1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年五月二十八日(金曜日)
午前九時三十二分開議
出席委員
委員長 石破 茂君
理事 衛藤 晟一君 理事 久野統一郎君
理事 実川 幸夫君 理事 武部 勤君
理事 玉置 一弥君 理事 細川 律夫君
理事 赤羽 一嘉君 理事 江崎 鐵磨君
小里 貞利君 大石 秀政君
亀井 善之君 菅 義偉君
田中 昭一君 橘 康太郎君
宮腰 光寛君 望月 義夫君
森田 一君 山本 公一君
米田 建三君 渡辺 具能君
赤松 広隆君 今田 保典君
近藤 昭一君 佐藤 敬夫君
高木 義明君 永井 英慈君
遠藤 乙彦君 倉田 栄喜君
岩浅 嘉仁君 寺前 巖君
平賀 高成君
出席国務大臣
運輸大臣 川崎 二郎君
出席政府委員
運輸省運輸政策
局長 羽生 次郎君
運輸省自動車交
通局長 荒井 正吾君
委員外の出席者
運輸省自動車交
通局技術安全部
長 下平 隆君
運輸委員会専門
員 長尾 正和君
委員の異動
五月二十八日
辞任 補欠選任
小里 貞利君 山本 公一君
宮島 大典君 宮腰 光寛君
吉田六左エ門君 大石 秀政君
赤松 広隆君 近藤 昭一君
同日
辞任 補欠選任
大石 秀政君 吉田六左エ門君
宮腰 光寛君 宮島 大典君
山本 公一君 小里 貞利君
近藤 昭一君 赤松 広隆君
本日の会議に付した案件
道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出第六一号)(参議院送付)
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東運輸局栃木陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)(参議院送付)
午前九時三十二分開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/0
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001・石破茂
○石破委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、道路運送車両法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東運輸局栃木陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件の両案件を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今田保典君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/1
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002・今田保典
○今田委員 民主党の今田保典でございます。
きょうは、車検問題を中心にして、幾つか問題を取り上げて質問したいと思います。
実は、私も運輸関係に長く携わってきた一人でございます。その中でいつも疑問に思う点が二、三ありますので、それらを中心にしてお尋ねをしたい、このように思っています。
まず、車検システムそのものについてお尋ねをしたいと思います。
現在、定期整備と検査制度の二つがセットになっていわゆる車検システムとなっております。このうちの検査制度、つまり二年なり一年なりの車検ですが、国民の皆さんの多くは、この費用や時間などの手間、また車検の期間などに対して多くの不満を持っております。この不満は、自動車運送事業者も同じであります。
考えてみますと、こうした車検制度ができたのが昭和二十六年ですから、それからもう四十七、八年になります。この間、自家用車の車検期間延長や点検項目の削減などが行われてきましたが、車検システムそのものは変わっていないということには変わりはないわけでございます。昨今のように社会のすべてが激しく変化する時代にあって、半世紀も骨格が変わらないシステムというのは、よほどすぐれたシステムか、あるいは硬直化してどうしようもないシステムかのどちらかだというふうに思うわけでございます。このように考えますと、現在の車検システムには多くの不満があるわけですから、よほどすぐれたシステムとは言えないと思うわけでございます。
そこでお尋ねしますが、もっと簡素で効率的なシステムは考えられないのかということであります。今、国民から評判のいいユーザー車検というのがあるわけであります。これがすべてよしというようなことではございませんけれども、これらを中心にして、あるいはこれらをもとにして、もっと工夫した車検システムというものを考えられないのかどうか、その点について、運輸大臣にお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/2
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003・川崎二郎
○川崎国務大臣 まず、基本的な認識として、自動車というものは残念ながらまだかなり事故が多く、安全という面ではいろいろな課題があるというのが一つであろう。同時に、これからの社会的要請として環境という問題が出てくる、したがって、国民の利便性という面だけでこの車検問題というのを語るべきではないだろう、このように私どもは思っております。
しかしながら、今田委員御指摘のように、私ども常に安全と環境というものに配意をしながらも、一方でユーザーの声というものに耳を傾けていかなければならないだろう、このように思っております。
昭和五十八年の道路運送車両法の改正において、自家用自動車は初回二年から三年に延長をいたしました。また、今御指摘いただきましたように、平成七年の改正におきまして、ユーザーの自己管理責任の明確化ということで、前検査後整備、特にユーザー車検というものをどんどん進めるという見地。それから、整備料金に対する不満ということになれば、やはり前検査後整備というものがより受けられやすくなる、逆に言えば、ユーザー自身が努力すれば少し費用的にも削減していける、こんなことをやはりもうちょっと進めていくべきだろう、このように思っております。
ただ、もう一方の議論として、実はある国会議員と話しておって、車検費用というのは幾らだっけな、何万円だっけなという話が出てまいりました。車検にかかる費用は千五百円なんですけれども、税の徴収と保険というものがそのときにかかりますので、そこが、私ども給料からの天引き問題でよく国の税金は高いという話になって、実際どうだとかいったら、やはり年金の話と保険の話になっていく、そういう意味では、やはり全体的な周知というものも私ども、しっかり心がけていかなきゃならないんではなかろうかな、このように思っております。
いずれにせよ、御指摘をいただいたように、ユーザーの声というものに耳を傾けながら努力をしてまいりたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/3
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004・今田保典
○今田委員 どうもありがとうございます。
そこでお尋ねしたいんですが、昨年の十二月、車検に関する運輸技術審議会から出されました答申があるわけでありますけれども、その答申を見てみますと、点検整備の基本的な考え方について、今大臣がおっしゃられたように、「必ずしも自動車ユーザーによる自主的な保守管理が十分実施されていない」としております。国が標準的な使用状況に対応した必要最小限の点検時期あるいは点検箇所、点検方法を明示し、点検を義務づけるというふうにしているわけでありますけれども、ここで指摘されているとおり、国民の自主的な保守管理が十分でないのは私は事実だと思います。
しかし、不十分であるのは事実としても、だからといって義務づけるというのであれば余りにも短絡であり、従来の行政手法と全く同じになってしまうのではないかというふうに思うわけであります。この車検システムにおいても、事前規制型から事後チェック型の行政への転換を図るべきではないのだろうかなというふうに思っておるわけであります。
そして、そのためにも、国民の皆さんが自己責任を強く自覚し、実行しなければならない、そうしなければならないということを国民にわかっていただくといいますか、そういったことになるのじゃないかなというふうに思うわけであります。そうすることによって国民の行政負担も軽減されることになりますし、また、自己責任が確立しないと車検システムの抜本的な改革も困難だということにもなるわけでございます。
そこでお尋ねしますが、このように、自己責任が車検システムを改革する上での大きなポイントだというふうに、先ほど大臣がおっしゃられたように思うわけであります。このためにも、これまでのような施策はどうなのかなというふうに思いますし、これまで講じられてきたものがあったとすればお知らせをいただきたいし、また、これらを今後どのように考えているのかについてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/4
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005・荒井正吾
○荒井政府委員 お答え申し上げます。
自動車は、製品といたしましては、摩耗、劣化する部品が多く使われておりますので、適切に保守管理が実施されることを前提にでき上がっておるものでございます。七千万台ある車のユーザーみずからの責任における保守管理というのは、いずれの制度におきましても大きな基本になるものと認識しております。
外国との比較におきますと、我が国におきましては、検査があるから整備する、検査がないと整備しないという傾向はやや強いように思われますが、自己責任の認識が深まれば基本的に行政の事務が簡素化される。点検整備を義務づけてそれをまた国がチェックするというようなやり方ではなしに、自主的に点検整備をしていただいて、折に触れて検査は国なり民間がするという簡素な制度に転換する大きなきっかけは、自己責任の認識であろうと思うわけでございます。
自己責任の認識の浸透というのをどのような方法でやるかというのはなかなか難しいわけでございますが、使用者への、ユーザーへの情報の提供の質とその提供方法を、今後さらに工夫をしなきゃいけないというふうに考えております。
さらに、ユーザーにおかれましては、点検されたときの具体的な点検の箇所でございますとか料金を、行政の方からは整備事業者に、ユーザーに情報を開示するようにという指導をしておりますが、みずからもできればチェックしていただきまして、丸投げ、そのままの受け取りということをなるべく軽減していただくというような地道な努力が必要かと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/5
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006・今田保典
○今田委員 今の若い人は、何かこの自己責任というものを勘違いしている若い人が多いんですね。自分の車だから自分で自己管理をやっているんだという意識のもとに、車の改造を勝手にやったり、わけのわからぬ音を出すようなものをやったり、あるいは何かボディーをちょっと低目にやるような仕組みをやったり、いろいろ若い人のお話を聞きますと、いや、これは自分でやって、事故は起きないんだ、車も大丈夫なんだということでやっているんだからというような意識が非常に強いんです。
ただ、そういうことが今後若い人の中で意識として高まるとすれば、大変私は危険だと思うわけであります。したがって、どの部分で、警察庁なのか運輸省なのかちょっとわかりませんが、そういった段階で、やはり若い人に対してそういう意識、今の間違っている意識というものを変えさせることがこれから必要なのではないかというふうに思っておるわけでありまして、この点はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/6
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007・荒井正吾
○荒井政府委員 今の自己責任の認識の違いというのは往々にあろうかと思います。特に、車検の現場では改造車問題がございますので、自己の責任よりも勝手のために改造をして、騒音あるいはふぐあいの多い車を走行させるということが往々にしてある。それは国の方でチェックをするという役目を担っておりますので、業務を日ごろしておるわけでございます。
外国の自己責任、そういう認識の浸透ということで外国の勉強なども参考になろうかと思いますが、今後、世代の認識というのは大きな社会システム全体の前提になりますので、外国の制度の、あるいはその社会的な認識の違いなどの研究を深めて、行政としても努力をせにゃいかぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/7
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008・今田保典
○今田委員 今局長の方からお話がありましたけれども、よその国、いわゆる外国の車検システムの実態についても、この前の答申によりますと、検査項目あるいは検査方法、ほぼ日本と同様だというふうに答申の中で報告をされておるわけであります。
