1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年三月十九日(金曜日)
午前十時二分開議
出席委員
委員長 木村 義雄君
理事 佐藤 静雄君 理事 鈴木 俊一君
理事 田中眞紀子君 理事 長勢 甚遠君
理事 金田 誠一君 理事 山本 孝史君
理事 福島 豊君 理事 岡島 正之君
安倍 晋三君 伊吹 文明君
岩下 栄一君 衛藤 晟一君
大村 秀章君 小坂 憲次君
桜井 郁三君 砂田 圭佑君
田中 和徳君 田村 憲久君
戸井田 徹君 能勢 和子君
桧田 仁君 船田 元君
堀之内久男君 松本 純君
宮路 和明君 山下 徳夫君
家西 悟君 石毛えい子君
土肥 隆一君 中桐 伸五君
古川 元久君 松崎 公昭君
青山 二三君 久保 哲司君
桝屋 敬悟君 武山百合子君
吉田 幸弘君 児玉 健次君
瀬古由起子君 中川 智子君
笹木 竜三君
出席国務大臣
厚生大臣 宮下 創平君
出席政府委員
厚生大臣官房総
務審議官 真野 章君
厚生省保健医療
局長 伊藤 雅治君
厚生省年金局長 矢野 朝水君
社会保険庁次長 宮島 彰君
委員外の出席者
議員 山本 孝史君
議員 石毛えい子君
議員 金田 誠一君
議員 古川 元久君
厚生委員会専門
員 杉谷 正秀君
委員の異動
三月十九日
辞任 補欠選任
岩下 栄一君 田中 和徳君
宮路 和明君 小坂 憲次君
五島 正規君 中桐 伸五君
同日
辞任 補欠選任
小坂 憲次君 宮路 和明君
田中 和徳君 岩下 栄一君
中桐 伸五君 五島 正規君
三月十八日
社会保障の拡充に関する請願(木島日出夫君紹介)(第一三二一号)
同(山本有二君紹介)(第一三二二号)
同(赤松正雄君紹介)(第一四一八号)
同(金田誠一君紹介)(第一四一九号)
同(佐々木秀典君紹介)(第一四二〇号)
同(伊藤忠治君紹介)(第一四六五号)
同(池端清一君紹介)(第一四六六号)
同(北沢清功君紹介)(第一四六七号)
同(小平忠正君紹介)(第一四六八号)
同(鉢呂吉雄君紹介)(第一四六九号)
同(鳩山由紀夫君紹介)(第一四七〇号)
小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(田端正広君紹介)(第一三二三号)
同(石毛えい子君紹介)(第一三九五号)
同(近藤昭一君紹介)(第一三九六号)
同(中桐伸五君紹介)(第一三九七号)
同(権藤恒夫君紹介)(第一四二二号)
同(加藤卓二君紹介)(第一四七一号)
同(北沢清功君紹介)(第一四七二号)
保育・学童保育の予算大幅増額に関する請願(石井郁子君紹介)(第一三二四号)
同(大森猛君紹介)(第一三二五号)
同(金子満広君紹介)(第一三二六号)
同(木島日出夫君紹介)(第一三二七号)
同(児玉健次君紹介)(第一三二八号)
同(穀田恵二君紹介)(第一三二九号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第一三三〇号)
同(佐々木陸海君紹介)(第一三三一号)
同(志位和夫君紹介)(第一三三二号)
同(瀬古由起子君紹介)(第一三三三号)
同(辻第一君紹介)(第一三三四号)
同(寺前巖君紹介)(第一三三五号)
同(中路雅弘君紹介)(第一三三六号)
同(中島武敏君紹介)(第一三三七号)
同(中林よし子君紹介)(第一三三八号)
同(春名直章君紹介)(第一三三九号)
同(東中光雄君紹介)(第一三四〇号)
同(平賀高成君紹介)(第一三四一号)
同(不破哲三君紹介)(第一三四二号)
同(藤木洋子君紹介)(第一三四三号)
同(藤田スミ君紹介)(第一三四四号)
同(古堅実吉君紹介)(第一三四五号)
同(松本善明君紹介)(第一三四六号)
同(矢島恒夫君紹介)(第一三四七号)
同(山原健二郎君紹介)(第一三四八号)
同(吉井英勝君紹介)(第一三四九号)
乳幼児医療費無料制度の確立に関する請願(藤田スミ君紹介)(第一三五〇号)
被爆者援護法の改正に関する請願(石井啓一君紹介)(第一三五一号)
医療費患者負担をもとに戻し、医療の充実に関する請願(児玉健次君紹介)(第一三五二号)
同(平賀高成君紹介)(第一三五三号)
同(吉井英勝君紹介)(第一三五四号)
年金改悪反対、安心して暮らせる老後保障に関する請願(児玉健次君紹介)(第一三五五号)
同(平賀高成君紹介)(第一三五六号)
同(藤木洋子君紹介)(第一三五七号)
社会福祉の拡充に関する請願(石井郁子君紹介)(第一三五八号)
同(穀田恵二君紹介)(第一三五九号)
同(佐々木陸海君紹介)(第一三六〇号)
同(辻第一君紹介)(第一三六一号)
同(寺前巖君紹介)(第一三六二号)
同(春名直章君紹介)(第一三六三号)
同(東中光雄君紹介)(第一三六四号)
同(藤木洋子君紹介)(第一三六五号)
同(藤田スミ君紹介)(第一三六六号)
同(山原健二郎君紹介)(第一三六七号)
日雇労働者の健康保険の受給要件の緩和に関する請願(中桐伸五君紹介)(第一三九三号)
てんかんをもつ人々の福祉の増進に関する請願(福島豊君紹介)(第一三九四号)
同(大村秀章君紹介)(第一四二六号)
同(佐藤静雄君紹介)(第一四二七号)
同(砂田圭佑君紹介)(第一四二八号)
同(戸井田徹君紹介)(第一四二九号)
同(松本純君紹介)(第一四三〇号)
同(土肥隆一君紹介)(第一四七七号)
同(山本孝史君紹介)(第一四七八号)
戦時災害援護法制定に関する請願(石毛えい子君紹介)(第一三九八号)
同(近藤昭一君紹介)(第一三九九号)
同(近藤昭一君紹介)(第一四二三号)
同(北沢清功君紹介)(第一四七三号)
障害者・家族の介護保障制度の拡充に関する請願(石毛えい子君紹介)(第一四〇〇号)
高齢者の施設づくりに関する請願(石毛えい子君紹介)(第一四〇一号)
健康保険日雇特例被保険者の出産育児一時金等の給付条件改善に関する請願(石毛えい子君紹介)(第一四〇二号)
同(石毛えい子君紹介)(第一四二四号)
高齢者の生活安定と医療に関する請願(石毛えい子君紹介)(第一四二一号)
障害者基本法を改正し、対象に胆道閉鎖症を加えることに関する請願(金田誠一君紹介)(第一四二五号)
同(中川智子君紹介)(第一四七六号)
介護保険法の抜本的改善に関する請願(古賀一成君紹介)(第一四六一号)
年金・医療・福祉等の制度改革に関する請願(浜田靖一君紹介)(第一四六二号)
同(藤井孝男君紹介)(第一四六三号)
同(武藤嘉文君紹介)(第一四六四号)
介護保険制度の実施に伴う介護サービス基盤等の充実強化に関する請願(北沢清功君紹介)(第一四七四号)
中国帰国者の援護対策の充実強化に関する請願(北沢清功君紹介)(第一四七五号)
は本委員会に付託された。
本日の会議に付した案件
国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三六号)
国民年金法等の一部を改正する法律及び厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(山本孝史君外四名提出、衆法第四号)
午前十時二分開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/0
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001・木村義雄
○木村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び山本孝史君外四名提出、国民年金法等の一部を改正する法律及び厚生年金保険法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金田誠一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/1
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002・金田誠一
○金田(誠)委員 おはようございます。民主党の金田誠一でございます。
大綱二点質問させていただきたいと思います。一つは、現在の国民年金の保険料が定額制である、非常に特殊な保険になっている、この問題点についてでございます。もう一つは、年金審議会で、先般労働側委員の欠席といいますか、さらに辞任ということに発展しているようでございますけれども、そういう中で審議が進められていることの問題点、大綱この二点について順次お尋ねをしたいと思うわけでございます。
まず、国民年金の保険料が定額制であるということについてでございますけれども、いわば人頭税のようになっておるわけでございます。これは一号被保険者についてでございますけれども、非常に逆進性が強い、諸外国にも例のない制度である、私はそのように認識をするわけでございますが、政府としては、私の認識と同じなのか異なるのか、どのように認識をされているのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/2
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003・矢野朝水
○矢野政府委員 お答え申し上げます。
国民年金の保険料は、制度発足以来定額制になっておるわけでございます。国民年金の一号の被保険者につきましては、自営業の方とか農家の方、あるいはサラリーマン以外のすべての方でございますので、非常に多種多様な職種にわたっておるわけでございます。そういう中で所得の把握というのが非常に難しい、こういうことから定額制にされたわけでございます。
今、人頭税とか逆進性が強いというお話がございましたけれども、そういった点も確かに言えるのではないかと思います。ただ、所得把握が非常に難しい、こういう中で、公平に負担していただかなければいけないということから、現在のような定額制で制度発足以来やっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/3
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004・金田誠一
○金田(誠)委員 非常に特異な定額制という保険料システム、それによって空洞化が進んでおるわけでございます。高額所得者であれば一万三千三百円でも払い切れるのかもしれません。御夫婦となると大変でございますけれども。しかし、所得の低い方にしますと、これは大変な負担でございまして、それによって空洞化が進むという状況になっていると私は思うわけでございます。
逆進性が強い、諸外国にも例を見ない非常に特異な制度である。結果として、今回凍結ということでございますけれども、それにしても極めて不十分であって、私どもは本来税方式ということを提案させていただいているのですが、どうも御理解いただけないようで残念でございますけれども、しかし、こういう根本的な矛盾をそのままにしてとりあえず凍結をしたとしても何の解決にもならない、私はこう思うわけでございます。
そこで、今御答弁によりますと、自営業の方については所得の捕捉が難しいという御説明でございましたが、本当に所得の捕捉というのは難しいものなのでしょうか。一方では、医療の方は自営業を対象とする国保、国民健康保険というのがあるわけで、これは応能、応益両方の保険料から成り立っているわけでございますけれども、応能保険料というものもあるわけです。これは二分の一応能なのでしょうか、だんだん応能部分のウエートも高まっているのかなという気もいたしますが、一方の国保では応能負担が可能で、国民年金だけは一切そういうものを除外して所得の捕捉が難しいから定額制です、これはいかがなものかという気がいたします。
これはどうでしょう、自営業というのは所得の捕捉というのはできないものなのでしょうか、できていないものなのでしょうか。いわゆるクロヨンとかトーゴーサンとか言われますが、そういう実態が現実である、局長の御答弁はそういうことをおっしゃったわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/4
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005・矢野朝水
○矢野政府委員 まず、国民健康保険におきましては応能負担というのも一部取り入れられているのではないかということで、国民健康保険と国民年金との違いというのを御指摘いただいたわけですけれども、この問題は、国民健康保険というのは市町村が保険者となって地域の実情に応じていろいろな形で工夫をされて運営をされておるということでございまして、それに対しまして、国民年金の場合は全国一律、全国一本の制度でございまして、そういった点から見ますと、全国共通の適正な尺度というのがなかなか難しい、こういう点が一つあるわけでございます。
それからもう一つ、クロヨンというお話でございますけれども、これは正確には私どもよりも税当局の方で御答弁いただく筋のものではないかと思いますけれども、私の認識といたしましては、確たる証拠があるわけではございませんけれども、クロヨンとかトーゴーサンピンというのは国民的な常識になっているのではないかな、そういう感じはするわけでございます。自営業の方々につきましては、それほどさように所得の把握という点については難しい点があるのではないか、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/5
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006・金田誠一
○金田(誠)委員 大臣、先般来のこの委員会でも出ておりましたが、年金担当大臣であるというお立場の大臣に対してお伺いをしたいと思うわけでございます。
ただいまの局長の答弁では、クロヨンというのは国民的常識になっているのだ、したがって、国民年金は定額制なのだ、こういう論調で御答弁をされておるわけでございますが、大臣はもと大蔵省にもおいででございました、今は年金担当の大臣でいらっしゃる、そういう中で、所得捕捉なるものができていないのだという前提で物事を考えるのか、そうではないのかで根本のところが違ってくるわけですね。所得捕捉がもしできていないとすれば、しなくてもいいのか、すべきなのかということもお尋ねしたいと思うのです。
どうなんでしょう、クロヨンというのは国民的常識になっているという一般論といいますか、そういう状況の説明と、我が国政府として、クロヨンというものが存在しているんだ、したがって、その存在を前提に制度を設計しているんだということとは全然意味合いが違うと私は思うわけでございますが、いずれのお立場でしょうか。年金担当大臣として、所得の捕捉ができないんだ、クロヨンというのは現実に存在しているんだというお立場で国民年金が定額なんだという論理構成をされているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/6
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007・宮下創平
○宮下国務大臣 基本的に年金局長が申されたとおりだと思いますが、所得の捕捉率が定かでないのでそういう制度にするというのは、これは政策を定立する場合には本旨ではございません。
しかも、クロヨンとかトーゴーサンとか言われるように、これから税の公平化を各層においてやるということでございますから、今政府税調等でも納税番号制度による総合課税方式というものも提案されておりますから、それはそれとして努力していかなければならないと思います。
ただ、現在の国民年金の定額制度というのは、今局長のおっしゃられたように非常に多様な所得であるということのほかに、医療保険との違いは、医療保険は資力に応じてある程度の負担の差を設けますが、給付は、それぞれその給付を受ける人によって、病気になった人、ならない人、いろいろございますから、給付は一定でございません。
ところが、年金というのは確定給付を前提とする制度でございますから、どうしても所得に応じて給付もやるということになりますと、これはサラリーマン等の場合であれば、給与管理がきちっと行われておりますし、非常に実務的にもやりやすいと思うのですね。しかし、国民年金の場合はちょっと趣を異にしているのじゃないかな、そういう感じがいたします。
それぞれの制度をどういう考え方でつくり上げていくかということは、これはなお根本的に検討していかなくてはならないのですが、捕捉率が悪いから定額にしているんだというだけの趣旨ではないように私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/7
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008・金田誠一
○金田(誠)委員 冒頭の年金局長の話ですと、所得捕捉が難しいから定額制だということでございましたが、ただいまの大臣の説明ですと、それもそうだけれども、医療は給付が一定でない、年金の方は給付自体が確定している、したがって、定額制だということでございます。
