1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十年九月八日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
九月七日
辞任 補欠選任
山崎 正昭君 久野 恒一君
市田 忠義君 吉川 春子君
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出席者は左のとおり。
委員長 吉岡 吉典君
理 事
末広まきこ君
田浦 直君
溝手 顕正君
笹野 貞子君
長谷川 清君
委 員
大島 慶久君
久野 恒一君
斉藤 滋宣君
鈴木 政二君
今泉 昭君
小宮山洋子君
但馬 久美君
吉川 春子君
大脇 雅子君
鶴保 庸介君
田名部匡省君
高橋紀世子君
衆議院議員
労働委員長 岩田 順介君
国務大臣
労 働 大 臣 甘利 明君
政府委員
労働政務次官 小山 孝雄君
労働大臣官房長 渡邊 信君
労働省労働基準
局長 伊藤 庄平君
事務局側
常任委員会専門
員 山岸 完治君
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本日の会議に付した案件
○労働問題及び社会政策に関する調査
(労働行政の基本施策に関する件)
(雇用・失業情勢に関する件)
○労働基準法の一部を改正する法律案(第百四十
二回国会内閣提出、第百四十三回国会衆議院送
付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315285X00219980908/0
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001・吉岡吉典
○委員長(吉岡吉典君) ただいまから労働・社会政策委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨七日、市田忠義君及び山崎正昭君が委員を辞任され、その補欠として吉川春子君及び久野恒一君がそれぞれ選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315285X00219980908/1
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002・吉岡吉典
○委員長(吉岡吉典君) 労働問題及び社会政策に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策及び雇用・失業情勢について、甘利労働大臣から所信及び報告を聴取いたします。甘利労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315285X00219980908/2
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003・甘利明
○国務大臣(甘利明君) このたび労働大臣を務めることになりました甘利明でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
労働・社会政策委員会の御審議に先立ち、就任のごあいさつを申し上げますとともに、雇用失業情勢についての報告及び今後の労働行政についての所信の一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
現在、我が国の雇用失業情勢は、長引く景気の低迷を受け、七月の完全失業率が四・一%と高い水準で推移し、有効求人倍率も〇・五〇倍と過去最低になるなど、かつてないほど厳しさを増しています。また、産業構造の変化や少子・高齢化の進展により我が国は大きな転換期にあります。
このような中で、雇用が安定し、働く方々がその持てる能力を十分に発揮し、働く喜びを実感できるような環境をつくっていくことは、社会の安定のための重要な柱であると思います。
このため、労働行政の果たすべき役割は大きく、次のような各般の施策を積極的に推進すべきと考えております。
第一は、現下の厳しい雇用失業情勢に対する的確な対応であります。
現在、さきの総合経済対策に盛り込まれました緊急雇用開発プログラムを積極的に推進するとともに、産業構造転換・雇用対策本部の決定に基づく政府一体となったきめ細かな対策を講じているところですが、さらに、求人と求職のミスマッチを解消するため、経済団体と連携した求人情報、産業雇用情報の収集・提供システムのネットワーク化を進めてまいりたいと考えております。また、これまでの雇用対策は、再就職の支援から始まりまして、雇用の維持、そして一歩進んで、高齢者の雇用開発などを行ってきたところでありますが、今後はこれらの対策に加え、新しい産業の創出・育成による新たな雇用機会の創出に積極的に取り組んでいくことが重要であると認識をしております。このため、従来より行ってきた中小企業の新分野展開等に対する人材面からの支援に加え、産業政策と一体となった新たな雇用創出への支援の方策についても検討してまいります。
第二は、産業構造の変化や労働者の意識の多様化が進む中で、生き生きとして働ける環境の整備であります。
前国会から継続審議とされています労働基準法の改正案は、働く方々の価値観や働き方への希望が多様化していることに対応した新たなルールの整備を図ろうとするものであり、一日も早く成立をさせていただきたいと考えておりますので、よろしく御審議をお願い申し上げます。
また、労働者の多様な選択肢を確保する観点から、臨時的・一時的な労働力の適正、迅速な需給調整のために労働者派遣事業を行えることとするとともに、労働者保護措置を充実するため、労働者派遣法の改正案を今国会に提出させていただくべく作成作業を進めております。
