1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十年九月三日(木曜日)
午前九時三十六分開議
出席委員
委員長 岩田 順介君
理事 荒井 広幸君 理事 能勢 和子君
理事 森 英介君 理事 柳本 卓治君
理事 鍵田 節哉君 理事 中桐 伸五君
理事 河上 覃雄君 理事 青山 丘君
井奥 貞雄君 石川 要三君
稲垣 実男君 大村 秀章君
小林 興起君 田中 昭一君
棚橋 泰文君 中谷 元君
長勢 甚遠君 藤波 孝生君
保利 耕輔君 近藤 昭一君
玉置 一弥君 松本 惟子君
桝屋 敬悟君 武山百合子君
大森 猛君 金子 満広君
濱田 健一君 坂本 剛二君
土屋 品子君
出席国務大臣
労 働 大 臣 甘利 明君
出席政府委員
労働省労働基準
局長 伊藤 庄平君
委員外の出席者
労働委員会専門
員 渡辺 貞好君
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委員の異動
九月三日
辞任 補欠選任
白川 勝彦君 中谷 元君
岡島 正之君 武山百合子君
同日
辞任 補欠選任
中谷 元君 白川 勝彦君
武山百合子君 岡島 正之君
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八月二十八日
国営企業労働関係法第十六条第二項の規定に基
づき、国会の議決を求めるの件(全逓信労働組
合関係)(内閣提出、議決第一号)
国営企業労働関係法第十六条第二項の規定に基
づき、国会の議決を求めるの件(全日本郵政労
働組合関係)(内閣提出、議決第二号)
国営企業労働関係法第十六条第二項の規定に基
づき、国会の議決を求めるの件(郵政産業労働
組合関係)(内閣提出、議決第三号)
国営企業労働関係法第十六条第二項の規定に基
づき、国会の議決を求めるの件(全林野労働組
合関係「定員内職員」)(内閣提出、議決第四
号)
国営企業労働関係法第十六条第二項の規定に基
づき、国会の議決を求めるの件(全林野労働組
合関係「基幹作業職員、常用作業員及び定期作
業員」)(内閣提出、議決第五号)
国営企業労働関係法第十六条第二項の規定に基
づき、国会の議決を求めるの件(日本林業労働
組合関係「定員内職員」)(内閣提出、議決第
六号)
国営企業労働関係法第十六条第二項の規定に基
づき、国会の議決を求めるの件(日本林業労働
組合関係「基幹作業職員、常用作業員及び定期
作業員」)(内閣提出、議決第七号)
は本委員会に付託された。
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八月二十八日
労働政策に関する陳情書
(第四四号)
労働基準法改正に関する陳情書外三件
(第八八号)
労働法制の改悪反対、男女ともに人間らしく働
くルールの確立と労働行政の充実に関する陳情
書外六件
(第八九号)
労働基準法の一部を改正する法律案の廃案に関
する陳情書外三件
(第九〇号
)
じん肺患者救済とじん肺対策の充実に関する陳
情書外三件
(第九一号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提
出、第百四十二回国会閣法第三三号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/0
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001・岩田順介
○岩田委員長 これより会議を開きます。
第百四十二回国会、内閣提出、労働基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。
お諮りいたします。
本案につきましては、第百四十二回国会において既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略したいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/1
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002・岩田順介
○岩田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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労働基準法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/2
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003・岩田順介
○岩田委員長 この際、本案に対し、森英介君外八名から、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による修正案が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。河上覃雄君。
—————————————
労働基準法の一部を改正する法律案に対する修
正案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/3
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004・河上覃雄
○河上委員 ただいま議題となりました労働基準法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。
同法律案は、さきの百四十二回国会において参考人の意見を聴取するなど慎重審議を行いましたが、継続審議となって今国会に至ったものであります。今国会に入り、前国会の審査を踏まえ、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党及び社会民主党・市民連合の五会派間で数次にわたり精力的な協議を重ねた結果、本案に対して、新たな裁量労働制、時間外労働に関する激変緩和措置等についての修正案の意見の一致を見たものであります。
その修正案の趣旨は、次のとおりであります。
まず、新たな裁量労働制については、第一に、新たな裁量労働制を適用するに当たり、対象労働者の同意を得なければならないこと等を制度実施の要件とするものとすること。第二に、労使委員会の労働者代表委員については、任期を定めて指名されるとともに、当該事業場の労働者の過半数の信任を得なければならないものとすること。第三に、労働大臣は、中央労働基準審議会の意見を聞いて、対象となる業務その他労使委員会が決議する事項について指針を定め、これを公表するものとすること。第四に、使用者は、定期的に、労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉
を確保するための措置の実施状況等を労働基準監督署長に報告しなければならないものとすること。第五に、新たな裁量労働制に係る改正規定の施行期日を、平成十一年四月一日から平成十二年四月一日に延期するものとすること。第六に、政府は、新たな裁量労働制の規定の施行後三年を経過した場合において、当該規定について、施行の状況を勘案しつつ検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることであります。
次に、時間外労働に関する激変緩和措置等については、第一に、労働大臣は、激変緩和措置として、子の養育または家族の介護を行う女性労働者に係る労働時間の延長についての基準を定めるに当たっては、一年当たりの労働時間の延長の限度として百五十時間を超えないものとしなければならないものとすること。第二に、第一の激変緩和措置後については、政府は、その措置が終了するまでの間において、時間外労働が長時間にわたる場合には子の養育または家族の介護を行う労働者が時間外労働の免除を請求することができる制度に関し検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることであります。
次に、深夜業に関する自主的な努力の促進については、国は、深夜業に従事する労働者の就業環境の改善、健康管理の推進等就業に関する条件の整備のための事業主、労働者その他の関係者の自主的な努力を促進するものとすることであります。
以上が、この修正案の趣旨であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/4
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005・岩田順介
○岩田委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/5
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006・岩田順介
○岩田委員長 これより本案及び修正案を一括して質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柳本卓治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/6
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007・柳本卓治
