1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成十一年五月二十一日(金曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 木村 義雄君
理事 佐藤 静雄君 理事 鈴木 俊一君
理事 田中眞紀子君 理事 長勢 甚遠君
理事 山本 孝史君 理事 福島 豊君
理事 岡島 正之君
安倍 晋三君 伊吹 文明君
岩下 栄一君 衛藤 晟一君
大石 秀政君 大村 秀章君
小坂 憲次君 桜井 郁三君
砂田 圭佑君 田村 憲久君
戸井田 徹君 能勢 和子君
萩野 浩基君 桧田 仁君
平沢 勝栄君 堀之内久男君
松本 純君 宮路 和明君
家西 悟君 石毛えい子君
大畠 章宏君 五島 正規君
土肥 隆一君 中桐 伸五君
古川 元久君 松崎 公昭君
青山 二三君 久保 哲司君
桝屋 敬悟君 武山百合子君
吉田 幸弘君 児玉 健次君
瀬古由起子君 中川 智子君
笹木 竜三君
出席国務大臣
厚生大臣 宮下 創平君
出席政府委員
厚生大臣官房総
務審議官 真野 章君
厚生省健康政策
局長 小林 秀資君
厚生省保健医療
局長 伊藤 雅治君
厚生省社会・援
護局長 炭谷 茂君
厚生省保険局長 羽毛田信吾君
自治省財政局長 二橋 正弘君
委員外の出席者
法務大臣官房審
議官 渡邉 一弘君
厚生大臣官房障
害保健福祉部長 今田 寛睦君
厚生委員会専門
員 杉谷 正秀君
委員の異動
五月二十一日
辞任 補欠選任
岩下 栄一君 萩野 浩基君
大村 秀章君 平沢 勝栄君
戸井田 徹君 大石 秀政君
宮路 和明君 小坂 憲次君
五島 正規君 中桐 伸五君
土肥 隆一君 大畠 章宏君
同日
辞任 補欠選任
大石 秀政君 戸井田 徹君
小坂 憲次君 宮路 和明君
萩野 浩基君 岩下 栄一君
平沢 勝栄君 大村 秀章君
大畠 章宏君 土肥 隆一君
中桐 伸五君 五島 正規君
五月二十一日
社会保障の拡充に関する請願(石井一君紹介)(第三四〇七号)
同(五島正規君紹介)(第三四六五号)
年金・医療・福祉等の制度改革に関する請願(中川正春君紹介)(第三四〇八号)
同(岡部英男君紹介)(第三四二八号)
同(奥谷通君紹介)(第三四二九号)
同(西田司君紹介)(第三四三〇号)
同(村田吉隆君紹介)(第三四三一号)
同(山中貞則君紹介)(第三四三二号)
同(左藤恵君紹介)(第三四四三号)
同(戸井田徹君紹介)(第三四四四号)
同(西田司君紹介)(第三四四五号)
同(赤城徳彦君紹介)(第三四六八号)
同(越智伊平君紹介)(第三四六九号)
同(梶山静六君紹介)(第三四七〇号)
同(山本公一君紹介)(第三四七一号)
同(安倍晋三君紹介)(第三五〇八号)
同(井上喜一君紹介)(第三五〇九号)
同(佐々木洋平君紹介)(第三五一〇号)
同(砂田圭佑君紹介)(第三五一一号)
同(堀込征雄君紹介)(第三五一二号)
同(井上喜一君紹介)(第三五四四号)
同(鯨岡兵輔君紹介)(第三五四五号)
同(土井たか子君紹介)(第三五四六号)
難病公費医療の患者負担廃止、医療保険制度改悪反対に関する請願(石毛えい子君紹介)(第三四〇九号)
同(五島正規君紹介)(第三四七二号)
国立療養所稚内病院の結核病棟復活に関する請願(金田誠一君紹介)(第三四一〇号)
同(金田誠一君紹介)(第三四三三号)
同(金田誠一君紹介)(第三四四六号)
同(金田誠一君紹介)(第三四七三号)
マッサージ診療報酬の適正な引き上げに関する請願(家西悟君紹介)(第三四二四号)
同(石毛えい子君紹介)(第三五五〇号)
同(武山百合子君紹介)(第三五五一号)
障害者・家族の介護保障制度の拡充に関する請願(家西悟君紹介)(第三四二五号)
同(五島正規君紹介)(第三四六七号)
健康保険日雇特例被保険者の出産育児一時金等の給付条件改善に関する請願(家西悟君紹介)(第三四二六号)
てんかんをもつ人々の福祉の増進に関する請願(家西悟君紹介)(第三四二七号)
小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(五島正規君紹介)(第三四六六号)
同(鯨岡兵輔君紹介)(第三五四二号)
看護婦の増員・夜勤改善に関する請願(坂上富男君紹介)(第三五一三号)
同(松沢成文君紹介)(第三五一四号)
同(坂上富男君紹介)(第三五四七号)
同(畠山健治郎君紹介)(第三五四八号)
同(山元勉君紹介)(第三五四九号)
被爆者援護法の改正に関する請願(鯨岡兵輔君紹介)(第三五四三号)
は本委員会に付託された。
本日の会議に付した案件
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第八一号)(参議院送付)
午前十時開議
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/0
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001・木村義雄
○木村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤晟一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/1
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002・衛藤晟一
○衛藤(晟)委員 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律につきましては、昭和六十二年、平成五年、平成七年というように改正が行われてきました。そして、国及び地方公共団体において、精神医療や社会復帰、福祉に係る各種施策が推進されてきたところでございます。しかしながら、まだまだ多くの問題が残っています。
平成五年に続きまして、平成七年にいろいろな改正がされました。今回、平成五年の精神保健法の改正の施行後五年に当たるところから、自民党においては、社会部会の精神保健問題検討小委員会を中心に、平成十年より精力的に有識者及び関係団体からの意見聴取等を含め、何とか抜本的な改正にこぎつけたいということで検討を進めてきたところでございます。
その間も、平成七年、精神保健法を精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に改めまして、精神障害者の社会復帰を図るべく、保健福祉施策の充実を図りながら、手帳制度の創設や社会復帰施設等の充実を進め、また、よりよい精神医療の確保を図るために、精神保健指定医制度の充実や医療保護入院の際の告知義務の徹底等を図ってきたところでございます。しかしながら、先ほどから申し上げましたように、まだまだ大きな抜本改正を行わなければいけないということで、今回の改正にこぎつけようということで努力をしてきたところでございます。
今回の法改正におきましても、自傷他害防止監督義務の廃止、あるいは入院のための移送制度の新設、あるいは人権に配慮した適正な医療の確保、あるいは在宅のための地域支援センター、あるいは在宅介護事業の充実、あるいは短期入院事業の新設等を通じながら在宅福祉の充実を図ろうとしたものでございまして、そういう点の改正については、まさに十分に評価されるというか、ある意味では一つの時代を画するような改正になるんではなかろうかというぐあいに大きな期待をしているところでございます。
しかしながら、私どもの検討の中におきましてもどうしても今回間に合わなかった問題がございまして、中長期的な検討項目について、三点整理をさせていただいたところでございます。
一つは、犯罪精神障害者対策についてでございます。
長い間、この問題は議論をされてきましたけれども、人権の問題等から結論を出すことができずに今に至っています。この問題につきましては、刑法体系との関係も含め、幅広い観点が必要でございますけれども、病院においては、こういう方に対する処理をほとんど民間病院にお願いをしながら、しかし、適切な医療が、一次的な医療はなされるんですが、その後のケア等がなされない等のいろいろな問題を抱えておりまして、今度は受け入れる病院側の方も、触法患者と普通の患者さんとをどういうぐあいに治療していいのかということで、ある意味では現場においては大変困っている状況にもなっているわけでございます。
患者にとっても大変、そして病院側にとっても適正な医療が行われないという状況になっているところでございまして、このことの中から、やはり将来を含めて触法患者に対する医療をどうするかということをちゃんと定めながら、今後の精神病院における機能分化というものを、障害、病気の種別や程度やいろいろな状況に応じて適切な医療が受けられるような状態にぜひやり変えなきゃいけないというぐあいに考えているところでございまして、これについて我々は結論を出すことはできませんでした。
もう一つは、保護者制度につきまして、自傷他害防止監督義務の条項につきましては削除ということはやりましたけれども、ほかにもいろいろな保護者制度というものが家族に過重な負担をもたらしています。しかし、一方で、我が国においては、精神障害者の治療についてはその家族が一定の役割を果たすべきだとの根強い意見もあります。そんな中で、保護者制度というものが、できるだけ家族に対する過重な負担——実は、御承知のとおり、精神障害者の保護者と言われる方々は大変高齢を迎えております。もともとが成人を過ぎてから発病される方が多いわけでございまして、その保護者ということになりますと、大変な高齢を迎えておりまして過重な負担に耐え得ない、またそれに耐えなければならないようなシステムにしていますから、患者自身もいろいろな決定ができないということから、いろいろな問題をもたらしていますので、この保護者制度についても、最終的な検討の上、結論を得ることが必要だというぐあいに私どもは思っております。
さらに、長期入院者につきましては、いろいろございますが、既に日本の病院においては五年以上入院の方々がほぼ半数を占めているわけでございまして、しかも六十五歳を超える方々が三割を超すというような状況の中にございます。この長期入院患者の療養にふさわしい施設につきましても、診療報酬あるいは機能分担ということも同時に考えながら結論を得なきゃいけないというように思っています。
我々は、今回の法改正においてはどうしても間に合わない、本来であれば何とかすべきだというように思っていたんですが、間に合わないという観点の中から、何とか三年を目途にめどをつけたいというぐあいに実は考えて、精神保健問題検討小委員会で早急に三点における中長期の結論を得るべく、努力を開始したところでもございます。
さて、そのような状況の中におきまして、自民党においては、三年以内に何とか結論を得たいということで鋭意検討を進めておりますけれども、政府においても、これらの課題は重要なものと認識をされているのかどうか、またその結論が出次第、速やかに対処される意思があるのかどうか、大臣にまずお聞きをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/2
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003・宮下創平
○宮下国務大臣 まず、今回の改正につきまして、その政策内容について、党側の政策責任者である委員の方からいろいろ御質問がございましたが、まずもって、その相当部分が取り入れられたということに感謝を申し上げたいと思います。
その上で、今三つの点を指摘されました。
犯罪精神障害者の問題、保護者の問題、それから長期入院患者の療養にふさわしい施設の検討というようなことでございまして、これらの三点はいずれも重要な課題でございます。これは公衆衛生審議会からも指摘されておりますが、解決していかなければいけない。今申されたように、ここまで全体として検討して、総まとめで改正案を出すというまでには議論も尽くされておりませんし、問題は重要な課題でございますから、今後ひとつ精力的に慎重な検討をしなければなりませんが、この問題は厚生行政だけではなくて諸方面と関係する事項でございますので、幅広い関係者と議論を行いつつ、与党における御議論も踏まえながら、とにかく五年の見直しということにとらわれることなく、成案が得られれば検討してまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/3
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004・衛藤晟一
○衛藤(晟)委員 ありがとうございました。できるだけ早急に、我々もできれば三年を目途にこれをぜひやり上げて、精神障害者対策をいわゆる今までの流れとは違った形でちゃんと仕上げていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
さて、今回参考人意見聴取等で、私ども、やはり意味のあるというか、大変議論の深まったというぐあいに認識をしているところでございます。精神障害者福祉対策の推進に当たりましては、医療、社会復帰、それから地域対策等、それぞれ大変重要な事項でございますが、やはり世論の支持というか住民の理解というのが必要だなということを感じたところでもございます。
最後になりますけれども、一つだけぜひ要望をしておきたいのですが、社会復帰施設もこれだけ、制度としては整ってきたという感じがいたします。そして小規模のものも、千五百カ所というから、大変広がってまいりました。しかしながら、なかなか法定の施設ができない。これは、ずっと調べてみますと、二十人定員の知的障害者の通所授産は、年間措置費が、補助金が約五千万ですね。身体障害者が約三千五百万、精神障害者が約二千四百万ですね。精神障害者のためのこのような授産施設を一生懸命やっても、なかなか経営的にやっていけない。
今は家族やいろいろなボランティアの方々の大変多くの犠牲の中にやっとやっているということでございまして、これをある程度改善しないことにはやはり大きく広がっていくことはできないだろうということは、もう今回のいろいろな意見聴取の中でもはっきり出たことでございますので、この際、いよいよ再編成を迎えるわけでございますので、我々も努力させていただきたいと思いますが、政府、厚生省挙げて、ぜひこれについて十分な配慮を、改善をするように要望して、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/4
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005・木村義雄
○木村委員長 武山百合子さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/5
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006・武山百合子
○武山委員 おはようございます。自由党の武山百合子でございます。早速質問に入りたいと思います。
まず、社会復帰対策についてお聞きしたいと思います。
社会復帰施設には、生活訓練施設、福祉ホーム、授産施設、それから福祉工場等々あるわけですけれども、それぞれ精神障害者の社会復帰を支援する施設として大変重要な役割を持っているわけですけれども、まだまだその絶対数が足りないと思うのですね。そういうのが現状だと思いますけれども、現時点での設置数、それから絶対数の不足の解消に向けた今後の計画についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/6
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007・今田寛睦
○今田説明員 障害者プランによります精神障害者の社会復帰施設、今御指摘のように、障害者生活訓練施設、福祉ホーム、通所授産施設、入所授産施設、福祉工場とあるわけですが、これらの施設につきまして、平成九年度末現在で累計四百一カ所となっております。
これに対しまして、プランにおきましてそれぞれ目標値を設定しているわけでございますが、その目標といたしております施設数につきましては、千五十九カ所を当面の目標と置いているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/7
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008・武山百合子
○武山委員 今の数字を聞きますと、本当に少ないわけですね。これを二倍以上にするということですので、ぜひ今後ふやしていただきたいと思います。
それから、社会復帰施設についてですけれども、絶対数の不足もさることながら、地域的に偏在しているということも大きな問題となっているわけです。この地域的な偏在の解消、特に施設空白市町村の解消に向けて、まずどのような取り組みをしていくのか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/8
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009・宮下創平
○宮下国務大臣 御指摘のように、精神障害者の社会復帰施設の地域偏在というのは、事実として私どもも認めざるを得ないと思っておりますが、精神保健福祉政策を推進する場合に、極めて重要なことでございます。
そこで、整備が十分でないために、絶対量を整備するということがまず第一に必要でございます。その上で、都道府県ごとに施設整備に対する取り組みに差があるのも事実でございますから、そうしたことをならしていくということがぜひ必要だと思います。
具体的には、障害者プランというのがございますから、その障害保健福祉圏域ごとにバランスのとれた社会復帰施設の整備が行い得るように引き続き都道府県を指導してまいりたいと思いますし、今回の改正におきましても、そうした精神障害者の福祉政策の利用に関する助言、調整、あっせん等は市町村を実施主体とするように改めておりますし、それから、市町村が行う助言、調整、あっせんについて広域的な調整を保健所において行うというように変えておりますので、これらの体制の整備を大いに活用していただきまして、今申されたような問題点の解消に努力していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/9
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010・武山百合子
○武山委員 現在、三千三百市町村あるわけですけれども、先ほどの今田部長さんのお話ですと、千五十九カ所にふやしていきたいということです。そうしますと、三千三百ですから、単純計算で大体三つか四つの市町村に一つぐらいできる、そういうふうな判断でよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/10
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011・今田寛睦
○今田説明員 これらの施設の整備につきましては、基本的には障害保健福祉圏域を一つの単位としておりますので、複数の町村がそれに含まれることになります。これにつきましてはおおよそ三百圏域ぐらいを想定しておりますので、今申し上げました千の施設を配置するとすれば、それぞれ三から四施設をその三百の障害保健福祉圏域の中で確保していこう、このような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/11
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012・武山百合子
○武山委員 そうしますと、国民にわかりやすい数字でお答えいただきたいのですけれども、人口どのくらいに一つというような割合なんでしょうか。過疎とかいろいろありますので、それから首都圏は多いですね。国民にわかりやすい数字で、どのくらいに一カ所という割合なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/12
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013・今田寛睦
○今田説明員 福祉圏域の単位をおおむね人口三十万に置いてございます。それで三から四カ所ということになりますので、単純に割り算をすれば、人口が十万人弱に対して一カ所程度の整備をしていくということでプランを立てております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/13
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014・武山百合子
○武山委員 そうしますと、単純に人口十万人に一カ所ぐらいをことし中に整備されるということですね。そう解釈してよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/14
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015・今田寛睦
○今田説明員 現在が先ほど申し上げましたように四百一カ所でありますが、これを将来一千数十カ所にするということで、この最終目標年度を平成十四年に置いておりますので、十四年までにこれの実現に努めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/15
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016・武山百合子
○武山委員 市町村の自治体任せではなかなか問題は解決していかないのじゃないかと思うのですけれども、厚生省は、もう自治体任せなんでしょうか。それとも厚生省として具体策を考えているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/16
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017・今田寛睦
○今田説明員 都道府県に対しましては、先ほど申し上げました障害保健福祉圏域を一つの単位として計画を立てるようにということをお願いしております。
当然その計画の中で、この障害者プランに沿った形でその整備をしていただく。そういう内容を盛り込むようにというような形で都道府県を指導し、そういう計画を都道府県につくっていただくという考え方で、そこはもちろん都道府県がつくられるということに期待をしているわけでございますが、このプランを確実なものとするという意味において、私どもも、積極的にそういった計画を立てるように指導はしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/17
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018・武山百合子
○武山委員 そうしますと、もうちょっと突っ込んでお聞きしたいんですけれども、埼玉県は約六百九十万近く人口を抱えているわけですけれども、例えば埼玉県に視点を置きますと、十万人規模に一つずつぐらいの進みぐあいというのはどのくらい進んでおるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/18
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019・今田寛睦
○今田説明員 達成率ということで申し上げますと、埼玉県単独ではちょっとまだ手元に資料がございませんが、全国ベースで申し上げますと、例えば生活訓練施設につきましては大体五割程度が今達成されている、福祉ホームについては三割程度、通所授産につきましては四割程度、入所授産につきましては二割、それから福祉工場につきましてはまだ十数%という状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/19
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020・武山百合子
○武山委員 五〇%に達しているところは一つなわけですから、ぜひ早急に指導して、今こういうシステムなものですから、自主的にやってくださいと言っても無理なわけですね。ですから、そこは、今こういう仕組みになっているわけですから、仕組みを利用して市町村、自治体をやはり促していただきたいと思います。
その次、伺います。
こうした法定の施設が不足しているというのが現状で、無認定の小規模作業所の問題が大変あるわけなんです。現在その数は五千近くになると言われておるんですけれども、この小規模作業所は法定の通所型授産施設とまず同じ性格を持つということのようですね。この補助額が大変少なく、運営が困難だということを実は聞いておるんですけれども、厚生省はこうした現状をどの程度認識しているか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/20
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021・今田寛睦
○今田説明員 在宅の精神障害者が通所して作業を行っていただくいわゆる小規模作業所でございますが、これにつきましては、家族会などが地域に根差した自主的な取り組みということで展開をされていらっしゃるわけでありますが、共同作業所全国連絡会の調査によりますと、全国で大体千三百十八カ所あると言われております。委員御指摘の五千というのは、身体障害、知的障害を含めての小規模作業所の数でありますので、精神だけに特化して申し上げれば千三百十八カ所、こういうことになっております。
当然一定の要件を課しておりますけれども、そのうちでその一定の要件が満たされますのは、平成十一年度予算で八百十カ所でございます。これに対して年間百十万円の国庫補助を行っております。
なお、この国庫補助とあわせまして、地方自治体が行います単独助成事業のための財政措置ということで、これとは別に地方交付税措置が講じられておりまして、都道府県からも補助がなされておりますし、それから、本年度からは精神障害者の小規模作業所について市町村分の地方交付税措置が新たに講じられたという状況でございます。
できる限りの援助はこれまでもやってまいりましたけれども、今後もそういう観点から取り組んでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/21
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022・武山百合子
○武山委員 その少ない補助金をもらうために大変苦労して届け出をして審査を受けるということですけれども、なかなか審査にも残らないところが大変あるというようなことを聞いております。国民の税金でこういうものを補助しているわけですけれども、本当に厚生省が実態をわかって、本当にきちっと国民の税金がそこに行っているんだなという実態を国がわかっているということが一番大事だと思いますので、任せっきりにしないで、ぜひ土台まできちっと調査していただきたいと思います。
それから、精神障害者の社会復帰対策を拡充していく上で、小規模作業所を含めて既存の施設を働く場、生活の場、トレーニング施設、利用施設にするなど、再編統合化という抜本的な取り組みが今後必要になってくると思いますけれども、この辺は厚生省はどう認識しておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/22
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023・今田寛睦
○今田説明員 小規模作業所も含めまして、精神障害者の社会復帰を推進することが、今の長期入院の実態を解決し地域社会で自立をしていくという意味では大変重要な課題だと思いますし、そういった意味では、現在、幾つかの社会復帰のためのメニューを用意し、あるいはまた在宅のためのメニューを新設する等しておりますが、これからも社会復帰という分野、つまり地域でのケアというものを中心にした障害者の福祉対策というものを推進すべきだという考え方で対処していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/23
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024・武山百合子
○武山委員 このあり方について検討委員会で何か提言をされているようなんですね。まず高生産性タイプ、少生産性タイプ、それから生きがい活動タイプの三つの機能に分化されている。
この提言は、現在どのように検討されているのか、御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/24
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025・今田寛睦
○今田説明員 御指摘の提言につきましては平成四年ころの考え方として整理されているものと思いますが、いずれにしても、そういった考え方も含めまして、昨年、知的障害、身体障害、精神障害、三障害それぞれの所管している審議会がございますが、これらを合同して地域対策をどう進めるかという議論を進めてきております。
その中で、例えば、社会復帰のためにいろいろな施設を整備するに当たっては、障害者間の壁を取り払って地域で一緒にやっていこうというような仕組み、あるいは市町村が一番身近なところなんだから市町村で一緒にやっていこうということで、今おっしゃっていただきました目的に沿いましてどういう体制を組むべきかということについての御議論をいただきました。
これらの考え方につきまして、今回の法改正にも盛り込まれている部分もありますし、それから、現在検討している社会福祉基礎構造改革の中で、それぞれの障害者間全体の改革として今検討を進めているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/25
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026・武山百合子
○武山委員 平成四年に提言されたということですけれども、もうことし十一年ですから七年近くなるわけですけれども、議論された結果がこれからの構造改革ですね。それから今回の法改正にうたわれているということですけれども、どのくらい入れられているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/26
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027・今田寛睦
○今田説明員 精神保健福祉法の中で申し上げますと、ホームヘルプ事業などのようないわゆる福祉施策が他の障害と比べて非常に劣っているという点を含めて、こういったものを法定化して社会福祉事業として取り組みを促進したいということが一つ大きな点ではないかと思います。そのほかに、市町村にそういった役割を演じていただくということ、これらが主なものかと思います。
と同時に、社会福祉基礎構造改革における議論の中では、そういったものに対して、例えば権利擁護の仕組みを導入するとか、あるいは福祉法人になる壁の高さといいますか、要件を緩和するということで、社会福祉事業に積極的に取り組めるような、そういう法人体系というものに振りかえていろいろなサービスを提供しやすくするといった点などが含まれているというふうに私どもは理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/27
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028・武山百合子
○武山委員 今までと違って、選択肢がふえるということが一番の問題だと思うのですね。ぜひそのような方向でやっていただきたいと思います。
それから、社会復帰対策で欠かせないのがボランティアによる協力だと思いますけれども、NPO法案も成立しましたし、こういうものを含めて、民間のボランティアの支援を得ることが大変重要だし、これから本当にそこにポイントが行くと思いますけれども、そのための仕組みをどのようにつくっていくか。
私、何かちょっと実情を聞いておりますと、寄附のシステム、結局、みんなお金がなくて、お金だけがすべてじゃないですけれども、もちろん知恵を使ってこういうものはつくるものですけれども、国に頼るということは、それだけ国民の税金が使われるわけなんですね。最低限、公的施設というのは、平成十四年のめどにかけてつくっていくべきだと同時に、やはり自立する、自分たちが、また周りが、社会が、地域が対応して助ける組織、仕組み、それはつくっていかなければいけないと思うのです。
それで、欧米などと比べまして一番欠けている部分というのは、寄附をしたための優遇措置がないという部分なんですね。優遇措置をやはり国としても考えていただかないと、寄附の精神、寄附の行為というのはなかなか膨らまないんですね。そうすると、国にばかり頼ることになると思うのです。どちらがいいかというと、やはり自助努力と同時に、できない部分を国が面倒を見るという方向性だと思うのです。二十一世紀は自立した社会、小さな政府というものを目指していくわけですから、その辺はどう考えておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/28
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029・宮下創平
○宮下国務大臣 これは寄附の課税上の問題だと存じますが、法人あるいは個人の所得課税の中でそういった寄附の扱いをどうするか、損金性を認めるかどうか、そういうことでございますが、この点は委員のおっしゃるように、民間の自発的な参加という意味で大変貴重なものでございますから、今後十分検討させていただきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/29
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030・武山百合子
○武山委員 ぜひ検討していただきたいと思います。
以上で終わりにいたします。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/30
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031・木村義雄
○木村委員長 土肥隆一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/31
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032・土肥隆一
○土肥委員 民主党の土肥隆一でございます。
前回も御質問させていただきましたが、少し積み残したというか、お聞きしていない部分がございましたので、まず、そこから始めさせていただきたいと思います。
今回の法改正で一番びっくりいたしましたのは、やはり第三十八条をめぐる改正でございます。今までの精神病院と行政の現場、この場合は都道府県になりますが、それから精神医療審査会あるいは指定医というような関係が、いわば法文によるとどうでもとれる、あるいはほとんど強制権というのがない、そういうつくりになっておりましたが、いきなり大変な強制権というか行政指導権といいましょうか、それはもう本当に驚くばかりでございまして、こんなことができるんだろうかというふうにかえって心配するくらいでございます。
三十七条の二では、指定医の精神病院の管理者への報告、この点については質問をいたしました。私は、なお不十分だ、指定医と病院管理者の関係を明文化しないと生きてこないという指摘もいたしました。
