1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年四月二十三日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 北側 一雄君
理事 河村 建夫君 理事 河本 三郎君
理事 山口 俊一君 理事 辻 一彦君
理事 吉田 治君 理事 斉藤 鉄夫君
理事 菅原喜重郎君
飯島 忠義君 江渡 聡徳君
奥山 茂彦君 木村 隆秀君
田中 和徳君 三ツ林弥太郎君
村岡 兼造君 望月 義夫君
鍵田 節哉君 近藤 昭一君
鳩山由紀夫君 近江巳記夫君
佐々木洋平君 吉井 英勝君
辻元 清美君 中村喜四郎君
出席国務大臣
国務大臣
(科学技術庁長
官) 有馬 朗人君
出席政府委員
科学技術庁長官
官房長 興 直孝君
科学技術庁科学
技術政策局長 加藤 康宏君
科学技術庁研究
開発局長 池田 要君
科学技術庁原子
力局長 青江 茂君
科学技術庁原子
力安全局長 間宮 馨君
資源エネルギー
庁長官 稲川 泰弘君
委員外の出席者
原子力委員会委
員 藤家 洋一君
外務省総合外交
政策局軍備管理
・科学審議官 阿部 信泰君
科学技術委員会
専門員 宮武 太郎君
委員の異動
四月二十三日
辞任 補欠選任
中西 啓介君 佐々木洋平君
同日
辞任 補欠選任
佐々木洋平君 中西 啓介君
本日の会議に付した案件
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)
午前九時開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/0
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001・北側一雄
○北側委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。望月義夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/1
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002・望月義夫
○望月委員 皆さんおはようございます。
それでは質問をさせていただきます。
我が国は、世界有数のエネルギー消費国であり、かつ、狭い国土にあってエネルギー資源が著しく乏しい国であることは、もう言うまでもありません。そのため、原子力発電が、核物質、そして放射性物質を扱うという危険をはらんでいるのにもかかわらず、長期的に安定供給が可能なため、これに頼らざるを得ないのが現状であります。そして、この原子力開発には大きく分けて二つの問題点が指摘できると思います。
一つは、安全と信頼の確保であります。これについては、平成七年十二月の高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故をきっかけにして、徹底したマニュアルづくりが進んでいることと思われますので、簡単にお答えいただくとして、二つ目の問題が、原子力、いわゆる核の安全保障であります。
ちょうど一カ月前になりますが、三月二十三日、国籍不明の不審船二隻が能登半島沖で発見され、海上保安庁と海上自衛隊による追跡劇が行われたのは記憶に新しいところであります。現在、我が国の原子力施設は、実用原子力発電所が十六サイトで五十一基の原子炉が稼働中であり、それ以外の核燃料施設や原子炉施設などが二十一サイト、三十二施設あります。能登半島方面、すなわち北陸四県には実用原子力発電の原子炉が二十基余り集中しております。不審船騒動を機に、スパイ行為やテロ行為が起こったときには果たして大丈夫かなというような一抹の不安を抱いたのは私ばかりではない、このように思っております。
このことに関しては、我が国の治安、国防に密接にかかわる問題でございますが、インド、パキスタンの核開発競争、北朝鮮の核開発疑惑など、アジア諸国の核拡散についてはとりわけ我が国として懸念を抱かざるを得ません。原子力の平和的開発利用を進めていくためにも、唯一の被爆国である日本が、みずから核不拡散を担保していかなければならないのはもちろんのこと、国際的な視野に立って、特にアジアでの核不拡散に取り組まなければならないと思います。
我が郷土静岡県にも浜岡で四基の原子炉が稼働しておりますが、この二つの問題、特に国際的な核不拡散体制への取り組みについて、青春時代を同じ静岡県で過ごされた原子力物理学の世界的権威であります有馬大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/2
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003・有馬朗人
○有馬国務大臣 二つ問題を御質問くださいまして、その中で、安全という点からまずお答えを申し上げます。
先ほど御指摘がございましたように、平成七年十二月の旧動燃の「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故をきっかけといたしまして、核燃料サイクル開発機構においては、施設の安全確保に万全を期するために、現在、品質保証計画や設計審査に関するマニュアル類の整備を進めているところでございます。科学技術庁といたしましても、その妥当性を逐次確認しているところでございます。
このナトリウム漏えい事故などによって、国民の皆さんの原子力安全に対する信頼と安心を損なうものとなったことは、私も大変残念に思っております。私といたしましては、国民の皆さんの関心事である安心と技術的観点からの安全との間に大きな乖離があることが問題であると考えております。
このため、安全確保に万全を期することはもちろんのこと、より一層わかりやすい情報の公開、国民各界各層との一層の対話の促進などをしながら、原子力に対する安心と信頼の確保に向けた方策に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
次に、核不拡散体制のことでございますが、まさに先生御指摘のように、唯一の被爆国である我が国といたしましては、国際的な核不拡散体制の維持強化に努力すべき立場にあると認識いたしております。こういう観点から、みずからは、原子力基本法に基づきまして平和目的に限定して原子力開発利用に取り組み、国際的にも、核兵器の不拡散に関する条約、NPTなどの国際約束等の義務などを誠実かつ確実に履行しておりますし、今後もその覚悟でございます。
また、近年の核不拡散に関する国際的動向、すなわち、平成七年四月のNPTの無期限延長の決定、平成八年九月の包括的核実験禁止条約、CTBTの署名開放、平成九年五月の国際原子力機関、IAEAの保障措置の強化・効率化のためのモデル追加議定書の採択など、核不拡散体制の維持強化の動きに対しましても、我が国は積極的に対応してまいりました。
今般の原子炉等規制法の改正は、ただいま述べましたIAEAの保障措置の強化・効率化のための追加議定書、昨年十二月に日本も署名いたしております、それを早期に実施に移すために必要な国内担保措置でございまして、我が国の核不拡散に対する姿勢を内外に明らかにするために極めて重要なものと考えております。
科学技術庁といたしましては、今後とも国際的核不拡散体制の維持強化に貢献していくため、我が国の原子力平和利用技術を積極的に活用することを含めまして、主体的に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/3
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004・望月義夫
○望月委員 ただいまの有馬大臣の御答弁にあった追加議定書、いわばIAEAの保障措置の強化方策に積極的に取り組むことが、いわゆる原子炉等規制法の一部改正にあっての一つの柱になっているわけでございますが、今回の改正においては、これまでの法律の対象となっていなかった原子力資機材の製造活動などを行っている人々、いわば直接的には核物質を使わないような人まで保障措置の対象とすることになるわけでありますけれども、保障措置は、我が国が平和利用に限って原子力開発利用を行っていることを国際的に証明する重要な手段と認識しております。
しかしながら、必要以上に原子力関係者に負担をかけてはならないこと、我が国の原子力の健全な発展に支障を来してはならないことは当然であると思いますけれども、このような観点から、保障措置の強化に適切に対応していくためには、新たな対応が求められる関係事業者の理解が非常に重要だ、このように考えますが、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/4
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005・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、今般の追加議定書及びその国内担保措置としましての規制法改正ということに伴いまして、従前、いわゆる核物質を扱っている者、これは保障措置の対象ということでもって査察の対象にもなっておったわけでございますけれども、それ以外の方々にも、いわゆる報告を求めるでございますとか、場合によりますれば立ち入り、補完的なアクセスと言われてございますけれども、そういったものの対象になってくるということでございます。
そういうことだといたしますれば、御指摘のとおり、関係する方々、事業者の方々にきちんとしたその点についての意味合いの御理解というものをいただいておくということが大変重要だというふうに思ってございまして、こういう観点から、科学技術庁といたしましては、関係する可能性のある事業者等に対しまして、あらかじめ十分な理解を得るというふうな意味を込めまして、約三年前の本件検討の非常に早い段階から、その保障措置の強化・効率化のための内容ということにつきましてるる御説明をする、ないし公開のシンポジウムを開催する、こういったふうな機会を設けまして、御理解を得るための努力というものをずっと継続をしてきておるということでございまして、今後とも引き続き、法案を御審議いただきまして、成立をいたしますれば、その機をまたとらえまして、さらに御理解をいただくための努力をいたしたいというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/5
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006・望月義夫
○望月委員 わかりました。
それでは、もう一つの柱である使用済み核燃料の中間貯蔵について具体的にお伺いしたいと思います。
我が国の原子力政策は、使用済み燃料を再処理してプルトニウムなどをリサイクルすることになっております。ところが、プルトニウム利用の本命とも言える、皆さん御存じの高速増殖炉については、先般の事故以来運転を停止している状態にあります。
現在、使用済み燃料は年間九百トン発生しているにもかかわらず、六ケ所村の再処理工場は建設段階というのが現状では、今回の中間貯蔵がこれまでの核燃料リサイクル政策の破綻ではないかというような声が聞こえてきても不思議ではありません。
また、発電所の現在の貯蔵容量は一万三千トンと言われておりますが、二〇一〇年には使用済み燃料は年間千四百トン発生し、全体では新たに貯蔵施設を六千トン程度設置しなければならないという見通しであることを考えれば、原子力発電所の使用済み燃料貯蔵容量は当然逼迫してくる。これはもうプラスマイナスの足し算でわかると思いますけれども、地元自治体や地元住民の不信感を取り払うための窮余の法改正ととられても仕方がないというところがあると思えるわけであります。
そこで、たとえ法改正を行っても、二〇一〇年までの施設建設並びに利用が本当に可能かどうか、またその事業主体の信頼性はどうなのか、これを含めてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/6
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007・稲川泰弘
○稲川政府委員 お答えを申し上げます。
使用済み燃料の中間貯蔵施設の立地につきましては、立地地域の方々及び国民の理解と協力が不可欠でございまして、このため、国、電気事業者及び中間貯蔵事業者は、それぞれの立場で、中間貯蔵の必要性、安全性、政策上の位置づけにつきまして、積極的な理解を得る努力を行う必要があると考えてございます。その際には、貯蔵施設の国内外の実績、安全性、貯蔵技術などの情報を積極的に公開をいたしまして、立地地域のみならず、電力消費地を含めて、幅広く国民の視点に立ってわかりやすく説明をしていくことが重要と認識をいたしてございます。
ちなみに、我が国は、原子力発電所におきます使用済み燃料の貯蔵に関して三十年以上にわたる実績と経験を有しておりまして、使用済み燃料を安全に貯蔵する技術及びノウハウを十分に蓄積をいたしてございます。
これまでの原子力発電所におきます使用済み燃料に関するトラブルを見ますと、使用済み燃料の取り扱いの際に生じたものが二十件報告をされておりますが、貯蔵中におけるトラブルは報告をされておりません。また、直近の十年間では、軽水炉におきます使用済み燃料の取り扱いにかかわるトラブルは報告をされておりません。
また、政府といたしまして、使用済み燃料中間貯蔵施設の実現の重要性にかんがみ、立地が円滑に進められるとともに、本施設の立地が地元地域の振興に資することとなるような地域振興策を実施していくことが必要と認識をいたしてございまして、本年度予算におきましてもしかるべき手当てをいたしました。
また、事業の実施主体に関するお尋ねがございましたが、使用済み燃料の中間貯蔵の事業は、既に発電所内において使用済み燃料の貯蔵を安全に実施してきた実績を有する電気事業者の技術蓄積を活用する形で行われるものと認識をいたしてございまして、具体的な実施の形態といたしましては、電気事業者がみずから行う場合と電気事業者が第三者に委託する場合とに分かれます。
いずれにいたしましても、新たに改正をいただきます法律に基づきまして、技術的な基礎、経理的基礎について審査を行い、信頼に足る者がこの事業を担当するよう、安全確保に遺漏のないよう図ってまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/7
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008・望月義夫
○望月委員 それでは、最後になりましたけれども、近年の原子力を取り巻く状況を見ますと、関係者の皆さんの長年の努力にもかかわらず、旧動燃の一連の不祥事や輸送容器のデータ改ざん問題などにより、国民の原子力に対する不安感や不信感は増大してきております。また、「もんじゅ」事故直後の平成八年一月には、福島、新潟、福井の三県知事より、核燃料リサイクルのあり方などについて国民的合意形成を図るべき、こういう提言がなされております。このようなことから、原子力政策の推進に当たっては、国民の声に十分に耳を傾けるなど真摯に国民と対話していくことが重要と私は考えております。
そこで、今後の原子力政策の国民的合意に向けての基本的考え方について有馬大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/8
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009・有馬朗人
○有馬国務大臣 今御指摘のとおり、旧動燃の一連の不祥事それから使用済み燃料輸送容器のデータの改ざんというふうな問題はあってはならないことと思っております。このことによって、原子力に対する国民の信頼が低下したことはまことに残念、遺憾に思っております。
そこで、原子力に対する国民の信頼を回復するためには、幾つかのことを考えておりますが、まず現場におきましては、安全運転等の実績を積み上げることに最善の努力を払うということであります。そしてまた、地域の方々との間では、地元重視の姿勢のもと、情報の積極的公開など、事業活動について誠実に対応することが何よりも重要であると考えております。
また二番目に、国といたしましても、政策決定過程の透明性を高めていくということ、国民各界各層から幅広く御意見を伺う、例えば原子力政策円卓会議の開催などを考えております。また、シンポジウム、フォーラム、説明会などを積極的に開催をしてまいりたいと思っております。私もできる限り、例えば原子力政策円卓会議などには出席をさせていただきたいと思っております。
こういうふうな方針で、原子力政策に対する国民の信頼回復に積極的に現在も取り組んでおりますし、今後もさらに力を尽くしてまいりたいと思っております。
今後とも、安全確保に万全を期することはもう言うまでもないことでございますが、さらにまた、原子力の意義、必要性等について、電力を生産する立地地域だけの問題としてではなく、電気の恩恵を享受している国民一人一人にみずからの問題として考えていただくために、まず第一に、情報を公開する、第二に、わかりやすい情報の提供をする、また、国民各界各層との一層の対話の促進などに政府一体となって積極的に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/9
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010・望月義夫
○望月委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/10
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011・北側一雄
○北側委員長 菅原喜重郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/11
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012・菅原喜重郎
○菅原委員 まず、今回の法改正の柱の一つである保障措置についてお伺いします。
我が国は唯一の被爆国として核兵器の恐ろしさを十分に知っているところであり、原子力の開発利用に当たっては、厳に平和目的に限って行われるよう原子力基本法に定めているところです。また、我が国においては、これまで核物質が核兵器の製造に転用されるといった事態は当然のことですが生じたことはありませんし、核物質を転用するなどといった事態は将来的にもまず起こらないだろうと信じています。
さらに、追加議定書については、まだ大きな原子力活動が行われていない五カ国でしか発動していない状況であり、このような保障措置の強化を国際的に検討する契機となったイラクや北朝鮮がこの追加議定書を締結するかどうかもわかっていないのであります。このような状況において、なぜ我が国が率先して追加議定書を締結し、国際的に新たな義務を負うのか、疑問を持つ方々もいるのではないかと思います。
そこで、我が国における原子力開発利用を推進する立場から、原子力平和利用に徹している我が国が、法改正をして、核物質を用いない活動まで対象とするなど、積極的に保障措置の強化に取り組む意義について大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/12
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013・有馬朗人
○有馬国務大臣 国際原子力機関の保障措置は、原子力の平和利用を確保するための手段として、国際的な核不拡散体制の維持及び安定に極めて重要な役割を果たしてきております。我が国といたしましては、従来より積極的に取り組んでまいったところでございます。
今回の保障措置の強化策は、先ほど御指摘になられました、イラクが秘密裏に進めていた核兵器開発計画などを契機として、国際的な核不拡散体制の強化が急務との認識のもとに、我が国も積極的に参加して国際的な検討が行われ、取りまとめられたものでございます。
原子力先進国であり、厳に平和目的に限り原子力開発利用を進めております我が国といたしましては、国際的な信頼の確保に向けて、その透明性の一層の向上を図るとともに、世界の核不拡散体制の強化に貢献するため、今回の法改正を通じまして積極的に保障措置の強化に取り組んでいくことが重要と認識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/13
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014・菅原喜重郎
○菅原委員 次に、改正のもう一つの柱であります中間貯蔵についてですが、資源の乏しい我が国にとって、原子力の開発利用は必然的な選択肢の一つであり、例えば既に総発電電力量の三割以上を原子力が賄っている現状にあるなど、その果たし得る役割は非常に大きいと考えます。