第三に、少子・高齢化に対応するための基盤づくりです。
出生率の低下と長寿化による少子・高齢化の進行は、労働力人口全体の減少とその年齢構成の変化につながり、経済活力の低下など将来の我が国の経済社会そのものに深刻な影響を与えることが懸念されます。
このため、少子・高齢化に対応した子育て支援の充実等女性が働きやすい環境の整備、高齢者雇用対策の推進や高齢期の生活安定のための勤労者への支援等に積極的に取り組んでまいります。
私は、労働行政を預かる者として、雇用の安定を初めとする諸課題の達成に向けて全力を挙げて取り組む所存であります。吉岡委員長を初め委員各位の一層の御支援、御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315285X00219980908/3
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004・吉岡吉典
○委員長(吉岡吉典君) 以上で所信及び報告の聴取は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315285X00219980908/4
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005・吉岡吉典
○委員長(吉岡吉典君) この際、小山労働政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。小山労働政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315285X00219980908/5
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006・小山孝雄
○政府委員(小山孝雄君) 労働政務次官を仰せつかりました小山孝雄でございます。
就任以来、各地の職業安定所、基準監督署を視察してまいりましたが、特にハローワークには朝から本当にたくさんの人たちが新しい職を求めて詰めかけているさまを見て、本当に不況の実態、そしてまた雇用情勢の厳しさというものを実感してまいったところでございます。
私は、当選以来三年でございますが、労働行政というのは働く人たちが生きがいと喜びを持って働く上で極めて大事な行政だと、こういう観点から本委員会の委員として勉強してまいったところであります。これからも、本職にあって労働行政の一層の充実、推進を願って微力を尽くしてまいりますので、吉岡委員長、理事の諸先生、そしてまた委員の皆様の御指導、御鞭撻、御協力を心からお願い申し上げまして、ごあいさつにかえさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315285X00219980908/6
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007・吉岡吉典
○委員長(吉岡吉典君) 労働基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。甘利労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315285X00219980908/7
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008・甘利明
○国務大臣(甘利明君) ただいま議題となりました労働基準法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
今日、我が国を取り巻く内外の環境は大きく変化し、そのため経済社会も構造変化に直面しております。また、労働者の働き方や就業意識の多様化も進んでおります。このような状況のもとで豊かで安心できる社会、健全で活力ある経済を実現していくためには、働く人々が意欲にあふれ能力を存分に発揮するとともに安心して働くことができるよう、職場における労働条件や環境の整備を進めることが重要であります。このような観点に立って、制定以来五十年を経過した労働基準法について、時代の変化に即応したものとするとともに、その実効性を一層高めるため、中央労働基準審議会において検討を重ねてまいりました。
政府といたしましては、長期間にわたる検討の結果提出された中央労働基準審議会の建議を踏まえ、本法律案を作成し、ここに提出した次第であります。
次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
第一に、新商品、新技術の開発等に必要な高度の専門的な知識、技術等を有する労働者を新たに確保する場合や高齢者などについて、労働契約期間の上限を三年とすることとしております。
第二に、効率的な働き方とそれによる労働時間の短縮を実現するため、一年単位の変形労働時間制について、対象期間における労働日数の限度を定めるなど要件を追加することとしております。
第三に、時間外労働を適正なものとするため、労働大臣は、労使協定で定める労働時間の延長の限度等について基準を定め、関係労使は労使協定を定めるに当たり、これに適合したものとなるようにしなければならないこととしております。その際、育児または介護を行う女性労働者のうち希望者について、一定期間、通常の労働者より短い限度の基準を定めるとともに、この期間中に政府は育児または介護を行う男女労働者の時間外労働に関する制度のあり方について検討することとしております。