そして、三十八条の三の三項でございますけれども、医療審査会の機能が書いてありまして、これなどは、病院管理者が言うことを聞かないときは、「報告若しくは意見を求め、」まではいいのですが、「診療録その他の帳簿書類の提出を命じ、若しくは出頭を命じて審問をすることができる。」こう書いてあるんですね。旧のというか、今も生きているわけですが、それによると、「その者が入院している精神病院の管理者その他関係者の意見を聴くことができる。」こうなっているわけでございます。
三十八条の四になりますと、今度は、退院等の請求でございまして、本人または保護者の非常な決意、その希望で、行政は、都道府県はきっちりと退院の措置を命じるということになっております。
三十八条の五では、もう一度精神医療審査会が出てまいりまして、ここでも出頭を命じ審問する、こうなっているわけです。
それから、三十八条の六以下では、都道府県知事は、あるいは厚生大臣もそうですが、命じるとか、あるいは、変更を命じ、処遇の改善のために必要な措置をとることを命ずる。三十八条の七の二項でも、「命ずることができる。」三項では、「制限することを命ずることができる。」こういう大変強い法文になっております。
私も、前回の委員会で申しましたが、大和川病院などにかかわっておりまして、五年たって病院が閉鎖され、そして今日に及んでいるわけではございますけれども、まさに今昔の感がするという気がいたします。
ちなみに、大和川病院の病院指導についての幾つかの特徴を申し上げますと、本当に精神病院としての基本的なことについて一々指導しなければいけないのですね。
例えば、入院時に、任意入院であれば任意入院用のインフォームド・コンセントのための告知書があるわけです。あるいは医療入院、措置入院の場合もあるわけです。ところが、大和川病院では一枚物なんですね。一枚物で、こんな入院をあなたはするんですよ、というよりも、あなたはこの精神病院に入るんですよということが書いてある告知書があるわけでございますけれども、その告知文を訂正しなさいというわけです。そして、三カ月たちまして、また行政が、大阪府が行きまして確認をいたします。そうすると、まだできていない。改善計画では、印刷文を今刷り直しております、こう言うわけですね。それで、まだできていない。だからその改善命令で、任意入院の場合は書面告知の上で本人の同意書をとること、ちっとも変わらないわけですね。そのほか、電話のことだとか、あるいは個人の文書の通信でありますとか、挙げたら切りがないわけでありますが、赤ちゃんの手をとるように、こうもしなさい、ああもしなさいと言わなければ、二百五十名から入っている病院が、そういうことをしなければならないほどの精神病院になっていたということでございます。
こういうものを見るにつけ、厚生省えらい変わりましたねということでございまして、この間、一体何があったのかということです。
例えば退院の規定で、医療審査会がする役割で、入院中の者の同意を得て委員に診察させる、あるいは管理者、関係者に報告を求める、診療録あるいは帳簿類を提出させる、出頭を命じて審問する、こういうように具体的に書いてあるわけですが、余りのギャップに驚くとともに、病院関係者はこれを受け入れたのかどうか。
こういう四項目にわたって審査会の役割が書いてある三十八条の五の四項ですけれども、それは今までやっていなかったのか、していなかったことを新たにやろうとしているのか、その辺の厚生省の担当者の御認識、そして特に、「出頭を命じて審問する」というような言葉をなぜ使わなきゃいけなかったのか、御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/32
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033・今田寛睦
○今田説明員 今回のいわゆる人権というものに着目をした規制の強化に相当する部分、御指摘のように幾つかあるわけであります。その一つとして、精神医療審査会に出頭を命じて審問する権限をなぜ付与するような考えになったのかということでありますが、基本的には、従来も報告を求めることはできたわけでございます。当然、これからの運営に関しても、医療機関の協力を得て、そういった書類の提出でありますとか状況の報告を受けるということそのものは厳然とそういうやり方をしていかなくてはならないと思います。
ただ、そういうことをしてくださいと申し上げても、どうしても協力をしてくれないケースというのが実はあり得るということが現実に起こったわけであります。そういう意味では、通常の、普通の御協力で、医療機関との信頼関係も十分保ちながらそういったことを運用すべきだと思いますけれども、そういった特別な事例に対してちゃんとした権能を審査会も有しているのだということを明記することによって、すべての医療機関において必要な対応がとれるようにという願いを込めることを目的としてこういう規定を盛り込ませていただいたと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/33
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034・土肥隆一
○土肥委員 例えば、入院中の患者さんの同意を得て、審査会の委員が出かけていって診察するということは今まであったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/34
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035・今田寛睦
○今田説明員 協力を得て診察するということは、今までもございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/35
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036・土肥隆一
○土肥委員 大和川病院のケースであったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/36
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037・今田寛睦
○今田説明員 大和川病院でもそういう規定が適用されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/37
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038・土肥隆一
○土肥委員 私が知っている限りでは、医療審査会の先生が大和川病院に出かけていって、二十名ほど退院希望者があったのに、診察をしたことはございませんで、そんなことがあの病院でできるなら、もっとどんどんやればよかった。そうしたら、何もあの病院をつぶさなくてもいい。もちろん経営者はかわってもらいますけれども、もっと良心的な精神病院をやってみようというお医者さんがあったら、あれは残してもよかったのではないか。私が指定医ならば、もっといい病院を、安く仕入れましてやってもいいなと思うくらい、精神病院一つ建てるのは大変なのですよね。しかし、今回一気に三つ病院をつぶしてしまうわけでございまして、その意気込みの反映が今度法文に載ったのかなという感想を持つわけでございます。
第一、診療録などというものはろくすっぽつけていないのがこの病院でございました。提出したら、改ざんして、指定医の勤務時間ではないのに任意入院や医療入院が起こっているというようなこともございまして、そういうことは大阪府も厚生省も熟知していらっしゃるところだと思います。
「出頭を命じて審問する」、この審問という言葉はどういう意味合いの言葉なのでしょうか、お聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/38
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039・今田寛睦
○今田説明員 御意見をお聞きするということでありますけれども、審査会という場面に出てきていただき、少なくとも正確な事実をお述べいただきたいという意味で審問というふうに使われる法律的な用語と思いますけれども、そういう表現をさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/39
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040・土肥隆一
○土肥委員 何か裁判所に参考人とかあるいは証人の証言を求めて呼び立てているような気がしてならないわけでございまして、医療関係者にはこういう話はなさったと思うのですが、医療関係者はこれでいいというふうに理解しているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/40
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041・今田寛睦
○今田説明員 審問という表現につきましては、法的には、一方で五十五条に罰則がついております。したがいまして、そういう意味では非常に正しくこれを運用していただきたいという形で規定されているわけでありますが、そういったことも含めて、この事項については、医療関係者あるいは精神病院の関係の方々が御参加いただいております審議会からもこのような改正をするということでの御意見をいただいているというふうに私どもは理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/41
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042・土肥隆一
○土肥委員 私はこれで結構だと思うのです。だけれども、今度は病院側はガードに入りますから、今度はえらい厳しゅうなったなということで、なるべくしっぽをつかまれないようにやらなきゃいけないとか、法律というのはそういうものかもしれません。したがって、定期の医療監査でありますとか、あるいは審査委員の定期的な訪問だとか、行政も当然でございますけれども、都道府県の担当部局もそうでございます、また、指定医の教育と言うとちょっとおこがましい話ですけれども、もっと指定医の地位を高めて、責任が今度大きくかぶさってきたわけでありますし、公的な仕事もしなきゃならないという役割もあるのでございますから、やはり内実を変えていかないと、外だけで縛り上げても無理だというふうに感じる次第でございます。
これは憲法上も問題ではないか。つまり、病院は経営をする自由がございます。これは例の健康保険法の改正のときも総量規制をやるわけでございまして、開業の自由というのはあるわけでございますが、そこと医療行政とのやりとりがあるわけでございまして、これは憲法上の問題はないというふうに理解していいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/42
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043・今田寛睦
○今田説明員 営業の自由ということで、今回それにかかわりますところは、改善計画を命令しても一向に処遇を改善しないような病院ということになるわけであります。当然そこに至るまでには通常のあるいは丁寧な指導が必要だと思いますが、なおかつ、それにおいても入院中の障害者が適切な処遇が確保されていない、緊急に事態の改善を図る必要がある、いわば最終手段として創設されたものでございます。このように、明らかに入院患者の人権が侵害されている場合には、その適正な処遇を確保するために、緊急性がある場合に営業の自由が一定程度制限されるということについては合理的な理由があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/43
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044・土肥隆一
○土肥委員 以上をもちまして、残された部分の質問を終わります。
きょうは、社会復帰施設関係あるいは地域福祉と申しましょうか、そういう面についてお尋ねしたいと思います。
まず、今回の法案の改正によりまして、市町村というのが登場してまいります。それから、在宅介護等の事業、ホームヘルプサービスが入ってまいります。ショートステイも入ってまいります。それをお世話するような形で、地域生活支援センターも入ってまいります。精神保健福祉というこの法律の名前にふさわしい時代がやっと来たなというふうに思うわけです。
〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
したがって、今回の法改正を多としながら、これをなるべく早く一般福祉事業並みに肩を並べるようにさせて、そして、あらゆる精神障害者の皆さんが、在宅であろうと施設であろうと、どこにいようとも自分の居場所がある、自分の生活する場所があって、その生活をいろいろな障害の程度に応じて支えてくれる、そして、地域の住民の理解も徐々に育ってきて、精神障害が特別な病気ではない、障害ではないというふうに自覚できるような柔軟性に富んだソフトな社会をつくらなきゃならない、こういうふうに思うわけであります。
それで、一つ一つお尋ねいたします。
まず、私は、社会復帰施設、この社会復帰というのは、この前精神薄弱者という名前を変えましたけれども、それと同じように、これはやはり早くやめた方がいいと思うんですね。
社会に自分は復帰しなきゃいけないんだと。ところが、復帰したその社会は何とストレスの多い、そしてリストラを絶えずかけられ、派遣労働が始まり、そんな社会に精神病を持ったまま、寛解したとはいえ、まだそういうハンディキャップのある中で復帰しなさいなんというのは、恐るべきところにもう一度ほうり込む、これは、また医療施設に戻っていらっしゃいという法律かもしれない、そういう違和感を非常に私は感じるわけでございます。
福祉行政というのは、やはりジャンルごとというか種別でやりますから、その種別の特徴をあらわすために精神薄弱者更生施設なんというのをつけて、何の恥ずかしげもなく看板を立てて、ここは精神薄弱者が更生するためにある施設ですよ、更生ってよくわからないんですけれども、こういうふうに名乗ってはばからないわけでありまして、私は、もう看板主義というのはやめるべきだと思いますね。何とかホームでいいと思うんです、何とかの家でいいと思うんですよ。アジサイの家でもいいですしバラの家でもいいわけでございまして、そういう社会復帰施設というのはやめた方がいいんじゃないかなというふうに思うわけです。
それから、更生というのもやめた方がいいですね。
生活を更生させる。勘違いする人がいまして、知的障害者の能力をはるかに超えたことを一生懸命毎日毎日訓練している作業所がございまして、それは電気掃除機の使い方でした。だったら、ほうきでいいじゃないですか。ほうきとちり取りがあれば掃除はできるわけでありまして、それを、何かごみを散らかして、それを吸い取るということをやらせているわけです。私はもう気が遠くなるような思いがいたしましたけれども、やはりこれは更生させようとしているかのようでございます。
授産施設もどうかと思いますね。
このネーミングの問題は、社会的な福祉サービスや福祉資源がいろいろ充実してまいりますと、だんだんそういう特別な種別を考えなくてもできるだろう、そういう社会が来るだろうというふうに思っております。
大臣、御答弁ございましたら、突然でございますけれどもネーミングの問題。この前の精神薄弱者のときも御答弁いただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/44
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045・宮下創平
○宮下国務大臣 知的障害者とか、いろいろ呼称を改める法律案を先般お願いいたしましたが、今委員のおっしゃられるのは、更生というような言葉もどうかなという御疑問のようです。
私どもの今までの感じで率直に申しますと、やはり障害者も一個の人間として尊重さるべきであるし社会的な位置づけが必要である、それは、障害によってある程度ハンディキャップを負った人たちをなるべくノーマルな形に近づけるという努力の一種の表明じゃないかなと。そういうことによって自立と社会参加を来すのがこの法律の趣旨でもあるし、更生施設とかいろいろ名前はありますけれども、そういった背後にある意味というものも一方にあるのではないかと思うんですね。
委員のおっしゃることは、これは価値観といいますか、ネーミングに対するイメージが、ちょっと私どもが考えていたよりもさらに厳しいという感じを受けましたけれども、率直なところ、更生施設という看板をおろせという話でございますが、そう違和感はないように私は思うんです。かえってヒマワリだの何とかというような、通常のあらゆる施設につけられるようなネーミングだと、どういう施設かなという疑問もわきますし、その点はこれから検討はさせていただきますが、率直な……(土肥委員「社会復帰はどうですか」と呼ぶ)
社会復帰ですか。これも一応、障害を受けたために社会から疎外されるという現象があったと思うんですね。それは大きく言えば人権侵害でもあるし、やはりそれを社会が温かく仲間の一人として包容するという意味で社会復帰というように私どもは考えておりましたし、今もそうではないかなと思いますので、社会復帰という言葉が精神障害者あるいは障害者の方々にとって差別的な用語かどうかなという点は疑問に思います。
〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/45
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046・土肥隆一
○土肥委員 結構です。やはりこれは価値観とか人生観によって違うわけでございます。
しかし、住民基本台帳法の改正じゃありませんが、ナンバリングをするわけですが、やはり何か名前をつけるということは、それがひとり歩きし、それがまた人格に変わる、変えられるというところもあるわけでございまして、福祉の世界にいつもあるスティグマというのはそういうことですね。
ですから、これは避けられない話なんですが、私は、あれ、何の施設だろうというぐらい知的障害も身体障害者も社会の中に自然に住んでいて、よく考えたら、ああ、あそこは身体障害者の施設だったのねぐらいの、社会の中に自然に溶け込むような福祉政策というのが理想だと思っておりますので、あえてこだわりを申し上げた次第でございます。
さて、五十条の二項で、旧法では「社会福祉事業法の定めるところにより、」というのを、「厚生省令の定めるところにより、あらかじめ、厚生省令で定める事項を都道府県知事に届け出て、」云々、こうなりました。
従来、私ども、社会福祉というようなことを考えるときには社会福祉事業法に基づいて福祉を展開していく、そしていろいろな、施設整備の単価にいたしましても、規模にいたしましても、人員配置にいたしましても、大体それに見合った制度でやってきたというふうに思うんですが、あえて社会福祉事業法から厚生省令で定めるところでやると、もう一度厚生省が引き取ったというような感じになるんですが、これを変更した理由をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/46
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047・今田寛睦
○今田説明員 精神障害者の社会復帰施設を設置、運営する事業は、これまで社会福祉事業法上は、事業の開始に当たって、その事業者は事業を開始した後一カ月以内に届け出を行えばよい、このようになっております。今もそうでありますが。
今回、あえて精神障害者の社会復帰施設については事前の届けということで規定をしたわけでありますが、これは、その施設が、精神障害者に対しての判断能力の問題、人権上の問題、幾つかのものに対して細心の配慮が必要であるというような観点から、これらの精神障害者を対象とする事業については特にそのような事前届け出制という形をとらせていただいたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/47
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048・土肥隆一
○土肥委員 細心の注意が必要だろうということでございますが、私は、むしろ、広く社会福祉事業法の定めるところに従って一般の福祉事業と同じような手続、同じような考えでなさった方が将来はいいのではないかと思っております。なぜなら、精神障害だけ特別な配慮をする、事前の届け出をするというふうな言い方をしますと、やはり特別な施設なんだなということをみずから表現しているようなものでございますから。
現時点でまだ精神障害者の分野の福祉施設というのは充実しておりませんから、厚生省が心配して、少しずつやろう、少しずつ進めていこうということだろうと思いますが、そうすると、その他の社会復帰施設、四つございますけれども、これはすべて同じ法文で読んでいくんですね。生活訓練施設も授産施設も福祉ホームも福祉工場も、そして、今度地域生活支援センターができますが、これは全部、「社会福祉事業法の定めるところにより、」というのは取り払うわけですね。ちょっと確認をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/48
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049・今田寛睦
○今田説明員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/49
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050・土肥隆一
○土肥委員 さようですか、わかりました。
しかし、民間の社会福祉法人が、意欲のあるところに従って精神障害者の福祉対策に入っていけるという時代になりましたから、やりたい人が大いに熱心にやる。しかし、一番問題は、施設、つまり箱物をつくろうとすれば猛烈な反対を受けるというのは、もうこれは御承知のとおりでございまして、これがこの種の施設整備の難しいところ、最大の課題でございます。
神戸市でも、初めて民間の福祉法人がやる授産施設を一つ完成させました。土地を探すのに十一カ所探し回ったのですね。やっと地域の人が受け入れてくれたわけでございます。私は、精神薄弱者、今で言う知的障害者の施設を十年前につくりましたときには、地元を説得するのに二年間かかりました。二年間かかっても同意書はとれませんでした。県ももうあきらめよう、厚生省もあきらめよう、こういうときでしたが、今は、名前は申し上げませんが某知事さんですが、厚生省におられまして、私、彼と面と向かって話したのです、これは明らかに差別なんですと。そして、その施設はちょうど駅前にあるのです、こういう願ってもない土地に建てないというのはどういうことですかと。行政は、施設を整備するときには、地面をきれいにならして、権利関係も調べて、全くこれは更地、白地で何でも使えますというふうに、草もきれいに刈って、ひもを張って、この土地にどうぞ施設をつくってくださいといってつくるんですか、私はこう言いまして、相当な決意で厚生省に乗り込んできたことを思い出します。
地元の行政では、もう何回となく人権侵害を私は受けました。施設整備ができないということは、地元の同意書がとれないというのはおまえが悪いんだ、こう言うのですね。これは知的障害者ですよ、それでも難しい。まして精神病院をつくろうなどというのは大変な問題が起きてくるわけです。
ですから、私は、今後、箱物というのは余りやらない方がいいんじゃないかと。あるいは、先ほど申し上げました大和川病院の建物が残っていますから、早速だれかやらないかといって公募をなさるとか、やはりいい医療機関が欲しいですし。それから、地域に根づかせるためには、余り箱物で、何々センターでございますとか何々復帰施設でございますとか言わないで、自然にああ何も問題ないのねということがわかるような、実体験をしないとわかってくれないわけですから、そういうアプローチを今後大いにやるべきだというふうに思うのであります。
私が議員になる前でしたけれども、つくった施設は、今、御近所の方、その地域の方は盆踊り大会というとみんなおいでになるんですが、何の問題もないわけです。もちろん、夜間に無断で出てどこへ行っちゃったかわからないというようなことが、後で見つかったわけですけれども、若干そういうことがありましたけれども。幾ら口で説得しても、いや、うちの娘が犯されるとか、あるいは自分たちの住んでいる土地が下がるなどという途方もないことを言うわけでございまして、そういう苦労を施設設置者にかけますと、もう本当に疲れるわけですね。そして、例の施設整備のための四分の一の負担だとかいろいろかかってくるわけで、土地の代金もかかってくるわけでありまして、二重三重の苦労を与える。
これから精神保健の世界では、私の言い方からすれば、ゲリラ的政策、これが一番いいと思っているんです。私も精神障害者の小規模授産施設をやったことがありますが、先生のところにこのごろいろいろな人がおいでになりますねぐらいから始まるのですね。ああ、そうですかというぐあいで、一、二年たちますと、ああ、あの人たちは心の病を持っていらしたんですかというようなことで、だれも反対運動を起こさないし、それでいけるわけでございます。ですから、なるべく社会福祉事業一般と横並びにやった方がうまくいくんじゃないかというふうに思う次第でございます。
さて、今度新しく社会復帰施設対策の中に地域生活支援センターというのをおつくりになるわけです。これは、身近な地域で相談や助言や連絡調整をするというわけでございますが、このセンターはどのくらいの規模で整備なさり、どういう仕事をしてもらうセンターなんでしょうか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/50
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051・今田寛睦
○今田説明員 地域生活支援センターにつきましては、そこで行います事業といたしましては、地域での生活の支援を目的といたしまして、できるだけ身近なところで福祉サービスを行う機関ということで、日常生活に関する問題について必要な指導あるいは助言、相談などを行う施設というふうに位置づけております。あわせて、保健所、福祉事務所、それから精神障害者社会復帰施設、こういったところとの連絡調整を行う施設ということで、そういった形で機能させます。
御指摘の整備の目標につきましては、一つの福祉圏に二カ所程度、全国でいくと六百ぐらいになりますが、そういった形で整備を進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/51
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052・土肥隆一
○土肥委員 これは若干論理矛盾がございまして、地域で、身近なところで、そして日常生活に触れるような形で、しかも諸施設との連絡調整もやりますとなれば、老人保健の方で考えれば在宅介護支援センターのようなものを想像すると、これは、設置数からいって、あるいは機能からいっても、六百カ所なんてものじゃ全く何の役にも立たない。ちょっと言い過ぎです。何の役にも立たないとは言いません。
そこにセンターがあれば、その地域の患者さんには役に立ちますが、そこからまた一時間も二時間も三時間もというようなところでは役に立たないというふうに考えるのですが、これは将来構想としてどんなふうに考えていらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/52
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053・今田寛睦
○今田説明員 一つは、この生活支援センターが、福祉圏域に二カ所の設置ということを今申し上げましたが、これはまだ施設の整備そのものが一市町村で完結して整備されているという状況にないこと、そういった意味ではある程度広域的な調整が必要だという視点も入れてこのようにセットをさせていただきました。
もう一つの、市町村が身近なことは本来やるべきではないかということでありますが、これにつきましては、例えばホームヘルプサービスでありますとかショートステイ、そういうサービスを今度市町村に十四年からやっていただく、当然、それらに係ります相談というものはまさに市町村にしていただかなければならない。ということからいたしますと、将来は、市町村が行いますそういう福祉的なサービスに関する相談、指導と、まだ施設が若干すき間がある、そういった広域的な機能とをうまくマッチさせて、できるだけ身近なところで解決できるようにするということを今考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/53
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054・土肥隆一
○土肥委員 今の段階ではそうかもしれません。広域的なところから始めるということでございますが、私はむしろ、御提言したいのでございますけれども、この地域生活支援センターというのは市町村の業務の中に、事務の中に入れていただきたい。数は少なくても仕方がありません。しかしながら、これは当然、居宅介護事業、ホームヘルプサービス、ショートステイ、あるいは今もございますグループホームなどと直接関係が出てくるわけであります。電話とかインターネットだとかの時代ですけれども、生活支援センターに出かけていって、これはどうしましょうとか、こういう方はどんな処遇がいいかとか、あるいは施設等の調整などもする意味では社会復帰施設対策というものではないのじゃないか、そこに入れてはいけないのではないかというふうに思うのです。
これは箱物になるわけですから大変なお金がかかるわけですね。ですから、地域に密着したというところからいえば、そんな鉄筋コンクリートのビルを六百カ所建てる必要があるのかなというふうに思いますね。各都市には福祉会館だとかいろいろなものがございます、このセンターの構想の中には、そこに皆さんに来ていただいてちょっと一日生活してもらうとかというふうな機能も備えたいという考えのようですので、箱物が必要かなとも思うのですけれども、私は、むしろ精神保健福祉というのは箱物から早く脱出して、お一人お一人に手を差し伸べていって、どこかで自分は行政的なサポートがあるという、もちろん精神保健相談員などがいらっしゃいますけれども、そうではなくて、あらゆる社会資源が患者さんのもとに届けられる、そういうものにすべきだというふうに考えます。したがって、いろいろな種類のものがセンターとしてあり得る、あってもいい。余り規格品をおつくりにならないように申し上げておきたいというふうに思います。
しかし、このセンターは必置義務ではございませんね。これがまたブレーキになるわけでございまして、たとえ広域であってもやはりこういうものが必要ですから、ホームヘルプサービスやショートステイ、グループホームなどに役立つようなものとして、いずれのときか必置義務にして市町村にお願いするということにしなきゃならないというふうに思いますが、必置義務ではないというところはどういう意味合いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/54
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055・今田寛睦
○今田説明員 もちろん、いろいろな施設、あるいはそういった機能を持つ部署が市町村に必要だという意味においては当然これを推進していかなければならないわけでありますが、これを必置という一つの法的な規定をすることそのものが、今進んでおります地方分権の流れの中で必ずしも適切な方法ではないのじゃないか。しかし、理念としてこれを進めなければならない、役割としてはどうしても担っていただきたいという気持ちはございますが、必置という表現で行うことについては、そういった流れの中で必ずしも適当ではないのではないかというふうに考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/55
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056・土肥隆一
○土肥委員 それはわかります。
ですから、この生活支援センターは、社会復帰施設という予算のとりやすいところで、そしてかなりの補助金が出るところでやって、将来は市町村に返すというか市町村管理にする。あるいは、そういう箱物のセンターのサブセンターみたいなものを市町村にたくさんつくってもらう、お金がかからないわけですから。これで居宅介護サービスを、ホームヘルプ事業をやりなさいといったら、途端に、そういうものがないと、一々保健所に行ってあるいは保健センターに行ってやっていたら、恐らく保健センターはパンクするのじゃないかと思いますね。保健福祉センターはプロフェッショナルな技術指導などをやるところでしょう。そうではなくて、日常業務、日常的な生活に即した部分というのは、いきなり市町村にほうり投げて、やはりなかなか大変だろうというふうに思うわけです。ですから、サブセンターを市町村におつくりになるように提案したいというふうに思うわけでございます。
さて、特にこれから市町村に大きな仕事をしていただいて、かつ、従来ありますグループホーム、地域生活援助事業も市町村でやっていただくということになろうかと思いますが、今このグループホームというのはどの程度整備されて、そしてどのような利用状況なのか。
例えばグループホームであれば家を確保しなきゃいけないのですが、そのハード面といいますか、そういう面での補助だとか、あるいはグループホームは大体平均何人ぐらいの人が利用しているのか。そこにはどういう種類の職員の方が張りついていらっしゃるのか。障害者プランの目標値は九百二十カ所、五千六十人となっておりますが、私は、このグループホームというのは非常に大事な、そして今後最も期待される施設ではないかと思っておりますので、その点の御説明をいただきたい。
そしてついでに、福祉ホームというのが従来から復帰施設であるわけでございますけれども、この福祉ホームというのは、これも百六十六カ所から三百カ所にふやすということでございますが、これとの兼ね合いについて、福祉ホームの実態についてもお述べいただきたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/56
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057・今田寛睦
○今田説明員 まず最初の障害者のグループホームの現状を御紹介申し上げます。
グループホームは、一カ月当たりの平均利用人数は大体五・五人程度でございます。ここにおきます体制というのは、そこに世話人がお一人いていただく、表現がいいかどうかわかりませんが、いわば下宿のような形で運営していただくという観点から世話人を一人置いていただくということになっております。それにつきまして、現在六百六十二カ所ございますけれども、障害者プランにおきましてはこれを九百二十カ所に持っていきたい、このように考えております。
それから福祉ホームでございますが、福祉ホームにつきましては、一定程度自活能力のある方に対しまして、特に住宅の確保が困難な対象に対してこれを提供するということで、これもまた適切な表現かどうかはありますが、いわゆる寮のような形で、そこでそれぞれが就労しあるいは自活的生活をしていただくという、いわば住居提供という観点での運用が期待をされているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/57
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058・土肥隆一