原子力発電には、それに伴って必然的に使用済み燃料が発生することとなるわけですが、この使用済み燃料は、資源的な観点から価値があるものであり、資源の少ない我が国としては、これを有効に使っていくことは意義のあることであります。
これを再処理するまで貯蔵を行うこと、すなわち中間貯蔵については、我が国の原子力開発利用を進めていくに当たって喫緊の課題に対処するとの観点から適切な措置と考えられますが、この改正により、新たな事業として認められることになるわけですから、それがどのようなものか国民に明確に示す必要があると思います。
また、国民の理解を得るためには、当該事業を創設する必要性のみならず、その安全の確保が大前提であります。これについても明らかにしておかなければなりません。
そこで、中間貯蔵施設の概要及びその安全性について、まずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/14
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015・稲川泰弘
○稲川政府委員 使用済み燃料の中間貯蔵につきましては、国内外で既に実績があり高い安全性が確認をされておりますプール貯蔵または金属キャスク乾式貯蔵、この二つにより行うことを想定いたしてございます。
プール貯蔵につきましては、水中に設置をされた金属製の枠組み、ラックと称しますが、これに使用済み燃料を収納するものであります。使用済み燃料からの発熱はプールの水により除去されますとともに、プールの水及び建屋によって放射線を遮へいいたします。
金属キャスク乾式貯蔵と申しますものは、キャスクと呼ばれる頑丈な金属製の容器を使用するものでございます。使用済み燃料からの発熱につきましては、キャスク周辺の空気により冷却をいたします。放射線は、キャスク及び建屋によって遮へいをいたします。
この双方の方式いずれも、現在、我が国の原子力発電所や海外において、既に長い歴史を持った実績がございます。高い安全性が確認されている貯蔵方式であります。
いずれの方式にいたしましても、安全性の確保に関し万全の対策を講ずる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/15
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016・菅原喜重郎
○菅原委員 原子力を進める限り避けて通れない問題として、放射性廃棄物の処理処分があります。これは、整合性のとれた原子力政策との観点から見れば、早急にその筋道をつけなければならない問題であります。
この中間貯蔵の事業については、ややもすれば、そのままずっと貯蔵しておく、いわば実質的な最終処分場となってしまうのではないかとの懸念や不安を国民に与えかねません。そのようなことになれば、せっかくの政策であるにもかかわらず、地元を初めとした国民の理解が得られずに立地できないといった事態も危惧されます。
やはり、私が再三委員会で質問もしてきましたが、ディスクロージャー、情報公開、そういう立場からもお伺いしますが、施設が立地される地元住民の理解を得ることが重要である、こういう観点から、今回の施設が永久貯蔵の施設でないかというこの懸念を払拭する方法として、どのような努力を今とられておりますか、また、どういう方策でこれを進めておりますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/16
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017・稲川泰弘
○稲川政府委員 使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウムを利用するという核燃サイクルは、我が国原子力政策の要諦でございます。この考え方は、この炉規制法運用の原則としてございまして、累次の原子力長計あるいは閣議了解でこれを確認してきているところでございます。
今回御提案を申し上げておりますこの改正法におきましても、この方針に変更はございません。使用済み燃料は必ず再処理されることを常に明確化することによりまして、永久貯蔵の懸念を払拭してまいりたいと考えてございます。
具体的な法律上の取り扱いにつきましては、まず、第二十三条のもともとの条文におきまして、原子炉設置許可をいたします場合には、使用済み燃料の処分の方法として、再処理をするということを特定せしめてございます。また、新たな改正案におきましても、貯蔵の終了後における使用済み燃料の搬出の方法といたしまして、再処理のために搬出をする旨を記載せしめるよう、全体の許可申請書等々の記載事項といたしてございます。
こうしたことから、使用済み燃料が中間貯蔵施設から運び出されることを明らかにし、加えて、貯蔵が再処理までの間一時的に行われることを法文上も明らかにしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/17
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018・菅原喜重郎
○菅原委員 核燃料サイクル政策の推進を明確化することが本当に大切なことでございます。特に高レベル放射性廃棄物の処理処分は、整合性ある原子力開発利用の観点から残された最重要課題であります。
今回の法案を審議するに当たっては、中間貯蔵の事業について、現状にどう対処するかといった単なる目先の措置としてではなく、原子力政策全体を俯瞰してその妥当性を論議すべきものと考え、私もこの委員会で最終処分への対応を質問し続けてきましたので、またお伺いしますが、高レベル放射性廃棄物対策に関する取り組みについて大臣の所信をお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/18
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019・有馬朗人
○有馬国務大臣 御指摘のとおり、高レベル放射性廃棄物の処理処分の問題は、原子力開発利用の上で最も難しい問題の一つと認識しております。その処分対策につきましては、原子力委員会で示されました方針に基づいて、現在処分の具体化に向けた取り組みが進められているところでございます。
具体的には、二〇〇〇年目途の実施主体の設立等処分事業の具体化に関しては総合エネルギー調査会原子力部会において、また安全規制につきましては原子力安全委員会において、それぞれ調査審議が進められております。
また、研究開発につきましては、地層処分の技術的信頼性を明示し、処分予定地選定及び安全基準の策定に資する技術的よりどころを提示いたします第二次取りまとめを本年中に作成することといたしております。なお、この第二次取りまとめは、一昨日、パブリックコメントを求めるために公表いたしました。近々、インターネット及び説明会等々を予定しておるところでございますし、OECDの国際レビューも受ける予定でございます。さらに、核燃料サイクル開発機構を中心として、関係機関において研究開発が鋭意進められているところでございます。
今後とも、原子力委員会で示されました方針に基づきまして、国民の皆様の幅広い御理解を得ながら、高レベル放射性廃棄物の処分対策が円滑に進められるよう、関係機関が一体となって着実に取り組んでまいりたいと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/19
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020・菅原喜重郎
○菅原委員 このことについては積極的に取り組んでいただきたいことをお願いして、質問を終わります。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/20
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021・北側一雄
○北側委員長 辻一彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/21
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022・辻一彦
○辻(一)委員 今回の原子炉規制法、実質は、一つの大事な点は使用済み燃料の中間貯蔵の問題にあると思いますが、私は、昨年論議をした動燃改革法と同様に極めて重要な中身を含んでおると思います。
特に、保障措置もしかりでありますが、核燃サイクルの内容として、使用済み燃料は全部再処理をしてプルトニウムを再利用するという方向が出ておるわけでありますが、中間貯蔵というのは一体この中でどこに位置づけられるかという点。これは政策のかなり大きな変更なのか、あるいはその延長上にあるのかという確認をまずして入らなくちゃならない。そういう点で、三回委員会がセットされておりますので、きょうは私は、ちょっと序論の意味で、基本的な問題を三十分ほどお尋ねいたしたいと思います。
まず第一に、中間貯蔵という論議につきましては、十六日の本会議で我が党の近藤委員や明改の斉藤議員からそれぞれ鋭い質問がありました。私も思いますが、ごく大局的に見て、核燃料サイクルの政策のほころび、破綻が一つ中間貯蔵という形で出ているのではないか、まずこれをどう認識するかということが出発点であると思います。
御承知のように、使用済み燃料を全部再処理してそれを使い切ればこの中間貯蔵という問題は出てこなかったと思うんですが、なぜ中間貯蔵という問題が出てきたのか。これについて、その背景をちょっと整理して簡潔にまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/22
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023・稲川泰弘
○稲川政府委員 原子力政策の要諦が核燃サイクルにあるという点については委員からも御指摘をいただいたところでございますが、核燃サイクルを行うに当たりまして、平成九年二月に閣議了解を行いました。その中で、この中間貯蔵についての趣旨を述べてございます。
この間に至る過程は、片方で海外再処理の委託をしてまいりました、また他方で六ケ所村の再処理工場の建設におくれが生じてございます。かような核燃サイクル全体の各種の工事の進捗状況の間にいささかの進捗おくれ等々のアンバランスが生じているのが現状であろうかと思います。
こういう中で、核燃サイクルの本来の意味でございます使用済み燃料をさらに有効利用する、かような趣旨から見ますと、この全体の循環の中での使用済み燃料の発生テンポと、それからそれを処理します再処理のテンポとの差を調整する、かような必要性が生じたものでございます。決して、従来の核燃サイクル路線そのものを改めるものでもございません。その延長線上で、現状に即した現実的な対策を講じようというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/23
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024・辻一彦
○辻(一)委員 要するに、青森の再処理工場の建設にいろいろ時間がかかって、再処理能力に限界が来て使用済み燃料がたまってきたというところの対応であるというように今聞きました。確かに、一つは再処理工場の立地の困難さ等々がずっと事実青森にあったわけでありますから、それが決定をして、いよいよ稼働するまでには随分時間がかかる。したがって、その再処理工場建設のおくれというものが中間貯蔵を必要とした一つの要因であるということは理解はできると思うんですね。
しかし、もう一つ大事な柱があったのですね。それは、使用済み燃料を再処理する、プルトニウムが出る、そのプルトニウムをどういう形で使っていくかということについて、第一にはFBR、高速増殖炉によってそれを活用する、第二は、それまで新型転換炉を生かしてこれについてプルトニウムを活用していく。プルサーマルは当初の計画では明らかに第三のわき役であったのですね。しかし、まずATR、新型転換炉はもう実験的には実証炉をつくれるところまでいった、しかし電力業界はコストが高くつくからこれはもうやめたいということで、国の原子力委員会もこれを認めて、ATR、新型転換炉は開発中止をやったのですね。これで一つプルトニウム利用の道がかなり変わってきたということ。
それから、高速増殖炉「もんじゅ」は、御存じのように、三年前に敦賀で事故が起きて以来凍結状況、運転はとまっている。
かつて私が、ここでも指摘しましたが、昭和四十六年に参議院に出た当時、高速増殖炉の開発の見通しを聞いたときに、大体三十年で実用化は可能であるという答弁を聞いたんですね。もう既にあれから約二十八年、三十年近くたっているが、なお五十年先でなければ実用化はやはり困難であるという見通しになっておるんですね。ということは、高速増殖炉の開発というものは、いろいろな点で非常におくれているというか、支障といいますか蹉跌を来しているというのが状況。こういうことによってプルトニウムを使おうとする構想であった。ところが、消費、活用する利用計画が行き詰まってきた。そこで、今、プルトニウムを大量に置いては国際的に批判を受けるというので、やみくもに、プルサーマルにこれを使おうという方向に動いている、このように私は理解するんです。
その点では、核燃サイクルは、片方では確かに再処理工場の建設がおくれたという一因がありますが、もう一つの大きな要因は、政府が考えたように、原子力委員会が考えたように核燃サイクルの計画は進まなかったということ。結果としては見通しを誤っている。これについての反省が示されなければ、なし崩しに今中間貯蔵へということは論理的にも許されないと思うんですが、これらについての見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/24
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025・青江茂
○青江政府委員 これまでの推移ということにつきまして、先生ずっと今御指摘になられたわけでございますけれども、確かに、FBRの開発の進展の度合いということにつきましては、ある程度の、先行きに対する一種の不透明感というものがあることは事実であろうと思うわけでございます。
一方、プルサーマルの位置づけということに関しましては、これはもう先生御案内のとおりだと思うんでございますけれども、長期計画をつくり始めました非常に初期の段階から、プルサーマルというものをきちんと位置づけ、持っていきましょうという考え方に立っておるわけでございます。
ということでもちまして、必ずしも、今先生御指摘になられましたような、一種のFBR路線というものの行き詰まりと申しましょうか、そういうことからしわ寄せ的にプルサーマルというものをやみくもにというふうなことでは決してないというふうに私ども認識をいたしてございます。
すなわち、言いかえてまいりますと、いわゆる使用済み燃料は再処理をし、そのプルトニウムを利用していくんだということを、我が国原子力政策の基本的な考え方としまして、従来より一貫した考え方としてとっておるわけでございますが、その考え方の枠組みの中で、プルトニウムというものをどう具体的に利用していくのか。まず現時点におきましては、現実的に最も効果的と申しましょうか、実際になし得るものとしましてプルサーマルというものを着実になし遂げていく。そして、片やFBRというものも、これは将来のプルトニウムの利用の形態ということからいたしますれば、より効率的な利用形態ということになるわけでございますので、そういったものの実用化というものも目指しながら着実に研究開発を進めていく、こういうことであるべきであろうというふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/25
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026・辻一彦
○辻(一)委員 繰り返すことはないと思うんですが、使用済み燃料がたまってきて、結局中間貯蔵をせざるを得ぬという状況に追い込まれてきた一因は、工場建設のおくれもある、それは確かにあるでしょう。しかし、もう一つは、プルトニウムを使っていくという計画の見通しがやはりそごを来しているというところにあるんですね。明らかに、高速増殖炉や新型転換炉を生かしていこうという方向については、やはり見通しに狂いが生じた。誤ったと言うとなかなか答えにくいでしょうが、見通しが狂ったということは事実だと私は思うんですが、長官、これについてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/26
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027・青江茂
○青江政府委員 繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、ATRの件につきましては先生御指摘のとおりであろうというふうに思うわけでございますが、FBRということに対しましては、見通しが狂うと申しましょうか、RアンドDというものを進めていくその段階におきまして、一例を申し上げますと、現行の長計でございますと、二〇三〇年代には実用化をというふうなことで研究開発を進めておったわけでございますけれども、それが現時点におきましては二〇三〇年に実用化ということではないだろうということで、御案内のFBR懇談会というものが設けられまして、その議論といたしましては、将来の非化石エネルギー供給源の有力な選択肢のうちの一つだというふうな位置づけがなされる、そういうふうな意味合いにおきまして、それが計画どおり進んでいないというのはそのとおりであろうというふうに思うわけでございます。
それから一点、先ほど、そういった諸般の狂いが生じた結果として中間貯蔵というのが突如として出てきたのではないかといったふうな御趣旨の御指摘がございましたけれども、いわゆる中間貯蔵という概念につきましては、FBRの状況とかそういったことに伴って急に浮上した概念では決してないということでございまして、例えば、現行長計にも、原子力政策の一つの考え方といたしまして、国内の再処理能力を上回る使用済み燃料は、再処理するまでの間、適切に貯蔵管理をするというふうな考え方がきちんと述べられておるわけでございまして、そういう考え方の中で、いろいろな状況の進展というものを見きわめ、今般、中間貯蔵というものが必要であるというふうな判断に至ったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/27
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028・辻一彦
○辻(一)委員 見通しどおりにいかなかったと言うけれども、三年や五年、十年なら別として、昭和四十六年に私が参議院で確かめたときには三十年後と言ったんですね。二十八年たっているから、もう二年ほどで三十年になる。しかし、実用化の道は、原子力委員会が示しているように五十年先ですよ。来世紀の半ばに実用化の可能性、こう言っているんですね。そうすると、五年や十年あるいは数年見通しどおりいかなかったというのならばわかるけれども、あれからいくと、三十年と言ったのがもう五十年になれば八十年先になるが、半世紀見通しが狂えば、それは計画どおりにいかなかったというような問題じゃなしに、端的に言えば見通しを誤っているし、見通しが狂った結果であろうと思うんですが、それはもう事務局の答弁はよろしいから、原子力委員長、責任者として、ひとつ長官の御答弁を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/28
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029・有馬朗人
○有馬国務大臣 私も科学者として、大きな計画を立てるときの難しさというのは実にしみじみと身にしみて知っているところでございます。核融合にいたしましても、随分早くから、できるできると言っていましたが、なかなか難しい。これは私はできると思っておりますけれども。
高速増殖炉ということにつきまして、やはり巨大な科学でございますので、なかなか予定どおりいかなかった。不幸な故障もございまして、ナトリウムがこぼれ出すというような故障がございまして、そういうところは明らかに予定とは狂いました。しかしながら、御理解を賜りたいことは、言い逃れではございませんが、巨大科学で、目的を立てて、そして一つの方向に向かっていったときに、その目的をすぐに予定どおりに達成するということは極めて難しいことだということを、一人の科学者として経験から申し上げる次第でございます。
それにいたしましても、確かに、高速増殖炉が非常におくれているということは私も大変心配をしております。日本の技術だったら必ずやれる、すぐれた高速増殖炉を日本の技術で完成したいという情熱を私は持っているわけでございます。
