1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
平成十一年六月四日(金曜日)
午前九時五十分開議
出席委員
委員長 平田 米男君
理事 佐田玄一郎君 理事 谷畑 孝君
理事 原田 義昭君 理事 宮本 一三君
理事 鉢呂 吉雄君 理事 吉田 公一君
理事 井上 義久君 理事 青木 宏之君
飯島 忠義君 岩永 峯一君
小杉 隆君 小林 多門君
阪上 善秀君 玉沢徳一郎君
西川 公也君 蓮実 進君
松本 和那君 宮腰 光寛君
目片 信君 山本 有二君
石井 紘基君 平野 博文君
松崎 公昭君 山本 譲司君
長内 順一君 西野 陽君
辻 第一君 中島 武敏君
中西 績介君
出席国務大臣
建設大臣
国務大臣
(国土庁長官) 関谷 勝嗣君
出席政府委員
内閣官房内閣内
政審議室長
兼内閣総理大臣
官房内政審議室
長 竹島 一彦君
経済企画庁総合
計画局長 中名生 隆君
国土庁計画・調
整局長 小林 勇造君
建設大臣官房総
務審議官 小川 忠男君
建設省建設経済
局長 木下 博夫君
建設省住宅局長 那珂 正君
委員外の出席者
建設委員会専門
員 白兼 保彦君
委員の異動
六月三日
辞任 補欠選任
田中 和徳君 小杉 隆君
同月四日
辞任 補欠選任
田中 慶秋君 石井 紘基君
畑 英次郎君 松崎 公昭君
同日
辞任 補欠選任
石井 紘基君 田中 慶秋君
松崎 公昭君 畑 英次郎君
六月三日
住宅の品質確保の促進等に関する法律案(内閣提出第六三号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
六月四日
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律案(小杉隆君外三名提出、第百四十二回国会衆法第二七号)
は委員会の許可を得て撤回された。
同月三日
不況打開、国民本位の公共事業と建設行政の民主的転換に関する請願(一川保夫君紹介)(第三九六〇号)
同(古賀一成君紹介)(第三九六一号)
同(畠山健治郎君紹介)(第三九六二号)
同(松沢成文君紹介)(第三九六三号)
同(山元勉君紹介)(第三九六四号)
同(岩浅嘉仁君紹介)(第四〇六五号)
同(金田誠一君紹介)(第四〇六六号)
同(玄葉光一郎君紹介)(第四〇六七号)
同(坂上富男君紹介)(第四〇六八号)
同(菅原喜重郎君紹介)(第四〇六九号)
同(葉山峻君紹介)(第四〇七〇号)
同(畠山健治郎君紹介)(第四〇七一号)
同(深田肇君紹介)(第四〇七二号)
同(前田武志君紹介)(第四〇七三号)
は本委員会に付託された。
本日の会議に付した案件
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律案(小杉隆君外三名提出、第百四十二回国会衆法第二七号)の撤回許可に関する件
住宅の品質確保の促進等に関する法律案(内閣提出第六三号)(参議院送付)
国土行政の基本施策に関する件
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律案起草の件
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する件
午前九時五十分開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/0
-
001・平田米男
○平田委員長 これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
第百四十二回国会、小杉隆君外三名提出、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律案につきまして、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/1
-
002・平田米男
○平田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/2
-
003・平田米男
○平田委員長 国土行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、佐田玄一郎君外二名から、自由民主党及び自由党の共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおり、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。小杉隆君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/3
-
004・小杉隆
○小杉委員 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律案の起草案につきまして、提案者を代表して、その趣旨及び要旨について御説明申し上げます。
本案は、我が国の財政状況が極めて厳しい中、社会資本の着実な整備を図るため、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用した公共施設等の建設、維持管理及び運営並びにこれらの企画の促進を図るための措置を講ずることなどにより、効率的かつ効果的に社会資本を整備するとともに、民間事業者の事業機会を創出し、もって国民経済の発展に寄与するために提案いたしたものであります。
次に、本案の主な内容について御説明申し上げます。
第一に、内閣総理大臣が特定事業に関する基本方針を定めることとしております。
基本方針には、民間事業者の発案による特定事業の選定、民間事業者の募集、選定、財政上及び金融上の支援などに関する基本事項を定めることとしているほか、国及び地方公共団体と民間事業者との責任分担を明確にすることなどによる事業の適正かつ確実な実施の確保、民間事業者の自主性の尊重、民間事業者の選定過程の透明化及び財政上の支援について、現行制度に基づく方策を基本とすることに配慮して定めることとしております。
第二に、特定事業を実施しようとする大臣、地方公共団体の長等は、実施方針を定め、特定事業を選定し、事業者を選定することとしております。
特定事業の選定及び特定事業を実施する民間事業者の選定に当たっては、客観的な評価を行い、その結果を公表することとし、手続の透明化を図っております。特定事業は、事業計画または協定に基づいて実施されることとしております。
第三に、特定事業に対する財政上、金融上の支援として、国庫債務負担行為の年限の延長、国有財産の無償使用、事業者に対する政府による無利子貸し付け、担保不動産の活用等を定めております。
第四に、基本方針の内容、実施方針の策定状況、特定事業の選定状況、特定事業の客観的な評価状況などを調査審議するため、学識経験者から成る民間資金等活用事業推進委員会、PFI推進委員会を総理府に置くこととしております。
民間資金等活用事業推進委員会、PFI推進委員会は、特定事業に関する民間事業者等からの意見を受け、必要があると認めるときは、民間資金等の活用による国の公共施設等の整備等の促進及び総合調整を図るため、内閣総理大臣または関係行政機関の長に意見を述べることができることとしております。
以上が、本案の提案の趣旨及び主な内容であります。
なお、本案は、昨年五月二十六日に提案いたしました当初案について、自由民主党、自由党、民主党、公明党・改革クラブ、社会民主党・市民連合の五党が修正協議を重ねた結果まとまったものであることを申し添えます。
何とぞ速やかに御決定くださいますようお願い申し上げます。
—————————————
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/4
-
005・平田米男
○平田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。鉢呂吉雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/5
-
006・鉢呂吉雄
○鉢呂委員 おはようございます。
今、小杉先生の方から、提出者としてのその趣旨の説明がございました。民間資金等、いわゆる民間資金あるいはまた民間のノウハウを活用して公共施設等の整備を促進する法律案ということで御提案があったところでございます。
今、最後のところで御紹介あったとおり、五党の皆さんが当初の議員立法をそれぞれ精力的に検討し合いまして、我が民主党も十三点にわたりまして修正すべき点を出しまして、真摯な御協議の中で今回の起草案が出されてきたところであります。この間の提出者の皆さんの御労苦に、心から敬意と感謝を申し上げる次第でございます。
そこで、私どももかかわったわけでありまして、委員長の御配慮もありまして、きょうは、短時間でありますけれども、それぞれこの法案の趣旨等について質疑という中で国民の皆さんにも御周知をするという形で、今回の委員会の質疑があったというふうに思っておるところではございまして、確認の意味を含めて、御答弁をお願いいたしたいというふうに考えておるところでございます。
この法律案は、「目的」のところにもありますように、先ほども申し上げましたけれども、民間資金等を活用して公共施設等の建設、建設ばかりでなくてその維持管理、また運営というものについてその促進を図るということを趣旨としておるところでございます。これだけ見ますと、従来の公共事業に、さらに何か大幅に、新たな、追加的な概念を導入したというようなことも見られます。