○土肥委員 私の感想を言えば、福祉ホームもグループホームも同じようなものだというふうに思うのですね。あえて福祉ホームをつくって——通勤寮との関係もあるのでございますけれども、授産施設は別にいたしまして、授産施設も入所授産というのがございますから住宅関連といえば三者共通するわけですが、既にグループホームが民間の皆さんの大変な努力で進んでおりまして、そして、何カ所かお訪ねしましても、非常にいい世話人さんがいらっしゃって、熱心にやっていらっしゃいますね。しかも、安い給料でやっていらっしゃるわけです。
私の考えだと、福祉ホームにお金を使うぐらいならグループホームを少しグレードアップする、福祉ホームは仕事をしているというのが前提になって、しかも短期ですから、ショートステイですからのんべんだらりとおられないのでしょうが、グループホームだとずっとおられるわけですから。もちろん、自己負担の関係やらいろいろございまして、制度が進んでしまいますとなかなか融合させることが難しくなりますけれども、精神障害者の住まいの問題、どこに住むかという、住まいの場所が安定していないと人間はどうしても不安定になりますね。親御さんも高年齢化が進んでおるわけでございますから。そういう意味では、住まいの部分にいろいろな種類があるというのは余りよくないというふうには考えます。
まして、市町村がやるショートステイが今度入ってまいりますと、在宅でやっていて、もう今晩はちょっともたない、一人にはできないというような状態になれば、どこかにお預けしなければいけないわけですね。任意入院でもするのかということになれば、またややこしい入院手続をやらなければいけないので、福祉ホームなり、あるいは通勤寮もそうだと思うのですが、どこでもとは言いませんけれども、それぞれの施設にいろいろな方がいていいではないですか。そして、そういう住まいがある程度安定して提供されるようにすべきだと思うのでございます。特に、福祉ホームをグループホーム的な視点に戻しまして、そして患者さんの安定的な住居確保というふうにはならないものか。
ついでに聞きますけれども、後でショートステイにも入りますが、通勤寮あるいは福祉ホームあるいはグループホームなどにショートステイの対象として入ることができるのかどうか、その辺についてもお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/58
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059・今田寛睦
○今田説明員 社会復帰施設の中で、特に福祉ホームとグループホームは、先ほど申し上げましたように、ニーズの多様性にそれぞれ対応させて整備を図っているということから、今おっしゃられますように、住宅の確保という視点一本に絞った形での整理はできないのかという御指摘かと思いますが、現状におきましては、それぞれ対象を異にしているという意味は、そこに配置すべき人、あるいは施設に差があるという点もあわせて評価しているということがあって、結果としてそのような分類をさせていただいております。
いずれにいたしましても、基本的には障害者の方々が地域で生活をする、その生活の場の確保という視点においては、委員御指摘のとおりだと思います。そういった視点をもってこういった多様なニーズに対応できる施設整備というものを考えていかなければならない、私どももそういう理解で進めていきたいと思います。
それから、ショートステイをこういうグループホームでありますとかあるいは福祉ホームで受け入れるようにしたらどうかという御指摘であります。
ショートステイというのは、結局、家族がその人の介護も含めていろいろなケアをしていく役割が一時的に途絶えてしまって、なおかつ、かといって精神症状でそうなっているわけでもない、しかしそういったケアがないといけない場合にその介護あるいはお世話していただく方がいなくなったときに受け入れるということになりますと、在宅でやっていただいていたような介護でありますとかあるいは食事の世話とか、いろいろなことをしていただける程度の一定の施設規模が必要なのではないかということから、現在の福祉ホームあるいはグループホームでそれに対応できるというだけの体制が必ずしも十分でないことから、そういったところをショートステイの受け入れ先として今は考えてはおりません。
そういうことでございますが、いずれにいたしましても、非常に少ないという実情もございますので、今後、例えば授産施設ですね、こういったところはかなり体制が整っておりますので、授産施設にはぜひこのショートステイの機能は担っていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/59
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060・土肥隆一
○土肥委員 いや、それはちょっと困るのですね。ショートステイというのは、受け入れ先があって初めてショートステイという制度が可能になるわけですから。入所型の授産施設にお願いする、これだって、入所型の場合はベッドもそう余裕があるわけではございませんし、そのために一ベッド、二ベッドあけておいてくれというわけにもいかないわけでございます。
では、端的にお聞きしますけれども、ショートステイのステイ先はどこなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/60
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061・今田寛睦
○今田説明員 現在の受け入れ先としては精神障害者生活訓練施設を考えておりますが、これに加えまして、現在、先ほど申し上げました授産施設についてもこれを広げるべく検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/61
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062・土肥隆一
○土肥委員 まだ具体的に実施要綱が決まっていないので、そのときにもう一遍改めて確認させていただきますけれども、老人の場合は特養なり、幾つでもあるわけでございまして、ショートステイ事業というのは日常的に頻繁に行われているわけでございます。特に、最近の特養などは、ショートステイ用に最低二十とか三十ベッドを用意するという時代でございますから。
私は精神病院についても考えがございまして、十万人からに及ぶ社会復帰施設部分は、もう病院の建物の中で、病棟を分けてもあるいは壁で仕切ってでもいいですから、社会復帰に向けた病棟ですよ、そしてなるべく開放病棟にして、大体精神病院の中に同じ敷地に社会復帰施設なども持っていらっしゃいますから、そういうショートステイの利用施設としても精神病院が機能してもいいのではないか。何か、いつもいわゆる精神科救急というようなことで言わなくても——ただし、診療報酬をどうするのかというような話もまた出てくるかもしれませんけれども。多面的な受け入れ先がないとよくないし、あるいはボランタリーなごく普通の家庭で、一晩くらいならお預かりしますよというような家が出てくるくらいの社会になってほしいなというふうに考えております。
そうすると、今のところ、福祉ホームは使わない、授産施設の入所型と、もう一つおっしゃったのは何でしたっけ、再度お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/62
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063・今田寛睦
○今田説明員 生活訓練施設でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/63
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064・土肥隆一
○土肥委員 それはどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/64
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065・今田寛睦
○今田説明員 全国で今まだ二百カ所が整備されているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/65
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066・土肥隆一
○土肥委員 全国で二百カ所とか、とにかく精神の世界は百単位でございまして、ショートステイにはなかなか役に立たないというふうに思うわけでございます。
やはりグループホームなんかも、病気の症状が変わったわけではないわけでありまして、そこではみんな生活しているわけで、畳の部屋があれば布団一枚敷き足して泊まってもらえばいいわけですしね、そんな難しく考える必要ないと思うのですね。その部分について費用負担などは若干決めればいいわけでございますし、福祉ホームや援護寮、授産施設、どこでも受け入れますよ、あるいは受け入れることが必要とされているということをはっきりさせて、ショートステイの事業が活発になることを願ってやみません。
さて、今度、市町村で制度として、居宅介護等事業、つまりホームヘルプサービスと、短期入所事業、つまりショートステイ、これが入ってくるわけです。私はこれは英断だと思うんですね。大変勇気ある決断をしていただいたというふうに思います。また、そうでなければ患者さんの社会生活というのは維持できないというふうに思うわけであります。この二つの事業を展開する——御承知のように来年から介護保険が始まる。介護保険だけで腰が引けている市町村があるわけでございまして、聞くところによりますと、半年延期とか保険料は半年取らないとか。私、介護保険推進論者でありますから、腹が立って、煮えくり返っておりまして、たとえ千人、千五百人の村でもまずやってみなさいというのが私の基本的な主張でございます。その上、これは平成十四年からでございますから、介護保険の見直しをやる前に始まっちゃうわけですね。
まず、市町村に対してどんな説明と説得をなさったのか、その辺の経過からお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/66
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067・今田寛睦
○今田説明員 今回の法改正におきまして、ホームヘルプサービスを開始するということで市町村にどのような形で御理解いただいているかということでありますが、私ども、この原案につきましては、全国市長会、全国町村会に対して御説明を申し上げて、各関係者の皆さん方に御理解をいただいた上で提出をさせていただいたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/67
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068・土肥隆一
○土肥委員 それで何も文句をおっしゃらなかったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/68
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069・今田寛睦
○今田説明員 当時、介護の導入ということで大変な役割を今から演じていかなくちゃならないということを当然念頭に置かれた上で、なおかつこのショートステイとホームヘルプサービスについて市町村で行うという意味においては、これはやってもいいのではないかという形で御理解をいただいたというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/69
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070・土肥隆一
○土肥委員 これまた介護保険の結果次第ですけれども、相当問題になってくると思いますね。ですから、私の予想としては、介護保険、そして精神保健福祉の世界でも、ホームヘルプサービスが、首長選挙に名乗り出る人がいなくなるんじゃないかと思うくらい首長の責任は大変大きく重くのしかかってくるわけでございます。逆に、地域の住民、障害者、老人あるいは精神障害者のみならず、地域を大事にしようという本当に意欲のある首長がその時点で生まれてくるというふうにも思うわけでございます。
先ほどから何度も申しておりますように、ネーミングの問題にいたしましても、あるいは種別の問題にいたしましても、あるいは障害程度に応じたいろいろな、福祉ホームでありますとかそういう設備の分化といいますか、そういうやり方は実はホームヘルプサービスでは全く役に立たないんですね。役に立たないというよりは、いろんな人が自宅にいらっしゃるわけでございまして、多種多様な、生活上の問題から自分の心の病から含めてあらゆる問題を抱えていらっしゃる、そして辛うじて自宅の生活ができている、しかし、だれかに助けてもらわないと生きていけないという状況に至って初めてホームヘルプサービスが展開されるわけでございますね。そうなると、この仕事というのは、マンパワーあるいは福祉人材としてだれがやるか。
これは介護保険でも問題になるんでございますが、老人の場合は、これは介護保険事業者にぶん投げちゃっているわけですから、あとはうまくやっているかどうかだけチェックすればいいわけです。それから、そこで働く人件費なども、新しいスタートとしてやるわけで、これから厚生省も単価をお決めになるわけでありまして、用意ドンで始まって、文句なしに働きに応じて収入があるという世界になっているわけですね。
ところが、在宅精神障害者へのホームヘルプサービスというのは、一体どういうふうに料金設定なり自己負担なりしていくんだろうか、ショートステイの費用はどうするんだろうかということをすぐに考えてしまうわけでありますが、その辺の詰めた話は、ホームヘルプサービス事業の事業展開の骨子みたいなものはお決めになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/70
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071・今田寛睦
○今田説明員 まずヘルパー制度でありますけれども、現在、私どもも身体障害、知的障害に係りますホームヘルパーの制度を持っております。こういった人たちについては市町村でこれをやっていただいておりますので、あわせて、今後、十四年以降については精神障害者の方々もお願いをしたい。したがって、その人たちに係ります費用については別途十四年までに定めなければなりませんが、基本的には、従来の私どもが運営しているものを参考にしながら結果として決めていくことになるというふうに思います。
同じように、ショートステイにつきましても既に他の制度で行っている部分もございますので、そういったものも勘案しながら利用料等について設定を考えていくという予定にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/71
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072・土肥隆一
○土肥委員 そうすると、今身障者がそうでありますけれども、専ら行政ヘルパーを充てるということでいいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/72
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073・今田寛睦
○今田説明員 基本的に、現在、身体障害、知的障害につきましても市町村が中心にやっていただいておりますが、これらについて実施主体は市町村でありますから市町村が実施主体となりますけれども、そのときに行政ヘルパーというのが市町村に雇用されているヘルパーかあるいは市町村の委託を受けるヘルパーかという意味においては、そういうバリエーションはあろうかと思いますが、実施主体者が市町村であるという点においては何ら変わりはないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/73
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074・土肥隆一
○土肥委員 これは、介護保険の議論の中で、老人の場合は全部、いわゆる介護保険事業者がみずから擁しているヘルパーを使って、行政も介護保険事業をするわけですけれども、主に民間事業にどんどんかわっていくだろうというふうに思うんですね。今やこの介護保険の世界で、行政ヘルパーが今いらっしゃるわけだけれども、これ以上ふやすとかいうような時代ではないだろうというふうに思うんです。
私は持論として、障害者部分も老人介護と同じように在宅ヘルプサービスは統一してやった方がいいというふうに考えております。
例えば身障者は取り扱いが難しいとか、あるいは精神障害者はなお難しいとかというような言い方を始めるとまた差別化が行われるわけでありまして、そうではなくて、ヘルパーの側に多様なヘルパーがいて、精神障害者をお世話するのに訓練も受け、認識もあるいはそういう理解も十分得ておれば、何も特定の人がやる必要はないわけであります。身障者でもそうであります。身障者のデイサービスもあるわけでございますから。余り極端なボディータッチというようなものもそんなにあるわけじゃないわけでございます。顔をふくとか背中をふいてあげるとか足を洗ってあげるぐらいのことはだれでもできるわけでございます。
そういう意味では、今後のことになりますけれども、介護保険というようなシステムに身障者を入れた場合にどうなるかということは、過大な問題になりますのできょうは余り突っ込んだ話はいたしませんけれども、精神障害者の場合は数が多いということですね。相当な数がある。そうすると、行政ヘルパー、それが民間に委託している場合であっても、相当ふやさなければいけないという状況になるだろうと思うのですね。そのときに、行政が、市町村が、限りなく抱えていける事業だろうかということを思うわけです。
そういうことから考えますと、一つ、例えばケアマネジメントというような表現が精神の世界には出てまいりますね、私もこれはおやおやと思っているわけですが、私の考えでは、将来介護保険との共同事業にするようなことも含めてということかなというふうに思っております。
在宅のホームへルプ事業というのは、これは必須的人材というのはケアマネジャーなんですね、あるいはコーディネーターと言ってもいいと思いますが。これなしに、一々、この場合は保健所から在宅の精神障害者のところへ行って、生活を見て、そしてこんなヘルプ事業ができるねとかなんとかいってやっていたら保健所ももたない、あるいは精神保健相談員ももたない。やはりきっちりとした、社会支援をよく理解して、そして在宅の患者さんの置かれている立場をよく理解している適切な人材を送るというようなことをしないと、ローテーションでヘルパーをよこしていたんじゃ、これは大変なことになります。
そういう意味では、今後どうするかということでございますけれども、すぐに必要になるのがケアマネジャーです。この辺はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/74
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075・今田寛睦
○今田説明員 精神障害者につきましては、やはり社会性でありますとか、対人関係をとるのが余り上手でないとかいうようなこともありまして、本人のニーズに応じた支援がしにくい。そういうことでは、いろいろなメニューをつくっても、それをうまく利用するということについて御援助申し上げなければならない分野があるのだと思います。
そういうこともありまして、医療的ケアから地域的ケアへ、あるいは地域ケアの中でも地域に根差した分散化をしていく、あるいはリハビリテーション、授産など、そういった幅広い多様性のある内容について、どういうサービスをその人にとって最もふさわしく提供するかということについて、それをとらまえていただける人あるいはとらまえる仕組み、そういったものに着目いたしまして、このケアマネジメントの視点に立った考え方がどうしても重要になってくるだろう、このように思っております。
このことから、精神障害者のニーズへのそういった対応、それからそれに対する適切なサービスというものについて今試行的事業を行っております。都道府県単位ではございますけれども、こういった中で、ケアマネジメントに係ります方法でありますとか、あるいはどういう人がどういうふうにかかわり合いをすればいいのかといったことも含めて検討をさせていただいておりますので、この検討結果に沿いまして必要な対応をとらなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/75
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076・土肥隆一
○土肥委員 これは、これから先、私どももじっくりと見守りながら、精神障害者が待ちに待っていた住まいの場もどうやら見えてきたな、あるいは、ケアマネジャーのような人がいて、身辺のいろいろな問題についてヘルパーさんをよこしてくれたり、こういう問題について解決してくれるんだなというようなことになれば、随分安定した生活ができるなというふうに思います。しかし、それは緒についたばかりでございますからもう一つ先が見えませんけれども、誠心誠意頑張っていただきたい、我々も協力したいというふうに思う次第でございます。
最後に、大臣にお尋ねいたします。
精神病患者さんの病気に着目したあるいは病院に依存してきた患者さんの扱いから、これからやっと地域へと、そして社会的なサービスのネットワークというのができ始めたというふうな感がいたしまして、今回の法改正も五年後また見直すということになろうかと思いますが、ピッチを上げてやっていただきたいと思うと同時に、先ほど申し上げましたように、在宅サービスになりますとケアマネジャーが必置でございます。そして、そのケアマネジャーの一つの資質として、精神の世界であればPSW、精神医療のケースワーカーがどうしても必要なのですね。
私が今このPSWの世界で若干疑問を抱いているのは、試験も始まっておりまして、四千人ぐらいの人が資格を取ったといいますが、ほぼ病院勤務の人たちへの資格付与ではなかったのか。病院勤務は、病院という経営主体の中におりますから割に恵まれたといいますか、あるいは診療報酬もつくわけですから、精神保健福祉士の仕事に対する診療報酬もつくというような意味では非常に安定しているわけです。
今度は地域、在宅の世界にこのPSWの人たちが入ってくるとなると、これは全然格差があるわけですね。何しろ小規模作業所の国の補助金は百十万ですから、そんなもので役立つわけでないし、ですから、どうしてもそういうケアマネジャーなどという人は、これはPSWにやっていただきたい。民間にもどんどんPSWの人材がおりてきまして、そしてその人たちは、病院勤務じゃなくて、みずから意欲を持って精神障害者の在宅サービス、ショートステイに取り組んでもらえるような人材がどうしても必要だと思うのですね。
だから、今後よほど行政あるいは政治の場でそういう人材確保のドライブをかけないと成功しない仕事になるというふうに思うわけでありますが、今後の精神障害者の在宅福祉、地域福祉、そしてPSWの役割はどうあるべきかについて大臣のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/76
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077・宮下創平
○宮下国務大臣 委員の今の御意見をいろいろ拝聴いたしておりますと、やはり地域社会に溶け込んだ、地域社会とバリアフリーの、特に心のバリアフリーの社会の中で、障害者、精神障害者のあり方も模索すべきだというふうにお伺いいたしました。私もそれは本当にそうだと思うのです。
ただ、現状の段階では、やはり支援施設その他、グループ別の、定型化した施設を類型化してやるという手法に基づかざるを得ないという側面もあると思うのですね。それでこういう仕切りになったりしておりますが。では、グループホームと生活支援施設である宿泊提供施設とは一体どこが違うのかというような議論を考えますと、機能的に見ると非常に共通したものが多いわけですから、そういった点もこれから配慮しながら、現実の側面からこういう制度をスポットを当てて見ていかなきゃいかぬなという感想を持たせていただきました。
同時に、ケアマネジャーの問題等も、確かに施設に配置するということは優先して考えられるだろうと思うのですけれども、そういう考え方に立ちますと、民間に自由に相談相手になれるようなシステムで、専門家がいるということが極めて重要であると私も思います。したがって、当面この支援センター、いろいろつくりますから、そういう中の職員の研修、質を高めたり、あとそういう資格者も現場のかかわり合いに非常に魅力を感ずるようなバックアップをしていかなきゃいかぬなと思います。
そんなことで、人材確保というのはやはり基本ですし、その人材は、単に職業意識としてサラリーをもらうためにやるということでなしに、本来的に人間尊重といいますか、そういう視点に立ってやれる人たちを大いに養成していく、そして社会のあり方と一体化させていくということが必要なように感じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/77
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078・土肥隆一
○土肥委員 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/78
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079・木村義雄
○木村委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前十一時五十分休憩
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午後一時三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/79
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080・木村義雄
○木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。石毛えい子さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/80
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081・石毛えい子
○石毛委員 民主党の石毛えい子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず最初に、大臣に御認識を承りたいと存じますが、この法律案全体の評価についてでございます。
参議院では修正可決をされまして、参考人の皆様の御意見では一歩前進という評価もいただいているわけでございますけれども、参考人の方の御意見あるいは質疑等でもまだ人権の確保が、それからきょう社会復帰という表現が、土肥委員の御発言の中でこれはいかがなものかというような御意見もございました、地域生活の促進というような点からも課題を残しているのではないかと。そういうようなことも含めまして、参議院では五年後に向けた検討規定が修正可決されているという状況でございます。
その意味では、この法案は、あるべき目標からしますと、まだ中間的な段階にあるのかという思いがいたしますけれども、大臣の御認識はいかがでございましょうか。また、この五年間の間に解決していくべきどのような課題があるというふうに御見解をお持ちでいらっしゃいますでしょうか、お尋ねをいたします。
〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/81
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082・宮下創平
○宮下国務大臣 ただいま御審議をいただいております法律案は、平成五年の法律附則によりまして見直し規定が規定されました。それに基づいて、精神障害者の人権に配慮した医療の一層の確保や緊急時の医療の確保、あるいは在宅精神障害者の福祉施策の拡充等、かねてから指摘されている問題の解決を図ろうとして対応したものでございます。
この改正内容につきましては、おおむね公衆衛生審議会の意見具申に沿ったものでございますが、精神医療に関する情報公開の推進方策とか、また、重大な犯罪を犯した精神障害者の処遇のあり方等々、あるいは長期入院者の問題等々、幅広い検討が必要であるという旨の附帯意見をいただいております。
そうしたことを踏まえまして、今回はあとう限り人権に配慮した諸点の改正案を御審議をお願いしているわけでございますが、今後、そういった犯罪を犯した精神障害者の扱いの問題でありますとか、あるいは保護入院の問題でありますとか、あるいはまた長期入院の対応の仕方の問題等々、さまざまな課題がまだ残されていることも否定できない事実でございまして、こうした問題を含めまして、五年以内にということになっておりますので、結論が得られれば、あるいは五年を待たずしてやるということは自民党の方の提案等でもございますし、私としても、まとまればそういった方向で対応していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/82
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083・石毛えい子
○石毛委員 私は、例えば一九九一年十二月に精神病者の保護及び精神保健ケアの改善に関して国連原則が決議されておりまして、その中では、例えば病気をお持ちの方の治療はその人の地域でするというようなことに照らしましても、それから障害者の機会均等化に関する標準規則で当事者の方の意見を聞くとか、最近では、WHOの精神保健ケアに関する法基本十原則の中で、自己決定あるいは自己決定の援助というようなことを記しているとか、さまざまな国際的な情勢から見まして、まだ解決すべき本質的な課題が残されているというふうに認識しております。
それで、私の認識と大臣が今御答弁くださいました課題では重なる部分も、例えば保護者制度の検討というようなところではあるかと思いますし、あるいはずれているところもあるように今承りましたけれども、私の方の考え方を述べさせていただきまして、ぜひともどうぞよろしく御検討くださいと御要望を申し上げさせていただきたいと思います。
それでは、この法案の具体的な中身で、法律と実態の乖離というような問題につきまして、精神障害者の方の人権確保という角度で少し具体的な点を質問させていただきたいと思います。
例えばでございますけれども、措置入院や医療保護入院、あるいはこの間の質疑で任意入院の患者さんも随分閉鎖病棟におられるというような御指摘もございましたけれども、その閉鎖病棟で通信の自由の確保というような観点からいえば、公衆電話がどのように設置されているかというのは大変重要な問題であるということは申し上げるまでもないと思います。
そこで、一九九五年の総務庁行政監察報告では、このときの勧告としまして厚生省に改善勧告がなされました内容をちょっと触れてみますと、調査対象二十八病院のうち電話未設置病院が四病院、看護婦詰所に設置が七病院、それから行政機関の電話番号を掲示していない病院が八となっている。これに対して厚生省は、九六年六月と翌九七年十二月に改善措置状況を回答し、十七病院で改善、それから残り二病院は近く改善というように報告をされておられます。
ところが、さらに翌年の九八年、これは、国立精神・神経センター及び国立精神療養所の立入調査の結果としまして、ここでも電話未設置病棟があるというような指摘がなされております。そのほかにもいろいろな立入調査の結果の問題点が指摘されております。
私は、このような経緯をたどり返してみますと、例えば午前中の議論でもございましたけれども、精神医療審査会の機能を強化してこのような権利をもっと遵守していける仕組みをつくったというふうにお考えになっていらっしゃると思いますけれども、まず、こういう事例が今なお後を絶たないというようなことについてどのように認識していらっしゃるでしょうか。
あるいは、九八年のこの報告以降、精神保健福祉センターなど都道府県はこういう実態を調査されているのでしょうか。そのあたりをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/83
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084・今田寛睦
○今田説明員 まず、平成七年の行政監察結果に基づく勧告におきまして、「人権に配慮した措置の徹底等」という項の中で、電話の整備等について指導するよう指摘を受けたところでございます。それを受けまして、全国の厚生関係部局長会議などの各種会議におきまして指示申し上げますとともに、事務指導監査それから通知の発出等を通じましてこの趣旨を徹底するようにということで措置をしたところでございます。
しかしながら、平成十年に厚生省が実施しました国立の精神病院の立入調査の結果では、三病院において公衆電話が設置されていないというようなことが明らかになったところであります。
全国の精神病院の模範ともなるべき国立の医療機関におきましてこういったことがあるということはまことに遺憾でありまして、この事実を厚生省としては本当に真摯に反省して、改善に努めることとしたところでございます。
もちろん、この調査結果を踏まえまして、都道府県などとも協力して精神障害者の人権に配慮した精神医療の確保に取り組んでいく所存でありますが、なお、精神病院に対しましては、原則として年に一回はすべての精神病院に都道府県の立ち入りをすることとなっております。厚生省も、この年一回の都道府県等によります立ち入りの指導状況を確認するというようなことなどを通しまして、精神病院における処遇の実態の把握及び改善指導について徹底することとしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/84
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085・石毛えい子
○石毛委員 ただいま、年一回都道府県の立ち入りを実施し、その結果について指導をされるという御回答をいただいたと思います。そういうような実施状況あるいは今回の法改正で、先ほどの精神医療審査会の機能強化というようなところで、これから精神病院は、たまたまのこととして、ケアレスのこととして何かがあるということは、これはあるのかもしれませんけれども、今回の法改正あるいは今おっしゃられました行政の取り組みによりまして、今後人権侵害は基本的には起こらない、起こさないというように御確認いただけるんでしょうか。今回の法改正はそういうところまでラインを引き上げたというふうに認識させていただいてよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/85
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086・宮下創平
○宮下国務大臣 今回の改正の主眼点は人権の配慮あるいは確保ということでございまして、今病院に対する立入検査のお話がございましたが、今お話しのように年一回立入検査を行いますが、同時に入院患者の診察とか人権の保護に関する聞き取り調査も実施するように指導をいたしております。