そしてまた、ウラン資源の利用効率ということを考えてみますと、ウラニウム235という現在使っているのは、これから原子力がどういうふうにさらに発展していくかということにもかかわりますけれども、現在の使用の仕方ですとそんなに長くもたない。ウラニウム235がせいぜい五十年ぐらいで燃え尽きる。そういうことを考えますと、何としてもウラニウム238を使っていかなければいけない。238を使えれば、相当長い間、何百年と言っていいくらい長くウラニウムの寿命が延びます。
そのためには、やはり人類のために、このウラニウム238を燃やして、それで資源をふやし、それはプルトニウムに変えることでありますが、プルトニウムを使って、そしてそれを燃やしていくということによって資源を有効に使っていく必要があると私は思っております。
そういう点で、一昨年の原子力委員会決定において、将来の非化石エネルギー源の一つの有力な選択肢といたしまして、高速増殖炉の実用化の可能性を追求するための研究開発を進めることが妥当とされているところでございます。そういう点で、現在存在しておる、もうかなりでき上がっている「もんじゅ」の活用を含めまして、高速増殖炉の研究開発を着実に進めていくことが重要であると私は認識いたしております。
今後行う予定でございます原子力長計の見直しに当たりましては、先生御指摘のような点、すなわちプルサーマルの計画及び高速増殖炉研究開発の現状と将来展望を踏まえまして、十分な議論を尽くすよう努力いたしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/29
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030・辻一彦
○辻(一)委員 長官が長計の見直しに触れられたので、それについて一、二伺いたいんですが、その前に、今の論議を少し整理しておきたいと思うのです。
見通しが狂ったんじゃないか、誤ったのではないか、それはなかなかそうだとは答えにくいと思いますが、狂ったことは事実だと私は思うんですね。
しかし、それだからといって、私は中間貯蔵を否定するものではない。それは、観点が若干違いますが、一つは、使用済み燃料を全部再処理してプルトニウムを取り出して、これを一遍に使ってしまうというか、大量に使う、いわば日本の計画は、プルトニウムの大量消費社会への引き金を引くかどうかというところにあると私は思うんですね。世界唯一の被爆国である我が国が、よその国もやるようになり、国際的にも確認されて取り組むというのなら別として、引き金を引くべきでないという観点に立てば、中間貯蔵によって三十年—五十年様子を見てもいいんじゃないか、こういう考え方が成り立ち得ると私は思うんですね。
もう一つは、後で藤家さんに聞きたいんですが、資源論という点からいって、私の感じでいえば、資源小国の我が国が、早々と使用済み燃料の再処理をしてプルトニウムを取り出して、そして早く燃やしてしまう。これは、持っておれば国際的に批判を受けるから消費せざるを得ない、燃やしてしまおうと。ほかの国はまだ、水の中につけたり、あるいは乾式保管で陸上に貯蔵して、五十年ぐらい様子を見て、資源になるのを見きわめられるならこれをひとつ使ってもいいと様子を見ておるんですよ。資源のない国が、将来資源になり得る可能性を持つそういうものを早々と使ってしまうということが本当の意味の資源論からいっていいのかどうか。この二つの疑問を私は持つ。
したがって、中間貯蔵というのは、三十年—五十年、そこらがどうなるかということを見きわめるためになされるとあれば意味があるという意味で、中間貯蔵を否定するものではない。しかし、この二点については相当論議をして、明らかに見通しを立てる必要があると思うんですね。
そこで、長計のことはちょっと後に、時間の点からきょうは難しいと思うんですが、藤家委員長代理に伺いたいんですが、アメリカであなたが御発言されているのを新聞で見ました。大事なことだと思うんですね。
イラクや北朝鮮で、数百グラム、数キログラムのプルトニウムがどこへ行ったかということで国際査察をやって、これだけ国際問題になっている。この中で、いかに商業利用、平和利用とはいえ、我が国の今プルサーマル等で使おうとするプルトニウムの量は、冷戦時代に米ソ両国が核弾頭に詰めたそれぞれ百トンに匹敵する六十トンのプルトニウムを使おうという計画なんですから、被爆国日本が核拡散防止を世界に説得するときに、こういうやり方で引き金を先に引けば、国際的な説得力を失う懸念があるのではないか。
そういう意味で、核拡散防止という観点からも、藤家さんが提案されているように、軍事的にプルトニウムが転用できない形で取り出すことができるならば、これは様子はうんと変わってくると私は思うんですね。だから、そういう状況が見通しが立つのか、可能なのか。それが可能というならば、相当な時間というものがあるわけですから、中間貯蔵によって様子を見ることは十分選択肢としてあり得る、こういうふうに思うので、ひとつそれについての見解をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/30
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031・藤家洋一
○藤家説明員 辻先生、十分御認識のとおり、日本の原子力開発は核兵器反対と平和利用がその基本にございます。日本の地政学的な仕組みの中で、平和と豊かさを求めて、主に資源論の観点からこれまで、資源制約でない、技術制約のエネルギー源として原子力を選択し、今日に至り、世界の原子力先進国になったことは御承知のとおりでございます。
ちょうど今、世界は冷戦構造崩壊後の世界に向かっておりまして、そこで日本が主張すべきことは、原子力は平和利用に限って初めてその未来が開けるということを申し上げるべきでありますし、原子力先進国として応分の貢献をしていくことが国益にかなうものだと私自身は感じております。
具体的に申しますと、資源を確保し、環境保全を図り、さらに核拡散のおそれの少ない原子力システムを構築していくことがこれからは大事だと考えております。このことは何を意味するかと申しますと、今まさに次の世紀へ向かって、これを次の千年という言い方をする人もございますけれども、現代文明が遭遇している大量消費、大量廃棄から脱出する努力の一環として、資源の完全利用と廃棄物の極小化を求めた究極の目標としての原子力システムを世界が考えるべき時期に来ている。そういう認識に立って、私、今世界に向かっていろいろ情報発信しているところでございます。
まさに先生御指摘のように、プルトニウムはその能力においていろいろな観点からの議論がございます。しかし、素直に科学的な理解をいたしますと、人類が十九世紀から量子の世界に挑戦することによって獲得した得がたいエネルギー資源だと私は考えております。その能力を人類の福祉のために最大限に役立てることは、科学技術創造立国を目指す我が国にとって重要な意義を持つものであり、世界と協調して研究開発を進めていくことが大変大事なことだと思っております。
核拡散を排除するという問題に対しましては、既に一九七七年、時のアメリカ大統領カーター氏がこれを世界に呼びかけて、INFCEの会議を開催されたことは御承知のとおりであります。その結果、プルトニウムを単体として使うのではなく、MOXとして使うということが世界的に容認され、これが平和利用にかなうものとして現在の日本の核燃料政策の中心を占めていることは、先生御承知のとおりでございます。
先生おっしゃるように、今後さらに核拡散性の少ないものを開発していくことは、科学技術の研究開発の当然の行くべき道だと考えております。しかし、御承知のとおり、技術開発には相当長い期間が必要であることはこれまでもいろいろ、この席でもお話があったわけであります。
例えば、現代文明の直接の発端である産業革命で出てきた蒸気機関、これが蒸気機関車になり、実用化を経て電気機関車に移っていった。あるいは、飛行機も、プロペラ機から始まって現在のジェット機に移っていった。このように、実用を経ながら、いろいろな経験を積んで、それが将来のよりよいものを探ってきている。熱機関の効率にしても、一〇%未満の段階から始まりまして、今五〇%に至っているわけでございます。
そういうことを考えますと、原子力の研究開発にも、先を見通した先見性、全体像、長期展望が非常に必要なのと同時に、現実の方策を示して、この連動によってよりよいものを探っていくことが、これからの原子力開発、特に先進国として日本が求めていく方向であり、このようなやり方によって初めて、将来望むべき原子力システムができ上がるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/31
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032・辻一彦
○辻(一)委員 時間がもう既に近づいておりますが、今の論議は、まだ二回ほど論議がありますから、少しまた改めてお伺いしたいと思います。およその考え方は伺いました。
私は、先ほど申し上げたように、中間貯蔵自体は否定はしていない。さっき申し上げた二点からすれば、ベストではない、しかし、よりましな今日の現実的な対応としての政策であろうというような理解は持っております。
いずれにしても、長計、原子力長期計画、言うならばプルトニウムの利用計画になりますが、これについて、さっき局長の答弁のように、余った分は適切な貯蔵をしますということを何年か前に書いてある。それは大きなかじは切れないから、なし崩しに少しずつかじを切って修正しているのはずっと文章を見るとわかりますが、私は、長計としては見直しをすべき時期に来ていると思うので、長官の方から、最後に長計見直しについて一言考え方を伺って終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/32
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033・青江茂
○青江政府委員 恐縮ですが、ちょっとお答えさせていただきます。
長期計画につきましては、もう一部新聞報道等もございますけれども、近々とにかく長計見直しのための正式な作業に入るという状況に至っておるわけでございますけれども、累次、長計につきましては、大体五年程度の間でローテートさせてきてございます。確かに、その過程の中におきまして、いわゆる変遷とでも申しましょうか、政策のある程度の変遷というのはあろうと思うのでございますけれども、私どもとしましては、その時々、その時々の情勢というものを見きわめ、ベストな道というものを選んでいくという意味におきまして、いろいろな状況というものを踏まえまして、新しい方向というものを見出す努力というものをいたしてきておるというつもりでございます。
今般の長計の見直しという中におきましても、先生御指摘のようなことも含めまして、諸般の情勢、新しい情勢、こういったものを加味しながら、慎重な審議というものをお願いをいたしたいというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/33
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034・辻一彦
○辻(一)委員 大体終わりのようですが、長官、事務当局の御答弁は、それなりの説明で伺いましたが、なし崩しに少しずつ変えてきた状況はやはりあるわけでありますから、ここで中間貯蔵の位置づけ等も含めて、明確にひとつ方針を決めてもらいたい。福井の知事も、なかなか見識を持って熱心に、福島、新潟の知事さんと一緒にやっておりますが、やはり原子力長計の見直しをきちっとやってもらうということが新しい出発になると言っておるわけでありますから、この点をひとつ留意をしてお願いをしたいと思うのですが、一言だけ考え、決意を伺って終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/34
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035・有馬朗人
○有馬国務大臣 やはり、原子力長計の見直しということが現在話題になっておりますが、今おっしゃられましたように、使用済み核燃料をどうしていくか、中間貯蔵をどうしていくか、あるいはプルサーマル計画をどうしていくか、高速増殖炉研究開発の現状をどういうふうにさらに発展させていくか、こういうようなことを踏まえまして、十分議論を積み重ねてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/35
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036・辻一彦
○辻(一)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/36
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037・北側一雄
○北側委員長 近藤昭一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/37
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038・近藤昭一
○近藤委員 民主党の近藤昭一でございます。
今回の法律の改正案について質問させていただきますが、先般の本会議場の代表質問でもちょっとお話をさせていただきました。大変に日本は資源がない。そういう資源がない中で、これからそういった資源をどう大切にしていくか、あるいは有効利用していくかということ。そして、日本は本当に一人一人の国民が勤勉に頑張ってきたということで、非常に技術が高い資質を備えているということだと思います。ですから、資源がない、そして技術はあるという中で、私ども日本は、技術によってエネルギー資源が足りないところをどう補っていくかということを考えてきたと思います。そういう中での核燃料サイクルの開発、実用化という方向でやってきた、それは一つの大切な方向だ、しかしながら、どうも進め方に問題があるのではないかということを代表質問のときにもさせていただきました。そういった観点から、きょうはもう一度同じような感じで、少し詳しく御質問をさせていただきたい、そんなふうに思っております。
つまり、行政、一般的には本当に国民の皆さんの理解というものが必要。そういう中で特に原子力行政というのは、特別にそういった国民の皆さんの理解というものが、そして安心感というか信頼感というものが必要だと思います。つまり、原子力の場合、一たん事故が起こると本当に取り返しのつかないことになるということ、そういう意味では、本当に細心の注意を払って、払って、払っても払い過ぎることはないということだと思うわけであります。
ところが、残念ながら、ここのところ幾つかの事故といいましょうか、事件というものが続いている。そういう中でなかなか信頼は得られていないのではないかなというふうに思うわけであります。そういう中で、今回、法改正が行われる、そして、この中間貯蔵を決めるということで、ちょっと場当たり的なところがあるのではないかというふうに思うわけであります。
ところで、先ほど辻議員の方からも、もう二十八年も前に質問をした、ところが、そのときから、そのときのことを考えると、どうもなかなかきちっと進んでいないのではないかと。ところが、そのきちっと進んでいないことに対して、それが誤りなのかどうかわかりませんが、ただ、明らかにそういう見通しが狂っている、その狂っていることに対する表現が、どうもちょっと潔くないのではないかなというところがあるような指摘があったと思うのです。
ところで、昭和六十二年、つまり一九八七年であります。もう十二年も前になるわけでありますが、当時の長計によりますと、実証炉というのは一九九〇年代後半に着工することを目標としている。これは高速増殖炉に関してでありますが、そして、二〇二〇年から三〇年ごろにおける技術体系の確立を目指すというふうにあるわけです。そうしますと、二〇二〇年から三〇年ごろに技術体系を目指すということになりますと、早くても三十年とか、もしかしたらちょっとその後ぐらいに実用化だというふうにとられると思うのです。
そうしますと、実用化された段階で、高速増殖炉が年間何トンとかいうプルトニウムを必要としていくことになると思うのです。ただ、実用化の前といういわゆる実験の段階ですと、報告でも、見ておりますと、大体年間にプルトニウムは一トンぐらいしか必要ないだろうということのようであります。そうしますと、なぜ現在までに五千六百三十トンもの使用済み核燃料の再処理を海外に委託してきたのか。つまり、二〇一〇年までに約三十トンものプルトニウムが出てくるわけですけれども、一九九〇年代の予想では、もう二〇三〇年以降ぐらいにしか実用化されないだろう。実用化されて初めて、かなりというか、それなりのプルトニウムが必要になると思いますが、実験の段階ではそう必要もない。
ましてや、先ほどの話では、二十数年も前から少々どうなるかわからないようなところがあったのに、なぜこうもいち早くプルトニウムを海外と契約をして取り出すことを考えてきたのか。そういうような必要があったのか、あるいは、どういう必要性というか、どういうふうに使うつもりであったのかということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/38
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039・青江茂
○青江政府委員 先生御案内のとおり、我が国の原子力政策の基本的な考え方といたしまして、いわゆる将来にわたりまして、原子力によりますところのエネルギーというものを安定的に確保しよう、それからもう一つは、原子力発電ということに伴いましての放射性廃棄物ということの環境への負荷というものをできる限り落としていこう、こういった観点から、使用済み燃料と申しますのは、再処理をし、そして抽出されますプルトニウム等、燃え残りウランを含めまして、これを再び燃料として有効に利用していこう、活用していこうという核燃料サイクルの考え方、これを基本的な考え方としてずっと進めてきておるわけでございます。
そういうことからいたしまして、原子力発電から排出いたしますところの使用済み燃料、これは、我が国国内におきまして再処理施設というものが動き出すまでの間と申しますのは、基本的には海外、具体的には英仏の再処理施設というものに委託をして再処理をしていこう、その上で、抽出されましたプルトニウムといいますものは、今時点におきまして、軽水炉でもちまして、いわゆるプルサーマルという形でもって利用していこうというふうに考えておるところでございます。
〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/39
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040・近藤昭一
○近藤委員 非常に資源が少ないということ、そして使用済み核燃料も非常に貴重な資源だから、海外で再処理をしてプルトニウムとして使う。その使い道としては、将来的な高速増殖炉のための実験であり、プルサーマルで燃やすことも、日本にとっては資源を大切にしていくという観点から必要だったということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/40
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041・青江茂
○青江政府委員 今先生御指摘のような基本的な考え方、いわゆる使用済み燃料と申しますのは、これ自体が廃棄物ではない、リサイクルすべき資源だということであろうと思うわけでございます。そのような資源と申しますのは、当然、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、これは基本的に有限なもの、限りのあるものということでもちまして、限りのあるものはきちんと有効に利用していくべきであろうというふうに考えておるわけでございます。
そういう観点と、先ほどもう一点申し上げましたのが、使用済み燃料からの廃棄物と申しますのを、環境負荷ということからいたしまして、できる限り小さなものにしていくということもまた別途大変重要な観点ではないかというふうに思ってございます。
そういう二つの側面から、使用済み燃料というものは、再処理をして有用な資源というのを取り出して利用していくというのが基本的な考え方であろうというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/41
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042・近藤昭一
