1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十年九月二十五日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第十号
平成十年九月二十五日
午前十時開議
第一 国務大臣の報告に関する件(国際連合第
五十三回総会及び日米首脳会談出席等に関す
る報告について)
第二 労働基準法の一部を改正する法律案(第
百四十二回国会内閣提出、第百四十三回国会
衆議院送付)
第三 感染症の予防及び感染症の患者に対する
医療に関する法律案(第百四十二回国会内閣
提出、第百四十三回国会衆議院送付)
第四 検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正す
る法律案(第百四十二回国会内閣提出、第百
四十三回国会衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/0
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001・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
日程第一 国務大臣の報告に関する件(国際連合第五十三回総会及び日米首脳会談出席等に関する報告について)
内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。小渕内閣総理大臣。
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/1
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002・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 私は、二十日から二十二日までニューヨークを訪問し、第五十三回国連総会において一般討論演説を行うとともに、クリントン米大統領、ブレア英首相との二国間会談を行ったほか、オペルティ国連総会議長やアナン国連事務総長とも会談いたしました。
二十一日に行った国連演説では、冷戦後国際社会が直面する課題として、二十一世紀に向けての新しい国際秩序をいかにして構築するかとの観点から、相互に関連する三つの問題、すなわち「平和」及び「開発」への取り組み、並びにこれらの取り組みに必要不可欠な国連の「改革」への取り組みを同時に推進することを訴えました。
平和の問題につきましては、核不拡散体制の強化や核軍縮の推進、対人地雷や小火器の問題等に一層の役割を果たしていくとの決意を述べ、この関連で、平和維持活動等に従事する国際機関の要員の安全確保のため百万ドルを目途に拠出することを表明いたしました。
また、紛争の根底にある貧困を初めとする経済・社会問題に総合的に対処することが必要不可欠であり、開発の問題にも一層貢献していく考え方を表明いたしました。
さらに、「改革」に関しては、これら「平和」と「開発」の問題につき、実効性ある対処を行っていくためには、普遍的国際機関である国連の機能強化が必要不可欠であり、特に今次会期中に安保理改革の枠組みに合意するよう加盟国の政治的決断を要請いたしました。
二十二日には、クリントン大統領と三時間余にわたり、初の首脳会談を行いました。極めて和やかな雰囲気の中で日米関係の重要性を再確認するとともに、今後幅広い事項につき緊密に協議していくことで意見の一致を見、大統領との信頼関係を構築することができたと思います。
また、クリントン大統領から、来年の前半に米国を公式に訪問するよう招待があり、これをお受けいたしました。
会談では、厳しい情勢下にある世界経済について、日米両国が相携えて対応することの重要性につき、意見が一致しましたが、この中で、私より次のことをクリントン大統領に伝えました。第一に、金融システム全体の包括的な安定性を揺るがさないとの決意で臨み、早急に一連の法案の成立と具体的実施を図ること、第二に、景気回復のため、総合経済対策の着実な実施に加え、第二次補正予算の編成、恒久的な減税の実施及び我が国経済の再生のために今後も適切な措置をとっていくことの重要性、第三に、規制緩和、市場開放の努力を続けることであります。
クリントン大統領は、こうした私の説明を評価し、内需主導による成長の刺激と金融システムの強化のための迅速かつ効果的な措置の緊要性を強調いたしました。
安全保障の問題に関しては、先般の北朝鮮によるミサイルの発射は、日本の安全保障に直接かかわるだけでなく、北東アジアの平和と安定にとっても極めて憂慮すべき行為であるとの認識で一致いたしました。また、この関連で、日米安保条約上のコミットメントは確固たるものであることを再確認いたしました。
さらに、ロシア、中国等の国際情勢や、コンピューター二〇〇〇年問題等、日米間の最近の協力の進展についても話し合いました。
今後とも、十一月のAPEC非公式首脳会議、公式訪米の機会をとらえ、日米間で緊密に政策調整を行っていきたいと思います。
オペルティ国連総会議長及びアナン国連事務総長との会談では、我が国として、国連を重視し引き続き積極的な役割を果たしていくとともに、できる限りの支援を行っていくことを説明し、国連改革の早期実現等につき意見を交換いたしました。
また、ブレア英首相との会談では、本年春の天皇皇后両陛下の御訪英の成功に象徴される極めて良好な二国間関係をさらに発展させること、また、現下の世界経済問題に対して、政治指導者が正面から取り組んでいくことの重要性、国連改革の早期実現に向けて日英が協力していくこと等につき意見が一致いたしました。
以上、御報告を申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/2
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003・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。松谷蒼一郎君。
〔松谷蒼一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/3
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004・松谷蒼一郎
○松谷蒼一郎君 私は、自由民主党を代表して、さきの日米首脳会談等の報告について総理に若干の質問を行います。
世界の経済が同時不況、デフレの瀬戸際に立たされ、核実験、ミサイル発射等により世界の平和が脅かされつつある中で、世界第一、第二の経済大国の首脳がこれらの重大問題についてひざを交えて協議されましたことに、全世界が大きな関心を持って見守っていたところであります。
会談の中では、強い危機感のもとでクリントン大統領から特に金融再生について具体的な要請があり、小渕総理大臣からは金融システムの安定と景気回復について強い決意を示されました。これにより、経済危機克服のため日米の緊密な協力が合意されるとともに、北朝鮮のミサイル発射が平和と安定に対する脅威との認識で一致したことは大きな成果であります。
小渕総理としては、就任後最初のクリントン大統領との会談であったわけでありますが、首脳同士の相互理解、日米協力関係が大きく前進し、さらに、大統領から総理に来年前半に公式訪米の要請があり、これを契機に両国首脳が親密な関係を一層深められんことを強く期待いたすものであります。今回の日米首脳会談の意義と成果を総理としてどのようにお考えなのか、まずお尋ねをいたします。
日本の経済は、先行き不透明感が高まり、デフレスパイラルの入り口にあるという状況にあると指摘されております。そして世界の経済においても、アジアやロシア経済の混迷が日増しに厳しさを加えつつあります。また、今まで世界の経済の牽引役であった米国経済も、最近になって株価が急落したことから先行き不透明感が出てまいりました。
政府は、日本発の世界経済恐慌は起こさないというかたい決意のもと、公共事業や特別減税を中心とした事業規模十六兆円を超える総合経済対策を既に実施し、さらに、十兆円を超える第二次補正予算と六兆円を超える恒久的減税の実施を内外に公約しているところであります。加えて、十一年の予算も十五カ月予算とし、さらに、景気対策特別枠四兆円を設ける等々、切れ目のない景気対策を行うことを決定するとともに、金融緩和の措置を行う等、現在考えられるありとあらゆる積極的な景気対策を講じてまいりました。
今回の日米首脳会談に当たり、米国から内需主導による成長刺激のため、迅速で効果的な措置が緊要であるというコメントが出されたと聞いております。総理として、どのようにこれを受けとめ対策をとろうとされているのか、お尋ねをいたします。
財政出動を中心とした景気対策のほかに、金融システム不安を解消することが事業活動を活発にし、内需を拡大するキーワードと言えます。
我が国大手金融機関の破綻は、その影響が世界に及ぶことから、日本の金融機関の破綻処理について各国の注目を集めております。特に、破綻前の処理として、米国からも適切な条件のもと、公的資金の投入を行うべきとの意見が出されたと報道されております。日本長期信用銀行の問題を初め、今まで経験したことのないようなことが今後想定され、あらゆる事態に備え対策を講じておかなければ、日本は国際社会から信頼を失うこととなります。金融機関の破綻は連鎖倒産を招き、そのことにより大量の失業者が出ます。実体経済にも大きな影響を与え、失敗の許されない対策が求められるのもこの点にあると言っても過言ではありません。
このような状況に、金融システムを早急に再生させなければ大変になるという与野党共通の認識のもと、精力的に法案の修正協議が行われ、破綻処理等のスキームが基本的に合意されました。今後は与野党の協議で実のある内容になるよう心から念じているものであります。
クリントン大統領は、日本の金融再生、特に破綻前処理についてどのような発言であったのか、具体的かつ正確にお聞かせ願うとともに、これに対し、どのように対処されるつもりなのか、総理のお考えをお伺いいたします。
総理は二十一日午後、ニューヨークの国連総会で一般演説を行われ、北朝鮮のミサイル発射問題に対し、我が国と北東アジアの平和と安定にかかわる深刻な問題として強く訴えられ、インド、パキスタンの核実験に対しても、核不拡散体制が大きな挑戦にさらされたとして非難をされました。また、唯一の被爆国である日本の首相が国連総会の場で、初めて核保有国の核軍縮の推進を強く求められたことも、国際世論の喚起のため大いに評価されるところであります。
さらに、国連改革に関して、我が国としては憲法の禁ずる武力行使は行わないという基本的な考え方のもとで、安全保障理事会常任理事国として一層の責任を果たす用意があると述べられました。この国連の演説において、総理は、世界平和に日本がイニシアチブを発揮する決意を示されたと受けとめておりますが、常任理事国入りに強い意欲を示されたことや、北朝鮮に対する四者会談を拡大して、日本、ロシアも含めた六者会談とするようクリントン大統領に提唱されたことも含め、小渕外交が世界の平和と安定にいかに貢献されようとしているのか、改めてお聞きをいたします。
日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2では、北東アジアの安全保障問題初め、日米の安全保障協力等について意見交換がなされ、特に、北朝鮮のミサイル発射問題について、この地域に対する重大な脅威であるという共通認識のもとで、北朝鮮に対しミサイルの発射、開発、配備、輸出等を行わないよう働きかけること、弾道ミサイル防衛、BMDの共同技術研究を実施する方向での作業の推進を行うこと、日米防衛協力に関するガイドラインの実効性確保への取り組みを図ること等について合意に達したようにうかがわれます。特に、専守防衛を国是とする我が国の安全が脅かされないために、相手にすきを与えることのないような体制が急がれており、BMDの共同技術研究の推進について、政府内等の調整が早急に進められるよう望むものであります。
