1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年五月十二日(水曜日)
午前九時十分開議
出席委員
委員長 北側 一雄君
理事 河本 三郎君 理事 中谷 元君
理事 山口 俊一君 理事 辻 一彦君
理事 吉田 治君 理事 斉藤 鉄夫君
理事 菅原喜重郎君
飯島 忠義君 江渡 聡徳君
奥山 茂彦君 木村 隆秀君
田中 和徳君 三ツ林弥太郎君
村岡 兼造君 望月 義夫君
渡辺 博道君 鍵田 節哉君
近藤 昭一君 鳩山由紀夫君
近江巳記夫君 一川 保夫君
吉井 英勝君 北沢 清功君
中村喜四郎君
出席国務大臣
国務大臣
(科学技術庁長
官) 有馬 朗人君
出席政府委員
科学技術庁長官
官房長 興 直孝君
科学技術庁原子
力局長 青江 茂君
科学技術庁原子
力安全局長 間宮 馨君
資源エネルギー
庁長官 稲川 泰弘君
中小企業庁次長 殿岡 茂樹君
運輸省鉄道局長 小幡 政人君
委員外の出席者
外務省総合外交
政策局軍備管理
・科学審議官 阿部 信泰君
科学技術委員会
専門員 宮武 太郎君
委員の異動
五月十二日
辞任 補欠選任
村岡 兼造君 渡辺 博道君
中西 啓介君 一川 保夫君
辻元 清美君 北沢 清功君
同日
辞任 補欠選任
渡辺 博道君 村岡 兼造君
一川 保夫君 中西 啓介君
北沢 清功君 辻元 清美君
本日の会議に付した案件
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)
午前九時十分開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/0
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001・北側一雄
○北側委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/1
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002・吉田治
○吉田(治)委員 民主党の吉田治でございます。
いよいよ本日が最終の質問という形で、まさに核燃料サイクルを初めとするさまざまな問題の中での中間貯蔵ということですけれども、私は、先日来からの質疑、また現地視察等、参考人の皆さん方の御意見を聞きながら、最後三十分ですけれども、数点御質問させていただきたいなと思っております。
まず一点目は、法案が通って具体化されていくときに、立地というのですか、どういうふうなところを中間貯蔵地点として考えるのか。前回の質問の中におきましては、サイトから出して再処理工場までの間というふうな言い方をしました。これは、時間的な間ということと場所的な間というふうなお話もしてまいりました。
しかしながら、あのときのたしか稲川エネ庁長官のお答えにもございましたが、原子力委員会において、安全委員会ですか、四十年という一応シミュレーションをして、その中で費用も幾らかかるかということも計算をしているということになりましたから、その費用を出す段階において、立地というふうなもの、どういうところで中間貯蔵施設というものを建設していくのか。山の奥なのか、それとも、やはりキャスクであるとかそういうふうなものの移動を考えると臨海部であるのか、どこの地点にするのかという立地の問題が出てくると思うのです。
前回の質疑でも申し上げましたが、政令、省令にお任せする部分が非常に多過ぎて問題ではないかというお話も私はさせていただきましたけれども、まさにそういうふうな中で、立地というふうなものについて、具体的なイメージというのですか、四十年ということをイメージされて費用コストを前回三億というふうなことも出されましたけれども、費用コストを出すにはやはり、あのときの長官のお答えの中には、サイトを出て、中間貯蔵施設に行って、中間貯蔵施設から再処理工場まで行く輸送費も入っているのだというお答えがたしかあったと思います。そうしますと、具体的に立地というふうなもの、全国に原子力発電所のある中でどの辺あたりに立地をするのかということ、それなしに輸送費を出したりすることはできないと私は思うのです。
具体的に立地候補場所というふうなものは、何県というのか、それともエリア的に、先ほど申し上げました沿岸部というふうなことなのか、いやいや人目につかない山奥ということなのか。前回、冗談話っぽく言ってしまいましたけれども、ひょっとしたら、田んぼが余っているから休耕田の真ん中に一基ずつ預けていくとか、そういう発想も出てくるのだと私は思うのですけれども、いかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/2
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003・稲川泰弘
○稲川政府委員 具体的な立地場所については、具体的なイメージとして現在持っているわけではございませんが、御指摘のございましたように、輸送上の問題等がございますので、道路あるいは船舶輸送などを考えまして臨海部のケースが多くなろうというふうに想定をいたしてございます。
このコストを計算するに際しまして、御指摘のありましたように、総合エネルギー調査会の原子力部会にコスト試算を提出いたしてございますが、そのときの輸送の考え方も、全体的な、平均的なコストという趣旨でこの額を入れてございます。
一般的には、中間貯蔵施設の立地につきましては、立地地域の皆さんの理解と協力が不可欠でございまして、そういう趣旨で、国、電気事業者及び中間貯蔵事業者それぞれの立場で、現在までの技術による安全性、その技術の内容等を公開しながら御説明をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/3
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004・吉田治
○吉田(治)委員 具体的に臨海部というお話が出てまいりまして、では、その場合、規模というのですか、どういうふうな大きさ、これは、乾式、湿式、キャスクに入れるのかプールに入れるのかによっても随分違ってくるとは思いますし、キャスクの場合においても寝かせて置いておく場合とよく欧米でありますように立ててそのまま置いておく場合と、また、そこに建屋をつくる場合と野積みという方法もあるかと思いますけれども、これはまさに一番最初に予算関連法案として出されてきた。これは科技庁さんが出されたと思うのですけれども、共管されていく省庁の立場としてそういうことをあらあら考えずに、委員会に対して、国会に対して、予算関連法案だから三月三十一日までに出せ、上げてくれという話はなかったと私は思うのですけれども、その辺はどういうふうに今考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/4
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005・稲川泰弘
○稲川政府委員 使用済み燃料の中間貯蔵施設につきましては、六ケ所再処理工場の操業のおくれによりまして、使用済み燃料の対策必要量が増加することを踏まえますと、二〇一〇年ごろに約七千七百トン・ウラン、二〇二〇年ごろに約一万六千二百トン程度の中間貯蔵施設が必要というふうに考えております。
この中間貯蔵施設の敷地面積につきましては、五千トン・ウラン規模の中間貯蔵施設を想定いたしました場合、プール貯蔵の場合では約六ヘクタール、金属キャスク貯蔵の場合にも約十二ヘクタール程度の敷地が必要でございます。今後、施設の規模につきましては、具体的な立地が行われる際に決定されることとなりますし、また、地点数についてもさまざまのケースが考えられるところでございます。
いずれにしても、具体的な立地地点については、現時点においては決まっておりませんけれども、早急に実現すべく最大限の努力をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/5
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006・吉田治
○吉田(治)委員 ということは、二〇一〇年までに七千七百トンで、五千トンでこれだけの規模ということは、五千トンが最低の規模になる。それとも、単に基準であって、五千トンの場合だったら、プール式で六ヘクタール、キャスクで十二ヘクタール。これが二千五百トンになるのだったら、地域の立地状況によってそれは変わっていく。それとも、やはり最低五千トンは一カ所で中間貯蔵をしたい、そういうふうなものが積算根拠になっている、そういうふうに考えてよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/6
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007・稲川泰弘
○稲川政府委員 コスト計算をします場合に、概念設計として、千トン、五千トン、一万トンというふうなケース分けをして敷地面積、建屋面積などをはじいてみておりますが、極めて一般的には、先生御指摘のとおり、ある種の経済規模、スケールメリットというのがございますので、五千トン程度の規模が通常実施される中間貯蔵のケースになるのではないかと想定をいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/7
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008・吉田治
○吉田(治)委員 では、その場合でしたら、二〇一〇年までには、これは数字上からしますと、箇所数という形で私は質問させていただこうと思っておりましたけれども、最低二カ所、二〇二〇年のことを考えると最低三カ所から四カ所というふうなものは今後十年以内には中間貯蔵施設として立地というか、立地検討から建屋ができ上がって貯蔵できるまでをしてしまうというふうに理解してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/8
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009・稲川泰弘
○稲川政府委員 御指摘のとおりでございます。
五千トンベースであると二〇一〇年までに二カ所、また、五千トンはある種経済レベルでは最低のレベルと考えまして、一万トンレベルのものをつくれば一カ所で済む、かようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/9
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010・吉田治
○吉田(治)委員 ちょっと質問が戻るかもしれませんけれども、五千トンの経済規模と一万トンの経済規模というのは、これは後ほど質問させていただきますけれども、コストという部分で考えていった場合に、経済効率性、原子力というのは、国のエネルギー安全保障からしますと経済効率ばっかり追うべきものではないとは私は思うのですけれども、しかしながら、単純に効率性という部分でいくとどっちの方が高いのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/10
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011・稲川泰弘
○稲川政府委員 五千トンの規模に達しますとほぼスケールメリットを実現いたしますので、五千トンから一万トンには大きな差はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/11
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012・吉田治
○吉田(治)委員 ということは、何カ所でき上がるかというと、まあ五千トンという基準を考えた場合には二カ所、もしも一万トンまで入れるところがあるならば一カ所。ただし、プール式とキャスク方式と倍も面積が違いますよね。
そうしますと、普通の発想からしますと、そこの質問に至る前にまず、では、全国に散らばっている原子力発電所から中間貯蔵施設に運ぶということは、極端なことを言いますと、立地という問題を考えていきますと、輸送コストも考えますと、最後六ケ所村へ入れるということになりますと、中間的なというか、距離的に等しいところというのですか、どこからも運びやすいところ、そしてまた六ケ所村にも行きやすいところというのが立地の条件、そういうふうになるのではないかと思うのですけれども、その辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/12
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013・稲川泰弘
○稲川政府委員 輸送に際して海上輸送がかなりの部分を占めるとすれば、また輸送回数がそんなに頻繁に及ぶものでもございませんので、輸送費用のコスト全体に占める割合はそんなに大きいものにはならないと考えます。したがいまして、これはあくまで立地適正の場所で選択をされていく、いろいろなケースが考えられるものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/13
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014・吉田治
○吉田(治)委員 ということは、基本は海上輸送。
ですから、陸上をトラック、トレーラーのでかいのに積んで走るということは、その構内というのですか、貯蔵施設内と六ケ所村、それからサイトの中だけというふうなイメージでいいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/14
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015・稲川泰弘
○稲川政府委員 原則的な概念設計は御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/15
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016・吉田治
○吉田(治)委員 しようもない矛盾を突くかもしれませんが、それだったら、先ほどの、一番最初長官が、立地の条件の中で道路整備というのは、これは何の道路整備になるわけですか。キャスクを運ぶための道路整備なのか、それとも、そこへ立地をするための、建設資材を入れるための道路整備ができているかどうかというのが立地の条件になってくるのですか。その辺はどちらなんですか。そうでないと、海上輸送するといいながら、一方では、いや、立地の条件として道路整備ができているかどうかというのはちょっと、聞き方によっては矛盾を感じますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/16
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017・稲川泰弘
○稲川政府委員 原則的には、中間貯蔵地点までのアクセス道路のイメージでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/17
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018・吉田治
○吉田(治)委員 ということは、キャスクを運ぶというよりも、建設資材等々がそこへ行きやすいということで理解をしていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/18
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019・稲川泰弘
○稲川政府委員 港から中間貯蔵地点までのアクセス道路のイメージがメーンでございます。ちょっと私の表現の仕方がまずかったかと思いますが、そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/19
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020・吉田治
○吉田(治)委員 ということは、臨海部といっても、例えばこの間私どもが視察させていただいた福島原子力第一発電所のように港に接してあるというよりも、場合によっては港からもうちょっと中へ入っていく、そういうこともあり得るということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/20
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021・稲川泰弘
○稲川政府委員 御指摘のとおりで、一キロあるいは二キロ、そういう範囲で、港に隣接するよりも若干地盤の関係で中に入ることはあり得ると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/21
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022・吉田治
○吉田(治)委員 その場合に、一番最初長官が、やはり地元理解ということになりますと、現に原子力発電所等々があるような地域というのが有力な候補と、原子力発電所が現に稼働している、また近くで稼働しているというふうなところの方が、何十年もやっているところであるならば理解度が高いのかな、理解もしてもらいやすいのかなというふうなのは正直な気持ちになると思います。
また、二点目、先ほど少し質問に入りかけましたけれども、その立地の規模ということを考えた場合に、いろいろ視察等させていただいたところでは、キャスクの方が量産効果が大きくて、乾式の方がどうもいいやに聞いているのですけれども、しかしながら、場所の面積からするとプールの方が面積は少なくて、半分で済む。
先ほどちょっとお答えいただいていないのですけれども、そのときにキャスクは立てるのか寝かすのか。これは寝かした場合で十二ヘクタールと考えていいのかということと、その地域地域によって乾式、プール式を決めるという場合に、何を基準にその地においてプールにするのかキャスクにするのか、その基準というのはどういうふうに考えられるのかということをちょっと手短にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/22
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023・稲川泰弘
○稲川政府委員 使用済み燃料の中間貯蔵は、当面、プール貯蔵、金属キャスク乾式貯蔵により御指摘のとおり行うことを想定してございます。
安全性に関しましては、現在、我が国の原子力発電所や海外において既に実績があり、高い安全性が双方とも確認されているものでございますが、双方を比較いたしますと、経済的な面に関しましては、プール貯蔵は、金属キャスク乾式貯蔵に比べ敷地面積が広くなくてよい、狭くていいという特徴を持っております一方で、ポンプやファンなどの維持管理をかなり細かく行う必要がございます。
他方で、キャスクの乾式貯蔵は、敷地は比較的大きくなりますけれども、維持管理費用はより小さくなり、またキャスクの量産を行いますと、この点でのコスト低減が期待をされます。
御指摘の、キャスクは立てるか寝かせるか。今現在の考え方は立てる方式を前提に考えてございますけれども、キャスクでやるかプールの方式を採用するかについては、その立地地点の敷地面積等々を勘案しながら中間貯蔵事業者が判断を行うことになるというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/23
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024・吉田治
○吉田(治)委員 その場合にかかるコストは、これは全部、法案ができたら電気事業者が全面的に中間貯蔵についての費用は見るのか。そして国としては、電気事業者が全面的に見る場合にはどういうふうな部分で、負担配分というのですか、ただ法律をつくって、おまえらやっておけよというのか、そうではないのかということ。
そして、前回の質問でもさせていただきました、三億円かかるというこのコストについては、同僚議員の質問の中にありましたように、一つのキャスクがサイトから出て中間貯蔵を終わって再処理工場へ行くまでが三億円なのか。たしか前回のお答えでは、いや、そうじゃなくてそれは、くるくる回していくけれども、とにかく燃料サイクルというふうなものができ上がるまで、一応試算として四十年と考えた場合に、四十年全部で考えたときに一つ当たり三億円というふうな話なのか。
そして三点目は、では、先ほど言いましたように、立地をしたときに、立地の地域に対して、電源三法を中心とした現在の原子力発電所等々ができるときの地域支援というふうなもの、これはコスト的にいったら、電源三法の交付金等はもとへ戻っていきますと税金の部分もございますので、それはやはり税金という形で国民がそこの部分で応分に負担をしていくのか。
そして、今長官のお答えの中にありましたように、設備・固定コストについては、まさにプールの方がかかるよというふうなことで勘案はされていくのでしょうけれども、今申し上げました立地にかかるコストというふうなもの、これはだれが負担をしていくのかということをあらあらお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/24
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025・稲川泰弘
○稲川政府委員 中間貯蔵施設の設備費、運転費、一般管理費等の使用済み燃料の中間貯蔵に要するコストは、貯蔵事業者に支払われる中間貯蔵役務費として電気事業者が負担をいたします。
ちなみに、使用済み燃料の貯蔵容量五千トン、貯蔵期間、計算上でございますが四十年を前提として試算した事例を御紹介申し上げますと、設備費、運転費、一般管理費等の貯蔵費合計は、プール貯蔵方式の場合で約三千億円、またキャスク方式の場合で千六百億円と試算をされます。これを一キロワット・アワーの発電電力量当たりに換算をいたしますと、プール貯蔵方式で約十銭強、キャスク貯蔵方式では約十銭弱と試算をされております。また、使用済み燃料一トン当たりの単価に換算をいたしますと、プール貯蔵方式で約五百二十万円、キャスク貯蔵方式では約三百十万円と試算をされてございます。
もちろん、この試算は、立地地点、期間等々不確定要素が多いために、十分な余裕を持たせたものとなっておりまして、実際の運転、建設に当たっては費用の低減が図られるものと考えてございます。
この電気事業者が負担をいたします発電所外における中間貯蔵コストというものは、発電所内の現在負担をしております貯蔵コストと同様の費用でございまして、基本的には同じような技術を用いますために、内外で費用の差が大きく出るものではないというふうに考えてございます。
それから、キャスクで三億円という数字を申し上げましたが、これは先ほどの計算前提のとおり、五千トンクラスで四十年の間すべてにかかわる費用ということでございます。また、その立地のために地域振興の支援を行う予算を検討いたしてございますが、この施設の立地に際して、何よりも地域との共生が重要でございまして、この立地が地元の振興に資するように、電源三法交付金制度を活用した振興策を講じてまいりたいと考えてございます。これは国としての負担でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/25