○柳本委員 労働基準法の改正につきましては、私も労働政務次官としてその立案に携わった者ですが、関係の皆様の御努力により質疑が進められていることをうれしく思います。また、甘利労働大臣におかれては、昨今失業率が四%を超えるなど非常に厳しい雇用情勢の中、さまざまな対策の推進に御努力されていることに敬意を表します。
さて、労働基準法改正法案につきましては、さきの通常国会において継続審査となったところですが、当委員会としては、既に参考人に対する質疑を除いても五回にわたる審議を実施し、その審議時間も約二十二時間に及んでおります。こうした長時間の審議の成果を踏まえつつ、論点を最終的に整理する段階に至ったと考えておりますので、まず今回の法改正の基本的な考え方を再確認しておきたいと思います。
今日、我が国経済社会は質的に大きく変わろうとしています。そうした中で、労働者もこの変化を自覚し、働き方についても多様な希望を持つようになっています。また、就業環境の多様化も進んでおります。このような状況のもとで、豊かで安心できる社会、健全で活力ある経済を実現していくためには、働く人々がその能力を存分に発揮するとともに、安心して働くことができるよう職場における労働条件や環境の整備を進めることが重要であると考えます。
労働基準法は、御存じのように制定以来五十年を経過していることから、時代の変化に即応したものとする必要がありますが、その場合でも、働く人一人一人のためになる改正を行う必要があると思います。この観点から眺めた場合、私は、今回の改正法案は働く人の立場に十分配慮したものとなっているものと考えますが、今回の改正法案の基本的な考え方はどのようなものか、まず政府の考えをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/7
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008・甘利明
○甘利国務大臣 先日まで答弁をされる側だった先生から御質問を受けると多少緊張するのでありますが、先生の御質問のお話の中にその答えはもう既に入っているというふうに思っているわけであります。
すなわち、お話にありましたように、我が国の経済社会が構造変化を起こしている。これは世界じゅうがそうでありますけれども、そうした構造変化、その中で働く方々がこういう働き方をしたいという期待とか希望、それが多様化をしているわけでありまして、そういうことに対応して、労働者が意欲にあふれ、安心して働けるようにするための新たなルールづくりをしていく。つまり、時代が要請をしている中で、労働者の一人一人の権利をきちんと確保しながらその要請にどうこたえていくか、そういう基本的な姿勢、理念であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/8
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009・柳本卓治
○柳本委員 改正法案にはさまざまな改正事項が含まれております。
例えば、労働契約期間の上限を三年に延長する範囲、裁量労働制の対象業務の範囲など、改正の本来の趣旨に即して新制度の対象とする範囲を適正に決めていくことが重要となる事項が幾つか含まれています。これらの事項について、法令上講じ得るすべての措置を講じたとしても、制度が適切に運用され労働者や我が国経済にとってよい影響を与えるか否かは、まさにそれぞれの職場においてどのような運用がなされるのか、また労働基準監督機関においてどのように監督していくかが、言うまでもなく重要なポイントになります。
そこで、今回の改正法案の成立後、労働省として施行に向けてどのように取り組んでいくのか、その方針を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/9
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010・伊藤庄平
○伊藤(庄)政府委員 本法案につきましては、前国会以来、審議を通じまして大変貴重な御教示等をいただいてまいりました。私ども、その点を念頭に置きまして、法案を成立させていただきましたならば、関係省令、指針等の細目につきまして、関係審議会の意見も聞きながら早急に詰め、施行に向けて万全の体制をしいてまいりたいと思っております。
さらに、全国の労働基準監督機関におきましても、こうした制度の内容につきまして周知徹底に努め、さらに厳正な監督指導を行うことによりまして、働く方々の健康で安心して働ける状況、環境をつくるために万全を尽くしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/10
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011・柳本卓治
○柳本委員 申し上げるまでもなく、今回の改正法案は、我が国の経済社会の実情に的確に対応したものとなっており、十分評価されるものと考えます。
現在、世界的な大競争時代の中で、企業が生き残るためには大変厳しい経営努力が求められており、同時に、働く人にとっても、企業の合理化や倒産などによって働く場が失われるといった厳しい時代に突入をしております。
このような中、今回の改正法により、甘利労働大臣はどのような社会を構築しようとしているのか、最後に労働大臣の意気込みをお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/11
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012・甘利明
○甘利国務大臣 先ほども一部触れさせていただきましたが、今、日本は大きなうねりの中にいる、転換点にあるわけであります。それは、国際化やあるいは少子化や高齢化が進んでいく中で、国民の生き方やあるいは価値観も多様化をいたしております。
そうした中で、時代が要請していく、その要請にどうやって経済社会としてこたえていくか。そういう中で、働いている一人一人がその権利をどう守っていくか。そして、一人一人が働く喜びをどう実感できるか。このことをきちんと追い求めていかなければならないというふうに思っております。
額に汗して働く人々が、生きがいと自助の気概を持って、持てる能力を十分に発揮することによりまして、経済社会を支えることができる環境をつくり出すとともに、働く人一人一人が健康で安心をして働ける社会を構築していかなければならない、この改正をそのための基本的なルールにしたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/12
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013・柳本卓治
○柳本委員 当委員会の法案の成立が速やかになされまして、当委員会での議論を踏まえ適正に施
行されることによりまして、改正法案の所期の目的が達成されることを期待をいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/13
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014・岩田順介
○岩田委員長 次に、鍵田節哉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/14
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015・鍵田節哉
○鍵田委員 今回の労働基準法の審議が大変長時間にわたりまして続けられてまいりました。労使の真摯な取り組みによりまして、五党による修正案という形で終局を迎えようとしておるわけでございますが、そこで、最後に、幾つかの点で確認をしたい点がございます。それにつきまして、私の方から大臣なり伊藤局長に御質問をしたいと思っておる次第でございます。
まず第一点目は、時間外労働の適正化のためのガイドラインについてでございますが、今回の改正によりまして法律上の根拠を持たす、今までは単なる目安というふうなことでございましたけれども法律的な根拠を持たすということになっておるわけでございますけれども、近い将来に千八百時間という総実労働時間を実現していくためにも、この上限基準というものを適正に決めていく必要があるのではないかというふうに思っておるわけでございます。この上限基準の水準をどのように決めていくのか。また、今後それをさらに短縮するためにどのように大臣としてお考えを持っておられるのか、その辺についてお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/15
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016・甘利明
○甘利国務大臣 この労働基準法の改正の提案以降、与野党の先生方に、大変に真摯な、熱心な議論をいただきました。その中で、懸念される項目についての集中的な議論をいただき、今日いろいろと御提言をいただいているわけであります。そうした議論を通じて、この法案がよりよいものになっていくというふうに確信をいたしております。