もっと詳しくお聞きをしたい部分があるわけでありますけれども、自己責任という問題について、よその国は、外国は何か日本と違うようなことを本当にやっておられるのかどうか、あるいは車検制度の概要について、答申によりますと、ほぼ同様だというような報告でありますけれども、これらについて、わかる範囲内で結構ですから、もし違った点があればお知らせをいただきたい、このように思うわけであります。
まずは自己責任というものについて、国民的な性格といいますかそういったものが違うという面もあろうかと思いますけれども、日本と外国の違いというものは必ずどこかにあるのではないかというふうに思うんですね。わかる範囲内で結構ですから、その点、ちょっとお知らせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/8
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009・荒井正吾
○荒井政府委員 調査の面では十分と言えないと思いますが、自動車の使用あるいは保守管理の状況を一般的に拝察いたしますと、特にヨーロッパ系、自動車先進国の人たちにおきましては、持っているものを大事に使う、特に自動車などの手入れはみずから趣味でやられる方が比較的多いというふうに思われます。その上に成った社会システムでございますので、非常に簡素なシステムが現在まで基本になっておったと思います。
しかし、一方、非常に台数がふえまして、日用品となり、多くの人が、あるいは機械に詳しくない人、高齢者が使うというような道具になってまいりましたので、システムとしてより厳重に安全環境を見るというふうに欧米の方も変化してきておると見ております。
検査システムの概要につきましては、検査項目、検査方法につきましてはほぼ日本と同様でございます。検査の項目は、目視による検査、あるいは検査機器を用いた安全環境の検査、さらに検査は安全と公害、特に最近は公害の検査が強化されているというふうに聞いております。さらに、検査の義務は期間をもって定めておるのが通常であるという点におきましても、欧米、日本の自動車先進国の制度がほぼ似ておるというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/9
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010・今田保典
○今田委員 ありがとうございました。
そこで、車検あるいは定期点検の実施状況についてお尋ねをしたいわけでありますけれども、車検については、車のユーザーはこれを重く受けとめていますので、その実施状況はほぼ一〇〇%に近いというふうに思っております。三カ月、六カ月、十二カ月のいわゆる定期点検については、残念ながらそうではない実態ではないのかなというふうに思います。
定期点検の実施状況とその問題点の原因は何かについて、また、それを高めるためにどのような施策を講じていらっしゃるのか、あわせて車検についても、私は一〇〇%実施されているんだろうというふうに思いますけれども、これらについて、わかる範囲内で結構ですから、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/10
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011・荒井正吾
○荒井政府委員 お答え申し上げます。
今御指摘のように、定期点検の実施状況は、必ずしも高い状況とも言えないものでございます。車種ごとあるいは事業、自家用の区別で相当差がある状況でございます。例えば、バス、タクシーの実施率は、事業用自動車でございますが、それぞれ八二%、九八%と高いわけでございますが、トラックや、台数の多い自家用乗用車の実施率は、五七%、四二%というふうに低くなっております。
定期点検を実施しない理由というのは、一般的に言えば面倒だからということでございますが、先ほどから委員の御指摘がありますように、自己責任の認識の希薄というのが基本にあろうかと思います。自動車事故は、車両のふぐあいが下敷きになって起こるケースが多いわけでございまして、直接車両のふぐあいからの事故、あるいはふぐあいがなければ起こらなかった事故というのが多いわけでございますが、将来のいつ起こるかわからない事故に対して、現在、点検整備という投資をしなきゃいけない、その投資の手間を省くというのが現状であろうかと。
例外なく検査を通らないと走行できないというシステムでございますので、いや応なく検査を受けられる、かつそのための点検整備をされるというものもある程度必要性があろうかというのは各国の認識であろうかと思います。
検査の実施状況でございますが、御案内のように、自動車検査証を車両のウインドーの前にステッカーとして掲示して、ユーザーがみずからの検査の期間を時折ごらんになるとか、外部からも街頭走行でチェックされるとかということでございますので、漏れなく検査は実行されているというふうに認識しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/11
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012・今田保典
○今田委員 それで、今回の車検システムをめぐる一連の動きの中で、車検の点検項目の簡素化が出されております。十二カ月点検の場合ですが、百二十七項目を百項目程度に簡素化する、こういうふうになっております。これはそれぞれの考え方はあるだろうと思いますけれども、私自身は大変好ましいことだなというふうに思っております。
しかし、私のところに寄せられた意見では、点検項目は少なくなっても費用は変わらない仕組みになっているという御批判がありました。これはどういうことなんだろうかなというふうに思いまして疑問に感じたわけでありますけれども、実際に費用はどれだけ軽減できるのか、あるいはできないのかについてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/12
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013・荒井正吾
○荒井政府委員 点検項目あるいは点検の時期が簡素化されますと、それが費用にはね返るというのは当然であろうかと考えております。検査の内容は変わっても費用は変わらないというのは、どうもおかしな話かと思っております。
一般的に言いますと、今度の点検項目の簡素化の内容を見ますと、一カ月点検を廃止いたします。あるいは点検項目を簡素化、日常点検に回します。あるいは、走行距離に応じた弾力的実施、余り走らない車の点検はそうしなくていいというようなことも盛り込んでおります。また、バス、タクシーの一カ月ごとの点検を廃止いたしますと、その間の休車がなくなりますので費用の低減に寄与するというようなことも一般的には考えられるわけでございます。
業界の試算でございますが、全体として千五百億円ぐらいの整備費用の軽減になるだろうという試算はあるわけでございます。個別的には使用状況に応じて整備内容が異なるものでございますので、個別のユーザーの整備費用がその都度軽減されるかどうかというチェックはなかなかそれぞれは難しいわけでございますが、自己管理の中には、自分の車の直接管理じゃなしに、委託した点検整備の結果を管理してチェックしていただく、整備内容とか費用とか、その必要性について問いただすということもぜひユーザーの方にもしていただきたい。そういうことが積み重なって整備費用の低減あるいは行政の効率化というふうに回っていくんじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/13
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014・今田保典
○今田委員 今回の改正法案でありますが、私といたしましても、いろいろ考えたわけなんですけれども、事業用自動車も自家用乗用車並みにすべきではないのかという考え方を持っております。
ただ、そうはいっても、大型トラック、またそれに等しい大型の車を自家用車並みというのはなかなかあれなんですけれども、例えばレンタカーとハイヤー、タクシーはほぼ横並びでも結構なんじゃないかというような考え方を持っておるわけでございまして、規制緩和推進計画でもそのようにすべきではないのかという議論もなされたやに聞いておるわけであります。したがいまして、今回の法案は、その部分を若干なりとも取り上げていただきたいなというふうに思っておったわけでありますけれども、その部分がなかったということについて残念に思っておるところであります。
この提案に当たっては、多くの関係者と相談はしているんだろうと思いますけれども、先ほど言われたようにすべてが、事業用自動車と自家用車は同じだという感覚でないにしろ、せめてハイヤー、タクシーとレンタカーは横並びでいいのではないのかなというふうに思うのですね。今回、レンタカーは初年度が延びたわけです。それと同様に、ハイヤー、タクシーも同じ扱いでもよかったのではないのかなというふうに思っておるわけであります。
それとあわせまして、それ以外のいわゆるバス関係、トラック関係、それぞれあるわけですけれども、あわせて何かお考えがあればお聞かせをいただきたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/14
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015・荒井正吾
○荒井政府委員 ハイヤー、タクシーあるいはバスの車検期間の延長の経緯でございますが、運輸技術審議会の答申が出ますときに、バス、タクシー、ハイヤーの関係の方も御参加願いまして、私も直接議論を拝聴いたしました。ハイヤー、タクシーにつきましても、車検期間がどうあろうと、点検整備はちゃんとやります、事業者の責任ですというふうにおっしゃっておりました。ハイヤー、タクシーについては、点検整備の実施率は他の車種に比べて非常に高いわけでございます。
しかし、その運輸技術審議会の検討の内容でもございましたが、一方、年間走行距離は約六万キロを超えておりまして、今御指摘の乗用レンタカーは一万六千キロ、自家用乗用車は一万キロを切るということで、約四倍あるいは五倍の走行距離がございますので、走行による劣化、摩耗が一年間でそれだけ差がありますので、期間の延長ということについて大変心配があるという面がありましたし、また、一台当たりの輸送人員が一万人を超えるというような面の心配もありました。
諸外国におきましてもハイヤー、タクシーは一年または半年になっておるという事情などを勘案して答申上は据え置かれたものと判断しておりますが、今度の答申あるいはこの法改正の実施後におきましても、必要に応じて有効期間、点検整備の方法を、今後、継続的な調査を行って、適宜見直しするということは答申に盛り込まれておりますし、行政の方も継続的な調査をハイヤー、タクシーを含めて実施したいと考えております。点検整備につきまして、継続的で不断の点検整備を行っていきたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/15
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016・今田保典
○今田委員 ぜひひとつ、今後の課題として、いろいろな場で御検討いただければありがたい、このように思います。
次に、ちょっと観点を変えましてお聞きしたいんですが、バスあるいは大型トラックの前面衝突関係についてお尋ねをしたいと思います。
安全問題ということで、先ほど申し上げましたように、バスと大型トラックの前面衝突規制についてであります。ここ数年自動車の安全規制が拡充されておりまして、乗用車は平成六年四月から、小型トラックについては平成九年十月から前面衝突規制を実施されております。しかし、バスと大型トラックについては何の措置も講じられておらないわけであります。とりわけ大型トラックについては、この前面衝突によって毎年多くの人命が失われていますので、これでは人命軽視という非難の声も上がっているのも事実でございます。これらのバスと大型トラックの前面衝突規制について、どうなっているのかということについてお尋ねをしたいと思います。
私、以前このことについて違う観点から質問した経緯があるわけでありますけれども、いわゆる運転席から車の前まで一メーターも現在の車はない、そういうことで、衝突事故が起きますと、直接運転手の体にすぐはね返ってくる、いわゆる今の車の構造がそうなっているわけでありまして、このことについて何らか考えるべきではないのかということを以前に御指摘をさせていただいたわけであります。その後、それらについて何らかの措置を行っているのかどうか、あるいは今後どのように考えておるのか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/16
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017・下平隆
○下平説明員 御説明申し上げます。
自動車が衝突した場合に、自動車に乗っている方、その安全を守るということは大変安全対策の上で重要な課題と私ども、考えております。特に、前面衝突した場合に死亡者が非常に多い乗用車、小型トラック、これは大変多いわけでございますけれども、これにつきましては、ただいまお話がございましたように、前面衝突の安全基準というものを既に導入いたしておりまして、その内容はほぼ諸外国と同じような状況でございます。