そういった意味で審査会の充実でありますとかいろいろ各種の施策を行っておりますが、私どもとしてはこれによって人権擁護の施策が相当前進したものというように受けとめておりますが、なお、こうした病院の性格上あるいは患者の性格上、どうしてもそういうことの可能性なしとしないと私も思います。したがって、よく都道府県等を通じあるいはいろいろな所要の関係者に注意を喚起して、この改正の趣旨を徹底していかないといけないと思いますので、人権擁護ということは一つの大きな柱になっておりますので、その角度から指導してまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/86
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087・石毛えい子
○石毛委員 今の大臣の御答弁は、その御決意という意味では大変重いものとして受けとめさせていただきたいとも思いますけれども、ただ、国立精神・神経センター及び精神療養所の立入調査の結果で私は大変驚くんですけれども、患者の処遇についての調査結果が、身体的拘束ということに関しまして、調査実施患者さんの人数八十八人のうち、すべて適正に実施されているものが五十一人、五八・〇%。ほぼ半分の方が、九八年の時点、昨年の時点でなおこういう状況にあるということは、行政指導を強めますというようなレベルではとても解決つかないのではないかという思いが私は強くいたします。
そこでもう一歩先に進めてお尋ねしたいと思いますけれども、私は、精神病院、精神医療機関に、例えば精神科のドクター、従事者、そして患者さんという、そうした二者の関係だけではなくて第三者の関係がここに介在できるようにすべきではないか、第三者のチェックが可能な仕組みにすべきではないかというふうに考えております。
先日のこの委員会での参考人質疑で小林参考人もおっしゃられていたと思いますけれども、せっかく精神医療審査会があってそこに患者さんの権利の擁護に関して申し出をしていくことができても、退院請求する患者さんの人数が、本当に、三十万余入院されているのに千件に満たないというような状況、あるいは処遇改善請求も五十件ぐらい。ですから、請求そのものがなければ審査会の機能を強化しても働きようがないわけだと私は思います。
例えば行政の方の指導監督の結果から、また審査会が機能するというルートもあるのかもしれませんけれども、小林参考人がおっしゃられていましたように、何より大事なのは患者さんが御自分の悩みや困っていることを、これはおかしいんじゃないか、これは人権侵害ではないかというように感じ、受けとめていらっしゃることを少しでも発言しやすい療養環境をつくっていく、アメニティーを高めていくということで、私は第三者によるチェックシステムをつくっていくということが今問われている大変重要な課題ではないかと思います。
東京にも大阪にもあるいは各地にも患者さん当事者の方によるアドボカシーのNPO的な活動組織もございますし、あるいは関係者の方たちの活動もございますから、第三者の方がチェック機能を果たす方法でアドボカシー機能を充実していくことが、今十分に可能なインフラはできつつあるんだというふうに認識しておりますけれども、この辺はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/87
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088・宮下創平
○宮下国務大臣 一般論としては、第三者機関が最近の情報公開その他いろいろな重要な問題について関心を示しながら、いろいろな意見を述べられる機会が多くなっているのは御指摘のとおりだと存じます。
しかしながら、この問題は精神障害者を対象にしておりますから、判断能力も必ずしも十分でないとか自分の意思を正確に伝えられない、そのために病院においても本人の意思に反したような処遇が行われるという可能性があるわけでございますので、私どもとしては、今回の改正で指定医の取り消しの問題を初め、精神医療審査会におきましても、これは内部的な行政組織かもしれませんが、その機能強化を図ったところでございます。
他方、一般論として今申しましたような傾向にはあり、その意見はだんだん反映されてくるような情勢になってきていると思いますけれども、NPO等の外部団体によるチェックというのは、やはり入院患者のプライバシーその他医療関係者との問題もあり、これが制度化されていいかどうかということは慎重な配慮を要するんじゃないか、第三者による意見の吸い上げは当然審査会等でも行っていかなければいかぬと思いますが。
そんな意味で、プライバシーとの関係で、こうした問題に対応するには慎重な配慮が必要だ、私どもとしては今回御提案申し上げております審査会の拡充強化によって対応していきたい。そのほか、法の隅々に人権配慮の規定をちりばめているわけでありますけれども、これがそれぞれ実効性のある政策を展開すべきものだというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/88
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089・石毛えい子
○石毛委員 プライバシーの保護をどうするかということについてはもう少し議論をさせていただきたいという気持ちもありますけれども、私がいただいています質問時間は六十分ですので、私の方から考え方を述べさせていただいて、次の質問に移りたいと思います。
最近の精神保健ケアに関する法基本十原則、WHOの精神保健・依存症予防部門が出しているこの文書を拝見しますと、自己決定の過程を援助される権利としまして、その指針としまして幾つか挙げられているんですけれども、法律家やソーシャルワーカーももちろん挙げられていますけれども、四番目に「オンブズマンや患者自治会のような、精神科患者に援助を提供する仕組みを構築する。」というようなことも現にWHOの指針の中に挙げられている。
ですから、プライバシーの保護というのは、システムとしてどういう担保の仕方をするかということによって、大臣のお考えと私が今申し上げているそこの考え方の間の線の引き方というのは当然違ってくることだと思いますし、私は、WHOの基本原則の中でもこういうことが指摘されておりますということを申し上げさせていただきたいと思います。
それから、安田系病院、特に精神病院大和川の問題にしましても、大阪の精神医療人権センターが本当にたゆまぬ継続したアドボカシーの活動をされていらしたからこそ、大阪府も大阪市もその緊張関係の中で行政としての役割を果たされた、そういうダイナミズムがあるんだと思います。
そういう意味で、医療者あるいは医療経営者の方と患者さんという二者の関係だけではなくて、やはり総体的に判断でき、そして患者さんの人権あるいは治療に関して一緒にアドボケートできるような仕組みということに、この五年間の検討経過の中ではぜひとも実現する方向でお受けとめいただきたいということを要望申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
保護者制度でございますけれども、これも随分委員の皆様から御見解等々が述べられております。今回、自傷他害防止の監督義務というのが保護者の方からなくなりましたということで一歩前進と評価されているところでございますけれども、まだ財産上の利益の保護や医師への協力義務というようなことはこの法文の中に規定されてございます。
それから、引き取り義務というようなことに関しましても、今、民法の扶養義務者の義務というのは経済的扶養義務であって、介護等々の実体的引き取り義務というか扶養義務というのはないというふうに認識されるようになっている、現時点では保護者ないしは保護者の一部であります扶養義務者の役割についての認識がそこまで来ていると思います。
それから、今国会では来週か再来週ぐらいから審議が始まるのかと思いますけれども、民法一部改正で新しい成年後見制度がスタートしようとしております。こういう時期に、なぜこの精神保健福祉法の中でなお引き取り義務や財産利益保護が残されたのでしょうか、そのことについてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/89
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090・今田寛睦
○今田説明員 今、私どもの所管しておりますこの精神保健福祉法におきましては、精神障害者がその疾病の特性によりまして病識を欠いて医療を受ける機会を逸することがあり得るということに対して、精神障害者の人権に配慮しながら適切な医療及び保護の機会を提供する役割を果たす者として、身近なところに、その保護者の役割というものに期待をして制度化をされている、そのように認識しております。
一方で、成年後見制度につきましては、判断能力が不十分な者の財産上の保護を図るための制度でございまして、精神保健福祉法上の保護者の役割と必ずしも同じレベルの役割ではないというふうに思われます。そういう意味で、現在の後見制度の見直しは保護者制度の廃止につながるものではないという考え方から残させていただきました。
ただ、本人の保護を図る上で成年後見人が最も責任を有する、こういうことになっておりますことから、保護者になることができる者の範囲について、後見人のほかに、新たに成年後見制度における保佐人につきましても保護者になれるというような形で成年後見制度との連携を図ることとしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/90
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091・石毛えい子
○石毛委員 その成年後見制度と保護者の仕分けにつきましては、後ほどもう一度、地域福祉権利擁護制度との関連でお尋ねしたいと思います。
事実のこととしてお教えいただきたいと思いますけれども、公衆衛生審議会の専門委員会の資料を拝見しておりますと、「措置入院から直接地域に退院する者や仮退院を行う者についても、地域で生活出来るようになるまでの支援は必要なのではないか。」という文章の続きに、「しかしながら、引き取り義務の表現を実態に見合ったものとすることについて検討するべきではないか。」という、これはどういうことなのでございましょうか、あるいはどんな検討がなされたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/91
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092・今田寛睦
○今田説明員 御指摘のように、精神保健福祉法に関する専門委員会の「保護者の義務について」という検討メモがございます。この中で、御指摘のように、引き取り義務の表現を実態に見合ったものにするということについて検討すべきではないかとの意見はございました。
その後、保護者の引き取り義務につきましては、その義務の対象となっている措置入院患者の措置が解除されたときに、その後も引き続いて医療等を確保する必要がある場合が多いということで、そのような場合にやはり保護者による支援を確実に担保する必要があるということから、御指摘の委員会の報告書、それから、その後の公衆衛生審議会の意見書においても、引き取り義務について当面は必要であるという結論に至ったというふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/92
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093・石毛えい子
○石毛委員 当面は必要であるというのが結論というふうに承りました。
次の質問ですけれども、法律二十一条に、保護者がいないときなどは市町村長が保護者になるという規定がございます。この制度も、公衆衛生審議会の専門委員会では、現在の制度では市町村長の保護者としての役割が果たせていないのではないかという議論がいろいろなされた後に、現在の制度にかえ、市町村による成年後見人の申し立て制度を設けて、従来市町村長が行ってきた役割を成年後見人が担うようにするという検討がなされたという指摘が先ほど来の報告書にございます。その結果として、九九年一月には、審議会の意見書は、市町村による成年後見人の申し立て制度を設けることというふうに提起されたということです。今回、予定されております民法改正に伴う整備法としまして、精神保健福祉法五十一条の十一の二に市町村長による審判の請求が新設されました。これが経緯でございます。
しかし、この新設された規定はできる規定というふうになっておりますので、実際には市町村長が成年後見人の申し立てをするということが余りなされないのではないか。なされないとしたら、現在、市町村長が保護者になられていても、その問題点、矛盾点がなかなか解決していないとかいろいろ指摘されておりますけれども、そういう事実は解決せずに依然として残ってしまうことになるのではないか。
これも法規定と実態が遊離するという一面かというふうに思いますけれども、このあたりについてどのように認識をなさっていらっしゃるのでしょうかということをお尋ねしたいと思います。
〔鈴木(俊)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/93
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094・今田寛睦
○今田説明員 五十一条の十一の二の規定は、今御指摘いただきましたように、民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案により追加される条文でありますけれども、この規定の趣旨につきましては、身寄りのない精神障害者の保護の必要性について迅速かつ的確な情報を入手することができ、かつ、本人の利益保護のために申し立て権を適切に行使することが期待できる関係機関ということで、福祉関係の第一線にあります行政機関たる市町村長に申し立て権を付与する、こういう仕組みになっているわけであります。
問題は、これができる規定になっているということでありますが、もちろん身寄りがないという場合の保護者は市町村長がこれを担っていただく、しかし、市町村長が担っていただくについて、必ずしも市町村長が十分な保護者としての役割を演じているかどうか、この点は確かに問題があるケースが存するということは言えようかと思います。
市町村長がもしそうであれば、それよりももっといい保護者としての役割は、この民法の改正によって申し立て権を行使して、新たな後見者として家庭裁判所が選任される方が、本当にそのケースにとっていいんだというような御判断をしていただけるという選択肢が今度広がるということになります。
したがって、もちろん判断は家庭裁判所でありますし、申し立てをするかしないかは市町村の判断ではありますけれども、今の保護者制度というものとこの制度という選択肢の広がりの中で、最もそのケースにふさわしい保護者というものが得られ、その人たちの活動がその患者さんにとって有利に働くという点においては大変前向きな民法の改正でもありますし、五十一条の十一の二の運用はそのような形で利用していただけるようにこれから御指導していかなければならないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/94
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095・石毛えい子
○石毛委員 次の質問ですけれども、厚生省社会・援護局が今年度から導入しようとしております地域福祉権利擁護制度とこの保護者制度がどのような関係になっているかということをお教えいただきたいと思います。
精神保健福祉法では、例えば家族や親族以外の者で保護者になれる方は、後見人、または先ほど御指摘がございました、新しく制度が成立したら保佐人ということになります。一方、社会・援護局の方で計画されております地域福祉権利擁護制度の方では、専門員とか生活支援員という新しい機能が生まれてくるわけですけれども、この方たちは精神保健福祉法の保護者になれるというわけではありませんから、それぞれ違っているわけです。
他方で、例えば地域福祉権利擁護制度の生活支援員の方がどんなことをなさるのかというようなことを、厚生省が出されております説明資料などを拝見しておりますと、日常生活に伴う契約に生ずる金銭の管理というようなことが生活支援員の役割として書かれているわけですね。
そうしますと、先ほど御指摘くださいました医療の必要性というところでは、まだここのあたりは生活支援員や専門員がどういう役割を果たすのかというのは最終的には結論が出ていないかと思いますけれども、財産管理の方では実態として重なっている部分があるんだと思います。障害基礎年金も累積すれば非常に高額になるわけですから、財産の定義もいろいろあるのかもしれませんけれども、そういうふうに申し上げてもよろしい局面もあるかと思いますと、保護者と生活支援員が重なる仕事をすることになるのではないか、このあたりはどんなふうに仕分けをするんでしょうか。これからルールを定めていくんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/95
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096・炭谷茂
○炭谷政府委員 まず、地域福祉権利擁護制度でございますけれども、この趣旨というのは、先生十分御存じのようでございますけれども、結局、自立した生活を援助するために新たに今年度から導入しようとしているものでございます。
そのために、現在の生活支援員の役割でございますけれども、自立するために必要な福祉の面のサービスという、まず領域の制約があるわけでございます。福祉のサービスを利用するに当たっての情報の提供とか、また、どのサービスがいいかという選択の援助をする、そういう福祉の面の制約が一つございます。
それと、今先生御指摘されました財産管理の問題ですね。これは、確かにそういう面がありますけれども、私どもの地域福祉権利擁護制度の場合は、日常生活に必要な割合少額の金銭管理というふうな制約で考えております。これはやはり民法上の成年後見制度との調整というようなところから出てきておりますので、精神保健法上の保護者とはややその領域が異なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/96
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097・石毛えい子
○石毛委員 イメージが、法律の制度にイメージという表現は適さないのかもしれませんけれども、今ずっとお話を伺っていまして、イメージが何か私の中では少し整理をされてきたような思いがするんです。
成年後見制度は、大別すれば財産管理に関するもので、後見、保佐、補助ができていくわけです。それで、地域福祉権利擁護制度の中での専門員、生活支援員は、ここで金銭に関して扱う領域というのは少額の金額だと。少額というのはどういう金額かよくわかりませんけれども、私は、ちょっと先ほど申し上げましたけれども、年金も累積すれば大きくなるわけですし、そういうこともありますから少額というのはどれぐらいかなという思いもあります。
それから、あと、専門員がこれからケアプランをつくっていくということになるんだと思いますけれども、そのときに、例えば医療の受療に関してどういう役割を果たしていくかというようなこともこれからの検討課題であると思いますけれども、その辺がまだグレーゾーンというか確定していない部分かと思いますからあえて触れません。
今の御回答ではっきりしましたのは、結局、精神保健福祉法の保護者制度が残って、財産管理の問題も、医療の必要性といいますか、保護者として医療を推奨していくというその責任も精神保健福祉法の中に残っていて、その部分に関して地域の権利擁護システムの方にあるいは成年後見制度の方にシフトすることではありませんというのがはっきりしたわけですね。そういうふうに確認させていただいてよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/97
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098・今田寛睦
○今田説明員 権利擁護システムという意味から見れば、おおよそ御指摘のとおりだと思いますが、民法の方でいいますと、民法で後見人あるいは保佐人というのができた場合に、その後見人、保佐人がまさに保護者になっていただける第一順位、第二順位ということでありますから、決して民法の方にも縁がないということではないというふうに私は理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/98
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099・石毛えい子
○石毛委員 わかりました。おっしゃるとおり、ちょっと私の発言が不十分だったと思います。保護者になれる資格要件として後見人、保佐人があるというところで重なるというところは、おっしゃるとおりだと思います。
ただ、私が指摘させていただきたいのは、先ほどの、例えば精神病院の評価システムとして第三者が入れる仕組みをつくれるようにすべきではないかということとある意味では同質の発言になるかと思いますけれども、せっかく地域に地域権利擁護システムというようなものができてくれば、例えば措置入院をだれがどう判断するかというのは、これはまたこれとして議論しなきゃならない問題ですから、それは別にしましても、例えば入院されていらっしゃる精神障害の、精神の病気をお持ちの患者さんのところに地域の権利擁護者が訪ねていって、それで、何か問題がありますかというような、そういう機能は当然果たしてもいいのではないか。そういうふうに考えていかないと、せっかく今大きくシステムが動こうとしているときに、この時代、もとの制度の上に何かを足していくというのでは足りないのではないか。せっかく新しい制度が生まれようとしているときに、そちらにシフトして、精神医療、精神病院というのがもっと相対的な関係の中に位置づくようにしてもよろしいのではないかというのが私の見解なんでございます。
大臣、こういう時期でございます、今国会は社会福祉事業法の改正は間に合うかどうかというふうに言われているようでございますけれども、いずれにしろ、今、措置から契約へとか、権利擁護とか大変大きく動いている時期ですから、この精神保健福祉法案の中での保護者制度も、もう一歩も二歩も進んで、もっと抜本的な改革が今回提案されてもよかったと思います。でも、今回そういう法案にはなっておりませんから、これからの地域福祉権利擁護制度との絡み合いで、ただいま私が申し上げましたことなどに関しまして、大臣、どのような御感想、御認識をお持ちでしょうか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/99
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100・宮下創平
○宮下国務大臣 十分検討に値する御見解だと思います。
この保護制度については両論ございまして、廃止した方がいいという意見もかなり強いわけでありますから、そうなれば、それに補完すべきいろいろのメカニズムが必要になるわけで、今御提言のような考え方も一つの有力な考え方だと存じますので、それらを踏まえて今後保護制度のあり方については検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/100
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101・石毛えい子
○石毛委員 参議院の附帯決議でもこのことは触れられておりますし、それから、参考人の皆様、多くの方が保護者制度の廃止ということは御主張されているところですので、ぜひよろしくお願いいたします。
次に、今法案で新しく規定されました移送についての質問をさせていただきたいと思います。
第二十九条の二の二ということで、都道府県知事が移送という役割を負うということが新設されることになりました。
まず最初に、お教えいただきたいのですけれども、法規定自体は新しくされているわけですけれども、実態とすれば、医療保護入院でさまざまなところで移送が現実にされてきていると思いますので、移送はどういう実態でこれまでといいますか、今行われているというふうに厚生省として御認識になられているかということをお教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/101
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102・今田寛睦
○今田説明員 精神病院にどのような形で患者さんが移送されているかということでありますが、これまで措置入院のように強制的に入院させざるを得ない場合については当然県の責任でやっているわけですが、通常そういった緊急の場面でどういうアクセスをとっているかという意味につきましては、平成九年の精神障害者の精神医療へのアクセスに関する調査というのがございます。この調査につきましては、県庁所在地等にございます保健所百五十一カ所を対象といたしまして、緊急時の対応、搬送手段について調査した結果、次のような割合で出ております。
この割合につきましては、保健所数で出ておりますので、必ずしも実数を反映しているとは言えないかと思いますが、そういうことを御容赦いただいた上で申し上げます。
まず、家族等の協力で説得をして搬送したというケースが、百五十一カ所の保健所のうち百三十三の保健所でそういったケースがあった。ですから、そういうケースがあったということであるので、先ほど申し上げましたように、実数を必ずしも反映しているということではございません。それから、救急隊に依頼するという形で対応したケースがどれだけの保健所であったかといいますと、救急隊では百五十一のうち三十七。それから、保健所の職員が一緒に説得といいますか患者さんの理解を求めたというケースは九十四、大体六割くらいの保健所でそういったケースがあった。それから、警察職員によって待機を依頼したというケースは、百九の保健所でそういうケースを経験いたしております。それから、医療機関に往診を依頼したというケースは五十五保健所、大体三六%くらいの保健所がそういうケースを経験しております。それから、移送制度の問題点として、民間搬送会社が必ずしも人権上の配慮をしていないんじゃないかということにも関連いたしますが、民間搬送会社の存在が示唆されるような内容、そういったケースを経験された保健所というのは十六保健所、約一割がそうであった。こういう調査結果が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/102
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103・石毛えい子
○石毛委員 その調査には、介在した保健所がある意味でスタートのところになるわけですから、搬送になった入院先の病院に到着するまでどれぐらいの搬送時間を要したか、そういう結果はないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/103
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104・今田寛睦
○今田説明員 そういうデータはこの調査ではとっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/104
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105・石毛えい子
○石毛委員 先日のこの委員会での伊藤参考人の意見要旨の中にも、移送制度というのは、本当にきちっと運営されていかなければ大変に危険な安易な患者収容手段になってしまうのではないかという御指摘がなされました。
大和川病院に入院されている患者さんもどこからいらしているかといいますと、決して大和川病院の近所にお住まいの患者さんではなくて、奈良県だったり和歌山県であったり兵庫県であったりということで、警察によるのかどこによるのかわかりませんけれども、大和川の場合は警察が非常に多いという報告もあったと思います、そういう形で移送されてきているという事実が現にあるわけです。
それから、先日の山本委員の御質問の中にも、応急入院ができる病院は二次医療圏の中にどういうふうに充実させていけるんだというようなことともかかわりまして、場合によってはその移送を例えば車でしましても、三十分それに乗っていたり、一時間乗っていたり、場合によってはもっと長く乗っていたりといいますと、そこが拘束される場になるわけですね、移送される患者さんにとりましては。ですから、そこでの人権がどのように守られるかというのは、この移送の制度を新しく設けていくというときにはとても重要なポイントになる点の一つだというふうに思います。
法文を読んでみますと、都道府県知事は、移送を精神障害者の方に関して行う旨、その他厚生省令で定める事項を書面で知らせなければならないというふうに記載されてあります。具体的には省令になっていくわけですから、これから決めていくことだというふうに思いますけれども、例えば書面で知らせることというのはどういう範囲のことを今想定されていますか。そのあたりは御指摘いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/105
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106・今田寛睦
○今田説明員 まず、この移送制度が適切に運用されなければならない、御指摘のとおりだと思います。
しかも、緊急に入院する必要があるにしても、少なくとも精神障害のために患者自身が入院の必要性が理解できないというような状況である必要もありましょうし、それから家族や、主治医がいる場合は主治医が説得の努力をしても本人がそれでもなおかつ同意しないというような、ある程度必要な最大限の本人の説得の努力というものを行ってもなおかつそれにも応じることなく、症状からどうしても入院して医療を施さなければならないケースというふうな形で運用されるべきものと思います。
そういう状況に陥った場合に、精神保健指定医がそういう必要があると判断したところで移送に入るわけでありますが、移送をする前に書面において告知を行うということでございます。
御指摘の告知の内容でありますけれども、これは既に医療保護入院を行う場合等に課しております告知の範囲というものを念頭に置いて、基本的には強制的に入院するという前提において必要であると今規定しているものを当然念頭に置いて、新しくこの内容、運用について政省令等で規定をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/106
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107・石毛えい子
○石毛委員 この移送は都道府県知事が実施するということでございますけれども、具体的な場面を想定してみますと、その構成はどんなにしても、御本人、御家族ないしは周囲の方、それから移送の前に指定医の診断が要るわけですから、それに移送に携わる方ということになるのだと思いますけれども。
例えば移送に際して、指定医のほかに、都道府県立の保健所ですとか精神保健センターの職員の方ですとか、そういう行政職員が移送の場に同席して総体的な状況をきちっと把握する、そうしたことはございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/107
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108・今田寛睦
○今田説明員 移送の具体的な運用につきましては御指摘の点も踏まえて今後さらに検討していくことになりますけれども、都道府県の職員がこれに立ち会うということは、基本的にそれを念頭に置いて今後の運用を定めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/108
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109・石毛えい子
○石毛委員 この件に関しまして大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、院内処遇に関してさまざまなガイドライン、基準などが設けられているわけですけれども、移送に関しても同様に、移送中の処遇に関する基準、ガイドラインというようなものをおつくりになりまして広く情報公開されていくというお考えはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/109
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110・宮下創平
○宮下国務大臣 御議論いただいております移送は、本人の同意に基づかない強制的な性格を有しております。したがって、法案におきましては手続や処遇のあり方についてそれぞれ必要な事項を規定しております。
すなわち、手続的に申しますと、移送の要否や行動の制限の要否については、都道府県知事の指定する指定医の判定を要件とする、今御指摘のとおりです。それから、移送を行うに当たっては、移送を行う旨の所要事項を本人に書面で告知する、これもおっしゃられたとおりですね。
それからまた、移送中の行動制限につきましては、本人の医療または保護に欠くことのできない限度において厚生大臣が具体的に定める基準に基づくものとされておりますので、このような行動の制限について定めるということで、法律に書かれた内容に従いまして、今後、精神障害者本人の医療の保護、保護者の保護並びに人権の配慮等の視点に立って、専門家の意見を聞きながら基準を定めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/110
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111・石毛えい子
○石毛委員 基準を定めるということでございますので、ぜひ移送中の人権が守られますように、そしてまた民間の搬送会社が悪いというふうに前提的に決めつけることも、これから基準ができていけばいかがかと思いますけれども、ぜひとも人権が侵害されることがないようなガイドラインの制定をお願いしたいと思います。
あと一分ぐらいしか時間がないのですけれども、質問を幾つか飛ばしまして、最後に、今、日本の精神医療の状況につきまして、一般病院の中での精神病床の割合がどれぐらいかということをぜひともお教えいただきたいと思います。
〔委員長退席、佐藤(静)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/111
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112・今田寛睦
○今田説明員 平成九年度病院報告によりますと、精神病床を有する病院は、全体で申し上げますと千六百六十八ございます。このうち、精神病床を持っている一般病院が六百十三ございます。ベッドで申し上げますと、全病床数三十六万床でございますが、そのうち、精神病床が一緒にある一般病院の病床については九万八千床、二七・三%がそのようなベッドとして整備されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/112
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113・石毛えい子
