1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年三月十六日(火曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 木村 義雄君
理事 佐藤 静雄君 理事 鈴木 俊一君
理事 田中眞紀子君 理事 長勢 甚遠君
理事 金田 誠一君 理事 山本 孝史君
理事 福島 豊君 理事 岡島 正之君
安倍 晋三君 伊吹 文明君
岩下 栄一君 大村 秀章君
小林 多門君 桜井 郁三君
砂田 圭佑君 田村 憲久君
戸井田 徹君 能勢 和子君
桧田 仁君 堀之内久男君
家西 悟君 石毛えい子君
五島 正規君 土肥 隆一君
古川 元久君 松崎 公昭君
青山 二三君 久保 哲司君
桝屋 敬悟君 武山百合子君
吉田 幸弘君 児玉 健次君
瀬古由起子君 中川 智子君
出席国務大臣
厚生大臣 宮下 創平君
出席政府委員
厚生大臣官房総
務審議官 真野 章君
厚生省年金局長 矢野 朝水君
社会保険庁次長 宮島 彰君
委員外の出席者
議員 山本 孝史君
議員 石毛えい子君
議員 金田 誠一君
議員 古川 元久君
厚生委員会専門
員 杉谷 正秀君
委員の異動
三月十六日
辞任 補欠選任
松本 純君 小林 多門君
同日
辞任 補欠選任
小林 多門君 松本 純君
本日の会議に付した案件
国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)
国民年金法等の一部を改正する法律及び厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(山本孝史君外四名提出、衆法第四号)
午前十時開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/0
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001・木村義雄
○木村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び山本孝史君外四名提出、国民年金法等の一部を改正する法律及び厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古川元久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/1
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002・古川元久
○古川委員 おはようございます。民主党の古川元久でございます。
本日は、一時間弱のお時間をいただきましたので、今回政府から提案をされております年金法の一部改正法案につきまして質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、一月二十六日に総理府の社会保障制度審議会から出されました意見について、今回の改正案の諮問に対する答申が出されておりますが、それについてお尋ねをしたいと思います。
一月二十六日に社会保障制度審議会から出されました答申には、
我が国の経済が長期にわたって停滞し、また今後とも急速に少子高齢化が進むと見込まれるため、雇用や老後の生活に対する国民の不安感は極めて大きなものとなっている。このため、社会保障制度の将来の全体像を国民に明らかにすることは、政府にとって急務である。
しかるに、今回諮問のあった年金制度改正案は、国民年金の保険料額を一時的に凍結するというものにすぎず、年金制度全体の将来の在り方とどのような関連があるのか明確でない。
そういう指摘がされているわけでございます。
私は、大臣、外交、防衛が対外的な安全保障だとすれば、社会保障制度、社会保障というのは対内的な安全保障の枠組みの大きな一つの制度ではないかというふうに思っているわけなんですが、老後生活の所得保障の中核をなすのが公的年金だと思うのですね。また、安心して良質な医療を受けるための医療及び医療保険制度、あるいは、来年四月から施行される予定になっております介護保険制度、こうした社会保障制度がどう整合的にまた将来にわたって安定的に維持されるか、そのことが具体的に国民の側に示されることが——現在私たちが抱いております将来に対する不安というものが今の景気の足を引っ張っている面も相当大きいのではないか、むしろここを本当の意味で解消しない限りは本当の意味での景気回復というものもなかなか達成できないのではないか、そのように考えているわけなんです。
そうしたことからしますと、そういう将来に対する不安をどう解消するか、それが、今回のような保険料額の一時凍結といういわば緊急避難的な措置ではなくて、もっと根本的に、景気にも好ましい影響を与えることにつながるんじゃないかと思っておるのですけれども、ここのところで指摘されておるような社会保障制度の将来の全体像、今政府が考えている社会保障制度の全体像というものはどういうものなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/2
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003・宮下創平
○宮下国務大臣 今御審議いただいているのは、国民年金の四月からの保険料の引き上げにつきまして、時限的な措置でございますから、四月一日までにお願いをして凍結をいたしております。
しかし、これは一連の年金制度改革の中の一環でございまして、私ども、昨日も年金審議会で答申をいただきましたが、それに基づき法案を作成し、また御審議をお願いするものでございますが、その一環として、四月一日から適用になるものですから、これだけセパレートして、そのほかの問題はこれから御審議をいただこうという手順になっていることを御理解いただきたいと思います。
その上で、委員の御指摘のように、社会保障全体を、医療保険、介護、年金、これが主要な三本柱でございますけれども、ことしはいずれも非常に重要な時期に差しかかっております。私どもは、それぞれの制度を精緻なものにし、本当に円滑に執行できる、あるいは年金で申しますと安心、安定できるシステムにしようとか、あるいは医療保険につきましても合理化を図って、そして、必要な医療給付は維持しながらも全体として効率化を図っていこう、介護保険制度も、いろいろ仕組み、システムはできておりますが、現実の適用を現実的に滑り出しをよくしようということで最大限努力させていただいております。
ところで、全体像というのは、私どもは、これらの三つの問題を解決するときは、相互に関連しておりますので、個別のシステムをつくるときには当然そういう配慮が必要でございます。委員の御指摘は、全体として数値的な目標等を示してその中で位置づけすべきであるというようにお伺いさせていただいておりますが、私も同感でございます。
しかしながら、今政府がやっておりますのは、これは厚生省が試算をいたしまして、ちょっと古うございますが、九年の秋に、社会保障の給付と負担の見通しというものを発表させていただいております。実は、社会保険料、社会保障の負担と租税負担が合わさった国民負担率という観念がございまして、それを高齢化のピーク時においても五〇%以下にしようということを歴代政策目標として掲げてきております。小渕内閣では、正確に申しますと、これを政策目標には閣議決定等の手続は経ておりませんけれども、歴代の政府の一つの目標値としてはそういうことが考えられるわけでございます。
それによりますと、名目国民所得の伸び率をどう想定するかによって非常に影響を受けます。したがって、いろいろ三つばかりの想定をしておりますけれども、私どもとしては、よしんば五〇%以下にしようとする場合に、租税負担等が約二〇%というように前提を置きますれば、私どもの試算の一番低成長のときで、社会保障の関係で負担が三五%、三六%ぐらいになるだろうと想定されておりますので、二〇%と三六%で五六%くらいになるということでございますので、超過いたします。したがって、その見通しでは、三六%の社会保障負担部分を二割くらいはどうも調整しないと五〇%の枠内におさまらないというような試算値を出しております。
しかし、これは一つの試算値でございまして、私どもは、国民の新たな需要の変化に対応しつつ、将来世代の負担をなるべく少なくしていく、過重なものとしないようにするという趣旨で、今回の年金法改正等に取り組まさせていただいているところでございまして、委員の御主張される趣旨は十分私どもも配慮しなければならないものだというように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/3
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004・古川元久
○古川委員 今大臣がおっしゃられた国民負担率を五〇%以下にというお話はわかるのですが、それは一番大きな外枠ですね。
今、この社会保障制度審議会から指摘されているような社会保障制度の将来の全体像といった場合には、ただ単に社会保障負担を今おっしゃったような税負担と合わせて何とか五〇%以下におさまるような、そこのことを示しただけで全体像を示したとは言えないわけですね。
もう一歩中に踏み込んで、例えば年金、医療あるいは介護について、この費用をどう負担するか。年金を所得保障という形で十分に給付することによって、その中で医療の自己負担分とかあるいは介護の保険料とか、そこはちゃんと賄えるようにする形にするのか。それとも、年金について、年金額をある程度抑えて、そのかわり医療保険だとかあるいは介護保険の保険料の部分で調整をするとか。やはり全体の枠が見えないと、もう少し中の部分に入っていただかないと、今おっしゃられたような五〇%といっただけでは、国民からしてみると、私どもからしてみると、社会保障制度の将来の全体像というのは全く見えてこないと思うのですね。
ただ、数字で五〇%と。また、その五〇%という数字の根拠についても、先ほどお伺いしておりますと、租税負担率が二〇%前後と見て、社会保障負担が三五から三六ぐらいになる、そうすると五、六%ふえる、五〇を超えてしまう、だからそれを何とか二割ぐらい削減する。
では、なぜ五〇でなきゃいけないのか。五五、六になったらそれを二割削減する、そういう単純に数字的な発想で考えていいのかどうか。そこのところはもう少し具体的にならないんですか。そしてまた、大臣、そういうお考えはないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/4
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005・宮下創平
○宮下国務大臣 五〇%の負担率につきましては、マクロ的なアプローチとして国際比較等をやる場合に一つの目安として考えておるものでありまして、当然委員のおっしゃるように、年金、医療、介護、この三本をとっても、それぞれの負担が、個別の構成されたシステムの中でどの程度の自己負担が来るのかという点は、私どもとしても制度をつくるときには配慮して十分検討をさせていただいております。
つまり、例えば医療保険と介護保険の関係について見れば、四十歳以上の二号被保険者の介護保険料は医療保険と同時に納めていただくというようなこともございますから、当然そういう配慮がなければなりません。
したがって、個別にシステムごとの負担、これはまだまだ検討を要することもございますし、また年金についても、皆さん方に本当にどうなるのかということの最終的な姿を御審議の過程でいろいろ議論していただく面がございます。凍結もあります。そういうことでありますので、いろいろ不確定要素も抱えながらも、全体としては負担の問題を頭に置きながら、背景に考えながら、制度をいろいろ検討させて改正案をつくっておる、こういう実情にあることだけは御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/5
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006・古川元久
○古川委員 システムごとの負担がどれくらいになるかというものにはまだまだ調整がかかるというお話でありますが、ある意味でまさにそこの部分を早く示さない限りは、先ほどから繰り返しになりますけれども、全体像を示したとは言えないわけですよね。
ですから、例えばそれを具体的に二年後までだとか、あるいは一年以内とか、そういう何らかの明示的な目標を持ってやるのか。あるいは今のようなお話だと、これから調整をして——例えば今回の年金についての国庫負担率の二分の一引き上げの話なんかについても、もう既に五年前の年金改正のときにも附帯決議なんかでもうたわれているわけですよね。それで、結局五年間そのまま。議論してきたのかあるいはたなざらしにしてきたのかわかりませんが、議論してきたにしても、結局今回でまた先送りするような形になっているわけですよね。
ですから、そういった意味では、いつまでもこうやって、そこについてはまだ調整がかかるからという形でずるずる先延ばしにしていては、いつまでたっても将来の全体像というのは見えてこないんじゃないですか。やはりそこは大臣の御見識として、ここまでにそういうものを含めてしっかりとした全体像を見せるということはおっしゃることはできないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/6
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007・宮下創平
○宮下国務大臣 委員は、年金の国庫負担の二分の一への引き上げと凍結との関係について非常に不確定ではないか、しかし、そういうことも踏まえながらも全体像を示すべきではないかということでございます。