御指摘の時間外労働の上限に関する基準の水準につきましては、一年間については三百六十時間以内とすることといたしまして、その後の状況を踏まえまして見直しということとしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/16
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017・鍵田節哉
○鍵田委員 それでは、次に、変形労働時間についてお聞きをしたいと思います。
めり張りのきいた働き方をする、また中小企業などにおいても時間短縮を促進していく、そういう意味で導入された制度であると思います。これが今回改正をされるわけでございますけれども、時間短縮を促進するという意味では一つの効果はあるわけですが、それだけ、変形労働時間を使用する事業場においては勤労者の時間外割り増し賃金などが減少をするという、所得の面でマイナスになる面もあるわけでございまして、それらをどのようにカバーをしていくのか。変形労働時間を使った事業場においてさらに時間外労働をする場合におきましては、それらの労働者に対しては通常よりも高い割り増し賃金を支払う必要があるのではないかというふうに思っておるわけでございまして、これらの問題についてどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/17
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018・甘利明
○甘利国務大臣 ただいま御指摘の、変形労働時間制を利用している場合の時間外労働の割り増し率について、通常の場合の時間外労働の割り増し率よりも高いものとするべきではないかというお話でありますが、その点につきましては、その適否も含めまして、時間外労働の割り増し率のあり方に関する中央労働基準審議会での議論の中で検討をいただくこととさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/18
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019・鍵田節哉
○鍵田委員 一般的な割り増し賃金も世界的な水準から見まして必ずしも高くないわけでございます。それらの検討もあわせて、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
三番目には、新たな裁量労働制に関しまして幾つか修正をさせていただいたところでございます。本人同意などにつきましても修正をさせていただいておるところでございますが、この本人同意というものは包括的な同意にならないように配慮しなければならないと思っておるわけでございます。
それぞれの事業場において労使委員会で決議をする、これを全会一致にするというようなことになっておるわけでございますけれども、この趣旨につきましては、裁量労働というものが真に労働者にとっても働きやすい制度である、こういうことを担保をするための制度にするために全会一致制度というものを導入しておるということにつきまして、御見解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/19
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020・伊藤庄平
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のように、裁量労働制を実施する場合には、労使委員会において決議等必要な事項を決めることが前提要件でございます。
この労使委員会は、御指摘ございましたように、真に裁量労働制の対象にふさわしい業務の範囲あるいは健康管理のルール等を決めていただくわけでございますので、こうした趣旨に照らせば、制度のあり方につきまして労使双方の委員の方が十分に話し合い、全員が納得できる形で運営していただくことが何よりも重要である、こういう考えに基づきまして、全会一致、こういうことを要件とさせていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/20
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021・鍵田節哉
○鍵田委員 法律そのものにつきましても、見直し条項を修正案として出させていただいておるところでございます。しかし、個々の事業場における労使委員会の決議につきましても、やはり実際に運用してみるといろいろ問題が出てくるのではなかろうかというふうに思っております。そこで、この労使委員会の決議につきましても、見直しをきちっとやれる、そういう制度にしていく必要があろうかと思っておるわけでありますが、今までの質疑の中でも出ておりましたけれども、それらについてもう一度御確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/21
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022・伊藤庄平
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のように、裁量労働制のための要件でございます労使委員会が、その決めた決議等のルールを随時見直して職場の実情に即したものとしていくことが大変肝要かと存じております。
こうした観点から、関係労使にはこうした職場の実情に即して随時見直していくことの必要性を十分認識していただくように、工夫をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/22
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023・鍵田節哉
○鍵田委員 私の質問は以上で終わるわけでございますけれども、どちらか一方から申し入れがあれば必ず見直しをする、こういうことについて十分留意をしていただきますようにお願いを申し上げて、御答弁をいただいて終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/23
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024・甘利明
○甘利国務大臣 ただいま先生の御提案のとおり、労使委員会の決議について適宜見直しを行うことができますように、労使のどちらか一方から見直しの要求があった場合には労使委員会を開催をいたしまして検討を行うよう、指針において明らかにしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/24
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025・鍵田節哉
○鍵田委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/25
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026・岩田順介
○岩田委員長 次に、河上覃雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/26
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027・河上覃雄
○河上委員 さきの通常国会で二十四時間を超える審議をいたしました。この審議を通じまして、さまざまな問題点あるいは課題等が浮き上がってきたわけでありますが、私は、先ほど提出させていただきました修正案の提出者の立場として、最後に、時間外労働の件、そして変形労働制、そして新たな裁量労働制について、それぞれ一問ずつ質問をさせていただきたいと思っております。
私は、通常国会の質疑を通じまして、現行の適正化指針のもとで、目安時間の範囲を超えた労使協定が見られるということを指摘をしてまいりました。今回の改正法案によって、これまでのガイドラインが、法律に基づく時間外労働の上限に関する基準に改められ、抑制力を高めたものとなるといたしましても、それに違反する協定が直ちに消滅するということは想定できないものでございます。法に基づく基準が真に実効性を発揮するためには、厳格な運用を行うことが大事である、私はそう考えるものでございます。
そこで、基準に適合しない労使協定を締結した使用者について、労働基準監督署による厳正な対応が必要である、私はこう考えますが、大臣の確
たる御答弁をお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/27
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028・甘利明
○甘利国務大臣 そもそもそのような基準に適合しない労使協定を結ばれては困るのでありますが、不幸にしてそういう事態が生じました場合、そのような労使協定を締結した使用者に対しましては、他の労働基準法違反の場合と同様に、労働基準監督署名によります是正勧告を行いまして、厳正に対処をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/28
