1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十年十月五日(月曜日)
午後四時五十分開会
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委員の異動
九月十日
辞任 補欠選任
一伊藤 基隆君 直嶋 正行君
九月十一日
辞任 補欠選任
小川 勝也君 小宮山洋子君
十月二日
辞任 補欠選任
魚住裕一郎君 海野 義孝君
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出席者は左のとおり。
委員長 坂野 重信君
理 事
石川 弘君
岩井 國臣君
岡 利定君
塩崎 恭久君
江田 五月君
齋藤 勁君
森本 晃司君
笠井 亮君
山本 正和君
委 員
岩城 光英君
加納 時男君
景山俊太郎君
金田 勝年君
木村 一仁君
佐々木知子君
田中 直紀君
林 芳正君
日出 英輔君
平田 耕一君
三浦 一水君
溝手 顕正君
山本 一太君
小川 敏夫君
木俣 佳丈君
小宮山洋子君
角田 義一君
直嶋 正行君
峰崎 直樹君
簗瀬 進君
海野 義孝君
浜田卓二郎君
益田 洋介君
池田 幹幸君
緒方 靖夫君
小池 晃君
三重野栄子君
入澤 肇君
渡辺 秀央君
佐藤 道夫君
水野 誠一君
菅川 健二君
発 議 者 笠井 亮君
委員以外の議員
発 議 者 筆坂 秀世君
衆議院議員
発 議 者 保岡 興治君
発 議 者 池田 元久君
発 議 者 枝野 幸男君
発 議 者 石井 啓一君
発 議 者 西川 知雄君
発 議 者 鈴木 淑夫君
修正案提出者 保岡 興治君
修正案提出者 鈴木 淑夫君
修正案提出者 池田 元久君
修正案提出者 枝野 幸男君
修正案提出者 石井 啓一君
修正案提出者 西川 知雄君
事務局側
常任委員会専門
員 小林 正二君
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本日の会議に付した案件
○債権管理回収業に関する特別措置法案(衆議院
提出)
○金融機関等が有する根抵当権により担保される
債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する
法律案(衆議院提出)
○競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整
備に関する法律案(衆議院提出)
○特定競売手続における現況調査及び評価等の特
例に関する臨時措置法案(衆議院提出)
○金融機能の再生のための緊急措置に関する法律
案(衆議院提出)
○金融再生委員会設置法案(衆議院提出)
○預金保険法の一部を改正する法律案(衆議院提
出)
○金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の
整備に関する法律案(衆議院提出)
○金融機能の正常化に関する特別措置法案(筆坂
秀世君外一名発議)
○預金保険法の一部を改正する法律案(筆坂秀世
君外一名発議)
○金融監督委員会設置法案(筆坂秀世君外一名発
議)
○金融機能の安定化のための緊急措置に関する法
律を廃止する法律案(筆坂秀世君外一名発議)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114314057X00419981005/0
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001・坂野重信
○委員長(坂野重信君) ただいまから金融問題及び経済活性化に関する特別委員会を開会いたします。
債権管理回収業に関する特別措置法案、金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案、競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案、特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案、金融再生委員会設置法案、預金保険法の一部を改正する法律案及び金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、いずれも衆議院提出、金融機能の正常化に関する特別措置法案、預金保険法の一部を改正する法律案、金融監督委員会設置法案及び金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律を廃止する法律案、いずれも筆坂秀世君外一名発議、以上十二案を一括して議題とし、発議者から順次趣旨説明を聴取いたします。
発議者衆議院議員保岡興治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114314057X00419981005/1
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002・保岡興治
○衆議院議員(保岡興治君) 債権管理回収業に関する特別措置法案、金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案、競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案及び特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案について、提案者を代表してその趣旨を御説明いたします。
我が国経済を立て直し再活性化させるためには、金融システムの安定化、再生が何よりも重要であります。このためには、金融機関の抱える不良債権を早急に処理しなければなりません。このための環境を整備しようとするものがこのたび提出いたしました四法案であります。
