1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年三月十二日(金曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 平田 米男君
理事 佐田玄一郎君 理事 谷畑 孝君
理事 原田 義昭君 理事 宮本 一三君
理事 鉢呂 吉雄君 理事 吉田 公一君
理事 井上 義久君 理事 青木 宏之君
飯島 忠義君 岩永 峯一君
江渡 聡徳君 小林 多門君
田中 和徳君 玉沢徳一郎君
中野 正志君 西川 公也君
蓮実 進君 松本 和那君
宮腰 光寛君 目片 信君
吉川 貴盛君 田中 慶秋君
畑 英次郎君 平野 博文君
山本 譲司君 山本 孝史君
石井 啓一君 西野 陽君
辻 第一君 中島 武敏君
中西 績介君
出席国務大臣
建設大臣 関谷 勝嗣君
出席政府委員
国土庁大都市圏
整備局長
兼国会等移転審
議会事務局次長 板倉 英則君
農林水産省構造
改善局長 渡辺 好明君
建設大臣官房長 小野 邦久君
建設省都市局長 山本 正堯君
建設省河川局長 青山 俊樹君
委員外の出席者
建設委員会専門
員 白兼 保彦君
委員の異動
三月十二日
辞任 補欠選任
阪上 善秀君 吉川 貴盛君
山本 有二君 江渡 聡徳君
平野 博文君 山本 孝史君
長内 順一君 石井 啓一君
同日
辞任 補欠選任
江渡 聡徳君 山本 有二君
吉川 貴盛君 中野 正志君
山本 孝史君 平野 博文君
石井 啓一君 長内 順一君
同日
辞任 補欠選任
中野 正志君 阪上 善秀君
三月十二日
海岸法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)
同日
過疎地域活性化のための新立法措置に関する請願(堀込征雄君紹介)(第一一九四号)
新道路整備五箇年計画の推進と道路特定財源の堅持に関する請願(堀込征雄君紹介)(第一一九五号)
は本委員会に付託された。
本日の会議に付した案件
都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)
海岸法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)
午前十時開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/0
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001・平田米男
○平田委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平野博文君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/1
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002・平野博文
○平野委員 おはようございます。民主党の平野博文でございます。
かなり同僚の議員の方から質問がたくさん出ておりまして、できるだけ同質の質問のないように心がけて質問をしたいと思いますが、多少オーバーラップするところがあればお許しをいただきたいと思います。
具体的なこの法案の質問に入る前に、少し町という視点を総論的にといいましょうか、各論に入る前に、町というのは一体どういうものなのか、このことを少し議論させていただきたいと思います。
そういう視点で、私、非常におもしろい文章を実は探してまいりました。この文章を少し読み上げますので、ぜひとも大臣並びに役人の方々、この文章について質問いたしますから、ぜひお聞きをいただきたいと思うんですが、この文章は、ロボット博士と言われる森教授の本の中に書いてあった部分でございますが、少し読ませていただきます。
広い原野がありました。そこへ一匹の子牛がやってきました。子牛は気まぐれにくねくね曲がりながらその原野を通っていきました。
その翌日に、狩人に追われたシカがやってきました。緊急のときでありますから、あれこれ考えている暇がありません。そこで、前の日に通りました子牛の道を通りました。シカは子牛の通った、草が寝ている合間を縫って逃げていきました。もちろんシカを追う狩人もそこを通って追いかけていきました。草はますます踏みつけられ、はっきりと、曲がりくねった道ができ上がったわけであります。
その次の日には羊がそこに来ました。曲がりくねった小道を、なぜこんなに曲がりくねっているんだと不平を言いながら通っていきました。
しばらくして、今度は旅人が来ました。旅人もその曲がった道を通っていきました。
こうして歳月は流れ、草はとれ、地肌が顔を出し、曲がりくねった草原の中に小さな小道ができ上がりました。こうなってまいりますと、村人も旅人も馬車も犬もその曲がりくねった道を通るようになりました。
歳月が矢のように過ぎまして、そこの曲がりくねった小道は大きな通りになっていきました。村の人々は、その大きな通りに沿って曲がりくねって家を建てていきました。瞬くうちにそこは大都会の中心街になっていきました。鉄道が敷かれましたが、その線路においても、その道に沿って曲がりくねって通っていきました。
何十万人もの人が、今なお、何百年も昔に通ったあの一頭の子牛に導かれてくねくね曲がりながら通っておるし、そういう町並みができていったのであります。
このことを考えていきますと、これは非常に意味ある言葉だと私は思っております。何もないところに道をつけていく、何もないところに都市計画をしていくんだ、町づくりをしていくんだ、こういう視点のときに、いかにビジョンと哲学を持って物事を進めていかなきゃならないかということの一つの教えだと思っています。
いま一つは、一たんでき上がっていきますと、なかなかそのことを変えていくという難しさを物語っておるように私は思えてなりません。これが、ロボット工学の東京大学名誉教授の森博士がある本の中に引用されている文面であります。このことをひとつぜひ頭の中に入れていただきまして、これからの質問に入っていきたいと思うんです。
そういう視点で見たときに、私、町ということを考えましたときに、構成要素として何が必要不可欠なのか、このことをまず建設省の実際に企画立案をされている現場の局長に、町の必要不可欠な概念というのはどういうものか、抽象的でありますが、まずお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/2
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003・山本正堯
○山本(正)政府委員 先生ただいまお述べになりました、一匹の子牛が通った道から大きな都市ができ上がっていく過程、いろいろな課題があるということ、あるいはまた、一たびできるとなかなかそれを変えるのは難しいというようなことを、大変示唆に富んだ、私ども、心して都市行政に当たらなきゃいかぬという基本の話かと思います。
その中で、先生御指摘がございました都市の構成要素として必要不可欠のものは何かというお話でございますが、まさに都市とは何かという御質問かと思います。大変難しい御質問だと思いますし、一義的に都市を定義するというのは大変難しいかと思います。
私ども、機能とか活動とかの面でとらえれば、都市というのは人と土地と物、そして資本と情報等といったものが集積して、そういう集積の魅力によりましてさまざまな生活や活動が支えられている場というようなこともある一面で言えるんじゃないかと思います。
さらに、我が国におきまして、そういうような急激な都市化への対応の中で今までおろそかになりがちでございました歴史とか、文化でありますとか、あるいは自然的な価値でありますとか、そういったようなものも都市の個性を考えた場合に重要な視点ではないかというように考えております。
私ども都市局として都市計画法というものを預かっておりますが、そういう法律のところから読み取られますことは、都市計画区域の条件として、例えば人口が一万以上であり、かつ、商工業その他の都市的業態に従事する者の数が全就業者の五〇%以上であることといったようなことが規定されております。
こういうところから考えてみますと、都市の構成要素は、一定の数の人とその人の活動をする場、区域、広がりといいますかそういうようなもの、そして、そこで商工業とか都市的活動が営まれていることといったようなことが要素なのかな、こういうふうに思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/3
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004・平野博文
○平野委員 今局長が申されましたけれども、人というのは最大の要素だと私は思っております。
そういう中で、私は、必要な構成要素というのは三つある、このように私自身が定義をしているんですが、一つ目には、やはり一番重要な要素というのは人だ、二つ目には施設だ、三つ目にはやはり自然というコンセプトがあると思うんですね。この三つが共生環境をどのように空間として生み出すのか、こういうことになるわけなんですね。
私、この三つを規定する大きな背景というのは、どういう変化から背景をつくり出してきているか、こういう前提条件が要るわけでありますが、私は、今回この三つの構成要素が町の構成要素だとするならば、やはり時代の社会潮流、これに対する変化というのは絶対あるわけでございまして、そういう意味の大きな要素というのは、一つには高齢化という時代だ。そうしますと、少子化を含めた人口構成が変化をするわけでありますから、そういう立場で、バリアフリーの対策というのは、必要要素としてこれからの町づくりの中には入れていかなきゃならない。もう一つは、地球環境という環境との共生という視点で見たときには、エコロジーであるとかいわゆる省エネ、リサイクルという考え方も町の中に取り入れなきゃならない。こういうふうに、一つ社会潮流の変化として大きな変化がそこに存在してくる。
こういう中で、私、三つの定義をしてみました。
人というのはどういう定義をしているかということはあるわけですが、若い人、お年寄り、男性、女性、そこにエリアの住民として住む人、あるいは地域住民、あるいは広域的にそこの町に来る人、さらには外国人の方、障害者の方、あるいはそこを利用している人、運営している人、人にも、いろいろな役割を持つ人という構成要素がある。一方、施設ということでいきますと、建物であるとか道路であるとか鉄道とかトンネル等の施設というものがその町の中にある。一方、自然という立場から見てみますと、もちろん太陽であるとか水、空気、植物、動物、こういう自然。
この三つの構成要素が町という形態、空間をつくり、その空間というのは、先ほど申し上げました社会の潮流の変化にどのようにフィットするか、どのように対応させる町にしていくかというのが基本の町だと私は思うんですね。そういう意味で、私は、主役はやはり人でなきゃならない、こういうふうに思いますし、人がいなければ町は存在をしない、人が住みやすいと感じなければ人はその町から立ち去ってしまう、そういう観点で町づくり、再開発ということを考えてみますと、主役はあくまでも人である、やはり人に優しい環境創造をしていかなければならない、こういうことを私は思っているわけであります。
これは大臣に、そういう考え方で町づくりというのはしていかなきゃならないと思いますが、大臣としての御感想はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/4
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005・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 先生が、都市といいましょうか町づくりの経過を、いろいろなことを例に挙げられましてるる御説明いただいたわけでございますが、確かにそのとおりであると思うわけでございます。
いずれにいたしましても、当初人がそこに集まってくる、そして生活を維持していくためには、やはり何といいましても経済開発というもの、生活の基盤をつくるということが第一でございますから、その当初の過程においては、どうしてもやはり自然破壊といいましょうか、破壊と言いますと、表現はその時代においては的確ではないと思いますが、自然のものあるいは動物等々を狩猟あるいは耕作をして生活を維持しておったというところから、ずっと今日まで発展してきたわけだろうと思います。それで、都市がずっとそういう中で築かれてきて、私は、先生が御指摘のように、自然を破壊して今日の生活水準を得ておったと思うわけでございまして、そういうようなことはもうこれ以上は進めていくことはできませんから、自然と共生のできる開発というものがなければならないと私は思っております。
また、そういうようなことは、政策的にも、また国民の一人一人の感覚も、その方向に向かって進んでいっておると思うわけでございまして、そういう中にあって、やはりこれからは物質的な喜びだけではなくして、先生が言われます、人に優しい、そして安心して住める、そして身の危険を感ずるようなことはない、そういう安全な、危機管理がされた、そして、道路にしたって、あるいは家の中の構造にしても、やはりバリアフリーという状態で、高齢者の方々が安心して生活できる、そのような流れにずっとなってきておると思うわけでございます。
したがいまして、これからの都市再開発といいましても、一つの法律だけではとてもそれを網羅することはできないと私は思うわけでございまして、いろいろな関連の法律というのは、光陰矢のごとしではありませんが、今の時代の変遷、変化、流れというものは早いわけでございますから、やはりその都度、適宜的確に法律改正を行って、すばらしい都市づくりということをやっていかなければならないのではないかな、そういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/5
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006・平野博文
○平野委員 大臣の御答弁で、基本的にはやはり人に優しいそういう町づくりでなきゃならない、こういうことのお考え方をいただいたわけでございます。
そこで、一つ、こういう事例についてはどういうふうになっているかということをちょっとお聞きしたいんでございますが、都市開発という視点、町づくりという視点に立つわけでございます。
これは結構古いことでございますが、昭和三十八年に筑波研究学園都市、こういう都市構想を国家プロジェクトとして起こされたわけで、もう既に三十年を超えているんですね。これは国家プロジェクトとしてつくった、これからの未来型の都市という発想で起こした、かなり大きな資本を投下してつくったわけですね。
一方、これからは、既存の市街地とか荒廃する町を再開発という一つの大きな手法でもってやっていくわけであります。これは、言ったら、国家プロジェクトを起こしたというのは、ほとんど更地という発想で町づくりをしたわけであります。これについて少し、きょう国土庁の方から局長に来ていただいていますが、現状の筑波の学園都市の実態と、成果は言ってもらう必要はありませんから、成果はわかっていますから、問題点、課題を一度ちょっと出してもらえませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/6
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007・板倉英則
○板倉政府委員 筑波研究学園都市についてのお尋ねでございますが、先生御指摘のとおり、昭和三十八年から閣議了解がございまして、もう三十数年がたっているわけでございます。この地区には、もう既に四十六の国の試験研究機関あるいは教育機関、それから周辺地区に二百以上の民間の研究所あるいは企業等が集積しているわけでございまして、我が国最大の研究開発拠点ということで成長をしているわけでございます。
都市づくりの面でも、都市基盤整備というのは大体一通り整備が終わりまして、緑豊かでゆとりのある研究環境あるいは居住環境が形成されているというふうに思っているわけでございますが、先生御指摘のとおり、幾つかの点で今後やはり改善をしていくべき点もございます。
私どもの認識といたしましては、一つは、公共交通機関が非常に弱い、これは東京と直結する通勤新線として今常磐新線の建設にかかっているわけでございますが、こういったものができるとかなりよくなるということ。それから、都市内の足でございますバスの便が非常に不便である、あるいは研究者がくつろげるような都市のにぎわいとか、あるいは定住者にとっての憩いの場とか、そういう面でまだ改善すべき点があるのではないか。
そういうことで、私ども、昨年四月に筑波研究学園都市建設法に基づきます建設計画というものを大幅に改定いたしまして、これからの、今申し上げましたような改善すべき、特に研究者、留学生あるいは居住者にとっての居住環境の整備という観点を一つの柱にいたしまして、これから長期的視点に立った都市づくりを推進していきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/7
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008・平野博文
○平野委員 今局長から報告されましたが、やはり私が先ほど言いましたコンセプトからいくと、何が一番課題としてあるか。定住化が余りされていないということですよ。すばらしい研究機関とかそういうものはそこにかなり誘致されて、それなりのテクノロジーの町としてはなっているのですが、要は、そこに人が定住しない、しにくい環境にある町をつくっているのではないか。
僕は、一番大事な、先ほど三つのコンセプトがあるのではないですか、そういう意味ではやはり人が一番中心ですよと言ったときに、筑波学園都市というのは人が中心になり得る、研究機関としては、技術屋さんとか研究者は寄ってくると思いますが、定住をするという視点でのコンセプトが余りにもないのではないか。予想された人口もまだ六割ぐらいしかいっていない。なかなかそこにやはり住みつこうとしない。
それともう一つは、筑波都市とその周辺との格差がやはりつきまして、地域住民との融合が図れていない、何か隔離された町になっているのではないか、こういうふうな感じがするのです。国家プロジェクトでやっているのですよ。建設大臣も、やはり人に優しい、人というのはやはり主役ですよと言っているにもかかわらず、やはり定住化しないという町が結果的には出ている。
私の選挙区のそばに京阪奈という町があるのですね。京阪奈も今特に、官主導で筑波をやりましたから、民のあれでやりましょうということでやったわけですが、今穴だらけですよ、現場に行きますと。まあ、これからだと思いますが。だから、やはりこれからそういう視点を町づくりの中に本当に最優先で取り入れていただかなければならないのだ、こういうふうに私は指摘をしておきたいと思います。
いま一つは、例示を挙げて申しわけありませんが、実は全国都市開発プロジェクトというのがありまして、これは建設省の都市局とか通産とか郵政とか、複合体でいろいろやっているのですね。これはわからないのですが、例えば都市局でやられているものでいきますと、公団さんはもちろんですが、地域振興整備公団がオフィス・アルカディア、こういう事業名でやっている。財団の都市未来推進機構ということで、街並み総合支援事業とか、インテリジェント・シティ構想とか、エコシティとか、次世代都市整備技術研究組合が次世代都市整備事業とか、通産はニューメディア情報化未来都市構想とか、郵政はテレコムタウンとか、いろいろ各省庁が町のプロジェクトをいっぱいつくっているのですね。
これは、思想に一貫性はあるのですか。それぞれ省庁の予算をとるためにあちこちいっぱいこういう起案をしてつくっておって、それぞれ全国津々浦々に、その町が予算がつくというようなもので名乗りを上げて、これはみんな虫食いでやっていっている、こういう実態があるのですね。結構ありますよ。これは相当のコスト、費用を使うと思うのですが、先ほど言いましたような一貫した町づくりの発想、思想がこの中に共通項としてあるのかどうか、ぜひお聞きしたいと思います。
〔委員長退席、井上(義)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/8
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009・山本正堯
○山本(正)政府委員 ただいま先生御指摘のように、アルカディア構想でありますとか、ニューメディア構想でありますとか、インテリジェント・シティでありますとか、各省あるいはまた各団体がいろいろな構想を出しております。
都市づくりは、単に基盤整備というものにとどまらず、場合によっては産業政策、あるいは情報政策、あるいは福祉政策、場合によっては教育政策といったようなものまで大変分野の広いものであろうかと思います。そういう政策分野とも連携して、総合的に進めていくべきものであろうと思っております。
そのときに、先生おっしゃいますように、一つのバックボーン、都市づくりというもののバックボーンというものをやはり持っていかなければいかぬ。それは何かというと、産業政策なりあるいは福祉政策をやるに当たっても、先生おっしゃるように、人がいかにそこで生活し、人がいかに豊かに感じるかということがやはり都市づくりの基本ではないかな、こういうふうに私どもも思っております。それにつきましても、私ども、いろいろな政策をそれぞれのところで出しておりますが、関係省庁密接に関連して、そういうバックボーンの中で一生懸命やっていくということではないかと思います。