私がお尋ねをしたのは、我が国政府としてある程度所得を捕捉されている、一〇〇%ということはサラリーマンでもないのかもしれませんけれども、所得の捕捉が現状ではされているんだ、クロヨンとかトーゴーサンとか言われているけれども、それは世間が勝手に言っていることで、日本政府としてはそういう認識ではないということなのか、それとも、世間で言われているクロヨンというのは大体そんなものだ、政府としてもそれを前提にして物事を考えているんですよ、そのどっちですかということをお尋ねしたわけでございます。
年金局長からは、所得捕捉が難しい、したがって、定額だと。大臣の方からは、年金の給付が一定なんだから定額なんだと。それぞれ出ました。その話は次の段階でしますけれども、その所得捕捉ということに着目をして、世間で言われているクロヨン、トーゴーサンという実態があるという前提で制度を設計しているのか、ないという前提で設計しているのかというのが質問の趣旨でございますので、その点についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/8
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009・宮下創平
○宮下国務大臣 制度を定立する際の視点でございますが、要するに、捕捉率の問題というよりも所得の多様化、自営業者等は申告納税制度でありますから多様化しているというような技術的な問題もありますので、年金局長は所得が多様化している実態を踏まえて言われたものだと思います。それも一つの理由です。
私が申し上げましたのは、確定給付でございますから、制度としてきちっとしなければいけませんが、国民年金の場合に、今の厚生年金のように所得に応じてそれぞれ保険料に差を設けて仕組むことが実務的にどうかなという点の検討が恐らく六十年の改正ではなされたと思うのですね。そういう点から行われているものだと思います。
なお、所得保障の給付の方につきましては、これは年金で四十年掛金を満額した場合に夫婦二人で十三万円何がしということを想定しております、二十五年が資格取得期間でございますけれども。例えば勤続期間が短い場合はそれよりも下回っていくことも事実でございますが、一応私どもとしてはモデル的に二十から四十年間ということを想定しているという制度を定立しておることは申し上げるまでもないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/9
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010・金田誠一
○金田(誠)委員 答えにくいのかもしれませんけれども、ぜひ質問にお答えいただきたいなと思うわけでございます。
今の国民年金が定額保険料になっている。確かに、給付も確定給付だからという要素もあるというお話がございました。しかし、そればかりではなくて、所得が多様化している、したがって、捕捉しにくいという話ですね。所得が捕捉しにくいというだけで定額ではないんだ、給付も確定なんだからということで今理由として二つ挙げられているわけですけれども、少なくとも、所得の捕捉がしにくいんだということも一方の理由としてあるわけでしょう、多様化しているということも含めて。
それも理由としてあるというのであれば、巷間言われているクロヨンとかトーゴーサンとか、自営業者の方というのはかなりの部分所得捕捉ができていない、課税ベースを押さえられていないという前提で物事を考えているのですか。それとも、一〇〇%ではなくてもある程度は押さえられているのです、したがって、冒頭年金局長は所得捕捉が難しいとは言ったけれども、結果として、難しいけれども押さえているというのか、難しいから押さえていないというのか、大臣、そこのところを再三聞いているわけでございまして、そのどっちの立場になって制度設計をしているのかということなんでございます。
実は、それをしつこく聞きますのは、国民年金だけではございませんで、医療の方も、九七年八月に出た「二十一世紀の医療保険制度(厚生省案)」という、今回の医療制度改正の最初に出たペーパーなんですけれども、この中にも「被用者保険と国保とでは、所得捕捉の実態に対する国民の意識や保険料徴収の方法等が異なることなどを勘案し、現行の被用者保険と国保の二本建て制度とする。」というくだりがあるわけなんですね。これは国民の意識が違うというふうに書いているのですけれども、国民の意識は違っても実態は捕捉されているということなのか、意識が違うということは実態も捕捉されていないということなのか。
非常にわかりにくい文書ではありますけれども、国民年金自体が保険料定額制ということは、そもそも一つの理由としては所得の捕捉がしにくい、できないということがあったのでしょう。そのほかにも、給付も定額なんだからという理屈。僕はこの理屈はおかしいと思っているのですけれども、これはまた後でやらせていただきます。
その捕捉しにくいということに対して、日本政府としてはどの程度捕捉しにくい状態に現在あるという認識なんですか。クロヨンとかトーゴーサンというふうに思っているのですか、それとも、もっと違う、サラリーマンにほぼ匹敵するぐらいまでは捕捉していると思っているのですか。その所得捕捉をどう認識して制度設計をされているのですかというのが質問の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/10
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011・宮下創平
○宮下国務大臣 我が国の租税制度の中で、自営業者の所得の問題は、いろいろトーゴーサンとかクロヨンとか言われておりますが、現在は私どもとしてはそういう前提に立っていないで制度をつくっております。そういう前提を公式に容認しているわけではございません。しかし、そういう実態があるという指摘があることも承知をいたしております。
そういう前提の上に立っての制度の構築でございますが、もう一つ言い得ることは、サラリーマンの皆さんは給与所得が明確なのですね。それを標準報酬月額で類型化することも極めて包括的にできます。ところが、国民年金の自営業者の場合には、給与所得というのは原則としてないわけで、事業者所得や不動産所得だ、いろいろの所得の類型が非常に多様化しているという点を局長がさっきおっしゃったと思うのですね。そういうものを総合化されるシステムができてくれば、あるいは所得の多寡に応じて捕捉することが可能であるかもしれませんが、確かに非常に手数が今の所得の捕捉ではかかります。したがって、それぞれ合算をしませんと公平を欠きますので、そういったことも背景にあるのかなと私は個人的には思います。
そういう面で、多様化しているから年金を定額化したという六十年度の考え方は一応首肯し得るというように考えておるところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/11
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012・金田誠一
○金田(誠)委員 総合課税か分離課税か、何を分離して何を総合するかというのはいろいろ議論のあるところでございますけれども、現行制度ではそれぞれ区分されている。それがいい悪いということは別にして、総合課税であるべきものは総合課税になっているでしょうし、分離課税のものは分離課税になっているのだろう。したがって、いろいろ感覚的にとらえられて十分でないとかクロヨンであるとかという議論が仮にあったとしても、そういうことは容認しているわけではない、そういう前提で物事を考えているわけではないということは確認させていただいてよろしいわけですね。
そうなりますと、最初の年金局長の答弁は、所得捕捉が難しいから定額保険料一万三千三百円なんだという話とはちょっと食い違ってくるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/12
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013・矢野朝水
○矢野政府委員 実は、補足しようかと思っておったわけでございますけれども、私が申し上げたかったのは、国民の間に自営業の方の所得把握についての疑問がいわば常識としてあるわけですね、クロヨンとかトーゴーサンピンとか。そういう中で定率の保険料を導入するということは、これは国民の間に大変な反発、不満を巻き起こすのではないか。しかも、国民年金の保険料というのは強制徴収できることにはなっておりますけれども、現実問題としては、これはなかなか毎回毎回強制徴収するというようなことは難しいわけですね。国民の理解、協力を得て毎月保険料を納めていただかなければいけない、こういうことになっているわけなのです。したがいまして、そういう所得把握の不公平ということについて国民の間に常識がある中で、もし定率保険料を強行する、こういうことになりますと、これは保険料の徴収というのが非常に厳しくなると思うのですね。
したがいまして、これは大臣も申し上げましたように、国民年金の年金の方は一律定額の年金でございますので、定額の保険料を負担していただくというのが現状からすると一番公平な仕組みじゃないか。そういうことをいろいろ勘案して、現在のような定額の保険料拠出、それに対応した定額の年金給付、こういう体系になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/13
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014・金田誠一
○金田(誠)委員 世界に例を見ない定額保険料、それも非常に高額ですね。こういうことを行っていて、結果として年金の空洞化ということを招いているというところに着目をしていろいろ質問させていただいているのですが、非常に後ろ向きな御答弁ばかりで、非常に残念でございます。
今の答弁でも、いろいろ反論しようと思えばたくさんできるわけでございます。例えば定率保険料ではないといっても、第二号被保険者は基礎年金というのは定率保険料なわけですね。第二号が定率で、一号被保険者の分に所得移転も結果として行われている状態になっている。
一号被保険者であっても、これは仮に捕捉が一〇〇%でないにしても、所得の低い方と高い方、恐らく二号被保険者以上に格差があるんじゃないでしょうか、自営業の場合というのは。極端に低い方もあれば、極端に高い方もいらっしゃる。こういう所得格差のある中で定額保険料ということが、これが国民の理解を得て納めてもらっている状態になっているのか。結果として空洞化しているではないか、もう四割に近い方が納めていないではないかという現実に対して、今の答弁ですと何の説明もできないのではないですか。今の答弁が当たっているとすれば、空洞化が進むわけがないということになりますでしょう。反論がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/14
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015・矢野朝水
○矢野政府委員 未納、未加入問題というのは非常に大きな問題ですし、この解消に向けてさらに私どもとして努力していかなければいけない、これは当然でございます。
ただ、その未納、未加入の理由といたしまして、今先生がおっしゃったような、定額の保険料だから未納、未加入がふえているということでは必ずしもないんじゃないか。定率の保険料か定額の保険料か、これはこれで大いに議論しなきゃいけないテーマではございますけれども、未納、未加入問題に直結する問題ではない。未納、未加入というのはもっと幅広いいろいろな背景がございますし、これはこれとしてしっかりやっていかなければいけないんじゃないか、こういうことではなかろうかと思っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/15
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016・金田誠一
○金田(誠)委員 これは「総合社会保障」という雑誌、一九九七年十月号でございますが、その中の年金評論家の方の論文からの引用でございますが、
「国民年金の歩み」(厚生省年金局編)を見ると、発足時の議論として、「所得比例の保険料の議論もあったが、現段階では徴収の面で技術的に不可能と判断され、均一(定額)拠出となった。将来、機が熟したら所得比例の拠出に移す考え方は、立案の当初から存在するもので、この点は国会の審議でも明らかにされている」
という話が国民年金のスタートの当初からあったと。
これは、イギリスの国民年金が、戦後、ビバリッジ報告でしょうか、定額保険料と定額給付というものでスタートして、ちょうど日本の今の国民年金と同じように行き詰まって、定額保険料が入ってこない、したがって、給付を制限せざるを得ない、給付が低くなると余計また保険料が集まってこないという悪循環に陥って、定率保険料に移行していくわけですけれども、そのときにできたのが日本の国民年金ですね。ちょうど時期を同じくしてイギリスの轍を踏んだ。結果として、今日に至って、全く同じように崩壊過程を迎えているという指摘を申し上げたかったわけでございます。
いろいろやりとりの中で、所得捕捉について云々という話もございましたが、これはどうでしょう、私どもは、そういうことを勘案すれば定額保険料というのはまず無理なんだ、いい形は税によって代替していくというのが本来の姿だと思いますけれども、まず、定額保険料というのはもう限界だ、無理だ、所得捕捉の問題とかいろいろな問題があって今日に来たけれども限界に達していると認識するわけですが、その辺の認識を承りたい。
それと、大臣の方から答弁があった、確定給付だから確定拠出なんだということも、これはイギリスの例を引くまでもなくもう崩壊しているわけですよ。第二号被保険者は確定給付だけれども定率拠出なわけです。第一号も本来それをやるべきだけれども、所得捕捉の問題があったということなんだと思いますが、建前としてはそういうことを容認して制度をつくっているわけではないのだということであれば、おのずと結論は明らかだと思うわけです。
定額による国民年金保険料は限界に来ていて、これは抜本的に税方式に移行するか、あるいは過渡的に定率というのもあるかもしれませんけれども、そういう状況に立ち至っているという基本認識でぜひ一致をさせたいなと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/16
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017・矢野朝水
○矢野政府委員 これは、日本で国民年金をつくるときに、定額制か定率制かということで、今御紹介のあったような大変な議論がいろいろ行われたということは承知いたしております。
その後、イギリスについては定率制に変わった、こういうことでございますけれども、実は全部定率制に変わったわけじゃございませんで、現在でも、細かいことですけれども、第二種保険料とか第三種保険料、これは自営業の方で所得の低い方が第二種保険料ということなんですけれども、それから第三種保険料というのは任意加入の方なんですけれども、こういった方につきましては現在でも定額保険料を徴収しているわけです。だから、イギリスが全部定率に変わったということでは必ずしもないということでございます。
それから、定額の保険料が限界に達しておって、もう税方式しかないのじゃないか、こういう御指摘でございますけれども、私どもは、いろいろな点を総合的に勘案しますと、現状の中では今の定額保険料というのはそれなりの合理的な根拠がございますし、これを直ちに改めるというのは、未納、未加入をふやすとか徴収率が落ちるとか、かえっていろいろな面で問題を生じるのではないか、そういう認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/17
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018・金田誠一
○金田(誠)委員 一点目だけで質問を終わってしまいそうで残念なんですが、今反論されました第二種保険料あるいは第三種保険料ですか、これは見てみましたら、第二種保険料の場合、向こうは週単位の保険料ですが、週六・〇五ポンド、レートにもよりますけれども千円ちょっと、そういう金額ですよ。したがって、月四千円とか五千円以下。これは定率で掛けたとしても、本当に最低所得のところにかかる額を定額で取っているというだけの話で、日本のように高額保険料を定額で取っているということではない。実質、最低定率、定率で取ったときの最低を定額でやっているだけの話で、そういうことをおっしゃっても何の意味もなさないということを指摘をしておきたいと思います。
年金審のことができなくなりまして残念なんですが、時間が来ましたので、終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/18