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026・吉田治
○吉田(治)委員 お答えの中で、二点ほどもう一度お聞きしたいなと思うのは、昭和三十年代からの長計がございましたよね、前回も質問させていただきました。あの中で、核燃料サイクル政策というものをずっと一貫して言われてきた、六ケ所村のことについても随分おくれていると。最終的に費用負担をするところは電気事業者だとエネ庁は今言われました、三千億もしくは一千六百億、五千トンで。
では、翻っていきますと、きょう参議院でたしか電気事業法の改正が通るやに聞いておりますけれども、電気事業者には、おまえらは楽して金もうけしているんやからもっと厳しくせい、もっともっと経費を減らせ減らせと言っておきながら、エネ庁として、片一方では、自分のところの無策を無視して、やはりできへんかったから、おまえらこれやって負担持てというのは、どう考えても国の政策として矛盾しているんじゃないか。安くさせろ、電気料金を安くするんだ、電気をもう少し世界の標準価格にするんだ、ドルの為替の換算があったとしても、そう言っていながら、片一方でこういうふうなことで、電力会社に対して負担を、これはもう完全に法律ですから押しつけですよね。電気事業者としては、昭和三十年代から四十年も言っていることがまだできていない、その上にお上からもっとこれは金を使え、これは私はどうしても矛盾だと思うけれども、その辺に対して、エネ庁の長官として、どう反論というか、どう思っているのか。私はどうしてもこれは矛盾としか考えられないのですが、どうなのですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/26
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027・稲川泰弘
○稲川政府委員 電気事業法の改正を現在国会に上程を申し上げて、参議院での御審議が間もなく始まるところでございますが、この電気事業法の改正は二つのテーゼを念頭に置いてございます。
一つは、高コスト構造是正、経済構造改革という趣旨での効率化の推進追求でございます。また他方で、当然のことながら、公益性の追求、実現ということもテーマに置いてございまして、その効率化と公益性の両立を図りながら電気事業の今後のあり方を考えるというのがこの電気事業法改正の趣旨でございます。この公益性の中には、当然、我が国の電源ベストミックスを念頭に置いた原子力発電、またその中で原子力発電の要諦でございます核燃サイクルの推進、そういったことも念頭に置いておるところでございまして、そういう意味での、法律上の、また行政上の両立という立場を貫いているところでございます。
御指摘のように、この核燃サイクル政策につきましては、高速増殖炉の開発計画あるいは民間再処理工場の事業計画などが当初の計画に比較するとおくれぎみに推移をしていることは事実でございます。そういう意味で、今回御提案を申し上げております中間貯蔵などの施策をとることによりまして、使用済み燃料の発生の状況と使用済み燃料を処理する再処理事業の進捗との調整のための措置というのが必要になってまいります。ただ、こういう現実的な路線、現実的な対応を図りながらも、このそれぞれにかかるコストについては、経済的な負担、あるいは、いわゆるコストの低減のための各種の努力をあわせ行うことは当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/27
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028・吉田治
○吉田(治)委員 ここは委員会が違うので、このことはこれ以上触れませんけれども、高コストとか公益性というのであるならば、コストをふやすような施策を、中間貯蔵がいいとか悪いとかじゃなくて、もっとしっかりしてもらわなければ、それは、お上のやることはふやすこと一方で、片一方では公益性でおまえら金出せと、これはどうしても話が通らないし、電力の自由化をするんだったら、これから新規参入する人たちにもこの辺の部分というのは、応分の負担というのはこれはしていかなければならぬ。だって、地域支援コストで、今長官が言われたように交付金で国民の税金を使っていくんですから、新しい事業に参加するんだったら、原子力、これはもう経済効率悪いからやめようというんじゃなくて、そこの部分も負担するような方法というのは、多分各委員会で質疑等が出ておりますから、これ以上申し上げませんが、する必要があると強く申し上げると同時に、もう時間もなくなってまいりましたので、今交付金の話をされましたけれども、お金だけで済ますという話ではなくして、やはり地域の皆さん方が理解をされるということ。
そして、さきの質問の中で随分、サイト外、中間貯蔵施設がサイトの外で立地をすると聞いておりますけれども、法文上、読んでいきますと、私は、これはサイトの中でもできるんじゃないかと。質問等を聞くと、どうもサイトの外しか中間貯蔵施設はできないというふうに聞いておるのですけれども、私は、この法案を読んでいきますと、サイトの中も外もできると。だから、中しかできないものを外へと。
私は、ここで、大臣おいでですので、大臣にも少しお答えいただければと思うのですけれども、やはり原子力政策というのがどうも余りにもしゃくし定規、条文で囲って囲ってという中において、このサイト外へ今度はできていく。中でもできる。ですから、外だけにこだわるのではなくて、サイト内というふうなものも。この間の福島の第一原子力発電は百万坪もあって、あれだけの大きいところで、地域の皆さん方ももう非常に理解をされていて、現実にそこへ勤められている方もたくさんいられる中においては、サイト外だけにこだわったというふうなイメージというのは私はよくないと思います。これから立地を考えていくときに、どうもあれはサイトの外だよ、中は関係ないよというふうな話じゃなくて、そういうふうな原子力政策を、この一つのことをとらえてもそうですけれども、もっと柔軟に幅広くできるような方向というのを私はぜひとも持っていただきたい。
そして、先ほど長官がお答えの中で、コストの部分で幾ら幾らというと、これは多分、これだけ不景気の中でしたら、民間企業が、では、おれのところでさせてくれないか、もう臨海の埋立地なんか山ほどあったら、あの卸電発のところで手があれほど挙がったのですから、ひょっとしたら、こういうふうな民間企業からの問い合わせというふうなものは私はあったというふうに聞いておりますけれども、その辺の現状は把握しているのか、認識しているのか。また、その辺の問い合わせ、応募があったときに、最終的には電気事業者が判断するのか、そこに対して行政がかかわるという可能性があるのかどうか。ちょっと最後まとめた質問になってしまいましたけれども、お答えをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/28
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029・稲川泰弘
○稲川政府委員 大臣から申し上げる前に私の方から周辺の説明をさせていただきますが、今回提案を申し上げております法改正は、使用済み燃料の貯蔵につきまして、発電所の外で行うことを可能にすることを目的としてございまして、もちろん、原子炉設置者が原子炉施設内で行うもの、可能性をとめるようなものではございません。むしろ、原子炉設置者が原子力発電所内の貯蔵施設を増強する場合は多々ございますが、そのときには、現在の法律の二十六条一項に基づきまして、「附属施設の位置、構造及び設備」の変更に該当するものとしてその許可を受けることといたしてございます。
また、この中間貯蔵施設に関しまして、関心を寄せている企業はございます。それで、この中間貯蔵施設にかかわる国会審議の状況、あるいは、この中間貯蔵施設に必要ないろいろな要件などについて既に勉強を開始しているところがございます。
また、この設置に関しましては、新たにお定めをいただきます法律の要件に基づいて判断をするものでございまして、行政の関与という趣旨では、この安全性あるいはその経済的、技術的能力の主体にかかわる要件について我々が判断をするものでございます。電力事業者が決めるような性格のものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/29
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030・有馬朗人
○有馬国務大臣 私も、今まで立ててきていた長計を今後どういうふうにもう一度見直していくかということは、極めて大切なことと思っております。近々開始されます長計でそういう点も十分考慮に入れながら検討していくべきだと思っています。
ただいま具体的に御質問がありました、現在の原子力発電所の中でもいいじゃないかということで、両方やるべきだと思っております。
問題点は、既に敷地が割に少なくて、もうそこでためられないというようなところのために外で中間貯蔵施設をつくるということが今回の法律で許されるようになりますとありがたいということであります。
余裕のあるところは、なおこれからも、先ほどエネルギー庁長官が言われましたように多少法律の変更が要るかもしれませんけれども、非常に余裕があるところはそれを活用していくべきだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/30
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031・吉田治
○吉田(治)委員 核燃料サイクル政策の一層の明確化ということを最後にお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/31
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032・北側一雄
○北側委員長 辻一彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/32
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033・辻一彦
○辻(一)委員 おはようございます。
三回にわたるこの委員会審議、また公聴会ともいうべき参考人からの意見聴取、現地の視察と、五日間にわたって論議をしてきましたが、大体最終段階になったと思います。
そこで、私はきょうは立地の問題を中心に少しお尋ねしたいと思います。五月の七日、約六時間を通して、各党六人の委員がそれぞれ質疑をされましたが、それぞれの角度から論議があり、我々も聞いておって大変参考になったと思っております。
そこで、四月の二十八日に福島の現地を視察しました。今もお話がありましたが、福島原発の広い敷地を見ると、なぜ新しい中間貯蔵なのか、この保管は敷地内でもよいのではないかという感じを多くの方が持ったのも事実であろうと思います。
しかし、もう一つ、私の福井県、若狭湾には、敦賀、美浜、大飯、高浜というように、ここに十五基の発電所、千二百万キロワットがあるのでありますが、ひしめいているという感じがします。ここの状況を見られれば、また違った感触を持っていただけるのではないか、こういう感じがいたします。
そこで、法案によるところのいわゆる中間貯蔵施設はなぜ発電所外、敷地外なのかを、法制定という経緯を踏まえて、いま一度整理をして説明を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/33
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034・稲川泰弘
○稲川政府委員 原子力発電所内の使用済み燃料の貯蔵状況についてでございますが、海外再処理工場への使用済み燃料の搬出が終わりましたことから、全体的には逼迫傾向にございます。このため、今後の使用済み燃料発生量、国内再処理能力などを勘案いたしまして、所要の貯蔵施設を確保することが必要でございます。
しかしながら、発電所内の貯蔵が長期化することを懸念いたします発電所立地自治体から、将来的な貯蔵方法及びその具体的な計画、方針を早期に確立すべきであるという強い要望が寄せられているところでございます。既に貯蔵状況が逼迫をしております幾つかの発電所では、当面の発電所内の貯蔵能力の増強で短期的な対応を図っているわけでございますけれども、地元の了解を得るに際しまして、発電所外における中間貯蔵施設の実現を強く求めておられるということでございます。このような自治体からの要望も踏まえまして、発電所の外において使用済み燃料を中間的に貯蔵し得ることも可能にするように原子炉等規制法の改正法案をここに、本国会に提出申し上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/34
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035・辻一彦
○辻(一)委員 随分前になりますが、若狭湾一帯の立地が行われたのは、当初は、万博に、昭和四十三年前後に電気を送っておると思うんですが、当時、立地に当たって、立地自治体が最も懸念したのは、この使用済み燃料が敷地内に半永久的に保管されることになりはしないかということであったと思います。この懸念は非常に強かったので、当初どういう立地自治体側からの声があり、電気事業者また国としてはどう説明してきたかを、これは簡単に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/35
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036・稲川泰弘
○稲川政府委員 使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウムを利用するといういわゆる核燃サイクル政策というのは我が国原子力政策の要諦でございまして、この考え方は、原子炉規制法の運用の原則として、累次の原子力長期計画、閣議了解でこれを確認してきております。
御指摘の原子力発電所の立地に当たりましては、使用済み燃料は必ず再処理するために搬出するということを明確化してきているところでございまして、これは法運用上も、原子炉設置の許可に際しまして、二十三条二項八号「使用済燃料の処分の方法」というところに再処理という趣旨を記載し、先ほど申し上げました使用済み燃料を必ず再処理させる、長期の永久貯蔵には至らないという趣旨で御説明を申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/36
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037・辻一彦
○辻(一)委員 前回も随分論議がありましたが、使用済み燃料が敷地内、いわゆる発電所内にたまってきた中で、例えば日本原電や関電では、使用済み燃料保管のプールが満杯になって、もしこのままでいくと、万が一に備えて一炉心分はあけておかなくてはならないのだが、それもいっぱいになって、結局持っていくところがなければ発電所をとめるしかないという状況の一歩前まで数年前に追い込まれたことは事実であると思うんです。
そういう中で、暫定的に、緊急の対応としてリラッキング、いわゆる使用済み燃料を貯蔵するプールの中に枠がずっとありますが、その間隔を縮めて余裕を出して、そこにさらに使用済み燃料を収容する、あるいは新しいプールをつくってそこへ収容する、こういうことによって緊急避難をせざるを得ないというところで、これらが現実に行われた、若狭湾だけではないと思いますが。
そのときに、自治体は非常にこの点を、使用済み燃料がこれを機にさらに長期、半永久的に追い込まれやしないかという懸念を強く持っておったわけでありますが、そのときの声と、そしてそれに対する対応はどうであったかを、これも簡潔に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/37
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038・稲川泰弘
○稲川政府委員 リラッキングその他の当面の措置を全国八カ所の原子力発電所で実施をいたしてございます。そのときに、当面の対応とは別に、長期的にいかなる方針であるべきか、また基本的にいかなる貯蔵方式であるべきかを明らかにするべしというお声があったことは先ほど御報告申し上げたとおりでございます。
そういう中で、総合エネルギー調査会原子力部会が平成九年二月に議論をいたしました答えとして、またこれは昨年の六月の総合エネルギー調査会原子力部会でも確認をいたしてございますが、二〇一〇年をめどに中間貯蔵施設を操業開始すべきである、そういった対応の方針が示されておりましたので、このリラッキングその他の当面の増強対応をするに際しまして、通産省として、また政府として、今後の方向は、中間貯蔵施設を二〇一〇年までに操業可能なような状況にするということで説明を申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/38
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039・辻一彦
○辻(一)委員 それは、口頭での約束なのか、文書にされているのか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/39
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040・稲川泰弘
○稲川政府委員 口頭で御説明を申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/40
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041・辻一彦
○辻(一)委員 それは、口頭であっても政府の確約と受けとめていいのか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/41
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042・稲川泰弘
○稲川政府委員 最大の努力をしていくつもりでございます。
昨年、平成九年二月に閣議了解が行われまして、中間貯蔵施設についても鋭意検討を進めるべしという政府としての見解が示されてございまして、それに基づきまして、我々として最大限の努力をするつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/42
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043・辻一彦
○辻(一)委員 これは、最大限の努力をしますでは、努力しましたができないというような問題ではないので、立地以来、いわば昭和四十年代からすれば三十年余にわたる原子力行政を通して、立地と事業者また政府との間における一つの重大な約束事であり、そういうものがあいまいにされて、努力すればいいというような問題ではない。
もしもできなければ、この重大な立地と政府間における信頼関係を崩すことになりますが、私は、そういう意味で、これは文書で確認されたと同様の大事な約束であり、二〇一〇年までには必ず実現をされなくてはならない、立地を確保して実施すべきものであるというように考えますが、これはひとつエネルギー庁長官と、それから、原子力行政の重大な、核燃サイクルの扱いは科技庁の所管でもありますから、大臣からひとつ御返答いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/43
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044・青江茂
○青江政府委員 ちょっと事務的に、私どもの取り組み方と申しましょうか、それをお話を申し上げたいと思うわけでございます。
まさに燃料サイクル政策全体の問題としまして最大限の努力を払い、国民の皆様方の信頼というものを損なうことなく努力をすべきものだというふうに受けとめてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/44
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045・稲川泰弘
○稲川政府委員 二〇一〇年までに操業を開始すべく努力するという前提で、現在この環境整備を図るためにこうして法案の御審議を賜っております。また、通産省として、本年度の予算に、この立地のために必要な所要の経費、支援のための経費を計上いたしております。
そうした意味で、食言のないように全力を尽くしてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/45
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046・辻一彦
○辻(一)委員 二〇一〇年までに立地を確保し、使用済み燃料は発電所外に搬出することを確約すべきであると思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/46
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047・稲川泰弘
○稲川政府委員 使用済み燃料の発生量を勘案いたしますと、二〇一〇年までにこの中間貯蔵施設を実現することが不可欠でございます。
先ほど申し上げましたように、今国会において必要な法制度の整備が行われまして、中間貯蔵が進められる環境を早急に整備することがまずもって重要でありますが、それに引き続きまして、貯蔵施設の安全性等についての積極的な情報公開、広範かつわかりやすい説明を通じまして、早急に立地地点を確保すべく最大限の努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/47
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048・有馬朗人
○有馬国務大臣 ここで、エネルギー庁長官にせよ、それから科学技術庁の方にいたしましても、努力をするということを非常にはっきりお約束をいたしましたので、確かに文書で取り交わしはしておりませんけれども、努力をするということは文書以上に重い意味を持っていると私は考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/48
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049・辻一彦
○辻(一)委員 これは、非常に大事な問題で、今後の日本の原子力行政が成り立つかどうかにもかかわると思うので、しかとひとつ伺いましたが、実現をしてもらいたいと思います。
そこで、二つ目は、立地をした原子力発電所等の施設の立場はわかるのでありますが、同じ問題が中間貯蔵施設の立地の場合にも出てくると私は思えるわけであります。
前回も随分同僚議員が、それぞれの立場から御論議がありましたが、中間貯蔵施設ができて、そこに一たん使用済み燃料を入れる。しかし、またそれを、今の方針ならば再処理をする、あるいはまた、ワンススルーで、アメリカのように廃棄をするというような方針が将来決まれば、それは廃棄ということになるでしょうが、いずれにしてもそのときには出ていくわけです。そして、また新しいのが入ってくるということですね。となると、出たり入ったりはしますが、形を見ていると、これは何か永久にここに貯蔵されるのではないかというような受けとめも起こり得る。