まず、債権管理回収業に関する特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、金融機関等が有する不良債権の実質的な処理の促進等を図ることが喫緊の課題となっている現状にかんがみ、弁護士法の特例として、一定の要件を満たす民間会社が業として債権の管理及び回収を行う制度を新たに設けるとともに、必要な規制を行おうとするものであります。
この法律案の要点は次のとおりであります。
第一に、法務大臣の許可を受けた債権回収会社は、弁護士法の規定にかかわらず、金融機関の有する貸付債権等の一定の金銭債権について、その管理及び回収を行うことができる旨の規定を設けることとしております。
第二に、債権回収会社の業務の適正な運営の確保を図るため、その取締役の一名以上に弁護士の選任を義務づけるとともに、暴力団員等の参入等を防止するための措置を講ずる等の規定を設けるほか、業務を遂行するに当たって相手方を困惑させる等の行為を禁止し、また債権回収会社が一定の裁判上の行為を行うには弁護士に追行させるなどの行為規制に関する規定等を設けることとしております。
第三に、法令に違反するなどした債権回収会社に対する許可取り消し処分や業務改善命令などに関する規定を設けるとともに、監督者である法務大臣の立入検査等の規定を設けるほか、暴力団支配排除の観点から、警察庁長官による債権回収会社への立入検査や債権回収会社の回収に当たっての援助等の措置についても規定することとしております。
第四に、所要の罰則規定等を設けるとともに、その施行については、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において行うこととしております。
以上が債権管理回収業に関する特別措置法案の趣旨であります。
次に、金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、金融機関等の不良債権の処理が喫緊の課題となっている状況にかんがみ、金融機関等が有する債権はその多くが根抵当権つき債権であるので、その譲渡の円滑化を図るための臨時の措置を定めようとするものであります。
この法律案の要点は次のとおりであります。
第一に、金融機関等が根抵当権により担保される債権を共同債権買取機構、整理回収銀行、サービサー等の債権回収機関に売却しようとする場合において、債務者に対し、売却する旨及び新たに元本を発生させる意思を有しない旨を書面により通知したときは、民法の定める元本の確定事由に該当するものとみなすこととしております。
第二に、これにより元本が確定した場合の登記は、根抵当権の移転の登記とともに申請する場合に限り、債務者等の根抵当権設定者と共同で申請しなくても、根抵当権者のみで申請することができることとしております。
以上がこの法律案の趣旨であります。
次に、競売手続の円滑化等を図るための関係法律の整備に関する法律案についてであります。
この法律案は、不動産競売手続において不当な執行妨害行為により手続の遅延が生じている等の現状にかんがみ、手続のより円滑かつ適正な遂行を図る等のため、民事執行法等の一部を改正しようとするものであります。
この法律案の要点は次のとおりであります。
第一に、執行妨害を排除する観点から、不当な執行抗告の制限、買い受けの申し出をした差し押さえ債権者のための保全処分の制度等を新設するとともに、執行官等の調査権限を強化することとしております。
第二に、手続の迅速処理を図る観点から、配当期日の呼び出し状の送達方法の改善等のほか、売却の見込みのない場合の特別の措置を定めることとしております。
第三に、競売制度を利用しやすいものにする観点から、買い受け人が銀行等からの融資を受けた場合の代金納付による登記の嘱託方法を改善し、買い受け人が銀行ローンを活用する道を開くこととしております。
第四に、抵当不動産に対する競売手続の開始等があったことを知ったときから二週間を経過したことにより根抵当権の担保すべき元本が確定した場合の登記について、債務者等の根抵当権設定者との共同申請を必要とせず、根抵当権者のみでこれを申請することができることとしております。
以上がこの法律案の趣旨であります。
最後に、特定競売手続における現況調査及び評価等の特例に関する臨時措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
この法律案は、預金保険機構、整理回収銀行及び住宅金融債権管理機構が申し立てた競売手続について、その円滑な実施に資するため、同機構等の資料を利用できるよう、現況調査及び評価等に関し民事執行法の特例を臨時に設けようとするものであります。
この法律案の要点は次のとおりであります。
第一に、執行裁判所は、預金保険機構、整理回収銀行及び住宅金融債権管理機構が申し立てた競売手続について、同機構等から不動産の現況を明らかにする書面の提出を受けた場合において、相当と認めるときは、民事執行法の規定にかかわらず、執行官に現況調査を命じないでこれを現況調査報告書にかえる取り扱いを可能とすることとしております。
第二に、執行裁判所は、預金保険機構等から不動産の評価を記載した書面の提出を受けた場合において、相当と認めるときは、民事執行法の規定にかかわらず、評価人を選任することなく、その書面に記載された評価に基づいて最低売却価額を定めることができることとしております。
以上がこの臨時措置法案の趣旨であります。
これをもちまして、議員提出四法案の説明とさせていただき、今後の国会審議における議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げ、趣旨説明にかえたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114314057X00419981005/2
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003・坂野重信
○委員長(坂野重信君) 次に、発議者衆議院議員池田元久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114314057X00419981005/3