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019・木村義雄
○木村委員長 松崎公昭君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/19
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020・松崎公昭
○松崎委員 民主党の松崎公昭でございます。
三月九日に本会議で質問をさせていただきました。そのとき、大変残念だったんですけれども、今こういう厳しい不安定な時代で、安心感を与えるために社会保障の全体像を示してくださいということで総理大臣に問うたわけでありますけれども、ほとんどお答えがなかった、全くなかった。
大臣に、今大切な時期に、国民に安心感を与えるために社会保障の全体像を示すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/20
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021・宮下創平
○宮下国務大臣 御指摘のとおりでございまして、年金制度等につきまして、将来、安心、安定できる制度であるということの認識が国民になければ不安感は募るばかりだと存じます。
そういう意味で、総理は社会保障の構造改革について言及されておられますけれども、私どもも、構造改革をしながらも、全体として安心、安定できる、見通しの得られるような制度の構築を今回やってまいりたい、こういう観点から取り組まさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/21
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022・松崎公昭
○松崎委員 それが大綱なのかどうかわかりませんけれども、私どもは大臣に社会保障の全体像を求めているんだ。もう少し理念のようなものを、骨格を示していただきたいということで質問しているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/22
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023・宮下創平
○宮下国務大臣 これにつきましては、実は長いこと、厚生省も少子・高齢化の進行等々で社会保障分野のウエートが高まっていくことを背景にいたしまして、これはちょっと古い話になって恐縮ですが、平成六年には、厚生大臣が発足させました懇談会におきまして二十一世紀福祉ビジョンというものを示していただきました。それから、平成八年には、社会保障関係の八審議会の会長に御論議をいただきまして、社会保障構造改革の方向について中間的な取りまとめをいただいたところでございます。
ここでは、今後、少子・高齢化の進行に伴う給付と負担の増大が見込まれる中で、高齢者介護とか子育て支援とか、そういう国民の新たな需要の変化がございますが、こういうものに適切に対応していく必要があるということと、同時に、経済と調和のとれた効率的で安定した社会保障制度を確立する必要があるという認識が示されております。
私どもとしては、それらを踏まえまして、全体として、今の内閣は確定はしておりませんけれども、租税負担率と社会保障の負担率をなるべく五〇%以内にとどめるというような一つの政策目標といいますか、そういうものを掲げて合理化に努めてきておるところでございます。
私どもとしても、介護保険制度を創設いたしましたり、さまざまな改革に取り組んでもきましたし、これから必要な給付は確保して、制度の効率化、合理化を図ろうということで、社会保障制度全体について、相互に連関をしておりますから、年金も医療保険も福祉の世界もみんな関係しておりますので、そういった全体像の中で年金制度、医療制度の抜本改革に今取り組みつつあるところでございます。
数値目標としてきちっとしたものをお示しできないのは、今具体的ないろいろな問題を検討させていただいておりますから、それらの結果が出ないとはっきりお示しできないのかなということは御理解していただかなくちゃならぬと思います。お示しする以上は、それが現実のものにならなくちゃなりませんので、そういった努力を重ねつつやらせていただいておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/23
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024・松崎公昭
○松崎委員 もちろん、介護保険制度あるいはいろいろな制度が重なり合いながら社会保障システムをつくり上げているということは承知しておりますけれども、結局国民から見てわかりづらかったり不安であるということは、例えば医療におきましても矛盾だらけであるということに関して、わかっていてもなかなか思い切ったことができない。介護保険にしても、当初二千五百円ぐらいかなと思ったら、三千円以上にいってしまうのじゃないか。これは三十万円ぐらいの月給の方でしたら、所得でしたら、一%の消費税になるわけですね。それから、医療でいけば老人の薬剤が、薬がただになるとか。政策がぶれ過ぎているといった問題も非常に不信感を呼ぶ。トータル的には政治に対する不信がこうなっている。
そこで、私は、思い切ってきちんとした大きなビジョンを出すべきだということで、特にそこは政治の主導性というものが大事だろうと。時には、医療保険のように、政治の主導性が発揮されませんと、逆にそれに引っ張られるということがあるかもしれませんけれども、政治の主導性という点で幾つかお尋ねしたいと思います。
本会議でも質問したんですけれども、経済戦略会議、これは皆さんの意見でいくとお題目だから余り聞かなくてもいいみたいな、そんなような声も聞こえてくるのでありますけれども、私は、今回の戦略会議というのは縦割りの行政を無視して、無視というか乗り越えて、そして総合的な政策を提示して、かなり先のビジョンをつくっている、そういうことで一定程度評価をしているわけですね。その中には、この年金の問題にいたしましても、基礎年金はなるべく早く税でやるべきだということも言っているわけです。
ところが、これに関しまして、総理の受けとめ方は、将来的にはそういうことだというようなあいまいな言い方。もっとひどいのは、その戦略会議の最終報告が出たときに、閣議後の記者会見で、このときの閣議では総理大臣は提言の実現に努力してくれということを強く言っているのですが、関谷さん、甘利さんはそれぞれの大臣のお立場で、そして、宮下厚生大臣も年金の税方式なんというのはとり得る立場にないというふうに一蹴した。これは新聞でありますけれども、そういう言い方をされたというのですけれども、その真意は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/24
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025・宮下創平
○宮下国務大臣 戦略会議の御提言は、これからの日本の二十一世紀に向けての経済社会全体についての多数の項目にわたる検討結果でございまして、私どもはそれなりにこれを評価して受けとめさせていただかなくてはならない、こう思っております。
なお、閣議におきましても、総理大臣から、できるものからぜひ実行してほしいという要請のあったことも承知しております。
ところで、私どもの年金制度に関しましては、四点ばかり指摘がございます。
一つは、今おっしゃった基礎年金部分に関して、二十一世紀のなるべく早い時期に二分の一に近づけて、その後は全額税方式が望ましいということが一つございます。これに対しては、私が、今年金制度の改革をやっている中で、巨額な財源も要しますし、全く基礎年金を税だけでやっていいものかどうかという疑問を提示いたしております。このことは事実でございます。
そして、二番目に、報酬比例部分を民営化すべきことを提言されております。二重負担が三百八十兆円ぐらいあるけれども、これは三十年ぐらいかけて調整していけばできるのだということでございますが、これも私は反対を表明いたしました。なぜならば、これからそれを民間保険だけで、自主的な判断だけでやるということになると、中小企業者の所得保障その他も基礎年金だけになりかねないし、非常に問題が多いのではないかという懸念を持っております。
私は、今の基礎年金と報酬比例部分、その上に代行部分がございますけれども、企業年金部分の三階建て構造というのは、それなりに制度として過去幾多の先輩がつくり上げてきたものでございまして、それなりに評価できると思うのですね。ただ、いろいろな問題が内在していることも事実でありますから検討はしていきますが、基本的に比例部分を民間にしてしまうということは私としてはちょっと了承できませんから、そういう発言もさせていただきました。
なお、確定拠出年金につきましては、これも提言がございます。恐らく戦略会議の真意は、報酬比例部分を民営化する、つまり、勤労者の判断に任せるよといった場合に、何らかの有効な手だてとして確定拠出という、これは拠出を確定するということでございまして、給付にはいわば責任がありません、これはハイリスク・ハイリターンで運用次第ということでございます。私は、基礎年金と今の報酬比例部分の最小限度の所得保障のメカニズムが維持されれば、企業年金としてこれにあえて反対するものではないし、アメリカにおいて四〇一Kその他でかなり経済的にも影響がある話でございますから、これは積極的に評価いたしたいと思っているのですね。
それから、四番目は代行部分についても言及されています。代行部分をどうするかというのは、企業年金の一つでございますから、検討を要すると思います。それから、企業年金基本法みたいなものをつくりたいと思っておりますから、その限りで検討の対象にはあるいはなるという可能性もございます。
これは、厚生年金の国の負担部分の一部と企業年金の上乗せで構成されているわけですが、制度として準公的な、社会保険に突っ込んだような形でなっておりますが、その既得権をどうするかとか代行部分をどうするかとか、いろいろ議論がございますが、企業年金全体の問題として検討してしかるべきかな。
したがって、私としては、戦略会議を全面的に否定しているわけではございませんで、評価するところは評価して、しかも、今度大綱で一番の、今決めつつあって、やがて法律案として御審議を願う中で、基礎年金の国庫負担三分の一を二分の一に引き上げることを法律上明定したいと思っているのです。それは、次の財政再計算期までには安定した財源を得てこれを行いたいという趣意のことも入れてございます。これは、戦略会議の、二十一世紀の初頭までに二分の一にしろ、その後は全額税方式を目指せということにも一部こたえているものでもございます。
したがって、全面的に何もかも年金について戦略会議の提案はだめだということではございませんで、私どもは、七千万人以上の国民の多くの人たちが加入している問題、いろいろ問題はあるにしても、この所得保障方式というものを基軸にしてその改正をやって、今後維持すべきものだと考えていることを強く意識しておるものですから、そのような発言をさせていただいたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/25
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026・松崎公昭
○松崎委員 私も、報酬比例部分の民営化というのは反対でありまして、基本的には今の三階建て云々はよろしいと思うのですね。
ただ、先ほど金田先生からもお話があったように、取り方でありますとか、税方式がいいのか保険方式がいいのか、そういう基本的なものは今後しっかりと議論をしていかなければならない。
それから、政治の主導性ということで、私は、厚生大臣の審議会の意見は聞くけれども総理大臣の諮問機関の意見は余り聞かないということはないとは思いますけれども、その辺は、これだけ総理大臣が熱心にやられたことでありますので、一つの基本方向の根幹にしていただかなければいけないのじゃないかなと思います。また、最近は産業競争力会議とか新しいものもつくられて、幾らつくってもその提言がさっぱり実現化しないのであれば、総理大臣も自分の身の置くところもないと思いますね。
それからもう一つ、政治主導という問題で、これは本来は自由党さんから御発言があってしかるべきお話かもしれませんけれども、ここに自由党さんと自民党さんの合意がありました。この合意の中には、消費税については税率、福祉目的への限定をしなさいと。ここで総則に入れたという発言になるのでしょうけれども。これは明確に福祉目的税、つまり消費税的な間接税を福祉目的にしなさい、つまり、それは自由党さんの一つのシナリオ、政策の中にも基礎年金の財源には消費税とうたってあるわけですね。
私もかつて新進党にいましたから、この政策に関してはそれなりに私も共有しているというふうに思っております。もちろん、私ども民主党も、明確に基礎年金は税でやれという主張をしているわけでありますが。
この辺は、十六日ですか、政策責任者会議で、自民党からも与党の結論を待たず答申を出したとは何事だというふうに大分かみつかれたというふうに言っておりますけれども、いわゆる政治主導という点で、自由党さんとの合意を踏まえて、この基礎年金の税方式化というものは、大臣は内閣の一員としてどんなふうに受けとめていらっしゃるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/26
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027・宮下創平
○宮下国務大臣 政党政治でございますから、連立政権ともなれば、その政党間で基本的な政策について合意を得る、そして、議院内閣制ですから、それを踏まえて内閣が実施していくという建前は申し上げるまでもございません。したがって、基本的に自自の合意というものが前提になるということは、そのとおりでございます。
一方、この問題につきましては、随時年金局長を初め多くの厚生省の方からいろいろの御説明はずっとやっておりますが、最後に残された問題は何か。これは私の推測も入りますが、一言で申し上げると基礎年金部分の全額税方式、これは今直ちにできないにしても、一つの方向性を打ち出すべきであるというような御主張のように思われます。この点については、私どもは、今回基礎年金部分の三分の一を二分の一にすることを法律上明記したいと思っております。また御審議をいただくことになると存じますけれども。
それ以上に、全額税方式でやることにつきましては、これがそうなった場合、一体今の公的年金制度というのがどうなるかという検討がとても重要なんですね。
全部税でやる方々の御主張の背景には、国民年金が破綻をしている、したがって税でやればその問題は解消する、それから三号被保険者の問題も、これは独立した主婦といいますか働いておられる女性の立場からすると不公平ではないかとか、いろいろの問題も全部解消するではないかというような指摘がございますけれども、確かにそういう結果は来すでしょう。
しかし、それ以上に問題は、私どもとしては社会保険方式を維持していきたいし、税で全部やるということになりますと、将来所得なり資力なりによって制限的になっていくのではないかというように思います。これは私もはっきり申し上げたんですが、総理大臣も、定額で、全額税金で全く資力に関係なしで平等に給付できますかという疑問も提示してございます。
それを資力によって調整していくということになりますと、基礎年金が一種のフローティングの状況になりまして、今度はサラリーマンの方でも非常に問題が多くなります。だから、基礎年金の完全な税方式によるやり方というのは、やり方によっては今の制度を抜本的に改革することになると思います、報酬比例部分を含めて。そこまで配慮しませんと、到底私どもとして判断できるものではございません。
そういう点もございますし、巨額の財源をとにかく必要とする。今のレベルでこれを無拠出で税金によって給付しようといたしますと、今三分の一で五兆円くらい投入しておりますが、約八兆八千億さらに追加的に加わるということになりますれば、これは、小さい政府を目指すからいいんだという主張もございますが、かえって大きい政府になると私は思うんです。社会保険庁の人員はカットされていったとしても、負担としてはかなり増嵩します。しかも、その財源はどうするかというような課題に必ず逢着せざるを得ない。
私ども、二分の一だけでも今苦慮しておるところでございますけれども、それがさらに八兆八千億の追加ということになりますと、財政全体の中でそういう資源配分でいいのかどうかという点も、これは大きな制度でございますから、配慮せざるを得ないというようなことがございます。