例で恐縮でございますけれども、去年、中心市街地の活性化のための一つの法律が成立をいたしましたけれども、これもただ一省庁だけではなくて、建設省、通産省、自治省と共管でございますけれども、それにあわせまして、全体の十三省庁共管で、中心市街地をどう活性化していくかといったような基本の大きな目的に向かって一致団結していこう、統一的な窓口をつくり、総合的な支援措置を協議しながらつくっていくというようなことであろうかと思っております。そういうふうな認識で、私ども総合的な施策を都市づくりのところで考えていきたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/9
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010・平野博文
○平野委員 今局長が言われましたけれども、確かに、去年は中心市街地で建設、通産ほか十一省庁が複合して支援策を持って、これは、あらゆる角度から見て、一つの町づくりということで中心市街地の支援策をつくったわけですよ。私は、これはいいと思うのです。
ただ、各省庁それぞれ、自分の省益か、ここは省の存在を示すために、あちこちプロジェクトを、一体これは全体幾らのコストをかけているのですか。これは建設省だけではわかりにくいと思いますが、大体どんなものですか。何ぼこのためにお金を投じているのですか。建設省だけでもいいです。これは通告していませんから、答えられなかったらいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/10
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011・山本正堯
○山本(正)政府委員 建設省の中でもいろいろなプロジェクトがございます。先生がおっしゃいましたようなプロジェクトもございます。例えば中心市街地につきましても、これは今年度の予算でいえば、国費、地方負担を含めまして一兆円を超えている事業費でもって事業をやっております。その他関係省庁、いろいろなところで、いろいろな構想でやっておりますので、その予算規模、事業規模というものは相当のものであるというふうに思っています。
〔井上(義)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/11
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012・平野博文
○平野委員 いずれにしても、これだけたくさんあちこちにばらまいてしまったら、これは一貫した町づくりの思想というのが出てこないのですよ。だから、やはり町づくりをやるのは、もし建設省が中心あるいは国土庁が中心になるのであれば、一貫して調整と、これだけは外さないでくれという思想をやはり入れてもらわないと、いろいろなものがあちこちにでき上がって、何十年後かしたらそこが何か建物だけが残った廃墟になってしまう、これが私は一番恐ろしいのですね。
少し話が変わりますけれども、リゾート法なんというのは、これも鳴り物入りで、私は去年も質問しましたが、あれで成功したところはどこがありますか。何もないのですよ、あれ。皆赤字で、成功しているところというのはないですよ。唯一、ゴルフ場が少しくっついた九州のシーガイアでしたか、あそこだけが何とかやっている、こういうレベルですよね。だから、余りにも小手先の手法でもって誘導すると結果は目に見えている、こういうことを私は一つ基本のところでまず言いたいところであります。
それでは、具体的に質問に入っていきますが、今回の都市開発資金の貸付けに関する法律の一部を改正する法律案についてということでございますので、少し具体的なところに入ってまいりたいと思います。
今回の町づくりについての支援策、こういうことでいきますと、やはりこれからの時代の中で、町づくりの最大の手法というのは再開発だと私自身も思っています。そういう中で、今回の改正をされているところについては理解はいたしますが、しかし、特に市街地の地域における再開発というのは、手間と時間と、また利害が絡みますから、相当資金がかかる仕事なんですね。これも私、わかります。
しかしながら、これがこれからの町づくりの最大の一つの手法になっていく可能性があると私は思っておりますから、そういう視点から、今まで、これが時間がかかってなかなか進まないとか、こういう要因があったと思うのですね。何十年もかかっているという同僚議員からの御指摘もございました。最大の進まない要因というのは、二つでいいですわ、たくさん、いろいろあると思いますが、なかなか進みにくい最大の要因というのはどういうことがあったのか。簡単で結構でございます。質問をたくさんしますから、簡潔にお答えいただいたらいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/12
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013・山本正堯
○山本(正)政府委員 都市の再開発が進まない原因、理由というのは幾つかあると思いますが、私ども、現在の状況を見てまいりますと、地価が下落している現在の情勢、そういう情勢の変化があったかと思います。
そういう情勢の変化のもとで、事業の成立のために売却するような保留床でありますとか保留地でありますとかの処分先が確保できないといったような問題、あるいは権利関係の合意形成がなかなか難しい、難航しておるといったようなことによって事業期間が長期化している。さらには、金融機関等の状況等によりまして資金調達が難航している。こういったようなところが最大の原因の二つであろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/13
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014・平野博文
○平野委員 今、局長言われましたが、最大は地価の下落だ、これが一つ。権利関係の調整が非常に難しい。金融機関とは、これはお金を貸してくれないということですか。資金が手当てできないという視点ですか。こういうことを申されたのですが、これも要因だと思いますが、私、それ以上に大事なところというのは何かといったら、やはり町づくりに対する、そこに参画する住民の意識の問題だと思うのですよ。おれはしたくないのだけれども、やらされていると。組合をつくって、おれはやりたくないのだけれども、やらされているのだと。
要は、住民が自発的に参画するような魅力あるコンセプトになっていないのですよ、これは。だから、私が言いたいことは何かというと、町づくりに対する住民の意識改革も同時にしていかないことには、幾ら金融機関がお金を貸そう、あるいは権利いいですよ、あるいは地価が下落したって、このことをすることによってその下落がとまりますよ、さらに資産価値の高いものにこの町としてなりますよということのPRなり、将来こういう構想をするのですよと。このことが、やはり参加する地域住民に強く意識改革を求めると同時に、PRができていないのではないか、こう思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/14
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015・山本正堯
○山本(正)政府委員 今、先生おっしゃいましたように、住民の意識改革、住民の意識の向上、そういうのが非常に大切だということはおっしゃるとおりだと思います。先生が先ほどもおっしゃいましたように、町づくりの主役は人である。私どもも、町づくりの主役は人であり、地元市町村であり公共団体である、地元住民であるというふうに認識をいたしておるところでございまして、そういう意味からも、住民の皆さん方の意識を改善し、向上し、私どももそれに支援をさせていただくということであろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/15
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016・平野博文
○平野委員 それに関して、具体的な施策、こういうふうにしてやっているのだというのはありますか。考え方はわかりました。具体的にこういうふうにしているのだというのが今あれば。なければいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/16
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017・山本正堯
○山本(正)政府委員 私ども、都市政策の中で、いろいろな法律に基づいていろいろなことをやっております。一番大きな体系は都市計画法でございますが、都市計画法の中で、住民が参加をするようないろいろな制度をその中に組み込ませていただいております。あるいは、環境の問題についても、環境影響評価等についても、住民の皆さん方の御意見を聞くというような制度も盛り込ませていただいております。
そういういろいろな制度の中で、私ども、住民の要望、意見をお聞きし、また、住民が主役の中で都市づくりを進めさせていただいているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/17
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018・平野博文
○平野委員 今回、民間業者の再開発をより促進するということで、四つの法律が改正になっているわけですね。私、実はきのうの夜調べてみたのですが、これだけでも四つの法案があるのですよ。都市再開発、都市計画関係を含めて、いわゆる町づくりということを考える、あるいは再開発ということを考えていったときに、一体、何本の法律がこれにかかわっているんだろう。民間の人に参画いただこうというときに、民間の人が本当に積極的に参画するためのベースとなる法律がどういうふうになっておるかがさっぱりわからぬ。
きのうの夜、私、建設六法をずっと掘り出してみただけでも、わけわからへん。一体、何本あると思いますか、この町づくりという視点で見たときに。あるいは再開発でも結構ですよ。一体、何本の法律があると思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/18
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019・山本正堯
○山本(正)政府委員 町づくりという範疇のとり方がいろいろあろうかと思います。私ども、一番典型的に、町づくりの基本でございます都市計画法体系といいますか、そういうような法体系の関係しております法律としましては、三十六本だというふうに思っております。
その他、先生が今御指摘になりました町づくりという観点で、広い意味でいえば、いろいろな法律、相当多数の法律があるということは、私どもも承知をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/19
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020・平野博文
○平野委員 都市局長みたいな専門家の方でも、多分、どうなってどうなってというのは自分ではわからぬと思いますよ。あなたみたいな幹部で、都市局の一番の責任者の方が、おれはこういうコンセプトで町をつくっていこうと思ったときに、何本の法律が重なっておって云々ということは非常にわかりにくいのですね。大臣はもちろんわかりませんよね。ましてや、一般の人が参画して、将来町づくりをするんだといって、積極的に参加をさせようというときに、膨大な建設六法を一々読んで、そんなことできませんよ。
それほど、この町づくりというのは、必要なのにもかかわらず、非常に複雑な法律体系で、わけわからへんようになっておるわけですよ。だから、一部の専門家とかそういう方でしか町づくりの起案ができない、こういう実態にあるように私は思うのですね。やはり、意欲があったとしても町づくりがなかなか進みづらいのは、そういうわかりにくい法律体系があるから進んでこないというのも大きな要因になっているように思うのですね。
そこで、私、言いたいのでありますが、町づくりというのは、先ほど言いましたように、住民の参加が必要なんだ、やはり人が参画して、自分がつくった町なんだという、そこに価値観を見出すような仕組みをつくらないことには再開発というのは進まないわけですから、一部の行政の方々や法律の専門家がやるものでなく、市民が、そこに立地して産業を起こしている企業が総合的視点でそこに参画していく、こんな体系に変えないことにはだめなんだと私は思うのですね。
そこで、どうですか、これだけたくさんある法律を、この際に一遍シンプルに変えてみるという抜本的な発想。さっきの牛じゃないのですが、たまたま歩いた人の、たまたまですよ、その跡をずっと歩いてくる。都市局長がたまたまつくった法律で、全部、何十万、何千万人の人が迷惑をこうむるケースだってあるのです。したがって、この際に、町づくり、再開発の法律の四法とかいうことを言わずに、抜本的な法律体系を考えてみる時期に来ていると思うのですが、大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/20
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021・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 そういうようなときに来ておるということは認識しておるわけでございまして、先般開催されました都市計画中央審議会におきまして、その中に新たに計画制度小委員会というのを設置いたしまして、現行の都市計画制度全般にわたる見直しに着手したところでございます。
確かに、都市開発、いわゆる建築基準法というのは難しいところもありましょう。自由勝手に、自由にどこの場所でも自由なものを建てさせたのでは、またこれは、景観だとか利便性であるとか、あるいは個人の権利の侵害というようなことも起こってくる危険性がありますから、今日まではそういうようなことで、どうしても法律の内容は規制であったと思うのでございますが、今やもうこの時代になったわけでございますから、これからは規制緩和の方向、ということは、先生御指摘のように、やはり住民の方々もいささか理解できるように法律を簡素化する、あるいは集約化するという方向には来ておると思います。
そういうようなことで、この審議会においても小委員会をつくって検討をしておりますので、先生の御意見等々も、その場でまた役所の者からも発言をさせまして、その方向に行きたいと思っております。
それから、二〇〇一年から一府十二省庁になるわけでございますが、中央省庁再編成というものも、先ほど先生が御指摘になりましたように、いろいろな役所が本当に、それは事実あったわけでございまして、予算の分捕りのためにそういうものを、事業を起こしておるというのは多々ございます。
先般も述べさせていただきましたが、海岸事業などといいますと、これは運輸省もございますし建設省もございますし、そういうようなことで、これなども本当におかしいと私は前々から思っておりましたが、いずれにいたしましても、これも国土交通省という一本になって、その中でまとまってはくるわけでございます。ですから、この中央省庁の再編というものも、陰に陽に、そういう分野を一本化していくという方向に進んでいっておると私も思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/21
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022・平野博文
○平野委員 それと同時に、大臣、市民の人が、住民の人がそういう法律体系とか情報をいつでも見られるような情報発信を、これだけ高度情報化社会だと言っておるんだけれども、一市民が本当に町づくりとかこういうことを変えていきたいんだというときに、一体どうなっておるんだという、情報がすぐわかりやすく見られるような情報のデータベース化をやはりしてもらいたいのと同時に、いつでも市民がアクセスできるような、これは決して今言われておる情報公開とかそういうことではないのですよ。当然、法律ですから、あるいは蓄積されたデータですから、だれもが利用でき得る状態に本来あらなきゃならないのですね。
そういう意味の情報の集約化と同時に、それぞれやろうとする人がだれでもアクセスできるような情報集約の、情報センター的な機能をぜひつくってもらいたいと思うのですね。大臣がおっしゃるように、複雑なものを一度簡潔な、抜本的なものに変えると同時に、やはりだれもが見られるような状態にする、こういうことも必要だと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/22
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023・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 伺ってみますと、そういう情報を提供するセンターも設立されております地方公共団体もあるようでございますが、まだ十分ではありませんので、建設省もそういう指導をなお強力に進めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/23
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024・平野博文
○平野委員 建設省につくる気はありませんか、大臣、中央として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/24
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025・山本正堯
○山本(正)政府委員 今大臣からお答えさせていただきましたように、地方公共団体にそういうセンターが順次できてきております。それを私ども建設省としても、集約化といいますか中央でコントロールして、そういう格好にするということについても、私ども、構想を今現在温めており、検討を進めさせていただきたいというふうに思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/25
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026・平野博文
○平野委員 検討するということは先延ばしするということで、つくる、つくっている、いつまでにつくる、こういう答えは出ませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/26
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027・山本正堯
○山本(正)政府委員 今のあれでございますが、現在準備中、検討中といいますより準備中でございまして、都市計画中央情報センターということで、現在そのデータベース化、あるいはまた情報ネットワークセンターという格好で、あるいはまた都市計画の専門図書館、交流ネットワークセンターといったようなことで、現在、検討中といいますより準備中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/27
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028・平野博文
○平野委員 検討中から準備中に入りましたから、いついつ完成する、こういうことに次は行くと思うので、これ以上局長に御答弁をお願いしません。
では、次に行きます。
都市開発資金の貸付けに関する法律のところでございますが、現行法では貸付対象というのは基本的に地方公共団体であった、こういうことでございます。地方公共団体の関与がなければならない形になっておったのですね。しかし、今回、住都公団に対しては国が無利子貸し付けをするということが改めて出てきたわけなんですが、これは、地方自治体の関与もないままに住都公団の事業に対して貸し付ける趣旨はどういう趣旨なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/28
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029・山本正堯
○山本(正)政府委員 今回、住宅・都市整備公団に対しまして無利子貸付制度を創設させていただきたいということで御提案をさせていただいておりますが、これは御案内のとおり、住宅・都市整備公団が従来から、民間では実施が困難な再開発事業、大規模な事業を中心にいたします再開発事業を実施しておりまして、特に最近、厳しい経済情勢あるいは土地市場の低迷の中で事業の的確な遂行を図るためには、住宅・都市整備公団のこうした再開発事業も資金調達の円滑化を図ることが一層重要になってきている、こういうことでございます。このため、こういう住宅・都市整備公団に対する無利子貸付制度を創設するということによりまして、事業の的確かつ円滑な実施を図ることとしたものでございます。
先生、今御案内の地方公共団体との関係でございますが、住宅・都市整備公団がいろいろな再開発事業を行うに当たりましても、地域の住民、地域の公共団体とも十分連絡、連携をとりながらやっていきたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/29
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030・平野博文
○平野委員 だけれども、今局長の御答弁ですが、今までだって住宅・都市整備公団というのは、そういう再開発とか基盤整備の仕事をやってきているのですよ。改めて無利子のものをなぜこの時期に住都公団につけなあかんのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/30
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031・山本正堯