今御指摘がございました大型トラックあるいはバスについてでございますけれども、これらにつきましても、やはり、特に高速道路などにおきまして乗員が傷害を負うというふうな事故も起きております。したがいまして、運輸省としましては、全日本トラック協会、日本バス協会に呼びかけまして、こうした安全対策を検討する場を設けました。メンバーは、自動車メーカー、運送事業者それから運転者の代表の皆さん、学識経験者、運輸省などから成っておりますけれども、この検討会において検討を行った結果、トラックなどの前面の補強を行う、あるいはフレームの強化を行うというふうな内容を含んだ安全対策の案が昨年取りまとめられております。この結果、今お話がございましたけれども、この補強をいたしますと、運転者席から車の一番前端までの距離も若干長くなるというふうな方向に行くのではないかと思っております。
運輸省はこれを受けまして、自動車メーカーに対し、こうした安全対策に取り組むよう働きかけを行っております。また、運送事業者には、そうした安全性の高い車を導入するような働きかけもさせていただいているところでございます。
この結果、現在生産されております大型車は、世界に先駆けまして自動車メーカーが衝突安全の試験などを実施いたしておりまして、運転席部の強化とかの安全対策が図られている現状でございます。今後とも、運輸省としましては、この対策の効果を見ながらさらに一層の安全対策を検討してまいりたいと思っております。
〔委員長退席、久野委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/17
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018・今田保典
○今田委員 わかりました。
それで、質問通告はしていなかったんですが、現在、バスの定期路線、非常に長距離路線があるわけでありまして、その場合、交代する乗務員が休んでいる、いわゆる睡眠をとるために休む場所をつくっているわけですよね。これがいろいろな場所です。メーカーによって違うんです。
例えば、後ろのエンジンのところにつくっているメーカーとか、ボディーの中心地のいわゆるトランクと言われている部分のスペースをやってそこに休んでいらっしゃるとか、いろいろな場所がありまして、どの部分が一番安全なのかということについては私も言えない部分があるわけですけれども、その場所について、今ほどバス協会とかバスメーカーの会社、そういうところとお話しされたのかどうか、あるいはそういう議題といいますか話として上ったのかどうか、お聞きしたいというふうに思います。
端的に申し上げますと、本当に一発やれば、乗務員がそこで寝ているところから抜け出せないという心配も非常に強いわけです。そういうこともありましたので、ちょっとその部分について、大変申しわけないですが、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/18
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019・下平隆
○下平説明員 御説明申し上げます。
長距離のバスあるいは路線の大型トラックなどは大変に長い時間運転をいたしますので、今お話がございましたように、車の中で仮眠するあるいは休憩をとる、そういった施設が設けられていることがございます。
私ども、運転をされる皆様方からいろいろ御要望をいただいておりまして、今御指摘がございましたような点も声としていただいている点がございます。その中には、特に、トラックの運転席の後ろに仮眠をするベッドがございますけれども、これが非常に狭くて十分な休憩がとれないというふうな御要望等もいただいております。そうした点については自動車メーカーとも話をしたことがございますけれども、今の長距離バスの仮眠施設につきましてはまだ十分にその状況も私ども、わかっていないところがございますので、今後よく声を聞きながら、少し調査検討してみたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/19
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020・今田保典
○今田委員 本当、これは見ていて何かむなしいんですね。一人の人間が、しかも重要な人の命を運んでいる人が、何か荷物と同じようなところに入っているという感じなんですよね。そういうことで本当にいいのかなというふうに常々思っておりますので、ぜひいろいろと研究されて御検討いただければ大変ありがたい、このように思います。
次に、同じような問題なんですが、バスガイドのシートベルトの装備についてお尋ねをしたいと思います。
バス業界とそれぞれの企業の労使では、バスガイドの安全のために着席案内、特に高速道路での着席案内を義務づける運動を行っているわけであります。しかし、現実には、ガイド席がしっかりしたものではないため、あるいはシートベルトもないものもあるわけでありまして、着席案内をしなさいと言っていながらも、いすはしっかりしていない、シートベルトはないというものもあるわけであります。これらについて、やはり法律で義務づけるべきではないのかというふうに言う方もおるわけであります。さらに、着席案内についても、特に高速道路での義務づけも重要ではないのかなというふうに思っております。
さらに、先ほど申し上げましたように、ガイドが着席するのに、いすが余りにもお粗末なんですよね。やはりこの部分についても十分改良していただいて、安全に快適に案内できるというような仕組みにしなければならないのじゃないかなというふうに思います。この点についてお伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/20
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021・下平隆
○下平説明員 ただいま御指摘がございましたように、バスガイドの安全のためには、着席をして案内をするということは私ども、望ましいというふうには考えております。また、着席案内を促進するという意味からも、シートベルトをバスガイド席に装備するということも必要な面があるというふうに考えております。そのために、先ほども御説明申し上げましたが、運輸省の働きかけによりまして、バス協会に安全対策を検討する場を設けましたけれども、ここの検討の結果の中に、バスガイド席についての安全対策が盛り込まれております。
現在、その安全対策を受けまして、自動車メーカーに安全な車をつくるように、あるいはバス事業者に対してそうした安全な車を購入するように働きかけを行っておりますけれども、この安全対策の結果といたしまして、バスガイド席には二点式シートベルトが既に標準装備として装備される状況に今至っております。それから、もしバス事業者が選択をされる場合には、望む場合には、三点式のシートベルトも備えることができる、そういうふうな選択の可能性も設けているところでございます。
こういうことで、シートベルトについての改良が進んでおりますが、また座席そのものの改良につきましては、今後の課題といたしまして、ガイドの専用席、いわゆる折り畳みのような簡易な席ではなくて、専用の席を設けるというふうなことについても今後検討してまいりたい、そのように考えております。
〔久野委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/21
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022・今田保典
○今田委員 今ほどそういうことなんですが、現在乗っている車、現在運行されている車両について、この部分はどうなっているんですか。今から出る車についてはそういうことで御検討されている、こういうことですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/22
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023・下平隆
○下平説明員 シートベルトを座席につけますのは、車体にしっかりとベルトをつけるということが必要でございまして、今走っている車に新たにベルトをつけるというのは大変大きな改造を伴います。
したがいまして、私どもとしては、そうしたバスガイド席にシートベルトがついているような安全なバスをなるべく早く多く普及をさせるということが必要であるというふうに思っておりまして、今後とも、バス事業者にこうした装置の安全性、有効性をよくPRし、その普及を図ってまいりたい、これを基本にしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/23
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024・今田保典
○今田委員 しかし、そうはいっても事故は待っていないわけでありまして、特にバス関係の企業は大変苦しい経営状態に陥っているわけであります。今までは七年なり九年なりの範囲内で車を買っておったわけでありますけれども、それを一年延ばしたり二年延ばしたり今やっているわけですよ。そうしますと、先ほど言ったような、せっかくいい考え方があるにもかかわらず、なかなか全車的にそういった装備にならないというのが事実ではないのかなというふうに思うんです。
そうしたことを考えれば、今ある車について、何かもうちょっと一工夫要るのではないのか、考えるべきではないのかというふうに思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/24
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025・下平隆
○下平説明員 今後、安全装備をしましたバスの普及に努めてまいりますけれども、先ほど先生からお尋ねがございました、そうした装備の義務づけをしてはどうかというお話がございましたけれども、その普及状況をよく見ながら、義務づけについても今後考えていきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/25
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026・今田保典
○今田委員 ぜひ御検討いただきたい、このように思います。
では、同じような問題でありますけれども、タクシーについてでございます。
タクシーについては乗用車並みにシートベルトはしっかりついているわけでありますけれども、ただ、お客様が助手席に座ったときに、運転手の方はもちろん、お客様に、シートベルトをお願いしますということをお願いしなければならぬわけですけれども、一般的な国民に対して、タクシーあるいはハイヤーの前席に座った際に、シートベルトはしっかり締めていただきますよというような、運輸省からのPRといいますか、そういったことをやるべきではないのかなというふうに感じておるところでございます。
それと同時に、自家用車のシートベルトについては、しっかりしたシートベルトがあるにもかかわらず、なかなか着用しないというのが、特に若い人に多いようでありまして、この状況について把握していればお聞かせをいただきたい、このように思います。もう少し若い人がシートベルトをつける意識を高めるために、もう一工夫も二工夫も要るのかなというふうに思います。
例えばチャイルドシートですね。私にも正直言って孫がおりますけれども、小さい子供から言わせれば、格好いいチャイルドシートがあるんですよ。これですと喜んでつけるんですよね。ところが、そうでないものは何か嫌がってつけない。と同時に、若い人に合ったシートベルトというものがあるのではないのか、一工夫すれば。そうすることによって高まっていくのではないのかなというふうに思うわけでありまして、その状況について、わかる範囲内で結構ですから、お知らせをいただきたい。
同時に、法人のタクシーには、助手席はもとより運転手席にもいわゆるエアバッグというものがほとんどついていないのが現状でございますし、さらにABSの装備もついていないというのがほとんどでございます。これはやはり安全上装備を義務づけるべきではないのかというふうに思っているわけでありますけれども、これについて、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/26
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027・下平隆
○下平説明員 御説明申し上げます。
ただいまお尋ねがございましたシートベルトの着用率、使用率がどのぐらいかというお話でございますけれども、ちょっと今手元に数字がございません。なかなかタクシー、バスなどの着用率を把握するのは大変難しいものですから、今数字がございませんので、御勘弁いただきたいと思います。
若い人も含めて、シートベルトをより多く使ってもらうような工夫をすべきじゃないかというお話がございました。確かに、私ども、シートベルトは、衝突した場合の乗員の保護を図る上では大変に大切な装置でございますので、なるべく構造的にも使ってもらえるようなものにするという問題意識を持っております。例えば、ベルトをしたときに圧迫感がないとか使いやすい、あるいは脱着がしやすいとかいうふうな、構造的な改良を重ねているということでございます。
それから、エアバッグあるいはABSについて御指摘がございましたけれども、現在、エアバッグ、ABSなどは一般の乗用車にも義務づけはされているものではございません。しかし、自動車の安全性の向上を図る大切な安全装置でございますので、もし自動車ユーザーの皆様がそうした車を購入したいということがあれば、自動車メーカーがそれを供給できるような体制を整備するということを今指導してまいっております。ぜひタクシーにつきましても、関係者の皆様にこうしたABSあるいはエアバッグの効果等について広く情報提供を行いまして、そうした車を選択していただけるような方向にしてまいりたい、そんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/27
