求められている問題でありますし、与党であれば政府を指導監督することによって直接裁判に参加する、裁判過程にかかわることができるわけですけれども、野党の場合はそういうことができませんので、知らない間に国会の外でこういう法律をつくれということが決まって、それをしなければならなくなるという状態になっても困るので、ここで取り上げるわけであります。
それで、質問ですけれども、立法の不作為による国家賠償責任という判決ですが、あたかも裁判所が国会に対して、国会はこういう法律をつくるべきだ、これこれこういう法律をつくりなさい、そういうふうに言っているようなのでありますけれども、政府としては、この点どのように考えているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/83
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084・山崎潮
○山崎説明員 この判決につきましては、ただいま御指摘ございましたように、国会議員が賠償立法をしなかったこと、これが違法だとされたわけでございますけれども、私どもといたしましては、予想外の判決であるという受けとめ方をしております。
この判決につきまして、なぜ予想外かということでございますが、これは最高裁の従来の判例に反するということでございます。従来の判例、先例として一番有名な判例はこう言っております。これは、在宅投票制度の廃止をいたしまして、その後立法しなかったということが対象になった事件でございますけれども、この事件の中で、
国会議員は、立法に関しては、原則として、国民全体に対する関係で政治的責任を負うにとどまり、個別の国民の権利に対応した関係での法的義務を負うものではないというべきであって、国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国家賠償法一条一項の規定の適用上、違法の評価を受けないものといわなければならない。こう判示しておりまして、その後も同種の最高裁判例が二つほどございます。こういう流れから、私どもとしては予想外の判決であるというふうに受けとめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/84
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085・達増拓也
○達増委員 私も、この判決の中での立法不作為による損害賠償という考え方は、憲法の趣旨からいってもおかしいと思います。
言うまでもなく、憲法第四十一条で、「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」と、立法というのは国会が行うものである、国会が唯一の立法機関であると定められておりますし、また最高裁判所の任務については第八十一条で、「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」ということで、既にできた法律、命令、規則についての違憲性を審査するということは書いてあるわけでありますけれども、まだない法律について、違憲状態だから法律をつくれというふうには、やはりこの憲法からは解釈できないのではないかと思うわけであります。
それで、この判決がなぜそういう立法不作為という結論に至ったかの理由のところをよく読んでみますと、判決によりますと、理由の部分でいろいろ、慰安婦あるいは慰安所というものの非人道性のようなことをずっと述べてきた後に、
しかして、証拠によれば、内閣官房内閣外政審議室は、平成五年八月四日、「いわゆる慰安婦問題について」と題する従軍慰安婦問題についての調査報告書を提出し、また、当時の河野洋平内閣官房長官も、ということで、その後、この河野洋平長官の内閣官房長官談話の中身をずっと引用いたしまして、結論として、
遅くとも右内閣官房長官談話が出された平成五年八月四日以降の早い段階で、先の作為義務は、慰安婦原告らの被った損害を回復するための特別の賠償立法をなすべき日本国憲法上の義務に転化し、その旨明確に国会に対する立法課題を提起したというべきである。ということで、この判決の理由の決め手になっているのは、平成五年八月四日の河野官房長官談話なわけであります。
被告、国が反論の中で、やはり今の理由の部分で指摘されている、河野内閣官房長官談話と同時に出されている内閣官房内閣外政審議室が出した報告書に沿った形で、慰安婦問題の事実関係について被告の国が争っているわけですね。その結果、判決における事実認定の部分でも、この内閣外政審議室が出した報告書に沿った事実関係については、もうこれは当事者間に争いがない事実というふうになっているわけであります。
実は、この官房長官談話や同時に出た内閣外政審議室がつくった報告書については、その内容について、歴史学者等も巻き込んでその後かなりいろいろ議論になっているわけなのでありますが、そういう議論になっているものが判決の決め手になっているわけですね。これは裁判所の判断の決め手になっているだけではなく、国として争う政府の側も、事実関係を争ったりするときに、その調査報告書のラインに沿って争わなければならないような構造になっているわけです。
また、政府に確認したいのですけれども、政府は、裁判で争う中で、この平成五年八月四日に出ている報告書のラインで争ったということでこれはよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/85
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086・山崎潮
○山崎説明員 端的にお答え申し上げますが、河野官房長官の政府の見解が出されまして、その範囲内で私どもはお答えしたということでございまして、それ以外のことについてはお答えをしていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/86
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087・達増拓也
○達増委員 これは、判決文や政府側からの反論の文書を読めば、まさに「いわゆる従軍慰安婦問題について」というタイトルの外政審議室でつくった報告書の文言がそのまま書かれているわけでありまして、その範囲内で争ったということは全くそのとおりなんだと思います。
しかし、この報告書や、同時に出た河野官房長官談話については、これは櫻井よしこさんが去年の文芸春秋四月号で「密約外交の代償」というタイトルでかなり詳しく取材して書いているわけでありますけれども、客観的な証拠なしに、明確な根拠なしに特に議論のある強制連行の事実を認めてしまったり、かなり内容に、またその決定過程にずさんなところがあったというふうに指摘されているわけです。
ここで、外政審議室の方に質問をしたいと思いますけれども、櫻井よしこさんは、いわゆる強制連行があったかどうかについて、例えばこの報告書では、慰安婦の募集について、「本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担した」ことも明らかになったと書いているというのですけれども、これについては、どういう証拠に基づいてこういうふうに書いたのかということは答えられるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/87
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088・宇野裕
○宇野説明員 お答えいたします。
先生御案内のとおり、政府調査につきましては、二度にわたりましてかなり緻密な調査をしておるわけでございます。
櫻井先生の御指摘の点でございますけれども、これにつきましては、韓国における関係者からの意見聴取、その他関係資料を調査いたしまして、甘言、強圧による等、本人の意思に反して集められたケースもあったという結論に至っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/88