もともと、従来、景気対策ということで出されてきた経過もございますけれども、私どもは、むしろいわゆるPFI制度を導入することによって、従来の公共事業、ともすれば非効率、不透明というような意味合いのものを、効果、効率を一層高めるという視点で、国民の貴重な税金を最大限有効に活用するということがこの制度の最大の眼目であるというふうに考えておるところでございます。
提案者も同様の趣旨だというふうに思いますけれども、この点についての提案者としての御見解をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/6
-
007・小杉隆
○小杉委員 今鉢呂議員からお話しのとおり、この法案の作成過程で五党の皆様に大変熱心な御討議をいただきましたことを、まず感謝申し上げます。
今お話しのとおり、この法案のねらいは、従来の公共事業を民間事業者にも開放して、民間の持っている経営能力とか技術力とか効率性とか、そういったものを導入して、バリュー・フォー・マネーといいますか、投じたお金に対してどのくらいの効果があるか、そういうことをさらに高めるということをねらいとしたものであります。
その結果として公共事業がまたふえるということがあるかもしれませんが、もともとのねらいは今申し上げたとおりでございまして、このことによって、従来の公共事業も、私は大いにその効果、効率性というものを高めることにつながっていくというふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/7
-
008・鉢呂吉雄
○鉢呂委員 同時に、私ども、今回の最大の懸念は、このPFIの特定事業者、いわゆる第三セクター、地方公共団体が一定の出資等をしております第三セクターが受注者になることによって、ある面では発注者と受注者が兼ねるというようなことで、第三セクターが、これまで往々にして見られておる経営の不健全性というものに対して、そういう二の舞を繰り返す可能性があるのではないかということを大変懸念し、むしろこの特定事業者の中に、そういった地方公共団体の出資等を排除する、第三セクターを排除すべきであるということも主張させていただきました。
最終的には、第十条二項で、こういった特定事業を実施する選定事業者が、国または地方公共団体により出資され、または拠出されているものである場合には、選定事業者の責任が不明確とならないように特に留意をして、前項の事業計画または協定の条項において当該公共施設等の管理者等との責任分担、いわゆる発注者と受注者といいますか、その責任分担を明らかにすべきである、この条項も入れさせていただいたところでありまして、その点では大変大きく評価をするところでございます。
そういった意味で、改めて提案者に御確認をさせていただきますけれども、この法律案が、これまで、ある面では行き詰まっておると思われる第三セクターを救済するという目的で提案されたものではない、あるいはまたそういったものとして、救済の手法として用いられることがあった場合には主要監督官庁としての適切な措置が講じられること。あるいはまた、先ほど言いました第十条の二項にありますように、その法律の趣旨を、国あるいは地方公共団体がPFI事業を実施する場合には官民の役割分担の明確化に十分注意をすること、このことについて、提案者として、その考えをお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/8
-
009・小杉隆
○小杉委員 まさに今御指摘の懸念を私どもは最大限念頭に置きながら、この法案の作成に当たったつもりでございます。今お話しのとおり、数多くの第三セクターが行き詰まって、また多くが官がそのしりぬぐいをしている、こういう現状にかんがみまして、その第三セクターの失敗の轍を絶対踏まない、こういうことを真っ先に私どもは前提といたしました。
そのためには、今御指摘のとおり、条文の中にもいろいろ、第三条であるとか第四条であるとか、今御指摘の第十条というようないろいろな場所におきましてこの責任分担の明確化ということを強く打ち出したところでありまして、御趣旨の線に沿ってこの法律が運用されるように望むものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/9
-
010・鉢呂吉雄
○鉢呂委員 また同時に、この事業について、政府あるいは地方公共団体がさまざまな支援を行うということでございます。私どもとしては、政府出資あるいは政府による債務保証、また地方公共団体による債務保証ということについては、やはり過剰な支援ということにもなりかねないということも指摘をさせていただきまして、当初案からそれを削除するという御配慮もいただいたところでございます。
第十九条は、しかしながら、そういっても一般的な支援という形で、まあ言ってみれば、どのような財政的な、税制上の支援もできるかのような条項もありまして、この点についても協議をさせていただきましたけれども、あくまでも第四条三項三号に「財政上の支援については、現行の制度に基づく方策を基本とし、又はこれに準ずるもの」ということで、例えば、道路の国あるいは地方公共団体の補助事業があった場合、PFIでやる場合も、その補助事業の率と同等かあるいはそれ以下に押しとどめるという、この第四条の条項というものがあるわけでありまして、そういった意味で、今後ともPFI事業に、特に優遇する支援措置を予定するものではないというふうに考えますけれども、この考えでよいかどうか、御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/10
-
011・小杉隆
○小杉委員 そのとおりで結構でございます。
私どもは、あくまでも念頭にあったのは、民間事業者だからといって特別に優遇を受けるとか、あるいは特別に不利益をこうむるということがあってはならない、現行制度でのいろいろな措置を平等に受けられる、いわばイコールフッティングという考え方が基本にあるということを申し添えておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/11
-
012・鉢呂吉雄
○鉢呂委員 次に、不良債権を抱えた企業が、先ほども言いましたように、その救済措置になるということであってはならない。現在、バブル経済崩壊後のさまざまな問題もあるわけでありますけれども、そういうことがないように、また実際どのような歯どめ措置が予定をされておるのか、御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/12
-
013・佐田玄一郎
○佐田委員 今御指摘があったことも非常に不安なところでありますけれども、本条には、担保不動産にかかわる損失について繰り延べ償却を可能とする規定があるわけでありますけれども、これはあくまでもPFI事業の推進のための土地の流動化をねらいとしたものでありまして、決して救済措置を目指したものではないということを言明させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/13
-
014・鉢呂吉雄
○鉢呂委員 次に、PFIに関する情報公開、このことは、過般の情報公開法が制定をされたということで、それにのっとるということが言われております。
しかしながら、発注者が選定事業者と締結する契約、あるいは協定または事業計画等も情報公開法の対象となると理解をしておるわけでありますけれども、その点に関する御答弁をお願いいたしたいのと、また、今回の情報公開法は、国において一定の担保をするということでございますので、地方自治体といいますか地方においては、まだ情報公開条例というものを有しておらない地方自治体もあるというふうに聞いておりますので、このような場合にはどのような対応をされるのか、その点についても、ちょっとあわせて御質問になりますけれども、よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/14
-
015・小杉隆
○小杉委員 情報公開、透明化という点は、特に留意をいたしました。たまたまこの法案を作成しているさなかに、今国会におきまして情報公開法が制定をされました。私も情報公開法の作成に携わった一人として大変うれしく思っておりますが、この法案は、その情報公開法ができなくても、そういった透明化という意識でつくったものでありますので、さらに私は情報公開の実が上がると考えております。
当然、今御指摘のように、新しくできた情報公開法の対象になり得るし、これは国のみならず地方自治体にも適用されるし、特に契約内容の細部にわたるというようなところまで公開をできるのかというお話はまだしていませんけれども、当然、非開示情報として六つの分野が情報公開法の中に入っているわけですから、それを除くすべてのものは公開の対象になる、透明化ができる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/15
-
016・鉢呂吉雄
○鉢呂委員 今回は、第三セクターの場合は別として、純粋の民間事業者が特定事業者ということで受注をする場合、この場合も、やはり発注たるものは公共施設、公共事業ということでありますから、特に国民に対するサービスということを最大の、念頭に置いた建設あるいは事業管理、運営ということがなされなければならないというふうに思っておるわけでありまして、地域住民の皆さんがこの事業から疎外をされる、なかなか情報が伝わらないとか、その内容がわからない、ある面では、民間事業者ですから、採算が合わないということになりますと、突然事業を中止するというようなことがあってはならないと私ども思っております。