○山本(正)政府委員 先生御指摘のとおり、従来から住都公団が再開発事業をやってきております。そのときに公団は、債券発行や長短期の借り入れによる資金調達といったような資金の調達をしておるわけでございますが、こうした資金調達はいずれも有利子、低利で大分低くなっておりますが、有利子でございまして、そういう意味でも、最近における厳しい経済情勢、土地市場の低迷といったような状況の中で事業の的確な遂行を図るためには、これに加えまして無利子貸し付けの制度がぜひ必要である、こういう認識でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/31
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032・平野博文
○平野委員 だけれども、公団はあと六カ月後に法律改正をするわけですよね。法律改正をするときにどうなるのかわからぬのに、まず現行の公団にこういう無利子の貸し付けを出しておくんですか。それがまず一つ非常に素朴な疑問です。
もう一つは、公団だって今まで債券を、先ほど局長が言われたけれども、債券とか建設大臣の認可によって借入金というのは入れたんですね。多分、私が勝手に憶測をいたしますが、財投からの出方が非常に難しくなるので、改めてその資金をどういうルートで引っ張ってくるかということを先取りしたやり方じゃないんですか。そういう素朴な疑問なんですね。
それで、民間がやりにくいところと言いますが、民間だって相当力を持ってきていますよ。公団でないとできないところというのは一体どんなものを想像して、公団しかできないものというのはどんな規模、どういうところを想像して局長が言ってはるのか。その点について、今三つ申し上げましたが、時間がないので、たくさん質問はありますので、簡単に言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/32
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033・山本正堯
○山本(正)政府委員 一つの点でございますが、六カ月後に住宅・都市整備公団が廃止され、新しい公団ということで、現在新しい公団法をお願いしておるところでございますが、私どもといたしましては、従来からこういう再開発事業をやってきておりましたということで、その重要性はいささかも変わることはないということでお願いをしておるところでございます。
新公団におきましてどういう事業を引き続き行っていくかということにつきましては、私どもとしては、こういう対象になるようにお願いをしたいというふうに考えておるところでございますが、新たな公団法の御審議のところで、ぜひ適切に御審議をまたお願い申し上げたいというふうに思っておる次第でございます。
それからもう一つは、民間がやりにくいところはどこかということでございますが、やはり民間も確かに力をつけておりますが、公団というようなやはりプロの、非常に技術的にも技術水準が高いというようなところにつきまして、願わくは、公団がそういう大規模な再開発事業、立ち上げ事業を行うことが必要なところというのは、大都市あるいはその周辺部でかなりまだあるというふうに認識をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/33
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034・平野博文
○平野委員 今の局長のお答えの中に、やはりちょっと問題がある発言がありますよ。住都公団はプロですから——これは民間だってプロでやっているんですよ。だから、技術的には民間の方がすぐれている、コスト面から合わせた、トータル的にすぐれているところがあると僕は思いますよ。だから、公団がすべて最高のプロだという発想は、局長、だめですよ。局長、次に天下るから言っているんじゃないですか。そうならないように、民間も技術的にレベルの高いところがありますから、そういう意味では民間ももっと大切にしてくださいよ。
時間がないですから、次へ行きます。
それと、少し飛びまして、ちょっと言いたいところだけ申し上げますが、事業用地の適正化計画ということで、この認定基準なんですが、本法律案については、民間業者によって行われる都市開発事業でございますから、こういうことを促進していく目的でございます。
そういう意味で、その対象地域を、これはある意味では限定をしておりますね。例えば、平米数の大きさとか十万人以上であるとか、こういう限定を加えているんですが、私は公的なものだったら、公共的なものだったらいいと思うんですが、これは民間業者によってやるのに、地域限定を加えるというのは、自由な発想でできてこないのではないかという意味で、これは民間業者というところに今回の主目的を置いておりますから、地域を限定するというのはやはりいかがなものかなと思うんですが、そのお考えについてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/34
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035・山本正堯
○山本(正)政府委員 今回の事業用地適正化計画につきましては、三大都市圏等あるいはまた一定の地方の大きな都市という格好で対象地域を限定させていただいているわけでございますが、いわゆる民間の再開発事業をこういう格好で行う、あるいは都心部に散在している低未利用地を、特に虫食い地を有効利用する、そのための、支援するために税制上の特例措置を講じる、こういうことでございます。
そういう税制上の特例措置を講じて再開発事業を推進するというための用地、特に虫食い用地等というのは、今申し上げましたような三大都市圏でありますとか、そういう一定の大きな都市、都心部に散在しておるということから、そういう対象になる地域につきまして、そういう低未利用地の実態とか、あるいはまた民間都市開発事業のポテンシャルを考慮いたしまして、現在、民間都市開発推進機構が土地の取得業務を行っておるようなものと同じ地域についての限定をさせていただいた、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/35
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036・平野博文
○平野委員 ちょっと視点を変えます。
民都の開発事業の部分について少しお聞かせいただきたいんですが、同僚議員、先輩議員の方からもこのところについては御質問されていますが、私は民間都市開発推進機構の土地の取得件数というのは年々ふえていっているとは思います。が、しかし、民都だけがたくさん土地を取得するだけが本来の趣旨ではございませんから、最終目的というのは、民間業者に対して土地を譲渡して、究極は再開発をしていく、こういうことが本来の趣旨でございますが、土地を取得していますが、民間業者に譲渡している実績は大体どんなものなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/36
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037・山本正堯
○山本(正)政府委員 民都が土地取得をいたしましたのは百十一件でございますが、最近取得した土地が大変多うございます。その中で、既に土地の譲渡をいたしましたのは現在二件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/37
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038・平野博文
○平野委員 そうしますと、どんどんどんどん民都が土地をどっとこどっとこ取得をする。しかし、今二件しか譲渡できていない。そのできていない理由は、経済状態が非常に悪いとかいろいろな要因があると思うんですが、それを民間に渡しただけじゃだめなので、さらに再開発に持っていった件数というのは今あるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/38
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039・山本正堯
○山本(正)政府委員 現在、事業化されておりますのが二十三件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/39
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040・平野博文
○平野委員 ここは、僕は非常に難しいと思うんですが、あまり民都が土地を抱えますと、やはり機構自体の経営の問題にもかかわってくる問題ですから、民間へきちっと譲渡し、譲渡するのが究極の目的ではなくて、最終再開発というこの三つのプロセスを経なければだめなわけですから、そこをもう少し全体的な、民都は売っちゃったらもう民都の仕事ではありませんということではなくて、究極の目的は、再開発するためのあくまでも一つの手段として民都が土地を取得するのでありますから、再開発へどうつなげていくかということも含めた考え方での推進体制をとってもらわなければだめだと私は思うんですね。
時間が参りましたから、あと十問ぐらいあったんですが、また別の機会に質問をさせていただきます。
最後のところでございますが、町の再開発というのは、何回も言いますが、私は、そこにかかわる人が常にそこにいたい、自分が永続的に住みつくためにはこういうふうな町に変えたい、こういう思いを町づくりの中に、だれが、公共事業体なのかあるいは事業組合なのか、どういう手段であろうが、あくまでも人を基本に置いた町づくりでなきゃならない、このように思っておるところでございまして、先ほど申し上げましたような三つのポイントでの町のコンセプトをひとつ基本に置いていただきまして、今後とも積極的にお進めをいただきますよう心より大臣、都市局長にお願いを申し上げまして、質問を終えたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/40
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041・平田米男
○平田委員長 西野陽君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/41
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042・西野陽
○西野委員 自由党の西野陽でございます。
質問時間がごく限られておりますので、今次国会に提案をされております都市開発促進に係ります関連法案四本のうち、民間都市開発の推進に関する特別措置法の一部改正の法律案、特にその中で、今同僚議員が最後にちょっと触れておられました民間都市開発推進機構に絞りまして質問を申し上げたいというふうに思います。
本委員会で既に言われておりますとおり、民都と略しますが、民都機構は昭和六十二年に、民間による都市開発を推進して良好な市街地を形成することに目的がある、こういうことで設立をされたわけであります。そして平成に入りまして、平成六年、土地取得業務を開始したわけでございます。そして昨年、平成十年四月には、低未利用地区における民間再開発を推進するためにということで、政府保証枠が従来の一兆円からさらに五千億円拡大をされたところでありまして、今次の国会におきましては、これを三年間延長する、こういうことが提案をされておるところでございます。
そこで、今もお答えになっておりましたので重複は避けたいと思いますが、この民都、民間都市開発推進機構の土地取得状況、事業化の状況を具体にお尋ねをしていきたいと思いますが、土地取得の件数は、局長が先ほどおっしゃったとおり、特に平成八年、平成九年、平成十年、ここらあたりから急激に取得件数がふえてまいりまして、合計で百十一件ということであります。総面積では百五十二万九千平米、その取得総額はどれぐらいかといいますと、約四千九百五十億円、五千億足らず、こういうことであります。
そこで、百十一件の土地を取得されて現在の着工件数は、今局長がお答えになりましたとおり二十三件、こういうことでございます。このうちで、事業が完了といいますか、事業が竣工しております件数と譲渡済み件数をお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/42
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043・山本正堯
○山本(正)政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、百十一件の土地を取得いたしまして、工事着工二十三件でございます。その中で、工事が竣工した件数は七件でございます。それから、その中で、土地を既に譲渡いたしました件数が二件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/43
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044・西野陽
○西野委員 百十一件の土地取得の中で工事竣工しているのが七件ということは、一〇%ないんですね、一割ないんです、六・三%にすぎないわけですね。譲渡件数は二件、先ほど同僚議員の質問にも答えておられました。
先ほどの委員からもお話があったとおり、これは事業主体に再び買い戻しをされて初めて一つの、今回のこの機能が終わった、こういうことになるのかと思っています。
それでは、土地を取得されたその時点から、その取得した当時、事業者の方からいろいろ計画が出ておると思います。その計画は、予定どおり事業が進捗しておるのは何件ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/44
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045・山本正堯
○山本(正)政府委員 工事に着手した件数は二十三件でございますが、事業の着手に向けて具体の調整が始まった件数、これが百十一件の中の六十二件でございます。事業の着手に向けた具体の調整が始まった、いろいろな計画に向けて調整が始まった、着工に向けて具体の動きがある、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/45
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046・西野陽
○西野委員 いや、それは土地を取得したら百十一件はできるだけ早く着手に向けて検討するのは当たり前でありまして、今局長答えたのは、その百十一件のうちで約半分強が着手に向けて協議をしているということですか。着手をしているんですか、着手に向けて進んでいるんですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/46
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047・山本正堯
○山本(正)政府委員 表現がちょっと不適切といいますか不十分だったかもしれませんが、工事の着工に向けてめどがついている、こういうものと御理解いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/47
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048・西野陽
○西野委員 では、めどが立っておるのが六十二件、しかし着工しているのは二十三件、竣工しておるのは七件。
それでは、再度お尋ねします。
当初土地を取得したときに事業主から計画が出ているでしょう。何年間私どもは持ちます、その間に事業に着手しますと当初の予定が出ていると思うんですが、その予定どおりに運んでおるものは何件あるのかと聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/48
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049・山本正堯
○山本(正)政府委員 お答えを申し上げます。
今申し上げておりますのは、確かに計画が出て、計画どおりといいますか、ほぼ計画どおりめどが立って進んでおるというふうに御理解いただければと思います。
計画について若干今検討しておるというのがございますが、今申し上げておりますのは、めどがついてほぼそういう格好で進みつつあるというのが六十二件でございます。
その他に、既に工事に着手しているのが二十三件ある、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/49
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050・西野陽
○西野委員 土地取得だけはできた、土地だけは買い取った、しかし事業化されないでそのまま放置されているというか、そのままの状況であるというものは今半分ほどあるわけです。それは都市開発されていないんです。不動産、土地を持っているだけなんです。失礼ですが、町の不動産屋のちょっと規模を大きくしたのと同じなんですよ。土地を持っていることが民都の目的ではないはずなんです。民都は土地を所有することが、不動産業をやることが目的ではないはずです。都市開発をしてこそ、初めてその目的が達成をされるわけでしょう。だから、そこを私は言っているんです。
その件数からすると、六十何件めどが立っているというけれども、実質に譲渡済みにされているのは二件じゃないですか。おっしゃったじゃないですか。本当に進捗率というのは、もちろんまだ年数はそんなにたっておりませんから、しかし、六年からスタートしてもう五年経過しているんですから、そういう問題がありますから。
それでは、局長がそのようにおっしゃるので、私はこれから具体的に、そんなに目的どおり、趣旨どおりできておるのかということを、委員長の許可をいただいて、現場へ行ってきましたのでちょっと写真を見ながらお尋ねをしたいと思いますので、お答えをいただきたいと思います。
その前に、映画界の、邦画の世界でしにせでありました松竹、固有名詞を出して失礼でございますが、御案内のとおり昨年の暮れに鎌倉シネマパークというのが閉鎖をされてしまったのですね。これで何か百七十億ほどの損失を出した、こういうふうに聞いております。それどころか、この会社の旧本社、築地にあるんですけれども、この本社の敷地も民都が買い取っているわけですね。民都に売却されているわけです。これだけ見ますと、企業の本社が売却をされるということは、リストラ、合理化をやっているといったって、表面的に外部から見ましたら、これはなかなか経営は大変だなと当然思われると思うのですよ。私はそのように思っているわけですね。
そこで、ちょっと写真を、五枚ほどあるのですが、まず最初のもの、一番をお示ししますけれども、これは民都さんが最初に取得した土地なんです。港区南青山、約千六百平米。ところが、これを見ていただいたらおわかりのとおり、こちらなんです、下の方がそうです。周辺は旧の建物が建っているのですけれども、真ん中は事業化されていないわけです。これは何にしているかといったら、駐車場に使っている。駐車場が悪いと私は言いませんけれども、聞きましたら、月に五、六万の駐車料金。この広さでいきますと、大体三十五台は入れる計算になるんです。そうしますと、単純計算で、年間契約で総計二千百万。
駐車料金が二千百万は、計算は少しずれているかもしれませんが、その駐車料金は民都に入っているんですか、それとも事業主の方に入っているんですか。ちょっとそれをお示ししてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/50
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051・山本正堯
○山本(正)政府委員 港区の南青山の物件でございますが、当該地は住宅、商業、業務用地という格好で取得したものでございますが、今現在、事業化までの間、駐車場として利用されているものでございまして、駐車場の設置は民間都市開発推進機構、民都機構が行っておりまして、民間に管理を委託しているということで、収入は民都の方に入っておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/51
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052・西野陽
○西野委員 都市開発が土地を取得しましてから五年経過をいたしまして、開発をしないでそのまま駐車場にしておる。残りの期間はあと五年間。何も使っていないよりはましでございますけれども、ぜひ事業化を促進させてほしいと思います。
次に、新宿区富久町。これは、富久町と言っただけでおわかりでしょうけれども、ここはバブル期に地上げ屋さんで騒がれたところですよ。皆さんはほとんど御存じですよ。しかも、その所有者たるものは例の住専。それから、脱税事件で摘発をされて問題になったのが、この高いところ、この周辺なんです。後ろ側にあるわけですね。その前のところを民都さんが平成七年三月に取得して、現在は四年経過して、これまた駐車場のままなんです。これは事業化のめどはついていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/52
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053・山本正堯
○山本(正)政府委員 新宿区の富久町につきましては平成七年に売買契約が成立しておるところでございますが、住宅、業務施設用地として事業化構想がなされているところでございますが、現在、ビルの計画を策定、検討中ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/53