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089・達増拓也
○達増委員 それは、事実関係について明確に書いてある公文書があったというようなことではなく、関係者、さらに具体的に言えば、被害者側の証言を根拠としてこういう報告書にしたということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/89
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090・宇野裕
○宇野説明員 お答えいたします。
募集に関しましては、強制連行があったのか、なかったのかということが多々議論になっておりますけれども、私どもの調査をした結果といたしましては、軍が募集に関して組織的に関与したという公文書、資料は発見されておりません。
しかしながら、募集の態様につきまして、私どもが行いました聞き取り調査、また各種証言、それから民間の文献等を総合的に勘案いたしまして、本人の意思に反して集められたという表現に至ったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/90
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091・達増拓也
○達増委員 櫻井よしこさんの書いたものによりますと、河野長官は談話を発表した後に記者会見を受けておりまして、次のようなやりとりがあったということです。
官邸記者から、「強制連行の事実があったという認識でよろしいわけでしょうか。」という質問に対し、河野長官は、「そういう事実があったと。結構です」と言い切っています。さらに記者が、「強制連行については公文書は見つからずそれで聞きとり調査をしたと理解していますが、客観的資料は見つからなかったのですか。」と質問し、それに対して、「関係者、被害者の証言、それから加害者側の話を聞いております。いずれにしても、ご本人の意思に反した事例が数多くあるのは、はっきりしておりますから」というような答えをして、客観的資料があったということは、河野長官自身、そういうふうには言っていないわけであります。
裁判であれば、そういう客観的な証拠がないまま、特に被害者側の証言あるいはそれが書かれた本のみに基づいて事実認定をしたり、判決を下したりということはできないと思うのですけれども、政府がそういうことを認めてしまっており、争っている被告側、下関の裁判で争っている政府がそのラインに沿って争わなければならないということで、かなりのハンディを背負ってしまっているわけであります。
ただ、よくよくごの判決文、そして政府の争い方を見ておりますと、一つ重要な点に気づきます。平成五年八月四日に外政審議室が出した報告書と、それを発表したときに河野官房長官が話した中身とでは、一つ決定的に重要な違いがあるのです。それは、河野官房長官は、募集、移送、管理等について、「総じて本人たちの意思に反して行われた。」と、「総じて」という言葉を河野官房長官は使っているのですが、外政審議室の調査報告書の中には「総じて」という言葉は書いていないのです。数多くあったというだけであって。
慰安婦の数についてはいろいろな数があって、一万とか、あるいは何十万というのもあるのですけれども、例えば百や二百という数も、数多くあったというふうには言えると思うのですが、全体の中からすれば「総じて」ということにはならないわけでありまして、この「総じて」という言葉があるかないかは非常に大きな違いだと思います。
外政審議室にまた質問しますけれども、外政審議室の「いわゆる従軍慰安婦問題について」という報告書の中には「総じて」という言葉は入っていないということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/91
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092・宇野裕
○宇野説明員 お答えします。
先生おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/92
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093・達増拓也
○達増委員 この点も櫻井よしこさんは取材をきちんとやっておりまして、この「総じて」という言葉は、石原元官房副長官にインタビューしたところ、河野洋平長官が自分で入れた言葉だ、かなり個人的な信念に基づいて入れた言葉なんだそうです。
それで、櫻井さんの取材によれば、その背景には、平成五年八月の時点で、そこまで踏み込んだ政府の解釈をすることでいわゆる慰安婦の方々の精神的な名誉回復が図られれば韓国政府として金銭賠償はしない、そういう暗黙の了解があった。そういうことで、この櫻井さんの論文は、タイトルが「密約外交の代償」というタイトルになっているわけであります。
ということで、この「総じて」という言葉、非常にいいかげんな入り方をした言葉なんでありますが、事務方、外政審議室でつくった報告書の中には「総じて」という言葉が入っていない。これは一種官僚の良心、それは知的誠実さという意味での良心なんですけれども、だったと思います。
この知的誠実さという意味での良心は、下関裁判を争った法務省当局にもありまして、法務省さんは、この外政審議室がつくった報告書のラインで抗弁しておりまして、河野官房長官の談話のラインには沿っていないのですね。というのは、「総じて」という言葉は、この反論の中には入っていないわけであります。「総じて」という言葉が入っていないことについて、この点を政府に確認したいのですけれども、そのとおりですね。これは法務省さんの方に確認したいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/93
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094・山崎潮
○山崎説明員 先ほど河野官房長官と申し上げましたけれども、外政審議室の方の線に沿って答弁をしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/94
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095・達増拓也
○達増委員 ということですから、事務当局のレベルでは、既に河野官房長官談話というものは、もうこれはなきものとなっているというふうに言っていい、そういう客観的な事実関係があるのだと思います。
しかし、この下関裁判の判決は、裁判書の判決の理由の部分に、河野官房長官の談話が引用されて、そこに「総じて」云々という言葉が入っているわけですね。これは、従軍慰安婦であったと主張する三名の方の裁判だったわけでありますけれども、そこにこの河野官房長官談話の「総じて」という言葉が入ってくることによって、もうこれは、国が全体としてそういう強制連行をやり、国が、軍がですけれども、そういう慰安所というものをずっとやっていた、だから損害賠償は当然、国としてそういう立法をして当然、こういう立論になってしまっているわけであります。
もし、この河野官房長官談話を今もそのまま尊重して使っていこうということであれば、確かに下関の地方裁判所が言う立論にも理がないわけではないと思うのですけれども、ここでちょっとまた外政審議室に質問したいのですが、外政審議室あるいは政府として、閣法、内閣提出法案として、いわゆる従軍慰安婦の方々に国家として賠償するための法律の準備をしているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/95
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096・宇野裕