KEDOへの資金協力については、日米間の立場の相違がまだかなりあるようにうかがわれますが、朝鮮半島、特に北朝鮮への対応は、日米韓の三国が一層緊密な連携を強めて、危険な事態を未然に防止していかねばなりません。
2プラス2でのこれらの成果、課題に沿って、我が国として早急に実行に移すことが肝要ですが、ガイドライン関連法制の早期成立、BMDの共同技術研究等にどのように取り組んでいかれるのか、総理にお伺いをいたします。
特に、防衛庁においては、一連の不祥事で国民の信頼を失っている中で、このような重大な課題に取り組まなければなりません。そのためには、早急に真相を明らかにし、国民の信頼を回復するよう対処していくことが不可欠であります。あわせてこの点について御答弁を求めます。
臨時国会の会期も残すところ十日余りとなりました。内外から一日も早い成立が待たれている金融再生関連法案も、いまだ衆議院での修正協議の段階にあります。このほか多くの重要法案がメジロ押しであり、この緊急事態に、国会は党利党略を超え、国民生活の安定、金融システムの再生、不況の克服に真剣に取り組むべきことを強く訴えて、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/4
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005・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 松谷蒼一郎議員にお答え申し上げます。
今回の日米首脳会談の意義と成果についてということでございますが、この会談そのものは極めて和やかな雰囲気の中で、クリントン大統領と三時間余にわたりまして極めて充実した会談が行われたと思っております。先ほど御報告申し上げましたように、日米関係の重要性をお互い確認し合うということが最大の目的であったと思っておりまして、そうした意味で、大変幅広く意見が交換できたことを喜んでおります。大統領から、先ほど申し上げましたように米国を訪問するようにという御招待がございまして、こうした両国の首脳の交流をさらに緊密化いたしまして、信頼関係を構築いたしてまいりたいと考えております。
次に、この会談の主要な目的は実は経済の問題でございまして、お尋ねの中にもありましたように、日本とアメリカで世界のGDPを合わせますと四割になろうとする国でございまして、この二つの国がしっかりとした連携をとってまいることが現下言われております世界経済の低迷を乗り越える大きな力になると、こう認識をいたしまして、我が国としての立場も十分御説明を申し上げてきたつもりでございます。
従来から政府といたしましてとってまいりました総合経済対策、これにつきましても若干時間がおくれておりますけれども、この秋口から必ず効果が発揮できるものと考えておりますし、また、かねて来申し上げておりますさらなる補正予算、あるいはまたグローバルな世界の中で、先進国が税制におきまして所得課税あるいは法人課税というものにつきまして、我が国の税制がややそうした国々と差異があるというふうなことも国際的に近づけていかなきゃならぬ、そういうことで抜本的な税制改正も行ってまいること等も申し上げました。
また、経済戦略会議、これはアメリカのCEAの例を我々も参考にさせていただきながら、緊急にこの経済問題に対して国民の将来に対していろいろの施策を講ずるために、多くの識者の意見も聞いて対応するということも申し上げた次第でございます。
次に、金融再生の問題でございますが、クリントン大統領は、米国を含む多くの国における歴史的経験にかんがみまして、すなわち一九八〇年代におきまして米国もSアンドLの破綻その他におきまして非常に苦労をされたわけでございまして、そういう中で大きな金融機関の極めて危機的状況ではありましたが、これを国の協力によりまして破綻を避けてきたというような歴史的な経験を御披露されました。日本の金融機関、金融当局が存続可能な銀行を適切な条件のもとで、十分な額の公的資金によって支援する必要性も強調されました。
これに対しまして、私からは大統領にお伝えをいたしましたが、政府としては金融システム全体の包括的安定性を揺るがさないとの決意で臨んでおりまして、早急に一連の法案の成立と具体的実施を図ることが重要である旨申し述べ、理解をされたと認識をいたしております。
次に、世界の平和と安定への貢献についてでございますが、我が国といたしましては、紛争や貧困などの解決に貢献することはもとより、これに大きな役割を果たすべき国連の改革にも真剣に取り組み、この改革された国連の中で安保理常任理事国として一層の責任を果たしていく用意があるということを申し述べました。
御案内のとおり、この問題につきましては、我が国の国連における分担金の額から申し上げても、あるいは果たすべき大きな役割につきましても、安保理の常任理事国としてさらなる国際的責任を果たしていきたいということでございますが、国連におきましては、我が国並びにドイツ等につきまして、当然理事国入りについては何らの反対はないと承知をいたしておりますが、国連も百八十五の国がございます。それぞれの思惑もございまして、現時点におきましてはなかなか難しい状況でありますが、特にアメリカに対しましても、この点につきましてはぜひ協力をしていただくべく、私からもこの点について強く要請をいたしたところでございます。
次に、北朝鮮のミサイル発射についてのお尋ねでございましたが、日米安全保障協議委員会におきまして、今回の発射が日米両国の安全保障及びこの地域に対する重大な脅威であるとの認識を再確認した旨報告を受けております。
今後の対応としては、米国と相互に協力しつつ、北朝鮮に対し、ミサイルの開発、発射、輸出等を行わないよう種々の場で働きかけていく考えでございますが、なかなか北朝鮮を相手にいたしておりますいろいろ外交につきましては困難な点がございますが、米国といたしましては、いわゆる米朝会談、これが一応の成果を見たわけでございまして、さらに関連する四カ国の会合もまた再び開かれる可能性がございます。
日本といたしましては、この北東アジアの安全ということを考えますと、周辺であるロシア、そして我が国もこの問題については深い関心を寄せざるを得ませんので、私といたしましては、すぐすぐこの六カ国が集まるということは現実問題としては大変難しいとは思いまするけれども、できる限り早い将来におきましては、北東アジアの安全と安定を図るためには、そうした国々がお互い十分話し合う機会もこれから設けていくことが重要であるという考え方も申し上げたところでございます。
次に、周辺事態安全確保法案等についてでございますが、この法律案並びに自衛隊改正法案及び日米物品役務相互提供協定改正協定につきましては、閣議決定をして国会に提出をいたしておるところでございます。政府としては、我が国の平和と安全にとって重要なこれらの法案や協定が国会で御審議を早期にされ、成立または承認されることを心から期待いたしておるところでございます。
次に、弾道ミサイル防衛に関するお尋ねでありました。
先般の日米安全保障協議委員会、すなわち2プラス2では、共同技術研究を実施する方向性を示し、そのための政府部内での調整を含めた作業を今後進めていくことを示したとの報告を受けております。
いずれにせよ、政府としては、共同技術研究の着手を決定したわけではありませんが、本件は我が国の防衛政策上も日米安保体制の運用上も重要な課題であると認識をいたしており、今後適切に対処いたしてまいりたいと思っております。
以上、答弁とさせていただきます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/5
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006・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 齋藤勁君。
〔齋藤勁君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/6
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007・齋藤勁
○齋藤勁君 私は、ただいまの小渕総理の国際連合第五十三回総会及び日米首脳会談出席等に関する報告について、民主党・新緑風会を代表して質問をいたします。
今回行われた小渕総理就任以来初の日米首脳会談は、世界じゅうの人々やマーケットから注目をされていましたが、米国の新聞の論調は、来年前半にまた会うことと、両首脳がお互いをファーストネームで呼ぶことを決めたにすぎず、経済問題は何一つ解決していないとか、日本に経済的災禍を解決する能力があるとは楽観的になれないことがはっきりしたとか、日本は何も新しい提案を示さなかったとか、残念ながら情けないまでに皮肉とあきらめに満ちております。先ほどの総理の報告が余りにも、率直に申し上げまして楽天的と申しますか、自画自賛にあふれているんではないか、危惧の念を抱かざるを得ません。
さて、十八日の党首会談において、総理は長銀問題について、野党三会派の金融再生法案で言う「特別公的管理等」で対処することを確認されました。民主党としては、長銀は特別公的管理に移した上で、住友信託銀行との合併ではなく営業譲渡・整理することと、現在長銀が画策している日本リース等に対する債権放棄は認められないことを主張して与野党合意に至ったのです。にもかかわらず、党首会談の翌日から、「特別公的管理等」をめぐって誤った解釈を確信犯的に述べる自民党幹部がおられることは大変残念なことであります。
また、総理御自身もニューヨークでこの問題に触れられ、長銀に公的資金を投入し、破綻させないで住友信託と合併させる旨発言されたと報道されています。さらに、昨日の衆議院本会議における答弁では、長銀は新しい特別公的管理の枠組みのもとで対処することと、住友信託銀行との合併構想に対する期待を表明されました。
端的に伺いますけれども、これは長銀を破綻と認定しないままに、一時国有化した上で住友信託と合併させるスキームを念頭に置いての発言でしょうか。もしそうであるならば、さきの党首会談における合意を踏みにじり、与野党間の信頼関係を損なうものであります。我々としては断固容認することはできません。この間の経緯も含めて、改めて総理の明確な見解をお伺いいたします。
また、いわゆる財金分離の完全実施と金融行政の一元化に関しても党首会談で合意をいたしましたけれども、これについても、金融危機管理・破綻処理部門は大蔵省に残すといった発言が与党幹部の間から聞かれました。それどころか、昨日の衆議院本会議では、総理自身の口からも、財政と金融の分離等に関する問題につきましては、中央省庁等改革の枠組みの中で、金融庁の設置により対処すると、党首会談の合意から大幅に後退した発言が聞かれました。総理の発言は財金分離の完全実施からはほど遠い内容であり、この点についても与野党合意をほごにするもので看過できません。あわせて総理の明確な説明を求めます。
次に、日米首脳会談における金融システム安定化に関する議論についてお尋ねをいたします。
クリントン大統領は、存続可能な銀行を適切な条件のもと、十分な額の公的資金で支援する必要があると発言されたと報道されております。また、サマーズ財務副長官も、公的資金の投入は不可欠だとの認識を示しながらも、安直な銀行救済にならないよう、慎重に注入する必要があるとの条件をつけております。こうした米国サイドの発言は、決して公的資金による銀行救済のための資本注入を認めているものではないと考えます。総理はどう理解されているのか、伺います。