ちょうど、私は農業も随分専門にやってきましたが、米の倉庫に新米を入れていっぱいになる、一年、二年たつ、それを今度は外に、市場に出して、またかわりに新しいのが入ってくる、回転備蓄という言葉になってはおりますが、似たような状況が形としては起こるのです。
しかし、現地における、あるいはその受けとめるところの側では、これはこのまま永久貯蔵になるのではないかという感じ、懸念もやはり当然出てくるであろうと私は思います。これについて非常にしっかりした説明をして理解をいただかないといけないと思うのですが、この辺についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/49
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050・稲川泰弘
○稲川政府委員 我が国の原子力政策の要諦でございます核燃サイクルは、使用済み燃料から再処理をし、いろいろぐるっと回転をさせるというところにその趣旨がございまして、建物としては中間貯蔵を長くするというものであるとしても、先生御指摘のとおり、内容の使用済み燃料については、我が国の原子力政策の趣旨のとおり、核燃サイクルの中で回転をしていくものと理解をいたしてございます。
こういう中で、この改正法案の中では、「貯蔵の終了後における使用済燃料の搬出の方法」として、再処理のために搬出するという旨を許可申請書に記載させることにいたしてございまして、これによりまして、使用済み燃料が中間貯蔵施設から運び出されるという趣旨を明確にいたしてございます。
言いかえれば、中間貯蔵が再処理までの間一時的に行われるものであるということを法文上明確にしたものでございます。
なお、現行法の二十三条で、原子炉設置許可をする際、使用済み燃料の処分の方法を許可申請書に記載することとなっておりまして、具体的には、各原子炉から生ずる使用済み燃料を再処理するという旨を記述いたしてございます。
こういう観点、あるいはこういう内容から、今回提案をいたしております法改正におきましても、核燃サイクル政策に変更はない、使用済み燃料は必ず再処理されるということを常に明確化いたしまして、永久貯蔵の懸念を払拭してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/50
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051・辻一彦
○辻(一)委員 中間貯蔵施設を受け入れる自治体が将来出てもらわなければいかぬわけですが、そのときに恐らく、高い放射性を持つ最終廃棄物を一体どうするんだということ、処分方針を明確にすることをかなり強く要求されると思うのです。
私たちがいろいろとこの法案の論議を今まで二月以来重ねてきた内部におきましても、放射性廃棄物の最終処理をどうするかということが先であって、それが明確化されない中で中間貯蔵というのはないではないか、位置づけができないではないか、こういう論議が随分ありました。しかし、最終処分地が決まるのはかなりの時間がかからざるを得ないという現実にあわせ、片方ではたまってくる現実がある。こういう点から今回我々は基本的にこれを支持する考えをとっておりますが、最終処分の方針を明確にするということをやらないと、これは非常な懸念を今度は次の中間貯蔵施設を受け入れる自治体が持つだろうと思いますが、これについてどう考えていらっしゃるか伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/51
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052・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
高レベルの放射性廃棄物の最終処分ということにつきましての考え方、これにつきましては、原子力委員会での累次の検討、こういったものを通じまして、方向といたしましては明らかにいたしておるところでございます。
すなわち、具体的に申し上げますれば、二〇〇〇年の頭におきまして実施主体というものの設立を図るということ。そして一方、研究開発ということにつきましては、サイクル機構というものを中心にいたしまして、関係機関一体となりまして所要の研究というものを進める。そして安全規制ということにつきましては、原子力安全委員会のもとにおきましての検討というものを進める。
こういったふうな三つの流れでもちまして諸準備というものを進め、二〇三〇年代から四〇年代におきましてその事業というものが具体的に展開できるようにということでもって、今現在進めつつあるという状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/52
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053・辻一彦
○辻(一)委員 中間貯蔵施設における安全問題について若干伺いたいんです。
安全性についてはかなりな経験があるわけですが、簡単で結構ですが、安全性自体についてどう考えるかお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/53
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054・稲川泰弘
○稲川政府委員 原子力発電所におきます使用済み燃料の貯蔵に関しては三十年以上にわたる実績と経験を持っておりまして、使用済み燃料を安全に貯蔵する技術及びノウハウを十分に蓄積しているものと考えております。
ちなみに、これまでの原子力発電所におきます使用済み燃料に関するトラブルを見ますと、使用済み燃料の取り扱いの際に生じたものが二十件報告をされておりますが、貯蔵中におけるトラブルは報告をされておりません。なお、二十件のうち十一件は、平成十年三月で運転を停止しましたガス炉である日本原子力発電株式会社東海発電所において発生したものでございます。また、直近の十年間では、軽水炉における使用済み燃料の取り扱いにかかわるトラブルは報告をされておりません。
いずれにいたしましても、使用済み燃料貯蔵施設の安全性を確保すべく、この法改正に基づき万全の対策を実施するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/54
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055・辻一彦
○辻(一)委員 四月十四日ですが、ガイドラインについての地方公聴会が衆議院の特別委員会で福井で開かれたんですね。これは北海道と福井と福岡であったんですが、私も地元の議員として参加しましたが、そのときの地方公聴会で非常に大きな論議になったのは、一つは、原発の集中立地がミサイル攻撃を受けたときに一体どうなんだ、どう対応できるかという問題がありました。参考人の方から、原発は横の壁は非常に厚く防護されておるけれども、天井の方は薄いというか、割とそれに比べれば堅牢ではない、そういうことで空からの攻撃には弱い、だから、ミサイルの攻撃を空から受けるとすれば対応はなかなかできないという意見開陳等も行われました。これについて私は、中間貯蔵の問題にもなりますが、まず、原発についてミサイル攻撃等の懸念といいますか、それについてどう考えているか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/55
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056・稲川泰弘
○稲川政府委員 我が国の原子力発電所は、発電所以外の外的な事象について、その安全性を損なうことがないように設計、審査を行っているところでございます。
具体的には、地震等の自然現象について、それらの可能性に基づき想定される事象に対して必要な対策を講じておりますが、一般の産業施設と同様に、個別具体的にミサイル攻撃というものを想定した検討としては行っておりません。しかしながら、我が国の原子力発電所は、原子炉等規制法に基づき災害の防止等の観点から十分な安全確保対策が施されておりまして、放射性物質閉じ込め等のための多重防護の考え方に基づいた設計上の配慮がなされております。
また、特に耐震設計上は一般の産業施設と比べて堅固な耐震構造がとられておりまして、一般的には相当程度の堅固さを有する施設でございます。
ミサイル攻撃という特別の、戦争という異常な事態の想定をした設計をとる考え方にはなってございませんけれども、基本的には、お尋ねのような事態に至らぬようにあらゆる外交努力、政治的努力が傾注されることが重要であるという認識でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/56
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057・辻一彦
○辻(一)委員 この間の論議も、抑止力によるべきか、対話、外交努力によるべきかという論議が随分ありました、事実として。ここでその論議をするのは本旨ではないので多くは申し上げませんが、強い放射性を持つ使用済み燃料を集中管理するのがある意味では中間貯蔵施設なんですから、同様の懸念はやはりこれから新しくつくられる中間貯蔵施設にも十分あり得ると思うんですね。まあこの問題の論議はここで短い時間で論議されるような中身ではないので、別の機会にまた場を改めてその論議をいたしたいと思っておりますので、そういう問題が非常に大きな問題として衆議院のガイドラインの特別委員会の地方公聴会でも問題になっておったということを指摘しておきたいと思います。
そこで、幾つかの点を伺いたいんですが、ちょっとカットして、ぜひ聞きたい点を伺って、その後で時間があれば伺うことにしたいと思います。
いずれにしても、新しい立地を確保するということはそう容易ではないと思うんですが、この中間貯蔵施設の立地確保についてどういう対策を考えておるか。今までも伺いましたが、ちょっとポイントを示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/57
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058・稲川泰弘
○稲川政府委員 三つの観点から努力をしたいと考えてございます。
まず一つは、立地地域の方々及び国民の理解と協力が不可欠であるということにかんがみて、国、電気事業者及び中間貯蔵事業者は、それぞれの立場で、この中間貯蔵の必要性、安全性、政策上の位置づけについて積極的に広報をし、理解を得る努力を行おうという点が第一点でございます。
第二点は、その広報を行い、説明を行う際に、貯蔵施設の国内外の実績、安全性、貯蔵技術等の情報を積極的に公開をいたしまして、立地地域のみならず、電力消費地を含めて幅広く国民の視点に立ってわかりやすく説明をしたい、安全性についての説明が第二点でございます。
また第三点といたしまして、使用済み燃料中間貯蔵施設の実現の重要性にかんがみまして、立地が円滑に進められるとともに、本施設の立地が地元地域の振興に資することになるように地域振興策を実施してまいりたい、本年度の予算にもしかるべき予算を計上したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/58
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059・辻一彦
○辻(一)委員 福井、福島、新潟の知事に共通しておるのは、原子力の国家的な大きなプロジェクトには、安全性、国民的合意そして恒久福祉対策・地域振興策、この三点が必要であるという点では三県知事とも共通しておりますが、私は、これは中間貯蔵施設にも当然当てはまる問題であろうと思います。今の長官の答弁の中でも、これらの点に触れたわけであります。この点から、現在の原子力発電所の集中立地である福井、福島、新潟、原子力施設が集中する青森、茨城、それから、全部で十四道府県にわたる原子力施設がありますが、ここらも私は共通の認識を持っておると思います。
そこで、最大の原子力立地の集中しているのは、もう言うまでもないんですが、十五基、千二百万キロワットの電力を生産している福井の若狭湾一帯であると思いますが、この認識は間違いないか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/59
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060・稲川泰弘
○稲川政府委員 福井県は、十五基、千二百万キロワット、大変な原子力発電の集中立地を実現している地域と理解をいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/60
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061・辻一彦
○辻(一)委員 なお、つけ加えれば、ここから生産される電力は、関西経済圏の約半分、大阪と京都の全電力を賄って送っているという状況にあります。
そこで、こういう原子力の集中立地における地域振興の問題は、国土の均衡ある発展のために、新幹線等は今全国で論議されておりますが、集中立地を通るかどうかということが最大の課題でもあろうと思います。
そこで、若干地元の関係になり、面映ゆい気持ちもいたしますが、この振興策に関連して、一、二点ぜひ伺いたいと思います。
昭和四十八年の十一月に、当時の田中内閣で整備新幹線五線を、路線を大まかに決めたわけですね。そのときに、当時は九基、五百三十万キロワットの容量を持っておりましたが、当時は日本一の発電基地、だから、こういうところを国土の均衡ある発展から取り残してはならないというかなりの配慮も働いて、北陸新幹線は、御承知のように、長野、富山、敦賀、若狭・小浜を経由して大阪に至る、こういう政府決定がされたものと私は考えております。
しかし、最近において、財政の困難さから、このルートを断念やむなしというような情報が中央から流されて、ある意味では、福井県の県民、また原子力集中立地の住民は、非常に驚くと同時に、まさに怒り心頭に発している感じが私はするわけであります。
そこで、この国家的な新幹線というのは、課題、目的があって、東海道代替線であるとか、あるいは万が一に備えるという大きな問題があると私は思いますが、これらを、大分前でありますが、日本の当時の内閣が採択したゆえんについて、運輸省の方が見えていますが、ちょっと整理をして伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/61
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062・小幡政人
○小幡政府委員 お答え申し上げます。
お話しのように、整備新幹線の整備計画が昭和四十八年、これは運輸大臣が決定させていただいておりますけれども、その際に、当時の鉄道建設審議会にお諮りして御意見を伺ったわけですが、その鉄道建設審議会におきます議論等の議事録等を見てみますと、当時、審議会におきましては、北陸新幹線の福井市付近と大阪市間につきましては、福井市付近からほぼ北陸本線及び東海道本線沿いに米原付近を経由して大阪に至るいわゆる米原ルート、それと、福井市付近からほぼ北陸本線と小浜線沿いに小浜市付近に至りまして、これから南下して大阪市に至る小浜ルート、いわゆる若狭ルート、この二つのルート案を比較検討したという経緯がございます。
その審議の中で、結果といたしまして、北陸と、中京圏と比較して流動の多い近畿圏、これを短絡して、工事費が少なく、かつ用地確保が容易というふうな小浜ルートの方を優先して選定した、こういう経緯として資料に残ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/62
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063・辻一彦
○辻(一)委員 その中に、新幹線のような国家プロジェクトは、東海道新幹線が主幹でありますが、と同時に、東海大地震のような予測される大地震があった場合に、阪神大地震の方が先になりましたが、予測としては東海大地震の可能性が非常に強く言われているんですね、そのときに、東海道新幹線が切断をされたときに、いわゆる代替線が、日本の東京—大阪が切断されたら大変なことですから、これをつなぐ第二の幹線、いわゆる北陸日本海新幹線が必要である、こういう観点も十分にあったと私は思うんですが、その点はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/63
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064・小幡政人
○小幡政府委員 お答え申し上げます。
四十八年当時の審議会等々におきます審議の議事録あるいは資料等を見てみましたけれども、そのようなことについての具体の議論、あるいは資料等は残っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/64
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065・辻一彦
○辻(一)委員 なかなか困難な決定の過程において、なぜこの若狭ルートが最終的に決定されたか。その背後には、一つは、最大のエネルギー基地を国土の均衡ある発展から取り残してはならないという問題と、それから、第二新幹線といいますか、東海道新幹線に万が一があったときの代替の機能ということは、内々には随分と論議をされている問題であると確信をしますが、こういう中で、ともあれ若狭ルートが決められ、そして今、さっきのとおり、発電所の数が十五基、千二百万キロと当時の倍を超す発電容量を持っている。こういう状況で、その発電基地としての重要性はさらに高まっておると思います。
こういう中で、今福井県の方から県知事等が恐らく上京していろいろな要請を行うと思いますが、そのときに、原子力の立地等に地域振興策の必要性を持つ科技庁や通産省は、こういう知事の要請があったときにどう答える考えであるか、このことを通産省と科技庁、それぞれから伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/65
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066・稲川泰弘
○稲川政府委員 新幹線の具体的なルート設定などにつきましては、コストあるいは用地確保等のさまざまな観点から行われるものと認識をしてございまして、個別具体的な地点について、資源エネルギー庁として公式にお答えをする立場ではございませんが、電源地域の振興のために、電源三法制度あるいは電源開発調整審議会電源立地部会のスキームにより、取り組みを従来まで行っているところでございまして、この枠組みの中で可能なことについて御相談をさせていただきたい、また最大限の前向きの対応をしたい、かように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/66
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067・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
科学技術庁といたしましても、原子力開発利用というものを進めるに当たりましては、地元を初めとする国民の方々の理解と信頼というものが必要不可欠というふうな観点から、具体的には、電源三法のスキーム、それからもう一つには電調審のもとにおきましての立地部会、これは十二省庁が集まってございますけれども、そういったふうなスキーム、こういったものの枠組みの中でもちまして地域振興への取り組みというものを続けてきておるというところでございます。
今御指摘になられました新幹線の具体的なルートの選定ということにつきましては、これは私どもが公にお答えすべき立場にはないわけでございますが、これは運輸省の所管ということでございますけれども、今申し上げましたような地域振興というふうな努力というものを尽くしておる、そういうふうな一環としましてもできる限りのことをいたしたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/67
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068・辻一彦
○辻(一)委員 大臣にこの問題で一言考えを伺いたいのですが、地域振興という問題は立地の場合の非常に大事な問題、重要な項目になっておりますし、これからもそうであります。しかし、例えば、青森のような後始末の最大の基地もあり、あるいはまた、福井、福島、新潟のように、現在電力を送っている生産基地の大事な点もありますが、それらを考えると、地域が一番今期待をし、望んできた、しかも、四十八年の政府決定から二十六年たっているのですが、私は、若狭ルートは夢と光を与えてきたと思うのです。
したがって、今大臣の口からルート云々は、所管も違いますから求めようとは思いませんが、この地域振興策の最大の課題として、これについて知事要請等があれば最大限の努力を払っていただけるのかどうか、払う決意があるのかどうか、そこをひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/68
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069・有馬朗人
○有馬国務大臣 まず、一般論に近いことになりますけれども、やはり原子力の開発ということは安全性を確保していくことが一番大切だと思っています。それが第一点。
それから第二点に、今の御質問に直接関係することになりますが、原子力の立地県の方たちのことを考えていかなきゃならない。もちろん、御理解を賜ること、御協力を賜ることが非常に必要でございますけれども、やはり立地で大変協力をしてくださっている方々に対しては、何らかこちらからも努力申し上げたいと思うわけであります。これまでも電源三法に基づいて積極的に取り組んでおります。それから、平成九年からは、電源開発調整審議会電源立地部会において、関係省庁一体となって地域振興計画を議論しているところでございます。
今御指摘のようなことも含めまして、今後さらに一層の努力をさせていただきたいと思っております。その中には、今御指摘の新幹線、これは科学技術庁の所轄でございませんので、私どもが何か申し上げることはできませんけれども、しかるべき必要な段階においては、よく御理解を申し上げて、できるだけのことはさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/69
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070・辻一彦
○辻(一)委員 時間が参りましたので終わりますが、運輸省の方は、重ねて論議はしませんが、これらをひとつ篤と頭に入れてこれからの対応をしてもらいたい、このことを強く要望して、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/70
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071・北側一雄