○石毛委員 質問のレクをさせていただきましたときに、病院の分類の仕方もなかなか難しいというふうに言われましたけれども、いわゆる総合病院というとらえ方が今されているのかどうかというのもあるのかとも思いますけれども、一般総合病院の中で精神科病床というのはどれぐらいなんでしょうか。今の部長のお答えですと、例えば精神病床の中に内科の部分があるとかということになるんだと思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/113
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114・今田寛睦
○今田説明員 今御指摘いただきましたように、精神病床には、例えば内科と外科があって精神科があるというのもあれば、内科と精神科、いろいろあることもあって、その分類が非常に難しい。そういうことでありますが、いわゆる総合病院に相当するところで精神病床がどれだけあるかということにつきましては、関係学会のデータでありますけれども、四万五千床というふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/114
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115・石毛えい子
○石毛委員 もう時間が終わってしまったんですけれども、きのうレクチャーを受けましたときには、いわゆる総合病院の中で一般病床は大体二万床程度ではないかというような……。二万床ですと全精神病床数の五%、今部長がお答えになりました四万床ですと一〇%ということになるんだと思いますけれども、私が申し上げさせていただきたいのは、ずっとこの委員会で、精神病者の方、精神障害者の方に関する偏見、差別の問題ということがありました。福祉政策の方では随分ここで議論されましたけれども、肝心の医療が地域で受診できないところで、本当に日常の生活関係の中でさまざまな方との出会い、関係が結ばれていくのでしょうか。それは大変難しいのではないでしょうか。ぜひとも地域の総合病院の中に精神病床を持つ、あるいは精神科外来を持つということが、福祉政策の充実のもっと前段のところで大変重要ではないでしょうか。最後のところは申しわけございません、本当は確認していただくべきでしょうけれども、もう質問の時間が終わりましたので、大変恐縮ですけれども申し上げさせていだいて、質問を終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/115
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116・佐藤静雄
○佐藤(静)委員長代理 次に、桝屋敬悟君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/116
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117・桝屋敬悟
○桝屋委員 公明党・改革クラブの桝屋敬悟でございます。
引き続き、質疑をさせていただきます。
今回の精神保健福祉法の改正でありますが、今回の改正で新しく移送制度が導入されたということで、今、石毛委員さんからも質疑がありましたが、私はこれを横で聞きながら、新しい制度でもありますので、現実の形、石毛委員の方からは、この運用を誤ると恐ろしいことになる、安易な患者収容手段になるという御指摘もありまして、私もまさにそのとおりだな、こう思っておるわけでありまして、最初に何点か重ねて確認をさせていただきたいと思います。
質問しようと思ったことは石毛委員の中に大分ありましたから、若干質問の趣旨が変わるかもしれませんが、御容赦をいただきたいと思うのであります。
先ほどの議論の中でも、現在、精神保健の世界で移送がどういう状況になっているかというお話がありまして、今回これは県の役割ということに位置づけをされておりますが、まさにその県の部分で、実は私もそういう精神保健福祉の現場で仕事をしたことがあるものですから、そんなときを思い出しながら質問をさせていただくわけであります。
私の記憶では、保健所の職員したがって保健所の車、あるいは救急車、当時は救急車はほとんど動いてくれなかったという気持ちを私は持っておるわけでありますが、病院がお持ちになっている救急車あるいは自治体消防がおやりになっている救急、こういうこともあるんでしょうし、中には警察が動かざるを得ない、こういう事態を私も経験しておるわけでありますけれども、いずれにしても大変悩ましい部分でありまして、今まで関係者が本当にこの部分の処遇には随分いろいろな悩みを持ちながら取り組みをしてきた。言ってみればまさに制度の谷間みたいなところでありまして、今回、その部分をしっかり整理をしようということは必要なことだ、このように私は思っておりますけれども、ただ、逆に本当に制度が必要なのかなと。現に今もその処遇は行われているわけでありますから、ここにその新しい制度を創設する意味が一体どこにあるのか。本当にその必要性があるのかということも、実は制度創設に当たっては検討しなきゃならぬだろう、こう思っております。
それで、先ほどの御説明を聞いておりまして、私が十年以上も前に経験した時代には、民間の搬送業者あたりがこの部分に参画をしているという実態は私の記憶ではほとんどありません、なかったわけであります。恐らく最近の傾向として、これは在宅から入院という形態になるときにどうしても経なければならぬ段階でありまして、なおかつ関係者がみんな悩んでいる部分。そこに保護者あるいは行政の部分でもいろいろなニーズがあって、最近はそういう業者が出てきておるのかなという気もするわけであります。
先ほどの御説明では、調査によれば民間会社による搬送も相当の割合であるという御説明であったのでありますが、これは本当に最近ふえてきたことなのか、あるいはその民間会社というのはどういう会社がおやりになっているのか。私の経験ではちょっと知識がないものですから、これは業として運送業をなされている方がおやりになっているのか、あるいは潜りのような形で行われているのか。今回、制度を創設した背景にさっきの御説明ではなっているようでありますから、その辺の実情を、いま少し現状をお教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/117
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118・今田寛睦
○今田説明員 今回の移送制度というのは、現場における、あるいは御家族のいろいろな悩みがあってのことでありますが、まず、精神保健福祉法には入院のための移送に関する公的支援の仕組みがないということ。それから、病院まで患者さんを連れていくというのが家族の役割ということで、家族にとって非常に大きな負担になっているということ。それから、今御指摘のように、家族の依頼を受けた民間の警備会社、こういったところが強制的に精神障害者を搬送するというふうなケースがあるという指摘もあることから、こういったことを総合的に勘案して、今回、移送制度の創設を図ったわけであります。
この警備会社等がどういう営業形態をしているかという御質問でありますが、そこについては十分な資料は持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/118
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119・桝屋敬悟
○桝屋委員 十分な資料がないということでありますが、私も大概質問するときは現場へ行ってよく現状を見てくるのでありますが、今回ちょっと時間がなかったものですから、しっかり現場での調査ができていないのでありますが、そういう民間業者あたりが出てきた、余りこの状況を放置することは好ましくない、むしろ制度として今般整理をした方がいい、こういう御判断を少なくともさっきの説明ではされているわけでありますから、逆に私はその現状はしっかり把握しておかれる必要があるのではないかと。さっきの百五十一保健所のデータというのは伺ったわけでありますけれども、それは確かに民間がやっている、百五十一の中で十六、一一%という御説明をいただいているわけでありますけれども、今回制度を創設してどうなるのかな、本当に必要性があるのかなということは、いまだに私はよくわからぬのであります。
それで、例えば、民間の事業者が保護者なり家族の委託を受けて、要請を受けて患者を現にやっているというその実態、それは好ましい事態ではない、こういう判断ですか。それは業としてやってはいけないことをやっているということなのか、あるいは業としてはおかしくはないけれども、あり得るのだろうけれども、精神保健の福祉という観点ではこれは放置できないということなのか、その辺のところはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/119
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120・今田寛睦
○今田説明員 まず、今回の移送制度というのは、何はともあれ、家族が御本人を説得しても病院に行ってくれない、そうこうしているうちにどんどん病気が悪化してしまうということに対する家族としての大きな声があったことがまず第一にある、私どもはそれを解決していこうというのが一つのねらいではありました。
と同時に、今御指摘の民間の会社が障害者を運ぶことの是非でありますが、私どもはそれに対して、強制的に、つまりそこに人権の一種の拘束状況をつくる、そういう行為を行った上で搬送するということが何の法的な裏づけもない形で運用されることは好ましいことではない、したがって、少なくとも御本人を本当に拘束せざるを得ないのかどうかという一定の手続をとるためには、単にこれをそのまま民間にお任せするということは適切ではない。こういう考え方から、御指摘の答えになりますが、やはりそういうものを民間がやっていただくのは好ましくないというか、やらないでほしいという気持ちでこの制度を創設したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/120
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121・桝屋敬悟
○桝屋委員 やっと理由がわかりました。
私は何でこれをしつこく聞いているかというと、今まで強制入院、措置入院の場合は県がその役割を担っていたわけでありまして、それはそれで運営されていた。今回、医療保護入院あるいは応急入院等の場合、保護者の同意があればということでこの移送の制度を新しくつくるわけでありまして、現に今までも、さっきから言っているように、本当にニーズがあるから多分こういう実態になっているわけでありまして、ニーズがあり、なおかつなかなか手が出せない、お互いにお見合いをして、結果的に患者のためにならないという事態があった。そこを埋める形で、まさにすき間を埋める形で民間でこういう取り組みをされていたケースもあるのではないか。
民間が全部悪いとは言えないわけでありまして、今の御答弁では、民間にできればやってもらいたくない、こういうお話をされましたけれども、県の役割という位置づけは結構でありますけれども、ちょっと議論をしますけれども、私は、場合によっては委託や委任の形で、県がみずからやるのではなくて、条件が整えば民間にお願いをするということも多分あるのだろうと思うのですね。
そうした場合に、私は全部民間が悪いかどうか、実は自信がありません。自信がないわけです。どっちがどうなのか、自分自身も調査をしておりませんから、そこはわからないのでありますが、ただ、民間ができることは民間がやってもいい、あるいは民間がやった方がより効果的なサービスができるということもあるわけでありまして、今、民間にできればやってもらいたくない、こうおっしゃったけれども、新しい仕組みをちゃんと入れられて体制が整えば、そうした方々の力も、そうした方々の機能も活用できる要素が場合によってはあるのかどうか、これもちょっと伺ってみたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/121
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122・今田寛睦
○今田説明員 若干説明が不十分であったかと思いますが、この移送制度というのは、少なくとも、そういうケースが発生して、それに対して一定の診断行為、手続行為を行って、それから搬送車に、搬送の手段に乗って病院へ行くという一連のものとして、その手続を経ないで民間でやるというのは好ましくない、このように申し上げました。
そういう意味からいたしますと、その移送について、それではだれが搬送するというところだけを切り取ったときに、だれがそれをやるかということでありますが、基本的には総体として県知事の責務としてこの制度を運用いただくわけでありますから、本来は県の責任で行っていただくわけでありますが、その場合に、例えば医療機関だとか、あるいは今御指摘のようにある基準があって民間というのが適切かどうか、そこはまた具体的なものになると思いますけれども、そういうふうにその部分だけを切り取ったところにおいて例えば委託するというようなことを妨げるという意味で申し上げたわけではございません。
〔佐藤(静)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/122
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123・桝屋敬悟
○桝屋委員 そこはわかりました。何度も申し上げますけれども、私も実際に患者さんを病院にお連れする仕事を現にしたことがあります。自分の車に乗っていただいて、乗っていたはずの人が突然飛び出て、山の中を駆けっこを一緒にしたこともあるわけでありまして、本当に大変な作業だ。
あと拘束の話もちょっと伺いたいと思うのです。私は、今回制度化していただいて仕組みを明確にするということは賛成でありまして、ぜひそこはやらなければいかぬと思うのですが、ただ問題は、この規定ぶりを見ますと、これはできる規定ですね、県が、都道府県知事が担うということでありまして、できるということになっておるわけであります。多分、この規定が始まれば、家族で悩まれている方あるいは地域で悩まれている方は、いざというときにそういう一連の手続の中でお見合いをするようなことはないわけで、それは県のお仕事でしょう、県はできるじゃないですかということで、私は大分整理される部分があるのだろうと思うのですね。
それで、先ほどの御説明の中では、具体的に私はいまだにイメージがよくわからぬのですが、県の職員はこの作業に携わっていただく、その移送という業務の中では県のスタッフは携わる、こういう御説明がありました。県のスタッフというのは多分保健所だろうと思うのですね。県の保健所は、今でも強制入院、措置入院の場合は対応しているわけでありまして、私は、県が本当にできるかなというのを大変心配しております。
県の職員というのは専門家がいるわけではないわけで、もちろん、人事異動の中でたまたまこの精神保健の業務を担当される方がいらっしゃる。そうした中で、この移送の業務というのは結構あるのではないかというふうに思うんですが、先ほど県のスタッフを入れるという話がありましたが、果たして県のスタッフで対応できるのかどうか気になるところであります。
精神の今の入院の状況は、マクロとしてはわかっているんですけれども、この移送という観点で、現実に現在までの措置入院で移送しているケース、それから、今度はこれに医療保護入院と応急入院が新しく道が開くわけでありまして、実際に県の立場に立てば移送という業務はどの程度ふえるんだろうかということも思うわけでありますが、数字的なことでちょっと恐縮ですけれども、どんなふうに見込んでおられるか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/123
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124・今田寛睦
○今田説明員 どのぐらいのボリュームになるかという御指摘でありますが、先ほどの御質問にも実はございましたけれども、そういう申し出があればそれを何でもかんでもこういう形で運用するということじゃなくて、やはり主治医の先生がいらっしゃれば主治医の先生に御協力を得て説得をしていただくとか、あるいは御家族の力もかりる、それでもなおかつやむを得ず強制的手段によって搬送せざるを得ないというケースとして限定されるであろう、理念的にはそういうことであります。
これにつきましては、精神科救急医療システム整備事業におきます医療保護入院の実績というのがございまして、その中で、全国の医療保護入院の移送数の推計を行っております。この事業では、医療保護入院としておおむね二千七百から四千六百と推計をしておりますが、夜間は午後六時から翌日午前八時まで、休祭日は午前八時から当日午後六時までの間であるということから、昼間の時間帯の移送件数を試算してみますと、全国の年間移送数は、結果として、今から申し上げます三千五百から六千件と推計がなされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/124
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125・桝屋敬悟
○桝屋委員 三千五百から六千件と推計しておるということですが、これは、今の措置入院の移送のケースとどのぐらいの量になるんでしょうか。倍ぐらいになるのか、いや、ほとんど数字は変わらぬというのか。この三千五百から六千というのは、現行の措置入院の数からしてどのぐらいのものになるのか、お教えいただけますか。要するに、現場の県の保健所で仕事がふえるのかどうかということを聞きたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/125
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126・今田寛睦
○今田説明員 措置患者が大体五千件というふうに言われておりますので。これは先ほどの数値に入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/126
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127・桝屋敬悟
○桝屋委員 ふえるのかどうなのか教えていただきたい。要するに、現在五千件ぐらい、それがさらに三千五百から六千上乗せになると推測——これはやってみなきゃわからぬわけであります。もちろん私もどんどんやれと言うものでは決してないわけでありますから、さきの御説明のとおり、万やむを得ない場合にこの移送というものがあるわけでありますから。
私は、きのうも質問通告のときに伺いましたけれども、現実に一保健所で一月に一件あるいは二月に一件ぐらいは出てくるようなケースだろう、これが場合によっては倍ぐらいになる、そんな大きな数字ではないな、こう思ってはいるんです。
ただ、新しい医療保護制度の中で移送制度を創設されるということであれば、これで移送に関しては全部すき間がなくなるわけであります。しかも、すき間がなく、それは県の役割だということであれば、これは県の保健所のスタッフが実際には携わる、スタッフとしては県の職員にぜひ入ってもらうんだ、先ほどこういう御説明がありましたけれども、私は、ぜひとも十分な体制を考えていただきたい。
私は、現場のPSWの皆さん方にも、きょうの質問をするというので懇談をしてまいりました。実際にどうやるのかなと県のスタッフの方は大変悩んでおられます。だれが運転をし、どのお医者さんが、指定医が、どなたが来ていただいて、本当にうまくいくんだろうかという心配をされておられました。今までは何とかやってきたけれども、新しい制度ができた中でやっていけるのかどうか大変心配をされておられましたけれども、これは県の新しい役割になるわけでありますから、ぜひ、実際に現場でできるような都道府県に対する御指導もお願いを申し上げたい、こう思うわけであります。
それで、倍ぐらいであれば何とかやれて、何とかその新しい制度を入れた方がいいというように私も思うわけでありますけれども、もう一つは行動制限、身体的拘束が伴うわけですね、場合によっては。
さっき書面というふうに言われましたけれども、この書面も、現実の移送というケースを考えたときにどういう絵面になるのか私もなかなかわからないのでありますが、基本的には指定医が判断をする、指定医が指示をする。患者さんはやはり病状によっては随分差があると思うんです。あるいは患者さんの特性、個性によって、どのぐらいのスタッフ、どういう体制でいくのか、場合によってはどういう拘束をしなければいかぬのかということは、私は大変に難しいケースだろうと思うんですね。これを間違うと大きな事故にもつながるということでありますから、ここはやはり指定医が判断をし、指示をするということがすべてですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/127
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128・今田寛睦
○今田説明員 都道府県知事が指定した指定医が認めた場合にもちろん限定をされます。その場合に、一定の行動制限が搬送の時点で伴うわけでありますが、この搬送につきましては、厚生大臣が定める基準に従って一定の行動の制限を行うことができるということで、厚生大臣として定めなければなりません。その基準を定めるという意味において、これが過剰な人権侵害にならないように、あるいは現実的にそれが円滑に運営できるようにということで、専門家の御意見を伺いながら具体的な運用についてこれから検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/128
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129・桝屋敬悟
○桝屋委員 さっきもその御説明があったんですが、行動制限については厚生大臣が定める行動制限基準があるわけでありますけれども、それ以外に、さっき私が申し上げた運用の実態、実際においてはこれをきちっとしないとなかなか難しい。これはケースによって随分差が出ると思うんですが、この移送については、行動の制限のように大臣が基準を定めるとかということにはなっていないわけでありますから、移送全体のありよう、あり方ということについてはぜひとも今後研究も続けていただいて、実態に即したマニュアル、特に人権等に配慮したマニュアルというようなものは、つくるのはちょっと大変だろうとは思いますが、ぜひ最低限のものとして、あるいはモデルのケースでも結構ですから、それはお示しをいただいた方がいいのではないか、こう思っておりますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/129
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130・今田寛睦
○今田説明員 御指摘の点を含めた移送のあり方についての研究につきましては、現在厚生科学研究で研究を進めておりますし、これを引き続き継続することになっております。御指摘の点を十分踏まえた形で運用されるように、そういった研究結果も踏まえながら、円滑な実施ができるように努力していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/130
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131・桝屋敬悟
○桝屋委員 その際、県が直接やる場合は結構なんですが、さっきのように、医療機関にお任せをするようなケースあるいは民間を使うというようなことも含めて、実態に即して本当にやれるような形で、理想像だけではなくて、本当の現場の姿に即して私は研究をしていただきたい。
それからもう一点、応急入院指定病院の整備計画ですが、これはもうこの委員会でも議論があったようでありますけれども、これは確認だけさせておいてください。二次医療圏ごとに、二次医療圏を一応ベースに整備をしていくということで理解をしていてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/131
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132・今田寛睦
○今田説明員 基本的には、二次医療圏という一つの単位があるわけですので、それを念頭に置くことになると思いますが、現実的には二次医療圏の中にも精神病院のないところもありますし、それから、仮にそういったところに一カ所あっても、その医療機関の体制、これが非常に十分でないというような場合もあります。
したがって、それらも含めますと、当然やはり複数の医療圏を協力という形で巻き込んで対応を考えなければならないかと思います。その中には、例えば輪番制をしきながら対応したらどうかという御意見もありますし、それから、三百六十五日、昼夜を問わず対応をとる必要があるといったことに対してどういうふうな体制をとるかということもございます。
いずれにしても、これらの指定基準を定めるわけでありますが、今の応急入院、応急指定病院の制度の中で運用されている医療の質が著しく低下するというようなことがあってはならないという考え方に基づいて、また最初の御質問のお答えになりますが、複数の二次医療圏というものも念頭に置きながら、必要な指定病院の確保をしていきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/132
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133・桝屋敬悟
○桝屋委員 複数の二次医療圏を単位として整備をしていきたいと。これは現場が恐らく考えることだろうと思います。
もう一つは、この移送制度は、ふっとわいたような話ではなくて、厚生省におかれても精神科救急医療システム整備事業等も順次行いながら用意をされてきたということで、これは本当にいいことだなと私は思っております。特にこの制度は、医療機関の地域医療活動、あるいは保健所の精神保健福祉活動、あるいはボランティアも含めた地域活動、こうしたものが有機的に相まってこそ初めてうまくいくんだろう。そういう中では、さっき言った民間などの活動も、いいサービスはぜひ活用すべきだと私は思っているわけでありまして、ぜひこの精神科救急医療システム整備事業、これは県を実施主体とする事業のようでありますけれども、十年度で三十県、これは当然ながら、制度が始まれば、このシステム整備事業が全県的な対応になるのか、あるいは将来やはり地方の事業になるのか。この補助金、私が逆算してみると、一カ所当たり二千八百万程度でしょうか、事業費ベースで。その理解が間違っていないか。これは十一年度以降、今回の改正に向けて全国的な実施体制ができ上がると予定されているのかどうか、その辺の予定を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/133
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134・今田寛睦
○今田説明員 この移送制度というのは、救急医療という目で見ればその一端であるわけでありますが、全体として、やはり精神科の救急システムというものはきちっと整備していく必要があるんだろうと思います。
現在、そういった意味で執行しておりますけれども、こういった仕組みが全国で整備されるべく私どもは努力していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/134
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135・桝屋敬悟
○桝屋委員 端的にお聞きします。
今の三十カ所の事業実施は四十七まで行くのかということ、それはいつぐらいまで予定されておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/135
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136・今田寛睦
○今田説明員 年次計画として私どもが念頭に置いておりますのは、十一年度が三十五県、十二年度は四十七県、つまり十二年度をもってすべてにこれを整備できるように努力をしたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/136
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137・桝屋敬悟
○桝屋委員 ありがとうございました。将来こういう補助制度をどうするかというのは、私も、しばらく厚生委員会を離れていろいろなところを回ってきますと、補助金のあり方も随分検討しなければいかぬなという思いもあるわけでありまして、なお私も研究を続けていきたい、こんなふうに思っております。
さて、もう一点、精神障害者の居宅生活支援事業について議論をさせていただきたいと思います。
今回、居宅生活支援事業、実施主体は市町村ということで、これも新しい仕組みがいよいよ始まるようであります。これは高齢者や特にその他の例えば身体障害者のサービス等に比べて、この精神障害者の居宅生活支援事業というのは、事業実施主体は市町村でありますけれども、実施責任まで伴うものなのかどうなのか、どういう形で始まるのか。どうも実施責任まではないのかな、市町村がやるんだということはそういう規定なんでしょうけれども、そのあたりはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/137
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138・今田寛睦
○今田説明員 今回のこのような地域に根差した福祉サービスというものについて、市町村を実施主体にするという考え方でありますが、こういった法改正によりまして、当然市町村がこれに積極的に取り組んでいただくべきものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/138
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139・桝屋敬悟
○桝屋委員 ただ、今回新しく始まる地域生活支援事業あるいは居宅介護等事業あるいは短期入所、こうした事業をそれぞれの市町村が、例えば対象者がいらっしゃるにもかかわらずまだできないという市町村もあるのではないか。だから、希望があった場合には、市町村はそのサービスをしなければならないのかどうか。いや、まだ準備ができていないから、それはちょっと待ってくださいということなのか。私は、必要なことであるからぜひ進めたいとは思うのでありますけれども、その辺は必ずしも市町村がやらなくてはいけないというところまではまだ行っていないように、この法の形は感じるのでありますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/139
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140・今田寛睦
○今田説明員 御指摘のように、それぞれの市町村がそれに対して体制づくりを今からしていく必要があるわけであります。したがって、その体制を整えなければ、結果としてそのサービスを受けられないという事態が生じる。そういうことができるだけ生じないようにということで御努力をいただくわけでありますが、そういった意味では、これは市町村の御判断でもちろんやっていただくのだけれども、それをやっていくという方向性については当然積極的に取り組んでいただくということを前提に考えている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/140
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141・桝屋敬悟
○桝屋委員 先ほど、身体障害者の居宅生活支援事業と比べて法の構成はどうなのかと。私は、どうも実施責任が明確でないなと思ったのですが、身体障害者の福祉法と大体同じ規定ぶりでありますから、それは特別差があるということではないのだろう。加えて、二条には努力義務規定、市町村がぜひこうしたものに取り組むんだということがあるからそこそこ安心したのでありますが。
ただ、明確に身体障害者福祉法と違うのは、身体障害者福祉法では実施機関といいますか実施主体を別項目を立てて規定しているわけでありまして、それは全国どの市町村においても実施をしなければならぬ体制になっているわけでありますが、精神障害者のこの居宅生活支援事業についてはまだこれから準備を始めるというところもあるわけでありまして、これが準備が整った段階では、大臣、実施の状況も見なければなりません。なりませんが、次なる段階は、身体障害者の福祉法と同じように、保護やサービスの実施者というような規定も明確にしていただいて、市町村が取り組むような、端的に言うと、もうちょっと後でお話ししますが、精神障害者のホームヘルパーなどというのは、私はどこでもできる話ではないのだろうと思うのです。これは、必要であれば全国どこででも受けられるサービスという形にぜひしたいなと思っているわけであります。次の課題があるということを大臣に申し上げておきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/141
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142・宮下創平
○宮下国務大臣 身体障害者あるいは知的障害者、精神障害者も同じような関係に立つと思われるわけでございまして、今委員のおっしゃられるとおり、将来的にはやはりそういうことが必要であろうと思います。
ただ、現実の問題、今は、精神障害者は精神障害者で特性がございますし、また身体障害者は身体障害者なりのいろいろの特性もございますので、それに応じた体系をなしておりますが、将来的には障害者対策として一本になってしかるべきものかなというように、同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/142
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143・桝屋敬悟
○桝屋委員 これから準備が始まるわけでありますけれども、私は、例えば居宅生活支援事業、今回三つでありますけれども、例えば居宅介護等の事業を見てもホームヘルパーさんだろうと思うのですけれども、身体介護、家事援助というのが高齢者や身障の世界から見るとあるわけでありますけれども、精神障害者のヘルパーさんというのは専らどういう業務が求められているのか、ニーズがあるのか、その辺をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/143
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144・今田寛睦
○今田説明員 御指摘のように、老人の場合あるいは身体障害者の場合と必ずしも同じではない部分があります。
つまり、介護、食事を食べさせてあげるとか、あるいはおふろに入れるというようなものは、精神障害者のホームヘルパーの持つ役割の中では比較的少ないかもしれない。むしろ大事なのは、一緒に食事をつくろうとか、あるいは身体の清潔を守っていこうとか、あるいは人間関係といったものに十分配慮して社会への適応性を守っていくとか、そういった面が精神障害者の場合には必要なんじゃないかと思います。
したがって、従来の身体障害者あるいは高齢者に係る介護のやり方というものとはもう少し意味合いの異なった役割というものをヘルパーの皆さん方に担っていただかなければならないというふうに思います。