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028・今田保典
○今田委員 確かに、自家用車は義務づけにはなっていないわけでありますけれども、自家用車も含めて、これは義務づけをするかしないか。エアバッグが本当に安全なのかどうかというのも、私も正直言って自信がありません、これによってまた違う事故も起きているようですし。しかし、ABSについては、やはり私はちょっとエアバッグとは違うのかなというふうに思うんですね。これらもやはりもう少し研究されてやるべきでないのかなというふうに思います。
それから、ちょっと違う観点ですが、大型バス、トラックについてのブレーキ関係も、雪の降る地方と雪の降らない地方との違いが大きくあるわけでありまして、その辺のところも一概に全車両にと言えない部分はあるわけですけれども、やはりより安全に運行していただくために、いろいろ研究されていくべきだというふうに申し上げたい、このように思っております。
次に、低公害バスへの積極的な施策というようなことで、この問題についてお尋ねをしたいと思います。環境対策として低公害車の導入が大きく期待をされているわけであります。バスの関係では、都市部、観光地などの一部では、CNGバスあるいはハイブリッドバスなどが運行されております、その数はまだごくわずかでありますけれども。この低公害バスの導入については一定の補助がされているわけでありますけれども、バス業界の厳しい現状が実態としてあるわけでありまして、そのことによって導入がなかなかされていないというのも事実ではないのかなというふうに思っています。
それと同時に、御承知のように、京都会議で達成すべき環境の数値目標が挙げられておりますけれども、この目標達成などを考えますと、もっと積極的に低公害バス導入への施策というものを考えるべきではないのかなというふうに思っておるところであります。同時に、先ほど申し上げましたように、観光地からという一つの取り組みも考えるべきではないのかというふうに思っています。
ただ、そうはいっても、いずれにしろ企業に負担がかかるわけであります。先ほど言ったように、非常に今企業は厳しい環境に置かれているわけでありまして、導入するというのはなかなか大変なのかなというふうに思います。したがって、先ほど申し上げましたように、これらについて購入される場合、やはり国で積極的に助成金を出して、購入に向けた施策をすべきではないのかというふうに思うわけでありまして、この点についてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/28
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029・荒井正吾
○荒井政府委員 低公害車両、とりわけ低公害バスの導入施策でございますが、今委員が御指摘されましたように、低公害バスの導入状況は非常に低い状況にございます。
例えば、今御指摘がありましたCNG、ハイブリッドのほか、電気自動車、メタノール自動車、あわせて全国で二万四千台の導入ですが、そのうちバスは、一年半ほど前の統計でございますが、四百六十七台ということで大変低い状況でございます。その背景には、バス事業の経営問題、あるいはバスの車両の代替時期が比較的長期間でございますので、代替時期との整合というようなものがあろうかと思います。そういう背景でございますが、運輸省といたしまして、低公害バスの導入というのは積極的に進めたいと考えております。
その支援の内容は、一つには税制、低公害車に対する自動車関係諸税の軽減拡充ということを実施しております。さらに、実用化段階になりました先駆的な低公害車を、実用評価事業という名前をつけまして、モニターとなる事業者への車両購入に対する補助を従来行ってきております。今後、そのような税制補助の一層の拡充に努めていきたいと考えておるところでございます。
また、導入の場所につきまして、観光地でございますとか都市等の特定地域に積極的に導入すべきだという点につきましても、そのような方向でできたらというふうに考えます。
低公害バスのタイプとして、エンジンの改良が図られたものと燃料が違うものとございますが、燃料につきましては、CNGとか電気自動車でございますが、燃料の供給基地の整備ということも要ろうかと思いますので、そのような点もあわせて、今後できるだけ導入を図られるよう努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/29
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030・今田保典
○今田委員 ぜひひとついろいろとお考えをいただきたい、このようにお願いを申し上げます。
車両関係とちょっとかけ離れますけれども、一点だけ、大変申しわけないんですが、お尋ねをしたいと思います。
都市間高速バスの中でいろいろと、何とかしてくれというようなお話がある中でお尋ねをしたいと思います。都市間高速バスが非常に盛んになっておるわけであります。それで、地方から都市へというようなことで路線網が今整備をされておるわけであります。しかし、その中で問題になっているのは、都市部のバスターミナルが一向に整備されていないというために、やむを得ず各社の車庫を利用したり、通りの少ないところに行って路上で待ったり、あるいは乗り場にしたりしているのが現状であります。もちろん、そういうふうになった場合には乗り継ぎには大変不便でありますし、利用者の皆さんにも大変不便をかけておるわけであります。
したがいまして、幾ら車社会とはいえ、公共輸送というものは、公害面からいっても、あるいは交通渋滞を緩和するということからいっても、大量輸送機関として非常に重要なものがあるのではないかなというふうに私は思うわけでありまして、そのことを考えれば、やはり都市部にバスターミナルをきちっとつくるべきではないのかなというふうに思うわけであります。正直言って、これについては前からいろいろな方面からお願いをしているやに聞いておるわけでありますけれども、一向に改善されないということでございますが、これについてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/30
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031・荒井正吾
○荒井政府委員 バスターミナルの整備についてでございますが、現在、バスターミナルは、一般に使われるバスターミナルが全国で二十五カ所、三百三十六バース、一カ所平均十五バース程度でございます。バス会社の専用バスターミナルが、二百十三カ所、千四十三バース、一カ所平均五バース程度でございます。バスターミナルは古いものが多うございまして、現在、高速道路を利用した都市間高速バスというものが非常に伸びておりますが、それに適したバスターミナル整備というのがそんなに進んでいない現状であろうかと思います。
ただ、一方、例えば福岡の博多のバスターミナルでございますと、九州の高速バスの利用に際してバスターミナルが整備されて、九州各地から博多へ、高速バスを利用してバスターミナルに着かれるという非常に成功した例もございます。
バスターミナルは都市の施設という面もございますので、いい整備をすると、その周りに商業が発達してお客も来る、町の施設としても整備すべきものかと思います。整備の方法につきまして、運輸省だけでいかない面もございますし、あるいは計画を立ててしなければいかぬ面もあろうかと思います。工夫があろうかと思いますが、今後のバスの輸送のサービスの展開の中で、あるタイプの都市のバスのターミナルの整備というのは極めて重要だというふうに思っておりますので、今後、工夫と努力をさせていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/31
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032・今田保典
○今田委員 前からお願いをしているというようなお話をお聞きしておりますので、簡単にはいかないのだろうと思いますけれども、ぜひひとつ御検討いただきたい、このように思います。
私の質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/32
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033・石破茂
○石破委員長 次に、遠藤乙彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/33
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034・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 公明・改革の遠藤でございます。
道路運送車両法の一部を改正する法律案につきまして、質問をさせていただきたいと思います。
今回の法案は、自動車検査証の有効期間及び定期点検整備について見直しを行うものでございますが、まず、幾つかの点につきまして疑問点がございますので、これにつきましてお聞きをしていきたいと思っております。
特に、今回の制度改正の決定に至った検討プロセスの透明性、公開性といった問題、あるいはまた、なぜそうなったかという十分な説明がなされていないのではないかといった点につきまして、まず御質問させていただければと思っております。
自動車の検査・整備制度の見直しにつきましては、平成七年十二月の行政改革委員会からの指摘がありまして、営業用自動車等を含めた車検期間及び点検・検査項目については、その判断材料となる各種データの動向について毎年継続的に監視を行う仕組みを設け、適時適切に見直しを行っていくべきである、この際、データや検討プロセスの公開により制度の透明性の確保に努めるべきであるとしております。これは、透明性、検討プロセスの公開が特に強調をされております。
こういった指摘に基づきまして、政府におきましては、平成八年の七月、自動車交通局長が、学識経験者、ユーザー代表、自動車業界団体等の関係者を集めまして、各種の基礎的なデータを調査収集、分析するための自動車の検査・点検整備に関する基礎調査検討会を発足させるとともに、同調査会主催で、平成十年三月、幅広く意見を聞くための「フォーラム「車検」を考える」会が開催をされたわけであります。
公開されたこの「フォーラム「車検」を考える」の中で、五十万台に近い調査台数をベースに、自動車のふぐあいの発生状況と交通事故の発生状況の関係、路上故障による交通渋滞との相関関係、排ガス装置のふぐあいによる環境汚染との関係が詳細に発表されております。私もこのデータを拝見しましたが、参考資料としては有用であると私も考えております。
こういった社会的影響のデータの分析を見ますと、トラックについてはいずれも車両総重量三・五トン超と車両総重量三・五トン以下とに区分されておりまして、初回車検のみを二年に延長した場合と、すべて二年車検にした場合の分析比較がそれぞれ試算されております。そして、車検期間を延長した場合、いずれの場合も自動車の安全性並びに環境保全を図る上で少なからず影響がある旨を指摘しております。
この公開データを見る限り、車両総重量三・五トンということで線引きをされておりますが、法案になると突然、車両総重量が八トン未満のトラック等の初回の有効期間を二年に延長するとなっております。従来の検討のプロセスでは三・五トンで区分しておったのを、突然、この法律改正のところでは八トン超ということになってきておって、飛躍があるわけであります。この点につきまして、データや検討プロセスの公開性、制度の透明性確保といったルールとはちょっと反するのではないかというふうに感じております。その後数回開催されました運輸技術審議会の結論を踏まえての本法律案であろうと思いますけれども、運輸技術審議会は非公開の論議と聞いております。
初回の有効期間を二年に延長するトラックを車両総重量八トン未満とした場合、これが要因となる交通事故の増大、交通渋滞の発生、環境汚染の深刻化等の相関関係などの分析結果は、いまだ公表されておりません。こういったことを踏まえまして、この行政改革委員会の指摘にある、制度の透明性、検討プロセスの公開性といった点につきまして、どのように運輸省は考えておられるか、まず御回答をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/34
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035・荒井正吾
○荒井政府委員 今度の車検証の有効期間の見直しのプロセスでございますが、全体として、先ほど委員御紹介されたような流れでございます。
その中で、透明性、あるいは具体的には、ある時期まで三・五トンといういわゆる線引きの話でございますが、一つは、透明性の確保は、まず基礎の研究をして、それをフォーラムのような形で一般的な方に提示するというような段階がございました。さらに、その段階を過ぎました後、平成十年六月から、専門家の集団による具体的な延長問題の審議、運輸技術審議会を舞台にする諮問と審議がございまして、私も入りましたし、関係者の審議も聞きました。その際の審議状況につきましては、審議会自身の決定でございまして、議事録及び会議資料を公開しております。その都度公開で、その都度専門誌等に記事が掲載されて、大変な反響を呼んでおったことを記憶しております。その過程の中で、八トンの線引きの是非も議論されたように記憶しております。