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029・河上覃雄
○河上委員 変形労働時間制は、効率的でめり張りのきいた働き方によって総実労働時間の短縮を実現するためのものと理解をいたしております。
今回の改正によって、従来であれば、一日九時間、一週四十八時間と限定されていた三カ月を超える期間にわたる変形労働制についても、それぞれ限度が延長されることになるわけであります。その中で真にめり張りのきいた働き方を可能としていくためには、働くときはしっかりと働き、休むときはしっかり休むというスタイルを従来以上に定着、根づかせていくということは、不可欠、重要であると考えるものでございます。
したがって、一年単位の変形労働時間制について、労働日数の限度を省令で定める際には、一定日数以上の休日を確保すること、そして一日または一週間の最長所定労働時間を延長する場合は延長前より休日の日数を増加させるべきではないか、このように考えるものでございますが、大臣の御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/29
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030・甘利明
○甘利国務大臣 ただいま河上先生御指摘の趣旨に沿いまして措置してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/30
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031・河上覃雄
○河上委員 大臣、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
最後の質問になります。
新たな裁量労働制についてお尋ねを申し上げる次第でございますが、労使委員会の労働者代表委員の選任に当たっては、既に当該事業場の労働者の過半数の信任を得る必要があると答弁を得ております。労使委員会が労使対等の立場で的確に運用されるためには、その信任が労働者の意思を正確に表明したものであることが重要である、私はこう考えております。使用者の意向が強く働くような職場にあっては、信任を得る具体的な手続に関しても十分に配慮をしておきませんと、労働者の正確な意思を把握し得ないことになるおそれすらあるわけであります。
そこで、具体的には、労使委員会の労働者代表の信任手続を当分の間無記名の投票によることとすべきではないかと考えます。また、加えて、委員の任期につきましても一定の枠を設定しておくべきであると考えます。労働省として、任期等についても一定の考え方をその意味において示すべきではないかと私は申し上げる次第でございますが、大臣の御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/31
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032・甘利明
○甘利国務大臣 信任手続につきましては、当分の間投票にすることとするよう措置してまいりますが、ただいま先生御指摘になりました投票の方法とか任期等具体的な内容につきましては、中央労働基準審議会での議論を踏まえて措置することとさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/32
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033・河上覃雄
○河上委員 以上で私の質問を終わりにいたしたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/33
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034・岩田順介
○岩田委員長 次に、青山丘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/34
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035・青山丘
○青山(丘)委員 数次にわたる質疑の上で、残余のエキスのところで質問をいたします。
労働者が健康で働ける社会、これは我々がひとしく追求していく社会でございまして、その辺の認識は変わりがない。労働者が健康で、そして安心して働ける社会をつくっていこう。また、職業生活と家庭生活をきちっと調和させていかなければならない。口では簡単に言えるのですけれども、なかなかそういうわけには実はいっておらない。そういう職業生活と家庭生活をきちっと調和をさせていく、それが実は本当にゆとりある豊かな社会ということになっていくわけですので、そのためにはどうしても労働時間の短縮を図っていく、これは社会全体がその方向に向かって相当厳しい努力をみんながしていかなければならない、そういう段階だと私は思います。
そこで、今回の改正案においては、時間外労働については、これまでの適正化指針が、法律に基づく時間外労働の上限に関する基準、こういうことに改められていって、いわゆる長時間の時間外労働の抑制に取り組んでいくのだという方向がきちっと示されたことは、私はそれなりに評価しています。
ただ、これは時間外労働だけではなくて、休日労働、深夜労働についてもやはり同じような取り組みをこれからしていかなければいけない、そうして長時間労働の抑制をみんなで図っていこう、いろいろな立場で取り組んでいこう、こういう段階だと思います。
そこで、健康を確保し、職業生活と家庭生活の調和を図る観点から、休日労働、深夜労働も含めた労働時間の短縮を図っていくために、いろいろな取り組みをしていこう、その方策を研究していく、こういうことが必要であろうと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/35
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036・甘利明
○甘利国務大臣 先生御指摘の家庭生活と職業生活の調和というのは、まさに私どもが目指していくものでありますし、そのために先生にも大変な御努力をいただいてきたわけであります。育児休業や介護休業の制度もその一環でありますし、まさに時短もそのとおりであります。そして、今後労働時間短縮を効果的に推進をしていく、そのための適切な方法につきまして、休日労働や深夜労働のあり方も含めまして、引き続き先生方の御指導をいただきながら研究してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/36
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037・青山丘
○青山(丘)委員 実は、数次にわたる質疑を通じまして、新たな裁量労働の運用に関しては、指針が極めて重要な意味を持ってきておるというふうに感じます。
例えば、対象業務について具体例が指針で示されるということでございまして、対象業務の具体的範囲をこれから明確にしていくわけですが、指針では、そのほかに、対象業務以外にもさまざまなことについて決められていくということですが、この際、その項目をここで網羅的に述べていただくことができませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/37
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038・伊藤庄平
○伊藤(庄)政府委員 御指摘がございました労働大臣が定めます指針におきましては、法律に則しまして、対象業務それから対象労働者の範囲の具体的なものを示すほか、働き過ぎの防止あるいは健康確保のための措置の具体的な内容、それから苦情処理体制のあり方につきましての具体的内容につきまして示してまいる考えでございます。
さらに、業務の成果をどう評価するのか、こういった基準等につきまして労使があらかじめ話し合っておくべきである、こういう考えに基づきまして、そうした事項もあわせて示してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/38
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039・青山丘
○青山(丘)委員 そこで、この指針を中央労働基準審議会で議論するわけですが、いろんな事業所における実態というものを、可能な限り相当幅広く豊富に情報をぜひ集めておいていただきたい。そうしなければ、なかなか実情に沿った指針とはならないのではないかということを私自身は心配をしておりますので。
そこで、新たな裁量労働制については、その指針を定めるに当たっては、中央労働基準審議会で議論するその前段階で、中基審の意向に沿った形で専門的な機関を設置していただきたい。そして、そこで十分研究をして、中基審でそれを議論していただくというのが最も妥当な取り組みではないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/39
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040・甘利明