ただ、現在、既存のヘルパーさんについては、そういうノウハウというものを十分に承知していらっしゃるとも言えないわけでありますので、これはぜひ保健所を初め、あるいは精神衛生センター等を通して研修等、そういう素養について質的な向上もあわせて図っていく必要があろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/144
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145・桝屋敬悟
○桝屋委員 これは、平成十一年度、今時点では、各都道府県一カ所、一市町村でモデルで研究をされておられるという、精神障害者の福祉の分野ではまさに扉が開いた段階なのかなというふうに私も理解をいたします。
御案内のとおり、ヘルパーさんは、身体障害者の方のところに行かれたり、お年寄りのところに行かれたり、いろいろな形態があろうと思うんです。加えて、介護保険が今準備されている中で、相当その体制が変わりつつあるんですが、精神障害者のヘルパーさんというのは、一般的なイメージでいうと、介護保険で想定しているホームヘルパーさんとは違うようなお話、機能面でもあろうと思うんですけれども、どういうふうにこれから整備をされていかれるのか。特に、介護保険の準備と兼ね合って、私はどうなるのかなというのがちょっと気になるのでありますが、イメージだけでも結構ですが、御説明をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/145
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146・今田寛睦
○今田説明員 一つは、精神障害者に対するホームヘルパーという、何か独立した資格といいますか役割を演ずるという考え方ではなくて、既存のヘルパーさんの養成過程の中で精神障害者に対するアプローチといったものを付加できるような仕組みで養成をし、あるいは既存の方々に対してはそういう研修を付加するという形で、身体障害のためのヘルパーさんとかいうことじゃなくて、そういうことを研修していただくことによって相互にかかわっていただけるような、そういう形で養成をする必要があるのではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/146
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147・桝屋敬悟
○桝屋委員 今の御説明では、精神障害者の福祉の独立したヘルパーということではなくて、今の介護保険や、あるいは身体障害者の部分でおやりになっているヘルパーさん、その方々にしっかり研修をしていただいて精神障害の部分も対応していただくようにしよう、こういうことですね、お考えになっていることは。わかりました。それなら結構でございます。
ただ、それで大丈夫かなという気もするんですけれども、そういうことがあるなら、もうちょっと早く言ってもらいたかったな。
というのは、何を言いたいかというと、御案内のように、ヘルパーさん、特に直営のヘルパーさん、大臣、昔は市町村が直で抱えているヘルパーさんは処遇もいいし、非常に頑張っておられる方もいた。だけれども、介護保険になってみんな民間へおろしちゃうみたいなことがありまして、今まで直接抱えていたホームヘルパーさんをどうするか。
それは、介護保険のケアマネジャーになっていただこうとかいろいろあったわけでありますけれども、こういうものの道が開くのであれば、精神障害者のヘルパーさんというのは、今言ったように、通常のヘルパーさんと違って、場合によっては精神科の作業領域の作業療法なども一緒にやるぐらいの気持ちでなきゃいかぬのかなと、さっきの説明を聞くと思ったわけでありますが、やはり優秀な方が要るんだろうと思うんですね、相当のノウハウをお持ちで、経験を積んだ方が必要なんだろうと。そういう道があるんだったら、もう少し早く知りたかったなというところも現場ではあるんじゃないかと思ったりするわけであります、これはひとり言でありますが。
それで、もう一つ気になるのは、これは補助制度で、補助金でおやりになるんだろうと思うんですが、補助金の仕組みは大体身体障害者の部分と同じような形でお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/147
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148・今田寛睦
○今田説明員 これにつきましては、十四年度の施行に向けて、試行事業等も勘案しながら整理していかなければならない課題だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/148
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149・桝屋敬悟
○桝屋委員 もう一回。補助金についてはどういうふうにお考えになり、これから検討されるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/149
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150・今田寛睦
○今田説明員 当然、補助することが法律上できることになっておりますから、補助はいたします。しかし、その補助のあり方について、十四年度までには整理をしなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/150
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151・桝屋敬悟
○桝屋委員 これも大臣、ホームヘルパーの補助金が、介護保険の導入に向かって従来から随分変わってきております。私流に言いますと、あるいは現場の多くの方がお感じになっているのは、合理化されております。今までは定額の補助から、事業費補助といいますか、幾ら頑張っていただいたからどれぐらいという補助制度に変わっている。私は、この精神障害者のヘルパーがそれでいいのかどうなのか、ここはしっかり研究をしなきゃいかぬだろうというように思っております。
現在のヘルパーさんは、巡回型という言葉であらわせますように、相当機能的で、それから合理性を求められているような気がいたします。精神障害者のヘルパーさんについては、私は特別のヘルパーさんを養成しろとは思いませんし、そうでない方がいいと思いますけれども、その部分については、場合によっては同じ人がお年寄りをやったり身体障害者の方をやったり精神障害者の方をやるということもあるのかもしれませんし、そういう意味では、やはり補助のあり方についてはよくよく検討していただきたいな、今の全体の流れが本当にいいのかどうか十分検証していただきたいなと、これはお願いをしておきたいと思います。
時間がなくなりましたので、最後の質問になるわけでありますが、精神障害者の小規模作業所で、団体の方からいろいろ御要請を我が党もいただいております。
今回この法案の改正では特段ありませんけれども、次に来ます社会福祉の基礎構造改革の中で、定員の規定を緩和し、できるだけ多く法の中に取り込んでいく、こういうことだろうと思うんですが、団体の皆さん方も法の中に入るのがいいかどうかというのは随分議論があったんです。
法の世界に入ったときに、難しいことばかり言われて、小規模でやってきた本当のよさが失われるんではないかというような心配もありますし、もう一つは、何といいましても、長い間運営費補助の金額が百万程度でずっと変わってきていない。これが、今回法の中に入ってくれば通所授産の補助金ベースになるのかなと思っているんですけれども、その辺を団体の方々も本当に心配をされておられます。
二点だけお伺いをしたいんですが、まず、定員の要件が緩和されて法の中に入った場合に、通所授産の今の補助金のベースがきちっと確保されるのかということが一点。
それからもう一点は、私は、やはり小規模通所授産と全く同じように考えるのではなくて、既存の小規模施設のよさといいますか、そうしたことは十分残していただきたいな、こんなふうに思っているわけであります。
ちょっと抽象的な話になりましたけれども、最後に大臣の御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/151
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152・宮下創平
○宮下国務大臣 今、社会福祉事業法の検討をしておりまして、社会福祉法人の要件緩和等が基礎になります。そして、小規模作業所等につきましても、二十人以上というような要件をそれ以下にするということも今検討中でございます。
今、事実上、一カ所二十人に満たない小規模作業所は百十万とかあるいは交付税措置のみになっておりますけれども、法定化するということになれば、さらに規制を加えるということだけではなくて、むしろ、非常に善意でNPOの方々や家族を中心にやっておる、そういうきめ細かなサポートシステムを国も財政援助をした方がいいという観点から私どもは検討しておりますので、そういった方向で実現を見るように努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/152
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153・桝屋敬悟
○桝屋委員 以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/153
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154・木村義雄
○木村委員長 福島豊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/154
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155・福島豊
○福島委員 大臣、大変に御苦労さまでございます。
ただいまも桝屋委員から御質問がございましたが、小規模作業所の問題、今回、社会福祉事業法の改正の中で財政的な部分も含めて前向きに取り組んでいただけるということで、大変感謝を申し上げる次第でございます。
ただ、改正に先立ちましてといいますか、一昨日の日経新聞にこのような記事が載りました。「障害者の職場不況にあえぐ」、これは共同作業所全国連絡会が調査を行ったものですが、現在大変経済の状況が悪い、不況の中で共同作業所が苦境に追い込まれている、八割以上が不況の影響がある、仕事量が減った、工賃が切り下げられたというような切実な訴えが寄せられている。
もともと大変厳しい経営の中で今まで努力をしてこられているわけでございます。もちろん、これは障害者ということで、精神障害者の人に限定されるわけではありませんけれども、こういう大変厳しい状況の中で現実に事業をしておられるということを考えまして、法改正に基づいて抜本的な改革ということは、それはそれとして進めていただくとしまして、この不況の状況下での緊急の支援策、こういうものをぜひ検討してほしいというふうに私は思っております。
先日、共同作業所全国連絡会からも要望がございまして、このように書いております。「長引く不況にあって、一層厳しい資金難の状況におかれている小規模作業所を救うために、運営費等の面で緊急の策を講じてください。これにあたっては、いわゆる「百十万円補助金制度」の対象に限定することなく、」対象となっていないところもたくさんございますから、「すべての小規模作業所を交付対象としてください。」という要望がございました。
大変に厳しい財政状況の中でございますけれども、ぜひともこうした要望を前向きに受けとめていただいて何らかの対応をしていただきたい、そのように要望いたしますが、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/155
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156・宮下創平
○宮下国務大臣 基本的には先ほど申したとおりでございまして、私どもは、社会福祉事業法の改正を今検討中でございます。そういった方向性のもとで対応していきたいと思いますが、御指摘のように、今の経済情勢の中で、小規模作業所の方々がいろいろのことをやっておられるのは承知しておりますが、それぞれ非常に御苦労されておるという点がございますので、社会福祉事業法の改正が延びるようなことがあると、やはりその間非常に大変だなという感じはいたしますから、それまでの間どういうことができるのか、暫定措置が可能かどうかを含めて検討はさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/156
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157・福島豊
○福島委員 ぜひとも前向きの取り組みをよろしくお願いしたいと思います。
先日からの審議の中で、精神科医療の質を向上させなきゃいけないということが繰り返し取り上げられました。質を向上させようと思えば、おのずとコストの問題ということが出てくるわけでございまして、参考人の意見陳述の中でも、精神科医療の診療報酬における評価というものをぜひとも改めてほしいというようなことが述べられたと記憶をいたしております。
その御答弁の中で、現在、中医協で来年の、改定があるかどうかわかりませんけれども、診療報酬の見直しということで抜本的な作業が進んでいる、その中でこの精神科医療の問題というのも当然検討が進むというような御答弁がなされていたかというふうに私は思います。
現在中医協の方でどういうことが論点になっているのかということで、先日、資料を厚生省からちょうだいをいたしました。論点整理が先日の五月十四日ですか、なされて、その資料をいただきました。
この資料を拝見いたしておりますと、今の医療制度改革ということで必要な項目は網羅されておるわけでございますが、その中で、精神科医療をどうするのかという論点は見当たらなかったわけでございます。そういう意味で、今後の診療報酬の議論の中で精神科医療の評価というものについて果たしてどの程度検討が進むのか、改められるのか、大変危惧をするものでございます。中医協での今後の議論の中でぜひとも私は俎上に上げていただきたいと思いますが、厚生省の御見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/157
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158・羽毛田信吾
○羽毛田政府委員 診療報酬体系の見直しにつきましては、御案内のとおり、医療保険制度の抜本改革の一環としまして、平成十二年度からの実施を目指しまして、先般、医療保険福祉審議会の制度企画部会から意見書をちょうだいし、それを踏まえまして、目下、中央社会保険医療協議会で具体的な検討に着手をしていただいているという段階にございます。
その中におきまして、先生今お挙げをいただきましたように、診療報酬体系万般にわたっての抜本的な改革をするということで検討項目を整理をいただいたわけであります。その検討項目の整理自体につきましては、それぞれの診療科ごとに縦割りの審議をするということではなくて、共通した大きな枠組みでそれぞれ整理がされてございますので、必ずしも精神科医療という言葉がそれぞれ出てきているわけではございませんけれども、その中で挙げております医療情報提供の基盤整備の問題にいたしましても、あるいは医療技術を重視した体系化の問題、あるいは出来高と包括の組み合わせの問題、あるいは医療機関の機能分担と連携強化の問題、いずれにしましても精神科医療の特性に十分配慮した検討をしていくということにつきましては、当然、私どももそのような姿勢で検討をお願いいたしておりますし、中央社会保険医療協議会の委員の先生方にもそういう意識の中でやっていただいていると思います。
また、先ほど申し上げました先般の制度企画部会の意見におきましても、それに先立って行われました作業委員会の報告をも十分検討材料として活用するようにということで、作業委員会の報告というのはやや詳しく出ておりまして、その中には、ある程度それぞれの科についてのメンションもございまして、精神科医療の特性についての記述も十分ございます。そういったことも踏まえて、先生今御指摘のように、十分そこの特性を踏まえながら御審議をいただけるものと思っておりますし、私どももそのようにしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/158
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159・福島豊
○福島委員 こういうことを御質問いたしますのも、先ほど、情報の提供等々いろいろ横断的な課題があって、その中で精神科の医療というのも議論されると、まさにそれはそのとおりだと思いますけれども、そういった横断的なテーマの中での議論であれば、恐らく私は横並び的な改正にしか結びつかないのだろうというふうに想像するので、あえてお尋ねをしたわけでございます。
これは非常に古い資料でございます。精神科医療に一体日本の医療費のどの程度が費やされているのかということで、いろいろなデータがあろうかと思いますけれども、これは古いのでちょっと恐縮ですが、昭和六十年で七・五%、それから平成二年で七%、平成五年で六・七%ということで、精神科医療に費やされている医療費のシェアというのはどうも、だんだん広がっているということではなくて、だんだん少なくなっておるというような印象を抱いております。ここのところを、厚生省はさまざまな数字をお持ちだと思いますので、お聞かせいただきたいんです。
医療費に占める精神科医療のシェアというのはどういうふうに変化してきているのか。減っているのか、ふえているのか、現状維持なのか。そしてまた、入院、外来医療、それぞれございますね。それぞれでそれはどうなっているのか。そして、入院患者一人当たりの医療費というのは、精神科医療においては他科の医療と比べてどの程度の差があるのか。これは諸外国でも同じような趨勢なのか。この点についての情報をお教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/159
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160・今田寛睦
○今田説明員 総医療費に占めます精神科医療費のシェアの推移でございますが、平成八年度の実績で、総医療費二十八兆五千二百十億円に対しまして精神科医療費一兆四千六百八十五億、シェアは五・一%であります。これが平成八年でありますが、昭和六十一年でありますと六・四%。六・四から五・一に減少しているという傾向がございます。
さらに、それを入院と外来に分けて申し上げますと、入院につきましては、額は省略させていただきますが、パーセントだけで申し上げますと、平成八年度の実績では一〇・九%でありますけれども、昭和五十七年は一三・三%でありまして、減少傾向にございます。一方で、外来でありますけれども、外来につきましては、平成八年の時点で二・六%となっておりますけれども、昭和五十七年は一・六%でありますから、そういう意味では増加の傾向にあるという状況でございます。
なお、外国につきましては、このような詳細なデータがございませんので、お答えは御容赦いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/160
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161・福島豊
○福島委員 いずれにしましても、入院から外来のシフトは確かにある、しかし総体としては減ってきているという話だというふうに思います。
ですから、中医協での議論は、最終の出口のところでは余りシェアを動かさないというような議論になるのか、シェアのことが必ず問題になるだろうと私は想像しているんですけれども、この点数をどう動かしたときにこれはどうなるのかという議論に必ずなる。ですから、精神科医療に対して医療資源の配分を厚くしようということであれば、ここのシェアの見直しをするんだということがまず入り口にないと、結果としては今までと何も変わらないという話になるのではないかというふうに私は思います。
ですから、今後の議論の中で、それぞれの主張をまとめますとなかなか今申し上げたようなことが実現をしないかもしれませんけれども、ぜひとも反映をさせていっていただきたいというふうに私は思います。
参考人の意見陳述の中でもございましたように、評価を高めなきゃいけない。ですから、日本にたくさんの精神病院がございます。いろいろな質の病院があろうかと思いますけれども、端的に言って、評価が低くて医療資源の配分が少ないからよい質の医療が提供されていない、そういう場合があるんだというふうに考えていいのか、この点についての厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/161
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162・羽毛田信吾
○羽毛田政府委員 診療報酬の面におきましても、私ども、精神科医療の重要性ということについては配慮をしながらやってきたつもりでございます。ただし、そこのところが十分であるかあるいは改善の余地があるかという点については、今後の中医協の論議の中でも御議論をいただかなければならない事項だというふうに考えております。
今先生の御指摘は、まず、精神科医療にどう全体の資源配分をするんだということを腹を決めてやるべきではないかということでございましたけれども、それは、それぞれの診療科あるいはそれぞれの医療分野についてそれぞれに重要でございますから、そういった論議もやはりやっていかなければならない。要は、単純に全体の配分は変えないでやるということではなくて、それぞれの重要性についてもやはり論議をしていただく中で答えを出していくということが大事じゃないかなというふうに考えております。
それから、今までの体系の中の話といえば、今のようなことで、改善の余地があるか十分かは別にしまして、私どもはそういった重要性には十分配慮をしながら評価がされてきたというふうに思っておりますが、その中におきまして、現行の診療報酬体系の中で、例えば看護料というようなものにつきましては看護婦の人員配置状況に応じて点数をつけているということになりますと、やはり精神病院は一般病院と比較して看護人員の配置状況は低うございますから、こういった面についてはどうしても診療報酬の水準が一般病院よりは低いというふうになっておりますし、他方、技術といったようなところにつきましては、入院精神療法を初めといたしましていろいろな精神科における技術領域について、逐次、点数の設定あるいは引き上げ等も行ってきているということでございますので、そこは、高い低いは、そういう個別に至りましたところでは一概には言えないのかなというふうに考えております。
いずれにしても、今後の精神科医療の重要性あるいはこれの評価ということは中医協における議論の一つの視点として重要だというふうに考えておりますので、そのような姿勢でやってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/162
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163・福島豊
○福島委員 看護婦さんの数が相対的に少ないのでどうしても診療報酬上の配分が少なくなるんだというお話もございましたけれども、精神科特例を廃止すべきであるという意見も非常に強いわけでございます。しかし、現実の医療提供サイドはなかなかそれは難しいというような意見もあろうかというふうに思います。
ここのところは、私がお尋ねしたいのは、一体何が障害になるんだろうか。マンパワーの問題なのか、それとも、現行の診療報酬体系の中では評価が低過ぎて特例を廃止するような形ではなかなかその経営が難しいということになるのか、ここのところはどちらなんだろうかという素朴な疑問を持つわけでございます。この点についての御見解をお教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/163
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164・今田寛睦
○今田説明員 この精神科特例ができた昭和三十三年当時で申し上げますと、当時はスタッフの確保が困難だったということ、それから疾病が慢性的に経過するということからこのような特例が設けられたわけでありますが、現在においてこの特例は早急に見直すべきだという御意見が多々あることは十分承知をいたしております。
それが解消できないとすれば何が理由なのかということでありますが、関係される皆様方の御意見の中では、マンパワー、特に精神科の医師の確保が困難だというような御意見もありますし、一方で、現在の診療報酬ではマンパワーの増大はできないという、そこは表裏の関係になるのではないかと思います。
いずれにしても、この精神科特例というのは、もう十分に病床の整備が進んできたわけでありますから、昭和三十三年当時と状況はやはり違う。そういう中から、精神病床のあり方というものは、今後、その中に非常に急性期で手のかかる、つまりマンパワーをたくさん投資しなきゃならない方々と、それから非常に長期にわたって入院していらっしゃる方で、むしろ生活とか介護を重視するような方々、それが精神病院という一つの中にいらっしゃる、この施設体系をもう一度見直す必要があるのではないかということで、医療提供体制の見直しに合わせて公衆衛生審議会の方で施設体系を少し根本的に見直していこう、こういう措置を講ずることで適切な運営ができるような施設類型というものを考えていく必要があるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/164
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165・福島豊
○福島委員 今後の方針というのがよくわかりました。いずれにしましても、精神科特例というものの廃止に向かっての障害に診療報酬の問題が絡んでくるということであれば、先ほども保険局長から御答弁ございましたけれども、今後の検討の中で、廃止して、どうしたら望まれる精神科医療が提供できるのかと到達点を考えて、そこから逆算をして診療報酬の問題の検討を進めていっていただきたい、そのように私は申し上げたいと思います。
次に、同じくまた精神科医療の質の向上ということでございますが、先日の参考人の陳述の折にも外部評価が非常に重要であるという御指摘がございました。これはもっともっと進んでいかなきゃいかぬというふうに私は思います。それは一般の病院でも同様でございますけれども、数年前から日本医療機能評価機構が病院の評価ということを行っておりますけれども、この中で精神病院についての評価というのはどの程度進んでいるのか、実態をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/165
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166・小林秀資
○小林(秀)政府委員 第三者によります病院機能の客観的評価を推進していくことは、病院の提供する医療の質の向上を図っていく上で大変重要な施策だ、このように思っております。
今先生がお話しされましたように、平成七年に設立されました財団法人日本医療機能評価機構というのがありまして、二年間試行期間があって、平成九年度から事業を実施いたしております。平成九年度百三十一病院、それから平成十年度百四十三病院の申し込みがありまして、現在、認定証発行病院数が合計二百一病院あります。これは全部の病院です。そのうち精神病院は八病院というデータになっておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/166
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167・福島豊
○福島委員 まだ微々たる前進でしかないなということを実感いたします。
評価を受けるためには一定のコストもかかる、また、評価してほしくないというところも多々あるのかもしれませんが、強制するわけにはなかなかいかないという考え方もあろうかと思います。
ただ、評価も進めなきゃいかぬというのが一方にはございますから、今般の診療報酬の見直しの中で、第三者による医療機関、医療の質の評価及び評価結果の公表等の項目が検討項目として盛り込まれておりますけれども、大部分の病院が評価を受ける結果になるようなインセンティブを与えて、そしてこの評価を通じての医療の質の向上を精神科医療の領域においてもぜひとも促進をしていただきたいというふうに思うわけでございますが、この点についての厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/167
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168・羽毛田信吾
○羽毛田政府委員 患者の適切な医療機関選択を進める上で、今お話のございましたような第三者による医療機関の評価を促進していくということにつきましては、重要性は私どもも認識をいたしておりますし、また、これもお挙げいただきましたように、今般の診療報酬の検討項目の中に、そういった評価の問題をどのように診療報酬上で対応していくかということは、一つの検討項目として入ってございます。
まだ具体的な議論にはそこのところは入っておりませんけれども、先生お挙げになりましたような視点を含めてこれから中医協で御議論いただくことになると思いますので、その議論を見守りまして私どもの方も適切に対応してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/168
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169・福島豊
○福島委員 次に、先ほど衛藤委員の方からも御指摘ございましたが、今回の法改正の中では触法精神障害者対策について盛り込むことができなかった。これは大変大きな課題でもあるし、次の見直しまでの間に何としても取り組まなきゃいけないというような御意見が表明をされました。
精神障害者の方が地域で生活をしていく、それを進めようということが今回の法改正の一つの大きな柱であるというふうに私は考えております。そこで障害になるのはやはり偏見だというふうに思います。その偏見の由来するところというのは、触法精神障害者に関するさまざまな報道、ここのところがやはり一つのネックになっているのだろうというふうに私は思います。
そういう意味で、これは厚生省だけにとどまる問題ではないというのはまことにそのとおりだというふうに思いますし、本日は法務省の方にもおいでいただいておりますので、両省といいますか政府全体として、これに向かってどのような取り組みをしていくのか、その検討を進める必要があるというふうに私は思っておりますけれども、御見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/169
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170・渡邉一弘
○渡邉説明員 お答えいたします。
精神障害者による犯罪といいますか、触法精神障害者といいますか、最近特に増加しているわけではございませんが、殺人、放火といった重大犯罪が犯されたり、犯罪が反復される例もまれではなく、このような状況が憂慮すべき状況であるということには変わりがないという認識を持っております。
精神障害者による犯罪への対策につきましては、精神障害者に対する医療、保護などの精神保健制度と極めて密接に関連するものでございますので、精神保健福祉法の運用状況を見守りながら、厚生省を初めとする関係省庁と連携しつつ検討を進める必要があるものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/170
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171・宮下創平
○宮下国務大臣 今法務省の審議官の方からお答えになったとおりだと思いますが、この問題は四十年代にかなり突っ込んだ議論がされまして、保安処分の問題として成案を得ながらなかなか実現されないという経過をたどっております。しかしながら、触法精神障害者についてはやはり重要な課題でございますので、衛藤議員からもさっき質問がありましてお答え申し上げたように、今後の重要な視点でございますから、総合的な角度から、多少時間がかかるかもしれませんが、ひとつ検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/171
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172・福島豊
○福島委員 時間がかかりましても、政府全体として取り組んでいただきたいと思います。
次に、先ほども石毛委員の方から御指摘がございましたが、地域で精神障害者の方が生活するに当たっては、人的な支援というものが極めて大切であるというふうに思います。
人的な支援にはさまざまなレベルがあると思います。一つは、先ほども御説明ございましたが、地域福祉権利擁護制度ですか、金銭管理とかさまざまな身近な相談を受けるというようなレベル、そしてまたその上に日常生活のサービスの支援、これはホームヘルパーさん、そして最後には成年後見制度に基づくところの後見、財産の管理というような法的に非常にデリケートな問題を扱う、この三つの層があって、それぞれが連携をとるということが非常に大切なんだろうというふうに私は思います。
とりわけ、身近な部分で、地域福祉権利擁護制度ですけれども、これをどういうふうに実効性あるものとして整備していくのか、ここのところは本当に、それ以外のところがうまく動くためにも一番土台になるところだと思うのですけれども、今後の整備の見通しといいますか、厚生省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/172
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173・炭谷茂
○炭谷政府委員 まず、地域福祉権利擁護制度につきましては、先生御説明されましたように、精神障害者を初め、判断能力に欠ける人にとって非常に力強い援助になるものと思っております。
私どもといたしましては、今年度予算の中にこれに対する補助金を既に計上いたしております。このために、その実施の要領につきまして現在検討しておりますけれども、ことしの十月から発足させたい、この補助金をうまく活用しまして、全国の都道府県の社会福祉協議会が主体になって実施していただこうということによりまして、全国あまねくこの体制がとれるように私どもも努力をしてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/173
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174・福島豊
○福島委員 社会福祉協議会を活用されるというお話はお聞きをいたしておりますが、実際身近に来れば来るほどなかなか難しい問題になるかなという印象もございまして、人材の問題というようなこと、それから実際にどの程度機能しているのかということについては、地域差がかなりあるだろうというふうに思います。
そういう意味で、これは徐々に整備していくしかないというふうに思いますけれども、そういった実際の現場の状況の変化というものを的確に把握していただいて、継続的な取り組みをぜひとも進めていただきたいというふうに要望させていただきたいと思います。