八トン、三・五トンの、最初の一般情報としての契機は、外国の車種区分による線引きが、三・五トンの例がございますので、唯一の例として調査の対象にしたわけでございますが、我が国の事情に合わせてどのような線引きをすべきであるかということが運輸技術審議会の中で検討された過程を経まして、最終的には八トン未満の車の初回を一回一年から二年に延長というふうに答申で結論が出されたというふうに見ております。
まあ、中に入っておる者と外から見られる者で透明性の程度はもちろん違うというふうには思いますが、私の経験からして、委員の皆様にも、具体的な立場を明らかにして公開しますよということをその都度事務局が確認したことを記憶しておりますので、従来との比較でありますれば、相当の公開に努めてまいったというふうにも思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/35
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036・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 私も運輸技術審議会の議事録の存在は承知をしております、拝見をしました。ただ問題は、その背景等のデータですよね。交通事故の増大、交通渋滞の発生、環境汚染の深刻化等の相関関係。
三・五トン未満につきましてはフォーラム「車検」の中でも随分詳しく公表されておりますけれども、こういった基礎データが公表されていないということを私は問題にしております。この点につきましてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/36
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037・荒井正吾
○荒井政府委員 私の記憶だけで申し上げて恐縮ですが、基礎データの公開等、その都度の議論の進展でございましたので、今後とも必要に応じて基礎データの公開は可能だと思いますし、できればさせていただきたいと思いますが、八トン未満の線引きを引くときの我が国における情報といたしまして、八トン未満・以上の車両のふぐあい率でございますとか、その結果発生する事故率等が数字として出されたように記憶しております。
その基礎データの程度、公開について、もし不十分な点があれば、今後さらに検討して御報告申し上げたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/37
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038・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 ぜひ、基礎データも含めて全部公開をするべきだと思っています。これは別に国家機密に関する話じゃありませんので、極力関係者で共有していくことが今後のこういった制度の検討のために重要であるし、民主主義プロセスとして当然のことでありますので、ぜひとも全面公開を要望したいと思っておりますので、この点、まずよろしくお願いしたいと思います。
そういった意味で、制度の透明性、検討プロセスの公開性ということにつきましては今確約をいただいたというふうに理解をしておりますが、次に、なぜそうしたのか、なぜ三・五じゃなくて八トンということでやったのかという納得のできる説明が、まだ十分されてないというふうに考えております。
特に、総重量八トンといえば積載量四トンクラスのいわば大型トラックでありまして、万が一の交通事故の場合の被害は乗用車の比ではないわけであります。また環境汚染等への影響も非常に大きなものがあると考えております。特に、国際的に見ましても、イギリスとかドイツ、フランス、スウェーデン等、諸外国のトラックの有効期間は車両総重量三・五トンを一つの基準にして区分けをしていると承知をしておりまして、いわばグローバルスタンダードと言ってもいいんじゃないかと考えております。
そういった意味で、我が国におきましても、車両総重量三・五トンというところで切るのが国際的な整合性も確保されると思いますし、従来の検討の経緯からいっても当然ではないかと考えるんですけれども、なぜ三・五じゃなくて八トンで区切ったのか、この点につきまして納得のいく説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/38
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039・荒井正吾
○荒井政府委員 トラックにつきまして、車両重量全体として一年、二年延長できるかどうか、あるいは切るとすればどのような切り方が一番合理的かというふうに議論が進んだものでございます。
トラックにつきまして大きな要素は、車両のふぐあい率というものと、走行距離という二つが大きな要素である、そのほかにも、技術の内容、走行状態、あるいは点検整備の実施率等が勘案されたものと記憶しております。特に、車両のふぐあい率につきましては、八トン未満のトラックとそれ以上のトラック、特に二十トン前後のトラックがそのウエートが多いわけでございますが、走行状態が、簡単に言いますと、都市内での使用と、高速道路、長距離の使用ということであったと思います。八トン未満では都市内の使用を反映いたしまして、年間の走行距離が短い、あるいはふぐあい率が低いということが非常に極端な差としてございました。八トン以上につきましては、都市間を走ることもございまして、走行距離が長い、一方ふぐあい率は高いというのがございました。
具体的な数字につきましては、その当時発表されたものでございますが、具体的にまたお届けするなり御報告させていただきたいと思います。検討の概要あるいは結論に至るプロセスの大事な点というのはその二点であったか、その数字の比較の上で、しかし数字だけで物は決められない、そのほかの諸状況を勘案して、専門家の方の議論で決められたというふうに記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/39
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040・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 この運輸技術審議会の答申の中で、ふぐあい率についてなんですが、車両総重量八トン以上の貨物自動車のふぐあい率が六九%と高いので、現行どおり一年ごとの検査を行うこととしております。また、この車両総重量八トン未満の貨物自動車のふぐあい率が比較的小さいといいましても、四七%もあるわけでして、ふぐあいというのは要するに保安基準に適合していないことであって、非常に問題があるということなんだと思うんですね。
この六九%、四七%、率直に言いましてかなり高いんじゃないかなという感じを持っておりまして、それなのに規制緩和をしていくということ、果たして安全性の上から大丈夫なのかという単純な疑問があるんですけれども、この点につきまして納得のいく回答をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/40
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041・荒井正吾
○荒井政府委員 線引きにおきまして、ふぐあい率が大変重要な指標であったことはそのとおりでございます。
そのふぐあい率から発生する事故の発生の確率、あるいは走行距離、使用状況による事故の確率、多数使用されるかどうか等々検討されたわけでございます。今ふぐあい率というちょっと耳なれない言葉でございましたですが、ふぐあい率は、車にふぐあいが一カ所以上ある自動車台数がその車種区分の中で占める割合ということでございますので、一つの車両がふぐあいが数カ所ある場合もあるし、一カ所しかない場合もある、しかし、統計上は、百台のうちふぐあいが一カ所でもあれば、もし十台あれば一〇%というふうに出すものでございます。大事なのは、ふぐあいの箇所の数と重要部位のふぐあい、それが事故にどのように直結するのかというのが大事であるわけでございます。
ふぐあい率というのは、そのような車両の数の割合、ふぐあいが一カ所でもあればふぐあい車という認定でございます。ふぐあい車が、例えばランプが切れたということは事故の可能性が発生するわけでございますが、事故の蓋然性の程度というのはほかの重要部位の蓋然性と比べて低いわけでございますので、さらに詳細なデータは要るわけでございますが、先ほど委員が御指摘されました四七%、六八%というのもそのような中での数字でございますので、絶対的な評価はなかなか難しいわけでございます。しかし、重要なデータ、要素というふうな判断で検討が進められたというふうに記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/41
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042・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 安全性とか環境保全にかかわる規制緩和、極めてこれは重大な問題でございまして、慎重な検討を要するものでございますので、今後ともぜひとも幅広く国民の理解を得ながら、検討プロセスの公開や透明性に十分考慮して検討をお願いしたいと思っておりまして、これは強い要望として申し上げておきます。
そこで、今回の制度改正に伴って、当然整備業界が大きな打撃を受けるということになるわけです。試算によると千五百億円以上という打撃があるというふうに試算をされております。現下の深刻な構造不況のもと、また、特に整備業界は零細業者が多いものですから、こういった制度改正による打撃が本当に存立にかかわる問題であるというふうに現場では認識をしております。そういった意味では、制度改正自体はやむを得ないものとしても、大きな打撃を受ける業界への激変緩和措置、さらに、自力で今後経営を革新していくための支援措置はぜひとも最大限の支援をすべきであろうかと考えております。
そこで、まず最初に、法案の施行日なんですけれども、法律案によりますと、公布の日から起算して一年を超えない範囲で政令で定める日から施行するとありますけれども、今まで矢継ぎ早の規制緩和が行われてきておりまして、整備業界にも非常に大きないわば打撃があることも考慮して、法律に決めてありますので一年以上ということは無理かもしれませんが、ぎりぎりやはり実施時期につきましては配慮するということが必要だと思っておりますので、その実施時期についてはどう考えておられるか、この点につきましてまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/42
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043・荒井正吾
○荒井政府委員 実施時期につきましては、法案成立後関係者と相談し、かついろいろな事情を考慮して政令で決定されるものでございますが、準備期間、あるいは車検期間が延長になることによりまして整備費用の軽減を期待されて購入される景気刺激の面は早くやってもらったらどうかということで、今整備業界からはダメージがありそうなので少しでも遅くと、こういうような観点があることは承知しております。
ここでいつにするかということをまだ申し上げられるほど検討が進んでおりませんが、御指摘の面も検討項目に当然入れまして決定させていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/43
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044・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 恐らく一番大きな支援策になると思うのですが、続いて、自動車整備近代化資金制度の問題ですね。支援策の一環として、政府におきましてこの自動車整備近代化資金制度の充実への検討を行っていると聞いておりますけれども、基本的には、この制度は民間車検の拡大を促進するという趣旨からのものでございまして、御承知のとおり、国と整備業界との出捐金造成による金融制度ということになっております。
ただ、問題は、これができたのは、昭和五十七年の車両法改正に伴い五十八年の十二月に創設されたわけであって、当時はバブル経済に向かう右肩上がりのまだ好況期にあったわけですね。当然自動車販売も好調で、どんどん自動車台数も伸びて、整備市場も拡大をしていく、また金融市場もいわゆる高金利であって、六%台という時代背景があったわけでございます。そういった中で設立された制度である。
ところが、その後御承知の大きな経済の激変、バブルの崩壊による長引く構造不況があって、環境が激変していることは御承知のとおりでございます。特に自動車需要もほとんど頭打ちという状況で、自動車保有台数も、日本の道路整備等の状況も勘案すれば、ほぼ飽和状態という状況でございましょうし、また何よりも、金利ももうゼロ%時代と言われておりまして、激変しているというのが環境の条件でございます。