私どもは、一つ一つの制度を検討して結論を得るには、今回のような例えば財源事情その他もございますから、私も二分の一にすることは制度としては妥当だと考えつつも、いろいろ全般的な予算の中の資源配分等を考えてこのような措置をとらせていただいておりますので、それが何年に本当に凍結解除と二分の一になるかというようなことは、これからの政策決定の段階で判断される要素を残しております。
これは一例でございますけれども、そのほかの制度でも、制度を定立するときは当然具体的な見通しのもとで制度を定立するわけでございますので、私どもは、制度が定立されれば、それらを集合して負担がどうであるかという数字はお示しすることができると思いますが、今、年金の例を申されたのであえて申し上げておきますと、そういう多少不確定的な要素を含みながらも制度改正をお願いしておるという立場もあることも御理解いただきたいと思います。
先生の言わんとするところは私ども十分理解しているつもりでございますが、私どもとしては、改正案を出す以上、それぞれの制度の目的なり構成のあり方なりを具体的に今度は考えて提示していかなければなりませんので、そういう角度から、これはミクロと言っては失礼ですが、制度それ自体を合理性のあるものにしていくという努力が一方にあるということでもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/7
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008・古川元久
○古川委員 大臣、そうやっていろいろな要素を考えなければいけないとおっしゃるわけでありますけれども、その一方で、きのう、今度出てくる年金の抜本改正といいますか厚生省から出てきた年金制度改革案が年金審議会の方で原案どおり了承という答申が出たという話が伝わってきておりますけれども、きょうの新聞あたりでもいろいろ見ますが、労働側委員から反発があった、労働側の委員が辞任するというお話も出ているわけですね。
連合の方からこんな抗議声明があります。今回の年金審議会の答申については、十二日の金曜日に続いてきのうも強引に開催されて、自民党のみの了解で確認した年金制度改革案要綱を、労働側委員の意見を一顧だにせず了解するとの答申を強行した。今回の連合推薦の三名の審議会委員のうち一名が無理な日程設定のため二回とも出席できない中、残る二名は、この常軌を逸した審議会運営に対する抗議の意思を席上明らかにした上、退席した。今回の年金の抜本改正とも言えるものについて、広範で、わずか二回、それも金曜日の夜と月曜日の午後という日程で諮問、答申を強行しているわけですよね。これは、三月末法案提出というスケジュールを一方的に設定した上で進められた暴挙だというような強い抗議が連合からされているわけです。
要は、今度出てくると言われている年金制度改革案については、とにかくスケジュール設定して、そこまでにある意味で無理やりにでも、調整がついていないにもかかわらずどんどんと進めているという姿がここからは見えるわけですよね。
その一方で、今の大臣のように、いや、全体像を見るにはまだまだいろいろな調整がかかりますと。どうもそれはおっしゃっていらっしゃることが矛盾しているんじゃないか。
もしそういうことをおっしゃるのであれば、今回、途中で委員が退席する、しかも、こういう無理な日程で、これだけのことをしっかりとした審議をする時間もなく決めてしまうのはおかしいじゃないか、そういう意見があったにもかかわらず、ちゃんと抗議の意思を表示して退席したにもかかわらず、それを審議会で了承して答申を出した。ちょっと聞くところによりますと、きょう社会保障制度審議会の方にも諮問をされるというお話を聞いておりますが、そんなふうにどんどんと勝手に進めちゃっていいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/8
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009・宮下創平
○宮下国務大臣 この年金審議会の扱いの問題は、あくまで私どもは諮問する立場でございまして、年金審議会で取り運びが行われるものだと承知しております。
ところで、一方、昨日私どもは答申をいただきました。それにつきましては、三人の委員の方々が、一人は最初から御欠席、都合が悪かったようですが、お二人の方は反対意見を述べられて退席をされておりますが、この年金問題は、きのうあるいは二回だけで審議しているものではございません。これは言うまでもないことでありますが、一昨年の五月から年金審議会で三十四回の議を経て、そして昨年の秋に一応の意見書を提出していただいております。その意見書に基づきまして私どもとしては年金法案をまとめたものでございますので、きのうと二回だけで決めるのはけしからぬとおっしゃるのは、私どもとしては理解しかねる点がございます。
なお、審議会のことでありますから審議会で適当にさばくことが必要でありますが、私どもとしては、審議会というものは、今後のあり方がいろいろ行革の中で議論されておりますけれども、議論は議論として、そこで物事を決定する場所ではございませんので、いろいろな意見があればそれは併記していただいて結構だし、そういう形でやっていただけることが望ましいのではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/9
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010・古川元久
○古川委員 これは年金審議会のことですからと言っても、実際に運営されていらっしゃるのは厚生省の事務方、事務局は厚生省がやっているわけでしょう。
大臣、私も役所にいましたから。税制調査会とかやっていて。それは知らない人に言うならわかりますけれども、実際に運営しているのはお役所の方でやっているわけですから、それを審議会の方でやっていることで厚生省とはというのは、ちょっとそれは余りに人をばかにしたようなお話じゃないかと思うんですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/10
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011・宮下創平
○宮下国務大臣 もう一度補足して答弁させていただきます。
この三月中にごり押しをして何が何でも決めていくのではないかという御指摘でありますが、政府としては、これは政府提案の法律でございますから、予算関連法案は二月中旬まで、それから非関連もできるだけ三月中旬までということで、内閣の申し合わせによってそのようにされております。
私どもとしては、できれば三月の半ばまでに提出したいと考えておりましたが、いろいろ御議論もあり、そしてそれを取りまとめるのについても党との折衝もあり、時間等も要しましたので、このような実態になっておりますが、三月中には何とか提案にこぎつけたいというのが私どもの気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/11
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012・古川元久
○古川委員 今そうおっしゃいましたけれども、大臣、今は自民党と自由党で連立与党を組んでいらっしゃるわけですよね。これはもう自由党もちゃんと了解している、そういうふうに認識してよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/12
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013・宮下創平
○宮下国務大臣 基本的には、自由党との間でも、政党レベルでも、また政府対自由党の関係でも、御説明を申し上げ、大筋では理解をいただいておるものと存じます。
ただ、ここで、自由党との関係で最大の問題で残っておるのは、自由党の主張は、委員も御承知のとおり、基礎年金について全額税方式でやるべきであるという主張をなさっていらっしゃいます。この点は、遠い将来の話はともかくとして、この年金財政再計算期においてそのようなことはできませんということで私も申し上げておりますので、その点の合意は必ずしも得ておりませんが、検討課題というようなことで、おおよその、あらあらの合意を得ておる。その点だけでございまして、あとはおおむね理解を得ておるというように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/13
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014・古川元久
○古川委員 その点だけとおっしゃいますけれども、その点が合意できなければ……。これは根幹の部分じゃないかと思うんです。
ですから、その点について、この年金審のように自由党が反対して立とうと、与党を出ていこうと、ごり押しでやります、そういうおつもりなのか。いや、そこはやはり与党を一緒にやっているわけですから、ちゃんとそこのところが話がまとまるまでじっくりやっていくんですと、それはどっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/14
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015・宮下創平
○宮下国務大臣 与党内の調整にまで配慮していただきまして本当にありがたいことでございますが、私どもとしては、自自連立を組んだ以上、その中で合意形成をいたすのは当然でございます。
ただ、物事には、直ちにできるもの、将来検討すべきもの等々いろいろございますので、この基礎年金部分についてはこれからの検討課題になるだろうということで両党でおおよその合意をしつつあるやに私どもはお伺いしております。これはあくまで政党間の話として処理をしていただくしかないと私どもは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/15
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016・古川元久
○古川委員 よくこういうときに、与党と政府が別物のような形で、いや、それは政党の話です、いや、それは政府の話です、そういうように使われるわけなんですが、議院内閣制というのは与党が政府をつくるのであって、そういった意味では、責任を何か与党と政府との間でキャッチボールして、都合の悪いときは、それは政府の、それは与党のという話では、国民から見ていてもどこに責任があるのか、だれが決めているのか、それが非常にわかりにくいと思うんですよね。
これは、自自の連立の合意の中で、政府委員制度を廃止して政治家は直接ちゃんと答弁をする、まさにその流れ、今回の自自連立で与党の皆さん方が進めようとしていらっしゃるのは、政府と与党がある意味で意思がずれないように一体化をさせていく、そこが目的としてあるんじゃないかというふうに我々は見ていたわけなんですが、今のお話ですと、いや、そこの部分は最終的には政党のお話ですから我々はわかりませんというのでは、自自連立の中で目指されようとしている路線とはどうも反対の方向のような気がするんですね。
私など見ていますと、要は、今回の年金審の答申をかなり焦ったのも、これから自由党との協議がある、そこで時間がかかるんじゃないかと。そうなると、先ほど大臣のおっしゃったように、予算非関連の閣法は普通ですと三月中ごろ、少々おくれても三月中に、そういうスケジュールがあるから、それを逆に見て、むしろ与党調整をする時間をつくるためにこちらの審議会の方を相当に急いだということがあるんじゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/16
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017・宮下創平
○宮下国務大臣 政党政治でございますから、議院内閣制でございますから、政党の意向が一義的に反映されていく内閣である、当然その建前は申し上げるまでもございません。
したがって、政府がごり押しすることは、与党内で合意が得られない場合はそれはできません。しかしながら、私どもは並行しても説明をしておりますが、一義的にはやはり政党がそういう大綱的な方針をきちっと決めていただいて、政府がそれを受けてその中で措置していくという性格のものだと思うんですね。
今回の問題につきましては、ほかの点ではそんなに異論は接触した限りではございません。ただ、今、基礎年金の一点についてと私は申し上げましたが、大体その点が、直ちにできないことはわかるが将来どうするのか、検討課題にするのかしないのかという点の相違点が残ってあるように仄聞しておりますので、私ども政府の立場としては全額税方式はできない、好ましくないと考えておりますので、それは政党間でまずあらあらの話をしてくださいと。当面の今回の改正について、特に絶対に来年からやれということで主張しておられる話ではないんですね。したがって、私が先ほど申しましたように、政党間のあらあらの話で見通しをつけていただくということが妥当ではないかと申し上げた次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/17
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018・古川元久