ですから、当初、より厳しく、そういう事業運営に懸念が生じたり、あるいは契約に疑念を生じるような場合というものについても、当初から事業実行上の基本、都道府県が定めます、あるいは地方公共団体が定めます事業実施方針の中でこのことを明瞭にすべきであるということで法案化もさせていただいたところでありまして、先ほどの責任分担ということになるわけでありますけれども、地域住民の皆さんがそういうことから疎外をされるといいますか、常に住民の皆さんの立場に立つ建設あるいは事業管理、運営であっていただかなければならないというふうに思っておるわけでありまして、そういう点で、民間事業者にあっても、関係住民というものを常に頭に置いて情報公開に努めるように、その点についての提出者としての御見解をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/16
-
017・佐田玄一郎
○佐田委員 鉢呂委員のおっしゃるとおりでありまして、三条の「基本理念」においても、PFI事業はよりよいサービスを住民に提供することを旨として行われなければならないと規定しておるところでありまして、このことを踏まえまして、民間事業者においても、積極的な情報提供を通じて関係住民の理解を得て円滑に事業を進められることが規定をされておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/17
-
018・鉢呂吉雄
○鉢呂委員 このPFI事業というのは、まさに日本にとっては未知の領域といいますか、もちろん第三セクターという形で、私どももこの建設委員会で調査をさせていただきましたあのアクアラインの事業とか、過去にも数件ありますけれども、まさに日本にとって法律をつくって進めるという点では新しい分野だというふうに思っております。
そこで、法案の附則でも規定されておりますけれども、五年以内の見直しをするということでありまして、具体的に入ればさまざまな問題点が生じてくるだろうということでございますから、今回の法律に基づく事業はモデル事業と考えて、この間明らかになったさまざまな問題を積極的に解決をしながら、PFI事業というものが効率的な行政運営に資するように大きな発展をしていただく、そういう意味では五年以内の見直しについても積極的な見直しをしていただきたい、このように考えておりますので、提出者の御答弁をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/18
-
019・青木宏之
○青木委員 お答えいたします。
今の御指摘、全く同感でございまして、PFIは、我が国におきましても社会資本整備のあり方として全く新たな手法を導入するものでございまして、今おっしゃいましたように、当面はモデル的な事業として推進していくことになろうと思います。したがって、五年間にある程度やはり実績を積み上げて、その過程でいろいろ明らかになった問題が生じた場合に、これを積極的によりよい方向、制度に発展させていくべきであると考えております。
なお、規制の撤廃や緩和等につきましても積極的な見直しを行う旨が規定されておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/19
-
020・鉢呂吉雄
○鉢呂委員 最後になりましたけれども、民間の資金やあるいはノウハウを活用して公共事業を効率的に運営していく、建設をしていくということは、私ども民主党にとっても、その趣旨なり基本理念は大変積極的なものがあるというふうに考えております。
しかし、先ほど来お話ししましたように、第三セクターの今日の状況を見ますとそういう懸念もあるわけでありまして、そういうものを乗り越えて、この事業がイギリスのように大きな飛躍をしていただくということを私どもも願っておりますし、建設大臣を初めとする各所管の大臣にとっても、この事業を積極的に活用する、あるいはさまざまな問題点については十分国民の皆さんに明らかにする。そして、単に景気対策とかあるいはまた安易な財政支出による公共事業のばらまきのような投資ということに陥らないように、そういう面での主管官庁としてのPFI推進委員会というものも設置をされるわけでありますから、そういう点で、皆さんのこれからのPFI事業というものを日本に根づかせるための御努力も願わざるを得ないというふうに考えておるところでございます。
少し時間が余りましたけれども、そういう形で、ぜひ提出者の御労苦、コソボに飛んでいるかと思いましたら、きょうはもう既にここに顔を見せております小杉先生を初め、後ろの方に木村先生もおりました、御答弁をきょうは願えませんでしたけれども、前から提出をされておったのですけれども、数度の国会、大変な御努力でこれをまとめていただいたことに本当に重ねて敬意を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。本当にありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/20
-
021・平田米男
○平田委員長 長内順一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/21
-
022・長内順一
○長内委員 公明党・改革クラブの長内順一でございます。よろしくお願いいたします。
ただいまも同僚の議員の方からも経緯それからこの法律の目指すところ、るるお話があったところでございますが、私どもも、PFIによる事業の推進ということはまことに時宜を得たものとして評価をしているところでございます。特に、私どもの神崎代表が、昨年のたしか予算委員会の中で、PFIを新たな制度としてとらえて推進していこうではないか、こんなお訴えもさせていただいたところでございまして、今もお話ございましたように、各党の皆さんと一緒に、より実効性のあるそんな事業にしていくべきという観点から先般修正案も出させていただいて、それもこの法案の中に盛り込んでいただいたところでございます。
しかしながら、この事業自体、それから今のタイミング、私はいいと思うのですけれども、やはりどうしても懸念として心配な点が何点かありますので、きょうは率直にこの点を聞かせていただきたい、こんなふうに思うところでございます。
まず、ただいまもちょっと話題になっておりましたけれども、どうも官と民と共同で事業をやるということになりますと、従来の第三セクターのイメージがどうしてもつきまとうわけでございます。そして昨今、一時は大変なもてようといいますか評価をされた第三セクターなんでありますが、最近はどうもこれが思わしくない。中には破綻した三セクなんかもあったりしまして、そのしわ寄せがどこに行っているかというと、何か自治体に行っているなんという例もあるようでございます。私は選挙区が北海道なんでございますけれども、苫小牧東部開発なんという大変巨大なプロジェクト、これも行き詰まった状況になっていまして、今新たな方策が求められている。
こんなことを考えますと、第三セクターというのは、どちらかというと民の事業に官が介入していって一つの事業形態をなしている、ちょっと乱暴な言い方かもしれませんけれども。PFIというのは逆でございまして、本来は官がやる、いわゆる公共施設その他の事業でございますから、官がやる事業に民が介入、かかわっている、ここが基本的な違いかなと思いながら私は拝見させていただいておったのでございます。
今回の修正案の中でも、やはりこれから先に行ってこの事業が破綻してもらったら困るんだ、行き詰まってしまったら困るんだということから、私どもは、国や自治体の出資それから債務保証、これは公的主体の財政負担を無制限に拡大する危険性があるということで、これを削除していただきたいということで修正案に盛り込んでいただいたわけであります。
しかしながら、資金的なものについてはそんな形で歯どめがかかるわけでありますが、事業としてこれから、特に二十年、三十年の長期にわたる事業になってきますと、本当にこれで大丈夫なのかな、ひょっとして三セクの二の舞になりはしないかな、私はこういう懸念がどうしても消えないわけでありますが、この点について、回避するのにどうしたらいいのか、本当に大丈夫なのか、率直に聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/22
-
023・佐田玄一郎
○佐田委員 長内委員、御当地の方の苫東の問題やらいろいろ抱えておられて、本当にそれは当然な御心配ではないか、かように思っております。
ただ、しかしながら、今回はそういう理念の上においてはしっかりとしたものを入れさせていただいたつもりであります。御指摘の第三セクターの失敗例の轍を踏まないためにも、PFI事業に伴うリスクの分担をあらかじめ官と民とで明らかにすることが重要であると考え、そのリスク分担としては、例えば予測しがたい天災等による損害は公共が負担をいたしまして、需要予測の誤り等による損害は民間が負担する。これは当然のことでありまして、企業が運営するときに、その企業自体が失敗したということでありますから、そういうことについては民が負担をする、そういうことを考えております。