○宇野説明員 お答えします。
先生御案内のように、いわゆる戦後処理につきましては、二国間の賠償におきましてすべて処理済みであるというのが政府の立場でございまして、そのような立法措置は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/96
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097・達増拓也
○達増委員 ここでもやはり、事務当局のレベルでは河野官房長官談話というものはもう既になきものとなっているというふうに言えると思います。
ですから、この際、今韓国から金大中大統領が訪日されるわけでありますけれども、日韓関係の発展を本当に真剣に願うのであれば、五年前、平成五年に、そういう過去の過ちとして、密約外交の代償として発表してしまった官房長官談話というものについては、これはもう政府として正式に撤回した方がいいのだと思います。
それをしないで、いつまでもあたかもそれが亡霊のようにふわふわしておりますと、国会も内閣も裁判所も、三権がその官房長官談話に振り回されてしまうわけですね。実際、今振り回されているわけであります。三権がそうやって振り回されているということは、これは国民が翻弄されているということであります。これは本当にゆゆしい事態であります。
この下関裁判について、私は、裁判所は裁判所なりに一生懸命やっていると思いますし、政府は政府、それは事務当局という意味でありますけれども、一生懸命やっている。しかし、こういう変な判決が出てくるというのは、やはり河野官房長官談話がまずいということなのだと思います。国会も政府も、そして裁判所もそろって、正義と真実に基づいた日韓関係の発展に全力を尽くすことができるような、そういう環境をつくっていかなければならない。そのためにも、河野官房長官談話というものについては撤回していくようにしなければならないと思うわけであります。
なお、外政審議室の報告書についても、そもそも五年前の報告書、その後、この慰安婦問題については、かなり歴史学者を中心に議論が進んで、いろいろな新しい資料が発掘されたり、かなり新事実も出てきているわけでありまして、この報告書についてもやはりこれは見直さなければならないと思います。ただ、民間といいますか、学者の皆さんといいますか、そこで非常に検討が行われ、検証が行われ、また国民的にもかなり今議論が行われておりますから、それに任せるというのも一つの手なのだと思います。
歴史の真実について、国家だけが有権的な歴史解釈ができるという発想はやはり問題があると思うのですね。歴史認識というものは生身の人間がやることでありまして、国家機関が歴史認識をやるというのはそもそもおかしいのではないかと思うわけです。国家機関がやるのは、法律をつくったり、その法律を執行したり、あるいはできた法律に基づいていろいろ判断したりということであって、歴史認識というのは、そういう法律をいじる、法律にかかわることを超えたもっと全人間的な営みであって、国家がそこまでできるというのは、これは僭越なのではないかと思うわけであります。ですから、国としては、やはり法律問題として、そういう過去の問題に取り組んでいくのが適当だと思います。
ちなみに私は、個人的にはアジア女性基金に寄附をしておりまして、一個の人間としては非常に良心が痛むといいますか、いわく言いがたい気持ちを持って、それを何とかしたいという気持ちからアジア女性基金に寄附をしたりとかしているわけでありますけれども、そういう民間の努力に水を差すようなことを政府がやらないで、日韓関係についてもいい方向に発展していってほしいということを特にこの機会に述べて、私の質問を終わろうと思います。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/97
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098・杉浦正健
○杉浦委員長 これにて達増拓也君の質疑は終わりました。
次に、木島日出夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/98
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099・木島日出夫
○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。
本委員会にかかっているのは裁判官報酬、検察官の俸給、これを人事院勧告に準じて引き上げるということでありますが、日本共産党としても賛成でございます。裁判官、検察官には、法と正義、そして国民の基本的人権、生命と財産を守るために、一層頑張っていただきたいという気持ちでございます。
〔委員長退席、橘委員長代理着席〕
そこで、きょうはその関係もありまして、自民党の中島洋次郎代議士が代表者をしている自民党群馬県第三選挙区支部の政党助成金の問題について、自治省と法務省当局に幾つかお尋ねしたいと思います。
マスコミを通じて報道されているこの問題の疑惑の中心は、自民党群馬県第三選挙区支部の平成八年及び平成九年分の政党助成金の使途について、法で定められている使途報告書、これが架空の領収書等を利用された虚偽の報告ではなかったか、こういう問題。また、正規の法の手続に従ってきちんと提出されていなかったのではないかという問題。さらに、各年度一千万円の政党助成金が自民党本部から自民党群馬県第三選挙区支部に交付されているわけでありますが、そのお金が自民党群馬県第三選挙区支部で使用されずに、中島洋次郎代議士が、中島洋次郎後援会名義で、大和銀行衆議院支店に開設している銀行口座にほとんど大部分を送金をして、そこを通じてどういう形かで利用されたのではないか、言ってみれば、流用もあったのではないかという疑惑。そしてまた、こうした問題に代議士自身がどのようにかかわっているのだろうか、そういう疑惑でございます。
そこで、まず政党助成法の仕組みを簡単に自治省にお聞かせ願いますが、時間が短いですから私から言います。
政党支部が交付を受け使用した政党助成金については、当該年度分については翌年に本部、この場合なら自民党本部、そこに提出する、そしてそこを通じて自治大臣に提出される、これが一つのルート。そしてもう一つのルートは、支部が直接県の選挙管理委員会、本件ですと群馬県選挙管理委員会に使途等報告書を提出する、こういう二つのルートがあるというふうに法を理解をいたします。
そして、その提出の時期でありますが、党本部に出すのは前年度分を翌年の二月末日まで、そして自民党本部はそれを自治大臣には三月末日までに出す、これが期限。もう一方の、支部が群馬県選挙管理委員会に出すのは、前年度分を翌年の二月末までに自民党本部に提出するのですが、その日の翌日から七日以内、ですから原則三月七日まで、ことしは三月七日は土曜日でありますから、土日を除いて三月九日まで、それが提出期限になっている。法律はそう読み取れると理解しますが、自治省、それでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/99
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100・片木淳
○片木説明員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/100
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101・木島日出夫
○木島委員 それでお尋ねしますが、自民党群馬県第三選挙区支部が政党助成法に基づいて平成九年分の使途等報告書を自民党本部に提出した日はいつでしょうか。そして、それが自民党本部から自治大臣に報告提出された日はいつでしょうか。それをまずお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/101