ちょっと長くなって恐縮でございましたが、もろもろのそういう配慮からして、私どもとしては、全額税方式を今とるわけにはまいりませんというのが基本的な立場でございますから、そういう立場に立って自自で御協議をいただけるというように思っておりますので、それを期待申し上げておるところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/27
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028・松崎公昭
○松崎委員 大変重要な問題点を大臣はお話しになったんですけれども、民主党の立場というか政策というのは、もちろん小さい政府を求め、そして行革をやり、民営化していく、なるべくのものは民間に譲っていく。ですけれども、私は去年もドイツに行ってわかったんですけれども、それだけではだめなんだというところで、我々は第三の道、弱者、弱い立場の人、こういう方々には一定程度の公的なものも残さないとだめだ、これがブレアの言う第三の道なんですが、民主党はそういう立場に立っているわけです。
今の議論は、私は余り専門家ではないですが、税と保険料云々で保険料の優位性というお話をされたと思うんですけれども、例えばこれを税にしたところで、基礎年金は厚生年金だけでも四%ぐらいダウンするんですね。それから、多分国民年金保険は、私のこの数字が正しいかどうかわかりませんけれども、二兆円とか。保険料そのものがなくなるわけですから、全部の数字かどうかわかりませんけれども、バランスはとれていく。確かに、税方式に変えますと十三・三兆円という膨大なものがかかります。しかし、それで国民からいただくお金は少なくなる部分もありますし、それこそ行革でありますとか、大き過ぎる今の政府を削ることによって幾らでも出てくるわけですね。だから、税方式か保険かというのは、もっと違う角度でやらなければいけないのではないか、そんなふうに私は思っているわけでございます。
例えば世界的に比較しましても、税を中心にしている国の方がはるかに多いわけでございます。保険の方がオランダでありますとかイギリスでありますとかかなり少ないわけでありますから、私は、この辺で本格的に税方式なのか保険なのかという議論をもっともっと深めるべきだろう、そう思っております。
さて、今回の凍結案の問題でありますけれども、今回のこの発想は、確かに、ほっておきますと四月から法律で上がってしまう、だからとめたということはわかりますけれども、国民年金のいただくお金をとめたところで一千百億ですからね。これはどうも景気対策だというふうに私どもは見ているんです。景気対策でしたらはるかに地域振興券の方が大きいんですね、七千億円で対象者は三千五百万人もいるんです。こっちは千七百万人ぐらいでたかだか一千百億ですよ。こういう景気対策に年金を使われて、使われてと言うとちょっと問題ですけれども、大臣としてどうなんでしょうか、その辺ちょっと私はおかしいんじゃないかと思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/28
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029・宮下創平
○宮下国務大臣 国民年金の凍結だけでございますと一千億強でございますから、確かにそれは景気対策的な意味を主張するだけの額ではございません。
しかし、私どもは国民年金と厚生年金をセットで考えておりまして、これは十月に予定されている厚生年金の引き上げを凍結するということに主眼がございます。それは、二兆円以上の保険料の増収になりまして、なおかつ可処分所得をそれだけ減少させるわけですから、今の景気対策から見て、消費を喚起するのに大変相反することになりますので、これは決断をいたしました。額が小さいからこっちはそれでいいんじゃないかという選択も一貫性を欠くのではないかと思いまして、国民年金、厚生年金を同時にことしは凍結させていただくという意味で実施いたしました。
しかるところ、厚生年金につきましては法律事項ではございません、国民年金については法律で明定されておりますので、この凍結の法案をお願いしておる、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/29
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030・松崎公昭
○松崎委員 これらの問題はいずれ法案が出てまいりますので、大綱か法案になったときに私たちもしっかりとやりたいと思っております。
残り時間は、こういう年金の基本的な部分、税方式にする、あるいは政府の方は税方式は考えずに二分の一ですから、逆に我々民主党は早く税方式にするためにその手前で二分の一にするということで、全然意味が違うわけでありまして、せっかく民主党案も出してあるものですから、今の議論の中の大事な部分も含めまして、民主党案でどうしても強調しておきたいところ、どこかあると思うので、ちょっと述べていただきたいと思います。
〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/30
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031・山本孝史
○山本(孝)議員 御質問でございますが、先ほどの大臣の御答弁の中で、基礎年金を税方式化することは抜本的な改革になるので一大臣ではできないとおっしゃったのか、そこは一内閣ではできないとおっしゃったのか、これはできる話ではないんだという否定的なニュアンスでおっしゃったわけですけれども、ここは今抜本的改革が求められているのであって、そこを逃げてしまったのでは政治は責任を果たしていないのではないかと思うわけであります。
あわせて、財源が大きいから大きい政府を目指すんですかという御答弁の趣旨でございましたけれども、国民からすれば、必要なお金を税金で負担するのか保険料で負担するのかということは全く同じでありまして、先ほどの答弁は、税金は取りにくいけれども保険料は取りやすいから保険方式を続けていくんだという意見の表明のように私は受けとめられるわけであります。それはまやかしになってしまうのではないかと思うわけであります。
民主党は、今回の年金改正の一番大きい課題は、基礎年金と厚生年金のいわゆる二階の部分、報酬比例部分について、おのおのの性格を明確にして、その財源や給付水準はどうしたらいいんだということに対しての合意を形成していくということであろうというふうに思うわけであります。
特に基礎年金については、昭和六十年改正で全国民共通の年金だと言われてきたのにもかかわらず、実態上は依然として厚生年金から国民年金への財政調整的な意味合いしか持っていない。そこがやはり問題だと私は思うわけですね。サラリーマンは、払っている保険料の一体どこまでが基礎年金に行って、どこまでが自分に返ってくる報酬比例部分に行くのかということがわからない。厚生省ですらここのところはどう分けられているのかわからないという形で、保険料負担をサラリーマンに求めていくことが本当にいいのかというところは大いに議論をすべきだと思います。
私は、基礎年金をナショナルミニマムとして位置づけていくという方向をしっかり示していくことが安心と信頼の年金制度への改革の第一歩になると思っているわけであります。
基礎年金の財源について、年金審の高山委員が、年金審ではほとんど議論をさせてもらえなかった、これは財政構造改革法があったから門前払いでした、意見は封じられておりましたとおっしゃっておられますし、本日の報道によれば、自由党と自民党の連立与党の協議の中で、自由党は基礎年金を税方式にすることを御主張なさって、それを自民党の方も大綱の中に何らかの形で書く、配慮をするとおっしゃっておられます。そういう意味でいけば、連立与党の中でも議論は生煮えのままだと思うわけであります。そういう状況の中で、年金審あるいは社会保障制度審議会の日程だけが進んでいく、これはいかなるものかと思うわけであります。
最近読みました、今出ております中央公論の橋本龍太郎さんと舛添さんの対談を見ても、橋本龍太郎前総理ですら、基礎年金はしっかりやって、二階部分は民営化でいいんじゃないかというような御趣旨の発言もしておられる。自民党の中にもさまざまな御意見があるように受けとめるわけですね。
私、御提案ですけれども、この際政府は、次に出してくる年金改正法案が抜本的改革なのかどうか知りませんが、年金改正法案は最低限の改正内容にとどめられるべきではないだろうか、国会の側としては、本委員会に年金問題小委員会をつくりまして、給付のあり方であるとか、二階部分のあり方であるとか、その財源の問題、高齢者医療の問題、さらには、やはり税制を絡めたしっかりとした議論をして国民的な合意を求めていくというのが今我々国会に求められていることだ、それは基礎年金を大いに議論することだというふうに思っておりますので、そのように御答弁を申し上げさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/31
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032・松崎公昭
○松崎委員 時間ですから、今の提案をぜひこの委員会で実現していただきたいなと私からもお願いして、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/32
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033・木村義雄
○木村委員長 福島豊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/33
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034・福島豊
○福島委員 先ほどの松崎委員の質問に重複するところがございますが、経済戦略会議が答申いたしました「日本経済再生への戦略」を中心としまして、私は、本日は大臣にお聞きをいたしたいと思います。
まず前提としましては、小渕内閣の一員としまして、大臣はこの経済戦略会議をどのように位置づけられるものであると考えておられるのか、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/34
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035・宮下創平
○宮下国務大臣 こうした低成長下における経済、そして二十一世紀にいろいろな課題を抱えている現在の日本、こういうことに対して、小渕総理が、識者の意見を聞いて、特に、これは政治家も役人も入っておりません、民間人あるいは経済学者等でございますが、その意見をお伺いして、今後の施策の有力な方針としてこれを取り入れていこうという趣旨のものだと理解をさせていただいております。
ただし、そういう意味ではありますが、これは政府レベルで決定したものでもございません、その内容については。閣議決定もいたしておりません。ただ、総理大臣からは、この戦略会議の提言になるべく各大臣も協力して、実行できるものは実行してほしいという要請のあったことも事実でございまして、何が何でもこれが政府決定だというように私どもは理解はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/35
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036・福島豊
○福島委員 政府決定ではありませんということですが、閣議決定をするのかしないのかというところでさまざまなやりとりがあったように伺っております。もともと総理は、閣議決定をして、これを政府の正式な方針として改革を進めていきたい、そういう意向であったのではないかというふうに私は推察をいたしますが、そういう意味では、反対の意見によってそこまで至らなかったのは大変残念なことではないかというふうに思います。
先ほどから大臣の御答弁、また厚生省の局長の御答弁をお聞きしまして、幾つかの論点がこの答申の中には盛り込まれておりますけれども、その一つ一つは引き続いてお聞きしますけれども、既存の制度というものを前提として、これは到底無理です、ここのところはいけますという仕分けをしておられるんだなということを私は感じました。
ただ、これは戦略会議なんですね。戦略をどうするのか、二十一世紀の少子・高齢社会の中で、日本の経済の活力というものを維持していくためには構造的な転換が必要であるという認識に立っての提言だというふうに私は思っております。ですから、構造そのものを変えるというのが戦略の次元だと思いますね。戦略というのはそういうものだ。抵抗があるのもよくわかりますけれども、構造そのものを変えるというところにまで踏み込まなければ戦略とは呼べない、単なる戦術だというふうに私は思います。ですから、先ほどからの御答弁は、戦術レベルの話にとどまる議論でしかなくて、戦略そのものについて論じているのではないんじゃないか、そのような思いが私はいたしました。
次に、具体的な項目について一つ一つお尋ねをしたいというふうに思います。
まず初めに基礎年金の水準の話ですが、この答申の中では、「公的年金は、シビル・ミニマムに対応すると考えられる基礎年金部分に限定する。その水準は、高齢者の基礎的生活コストを十分カバーできる水準に見直す。」というふうに書かれているわけでございます。
この文章からは、基礎年金部分で基礎的生活コストというのは十分カバーできないという御指摘かとも思いますけれども、この意見に対しての厚生省の御認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/36
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037・矢野朝水
○矢野政府委員 基礎年金の水準でございますけれども、基礎年金は老後生活の基礎的部分を賄う、こういう考え方に基づいて設定されているわけでございます。これは、今回の制度改正では一人当たり六万七千円、したがいまして、夫婦ですと十三万四千円、こういう水準でございます。これは高齢者の夫婦世帯の基礎的消費支出を十分賄える額だと認識しております。
ちなみに、これは全国消費実態調査から平成十年度で推計したわけですけれども、高齢者夫婦世帯の基礎的消費支出、これは食料、住居、光熱水道、家具・家事用品、被服及び履物、こういったものの合計でございますけれども、平均値が十二万一千四百八円、一人当たりが六万七百四円、こうなっております。それから、中央値で見ますと十万五千五十五円、一人当たりで見ますと五万二千五百二十八円、こういう数字でございまして、これから見ますと、基礎的部分を賄うのに足りる水準じゃないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/37
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038・福島豊
○福島委員 今の御説明で、家計の実態の調査をして、十分カバーできているのではないかという御指摘でございました。その調査の結果について異議を持つものではございませんが、今後、将来のことを考えた場合に、来年からは介護保険がスタートいたしまして、介護保険料が徴収をされます。そしてまた、一割の自己負担というものもございます。そして、医療保険につきましても、現在検討が進んでおります高齢者の医療においては、現行の制度に比べれば、その負担というものは、保険料も含めまして増大をするだろうというふうに考えられるわけでございます。
現在、政府が年金審、社会保障制度審議会に出しております大綱では、基礎年金につきましては物価スライドという形にすると。ですから、こうした形での社会保険、社会保障にかかわる負担というものが今後制度の改革によって増大しないのであれば、それは差し支えないというふうに思います。
ただしかし、介護にしましても、医療にしましても、今後負担をふやしていくということがほぼ確実な話なわけですから、これをどういうふうにして基礎年金の水準に反映させていくのか、ここのところの視点が欠けてはならないというふうに私は思います。ですから、物価スライドだけではだめなんじゃないか。この点についての御認識をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/38
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039・矢野朝水
○矢野政府委員 医療とか福祉、いろいろな制度があるわけでございまして、こういった制度におきましては、負担能力に応じまして保険料の水準ですとか自己負担額といったものが決められておる、そういうことだと認識しております。
その場合に、高齢者の収入といいますのは年金だけではないわけでございまして、ほかの収入とかいろいろあるわけでございます。資産からくる収入といったものもあるわけでございまして、そういったトータルの収入に着目をして保険料なり一部負担なりが決定されておる、こう認識しております。