そういった中で今までと同じような考え方で近代化資金制度を運用していくことは無理があって、制度疲労を来しているというのが私たち現場の意見を聞いた上での私の認識でございます。今日の自動車整備業界の経営環境は大きく変わっていまして、現状における近代化資金制度は、魅力に乏しい、利用ニーズは低い、制度疲労を来していると言っても過言ではないわけであって、抜本的な見直し、強化がもう一回必要ではないかと考えております。
また、業界側の事情もいろいろ調査をしてみますと、出捐金の造成額を達成するために、中央の商工組合連合会が各都道府県商工組合に対してその拠出金を半強制的に割り振っている実態があるというふうに聞いております。東京なんかにおきましても、出捐金を商工組合が立てかえているというような状況もあるそうでございます。これは業界の問題でございましょうけれども、低金利時代の今日、結果的に財務状況が余り芳しくない事業者が活用するという制度になっておりまして、本来の趣旨は生かされてない、また、この基金の目減りも激しいという状況にあるわけでございます。
また加えて、この制度改正に伴って最も深刻な影響を受けるのは、二、三人規模の零細工場なわけですね。こういった人々は、指定整備の取得とは無縁でありますので、この近代化資金を基本的に利用できない立場にあるわけでございます。国の支援は、こういった自助努力だけでは十分に対応できない零細規模の事業者をも今後対象とすべきではないかと考えているわけでございます。ぜひとも本当に困っている零細な整備工場の人々が活用できるように、指定整備に係る融資に限定しないで、運転資金の重点貸し付けなど弾力運用を図ることが不可欠ではないかと考えております。
特に、この資金は、業界にも出捐金が求められておりますので、仮に金額の五%を出捐金として取られて、それは戻ってこないということになるわけですから、実態的には上乗せ金利みたいな役割を果たしておりまして、現行では極めて有用性に乏しいという認識を持っていただきたいと思います。制度の再構築、経緯からいえば再々構築ということになるんだろうと思うんですけれども、ぜひ見直しを行っていただきたいと思っております。
当面の対策としては、例えば、設備資金の返済期間を、現行七年を十年に延長していくとか、運転資金の貸付額を一千万から二千万に拡大していく、返済期間を三年から五年に延長するといった話、あるいはまた利率の引き下げ等々、見直し措置をぜひとも講じていただきたいと思います。特に、政府側の出捐金であります補助金も、ぜひとももう一度再検討していただきまして、しっかりと充実をお願いしたいと思っております。
こういった今の私の意見は、業界側の意見を十分に聞き、また実態を調べた上で申し上げていることなんでございますが、この点につきまして、政府側のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/44
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045・荒井正吾
○荒井政府委員 整備事業は売上高六兆円の大産業でございますが、その事業者は零細でございます。八万社を超える事業者でございます。そのような事業者の方の経営環境が非常に変化している中で規制緩和も行われるということでございます。今後の経営組織はどうあるべきか、産業組織はどうあるべきか、その体質強化の方策はいかんという大きな問題を基本に御指摘、御質問であろうかと改めて認識しておるところでございます。
点検整備・車検制度の中では、ユーザーあっての整備事業者でございますので、ユーザーとの対話あるいはコミュニケーションというのは基本であろうかと思いますが、事業の実態に合わせた体質強化の方策とそれに対する国の支援策についての考え方、今後の変化に対応する心構えといったことを御指摘になったかと思います。
特に、五十七年の改正時に導入されました自動車整備近代化資金制度の改正問題、具体的に四点を指摘されたわけでございます。過去の制度にしがみつくわけではございませんので、今後の整備業界のあり方の議論とともに、この規制緩和について何が求められてどういうことができるのかということを、今御指摘の具体的な点も踏まえて、さらに検討をさせていただきたいというふうに、現在ただいまの時点では考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/45
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046・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 総論は結構なんですが、この近代化資金、どの点を、具体的に何をやるか、あるいは何を検討するか、具体的な各論としてお答えをいただきたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/46
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047・荒井正吾
○荒井政府委員 今御指摘された四点は、設備資金五千万の返済期間七年を十年、あるいは運転資金一千万を二千万、返済期間三年を五年、さらに出捐金五%の配分の見直しというふうに認識しております。
これについては、関係者との御相談あるいは検討も要ろうかと思います。申しわけございませんが、私の段階で、今までの検討段階について、今時点でこれ、あれと言えるほどの検討状況にまで至っておりません。今後、この点も含めて、検討体制あるいは検討の実施をさせていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/47
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048・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 今のお答えの中には、政府の出捐金である政府補助金の充実ということは入っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/48
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049・荒井正吾
○荒井政府委員 政府の補助金の充実は予算の要求にかかわるものでございますので、具体的には、この法案が通りますれば、来年度の実施ということでございましたら、来年度の予算要求としてどうするかという予算要求の編成過程の中で検討させていただきたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/49
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050・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 前向きの検討というふうに理解をいたしまして、一応了解をいたします。今後とも、この点につきましては引き続きフォローアップをしていく所存でございますので、ぜひとも誠実に対応をお願いしたいと思います。
それから、ちょっと時間が限られてきておりますが、こういった今回の制度改正に伴って、今のような近代化資金の再々構築といった視点とともに、民間車検拡大のための規制緩和を進めるということをぜひとも進めていただきたいと思っております。といいますのは、整備業界にとって、そういった仕事がどんどんふえることが何よりも元気の源でございますので、民間車検ビジネスを拡大するという基本的な方向に沿って、ぜひお願いをしたいと思っております。
例えば、一例を申し上げますと、零細規模の認証工場の場合、これは検査の方は国の車検に持っていかなくちゃいけないんですけれども、国の車検場は週末、祭日お休みなんですね。ところが、民間の指定工場は、週末、祭日もあいていますと、これを売り物にして非常に今業績を伸ばしているものがあって、こういった点を考慮しますと、零細の認証工場は非常に不利な環境に置かれております。
こういった点につきまして、例えば二〇〇一年以降、国の検査場が独立行政法人化されるというふうに聞いておりますけれども、ぜひその際には、週末、祭日の車検場を開くということも当然検討すべきだと思うんですが、これにつきましてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/50
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051・川崎二郎
○川崎国務大臣 これから独立行政法人という形で進む過程の中で、そういうものがつくられていくという発想の中で、今委員から御指摘いただきましたように、サービス期間の延長というものは当然出てくるだろう、そういう意味では前向きに私どもも受けとめていきたい。ただ、そのシステム、最終的な結論をまだ得ておりませんので、前向きに努力していくということで、きょうは御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/51
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052・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 大臣から、前向きにということで大変心強いお言葉をいただきまして、感謝をしたいと思います。
また、別の視点から、中小零細の認証工場が民間車検を取得していく、これを促進することが非常に大事な一つの政策と思いますので、余りがんじがらめにいろいろな指導行政で厳しい条件を押しつけるんじゃなくて、指導行政の規制緩和自体も断行すべきだと思います。
具体的には、特定指定工場を取得するためには、工員五人以上とか、月間車検台数二十台以上といった条件があるわけですけれども、これは別に法律に基づくわけではなくて、行政指導で行われているわけであって、ここら辺はむしろ現場の業者、彼らの経営の判断に任せていくのが筋だと思いますので、こういった行政指導による規制もむしろ緩和すべきではないか、緩和ないしは撤廃すべきだと思いますけれども、この点につきまして、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/52
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053・荒井正吾
○荒井政府委員 いわゆる民間車検を受け持っていただいております指定自動車整備工場、車検の全体の三分の二を民間車検でしていただいているわけでございます。一方、性格的には、国の自動車検査業務の代行、国の業務の代行という面がございますので、ある面、厳格な業務の執行ということが期待されるものでございます。
そういう指定整備工場につきまして、検査をされるということで、一定の設備、技術、管理組織等の要件が従来からあるわけでございますが、全体の傾向といたしまして、工員数六人から五人、設備機器六十一品目から四十四品目等々、規制緩和の流れにあると思います。
今後の要件の緩和の必要性あるいは方向ということでございますが、私どもの現在の感じからいたしますと、従来、技術の進歩あるいは世の中のニーズに応じて相当の程度緩和をしてきたというように思っております。その結果、指定整備工場もここずっと増加してきております。今後とも、必要に応じ、要件の見直しをすべきかと考えておりますが、具体的な点につきましては、最近の状況でございますが、指定整備工場で一部の不正な事件も発生したりしておりまして、その面の社会の要請をどう受けとめるかという面もございますので、適正な業務運営ができるような要件の維持と、できるだけ民間で効率的にしていただきたい、要するにその調和かと思いますので、そのような観点から、今後、継続的な検討ということにさせていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/53
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054・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 ぜひその方向で進めていただきたいのですが、規制緩和した場合の不正なケースという場合、これは罰則の強化と市場原理それ自体で淘汰されていくということで担保できると思いますので、そこら辺はある程度柔軟に対応しても問題は生じないと考えておりますので、ぜひとも前向きに検討をお願いしたいと思っております。
それから、その他の支援策として、近代化促進法に基づく機械整備等の割り増し償却といった点も業界からは声が出ております。特に、中小企業近代化促進法に基づきまして、構造改善事業推進のため、機械等割り増し償却につきましては、総収入のうち、整備売上高五〇%以上という資格条件が決められております。こういった点も実際の業者の場合には、もう今生存が厳しくて、整備だけじゃなくて、車の販売とかあるいは保険業等にも手を出さざるを得ない、そうなると、五〇%という目標もなかなか達成が難しいという状況にもありますので、ぜひともこの点なんかも柔軟に運用してほしいという要望が出ております。当然、これは大蔵当局との話し合いも必要ですので、ここですぐにということは申し上げませんけれども、ぜひともこういったことも含めて御検討をお願いしたいと思っております。
最後に一つ、法案とは直接関係はないのですけれども、自動車諸税のグリーン化ということにつきまして、これは大臣の御見解をお願いしたいと思っております。
地球環境問題、非常に重要なテーマでございますし、我が国としても、むしろ先進国としてこれに取り組む必要があると思っておりますが、CO2の問題、SOx、NOxの問題、先般の京都会議でも、我が国としてもコミットをしたわけでございます。そういった中で、政策的措置として非常に重要な発想であると私も思っております。