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004・池田元久
○衆議院議員(池田元久君) 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案、預金保険法の一部を改正する法律案、金融再生委員会設置法案及び金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
まず、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案について御説明申し上げます。
昨年秋の大型金融破綻から一年近い時間が経過しようとしております。この間、我が国の金融システムに対する内外の信頼は大きく失われ、今や多くの金融機関が不良債権という重い病にかかっております。その最大の責任はもちろん政府にあります。金融機関の病のひどさを知りながら、国民に対しては症状は軽いという偽りのカルテを示し、手術はもちろんとして治療さえも満足に施しませんでした。しかも、一兆八千億円という巨額のお金をかけてまで打った高価な栄養剤は全く効き目のないものでありました。
このような状況に対応し、我が国の金融の機能の安定及びその再生を図るため、金融機関の破綻の処理の原則を定めるとともに、破綻した金融機関の金融整理管財人による管理及び破綻した銀行の特別公的管理の制度を設けること等により信用秩序の維持と預金者等の保護を確保することとし、この法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、我が国の金融の機能の安定及びその再生を図るため、新たに設置される金融再生委員会が主体となって、金融機関の破綻処理を二〇〇一年三月までに集中的に実施することとしております。その際、破綻処理の原則として、破綻した金融機関の不良債権等の財務内容その他の経営の状況を開示すること、経営の健全性の確保が困難な金融機関を存続させないものとすること、破綻した金融機関の株主及び経営者等の責任を明確にするものとすること、預金者等を保護するものとすること、金融機関の金融仲介機能を維持するものとすること、金融機関の破綻処理に係る費用が最小となるようにすることという六つの原則を掲げております。
第二に、金融機関の財務内容等の透明性を確保するため、金融機関に対して定期的な資産の査定の実施と公表とを義務づけることとしております。
第三に、金融機関が破綻した場合に、信用秩序の維持及び預金者等の保護を図るため、金融再生委員会が、裁判所の認可を受けて、当該破綻金融機関に対し、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分をすることができることとしております。
第四に、銀行が破綻した場合に、他の金融機関等の連鎖的な破綻を発生させることとなる等により、我が国における金融の機能に極めて重大な障害が生ずることとなる事態か、当該破綻銀行が業務を行っている地域または分野における融資比率が高率である等の理由により、他の金融機関による金融機能の代替が著しく困難であるため、当該地域または分野における経済活動に極めて重大な障害が生ずることとなる事態のいずれかの事態を生じさせるおそれがある場合は、金融再生委員会は裁判所の認可を受けて当該破綻銀行の特別公的管理の開始の決定をすることができることとしております。
第五に、公的資金による資本注入を認める金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律は、直ちに廃止することとしております。
次に、預金保険法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
この法律案は、破綻金融機関から営業を譲り受け、その整理を行うこと等を目的とする整理回収機構を設立し、債権の回収等の業務のほか、整理回収銀行及び住宅金融債権管理機構から引き継いだ業務を行わせるとともに、預金保険機構による破綻金融機関の営業を引き継ぐ受け皿金融機関への出資、特例業務の終了時における累積欠損金の国による負担、特定合併に係る資金援助の廃止等の措置を講ずる必要があることから、提出した次第であります。
以下、この法律案の主要な内容につきまして御説明を申し上げます。
第一に、整理回収機構は、破綻金融機関からその営業を譲り受け、及びその整理を行うこと、破綻金融機関からその資産を買い取り、及びその管理、処分を行うこと、金融機関の更生事件における管財人の職務等を行うこととしております。
第二に、整理回収機構の職員は、その債権の回収に係る業務を行う場合において必要があるときは、債務者等が所有する不動産に立ち入り、現況を確認し、その者に質問し、または帳簿等についての説明を求めることができることとしております。
第三に、整理回収機構は、整理回収銀行及び住宅金融債権管理機構の営業の全部を引き継ぎ、その業務を行うことができることとしております。
次に、金融再生委員会設置法案について御説明申し上げます。
この法律案は、金融制度及び証券取引制度について調査、企画及び立案をするほか、我が国の金融の機能の安定及びその再生を図るため金融機関の破綻に対し必要な措置を講ずるとともに、銀行業、保険業、証券業その他の金融業を営む民間事業者等についての免許及び検査その他の監督並びに証券取引等の監視に関する事務を行うため、総理府の外局として、金融再生委員会を設置する必要があることから、提出をした次第です。
以下、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、国家行政組織法第三条第二項の規定に基づいて、総理府の外局として、金融再生委員会を設置することとしております。
第二に、金融再生委員会の所掌事務及び権限を、金融制度及び証券取引制度の調査、企画及び立案をすること、破綻した金融機関の金融整理管財人による管理、破綻した銀行の特別公的管理その他金融機関の破綻の処理に関すること、銀行業の免許並びにこれらを営む者の検査その他の監督に関すること、証券業を営む者登録及び検査その他の監督に関すること、預金保険機構及び整理回収機構並びに農水産業協同組合貯金保険機構の監督に関すること、日本銀行に関すること等とすることとしております。