○北側委員長 近江巳記夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/71
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072・近江巳記夫
○近江委員 今回の法改正というものは、保障措置の強化、また使用済み燃料の中間貯蔵、こういう二点に絞られるのじゃないかと思います。私は、保障措置の問題に関しまして、幾つかの観点から御質問させていただきたい、このように考える次第でございます。
この保障措置の強化のことにつきましては、IAEAとの保障措置協定、それに伴う追加議定書がございまして、それに基づく国内法の整備ということでございますけれども、この追加議定書というものは、御承知のように、イラクあるいは北朝鮮等の核疑惑、これに私は端を発しておるのではないかと思うわけでございます。
我が国としまして、この議定書に関しまして批准をする、あるいはまた国内法の整備を進めるということにつきましては、国際的なそういう保障措置の強化をしていくということにおきまして、非常に意味があろうかと思うわけでございます。同時に、これは世界全体の核不拡散の強化、あるいはまた核軍縮というものを一層進めていかなきゃならない。我が国として、唯一の被爆国として、これは大いに力を入れなきゃならない非常に大事な問題だと思うのです。
そういう意味で、第一点にお伺いしたいことは、このイラクの問題等、九〇年代に入りまして以降のいわゆる世界の核拡散の状況でございますけれども、日本としてどういう認識に立っておられるのか。言いかえれば、この議定書が採択されるに至りました背景として、世界のいわゆる核拡散問題の状況につきまして、どういう基本認識をされておるか、まず初めにお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/72
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073・阿部信泰
○阿部説明員 お答え申し上げます。
一九九〇年代の初めにおきまして、アメリカ、ソ連、その後ロシアの冷戦が終わりまして、この超大国の大きな核兵器、これは削減の方向に向かいました。その意味において核軍縮は進むかに見えたわけでございますけれども、その後、イラクにおける隠れた核開発の計画、あるいは北朝鮮における核開発の疑惑、こういうものが生じまして、また昨年はインド、パキスタンにおける核実験というようなことで、核大国より、むしろその他の国のいろいろな核の拡散、核保有の疑惑、懸念が高まっておる、こういうのが現在の状況ではないかと思います。
したがいまして、そういう状況を踏まえまして、特にイラクのような隠れた核開発というものを防ぐためには、IAEAにおける検証措置、査察制度というものをさらに一層強化する必要があるという現在の状況にあると認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/73
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074・近江巳記夫
○近江委員 国際的な核不拡散の体制を強化する、こういう意味におきまして、我が国としては積極的に貢献をするということは最も重要なことでございますけれども、そういう北朝鮮のような問題のある国がこうした体制に参加しなければ、やるところはやる、やらないところはやらない、こういうようなことでは非常にこれは問題が山積することになると思うのですね。
そういう点に対して、核不拡散の体制強化、これに対して我が国としてどういう努力といいますか、真剣な取り組みをしておるのか、その姿勢についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/74
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075・阿部信泰
○阿部説明員 核拡散というのは、先ほど申しましたとおり、依然として世界の深刻な問題であるわけでございます。
特に、我が国の隣にあります北朝鮮につきましては依然として疑惑が存続するということでございます。その北朝鮮というのは、そもそもNPT、核不拡散条約に入っておったわけでございまして、核は持ってはいけないわけでございますが、それに対して疑惑があるということでございまして、これにつきましては、まず第一義的には、現在、アメリカと北朝鮮の間にあります合意された枠組み、これに基づきまして北朝鮮の核開発計画を放棄させるという努力が進められていまして、我が国としてもこれを支援するという努力を行っております。
具体的には、KEDOに基づきまして北朝鮮に軽水炉を提供する、それによって核開発に使われるおそれのある黒鉛炉の廃棄を求めるというような段取りを進めております。また同時に、その合意によりまして、北朝鮮はIAEAの査察を完全に復活させなければならないということになっておりますので、そういう段取りを進めることによりまして、NPT条約を遵守、IAEAの査察の完全な履行というふうに持っていく、こういう戦略で進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/75
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076・近江巳記夫
○近江委員 努力されておることはわかりますけれども、この北朝鮮等を含めまして、問題のある国、幾つかあろうかと思いますけれども、こういうところの問題国がその追加議定書に署名するのかどうか、その辺の動きについてはどのように認識されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/76
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077・阿部信泰
○阿部説明員 お答え申し上げます。
問題のある国、例えばイラクとか北朝鮮に対しても、最終的にはこの追加議定書、より厳しい査察制度というものを受け入れさせるというのが私どもの外交目標でございます。
そのためには、まずIAEAの加盟国が押しなべて追加議定書を締結するという状況をつくりまして、これが世界の新しい、より高いスタンダードであるという状況をつくり出し、もって、もともと核防条約に入っておりますイラクとか北朝鮮というものを、それを結ばなければ完全に条約の義務を果たしたとは言えないんだという状況をつくって、これらの国に対して追加議定書の締結まで持っていきたいというふうに考えております。
その持っていく段階としまして、北朝鮮については米朝の合意された枠組みを完全に実施してもらう、イラクについては安保理決議に基づく大量破壊兵器の廃棄という義務を完全に履行してもらうということを目下日本として支持し、支援しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/77
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078・近江巳記夫
○近江委員 ひとつ、その努力は政府としても一層真剣にやっていただきたいと強く要望いたしておきます。
それから、昨年インドとパキスタンが核実験を行っておるわけでございますが、両国は、核実験をやめるとか、あるいはまたその辺の姿勢というものはまだはっきりしていないと思うのですね。その辺について、政府としてどのように認識されているのか。また、両国に今後核実験を再開させないように、真剣なやはり努力が必要だと思うのですね。微妙なところもあろうかと思いますけれども、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/78
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079・阿部信泰
○阿部説明員 お答え申し上げます。
インドとパキスタンは、ちょうど一年前に核実験をおのおの行いまして、世界の核不拡散体制に大変大きな衝撃を与えたわけでございますが、その後、両国とも、核実験はそれ以上行わないという自主的なモラトリアムを宣言しております。しかし、これはあくまでも自主的な宣言でございますので、それをできるだけ早くCTBT、包括的核実験禁止条約に基づく、条約的な義務としてこれ以上実験を行わないというところへ持っていきたいと考えております。両国の首相、バジパイ首相、シャリフ首相も、いずれも去年の国連総会におきまして、CTBTに署名するという意図を表明しております。ただ、いつということは言っておりませんし、依然としてまだ署名しておりませんので、これをできるだけ両国に働きかけて、早く署名することによって、条約上ももはや実験できないという状況をつくり出そうと努力しております。
日本政府も、大臣以下たびたびインド、パキスタンに申し入れておりますが、本日も、私から東京のパキスタン大使に対しまして、早く条約に署名してほしいということを申し入れることを予定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/79
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080・近江巳記夫
○近江委員 こういう努力というものは不断に継続し、さらにまた各国との協力体制もとり、あらゆるそういう日ごろの取り組みが必要だと思うのですね。この点につきましては、今後の国際的な影響というものは非常に重大でございますし、大事な問題でありますので、一層の努力を強く要望しておきたい、このように思います。
それから、核不拡散の努力をやることと同時に、核軍縮に関する努力をしていただく、貢献をしていただくことは非常に大事なことである、このように思うわけでございます。冷戦後、米ロの核解体、これの動きがあるわけでございますけれども、この解体核兵器から発生するいわゆる核物質、特にプルトニウムですね、これの安全な処分というものは、国際安全保障の上からいきましても非常に重要な問題になっておるわけでございます。我が国としては、今日まで平和利用に徹してまいりまして蓄積されてきました技術があるわけでございますし、そういう点、特にロシアの核解体に伴う処理等につきまして、今、どういう経過になっておるのか、また、どういう努力を政府としてされておるのか。
これは、外務省なり、また、技術という面からいきますと科学技術庁、両省が深く関係すると思います。現状についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/80
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081・阿部信泰
○阿部説明員 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、アメリカ、ロシアが核軍縮を始めまして、この結果、大量の濃縮ウラン、それから兵器用のプルトニウムというものが余剰になっておるわけでございますが、特にロシアにおきましては、その管理が非常に心配であるという状況にありまして、また、経済的にも大変な苦境にあるということを踏まえまして、アメリカを中心にこれを支援する努力をいろいろ行っておりますが、日本としましても、これに協力すべく、九三年に一億ドルをこの支援のために使うということを決定しましたが、それを踏まえて幾つかのプロジェクトを進めております。
一つは、液体放射性廃棄物の処理施設をつくるということで、これはウラジオストクのそばにほとんどできつつありますけれども、それが一つでございます。それからもう一つは、御指摘のプルトニウム、特に核兵器用として危険度の高いものでございますが、それをいかにして早く処分してもらうかということで、G8のタスクフォースをつくりまして、そこでいろいろな案を協議しまして進めておりますが、日本としても、また独自に日本の技術、経験を生かしまして、プルトニウムを燃料として使うということを検討し、現在進める作業をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/81
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082・青江茂
○青江政府委員 科学技術庁の取り組みにつきまして、御説明させていただきたいと思います。
今、外務省の方からの御答弁、いわゆる基本的な取り組み方ということにつきましてはあったとおりでございますけれども、さらに具体的に申し上げますと、ロシアにBN600という高速炉がございます。これは、電気出力が六十万キロの炉でございますが、今、その炉心は高濃縮ウランを使う炉心になってございます。それを何か改造をいたしまして、プルトニウムというものを燃焼させる炉に改造ができないだろうかということでございます。その改造がもしきちんとしたことができますれば、ロシアの解体兵器から出てまいりますプルトニウムというものをそこでMOX燃料に製造いたしまして、その炉に投入いたしまして電気エネルギーというものを引っ張り出すということでもちまして、解体プルを燃やすことができるということに相なるわけでございます。
そういうふうな構想を今考えておるわけでございますけれども、それの第一段階といたしまして、先般でございますけれども、こういったことにつきましての技術能力を持ってございますのは核燃料サイクル機構でございますので、核燃料サイクル機構とロシア側の研究機関との間で研究のための契約を締結いたしまして、第一段階といたしまして、先ほど申し上げましたBN600という炉につきまして、MOX炉心というものに切りかえた場合の炉心特性のデータというものを得ようじゃないかということが一つでございます。
それからもう一点は、そこに投入をいたしますところのMOX燃料というものをどういう形で製造していくのかということにつきまして、これはロシアのオリジンの技術でございますけれども、振動充てん法という新しい技術がございます。これは、私どもにとりましても非常に有用な技術でございます。この技術を使いまして新たなMOX燃料製造というものができないだろうかというための研究を行う、こういうことを今スタートさせたところでございます。こういった研究というものを踏まえまして、将来的には、先ほど申し上げました炉というものを改造いたしまして、そこで解体プルというものを燃やしていくというところに持っていくことができないだろうかということを今考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/82
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083・近江巳記夫
○近江委員 推定どのぐらいのプルトがロシアの場合解体されるんですか。どのぐらいと見ているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/83
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084・阿部信泰
○阿部説明員 お答え申し上げます。
現在、米ロ間の戦略兵器削減条約第一号というもので核弾頭の解体を行っておるわけですが、その段階で、大まかでございますけれども、略々五十トンのプルトニウムが兵器から出てきて余剰になるということで、これを何とか無害化する処分をすべく努力しておりますが、現在、科技庁の方から説明がありました計画、これも一つの計画でございます。ただし、それではとても五十トンを処理するには相当年数がかかりますので、ほかにもG7で、主要国で協力して進めるということをさらに検討を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/84
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085・近江巳記夫
○近江委員 今科学技術庁の御答弁を聞きましても、これは研究段階で入りながら進めていくということですから、これは五十トンもあるわけでございますし、その辺の安全管理、また今後につながるそういう処理のあり方等々、これは相当フォローアップしてやっていかないと非常に心配が残ると思います。その点、大臣、ちょっと御答弁お願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/85
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086・有馬朗人
○有馬国務大臣 私も大変心配をしておりまして、アメリカ等々の協力のもとで今いろいろな計画が進められておりますが、科学技術庁といたしましても最大限の努力をさせていただきたいと思っております。基礎的な研究はまだたくさんありますし、ロシアと科学技術庁とが協力をするという点は、今後も多いかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/86
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087・青江茂
○青江政府委員 先生今御指摘をいただきました点に留意をいたしましてプロジェクトを進めてまいりたいと思ってございます。
なお、一点、私、先ほど契約を締結したというふうに申し上げました。この点ちょっと私の誤解でございまして、近々締結に至るということで、煮詰まっておる段階ではございますけれども、締結そのものは非常に近い将来という段階でございまして、訂正をさせていただきたいと存じます。申しわけございませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/87
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088・近江巳記夫
○近江委員 それはひとつしっかり努力していただきたいと思います。
この法案の具体的な内容について若干何点かお伺いしたいと思いますが、今回、核物質を用いない十五項目、製造業等に適用されるわけでございますけれども、そうしますと、ここでいろいろ言われておりますのは、査察作業に伴う企業秘密の漏えいといいますか、そうした問題、あるいは今後のそういう健全な企業の発展という点におきまして、活動に何らかの支障が出るんじゃないかとか、そういう懸念する声を聞くわけでございます。その辺の状況につきましてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/88
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089・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
先生今御指摘のとおり、今まではいわゆるIAEAの方に提供しなくてもよかった情報というものを新たに追加的に情報としまして提供しなければならない、また、そういったところに対しましてもIAEAの査察官の立ち入りというものも受け入れていかなければならないということに相なるわけでございますが、そのような新たな場所の中に、例えば遠心分離の回転胴の製造メーカーといったふうなところというのも考えられるわけでございます。御指摘になられました追加議定書に規定をされている十五の新しい諸活動ということになるわけでございます。
ただ、そういったことにつきましては、まず提供いたします情報につきましては、年間の製造能力といった活動の概要といったところにとどまっておりまして、いわゆる技術の内容と申しましょうか、御懸念のような商業機密に係るようなものというのは本質的には入ってはこないんではないかというふうに思ってございます。これが第一点でございます。
それから、IAEA側がそれでも何らかの形でいろいろな情報を入手する、査察も入るわけでございますので入手をする。その情報の保全ということに対しましては、IAEAの中におきまして、この追加議定書でも、それからIAEAの職員の就業規則でも、厳重な制度というものが維持されておるというところでもちまして、入手された情報の保全ということにつきましては、IAEA側はしかるべくきちんとした管理制度というものを持っておるというふうな状況でございます。ということでもちまして、企業機密の漏えいといった問題につきましては万全を期し得るのではないかというふうに思ってございます。
と同時に、企業の活動に対する何らかの負担になるのではないかというふうな御指摘もございました。
今申し上げましたような情報の提供であり、査察の受け入れといったふうなことでございますので、その辺の負担といったふうなことというのも決して生ずることのないよう、運用に十全を期してまいりたい、かように思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/89
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090・近江巳記夫
○近江委員 そうしますと、やはり関係企業のそういう理解を得てやっていくということが、本当にスムーズにいくことにもなりますし、大きな信用ということになるわけでございます。その辺の、いわゆる企業に対するPRといいますか、されていると思うんですけれども、どういう状況になっているか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/90
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091・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
確かに、いわゆる新たな義務というものを事業者の方々に受忍いただくわけでございますので、その点につきましてのいわゆる理解というものを求めるための活動というものは、従来よりずっと行ってまいりました。
具体的に申し上げますと、この議定書というものが議論になりました非常に早い段階から、この中身につきましての説明会、それから公開のシンポジウム、こういったものを累次ずっと開催してきてございます。先ほどちょっと触れましたけれども、いわゆる新たな義務を受け入れることになるであろう機器メーカーとか、そういったところを中心にでございます。
それからもう一つは、国内の受け入れということに当たりましての仕組みというものを国内制度としてどうつくるのかということ自体につきましては、学識経験者のほかに、それに関連をいたします産業界の方々にも入っていただきまして、そういう検討の場をつくりまして、ずっと検討を重ねてまいりまして整理をいたしまして、その結果といたしまして国内法というものを改正するというふうな手順をとってきてございます。
もちろん、今回御審議をいただきまして御了解をいただきますれば、新しい仕組みがスタートするわけでございますが、その後におきましても、関係者への趣旨の徹底と申しましょうか、そういったことにつきましてさらに努力を重ねてまいりたいというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/91
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092・近江巳記夫
○近江委員 今回の法案では、いわゆる保障措置の検査につきまして民間機関に行わせるということになっておるわけでありますが、民間ということになってきますと、国民だれしもまず第一に、大丈夫かなという、疑念といいますか、これはもう当然のことだと思うんですね。今まで、保障措置のそういう検査というものにつきましては、これは国が行っておった行為でございますね。そういう点で、民間機関というものが本当に適切に、また、皆が信頼に足る、それだけの検査というものが実行できるのかどうか、この点がどうもやはり私もちょっと不安があるわけでございます。その点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/92