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102・片木淳
○片木説明員 支部が本部に報告した日付については、確認をいたしておりません。
自由民主党本部から自治大臣に対しましては平成十年三月三十日に提出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/102
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103・木島日出夫
○木島委員 それでは、次に、この群馬県第三選挙区支部が政党助成法に基づいて群馬県選挙管理委員会に平成九年度分の使途等報告書を提出した日はいつでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/103
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104・片木淳
○片木説明員 群馬県選挙管理委員会に聞きましたところ、平成十年三月九日に支部報告書の提出がありましたが、その後全体の差しかえがあり、三月三十日に受理したと聞いておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/104
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105・木島日出夫
○木島委員 差しかえていったと。そうすると、支部が平成十年三月九日に群馬県選挙管理委員会に提出された最初の使途等報告書はどうなったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/105
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106・片木淳
○片木説明員 支部の方にお返しをしたと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/106
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107・木島日出夫
○木島委員 支部が群馬県選挙管理委員会に提出する期限はいつですか。法的期限はいつですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/107
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108・片木淳
○片木説明員 三月九日でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/108
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109・木島日出夫
○木島委員 その期限に報告しないと、どういう罰則規定がありますか。——時間がなくなりますから、言います。
政党助成法四十四条違反で、五年以下の禁錮もしくは百万円以下の罰金になるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/109
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110・片木淳
○片木説明員 失礼いたしました。
政党助成法第四十四条によりまして、五年以下の禁錮もしくは百万円以下の罰金に処するでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/110
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111・木島日出夫
○木島委員 そのとおりであります。重大な問題なんですね。三月九日までに県選挙管理委員会に報告書を提出しないと、四十四条違反で五年以下の禁錮もしくは百万円以下の罰金、重大な犯罪なんですね。
そうすると、自民党群馬県第三支部は、平成十年三月九日に一たんは出したけれども、三月三十日に全面的に撤回してしまった。そうすると、この三月九日に提出したというここは、法的にどうなるのですか。第四十四条違反になるのですか、ならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/111
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112・片木淳
○片木説明員 先ほどお答えいたしましたように、第四十四条違反の問題でございますけれども、この条文は故意犯として構成をされております。先ほど来申し上げましたとおり、三月九日に支部報告書の提出がありましたが、その後、全体の差しかえがありまして、三月三十日に受理したというふうに群馬県選挙管理委員会の方から伺っておるところでございます。
自治省といたしましては、自主的調査等の権限がございませんことから、故意があったか等の事情を法律的に追及、確認することはできないという実情にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/112
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113・木島日出夫
○木島委員 故意犯なんというのはわかっていますよ、当然ですよ。今指摘されているのは、その三月九日に提出されたと思われているものが、仮装の領収書を使われた虚偽の報告であった、そこが問題になっているのでしょう。架空の領収書を使って虚偽の報告をした。過失なんてあり得ないじゃないですか。故意じゃないですか、そんなもの。
それで、間違っていたというので慌てて三月三十日に撤回した、そして全部そのものをお返ししてしまった。この群馬県選挙管理委員会は何たることですか。それは許されるのですか、そんなこと。重要な証拠物件じゃないですか、三月九日に自民党群馬県第三支部が群馬県選挙管理委員会に出した報告書というのは。決定的な証拠物件じゃないですか。返したって、本当に返してしまったのですか。そうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/113
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114・片木淳
○片木説明員 群馬県選挙管理委員会からは、返したというふうに伺っております。
今御質問の件でございますけれども、御案内のとおり、政党助成法におきましては、政党から提出のあった報告書を公表することによりまして政党交付金の使途について国民の監視と批判にまつこととしているところでございまして、訂正等の申し出につきましては、公表する報告書の内容を真正なものとするために訂正を認めているというのが一般的な場合のことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/114
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115・木島日出夫
○木島委員 それじゃ、三月九日に一たんは出された、法定期限内だったと。返してしまったと。そうしたら、政党助成法上の罰則の方、今度は期限内にきちっと出さなかったら禁錮五年以下百万円以下の罰金という、そっちの方の法的効果はどうなるのですか、自治省。返してしまった。三月三十日じゃ、これは法定期限外で違反でしょう。それを聞きましょう。
三月九日に出したのを、間違っているというので、あるいは故意にやったというので、返してしまった。それで、三月三十日に出し直したといったら、もう期限後なんですよ。そうすると、政党助成法四十四条に違反する。期限後ですから、期限内に出さなかったというので禁錮五年以下、罰金になるのでしょう、自治省。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/115