○近藤委員 ちょっと確認したいのですけれども、環境負荷を少なくしていくということはどういう意味なのか、御説明いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/42
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043・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
いわゆる使用済み燃料をそのままの形で処分をしていくということになりますと、使用済み燃料の中にはプルトニウムも入ってございますし、燃え残りのウランというものも入ってございます。こういったものを全部まとめて廃棄物として処分をしていくということよりも、その中に入ってございます使える有用資源、具体的には、燃え残りウランとプルトニウム、それから、近ごろの先進リサイクルという概念からいたしますればアメリシウムでございますとか、そういったものもあるわけでございます。
要するに、燃料として使い得るものというのは取り出して、本当に使えないものだけを廃棄物として廃棄をしていく。そうすれば、当然のことながら、ボリュームというものも少なくなってまいります。と同時に、いわゆる高レベル放射性廃棄物というものの扱い方というものも随分楽になってくるということでございまして、そういう意味で環境負荷というものが低減を図ることができるというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/43
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044・近藤昭一
○近藤委員 よくわかったような、わからないような……。
と申しますのは、とにかく今まで、原子力発電所で使った核燃料、ウラン燃料というものを処理してきた、そういうふうに海外にまで委託して再処理をしてきたわけですね。その目的は、将来的に高速増殖炉という理想の原子力発電を実現するための研究、もう一つは、そういう環境負荷を軽減するということだ。そうしますと、今回中間貯蔵されるわけでしょう、それは矛盾しないわけですか。今の論をかりますと、中間貯蔵することは環境負荷を増大するということじゃないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/44
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045・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
先ほど来申し上げてございますとおり、使用済み燃料といいますものは、基本的な考え方といたしましては、再処理をするという考え方に立っておるわけでございます。
ただ、使用済み燃料の排出と再処理との間のギャップというものを何らかの形で埋めるという、いわゆる中間貯蔵というものは、貯蔵自体は一時的なわけでございますので、それは将来的には再処理をしていくわけでございます。
環境負荷の低減と申しますのは、スペントフュエルをそのままの形で処分をしていくということに対しまして、先ほど来申し上げておりますような処置というものをきちんと施して高レベル放射性廃棄物で処分をしていく、そことの間の二つの選択肢の関係からいたしますれば、使用済み燃料を再処理した方がはるかに環境負荷というのが小さくなってくるんではないかということを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/45
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046・近藤昭一
○近藤委員 ちょっとよくわからないのですけれども、処理することは環境に対する負荷が軽減される、だから、中間貯蔵はするけれどもこれは一時的であって、それは再処理するということですね。そうすると、では中間貯蔵しなくて再処理した方がいいんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/46
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047・青江茂
○青江政府委員 中間貯蔵と申しますのは再処理するまでの間のものでございますので、先ほど来申し上げている環境負荷云々ということにつきましては、再処理をすることによりまして環境負荷が落ちてくるではないか、使用済み燃料を再処理しないという選択肢に対しまして、環境負荷というものが落ちるではないかという問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/47
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048・近藤昭一
○近藤委員 ですから、中間貯蔵するよりも再処理した方が環境負荷が軽減されるというなら、ではなぜ中間貯蔵されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/48
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049・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
それは、排出というものに対しましての再処理の方の能力、キャパシティーというものが十全に追いかけてき得れば、中間貯蔵ということを考える必要は恐らくないのだろうというふうに思ってございます。そのギャップというものを埋めて、適切に管理していくという考え方に基づくものであるというふうに認識をいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/49
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050・近藤昭一
○近藤委員 そうしますと、現在のところ、とにかく使用済み核燃料は再処理をした方がよい、それは、先ほどの話もあるのですけれども、日本は資源が少ないから、使用済み核燃料はもう一度再処理をして高速増殖炉で使うつもりだった、計画だった、そのために実験を続けてきたということでありますね。それが一つの方向性。ところが、なかなかそれの見通しが立っていないということだと思うのですけれども、そういう中で、出てきた使用済み核燃料は非常に環境に負荷がある、だから、環境に負荷がある使用済み核燃料をなるべく負荷が少ないものにするためには再処理をしなくちゃいけないということですね。
ところが、その再処理をする能力には限度がある、だから中間貯蔵をするということ。そうすると、後回しというか、時間があればというか、能力があれば、その中間貯蔵のものをもう一度持ってきて再処理をするということですね。それが環境には負荷を与えないんだろうということであるとします。
そうしますと、中間貯蔵を途中でするにしても、では、その処理をした核燃料、これは最終的にはどうなさるつもりなんですか。とにかく処理できない分は中間貯蔵して、でも、これは環境には負荷があるから早く再処理をする。では、再処理をした核燃料、どうするのですかね。今のところ高速増殖炉のめども、二〇二〇年とか三〇年にめどが立つだろうというめどを立てているというような状況ではないかと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/50
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051・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
当面の海外に搬出した使用済み燃料からのプルトニウムということにつきましては、これはいわゆる軽水炉で利用していこうというふうに考えておるわけでございます。それから、六ケ所村におきまして建設途上にございます国内の再処理施設、これが稼働し始めますとプルトニウムというものが抽出されるわけでございますけれども、そのプルトニウムということにつきましては、当面の間は同じく軽水炉でもって利用していくということになろうかと思うわけでございますけれども、と同時に、「もんじゅ」の問題も含めまして、いわゆる研究開発のための利用というものもそこに入ってこようかというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/51
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052・近藤昭一
○近藤委員 なるほど。とにかくそういった使用済み核燃料は再処理をした方が環境負荷にはいい、ところが処理できないところがあるので中間貯蔵をとりあえず一部するんだ、それはできる限り早い時期なのですかね、やる。
ただ、海外に委託する分というのは五千六百三十トンで終わりですよね。これで契約が済んでいるのだと思うのです。そうしますと、では、今の論をかりますと、今度は、中間貯蔵するけれども、いち早く日本の国内の処理施設を稼働させて、そこで早く使用済み核燃料を処理していくということになるのですかね。
二十二日の報道か何かを読みますと、六ケ所村の処理工場の操業開始がどうも二〇〇三年から二〇〇五年におくれるという話ですよね。そうすると、二年間もおくれるわけですし、大体、六ケ所村の処理工場ですと、年五トンのプルトニウムを出す、つまり年八百トンぐらいの処理能力ですかね。そうしますと、そういった処理能力の工場ぐらいでいいのかなという点と、ましてや、二〇〇三年から二〇〇五年に操業が遅くなるわけでしょう。今の論をかりますと、環境負荷に対する影響というのがちょっと心配なんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/52
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053・青江茂
○青江政府委員 使用済み燃料を再処理し抽出されましたプルトニウムを活用していくという基本的な考え方、これは私、今、環境負荷ということからもお話を申し上げたのでございますけれども、二つのことを申し上げました。
いわゆる限られた資源というものを有効に使っていく、安定的にその確保をしていくという観点、これが一つと、もう一つは環境、この二つの側面からそういう基本的な考え方というものをとるべきではないか、その二つの観点を含めまして今の基本的な考え方というのが成り立っておるということをちょっとつけ加えさせていただきたいと思うのでございます。
そういうふうなことならば、いわゆる、今六ケ所でもって建設が進められてございます再処理施設というもの、これがもちろんできる限り早くいわゆる稼働に至るというふうなことといいますものは、それはそちらの方が、できるだけ早くという方が、私どもといたしましてはより好ましいものという認識に立ってございます。
新聞報道なされたということでございますけれども、今、事業者がスケジュールにつきましての検討をなさっておられるということだと伺ってございますけれども、それがもしおくれるというふうなことでございますと、基本的には余りウエルカムというふうなことでは決してないわけでございますが、これも、民間私企業の活動としまして具体的にはなされておるわけでございまして、大きな政策論、今、先ほど来申し上げてございます基本的な物の考え方に立ちました我が国の国の政策論という枠組みの中で、場合によっては今報道等で伝えられているようなおくれというものが生ずるということがどういう意味があるのかということにつきましては、また別途十分に検討させていただきたいというふうに思うわけでございます。
と同時に、もう一点、今の、八百トン規模であれば日本の使用済み燃料の排出量との関係におきましてキャパシティー的に十分ではないではないかというふうな御指摘もございました。その点につきましては、将来的な問題としまして、さらに今後の問題として考えていかなければならない一つの課題であろうというふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/53
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054・近藤昭一
○近藤委員 大変に環境負荷があるから処理をしなくてはいけない、あるいはどうもその処理能力を超えているから中間貯蔵しなくてはいけないということで、お聞きしていますと、ではどうしてもっと海外に処理を継続して委託することとか考えないのかな。あるいは、六ケ所村の能力をそう簡単に上げるわけにはいかないと思いますが、まあ、二〇〇三年が二〇〇五年に操業開始がおくれた等々を考えますと、この使用済み燃料の処理というのもなかなか難しい技術的な問題等々あるのだろうと思うのですが、そうしますと、これから、海外に処理を委託することをまたやるのがいいのかどうかわかりませんけれども、何か中期的にも見通しが大丈夫なのかなというふうに思ってしまうわけです。
とにかく環境負荷の軽減をするために再処理をする。そうすると、再処理をした使用済み燃料からプルトニウムというものが出てくるわけですけれども、今度はそのプルトニウムをではどうするのか。出てきたプルトニウムは環境に対する負荷が大丈夫なのかという、今度は次の、処理した後の問題になってくると思うのですが、その点についてはどうなのですか。今のところ、まだ高速増殖炉がめどが立っていないわけですから、では、処理をしたプルトニウムについては、環境負荷、安全、大丈夫なのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/54
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055・青江茂
○青江政府委員 先ほど来御答弁申し上げました、抽出されましたプルトニウム、海外から返ってくるものにつきましては軽水炉で、それで、六ケ所の再処理施設が動き出した段階におきまして抽出されますプルトニウムにつきましては軽水炉で、及び、「もんじゅ」での使用を含めまして、研究開発用というのが一部そこにずっと入ってくるであろうというふうに思ってございます。
そういう形で利用していこう、活用していこうと考えているわけでございますけれども、それの安全性といいましょうか、そういうことにつきましては、私どもとしましては、十分に信頼が置ける形、少なくともプルサーマルということにつきましてはまずいろいろな安全審査もなされているわけでございまして、そしてFBRということにつきましては今研究開発途上であるわけでございますけれども、その安全の確保ということにつきましては、さらに十全を尽くしてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/55
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056・近藤昭一
○近藤委員 軽水炉で燃やす、つまりプルサーマルということだと思うのですけれども、そうしますと、先ほど辻議員からの質問の中にもあったのですが、日本の原子力開発利用の長期計画は、そういう原子力技術というのは日本が取り組んでいくべきだとは私も思うのですが、なかなか難しいところがある。
そういう中で、昭和五十七年、昭和六十二年、平成六年と長期計画が見直されていると思うのですが、そういう中で、高速増殖炉に関する表記、そしてまたプルサーマルに関する表記というものが変わってきているようでありますけれども、辻議員がおっしゃったように、プルサーマルはもともとはわき役だったのではないか。ちょっと私も手元に、資源エネルギー庁、科学技術庁からいただいた資料を見ているのですけれども、六十二年、六年と順番に、高速増殖炉のめどがだんだん、完全には実現は不可能だとは言っていないけれども、年代とか表記の仕方が微妙に変わってきていて、なかなか難しい。それに呼応するかのように、プルサーマルについては少々記述が大きくなって、重みを増しているというようなことかなと思うのですが、これを、長期計画の誤りではなくて、見通しが変わってきたからこういう記述になったというふうにおとらえなんですよね。どうでしょうか。
〔斉藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/56
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057・青江茂
○青江政府委員 長期計画の記述と申しましょうか、まず私どもの考え方でございますけれども、FBRにつきましては、確かにこれはかなりの変遷を遂げておるというふうに申し上げざるを得ないというふうに思ってございます。従前の考え方では、FBRは将来の発電炉の本命炉だという位置づけであったわけでございますので、それが、現時点におきましての考え方と申しますのは、将来の非化石エネルギー供給源の有力な選択肢のうちの一つということでございますれば、ここのところの考え方というのは非常に大きく変わってきておるというふうに申し上げざるを得ないと思うわけでございます。
そういうふうなことからいたしますれば、プルサーマルの位置づけというのが相対的に変わってきたのかということなんでございますけれども、プルサーマルの位置づけと申しますか、それ自体につきましては、長計は終始一貫、決して主役、わき役といったふうな感じではないのではないかというふうに私は思ってございまして、現実的にできるプルトニウムの利用方策といたしまして、なし得ることを逐次着実になしていくという中におきましてのその一つの方途であるという考え方といいますのは、終始一貫あろうというふうに思うわけでございます。
そういうことを含めまして、確かに、先ほど来触れましたFBRの問題を含めまして、長計の考え方、その表現の方法と申しますのは、ある程度時代の変化と申しましょうか、そういうことを反映いたしまして、変わっていることは事実だろうというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/57
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058・稲川泰弘
○稲川政府委員 再処理をして得られましたプルトニウムにつきましては、従来から、御指摘のとおり、高速増殖炉が実用化されるまでの間プルサーマル及び「もんじゅ」等の研究開発において利用することが基本的な考え方でございまして、この方針に変更はございません。
プルサーマルについて申し上げますと、五十七年六月の長計で、九〇年代中ごろまでに実証を終了する、実用化を目指すということでございました。また六十二年の六月の長計では、九〇年代後半に本格的に利用する。また平成六年六月の長計では、これは海外再処理委託におけるプルトニウムの回収状況等も勘案した結果でございますけれども、九〇年代後半からPWR、BWR、それぞれ少数基で利用を開始し、二〇〇〇年ごろに十基程度、二〇一〇年までには十数基程度の規模に拡大するという記述になってございまして、現在、かようなスケジュールで努力をいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/58
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059・近藤昭一
○近藤委員 長期計画の見直しというか、そういった表記の変遷はあるけれども、プルサーマルについては終始一貫して重視というか、方策としてあったということだと思うのですが、ただ、表記とかを見ますと、昭和六十二年ですと、一九九〇年代後半に本格的利用としか書いていないのが、六年になりますと、二〇〇〇年ごろには十基程度、二〇一〇年までには十数基程度とか、より具体性を増しているということ。それは、よりプルサーマルについての実験も技術開発も進んできたということなのかなというふうに思うわけであります。
ただどうなんですか、プルサーマルというのはそんなにいいものというか、意義があるんでしょうかね。もちろん、ウラン燃料をもう一度使える、いわゆる再利用ができる。高速増殖炉のようにサイクルはしていかないかもしれないけれども、もう一度処理してプルサーマルで燃やす、もう一回使えるじゃないかということなのかもしれませんが、どうなんですか、プルサーマルというのはそんな意義があるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/59
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060・稲川泰弘
○稲川政府委員 プルサーマルの意義は、まさに御指摘のとおりでございます。
我が国の核燃サイクル政策は、我が国のエネルギー資源の大宗を輸入しているという状況にかんがみたものでございまして、まさに、プルトニウムを利用し、長期的なエネルギー安定供給の確保を図るという観点と、先ほど来御議論ございました放射性廃棄物の適切な処理処分を図る、二つの観点から行っているものでございます。