○古川委員 ちょっと確認をさせていただきたいんですが、今大臣は、普通は、まず与党でまとめたのを政府で案にするということをおっしゃいましたよね。そうしますと、今回のも、まず年金審に諮問するに当たってはそういった意味での合意はできていた、そのもとで諮問をして答申をもらった。そういった意味では、今の基礎年金の税方式にするかしないか、そこは、これからこの答申を受けてできてくる案について与党内でまたがちゃがちゃするということはない、そういうふうに見ていらっしゃるというふうに認識してよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/18
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019・宮下創平
○宮下国務大臣 ただいま申しましたようなプロセスを経てこの諮問をいたしておりますので、私としては、そういう可能性はない、ただ、全額税方式を将来どう扱うかということは当然議論されるだろうというように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/19
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020・古川元久
○古川委員 そこについては今の大臣のお言葉を、自由党の人に聞くわけにいきませんから、信じるしかないわけでありますが、こうやって委員の中の何名かが退席をするというような状況が起きているわけですね。
年金制度というのは、最初の私の話に戻りますけれども、将来の生活設計、そして国民生活の安定という中では極めて大事な制度であります。そういったものについて全体像を示せという私の要求に対しては、大臣からは、それはいろいろな調整が必要だ、ある意味でコンセンサスが得られて初めてそういった負担だとかそういうものも明示ができるんだというような意味合いの答えをいただいたと私は感じます。
そういうことからすれば、今回のような、こういう連合から強い抗議声明が出ているような状況というのは極めて異例だ、異様だというふうに受け取るのが常識的な受けとめ方だと思うんですね。ですから、この点に関してはもう少し何らかの——大臣、こういう抗議があるということは、今回の答申はある意味での瑕疵があるとも言えるわけであります。
今までのお話を聞いていれば、もう一回やはり労働側の意見もちゃんと踏まえて、最終的に——さっきの話で言えば、自由党の言っている基礎年金の税方式というのは、そこが長期的にというか、あらあらの部分はまとまっていて、ここの一点だけだというお話であれば、例えて言えばこれからの改正について遊びみたいな部分があるとすれば、そういう部分については、もう一度労働側の委員の人たちのあるいは労働側の意見というものも聞いていく場あるいは機会というものを設けるおつもりはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/20
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021・宮下創平
○宮下国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、審議会自体の運営は審議会でやっていただくわけでございますが、その中にサラリーマン代表といいますか、連合の代表の方もいらっしゃることも承知はしておりました。
ところで、いろいろ議論がやはりかみ合わない点も多々あったようにも聞いております。最初の年金審議会の意見書の提出の段階でもそのようなことがあったわけでありまして、私どもとしては、全会一致で御了承いただければそれは一番ベターに違いありませんが、見解の相違は相違として、それぞれあれば両論併記なり少数意見として付記いただくなり、やはり最後まで委員が審議に出席していただいてそこの責任を全うしていただく、つまり、審議会は決定する場ではございませんから、そのように意見表明をきちっとやっていただくことが必要ではないかと思っています。
ただ、今回の答申の中では次のような意見があったということで、お三方の代表されるような意見について、例えば報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げや抑制は反対だとか、減額率の見直しをすべきだとか、いろいろな点がございます。したがって、これは少数意見として審議会としても十分配慮してメンションをされたものだ、こう私ども受け取っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/21
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022・古川元久
○古川委員 審議会の席でちゃんと意見を言うべきだというお話はもちろん正論であると思いますが、今回の年金審が金曜日の夜と月曜日の午後、月曜日の午後は別にしても、金曜日の夜というのは普通ありませんね、審議会をそういう時間にやるということは。しかも、二回しかやらない。それはもちろん、前に三十何回もやったということはあるかもしれません。しかし、それをそのままというわけじゃなくて、またそれが与党の中のいろいろな協議とかそういうもので変わってきて、それが諮問されたわけですから、やはりそこについてはそれなりの時間をとって、十分な反対意見あるいは少数意見も聞けるような日程設定なり時間をとる。そういう議事運営というものが、議事の方を運営している厚生省の事務方としては必要じゃないか。そういうものを抜きにして、こういうような形で答申を出したことは極めて遺憾であるということを、一言厳しく抗議を申し上げておきたいと思います。
そして、私ども民主党としては、そうした意見も踏まえてこの国会の場で、また対案というものを考えながら、国民の皆さんにどちらが本当に将来的に年金制度を維持する上でいいのかというものを、また議論を闘わせていきたいというふうに考えておることを申し上げておきたいと思います。
時間もなくなってまいりましたので、次の問いに入りたいと思うんです。
きのう形式的には了承されたと言われております、先週十二日に年金審の方に諮問された年金制度改革案大綱についてお伺いしたいと思うんです。
この大綱によりますと、基礎年金については「平成十六年(二〇〇四年)までの間に、安定した財源を確保し、別に法律で定めるところにより、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るものとする。」またさらに、「国庫負担の割合の引上げ及び保険料凍結解除の時期は同時とし、できるだけ速やかに実施する。」ということが書いてあります。
今回の法案は保険料凍結ということでありますが、この年金制度改正案の大綱によれば、この凍結解除の時期というのはいつごろになる、あるいはどういう条件が整えば解除されるというふうに考えておられるのか、政府としての見解をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/22
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023・宮下創平
○宮下国務大臣 大綱にもお示ししてございますように、次の財政再計算期が二〇〇四年でございますから、それまでに安定した財源を得て、そして別に法律で定めるところにより、三分の一の国庫負担を基礎年金部分について二分の一にするということは法定いたしておりますので、これは法律上明記をいたします。これがいつであるかということでありますが、私どもとしてはなるべく早く安定した財源を確保して、そのような状況が実現できることを期待いたしております。
一方、この凍結につきましては、これは法律事項ではございません。国民年金だけは法律できちっと書かれておりますが、厚生年金の方は、私どもは、前の財政再計算期の予定でいきますと、ことしの十月に保険料を引き上げるということを想定いたしておりましたが、それも現下の経済情勢、特に消費支出のGDPの中に占める割合が非常に大きいわけでありまして、所得税減税をやってもなかなか消費が喚起できないという実態もございます。
政府としては、経済再生にすべてをかけるということであらゆる手段を講じました。その中で十月に、今一七・三五%でございますが、よしんば一九%というようなことを一応想定もしてみたのでありますが、これをやりましても二兆円以上の保険料の吸い上げといいますか徴収になります。そうなりますと、可処分所得をそれだけ減らすわけですから、一方、所得税減税で四兆円以上も減税しながら、その半分以上をまた吸い上げてしまうということは、マクロ的な経済の政策からしていかがかという観点を重視いたしました。
私としては、年金制度でございますから、これは景気の動向いかんにかかわらず年金財政が健全化し、その見通しが得られることが何よりも必要だとは考えつつも、今の小渕内閣の経済優先政策のもとで保険料の凍結をいたしました。
そして同時に、この凍結解除は、安定した財源を得て、三分の一から二分の一にすることと連結をさせていただいております。つまり、保険料を上げるときには負担がそれだけ上がる。しかし、その場合には三分の一を二分の一にすれば、保険料で一%、国保の方で月三千円減額といいますか、低下することになりますから、それとセットでやろうという思いでこれをリンクさせていただいておりますが、片面の凍結は法律事項ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/23
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024・古川元久
○古川委員 この辺のところはかなり読み方によっていろいろ読めるので、一つ一つ確認をしていきたいと思うんです。
この文章で、平成十六年までに、二〇〇四年までに、安定した財源を確保することと国庫負担割合の二分の一への引き上げ、この二つが両方行われることを定めるのか。あるいは、一つ一つ、つまりセットじゃなくて、国庫負担の割合の二分の一への引き上げ、これは先ほどの大臣のお話からいっても、自自連立の中でも、公明党も含めた協議の中でも、自民党から基礎年金の国庫負担割合については二分の一に引き上げることを年金改正法に明記するという提案が出されて、そこについては了解がとられているというふうに見ていいと思うんですが、そうなると、遅くとも二〇〇四年には間違いなくこの国庫負担の割合は二分の一に引き上がるということなのか。そして、その場合には安定した財源の確保というものが必ずセットなのか、あるいはそれがあろうがなかろうがこの国庫負担の二分の一への引き上げというものは明示されるのか、そこのところの関係はどうなっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/24
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025・宮下創平
○宮下国務大臣 これは結論を申しますと、セットでございます。
安定した財源を得て、三分の一から二分の一にするということが法定をされますから、これは、あくまでその二つの条件はセットであると理解していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/25
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026・古川元久
○古川委員 そうなりますと、もし安定した財源が確保できなければ、二〇〇四年になっても国庫負担の割合は二分の一へは引き上がらない、そういうふうに認識してよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/26
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027・宮下創平
○宮下国務大臣 私どもは、今の低成長、マイナス成長の経済がいつまでも続くとは思っておりません。平成十一年はプラス成長にしようということで、胎動も感ぜられるというような観測もあるように、だんだん経済の成長もプラス成長になって、しかも、経済戦略会議等においても来年以降は非常にステディーな成長を確保できるのではないかという見通しを持っておりますので、私どもとしては、少なくとも二〇〇四年までには経済の成長も安定成長の軌道に乗るだろうということを想定いたしておりますので、今、二〇〇四年以上に及ぶことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/27
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028・古川元久
○古川委員 今大臣から非常にあいまいなお答えがあったと思うんですが、安定成長になったら国庫負担の割合が二分の一に引き上げられる、それは暗に、要は安定成長になれば税収が上がる、それが安定した財源になる、そのように考えていらっしゃるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/28
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029・宮下創平
○宮下国務大臣 私の申し上げたのは、三分の一から二分の一にするのに平成十一年度だけで二兆二千億かかるんですね。それを赤字国債、今度三十一兆円を国債発行に頼り、一般歳出の中で三八%弱、三七・九%という、これは異常な率です、宮澤大蔵大臣によれば大魔神を最初から登場させたものだということでございますので、私どもとしては、それだけの財政状況の中で直ちにはなかなか困難であるということを申し上げております。
経済成長が起きれば、これは租税弾性値いかんにもよりますけれども、かなり税収も上がるだろうというように考えておりますし、またその間に行政改革も行われるでしょうし、それからまた国民的な論議を経て、直間比率の見直し等も排除するものではございませんので、総合的な判断で安定した財源の確保が可能ではないかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/29