最後に、グループホームのことについてお聞きをしたいと思います。
地域で生活するに当たりまして大切なもう一つの柱は、住む場所の確保というところでございます。この点については、団体の方からも、住まいの場所というものを確保するための補助制度を充実してほしいというお話がございました。
現在の障害者プランによりましては、平成十四年度に二万六十人分を確保するということが目標となっております。ただ、潜在的には、恐らく二万人という水準では到底足りない話なんだろうというふうに私は思います。高齢化ということもございますし、単身者の増加ということもございます。ですから、この平成十四年度、そこに向かって着実に目標を達成していただくということは当然必要でございますけれども、そこを超えて、潜在的な需要も含めて評価をしていただいて、さらなる上乗せの整備というものをぜひとも進めていっていただきたい、そのように思っておりまして、この点について最後に大臣の御見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/174
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175・宮下創平
○宮下国務大臣 グループホームは、御議論いただいておりますように、地域でお互いに数人で相助け合って一つの生活の拠点を築いていくという形式でございますが、こうしたことは、障害者の方々の連帯感と支え合う場として非常に貴重な施設だと思います。
そんな意味で、これからの障害者プランの中でも、その需要予測、なかなか困難だと思いますけれども、潜在的には非常に多いと思いますし、条件整備をしながらその拡充を図るべく新しいプランを作成する場合にも十分な配慮をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/175
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176・福島豊
○福島委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/176
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177・木村義雄
○木村委員長 瀬古由起子さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/177
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178・瀬古由起子
○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
私は、きょう愛知県から二冊の冊子を持ってまいりました。一つは、愛知県の南区にあります障害者の関係団体の連絡会、ここがつくった「南区障害者・家族の実態調査と障害者プラン」、こういう内容のものでございます。これは「だれもが住みよいまちづくり」という冊子で、大変苦労してつくられております。それからもう一つは、西三河地方にあります精神医療プロジェクトがつくりました、「「これから」——障害者プランに向けて」という冊子で、精神障害者の実態調査でございます。今、この二冊の冊子を持ってまいりました。
この中で、これは二十八歳の精神障害者の男性のお母さんがこういうことを書いています。「息子に「幸せになろうね」と心で問いかけてきました。」この息子さんとお母さん、今まで本当にいろいろな苦労の中で将来の希望をつなぎながら、そして当たり前の、だれもが住みよい町づくり、そういう町で住み続けたいという思いで書かれていると思うのです。この本には、障害者や家族の皆さんの本当に切実な声がいっぱい詰まっているわけですね。私は、この親子を初め、多くの精神障害者や家族の方々、多くの障害者の方々が、本当にこれから一日も早く幸せな日が来ることを願って、きょう質問したいと思います。
まず最初に、精神障害者の福祉の問題なんですけれども、在宅の精神障害者に対するホームヘルプ派遣事業の問題です。
これは、先ほども指摘をされておりましたけれども、精神障害者の実情に見合った生活障害も援助できるサービスが大変大事だ、こういうことです。先ほども指摘されましたように、介護保険制度が導入されますと、精神障害者のホームヘルプサービスが一体どうなるかという問題は、大変関係者が心配をしているところなんですね。介護保険制度というのは身体介護が中心になってきますので、特に生活障害がある人に対する援助というのは、精神障害者の場合にはその比重が大きくなってきますから、認定によっては大変軽い障害だというように認定される場合もあります。
そういう意味では、とりわけ精神障害者の生活障害に対する援助のあり方、ホームヘルプサービスのあり方というのは、特別な一定の配慮というのが介護保険制度実施の上でも大変重要だと思うのですけれども、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/178
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179・今田寛睦
○今田説明員 平成十四年からホームヘルプサービス事業を実施するということになっているわけでありますが、御指摘のように、通常の身体介護と異なりまして、精神障害者の場合のホームヘルプサービスのサービス内容というものは、例えば、規則正しく食事をつくるとか身辺あるいは身体の清潔を保持していくといった部分のみならず、また、援助を通じて本人の回復を促す、リハビリという表現がいいかどうかわかりませんが、そういった機能もやはり期待されているんだろうと思います。そういった意味では、他の、従来のホームヘルパーの皆さん方と全く同じということにはならないと思います。
そこで、そういった方々の確保が必要になるわけでありますが、それにおきましては、介護保険もさようでありますが、身体障害あるいは知的障害等にかかわりますヘルパーさんの養成、あるいは既に働いていらっしゃる方々に対して、そういったものに対する必要な知識あるいは技術といったものを研修等を通して養成する必要がある、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/179
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180・瀬古由起子
○瀬古委員 そうしますと、特別な財政的な措置も必要になってくると考えていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/180
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181・今田寛睦
○今田説明員 そういった御指導をしていただくための事業として、現在試行事業を行っているわけでありますが、その試行事業においても、そのような養成に対しての費用も計上しております。全体的に今後どうしていくかはこれからの課題ということでありますが、まずはこの試行を見て、どういうふうなやり方をしたらいいかということを検討したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/181
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182・瀬古由起子
○瀬古委員 精神障害者の在宅介護については、保健婦さんの役割、保健所の役割というのが大変私は重要だと思うのですね。ところが、地方は保健所の統廃合が今どんどん進められています。大都市部でも、例えば札幌、千葉、神戸、広島、北九州では、そんな大きな地域で一カ所だけというところもあるわけです。これから市町村に福祉の援助が実施されることになるわけですけれども、どうしてこれで保健所が指導できるんだろうか。市町村や精神障害者の援助をするためにも、地域によっては、一カ所だけではちょっとまずいんじゃないか、もう一回見直す必要があるんじゃないかということだとか、さらに、保健婦さんを充実させるという方向で保健所の機能を強化する、こういうことも自治体の判断で出てくるんじゃないかと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/182
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183・伊藤雅治
○伊藤(雅)政府委員 保健所の問題につきましてお答えをさせていただきます。
保健所につきましては、平成六年の地域保健法の改正に基づきまして現在統廃合を進めているわけでございますが、県立の保健所につきましては、市町村に母子保健事業なり栄養改善事業を移譲することによりまして市町村の体制を強化しながら、あわせて県の保健所の広域化を図っていく、そういう対応をさせていただいているわけでございます。
また、指定都市につきましては、保健所を人口十万単位で置くか、それとも保健所を指定都市の中で一カ所に機能を集約しまして、そして手足としての保健センターを随所に配置していくか、こういう問題につきましては、指定都市におきましてさまざまな対応があるのは承知しているわけでございますが、現在、審議会におきまして、特に指定都市におきます保健所と市町村保健センターの配置のあり方につきまして御検討いただいているところでございます。したがいまして、指定都市におきましては、保健所を一カ所ということだけではなくて、その手足としての市町村保健センターの体制とあわせてぜひ見ていただきたいということでございます。
全体といたしましては、平成九年の地域保健法の全面施行以来、市町村への権限移譲に伴いまして保健所の職員数は若干減っておりまして、保健婦数につきましても若干減しておりますが、市町村の保健婦数につきましてはかなり増員されているというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/183
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184・瀬古由起子
○瀬古委員 地域保健法が施行されましても、それぞれ独自の判断で、特に、例えば今出てきておりますように精神障害者の社会復帰を一層進めるという立場から、縮小する予定が、やはり判断で、もう少しふやそうじゃないかとか、ある意味では統廃合する予定を一時中断するということも当然あり得るというふうに思うのですけれども、それは自治体の判断でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/184
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185・伊藤雅治
○伊藤(雅)政府委員 現在の保健所の統合につきましては、平成六年の法改正によりまして都道府県が計画を策定して、現在実施中でございます。
その時点におきましては、今回の精神保健福祉法の改正というものを当然前提としていないわけでございまして、今後、この精神保健福祉法の施行までの間に、御指摘の点については検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/185
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186・瀬古由起子
○瀬古委員 自治省に来ていただいていますのでお聞きしたいと思うのですが、福祉的な分野の仕事が市町村に移るということによりまして、今市町村はどうなっているかといいますと、介護保険で手がいっぱいという状態もあるわけですね。そうしますと、今自治体の、市町村の財政事情なども見まして、また人材確保という点で見ましても、保健婦も十分確保できないというところがございます。
そういう場合に、私は、精神障害者の場合でも、やはり身近なところで一定のフォローアップができるというのは大変大事だと思うのですけれども、そういう人手の確保といいますか、保健婦さんなどのスタッフの確保については、財政的な支援も含めて一定の国の援助が必要だと思うのですけれども、自治省の立場からいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/186
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187・二橋正弘
○二橋政府委員 近年、福祉関係の権限が県から市町村におりるというケースが多うございます。これは全体に地方分権を進める上で私ども望ましいことと考えておりまして、それに応じまして、それぞれ人員なりそういうものにつきまして、地方財政計画全般を通じて財政措置をいたしておるところでございます。
今先生、保健婦の問題をお取り上げになりましたけれども、保健婦につきましても、平成四年、それから平成九年から施行されておりますこの地域保健法の改正等に伴いまして計画的な増員を図ってきておりまして、十一年度の地方財政計画のベースで申し上げますと、保健婦全体として、県、市町村合わせて千五百十二人という増員を図って、その結果、十一年度ベースで三万一千人余りという数字の保健婦の地方財政計画における措置をして、それをそれぞれ市町村ごとに、交付税を算定するに当たってそういう要素を織り込んで計算をいたしておるという形で財政措置をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/187
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188・瀬古由起子
○瀬古委員 地方自治体は障害者プランでもなかなか進んでいないという状態もございまして、さらに、その中で精神障害者の計画をどうするかということなどもほとんどないような自治体もたくさんあるわけですね。そういう点でも、ぜひ、財政的な措置も含めながら、大いにそれを応援するという立場でこの措置を大きく広げていただきたいというふうに思います。
次に、小規模作業所の問題、先ほどからも何度も出ていますけれども、それだけに大変切実な問題があるということを私自身からもお訴えしたいと思うのです。
今、小規模作業所というのは、全国でも五千カ所、一気に広がってきているわけですね。今まで何度もその改善を求めて、もう二十数年になると言っておられましたけれども、関係者の皆さんは二千万人以上もの署名をこの国会に届けたと言われるわけです。それで、今や、法定施設である通所授産施設だとか通所の更生施設、その施設を量的にも小規模作業所が上回るという事態になっております。
今、仕事もやって、私も幾つかの作業所を回りましたけれども、本当に重度の障害者のいるところでは、作業といっても作業にならない、それこそタペストリーに絵の具を体じゅうで塗るというのが作業で、そういう仕事にも商品にもならないという中でも、子供たちが、障害者が生き生きと活動しているという場もありますし、一生懸命仕事をして何とか商品にしたいということで頑張ってみえて、それでも一カ月千円とか二千円なんです。せめて一年に一回でもいいからどこか旅行に行きたいななんて言われるのですけれども、本当に何とかしなければなというふうに思っています。
そういう意味では、この小規模作業所を現行の社会福祉事業法などにも位置づける。今後は、社会福祉事業法の改定問題、私たちも改正とはなかなか言いにくいのですけれども、これは大いに論議しなきゃならぬというふうに思っています。しかし、当面の事態を解決するという点では、切実な要望として出されております、やはり法的に位置づけて通所の授産施設などと同水準の補助金の交付をやってもらいたい、こういう願いは二十一世紀まで持ち越してはいけないというふうに思うわけですね。
そういう意味では、今までこれを要望してきて、大臣が二十五人かかわったそうなんですが、なかなかいいお答えがいただけなかった。ぜひ今回は何としても、大臣、期待にこたえていただきたいという切なる願いが出ております。
そういう意味で、大臣の御所見と、そして、この問題はどうするか、財政的なことも含めてどういう援助をしていくかという問題では、やはり長い間苦労された当事者の皆さんの意見をよく聞いてこの法定化にしても決めてもらいたいというふうに思うのです。そして同時に、本当に苦労して頑張っている障害者の働く作業所も、ぜひこの機会に大臣自身が直接見ていただき、現場も調査していただいて、本当に実態に合ったものにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。大臣、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/188
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189・宮下創平
○宮下国務大臣 小規模作業所につきましては、しばしばここでも議論されておりまして、一定の要件を満たさないとだめだということで、今助成金として百十万円定額、それから交付税措置という辺にとどまっておりますが、これからの社会の中でこうした小規模作業所の果たす役割というのは、それは生産活動としてはそんなに評価できないかもしれません。しかし、NPOの人たちあるいは家族を中心にして、そういう障害者を抱き込んで連帯の意識のもとに支え合おうという、これはやはり社会の構成の基本をなすべき一つの大きな要素であるように思います。そんなことで、きめ細かくやるということが特に重要だと私自身も認識しておりますので、これを助成策もあわせて拡充していきたいなという気持ちを抱いております。
ただ、小規模作業所というのは、精神障害者だけでやっているとか知的障害者だけでやっているという問題じゃなくて、私も現場を幾つか見ております。これは、そういう障害者の方々が相助け合って、知的障害者の人も精神障害者の人も、そしてまた父兄も一緒になって活動している。活動領域も非常に多様です。今申されたように、障害の程度も違いますから当然だと思いますし、それが、よしんば能力的に同じ程度であったとしても多様性に富んでいるものであると思いますから、今委員のおっしゃられるとおり、地域の実情というものはよく踏まえながら、そういう多様性に富んだ、そしてまた連帯的な機能を持っておる作業所でありますから、それらの特性に応じた体制をぜひ前向きに検討していきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/189
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190・瀬古由起子
○瀬古委員 当事者の意見を十分に聞いてほしいということは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/190
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191・宮下創平
○宮下国務大臣 ですから、今申しましたように、当事者の意見も聞きますし、私自身も幾つか見ておりますので、十分そういった現場の声を吸い上げて、集約できるものならしていきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/191
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192・瀬古由起子
○瀬古委員 次に、精神障害者の人権に配慮した精神医療の問題について伺いたいと思います。
厚生省は、昨年、国立療養所の新潟犀潟病院で患者が身体拘束中に死亡した事件を契機に、全国の国立精神病院・療養所に対して立入調査を行いました。その結果、精神保健法に違反して保護室などへの隔離二九・三%、身体拘束四二・〇%に上ります。これらの法違反は調査をしたすべての国立精神病院・療養所に及ぶなど、深刻な人権侵害が行われている実態が明らかになりました。
精神保健福祉法に基づく人権に配慮した精神医療の実施に当たり、都道府県に範を示さなければならない国立で法違反が行われている。直ちにこれは改善されたんでしょうか。どのように改善されたのかお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/192
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193・今田寛睦
○今田説明員 精神病床を持っております国立病院それから療養所につきましては、昨年の十月十四日から十二月十八日にかけまして、私ども障害保健福祉部と役所の外にいらっしゃる精神保健指定医合同で調査を行いました。その結果、御指摘のように違法な隔離、拘束などの事例があったという点がございまして、その改善について指導を行ったところであります。これに加えまして、本年五月に、入院患者の人権に配慮した適正な処遇等の確保を図るべく、再度再発防止のための指導を行ったところでございます。
今回の調査結果を踏まえまして、都道府県などとも協力をして引き続き指導を行っていく方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/193
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194・瀬古由起子
○瀬古委員 命にもかかわるような法違反があるわけで、そういう点では至急に改善を要するものもございます。
そして、同時にこの場合に指摘されているのは、医師だとか看護婦のスタッフの人員が足りないという問題、それから施設設備が大変ひどい、古いままになっているという問題もあります。これはある意味では本格的に改善するという方向を出さなければ、それこそ命にもかかわるという問題もあるので、ぜひ緊急に手を打つべきだというふうに思うんですけれども、大臣、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/194
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195・宮下創平
○宮下国務大臣 国立療養所の犀潟病院の問題につきましてはいろいろの要因がございます。直接的な要因は、やはり医師の指示を受けて看護婦さんが拘束を加えるとか、そういう包括的な委任をしていたと言われておりますが、そこら辺が独自の判断で行われた可能性もあるし、指定医の方との接点がどうなっていたかとかいろいろな課題があるように思います。
したがって、今委員の方は設備基準とかそういうことを申されましたが、それも重要な点ではございますが、直接的にはやはり運営上の諸課題が介在していたようにも思われますので、結果としては、指定医の取り消し等を行いまして犀潟病院の場合は処理したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/195
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196・瀬古由起子
○瀬古委員 犀潟だけではなくて、全国の精神科の国立病院・療養所で法違反が行われているというのは、本当にあってはならないことだと思うんですね。これは、この結果からいいますと、たまたまここだけの例ということでは言えない。これは参議院でも論議されまして、国立の場合は、例えば夜勤の回数なども大変精神科の場合は多い。そういう点でも人がやはり足りないんじゃないかという問題は根本的に指摘をされているわけですね。そういう点でもぜひ改善を急ぐべきだというように思います。
同時に、私は国立だけの問題なのかということで、皆さんのお手元に、平成十年度において都道府県、指定市が実施した精神病院実地指導の状況総括表というのをお配りさせていただきました。これを見てみますと、深刻なのは国立だけではない。指導は都道府県によってやり方というのは少し違ってきていますけれども、「指摘事項有り」というのが実地指導病院の八割以上にもなっております。そのうち「文書指摘」、この「文書指摘」というのは法違反を含めたかなり重要な内容も入っているわけですけれども、これが五割以上の病院に及んでおります。「改善命令」というのが右から二つ目の段のところに出ています、これは三件だけなんですね。実はこの三件というのは、犀潟、多度それから札幌平松という死亡事故が起こったところだけが改善命令が出ている。
言いかえますと、実地指導でこれだけ指摘されても患者に犠牲が出なければ改善命令が出ないというような事態ではないかと思うんです。その点では、この犀潟の事件というのはやはり起こるべくして起きているというか、実際には精神科全体のいろいろ指導改善が必要な状況が全体的にある。これは単にここが悪い、この病院が特別というのは確かにありますけれども、全体的に引き上げるということをやらなければ解決できないということを示しているというように思います。
一昨日の参考人質疑の中でも、参考人から、精神科特例だとか適正な診療報酬問題についての指摘がされています。特に治療の困難な患者さんが今民間に押しつけられているという状況があるわけですね。そうすると、今、低い診療報酬や精神科特例の中で経営が大変になりますから、経営を成り立たすために無理な処遇を行っても、実際には国や県が余り指導できないという問題もあるわけですね。やむを得ないなというか、これだけ人手がいないんだからということになってしまう。
私も精神科の病院に勤めていましたけれども、実際には精神科の医療というのは一人一人に対してすごく人手も要りますし、時間もゆったりした中で治療するということがとても大事なんですね。ですから、先日委員会で児玉議員が三重の多度病院を取り上げましたけれども、ともかく一部屋に八人も九人も詰め込むとか布団を重ね合わせて敷き詰めてなんというのは精神科の治療としてはふさわしくないというように私は思います。ある意味では一般の病気よりも人がもっと要るということはあり得るわけですね。
私は、欧米諸国などで、精神科だけ特別に看護婦や医師は少なくてもいいですという制度を持っている国というのが一体あるんだろうかと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/196
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197・今田寛睦
○今田説明員 諸外国で医療機関に職員の配置基準を定めていない国もございますから一概に申し上げられませんが、私どもとして、そういう病床種別による差を設けているということについては承知をしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/197
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198・瀬古由起子
○瀬古委員 そうなんです。こんな特例なんというのを設けている国は日本だけなんですね。そういう点ではやはり一刻も早く改善すべきだというように思います。
精神障害者の権利擁護については、国際的にも、一九九一年に採択された国連原則、一九九六年のWHOの基本原則がございます。その基準からしても、日本の場合はかなり改善が求められております。また日本は、一九九二年に国際法律家委員会から勧告も受けているという状態なんですね。そういう点でも私はぜひ大臣にお聞きしたいと思うんです。
今までの歴史があります、社会防衛的な精神科治療の歴史、そういう歴史の中で続いてきたという問題があります。しかし、今、社会防衛的な発想から、いよいよ国際的な基準がクリアできるような、国際基準といったって最低基準ですからね、おくれている精神科治療、人権問題でいえばこれをもっと引き上げる、そういう努力をすべきだと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/198
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199・宮下創平
○宮下国務大臣 我が国の精神医療の歴史は、二十五年に制定されて以来社会防衛的な色彩が強かったのは委員の御指摘のとおりだと私も思います。そして、六十二年の改正によってかなり大幅な、抜本的な方向転換がなされてきていると思います。その流れは人権擁護ということではあると思います。しかしながら、なかなかそれが一気に進まないという点がございますので、いろいろ検討、改正が重ねられて、また今回、より一層それを促進しようという立場で改正を御審議願っているわけでございます。
一九九一年の国連原則とか九六年のWHOの基本十原則、こういった精神は当然なことだと私どもも思います。そういった点を参酌しながら、今回の改正点も、一々申し上げませんけれども、人権に配慮した施策として、精神医療審査会、あるいは指定医の問題、保護入院の問題、あるいは改善命令等々いろいろやっているのも、そういった流れの中でのさらに促進ということでございまして、人権に配慮する、あるいは障害者の人権確保の制度をきちっと整えていくというのは、今後ともさらに引き続き検討を続けていかなければならない課題であろうかと思っています。
なお、その運用についても、担当される医師も、精神科特例があるからやむを得ないんじゃないかということでなしに、それはそれとして私ども検討してまいりますけれども、ひとつそういう使命感でやっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/199
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200・瀬古由起子
○瀬古委員 全国自治体病院協議会は、提言の中で次のように述べております。病院を選択する機会が十分与えられない精神障害者の医療では、医療の質と受療の便宜性を医療法上で保証することがとりわけ重要です、そのために医療水準が一定以上に保たれるような医療法の改正がどうしても必要なんだというふうに述べておられるわけですね。
厚生省は、医療の質そして受療の便宜性、この二つの点で法改正というのは検討されようとしていますか。今現在検討されていることがあるでしょうか。その点お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/200
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201・小林秀資
○小林(秀)政府委員 先生おただしの医療法の見直しにつきましては、昨年の九月以来医療審議会を開いておりまして、その中で医療の提供体制についての見直しの議論をいたしております。その中では、入院医療で、今の一般病床についていいますと、急性期病床と慢性期病床に分けることはどうかとか、カルテ等の診療情報の開示の問題ですとか、それからあとは医療機関の広告の制限の問題ですとか、いろいろな問題について議論をいたしております。
現在の段階は、私ども、昨年の十二月二十五日に厚生省の方が議論のためのたたき台というのを出しまして、より一層議論を深めておりまして、相当議論が進んだところでその議論のまとめをしようということで、審議会の中に小委員会を設けてまとめに入っているという状況にございます。
厚生省としては、今後この医療審議会の意見の取りまとめをお願いいたしまして、その意見を踏まえて関係者の意見等を聞きながら改革の具体化に取り組んでまいりたい、このように思っています。
精神医療の特例のことに関しましては、私どもの局の医療審議会ではなくて、公衆衛生審議会の方で議論がされていますので、その点については障害保健部長から答えていただければと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/201
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202・今田寛睦
○今田説明員 特例のできた経緯につきましては、これまでもるる御意見が出ておりましたが、それを踏まえまして、現在の状況の中で、精神病床が担っている役割、非常にマンパワーの必要な医療的ケアの高い患者さんも、ケアだとかあるいは福祉の分野でかかわる度合いの高い方々も、三十六万床の精神病床の中に一本で入っているということがございますので、そういった施設の役割というものを見直しながら病床における適切な人員の配置のあり方等について検討をしていきたいということで、今公衆衛生審議会の方でも御議論を始めていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/202
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203・瀬古由起子
○瀬古委員 質という問題でいえば、やはり何といっても、人手をどうふやすかというものを、幾つか分けて、一つのところへ厚くする、薄くするというんじゃなくて、全体的に引き上げるということをやらなければ、今の人権が損なわれているような精神科の医療というものの水準が上がらないということははっきりしていますよ。その点もぜひ検討するべきだというふうに私は思います。
それからもう一点ですけれども、受療の便宜性という面では、一般病院の中に精神科を設ける、精神科の病床の配置というのは大変大事だというふうに思います。これは例えば、患者さんの中で感染症が集団的に発生した場合、総合病院の中に精神科がある場合に、そこに病棟を確保するということは大変大事ですし、患者さん自身も通院しやすいという問題がございます。
そういう点でも、一般病院に精神科の病棟をきちんと確保していくということが大変大事ですし、それから全国の地域で、精神科の病床が一つもないという例えば二次医療圏なんかもございます。偏在しているわけです。例えば地域的に生活圏の近くに精神科が入院も含めてある、こういう仕組みにしていくということが、ある意味では、先ほど病院の協議会の方から指摘があった受療の便宜性という点でも大事だと思うんですね。その点ではいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/203
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204・今田寛睦
○今田説明員 まず、先ほど一般病院として精神病床もあわせて持っている病床については九万八千床ということを申し上げましたけれども、さらに、合併症等で必要なものについては総合病院等で対応する必要があろうかと思います。現在、精神科における合併症の治療についての検討を行っておりますので、こういったものも踏まえながら今後のあるべき方向というものを検討していきたいと考えております。
さらに、今精神病床の整備圏域というのが、全県一区といいますか、県単位でこれがつくられているということから、結果において地域的に格差が非常に大きくなっているという実態がございます。これにつきましては、精神病床そのものが不足している圏域であれば、そういった不足している地域に新たに精神病床が建てられるということは期待できるわけでありますが、逆に、全体として過剰な場合が非常に多うございます。こういった場合には、もうこれ以上建てられないということを医療計画上規定している形になるわけであります。しかし、例えば、離島でありますとか、あるいは隣接する医療圏に精神病床がないといったような場合には、都道府県の医療審議会の意見を聞いた上で、精神病床の整備についてこれを妨げることはしないというような規定もございます。
いずれにいたしましても、医療提供体制をどのように進めていくか、あるいはその中でどのような病床が必要なのかといった視点もございますので、今後、関係の審議会等の御意見を踏まえながら、この整備計画のあり方についても検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/204
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205・瀬古由起子