また、総理は、金融システム全体の包括的な安定性を揺るがさないとの決意を表明されましたが、これは大手十九行を破綻させないという意味でしょうか。野党案の特別公的管理によれば、金融システム全体の包括的な安定性を揺るがせないで管理された破綻処理を行うことは十分可能です。このことを総理が一刻も早く御理解なさることを望んでおります。
さて、このようなとき、昨日、大蔵省汚職事件で収賄罪に問われていた宮川被告に、東京地裁は懲役二年六カ月、執行猶予三年、追徴金八百十一万円の有罪判決を言い渡しました。大蔵省金融証券検査官室長という金融検査の最前線にいた被告に対する有罪判決に総理がどのような感想をお持ちか、お伺いいたします。
次に、北朝鮮のミサイル発射問題が日本の安全保障及び北東アジアの平和と安定に極めて憂慮すべき行為との日米首脳間の認識については、我々も同じく共有するものであります。北朝鮮が発射した物体の性格にかかわらず、北朝鮮のミサイルが日本の安全保障にとって重大な要素であることは言をまちません。このミサイルに対する外交的、軍事的抑止を日本政府としてどのように考えているのか、総理の考え方をお伺いいたします。
ところで、去る二十日、日米安全保障協議委員会は弾道ミサイル防衛、BMD構想に関して、調査段階から格上げして共同技術研究を実施する方向で作業を進めていく旨を合意していますが、BMDには予算上の問題だけでなく、技術的信頼性、外交、軍事関係への影響など検討すべき課題が山積をしております。国会等での議論もなく、北朝鮮のミサイルまたは人工衛星発射直後の混乱の中で、2プラス2における事実上の合意を行ったことについては早計の感を免れません。
政府は、今回の2プラス2は方針に関する仮合意であり、最終的なものではないと強調されておりますが、仮の方針にしても、日米外務、防衛の大臣による共同発表文書をまとめた意味は無視できません。総理、共同技術開発の方針に合意した理由について明確にお答えください。
次に、こうした重大な安全保障上の問題に取り組むためには、防衛庁・自衛隊の組織がしっかりしていることと、それに対する国民の信頼が確立されていることが大前提であります。しかし、その国民の信頼も、今般の防衛庁部品調達にかかわる防衛庁幹部の背任事件で次々とその内容が明らかになるにつれ、全く失われてしまったと言っても過言ではないと思います。徹底した真相究明や再発防止策、綱紀の粛正を求めるものであります。
それにはまず、総理が防衛庁・自衛隊トップの長官の更迭を行うべきであります。事件の解明等は新しいトップのもとで行ってこそ意味のあるものであります。この点について総理の見解を求めます。
次に、総理は首脳会談で、日米特別行動委員会、SACO最終報告の内容が依然実現していないことを遺憾に思うと述べられていたようであります。沖縄米軍基地の整理、縮小、移転問題については、橋本前総理のもとで地元沖縄県の理解を求めることに失敗し、むしろ中央政府と沖縄県、沖縄県民との間に溝をつくったまま今日に至っていることこそ大変残念であります。総理が、就任以来今日まで、沖縄基地問題の解決のためにどのようなイニシアチブをおとりになったのか、お尋ねいたします。
次に、沖縄県とのコミュニケーションを今後いつまでにどのような形で改善しようと考えているのか、普天間の代替地として名護沖のヘリポート以外に県内、県外を問わず代替案を米国と交渉する用意があるのか、ぜひ明確な言葉でお答えいただきたいと思います。
さて、クリントン大統領と小渕総理は、日米関係ほど重要な二国間関係はないことを確認されております。我々も日米関係は日本外交の基軸であると認識をしており、それ自体は非常に結構なことであります。しかし、日本を取り巻く安全保障環境や外交環境は激変をしており、日米関係の観点からのみ日本外交を組み立てるのはいささか無理になってきているのも事実であります。
日米防衛協力の指針に言う周辺事態についても、事実上米国との協議で決まる以上、米国の外交スタンスによってはある紛争や事態が周辺事態になったりならなかったりします。総理は衆議院で、ガイドラインは特定の国、地域を対象にしているものではないから、米中関係はガイドラインとは関係がない旨答弁をされておりますが、外交と防衛は表裏一体なのであります。いま一度、米中関係が日米ガイドラインに与える影響について、総理の見解を求めます。
冒頭にも申し上げましたように、日本の金融システムの安定、強化は、日本はもとより世界じゅうが注目している喫緊の課題であります。一方、法案の重要性にかんがみ、当参議院においても十分な審議が不可欠なことは言うまでもありません。現在のペースで十月七日の会期末までに金融法案が成立するかどうか、率直に私としては危惧の念を持たざるを得ません。
総理はよく、私のリーダーシップでとか、スピーディーにとか、その言葉をお使いになります。総理、真に緊急性の認識を持っているのであれば、与野党党首合意の基本線に速やかに戻るべきであります。昨日行われた与野党間の折衝では、与党の政策責任者から、党首会談で合意した以外の項目について修正案の提示があったと聞いております。このような態度は法案の早期成立に障害となるものであり、総理・総裁として現場に明確な指示をされることを望みます。この点も含め、金融法案処理に関する総理の熱意のほどを伺って、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/7
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008・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 齋藤勁議員にお答え申し上げます。
まず、長銀問題でございますが、長銀問題につきましては、今般の与野党合意におきまして、これに適用できる特別公的管理の枠組みを早急に確定し、新しい法律で規定した上で対処することとされておりまして、政府といたしましては、新法が成立し、新しい利用可能な枠組みのもとで対処することを望んでおります。
この具体的な枠組みにつきましては、今後、与野党の政策責任者間で検討されるものと理解をいたしておりますが、いずれにいたしましても、長銀につきましては、住友信託銀行との合併構想が我が国金融システムの安定と国民経済の円滑な運営に資することを強く期待いたしておるところでございます。
財政と金融の分離に関する問題につきましては、各党との一連の話し合いにおきまして、中央省庁等改革の枠組みの中で、金融庁の設置により対処することとし、次期通常国会終了までに必要な法整備を行うとの趣旨であると理解いたしておるところでございまして、後退であるという考え方は当たらないと思っております。
日米首脳会談における公的資金に関する議論についてのお尋ねもございました。
クリントン大統領は、存続可能な銀行を、適切な条件のもと、十分な額の公的支援によって支援する必要性を強調され、私は、金融システム全体の包括的な安定性を揺るがさないとの決意で臨んでおると応じたところでございます。また、大統領と私は、日本が不良債権処理を加速し、金融にかかわるディスクロージャーを向上させ、監督体制を強化し、預金者保護を図りつつ金融システムを再建することの重要性について合意をいたしました。
金融システムの安定化についてもお尋ねがありましたが、金融機関の破綻が経済に対して与える悪影響やコストも踏まえ、適切に対処していくことが重要であり、いずれにいたしましても、金融システム全体の包括的な安定性を揺るがさないとの決意で臨んでまいりたいと思っております。
次に、金融検査の最前線にいた職員に有罪判決が言い渡されたことについてでございますが、金融行政の公正性に対する信頼を確保していくため、金融機関等に対する検査・監督に従事する職員には高いモラルの保持が求められているものと考えております。判決の重みを厳粛に受けとめ、引き続き綱紀の厳正な保持に万全を期してまいりたいと考えております。
次に、外交問題でありますが、北朝鮮のミサイル発射についてお尋ねがありました。
これは日本のみならず北東アジアの平和と安定にとって極めて憂慮すべき行為であり、この関連で、日米安保条約上の双方のコミットメントは確固たるものであることを今般の日米首脳会談で再確認いたしたところでございます。また、あわせまして、北朝鮮に対し、これ以上のミサイル発射、開発及び輸出を行わないよう、種々の場において働きかけていく旨確認をいたしました。
弾道ミサイル防衛、BMDに関する質問でございますが、先般の日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2では、共同技術研究を実施する方向性を示し、そのため政府部内での調整を含めた作業を今後進めていくことを示したと報告を受けております。いずれにせよ、政府としては、共同技術研究の着手を決定いたしたわけではなく、今後、本研究を実施する場合の予算に関連する防衛庁の作業等も含め、適切に対処してまいりたいと考えております。
防衛装備品の調達をめぐって国民の信頼を失墜させる事態が生起したことにつきましては、心からおわびいたします。今後、事実関係を徹底的に究明するとともに、再発防止に向け、調達の仕組みの抜本的改善と綱紀の保持に全力で取り組み、国民の信頼を早期に回復することが防衛庁長官として最大の責務であると考えております。
沖縄の基地問題についてお尋ねでありますが、本問題は内閣の重要課題であり、SACOの最終報告の内容を着実に実施することが問題解決のため必要と考えております。
また、前内閣のもと、知事と会う以上は問題解決に資するものにしたいとの国の考え方を伝えまして、県より知事も同じ意向との考えが示されたと承知をいたしており、私といたしましても、具体的、建設的な話し合いを持つことができればと考えておるところでございます。
普天間の飛行場の返還に必要な代替ヘリポートにつきましてのお尋ねでありますが、海上ヘリポート案は、海兵隊の運用特性や地元から表明された種々の懸念を念頭に置きながら、沖縄県の負担をできる限り軽減しつつ普天間飛行場の返還を実現するため日米間で最大の努力を行った結果であり、この案が最良の選択であると考えております。
いずれにいたしましても、これまでの経緯等も踏まえつつ、今後本問題につきましては県内におきましてどのような議論がさらに展開されるか、こうした点も十分関心を持って見守りつつ、真剣に取り組んでまいりたいと考えております。
米中関係と指針についてのお尋ねがありました。
ある事態が周辺事態に該当するか否かにつきましては、日米両国政府がおのおの主体的に判断をいたすことであることは申し上げるまでもありません。また、重ねて指針は特定の地域における事態を議論して作成したものでございません。したがいまして、米国と中国との関係いかんによって指針が影響を受けるということではありません。
最後に、金融法案処理に関する熱意についてお尋ねがございました。
金融システム全体の包括的な安定を揺るがさないとの決意で臨み、早急に一連の法案の成立と具体的実施を図ることが重要であると考えておりまして、このため全力を尽くしてまいりたいと思っております。
リーダーシップその他大変御批判をちょうだいいたしましたが、私もこの国会におきまして与野党とも本問題に対しての認識はひとしくしておるものと考えております。したがいまして、現下、各党間の話し合いを積極的に見守っておるわけでございまして、私の本問題に対する解決に対する熱意はいささかも衰えておるものでないことを申し上げて、御理解をいただきたいと思っております。
以上、お答えといたします。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/8
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009・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 益田洋介君。
〔益田洋介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/9