このプルトニウムの再利用につきましては、発電設備への追加投資をほとんど伴うことなく、現在の軽水炉で数割程度ウラン資源の利用効率を高めることができます。また、プルサーマルは諸外国において既に二十基以上の商業用原子炉で実施をいたしてございまして、現時点で最も確実なプルトニウムの利用方法であるというふうに理解をいたしてございます。
エネルギー政策は、石油あるいはウラン資源などの短期的な市場動向だけではなくて、長期的な視点に立って、まさに我が国のエネルギーセキュリティーという観点を加味して検討すべきものだと考えてございます。そういう趣旨で、この核燃サイクルの確立に向けたプルサーマルの推進は意義あるものと理解をいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/60
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061・近藤昭一
○近藤委員 なるほど、そういった貴重な資源を再利用していくという観点だと。そしてまた、今長官のおっしゃられたことで申し上げますと、今のところウラン燃料が少々だぶついているのじゃないかという言い方もありますけれども、長い目で見れば、それもいつなくなるかわからないし大事だから、やはりプルサーマルは必要だということだと思うのです。
ところで、では、参考までにちょっとお話を聞かせていただければと思うのですが、現在の日本の原子力発電で、いわゆるウラン燃料を使った場合とプルサーマル方式で燃やした場合、発電にどれぐらいの経済的な違いがあるのかということをちょっと教えていただきたいのです。一キロワット時ウラン燃料を燃やすと大体幾らぐらい、プルサーマル方式だと幾らぐらい、そういうことをちょっと経済的な観点から教えていただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/61
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062・稲川泰弘
○稲川政府委員 プルサーマルの経済性につきましてのお尋ねでございますが、MOX燃料の取得費、いわゆるMOX燃料費とウラン燃料の取得費を比較いたしますと、MOX燃料の場合には、ウラン燃料に必要なウラン鉱石取得費や濃縮費が必要でございません。他方で加工費用が割高になるという側面がございます。このため、OECD・NEAという組織が評価をした過去の実績がございますが、燃料取得費ベースで両者はほぼ同等という評価になってございます。
我が国の場合は、当面は海外にMOX燃料の加工を委託することにいたしてございまして、現時点ではまだその契約量が少量でスケールメリットが出ておりません。こういうところから、MOX燃料取得費はウラン燃料取得費に比べて割高になると見込まれてございますけれども、今後MOX燃料の利用が本格化いたしますと、MOX燃料取得費の低減が期待されるところでございます。
全体的なコストについてのお尋ねがございましたが、燃料取得費の割合は原子力発電単価の約一割でございます。さらに、プルサーマルが本格化したときの二〇一〇年ごろには、全国の原子力発電所の燃料のうちMOX燃料が占める割合は一割弱程度でございます。したがいまして、この一割と一割を掛け合わせますと、MOX燃料取得費が原子力発電の原価に占める割合、これは一%程度でございます。先ほど先生、一キロワットアワー当たり九円というコストを言っておりましたが、MOX燃料化に伴う影響度、影響の範囲は総価格の一%の中でございます。
ただ、いずれにいたしましても、長期的なエネルギーセキュリティーあるいは放射性廃棄物の適切な処理処分という観点から核燃料サイクルの確立を目指していくわけですけれども、全般的な経済性、これについては、その向上に一層留意をする必要があろうかと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/62
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063・近藤昭一
○近藤委員 ウラン燃料も、海外の鉱山からとってきていろいろ処理をして使う、いろいろな過程で費用がかかる。MOX燃料も、MOX燃料に加工して使う、そういう意味ではいろいろな経費がかかるから大体同等だということでありましょうか。
そうすると、多分そういうことに関しては非常にいろいろとお考えになっているんだと思うんですけれども、単純に、ちょっと感じたことをお聞きしたいんです。
今までウラン燃料というものを原子力発電所で燃やしていた。今度はMOX燃料に加工したものを燃やす。そうしますと、性質が違うウラン燃料を燃やすことになるんではないかと思うんです。燃料というのはどこかの時点で燃え尽きて、今まででも、同じウラン燃料からウラン燃料でも入れかえていると思うんですが、ただ、今度はウラン燃料というものからMOX燃料にかえるときに、原子炉を一たんとめるのかどうかわかりませんが、ちょっと休ませて燃料をかえるとか、そういうことが必要ではないかと思うんです。
そういったことに多分ちょっと時間がかかったり、あるいは費用がかかったり、あるいは、一説ですけれども、聞くと、やはり今までとは違う燃料を燃やすんだから炉のメンテナンスにもっと費用がかかるんではないかというようなことを聞いたりするんですが、そういうようなことも全部織り込んで大体同等だということと理解してよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/63
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064・稲川泰弘
○稲川政府委員 全体的なコストにつきましては、設備費、メンテナンス費その他を含めて大きな差はないと理解を賜りたいと思います。
特に、現在の軽水炉の中でも、プルトニウムの核分裂によって発生をいたしますエネルギー、炉の中にございますが、その中の約三分の一は現在もプルトニウムが燃えてつくっております、もう御高承のことでございますが。したがいまして、軽水炉においてプルトニウムを利用して発電すること自体は新しいことではございません。現在三分の一、既に燃えている。それが若干、四割、五割という割合にふえていくということでございます。
したがいまして、安全性に関します部分についても、プルトニウムによる核反応の評価は既に確立されたものとなっているという理解でございます。諸外国でも既に千七百体を超える実績がございますし、それから国内でも、少数体でございますが実験がございまして、信頼性等が十分に確認をされているというふうに理解をいたしてございます。
燃料の取りかえ、これは、通常のウラン燃料もそうでございますが、定検時に取りかえをいたします。
そんなことで、現在も三分の一プルトニウムが燃えている軽水炉の中でプルトニウムの量を三割から五割あるいは四割というところにふやすという性格のものでございますから、全体的な性質に大きな差はない、かように御理解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/64
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065・近藤昭一
○近藤委員 なるほど、そういうような状況だということですね。
ところで、もう一つお聞きしたいんですけれども、使用済み燃料を処理した方が環境に対する負荷は少なくなるという冒頭のお話ありましたが、プルトニウムを今度はプルサーマルで燃やす。いわゆるMOX燃料に加工する際にまた新たな核廃棄物、低レベルかもしれませんが、低レベルの核廃棄物ができるんではないかなと思うわけですけれども、例えばそういうものが膨大だとか、そういう問題はないのか。あるいは、少量か多量かもわかりませんけれども、出てきた新たな核廃棄物というのは処理が簡単にできるものなのか。その辺を教えていただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/65
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066・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
MOX燃料の加工工場からも、当然のことながら廃棄物というものが出てまいります。御指摘のとおりレベルは低いわけでございますけれども、MOX燃料加工工場からのものは、いわゆるTRU核種と申しましょうか、半減期の長いウラン核種を含むものでございまして、それなりの取り扱いというのが必要とされるんではないかというふうに思っておるわけでございます。
この放射性廃棄物の今後の処理処分というものの持っていき方ということにつきましては、これは、放射性の核種の問題、性格とか濃度、こういったものに応じまして、それぞれ分類ごとに即した物事の考え方というものを打ち立て、処分というところに持っていこうと諸般の施策というものをとっておるというところでございまして、これまで、原子力発電所から出てまいります低レベル放射性廃棄物、これは濃度に応じまして、それぞれこういう処分をしたらいいでしょうということはやりました。それから、高レベル放射性廃棄物、いわゆるガラス固化体でございますね、それにつきましても考え方というものを打ち出してございます。
今度は、今先生がおっしゃられましたMOX燃料の加工施設から出てまいりますところの放射性廃棄物というものは、性格に応じましてどういう処分の仕方をしたらいいのかということを、原子力委員会のもとの専門部会でもちまして今議論をしておる最中ということで、その議論を整理いたしました上で、それに即しまして処分というものも万全を期してまいりたいというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/66
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067・近藤昭一
○近藤委員 そうしますと、出てくる新たな核廃棄物の処理をどうするかということを今議論されているということですが、議論していただくことは結構なんですけれども、今はまだ議論、議論ということは結論が出ていないわけですかね。結論が出ていない中でMOX燃料で燃やしちゃって、それは大丈夫なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/67
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068・青江茂
○青江政府委員 いわゆる最終的な処分と申しますのは、ある程度の時間が許されるといいましょうか、あるわけでございますので、それに先立ちまして処分方策というものの考え方というのをきちっと固めて、それに対する技術開発をし、そして対応していくということで、具体的な対応という点におきましては可能なのではないかというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/68
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069・近藤昭一
○近藤委員 可能ではないかということですか。できるだろうということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/69
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070・青江茂
○青江政府委員 できるというふうに私ども確信をいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/70
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071・近藤昭一
○近藤委員 できるということは、できていないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/71
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072・青江茂
○青江政府委員 これからの課題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/72
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073・近藤昭一
○近藤委員 いや、ですから、質問としては、そんな課題がある中でやって大丈夫なんですかということなんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/73
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074・青江茂
○青江政府委員 MOX燃料製造工場と申しますのは、まだ今時点におきまして日本にはないわけでございます。これにつきましても今後の課題でございます。
当面、軽水炉で用いますMOX燃料と申しますのは、海外でもちまして製作されましたものを日本に返還、輸送してくるということでございまして、したがいまして、今先生御指摘の、MOX燃料製造工程、その過程から出てくる放射性廃棄物の処分の対応と申しますのは、具体的な問題としましてはもう少し先の話になろうかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/74
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075・近藤昭一
○近藤委員 なるほど。
そうしますと、お話を聞いていると、日本の国内での処理工場というのはこれからまだまだ先であるから、そこから廃棄物が出るのはもっと先だから大丈夫だというお話に聞こえてしまって、では、どうなんですか。海外ではもう既に委託してやっているわけですよね。そうすると、海外で処理している分のそういう核廃棄物なんかは大丈夫なんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/75
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076・青江茂
○青江政府委員 工場を操業いたしますといわゆる廃棄物が出てくるわけでございますけれども、そのような廃棄物と申しますのは、例えば、当面の間きちんと貯蔵管理をするということでもちまして十分に安全性の確保というのはできるわけでございます。最終処分と申しますのは、これはある程度時間を置いた後の議論でございまして、それに至るまでには相当な時間的な余裕があるということでもちまして、先ほど申し上げましたとおり、今後、原子力委員会の専門部会でもきちんと基本的な考え方も固める、RアンドDが必要でございますればそれも行うということでもちまして、時間的には十分対応可能であるというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/76
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077・近藤昭一
○近藤委員 局長のおっしゃることはよくわかりました。
私も大前提として、一番最初に、そういった核サイクルの技術を開発していくことは資源のない日本においては非常に重要だというお話をしたわけでありまして、そういう意味では、こういうものは時間的なものがあって技術が発達していくから、将来的な技術が必ずしも今できると言う必要はないと思うのです。ただ、今の局長のお話ですと、将来的には大丈夫なんだ、大丈夫だから今のところはこういうふうに中間的な途中の処理をする、それで、その途中の処理の仕方については大丈夫だということなんだろうというふうに思うのですけれどもね。こういうふうにやって、最終的な処理についてはまだもうちょっと時間的には後だし、その時間的なことについては今議論をして何とか可能だろうというふうに理解するわけですけれども、そういうことなんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/77
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078・青江茂
○青江政府委員 今御指摘の一番の発端が、いわゆるMOX燃料製造工程からの廃棄物という御指摘でございました。
中間貯蔵というものを入れまして、そしてそれも、使用済み燃料は行く行くは再処理をしということになりますと、そこから高レベル放射性廃棄物が出てくるわけでございますが、今、MOX燃料製造工程から出てくるようないわゆるTRU核種を含みました廃棄物にしろ、それから再処理工程から出てまいります高レベル放射性廃棄物にしろ、これはこれからの問題と申しましょうか、どういうふうにきちんと最終処分をするのかというのは、いわゆるバックエンドと言われる分野の課題としまして、いわゆる最後に残された大変重要な課題というふうに私ども受けとめてございまして、それぞれのレベル、濃度等に応じまして合理的な処分を行うということでもちまして、今後の課題としましてきちんと対応をしていきたいというふうに思ってございます。
なお、念のためにつけ加えますれば、原子力発電所、原子炉施設から出てまいります低レベル放射性廃棄物ということにつきましては、これは処分の方途というものもきちんと決まり、具体的に現実的に浅地層処分という形で、もうこれはきちんと仕上がって進んでおるということでございます。そのほか幾つか残されたところがございますので、きちんと対応していきたいというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/78
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079・近藤昭一
○近藤委員 そういう最終的な処分についてはこれから出てくるということで、それについてはしっかりと対応されていくということでしょう。
それで、ただ、最終的な処分には多分二つあって、一つには、今私が質問していますMOX燃料、そういった加工のところで出てくる、付随する廃棄物、それについての最終処分。とにかく最終的に処理する過程でいろいろな核廃棄物が出てくるわけですから、出てきた汚れといいましょうか、加工の過程で出てきた汚れですか、自動車を洗うなら自動車を洗うときに出てくるその汚れた水をどう処理するかという問題と、もう一つは、洗った自動車をカットしてというんでしょうか、とにかくその本体、いわゆるウラン燃料を燃やす、いろいろ形を変えていくそのいわゆる燃料本体の最終的な処分と二種類あるわけですよね、きっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/79
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080・青江茂
○青江政府委員 原子力サイクルとして回るわけでございますが、確かに御指摘のとおり、いろいろな過程でいろいろな廃棄物が出てくるわけでございますが、それはそれに即しまして対応していかなければならないという、廃棄物対策と申しましょうか、廃棄物の処理処分という問題というものはその問題としてきちんと対応していかなければならないということだろうと思うわけでございます。
それと、燃料が、天然ウランから始まりまして濃縮ウランになり、ウラン燃料として原子炉で燃され、そして使用済み燃料からプルトニウム、燃え残りウランが取り出され、そしてそれがまた燃料加工工程に入り、そして軽水炉へプルサーマルという形で入っていく。この二つの流れがあるわけでございますが、しかし、前者の問題といいますのは、先ほど来申し上げましたとおり、今後に残された大変重要な課題としまして片づけていかなければならない。燃料本体の方の流れと申しますのが、活用し得るものをきちんと活用していくということではないかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/80
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081・近藤昭一
○近藤委員 非常にそういった、まだまださまざまな過程の技術がそれは完成をしていないということだと思うのです。
それで、今ちょっとその中でもお話もありましたが、必ず、そういう核廃棄物というか過程で出てくるものがある。それの最終的な処分。それと、燃料をとにかくずっとサイクルして使っていく部分。だから本体は、一つの燃料があればそれはずっと形を変えてサイクルして使っていくけれども、その途中でいろいろな廃棄物が出てくる。それはまたそれで処理をしていくということですが、今お話を聞いていますと、なかなかいろいろなものが完璧には今できていない、でもできるだろうということなんだと思うんです。