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030・古川元久
○古川委員 そうおっしゃいますけれども、税収の弾性値ということから考えると、例えばレーガノミックス、レーガンが所得税、法人税で大減税をやって、その後しばらく起こったのは、税収が物すごい減になったわけですよね。今回政府から出された所得税、法人税の大幅な減税案によって、これはどう考えても——それはよほど経済構造改革が起こって新しい産業が出てきたり、そういう形になれば別ですが、そういうものが起こるまでの間、まさにアメリカの過程を見れば、減税が行われた当初は物すごく税収がどんと落ちたわけですよね。ですから、大蔵省なんかは、当時、ああいうレーガノミックスが必要じゃないかと言われたときに、アメリカを見ろ、あれはレーガノミックスで大減税をやった結果、双子の赤字がふえて大変なことになったとバブルのころは言っていました。今からしてみると、それももう少し長い目で見なかったのかという話になるわけでありますけれども。
そういうことからすると、これからわずか五年の中で景気がよくなってくるであろうという希望的観測のもとに、そしてその中で税収もふえてくるだろうというのは、余りにこれは裏づけのない、ここで書いてあるような安定的な財源の確保というふうにはとても私は言えないんじゃないかと思いますね。
現実的に言えば、先ほど最後に大臣がちらっとおっしゃいましたが、この安定財源ということは、これは先ほどの話からしても消費税の税率を引き上げるということに——さっきの話で、景気というのは当然右往左往するわけですから、その中でこの年金というのは毎年出ていく、その国庫負担を引き上げれば当然毎年その分だけは要る。それを安定的に確保するといえば、そういうものとしての税ということを考えれば、これは消費税しかないというふうになっていくんじゃないですか。
となれば、今のお話から逆に考えれば、二〇〇四年までには消費税を引き上げる、そういう状況が出てくるというふうに理解してよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/30
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031・宮下創平
○宮下国務大臣 委員がそのように理解されることまで私は否定はできません。
しかし、私どもとしては経済の再生に内閣のすべてをかけるということでやっておりますので、これは、ことしプラス成長に持っていき、来年は安定成長の軌道に乗り、さらにその次は多少それよりも水準の高い成長力を維持できるだろうということを考えて政策目標としておりますので、このことが成るか成らないかは、客観的に言ってそれは結果論でございますからわかりませんが、私どもとしてはこれだけの手を打っている以上は、それは可能だと私も信じます。そういうことであります。
税収の点は、景気動向に影響されることは、これは委員御承知のとおりでございます。
それから、財政構造改革その他の問題もございます。今は景気本位ですから何が何でも、あらゆるものを総動員をしておりますけれども、やがて財政構造改革の問題も出てくるでしょう。それから、その一つとしての行政改革等も議論されるでしょう。そういう要素もあります。
それからもう一つは、私が先ほど申しましたように、今は法人税、所得税等の直接税を大幅に減税をしておりますね。そして、残された直接税の大口である相続税の減税すら今求められておるという状況の中で、国家としての機能を一体どういう財源によって維持していくかという基本的な問題があります。
そういう問題を考えた場合には、先ほど申しましたように、直間比率の見直しその他も排除できるものではございません。そこは、どう決めていくかということは、国民的な合意とコンセンサスを得なければならない問題だ、こう申し上げているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/31
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032・古川元久
○古川委員 そこの部分なんですが、国民的合意だと言われれば、消費税の最初の導入のときそうだったように、できることなら税金は上がらない方がいいに決まっているんです、国民からしてみれば。しかし、例えば年金が将来的に安定する、あるいはちゃんとそこの条件が整えば、私は、国民は税負担がふえることについて必ずしも否定的な態度ばかりとるわけじゃないと思います。そこの部分をあいまいにあいまいにして、ぼかしながらぼかしながらやってくる、そして転がしていくことが、政府に対する信頼も失っていくし、また、将来に対して一体どうなるんだと、そこの将来像が見えないところがやはり国民の不安というものにつながっていると思うんですね。
ですから、そこの部分は、これは平成十六年、二〇〇四年というと、わずか五年先です、大臣が今の内閣のやっていることで経済が成長していくというふうに確信をされる、それは大臣の個人的なお考えとして結構でございます。しかしながら、世の中全体として、果たしてそんなに簡単にうまくいくのかと。そういうものに対して疑念を持っている人たちもたくさんいるわけですよね。
しかも、今の日本の経済状況というのは、決して日本の国内で日本政府が粛々とやれば確実に上がっていくというものでもないということは、大臣が一番よくおわかりだと思います。諸外国がどうなるか、周囲のグローバル化された社会の中では——日本国内が鎖国されていれば、国内でこれだけやればこう上がるということがわかるかもしれません。しかし、アジアでもう一回何か危機が起きたら、あるいは今は好景気のアメリカがどんと落ちたら、そのときにはどういう影響が及ぶのか。今政府がやっていらっしゃるのは、そういうものまで本当にちゃんと含めた上で、どんなことが起こっても日本経済はそういうものと関係なく粛々と今おっしゃられたような形で回復していく、そういうふうに言えるんですか。
私は、そういうものじゃなくて、もっともっといろいろな状況というのは想定していかなきゃいけない。その中でも、この年金制度について言えば、そうした状況にあっても安定した財源というものを確保して、それで二分の一に引き上げを図る、もしここの法律に書かれるとすればそういう趣旨じゃないかと思うんです。
そうであれば、そこについては、今のように非常に楽観的なかつ希望的な観測のもとに、その前提の上に将来考えていきましょうということでは、とてもこれは国民の側からすれば不安感というものを払拭できないと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/32
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033・宮下創平
○宮下国務大臣 経済の今後の見通しにつきましては、私どもは政策目標としてただいま申し上げたような姿勢で経済運営をやることを強く申し上げたわけでありますけれども、実際においてはどうなるかということになりますと、やはりアジアの経済、ユーロの状況、あるいはアメリカの経済はどうなるか、世界的な連関の中で日本の経済の運営があるわけでございますから、これはそういった他動的な要因によって大きく左右されることは私から申し上げるまでもございません。
ただ、現実にどのような姿になるかというのはなかなか予測しがたい面がございまして、例えばアジアの通貨不安、中南米の通貨不安あるいはロシアの通貨不安、だれが一年前に予想できたでしょうか。そういう経済の実態がございますから、私どもとしては可能な限り予測可能な方法で見通しはつけますけれども、絶対というのはないわけですね。
したがって、私どもとしては、こういう構造的な形で低成長が続いておることを何とかして脱却しなければなりませんので、あらゆる政策手段を行使しておるわけでございまして、これはそうのんびりと、五年も十年もかけて、日本が低成長で続いたならばどういう状況になるかというのは考えただけでも本当にぞっとするような状況でございますから、これは私どもとしては二〇〇四年までには少なくともそういう条件は達成できるであろうというように思っております。
なお、消費税の税率の引き上げも必要かもしれないという委員の指摘でございますが、私どもも直間比率の見直しその他を否定するわけではございません。全体の中で、国民的なコンセンサスを得ながら、税の問題というのはすぐれて民主主義下においては重要な課題でございますから、国民的な議論のもとで決められることが適切であるということを先ほど来申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/33
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034・古川元久
○古川委員 今の大臣のお話をお伺いしますと、仮に、万一、大臣が思っていらっしゃるような状況にならず、また消費税の引き上げについても国民的コンセンサスが二〇〇四年までに得られるような状況になかったという事態が来た場合には、そういう状況がもし起これば、これは二〇〇四年になっても国庫負担の割合は二分の一には引き上がらない、そういうふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/34
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035・宮下創平
○宮下国務大臣 法律の規定の仕方を例文的に解釈すると、そういうことになろうかと存じますけれども、私どもはそういう事態が起きないことを望んでおるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/35
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036・古川元久
○古川委員 望まれるのはいいんですが、まさにここの部分こそ国民がしっかりと知りたいところであって、そこの状況がそうなれば、ここで言っていても、約束していても、やはり三分の一そのままですということも今のお話から逆に言えばあり得る。読み方によってはあり得るということになっちゃうわけですね。
そうなると、基礎年金の国庫負担の問題については、五年前の改正のときにも、これは衆議院の附帯決議の中で、「所要財源の確保を図りつつ、二分の一を目途に引き上げることを検討すること。」というようなことが附帯決議でついていたわけですよ。その議論が五年やられてきているんですけれども、結局その問題は、ここに来て、ぎりぎりばたばたのところに来て、ようやく平成十六年までの間にという文言にはなったものの、実態は全然進んでいなかったわけですね。そうすると、一体この五年間何をやったのかという話ですね。
もし、また今回のでとりあえず平成十六年まで五年間期限を先に延ばして、今大臣がおっしゃられたような状況の中で考えていきましょうという話になったら、それは、結局すべて今までと同じように先送りすることとほとんど同じことじゃないですか。この十年間、要は五年たって、そしてまた五年、こういう先送り先送りしてきたことが国民の不信というものを買っているんじゃないですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/36
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037・宮下創平
○宮下国務大臣 ここで一言申し上げておきたいんですが、従来は法律に趣旨が書かれておりました。そして、それを補足する形で附帯決議。これはそれぞれ重んじなければならないものだと存じますが、今回は法律で明記をしている点が大きな違いでございます。
私どもは、法律で明記したということはそれなりに重要なことで重く受けとめさせていただいておりますし、国会で御審議を経てそういうことに決まれば、これは法律として確定しているということでございますから、前の抽象的に書かれた文言とは全く意味を異にしているというように私どもは重く受けとめさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/37
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038・古川元久
○古川委員 今のお話を踏まえれば、要は、十六年までに安定した財源を確保する、その施策を政府が打つ、そういうふうに認識してよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/38
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039・宮下創平
○宮下国務大臣 あらゆる手段、経済政策その他を通じて安定した財源を得るべく努力するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/39
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040・古川元久
○古川委員 この辺は水かけ論になりますからこれ以上は申しませんが、ここまで書いた以上は、国民もわかっているわけです。安定した財源を確保するということは何らかの処置を打たなければ……。そんな、黙っていて打ち出の小づちのようにお金が降ってくるわけじゃない。わかっているわけですから。五年後というのは先のような話であってもすぐまた来ちゃいますからね。ですから、今のうちからそこはどういう手順で、ちゃんとどういうふうに踏まえていくのか、そういうものがないと、また、一月十三日に開かれた年金審の総会の中で、委員の意見の中で、かつて消費税率引き上げと特別減税の終了を同時に行ったことにより、国民負担増が九兆円に上り、景気に対して影響を与えたことが問題になった、基礎年金国庫負担引き上げと保険料凍結解除を同時に行えば、同様の問題を引き起こすおそれがあるのではないかという意見があった、そんなような記述もこの議事要旨にあります。