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054・西野陽
○西野委員 ビルの計画を検討中ですね。四年経過しておりますよ。あと六年以内でございますよ。
次に参ります。
三番目、港区麻布台、立派なマンションが建っております。これは平成八年の三月に取得をして、翌年の平成九年六月には着工されています。しかも翌年、すなわち昨年、平成十年の八月には見事にマンションとして竣工をしております。いわば土地を取得してから非常にスムーズに事業化をされた例であると思います。
ところが、このマンションの入居、これは見ただけでもおわかりですね、立派ですよ、このマンションは。家賃は何ぼだと思います。家賃、月九十万ですよ。これは局長でも、ちょっと失礼ですけれども、大変だと思いますよ。入れないと思いますよ。スリーベッドルーム。当然、高額所得者でないと入れないですよ。しかも日本人はほとんど入っていないんです。外国人ばかりです。
ですから、ちょっとお尋ねしたいんですが、民都は、所得階層は別にして、高額所得者のためであろうと何であろうと、とにかく事業化すればそれで目的は達成していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/54
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055・山本正堯
○山本(正)政府委員 今先生お示しの麻布台の土地は、確かに目的が住宅ということでございまして、これについては、その目的に、事業化構想に沿って建てられたものというふうに理解をいたしておるところでございます。
民都機構の土地取得業務は、優良な民間都市開発事業を支援するために低未利用地を取得、譲渡しというものでございますので、その範囲においては、マンションが立地されるということは、その事業化構想に沿っておるんじゃないかと思います。そういう土地の有効利用、高度利用を図りながら都心居住を推進するという意義はあるんじゃないかな、こういうふうに思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/55
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056・西野陽
○西野委員 ちょっとよくわからないんですが。何か都心居住、最後だけわかったんですけれども。
しかし、高額所得者も都民ですから、それは絶対だめだとは言い切りませんけれども、一般都民、庶民のためにということについては、やや本来の趣旨から、必ずしもすべてが妥当性があるとは思われないんですね。要するに、ちょっと何でもありかなという雰囲気を持つのでございます。
次に参ります。
これは渋谷区広尾、これも事業化されています。平成九年八月に土地を取得しまして、見事に三カ月後、十一月に着工いたしまして、昨年の十一月、一年後には竣工いたしておるところであります。これまた事業化としてはスムーズにいっているのでございます。そして、このビルの中に、一階に、ちゃんとだれが入っているかという企業名まで書いてある。このビルは今営業中なんです。これはもう譲渡は済んでいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/56
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057・山本正堯
○山本(正)政府委員 渋谷区の広尾の土地は、事業化されまして業務用の賃貸オフィスという格好になっておるところでございます。土地の譲渡がまだ行われていないというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/57
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058・西野陽
○西野委員 事業化されて、もうテナントまで入っているのですよ。営業しているんですよ。何で譲渡されないんですか。おかしいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/58
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059・山本正堯
○山本(正)政府委員 民都機構のこういう土地取得業務の本来の趣旨でございますが、取得した土地において行われる民間都市開発事業に共同事業者として参加することができるということになっておりまして、こういう共同事業者としての立場でオフィスビル等につきまして土地を利用させることによって、より一層事業推進のための支援を行っておる、こういうことであろうかと思います。厳しい経済情勢によって事業化が困難な中で考え出された一つの方法であろうかというふうに思っております。
ただ、先生御指摘のように、こういう方式によったものでございますが、法律上はこのような運用も許容されるというふうに考えておりますが、事業の竣工が成ったものについて、私どもとしても、なるべく早い時期に事業予定者に土地を買い取ってもらうことが望ましいということで、そういう方向で努めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/59
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060・西野陽
○西野委員 最後に言われたとおり、そのとおりですよ。
事業化されて、テナントが入って営業をやっているのに、何でそちらに譲らないのですか。それはおかしいですよ。しかも、これは、私が登記所で調べたら、仮登記されていますな。何が仮登記ですか。仮登記なんてする必要ないじゃないですか。早く事業化すればいいのですよ。仮登記をするということは何の意味があるのですか。万が一これが売れなかったときには民都さんの担保をするために仮登記したのですか。この会社が経営が危なくて譲渡ができないと思っているんじゃないのですか。どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/60
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061・山本正堯
○山本(正)政府委員 機構といたしまして、共同事業者として参加をしておるわけでございますので、それが使用貸借、共同事業者であるその方に一部使用貸借という格好になっておりますので、機構の権利を担保するために仮登記をしている、こういうことであろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/61
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062・西野陽
○西野委員 それを担保するために仮登記することもありますけれども、これはややこしいですな。とにかく局長、これは営業をやっているのですから、一日も早く譲渡してくださいよ。そうすべきです。そう思います。強く要望しておきます。
最後に、これは小平市花小金井駅付近の約四万三千八百平米でございます。四万ですよ。平成十年、昨年三月に取得をされました。この事業主はだれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/62
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063・山本正堯
○山本(正)政府委員 お答えを申し上げます。
日本ランディック株式会社というふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/63
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064・西野陽
○西野委員 日本ランディック。日本ランディックというのは、例の破綻をして国有銀行になりまして今公的管理をしている長銀、長銀の一〇〇%の系列会社ではありませんか。
長銀は、御案内のとおり、七千億円を超える不良債権を出したということで先般金融監督庁から発表されていますね。その不良債権を持っておる長銀から一〇〇%の出資を受けた日本ランディック、これが長銀から融資を受けて二千億以上の不良債権を持って既に現在清算の段階に入っていますね。相手がちょっと問題のところで、買ってしまいましたですな。これはグラウンドですよ、グラウンド。
私、思うんですが、長銀は日本ランディックに事業主体を移して、しかも民都が長銀から取得をして、その民都は逆にまた長銀から資金融資を受けているのですね。大臣、そうなんですね、長銀は。そのかわりに、今度は長銀から民都へ役員を派遣していますね。昭和六十二年から平成十年、連続十年間で七人送り込んでいるのです。建設省は民都には天下っておられるのです。国、民都、長銀、三角関係じゃないのですけれども、お互いにもたれ合っていると思うのですが、そう思いませんか。大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/64
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065・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 このことは先生から御質問があるように伺っておりまして、役所でも調べたようでございますが、この土地は、住宅建設事業の見込み地として機構の経営審査会及び価格審査会におきます厳正な審査を経て取得したものであるというふうに伺っております。
また、民都機構は、日本長期信用銀行から土地取得の資金の融資を受けておりますが、これは同行が融資のシンジケート団の一員として行うものでありまして、このような方法は公的な資金調達で一般に行われておるケースの一つではございます。
それから、民都機構の役員にそういう建設省関連の者が採用されているということでございますが、先生が御指摘のそういう関係にはございますが、しかし、その方々はそれぞれ専門的な知識、技術を請われてその地位についていると私は見ておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/65
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066・西野陽
○西野委員 大臣は、たまたま長銀はこういうことになりましたけれどもシンジケート団だ、建設省の方は優秀なノウハウを持った人物をさらに活動してもらおうと思って天下りをさせた、土地については適正価格であるように価格審査会を設けている、経営についても審査会を設けていると。
それならば、百十一件の取得をしたら当初の予定どおりにすべて計画は進んでいなかったらだめじゃないですか。現実におくれているじゃないですか。しかも、これは二件しかスムーズにいっていないのですよ、局長は六十二件いっていると言いますけれども。しかも、これはたまたま問題にもなっていますし、現場にも行って、いろいろ、それなりに調べてみたのです。
私は、民都がけしからぬと言っているのではなくて、財団法人が税制上の特典を受けて、しかもいわば国から保証を受けて、これだけの事業を展開して都市開発をしようとしているのでしょう。審査会を設けているというけれども、審査会は本当にやっているのですか。やっているなら、その効果が出ていないじゃないですか。効果というものが出て初めて審査会はよくやっているということになるのですよ。ですから、これは形骸化していますよ、こういうのは。私はそう思うのですよ。
だから、本当にもっとチェックしたらどうですか。予定どおり事業を取得してから進捗をしているということが結果として出ておるならば、ああ御苦労さんでございます、しかし、現に出ていないのだから、問題があるのですから。それを十分チェックをする必要もあると思いますよ。
この一例から申し上げましたとおり——これだけではありませんよ。日債銀だってそうでしょう。日債銀がAという不動産に融資をしているでしょう。その不動産会社の歴代の社長は、日債銀から全部行っているじゃないですか。社長は全部日債銀からでしょう。融資を受けているから、社長は皆行っているのですよ。その二、A不動産が事業主体として、民都が受けているじゃないですか。
これだけじゃないですよ。いろいろな問題があるのです。それがすべてうまくいっておりますと答えられたのでは、そうですかと開き直らざるを得ないじゃないですか。
だから、そこは謙虚に、民都の運営が、いろいろなバブル崩壊期のことであるから難しい問題は多々あれど、精一杯こういうことで取り組んでいきます、今後も予定どおり進んでおりますということをチェックしていきますという姿勢を示さないことには、いや、もう今まで全部うまくやってまんねん、できてまんねん、これでは私は民都を認められないのです。
ちょっと、その辺をもう一度答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/66
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067・山本正堯
○山本(正)政府委員 私どもといたしましても、民都機構が平成六年から土地取得業務を進めてまいりまして、最近、特にこういう状況の中で、民都の土地取得業務の必要性が高まってきておる、こういう状況でございます。
そういう状況の中で、地価が下落しているという状況で、私ども大変厳しい状況であるということも十分承知をいたしておるところでございます。私ども、従来から、民都機構に対しましても、経営あるいは価格審査等について厳しく審査し、厳しく運営を行うようにということを言ってきておるところでございますが、そういう現在の状況にかんがみまして、今後ともそういう指導をしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/67
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068・西野陽
○西野委員 それでは最後に、大臣にちょっとお尋ねをしたいと思います。
今後とも厳しく、厳しいといいますかしっかり調査をしていただいて、チェックもして、審議会は審議会として機能しておるかということも十分監督をしてほしいのですよ。
きょうの朝刊を見ていましたら、資本注入をした銀行が経営健全化の計画に著しく異なっておる場合には、業務停止命令を出すと言っているじゃないですか。それだけ強い姿勢で出ようと、今国が、大蔵省、金融監督庁が当たろうとしているのです。これも一緒ですよ。ですから、そういう姿勢が必要だというふうに私は思うのです。
そして、あわせてこのことは、万が一、事業主体が経営不振に陥ってしまった場合、その責任といいますか、被害はだれがこうむるのかといいますと、つまるところ、民都機構の経営が圧迫をされることになってしまいますよ。ということは、最終的に、政府が保証しているのでありますから、国がリスクを負うことになるのでしょう。
ですから、そういうことが今後起こらないようにするためにも、大臣としてもしっかり、民都機構に対する監査あるいは情報公開、開示、進捗状況等についてのチェック機能の取り組みの決意のほどをお示しいただいて、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/68
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069・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 この二日間にわたります審議の過程におきましても、大勢の委員の先生方から同様の御指摘をいただいたわけでございます。
確かに、民都の開発推進機構の土地取得あるいはまた譲渡、そして現実に進展率は非常に低いというようなこと等々、また、西野先生御指摘のように、やはり経営者責任というものはこの民都機構だって当然あると私は思っておりますので、そういう意味におきまして、なお指導を強める、そしてまたその内容も十分に検討をして、先生方のその御意思をもってチェックをしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/69
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070・西野陽
○西野委員 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/70
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071・平田米男
○平田委員長 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時三十二分休憩
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午後二時三十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/71
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072・平田米男
○平田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。中島武敏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/72
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073・中島武敏
○中島委員 前回、私は、再開発促進一括法について、建設大臣にいろいろと質問をいたしました。
きょうは、私、引き続き質問をさせていただきますが、今度の法案が国民や住民が望むような町づくりに役立つ法案なのか、あるいはそうではないのか、そういう尺度からいろいろとお尋ねをしていきたいと思っております。
今度の改正案では、土地区画整理法、都市再開発法とも、事業の施行者たる組合設立を行う場合、事業計画が策定されていなくても組合設立ができる、そういうふうにされておりますけれども、そのねらいはどこにあるのかということについて、まず最初にお尋ねいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/73
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074・山本正堯
○山本(正)政府委員 お答えをさせていただきます。
土地区画整理事業の場合は土地区画整理組合でございますが、土地区画整理組合や市街地再開発組合の設立に当たりましては、事業計画策定のための調査や設計業務を行う必要がございますが、通常、これらの業務は、発起人を中心に設立された準備組合が行っておるという状況でございます。
しかしながら、準備組合は、事業計画の作成後に設立される組合に比べまして、信用力等に関しまして必ずしも十分とは言えない、いわゆる任意の団体でございます。そのために資金調達が困難になる、あるいは個人で資金を調達しなければいかぬというような場合等が生じてまいります。組合事業の推進や、あるいは、そもそも事業の立ち上げに不安があるといいますか、そもそもの立ち上げの判断に当たりまして支障になるというような場合も起こってこようかと思っております。
こういうために、事業計画の決定以前に法人格が与えられる組合の設立を可能とすることによりまして、信用の向上及び資金調達を容易にいたしまして、組合事業の円滑な立ち上げを図ろうとするものでございます。
なお、今回の法改正によりまして、前倒し設立された組合のより円滑な資金調達を図るため、御案内のとおり都市開発資金の無利子貸し付けによる支援措置を講じることとした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/74
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075・中島武敏
○中島委員 現行法では、組合を設立する場合に、発起人会や準備組合が事業計画、定款を定めて、それをもとに地権者の三分の二以上の同意を得るという厳密な手続規定がありまして、そして、その上で初めて組合設立の認可申請を行うことになっております。
事業計画には何を盛り込むかといえば、施行地区、設計の概要、事業施行期間それから資金計画の四項目が定めてありますね。この事業計画を見れば、平均減歩率を確かめることができます。また、大まかな事業採算の見通しということも推しはかることができるわけであります。つまり、地権者が自分で同意するかどうかの判断材料が曲がりなりにもあるわけですね。
ところが、改正案ではどうかというと、事業計画がなくても組合を設立することは可能だ、こういうふうになりますから、定款と事業基本計画を定めておけばよい、そういうふうにされております。
こうなりますと、平均減歩率がどのくらいになるのか、それから採算の見通しがどうなるのか、そういう判断がこれでできるだろうか。いわば、ずばり言えば、地権者に判断材料を与えないままで同意を取りつけていくということになるのではないかと思うのですけれども、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/75
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076・山本正堯
○山本(正)政府委員 先生御案内のとおり、土地区画整理組合の前倒し設立は事業計画の策定前の段階でございますので、事業の内容や資金計画について、その詳細につきましては、おっしゃるとおり必ずしも明らかにはなっていないということであろうかと思います。