それで、今の水準でございますけれども、先ほど基礎的消費支出ということを申し上げましたけれども、さらに保健医療費まで含めて考えた場合に、高齢者の夫婦世帯で見ますと十三万四千円というような数字がございます。そういうことで、現在のところ、診療代、入院費まで平均で見ますと一応カバーされているんじゃないか、こう考えております。
それからもう一つは、高齢者の生活のコストを考えて基礎年金の水準を決めるべきだ、こういう御指摘でございますけれども、そういった視点とあわせまして、やはり負担の面ということもあわせて考えなければいけないんじゃないか。負担の限界、負担の限度というのがあるわけでございますし、将来の世代に重い負担を課してはいけない、こういう要請も一方であるわけでございます。
したがいまして、こういった問題につきましては、それこそまさしく給付と負担のバランスをとっていく、そういう観点、それからほかの制度との関連、こういった問題を総合的に考えまして給付なり負担なりのあり方を考えていく、こういう必要性があるんじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/39
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040・福島豊
○福島委員 これは私の意見でもありますが、戦略会議の意見なわけです、「基礎的生活コストを十分カバーできる水準に」と。
局長の御答弁は、後半部分がだんだんよくわからなくなりまして、いろいろな論点がまじってきて、結局どう判断するのかな。極めてシンプルに、基礎的生活コストをカバーする水準というのはどうなのかということについてのすっきりした認識を私は提示をしてほしいと思うのです。
今、保健医療費まで含めると十三万四千円ですからカバーできていますと。それはわかります。でも、これからもっとふえるんですから、もっとふえる部分をどうするんですかという議論をしっかりしていただかなきゃいかぬと思います。
それから、ほかにもいろいろ所得がありますと。確かに所得のある人もいますね。アパートを持っている、マンションを持っている、いろいろな人もおりますけれども、年金しか所得がないという人も過半数を占めているわけですよ。そこのところを考えなきゃいかぬ。
まさに基礎年金の水準というのはそこに直結する話じゃないですかということを申し上げているわけでして、ここのところは、この答申というものをしっかり踏まえて、もう少し明確な見解を示していただきたいと私は思います。
次に、先ほども御質問ございました、「基礎年金部分の財源は、二十一世紀のなるべく早い時点で税による負担割合を高め、さらに将来的には税方式に移行することが望ましい。」これは繰り返しになりますので問いませんが、先ほどの質問との関連で申しますと、自由党との協議の中でこの点については大綱の中に盛り込む可能性があるということでしたら、今までの審議の経過、年金審、そして今社会保障制度審議会に回っておりますけれども、これをもう一度繰り返すという形になるんでしょうか。この点についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/40
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041・矢野朝水
○矢野政府委員 私どもは、今回の年金制度改正案を考えるに当たりましては、与党と十分御相談をしながらこれまで進めてきたわけでございます。一方で自自協議というのが行われておるということも承知をいたしております。したがいまして、自自協議の結果、年金制度改正案を改めなきゃいけないという箇所が出てまいりますと、これは当然調整をしなければいけない、こういうことになるわけでございます。
したがいまして、そういった場合にどうするかということにつきましては、これは中身の問題にもかかわることでございますし、私どもがこれまで年金審なり制度審なりで御報告してきた内容と基本的に相違がないということでありますれば、そういう審議会を再度やり直すということは必要ないと考えておりますし、制度の抜本的な中身、法案の中身にかかわるようなことであると、これはやはり制度審なり年金審の方々ともう一度御相談をする。それは、審議会を開くか開かないかは別として、中身が大きく変わるということであれば、よく委員の方々とは御相談しなきゃいけないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/41
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042・福島豊
○福島委員 まさに税方式への移行云々というところは抜本的な話ですから、そこのところは余り影響はない、根本的な変化はないんだというような認識、受けとめ方では済まないのではないかというふうに私は思います。これは申し上げるだけにとどめます。
次に、報酬比例部分の扱いでございますが、報酬比例部分につきましても「段階的に公的関与を縮小させ、三十年後に完全民営化を目指した本格的な制度改革に着手する。」こういうふうに述べているわけでございます。ここのところは、二十一世紀の日本経済のあり方というものを考えたときに、まさに戦略と言えるような非常に根本的な方向転換の提言だというふうに思います。もちろん、異論がありますし、私も賛成をしているわけではありません。この点について、厚生省としての認識をまず御確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/42
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043・矢野朝水
○矢野政府委員 厚生年金の民営化でございますけれども、これは端的に言いますと、厚生年金は廃止をする、そして民間の企業年金なり個人年金なりでやっていただく、こういう考え方だと思います。
そういうことになりますとどういうことになるかということを具体的に考えてみますと、中小企業の方々を中心に、企業年金とか個人年金の普及というのは事実上なかなか難しい面があるわけでございますので、そういった方々は基礎年金だけになってしまう、これでサラリーマンの老後所得保障として本当に大丈夫なのか、こういった深刻な問題が発生してくるわけでございます。
それから、企業年金なり個人年金なりでやるといいますと、これは積立方式で、基本的には自分の掛けた保険料と運用収入で老後の年金額が決まってくる、こういうことにならざるを得ないんじゃないかと思います。そういった場合に、石油ショックみたいな大きなインフレが来た場合に本当に大丈夫なのか、積立金が減価をしてしまうんじゃないか、こういう問題も指摘されておるわけでございます。
さらには、一番大きな問題が二重負担の問題でございまして、移行期には自分自身の年金を積み立てなければいけない、こういう必要性があるわけでございますし、加えて、現在年金を受給されている方、これから間もなく受給される方、こういった方々の年金もお支払いしなきゃいけない。そのために積立金があるじゃないか、こういう議論があるわけですけれども、積立金はそのお約束している年金を支払うのには極めて不十分でございます。私どもの計算によりますと、厚生年金の報酬比例部分、二階部分だけで三百八十兆ぐらいの積み立て不足がある——積み立て不足といいますか、約束された年金を払うために現在時点で一時金として持たなきゃいけない金額として三百八十兆ある、こういう数字もあるわけでございます。
そういった巨額の負担をだれがどうやって負担していくのかというのは、これは大変深刻な問題でございまして、ドイツにおきましても民営化論というのがあったわけですけれども、こういった二重負担というのはとても負担し切れないということで、ドイツでは民営化論はさたやみになったといいますか取り下げられた、こういうことも聞いておるわけでございます。
そういうことで、民営化論というのはなかなか難しい問題がある。
ただ、私どもは、民営化論というのをのっけから玄関払いをするといいますか、これははしにも棒にもかからない、こういうことではございませんで、なぜ民営化論が出てきたか、この背景は重々考える必要があろうかと思っております。
これは、今のままでいきますと、将来、負担が非常に重くなる、世代間の不公平が非常に大きくなって制度の維持、存続が難しくなるんじゃないか、そういった今の制度に対する批判が根底にあるわけですね。あるいは、積立金の運用につきましても、今のような運用の仕方では本当に受給者のためになっていないんじゃないか、運用のあり方を見直すべきじゃないか、こういった議論も背景にございます。
したがいまして、民営化の出てきた背景につきましては、これは謙虚に耳を傾けて大いに議論していかなきゃいけない、改めるべきところがあれば現在の制度を大胆に改めていく、こういうことも必要じゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/43
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044・福島豊
○福島委員 ただいまの御答弁も幾つかの論点がまじっていると私は思うのですが、一つは、財政方式の問題と民営化の問題は分けて考えていただいた方がいいと私は思います。ですから、現在の修正積み立て、修正賦課、それから積立方式への移行という財政方式の転換の話、それを公的に管理するか、民間に任せて強制的に民間の保険に加入させるか、この話は分ける。
そして、前半部分の話というのは、世代間の公平ということを考えたときに、今の制度では非常にわかりにくくなっている、そこのところをわかりやすくさせるためには財政方式の転換というものを考えてもいいのだろうというふうに私は思います。現実に、大阪大学の八田先生の試算等では、できないできない、二重負担でできないというけれども、その期間を非常に十分とれば積立方式への転換というのは可能だ。
私もいろいろと考えたのですが、現在の制度でもやはり二重負担なんだろうと思うのですね。自分の年金の受給に結びつく部分の保険料と先輩の世代の人たちが納めなくて積み立て不足になっている、これはどこかに図で示されていると思いますけれども、厚生省も資料を出しておられると思いますが、三百何十兆になるのでしょうか、現実にはその部分と両方合わせて払っているわけですね。これから保険料がどんどん上がっていきますけれども、要するにその両方の兼ね合いを受けているということなんですね。
ですから、今の制度だと二重負担というのは実は何にもなくてということではない、考え方によってはやはりそれはあるのだ、そこのところがどうもわかりやすい数字で示されていないからわからぬのだ、私はそう思っているのです。ここのところはもうちょっとわかりやすく厚生省は説明をしていただきたいと思いますし、ですから、そこのところは切り分けてできることなのですよ、民営化するとかしないとかということではなくて。それは、時間も限られていますから、そのようにだけ申し上げさせていただきたいと思います。
次に、企業年金の話です。先ほども松崎委員から御指摘がございましたが、「すべての国民を対象に、個人の多様な選択を可能にする確定拠出型の個人年金・企業年金を早急に創設する。」これは賛成であるということでございましたが、この国会で関連する法案が出されるのではないかというように私は思っておりましたけれども、現在、政府として、確定拠出型の年金の導入ということに向けましての準備の進捗状況といいますか、今後どういうスケジュールでこれに取り組まれるのかということについての御認識をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/44
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045・宮下創平
○宮下国務大臣 確定拠出型年金につきましては、戦略会議でも提言されておりますし、戦略会議の提言とは別に、こうした自助努力による、しかも貯蓄型の資金運用をやって、そして自己の責任でハイリスク・ハイリターンということを踏まえて年金制度の充実を図ることは、これ自体は私は否定すべきことではなく、個人の選択の問題だと存じます。ただ、先ほども申し上げましたように、報酬比例部分までやめて、これで代替できるものではございません。そういう認識は持っております。
しかし、これは委員も御承知のとおり、アメリカの内国歳入法の四〇一Kで、累積額としてはこれはかなりな額になっております。一兆ドルとも二兆ドルとも言われておりますが、これが資金運用を通じて株式市場等のPKOにも寄与しているとも言われております。
我が国でも、このPKOの問題を含めて、証券あるいは金融業界が資産としてその運用に着目されているのはしばしば報道されているとおりでございまして、私どもとしては、そういうことがあるからやるということよりも、個人の自律的な意思によって自己の所得保障を選択するという建前で、ある一定の社会保障を前提とした場合には自由に認めてよろしいんじゃないかな、これは貯蓄性のものでございますから、そう思っております。
ただ、この設計に当たりましては、個人型もあるし、企業型もあるし、個人と企業とミックスしたものもございますから、十分な条件設定を考え、そしてまたその資金の運用についても責任の持てるものでないといけないと思うのですね。
そういうことを含めていろいろ検討すべき課題が多いものですから、今、大蔵省、労働省あるいは厚生省等々で、この関係省庁で審議官クラスの検討会を持たせていただいておりまして、夏ごろまでには成案を得て、特に税制面の優遇措置が絶対欠かせません、そういうことで、年末までには税制面の対応を含めて決定をして、できれば来年の通常国会に法案を提出してこれをスタートさせたいというのが現在のプロセスでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/45
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046・福島豊
○福島委員 ぜひ着実に進めていただきたいと思います。
今大臣がおっしゃられましたように、自助努力、これは私は非常に大事だというふうに思います。高齢社会に向かって、一人一人が自分の老後の所得をどうするのかということについて自覚と、そしてまた努力をする必要があると思います。
先ほどの話にもう一度戻りますと、ですから、民営化というのは、基礎年金だけで生活が保障できるのか、中小事業者の場合には年金の額が非常に少なくなって不安だ、だからあきませんというお話がございましたけれども、この提言そのものは、基礎年金の水準はがちっとしたところで押さえる、あとは自助努力ですよと、セットなんですね。片っ方はこれくらいで、あとは民営化で自助努力ですよと、これでは十分な老後の所得が得られない人は当然出てくる。だから、こっちは上げて、こちら側は自助努力にしましょうという話なんですね。ですから、今大臣の御答弁をお聞きしていますと、そういう観点に立って進めていけば、セットで両方やるのであれば、民営化するというのも必ずしも否定すべきことではないようにも感じますけれども、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/46
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047・宮下創平
○宮下国務大臣 私どもは、やはり被用者の、働く人たちの所得保障というのはこれからも非常に重視していかなけりゃいかぬと思うのですね。今の厚生年金でありますれば、これを社会的な制度として保障できます。そういう意味で、最低基準でもございませんが、あるレベルの所得を制度的に保障していくという公的関与を認めておるということはぜひ必要だと思うのです。
ただし、それを前提とした上で、さらに確定拠出型みたいな個人の拠出によってさらにさらにその年金額以上のものを得たいという個人の願いもあるでしょう。そしてまた、それだけの資力を投ずることもできる人たちもいるでしょう。そして、それは自己責任です。ですから、その分野は自己責任でおやりいただいていいと思いますが、ただ、これはハイリスク・ハイリターンでありますから、アメリカの例で見ましても、拠出したものが場合によるとゼロになる可能性もあります。非常にリスキーなものなんですね。したがって、それだけに頼るということは、私どもとして、国民の安心、安定した所得保障制度としては極めてリスキーなもので不安定だと思います。
そういうことを申し上げているわけでございまして、報酬比例部分といえども、これは公的な関与のもとで行われる制度であるということのゆえをもってこれは維持をしていきたいということでございまして、それ以上は、ポータブルなそういった確定拠出型によって、それは場合によるとゼロになる可能性もあるかもしらぬということも予測しながらハイリターンを求めるという商品でございますので、それはこれからの自由主義社会におけるあり方として否定はできないということで私どもは賛意を表しておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/47