第四に、事業運営上の重要な決定が行われる事業場における企画、立案等の業務について、労使委員会で、対象となる労働者の具体的な範囲、健康及び福祉を確保するための措置等を全員の合意で決議し行政官庁に届け出ることにより、決議の内容に基づいて裁量労働制の対象とすることができることとしております。
第五に、児童労働に関する国際的動向に沿って、最低年齢に係る規定を整備することとしております。
第六に、都道府県労働基準局長が労働条件についての紛争の解決の援助を行うこととしております。
その他、労働契約締結時の書面による労働条件明示に係る事項の追加、一斉休憩の適用除外、年次有給休暇の付与日数の引き上げ等の所要の改正を行うこととしております。
なお、この法律は平成十一年四月一日から施行することとしておりますが、紛争の解決の援助に関する部分は平成十年十月一日から、最低年齢に関する部分は平成十二年四月一日から施行することとしております。
以上、この法律案の提案理由及び内容の概要につきまして御説明を申し上げました。
なお、衆議院において、新たな裁量労働制について、労働者本人の同意等を労使委員会の決議事項として追加すること、労使委員会の労働者代表委員について任期を定めた上で民主的な信任手続によることを要件とすること、指針を定めるに当たっての中央労働基準審議会への付議、労働基準監督署長への定期的な報告の義務づけ、施行期日の平成十二年四月一日への延期、施行後三年経過時点における検討に関する修正が、また、育児または介護を行う女性労働者のうち希望者についての労働時間の延長の限度等についての基準を定めるに当たっての水準及び当該措置が終了するまでの間における検討内容、国が深夜業に従事する労働者の就業環境整備等のための関係者の自主的努力を促進することに関する修正が行われております。
何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315285X00219980908/8
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009・吉岡吉典
○委員長(吉岡吉典君) この際、本案の衆議院における修正部分について、衆議院労働委員長岩田順介君から説明を聴取いたします。岩田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315285X00219980908/9
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010・岩田順介
○衆議院議員(岩田順介君) おはようございます。岩田でございます。
労働基準法の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分につきまして、その内容を御説明申し上げます。
その修正の趣旨は次のとおりであります。
まず、新たな裁量労働制については、第一に、新たな裁量労働制を適用するに当たり、対象労働者の同意を得なければならないこと等を制度実施の要件とするものとすること。
第二に、労使委員会の労働者代表委員については、任期を定めて指名されるとともに、当該事業場の労働者の過半数の信任を得なければならないものとすること。
第三に、労働大臣は、中央労働基準審議会の意見を聞いて、対象となる業務その他労使委員会が決議する事項について指針を定め、これを公表するものとすること。
第四に、使用者は、定期的に、労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置の実施状況等を労働基準監督署長に報告しなければならないものとすること。
第五に、新たな裁量労働制に係る改正規定の施行期日を、平成十一年四月一日から平成十二年四月一日に延期するものとすること。
第六に、政府は、新たな裁量労働制の規定の施行後三年を経過した場合において、当該規定について、施行の状況を勘案しつつ検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることであります。
次に、時間外労働に関する激変緩和措置等については、第一に、労働大臣は、激変緩和措置として子の養育または家族の介護を行う女性労働者に係る労働時間の延長についての基準を定めるに当たっては、一年当たりの労働時間の延長の限度として百五十時間を超えないものとしなければならないものとすること。
第二に、第一の激変緩和措置後については、政府は、その措置が終了するまでの間において、時間外労働が長時間にわたる場合には子の養育または家族の介護を行う労働者が時間外労働の免除を請求することができる制度に関し検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることであります。
次に、深夜業に関する自主的な努力の促進については、国は、深夜業に従事する労働者の就業環境の改善、健康管理の推進等就業に関する条件の整備のための事業主、労働者その他の関係者の自主的な努力を促進するものとすることであります。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114315285X00219980908/10
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011・吉岡吉典
○委員長(吉岡吉典君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分についての説明の聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十時十六分散会
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