○瀬古委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、最後に、お配りしました資料の下の段を見ていただきますと、昭和五十四年度からどんどん精神保健費が減ってきているわけですね。これはあってはならないと思います。確かに、措置入院者が減ってきているからそうだと言われるんですけれども、しかし、それに伴う分はきちっと患者さんのために、精神障害者のために使うべきであって、昭和五十四年度の二倍、三倍、四倍あっても構わないのに、減らすということは大変問題だと思います。
そういう点では、今後大いに精神科、精神障害者の治療や福祉のために一層充実をしていただく努力を期待いたしまして、私の質問といたします。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/205
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206・木村義雄
○木村委員長 中川智子さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/206
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207・中川智子
○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。きょうも座っての質問をお許しいただきたいと思います。
一九九二年の国際法律家委員会の対日勧告の中でも、特に精神医療審査会のことがたくさんの項目にわたって勧告されております。きょうはまず最初に、精神医療審査会のことについて伺いたいと思うんです。
私も、この法案が提出される前に元患者の方々とお会いしまして、病院の中のことですとか、不服申し立てとかいろいろな制度があるけれどもそれに対してどのように対応されてきましたかと、かなり長い時間、いろいろお話をさせていただきました。
やはり実態は、とても怖くて一言の反発さえできないんだということでした。入ったら素直に、ともかく素直に、日々、どんなことを言われても何をされても、それに対して受け入れなければよりひどくなる。私は病院に入ると掃除婦さんになるのよと若い女性が言いました。一生懸命お掃除を手伝う、そうしたら、とても助かるからちょっと優しくしてあげようかとか、ある人は、重いものを一生懸命持って、何でも一生懸命、病院に入ったらよく働くんだというふうなこともおっしゃいました。それと、やはりつらいのは、人間扱いされない言葉の暴力。
さまざまな実態を伺いまして、この審査会の機能というのが一体どのようになっているのかということをまず伺いたいし、今までなぜこの審査会が、不服申し立ての件数も少ない、今回の法案に関してその後どのような形で審査会を活発化されようとしているのか、具体的にお話しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/207
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208・今田寛睦
○今田説明員 まず、審査会におきます退院あるいは処遇改善の請求の仕組みでございますけれども、これにつきましては、入院中の者あるいはその保護者でもいいわけですが、その方によりまして都道府県知事に対して申し立てていただく。ところが、それを申し立てるときにどういうアプローチができるかという場合に、保護者であればもちろん在宅でいらっしゃるから申し立てはできましょうが、入院されていらっしゃる方についてはどういうアクセスが可能なのか、こういうことになります。
その場合には、病院から電話によって口頭で申し出ることも可能でありますし、その場合でも、精神病院の中に電話を設置し、電話にはそういうことを申し込むための電話番号を掲示するようにということで、できる限りこの制度が利用しやすいような仕組みとして医療機関にも義務づけておるわけであります。
ところが、そうはいっても、その実績を見てみると、確かに都道府県においてかなり格差がある。多ければいいということにはならないのかもしれませんが、しかし、格差があるということは、入院されている方々がそれにアプローチするときに何か御指摘のような努力が医療機関の側に必ずしも十分でないものがあるのかもしれない。そういった意味からいたしまして、私どもとしても、この趣旨を十分に理解していただいて、そのための制度として例えば公衆電話も活用していただくということを各医療機関に周知徹底する必要があるということもございまして、そのような指導をさせていただいているところでございます。
また、それを受け付ける側の審査会も、十五人という上限でしか回せないという状況から、これを地域の実情に応じて機動的に、もっと多くの方々が参加いただいて対処できるようにということは、今回の法改正にも盛り込ませていただいたことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/208
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209・中川智子
○中川(智)委員 それに連動しての質問になりますけれども、例えば、不服申し立てをした患者さんが不利益を受けないような身分保障ですとか、また、審査会が定期的に病院に審査に入るシステム、この二つについてはいかがでしょう。今お答えできる範囲で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/209
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210・今田寛睦
○今田説明員 不利益というところで、入院されていらっしゃる患者さんがそういうことをアプローチしたからといって異なった不利益的な処遇を受けるということは、もちろんあってはならないと思います。
それから、定期的にということでありますが、まず、各医療機関には少なくとも年に一回は都道府県が指導に入るという仕組みになっておりますし、また、各病院から出てきております報告、措置入院あるいは医療保護入院にかかわります書類によって、疑義のある場合には審査会がそこに行って意見を聞くということもできます。今回は、それに対してなお報告徴収権、出頭をお願いするということも最終的には義務として課すというようなことで、極力審査会自身もそういったところに目を向けて適切な人権等の確保ができるように改正する内容にさせていただいたというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/210
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211・中川智子
○中川(智)委員 年一回という回数ですね。これが多ければいいというんじゃないけれども、やはり数多く入ることによってきっちりと、人権侵害があってはならない、そして患者の方の権利保障というのが担保されると思います。年一回という回数は余りにも少ないというふうに今思いました。
一昨日の参考人の質疑のときに印象的だったのは、例えばオランダなどは、元患者の人たちが審査会のメンバーの中に入って、それは当然、雇用というふうな形はおかしいかもしれませんけれども、一つの仕事として自分自身の経験がその中で生かされる。私も患者の方たちとお会いしてつくづく思いましたし、今私も車いすを利用してつくづく思うんですけれども、実際に自分がその身になってみると、その受ける側の立場がよくわかる、いかに相手の立場に立てるか、気持ちがわかるかということが実感できました。
ぜひとも、審査会のメンバーの中に、オランダのようなものを一つのモデルにしながら、元患者の方ですとか法律家、そのような方たちが入って、より審査会の機能が活性化できるようなシステムにしていただきたいという要望を兼ねて、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/211
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212・宮下創平
○宮下国務大臣 審査会は今回かなり拡充いたしまして、人権侵害に備えるという体制になってきております。その構成単位は五人を単位といたしまして、今まで十五までということでございましたが、これは制限を撤廃しましたので、大きな都市等においてはかなりの数を適用できると思います。
その五人の内訳はどうかというと、医者を三人、法律関係の方を一人、その他というようなことでありますので、おのずから単位としては限界があると思います。しかし、今オランダの例などを引かれましたように、委員も車いすで本当に障害者の気持ちがわかるというのはよくわかります。そういうことですから、そういう機会、患者なり回復された方々の経験に基づく意見を何らかの形で審査会で吸い上げるというようなことは必要かもしれません。ただ、それをメンバーの形でやれるかどうかは、私も今即答できませんし、それはちょっといかがかなと思います。
でも、そういう意見を吸い上げる機能というものはいろいろな形でとり得ることでもございますから、よく現場の意見を取り入れながら医療審査会においても人権擁護の全うを期さなければいけない、こんな感じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/212
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213・中川智子
○中川(智)委員 すべてのところにということは申しません。でも、実践的にそれをやっていく価値はあると思うし、それがやはりいろいろな偏見、また審査会の中身の充実にきっとつながると私は思っておりますので、お願いしたいと思います。
次に、日本は人権教育というのがとてもおくれているというのはさまざまな場面で私は実感しております。人権人権と言われて久しい。また、二十一世紀を迎えて、人権の世紀とも言われますけれども、教育が基本だということを実感しております。
参考人のお話の中にもございましたが、特に医療現場で働く方たち、先ほど桝屋議員の質問の中にも、県の職員が、きのうまで全然別のセクションにいた人がいきなり入ってきてその担当になるとなりましたら、まだまだ偏見が根強く残っている中で、特に医療現場、患者の方たち、家族の方たちと対応するときにすごく配慮が大事だと思うのですね。そのためには、人権をまず尊重して、そしてこの精神保健法の魂が生かされるためには、医療現場で働く方たちへの人権教育というのが今どうなっているか、それに対して十分だと思うかどうか、そこを厚生省のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/213
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214・今田寛睦
○今田説明員 まず、社会全般、社会の中であらゆる人が人権に配慮していなければならないということは当然のことでありますが、とりわけ精神障害者にかかわりを持たれる方々に対して、そういった人権の意識というのはなおさら重要なことだというふうに思います。
例えば医師でありますが、お医者さんも、医師国家試験あるいは医師の臨床研修の目標の中で医の倫理というものについて盛り込まれておりますので、それに対応した医学教育あるいは卒後教育というものが当然なされております。また、看護婦におきましても、その養成の課程で人権の重要性を十分に理解させ、人権意識の普及、高揚を図れるような内容をということも規定されている。つまり、それぞれ養成課程の中できちっとした教育をするというのが一つ大きな課題ではないかと思います。
それからさらに、今度は精神医療の現場に来たときはどうかということでありますが、医師でいえば指定医の問題になります。
指定医については、やはり行動制限など人権擁護の意識というのが特に必要な役割を演じていただくということから、これを大臣が定める形をとっておりますし、そのために、大臣が定める程度の診断または治療に従事した経験を有しているかどうか、あるいは申請者が法を遵守し、人権に配慮した医療を確保できるかどうか、これらについて公衆衛生審議会においてレポート審査をさせていただいております。また、新しく指定を受けられる方には十八時間、五年ごとの際には七時間、厚生大臣の指定する者が行う研修の履修を義務づけております。
医師についてはそのような形で人権についての教育的機会というものを確保しておるわけでありますが、また一方で、看護婦さんあるいは精神科ソーシャルワーカーの皆さん方につきましても、毎年都道府県が実施をいたしております精神病院の実地指導のときに、各病院に対して院内研修を実施するようにというようなことも指導しているところであります。
いずれにいたしましても、いろいろな方がかかわられるわけであります。本当にすべての人に人権意識の向上に努めていただくということがどうしても必要なことだということで、今後また引き続いて努力していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/214
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215・中川智子
○中川(智)委員 教育が行き届いていないからあんなスキャンダルが起きるというふうには言い切れませんが、教育をしっかりと生かしていく、そして院内での教育の徹底ですとか現場におけるきめ細かな対応ということに対して、もっともっと行政指導なりなんなり、ぜひともお願いしたいと思います。
次に、マスコミ報道、私もずっと気になっていたのですけれども、偏見を助長する、精神疾患を持つ人が地域の人たちの中でまだまだ疎外され、偏見を持って見られるというのは、一つには、事件が起きたときに、三日前に精神病院を退院してきたばかりだとか以前このような病歴があったということに目がくぎづけになるみたいなところがあると思います。だから怖いんだ。
私は、表現の自由との関係がありますけれども、厚生省はこのようなマスコミ報道に対して何か意見を申されたことがあるのかどうか、そしてまた現在のマスコミ報道に対してこれでよしとされているのかどうか、もう一つ質問したいことがありますので、ぜひとも端的にお答えいただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/215
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216・宮下創平
○宮下国務大臣 マスコミの多くは精神障害者を正しく理解されていると思いますが、しかし、今委員御指摘のような事例もないわけではないと思います。そして、精神障害者に関する事件でございますから、その疾患と過去の既往歴とかいろいろそういうことが報道されますと、短絡的にいろいろなものと結びつけられて誤解を生むという傾向にあることは残念だと思います。
私どもが精神障害者の社会復帰なりなんなりをする場合も、そういうことが重大な阻害要因になることもございますので、そういうことがないようにこれは指導を行政としてやらざるを得ないと思いますけれども、そういうことが報道されないように府県等に徹底を期して、マスコミとの関係も、十分正確な報道をしていただくようにお願いすべきだ、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/216
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217・中川智子
○中川(智)委員 マスコミの力というのは大きいですし、やはりそのことによって完治して社会復帰をなし遂げてやっている人さえもその偏見が及ぶ、そのことをぜひとも考えていただきたいと思いますし、今後のマスコミのありように関しても関心を持っていただき、それに対してのきっちりとした対応をぜひとも御検討願いたいと思います。
最後に、もう一点質問させていただきます。
最近、本当に自殺がふえました。うつ病で、ちょっと元気になりかけたときの自殺がとても多いというふうに伺っております。そして、新しい疾病と申しましてはなんですけれども、これほど一人一人が疎外されてきて、地域共同体とかいろいろな人たちが互いに助け合って生きていくことから少し日本は遠のいてきたように思います。
そんな中で、躁うつ病ですとか、いま一つは、私はごくごく身近に非常な悩みを聞いたのですが、拒食症、いわゆる摂食障害が若い方にとてもふえています。特に女性にふえているのですけれども、地域で専門医がいなくて、私は兵庫県なんですが、月に二回も三回も東京の病院まで通ってくる。ただでさえ財政的に大変な状況の中で、専門医がいないために治療に月に何度もお金を使ってやってくる。これだけでも大変なんですが、とてもふえているんですね。半年ほど予約を待つとか、とてもそんなのは待っていられないからということでほかの病院に行って悪化したりとか、いろいろなことがございます。
このような躁うつ病ですとか拒食症など、特に増加しているものに対しての実態調査とか研究や専門医の育成に対しては厚生省はどのように取り組んでいらっしゃるか、取り組まれようとしているのか、そこをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/217
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218・今田寛睦
○今田説明員 患者調査によりますと、平成五年から八年の三年間に六十万人の方が外来で増加しているというデータがございます。これらの内訳を見てみますと、躁うつ病が平成五年が十八万人から四十三万人、それからその他神経症あるいは痴呆といったものも若干ふえてきております。確かに、御指摘のようにうつ病が増加しているということは事実のようであります。また、御指摘の摂食障害につきましては、平成九年度に、特定疾患研究班の方でやはりふえているというふうなことが述べられております。
このようにストレスと非常にかかわりのあるような疾患が今日ふえているわけでありますが、こういったところが、ストレスとの関連等もありますし、あるいは社会全体のストレスということも影響しているのかもしれません。これらにつきまして幾つかの研究を行っているわけでありますが、それとともに、国立精神・神経センター等で、精神医療、精神保健の分野で重要性が高まっている精神疾患対策についての技術研修事業というものも取り組んでおりますので、こういったものを活用しながら、できるだけそういった方々がスムーズに受け入れられやすいような、あるいはそれに対して的確な治療ができるような、そういった点についても今後努力をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/218
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219・中川智子
○中川(智)委員 初期に治療すれば自殺までいくことはない方がとても多いのです。企業の中、そして学校ですとか地域の中で取り組んでいくような厚生省の取り組みをぜひともお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/219
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220・木村義雄
○木村委員長 笹木竜三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/220
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221・笹木竜三
○笹木委員 笹木竜三です。質問を始めます。
先ほどから他の何人かの委員によっても質問されていましたけれども、都道府県による移送制度の創設についてまず確認をしたいと思います。
さっきのお話にあるように、緊急に入院を必要とする精神障害者について、先ほど御説明のありました家族の説得によってとか、あるいは保健所の方が同行するとか、警察の力をかりる場合あるいは医療機関の力をかりる場合、こういうケースもあるけれども民間の会社の力をかりる場合もあるという、数値も示してお答えがありましたけれども、民間の会社の力をかりざるを得ない、これはどういうケースだと総括をされていますか。
例えば、現場の方に聞きますと、夜間で担当者と連絡がとれないようなケースも間々あるとか、あるいは先ほど説明の中でもお話がありましたけれども、精神科救急医療システムが必ずしも都道府県によっては余り利用されていない、そういうケースもあるようです。こういうことも含めまして、結局、民間の会社に移送を任せざるを得なくて、しかも時には高額な費用も自己負担になっている、こういうケースがどういう場合に起こっているのか、どう総括されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/221
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222・今田寛睦
○今田説明員 まず、この移送の実施主体は都道府県でありますし、都道府県も既に措置患者の移送という形で一定の役割を担っていらっしゃるわけでありますので、そういったところに当然私どもは大いに期待をして移送をお願いしたいと思っております。
それから、それが必ずしも十分に供給できないという場合にすぐに民間かということでありますが、私どもは、むしろ応急指定病院になっていただく病院が持っている例えばそういう救急車的なもの、あるいは移送にふさわしい自動車といったことも一つ重要な御協力いただける対象ではないかと思います。
なお、民間につきましては、今後どういうルールにするかにもよりますけれども、一定の基準をクリアしたものでなければ安易に民間に委託するということであってはならないという考え方で、これからその細かな基準について定めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/222
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223・笹木竜三
○笹木委員 余り時間がないので質問に答えてほしいのですけれども、要は、民間に安易に任せざるを得なくて高額な費用も自己負担している、こういう場合はどういうときに起こっているか、どう総括されているかとお聞きしたかったわけです。
もう一つあわせて聞きますと、先ほども言いました精神科救急医療システムが都道府県によっては必ずしも十分に活用されていない、予算もなかなかちゃんと使われていない。これはどうして起こっているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/223
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224・今田寛睦
○今田説明員 今の精神科救急体制が必ずしも十分でないという御指摘、御批判は真摯に耳を傾けて、充実したものにしなければならない、今後努力していかなければならないと私も思います。
それから、前段の御質問の趣旨を私十分理解しておりませんので、もし差し支えなければお教えいただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/224
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225・笹木竜三
○笹木委員 余り時間がないので……。要は、現場の話では、夜間で担当者と連絡がとれないとか、先ほどの現存の救急医療システム、これについても、都道府県によっては必ずしも理解がしっかりされていなくて活用されていない、こういった要因もかなりあると思います。それで民間に安易に任せるような形になっているケースが私はかなりあるように感じました。そんなことが、今度都道府県知事の責任によって移送することができるとなることでかなり減らすことができるのかどうかということを大臣に確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/225
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226・今田寛睦
○今田説明員 県の今回の制度の創設によって、そういったものは少なくなっていくものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/226
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227・笹木竜三
○笹木委員 済みません。余り質疑にならなかったみたいですけれども、もう一点、薬物中毒についてお聞きしたいわけです。
これは現場の医師の話なんですけれども、薬物中毒の患者と精神障害の患者の線引きがなくて、例えば麻薬取締法による対応の施設も精神病院となっている。入院場所も同一になっている。しかし、実際の現場のお医者さんが必ずしもしっかりと対応できているかといえば、しり込みして余り対応されてないケースが非常に多いんだという話を聞きます。どのぐらいの薬物中毒の患者数、そしてある程度ちゃんと対応ができているのかどうか、そういった現状把握について認識をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/227
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228・今田寛睦
○今田説明員 まず、薬物依存でございますけれども、これにつきましては、厚生省としては、国立精神・神経センター精神保健研究所におきまして、薬物中毒・依存症についての研究それから研修を行っております。それから、国立療養所下総病院の専門治療病棟において患者の受け入れを行っております。
この一月に公衆衛生審議会から、国立病院・療養所の再編合理化の方針が出ておりますが、その中で、精神科救急への対応、薬物依存症や合併症を有する患者への対応に重点を置くべきとの御意見をいただいておりますので、今後、この国立病院も活用しながら一層の充実を図っていきたいと思っております。
なお、薬物依存症を有する方々への対応として、精神保健福祉センターにおいても薬物中毒・依存症の専門相談、指導といったものの役割を担っていただきまして、それらのネットワークによって中毒者の社会復帰の推進にもあわせて努力をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/228
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229・笹木竜三
○笹木委員 今、施設のことについても御説明があったわけですけれども、どのぐらいの数なんでしょうか。そういった薬物中毒の方に対する対応の施設、今どのぐらいの施設が数としてあるのか、教えてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/229
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230・今田寛睦
○今田説明員 施設としては、各精神病院が入院患者の一部として扱っていただいているものもありますので、そういった意味では厳密には数字が把握できないわけでありますが、少なくとも、患者の数で申し上げますと、六千人程度ではないかというふうに私どもは承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/230
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231・笹木竜三
○笹木委員 実際にはもっと多いんだと思います。
大臣、最後に、もう余り時間がないみたいですから、先ほどお話ししましたように、現場の精神科の医師ではなかなかしっかりと対応ができていない、ある程度専門的に対応する機関、施設をもっとふやすべきだという意見をよく聞きます。そういった方向でこれから対応されていくということについて、大臣の考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/231
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232・宮下創平
○宮下国務大臣 この精神障害に対する対応としては、今部長の言われたように、国立病院で先駆的な医療もやりますから、そういった点を中心にしてやはり先導的な役割を果たしながら現場の医師の指導その他もやっていかなくちゃいけないし、また、今まで議論されたように、病院それ自体の監視、監督、検査、そういうことも徹底をしていく、あるいは、先ほど御議論がありましたように、担い手の医師、看護婦あるいは医療関係者の人権への配慮をやっていくとか、そういう総合的なことにもっと重点を置いて、この法の趣旨に従ってやっていくべきものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/232
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233・笹木竜三
○笹木委員 薬物中毒患者専門の機関の整備について、ぜひ今後さらなる御検討をお願いしたいと思います。
質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/233
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234・木村義雄
○木村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/234
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235・木村義雄
○木村委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/235
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236・木村義雄
○木村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/236
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237・木村義雄
○木村委員長 この際、本案に対し、長勢甚遠君外六名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び無所属の会の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。山本孝史君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/237
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238・山本孝史
○山本(孝)委員 私は、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び無所属の会を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。
一 精神障害者の福祉の増進及び国民の精神保健の向上を図る観点から、精神障害者やその家族その他の関係者の意見も尊重しつつ、他の障害者施策との均衡や雇用施策との連携に留意し、障害者プランの着実な推進を図るなど、精神保健福祉施策の充実に努めること。
二 都道府県から市町村への在宅福祉サービスの提供主体の移管が円滑に行われ、市町村を中心とする在宅福祉サービスの充実が図られるよう、財政的な支援を行うとともに、専門的・技術的な支援を行うこと。また、市町村障害者計画の策定について市町村が主体的に取り組むことができるよう、積極的に支援すること。
三 医療保護入院については、国連原則等の国際的な規定に照らし、その適切な運用に努めること。
四 医療保護入院等のための移送の実施に当たっては、適正な運用が確保されるよう必要な措置を講ずるとともに、都道府県の責任において適切な入院治療が提供できるよう、二次医療圏を勘案してその体制を整備すること。
五 精神病床に係る人員配置基準、医療計画その他の精神医療提供体制及び長期入院患者の療養の在り方について、その充実に向けて早急に検討を行うこと。
六 チーム医療及び精神保健福祉サービスの一層の推進を図るため、人材の育成・確保に努めること。また、現在検討中の臨床心理技術者の国家資格制度の創設については、速やかに結論を得ること。
七 精神病院における不祥事件の多発にかんがみ、人権を尊重しつつ適切な医療を確保できるよう、医療従事者の更なる啓発に努めるとともに、医療機関等の情報公開の推進と精神病院の指導監督の徹底を図ること。
八 精神医療審査会がより適正な機能を発揮し、独立性と実効性を確保できるよう努めるとともに、合議体の構成についても検討すること。また、当事者の意見の反映が図られるように努めること。
九 小規模作業所については、社会福祉事業法の見直しの中で、通所授産施設の要件緩和が検討されていることから、その検討結果を踏まえ、通所授産施設への移行を促進すること。また、多様な福祉サービスの充実に努めること。
十 成年後見制度及び社会福祉事業法等の見直しの動向を踏まえ、家族・保護者の負担を軽減する観点から、保護者制度について早急に検討を加え、精神障害者の権利擁護制度の在り方について引き続き検討を進め、その充実を図ること。
十一 重大な犯罪を犯した精神障害者の処遇の在り方については、幅広い観点から検討を早急に進めること。
十二 精神障害者に関する各種資格制限の緩和と撤廃について検討し、その結果に基づいて、速やかに必要な措置を講ずること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/238
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239・木村義雄
○木村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/239
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240・木村義雄
○木村委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、宮下厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。宮下厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/240
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241・宮下創平
○宮下国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/241
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242・木村義雄
○木村委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/242
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243・木村義雄
○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/243
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244・木村義雄
○木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/114504237X01119990521/244
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