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048・福島豊
○福島委員 ハイリスク・ハイリターンということで、リスクも十分踏まえた上で三階の企業年金の部分というのは考えていくのだという御意見は非常によくわかりました。
続いて、その三階の部分について、「厚生年金基金による代行制度を早急に廃止するとともに、民営化移行後は厚生年金基金連合会を解散する。」という答申が出されております。私も、この点については多くの年金学者もこのような指摘をしておりますし、賛成でございます。
といいますのは、今申しましたように、三階部分というのは非常にリスクを伴う場合もあり得る。そのときに逆に、本来は安定して運営されなければいけない公的な報酬比例の部分、ここのところが侵食されるようなことがあってはいかぬ。ですから、そこのところはきちっとセパレートしておかなければいかぬのだろうというふうに思うのですね。この点についても反対のお立場のようでございますけれども、厚生省の御見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/48
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049・矢野朝水
○矢野政府委員 昨今、運用環境が悪化したこともございまして、厚生年金基金に対する批判とか返上論とか、そういうのが大きくなっているわけですけれども、もともとこの代行制度、基金制度といいますのは、何でもかんでも国でやるのではなくて、民間でやれるところは民間でやりましょうということで、これは民活の一形態だと思うのですね。それで、これまでも企業年金の普及ですとか企業年金の運営の民主化、こういった点で非常に大きな役割を果たしましたし、代行部分と上乗せ部分を合わせてロットを大きくして効率的な運用をする、そういう点でもメリットがあったと思います。
そこで、この代行制度をどうするかということですけれども、そういったメリットとか問題点がいろいろあるわけでございまして、これは慎重に検討しなければいけない問題だと思います。
それで、もしこの代行制度をやめるといたしましても、代行制度を廃止した後の受け皿をどうするのかとか、受給権保護をどうするのかとか、税制をどうするのか、これは非常に検討課題が多いわけでございまして、これは企業年金そのものの検討にならざるを得ない。基本法の問題とか受給権保護の問題とか、そういった問題とあわせて、一体としてこの代行制度のあり方については検討していきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/49
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050・福島豊
○福島委員 いつごろ結論が出るのかよくわからない御答弁のように承りましたが、要は大臣がおっしゃられたことがすべてだと思うのです。安定して運営する部分とリスクもある部分とあるのだ、三階の部分はリスクもある程度考えてもらわなければいけませんよと、そのとおりだと思うのですよ。そこのところを制度的にしっかりして、今まで経緯があったのはよくわかりますけれども、改めなければいけない時期に来ていると思うのです。
この点についてはいつ結論が出るかわからないということではなくて、企業年金について、来年、確定拠出型の年金の導入ということについて道を開こうという御答弁がございましたけれども、そこから余り時間を置かずして、どうするのかということについて結論を出していただきたいというふうに私は要望させていただきたいと思います。
それから、次の質問ですが、「負担と給付の関係が世代別に明確となるよう関連データを含めて必要な情報の公開を徹底すべきである。」ということが盛り込まれております。これは、前回の委員会での質問のときにも私は同趣旨のことを申し上げたつもりでございますが、要するに、ここのところがよく見えていないのだという識者からの指摘なのだと思うのです。ですから、年金制度に対しての信頼感が損なわれる。
先ほども申しましたように、先輩の世代の分の負担はどのくらいなのか、自分の分はどのくらいなのか、そういうことも含めてわかりやすい情報の提示をしてほしいというふうに思いますが、厚生省としてはどのように取り組まれますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/50
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051・矢野朝水
○矢野政府委員 全くおっしゃるとおりだと思います。私どもも全く同じ考えでございます。
そこで、今回、年金制度の見直しを進めるに当たりましては、年金審議会の議事録を公表するとか、それから、年金審議会には具体的な資料を本当にたくさんつくって、年金審議会の議論に供したということだけでなく、これを公開をするということをやったわけです。また、年金白書を初めてつくりまして、そういったデータも徹底して公開するということで進めております。こういうことで、こういった年金関連の情報というのはできるだけ詳しく国民に提供していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/51
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052・福島豊
○福島委員 最後にお聞きしたいことは、三号被保険者の問題、また無年金障害者の問題等々、さまざまに指摘されている問題がございます。今回、年金審または制度審に出されました改正案の中では、この点については明確な方向性が出されておりません。
ただ、私思いますが、二〇〇四年という次の再計算がございますけれども、それまでにどうするのかという方向性についてある程度明確なものを出していただきたいというふうに思いますが、最後にこの点について御確認をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/52
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053・矢野朝水
○矢野政府委員 この三号を含む女性の年金の問題というのは、これは非常に悩ましい問題でございます。それから、賛否両論が相半ばしている、こういう問題でございます。それから、非常に関係する分野が多うございます。これは、税制とか、ほかの福祉制度とか、女性問題だとか、いろいろ分野が非常に広範多岐にわたっております。
そういうことで今回は結論に達しなかったわけでございますけれども、できるだけ早くこういった各分野の関係者から成る検討会を設けて、三号の問題、遺族年金の問題、女性の年金の問題、パートですとか、そういったものを含めて御審議をいただいて、できるだけ早く方向を検討していただきたい、こう思っておるわけでございます。
それから、障害者の無年金の問題も随分議論がございました。ただ、今の社会保険方式のもとでの年金制度でございますから、制度に加入されていない、あるいは保険料を納めていらっしゃらない、こういった方については、年金制度として所得保障をする、年金を支給するということはなかなか難しい、こういうことでございまして、これは福祉的な措置を含めて幅広い観点から検討すべきじゃないか、こういうことに相なったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/53
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054・福島豊
○福島委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わりますが、また本体の法案が出てきましたときにしっかり議論をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/54
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055・木村義雄
○木村委員長 瀬古由起子さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/55
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056・瀬古由起子
○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
本法案の質問に先立ちまして、昨日厚生省が発表いたしました、九県、十二の国立医療機関に及ぶ新たな統廃合の見直し問題について質問させていただきたいと思います。
今までの地域医療の中核となっている国立医療機関の果たしてきた役割は大変大きいものがございますし、また、今後とも国民の期待はますます高まっております。そのことは、厚生省が一九八六年、十年間で全国にある国立病院七十四施設を廃止するという統廃合、移譲計画を発表いたしましたけれども、地元の自治体、地域住民、患者などの猛反対に遭ってその実行は遅々として進まない、このことにもあらわれております。
その上に今回の突然の発表なんですけれども、その内容は、結核病棟を各県一カ所に限定してしまい、重症心身障害を国の政策医療から外す。これまで国立医療機関が果たしてきた一般医療や、離島それから辺地医療、こういうものから撤退するという大変重要な内容を含んでいるわけです。それは国立病院が本来果たさなければならない医療の責任を放棄するに等しいものではないかと私は考えております。
発表された途端、各地元からも今いろいろな批判の声が早速出てきているというのが報道でございますが、大臣、どうしてこんな国民の支持の得られないような強引なやり方で発表なさったのでしょうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/56
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057・宮下創平
○宮下国務大臣 国立病院・療養所につきましては、行政改革の一環として、国立医療機関にふさわしい、広域を対象とした高度または専門医療を担えるように、機能の質的強化を図るために、昭和六十一年度に策定いたしました再編成計画に基づきまして、経営移譲及び統廃合による再編計画を推進してまいったところでございます。
そしてさらに、平成八年、「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」を改定いたしまして、また、行政改革プログラムにおいても、行政改革会議の最終報告におきましても、中央省庁の改革基本法におきましても、また最終的には、平成十一年一月の「中央省庁等改革に係る大綱」におきまして、国立病院・療養所においては、真に国が担うべきものに特化するとともに、政策医療機能を担い得ない施設につきましては統廃合または経営移譲施設として追加すること等とされました。こうしたことを踏まえまして、今回の再編計画の見直しを行ったところでございます。
数字的に申しますと、今委員の御指摘のように、これは六十一年度には二百三十九施設あったのを、七十四施設をそういった対象にするという計画でございまして、結果的に百六十五にするのを、今回の見直しによりましてさらに十二施設を加えまして、最終的に百五十三施設にしようということでございます。
ただいま申しましたように、そうした政策医療とか基幹的な医療施設として国立病院を残そうということでございまして、私どもとしては、この再編によって医療給付が国民に十分行えることを阻害するような改編はいたさないつもりでございます。この組織改編をやったとしても、国民の皆さんが国民医療を地域において十分に受けられますように、そういう配慮に基づきながら、しかし同時に国立病院・療養所というものの性格を明確にしていきたいということでございます。
そういうことでやらせていただいておりますが、いろいろ経過等もございまして、国立の方がいいんだ、国立の病院はどうしても残してほしいというような意見も率直に言えばございます。しかし、国立の名前というよりも、むしろ実体的に医療提供機関として充実したものになることが重要なので、そういった視点を踏まえながらこの改編計画の話し合いを進めております。
一部にまだ未調整の点もございますが、おおむねそういう方向でめどがつきつつあると私は認識をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/57
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058・瀬古由起子
○瀬古委員 廃止するぞ、統廃合するぞというので、ある意味では地方自治体をおどかしながら一気に統廃合を進めるなんということがあってはならないというように思うのですね。それは今までの統廃合のあり方についても、今大臣からも幾つかの問題も指摘をされております、そういうこともきちんと踏まえて進めなければならないのに、あえてこの時期の発表だという問題があるので指摘させていただきました。
それから、再編成に当たりましては、中央省庁等改革基本法の中には、第四十一条で「良好な労働関係に配慮する」このようにございます。それから、再編成・合理化の基本指針の中でも、職員組合の理解と協力の上に立った計画の推進として厚生省の努力が求められている、このことが明記されております。
大臣、今回の発表に当たって、労使間でどのような協議がなされたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/58
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059・宮下創平
○宮下国務大臣 良好な労使関係というものは良好な組織を維持し給付を行うという意味で必要であることは申し上げるまでもございませんが、この中央省庁等の改革の問題につきましては、これは労使の交渉の対象でないという基本的な立場をとらせていただいております。
今委員が中央省庁等の基本法四十一条「労働関係への配慮」という条文を引用されましたが、実は国立病院も、再編した後の国立病院は基幹的な問題を、ナショナルセンターとして残すものは別問題として、それ以外はエージェンシー化、つまり独立行政法人化を前提といたして話を進めております。
したがって、私どもは身分関係その他もできれば国家公務員として位置づけしたいと思っておりますが、このことはエージェンシー化の中における良好な労使関係に配慮すべきことをうたわれたものでございまして、私どもとしてはその趣旨に沿ってやりますが、ただ、労使交渉の対象項目であるかどうかについては疑問を持っております。そういうエージェンシー化に当たっても、労働関係に十分配慮しながら進めていくという点は十分心得てやるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/59
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060・瀬古由起子
○瀬古委員 そのように心得ておられるにしては、今回の経過は突然で、けさの新聞を見てとかニュースを聞いて、そこに本当に献身的に働いている労働者が自分の職場や自分の今後の処遇がどうなっていくのかというのを知るという大変異常な事態になっていると私は思うのですね。この点をよく調査していただいて、きちんと対応をお願いしたいというふうに思います。
国立病院は国民の財産でもありますし、国民や職員の声を無視して厚生省が勝手に処分できるというものではありません。そういう点でも、国民と職員の声を大切にする立場が求められているというふうに思います。
時間がございませんので、本題に入ります。
年金の問題なんですけれども、九六年度末の国民老齢年金の受給者数千二百二十七万六千二百五十一人のうち、月額四万円以下の男女別の人数と全体に占める割合はどうなっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/60
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061・宮島彰
○宮島政府委員 国民年金制度におきます老齢年金につきまして、年金月額が四万円未満の受給権者の数と割合でございますけれども、平成九年度末現在におきまして、全体では五百七十四万人、四三・三%でございます。このうち、男性につきましては百三十六万人、二六・三%、女性につきましては四百三十八万人、五四・一%となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/61