ところで、そうしますと、今ちょっとお話にもありましたが、最終的には日本の核燃料サイクルというのをどういうふうにされていくのか、その辺の筋道をちょっとお聞かせいただければというふうに思うんですね。
今回は、中間貯蔵をされるという問題が出てきたり、それで、多分中長期計画でも、何年かごとに見直していくということでありますと、時々見直さなくちゃいけないことがあるんだというふうに思うんですけれども、中間貯蔵だっていつまでも続けられるのか。その先の最終処分のことも考えてはおられるんでしょうけれども、そういった意味で、中長期的にこの核燃料サイクル開発をどうやっていくかということをちょっと教えていただきたいんです。
もしかしたら高速増殖炉も、あるときは開発をあきらめなくちゃならないかもしれないし、それでも続け方はいろいろあると思うんですよ。何年までに必ずつくるんだ、それまでにできなければ、もうそれはやはり難しい問題として、極論を言えばやめてしまう。あるいはそうでなくて、一つの目安としてはここまでにするけれども、もうちょっと長い目安も立てていて、その間はずっと、細々とと言うと怒られてしまうかもしれませんけれども、それなりに続けていくとか、そういった中長期的にどういうふうに進めていくかということをちょっとお聞かせいただかないと、とにかく将来やるんだやるんだと言っても、先ほどの辻議員の話じゃないですけれども、やるんだと言ってきたけれどもやれなかった、だからこそ不信感が出てきて、大丈夫なのかということだと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/81
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082・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
先ほど申し上げました二つの側面、基本的な考え方、いわゆる使用済み燃料は再処理をし、プルトニウム等を有効に活用していくというのは、これが一番大もとの考え方であろうと思うわけでございます。それに沿いまして、能力的にでき得ることを順次着実にやっていくということではないかというふうに思うわけでございまして、まず国内の再処理施設というものをきちんと動かしていくというのも一つでございますし、出てまいりますプルトニウムというものも、現実的な方途でございますプルサーマルという形で順次活用していくというのも一つでございます。
一方、FBRということにつきましては、いわゆる将来の非化石エネルギー供給源の有力な選択肢のうちの一つとしまして、実用化を目指して研究開発を進めるということでございますので、そのラインに沿いまして着実に研究を進めていく、そして、将来その研究成果のアウトプットとしまして、社会にきちんと受け入れられるというふうな状態になりますれば、軽水炉がFBRに順次置きかわって、FBRによるところのリサイクルというものが将来的には具現化してくるのではないかというふうに思うわけでございます。
先ほど来御指摘ございました、それぞれの工程から廃棄物というものが出てまいるということにつきましては、これはきちんと対応していくということが、もう一つの、別途の課題としてあろうかというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/82
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083・近藤昭一
○近藤委員 いえ、そういうことだというのはよくわかるんですけれども、そういうふうに言ってきて、着実にやりますとか、きちんとやりますとか、できると思いますということがなかなかうまくいっていない。そこで、やはり不安感というか不信感が出ているんではないでしょうかという質問なんです。
だから、もうちょっと具体的に、こういうふうに進めるということが言えないからこそ、逆に、それなりのハードルというかチェックポイントをつくりながら、こういうふうにやっていくということがあるのかないのかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/83
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084・青江茂
○青江政府委員 申し上げます。
今先生の御指摘は、特にFBRの開発というところに着眼されての御指摘ではないかというふうに思うわけでございます。
その点につきましては、確かに、先ほど有馬大臣の方からもお答え申し上げましたとおり、いわゆるこれだけ大きな技術開発というものの先行きということにつきまして、今確たる見通し、例えば、従前私どもは、実は二〇三〇年ごろには実用化に至れるのではないか、至るんだということのもとに研究開発というものを進めてきたわけでございますけれども、今時点におきまして、そのような実用化の見通しというものを確たるものとして時期的に描き、そこから逆算した形で研究開発を進めるという状況にはないということをもちまして、先ほど申し上げました考え方に沿いまして、今研究開発というものを進めておるという段階でございまして、その点につきましては、やはりこれから先着実な研究開発を進めた上でということで考えざるを得ないのではないか。
ただし、その基本的な方向と申しましょうか、実用化を目指しての努力の基本的な方向というものは、そこへ向かって進めるべきであろうというふうに思うわけでございます。
一方、柔軟性とでも申しましょうか、これは、長期計画というものを今般見直す、その過程の中におきましてもよく出てきておるのでございますけれども、やはり、長計というのは五年ごとに見直していくわけでございますけれども、ある程度柔軟な物事の考え方、そして、そこには適宜チェックアンドレビューというものを入れながら持っていくというふうなことを重視すべきというふうな御指摘もございまして、FBRの開発ということにつきましても、そういうことを加味しながら、さらに具体化というものを図ってまいりたいというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/84
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085・近藤昭一
○近藤委員 非常に難しい技術だけれども、その理想を求めて順次、ここまでというのはなかなか区切れないから、積み重ねていくような感じでこういうふうにやっていくんだというふうには思うんです。
ただ、ちょっと時間がなくて質問できなかったんですけれども、原子力、核が持つ本来的な危険性ですとか、あるいはプルサーマルによって燃やした結果出てきた、新たなというか形を変えたそういった核関連物質というものはもっと危険だとか、それは、そういう言い方をする人がいるだけで、本当は違うのかもしれないけれども、そういう言い方をされると非常に不安を感じる人がいたりとか、単純に積み重ねられて、周りで見守っているという状況でないというところが非常に問題、難しいと思うんですよ。それについては、とにかくきちっと対応していただいて、やっていただくようにとお願いするしかないわけです。
もう一つ、これはぜひ大臣にお答えいただきたいんです。
本会議のときもちょっと質問したんですが、先ほど大臣のお話にもありましたけれども、とにかく資源というものは大事だ、ウラン235を燃やしている、238が出てきて238が大事なんだ、だから、これをどうやって利用していくかが非常に大切な課題だということです。ただ、限られた資源だからこうやってどんどんとサイクルして使っていくという考えとともに、やはり、限られた資源なんだからもっと大事に使っていこう、いわゆる節約していこうという考え方は当然出てくるわけでありますが、本当に時間もないのでちょっと簡単に、こういう節約についてどういうふうにこれから国民の間に広げていくかということをお話しいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/85
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086・有馬朗人
○有馬国務大臣 時間がございませんので手短に申し上げます。
プルトニウムをどうするかということに関しましては、大変貴重な資源であるということに尽きると思います。それを燃やす方法というのは、MOXで燃やすとか、高速増殖炉をさらに開発してそれで燃やすというふうなさまざまなことが考えられます。
まず、私は、先ほどもちょっと申し上げたように、高速増殖炉開発というのはかなり進んでいる、残念ながら、ナトリウムがこぼれ出たことによって今ストップしておりますが、かなり進んでいるし、この技術そのものは、研究開発段階での技術は相当のところまでいっておりますので、何とかこれを早く完成させたいと思っております。
それにいたしましても、「もんじゅ」一台でプルトニウムを全部燃やすなどということはとてもできませんし、MOXその他さまざまな観点からさらに検討を重ねまして、貴重な資源を十分、世の中に一番役に立つ方法というのを考えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/86
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087・近藤昭一
○近藤委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/87
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088・北側一雄
○北側委員長 斉藤鉄夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/88
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089・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 公明党・改革クラブの斉藤鉄夫でございます。
今回の法案審議は、十二時間という審議時間でございまして、また、科学技術庁、資源エネルギー庁、一堂に会して、原子力の問題またエネルギー政策の問題を議論する大きなチャンスでもございますので、私は、まず最初、エネルギーの基本政策というふうなところから議論を説き起こしていきたい、このように思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。したがいまして、法案の具体的な中身であります保障措置とか中間貯蔵につきましては、次回の委員会になるかもしれません。
最初に、エネルギーの基本政策、また原子力基本政策について質問をさせていただきます。
エネルギー政策に当たっては国民的な議論が必要だということがよく言われるわけですが、その国民的議論が必要だということの意味は、突き詰めて考えると、原子力に対して国民の皆さんの理解を得ることが必要だということになるのではないかと思います。
今のエネルギーの柱は化石燃料発電と原子力発電。この化石燃料と原子力が二つの柱になるわけですが、化石燃料を燃やせばSOx、NOxなどの有害物質が出る、かつ、大量の二酸化炭素を排出して地球温暖化の大きな原因になる。また、その地球温暖化ガスについては、COPのいろいろな会議におきましても、先進国として、その排出について削減の努力をしなくてはいけない。こういうことを考え合わせていくと、どうしても、二酸化炭素を出さない、また、NOx、SOxなどを出さない原子力に頼らざるを得ない。しかし、不幸なことに、この原子力については国民の皆様の理解がなかなか得られない。
得られないということの一つに、動燃の一連の事故もございました、いろいろな不祥事もございました。そういう国民の間に根づいた不信感と、もう一つは、イデオロギー論争がある、このように思います。
今、五五年体制が崩れて、ほとんどの問題、例えば経済の問題だとか福祉の問題だとか環境の問題だとか、同じ土俵上で議論ができるようになったと言われておりますが、防衛とこのエネルギーについてはなかなか同じ土俵で話し合えない、基本的なイデオロギー論争が残っている、こう言われているものでございます。
原子力に頼らざるを得ないけれども、国民的合意を得るために、原子力に対する不信、漠然とした不信、それは克服する努力をしていかなければならない。しかし、もう一つあるイデオロギー論争、これも乗り越えなくてはいけない。
こういうことを考えると、国民的議論が必要だとはいいましてもかなり大きな困難があるように考えられますけれども、この困難に対して、本当の意味でこれを乗り越えて、一つの合意を得なくてはいけない今の日本の状況だと思いますが、この状況に対して政府としてどのようにお考えになっているのか。資源エネルギー庁長官にお伺いするとともに、科学技術庁の直接の所掌ではないかもしれませんが、原子力の研究開発に責任を持ち、また、科学者政治家であります有馬大臣の御意見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/89
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090・稲川泰弘
○稲川政府委員 国民的議論についてのお尋ねでございますが、エネルギー政策の立案、実施に当たりましては、まさにいろいろ御指摘がございましたように、地球温暖化問題への対応、あるいはエネルギーセキュリティーの確保などの、エネルギーを取り巻く各種の要請を十分に踏まえる必要がございます。
従来から、総合エネルギー調査会における審議や各種の広報活動を通じまして、国民各層の御意見を十分踏まえつつ、政府一体となって取り組むという体制をとってきているところでございます。先般、今後のエネルギー政策のあり方を明らかにするために、昨年の六月に改定が行われました長期エネルギー需給見通しにつきましても、総合エネルギー調査会において、まず、各分野を代表する委員の方々によって国民各層の御意見等を踏まえるという体制をとり、また、これを、資料を含めた全面公開をいたしまして、インターネットなどによって、その中の議論、資料も世に広く提供いたしてございます。
こうした総合エネルギー調査会の審議の仕方、また、我々、全国いろいろなところに出かけてまいりまして、双方向の対話をするということも繰り返してございます。
今後とも、こうした形で、国民各層の御意見を踏まえつつ、各種の要請、お考え方、こういうものにこたえ得るようなエネルギー政策に取り組んでまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/90
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091・有馬朗人
○有馬国務大臣 御指摘のとおりでありまして、これは、日本の将来だけじゃなくて、人類の将来にとってエネルギー問題をどう考えるかということを私は心配をしております。
人口問題ということも非常に大きな問題でありますし、急にふえていくであろう世界総人口に対して、一体、食糧とエネルギーはもつのだろうか、こういう非常に大きな規模からの心配が一つ。
それからもう一つは、日本という国に問題を限りましたときに、はっきり言って全く資源がない国でありますから、そういう国で一体どうやってエネルギーを、今後、二〇五〇年に向かって確保していけるのだろうか、こういう点が非常に心配でございまして、まず、人類の、あるいは日本の人々の生活様式を変えていかなければならないだろう、こういうふうなところから本来は国民の理解を求めていかなければならないと思うのですね。
そこで、原子力はそういう中でどうとっていくか。御指摘のように、NOx、SOxの問題、そして今、二酸化炭素の大問題がございます。こういう問題も含めながら、一体我々はどういうふうにしてエネルギーを獲得していくか、この問題が大変重要だと思っております。
そういう意味で、原子力に関しましては、少なくとも国民の皆さんのお考えをぜひともいろいろお聞きしたいということで、例えばシンポジウムやフォーラムを開く、説明会などをやるということで、原子力の政策についてお話をしていくと同時に、政策を決定していく段階で、それをはっきりと国民にお示しして透明性を高めながら、原子力政策円卓会議などというものを積極的に行いまして、国民のいろいろな人々、各界各層から幅広く御意見を伺いたいと思っております。
そういう意味で、やはり、原子力は特に情報を公開していかなければならないと私は思っております。また、先ほど申し上げたことでありますけれども、その情報が難しくては、とても国民の方々におわかりいただけないと思うのですね。ですから、そういう意味で、わかりやすい情報を提供していく、そして積極的に発信をしていく。そういうような努力を積み重ねまして、国民の皆様方に、エネルギーをどう考えていけばいいか、特に原子力エネルギーというものをどう考えていけばいいかということについて、いろいろ御意見を賜りながら、政策を立てさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/91
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092・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 国民の間にある原子力に対する漠然とした不安というものにつきましては、今、長官や大臣の御答弁になられたような努力で徐々に克服していけると思うのですけれども、先ほど言いましたイデオロギー論争になっている。私も、いろいろ議論の中に加わっていて、どんな理性的な議論をしても絶対意見を変えないという人たちがいらっしゃいますので、その部分まですべて御理解いただいてでないと原子力が進めないということではなかなか進まないと思います。
ただ、そういう方々とも真摯な議論をする、時間的にも内容的にも量的にも真摯な議論を進めていく。そういうものを見ていただいて、国民の皆さんが大体よくわかるといいましょうか、やはり日本が生き延びていくためにはこちらの方法しかないのではないかという大方のコンセンサスを得ていくということが必要ではないかと思いますので、そういう御努力を引き続き続けていただきたいと思います。
それから、新エネルギーについても後でちょっとお伺いいたしますけれども、今、エネルギーの柱は化石燃料発電と原子力発電、これに新エネルギーが入るかと思いますが、ベストミックスということが言われております。最適な組み合わせが必要だということです。
端的にお伺いしますが、まず資源エネルギー庁長官にお伺いします。政府は、ベストミックス、どういう割合のどういう組み合わせが一番いいというふうに考えていらっしゃるのか。
また、有馬大臣にも、これは個人的見解になるかもしれませんが、どういうミックスレシオがいいと考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/92
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093・稲川泰弘
○稲川政府委員 我が国のエネルギー政策におきましては、三つのEと言ってございますけれども、エネルギーセキュリティーの確保、環境保全、経済成長、この三つのEの同時達成を図ることが必要という前提で、長期エネルギー需給見通しを踏まえつつ、需給両面の対策を講じてございますが、この需給両面の対策の中の供給面の取り組みとして、御指摘のありましたエネルギーをどう組み合わせるか、ベストミックス、これが極めて重大な要素になってまいります。このベストミックスを考える場合に、エネルギー源ごとの特性を踏まえることが極めて重要でございます。
例えば、化石エネルギーの中で、石油につきましては、利便性が非常に高い一方で供給安定性に課題がある、かなりの部分を中東に依存している。また、石炭につきましては、供給安定性、経済性は高いものの、炭酸ガスの問題がある。天然ガスにつきましては、供給安定性が高く、炭酸ガス排出源単位も化石燃料中で最も低い、他方で、LNGの形で持ってまいりますために経済的には高いという要素がございます。
また、非化石エネルギーにつきましては、そもそも炭酸ガスを発生しないという特性を持っておりますが、例えば原子力につきましては、既に御指摘のございましたように、引き続き国民的理解を求める必要があるという要素がございますけれども、他方で、燃料の供給及び価格の安定性には非常にすぐれた性格でございます。
新エネルギーにつきましては、国産エネルギーではありますが、自然条件にどうしても左右されるものでございますので、供給安定性にはなお課題がございます。また、ほかのエネルギー源に比しても、現段階では経済性において劣っているという特性がございます。