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010・益田洋介
○益田洋介君 私は、公明を代表して、小渕内閣総理大臣及び宮澤大蔵大臣に質問をいたします。
去る二十三日未明の日米首脳会談の最大のテーマであった我が国の金融経済問題に関し、総理は、橋本前政権の政策を大転換して景気対策に取り組むと発言されました。日米両国の国民の多くの方は、一体これはどういうことなのかと驚いたのではないかと私は考えます。
総理は、橋本前政権の中枢閣僚として、財政構造改革路線や消費税率の引き上げなどを推進してきた当事者でございます。したがって、前政権の政策は誤りであったと言うのであれば、みずからが主体的に参画した政策に誤りがあり、みずからも前政権の失政に加担したことを意味することになるわけです。総理のこの点に対する御見解をお伺いしたい。
次に、ただいま懸案であります金融再生法案に関する論議についてでございますが、今回の会談で、大統領が総理に冒頭要求いたしました存続可能な銀行に対する十分な額の公的資金の投入という文言は、まさに長銀問題への対応について言っているものであります。総理は、既に与野党間の合意で公的資金投入は行わない旨約束した上で訪米いたし、会談に臨んだことなどを的確に米側に伝えたのかどうか甚だ疑わしい。それとも、アメリカ側からこうした要求を突きつけられれば、野党三党首と昨日交わしたばかりの合意など、即座に撤回しても構わないというふうにお考えなのか、その真意をお伺いしたい。
次に、長銀の破綻前処理については、現在このようにしてさまざまな論議があるわけですが、いずれにいたしましても、その際、国民の皆様の理解を得るためには十分なディスクロージャーがなされなければならないことは火を見るより明らかでございます。
長銀は金融債を発行して資金調達を行っているわけでございますが、昨今の状況から毎月の発行残高は低下しております。平成八年では毎月一兆円前後の発行を行っていたわけでございますが、本年になりましてからは二千四百億円前後となっております。
こうした経緯の中で、長銀の金融債を今でも大量に買い続けてくれる優良な顧客がおるわけでございますが、それは大蔵省理財局資金運用部であると言われているわけでございます。資金運用部の資金は、郵便貯金、厚生年金、国民年金などの国民の財産がもとになっている。もしこうした資金で長銀の金融債を大量に買い付けていることが事実であるとすれば、既に国民の目の届かないところで長銀救済を目的として政府は公的資金の導入をしていることになるわけでございます。
大蔵大臣はこの事実をお認めになりますか。事実であるとすれば、金額はいかほどか、どのような種類の金融債を買っているのか、国民の前に明らかにすべきであると私は考えますが、いかがでございますか。
NTTドコモは、十月二十二日、NTT政府保有株の第四次放出として東証一部に上場される予定となっております。この一週間ほど、総理の周辺の人物がNTTドコモの未公開株を保有していることが問題になっております。
その人物とは、総理の実兄で群馬県中之条町長でもある小渕光平氏、そして総理秘書官の古川俊隆氏であり、小渕光平氏が二百七十株、古川俊隆氏が百三十五株と言われております。十月十二日、ブックビルディング方式で決められる公開価格は、ドコモの算出見込みによりますと、一株三百万円と見込まれているものでございます。このことはそれぞれ小渕光平氏が八億円、古川俊隆氏が四億円の株を保有していることになりますが、未公開株でもうけるといった構図が総理の直近の直近たる人物であるということはいかがなものでございましょうか。十年前のリクルートコスモス社の未公開株の店頭登録前譲渡事件をほうふつとさせる状況と私は判ぜざるを得ないが、この際、総理に事実関係をきちんと説明していただきたい。
一九五二年、当時大蔵大臣であった故池田勇人元総理の肝いりで設立をされた日本長期信用銀行と宮澤大蔵大臣は深い関係を保持されてきたと一般には認識をされております。
ちなみに、広島県福山市に本社を有する常石造船という中堅企業は、長銀から相当な融資を受けてきた経緯があります。この企業は宮澤大蔵大臣のいわばスポンサーであり、選挙では会社ぐるみの応援をしているということでございます。仮に長銀が破綻をいたしますと、当然のことながらこの企業も多大な影響をこうむるわけでございまして、宮澤大蔵大臣の支持基盤が崩れるということになる。また、同社は長銀から一九八七年と八九年に二回にわたり計十六億円に及ぶ融資を受けていますが、これら融資の担保は大蔵大臣の自宅の土地であるとされている。大蔵大臣はこの事実をお認めになりますか。
先日、私は欧州のある国の公使と対談をいたしましたが、去る十九日、三野党党首との間で金融再生法案という懸案の、国家としての当面する最重要事項の修正について合意を見ておきながら、その舌の先が乾かないうちに合意の根底が覆されるような状況を生じしめるという成り行きを見せつけられ、日本の総理として当事者能力に乏しく、指導力が欠落しているのではないか、世界経済の危機に対する認識が本当にあるのかどうか、一国の外交をあずかる立場からこの公使はそのように不安感を吐露しておりました。
私も残念ながらその意見には全く同感でありまして、就任間もないことで申しわけないのでございますが、小渕総理に一刻も早く退陣していただくことが日本の経済を救済する唯一の道であるということを強く主張いたし、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/10
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011・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 益田洋介議員にお答え申し上げます。
まず、日米首脳会談における我が国の経済政策についての説明に関するお尋ねでございました。
私は、大統領に次のように説明し、理解を得たところでございます。すなわち、橋本内閣から私の内閣を引き受けるに当たり、この内閣を経済再生内閣と位置づけ、これまで経済再生に向け果断に取り組んできたところであります。具体的には、財政構造改革を推進するという考え方は守りつつも、まずは、景気の回復に全力を尽くすため、財政構造改革法はこれを凍結することとし、これを前提に十年度第二次補正予算と十一年度予算を一体のものとして編成することといたしており、また、六兆円を相当程度上回る恒久的な減税を実施することといたしました。
このような日本側の施策について説明し、アメリカとしてもこれを多とするということで御理解をいただいたものと考えております。
橋本内閣時代の閣僚でなかったかという御指摘でございます。
橋本内閣としての六大改革の推進につきましては、当時、私も外務大臣としてというよりも国務大臣としての責務は負っておったことは理解をいたしております。その反省の上に立ちまして、私は政策の大転換を図る決意をし、自由民主党の総裁候補に立候補し、当選し、かつ本国会の指名を受けて総理大臣になったわけでございますので、私といたしましては、新たなる観点に立ちまして、日本経済再生が今や喫緊の課題であるという考え方に立ちまして、この内閣をそのように命名し、かつその実効性を期しておるところでございますので、何とぞ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
長銀問題への対応についてのお尋ねでありますが、米国における首脳会談で、長銀問題を含めまして個別銀行の話は行われませんでした。
なお、この問題につきまして、今般の与野党合意において、これに適用できる特別公的管理の枠組みを早急に確定し、新しい法律で規定した上で対処することとされております。政府といたしまして、新法が成立し、新しい利用可能な枠組みのもとで対処することを望んでおります。この具体的な枠組みにつきましては、今後、与野党の政策責任者間で検討されるものと考えております。
ブレア首相との会談におきまして、金融経済問題についてお話がありました。
会談では、日本及び世界の金融経済問題を含めまして、日英両国が共通の関心を持ってさまざまな問題について話し合いを行いました。英国を含む主要国との間で、経済政策や安全保障にかかわる問題について、引き続き時宜にかなった意見交換を行うよう努めてまいる考えであります。
北朝鮮のミサイル発射の対応についてでございますが、お尋ねがなかったようでございますので、お答えは省かせていただきたいと思います。
次に、私の兄と秘書官が通信会社の株式を保有していることについてのお尋ねは確かにございました。
私の兄と秘書官からの報告を受けているところによりますれば、本通信会社の株式保有の経緯といたしまして、昭和四十七年に設立をされましたこの会社の前身のまたその前身に当たるポケットベル委託会社の設立の際、地元経済界の皆さんからの御要請もありまして株主になり、いずれも長期間にわたりこれを保有しておったということでございまして、当時ほとんどこの会社は利益が上がらない、したがって、配当のない会社として長きにわたって存続したようでございます。
したがいまして、また、その取得経緯につきましても、何ら不適切なことはなかったと承知をしておりまして、議員おっしゃられるように、一般的に株式公開前に株式を取得して、それを売却しその利益を得ようとするような行為は行わなかったということにつきましては、これを御理解いただきたいと思っております。
なお、私自身のリーダーシップについてのお尋ねもございました。特に、現在各党間で行われております協議につきましてでございますけれども、私はむしろ国会、すなわち各党間でこうした問題について十分話し合いをすることこそ、実は私も自由民主党の総裁として、自由民主党、与党として法案を提出いたしておりますが、がむしゃらに法律を通すということよりも、与野党間で十分話し合ってよりよきものを目指すということを私が指示することの方が、むしろ私にとりましてはリーダーシップであると、そう考えておりますので、御理解をいただきたいと思う次第でございます。
以上、御答弁申し上げる次第でございます。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/11
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012・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 資金運用部資金の運用についてお尋ねがございましたが、資金運用部資金の運用対象は、資金運用部資金法第七条におきまして個別に列挙されております。その中には、国債等と並びまして金融債も運用対象として掲げられております。
資金運用部の資金の中で、財政投融資計画に充てられていない五年未満の資金の短期の運用対象として、本年八月末現在、約二兆五千七百億円の金融債を保有しているところであります。これは各種の金融債の総額でございますが、どの金融債を幾らということは市場への影響も考えられますことから、一般に公表いたしておりませんので、御了承をお願い申し上げます。
次に、私の郷里の造船所に対する長銀融資についてのお尋ねでございますが、問い合わせましたところ、御指摘の会社は現在長銀から融資を受けておりません。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/12
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013・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 山下芳生君。
〔山下芳生君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/13
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014・山下芳生