唐突に突然三年後、四年後になってぼんと消費税引き上げ、そのかわり国庫負担を二分の一にしますという話がどんと出てきて、それで凍結解除という話になったときには、全くまた予想もつかない思わぬ反応が出て、さっき大臣がおっしゃっていたような理想的な希望的な感じで仮に日本経済が回復軌道に乗っても、またそこでどさっと冷や水をかぶせるようなことにもなりかねないわけですよ。
ですから、そういった疑念やあるいは不安というものも持たれているわけですから、そこについてはぜひともしっかりと——五年後の国庫負担の二分の一への引き上げ、そして安定財源の確保、その道筋を、少なくとも国民の側が議論する材料というものを一日も早く提示していただきたい。
そのことをお願い申し上げて、私からの質問にさせていただきます。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/40
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041・木村義雄
○木村委員長 福島豊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/41
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042・福島豊
○福島委員 大臣、御苦労さまでございます。
先ほどの古川委員からの御質問に対しての御答弁も踏まえまして、確認的に御質問したいと思います。
まず一点目は、この保険料の凍結は経済の情勢を踏まえて今回とられたわけでございますが、この解除の時期についてのお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/42
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043・宮下創平
○宮下国務大臣 凍結解除の時期についての御質問でございますね。
先ほど来御議論をいただいておりますように、保険料の凍結措置というのは、我が国の経済の状況から総合的に判断した結果、私どもとしては、経済に対する影響から考えて、緊急避難的な措置として凍結した方がよかろうというような判断でこのような措置をとりました。
一方、凍結解除の時期につきましては、今国庫負担の問題が議論されておりますが、二〇〇四年までの間に保険料の引き上げの凍結解除と国庫負担の二分の一への引き上げを図ることとしておりまして、今後の景気回復の状況等からして、安定した財源を確保しつつ総合的に勘案しながら検討すべきものであるというように考えておりますが、年金制度というものは中長期的な課題でございますから、余り凍結解除が先送りされますとさらに若い世代の後年度負担が増嵩いたすことは、これは当然でございます。
したがって、なるべく早く凍結を解除したい。それには、先ほど申しましたように、三分の一を二分の一にする措置とリンクをしておりますので、そういった観点を踏まえながら、私どもとしてはなるべく早く凍結解除の時期を模索していきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/43
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044・福島豊
○福島委員 国庫負担の引き上げの問題とリンクしているという御説明ですけれども、この二つの事柄は、私は性格的にはリンクする話ではないのではないかというふうに考えますが、なぜリンクしなければいけないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/44
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045・宮下創平
○宮下国務大臣 保険料の引き上げは現下の経済状況等を判断して凍結いたしたものでございますが、先ほども申しましたように、仮に一七・三五を一九に平成六年の改正の延長線上で考えたといたしますと、二兆円以上の吸い上げになります。したがって、これを凍結させていただきました。一方、基礎年金の三分の一から二分の一への問題は、社会保険の方式を維持しながら年金財政の健全化を図るという意味では公的資金の投入の限度ではないかと私は考えておりますが、そのような措置を考えたわけでございまして、これは当然理論上は別々な話でございます。
当然そうなんですが、ただ現実には、三分の一から二分の一にいたしますれば、保険料の一%引き下げ効果があります。それから、国民年金につきましても、今一万三千三百円の定額負担をお願いしておるわけですが、これが三千円くらい減額できるんですね。
したがって、負担の増強と三分の一から二分の一へすることとセットにいたしますれば、その間負担を急増しないで済むという配慮がございまして、私どもとしては、リンクをさせていただくことを、これはやむを得ない措置だとしてとらせていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/45
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046・福島豊
○福島委員 先ほどからの御説明ですと、安定した財源が確保されない場合には二分の一に引き上げるということが予定の時期に行われるかどうかわからないという御答弁でございましたが、引き上げのめどが立たない場合には、保険料はいつまで凍結するんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/46
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047・宮下創平
○宮下国務大臣 私どもは、先ほど申しましたように、法律でこの意思を明確に表明させていただくことにしておりますので、それは重く受けとめさせていただいて、二〇〇四年までにはその条件成就を図りたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/47
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048・福島豊
○福島委員 次に、安定した財源という言葉がございますが、これはどういう意味なんでしょうか。どういう定義でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/48
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049・宮下創平
○宮下国務大臣 国庫負担の問題は、これは一年限りの問題ではございませんで、年々高齢者が増嵩して年金受給者がふえますと、ことしでいきますと三分の一を二分の一にするのに二兆二千億かかりますが、給付費が増大しますと基礎年金部分も増大いたしますから、それはふえていく性格のものですね。したがって、これは一年限りの措置ではなくて、制度を存続する限りずっと恒久的に続くことになります。
そういう意味で、安定した財源がないと、一年限りのような仮に暫定的な措置だけで措置していくということは継続的なその制度を維持するゆえんにならないということから、安定した財源ということを申し上げております。
なお、それじゃ赤字国債を増発して毎年やればいいじゃないかというあるいは御意見があるかもしれませんが、私どもは、赤字国債による財政運営というのは安定した財政運営ではないと基本的には思っておりますから、現下の情勢で、宮澤大臣の言われた、大魔神を最初から登板させたようなものということで、三十一兆円もの国債発行をやった財政運営というのは初めてでございますから、その上にさらにこれを増嵩させるような財政運営はとるべきでないというように考えておりまして、赤字国債による財源措置は恒久的な安定したものではないというように私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/49
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050・福島豊
○福島委員 先ほどの大臣の御答弁では、予算の中の資源配分を考えながら国庫負担の問題については考えていかなきゃいけないという御答弁がございました。
基本的には二つの考え方があると思います。既存の財源の中でその分配をどうするのかという見直しの方向と、もう一つは、端的に言ってそれに見合う分の増税を考える、もしくはそのミックスという話になると思いますが、基本的にはどういう方向で考えておられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/50
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051・宮下創平
○宮下国務大臣 今後の経済情勢の推移を的確に具体的になかなか予測できませんが、私どもは、これからマイナス成長からプラス成長に転ずる、しかも、安定成長、高度成長期みたいな数%の成長力は望めないにしても、ある程度安定した成長力を維持できると期待しておりますから、そうなれば、税収も今のような、六十二年以来の最低の税収になっているわけですから、そういう状況というのは是正されてくるだろうと思います、基本的に。
それから、もう一つの要件としては、財政構造改革ないし行政改革がよく指摘されておりますから、そういった点も考慮しなければならないし、同時に、直接税の法人税、所得税を大幅に減税して恒久化すれば、どうしても直接税の比率は下がってまいります。全体の税収も落ち込んでいきます。そういう中で、財政支出の方を効率化し、抑制していくにしても限度がございます。
なお、直間比率の問題等は税の問題の世界ではございますが、全体としてそれは排除するものではないということを申し上げておりまして、それらの判断は、これからの経済情勢の中で、あるいは他の施策との関連の中で、国民的な御議論をいただく中で、最終的に判断をして決定していくべきものだということを申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/51
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052・福島豊
○福島委員 大臣がおっしゃるところの安定成長というのは、どの程度の水準の成長を指しておられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/52
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053・宮下創平
○宮下国務大臣 潜在生産力が日本でどのくらいあるかという議論がございます。これは私個人の見解かもしれませんが、二%から三%の間くらいは十分これから日本の経済力をもってすれば潜在生産力はあるというように思っておりますから、それらをにらみながら、それ以上の成長が、高度成長期みたいな数%というようなことは予測できませんけれども、ある程度可能ではないか、こう私個人は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/53
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054・福島豊
○福島委員 そうしますと、二%程度の成長に回復した段階で、直間比率の見直しも含めた安定した財源を求める方途について検討を具体的に進めることができるというふうに大臣はお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/54
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055・宮下創平
○宮下国務大臣 具体的に畳み込まれますと実は私の方も正直言って困るんですけれども、私も神ならぬ身で、普通の凡人でございますからなかなか予測はきちっとはできませんけれども、トータル、全体としては、経済成長がある程度予測できます。
これは、プラス成長にしなければ日本の経済というものは国際社会で立ち行くことはできませんから、私どもとしては今渾身の力を込めてそれに没頭しておるわけで、それは私は可能だと思います。二%というように固定をして、そして租税弾性値がどうだからどうだと一つの目安としては計算はできると思いますよ。それはまた有効な手段ではあるかもしれませんが、今ここでそれらが幾らになるからどうだというようなことで安定した財源が確保できるんだというようなことにはならない。そこは結びつきが非常にございまして、抽象的な言い方で恐縮なんですが、実際は予測がきちっとはできない。しかし、トレンドとしては、こういうマイナス成長が続くわけではありませんので、十一年はプラス成長に持っていく、そして十二年はさらにそれを確かなものにすると同時に成長率も多少上げていくという姿になるだろうということを想定しているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/55
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056・福島豊