具体的には、個別事業ごとに、その特性に応じて、民間の契約により事前に詳細かつ明確に規定されておるはずであります。
なお、PFIは、民間の資金や能力を活用して効率的に事業を進め、これにより全体事業費のコストダウンを図るものでありまして、官負担を軽減することが本来のねらいとなっておりますので、その辺のところの御理解をよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/23
-
024・長内順一
○長内委員 リスク回避のためにきちっと分担がなされているということでございまして、特に契約の中でそれはきちっと取り決めていくのだと。
もう一つ、資金的には何か民間の方にウエートがあるような今の御答弁でございますけれども、三セクの例を見ますと、ほとんどが、うまくいかなくなる、そうなるとまず破綻してしまうのは当然民間の方でございます。残ったのは官の方ですから、官の方にどうしてもしわ寄せが、最後のさまざまな責任は官でとっていかなければならない、こんなふうになっていたのが現状ではないかなと思うのですが、この辺の御認識はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/24
-
025・小杉隆
○小杉委員 確かに、おっしゃるとおり、第三セクターの危険というものを我々は何としても回避しなければいけないということを大前提に、これから官と民の間でいろいろな契約を結ぶわけですが、その中できちっとリスク分担、責任の分担というものが盛り込まれる。従来、第三セクターの場合はその点が少し不明確だったのじゃないか。結局しわ寄せはすべて官がかぶる、こういう結末が多いわけなので、その轍は二度と踏まないように、とにかくしっかり契約ということで、民間の方もその事業が破綻したり行き詰まったりということだったら手を出さないわけですから、そこら辺はしっかり事前に事業計画なり契約で明らかにする。そういうことによって、何としても第三セクターの失敗の轍を回避する、こういうことにしたいと考えております。
そういう精神をこの法律には十分盛り込んでおりますので、今後、いろいろ政令が出される中に、あるいは基本方針とか実施方針の中にそういった懸念を払拭するような内容を盛り込まれ、また現実にこの法律に基づいて事業が選定され、事業者が選定される場合には、そういうことは十分念頭に置きながら行われていくと信じております。何としても今までの失敗は避けなければいけない、そういうことで、この法律はその辺も十分視野に入れながらつくったつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/25
-
026・長内順一
○長内委員 今、提出者の小杉先生のお話で結構だと思いますが、やはり今御答弁いただきましたように、単に契約ということでなくて、万が一の場合どうするのかという責任の所在、リスクの所在、これもきちっと契約時に取り決めるということが大前提だろうというふうに思います。
そして、先生くしくもお話しになっておりましたように、従来は結局は官がしわ寄せを受ける。自治体なり国ということになると、それはどこに行くかというと、当然国民、住民の方へ行くわけでありますから、特にこの点、新しい事業であるだけに、心配がなく、いや本当にこれならやっていけるなというような形の契約形態をぜひシビアにお願いしたいなと。附則でもいいですし、それから通達でもいいですし、形はどんな形でも結構なんですが、それが盛り込まれるようにひとつ御勘案をいただきたい、こんなふうに思います。
それから、資金的には今のようなことが一つ心配な点なんですが、もう一つ心配な点は、今回の事業対象が非常に広いということなんですね。これは道路から上下水道から学校から、もうとにかくありとあらゆる公共施設が対象になっております。よくよくお考えを伺えばこれはわからない話ではないのですが、ただ、国民の目から見ますと、やはり公共施設というのは安心だとか安全だとか、こういう要素もあるわけでございまして、効率だとかコストダウンだとか、ここのレベルだけでは推しはかれないようなそういう感情もあろうかと思います。
そんな意味では、公共施設の安心、安全、この確保のためには、私は、ある程度対象事業を絞るといいますか、限定することも一つあっていいのではないかな、こんなふうに考えるわけでありますけれども、この点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/26
-
027・小杉隆
○小杉委員 対象事業は、その条文の中にありますように、道路などのいわゆる純然たる公共事業、法律上では公共施設、それから公務員住宅などの公用施設、それからあと廃棄物処理施設などの公益的施設、そしてその他、こういうふうに分類されているわけですが、私どもはそんなにすべてがこのPFI事業で行われるとは考えておりません。
この計画を出しましてからもう一年半経過しているわけですが、なかなか手を挙げてくださる方が少ないわけでして、しかし将来はいろいろなPFI事業が出てくるかもしれない、そういうことで一応対象はこういうふうに掲げてありますけれども、現実には、当初は非常に限定した対象の仕事しか出てこないのではないかと思います。
それから第二の、いわゆる官に対する信頼感、安心感、そういうものは非常に大事だと思います。ですから、私は、PFIだからといって、恣意的に全部行われるというものであってはならない。
やはりイギリスなんかの例を見ましても、PFI事業であったとしても官のコントロールというものは、これは住民のことを考えて、事業の進め方はPFIだけれども、その後の市民とか住民に対するいろいろなPRとかあるいは透明性とか、そういう面では官が十分コントロールをしていかなければいけない。野方図に全部民間に任せてしまうという発想では信頼感とか安心感というのは確保できないので、私は、たとえPFI事業であっても、官のコントロールというものは、信頼感あるいは安心感を持っていただくためにも最小限度必要であるというふうに考えております。
そういった点は今後の運用の中で十分、この法律の中でも官のそういった役割等も書いてありますので、そういう考え方で進めるべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/27
-
028・長内順一
○長内委員 やはり今の信頼だとか安心、ここの部分はどんな事業においても一番大事なベースになる部分でございますから、どういう形を運用の中でお考えいただけるのでしょうか。
図書館だとか博物館だとか、こういうものは問題ないのでしょうけれども、上下水道だとか病院だとか、こうなってきますと、また違った要素が入ってくると思いますので、ぜひともこの点についても御留意をいただきたい、こんなふうに思うわけでございます。
あとは、ずっと法律を読ませていただきますと、この事業を実施していく上で非常に重要な役割を担っているのがこのPFI委員会と呼ばれる委員会でございまして、ここで相当なお立場になっているな、こんなふうに考えているわけでございます。
これにつきましては、私どもの方も、余り行政経験の長い方がこの委員に御就任されるのはひとつ避けてくださいよということで修正案に盛り込んでいただいたわけでございますけれども、この委員会が、いわゆる権限と、もう一つは客観性、中立性、こういうものを確保するためにはどのようにされるのか、どのようにお考えになっているのか。相当な権限がなければならないと思いますし、それからもう一方では客観性がなければならないと思うんですが、この辺のことについてはどんなふうにお考えになっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/28
-
029・小杉隆
○小杉委員 御指摘のように、PFI委員会の役割、責任というのは非常に重いわけでございまして、イギリスなどでは、財務省の中にPFI委員会を置いて、すべての公共事業はこのPFI委員会で審査をして、評価をして、そして決定する、こういう大変強大な権限を持たせております。
しかし、果たしてこのイギリス型のPFI委員会が日本の風土に合うかと我々考えまして、やはり日本は、それぞれの官庁なり自治体が責任を持って仕事を進めているわけですから、そういったものはやはり尊重していこうと。しかし、それぞれの官庁あるいは自治体だけの裁量じゃなくて、このようなPFI委員会ができて、総理大臣の任命によるPFI委員、これは九名ということになっていますが、かなりあらゆる分野の、例えば金融とか建設とか、あるいは経営の熟達した経験者というか学識のある方になっていただく、その下に専門委員会とか部会というものはできるわけですから、私どもの念頭にあるのは、PFI委員はできるだけ民間人を主体とする、これが望ましいと考えております。
もう一点は何でしたか。(長内委員「権限と、それから中立性といいますか」と呼ぶ)これは、非常に情報公開、透明性ということを主眼としておりますから、このPFI委員会の決定がおかしいとか、あるいはこういうことを提案してみたいという場合には、民間からも発議ができますし、あるいは一般の国民からもどんどんPFIに物を言うことができるということにしておりますし、また、PFI委員会の決定等については、公表というような形あるいはその他の方法で、できるだけ透明にしていこうということですから、その辺は担保をされる、御懸念の点は担保されるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/29