第三に、金融再生委員会の委員長は、国務大臣をもって充てることとしております。
第四に、国家行政組織法第三条第三項ただし書きの規定に基づいて、金融再生委員会に、金融監督庁を置くこととしております。
第五に、金融監督庁に、証券取引等監視委員会を置くこととしております。
第六に、金融再生委員会に、株価算定委員会を置くこととしております。
次に、金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について御説明申し上げます。
この法律案は、金融再生委員会設置法の施行に伴い、関係法律の整備を図る必要があることから提出をした次第であります。
以上がこれらの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114314057X00419981005/4
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005・坂野重信
○委員長(坂野重信君) 次に、発議者筆坂秀世君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114314057X00419981005/5
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006・筆坂秀世
○委員以外の議員(筆坂秀世君) ただいま議題となりました金融機能の正常化に関する特別措置法案、預金保険法の一部改正案、金融監督委員会設置法案及び金愚機能安定化緊急措置法廃止法案について、その提案理由を説明いたします。
金融機関の抱えている不良債権を、道理ある方法で解決することは、日本経済が直面している重要課題の一つであります。問題は、そのコストをだれが負担するのかという点にあります。もともと不良債権は、バブルの時期に大銀行などが土地投機など乱脈の限りを尽くしみずからつくったものであります。このツケを国民が負担させられるいわれはいささかもありません。ところが、この間、政府は、銀行の責任を追及するどころか、超低金利政策、住専処理への税金投入、三十兆円の銀行支援策など、ひたすら公的資金による銀行甘やかし策をとってきました。これが最後は国が面倒を見てくれるという銀行のモラルハザードをつくり出し、不良債権の処理をも先送りする結果となってきたのであります。
アメリカでは、商業銀行の破綻処理に際して、公的資金は一切使わず、銀行業界の自己責任原則を貫いて問題を解決しました。
日本でも、今やるべきは野方図な公的資金の投入でモラルハザードを助長することではありません。預金者保護、善良な借り手の保護、決済業務という金融機関の本来責任を自己責任、自己負担の原則で行わせることです。そうしてこそ、銀行業界に自己規律が生まれ、金融システムへの真の信頼をかち取ることができるのであります。
四法案は、以上の考え方に立脚したものであります。以下、その概要を述べます。
まず、金融機能正常化法案についてであります。
第一に、法案の目的で「金融機関の自己責任の原則にのっとり我が国の金融の機能の安定及びその正常化を図る」ことを明記し、預金者保護、善良な借り手の保護も銀行業界の自己負担によることとしています。
第二に、不良債権の実態開示についてであります。
不良債権の実態開示に当たって重要なことは、処理を急ぐべき不良債権と善良な借り手を明確に区別すること、すなわち、その融資が投機的なものかどうかを明らかにすることであります。そのため、本法案では、金融機関に対し、資産査定結果とあわせて貸付資金の使途についても金融監督委員会に報告させ、自主開示する義務を負わせるとともに、虚偽報告には厳しい罰則を科すこととしております。
第三に、破綻処理は、金融監督委員会の指導監督のもとに預金保険機構が行うこととし、破綻金融機関の営業譲渡のあっせんや営業譲渡先が未定である破綻金融機関の業務を一時的に引き継ぐ承継銀行の設立、出資をできることとしています。もちろん、その費用は銀行業界の自己負担原則を貫くこととしております。
また、預金保険法一部改正案によって、金融機関の破綻処理や不良債権処理への税金投入の仕組みをすべて廃止します。銀行の破綻処理費用は銀行業界の負担で行うべきであることから、預金保険機構の資金は保険料で賄うこととし、資金が不足すれば保険料を引き上げることで財源の充実を図ります。また、保険料率、特別保険料率を定める際には、中小金融機関に配慮することとしています。
次に、金融監督委員会設置法案についてであります。
金融監督委員会は、金融機関に公共的役割を果たさせ、貸し渋りや投機的業務など乱脈経営を許さず、金融機関と金融業界の健全な体質を確保することを主たる任務とし、そのため健全経営に関するガイドラインの策定、金融機関の検査・監督、預金保険機構の監督、金融行政に対する苦情処理等を行うこととしています。
最後に、十三兆円の資本注入策を文字どおり全廃し、それに類似した資本注入策を一切退ける立場から提出しているのが金融機能安定化緊急措置法の廃止法案であります。
以上が日本共産党提出の四法案の提案理由ですが、委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114314057X00419981005/6
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007・坂野重信
○委員長(坂野重信君) 以上で十二案の趣旨説明の聴取は終わりました。