○福島委員 大臣は、何%だからどうだという話はできない、まさにそれはそのとおりだと思いますが、成長率がどのくらいだからどうするのかという議論ではなくて、それと離れて国庫負担の問題というのはきちっと議論すべきなんだろうというふうに私は個人的には思います。
二分の一に引き上げる、二〇〇四年が目途であるという話でございますが、今のお話を踏まえますと、これは財政をどうするのかという議論と極めて密接に関係した問題でございますから、これを実現するためには、法律に書かれているわけですから、あらゆる努力をしなければならないと思いますが、具体的な検討、これは政府の中におきまして、財政構造改革というお話もこの不況から脱出した暁には再び検討の俎上に上がってくるというふうに大臣お話しでございましたが、私もそうだと思います。
それを踏まえて、政府全体として、基礎年金の国庫負担の問題も含めて、そしてまた税の体系をどうするのかということも含めて検討する場というものをいずれかの時期に設けなければ、この問題に対しては結論が出せないんだろうというふうに私は個人的には感じておりますけれども、この見通し、大臣はどのようにお考えかをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/56
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057・宮下創平
○宮下国務大臣 委員の御質問、ちょっとはっきりしないものですから、申しわけございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/57
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058・福島豊
○福島委員 もう一度お聞きいたします。
法律に、二〇〇四年を目途に安定した財源を求めて、そして確保して二分の一への引き上げを図るということが書かれるわけですね。この問題については、年金の世界だけで議論をしていても、財源の問題をどうするんだという話に必ずなりますね。
今の大臣の御答弁ですと、直間比率の見直しも含めた総合的な判断をして、それによって安定した財源を求めて二分の一への引き上げを図るということでございますから、当然これは厚生省の中で検討するのではなくて、政府全体として、今後の税制そしてまた財政構造改革も含めた包括的な検討をする場を設けまして、そことこの基礎年金の国庫負担の問題をリンクさせる形で検討を着実に進める必要が今後あるだろうというふうに私は思いますが、この点についての見通しはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/58
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059・宮下創平
○宮下国務大臣 申しわけありません。
委員のおっしゃるとおりです。これは、厚生省だけで全体の財源措置を云々するという性格のものではございません。厚生省は年金の立場からこういうことの要請はしてまいるということで、政府全体として経済政策をどうしていくか、税収確保をどうしていくかということは当然ありますし、それからまた歳出面でも、この年金の問題はロットとして二兆円を超しますから大きな問題でありますが、そのほかにも、今各党間でいろいろな協議が行われている中で財政支出を要するような政策項目もございますから、それは政府全体として総合的に判断をしていくというのは当然だろうと存じます。
そういう場がどこでつくれるかということでありますが、政府としては常時そういうことは考えていかなければならないことでありまして、これだけのためにそういう関係の会議を持つということは、今直ちに私は考えておりませんけれども、やがてそういったいろいろの問題を含めて検討の場が、内閣全体としては当然責任を果たしていくわけでございますから、必要になってくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/59
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060・福島豊
○福島委員 次に、世代間の公平という問題ですが、年金制度を考えるときに、世代間の公平という観点が非常に大切だと私は思います。一方では、世代間の不公平を余り大きな声で言うのはいかがなものかという年金学者の人もおられますけれども、世代会計の研究者の検討では、日本が世代間の不公平においては先進国の中でも一番大きいというような指摘もございます。
世代間扶養という考え方はもちろん否定するわけではありませんけれども、その前提に立ちながら、どういう形で将来世代と現役世代の公平を図っていくのかということについての考え方の道筋を厚生省としても年金の改革に当たっては示すべきである、少なくとも、世代間の不公平というのはここまで広がってはぐあいが悪いですよ、そこまでは広げませんというような考え方を具体的な数字でできれば示した方がいいと私は思いますが、この点についての大臣のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/60
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061・宮下創平
○宮下国務大臣 年金制度におきましては、保険料の納め方と給付の問題については、賦課方式とか積立方式とかいろいろのことが言われています。現行制度は、修正積立方式といいますか修正賦課方式といいますか、中間的なものになっていると存じます。
なお、若い世代の人たちが、保険料をこれだけ納めても、自分たちは六十歳になって、あるいは六十五歳になって年金もらえるのかな、そういう不安感があることも承知いたしております。また、納めた年金が納めた分だけ本当に回収できるのかなというような議論もございますけれども、私どもとしては、なるべく保険料負担の増嵩は、他の医療保険あるいは介護保険等の問題もございますから、総合的に判断して抑制はしていきたいと思います。
そして同時に、給付の方も、これは国際水準をにらみながらある程度の調整はお願いせざるを得ないというように考えておりますし、支給開始年齢も、高齢化がより進み、そして六十から例えば六十五歳までの労働力率も高まるというようなことはもう十分予想されるわけでありますから、そういった点も配慮しつつ、若年世代の負担の増嵩はリーズナブルなものにしていくという配慮はぜひ必要だと思っています。
ただ、若者の中には、自分の納めた年金が六十になったら元を取れるのかなという議論は、これはちょっとミスリードされる可能性がありまして、その人が百歳まで生きれば元を取れるに決まっていますけれども、それが短期に年金受給後急死でもなされたら、それは元は取れません。保険制度というのはそもそもそういう性質のものでございますから、そういったプリミティブな疑問の解消も含めて、私どもはやはり、もうちょっと年金制度に対する信頼感を得るためには、PRその他、構造もよく示していかなければいけないというようにも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/61
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062・福島豊
○福島委員 最後の御説明は、やはり平均余命でしっかりと考えることが大事だということでして、その上で、利益率ですか、保険料に対してどれだけの給付が平均的に受けられるのか、それは現役世代と将来世代とどう変わっていくのか、具体的な数字を示して、ここまでは我慢してくださいという話は私はむしろすべきだ。あいまいな形で、保険料も余り上げません、給付もちょっと下げさせていただきます、全体としてはそれなりにつじつまが合っているんですという話では、なかなか納得していただけないのではないかというふうに思います。
それから、基礎年金の全額税方式への移行について、先ほどから大臣の御答弁を大変興味深くお聞きいたしておりました。自由党との協議の中ではこの点が一つの論点になっていると思いますが、大臣の御答弁の言葉は、遠い将来の話である、それからまた、これはできない、好ましくないという御答弁もございまして、私も厚生省の年金の担当の方とお話をしておりますと、これは、定性的にこういうことはできないんだ、ロジックとして現行の年金制度の中ではできないんだということだと思うんですね。税の負担がどのくらいふえるのかという話以前に、考え方としてこれは最初からもう入り口を拒否しておるという話ではないか。
ですから、遠い先も何もなくて、検討しないということなんだろうというふうに私は理解をしておるんですが、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/62
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063・宮下創平
○宮下国務大臣 制度をどう仕組むか、要するに、将来高齢化になったときの国民の所得保障をどうするかという政策課題でございますから、アプリオリに、定性的にこれは余地が全くないんだという考え方は私は持っておりません。
ただし、現実の問題として、それでは今、全額税方式でやった場合にどうなるかということは考えます。これは、私も予算委員会で総理大臣を前にして御答弁をいたしたことがございますが、それでは税で全額やるとして、国民の税ですから、それである一定の給付が二十万円なら二十万円と決めたとしますね。総理大臣もこれだけの高額所得者、我々も高額所得者の部類ですから、それが国民の税金で全額それを賦課的に資力に関係なくもらうことができますかという素朴な疑問を私は投げかけて答弁したことがございますが、今でもその気持ちは同じです。
全額税でやるということになりますと、やはり所得なり資産なりによって制限する。国会議員がそんな、歳費をもらっていて、六十五になったからといって全部支給するというのはおかしいじゃないかということで、国民の納得が得られないと思うんですね。そうすると、どんどん資力制限をしていくということになっていきますと、行き着くところは生活のミニマムな水準を国として保障すべきだという視点になるだろうと思うんですね。そうなると、例は悪いですが、今福祉年金の一部であるとかあるいは生活保護世帯でございますとか、そういったのは税で全額所得保障を社会保障政策としてやっているわけですね。それに限りなく近いものになるだろう。そうすると、所得保障といっても、これは実際は所得保障が形骸化していって消えてしまうということを考えますね。
それと、財政負担が、現在で申しますと、二分の一にするだけでは二兆二千億ですが、全額にいたしますと八兆八千億追加的にかかるんですよ。今五兆円弱、四兆九千億円入れていますけれども、それに八兆八千億加わるわけですから、十三兆七、八千億を基礎年金部分に、しかも金持ちの人でも所得に関係なくやるということになるとそれだけのお金がかかるわけですね。今、社会保障が十六兆円です。そういう中で、そういう資源配分が本当にいいのかどうか。しかもその財源は一体どうするんですか。小さい政府とおっしゃるけれども、八兆八千億も追加するような構造にして、本当に小さい政府なのかどうかという疑問も私はあります。
ですから、社会保険方式で、限度としては二分の一まで、これも非常に困難なことでありますが、ここは踏み切って、そこまでは何とかしてこの制度を維持していこうという決意を表明したようなものでございます。
したがって、全額税方式についてはなかなか、将来、政策選択を否定はいたしませんけれども、現在ではしばらく困難であるというように思っておるところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/63
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064・福島豊
○福島委員 そうしましたら、引き続きまして、時間が残り少なくなってまいりましたので、民主党提出の法案につきましての御説明をいただきたいと思います。
まず、今大臣の方から全額税方式につきましての厚生省の御見解をお聞きしましたので、民主党としての御見解をお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/64
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065・山本孝史
○山本(孝)議員 この間の予算委員会におきましても、財源をどうするんだ、あるいは、今総理大臣とおっしゃいましたが、高額の方にも給付してどうするんだという御答弁が続いているわけですが、一つここで抜けている観点は、保険料負担がなくなるわけですね。その分だけいわば振りかわりになるわけでございますね。その点を考え、基礎年金という制度を考えたときに、その財源としてどういう財源が一番いいのかという議論を抜きにしたままで、新たな負担がふえるんだからだめなんじゃないかという御議論が続いているようで、何かこれは不毛な議論のような気がいたします。
先ほどの福島委員の御指摘に、私は厚生大臣だからとおっしゃいましたが、厚生大臣は年金問題担当大臣という大変重い地位を与えられておられて、政府全体の中で、これは税制も含めて年金全体のことをお考えになるお立場におられるわけで、そういう意味で、税制と保険料負担とを切り離したままの議論をしているのは余りにも生産的でないというふうに私は思っております。
今回、所得減税をしておられて、国の収入としてたしか四十七兆円の租税収入でございますが、社会保険料収入は五十五兆円あるわけですね。むしろ社会保険料収入の方が大きいわけで、この国民の負担をどういう形で求めていくのかという議論を今回はきっちりとしていかなければいけないと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/65