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116・片木淳
○片木説明員 繰り返しになりますけれども、訂正の申し出につきましては、公表する報告書の内容を真正なものとするために訂正を認めるということを認めておりまして、先ほど申し上げましたように、四十四条は故意犯でございますので、その要件につきましては、私どもといたしましては、現時点におきましては聞いていないということでございます。
〔橘委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/116
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117・木島日出夫
○木島委員 そんなのわかっていますよ。だから、三月九日に出した、群馬県選挙管理委員会が受理した。そうすると、法律が守られたことになるのですよ、期限の面ではね。しかし、それが故意だ過失だ、いろいろあなた言っていますが、そんなのは関係ないのですよ。もしそれが故意だったら、これは別の条文でやはり五年以下の禁錮になるのですよ。それでいかぬというので、それを引っ込めて三月三十日に出したというのでしょう。そして、三月九日に出したものは返しちゃったというのでしょう。
そうすると、三月九日に、期限内に出したという法的効果は存続するのですか。その法的効果は消えてしまって、期限後だから、禁錮五年、罰金になるのですか。そこだけ聞いているのです。三月九日に出したという法的効果は消えるのか存続するのかということを聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/117
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118・片木淳
○片木説明員 まことに申しわけございませんが、私どもが群馬県選挙管理委員会から聞いております点につきまして申し上げますと、今お尋ねの、どういう事情が三月九日後あって三月三十日に差しかえたのか、具体的な事情につきましてはつまびらかにしていないので、御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/118
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119・木島日出夫
○木島委員 そういう答えであります。
実は、なぜ私がそこに非常にこだわるかというと、第一回目に出された三月九日の報告書がまさに仮装の、架空の領収書を大量に利用され、そして明白な虚偽の報告が出されたからだとマスコミが指摘しているからでございます。
その報告書によりますと、入金が一千万です。平成九年四月三十日二百五十万、平成九年七月三十一日二百五十万、平成九年十月三十一日二百五十万、そして平成九年十二月二十五日二百五十万。それはいいのです、入金は。出金の方なのです。支出の方でどういう最初の報告が行われたか。これは本年の九月十一日の毎日新聞が報じております。
人件費ゼロ、光熱水費ゼロ、備品・消耗品費九万円、事務所費百二十七万円、政治活動費八百六十四万円。その政治活動費の八百六十四万円の証拠物件として出された領収書がほとんど架空だった、仮装だったというのが、もう既にマスコミがずっと報道しているわけですよ。これで慌てて引っ込めちゃったのでしょう。
それで、出し直した、現に官報にも載り、群馬県公報にも載り、この九月に公表された報告書によりますと、収入はもちろん一千万で同じです。支出の方を見ますと、人件費はゼロです。しかし、光熱水費は、ゼロが三十一万に膨れ上がります。備品・消耗品費は、九万円が百八十五万円に膨れ上がっております。事務所費は、百二十七万円から二百八十三万円に膨れ上がり、政治活動費、問題の架空の領収書が大量に使われたと推察されている政治活動費は八百六十四万円から五百一万円に圧縮された。
しかも、私、この今官報に載っているものを見ましたら驚きました。今正式に出されているものの一千万円の使途のうち、領収書等が必要のない五万円以下の支出、それがほとんどそうなっている。五万円以上、領収書の写しが必要なのは、わずかに十二カ月分の家賃百二十万円と、組織活動費として、会場借上料、株式会社ニューかいかに払った十万円と、機関紙誌の発行事業費として、有限会社金山印刷に支払われた印刷費二十一万円、それだけが五万円超のものとして領収書の写しが添付されている。それ以外は全部五万円以下だからと称して隠ぺいされる、こういう報告書が、正式に出された方でありますね。これも仮装、インチキじゃないかということは既にマスコミが伝えているわけなのです。どっちみち、こっちも仮装申告だと、五年以下の禁錮になるのじゃないかとマスコミは指摘しているわけでありますよ。
こんな重大な問題を秘めているから私はしつこくそこを聞いているのですよ。それを群馬県からきちっと報告を受けていないというのは、私は、自治省は、政党助成法問題で県当局をきちっと指導する責任があるわけですから、尽くしていないと思います。
それで法務省、こういう状況であります。どちらに転んでも間違いなくこれは政党助成法四十四条違反、五年以下の禁錮、百万円以下の罰金にならざるを得ないと思いますが、どうですか。きちっと捜査すべきだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/119
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120・松尾邦弘
○松尾政府委員 お答えします。
今先生のお尋ねの件は、まさに具体的な事案についての判断を求めるものでございまして、私から答弁をいたすのは適当でないと思います。なお、一般論で申し上げれば、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、検察は厳正に対処するものと考えます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/120
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121・木島日出夫
○木島委員 もう一つの大きな問題として、このお金が実際には支部で使われていなかったということではないかということを先ほど指摘をいたしました。
これは、本年の九月二十一日の東京新聞の記事でありますが、これがその支部から引きおろされて、そして中島洋次郎後援会名義の衆議院の大和銀行の口座に振り込まれたのではないかと、金額が書かれております。五月二日に送金百六万五千円、八月一日に送金三百四万五千円、十一月六日に送金二百三万円、十二月二十六日送金二百四十九万六千三百七十二円。
もしこれが事実だとすれば、虚偽の報告の提出という犯罪行為の重大、決定的な裏づけの事実になるのですね。自治省、これをつかんでいますか。法務省、こういうことをつかんでいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/121
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122・片木淳
○片木説明員 平成九年分の収支報告書は、群馬県選挙管理委員会において公表のための作業を行っておる段階でございまして、確認できませんことを御理解いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/122
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123・木島日出夫
○木島委員 時間が来たから終わりますが、政党助成金の原資は厳粛なる国民の財産なのですね。政党助成制度というのは、国民の税金がみずから支持しない政党に行く、毎年三百億円を超えて利用されている。これはもう国民の思想、信条の自由から見ても、違憲立法ではないかと私ども日本共産党は指摘をし、そしてそのこと自体が、国民政党として金の面で堕落する、政党政治の健全な発展からも政党助成制度というのはよくないという立場で、日本共産党は、創立に反対しただけじゃなくて、現在申請も交付も受けておりませんし、今国会にも政党助成法の廃止法案を提出しているわけであります。