次に、衆議院提出の債権管理回収業に関する特別措置法案、金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案、金融再生委員会設置法案、預金保険法の一部を改正する法律案及び金融再生委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、以上六案は衆議院において修正されておりますので、衆議院における修正部分について順次説明を聴取いたします。修正案提出者衆議院議員保岡興治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114314057X00419981005/7
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008・保岡興治
○衆議院議員(保岡興治君) ただいま議題となりました債権管理回収業に関する特別措置法案及び金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案に対する衆議院における修正部分につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
初めに、債権管理回収業に関する特別措置法案に対する修正につきましては、第一に、本法が金融機関等の不良債権処理が現下喫緊の課題となっている状況に対応するためのものであることを明記することといたしました。
第二に、取扱対象債権につき、原案で規定されていたもののうち、貸金業者の有する貸付債権については、金融機関系列の貸金業者が有する不動産担保つき事業者向け貸付債権に限定することといたしました。
第三に、悪質な取り立て行為を防止し、債務者の人権を擁護するとの観点から、債権回収に当たり、偽りその他不正な手段を用いることの禁止、利息制限法に違反する約定のなされた債権の回収の禁止、貸金業者から借り入れて弁済することを要求する行為の禁止、法律上支払い義務のない者に対する請求の禁止等、従来省令で規定する予定であったものなどについて可能な限り具体的に法文に盛り込むこととしてその明確化を図った上、暴力団員等の使用、白紙委任状の取得及び虚偽広告の禁止について新たに罰則を設けることといたしました。
第四に、本制度については金融機関等の有する不良債権の処理に焦点を合わせた制度としてまずは導入するものであることから、五年後をめどとして実施状況等を勘案して検討を加え、必要な措置を講ずることといたしました。
次に、金融機関等が有する根抵当権により担保される債権の譲渡の円滑化のための臨時措置に関する法律案に対する修正につきましては、第一に、我が国の金融システムの一環を構成する保険会社について、これを原案の適用対象となる金融機関等に加えることといたしました。
第二に、金融機関の資産の買い取りを行うこととなる住宅金融債権管理機構について、これを原案の適用の対象となる特定債権回収機関に加えることといたしました。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114314057X00419981005/8
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009・坂野重信
○委員長(坂野重信君) 次に、修正案提出者衆議院議員池田元久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114314057X00419981005/9
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010・池田元久
○衆議院議員(池田元久君) ただいま議題となりました各案に対する衆議院における修正部分につきまして、その概要を御説明申し上げます。衆法の五から八だと思います。
まず、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律案に対する修正について御説明申し上げます。
第一に、金融機関の金融整理管財人による管理及び銀行の特別公的管理の制度のほか、破綻した金融機関の業務承継の制度を設けることとしたこと。
第二に、金融整理管財人による管理及び特別公的管理について、裁判所の認可を受けるという要件を削ったこと。
第三に、金融再生委員会は、銀行が破綻するおそれが生ずると認める場合は、特別公的管理の開始決定をすることができること。
第四に、預金保険機構による金融機関等の資産の買い取りに関する緊急措置を設けること。
第五に、預金保険機構の業務の特例として、破綻金融機関、承継銀行、または本法の規定に基づき特例資金援助または損失の補てんを受けた特別公的管理銀行の受け皿金融機関に対し、資本注入をできることとすること。
次に、金融再生委員会設置法案に対する修正について御説明申し上げます。
金融再生委員会の所掌事務及び権限を、金融破綻処理制度及び金融危機管理に関する調査、企画及び立案をすることとし、金融制度及び証券取引制度の調査、企画及び立案をすること及び日本銀行に関すること等を削ったこと。
以上であります。
最後に、野党三会派が提出したこれらの法律案は、与野党により修正を加えられた上、衆議院で可決をされました。国会が立法府としての責任を果たし、この国会で金融再生のための道筋をつけることができるとすれば、日本発の金融恐慌は起こさないという世界に向けたメッセージが初めて説得力を持つこととなります。
どうか、委員各位の御賛同をお願い申し上げるとともに、速やかに御可決をいただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114314057X00419981005/10
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011・坂野重信
○委員長(坂野重信君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
十二案に対する質疑は後日に譲ります。
明日は午前九時三十分に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後五時二十二分散会
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