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066・福島豊
○福島委員 続きまして、今回、民主党案では保険料の引き下げということを御提案になっているわけでございます。これは一面では、保険料を引き下げるということは将来的な保険料の引き上げにはね返って大きくなる、むしろそれによって世代間の不公平というものは増強されるのではないかという指摘もあるわけでございまして、この点についての御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/66
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067・山本孝史
○山本(孝)議員 保険料の引き下げによる収入減を将来の保険料、当初予定されている保険料の引き上げによって埋め戻すということであるならば、御指摘のように将来への負担の先送りではないかということになるのかと思います。
ただ、今回の保険料引き下げに当たって、我々は同時に国庫負担の引き上げをやっておりますし、あわせて、これは基礎年金の財源を今後どのように確保していくかという問題と大いに絡んでいるわけでございまして、給付水準あるいは基礎年金の国庫負担の割合をどう考えるかによって、将来に負担を先送りしているのかしていないのか、ここは考え方が違ってくるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/67
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068・福島豊
○福島委員 そしてまた、国庫負担の二分の一への引き上げにつきまして、差し当たっての財源、そしてまた中期的な財源、いろいろな考え方があろうかと思いますが、この点についての民主党のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/68
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069・山本孝史
○山本(孝)議員 先ほど来からの御指摘にありますように、今回の国庫負担の引き上げで約二兆二千億円の財源が必要でございますが、今、将来ともの財源ということでお尋ねであれば、我々は、消費税を福祉目的税に改めて、主に基礎年金に充当するという考え方でおります。今回、基礎年金の財源をどのように措置していくかが大変大きな問題でございますが、我々はそのように考えて対応させていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/69
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070・福島豊
○福島委員 それから、こういう指摘もあります。年金制度を余り景気対策に連動させてマイナーチェンジをするというのはいかがなものか。保険料の引き下げということにつきましては、もう一つの批判はそのあたりなんだと思うんですね。この点についてはどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/70
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071・山本孝史
○山本(孝)議員 経済政策というか経済状況に左右されない年金制度をつくるべきだというのは、先生御主張のとおり、私も全く同感でございます。景気が悪くなれば今回のように保険料が抑えられたり、あるいは景気がよくなればまた保険料がぼんと上がるということでは、年金制度そのものへの信頼が損なわれかねないので、そういうことはするべきではない。
しかし、社会保障制度全体を考えますと、やはりその国の経済状況等に見合った、いわば身の丈に合った社会保障制度でないといけないというのも、これまた事実だろうというふうに思うわけであります。
今回、我々が判断しましたのは、高い保険料をこのまま続けることで経済成長を阻害するということであっては元も子もないのではないか。したがって、現下の経済状況を考えますならば、年金保険料を下げて目に見える形で負担減を実現していく方が政策としてよいのではないかということで、今回、保険料の引き下げということを御提案させていただいた次第でございます。
この保険料の引き下げによって、企業経営の圧迫要因が軽減できますし、とりわけ事業主負担も減りますので、法人税減税がもうかっている企業にしか恩恵がいかないという中で、保険料の事業主負担が軽減されますと、いわば赤字企業や中小企業にも恩恵がいくことになりますし、保険料負担が少なくなることで減税同様の、可処分所得の増加にもつながりますので、これは現下の情勢から考えると適切な措置ではなかろうかという判断をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/71
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072・福島豊
○福島委員 もう一点。先ほども厚生大臣にお聞きしましたが、年金制度改革を考えるに当たって、現在は、今まで以上に世代間の公平ということに対して十分な配慮をし、そしてまたその点についてのアカウンタビリティーを有するような改革をするべきだというふうに私は思っておりますが、この点についての民主党のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/72
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073・山本孝史
○山本(孝)議員 世代間の助け合いという言葉がいろいろな形で使われていて、ここは使う人によってそこに含まれている意味合いが違うように思うのでございますが、公的年金に特有な機能として、賦課方式の年金が持つ世代間の再分配機能というものは、私は重要なものであろうと思います。その意味で世代間の助け合いというものを理解するのであれば、これは望ましいことであろうと思っております。
しかし、問題は、人口構成が大きく変化をしていく中で、給付水準を維持して国庫負担の割合も同じままに賦課方式を続けていきますと、これは当然のごとくに世代間の不公平は拡大をしてまいります。後世代ほど大きな負担をしていかなければいけないということになりまして、その点についての見直しは大いに必要であろうと思います。
ただ、先ほど先生、どの程度までの負担であればというか、その世代間の不公平の許容範囲はどこまでだという御質問で、なかなか厚生大臣も御答弁が難しいところだったと思いますけれども、ここはやはり、社会的に見て、全体的な議論が必要であろうというふうに思うわけであります。
ミクロで見る部分とマクロで見る部分が違って、先ほど、百歳まで生きればそれは得するじゃないかというのは、それは一人の個人の方を取り上げればそういう話になりましょうし、よく説明されておられますように、事業主負担があるからとか、あるいは社会保険料の所得控除をしているのだからその分助かっているのだからということで、実際若い人であっても負担より給付の方が大きいという言い方をされますけれども、しかし、若い世代全体として見れば、先ほどから申し上げているような理由で、制度を改革していかない限りにおいては若い世代ほど損になるというのは、これは認めざるを得ない点ではなかろうかというふうに思うわけであります。
したがって、先ほどの御答弁の中にもありましたけれども、今高齢者の資産格差が大変大きくなってきておって、資産をたくさん持っている裕福な高齢者もいれば、あるいはその日暮らしを強いられている高齢者もおられて、一概に高齢者が貧しいということも言えませんし、一概に高齢者が豊かであるということも言えないというのが今の現状であろうと思います。
そういう意味で、先ほど税制との絡みが重要であると御答弁申し上げたのは、総理大臣がたくさんの年金を受けておられても、しっかりとした総合課税でもって課税をすれば、そこはきちっと戻ってきて話は合うわけですから、そういった問題も含めて、年金課税の見直しということも必要でございましょうし、給付水準の再検討等も含めて、高齢者に多額の給付をしても、しかしそこはスリム化が図れる、そういう形で全体的に後世代と今の受給世代の負担の公平を図っていくことは可能であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/73
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074・福島豊
○福島委員 それぞれの立場での御答弁、大変興味深く聞かせていただきました。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/74
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075・木村義雄
○木村委員長 児玉健次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/75
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076・児玉健次
○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。
最初に、大臣にはっきりさせていただきたいことがあります。
私たちが今この委員会で論議をしているのは、国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案についてです。先ほどからの質疑の中で、大臣は、安定した財源を確保して、これを法律案ないしは法律の中に明記している云々ということ。まだ会議録を私は精査していないけれども、明記している以上というふうな言い方で何回か御発言になったけれども、それは、厚生省年金局が二月二十六日に発表した年金制度改正案大綱で、法案大綱ではないですよ。これは審議会にかけたわけだけれども、その中の文言であって、私が今まで見たすべての法律ないし法律案にそのような言葉は書かれていない。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/76
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077・宮下創平
○宮下国務大臣 誤解があったかとも思います、多少はしょった発言をいたしましたので。
委員のおっしゃるとおり、今議題になっておって、法案として出しておるのは国民年金法の問題でございまして、厚生年金その他のそれにまつわる改正案は、大綱の段階で諮問してきのう審議会で答申をいただいたという段階でございまして、これから法案を策定して、そして国会に御提出申し上げた上で初めて御議論をいただくものであることは、これはもうそのとおりでございまして、私が法案にと言っておったとすれば、すべてそれは法案大綱に記されておるという趣意でございますので、訂正をさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/77
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078・児玉健次
○児玉委員 法案大綱ではなくて、年金制度改正案大綱じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/78
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079・宮下創平
○宮下国務大臣 実質的には私ども同じように……。法案になるものでございますからそう申し上げたと思いますが、正式に文書として出しているのは、今児玉委員のおっしゃられる呼称になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/79
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080・児玉健次
○児玉委員 その点は後から議論したいと思います。
さて、私は、まず基礎年金の現状、特に第一号被保険者の関連、そこから入りたいと思います。
厚生省の資料によれば、第一号被保険者は一九九六年で千九百三十六万人、このようになっています。これに、加入手続を行っていない未加入者、一九九五年十月十五日現在、これも厚生省の資料ですが、百五十八万人を加えた二千九十四万人、おおむね二千百万人で本来第一号被保険者となるべき数を把握できると思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/80
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081・宮島彰
○宮島政府委員 今先生の御指摘の第一号被保険者のデータは事業統計に基づきますデータでございますが、未加入者の方の百五十八万人のデータは、平成七年の公的年金加入状況等調査に基づく、いわゆる抽出調査に基づく推計でございますので、ちょっと次元が違いますけれども、おおよそ足したもので全体がつかめるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/81
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082・児玉健次
○児玉委員 そこが問題なんで、こういう基礎に関する部分について同じ日時でもって比較する資料を厚生省は持っていないという点は、私は厳しく指摘しておきたいと思います。だから私もおおむねと言ったので、二千百万人、それがおおむね第一号被保険者となるべき数である、そのことを確認しておきましょう。