ベストミックスの具体的なあり方についての現在の長期需給見通し、これを踏まえたエネルギー政策の現在の考え方は、まず化石エネルギーにつきましては、石油依存度を一次エネルギー供給全体の五〇%を下回る水準まで低減するというのが一つでございます。これに付随して、石炭のさらなる利用拡大は抑制する、石炭の利用を今以上にふやすということは抑制します。他方で、天然ガスの積極的な導入を図りますという点でございます。
それから、炭酸ガスを排出しない等の特性を有します非化石エネルギーにつきましては、一次エネルギー供給全体の二五%程度まで導入を図るべく最大限の努力をする。その中核は原子力でございます。二〇一〇年度までに十六基から二十基程度の原子力発電所の増設が必要でございますために、立地対策の充実、先ほど来の議論のございます核燃料サイクルの推進、こういったものに積極的に取り組むこととしてございます。
十六基ないし二十基と申し上げておりますのは、現在の八三%程度の稼働率で計算をいたしますと、今後必要な四千八百億キロワットアワーのために必要な設備容量が十六基程度で済む、従来の七八、九%の稼働率で計算をいたしますと二十基、かようなものでございます。
さらに、新エネルギーにつきましては、その開発導入に対する支援、各種施策を充実することによりまして、現在、一次エネルギーの一%でございますが、三倍、三%程度まで拡大をする、かような方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/93
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094・有馬朗人
○有馬国務大臣 具体的にただいまエネルギー庁長官からお話がございましたので、少し定性的なお話を申し上げてみたいと思っております。
いろいろな考え方があると思いますが、化石燃料の使用をこれ以上ふやすということは、さまざまな点から問題があると思います。
第一の問題は、先ほど先生御指摘のように、空気公害を非常に起こしやすい。特に、二酸化炭素の問題。この地球温暖化の問題というのは、人間が生み出している二酸化炭素がどこまで大きな影響を与えているか、まださまざまな問題点がありますけれども、二酸化炭素が空気中にふえてきていて、温暖化がそれに伴って起こっているということはどうも事実のようでございますので、やはり、転ばぬ先のつえということもありまして、二酸化炭素をこれ以上ふやすということは防いでいかなければならないと私は思っております。そういう点で、水力というふうなものはある意味では非常に理想的なエネルギー源でありますが、もうお釈迦様に説法で申しわけありませんけれども、日本はもうこれ以上水力発電をつくるというようなことは不可能だと思いますね。
したがいまして、石油、石炭あるいは天然ガスをある程度抑えながら、あるいは少なくとも現状を維持しながら、さらにエネルギーの問題をどう解決していくかということを考えますと、一つには、やはり新エネルギーというものをより積極的に検討していかなければならない。その一つは太陽のエネルギーである。
しかし、先ほど長官が説明されましたように、太陽熱というのは非常に質が悪いエネルギーである、公害を起こさないという点では非常にいいんですけれども。質が悪いという意味は、ためておけば別ですけれども、夜使えないとか、雨の日は使えないとか、そういう問題と同時に、取り出せる量が非常に少ない。そういうことに関してさらなる努力を積み重ねていく必要はありますけれども、やはり、太陽熱、風力、地熱、そういう自然エネルギーだけで、新しいエネルギーだけですべてを賄っていくということは不可能だと私は思っております。
したがいまして、もう一つ重要な役割を演じてくるのが原子力でございます。原子力は、先ほどエネルギー庁長官が十六基ないし二十基の原子力発電所が必要であるということを御指摘されておりましたけれども、立地条件やいろいろな難しい問題があると思いますが、やはり、原子力というものは今後使っていかざるを得ないと私は思っております。
この原子力の持っているいいところは、たびたびお話に出ますように、NOx、SOxを出さない、硫黄や窒素の化合物を出さない、それから、特に二酸化炭素を出さないといういい点がございますので、原子力というのは今後さらにまた開発し、さらにふやしていく方向に進まざるを得ないと考えております。
しかしながら、やはり、きょうずっと皆様方から御議論ございましたように、使用済み核燃料をどうするのか、それからまた廃棄物処理をどうするのか、これは、さらに検討を進めるだけではなく、実行策を考えていかなければならない。もう既にいろいろございますけれども、それだけで十分かどうか、そういうことも含めましてさらに努力を進めていかなければならないと思っております。
そういう意味で、ベストミックスというのはどんなものかという御質問に対しましては、水力はもちろんふやせればふやしたいところですが、火力はやはり現在程度、原子力は現在よりややふやしていく。と同時に、特に八月のピーク時、甲子園のころが一番電力が使われるわけでありますが、そういう時期にせめて家庭電力ぐらいは太陽でやれるというふうなことにしていかなければならないと思っております。それだけでも随分、エネルギー問題に対して、特に電力問題に対して大きな寄与が得られるのではないかと思っています。
そうしますと、そのためには、太陽電池であるとか、水素、バイオマス、あるいは風力、こういうものは、これで産業界までやっていこうということは不可能でございますけれども、あらゆる手を尽くして、我々、特に日本のために、そして人類全体のためにエネルギーというものを確保していかなければならないと思っております。そういう点で、我々の努力が今後一層必要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/94
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095・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 基本的に私も同感でございますが、一つだけ。
大臣もまた長官も、新エネルギーについて今後力を入れていかなくてはならないとおっしゃいました。私もそのとおりだと思います。長官は三%という具体的数字の目標までおっしゃったわけですが、国民から見ますと、政府が努力するというお言葉を使われる割には努力してないんじゃないか、こういうイメージがあります。ほとんどの努力を原子力につぎ込んでいる。それはそれでいいわけですけれども、そのエネルギーといいましょうか、その力をもう少し新エネルギー研究開発に注ぐべきではないか。もしくは、原子力と同等の力を、資源を新エネルギー開発に注ぐべきではないか。そうすれば、例えば一〇%程度にはなるのではないか。
新エネルギーにも努力をするということが、ある意味では原子力に対しての国民の理解も得られるという側面もあるわけでございまして、そういう感情を国民が持っているということに対しましては、資源エネルギー庁はどのように考えられているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/95
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096・稲川泰弘
○稲川政府委員 新エネルギーの開発導入の必要性、重要性については、通産省として、エネルギー庁として認識は全く同じでございます。平成九年六月に新エネ法を施行いたしまして、太陽光発電、風力発電などの新エネルギーを導入する民間事業者、地方自治体に対する支援を行っているところでございます。
今委員の方から日本の努力が目に見えないという御指摘がございましたが、恐縮ながら、若干の数字を御紹介させていただきますと、IEAに報告をされております再生可能エネルギー、これは、太陽、風力、廃棄物、水力、地熱を含んだものでございますが、九六年の実績として報告されているものが、一次エネルギーの中で日本が四・七%。これは、水力、地熱を含みますので、先ほどの一%より多くなっております。アメリカが五・三、EUが四・八という数字でございます。これに二〇一〇年の見込みを入れてございますが、日本が七・五、アメリカが五・〇、EUが五・一という数字でございます。EUは、九七年十一月のEU委員会で、この数字について一二%という大変意欲的な数字を示してございますが、IEA、世界のエネルギー機関に報告をされている現実的な数字としては五%台でございます。
そういう意味で、日本の現状というのは、この数字の中で決して低い数字ではございません。
いま一つ数字を申し上げますと、太陽光発電でございますが、九七年の数字で、アメリカが十一万五千キロワットの発電容量でございます。日本が、九七年ベースで九万一千キロワット。ちなみにドイツは四万六千キロワットでございます。日本は、その後さらにふえてございますので、現在十三万キロワットを超しております。したがいまして、この数字で見ます限り、日本は、アメリカと並んで、世界で最大の発電容量を持っている国でございます。
風力につきましては、最近日本も大変な伸びをしておりますけれども、平たん地がない、あるいは安定した風の場所がないなどによって、ヨーロッパと比べればこの部分の発電容量に大きい差はございますけれども、その他の助成制度なども含めて、日本の制度及び実績はかなりなものであるというふうに我々は認識をいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/96
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097・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 この自然エネルギーに対しての努力を引き続きお願いしたいと思います。また、そこまで日本の自然エネルギーの研究開発の努力がされているというのは余り国民に知られておりませんし、PRの方もやるべきだと思います。
その自然エネルギーの中で何に最も可能性を見出していらっしゃるか、自然エネルギーについてこの点だけエネ庁と大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/97
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098・稲川泰弘
○稲川政府委員 大臣の前に一般論として御報告を申し上げますが、現在実用化段階にあるものにつきまして、まず水力、地熱、太陽熱、それから廃棄熱エネルギー利用、製紙工程で発生する黒液等のバイオマス、これらは現在も相当量の導入が進んでおりまして、今後も着実な増加が期待できるものと思っております。
太陽光発電につきましては、現時点では効率やコスト等の面で課題がございますが、研究開発による効率向上、量産化によるコスト低減などによって、今後、大量な導入が見込まれます。この点につきましては、コスト低減あるいは発電効率という面で大変な研究投資を行っているところでございます。
また、風力発電につきましては、風況、地形等の自然条件、土地利用規制、そういった社会条件によって量的な制約があろうかとは思いますが、今後、伸びはかなりなものと期待をいたしてございます。
いずれにいたしましても、この自然エネルギーのそれぞれの特性を踏まえまして、導入促進に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/98
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099・有馬朗人
○有馬国務大臣 やはり一番日本の国で使いやすいものは太陽エネルギーと思っております。
ただ、太陽エネルギーの問題点は、先ほど申し上げましたように、夜使えないとか雨の日はだめだとか、要するに、一日のうちの四分の一ぐらいしか使えないようなところが問題でございますし、アモルファス等々の太陽バッテリーの効率が、一一、二%でしょうか、まだ低いので、これをぜひとも上げていかなければならない。この問題。それからもう一つは、非常に大きな面積が必要である。もし本当に、例えば百万キロワットの電力を起こそうと思えば、山手線の中は全部太陽バッテリーで覆わなきゃならないというような問題がございます。
しかし、私は、各家庭が新しく家を建てるときには必ず屋根に太陽バッテリーを備えるとか、こういうふうな国策というのは将来とっていかなきゃならないんじゃないかと思っています。まだそこまではいきませんけれども、やはりそういうことを考えていかなきゃならないと思っています。
そういう意味で、平成七年七月に内閣総理大臣決定によるエネルギー研究開発基本計画というのがございますが、これに基づいて、実用化が期待されている太陽光発電とか地熱発電などの自然エネルギーの研究開発は大いに進めていかなきゃならない。そこに風力を加えていく必要があると思っています。科学技術庁では実は波力もやっておりまして、こういうものも役に立つかと思っております。
しかし、何といっても太陽がいいと思います。そういう点で、私のお手伝い申し上げております文部省でありますと、新しい学校の屋根には、特にエコスクールには必ず太陽電池を備えるというふうな努力をしているところでございます。
そういうふうに、個人個人のおうちがそういう努力をしてくださると同時に、国としてもなるべく太陽を有効に使うという努力を進めていくべきだと私は考えております。そういう点で、通産も既に、今御報告がありましたように、太陽光を利用するために必要な経費をかなり各家庭に対して補助しておられますし、こういう方向がよりよい方向に進んでいくことを私は非常に望んでいる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/99
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100・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 今大臣の方から、新エネルギーの中では最も可能性が高いのは太陽光だというふうなお話がございました。しかし、いろいろな制約があるということでした。
ちょっと私の個人的な研究の話になるんですけれども、昨年九月にオーストラリアのメルボルンで、四十九回の、IAF、インターナショナル・アストロノーティカル・フェデレーションの国際会議がございました。私、昔からちょっと興味を持っていた太陽光発電衛星、宇宙に発電パネルを置く。そうしますと、曇りがありません。それから、静止衛星ですと、二十四時間のうち二十一時間ぐらい大丈夫ですし、低軌道でもかなり確実に電力が送れる。また、低軌道ですと、地球上を回りますから、低開発国に対しても、低開発国の上では、余り石炭を燃やさないで、宇宙からの電力を使ってくださいということで、そういう途上国の援助にもつながるというふうなことで、国際協力でこの太陽光発電衛星をつくったらどうかという提案をしてまいりました。
ある意味でかなり大きな構造物が必要になってくるんですが、微少重力の世界では、大きな構造物をつくるのは地上でつくるよりはるかに簡単でございます。宇宙まで物資を運ぶ運搬賃がかかりますが、それは、これからの技術開発でそれが低く抑えられれば十分ペイをする。生んだ電力はマイクロウエーブで地球に送る。こういうことを国際協力でやったらどうかという提案を、これは個人の資格でしてきたわけでございますが、この太陽光発電衛星について御評価をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/100
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101・有馬朗人
○有馬国務大臣 大変大胆なお考えであると思います。
実は、私は大変興味を持っているんですが、一つ批判的な面もあったんです。しかし、先生が推進者であるとすると、これは宗旨がえしないといけないかと思っています。
どこが批判的であったかというと、発電まではできると思うんですね。衛星を上げて、そこに太陽光発電をやる装置をつける、これは多分できると思う。問題は、どうやって地上に電力を持ってくるか。今おっしゃられましたように、これはマイクロ波を使うということになろうと思うんですが、かなり能率がまだ悪い。それからもう一つは、これも今科学技術庁等でも研究し始めたところでありますが、電磁波というものが人間の生命に対してどういう影響を与えるかという問題についても、マイクロ波がそんなに強かったときにはどうか、そういう問題もございます。
しかし、それは克服できると思いますが、マイクロ波の形で地上に電力をどのくらい効率よく送ることができるか、ここの送電についての検討、研究というのは今後大いに必要だと思っております。そこのところが私は非常に難しいだろうなというので批判的でしたけれども、そこを一生懸命研究している人がいますね。ですから、これは必ずや克服できるかもしれない。そうしたならば大いに有望なことであると思っています。
それからもう一つ、私は、そんなに大胆な考え、大きな考えではございませんが、地球上にいっぱい太陽がさんさんと降り注ぐところがあります。南方諸国であるとか砂漠であるとか、そういうところで太陽熱を使って太陽電力を起こし、それで例えば水素のようなものを発生させて、水素の形で必要なところへ持ってくるというふうなことは大いに考えなきゃならないことと思っています。水素が一つの例でございます、ほかにもいろいろなやり方があると思いますが。
そういう意味で、さまざまな努力をしていかなければならないという点で、この宇宙太陽光発電衛星ということに対しても大いに評価をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/101
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102・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 御評価いただきましてありがとうございます。
もちろん、研究開発、これから明らかにしていかなくてはいけないことがたくさんあるわけですが、もし実用化されればかなり人類にとっても大きな夢になるエネルギー源でございますので、ぜひ科学技術庁としても御検討いただきたいと思います。
それから、エネルギーの基本政策の最後になりますけれども、核融合についてお伺いをいたします。これは科学技術庁長官にお伺いいたします。
日本でつくったJT60、アメリカのTFTR、ヨーロッパのJET、いわゆる三大トカマクと言われたものの実験が大体終わりました。この三大トカマクのパフォーマンスについてどのように評価をされ、これが核融合によるエネルギー実現につながるものなのかどうか、どのように評価をされているかということ。
それから、この三大トカマクの結果を受けて、ITERを設計し、ITERをつくる予定でした。しかしアメリカがそれから抜けました。このアメリカが抜けたことに対する御見解。
また、残ったのはそうしますと日本とヨーロッパとロシアということになるわけですけれども、このITERを三極で続けていこうということになっておりますが、具体的に続けていく方法としては、日本に誘致して日本で建設する以外このITERを具体的に進めていく現実的な道はないと思うのですけれども、それに対しての御見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/102
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103・有馬朗人
○有馬国務大臣 まず、三大トカマクの貢献はどうかということの御質問でございますが、三大トカマク装置は随分成功したと思っております。成功したという意味は、少なくとも研究開発の段階としては随分進んできたと私は思います。特に、火がつく発火条件のような、ぎりぎりのところまでもう来ておりますね。
そういう意味で、エネルギー増倍率というものが代表的な指数の一つでございますけれども、これが随分大きくなってきたと思います。アメリカのTFTRは、一九九四年に〇・二七、まだまだ一になりませんでした。JETは、一九九二年に一・一四になっております。それからJT60は、昨年六月に世界最高値の一・二五を達成したと聞いております。こういう点で、十年前、二十年前の我々が核融合に対して持っていた認識に比べますと、はるかに進んでまいりました。
しかし、まだまだ基礎的な段階でございまして、これですぐに火がついてどんどん核融合が、連鎖反応が起こっていくというふうにはまだ行っておりませんけれども、しかし、核融合エネルギーの将来の実用化に向けての重要な成果が得られたと思っておりますし、こういうトカマク型の研究によって随分将来が明るくなったと私は考えている次第でございます。
そこで、ITERに対する御質問でございますが、これはなかなか、すぐにどうしたらいいかということを、例えば日本へ持ってくることがいいかどうかというようなことに関しましては、今後いろいろ御審議を賜らなければいけないことと思っております、かなり大きなお金でございますので。