-
030・長内順一
○長内委員 この委員会が今回の事業を本当に実施していくと、各省庁に横断的にかかわってくるようなケースがたくさん出てくると思いますので、そんな意味では、この委員会に相当な権限を与え、しかも、今お話しいただいたような非常に高い透明性を一つ求められる、こんなふうになろうかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それから、何か時間がもうないということであれなんですが、このPFIの導入の経緯、基本的な考え方について、最後にちょっとお伺いをしておきたいと思うんです。
これはイギリスで、当初、サッチャー政権のときに、例の英国病を解消するというところから何かスタートしたというふうに伺っておりまして、その後、メージャー政権ですか、一九九二年から実際に実施をされている。先ほどもお話ございましたけれども、そのときの哲学といいますか、バリュー・フォー・マネーということが一つポイントになっていまして、税を効率的に使っていこう、そして小さな政府を目指すんだ、言うなれば、行政改革のかなり進んだ形というふうに私は受けとめておるわけであります。
日本の場合、小杉先生初め、きょう御提出の皆さんのスタートといいますか、基本的な考え方、もちろん目指すところはここにあるんでしょうけれども、その前にまず景気対策で民間のひとつ活力を生かしていくんだ、そんな意味では、景気対策という側面が非常に前面に出ているような、そんな印象を受けておるわけでございます。
これは、この後、哲学といいますかコンセプトとしては、このPFI、どこを目指そうとされているのか。そして、この意識の乖離、もしイギリス型と日本型の乖離があるとしたら、この辺をどういうふうに埋めていかれるのか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/30
-
031・小杉隆
○小杉委員 多面的な機能をこの法案は持っておると私は思います。今言われた、財政再建にも資する、あるいは民間の事業機会の増大、あるいは公共事業の効率性の向上、私はこういった多面的な機能をこの法律が促進すると思いますね。
もちろん、イギリスで始まったときは、今おっしゃった経緯で、財政再建という路線の中で始まったことですが、それが今申し上げたようないろいろな機能を発揮することになっているというふうに思いますので、私は、今後の日本の財政状況とか、あるいはなるべく民間にもこういう公共事業の門戸を広げるという発想は、新しい時代に適合した法律案だというふうに考えております。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/31
-
032・長内順一
○長内委員 新しいことにチャレンジをされる、その中では、当然、光の部分と影の部分があるわけでございまして、ちょっと時間の関係で、リスク回避で半分ぐらい時間を使ってしまいましたけれども、ぜひとも、第三セクターの二の舞は絶対踏まない、そして、この事業を中心にして、また公共事業のあり方、公共施設をどういうふうにこれから考えていくのかという点のあり方の一つの新しいスタートになりますように私の方からもお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/32
-
033・平田米男
○平田委員長 辻第一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/33
-
034・辻第一
○辻(第)委員 今、我が国は、国と地方自治体と合わせて、本年度末で六百兆と言われるような深刻な借金財政、財政危機を迎えています。その一番大きな原因というのは、大型プロジェクト中心の公共事業、そして公共事業費が五十兆、社会保障費が二十兆と言われるような、欧米諸国に比べて逆立ちをしたような政治にあるということでもございます。
私どもは、そういう中で、このむだや浪費の多い大型のプロジェクト中心の公共事業から、国民生活に密着をした、住宅でございますとかあるいは教育や福祉の施設、あるいは生活道路や下水道、こういう国民生活に密着した公共事業、それはまた中小業者に仕事が回る公共事業への転換をということをずっと求めてまいりました。また、そういう中で、政官財の癒着が後を絶たないというのも現状であります。
さて、そういう状況の中で、この民間資金等の活用による公共施設等の整備の促進、このような起草案が今提案をされているわけでありますけれども、私どもはいろいろな点でこれには賛成できないという立場をまず申し上げて、そして質問をしたいと思います。法案の内容について絞って質問をしたいと思います。
まず、破綻時の処理について伺います。
法案の第五条の二で、実施方針に具体的に定める事項の中に、事業の継続が困難になった場合の措置というのがございます。この具体的な中身はどのようなものになるのか、またどのようにして決められるのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/34
-
035・佐田玄一郎
○佐田委員 辻委員の方からの御質問でありますけれども、事業の継続が困難になった場合の措置は、公共施設等の管理者等がその実施する特定事業に即して、事業に伴うリスクの分担をあらかじめ個別に明確に定めているところでありまして、当初からそういう場合のこともきちんとお互いに話し合って協定であるとか契約に入れておく、そういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/35
-
036・辻第一
○辻(第)委員 法案では、具体的な破綻時の処理について、実施方針で、各省庁、各自治体が個別事業で決めるということですね。
この実施方針の作成に向けた建設省の日本版PFIのガイドラインというのがございますが、リスク分担の考え方として、リスクは適切に管理できる主体が分担をする、このようにされております。そして、事業破綻時の公共側の対応として、ほかの民間で引き取り手がなければ、全施設を管理者、つまり公共が引き受ける、このようにされております。結局、事業が破綻すれば公共が後始末を請け負うということになります。そうならないという保証がありません。
先ほど来お話がありましたが、第三セクターの例、いろいろな形態や目的があるわけですが、財政的に破綻をしているのが過半数、このようにも言われているわけであります。そういう点で、公共が後始末をする、結局は国民の税金で後始末をするという問題、これは大変重要な問題であるということを指摘して、次に移りたいと思います。
この法案には、民間事業者に対するいろいろな支援策が盛られています。
まず、財政支援でございますが、第四条三の三で、基本方針に配慮して定めるべき事項として、財政支援については、現行制度に基づく方策を基本とし、これに準ずるとあります。これは、民間事業が行う事業に、これまでの公共事業に対する補助金の現行の制度を適用するということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/36
-
037・小杉隆
○小杉委員 基本的にはそうです。今までの、例えば道路をつくるといった場合に、二分の一補助とか三分の一補助とか従来の制度があるわけですが、民間事業者がやるからといってそういうものを全部カットしてしまったら、恐らく民間事業者で手を挙げる人はいなくなってしまうでしょう。
したがって、現行制度以上のものを私たちはやる必要はありませんけれども、現行制度のイコールフッティングの考え方から、それを削除するということはいかがかということで、そういう書き方をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/37
-
038・辻第一
○辻(第)委員 しかし、従来の補助金が適用されるということですね。公共が行う以上に財政負担が軽減をされるというような保証はないということですね。
次に、長期債務負担でありますが、法案では、現行の補助金制度以外にもいろいろな財政支援が定められています。
第十一条では、国の債務負担の支出年度を三十年以内と長期のものにしていますが、これはなぜなのか。これは、長期にわたって国が企業の収益を支えることになります。そして、将来の国民負担になります。財政再建の上からも、長期にわたる債務の負担は行うべきでないと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/38
-
039・佐田玄一郎
○佐田委員 先生の御指摘の点でありますけれども、今回のPFI事業等につきましてはかなりの年限を要するものもありまして、例えば、長期にわたるリース契約をすること等を想定いたしますと、国庫債務負担行為の支出年限につきましては、三十カ年以内ということでありますけれども、できるだけ短く持っていきたいと思いますけれども、これからの一つのモデルケースを見ながら、先生、これを御理解いただきたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/39
-
040・辻第一
○辻(第)委員 次に、土地の収用でございます。
法案では、財政支援以外にもいろいろな支援が行われるというようになっています。第十五条では、事業実施に当たっては、土地収用法に基づく収用その他関係法令に基づく許可等の処分について配慮する、このようにしていますが、これは民間事業者が事業を行う場合でも土地収用を行うということですね。