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093・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
今回の法改正の中の一つの項目といたしまして、従来、国の査察官、国家公務員が行っておりましたいわゆる立入検査というふうな、法の枠組みの中でその条項を活用いたしまして行ってございました査察関係の業務、この中の一部につきまして切り出しまして、それにつきましては民間の技術能力のある機関に行わせるという仕組みを採用することで、御審議をお願いしておるわけでございます。
まず、この民間に行わせる業務の内容自体ということにつきましては、一言で申しますと、非常に定型的な業務であり、裁量の余地のない業務である。
具体的に申し上げますと、六十一条の八の二という新たな条項におきまして、保障措置検査ということはこうこうこういうことだというふうに書いてございますけれども、ここにございますとおり、物件の検査でございますとか必要な試料の提供を受けるということ、それから封印ないし装置の取りつけというふうなこと。極めて定型的なことである、そういう性格のもので、いわゆる一種の裁量行為というものの入り込む余地がほとんどないような業務、そういうものにつきまして、その全部または一部を民間の機関に行わせるという、業務の内容自体、性格自体がそういうものであるということが第一点でございます。
それから、いわゆる検査業務を行わせる機関ということに対しましては、指定をする段階での厳格な審査等々、法の枠組みの中で非常に厳重な監督というものを行うスキームを設けてございまして、先生御指摘になられましたような御心配というものが払拭できるような、そういう非常に厳格な形での運用というものを図ってまいりたいというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/93
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094・近江巳記夫
○近江委員 すべては今後の運用という問題にかかってくるわけでございますけれども、その点、政府としては厳正に指導もしていただき監督もしていただく、こういうことで間違いのないように、強く要望いたしておきます。
それから、次の問題に入りたいと思いますが、今まで聞いてまいりました保障措置の問題につきまして、特に核の不拡散体制、これはやはり国際的にどのように強化をしていくか。
これは第一義的には当然外務省ということになるわけでございますけれども、科学技術庁長官として強い決意に立っていただき、核となってまた頑張っていただきたいと思うわけでございます。大臣の決意といいますか、お考えをひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/94
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095・有馬朗人
○有馬国務大臣 やはり、日本は唯一の被爆国であるということでございますので、我が国といたしましては、国際的な核不拡散体制を維持する、強化するということに特に努力をすべきだと考えております。そういう意味で、あらゆる時期、あらゆる機会を使いまして努力をさせていただきたいと思っております。
日本は、今申し上げましたような観点から、自分自身は、原子力基本法に基づきまして平和目的に限定して原子力開発利用に取り組んでまいりましたが、国際的にも、核兵器の不拡散に関する条約、NPTなどの国際約束等の義務等を誠実かつ確実に履行しているところでございます。
また、近年の核不拡散に関する国際的動向、すなわち、平成七年四月のNPTの無期限延長の決定、あるいは平成八年九月の包括的核実験禁止条約、CTBTの署名開放、平成九年五月の国際原子力機関、IAEAの保障措置の強化・効率化のためのモデル追加議定書の採択など、核不拡散体制の維持強化の動きに対しまして、我が国は大変積極的に対応してまいったところでございます。
今般の原子炉等規制法の改正は、ただいま述べましたIAEAの保障措置の強化・効率化のための追加議定書、昨年十二月に我が国は署名しておりますが、これを早期に実施に移すために必要な国内担保措置でございます。我が国の核不拡散に対する姿勢を内外に明らかにするために極めて重要なものと考えております。
科学技術庁といたしましては、今後とも国際的核不拡散体制の維持強化に努めてまいる所存でありますし、先ほども申し上げましたように、さまざまな機会を使いまして、この方向に向かっての努力を続けさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/95
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096・近江巳記夫
○近江委員 次に、使用済み燃料の中間貯蔵の問題についてお伺いしたいと思います。
これは非常に強い批判もあることも確かでございます。核燃料サイクル政策の破綻じゃないかというような意見もございますし、あるいは、前回の長期計画におきましてその辺のところが明確に記述されていないじゃないかというような指摘もございました。新たな政策ではないかというような声もあります。
そこでお伺いしたいのは、今回のこの使用済み燃料の中間貯蔵というものにつきまして、原子力政策上どのように位置づけをされるのか、この点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/96
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097・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
原子力政策上の位置づけということでございますけれども、先生御案内のとおり、我が国の原子力政策の一つの基本といいますものは、使用済み燃料というものにつきましては再処理をいたしまして、回収されるプルトニウム等を有効に利用していく、これが一番大きな基本的な考え方でございます。それに沿いまして燃料サイクルというものを確立していくための努力を重ねているわけでございますけれども、その際に、使用済み燃料の発生量とそれを受けての再処理の能力、処理能力というもの、ここのところの一種のギャップというものを何らかの形で調整していくというものが今回の中間貯蔵というふうなことであろう。そういう形での位置づけというものをなしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/97
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098・近江巳記夫
○近江委員 そうすると、必ず再処理をすると。ギャップの調整といいますか、それはあるんですけれども、間違いなくそれは再処理をするということなんですね。その辺のことにつきましてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/98
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099・稲川泰弘
○稲川政府委員 使用済み燃料の中間貯蔵は、使用済み燃料の発生の状況と使用済み燃料を処理する再処理事業の進捗を調整するための措置といたしまして、従来からの原子力発電所内での貯蔵に加えて、原子力発電所外の施設において中間貯蔵をする事業を核燃料サイクルの中に位置づけるものでございます。使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を利用する核燃料サイクル政策を改めるものではございません。
法文上におきましても、改正法案におきましては第四十三条の四で、「貯蔵の終了後における使用済燃料の搬出の方法」として、再処理のために搬出する旨を貯蔵事業の許可申請書に記載させることといたしてございます。これによりまして、使用済み燃料が中間貯蔵施設から運び出されることを明らかにいたしまして、再処理までの間、一時的に行われるということを明確にしたものでございます。
なお、現行法の二十三条で、原子炉設置許可をいたします際、「使用済燃料の処分の方法」を許可申請書に記載することになってございまして、具体的には各原子炉から生ずる使用済み燃料を再処理する旨記述をすることとなってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/99
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100・近江巳記夫
○近江委員 その辺は大分明らかになりました。
この使用済み燃料の貯蔵施設ということでございますが、初めて取り組むことになるわけでございまして、立地というようなことになってまいりますと、地元の理解というものは極めて重要になってまいります。そういう点、今後その広報であるとか地域の対策とか、さまざまなことをお考えになっておられると思うのでございますけれども、今頭の中にある、今後どういうような活動を展開されていくのか、お伺いしたいと思います。
〔委員長退席、斉藤(鉄)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/100
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101・稲川泰弘
○稲川政府委員 使用済み燃料の中間貯蔵施設の立地につきましては、委員から御指摘ございましたように、立地地域の方々及び国民の理解と協力がまずもって不可欠でございます。このため、国、電気事業者及び中間貯蔵事業者は、それぞれの立場で、中間貯蔵の必要性、安全性、政策上の位置づけにつきまして、積極的に理解を得る努力を行う必要があると考えてございます。
なかんずく、その際には、貯蔵施設の国内外の実績、安全性、貯蔵技術等の情報を積極的に公開をいたしまして、立地地域のみならず、電力消費地を含めて幅広く国民の視点に立ってわかりやすく説明をしてまいりたいと考えてございます。
ちなみに、我が国は、原子力発電所における使用済み燃料の貯蔵に関して三十年以上にわたる実績と経験を持っておりまして、プール及び金属キャスクにより使用済み燃料を安全に貯蔵する技術及びノウハウを十分に蓄積していると考えております。
また、政府といたしまして、使用済み燃料中間貯蔵施設の実現の重要性にかんがみ、立地が円滑に進められるとともに、この施設の立地が地元地域の振興にも資することとなるよう地域振興策を実施していくことが必要と認識をいたしてございまして、本年度の予算においても関係の必要額を計上いたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/101
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102・近江巳記夫
○近江委員 そこで、このプルトニウムの利用政策、これにつきまして、今御承知のように「もんじゅ」がああいうようになっておりますし、再処理の方も稼働がおくれるというようなこともございますし、さまざまなことがございます。今後海外から返ってくるものもございますし、どうなるんだろうなという、やはり国民としてその辺が非常にわかりにくい、不安が渦巻いておるということは言えると私は思うのですね。この需給のバランスということは極めて大事なことでございますし、また、それを国民の前に明らかにして理解を得ていく、透明性ということも非常に大事なことだと思うわけでございます。
前回の長期計画が一九九四年六月二十四日でございました。平成六年ですね。これは七年ぶりに改定したのですけれども、平成七年に、いわゆる大間の新型転換炉でしたか、あれの政策変更ということで、需給の状況、バランスというものがまた変わってきておるわけですね。その後、「もんじゅ」の件もございますし、いろいろなことがある。
そういう点で、この需給バランスという点につきまして、これは非常に細かな数字も必要かと思いますけれども、国民にわかりやすく、需給バランスというものはどうなっておるのかということをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/102
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103・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、我が国は、いわゆる余剰プルトニウムというもの、利用計画のないプルトニウムというものを持たないのだということを原則に臨んでおるわけでございまして、そういう観点からも、今先生御指摘になられました、いわゆるプルトニウムの利用計画、その需要と供給の関係というのが将来的にどういう展望に立っておるのかという点は、大変重要な課題だというふうに思ってございます。
その点につきましては、概括的に申し上げますと、大体次のような見通しに立ってございます。
すなわち、海外再処理、これはガス炉のものを含めまして大体七千トン強契約がございまして、ガス炉の一部を除きましてほぼ搬出済みという状況でございますけれども、こちらの方から出てまいりますプルトニウムが大体トータルで約三十トンということでございます。
それから、東海再処理工場は、今時点におきまして、例のアスファルト施設のトラブル以降とまってございますけれども、これまでの東海再処理の施設の運転によりまして、大体五トンのプルトニウムというものをそこから抽出してございます。
前者の方につきましては、一部はサイクル機構、旧動燃でございますけれども、サイクル機構へ譲渡をいたしてございますが、残りの大半のもの、これが順次、ヨーロッパでもってMOX燃料に加工されまして日本へ返還されてくる。それにつきましては、基本的にはプルサーマルという形でもって使用していくということに相なるわけでございます。
それから、動燃再処理工場で抽出をいたしました約五トンのプルトニウムということにつきましては、半分強というものが、もうこれは既に使用済みでございます。いわゆる「もんじゅ」とか「常陽」とか「ふげん」の燃料といたしまして使用済みでございます。まだ未使用分のものが半分弱ございますけれども、これも今後、「もんじゅ」「常陽」「ふげん」その他の研究開発用というふうな形で使用していくという計画になってございます。
それから、もう一つの要素と申しますのが、二〇〇五年七月というふうに、先般、事業者の方でもちまして運転開始の時期というものをおくらせたわけでございますが、六ケ所の再処理施設から出てまいりますプルトニウムというものがあるわけでございますけれども、六ケ所の再処理施設の能力が年間約八百トン、こういうふうに言われてございます。
恐らく、二〇〇五年から操業開始をするといたしましても、即座にフルに上がるわけじゃないわけでございまして、順次立ち上げていくということになるわけでございますけれども、フルになった段階で年間八百トン。これから出てまいりますプルトニウムというものが、大体年間八百ということに対応いたしましては大体五トン弱ということに相なるわけでございますけれども、そのプルトニウムにつきましては、その多くはプルサーマルでもって使っていく。残りの分につきまして、先ほど申し上げました「もんじゅ」等の研究開発用に活用していく、こういうふうな展望を描いているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/103
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104・近江巳記夫
○近江委員 需給バランスの状況等につきまして、委員会の方に一遍提出をいただきたいと思うんですよ、勉強をぜひさせてもらいたいと思いますので。
それは、「もんじゅ」の問題だとか、さまざまなこれから解決しなければならない問題が随分あるわけでございますが、それが稼働した場合にはどうなるかとか、中間地点にはこうだとか、現時点、そして、計画どおりすべての事が運び、そうなった暁はどうなるかとか、一目瞭然でわかりやすいものをひとつデータとしてぜひ提出をお願いしたいと思います。
委員長、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/104
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105・斉藤鉄夫
○斉藤(鉄)委員長代理 理事会で協議します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/105
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106・近江巳記夫
○近江委員 そこで、今申し上げました「もんじゅ」が今後どうなるかというようなこと、それから六ケ所村の再処理工場、今めどとしては二〇〇五年というお話がされておるわけでございますが、現在その線で特に支障なく進んでおるのかどうか。
特に「もんじゅ」につきましては、今後どうなるんだろうと、非常にこれは国民的な関心を集めておりますし、皆そういう点では注目をいたしております。政府として、どういう今後の見通し、取り組みをされようとしておるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/106
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107・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
「もんじゅ」というものの位置づけということにつきましては、これは、いわゆるトラブルを起こしました以降の段階でございますけれども、平成九年十二月の段階でもって、原子力委員会の高速増殖炉懇談会というものでもちまして種々の議論がなされまして、整理がなされておるわけでございます。これから先に向けての研究開発のための重要なツールであるということ、そういうふうな指摘がなされておるわけでございますけれども、私ども、そういう認識に立ちまして、「もんじゅ」というものを一日も早く再起動させまして、研究開発のために使っていきたいという強い希望を持っておるわけでございます。
しかしながら、これを達成するに当たりましては、これから先、地元の方々の御理解というものが、これがもう大前提ということになるであろうというふうに思ってございまして、先ほど申し上げましたFBR懇談会の報告書におきましての政策的な側面からの位置づけ、それから、安全面におきましての原子力安全委員会それから科学技術庁の安全総点検チームの検討の結果の整理、こういったふうなものを踏まえまして、今後は、事故の教訓を踏まえましたナトリウム漏えい対策につきまして、国の安全審査を通じて「もんじゅ」の安全性を確認し、その所要の改造工事を実施するなど、順次所要の手続を進めていくということが必要になってくるということでもちまして、そのための諸準備というものに今取り組んでおる段階にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/107
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108・近江巳記夫
○近江委員 プルトの保有の問題でございますけれども、これは、国内というよりも、やはり日本としては常に国際的な関心を持たれておるわけでございまして、常に透明性といいますか、そういうことが非常に大事なことだと思うんですね。それにつきまして、公表という点におきまして、今どういう状況になっておるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/108
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109・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
プルトニウムの利用ということに対しましては、先生の今の御指摘のとおり、国際的に信頼されると申しましょうか、そういうことでなければ非常に支障が生ずるということになってこようかというふうに思ってございます。そういう意味で、我が国におきましてのプル利用というものにつきまして、透明性というものを維持しておくということは大変重要なことであろうというふうに思ってございます。
具体的には、まず一つは、原子力白書におきまして、プルトニウムの需給見通しに加えまして、毎年末の分離プルトニウムの管理状況、すなわち施設の区分ごとに存在するプルトニウムの量というものを公表してきておる、これが一つございます。
それからもう一つの、国際的な問題といたしまして、これはIAEAが指導して推進をいたしまして、我が国等関係国間におきまして合意に達しているもので、国際プルトニウム指針というものがございます。これでもちまして、国際的に、プルトニウムを利用する国はプルトニウムの利用計画でございますとか保有量というものをIAEAに報告しまして、IAEAが公表するというふうな形で、その透明性の維持というものを図っておるわけでございますけれども、我が国はIAEAに毎年、逐年報告をいたしまして公表されておる、そういう形を通じまして国際的に信頼を得ておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/109
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110・近江巳記夫
○近江委員 ぜひいろいろな機会にも、我が国としていささかもそういう疑惑の持たれないような、透明性の確保に政府として努力をしていただきたいということを強く要望いたしておきます。
それから、原子力政策にとりまして非常に重要な問題としての長期計画の問題でございますが、さまざまな情勢変化に対応して、改定の時期に差しかかっているのではないかと思います。前回の改定から大分経過もいたしておりますし、今後長期計画の改定についてどういうお考えに立っておられるのか、また、どういう方向で、作業日程で進もうとされておるのか、その辺につきましてお伺いしたいと思います。
〔斉藤(鉄)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/110
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111・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
長計の改定のための審議の準備状況というものを含めて御報告をさせていただきたいと存じます。
御指摘のとおり、現行長計というものが策定されまして以降、もう五年というふうな時間が経過をしておるわけでございまして、その間におきましての諸情勢の変化というものは大変種々あったわけでございますので、そういった新しい情勢を踏まえまして、近々、原子力委員会といたしまして新しい長期計画策定のための調査審議を開始するという運びになってございます。