しかしながら、組合設立の際に定めます事業基本方針というものがございます。事業基本方針には、地権者への適切な判断材料の提供を行うために、おおむねの平均減歩率等、必要な事項を定めるよう義務づける方針でございます。これは、法律では施行地区と事業の施行の方針ということで書いてございますが、省令で平均減歩率の概数等を定めることにしておるところでございます。
なお、前倒し設立に当たりましては、現行制度同様に地権者の三分の二以上の同意を必要といたしますし、ただいま先生御指摘がございました組合設立後の事業計画の策定に当たっては、事業計画の縦覧とか意見書の提出といった手続も実施されるということでございますので、地権者の合意形成は十分図られるというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/76
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077・中島武敏
○中島委員 今の御答弁のとおりなんだと思うのですが、しかし、そうだとすると、大まかな減歩率等がわかるという程度でありまして、やはり資金計画やなんかがどうなるのかということについてもはっきりしないとか、同意をしていいかどうか、そういう問題について、何か組合設立を急ぐという格好になって、後からやはり問題が出てくるというようなことを残してしまうのじゃないかというのが私なんかが感じるところですね。
引き続きお伺いしたいと思うのですけれども、改正案では、区画整理地区において同時に市街地再開発事業を促進しやすくする制度、いわゆる合併施行制度、これが今度創設されております。
つまり、区画整理の施行地区に市街地再開発事業区というものを設けて、再開発事業参加者に申し出をさせて換地をするという仕組みですね。再開発事業参加者の仮換地を集合換地で集める、そういうやり方だと思いますが、しかし、区画整理の仮換地の登記簿上の土地はどこにあるのかというと、やはり従前のところにあるということはそのとおりですね。つまり、全員同意で権利変換をするという都市再開発法の原則的な基準がここで崩れてしまうのじゃないかというふうに思うのですね。
事実、建設省は、昨年の八月五日でしょうか、何か通達を出しておられて、権利変換手法に関する指針、これを出しておられる。
これを読んでみると、全員同意型は合意形成に向けた調整に多大な手間と労力を施行者に強いること、事業の実現を円滑にするために弾力的な権利変換を採用することが将来の維持管理、再生を困難にする場合もあるというようなことを認めつつ、不必要に全員同意の権利変換を目指すことは市街地再開発の適切な推進を図る観点からは問題が多い、こういうことを述べているわけですね。
これは結局、今度の法律で、事業を早く始められるようにするために、全員同意の権利変換の原則を崩すというものだと思いますが、しかし、考え方は前からちょっと出ているようだという話を私はしているわけだけれども、そういうふうに原則を崩してよいだろうかというふうに考えるのですが、この点、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/77
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078・山本正堯
○山本(正)政府委員 今回、区画整理事業と再開発事業の合併施行をやることにしたわけでございますけれども、その場合に、再開発事業の手続で、例えば、施行地区の転出希望者等が地区外に出ていくといったことがあります。あるいはまた、全体の再開発事業を行うときに、区画整理地区内から一たん中に入ってくるというようなことがございます。そういうときに、そういう希望の人を全員集めて再開発事業を行うといったようなことがあるわけでございますが、そういう事業をやりやすくすることで、全員同意の合意形成を図ることによりまして、個人施行の市街地再開発事業等をうまく行うことが可能になるといったような事業の改善を図りたいということでございます。
したがって、今回の改正の趣旨そのものにつきましては、地権者の選択の範囲を広げる、あるいは区画整理あるいは再開発事業の推進を、よりしやすくするという基本的な考え方のもとに、今の再開発事業の法の改正、いわゆる権利変換についての特例的な措置を設けたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/78
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079・中島武敏
○中島委員 換地は、仮換地なのですよね。今までと違うのですよ。仮換地なのです。出ていく、入ってくる、いずれもそうやって土地を集めるわけですけれども、しかし、それは仮換地なのです。それは、都市局長はよく御存じのところだと思うのですけれども、つまり、今も都市局長の答弁にあったのですけれども、再開発事業をやりやすくしていく、早く立ち上がらせるということのためにこれが入ってきているのですね。
ところが、私は、本当にいい町をつくろうと思ったならば、余り急いでやるのじゃなくて、やはり、ゆっくり時間をかけても、みんなの本当の同意を得て進めていくというふうにした方がよいのじゃないかと思っているわけなのです。ところが、そうなっていないということは今の答弁でわかるわけです。
では、もう一つ続けて伺いたいと思うのは何かというと、現行法は、市街地再開発組合の設立認可は、法的な要件がそろっていても、これを認可できる、そういう規定になっておりますね。認可できる、そういう規定です。そうすると、知事の裁量権がやはり大きいわけですね。できるのですから、できない場合もあるということを含むわけですから、知事の裁量権が大きいということであります。ところが、今度はしなければならないというふうに言い切るわけですから、知事の裁量権が少なくなってしまう、こういうことになるわけですね。
具体的に言えば、以前、何でこんなに裁量権を持たせていたかということなのですけれども、それはやはり再開発事業が地権者の権利を大きく動かすというだけではなくて、従前建物を除却して、まるで異なる資産ででもあるかのような再開発ビルを建設するわけですよ。そういうものでありますから、住民の立場から見ても、それから地方自治体の立場から見ても、こういう町づくりがよいかどうかという判断権を知事に与えておったわけですよ。
今度は、これは変わるわけですね。これを変えて、認可しなければならない、こういうふうに言うと、やはり非常に判断権が狭められてしまって、私は今、かぎ括弧づきですけれども、地方分権の時代だと思うのですよ。こういう時代に、知事の判断権というものを狭めることが本当によい町づくりになるのか、こういうふうに思うのですね。ならないのじゃないかということを危惧しているわけです。ちょっと御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/79
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080・山本正堯
○山本(正)政府委員 ただいまの点でございますけれども、今回の改正は、再開発組合の認可に当たりまして、認可をできるという規定から、しなければならないという規定に変えておるわけでございます。
この改正の趣旨は、あくまでも事業計画の認可手続の透明性を高めるとともに、関係権利者の保護をより確実なものにするという観点から行っておるところでございまして、知事の判断権を狭めるといいますよりも、むしろ、現在の規定によりまして認可の裁量権がある、あるいはまた、その際に関係権利者の保護が図られない場合もあり得ると読み得るおそれがあるということから、私どもは、その権利者の保護をより確実なものにし、手続の透明性を高めるという趣旨で書いておるわけでございます。
大変恐縮でございますが、少し詳しく御説明をさせていただきますと、現行の都市再開発法における認可手続では、事業計画に対しまして意見を有する権利者は都道府県知事に対して意見書を提出することができる、こういうふうにされておるわけでございます。
知事が関係権利者からの事業計画に対するいろいろな意見書を採択すべきである、なるほど関係権利者から意見があるのはもっともであるというふうに知事が認めて、認可申請者に修正命令を行った場合に、事業計画がこの命令に従って変更されているかどうか、されていることを担保するために知事が認可できることにしておるということでございまして、命令に従って変更されていなければ認可しないこととする、こういうための規定であるということでございます。すなわち、意見書を提出した関係権利者を保護しよう、保護することをより確実にするために改正をさせていただいた、こういうふうな措置でございます。
都道府県知事の認可ができる規定が設けられた趣旨はそういうことでございます。
今回の改正におきましては、都道府県知事の修正命令に従って事業計画を修正し再縦覧を行う規定を整備するとともに、認可基準において当該命令に違反していないことを明確化し、これに伴って、ならないという規定に改めたということでございまして、先生の御指摘の判断権を狭めるというよりも、むしろ関係権利者の保護を確実にするということで御理解をいただきたいというふうに思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/80
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081・中島武敏
○中島委員 今、詳しい御説明があったのですけれども、やはり町づくりというのは、そこに住んでいる人たち、それから再開発なら再開発をやる人たちの意見、それからまた町づくりに責任を持っている地方自治体の長、こういう人たちの意見が十分に発揮されることが大事なことであるというのは、局長も否定しないと思うのですよね。
だけれども、私、こうやってずっと質問してみると、どうもこれは再開発促進一括法ですか、というふうに俗称が、名前がつけられているとおりに、何やら相当急ぐな、こういう感じを持たざるを得ないわけでありまして、やはり本当のいい町づくりは、急ぐことよりは、みんなで十分議論がされて、そして知事なんかも加わることができる、そういうふうなところに要諦があるのではないかなというのが私の意見でございます。
次に、民間都市開発推進機構について伺いたいと思います。
まず第一に伺いたいのは、民間都市開発推進機構、これは低未利用地を取得し、売却した事業者が同機構からその土地を借り上げ、事業を行うことによって収益を上げ、十年後に買い戻すというものであって、取得費の原資は民間資金で政府保証を行う、それから利子補給を一%行う、それからさらに長プラ、長期プライムレートを現在はマイナス〇・三%、それから税制上の各種の優遇措置、こういうふうに至れり尽くせりの公的な支援があるわけです。そのことによって事業を立ち上げやすくしているというふうに理解をしております。
つまり、そうすることによって民間都市開発事業を促進するというものであると考えるのですけれども、この理解に間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/81
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082・山本正堯
○山本(正)政府委員 ただいま先生お話がございましたように、仕組みにつきましてはおおむね先生御指摘のとおりでございます。というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/82
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083・中島武敏
○中島委員 現在まで、何件ぐらい土地を取得して、どれくらい事業化しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/83
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084・山本正堯
○山本(正)政府委員 民都機構が、平成六年三月に業務開始をいたしましたが、ことし一月末現在までの取得件数が百十一件、総面積が百五十二・九ヘクタール、総額が約四千九百五十億円の土地を取得いたしておるところでございます。
また、このうち二十三件の土地が事業化されておりまして、完成したものは七件となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/84
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085・中島武敏
○中島委員 ちょっと伺いますけれども、民都機構が取得した土地の状況はどんなものかということについて聞きたいのですけれども、どんな業種の法人から取得しておりますか。それから、その特徴はどんなところにありますか。また、土地の形状はどうなっておりますか。それから、実際開発できるような土地なのかどうか。こんな点について伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/85
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086・山本正堯
○山本(正)政府委員 機構がどういうような法人から土地を取得したかということにつきましては、個々の土地売却者のプライバシーの問題もあり、個別主体の同意があるものをこれまで明らかにしてきたところでございます。
ことし一月末までのすべての取得案件について、全体として、業種別に分類をいたしますと、不動産業が三十二件、建設業が二十五件、製造業が十八件、商業が十四件、その他二十二件、合計百十一件というふうになっております。
また、取得土地の開発可能性につきましては、取得土地の地域や面積、形状など、民間都市開発事業がきちんと見込める土地としての要件が法令で定まっております。例えば、形状につきましても、基本的にはおおむね整形であるということが要件になっております。さらに、法令上の要件に該当する土地の中から、学識経験を有する第三者から成る価格審査会の審査の議を経て、開発可能性があるかどうか十分に吟味を行っておるところでございます。
このように、土地取得業務につきましては、都市開発事業を行うことができる土地でなければ取得できないよう、制度面でも運用面でもなっておるわけでございまして、土地の取得は制度の趣旨に沿って適正に行われているというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/86
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087・中島武敏
○中島委員 事業化の進みぐあいなのですけれども、先ほど二十三件事業着手というお話でしたね。そうですね。百十一件ですよね。随分おくれているのではないかということがありますが、事業化できない理由というのはどこにありますか。
なお、済みませんけれども、答弁はひとつ簡潔にお願いします。だんだん時間が。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/87
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088・山本正堯
○山本(正)政府委員 機構は事業の見込みを十分に吟味して土地を取得しておるわけでございますので、基本的には事業化できないものはないというふうに考えておりますが、現状につきましては、地価の下落あるいは経済情勢の厳しさ、資金関係の厳しさということで、事業化についての見直しを行っておるというようなところも幾つかあるというふうに認識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/88
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089・中島武敏
○中島委員 私、いただいた百十一件、これをちょっと各年ごとに分析してみると、平成六年、このときに取得したものが二件ありますが、事業化はゼロなのです。それから、七年は六件ありますが、一件しか事業化されていない。八年は二十三件ありますが、七件しか事業化されていない。九年は二十四件、そのうち七件。それから、十年は五十一件取得しているのですが、八件しかやられていない。十一年は五件で、ゼロです。
つまり、早い時期のものでも、平成六年はゼロですわ、それから、平成七年は十六%、八年、九年は多いとは言っても三〇%前後、こういうふうになっているのです。これは何でこんなふうになっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/89
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090・山本正堯
○山本(正)政府委員 平成六年から土地取得を行ってきておるわけでございますが、それぞれの個別の土地につきましてそれぞれの事業計画を持っております。
例えば、商業施設でありますとか、住宅施設でありますとか、ホテルでありますとか、あるいはまた、そういういろいろなもろもろの事業施設の目的を持っております。その事業個別の状況に応じて違ってこようかと思いますが、最近取得が非常に多くなってきておる。最近のものについては、そういうものについて、可能な限り事業化を促進しておるという状況でございます。なおまた、先ほど申し上げましたように、個別の事業の状況によりまして見直しておるものもあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/90
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091・中島武敏
○中島委員 どうも今の答弁では私よくわからないのだな、正直言って。
というのは、これ百十一件もらったのですよ。事業化、事業化と言うのですけれども、全部構想を持っているというのでしょう。ところが、これを見ると、まことに抽象的でわからないのです。
第一、東京都の港区、「都心居住の推進」、こういうふうになっているのです。「都心居住の推進」では何なのか全然わかりませんわ。
それで、もし都心居住ということだったら、それが賃貸か分譲かということ、一体どれだけの戸数を提供しようとしているのか、個別のそれぞれの面積も含めて、面積はどれだけなのかということ、それから価格は一体どれだけで賃貸なり分譲なりをしようとしているのか、立地条件はどうなのか、こういうことがやはりわかっていないと、こんな資料をよこしてくださってもさっぱりわからない。
しかも、夕べはこういうのを持ってきてくれたのです。これはもう着工しているもの、竣工しているものばかりなのですけれども、個別の土地については公表していない、こういうふうに言われる。
これはぐあいが悪いのですよ。というのは、さっきから私が言っているように、政府の直接の資金をどんとというわけじゃない、だけれども政府保証がついているのですよ。それから、利子補給だってやっているのです。それから、長プラマイナス〇・三%をやっている。それから、各種の減税措置がとられているのです。だから、当然こういうことについてしっかりと審議にたえ得るものを出してもらわなきゃ困ると思うのです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/91
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092・山本正堯
○山本(正)政府委員 先生、今御案内のとおり、取得した土地における簡単な事業化の構想は既に明らかにされておるわけでございますが、それ以上の詳細な内容、戸数でありますとか資金でありますとかというようなものにつきましては、取得の当否を判断する材料として私どもとしては把握をいたしておりますが、こういう詳細な中身につきまして公表することにつきましては、採算面などでの事業の成立に相当な影響を及ぼす、悪影響を及ぼす可能性もあるということ、あるいはまた計画変更の可能性ももちろんあるわけでございますので、そういう点から公表は差し控えさせていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/92
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093・中島武敏
○中島委員 第一、契約の相手も書いていないですよ、契約の相手も。あんなものを出していただいて、民都機構は何をやろうとしているのだ、どこに問題があるのだ、何を審議したらいいのか。私は、今の答弁はあったけれども、これは全然納得できない。昔だったら、こんなもんで審議できるかと言って、審議ストップになって別に不思議はないような代物だと私は思いますよ。
そういう点からいえば、もっとこういうものをはっきり、我々がこういうものを見てちゃんと審議できるというものを出すべきじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/93
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094・山本正堯
○山本(正)政府委員 取得した土地につきましての売り主につきましては、従来は売り主と価格等については公表を差し控えさせていただいておったわけでございますが、今年度の第三・四半期からは、できるだけ情報を公開させていただくという立場から、氏名、売り主について、売り主の同意が得られたものにつきましては公表をさせていただく、氏名については公表させていただくという手順をとらせていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/94
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095・中島武敏