しかし、今御指摘のように、アメリカがおりてしまったということもございまして、そこでちょっと悩んでいるところですが、ただ、今、一九九八年の七月、去年でございますが、それから三年間、二〇〇一年までに、日本、EU及びロシアの三極はITERを核融合エネルギー実現に向けた研究開発上の重要なステップと位置づけまして、これを国内計画の中心に据えております。
それからまた、米国のITER計画からの撤退にかかわらず、三極によりまして、先ほど申しました一九九八年七月から二〇〇一年にかけまして、工学設計活動を継続、完了すべきであるという努力をしているところでございます。
日本といたしましては、長期的な視点に立って、世界の英知を結集し、着実に核融合エネルギーの実用化に向けた研究開発を進めていくためにも、ITER計画を積極的に、主体的に推進する必要があると考えております。
その際に、今申しました、まずは日本、EU及びロシアの三極による研究をさらに進めていって、そしてこれからどういうふうに、どこでやっていくか等々具体策の検討を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/103
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104・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 このITER誘致につきましては、最近、物理学会誌上でもいろいろ論争が繰り広げられておりまして、誘致すべきだという学者さん、また、そのお金があったらほかの分野で使うべきだという学者さん、いろいろ議論がなされております。私自身、ぜひ誘致をして日本の核融合開発に対する決意を世界に示すべきだと個人的には思っておりますけれども、いずれにしましても、そういう学術コミュニティーのコンセンサスも得なくてはなりませんので、この点については引き続き御努力いただいて、コンセンサスを得るように御努力をいただきたいと思います。
エネルギー庁としては、この核融合についてはどのように基本的にお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/104
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105・稲川泰弘
○稲川政府委員 大臣のお言葉に尽きておりますが、核融合に関しましては、二十一世紀の世界のエネルギー問題の解決に大きく貢献することができるものと期待されておりますが、現在では研究開発を進めている段階であるということは否めません。
引き続き、核融合エネルギーの将来における実用化を目指しまして、長期的視野に立って研究開発を進めることが重要というのが我が庁の認識でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/105
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106・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 エネルギー基本政策につきましてはこれで終わりまして、次に、原子力に入っていきたいと思います。
まず、原子力の基本政策について、高速増殖炉路線は不動なんでしょうかという質問でございます。
私は、一つの技術的可能性として、高速増殖炉の研究開発は進めていくべきだと思っております。「もんじゅ」のあの事故が起きたときに、私のアメリカの友人からも、もう日本だけになった、これは人類の夢である、だからぜひ進めてほしいというふうな手紙も二、三参りました。研究者の間では、日本だけが今進めているこの夢の追求をぜひ続けてほしいということなんですけれども、私は、基礎研究、研究の一環として進めていく、これはもう大賛成なんですけれども、しかし、今のように、日本のエネルギーの将来の主流は高速増殖炉であるというふうに明確に決めて進めることがいいのかどうか。そこら辺はもう少しフレキシブルに、可能性の一つという、ある意味では格下げになるかもしれませんけれども、そのような位置づけ、先ほども、近藤委員もおっしゃっておりましたけれども、そういう位置づけで進めた方が、いわゆる研究開発としての可能性も高くなるし、もうとにかく何が何でも成果を出さなくてはいけないんだという形で進めるよりも、研究者もその研究に取り組みやすいんではないか、このような気がいたしますが、それに対してのお考えを大臣にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/106
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107・有馬朗人
○有馬国務大臣 平成七年の十二月の「もんじゅ」の事故というのがございまして、これを契機に、日本の高速増殖炉の進め方に対して、国民の不安が出てきましたし、疑問が高まってきたというふうなことがございます。
それを受けまして、「もんじゅ」を含めた高速増殖炉のあり方、進め方について、国民の意見を政策に的確に反映させたいという観点から、原子力委員会のもとに、各界からの有識者から成る高速増殖炉懇談会を設置いたしまして、幅広い観点から検討を行いました。
その懇談会は、平成九年十二月に報告書を取りまとめまして、非化石エネルギー源の一つの有力な選択肢として、高速増殖炉の実用化の可能性を追求するために研究開発を進めることが妥当である、「もんじゅ」はこの研究開発の場の一つとして位置づけられるということになりました。
そういう意味で、先生御指摘のように、これ一本だということではなく、有力ということはついておりますが、一つの有力な選択肢であるということでございます。
今後、この方針のもとで、柔軟性を持ちながら、着実に「もんじゅ」の研究開発等を進めて、高速増殖炉に係る成果を蓄積してまいりたいと思っております。まずは安全ということ、それから、やはり研究者の人々がこういう新しい技術に対して喜びを持って従事できるような環境をつくるべきだと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/107
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108・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 そうしますと、その報告書にある有力な選択肢ということで、それまでは、核燃料サイクル、高速増殖炉ということを、ある意味では二十一世紀のエネルギーの主流にするんだという一つの方針があったのですが、選択肢の一つだ、有力な選択肢だということに位置づけが変わった、こういう認識でよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/108
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109・青江茂
○青江政府委員 その間の関係につきまして御説明申し上げます。
今の現行長計につきましては、いわゆる炉型の流れとしまして、LからFへということでもちまして、FBR、高速増殖炉というのが将来の炉型の主流になるものだ、こういう位置づけ、本命炉という位置づけでございます。それに対しまして、先ほど来大臣から答弁申し上げましたとおり、非化石エネルギー供給源の有力な一つとして、実用化を目指して研究開発を進めるということになったわけでございまして、その考え方は、FBR懇談会で審議をされ、原子力委員会にもたらされました後、原子力委員会でそれを受け取り、原子力委員会としまして、そういう考え方が妥当であろうというふうな結論を出してございまして、その意味におきまして、原子力委員会の現時点におきましての考え方は、FBR懇談会の考え方にのっとっておるという状況にございます。
ということは、いわゆる将来の本命炉という考え方から、有力な選択肢という考え方に考え方を変えてきておるという状況にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/109
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110・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 よくわかりました。有力な選択肢の一つとして引き続き研究開発を進めていくということでございますが、プルサーマルというのは、一般には、FBRのめどが立たないからやることにしたのではないか、有力な選択肢ということにはなったけれども、現実にはもうFBRというのは無理なので、プルサーマルで燃やしましょうということになったんではないかというふうな見方がされておりますが、この点についてはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/110
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111・稲川泰弘
○稲川政府委員 再処理をして得られますプルトニウムにつきましては、従来から、御指摘のとおり、高速増殖炉が実用化されるまでの間、プルサーマル及び「もんじゅ」等の研究開発において利用することが基本的な考え方でございまして、この方針に変更があったわけではございません。
プルサーマルは、海外再処理委託におけるプルトニウムの回収状況を勘案して、直近では平成六年の六月に決定された原子力長期計画においても、九〇年代後半に開始する計画とされております。平成九年二月の閣議了解においても、この趣旨が確認をされているところでございます。
大臣からも局長からもお話がございましたように、このFBRについて、有力な選択肢として実用化を目指して研究開発をするということでございます。従来の我々のプルトニウムの利用にかかわる方針に変更があったとは思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/111
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112・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 先ほどの近藤委員と青江局長の議論をお聞きしておりまして、その議論は、使用済み核燃料のままずっと貯蔵しておく方がいろいろな意味からもいいんじゃないかという近藤委員の議論に対して、二つの意味から、再処理してプルトニウムにした方がいいんだと。その二つの意味は、一つは環境負荷が小さくなる、それから、有用な資源であるプルトニウムやまだ燃えていないウラン、これをもう一度取り出して使う、有用な資源を取り出す。
この有用な資源を取り出すという方は私よくわかるんですが、環境負荷が小さくなるというのはどうも理解できなかったんです。長い、千年、一万年というオーダーで見れば、使用済み核燃料をずっと人間の管理下に置いて見ていなきゃいけない、これは確かに環境負荷が大きいと思います。高レベル廃棄物にして、地下千メートルに埋めて、後は、人間は知りません、管理しませんという方が、千年、二千年、もしくは一万年という長いオーダーで見れば、確かに環境負荷は小さくなるんでしょうが、現実には、再処理で使用済み燃料をみじん切りして、またいろいろな化学処理して、そういう過程の中で、ありとあらゆる廃棄物が出てきます。
確かに、高レベル放射性廃棄物は小さいガラス体の中に入るかもしれませんけれども、そのありとあらゆる作業の中で出てくるいろいろな低レベルの放射性廃棄物、そういうものもすべて短期間的には人間が管理しなくてはいけないわけで、逆に、百年程度のオーダーで見たら環境負荷は大きくなるんじゃないか、このように感じた次第ですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/112
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113・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
確かに、例えば再処理をするということになりますと、再処理工程から、今先生おっしゃいましたような廃棄物というのが出てくるということもそのとおりだと思うわけでございますけれども、一番のポイントは、いわゆる高レベル放射性廃棄物と言われるもの、これが一番マネージが大変なわけでございますので、そこのところに着目をするというのが一つのポイントではないかというふうに思うわけでございます。それに対しましての低レベル、レベルが低いものにつきましては、これは相対的に申しますと、やはりマネージしやすいということは明確に言えるのではないかと思うわけでございます。
もう一つ、いわゆる高レベル放射性廃棄物ということに着眼して考えるならば、先ほども、ボリュームということを一点申し上げました。
それからもう一つは、有用な、燃える、燃料として活用し得るウラン、プルトニウムというものをそのまま廃棄をするということ、それはもったいないじゃないかといいましょうか、資源という観点からいたしまして、これはもうやるべきことではないだろうというふうに思う。
それと同時に、御案内のとおり、ウラン、プルトニウムの半減期というものを考えますと、これは非常に大きいわけでございまして、それをそのままの形で、使用済み燃料のまま中へ入れて、深地層処分にいたしましても、行うということになりますと、これはなかなか難しい問題が生じてくるのではないか。
そういうふうな観点からいたしまして、環境負荷はトータルで見ますと減ずるのではないかというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/113
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114・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 この点の議論につきましては、またちょっと私も勉強してからもう一度聞きたいと思います。
先ほど近藤委員、それから辻委員もおっしゃっていた、使用済み核燃料のまま貯蔵していた方がいいのではないかという議論ともちょっと重なってくるのですけれども、プルサーマルでプルトニウムを軽水炉で燃やす、その場合リサイクルでウラン資源を有効に使うことになるということなんですけれども、何倍有効に使えるのか。
例えば二倍有効に使えるということになれば、ウランを二倍有効に使えるということですから、一単位エネルギー当たりのコストは半分になるというようなことが言えると思います。しかし、プルトニウムを生み出すためには再処理しなくてはいけないわけで、再処理するためのコストを考えると、ウラン燃料よりかなり高くなるのではないか。
先ほど稲川長官が、ウラン燃料とMOX燃料、プルトニウム燃料、値段的にはほぼ同等ですというお答えがあったのですが、素人で考えても、プルトニウムは再処理工程が入っているわけで、その分だけでも高くなるんじゃないかなと思いますし、同等というのはちょっと納得いかなかった。だから、私はある程度高くなっていると思うのです。高くなっていてもウラン燃料を有効に使えるからトータルとしては安いんだ、こういう議論だと思うのですね。そこら辺、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/114
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115・稲川泰弘
○稲川政府委員 再処理から得られますプルトニウムなどを軽水炉でリサイクル利用いたしますと、約四割程度ウラン資源の利用効率を高めることが可能と試算をされております。四割でございます。
先ほどコスト計算を申し上げまして、一%程度の影響範囲と申し上げましたが、使用済み燃料の再処理コストは別計算で、その中には入れておりません。
OECD・NEAの報告がございまして、使用済み燃料を再処理しプルサーマルを行う場合のコストは、再処理を行わない場合に比べて一四%割高、かような報告がございます。使用済み燃料を再処理する場合、しない場合のコストでございます。
したがいまして、今厳密な計算をしておりませんが、四割程度ウラン資源の利用効率を高め、再処理コストについては一四%燃料間での差があるということでございます。
当然、このコスト面については、スケールメリットなどによりまして、その削減、経済性を引き上げる努力をしつつ、やはり我々としては資源の有効利用という点に着目をしてまいりたい、かように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/115
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116・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 高速増殖炉は有力な選択肢として研究開発していくという御答弁がありました。
高速増殖炉でプルトニウムをリサイクルしますと、これは、数字は変わっているかもしれませんけれども、原理的には無限大ですが、現実的には五十倍、六十倍、ウラン燃料を有効に使えるというふうに私は記憶しております。プルサーマルで燃やすと一・四倍、四割増しと今ありました。将来の有力な選択肢として高速増殖炉を残している、それで使えば六十倍、プルサーマルで使えば一・四倍。だから、プルサーマルで使うのは何か物すごくもったいないというふうな気がするのですが、最初からプルサーマルは長期計画の中にありましたとありましたけれども、そこら辺はどのような御説明になるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/116
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117・稲川泰弘
○稲川政府委員 今現在、高速増殖炉があり、プルサーマルがあり、いずれを使ってプルトニウムの有効利用をするかという状況であれば、その対比は可能であろうかと思いますけれども、核燃料サイクル、現状において各工程の技術開発と事業化が一度に完成するものではありませんで、順次、少しずつ着実に進歩を進めている段階であろうかと思います。
そういうプロセスで、中間貯蔵は、再処理工場の建設、稼働のタイミングと、使用済み燃料がふえていくテンポとの間のテンポ調整でございます。また、各原子力発電所の貯蔵プールにおいて、いたずらに長期間、使用済み燃料が貯蔵されたままになることについての御不安もあろうかと思います。
そういう意味で、中間貯蔵というのは、現在、現実的に工程として技術開発が進みつつあるものについて、また事業化が進むものについて、そのサイクルを回転させるべく、若干の時間調整のための中間貯蔵、かように位置づけてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/117
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118・青江茂
○青江政府委員 ちょっと補足をして一点だけ。
六十倍という話といわゆる四割増しという話でございますけれども、プルサーマルというのは一回回す、その際にウラン節約効果というのが四割程度が期待できるではないかということ。それでもう一つはFBRで六十倍、これは何回も回しながらいわゆる238をずっと使っていくという意味におきましての六十倍ということでございます。六十倍というのは、もう一回こっきりで終わり、そういう数字ではないわけでございますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/118
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119・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員 済みません、時間が来てしまいました。このプルトニウムリサイクルの問題につきましては、引き続き質問をしてまいりたいと思います。
また、保障措置のことについて質問する予定で、外務省の阿部審議官にも来ていただいておりましたが、質問がそこまで行かずに、大変失礼いたしました。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/119
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120・北側一雄
○北側委員長 次回は、来る二十七日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X00719990423/120
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