○甘利国務大臣 御趣旨に沿いまして、中央労働基準審議会の意見を聞きました上で、法案成立後直ちに専門的な検討の場を設けまして、精力的に検討を行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/40
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041・青山丘
○青山(丘)委員 ぜひそうしていただきたい。
それから、年間実労働時間、総労働時間千八百時間というのはもう長い間の我々の悲願でしたし、これをきちっと実現をしていくためには、例えば年次有給休暇をきちっと取得していただきたいということもありました。
実は、これは労働省の資料だと思いますが、ここ十数年の年次有給休暇の取得率の推移を見てま
いりますと、昭和五十九年あたりから少し下がってきておりまして、六十年、六十一年、六十二年、六十三年、非常に低くなってきております。それからまた幾らか、五、六%上がってきておりますが、またここ数年、漸減傾向といいますか、五割にだんだんまた近づいてくるのではないか。年次有給休暇をきちっと確保していただくということも年総労働時間千八百時間を実現していく上では非常に重要なこと、しかし現状では五割くらいの取得率、これをもっと高めていかなければいけない。
その原因は那辺にあるか。これはなかなか複雑で難しい。日本人の価値観にも関係があるようなことで、職場で年次有給休暇をとるということについて何となくみんなの合意がまだできておらないという点もあるのかもしれません。
しかし、私も、そういう価値観、新しく年次有給休暇をきちっととれるような日本社会にしていくというのは実は容易なことではないと思いますが、それをやらなければ——有給休暇の取得日数をふやしていく、実際に取得をしっかりしていく。そのためには、ちょっと脱線ぎみになるかもしれないが、しかし、きちっととった人には職場やあるいは労働組合や会社やいろいろな立場でどういう評価をするかというと、今までのような冷たい見方をするんじゃなくて、むしろこの人は家庭に対して、家族に対して、あるいは奥さんに対して日ごろの感謝の気持ちのある人だ、優良な人であるというような評価が出るような点も、幅広い考察の中で、有給休暇の取得を向上していくための実効ある方策を研究していただきたい。
この点について、ひとつ御見解を大臣から聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/41
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042・甘利明
○甘利国務大臣 先生御指摘のとおり、年次有給休暇をちゃんととっていただければ千八百時間が一挙に進むわけでありますけれども、何となく職場でとりづらいという雰囲気がある。権利はあるんだけれども行使しづらい。これをどう周辺環境整備をしていくか、まさに大事なところでございます。
なかなか特効薬というのは見つからないのでありますけれども、例えば、もう既に行っているところもあるかもしれませんが、労使が年度初めに取得する計画表をつくってやっていくとか、旗振りをうまくやっていかなくちゃいけないというふうに思います。
この点について、先生の御指摘も踏まえて、引き続きしっかり検討していきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/42
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043・青山丘
○青山(丘)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/43
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044・岩田順介
○岩田委員長 次に、大森猛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/44
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045・大森猛
○大森委員 今度の労基法改悪法案は先国会で継続審議になり、以来約三カ月余り経過をいたしました。継続審議、審議を継続とは名ばかりで、この間、ただの一回も審議がされなかったわけであります。しかも、国会の外で修正協議が行われ、それがまとまったら突然昨日国会に提出されました。
きょうも傍聴者の方がたくさん見えておりますけれども、あの傍聴者の方を含む全国五千四百万の労働者、その家族を含めると九千万人の国民、こういう人たちがこの修正案の中身をほとんど知らないまま、ごらんのように修正案に対する質疑は私の十分だけであります。これだけで採決を強行する、私は、こういうような議会制民主主義の根本に反するやり方に厳しく抗議をして、質問に入りたいと思います。
第一点は、短い時間ですので、大臣にイエスかノーかだけでお答えいただきたいと思います。
この改正案そして修正案、これがもし万が一成立したら、一年後に問題の新たな裁量労働制、これを実施されるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/45
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046・甘利明
○甘利国務大臣 まず、このきょうの質疑に関しましては、与野党を通じて理事会で合意をいただいて設定をされているというふうに承知をしておりますので、強行云々という話はいかがかというふうに思っております。
裁量労働制を含む労基法の改正につきましては、各党間でいろいろ御意見をいただきました。そして、その修正の協議も合意をいただいたわけでありまして、その趣旨にのっとって法律が施行されるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/46
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047・大森猛
○大森委員 質問にお答えにならなかったのですが、要するに、この新たな裁量労働制は一年後に実施をされるということだと思います。
そこで、この裁量労働制の乱用防止あるいは歯どめとして、修正案では本人同意、これを盛り込んでおられますけれども、これが本当に歯どめとして効果を発揮するのか。私は、歯どめにならない。
そこで、提案者にお聞きをしたいと思います。
裁量労働制に不同意で、そのため不利益扱いになった、その場合、罰則はあるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/47
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048・河上覃雄
○河上委員 罰則はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/48
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049・大森猛
○大森委員 答弁のように、結局罰則も何もない。決議に盛り込むだけとなっているわけであります。決議に盛り込まない場合でも、罰則がない。ましてや、本人同意、これは法律上の担保、罰則ということが何にもない。その意味では、法的拘束がなければ実効性、歯どめになり得ない。このことをまず申し上げたいと思います。
加えて、現実の問題として、実際に裁量労働制が適用されている職場で、ほかの人と同じだけ仕事をして、自分だけには時間管理を求め、自分だけは残業手当をもらう、こんなことが職場のチームワーク、秩序からいって本当に現実問題として可能か。私は、これは不可能だと思います。
この点、どうですか。——提案者に聞いています。提案者に聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/49
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050・伊藤庄平
○伊藤(庄)政府委員 ただいま先生から御指摘ございました……(大森委員「提案者に聞いているんです」と呼ぶ)修正の内容にわたるよりも、むしろ私ども提案申し上げております原案、内容についての御指摘かと存じますので、私の方から、恐縮でございますが、お答えをさせていただきたいと存じます。
先生から御指摘ございましたように、片方が残業代を受け取り、片方が受け取ってないというような形がこの裁量労働制のもとで本当にあり得るのか、こういう点についてお答えを申し上げたいと存じております。
この裁量労働制は、労働時間の配分等を本人みずからが決めるということが提案申し上げている内容でございまして、賃金等につきましてどういう決め方をするかにつきましては、これは労使間で決めるべき問題でございまして、そのことについてはこの裁量労働制は言及をいたしておりませんし、法律上そこを、方向性を規定しているものでもございません。