○中島委員 それはおかしいわ。公表するのに何で売り主の同意を必要とするのですか。いわば公費をつぎ込んで、いわば公的なところがやっている仕事なんですよ。民都機構はいわば公的なところじゃありませんか。そこでやっておって、この民都機構、今度は事業を延長させてくださいというふうに国会へ出してきているわけですよ。何をやっているのかは、中身は漠としておってわからない、これはないと思いますよ。
大体、物を買っているときに、経営審査会で審査しているそうですけれども、どんな審査をやっておるのかなという、もういろいろな疑問が浮かんでくるのですよ。価格審査会もあるんでしょう。価格審査会の価格は適切なのかなというようなことなんかも考えちゃいますね。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/95
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096・山本正堯
○山本(正)政府委員 土地の売却に関する事実、氏名等につきましては、情報公開の観点から見て、その事実の有無を含めまして、相手方の金銭的なプライバシーの問題として慎重に扱われるべき問題というふうに考えております。
この場合、私人だけでなく、企業につきましても、当然、信用の保持とか競争性の確保という観点、例えば本社とか工場の土地を売ったことが知れることによりまして、経営不安の風評が流れたり、あるいは取引に影響が出てくるというようなおそれがある等々の観点から、尊重されるべきである、信用の保持等の観点から尊重されるべきものであるというふうに考えておるところでございます。
しかしながら、先ほど申し上げましたように、公開を進める必要があるという観点から、十年の第三回の公表時から土地の売り主の名前については同意を得て公表するということにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/96
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097・中島武敏
○中島委員 局長の答弁、私は納得できません。何でこういうことに私がこだわるかということを具体的に申し上げたいと思うのです。
一つは、このいただいている資料のナンバー三十八です。ナンバー三十八、京都市中京区錦小路烏丸東入元法然寺町六百七十八番地の土地ですね。この土地は、エイチ・シー土地開発から買ったのじゃないですか。この土地はだれがどんなふうに事業化しようとしているのですか。
実は、この株式会社エイチ・シー土地開発というのは、長谷工グループで毎期赤字が続いているんじゃありませんか。それから、長谷工の再建計画では、数年のうちにこの企業を清算してしまう、そういうふうになっているわけですけれども、こんな赤字会社が事業を立ち上げることができると判断したんでしょうかね。それを伺いたいのです。
こういう疑問があるから、私は言っているのです。プライバシーだとかなんとか言っているんですけれども、相手の同意だとかと言っているんだけれども、これを答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/97
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098・山本正堯
○山本(正)政府委員 お答え申し上げます。
京都市の土地につきましては、先生御指摘のとおり、株式会社長谷工コーポレーションが事業予定者となって、ホテル施設を整備するという予定になっております。長谷工グループにつきましては、現在、御案内のとおり、再建計画を作成して再建に向けて努力をしておるというふうに私どもも承知をしておりますが、この件につきましては、事業化の意欲を有しておるというふうに聞いておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/98
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099・中島武敏
○中島委員 もう赤字会社の典型ですよ、これは。そんなものが事業を何で立ち上げることができるのですか。そんな答弁ではだれも納得しませんよ。私だけじゃないよ。
それでは、引き続き、もう一つ聞きます。
これはナンバー二十四です。大阪市北区の土地はどこから取得したのですか。この土地はいわく因縁の土地ではないですか。どうなっていますか。事業主体、それから事業計画はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/99
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100・山本正堯
○山本(正)政府委員 御質問の大阪市北区の土地につきましては、事業化の構想の点から、商業施設、業務施設を整備する構想があるというふうに聞いておりますが、土地の売却者及び事業予定者の同意が得られていない状況でございますので、氏名を明らかにすることは差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
事業計画についても、まだ確定的なものになっておりません今の段階では、明らかにすることはできないということで御了解賜りたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/100
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101・中島武敏
○中島委員 御了解できません。御了解賜りますと言うから、御了解できません。
この土地は、今も言いましたけれども、非常にいわく因縁の土地なんですね。
申し上げますと、バブル期に地上げのライトプランニング社は暴力団山口組系の黒誠会、それからK社、K社としておきます、K社は京都の暴力団会津小鉄のいずれも企業舎弟であることが、大阪市議会で九二年、平成でいえば平成四年ですけれども、大問題になったんじゃありませんか。敷地約三千平米のうち約千八百平米を鹿島建設から民都機構が取得して、現在は二階建ての駐車場になっているのと違いますか。だから、こういうもめた土地で事業計画というのはできない、そういうふうになっているのと違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/101
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102・山本正堯
○山本(正)政府委員 今御指摘の北区の土地につきましては、事業計画がまだ確定的なものになっていないという状況でございますので、今の段階では明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。
今の御質問の趣旨で、暴力団絡みかどうかというようなお話がございましたけれども、そういう点につきましても、私ども承知をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/102
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103・中島武敏
○中島委員 これは、承知していませんと言ったって、もうそうなんですよ。だって議会で問題になったんですよ、大阪の市議会で。そういう土地じゃないですか。そんなもの知らぬというのは、ちょっと不見識だと思います。
もう一つだけ、ナンバー六十四で、さきに西野議員が取り上げた小平市花小金井の問題なんです。これは、長銀関連のノンバンク、日本ランディックですよね。それで、非常に長銀の強い意向があったと言われているわけですね。
売買契約が成立した九八年三月は、長銀が千八百億円の公的資金注入を受けたときなんですね。公的資金を受けているときに、当然関連ノンバンクの経営破綻のおそれもわかっていたんじゃないんですか。どうしてこんなような土地が取得されているのか、そこのところを言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/103
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104・山本正堯
○山本(正)政府委員 御指摘の、小平市花小金井の土地につきましては、日本ランディックが事業予定者になって住宅等々の事業化構想ということで買収がされておるわけでございますが、当該土地につきましては、良好な住宅建設事業の見込み地として、機構の経営審査会並びに価格審査会による厳正な審査を経て取得したものでございます。
また、民都機構は、日本長期信用銀行からいろいろな融資を受けておりますけれども、これは一般の銀行のシンジケート団の一員として受けておるということで、私どもとしては特に問題はないというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/104
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105・中島武敏
○中島委員 大臣、今の問答をお聞きになっていてよくわかっていただけたことだと思うんですけれども、結局事業化できない土地を民都機構が抱えることになるんじゃないかなと。予定している事業会社が倒産したりして、十年後買い戻しできなくなったら一体どうするんだと。
だから、結局私が大臣に言いたいのは、この百十一件の事業計画の詳細及び取得価格の資料、これを全部この委員会に提出してほしいと思うんです。大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/105
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106・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 情報公開を進めていくというのは、もうそういう流れでございますから、極力進めていくべきであると私も考えております。
ただ、現時点におきましては、いわゆる売り主名などにおきましては、同意があればこれは公表しておるところでございますし、事業の予定者名におきましても、同意があればそれは公表しておる。あるいはまた、事業化の構想などは、これは同意がなくとも公表をしておるというようなことでございまして、御指摘のように、すべてが公表されているわけではありません。
確かに、政府保証もついておるわけでございますから、全くこれは公のものでございますから、そういう意味におきましては、そういう公表すべき方向に私は当然進んでいくだろうと思います。
それで、今御要望の、直ちにすべてを公表しろということはまた検討しなければならないことだろうと思いますが、公表できるものは前向きで公表するようにすべきだろうとは思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/106
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107・中島武敏
○中島委員 私、今大臣の答弁を伺いました。
委員長にお願いがあります。
やはりこういうのは、私、大臣も前向きな答弁だと思うんです。ちゃんとやはり公表の方向でやることはいいんじゃないかというお話なんですよね。しかしまあ若干、とこうなっているんですけれども、ぜひひとつ委員長にお願いしたいのは、この種のものをやはり全部提出をしていただく、そうしてこそ初めて本当によくわかって審議ができるということになります。問題点が何なのかということもわかってくると思うんですね。そういう点で、ぜひひとつこの資料は、政府の方から当委員会に提出をできるようにということを理事会で御協議いただきたいということが一つです。
それから、何か時間が大変きつくなったようなので、私、続けてちょっと質問させていただきますけれども、こういうような問題が起きるというのは何なのかというと、長銀だとか日債銀だとか日本興業銀行だとかの金融機関、それから多くの不良資産を抱える大手ゼネコンとか大手不動産会社とかそれからさらに建設省、民都機構の癒着があるからじゃないかということを痛切に感じるんですね。
さっきも問題になっていました。民都機構の理事長や専務理事、常務理事のほとんどは元建設省の官僚ではありませんか。それから理事は、大手ゼネコンそれから大手不動産、大手銀行それから損保、生命保険会社の役員ではないかと思うんですね。結局、こういうふうにしておきますと、事が焦げついてしまって、焦げついた土地を民都機構が抱えて、最終的には国民負担になるおそれが十分だと私は思うんです。
そういう点からいうと、一方、抵当権が幾重にもついているものを、不良債権、これを民都機構に売却して、そして問題の土地をきれいにしてもらって、銀行や大手ゼネコンは救済されることになるんじゃないか。民都機構はこんなことをやるんじゃなくて、バブルに踊ってそして不良債権になっているものはそれらの人たちの責任でやってもらう、解決をしてもらう、こういうふうにするべきじゃないかということを、これは大臣にお尋ねして質問を終わりにさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/107
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108・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 この民都機構が、そういう経営者、不良債権を抱えたものの駆け込み寺的にあるのではないかというような御指摘ですが、そういう意味では決してございません。土地の流動化を進めていこうということで努力をしておるわけでございますから、その点は御理解をいただきたいと思います。
それと、そういうふうな疑いを持たれないように、先ほどのように、公表できるものは極力公表をしていくという方向で御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/108
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109・平田米男
○平田委員長 ただいまの資料の要求につきましては、後ほど理事会で協議をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/109
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110・中島武敏
○中島委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/110
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111・平田米男
○平田委員長 中西績介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/111
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112・中西績介
○中西(績)委員 この法案は、この時期に複数、四本の法律改正案を一本化して提案をしておるわけでありますけれども、その意図は、民間投資誘発、内需主導の景気回復を図るだけでなくて、本来市街地住民が願う良好な都市環境、すなわち防災、居住環境、交通、景観等、人間中心の都市再開発を促進して、都市の再構築を目指すためのものになっているかどうかが大変重要な課題であろうと思っています。
まず大臣に、そうした面で御自信があるのかどうか、所信をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/112
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113・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 これは確かに、民間主導で行っていこう、そしてまた、民意を極力吸収して、住みよい都市の再開発をやっていこうということでございますから、そのいい方向にということでこの法案を提出させていただいたわけでございます。
それと、先生御指摘のように、この法案が出されました裏には、やはりバブルがはじけた後のいわゆる融資、資金確保がなかなか難しい、それを幾ばくでも資金を得やすいようにしていこうというようなこと、そしてまた、民間の方々がなかなか手を出しづらい分野においては、公的ないわゆる民都を通してそれを整地化してまた売却をしていこう、そしてそこで事業を起こすことができる機会をつくっていこうというようなことでございますから、私は時代の要求に沿った内容の法案になっておると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/113
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114・中西績介
○中西(績)委員 私は、このことを聞くのは、大臣の提案理由の中に、先ほど申し上げたように、住民が願う良好な都市環境、防災、居住環境、交通、景観等、これを都市再開発をすることによって促進していきたい、こういうことがまず冒頭に述べられておるわけですから、本法案がそうした意図をやはり基本として出されておるというように私は理解をしたいので、お聞きをしたわけであります。
特に、これからの建設行政のあり方というのは、自然をどう生かし、そして、都市における今までの日本の都市構造を考えますと極めて不整理な状況にあるし、先ほど、午前中にも論議されておりましたように、いろいろ指摘をされてきています。そしてまた、午前中も先ほども言われましたように、例えば民都の問題等一つを取り上げてまいりましても、いろいろ指摘されるようなことが出てきておるということになると、この前面に掲げた大臣の意図というものよりもかけ離れたところで、むしろ我々が指摘をしなくてはならぬような多くの問題を抱えておるのではないかということを考えますので、こうした内容についてお聞きをしたわけであります。
したがって、いろいろ多くの人がもう既にお聞きしたこともございますけれども、これから後総ざらい的に私はお聞きをし、そして答弁は、その要求あるいは質問された中身、それをただ事務的に補完をするという答弁でなしに、少なくとも、これから後の建設行政のあり方として、人間をやはり中心に据えて、どのように私たちが安心し、不安のない暮らしが続けられるか、このことをやはり中心課題として施策を進めていく必要があろうと思うのです。
例えば、防災などの問題を挙げますと、大きな道路に面しては高い建築物を建て、すき間をほとんどなくしてしまい、そして火災等に対する防災措置をするということになっております。ところが、その反面、今まで大変密集地であった地域の人たちがどのような環境に置かれておるかということを考えますと、いろいろ多くの問題がやはり派生をしておるわけであります。したがって、そうしたものを総合的にどうするかということになっていかなくてはならぬと私は思いますので、そうした意味でこれからの御答弁をいただきたいと思っております。
そこで、都市開発資金の貸付けに関する法律を改正することになったわけでありますけれども、その一つとして、都市開発資金貸付制度を拡充するために、市街地再開発事業や土地区画整理事業の施行者でない保留床管理法人や保留地管理法人に対して、国が資金負担をいたしまして、償還期間二十五年、据え置き十年、償還方法は均等半年賦の無利子制度をここでは創設するということになっておりますけれども、これを創設する大きな理由というのは何でしょう。このように、国が今までいろいろな都市開発をする場合に、こうした、私たちが考えると大変な優遇措置をしてやるということになっておるわけでありますけれども、この点についてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/114
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115・山本正堯
○山本(正)政府委員 先生御指摘のように、再開発によりまして、防災の面あるいは居住環境、密集市街地の整備の面等々の機能の充実が図られるということで、私どもとしましても、再開発の対策について万全を期していきたい、さらに一層充実させていきたいというふうに思っているわけでございます。
その一環といたしまして、ただいま先生が御指摘の、施行者でない管理法人にも無利子貸し付けが行われるということでございますが、御案内のとおり、市街地再開発事業におきましては、土地価格が低迷する中で、保留床の処分先の確保が非常に困難になってきておる、これが事業を推進する上での大きな阻害要因になっておるという状況でございます。
こういう状況でございますので、保留床の譲渡が困難な場合には、再開発事業の施行者等が中心となりまして法人を設立するということで、その法人に保留床を取得させて、長期の賃貸経営によって事業資金を回収していく方式というのは、やはり施行者の努力により再開発事業を推進していく手法として大きな有効な手段ではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
先生御案内のとおり、再開発事業の施行者自身ではございませんけれども、施行者等が中心となりまして管理法人をつくるということでございます。この場合、法人が保留床の賃貸経営を長期にわたって行うこととなるために、この長期資金の確保を図っていくという観点から、無利子資金の貸し付けにより支援をする制度を創設させていただくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/115
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116・中西績介