○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、総理の訪米報告に対する質問をいたします。
初めに、金融問題について伺います。
最近の世論調査でも、九割近くの国民が日本長期信用銀行への公的資金投入に反対と答えています。中小企業に貸し渋る銀行をなぜ税金で助けるのか、長銀の乱脈経営のツケをなぜ国民が負担するのか、これが町にあふれる国民の声であります。
ところが、日米首脳会談で総理は、クリントン大統領に存続可能な銀行を十分な額の公的資金で支援すべきだと要求され、金融システムの安定性を揺るがさない決意で臨むと答えたといいます。総理、大統領の言う存続可能な銀行とは何を指しているのですか。総理は、存続可能、すなわち生きている銀行にも資本注入するよう求められたのではありませんか。そして、それにこたえるということは、十三兆円の資本注入スキームを形を変えて残すということではありませんか。答弁を求めます。
また、総理は、存続可能な銀行に今最大の焦点となっている長銀も含まれると認識しているのですか。
昨日の衆議院本会議で、総理は、長銀と住友信託銀行との合併構想について強く期待していると述べました。しかし、宮澤蔵相は、長銀は資本注入しなければ破綻すると国会で答弁しています。破綻すれば合併はできません。したがって、総理の期待どおり長銀と住信を合併させるためには、長銀への公的資金の投入が不可欠ということになると思いますが、いかがですか。それとも、公的資金投入なしの合併も可能と考えるのですか。
この際、世論に逆らう銀行支援のための公的資金投入はきっぱりとやめ、銀行業界の自己責任、自己負担の原則こそ明確に貫くべきであります。
次に、景気対策について伺います。
戦後初めてGDPが三期連続マイナス成長となり、家計消費支出も九カ月連続前年割れとなるなど、消費不況はますます深刻になっています。
ところが、小渕内閣はこの二カ月、銀行支援には熱心でしたが、国民の消費拡大には全く手を打ちませんでした。その責任は重大であります。七兆円減税構想も、納税者の八、九割がことしより増税となり、消費拡大にはつながりません。いわゆる十五カ月予算も、ことしの経済白書がバブル崩壊後需要拡大効果が顕在化しなかったとしている公共事業の拡大を中心とする対策であり、消費拡大効果は期待できません。事実、これらに対する市場の反応も否定的ではありませんか。
総理は、日米首脳会談で、日本経済の再生のために今後も適切な措置をとると約束しましたが、一体どんな措置をとるのですか。またもや公共事業の上積みですか。消費拡大に効果のない従来型の対策ではなく、今こそ、毎日の売り買いの現場で重くのしかかる五%の消費税をせめて三%に戻すこと、社会保障の充実や雇用対策などで国民の将来不安を取り除くこと、そして中小企業の営業と農家の経営を支えることを断行すべきであります。総理があくまで消費税減税を拒否するなら、ほかに消費拡大に直接結びつくどんな有効な手段があるというのですか。答弁を求めます。
最後に、日米安保協議委員会で共同技術研究が合意されたTMD、戦域ミサイル防衛構想についてであります。
TMDは、相手国から飛んでくる弾道ミサイルを迎撃ミサイルで撃ち落とすという構想であります。しかし、これは決して日本の安全を守るための構想ではありません。国防総省が、米軍が展開、移動、交戦の際に自由に行動することを可能にすると強調しているとおり、米軍の自由な軍事行動を保障することに最大の目的があります。だからこそ、中国外務省高官も、軍事的な優位を図り、地域の安定を破壊する行為であり反対すると述べているのであります。北朝鮮のミサイル発射問題を口実にして日本がTMD共同研究に踏み出すことが、北東アジア地域の軍事的緊張をかえって高め、軍拡競争の悪循環をもたらすことになるのは明白ではありませんか。答弁を求めます。
TMDは専門家の間でもその実現可能性を疑問視する声が少なくありません。しかも、日本には兆円単位の費用分担が求められるとされています。財政危機を理由に国民負担増を強要する一方で、技術的に完成するかどうかわからない構想に巨額の税金を注ぐなどもってのほかであります。ましてや、背任事件で国民に多額の損害を与えた防衛庁が、その解明もしないままこの構想を進めることは、莫大な税金のむだ遣いとなるだけであり、言語道断であります。総理並びに防衛庁長官の認識を伺います。
総理は、首脳会談でガイドライン関連法案の早期成立を約束したとされています。しかし、それはアメリカの無法な軍事干渉に日本を自動的に参戦させる仕組みづくりであり、さきの参議院選挙で示された民意に背いて発足した小渕内閣が、こうした危険な道を突き進むことは絶対に許されません。憲法の平和原則に基づく平和外交の積極的展開こそ二十一世紀の日本が進むべき道であります。ガイドライン法案の撤回、TMD共同技術研究への参加中止を強く求めて、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/14
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015・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 山下芳生議員にお答え申し上げます。
まず、クリントン大統領の言う存続可能な銀行は何を指しておるのか、こういうことでございますが、日米首脳会談におきましてクリントン大統領は、存続可能な銀行を適切な条件のもと、十分な額の公的資金によって支援する必要性を強調されましたが、具体的な問題に言及されたわけではありません。
いずれにしても、政府としては、金融システム全体の包括的安定性を揺るがさないとの決意で臨んでまいりたい、このように考えております。
存続可能な銀行に長銀も含まれるかどうかということでありますが、首脳会談では、長銀問題を含めて個別銀行の話は行われておりません。
なお、長銀につきましては、住友信託銀行との合併構想が我が国金融システムの安定と国民経済の円滑な運営に資することを強く期待いたしておるところでございます。
長銀への公的資金の投入についてお尋ねがありました。
長銀の問題につきましては、先般の与野党合意におきまして、これに適用できる特別公的管理の枠組みを早急に確定し、新しい法律で規定した上で対処することとされており、政府としては、新法が成立し、新しい利用可能な枠組みのもとで対処することを望んでおります。この具体的な枠組みにつきましては、今後与野党の政策責任者間で検討されるものと理解をいたしておるところでございます。
日米首脳会談での我が国の経済についてのお尋ねがございました。
私は、日本経済の早期回復を確保し、日本経済の減退を反転させ、強力かつ持続可能な成長に確実に乗せていくための努力と適切な措置をとる意図を大統領に説明いたしました。具体的には、政府として日本経済を再生するために総合経済対策の実施に全力を挙げてまいることを申し上げ、そして金融再生に関する法律の早期実現も極めて重要な点であることも申し述べました。
その上で、一刻も早い景気回復を図るため、平成十一年度に向けて切れ目なく施策を実行すべく、事業規模で十兆を超える第二次補正予算と平成十一年度予算を一体のものとして編成すること、税制について、我が国の将来を見据えたより望ましい制度の構築に向け、抜本的な見直しを展望しつつ、景気に最大配慮して六兆円を相当程度上回る恒久的な減税を実施いたしてまいります。我が国経済の再生のために、今後も適切な措置をとっていくことが重要であると考えております。
BMDの共同技術研究に関するお尋ねでありましたが、BMDは我が国防衛政策上も、日米安保体制の運用上も重要な課題と認識いたしております。政府としても、共同技術研究の着手を決定したわけではありませんが、BMDはあくまでも純粋に防衛的システムで、他国に対して軍事的脅威を与えたり、地域の安定を損なうような性格のものであるとは全く考えておりません。
防衛庁の背任事件並びにTMDの構想について重ねてお尋ねがありましたが、防衛装備品の調達をめぐる問題につきましては、今後、事実関係を徹底的に究明するとともに、再発防止に向け全力で取り組んでまいる所存であります。
他方、弾道ミサイルの問題につきましては、政府としては、先ほど申し上げたように共同技術研究の着手を決定したわけではありませんが、BMDの意義等にかんがみますと、粛々と今後の対応について検討を続けることは必要であると考えております。
ガイドラインの関連法案の問題につきましてお尋ねがありましたが、周辺事態安全確保法案、自衛隊法改正法案及び日米物品役務相互提供協定改正協定につきましては、本年四月末に閣議決定し国会に提出をいたしておるところでございますが、残念ながら現時点におきまして審議が進んでおりません。しかし、これは我が国の平和と安全にとって重要なものであることは申すまでもないことでありまして、政府としてこれらが早期に国会で御審議され、成立また承認されることを期待いたしておるところでございます。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/15
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016・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 御紹介いたします。
本院の招待により来日されましたネパール王国上院議員団の御一行がただいま傍聴席にお見えになっております。
ここに、諸君とともに心からなる歓迎の意を表します。
〔総員起立、拍手〕
─────・─────
〔国務大臣額賀福志郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/16
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017・額賀福志郎
○国務大臣(額賀福志郎君) 山下議員の御質問にお答えをいたします。
防衛庁の背任事件とTMD構想についてのお尋ねでございます。
防衛装備品の調達をめぐって国民の信頼を失墜させる事態が生じましたことにつきましては、まことに遺憾であり、大変申しわけないと思っております。
今後、事実関係を徹底的に究明いたしますとともに、再発防止に向けまして、調達の仕組みの抜本的改善と綱紀の粛正に全力で取り組み、国民の信頼を回復してまいりたいというのが私の責任であろうと思っております。
また、弾道ミサイル防衛の問題につきましては、先ほど小渕総理からお話がありましたように、政府として共同技術研究の着手を決定したわけではありませんけれども、今後ともBMDの意義等にかんがみまして、検討を進めてまいりたいと思っております。
以上です。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/17
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018・斎藤十朗
○議長(斎藤十朗君) 清水澄子君。
〔清水澄子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/18
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019・清水澄子
○清水澄子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、小渕総理、額賀防衛庁長官に質問いたします。
総理は、国連演説で、核並びに非核兵器の軍縮を推進し、また、地域紛争の根底にある貧困など開発問題にも一層貢献すると表明されました。しかし、その一方で、日米安全保障協議委員会では、新ガイドライン関連法案等の早期成立と批准に最善を尽くしたいと表明し、TMDについて日米共同技術研究を実施する方向で合意したと伝えられています。