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062・瀬古由起子
○瀬古委員 今の話でも、女性は五割以上が四万円以下の年金受給者でしかないということも出ています。要因の多くは、四二%も減額される六十歳からの繰り上げ受給というのがあるわけですね。
九七年度末の全受給者に占める繰り上げ受給の割合というのは一体どうなっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/62
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063・宮島彰
○宮島政府委員 平成九年度末における国民年金の繰り上げ受給率につきましては、全体では五九・三%でございます。このうち、男性につきましては五三・九%、女性につきましては六一・五%という数字になっております。
なお、新規裁定につきまして、繰り上げ受給率は、九年度末で三三・〇%という形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/63
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064・瀬古由起子
○瀬古委員 国民年金の受給者の六割近くが年金額が半分近くに減額されるということがわかっていても、六十歳から受給しなければならないという現実があるわけですね。低い年金額であっても、六十五歳まで待てないというのが実情だと思うのです。
国民生活基礎調査における所得で最も所得の低い二百万円以下の場合、総所得中年金と恩給収入だけで暮らしている割合はどれぐらいになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/64
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065・矢野朝水
○矢野政府委員 年間所得二百万円以下の高齢者世帯のうちで所得のすべてが年金と恩給だけ、こういう世帯の割合は七割弱ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/65
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066・瀬古由起子
○瀬古委員 七割近くにもなる。低所得者ほどわずかな年金で生活しているということが明らかだと思うのですね。
実際には、生活保護基準、九九年度、六十五歳単身、東京二十三区、生活扶助及び住宅扶助を見てみますと、月九万四千五百八十四円になっております。この金額に照らしてみて、それ以下の方が、統計を見させていただくと、男性が二八・七%、女性が七三%にもなるという状況もございます。
要するに、女性では七割以上が生活保護基準の金額以下になってしまいますし、男性でも二百万以下が五割を占めるという状態なのです。本当にそういう点では、大半の年金生活者が年金だけでは生活できないという状態にあります。
そこで、こうした不備を解決するために、全国年金者組合などが運動して、その調査によれば、各自治体でも、三月十五日現在ですが、千百四十六の自治体が最低保障を求める議会決議を上げております。この要望にきちんとこたえるべきでないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。大臣にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/66
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067・宮下創平
○宮下国務大臣 今、基礎年金について、いろいろ実態のお尋ねにお答えしたとおりでございまして、満額年金、四十年勤めた年金でありますと夫婦二人で十三万四千円、そのくらいになりますが、ただ、二十五年で受給資格は得られますけれども、短期の方々は比較的低くなるというのが制度の建前でございます。
したがって、今の年金月額を見ますと、九年度末で大体平均四万七千円くらいになっておるようですが、九年度の新規裁定者で見ると約五万一千円くらいになっておりまして、年々これは上がってはきているのですね。そういう意味で、年金制度でございますから、拠出期間の長短にかかわらず一定の年金額を保障するというようなことは、年金制度の本来の姿からいっていかがかという感じがいたします。
ただ、最低保障の問題は、生活保護者の問題もございまして、生活保護は国民の最低限の生活を保障する制度として、資産、能力、その他あらゆるものを活用してもなお最低生活を営めないときにその保護を認めるということに相なっておりまして、この額より少ない人がある場合もあると思います。しかし、それは、他の資産、所得その他を全然考慮しておりません、排除しておりませんから、そのような結果になっておるというように私どもは理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/67
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068・瀬古由起子
○瀬古委員 憲法二十五条には、文化的な最低生活を保障するという内容がございます。それは生活保護法でも規定をされているわけですが、年金についても私は同じだと思うのですね。今指摘させていただいたように、本当に少ない年金で生活せざるを得ない、低所得者層ほど年金に頼っている、こういう現状を改善するためには、最低の基礎的な年金保障というのはぜひ必要だと思います。
財源の問題もちょっとお聞きしようと思ったのですが、時間がございませんので聞けませんが、皆さんのお手元に今御配付させていただいております、日本の社会保障給付費の比較と、税と社会保険料がどれだけ還元されているかという国際的な比較がこの表にございます。これを見ていただくと、いかに日本が国際比較の上で、社会保障給付費、特に医療、年金、福祉その他が対国民所得比で低いかということがおわかりいただけるし、また、国民への還元率がいかに低いかということがおわかりいただけると思うのですね。
やはり国の財政の使い方が、社会保障をもっと充実させれば、先ほど基礎年金の問題が出ておりますけれども、消費税、福祉目的税などでなくて、国としてきちんと確保することができるというふうに私たちは考えています。
今、地域でも老後に対する不安というのが大変大きくなってきていますけれども、その多くは、年金に対する不安だと思うのです、社会保障に対する不安だと思うのです。その点で、きちんと国の財政措置を講ずる、二分の一への国庫負担は直ちにやっていただきたいし、直ちにこうした社会保障の充実に向けて、年金の予算の確保についても充実させるように御努力いただきたいと思うのですが、最後に大臣の御所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/68
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069・宮下創平
○宮下国務大臣 年金とか医療について、老後の生活不安というのが大きなウエートを占めているのは、経済企画庁の調査によっても明らかです。
したがって、私どもとしては、今の制度をどう改善して、安心、安定したものにできるかということで努力をさせていただいておりますので、そういったことを頭に置きながら精いっぱい努力をさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/69
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070・瀬古由起子
○瀬古委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/70
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071・木村義雄
○木村委員長 中川智子さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/71
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072・中川智子
○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。
きょうは、制度のはざまで泣いているというふうに言っていいと思うのですが、まず無年金の問題を取り上げさせていただいて、質問をさせていただきます。
国民皆年金という形で制度が発足したときに、二十歳を超えた学生と専業主婦を強制加入から除外し、在日外国人は加入を禁止いたしました。ここでは、まず、無年金の中でも最大の部分を占めます学生無年金障害者のことを取り上げさせていただきたいと思います。
宝塚では、もう既に統一地方選挙に先駆けて先週の日曜日に投票がございまして、車いすの学生無年金の方が立候補いたしまして、三位で当選いたしました。
彼と選挙中にいろいろ話をしたときに、二十一歳、学生のときに事故に遭って障害者となったわけなのですけれども、全く無収入。そして、親御さんたちは、自分が死んだらどうなるんだろう、親が死んだらこの子はどうなるんだという思いをずっと持って生き続けてきた。そういう方たちはとても多くて、皆年金と言われながらも、制度のはざまで泣いている人たちを私たちはどう救うのかということをまず考えていかなければいけないと思います。
前回九四年の改正では、附帯決議の部分できっちりと書かれていますけれども、「無年金である障害者の所得保障については、福祉的措置による対応を含め検討すること。」これは衆議院でつきましたし、参議院ではそれに「速やかに検討すること。」という内容で明記されております。
どのような形で検討され、それが速やかであったかどうか、今その結果はどうなのかをお教えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/72
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073・矢野朝水
○矢野政府委員 障害無年金者の問題につきましては、先生御紹介ございましたように、前回改正時に附帯決議が行われたところでございます。
私ども、これは検討課題だということを認識しておりまして、二年前から年金審議会で本格的な検討をお願いしたわけですけれども、その中の検討の一環として、この障害無年金者の問題につきましても御検討をお願いしたわけでございます。
この結果につきましては、昨年の十月九日に意見書という形で取りまとめられたわけでございますけれども、社会保険方式をとる現在の年金制度のもとでは、年金給付を行うことは困難だということにされたわけでございます。今後、障害者プランを踏まえ、その適切な検討が必要であるということでございます。
この背景といたしましては、今の年金制度というのは社会保険方式ということでございまして、制度に加入をして保険料を納めていただくということが基本になっているわけでございまして、障害無年金の方々というのは制度に加入されていなかった、あるいは保険料を納めていらっしゃらなかった、こういうことでございまして、そういった方々に年金を支給するということは制度の根本に触れる問題でございまして、年金制度の側での対応は難しい、こういうことになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/73
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074・中川智子
○中川(智)委員 年金審でも、困難ということが出ました、そして、今後の検討課題と。もうどれだけ年数がたっているかと思うのです。その人たちは日々生きていかなければいけない、特に障害を持っていれば就職さえ困難である、生活の最低さえ、年金も全くもらえない、そして障害を抱えている。これを放置しているこの国の、皆年金なんというのは絵そらごとでしかないというふうに怒りを持って思いますけれども。
もう一度局長、そのときは任意でありましたよね、任意ということをちょっと説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/74
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075・矢野朝水
○矢野政府委員 学生の取り扱いというのは、学生の特質というのがございまして非常に難しいわけでございます。
学生期間中というのは、通常自分の収入がないわけです。社会保険制度に入って保険料を納めていただくという前提には、収入があって保険料を納めていただく、これが前提となるわけでございまして、学生の場合にはそういう状況にはないということで任意加入ということにされたわけでございます。
ところが、任意加入ということで、現実には国民年金に加入される方が極めて少なかった、そういう時期が続いたわけでございまして、その間、スポーツで障害になられる、交通事故に遭われる、こういう方が出てまいりまして、そういった方は年金に入っていらっしゃらないということで無年金になるケースが起きたわけでございます。
そういうことで、平成元年改正で学生を強制加入にしたということで、現実の加入は平成三年からだったと思いますけれども、強制加入にされて、そこのところについては一応の制度的な対策は講じられたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/75
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076・中川智子
○中川(智)委員 私は、今任意の意味を教えてくださいと言ったわけで、強制加入の後のことは問題にしていないわけです。
ここに来る前にちょっと任意というのを辞書で調べましたら、心のままにすること、その人の自由意思に任せることというのが任意ですが、このような形で生涯年金をそのことによってもらえない、あすは我が身になるというのは——学生は自分で働いていない、自分で所得を得ていないという中で、今でも学生の加入は強制加入になってもこれだけ少ないということで、今度猶予措置がとられることになったわけです。
ですから、そのときに入っていなかった人の中には、行政から通知がなかった、これがとても多いです。どれだけ周知徹底を図ったのか。任意ということの意味をしっかりと相手に伝えて、このような不利益をこうむるかもわからないということをしっかり行政から通知などをしたのかどうか。制度を知らなかった人が圧倒的に多かった。それといま一つは、役所に問い合わせたけれども、会社に入れば厚生年金に加入するのだから今は加入しなくてもいいということを行政で言われた人だっているのです。これに対しての責任はどうとられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/76
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077・矢野朝水
○矢野政府委員 任意といいますのは、今御紹介のございましたように、入るか入らないかは本人の自由意思にお任せをするということでございます。入る以上は保険料を納めていただかなければいけない。学生さんには一般的にそういう負担能力がないということで、強制加入にして保険料を納めていただくというのはなかなか厳しい、難しいということで、任意ということにされたわけでございます。
それから、本人に対する通知なりPRの問題でございますけれども、学生が任意加入であるということは一般的な広報の形ではやってきたわけでございます。ただ、あなたは任意加入でございますよとか、どうですかというふうなことを一人一人に対してきめ細かくやるということまではやっておらなかったと思いますけれども、一般的な広報活動の中では学生さんは任意加入ですということはやってまいったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/77
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078・中川智子
○中川(智)委員 大臣にお伺いいたしますが、任意ということが本当に徹底されなくて、その後事故に遭った人たちが全く障害年金ももらえないで放置されている。しかも、九四年には附帯決議なり国会の意思としてそれはきっちりと速やかに検討するということも言われながら放置されているこの状態というのは、立法府として何らかの救済措置をとるべきだと思います。
無年金の方、これはほかにも会社員や公務員の妻もございますが、また失業者、在日外国人もありますが、今はともかく学生が全く支払い能力がない、また、任意だということでそのような知らせも受けていない。そんな中で、事故などに遭って、そしてまだまだ若い人たちが一生無年金のままで放置されていていいのかということに対して、大臣はどのようにお考えになるかということが一つ。