したがいまして、裁量労働制を実施する場合に、もし仕事の成果やそういったもので評価する場合には、労働時間によって決まるよりも、そういったものによって裁量労働制の対象者がよりいい処遇を受けるケースというのは非常に多いわけでございまして、先生の言うように、残業代と、片方が残業代がないというふうに、一律にこの制度によって決まるものではないことを御理解をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/50
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051・大森猛
○大森委員 提案者に回答を求めたのですが、提案者は回答不能だというぐあいに理解をしたい。
今の基準局長の御回答も、余りにも実態を知らない、そういう回答だと思うのです。今全国の職場で、例えば新しい勤務体系を導入する際、それを適用除外を申請しても現実にはそれは認められない、拒否すれば何らかの報復を受ける。今これが実態であります。残業を拒否しただけで配転、出向される、全国の職場でそういうことが数多く起こっているわけであります。
労基署自身もこれまで監督にも入っていると思うのですが、そういう中でも、残業代一つ正しく申告できない、こういう実態の中で、本人の同意などということが乱用防止の歯どめには決してならないということを重ねて私は申し上げたいと思います。
大体、労働基準法の基本原理、これはこの委員会でも東中議員が質問いたしました。同意、不同
意にかかわらず、労基法の目的である人たるに値する生活を営むための必要な条件を強制的に保障する、これが基本的な原理ではないでしょうか。同意しようとしまいと、同じようにそうした条件を保障されるのが労働基準法の基本原則ではないか、このことをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/51
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052・河上覃雄
○河上委員 先ほどの御質問の趣旨は、裁量労働制の本人同意についての具体的な実態についてお述べになりましたもので、実態については労働省の立場からの御報告の方が適切かなと思った次第でございました。
あえてそれを全部、趣旨を、こちら側としては酌み取りますと、労使委員会で決議をいたしましたが個々の労働者本人の同意を得ないで裁量労働をさせていた場合の法的な側面はどういうふうになるのかということにも考えられますが、その点につきまして、私の方から、今回の修正案によりまして労使委員会の決議事項として労働者本人の同意を追加したことによって、同意をした労働者に限って裁量労働制の対象とし得る道を開いたわけであると考えております。
したがって、同意した労働者のみを裁量労働制の対象とすることを決議で明確にしておきながら、実際に同意を得ていないという場合は、当然、当該労働者に裁量労働制を適用することはできないものと理解をいたしております。
したがいまして、御指摘のような場合には、実際の労働時間に応じまして、時間外労働があれば時間外割り増し賃金の支払いが必要となるわけでございまして、それを怠れば労働基準法違反となり、処罰の対象になる、こう理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/52
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053・大森猛
○大森委員 先ほども申し上げましたように、職場の実態論からも、また労基法の基本原理からいっても、本人同意というのは、これは歯どめになり得ないし、してはならないということを重ねて申し上げて、最後にもう一点だけお聞きをしたいと思います。
提案者のお一人は、衆議院本会議での労基法の質疑の中で、本法案が使用者の一方的な意見だけを取り入れた暴挙であり、そして改悪案と断ぜざるを得ない、このように申し述べられました。その第一の理由に挙げたのが、時間外労働の上限規制の法案への明記がないこと、これについても、修正案はこの点では何ら変わっていない。
加えて、連合の意見広告、この中でも言われておりますが、「男女共通、罰則つきの上限基準を法律に明記。」これを要求しておりますけれども、修正案ではこの要求は入ったでしょうか、これをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/53
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054・青山丘
○青山(丘)委員 長時間の時間外労働の抑制については、深夜労働も休日労働も含めて、この委員会でいろいろ議論されてきました。そして、今おっしゃられるように男女共通の法的規制を盛り込む必要があるのではないかという議論が多くありました。
ただ、実態からいいますと、企業の規模によってさまざま今違っておりまして、また業種によっても大変多様な状況でございますから、現時点で画一的に罰則規定を設けることは不適切ではないか。しかし、罰則規定についてはともかくとして、男女共通の法的な規制は将来においては十分検討していかなければならないということも議論の中にありましたので、今後の検討課題だというふうに認識しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/54
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055・鍵田節哉
○鍵田委員 ただいま御指摘のありました討論の内容につきましては、私が基準法の一部改正案が本会議に上程されましたときに討論をした内容をおっしゃられたのだと思いますが、議事録をよく精査をしていただきますとおわかりだと思いますけれども、政府原案が出ました段階で、それに関しては、現状のままでは改悪案と言わざるを得ません、したがいまして、国会議員の任務というものは、この法案を真に改正だと言われるように評価されるものにつくり上げていく、それが国会議員の任務であり、立法府の責任である、こういうことで申し上げたわけでございまして、内容的には、修正案に示させていただきましたように、裁量労働においても六点の修正をいたしました。さらに、深夜業、時間外労働、それらにつきましても激変緩和なり今後の業種別のガイドラインを設定する、こういうことに関しての道を開いたと確信をし、そして提案をさせていただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/55
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056・大森猛
○大森委員 時間が参りましたので終わりますけれども、国会議員の責務がというお言葉もありましたので、国会議員の責務として、私は、今一番必要なことは、圧倒的多数の労働者の声を聞くことだと思います。今多数の声は裁量労働制の削除、男女共通規制、これをきちんと行うということであります。日本共産党は、廃案を目指す立場を堅持しつつ、このことを実現を目指して最後まで全力を尽くすということを申し上げて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/56
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057・岩田順介
○岩田委員長 次に、濱田健一君。
〔委員長退席、鍵田委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/57
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058・濱田健一
○濱田(健)委員 時間が十分と制限をされておりますので、私は、変形労働制、裁量労働制、時間外・休日労働、深夜業の割り増し率の三点について、役所の明快な答弁を求めたいと思います。
一点目は、変形労働制についてですが、一年単位の変形労働時間制は、一日八時間、一週間四十時間の法定労働時間の原則を、労使の自主的な話し合いによって、年間を通して週四十時間労働制を実現するためのものとはいえ、特定の一日や一週間に着目すると、労働大臣が定める所定労働時間の限度、これは現行の定めで最長一日十時間、一週間五十二時間となっておりますが、この限度までの労働が可能ということでございます。このような弾力的な制度のもとで、繁忙期における時間外労働が減少し、年間で見ても時間外労働が相当減少しなければならないと考えております。
したがって、一年単位の変形労働時間制のもとで時間外労働の上限に関する基準を遵守することは容易なるはずでありますが、このことは、当該基準の趣旨及び総実労働時間を短縮するとの変形労働制の趣旨からすると、より一層の時間外労働の抑制が求められることとなるべきものではないかと考えます。
一年単位の変形労働制を実施する場合には、時間外労働の上限に関する基準は一般の基準よりも短く設定すべきだと考えますが、労働大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/58
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059・甘利明