小渕総理は、国連では軍縮、平和を強調しましたが、国内では北朝鮮のミサイル騒動に過剰に反応して、日朝正常化交渉への道筋をみずから狭めるとともに、海外ではこれを口実として、TMDの日米共同技術研究を何ら国会の審議を経ることなく独断専行するとは、一体どのような外交理念と方針に基づくものなのでございましょうか。
また、偵察衛星の導入やTMDの開発は、中国など周辺アジア諸国の感情を無視した我が国の軍備拡大であることは明らかであります。
加えて、北朝鮮とは米国を通じてしか交渉できないような現状から一刻も早く脱却し、対等の立場で直接交渉できる正常な関係にすることこそ、我が国外交の最も重要な課題のはずであります。にもかかわらず、軍拡を正当化し、周辺アジア諸国に警戒感を抱かせ、日朝正常化への道程を遠のかせることが果たして妥当で賢明な外交と言えるのでしょうか。以上につき、総理の答弁を求めます。
〔議長退席、副議長着席〕
TMD開発は、レーガン政権の戦略防衛構想に始まり、核戦争を戦い、生き残るという発想が根底にあります。膨大な開発費、しかも成功の確証もない研究について、国内論議のないままに多大の税金をつぎ込むことに国民は納得するでしょうか。今急ぐべきは、防衛庁調達本部の透明化であり、背任事件の解明であります。また、宇宙開発を平和利用に限定した国会決議にも反するのではありませんか。防衛庁長官、お答えいただきたいと思います。
また、日米安全保障協議委員会では、沖縄基地問題についてどのような話し合いが行われたのでしょうか。新ガイドラインと周辺事態確保法案は日米安保条約の事実上の改定であり、従来の専守防衛を超える重大な防衛政策の転換と考えますが、総理の答弁を求めます。
次に、国際金融の問題についてお伺いいたします。
イギリスのブレア首相は、アジアに始まった一連の通貨・金融危機は、IMF、世銀を柱にした国際金融制度の欠点を示したと指摘し、抜本的な改革を提唱しています。総理は、ブレア首相との会談で、IMFを含む世界経済、国際金融のあり方について正面から取り組むことの重要性で一致されています。
今般の危機は、規律なき市場の暴走の帰結であります。にもかかわらず、IMFの融資条件は、国情を無視した一律の緊縮政策、さらに自由化、規制緩和が中心で、そのため物価上昇、大量倒産、失業など、人々、特に貧困層の生活に大きな打撃を与えております。
総理、開発問題への一層の貢献を言うのであれば、このような国情無視のIMFのあり方こそ見直すべきであります。その提案をすることがアメリカに次ぐ出資国である日本の役割ではありませんか。
また、今回の危機の背景にある膨大な投機的資金、特に投機的な為替取引の規制について、総理はどのような提起をしていくお考えでしょうか。
次に、訪米の主要目的であった金融問題について伺います。
総理は、先週末、与野党間の金融再生法案の修正協議の合意が生煮えであるにもかかわらず、訪米されました。訪米が悪いとは言いません。しかし、野党と不透明な状況下で協議をして、説明は米国にだけというのでは、国民は蚊帳の外であり、不信感は解消されません。与野党の合意はどこまで進んだのか、残された問題はどこにあり、政府としてはどうしたいのかなどについて、まず国民に対して、テレビやラジオを通じて率直に説明すべきであります。総理、いかがでございますか。
また、総理は、クリントン大統領は金融システムの安定化のためには公的資金投入が必要であることを強調されたと報告をされておりますが、その際、同時に、経営者や株主の責任の明確化、さらに、情報の徹底した開示とともに、今春行われた大手二十一行への資本注入のような横並び投入は行わないこと等が条件としてつけ加えられたとも報道されています。その点はどう認識されているのでしょうか。政府がもし破綻前の早期健全化スキームをつくろうとするならば、まず、こうした厳しい条件を提示することが必要ではないでしょうか。総理、お答えください。
加えて、与野党間の修正協議をあいまいにしている点が、財政と金融の完全分離の問題です。今なお政府・与党内には、破綻処理部門など一部は大蔵省に残るとの主張がありますが、これは全くナンセンスです。完全と言う限りは、大蔵省にある金融部門のすべてを金融監督庁に移行すべきであり、これこそが金融の一元化であります。総理、決断すべきであります。
また、長期信用銀行の問題について、もし公的資金の注入を行うのであれば、私財提供を含めた経営責任や減資等株主責任の明確化とともに、徹底した情報の開示が不可欠であります。国民の納得を得る条件整備に早急に取りかかるべきではありませんか。総理の見解をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/19
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020・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 清水澄子議員にお答え申し上げます。
まず、外交理念及びその方針についてお尋ねがありました。
我が外交の目的は、言うまでもありませんが、我が国の安全と繁栄を確保し、国民が豊かで安心のできる生活を送れるようにすることであります。軍縮や開発問題への一層の貢献を通じ、我が国を取り巻く国際環境の好ましい状況を形成するとともに、適切な方策により我が国の安全を確保していくことは、まさにこの目的に沿ったものと考えております。
次に、対北朝鮮政策についてお尋ねがございました。
北朝鮮のミサイル発射は、我が国の安全保障及び北東アジアの平和と安定にとり極めて憂慮すべき事態であります。このために、情報衛星につきましても現下検討を始めておりますが、画像衛星を含め幅広く我が国の安全保障上必要な情報収集に関する方策についても事務当局に指示いたしたところであります。また、BMDについてもお尋ねがございましたが、言うまでもなく、また、念のためBMDはあくまでも純防衛的なものとして考えておるところでございます。
北朝鮮への働きかけを含めた外交的努力については、議員の御指摘も踏まえながら、効果的な方法を考え、関係国とも協力しつつあらゆる努力を傾注いたしてまいりたいと思っておりますが、かつてこの場所でも御答弁申し上げたかと思いますが、私、外務大臣になりましたときに、国連の加盟国百八十五の中で一カ国平和条約の結んでおりませんロシアとの条約締結、それと同時に一カ国だけ国交が正常化しておらない北朝鮮との国交正常化が二つの大きな目標であると申し述べて、努力してきたつもりでございます。
しかしながら、今般、北朝鮮のミサイル発射は、私ども従来できる限り北朝鮮が国際社会の中で活動されるということを期待いたしておりましたことと、また、私どももそうした形で北朝鮮との正常化に努めてまいったわけでございますが、今般のこのミサイル発射というものは、いかにしても我が国並びに我が国民に対して大きなショックを与えたものでございます。
したがいまして、いろんな角度、いろんな場所、いろんな方々を通じまして接触をいたしておりますが、現時点におきましては残念ながら功を奏しておらないわけでありますが、いずれにいたしましても、今申し上げました議員の御指摘も踏まえながら効果的な方法をさらに検討してまいりたいと思っております。
新指針及び周辺事態安全確保法案についてお尋ねがありましたが、周辺事態における日米協力は日米安保条約の枠内において行われるものでございまして、我が国からの協力の対象は日米安保条約の目的達成に寄与する活動を行っております米軍であります。また、我が国のすべての行為が専守防衛の考え方に従って行われる旨は新指針に明記されておるところでございます。
次に、IMFのやり方につきましてのお尋ねがございました。
特に、IMFが国情を無視されていろんなコンディショナリティーその他をつけておるのではないかという御趣旨もあるいはあったかと思いますが、このIMFの経済調整プログラムは、資金支援をしながら各国が適切なマクロ経済政策や構造改革を行うことを促すという重要な役割を果たしてきたのもまた事実であります。
他方、IMFのプログラムが個々の国の経済・社会的実情に即したものでなければならないとの御指摘はまさにそのとおりであり、我が国としても、従来さまざまな機会をとらえてIMFプログラムの不断の見直しを求めてきたところでございます。
ブレア首相ともこの問題、いろいろお話ししましたが、IMFの役割は役割として、時代も随分たっておりますので、改めてIMFのあり方等につきましても、政治のサイドからも検討をいたしてまいる時期ではないかという主張もブレアさんからもいろいろされました。我が国としても、この問題につきまして、さらに一層IMFの機能が発揮できますように検討いたしていくべきものと考えております。
投機的な為替取引についてお尋ねがありました。
現在、過剰な短期資金の流入及び流出が今回の世界的な通貨・金融危機の引き金となっておる側面もあるとの認識から、こうした行き過ぎた動きを予防するにはどのような国際的仕組みが考えられるのかという問題意識に立った検討が、さまざまな国際的舞台において行われております。我が国としても、こうした検討に積極的に参加していく所存でございます。
金融再生問題の具体的方針についてお尋ねがございました。
先般、基本的な合意形成への道筋をつけるため党首会談を個別に行ったところでございますが、現在、これを踏まえ、与野党間で内容の詰めが行われているところでございます。政府としては、早急に一連の法案の成立と具体的な実施を図ることが重要であると考えております。
破綻前の金融機関にかかわる早期健全化スキームについてでありますが、これまでの与野党協議を経まして、今後、金融機関の過少資本状態の解消等、金融システムの早期健全化スキームについて早急に検討されるものと認識いたしております。政府としては、具体的な枠組みについて、今後与野党間で内容の詰めが行われていくことを強く期待いたしております。いずれにせよ、金融機関の経営者あるいは株主責任の明確化、情報開示の徹底等は極めて重要であると考えております。
次に、財政と金融の分離についての問題でございますけれども、中央省庁等改革の枠組みの中で金融庁の設置により対処することといたしておりまして、次期通常国会終了までには必要な法整備を行ってまいる所存でございます。
長銀への公的資金の注入について、国民の納得を得るための条件整備に関してお尋ねがありました。
長銀問題につきましては、今般の与野党合意におきまして、これに適用できる特別公的管理の枠組みを早急に確定し、新しい法律で規定した上で対処することとされており、政府としては、新法が成立し、新しい利用可能な枠組みのもとで対処することを望んでおります。この具体的な枠組みにつきましては、経営責任の明確化を初めとする国民の理解を得るための方策も含め、今後与野党の政策責任者間で検討されるものと理解をいたしております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣額賀福志郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/20
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021・額賀福志郎
○国務大臣(額賀福志郎君) 清水議員にお答えをいたします。
まず、調本の透明性確保とBMDに関する御質問がありました。
防衛装備品の調達行政に関する検討につきましては、部外の有識者から成る防衛庁調達制度調査検討会を昨日第一回の会合を開きまして、調達実施本部の発足を初めとする現行の調達制度の成り立ちから今日までの経緯、また、海外における防衛調達制度の事例等を十分精査をしていただき、調達システム全体の透明性、公平性を確保しながら、今後の防衛調達システムを改善してまいりたいというふうに思っております。私は、そうすることによって国民の信頼を回復していくことが私の当面やることの責務であると考えているものでございます。