それはともかくとして、こういう不明朗、まことに不明瞭な利用、虚偽の報告が事実だとすればもってのほか、これに代議士がかかわっていたとしたら重大なる問題だ。真相を徹底的に解明して、法務省としても検察としても、責任者を厳しぐ処罰することが求められると考えますが、法務大臣の所見を伺って、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/123
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124・松尾邦弘
○松尾政府委員 私から答弁させていただきます。
先ほども一般論として申し上げたことでお答えをすることになろうと思いますが、検察は、刑事事件として捜査すべきものがあると思料するときは厳正に対処するものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/124
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125・中村正三郎
○中村国務大臣 刑事局長がお答えしたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/125
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126・木島日出夫
○木島委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/126
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127・杉浦正健
○杉浦委員長 以上で木島日出夫君の質疑は終わりました。
続いて、保坂展人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/127
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128・保坂展人
○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
本日、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案並びに検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案については、賛成ということで立場を表明したいと思います。
きょうは、中村法務大臣に初の質問の機会でございますので、私自身としても、かねてから法務委員会の場でも議論になっておりました死刑の問題について、率直に伺いたいと思います。
まず、五月十三日でございましたけれども、この法務委員会の一般質疑の中で、各党各会派六人の委員が、死刑の問題についてそれぞれの立場から、ある方は法務大臣と政治家としてさしの議論ということで、かなり長時間にわたってこの問題を取り上げられました。
そして、私自身もその質疑の場に立って、死刑の問題というのは議論が必要だということで、法務省の方からも議論することはよいことであるという答弁をいただいていましたので、議論するに当たっては現実を踏まえなければならないということで、端的に言えば、東京拘置所、死刑の執行が行われる刑場の視察も含めて、ぜひ前向きに検討していただきたい、前法務大臣からは、院の求めがあればこれは検討しますというようなお答えもいただきました。
既に御存じだと思いますけれども、六月の二十五日に東京と福岡で三名の死刑確定者の処刑が行われたという報道が流れました。報道が流れる前に、私どもの方にも多々連絡がございました。中村法務大臣は、着任なさったときに、何もこれは隠す必要はないという御見解を発せられていたと思うのですけれども、端的に言って、この三人の死刑の執行ということがあったのかどうなのか、法務大臣としてまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/128
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129・中村正三郎
○中村国務大臣 今、急に言われたものですから、私ちょっと資料を持っていません。御通告もなかったものですから、それ、よく承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/129
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130・保坂展人
○保坂委員 そうですが。実はけさ、今の要項をメモでお渡ししていたので、行っているものとばかり思いましたけれども。
それではもう一度、質問を少し単純化して申し上げますが、死刑確定者が執行されたとすれば、法務大臣としてはこれを率直にお認めになるかどうか、今後の姿勢として伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/130
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131・中村正三郎
○中村国務大臣 死刑を執行するということは、立法府においてつくられた法律によって裁判所が正当に裁判をして、それを法務省が執行するわけですから、それは国民に知っていただいていいことだと思うのですね。私、そういうことで、最初の記者会見のところでもお話ししたわけですけれども、そのときも申し上げたのですが、個々にどうするかということは、関係する方に非常に大きな影響を与えることですから、それは慎重に考えなければいけないということも記者会見で申し上げておるのですよ。
ただ、院の従来のいろいろな御論議も伺っていますので、死刑というものに対して、それがいいか悪いかというような賛否の御意見もあるわけですけれども、そういったことの執行の事実ということが国民に知らされることによってまたその議論も深まる要素はあると思うのですね。私は、基本的には国民にもお知らせするべきことだと思っておりますが、どういう方法でお知らせするのかということについては、ちょっと今慎重に考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/131
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132・保坂展人
○保坂委員 続けて法務大臣に伺いますけれども、前回の、五月にあった法務委員会の場では、前法務大臣、下稲葉法務大臣も、一つの流れということがあることは私も感じないわけではございません、あるいは、この問題は、つまり死刑の存廃については、日本国民である我々、そしてまた国会、政府、その辺のところで大いに議論していかなければならないという答弁をいただいているわけです。
御存じと思いますけれども、与野党にまたがって死刑廃止議員連盟という超党派の議連もございます。かなりこの問題は活発に議論され、そして五月十三日の段階でこの法務委員会の討議があってから、先ほどの刑場の視察ということも踏まえて、理事会等で、では東京入管の第二庁舎とあわせてこれを実行するかどうかという議論も実は六月の段階であったわけです。
法務大臣に伺いたいのは、処刑があった六月の二十五日という日はどういう日かというと、参議院選挙の公示日であります。申すまでもないことですけれども、各政党とも、それぞれの地元の候補者の前でマイクを握って朝八時から駆け回っているという日であります。この日に処刑があった場合に、超党派の、例えば議連として法務省にあるいは大臣に申し入れをするということも事実上不可能です。閉会中審査といったって、これは無理なことなのですね。