○甘利国務大臣 濱田先生御指摘のとおり、変形労働時間制というのは、例えば季節間の労働時間の調整等々、それ自体が時間外労働を結果として減らすということになるわけでありますから、必然的に時間外労働というのは少なくて済む、その趣旨はそのとおりだと思います。そうした御趣旨、御指摘に沿いまして、今後措置をして、総労働時間の短縮につなげていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/59
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060・濱田健一
○濱田(健)委員 これからも今の大臣の御答弁どおりの改善策をお願いしておきたいと思います。
二点目は、裁量労働制です。
新たな裁量労働制は、当然ながら労使ともに運用の経験がない状態で労使委員会の検討が行われます。委員の選出手続、全会一致による決議、議事録の周知等、労使委員会が適切に運用されるよう透明性の確保にも一定の配慮がこの修正の中でなされたと考えておりますが、企業によっては、経験の蓄積や労使の話し合いが不十分なことにより、制度が的確に運用されないおそれも十分考えられるものでございます。
このため、一たん決議された事項であっても、定期的に見直すための制度が用意されていなければ、不適切な制度や運用が漫然と長期間継続され、労働者の保護に欠ける事態が生ずる可能性があります。したがって、新たな裁量労働制を導入した事業場において、制度の運営を定期的に見直していくために、決議の有効期間を一定の期間に制限することが必要であると考えますが、労働大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/60
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061・甘利明
○甘利国務大臣 御指摘をいただきましたので、決議につきましてはその有効期間を定めなければならないということ、それから、当分の間はその
期間は一年としなければならないこと、これを省令において規定することといたします。
〔鍵田委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/61
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062・濱田健一
○濱田(健)委員 今の問題については、いわゆる労使委員会等の本当に円滑な運営等々が必要になるのではないかと思っております。
三番目ですが、割り増し率の問題でございます。
時間外・休日労働及び深夜業に関しては、今回の改正法案において幾つかの措置が講ぜられることとされております。すなわち、長時間の時間外労働の抑制のために労働大臣が時間外労働の上限基準を設け、労使がこれを守る仕組みや、女性保護規定の解消に伴う家族的責任を有する女性労働者についての激変緩和措置が講じられることなどとされており、これらの措置の円滑な実施が期待されているところでございます。
しかしながら、長時間労働を抑制し、労働者の健康確保、家庭生活との両立を図るためには、これらの措置に加え、割り増し賃金率の引き上げという方策もある面で効果的なものであると私は考えております。この点について、中央労働基準審議会の建議においては、時間外・休日労働の賃金の割り増し率についての引き上げの検討を開始することや、深夜業の割り増し賃金率についてもあわせて検討することが適当であるとされているところでございます。
この時間外・休日労働及び深夜業の割り増し率については、今後どのように検討を進められるおつもりか、労働大臣、御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/62
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063・甘利明
○甘利国務大臣 御案内のとおり、現在は、残業、深夜に関しましては二五%の割り増し率、そして休日については三五%となっているわけでありますが、ただいま御指摘の時間外・休日労働及び深夜業の割り増し率につきましては、国際的な水準を参考にいたしまして、実態調査の結果を見つつ、中央労働基準審議会において今後検討を進めていただくこととさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/63
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064・濱田健一
○濱田(健)委員 今回の労基法改正論議では、新しい制度も含まれるということで、働く皆さん方にはやはり不安感かれこれが残っております。この法律が成立したならば、役所としてはその対応について万全の措置を講ぜられるよう改めて申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/64
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065・岩田順介
○岩田委員長 以上で本案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/65
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066・岩田順介
○岩田委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に付します。
討論の申し出がありますので、順次これを許します。武山百合子さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/66
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067・武山百合子
○武山委員 自由党の武山百合子です。
私は、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党及び社会民主党・市民連合を代表して、労働基準法の一部を改正する法律案について、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党及び社会民主党・市民連合提出の修正案並びに修正部分を除く原案に賛成します。
今日、我が国を取り巻く環境は著しく変化しており、また、雇用の形態や勤労者の働く意識の多様化も大きく進んでおります。このような中で、働く人々が意欲にあふれ、健康で安心して仕事ができるよう、職場におけるルールの整備、労働条件の確保を図っていくことが重要です。このような理由から、制定以来五十年を経過した労働基準法について、時代の変化に対応して見直すことが必要です。
このたびの政府案は、第一に、経済社会の変化に対応して勤労者が主体的に働くためのルールをつくるために、新商品、新技術の開発に必要な高度の専門的知識、技術等を持つなど一定の人に限り労働契約期間の上限を延長することや、本社等で企画、立案等の業務をみずからの裁量で行う勤労者について、自律的、創造的に働くことができるような新たな裁量労働制を整備すること。第二に、職場と家庭生活との調和、労働時間短縮のための環境をつくり、長時間の時間外労働を抑制するために、労使が遵守すべき時間外労働の限度に関する基準を労働大臣が定めること。その際、家事、育児を担う働く女性について、激変緩和措置として一定期間、短い限度の基準を定めること。第三に、労働契約の複雑化、個別化に対応したルールをつくるため、都道府県労働基準局長が労働条件に関する紛争の解決に向けて援助を行うことや、労働契約締結時に書面によって労働条件を明らかにすることを追加すること等を内容とするものであります。
この政府案については、自由党を初め五党としては、長年にわたる審議会における検討を経て取りまとめられたもので、おおむね時宜を得た内容のものと考えますが、当委員会における審議を通じ、新たな裁量労働制については、対象業務の範囲や勤労者への適用の手続などをより適正、的確なものとする必要があり、そのためにも、指針の策定など裁量労働制の実施の準備に当たっては労使により慎重に検討を重ねるとともに、さらに、実施の状況を踏まえて見直しを行うことなど、明確にする必要があるとの認識で一致いたしました。また、来年四月に迫った女性保護規定の廃止を念頭に、家事、育児を担う働く女性の激変緩和措置として定められる上限基準の水準や、激変緩和措置が終了するまでに検討を加えるべき制度の内容を明確にするとともに、深夜業に従事する勤労者の就業に関する条件を整備するため、関係者が自主的な努力を促進するように国が取り組む姿勢を明らかにする必要があるとの認識で一致いたしました。
こうしたことから、五党提出の修正案では、先ほど説明がなされたとおり、これらの点について内容の改善が図られ、より適切な内容になったと考えます。
以上の理由により、私は、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党及び社会民主党・市民連合提出の修正案並びに修正部分を除く原案に賛成いたします。
以上で私の討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/67
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068・岩田順介
○岩田委員長 次に、大森猛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/68