それに先立ちまして、原子力委員会は、このような審議というものを開始するための予備的な検討というものを昨年来ずっと継続をしてきてございました。その結果、その作業の取りまとめというものがなされまして、先月、四月の二十三日でございますけれども、原子力委員会にその報告がなされ、そういったものを素材にいたしまして、新しい長期計画というものを策定、スタートさせるに当たりまして、今回の長計というのはどういう考え方で臨むべきなのかということを原子力委員会の中で議論を重ねられて今日に来てございます。
それまでの経過、今日までのそういう審議状況というものを少し触れさせていただきますと、今回の新しい長期計画のあり方としまして求められる理念というものは、例えば、人類文明の中におきまして原子力というものはどういう位置づけにあるものなのか、それがエネルギーというものの中にはどういう位置づけにあるものなのか、地球環境との調和という観点からはどういう位置づけにあるものなのか、こういった多角的な観点から見るべきではないかということ。それから、長計自体のあり方といたしまして、いわゆる国民全体のみならず、国際社会に向けての一つの日本の国としてのメッセージという意味もあるということでもちまして、そういったことについての十分な配慮というものも必要ではないかということ。それから、いわゆる民間活動に対してどのようなかかわり方をするのが一番妥当なのかということにつきましても十分な配慮を払うべきこと。こういったふうな基本的な考え方というものが大体整理されつつございまして、そういったものを踏まえまして、先ほど冒頭に触れましたが、近々長期計画の審議というものをスタートさせるということになってございます。
長期計画を最終的に仕上げるのは、原子力委員会の中でまだ御検討の途上でございますけれども、大体のめどといたしまして来年の年末といったあたりを念頭に置いて御議論が進められてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/111
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112・近江巳記夫
○近江委員 はい、わかりました。
長期計画の今後の見通しについてお話があったわけでございますが、円卓会議をずっと今日までやってこられておるわけでございますけれども、どういう成果があったのか。出席した人の中でもかなり批判的な声も聞くわけですね。そこで、円卓会議での成果はどういうものであったのか、また長期計画におきましてどういうようにそれを反映されていくのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/112
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113・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
円卓会議は、もう先生御案内のとおり、「もんじゅ」事故以降におきまして三県知事提言というのもございました。いずれにいたしましても、国民の原子力についての合意形成というもの、これが大変重要な課題であるというふうな発想から、国民各界各層の方々、いわゆる原子力に対して批判的な御意見をお持ちの方も含めまして、いろいろな方の御意見というものを円卓会議の場に出していただきまして、そこでもって何らかの形で集約ができれば、その集約されたものを原子力政策の中に反映していく。もしもしそれが採用できないものであれば、原子力委員会は、こうこうこういう理由でもってこの考え方というのは採用できないというふうなこともきちんと明らかにしていく。そういう過程を通じて原子力行政ないし原子力というものへの信頼を回復していこうという発想に出るものというふうに私どもは理解してございます。そういう意味におきまして、第一回目の円卓会議、そして昨年度に行われましたいわゆる新円卓会議というものは非常に効果のあったものというふうに私ども受けとめてございます。
また、これは、お願いをいたしましたモデレーターの方の御意見でもございますが、昨年は五回やったわけでございますけれども、これはまだ十分議論が尽くし得ていないというふうなこともございまして、引き続き円卓会議というものを継続をしていくという御要望がなされまして、そういうラインに沿いまして、本年度は、これは近々でございますが、六月になろうかと思いますが、本年度におきましての第一回というものを開催する運びになってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/113
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114・近江巳記夫
○近江委員 ことしは大体めどとして何回ぐらい開催を予定されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/114
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115・青江茂
○青江政府委員 失礼いたしました。七回を予定してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/115
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116・近江巳記夫
○近江委員 それは、さまざまな方の御意見はおおむねそこで開陳されるということで、いい声も聞いておることは確かでございます。
そういうことで、後は、運営のあり方、中身、またそれをどのようによく反映していくか、そういう姿勢等になってこようかと思います。そういうことで、中身のある充実した運営を今後やっていただきたいということを強く要望いたしておきます。
それから、もう時間がございませんので、あと一点だけ、ちょっとこれは私の考え方として申し上げておきたいと思います。
この長期計画は、一九五六年が一番最初でございまして、おおむね五年ごとにずっと改定してまいりました。それで、現行が平成六年、一九九四年六月二十四日に長期計画を策定いたしまして、これは一九八七年からちょうど七年ぶりにやっておるわけでございます。
それで、今回そういうことでやられるわけでございますが、その間、御承知のように、新型転換炉の計画変更もございましたし、「もんじゅ」等のこともあったし、プルトの需給の見通し、計画も若干ずれてもきておるというようなさまざまなことがございます。そこで、臨機応変な対応ということが大事じゃないか。したがって、五年と言わず、もっと短縮をしてもいい時期があってもしかるべきじゃないかという考え方が一つでございます。
もう一つは、いわゆる原子力政策というのは、基本的なレールというものを敷いていくわけでございますから、そこで、基本というものはほぼ変わらないという中で、別途、原子力開発利用具体計画というようなものをつくり、そして臨機応変にしていけばどうかという考え方もあるわけでございます。
それは一度にこうするというようなことは言えないと思いますが、提案したいと思うんですけれども、それに対しまして、ひとつお考えがあればお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/116
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117・青江茂
○青江政府委員 私の方から、まず事務的にとりあえずお答えをさせていただきたいと存じます。
確かに、今先生御指摘のように、ATRの問題でございますとか、再処理施設の運開時期の問題でございますとか、長計に書きましたことというのが、その長計がまだ生きておる途上におきまして乖離をしてくるというふうな実態というのはございます。それをもって長計が破綻をしたのではないかといったふうな言われ方もいたしたことはあるわけでございます。
そういうふうな状況に一つかんがみまして、先ほど長計の予備的検討ということにつきまして御紹介を申し上げましたが、その予備的検討の過程の中におきましては、今先生が基本は変わらないとおっしゃいましたが、その部分、いわゆる政策の普遍的な部分というものと、それに沿って具体的に事業として展開していく部分と、この辺を二つに区分をして、普遍的な部分については、ここは長計の骨格部分としてきちんと書いていく、後者の部分についてはもう少し弾力的にプログラミングをしていったらどうだろうかというふうな提言もなされてございます。今の先生の臨機の応変ということに対しましては、そんなふうな工夫というのも一つ検討課題になってございます。
それから、具体的計画というものを、もう少しブレークダウンしたものをつくって、そこで臨機に持っていった方がいいんじゃないかという点につきましては、これまでの仕組みの問題といたしまして、長計というもののもとで各専門部会が逐次動いてございまして、かなりタイムリーに施策というものを打ち出しているという一つの仕組みがございまして、その仕組みということでもちましても十分可能なのかなという気もいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/117
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118・近江巳記夫
○近江委員 それでは、時間が参りましたので、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/118
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119・北側一雄
○北側委員長 吉井英勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/119
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120・吉井英勝
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
私は、前回の質問におきまして、原子力長期計画の基本的な考え方、つまり、使用済み核燃料を全量再処理して、取り出したプルトニウムを全量使っていくという立場に立ったサイクルを考えてきたわけですが、そのサイクルそのものが今実態として破綻をしている、だから、使用済み燃料の形でだぶつくか、再処理を進めればプルトニウムの形でだぶついてしまうかという問題に直面しているという角度からの質問をいたしました。
きょうは、そのサイクルを考えたときに、いわば濃縮工程から燃料につくって、そして原子炉の中で燃やすわけですが、そのサイクルの中の原子炉にかかわるものについて伺いたいというふうに思います。いわゆるY2K問題、二〇〇〇年問題です。
この間、四月の二十一日付の朝日でしたが、ロシアの原発は電子化が未整備で二〇〇〇年問題は大丈夫だと。何とも皮肉な二〇〇〇年問題だなというふうに思ったんですが、しかし、もちろん二〇〇〇年問題が存在しないわけじゃないと、ロシア原子力省のY2K問題責任者のエメリヤノフ氏が強調しているということも紹介されておりました。
ロシアなどでもそうなんですが、アメリカの方では、これは電気新聞の三月十二日付でも紹介されておりましたが、ことし三月八日、アメリカ議会で原子力におけるY2K問題シンポジウムというのが開催されて、そしていろいろな角度から、これはアメリカの議員の方も、それから学者の方も産業界の方も入っての、いろいろな論議が交わされたということです。
とりあえず最初に、概括的といいますか概観として、どんな問題がここでは指摘され、論議されたのか、どういうふうな問題として把握していらっしゃるのか、そのことからまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/120
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121・間宮馨
○間宮政府委員 お答え申し上げます。
昨日までで入手しておりますデータに基づくものでございますが、三月八日に開催されました米国下院のコンピューター二〇〇〇年問題シンポジウム、まずこの冒頭演説におきまして、民主党のエドワード・J・マーキー議員が次のような指摘を行っておりまして、これが我が国でも報道されたというふうに承知しております。
その中身といたしましては、原子力規制委員会、NRCは安全系については二〇〇〇年問題はないとしているが、運転員がよりどころとする監視記録装置は二〇〇〇年問題の影響を受ける可能性がある、また、もし二〇〇〇年問題により送電系統からの電力供給の途絶が起これば原子炉は緊急停止するが、その際の冷却系を動かすための非常用電源が時々作動しないことがある、こういうふうに言っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/121
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122・吉井英勝
○吉井委員 二〇〇〇年問題で、原子炉の停止、あるいは、そのバックアップ電源のディーゼル電源の停止等によって冷却系がうまくいかないというふうな問題などが生じてきますと、これは大変な問題なんです。
シンポジウムの概要を私も読んでおりまして、今おっしゃったエドワード・マーキー下院議員が、例えば、ニューハンプシャーのシーブルック原発を停止させ得る千三百四件のY2Kのコンピューターのバグを見つけたという報告をしていたり、また、マサチューセッツのプリグリム原発でも、バグが原子炉設備を損なって危険な停止を起こす可能性を警告するというものなど、かなり具体的な紹介、具体的な指摘等も含めて警告を発している、そういう報告がなされているように理解したんですが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/122
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123・稲川泰弘
○稲川政府委員 我が国でも、原子力発電所におけるY2K問題について各般の措置を講じ、また諸外国の情報も集めて、それを他山の石として国内の対応を進めるという形をしてございますが、今御指摘の二点については、詳細な内容を現在承知はいたしてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/123
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124・吉井英勝
○吉井委員 私、これは、我が国の調査は後ほどまた触れてまいりますけれども、国際的にどんな取り組みがなされているのか、みんながどこに注目して大変な問題だということで取り組んでいるのかということについては、これはかなり情報公開されているわけですから、もっと全面的にデータ収集して取り組んでもらわなければいけないのではないかというふうに思います。
私もこの概要等を読んでおりまして、なるほど、ここまで考えているのだなと。先ほど少し指摘がありましたけれども、例えばシンポジウムで別の発言者は、すべての原発について、その装置に埋め込まれた数百のチップのどれかが一月一日に停止するのをチェックするすべはないと警告したという紹介もありますし、それから、これらの原発の一つが一月一日に予期せぬ停止に至った場合、しかもそこに臨機応変の適切な対応策がなければ、三十分から一時間で炉心溶融するだろう。これは、ダビッド・ルッチバウムという、UCSの技術エキスパートである元原子力産業技術者が警告したというふうに紹介されております。
炉心溶融の問題も起こり得る重要な問題なんだ、そこまでかなり厳しい見方をしてシンポジウムで、アメリカの議会などでも議論されているというのがこの問題の非常に大事な点ではないかと思うのですが、この点はどういうふうに見ていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/124
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125・稲川泰弘
○稲川政府委員 マイコンチップにかかわる対応、さらに、この対応の至らざる場合の危険性としての炉心溶融のお話がございました。
全般的には、これは国際的に、IAEA、OECDの国際会議などの情報交換の場をそれぞれに持ちまして、その対応を行っているところでございます。
具体的なマイコンチップの点について例えば御紹介を申し上げますと、マイコンチップについては、安全上重要な機器や出力運転に影響する機器に含まれますチップはすべて設計図からリストアップをいたしまして、これをチップ仕様書やチップメーカーへの問い合わせ、照会確認等によって調査を実施してございます。この結果、絶対時間使用の有無、改修の必要性について、マイコンチップについてもほぼ悉皆調査を行ってございますけれども、その結果、設備の監視や運転状態を記録するシステムについては一部対応が必要でございまして、この一部対応をするものについては、順次これの改修を行い、機能確認を行っているところでございます。
ただし、制御系の中身につきましては、絶対時間を使用しているものはないという確認をとってございまして、そういう趣旨で、我が国でもチップに対する対応はかなりの精度をもって進めておるというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/125
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126・吉井英勝
○吉井委員 私、日本の対応をどうしてきたか、どう進めていくかという問題はこれからまた引き続いて議論をしていこうと思いますけれども、これは先ほど科学技術庁の方から冒頭にお答えはいただいているのですが、このY2K問題がなぜ重要な意味を持っているのか。それは、いろいろな分野で使われておりますからいろいろな問題があるわけですが、しかし、航空機とか原発とか、安全にかかわる分野でその事態の深刻さをまずどれぐらい我々が認識して取り組むかということが出発になると思うのです。
私は、その認識の出発としては、アメリカの議会でのシンポジウムというのはなかなか大事だと思っているのですよ。それは、さっきも御紹介しましたが、原発の一つが一月一日に予期せぬ停止に至った場合、しかもそこに臨機応変の適切な対応策がなければ、三十分から一時間で炉心溶融するだろうという警告を発している。それは、後に監視系と制御系の議論はいたしますけれども、やはり我々がこういう問題を考えるときの出発点として、原子炉におけるY2K問題というのはそれだけ重要な問題なんだ、その立場に立って、国際的な情報も集めるし、我が国での取り組みも進めていくということが大事だというふうに思うのです。
この点は、恐らく大臣と私は認識は一緒だと思うのですが、大臣から伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/126
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127・有馬朗人
○有馬国務大臣 私も、Y2K問題は大変心配をしておりまして、航空機の問題その他、巨大科学技術を用いているところ、特に原子炉などに対しては十分検討していかなきゃならないと思っておりますし、現に随分進めているということを私は報告を受けているところでございますが、今後も努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/127
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128・吉井英勝
○吉井委員 それで、この報告を読んでおりまして、例えば、このシンポジウムがあったときに即座のコメントをしなかったNRCの職員たちは、先月の議会に、つまり二月の議会に、すべての原発が十月にはY2K対策済みのものになっていると言っていた。この監督当局は、Y2K対策済みのものでないならば停止されるべきである、つまり非常に厳しい臨み方をしないといけないという認識を持っているんだということなども紹介されております。
このほかにも、ペンシルベニアのピーチボトム原発では、バックアップの監視コンピューターがY2Kテストのために七時間も破損してしまった。ですから、さっき監視系と制御系の議論をされたけれども、アメリカのシンポジウムの中でも、実際にはそのテストをやっている真っ最中にも、Y2Kテストのために七時間破損してしまうということも起こったということが紹介されているわけです。
もちろん、こういうこともよく情報としてつかんだ上で日本の国内でのチェックもしておられると思うのですが、この点は御存じですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/128
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129・稲川泰弘
○稲川政府委員 今御指摘のケースについては聞いております。
また、国内に当てはめたときにどういう現状であるかということを振り返って検証をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/129
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130・吉井英勝
○吉井委員 私は、このシンポジウムの中でも、全体の議論の動向としては、原子力産業界が楽観的に見ているのに対して、対応のおくれとか炉心溶融の危険の警告、そして指導の強化が語られているというのがシンポジウムの一つの大事な点ではないかなというふうに理解をしているものです。
さて次に、日本の原発におけるY2K問題の方に入っていきたいと思うのです。
この間、九九年四月二十六日に、資源エネルギー庁の方は中間取りまとめを発表されました。これによりますと、五十一基の原発中七基を調べた、四十四基はこれからだということであります。財団法人原子力発電技術機構の中に原子力発電所二〇〇〇年問題調査委員会をつくって、その調査に当たってこられた七基の中で一番古い原発は、七九年に運転開始した、BWRでいうたら東京電力の福島第一の六号、PWRでいえば関西電力大飯一号の二つだったわけですが、この二つと同じ七九年に運転開始のもの、あるいはそれよりさらに古いものが二十基あるわけですが、この二十基の原発、さらに古いものについて、いつまでに調査をし対策を完了していくという予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/130
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131・稲川泰弘
○稲川政府委員 原子力発電所におけるコンピューター二〇〇〇年問題につきましては、従前から、電力会社において自主的な調査を実施し、対策を講じてきているところでありますけれども、昨年九月の政府のコンピュータ西暦二〇〇〇年問題に関する行動計画に基づきまして、電力会社に対し総点検の実施を要請いたしました。昨年十二月、原子力発電所二〇〇〇年問題調査委員会を設置して、電力会社の取り組み状況について調査を行いました。これが委員御指摘の委員会でございます。
委員会では、五十一基の運転中の原子力発電所の中から代表七プラントを御指摘のとおり選んでございます。これは、BWR四基、PWR三基、年代別で、また国内生産、輸入という分け方でこの七プラントを選んだところでございます。これによって、対応体制、調査・改修の方法、改修の結果について調査を実施いたしたところでございます。残り古い二十基の調査につきましては、現在の予定では十一月末までで完了をするという計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/131