○中西(績)委員 保留床管理法人だとか保留地管理法人に対しまして、こうすることによって本当にこうした制度が生かせるということになればよろしいのですけれども、先ほどから話に出ておりますように、今日本の社会構造の中で一番問題になっている分野というのは、特に土地をめぐる、あるいは建物をめぐるいろいろな問題が余りにも多く出ておるということ。その場合に、先ほどの話にもありましたように、暴力団が介入するとか地上げ屋が介入するとか、いろいろな内容の中でこれが進められていくわけでありますから、こうした点について、やはり少なくとも施行者が本当にそうした体制をつくり上げることができる、こうしたことになっていかないと私は困難ではないかと思いますので、この点については今後のあり方をまた見守っていきたいと思っています。
そこで、もう一点は、住宅・都市整備公団に対しまして、同様に償還期間二十年、据え置き十年、償還方法均等半年賦の無利子貸付制度を創設するということになっておりますけれども、十月一日に廃止予定のこの公団に対しては、むしろ新公団が発足をして、そうしたときにこそ、これから後のあり方とあわせてこうした問題について十分検討していく必要があったのではないかと思うのですけれども、あえてこの時期にこのような創設をしたということの必要性は何であったかということ、この点についてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/116
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117・山本正堯
○山本(正)政府委員 住宅・都市整備公団は、従来から民間では実施が困難な再開発事業を実施してきておることは御案内のとおりでございまして、特に、最近、厳しい経済情勢、土地市場の低迷をしておるという状況の中で、住宅・都市整備公団も事業の的確な遂行を図るためには、住宅・都市整備公団がいろいろな形で資金を調達いたしておりますが、そうした有利子の資金に加えまして、資金調達の円滑化を図るためには、無利子貸付制度の創設が今回ぜひとも必要であるというふうに考えておるところでございます。
先生御指摘のように、住宅・都市整備公団は十月に廃止し、新しい都市基盤整備公団設置についての法案を現在審議をお願いしておるところでございますが、引き続き適切にそちらの法案についての御審議をお願い申し上げたいというふうに思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/117
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118・中西績介
○中西(績)委員 だから、私が聞きました必要性を、余り今の答弁では直接的に理解をするということにはなりにくいわけですね。ですから、今までの惰性的なもので、他もやるのだからこれもやるのだというような安易な形でやるということになってまいりますと、今までバブル期におけるあらゆる失敗が重なっておるときだけに、この点については、本当にその必要性があるかどうかということとあわせて、他との関連も考えなくてはならぬということはわかりますけれども、特に住都公団の新しい出発に当たって、これらの問題については、むしろ根本的にあり方とあわせて論議をした方がよかったのではないかという気がするものですから、あえて申し上げました。十分な説明はなかったような気がするのですけれども、この点について、特に私は注意を喚起しておきたいと思っています。
次に、先ほどから問題になっております民間都市機構の参加業務に要する資金にかかわる貸付金の償還につきまして、現行法では、償還期間が二十年、そして据え置き五年、均等半年賦償還となっていますけれども、近年、不動産の証券化が進んで、民間都市機構が事業者から参加額相当の資産対応証券を取得する場合もあることから、償還方法に応じて一括償還することができ、償還期間も十年以内としておりますけれども、不動産の証券市場がまだ未整備の中で果たしてメリットがあるかどうか、特に参加業務が進むかどうか、こうした点を十分検討なさったかどうかについてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/118
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119・山本正堯
○山本(正)政府委員 御案内のとおり、現下の経済情勢におきましては、都市開発分野における円滑な資金供給を確保するためには、従来の金融機関からの融資による資金調達という方法に加えまして、証券化によって市場から直接資金調達を行うといったような、直接資金調達の道を広げることが不可欠であるというふうに考えておるところでございます。
こうした観点から、我が国では普及がおくれております不動産の証券化市場を育成することが急務でございますので、この不動産の証券化市場を育成するために、情報開示でありますとか、不動産の投資指標の整備でありますとか、不動産投資顧問業の育成等、市場のインフラ整備が必要でございます。そういうインフラ整備に加えまして、一定の範囲で公的な支援策を講じていくことが必要であろうかというふうに思っておる次第でございます。
今回、具体的には、従来から行っております参加業務の一類型といたしまして、民間都市開発事業者が事業費を調達するために発行する社債等で、民都機構が優良であると判断したものについて取得しようとするものでございます。こうした社債は、日本ではなかなかなじみが薄いため、市場では引き受けに対して慎重にならざるを得ないという状況がございますが、民都機構の取得を通じて一定の事業リスクの軽減が図られる、さらにはまた、機構の先導的な取得による呼び水効果等もあろうかと思います。不動産証券化市場の育成の支援が図られることを期待いたしておるわけでございます。
私どもといたしましても、不動産証券化に関する研究会等をずっと何年かにわたって進めてまいりまして、その取りまとめをいたしまして、その結果に基づきまして、民都機構の不動産証券化の制度について、私どもとしては、今回そういう道を広げようということで、改正をお願いした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/119
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120・中西績介
○中西(績)委員 先導的だとかあるいは期待をするというようなことを言われましたけれども、この点について、私は、この民間都市機構が、そうした体制が本当にあるのかどうか。先ほどから論議されているような事柄も含んでその組織機構を見させていただきましたけれども、そうした点まで果たして可能かどうか、こうした点が非常に私は危惧をいたしましたので、あえて聞いたわけでありますけれども、その点については自信がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/120
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121・山本正堯
○山本(正)政府委員 民間都市開発推進機構は、金融、融資等についての業務を行っておるわけでございますが、そのいろいろな業務のための職員につきましては、専門のプロパー職員あるいはまた専門の金融関係等々からの派遣もいただいておるわけでございまして、そうした体制は民都機構としては十分対応できるというふうに私ども思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/121
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122・中西績介
○中西(績)委員 局長は対応できるということを自信を持っておっしゃいましたけれども、これらについては、また見守っていかなくてはならぬと思います。
しかし、これらにつきましては、私は、新しいことを展開するということをやめさせようとか、あるいはブレーキをかけようとか、こういうことを考えているわけではありません。これから後、新しくそうした点について進展をさせるということは重要でありますけれども、そうした機構そのものが本当に私たちが納得いくようなものになっておるかどうかということを指摘したかったわけであります。
しかし、専門家等が派遣されておるということでございますから、この点についても後々注意をしていきたいと思います。
この分野についての最後でございますけれども、平成十一年度におきまして、地方公共団体がその貸し付けに必要な資金の全部を国が貸し付けることができる無利子貸与制度の特例は、平成十一年度限りの措置となっている。引き続き地方自治体の厳しい財政状況下におきまして、単年度措置で果たしてこれが目標とした分野について達成できるのかどうか、この点についてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/122
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123・山本正堯
○山本(正)政府委員 平成十一年度中におきましては、地方公共団体が貸し付ける場合に必要な資金の全額を国が貸し付けられるという特別な措置を講ずることとしておるわけでございますが、これは、平成十年の十一月に閣議決定をされました緊急経済対策におきまして、平成十一年度は大変厳しい状況の中で回復基盤を固める期間である、また、経済対策を実施するに当たっては、極めて厳しい地方財政の状況である、そういう状況を踏まえて適切な配慮を行うことというふうにされておるところでございまして、そういうことを受けた緊急的措置として十一年度については行うこととしているものでございます。
市街地再開発事業は、主に地域活性化、地域の再開発を推進するということでございますので、その支援は、基本は地方公共団体が中心となって行い、その一部について国が支援する形が望ましいということで、現在は、地方公共団体が支援をすることに対して二分の一国が支援をする、あわせ貸しをするというのが基本になっておるわけでございますが、十一年度に限りましては、先ほど申し上げましたような状況にかんがみまして、特例的措置として、緊急的措置として行うこととした次第でございます。
先生、十二年度以降についてもどうかというような御指摘がございましたが、十二年度以降につきましては、今後の経済状況、国と地方公共団体の財政状況等を十分勘案した上で、特例が必要かどうか検討すべき課題であるというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/123
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124・中西績介
○中西(績)委員 単年度だけでなしに、地方財政が大変厳しゅうございますので、特にこうした問題等については、また地方自治体との連携等を考えていただいて措置をする必要があるのではないかと思いますので、これはこれとしてまた記憶にとどめ、さらに厳しく対応していただきたいと存じます。
次に、民間都市開発の推進に関する特別措置につきまして質問を申し上げたいと思います。
事業用地適正化計画の認定制度の創設につきましては、バブル期に地上げされ、放置されている虫食い等の低未利用地は、金融機関の不良債権の担保不動産となっているものが相当数あるわけでありますが、この制度創設によって効果が期待できるのか。権利関係を調整するための手続の整備が先ではないかと思うわけでありますけれども、おととい、きょう論議をしました民間都市開発問題等とあわせ考えるときに、この状況を克服できるかどうかについて確信があるかどうか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/124
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125・山本正堯
○山本(正)政府委員 都心部に今散在しております低未利用地、特に虫食い地を有効利用することは、町づくりを進める上で大変重要でございまして、そのための再開発事業、再開発を行っていくということが、また景気対策上も、また町づくりのためにも、喫緊の課題ではないかというふうに考えておるところでございます。
そういう観点から、民間事業者が虫食い地を整形、集約化いたしまして有効利用する、民間再開発事業を行うに当たりまして、土地の交換等にかかる税負担が大変大きな障害となっていると認識をいたしておるわけでございますが、今回の認定制度は、そうした障害を除去するために、土地の整形、集約化に際しての税制上の特別措置、所得税、法人税の課税繰り延べの措置等を講じることを主な内容として創設されたものでございます。
これによりまして交換等がスムーズに行えるということによりまして、先ほど申し上げました都心部においての虫食い地等が有効利用され、再開発事業が進んでいくということで、大変私どもとしても効果が期待できるものというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/125
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126・中西績介
○中西(績)委員 今、バブル期における多くの問題で、金融も、さらにゼネコンも、そしてこれらにかかわる多くの民間含めて大変な状況になっておる中でのこれからの手だてでありますから、そうなってきますと、特にこの担保不動産になっている分野というのは、数多くあるものについては、一つの担保不動産に金融関係がかかわっておったのが二十をはるかに超えておるというようなことがささやかれておるような時期であるだけに、よほど、この措置の仕方によっては、これらの問題は後々に問題を引きずるような形にならないようにしておく必要があろうと思っておりますので、これらについても十分注意をする必要があるだろう、こう思います。
それから、事業用地適正化計画の認定権者を建設大臣にした理由はなぜなのかということであります。地方分権の視点からいたしますと、むしろ都道府県知事あるいは市町村長にすべきではなかったかと思うのでありますけれども、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/126
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127・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 このことは過般の委員会でもちょっと述べさせていただいたんですが、今日までこの建設委員会でいろいろな論議がされました。そういう委員の先生方の議論を伺いながら、強く私自身認識したんですけれども、これは、とにもかくにもバブルの後の土地に関する、いわゆる虫食い状態のような土地を整理して、そしてまた土地の流動化を図るというようなことでございまして、これはやはり国が、もって強力なる指導、ですから銀行の不良債権の処理のような、同等の内容のことだろうと私は思うわけでございます。この時期においては、私は、やはり国の責任者が強力なる指導、熱意、努力でもって政府一体となって指導していかなければならないと、改めて先生方の御意見を伺いながら感じたわけでございます。
そういう意味においては、私は、当初ぜひ私にやらせていただきたいと思います。そして、その間におきましても、もちろん地方公共団体の方々の意見も十分にお伺いして進めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/127
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128・中西績介
○中西(績)委員 これからやはり地方分権ということになってまいりますと、今まで都道府県あるいは市町村の皆さんが、中央に権力が集中して、できないときにはそこにすべて責任を転嫁するような発言等が従来からなされてきておるわけですね。ですから、そうでなしに、地方がやはり主体を持ってやるという、この意識変革を起こさない限り、なかなか私は分権は進まないだろうと考えます。
したがって、このような困難な問題であるときだけに、事業用地適正化計画なるものを地方で主体的にみずからがつくり上げていく、そしてそのことを責任を持ってやる、こうした体制、そして補助的なものを国がやるということになっていかないと、むしろ建設大臣が中心になって強力にそれを指導するというような格好になっていきますと、地域におけるそうした分権体制というものはなかなかできないんじゃないか、こう私は思います。
したがって、ここらについてはまた、時間がございませんからきょうはもう省きますけれども、これから後の情報公開それから地方分権という問題は、これはもう大変な問題を内蔵しておるわけでありますから、これらについても十分、建設省、特に大臣、これから皆さんにこれらの問題についての意識変革を起こすためにも指導していただきたいと思いますが、これでこの問題についてはやめておきたいと思います。
それから、先ほどからちょっと問題になっておりました民間都市機構が行っておる土地取得譲渡業務のうち、先行取得件数それから取得金額については、特例制度創設以来、増加傾向にあるようであります。特に、土地の取得等については、他の制度的なものに比べて特に伸びておるということもうなずけます。
そこで、午前中から論議の中でも言われておりますけれども、もう一度確認をしたいと思いますが、どの程度進んでおられるのか、この点についてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/128
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129・山本正堯
○山本(正)政府委員 先ほども御答弁をさせていただきましたが、現在、土地の取得をいたしておりますのが百十一件でございます。金額で四千九百五十億円でございます。そのうち、実施されておりますのが二十三件でございます。それから、その中で譲渡済みのものは、先ほどもあれしましたように二件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/129
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130・中西績介
○中西(績)委員 そのように、この約五年近くの間におきまして、できておりません。したがって、これらの問題について、さらに年限を三年延長するということになっておりますけれども、この取引件数あるいは実施件数、それから譲渡件数等を見てまいりますと、果たして三年の延長の中でできるのか。ところが、これをまた無限、無限ということはありませんけれども、さらに三年をさらにということで延長するようなことになってまいりますと、ちょうど午前中からの論議を私聞いておりまして、多くの問題があるだけに、ちょうどバブル期におけるいろいろな問題が出たように、本当に、最初に大臣に私がお聞きいたしましたように、住民が要求するそうしたものになり得ておるのかどうか。こうしたこと等を含んで、私は危惧を持っております。これから後、むしろ、民間都市機構自体の運営に支障がまた出るのではないかというような気がしてならないわけでありますけれども、この点は、果たして大丈夫ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/130
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131・山本正堯
○山本(正)政府委員 民都機構の土地取得業務につきましては、この法案で三年間の延長をお願いしておるわけでございますが、この三年間の延長と申しますのは、現在の厳しい景気動向を踏まえまして、景気動向が回復する、その軌道に乗るまでの間ということで三年間の延長をお願いしておるわけでございます。
今後のさらなる延長をする必要があるかどうかというような点につきましては、今後、土地市場でありますとか経済情勢でありますとか、そういう情勢を見て、またいろいろな御議論があるかと思います。基本的には、私ども、三年間、現在の動向を見て、景気回復が軌道に乗るという状況の時点までの延長をお願い申し上げているところでございます。
先生、今御指摘のとおり、平成九年度、平成十年度ということで、土地取得の件数が次第にふえてまいりまして、そういう状況も踏まえまして、私ども、土地取得を適正に取得すると同時に取得後の管理、譲渡につきましても、鋭意努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/131
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132・中西績介
○中西(績)委員 この件につきましては、三年という年限延長がございますけれども、先ほどから指摘をいたしておりますように、午前中からの論議の中におきましても、本当に勇気を持ってこれらの問題については取り組んでいき、そして厳格に対応していかないと、またぞろ変な格好で残っていく可能性があるわけでありますから、この点については重々注意をしてかかりたい。特にまた、局長が答弁なさっておりますような内容等、先ほどからたくさんの問題がございましただけに、これらを一遍整理し直してでもかかる必要があろうと思っています。
次に、土地区画整理法についてお聞きをしたいと思っています。
土地区画整理組合の設立に当たりまして、準備組合を設立いたしまして、調査、権利者・機関との調整、資金づくり、事業計画を作成して設立認可することによって、事業の確実な遂行が担保できてきたと思うのですけれども、今回の改正によりまして、大まかな施行方針を定めただけで組合の設立認可ができるようになってきますと、途中で事業の挫折など、問題が出る可能性が多くあるのではないか、また心配するところであります。