先ほど山本委員がそちらの席で答弁されましたが、小委員会を設けて、このような問題もすべてあわせて、年金制度に対してきっちりと議論していくという場をつくるべきだと思いますが、この二つに対して大臣の御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/78
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079・宮下創平
○宮下国務大臣 学生については、今回私どもの改正の中でも、年金審議会でも議論をいただきましたので、強制加入であり、同時に保険料を十年間猶予するという……(中川(智)委員「それじゃない」と呼ぶ)その問題は別に置いてということだと思います。しかし、そのことをはっきり言っておかないといけませんから。
委員のおっしゃるのは、任意時代の学生で障害者であるという方々の処遇の問題です。
私は、中川委員がこのことを御質問なさるというので、ちょっと事務当局にも調査をさせました。その結果、福祉の問題で障害者にいろいろ手当を出しているのもあります。それで全部カバーできているかというと、必ずしもそうでない面があります。これは、障害者の福祉政策というのは障害の程度に応じて出しております。
例えば特別障害者手当というのがありますが、これは十万人ぐらいに支給していますが、年金と併給しております。この中に学生も当然入る余地はあるわけです。幾ら入っているかはちょっとわかりません。あと、お子さんたちについては特別児童扶養手当でありますとか、障害者の福祉手当等がございます。
しかしながら、無年金者というのは一体どのくらいかということを私も調査させたのですが、これは明確にはわかりません。しかし、無年金者というのは、学生を含めて、すべてを入れてあるいは十万人くらいかなというめどは一応いただきましたが、その中で、こうした今のような福祉制度によって行われる人たちの割合というのはまだ半分に達していないという状況がございますから、いわば障害者の谷間みたいなところがあると思うのです。
しかし、それを障害者施策として、福祉施策としてやる場合は、それは谷間であっても、福祉の基準で、年金とは別個の制度でカバーしていかなくてはなりませんので、そこの調整をどうするかという問題意識は持たせていただいております。そんなことで、今後の検討課題かもしれません。そういうことを現段階では申し上げるだけにとどめさせていただきます。
なお、小委員会を設けて討議したらいかがかということは、これは国会における委員会審議のあり方の問題でございますので、委員長の御裁定、与野党の意見を聞いてなさることと存じますので、そういうことであれば、私どもとしてはそれに対応した御説明なりいろいろ御協力は、御協力というか審議の前進を図らなければいけない、こう思いますが、これはもちろん国会の話でございますから、私がとやかく言うべき筋合いのものではないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/79
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080・中川智子
○中川(智)委員 今の大臣の御答弁は委員会の問題ですということで、委員長にお願いしたいのですが、これは理事会で、年金問題の抜本的なこと、年金審とかに任せておいたら大変みたいなので、仲のいい厚生委員会でぜひとも取り計らいをお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/80
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081・木村義雄
○木村委員長 理事会で協議をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/81
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082・中川智子
○中川(智)委員 大臣、今の御答弁の中で、制度の谷間の無年金の方の救済措置というのを前向きに考えていくような御発言でとてもうれしかったのですが、実態調査というのをおやりになっているのかどうかということを伺います。
まず、成人学生で無年金の方が現在日本でどれぐらいいらっしゃるのかというところを、局長で結構ですのでお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/82
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083・矢野朝水
○矢野政府委員 学生期間中に障害者になられた、しかも年金を受給されていない、こういう方が何人いらっしゃるか、こういうお尋ねだと思います。
実は、これは非常に難しい問題がございます。そもそも年金を受給している方が何人いるかという調査はすぐできますけれども、受給されていない方が何人いるかというのはなかなか難しいわけでございます。それから、障害者となった時期がいつの時期なのか、どういう事情なのか、こういったこともあわせて調べなきゃいけないということで、学生時代に障害者になって無年金だという方、これはつかめておりません。
ただ、無年金障害者全体につきましては、これは一定の前提で推計いたしますと十万人強程度いらっしゃるということで、私どもはそういう数字をつかんでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/83
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084・中川智子
○中川(智)委員 それでは最後の質問です。
今回の凍結の部分で、九四年の改正のときに、基礎年金の国庫負担の割合を引き上げることについて検討を加えるということが明記され、国庫負担の割合は附帯決議において二分の一を目途に引き上げることを検討することが盛り込まれました。
全会一致で確認された立法府の意思であったにもかかわらず、九九年度予算案には国庫負担の引き上げの提言がなされなかったわけでございます。三十兆円以上もの国債の発行というのは経済効果が疑わしい、言ってみればばらまき的な印象が否めないのですけれども、なぜ基礎年金の国庫負担増というのを盛り込むことができなかったのか。
これは、凍結と同時に、国庫負担の二分の一というのが五年前の意思であったにもかかわらずそれができなかったというのを、もう一度、いろいろな質問にございましたけれども、大臣の口からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/84
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085・宮下創平
○宮下国務大臣 六年の年金法の改正で本文にそのことが書かれているのは承知いたしております。ただ、そのときは、次の財政再計算期までというようなことで検討をするという趣旨であったかと存じます。
なお、附帯決議で三分の一を二分の一にすることが決議されておることも承知いたしております。
今回は、私どもはこのことを重く受けとめさせていただきました。そして、本年、つまり平成十一年度には、三分の一を二分の一にすることは財源上その他諸般の事情から困難でございますけれども、二〇〇四年までの間において、安定した財源を得て、これを三分の一から二分の一にすることを今提案を予定いたしております法律案でも明記することにいたしたいと思っておりますので、これはいずれ御審議をいただきますけれども、法律でその数字を、三分の一から二分の一ということを仮に明記したとすれば、私どもとしてはそれなりに重く受けとめさせていただいておるということで御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/85
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086・中川智子
○中川(智)委員 それでは、時間です。
私も民間の保険にも入っていますけれども、景気が悪いから保険料が値下げになるとかということもないわけで、保険制度というのは好景気、不景気と余り関係ない部分で、将来不安を生まないということが大原則だと思うわけですが、この議論は後にさせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/86
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087・木村義雄
○木村委員長 笹木竜三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/87
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088・笹木竜三
○笹木委員 笹木竜三です。
大臣に基本的な点についてお伺いをしたいと思います。
先ほどから他の委員からも何度も質問があった点ですけれども、なるべく公的な関与を少なくしていく、例えば基礎年金の部分のみを国が保障する、あとは自助努力に任せる、こういったことについていろいろ質問がありました。このことについてもう一度確認をしたいわけです。
それについて、そういうふうにしていくと、例えば中小企業のサラリーマンの保障はどうなるのか、老後の不安についてはどうなのか、そういった答弁も先ほどからありました。
ただ、最近、地域を回っていますと、若いサラリーマンの方からもこういう声があります。毎月毎月たくさん掛金を掛けて、真剣味もない、今までの実績を見ても全くおかしなものをやっている、そういうようなところにむしろ保障されたくない、保障してほしくない、自分たちで実際に老後の設計についてもちゃんと考えていくことができる、こういった意見も決して少なくない、ふえている、そういう現実があるわけです。
ですから、保障するかどうかは結果を見て言えることです。前回もお話ししましたが、ここ十年の数字を見てみますと、日本は逆ざやの問題もありまして自主運用分で平均四・六%でやっておりますけれども、アメリカ、イギリスは年一三・六あるいは一三・三、こういった高率で運用をしている。
そもそも日本の国はこういった資産の運用を非常に苦手としているのではないか。もっと言えば、商売で利益を上げる、こういったことも政府はもともと苦手なはずだ。低成長では資産の運用が非常に大事になってくるし、せざるを得ない。民間では小規模の事業者でも金利と為替を見ながら資産の運用を一生懸命苦労しているし、せざるを得ない、これが実態です。それに比べて国がなし得るのかどうか、これについて非常に否定的な意見が多いから、なるべく公的な関与をなくしていく、基礎年金部分のみに国の保障は限定すればいいんじゃないか、こういった意見が多いということだと思います。こういった方に対して大臣はどうやって説得をするのか、このことをお伺いしたいわけです。
特に、これから自主運用にしていくんだ、資金運用部への預託もやめるんだ、なるべく高率で運用もしていくんだということなわけですけれども、先ほどからお話ししますように、これがしっかりと運用がなされたかどうかというのは、相対比較でみんな判断するわけです。外国との比較あるいは民間での運用の比較、これとの相対比較でしっかりと国が保障しているかどうかを国民は判断する。
ですから、絶対値で四%とか、そういうことでは説得力がない。例えば長期の金利、外国とまではとりあえずは言いません、国内での長期の金利、その平均に比べて何%の上乗せをするかどうか、こういった目標値を掲げてこそ初めて約束になる、保障になる、あるいは選択の条件になる、基準になると思うわけです。
そういったことも含めて、しっかりと約束をして保障していく覚悟はあるのかどうか、長期の金利とかそういった相対比較の尺度をしっかり持って目標値を挙げていく決意があるのかどうか、それについてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/88
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089・宮下創平
○宮下国務大臣 委員は今幾つかの点に言及されておられます。
個人によっては、今の年金制度よりも自分たちは自力でやった方がいいんだという見解を持たれる方は確かにあられると思います、若い人たちで。しかし、これは個人差等がございまして、私どもも国の所得保障として社会保険方式を提示してこれを運用している以上、やはりそういった少数者の意見等ももちろん考えなくてはいけませんけれども、大多数の方々の所得保障は国家の責任で、公的年金の保障でやるということはこれからも極めて重要だと思っておりますから、そのことはまず申し上げさせていただきます。
それから、資産の運用についてでございますが、今までは年金の積立原資は資金運用部に預託をいたしまして、一部は同じ利率で借り入れをする形をとって自主運用をいたしてまいりました。ほとんどは財政投融資の原資としていろいろの社会資本の整備に回っているのは御案内のとおりでございます。これは低利ではあるけれども国が相手でございますから、安定的な利息は確約されておるという点は間違いないことです。
今後は、年金福祉事業団も廃止いたしまして、年金資金の運用基金をつくって自主運用をいたしますから、これは責任は極めて大きくなります。そして、有利な運用によってなるべく年金資産を多くすることは保険料の引き上げを軽減することにもつながりますから、非常に重大な責任を負うことになります。
これについては、私ども、今法律改正も予定させていただいておりますけれども、自主運用を原則としつつ、しかし同時に、専門家に委託するなりなんなりいたしますけれども、基本的な運用方針は年金資金の確実なキープ、さらに増大を図っていく、これを忘れてはいけませんので、そういった角度から基本的な方針をきちっと定めていくつもりです。
なお、四%について言及がございましたが、今私どもの検討している将来の二〇二五年までの年金の収支におきまして、一体運用金利がどうなるかというのはやってみないとわからない点がございますが、これは中長期的課題ですから、過去のトレンド、傾向値に物価等を勘案したものを四%としております。ちなみに、前までは五・五%でございました。この四%以上に運用していくことがこれからの年金財政の収支を維持するために大変重要だ、こう考えております。
いずれにしても、とにかく国民から預かった資産の運用になりますから、責任を持ってやっていくということに尽きるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/89
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090・笹木竜三
○笹木委員 時間がないので終わりますけれども、これから保障していただきたくないという人がますますふえていく傾向の中で、今言った相対比較でちゃんと約束をする、これがないと破綻はさらに広がる、そう思います。ぜひそのことを検討していただきたい、そう思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/90
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091・木村義雄
○木村委員長 これにて、両案中、内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/91
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092・木村義雄
○木村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/92
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093・木村義雄
○木村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/93
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094・木村義雄
○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/94
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095・木村義雄
○木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X00719990319/95
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