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132・吉井英勝
○吉井委員 四十四基残っているうちの特に二十基につきましては、もともと、六〇年代、七〇年代のコンピューターそのものが記憶容量が小さいというところからこの問題が出ているわけですから、私は、特にこの二十基についての点検が非常に重要な意味を持っていると思うんです。もちろん、残るものを含めた四十四基全部がそうなんですが。
さて、この報告の中で、「監視記録機能を有する機器の一部は、絶対時間を用いており、放置すれば日付入力・表示のエラーや一部機能の停止等の問題が生ずる可能性がある」「これらの監視記録機能は、制御機能とは分離されているため、万一問題が生じても、制御機能への影響はなく」と。要するに、影響はないとしているわけであります。
しかし、例えばかつての関電美浜原発二号機の事故のように、蒸気発生器細管でギロチン破断が起こったときに、Y2K問題を抱えておったときに、一次冷却系の温度、圧力、二次冷却系の温度、圧力、放射線濃度の記録などが異常を示してくれなかったならば、制御機能とコンピューターが分離されているとしても、制御機能の方の働くコンピューターと監視機能の方と分離されているとしても、これは「制御機能への影響はなく」と簡単に見過ごすことができない問題も出てくるのではないか。
私は、その点はやはり大事な問題として検討の俎上にのせておく必要があるんじゃないかと思うんですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/132
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133・稲川泰弘
○稲川政府委員 今委員が御指摘になられましたように、この報告書の中では、監視記録機能を有する機器の一部、これはプロセス計算機、安全パラメーター表示システム、モニタリングポスト等々でございますけれども、絶対時間を用いており、日付入力・表示のエラーあるいは一部機能の停止等の問題を生ずる可能性があるということで、その修復を行う方法及び内容を検討したところでございます。この監視記録機能の部分は制御機能とは分離されておりますけれども、また、監視記録機能自体、これは集中制御をするために各種のデータを一カ所に集めるという趣旨でデジタルな情報を用いてございますが、そのもともとのオリジナルな部分につきましては、ハードの中でアナログ計器の表示で対応をいたしてございます。
したがいまして、デジタル監視装置の誤表示が直ちに運転員の誤操作につながるという因果関係にはございませんで、そこのところは、代替措置で監視記録をし、運転操作上問題とならないような対応を考えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/133
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134・吉井英勝
○吉井委員 考えたいということですから、そこは、監視機能の部分と制御機能の部分、実際に二〇〇〇年に入ってからその監視機能の部分でデータに異常を来してしまいますと——私の言っているデータの異常という意味は、実は逆にこれまでどおり安定したデータを記録しているという場合ですね。ところが実は、関電美浜二号のような事故が起こっていたときには本当は表示が変わらなきゃいけないわけなんです。それがうまく異常を示す表示に変わってくれていない場合には、そのときにはその監視の部分で異常がつまり出てこないということになります。かつての美浜原発の事故というのは正常なときですから、異常のときには、監視しておればデータの方が異常を示すわけですね。逆になった場合に、制御系の方はうまく、トラブった場合にはもちろん手動に切りかえてやることができるわけです、手動に切りかえて本当はできるんだけれども、監視の段階で実はデータそのものが問題を起こしてしまっていたら、それは、幾ら監視系と制御系とは別建てなんだということを言っておっても、うまくいかないわけですね。
ですから私は、その点についてはやはりそこもきちっと対応を考えるべきなんでしょうということを言っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/134
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135・稲川泰弘
○稲川政府委員 中央制御室には、中央に全部を集めたデジタルな表示のほかにアナログの指示計及び記録計による監視機能を確保いたしてございまして、その二つで全体を監視するというやり方をとってございます。そうした意味で、先ほど申し上げました制御機能及び監視機能の分離、また監視機能の中でのアナログとデジタルの分離ということで今後の対応ができると考えてございます。
なお、原子力発電所では、異常が発生した場合に備えてさまざまな対応措置が整備をされておりまして、定期的に訓練も行っておりますが、この二〇〇〇年問題についても万全を期しますために、今御指摘のような点も含めまして、本年六月までに危機管理計画を策定することといたしてございまして、海外の情報その他を含め、対応が終わっているものについても、可能性をいろいろ考えながらこの危機管理という観点から対応をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/135
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136・吉井英勝
○吉井委員 私は、今おっしゃった集中管理という問題についても実は非常に心配している者なんです。
かつて、全国各地のコンビナートで石油化学企業の災害が頻発したとき、集中管理だったんです。それは、集中管理がうまくいっているときは非常に有能なものなんです。しかし、トラブったときには、逆に分散管理が行われている場合の方が、二つの系統、三つの系統でもって、それで判断もすれば制御操作も行うという場合が安心な場合もよくあるんです。
今おっしゃったように、集中管理だからこそ逆に、Y2K問題で、例えばバックアップ電源の系統が壊れてしまったときとか、まさに先ほどアメリカのシンポジウムで紹介されたように、本体の停止に続いてバックアップ電源まで停止してしまったときには、冷却機能の喪失とかそういうことになってくる問題がありますので、監視系統とそれから制御系統の問題についても、そういう問題のかかわり方というものをよく見た点検をどう進めるか、危機管理対応の検討会を各企業で設けるというお話ですが、本当にそういう角度でやっていただく必要があるということを申し上げておきたいと思うのです。
そこで、次に伺いたいんですが、Y2K問題については、ここが難しいというところなんですが、実はY2K問題が起こらないという証明はどのようにやってやるのかという問題なんですよ。これは何か非常に意地悪な質問をしているようですが、ここが非常に難しい問題なんです。
先ほどいろいろ、七基ですか、やってこられたということなんですが、一〇〇%このY2K問題が起こらないという証明ができているのかどうか、その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/136
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137・稲川泰弘
○稲川政府委員 純白無垢の証明でございますので、これはある意味で非常に難しいことであろうと思います。
ただ、原子力発電所におけるコンピューター問題について非常に特異と思われますことは、一つは、設備について、設備台帳が相当入念にございまして、電力サイドの方あるいはメーカーサイドの方で、それぞれのソフト、プログラム、またハードについて、問題箇所があり得るかどうかということを相互クロスチェックできる、非常に稠密に、かつ網羅的に調査できるという性格が一つございます。
それからいま一つは、原子力発電所の特に安全に関係のあります部分につきましては、大変コンサーバティブな設計思想をとってございまして、いわゆる絶対時間を用いますような設計を基本的にやっていないというところがございます。したがいまして、全体的には、制御系の非常に中枢部のところはアナログな取り扱いをしている。特にそこに時間を入れる場合には、クロックで幾つ打ったら次の動作をする、温度がかく上がったら別の部分のところがこう動くというところを、デジタルではなくてアナログな処理をする設計思想をとってございます。
そうした二点のところから、完全無欠の、一〇〇%の証明はいかにと言われれば、これは結果を見なければわからない部分がありますが、他方で、いろいろ検証をする立場から見ると、手段において、設備台帳その他を網羅的に調べ上げ得る。それは、電力会社からもメーカーからも調べ上げ得る、マイコンチップの一つ一つに至るまでも完全に調査をし得る。それからいま一つは、設計思想の方から、ある意味で非常にコンサーバティブ、ある意味では、こうした危機に対する対応力の非常に強い設計思想を持っている。かような二点から、さらにこの調査を進めてまいりたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/137
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138・吉井英勝
○吉井委員 台帳でかなり把握できるというお話ですが、もともと、その台帳という点では、徹底的にデータをとれば、ハンドブックにしたり、リスト化したり、マニュアル化したりとかいうのは、アメリカの方はずっと進んでいたわけですよね。
そういうアメリカでも、ペンシルベニアのピーチボトム原発で、バックアップの監視コンピューターがY2Kテストをやっているときに七時間破損してしまった事例とかあるわけですから。これはテスト中で非常によかったわけですね。これは、実際にY2K問題に直面してから原発で突然破損事故となっておれば非常に深刻な問題であったと思うのです。それだけに、私は、一〇〇%の証明というのは非常に難しいものではあるわけですが、だからこそ、定期点検のときにはY2K問題のテストを徹底的に実施して、どこに問題があるかをよく調べて完全に対策をとっておくことが必要だと思いますし、そうした徹底テストの実施と対策ということとともに、すべての原発でテストをやる。
大体、近ごろ、定期点検の期間が少し長くなっているものですから、その点も非常に心配なわけですが、定期点検のおくれるものについても、これは完全に全部の原発についてテストを行って、Y2K対策を、確実にテストをやって、実際にコンピューターがトラブるかどうかも含めてやり抜く。これは今年中にされますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/138
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139・稲川泰弘
○稲川政府委員 すべての原子力発電所について具体的なチェックを行い、それは十一月中に完了をする予定でございます。
今回調査を行いました結果、いずれの電力会社におきましても、ソフトウエアの改修作業は定期検査中に行ってございます。
なお、委員御指摘のアメリカの事象は、今我々が知っておる限りでは、プラントの運転中、二〇〇〇年問題に対応していないプラント監視システムを利用して行った機能確認試験において発生したものでございまして、試験担当者によるヒューマンエラーであるというのが我々の知っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/139
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140・吉井英勝
○吉井委員 それは、ヒューマンエラーもいろいろな要素も含めて出てくる問題なんです。ですから、きちっとした対応というものをやってもらいたい。
そして、これはスウェーデンの原発だったと思うのですが、たしかテスト中に、ことしの九月までに問題が生じ得るということも明らかになったというものがあったと思うのです。ですから、十一月というお話ですが、それは当然、大体ことしの九月ぐらいから問題が出てくるものもあるわけですから、その点での対策の方もきちっとやってもらいたい。
電気新聞の三月十二日付では、OECD・NEAがオタワでY2K問題の国際ワークショップを開催したときに、マクマスター大学のパルナス教授がY2Kに関する誤解への注意を喚起されて、模擬試験の実施だけでは安心できない、プログラムにはプログラマーの癖があって、対応策も一筋縄ではいかないということを指摘していることを紹介しておりますが、大体、電力業界の方は大きな問題は起こらないと見ている。実際、起こってもらっては困るわけですが、それでは一〇〇%安心かというと、そうとも言い切れない面がある。電気新聞もそこを言っているわけですが、私は念押しの意味で大臣に伺っておきたいのですが、政府として、原発のY2K問題で一〇〇%の安全保障、安全確立を目指して取り組んで、そのことについては責任を持つんだ、その決意だけは伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/140
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141・稲川泰弘
○稲川政府委員 一〇〇%完全に安全という証明をすることは、これは事実上不能でございますが、先ほどの性格を持った原子力発電所でございますので、一〇〇%に限りなく近く努力するつもりでございます。
今回の件につきましても、電力会社からの報告に基づいて各種の調査を行い、その取りまとめの過程で専門家の知見を大幅に活用し、いわば第三者の目で、第三者の角度で検証を続けてまいりました。
今後、今回の電力会社からの報告内容については、原子力発電所において具体的に当省の職員が関係の文書を確認をするという作業も行うつもりでございます。各種模擬テストも行いますが、先ほどスウェーデンの例を委員御指摘になりましたけれども、これは、給水制御系などの中に日付情報を入れていた結果の事例でございます。
ちなみに申し上げれば、我が国の原子力発電所では、給水制御系などのプラント制御には日付情報を用いておりません。
そういうことも含めまして、各国の状況もあわせ、また、危機管理計画を入念に、各国の情報を含めながら、確認をしながらつくるということも含めて、限りなく一〇〇%に向けて努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/141
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142・有馬朗人
○有馬国務大臣 これは、通産省ともよくお話をして、重要な問題ですから、最善の努力を尽くしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/142
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143・吉井英勝
○吉井委員 先ほど、マイコンチップについても徹底的に調べるというお話がありましたが、マイコンチップというのは、いわばY2K地雷みたいな要素がありまして、どこでぼんといくかわからない。それだけに、数も多いし、大変なものではありますが、そういう取り組みをしっかりやってもらいたい。
さて、産業という分野から見ますと、原子力産業の中の原発をつくったりしているメーカーの方、大企業の対応はできるにしても、実際に「もんじゅ」のときもそうだったのですが、微細加工の部分、いわば、非常にすぐれた技術、わざを要する部分については、これは中小零細町工場で扱っている分野もかなりあるわけです。
逆に言えば、日本の物づくりの技術というのは非常にすぐれたものがあって、中小零細町工場の、東大阪なんかでいいますと、ガレージ工場と言われている、そういうところでも非常に高額のNC旋盤を導入したりとか、そして物をつくってきているわけです。
そうすると、不況の中での中小企業のY2K問題への対応というものをしっかり支援しておかないと、幾らすぐれた機器といえども、大手メーカーだけでできるわけじゃないので、この最先端技術を支えている中小町工場の対策がおくれては、直接二〇〇〇年の初頭には原発のトラブルはなくても、継続して問題が出てくることがあり得るわけでありまして、この点では、通産省の方として、中小企業庁の方としてどういう支援を行っていくのか、これを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/143
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144・殿岡茂樹
○殿岡政府委員 西暦二〇〇〇年問題に対する中小企業の対応状況についてのお尋ねでございますけれども、政府による行動計画の策定あるいはさきの第三次補正予算による支援策の実施などの効果もございまして、中小企業の対応というものが着実に進捗しつつあると思います。ただ、まだ具体的な対応に着手していないという企業も相当数存在しているのも事実でございます。
こうした状況を踏まえまして、政府としては、中小企業に対して可能な限りの支援を講じていくということにしております。
具体的には、危機管理計画の策定を含めましたこの問題への取り組みの重要性に関する普及啓発、また、小規模事業者を中心にしまして、情報機器等の低廉なリースあるいは割賦販売事業の実施、さらには、相談体制の充実や政府系金融機関の低利融資、また、情報通信機器の即時償却等の税制上の優遇措置といった措置を中小企業支援策として実施しているところでございます。
今後とも、こうした支援策を着実かつ早急に実施することによりまして、Y2K問題への中小企業の取り組みを一層促進してまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/144
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145・吉井英勝
○吉井委員 私は、中小企業の支援というのは非常にきめ細かさが求められているというふうに思っているんです。
実は、せんだってテレビでも紹介されていたんですが、町工場の親方の方は、自分の持っているNC旋盤についているマイクロチップでどういう影響が及んでくるのか実のところわからないんだ、情報も不足しているしわからないと。納入したメーカーからの親切なそういう情報等の提供も必ずしもありませんから、とにかくまず、わからないというのが出発なんですよ。そういう物づくりに携わっていらっしゃる方が非常にたくさん、東京でいえば大田区を初めとして、物づくり、基盤的技術の集積地にはたくさんそういう方たちがいらっしゃるわけです。基盤的技術の二大集積地の、西の方でいえば東大阪を初めとして、そういう方たちがたくさんいらっしゃる。
そういう中で、中小零細企業のY2K問題への取り組みとなると、今のお話で一応考えていらっしゃるということになるんだけれども、実はもっときめ細かな情報を徹底して提供して、そして、ここのわからない部分についてはここをこういうふうに問い合わせをされるようにとか、それから、点検をするには、特に今深刻な問題になっているのは、やはり不況の中でなんです。
不況の中で、いろいろやりたい、新しいものに取りかえたい、しかし、新たな融資を受けて取り組んだとして大丈夫なんだろうかという不安とか、そういう中で多くの方たちが悩み苦しんで経営をしていらっしゃるわけでありますから、私は、取りかえに当たっての融資の問題についても、既に融資はもう限度いっぱいだ、その分は借りられないというふうなところまで追い詰められている人たちについて、どういうふうにしてそこを解決していくのかとか、この辺についての、今日の長期にわたる不況の中でのこの支援をどうするかということを具体的に考えないと、中小零細企業の場合には、簡単には、これで対処しますというわけには、それでは進まないと思うんですが、その点について改めて伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/145
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146・殿岡茂樹
○殿岡政府委員 お答え申し上げます。
まずは、本件問題が大変経営上の問題になり得るということを中小企業自身がお知りになるということが問題の最初の取り組みということでございまして、そういった意味で、その普及啓発のための措置というのは大変重要だと考えております。
このために、これまで、新聞あるいはテレビを通じまして一般に広く広報の努力をするということをしてまいりましたし、また、具体的な相談窓口の開設ということで、中小企業事業団あるいは各県の地域情報センターというところにフリーダイヤルを設けまして相談ができるという体制を整えておりますし、さらには、個々の中小企業の方々に問題を知っていただくという意味におきまして、全国にございます商工会、商工会議所、さらには中央会の指導員、これが各中小企業を回りまして、いろいろ普及啓発をし、また御相談に乗るというような、できるだけ多くの中小企業にこの問題に対する対応をしていただくという対策を講じているところでございます。
さらに、今先生御指摘のように、大変厳しい不況の中でのこういった問題に対する対応を迫られるということでございまして、中小企業にとって資金問題が非常に大きいということもございます。それに対しましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、政府系金融機関による特別の金融の措置というのを設けておりまして、また、特にその担保の問題が厳しいという中でもございますので、貸付額の五割を限度とはしておりますけれども、担保徴求を免除するといったような特別の措置も講ずるといったことを通じまして、できるだけ資金面でもその対応のお手伝いをするということをさせていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/146
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147・吉井英勝
○吉井委員 Y2K問題の強化を求めて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/147
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148・北側一雄
○北側委員長 北沢清功君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/148
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149・北沢清功
○北沢委員 社会民主党の北沢清功でございます。
私がこの改正法案審議の実は最後の質問者となるわけですが、私は、科学技術委員会の皆さんの、また理事者の皆さんの真摯な討議を聞いておりまして、私はここ四、五年間、予算委員をしておりますが、一昨年の予算委員会の国内調査で、青森県の下北半島、六ケ所村、それから港湾の施設を見まして、そのときの現地での指摘というものは、まさにきょうされております、核燃料処理のアンバランスといいますか、問題点が実は指摘をされたわけであります。そのことの中で東海問題もありますし、いろいろな面で今回のこの法案の提案に影響を与えているんじゃないか、そういう思いをしております。
そこで、まず最初に、保障措置の強化・効率化のための規定の整備に関して一つ確認をしておきたいことがございますので、科学技術庁にお聞きをいたします。