この点、こうして促進をすることが、この区画整理を促進し、そして業務の進展を図っていくということであろうと思いますけれども、これらについて、私、素人でありますから、これにかかわってきた皆さんが本当に大丈夫かどうかということを確認できておるかどうか、こうした問題等についてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/132
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133・山本正堯
○山本(正)政府委員 事業計画決定前に土地区画整理組合を設立するということをお願いしておるわけでございますが、先ほど来御説明申し上げておりますように、準備組合の段階で、任意法人が、事業の組合設立に当たっての事業計画についての調査、設計等をやる必要がある、そのための資金を個人の名前、任意団体でございますので、そういう資金の調達がなかなか難しいという状況のもとで、前倒しして区画整理組合の設立をする、こういうことでございます。
そのときに定款と事業基本方針を定めるということにしておりまして、詳細なものではございませんけれども、事業の目的、おおむねの平均減歩率等を記載することにいたしておるわけでございまして、しかるべき権利者の保護を図りながら、事業が適切に、確実に資金を調達しながら施行されるということを期待いたしておるところでございます。
なおまた、事業計画前に設立された組合につきましては、当然のことながら認可設立後に資金計画を含む事業計画を作成し、事業実施に先立って知事の認可を受けるということになっております。事業の詳細についてはその時点で十分に検討されるということになっておるわけでございまして、さらに、地方公共団体は、従来の組合と同様に、事業計画決定前に設立された組合に対しても技術的支援とか指導監督等を行うことになっておるわけでございます。
これらの点から考えまして、組合設立の早期化によって混乱が生じるということはないというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/133
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134・中西績介
○中西(績)委員 次に、指定検定機関創設に当たりまして、現行建設大臣が行っていた、換地計画に関する専門的技術を有する者の養成確保のための土地区画整理士技術検定を、わざわざ指定検定機関をつくってやらせるのは、今までの制度の中に何か支障があったのかどうか、その理由について明らかにしてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/134
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135・山本正堯
○山本(正)政府委員 区画整理の関係の指定検定機関制度の創設についてのお尋ねでございますが、区画整理事業は、御案内のとおり換地計画をつくったり、専門的、技術的な要素が大変多うございます。そういうことから技術的な専門士の検定制度を設置しておるわけでございますが、現在建設省において処理しております技術検定の実施に関する事務は、相当の業務量を要する事務でございます。
大変細かい点で恐縮でございますが、受験申請書の配付、受付でありますとか、検定会場での試験監督でありますとか、多くがその中でも定型的な事務でございまして、国の行政機関の事務の簡素合理化という観点からは、建設省みずからが実施するというよりは、指定検定機関を指定いたしましてこれを行わせる制度を創設することが適当であるというふうに私ども考えておるところでございます。
なお、現在、検定会場が例えば東京、大阪の二カ所に限られておるといったようなこともございます。地方在住者にとっては非常に不便だというようなこと、あるいは交通費等で大変な負担を強いておるというようなことも考え合わせますと、検定事務を外部化することによりまして、そうした受験者にとっても技術検定を受けやすくするということによりまして、全体として区画整理事業を担う技術者の技術の向上、一層の育成に資することができるのではないかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/135
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136・中西績介
○中西(績)委員 先ほどは、少なくとも内容的に大臣が強力な指導をする、そして今度の場合には業務量の問題を取り上げておるわけでありますけれども、必要ならば、私は、公務員の数という問題に触れるわけでありますけれども、必要なものはやはり必要ということを言わなきゃだめだと思いますね。小さい政府ということによって、国が当然やらなくちゃならないような仕事までこれを制限する、あるいは労働条件を無視してやらせるというようなことを、今平気でやっておるわけですよ。
ここいらについては、やはりむしろ、建設省だけではありませんけれども、これからこの問題については相当厳格にやる必要があろうし、そして内容的にもそれを高めていくということが極めて重要ですね。ですから、必ずしも業務量が多いというようなことだけでこれらの問題を手放していく、こうしたことに私は大変な疑義を感じています。ですから、これらの問題についても、きょうはもう時間がございませんから後に回しますけれども、こうした点について十分お考えいただきたいと思います。
それから次に、都市再開発法の問題でございますけれども、特定建築者制度についてお聞かせいただきたいと思います。
現行法におきましては、従前の関係権利者の権利の確実な保全を図るために、施設建築物の全部が保留床のみから成る場合に限って、その建築施行者以外の者、いわゆる特定建築者に行わせることができることとしていましたけれども、民間事業者の積極的活用を図るとともに、施行者の負担の軽減を図るということを理由にいたしまして、権利床を含む施設建築物の建築について特定建築者に行わせることができるようにすることになるというわけではございますけれども、従前権利者の権利の保全に支障を生ずるおそれがありはしないか、この保障をどのようにするかということについてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/136
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137・山本正堯
○山本(正)政府委員 先生御案内のとおり、特定建築者制度を今度拡充させていただくという案をお願い申し上げておるところでございますが、特定建築者になろうとする民間事業者は、施行者に建築計画等を提出いたしまして、施行者は、必要な資力、信用を有し、かつ事業の目的を達成する上で最も適切な計画を提出した者を、都道府県知事等の承認を受けて特定建築者として決定することになっておるわけでございます。都道府県知事のきちっとした承認を受けてやるわけでございます。
また、今回の改正で、権利床を含みます施設建築物について制度の活用が可能となるわけでございますが、権利変換計画の内容がきちんと実現されますように、特定建築者の建築計画につきまして、権利変換計画に適合すべきことを新たに要件に追加したところでございます。
こういうふうに、きちっと内容が実現されるようにしたわけでございます。
さらに、仮に特定建築者がいろいろな事由で建築計画のとおり建築を行わないといった場合におきましては、法に定められました手続に基づきまして、特定建築者の決定を取り消し、敷地を明け渡させた上で、新たに特定建築者を決定する、あるいはまたみずから建築するということにされておるわけでございます。
そうしたもろもろの規定を、措置を講じておるところでございまして、そういう手続によりまして、従前権利者の権利の保護上の支障はないように措置をしているところでございます。この運用に当たっても、十全を期していきたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/137
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138・中西績介
○中西(績)委員 運用は厳しくやってほしいと思います。
最後になりますが、権利床を含む建築物について、特定建築者が従前の建築物を取り除いた後、特定建築者が建築物を建築中に倒産などによって撤退したときに、従前権利者の保護をどのようにするのか、また、特定建築者にどのように対処するかについてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/138
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139・山本正堯
○山本(正)政府委員 特定建築者が倒産した場合というようなお尋ねでございますが、先ほども少しお答えをさせていただきましたが、仮に特定建築者が倒産したような場合におきましては、特定建築者の決定を取り消す、あるいはまた、取り消して敷地は明け渡させるということで、新たな特定建築者を決定する、あるいはまた施行者みずからが建築するという格好になろうかと思います。
そういうことによりまして、従前権利者の権利を保護し、建築物の完成を目指していく、こういうことになろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/139
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140・中西績介
○中西(績)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/140
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141・平田米男
○平田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/141
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142・平田米男
○平田委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。辻第一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/142
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143・辻第一
○辻(第)委員 私は、日本共産党を代表して、都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
本法は、民間事業者による都市再開発を促進するため、市街地再開発事業に対する都市開発資金無利子貸付制度の創設、民間都市開発推進機構の土地取得業務に係る取得期限の延長、土地区画整理事業と市街地再開発事業の一体的施行制度の創設などを行うために提出されたものであります。
本案の各改正点についての反対理由を一括して申し上げます。
反対の第一の理由は、これらの措置が昨年四月に閣議決定された総合経済対策などを受ける形で具体化されたものであり、ゼネコンやディベロッパーなど民間事業者による虫食い地、低未利用地を整形、集約化し、都市再開発、土地区画整理事業を行うことによって、それを積極的に支援、促進するものにほかならないからであります。これらは、公的資金を使った土地、債権の流動化と有効利用促進策であり、バブルに狂奔したゼネコン、銀行、不動産業者らの責任を免罪し、加えて、公的支援からその救済を図ろうとするものであります。
日本共産党は、都心部にある虫食い地を有効活用することは町づくりの上で重要な課題であると考えております。本当に良好な町づくりを推進しようとするならば、不良債権はゼネコンやディベロッパーの責任で処理させ、住民参加のもと、民主的な都市計画により行われるべきであります。しかるに、今回の措置は、民間事業者による新たな地上げや住民追い出し、財政危機にある自治体に対する一層の負担増を強いるなど、民間事業者のもうけ本位、住民犠牲の都市再開発、土地区画整理事業を加速させるものであります。これが反対の第二の理由であります。
なお、指定検定機関制度の創設については特に反対するものではありません。
以上をもって、本案に対する反対討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/143
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144・平田米男
○平田委員長 これにて討論は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/144
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145・平田米男
○平田委員長 これより採決に入ります。
都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/145
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146・平田米男
○平田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/146
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147・平田米男
○平田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、佐田玄一郎君外四名より、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。井上義久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/147
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148・井上義久
○井上(義)委員 ただいま議題となりました都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。
都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。
一 今後の都市再開発事業・土地区画整理事業のあり方について、地方分権や地域住民の参加、地域社会の機能維持を基本としつつ迅速な事業展開の方策を検討すること。
二 民間による都市の再開発を促進するため、今回の改正について地方公共団体等に対する周知徹底を図るとともに、今後とも制度の充実に配慮すること。また、地方公共団体等公的機関による相談窓口の設置、専門技術者の派遣等支援体制の充実に努めること。
三 都市における再開発の円滑な実施を図る観点から、都市開発資金貸付制度の充実に配慮すること。また、再開発等まちづくりに係る補助金については、その統合化・簡素化を積極的に進めること。
四 民間都市開発推進機構が行う土地取得譲渡業務については、業務が適正に遂行されるよう情報開示に努めつつ低・未利用地における民間都市開発事業を促進する観点から、事業化への検討を積極的に進め譲渡等の促進を図ること。
五 建設大臣による事業用地適正化計画の認定については、地方公共団体の意向にも十分配慮すること。
六 土地区画整理組合及び市街地再開発組合の設立の早期化については、早期化の趣旨の徹底を図り、認可事務が遅れることなく適正に行われるよう配慮すること。
七 土地区画整理事業と市街地再開発事業の一体的施行に際しては、関係権利者の意向を十分尊重して事業を行うよう指導を徹底すること。
八 特定建築者制度が拡充され、権利床を含む施設建築物についても活用できることになるが、その選定等に際しては慎重を期するよう十分配慮すること。
九 再開発事業の円滑化に資するため、権利の変換を希望しないで転出する権利者等に対する補償その他の救済措置について十分配慮すること。
以上であります。
委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/148
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149・平田米男
○平田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/149
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150・平田米男
○平田委員長 起立多数。よって、佐田玄一郎君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、関谷建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。建設大臣関谷勝嗣君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/150
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151・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝申し上げます。
今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました都市再開発の促進方策の検討、支援体制の一層の充実、関係権利者の意向への配慮等の課題につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。
どうもありがとうございました。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/151
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152・平田米男
○平田委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/152
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153・平田米男
○平田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/153
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154・平田米男
○平田委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、海岸法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。建設大臣関谷勝嗣君。
—————————————
海岸法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/154
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155・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 ただいま議題となりました海岸法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
国民の生命と財産を守り、経済活動を支援するため、津波、高潮等の被害から海岸を防護することは極めて重要でありますが、あわせて、海岸は、白砂青松に代表されるすぐれた自然景観を有し、多様な動植物が生息、生育し、また国民のさまざまな利用に供される貴重な空間でもあります。このような海岸は、防護、環境、利用の調和のとれた管理を行うことが不可欠でありますが、現行法は防護のみを目的としております。また、海岸管理における地域の意見の反映、国と地方の役割分担の明確化等も求められております。
この法律案は、このような状況にかんがみ、法制定以来約四十年を経て、制度全般にわたる抜本的な見直しを行おうとするものであります。
次に、その要旨を御説明申し上げます。
第一に、海岸法の目的に、「防護」に加えて、「海岸環境の整備と保全」並びに「公衆の海岸の適正な利用」を規定することとしております。
第二に、公共の用に供されている国有の海岸を「公共海岸」と規定し、海岸保全区域以外の公共海岸の区域を対象とする一般公共海岸区域の制度を創設することとしております。
第三に、海岸の保全に関し、主務大臣が海岸保全基本方針を、都道府県知事が海岸保全基本計画をそれぞれ定めることとして、あわせて地域の意見等を反映するための手続を導入することとしております。
第四に、市町村長が海岸の日常的な管理を行うことができる制度を導入することとしております。
第五に、沖ノ鳥島については、国が全額負担の上、直接管理できる制度を創設することとしております。
第六に、海岸の適正な保全のため、海岸の汚損その他の一定の行為の禁止、油濁事故処理等の海岸の維持のために必要な諸制度の導入等を図るとともに、砂浜の保全、回復や海岸環境と利用に配慮した海岸の整備を進めるため、海岸保全施設の定義及び技術上の基準を見直すこととしております。
その他、これらに関連いたしまして、関係規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/155
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156・平田米男
○平田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X00719990312/156
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