他方、これまで技術的実現可能性等の検討を行ってまいりましたBMDにつきましては、2プラス2での議論を踏まえまして、今後共同技術研究を実施する場合の予算に関連する作業等を始めることとしておりまして、こうした中で御指摘の共同技術研究に係る経費についても検討をしてまいりたいと思っております。また、今後の作業等に当たりましては、御指摘の国会決議との関係についても御議論をいただき、検討してまいらなければならないと思っております。
いずれにいたしましても、本件については国民の皆さん方の御理解を得ながら努力をしてまいりたいと思っているところであります。
以上です。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/21
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022・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 月原茂皓君。
〔月原茂皓君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/22
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023・月原茂皓
○月原茂皓君 私は、自由党を代表して、ただいまの小渕総理大臣の報告に関して質問をいたします。
最初に、金融システムの安定化、景気回復について質問します。
アジアからロシア、中南米と波及した国際金融市場の不安は、ニューヨーク株式市場の下落にも至り、自国の経済の好調維持だけで、米国が無傷で済むはずはないと大統領は当然考えたと思います。そのため、日本の失敗を避けるため、米国が傍観者、単なる批判者から共同歩調をとる監視者へ変貌することは予測できたはずであります。ルービン米財務長官は、十六日の米議会で日本の金融問題に関連し、十分な公的資金の供給を可能にする与野党の協力が重要と認識したとの報道を初め、今回ほど多くのシグナルが伝えられたことは珍しいことであります。総理としては、十分検討の上、クリントン大統領との初めての会談に臨まれたことと思います。
そこでお伺いいたします。
金融再生法案の与野党合意であいまいにした事前の資金注入のこと、すわなち、国内で未決定のことを決定したものとして米国に正式に伝えてしまったのではないでしょうか。
二、米国も経験したことのない巨大銀行の倒産の影響を読み切れない中で、米国の不安は大きく、公的資金の事前注入の要請は当然予想されたことであります。システミックリスクを避けることは何でもやれというのが米国の主張と思いますが、具体的な要請があったのでしょうか。それに対してどのような態度をとられたのでしょうか。
三、クリントン大統領の存続可能な銀行に十分な額の公的支援が必要だとの意見について、存続可能な銀行とはどういうものと理解されたのでしょうか。
四、景気対策について、今後も適切な措置をとると答えていますが、七兆円の減税と十兆円の第二次補正以上に何を考えているのでしょうか。これは他の議員にお答えになったから、省略して結構です。
最後に五、来週末のG7に、米国の要請をベースに世界規模の新しい国際協力の枠組みが論じられておりますが、今までのような受動的なことではなくて、むしろ世界をリードして枠組みをつくる努力が今こそ要請されると思います。日本の今までの失地回復にも私はなると思うんですが、どうお考えですか。
次に、安全保障の問題についてお伺いします。
両首脳は、北朝鮮によるミサイルの発射は、日本の安全保障にかかわるだけでなく、北東アジアの平和と安定にとっても極めて憂慮すべき行為であるとの認識で一致した。この北朝鮮の態度は、我が国民が拉致されている中で、九五年に五十万トンの食糧支援、また九五年から九七年に三千三百五十万ドル及び九千四百万円の国際機関を通じての支援など、我々のソフトな政策、宥和政策が招いた結果ではないかと強く危惧するところであります。今後は、国家としてけじめをつけた断固たる姿勢で事に臨むべきであります。
我が国は、北朝鮮に対し、国交正常化交渉を当面の間見合わせることとし、追加的な食糧支援を拒否するとともに、軽水炉建設への協力を一時凍結することを決定しました。ところが、当初は厳しい姿勢であった米国は、さきの米朝会談においてKEDOの事業の進行に合意したほか、食糧援助も実施するとしており、同盟国である我が国が危機意識を強めているのに対し、その行動に温度差があると思われます。認識のギャップです。北朝鮮に対し、日米安保体制を基軸として関係諸国と対応することは重要ですが、その中で我が国は、場合によっては国益に即した毅然たる対応をとるべきだと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
次に、先般のミサイル危機に際し、図らずも明らかとなったものに情報収集能力の貧弱さがあります。その早急な改善の一つが人工衛星の保有であります。
まず、衛星にはいわゆる偵察衛星とミサイルの発射に伴う赤外線などを探知する早期警戒衛星がありますが、先般総理が、各種の調査研究を行っていると答弁されたのはどれを指しておられるのでしょうか、お答え願いたいと思います。
また、人工衛星の保有は、自国で衛星を開発するのか、また、外国の衛星を導入するのかの選択があります。外国からの導入あるいは衛星情報を購入することは、タイムラグやシャッターコントロールなどの可能性があり、いざというとき頼りにならないこともあり得ますが、政府としてはこういうことを勘案した上、どのようにお考えでしょうか。防衛庁長官にお伺いいたします。
さらに、弾道ミサイル防衛について質問いたしますが、今日の国際社会においては大量破壊兵器やその運搬手段となり得る弾道ミサイルの移転、拡散が進んでおり、BMDについてどう考えるかは今後の我が国の防衛政策上大きな課題であります。
この四年間、五億六千万円を費やして防衛庁はBMDの必要性や効果を判断するため弾道ミサイルの脅威やシステムの具体的内容、その技術的実現可能性などを調査研究してきたと聞いております。
今回の防衛首脳会談においては、海上配備型上層システムを対象として防衛庁が共同技術研究を実施する方向で作業を進めていくことで合意したと報ぜられておりますが、米国が同システムの技術研究を来年度から始めることなど、さらには防衛庁の研究の実績、そういうものを考えると防衛庁長官の発言はむしろ来年度から共同参画が始まるという国際公約のようにとられると思います。
我が国の防衛体制の根幹にかかわり、多額の予算を必要とするこのような問題について、事前に安全保障会議に諮るべきであったと私は考えますが、総理大臣の答弁をお願いします。
あわせて、共同研究の実施決定までのタイムスケジュール及び残された検討課題については、防衛庁長官にお伺いいたします。
なお、ガイドラインの実施、SACO最終報告の早期完全実施、有事法制の整備等も重要な課題でありますが、それは次の機会に譲ることにして私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/23
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024・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 月原茂皓議員にお答えを申し上げますが、その前に、お許しをいただきまして、先ほど清水澄子議員からのお尋ねの点について一点答弁漏れがございましたので、これを行わせていただきたいと思います。
すなわち、日米安全保障協議委員会におきまして、沖縄の基地問題についてどのような話し合いがされたかということでございますが、防衛庁長官が直接担当されておりましたので長官から御答弁があろうかと思いましたが、ございませんでしたので、私から申し上げます。
沖縄の米軍施設・区域に関する問題についてお尋ねでございますが、この協議委員会におきましては、SACO最終報告の着実な実施に対する日米の継続的コミットメントは再確認をされたというふうに長官から報告を受けております。
月原議員にお答えをいたしますが、まず、破綻前の金融機関に対する資金注入に関する米国での発言についてのお尋ねでありました。
クリントン大統領は、米国を含む多くの国における歴史的経験にかんがみまして、日本の金融当局が、存続可能な銀行を、適切な条件のもと、十分な額の公的支援によって支援する必要性を強調しました。これに対し、私よりは金融システム全体の包括的な安定性を揺るがさないとの決意で臨んでいる旨応じたところでございます。
システミックリスクに関する米国の考え方についてのお尋ねでありましたが、日米首脳会談におきまして、クリントン大統領は、米国を含む多くの国における歴史的経験にかんがみまして、日本の金融当局が、存続可能な銀行を、適切な条件のもと、十分な額の公的支援によって支援する必要性を強調されたことは申し上げたとおりであります。これに対して、私どもの方からは、政府としては金融システム全体の包括的な安定性を揺るがさないとの決意を申し述べたところでありますが、早急に一連の法案の成立と具体的な実施を図ることが重要であると考えております。
また、先ほど米議会におきますルービン財務長官等の御発言も例を挙げられました。こうした米国の財務当局者あるいはサマーズ副長官等、議会等におきまして御発言があります。私どもは、善意ある発言と受けとめておりますが、このことを実行いたしますのは、あくまでも我が国の基本的に政府の責任であると認識をいたしております。
現下、各党間で話し合いが進められておりますので、そうした状況につきましても、日本の状況につきましては御説明申し上げましたが、政府といたしましては、ぜひ一日も早くそうした法案が成立することによりまして日本の金融の危機的状況を脱却いたしていきたい、こう考えておるところでございます。
北朝鮮のミサイル発射に関するお尋ねでございました。
本件は、我が国の安全保障及び北東アジアの平和と安定にとり極めて憂慮すべき事態であり、毅然とした厳しい対応をとる必要があります。そのため政府は、先般、国交正常化交渉開催の見合わせ等の措置をとるところといたしたところでありますが、今後とも議員の御指摘も踏まえながら効果的な方法を考え、関係各国とも協力しつつ、あらゆる外交的努力を傾注してまいりたいと考えております。
人工衛星に関する調査研究についてのお尋ねがありました。
専守防衛を旨とする我が国の防衛にとって、各種情報機能の充実は極めて重要であることから、有力な情報収集手段の一つである偵察衛星に従来より関心を有しておりますが、人工衛星一般の機能等に関する技術的見地から、広く各種の調査研究を行ってきておるところでございます。
弾道ミサイル防衛と安全保障会議についてお尋ねがありました。
政府としては、共同技術研究に着手することを現時点では決定しているわけでなく、今後、政府としての対応を決定するに当たりましては、その重要性にかんがみまして、安全保障会議におきましても審議を行う方針で調整を進めてまいりたいと考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣額賀福志郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/24
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025・額賀福志郎
○国務大臣(額賀福志郎君) 月原議員の御質問にお答えをいたします。
まず、人工衛星による情報の入手についてでございますけれども、防衛庁におきましては、御存じのように、従来から商用の地球観測衛星の画像データを利用して画像解析業務を実施してきております。防衛庁としては、今後とも、画像情報を含め、専守防衛を旨とする我が国の防衛にとって重要な各種情報機能の充実を図ってまいりたいというふうに思っております。