土地収用は公共が事業を行うために住民に強権を発動するものでありますが、立ち退きや移転などについては住民の納得を得られるものでなくてはならないと思います。そのためには、長い時間をかけることも必要です。土地収用を性急に行うことは断じてあってはなりません。しかも、民間がやるからと、これまで公共が行ってきた以上に性急に行うということがあるなら、これはもってのほかだと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/40
-
041・佐田玄一郎
○佐田委員 今の御指摘も、これは当然のことだと思います。
しかしながら、先生、既存の公共投資において、土地の収用等につきましても、かなりの長時間にわたって、そして住民の皆さん方の御理解をいただいてやっていることでありまして、今回のPFIにつきましても、これは先ほどの小杉先生の方からもありましたように、住民の御理解をしっかりといただいて、そしてかつディスクロージャーをしっかりとやって、そして行っていくことであります。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/41
-
042・辻第一
○辻(第)委員 この土地収用というのは性急に行ってもらってはならない、重ねて強く申し上げておきたいと思います。
次に、担保不動産の繰り延べ償却の問題でございますが、第二十条で、事業者に土地を売却した会社が売却損を出した場合に、十年かけて繰り延べ償却ができるとしています。これは不良債権の担保不動産処理を支援するものにはならないのか、バブルで地上げなどを行って不良資産を抱えた会社に税金を優遇することで救済をしようということになるのではないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/42
-
043・佐田玄一郎
○佐田委員 この担保不動産の問題でありますけれども、先生も御案内のとおり、今の金融の問題の一番の元凶は、やはり担保不動産になっております。そして、景気の低迷もそれに連鎖していることでありますから、そういうことを考えますと、基本的には土地の流動化を基本として、今回のこういうふうな形の措置にさせていただいた。そういうふうに、決して恣意的に、救済措置としてやっているのではないということを、ぜひ御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/43
-
044・辻第一
○辻(第)委員 しかし、現実には救済措置になるということは明らかでございます。
次に、このほかにも、国有財産の無償使用や無利子貸し付け、資金の確保及び地方債について配慮など、いろいろな支援が行えるようになっています。
さらに、十六条の「支援等」で、内容を限定せず、事業の実施促進のため、必要な法制上及び税制上の措置や、必要な財政上及び金融上の支援を行うとありますが、これは具体的にどのようなことを行うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/44
-
045・小杉隆
○小杉委員 一口で言うと、イコールフッティングの考え方でやっているわけです。
今、辻議員が指摘された、いろいろな懸念の材料を並べられましたが、これらはいずれも、こういうPFIでやったからといって、従来の公共事業と著しく不利益をこうむらないようにするための平等の原則といいますか、イコールフッティングの考え方でこういったことをやったわけであります。
ただ、私どもは、先ほど民主党や公明党・改革クラブ等からお話があったように、必要以上に支援をするということは最初の段階では控えようということで、あえて出資と債務保証は削ったわけでございまして、そして残ったこういった財政支援その他は、これはやはり民間事業者が手を出したいというそういうインセンティブになるためには、必要最小限度の支援措置は必要であろう、こういう考え方で盛り込んだものであって、御懸念の向きは杞憂にすぎないというふうにあえて言わせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/45
-
046・辻第一
○辻(第)委員 今、御答弁いただいたのですが、こういう支援というのは、私どもが見てまいりますと、大変至れり尽くせりという感じでございます。第三条の「基本理念」でうたわれている、民間事業者の収益性の確保ということに非常に重点が置かれているのではないか、このようにも考えるところでございます。
さて、こうした手厚い支援で行われる事業の範囲は大変広いものであります。法案の第二条の「定義」を見ますと、これまで公共事業で整備を行ってきたものはほぼすべて含まれています。これに加えて、これまで公共で整備しなかったものも含まれている。さらに、事業で行うものの中にサービスの提供というのがあるのですが、これはどのようなものなのか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/46
-
047・小杉隆
○小杉委員 最初の方にありますように、これは、すべて対象を公共事業、あるいは公共施設、公用施設、公益的施設、その他と、こういうふうに大きく分けて四分類してありますけれども、一応原則として公共事業はすべて対象にしよう、こういう趣旨でございます。イギリスなどでは全公共事業をPFIの対象にして、財務省内のPFI委員会で審査をいたしまして決定するわけですが、今、全公共事業の一四%までがこのPFIという手法で行われているというふうに聞いております。私どもは、そうした意味で、すべての事業を対象にするということであります。
二点目は何でしたか。(辻(第)委員「サービスの提供」と呼ぶ)これは、もっと詳しくするためにあえて条文を書き加えた部分がありまして、これは単に事業を企画し、そして設計し、建設し、後の管理までする、こういう一連の仕事をすべて内容として盛り込む。ですから、ハードの、建物を建てるだけではなくて、それの前段階とかその後の管理運営、サービスまで、ソフトの部分まですべて含む、こういう理解でこの法案ができております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/47
-
048・辻第一
○辻(第)委員 いろいろと起草案についてお尋ねをしたわけでありますが、この法案は、民間の意向を受けて政府や各省庁、自治体などが、事業が広範囲に行われるようになっております。そして、事業に対して収益性を確保するように、現行の補助金や、法案に盛られております財政上あるいは法制上の支援を行うということにもなっております。これはさらなる公共事業の拡大といいましょうか、そういうことにつながる、そしてその結果、また財政の悪化を招く、そういう中で国民の負担を増大することになろう、このように考えるわけでございます。
こういう問題点を指摘いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/48
-
049・平田米男
○平田委員長 中西績介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/49
-
050・中西績介
○中西(績)委員 この間に至る五党の皆さんの御努力に対して敬意を表したいと思います。
そこで、私は、前三者の皆さんからいろいろ御質疑いただきまして、確認すべき事項等については大体出尽くしたような状況でございますので、簡単に二、三の点について、重なる点もあるかと思いますけれども、お聞きしたいと思います。
まず一つは、第一条でございますけれども、「目的」の中に、先般のこの委員会における審議の過程の中におきましても、これから後の建設行政の大きなあり方として何としても忘れてはならないことは、社会資本をどのように組み立てていくかということと、もう一つはやはりそのことが国民に対するサービス、国民生活に寄与する、こうした二本の柱がやはり大変重要だと思っておったわけであります。そうした意味で、この「目的」の項に私たちはやはり国民生活の基盤充実という文言を入れるべきだと思っておったのですけれども、動議提案者の皆さんの中で、決議の中にはそうした点についてという話もございましたけれども、こういう点について今後どのようにお考えになっておられるのか。五年後に見直しなどということが言われておりますときだけに、この点についてどうお考えかをお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/50
-
051・小杉隆
○小杉委員 この法律は、公共事業をできるだけ民間の資金、経営ノウハウを活用して、効率的、効果的に社会資本整備を行うということが「目的」にうたってあるわけですけれども、今、そうした手法を講じて社会資本を充実すれば当然国民の社会生活を充実させる、こういうことにつながっていくわけでありまして、この法律に書いてあります「国民経済の健全な発展」という中には、今御指摘の国民生活の基盤の充実ということが包含されるというふうに理解しております。