ですから、参議院選挙の公示日に、これだけ国会で議論があったことが行政府の側で行われるということに関して、大臣の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/132
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133・中村正三郎
○中村国務大臣 それはなかなか難しい問題だと思います。現にある法律に従って裁判が行われ、それに従って刑の執行が行われるわけですから、それが、そういった法律に賛成であるか反対であるかという行動のあることを想定して裁判の日だとか執行の日を選ぶということはなかなか難しいことじゃないかと思いますね。やはり法律に基づいてやっていくことでありますから。これ以上、ちょっとお答えしょうがないと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/133
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134・保坂展人
○保坂委員 この問題に私が直接取り組み始めたのは、実は昨年、永山則夫という死刑確定囚の処刑があったというところが八月の頭でありまして、またこのタイミングというのも、国会で議論を開始する、閉会中審査というのはとても難しい時期だったということにあるわけで、法務大臣にはぜひその議論を国会の場で継続するということを尊重していただきたいということを要請しておきたいと思います。
続けて、入管の問題を少し入管局の方にお聞きをしたいと思います。
この間、難民認定が、これは諸外国と比べればわずかですけれども、しかし今までに比べればスピードアップされた。あるいはまた、私ども指摘を何度もさせていただいたビルマからの難民申請者の中で、特別在留許可等を決められたということで、一定の前進ということは評価をしたいというふうに思います。
その上に立ってお聞きしたいのですが、昨年の法務委員会でも実はこの問題、お聞きをしているのですが、上陸防止施設についてなんですけれども、東京新聞の九月十三日に掲載された記事があるのですけれども、この上陸防止施設に八歳と十三歳の少女が密室で拘束をされた。そして、上陸防止施設に一晩とめ置かれ、二万七千円という金額を求められ支払ったというような記載があるのですが、これはどういうことなのか。二万七千円というと、二人の子供ですから、ホテルに宿泊するに十分な金額かと思うのですが、これはどういう性格のお金だったのか。これは食費と警備料という説明も一部あるわけなんですが、そのあたりも含めて、こういうことがどうして起きたのか、事実がどうだったのかを簡潔にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/134
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135・竹中繁雄
○竹中(繁)政府委員 お答えいたします。
退去命令を受けた外国人が飛行機の都合等で直ちに退去することができないときは、通常は当局、入管局の上陸防止施設をとどめることができる場所として指定してきております。
しかしながら、今回の件に関しましては、委員御指摘のとおり、退去命令を受けた外国人が十三歳と八歳の女子であったため、上陸防止施設にとどめ置くことは適当でないと考えまして、同女らが搭乗してきた航空会社に対して、とどまることができる場所としてむしろ近傍のホテルを指定したい旨をお伝えしまして、その協力を要請した次第でございます。
そして、その後、数回にわたり催促をしたのですけれども、航空会社の方から明確な回答がないまま午後十時過ぎになってしまいました。このお二人については、翌日の正午の飛行機で出国する予定になっているため、やむなく、当局の上陸防止施設をとどまることができる場所として指定したという次第でございます。
なお、御指摘の二万七千円につきましては、この法律上、その責任と費用で外国人を送還する義務を負うことになっております航空会社が本人らに請求したものと思われますが、当局が関与できることではございませんで、その詳細は承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/135
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136・保坂展人
○保坂委員 昨年のやりとりでも入管局長からお答えいただいたのですけれども、実は、運送業者に請求するということになっているのですが、現実には、例えば難民申請をしてきた本人にいわば直接請求が施設から回ってきてしまうというようなことが多々あるようです。それから、上陸防止施設に九カ月とめ置かれる。難民申請をしながらですから、これは、ちょっと六十日ルールの問題も考えるととてもおかしいのですけれども。
この際、細かく聞いていくと時間がなくなってしまいますので、わかりやすくこの費用請求についての上陸防止施設内の基準、いわばどういう基準でこの費用が算出されているのか、そして、あるいは長期滞在ということが現実にあるということになると、どういう自己規則があるのかというあたりについて、この法務委員会に資料を提出していただけないかということをちょっと委員長にお諮りいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/136
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137・杉浦正健
○杉浦委員長 理事会でよく相談したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/137
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138・保坂展人
○保坂委員 それでは、ちょっと時間がなくなりましたので、最高裁に最後に伺っておしまいにします。
寺西裁判官の問題なんですが、これは、組織犯罪対策法ということで大いに国民的な議論があることに関連をしたということで処分がされたわけなんですけれども、しかし、社会民主党のホールでこの集会がたまたま行われていたものですから、私自身がその現場におりました。ですから、新聞記事ではなくて現場で見聞きしているわけなんですが、これは、記録にあるように、その法律について賛成だ、反対だ云々ということは一切言っていないわけですね。ただ、処分理由の中に、言外にその反対運動を激励したということが処分理由になっている。これは、どうやって言外に激励したということをいわば事実認定をしたのか、だれがそこで確認をしたのかということに絞って伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/138
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139・金築誠志
○金築最高裁判所長官代理者 ただいまお尋ねの件は、お話ありましたように、現在最高裁の大法廷に係属しております寺西裁判官に係る具体的事件の中身にかかわることでございますので、事務当局としてここでコメント、発言することは差し控えさせていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/139
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140・保坂展人
○保坂委員 最高裁にもう一問伺いますが、国連が制定した国連司法部の独立のための原則では、裁判官は、他の市民と同様、表現、信念、結社及び集会の自由について権利を有する、そういったことが決められている。それから、最高裁長官も参加したアジア・太平洋最高裁長官会議では、司法部のメンバーとして義務に反しない範囲で、裁判官は、他の市民と同様、表現、信念、組織、集会の自由について権利を有するということが確認されている。この二点について最高裁は、これをよしとするのか、あるいは、これはちょっと勇み足だった、今回のことを踏まえて、これについては留保するということで転換されるのかだけ伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/140