続きまして、弾道ミサイル防衛に関する質問でありますが、2プラス2におきまして、共同技術研究を実施する方向で作業を進めていくことが示されたことを踏まえまして、防衛首脳会談におきまして、防衛庁としての国内的な作業を始めることを表明いたしました。今後、防衛庁といたしましては、共同技術研究を実施する場合における予算に関連する防衛庁としての作業等を始める必要があると考えております。今後のスケジュール等のことにつきましては、まだ調整中であり、申し上げる段階にはないことを御了承いただきたいと思います。
以上であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/25
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026・菅野久光
○副議長(菅野久光君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/26
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027・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 日程第二 労働基準法の一部を改正する法律案(第百四十二回国会内閣提出、第百四十三回国会衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。労働・社会政策委員長吉岡吉典君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔吉岡吉典君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/27
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028・吉岡吉典
○吉岡吉典君 ただいま議題となりました法律案につきまして、労働・社会政策委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案の内容につきましては、既に九月七日の本会議において趣旨説明が行われておりますので、簡潔にその内容を申し上げますと、制定以来五十年を経た労働基準法について、一定範囲の労働者に関しての労働契約期間の上限延長、労働大臣による時間外労働に関する基準の策定、労使委員会の決議に基づく新裁量労働制導入、都道府県労働基準局長による労使紛争解決に向けた援助体制創設など、所要の改正を行おうとするものであります。
衆議院では、本法律案に対し、新裁量労働制に関しての実施要件の追加と施行期日の延期、女性保護規定解消に伴う激変緩和措置としての時間外労働の基準の明確化などの修正が行われております。
委員会におきましては、本改正案と規制緩和推進との関係、有期労働契約の乱用防止策、時間外労働の基準を超える三六協定の効力、激変緩和措置の設定方法のあり方、休日・深夜労働に関する法的規制の必要性、新裁量労働制の具体的対象業務の範囲及び労使委員会の役割、労使紛争の解決支援措置の有効性、中小企業における労使協議の適正化策などの諸問題について質疑を行うとともに、参考人より意見聴取を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
昨二十四日、質疑終局の動議が提出され、多数をもって質疑を終局することを決した後、日本共産党を代表して市田委員より、新裁量労働制の規定を削除することなどを内容とする修正案が提出されました。
次いで、原案及び修正案について討論に入りましたところ、日本共産党を代表して市田委員より原案に反対、修正案に賛成する旨の意見が、また、自由民主党、民主党・新緑風会、公明、社会民主党・護憲連合及び自由党を代表して笹野理事より原案に賛成、修正案に反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。
討論を終わり、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し、十三項目にわたる附帯決議案が提出され、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/28
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029・菅野久光
○副議長(菅野久光君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/29
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030・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/30
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031・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百二十八
賛成 二百二
反対 二十六
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/31
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032・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 日程第三 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案
日程第四 検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案
(いずれも第百四十二回国会内閣提出、第百四十三回国会衆議院送付)
以上両案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。国民福祉委員長尾辻秀久君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔尾辻秀久君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/32
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033・尾辻秀久
○尾辻秀久君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、国民福祉委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
両法律案は、第百四十二回国会に参議院に提出され、衆議院に送付された後、継続審査となっていたものであります。
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案は、最近における感染症の発生の状況、医学医療の進歩、国際交流の進展等を踏まえ、総合的な感染症予防対策の推進を図るために、措置の対象となる感染症について類型を設けて見直し、感染症の発生の予防及び蔓延の防止を図るための措置を定めるとともに、感染症の病原体を媒介するおそれのある動物について輸入検疫に関する制度を創設しようとするものであります。
なお、衆議院におきまして、本文に前文を加える等の修正が行われております。
次に、検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案は、国民の健康に重大な影響を及ぼす感染症の国内への侵入及び蔓延を防止するため、検疫の対象となる疾病及び隔離の方法等を見直すとともに、狂犬病の国内への侵入を防止するための措置等を講じようとするものであります。
委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、患者の人権が尊重され確保される必要性、国際基準との整合性と国際協調、衆議院修正の趣旨等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の井上委員より、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案に反対する旨の意見が述べられました。
討論を終わり、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案について採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次いで、検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案について採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、両法律案に対して、附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/33
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034・菅野久光
○副議長(菅野久光君) これより採決をいたします。
まず、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案の採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/34
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035・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/35
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036・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十一
賛成 二百五
反対 二十六
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/36
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037・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 次に、検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/37
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038・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/38
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039・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十
賛成 二百三十
反対 〇
よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/39
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040・菅野久光
○副議長(菅野久光君) 本日はこれにて散会いたします。
午後零時八分散会
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315254X01019980925/40
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