その意味で、最近は答申が出ていると思いますけれども、大臣とされまして、この自動車諸税のグリーン化に対してどういう見解をお持ちなのか、あるいはまた、どういう決意をお持ちなのかお聞きして、最後の質問にしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/54
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055・川崎二郎
○川崎国務大臣 今御指摘のように、グリーン化税制について答申をいただいたところでございます。
実は、ことしから、低燃費車、一%ほどの税の削減ということで四月からスタートいたしております。ある意味では、これはあめ税制と考えたらいいだろう。しかし、いろいろな議論の中で、あめ税制だけで私どもが目標とする運輸部門、CO2の排出量、九割が自動車、七千四百万台、達成できるだろうかということになると、私どもは、やはりここまで踏み込まなければならないだろうと思っております。
既に業界の皆さん方からは、今経済が極めて厳しい、したがって、あめ税制だけでやってくれ、こういう御意見が出てきております。もちろん、今経済状況が厳しいということは私どももわかっておりますけれども、しかしながら、一方で、やはり世界に対する日本の考え方というものを明確にしていくという意味では、グリーン税制というものについて御理解をいただくべく私ども、これから努力をしてまいりたい。国内的な業界の方々とのお話し合い、また税調等での議論ということになってまいる。
もう一つは、やはり世界の流れ、ヨーロッパが既にこうした取り組みを示しております。アメリカ自体の動きがよくわからないわけでありますけれども、そういう意味では、環境については日本とヨーロッパが先頭に立って走っていく、そして、アメリカやアジアを引っ張っていく、こういう決意も必要だろうと思っておりますので、いろいろ御議論はありますけれども、我々も一生懸命頑張りたいと思いますので、委員の御支援のほどをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/55
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056・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 大臣から大変高い見識と強い決意を伺って、私も感銘をしております。
私も同じ考えに立つものでございます。きょうはもう議論する時間がございませんが、私は環境規制の強化と景気回復、経済発展はむしろ両立すると考えていまして、かつていろいろな厳しい環境基準を自動車に課されましたが、それによって日本の自動車が非常に技術革新をして、むしろ世界に大きなマーケットを広げたということもあります。むしろこれからは環境規制、地球に優しい技術革新をするところが二十一世紀に経済発展をしていくものと考えておりまして、決して両者は矛盾するものではないということでございます。ぜひ環境規制、地球環境の保全ということと経済発展を結びつける創造的な、また技術革新をしっかり進めることによってそういった目標を達成すべく、ぜひ関係各省、また関係者の努力を期待いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/56
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057・石破茂
○石破委員長 次に、寺前巖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/57
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058・寺前巖
○寺前委員 車両法の改正について、わずかな時間ですが、お聞きをしたいと思います。
大臣は、所信表明でもおっしゃいましたし、常に言われていることですが、運輸行政の基本は安全でなければならない、これは私は非常に大事な態度だと思いますので、そういう視点から今度の改正がどういう意味を持つのだろうかということを振り返って見てみました。
運輸省の方からいただきました「定期点検整備実施率の推移(自家用自動車)」の状況という表を見ますと、「十二か月定期点検整備」のマイカーを見ますと、平成二年は五九・五%、平成三年は五八・七%と五〇%の高い段階にあったものが、平成九年の資料を見ると五〇・八%に落ちている、整備状況がずっと落ちてきている。トラックの小型の四ナンバーの分野を見ますと、平成二年が五九・〇%、三年が五五・〇%、ずっと下がっていって、平成九年になると四二・五%になっている。「定期点検整備実施率の推移」を見ると、ずっと定期点検が落ちている事態にある。さらにまた、自動車検査・点検整備に関する基礎検討委員会の九七年の資料を見ますと、トラックの車検の初回有効期間を二年に延長した場合、整備不良を要因とする交通事故による年間推定死傷者数は、自家用トラックで一・一から二・一%ふえる、事業用トラックで二・五から四・三%増加すると試算が出ている。
整備は悪くなっている、延長したならば死ぬ人はこれだけふえるであろうという資料を見せつけられて、それで二年間の延長、結構でございますというわけには私はいかないのですけれども、大臣、いかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/58
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059・川崎二郎
○川崎国務大臣 私が常々申し上げております、運輸省として、安全と、また近年の課題であります環境問題、これについてはしっかりとした方針を定めていきたい。しかし、一方で、規制緩和を進めて国民負担、利用者負担というものを軽減していく、これも常に心がけていかなければならない問題であろう。特に、技術の進歩という問題もあわせながら、ぎりぎりの議論というものをしてまいったつもりであります。
また、先ほどから議論いただいておりますように、トラック業界、利用者という面からすれば、もう車検は全部二年で統一したらどうだ、こういう議論も当然出てくる。片っ方で、整備業界の皆さん方からもいろいろな御意見をいただいておる。そんなものをいろいろ聞かせていただき、そして、まさに技術審議会で技術的な議論をした結果として、今回、ある意味ではぎりぎりの一つの考え方を示させていただいたというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/59
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060・寺前巖
○寺前委員 お答えにならぬのです。要するに、整備率は悪くなってきている、予測したら、二年に延長したら死傷者数はふえる、こんな結論が出されておって、賛成せいと言われたら、これは私はちょっと考えさせられる、こう言わざるを得ないじゃありませんか。
そこへ持ってきて、九四年の法改正のときの附帯決議にこういうのがありました。点検整備の義務が履行されるよう適切な措置を講じよ、街頭検査等の積極的な実施体制を整えよ、こういうのが決議にある。
それでは、街頭検査が一体どういうふうに進んでいるんだろうか、ちょっと調べてみました。九四年の十万件、九五年の九万件、九六年八万件、九七年八万三千件。お役所の方も、附帯決議はああつけたけれども、実践的にはどんどんこの街頭の検査は減ってきている。そうすると、規制緩和の名のもとに無責任事態がつくられていくということに、いや応なしに目を向けざるを得ないじゃありませんか。局長さん、そんなことを感じませんか、いかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/60
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061・荒井正吾
○荒井政府委員 先ほど御指摘になった中で、自動車検査の期間を延長したときの社会的影響の試算の御披露がございましたが、その調査は平成十年三月の基礎調査検討会の調査報告でございます。見直しの材料となる自動車を一つピックアップいたしまして、その使用実態、交通事故、環境等の各種データの収集分析を行いまして、その社会的影響、例えば、事故が増加するとか環境が悪化するということを、単純に延長した場合の計算として出したものでございます。
運輸技術審議会におきましては、その調査結果を一つの資料といたしまして、試算の方法を再度確認するとともに、車種区分の細分化等による細かいデータの分析、その結果、有効期間を延長した場合のふぐあいがどの程度増加するかという詳細な検討を踏まえまして、安全性の確保に害のない車種と期間に限定する、さらに、自動車の使用者の確実な点検の実施体制ということで、答申上支障がないと判断されたものでございます。
点検整備と延長、さらに社会的影響の関係の中に、今度の見直しの大きな背景にございますのは、技術の進歩というものがございます。設備、装置自身も年々進歩しておりますので、それを反映した点検整備のあり方、車検期間の延長の是非ということ、その検討自身が社会的要請として規制緩和計画、あるいは行政の平成七年からの課題として、ここ数年間の検討を経たものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/61
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062・寺前巖
○寺前委員 局長さんの答弁も結局私の疑問には一つもお答えになっていない。整備は悪くなってきているし、それから、推測する状況でいくと、その点検の期間を初回の場合二年にしたら死傷者数はふえる。それで、運輸省自身が街頭で検査する回数は年々減っている。だから、無責任な事態になってくるじゃないかということを私は心配して聞いているのに、長々とお話しになったけれども、結局その話の答弁は何ら出てこないんだから、私は異常だと言わなけりゃならない、まずこのことを指摘しておきます。
次に、私は、そこでまた、矛盾を感じてきたお手紙を、これは個人タクシーの方からもらったんです。私たちの意見としては、整備不良に起因する交通事故が皆無のタクシーは据え置きなのに、整備不良による事故が調査でも明確なトラックがどうして一年の延長なのか、我々の納得のいく質疑をしていただきたいという手紙が来たんです。
これに基づいてですが、一体どんなことになっているんだろうかと調べてみました。事業用の貨物自動車は、一カ月点検二七・三、三カ月点検五六・六、こういう数字が出ている。それでは、事業用乗用自動車、タクシーの場合はどうか。一カ月九五・五、三カ月点検九七・九。一〇〇%近く整備をおやりになっているのに、事業用貨物自動車は極端に少ないじゃないか。極端に少ない方が二年の延長になって、乗用自動車の方は一〇〇%きちっとやっているのに、これの方はそうはならないというのはおかしいじゃないかという手紙が来たわけですね。
ほう、これは何でやろな、やはり聞かざるを得ないでしょう。私はどうもこの提案の中にはすかっとしないものを感ずるんで、局長さん、御答弁いただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/62
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063・荒井正吾
○荒井政府委員 事業用貨物車の点検整備の実施率、それからタクシーの点検整備の実施率の御披露がございました。点検整備の実施率につきましては、そのような差がございます。
今度の車検期間の延長の際に考慮されたさらに重要な事項がございます。具体的に申し上げますと、タクシーの一年目のふぐあい率は五九%でございます。トラックの今度延長される八トン未満のふぐあい率は四七%でございます。それから、車両総重量八トン以上の車のふぐあい率は六九%でございます。
一方、もう一つの重要な要素といたしまして年間の走行距離がございますが、タクシーにつきましては平均で六万キロ、六万一千五百キロが年間走られております。八トン未満のトラックにつきましては約四分の一の一万五千キロでございます。車両重量八トン以上の車は五万五千キロ走られております。
ふぐあいの率、それから年間走行キロ、さらに年間の乗降人員と、先ほど少々御説明申し上げましたそのような重要な勘案、比較考量の上に決定されたというふうに認識、判断しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/63
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064・寺前巖
○寺前委員 どうももう一つようわからぬ。長いこと走ってお客さんを積んでやるのとトラックとの関係が、整備率が悪いところが長く延ばされて、整備率がいいところがならへんという矛盾というのは、何ぼ聞いてもわからない。
これ、せっかくのこういう要望がありますから、よう関係者と打ち合わせを一回やってみてください。矛盾を感ずるものはそのままにしておくのはよくないと思いますので、局長さん、よろしいな、よう聞いてやってください、もう一回。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/64
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065・荒井正吾