それから、五年後の見直しという点ですが、私は、法律というものは時代とともに成長していくものだと思っております。最初から一〇〇%完璧なものを期することは本当に望ましいのですけれども、そうではなくて、最初とにかくスタートして、その経験の中でいろいろ不備な点あるいはまた削るべき点が出てくると思いますので、そうした形でそれぞれの時代の要請に応じて見直していく、その期間としては五年くらいがまずは適当ではないかということで、五年後の見直しという規定を盛り込んだものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/51
-
052・中西績介
○中西(績)委員 先ほども出た問題でございますけれども、むつ小川原あるいは苫東など大規模な第三セクターが失敗と破綻に陥っておるという状況でございますけれども、その二の舞にならないということがまずこのPFIの事業の性格づけで重要だと思いますけれども、この点について、二の舞にならないための担保、この点、草案の中における御指摘をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/52
-
053・小杉隆
○小杉委員 先ほど申し上げましたが、従来の第三セクターの失敗例と言われるものの中には、計画段階で官民の役割が必ずしも明確化されていない、そういううらみがあったと思います。したがって、事業に伴うリスクを官が一方的に全面的に負担するという形が多くなっている、そういう事例が多いわけであります。私どもは、そうした過去の失敗を繰り返してはならない、こういうかたい決意のもとに、このPFI事業においてはあらゆるところでそうした懸念を払拭するような条文を盛り込んでおります。
「基本方針」、「実施方針」における官民の役割分担であるとかリスク分担を事前に明確化すること、あるいはその他の条項におきましても、契約に基づくそういったリスク分担、役割分担の明確化ということを盛り込んでおりまして、とにかく最も価値の高いサービスをできるだけ最小の負担でやっていくという観点から、民間の持っている資金、ノウハウというものを生かして、効率的、効果的な社会資本の整備を行おうということでありますので、御指摘の点は十分私ども念頭に置きながらこの法案をつくったわけでありますし、運用に当たっても、それぞれ、民間事業者並びに官側が、そういった責任、リスクの分担についてしっかりした事業計画なり契約、協定というものを結ばれることを期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/53
-
054・中西績介
○中西(績)委員 ぜひ、今申されたこととあわせて、一般的にやはり皆さんが見ておる目というのは、そのようなかつての第三セクターの失敗、それをまた引き継いで、そこでごまかしていくのではないかというような論だって出てきかねないような状況でありますから、その点をまた十分我々もともに監視をしていかなくちゃならぬと思っています。
そこで、国土庁長官にお聞きしますけれども、昨年の新しい全国総合開発計画におきましてPFIの有効活用が言及されておりましたけれども、今回のこの今提案されておるPFI、これとの、内容的なものにおいてどのようにお考えになっておられるか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/54
-
055・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 平成十年の三月に閣議決定をされました新しい全国総合開発計画、副題といたしましては「二十一世紀の国土のグランドデザイン」というものがあるわけでございますが、その第一部の「国土計画の基本的考え方」、その中の第三章「計画の実現に向けた取組」第二節で「国土基盤投資の計画的推進」という中にうたわれておるわけでございまして、
従来は公的主体が担ってきた国土基盤投資においても、競争原理が働く民間主体に対して、事業をその内容に応じて部分的ないし包括的に委ねることによって、より少ない費用で質の高い効果が得られることが期待される。このため、今後の国土基盤整備に当たっては、イギリスのPFIのような諸外国の先進事例を参考にしつつ、従来は公的主体が自ら行ってきた分野も含めて、民間活力を積極的に活用する。
というくだりがあるわけでございます。
ですから、先生御指摘のこの国土庁の新しい全総と、今回皆様方が御尽力をしていただきましたものとは一致をするわけでございまして、そのねらっている方向もまた同じ方向と認識をいたしておるわけでございます。したがいまして、本法案が成立をいたしました暁には、国土庁といたしましても、その積極的な推進になお努力をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/55
-
056・中西績介
○中西(績)委員 もう一つ、内政審担当者の方にお聞きしたいと思うわけでありますけれども、この従来からの公共事業の見直し、言いかえますと、費用対効果の評価システムの導入、むだの排除、経費の削減などが、これまでも公共事業担当各省庁で検討、見直されてきたようでありますが、こうした政府側の、今回のこの議会の発議による法案について、基本的評価をどのようになさっておられるのか、そして、これからどうこれに対応するつもりなのか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/56
-
057・竹島一彦
○竹島政府委員 お答え申し上げます。
政府におきましても、公共工事の効率化ということにつきましては、いろいろと今まで努力を重ねてきているわけですが、その代表的な例といたしましては、公共工事コスト縮減に係る行動指針というものでございまして、三年間で少なくとも一〇%以上の公共工事のコスト削減に取り組むということで、既に実施しているわけでございます。現在二年たちまして、五・七%というところに来ておりますけれども、これからさらに努力していかなきゃならぬというふうに思っております。
一方、PFIにつきましては、御提案の中にもございますように、社会資本をいかに効率的、効果的に整備していくかという基本的な発想から出てきた手法でございまして、これにつきましても、まさにバリュー・フォー・マネーの具体化ということで、政府としても大変重要な新しい取り組みであるというふうに考えておりまして、平成九年の十一月から、政府においても、二十一世紀を切りひらく緊急経済対策の中でこのPFIの検討を盛り込んで以来、もう二年たちますけれども、いろいろ勉強をし、またこの議員立法に合わせまして具体的な事業についての検討も進めている、基本方針のベースになるような物の考え方につきましても研究会を設けて勉強してきている、こういうことでございまして、このPFI法案が成立された場合には、当然、なるべく早く具体的な事業に取り組めるように体制を整えてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/57
-
058・中西績介
○中西(績)委員 私、現在の財政状況だとか景気の状況、あるいはいろいろな側面から考えてまいりますと、今、公共事業をどのように措置していくかということが大変重要な課題になっておるときだけに、関係の省庁などにおきましても、内政審議室を中心にいたしまして、こうしたことがより有効にこの法案が適用され、そしてそのことが今度は行政全体に波及をしていくということが、やはり大きな課題としてこのことは示しておるんじゃないかというふうな気がするわけですね。そうした意味で、いい方向でこれを活用するということになれば、当然、政府全体におきましても積極的にこれらについて検討し、そして基本的に評価をすると同時に、これからも施策の中に生かしていく、こういうようなことを考えていくべきだと思っておりますので、そうした点についてお聞きしました。
最後になりますけれども、きょう、委員長のお計らいによりまして、こうして各党の共同的な努力によってつくられたこの法案、そしてこうして審議がここで行われるということ、このことはやはりこの議会制民主主義、この中における重要な役割を我々がこうして果たす、その一つのタイプをつくっていったんではないか。今まで発言だとかなんとか言ってごまかしたりなんかしてやってきたんだけれども、やはりこうした内容について十分みんなで確認をした上で、そしてこれは公式に残っていく、そのことは今度はどうなるかというと、行政に対して、私たちが立法府として責任を持ち、監視をしていくという、こうした面で大変重要だろうと思っておりますので、これからもぜひこうしたことについて、きょうの動議提案者、これについて御納得いただいてされたということに対して敬意を払って終わります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/58
-
059・平田米男
○平田委員長 この際、中島武敏君から発言を求められておりますので、これを許します。中島武敏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/59
-
060・中島武敏
○中島委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律案に対して、反対討論を行うものであります。
国、地方の財政は非常に深刻な事態となっています。このような中で、政府は、景気対策を理由にたび重なる補正予算を組み、公共事業の追加を行ってきました。しかし、不況は打開されず、公共事業に対して国民の関心や批判が今ほど高まっているときはありません。
このようなときに本法案が提出されたわけであります。我が党は、むだと浪費の公共事業ではなく、国民が求める公共事業を推進する立場から、本法案に反対するものであります。