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069・大森猛
○大森委員 私は、日本共産党を代表して、労働基準法の一部を改正する法律案及び同法案に対する修正案に対し、反対の討論を行います。
反対理由に先立ち、継続審議と言いながら、ただの一度も審議を行わず、国会外で自民党を初めとする各会派が協議を行い、それがまとまったとして突然修正案を国会に提出し採決を強行するというやり方は、言語道断であります。周知のように、本法案は、前国会において、全労連、連合、全労協などあらゆる労働団体はもとより、日本弁護士連合会、日本労働弁護団、自由法曹団などの法曹界、女性団体や労働法学者、さらには全国二百七十を超える地方議会での決議など、広範な国民の改悪反対運動の中で継続審議となっていたものであります。
にもかかわらず、こうした非民主的なやり方を強行するなどは、広範な労働者と国民の意思を全く無視した、議会制民主主義に反する暴挙と言わざるを得ません。
本労働基準法改正政府原案は、財界の要求を具体化したもので、裁量労働制の対象拡大、変形労働時間制の要件緩和、短期雇用契約制の容認などによって、資本の都合と利益のために、労働法制の根本原則である八時間労働制を切り崩し、ただ働きを合法化し、雇用の保障のない無権利な労働者を制度的に大量につくり出すなど、五千四百万の労働者と家族の生活を根底から脅かす希代の悪法であり、断固反対するものであります。
また、修正案は、政府改悪案の骨格を何ら変更するものではありません。
裁量労働制について言えば、一年後には導入を約束したものであり、本人同意についても、現在の職場での実態から見て歯どめにならないことは明白であります。
また、男女共通規制にかかわる修正部分も、女性保護規定撤廃が来年四月に迫っているもとで、多くの男女労働者が願ってきた男女共通規制につ
いても何ら法的な義務を負わせるものではなく、実効あるものとは言えないことは答弁でも明らかであり、本修正案についても反対であります。
仮に、政府案及び修正案が本委員会で押し通されたとしても、広範な労働者、労働組合、法曹界、国民の中で押し通すことはできません。
我が党は、本改悪案の廃案を目指すと同時に、労働者と国民の多数が要求している新裁量労働制の削除と時間外・休日・深夜労働の法的規制、そして、これができなければ女性保護規定撤廃の来年四月実施の延期を要求するものであります。これこそが参議院選挙で示された民意を生かす道であると確信します。国民要求に沿った共同の行動を院内外で広げ、その先頭に立って奮闘することを表明し、反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/69
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070・岩田順介
○岩田委員長 これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/70
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071・岩田順介
○岩田委員長 これより採決に入ります。
第百四十二回国会、内閣提出、労働基準法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決をいたします。
まず、森英介君外八名提出の修正案について採決をいたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/71
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072・岩田順介
○岩田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/72
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073・岩田順介
○岩田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/73
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074・岩田順介
○岩田委員長 この際、本案に対し、柳本卓治君外四名から、自由民主党、民主党、平和・改革、自由党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。濱田健一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/74
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075・濱田健一
○濱田(健)委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
労働基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 女性保護規定の解消に伴う家族的責任を有する女性労働者の職業生活の著しい変化がその家庭生活に及ぼす影響を考慮して講ずる措置が終了するまでの間において家族的責任を有する労働者が時間外労働の免除を請求することができる制度に関し検討するに当たっては、その水準について激変緩和措置との連続性に充分留意すること。
二 深夜業が家庭生活や健康等に与える影響を考慮し、将来における総合的なガイドラインの策定に資するため、主要業種ごとに労使による自主的なガイドラインが適切に設けられるよう、労使が参考とすべき事項を明らかにしつつ実態調査や労使の話合いの場の設定等の労使の取り組について必要な援助を行うこととし、深夜業の実効ある抑制方策について検討すること。
三 深夜業に従事する労働者の健康確保を図るため、労働者が自発的に受診する健康診断の費用を助成すること及びこれら自発的に受診した健康診断についてもその結果に基づく医師の意見を勘案して深夜業の回数の減少や作業の転換等の措置を講じなければならないこととするよう労働安全衛生法の改正を行い、必要な措置を講ずること。
四 休日労働について、回数等を含むガイドラインの設定などその適正化のための適切な措置について、中央労働基準審議会において、労使の意見を充分尊重しつつ、検討が行われるよう努めること。
五 新たな裁量労働制について、労働大臣が定める指針において対象業務や対象労働者の範囲を具体例をもって可能な限り明らかにすること。なお、この指針を定めるに当たっては、中央労働基準審議会において、労使の意見を充分尊重しつつ、合意が形成されるよう努めること。
六 有期労働契約について、反復更新の実態、裁判例の動向等について専門的な調査研究を行う場を設け検討を進め、その結果に基づいて法令上の措置を含め必要な措置を講ずること。
七 ILO条約第百三十八号(就業の最低年齢に関する条約)の早期批准に向けて検討を急ぐこと。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/75
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076・岩田順介
○岩田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
柳本卓治君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/76
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077・岩田順介
○岩田委員長 起立多数。よって、本動議のとおり本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。甘利労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/77
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078・甘利明
○甘利国務大臣 ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/78
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079・岩田順介
○岩田委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/79
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080・岩田順介
○岩田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/80
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081・岩田順介
○岩田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114305289X00219980903/81
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