そこで、次の問題です。
今回の国民年金保険料凍結の影響額ですが、九九年度予算案で千百七億円となっております。その算出に当たって、第一号被保険者について年間保険料納付者数を何人と見込んでいるのか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/82
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083・宮島彰
○宮島政府委員 今先生の御指摘の保険料納付者数につきましては、千三百十八万人を予定しております。これは、ベースとしましては、第一号被保険者数につきましては、平成七年度から九年度の実績をもとに、季節変動率をもちまして十年度平均、十一年度平均を推計しております。それから……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/83
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084・児玉健次
○児玉委員 説明は結構です。
同様の数字ですが、年間保険料納付者数、一九九六年、平成八年については何人と見ていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/84
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085・宮島彰
○宮島政府委員 平成八年の国民年金被保険者実態調査によりますと、納付者は一千百七十三万人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/85
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086・児玉健次
○児玉委員 そこで大臣、この点は厳しく見る必要があると思うのですが、国民年金では、保険料の未納、滞納、経済的理由で保険料納入が免除されている方々、これは当然のことだと思うのだけれども、そういう方々を合わせて対象者の三分の一に及んでいるということがよく指摘されます。
しかし、ただいまの答弁で明らかになったように、一九九六年、おおむねの数字ですが、国民年金の保険料納付者は千二百八十五万人、本来第一号被保険者となるべき数は二千九十四万人。三分の一ではなくて、実勢四割に近づいている。ここに公的年金制度の現状の大きな特徴があると思うのです。四割に近い部分。まさに空洞化と言っていいでしょうね。なぜそうなるのかといえば、重過ぎる保険料負担と給付の貧困さ、そこに基本的な原因があると考えています。
そこで、この状況をどう改善していくのか。保険料をふやし給付を減らしていくのでは、この状況は悪くなることはあっても、決してよくはなりませんね。前回このことを議論した衆議院の本委員会で、基礎年金に対する国庫負担の引き上げ、それが急務であるという議論のもとに附帯決議を採択した。全会派の一致です。「基礎年金の国庫負担の割合については、所要財源の確保を図りつつ、二分の一を目途に引き上げることを検討すること。」一方、その際、厚生年金と国民年金法にそれぞれ附則をつけた。よく御存じですが、この第二条で「平成七年以降において初めて行われる財政再計算の時期を目途として、」こういうふうに明記しています。
附帯決議の方は、国庫負担をとりあえず、とりあえずというのは私の意見だけれども、二分の一に引き上げると言い、そして附則の方は、それをいつやるかについて、目途ではあるけれども明示しています。これは明らかに国会と政府が国民に対して公に行った約束ですから、二〇〇四年などと先送りすることなく、この際実施すべきではないかと私は考えます。どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/86
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087・宮下創平
○宮下国務大臣 私どもは、この国民年金法の一部を改正する平成六年の附則の意味は重く受けとめさせていただいております。したがって、今回の年金財政再計算のときに当たりまして、このことを重く受けとめながら、私どもとしては、三分の一を二分の一にしたいということを決定させていただいております。
ただし、その財源についてはかなり多額のものを要しますし、今の財政運営の状況の中でこれを直ちに行うことはできませんので、安定した財源を得て、別に法律で定めるところにより措置することを私どもは予定しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/87
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088・児玉健次
○児玉委員 そこで、今の問題に入りたいのです。
安定した財源を確保してと。先ほどからの質疑を私拝聴しておりまして、宮下厚生大臣は二つのことをお述べになっていると思うのです。一つは、日本経済の持っている本来的な活力の問題です。それが順調に成長していけば、安定した財源を確保することはあながち困難ではない、そういう趣旨のことを一方ではお述べになりながら、他方では、これも私の不正確な聞き取りですけれども、直間比率の是正、これを国民の合意を得ながら進めることを排除するものではない、否定はしない。これはすなわち、消費税、ないしは消費税を福祉目的税化することを前提にしていると受けとめざるを得ません。
そこで大臣、この問題は、一月二十七日の予算委員会で、小渕首相、宮澤大蔵大臣そして宮下厚生大臣と私、一時間議論したことです。改めてもう一遍私は確認したいけれども、昨年八月三十一日の第二十五回年金審議会、そこで厚生省は事務局として出席なさって、いわゆる税方式への問題、その場合のシミュレーションは三分の一から二分の一ではなく、全額税方式をシミュレーションなさったけれども、そのとき、こう説明されている。「基礎年金の拠出部分につきましても、これは労使折半でありますから、その労使折半の使用者側の負担が全部消費税に移り変わるために法人負担が減少すると。現時点で約三・三兆円という計算になりますが、その分国民負担が増加する」そういうふうに説明されていると思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/88
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089・矢野朝水
○矢野政府委員 年金審議会の場におきまして、今おっしゃられたような説明をした覚えがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/89
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090・児玉健次
○児玉委員 そこで、私ははっきり指摘をしたいのですが、今、法人税減税の問題が議論になっていて、ごくわずかの大企業に減税の果実がほとんど集中するということが今回の国会でも随分論議をされました。今年度の法人税の減税は、正確に言えば初年度の法人税減税は一・二兆円ですね。そして、皆さんが私に提示してくださった全額税方式になるとすれば、今の三分の一を三分の三にする、そのことで事業主の負担の軽減額は三・三兆円。そうなると初年度の法人減税に比べてはるかに上回る。これほど大企業にとって慶賀すべきことはないと思うのですよ。その分がそっくりそのまま国民の負担に変わる。
それでは宮下厚生大臣がお述べになっている、日本経済を本体において活気づけて、経済成長という最も確かな方途の中で保険のしっかりした財政的基盤をつくる、そことは離れていくのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/90
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091・宮下創平
○宮下国務大臣 法人税の減税、ことしの額等については今手元に資料がございませんから確たることは申し上げられませんが、これは一部大企業ばかりではございませんで、例えば軽減税率を適用して中小企業者等にも、御承知のように、この適用税率を二五%を二二ですか、そうして配慮していることだけはちょっと申し添えておきます。
なお、三分の一から三分の三に仮に税で全部やりますと、企業負担の減少が生じます。その額が正しいかどうかはともかくとして、計算上は企業負担が減少いたします。そして、税でやるということになりますと、これは法人税であるのか、あるいは所得税であるのか、間接税であるのか、それはともかくとして、税負担の増加になっていかなければ賄い切れないと思います。赤字国債による長期的運営は私ども考えておりませんので、計算上はそういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/91
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092・児玉健次
○児玉委員 現在、消費税を負担しているのは、もちろん国民、そしてこの消費税を転嫁できなくて苦しんでいる中小業者ですね。大企業は全額を国民、消費者に転嫁していますから。高齢化社会はみんなで支えるといつも言われている。ところが、この福祉目的税ないしは基礎年金の税部分、私たちはこれは一般会計で充当すべきだ、そしてとりあえず二分の一にし、なるべく近い将来全額税方式にすべきだと思っていますが、もしその財源を消費税でもって充てるということになれば、高齢化社会はみんなで支えると言いつつ、事実上大企業の負担についてはゼロにして、その分を国民に移しかえてしまう、そういうことにつながりますね。これは、厚生大臣がおっしゃる、国民の合意を得て進める道とは全く反対ですね。
先日ある新聞を読んでいましたら、こういう発言がありました。御存じの、年金の専門家である村上清さんです。朝日の二月二十七日の対談で、読んでいてなるほどと思いました。「いまの経済情勢で保険料を上げることは、強制貯蓄を増やすわけです。貯蓄と消費とどっちが経済のパイが大きくなるだろうかを考えるべきです。パイが大きくなれば、自然に給与も増えるし雇用も増えて保険料が入る。」
この道を本格的に追求することが一番確かな方途ではないかと思うんですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/92
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093・宮下創平
○宮下国務大臣 幾つかの点が御指摘ございました。
一般会計で負担するということになりますと、その財源はどういう手段で調達されるかといいますと、一般的には税負担ということになりますし、また、財政法で建設国債の増発は許されておりますから、そういったものを原則とする。赤字国債でやることは異例なものでございまして、毎年これは特例法で御承認をいただいておる。こういうことでございますので、一般会計で負担して二分の一にまずすべきであるといっても、それをさらに分析してまいりますと、今言ったいろいろの、行革の経費節減とか、あるいは税収確保の問題等々に逢着するわけでございます。
なお、今回、消費税の使途を総則で基礎年金それから老人医療、介護に限定をいたしましたのは、これは、それらのプラスの方が八兆八千億で多いわけですが、実際の国の実入りの消費税は七兆六千億で少ないわけですが、その使途についてそうした方が一般の理解が得られるということで、このような措置をとらせていただきました。いろいろ考え方の異論はあるかと存じますが。
それから一方、次の保険料と貯蓄の関係でございますけれども、なるほど、保険料を取らないで企業活力を増し、個人の活動を増した方がその経済効果が波及しましてプラスになるというのは、それは経済的には言い得ることだと存じますが、政策を決定する場合には、そういった点も含めながら、現行制度との継続性も考えながら、我々は決定しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/93
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094・児玉健次
○児玉委員 時間が来ましたから、私は、最後に一言だけ言っておきたいんです。
昨年の十月十四日に日経連が「年金改革の基本方向」という文書を出しています。その中で、「一階・基本年金(仮称)(現在の基礎年金部分)」として、賃金スライドなし。財源、現行の保険料負担部分の財源を目的間接税に。支給開始年齢、六十五歳。日経連が言ったのとうり二つの道を今厚生省は歩こうとしている。
そして、この目的間接税、すなわち消費税ですね。私は、多くの国民にある声を御紹介して、議論はこの後続けます。多くの国民はこう言っています、福祉のためだというのなら、消費税をなくすことがまず第一番だと。そこに厚生省は着目していただきたい。
そのことを述べて、この後また議論を継続いたしましょう。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/94
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095・木村義雄
○木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時五十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00619990316/95
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