今回の法改正では、現地においてIAEAとの特別な交渉を行う必要がなく、裁量の余地のない定型化した保障措置にかかわる検査を民間機関に行わせることができるとされておりますが、万が一、現在の内閣総理大臣の指定を受けた民間機関である当該機関に例えば不正や事故といった不適切な対応があった場合、公法上の委任を行う国の責任はどうなるでしょうか。また、当該機関に対してどのような処分をとり得るものであるか、お尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/149
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150・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
まず第一に申し上げさせていただきたいことは、今先生が御指摘になられましたような事態というものが生じないように、あらかじめ万全の予防措置と申しましょうか、そういった体制というものがその法の中には組み込まれておるという点でございます。
具体的に申し上げますと、行わせる機関の指定を行うに当たりましては技術的能力というものを厳格に見るとか、指定機関におきまして保障措置の検査を行う具体的な検査員、この選任につきましては内閣総理大臣の認可というものにかからしめておるとか、それから、検査に行かせる前に、その都度、毎回きちんとした明確な実施指示書というものを渡して、その指示書に従ってのみ行わせるというふうな形で、先生が御指摘になられましたようなことのないように十全の手を打つということが第一であろうかと思うわけでございます。
それでもなおなお、万々が一のことがあれば国の責任というのはどういうことであるかという御指摘であろうと思うわけでございますけれども、この検査業務と申しますのは本来的に申しまして国の業務でございます。したがって、その効果というものは当然国に返ってくるということとなりますれば、もし万一のことが、いわゆる不適切なことがありましたときの効果というものも当然のことながら国に返ってくるわけでございまして、その生じた結果というものについての責任と申しますのは国に帰すべきものであろうというふうに思うわけでございます。
それから、いわゆるそういったことを生ぜしめた指定機関側の問題でございますけれども、これにつきましては、指定の取り消しでございますとか業務の停止命令とか、こういったものでもって対応させていただきたい、かように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/150
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151・北沢清功
○北沢委員 私は、このような事態がないことを望むわけでありますし、また、そのような事態を考えておらないわけだと思いますが、実はこの間、ガイドラインの問題で、福井の公聴会へ出席をいたしました。辻先生おられますけれども、あの地方の一番の心配は、いわゆるテポドンといいますか、あの問題で、あそこに集中している原発のところにもし落ちたならば日本列島の半分は麻痺するだろう。そういうことで、いわゆる非常手段よりも、むしろそういうことの起きないような外交措置というものが最優先する、それが現地での一般的な意味での認識です。そういう意味で、ぜひそういう観点を持ってひとつ進めていただきたいと思います。私は、不測の事態について責任体制をはっきりしておく必要があると考えるわけです。
続いて、使用済み燃料の中間貯蔵のための規定の整備に関して、何点か御質問をいたしたいと思います。
最初に、中間貯蔵施設がなぜ必要なのかという基本点について、改めて確認をさせていただきます。
私の理解では、中間貯蔵施設がなぜ必要になったか、とりわけ発電所の外にまで中間貯蔵施設を建設して核の危険を無制限に拡大していく真の理由は、原子力発電所に発生する使用済み燃料の量と再処理工場における再処理可能量というバランスが崩れたのではないかというふうに考えざるを得ないです。そこで、中間貯蔵施設というのは、両者の不整合への対処として、一定期間、時間的調整を図るための、あくまで過渡的な施設であると理解しております。したがって、考え方によっては、もともと中間貯蔵施設とは、たとえ再処理工場が予定したとおり稼働していても、使用済み燃料の備蓄をする意味で必要なのだという理解もできます。
そこで、科学技術庁に質問をいたしたいのでありますが、このたびの中間貯蔵施設は、使用済み燃料の量と予定再処理量との不整合の調整のために必要になったものではないか、あるいは備蓄の意味も兼ねて建設の必要ができたのではないかというふうに考えられますが、どちらでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/151
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152・青江茂
○青江政府委員 お答え申し上げます。
今回の措置と申しますのは、いわゆる我が国の基本的な考え方でございます、使用済み燃料につきましては再処理し、回収されるプルトニウム等を利用していくんだという基本的考え方、これに基づいて諸般の施策というものを進めていく。その際に、いわゆる六ケ所の再処理の能力と申しますものが年間八百トンということに対しまして、使用済み燃料の発生量というのがこの能力というのを上回っている、ここのところの間を調整するというものが今回の中間貯蔵施設である、そういうふうな性格のものとしまして御審議をお願いしておるというものでございます。
中間貯蔵施設というものに貯蔵しておくということになりますと、当然、この使用済み燃料というものは、私どもは、いわゆる将来エネルギー資源として使っていく、そういうものを中間的に貯蔵しておくというものでございますので、先生が後者の方としておっしゃいました備蓄ということの機能というのも、結果的には果たしておるということも言えるのではないかというふうに思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/152
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153・北沢清功
○北沢委員 そうすると、時間的調整のための施設だというふうに理解をしておきたいと思いますが、あくまでも過渡的な中間貯蔵施設であるとしたら、いずれは発生量と処理量の整合性をとって中間貯蔵施設はなくなることになりますが、今の計画では西暦何年にこの施設の必要性をなくすることができると考えておりますか。
また、あわせて、これまでの審議の中で示された数字について改めて御説明をいただきたいと思いますが、二〇一〇年の使用済み燃料は千四百トン出る予定であるという話もありました。そこで、総合エネルギー調査会の計算でいきますと、二〇一〇年までの使用済み燃料貯蔵対策必要量が二千三百トン、さらに、六ケ所村の再処理工場のおくれで千六百トンがふえて三千九百トンになるという計算が示されました。
この数字についてもう一度御説明いただきたいと思うんです。つまり、二〇一〇年の時点では、その年の発生量の千四百トンにそれまでの累積九百トンが加わり、さらに再処理工場の遅延による千六百トンが加算されまして合計三千九百トンの発生量と処理量の差が生じる、さらには、二〇二〇年にはそれが七千七百トンになる、そういう理解でよいでしょうか。だとすると、使用済み燃料の発生量と処理量の不整合性というものは年々多くなるわけでありますが、その点について御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/153
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154・稲川泰弘
○稲川政府委員 委員御指摘のとおり、使用済み燃料の中間貯蔵は、使用済み燃料の発生の状況と使用済み燃料を処理する再処理事業の進捗を調整するための措置でございまして、従来からの原子力発電所内での貯蔵に加えて、原子力発電所外の施設において中間貯蔵する事業を核燃サイクルの中に位置づけるものでございます。
使用済み燃料の再処理につきましては、現在、青森県六ケ所村において再処理工場の建設が進んでおりますが、第二再処理工場については、二〇一〇年ごろに再処理能力、利用技術等について方針を決定することになっております。
使用済み燃料の中間貯蔵の期間についてのお尋ねがございました。この期間につきましては、発電所における使用済み燃料の発生及び貯蔵の状況、再処理工場の稼働状況及び第二再処理工場の再処理能力、さらには中間貯蔵施設立地地域との関係など、さまざまな要因に依存するところがございます。このため、今現在、具体的な年限、年度を現段階で申し上げることはできませんが、いずれにいたしましても、使用済み燃料の貯蔵期間が長期にわたることがないように、再処理工場の運転計画等を着実に進め、核燃料サイクルの確立のための努力を最大限行ってまいりたいと思います。
なお、総合エネルギー調査会原子力部会で、この中間貯蔵を検討するに際しまして、使用済み燃料貯蔵対策必要量を計算いたしました。冒頭委員が御指摘になりました二千三百トン、二〇一〇年度までの対策必要量でございますが、再処理工場の稼働のおくれに伴いまして、これに二〇一〇年度までの要対策量としては千六百トンが追加をされまして、累積の要対策量として、二〇一〇年度までが三千九百トン、二〇二〇年度までが七千七百トンでございます。この二〇一〇年から二〇二〇年の間には、毎年千四百トンの新たな使用済み燃料がフローとして出てまいります。処理量としては、再処理の八百トン、その差のほかにそれまでの累積量が合わさって、合計で七千七百トンという数字でございます。
こうした累積量に対しまして、六ケ所村の再処理工場、第一次工場での八百トンの再処理を続けながら時間調整をする、また、第二再処理工場の能力、技術等について二〇一〇年に決定され、その再処理能力が上積みされた上で今後の貯蔵期間が具体的に決まってくるというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/154
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155・北沢清功
○北沢委員 そうなると、中間貯蔵施設というよりは、貯蔵施設あるいは備蓄施設というように呼ばれても仕方がないのじゃないか、そういうふうに私は思うわけであります。
次に、簡単な御答弁をいただきたいと思うのですが、中間貯蔵施設の責任について通産省にお聞きをしたいのです。
前回の委員会で我が党の辻元清美委員が質問をいたしまして御答弁をいただいたわけですが、いま一つはっきりしておりません。それは、貯蔵責任について、賠償が必要とされるような事態が発生した場合、原子力損害賠償法、原子力損害賠償契約法との関連では、賠償責任は電気事業者、貯蔵責任者のどちらにあるのでしょうか。この点についてお尋ねをしたいと思いますが、簡潔に御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/155
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156・稲川泰弘
○稲川政府委員 原子力賠償法上の補償義務は中間貯蔵者にございます。その理由は、中間貯蔵施設の中にあります使用済み核燃料の所有権は電気事業者にございますが、中間貯蔵を行っている間の安全確保の責任につきましては、原子炉等規制法上、貯蔵事業者がその安全確保を図る任に当たるというふうに位置づけておりまして、責任を一元化するという形をとってございます。こういうことによりまして、先ほどのお答えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/156
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157・北沢清功
○北沢委員 そうなりますと、事業主体者の責任というものが非常にあいまいになってくるわけですね、実際に出てくる問題でありますから。その点についてはさらにひとつ明確にしていただきたいと思います。
次に、省庁の再編を踏まえました上で、核燃料サイクル施設の規制者であるという観点からお尋ねをいたしますが、今回の法改正では、中間貯蔵施設の許認可責任は通産大臣に帰属するというふうに理解をしております。このことは、今後これに倣って核燃料サイクル施設の総括責任を通産大臣に移行させるという流れを示すものであるかどうかということ、このあたりを有馬長官にお聞きをしたいのでありますが、この場合、とりわけ関連施設の安全性が通産省の管轄で担保されるかどうかということについても、あわせてお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/157
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158・有馬朗人
○有馬国務大臣 現在のところからまず申し上げますと、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の安全規制につきましては、原子力発電所の中の使用済み核燃料貯蔵施設の安全規制の実績を踏まえまして効率的に実施することができると考えられたため、通商産業大臣の所管とされたものと理解いたしております。
今後のことでございますが、今後の原子力の安全規制につきましては、中央省庁等改革基本法に基づき、原子力のエネルギーとしての利用に関係する安全確保のための規制を経済産業省が担当することとされているところでございます。
一方、安全性の問題でございますが、行政庁の一次安全審査の後の二次審査を引き続き担当する原子力安全委員会につきましては内閣府に移行することとされております。しかしながら、私といたしましては、国民の皆様の御支持のもと、原子力安全のかなめとしての機能強化が図られることが必要と考えている次第でございます。
いずれにいたしましても、引き続き原子力の安全確保に国として万全を期してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/158
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159・北沢清功
○北沢委員 御答弁がありましたが、私は、原子力の安全性というのはこれからも非常に重要な問題でありますから、ぜひひとつ、チェック機能が果たせるような仕組みを残していただくようにお願いをいたしたいと思います。
最後に、これは意見ですが、中間貯蔵施設の必要性が生じたのは、政府の核燃料サイクル計画そのものの破綻、または決定的な遅延に起因する計画破綻によるものであり、この破綻をただいたずらに中間貯蔵施設をつくって穴埋めをするということは、核施設の拡散を助長するだけで、将来に禍根を残す結果を招くと思います。したがって、今必要なのは、中間貯蔵施設をつくることではなく、計画そのものの抜本的な見直しと努力が必要だと思います。
そして、原子力発電所外に中間貯蔵施設をつくることは、使用済み燃料の発生者と管理者の責任の分散を招く、電気事業者の責任をあいまいにして発生量の低減努力を失わせるものだというふうに思います。電気事業者は、その責任において原子力発電所における貯蔵施設を増設することをまず追求すべきでありまして、それにはまず、原発の新規建設が住民の支持を得られずに立ち往生するような現在の状況の中で、一般の産業廃棄物をめぐる住民運動にも厳しさが増す中で、使用済み燃料の中間貯蔵施設または備蓄施設の建設への地域住民の同意を得ることは非常に困難と思われますので、住民の同意なしに建設はありません。
以上によって、私どもは改正案については賛成しかねることを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/159
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160・北側一雄
○北側委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/160
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161・北側一雄
○北側委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/161
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162・吉井英勝
○吉井委員 私は、日本共産党を代表して、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部改正案に対する反対討論を行います。
反対理由の第一は、使用済み核燃料の中間貯蔵事業の新設は、再処理を前提とした核燃料サイクル政策の破綻を取り繕い、この政策を継続、強行するためのものだからであります。行き場のない使用済み核燃料の急増は、再処理技術が未確立にもかかわらず原発増設を強行してきた結果であるとともに、再処理すれば余剰プルトニウムの蓄積を増すことになり、現行の核燃料サイクル政策の破綻は明白です。政府に今求められているのは、破綻の現状を率直に認め、核燃料サイクル政策を根本的に見直すことであります。
第二に、原子力の軍事転用を防ぐための規制は、原子力の平和利用原則を担保するために政府が責任を持って行うべきものであり、これを民間委託することは、原子力の平和利用原則に対する政府の責任をあいまいにするものになりかねないものであります。
第三に、国際原子力機関による保障措置の現状は、一部大国の核独占を保障する核不拡散条約の枠内のものであり、その補完策である本案は賛成しがたいものであります。
なお、原子力の軍事利用を防ぐために、また国民の平和と安全を守るために、核物質等の厳重な監視は必要なことであり、それに政府が責任を持つのは当然であります。また、自主、民主、公開の原子力三原則を厳守するとともに、核兵器など原子力の軍事利用を全面禁止することこそ、原子力の平和利用を根本的に保障するものであることを強調しておきたいと思います。
以上、反対理由を申し述べまして、討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/162
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163・北側一雄
○北側委員長 これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/163
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164・北側一雄
○北側委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/164
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165・北側一雄
○北側委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/165
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166・北側一雄
○北側委員長 次に、ただいま議決いたしました本案に対し、山口俊一君、辻一彦君、斉藤鉄夫君及び菅原喜重郎君より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。山口俊一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/166
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167・山口俊一
○山口(俊)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ及び自由党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に際し、次の事項に関し、特に配慮すべきである。
一、高レベル放射性廃棄物処分対策を含め、核燃料サイクル政策の一層の明確化を図ること。
一、使用済燃料の中間貯蔵施設に関し、十分な安全の確保が図られるよう万全を期すこと。
一、使用済燃料の貯蔵状況にかんがみ、中間貯蔵施設の円滑な立地に向け、地元住民や自治体の意向を踏まえつつ、適切な措置を講ずること。
一、国際的な核不拡散体制の強化に積極的に取り組むとともに、追加議定書の措置を実施するに当たっては、原子力産業の競争力及び健全な発展を阻害することのないよう遺漏なきを期すこと。
一、原子力防災対策については、立地自治体の要望にも配慮しつつ、防災実施機能の強化等を図ることにより、その実効性の一層の向上に向けて適切な措置を講ずること。
以上であります。
各事項の内容、趣旨につきましては、委員会の審査を通じ十分御理解いただけることと存じますので、詳細の説明は省略させていただきます。
何とぞ各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/167
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168・北側一雄
○北側委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/168
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169・北側一雄
○北側委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。有馬国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/169
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170・有馬朗人
○有馬国務大臣 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の上、御可決をいただき、まことにありがとうございました。
私といたしましては、ただいま御決議いただきました附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、原子力行政の遂行に全力を尽くしてまいる所存でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/170
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171・北側一雄
○北側委員長 お諮りいたします。
本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/171
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172・北側一雄
○北側委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/172
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173・北側一雄
○北側委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114503911X01019990512/173
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