次に、その理由を申し上げます。
反対の理由の第一は、本法案によって、これまで民間が独自に行っていたものを含めて、事実上、無制限に公共事業が行える仕組みをつくったことであります。そして、この公共事業に国、地方が財政支援をするものであり、新たな大手ゼネコンなど大企業の支援策であることは明らかであります。
第二に、公共事業を利潤確保を目的として行うために、採算に合わない福祉や医療などの国民生活に結びついた公共事業が切り捨てられたり、利用料金の値上げにつながるからであります。大企業の採算に合う事業が優先される結果、大型プロジェクトを中心とした不要不急の公共事業が一層推進されることも明らかであります。
第三に、事業が破綻した場合は、政府、自治体にその責任が負わされ、その結果、国民の負担が増大することであります。
第四に、しかも、民間の公共事業に土地収用法など強権を発動し、住民の権利を抑えて事業を進めようとしていることであります。
結局、この法案は、国、地方の財政が危機的状況にある中で、それでも銀行や大手ゼネコンが公共事業を大規模に続けることができる仕組みをつくったものにほかなりません。我が党は、今こそ公共事業のむだを排し、福祉や医療など国民が要望する公共事業を進めることを要求して、反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/60
-
061・平田米男
○平田委員長 これにて発言は終了いたしました。
この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。国土庁長官関谷勝嗣君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/61
-
062・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律案の提出に際しての議員各位の御努力と御熱意に対し、深く敬意を表するものであります。
本法律案につきましては、政府としては異議はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/62
-
063・平田米男
○平田委員長 これより採決いたします。
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/63
-
064・平田米男
○平田委員長 起立多数。よって、そのように決しました。
なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/64
-
065・平田米男
○平田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/65
-
066・平田米男
○平田委員長 次に、本法律案の提出に際しまして、佐田玄一郎君外四名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。吉田公一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/66
-
067・吉田公一
○吉田(公)委員 ただいま議題となりました民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する決議案につきまして、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する件(案)
政府は、民間資金等の活用により効率的かつ効果的に社会資本の整備を進めるためには、規制緩和の推進や民間事業者の自主性の尊重等が重要であることに鑑み、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律を施行するに当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。
一 PFI事業推進に当たっては、財政資金の有効活用(VFM)を目指しつつ、我が国の良質な社会資本整備を促進し、国民生活の向上に資するものとすること。
二 民間資金等活用事業推進委員会は、民間事業者等から提出された意見のうち、規制緩和に関するものについて規制改革委員会に報告し、規制改革委員会は、これに対し速やかに回答するよう努めること。
三 民間資金等活用事業推進委員会の委員の任命に当たっては、民間主導の考えの下、民間人(公務員としての長期の経歴を有する者を除く。)又は学者を中心として選出すること。
四 公共施設等の管理者等は、特殊法人を含め、特定事業に関する情報提供に積極的に努めること。
五 本法の主務部局は内閣総理大臣官房内政審議室とし、本法の施行事務を遂行する職員の過半は建設省及び国土庁の職員をもって充てること。
右決議する。
以上であります。
委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/67
-
068・平田米男
○平田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/68
-
069・平田米男
○平田委員長 起立多数。よって、佐田玄一郎君外四名提出の動議のとおり決議することに決しました。
この際、ただいまの決議につきまして、関谷国土庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。国土庁長官関谷勝嗣君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/69
-
070・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨も踏まえまして配慮してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/70
-
071・平田米男
○平田委員長 お諮りいたします。
ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/71
-
072・平田米男
○平田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/72
-
073・平田米男
○平田委員長 内閣提出、参議院送付、住宅の品質確保の促進等に関する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。建設大臣関谷勝嗣君。
—————————————
住宅の品質確保の促進等に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/73
-
074・関谷勝嗣
○関谷国務大臣 ただいま議題となりました住宅の品質確保の促進等に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
住宅に対する消費者の意識が高まる中、欠陥住宅問題等の住宅に関するトラブルが増加しており、建築に係る関連の諸制度と連携をとりながら、住宅購入者等と専門業者の間の住宅に関する情報格差を是正していくことなどにより、良質な住宅ストックの整備を推進することが重要な課題となっております。
この法律案は、このような課題を踏まえ、住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護及び住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図るため、必要な措置を講ずるものであります。
次に、その要旨を御説明申し上げます。
第一に、建設大臣は、住宅の性能に関する表示の適正化を図るため、日本住宅性能表示基準を定めなければならないこととしております。
第二に、建設大臣が指定した住宅性能評価機関が日本住宅性能表示基準に基づく住宅性能評価を行い、標章を付した評価書を交付することができることとし、評価書が契約において交付された場合等には、表示された性能を有する住宅を完成させ、または引き渡す契約がなされたものとみなすこととしております。さらに、日本住宅性能表示基準に基づく評価について、業務の効率化を図る体制を整備するとともに、日本住宅性能表示基準が予想していない評価方法について、特別の定めをすることとしております。
第三に、住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図るため、指定住宅紛争処理機関などの紛争処理体制を整備することとしております。
第四に、住宅の新築に係る建設工事の請負契約及び新築住宅の売買契約において、請負人または売り主は、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵を十年間担保する責任を負うこととするとともに、契約によって期間を伸長できる特例を設けることとしております。
その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/74
-
075・平田米男
○平田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504149X01319990604/75
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。