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141・金築誠志
○金築最高裁判所長官代理者 委員御指摘の国連会議の決議及び北京声明というものがあるわけでございますが、これにつきましては、その決議にあるとおり、あるいは声明にあるとおり、私どもとしてもそういうものとして認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/141
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142・保坂展人
○保坂委員 時間が参りましたので終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/142
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143・杉浦正健
○杉浦委員長 以上で保坂展人君の質疑は終わりました。
次に、八代英太君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/143
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144・八代英太
○八代委員 自民党の八代でございます。
和歌山の砒素カレー混入事件あるいは保険金詐欺事件、こういういろいろな犯罪が多発しております。また、外国人の犯罪も多発しておりますし、社会はこういう経済の状況も反映して非常に危険な状況にある。そういう中で裁判官、検察官の皆さんが大変な努力をされている、人も足らない、しかしなかなか思うような俸給も出されていない、こういうことでありますが、それゆえに、きょうこういう形で一日も早く裁判官あるいは検察官の皆さんへの新たな俸給制度が議論されるというのは大変結構だと思います。
これによって、どうですか、かなり裁判官、検察官の皆さん、人は少ないけれども士気は上がる
と。どういうふうに処遇は改善されることになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/144
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145・房村精一
○房村政府委員 まず、給与の改定によってどの程度改善されるかというお尋ねでございますが、今回の改定によりまして、平均で申し上げますと、裁判官の報酬月額が平均で約〇・七五%、検察官の俸給月額が平均で〇・七八%それぞれ増額されるということになります。
そのことによりまして、もともと高い裁判官、検察官の士気もまたなおかつ高い水準で維持されるものというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/145
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146・八代英太
○八代委員 先般八月三十一日に、実は、外国人登録の窓口の全国自治体の会長さんであります、私のちょうど選挙区でありますが、北本区長さんをお連れして、指紋押捺の問題で大臣に陳情させていただきました。
五年前には、永住者、特別永住者はもう指紋押捺はよろしい、こういうことになりました。しかし、かといって、日本はいろいろな人たちがこれからグローバル化していく中で、それはそれで全部廃止していいのかどうかという議論も一方にはございますけれども、しかし、この指紋押捺というのは非常にまた時代おくれの感もないわけではありません。
そのときも、大臣も大変これについての御意見を述べておられましたが、これからこの指紋押捺についてどういうふうに取り組むか、廃止する方向を大臣はお持ちなのかどうか、最後にお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/146
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147・中村正三郎
○中村国務大臣 八代議員がこの間おいでいただきまして、いろいろ御意見を伺いまして、私も全く同じ考えだということを御返事したことを覚えているんでございますが、衆参の法務委員会でも附帯決議がなされておりますが、その趣旨にのっとって検討を進めているわけでありますけれども、法律改正について、来国会に間に合うように、間に合わせるようにということで指示しておるところでございます。付言して申し上げさせていただきたいんですが、今、冒頭に給与の問題とそれから人員の問題のお話がありました。倒産法制も私が、何か再来年までと言ってたのを、来年の通常国会に間に合わせてくれと、これも来年の通常国会に間に合わせてくれと、きょうも予算委員会で何か一つ約束してきたんですが、そうしますと非常に人が足りないんですね。そういう面で、法務省の人員増加について御協力をいただけたらと、逆陳情して申しわけございませんが、先生のお申し越しの件は来通常国会に間に合わせるように頑張ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/147
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148・八代英太
○八代委員 まことにスピーディーでいいですし、この小渕内閣はスピーディーという言葉の内閣でありますから、ひとつ頑張っていただきたい。
私もスピーディーに協力をさせていただきまして、これで質問を終わらせていただきます。私もスピーディーをモットーとしています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/148
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149・杉浦正健
○杉浦委員長 八代先生、御協力ありがとうございました。
これにて両案に対する質疑は終局いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/149
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150・杉浦正健
○杉浦委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/150
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151・杉浦正健
○杉浦委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/151
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152・杉浦正健
○杉浦委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/152
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153・杉浦正健
○杉浦委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305206X00319981006/153
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154・杉浦正健
○杉浦委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時三十分散会
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