○荒井政府委員 今度の改正はこの時点での判断でございますが、今後車種ごとにふぐあいの状況や使用形態についての継続的な調査を実施して、今回の見直し後の状況を監視することにしております。必要に応じまして今後の状況の判断の資料にしたいと思いますので、その一環として関係者の意見も十分聞かせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/65
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066・寺前巖
○寺前委員 今日、不況のもとにおいてタクシーがずっと並んでいる姿を見たときに、いやいや待てよ、こういうときにこそ調整をやって、新しいタクシーの認可をするのはちょっと待とうとか、あるいは今認可しているものでもちょっと調整をしようかとか、こんなことを考えてくれてこそ、政府ありというふうに言えるんじゃないだろうかと思うんですが、実際はそうなっていないので、一層の不安を持っているだけに、私は運輸行政としてもよく検討してほしいという要望を言って、時間がありませんので、次の質問に入ります。
そこで、一生懸命整備をして安全性を守るという問題と同時に、車をつくったところ自身が安全な車であったかどうかということを責任を持ってやる制度として、つくった後もリコールという制度があるわけです。ここがまともな仕事をしてくれなかったら、社会の不安というのは残っていくんです。
私は、リコール制度の問題について最近の半年間を振り返ってみたときに、あの富士重工のレガシィ事故をめぐる問題が出ていました。
九三年の十月にニューレガシィがつくられた。明くる年の一月の六日には、岡山のディーラーから富士重工業に技術連絡書が届く、おかしいと。一月二十日には千葉から出てくる。そして一月二十六日に、その富士重工の中で市場品質改善会議が開かれて、リコール実施が一致して決められた。これは九四年のことでしょう。
ところが、九六年の十月七日に、滋賀県の守山市でレガシィの暴走事故で女性が重傷を負う。警察がそこで車を調べてみたら、これはおかしいということになって、何とこれは二年、三年近くこういう問題車が平然と走り回っていた。これはえらいことだなと。何ぼ整備しておったって、もとのところで悪いものを平気で走らせておって、それが悪いということを知っていながら隠していた社会的責任というのは、道義にも反することだ。
ここのところを抑えるようにということがあって、九四年に大臣の勧告制度というものができた。自覚だけではいかんでということができた。さあ、それが有効な働きをするのかどうか。その後に、運輸省が今度はダイハツの問題をめぐって勧告を出していました。それを見ると、九四年の一月に出されている欠陥車ですよ。これが問題になったのがことしですから、立入調査をやったのが九八年なんですから、これは四年、五年とやはり無謀な自動車が、欠陥車が走り回っている。
さあ、欠陥車がこのような形で大手企業の手によって平然となされている事態を考えたときに、社会の責任を負う政府機関の役割というのは非常に大事だ。その使命を発揮することこそ、何でこんなものが次々と、昔から言われておって、改正までやってきて、なぜいつまでも続くのか。ここにメスを入れてもらわなかったら、本当に、車両法を改正しましたと言われたって、国民の側から見るならば、やるべきことをちゃんと提案してくれなんだら困るじゃないかということになる。
私は、そこで感ずる問題が三つあるんです。
三つあるというのは、情報が、ユーザーの人がディーラーに言う、ディーラーの人が会社へ言う、この会社ルートだけが存在しておるようなやり方をやめなければいかぬ。情報が運輸省にばあっと集まってくる体制をつくる必要がある。情報が集まる内容としては、ディーラーから持ってくる話があるだろう、ユーザーから持ってくる話があるだろう、会社からの報告がある。
この体制を整備するために、ちょっとこの間調べてみたら、何と運輸局に一人そういう担当者がおるだけだ。本省の方には七人の体制があるけれども、そのうち、こういう情報の整理をするのが二人だけだというんだ。そして、情報があって今までに独自で検査をやったというのが、九五年以後四件しかないというんだ。運輸省自身の独自体制を情報網について確立するということを研究しなければいかぬのと違うか、予算的にも体制的にも考える必要があるなということを私は素人ながらに感じた、こういう情報の問題をめぐって。
もう一つあるんです。外国の裁判にまでなっているいろいろな日本車の問題をめぐる情報、これが日本の運輸省の側にばあっと来ていない、これがやはり問題だと思う。外国で話題になっている、今はもう国際的な時代なんだから、その情報が集中できるような体制をやはりしかと確立しなければいかぬと思うんです。
もう時間がないから私は言いませんけれども、それを確立してもらわなかったらあかん。私、本当に真剣にこの問題を考えてほしいと思う。今のままでは、一生懸命整備して緩和をしていくことばかり考えておったら、社会の安全性は、交通問題における安全性はつぶされてしまうことになる。さあ、そういう問題について御検討いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/66
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067・荒井正吾
○荒井政府委員 富士重工、ダイハツのリコール問題について発覚がおくれたことは大変遺憾でございますが、その発覚の端緒となりましたのが情報でございます。発覚がその件につきましてはおくれましたが、富士重工につきましては初めての過料、あるいはダイハツにつきましては初めてのリコール勧告を実施いたしまして、今後の抑止効果というものは大いに期待できると思っております。
さて、その情報の収集でございますが、自動車局に入る情報は、地方だけではなしに本省で集中的にやる、電話のほかファクス、インターネット等、効率的だと思っております。リコール等の自動車局のホームページの情報は、他の官署に比べて断トツに多いというふうにも聞いております。
情報の整備についての検討を進めたいと思いますが、具体的には、クレーム情報を二十四時間受け付けるという体制を近々検討したいとも思います。そのような工夫を凝らして、簡素な中での情報の収集整理に努めたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/67
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068・寺前巖
○寺前委員 時間が来ましたので、一言だけ大臣にお願いしたいと思うんです。
他省庁に比べても非常に情報収集が多いんだ、こうおっしゃるけれども、車の台数というのは違うんだから、すごいんだから、しかもリコールしなければならない台数も物すごい多い状況にあるんだから、情報がよう集まって、大事なことなんだ。それに対する対策としての人数を見たときに、こんな体制でできるのかという問題がやはり心配になるんです。御検討いただきたいということ。
情報の大事な問題というのは、自動車の関係の交通事故が起こったら、必ず警察はそれは調べなければならぬことになるんだから、その警察の情報が全部運輸省の側に来るならば、私は、もっと情報について的確な措置をすることができるだろう、この確立問題というものを真剣に考えてほしいと思うんです。私は、この分野にメスを入れなければならないことは多々あると思う。大臣に御決意をお聞かせいただければ幸いだと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/68
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069・川崎二郎
○川崎国務大臣 リコール制度は、基本的には企業の社会的責任、まさに自己原則ということで果たしていかなきゃならない。しかしながら、それが守られない場合に制裁なり罰則というものがございます。一方で、特に社会的制裁、こういう側面があるんだろうと思っております。
ただ、御指摘をいただきましたように、しかし、それで完璧かということになれば、そうではない。現実として起きてしまいました。そういう意味では、私どもの情報収集能力、また効率的な仕事のやり方を十分検討してまいりたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/69
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070・寺前巖
○寺前委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/70
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071・石破茂
○石破委員長 これにて両案件に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/71
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072・石破茂
○石破委員長 ただいま議題となっております両案件中、道路運送車両法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。平賀高成君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/72
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073・平賀高成
○平賀委員 私は、日本共産党を代表して、道路運送車両法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
反対理由の第一は、トラックの定期点検整備の実施状況は、事業用トラックで一カ月点検二七・三%、三カ月点検五六・六%、八トン以下の自家用トラックで六カ月点検三〇・九%と低い水準にとどまっていることです。
今回の改正は、トラックのうち車両総重量八トン未満の車両に限り、車検の初回有効期間を二年に延長するものですが、点検整備の実施率が低下している現状のもとで、抜本的な強化策のないまま有効期間を延長すれば、整備不良のトラブル運行がふえ、安全性の低下や環境汚染の悪化を招くことになるからです。
反対理由の第二は、九七年の自動車検査・点検整備に関する基礎調査検討委員会の調査検討によれば、トラックの車検の初回有効期間を二年に延長した場合、整備不良を要因とする交通事故による年間推定死傷者数は増加すると試算されているからです。したがって、有効期間延長には賛成できません。
なお、自動車メーカーの欠陥車のリコール隠しが問題になっています。安全な交通体系を確立するために、車両そのものの欠陥対策を抜本的に強化すべきであることをあわせて申し述べて、討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/73
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074・石破茂
○石破委員長 これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/74
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075・石破茂
○石破委員長 これより採決に入ります。
道路運送車両法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/75
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076・石破茂
○石破委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東運輸局栃木陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件について議事を進めます。
本件につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、関東運輸局栃木陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。
本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/76
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077・石破茂
○石破委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両案件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/77
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078・石破茂
○石破委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/78
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079・石破茂
○石破委員長 次回は、来る六月九日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503830X01019990528/79
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